19歳の巫女るみちゃん。
母親から家宝である十束剣を伝授され。
鍛錬を頑張り。
別格の存在にまで自分を磨き上げます。
奉仕に力を入れ。
そんな姿勢を人々が支持。
評判の人物になります。
母親はそんなるみちゃんを認めました。
母親に認められたるみちゃんはきょとんとしておりました。
これからどうするか。
を考えていたのです。
ある日のこと。
たまたまテレビで見た旅行番組で。
特集が組まれており。
旅をすることにします。
友人のめぐちゃんを誘って。
まずは名古屋。
大阪、京都。
千歳、東京、倉敷と。
いろいろ見て回りました。
何か思うところがあり。
何か感じることが多かったのです。
帰宅したるみちゃん。
いろんな本を読み漁ることにしました。
特に格言集は多く読み。
糧とします。
少しゲームをやってみました。
敢えて無理なシュチュエーションで試合を行い。
どれだけ勝てるかを試します。
すると。
ハンデがあってもCPUに勝つことができます。
次にいろんな言葉を覚えました。
国語辞典がまるでお友達です。
るみちゃんは知恵をつけたので。
いろんなことがわかるようになりました。
もともと頭脳明晰なめぐちゃんは言います。
「るーみぃは本質的に聡明だから。」
「変則的にものをこなせるんだよ。」
さて。
るみちゃんはどういう家庭で育ったのでしょう。
幼いころから好奇心旺盛で。
自分から教わろうとしておりました。
小学生のころも積極的に先生に訊ねては。
ノートに書き記します。
「私は人生のために勉強しているの。」
これがるみちゃんの口癖でした。
こうなった背景には。
るみちゃんが自分の選択によって。
より大人になろうと決心したことが大きいのです。
中学時代には友達と遊び廻りつつ。
目にしたこと。
見聞きしたことを。
ノートに書き記し。
それは膨大な量でした。
聖書を読むことさえあったと言います。
歴史が好きになり。
歴史上の偉大な女性をお手本としていたのです。
それで高校生になって。
神童と呼ばれましたが。
るみちゃん。
「神童も大人になればただの人。」
と一蹴したのですよ。
めぐちゃんは優れた資質を持っており。
自分でそれを伸ばしました。
そんなめぐちゃん。
るみちゃんに意気投合。
ふたりで巫女さんになりました。
そもそも実家が神社だったのです。
卒業してから大学に入ろうとしましたが。
成績不足で落ちてしまいました。
普通の勉強はそこまで得意ではなかったからです。
母が働きかけて。
神宮の巫女になりました。
るみちゃんは成果を母に報告しましたところ。
母は大層お喜びになられて。
宝物の指輪を下さりました。
るみちゃんは微笑んで。
さらなる飛躍を目指します。
母に申しあげました。
母は嬉し泣きをして。
るみちゃんを抱きしめました。
さて。
るみちゃんとめぐちゃん。
道化とおバカさんは。
とても良い友人です。
お休みがあると。
ショッピングやゲームセンターに行ったり。
共に喜ぶ。
友人らしい友人です。
あるとき。
道化が言いました。
「るみちゃんは結婚するの?」
るみちゃんは。
「いいえ、私としては結婚は有り得ません。」
「男性に仕えて一生を過ごすのは。」
「私にとっては有り得ません。」
おバカさんが言います。
「もったいないわね。」
「そんなにかわいいのに。」
るみちゃん。
むすーっとして。
「女性に結婚の義務はありません。」
めぐちゃんが横から。
「それに文句があるのなら。」
「神様にお尋ねしたほうがよろしいですよ。」
おバカさんは自分とは違うことを認めました。
道化が変なことをはじめました。
とにかくへんなことをします。
変な顔をしてみたり。
わけのわからない行動をしてみたり。
ひたすらふざけています。
るみちゃんはそれにいつも失笑していますね。
めぐちゃんは微笑みます。
るみちゃんはふと思うことがあって。
私のあるべき姿って何なのかな。
といつも思います。
なので。
いつもそれを考えています。
でもわかりません。
わからなくていいと思ったり。
ふと模索してみたり。
いろいろですね。
めぐちゃんは巫女だから。
巫女であれば良いんだと。
いつも言っています。
それを参考にして。
より巫女らしくなることにしますが。
よくわからなくなりました。
でも。
めぐちゃんの意見はもっともだと思いました。
自宅と神社を往復する毎日です。
そこに自分のしあわせを発見したるみちゃん。
たぶん。
そんなことを。
悟ること。
自分にとって大切なことを悟ることが。
もっとも懸命で。
大事なことだと見出します。
なので。
知るのではなく。
悟ろうとしました。
そこで悟ることができました。
るみちゃんは自分に掛けられた。
イザナミ神の呪いを解いてもらうように申請してみますが。
不老は中々許可が下りませんでした。
仕方がありません。
許可が下りるまで。
頑張ることにしましたよ。
めぐちゃんは頭脳明晰で。
ひとりでなんでもこなします。
るみちゃんはそこまではできません。
なんでもできるようになろうとしますが。
めぐちゃんのようには行きません。
なので。
自分のやり方をすることにしました。
自分自身のオリジナルのやり方をすれば。
他人と競争せずに済む。
そしてひとり勝ちできるのだと判明します。
るみちゃんはオリジナルのやり方で。
自分の得意分野を強化して。
臨むようになります。
るみちゃんは依然として評判が良く。
いろんな人が相談にやってきます。
宗教的な相談や。
人生の相談。
それらをすべて引き受けています。
テレビで紹介されました。
でも芸能人になるつもりはありませんでした。
大人は野心より。
清潔さを求め。
自分のあるべき姿でいるべきだと。
考えていたからです。
神社は評判になりましたが。
同じような巫女さんは日本全国どこにでもいて。
そのうちのひとりとして紹介されたに過ぎません。
るみちゃんは巫女としての自分を見つめ。
自分らしくいるように心掛けました。
自然と人に人気が出て。
定評がある人物にはなれました。
るみちゃんはこのくらいが自分にとって。
丁度良いと。
自分の地位を確立します。
どういうわけか。
めぐちゃんのほうが。
ファンが多いのです。
めぐちゃんは隠れて自分を磨いて。
綺麗な水晶になっていたのです。
るみちゃんは。
自分と同じだと思って。
不思議な関係になります。
道化は普通の会社員で満足しています。
おバカさんは。
ウエイトレスにやりがいを感じていて。
自分の居場所としました。
るみちゃんは友人を参考にしています。
るみちゃんは一生神職で居ると決意します。
母も賛同してくれました。
るみちゃんはいろいろと学ぶ機会に恵まれて。
最高の才智を得ます。
自分の行く末も定まり。
もう言うことがありません。
イザナミ神からは。
まだ御呼びがかかりませんが。
生まれ変わりの行き着く先は何なのかは。
知りません。
1年と2年と時が過ぎ。
この世界が神秘であると感じます。
いまも巫女である自分を受け入れ。
巫女である自分が自分のあるべき姿だと。
それで。
日々を過ごしています。
世界の移り変わりは激しくて。
でも。
自分の世界は穏やかで。
ニュースで語られる世界とは。
まるで別物です。
るみちゃんは自分の世界に生きています。
いつか夢見たあの星々のように。
健全で尊く。
夜空にときめく。
星々のように。
とある神社で。
巫女をやっています。
END