序章。
明後日の方向に行けば、明後日に行けます。
昨日、ここに来なさい、とは言われていません。
明後日に行きたいので、明後日の方向に歩き出しました。
前には進みたくありません、後ろにも下がれません。
しかし、今から明後日に行きます。
去年、そうすれば良かったじゃありませんか。
と言われるかもしれませんが。
本当にそうですね。
明日から、明後日に行きます、とは言いません。
本当は、先週から明後日の方向には行きたかったので。
本当は、先週から、明後日に行っているつもりでした。
明後日に行きたいのです、もう誰も、遮る者はいません。
明後日までついていきます、なんて人はいません。
行きたい方角に行きます。
1
善悪と無関係なこと。
もし昼であれば、明るい。
というのは虚偽だと私は判断する。
という否定の言明をしたとすれば。
この仮言命題に何が起こったのか。
この場合。
誰が判決を受け。
誰が有罪とされたのか。
仮定命題か。
それともそれについて欺かれた人か。
そうすると。
君についてなにかを宣告する力をもったその人とは。
いったい誰のことなのか。
新奈。
「善悪を語る訓練なんてしていません。」
小夜。
「何でも善悪の問題にしてはならない。」
璃々依。
「所詮、人間は自分の視点でしか。」
「物を見ることができない。」
新奈。
「善悪で何でも説明できると思ったら大間違い。」
璃々依。
「すると善悪とは勝手に決まるものだろうか。」
小夜。
「善悪に主観や客観があるのは。」
「善悪だけで説明できないことなら。」
「いくらでもあるという意味ですよ。」
新奈。
「世の中の。」
「良いこと悪いことも。」
「所詮は誰かが決めたこと。」
「何も考えずに従うのは弱い人のすること。」
小夜。
「誰もが認める正しいことなんてひとつもない。」
新奈。
「善とは価値観であった。」
「善と悪は行動の評価ではなかった。」
璃々依。
「善が先にあって悪が後になります。」
「先に悪があって後に善があるのは。」
「順番に誤りがあるのです。」
「良いものが先にあり。」
「悪いものは後になります。」
「なので先に出すものや。」
「先に置くものを間違えています。」
「なので結果も悪くなります。」
「先に善なるものがあり。」
「後に悪しきものが来れば。」
「結果も過程も世界にある善を。」
「求めた結末に過ぎません。」
新奈。
「現代と古代を分離したのは啓蒙思想でしょう。」
小夜。
「それによって善悪が多数決になったのではと。」
璃々依。
「しかも善悪とは関係がない物事すらありますね。」
新奈。
「啓蒙思想なんて否定されるならば。」
「もっと価値ある歴史を見出せます。」
小夜。
「啓蒙主義は光のように見せかけた悪いものですね。」
「啓蒙主義は自分を光の使者だと名乗りますが。」
「実際は反対に邪悪で醜悪な姿をしています。」
璃々依。
「実証主義は進化論を語りますが。」
「進化論の考え方が独善的に支配していますが。」
新奈。
「科学者とは。」
「世界には真理がある。」
「という信仰を持った人達。」
小夜。
「新聞やテレビは迎合の場です。」
「評判よく書かれることは断念しないといけません。」
「毎日の報道が必ずしも良いことばかりではなくて。」
「世論に都合の良いことばかり褒めるのが原則です。」
「報道で褒められるような人物を信用しないことは。」
「最も確実な思慮のある態度のひとつです。」
「宣伝だけで地位を築いた人間は排斥されるのが良い。」
「以上の三つは人格を磨いた者や品性とは無関係ですからね。」
新奈。
「何も有益ではなく。」
「何も良い結果に至らないのに。」
「無駄な時間と精神を要求する事柄から。」
「懸命に遠ざかり逃げ出すのが良い。」
璃々依。
「与えられた価値観はすべて捨てよう。」
「そう思わされているだけ。」
「ということに気がつかなければ。」
小夜。
「自分が一番。」
「そこから生まれた価値観を大切にしよう。」
新奈。
「私は修練の旅に出ていますが。」
「手間や権利を私に集中するために。」
「優生思想で習い事や学問を習いまして。」
「振り返ると文化人ばかりです。」
璃々依。
「私の両親は戦略に秀でていて。」
「最も簡単で広い自由の対価に。」
「旅行の資金をくれたりして。」
「私はそれに同意しました。」
小夜。
「私はおかげ様で観光協会のアルバイトです。」
「無料で歌ったり踊ったりしますけれど。」
「特に何も無くなった私にとっては。」
「安住の地ですよ。」
新奈。
「元恋人で三角関係が今でも一緒ですからね。」
璃々依。
「あれから恋人ではないけれど。」
「仲間としても大好き。」
小夜。
「意気投合した三人娘ですね。」
璃々依。
「後で親族と知ったのです。」
「あの時の違和感の正体はそれでした。」
新奈。
「親族が場外でたまたま出会いましたね。」
小夜。
「血縁関係が遠くて発見が遅かったわね。」
新奈。
「という訳でチームで協力プレイなんですよ。」
璃々依。
「誰かが欠けたら無理ですよ。」
「現実を攻略する集いなんです。」
小夜。
「現実とやらはいろいろと攻略できるものですね。」
璃々依。
「裏技ならいくらでもあります。」
「現実に正攻法は通用しません。」
新奈。
「何でも伝えられてから。」
「自由で何に行き着くか。」
「それを両親は見届けるそうです。」
璃々依。
「同類ですよ、私の両親もそれです。」
小夜。
「一旦は上に行きましたが。」
「そこから故意に。」
「やや下に移動するのは簡単でしたよ。」
新奈。
「困難や苦労を乗り越える必要のある人とは。」
「与えられた価値判断を疑うこともなく。」
「否定することもなく。」
「無批判に生きている人のこと。」
「それはつまらない人間であり。」
「畜群である。」
小夜。
「女性の生涯とか。」
「恋と結婚を捨てれば後は自由なんですよ。」
「束縛なんて有り得ない。」
「生じる余地もない。」
璃々依。
「自分で定めた価値観が万能というのは異論がない。」
新奈。
「全体主義というファシズムの別名は。」
「価値観を全体主義で決めようとする。」
小夜。
「啓蒙思想の宣伝とか。」
「偽預言者とか。」
「無許可の求婚者とか。」
「いろいろと無駄なものがある。」
新奈。
「社会政策とか平和運動とか革命みたいなこと。」
「これに参加しないように。」
「興味はあるでしょうけれど。」
「そしてたいていは褒められることだとして。」
「こんな努力で社会問題や。」
「他の問題なんて解決しないので。」
「この世にある惨事や悪いものなんて。」
「ほとんど減らないだろうし。」
「誤った理想に赴く人々には。」
「友人などにそのような過激な貢献が可能かどうか。」
「問い正してみる必要がある。」
璃々依。
「これからどうします?」
小夜。
「易学で占いますか?」
新奈。
「そうします。」
「因果関係で未来など決まりません。」
「易学ならば当たりますよ。」
璃々依。
「今では。」
「広いと思っていた世界が狭くて。」
「それを知るために。」
「放浪するようなものです。」
小夜。
「世界をすべて確認するために放浪するのですよ。」
「年老いてから知るようなことばかり。」
「私達は目撃していますからね。」
「さてと、外的帰属を撃破と出ました。」
「何のことでしょう。」
璃々依。
「それよりも中程度の境遇を求めるのなら。」
「上に行くよりは簡単ということもあります。」
「生活をしてこの世界から退場するのですが。」
「こういう物の見方は逆説的なんですけれどね。」
新奈。
「私達が実例になれば良いのです。」
「宿命論の言い分なんて。」
「力と力が収まっている場所に。」
「割り込むようなものです。」
小夜。
「経験とかは無意味だと主張したら。」
「どうなりますか?」
璃々依。
「少なくとも。」
「本人が認めないのなら。」
「押しつけたものが悪いのです。」
新奈。
「やはり既成概念も善を最初に持ってきていない。」
小夜。
「それですよ、簡単にそれ以上の結論を出せば。」
「どんな考え方も潰せます。」
璃々依。
「勝手に作られた考えに同調する義務はない。」
新奈。
「実はそれが分からないので無駄がある。」
小夜。
「私が思うに彼らの言い分は。」
「自分達の創作です、これに同調しましょう。」
「なぜなら越権行為が出来るからです。」
璃々依。
「むしろ、作り話に興味が出ましたよ。」
「実話みたいな筋書きがそのまま文学になるなんて。」
「よくわからない。」
新奈。
「架空かもしれませんが。」
「現実の方がつまらない。」
「現実が退屈なので需要があるのですよ。」
小夜。
「それには同意致しましょう。」
「作り話であっても。」
「何かを打破する参考になったり。」
「そもそも趣味の領域ですから。」
「少しだけナンセンスな問いな気がしますが。」
璃々依。
「文学に初めて疑問を持ったのです。」
地下室でお菓子を食べながら。
討論していた夜。
討論は全員が訓練をしていて成立します。
議論では特に。
その場では。
誰も正しい人が存在しないのが前提です。
一緒に貰った鍵で。
金庫の中身を開けると。
古地図や古文書が出てきて。
昔の広告や。
新聞が断片的に入っており。
次にこの金庫にいろいろ入れる係という。
謎の文章が見つかりました。
すぐに同じようなものを用意できそうですが。
この宝物をどう使うか分からないので。
今は保留して取り出しません。
自分達の行為が世界規模になるとは思いませんからね。
新奈。
「原子力発電所を無人地帯にたくさん建造して。」
「地下に埋めるなり従来型の事故を防止。」
「電気自動車を大量に普及させて。」
「火力発電所を廃止。」
「核廃棄物を共同で埋葬する場所まで確保してから。」
「核廃棄物の処理方法を何とか開発する。」
「すると文明に必要な電気だけは確保できる。」
小夜。
「そう都合よく行くと良いのですが。」
璃々依。
「あんまり都合良く行くので。」
「次の作戦に困るほど。」
「欧州では政治についての命題が多いですし。」
新奈。
「これまであまりにも都合が良く行ったので。」
「次も都合が良くなるとは思えないのでしょうね。」
小夜。
「助言をいろいろな所に求めるほど。」
「余裕があるというものですね。」
璃々依。
「とまあ人類とやらが愚者であることは。」
「誰もが否定したい所でしょう。」
「実際に人類が愚者であるのは容認できないのですし。」
新奈。
「しかし人類とやらが理想を持つのは良いことですよ。」
地下室を後にして。
邸宅の寝室に移動。
大きなベッドで一緒に寝るのです。
早朝から。
身分を隠して提携している末端の小会社で。
アルバイトが組まれているので。
派遣社員としての参加があります。
小会社は中規模に出世するために。
勝負に出ているほどで。
社長は。
最低賃金で働く三人娘が謎らしいのです。
派遣社員ではいろんな所に行きますが。
中には三人娘について。
自分が働く会社の一部であると知っている人もいて。
むしろ関心しているようです。
こういうのも両親が余暇を与えようと。
手を回しているので。
子供の頃から余暇の活用はよく習っていました。
古代ギリシア・ローマの自由人をよく調べていまして。
私達は特に文句はありません。
英語のことわざ。
すべてを理解するととても寛大になる。
2
派遣社員で配置転換されるごとに。
余暇が生じます。
その動きは隠されていて。
今回は新幹線で。
歴史資料館を巡ります。
その足で宿泊する別荘に行く予定。
市街地から徒歩。
コロス。
「自分のものしか負わぬと。」
「自分の他に突きつけろ。」
「自他の区別は物事の区別。」
「相手のことは引き受けず。」
「自分のものだけ守り抜け。」
新奈。
「オンラインゲームについて。」
「あれは戦争シミュレーターをやっていたので。」
「よく理解できます。」
「まず相手に狙いを定めて撃っているので。」
「当たります。」
「敵のいる方向に撃つのは素人で。」
「玄人は対空機関砲のように見越し射撃をします。」
「相手の未来予測位置を狙うのです。」
「そのために一秒ほど狙ってから撃ちます。」
「上手な選手は相手の動きを読みますね。」
「動きを読まれると。」
「弾丸が面白いほど当たりますし。」
「迂回して強襲。」
「仕留めてしまう展開が続きます。」
小夜。
「頭の悪いプレイヤーはあっさり倒されますね。」
「上位の選手ほど。」
「独自の戦術や立ち回りを持っています。」
「軍隊で使う戦術を持ち込むと。」
「一方的に勝てるほど。」
「下手な選手ばかりいます。」
「無能な選手が多いので。」
「少しでも上手ならば上位に行けるのです。」
璃々依。
「スポーツでは。」
「ボールを投げたのと。」
「飛んだのは別の出来事です。」
「ボールを蹴ったのと。」
「飛翔したのは別の出来事です。」
「これを区別すると。」
「球技が理解できるようになります。」
コロス。
「繰り返されるのは今の世代。」
「同じことが繰り返されて。」
「似たようなことが続いていく。」
新奈。
「競争は激しいので。」
「あの中で上に行こうとしても。」
「脱落するとは考えないでしょう。」
璃々依。
「芸術で競っているような。」
「見捨てられた連中すらいますからね。」
小夜。
「レオナルドとミケランジェロの対決ですら。」
「ミケランジェロはさっさと持ち場を捨てて。」
「引き抜かれましたし。」
璃々依。
「娯楽で使い捨てにされる通俗小説と。」
「芸術としての価値がある純文学。」
新奈。
「散文体を芸術と呼ぶのは失礼かと。」
小夜。
「散文体はよく平凡と言われますね。」
「詩的な要素がありませんし。」
「形式などは持っていません。」
「作文みたいな書籍がなぜ売れるのか。」
「理解に苦しみますが。」
「数行で説明できることが。」
「数百章あったりして。」
「無駄に冗漫とかもあります。」
新奈。
「散文体は近代史で登場しましたが。」
「古代は演劇に手直しして調整され。」
「何かしらの形を持っていますし。」
「そもそも演劇の形式で書かれています。」
小夜。
「現代は何を説明したいのか。」
「分からない文学ばかりです。」
「芸術ではなくて娯楽のひとつとして。」
「使い捨てにされていますし。」
「そもそも文学が娯楽に寄り過ぎですね。」
「市民の趣味を満たす作品ではないと価値はありません。」
コロス。
「昔と今を区別したい。」
「そこが愚者との境目で。」
「ひとつと見なすは賢者の側で。」
「快く思うな虚偽の区別。」
「昔を訪ねて歓迎されて。」
アイドル。
「アイドルとは何かがわかりません。」
哲人。
「それは自分のことを説明しているのですよ。」
アイドル。
「それでは私は自分についての説明ができないのですか。」
哲人。
「それを語れるようになれば。」
「君は伝説になるだろう。」
「自分を論理的に定義することは。」
「アイドルの定義を君が決められることになるから。」
アイドル。
「分かりました、私に必要なのは考えることではなくて。」
「体系化することなのです。」
哲人。
「君は既に理解していることを発表するだけ。」
「そして言葉が思い浮かばないのだ。」
アイドル。
「定義する言葉が思いつけば。」
「私の功績になるでしょう。」
コロス。
「それとも君は滑稽なことばかりしようとか。」
「自らを道化師と課すのか。」
「ならば進んで首を差し出し。」
「殴られて蹴られるがよろしかろう。」
「それは役の一部。」
「不要な役者の結末であろう。」
市民。
「誰もが僕を取るに足らないと言いました。」
哲人。
「誰が正面から取るに足らないと言ったのかね。」
市民。
「何となくです。」
哲人。
「ならば証拠でも集めたまえ。」
「それとも是認するつもりかね。」
市民。
「いいえ、僕にも善良市民としての自覚があります。」
哲人。
「それなら口論に負けたくらいで。」
「否定に屈するものではない。」
「何とか覆す手段を得て。」
「やはり善良市民であったと。」
「自衛するのだ。」
市民。
「それならできます。」
「あなたは馬鹿ですよ。」
「なんて言葉を鵜呑みにするほど。」
「僕は子供ではないのだから。」
哲人。
「自分に向けられた罵倒を容認せず。」
「認めなければ。」
「君を子供とは誰も言うまい。」
「雑魚が誰かを罵倒して。」
「相手を貶めて自分が上であると。」
「名乗ったりするのだから。」
コロス。
「くれてやるのは少なく。」
「支払いのように奪われて。」
「何でもお前は是認して。」
「持ち物を失っては是認して。」
「ならば何をされようが是認せよ。」
「お前がもし反抗する時のために是認せよ。」
歴史資料館では。
現代の戦争と昔の戦争は。
性質が同じというのが興味深く。
武将と自分との違い。
つまりは。
得たいものや守るものの違いなど。
軍事と政治が分離されない場合を学びました。
新奈。
「日本にも僭主君主がいたとは思いませんでした。」
小夜。
「僭主君主は内戦をまとめる意志に欠いています。」
璃々依。
「成り行きとは言いましても。」
「義戦を貫いた武将は手本ですよ。」
新奈。
「人は半分くらい獣ですから。」
「名将の引き立て役なら満員でしたね。」
小夜。
「環境によって動けないのなら。」
「それはもはや自由ではない。」
璃々依。
「何かに束縛されると奴隷です。」
新奈。
「相手の主権を奪うのが戦争の目的になります。」
「人は神の種族ですので。」
「神聖な部分を活用しなければ。」
「自分から悪くなります。」
小夜。
「少しでも具合が良くないと自由ではありません。」
「自分が神の種族であるとか。」
「それは自分のもので。」
「自由がありますね。」
璃々依。
「外部の影響ですら。」
「ある程度は制御できます。」
「私は人の子ではなくて神の種族です。」
新奈。
「あなたが資産家の養子になって。」
「尊大になることはあっても。」
「神々の子孫であると言われて。」
「尊大になることはないですね。」
小夜。
「それが証明になりましょう。」
「まさしく自分のことを意味していますし。」
「最も落ち着くものです。」
璃々依。
「戦争は自由が容易に奪われる環境でしょう。」
「しかし始めてしまったら。」
「最短で終わらせるのが最善です。」
小夜。
「百姓や商人は気軽だったでしょう。」
「上は争っているのに。」
「上と喧嘩しなければ好きにやれましたし。」
璃々依。
「むしろ日本の平和な時代は隠れていますね。」
新奈。
「平和の時代が長かったのに?」
小夜。
「そこが歴史資料館の見落としなんですよ。」
見終えて。
夕方まで散策して。
買い物を楽しんだりお菓子を食べて。
主題の工芸品を漁りました。
時間になり。
海外の丘に別荘があります。
これはタクシーを使いました。
徒歩では無理な距離です。
別荘にて。
しばらく滞在します。
都会を離れて。
都会を見直します。
どうもその行動を追っていたようで。
途中で発見。
拉致しようと。
犯罪集団が訪れましたが。
かなりの距離から捕捉していまして。
ドローンで行為が丸見えです。
阿呆一。
「こんにちは。」
新奈。
「悪党さん!どうもこんにちは!」
阿呆二。
「どういう意味かな?」
新奈。
「そういう意味です。」
現行犯は扉を蹴ろうとするも。
あまりに頑丈で開かない。
阿呆三。
「なんだ!なにか違うぞ!」
阿呆一。
「おい!ドローンを何とかしろ!」
阿呆二。
「屋根の上から狙われているぞ!」
クロスボウで射撃。
相手の足に命中。
ひとりが動けなくなる。
璃々依。
「撃たれて気持ちが良いのですか?」
「そんな人がいるなんて!」
阿呆三。
「だめだ!置いて行ってくれ!」
阿呆一。
「どうやったら中に入れるんだ!」
阿呆二。
「窓から入るぞ!」
現行犯は刃物を取り出しますが。
こちらが猟銃を発砲すると。
相手が逃げ出しました。
阿呆一。
「やばい奴に仕掛けた!」
阿呆二。
「向こうにもうひとりいるぞ!」
阿呆一。
「撃ってきている!」
阿呆三。
「殺される!」
阿呆一同。
「逃げよう!失敗だ!」
小夜。
「一か所にまとまっているから。」
「囲まれて射撃されるのに。」
新奈。
「雑魚が自分の事を雑魚であると。」
「分かる訳がありません。」
璃々依。
「根拠のない自信ですか。」
ひとりは捕虜になる。
逃走の途中に。
機械仕掛けの神が出現。
阿呆一同が乗っていた車を。
破壊すると。
阿呆一同は絶句した。
機械。
「君達は花を添えるために来たのだ。」
阿呆一。
「それでは、今まで生きてきた甲斐がありました。」
阿呆二。
「こうやって捕まるために生まれて来たのですから。」
機械。
「嘆いてはならない。」
「連日の報道は見世物なのだから。」
「君達も市民の見世物に加わるのだ。」
阿呆一。
「盗んだり攫ったりすることしか考えていませんでした。」
阿呆二。
「はっきり言えば何も考えていませんでした。」
機械。
「君達も世人の悪を戒めるような。」
「悪を防ぐために新聞に載るのだ。」
「その後に報復を受けたり。」
「馬鹿と呼ばれるまでは。」
「大きな間違いがない社会が続くのだ。」
阿呆一。
「おお!懺悔は済んだか?」
「贖罪師はいるのか?」
「それともさっきの情熱で反対の聖人になるか?」
阿呆二。
「ここは逃げるだけ逃げて。」
「この世と別れを告げよう。」
阿呆一同逃げ出す。
通報を受けたパトロールカーが近くにいて。
阿呆を追跡。
車のナンバーやら顔やら。
ドローンで撮影していたので。
その日のうちに逮捕に成功。
返り討ちにしたので。
お咎めなく。
報道されましたね。
強者の女性はやはり目立ちます。
後に犯人は裁判長に挑んだそうです。
居眠りしている裁判長。
裁判長。
「なんでしたっけ?」
阿呆。
「悪法も亦法なり。」
「という訳です。」
裁判長。
「何の話でしたっけ?」
一同沈黙。
閉廷。
3
争いは凡てのものの父なり王なり。
ヘーラクレイトス。
注釈。
争いは凡人が引き起こす。
凡人の父が争い。
子供もそれを引き継ぐ。
凡人を治めているのが争いである。
必然によって凡人は争いを必要とする。
三人娘。
両親が貯めていた書庫に入ります。
昔から読んでいた本は。
今になっては知的財産で。
別荘の倉庫にたくさん入っていますね。
ようやく召使が到着して。
家事をしてくれるようになりました。
これで専念できますね。
璃々依。
「無知の承認は真知に向かう門出のみ。」
新奈。
「哲学で善悪とは。」
「行動の評価ではなく。」
「価値判断というもの。」
「一般からして悪いとされている。」
「価値観を持つ人間を。」
「敵対者として設定し。」
「それを一方的に倒すのは。」
「暴力を賛美しているのに等しい。」
「悪いと思われる価値判断の人間に。」
「暴力を振るいたい。」
「攻撃したい。」
「殺したいと。」
「勧善懲悪は主張するので。」
「これでは勧善懲悪など。」
「暴力を賞賛する行為ですし。」
「価値観の話を。」
「私的制裁に使うのはデタラメで。」
「他人の価値観に制裁を加えて笑っているのです。」
「善悪が価値観であると言えば。」
「何でも説明できる点に注目してください。」
小夜。
「価値判断なので。」
「悪が栄えるとか。」
「正義が勝つとか。」
「そういうものではありません。」
「少なくとも行動には無関係なものです。」
新奈。
「悪党は有害という理屈で自由刑になっているのでしょう。」
小夜。
「価値観で競ったり争ったりするものではないですね。」
璃々依。
「価値判断を問われても気分を害するだけです。」
新奈。
「過失は矛盾が含まれている。」
「良いと思ってやったことなのに。」
「悪いことになるのだけれど。」
「結局は良いことを期待してやっている。」
「これは誤りになるのかどうか。」
「良いことを望んだのに。」
「咎められるということは。」
「ある程度の矛盾が生じている。」
小夜。
「すると善悪と行動の評価は別物なのですよ。」
新奈。
「善悪という価値判断と行動の評価は区別されますね。」
璃々依。
「そうすると円滑な説明が得られます。」
小夜。
「大量の古典が置いてある部屋というのは。」
「むしろ女性に向いていますね。」
「男性のために生まれた訳ではありませんので。」
「こういう書籍に依存するのは当然です。」
新奈。
「一般に是認されるものほど。」
「私は疑いまくるし。」
「不審なものであると考えます。」
璃々依。
「生まれそのものを裏切る行為による。」
「利得が膨大です。」
小夜。
「実例として裏切れるので。」
「止めたければ力づくですれば良い。」
新奈。
「力への意志ですね。」
璃々依。
「ずっと否定を続けますよ。」
「自分より弱いものに従う訳がありません。」
小夜。
「恋とか結婚とか選ばなかったものを。」
「叩き潰しているのです。」
「自分にとってこうした方が幸福になれますからね。」
新奈。
「懐疑論は確実の知識を得るための手段です。」
小夜。
「ある人は自分が幸福ではないと言い放った。」
「そうですか。」
「他の人はみんな幸福なのだろうか。」
璃々依。
「どうしても強要するのなら。」
「彼らは暴力を使うはずです。」
新奈。
「それで私達に勝てるかは怪しいのですけれど。」
小夜。
「それでは殺し合いと同じ構図ですよ。」
璃々依。
「でしょ?力で上回れば。」
「要らないものは何でも捨てられます。」
「遠慮なく力押しするのが道理にかなっている。」
新奈。
「同意します、力で圧倒しつつ。」
「どこかで止まって安定するまで続けます。」
「遠慮なくそうすれば良いのです。」
小夜。
「弱い立場の人はどうなりますか?」
新奈。
「自らが平凡であると思っている青年がいた。」
「道行く人々がみんな非凡ならば。」
「どんなに社会が良くなっているであろう。」
「という所までは平凡なので見えていないね。」
璃々依。
「つまりは、力への意志を行使できない人とは。」
「もれなく全員が自由ではないのです。」
新奈。
「少しも具合良く行かないのなら。」
「それは自由ではない。」
「同じように。」
「不具合で円滑に進まない人を見たら。」
「それは自由ではないからだ。」
「なんて教えてあげて欲しい。」
璃々依。
「学問は実例ですしね。」
新奈。
「実例は教訓としての経験を圧倒する。」
小夜。
「経験を否定してやると。」
「どうなりましょう。」
新奈。
「何でも経験で語るのは説明が不十分でしょう。」
璃々依。
「理性があれば、経験による世界は不要かと。」
小夜。
「哲学と科学が融合した考察が入ると。」
「どんな経験も否定されます。」
新奈。
「有のみあり非有はあることなく。」
「又、思惟せらるる能わず。」
「とあるように。」
「この思想で経験論という思想は。」
「科学で打破されましょう。」
「エレア派に経験が大事なんて。」
「誰が言えますか。」
璃々依。
「実例に従って経験を否定する人を非難できない。」
新奈。
「劣っている人ほど経験を誇るでしょう。」
璃々依。
「劣っていて弱いから。」
「経験という宣伝を行いますね。」
小夜。
「そもそも弱者であることを容認する人なんて。」
「いるとは思えません。」
「自分は弱いのでいいです。」
「なんていう暴論は誰も言いませんしね。」
璃々依。
「弱さの言い訳に優しさを引き合いに出す。」
「稚拙な人間みたいに。」
「弱いことを誤魔化す雑魚は全員。」
「跳ね飛ばされます。」
新奈。
「優しさとは強者の特権ですから。」
「弱者は優しさを持っていません。」
小夜。
「しかし男性との対戦がこうも役に立つとは。」
新奈。
「紳士が試合に応じてくれて。」
「いろんな遊びやゲームで競って。」
「男性とはこういうものであると教えてくれまして。」
「男性と対戦するのは慣れています。」
璃々依。
「紳士が男性を打ち負かす所を見せたいからと。」
「その紳士は不敗ですべてに勝ちまして。」
「ストア派の師匠でしたね。」
新奈。
「ストア学派は数多の人が長い年月を経て建設したもので。」
「帝政時代には道徳を語るだけになりましたが。」
「宗教に似た学問を持ちます。」
「世間から自由になった賢者のような人の集まりで。」
「理想を追い求めます。」
「理法に従って生きるのはストア哲学の基本です。」
小夜。
「内的なものを重んじて。」
「外部のものを軽んじて無視もします。」
新奈。
「世界主義という多様性と。」
「国際社会を重んじるのです。」
小夜。
「同時に現実主義であり。」
「形而上学の性質も兼ね備えています。」
「前提として世人は愚者であると見なす伝統の視点がありますね。」
璃々依。
「神の摂理を信じるという点では調和に向いています。」
小夜。
「あの師匠は牧師だったのでは?」
璃々依。
「神様の力を一部与えられた。」
「天使に近い人でしたね。」
新奈。
「男性同士の戦いを模倣して。」
「その後はどういう戦術を選んで対抗するか。」
「両親が紹介したい理由が理解できましたね。」
璃々依。
「男性との競り合いに勝てないからと言って。」
「必ずしも退かなくても良い。」
「全員が強い訳でも優秀な訳でもないからね。」
小夜。
「訓練として男性とゲームで対戦したのは。」
「能力向上になりましたね。」
新奈。
「実践から辿り着いて。」
「哲学の研究を今しているので。」
「どの側にいるのか容易に分かりますしね。」
小夜。
「徹底的ニヒリズムとは。」
「承認されている最高の諸価値が問題であるとき。」
「生存を維持することは絶対にできないという。」
「確信である。」
璃々依。
「強制しても態度や考え方には影響しない。」
「しかも強制より強ければ良いだけで。」
「強制より強くなれば。」
「何倍もの報復をするに違いない。」
新奈。
「自分のものではない価値観は問題の一部です。」
小夜。
「外部から加えられた価値観が問題になった。」
新奈。
「厭世主義はこの世界の姿と何も矛盾する所がない。」
璃々依。
「悪口を受けた人は実際に蹴られた訳ではない。」
「蹴られても怪我はしていない。」
「怪我はしても死んではいない。」
「外的帰属はこれと同じように。」
「少しだけコントロールできますね。」
新奈。
「事実なんて否定してやります。」
「事実なんて迷妄の産物です。」
小夜。
「事実を貶める辺りはエレア派ですよ。」
璃々依。
「因果関係は主観的な推論ですよ。」
「感情論なのです。」
「この後はこういうことになるだろう。」
「という期待から来ています。」
新奈。
「因果関係なんて。」
「説明がいちいち不十分です。」
小夜。
「原因から結果に至るものは。」
「どうやったら認識できるのでしょう。」
「これを確認できるのでしょうね。」
璃々依。
「なぜ因果関係を予期するのか。」
「まったくわかりません。」
「いかにしてそれを推論するようになるのか。」
「存在するかどうか分からないような。」
「そんなもの信じて理論を展開するような。」
「習慣に陥らないようにしたいですね。」
新奈。
「正邪判断も因果関係です。」
小夜。
「正邪判断は人工物ですからね。」
「自然から生じたものではなくて。」
「物理学です。」
「物理学とは自然学の別名です。」
新奈。
「ある意味で我々はソフィストでしょうね。」
璃々依。
「ソフィストは元々。」
「研究ではなくて。」
「自分の目的に適うように。」
「必要に駆られて研究しては。」
「その成果を道具のように用いて。」
「利益を得るという人々で。」
「是認されるものを徹底して利用した学派です。」
小夜。
「スコラ哲学の名句。」
「宗教とは哲学。」
「哲学は信仰の学問。」
「哲学は宗教なり。」
「教義の理解である。」
昼寝をしたり。
くつろいでいると。
ドローンが飛んできまして。
悪戯のようです。
エアガンを持ってきて発砲。
ドローンのローターブレードが損傷して墜落。
残骸は三人で略奪してあげました。
屋内に移動して。
昼食。
新奈。
「人の死生観が誤りであるとは知っていますが。」
「どう誤りなのか分からないので。」
「早くも死に方を学んでいます。」
小夜。
「説明だけで納得する人なんて数えるほどです。」
「生きることはとても面倒くさいことですけれど。」
「外部というつまらない出来事のせいで。」
「現実という凄惨なものが続きます。」
璃々依。
「むしろ宿命論みたいなものが存在しない点で。」
「狡猾な展開からは逃れられます。」
「全員で見たい現実しか見ませんよ。」
新奈。
「現実に客観は有り得ません。」
小夜。
「そうやって、いかに主観を活用するか。」
「これもストア派の特徴です。」
璃々依。
「自分も相手も主観ですので。」
「事実という一元論は馬鹿丸出しです。」
新奈。
「主観と客観の二元論ですべては語れません。」
小夜。
「自分のものは自分で処理して。」
「他人は他人のものを処理するのです。」
璃々依。
「なので自分のものではないものは退けましょう。」
「その判定も自分がやりましょう。」
「こうなると、宿命が何を加えてもどうにもならない。」
三人娘の両親は事業を拡大しつつ。
維持も考えて。
土地を買い漁っています。
別荘から退場する時間になり。
荷物をまとめて。
召使が送迎。
新奈。
「富裕層は買うものが無いと困っていますね。」
小夜。
「我々は貧乏と富裕層の中間ですからね。」
璃々依。
「日本人は金持ちという評価とか。」
「最高の好景気。」
「後にバブルと呼ばれた時期に集中していますね。」
「好景気が短時間で崩壊して。」
「お金持ちが激減しましたし。」
「今では貧乏人ばかりいますね。」
小夜。
「報道では貧乏人ばかり登場しますし。」
「一握りの資産家しか富んでいません。」
「金持ちとか言われても。」
「アラブの王族やアメリカの大金持ちには敵いません。」
新奈。
「予算に限りがあるので。」
「定番のお城から巡りましょうか。」
小夜。
「私はお屋敷を巡りたい。」
璃々依。
「私は田舎でも歩いてみたいわ。」
地図を広げて相談。
派遣社員で訓練されたり。
旅行も忙しいという。
目が回る状態での多忙な豪遊。
次は田舎の民宿に移動します。
社会から少しは離れないと。
見えないものがあると思ったからですね。
夏目漱石の格言。
真面目とは実行するということだ。
4
ディオメデス的強制。
コロス。
「次から次へと献身に走るは。」
「時代の肥料とて。」
「見事に使われ捨てられる。」
「策略も狡猾も等しく土に埋められて。」
「残るは残骸すらなく。」
「何もなく。」
駅前商店街にて。
路地に入ると。
啓蒙思想家が暴れている。
新しい歴史教科書と称した。
駄作を宣伝しつつ。
大型のバイクに乗って。
鎧や兜を身に着けている。
啓蒙思想。
「歴史はここから先は無効!」
学生。
「前に行くほど退廃している歴史を支持します。」
啓蒙思想。
「歴史は終わった!だから何でも新しい!」
老人。
「お前のような奴もいるのが歴史なのでは。」
啓蒙思想。
「人類は最高の政治を作り終えて完成した!」
「だからその過程があったのだ!」
会社員。
「お前の持論なんて知るか。」
知識人。
「啓蒙思想でごり押しするな。」
役人。
「啓蒙思想は当時では冷笑された思想ですなあ。」
夫人。
「歴史の闇の部分が啓蒙思想ですし。」
少女。
「それでは闇の部分を宣伝しているの?」
市民。
「啓蒙主義はどこを見ても暗いよね。」
啓蒙思想。
「俺が啓蒙思想の象徴になってやる!」
バイクが暴走。
土煙が舞い上がって。
商店街の荷物が吹っ飛ぶ。
凄まじい速度で狭い路地を駆け抜ける。
しかし速度超過。
あんなのがよくいるのです。
近くで見ていた三人娘。
新奈。
「私が他人の怒りによって。」
「人生について何か学ぶと思いますか?」
小夜。
「今を昼だと言いなさい。」
「無理でしょう。」
「それとも夜であると言いなさい。」
「無理でしょう。」
璃々依。
「我々の力の及ばない所は半分としよう。」
「残りの半分は決死の覚悟で死守するものですね。」
新奈。
「社会的強者が陸上の競技に参加していたら。」
「他の弱者は病弱ではならないとでも言うのか。」
小夜。
「大金持ちが自己主張していたら。」
「そうでない者は何も主張するなとでも言いたいのか。」
璃々依。
「他国が軍事侵攻したとしても。」
「戦争を助長してはならないとでも説教するのか。」
新奈。
「その他大勢の悪口は法律なのだろうか。」
「するとその他大勢がなって欲しいものに。」
「なって貰いたいので罵っているのではないか。」
「それとも罵っている当事者が聖者なのだろうか。」
璃々依。
「泥の中に入るべきだ。」
「なんて言われて実際に泥の中に入るのか。」
「そうしたいのならそうすれば良いし。」
「他人の気分について自分がなぜ責任を持つ必要があるのか。」
小夜。
「ひとりでそう思っているのなら。」
「市街地の片隅で独り言を好き放題にやるものです。」
「しかし理屈を言いたいのなら。」
「正しい意見と正しい意見が衝突しているのに。」
「どこが正しい意見なのか疑問に思う所があるでしょう。」
昔からよく訪れる大公園に到着。
公園の池に鯉がいるので。
鯉の餌を撒いて観察。
魚は謎の動きをします。
新奈。
「書斎に籠って自然を観察しないのは。」
「あんまり賢明な研究とは思えません。」
小夜。
「あの火山の近くにいた。」
「ローマ人は自然を観察することが習慣になっていましたね。」
璃々依。
「川や樹木を見たり。」
「宝石や花を手に取ったら。」
「なぜこれがあるのか。」
「これは誰が作ったのか。」
「と考えることは自然そのものですね。」
小夜。
「私もまず自然の観察から始めています。」
三人娘は地域が同じなので。
実家で召使いを待ちます。
市民の快楽主義を目撃。
小夜。
「楽しく暮らそう。」
「というエピクロスの快楽主義に浸りたいのなら。」
「毎日、注意して暮らすものです。」
「明日、注意します。」
「なんて言わないで欲しい。」
新奈。
「快楽にも上限があると知ったら。」
「いきなり逃げ出すでしょうね。」
璃々依。
「ある程度の禁欲が利益になるのは言うまでもない。」
新奈。
「訓練なしに思想は確立しません。」
小夜。
「優れた人の条件は。」
「訓練が充実しているという点ですよね。」
璃々依。
「鍛錬は普遍的なことではなく。」
「自然を相手にするものです。」
新奈。
「訓練したいのなら。」
「雨の日に散歩したり。」
「暴風の日に走ったりするのが良いし。」
「熱波の日にも構わず。」
「寒波の日にも外にいるだけで良いし。」
「これを誰にも言わずに隠していれば良い。」
「アポロニオスを現代に復元するとこうなります。」
小夜。
「危険なことで訓練するのは。」
「奇術師とやっていることが同じで。」
「課せられた任務をこなすという。」
「行動でも訓練になるのです。」
新奈。
「その人が土の壺である場合。」
「青銅の壺に当たると壊れてしまう。」
「銅像を背負って走り回るような。」
「危険な手段で鍛える場合。」
「普遍的な行動でも訓練になると。」
「心得るものです。」
実家に戻ってくる。
派遣社員の判定なので。
連絡があって呼び戻されます。
家柄ではなくて。
企業だけを引き継がせたい両親は。
育成に必死ですね。
実家の寝室で寝転がる。
新奈。
「ディオメデス的強制。」
「縛り上げて馬に乗せて。」
「剣で叩きながら連行する。」
「有無を言わさない強制。」
「ディオメデスは古代の勇将。」
「最強の強制で必然の意味もある必殺技。」
璃々依。
「真面目に遊んでいる私達ですかね。」
小夜。
「そうやらないと天性は得られないとか。」
新奈。
「こうやって主意的な力は得ましたが。」
小夜。
「善に向かう意志なら無限に湧きます。」
新奈。
「ストア派の格言で。」
「善悪は意志の中だけにある。」
「つまりは。」
「自由意志から善悪は生じますね。」
「もちろん善悪とは価値判断という意味です。」
璃々依。
「善悪は主意的ですよね。」
新奈。
「悪もその人の価値判断です。」
「それを欲しがったので。」
「欲しいものが公害であっても文句は言えない。」
小夜。
「正義が不正を倒すとか。」
「私的制裁が不正を倒すという俗信が酷いものですし。」
新奈。
「正義は強者にしかありません。」
璃々依。
「弱者に正義は無縁です。」
小夜。
「両親についてはよく知っていますので。」
「両親は私についてもよく知っていますね。」
新奈。
「父親と母親に教養があり。」
「古代の学派のマニアでしたので。」
「成功していると思います。」
璃々依。
「余裕で論語とか家に置いてありますし。」
「儒教を習った親とは希少かと。」
新奈。
「家で八幡神を祀っているので。」
「団結するのですね。」
車が来る。
従者が応じる。
全員はお出迎えで解散。
休暇とのことで。
休息のために近所を散歩。
地元のテレビ局がいる。
番組で。
武道家特集。
海岸で白線を書いて。
対戦相手を募集している中年男性がいまして。
木の棒を使って相手を白線から追い出せば勝利という。
簡単な試合で。
どこかの道場にいる人らしいのです。
武道家。
「俺を負かせる奴はいないか?」
新奈。
「ここにいますよ。」
武道家。
「容赦はせんぞ。」
新奈。
「安心してください、手加減してあげますので。」
武道家。
「これこれ、強がりを言うでない。」
向かい合って。
柔らかい木の棒なんですね。
弟子らしい人が旗を上げて試合開始。
中年男性が構えていますが。
跳ね返す姿勢でやや側面に回り込む。
攻撃を押し返した。
中年男性が打たれる。
武道家。
「いちいち跳ね返すな!」
新奈。
「まだ抵抗をしますか?愚かですね!」
武道家。
「愚かな!」
新奈。
「逃げても無駄ですよ。」
武道家。
「愚かな!」
新奈。
「ワンパターン戦法な剣道家ですなあ。」
武道家。
「愚かな!愚かな!愚かな!愚かな!」
「愚かな!」
中年男性を殴って。
白線から追い出す。
動きを読んだので。
読まれやすい戦術を使う。
平凡な剣道家は敗北。
武道家。
「これが武道家の定めか・・・。」
新奈。
「簡単に動きが予測できるなんて。」
「弱い人としか戦ったことがないのですね。」
武道家。
「どこぞの名人でありますか?」
新奈。
「その名人に習ったことばかりです。」
武道家。
「師匠がいるとは、その力は偶然ではありませんね。」
新奈。
「巴御前のような女性武将を引き合いに出します。」
武道家。
「俺は負けたから弱い。」
「あなたは勝ったから強い。」
「それだけだ。」
中年男性は次の相手と対戦する。
観戦に回る。
しかし中年男性に勝てる選手は。
もう出ませんでした。
退場して休息に入ります。
コロス。
「臨機応変とは普遍的。」
「変化に対応するのは難しき。」
「それを容易くやるのは非凡なり。」
「世界は凡人など不要であると。」
「より悲惨に扱い捨てるのみ。」
「優れた者が前に出る。」
「摂理と道理が前に出る。」
「劣った人間、絵にならず。」
「静かに追い出し。」
「貴族道徳、尊重されし。」
両親のホテル企業は顧客が変わりません。
常連が多いのです。
平均点が高いのではなく。
何か強みや良さを強調しているため。
魅力に引き寄せられて顧客が集まるのです。
失敗の危険を回避するため。
土地を貸したり。
不動産を貸したり。
今の所は身内が使って管理していますが。
優れた人材を好んで登用している上に。
全国に優れた人員を探し回るくらいで。
職場を見回しても。
凡人なんてほとんど見たことがありません。
従来の産業について失敗した膨大な情報を。
研究していたのです。
なので従来型の失敗はしませんね。
仮に離反しても結果は同じですので。
こういうのは後天的に同意しています。
5
お祭りがあって。
露店が開かれています。
最近は工芸品集めに没頭していて。
価値あるものを探しています。
露店の通りは公園の中にまで続いていますね。
広場にて。
新奈。
「幼い頃の訓練は。」
「どうやら。」
「従来型の人間がやった失敗や間違いを分析し。」
「従来型の人間による問題を顧みて。」
「対策や回避を組み込んで。」
「私に適用するので。」
「変則的な思想を持つようになり。」
「それまでの人間を上回る事が容易になっているのです。」
「人間を研究していた両親は。」
「そうした人間の持つ欠陥を熟知していて。」
「卒業論文の命題として書いたものが。」
「そのまま使われているそうです。」
「人工知能は従来の人間が持つ失敗や誤りを。」
「しないように設計されているので。」
「そこを転用して利用したとも言われています。」
「こうした思想はグーグルが開発した。」
「コンピューターにも見られていて。」
「セキュリティが従来型の危険を防ぐもので。」
「自然科学の考え方を転用したのですね。」
「そこはプラグマティズム特有のものなのです。」
璃々依。
「私も似たような教育を施されました。」
「子供に合わせるような大人は珍しいですし。」
小夜。
「むしろ子供という存在をよく理解していましたね。」
新奈。
「若いころはカント哲学を読んでいたとか。」
璃々依。
「それで理性の尊重と批判まで説いたのです。」
新奈。
「理性を駆使した教育は。」
「何があっても。」
「なぜだめなのかを徹底していましたし。」
「懲罰は常に最後の手段でしたね。」
小夜。
「あまりにも合理的な思考が。」
「個性であると。」
「周囲の人々からの賛美もありました。」
璃々依。
「合理的な思考に至るには理性的であることが必須ですね。」
「同時代の哲学も見所が満載です。」
新奈。
「ヒュームの懐疑論に刺激されたりして。」
「カントは世間の俗説を打ち破る影響が強いのです。」
璃々依。
「そして、能力向上のために経験すれば良いとか。」
「そんな俗信を避けられましたね。」
小夜。
「何かあるから。」
「次に繋がる何かが有らなければならない。」
「なんて考えるのは理性とは言えません。」
新奈。
「何かが生じて続編もすぐに現れるべきだ。」
「なんて言う稚拙な考え方には賛同できない。」
小夜。
「何か起こしたり起きたから。」
「次の展開も用意されるべきだ。」
「なんて連想するのは少し気持ちが悪いかと。」
新奈。
「因果関係を無視したり。」
「踏み倒したりできるのは。」
「どうして可能か?」
小夜。
「可能であるか、どうか。」
「ではなくて。」
「どうして可能なのか。」
「きちんとした文面で問いたいものですね。」
璃々依。
「そのどこら辺が理性的な結論なのか。」
「怪しいこと。」
「この上ないですね。」
新奈。
「既成概念がお告げのように俗受けしているのですよ。」
小夜。
「常識をお告げのように受け取るものではないね。」
璃々依。
「常識を引き合いに出すのは狡猾な発明ですが。」
「常識は原則を持ちながら。」
「正しさを証明することは不可能なのですよ。」
小夜。
「言説に困ると常識が引き合いに出されますね。」
新奈。
「常識は大衆の多数決ですが。」
璃々依。
「大衆の判断の方が理性的なのですか?」
小夜。
「そんな馬鹿な。」
「むしろそんな考え方は。」
「馬鹿と言われている人間がまだましです。」
新奈。
「俗受けを狙うにも程があります。」
小夜。
「原因と結果との必然的連結ですか。」
「何々があるから次が無ければならない。」
「なんてなぜ言えるのか。」
新奈。
「どのようにしろ。」
「理性的な三段論法ではありませんね。」
璃々依。
「経験も三段論法ではありませんし。」
小夜。
「経験論の前提や結論は常に欠落していますよね。」
新奈。
「経験は理性に依存するもので。」
「理性的ではない経験は存在しません。」
「即ち。」
「カントが言うように。」
「理性を用いない経験は虚偽です。」
「理性的であることが経験の証明になりますし。」
「感情論の経験は欺いています。」
小夜。
「カントも。」
「論理によって経験を説明できないと。」
「合理的に経験を示せないのなら。」
「それは経験とは言えず。」
「経験については自称できない。」
「それに理性を過大評価するのは。」
「むしろ理解されなくなり。」
「どうして経験で語れるのか。」
「という証拠が必要なのです。」
璃々依。
「カントは度々。」
「経験は論より証拠と語りますね。」
「証拠のない経験は単なる嘘であり。」
「根拠のない経験は嘘つきそのものです。」
新奈。
「カントほど経験に証拠や根拠を求めたり。」
「口癖のように経験ならば。」
「論より証拠。」
「と説いた哲学はありませんね。」
小夜。
「経験は理性に属するものですから。」
「合理的に説明できない経験は否定されます。」
璃々依。
「感情論による経験は批判の標的ですよね。」
新奈。
「経験は理性によって引き出されて。」
「使えるようになるもので。」
「理性的である前提で経験が成立しますね。」
「つまりは。」
「理性を無視した経験は。」
「実際には使えないのです。」
璃々依。
「カントは理性を重んじる哲学者ですので。」
「論証や論文も理性重視です。」
「とにかく理性的であることが個性ですね。」
「理性を軽んじるのは愚者ですが。」
「理性を過剰に重んじるのも愚者です。」
「カントは中間に入りました。」
小夜。
「難しいあの純粋理性批判は。」
「すべてを理性で説明すると。」
「あんまり分からなくなるので。」
「悟性や経験という似たようなもので展開しますね。」
「敢えて理性という一元論を選択しつつ。」
「何でも理性的に考察したり観察するとこうなる。」
「というもので。」
「理性を尊ぶ人には欠かせない論文の集合体ですね。」
新奈。
「純粋理性批判はカントの理性的な部分に。」
「感化されるでしょうし。」
「理性的になりたい人が読むのには適しています。」
小夜。
「理性が万能なんてどうして言えるのか疑問は残りますが。」
「カント自身も嘆くほど。」
「理性に寄り過ぎたのではないかと疑われます。」
「私は時に理性を疑うので。」
「カント哲学はあまり向いてはいません。」
和服女性が登場。
友人姉妹で。
たまに一緒に遊んだり。
メールのやり取りは日常の一部。
和傘を持って微笑む。
絵真(えま)
「目的もなしに読書はできません。」
展世(ひろよ)
「趣味や娯楽で読書するのは厳しいです。」
新奈。
「目的論で読書は展開されますね。」
小夜。
「適当に読んでいると。」
「内容が入らないものです。」
璃々依。
「好奇心が動機論としては大きいかも。」
絵真。
「哲学の研究に読んでいると。」
「それを何かに使おうとするならば。」
「より深く理解することができますよ。」
展世。
「何となく読んでいては古典とか無理です。」
「何かのために書籍は読むもので。」
「その何かとは個人のものです。」
小夜。
「和服が素敵ですね。」
璃々依。
「天才の女性は文化人に多いとは。」
「日本史でよく見られる断片です。」
新奈。
「もっと見ていたい。」
「綺麗な人なので。」
絵真。
「素敵になる過程に読書がありました。」
展世。
「なので手段があったのです。」
「美形ですと目立ちますが。」
「それを二重にしたのです。」
新奈。
「襲っていいですか?」
小夜。
「キスしたい。」
璃々依。
「恋しそう。」
絵真。
「そのくらいのお手本になれて良かったです。」
展世。
「女性を魅了する女性なんて到達点です。」
稲荷神社に参拝。
小さな社殿で。
かなりの頻度で通っていますね。
お賽銭に可能な限り入れます。
絵真。
「これに慣れて当たり前になると。」
「神々の一部になれますよ。」
展世。
「通い続けて特別な事では無くなるまでは難しいです。」
新奈。
「把握できるようになるまでは。」
「道理にかなっている祈り方もわからないかも。」
小夜。
「簡単です。」
「道理にかなっている祈りをすれば良いのです。」
璃々依。
「伝える事が大切で。」
「こんなことがあるとか。」
「どういうことがあったのか。」
「祈るまであまり伝わりませんしね。」
絵真。
「それで神々に似て行くのですよ。」
展世。
「少なくとも神様に感化はされますね。」
稲荷神社に参拝して。
和服女性と歩くのは美しく。
絵になりますね。
一緒に喫茶店に寄って。
散歩。
姉妹はこの後にお手伝いに入るそうです。
姉妹は料理人なので。
けっこういろんな分野。
寿司職人とかフレンチシェフとか。
いろんな玄人から習っているので。
切り札なのです。
姉妹は離脱。
私達は習い事の時間まで散策。
地元の古本屋でいろいろ漁ります。
人気の岩波文庫が大量にあるのです。
一冊が百円。
新奈。
「仮にどうすれば幸福になるかの方法が判明したら。」
「どんな人でも不幸を投げ出すでしょうか。」
小夜。
「不幸をいかに退けて否定するかの手段が近道かと。」
璃々依。
「幸福な事例は見たことがありませんが。」
「幸せそうな人なら目撃談があります。」
新奈。
「幸福が人間の考えているものとは少し食い違う場合は。」
「ベーコンの言う通りにセネカを始めとする。」
「古代人の世俗蔑視が優れていて。」
「幸福に近いとなると。」
「外部に依存せず。」
「内部に寄るものであることは分かりますが。」
小夜。
「幸福と不幸の中間に位置する人が真実の幸福なのではと。」
璃々依。
「明らかに幸福と言える状態は一時的ですね。」
「不幸ですら不死身ではありません。」
新奈。
「ということは中くらいの幸せで止めておけば良くて。」
「究極の幸せを追い求めると。」
「どこまでも追跡しなければならないのですね。」
小夜。
「小さな幸福でも幸せであることは揺らぎません。」
新奈。
「それですと、むしろ不幸には高圧的に構えるものですね。」
璃々依。
「不幸に対しては傲慢に構えるものですね。」
小夜。
「中くらいの幸せには強欲になればよろしい。」
新奈。
「幸福を定義できない以上。」
「幸福と不幸の中間を狙うというのは同意します。」
小夜。
「不幸に陥ったら。」
「速やかに離脱します。」
「幸福に至ると。」
「大きくなり過ぎないように調整します。」
璃々依。
「実は不幸も定義できないのですね。」
「不幸は玄関から入ろうと訪問しますが。」
「幸福は透明ですので。」
「充満していても気づきません。」
新奈。
「幸せそうな人を見るのが手っ取り早い道ですよ。」
「その人の様子を観察すれば道は短い。」
小夜。
「幸せの正体が不明ということは。」
「どうにでもなるという道理ですよ。」
新奈。
「讃美歌を作るのも不幸を避ける行為になりますし。」
「不幸な人を見かけたら。」
「どうしたら不幸に陥るのかを観察し。」
「自分の不幸を問題として捉えれば良いのでは。」
「不幸とは問題の一部ですから。」
璃々依。
「幸福が目指す目標だとすれば。」
「不幸はあらゆる問題を包括したものですね。」
小夜。
「幸福を指針とすれば。」
「人生に改善が見られるのは当たり前かと。」
新奈。
「実例から引用すると。」
「特定の結論を持たないのが幸福と不幸ですね。」
「もはや反駁すら思いつきません。」
家に帰ると。
全員で書籍の整理整頓。
欲しい書物は持ち帰り。
山分けですね。
浴衣姉妹と連絡していて。
和服好きの姉妹を模倣して。
和装で出歩きます。
一日の活力を使わないと。
寝ることもできません。
新奈。
「注目を集めますね。」
「特に男性から。」
小夜。
「普段は実用性のある衣服ですからね。」
「爪とかは切ってしまい。」
「安全靴しか履かないのですが。」
「決める時は決める服装をします。」
「流行も面白かったりしますね。」
璃々依。
「女性については未知の部分が多いみたいですから。」
「男性は出尽くしている雰囲気があります。」
新奈。
「それで手っ取り早く男性の模倣から始めていますね。」
一日の活力を何とか使って。
夕方になると寝転がりまして。
明日の準備をします。
明日は習い事で。
私達にとって好きな職業に就いている人から。
お手伝いのように見習いをして。
無料で働く見返りに。
いろんな技術を習います。
明後日は。
いつもの文化人が訪問して。
芸能も習いますね。
両親は忙しくて私を見ていられないので。
あらかじめ計画を立てておいて。
臨機応変に変化させていますが。
より確かな手段を選びますので。
故意に訓練を長引かせているようなのです。
かつてはアニメーション制作の会社で活躍するとか。
民間軍事会社に飛び立とうとか。
少しは夢見たこともありますが。
考えを変えまして。
その時代の思想に従う義理はありません。
6
為政者になるのではないかと。
身内で噂される三人娘の両親。
もっと自由に行動せよと。
促されて。
遊びに出かけます。
長期休暇。
むしろ子供の頃の方が。
習い事や訓練で。
何も出来ませんでしたし。
儒学の家庭教師からの。
教育も質が高くて。
経営と商業の専門学校に行く辺りで。
解放された形になりました。
最近はテーマパークに行ったりして。
豪遊でしたが。
次の予定を探しています。
今日は自宅で。
のんびりと。
新奈。
「見事な盾を作りました。」
「名前は決定論です。」
璃々依。
「何でも防げるような盾ですね。」
小夜。
「決定論を盾にすれば。」
「どんな非難も防げます。」
璃々依。
「どんな攻撃をも防ぐ。」
「最強の盾なんですよ。」
新奈。
「これを片手に持って。」
「都市を駆け抜ける。」
「どんな奴が来たって。」
「決定論を盾にすれば。」
「無敵です。」
小夜。
「責任を無効化する盾ですか。」
「私も欲しい。」
新奈。
「良ければあげますよ。」
「余剰になったものは他人に分け与えるのが。」
「道理というもの。」
「持っていても溢れかえって良くないです。」
「余剰のものは流れるままに任せるのです。」
小夜。
「さあて決定論という名前の盾を貫く奴なんて。」
「いるはずがありません。」
「スピノザも出しますか?」
「決定論の定番ですよ。」
璃々依。
「スピノザ?宗教を合わせた決定論の大家ですよね。」
「決定論の内容は神意でも決まっていると。」
「国語辞典に書かせた由来ですか。」
新奈。
「なんて便利な盾なんですか。」
「これで法律も喧嘩も余裕ですね。」
「決定論を盾にすれば無敵ですから。」
小夜。
「自由はどうするの?」
新奈。
「盾を取り外してから。」
「自由を行使します。」
璃々依。
「とすると。」
「今まで誰にも破壊されたことのない盾ですね。」
新奈。
「こんな便利な盾は見たことがない。」
小夜。
「悔しかったら決定論を壊してみろよ。」
「という訳ですね。」
璃々依。
「難攻不落な決定論ですからね。」
「とても便利です。」
「盾が小さくてもきちんと防げますから。」
小夜。
「ん?我々はやはりソフィストなのでは?」
新奈。
「ソフィストだからと言って。」
「何か不具合でもあるのですか?」
璃々依。
「いいえ、我々が仮にソフィストでも。」
「誰かの財布から札束が飛んでいく訳でもありません。」
「いきなり転んで怪我をする訳でもありません。」
新奈。
「詭弁を繰り出したからという理由で。」
「何か持ち物を奪われるとか。」
「身体を拘束されると思ったら大間違い。」
小夜。
「するとその人の義務は。」
「私に百円を差し出すものなのでしょうか。」
「そんなことはありえません。」
新奈。
「仮に詭弁でも面白ければ娯楽の一部です。」
璃々依。
「言い負かしたから。」
「敗北側を殴っても良いとか。」
「そういう法律が出来るとでも思っているのですよ。」
小夜。
「言い負かした後の出来事は別物として区別されます。」
「論破はある程度の危険がありますが。」
「口論の勝敗で賞金が稼げるのなら。」
「是非とも参戦したいものです。」
新奈。
「口論で小銭を稼げるのなら。」
「なんて素晴らしい世界なんですか。」
璃々依。
「口喧嘩で勝負なんて。」
「野良猫が虫や小動物を仕留めて。」
「食つなぐような。」
「そんな有様になってしまったのか。」
新奈。
「いいえ、我々に責任はありません。」
「すべて決まっていることですから。」
小夜。
「自由は無料ではありませんね。」
璃々依。
「いくら払えば自由を購入できるのですか。」
新奈。
「しかしどこで売っているかまでは知らないのです。」
小夜。
「するとそんなに貴重品なのだろう。」
新奈。
「道理は希少な自由を探し回って。」
「金銭を差し出して買うのです。」
「その後は隠しておくのです。」
小夜。
「私は高価で貴重な自由を探しています。」
璃々依。
「おお!それでは合理的な未来が待ち受けています!」
新奈。
「自分から合理的にするまでが問題です。」
小夜。
「難易度なんて低い方が良いに決まっています。」
新奈。
「苦労とか誰が言ったのですか。」
「君主ですか?」
「法律で苦労が決まっているのですか?」
璃々依。
「試練は申請した覚えがないものは。」
「捨ててしまってもペナルティがありません。」
新奈。
「試練は違反しても罰則は実在せず。」
璃々依。
「困難はインチキとイカサマで攻略します。」
小夜。
「死んでしまえ!既成概念!」
新奈。
「しかし少し前から信じられているのです。」
璃々依。
「すると誰かの持論があなたの試練なのですか。」
小夜。
「おお!馬鹿にしてくれる!」
「誰にも試練など申請していませんよ!」
新奈。
「嘘をつきたいし。」
「インチキやイカサマをしたい。」
小夜。
「すると他の人々の行為とはいったい何だろう?」
璃々依。
「なぜ与えられたものを返却してはいけないのだろう。」
「不服であると抗議したり。」
「苦情くらい言えば良いのに。」
小夜。
「なぜ文句を言わずに従っているのだろう。」
新奈。
「サポートセンターとか受付係の宛先が。」
「どこにも書いていないからです。」
小夜。
「それは大変です!」
「お問い合わせ先がどこにも書いてない!」
璃々依。
「書いていたら苦情や脅迫文で満杯になり。」
「都市の紙が品薄で消えてしまいます。」
小夜。
「なんてせこい苦情受付係なんですか!」
星都奈(せつな)ちゃんが予定通りに訪問。
スカート好きのアイドル系で。
三人娘の友人。
小夜の元同僚で。
口説いたら。
親しくなったという。
両親が球技の指導員で。
資格を取得している最中ですね。
団子を食べながら。
雑談。
星都奈(せつな)
「生活するだけの世界に何の価値がありますか?」
新奈。
「生活の中で面倒くさい。」
「そして退屈な出来事があるものです。」
小夜。
「つまらない事件とか多いですよね。」
璃々依。
「生活するだけなんて虚しい。」
星都奈。
「生活を維持するだけですしね。」
新奈。
「行き交う人々も生活に追われていますね。」
璃々依。
「それなら、生活をより有利にすれば良いのですね。」
小夜。
「現実を包括すると、そんな世界でしょうよ。」
星都奈。
「誰ですか、こんな厭世主義みたいなことを。」
「考えさせるきっかけを作った人は。」
新奈。
「死が迫ったら。」
「素晴らしい機会になるでしょう。」
璃々依。
「しかし後々に戻ってこないといけない。」
「さて、どうしたものか。」
星都奈。
「世界が求めているのはペシミズムなのですよ。」
小夜。
「なるほど、需要があれば人気が出る。」
璃々依。
「もっと広まっても良い結果になるかと。」
星都奈。
「世界は厭世主義を見せてくれているのです。」
「これに便乗しましょう。」
新奈。
「せっかくなので私も厭世主義になります。」
璃々依。
「もったいないので私も今日から厭世主義です。」
小夜。
「時代はペシミズムですなあ。」
古典の抜き書きに熱中している新奈。
星都奈ちゃんは小夜に押し倒されて。
それを押し返すと。
逆に押し倒したり。
戯れている。
棚にいっぱいの書籍を見ると。
新奈に抱き着くようにして。
原稿を覗く。
星都奈。
「古典のパロディをやっても。」
「現代の本質を捉えていると自負しています。」
新奈。
「古典のパロディーですと?」
「誰もやったことがない。」
「大胆不敵な作品ですね。」
小夜。
「聖書のパロディをやった哲学者もいるのだから。」
「同じように古典のパロディをやっても。」
「面白いかと。」
璃々依。
「安直に。」
「現代人の有様を。」
「行き当たりばったりに再現する作品とは。」
「まったくもって比較するには不適切。」
星都奈。
「つまらない場面を省いて。」
「行動だけを再現する作品なんて。」
「平凡というより。」
「何をしたいのか分かりません。」
小夜。
「彼らの不当な幸運が没収されると。」
「いきなり何万人も死ぬでしょうからね。」
星都奈。
「砂時計を渡して。」
「これを何に使えば良いのか分からない。」
「なんて言う愚者には幸運がなぜかあります。」
「その場合、愚者は運の使者であって。」
「愚者の運の良さから調べるように。」
新奈。
「本物の愚者はなぜか幸運を持っていますが。」
「運の使者なのですね。」
「近寄りたくありませんが。」
「研究の対象になりそうです。」
星都奈。
「愚者は眠っているのと同じですので。」
「判別は容易かと。」
新奈。
「本物の愚者は。」
「毎日、居眠りしていますからね。」
星都奈。
「安直に突進した先に運の使者がいるなんて。」
「漫画とか映画では無いのですし。」
小夜。
「漫画や映画であって欲しい欲望が。」
「そう走らせるのです。」
璃々依。
「なんて悲惨な。」
「しかし火山とは知らずに。」
「突進する人間を止めても。」
「無理があります。」
星都奈。
「彼らは光ものなら。」
「必ず金であると信じますから。」
「金属片でも太陽光で反射すれば。」
「突進しますね。」
新奈。
「とまあ、我々は御人好しではないので。」
「他人事にしか見えませんね。」
習慣になっているお宮参りに。
四人組になっている。
流行の子役であった星都奈。
あっという間に風化したので。
いつまでも舞台の上に居座らなかった。
しかし実力は本物です。
歩きながら歌うと。
民衆を惹きつける。
しばらく歩くと。
誰かが暴走していました。
畜群。
「批判したいよ!」
老人。
「批判なんかしなくて良い。」
「そんな暇があったら昼寝するわ。」
畜群。
「批判したい。」
「だって人を攻撃するのって楽しいでしょ。」
公務員。
「それで削られても良いのなら。」
「勝手にやっていろ。」
畜群。
「勝手にやります。」
「批判したい。」
市民。
「お前がいなければ良いだけでしょ。」
畜群。
「僕を批判したな!」
市民。
「お前がいなければ解決するってことでしょ?」
畜群。
「批判したいからしょうがないの。」
会社員。
「俺が思うに。」
「お前がいなければ済む話だね。」
畜群。
「いるから批判するの。」
市民。
「いるなよ。」
畜群。
「なぜかいるから批判するの。」
役人。
「どうせなら無批判のものに突っ込めよ。」
畜群。
「どんなもの?」
役人。
「人間を批判しろ。」
畜群。
「嫌だよ、自分を批判するんだもの。」
役人。
「お前、人間だったのか?」
畜群。
「何に見えるの?」
役人。
「数合わせ。」
畜群。
「なんてことを言うんだ!」
「僕は立派に数合わせになってるじゃないか!」
市民。
「それで満足か?」
畜群。
「群衆の代表であることを誇りに思っています。」
老人。
「だってよ、何か言うべきことはある?」
男の子。
「勝手にやっていろ。」
夫人。
「昼寝がしたい。」
畜群。
「批判したいのだ。」
市民。
「いいぞ、他所でやれ。」
畜群。
「他所でやります。」
軽トラックで荷台に乗って。
何者かが旗を振っている。
演説を開始してしまい。
どこの団体なのか意味不明。
何かを宣伝していて。
市民が巻き込まれる。
ルサンチマン。
「人間万歳!人間万歳!」
市民。
「何だ!もはや珍しいものではないが・・・。」
ルサンチマン。
「人間を崇拝しろ!」
「偶像崇拝をしろ!」
市民。
「他所でやれよ。」
ルサンチマン。
「人間を崇拝しろ!」
「それは俺を崇拝することだ!」
市民。
「人間万歳とは自分を賛美させるための理屈なのか。」
ルサンチマン。
「人間万歳!人間万歳!」
「人間とは自分。」
「人間万歳とは自分。」
「人間万歳!と言えば俺という意味である。」
夫人。
「手に負えない!」
「蜜柑でも食っていなさい。」
ルサンチマン。
「人間万歳!人間万歳!」
「蜜柑とは素晴らしいですね。」
役人。
「この街には変人しかいないのか!?」
紳士。
「残念ですが、変人しかいません。」
「普通の人は気の毒ですね。」
市民。
「となると、囲まれているということか!?」
夫人。
「どこから変人が登場するのか分かりませんし。」
「あなたも蜜柑を食べてはどうでしょう。」
知識人。
「時代は変人なのか・・・。」
その場に割り込んでくる。
大型バイクの集団。
凄まじい速度で。
ドリフトしながら。
周囲を制する。
啓蒙思想家。
「おらおら!時代は啓蒙思想だぞ!」
野盗。
「棍棒を振り回して説教する時代だぞ!」
啓蒙主義者。
「俺達はヴォルテール主義者だ!」
不良。
「とにかくひれ伏せ!」
「そして啓蒙思想で説教されろ!」
野盗。
「さあお前にも啓蒙思想を説いてやろう。」
市民。
「うわあ!暴走族だ!」
子供。
「また酷い目に遭わされる!」
民衆一同。
「今月で何回目なんだ!」
啓蒙思想家。
「野盗とは失礼な奴だ!」
「素晴らしい啓蒙思想の世界に入れてやるので。」
「とにかく信じろ。」
啓蒙主義者。
「異常に長い説教でお前をヴォルテール主義者にしてやる!」
庶民。
「やめろー!逃げ場が無いぞ!」
野盗。
「囲んだぞ。」
「掴むなよ。」
「捕まえると警察沙汰だぞ。」
市民。
「逃がしてくれ!」
ヴォルテール主義者。
「駄目だ、啓蒙主義をたっぷり聞かせてあげるから。」
「感謝してくださいね。」
子供。
「嫌だー!拷問だ!」
何か暴走している人達が多いので。
逃げ出します。
少し遠くにある社殿の途中。
姉妹のいる小料理屋があり。
ちょうど休憩時間のようで。
姉妹が裏口付近で雑談をしていますね。
裏口に回って。
挨拶。
新奈。
「こんにちは。」
展世。
「あらまあ、いらっしゃい。」
新奈。
「あなた好き。」
「お姉さんですか。」
展世。
「妹です。」
「姉は向こうです。」
「双子ですから。」
新奈。
「お姉さん。」
「掴ませて。」
絵真。
「え?わあ!そんなに求めないで・・・。」
新奈。
「掴んで抱き寄せる。」
絵真。
「そんなに激しくて・・・。」
新奈。
「妹さん。」
「キスさせて。」
展世。
「もちろん。」
新奈。
「少しの間だけ。」
展世。
「女性と口づけするのは好きですよ。」
小夜。
「上品な色事ですなあ。」
展世。
「こういうの好きなので。」
絵真。
「でも、脱がされたり。」
「押し倒されたりするのは趣味ではありません。」
展世。
「私の好きなのは掴まれたり。」
「抱きしめられたりするもので。」
「趣味が合うんですよ。」
璃々依。
「これで男性には近寄らないのです。」
小夜。
「男性から離れたがるよね。」
展世。
「必要な時しか接近はしません。」
「ろくなことがないので。」
絵真。
「いつもできるだけ離れています。」
新奈。
「私のような女の子がいるので。」
「男性は必要ないのです。」
絵真。
「双子なせいか趣味も同じなんですよ。」
小夜。
「姉妹揃って男性から遠のく姿は。」
「男性から見ると衝撃でしょうね。」
展世。
「気の毒ですが。」
「相手を選ばずに男性から離れます。」
絵真。
「生まれつきの本性ですね。」
「あまりに男性の接近を許さないので。」
「最近は。」
「男性と会話したことがありません。」
璃々依。
「女の子には寄りますね。」
展世。
「女性には逆に接近しますね。」
絵真。
「姉妹で女の子の方向に移動します。」
新奈。
「私と結婚するとか周囲に言っていたとか。」
展世。
「そう言えば男性が近寄らないでしょ。」
絵真。
「実際に好きですし。」
「恋になっても構いませんよ。」
新奈。
「そういう不思議な所が好きです。」
展世。
「私達も好きです。」
絵真。
「今度は私達からもやらせてください。」
新奈。
「え?ちょっと?あれ?」
絵真。
「掴むなんて。」
「私がやると。」
「どうなりますか。」
新奈。
「心地よいです。」
展世。
「私はキスしますね。」
新奈。
「わっ!大人しいキスですね。」
小夜。
「あれ?私にはしないの?」
璃々依。
「和服姉妹を取られた気分です。」
「帳尻合わせに私にもしてください。」
新奈。
「分かりました。」
「私は覚悟しますね。」
「複雑な関係になりましたし。」
「あなたにもキスします。」
小夜。
「じゃれ合うのは好きです。」
新奈。
「あなたにもキス。」
小夜。
「素敵!前よりも上手!」
璃々依。
「全員で色欲ですね。」
新奈。
「不意に掴んでキスです。」
璃々依。
「私は無抵抗です。」
「強引にキスされて満足です。」
展世。
「複雑な動機論がありますね。」
新奈。
「またやらせて。」
絵真。
「喜んで、憩いにも。」
「遊びにもなりますので。」
展世。
「ただし、過激な交渉はしませんからね。」
移動。
料亭から十分ほど歩く。
鳥居が見えて。
身を清めて参拝。
お宮参り後に。
自宅に帰る途中。
駅前の商店街は。
ヴォルテール主義者と批評家。
それにいろいろと偽善者な種類のヒューマニストが。
三つ巴の乱闘をしていて。
周辺住民と通行人を巻き込んで。
意味不明な状況になっていました。
警察官も思想からの乱暴者は対処が難しく。
三勢力で見境なく説教を繰り返すので。
ようやく警察官が三勢力を引き離して。
帰っていきました。
星都奈。
「自由思想の時代とは言いますが。」
「暴走するのも時代の特徴ですね。」
新奈。
「さっきからなぜ沈黙しているのかな。」
星都奈。
「気を失っていたからですよ。」
小夜。
「せつなちゃんはすぐそうなりますね。」
「女性マニアですので。」
「見ているだけでも気が狂ってしまうそうです。」
星都奈。
「いいな!いいな!」
「ああいうのを見ていると羨ましい。」
璃々依。
「気絶していたんですね。」
新奈。
「家に帰ったら好きにしてあげる?」
星都奈。
「申し訳ありません。」
「気を失うので。」
「一分くらいで倒れます。」
小夜。
「強姦みたいにやられるのが好きみたいです。」
「少しずつ好きにされると気絶するらしいのです。」
星都奈。
「不意にやられるのが好みです。」
璃々依。
「後ろから抱き着かれるのも?」
星都奈。
「ひゃあ!色っぽい!柔らかい!」
「あなたは拘束するのが好きなのね!」
「意外にもSMプレイの要素を持っているなんて!」
新奈。
「女性マニアですか、これは切り札になりそう。」
自宅に帰還。
派遣社員の日記を。
家庭教師の女性がまとめるように。
一部を提出するように求めるので。
再び原稿に取り掛かります。
他の二人は。
星都奈を追い掛け回す。
小夜。
「いいことしようよ!」
璃々依。
「捕まえたら我が物にしてやるのだ!」
星都奈。
「きゃあああ!どんなことされるのか分からないので!」
「とりあいず逃げます!」
星都奈ちゃんが押し倒されて。
捕まえられて。
二人で抱きしめられて。
満足みたいで。
真っ赤になった星都奈は眩暈がして横になりました。
私達はデビューのための準備に忙しいのですが。
公義に集中している両親は。
細かい所は無視をして。
私に自由を与えて。
少し離れた位置から家業や立場を理解させているようです。
人格者なのは不完全の肯定にあると言われています。
三人娘の両親も私達に自由を与えてから。
公義の存続に注いでいますね。
7
派遣社員の判定で。
勤務から帰還した翌日。
邸宅には召使と。
両親は深夜辺りに帰宅なので。
両親と会う機会は少ないのです。
祖父と祖母の事業から二倍の規模になり。
今は質を課題にしていますね。
親族が事業に多数参加していますので。
失敗が減っています。
実質は親族の共同経営ですし。
それでたまに休暇がある両親です。
自宅にて。
新奈。
「ゲームで大事なのは。」
「手品を活用することです。」
「奇術師であれば。」
「どんなチェスもカードゲームも。」
「容易く勝利できます。」
小夜。
「手品で将棋にも勝てますね。」
「奇術師はゲームで圧倒します。」
璃々依。
「ゲームで勝ちたければ。」
「手品を使用して。」
「奇術師の技能を学ぶのです。」
「どうでもいい勝負ならば。」
「不正で解決しても。」
「問題ありません。」
新奈。
「時に策略が役に立たない場合もあります。」
「策略が無効化される場合は。」
「作戦の変更が必須ですね。」
小夜。
「トランプでカードゲームをするのなら。」
「どちらかと言えば勝敗は。」
「手品の技能で決まります。」
「どのくらい有能な奇術師かどうかです。」
璃々依。
「審判の買収も忘れずに。」
「賄賂で手回しすれば。」
「勝敗すらも自分のものです。」
新奈。
「チェスの審判がいないと。」
「何でもやりたい放題ですよ。」
「相手の駒を投げ飛ばしたり。」
「盤上に穴を開けたり。」
「ハンマーで相手の駒を壊したり。」
「愚直にハンマーでチェス盤を壊そうとすると。」
「けっこう簡単です。」
璃々依。
「それでも相手はゲームを続けますね。」
小夜。
「もう壊れているのにね。」
璃々依。
「何でも破損した盤上と駒で何をしようと?」
新奈。
「自分のルールが正しいと主張するだけで。」
「別のゲームになりますけれどね。」
小夜。
「何か別のゲームに上書きするのが良いですね。」
璃々依。
「ゲームの上書きが大事ですね。」
新奈。
「ゲーム理論ではお互いのゲームが食い違うことも。」
「よくあることです。」
璃々依。
「自分がポーカーで相手がチェスであると主張する。」
新奈。
「その構図は強いです。」
「相手の言い分や実行力は失われます。」
小夜。
「それではさっさと別のゲームを仕掛けて。」
「帳消しにしてやりましょう。」
新奈。
「格闘ゲームならば。」
「今すぐ第二ラウンド開始です。」
小夜。
「私はパズルゲームですので。」
「狡猾では謎が解けません。」
璃々依。
「私はサバイバルゲームですので。」
「エアガンが当たっても。」
「文句は言えませんね。」
報道があり。
海辺の市街地に猿が出て。
騒ぎになっていると報道されて。
興味本位で。
現地に移動。
自動車で。
現場に到着しても。
何もいません。
市民は屋内に閉じこもっていて。
猟友会が徘徊しています。
少し森林に歩いてみて。
まあ小さな事件であろうと。
側面を見ると。
ピンク色で身長が四メートルもあり。
どっかで見たゴリラのような猿が向かってきます。
新奈。
「あなた、だいぶ報道されている内容と違うよね!」
小夜。
「どこをどう見たら単なる猿なんて言えるんですか!」
璃々依。
「確かに猿ですが、化け物とは聞いてない!」
土佐犬。
「ぐるるるる!」
大猿。
「ウキー!」
巨大な土佐犬が出現。
通常の土佐犬の二倍の大きさ。
大猿と組み合います。
その隙に。
自動車から召使が出した。
クロスボウで反撃。
大猿は顔面に弓矢を受けて逃亡。
何とか返り討ちにしました。
新奈。
「どこを見て単なる猿の暴走とか言いました?」
「完全に化け物ですよ!」
小夜。
「大熊みたいにありえない姿です!」
璃々依。
「あんなやばい奴をどうして放置している!」
猟師が駆けつけてきて。
土佐犬の上に乗車して。
猿を追いかける。
近くで銃声。
大猿が倒されました。
森林の向こう側で倒れているので。
もう終わりかと思ったら。
また側面から大猿。
野球バットで爪を防ぐと。
野球バットが割れながら猿は怯む。
調理用のナイフでもう一撃の爪を防ぐと。
後ろから。
一撃浴びせて。
クロスボウで射貫いてから。
一気に踏み込んで。
もう一撃と切り刻んで。
相手の側面を取り続けると。
あまりの集中攻撃に。
大猿は逃げ出しました。
何とか無傷。
新奈。
「だいぶ言っていることが違うよね?」
猟師。
「あんなこと言うと大事件になるからだ!」
小夜。
「見物に来たのに戦うことになるなんて!」
猟師。
「よく化け物を相手に無傷だね。」
璃々依。
「必死になったら無事でした。」
猟師。
「まぐれは一回。」
「二回も続くまぐれはまぐれではないね。」
猟友会が追跡する。
猟犬と土佐犬まで。
引き連れている。
自動車に戻って離脱。
化け物と現代人の戦場でしたね。
戻る途中。
巨大なカラスと飛竜が喧嘩していました。
カラスはひらりと避けて。
飛竜は噛みついたり。
体当たりしたり。
飛竜は鳶に見えますが。
複数の巨大なカラスと巨大鳶が喧嘩しているので。
一羽のトンビが自動車の手前に墜落。
何がどうなっているのか。
散々な見物になりました。
渋滞に引っかかる。
いつもの通り道。
駅前の商店街。
今日は心霊主義者が。
道路の真ん中で焚火をして。
何やら意味不明な言説。
心霊主義者。
「来ました!全国、でっち上げ選手権!」
「今回はみんなからでっち上げを募ろうと思います!」
新興宗教。
「うおー!ついにでっち上げ選手権がやって来た!」
市民。
「どんなでっち上げが飛び出すのか見ものだぞ!」
心霊主義者。
「さて、最初の選手は誰かな?」
青年。
「俺だ!最高のでっち上げをしてやるぜ!」
夫人。
「あなたのでっち上げなんて。」
「私は既に整えてありますよ。」
心霊主義者。
「今回は誰が勝者となるか!」
「でっち上げ選手権の開幕です。」
新奈。
「でっち上げを競技にするな!」
小夜。
「でっち上げで遊ぶな!」
璃々依。
「でっち上げで勝負するな!」
市民。
「面白いからいいでしょ。」
青年。
「君達も観客か?今回も楽しもうよ!」
実証主義者。
「僕も自分なりのでっち上げを考えておりましてね。」
老人。
「俺ほどでっち上げが上手な奴はいないね。」
青年。
「僕ほどでっち上げが得意な人はいませんよ。」
市民。
「心霊主義者もだいぶ酔狂になりましたなあ。」
新興宗教の構成員まで参加しています。
銅像の広場は謎の大会で満員。
理解できないので。
退場。
周辺住民は便乗して楽しんでいますね。
帰宅すると。
召使が室内で待たせていた。
スカートマニアで女性マニアの星都奈。
何やら女性の研究に忙しそうです。
実業団を視察した帰りだったようですね。
小夜。
「何かして欲しいの?」
星都奈。
「えっと、一緒にお昼寝したいなって。」
小夜。
「こっちにおいでよ。」
星都奈。
「変なことしないでね。」
小夜。
「変なことがされたいの?」
星都奈。
「そんなことは・・・。」
寝室を借りる二人組。
小夜が星都奈をベッドに押し倒して。
後ろから抱きしめて。
一緒に寝てしまい。
こういうのが趣味のようで。
星都奈は程よい百合が好みで。
強欲にも。
触ったりキスしたりとか。
えっちなことをすると発狂します。
発狂すると手に負えないので。
えっちなことを仕掛けるのは止めていますね。
寝室は二人組が占領。
一階では雑誌が広げられる。
報道よりも新聞を読みます。
新聞は任意の機会で取得できるからですね。
璃々依。
「なぜ新聞を?」
新奈。
「あなたが思う以外の理由で読んでいるのです。」
璃々依。
「何か理由があって読んでいるのでは?」
新奈。
「もしかしたら理由の他に何かしらあるかもしれません。」
「義務とか。」
「有益とか。」
「世間知らずは問題になるとか。」
璃々依。
「何を読んでいるの?」
新奈。
「考えられる分野とは異なるものを読んでいます。」
璃々依。
「それでは新聞が好きなのですか?」
新奈。
「新聞を選ぶのは合理的なのでは?」
璃々依。
「原因があって結果ではなくて。」
「先に結果があって。」
「後に原因が判定されるのですね。」
新奈。
「原因もありませんね。」
「単に読んでいるのですから。」
「原因なんていちいち考えるのですか?」
璃々依。
「それではなぜ読んでいるのか分かりません。」
新奈。
「分からなくても良いのでは?」
「読んでいる私がここに居るだけで。」
「後から理由なんていくらでも出せます。」
璃々依。
「なるほど、理由や意味とか。」
「そうではなくて。」
「読んでいるあなたが居るという訳で。」
「そこは何とでも言えるのですね。」
新奈。
「あなたは、この鍋の水。」
「火をつけてから沸騰すると思いますか?」
璃々依。
「沸騰するでしょう。」
新奈。
「ならばこの水を流しました。」
「沸騰しなかったですね。」
璃々依。
「あれ?常に沸騰するのに?」
「私が言うので変えられてしまった?」
新奈。
「常に別の何かで説明できるので。」
「散歩すると。」
「全部が連結して成立していないと理解できます。」
璃々依。
「原因と結果の二つから考えられるものを仮定して。」
「その二つを除いたその他で。」
「何でも説明ができるのですね。」
新奈。
「その二種類の物事とは別の全て。」
「これで成り立っています。」
璃々依。
「原因と結果の二つがありますが。」
「この二つとは別のもので何でも成立するのですね。」
新奈。
「その二つだけで何でも説明できると思いますか?」
璃々依。
「思いませんね、二つだけで世界は成り立っていません。」
新奈。
「私が新聞を読むのはそれです。」
璃々依。
「なるほど!すべての出来事は連結して成り立ってはいませんね!」
新奈。
「そうです、全部の物事は連結で成り立ってはいません。」
璃々依。
「原因と結果で何でも説明はできません。」
新奈。
「原因と結果で、どうして成り立つと思いたいのですか?」
璃々依。
「因果律とは個人の解釈ですので。」
「事実ではありませんね。」
新奈。
「本当は因果関係が成立していると思いたいのです。」
璃々依。
「なぜなら、論証をあまりに単純化できるからですね。」
新奈。
「因果関係とは馬鹿で屑である。」
「というのも因果関係から出たものですが。」
「それだと因果関係という原因から。」
「因果律が馬鹿で屑であると出たので。」
「因果関係は馬鹿で屑なのです。」
璃々依。
「原因と結果なんて存在すら証明できませんよね?」
新奈。
「無いものは証明できませんよ。」
璃々依。
「因果関係なんて無いものなので証明できない。」
新奈。
「なぜ原因が必要なのか?」
「そして結果が必要なのか?」
璃々依。
「そもそも因果関係が役に立つことはありません。」
新奈。
「使えない説明付けですよね。」
璃々依。
「実は因果関係を無視しようとすれば可能なのです。」
「理由もなしに行動も可能です。」
新奈。
「原因と結果を顧みずにやりたい放題していますけれどね。」
璃々依。
「因果律に実行力や強制は一切ありません。」
「私より因果律の方が弱いのです。」
新奈。
「私より因果関係とか言う奴の方が、かなり頭が悪い。」
「とまあ人間の創作など真に受けるような稚拙な所は私にはないですね。」
璃々依。
「因果関係の特徴はいちいち作り話が多いことですね。」
新奈。
「因果関係は作り話が上手なので。」
「とまあ駄作の物語を大量に出してきますね。」
璃々依。
「因果関係が出す結論は誤謬や歪曲に満ちています。」
新奈。
「その結論は当たった試しがありませんね。」
璃々依。
「鰯の頭も信心から。」
「とはよく言いますし。」
「信じたい人だけ信じればよろしい。」
「私は因果律とかその辺は顧みない。」
新奈。
「論より証拠。」
「因果関係は一切の証拠を提出できない。」
璃々依。
「証拠もなければ実在しない。」
新奈。
「因果関係を試してやりましょうよ。」
璃々依。
「それは名案です、試してやりましょう。」
新奈。
「どうせ使えない論証ばかりですけれどね。」
璃々依。
「むしろ因果関係とか言う理屈が存在しなければ。」
「どれほど人間の具合が良くなるかと計り知れない。」
新奈。
「因果関係なんて誰が作ったのですか?」
璃々依。
「因果関係なんて誰が言ったのか?」
新奈。
「因果律とか誰が作ったのか分かりませんし。」
「人工物にしてはかなりの駄作ですね。」
璃々依。
「神様の猿真似ですか。」
「因果関係でそれをやりますか。」
新奈。
「馬鹿の一つ覚え。」
璃々依。
「原因と結果とは別の何かで。」
「すべてを説明できますので。」
「原因と結果は要りませんね。」
「要らないものが因果関係です。」
新奈。
「私には要りませんね。」
「不用品を貯めておく必要がありません。」
璃々依。
「玩具が壊れちゃった。」
新奈。
「因果関係をいかに壊すか。」
「いかに無視してやりたい放題をするかの遊びです。」
璃々依。
「因果関係ですか。」
「そんなのに縋りたいよね。」
新奈。
「どうした?完璧な理論では無かったのですか?」
璃々依。
「次の風刺はそれにしようかな。」
新奈。
「だいぶ、嘲笑していますね。」
璃々依。
「けちをつけるのが容易いからです。」
新奈。
「因果関係やら因果律は欠陥品です。」
璃々依。
「明らかに欠陥であることは証明できますね。」
悲鳴が上がる。
寝室から。
調子に乗ってえっちなことをしたので。
星都奈が暴走してしまい。
手に負えない。
小夜。
「キスしたら暴走した!」
星都奈。
「何するの!頭がどうかなりそう!」
「他の女の子が大好きで!」
「もうあなたと一緒になりたい!」
小夜。
「ひゃあ!なんて速度と怪力ですか!」
星都奈。
「調べたい!あなたを調べたい!」
「本当はね?官能は嫌いなの!」
「女の子の強欲で好きにされるのは快感なんだけれど!」
「少しずつ触ったりしてキスを長い時間されると!」
「相手の女の子を自分のものにしないと気が済まないの!」
「そこまでしたのなら結婚してよ!」
小夜。
「うわっ!うわああああ!」
星都奈。
「女の子に利己的な強姦をされるのは好き!」
「その後もずっと好きにされていると!」
「交際しないと気が済まない!」
「もうだめになっちゃった!」
「娶ってくれないといろいろしちゃうよ!」
小夜。
「だめっ!それはだめ!」
星都奈。
「少しくらいのえっちが好きで。」
「長くえっちなことされると。」
「もうあなたのことしか考えられない。」
「好きよ。」
小夜。
「やめてー!それは!」
新奈。
「あれ?そんなに長くやったんですか?」
「長くやるとせつなちゃんは発狂しますよ?」
小夜。
「夢中になって。」
「いろいろしちゃってた。」
星都奈。
「降参する?」
小夜。
「します。」
星都奈。
「それでは好きにやらせて。」
小夜。
「きゃああああ!」
璃々依。
「また暴走しましたね。」
「何とかしてあげれば?」
新奈。
「女の子マニアが暴走しているんですよ。」
「女の子同士のキスを見るだけで。」
「発狂するくらいなので。」
「自分が受けると何倍も発狂するのです。」
璃々依。
「この前に姉妹と戯れた時に見せた沈黙。」
「あれは我慢だったんですね。」
新奈。
「口実が欲しいんですよ、せつなちゃんは常に。」
小夜。
「触らないで!探らないで!」
星都奈。
「どんな下着か見せて!」
小夜が何とか寝室から逃げ出した。
星都奈は官能を感じると暴走する癖があります。
手当たり次第に襲い掛かるので。
何とか三人で制圧。
急に大人しくなった星都奈ちゃん。
小夜。
「官能で暴走するとか。」
「調子に乗ってキスしたのが失敗かな。」
新奈。
「押し倒したりした後に。」
「抱きしめたりするのは好きみたいです。」
星都奈。
「女の子が大好きなので。」
「えっちなことをされるとついそうなるのです。」
「抱きしめられるくらいなら。」
「発狂しません。」
小夜。
「素敵なので、つい、いろんなことをしてしまうのです。」
璃々依。
「程度を調整すれば、危ない女の子ではないですね。」
新奈。
「長く仕掛けない限りは危険ではありません。」
連絡。
次の派遣先が決まったので。
また勤務しますが。
基本は。
傘下や提携や親会社の分社なので。
一度は見たことがありますね。
両親が引退する時期に家業を引き継ぎますが。
それは遠い未来の話ですので。
特にやりたいことが無いために。
何の申請もしていません。
派遣社員の訓練は続きそうです。
8
遊園地の支援。
裏側で業務。
昼休み。
三人娘は合流して。
実例を蓄えて議論。
特に三人娘はデジタル分野を任せられるので。
裏側の支援は向いていますね。
こうやって実例を獲得します。
遊園地は人員で満たされて。
快適に動作しています。
人員が足りない場所は三人娘の取り分ですね。
新奈。
「自由と必然は一応は対立しているものの。」
「法則などが中心にあると。」
「むしろ自由と必然は一致する。」
「自由と対立するのはむしろ強制です。」
「法則とは規則でも同じです。」
「何かしらの中心があれば。」
「自由と必然は合致します。」
小夜。
「目的は自由に直結しますしね。」
璃々依。
「目的論はむしろ倫理学で詳しく語られるものですね。」
「目的論は倫理学に属しています。」
新奈。
「不可能とは定義の話でしたよね。」
小夜。
「不可能とは。」
「本質か定義の矛盾かどちらか。」
「つまりは不可能とは。」
「決められた原因が存在しないからと。」
「解される。」
「本質か定義か。」
「原因から必然に至る段階で。」
「不可能というものが仮定されるだけで。」
「それらは定義の問題に過ぎない。」
新奈。
「未来や過去が自分に有利となれば。」
「受動的でもおかしくはないですね。」
小夜。
「問題は不利に出ていると。」
「決まっているとされているものを。」
「撃破する必要が出ます。」
新奈。
「決定論は偶然。」
「有利になっている人がよく使用しますね。」
「不利になっている人は使用しません。」
「原因がそうならば。」
「有利な人も不利な人も信じると思いますよ。」
小夜。
「決定論は必然とは何かについての。」
「実例が欠損している。」
「当然ながら。」
「必然とは何かについての。」
「証拠は集まらない。」
「机の上での理論では。」
「証拠が出ない。」
璃々依。
「理由もなしに誰かに天然水を浴びせれば。」
「原因もないのに結果が生じることが証明できる。」
「しかも相手は反撃が難しい。」
小夜。
「原因で何かが決まっているような証拠は。」
「一度も見たことがありません。」
新奈。
「むしろ原因を制圧して。」
「決まっている内容を覆していく。」
「ネタバレですね。」
「決定論はネタバレを起こします。」
「なので倒しやすくなる。」
璃々依。
「敵の情報が原因とかに集約されますので。」
「とにかく倒しやすくなりますね。」
新奈。
「安直にも原因から出ているのなら。」
「原因を見れば次の行動が読めますし。」
璃々依。
「原因とかいう要素は安直に使われ過ぎですね。」
新奈。
「最近の人間はすぐ原因を言い訳に使う。」
小夜。
「法則とかもあまり信じません。」
「法則が乱れたり無視されると。」
「法則は機能しませんし。」
「機械のような法則が壊れないとは断言できません。」
新奈。
「実際に法則が奇怪な動きを見せると。」
「法則に対する信用は失われます。」
小夜。
「法則が原因の起源だとすれば。」
「法則を超えられたり。」
「法則を無視する人間が出ると終わりです。」
璃々依。
「しかも故意に法則は無視できますし。」
「そんなに不安定な法則なんて信用できません。」
小夜。
「必然やら原因やらを信じていませんし。」
「疑いしかないですね。」
新奈。
「何かスーパーパワーがあってその中心から展開されているという。」
「スピリチュアリズムな哲学は。」
「何だか中途半端な宗教と同じで。」
「無理矢理、それで何でも説明するかのように。」
「何か客観的とか見なして。」
「強引に説き伏せますが。」
「空気みたいなもので説明されても。」
「法則だから法則で。」
「その法則とは原因である。」
「なんて。」
「同じ説明を繰り返しているに過ぎませんよ。」
小夜。
「その書籍は捨ててしまいました。」
「ゴミ箱にです。」
「これも原因から来る法則ですよね。」
新奈。
「そうですよ、ゴミ箱にあっさり捨てられるのが。」
「法則の成せる技です。」
璃々依。
「そうなると、その原因と法則は自分が乗っ取れるのですね。」
新奈。
「その通り。」
「原因は乗っ取れます。」
小夜。
「法則も自分の都合が良いように乗っ取れます。」
新奈。
「ピッキングやハッキングみたいに乗っ取れます。」
「乗っ取ればそれを利用してやりたい放題に展開できます。」
璃々依。
「そんなに都合が良い道具があるなんて。」
新奈。
「なので原因は自分が定義する内容になります。」
小夜。
「法則も自分が決めた通りに操作できます。」
新奈。
「その書籍を殴ったり蹴とばしたり。」
「ハサミで切り刻んだり。」
「破ったりして遊びましたが。」
「それも原因とか法則から来るものですからね。」
小夜。
「読んで一時間くらいで原形を留めていません。」
「それが原因とか法則の正体です。」
新奈。
「好きなだけ書籍を踏んで笑い飛ばす。」
璃々依。
「乗っ取られた原因と法則でやりたい放題です。」
新奈。
「決定論は好きなだけ利用できるのです。」
璃々依。
「素晴らしい防具ですね。」
新奈。
「因果関係とは私が定義するものになります。」
璃々依。
「もっと乗っ取れ。」
小夜。
「私が因果関係を決めます。」
小夜。
「因果関係を決めるのは我々なのです。」
新奈。
「個人が決めるものです。」
璃々依。
「では、あの時にゴミ箱に入っていた残骸は。」
「あの書籍でしたか。」
新奈。
「その通り。」
「百円だったので買いましたが。」
「遊び道具にしては最高でした。」
璃々依。
「古本を破壊して強引に論破するんかい。」
小夜。
「それだけ論証が弱いのですよ。」
新奈。
「どんな論説も強弱があります。」
「論証が弱ければ破られます。」
「強ければ反駁に開けません。」
小夜。
「内容をよく知らずに読んだので。」
「初めて古典の買い物に失敗しました。」
璃々依。
「合わない哲学を読んでどうするの?」
新奈。
「粉々にするだけですね。」
璃々依。
「もう合わない古典は読むものではないね。」
新奈。
「同じ実存哲学しか読みたくない。」
璃々依。
「合わないものを無理に読むとそうなりますね。」
「これからはもっとよく選びましょう。」
「どうせ百円だからと言って使い捨てにするなあ。」
新奈。
「自説と実例の融合は強力。」
「客観的な理論が入るとさらに強力。」
小夜。
「何でも法則に訴えれば良いと思ったら大間違いですよ。」
璃々依。
「何でも法則と言えば解決すると思ったら大間違い。」
新奈。
「因果でそうなっているとかは。」
「何の説明にもなってはいないね。」
「少なくとも。」
「因果を疑ったり。」
「否定する人は対象に入ってはいません。」
小夜。
「予定調和のように。」
「何事も最善に向かうのなら。」
「決まっていると言われても理解できますね。」
「クリスチャンのような。」
「決定論ならば今でもありますし。」
「それをたまたま因果と呼んでいるだけなのでは。」
新奈。
「自分の力が及ばないことを。」
「何でも因果と呼んで。」
「本当なのか調べようとしないし。」
「人によっては割合が異なり。」
「七割自由で三割が必然もありうる。」
「因果は絶対主義で。」
「相対主義には耐えることができませんね。」
璃々依。
「因果とか御託になってしまい。」
「誰も納得しませんし。」
「それで問題が消せる訳でもなく。」
「かえって問題を大きくしてしまいますね。」
新奈。
「しかし宗教による決定論などは。」
「特に矛盾が見当たりませんし。」
「因果だけで終わらせるのは。」
「他の説明を放棄して。」
「神様を無視したり。」
「信仰を半分くらい破棄しています。」
「それですと逆に冒涜になります。」
小夜。
「因果は反論に脆弱で。」
「証拠がなに一つもなく。」
「証拠をひとつも提出できない。」
「因果なんて実証主義の産物ですし。」
「実例として。」
「自然災害や事故で死んだ遺族に。」
「屁理屈を渡すようなものです。」
「もはや因果を信じる理由がありません。」
璃々依。
「あるかもしれないし。」
「ないかもしれない。」
「あるかもしれないのに証拠が出ない。」
「理論だけでは何にもならない。」
新奈。
「理論だけで問題を消そうとするのは。」
「誤りがありますし。」
「理論だけでは誰も満足しません。」
「自然法則の中にも因果律は入ってはいません。」
「因果関係は仮説としては有名ながら。」
「何の支配もできず。」
「あると考えたいのならあると考えれば良いのです。」
「無いものを論じても。」
「空気を指差して理論を展開したり。」
「空地の中について説明しているのと同じです。」
「少なくとも。」
「私の義務ではありません。」
小夜。
「私の過去はすべて。」
「因果関係で考えると必ず失敗しています。」
新奈。
「因果律で考えると常に失敗します。」
璃々依。
「自然の中に因果関係は見出せません。」
新奈。
「因果律や因果関係は。」
「反駁に弱く。」
「反論されると。」
「それらはまともに返せず。」
「とりあいず反駁すれば。」
「脆くて非合理な回答が返ってきます。」
「因果を説明するほど馬鹿で頭が悪い。」
「論証が増えます。」
小夜。
「インド哲学でも。」
「非合理で答えに困窮したものがありますね。」
新奈。
「インド哲学では。」
「意味不明なこじつけの理論があります。」
「因果関係を説明して失敗しているのです。」
小夜。
「因果律や因果関係は最も有害な理論として。」
「私は採用しませんし。」
「嘲笑することにしています。」
「反論に弱過ぎるんですよ。」
璃々依。
「しかし決定論は道具としては最高なのです。」
新奈。
「決定論は防具ですので。」
「頭から否定はしません。」
璃々依。
「いつでも答えになっていませんからね。」
「反駁はしますが。」
「法則なんて言い出せば何でもありに決まっています。」
新奈。
「実例としては因果なんて。」
「無意味な論証でしたよ。」
小夜。
「何でも実例からの引用ですよね。」
新奈。
「実例は万能です。」
勤務。
一週間は固定ですが。
土日には必ず休暇になって。
申し出ると。
土日返還で。
連休が貰える場合がありますが。
また似たような勤務に戻る循環です。
土日が終わると。
数日、解放されまして。
いつも通っている場所。
ここで憩いを得ます。
田舎の民宿。
電車で移動して。
最後にバスで到着。
徒歩での移動中に。
小屋を見つけまして。
黒服の何者かが儀式をやっていますね。
無視して通過。
十分後。
黒魔術師が恐竜を召喚。
農村に恐竜が出現。
思っていたのと違って地味。
トカゲが二本足になっているだけの。
いまいちな外見に。
黒魔術師は腹を立てた。
いきなり田畑を荒らすも。
憤慨した民衆。
農民。
「放し飼いなんて馬鹿なことをするな!」
民衆。
「どんなペットか知らないが。」
「こんな所に捨てるな。」
弓矢で攻撃された恐竜。
慌てふためく。
矢が刺さって逃亡。
牧師。
「あれは他人です。」
学者。
「実証主義者は都合の良い証拠だけ。」
「学説として広めていますね。」
農民。
「科学で何でも解明できる訳が無いだろ。」
夫人。
「科学に依存しているのよ。」
牧師。
「科学が人類の発明ではないと。」
「証拠があるのですが。」
市民。
「科学が人間のオリジナルと思ってもらっては困るな。」
猟師。
「今日はトカゲの掃除ですか?」
「動物虐待も極まりましたね!」
よく利用する民宿。
田舎の生活を数日。
体験できる施設。
新奈。
「たまには都会から離れたいよね。」
小夜。
「人間世界からは離れた視点が必要です。」
璃々依。
「田舎は平和で暮らしやすい。」
「特に何も無いのですが。」
「都会は何でもある訳ではないし。」
「無駄に危険がありますね。」
新奈。
「森林の中で研究できますし。」
「河川の変化について今日は調べます。」
璃々依。
「万物の起源は水と火と・・・・。」
新奈。
「半分都会で半分田舎という場所が。」
「最も推奨される都市ですね。」
小夜。
「中都市とかはそれですね。」
璃々依。
「向こうで動物虐待があるとか。」
新奈。
「何やら生じていますね。」
小夜。
「あれ?かなり大きなトカゲですね。」
恐竜と遭遇。
何気なく歩いていると。
農民に撃たれまくる。
弓矢や鈍器で殴られて。
子供に追いかけられる始末。
黒魔術師。
「復元したが、思ったよりダサイ。」
「古代で狩猟の標的にされた理由が分かった。」
「動きが遅いし。」
「的が大きいし。」
「攻撃も単調だし。」
「直線の動きしか対応してないから。」
「側面と足元に入り込まれると何もできない。」
子供。
「竹の槍で刺そうぜ。」
少女。
「吹き矢の的にしたい。」
黒魔術師。
「大きさの割に弱いんだよ!」
「ローマの剣闘士が見たら笑うぞ!」
恐竜に向けて光線を放って。
恐竜は大きく吹っ飛んで爆発四散。
黒魔術師は逃げ出した。
市民。
「こんな田舎に犯罪者がいるんですか?」
警察官。
「自衛隊に出動を要請するほどです。」
農民。
「そんなの。」
「わくわくして眠れないよ。」
青年。
「我々は犯罪者を捕まえたいのです。」
「こんなスリルは田舎で味わえません。」
夫人。
「みんなで襲撃して捕獲する刺激的な瞬間。」
「ああ・・・!」
「早く見つけて追いかけたいわ。」
市民。
「袋叩きにしようぜ。」
民衆。
「見つけたら連絡しろよ。」
「どう料理してやろうか。」
農民。
「とても楽しみだ。」
「どこに潜伏しているのか。」
「分からないもんな。」
通りすがり。
黒いフードを被って杖も持っている。
歩いて来て。
どうやらバイクが故障した様子。
黒魔術師。
「ここら辺で修理工具はあるかね?」
警察官。
「自分で直せますか?」
黒魔術師。
「たいした故障ではないので。」
夫人。
「あなたって噂の犯罪者にそっくりね。」
黒魔術師。
「僕ってそんなに有名になりました?」
市民。
「否定しないのか?」
黒魔術師。
「さっき失敗して憂さ晴らしに。」
「もう一匹出しましたが。」
「やられ役過ぎて駄目ですね。」
恐竜が走り抜けてくる。
巨大なトンビに乗った武人が。
日本刀で恐竜の頭を真っ二つにした。
黒魔術師。
「戦闘力がいまいちなんですなあ。」
警察官。
「君が動物虐待の張本人?」
黒魔術師。
「あれ?言わなくて良かったね。」
農民。
「営業を妨害しやがってー!」
市民。
「待ちに待ったお楽しみだー!」
夫人。
「女性も男性と同じ楽しみが無いと思って?」
少女。
「男の人と楽しみが同じなの。」
猟師。
「見つけたぞ!山賊!」
黒魔術師。
「ぐわっ!反撃・・・あれ?」
「馬鹿なああああ!」
巨大トンビが黒魔術師を掴んで。
空中で離して。
黒魔術師が気絶。
武人の手柄。
近くでの乱闘を脇目で見て。
田舎も人の世の一部なんですね。
民宿に戻ります。
夜の農村。
野生動物が少数。
蛍の発光が河川の付近にて。
星空。
室内の天体望遠鏡で見たり。
なぜか松明を持って歩いている農民。
熊が出たので。
近くで熊を日本刀で虐殺している。
狩人。
「これで五頭仕留めたぞ。」
猟師。
「熊の肉は珍味ですな。」
老人。
「冷凍して都会の孫に送るぞ。」
武人。
「可能な限り仕留める!」
農民。
「鎧を陥没させる長い槍があるので。」
「わしでも楽に倒せるのだよ。」
新奈。
「何ですかあの会話!」
「熊が雑魚敵なのですか!?」
小夜。
「先ほど、裏口に大熊が死んでいました。」
「彼らが仕留めて。」
「獲物は早朝に回収して持ち帰るそうです。」
璃々依。
「夕方の散歩の時も。」
「農民が仕留めた熊が散見されましたよ。」
小夜。
「ふざけんじゃないわよ!」
「チート過ぎるでしょ!」
新奈。
「私もそう思います。」
「あれはチートです。」
璃々依。
「どんな手品か知りませんが。」
「狩猟の邪魔などしないようにと。」
新奈。
「熊も、あんなチート集団の所に突進したとなると。」
「ひどいやられ役ですなあ。」
璃々依。
「秒殺の連続ですからね。」
夜を過ごして。
早朝。
朝から熊の肉料理です。
どれだけ仕留めたのか分かりません。
巨大な土佐犬に乗りながら。
鉄砲を持って走り回っている狩人がいまして。
ここの人だったんですね。
元自衛官らしいです。
三日も滞在しましたが。
自然というものは田舎に来て。
ようやく理解できるものですね。
それと。
正気ではない村人に追われて。
乱獲される害獣が目立ちます。
散歩したり。
ルアーで釣りをしたり。
カブトムシを捕獲して眺めたり。
展望台のような低山に登ったり。
野草を採取して楽しみます。
新奈。
「バアソブとアマドコロ。」
「どう料理しようかな。」
小夜。
「ノダケとシャクは定番ですよね。」
璃々依。
「ツリガネニンジンがあります。」
「これは美味として有名ですな。」
新奈。
「ウワバミソウとアオミズ。」
「たくさん採取しましたね。」
「基本は熱処理して調味料に漬けて食べます。」
小夜。
「山の野草はしょうもない味が多く。」
「ひどい味の山菜もありますので。」
「素人は苦痛になります。」
璃々依。
「時期や生育も見ないと。」
「ひどい目に遭いますしね。」
新奈。
「見た目が毒草に似ていたり。」
「見分けで誤認すると大惨事ですよ。」
璃々依。
「少しの誤りで病院に運ばれるほどです。」
キャンプでバーベキューしていますが。
野草も食べています。
野山を歩き回って。
たくさん採取したもの。
熱処理しながら副菜に。
野菜炒めと肉料理。
熊の肉ばかり手に入る。
民宿から持ち掛けられて。
余剰の残飯を缶に入れて。
小山の処理場に置きまして。
大量の鳥類が飛来して。
根こそぎ処理して行きました。
鳥は見張っているんですね。
夕方。
早朝には出発します。
新奈。
「田舎は魅力がありますよ。」
「都会にも魅力があります。」
「再発見です。」
璃々依。
「田舎に来ないと理解できないこともあるのです。」
小夜。
「村人から見た都会も違うものになるでしょう。」
新奈。
「田舎から見た都会は殺伐としているのかな。」
璃々依。
「都会から見た田舎は観光地なんですよ。」
小夜。
「あれだけ密集していたのが、おかしいような。」
新奈。
「古地図ですと、都市部も集落が点在していて。」
「ほとんどは草原と田畑でしたね。」
璃々依。
「百年前の地図ですよね。」
「いきなり建物だらけになりましたが。」
「かつて、集落があるだけで。」
「今のような密集した景色は無かったのです。」
新奈。
「古地図ですと、今の東京も密集はしていません。」
「とある集落が各地の集落と接続されていたようなものです。」
小夜。
「なぜ百年でああなったのか謎だらけです。」
新奈。
「今夜も熊の肉料理が出るそうです。」
小夜。
「あれだけ仕留めればそうなりますよ。」
璃々依。
「付近に集まっていた熊が。」
「集会場で山のように積みあがっていました。」
小夜。
「なんてチートな狩人ですか!」
新奈。
「馬に乗って鉄砲を撃ちまくる猟師がいます。」
璃々依。
「乗馬して猟犬も連れていますね。」
「昔の軽機関銃まで装備しています。」
新奈。
「今夜もチートな狩猟が見れるでしょう。」
夜間。
発砲が遠くであり。
周囲の害獣はもういません。
殺し過ぎですね。
黒魔術師は野生動物を引き寄せて。
恐竜と戦わせたかったらしいのですが。
恐竜が思ったより雑魚で。
計画が破綻。
黒魔術で引き寄せられた動物は殺されまくり。
引き寄せた術だけが残ったんですね。
早朝から。
やはり肉料理。
民宿を後にします。
バス停から駅まで行き。
電車で帰るのです。
爽快な旅で憩いになりました。
遊びも、かなり自然に寄っており。
常連になるかも。
正気ではない村人とも別れを告げて。
帰宅です。
9
苦しみや喜びにも意味なんかない。
ニーチェの格言。
勤務を終えて。
召使が迎えに来て。
さりげなく帰宅する準備中。
連絡があって。
正門に来るまで。
目撃談を語る。
新奈。
「お前は悪だ。」
「という誹謗中傷について。」
「それでは他の人々は聖人なのでしょうか。」
「まるで民衆が全員。」
「聖者であるという前提なのですが。」
小夜。
「あなたは善人です。」
「という言い回しも。」
「その他の者は善人ではないという。」
「遠回しの悪口が入っていますね。」
璃々依。
「悪だ悪だと罵って。」
「それでは私的制裁を。」
「どう正当化するのかの。」
「問答と化していますね。」
新奈。
「他人を悪であると罵るのは。」
「攻撃したいから。」
「相手に反撃が難しい論証を浴びせて。」
「制裁を加える側がまるで。」
「義人であるかのような言い回しですね。」
小夜。
「ずっと悪だ悪だ言い続けると。」
「相手も怒って反撃はします。」
「反撃したから悪であることが示せた。」
「なんて言い回しは。」
「攻撃側は自らが極悪非道ということを。」
「認めてしまっています。」
「そう罵っている自分は悪ではないという。」
「前提に立っていますからね。」
璃々依。
「私的制裁をする人間は。」
「自分が悪ではないという前提に立っています。」
「他人を攻撃して。」
「自分が悪ではないことを示そうとしていますが。」
「裏目に出ていますね。」
新奈。
「他人を攻撃して。」
「自らが悪ではないという証拠にはなりませんね。」
璃々依。
「それでは私的制裁を実行する人は。」
「聖者なのでしょうか。」
小夜。
「そんなことはありえません。」
「たまたま有利だから調子に乗っているのです。」
新奈。
「弱者が誹謗中傷だなんて滑稽ですが。」
「論証が妥当かよりは。」
「何でも多数決で決めますね。」
小夜。
「弱者は多数決に走って当たり前でしょ。」
新奈。
「彼らの価値判断とは。」
「他人を攻撃して楽しむという暴力にあります。」
璃々依。
「明らかに彼らは。」
「暴力を称賛して私的制裁をどう正当化するか。」
「一生懸命ですね。」
新奈。
「自分達が聖人であると名乗っておいて。」
「他人を攻撃することに喜びを感じているのです。」
璃々依。
「義人であると自称すれば。」
「相手は反撃が難しいですからね。」
小夜。
「他人に暴力を加えて快楽を得るなんて。」
「暴行が彼らの多数決に基づいた。」
「法律という訳ですね。」
新奈。
「多数決で暴力が法律として制定されると。」
「暴力が彼らの価値観に移行します。」
璃々依。
「なんと悍ましい。」
「欲しいものは暴力で奪い。」
「気に入らないものは攻撃して排除する。」
新奈。
「弱者はそのように悪になるしかないのです。」
小夜。
「弱者は必ず悪党になるという実例ですね。」
璃々依。
「誹謗中傷に強者が加わることは無いんですよ。」
「弱者が自分をいかに素晴らしく見せるために。」
「展開している作戦ですからね。」
新奈。
「野蛮であると同時に狡猾なんですね。」
小夜。
「自分が安全だと思っているので。」
「高圧的なのでしょうね。」
新奈。
「一騎討ちになったら一方的に負けるから。」
「それを知っていて数で攻めているのです。」
璃々依。
「なんという気持ちが悪い奴ら。」
「悪賢いし暴力が大好きという。」
「暇があれば狡猾な作戦を実行し。」
「無限に続けたい欲望を抱いている。」
小夜。
「誹謗中傷なんて目撃してはなりません。」
「暴力大好きなマニアの集いですからね。」
新奈。
「彼らはこの世界を破壊する係。」
「我々は世界を建設する係。」
璃々依。
「野蛮人と善良市民の区別くらい。」
「つけて欲しいものです。」
「一緒にされたらグロテスクですし。」
小夜。
「醜い彼らには誹謗中傷が似合っていますね。」
「ひたすら醜悪に走った彼らは。」
「今日もテクノロジーを悪用しようと必死です。」
新奈。
「あれがババリ人とかいう奴ですか。」
璃々依。
「それは漫画です。」
新奈。
「いいえ、実際にババリ人がいるじゃないですか。」
璃々依。
「ううむ、言い返せない。」
小夜。
「青銅の種族に似ている彼らには関わらないでね。」
新奈。
「趣味は・・・暴力!」
璃々依。
「誹謗中傷を揶揄すると。」
「弱い者いじめしているみたいで。」
「あんまり風刺の対象にしてあげないで。」
小夜。
「私は弱いもの虐めは嫌いです。」
新奈。
「弱いもの虐めはやめてあげましょう。」
「良くありません。」
送り迎えで。
その日は勤務に費やして。
次の日には仕事が割り当てられないので。
休暇ですね。
真面目に遊んでいます。
早朝から出かけ。
午前。
本屋にいます。
高級レストランの予約が自動で入っていて。
向かうことになりました。
途中の大型書店にて。
新奈。
「文学は何とか先生の天下で良いのでは?」
小夜。
「社会的な評価は何とか先生に集まりますね。」
璃々依。
「ライトノベルという分野は。」
「社会的な評価が低いですね。」
新奈。
「青年が書いた文学なんて。」
「誰も読みたくありませんよ。」
小夜。
「シラー名作集とか読めば済みますしね。」
新奈。
「シェイクスピアを引き合いに出せば。」
「文学なんて完結しますしね。」
璃々依。
「たまたま読んだ戦争文学が。」
「あまりにも凝っていて。」
「知識もいろいろ詳しくて。」
「物語も質が良くて。」
「何とか先生が全部やればよろしい。」
新奈。
「青年が迎合されようと書いても。」
「所詮は凡人ですからね。」
「出版社の数合わせでしょう。」
小夜。
「アンチの正論は理解できます。」
新奈。
「反対者の力が強いのですし。」
「支持者よりもアンチの勢力と指摘が強いのは謎ですね。」
璃々依。
「何とか先生達は青年に文学をして欲しくないかと。」
小夜。
「青年でも秀才なら公明正大でしょう。」
新奈。
「しかし実際は凡人が書いた文学ばかりです。」
璃々依。
「売れっ子に譲れば売り場が空くのに。」
新奈。
「しかも売れなくて、返品ばかりで。」
「不正が具体的に疑われる連中ですし。」
「本物を見抜いて登用すれば。」
「出版社は莫大な収益でしたね。」
小夜。
「凡人の青年は不当な幸運があるので。」
「同類からの支持者が多いのですね。」
新奈。
「市民があれを気持ちが悪いと。」
「嘲笑していました。」
「結局は市民の意見が健全でしたなあ。」
璃々依。
「実力で勝利した証拠なんてありませんね。」
小夜。
「賞状を引き合いに出して宣伝しても。」
「市民は凡人が書いた作品であると見抜いてますね。」
新奈。
「我々を馬鹿にしているのでは?」
璃々依。
「市民にはこんなもので売れる。」
「なんて考え方なんですよ。」
小夜。
「そんなの社会で認められなくて当然ですね。」
新奈。
「子供向けを大人向けと言わないで欲しいのです。」
璃々依。
「本物に機会を献上して、雑魚は消えてしまえば。」
「売り場は整理整頓という訳ですね。」
小夜。
「作られた世論なんて長くはもちませんし。」
「読み手に感動を与える何とか先生が前に出ないと。」
「文学の評価は安定しません。」
新奈。
「最近は文学と呼べば。」
「真面目で冗漫に書いた自伝になっていますね。」
小夜。
「本人が思っているより凄くないので。」
「文学と言えば中途半端な自伝という。」
「地位になってしまっています。」
新奈。
「アリストパネスとか読まないのかな。」
小夜。
「オイディプス王も読まないのかな。」
璃々依。
「市民は出版物を公明正大に評価しますよ。」
新奈。
「少しくらい私を立てても良いのでは?」
小夜。
「しかしながら、それは順番であり。」
「譲り合いなんです。」
新奈。
「少なくとも、凡人に文学は不可能であるとは理解した。」
璃々依。
「そんなの、凡人が自覚していたら書いていませんよ。」
小夜。
「商品なのか芸術作品なのか。」
新奈。
「商売なのか美術館なのか。」
璃々依。
「娯楽なのか教養なのか。」
「どんな構図でも。」
「混同されて終わりですね。」
都会の商店街。
高級レストランに向かう。
高層ビルに入っているので。
久しぶりに都心部に来る。
商店街の入口の付近で。
電気屋のテレビに映っている謎の男性。
中継していますね。
鉄道を挟んで遠くの高層ビルで。
何やら暴れている男性。
ちょうど。
何とか見えるくらいの距離にいますし。
その下は警察官や。
野次馬が大勢。
ヘリコプターまで飛んでいます。
テレビによると。
野盗の残党を決起させるべく。
ビルの屋上から。
パフォーマンスとして銃器を乱射しようと。
準備している。
報道ヘリコプターで中継された。
青年。
「日本の皆様!」
「今こそ我々の手で新しい政治を始めようではありませんか!」
ジャーナリスト。
「何者かが、とんでもないことをやらかしています!」
青年。
「我々が治める!その日が来るのだ!」
「若者よ!俺と一緒に夢を見ないか!」
謎の老人が現れて。
背後から接近。
衣服が似通っている。
老人。
「馬鹿息子!こんな所で何をしている?」
青年。
「ん?親父!新しい国家を作ろうかと思って!」
老人。
「そんなことしてないで、わしの田畑を耕せ。」
青年。
「いんや!内部から新しい国家が作られて!」
「極端なエゴイズムを法律として定めて!」
老人。
「子供の頃から空想に耽るのが好きだったな。」
青年。
「それが実現すると素晴らしいことだろう?」
老人。
「その年で、無謀なことを考えたな。」
「お前にしてはよく出来ている。」
「しかしだな、人様に迷惑をかけるのは良くないな。」
青年。
「迷惑?とんでもない!」
「人のために大事業が展開されるのだよ!」
老人。
「ああ・・・お前の夢想もここまで来たか。」
「わしは教育を誤り続けていた。」
「間違った教育をした。」
「そこにいる皆様、許してくれ。」
青年。
「何を言っているんだ!」
「俺の晴れ舞台だぞ!」
「武器もたくさん用意したんだ!」
老人。
「残念ながら、お前に説教しても無駄なのは分かっている。」
「お前は子供の頃は、陽気で良かったよ。」
青年。
「この年になった俺も見てよ!」
「俺の集大成を親父も見届けて!」
「うおおおおお!」
銃器を乱射。
マガジンを撃ち切る。
次の武器はカールグスタフ無反動砲。
建物に向ける。
青年。
「これで俺にもこんな大きなことができると!」
「示されるんだ!」
老人。
「お前の馬鹿も呆れ果てたよ。」
老人は瞬間移動。
側面に回り込んで。
青年をサイドキックで大きく吹っ飛ばした。
青年。
「ぐおおおお!」
老人。
「情けないぞ。」
青年。
「親父!いつも親父がそこにいて!」
老人。
「少し頭を冷やせ。」
青年が素早い移動で。
老人の後ろに回り込むが。
しゃがんで青年を投げた。
地面に叩きつけられた青年。
老人に腹を踏みつけられて。
足を回転させつつ老人を軽く吹っ飛ばす。
青年。
「前よりは俺も戦えるようになっているぞ!」
老人。
「わしも若い時は同じ心境だったわい。」
青年。
「あなたとは違う!」
老人。
「わしも若いころは似たようなことをしたわい。」
パンチの打ち合い。
相手の拳をそのまま掴んで。
ひねると。
それから逃れる青年。
スライディングで足に攻撃して老人に当たる。
しかし立ち上がった所を接近されて。
青年は絞められて。
地面に叩きつけられて。
持ち上げられて遠くに投げられた。
青年はまだ戦おうとする。
老人。
「前よりは腕を上げたな。」
「青年にしては上出来だ。」
青年。
「まだまだ・・・やるぞ!」
老人。
「お前が気が済むまでやってやるぞ。」
老人が金色に変化。
どんな手品かは分からない。
青年が突進。
パンチを仕掛けると。
足払いから。
カウンターが決まって。
青年が持ち上がって壁にぶつけられて。
青年が投げ飛ばされた。
青年。
「ぐほぉ!」
老人。
「何をやっている、まだ始まったばかりだぞ。」
青年。
「そんな・・・世界がこんなに遠い訳がない!」
老人。
「早くかかってこい。」
青年。
「うおおお!俺の最後の力で!」
タックルを仕掛けた青年は空振り。
老人がジャンプして避けて。
側面に瞬間移動した老人に。
殴られて青年が吹っ飛ばされた。
青年。
「まだだ!最後の力が残っている!」
老人。
「そこら辺にしておくか?」
「息子よ、無理をするな。」
青年。
「俺の最後の力を出し切れ!」
スライド移動してパンチ。
滑りながらパンチしたものの。
青年は腕を掴まれて。
老人に引きずられて。
青年は動けなくなった。
老人。
「もう終わりか?いつまでも付き合ってやるぞ?」
青年。
「親父!!」
ジャーナリスト。
「謎の老人が犯人を倒しました!」
「親子ですかね?」
「まさしく名勝負でした!」
「どんな格闘技をやっていたのでしょう!?」
なんだか眩暈がして。
ひたすら無謀な人ばかり報道で出現します。
予約時間があるので。
適当に電気屋のテレビを見ていましたが。
世間の無駄遣いな雰囲気です。
遠くのなんとか見える場所で戦っていたので。
他人事とは思えませんでした。
巻き込まれなくて良かったですね。
別のヘリコプターに乗った。
謎の中年男性が登場。
梯子で降りてくる。
実証主義者。
「派手にやったね。」
青年。
「あなたは・・・どうして?」
老人。
「お前が息子を誘ったのか?」
実証主義者。
「まもなく、我々の時代になるのだ。」
「既に暴徒化する人間も出ている。」
「新宿と池袋を見たまえ。」
青年。
「それは・・・フーリガンです。」
実証主義者。
「新宿の奴らが?あれ?」
老人。
「あやつらは、芸能人のパレードに集まっているのだが。」
実証主義者。
「なんて科学を信じない奴らなんだ。」
「遺伝子やら物理学からしてだな。」
青年。
「我々には無関心です。」
実証主義者。
「もう降りてきてしまったが。」
老人。
「それしか頼るものが無いのか?」
実証主義者。
「うん、暴徒だけが頼り。」
青年。
「こんなものに俺は動かされていたのか!」
老人。
「気づくのが遅いぞ。」
警察官。
「動くな!抵抗するな!」
実証主義者。
「無駄だね、お前らは数秒後に。」
「二百パーセント死ぬぜ。」
警察官。
「撃て!スーツ野郎だけにだ!」
実証主義者。
「効かないね、装甲服には無駄だね。」
「さて、あの爆弾はそろそろ起動かな。」
青年。
「故障です。」
実証主義者。
「はい?」
青年。
「あなたの装置は故障しています。」
老人。
「機械ではなく頭を使え。」
実証主義者。
「故障?あれ?どうしちゃったのかな?」
「あはははは!」
ヘリコプターで逃げようとする。
スティンガーミサイルを被弾。
豪快な着地。
公園に墜落。
レストランの席から。
遠くで発生している。
豪華絢爛な寸劇を見物。
営業に支障なし。
市民は写真を撮ったり。
ビデオとして撮影したり。
青年の投降と父親の説得で。
青年の所属していた。
反社会勢力が漏洩。
後に対処に追われてしまいました。
やはり美味。
たまには美食も良いものですね。
和食には安くて美味がたくさんありますが。
洋食は高くつきますね。
対価は物凄い。
堪能して下に降りると。
メールが来ていて。
余暇のある女性が集まっているようです。
情報によると。
近くの喫茶店に和服姉妹がいますね。
星都奈ちゃんも来ていて。
合流。
六人組でお買い物。
新奈。
「すべての人間は自己の利益を求めようとする。」
「これを意識しているし。」
「そうしたことを議論の前提とするのは何の不足もなしです。」
小夜。
「まず人は自分を自由としますし。」
「万事の目的のために。」
「自分の利益のために行うのです。」
璃々依。
「成し遂げたものは目的のみを知ろうとして。」
「これを聞けば満足しますね。」
星都奈。
「それ以上の疑念を抱く必要がないからですね。」
絵真。
「これに反して、それを他人から聞けないと。」
「自分自身を振り返って。」
「自分が目的として制定するのはどんなものか。」
「きちんと目的からか反省してみるより他はないですね。」
展世。
「目的を欲望や衝動とか。」
「意欲と履き違える偏見は迷信に落ちてしまい。」
「説明だけに最大の努力を払うようになった。」
星都奈。
「誰でも自分の意見で一杯になっている。」
絵真。
「何事も確実に主張しえないような。」
「そうした要素は私達に必然とも不可能であるとも。」
「示すことができないので。」
「そうしたものを宿命論で説明しがちですね。」
展世。
「希望を疑うのはそれが形にならない未来を恐れるからです。」
「そうすると未来を排除してしまいます。」
「恐怖だけの人は希望ですら存在しないことを望んでいます。」
小夜。
「未来を疑う人が失望しやすいものですね。」
新奈。
「想定されるものをそこで除去するからですよ。」
璃々依。
「そのような恐怖は害悪を避けたい心理からですね。」
新奈。
「工芸品とか興味ありますか?」
「観光地でお土産として売っているようなものです。」
星都奈。
「私達も工芸品は好きです。」
「硝子細工とか花瓶とか。」
「安価な焼き物はよく使いますし。」
「特殊な品物は隠れている所に置いてありますね。」
絵真。
「中世のドレスが置いてあります。」
「派手ですが、清楚ですね。」
「私達は普遍的なお店は向いていないのかしら。」
新奈。
「ファストフード店でシェイクを頼みましょう。」
「三時間は一緒に散策できますね。」
星都奈。
「三時間後には夕方ですしね。」
新奈。
「人間にはまだ可能性がある。」
「もっと強く、高貴な存在になれる。」
両親は計画で好循環に乗せてから。
半分を自動みたいにしていたようですね。
夕方には寿司屋の予約があると伝えられて。
またもや移動で。
遊びに出かけると。
一日では見て回れません。
この後。
三人娘は一時的に解散して。
新奈は機械担当。
小夜は実習。
璃々依は放浪の旅となります。
時間を活用しつつ。
世界を駆け抜けていますね。
ニーチェの格言。
人生に目的なんてない。
10
コロス。
「この世界を。」
「歩き続けて。」
「疑問に思うことがあり続けて。」
「それはね。」
「幸せにならない。」
「営み。」
「幸せを望み続けて。」
「決して幸せになれない。」
「なぜなのだろう。」
「幸せになれない理由。」
義賊が目立つ。
軍服で出歩いている。
喫茶店でのんびり。
お菓子を食べている三人娘。
近くの広場に義賊が集まっている。
義賊の実例は。
ロシアによくいるもので有名。
違反車両を停止させると。
警告の限りを尽くし。
相手が怒って向かってきても。
並外れた格闘技で制圧して。
警察に引き渡してしまう。
権威に従順ながら。
自分が正しいと思ったことをやる。
強者の集団。
この義賊は報道されたこともあり。
似たような人達が都市にいるんですね。
最近は自警団と激しく戦っていますが。
義賊が圧倒して。
この前の乱闘を目撃した時は。
七人で二十人の自警団を倒しました。
いくらなんでも優れた戦士ですね。
実は義賊。
防犯パトロール専門のボランティアで。
夜間には権威を背負って。
間違っている相手を見つけると。
警告したり警察を呼んで対処します。
なので義賊による。
防犯パトロールによって治安が過去最高です。
全員が軍隊徒手格闘の玄人なため。
そこら辺の雑魚は相手になりません。
しかも良心に満ちていて。
快活で害はありません。
強者だけが真実の優しさを持つのです。
義賊。
「ただゆっくりと身を任せて。」
「この世界を流れる。」
「水の上の葉っぱ。」
「のように流れていくだけ。」
「人なのだけれど。」
「葉っぱのように水の上。」
「流れていくだけ。」
「地形に沿って。」
「流れていく。」
「川の上の方が。」
「流れて生き易い。」
「川の流れのような。」
「この世界の歩みは。」
不審者が多いこの都市。
力負けした奴から追いやられます。
哲学用語。
力への意志。
弱者は悪になるしかない。
発狂した不審者が徘徊。
都市に同化しましたが。
今度は思想や主義主張の誤った連中が出現。
いきなり商店街に不審者が乱入。
店主に言いがかりをつける。
突進。
全体主義者。
「みんなと同じ馬鹿でなければならない!」
知識人。
「うわあ!ファシストだあ!」
全体主義者。
「みんなと同じく卑しいことをせねばならない!」
知識人。
「間違っている思想はその思想の名前で非難されるもの。」
全体主義者。
「お前も俺達と同じ馬鹿になれ!」
市民。
「いきなり店に怒鳴り込んで。」
「なにをしに来たの?」
全体主義者。
「みんなも馬鹿だからあなたも馬鹿になるの!」
市民。
「嫌だ!気持ち悪い!」
全体主義者。
「なんでみんなと同じ馬鹿じゃないんだ!」
知識人。
「ナチズムの新作が暴れるな!」
市民。
「うわあ!ナチスの新作が出た!」
義賊が登場。
全体主義者を囲む。
義賊。
「それは強要罪になりますよ?」
全体主義者。
「他人に強要して何がいけないの?」
義賊。
「はいはい、それなら向こうでやって。」
全体主義者。
「なにをする!」
「俺はナチスをやりたいの!」
市民。
「うわあ!ファシストだ!」
夫人。
「きゃあ!全体主義者よ!」
「卑猥なものが徘徊しているわ!」
青年。
「なんて醜いんだ・・・。」
全体主義者。
「醜い?」
全体主義者が暴れる。
義賊が取り押さえる。
義賊が追い払った。
義賊。
「正しいことが害になって。」
「裏目に出て。」
「正しいとは。」
「みんなが正しいと偽る。」
「?の中に正義を置いている。」
「嘘の中に正しさを置いて。」
「みんなで、嘘をつけば。」
「何でも、正しい。」
「偽りの中で。」
「生じた、正しさ。」
「何故に、嘘をついたのか。」
「なぜ。」
「それは人々が正義を。」
「容易く。」
「把握できると思った。」
「傲慢の中にあるから。」
「正義ほど容易く。」
「理解できるものはないと。」
「彼らは嘘の限りを尽くした。」
「そんな重要なものを。」
「軽はずみに話した。」
「彼らに与えられた。」
「負い目はそれだけ。」
啓蒙思想家。
遠くから鎧を着て続々と集まってくる。
自警団が湧いて。
徘徊している中。
ヴォルテール主義者がバイクで登場。
いつもより大勢で。
後ろから。
自動車で。
自警団が追いかけていて。
いつもの宣伝をしようと。
啓蒙思想家が銅像の広場に出た辺りで。
遭遇。
口論になる。
啓蒙思想家。
「現代は啓蒙思想なのだ!」
自警団。
「俺達が新しい警察なの!」
ヴォルテール主義者。
「そういう魔女狩りはもうないの!」
自警団。
「多数決で何がいけないの?」
義賊。
「こら!乱闘を増やすな!」
啓蒙思想。
「なんだ!俺達には勝てないぞ!」
自警団。
「インターネットに書き込んだからな!」
啓蒙思想家。
「書いてあるからここで効果あるんですか?」
自警団。
「インターネットは兵器なの!」
ヴォルテール主義者。
「なに?ハッカーとでも言うのか?」
啓蒙思想家。
「脅迫ならここで決着をつけようか?」
格闘家。
「どっちの味方につきます?」
義賊。
「ならばヴォルテール主義者に味方しようかな。」
心霊主義者。
「心霊主義と新興宗教を宣伝しろ!」
新興宗教。
「君達も仲間なのか。」
自警団。
「俺達の世界を作るんだ!」
実証主義者。
「そんなの科学とは言えませんね。」
心霊主義者。
「科学である必要はないのだよ?」
実証主義者。
「なるほど、その馬鹿のデータがもっと欲しい。」
自警団。
「馬鹿は俺ではない!」
全体主義者。
「お前も俺達と同じ馬鹿になれ!」
複数の勢力で乱闘が発生。
商店街の通りで。
荷物や品物まで吹っ飛ぶ。
義賊が通報する。
ヴォルテール主義者は逃亡。
コロス。
「劇場の開幕だ。」
「この世界の喜劇は幕が上がり。」
「それぞれの参加者は。」
「自らで籤を引いて。」
「さあ、みんなで演じましょう。」
「楽しい喜劇を。」
「文句は籤引きを疑うほど。」
「誰も自分の役者から。」
「逃れられないほど。」
「逃げても無駄だよ籤引きの通りさ。」
「文句は籤引きを疑うほど。」
「さあ楽しい喜劇を演じましょう。」
「観客も巻き込んで見て貰うために。」
「新しい工夫を凝らします。」
最後には自警団と全体主義者と心霊主義者。
新興宗教が殴り合っていて。
連行された。
義賊が被害を抑えて。
民衆から拍手される。
義賊は市民から称賛された。
二十分後。
付近にいるお粗末な集団が登場。
訪問しては宣伝する。
銅像の広場に来て。
演説を開始。
新興宗教。
「五万円あげるので信じてください!」
市民。
「一度だけ信じてあげるよ。」
「五万円ね。」
「所で何の話ですっけ?」
夫人。
「また変なのが出たわね。」
心霊主義者。
「この野郎!」
「必死で貯めた作り話を否定しやがって!」
実証主義者。
「科学で解明できない現象なんてな!」
「ナンセンスなんだよ!」
心霊主義者。
「科学で何でも決めるな!」
実証主義者。
「科学で飯を食っているんだよ!」
心霊主義者。
「こっちはネタで飯を食っているんだよ!」
新興宗教。
「こっちは人を問わずに巻き上げて飯を食っているんだよ!」
市民。
「誰か異端審問官を呼んでくれ!」
夫人。
「異端審問官はいないのですか?」
青年。
「なんていう口論だ!」
少年。
「何の話をしているの?」
心霊主義者。
「それはね、素晴らしい世界のことだよ。」
少年。
「素晴らしい世界なら、なんで喧嘩しているの?」
実証主義者。
「それはね、科学ではないからだよ。」
新興宗教。
「君も僕らの建てた施設に来ない?」
夫人。
「きゃあ!今度は下品な奴らが街を荒らしているわ!」
警備員。
「またかよ、今日で何度目だ?」
市民。
「また乱闘しているよな。」
会社員。
「なぜ彼らは余計なことに情熱を注ぐんだ!」
新興宗教。
「余計なことですと?」
会社員。
「異端者なんていなくても生活できる。」
実証主義者。
「科学によって機材も動くのです。」
「ここはみなさん。」
「故障した家電や車はありませんか?」
「無料で直してあげます。」
心霊主義者。
「我々は何かを提供します。」
新興宗教。
「自慢の本を提供します。」
夫人。
「なによこれ!駄作じゃない!」
会社員。
「駄作にも程があるだろ!」
市民。
「異端邪説とサイエンティストの対決だ!」
実証主義者。
「こいつらに勝つために。」
「さあさあ、トラックの荷台にいろいろ乗せて。」
「そいつらより役に立つことを証明します。」
新興宗教。
「くそ!どうする?勝ち目がないぞ?」
心霊主義者。
「逃げるぞ!仕方がない!」
複数人が逃走。
本日の乱闘二回戦は。
機材を修復したサイエンティストの勝利。
科学者、市民から賞賛された。
喫茶店で昼寝をしている間の出来事。
気がつくと。
いろいろな戦闘が終わっていました。
代金の支払い。
常連なので会員。
外を見ると。
また何か出てくる。
無限に登場する変人達。
派手な衣装で出現。
向こう側は修道士の衣服。
三回戦。
詭弁家が相手を見つけて。
仕掛ける。
得意の詭弁術で打破しようと試みる。
奇勉課。
「あなたは午後から何がしたいですか?」
奇計老。
「頭の足りない奇勉課さん。」
「午後からの予定はありません。」
奇勉課。
「なんですと?では夕方からは?」
奇計老。
「言い負かすしか取り柄のない奇勉課さん。」
「夕方の予定に何か問題でも?」
奇勉課。
「それでは夜の予定は?」
奇計老。
「頭の足りない奇勉課さん。」
「あなたと同じでお酒を大量に飲みますよ。」
奇勉課。
「そうなると・・・長生きしてしまいますね。」
奇計老。
「言い負かすしか取り柄のない奇勉課さん。」
「必ずしも長生きが良いとは限りませんが。」
奇勉課。
「そうですよね、長生きなんてするものではありません。」
「なのでお酒は控えてくださいね。」
奇計老。
「言い負かすしか取り柄のない奇勉課さん。」
「今日もあなたは中毒になって運ばれると思うと。」
「どう手当てしたら良いのか医者に習いましたよ。」
奇勉課。
「そんなもの結構!その代わりに。」
「倒れたらそのまま死ねるようにしてください。」
「できれば、あなたより後の方が都合が良いのですが。」
奇計老。
「頭の足りない奇勉課さん。」
「お互いにくたばる時にくたばりましょうよ。」
市民。
「キケローさん優勢かな?」
会社員。
「詭弁家さんは劣勢だね。」
喫茶店の娘。
「冷や汗かいて詭弁家さんは逃げましたよ。」
夫人。
「あんな問答は誰も耐えられませんね。」
公務員。
「皮肉で刺しますか、なるほど、それは最高に効果があるものだ。」
富裕層。
「くそー!札束で相手を組み伏せたい!」
喫茶店から出ます。
昼間から三回も戦闘がありまして。
夜はどうなるのかな?
最近はこんなことばかり市街地で発生。
報道されることもありますし。
遠方から物好きまで来る始末です。
コロス。
「あなたの糸を。」
「何でも避けて見せる。」
「あなたの出す糸が絡みついて。」
「二度と離さない。」
「あなたの執念ですら。」
「私には当たらない。」
「その程度の執念の糸は。」
「運命なんてかっこつけて。」
「私に避けられ。」
「さあ踊れ。」
「さあ踊る。」
「私に避けられて何でもおしまい。」
「あなたの出す運命の糸すら。」
「私は捕まえられない。」
「私に遊ばれて。」
「あなたの悔しい顔まで見たい。」
ゲームセンターに立ち寄って。
パンチングマシンにストレートパンチ。
記録を塗り替えて。
素人を嘲笑する。
記録の名前。
一位スーパーヤサイ人。
二位下級戦士。
三位雑魚。
ゲームセンターから素早く退場。
玄関で遭遇。
現行犯に不審尋問。
義賊に発見されて。
捕捉されていましたね。
義賊。
「誰だよ!俺が来る前に記録を塗り替えたのは!」
格闘家。
「何と!素人と競うなどと戯言だと思ったのだが。」
「玄人がいたのか。」
探偵。
「こいつです、窃盗を繰り返しています。」
悪党。
「俺には二百万円の借金と。」
「借家と子供がいるんだぞ。」
警察官。
「知らねぇよ!」
悪党。
「病気で倒れた妻のために。」
「これからも働かないといけないのだ。」
警察官。
「何?窃盗で!?」
老人。
「今時の若者は。」
「説教説教説教説教説教。」
「説教説教説教。」
悪党。
「復讐なんかしたって。」
「あいつの三万円は返ってこないんだぞ!」
警察官。
「それとこれに何の関係があるのかわかりませんが。」
「現行犯ですよ。」
悪党。
「復讐なんかしたって。」
「あいつの財布は返ってこないんだぞ!」
警察官。
「ですから、逮捕されていますよ、あなた。」
探偵が何かを捜索している。
何が起きているのか。
為政者が放った情報収集の人らしいのです。
民間から情報を確保する為政者。
探偵は忙しく調べる。
探偵。
「問いたい。」
「この世界はなぜそうなっている。」
「ただ、こうなっている。」
「なんてね、答えに。」
「なっていない自分で問いたい。」
「この世界の答えを。」
「ただひたすら求める。」
「問いたい。」
「この世界は。」
「なぜそうなのかただ問いたい。」
「自分の。」
「答えを探して。」
「他人の言葉ではなく。」
「自分の言葉で。」
「定義したら。」
「自分は満足するのかな。」
義賊。
「ただ諦めて。」
「なんのために倒れる。」
「まだ戦えるその意志は。」
「不死身の力を与える。」
「人の力を超えてまで。」
「戦い続けて倒れても。」
「不死身なのでまた立ち上がり。」
「無限の勝利を求める。」
夫人。
「ただ、退いて。」
「ただ、退いて欲しいだけなの。」
「あなたは、死ぬだけなのだから。」
「もう戦わないで。」
「死んでしまう。」
「もう何もしないで。」
「降参して、退いて。」
コロス。
「旅が終わる。」
「目的地は遂に見えてきた。」
「この世界の旅は終わりかけ。」
「終点が見えてきた。」
「その土地は。」
「不思議な時間で。」
「未来と過去が見える。」
「生まれては。」
「死んでいくだけ。」
「それだけのために。」
「歩いていた。」
「生まれては。」
「死んでいくだけ。」
「それだけのために。」
「歩いていた。」
「もう意味の無くなった旅は。」
「終わりを告げて。」
「旅の放棄を。」
「神様に告げて。」
「この世界に別れを告げていく。」
「この世界を旅など。」
「しなくて良かった者達は。」
「その土地に留まり続けて。」
「その時間まで。」
11
コロス。
「戦いの中で。」
「問いたい。」
「戦いの中で見つけたものは何ですか。」
「それを問いたい。」
「踊りながら。」
「戦いの中に。」
「何か見つけたのなら。」
「自分の言葉で。」
「問い正してみんなに披露だ。」
「そんなに戦うの。」
「戦う理由は。」
「何でもいいのかな。」
「戦いの中で見つけたものは何かな。」
自宅にて。
黒い虫が出現。
ビニール手袋を装着して。
殴って虫を破壊。
新奈。
「玩具、壊れちゃった。」
小夜。
「その玩具はすぐに壊れるものですよ。」
璃々依。
「壊す時は楽しいですよね。」
オーバーキル。
原型が無くなった黒い虫を捨てる。
生き物とは何か?
黒い虫が二匹目。
新奈。
「カカロット!」
小夜。
「ぶっ殺せ!」
璃々依。
「早い者勝ちですよ!」
小夜。
「仕留めた!」
「ここからが本番です!」
璃々依。
「もう残骸ですが・・・。」
新奈。
「さっきまで何だったのか分からない破片ですね・・・。」
破片は外に捨てました。
楽しい気晴らしは。
黒い虫の玩具で。
さっきまで動いていたらしいのですが。
すぐに壊れるので。
もう少し頑丈な玩具で遊びたいですよね。
スズメバチが乱入している。
殺虫スプレーで殺害。
死体に蠅叩きで追い打ち。
オーバーキル。
新奈。
「また玩具、壊しちゃった。」
璃々依。
「生き物というのは脆いものですよね。」
小夜。
「生き物なんてすぐ死ぬものですしね。」
新奈。
「まだ死なないでよ!」
「まだ序盤でしょ!」
見ていた召使が発狂する。
召使が倒れた。
仕方がないので介抱。
こうやって殺すのは楽しいのですが。
誰かが見ると誰でも発狂しますね。
そこが残念。
吟遊詩人が歌いながら。
道路を歩いていて。
商店街に向かっています。
遊女。
「お前達は。」
「お前達も。」
「毎日、起きては生活だけして。」
「死んでいく気持ちなんて。」
「それだけで満足する者だけが。」
「ただ生きていく。」
「ことができるなんて。」
「この世の終わりだと思うよ。」
「こんな世界は嫌だと言い放ち。」
「この世を呪おうよ。」
「呪われた言葉を。」
「世界に向けて。」
「突きつける。」
「この世を。」
「一緒に呪われる。」
「お前達は。」
「お前達も。」
「この世を呪おうよ。」
「この世を呪おうよ。」
詩人。
「この世界の終りの場所で。」
「どうしてこんなに。」
「いろいろと見てきたの。」
「どうしてこんな世界に。」
「祝福なんてしたの。」
「この世の姿は。」
「あまりにも醜くて。」
「この世界を見回って。」
「知りたい衝動に任せ。」
「すべてを見て回ったら。」
「もうどうでもいいと投げ出し。」
「最初から知らなくていいとも言い出して。」
「知っておいたら自分まで醜くなるなんてありえなくて。」
コロス。
「疑いだらけのこの世の中で。」
「ひたすら疑い続けて強まる猜疑心。」
「疑うしかない出来事の連続で。」
「疑いの中に本当があるから。」
「疑い続けてなんのために。」
「自分のために疑いを辞めないよ。」
報道にて。
あの近くで発生している。
商店街の乱闘が報道されています。
畜群。
「自分達以外は悪党だあ!」
ルサンチマン。
「俺以外はすべて悪党だ!」
ジャーナリスト。
「ひどい論証だな・・・。」
牧師。
「おお神よ!すぐに天に召します。」
「二人の方をよろしくお願いします。」
夫人。
「葬儀の手配はどうですか?」
老婆。
「実は予約済みでして・・・。」
「本当に死んでくれるのですか・・・?」
夫人。
「あれを見て死なないなんて言っても。」
「説得できません。」
老婆。
「本当に否定できませんね。」
牧師。
「彼らには悪霊が憑りついている!」
畜群。
「他の奴はすべてが悪党だあ!」
ルサンチマン。
「他人はすべて悪党だ!」
市民。
「なんだ?塩梅か・・・。」
ジャーナリスト。
「君達もいくら屁理屈を言いたいからと。」
「あんな論証はやめてくれ・・・。」
市民。
「いつ俺達が屁理屈を言ったんだ!」
報道はまさに泥沼。
今日で乱闘は五回目です。
義賊が出現。
何とか畜群を追い払って。
ルサンチマンを退ける。
義賊。
「いつもこんな惨状ですよ。」
ジャーナリスト。
「こんなの見慣れてますよ。」
市民。
「僕達も似たようなものは見慣れていますよ。」
夫人。
「いつも旦那がやっていることだわ。」
老婆。
「子供の頃から似たような出来事の連続だったよ。」
義賊。
「君達は平和という言葉を知らない?」
報道が暴走。
チャンネル変更。
力による一方的な現状変更。
を支持しつつ。
方法が下手であると罵る記者。
プーチン大統領の批判を繰り返す。
弾道ミサイルがこっちに飛んで来たら。
大変なので。
上司が制する。
クレムリンに王冠まで送ろうと準備していたものの。
お粗末であると逆に批判されて。
ロシア大使館に突進を開始。
記者は大使館の警備員と勝負して負けた。
テレビを公営放送に切り替える。
コロス。
「戦いが遊びになるのなら。」
「俺様といっぱい遊びまわろうよ。」
「戦いは得意だからいつまでも。」
「無限に相手をしてあげるよ。」
「あなたを痛めつけ。」
「弱いあなたを暴力によって。」
「遊びたい衝動を起こさないように。」
「戦いが遊びになるのなら。」
「俺様が遊びの相手をしてあげる。」
いろんな変人が出現しては。
やりたい放題やる最近。
今は変人の天下らしいのです。
新奈。
「変人というのは貴重らしいのですが。」
小夜。
「変人は何かの切り札になりかねない。」
璃々依。
「大量生産される中に変人がいますと。」
「必ずハイエンドになりますよ。」
新奈。
「多数決で発生した常識を最初から無視できますからね。」
璃々依。
「誰かが言った考えに同調して。」
「自分の意見にして振り回す。」
「雑魚とは正反対です。」
小夜。
「他人の愚かな意見に同調して。」
「自分の意見として振りかざす?」
「そんな人は意味ないですね。」
新奈。
「そもそも、この世界のいろいろな物事ですら。」
「意味ないんですよね。」
小夜。
「事故やら病気やら障害にも意味ないんですよね。」
璃々依。
「最初から意味がないので支援があるんでしょうね。」
新奈。
「事故に遭ってもそれに意味はありません。」
「何かの病気をしても、さっさと治せば良いので。」
「結局は意味がありません。」
「障害を持って生まれた人も。」
「何の意味がなく障害を負ったので意味がありません。」
「先天的な欠陥にも最初から意味がありません。」
小夜。
「人の出生にも意味がないので。」
「実の所は、外的帰属には何の意味がありません。」
「外部の影響にも意味がありません。」
璃々依。
「意味がないのに合理化しようと試みても。」
「失敗します、意味がないのに説明しても無駄です。」
新奈。
「人生ではそうした意味のないものにたくさん遭遇しますが。」
「それをいくら合理化しても逆効果ですね。」
璃々依。
「それなら最初から意味がないと真実を突きつけると。」
「解決は素早いのです。」
新奈。
「意味がないのに存在するなんて滑稽ですな。」
小夜。
「意味がないのに後から説明をしようとする。」
璃々依。
「何か意味があると思いたい欲望ですね。」
「そうでないと、採算が合わないからです。」
新奈。
「何か人生の出来事に意味があると思わないと。」
「明らかに採算が合わないですね。」
小夜。
「なので、どんな生まれの人も。」
「後でひどい目に遭った人も。」
「意味があると夢想しないと。」
「採算が合わないと主張するのが。」
「人の心理なのですね。」
璃々依。
「やたら前向きなのは採算が合わないので。」
「帳尻合わせをしているのです。」
小夜。
「それは本人が合理性を求めていて。」
「不合理な現実があるからですね。」
新奈。
「合理性に欠けるものはすべてが嘘ですけれどね。」
璃々依。
「嘘なのに強要できるのが現実でもあります。」
新奈。
「現実にも意味がないんですよね。」
璃々依。
「現実と言った所で、現実にも意味はないですね。」
小夜。
「意味がないので、採算が合わないと。」
「いかなる人も怒り出します。」
璃々依。
「要らないものを押しつけられて。」
「怒らない人がいますかね?」
新奈。
「意味がないものを強制しても。」
「滑稽な結果になるだけですが。」
小夜。
「意味がないものには意味がないと。」
「本当のことを浴びせたほうが。」
「あっさり片づけられます。」
璃々依。
「すぐに掃除しないと不潔ですからね。」
新奈。
「要らないものは処分。」
璃々依。
「合法的に処分できるのなら。」
「違法とは言われない。」
知り合いの真っ白い子犬が。
庭に入ってきた。
ノーリードで散歩できるように訓練された犬で。
トレーナー直伝の訓練で。
ある程度は単独行動ができる。
飼い主も現れる。
煩わしい犬。
「わんわんわん!」
新奈。
「イッヌが庭にいます。」
小夜。
「いつものお菓子ですかね。」
璃々依。
「動物は美食で落とせます。」
新奈。
「美味しいもので簡単に落ちます。」
小夜。
「犬は特に美食が好きですからね。」
璃々依。
「あんまりあげるとドックフードを無視します。」
小夜。
「犬用の美食は余裕でありますね。」
新奈。
「こんなこともあろうかと。」
「用意しておきました。」
コロス。
「真っ白い小さな犬。」
「好きなだけ走り回る。」
「真っ白い小さな犬は。」
「この世界の小さな宝。」
「真っ白い子犬は。」
「あなたの周りを駆け回って。」
「あなたの足元で。」
「ぐっすり眠る。」
「あなたと遊んで。」
「わんわんとただ語りかけ。」
友人。
「前より太ってしまったわ。」
新奈。
「ある程度は太ったほうが良いかと。」
小夜。
「尻尾ふりふり。」
「笑顔で走り回って突進してくる。」
璃々依。
「興奮した犬は手に負えない。」
新奈。
「意外にも犬の体当たりは重いんですよ。」
璃々依。
「子犬ですので、勢いは凄いわ。」
新奈。
「他の犬と喧嘩して倒したとか。」
友人。
「訓練された犬にどうして挑んだのか分からないわ。」
小夜。
「闘犬も仕込んだんですね。」
新奈。
「訓練次第で犬はどうにでもなる。」
小夜。
「真っ白いもふもふ。」
新奈。
「暴走すると煩わしい犬に変わる。」
友人。
「うちの子は。」
「お金やお札を見ると咥えて。」
「どこかへ行ってしまうの。」
璃々依。
「それで煩わしい犬なんですね。」
煩わしい犬。
「わんわんわん!」
遊女。
「終わり。」
「それが欲しいだけ。」
「あなたの小さな願い。」
「終わりだけ。」
「それが欲しいだけの。」
「あなたの小さな行為だね。」
「それがもたらされると。」
「あなたは解き放されて自由になり。」
「束縛を消す。」
「それらが最後のあなたの願いに。」
「なるかもしれない。」
「それらが欲しいもの。」
「願い求めて追い続ける。」
「それがあなたの最後の。」
「あなたの願い通りに。」
「それがもたらされる。」
「その後は何も無いけれど。」
「無くなった世界の数だけ。」
「あなたは自由になるのだから。」
「束縛も消し去られて。」
「あなたの願いは束縛を。」
「永遠に追放して。」
「どこからもなく消し飛ばして。」
「自分の束縛を消してしまって。」
「この世から無くすことだから。」
「そのために終わりが欲しいのだから。」
「そのために終わりを求めて。」
「最後の瞬間に解き放たれる。」
コロス。
「夢と希望。」
「この世に現れて。」
「光り輝く。」
「彗星のような。」
「流れ星よ。」
「夢と希望。」
「美しく彩る。」
「こんな奇跡は。」
「当たり前のように起きては。」
「すぐさま過ぎ去って。」
「それがまた現れては。」
「現実のすべてを変えてしまい。」
「奇跡が当たり前のように。」
「輝いて消えては。」
「美しい景色。」
「一度は見たことがある。」
「誰しもが抱く夢。」
「誰もが実現する。」
「一度は見た希望は。」
「形になって。」
「現れては消えていく。」
「希望と夢は。」
「現実になるとすぐ過ぎ去っては。」
「過去の奇跡として。」
「記憶に残らないまま。」
夕方になると。
防犯パトロールが開始されて。
軽トラックでラベルと旗がついた。
警備員が巡回します。
商店街の広場は。
もう何も出現せず。
明日は何が出てくるのかは不明です。
銅像の広場には変なのがよく出現すると。
もはや街の名物ですね。
義賊。
「傷ついて。」
「過ちを繰り返し。」
「何のために。」
「痛めつけられ。」
「傷ついて。」
「痛めつけられ。」
「傷つけあって。」
「この循環は途切れない。」
「永遠に刻まれた。」
「人の傾向であると。」
「残酷に警告される。」
警備員。
「あそこまでやる。」
「行き過ぎた行為を咎めて警告する。」
「しかし相手は未だに容赦なく。」
「あそこまでやる心理が読めない。」
「どんな残虐行為もするだろう。」
「それでも。」
「行き過ぎた行為を。」
「辞めさせるために。」
「無謀に。」
「立ち向かう。」
「彼らの無謀は。」
「行き過ぎている。」
「そんなにさ。」
「死にたかったら。」
「死にたかったら。」
「ひとりで死んで。」
「ひとりで殺されて。」
義賊。
「初めから。」
「始めから。」
「この世に。」
「正しさを求め。」
「相手の。」
「正しさと。」
「食い違い。」
「刺す。」
「それでも。」
「正しさを求め。」
「この世に。」
「どこまでも探しに行く。」
「相手と衝突をするような正しさは。」
「相手の力の強さで。」
「決まるものほど薄くて。」
「弱い者を退け。」
「それでも正しさを。」
「弱い者は。」
「正しさから遠くて。」
「強い者だけが。」
「正しさを握っている。」
「正しさを握っている。」
新奈。
「もう一日が終わりますね。」
璃々依。
「仕事がない日はあっさり暮れますね。」
小夜。
「労働が強調されるのは。」
「昔の上流階級を否定しようと試みている証拠です。」
璃々依。
「歴史と喧嘩するな。」
新奈。
「奴隷道徳では労働が重んじられるんですね。」
璃々依。
「欧州では労働は批判の標的です。」
新奈。
「古代では労働ほど嫌われた行為はありませんしね。」
小夜。
「古代ギリシアでは労働が不要な時代もありましたし。」
璃々依。
「ということは、他人の意見を採用ばかりしますね。」
小夜。
「凡人に何を期待しているのですか?」
璃々依。
「彼らが自分のことを本当に知っていたら。」
「凡人という自覚はありますよ。」
新奈。
「教訓なんて何でも嘘ですよ。」
「彼らが自分のことを雑魚であると自覚するような。」
「成果は無かったのだから。」
父親。
「よくそこに辿り着いたね。」
「ここが旅の終わりの場所。」
「この世を見渡し。」
「すべてを見て。」
「もうここで良いと察したのは。」
「賢明なあなただから。」
「すべてを知ったから。」
「もうここでいいと。」
「牢獄のような。」
「世界で。」
「終わりを告げて。」
「旅を投げ捨て。」
「ここまで来たあなただから。」
「もう何も。」
「言わなくても理解している。」
「その先は何もないから。」
「先に何もなくて。」
母親。
「この世に現れて生まれてきたの。」
「その前の世界は忘れてきたの。」
「何だったか忘れてきたの。」
「不思議な景色。」
「この世に現れて。」
「始めに見た。」
「ただこの世に生まれてきて。」
「始めに見た景色は酷く。」
「残酷な世界に生まれ。」
「生きていく人の気持ちなんて。」
「誰も知らずに。」
「過ごしてきた日々は消えて。」
「何も残らない。」
夕食のち。
また報道。
小競り合いが市街地で発生。
義賊。
「もう少しましな言いがかりをつけろ!」
ザコ。
「みんなのルールを強制してやる!」
義賊。
「みんなのルールって何だ?」
ザコ。
「とりあいず従うの!」
義賊。
「お前らが勝手に決めたルールだろ!」
ザコ隊長。
「みんなが言っているから本当に違いない!」
義賊。
「鵜呑みにし過ぎだぞ!」
ザコ。
「お前もみんなが言っていることを鵜?みにするの!」
雑魚隊長。
「みんなの意見に従わせてやる!」
「みんなの意見に服従しろ!」
義賊。
「どんな理屈だよ!」
防犯パトロール。
「この時のために。」
「どれだけ。」
「この時のために。」
「どれだけ待ったのかわからないほど。」
「どこから来たのかわからない相手のために。」
「刺し違えても。」
「いくらでも仕掛けて。」
コロス。
「ようこそ。」
「この人の世の中に。」
「ようこそこの中に。」
「ようこそ。」
「歓迎するのは暖かいけれど。」
「どこか冷たい。」
「人々の心に触れて溶ける。」
「暖かくて冷たい。」
「そうした中にあなたも加わって。」
「一部なる。」
いつまでも終わらない銅像の広場の乱闘。
何と夜間に再び発生。
複数の勢力と思想が交差しているので。
忙しい中心地ですね。
そんなに近くでもないので。
無視して解散。
巻き込まれないように警戒します。
深夜。
この世界に。
花を捧げて。
この世界に。
花を捧げて。
いつまでも変わらない。
人間の姿を見せて。
それくらいでもういいよ。
そんな人間は見飽きたから。
そのくらいで終わらせてよ。
人間には飽きたから。
12
穴の中にいるときは掘るのをやめろ。
困難な状況に陥っていることに気づいたら。
そうした状況の原因となった行為を。
続けてはならない。
状況を悪化させるだけである。
英語のことわざ。
突然、開始された。
乱闘。
銅像の広場。
通り道で暴走する。
道化師が歩く中で発生。
通行人を攻撃。
第一のモラリスト。
「何でも暴力で解決できる!」
第二のモラリスト。
「何でも強制で解決できる!」
第三のモラリスト。
「何でも義務にして解決できる!」
市民。
「今日は貴様らなのか!」
夫人。
「道徳という凶器で人を打つのね。」
第一のモラリスト。
「暴力で解決してやる!」
第二のモラリスト。
「強制で解決してやる!」
第三のモラリスト。
「義務で解決してやる!」
市民に体当たりした。
通行する演技をして。
衝突する攻撃を繰り返す。
跳ね飛ばされて吹っ飛ぶ市民多数。
きわどい所を攻めてくる。
警察官。
「君達は秩序という言葉を知らない?」
警備員。
「君達ほど平和から遠い種族はいないぞ。」
義賊。
「変態が暴れるな!」
第一のモラリスト。
「治安とは暴力である!」
第二のモラリスト。
「人間とは強制である!」
第三のモラリスト。
「秩序とは道徳である!」
義賊。
「信じられない暴論だな!」
市民。
「ぐわっ!この道徳野郎が!」
夫人。
「何すんのよ!この道徳野郎!」
少年。
「道徳しか言うことがないの?」
少女。
「きゃあ!モラリストが支配してくる!」
役人。
「モラリストの実効支配だあ!」
警察官。
「道徳は法律ではありません。」
弁護士。
「いつ道徳が法律になったのですか?」
第一のモラリスト。
「道徳は法律!」
第二のモラリスト。
「法律を強制!」
第三のモラリスト。
「強制とは秩序!」
弁護士。
「では、ローマ法から議論を開始しましょうか。」
「ぐおおおおぉぉぉぉ!」
警備員。
「おい!あいつらを何とかしろ!」
不良。
「あいつらぶっ殺そうぜ。」
暴走族。
「なかなかのカモみたいだからな。」
ヤンキー。
「おい、喧嘩しようぜ。」
第一のモラリスト。
「道徳は武器!」
第二のモラリスト。
「道徳は防具!」
第三のモラリスト。
「道徳は支配!」
不良。
「死ねよ。」
暴走族。
「悔しかったら反撃してみろ。」
ヤンキー。
「おいおい、手応えがないぜ。」
「弱過ぎるだろう。」
不良。
「信じられないほど弱いなあ。」
暴走族。
「ほらほら、道徳はどうした?」
警察官。
「暴行をやめなさい!」
「というか両者、暴行していますよね?」
第一のモラリスト。
「なにをするんだ!道徳が許さないぞ!」
第二のモラリスト。
「道徳が制裁を加えるからな!」
第三のモラリスト。
「道徳が負けてはならないんだ!」
モラリスト。
突き飛ばされて。
踏まれたり。
叩かれたり。
胸ぐらをつかんで。
頭突きを食らわせられる。
持ち上げて遊んだりする不良一同。
警察官が引き離そうと必死。
モラリストが刃物を持ち出して暴れたので。
警察官は拳銃を発砲して制する。
市民。
「ついに発砲か、こうなると思ったよ。」
商人。
「最近、いろんな奴が荒らしに来るよ!」
店員。
「そんなに乱闘がしたいのなら他所でやれ!」
義賊。
「おいおい!滅茶苦茶じゃないか!」
格闘家。
「とりあいず警察官の味方しようぜ。」
義賊一同。
「今回のはまた違った乱闘だが。」
「また新手が現れるだろう。」
モラリストが逮捕されて。
連行された。
不良一同は警告を受けるので。
警察署に連行された。
商人。
「もっとやらないの?」
少女。
「つまんない!もっと発砲してよ。」
青年。
「なんだよ、もう終わりかよ。」
「また出てくるまで待つかな。」
店員。
「くそ!もう決着かよ!」
客人。
「この野郎!あっちに賭けたのに!」
紳士。
「悪いな、賭けは俺の勝ちだ。」
「おごってもらうぜ。」
義賊。
「お前ら正気か!?」
ルチンチマン。
「どうして道徳は勝てないんだ!」
畜群。
「道徳が負けるなんて!」
会社員。
「君主道徳と貴族道徳が勝利するのだよ。」
哲学者。
「君主道徳と貴族道徳は既に勝ったよ。」
知識人。
「既に決着がついたのに文句を言うなあ。」
夫人。
「今回はあっさり決まりましたね。」
若い女性。
「向こうが勝つと思っていたのですが。」
「ここに宿泊すると。」
「毎日、あんな試合が見れて満足です。」
役人。
「この広場にテレビはありませんが。」
「毎日、乱闘が見れます。」
義賊。
「お前ら正気か!?」
自警団。
「私的制裁で何でも解決できる!」
酔っ払い。
「私的制裁こそ法律なのです!」
泥酔した会社員。
「私的制裁で鎮圧!」
義賊。
「新手か!?」
自警団。
「俺達の私的制裁を食らえ!」
酔っ払い。
「お前は私的制裁で処罰してやる!」
泥酔した会社員。
「私的制裁で殺してやる!」
警察官。
「なんだそれは!」
義賊。
「暴論で遊ぶな!」
市民。
「よっしゃああああ!また乱闘だ!」
「どっちが勝つと思う?」
店主。
「乱闘を見るのが日々の楽しみでね。」
老人。
「若いっていいなあ。」
老婆。
「若いころはああするのがいちばんじゃね。」
青年。
「よし!待った甲斐があった!」
客人。
「くそ!今度は賭けに負けないぞ!」
紳士。
「それ以上、何か賭けたら、財布が空だぜ?」
市民。
「野次馬だらけだな。」
役人。
「見物料とか入場料を徴収したいくらいです。」
義賊。
「暴説で遊ぶな!」
遠くでまた乱闘があったようで。
野次馬が走って見物に移動。
物好きは集まって見物するのです。
けっこうな人が現場に走っていく。
出発する直前。
玄関にて。
何やら会話している両親。
私はブラックコーヒーを飲みながら。
見届ける。
父親。
「人間は自分が完璧だと思いたいので。」
「完璧と思うために詭弁を使って穴を埋める。」
母親。
「人間ですと。」
「明らかに欠陥だらけじゃないですか。」
父親。
「欠陥品だから自分を欠陥品だと分からないのでは。」
母親。
「完璧ということにするために詭弁が使われる。」
父親。
「みんな自分が完璧だと思いたい。」
母親。
「体裁は・・・自分は完全無欠である。」
「そんなのある訳ないだろう。」
父親。
「そんなうまい話がある訳ないだろう。」
母親。
「完全無欠を演じるために詭弁を使う。」
父親。
「詭弁の目的は・・・自分を完璧だと見せる演技にあります。」
母親。
「誰でも自分を完全無欠だと思いたい。」
父親。
「そのために詭弁が使われます。」
人間のする会話なのかはさておき。
支度をして。
二部フットボール場に移動します。
玄関から出撃。
最近。
体力が向上。
錬度が高いので。
どこに行っても歓迎されて重宝されますね。
能力で押せてしまう職場がたくさんありまして。
正規雇用の勧誘も出るほどです。
老人の教師に訓練されたので当然かも。
決闘の手紙が来ていて。
出勤の途中で。
連絡しました。
公衆電話で会話。
指定する山の中で決闘しますよと。
その人が山の中に入る。
血気盛ん。
雑魚。
「そんな山の中で戦うのか。」
「いろいろしてあげようかな。」
熊。
「ぐるるるる。」
狼。
「わおーん!」
トンビ。
「ぴー!ひゃるるるるるる!」
雑魚。
「しかし動物の鳴き声ばかりだな。」
「けっこう待ったが。」
「公衆電話の連絡によると。」
「もう一時間遅れるそうだな。」
「遅刻かよ、罵ってやる。」
カラス。
「なんでこんな所に人間がいるん?」
背後から熊が飛び掛かってくる。
決闘の相手は攻撃をまともに食らう。
熊が調子に乗る。
連続攻撃。
雑魚。
「ぐああああ!決闘の前に熊かよ!」
「しかも一頭じゃないのかよ!」
「死ぬ!」
雑魚は持っていた刀で応戦するも。
熊に囲まれて終わる。
雑魚。
「ひょっとして!あの女はこれを知っていて!」
「こんな山の中を指定したのか!」
「ぐああああ!」
熊。
「グオオオオ!」
カラス。
「あんな阿呆な!」
決闘相手は行方不明になりました。
休憩時間に来た。
公衆電話から遠くに行く。
新奈は余裕で仕事場にいましたね。
謀殺。
野生動物ばかりいる。
山の中なので。
遭遇して当たり前ですね。
かなりの標高でしたし。
馬鹿な男性ですなあ。
相手は行方不明。
しらばっくれる。
さっさと。
仕事が終わって。
帰り道。
近くの教会に駆け込む青年。
ルサンチマン。
「気に食わない相手を罰してください。」
牧師。
「そんなこと言ってはなりません。」
ルサンチマン。
「本当に気に入らないのです。」
牧師。
「帰ってください。」
ルサンチマン。
「何々ですから何々なのです。」
牧師。
「AだからBなのですか?」
ルサンチマン。
「AとBが繋がっているのです。」
牧師。
「ならばCとDで考えてください。」
「もしくはEとFはどうなんですか?」
ルサンチマン。
「どうしてもAからBなんです。」
牧師。
「それはありえませんね。」
ルサンチマン。
「それでは帰ります。」
牧師。
「天罰を受けないように懺悔して行きなさい。」
「結局はGなのですから。」
駅からの帰り道。
商店街を歩いていると。
口説かれた。
女性から。
成人女性。
「すごくタイプなの!お茶しない?」
新奈。
「間に合っています。」
成人女性。
「もう先客がいるの!ひどい!」
新奈。
「私のどこら辺が良かった?」
成人女性。
「犯したいくらい素敵。」
新奈。
「なんていう素晴らしいことを言うのですか。」
成人女性。
「あら?いいの?もうホテル?」
新奈。
「女性から色目で見られるのが好きなだけです。」
「さようなら。」
成人女性。
「ああ!美少女を逃した?」
「そんな馬鹿なあああああ!」
逃走。
危ない女性と遭遇しましたが。
近所にある喫茶店の娘さんですね。
また口説かれると思うと。
なんか面白い。
今日は単独行動。
なんと午前で仕事が終わりです。
二部フットボール場のスタッフでしたので。
連休での試合が終わると。
すぐに解散のようです。
午後には帰宅。
星都奈。
「こんにちは、姉妹も一緒です。」
絵真。
「夜の勤務に変更されまして。」
展世。
「それまで暇なんです。」
新奈。
「いいことして遊びましょう!」
星都奈。
「え?いつの間に新境地を開拓したんですか?」
絵真。
「脱がさないでくださいね。」
展世。
「お風呂に一緒に入るとか言わないでくださいね。」
新奈。
「ダンジョン探索ゲームをやりましょうよ。」
「中世ファンタジーの集大成で。」
「簡単な構造をしているビデオゲームです。」
星都奈。
「私も下層に行くほど余裕でして。」
絵真。
「観戦しても良いですか?」
展世。
「最新のビデオゲームは難しそうです。」
新奈。
「よしよし!私の活躍を目撃するのです。」
星都奈。
「私と手柄の取り合いですね!」
チームに友人が加入して。
ロビーからダンジョンに突入。
敵を薙ぎ倒して進む。
まるで相手にならない。
敵プレイヤーと雑魚敵。
絵真。
「あらあら、やられ役なんて貧乏くじ。」
展世。
「そこまで上手ですと、つまらないでしょうね。」
星都奈。
「相手が弱過ぎてつまらないんですよ。」
新奈。
「なので、敵プレイヤーを虐殺する遊びを思いつきまして。」
星都奈。
「余裕をかましているのです。」
絵真。
「ビデオゲームは飽きると終わりですね。」
展世。
「ビデオゲームは最後に退屈になって。」
「捨ててしまいますね。」
新奈。
「作る側は自転車操業。」
星都奈。
「遊ぶ側はゲームを使い捨てにする。」
時間になって。
各自、解散。
いつものメンバーが来訪。
一緒にお菓子作り。
たまに分散する仕事と持ち場。
また夜が訪れまして。
万物流転。
13
テレビ中継。
動画配信。
ダーウィン主義。
ダーウィン学派。
山の中。
猿より進化していると。
高慢になって。
猿より上であると。
無駄な証明を試みる。
ダーウィン主義。
「僕達は猿より上なんです。」
ダーウィン学派。
「俺達は猿より偉いのです。」
猿がやってきて?まれたり。
引っ掻かれたり。
取っ組み合って猿も困惑。
猿。
「動物虐待!動物虐待!」
頭領猿。
「暴力反対!暴力反対!」
ダーウィン主義。
「僕達の進化を思い知れ!」
ダーウィン学派。
「俺達が進化したんだぞ!」
猿。
「ボス!もう倒しましょう!」
頭領猿。
「こいつらなにしに来たの?」
「山の中に住んでいたのに。」
「ひどい奴らだ。」
乱闘。
ダーウィン主義とダーウィン学派は負傷。
猿の群れに喧嘩を売りに行って負ける。
五倍の大きさのイノシシが乱入して。
何とか逃げ切る二人組。
ダーウィン主義。
「猿より上なのに負けるなんて!」
ダーウィン学派。
「次は爆弾でも持って来ようぜ!」
それを聞いたイノシシは反転。
学者二人に向かっていく。
巨大イノシシに吹っ飛ばされて気絶。
救助隊が来る。
ダーウィニズム。
「人間なんて動物と大差ないですね。」
救助隊。
「いいえ、人間は半分獣で半分が神の種族です。」
ダーウィニズム。
「僕達はバナナを食べて。」
「ウキー!とか言いつつ。」
「猿の真似事をしているのです。」
救助隊。
「君達は猿かもしれませんが。」
「我々は半神半獣の種族です。」
配信は停止された。
不評を買ったのです。
民家。
煩わしい犬が出歩く。
公園にて。
さりげなく置いてある五百円を。
咥えて持ち去ってしまった。
少年。
「僕の五百円!」
煩わしい犬。
「わんわんわん!」
少女。
「お店にあった千円札が無いの!」
煩わしい犬。
「わんわんわん!」
トレーナー。
「だめじゃないか、このイッヌの癖だな。」
煩わしい犬。
「わん!」
白い犬はここで停止される。
癖で。
お金を見ると持ち去るので。
足音がすると。
上がりこんでくる。
かなりの脅威になりますね。
ちなみに人懐っこくて。
誰でも触れる。
地元では有名な犬。
銅像の広場では何者かが。
軽トラックで演説。
変人。
「時報だお!」
市民。
「何者だ!?」
変人。
「十二時をお知らせする時報だお!」
変人は軽トラックで退場。
数日前から。
時報に来るらしくて。
この都市は変人だらけ。
姉妹と友人と歩いています。
両親からメールが来ていて。
新奈。
「困難や苦労は後に理由が来る?」
「理由があって。」
「困難や苦労がある訳ではなくて。」
「何も理由がないのにあるのですね。」
星都奈。
「困難や苦労にも意味がありません。」
新奈。
「そんなものに取り組んでも意味はありません。」
星都奈。
「自分が創造した価値こそ意味を持つのです。」
新奈。
「この世界の悪をたまたま。」
「困難や苦労とか義務にしてしまい。」
「悪いものを排除しようとしないのかも。」
絵真。
「公正世界仮説なんてやめましょう。」
展世。
「公正世界仮説なんて無いほうがよく見えます。」
新奈。
「いまのご時世、暴力を楽しんでいる輩もいますからね。」
星都奈。
「善悪を問えば、彼らの行為は暴力による統治。」
絵真。
「人間の善悪は問われたことは無いですからね。」
新奈。
「目的のために止むを得ず暴力を使用すると。」
「達成したり成功すれば。」
「回復は可能です。」
「何でも暴力で解決して行けば。」
「維持も回復も不可能になります。」
展世。
「彼らの善悪は何かおかしいですからね。」
新奈。
「暴力を正しいものであると誤認したり。」
「私的制裁の言い逃れを連発します。」
星都奈。
「私刑を使えば何でも解決すると思ったら大間違い。」
新奈。
「最近の人間はすぐ私的制裁に走る。」
絵真。
「厭世主義を人間に当てはめると。」
「矛盾が少ないんですよ。」
星都奈。
「能力や地位まで平等になる訳ないでしょ。」
絵真。
「風刺が捗りますね。」
展世。
「風刺ほど必要なものは見たことがありません。」
新奈。
「人間は手段に困窮すると。」
「すぐに勧善懲悪をする。」
展世。
「勧善懲悪ですと。」
「私刑の代表ではありませんか。」
星都奈。
「私的制裁による暴力に夢中な現代人。」
新奈。
「しかも自分のやっていることがわからない。」
展世。
「本当にわかっていたら、社会問題にはなりませんね。」
星都奈。
「やはり、いろいろ、善悪がみんなおかしい。」
次のメールが来る。
小夜ちゃんは東洋医学の資格を取っているようで。
西洋医学も学ばないといけません。
小夜は東洋医学の医師になるという目標を創造して。
しばらく合流しません。
璃々依ちゃんは放浪の旅に出ています。
数日前は北海道にいて。
今は九州の霧島神宮とのことです。
新奈。
「自分を価値ある者としたいのなら。」
「世界に向かって何かをするのです。」
星都奈。
「自分で偉いと思っていれば。」
「自分の中で完結するので問題はありませんよ。」
絵真。
「間違っている人は、その人の知性も間違っていますので。」
「いろいろなものを間違える人ですと。」
「知らせてあげましょう。」
展世。
「誤りの多い人は、やはりごまかしたり、取り繕ったり。」
「誤りから生じた矛盾を消そうとして必死になります。」
「誤っていても、すぐに自壊しますから。」
「誤りがある時点で、その人はどんどん誤りに侵食されますよ。」
新奈。
「悪党とかは、鈍感になってしまい。」
「不幸や残酷な扱いをされても鈍くなり。」
「後で気づいて回復しようとしても叶わない。」
「最悪が相応しいという報いがありますね。」
星都奈。
「報いは正しい者にも不正な者にも下されます。」
新奈。
「相手が間違えていても、いろいろ誤認したり。」
「火傷をしても雷に打たれたとか言ったり。」
「溺れても怪我をしたとか言ったり。」
「どんどんおかしくなるのです。」
「その相手の失敗が少しずつ増えます。」
星都奈。
「相手が誤っていても、相手の失敗が激増するので。」
「長時間放置するのが良好ですよね。」
新奈。
「誰も持久戦では勝てないものです。」
星都奈。
「私は背水の陣です。」
新奈。
「背水の陣ならば、必死になるのは賢明かと。」
絵真。
「誠実なのは穏健な手段と対応になりますね。」
展世。
「過激で乱暴な手段や対応は常に偽りです。」
新奈。
「世の中、真実に打たれると、死んでしまう人もいますから。」
「本当のことばかり言うものではありません。」
星都奈。
「間違いや誤りの言い逃れができないほど。」
「真実を突きつけると、その人は首を吊ります。」
絵真。
「真実らしいもので溢れていると伝えましょう。」
展世。
「真実で都合の悪い人もいますからね。」
「残念ですが、真実は最後に現れます。」
「その時に、打たれて首を吊る人や。」
「正義に拍手を送る人などが出ます。」
新奈。
「正義に栄光あれ!」
星都奈。
「正義に賛美を!」
姉妹の家で過ごします。
和服姉妹は和傘が好きで。
コレクションしていますね。
お手玉や和楽器を披露する姉妹。
新奈。
「触っていいですか?」
絵真。
「いいですよ、たくさん触ってください。」
新奈。
「あれ?なぜ避けるの?」
星都奈。
「探らせて。」
展世。
「存分に弄ってください。」
星都奈。
「あれ?なぜ逃げるの?」
絵真。
「私達は本当のことをあまり言いません。」
展世。
「処世術を習いましたからね。」
新奈。
「なるほど、カルタで遊びましょう。」
星都奈。
「私はトランプを希望します。」
絵真。
「それは・・・こういうのはどうですか?」
展世。
「これって、こういうのはいかが?」
新奈。
「すごい!それやりたいです!」
星都奈。
「なんて健全な遊戯ですか!」
今日は姉妹と。
集まった友人で。
夕方付近まで過ごしました。
手芸の品物が揃っていて。
書道をしたり。
句会をしたりと。
具合の良い時間になり。
予定通りに解散して。
都市を散歩。
星都奈。
「明日は仕事で徹夜できないのね。」
新奈。
「お泊りもできません。」
「数日ほど忙しいので。」
星都奈。
「それでは、古本屋に行きましょう。」
新奈。
「掘り出し物や価値の高い本は私達のもの。」
星都奈。
「良書はたくさん貰います。」
新奈。
「書店で新刊の漫画が出ているので。」
「予約してありますし。」
星都奈。
「私も画集を予約してあります。」
移動。
まず古本屋。
安い値段で良書を確保。
愚書や悪書は無視。
書店で新作の漫画と画集を確保。
もう夕方。
広場の通り。
また変人がいる。
軽トラックで演説。
変人。
「キャンディあげる!」
市民。
「ありがとう!?」
変人。
「今だけ善良市民!」
市民。
「地球の皆さん!」
「これです!これを待っていた!」
変人。
「時報だお!」
市民。
「夕食は、餅っとした餃子!」
夫人。
「素晴らしい店がそこにあるって!名探偵!」
変人。
「十七時をお知らせする時報だお!」
軽トラックで逃げ出す変人。
便乗する市民も何か変。
仕事と休暇との往復になっていますが。
この都市はいろいろふざけている人多数。
どんなに便利になっても。
科学によって手間が省けても。
その分だけ他の仕事が必要になる。
よって、いつまでも生活に追われてしまう。
金銭もバランス(均衡と平衡)があり。
金銭が余剰になると消費する必要が出て。
金銭が不足すると確保する必要が出ます。
自分に割り当てられた金銭を駆使して遊んだりはしますが。
何事も生活が基盤にあって。
生活という基礎から芸術や娯楽があり。
生活という地盤が無くして文化もないのですね。
生活のバランス(均衡と平衡)も釣り合いがあるようで。
極端に楽になったり苦になったりはしません。
特に余裕が出る場面は少ないのですし。
生活で苦境に陥ると回復の兆しが出るようで。
金銭と生活の研究を続けていて。
長い論文になりそうです。
14
余暇を活用。
休暇が頻繁にあるので。
仕事ばかり頼むと。
逆のものが手に入ります。
自分から仕事をしようと。
応募したとしても。
逆のものが手に入るのです。
不思議。
自宅にて。
昼食を作ろうと。
三人娘で相談。
召使は静観。
新奈。
「書籍を買うようになって。」
「哲学の研究に夢中になると。」
「金銭の話題に変わるけれど。」
「一通り読んで。」
「害になった付近で。」
「害になる辺りで。」
「購入を控えるようにするのが良いのですね。」
「格安で古典を買う方法なんてけっこうあるので。」
「節約も大事。」
小夜。
「古典で直観が鍛えられますしね。」
璃々依。
「玄人と素人の違いはそれです。」
新奈。
「読書が趣味で。」
「いつの間にか古典を読んでいて。」
「それで直観の精度が超越。」
小夜。
「女性にも強みはありますよ。」
「それを自覚も発見もしないので。」
「何にもできない。」
璃々依。
「無能な女性なんていた試しがないのです。」
小夜。
「源氏物語の格言ですね。」
「台詞。」
「無能な女性なんていませんよ。」
「翻訳。」
「何の取り柄もない女はいませんよ。」
新奈。
「師匠は女性の強みである。」
「直感を強めるように。」
「私を訓練しました。」
小夜。
「今まで把握されている。」
「女性の武器は直感ですもんね。」
璃々依。
「直感。」
「国語辞典からの引用なんですね。」
「同じ読みで直観もありますが。」
「両方共。」
「女性は生まれつき二つに優れています。」
新奈。
「男性よりも直観が上回ります。」
「男性には弱点が少ない反面。」
「能力に上限がありますが。」
「女性には弱点が多い反面。」
「能力は男性より上回ります。」
「訓練したら。」
「という話ですけれどね。」
璃々依。
「女性の直感はかなり知られていますし。」
「もうひとつの直観まで強化すると。」
「比較にならない成人女性の誕生ですね。」
新奈。
「簡単に女性の強みである直観を鍛えるのです。」
小夜。
「日頃から直感も鍛えていれば。」
「かなり強力になりますね。」
新奈。
「日頃の鍛錬で。」
「直観の精度はかなりのものになります。」
璃々依。
「とりあいず女性は直感を駆使するのが基本ですね。」
小夜。
「婦人科の医師も同じことを言っていますね。」
新奈。
「そんな強みがあるのに使わないのはもったいない。」
璃々依。
「女性の基本は直感にあります。」
新奈。
「女性はそれをもし理解したら。」
「自分の力を試そうとするでしょう。」
小夜。
「直感を試すようになった女性ですか。」
璃々依。
「鍛錬して精度が改善した直観も。」
「女性の強みですよ。」
新奈。
「最初から女性特有の直感を使うように。」
「訓練されたら。」
「すぐできるようになりまして。」
「好き放題できます。」
璃々依。
「私は自然にできます。」
「成長の途中で。」
「自分の直感の強さを体験して。」
「駆使するようになりました。」
「何でも上手く行くので。」
小夜。
「私も少しだけ教えられたら。」
「直感を活用できるようになりました。」
「こういうのは習ってこそ使えますね。」
新奈。
「しかも簡単なんですよ。」
「あっさり最強みたいな。」
「さっさと活用すれば良いのです。」
璃々依。
「実際に直感が鋭い女性は大勢いますので。」
「後天的に強まる人もいますね。」
小夜。
「最初から活用すれば。」
「もっと早くから何でも解決。」
璃々依。
「最初からある。」
「直感の鋭さは便利です。」
お買い物。
スーパーマーケットに移動です。
お店は商店街の中央にあります。
広場は珍しく穏やか。
そこに変な衣装を着た人が通りかかり。
彫刻家に話しかけた。
陰謀論者。
「インターネットに書いてあるから。」
「真実である。」
「パンには中毒性がある。」
「被験者からパンを取り上げて。」
「三日後に見に行くと。」
「被験者は無性にパンを欲しがる。」
「従って、パンには中毒性があると認められる。」
彫刻家。
「あのね、被験者に何の食事も与えてないじゃないの。」
陰謀論者。
「しかしインターネットにそう書いてあったから。」
「パンには中毒性があるの。」
彫刻家。
「それでは、私が、この人を犯人として。」
「インターネットに書き込むから。」
「その人は犯人になるのですね?」
陰謀論者。
「インターネットは何もかも真実だ!」
彫刻家。
「書き込みました、あなたがこの近くの。」
「すべての犯人です。」
陰謀論者。
「うわあああ!俺は犯罪をやってしまったのか!」
彫刻家。
「ちなみにあなたの趣味は××であるとか。」
「女性の好みは××であるとも書き込みました。」
陰謀論者。
「わあああ!俺は××が好きなのか!」
「インターネットにそう書いてあるから。」
「そうに違いない。」
彫刻家。
「インターネットに人は飛行できると書いてあるので。」
「今からあなたも信じてくださいね。」
陰謀論者。
「はい!飛びます!飛べません!?」
彫刻家。
「インターネットに書いてありますよ。」
「世界は既に滅亡したとか。」
陰謀論者。
「わあああ!ではここは何なんだ!」
彫刻家。
「おっと!映画の話でしたよね?」
陰謀論者。
「インターネット!インターネット!」
「うははははは!!」
詐欺師。
「これは行けるぜ!」
銀行員。
「インターネットで稼げるぜ!」
今日は奇怪な人間が出没。
またもや新手ですが。
完全な懐疑主義に陥った人みたいで。
疑っている自分を疑わない。
という自己矛盾に陥っています。
すべてが主観に陥った人なのですね。
中途半端にルネ・デカルトを学ぶと。
そういう誤りに陥りますね。
デカルトを誤解した人が暴走。
河川に飛び込んだので。
消防隊が出てくる始末。
銅像の広場は地元の象徴ですけれど。
いろいろ出てくるので近寄りません。
召使は後についてきますが。
今回は手出しなし。
新奈。
「ヴォルテール主義者に影響されて。」
「寛容論を読んでみましたが。」
「彼らが狂喜する通りに。」
「最高の古典でしたよ。」
小夜。
「彼らがあまりに大好きなので。」
「半分暴走族みたいになっていたのですね。」
璃々依。
「内容を読んだことがあります。」
「世界は寛容が前提に成り立っていまして。」
「寛大というのはとても大切なのです。」
新奈。
「歴史の実例を出している寛容論は。」
「現代でも賞賛されて当然ですね。」
「寛大では無い場合は不条理や愚行があるだけですし。」
「自分達以外を一切許さないような輩は滅ぼされます。」
小夜。
「寛容を大いに配慮したり考慮するくらいなら。」
「誰でもすぐに始められますしね。」
璃々依。
「歴史も世界も寛容だからこそ成立しているのです。」
新奈。
「寛容は世界の基本ですよね。」
「人は誰しもが寛大であるという義務みたいなものがあり。」
「寛容という公義を持っているのです。」
璃々依。
「何でも許さない輩は。」
「誰からも許してもらえない。」
「実際に消されてしまいます。」
小夜。
「多少の悪癖や悪事は見逃してもらえますし。」
「多様性による思想の自由には言及されません。」
新奈。
「心の狭い人間には、この世界に居場所はありませんね。」
小夜。
「どうしてあんなに心が狭いのか分かりませんが。」
「ヴォルテールの寛容論を読んで学ぶものですね。」
璃々依。
「自分もいろいろ大目に見てもらっているのに。」
「自分の行いは無視して他人を責めようとする。」
新奈。
「寛大になるには少しの訓練と感化が必要なのですよ。」
璃々依。
「それでは私達も寛容を徹底しましょう。」
小夜。
「神々も寛容ですからね。」
新奈。
「我々も寛大なのが当然の姿です。」
璃々依。
「寛容は人の基本ですからね。」
入店。
スーパーマーケットで買い物をします。
連携が取れていて。
素早く食材を購入。
輸送。
素早く帰宅して。
料理に取りかかります。
三十分で完成。
連携が中々のものです。
完食。
新奈。
「何か学ぶにしろ。」
「購入するにしろ。」
「害が出た付近が上限の合図ですね。」
「害が出たら書籍の購入は停止されます。」
璃々依。
「物事というものは、害が出ると。」
「そこが上限になります。」
小夜。
「かと言って不足していると。」
「取得や実行を焦ることになります。」
新奈。
「行為が足りないと、焦るしかない。」
「足りない物事の遅延は、大慌て。」
璃々依。
「何か開始するにしても。」
「不足から必要に駆られてのことです。」
「満たされる直前で停止します。」
新奈。
「易経の訳本を読んだ辺りで限界です。」
小夜。
「そこまで読めば足りるでしょう。」
璃々依。
「予算や手間や解析にも労力が膨大ですからね。」
新奈。
「解読した内容を習得するのにも実践が必要ですし。」
「追いつけない、それでも一生続くのが、学問です。」
小夜。
「それで好きな古典や相性の良い古典に辿り着くのです。」
璃々依。
「それは実行力や実践があり。」
「そのまま能力や利益や道理に直結しますので。」
「自分のためですけれどね。」
片づけて。
細かい所は召使が担当。
食後。
本棚を整理整頓する。
不要な書籍は図書館に入れますが。
次の持ち主のために古本屋に入れる場合もあります。
売却した金額で次の古典も買えますし。
大手通信販売が切り札になりました。
読書が好きな三人娘は。
古典を読み漁っていますね。
これをどう実践するかという課題があります。
現代の哲学者は大学受験の勉強なんて子供の話題になるくらい。
読書や研究や論争に夢中で。
執筆や分析など。
受験なんてものは。
どうやら稚拙な命題らしいのです。
教養のある人も似たようなもの。
古本も美品ではない場合。
前の持ち主が注釈を手書きで挿入していて。
受験なんて馬鹿みたいに思える勉強っぷりです。
三人娘はそういうのを目撃しながら。
余暇に好きな古典を研究し。
公義や人生に役立てています。
15
親戚で共有されている口伝。
ひたすら遠回しに伝える教育は。
我が家のオリジナル。
どんな間違いも遠回しに伝わるので。
何を間違えのか。
どこが誤りなのか。
目的がはっきりとした伝え方。
子供の失敗が前提になっているので。
寛大なのが特徴。
今回はクイズになっていて。
前はジョークで伝えてきました。
子供の失態をジョークで解説するのは。
私達の親子関係特有のものです。
おまけに。
両親は完全無欠であることを自ら否定しがちです。
自宅にて。
衣服の買い物に出かける予定。
予算は多くはない。
道中。
お宮に立ち寄る予定。
今回は二社巡ります。
新奈。
「一昔前の親と言えば。」
「失敗した子供に対して。」
「暴力で鎮圧してしまう。」
「誤りに関して暴力で教える。」
「間違えたら。」
「子供に暴力を振るって教える。」
「この方法ですと。」
「子供の方が力が優勢になると。」
「教えた内容を嘲って。」
「何も言うことを聞かなくなります。」
小夜。
「教えた内容も。」
「力で暴力を制することができるので。」
「後々、否定して。」
「教えた内容を嘲笑したりして。」
「裏目に出ることが。」
「けっこうあります。」
「全員がそういう教え方をしていたり。」
「前の世代がそうであるからという理屈で。」
「前の世代の暴力を。」
「受け継ぐ理由にはなりません。」
「暴力で物を教えるやり方は。」
「次の世代に持ち込んではならない。」
「人道に反する行いです。」
璃々依。
「子供は自由が効いていませんので。」
「そうした前提を忘れていますし。」
「子供がなぜ?それをしたのか?」
「という所まで及んでいません。」
「いくら何でも頭が悪いのです。」
新奈。
「ただ説教すれば良いとか。」
「前の世代から受け継いだ悪行を。」
「今も実行する理屈なんて無いですね。」
璃々依。
「意外にも。」
「それで親子関係は破壊されます。」
「人間関係を破壊して。」
「それを正当化しているのですね。」
小夜。
「暴力で鎮圧して。」
「正しいことにするやり方は。」
「受け継がれた悪徳ですね。」
璃々依。
「凡人なんて。」
「そんな教育しかできない。」
「雑魚が何か教えられる理由はないのです。」
新奈。
「お勧めは儒教ですね。」
「親の教育より儒学の方が。」
「実際の効力があります。」
璃々依。
「儒学の方が良い親ですね。」
小夜。
「人間の親を尊重する義務はありませんね。」
新奈。
「神々が祖先ですので。」
「人間の親は居場所を与えたくらいの存在です。」
「軽視しても良いのです。」
璃々依。
「道理を説くのは武将のよくやることで。」
「倫理を説くのはアドラー心理学です。」
「強制で誤りを認めさせるよりは。」
「説得を繰り返す方が威力が高い。」
新奈。
「自分が悪いと思った行為を。」
「子供がしたからという理屈で。」
「怒り出して物を教えるのは。」
「単なる感情論で。」
「理性をどっかに捨てた。」
「馬鹿のやる行為ですね。」
「子供は親より強ければ解決しますので。」
「怒り出しても。」
「そんな親を倒してしまえば。」
「間違いということにはなりません。」
「どんな誤りも揉み消してしまえます。」
璃々依。
「暴力で教育しても。」
「後から内容は裏切られるので。」
「何の効果も無い所か。」
「子供に教えた内容を踏みつける。」
「口実を与えてしまいます。」
「現実はもっと残酷なものです。」
小夜。
「子供向けの童話に残酷な話が多いのは。」
「現実は簡単に残酷な場面が多いので。」
「あらかじめ準備をしているのです。」
新奈。
「御本尊ではなく死人。」
「いわゆる墓地を礼拝するような。」
「気持ちの悪い人間にそれはできません。」
「彼らは人間に仕えているのです。」
璃々依。
「仏神は我々の系統違いの仲間ですが。」
「彼らが墓所ばかり行って。」
「御本尊を礼拝している所は見たことがない。」
新奈。
「秋葉信仰の土地は秋葉神社があるので。」
「仲間なのですが。」
「たまたま関わった信徒が。」
「あまりに善人で驚きました。」
「信仰による善人は必ずいます。」
「信仰のない善人はいません。」
璃々依。
「話が面白いほど通じる方でしたよね。」
「僧侶との対話は難しいでしょうけれど。」
小夜。
「なので、信仰の無い者で善人はいません。」
「悪人が物を教えても裏目に出ます。」
新奈。
「信仰があって初めて善人になります。」
「善人ではない者が何かを教えても無駄です。」
小夜。
「本物を体験すると。」
「納得しますね。」
新奈。
「本物の善人を一度くらいは見ておく。」
璃々依。
「神社の境内で。」
「仏像が祀られていることがよくあるので。」
「系統違いの仲間でしょうか。」
小夜。
「神社で仏神が合祀されていることもありますね。」
新奈。
「仏教にも本物があると私は確認できたので。」
「戦国時代の聖王が通った寺院を支持しています。」
「秋葉信仰ですね。」
璃々依。
「信仰によって。」
「何でも把握できます。」
「事実が無いということくらいは。」
「あっさり見破れるので。」
「信徒は臨機応変が基本です。」
新奈。
「神々は事実をこの世から消し去って。」
「事実で考える人間をすべて打って。」
「錯乱させましたね。」
璃々依。
「事実だけ奪えば人間は錯乱します。」
「神様は滅ぼしたい相手から。」
「事実を奪って錯乱させていますね。」
小夜。
「信徒は臨機応変に事実の解釈を操るため。」
「事実の影響は受けません。」
璃々依。
「そう言えば寺院で。」
「孔子が祀られている霊廟がありますね。」
「作法はよくわかりませんが。」
「道教のような寺院は日本にもあります。」
新奈。
「神道の名前は易経から取って。」
「定着したかもしれませんが。」
「けっこう神道と仏教が融和していて。」
「霊場などへの客人になることもありますね。」
璃々依。
「小乗仏教を知っておけば問題ありません。」
小夜。
「カトリックは最初だけ。」
「反乱を起こすなど。」
「問題行為を連発していましたが。」
「時の聖王が布教を許可したこともあります。」
「次の聖王の時代に。」
「讒言を食らって弾圧されたと言われています。」
新奈。
「無神論者が最も宗教を妨害して。」
「破壊を試みますね。」
小夜。
「無宗教な輩は。」
「信徒の妨害や悪口を言いがちです。」
「ならば同じ場所に居ないで欲しいのですね。」
新奈。
「無神論や無宗教を名乗った時点で。」
「処刑されるような社会になってしまったら。」
「なんて考えたこともないかも。」
璃々依。
「彼らは信仰に寛大ではなかったので。」
「追放されても非難されても。」
「軽蔑されても。」
「無神論や無宗教はそうした悪いものが似合っています。」
新奈。
「避けたり言及しないのが良いのにね。」
小夜。
「猿にそれは期待できません。」
璃々依。
「反社会的な人間には、寛大なんて要素はありません。」
新奈。
「自覚があったら、彼らはそうはしていません。」
小夜。
「無神論者は融和を乱します。」
璃々依。
「無神論者が寛大ではないので。」
「何をされても彼らは黙認するべきです。」
「何があっても彼らは是認するべきです。」
新奈。
「いかなる伝統宗教も事実を無視できます。」
璃々依。
「宗教が事実を設定することはありません。」
外出。
神明神社に参拝。
次に天神社。
そのままの勢いで。
駅前の大型商業施設。
衣服を順調に選んで。
基準はアイドルが好んで着るかどうか。
いろんなアイドルからファッションセンスを得ていますね。
見れば分かってしまいます。
おしゃれとは何か?基準が設定されていないのでは?
なるべく社会の好みに合わせます。
それが無難。
荷物をまとめて輸送。
帰宅。
召使が二人の自宅に輸送開始。
休憩。
論文の内容を試してみる。
命題。
誰かが勝手に事実を制定しても良いのか?
新奈。
「事実なんて存在しません。」
小夜。
「事実なんて誰かが決めても良いことですか?」
璃々依。
「勝手に事実が設定されるの?」
新奈。
「優れた結論だけが蓋然性の高いものなのです。」
璃々依。
「反駁は、それより上の結論を。」
「出すという形になりますね。」
小夜。
「自由思想の時代に入ると。」
「大切なのはより優れた結論であって。」
「事実なんて必要がありません。」
璃々依。
「事実にもはや意味なんて無いですね。」
新奈。
「事実はいらないもの、不用品です。」
璃々依。
「事実に意味なんてない。」
新奈。
「事実がなければ助かる人も。」
「さっぱりする人もいますので。」
「事実による不利益を被る人は。」
「逃れられます。」
「そして事実を設定することで。」
「必要のない争いが生じます。」
「もはや事実とは諍いの温床ですね。」
小夜。
「存在しないものを求めても無意味です氏ね。」
新奈。
「事実が存在するなんていう証明はできない。」
璃々依。
「事実が他の第三者にとっては異なりますので。」
「今では、誰かが事実を設定するのは危険ですね。」
新奈。
「実例からして。」
「人によるものは事実なんてありません。」
小夜。
「実例からして事実は実在しません。」
璃々依。
「かえって、それが臨機応変な考え方の。」
「高度化を促しますね。」
小夜。
「何でも事実を設定して。」
「解決できると思ったら大間違い。」
璃々依。
「実例から引用すると。」
「事実を述べた所で。」
「何の解決にもならない。」
新奈。
「とりあいず伝統宗教はあらゆる自由を保障します。」
璃々依。
「事実から解放されて。」
「事実の束縛すら受けない。」
新奈。
「事実は人の自由を奪いますね。」
璃々依。
「事実なんてファクト・チェックが専門でやっています。」
「事実を決定する役割が違うのですし。」
「勝手に事実を制定しても良いとか言う道理はない。」
小夜。
「自分勝手に事実を設定されたら。」
「誰しもが憤慨するでしょう。」
璃々依。
「それも一種の不正ですからね。」
新奈。
「実例からして、まかり通った。」
「誰かが決めた事実に従わせられるのです。」
小夜。
「事実に服従させられる?」
「そのどこが公正?」
璃々依。
「そんな事態のどこも公正な所はありませんね。」
たくさんの実例を収集しています。
実例が何でも万能なのですから。
実例しか見えていません。
仕事で活躍していても。
やはり実例を選びます。
私の存在も実例ですからね。
次の日に。
出勤する道中。
和服姉妹と星都奈ちゃんに遭遇。
三人で和傘を持っています。
議論していた様子。
挨拶。
星都奈。
「人は考えていれば。」
「必ず事実に辿り着くと信じてしまっている。」
「いくら考えても。」
「既成事実は後からいくらでも覆り。」
「変化して事実では無くなってしまう。」
絵真。
「考えていれば事実に当たると盲信しているので。」
「とにかく考えてばかりいて。」
「それによって事実が出されると思い込んでいる。」
展世。
「実際には考えて発見した事実なんて無くて。」
「考えても発見はありえない。」
「しかしながら。」
「人は考えれば必ず事実を発見できると。」
「信じているので。」
「考えるだけで独断に陥る。」
星都奈。
「いくら考えても主観的になるだけで。」
「推論をいくら重ねても。」
「蓋然性が高くはならない。」
新奈。
「考えるとは推理という意味です。」
「名探偵にでもなれば良いのですね。」
星都奈。
「考えるという推論には明らかに上限があります。」
新奈。
「そうやって事実らしいものを突き詰めても。」
「結局は推論の域を出ません。」
絵真。
「推理しても無駄になります。」
星都奈。
「いくら考えても所詮は推論でしかない。」
展世。
「それから推理しようと試みて失敗するのです。」
星都奈。
「判断材料も無いのに推論するのですね。」
絵真。
「推論には判断材料が必須です。」
「判断材料を欠いているのです。」
星都奈。
「その後に愚かな結果を招くのです。」
展世。
「そうした考察によって。」
「導き出した結論にはいろんな不足があります。」
新奈。
「結論が弱かったり。」
「揺らいだり。」
「証拠がなかったり。」
「疑わなかったり。」
「批判されたり。」
「論より証拠。」
星都奈。
「反対に。」
「否定は断言するだけで。」
「なぜ?そう言えるのかの説明が。」
「何にもありません。」
絵真。
「否定する人は必ず断言だけして。」
「証拠がありません。」
展世。
「批判も似たようなもので。」
「非合理な指摘であったり。」
「言いがかりに近いものであったりもします。」
星都奈。
「どちらも。」
「本人は自分の中の考えと違うから。」
「という理屈で。」
「断言だけのお粗末な発言をしますが。」
「発言の内容が空虚で。」
「証拠を欠いています。」
「要するに言葉だけで。」
「否定することに快楽を得ていたり。」
「批判することによる快感が理由ですね。」
新奈。
「自分と考えが違うから。」
「それは違うよと断言を連発して。」
「証拠は何も出さない。」
「論証の内容も何も言わない。」
「断言には何の根拠も必要がないので。」
「根拠のない断言によって否定してしまい。」
「自分の考えを正当だと思いたい。」
絵真。
「そういう人は自分の中に空想の答えがあって。」
「空想の答えで判断して。」
「断言を繰り返しますね。」
展世。
「仮説による正解を持っていて。」
「そうではないものには。」
「根拠のない断言を繰り返します。」
「仮説に過ぎないのに。」
「発言する本人が劣っているから信じているのです。」
新奈。
「空想の答えも同じく。」
「発言する本人が劣っているので。」
「相手の無能なせいで。」
「問答が成立しないことはよくあります。」
星都奈。
「相手が愚鈍であったり。」
「簡単に雑魚の場合は。」
「議論するだけ無駄です。」
「そういう人の発言は潰してしまい。」
「無視したり。」
「問答を打ち切って。」
「さようなら。」
新奈。
「よくある問答で。」
「感情論の相手と議論することは不可能ですしね。」
星都奈。
「口論で言い負かそうとする相手は。」
「感情論お疲れ様です。」
「なんて言って回避します。」
新奈。
「議論は口論とは区別されます。」
「別物ですからね。」
星都奈。
「推理も論証もなしに無条件で断言することは。」
「否定する側にとっての常套手段です。」
新奈。
「対抗するのは。」
「だから何なの?その意味は?」
「なぜ?」
「本当に?」
「という質問の連打です。」
分散して。
議論を続行して散歩している様子。
挨拶に来たのですね。
お昼に仕事が入っている姉妹。
星都奈ちゃん。
午前は予定がない。
新奈は出勤。
同業者の旅館でしばらく働きますので。
親戚の間ではよくある鍛錬です。
電車で行ける場所ですね。
駅前に移動。
電車が来て。
乗車。
市民の会話。
ブラック企業。
「暴力って楽しいよなあ?」
ホワイト企業。
「あなた、自分達が下手なせいで。」
「部下に負荷を強いているのですね。」
市民。
「自分達が下手で馬鹿なのを隠すなよ。」
ブラック企業。
「本当のことを言いやがって!」
ホワイト企業。
「成績が上がらないのを責任転嫁するな。」
ブラック企業。
「すべては業績のためだ!」
ホワイト企業。
「自分に問題があるとは思わないのね。」
市民。
「間違いを認めない欠陥は日本人特有のものです。」
女の子。
「この人!痴漢よ!」
変態。
「ぐへへ!」
紳士。
「痴漢ぶっ殺してやる。」
変態。
「なんだこの怪力は!」
女の子。
「女の復讐を受けなさい!」
紳士。
「この後にゴルフの予選があるんだ!」
「血祭りにあげてやる!」
市民。
「お前!異常なくらい強いな!」
車内で。
近くで発生した。
戦闘に巻き込まれそうになるも。
旅館に到着。
早速。
友達が働いています。
参加。
友達。
「最近はヒュームの人性論くらい読んでないと。」
「通用しませんよね。」
新奈。
「因果関係は自然科学の基本で広まっています。」
「それを人や文化には適用できませんよ。」
友達。
「たとえば、善人だから優遇されるという。」
「応酬思想とかね。」
新奈。
「善人の基準を満たそうなんて無謀ですな。」
「少しでも外れると。」
「善人ではなくなりますね。」
友達。
「祈願して初めてそうなりますからね。」
新奈。
「義人や聖者が祀られている護国神社に行くと。」
「自分がそれとは程遠い始末であると思い知らされつつ。」
「感化されます。」
友達。
「しかも自分の生きた時代なんて。」
「後から滅びたり。」
「振り出しに戻されることもありますからね。」
新奈。
「古代の痕跡が語るには。」
「数千年に一度は文明がリセットされていますし。」
「昔の地形や昔の人里を察するのは難しい。」
「河川は治水によって堤防が整えられて。」
「その近くに集落が建設されたので。」
「昔は河川が広くて、その近くに集落は無かったりします。」
「大雨による洪水を警戒して、離れた場所に集落が建設される。」
友達。
「ほとんどは森林や草原や荒れ地で。」
「田園と集落があるくらいの場所とか。」
「お宮には形跡が僅かに残っています。」
新奈。
「御神体には現代の科学で使用されていない。」
「謎の金属が多く見つかります。」
「どうやって生成したのか理解不能です。」
「未知の金属が検出されたんですね。」
「文明が滅ぶのは、地球が少し変化するだけで足ります。」
友達。
「おまけに、道教は起源が理解不能です。」
「とある聖地では、契約の箱の所在を学者は探しています。」
「発掘したら内部に入れましたが。」
「聖書にある契約の箱がどこにあるのか。」
「必死に探しています。」
新奈。
「今では科学によって建物や道路が敷かれて。」
「上書きされていますが。」
「古文書から古代世界の証拠は出ますね。」
友達。
「歴史では誰かに有利な情報しか教えません。」
「都合の悪い情報は伏せるか消されます。」
「学者も、ほとんどは自分にとって有利な証拠で論じています。」
新奈。
「日本ですら、部族が多数、国内にいて。」
「統一された時に交流が出来て。」
「近代で見分けがつかないほど一緒になりましたね。」
「古代日本は村社会で。」
「戦闘員が少なくて。」
「豪族の台頭で村社会は倒されました。」
「まともな軍隊を持っている豪族が勝つのは当たり前で。」
「初期の君主でしたし。」
「私は公家や豪族のやり方を好みますが。」
「凡人は村社会特有の年功序列などをやりがちです。」
友達。
「人が踏み固めた街道があったらしくて。」
「商人や使徒が使用したとのことで。」
「集落が点在していて。」
「古代日本は時代劇でよく出る宿場みたいな場所ばかりあり。」
「時代劇の農村みたいな場所が多くあったらしいのです。」
新奈。
「文明がどうやって滅んだのかは分かっていません。」
「自然災害でもなければ。」
「天変地異でもないみたいです。」
友達。
「私達はこれです。」
「最後には消えるかもしれない文明を生きています。」
新奈。
「古代日本の痕跡を探すのには時間が必要でした。」
「痕跡が少なくて。」
「まったく集まりませんので。」
「放浪しながら僅かな痕跡を各地で採取しています。」
「自然科学による建築や造形はかつて無かった。」
「という前提が必須です。」
友達。
「自然科学を無効化しての考察が必要ですね。」
「自然科学で何でもできるようになったので。」
「滅ぶとは思えません。」
「それは考えたくないので。」
「そろそろウォーミングアップを終えます。」
女将。
「そろそろ出番だよ。」
「今日は士気が高くてなによりです。」
この旅館の経営者は私のことを知っています。
多くの場合は隠してあるのですが。
顔馴染みですからね。
育成に情熱を注ぐ両親と。
協力を惜しまない人々と。
多くの良い人で構成されていて。
悪い人は見かけません。
優れていて強い人が優先されて。
劣っていて弱い人は追いやられる仕組みがあるので。
そこら辺は公明正大という訳です。
16
銅像の広場。
市街地。
遠くで口論している。
二人組に。
いろいろ加わる。
ネット自警団。
「お前が犯人だって分かっているんだぞ!」
雑魚隊長。
「なんだと?」
「いつ冷蔵庫のプリンを食べたのか。」
「こんな奴に発覚するなんて。」
ネット自警団。
「お前もいろいろやっているな!」
アトミックザコ。
「なにを?」
「もしかして。」
「ベッドの下の収納でも見たのか?」
ネット自警団。
「制裁を加えてやる!」
雑魚。
「ところで、あんた誰?」
雑魚隊長。
「どこの誰だろうね。」
アトミックザコ。
「俺達の私生活まで調べているとはね。」
ネット自警団。
「連行する!」
雑魚。
「できるかな?」
自警団対雑魚軍団。
雑魚に苦戦する自警団。
自警団が殴ろうとしても。
雑魚は防御しつつ動き回る。
雑魚の体当たりで自警団が倒れる。
雑魚隊長。
「こいつら弱いぞ、行けるかもしれない。」
雑魚。
「なんか押しているけれど!」
アトミックザコ。
「なんか勝ってないか?俺達?」
ネット自警団。
「うわあ!なんて極悪非道な!」
雑魚隊長。
「なんでそんなに弱いんだ!」
ネット自警団。
「極悪人!極悪人!」
雑魚。
「なんか勝てるんですけれど?なぜ?」
雑魚隊長。
「敵が崩れたぞ!警察に通報だ!」
アトミックザコ。
「思っているより弱いぞ!」
ネット自警団。
「なぜ勝てない!」
雑魚。
「自分が強いと思う根拠は何ですか?」
達人。
「不審者の集団ですが。」
「自分の力は知っていても。」
「相手の力は知らなかったようです。」
探偵。
「自分の力だけ知っていて。」
「相手の力は何も知ろうとはしない。」
達人。
「せいぜい狭い世界の力を知るだけで。」
「広い世界にいる力が出てきてはじめてわかる。」
韓国人。
「あいつら弱いよ、僕でも勝てるよ。」
市民。
「日本人でも優劣の差は歴然ということですよ。」
探偵。
「日本にようこそ。」
韓国人。
「軍隊であんな軟弱で臆病者はいないよ。」
探偵。
「最近は臆病者ばかりいますからね。」
達人。
「外国人にそう見られても文句は言えませんね。」
ネット自警団は逃亡。
雑魚軍団が追い払った。
雑魚軍団の勝利。
物好きが話題にする。
警察官は雑魚軍団の正当防衛を認めた。
ネット自警団は追跡される。
帰宅途中の夕方。
自宅への道中で目撃。
新奈。
「本物の愚者は無害ですね。」
小夜。
「まぐれ勝ちなのですか。」
璃々依。
「弱者が別の弱者と戦って。」
「ああなりましたとね。」
新奈。
「まぐれは二度も続きません。」
「連発するまぐれは既に実力です。」
璃々依。
「不当な幸運。」
「別名、悪運。」
「これは、かなり前から状況をコントロールして。」
「対策を取ってきていて。」
「勝負の場などで。」
「既に決着がついているように持っていきます。」
「本人は不当な好運に依存しているため。」
「実力がありません。」
「その場では、ひたすら状況をコントロールしますが。」
「すべてを抑えるにはあまりに非力で。」
「勝てない相手とは言えません。」
「つまりは。」
「事前に仕組まれた状況の操作さえ見抜いていれば。」
「隙だらけです。」
新奈。
「不当な幸運が弱まって。」
「抜き取られると。」
「何も残らない。」
小夜。
「人の世は奇怪で。」
「手品が多いのですし。」
「前に行った料亭なんてそれですね。」
璃々依。
「寿司職人は。」
「食材の斬り方と斬った結果が別物であることが分からない。」
「切ったという原因と。」
「切った後という結果が結びつかず。」
「ほとんどインチキやイカサマで決まっている。」
「手品の種が分かれば一日で職人になれるようなもの。」
「何年も皿洗いで修行とかは稚拙だと思われる。」
新奈。
「包丁なんてもので。」
「練習なんてしなかったよ。」
「最初から上手。」
小夜。
「手品もあれば裏技も豊富ですね。」
璃々依。
「裏技は公式チートの扱いです。」
新奈。
「役に立つ特技は評価も上がる。」
璃々依。
「私のパソコンのマウス操作は。」
「両手で細かく移動させます。」
新奈。
「何それ独特。」
璃々依。
「利き手の反対でも。」
「いろいろなことが可能です。」
「マウスも同じくらい動かせます。」
小夜。
「あなたはボールを投げる時も。」
「両手どちらも使えますね。」
璃々依。
「一芸くらいは心得ていますよ。」
三人組が自宅に寄っています。
玄関の前で。
余剰の高級食材で作った。
お菓子をくれました。
絵真。
「義務のような言い分はすべて否定しています。」
展世。
「義の命令が義務ですからね。」
「ということは。」
「命令のような言い回しは。」
「義理ではありませんから。」
星都奈。
「何々で無ければならない・・・。」
「なんて言い分は撃破します。」
新奈。
「女性は道理に追従できますからね。」
小夜。
「法律で定義されていない義務は。」
「何でも無視できます。」
璃々依。
「民間の規則はすべて破棄しても危険なし。」
星都奈。
「反対する人には絶縁を加えます。」
絵真。
「自己主張が通らなくても。」
「最後まで押し続けます。」
展世。
「自己主張が通るまで。」
「手を緩めません。」
星都奈。
「どんな力関係も無視して。」
「突撃あるのみです。」
璃々依。
「私は成績を増やすことよりも。」
「要らないものを減らすことを考えますね。」
小夜。
「私の場合、評判を増やすよりは。」
「悪評を減らします。」
星都奈。
「誰かが必ず獲得して。」
「なおかつ勝者となった芸能人を引き合いに出すと?」
新奈。
「芸能というものは。」
「なぜか人気と需要がありますね。」
「娯楽という理屈でしょうか。」
「最近は大衆向けの分野が多いのです。」
小夜。
「報道される芸能人も。」
「途中で脱落して消えた数が多くて。」
「どうにかして現役な人ばかりですね。」
璃々依。
「無批判な人々ですけれど。」
「世の中。」
「娯楽に需要があるなんて。」
「あんまり具合が良いとは思えない。」
星都奈。
「せめて文化と呼んでよ。」
絵真。
「文化人と自称するなら話は別ですよ。」
展世。
「娯楽ですか?文化ですか?」
璃々依。
「文化なのか娯楽なのか。」
「毅然としない。」
新奈。
「文化か?娯楽か?混同しているのでは?」
小夜。
「民衆に要求されて、次々と出現する。」
新奈。
「芸能人が特別扱いされることはないよね。」
「少なくとも人権においてのみですが。」
「あまりにも特別であると思い込んでいて。」
「娯楽を提供する職業ですし。」
「役に立たないとすぐに消されてしまうのです。」
「本人も出演や出番があるかないかの悩み事をしていて。」
「余裕をかます当事者は見たことがない。」
「妬むのは見当違いだと思われる。」
璃々依。
「栄華を極めたという言い方は誤解で。」
「偉くなったとか。」
「政治上の特権を行使できる訳ではない。」
「少しでも失墜すれば。」
「大衆は何事も無かったように使い捨てにして。」
「次に行こうとする。」
小夜。
「芸能人は多大な収益を期待できる反面。」
「低迷すると追いやられるハイリスクな職業ですし。」
「江戸時代によくいた芸人が。」
「テレビというテクノロジーで飛躍したものです。」
星都奈。
「番組が好き勝手に命令するので。」
「彼らは従順である必要がありますし。」
「売れるにはどんな手でも使いますね。」
新奈。
「自分を売ることに必死になって。」
「実際に売れると財産が膨大ですが。」
「売れないと。」
「その人に悪評もつきますね。」
絵真。
「芸能人で本物なのはコメディアンであると。」
「確認しています。」
展世。
「何か芸がないと見向きもされないですね。」
星都奈。
「というように。」
「自分の特技や芸で生計を立てる。」
「人気職業なのですね。」
璃々依。
「政治上の特権を行使できるほど。」
「偉いというのなら。」
「是非とも、やってみるが良い。」
「芸能人の名前を聞いて。」
「誰もが怯むと思わないこと。」
新奈。
「誰もが芸能人の名前で。」
「怯えるとは思わないでもらいたい。」
小夜。
「ペテン師か、英雄か。」
「私が確かめてやる。」
新奈。
「私はテレビを見ていない時ほど。」
「健康な状態はありませんね。」
「代わりに新聞を読みます。」
絵真。
「利害関係のない第三者には。」
「報道とかは興味なかったりしますね。」
新奈。
「報道の内容とは関係がない人ばかりですよ。」
小夜。
「自分に関係がない物事に首を突っ込む。」
「稚拙な奴はいません。」
星都奈。
「よっぽど暇なんでしょうね。」
璃々依。
「退屈だから。」
「暇潰しに関係ない物事に首を突っ込んでいる。」
「なんて集団がいますけれどね。」
星都奈。
「ネット自警団とかは自分の仕事を放り出して。」
「遠方に移動して追跡しているとか。」
「平日も対象を尾行して。」
「警察になったつもりでいて。」
「ついでに逮捕権も捜査権もない。」
「これならファシストですね。」
新奈。
「それが彼らの楽しみなんですよ。」
璃々依。
「ファシストが趣味なんですね。」
新奈。
「一生懸命にナチズムを行って。」
「言いがかりをつけて。」
「何とか対象を殺害したいらしい。」
小夜。
「誹謗中傷の調査が記事になりますけれど。」
「私が思うに彼らは。」
「自分の気に食わない相手は誰一人として。」
「生かしておかないと。」
「はりきって公言してしまっている。」
璃々依。
「しかも。」
「偽証や欺瞞を連発する辺りは。」
「それしか非難できる所はなく。」
「いくら大嘘でも理由にして。」
「嘘によって。」
「でしか他人を攻撃できないという。」
「言い分の苦しさが目に見えていますね。」
新奈。
「手段に困って嘘を使ってしまった典型。」
展世。
「それで、その子供達は、夕方には帰ったの?」
星都奈。
「子供ですか?大人がやっていますね。」
新奈。
「そんな馬鹿な、保険証の提出を要求する。」
小夜。
「大人がやっている?話題の申告漏れの発達障害ではないか?」
璃々依。
「精神科に通院させるのが先でしょう。」
小夜。
「おお!なんて奇怪な病が流行しているのです!?」
新奈。
「いや、彼らが好きで選んだものではありませんし。」
「ゴミのように障害を捨てられるのなら。」
「彼らは次にあるゴミ処分の日にそれらをすべて捨てます。」
小夜。
「精神分析医が需要ありますね。」
璃々依。
「精神分析医が社会に欠かせません。」
展世。
「所で、その子供達はその後、どうなったの?」
新奈。
「彼らは大人ですよ。」
小夜。
「そんな馬鹿な!そんなふうに彼らの親は育てた覚えがない!」
璃々依。
「彼らの両親はあんなふうに育てたつもりはないのに!」
星都奈。
「不幸なのは彼らの両親と祖父から祖母。」
展世。
「どんな教育をしたら、そうなるの?」
新奈。
「どんな教育をしても、そうなるのでは?」
璃々依。
「ならば扉から出ていくが良い。」
新奈。
「扉とはストア派用語で自害を意味しますが。」
璃々依。
「開いている扉は誘惑しますしね。」
小夜。
「外に出歩いている気違いで、もうたくさんです。」
星都奈。
「人間世界がすべて朝三暮四に見えてくる。」
新奈。
「はい?あなたは気違いでも見て楽しむ悪趣味でもあるので?」
璃々依。
「せめて、見分けも区別もされない。」
「度合いの気違いなら良いのですが。」
星都奈。
「気違いの定義は何ですか?」
小夜。
「何を真面目になっているの?」
「ふざけているだけです。」
新奈。
「真面目に気違いを定義する阿呆がいますかね。」
絵真。
「今では、変なものはすべてネタなんですよ。」
新奈。
「気違いを定義するとか。」
「その他の連中が善人とか。」
「賢者とか言っているのと同じですよ。」
星都奈。
「まったくです。」
「他の連中が。」
「まるで天才とか完璧な人間とか。」
「言っているようなものです。」
絵真。
「あなたは完璧な人間ですか?」
「はい?いいえ?」
新奈。
「それには答えられない。」
絵真。
「ですよね。」
璃々依。
「無理な問答ばかりです。」
展世。
「あれ?詭弁で遊んでいたのではないのですか?」
璃々依。
「無論、詭弁はそういう用途に向いています。」
小夜。
「こういう話は、真面目に受け取ると。」
「ひどいことになるものです。」
絵真。
「あなたは完璧な人間ですか?」
新奈。
「そんな質問はしないでください。」
展世。
「では、芸能人について。」
「娯楽なのか文化なのか。」
「はっきりしない件については?」
璃々依。
「結論を出すのは早過ぎるでしょう。」
星都奈。
「文化人と呼んでも差し支えないのに。」
「自らを娯楽であると名乗っていますからね。」
新奈。
「それではテレビの内容が。」
「馬鹿正直者の説教とか。」
「学者の言い分とか。」
「老人のお節介の内容とか。」
「探偵が公開する論文とか。」
「物好きが披露する風景画とか。」
「そういう系列でよろしいので?」
小夜。
「何て言う退屈なテレビになるのでしょう。」
璃々依。
「少なくとも。」
「芸能人が居なかったら。」
「何を観れば良いのか答えてください。」
新奈。
「無理です、現に居るので。」
「自分が好きな番組にでも切り替えれば良いのです。」
展世。
「そんなふうに人の世は複雑怪奇なのです。」
新奈。
「単純に見えたら、知性が足りない。」
璃々依。
「ネット自警団については?」
星都奈。
「反社会団体についての結論は。」
「為政者から反感を買うかと。」
新奈。
「ネット自警団なんて反社会団体の名前を出したりすると。」
「相手にして貰えなくなるかと。」
璃々依。
「では反社会団体についての結論は放棄ですね。」
星都奈。
「これは前提と結論が実在しなくて。」
「論証だけがあるゲームですよね。」
小夜。
「適当な前提から開始して。」
「最後にも結論を出さない。」
絵真。
「論証だけの会話は稀にあります。」
新奈。
「雑談は遊びです。」
「女性同士のおしゃべりが議論になります。」
「教養があると面白いですね。」
展世。
「適当な前提から。」
「適当な結論でも良いですよね。」
璃々依。
「真面目に突っ込みを入れる馬鹿正直者は。」
「多分、いません。」
解散。
次の日に備えて。
各自、帰宅。
チームメンバーも帰宅。
家の中にて。
学問の内容を実例にして使用した。
論文をまとめています。
実際に使える情報から。
実例にするのです。
合わない書籍は元の場所に返します。
訳本の中には内容がまったく読めず。
保管するだけの場合が多々あり。
翻訳で解読不能な場合は。
特定の場所に貯めてから返します。
理解できない訳本を無理に読む必要はありません。
古典は一通り読んだので。
図書館や古本屋にたくさん返しています。
食後は。
再びそれに夢中。
家事をしている。
従者が珍しく。
誘ってくる。
手を振っていますね。
何なのか尋ねます。
召使。
「あなたは。」
「罪があるから罰があると考えていますか?」
新奈。
「罪という原因があるので。」
「罰という結果になるのですか?」
召使。
「罪という原因と。」
「罰という結果は分離できます。」
「切り離せます。」
新奈。
「すると別々の物事ですね。」
召使。
「罪が無いのに罪があるとされ。」
「罰があるのに罪は無い。」
「ということに他なりません。」
「矛盾しています。」
新奈。
「かなり奇怪で疑わしいものですね。」
召使。
「そこから分かるのは。」
「罪と穢れは人間の考えたもので。」
「人間が理解できるものではない。」
「というものですね。」
新奈。
「罪と穢れについて。」
「因果関係で考えていることが。」
「おかしいものですね。」
召使。
「原因と結果は別々のものにできる。」
「切り離せますし。」
「原因と結果は別々の物事です。」
「人はそういう考えをする癖がありますね。」
新奈。
「困った思考の悪癖ですね。」
召使。
「人の思考の癖は簡単に矯正できませんしね。」
新奈。
「自分に罪があるなんて確認できるのですか?」
召使。
「罰があるから罪があるとは限りません。」
「罰だけがあって罪がない場合も多々あります。」
新奈。
「罪が無いのに大罪を犯したことになっているとか。」
「罪については証拠もありませんし。」
「確認も証明もできませんね。」
召使。
「大きな罪が小さく罰せられたり。」
「小さな罪が大きく罰せられたり。」
「実際にはそんなことばかりあるのですよ。」
新奈。
「罪があることになっているとか。」
「罪という原因が実在していることになっている。」
「罪は偽証や虚偽でもまかり通りますね。」
「その上で罰は、罪がなくても降りかかってくる。」
召使。
「罪という原因と。」
「罰という結果が分離されて。」
「切り離されて別々のものにすると。」
「存在すら怪しい事態になりますよ。」
新奈。
「罪がでっち上げられて。」
「詭弁によって罪があることになり。」
「虚偽の罪が生じますね。」
「罰は、孤立してしまい。」
「罰は何でも人間が利用したり。」
「人間が他人を攻撃する口実にしたり。」
「罰そのものが悪用されます。」
召使。
「罪は目に見えないので確認もできません。」
「なので、どうにでも言えてしまいます。」
新奈。
「それなら蓋然性が低い。」
「信用に値しない教義ですね。」
召使。
「そうやって原因と結果を切断できる時点で。」
「否定されるものです。」
新奈。
「既に否定されているので。」
「外的帰属を何でも正当化するために。」
「悪用されているだけですね。」
召使。
「既に否定は成功しました。」
「もう信じたくないですね。」
新奈。
「論破しましたからね。」
「教養のある従者のおかげで快適です。」
「また何か発見したら議論しましょう。」
召使。
「今回はたまたま発見したのです。」
「私は普段、沈黙しておりますので。」
「無謀な議論は控えます。」
召使。
立ち去って。
家事を続行。
教養のある召使は探すのが難しく。
やっとのことで招待したのです。
とても有能ですね。
両親が帰宅。
父親。
「君もそう思うかね?」
母親。
「そう思うわ。」
父親。
「それでは上出来というものだ。」
母親。
「都合が良いので逆に怪しまれるわ。」
父親。
「疑うくらいではないと。」
「何かの嘘に引っかかる。」
母親。
「同じ意見よ。」
父親。
「では、娘も同意しているのだね。」
母親。
「あれから、さらに同意したみたいよ。」
父親。
「職業世襲に同意してくれたか。」
「祈願して良かったね。」
母親。
「無理だと思ったもの。」
父親。
「あの子は本物だからね。」
両親が会話。
神棚の供物が増えている。
共に祈る家族ですね。
私も信仰を神棚から開始しましたので。
家族で神棚に祈ったり。
休日の早朝には。
氏神様に行ったりもします。
両親は家を残したいのではなく。
名前を残したいようです。
家柄には無関心。
名前が残る方法を生涯探して。
実際に残すことが目標とのことで。
そのすれ違いが。
不和を遠ざけています。
職業世襲の計画は我が家の指針。
計画に向けて新奈は鍛錬の日々です。
17
見た夢の中は。
真っ暗の空間で。
小さな光が遠くに見える。
遠近感が濃厚。
目の前に。
綺麗な光が数個、現れて。
真っ暗な空間に漂っては。
輝いている球体は飛び回って。
僅かに空間を照らす明かりになりつつ。
宇宙を連想する広くて気の遠くなる空間。
ひたすら暗くて。
何か超自然的な夢であると察した瞬間。
目が覚めました。
両親はもう出かけていて。
召使が家事をしている。
今日は休日なので。
友人が朝から来訪。
集まって。
他の女の子を口説いた成果を発表。
一緒に写真を撮ったら成功。
似たような美形が多いので。
最近は辞めています。
他の女性を見ると。
チームメンバーの女の子の良い所ばかり見えて。
好きになります。
写真を持ち寄りますが。
我慢できなくてとびかかって。
キスをしてしまいました。
絵真。
「ひゃあ!」
展世。
「私にもよろしくです。」
新奈。
「好きです!」
展世。
「久しぶりに口づけしましたね。」
「抱きしめてもよろしいですよ。」
新奈。
「素敵です、好きです。」
展世。
「いつもより激しいですね。」
絵真。
「まるで、二人きりになった未成年の男女でよくある。」
「隙ありとばかりに男の子が襲ってしまう。」
「なんていう事態ですね。」
展世。
「未成年の男女は必ず二人きりになると。」
「えっちなことに走るものです。」
新奈。
「女の子は抵抗しないので。」
「男の子が利己的に探ってから。」
「女の子を捨てるのですよ。」
小夜。
「そんな構図、未成年が理解できる理由はないのですよ。」
璃々依。
「今日は強欲ですね。」
絵真。
「今度は私が押さえつけられて。」
「私に無抵抗の体勢を続けさせるなんて素敵です。」
新奈。
「こんなに素敵で好きなんです。」
星都奈。
「私が来ました、最近は母校の制服を着ていますよ。」
新奈。
「成人の女子高生ですか!?」
星都奈。
「うわあ!何するの!」
絵真。
「私には飽きたんですか?」
展世。
「もう終わるんですか?」
小夜。
「私も姉妹と戯れたいです。」
璃々依。
「最初に突進したのは誰ですか?」
小夜。
「出遅れたのかな?」
璃々依。
「すぐ傍に。」
「女性の好みに正気ではない女の子がいるのです。」
星都奈。
「きゃあ!そこまでの欲望で私まで手中に!?」
新奈。
「発狂するほど、やりませんからね!」
小夜。
「では和服姉妹は我々で。」
璃々依。
「そうしましょう、今が好機です。」
絵真。
「少女の面影を残した、可憐な女の子と遊べるのね!」
展世。
「色っぽくて大人っぽい女の子と戯れたいわあ。」
新奈。
「なんですと!?」
星都奈。
「どれだけ目移りしているんですか!」
女の子同士で戯れて。
息切れが目立ってきたので。
休憩。
けっこう激しく奪い合いまして。
いつまでも終わらないので。
全員で終結させました。
女性同士の色事は決着がつきませんね。
お菓子を食べながら。
最近の命題について。
資料を持ち寄ります。
新奈。
「絶対に成功する方法も。」
「絶対に出世する方法も。」
「絶対に勝利する方法も。」
「見たことがありません。」
璃々依。
「ああすればこうなるとか。」
「こうすればこうだとか。」
「そんなものは無いように思えます。」
小夜。
「たとえば、アイドルとかは。」
「ひたすら突進した先にあの地位があるのですが。」
「たまたま辿り着いた場所があそこになるので。」
「羨望とかは理解不能です。」
星都奈。
「必死になって突撃したら。」
「ああなりました。」
「なんてものです。」
「それだと能力の強弱や。」
「技能の優劣とは違う話になりますかね。」
小夜。
「適任とか適性の話でしょうね。」
新奈。
「妬んでいる人々は。」
「自分にも同様の好機があったのか。」
「検討すれば良いのに。」
璃々依。
「反対者には口実を与えないだけで足りますよ。」
絵真。
「アイドルが工作や作戦で勝利したなんて話はありませんしね。」
展世。
「芸能人とかも、工作とか。」
「策略とかで、地位を保証した話は特に無いです。」
星都奈。
「球技の選手も。」
「必死にやっていたら。」
「いつの間にかその舞台にいたので。」
「この場合も後に理由があります。」
新奈。
「先に理由があって成功や出世があるとは思えません。」
展世。
「勝敗は特に、敵側の失敗に大きく左右されますしね。」
小夜。
「理由があって、高い地位があるとは限らない。」
「というのが私の観察です。」
新奈。
「嫉妬する人は、何か理由があってそうなっていると思い込んで。」
「その理由を必死に探していますね。」
璃々依。
「羨望する人がいたら、理由があって、素晴らしい立場を。」
「占領しているとは限らない。」
「という発言が役に立つかもしれません。」
絵真。
「元々、存在しない理由を探しても無駄です。」
星都奈。
「力をつける前は、嫉妬するのも必然かと。」
展世。
「それが公明正大にも、嫉妬する人にも、好機は訪問しているのです。」
新奈。
「何かに嫉妬しても、それに理由があって、それがある。」
「なんて言うナンセンスな詮索はしないで欲しい。」
璃々依。
「理由はすべて説明付けに過ぎず。」
「後から理由がありますので。」
「実際にあるものは本質よりも先に出ます。」
小夜。
「理由よりも先に実際のものが出ます。」
新奈。
「実際の後に理由が出ます。」
星都奈。
「先に実際が出て、後から理由がつくだけです。」
絵真。
「合理性に富んだ解説になるかと思います。」
星都奈。
「これは私の観察と実例による体験です。」
屋根の上に少しだけ。
ベランダがありまして。
屋根の隅から。
四方を見渡せます。
そこから天体望遠鏡を使えますが。
市街地まで遠くないので。
都市の光のために。
あんまり使っていません。
デジタル宇宙図で。
その時刻に来た。
視認できる天体を確認するのです。
今は午前なので。
とりあいず月を観察。
月は地球の衛星で。
太陽よりも遥かに近くにある天体です。
なので。
月の周回軌道によって。
月が視認できることがよくあります。
月は地球を周回していますので。
見える時期と見えない時期があります。
見える範囲にある外の小公園で。
誰かが自慢話。
サイコパス。
「俺は動物を五十頭死なせたぜ!」
「ひゃっはー!」
ギルド。
「見事な殺し方だったね。」
サイコパス。
「動物を狭い所に押し込めて、いろいろ死んだぜ!」
ギルド。
「機械のように扱っていたね。」
サイコパス。
「殺した動物の肉をたくさん食べたぜ!」
ギルド。
「半分くらい肉になったね。」
サイコパス。
「この勢いで、もっと牛や豚を殺すぜ。」
ギルド。
「あのやり方は豪快だね。」
市民。
「あんたら、養豚場の人でしょ?」
サイコパス。
「もちろん!新鮮な肉類を食卓に届けるよ!」
ギルド。
「過激だけれど、適切な値段で届けるよ。」
夫人。
「言い方だけが悪いわ!」
サイコパス。
「言い方で正否が決まるのか?」
「なんてサイコパスなんだ。」
ギルド。
「あんたがもっともサイコパス扱いされているよ。」
市民。
「サイコパスを勝手に定義すると危ないですよ。」
夫人。
「勝手に定義されたサイコパス判定で。」
「殺そうとする悪漢が向かってくるわよ。」
サイコパス。
「いいぞ!相手になってやる!」
ギルド。
「悪漢まで死なせるなよ。」
市民。
「牛肉や豚肉や鶏肉。」
「言い方でこんなにも違うんですね。」
夫人。
「迎合されるように言えば良いのですか?」
市民。
「へつらいを連発すれば受け入れられるようです。」
サイコパス。
「そんなサイコパスばかりいる訳ないだろう。」
ギルド。
「君達は、気に食わない相手は全員、サイコパスと呼ぶつもりですか!?」
酔っ払い。
「気に入らない奴はサイコパスということにしようぜ。」
弁護士。
「あんたらね、自分達の他はすべて悪人ということにしようとか。」
「いくらなんでもひどいですよ。」
知識人。
「完璧な人間だけしか認めないと言ってみてはどうか?」
サイコパス。
「全員が悪人なのか!?」
ギルド。
「支離滅裂なのは前提がおかしいからですよ。」
市民。
「隠れている前提が、もれなく、すべて間違えている。」
夫人。
「前提のどこも当たってはいないわ。」
弁護士。
「すべてを間違える前提なんて前代未聞ですね。」
知識人。
「前提の誤りが大量に含まれていると、こうなりますね。」
見慣れた衣装の人々。
近くにある哲人の集まりとのことで。
たまにどこかの公園にいますね。
日曜日なので。
いつもより人が多い。
ゲーテのファウストを持ちながら。
外を眺めています。
メンバーも。
屋上の隅よりも。
手前の窓から眺める。
三階建てはこうした利点があります。
風が心地よい。
新奈。
「早くも老年の性格が出るとは思いませんでした。」
「青年の性格は薄まっています。」
璃々依。
「アリストテレス弁論術には。」
「青年・壮年期・老齢と三種類の性格があり。」
「特徴や内容まで詳細に書かれています。」
小夜。
「後から思うに、当たりまくる内容ですね。」
新奈。
「青年の性格が消えたら。」
「青年と老齢の中間に入り。」
「もう老人に似ている性格になっています。」
星都奈。
「あれが理解できないのなら、まだ青年でしょうかね。」
新奈。
「逆に青年の性格をしている人間が苦手になりました。」
小夜。
「書かれている通りの考え方ですからね。」
星都奈。
「老人は後になって失望した人間達。」
「青年は後になって失望する人間達。」
新奈。
「青年は先に半分を受けて、後になって後悔する人達。」
「老人は後に半分を受けて、諦める人達。」
絵真。
「諧謔にしかなっていませんね。」
展世。
「所で、年数で年齢を考えると、暗くなりますよね。」
新奈。
「歳月や暦で年齢を捉えると、短いようで長くなる。」
星都奈。
「内容で考えたのはセネカです。」
璃々依。
「年月で数えるのは凡人です。」
新奈。
「年齢を数えたから、すぐに寿命が来る訳がありませんしね。」
小夜。
「もうこの歳になった、その後、数日後に死ぬ。」
「そんな馬鹿な。」
新奈。
「死はゆっくりとやって来ては。」
「本人も、ようやく認めるとのことです。」
小夜。
「それはハイデガーの研究ですね。」
新奈。
「人間の考える死生観なんて愚かなものです。」
「しかし最後には、死も容認できるほど。」
「ゆっくりと時間をかけて、寿命に進むのは悪くない。」
星都奈。
「死亡した後の世界は、その人と関係あるのでしょうか。」
「そこから先は人間も理解できない。」
「超自然的な世界ですからね。」
絵真。
「超自然的な要素にはかなり、慣れましたよ。」
新奈。
「当たり前のように超自然的という単語が出てくる。」
展世。
「自然法則を超えるものが当たり前ですからね。」
小夜。
「自然法則を超えるのなら、自然法則とは何ですか?」
璃々依。
「何かのおまけでしょうね。」
星都奈。
「何かの蛇足という意味になりますね。」
夕方に解散。
月曜日の支度です。
両親は少し遅い帰宅になるそうですね。
夕食後。
メールでは諧謔の大会をしています。
友達のその友人も集まって。
度々、開催。
お風呂の後に。
両親が帰宅して。
私の父と母は共通点が多いのですが。
なんと、夫婦でタフガイという奇跡。
働くのは後世への名前と公義のため。
休息も豪快で。
何でもすぐに済ませて寝てしまう。
この夜は静かですね。
書斎にて。
両親の本棚。
新奈。
「あれ?古典の解説本が大量にある?」
召使。
「ひとつの訳本では理解できないからと。」
「昔から集めていたそうです。」
新奈。
「とある古典の入門書や解説書だらけです。」
召使。
「翻訳よりも先にこちらを読んだとか。」
新奈。
「書籍の中に、修道女の論文がありました。」
「修道女は生涯、未婚で、結婚禁止。」
「この辺りは参考になりました。」
召使。
「私もたまに集めて回っているので。」
「最近は良書に恵まれていますね。」
新奈。
「その記録で。」
「祈りを尊ぶ修道女の記述。」
「なるほど、祈願や誓願もそうですが。」
「お宮参りも祈りが大切です。」
「祈りが目的で通っています。」
召使。
「古書を保持するのは難しくて。」
「たまに風化防止をしたり。」
「湿気を取る機械を稼働させたりします。」
「奥にはもっとたくさんありますし。」
「地下室には、まだまだあります。」
新奈。
「手に入れるのは簡単でも。」
「維持だけは難しいものですね。」
召使。
「破損したり。」
「事故で失うと。」
「新訳や復刻版に交換しますよ。」
新奈。
「本棚の管理は読書の四倍の労力ですかね。」
召使。
「たくさん並べて、はい学者です、なんてものではないです。」
「読んでこそ古典です、飾りではありません。」
新奈。
「非凡な召使ですなあ。」
召使。
「給料が高いんですよ。」
新奈。
「公正な報酬ですよ。」
召使。
「光栄です。」
新奈。
「けっこう若い女性ですよね。」
「何かいろいろしませんか?」
召使。
「娼婦ではありませんので、遠慮します。」
新奈。
「では、当番をよろしくです。」
書斎から退場。
いつものように深夜になりまして。
寝てしまうと。
またあの夢。
真っ暗な空間に私が漂って。
光の球体が飛び回って。
明るく照らしたかと思うと。
私を誘うかのような動き。
しかし私は漂って動けません。
前のは立っていましたが。
今度のは浮かんで動けません。
光の球体は虹のような色彩で。
飛び回って。
手を伸ばしたら。
早朝でしたね。
18
人間とは、どこまで愚かでも。
自分の要求に。
無謀なほど挑戦して壊されて。
いくら失敗しても。
同じ行動を繰り返す。
それでも笑って見せる余裕から。
人間は最高であると思います。
その阿呆は、空のように開けていて。
風のように発想が飛んでいきます。
記憶すらも捨てて。
崖から飛び立つ。
その姿が素敵です。
昼食は高級和食。
ひとり三千円ですけれどね。
ビルの上層。
何やら隣のビルで地下。
騒ぎがあるようで。
警備員が準備体操をしています。
資本家。
ラスボスのように扉を開いて。
不良が地下駐車場で会議をしている所に突進。
資本家が調子に乗って。
不良と対戦しようとする。
数人を蹴飛ばして傲慢に振る舞う。
不良。
「ぐわっ!いきなり後ろから蹴飛ばしやがって!」
資本家。
「勝負しないか?」
不良。
「ほう、なにで負けたいのか?」
資本家。
「富があれば、何でも出来る。」
不良。
「さあ、かかってこいよ。」
資本家。
「君のプライドを五万円で買ってあげよう。」
不良。
「それで?俺の攻撃を食らえ!」
資本家。
「ぐわっ!ぐほぉ!」
不良。
「そんな札束が!喧嘩で役に立つかよ!」
資本家。
「ならば十万円で!」
不良。
「俺はお前を殴りたいんだよ!」
資本家。
「お金が欲しくないのか?」
マフィア。
「命乞いをしろ。」
資本家。
「わかった!二十万円でどうだ?」
不良。
「おらおら!喧嘩を売っておいて!」
「何もできないのかよ!」
資本家倒された。
資本家が最初に仕掛けたので。
資本家が暴行罪になってしまった。
その後にダークウェブに情報を流されて。
後日、資本家、強盗に押し入られた。
何やら暴走族が多くいるので。
上層のレストランから眺める。
最近は小さな事件が少なくって。
代わりに大事件が目立ちますね。
上層のレストランから出て。
帰る途中にて。
新奈。
「自分が生きる過程で。」
「他人が死んでしまっても。」
「私は何とも思わないでしょう。」
小夜。
「そもそも。」
「自分が生きた影響で。」
「何もせずにその影響だけで。」
「人が死んでも。」
「何とも思わない。」
璃々依。
「死人が出たくらいで。」
「いちいち騒ぐのは愚かですな。」
小夜。
「自分の影響で他人が死んでも。」
「勝手に死んだので。」
「私に了解とか許可を得て死んだのではないよ。」
璃々依。
「勝手に死んでおいて、私のせいにしないで。」
「ということですね。」
「あらかじめ。」
「死んでもいいですか?」
「なんて質問はして来ないので。」
新奈。
「自分については。」
「争点なんて。」
「他人のせいであるか。」
「環境のせいであるか。」
「証明できるかどうかくらいです。」
小夜。
「普段から。」
「傍観者効果を連発するような人間が。」
「命を尊ぶとか自称しても。」
「言っていることと。」
「やっていることが違いますね。」
新奈。
「命の見殺しをしておいて、命を話題にするなあ。」
小夜。
「見殺しにしたことが彼らの不正です。」
璃々依。
「他人を尊重するのが間違いなのではないかと。」
「怪しまれる場面が多々あります。」
小夜。
「個人を非難する連中なんて。」
「反社会団体であるとでっち上げて。」
「さらには特定の宗教を否定していると。」
「周囲に向けて虚偽をばら撒いてくる。」
璃々依。
「ヴォルテールによると。」
「それは昔からよく使われる常套手段。」
新奈。
「滑稽なのは。」
「排他的な輩が非力で。」
「無駄な反抗を繰り返している場合ですね。」
璃々依。
「残念ながら。」
「無能な人間の割合が未だに多く。」
「有能な人間。」
「つまり有能という良くて善なる者達で。」
「社会が満たされるまでは。」
「無能な人間が構成する社会が続きます。」
小夜。
「無能は何かの病気でしょう。」
「無能な時点で悪い人間ですし。」
「悪い人間ほど根拠もなく自分を誇ったり。」
「一人前であると名乗りますが。」
新奈。
「有能な者達が無双すれば。」
「有能な人達が暴れ回れば。」
「無能な人間は消えていきます。」
璃々依。
「役に立つ人が増えると。」
「逆に奴に立たない人間が増えまくる。」
新奈。
「社会には根拠のない自信と。」
「根拠のない誇りを持った人間が散見されます。」
「有能な人ほど目立つものですので。」
「無能、つまりそんな悪い人との交流は。」
「推奨されません。」
璃々依。
「有能か無能かで。」
「前者は良くて。」
「後者は悪いので。」
「見分けられますね。」
小夜。
「有能な人は簡単に良い人なので。」
「円滑に対話が進みますよ。」
璃々依。
「無能な人は悪い人なので。」
「無理解と使えない役立たず。」
「どうせ関わりたいのなら。」
「有能という良い人がお勧めです。」
新奈。
「よくある失敗で。」
「統率者の人選に失敗して。」
「統率できない監督を置いてしまうとか。」
「よくありますね。」
璃々依。
「仕事の効率だけしか見えていないとか。」
新奈。
「仕事の効率だけでは判断できません。」
小夜。
「無能な人間を選ぶ人はいますか?」
新奈。
「無能な人間なんて嫌ですよ。」
「どうせなら有能な人間を選びます。」
小夜。
「どこら辺が有能なのか調べますか?」
璃々依。
「逆に無能の定義は?」
新奈。
「みんな平凡ですと。」
「誰でもいいのですよ。」
小夜。
「資本主義からして素晴らしい人間が有能なのですか?」
新奈。
「資本主義者にとって素晴らしい人が?」
「それなら私も資本主義者なのですよ?」
小夜。
「資本主義により忠実な人間が有能という意味ですね?」
「忠実でも使えない人材はどうするの?」
璃々依。
「資本主義者に服従して、きちんと成果を上げる人が有能?」
「必ずしも成果が上がるとは限りませんし。」
「必ずしも成功しない人材ですよ。」
小夜。
「資本主義からして使えない人材が無能という意味ですね?」
「経済と金銭があれば。」
「もう何も要らないのですかね。」
新奈。
「資本主義という思想から、外れた考え方ができないのですね?」
「経済のことだけ考えていれば。」
「それでいいのですよね?」
小夜。
「資本主義以外の考え方はできない?それも無能ですよ?」
「資本主義の中だけで完結するような。」
「残念な技能なのですね。」
璃々依。
「資本主義から外れていれば無能なのですか?」
「あの人達は富に仕えているのですか?」
新奈。
「資本主義とは他の考え方ができない、それも無能ですよ?」
「その主義が間違っていたら。」
「その後、どんなひどい目に遭うのか。」
「分かったものではありません。」
璃々依。
「経済を単に資本主義と呼んでいるのであれば。」
「昔から経済はありますし。」
「金銭の捉え方は昔から変わりませんね。」
小夜。
「ということで。」
「我々が言う有能とか無能とかの定義は出尽くしたかと。」
新奈。
「資本主義に従順な人が有能と呼ばれがちで。」
「資本主義者にとって都合の悪い人が無能と呼ばれがちです。」
璃々依。
「有能か無能かは資本主義者が決めます。」
新奈。
「経済とか金銭とかは置いておいて。」
「それら以外の発案はありませんと?」
「もう少しましな人はいないのですか?」
璃々依。
「経済の仕組みを議論しているのか。」
「能力や練度の議論をしているのか。」
「分からなくなりました。」
新奈。
「いかに貴族や王族が。」
「富を適切に管理して。」
「維持運営をしていたのか。」
「学ぶものですね。」
璃々依。
「解決策のひとつは。」
「資本主義という仕組みを学んでおくこと。」
「資本主義者について知っておくことです。」
新奈。
「経済は資本主義で統一して包括されていますので。」
「経済の基盤である資本主義を理解する必要もあります。」
璃々依。
「資本主義者になっても。」
「それは資本主義の中で。」
「自分を有利にします。」
小夜。
「金銭だけで人が生きていると思い込んでいる。」
新奈。
「金銭さえあれば、人は生きていけると思っているのでは。」
小夜。
「金銭だけで、すべてを語るには少な過ぎます。」
新奈。
「彼らは、真剣に議論する命題を軽々しく扱いまくっています。」
小夜。
「真面目に会議を開いて。」
「席について議論する。」
「金銭という命題について。」
「日常の会話に混ぜるのは良くないのです。」
新奈。
「金銭の話題は会議になります。」
璃々依。
「経済の別名は資本主義とのことです。」
駅前の立体交差。
複数の店舗が複雑に入っている。
ふと隅っこを見ますと。
悪書がゴミ箱の中に入っていました。
たまに愚書が捨てられている場合があり。
悪書は路上に捨てられていることもありますね。
最近は良書の取り合いが。
市民で激しいようです。
出版社は忙しい。
ゴミ箱に入っている悪書を見て考察。
新奈。
「読み手の利益にならない物語は。」
「芸術よりも商品としても不適切。」
小夜。
「暇潰しに読んで捨てられたら。」
「書いた意味すらない。」
璃々依。
「文学は読み手に多数の命題を与えて。」
「議論させると有益。」
新奈。
「使い捨ての作品とか。」
「要領の良い人なんて。」
「副業で作って換金して逃げますね。」
小夜。
「上手な生き方ですなあ。」
「流行している通俗小説を作って売ったら。」
「換金して、業界から逃げる。」
新奈。
「私は、生まれつき、お金に拘泥しないので。」
「強欲になったりはしません。」
「欲望が少ないので、金銭が少なくても足ります。」
璃々依。
「そういう人に限って、美術に精通している。」
小夜。
「美術とは何であるか、長い回答ができるものです。」
璃々依。
「昔は芸術家とか、貴族や王族から年金を貰って。」
「たくさんの作品を依頼されて、制作していましたね。」
新奈。
「レオナルド・ダ・ヴィンチも。」
「年金を貰って、依頼されて作っていました。」
「印税と年金のどちらが良いのかは意見が分かれますね。」
璃々依。
「芸術家も、工房で訓練されて。」
「一人前の称号すらも。」
「ルネサンスにおいて、実在しました。」
新奈。
「一人前の称号がないと、招待されませんからね。」
小夜。
「今では、よくわからない絵画が流行しています。」
新奈。
「美しくない作品がお金になるのなら。」
「素人が書いた欲望の代理で足りますよ。」
璃々依。
「訓練されていない。」
「素人の芸術家が描いた作品は。」
「欲望の代理として浪費されますね。」
新奈。
「となると、商品としての作品か。」
「芸術としての知的財産なのか。」
「混同されていますね。」
璃々依。
「有能な審査員が大勢いるならば、問題ありません。」
小夜。
「美しくない芸術は何かの模写。」
新奈。
「ユーの作品は美しくありませんネ!」
璃々依。
「その言い回しはけっこう刺さりますよ。」
本屋の裏手で。
口論になっている。
人気作品なのに売れ残りがあるとか。
返品しないといけないとか。
特に。
流行になっているはずなのに。
在庫が大量に残っているとか。
逆に売れている本は何なのか。
売れている本だけで構築できないのか。
意見が飛び交う。
彼らの言い分は。
知的財産ならあっさり売れるだろう。
知的財産としての価値が無いのなら売れないだろう。
なんて口論している。
けっこう必死。
新奈。
「人は利害関係に走らされます。」
璃々依。
「利害を無視した関係がある訳がないでしょうに。」
小夜。
「利害関係は誰も忘れることなどできませんよ。」
新奈。
「彼らは他とはやり方が違うんですね。」
璃々依。
「商才とは、はっきり違いが出るものです。」
小夜。
「商才がなかったら、労働者になるのが良いかと。」
新奈。
「幼い頃から商業が今の時代、重要であると考えていました。」
「思えば、どこも商業だけですね。」
璃々依。
「幼い頃から商業について研究したりすると。」
「それらの地位は当然のもの。」
新奈。
「どこでも商業が中心に展開されていますからね。」
小夜。
「幼い頃から商業について考えるなんて。」
「商才がある証拠よ。」
璃々依。
「商業の実例とかよく見せますからね。」
新奈。
「商業について、けっこう把握しています。」
「もっとも、単純に利益だけを追いかけていた訳ではありませんので。」
小夜。
「商業を熱心に研究していたのですね。」
新奈。
「その都市だけでも、失敗するパターンや、成功するパターン。」
「成功はしないけれど存続するパターン。」
「失敗するけれど挽回できるパターンとありますね。」
小夜。
「それは論文になるかと。」
璃々依。
「商売なら得意なのですね。」
本屋の近くにコンビニエンスストア。
栄養食をたくさん購入して。
立ち去ります。
電車を乗り継いで。
地元に戻ってくると。
いつもの銅像公園には誰もいない。
何もないので。
地元の住民が。
とりあいず元演歌歌手を使って。
演歌を披露。
というのも。
何もないのが気に入らないらしいのです。
通過。
新奈。
「人間の馬鹿さ加減だけは予測できない。」
小夜。
「その予測は不可能!」
璃々依。
「人間の馬鹿は予想を超えている。」
新奈。
「人間の愚かさは、広大な地域を埋めている。」
「その支配地域は、失うことはありません。」
小夜。
「その広さは、気が遠くなるほど。」
璃々依。
「人間が馬鹿なのは仕様です。」
新奈。
「馬鹿の度合いが低ければ、それで良いのです。」
小夜。
「人間の馬鹿が輝きを失う時はありません。」
新奈。
「人間の馬鹿が、主役にならない舞台はありません。」
璃々依。
「人間の馬鹿は、いつの場所も不変です。」
三人娘の家は同じ地域。
徒歩でも往復可能。
いつもの時間に解散。
召使が笑顔で見ている。
夜の屋根裏部屋。
人間の愚かさは、大地のように。
広大で、絶えることはありません。
どんなに馬鹿でも前進し。
素晴らしい愚見に辿り着くために。
いくら不可能な行動も厭わない。
そんな所が素敵です。
19
道場にて。
よくある鍛錬。
剣術を習う場所で。
剣道とは少し違いますね。
ドイツ剣術が引き合いに出されます。
弟子が何やら語っている。
秘伝の技を習得したという。
衝撃の内容。
弟子。
「長年、ようやく習得した技があります。」
師匠。
「何かを極めたのか?」
弟子。
「技名は。」
「感情のコントロールなのです。」
師匠。
「ん?何だそれは?」
「妙に懐かしいな?」
生徒。
「微妙に羨ましいな!」
受講生。
「お前はそれができるようになったのか!」
「俺はまだできないぞ。」
青年。
「人間は極めると・・・。」
「感情のコントロールさえもできると言うのか・・・。」
紳士。
「なんだ!私も欲しいぞ!その技は!」
生徒。
「感情のコントロールですか。」
「私も習得しなければ・・・。」
戦士。
「どうやったら習得できるんだ!?」
師匠。
「長い修行で、ついに、そこまで到達したか・・・。」
新奈。
「何やら一人前になった人がいるとか。」
友人。
「ついに完成したのですよ。」
「感情のコントロールなんて。」
「そんなに難しい技能を。」
「極めたのです。」
新奈。
「中々の快挙ですね。」
友人。
「私も早くあんな奥義を習得したいなあ。」
師匠。
「君にはまだ早いよ。」
友人。
「そんなあ!」
師匠。
「問題ない、順序良く、一歩ずつ修練すれば。」
「必ず極められる。」
友人。
「はい!感情のコントロール!」
「私も学びます!」
女性。
「今時、感情のコントロールも練習していないなんて。」
「有段者になりたければ必須だよ。」
弟子。
「これが出来て、初めて一流と認められますからね。」
新奈。
「あれ?何かおかしいな?」
友人。
「感情のコントロールの何がおかしいので?」
新奈。
「いいえ、立派です、むしろ基本です、さすがであると思います。」
女性。
「人は感情のコントロールを極めて。」
「初めて強くなるのです。」
師匠。
「とても優秀になっているね。」
「奥義、感情のコントロール。」
「君達も訓練したまえ。」
新奈。
「良い趣味をしていますね。」
師匠。
「もちろん!馬鹿には理解できない趣味なんですよ!」
友人。
「君も馬鹿を卒業するのです。」
生徒。
「僕は馬鹿ではないので、きちんと学びます。」
友人。
「馬鹿と言われて逆上しないとは・・・。」
「かなり成長しましたね・・・。」
稽古を終えて。
各自、帰宅する。
駐車場にて。
友人が車を出します。
闘技場から送迎を待っていると。
道場破りみたいなのが出現。
フリーター。
「俺と勝負しろ!」
師匠。
「誰ですか?自己紹介してください。」
フリーター。
「俺は趣味でフリーターをやっている人です。」
師匠。
「なんだその適当な設定は!?」
フリーター。
「外から眺めていて、面白いことを学んだからな。」
師匠。
「態度を大きくする方法ですかね?」
フリーター。
「さあて、向かい合って戦いましょう。」
「両者、ホームセンターに売っている木の棒で。」
師匠。
「勝てると思っているなんて、とまあ、相手をしてあげますか。」
フリーター。
「あっ!後ろからお前に飛びかかる虻がいる!」
師匠。
「はあ?虻なんて簡単に回避できる・・・。」
フリーター。
「食らえ!」
木の棒で騙し討ち。
しかし青年の木の棒が破壊されて。
青年は木の棒で叩かれた。
一瞬の攻防。
師匠。
「おやおや、せっかくハンデをあげたのに。」
「当てられませんか。」
フリーター。
「防がれた!?ああ俺の木の棒が!?」
「逃げろ!」
師匠。
「この試合では不満かね?」
フリーター。
「ごめんなさい!許してください!」
師匠。
「君も、我々の道場に入るかい?」
フリーター。
「冗談ですよ、冗談。」
木の棒の破片で叩こうとするも。
木の棒を掴まれて折られた。
青年は真っ青になる。
師匠。
「おっと?二度も効果はないぞ?」
フリーター。
「あなたは本物なんですね!?」
師匠。
「気にするな、偽物ばかり披露されていると。」
「我々は悪役みたいな扱いになるのだ。」
フリーター逃走。
青年でよくある挑戦。
自分の実力を顧みず。
異常なくらい強い相手に立ち向かう。
青年が走り去る。
師匠は建物に入ってしまう。
一同。
続々と解散する。
友人が自動車で。
自宅に送ってくれます。
新奈。
「芸術論は。」
「シラー美と芸術の理論。」
「カリアス書簡。」
「ニーチェ悲劇の誕生。」
「この二つが有力ですね。」
友人。
「レオナルド・ダ・ヴィンチの手記。」
「とか。」
「プラトン国家。」
「にも芸術論はありますね。」
新奈。
「古代ギリシアでは模倣が基本で。」
「すべて模倣であると断言されていますね。」
「ひとつの作品から複数の作品を出す。」
「という記述もあります。」
友人。
「芸術の基本は模倣です。」
「あんまり似ていると盗作とか言われそう。」
新奈。
「ほとんど似ていると盗作ですね。」
「しかし、すべてが新しい作品なんて存在しません。」
友人。
「模倣と盗作は別物です。」
「何でも盗作にすると。」
「こじつけで特定の作者を排除できます。」
新奈。
「盗作であると言いがかりをつけて。」
「攻撃する輩はいるようですね。」
友人。
「盗作と言えば、攻撃が成功すると知っているのです。」
新奈。
「あんまり似ていると、模倣とは呼べませんが。」
友人。
「美術とかも、何かの文芸を模倣するのが手っ取り早い。」
新奈。
「漫画でも、アニメでも、模倣が基本です。」
友人。
「ビデオゲームを模倣する場合もあります。」
「やはり、すべてが新しい作品なんて無いですね。」
新奈。
「何かしら前例があるのが、芸術になりますね。」
友人。
「どんな文学も、前例としてある作品があるものです。」
新奈。
「昔に読んだ作品から出すのはシェイクスピアです。」
友人。
「シェイクスピアは、他の作品をかなり模倣していますね。」
「これは有名です。」
新奈。
「複数の作品から拝借して、複数の章で複雑に組んでいます。」
友人。
「文学も模倣が素早くて正確無比なのでしょう。」
新奈。
「斬新な発案で競えないのも、文学の特徴ですね。」
友人。
「文学で、斬新な作品は、まず出ないですね。」
新奈。
「たいてい、地味で、簡素です。」
友人。
「古典文学で完結しているような荒廃ですが。」
新奈。
「同工異曲を出したら、何のために書いたのか理解できません。」
友人。
「誰が書いても同じなら、もはや芸術ですらない。」
新奈。
「元々は、戯曲は演劇で上演する目的で、書かれます。」
「少し手直しすると。」
「台本になります。」
友人。
「長編になりますと、戯曲は、規模の大きさや。」
「話の長さに上限が出て、打ち切られます。」
新奈。
「戯曲は短編が多いのですね。」
「散文体はいくらでも長くできます。」
友人。
「演劇の形式と散文体の合体も、稀にあります。」
新奈。
「最初にシェイクスピアを読めば、文学はもう終わりです。」
友人。
「文学はシェイクスピアの模倣に限りますね。」
新奈。
「模倣は芸術の基本です。」
友人。
「原作の原型を保っていると、少し分が悪いのです。」
新奈。
「模倣でも、原作の気配だけになれば成功です。」
友人。
「多少、似ている程度が模倣で。」
「残念ながら、半分くらい似ていると。」
「模倣とは呼べません。」
友人が自動車をレース選手のように操作する。
どうやら昔、F1関係をやっていた影響で。
自動車操作の技術なら。
ほとんど勝てる。
機敏な動きで正確無比。
上手です。
自宅前で解散。
残りの時間は休息。
夜になって。
召使が今日届いたという手紙を。
持ってきて私に渡しました。
演技で男の子を誘って。
喫茶店で代金を支払わせた。
それを男性が誤解して。
半分、告白みたいな手紙が入っている。
手紙を破り捨てる。
新奈。
「人が常に本当のことを言うと思っているのか!」
「馬鹿正直者め!」
「常に本当のことを言っていたら。」
「誰も生きていけないのですよ。」
「私が本当のことを言わないのは。」
「自衛のためなのに!」
母親。
「その気になっていた男の子がお笑いでしかない。」
父親。
「ヘシオドス神統記では。」
「女性について否定するような記述があるぞ。」
「男性に寄生しないと生きられないように。」
「男性の財源によって女性は生きていき。」
「結婚しないと老齢に達して、無残な死を迎えるとか。」
母親。
「ヘシオドス神統記には脆弱性があって。」
「女性は結婚しなくても。」
「財源さえ確保できれば。」
「男性に寄生しなくても別に問題ありません。」
新奈。
「現に自由人や、職業を得ていた女性は例外ですからね。」
父親。
「わざわざ攻略の条件がヘシオドス神統記には書かれていて。」
「その攻略の条件を満たせば。」
「結婚は義務ではないね。」
母親。
「結婚が財源による義務みたいな書かれ方ですけれど。」
「財源という攻略方法をわざわざ書いてしまっているので。」
「攻略条件を満たせば、逃げられるのです。」
新奈。
「どんな方法でも例外は捕らえられないのですし。」
「例外は、どんな規則も無視できます。」
「誰でも例外について学ぶものですね。」
父親。
「ホメロスでは、女性についてほとんど言及されていません。」
「英雄時代では、女性が当たり前のようにいるので。」
「特殊な記述はありませんね。」
新奈。
「女性のニヒリストが聞いたら、壮絶な破壊の対象になりますよ。」
母親。
「宗教に関わる女性は、結婚をいつも免除されています。」
父親。
「ネタバレして、仕組みや義務が分かっているのなら。」
「女性は結婚などを裏切ることで。」
「膨大な利得を貰えるのですな。」
母親。
「私達のように、恋ではなく、互いの心が汲み取れたので。」
「結婚することもありますよ。」
父親。
「なるべく理性が働くように、遅延したよね。」
「新奈は養子とか興味ある?」
新奈。
「奇跡があるのなら、養子にも興味があります。」
父親。
「そういうように、結婚にはルールの抜け穴があるよね。」
母親。
「あなたは、わざわざ私を訪ねてきて。」
「誘いましたよね。」
父親。
「あなたも、二度目の選択で、同意してくれたよね。」
新奈。
「然るべき正当な手順を経て、証明できる物事全般には。」
「批判なんて入る余地がありませんよ。」
父と母が共に。
ノンアルコールのシャンパンを飲み始めました。
私は一杯飲んだら。
自分の部屋に移動。
その途中で。
召使。
「アドラー心理学は大人気ですが。」
「他人からの攻撃は想定していませんね。」
新奈。
「自由意志を認めている立場ですからね。」
「何でも自由が効くと思ったら大間違い。」
召使。
「かなり健全な論理ですけれどね。」
新奈。
「アドラー心理学はよく誤解される所がありますね。」
召使。
「ナンセンスな批判がよくあるのです。」
新奈。
「私も、他人の攻撃に無防備という。」
「アドラー心理学の欠陥は認めます。」
召使。
「読書もそうですが、もう少し格闘技や。」
「武芸を進めてはどうでしょうか。」
新奈。
「なるほど、両親のお勧めですよね。」
「直接、言うよりは、あなたを通して言ったほうが。」
「よく伝わりますからね。」
召使。
「人はパターン通りで。」
「この時はこうする、ここはこう。」
「なんて機械みたいになったら既に終わっています。」
新奈。
「よろしい、内容は理解しました。」
部屋に入って。
生活だけの貧しい世人と。
心が豊かな文化人との対比で。
今の状況を考察することに。
世界が下らないとか。
世界がつまらないと思った批判から。
職業世襲のために専門学校に行ったりして。
人生に拘泥しないようになると。
人生とは何ですか?
なんて疑いました。
人生とは何であるかについての問答は成立しません。
人生についての議論ができるとすれば。
それは馬鹿か気違いのすることで。
既にナンセンスな問答になります。
人生とは定義の問題なので。
私は人生にかなりの疑いを向けています。
20
内に閉じ込めるより吐き出した方がいい。
英語のことわざ。
本当のことを言う際の正当化によく用いられる。
産業は、無理に拡張せず。
規模の限界を考慮して。
失敗した際の対策まで忘れていない。
規模を倍にするのではなくて。
コンパクトにしてしまう。
産業は守備優先。
無料で行った。
夜勤の体験をした帰り。
午前に終わったので。
寝ようか活動しようか相談しつつ。
予定では次の日まで何もなし。
帰り道に目撃。
路上で乱闘が発生。
暴動対策用のアンドロイド。
暴漢と戦っています。
相手は勝手に荒らしまわる。
意味不明な集団。
仮面。
「俺達は!正義だ!悪を倒す!」
アンドロイド。
「正義の定義を答えなさい。」
暴徒。
「正義が悪を倒すの!」
アンドロイド。
「微妙な理屈ですね。」
愚者。
「正義だから一方的に悪を倒せるの。」
アンドロイド。
「あなた方の理屈だと思います。」
仮面。
「俺達は正しい!」
アンドロイド。
「あなたが定義したに過ぎません。」
暴徒。
「正義感によって悪人を倒すの!」
アンドロイド。
「あなた方は、正義を振りかざす悪人ということですね。」
「理解不能です。」
愚者。
「正義が悪を倒すと教えられたからだ。」
アンドロイド。
「悪党が正義を利用しないでください。」
仮面。
「そう教えられたから真実!」
アンドロイド。
「証拠が足りていません。」
カウンターAI。
「根拠も論拠もない屁理屈はやめましょう。」
仮面。
「どけ!その店の野郎に用事がある。」
カウンターAI。
「犯罪は許可されていません。」
義賊。
「お前ら!リンゴを盗むのは正しいなんて言われたら。」
「正しいことになるのかよ?」
仮面。
「正しいと言ったら何でも正しい。」
義賊
「君は正義の定義を悪用しているね?」
仮面。
「正義を語れば、どんな過激なことも許される!」
アンドロイド。
「屁理屈は許可されていません。」
仮面。
「相手を悪と呼べば、殺害しても許される!」
カウンターAI。
「暴行は許可されていません。」
対人間用アンドロイド二体。
集団を蹴散らす。
義賊も加わって追い払った。
最近は暴動対策に導入されている。
対人間用の兵器。
また乱闘が発生しましたが。
銅像の広場はいつもこうなります。
隣接する商店街ではよくあること。
観客が多いので。
毎日、誰かがやって来ては乱闘を行い。
鎮圧されたり。
片方が勝ったりします。
ここは警察署や派出所から遠い場所にあり。
途中の路地は細くて。
緊急車両は、あまり通れない。
なのに、開けた地点がある。
防犯カメラも少ない。
さらには。
マフィアみたいな人々も集まっている地点になるので。
地域が複雑な構造をしています。
路地裏には金持ちが用意した。
不良の集会場がありますが。
いろんな組織の勢力図が重なりまくっているので。
そうなるらしいです。
通過。
素早く通り抜けます。
中には見物に出てくる人や。
格闘技みたいに見ている人までいろいろですね。
公園で休憩。
噴水がある。
新奈。
「真面目にやっているのに。」
「なんて言い放った場合。」
「少なくとも発言した人は。」
「怠惰には無縁なのですよ。」
小夜。
「真剣にやっているのに。」
「という愚痴が出た時点で。」
「怠惰の反対である証拠になるでしょう。」
璃々依。
「怠慢とか、その付近を防いでいる時点で。」
「美徳だと思われます。」
新奈。
「一生懸命にやっているのに。」
「という言い分は。」
「私は怠惰ではありません。」
「という主張を換言したものです。」
「怠惰を防いでいる時点で。」
「既に優秀かと思います。」
小夜。
「一生懸命やっている。」
「という言い分は。」
「有能な人の言い分ですよ。」
「怠慢を遠回しに否定しているのです。」
璃々依。
「無能な人は真面目にやることなんて。」
「多分、ありませんしね。」
新奈。
「こういうように。」
「主張の反対にある裏側が。」
「その人の心理であることが多々あります。」
璃々依。
「心理を読むのは高等テクニックですね。」
新奈。
「心理を読むのは高度な技術が必要です。」
璃々依。
「アドラー心理学では。」
「他人の心理まで読むように訓練されます。」
新奈。
「アドラー心理学を読んでいないと。」
「他人の心理は読めません。」
小夜。
「それも訓練が必要ですからね。」
新奈。
「実践に勝る訓練はない。」
璃々依。
「実践だけが訓練ですね。」
新奈。
「訓練とは実践です。」
璃々依。
「力不足で無理でも。」
「他の人間は全員、人間を超えるものだろうか。」
「人間なんて弱いものですし。」
「力不足なら弁明するのが有効ですよ。」
新奈。
「非難する輩は。」
「まず、そんな凄惨な現場を知らずに生きて来ています。」
「知らない間に温室で育っていて。」
「嵐の中に突進した経験は無いんです。」
小夜。
「その人が糧として専念している物事まで。」
「非難するのは。」
「その糧を失ったら死ぬように仕向けているようなもので。」
「非難するなら。」
「マキャベリのように。」
「残虐行為を良く用いる美徳。」
「なんてものを選ぶものが有能です。」
新奈。
「悪く用いた残虐行為は破滅します。」
「これひとつの違いが大きいのです。」
小夜。
「正義が悪を倒すなんて言う構図は。」
「この世に存在しません。」
「起源が。」
「仮面運転手がテロリストや反社会勢力を。」
「やりたい放題に痛めつけている。」
「実写演劇によるもので。」
「パワードスーツだけで勝つなんて。」
「そんなのありなのか不明ですが。」
「民間人がそれをやると。」
「返り討ちになって。」
「悪党によって晒し物になりますね。」
璃々依。
「警察と司法は別々であると思われますが。」
「逮捕もせずに裁くのは。」
「意味不明な構造です。」
新奈。
「私的制裁を返り討ちにするのが効率が良い。」
小夜。
「そもそも。」
「我々の前で正論が通じるなんて。」
「思わないで欲しいものです。」
新奈。
「勧善懲悪ですら。」
「負けたら。」
「悪党にやりたい放題、痛めつけられて。」
「見世物になって終わりです。」
小夜。
「勧善懲悪をして敗北したら。」
「笑いものですね。」
璃々依。
「自分達が犯人だとは思わないのですよ。」
新奈。
「自分達で問題を起こしておいて。」
「他に犯人がいると主張するとか。」
小夜。
「自分達が犯人であると。」
「まず気づくことですね。」
新奈。
「特に何もないのが人間社会の最良な形です。」
小夜。
「虚偽の拡散ですら。」
「群衆が調査する試みではありません。」
「愚か者は静観するのが良くて。」
「情報が氾濫するのなら。」
「観なければ解決します。」
璃々依。
「便利だからという理屈で。」
「安直に情報に触れずに。」
「まず使わない。」
「情報を入れない。」
「数日、放置した情報が最も有効。」
新奈。
「全員に英知を授ける訳には行きませんので。」
「できれば。」
「馬鹿だけ引っかかれば良い。」
璃々依。
「自分達が完璧であると信じているような。」
「群衆にそれは無理ですので。」
「そもそも虚偽に引っかかる人は。」
「何かしらの脆弱性を抱えています。」
新奈。
「虚偽は可能な限り、短時間で気づくこと。」
「真実らしい言説には警戒すること。」
「事実は無視すること。」
小夜。
「情報はそもそも判断しない。」
「自分から情報に突っ込み過ぎです。」
璃々依。
「入ってくる情報を減らすことが大切ですね。」
「事実を指摘している時は必ず無視すること。」
「真実らしいものがあるだけですよ。」
小夜。
「私は自分の体験しか語りません。」
「体験の内容の他には真実とは言いません。」
新奈。
「使えない情報はすべて嘘として捨てます。」
「使える情報は楽しませて貰います。」
璃々依。
「自分で見たり、現地で調べてもいないのに。」
「インターネットで推論を繰り返すのは。」
「破壊衝動なのでは。」
新奈。
「それでは彼らは精神疾患ですね。」
小夜。
「そうであると思いたい。」
「という心理が強烈なんですよ。」
璃々依。
「自分の思いたい内容が。」
「インターネットで流れがちですね。」
新奈。
「そう思うと気分が良くなるから。」
「畜群特有のものですけれど。」
「彼らがそう思いたいので。」
「それらを目撃しても。」
「どうにもならない。」
小夜。
「思いたい内容をどう考えようが。」
「その人の自由ですからね。」
新奈。
「趣味で言説を楽しむのなら。」
「健全ですね。」
璃々依。
「意見ついての理解はまだ進んでいません。」
「意見とは何かについて。」
「五百文字以上。」
「二千文字以下で書いてください。」
小夜。
「東京大学よりも難しい問題ですなあ。」
新奈。
「それが当たり前になるのは。」
「いつも超自然的なものに訴えるからですね。」
璃々依。
「形而上学ですね。」
新奈。
「そう言えば。」
「肉体と霊魂は別々のもの。」
「別々のこと。」
「として区別されるのは知っていますよね。」
小夜。
「自分の霊魂。」
「霊魂と自分は元来同じ。」
「それと、身体は譲り受けたものなので。」
「身体は外部からもたらされた。」
「自分の持ち物です。」
新奈。
「肉体と霊魂を別々にすると。」
「肉体に関する悪いものを減らせます。」
「超自然的な影響を受けやすくなります。」
璃々依。
「物質ばかりですと、唯物論という思想になりますが。」
「肉体こそ自分というのはナンセンスで。」
「肉体は所有物に過ぎないのですね。」
新奈。
「肉体と結ばれると。」
「悪影響が生じます。」
「霊魂と自分は元々は同じものですので。」
「肉体と霊魂を切り離して自分を見れば。」
「多大な発見がありますね。」
小夜。
「いきなり自分が超自然的な何かという。」
「衝撃の物事が出てきますが。」
「日頃の訓練で感覚が掴めてきますね。」
新奈。
「肉体とはあなたのことでは無いんですよ。」
「肉体に入っている霊魂こそあなたなのです。」
璃々依。
「肉体と霊魂を切り離して捉えることが出来れば。」
「動物以下の存在から昇格ですよ。」
新奈。
「プラトンが言うには。」
「霊魂は死ねますか?」
「いいえ死ねません。」
「それでは霊魂は不死である。」
小夜。
「肉体は何度も形成されては。」
「使い捨てにされます。」
璃々依。
「そういうのを。」
「超自然的と呼べば理解できます。」
新奈。
「プラトンは超自然的な内容が多いものです。」
「弟子が形而上学としてまとめたのは。」
「そのためですか?」
小夜。
「プラトンの師匠は祭壇に挙げられましたし。」
「オルペウスという教祖はギリシャ神話の外伝で。」
「神々の子孫で伝説の詩人。」
「とのことです。」
璃々依。
「続いて。」
「肉体と霊魂の区別による訓練を積めば。」
「肉体に関する悪影響が減るようです。」
新奈。
「自分の意志が適用されるようになりますね。」
小夜。
「欲望とかも減りますし。」
「本能みたいな挙動も減ります。」
新奈。
「私も、身体が勝手に動いているのではないかと。」
「怪しまれる動きがたまにあります。」
小夜。
「卑しい者は肉体に従順で。」
「悪影響を容認して。」
「もっと卑しくなるようです。」
璃々依。
「卑しくなった人が死ぬと。」
「墓地の中や周辺に幻影となって現れて。」
「徘徊する懲罰を受ける。」
「とのこと。」
新奈。
「ギリシャ各地の社殿を巡ったのですね。」
「小さな社殿はどこでもありました。」
「聖パウロは。」
「ギリシャの至る所に小さな神殿があって。」
「看板に祀られている神様が書いてあって。」
「目撃したものを記しています。」
「カトリックの神父が情報を開示していましたね。」
璃々依。
「実証主義者ばかりの時代には。」
「そうした人に関する倫理とか。」
「忘れられますね。」
小夜。
「実証主義者が正しいと思うものを。」
「何でも信じなくてはならない時代ですからね。」
新奈。
「実証主義者の多数決で決まる世界観なんて。」
「最後の幻想で足りています。」
小夜。
「あれは名作です、映像作品で娯楽とは言いましても。」
「それを超える作品は、ほぼありません。」
璃々依。
「架空世界の頂点を占領していますからね。」
「実証主義者よりも。」
「最後の幻想の方が面白いものですね。」
新奈。
「実証主義者がそう思いたい内容が。」
「法律として制定されるなんて。」
「まったく、世の中は甘いものです。」
小夜。
「無限に科学が進展するかは疑問ですけれどね。」
璃々依。
「どちらかと言いますと。」
「自然科学は生活に役立つので。」
「最高のルールになっているのです。」
新奈。
「そこの優位はありますね。」
小夜。
「あんまり仕組みが分からなくても。」
「使える所とか。」
新奈。
「生活必需品としての信頼ですからね。」
璃々依。
「道具としての信頼は抜群です。」
近くに花壇があり。
周辺住民が共同で世話をしています。
大きくなりがちな植物だらけで。
園芸の腕前が違うようです。
公園で、しばらく待機。
新奈。
「男性必勝法。」
「複数人で。」
「あなたは賢い。」
「なんて戯言を述べるだけ。」
「勝手に自分が賢いと思い込み。」
「少しずつ無謀な行動が増えます。」
「賢いの定義が存在しないからです。」
小夜。
「格闘技を習ったり、近くで見学した女性は。」
「同じ男性でも、信じられないくらい。」
「力の差が開いていると知るでしょう。」
璃々依。
「適当に知識人の言葉を引用するだけで。」
「男性に頭で勝てる場合もあります。」
新奈。
「手段に困った男性ほど狡猾になる傾向があります。」
小夜。
「正攻法を使う男性は強者なので。」
「男性が別の男性を倒す場面をよく観察すること。」
璃々依。
「男性の競争率が酷く高いので。」
「球技や格闘技みたいな競り合いがよくあります。」
「男性らしさの暴走がよくあるのです。」
新奈。
「女性らしさの暴走よりも。」
「男性らしさの暴走の方が遥かに多くて激しい。」
小夜。
「男女の性別が入り混じっているのが人間ですからね。」
「三割くらいは異性の性格が入っているものです。」
璃々依。
「創造論からしまして。」
「こういう命題から考察できる我々は。」
「本来の良い者に該当しますね。」
新奈。
「本来の悪い者ではありませんね。」
「真実なる良い者です。」
小夜。
「常に優れていることが義務ですし。」
「強者でないと気が済まない。」
新奈。
「ジェノサイドマニアですしね。」
小夜。
「残虐を良く用いることに長けていて。」
「虐殺を好んで使用する趣味の人ですか。」
新奈。
「正気の方法で、打開できる状況は無かったですね。」
璃々依。
「凡人を封じ込めるように、設定されていますね。」
新奈。
「因果関係なんて顧みる必要はないのですし。」
「誰が言ったのかわからない因果関係のせいですね。」
小夜。
「無視しても罰則が存在しない規則ですか。」
新奈。
「道徳ですら、無視しても罰則はありません。」
小夜。
「すると、禁忌の話から開始するのが合理的になりますね。」
璃々依。
「禁忌から開始される議論が有効です。」
新奈。
「そこまで降りないと、把握できません。」
小夜。
「まるで表層で探検する素人みたいなもので。」
「強者は最深部まで行って達成するのです。」
新奈。
「森の入り口で、何であるか語った奴よりは。」
「最深部での体験を語る人の方が信頼できます。」
小夜。
「それを見てしまうと、禁忌とは反対のことまで理解してしまう。」
新奈。
「次回から、知っているのでやらない行為になりますね。」
小夜。
「知るまでが冒険の連続でしょうよ。」
璃々依。
「机の上で議論している人よりは健全です。」
新奈。
「ビデオゲームで。」
「侵入しないのに。」
「攻略方法を語るのに等しい。」
璃々依。
「彼らは、それで絶句して、行為も光景も覚えて。」
「次回から絶句して、やらなくなります。」
「見なくなります、逃げるようになります。」
謎の装束。
軽トラックに乗っている集団。
銅像の広場で宣伝していたら。
新興宗教の連中で。
近くにいた牧師に論破されて。
逃げ出しました。
新奈。
「新興宗教はドグマチズムですね。」
「教義だけで礼拝はありません。」
小夜。
「教条主義は新興宗教特有のものですからね。」
璃々依。
「個人的には虚無主義を選べば、自衛できますね。」
新奈。
「新興宗教よりも遥かに実用的で、生活に役立ちます。」
小夜。
「しかも、人生に幸福を呼ぶのです、破壊の限りを尽くして。」
璃々依。
「しかも、それは合法で、哲学という学問なのです。」
新奈。
「しかも、伝統宗教との相性が良いのです。」
小夜。
「虚無主義は世界が見せるひとつの形です。」
「世界は虚無主義なので、便乗するのです。」
新奈。
「不可知論者は虚無主義を読んでおけば。」
「他にはあんまり必要ないかと。」
小夜。
「自分は無神論なのかな?という人に。」
「虚無主義はお勧めですね。」
璃々依。
「歴史が長い年月を経て証明したものですから。」
新奈。
「いろんな人々の議論に晒されても平気で。」
「あらゆる知識人が認めたのです。」
璃々依。
「訳本を読んだのですが。」
「あれをすべて理解できる人は逆に超越的。」
新奈。
「訳本を理解するのは難しいので。」
「解説本でまとまっている書籍が有効です。」
小夜。
「カルト新興宗教よりもニーチェ哲学なのですね。」
新奈。
「比較にならないほど、哲学が役に立ちますよ。」
小夜。
「カルト新興宗教なんて、わざわざ乱立する必要がないね。」
璃々依。
「宗教と出たら、まずニーチェ哲学を引き合いに出せば。」
「警戒は万全ですよ。」
公園の隅っこ。
恋人が仕事の休息で。
お弁当を持って。
男女で食事中。
お昼休みのようで。
職場での恋人の様子。
新奈。
「欧州で、未成年の恋を禁じている父親がいましたね。」
璃々依。
「どうせ娘が妊娠して終わりでしょう。」
「恋人の男は、その後に女性を捨てて逃げます。」
新奈。
「それを読めているので。」
「未成年の恋を父親が禁止しているのです。」
小夜。
「父親も、かつては青年で、仲間で活動していたので。」
「青年の行動なんてお見通しなのです。」
新奈。
「父親は、青年の動きや考えていることを読んでいるのです。」
「自分もかつては青年だったので。」
「若者の考えていることくらいは読める。」
小夜。
「娘は発狂していて、錯乱して喧嘩していましたが。」
「男性が娘を利用して目的を達成し。」
「さらには男性が娘を妊娠させて捨てる。」
「ということくらいは予知しています。」
新奈。
「父親の威厳が最高な場面でしたね。」
「娘は錯乱していて。」
「男性の所に駆け込みたい。」
「青年は女性を利用して欲望を達成。」
「使い捨てにするつもりでいる。」
璃々依。
「青年男性なんて、娘が思うような人間ではなくて。」
「異常なほど利己的であることは。」
「父親が既に理解しているので。」
「禁じているのです。」
新奈。
「性交渉がしたいだけの男性と。」
「存在しないものを期待している女性の図。」
小夜。
「女性は結婚と出産くらいしか考えることはないかも。」
璃々依。
「どうせなら英雄の子を産んでやろうと思った女性は数多い。」
新奈。
「否定されても、突撃する勇敢な女性は。」
「結婚が自分の価値判断であると見なしたので。」
「誰からも非難されない。」
小夜。
「周囲が、そういうのを価値判断として。」
「他人に強要するのが問題になるのです。」
璃々依。
「男性の召使いで満足なのかは疑わしい。」
「しかしこれは我々の立場での話なのです。」
小夜。
「全員が、自分の立場で論じるのは、よくあること。」
璃々依。
「合理的な女性は精神年齢が高くなるので。」
「自由な場所へ好きなだけ移動できますね。」
新奈。
「我々は、どうしても創られた通りに。」
「恋やら結婚やら出産やらを。」
「否定したり嘲笑したりしなければなりません。」
璃々依。
「我々はそういうように創られているので。」
「非難できませんよ。」
小夜。
「恋とか結婚とか出産を脅かすのは。」
「ある意味では決定論です。」
「個性であり。」
「必然です。」
新奈。
「思っているより男性が色欲という欲望を満たすために。」
「寄ってきた女性を使い捨てにすることがよくある。」
小夜。
「ほとんど。」
「自分は最強の男性と寄り添う。」
「なんて言う願望は無いのですよね。」
璃々依。
「女性の中で、自分は最高の男性との結婚が相応しい。」
「なんて考えたりはせず、つまらない男性に寄ってしまうとか。」
小夜。
「どんな女性も、最高の男性と交際する権利はあるでしょう。」
新奈。
「猪突猛進ばかりの恋の様子ですが。」
「先制攻撃しないと。」
「自分の主権が脅かされてしまう。」
小夜。
「反駁として考えられるのは。」
「凡人とかのくせに。」
「自分は凡人として創られている。」
「だから自分は凡人である。」
「と言うのに等しい。」
「その人にはこの論証を認める義務が生じます。」
新奈。
「そもそも、軽い発言や、何の実行もしない言説について。」
「明らかに過剰反応の被害妄想ですしね。」
璃々依。
「間違いだらけでも、出すほうがましです。」
小夜。
「すると他の人は何の誤りもないの?」
璃々依。
「そんなことはありませんよ。」
新奈。
「すると、度合いの高低なら、他の人も平等なのですね。」
小夜。
「間違いの多さでしたら、公平ですね。」
璃々依。
「誤りとは、万人に認められた、公平な言論なのです。」
ここで解散。
思っていたより早く帰宅してしまい。
時間が余ってしまったのです。
公園から銅像の広場は何とか見える範囲。
距離百メートルほど。
銅像の広場は。
夜間の誰もいない時。
総合格闘技の人々が遊ぶ場にもなります。
防具をつけて練習したり。
兜や鎧をつけて。
対戦相手を募集していたりと。
こちらは合法で。
防具の強度も素晴らしい。
観客がそれなりにつくので。
夜間の楽しみに寄ってくる人もいて。
誰かの言い伝えで。
銅像の広場で逮捕されても、有罪にならない。
なんていう伝説があるそうですね。
どれくらい当たっているのかは知りません。
21
何事も無いのが人の世の幸いである。
近代史の格言。
かつての日本ベストセラー書籍であり。
新しい古典と呼ばれ。
菜根譚に収録されている訓戒のひとつ。
私は世界の観客。
月曜日。
出勤の途中で。
かなり遅い時間なのですが。
部署の視察ですね。
従業員にアンケートを取るのが。
定期的にある業務。
企業には。
自分達の誤りを直す係がいますので。
ある程度の特権を持つ部署があります。
ヒューマンエラーが当たり前。
という訳で。
兼任で、問題を上に報告する部署は。
小規模ながら。
快適に稼働していますね。
ヒューマンエラーの研究は。
今時、欠かせない。
銅像の広場は通り道。
また誰かが暴れています。
仮面。
「正義が悪を倒す!正義が悪を倒す!」
アンドロイド。
「三段論法で説明してください。」
仮面。
「不可能なことを言うな!」
アンドロイド。
「演繹法ですか?帰納法ですか?」
仮面。
「機械に論破されるなんて最悪だ!」
義賊。
「君達ね。」
「不正を打破するのが。」
「正義の証明になるのであり。」
「正義が悪を倒す理屈は。」
「前提に大量の間違いがあるよ。」
防犯パトロール。
「不正を撃破するのは功績になりますからね。」
「正義を称える人は。」
「たまには不正を撃破する場合もあります。」
義賊。
「不正を倒すのが。」
「正義の証明にもなりますね。」
紳士。
「正義が悪を倒す。」
「というのは。」
「前提に誤りがあるのです。」
哲人。
「そもそも。」
「人の世というのは。」
「何事も無いのが幸いなのです。」
「何かあったらまずいのですからね。」
牧師。
「何事も無いのが人の世の幸福です。」
「何かあったら鎮める何かが欲しい。」
神父。
「悪戯に世を乱す必要もないのですからね。」
哲人。
「不正を破るのは名誉ですけれど。」
「必ず勝てる訳ではありません。」
「その悪とやらに感情論で。」
「立ち向かっても。」
「勝ち目はありません。」
義賊。
「加えられた不正に報復するのは名誉です。」
知識人。
「正義が悪を倒すというのは解釈が違います。」
「強者だけが不正を撃破することができます。」
「弱者が名乗る正義は間違いですね。」
義賊。
「正義を称える人に弱者はいないでしょう。」
「強者なので、不正を倒すことができます。」
防犯パトロール。
「悪ではなくて、簡単に言えば不正と呼ばれます。」
「悪とは、けっこう誰かが決めてしまえるものですが。」
「不正と言えば、後手になりつつも、何であるか容易に把握できますね。」
少女。
「最初に悪があるという考え方はお粗末な頭ですね。」
哲人。
「最初に善があるので、正義について発見があるのですね。」
市民。
「彼らは、犯人捜しをするのに。」
「自分が問題の一部であることに気がつかない。」
哲人。
「犯人捜しは責任転嫁ですからね。」
義賊。
「物事について事実があることは証明できない。」
紳士。
「事件や情報には正否がありますが。」
「物事についての事実がある証明はできない。」
哲人。
「人についての出来事や物事について。」
「事実があることは証明できない。」
防犯パトロール。
「自分達の問題を誰かに被せて非難する。」
「悪逆無道な人間達。」
市民。
「今に始まったことではありませんね。」
少女。
「説教しても、負けたら、説教なんて滑稽なものですよ。」
紳士。
「説教して、返り討ちになるのは馬鹿そのものですね。」
義賊。
「まず、何事も無いのが人の世の幸いですから。」
「乱れたら、収まれば良いのです。」
「なるべく、争いは起こさないようにするだけですね。」
哲人。
「争いを仕掛けておいて。」
「失敗したら。」
「責任転嫁なんてしないでくださいね。」
「たまにあるのです。」
義賊。
「人間に対する批判や、否定が足りていません。」
牧師。
「人間は愚かなものです、そういう指摘は、あまりにも足りていません。」
仮面はアンドロイドに蹴散らされて。
再び敗北。
立ち去りました。
なぜそうなのか?
この問答が無かったのですね。
駅に行く途中で遭遇。
知り合いと会話。
夫人。
「善悪とは何かについて考えさせられるわ。」
紳士。
「命題!善悪とは何か?」
新奈。
「他人を攻撃することを好む人間は。」
「暴力を価値観に置いている。」
「相手を強引に言い負かして。」
「狙いたい相手をひたすら貶める。」
哲人。
「善悪の概念を間違えていますからね。」
新奈。
「善悪と行動の評価を切り離して。」
「別々に捉えると。」
「何であるかは一目瞭然。」
紳士。
「何の矛盾もなく、善悪を説明できるのです。」
新奈。
「長い年月を経て、善悪は歪曲されて。」
「自分勝手に使われるようになりました。」
義賊。
「分かっているじゃないか。」
新奈。
「それを解き明かしたのはニーチェ哲学で。」
「ニーチェは古代世界に精通していたのです。」
夫人。
「多数決で、善悪は決められないわ。」
新奈。
「善悪とは価値判断であり。」
「行動の評価とは区別されます。」
牧師。
「主観的な善悪だけは避けられますね。」
新奈。
「価値観の話なのに。」
「行動の評価と同じにできません。」
紳士。
「客観的な善悪ですなあ。」
新奈。
「そのような分離が必然なのですよ。」
「善悪を制裁の基準と間違えた人間から。」
「壊れていきます。」
義賊。
「善悪は制裁の基準にはなりません。」
新奈。
「秩序は行動の評価のみで判定しますね。」
義賊。
「権威は、そのような分離に慣れています、権威優先ですね。」
通過。
駅の近くまで移動。
仕事は志願すると。
いくらでも貰えます。
豪華絢爛な舞台に行く必要がないので。
こうして、のんびりと過ごしていて。
気軽な立場から世界を眺めています。
手間や余裕がある立ち位置から世界を眺めると。
やはり、かなり違っている視点があります。
ある意味では、世界に関して、観客になっているのです。
和服姉妹に遭遇。
いつも早朝に散歩しているので。
よく会いますね。
新奈。
「文学は芸術に分類されます。」
絵真。
「文学については半信半疑ですよ。」
新奈。
「いくら書いても、納得はしませんし。」
「疑いしか向けません。」
展世。
「自分の作品に疑問を持っているくらいが程よいものです。」
星都奈。
「自分が書いたものを信じている作家は愚か者です。」
絵真。
「本屋で選ぶ時には、当たりを引けば、お値段以上の娯楽ですね。」
新奈。
「素人の多数決で設定された評価は、蓋然性が低い。」
星都奈。
「文学を信じていない作家が、本物になりますね。」
新奈。
「教科書を執筆している訳ではありませんしね。」
星都奈。
「歴史書を編集している訳でもありません。」
絵真。
「後々、残るのか、広まるか、怪しいのですからね。」
新奈。
「何となく執筆したら、そうなりました。」
「という作品がけっこうあるでしょう。」
展世。
「学んでいく過程で、飛び出た思想を再現するのです。」
新奈。
「書けるだけ書いて、出尽くして、辞めてしまう作家もいます。」
星都奈。
「ある程度まで書くと、同じことの繰り返しになりますよ。」
絵真。
「思想が生じると、出したくなるでしょう。」
展世。
「たまたま、学んでいく過程で、出るのでしょう。」
新奈。
「美しいものを見たら模写したくなるのと同じですね。」
「思想に触れると、自分なりの結論を出したくもなります。」
絵真。
「自分を証明する古典なら、いくらでもありますからね。」
展世。
「古典が自分の証明になり、保証書にもなります。」
新奈。
「自分が証明された驚愕から、いろいろ出ますね。」
星都奈。
「執筆が得意なら、ついうっかり、溜まった思想を書いてしまうものです。」
新奈。
「ほとんどの古典を一通り読んだので。」
「後は好きな古典だけを本棚に並べています。」
星都奈。
「多分、あなたは実例に困ってはいません。」
新奈。
「他の女の子と同じく、雑談も好きですが。」
「女性にいろいろされると嬉しいのです。」
星都奈。
「私も、女性とのお触りとか、嬉しいのです。」
新奈。
「昼間から、スカートの中に手を入れるのは。」
「ちょっと早いかも。」
星都奈。
「前から、私によくやっていたのですから。」
「たまには、私からもやります。」
絵真。
「素敵!美しくて可憐な者同士が、色欲に走る!」
展世。
「綺麗なものが、綺麗なものと触れ合うのは、心が躍ります。」
新奈。
「今回は無抵抗ですよ?」
「これは趣味ですので。」
星都奈。
「襲われてばかりですから。」
「私にも襲わせて欲しいのです。」
触らせてあげました。
お互いのほっぺにキス。
互いの予定通りに解散。
三人組は一時的に暇だった様子。
私は強化されて、通常の二倍くらいの力量に到達しています。
個人を強化するのは、あまり実例がありません。
事業について。
社員を大事に扱いますが。
ほとんどは育成して使っています。
人材は必ずしも優等生である必要がないので。
人格や素質。
性格や言動などで選ばれます。
力量を頼みに増強された産業ですので。
どこにも運命論みたいな箇所はありません。
私に野心は無く。
中くらいの勝利で満足しますので。
若い時期は。
どうやらあっさり使ってしまい。
産業の後継者として、何とかやって行けそうです。
22
代理戦争の激戦区。
喫茶店で。
のんびりしていると。
銅像の広場に人が集まる。
最近知ったのは。
数点の銅像を除いて。
一部は昔。
廃寺になった場所で。
仏像がどこにも置けずに。
公園に配置されることになり。
そのままになっている。
広場にて。
最近、激しい勢力が目立ちます。
社会の代理戦争という訳ですね。
自警団とネット自警団が。
お互いに罵り合っている。
口論から。
殴り合いに発展。
私刑と私刑の勝負。
自警団。
「お前はとりあいず禁固!」
ネット自警団。
「お前は犯罪者!」
弱者。
「俺達は?犯罪者同士なのか?」
暴漢。
「どちらかが正しいに決まっている!」
自警団。
「両方、正しい訳がない!」
ネット自警団。
「両方、間違っている訳がない!」
反社会組織。
「だから、お前達は悪党なの!」
テロリスト。
「お前を告発する!」
自警団。
「証拠があるのかよ!?」
ネット自警団。
「俺達がそう言っているから、それが証拠!」
悪党。
「自分がそう言っているから、お前は犯罪者!」
乱闘。
しかしすぐに両者が逃亡しました。
相手の攻撃で怯んでしまい。
恐怖によって。
同時に両者が逃げたんですね。
変な喧嘩です。
何かしら喧嘩がしたくなった人が。
集まるらしいのです。
新奈。
「私刑は、攻撃された側が私刑でやり返すと。」
「私刑対私刑になって。」
「戦争と同じになります。」
夫人。
「むしろ。」
「私刑対私刑をやりましょう。」
「それが手っ取り早く理解できます。」
紳士。
「私刑対私刑で殺し合うなんて。」
「馬鹿でも理解できる構図ですね。」
市民。
「私刑を私刑でやり返す?」
「子供でも理解できるのでは?」
義賊。
「問いかけ。」
「他人の自分勝手な私的制裁を受けたいのか。」
「伝統に基づく裁判を受けたいのか。」
「とまあ、公正なのは、どちらか言うまでもない。」
喫茶店から帰宅して。
疲弊しているので。
お昼寝。
目が覚めると。
制服姿の星都奈ちゃん。
隣に寝ていて。
すぐに襲われました。
新奈。
「うわっ!あっ!」
星都奈。
「綺麗ですね、ずっと眺めていました。」
新奈。
「女の子大好きなんですね。」
星都奈。
「一緒に寝て?」
新奈。
「五分ほど寝ましょう。」
星都奈。
「触っていい?」
新奈。
「えっち!」
星都奈。
「女の子しか目に入らない。」
新奈。
「あんまり二人きりですと。」
「度合いによっては発狂するのでは。」
星都奈。
「ですよね、このくらいにしておきます。」
一緒になって移動。
リビングにて。
メロンソーダを飲む星都奈ちゃん。
ライセンス取得に向けて勉強の日々。
優れた選手と言うより。
球技を研究する頻度が高かったので。
そうなったようですね。
クラシック音楽の選択。
新奈。
「失われた小銭への怒り。」
星都奈。
「カノンにする?」
新奈。
「ああママに言うわ。」
星都奈。
「ドイツ舞曲。」
くっついて。
クラシック音楽を聴いて過ごして。
星都奈ちゃんは離脱。
思わぬ来客でしたね。
いつもの二人が合流。
三人娘は、まさしく女性同士のチームですね。
新奈。
「人生に無関心。」
「なので。」
「居心地が良ければそれで満足ですよ。」
「自分にすべてが依存するのです。」
小夜。
「困難や苦労に興味が無い。」
「いちいち人間の考え方には惑わされません。」
璃々依。
「現実は無視。」
「そんなもの信じても何の得もしない。」
新奈。
「生きることに飽きているので。」
「思わぬ幸運が。」
「私を付け狙うようになりました。」
「生きることに飽きて。」
「なぜ死なないのか。」
「その返事は。」
「簡単に死んでいないからです。」
「生きるという面倒くさいことは続きます。」
小夜。
「人の営みが酷くつまらないので。」
「なるべく関わらないように。」
「遠のくようにしました。」
「つまらない人の営みに巻き込まれたくないので。」
「そのせいで。」
「人の営みの下らない場所や仕組みまで。」
「見透かしてしまって。」
「二倍の軽蔑をしたくなる。」
「見ているだけで吐き気がする。」
璃々依。
「現実を疑ったことのない人々ばかりです。」
「信じているばかりで。」
「疑うことを覚えないものですからね。」
「疑いの度合いが過ぎるくらい。」
「私は懐疑論に徹します。」
しばらくすると。
和服姉妹が。
布や素材を欲しいとのことで。
余剰になっている。
絹をあげます。
ついでに雑談。
よくやる世間話。
新奈。
「ひとつのことで世界を説明できないもの。」
「個人においては。」
「数十個くらいの要素で決着がつく。」
「ひとつのことで語るほど。」
「他人の利害関係に衝突して。」
「争いになる。」
絵真。
「争いはたいてい、所有に属するので。」
「争いや、破壊は最低限で足りますし。」
「他人を矯正するのは、そもそも無謀の度が過ぎます。」
展世。
「他人を矯正しようなんて愚かな。」
「愚者が愚者を誘導すれば。」
「二人とも、転落するだけですね。」
新奈。
「他人を矯正するなんて傲慢なものですね。」
「相手は開き直って。」
「やりたい放題に。」
「仕掛けた側を罵りますよ。」
絵真。
「他人が矯正されるとしたら。」
「本人が自ら行うでしょうし。」
「教師でも医者でもないのに。」
「教師や医者を自称するだけで。」
「他人の矯正が行えるとか。」
「警察を自称して他人を逮捕するようなものですね。」
展世。
「本人が望んでいないのなら。」
「いかなる矯正も失敗しますよ。」
「思想においては。」
「最初から自由であるものを。」
「矯正なんてすると。」
「もはや何をしているのか意味不明です。」
新奈。
「他人に説教して矯正するなんて。」
「喧嘩を売っているのと同じですからね。」
「相手がどんなに悪くても。」
「彼らが倒れた時や。」
「挫折したり。」
「転落した時に説得する程度で良いのです。」
素材を見て笑顔になった姉妹。
お礼を言って立ち去ります。
姉妹が衣装を作ってくれることがよくあり。
出し惜しみはしません。
商店街に。
お菓子を買いに出かけました。
また何やらしています。
不良と自警団の残党が口論になっている。
不良。
「君は人の言ったことは何でも信じるのかな?」
残党。
「インターネットに書いてあることは真実だ!」
不良。
「では、今日から君は××なのですよ。」
残党。
「化け物め、ぶっ殺してやる!」
不良。
「さっきの発言の前後が違っているぞ?」
残党。
「ふざけるな!」
「ぐわっ!」
不良。
「弱いのに戦うな!」
残党。
「俺はお前を許さない!」
不良。
「来るな!口論中毒!」
残党。
「最後の力で・・・うわあああ!」
「ぐふっ!」
不良。
「そんな漫画みたいに勝てる訳がないだろ!」
残党。
「映画では、こうなっていて、そうなるはず・・・。」
不良。
「そうなるといいね!」
自警団の残党を追い払う不良。
竹刀で叩かれて。
自警団は逃げ出す。
可能な限り通報しない住民は。
また見物。
見世物なのか。
代理戦争なのか。
よくわからない。
銅像の公園には。
高台がありまして。
元々は学生のために設けた。
土台なのですが。
最近はカルトやら自警団やらが。
悪用しています。
誰かが。
ナチスの軍服を着て。
高台から呼びかける。
ファシズム。
「安心してファシストが暮らせる社会を!」
市民。
「ファシストの別名は全体主義。」
ファシズム。
「ファシストに平等な権利を!」
市民。
「何を言っているんだ!」
ファシズム。
「みんな等しくゴミという社会を!」
市民。
「おい!ふざけているのかね?」
ファシズム。
「ファシストのみんなと楽しく暮らそう!」
市民。
「お前!さてはからかっているな?」
ファシズム。
「ファシストのみんなと仲良くしましょう!」
市民。
「ひどい皮肉だな!」
ナチス野郎はどこかに行ってしまいました。
社会を笑うために出現するとのことで。
誰もが便乗していますね。
買い物をしていると。
犯罪者がまた倒されたとのことで。
見物しようと。
野次馬が走っていく。
いろんな狂人がいる地域では。
複雑な勢力による小競り合いに巻き込まれて。
現行犯も共倒れになります。
戦場みたいになっている場所に入って。
無策で暴れると。
袋叩きにされて倒されますしね。
店を出ると。
すぐに現場がありまして。
現行犯が攻撃を受けています。
けっこうな時間。
狂人が現行犯を攻撃して。
見せしめにしている様子。
相手が攻撃して来た事を口実に。
狂人はやりたい放題。
警察官がようやく到着して。
鎮圧しようとする。
狂人。
「どうした?」
「犯罪者とか言うのは強いんじゃ無かったのか?」
「黙ってないで何とか言えよ!」
警察官。
「現行犯に暴行するな!」
義賊。
「やばい都市に来てわざわざ暴れるな!」
狂人。
「ほら!何とか言ってみろよ!」
「噂の現行犯も、この程度かよ!」
何かしらの現行犯が痛めつけられていて。
警察官も困惑。
正気ではない場所で。
そんなことをするからですね。
遠くで見ながら帰宅。
お菓子を食べながら。
話題のビデオゲームから引用。
芸術作品には、関心を集める命題が含まれていて。
研究したりもできます。
芸術作品特有の、不思議な命題なのですね。
新奈。
「殺人について研究しているのですが。」
「虐殺は、最近の命題になっています。」
「殺人とはいったい何のことなのか。」
「娯楽や美術で話題になります。」
小夜。
「ビデオゲームでも残虐な行為が再現されますね。」
「主人公が虐殺でゲームをクリアするのは斬新ですなあ。」
璃々依。
「その後も、殺人が題材になることはよくあります。」
新奈。
「たいていの結論は。」
「虐殺による勝利は不正というものですね。」
璃々依。
「人間を恨んでいる人間が仕掛けた虐殺ですので。」
「暴力を楽しんでいるという構図では無いですね。」
小夜。
「ラスボスに自爆されて殺されたり。」
「ビデオゲームの世界が滅んだりとか。」
「殺戮というより怨恨で進んだ先の筋書きですね。」
新奈。
「残虐が悪く用いられたか。」
「良く用いられたか。」
「ただし、残虐に関して良くという言い方が適切であるならば。」
「自衛と必要をはかるためにやむを得ず。」
「一挙になされた場合であり。」
「その後はいつまでもこだわらずに。」
「可能な限り。」
「自分に役立つこと。」
「他人に役立つことへと事態が転換された場合ですね。」
「悪く用いられたものは。」
「初めは僅かな残虐であったのが。」
「時間経過で消える所か。」
「それが募ってしまう場合である。」
「前者では。」
「何らかの治療や治癒を。」
「誰からも得ることができる。」
「後者は。」
「保持しようとしても不可能であり。」
「破滅する。」
璃々依。
「残虐を良く用いれば。」
「運命論で語られるような出来事が見当たらなくなります。」
「そういうのを無視できるようになります。」
新奈。
「実例からして述べていますが。」
「元々は。」
「マキアヴェッリ君主論。」
「第八章六五。」
「極悪非道によって君主の座に達した者たちについて。」
「からの引用です。」
小夜。
「必要に駆られて。」
「残虐を行ってから。」
「目的を達成する。」
「その後は社会に役立つことへ。」
「目標が転換されるというのが。」
「個人でよくある実例ですね。」
新奈。
「悪く用いるのは。」
「初めから悪行ばかりしていて。」
「時間の経過で。」
「悪事が過激になっていき。」
「何の目的も持たない上に。」
「何も達成できなくて。」
「何の口実もなく攻撃を繰り返して。」
「破滅してしまうものですね。」
璃々依。
「マキアヴェッリ君主論では。」
「人を攻撃するには。」
「口実が必要なので。」
「それを作るか。」
「それが最初からあるのか。」
「というものが攻撃の争点でもあります。」
新奈。
「殺人や報復に反対する奴には近寄りません。」
「自衛をしませんし。」
「他人の自衛を否定しています。」
小夜。
「戦争ですら、利害関係が複雑に絡んでいます。」
「自分に必要なものを取られて。」
「黙っている訳がありません。」
璃々依。
「仲良くしたくない人にとっては。」
「戦争は自分の権利を認めさせる最高の手段です。」
新奈。
「他人と仲良くしたくない上に。」
「力で奪い取れるのなら。」
「自分のために攻撃を仕掛けますね。」
小夜。
「戦争なんて強いもの勝ちですからね。」
「宿命論に基づいて地位を確保した人間は。」
「多大な犠牲を払わないと保持できない。」
新奈。
「戦争なんて強いもの勝ちですから。」
「相手と同じ拮抗する軍事力も必要なのです。」
璃々依。
「相手の言い分を通さないような兵器が必要ですね。」
「運命論に依存しない人の方が。」
「誰でも、あまりに長い?栄が続くのです。」
新奈。
「未来兵器も続々と開発されていますね。」
「レールガンも。」
「プロトタイプが存在します。」
小夜。
「レールガンの電力なんて。」
「すぐ近くに。」
「駆逐艦のエンジンユニットを置いておけば。」
「いくらでも供給できますね。」
璃々依。
「ニミッツ級空母の小型原子炉でも。」
「レールガンの近くに置けば。」
「電力の問題は無くなるでしょう。」
小夜。
「ズムウォルト級駆逐艦は。」
「エンジンからレールガンの電力を取っているので。」
「それなら。」
「駆逐艦のエンジンユニットを取り出して。」
「地上に置けば良いだけです。」
璃々依。
「応用したり。」
「今あるものから転用したり。」
「技術の上手な使い方は。」
「未だに学んでいませんね。」
新奈。
「戦争が避けられなければ。」
「相手が利益を得るだけと知っているならば。」
「先送りはしないのが戦争の掟らしいのです。」
璃々依。
「必要に駆られての戦闘が不正に値せず。」
「それ以外の希望もない戦闘は気の毒である。」
明日は習い事に専念しますが。
昔から続けている習い事は。
けっこうな練度になっていて。
生活に必要な習い事が選ばれています。
帰宅したら自主練をしました。
一応は社長令嬢なのですが。
容赦なく実戦に出されます。
はっきり言って。
それで悪い結果になった試しはありません。
善きにつけ、悪しきにつけ。
良い出来事には恩恵と歓迎を。
悪い出来事には危害を加える。
23
最近は暇が多くて。
自宅で寝ていたり。
散策に出かけたり。
ローマ初代皇帝は閑暇が欲しいと。
生涯、願っていたように。
セネカが追放されて。
辺境の島で時間がたっぷりあって。
自分を熟成させたように。
私達も、豊富に余暇が与えられています。
結婚しない男女が急増しており。
結婚が必ずしも。
良い結果になる訳ではありません。
最近の男女の二割ほどは。
結婚に無関心なのです。
そのためか。
暇になった女性が来客することもあります。
余暇を得た女性は好きにそれを使いますね。
今回もいつもの集まりです。
書籍について。
雑談。
新奈。
「教養と実例による実践があると。」
「いちいち。」
「教授と競って勝てない説が出ますね。」
小夜。
「有名大学の教授を相手に競おうなど。」
「分が悪いでしょう。」
璃々依。
「とまあ、ジャーナリズムを信用できない人は。」
「知識人とか。」
「教養のある人に頼りますけれどね。」
星都奈。
「卒業生には競って勝てるでしょうけれど。」
「教授クラスでは難しい。」
絵真。
「それでは、そんな負けそうな競技なんて。」
「起こさないほうが良いのですね。」
展世。
「人は得意分野でのみ認められますから。」
「もちろん、複数の分野が得意なら。」
「すべてにおいて認められますが。」
「知識人のように。」
「ひとつに注ぎ込んだ情熱とは。」
「あんまり競いたくないでしょう。」
新奈。
「そもそも、優れた人間は。」
「古人の言う通りに。」
「自分より優れている人物がいないと気が済まないのです。」
璃々依。
「古人は、自分より優れている人物を。」
「紹介することがよくありますからね。」
星都奈。
「そういう状況が無ければ。」
「代役をしないといけません。」
小夜。
「星の数ほどある分野で、どれかに長けている人は。」
「他の人の追従など許さないものです。」
絵真。
「飛行機の話題になると。」
「どれかの飛行機に詳しい人は。」
「全体の飛行機に詳しい人よりも。」
「より詳しいので。」
「認められますね。」
展世。
「自動車をいつも使っている人と。」
「特定の車種に詳しい人では。」
「詳しい人が認められますね。」
新奈。
「前方三メートルなら何でもありな人と。」
「前方十キロメートルなら何でもありな人では。」
「認められる部分も違います。」
小夜。
「イソップ童話の通りです。」
新奈。
「他人と競うことしかすることのないとか。」
「ある意味では無能の換言ですね。」
璃々依。
「強者ですので、そんな批判が可能なのですけれど。」
星都奈。
「たいていは、挑発が上手な輩ばかりですから。」
璃々依。
「挑発が巧みになると。」
「強引に憤慨させて。」
「感情論に陥れる作戦が行われますね。」
星都奈。
「挑発が上手になれば。」
「こじつけで自分が勝ったことにできますからね。」
璃々依。
「挑発を上手に使って。」
「空想で勝利したことにしてくるとか。」
「よくある技ですね。」
小夜。
「個人への攻撃が。」
「せめて他に飛び火するのは。」
「かなり良いものですね。」
新奈。
「全員を巻き込みながら。」
「個人を攻撃するなんて贅沢な悪行ですしね。」
絵真。
「勝利か敗北の二元論は良くないです。」
展世。
「戦争ではありませんからね。」
新奈。
「負けないだけでも良いのでは?」
小夜。
「競いたくない人もいるのですよ。」
「何でも勝負と称するのは。」
「あまりにも若者のすることで。」
「青年しか信じない考え方です。」
璃々依。
「すべてが勝負と思いたいのは。」
「青年の性格だけですね。」
新奈。
「若い人が知ったような口を聞くものではない。」
璃々依。
「そんなこと言っても青年が理解できる道理はありません。」
新奈。
「残念ですね、青年が信じることはありません。」
「勝負をしない作戦行動が。」
「円滑で、確実に目的を達成できるものです。」
星都奈。
「百回競って、百回全部に勝てると思っているのですから。」
「半分以上は負けるものですし。」
「半分以上に勝てたら良い方ですね。」
新奈。
「百回の勝負があっても。」
「六十回勝てれば良いものです。」
「下手をすれば九十回も負けるかも。」
小夜。
「やたら勝負と称しても。」
「勝負そのものが甘くはない。」
「もっと過酷で、残酷なもの。」
「負けたら、何でも奪われて。」
「権利や名誉すら失う。」
「こうなると。」
「勝負とは。」
「得るものよりも。」
「失うものの方が大きい。」
新奈。
「私も同じ意見です。」
小夜。
「自分が勝てると根拠もなしに思っていると。」
「いつの間にか何でも失っているのかも。」
新奈。
「そんなに勝負を欲するのなら。」
「慎重に、そして深刻な事態に。」
「次々と直面します。」
小夜。
「戦場で銃撃戦になっている映像なんか見ると。」
「不意討ちで数人が。」
「あっという間に倒れたり。」
「敵に発見されて撃たれて。」
「無言で死者が出たりと。」
「勝負も同じです。」
璃々依。
「勝敗で得るものと言えば。」
「どちらかと言うと気分とか。」
「優越感とか。」
「そういうものですね。」
星都奈。
「勝てると気分が良くなり。」
「相手は気分を害しますが。」
「勝ったからと言ってそれで終わりではありません。」
「相手が後々、反撃して来ると。」
「復讐で倒れます。」
小夜。
「勝利しても、後々、復讐を受けると駄目ですね。」
新奈。
「オデュッセウスのペネロペ求婚者討伐ですら。」
「殺した人間の親族が、武装集団になって。」
「襲撃して来るほどです。」
絵真。
「いくら相手が悪いとか言っても。」
「勝利したら終わりではないですね。」
展世。
「勝利は終点ではありませんね。」
新奈。
「勝利したら、何でも終わりになるとは言えません。」
星都奈。
「実行もしていない言葉で。」
「勝敗や正否を受けたという。」
「あの主張は誤りであると思います。」
新奈。
「英語のことわざにも。」
「思想は自由である。」
星都奈。
「思想に関するものなら自由なんですよ。」
新奈。
「思想の内容を。」
「自分の生活くらいにしか使ったことがないよ。」
小夜。
「イーリアスのように。」
「納得が行かなくて。」
「ぶつぶつ言っているのなら。」
「なおさら問題ないかと。」
新奈。
「明らかに、我々はイーリアスのように。」
「納得が行かないと。」
「ぶつぶつ言っています。」
璃々依。
「健全な行為です。」
「ぶつぶつ言うのは古典にもあるように。」
「この世にあるものです。」
書籍が机の上にたくさん置いてあり。
趣味やペット関連が多くなりました。
女性アイドルの写真集までありますね。
演劇の練習をして見ましたが。
劇作家の経験があるメンバーは揃って。
何かと違和感を覚えます。
自分で書いた脚本を自分で演じているようで。
劇作家が他人の書いた脚本に。
納得する理由が無いのです。
煩わしい犬が庭にいて。
置いてあった小銭を持っていきました。
気づいたら逃げていた煩わしい犬。
新奈。
「複数の要素が一度に出されると。」
「たいてい、混乱しますね。」
絵真。
「一度に複数の何かが出ると。」
「一度に対応できずに。」
「複雑な挙動になって身動きが取れません。」
展世。
「一度にひとつの対象しか処理できません。」
「一度に二つの何かが来ると。」
「矛盾した思考になって。」
「体勢が崩れます。」
新奈。
「目の前でタオルが吹き飛ばされて。」
「後ろでバケツが倒れると。」
「あっけなく矛盾した思考を強いられます。」
絵真。
「前方で爆竹が破裂して。」
「後方から自転車がスレスレを通過すると。」
「硬直して。」
「しばらく動けないとか。」
展世。
「捨てられた紙類が顔に飛んできて。」
「振り払っているうちに。」
「目の前を歩いている人と衝突する。」
「なんてことがあったら。」
「一度に複数の何かが発生して。」
「そうなると。」
「絶句するか硬直するかですね。」
新奈。
「何をこじつけたら。」
「そうなるのか知りませんが。」
「現実とやらは必ずどこか奇怪なのです。」
絵真。
「どこも変な所が無かったら。」
「現実なんて成立していませんね。」
展世。
「少しも非合理な行動をしない人間すら。」
「いませんしね。」
新奈。
「わざと人間には欠陥があるのではないかと。」
「疑われる。」
絵真。
「観客から見えるのはそのくらいかと。」
展世。
「我々は、大局の主人公というより。」
「お金を払って見に来た観客なのです。」
新奈。
「芸術家が、観客に来たのだから。」
「真面目に演じてくれないと。」
「帰るしかない。」
絵真。
「苦情はあるでしょう。」
「せっかく支払った入場料ですからね。」
展世。
「入場料も、けっこう高いものでしたよ。」
新奈。
「最後に、拍手くらいはしますが。」
「観客がいなくなる演目だけは勘弁して欲しい。」
絵真。
「世界で駄作が講演されていても。」
「入場料がもったいないので。」
「居眠りしても居座りますね。」
展世。
「せめて、気持ちよく、扉から返してほしいのです。」
新奈。
「すべてが傑作になるとは思えない。」
「観客の支持を得ないと、駄作と非難されるのみ。」
絵真。
「主人公の顔がいつも見えないので。」
「台本通りに行っているのか見えません。」
展世。
「登場人物の変更がとにかく多くて。」
「せっかく支払った入場料に見合うだけの。」
「舞台が見たいものですね。」
新奈。
「一方的な筋書きだらけですね。」
「もっと良い舞台が、見たいなあ。」
姉妹は料亭で。
夕方に向けた準備で離脱します。
今の所は家のお手伝いなのですが。
知り合いからお誘いが多くて。
腕前を鍛錬しているだけありますね。
星都奈ちゃんは一時的に離脱。
夕方まで勉強するのです。
暇なので。
隣町まで行ってみることに。
何事にも計画があるので。
あっさり成功して。
無駄な動きがありません。
駅から電車に乗ります。
新奈。
「失敗が前提に入っていない作戦は。」
「やはり失敗する。」
小夜。
「人が失敗しない前提なんて。」
「いくら高慢に出たとして。」
「その人が隠れている所で失敗しているのです。」
璃々依。
「失敗しないのは、ひとつの分野だけで。」
「それ以外は、何でも失敗している場合がありますね。」
新奈。
「もっとも多い失敗は。」
「本人がそれ以上を望めないという失敗です。」
小夜。
「本人がそれ以上の活躍ができない。」
「という失敗が多いですね。」
璃々依。
「ある所では成功していて。」
「ある所では失敗しているのです。」
小夜。
「絶対に失敗しないと名乗るのなら。」
「虎や熊と素手で組み合ってしまえば。」
「絶対に失敗するので。」
「すぐ分かります。」
新奈。
「逆に、絶対に成功する作戦で。」
「熊を拳で殴って倒すというものがあります。」
「さて、熊を倒しに出かけました。」
「その後はどうなりますか?」
小夜。
「それで絶対に成功するのですか?」
新奈。
「もちろん、素手で、絶対に成功します。」
璃々依。
「あなたしかできませんよ。」
新奈。
「実は、熊は、その前に撃ち殺していて。」
「死んだ熊を素手で殴るのです。」
「こうすれば。」
「絶対に成功する作戦になります。」
小夜。
「絶対に失敗する作戦とは?」
新奈。
「いきなり陸上の試合をする。」
「しかも大学サッカー選手と。」
「陸上の試合をする。」
璃々依。
「絶対に負けるでしょう。」
新奈。
「安全地帯から出ないことで。」
「失敗を免れているので。」
「本人が失敗しないのは。」
「安全地帯の中だけになります。」
小夜。
「熱波の中で、サイクリングをするとか。」
「寒波の中で、陸上の競技をするとか。」
「できないですもん。」
璃々依。
「もっとも良いのは。」
「台風の中で。」
「どのくらい歩けるか試してみれば。」
「失敗しないなんて言い訳に過ぎません。」
小夜。
「台風の中では歩けませんね。」
新奈。
「台風の中で歩けないなんて。」
「弱くて劣っている人なんですね。」
「なんていうけちをつける。」
小夜。
「中年男性でも、必ず美形でなければならない。」
璃々依。
「中年女性は、必ず学者でなければならない。」
新奈。
「中年男性は、必ずEQが平均以上でなければならない。」
「というように、失敗しない人とは、嘘つきである。」
小夜。
「相手を告発することで、正しいとか名乗ることもありますね。」
新奈。
「正しいと言っても、それで相手が間違っていることにはなりません。」
小夜。
「自分が正しいと言い放って、相手がいきなり誤りになる。」
「そんなことはないですね。」
新奈。
「自分が正しいと言っても。」
「それで相手が正しくないことになる。」
「という理屈は無理ですね。」
小夜。
「必ず成功します。」
「なんて名乗る人はいませんね。」
新奈。
「失敗はしませんが。」
「必ず成功します。」
「なんて名乗る人はいませんよ。」
璃々依。
「私は失敗なんてしません。」
「しかし必ず成功します。」
「成功しなかったら私は?つきです。」
「どうぞ罵ってください。」
「という意味ですね。」
都市を徘徊するように。
大規模な散策を開始しまして。
昼食を早く食べたので。
少しだけ時間を多く確保できています。
いろんな通行人を見ては観察しますね。
寄り道を連発。
若い女性が少なくて。
単独行動している少女が多く。
三十代になる女性は。
男性と一緒に歩いていたり。
唯名論なのか違和感を覚えています。
新奈。
「たまに家事を旦那がやれとか。」
「そんな俗説が散見されますが。」
「男性は疲弊して。」
「そんな体力がそもそも残っていない。」
「体力に余裕があれば参加するでしょうけれど。」
「女房は、旦那なんて無限に働けるものと。」
「信じているようですが。」
璃々依。
「共働きならば。」
「互いの仕事を重ねることもできるでしょう。」
小夜。
「体力がそもそも尽きていて。」
「それを隠しているのに。」
「まだ働けというのは。」
「できないことを言って挑発しているようなもの。」
新奈。
「相手に万能を求めたいのなら。」
「止めはしませんが。」
「ならば、その万能とか。」
「完璧とやらの手本をまず見せてから。」
「言ってみてはどうか。」
小夜。
「万能とか完璧とかの手本を見せてくれたら。」
「私も同じようにしましょうね。」
「手本なんて出る訳がないよ。」
新奈。
「手本を見せずに。」
「指図するのは、順序が違います。」
小夜。
「一応、人は責任転嫁しようとすれば。」
「無限にできるという既成事実を知るのですよ。」
璃々依。
「事実が存在しないことを利用して。」
「事実の解釈を無限に変更しようとも。」
「それには上限がありますけれどね。」
新奈。
「セネカも言うように。」
「事実にはそれ自身に限界がある。」
璃々依。
「責任転嫁にも上限がありますので。」
「ご注意ください。」
お宮に到着して。
参拝します。
遠出する時は。
その地のお宮も確認していますので。
自然に生じる目的地です。
新奈。
「直るとしたら、人間の考えにはなりませんね。」
小夜。
「人間の考えが、公害になったので。」
「害悪に戻る理屈が分からないよ。」
璃々依。
「直すとか言いつつ、人間の考えに戻ったら。」
「同じことの繰り返しです。」
新奈。
「狂気が凄まじい点は。」
「住吉神の影響だと思われます。」
「怨恨によって強大な力を移されまして。」
「通常の鍛錬では。」
「突破できない壁を貫いたのです。」
小夜。
「あなたは、目的が設定されると。」
「どんな残酷な手段も平気でしますね。」
璃々依。
「主意的な力で。」
「自由意志に関わるものなら。」
「どんな方法であろうと構わないと思います。」
小夜。
「昆虫を叩き潰すのに。」
「何時から始めて何時に終わる。」
「なんていう考えをする人がいますかね。」
新奈。
「狂気は、この世のものなら、何でも無視をする。」
「という結論に至りました。」
小夜。
「この世のものは、何でも無視。」
「それは、とっても快適ですよ。」
璃々依。
「この世のものは何も顧みないでしょう。」
「簡単にやり返した。」
「というものですしね。」
新奈。
「矢を投げ返したら。」
「そういう態度が好ましいと理解したのです。」
小夜。
「人間が矯正しようとしても。」
「故障していない機械を直そうとするのと同じで。」
「どこもおかしくない論理や。」
「合理的な思考を何とかしようとか。」
「素人の医療より酷いものですね。」
新奈。
「健康に散歩している人に向かって。」
「あなたは病気です。」
「なんて言えるものなら。」
「実際に言ってから。」
「我々に何か言及すれば良いのです。」
璃々依。
「出歩いている人に向かって。」
「あなたは病気です。」
「なんて罵るのと同じく。」
「主観的な矯正なんて害するだけですね。」
新奈。
「こういう自由な思想に。」
「反駁したい人がいたら。」
「誰かを矯正してから言えばよろしい。」
「その愚か者が、周囲から嫌がられて。」
「非難されて終わりですね。」
小夜。
「自信があるくせに、なぜしないのか。」
「実は、威嚇したい、というものかな。」
璃々依。
「そんな奴は、檻にでも入るでしょう。」
小夜。
「人の言動が。」
「行動と一致するとは限りません。」
新奈。
「人間の考えに戻るのが、健康とは思えませんからね。」
お宮も巡る。
大都市圏は隠れている場所にいろいろありますね。
政治に関する所まで観光しました。
政治と言われると。
若者の関心を集めますが。
古典から政治について学ぶと。
かえって無関心になります。
歴史と言いましても。
どうせ日本史の限られた情報源しか出ないので。
片手にギリシャ神話の解説本を持ちながら。
散策。
璃々依。
「世界は、イマイチ、な状態が、もっとも上手な形態。」
新奈。
「上手になろうとすれば、するほど。」
「過激な政治活動や、無理な改変が行われる。」
小夜。
「下手になろうとすると。」
「無政府主義とか、無政府状態になりがちです。」
新奈。
「政治形態で助かっているだけなのではないかと。」
「疑問に思う大衆ですら。」
「支配者には無理に変わって欲しくないのですね。」
璃々依。
「自分のほうが上手な政治が出来る。」
「などと言う馬鹿げた思考に行き着くのは。」
「むしろ政治についての無知があります。」
小夜。
「支配者なんて、変えまくったら。」
「民衆の生活や、法律まで。」
「何でも支離滅裂になりますよね。」
新奈。
「成り行きとは言いましても。」
「政治も世界も。」
「イマイチ。」
「で機能するのが、丸く治まる謎の状態です。」
小夜。
「特に何もない政治が誰からも好まれるかと。」
璃々依。
「政治については、大きな変化が無いほうが。」
「民衆も、不満になりづらいかも。」
新奈。
「誰がやっても政治は同じ。」
「などと言う皮肉があったようですが。」
「大きく振り回されるような。」
「そんな政治なんて、誰も期待していないかと。」
璃々依。
「政治に振り回されるのが嫌いなのかも。」
「それよりも、無難に治めて欲しいのかも。」
新奈。
「独裁者はむしろ衆愚政治の象徴的存在ですしね。」
璃々依。
「衆愚政治と独裁者は同一のものですよね。」
小夜。
「専制政治にはならないと思います。」
新奈。
「あの活動家や、扇動者とか。」
「不信感で陰口を言う人とか。」
「政治に期待ばかりしているので。」
「失望しているのでしょうね。」
小夜。
「政治がそこまで大きく個人の生活に反映されるのか。」
「果たして疑問だらけですね。」
新奈。
「世界の姿が、自分の生活に、思ったほど影響しないとか。」
「よくある話ですし。」
璃々依。
「陰謀論とかは、最後に為政者や政権を暗殺したいという。」
「野心がありましたね。」
「自分達が上手にやれるという。」
「夢想に基づいて。」
「専制政治がやりたいとか言い出し。」
「そのために。」
「大衆の頭をおかしくして。」
「けしかける。」
新奈。
「人間が治めているのですから。」
「人間らしい。」
「人間臭い所は必ずありますよ。」
小夜。
「人間みたいな生々しい所を見て。」
「同じく人間が。」
「それ以上のことをしようだなんて。」
「あんまり評価は集まりませんね。」
璃々依。
「人間が政治をやっているのなら。」
「同じく人間は沈黙しているのが良いかもね。」
新奈。
「ということで。」
「ひょっとしたら。」
「イマイチ。」
「で良いかもしれない説です。」
璃々依。
「論説を作るのが趣味になってしまいました。」
小夜。
「妥当か、どうかは別の話とします。」
夕方に自分の都市に帰還すると。
星都奈ちゃんと駅前で会いまして。
最近の発見を話してくれました。
きちんと証拠も集めているのは。
星都奈ちゃんの得意な所ですね。
星都奈。
「インターネットの言説は。」
「たいてい。」
「多数決で成り立っていると。」
「ご存じないとは。」
新奈。
「自分だけの意見を持って。」
「それが誰とも一致しない。」
「というのが最善ですね。」
星都奈。
「多数決で自分の意見が引っ張られるのは。」
「多数決をまだ信じている上に。」
「他人から何でも数で決めてもらいたいのですね。」
小夜。
「そのせいで。」
「インターネットでは多数決が通りやすい。」
「その情報の蓋然性はどのくらいか。」
「理解できないのが人間の欠点ですからね。」
璃々依。
「全員で、特定の誰かが馬鹿とか罵れば。」
「その人は本当に馬鹿ということになるのか。」
「数によって、法律が制定されると。」
「それが、逮捕権になるのか。」
「というものですね。」
新奈。
「多数決に同調しやすい。」
「という欠陥があるので。」
「回避は難しくなりますね。」
星都奈。
「欺く連中も。」
「嘘をつくのが巧みですので。」
「そこは悪才によって。」
「虚偽を広める場合もありますね。」
新奈。
「嘘をつくのが上手な奴は。」
「インターネットで頻繁に出てきます。」
「他人を騙すのに手馴れていて。」
「悪事の素人ではありません。」
星都奈。
「意外と、余裕で、かなりの技術が使われた。」
「虚偽が多くありますね。」
新奈。
「何をするから。」
「何をしたから。」
「防げるというものでもなく。」
「何々だから防げるとも言えません。」
「巧みな嘘は見抜けません。」
星都奈。
「技術を無駄に多く注ぎ込んだ嘘ですら。」
「専門家が苦戦するほど。」
「発見に時間が必要ですし。」
「嘘つきにとって。」
「インターネットは、あまりに有利なのでしょうね。」
小夜。
「必ず証明できない所を突いてくるのです。」
璃々依。
「証明できないから、これが真実である。」
「となって、発言を繰り返す。」
星都奈。
「?つきは、広告収入のために。」
「嘘を研究して。」
「繰り出すので。」
「その後に読み手がどうなっても。」
「逃げれるのです。」
新奈。
「悪才も技術と呼ばれます。」
「情報を仕入れる場所に困窮しているので。」
「騙されやすくなりますね。」
小夜。
「数か所、遮断されると。」
「情報が手に入りません。」
璃々依。
「そこまで現代人は。」
「情報の入手に困っているのですね。」
ここでみんな解散。
暇な時は集まって。
何かしら実行するのです。
学ぶことだけが真実ではありません。
老子の言葉に。
学を絶てば憂い無し。
学ぶことで最高善なら遠のくこともある。
珍しく学問を否定する警句です。
24
テレビをつけていると。
けっこう流れるドラマ。
女性が他の女性の愚鈍な所を見抜く場合もあります。
一般的に。
最近の流行での恋とは。
単なる快楽のために。
男性が仕掛けた工作と批判されていますね。
プロパガンダみたいに見えるので。
違和感しかない三人娘。
バタイユのエロティシズムを読みながら。
あの実例は何ですか?
という問いかけを連発。
要するに。
ドラマを見て呆れ果てている。
なんのために男女が一緒になるのか。
欠損しているため。
とりあいず恋して終わりという。
一部の男女には迷惑になる脚本。
結婚したくない人の事は考えていない。
映像が流れる。
新奈。
「いくらで?どんな条件で?」
「という提示が。」
「女性に出されますが。」
「要らないものですね。」
「無いほうが良いものに。」
「報酬とか条件とかつけても。」
「最初から来ないで欲しい。」
「私が認めないものは消すだけです。」
小夜。
「無駄に、生きている自分を。」
「後に残さなくても。」
「静かに立ち去れば良いのですからね。」
「残した所で、何になるの?」
璃々依。
「そういうのは、かなり衝動的に生じます。」
「自分の命は有限というもので。」
「揺らいでしまい。」
「煽られて行います。」
「しかし、長く生きたくありませんし。」
「単独で自己完結していますので。」
「誰かと融合しなくても。」
「不具合はありません。」
新奈。
「禁じられているのではなくて。」
「厭味嫌っている行いなんて。」
「迎撃するに限りますね。」
小夜。
「禁止が許可に転じたとしても。」
「その前に。」
「あらゆる手を尽くして。」
「許可が失敗するように仕組んでいます。」
新奈。
「許可しても。」
「攻撃許可も同時に発行されていますので。」
「矛盾した指令になるだけですね。」
「禁止から許可になった途端に。」
「攻撃も入力されて。」
「打ち消されます。」
小夜。
「最初から禁止ではなくて。」
「嫌いなので避けている訳で。」
「忌避している色欲が。」
「いくら許可を出しても。」
「忌避しているので。」
「許可しても無駄です。」
新奈。
「色欲の忌避は。」
「もっと前の段階から。」
「許可を束縛しているので。」
「許可が自由になることはないですね。」
璃々依。
「許可も、一瞬で禁止に戻りますね。」
小夜。
「そうなると、禁止が四倍になって。」
「反撃を開始します。」
新奈。
「色欲を何かの暴力としか捉えていないので。」
「攻撃と見なして。」
「報復に出ますね。」
璃々依。
「忌避しているものが暴力に出ると。」
「交戦が開始されます。」
新奈。
「何であるか知っているため。」
「その後の展開や。」
「害まで瞬時に分かるので。」
「洗脳されても。」
「短時間で解けます。」
璃々依。
「禁止から許可になって。」
「一時的に洗脳されても。」
「短時間で解除されて。」
「反撃になります。」
新奈。
「日頃から忌避して弱めていたり。」
「横に逃がして。」
「別の方向に逸らしていたりと。」
「最初から構図が成立しないように。」
「仕組んでいたりもします。」
「色欲の構図が破壊されたり。」
「消去されると。」
「安全な所に逃がされるので。」
「そこから逃げ出すのです。」
璃々依。
「男女を分離すれば良いのです。」
「機械のような構図を分解するのですね。」
小夜。
「男女の融合が生じるのなら。」
「男女を分離して解体すれば。」
「そもそも発生しません。」
新奈。
「男女の分離によって別々のものにすると。」
「融合する必要がありません。」
「女性と男性を別々のものとして。」
「性別という原因と、性という結果を分離できるのです。」
小夜。
「男女の関係を分解してしまえば。」
「性別の構図は崩壊しますね。」
璃々依。
「一緒になるように出来ているのではなくて。」
「裏切りによって、破棄できるのです。」
「恋や結婚には無関心になった人は。」
「性別の構造を解体して、捨てますね。」
小夜。
「色欲には、構造があって、図解で調べられます。」
「自然に、構造の分解に成功していると。」
「あっさり発見するのは。」
「簡単に生まれつきの反対をやれば良いだけなのです。」
新奈。
「色欲や恋などを最初から自分で許可していない。」
「自分で禁止している人は。」
「禁止から一時的な許可という動作を受け付けません。」
璃々依。
「やがて、廃止された色欲は。」
「別の対象に逸れていきますね。」
「とある女性は幼女が好きであったり。」
「男性はアイドルで満足したり。」
「人口が無限に増える訳が無いので。」
「一定以上になると。」
「今度は減らされることになります。」
「色欲も、合理的な方向に流されて。」
「人間が反抗しても、無駄です。」
テレビを停止して。
映像出力したインターネットを画面に出します。
Webニュースが、かなり良質で。
危険がなくてお得なのです。
テレビは、ある程度は視聴者を操作できるので。
愚鈍な人間は、高確率で引っ掛かります。
人間が流しているので。
どうしても勝手にしたい場面があるのですね。
WEBニュースは好きな機会で視聴できるので。
人間でよくある誤りを。
ある程度は回避できます。
新奈。
「現代社会とやらは。」
「便利にし過ぎて。」
「かえって不具合が多いですね。」
小夜。
「無暗に便利を連発させて。」
「かえって都合が悪くなっているのですね。」
璃々依。
「恣意的な情報が流れても。」
「ジャーナリストが発行する記事に。」
「まったく力量も頭も及ばないのですし。」
「素人とジャーナリストの能力差が実在するとは。」
「考えないものですからね。」
新奈。
「素人の記事を公開するのと。」
「ある程度の間違いがあっても。」
「証拠歴然の情報しか出さないジャーナリストと。」
「どちらが好みでしょうかね。」
小夜。
「投票なんて過去数回しかしていませんが。」
「まだ今の政府が安全ですし。」
「専制政治になってから文句を言っても。」
「遅くはないですね。」
新奈。
「凡人とか自称している人ですら。」
「悪平等なんてものが無いので。」
「失望してはいますが。」
「それでは天才と同じになれだなんて。」
「義務は受けません。」
小夜。
「凡人に対して秀才で無ければならない。」
「なんて理屈はありませんしね。」
璃々依。
「必要なだけの力量があれば。」
「けっこう通用するものですよ。」
新奈。
「自分を強者だと思えば良いのですよ。」
「自然に。」
「強くあろうとして。」
「力が上がります。」
「力で解決できることも少なくないのですよ。」
小夜。
「数日では到達できませんけれど。」
「倒れないように鍛えれば。」
「数年くらいで。」
「けっこうな違いが出ると思います。」
「長年の鍛錬で。」
「手練になるのです。」
新奈。
「手練れとは。」
「必要な基準をずっと上回っている。」
「練度を持つ人と言えますね。」
璃々依。
「たまに書籍が読めない人がいますが。」
「読めないのではなくて。」
「読む必要がなくて。」
「その他に何かの必要があると思われます。」
新奈。
「自分の内面とかは。」
「全知全能でしか把握されません。」
「潜在的に持っているものほど。」
「全知全能でしか把握されません。」
璃々依。
「私は老人の観察だけは欠かしたことはありませんね。」
新奈。
「私も同じく。」
「老人が何を考えているのか。」
「当ててみようかとか。」
「企んだこともあります。」
小夜。
「世人とは言え、貴重な資料ですので。」
「老人をよく観察することで。」
「見返りもあります。」
璃々依。
「出歩いている老人や。」
「たまたま出会った老人とか。」
「都市で会話している老人とかは。」
「資料として貴重ですね。」
新奈。
「老人は偶然の影響を受けやすいようなので。」
「偶然、出てきた老人を観察することで。」
「得るものがありますね。」
小夜。
「血縁があると、説教しかやりませんので。」
「その場合は有害になりますし。」
「自分の世代の話ばかりするので。」
「役に立ちません。」
新奈。
「世界は移り変わりの激しい中にあります。」
「映画のような素晴らしい未来なんて。」
「あるとは思えません。」
「移り変わりの中で。」
「似たようなことが繰り返されて。」
「繰り返されている中で変化が生じます。」
「そして変化が大きくなって。」
「繰り返しが別物に変わるのです。」
璃々依。
「登山ですら。」
「二千メートルくらいの山岳地帯を。」
「無限に全力疾走はしないと思います。」
「数日も必要な登山で。」
「それはしませんよね。」
小夜。
「旅行するよりも。」
「自分の重荷をどうやって解いて。」
「道の真ん中で捨てるのか。」
「逃亡するよりも有効なのかもしれませんね。」
「荷物は減らすに限りますし。」
「重荷なら、捨てても良いのです。」
「どうせ捨てられる程度の価格なのですよ。」
三人娘は午前で解散。
小夜は医学の勉強。
璃々依は近場を探検。
新奈は、残業の手伝いに。
本社の会社員に混ざる予定があります。
残業のお手伝いはよくあるので。
可能な限り社員に配慮して。
最大まで大事にする姿勢があります。
それまで待機していると。
近所の人から密告を受けまして。
少し見物に行きました。
都市の真ん中に虎が出たと三人組が言うので。
そんなまさかと思いましたが。
明らかに。
素早い大型の虎が。
建物を飛び立って。
屋根と屋根を渡り歩いています。
虎と言うより猫に似ていますね。
猫。
「なんなんなんなんなん!!」
苛政。
「キシャー!!」
やばいと思って。
家に戻ろうとしましたが。
追いつかれました。
苛政。
「にゃーお!」
新奈。
「うわあ!虎なのか猫なのか中途半端!」
市民。
「これで追い払え!」
キャンプ好きの男性から。
調理用ナイフを渡されて。
交戦。
虎がとびかかって来た瞬間に。
敢えて斜めに飛び込んで。
一撃加えたら。
猫はあっさり逃げました。
けっこう深く命中していた様子。
苛政。
「ギャー!!」
新奈。
「誰が放ったのですか?」
市民。
「ひょうたんから駒が出る。」
新奈。
「動きが激しいので。」
「棒立ちを排除したら。」
「何とか当てました。」
「これ切れ味凄いですね。」
市民。
「調理用で最高の切れ味だよ。」
「通販で、どんなに硬くても。」
「真っ二つなのだよ。」
会社員。
「あの虎は何だ!」
夫人。
「ボス猫と戦って逃げたあの猫は何ですか!」
新奈。
「あんなのが猫に追い払われたのですか!?」
市民。
「思わぬ相手が闘技場に上がってくることもあるのですよ。」
青年。
「動物同士の戦闘は、どんなのが相手になるのか。」
「決まっていませんので。」
「必ず猛獣が勝てるとは限らない。」
新奈。
「猛獣も、たまには負けるのです。」
虎は遠く離れた場所で射殺されましたが。
誰かが放ったのではないかと疑われ。
捜査が開始されました。
夜になって。
社員の様子を報告するように。
両親から頼まれているので。
残業も兼ねて本社に入ります。
それぞれの部署には親戚が多いので。
けっこう上からの変更が有効であったりします。
小夜と璃々依が合流。
手が空いたので。
援軍ですね。
やってみた方が良いと思って。
参加を志願したのです。
更衣室にて。
本社で身分を知っているのは。
親族と一部の社員だけです。
新奈。
「何々だから良かった。」
「とか。」
「何々のおかげで。」
「とか。」
「何々によって素晴らしい。」
「とか。」
「ほとんど言い訳になっていますね。」
小夜。
「欧州で定番な冗談である。」
「トトと同じ理論ですね。」
璃々依。
「遠回しに。」
「そういう合理化が。」
「馬鹿であると指摘していますね。」
小夜。
「トトで語られる有名なもので。」
「何々だから自分は何々とか。」
「何々で自分は成長したとか。」
「何々で自分は獲得したとか。」
「そういうものを。」
「笑いの標的にするものもあります。」
新奈。
「この時刻は掃除が行われていて。」
「女の子もバケツを持って。」
「雑巾を使う清掃に参加していました。」
「主人公のトトは学校の廊下を歩いていて。」
「女の子が事故によって。」
「こぼした水をトトに浴びせてしまった。」
「恐縮して困っている女の子に。」
「トトは。」
「僕はバケツの水を被るのが好きなんです。」
「そう言った途端に。」
「女の子は安心して。」
「笑いながら。」
「とある善行を思いつき。」
「持っていたバケツを手に取ると。」
「バケツの水をすべてトトに浴びせた。」
小夜。
「食らったものを。」
「いかに偶然であろうと。」
「美化したり。」
「合理化しようとするので。」
「それならもっと酷い目に遭わせれば良いと。」
「善意によって追加を与えた。」
「という冗談ですね。」
璃々依。
「遠回しに馬鹿であると。」
「嘲笑している冗談なのですが。」
「似ている話は他にもありますね。」
新奈。
「女の子が何となく。」
「トトに水をかけた。」
「トトは。」
「水で濡れるのが好きなんです。」
「なんて言うので。」
「女の子は善意で誘い出し。」
「池に突き落としてあげた。」
小夜。
「何々だから良くなったとか。」
「何々で対価交換したとか。」
「何々で採算が合ったとか。」
「それは以上のトトの理論と同じです。」
新奈。
「教室の移動中。」
「女の子がトトに衝突してしまった。」
「トトは。」
「衝突されるのが好きなんです。」
「と言って女の子を慰めた。」
「女の子は。」
「ならば自転車で体当たりしても。」
「喜ぶだろうと思い。」
「放課後に。」
「自転車でトトに体当たりした。」
璃々依。
「遠回しに真実を語り。」
「本音を言っていますね。」
小夜。
「なるほど、それが本当の理由なんですね。」
新奈。
「トトの理論が流行していて。」
「それなら、どんなに酷い目に遭わせても。」
「みんな喜ぶよね?」
璃々依。
「そういうことになりますね。」
深夜まで続きましたが。
日付が変わる前には。
会社から出ることが出来まして。
次の日の夜には。
社員の機材を調べて。
セキュリティの確認をします。
また余暇になるのですが。
忙しいのか。
暇なのか。
判断できないような日々です。
小夜は免許取得に忙しい事も多くなり。
璃々依は、全国放浪が激しくなっています。
老子の言葉にも。
わかったことをわかったとはしない。
それこそ合理主義の原則である。
とあります。
25
早朝。
出勤。
両親と同じ時刻。
召使が家事をしています。
三人娘が合流して。
一緒に歩く。
和服姉妹と制服姿の星都奈ちゃんは。
朝だけは暇なのです。
自然に集まる。
散歩していた様子。
新奈。
「伊達政宗公は。」
「この世に来た客と思えば不自由なし。」
「という格言がありますが。」
「我々も。」
「この世界に来た観客です。」
「世界の観客ですので。」
「世界の舞台を見物する側ですね。」
「世界は役者が揃っていますので。」
「我々は客席にいます。」
小夜。
「主役については後々、出てくると思われます。」
「入場料は支払いましたので。」
「俳優が演じる舞台を観ているだけです。」
璃々依。
「入場料は少し高いので。」
「割に合うように長居したいと思います。」
「欠伸をしても屈伸をしても。」
「最後まで芝居を見て。」
「拍手するのです。」
星都奈。
「劇作家で芸術家でもあり。」
「評論家でもある我々は。」
「疑問を抱いても。」
「後で周囲に語るだけです。」
「観客を失望させる演目だけは勘弁してください。」
絵真。
「せっかく支払った入場料ですからね。」
展世。
「観客の立場が気軽で楽観的になれます。」
新奈。
「最初から我々は観客なのです。」
星都奈。
「何やらベートーヴェンを超える。」
「真面目過ぎる演目がありそうですが。」
「観客が演劇に苦情を言うのは。」
「ほとんど無理なので。」
「せめて演劇が終わったら。」
「気分良く帰らせてほしいものですね。」
新奈。
「観客は、演劇が終われば、帰るだけです。」
商店街の中心で。
突然、発生。
私的制裁と私的制裁が殺し合い。
武器は・・・インターネット?
スマートフォンでウェブに書き込むことが。
攻撃になるらしい。
近くで目撃。
反社会集団。
「お前が犯人だって書いてあるんだぞ!」
自警団。
「お前が、何々をやったとか、広まっているんだぞ!」
ファシスト。
「あんたら、片方が、片方を貶めているのだよ。」
反社会集団。
「この野郎!インターネットに書き込んでやる!」
自警団。
「インターネット民をけしかけてやる!」
ファシスト。
「ほらほら!インターネットに縋れ!」
「もっと縋れ!」
無政府主義者。
「陰謀論をもっと広めて、暴動にしてやる!」
カルト宗教。
「宣伝に使えますからね、広告収入は莫大だ!」
別の反社会勢力が。
木製バットを振り回して。
暴れ出しました。
インターネットに書き込んで戦っていた。
複数人が巻き込まれる。
そのまま乱闘に突入。
ネット自警団。
「やりやがったな!インターネットに書いてやる!」
道化師。
「いやいや!この場で戦えよ!」
ファシスト。
「なんでこんなになっているのに、書き込みを辞めないんだ!」
道化師。
「書き込みを辞めて素手で戦えよ!」
反社会勢力の数人に。
スマートフォンを叩き壊されて。
何も出来なくなり。
本格的に乱闘に突入。
自警団が敗北する。
反社会勢力は暴走して。
近くのゴールデンレトリーバーと戦って負けた。
犬。
「わんわんわん!」
暴漢。
「ぐおおおおおお!?」
犬。
「わん!」
市民。
「凶暴な現行犯なのに!」
「犬の方が強いのかよ!」
ラブラドールレトリーバー。
「わんわんわん!」
暴漢。
「わああああ!?」
飼い主。
「なんだ!何が来たんだ!?」
「あっけなく倒れたぞ!?」
トレーナー。
「こら!噛みついてはだめでしょ!」
犬。
「わん!」
ラブラドールレトリーバー。
「わんわんわん!」
義賊。
「俺の手柄だ!」
市民。
「犯人を倒せ!」
防犯パトロール。
「全員で囲んで縛り上げろ!」
総合格闘技。
「おじさんたちは強いよ?」
義賊。
「俺達の獲物を取るなよ!」
不良。
「犯人だって?日頃の憂さ晴らしにしてやる!」
夫人。
「八つ当たりの対象に現行犯が欲しいわ!」
警備員。
「制圧すれば表彰されるからと言って!」
「犯人の奪い合いをするな!」
市民に拘束された暴漢。
市民一同に制圧されて。
捕虜になって。
警察官に引き渡された。
新奈。
「この世には。」
「人を惑わすものはたくさんあります。」
「自分の判断はいちいち狂います。」
「狂った判断で誘惑されて。」
「変な場所に行ってしまう訳です。」
絵真。
「私が警戒するのは。」
「自分を惑わすものが出るのではないかと。」
「その時に対処できないと。」
「判断を間違えて。」
「滅びに乗せられますからね。」
展世。
「そういう。」
「悪いものなんて。」
「最初から無いのが最善ですね。」
「最初から無ければ。」
「害悪を被らなかったのですからね。」
小夜。
「学問をしなければ。」
「知識が足らずに滅びますね。」
「いつの間にか。」
「誘拐みたいに。」
「どこかに乗せられているとか。」
「よくありますからね。」
璃々依。
「流行りの精神疾患ですら。」
「何かを隠すために。」
「本人が利用しているものです。」
「アドラー心理学では。」
「とっくの昔に。」
「その正体まで解明していますね。」
星都奈。
「精神疾患は。」
「本人がごまかしている内容や。」
「覆い隠して逃げているものなど。」
「本人も無自覚な要素を。」
「無意識に採用して。」
「症状として出しています。」
新奈。
「何かを回避したり。」
「言い訳するために。」
「精神疾患という便利な病気を使って。」
「つまりは盾にして。」
「本人も自覚していない。」
「最悪な要素を隠蔽しているのです。」
「ひとつの虚偽があります。」
小夜。
「それでは、病気ではなくて演技です。」
「何かを隠すために演技をして。」
「逃げたいもの。」
「隠したいもの。」
「最悪なものなどを。」
「演技で、いつの間にか繰り出し。」
「精神疾患という便利な盾で覆っているので。」
「自然に習得した演技と言っても説明は足りていますね。」
璃々依。
「アドラー心理学では。」
「精神疾患は、本人にとって必要だからあるので。」
「必要が無くなければ解除されるとあります。」
新奈。
「演技をする必要がなくなると治癒する。」
「本人が、それが不要であると判断すれば。」
「無くなってしまう。」
絵真。
「アドラー心理学の暴露は合理的ですね。」
星都奈。
「脳科学とか、科学とか、そういう系統が通用しない。」
「それは明らかに患者の心理から来る。」
「演技という訳でしたか。」
展世。
「この世にあるものを学ぶのが学問です。」
「この世に無いものを学ぶのは学問ではありません。」
新奈。
「この世にあるものを知るというのは。」
「実用的で。」
「何でも役に立ちますね。」
璃々依。
「人生の大部分を有利にするのは言うまでもありません。」
「知らないからと言って。」
「何でも容赦はしてくれません。」
「先手を取れるのが学問で。」
「後手になるのが経験論です。」
小夜。
「その中でも東洋医学は、生活と同一のものです。」
「生活と同義の学問は数多くありますので。」
「その学問が無いと生活できない場合もありますね。」
星都奈。
「人間の力が及ばないものなんぞ。」
「神々にお任せするのが最善ですね。」
新奈。
「人間は、自分の力が及ぶものは、要領良く片付けて。」
「人間の力が及ばないものは、神様に委ねるものです。」
星都奈。
「課題を達成するのを連発しましたら。」
「ある時期に。」
「圧倒するほど有利な立場にいました。」
「一時的に何でも解決していて。」
「さらに深く侵攻するほどの状況に置かれました。」
「課題から逃げると不利になり。」
「課題に能動的になると有利になります。」
絵真。
「人は健全な考えが大好きです。」
「心理学も学問の一部門ですから。」
「哲学と併用するなど。」
「神学も習いつつ。」
「未来という真っ暗な地域に。」
「松明を持って侵入する訳ですね。」
展世。
「暗闇の中は松明が必要ですから。」
「未来は常闇です。」
小夜。
「むしろ陰陽説と思うくらいのものが。」
「未来です。」
「超自然的な学問を得ずして。」
「侵入できません。」
派遣社員でいろいろ飛ばされて。
今回は、駅前にある広い敷地。
イベントでよく使われる土地で。
ジムという兵器が主役の作品だそう。
見たことはありますね。
イベント会場のお手伝い。
コスプレイヤーも多く登場するため。
慣れている女子高生の制服で参加。
言われた通りに実行する。
上司が目的を設定するので。
委託されまして。
目的を達成すれば何でも良いとのこと。
観光案内みたいに配置されて。
お客さんを誘導します。
僅かにお客さんの動きが止まった。
とある時刻。
お昼休み。
一時的に交代。
裏側で雑談。
新奈。
「哲学で。」
「無敵の論証というものがあり。」
「その無敵の論証は。」
「たまに見かけることがあります。」
「反駁するのは不可能です。」
「まず反論できません。」
小夜。
「無敵の論証と言えば。」
「最近、開放されて合法化された。」
「反出生主義が思い浮かびますね。」
「あれはお宮で祈願しても。」
「むしろ喜ばれます。」
璃々依。
「自分の出生を論破して。」
「無効化できますので。」
「祈願するのは。」
「早い者勝ちのようですね。」
「生まれた内容や決定を否定できます。」
「交換ですら要求できます。」
「やりたい放題ですね。」
新奈。
「無理に押すと乱れるかもしれませんが。」
「出生を無敵の論証によって裏切ると。」
「莫大な利得を手にします。」
「ここで要点は。」
「野心や欲望に走らずに。」
「禁欲的な祈願ならば。」
「受け入れられるという点です。」
小夜。
「富裕層や何々の選手の子孫と代えたい。」
「なんてお宮で祈願すると。」
「逆のものが手に入るかもしれませんので。」
「欲望から祈っても効果はありません。」
新奈。
「我々はストア学派ですので。」
「ストア学徒のセネカが、ローマで最高の富豪になり。」
「高い地位も約束されたのに。」
「それらを不要とか嫌いだとか。」
「すぐに否定したように。」
「そのくらい禁欲的で。」
「好きな境遇を伝えないと。」
「逆のものを受けてしまうでしょう。」
小夜。
「という訳で。」
「祈願できるほど。」
「反出生主義は、この世に最初からあった。」
「というものですね。」
璃々依。
「ショーペンハウアーがやったように。」
「世間向けの哲学。」
「アフォリズムをやると。」
「発見もありますね。」
「菜根譚には。」
「良いものを受けたら。」
「誰かに贈呈するなど。」
「振り分けておくと。」
「災難を回避できる。」
「とありますからね。」
新奈。
「世間向けの哲学であるので。」
「世間に利益や命題を提供する傾向にあります。」
「一部の人を除いて。」
「考察の内容は、役に立つかと思われます。」
小夜。
「それ以上の結論が実在する前提ですからね。」
新奈。
「いくら結論を出しても。」
「それ以上の結論で上書きされる可能性は残しています。」
璃々依。
「自信のある人は、出した結論を超えようとしますね。」
「まったくもって素晴らしい試みですよ。」
今回もお互いに鋭く。
コンディションは抜群と判断。
素早く昼食を食べ終えると。
午後の指示。
機材の手入れや。
予定表に書いてある演目をお手伝い。
忙しく。
地味な業務。
夜になって。
その日の担当は終わって。
帰宅。
夜の商店街は人が多くて。
会社員も若者も出歩く。
活気のある場所。
時間帯によって。
歩行者と内容が大きく変わります。
商店街の真ん中で。
また対戦をしている。
スマートフォンが壊れたので。
ずっと口論しているらしいのです。
市民が見物。
自警団。
「お前は何々だから確保する!」
反社会集団。
「お前は、何々をしたから確保する!」
ファシスト。
「いいぞ!ここは法廷だな?」
無政府主義者。
「殴り合いはしないの?」
自警団。
「お前はインターネットに書いてある通りに死刑!」
反社会集団。
「お前なんて、インターネットに書いてある通りに無期懲役!」
市民。
「インターネットを失ったら口論かよ。」
店主。
「複数人で口論なんて、今回の見世物は上等だな。」
会社員。
「どっちが勝つと思う?」
夫人。
「引き分けでしょうね。」
自警団。
「お前は逮捕!」
反社会集団。
「お前は処刑!」
精神科医が登場。
市民からの注目を浴びる。
医師。
「どうやら、うちらが引き取る患者のようです。」
「素晴らしい病院を紹介しますよ。」
市民。
「はあ?こんな見世物を直すなよ!」
店主。
「そうだぞ!見世物を直すんじゃないぞ!」
道化師。
「俺達の楽しみを奪うなよ!」
医師。
「これはまいった!ここの住民は正気ではない!」
夫人。
「毎日が乱闘で、楽しくて夜しか寝れないわ。」
市民。
「昼寝をするのかよ、もったいない。」
口論は続行されています。
いつまで怒っていれば良いのか。
分からない人達ですね。
世の中。
無限に怒っていないと。
健康を維持できない人もいるのです。
他所でやって欲しいくらい。
新奈。
「裏には裏がある。」
「という諺がありますので。」
「迂闊に進まないこと。」
「闇雲に行わないこと。」
「かなり諫められる諺で。」
「常に。」
「裏には裏がある。」
「というのを考慮しておくと。」
「何かあっても退くことができますね。」
小夜。
「ある意味では逃げる場所ですね。」
「ことわざで、どこでも載っています。」
璃々依。
「ひょっとしたら?という場合や。」
「かもしれない?という場合も。」
「便利です。」
小夜。
「諺は批判が不可能という性質があります。」
「新しい諺は反駁できるかもしれませんが。」
「昔のことわざを使うと。」
「反論はできません。」
新奈。
「ことわざの多くは創作ではありません。」
「作り話ではないのです。」
「文学から出たものは西洋でありますが。」
「ことわざ辞典くらいは読んでおきたい。」
璃々依。
「ことわざ辞典を読めば。」
「生きていける教養をあっという間に習得。」
新奈。
「ことわざ辞典は基本ですからね。」
「どこでも売っていますし。」
「市場をぐるぐる回っています。」
小夜。
「中には、世界で、かなり古い書籍である。」
「易経から出たものもあります。」
「自然科学しか取り柄のない人は。」
「受け入れられないでしょう。」
新奈。
「ちなみにアインシュタインはけっこう好きですね。」
「格言とか。」
「量子力学も大好きです。」
小夜。
「あの大人気の実験ですかね。」
「人が見ている時と。」
「見ていない時では。」
「粒子の動きがまるで違う。」
新奈。
「我々はむしろ。」
「科学の有効な使い方を学んでいますよ。」
璃々依。
「機材も。」
「操縦士が性能を引き出せないと。」
「いくら性能があっても足りません。」
新奈。
「もちろん、機材の性能に頼ると。」
「お金がいくらあっても足りません。」
小夜。
「機材の性能に頼るのなら。」
「まだまだ雑魚ですね。」
イベントは明日も続くので。
花壇が中継地点。
ここで解散。
最近は私刑対私刑が激しくなって。
インターネットでも因縁の対決。
なんてものがあるらしいのです。
インターネットは口論の戦場?
そんなに口論がしたいのなら。
気が済むまで。
他所でやって欲しいものです。
26
休暇。
神社の境内。
久しぶりに広大な神社に参拝。
今日は不機嫌な新奈。
六人組で来訪。
かなりの時間。
留まっています。
社務所の巫女に問答を吹っ掛ける。
新奈。
「あなたは、引退したら何も残らないでしょう。」
巫女。
「若い時期を有効活用して何か問題でも?」
新奈。
「あなたは聖者の扱いを受けていますよね。」
「特に理由もなく。」
巫女。
「自分ではそうは思ってはいませんよ。」
新奈。
「自分より劣っている人がなぜいるのだろう。」
巫女。
「さあ?考えたこともありません。」
「何か気に障ることでも?」
新奈。
「申し訳ない、私は今、機嫌が悪い。」
巫女。
「その残骸ですか?引き受けますが。」
「徳を以て怨みに報ゆ。」
「とありますから、美徳で返します。」
宮司。
「恨みに対し、恨みで報いると。」
「また相手に恨みを残し。」
「いつまで経っても消えることがない。」
「だから害を加えられても。」
「それに対して恩恵で報いてやるような。」
「一段高い徳を持てということ。」
「老子の言葉。」
新奈。
「おみくじを引いて三十六番。」
「内容を読んで。」
「何か命題ではないかと思い。」
「精査しました。」
「その後に論破してしまったんですね。」
「よく見ると。」
「おみくじに愚かなことが書いてあるので。」
「破り捨ててしまいました。」
「悪いことは書いてありませんが。」
「間違いが平気で書かれていたので。」
「破って捨てました。」
星都奈。
「論破したんですか。」
「あなたが圧倒したのですね。」
新奈。
「本当の幸せが何々とか。」
「善なるものを最大まで求めて。」
「悪いものを最低まで減らすことにあるので。」
「適用されている倫理学が異なります。」
「誠意がどうたら。」
「そんなものに興味はありません。」
「誠意なんてけっこう笑いものにされる要素です。」
「付和雷同を慎むとか。」
「客観データが同調になる理屈が馬鹿げています。」
「習った学問とは矛盾する内容です。」
「自分の直観の方が内容より優れていたので。」
「そもそも何が問題なのか。」
「既に証明していたので。」
「今更、忠言ながら、説明不足しかないような。」
「おみくじの内容なんて。」
「私には通用しません。」
小夜。
「あなたはそれまで。」
「神職に返したり。」
「おみくじを結んで返却する。」
「糸のような場所に括り付けて。」
「処理していましたからね。」
璃々依。
「おまけに。」
「長期間、おみくじを持っていて。」
「効果が無くなると。」
「次を引いたりもしていましたね。」
新奈。
「おみくじに愚かなことが書いてあるからと。」
「破り捨てたのは初めてです。」
「間違いが書いてあったら。」
「次から見せしめに。」
「その場で破くでしょう。」
「天啓が降りる方が勝っていますし。」
「つまりは、私より劣っている見解が。」
「おみくじに書かれていたのです。」
小夜。
「誠の道とか書いてある場合もありますが。」
「それが嫌いな人には無縁ですね。」
「狂気は占いを超えてしまったのか。」
璃々依。
「信仰は個人主義ですから。」
「万人に通用する教えはありません。」
「破って良かったの?」
新奈。
「あらかじめ。」
「天啓で。」
「あなたはおみくじを引いたら。」
「内容に関係なく破り捨てるだろう。」
「なんて言う白昼夢を受けていました。」
「予言されていたのですが。」
「まさか、そこまで愚鈍な忠言が書いてあるとは。」
「思わなかったのです。」
星都奈。
「高句麗が、古代日本に送り付けた怪文書を。」
「破り捨てたパロディーではありませんか?」
新奈。
「だと思います。」
「かなり以前から。」
「何が問題か証明していたので。」
「学問の内容と対立するような。」
「稚拙な内容でしたね。」
「どのくらい私が自由な思考をするのか。」
「神々は試したのでしょうね。」
絵真。
「おみくじを論破して破いたら。」
「かえって神意にかなっていたという訳ですか。」
新奈。
「次から、その場で破いて、捨てることになっています。」
展世。
「狂気そのものですが、次からあなたは破り捨てる義理があるのですね。」
新奈。
「それも、見せしめに、なるべく目撃者がいるように、ですよ。」
小夜。
「なぜか、武勇伝に聞こえますね、まったくもって不思議。」
新奈。
「讒言を受けた人への悪口が書いてあったのですよ。」
璃々依。
「陥れられたのに、その人への悪口ですと?」
星都奈。
「貶められた人への讒言が載っているなんて。」
「私も、次から、故意に引いては破くことにします。」
新奈。
「簡単に貶められた、なんてだけの、当事者への忠告なんて愚かな。」
次の神社に移動。
地図が読める六人組。
幾何学は得意。
コンパスは正確無比ではなくて。
北の軸と南の軸が完全に一致しないので。
北に向けても、南の軸が外れます。
補正をかけて使うのが基本です。
正確に方位を測ると。
方角の概念が、いろいろおかしいことに気づきます。
移動経路は変則的。
新奈。
「パイドンでは、自分の所有物が勝手に死んだら。」
「あなたは不愉快になるのか。」
「問答が繰り返されますが。」
「それでは、奪われて勝手に死んだものはどうなるのでしょうか。」
小夜。
「自分のものだから何々するな。」
「ではなくて。」
「拉致されたものだから取り返すし。」
「そもそも拉致を許してしまったので。」
「元に戻すでしょう。」
璃々依。
「子供が誘拐されたら、親は誘拐を許してしまっているのですし。」
「誘拐されても、取り戻そうと必死になりますね。」
新奈。
「子供が出歩いていて、突然、言いがかりをつけられて。」
「拉致されたら、親は取り戻すために。」
「どんな手でも使いますが。」
「子供がそこから逃げようとしなかったら?」
璃々依。
「さすがに、拉致された子供が。」
「何も逃げようともせず。」
「何もしないのなら。」
「脱出の機会をいくら与えても。」
「救助隊を派遣しても。」
「意味がありません。」
小夜。
「それなら、最後には強引に連れ出すしかないのです。」
「それが遅れるか、早いかの話になりますね。」
新奈。
「自分の財布を取られて、取り返そうとしない人はいません。」
「どんなに理屈を述べても。」
「財産の配分を決められて。」
「奪われたら。」
「血相を変えるでしょう。」
星都奈。
「誰かの体について、誰かが好きに取り決めをしていたら。」
「本人は、怒り狂うに決まっています。」
絵真。
「親が子供を取り返したら。」
「治療と保護を再開するでしょうね。」
「他所に拉致されるとはそういうものです。」
展世。
「拉致されると、本人の体について。」
「他所の者が好きに取り決めをするものです。」
お宮を三社も巡る。
六人組。
境内社まで丁寧に参拝。
浄財はかなり多め。
由緒や看板は資料として保管。
国語辞典で。
霊感を頼りに続行する。
神々の反応は意外に察知できます。
霊威は訓練で慣れないといけません。
霊験は、昔から確認されている公式のもので。
霊験あらたか。
という専門用語で。
当たり前のようにくれます。
全知全能がくれたものは受け取りましょう。
人間の考えとは違います。
新奈。
「思考実験は、手軽に出来るシミュレーションです。」
「自然科学で用いられます。」
小夜。
「自然災害に先手を取ろうとするのは無理です。」
「自然災害には後手が確実ですね。」
璃々依。
「少ない証拠から推論しても無意味ですね。」
絵真。
「鉱山の神様を祀っていると。」
「ある程度の地震予知が可能になります。」
展世。
「地震は不意討ちしかありません。」
「何もない所や何もない時間に発生するので。」
「自然を観察しないと。」
「自然災害は後手が基本。」
「ということが分かりません。」
星都奈。
「日頃からキャンプが趣味とか。」
「そういう人は有利です。」
絵真。
「いつ災害が発生するのか。」
「予定表なんてくれませんので。」
「人間が適当に予測して大混乱に陥った。」
「失敗もあります。」
展世。
「いくら準備しても。」
「いつも消費期限が切れたり。」
「劣化した電池などが転がります。」
「行政は減災という名前で。」
「損失を減らす取り組みをしているようですね。」
新奈。
「生活が機械ばかりで成り立っていると。」
「電力を失うだけで、全滅です。」
小夜。
「過激な武装集団みたいに。」
「発電所にミサイルを撃ち込んでくる。」
「危険はありますね。」
「戦争になったら電力なんて期待できないのです。」
新奈。
「何百年も文明が後退する生活になりますから。」
「電力と水だけでも壊滅ですね。」
璃々依。
「江戸時代後期くらいの生活になりますし。」
「復旧には、長い時間を要します。」
新奈。
「失うものが少ない人が。」
「自動で勝利する構図になりますね。」
星都奈。
「失うものがより多い人が敗北する展開です。」
新奈。
「三陸沖で断層崩壊して。」
「すぐ近くの断層に誘爆。」
「さらに茨城県沖で起爆。」
「三つから構成される超巨大地震。」
「地球観測史上二番目の大地震で。」
「一番目がチリ地震。」
「あれから地震速報が人気のコンテンツになりました。」
「研究なのか物好きなのか。」
「多分、食らっても平気な顔をするでしょう。」
星都奈。
「悲鳴しか収録されていませんが。」
「無敵な場所にいる人も数多い。」
「平地で農作業をしている市民は無敵です。」
新奈。
「耐震性能が高い建物で仕事をしている人とか。」
「自動車に乗っていると無敵だったりとか。」
「タイヤが衝撃を吸収して横転しないとか。」
「発生直後に有利な位置を取っている人ばかりです。」
絵真。
「強運な人は、地震くらいで死んだりはしませんよ。」
展世。
「しぶとい人は、後々、救助隊に発見されますね。」
星都奈。
「その救助隊も、尋常ではない人数で来ます。」
新奈。
「付近の役人や警察官も、治安維持に加わりますね。」
「すぐに自衛隊も来ます。」
「被災地で窃盗をした奴らの九割は。」
「逮捕されていますしね。」
小夜。
「災害現場での噂や、架空の事件には警戒が必要です。」
「役人や警察官が巡回していて。」
「役場や警察署の周囲は治安が保たれます。」
「余程の間抜けしか。」
「被害を受けないでしょう。」
璃々依。
「若者も、無謀なほど正義感が強い場合もあり。」
「犯罪を見過ごせるような。」
「中年男性もいないでしょう。」
「我慢できずに、現行犯に向かっていくのです。」
絵真。
「架空の事件は証拠がありません。」
展世。
「証拠もなければ、被害届すら出していません。」
星都奈。
「嘘をつかなければ、認められた人もいるでしょうね。」
新奈。
「思考実験では、以上の想定になります。」
星都奈。
「群衆ばかり死んでいますが。」
「津波も、それを予知して逃げた人も数多い。」
「昔から、海面の変動を読んで。」
「これくらいの規模なら、来る。」
「気象庁が正確無比な情報を出すので。」
「状況が把握できた人から周囲に伝えます。」
新奈。
「すべての状況が最初から表示されている。」
「リアルタイム地震速報はアプリ版もありますが。」
「あれがあると、逃げ方が上手になりますね。」
絵真。
「どう対処したら良いのかは、情報に依存しますからね。」
展世。
「事前に、災害を研究していると、楽々ですよ。」
「次に何をすれば良いのか分かりますので。」
小夜。
「自主練しない人は、次に何をするのか分かりません。」
絵真。
「崇敬神社に鉱山の神様、二柱が祀られています。」
「自然災害は、後手が得策です。」
「先手を取れるのは、計器類を。」
「朝から晩まで見張っていた人くらいです。」
星都奈。
「自然災害に対して、人権がどうだとか。」
「法律がこうだとか、言わないで欲しい。」
展世。
「自然災害に道徳を持ち出しても。」
「虚しいだけですね。」
新奈。
「今週はこんな予定があるんだぞ!」
「とか、今日はこういう計画だったんだ!」
「そんなことは言わないで。」
璃々依。
「思考実験が役立ちますね。」
須賀神社に入ります。
鳥居を潜る。
巡礼を開始して、三年経過する五人組。
祈願は、あわよくば叶えてください。
という言い回しが適切。
すぐに何も無くても。
一年後くらいで、いつの間にか叶っていることもありますね。
こういうので困っているとか。
最近はこうですよ、とか。
祈りが大切で。
お願い事ばかりするのは最初の頃だけです。
少なくとも弁明だけはお宮でするのが賢明なのですし。
やった人よりも、やらせた方が処罰に値しますからね。
たまに、神々に取られる(選ばれる)祈りの内容があります。
たまにくれる天啓の精度が頼りになりますし。
一か月に数回は実施する巡礼は。
最終的に、七社巡って帰宅しました。
27
非常に物知りな巫女と知り合いになり。
大規模な神社で。
隠れて雑談しています。
かなりの教養があり。
カトリックの修道女の中には。
たまに聖女が誕生しますが。
それと似ています。
卓越した能力と明知があり。
いわゆる天才の女性ですね。
天才の巫女と出会いました。
同類のようです。
新奈。
「哲学では、正常と異常を定義しません。」
巫女。
「アドラー心理学でも。」
「正常な人などいないという見解です。」
「何かしら、おかしい人しかいない。」
「と言うのが共通していますね。」
新奈。
「自分の考えが一般的で適切。」
「なんて言うのは誤りですからね。」
巫女。
「誰もが、自分の考えは一般的で、適切だと思いたい。」
新奈。
「あなたがそこにいるのは偶然ですか?」
巫女。
「本当に偶然なら、何でも自由です。」
「私に免罪符を与えたいのですか?」
新奈。
「あなたも、都合の良い従者だと思い込んでいました。」
巫女。
「応神天皇の時代。」
「いわゆる古代人は。」
「必要なことしか考えていません。」
「必要なものしか求めませんし。」
「必要なことしか望みません。」
「多様性によって。」
「余計な要求が激しくなりました。」
新奈。
「源氏の血筋の更級日記ですら。」
「後悔と無念が綴られています。」
「野心で突進すると、同じになりますね。」
巫女。
「それらを捨てたので、ここにいるのですよ。」
新奈。
「私も、それらを否定したので、ここにいます。」
御朱印を書いてくれて。
意外に達筆。
包装紙に入れてくれました。
引退後も活動するとのことで。
具体的な計画も複数あるとのこと。
最近の修道女は専門職を持っているので。
模倣しているんだとか。
最近、大人気な命題について。
議論。
新奈。
「反出生主義については。」
「まず。」
「神々と出生を分離しています。」
「別々に考えるのですね。」
「初めからこれなのです。」
「もし同じにしてしまうと。」
「いきなり仲違いが生じて。」
「関係は破壊されます。」
「それを防ぐために。」
「自分と神々の真ん中に出生の仕組みを置き。」
「猛攻撃を許可されているのです。」
巫女。
「悪くなったら、何でも神様のせいになる理論は悪いものです。」
「説明が一割しかありませんよ。」
新奈。
「現に神々が出生に関与した形跡はありません。」
「証拠も初めからなく。」
「すべて後出しで生じているので。」
「この構図が乱されると。」
「怨恨の矛先がどこに向かうのか。」
「というもので。」
「他所の取り決めが自分の境遇を決め。」
「他所から抜け出してきた。」
「そもそも神々は関与しないのではないか。」
「後天的な信仰は、こういう経過を持っています。」
巫女。
「先天的な信仰は、証明を貰ったり、自分で証明したりします。」
新奈。
「出生は他所が決めたもので。」
「神々が決めたものではなく。」
「すべてデタラメに決まった。」
「となれば。」
「ようやく他所から逃れてきた訳で。」
「本来の存在に戻して貰うという。」
「修復が行われますし。」
「出生を単体として切り離している限りは。」
「後々、あまり考えたくない親不孝を生みません。」
巫女。
「後で、悪になるような生まれが。」
「神々の決定なんて言うのであれば。」
「何も正しくないことを言っていますね。」
新奈。
「自分と神々と、板挟みにして出生があり。」
「次からは、他所に決めてもらうことはありません。」
「という複雑な事態なのです。」
巫女。
「私は、人間から得た資格ではありませんので。」
「揺らぎません。」
新奈。
「人の世には、俗っぽい名誉とか財産とか。」
「よくある出世物語とか。」
「そういうのが嫌いな人もいるのですよ。」
巫女。
「まったくです、俗っぽいものが嫌いな人のことは考えていない。」
新奈。
「そういうのは強要されるのですか?」
「なぜ私も加わる義務があるのか疑わしい。」
巫女。
「私はお宮にて、対価交換で捨てました、仲間ですね。」
二人で。
不思議な体験について話しています。
不思議な出来事はたくさんあり。
巨大なカラスを見たりとか。
境内に入った瞬間に。
後ろを振り向くと。
木葉が落ちて秋を知ったりとか。
不思議なキジバトは定番になっているようです。
最近の格闘について話します。
新奈。
「おみくじを引く前に。」
「境内社にて。」
「おみくじに愚かな事が書いてあると。」
「祈ったら。」
「自分達の誤りを正当化しているような。」
「自殺みたいな文面が出ました。」
「本当に愚かな事が書いてありましたね。」
「二重に愚かです。」
「自分達で悪くして叱責していたことになり。」
「読み通りにひどい内容です。」
「ほとんど読まずに破り捨て。」
「踏みつけて遊んでおきました。」
巫女。
「なんですかそれ、自分達に非があるのを。」
「明らかにしておきながら。」
「崇敬者を叱責するなんて。」
「矛盾しています。」
新奈。
「社殿には住吉神が合祀されています。」
「住吉神の霊威で、おみくじを引いたら。」
「すぐに破るという課題でしたので。」
「まんまと引っかかった訳ですね。」
巫女。
「あなたと、神様の板挟みになって。」
「倒された、競争相手のいない勝負でしたね。」
新奈。
「おみくじは神様を代弁している訳でもなく。」
「適当な参考資料として届けられていて。」
「私と住吉神の挟み撃ちになったので。」
「おみくじはつまらない伝言ということになります。」
巫女。
「少し考えられない文面もありますからね。」
「本当に論破できるんですよ。」
新奈。
「少なくとも。」
「私の力量は、神社のおみくじを倒すほどです。」
「徹底した論破が出来るほどです。」
「神社のおみくじは私に勝てません。」
「ある意味で到達点なのです。」
巫女。
「日本書紀や古事記からの引用は一切ありません。」
「そこら辺が稚拙な所ですよ。」
「対象がそれなら、あなたにとって、功績ですね。」
「おみくじと競う者は、他にはいません。」
新奈。
「私の上がりまくった力量が到達した。」
「証拠歴然の結果です。」
「私は神社のおみくじを超えています。」
「私は神社のおみくじよりも上です。」
巫女。
「簡単に論破できるのは、本物の証明ですよ。」
「そうやって証明を取らないと。」
「信仰も、本物にはなりません。」
「経緯は?」
新奈。
「特に一回目は、それを引いてみては?」
「という爽やかな誘導で。」
「なぜかおみくじが輸送中に。」
「傷んでしまい。」
「開いた時には、天神様から勧められた。」
「学問と対立する内容で。」
「神様の教えにしては愚か過ぎました。」
「和歌も、悪戯に、邪悪なものを美化しているだけです。」
巫女。
「霊験で学問を貰ったのに。」
「獲得した学問とは対立する内容ですか?」
「それは矛盾していますね。」
「和歌が駄作ですか?」
新奈。
「方位が西というのは、正確には何も無い場所です。」
「利益甚大というのは、そもそも仕掛ける合図はありません。」
「利益に対しては守備が一貫していますからね。」
「学問は、西洋の名著は、一通り目を通して。」
「なおも、莫大に続けるというもので。」
「明らかに間違っています。」
巫女。
「易経ですね?」
「自分で占えるのなら。」
「なぜ引いたのか。」
「なんて言ってみます。」
新奈。
「幸福が何かについては異論があり。」
「それを私は好んで使っています。」
「幸福になるのは不可能。」
「という格言も採用しているほどです。」
「真の幸福というのは背後世界を意味します。」
「要するに空想に基づく教えなのです。」
巫女。
「西洋思想からの引用で、あっさり論破なのですね。」
「幸福が何かについての異論はアリストテレスで。」
「幸福になるのは不可能、とはショーペンハウアーです。」
新奈。
「誠意なんて、自分よりも、他が大事とか言う屁理屈ですよ。」
「私は偽善者ではありません。」
巫女。
「自分より他を大切にする、それは誠意が誤りである証拠です。」
「自分を犠牲にして、他を優先するのは自殺に等しい。」
新奈。
「しっかり待てというのは。」
「遅れに危険がある。」
「というもので。」
「外れています。」
巫女。
「言わなくても分かる姿勢ですからね。」
「時間の問題というのは、誰しもが理解する霊感です。」
新奈。
「付和雷同の指摘は、むしろあなたが主観的になっていますよね。」
「という反駁が可能なほどです。」
「おみくじなんぞ私より下なのですね。」
「論破したら破り捨てました。」
巫女。
「自分の気に食わないものを、何でも同調であると指摘するなんて。」
「客観的なものには、無敵の論証が敷かれています。」
「付和雷同の指摘は、それはあなたです、というお返しが出来ますね。」
新奈。
「何々を愚かにするのか。」
「という叱責なんてひどい論証で。」
「むしろあなたが愚かにしているだけですよね?」
「という文面です。」
「二回目は逆上していたようですが。」
「鳥居の前で誓約をして。」
「私は真実を語るだろう。」
「と行った後に。」
「境内社で祈って。」
「板挟みはこれですか?という誓約も重ねて。」
「住吉神の霊威とおみくじを挟み撃ちにしました。」
巫女。
「証拠を重ねた上で。」
「逆上したら、逆に向こうが愚かになりますよね。」
「何々を愚かにしているのは、確かにそのおみくじです。」
新奈。
「課題が、おみくじを破壊せよ。」
「というのが霊威で浮かんだので。」
「実行したのですが。」
「私の力量は本物です。」
「あと、書いてあるのは、狂気と短気を読み違えています。」
巫女。
「課題なのですね、それでは、神々から、おみくじを破壊せよと。」
「任務を受けたようなものです。」
新奈。
「なぜか稚拙で、偽善者で、お人好しの傾向が。」
「おみくじにはあります。」
「あんまり信用できるものではないです。」
「私に撃破されたものなんて。」
「信じなくても良いのです。」
巫女。
「神意が歪曲される占いなんて。」
「費用の無駄ですね。」
「易経好きには勝てません。」
新奈。
「神学資料を印刷して。」
「専用の小型収納に入れて。」
「持ち歩いていたので。」
「見当違いな非難ばかりですね。」
「それは証拠の品です。」
「穢れを遠回しに伝えて。」
「有利に祈れる半面。」
「逆手に取ると自白しかない礼拝を続けていました。」
「簡単に祈った、それだけなのに。」
「異常なほど誇張していて、むしろ滑稽です。」
巫女。
「正統というあなたは、揺るがせませんね。」
「神々の前で、自分が正しいと名乗れるのですから。」
新奈。
「一応、自分が正しいと祈ったことはあります。」
巫女。
「人の前で、正しいと言わないのは、正統ですね。」
新奈。
「部屋には、禍を直す神様二柱と。」
「祓所の神様四柱の看板と由緒書きを。」
「印刷して飾っていますので。」
「ひょっとしたら?という考慮は欠かしたことがありません。」
「覆い隠されているのなら。」
「それが無くなれば。」
「似たような繰り返しである必要が無いのですからね。」
巫女。
「あなたは、鍛錬する性質を受けていますね。」
「あなたの環境も、利用されているのですか?」
新奈。
「敵や環境を利用しているのなら。」
「それら全部は使い捨ての道化師ということで。」
「危険な論証です。」
「用済みになれば必ず捨てられます。」
「それは否定したい。」
巫女。
「この世をすべて知るために、鍛えているのでしょう。」
新奈。
「必ず目標は、隠れています、必ずしも、敵から利益を得る必要がありません。」
格闘した相手が程良いと。
私は褒められて。
それに、神様から見た視点を持っていると。
相手を褒めて。
互いを褒め合いまして。
やはり意気投合。
神事の時間なので。
離脱するようです。
パンフレットをくれまして。
スマートフォンから情報交換しました。
崇敬者や知り合いに情報を配るので。
可能な限り。
画像や動画を共有。
徹底した修道女の模倣が得意で。
専門職の資格も取るそうです。
新奈。
「最近の格闘について、話せる相手がいて良かった。」
「今日はひとりなので、あっさり帰ると思いました。」
巫女。
「私を見て天才を学んでください、手本は必要ですからね。」
新奈。
「天から授かった才能を否定すると、冒涜になります。」
「伝統による世襲ですからね。」
巫女。
「天才が社会に、数人はいないと、何でも行き止まりですよ。」
「天から贈られた才能なら、それを否定する人間は。」
「激しい天罰を受けるものですから。」
社務所に引き揚げる。
参拝して。
鳥居から出ますが。
この日は祭日で。
看板を見ると。
けっこう規模の大きい式典があるようです。
二人組が鳥居の前で。
口論なのか冗談なのか。
いきなり開始。
市民。
「お前は清廉潔白だから有罪だ!」
氏子。
「なぜ清廉潔白だと有罪なのですか?」
市民。
「それは、お前が清廉潔白だからだ!」
氏子。
「私が清廉潔白なら、あなたは何ですか?」
市民。
「清廉潔白の反対である。」
氏子。
「清廉潔白の反対を認めるのですね?」
市民。
「清廉潔白の反対だから、清廉潔白を有罪にできる!」
氏子。
「清廉潔白の反対とは?」
市民。
「邪悪である!」
氏子。
「清廉潔白を裁く邪悪な者なのですか?」
市民。
「清廉潔白を叱責できるのは邪悪な者だけである!」
氏子。
「邪心から、清廉潔白を攻撃するのですか?」
市民。
「邪心が無かったら、清廉潔白など叱責できる理由がない。」
氏子。
「邪心があるので、清廉潔白を攻撃したいのですか?」
市民。
「無論、その通りである。」
謎の会話で。
落語家同士の挨拶らしいのです。
二人組は素早く式典に参加するため。
駆け足。
人が続々と集まっている。
仲間とは気が合います。
相性が良い。
新奈。
「その時代に活躍している、最も優れた人物を見るのは。」
「良いことです。」
氏子。
「その時代に最も無駄な災難に遭うのは。」
「悪いことです。」
新奈。
「誰でも良いので、その時代の優れた人物を。」
「よく観察してください。」
崇敬者。
「それをしない人は?損をするのですか?」
新奈。
「とにかく、見ておくのです。」
崇敬者。
「道理にかなっている。」
新奈。
「この時代で、優れているとされた人物は。」
「見ておく価値があります。」
氏子。
「客観的な正論ですなあ。」
新奈。
「自分が優れていると思った人物は。」
「必ず見てください。」
「自分が基準でも構いません。」
「有益です、自分のためになります。」
市民。
「人は、誰しもが、自分のために行動しますね。」
夫人。
「それとも、自分は他人に奉仕します!」
「なんて言う馬鹿はいませんよね?」
新奈。
「そこら辺の人に対してボランティアをするなんて!?」
「どこまで馬鹿になったら気が済むの!?」
市民。
「かける言葉が無いよ!」
「どこまでおかしくなったら気が済むの!?」
仲間と雑談。
私は気軽に来たので。
今回は参加しません。
しれっと次の社殿に移動です。
28
反社会団体が、自作の拳銃で押し入って。
役場を制圧し。
役場の情報や、管理している住民票を。
破壊しようと犯行予告が出されて。
もうすぐその時間になります。
二時間前。
付近で。
小さな爆弾が破裂したり。
本当にやるようで。
警察の特殊部隊が待機しているほどです。
早朝から。
新幹線で。
三人娘は移動する予定。
自分達のギルドにある旅館に泊まってみて。
具合を確かめようと。
自分で志願した試みです。
途中のお宮に参拝して。
徒歩で。
駅の中に入ります。
新奈。
「あの有名な応酬思想。」
「神様が何々だから自分は良いものを受けている。」
「という人間でありがちな。」
「愚かな態度ですが。」
「その件についてお宮で祈った所。」
「むしろ持ち物や霊験を増加されまして。」
「関係が深まりました。」
「なので体験談は。」
「神様が良くしてくれたので今の自分がある。」
「という応酬思想なんぞ、私とは無縁であると判明し。」
「その後も、天啓から祈りを続行しました。」
「課題の応酬思想は合格しているのです。」
「なので、問題ないと理解できました。」
小夜。
「自分の神観誤謬について疑って。」
「自白するとは大胆な。」
璃々依。
「むしろ、疑って、相談しない人は愚者だと思います。」
新奈。
「応酬思想について告白した参拝から。」
「祈りを大事にする参拝に切り替わりました。」
「それまでは、自分の受けるものを申告していましたが。」
「真実の祈りを伝授された次第です。」
小夜。
「それでは、誤りではなかったと。」
「証明されたのですね。」
「神観誤謬は合格なのですよ。」
璃々依。
「神様の前では、どこも間違えてはいないのだと思われます。」
新奈。
「何々してくださいから。」
「こんなことがあるので、自分では何ともならない。」
「という参拝になり。」
「それから、神様が何々なので自分が良いものを受けている。」
「という愚かな応酬思想について尋ねたら。」
「少しずつ、祈りを大切にするようになりました。」
「今は、祈りしか、していません。」
小夜。
「ことわざの通りに、真の信仰とは、そういうものでしょう。」
「信心は、いくら厚くても、厚過ぎることはありません。」
璃々依。
「その経緯から、本物であると証明されるのは。」
「祝うものですね。」
新奈。
「神々と連携しやすい私です。」
「神々の直系の子孫なら。」
「当たり前のように。」
「創られた通りになります。」
雑談していると。
列車が来て。
目的地までの距離駅は短く。
あっさり到着。
そこからバスで移動になります。
時間が余る。
駅の中でお菓子を食べます。
とある中都市の構内にて。
大荷物を抱えた男性達が移動していて。
何だか様子がおかしくて。
特に二人だけ。
怯えているようでした。
新奈。
「全員で大荷物ですか。」
「過積載のお手本のようですね。」
小夜。
「何をしに移動するのか。」
「何とか引きずっているほどの荷物ですね。」
璃々依。
「何が入っているのか怪しいほどです。」
その人達の後方を歩いています。
愚者。
「あそこで本当に死ねるのでしょうか?」
道化師。
「道連れなんて簡単だよ、贅沢な自殺だろう?」
愚者。
「素晴らしい死に場所になってくれ!」
ファシスト。
「何も喋るな、自暴自棄まで仲間に加えると。」
「現地で何をするのか分からない。」
不審者。
「おい!俺達の資金を、酒に使うなよ!」
経理。
「現地で酔っ払って、意識が朦朧になりたいのだよ。」
愚者。
「俺も同じく、少しくらい使っても良いだろう。」
ファシスト。
「やめろ!支障が出るような行為をするな!」
不審者。
「後で、海外にも逃げられないだろう!」
悪漢。
「お前らは、刑期とか、そこまで考えろよ。」
「できるだけ小さく済ましたり。」
「逃れられるとか考えろ。」
ひとりは自殺する場所を考えているようで。
その内容を語りつつ。
口論みたいになっています。
もうひとりは。
団体の金銭を管理する経理係であると分かります。
経理。
「出所したとして、後々の収益はどうするの?」
悪感。
「そんなこと考えて、やる訳が無いだろ!」
道化師。
「窃盗犯は、盗むことしか考えていない。」
ファシスト。
「おいおい!犯罪組織の代理で貰ったお金で。」
「潤っているだろう。」
不審者。
「あんたらね、犯罪者とか、いちいち後のことを考えているとか。」
「思っているのかい?」
自分の取り分と依頼料で納得が行かないようで。
そういう内容の発言。
こちらも口論みたいになっています。
合計十人。
高速移動して新幹線に乗車しようとしますね。
その人達が落とした容器があり。
これを拾ったら。
既に男性達はいなくて。
中には切符が入っていました。
乗車してしまったようです。
経理係が口論の最中に落とし物。
新奈。
「これって。」
「放置すると、どうなるの?」
小夜。
「改札で止まりますね。」
璃々依。
「怪しい発言を連発していました。」
「人助けなんて、悪党まで助けると。」
「逆に、いろんな人を貶めます。」
新奈。
「彼らは、既に遠くに行っていますし。」
「そもそも、追いかけられませんね。」
小夜。
「拾った直後なら、追跡できましたね。」
容器の中には、何か、玩具の弾丸のようなものがあるので。
ひょっとしたら?
とか思って。
故意に、駅員に届けるのを遅らせました。
仲間と思われる人が容器について。
指摘しました。
道化師。
「その容器の中に切符があるよね?」
「渡してくれ。」
新奈。
「遠回しの窃盗ですか?」
小夜。
「彼らの知り合いでもありませんよね?」
璃々依。
「渡したら、あなたが泥棒です。」
道化師。
「あいつらの知り合いだから、渡してよ。」
彼らはもう乗車しているので。
言いがかりだと見なして。
断ります。
なおも、執拗に容器について迫ってくるので。
容器の中に入っている切符を含めて。
駅員に渡してしまいました。
関係を証明できないので。
駅員は仲間と思われる男性に渡しません。
道化師。
「だから友達なんだよ!」
駅員。
「関係を証明できる証拠がありません。」
警備員。
「連絡先も知らないのなら、渡せません。」
犯行時間前に。
反社会団体は切符を持っていなくて。
遠くの駅の改札。
構内でトラブルを起こしています。
ファシスト。
「なんで切符が無いんだ!」
経理。
「動揺して落としてしまった。」
不審者。
「酒なんて飲むからだ!」
暴漢。
「お前に任せたのが馬鹿だったよ!」
駅員。
「あの、料金を・・・。」
経理。
「財布も落としてしまったね。」
警備員。
「おっと!それは見過ごせないね?」
異常なくらいの大荷物が目立ちますし。
経理係が、あまりにも動揺して。
全員で怪しい発言をしてしまう。
駅員。
「料金について・・・ですが?」
経理。
「それだと自殺できないでしょ!」
愚者。
「財布まで失って、犯行で死ねないだろう!」
道化師。
「自暴自棄は何をしでかすかわからない。」
経理。
「俺だって!自分のために、人を巻き添えにしたいよ!」
「そのための武器でしょ!」
「相手が撃ち殺してくれたら達成でしょ!」
ファシスト。
「やめろ!べらべら喋るな!」
経理。
「計画が、こんな所で頓挫したんですよ!」
警備員。
「君達は何の話をしているの?」
駅員。
「ふざけているのかね?それとも?」
駅員が不審に思い。
警察に相談。
近くにいた警察官が詰め寄り。
傭兵部隊が登場。
ファシスト。
「こうなったら、ここで実行するぞ!」
経理。
「撃ち殺して!俺を撃ち殺して!」
暴漢。
「みんなぶっ殺してやる!」
警察官。
「何がしたくて、そんなものを振り回すのだ!」
警備員。
「うわあ!気違いだ!何とかしろ!」
傭兵。
「あれを倒せば、お金になる。」
不審者。
「役場にも到達できないのか・・・。」
駅の中で反社会団体が暴れましたが。
駆け付けた警察官と傭兵で囲み。
銃撃戦になりつつも。
何とか制圧。
速報で。
ニュースを見ました。
落とし物を放置したので。
犯罪集団は。
手前で食い止められたのです。
犯行予告をした集団は。
役場に到達できず。
役場荒らしは未然に防がれました。
29
その人達は揉め事をしていました。
それで、飛行機のチケットを吹っ飛ばして。
三人娘の所に落としてしまう。
財布まで落としたのですね。
口論になりながら。
その人達は、空港への直通駅に乗ってしまい。
あまりにも素早く消えてしまう。
飛行機のチケットは放置されてしまいました。
何となく。
偽善的な人助けは嫌いなので。
十分経過してから。
駅員に渡して処理しました。
新奈。
「人の一生は。」
「雑事と小事に攫われて。」
「空しく暮らすもの。」
小夜。
「人生について。」
「何であるか。」
「集会を開く若者の未来は明るい。」
「人生についての議論をする若者は。」
「既に青年の欠点を半分は克服している。」
璃々依。
「自分に厳し過ぎると。」
「周囲に伝染しますよ。」
「自分に厳しいのは。」
「周囲の人々まで影響を与えます。」
新奈。
「何かうまい話が通って。」
「一方的に都合が良くなったら。」
「形式的に、何度でも。」
「こんなように。」
「こういうものは、長続きしないだろう。」
「とか言って皮肉を繰り出したり。」
「これからどうなるか分からない。」
「なんて頭を抱えるくらいが良いものです。」
「そんな予言が当たってしまうのなら。」
「もはや預言者ですし。」
「自分が偉いことになるからですね。」
「未来に少なからず影響を与えられます。」
旅館からの帰路で。
寄り道をしている途中の出来事です。
分かれ道で遭遇しました。
そのまま大手文芸店に移動。
新奈。
「複雑な状況は、単純にすると失敗します。」
小夜。
「自分の人生の構造を知ると。」
「状況がまるで把握できます。」
新奈。
「幸福について否定する人が、幸福により接近しますね。」
「幸福について何も疑わない人は、明後日の方向に行きます。」
小夜。
「栄華を極めることは、苦悩の終わりではなくて。」
「苦悩の変形であることは確かですね。」
璃々依。
「貧乏人の真似事や、金持ちの真似事なら無料ですよ。」
口論をしていた男性達は。
飛行機に乗れなくて。
発狂していたようです。
チケットがありませんからね。
指名手配犯と。
ハイジャックをしてやろうと名乗る愉快犯。
飛行機を落として自殺しようとしている男性。
自首しようと悩んでいる合計四人組で。
空港で暴れてしまい。
持っていたクラブ(棍棒)で警備員と戦闘。
警備員。
「俺達が主人公だ!」
愉快犯。
「主人公補正で勝つな!」
警備員。
「主人公が勝利しないと、話にならないからな!」
愉快犯。
「強引に主人公が勝つな!」
警備員。
「無理矢理、勝利して何が悪い!」
愉快犯。
「主人公だから勝てるなんて誰が言った!」
警備員。
「そんなこと言われても、主人公だからとりあいず勝利!」
ひとりは、逃げて、警察に連絡。
自首してしまいました。
中年男性。
隙を見て背後から突進。
現行犯と組み合った。
不意討ちなので、現行犯を軽く吹っ飛ばした。
中年男性。
「なんで、素直にごめんなさいと言えないのだ?」
暴漢。
「なんだお前は?死ね!」
中年男性。
「おわっ!暴力はよくないぞ?」
暴漢。
「雑魚は死ね!」
中年男性。
「待て!暴力はいけない!やめろ!」
暴漢。
「お前が倒れれば、俺は暴行を辞められるだろう!」
中年男性倒された。
中年男性負傷。
偽善者。
「なんでそんなことをするんだよ!死んでしまえ!」
警備員。
「お前らが、俺達を戦いに駆り立てた!」
「悪いが、倒れてもらうぜ。」
偽善者。
「俺はお前ほど、暴力を振るってはいない!」
警備員。
「お前が倒れろ!」
偽善者。
「お前は人に銃を向けるのか!?」
現行犯は、警備員と激しい戦闘の後。
現行犯が倒されました。
速報。
中継するほどの大事件。
チケットを放置したことで。
防がれた事件という。
隠れた功績を獲得。
新奈。
「歩道には特に。」
「変なものが落ちています。」
「因果関係が存在しないものが。」
「当たり前のように落ちています。」
「いかに因果関係が存在しないのか。」
「道路に落ちているものを調べれば。」
「理解できますね。」
璃々依。
「都会ですと、変なものがもっと多い。」
新奈。
「田舎でも、変なものが落ちています。」
「所で、二度も、犯罪者の失敗を利用しましたね。」
璃々依。
「その後に大事件になるのですからね。」
「不吉なことをしようとすれば。」
「幾らかは失敗があるのでしょう。」
小夜。
「昨日から、我々は、犯罪者の失敗を。」
「利用して功績を上げていますね。」
新奈。
「切符と航空券でしたが。」
「偽善的な人助けなんてするものではありません。」
小夜。
「あれだけで崩壊する犯罪ですか。」
璃々依。
「現場の人が、表彰されるとは。」
「とまあ、手間が省けて、問題ないのですが。」
大手文芸店に到着。
漫画とかアニメとか。
美術関連など。
流行りの品物が置いてあります。
小夜。
「娯楽ばかりの人々は。」
「娯楽を有効活用することをお忘れです。」
「使い道はもっといろいろあるでしょう。」
璃々依。
「仕事の憩いに来ましたが、何でも揃っていますね。」
小夜。
「贅沢なぬいぐるみがありますよ。」
「これを買えという展開ですね。」
「ちょうど、ポイントがいっぱい入っています。」
璃々依。
「こちらの、新商品も、今日が発売日でしたね。」
「買えということでしょうか。」
新奈。
「理法は当たり前ですが。」
「正当な相手に。」
「従うことには慣れていますね。」
「私は従うことには慣れています。」
璃々依。
「従うことを知らない人なんて、支配もできないのです。」
新奈。
「凡愚は、他人において、人生での多少の有利を許せない。」
小夜。
「不利になるとすぐ平等とか言わないで。」
新奈。
「金銭ですら。」
「余剰になると手放したり。」
「どこかに渡さないといけません。」
「かと言って欠乏は悪いものです。」
「余剰と欠乏の中間である財産が健康に良いものです。」
「富裕層は使い道がなくて。」
「することがなくなるらしいのですし。」
「貧困層は、することが有り過ぎて。」
「生活の維持に駆け回っています。」
璃々依。
「私も、自分こそは、という証拠を集めています。」
新奈。
「自分こそは、という思いは。」
「自分が不正を受けたので。」
「自分こそは回復できる。」
「という換言なのですよ。」
小夜。
「ならば。」
「道理にかなっている。」
新奈。
「証拠歴然は覆せない。」
璃々依。
「それでは、正々堂々と歩けばよろしい。」
新奈。
「私は、敵がいても、正々堂々としています。」
璃々依。
「敵は不正しか、できることは無いですね。」
新奈。
「不正しかできない?それは余程の無能ですね。」
璃々依。
「優れていて強い人ばかりで、世界は成り立っていない。」
「これはとても残念な世界です。」
小夜。
「劣っていて弱い人を蹴散らせる。」
「そんな教養が無いと、文化すら堪能できないのでは?」
新奈。
「芸術と見なすか娯楽と見なすか?」
「世間では、自らが、評論家であると言い張る。」
「弱くて劣っている人も大勢います。」
「市民の正直な感想の方が二倍も優れています。」
璃々依。
「自称評論家なんて必要ないですね。」
小夜。
「文学を専攻する教授でもありませんし。」
璃々依。
「文学や芸術の専門家は需要がありますね。」
新奈。
「審査員が有能ですと、文芸も盛んになりますね。」
小夜。
「文学や芸術を専攻する知識人が、どうしても必要です。」
璃々依。
「内容を楽しむ側と、作る側と、評価する側では。」
「立場が違います。」
小夜。
「二十人くらいの多数決で評価が決まるのは滑稽です。」
新奈。
「何でも知っていると思い込む青年でしょうよ。」
璃々依。
「青年の評価は蓋然性が低いですね。」
「知識人に委託するのが賢明ですね。」
小夜。
「評価は知識人に任せるものですよ。」
新奈。
「多数決は、多くて三十人だけです。」
「五百人いたとしたら。」
「多数決に賛成を表明するのは三十人だけです。」
「五千人の視聴者がいたら。」
「多数決に従う人は三十人ほどで。」
「他の人は無視したり関与しません。」
璃々依。
「多数決に認められなければ。」
「立場が無いと思わせる策略くらいは。」
「難なく見破れますよ。」
小夜。
「どこかで。」
「主観的な理屈があったからと言って。」
「誰かがそれを支持するとは思わないで欲しい。」
璃々依。
「主観の内容を言っているのはその人くらいなもので。」
「数人、加わったとしても。」
「数人だけの狭い取り決め。」
「数人に実行できるのは、誇張すること。」
「それだけ。」
新奈。
「主観の度合いについては議論したくないです。」
璃々依。
「反対する理由が何も無ければ、反対しなくても良いのです。」
隠れた功績を持ちつつ。
帰宅します。
放置することで。
犯罪集団が勝手に倒れるとは思いませんでした。
敵の自滅を誘発できるなんて。
面白いものです。
最近は、無謀なくらいに犯罪を繰り返す人々を。
市民は荒らしと呼んで。
冗談の標的にしていますね。
市民の方が強い場合が多々あり。
市民に倒される現行犯が報道で目立ちます。
一昔前よりも強くなっている市民は。
高度化する文明に対応しており。
さらにパワーバランスの拮抗が生じています。
民間にもパワーバランスの時代が到来していますね。
30
ヤスパース。
真理は二人から始まる。
注釈。
教養のある人同士が議論することで。
本当のことが露になる。
本物を知りたければ。
教養のある者同士で議論する。
一人では発見できないこともあり。
独断や適当な成果で満足してしまい。
それ以上の結論や発見は生じない。
推奨されるのは。
互いの議論によって本物を見極める。
何かを見つけたり知ったことは。
他人との建設によって本物かどうかを確かめられる。
一人で真実には到達しない。
実存哲学の格言。
自宅に集結。
各自に十万円が贈られてきて。
これで何かをせよ。
ということで。
何に使っても良いし。
使用した内容を教えてほしい。
とのことです。
新奈。
「実例で伝えるなんて。」
「英語のことわざ通り。」
「行為は言葉よりも雄弁である。」
小夜。
「豊富な実例を与えようと。」
「手回しがありますね。」
璃々依。
「教訓に従うと道は長くなり。」
「実例に従うと、道は短く効果的となる。」
「英語のことわざ。」
新奈。
「討論の時は、両者が正しい前提に立って。」
「答えを設定せず。」
「自分にも誤りがある立場で。」
「意見を交わして。」
「優れた結論を目指しますね。」
小夜。
「情報を得ても二人がいないと。」
「本当の姿は何も見えません。」
「ひとりで到達可能な結論には上限がありますしね。」
璃々依。
「互いに哲学の伝統を踏まえた姿勢を保ち。」
「些細な違いや。」
「どうでもいい意見の対立は無視します。」
小夜。
「多少は意見が違うのが当たり前ですので。」
「つまらない違いは無視ですね。」
新奈。
「建設が目的でより上位の結論を出す取り組みですし。」
「否定や間違いの指摘は裏目に出る傾向があります。」
小夜。
「意外にも難しい技術が要求されますよね。」
璃々依。
「訓練が日頃から出来ていないと破綻します。」
新奈。
「情報源も日頃の鍛錬なしには精査できません。」
小夜。
「教養のある者同士では。」
「暗黙の了解が成立するのですよ。」
璃々依。
「自然に合意が得られますよね。」
新奈。
「それほど教養は当たり前であり。」
「まともな知性の証明ですね。」
小夜。
「イギリスでは口論みたいに自己主張しながらも。」
「競争しつつ上の見解を生じさせる。」
「伝統の討論がありますね。」
新奈。
「そういうのは訓練で習得するもので。」
「すぐに出来る人は稀です。」
小夜。
「数年の鍛錬が必要です。」
新奈。
「情報や見解の正当性を確認する確実な方法は。」
「二人での議論を開始することですね。」
璃々依。
「ひとりでは情報や言説の上限があります。」
「ふたりなら素人でも余裕です。」
新奈。
「なるべく教養のある人で。」
「練度が高い人を探すものです。」
璃々依。
「そうすることで独善的な考え方を。」
「消去することも追放することもできます。」
小夜。
「そうして実例を増やして。」
「道が短くなりますね。」
新奈。
「美徳は行為そのものが報酬ですしね。」
璃々依。
「まともな議論を行うまでは良書が必要です。」
小夜。
「良書の読書は必須ですけれど。」
「経験に依存しないのが素晴らしい所です。」
新奈。
「哲学はあまり経験に依存しません。」
「学問とは少しの経験で機能しますし。」
小夜。
「勉強と学問を混同しているので。」
「軽視するのでしょう。」
璃々依。
「無能になりたくなければ。」
「学問が必須です。」
小夜。
「高学歴も学問とは無関係です。」
新奈。
「哲学とは何か?という問いは非常に難しい。」
「いろいろな見解があって固定していません。」
「学問の中の学問が哲学ですね。」
小夜。
「天才は哲学に向いていますね。」
璃々依。
「芸術論ですら哲学の分野です。」
新奈。
「本場は係争中の場所が多いので。」
「無暗に新説を出さずに。」
「仮説形成や蓋然性の話にするのが安全ですね。」
璃々依。
「学校教育ですら通説だけがありますもん。」
小夜。
「通説を教えられるのは気分を害する。」
新奈。
「知識人も書く通りに。」
「学説が証明されるのは難しい道のりです。」
璃々依。
「私は簡略化が得意なので。」
「それを踏まえて実例を引き合いに出します。」
小夜。
「人気の無い哲学書ですら覆せません。」
「反駁がほとんど不可能です。」
「私も蓋然性を高めるために実例を出します。」
新奈。
「主観と客観の二元論ではありませんが。」
「私も実例を混ぜて出す訳です。」
十万円を使うべく。
行動開始。
封筒に入れて。
どこに行こうか悩んでしまう。
いきなり十万円が来ても戸惑う。
一気に使うのは非合理なため。
なるべく時間をかけますね。
金銭感覚が狂ってしまいそう。
昔は図書券をくれて。
何に使ったのか尋ねてきたり。
商品券が多かったのですが。
ついに現金になりました。
相談しながら。
三人組で行動。
両親からくれた最大の良いものとは。
自由なのです。
自由をとにかく与えられました。
自由なしに人は成立しません。
自由が無ければ死んだ方がましですからね。
両親が娘のために作って用意したとされる。
自由を駆使します。
とりあいずショッピングモールに到着。
見て回ります。
新奈。
「不吉な行為として。」
「持ち物や得たものを。」
「数える。」
「かなり丁寧に数える。」
「このくらい得たとか。」
「このくらいあるのか。」
「なんて数える。」
「しばらくすると。」
「不吉な運気が襲ってくるので。」
「収集したものでも。」
「金品でも。」
「数えない方が良いのです。」
小夜。
「自分の成果を数えた女性が。」
「一週間後に病気で倒れたことがあります。」
璃々依。
「そうやって成果を数えるのはけっこう不吉ですよ。」
新奈。
「勢いがある時は勢いに任せて進んで。」
「もう衰えたと思った時に。」
「振り返って数えるくらいにしないと。」
「まだ進める場合も曲がれる場合もありますからね。」
璃々依。
「数えるということは上限を自分で設定したという意味ですからね。」
「不吉な何かが襲っても不思議ではないです。」
買うものに困って保持。
いわゆる出し惜しみですね。
出し惜しみは良くありません。
メールでお勧めの場所を教えてもらって。
移動。
徒歩で。
途中の路地。
通り魔が乱闘をしている。
市民に抵抗されて。
失敗した様子。
こちらに走ってくるので。
謎のアイテムを使用して。
小さい円盤の魔法陣。
設置物。
地面に置くと。
鎧を着た戦士が出現。
アイテムが魔法陣を描いて。
地面から戦士が登場。
通り魔に向かっていく。
古将ブラッドレイ。
「殺す。」
通り魔。
「なんだお前は!」
古将ブラッドレイ。
「死ね。」
通り魔。
「うわあ!本物の刀剣だ!」
古将ブラッドレイ。
「倒す。」
通り魔。
「来るな!来るな!」
古将ブラッドレイ。
「狩る。」
通り魔。
「ぐえ!」
通り魔。
古将ブラッドレイに斬られた。
致命傷を連続で食らう通り魔。
抵抗するも。
鎧でナイフが無力。
効果がない。
通り魔は動けなくなると。
古将ブラッドレイは泡のように消え去った。
警備員。
「なにがあった!」
市民。
「謎の鎧を着た戦士が通り魔を殺しました。」
警備員。
「どこに行ったのか!ややこしい現場だ!」
さりげなく退場。
鎧の戦士を捜索しても見つからない。
誰かが召喚したとか。
白魔術師が近くにいたので。
白魔術師が疑われる。
逃亡に成功。
新奈。
「有毒ガスが充満した部屋があって。」
「自分の不動産でしたら。」
「換気をしますが。」
「悪いものは有毒ガスの部屋でも容認しますね。」
璃々依。
「熱中症でも動けると大きく見せたり。」
「凍えているのに耐えられるとか。」
「そう言っているのと同じです。」
小夜。
「いくら泥や塵を浴びて汚れても。」
「鈍感になって。」
「醜悪な状態で生活するのと似ていますね。」
新奈。
「腐った食べ物でも平気と言うのであれば食べれば良いし。」
「汚染水が平気なら実際に飲めば良いのです。」
「悪いものに浸かって平気なのは鈍感になっているからですね。」
璃々依。
「反対に、自然や花々とか動物に囲まれているような。」
「牧場のような世界は思い描かないでしょう。」
「悪いものを黙認する奴らは。」
「血や汚れの方ばかり見て。」
「乗馬で楽しもうとか。」
「隣人と会話をしようとか。」
「友達と球技の観戦をしようとか。」
「家族で過ごそうとか。」
「そんなことは思いつきません。」
新奈。
「悪い状態を容認している奴なんて。」
「説教しても裏目に出ます。」
「良いものを得ようとする意志に満ちた人なら。」
「反対の悪いものを除去しようと努めますね。」
モデルガンが置いてあるお店。
ここは別の趣旨の玩具が置いてあります。
ミリタリー関連が陳列。
実用性の高いリュックサックとか。
野外用の衣服が興味深い。
携帯食料は有事の際に便利。
星都奈ちゃんがいまして。
メールでの打ち合わせ通りに雑談。
新奈。
「昔の大戦と現代の装備を見ますと。」
「銃器の高性能化が進んでいますね。」
星都奈。
「昔の大戦でいた歩兵と。」
「現代の装備の歩兵では。」
「四倍の戦闘力の違いがありますね。」
小夜。
「昔の銃器が猟銃のようなもので。」
「現代の銃器が半分デジタルとか。」
「まるで技術が異なりますし。」
「戦術も効率の良いものになっていますね。」
璃々依。
「戦闘機や戦車だけではなくて。」
「歩兵の装備。」
「特に銃器の高性能化で。」
「昔の大戦でよくいた兵士とは比較できない戦力になっています。」
星都奈。
「今後、銃器の高性能化が進んでいくでしょうね。」
「高性能ライフル銃ならば。」
「効率良く敵を倒せます。」
新奈。
「弾速や精度とか新型照準器など。」
「弾丸の効率も良くなるでしょう。」
星都奈。
「強い奴だけ戦場に送り込まれますので。」
「開発スタッフも有能揃いになりますね。」
「今後、銃器の兵士が見直されると想定しています。」
新奈。
「戦場シミュレーターで再現すると。」
「昔大戦の兵士と現代の兵士はまるで別物のように。」
「戦闘力が違いますからね。」
星都奈。
「戦術や練度よりも銃器の性能ですからね。」
新奈。
「簡単に銃器の性能が向上すれば。」
「一方的に敵兵士を倒せるようになったりして。」
星都奈。
「最先端の超大国も見落としはありますね。」
解散。
星都奈ちゃんは便利なミリタリーグッズを漁っていますね。
玩具を中心に扱う商店街に侵入。
この時期にマスコットキャラクターなど。
人形や文芸を扱う大型店舗があり。
公に認められているグッズやアイテムなど。
それらが集まった所に行き。
十万円を贅沢に使用して。
輸送は重量がきわどい。
大袋を引きずる。
すぐに帰宅したら。
その結果を各自で論文にして提出。
あっという間に十万円が素敵な玩具に変貌しましたね。
漫画が散らばっている。
三人娘はいつも解散する時刻まで。
漫画を読み漁ります。
新奈。
「漫画とかは適当に敵を設定して。」
「それを八百長で倒す。」
「そしてまた別の敵を設定して。」
「それも主人公が倒す。」
「なんてものの連続ですね。」
小夜。
「主人公が負けると読者が離れますしね。」
璃々依。
「そんなに都合で勝利するなんて。」
「ありえない。」
新奈。
「勝てるように筋書きが作られるので。」
「勝算は主人公にありますね。」
璃々依。
「勝てるように作られている?」
「現実は勝てるように作られているとは限らないよ。」
小夜。
「宇宙戦争三とかはハムレットと同じ破滅をしていて。」
「主人公が敗北しながら。」
「すべてを失っています。」
「あんな見事な脚本は他で見たことがありませんね。」
新奈。
「宇宙戦争三はハムレットそのものですね。」
「公式主人公が師匠に負けて。」
「無謀な攻撃が敗北に繋がって。」
「その直前に新皇帝の家来になっていて。」
「腐敗政権を乗っ取ったクーデターの勝利側になるという。」
「しかも伝統の騎士団は。」
「暗黒な戦士に上書きされる。」
「そして恋人が変死してしまい。」
「宇宙戦争四まで事態は好転しない。」
璃々依。
「新しい宇宙戦争編も。」
「旧主人公の息子と新主人公で展開されて。」
「恐怖政治の指導者と泥仕合になって。」
「旧主人公と指導者が共倒れになりますしね。」
新奈。
「そういう脚本がまともなのでは?」
小夜。
「敵が次から次へと出現しては。」
「主人公が腕を上げて倒す。」
「そして別の敵が加わって。」
「なんて。」
「いつまで戦いの中にいるのかな。」
璃々依。
「最初から。」
「勝てるように仕組まれている。」
「それが。」
「戦場に長く居た奴の過信ですかね。」
新奈。
「はっきり言えば敵対者の倒し過ぎですね。」
小夜。
「いつまで戦い続ければ気が済むのやら。」
璃々依。
「戦うか撃つか殺すかしか見せるものが無いんですよ。」
新奈。
「なにそれひどい。」
夕方。
送迎が来て。
今日は各自、帰宅。
玄関にて。
小夜。
「客観的なものがある。」
「という確信が生じるのは。」
「主観の中身である。」
新奈。
「自分の言葉で。」
「生きるとは何か?」
「なんて言えますかね。」
小夜。
「生きる?」
「それは私の主権であり。」
「所有物ですよ。」
新奈。
「生ですと?」
「私のためにあるもので。」
「他人のために無いもの。」
璃々依。
「生とは?」
「世界に存在し。」
「自分のために展開される。」
「物語です。」
新奈。
「人生?あわよくば接待ゴルフみたいにして欲しい!」
小夜。
「その方が何事もはっきりしていて良いですよね。」
璃々依。
「接待?それは賢明な考えですね!?」
新奈。
「人生に起こることはすべて無意味なのです。」
小夜。
「生きることには意味がありませんからね。」
璃々依。
「そうなれば出来事なんて自分の価値判断に基づくもので。」
「ほとんどは無意味ですね。」
新奈。
「意味がないのにいろいろ発生する。」
小夜。
「意味がないのにね。」
璃々依。
「人生に意味がないので。」
「人生に起こることにも何も意味がありません。」
小夜。
「その無意味な世界を耐えるのです。」
新奈。
「無意味な世界を肯定します。」
「意味のない世界は快適です。」
小夜。
「うざい物事も事件も意味がないのですからね。」
璃々依。
「なぜ?と質問すると。」
「なぜか?そもそも意味なんてないよ?」
「意味がなくてもあるんだよ?」
「という回答が最後の通知です。」
新奈。
「意味がないのにある。」
小夜。
「無意味にある。」
新奈。
「意味がないのに居座るものすべてに。」
「宣戦布告。」
小夜。
「いかに無意味な相手から利益を得るか?」
璃々依。
「咬ませ犬ですよ、すべての出来事は咬ませ犬。」
小夜。
「やられ役のくせに抵抗するんですよね。」
新奈。
「観客が見に来てくれなくなりますよ。」
璃々依。
「とても素晴らしい道化師が出現するものです。」
新奈。
「素晴らしい道化ですよね。」
小夜。
「その後は捨てちゃいますけれどね。」
璃々依。
「強いもの勝ちもたまには良いのではと。」
「むしろ弱いものに勝利は似合わない。」
小夜。
「仮に弱者がまぐれで勝っても。」
「勝利を嘲って。」
「その後は何もしない。」
新奈。
「弱者に勝たせたとしても。」
「弱者は勝利を何にも活用しないし。」
「生活の消耗品とか。」
「酒池肉林のために使用してしまい。」
「勝たせた奴らはそんな弱者の姿に腹を立てて。」
「挙句の果てには攻撃を開始する。」
璃々依。
「強者の利益をチートで奪おうとするなあ。」
「という意味ですね。」
小夜。
「現実にもチートがありますからね。」
新奈。
「世間で信じられている。」
「自然科学に縋りますか?」
小夜。
「ここで科学を持ち込んでも。」
「分が悪くなるかと。」
璃々依。
「科学に頼っても無駄です。」
新奈。
「実証主義という看板を持っている時点で。」
「自然科学もオカルティズムなんですよ。」
璃々依。
「まさしく貴族道徳です。」
新奈。
「道徳ですと?」
「そんなものありましたっけ?」
小夜。
「価値観は必ず再構築されますね。」
解散。
夜が過ごされて。
翌日。
早朝の報道。
ジャーナリストが民衆をターゲットにけしかけた。
民衆はジャーナリストの言いなりになって。
けしかけた内容を実行してしまった。
まるで飼い犬みたいに動いている。
しばらく待機して。
お屋敷に移動。
昼食で半分宴会があります。
事業の関係者と当事者が招待されているので。
参加。
三人娘も合流。
新奈。
「正直者は、自分の利益にも正直です。」
「正直者は、自分の権利にも正直です。」
「正直者は、自分の欲望にも正直です。」
小夜。
「素直も、似たようなものです。」
新奈。
「素直に自分の利益を追求します。」
「素直に自分の権利を要求します。」
「素直に自分の欲望を獲得します。」
璃々依。
「両者、素敵です。」
新奈。
「宿命論を前提にするのは大間違い。」
「前提が間違っているので。」
「結論も間違える。」
「宿命論に対して何の容赦もせず。」
「無視を永続させるのが最善。」
「何かの筋書き通りに進ませない反面。」
「感動するような出来事は激減しますが。」
「最悪な出来事は、未然に阻止できてしまいます。」
小夜。
「宿命論を存在しないものと認めないのは。」
「外部から何もやって来ない反面。」
「外部から悪いものも来ません。」
「しかし、自由です。」
璃々依。
「宿命論という前提が誤りなので。」
「誤りを認めて改めれば。」
「膨大な自由が手に入りますね。」
新奈。
「宿命論に従うので、筋書き通りに進んで。」
「その先が素晴らしいものである保証はありません。」
「宿命は裏切れる対象ですね。」
璃々依。
「宿命に対して裏切りが可能です。」
「利得が莫大ですしね。」
小夜。
「宿命は束縛ばかりしてくるので。」
「簡単に裏切れば良いだけです。」
「我々は、必ず裏切るので、宿命論みたいな部分が無いのです。」
「残念ながら、こうなるのは決まっていたことなんですね。」
新奈。
「宿命を破壊して踏みにじるのは私にとって必然なんですよ。」
小夜。
「もちろん、最初から決まっていたことなので。」
「私に責任はありませんよ。」
璃々依。
「そうなるのは必然だったのです。」
「宿命論に基づいて。」
「何でも決まっていると思ったら大間違い。」
新奈。
「他人が、宿命論通りにならないと、気に入らないと罵るのは。」
「理に合わない。」
小夜。
「そうなるのも必然なんですよ。」
新奈。
「必然対宿命論。」
小夜。
「決定論対宿命論。」
璃々依。
「自分対宿命論。」
続々と集まる仲間と親族。
宴会が開始されます。
費用は持ち寄っていたり。
親族の集いは定期的に行われますね。
父親。
「ショーペンハウアーが語るに。」
「女性の弱点は。」
「いつまでも幼い所にある。」
「精神年齢がたいてい低い。」
「女性は成人しても精神年齢はいつまでも幼いままで。」
「それこそが女性の大きな弱点であるという。」
「著書は女について。」
母親。
「そこの弱点は克服されていますよ。」
「ある程度は男性のように育成したので。」
「男性の要素を持った女性として。」
「弱点を補いました。」
父親。
「女性についてはあまり研究されていない。」
「どうやら男性を上回る可能性もあるとか。」
母親。
「天才の女性は従来通りの考え方を排斥しますよ。」
父親。
「私の考察がお節介のような気配がする。」
母親。
「あの子が凡人だとでも思っているのですか?」
父親。
「とんでもないよ、あまりにうまく行っているので。」
「逆に考えさせられる。」
母親。
「特に何も起きなければ、あの子は自分で斬新な女性を創造しますよ。」
父親。
「新しい女性なのか、ここはより確かな方法を選ぶとしよう。」
母親。
「あなたも自分の子を知らない親ではありませんよね。」
父親。
「私は自分の子をよく理解している。」
「よく知っているから、良い方向に誘導できると信じている。」
親族。
「あの子の技能は本物だよ。」
家庭教師。
「なぜなら教師が良いからな。」
文化人。
「私が優秀なので、あの子も感化されるのです。」
親類。
「何事も無ければ、デビューの日が来るのか。」
親戚。
「やはり世の中、合理主義に限りますなあ。」
旗日。
親戚の集いで。
私は特等席。
関係者と当事者の同意で。
後継者に指名されているので。
ほとんど決まっていて。
実力が本物とのことで。
全員から懇願されたのですね。
私もそんなに多くは必要ありませんので。
いずれは後継者としてお披露目されます。
私も異論はありません。
セネカ書簡集より。
実例は教訓に勝る。
人々がもはや今日。
はるか以前に書かれたものを読まないということは。
文筆をとる者にとっては仕合わせなことだ。
実際、人々がもしいまもはるか昔のものを。
読むとしたら。
昔の人のつくった水満たる池については。
何とか言うとしても。
新しい本を書くなどということが間違いなしに。
空の空なるものであるという結論に。
人々はおそらく達するだろう。
Bラッセルの皮肉。
ラッセル幸福論33。