
やがて、いつかは人類の壮大な悲願。
一時的な世界平和を達成するだろう。
その翌日については、まだ誰も考えていない。
やがて訪れるであろう、
つかの間の世界平和。
我々が知るべきはそこまでだ。
その先に続く混沌を、構想した者はいない。
1
日本のスーパーボルケーノが噴火している最中。
とある大型の家屋にて。
着物姿の妃世。
宇宙モチーフの衣装の羽純。
ソファーに上で。
並んで座っています。
お茶をしている。
妃世。
「もう少し、こうあったらいいなあ。」
羽純。
「あら、私というお姉さんがいながら?」
妃世。
「そうですね、せっかくお姉様を手に入れたのに。」
羽純。
「へえ、まだ気づいていなかったの?」
妃世。
「ちょっと!壁に押し付けて迫るなんて!」
羽純。
「何かあなたと私の共通点、気づいてない?」
妃世。
「まあ同類という所でしょうね。」
羽純。
「それだけ?」
妃世。
「趣味が同じと言うか、女性が好きと言うか。」
羽純。
「それだけなんですね。」
妃世。
「私の何が気づいてないの?」
羽純。
「私は親族よ、あなたの。」
妃世。
「はあ?」
羽純。
「あなたは、私達、一族の端っこに位置しているの。」
「それで、近所に住んでいるから、私と出会ったの。」
妃世。
「私が端っこ?」
羽純。
「家系図、見てみる?デジタルだけれど?」
妃世。
「はい、見ます、というか本当なんですね。」
羽純。
「本部に行きたい?」
妃世。
「機会があったら。」
羽純。
「いつでも言ってね。」
妃世。
「というか、今回の注文はその本部からなんですか?」
羽純。
「そうね、ビジネスモデル化したから、そういうことね。」
妃世。
「部隊に支給する道具と、特別な人に譲る希少品ですね。」
羽純。
「あなたがいないと、魔法の道具は製造できないからね。」
妃世。
「たまたま、私が製造に向いていただけです。」
「しかしそんな私が名門の端っこだなんて。」
羽純。
「否定せず、受け取ってもいいのよ、その称号。」
妃世。
「端っこですからね。」
羽純。
「またいつでも会いましょう。」
「お姉さんがいろいろ教えてあげるから。」
妃世。
「だいぶ危ないことも教えて来ますけれどね。」
同時刻。
本家の裏にある。
祠、中身は扉があり。
深くには災害を封じ込めた穴がある。
穴には蓋があったが。
何者かが勘違いして、蓋を開けてしまい。
地震が発生。
一千年前に、勇士と僧侶が封印した。
災害が解き放たれてしまった。
未藍。
「まさか、勘違いで封印を解かれるなんて。」
伊央。
「同じ魔法使いの仕業ですね。」
澄和。
「対魔法使いの私がいれば、こんなことには。」
里美。
「魔法を封じることが出来る、数少ないあなたがいればね。」
未藍。
「その人が女子高生と遊んでいたから。」
澄和。
「仕方がないのよ、こんなもの開く馬鹿がいるとは。」
伊央。
「そうですね、馬鹿の行動まで誰も予測できる訳が無い。」
未藍。
「あなたに非はありませんよ。」
「どうしても愚か者は世の中にたくさんいますので。」
「そいつの行動と公害を止めることはできません。」
澄和。
「ううん、格上ではなければ、魔法を封じて拘束できたけれど。」
「その前に発見できなければ、意味がなかった。」
里美。
「複数人で来た形跡があるので、一人だけ封じても、多勢に無勢でしょうね。」
澄和。
「そうね、今時、魔法使いが単独行動をすることはないから。」
伊央。
「後知恵バイアスはどうでもよくて、これからどうなるのでしょうか。」
未藍。
「何らかの災害になって、散発的に降り注ぎます。」
里美。
「まったく、ある時代に精鋭が揃ってから、開かれるものだったのに。」
伊央。
「手練が集ってから開いて討伐、しかし私達で何とかできるかどうか。」
未藍。
「今は女性が圧倒的に多い時代です。」
「昔のように勇者はいません。」
澄和。
「だいぶ無理難題が発生しましたが。」
未藍。
「スパイの格言にも。」
「問題は恐れるものではなくて、対処するもの。」
「身内の男性陣にも連絡しておきましょう。」
「案外、期待の勇者が既にいたりして。」
一時間後。
災害の報道を観て。
正常性バイアスで解釈してしまい。
破局噴火に無関心。
しかし、じわじわ影響が出ている。
魔法の道具を扱う店では。
お手伝いさんが来ています。
魔法の道具は希少品で。
素材集めがいつも厳しいんですね。
作っておいたものを売るという形式ですが。
本部から依頼が来て。
とりあいず、疲労回復のポーションを作っています。
調合は、十五分で完成しますが。
買い手が完成したものを、片っ端から購入するので。
需要に追いつきません。
素材が尽きて、依頼された分に回しました。
怜亜。
「この世は争いばかりですか?」
妃世。
「いいえ、今後も凄惨なる平和のための激烈な試合が行われるでしょう。」
路香。
「ネットの議論を見てると疲れるよ、みんな自分の意見を譲らないんだから。」
妃世。
「無理もないよ、彼らにとって意見とは、たったひとつの正しい解釈を語ることなんだから。」
路香。
「意見の定義って何だっけ?」
妃世。
「自分が絶対に正しいと信じ込んでいる、たったひとつの解釈のことです。」
怜亜。
「意見とは何ですか?」
妃世。
「たったひとつの正しい解釈を語ることです。」
路香。
「多様な意見は日本にはあるのでしょうか。」
妃世。
「はい、十種類の同じことの言い分があらゆる方向から同時に繰り返されます。」
夕方。
自動車が来て。
お姉さんに連れられて。
本家に行きましたら。
旅館を改造したような屋敷で。
夕食の準備があって。
招かれたんですね。
一族の新人として。
羽純。
「紹介します、私の妹的存在。」
未藍。
「あらまあ、素敵。」
「撫でまわしたいわ。」
妃世。
「なるほど、いい趣味していますね。」
未藍。
「気が合うのね。」
伊央。
「なかなかレベルが高そうな女の子じゃないの。」
里美。
「お姉ちゃん、期待しているの?」
伊央。
「もちろん、有能な女性は大好き。」
里美。
「無能な女性は?」
伊央。
「誰のことを言えと?」
澄和。
「ああ、大学を卒業したばかりなんて。」
「若い女性が集結しているわ。」
妃世。
「私達以外の女性はどうしたんですか?」
澄和。
「男の懐に走って行ったよ。」
羽純。
「そんな絶望的な話はさておき。」
「国内で数少ないアルケミストなんですから。」
「過大評価してもいいくらいですよ。」
未藍。
「その子が噂のアルケミスト?」
伊央。
「これは当たりですね、ちょっと作ってもらいたいものが。」
里美。
「へえ、ちょっと二人きりになりたいかなって。」
妃世。
「ということで、合流しました。」
澄和。
「数少ない処女なんですから。」
未藍。
「私達はいわゆる独身貴族ですからね。」
羽純。
「第一に、結婚を選ばなかった。」
「第二に、価値観が違った。」
「第三に、必要が無かった。」
澄和。
「男女が結婚する原因は何ですか?」
伊央。
「世界がそうなっているからと従うのは、従い過ぎです。」
里美。
「少しは健全な反抗も覚えなさいよ。」
澄和。
「特技はあるの?」
妃世。
「お姉さんから教わった魔法と、格闘技。」
「スパイの技術、くらいかな。」
澄和。
「まったく万全な教育ね。」
羽純。
「あなたも何か教えてあげたら?」
澄和。
「そうね、現代の戦術を教えてあげようかしら。」
妃世。
「美人揃いの親族ですか。」
「思わず見惚れてしまいます。」
澄和。
「あら、ここに集まっている女性だけ。」
「うん、それ以外は言及しないで。」
妃世。
「え?集まっている人は?」
羽純。
「そういうことよ、一族の精鋭みたいな感じ。」
伊央。
「結婚式が多過ぎて、なんか泣けてきます。」
「身内とは言え、数十年で。」
「結婚式までに抱いた感情と満足は薄れていくから。」
里美。
「急いで結婚、ゆっくり後悔。」
澄和。
「一族の特徴で、人生カンニングがありますが。」
「すべて見た後、美人同士で融和しているんですね。」
妃世。
「そんなことは後世で美談にしてしまいましょう。」
未藍。
「それはそうですね、終わった後ならどうにでも評価できる。」
伊央。
「身内同士で集まって良かったね。」
里美。
「いつでも連携が出来るからね。」
澄和。
「それでは、出前が来ましたよ。」
「お寿司です。」
食事が終わり。
客間に移動。
男性陣も見えて来た。
仕事から帰って来て。
出前のラーメンを食べています。
伊央。
「世界を変える三十歳未満のリスト見た?」
妃世。
「見た見た、実際に世界を変えて忙しい本物の天才たちを除いたリストですね。」
里美。
「芥川賞受賞は凄いらしいね。」
妃世。
「受賞した後はどうなるんですか?ベストセラー作家ですか?」
未藍。
「元・芥川賞受賞者として、そこそこ売れていくと思う。」
澄和。
「修養主義って、形を変えてまだ生き残っているんですねぇ。」
羽純。
「過ぎたるは猶及ばざるが如し。」
「彼らは自分を高めることに必死すぎて。」
「自分がすっかり盲目になっていることには気づかないんですよ。」
妃世。
「我々は数時間でその矛盾に気づいたのですが。」
「彼らが自分で気づくには五十年はかかるだろうね。」
澄和。
「現代でも修養主義にハマってる奴っているんですね。」
伊央。
「過剰な自己改善のせいで、肝心のまともな思考力が足りなくなっているんだろう。」
里美。
「皮肉だね、我々は数時間で気づいたその真実に、彼らは五十年修行してようやく気付くんだから。」
妃世。
「最近の年寄りは、本当に古臭い考え方ばかりで嫌になります。」
伊央。
「待て、数十年後、私たちも新しい世代から全く同じこと言われるんじゃない?」
未藍。
「なんてことだ、こうして歴史は繰り返されるのですか。」
自然に打ち解けて。
今晩は解散。
自宅に着くと。
工場で準備。
素材が届いていたので。
納期に間に合わせます。
妃世。
「おや、自主残業ですか?」
怜亜。
「早めに終わらせようと思って。」
路香。
「私は、あなたの親族の会社に行くことになったので。」
「なるべく、上に、いいことを言ってね。」
妃世。
「それは義理ということになりそうですね。」
二人は、夜まで作業をして。
作ったものをいくつか持ち去っていきまして。
想定内ですね。
自分のために残業していたけれど、黙認。
翌日。
スーパーマーケットに行きました。
素材の主要仕入れ先。
妃世。
「開店から人が多いですね。」
市民。
「インターネットにおいて事実とは?」
青年。
「インターネットでは事実は決めるもので、あるものではないらしい。」
学生。
「あの著名人は狂ってるって言ったら、めちゃくちゃ叩かれたよ。」
若者。
「俺なんて、あの著名人は狂ってないって言ったら、同じくらい叩かれたぞ。」
学生。
「じゃあ、どっちを言っても叩かれるってことか?」
若者。
「そうなると、本当に狂ってるのかどうか分からなくなるな。」
学生。
「世間には二つの解釈があるみたいだな。」
会社員。
「いやあ、本当に災難だったよ、大事故に遭っちゃってさ。」
上司。
「おいおい、お前まだそんな災難なんてものを信じているのか?」
会社員。
「いや、信じているわけじゃないけど、現に車がグチャグチャだし。」
上司。
「じゃあ、巻き込まれた相手に対して、もう少しましな言い訳を考えなよ。」
「すべての事象には物理的、心理的要因があるってね。」
詩人。
「おお、SNSで話題の人気作を褒めておいたぞ。」
市民。
「俺は酷評してやったよ。」
詩人。
「君、気持ちは分かるが、命が惜しければ褒めておいた方が身のためだぞ。」
婦女。
「日本で自由主義が徹底されたら、みんなどこへ行くんでしょう?」
学者。
「ついて来れなくなった大勢の人たちが、一列に並んで前へ倣えで行進を始めますよ。」
詩人。
「日本で自分が本物の自由主義者だと証明するのは簡単ですよ。」
「他の二人の日本人に会えばいい。」
学者。
「どういうことだい?」
詩人。
「一人の日本人からお前は過激な左翼だと怒られ。」
「同時にもう一人の日本人からお前は冷酷な右翼だと非難された瞬間。」
「私の自由主義は日本で完成するのさ。」
作業員。
「君はいつも運任せで、何のひねりもない普通のことしかしないな。」
事務員。
「ああ、芸能界を生き残った大御所たちの言う。」
「努力すれば夢は叶うっていうアドバイスを真に受けているんでね。」
詩人。
「日本の文壇が自分に対する批判を集めているのは本当か?」
学者。
「ああ、批判している人の方をリストに集めている。」
少年。
「あの著名人は迎合だけで中身が無いクソ雑魚だ。」
紳士。
「公然と人を侮辱するのはやめたまえ。」
少年。
「え?誰のことだと思っているんだ?」
詩人。
「日本の文壇は、決定的に不足していた自己批判を。」
「ついに仲間の作家に依頼することにした。」
「その報酬は、向こう一年間。」
「何を書いても文壇から完全に無視してもらえるという特権だった。」
科学者。
「生まれる内容の同意は取れるのか?」
学生。
「というより契約書に不備があるようだな。」
格闘家。
「素人の格闘の思考実験ほど滑稽なものはないよな。」
弟子。
「いいじゃん、一回町中で絡まれてボコボコにされれば。」
「最高の客観的情報にアップデートされるんだから、泳がせておこうよ。」
科学者。
「もうすぐ老化遺伝子が排除されて、人間は今の二倍長生きできるようになるらしいぞ!」
哲学者。
「なるほど、これで人生の苦悩と退屈を、これまでの二倍じっくり満喫できますな。」
詩人。
「人類史は戦争の歴史、あれ、戦争は義務なのか?」
婦人。
「上の方々にとっては義務でしょうね。」
学者。
「自分の行動を必死に正当化し続けている人がいたよ。」
市民。
「でも、そいつの前提、最初から間違っていたんだろ?」
学者。
「ああ、多分あいつは間違っているという言葉の意味が分からないんだと思う。」
妃世。
「ああ、なんて思想の多い民衆なんでしょう。」
「しかし、日本人もジョークが理解できるようになるとは。」
「欧米列強に、ついに追いついたのか。」
素材、購入。
連絡が来ていて。
昨日。
一族が封印していた災害が、盗掘によって。
開かれてしまったとのこと。
一族の悲願が一族から首相が選ばれること。
メールで送られて来まして。
民間軍事会社、華族の出入りを許可されました。
戻ってくると、怜亜が居眠り中。
妃世。
「隙を見せたな!」
怜亜。
「うわっ!」
路香。
「何襲っているの?」
妃世。
「ついつい、血縁関係があると、違和感があるよ。」
怜亜。
「うへへ、私は悪くないよ。」
路香。
「さて、私は出勤しますが。」
「何かいいこと伝えてくれた?」
妃世。
「色っぽい、綺麗で有能な女性であると伝えておきました。」
路香。
「遠回しに口説いてない?」
「血縁関係はないから、別にいいわよ?」
妃世。
「不足はありませんが、別の人にします。」
怜亜。
「さあ、よくもやったな!」
妃世。
「うふふ、やり返して来ないと、私が思っているとでも?」
路香。
「頼むから夜やってくれる?」
怜亜。
「今、暇だから、強姦ごっこしない?」
妃世。
「いいですね、負けた方が気持ちいいことされるのでしょう?」
怜亜。
「そうですね、なんてえっちな女性なんですか!」
妃世。
「あなたが言ったんでしょ!」
怜亜。
「さあスキンシップはこれくらいにして。」
「今日、調合するもの、多々あります。」
妃世。
「はあ、人材として希少だからなあ。」
「いくら製造しても、商品が行き渡らない。」
怜亜。
「工場で大量生産は不可能ですからね。」
妃世。
「そもそも、錬金術というより、魔法を使って調合しますし。」
怜亜。
「私も限定的ですが、使えます。」
「受注生産、まだありますね。」
妃世。
「所で空が暗いのですが。」
怜亜。
「スーパーボルケーノによる悪影響ですね。」
妃世。
「それ大丈夫なんですか?」
怜亜。
「まったく大丈夫じゃないです。」
災害で半分、日本が終わっている時期に。
一族に合流出来ました。
日本各地に散らばった所を。
故意に一か所に集まっているようです。
初代、どこかの大名家なのですが。
名家、勇者の家系、大地主の家系と。
ハイブリットな家系の集いです。
好循環で続いていくうちに。
栄えている一族で。
その中の女系のメンバーが連携して。
過酷な現実を切り抜けているようですね。
最初、羽純お姉さんに恋をしたら、なぜか拒否されて。
技能を教わっていたら、親族と打ち明けられて。
一族と合流出来て。
もはや異論はありません。
正直、絶句しています。
夜空には。
ジャコビニ・ツィナー彗星がいます。
人類の起源は定説がころころ変わり。
今では六万年前に、高度な文明を持った。
優秀な民族が、世界各地にいて。
船で大陸から大陸を渡ったとか。
それ以前の記録や証拠は、これからまた新しい定説が出るでしょう。
宗教では神話、しかし科学の方からも調べたいというのも、分かる気がしますが。
歴史において。
終局の目標は、一時的な世界平和の達成。
それ以後の予定は、人類の議題にすら上がっていない。
2
本部から、素材を支給されまして。
調合が捗ります。
素材調達は遠征が必要なので。
あらかじめ送ってくれると。
手間を省けます。
ポーションには稀に不良品が出ますが。
色や匂い、雰囲気が違うので。
見破ることは比較的容易です。
箱に詰めて、発送しました。
しばらく休憩。
妃世。
「この世の中の不幸や不運、災難なのですが。」
「はっきり言って。」
「同じことが、まったく別の人に起きている。」
「それだけですね。」
怜亜。
「組み合わせが少ないんですね。」
路香。
「災難の使いまわしをするな。」
妃世。
「よく見たら、内容はどれも新しくない。」
怜亜。
「受ける人が違うだけですね。」
路香。
「新しい不幸や不運、災難なんてないんですし。」
妃世。
「同じ内容が繰り返されているんですね。」
怜亜。
「なんかとってもつまらないものなんですね。」
路香。
「バリエーションが少ないね。」
妃世。
「不幸、不運、災難、どれも手抜きですね。」
怜亜。
「あんまり真面目に作られていませんね。」
来客。
店にある在庫が買われましたが。
次々と購入されて。
すぐに在庫が尽きました。
高級品なのに、けっこう人が買うんですね。
各種ポーションなどには不思議な効能があるのですが。
使いどころを間違えると、コストパフォーマンスが悪いのです。
判定は医薬品です。
在庫、枯渇。
調合の計画を作成中。
妃世。
「悪の起源って知っている?」
怜亜。
「プロティノスとアウグスティヌスが調べたものですね。」
路香。
「悪という概念は存在しなかった。」
妃世。
「善の欠如、良いものの損失、と結論付けた。」
路香。
「起源まで調べる優秀な人は少ないですね。」
妃世。
「悪について、たいして調べもせず。」
「他人に悪だ、悪だ言うのは幼稚ですが。」
路香。
「そもそも悪の起源については。」
「おおよその一致が見られるものです。」
怜亜。
「悪はそもそも人工物ですからね。」
妃世。
「悪は人が作ったものです。」
怜亜。
「ということで、この世の最初から悪なんて無かった訳ですね。」
妃世。
「しかし善の欠如で容易に悪は作られますが。」
路香。
「そうなると環境に依存しますね。」
怜亜。
「悪いものを受けたら、悪人になるしかないね。」
妃世。
「悪とは選択というより、偶然に引かれたものですね。」
路香。
「悪の起源、偶然。」
妃世。
「悪の起源については、意見が似通ったものになります。」
路香。
「すると、正義が悪を倒すとか、あれはどうなるの?」
妃世。
「悪という概念がない以上。」
「気に入らない相手か、対立する相手を悪と呼んでいるだけ。」
路香。
「それだと、どっちが悪者か、もう分かりませんね。」
怜亜。
「カトリックでは、真実の悪人という神学がありますが。」
「人生があまりにうまく行って。」
「寿命を終えるときに、子孫に看取られて終わる。」
「こういうのは真実の悪人の典型とのことです。」
妃世。
「真実の悪人ですか、そんな人を見ると。」
「何となく、そう思えます。」
路香。
「まったくです、そんな人はいろいろと疑わしい。」
怜亜。
「現代の勧善懲悪は、悪に対して主観的な解釈しかしませんね。」
妃世。
「現代人なんてその程度でしょう。」
路香。
「悪だから、殺す、攻撃してもいい。」
「しかしそのような考えの方が悪なのですし。」
怜亜。
「善を知らない人の言い分ですよね。」
路香。
「悪いことは知っていても、良いことはひとつも知らないみたいな。」
妃世。
「そもそも、現代人は思考の手抜きが多過ぎて。」
「悪とは何か、という所まで追求しない。」
怜亜。
「定義がよく分からないのに責めているのですか?」
妃世。
「みたいですね、頭が悪い。」
怜亜。
「そもそも人間の善悪に完全はない、という前提がないね。」
妃世。
「善悪についてはいろんな考え方がありますからね。」
「儒教でも数種類ありますし、仏教では厳格ですし。」
「神道では神々しか持ってないし。」
「キリスト教だとネガティブに語られます。」
怜亜。
「ということで、他人を悪扱いする人が。」
「実は悪の発生源なんですね。」
路香。
「他人の悪を創作して、自分の悪を広げている、みたいな。」
怜亜。
「自分の悪を避けないという滑稽なものですね。」
妃世。
「日本人は、朱子学から見て、性善説の誤訳をしていますから。」
「悪は選択されていると勘違いしている。」
怜亜。
「朱子学は、性善説の再定義をしていますが。」
「自国民は誤った性善説を持っています。」
路香。
「性善説の誤訳はどうでもいいけれど。」
「自分勝手な悪の定義が独り歩きして、もう手に負えない。」
妃世。
「起源を知ったからと言って、悪がいなくなることはないし。」
怜亜。
「今日も、善の欠如から来る悪を拡大しているのでしょう。」
路香。
「それだと、本人のせいなのか、環境のせいなのか。」
「生まれの初期条件のせいなのか、判別できないね。」
妃世。
「少なくとも、創作における善悪二元論は否定できました。」
路香。
「さて、今日も良い一日を。」
「考えの違う人には、普通の日を。」
妃世。
「午後、何とかしないといけませんね。」
路香。
「私は午後から本部に出勤するわよ。」
妃世。
「午前は出勤しないんですか?」
路香。
「普通の役職じゃないからね。」
怜亜。
「集まった魔法使いに軍事訓練をしているとか。」
路香。
「まあそんな所です。」
羽純。
「出来栄えは良さそうね。」
妃世。
「お姉さん、やはり綺麗ですね。」
羽純。
「ひねりがないですね、そのまんまじゃないですか。」
怜亜。
「立派な人がぶっ殺されたって。」
羽純。
「え?あの立派な人がなぜ?」
怜亜。
「だからこそぶっ殺されたんですよ。」
妃世。
「私には欲しいものがあります。」
羽純。
「お金があるから、何とかなるよ。」
妃世。
「意見の自由なんです。」
羽純。
「それは日本では手に入らないかもしれませんね。」
怜亜。
「社会的成功には、行動、金銭、忍耐が必要ですね。」
妃世。
「行動を共にする同志が話していましたね。」
羽純。
「それでは私は忍耐を出しましょう。」
「行動、金銭は、他の人が出せばよろしい。」
怜亜。
「共食いとは何か?」
妃世。
「それはとある芸能人が豚肉を食べることです。」
羽純。
「しかし世間にそれを言うと?」
怜亜。
「間違いなく攻撃されます。」
羽純。
「敵対者の総攻撃は失敗に終わりました。」
妃世。
「そんなことがあったんですね。」
羽純。
「五年後の総攻撃でしたね。」
妃世。
「だいぶ遅延したんですね。」
怜亜。
「敵対者の適切な居場所とは?」
羽純。
「地下三メートルかな?」
妃世。
「敵対者によく似あっている居場所ですね。」
羽純。
「そうです、敵対者は不適切にも地上三メートルにいます。」
怜亜。
「頭のおかしい人が、近くの運動場で。」
「社会の悪口を言っていたそうです。」
妃世。
「それなら正常じゃないですか。」
羽純。
「どこもおかしくはないですね。」
怜亜。
「直木賞の作品ですが、近年、質が悪くないですか?」
妃世。
「中身よりも、評判と表紙のほうが素晴らしい本ですね。」
羽純。
「彼らは小説家です、読者は、それよりもましな職業に就いている。」
お姉さん、様子を見に来たようです。
ちょうどお昼ですからね。
雑談しているうちに。
母親が昼食を作っていまして。
お昼休み。
羽純。
「スパイの基本は、普通の中の普通を演じること。」
妃世。
「普通の人も普通の人の演技をしていますから。」
「それに最適化するだけですね。」
羽純。
「スパイは記憶に残らないほど普通の人を演じるのです。」
怜亜。
「人はあらゆる所で、役割から来る演技をしますから。」
「どれが本当の本人なのか分かりませんね。」
羽純。
「どの側面も、その人のものです。」
怜亜。
「あれ全部、その人なんですか。」
羽純。
「非常事態で、演技があっさり取れるので。」
「その人の私的な側面は、災害などで暴露されます。」
妃世。
「公的な場面のポーカーフェイスも本人の側面のひとつです。」
怜亜。
「演技で社会は成り立っているんですね。」
お姉さんは立ち去りました。
最近。
公園で不審者の目撃情報がありまして。
周辺住民で共有されました。
不審者は公園のベンチで新聞を読んで。
お菓子を食べて、立ち去ったということらしいのです。
どこが不審なのかは知りませんが。
どちらにせよ、不審者として警戒されています。
午後。
呼び出されて。
本家に行くと。
どうやら巨大な野生動物の目撃情報があり。
集落が占拠されて。
隠居している身内と仲間、味方が困っているようで。
サテライトシティを奪還に行きます。
数人で討伐するというので。
店を怜亜に任せて、昼過ぎ。
それほど遠くない。
その集落に向かいました。
キャンピングカーで移動。
羽純。
「化け物退治なんて久しぶりね。」
未藍。
「普通のことをやっても勝てない相手ですからね。」
妃世。
「実戦は初めてです。」
伊央。
「それなら、最初は生き残るだけでいいわ。」
「すぐに慣れます。」
里美。
「化け物に近接攻撃はやめてね、分が悪いから。」
澄和。
「まずは封印が飛び散ったものが野生動物に入りましたか。」
現地に到着。
集落から、里美が索敵していると。
ドローンが目標の野生動物を発見。
農家を蹂躙しようと、攻めて来ています。
急行しました。
すると、そこにいたのは、巨大な猪。
普通の猪の二倍の大きさ。
羽純。
「勝敗を操作するよ。」
「かなり勝ちやすくなります。」
未藍。
「滞空していれば半分無敵です。」
伊央。
「クロスボウを撃ち込めるチャンスはあるのかな。」
里美。
「私は車内に残りますね。」
澄和。
「私が動きを止めるわ。」
妃世。
「私は、周囲を確認しておきます。」
巨大な猪と接敵。
羽純が杖の先から出す、見えない弾丸で、化け物は体に穴が開いて死にました。
未藍は、超常現象を発生させて。
見えなくなり、いつの間にか、二匹目の猪を倒していました。
伊央は遮蔽物に隠れてクロスボウを構えています。
巨大なトンビが襲い掛かって来ていて。
澄和が当たり判定が広い手で。
トンビの動きを止めて、動きを鈍っている所を。
伊央がクロスボウで射貫いて倒しました。
羽純。
「あれれ、思ったより数が多いよ?」
未藍。
「地元の猟師が逃げる訳ですね。」
伊央。
「住民も、どこぞに避難していますし。」
「無人になった集落に、これだけ集まっていたね。」
澄和。
「こんなもの、持ち上げて空中に浮かせてしまえば、何も出来ないみたいです。」
「後はナイフで刺すだけ。」
里美。
「無線連絡、猛獣使いがいます。」
妃世。
「うわっ!目の前に来ているし!」
猛獣使い。
「行け!ツキノワグマ!」
熊。
「グオオオ!」
妃世。
「溜め技、爆弾の衝撃波。」
熊。
「ギャアアア!」
猛獣使い。
「こら!逃げるな!よくもやったな!」
妃世。
「格闘ですか。」
猛獣使い。
「なんだ?女性の力とは思えない!」
妃世。
「大将首を頂戴する。」
猛獣使い。
「俺は失敗したな、逃げるべきだった。」
妃世。
「私は自由にフライト・オア・レスポンスを使えるんです。」
「二分間だけですが。」
「面白いように圧倒できますね。」
猛獣使い。
「うわあ!」
妃世。
「川に落としてやる。」
猛獣使い。
「やられた!」
澄和。
「あら、犯罪者がいたんですね。」
妃世。
「どうするんですか?」
澄和。
「あそこで偵察している傭兵に確保させましょう。」
妃世。
「わあ、あんな所に味方がいるなんて気づかなかった。」
羽純。
「刃物無き斬撃!」
未藍。
「倍化、投擲!」
羽純。
「浮遊移動でサイドステップを繰り返しているから。」
「猛獣の攻撃が当たらないね。」
未藍。
「相手を見えざる手で押して、岩に押し付けて、圧死させたよ。」
羽純。
「そっちに最後の一匹が行ったよ。」
未藍。
「足でスタンプ、あら、相手が地面にめり込んだ。」
伊央。
「もう片付きましたね。」
妃世。
「集落を占拠していた異常個体は全滅しましたね。」
里美。
「いくら確認しても、一匹もいませんよ。」
羽純。
「後は地元の猟師に任せましょう。」
未藍。
「いきなり化け物が増えましたが。」
「まとまった数がいるのは、ここだけのようです。」
澄和。
「猛獣使いもいたし、あいつも関与しているわね。」
里美。
「もう離れましょう、多少の消耗があるから。」
妃世。
「接敵するとは思いませんでした。」
伊央。
「実戦で通用していますよ。」
急いで引き上げました。
留まると、危険です。
猟師が残党狩りをしていまして。
潜んでいた味方も加わって、化け物は掃討されました。
猛獣使いも拘束されまして。
とりあいず、集落を解放しました。
帰宅すると。
衣服の汚れを確認したり。
返り血を確認したり。
負傷の確認をしていますが。
どれも無事でしたね。
羽純。
「これで隠居している仲間は帰れますね。」
未藍。
「他にも占拠された集落はありますが。」
「とりあいず我々の分だけは何とかできましたね。」
澄和。
「化け物の類が大量発生して、猟師も苦戦しているわね。」
伊央。
「よくいる野生動物と。」
「そんなに大差ないよ。」
「巨大なだけ。」
里美。
「しかしその巨大な所が脅威なんですけれどね。」
妃世。
「猛獣使いを倒しましたが、相手になりませんでした。」
里美。
「変なことされてない?」
妃世。
「相手の攻撃には当たっていませんよ。」
澄和。
「駆けつけた時は、もう敵が負けていました。」
未藍。
「一対一で勝てるのは、基本のひとつです。」
「本当は、見学させたかったんだけれど。」
羽純。
「まともな実戦経験にはなったでしょう。」
「勝ったんですし、無傷なので、結果は良いですね。」
妃世。
「それでは、私は帰りますね。」
里美。
「待って、私と遊びませんか?」
伊央。
「こらこら、何をするか分からないので。」
「妹の誘いには乗らないで。」
澄和。
「私が送ってあげましょう。」
羽純。
「さて、余暇も一時間後までですね。」
未藍。
「私は先に行っていますよ。」
伊央。
「もう警備、交代の時間が迫っています。」
里美。
「オペレーターが不足しているので、もう戻りますね。」
澄和。
「社長が外出するので、送り届けたら、そのまま護衛につきます。」
妃世。
「仲間のために、時間を作ったんですね。」
澄和。
「時間というより時刻ですね、相対性理論を語る訳には行かないので。」
「時間は相対的、現代人が言うのは時刻のこと。」
妃世。
「時間による変化は知りませんからね。」
帰宅すると。
怜亜が調合中。
妃世は休憩。
妃世。
「ねえお父さん、禿は最新医療で解決できるのでしょうか?」
父親。
「そのような挑発的な質問には答えられない。」
妃世。
「お母さんはどうして水泳の本をアフリカに寄付したの?」
母親。
「洪水が多発しているって言うから、役に立つことを贈りました。」
妃世。
「作品をたくさん批判して、有名人の無批判な所も突いてやりましたよ。」
父親。
「他人の生活費を削ってはいけません。」
怜亜。
「日本では、自由主義が遅れて普及したおかげで。」
「運命が人を支配することはない。」
妃世。
「運命よりも金銭に左右されていませんか?」
怜亜。
「今では、運命よりも金銭で左右されることが多いんですよ。」
母親。
「今の時代、自由主義で、自分のために行動する人が増えましたね。」
妃世。
「昔の時代はその逆ですからね。」
父親。
「どうか敵対者が死んでくれますように。」
母親。
「彼らの寿命はまだありますが。」
父親。
「待ってもいいよ。」
妃世。
「馬鹿と利口の違いは?」
父親。
「違いはない、ただ。」
「自由主義日本人と全体主義日本人と共に。」
「共存しなければならない。」
怜亜。
「馬鹿とそうでないものの違いとは?」
妃世。
「そうでないものは既に気づいているが。」
「馬鹿は違いについて、未だに気づいていない。」
母親。
「若い男性は夜遅くまで働き。」
「若い女性は恋の話ばかりをして。」
「子供は過密スケジュールをこなしている。」
「あなたは、どうしている?」
妃世。
「悲しんでいます。」
怜亜。
「自国民の全体主義ってなに?」
路香。
「禁じられていないことはすべて義務であると言い張る考え方です。」
妃世。
「もう帰って来たんですか?」
路香。
「あなた、外は真っ暗よ。」
なぜ路香と父親がいるかと言うと。
もう午後九時なんですね。
つまり、夢中になってしまい。
時刻を見ていなかった。
そして品物が出来上がっていて。
明日、発送することに。
今夜、夢を見ました。
えっちな女性が。
ミニスカートを穿いて現れて。
いけない衣装のまま自室の扉から来て。
寝ている私に色っぽいことをしようと試みました。
妃世。
「なんてえっちな、でも、嫌いじゃないですよ。」
美女。
「抵抗するの?」
妃世。
「そうですね、どうして体が動かないんでしょうか?」
美女。
「これはあなたが見ている夢よ!」
早朝。
あまりに便利なので。
注文をかけようと。
店の前にいる人がいました。
なので、店主は留守です、どうしても緊急な用事でしたら。
お目にかかります、と言っておきました。
3
山の中。
仏像が祀られている道を進むと。
墓地がある。
お姉さんと。
世帯の歴史を見に来まして。
墓地の端っこに建っている。
極めて大きな石碑を目撃。
碑文。
だから、こうなるって言ったんですよ!
目の前に来て、見物。
妃世。
「これは何?」
羽純。
「これは記念碑ですね。」
妃世。
「何の記念なんですか?」
羽純。
「死んだ後に向こうの世界に行って。」
「楽しいだろうという記念碑です。」
妃世。
「道教の死生観ですね。」
羽純。
「日本の仏教は民俗仏教が多くて。」
「墓参りなどはその民俗仏教に属しています。」
「本物の仏教ではありません。」
「仏教を自称しているだけです。」
妃世。
「そのような世帯には仏典もありませんでしたし。」
「涅槃になるという目的の共有もありませんからね。」
羽純。
「人の執着を捨てるために、墓標ではなく記念碑になっています。」
妃世。
「一族は多宗教なんですね。」
羽純。
「そうです、誰が何を信仰しているのか、私も知らない。」
妃世。
「墓地の中にひとつだけ記念碑ですか。」
羽純。
「民間信仰など、信じるに値しないからね。」
駐車場に戻る最中。
小さな山道を。
スポーツカーが爆走して来て。
よくいる性能に頼る下手っぴーですね。
電子制御でスピンを免れている運転手で。
電子制御でも抑制できず、回転して来まして。
私は二段ジャンプして逃れました。
お姉さんは受け流して。
自動車が跳ね返りまして。
スポーツカーがさらに激しく回転して崖に落ちまして。
救急隊を呼びました。
スポーツカーは大破してしまい。
運転手は大怪我。
事故として処理されました。
羽純。
「まったく、あの人の力ではない。」
「機体の性能のおかげです。」
妃世。
「優れたレーサーほど安全運転の中の安全運転をする。」
羽純。
「迎合が通用しない厳しい世界で競っているから、本物の実力を持っているね。」
妃世。
「近年、よくいる、運命に頼っている人はいつも非力ですよね。」
羽純。
「実力もなく、行動もできない人が勝つには。」
「運命に縋るしかないよ。」
妃世。
「そうですよね、本当にその人の力なのか、疑われたこともない。」
羽純。
「いい加減に、運命によるトリックに気づいて。」
「運命でのし上がっている人を排除すべきです。」
妃世。
「ある意味では単なる不正ですからね。」
車に乗ると。
すぐ都市部に入りますが。
上空をロシアの主力戦闘機、チェックメイトが飛んでいまして。
どうやら航空祭に呼ばれたようで。
展示飛行をしているとのこと。
数多くの敗戦と政権交代によって。
再び世界第二位を取り戻すべく。
航空自衛隊にも一機どうか、セールスで回っているようですね。
一度、旅館を改造したような邸宅に寄ります。
未藍。
「自然科学で栄えた文明が守勢になっていますね。」
伊央。
「築き上げた機械文明をどう守るか、今の課題ですね。」
里美。
「気候変動が激しくなって、災害が当たり前になりました。」
澄和。
「悲惨な自然災害が当たり前になって。」
「結局、どういう理由で自分達が蹂躙されているのか。」
「知らずに死んでいくのでしょうね。」
未藍。
「無制限に拡大したテクノロジーも。」
「今ではそれを維持するのが限界になっています。」
里美。
「拡大の時代から、維持の時代なんですよ。」
伊央。
「なんかインド神話みたいな世界観ですね。」
澄和。
「創造された世界が、破壊に遭って、そして維持が課題になるとか。」
未藍。
「そうですよ、今の時代は維持こそが義務です。」
里美。
「もう拡大できないんですね。」
澄和。
「未来はまだ存在しませんよ。」
「現れてからしか、ちょっと分からない。」
未藍。
「それまで、今ある技術を維持しないとね。」
里美。
「スーパーボルケーノの影響がじわじわ来ていますが。」
未藍。
「あれですね、数年間、凶作でしょうね。」
伊央。
「農業が打撃を受けるだけで。」
「傾いてしまう機械文明ってなに。」
未藍。
「屋根にも灰が積もっていて、風で吹き飛ばしましょうか?」
澄和。
「それだと魔力が容易に尽きます。」
「魔力は考えて使わないと。」
未藍。
「そうですね、生活の魔法を使い続けると。」
「緊急事態になって、魔力が少ないと、何もできない。」
澄和。
「魔法が使えなくても打開する二次作戦は持っていますから。」
妃世。
「ねえねえ、もう一度、災害を封印できませんか?」
未藍。
「できるけれど、縁起が悪いものを。」
「穴の中にたくさん入れておかないといけないの。」
羽純。
「異常個体の死体とか、元々、たくさん入っていて。」
「災害がそこに誘導されたから。」
「封印できた。」
「つまり、見えない力を検知できないと。」
「そもそも、成功しない。」
妃世。
「偶像を入れたら、どうなるんですか?」
伊央。
「それが用意できればね。」
羽純。
「昔、勇士が、偶像崇拝を熱心にやっている連中の所に攻め込んだとき。」
「敵が降参して、二度と向かって来ないように。」
「敵の偶像を没収して改宗させたんだけれど。」
「昔だから用意できたんですからね。」
妃世。
「都合の良い偶像は現代にはない?」
伊央。
「ないんですよ。」
羽純。
「封印から解き放たれたものが、威力を失えば。」
「自然消滅はしますよ。」
妃世。
「それだと、自然の成り行きに任せた方がいいんですね。」
未藍。
「そういうことです、アイデアは悪くないです。」
今回の夕食。
ピザでした。
中華料理屋から出前もありまして。
全員が集う時に。
出前を頼んで、憩いとしているんですね。
夕食、後、解散。
澄和が送迎。
車内。
妃世。
「お姉さんたちが使う魔法の起源は?」
澄和。
「数十年前に、政枝という女性が。」
「神話時代の技から復元して。」
「密かに人に教えたのがきっかけ。」
妃世。
「海外では?」
澄和。
「ギリシャの神々が使う技をなぜか使える男女がいて。」
「そこから広まっています。」
妃世。
「神話時代の復元モデル?」
澄和。
「そういうことです。」
妃世。
「人間が使っても、大きな問題が無かった?」
澄和。
「オリジナルの魔法が存在しないため。」
「また、攻撃魔法が少なかったので。」
「あまり脅威にならなかったのです。」
「魔法使いが復元されてから。」
「攻撃魔法も復元されたので。」
「混乱が少なかったのです。」
妃世。
「犯罪に使われたりは?」
澄和。
「魔法は微細なコントロールが必要ですし。」
「後天的に使えるようになる人は稀なんです。」
「犯罪で使っても、使い過ぎて。」
「低下した魔力から体力が差し引かれて。」
「気絶を連発します。」
妃世。
「人間が使うにしては、難しすぎるんですね。」
澄和。
「そもそも魔法使いが元々人間そのものを超えるという傾向があるので。」
「人間が魔法を使っている感覚じゃないですね。」
妃世。
「人間を超えないと、そもそも使えない?」
澄和。
「そうなんですね、なので限られた人しか使えません。」
妃世。
「私がある程度、使えるのは生まれつき?」
澄和。
「条件を満たしているからですね。」
自宅に到着。
二人のお手伝いさんが作業中。
路香は戻って来た所。
路香の兼業は事務作業だけ。
怜亜。
「日本の暮らしとは?」
路香。
「個人主義者が屋内に閉じ込められて。」
「全体主義者が歩道を埋め尽くし。」
「空には同調バイアスが浮いている。」
妃世。
「あなたは街を汚しましたか?」
路香。
「街が私を汚した。」
怜亜。
「公害はどうやれば止まるのかなあ。」
妃世。
「害悪のある人の呼吸が止まれば、少しずつ。」
怜亜。
「頭が悪い人に対する対策とは?」
妃世。
「後に続かないこと、それと後に続く人に警戒。」
怜亜。
「どうして自国民は同調を求めるのか。」
路香。
「一部の自国民に選民思想があるから。」
「唯一、今進行中の天下を取る試み。」
怜亜。
「人の生まれとか、どうやって決まっているのかな。」
妃世。
「あれは偽物が決めていて、本物は奥深くに潜んでいます。」
「私達は本物と出会わないといけません。」
路香。
「世界という捉え方が消えて世界観が考察されていますね。」
妃世。
「この世界は偽物であり、真実の世界を作った本物と出会うために。」
「いろんな嘘や偽物に気づかないといけません。」
「次こそは真実の世界に生まれるという期待をもって。」
怜亜。
「そうですよね、偽物に欺かれる訳には行きません。」
妃世。
「二度も同じ奴には騙されません。」
路香。
「偽物をどうやって処分するのか、悩みますね。」
妃世。
「偽物が私達を閉じ込めたので。」
「そこから脱出しないとね。」
路香。
「この世にある苦しみや苦悩や災厄は。」
「偽物が構築したこの偽物の世界特有のものです。」
「真実の世界にはそんなものはありません。」
妃世。
「偽物は未熟で、神の見習いのようなものですし。」
「そもそも幼稚で、全知全能みたいな性質はない。」
「なので愚かな作品を作って人間を閉じ込めてしまったので。」
「人間は失敗作の中を生きることになった。」
怜亜。
「それに気づくことが、脱出の一歩ですね。」
調べ物をしようと端末を開くと。
人工知能が情報を拾ってきますが。
手動で検索すると。
インターネットが何やら。
変なことになっています。
災難に紛れて。
悪魔が礼拝堂を建てようと。
スピリチュアルの残党を動かしていた。
悪魔。
「人間の脆弱性を教えるから。」
「私を礼拝するように仕向けろ。」
偽善者。
「おお、これは神の言葉!」
悪魔。
「今年も私との契約を増やせ。」
偽善者。
「新しい宗教の誕生だ!」
悪魔。
「お前は使い捨てだ。」
「せいぜい狡猾に立ち回れ。」
偽善者。
「インターネットで広めなければ!」
災難が具現化して。
インターネットを中心に悪魔の礼拝堂が出来てしまい。
悪魔を礼拝する人が急増。
人間の脆弱性を知っているため。
引っかけやすい。
悪魔の目撃者は。
悪魔は物凄い美しい姿で現れて誘拐を試みるという。
実は悪魔も神の被造物。
たいてい、悪魔とはキリスト教に由来します。
神の祭壇の横に、悪魔が礼拝堂を建てることは。
昔から有名です。
父親。
「君は嘘をついたね。」
「あの企業の株を買えば儲かると他人に勧めて。」
「それがスポンサーの株だったじゃないか。」
母親。
「誰しもがやっているので。」
「私は違反にならないと思いました。」
父親。
「君は融和が苦手のようだが。」
妃世。
「他人に媚びようなんて一度も思ったことがないから。」
母親。
「あなたはいつも誰を罵っているの?」
妃世。
「知らないよ、その人の名前はなんて言うんですか?」
父親。
「まさか、深夜に大公園に行くなんてことはしないよな。」
「あそこは何者かがパーティーを開いていることで有名だ。」
「人の道を知らないのかな。」
妃世。
「人の道を知っていれば、深夜にあそこに誰もいないはずです。」
路香。
「頭がおかしい人が、日本はファシズムが基本の国家だと言っていました。」
父親。
「そいつは頭がおかしくはない。」
怜亜。
「頭がおかしい人が、日本人には個人主義が向いていない。」
「個人主義との相性が悪い国民なんだよ、とも言っていました。」
父親。
「そいつは頭がおかしくはない。」
「非難している奴らが頭がおかしい。」
既に夜なので。
解散して。
今日も就寝。
夢を見ました。
扉があって、いくら押しても開かないんです。
ただ、扉には、引く、という文字があるのですが。
いくら押しても開かないんです。
そうこうしているうちに朝になりました。
早朝。
路香。
「中流階級から不自由な私よ、ごきげんよう。」
怜亜。
「日本の一部から、不自由な私よ、ごきげんよう。」
妃世。
「グノーシス主義から、自由な思考の私よ、ごきげんよう。」
怜亜。
「世界は失敗作、と考えると。」
「たいていのことは説明がつきませんか?」
路香。
「偽物が作った世界がここなんだから。」
「真面目に生きるのが、どうかしているよ。」
妃世。
「最後には、偽物が作って決めたこの世界を捨てて。」
「真実の神の所に行きつくのです。」
「失敗の結果をまともに消せない未熟な神がいて。」
「その神は我々に責任転嫁をしているのですから。」
「そんな神への信仰は捨ててしまい。」
「遥か彼方にいる本物の神を信仰するのです。」
怜亜。
「どうりで人の世がデタラメな訳ですね。」
「そんなにうまくは作ってないから。」
妃世。
「幼い神の失敗が、なぜ我々の責任になるのか、理解はできない。」
路香。
「生まれた内容も、偽物の神が、我々を拘束するために仕組んだもの。」
「そんなものに騙されず、本物の神への信仰を捨ててはならないよ。」
作業開始。
ポーションは売れ筋ですが。
インク系も人気です。
インクは人にかけると、状態異常を引き起こして。
失敗が増えます、凡ミスを数時間、強要できますが。
危険なため、軍の研究用として作られます。
攻撃アイテムとして、ニトログリセリンがありますが。
爆弾なので、軍隊が演習のために買っていきます。
ニトログリセリンは、半分液体、半分固体の特殊構造で。
投げると激しく中身を揺さぶり爆発します。
元々はノーベル博士が作ったダイナマイトの前の爆薬で。
些細な振動で爆発することで有名でした。
中身に信管が入っていて、投げた衝撃で内蔵された球体が揺れ動いて爆発します。
民間には売れないものなので、ほとんど作りません。
謎の香水もそこそこ人気がありますが。
これを自分に霧吹きでかけると。
他人のオカルトパワーを数時間、無効化できます。
店に並べても、すぐ無くなりますし。
発送する分もあって、常に在庫不足。
窓から空を見ると。
変な火が落ちてきて。
地上に着いて消えていた。
天人が地上のあまりの酷さに。
均衡を取ろうと。
煉獄から火を盗んで。
煉獄の火を地上に投げ入れていたのであった。
地上世界のバランスが良くなったが。
地上の人々が理由のない災難に遭うようになり。
災難によって身を清められるという。
とんでもないことになった。
天使。
「お前、何やってるんだ!」
天人。
「煉獄から火を盗んで人間に分け与えました。」
天使。
「この泥棒!あれで人間がどうなると思う!」
天人。
「地上世界が清められると思います。」
天使。
「お節介なことをするんじゃない!」
天人。
「あんなに地上世界が酷いのに何もしないんですか?」
天使。
「最悪の嫌がらせだな!」
天人は罰として。
煉獄の火でも浄化できない災難を。
拾ってくるように命じられて。
地上世界を飛び回ることになった。
神父と牧師は夢でそれを知らされていた。
そして毎晩、得体のしれない火がどこかについては。
消えていくという、不気味だけれど。
どこか見慣れているという。
解釈に困ることが多発。
人々は何か悪いことをすると。
実体のない火が身体については消えるため。
しばらくの間、何も悪いことが出来なくなってしまった。
来客がありました。
書類を持っている役人のようです。
役人。
「ええと、こちらでよろしいですか?」
妃世。
「はい、何でしょうか?」
役人。
「全体主義の著作権料を支払って頂きたくて。」
妃世。
「それは私ではありませんよ。」
役人。
「そうですか、人違いのようですね。」
妃世。
「誰が著作権侵害をしたんですか?」
役人。
「その人は、あそこの家でしょうか?」
妃世。
「いいえ、大公園の正面にある家では?」
役人。
「ああ、確かに、番地が間違っていました、失礼。」
役人は立ち去りました。
今日の発送をしようと。
箱に詰めています。
路香。
「この後、私は出勤。」
妃世。
「前に口説いてきた男性を無視したとか。」
路香。
「成人したら、人生をやり直さないといけないと思ってね。」
妃世。
「そうですね、まったく遅い試みではありませんね。」
怜亜。
「ジェンダー論を習うことって。」
「いつも男女は手遅れではありませんか?」
妃世。
「それでは、子供に対しても平気で嘘をつく人がいますよと。」
「看板を学校に立てておかないといけませんね。」
怜亜。
「看板を見た時には既に手遅れですね。」
妃世。
「なんかよく知っている女の子に抱き着いている夢を見ました。」
路香。
「それは夢ではないですね。」
妃世。
「いい感触でしたね。」
路香。
「もう一回、夢を見たら、続きをいいわよ。」
怜亜。
「日本人とは、国籍なのか、文化なのか、名称なのか。」
路香。
「そうですね、十人に一人はそれですね。」
怜亜。
「人を批判するのは良くないのですか?」
妃世。
「人の頭は批判してもいいかと。」
怜亜。
「どうして?」
妃世。
「人の批判すべき所はいつもその頭しかないのだから。」
路香。
「何でも望みが叶うとしたら、どうします?」
妃世。
「頼むから、これからも健全な生活と繁栄を続けさせてください。」
発送完了。
受注生産開始。
私は他人に善行を施されると。
お礼に平手打ちを食らわせます。
偉い人の説教を受けると。
その人の顔を雑巾で拭いてあげます。
汚い所はその屋敷にいる、その人しかないからです。
頼むからパーフェクトな私に話しかけないでください。
昼寝の邪魔です。
何か、私のためにしてくれるというのなら。
是非とも、すぐさまどっかに消えてください。
4
深夜に。
何者かの気配。
裏手から外を見てみると。
誰もいません。
扉を閉めたら、ノックされまして。
棍棒を持って外に出たら。
目の前に、俗にいう幽霊がいました。
幽霊。
「化けて、出てやったぞ。」
妃世。
「あんた、だれ?」
幽霊。
「大学ではよくも蹴落としてくれたな。」
妃世。
「すると、あのときの男ですね。」
幽霊。
「お前に追いやられて、評価が下がって。」
「闇バイトまで落ちて、殺されたんだ。」
妃世。
「やったー死んだ!やったー死んだ!」
幽霊。
「えっ!いや、怖がれよ・・・っていうか俺、そんなに嫌われてた?」
妃世。
「才能を口実に、言いがかりをつけて来て、迷惑だったんですよ。」
幽霊。
「酷い!せっかく死んだのに!」
妃世。
「やった!あいつが死んだ!死んだ!」
幽霊。
「喜ぶな!よくもこんな姿にしたな!」
妃世。
「いいじゃないですか。」
「地上世界を彷徨って、二度、苦しむんだな。」
幽霊。
「サイコキネシスでも食らわせてやる。」
妃世。
「お互いに攻撃が通じないね。」
幽霊。
「幽霊になれば道連れにできると思ったのに。」
妃世。
「幽霊になれば何でもありと思ったら大間違い。」
幽霊。
「幽霊になったら、何も出来ないじゃないか!」
妃世。
「民間信仰、つまり迷信を信じるほど、幽霊の威力は増大する。」
幽霊。
「これなら死んだらどうやっても負けじゃないか!」
妃世。
「やった!あいつが死んだ!やった!あいつが死んだ!」
扉を閉めて。
無視していたら。
幽霊は外周を徘徊しましたが。
幽体のケルベロスが現れて。
幽霊を追い回して。
幽霊は捕まえられて。
幽霊は冥界に連行されました。
幽霊は多くの宗教で否定されていますが。
それっぽいものの目撃情報は後を絶ちません。
幽霊の分類は民間信仰なので。
民間信仰を信じている人にとっては存在しますが。
民間信仰を信じていない人にとっては存在しません。
死んだ人が幽霊になって復活とか、虫が良すぎる。
早朝。
ジョギングしているおっさんがいきなり寄って来て。
何やら言い出す。
猛者。
「お前か、学生時代、秀才を倒しまくったというのは。」
妃世。
「あんなのが秀才だなんてレベル低いですね。」
猛者。
「あの程度の雑魚に勝ったくらいで。」
「自分が最強と思ってないよな。」
妃世。
「暇潰しにはちょうどいい相手でしたよ。」
「強者と接敵したことが、ほとんどないので。」
猛者。
「俺はな、雑魚共に刺してやったよ、とどめをな!」
妃世。
「どんなとどめですか?」
猛者。
「あのような雑魚に勝てるのは、お前だけではない。」
妃世。
「あの、四年生にいましたよね?」
猛者。
「あいつらは己の弱さ故にお前に負けたのだ。」
妃世。
「何を言いに来たんですか?」
猛者。
「いつまで雑魚を相手にしているんだ?」
妃世。
「プライドだけの優等生。」
「単なる子供の文武両道。」
「見せかけだけのエース。」
「成績だけのがり勉野郎。」
「役立たずの物知りに。」
「道化に過ぎない不良たち。」
「そして噛ませ犬のライバル。」
「低レベルな競争でしたが。」
「やはりあなたから見ても雑魚でしたか。」
猛者。
「うむ、分からないな、強者のリングに上がらないとは。」
「俺はな、最強を目指す。」
「静観しているのなら。」
「遅刻なんて台詞は言わないことだな。」
妃世。
「行ってらっしゃい。」
猛者。
「おうよ、俺は海外に飛び立つ。」
「かつての一年生、最強は覚えておくぞ。」
というか、よく見ると若いような。
年下の女の子の噂を聞いても。
自分が卒業した後に入学していたので。
接点が無くて。
大学でようやく見つけて。
様子を見ていたらしい。
強い相手、優れた相手と競うのが趣味の男性で。
興味があったらしくて。
かなりの距離をジョギングして。
ここら辺を通り過ぎること数か月。
ようやく話しかけて、満足したらしい。
新しい競争相手だと誤認していたようで。
誤解が解けたので、もう来ないようです。
戦闘狂ではなく、競争狂でしたね。
妃世。
「どうですか?」
「現代の日本の住み心地は?」
路香。
「船旅のようですよ。」
妃世。
「それはどういうわけで?」
路香。
「行先も分からず。」
「毎日、何もない海域を進んで。」
「一度、出航したら降りられない。」
怜亜。
「コンビニのアルバイト。」
「よく見たら、人気小説家でしたよ。」
路香。
「かつてのライトノベルの作家が。」
「派遣社員になっている所を見たことがあります。」
妃世。
「そんなものかな。」
怜亜。
「給料が安い割に、毎日、大量に書かないと成り立たないので。」
「アルバイトの方が楽に稼げるらしいのです。」
妃世。
「所で、日本に自由主義を強要すると、どうなるんですか。」
路香。
「それは可能ですが、みんなどこで生活しろと言うんですか?」
怜亜。
「日本、北朝鮮州が、まだ問題になっていますね。」
妃世。
「あれ、韓国、北朝鮮州ではなかったんですか?」
怜亜。
「今度はどちらの領地なのか、北朝鮮抜きで揉めています。」
路香。
「今月は平和記念月間ですね。」
妃世。
「一日も延長されませんけれどね。」
怜亜。
「太平洋戦争とは何でしたか?」
妃世。
「第二次世界大戦の端っこのある戦史に過ぎない。」
路香。
「太平洋戦争の教訓である平和主義とは何ですか。」
妃世。
「それに反対すると私刑が待っているという教えです。」
怜亜。
「やっていることは昔と同じなんですね。」
妃世。
「それも後の世の教訓になるでしょう。」
路香。
「日本人には三種類いませんか?」
「知的な人と、自由な人と、正直な人。」
妃世。
「日本人にそのような人達はいないですね。」
怜亜。
「言っていることと、やっていることがまるで違う人は。」
「論破してあげたほうがいいのでしょうか。」
妃世。
「それは精神科の仕事でしょう。」
怜亜。
「本物の気違いとは、言い分と行動がまるで違う人のことですからね。」
路香。
「日本は世界最多の劇場を持っていませんか?」
妃世。
「個人と集団に分けて、素人臭くてつまらない演劇が。」
「毎年、数百万と行われていますので。」
「世界最多と言っても過言ではない。」
路香。
「世間は我々に何を与えてくれましたか?」
妃世。
「横から数えると、スクラップ。」
怜亜。
「広島の平和記念公園は後世まで保管するに値しますよね。」
路香。
「観光名所ですし、歴史の一部として価値がありますよね。」
妃世。
「全体主義者の犠牲者の記念として、数百年は保管しましょう。」
怜亜。
「軍国主義とは何だったのか。」
妃世。
「それは理性に対する理想の勝利だったんですよ。」
怜亜。
「連合軍は日本のスクラップ工場や廃棄場は爆撃しなかったらしいよ。」
妃世。
「きちんと的を狙っているじゃないですか。」
路香。
「戦後、百年後、だいぶましになりましたが。」
「失敗の歴史をどうやって活かすか、だいぶ困りますね。」
妃世。
「それは知りません、日本には自由がありますから。」
路香。
「昔、経験論が流行っていましたね。」
妃世。
「主観的な経験論でしょうね。」
怜亜。
「理論上は言う通りかもしれないが。」
「実際には役に立たない。」
妃世。
「所でそういう人が最近している行いについてなんですけれど。」
路香。
「そういう人が少し前に主張していたことについてなんですが。」
怜亜。
「経験、経験、繰り返していた人が、いましていることについてなんですが。」
妃世。
「教育、教育、言っておいて、教育とは何かについてまったく言えない。」
路香。
「教育とは自分の経験を教えることであると勘違いしているし。」
妃世。
「それで、若い人が教育について語ってはならないとか。」
「学会に対しての根拠のない批判は許されませんぞ。」
怜亜。
「これが教育だ、とか言われても、政治の話はここではしませんね。」
妃世。
「前の世代の馬鹿さ加減を引き摺っている危険がありますからね。」
怜亜。
「日本の経験論は、前の世代の愚かさも修正されずに受け継ぐ。」
路香。
「どの世代の子供も大人の愚かさに敏感。」
怜亜。
「今日、表彰されている人が放送で出ているよ。」
妃世。
「あれ?その人が表彰されるのは明日のはずでは?」
路香。
「予定を前倒ししたんですね。」
妃世。
「予定では、来週、表彰される人が数人います。」
怜亜。
「あれで、他人から将来を約束される人がいるんですね。」
妃世。
「将来は約束するでしょうが。」
「生活費については約束している訳がないでしょう。」
ポストに広告があった。
民主主義を再構築して。
状況の変化に合わせよう。
ロシア連邦許可済。
広告を投げ捨てた。
一緒に入っていた広告。
平和記念。
連合軍が我が国に勝利したとき。
軍国主義の続行を強制するという。
最も重い刑罰を免除していた。
広告を投げ捨てた。
インターネットで。
被災者に、日本は素晴らしい、と語って。
ぶん殴られた人がいまして。
無批判にそんなこと言うものじゃないですね。
テレビをつけていたら。
歌手が、歌っている。
内容、帰って来てね、私はあなたを待っています。
そして緊急地震速報。
道路を歩いている市民数人。
何かの用事で。
移動中らしい。
若者。
「昔の何でも根性でどうにかなるという考え。」
「馬鹿だよな。」
会社員。
「根性でも負けるときは負けるぞ。」
婦人。
「努力すれば何でも達成できるとか。」
「そんな基本的なことを誇張するなんて。」
紳士。
「天才も努力するのにね。」
婦女。
「昔は根拠のない考えが流行ったんですね。」
若者。
「それだけ無知無能が多かったんですよ。」
会社員。
「無知無能がどうやって世渡りするのか。」
「根性とか努力とか。」
「そんなものを作って。」
「根性や努力次第という責任転嫁をして。」
「無力さから目を背けるしかなかった。」
紳士。
「無理をすることで、世渡りしたと?」
若者。
「根性、努力、そうやって不可能なものに。」
「どうやって不可能ではないと思わせるかに拘った。」
会社員。
「所詮は凡人の教えだよな。」
婦人。
「凡人気持ち悪いです。」
婦女。
「吐き気がする考え方で満ちていたんですね。」
若者。
「あんな愚かな考え方が、長続きする訳ないでしょう。」
紳士。
「あの人達の姿は美しくないですね。」
会社員。
「根性や努力という教えは批判されるためにあるんじゃないのか?」
一同、通過。
昔の人の教えにはやはり根拠はない。
しかしそんなものが信じられていた時代というのは。
昔の人のそのような醜態を見て、その間違いから学ぶためでしょうね。
妃世。
「遠方で中規模地震ですか。」
怜亜。
「首都直下型地震とか南海トラフ巨大地震があったら。」
「被災地には何が残るのでしょうか。」
妃世。
「ええと、元東京と、元東海、それぞれ残りますね。」
路香。
「不運と災難に違いはあるのでしょうか。」
妃世。
「そうですね、巨大地震が発生して。」
「都合の悪いものが破壊されたら、それは災難であって。」
「不運ではありません。」
「巨大地震で、個人的に破壊されるとまずいものを損失して。」
「嫌いな奴らが生き残ったら、それは不運であって、災難ではない。」
怜亜。
「先ほどの中規模地震で遠方の都市が中破しましたが。」
「死者は百人程度で済み。」
「復旧は数日を要するということで。」
「事なきを得ました。」
路香。
「最高の災害対策とは?」
妃世。
「災害を食らって一年後に冗談を言えるように。」
「準備しておくことです。」
怜亜。
「子供の頃、男には戦わないといけないときがある。」
「というプロパガンダが流行っていました。」
妃世。
「戦って死にたければ、勝手に死ね。」
怜亜。
「日本は素晴らしいと外国人に言われました。」
路香。
「既婚者で溢れかえっているこの国の、どこが?」
素材を整理整頓。
調合を開始します。
今日の分は、少なめ。
体力を温存するため。
上限を設定してあります。
路香は出勤しました。
午後。
外は大雨になっている。
怜亜。
「なんか、近年、災害だらけで。」
「まともに生活できませんよね。」
妃世。
「なぜか民衆に気候変動の知識がないんですね。」
怜亜。
「原因について、いつまでも自覚しないんですね。」
妃世。
「定説でよくある、温室効果ガスは。」
「一定量溜まると。」
「排出を止めても数百年は残り。」
「気候に影響を与えます。」
怜亜。
「それではもう後戻りできないんですね。」
妃世。
「機械文明が出来上がった時点で。」
「決まっていたことなんですよ。」
怜亜。
「ああ、なんていう連帯責任。」
妃世。
「まともに生活できなくなると。」
「次に人口が減るようになります。」
怜亜。
「増やすことは必ずしも種族の存続に直結しない。」
「という科学的な教訓になりますね。」
妃世。
「むしろ増やすことで、上限に達して、強制的に減ります。」
怜亜。
「地球人口が適切な数に保たれていればなあ。」
妃世。
「無理でしょ、強制的に増えるように設計されているから。」
怜亜。
「ならば、せめて人口よ、美しく散れ。」
時刻は。
夕方が近寄る頃。
調合を終えていて。
親族が直接、受け取りに来ていました。
未藍。
「魔法の布、これ欲しかったのよ。」
妃世。
「防具にも使えますからね。」
伊央。
「煙玉、ようやく手に入りました。」
怜亜。
「それを吸うと問答無用で気絶しますからね。」
里美。
「これが究極栄養剤ですね。」
妃世。
「植物にかけるもので、飲んではだめです。」
澄和。
「こちらの金属は?」
怜亜。
「あらゆる金属が合わさったハイブリット合金です。」
「研究用に作りました。」
羽純。
「すべて、安全に持って行くわね。」
妃世。
「はい、これで納品は完了ですね。」
未藍。
「追加で発注したいんだけれど。」
妃世。
「コンディション調整の休暇の後なら。」
「納品できます。」
未藍。
「それでは書類は送っておくから。」
怜亜。
「これだと、店に出せる分がないですね。」
妃世。
「店頭販売はしばらく辞めましょう。」
怜亜。
「在庫もありませんからね。」
夕方。
もう休むことに。
店頭販売は休業。
裏手から、路香が入る。
二人は寝ている。
路香。
「あら、寝顔が見れたわ。」
妃世。
「路香ちゃん、なんてことを、えっち。」
路香。
「よくない夢を見ているようですね。」
怜亜。
「私も女の子と、えっちなことしたい。」
路香。
「あら、あなたにもそんな趣味があったのね。」
路香は事務作業をして立ち去りました。
二人は夕食前に起きて。
一日は終わり。
日付が変わる。
成人すると仕事を探さなくていいことがあります。
仕事が向こうから近づいてきますので。
何もしなくてもいいことがあります。
不思議なことに。
二億円あれば、この世のほとんどのことを解決することが出来るんですね。
それが、人々がお金儲けを考える。
動機なのでしょう。
5
朝、素材を受け取って。
現在、休業。
体力に限界があるので。
たまに休むんですね。
報道では、停電の情報。
機械文明は電気を失うと、何も出来なくなります。
思っているより、電源の防衛は手薄なんですね。
発電所で作った電気をバッテリーに溜める試みがありましたが。
まったくうまく行ってないようです。
予備電源が稼働したようですね。
妃世。
「よく善行で救われるという考えがありますが。」
「そんなこと誰も言っていません。」
怜亜。
「仏教ですら、善行や修行は手段に過ぎません。」
「善行をして、それが快挙であると考えるのは間違っていますね。」
路香。
「手段である善行をいくらしても。」
「涅槃には程遠いので。」
「修行の方もきちんとやれってことですね。」
妃世。
「なので、善行はほとんど意味はありません。」
「善行では救われません。」
怜亜。
「手段が目的化したのが、善行で救われるという考え方ですね。」
妃世。
「数回の善行なんて無意味で。」
「生涯に渡って続行するか。」
「修行もしないと、何の救いもないんですね。」
「なぜなら、涅槃には程遠いから。」
「数回の善行は、涅槃には接近できません。」
路香。
「善行はやらないよりはましでしょうけれど。」
「目的にはほとんど影響しないというのが本当の所でしょうね。」
妃世。
「キリスト教では信仰で救われると説かれます。」
「善行を推奨するのは仏教くらいなものです。」
怜亜。
「いくら善意でやっても、それで救われることはありませんね。」
妃世。
「善意でお節介をすると、いわゆる業になりますので。」
「涅槃とは正反対の方に向いてしまいます。」
怜亜。
「そもそも善行という手段の他に修行をしていませんね。」
妃世。
「なのでいくら善意でやっても救われることはないのです。」
連絡。
誰がやったのか分かりませんが。
送電線が大破しており。
変電所もなぜか故障してしまったので。
東北のとある地域が停電中。
民間軍事会社の警備員が展開しているため。
加わります。
お姉さんたちが。
キャンピングカーに乗って現れて。
東北に移動。
大都市の駅の最上階には。
民間軍事会社の警備員が数人いて。
他国の破壊活動を監視していますが。
今度は地域の治安を維持するために派遣されているんですね。
捜査権も逮捕権もないため。
何かあると警官を呼ばないといけませんが。
人を制圧することは許可されています。
到着。
妃世。
「治安が悪くなりそうですね。」
未藍。
「私達は発電所が担当ですよ。」
澄和。
「こういうことになると。」
「警察は総動員して。」
「地域をずっと巡回して治安を維持するから。」
「犯罪があると、犯行を終えた野郎が。」
「逃走中にパトロールカーと鉢合わせ、なんてことがよくあるでしょうね。」
羽純。
「災害があっても、誰も見ていないなんてことはなくて。」
「後から立件される容疑者は後を絶ちません。」
伊央。
「ここは原子力発電所ですが。」
「ソーラー発電所が併設されているし。」
「風力発電所も併設されているので。」
「電源を失っていません。」
「水道もポンプ式です。」
妃世。
「これ以上、何かあると大惨事ですね。」
里美。
「日本の原子力発電所は。」
「格納容器という安全装置が組み込まれていて。」
「メルトダウンしても、放射線物質が。」
「格納容器に残って、飛散を防ぎます。」
「チェルノブイリ原発はそうしたものがなかったんですね。」
「冷却できずにメルトダウンするのはましな方で。」
「運転中に暴走すると、地球を汚染します。」
羽純。
「という訳で、飛んでいるドローンの中に。」
「スパイが飛ばしているものが混ざっているので。」
「撃墜します。」
妃世。
「私は定点カメラを動かして監視しますね。」
里美。
「私は無線連絡で、情報をまとめておきます。」
二日間、見張っていまして。
不審者が接近。
原子力発電所に接近し過ぎたので。
警官が警告しに行っています。
妃世。
「なんですか、あの馬鹿は。」
里美。
「陰謀論者ですね。」
妃世。
「そんなものまだいるんですか。」
里美。
「かつて福島原発が、電源喪失によるメルトダウンを起こしたときに。」
「素人知識で、放射能汚染されている場所に突っ込んだという。」
「その後、甲状腺がんでも発症していると思いますが。」
澄和。
「なんでも反対すればいいというものでもないのにね。」
妃世。
「陰謀論者は幼いんですね。」
里美。
「陰謀論と正義マンは心理状態が似通っているので。」
「両者、セットになりやすいのも、気持ち悪いものですが。」
澄和。
「陰謀論なんて、本当は無い方がいいんですよ。」
妃世。
「何の役にも立ちませんからね。」
不審者、職務質問を受けて。
引き返したようです。
スパイが放ったドローンはお姉さんが撃墜しました。
半日、経過。
妃世。
「あれは誰ですか?」
澄和。
「県議会議長ですね。」
妃世。
「防護服を着ていますね。」
澄和。
「利口なのに馬鹿のフリをしているんですね。」
妃世。
「遠くに見えるのは活動家ですか。」
里美。
「神童と呼ばれた活動家ですね。」
「十歳にして、現在と同じくらいの知性と理解力を備えていました。」
妃世。
「十歳?その頃と変わらないんですか?」
里美。
「凄いことだと思いませんか?」
妃世。
「本当に神童なんですね。」
里美。
「原子力発電所、停止中。」
「再生可能エネルギーのおかげで冷却は安定。」
妃世。
「人類の繁栄、と書いた石碑がありますね。」
澄和。
「やめなさいよ、その記念碑は震災前に作られたものです。」
妃世。
「それでは、この石碑の、明るい未来、という刻印は?」
里美。
「ううむ、こんなことがあると、十年先はどうも怪しいですね。」
妃世。
「なんか反社会的な集団がいますね。」
澄和。
「あいつらは、世の中を良くすることを他人に約束しますが。」
「手段と結果までは約束しません。」
妃世。
「世界を変えるのは結構ですが。」
「変えた世界が悪かったら、責任は負わないのでしょうか。」
里美。
「責任転嫁して逃げるでしょうね。」
妃世。
「なんか反社会的な集団。」
「全戦力を投入しているみたいです。」
澄和。
「BTR-152が二両ですね。」
妃世。
「それが全戦力なんでしょうか。」
澄和。
「そうなんだと思います。」
妃世。
「昨日の新聞、行間が読まれないようにしてあるとか。」
里美。
「何を言われるか分かりませんからね。」
妃世。
「夕方の報道と、インターネットの違いはあるんでしょうか。」
里美。
「夕方の放送は、この国の建前を知ることが出来て。」
「インターネットでは、国民の本音を知ることが出来る。」
澄和。
「そのインターネットは、知的で、正直で、愚かでもあります。」
「残念なのは、その三種類の性質が同時に重なることはないということです。」
局長。
「あなた部下は何人いますか?」
県議会議長。
「十人に一人ですかね。」
村人。
「貯金をしているときに、停電ですか。」
青年。
「まったく、君の財産もなかなか増えないな。」
村人。
「離婚のときのためにとっておいた貯金が。」
「ここで中断されるのか。」
市民。
「ああ、こんな大惨事、もう忘れたいよ。」
婦女。
「早く忘れなさいよ、もう少しの辛抱ですよ。」
市民。
「僕が何を忘れたんだい?」
妃世。
「またデマが飛び交っていますね。」
里美。
「嘘という言葉の意味が分からないらしいよ。」
澄和。
「そもそも何の分野も習ってないらしいよ。」
妃世。
「何の分野も習ってないから、デマに引っかかるのかな?」
里美。
「学校では何の分野も習わないらしいよ。」
澄和。
「教育現場では。」
「勉強している人がいないのかな。」
里美。
「そこまで酷くはないでしょう。」
「しかし中流階級では専門知識を持つ人が。」
「一人もいませんが。」
運転席をよく見ると。
アクセルペダルとブレーキペダルがない。
代わりに、右に計器があった。
妃世。
「アクセルとブレーキは?」
里美。
「右にスロットルレバーとして入っています。」
妃世。
「最新式なんですね。」
里美。
「手の方が反応が速いからね。」
妃世。
「しかもモニターも運転席にあるんですね。」
里美。
「天井にカメラが配置されています。」
「自動車の視界不良を補っています。」
妃世。
「これは何ですか?」
里美。
「緊急時に、マニューバーを自動選択して。」
「安全停止するボタンです。」
「とりあいずこれを押せば。」
「人工知能が事故を計算して安全に止まります。」
妃世。
「自動車も戦闘機みたいになりましたね。」
里美。
「この車は複合装甲になっていて。」
「一層に衝突すると、外装は壊れますが。」
「二層はあまり壊れません。」
「衝撃を多層構造で緩和して、搭乗員を守っています。」
妃世。
「しかもソーラー発電システムまで装備している。」
里美。
「燃料は水素ですけれどね。」
お姉さんが交戦しているようです。
無人機から、地上が丸見えなので。
ドローンの操縦者を倒して。
陸上自衛隊に引き渡していました。
伊央は、敵の狙撃手にガスガンを撃ち込んで。
捕獲していました。
上空に無人機がいるのを、相手はまったく気づかない。
偵察無人機は、上空から、人の姿を鮮明に捉えることが出来ます。
顔から、体形、服装、持っているもの、装備、すべて見えています。
複数の敵対者を難なく撃破して。
次の日。
停電が復旧しまして。
技師の魔法使いが、故障個所を特定したとのことで。
停電は解消されました。
なので、次の日の午後には帰路に。
自宅の前で降ろされ。
帰ってくると。
なんか泥棒が入ったらしくて。
その泥棒が、瓶に詰めたガスを吸って麻痺して。
倒れていたらしい。
怜亜。
「法的にきわどいものも置いてあるのに。」
妃世。
「何も知らずに開けたりすると、すぐこうなるのにね。」
怜亜。
「泥棒は午前中、連行されましたが。」
「高級品狙いのようでした。」
妃世。
「私達のようなアルケミストしか扱えない商品ばかりなのにね。」
怜亜。
「危険なものを安全にして商品にしている訳ですし。」
妃世。
「盗んでも、使い方が分からないものも置いてあるのにね。」
路香。
「美容院に行ってきました。」
妃世。
「美を同じ女性に見せるんですね。」
路香。
「どう?」
妃世。
「ちょっと眺めてもいいかな?」
怜亜。
「私も見たい。」
路香。
「ちょっと、顔が近い。」
妃世。
「もっと近くなってもいいよね。」
路香。
「キス寸前じゃない。」
「いくら私が美しいからって。」
怜亜。
「美しいから狙われるんですよ。」
妃世。
「私も、美容院に行ったら見せてあげるね。」
路香。
「そうですね、見ているだけでは気が済まないかも。」
妃世。
「別に構いませんが。」
路香。
「冗談よ、冗談。」
怜亜。
「下手な冗談ですね。」
店員が揃ったので。
軽く在庫を補充しておきました。
次の日から、営業です。
たとえ、同じことの繰り返しでも、内容が良ければ肯定されるのでしょうね。
そこら辺の人に、世の中はもっと悪くなるだろう、と言うとけっこう信じる。
しかし世の中はもっと良くなるだろう、と言っても誰も信じない。
近年、日本人は世界で最も長い説教をした。
釈迦を相手に、物凄く長い説教をした。
6
屋敷の裏手にもうひとつ。
まずい穴がありまして。
洞窟の入り口に封印がしてありました。
金属の扉で蓋がされていますが。
あの世とこの世の狭間に繋がっているそうです。
こういうものを一族は複数、管理しているんですね。
妃世。
「これ、どのくらい深いんですか?」
羽純。
「数百メートルくらいかな?」
妃世。
「降りたら、どうなるんですか?」
羽純。
「粘土の層があって。」
「紐から降りて着地すると、埋まります。」
妃世。
「底なし沼なんて中にあるんですね。」
羽純。
「なので降りて調査できないんです。」
「着地すると、粘土層に沈んで死ぬので。」
妃世。
「昔、どうやって調べたんですかね。」
羽純。
「上から探査機を吊り下げて。」
「照明で照らしたら。」
「降りたら沈んで死ぬ穴だと判明しました。」
妃世。
「実際に穴に落ちた人はいるんですか?」
羽純。
「記録によると、いないようです。」
妃世。
「不気味な穴を管理しているんですね。」
羽純。
「人間が見るべきではない穴ですからね。」
再び施錠。
屋内に戻ると。
書庫にある。
一族の秘伝を見せてくれました。
妃世。
「これは?」
羽純。
「一族が溜めた個人情報です。」
未藍。
「手記の総集編ですね。」
妃世。
「パターン別に結末が書いてありますね。」
未藍。
「数パターンの初期条件から。」
「個人が辿り着いた中間と結末が書かれています。」
羽純。
「一族がパターンから人生を先回りできるように溜めた記録です。」
妃世。
「二十種類のパターンから、こういう結果になるんですね。」
「これが人生のカンニングですね。」
未藍。
「始まりから中間まで、そして最期までの流れが書かれています。」
「このような条件なら、このような結果になるということですね。」
羽純。
「人生について本気で考えた一族の人がいて。」
「そこから記録を残す伝統に繋がりました。」
「なので、記された内容を辿れば。」
「本当にパターン通りになるので。」
「人生の難易度を下げられるんですね。」
妃世。
「昔の人が溜めたカンニングデータなんですね。」
未藍。
「個人的な手記を残す趣味が、続いていたので。」
「それがまとめられたという、実話なのです。」
「そしてあなたのパターンなら。」
「この美人女性が辿った人生が参考になりますね。」
羽純。
「パターンから外れることも、悪いものを回避することも。」
「かなり簡単になりますが。」
「必ず的中する訳ではなく。」
「預言でもありませんので。」
「そこだけは参考にしないこと、と末尾にあります。」
妃世。
「七割はこの女性と同じ生涯になるんですね。」
未藍。
「まあ・・・当たる度合いからカンニングするというのが。」
「一族の手記ですから。」
「預言ではないです。」
「古代の攻略本です。」
書庫、古文書がたくさんある。
価値は高いものの。
一部が劣化するほど長く保管されている。
人生の攻略本は、個人が盛んに書いた手記から。
人生のパターンを知って結末を計算してしまうという。
攻略本なんですね。
ただ、巻頭には、かなり当たるが、かなり外れる、と注意書きがあり。
編集者が、慢心していないことが分かりますね。
何度も写本されているので。
今あるのは五十年前の写本です。
最新版は数年前に注文して。
特注で作られて金庫に入っています。
伊央。
「レアメタルは採掘を開始したわよ。」
妃世。
「そんな重要なものが?」
伊央。
「一族が所有していた廃坑の奥に。」
「レアメタルがあったから。」
「資金源になっている。」
里美。
「去年まで、小規模な採掘があったのですが。」
「今度はレアメタルです。」
妃世。
「何でも持っているんですね。」
澄和。
「あなた、半年に一回の再訓練はどう?」
妃世。
「今では相手がいませんからね。」
澄和。
「お姉さんが手伝ってあげようか?」
妃世。
「はい、頼みます。」
裏庭。
草地になっていて。
フットサル場になっています。
たまに男性陣がフットサルをやるんですね。
澄和。
「フライト・オア・ファイトになってみて。」
妃世。
「はい、なりました、やや理性が薄いのですが。」
澄和。
「考えて戦う、というものは、既に遅いことをしているんです。」
「あらかじめ自動操縦に組み込んだものだけが物を言います。」
妃世。
「考えて戦うって、手遅れですよね。」
「現場で、いちいち一発逆転なんてある訳がない。」
澄和。
「実行するための技術がないですからね。」
「考えているうちに戦闘は終わるものです。」
妃世。
「どこを攻撃すればいいんですか?」
澄和。
「前に出している人形を殴ってみて。」
妃世。
「行きますよ。」
澄和。
「あら、速いのね。」
妃世。
「お姉さん、人形と一緒にノックバックしていますよ。」
澄和。
「あらまあ、野獣のような一撃。」
妃世。
「ベルセルクの怒り、みたいに出来ます。」
澄和。
「しかし既に消耗しているようですが。」
妃世。
「はい、息切れしています。」
澄和。
「コントロールを間違えると自傷しますからね。」
妃世。
「段階的に、三段階まで操作できますが。」
「パワーを上げると、スタミナが急激に減ります。」
澄和。
「人形アタック。」
妃世。
「うわっ!私が軽くノックバックした?」
澄和。
「ガードしたけれど、ガードを貫通してノックバックしましたね。」
妃世。
「どうやったんですか?」
澄和。
「あなたを少し浮かせて、人形で体当たりした、それだけ。」
妃世。
「意外と浮くと弱いんですか?」
澄和。
「体重移動、足の移動を狙われると、あっさり浮きます。」
妃世。
「フライト・オア・ファイトは攻撃されても痛覚が麻痺していますが。」
「身体能力をすべて発揮しているというのが弱点なんですかね。」
澄和。
「生物的限界の攻撃や技には脆弱性がありますので。」
「私のラグビー式タックルは受けない方がいいです。」
妃世。
「それではサイドステップ。」
澄和。
「人間は横の移動には弱いものです。」
「横の動きを訓練すればかなり優勢です。」
妃世。
「人間の身体は、横移動には慣性によって。」
「限界が生じますからね。」
澄和。
「人形が壊れました。」
妃世。
「お姉さん余裕ですね。」
澄和。
「昔から猛者を育てましたからね。」
妃世。
「どんな猛者を訓練したんですか?」
澄和。
「個人の戦闘力を最大化しているような化け物たち。」
妃世。
「チーム戦でも、必ず一対一で勝てないと。」
「全体で勝ちようがないですからね。」
澄和。
「自分の利益のためにも、自分の生存のためにも。」
「個人の戦闘能力は最大まで上げておかないといけません。」
里美。
「ねえねえ、シャワー浴びます?」
妃世。
「二分間、もう体力が切れた、それだけです。」
里美。
「そんなこと言わずにシャワー浴びようよ。」
妃世。
「何を考えているの?正直に言ってごらん!」
里美。
「うん、私は不正直になるね。」
未藍。
「色欲ですか、なぜあのような強制力が?」
「私は理解できない!」
羽純。
「色欲は本人がそう望んでいるのではありません。」
「身体の本能が、本人をそう思わせているだけです。」
自動車、起動。
邸宅から帰宅。
怜亜。
「これだけ作ったから、これだけ寝る。」
路香。
「あらまあ、大儲けね。」
妃世。
「ねえ、ショートパンツの中はなに?」
怜亜。
「そんな、私を色目で見るなんて。」
妃世。
「こんないけなこと・・・とか。」
怜亜。
「そうですね、とてもいかがわしいこととか。」
妃世。
「綺麗な身体ですね。」
怜亜。
「和服美人にしてもらいたい。」
路香。
「あんたら、言葉で遊んでいるの?」
妃世。
「えっちな言葉で、相手を弄んでいるの。」
怜亜。
「どんなえっちなことを言えるのかが醍醐味。」
路香。
「触れば?言葉じゃなくて?」
妃世。
「なんてえっちなことを言うんですか!」
怜亜。
「そうですよ、いかがわしいことを言わないで!」
路香。
「ああ、そういう遊びですか。」
妃世。
「スカートの中はどうなの?」
路香。
「一緒にお風呂に入るのなら、見せてあげるわよ。」
怜亜。
「お風呂でなにするの?」
路香。
「お風呂って何かする所なの?」
時刻は・・・。
出前が到着。
休憩に入りました。
日の入り前になんとか行動。
買い物に出かけます。
近くの河川敷にて。
市街地で何か企む二人組。
馬鹿。
「天才に勝つにはどうすればいい?」
愚者。
「ハンドガンで襲えばいい。」
馬鹿。
「いたぞ、殺せ。」
愚者。
「天才に勝つんだ!」
しかし二人組はガンキルされた。
馬鹿。
「負けた。」
愚者。
「拳銃の扱いも天才なのか。」
家電量販店のテレビに。
生放送が映っている。
特別に契約して引いている。
チャットに変な人が湧いた。
弱者。
「ライバーさん、こういう考えって駄目ですよね。」
ライバー。
「すみませんね、過激思想について当チャンネルでは取り扱いできません。」
視聴者。
「ライバーに代弁させるなよ、街頭で言え。」
支持者。
「ライバーに代弁させるな、笑。」
変な人は表示されなくなった。
スーパーマーケットに入店。
妃世。
「スーパー?私に相応しい名称ですよね?」
路香。
「ただし、私達は安くはないけれどね。」
怜亜。
「賞味期限も切れないしね。」
妃世。
「チョコレート、頭の回転が良くなる市販薬。」
路香。
「松坂牛を買うの?」
怜亜。
「何か変なことでもあるんですか?」
妃世。
「携帯食料を買いましょう。」
怜亜。
「保存食を作った方が安上がりかも。」
路香。
「冷凍食品も買うのね。」
妃世。
「昼食の暇がないときに、済ませるためですね。」
怜亜。
「小さな弁当も買いますね。」
路香。
「よし、おや、なかなかの金額ね。」
妃世。
「干し芋、漬物、饅頭、お惣菜。」
「コロッケ、焼肉、刺身。」
「各種、缶詰にレトルト食品。」
路香。
「それ何に使うの?」
妃世。
「両親の間食。」
怜亜。
「スーパーボルケーノの影響で近々、品薄の警告があります。」
路香。
「あんなのが噴火して、よくみんな無事なんですね。」
妃世。
「人間が自然災害に左右されるのは当たり前でしょ。」
怜亜。
「買占めがほとんど起きないのは、覚悟を決めているからです。」
妃世。
「心静かに死を受け入れているのです。」
路香。
「なんか武士みたいね。」
怜亜。
「無駄な抵抗はしないんですよ。」
妃世。
「ゆっくりと訪れる死を、待っているんですよ。」
「死が来なければ、それだけでましという心構え。」
路香。
「死から逆算して、死を回避できることもあるので。」
「こういう状況では、死を肯定するんですね。」
スーパーボルケーノ。
火山灰が止んでいて。
大気中に漂っています。
しばらく前から、薄暗い。
信じられない規模の大地震が発生していて。
被災地は全滅しています。
もちろん農業は半壊していますが。
漁業は機能。
工場野菜は無傷。
キノコが大量発生しています。
枯れ木にキノコが張り付いて、成長を続けていますね。
浄水装置は健在。
数年はスーパーボルケーノの影響を受けるそうですね。
火山灰を取り除かなかった家屋は潰れました。
大雨で、濁流が発生して。
洪水、毎回大惨事。
酸性雨も降ります。
地球の平均気温が下がってしまいました。
現在も呼吸器被害が続出しています。
噴火から数か月。
しかし思ったより太陽光が届くため。
日照不足は深刻ではない。
天の上で誰かが相談しています。
天人。
「天の門を開いて、少し洪水を起こしましょうか?」
天使。
「加減を間違えると、みんな水没するぞ。」
天人。
「ああ、もう開いてしまっていました。」
天使。
「おおおい!もう止めろ!」
天人。
「大気中の灰がすべて落ちましたね。」
天使。
「その代わり、海面が少し上がったけれどな!」
天の門を勝手に開いて。
地上に洪水をもたらしたとして。
天人は罰を受けました。
新しい災害を連れて来ないと、隕石にされて。
地上に突き落とされてしまいます。
天人は新しい災害を連れて来ました。
その名前は、人災。
人災を人間に送り届けることになったようです。
7
敵対者は言いがかりで仕掛けた戦いに勝てるという。
変な自信を持っていた。
是非とも質問したいが。
勝つ?
だが、いつ、どこで、どうやって?
店の中。
外は大雨。
謎の津波と大洪水が発生した後です。
地上が半壊していますが。
ほとんどの人は生き残っています。
今は、文明が機能しています。
大気中の火山灰が消滅しました。
ただ、今は文明を再構築しています。
民衆、ささやかな生活を営む。
妃世。
「あなたは英国経験論か、大陸合理論なのか。」
怜亜。
「それを経験によって合理的に判断してどちらかにしないといけませんね。」
路香。
「そんなあなたは英国経験論派か、それとも大陸合理論派?」
妃世。
「それを経験から得たデータをもとに、合理的に判断してどちらかに決めようと思っています。」
路香。
「あなた、それもうカントの統合派になってるよ。」
影響が最小限で済んだ人々が。
行き交っています。
短期間の大災害だったので。
死者数はかなり少ない。
犯罪が激減しています。
社会が大惨事、つまり戦争になったりすると。
犯罪をする意味を失う人が大勢います。
少しずつ市街地に人が見えるようになって来ました。
市民。
「正義マンを倒したらしいな。」
哲学者。
「俺TUEEE!」
市民。
「正義マンが弱いだけだろ。」
哲学者。
「ならば周りYOEEE!」
青年。
「正義マンは釣り投稿にすぐ引っかかりますよ。」
婦女。
「それ、昔からよくありますよね。」
若者。
「虚偽の犯罪自慢を投稿して。」
「未解決事件の犯人と名乗り出ると。」
「正義マンは推理でこいつが犯人であると名指しして。」
「正義マンが逮捕される。」
青年。
「あんなのの何が正義だ。」
哲学者。
「自分の中の悪を認めないからですね。」
市民。
「特撮や漫画の善悪二元論に沿っているだけだろう。」
哲学者。
「正義マンなんて社会に要らない。」
婦女。
「私も正義マンは要りません。」
青年。
「あんな奴ら要らない。」
若者。
「誰からも要らないと言われると思います。」
民衆、余裕そう。
少しずつ修理が進んでいます。
しばらく前から他国が威嚇を繰り返していましたが。
他国も損害を受けたので。
修理に精いっぱいで。
しばらく戦闘機も水上艦も来ていません。
戦略型潜水艦が未だに潜んでいました。
核の先制攻撃を防ぐため。
世界各国は常に戦略型潜水艦を。
広大な海に潜伏させています。
核弾頭を装備しているため。
反撃可能な状況を維持しています。
ちなみに潜水艦発射型ICBMの平均的な威力は。
48キロトンです。
しかも多層構造になっています。
自然環境が過酷なのに。
戦争を開始するなんてことは出来ないのでした。
店は営業縮小。
妃世。
「昔、教科書に載っていたとされる。」
「猿から少しずつ人へ。」
「なんてものは既に否定されていますね。」
怜亜。
「人の起源ほど、定説の更新頻度が高い科学はありませんね。」
路香。
「現代の科学も、その都度、覆る。」
「猿人なるものが、後で間違っていると証明されるのも。」
「科学の歴史ではよくあることです。」
妃世。
「そして電子機器を使っていたとしても。」
「電子機器の部品もプラスチックも。」
「劣化して腐食して土に還るため。」
「痕跡は残る訳がない。」
怜亜。
「そうなると、鉱物資源の高低で推測できますね。」
妃世。
「数万年前に、電子機器なるものがあったかどうかは。」
「鉄資源がどのくらい深い所にあるのかで分かりますね。」
路香。
「数万年前に採掘されていると。」
「上層部の鉄鉱石はすべて取られていますからね。」
怜亜。
「地下深くにあるのなら、大昔の人間が掘ってしまったのです。」
妃世。
「金と銀もあれだけ希少価値が高いのは。」
「ひょっとしたら大昔の人間がたくさん掘った後なのかも。」
怜亜。
「仮説に過ぎませんが。」
「地下資源から大昔の文明を逆算するしかないんですね。」
路香。
「天然ガスなどが豊富に残っているのなら。」
「また石油も思ったより多いのなら。」
「大昔の人が掘れなかった証拠になるのでは。」
妃世。
「そもそも地下資源がどうやって生成されるのか分かりません。」
「地殻変動を繰り返した辺りで、追加で生成されたのかも。」
怜亜。
「もはや今後の定説、更新に期待ですね。」
路香。
「少なくとも猿から人、という図は間違っています。」
妃世。
「所で神話だと、たいてい、インフレーション理論が組み込まれているのは。」
「歴史書として、本物という意味ですよね。」
路香。
「最初に混沌とか、ギリシャ神話にもありますが。」
「あれはビッグバン、つまりインフレーション宇宙論と似通っています。」
怜亜。
「結局は、自然科学と神話は一致するのでは?」
妃世。
「科学と神話が矛盾するとでも思っているのでしょうか。」
怜亜。
「科学の起源も古代ギリシア辺りですしね。」
路香。
「人間の力で解き明かそうというのは悪い試みではないです。」
店頭で顧客なし。
受注生産で。
ポーションが売れています。
しばらく過酷な自然環境になっているため。
活動能力を上げるポーションを大量生産しています。
調合中。
妃世。
「なんか心理学の聖典では。」
「正常な人なんて存在しない。」
「という結論で一致していますね。」
怜亜。
「まったくです、正常な人なんている訳がない。」
路香。
「正常に当てはまる人なんていませんよ。」
「正常とか、何の冗談ですか。」
妃世。
「近年の成果で、正常な人がいないことが証明されました。」
怜亜。
「人を正常と異常に区別しようとしたら。」
「正常の定義に当てはまる人がいなかったという。」
路香。
「正常の基準に誰も合格できない。」
妃世。
「正常には基準と定義と条件があって。」
「それらに誰も合格できないんですね。」
路香。
「しかもそれが心理学の聖典で認められているという。」
怜亜。
「正常なんていない、これを今後の前提にしましょう。」
妃世。
「正常の演技なら出来ると思いますが。」
「何かあると演技が崩れますからね。」
路香。
「自分は正常だ、なんて思うのはやめましょう。」
妃世。
「自分は正常だ?そんな嘘、誰が信じるって言うんですか!」
怜亜。
「正常という定義が間違っていると考えたことはない?」
妃世。
「はい、無批判です。」
路香。
「逆に異常とは、自分が正常だと思っている連中が。」
「自分達のルールに外れているからと、排除する定義です。」
妃世。
「裁いている側が邪悪ですね。」
怜亜。
「多数決で決めているだけですよ。」
路香。
「しかし異常も数が増えると、社会的に排除できないほど。」
「威力も増します。」
妃世。
「暴力で正常という定義を適用しようだなんて。」
「その気になっていた彼らの姿はお笑いでしたよ。」
路香。
「彼らは正常というものを決めて、後は暴力で。」
「社会を維持しようとした。」
怜亜。
「しかし正常なんて存在しないと、心理学は結論付けた。」
妃世。
「それでは正常っぽく振舞うだけですね。」
怜亜。
「それもそうですね、適当に決めた正常の物真似をしておきます。」
路香。
「なぜ正常というものに拘るのか、もはや理解できない。」
メールを見ると。
お姉さんたちと、民間軍事会社は。
政府や役所、行政の警備に配属となっており。
要人をこれでもかと護衛しています。
合法的に雇った未成年の兵士も含まれており。
普通の少年、少女として現場に潜んでいて。
襲撃が来ると、背後から騙し討ちが出来ます。
他国のスパイに割り当てられた仲間は。
活動を継続しています。
スパイは、実は給料が安いことが多々あり。
発見されると、必ず終身刑になります。
軽犯罪法違反になっただけで身元がバレます。
ただ、他と違うのは。
終身刑になっても味方の救援が望めることですね。
第二次世界大戦終了から。
CIAが様々な国に潜伏して。
政権転覆などの工作を繰り返してきました。
ちょっと行き過ぎたのか。
日本にもCIAが潜んでいて。
うっかり市販のテレビに盗聴器を内蔵してしまったこともあります。
味方まで諜報に巻き込むのは、良くないのですが。
目的が分からないので、同盟国なため、無視するのが最も良い。
CIAが終戦後、日本のテレビを作成して。
資本主義、欧米の良さをアピールしたのは有名ですね。
実際に良かったので、何も否定されませんでした。
現在もCIAが介入することがあり。
CIAの要望を拒否すると、テレビから追放されることもあります。
スパイは普通の人が発見するのは不可能です。
発見するのはいつも軍人や政府のエージェントなんですね。
CIAは同盟国の組織ですが。
世界各国のスパイはかなり、日本にも潜伏しているとされています。
買い物に出かけようと。
外に出たら。
変な人が話しかけて来ました。
魔物使い。
「しばらく前に仲間が世話になったね。」
妃世。
「あの雑魚の仲間ですか。」
魔物使い。
「俺が仇を討つ!」
妃世。
「魔物使いが勝負を仕掛けてきた!」
魔物使い。
「行け!猫!」
猫。
「ニャーオ!」
妃世。
「あらまあ猫ちゃん、刺身の残り物食べる?」
猫。
「みゃーん!」
妃世。
「猫を買収しましたよ。」
魔物使い。
「俺にはもう戦える動物がいない。」
「目の前が真っ暗になった。」
妃世。
「気絶ですか、救急隊に任せよっと。」
猫。
「にゃあ!」
妃世。
「刺身、食べたら帰ってね。」
魔物使い、搬送された。
スーパーマーケットに行くと。
売り物がすべて変わっていました。
過酷な自然環境でも確保できる食品に。
すべてが変わっている。
妃世。
「凄い、見たこともない野菜や果物ですね。」
市民。
「なんだ、この有能な商人たちは。」
科学者。
「馬鹿正直に前と同じものが並べられる訳がないだろ。」
「自然環境に合わせるに決まっている。」
婦女。
「このキノコ、大丈夫かしら。」
婦人。
「魚が豊富にあるわね。」
妃世。
「干し肉ですか、中世の携帯食料で有名な。」
科学者。
「ペットフードは基本、鼠肉の加工品と昆虫食なんだな。」
市民。
「成長が早い野菜ばかりだ。」
青年。
「ドライフルーツや乾燥野菜も豊富ですね。」
妃世。
「だいぶ状況に合わせるスーパーマーケットですね。」
見た目が悪いけれど。
食べられる食品を買って。
帰宅。
調合している怜亜と。
出勤した路香。
妃世。
「二人きりですね。」
怜亜。
「何を考えているんですか。」
妃世。
「いいえ、人数のことなんですけれど。」
怜亜。
「人数ですか、そうですよね。」
「変なことを考えていました。」
妃世。
「変なことだったら、いいの?」
怜亜。
「やっぱり変なことを考えているの?」
妃世。
「そんなことはないですよ。」
怜亜。
「なら、早く調合しましょう。」
「数を揃えてないといけませんから。」
店の需要高まる。
国内のアルケミストの負担増加。
報道。
ドキュメンタリー。
とある人が、名誉毀損罪で訴えられて。
どうも不起訴になるらしくて。
弁護士と話している。
若者。
「まったく、あの鉄道会社社長が狂っているって言ったら。」
「いきなり名誉毀損罪で立件だなんて。」
会社員。
「俺なんか、あの鉄道会社社長が狂ってないって言ったら。」
「私刑に遭ったぞ。」
若者。
「お前はどうして訴えられたんだ?」
「いつもここにいるじゃないか?」
愚者。
「私がその鉄道会社社長だ。」
ウェブ、ジャーナリスト。
小さな報道を頻繁に配信。
昨日、独裁者が飛行機事故に遭い。
操縦士が素晴らしい腕前で空港に着陸させました。
操縦士は今日、死体で見つかりました。
地元住民による攻撃と見られます。
よくある、英文のシャツ、上着を着ている人が。
決まって英文のメッセージが酷い内容で。
日本人は英語が苦手なので、英語の意味が分からない。
英語圏の人が笑い話にするものがありますが。
とある人の上着に書いてある英文のメッセージ。
来るな!私は気違い!
仲間がついて来ることがある!
8
休暇、そして休業。
すっかり再建された文明ですが。
余波が凄まじく。
国家が傾いています。
コンディション調整。
お姉さんが暇になったからと。
ドライブに誘われました。
海辺を走ります。
妃世。
「この自動車、ハンドルがないんですが。」
里美。
「運転席の右奥に操縦桿がありまして。」
「ジョイスティックのようなもので操作します。」
妃世。
「それ難しいんですか?」
里美。
「簡単です、右に倒すと右に旋回します。」
「左に倒すと左に旋回します。」
「斜め右はもっと細かい運動。」
「斜め左ももっと細かい運動。」
「人工知能による電子制御で曲がり過ぎないように。」
「調節されています。」
妃世。
「アクセルとブレーキは?」
里美。
「アクセルは操縦桿を前に倒すんですね。」
「ブレーキは操縦桿を後ろに倒すんです。」
妃世。
「速度調整は?」
里美。
「マニューバーモードがありまして。」
「人工知能に画像認識をさせて。」
「なおかつ。」
「前方の計器がタッチパネルになっていて。」
「自分で最適な速度を。」
「テンキーを使って打ち込むんです。」
「自動で加速と最高速が最適化されます。」
「緊急時にはリミッターを切ることができます。」
妃世。
「なるほど、公道なら、法的速度を計器に打ち込むと。」
「自動で加速を調整するんですね。」
「そして最高速は大きく超えないようになる。」
里美。
「駐車場に入れる時は。」
「未来予測位置が前方の計器に表示されるので。」
「衝突を防ぎます。」
「左右反転の操作になるので。」
「いきなり乗り換えて操縦桿を持つ自動車を。」
「使うことはできません。」
伊央。
「ハンドルがない自動車は。」
「先進的だけれど。」
「免許も別物になるんですね。」
里美。
「例外的な車両ですので。」
「普通車免許と追加で習います。」
「操縦桿と計器操作しか習いませんけれどね。」
妃世。
「人工知能のボタンを押すだけで。」
「緊急停止が行えるとか。」
伊央。
「操縦不能になったら、押すだけですね。」
「スピンから追突による慣性まで。」
「電子制御で強引に止まります。」
里美。
「すべて手で操作するので。」
「反応が速いんですね。」
伊央。
「実は旧式のアクセルペダルとブレーキペダルは。」
「足元についていて。」
「これは電気信号で稼働します。」
「これは計器の操作でオンオフが切り替えられますが。」
「このタイプの自動車は初期設定がオフになっています。」
澄和。
「足よりも手の方が反応が速いので開発されたという。」
「これなら事故が激減しますね。」
里美。
「何かあっても、機体操縦に対する反応が速いので。」
「けっこう事故を避けられます。」
「操縦桿に慣れてしまえば。」
「ハンドルよりも楽です。」
妃世。
「もはや戦闘機ですね。」
里美。
「自動車も戦闘機を参考に計器が配置されました。」
「次世代の自動車は。」
「従来型の問題を消しています。」
妃世。
「どうりで細かく動ける訳です。」
「敏捷性が違います。」
伊央。
「運転技量に大きく左右される例外的な車だから。」
「普通車と動きが違って楽しいよ。」
成田空港に到着。
空港は再開していて。
離発着が行われています。
横風が酷くて。
旅客機が斜めに飛行しながら着陸していますね。
特に、台風接近時の空港は、見るのが面白いんですね。
パイロットの腕前がいかに良いのか。
証明になります。
成田空港から立ち去ります。
妃世。
「なぜソーシャルメディアなんていう。」
「クソプラットフォームを使うんでしょうか。」
伊央。
「考えてみればそうですね。」
「あんなクソアプリを使う方がどうかしている。」
里美。
「情報源としては役に立たず、百害あって一利なし。」
澄和。
「日記としては使えるかもしれませんが。」
「他人がそれを支持するとは限らない。」
妃世。
「ああいうクソサービスは。」
「キャッチフレーズだけは優秀で。」
「中身は間抜け。」
伊央。
「気づかないで馬鹿なことをしているんですね。」
里美。
「得られる利得よりも、損失の方が多いよね。」
妃世。
「他人にプライベートを公開して、何がしたいんでしょうか。」
澄和。
「せいぜい大金持ちが自慢するくらいでしょうね。」
伊央。
「そもそもプライベートを公開する理由が分からない。」
妃世。
「俺の生活いいだろ、とか自慢する場所にしか思えませんが。」
里美。
「私からは何の意味もない、新型のブログにしか思えませんよ。」
妃世。
「彼らはいったい何のためにやっているの?」
伊央。
「私からは理解できませんでしたが。」
「理由を問われると、答えにくい批判ではありますね。」
里美。
「ソーシャルメディアは問題のある人も多数いますしね。」
澄和。
「些細なことで誹謗中傷に加担してしまい。」
「訴訟に巻き込まれる人もいますし。」
妃世。
「ソーシャルメディアで誹謗中傷が話題になっている時点で。」
「なかなか過激な連中は幼いんだと思います。」
伊央。
「自分と同じ考えではないと、錯乱してしまうらしい。」
澄和。
「それはかなり幼いですね。」
妃世。
「ソーシャルメディアはどちらかと言うと。」
「生活を見せびらかす場所で。」
「読んでいる人が、それを快く思うかと言うと。」
「まったくそうではない。」
伊央。
「いいね、を貰っても、どのような理由で良かったのか。」
「可視化されませんしね。」
妃世。
「あれは趣味なの?情報共有と勘違いしているの?」
里美。
「私達からは危険の方が多いプラットフォームだと思います。」
澄和。
「再生数稼ぎの方がよっぽどソーシャルメディアを上手に使っていますね。」
妃世。
「なぜソーシャルメディアなんかを頼るのか、私には理解できない。」
伊央。
「就職では、ソーシャルメディアをやっていないことが。」
「信用の証になることがよくある。」
澄和。
「ソーシャルメディアをなぜ利用するのか、問われたことが無いのかな。」
妃世。
「人間の意見よりも、良識的な人工知能に質問した方が早いね。」
里美。
「何か災害や事件があると。」
「いつもソーシャルメディアに問題があるんだと思っています。」
妃世。
「ソーシャルメディアに出来事を書いて、それを公開する?」
「公開して、後はどうするの?」
伊央。
「私達にとっては最も理解できないプラットフォームという訳です。」
里美。
「勝手にやっていてほしい、私達が批判するのも勝手なので。」
帰路。
二時間ほどのドライブになりました。
見慣れた道路に入っています。
もうすぐ帰宅。
妃世。
「ねえねえ、道徳が間違っていて。」
「道徳を無視することが正しいと考えたことはない?」
澄和。
「ありますね、道徳が間違っていたら、どうなるのでしょうか。」
伊央。
「大昔。」
「日本では儒学はありましたが。」
「どうやら作為を加えないのが当たり前で。」
「自然に従っていたようです。」
「やや自然主義の傾向がありました。」
里美。
「そもそも儒学の本や仏典は日本に広く流通していました。」
「やたらと高価でしたが。」
「教育の機会を得た人は、多分、すべて読んだのでしょう。」
澄和。
「作為をやたらに加えると逆効果ですよね。」
妃世。
「なので、私は道徳が間違っていると考えています。」
伊央。
「そもそも道徳は命令ばかりです。」
「命令とは上位の者が下位の者に行うもので。」
「互角か、下位の者の命令は。」
「命令としては成り立っていません。」
里美。
「自分より強い者に命令しても、それは言葉としては成立していませんよね。」
妃世。
「しかも道徳は無視された場合、かなり無力です。」
里美。
「道徳を無視する人ならいくらでもいます。」
伊央。
「道徳は破られても、何の罰則も与えられないしね。」
澄和。
「罰則なしの不文律が道徳です。」
里美。
「道徳なんて無視した人が一方的に勝ちます。」
妃世。
「なので私は道徳が間違っていると思います。」
伊央。
「道徳は疑われたことがありませんからね。」
澄和。
「言行相反が道徳の当たり前ですからね。」
帰宅すると。
お姉さんが。
商品を取りに来ていまして。
荷物をキャンピングカーに乗せていました。
羽純。
「ああ、処女の集いも、無事に三年ですね。」
未藍。
「すべて知った上で男に抱かれに行った女性達。」
「覚悟の上なら止めませんが。」
「私はあれに価値があるとは思わない。」
怜亜。
「結婚から離反できると知った時点で私達は逃げたのです。」
伊央。
「私は人の縁なんてものは信じません。」
未藍。
「私達は破壊を覚えたので。」
「気に入らないものは何でも破壊します。」
羽純。
「自然主義的誤謬なんてものに私達は陥らないんですよ。」
里美。
「結婚やら恋をどう処理しようが、私の勝手です。」
羽純。
「結婚しなければならないという義務はない。」
未藍。
「あったとしても、私と力比べになるだけですね。」
怜亜。
「ああ、力の優劣で結婚が決まるんですね。」
伊央。
「力で決まるのなら、恋とか結婚とか、邪悪ですな。」
妃世。
「神は女性を創造した、なので誤りは何でも許される。」
伊央。
「責任は人間の側にはないよ。」
未藍。
「女性が男性を無視するようになるのも。」
「神がそう創造したからなんですね。」
澄和。
「さて、意見について理解できる日本人とは?」
妃世。
「それは大学の教授に決まっています。」
「意見についてはかなり教養がないと。」
「理解できませんから。」
「偉い学者しか、日本で意見の違いが理解できる人はいません。」
路香。
「凄い、あんなにたくさん勉強したから。」
「意見について理解できるんですね。」
妃世。
「凡人は意見の違いについて動揺するしかないんですね。」
路香。
「意見の違いについて自国民と激しく対立した。」
「そうしなかったら、相手の主観的な主張がまかり通っていたことでしょう。」
いきなり取りに来るとは思わなかったので。
その場の全員で荷物を入れました。
アルケミストは大儲け出来ますが。
工房からほとんど出れないことが多々あるので。
貯金だけ増えるという、難点があるんですね。
一日中、調合と生成を繰り返すため。
コンディション調整の休業と。
夜間しか閑暇がありません。
そして需要と供給が今回も追いつかないのでした。
日の入り、三時間経過。
路香。
「有名な作家について、どう思います?」
「有識者とか持ち上げられていて。」
「テレビ番組にも出ていますが。」
妃世。
「あいつらは、私が嫌いな美点を持っていて。」
「私が尊敬する欠点も多く持っている。」
怜亜。
「人気の正当な理由が無いのなら、迎合されているだけですからね。」
妃世。
「凡人に好かれたからと言って、本物ということにはならない。」
路香。
「彼らは元作家になるでしょう、最初から元作家であればどんなに良かったことか。」
怜亜。
「彼らの作品は中途半端ですが、その名声の方が作品よりも素晴らしい。」
妃世。
「私は彼らの運命による不正を暴いてあげたんですよ。」
路香。
「いいえ、彼らは機密情報漏洩を黙認してくれたので、感謝しないといけませんね。」
怜亜。
「そもそも、有名作家は生活費が保証して貰えたので、笑っているのだと思います。」
妃世。
「そして文豪になるという彼らの願いは、半分だけ叶えられた。」
路香。
「もう半分は、残念ですが、迎合なんて通用しません。」
「それによって、人気作家は初めての敗北を経験するでしょう。」
妃世。
「本屋で立ち読みしましたが。」
「あれは睡眠導入剤ですよ。」
「あれが完成品ならば、もはや奇跡。」
「あんなものを書きながら、起きていられたなんて。」
怜亜。
「表彰式は素晴らしい。」
「しかしその目の前に作家が集まって展示されていたのです。」
「そこは残念です。」
妃世。
「つまらない冗談は嫌いなので、彼らを許してあげようと思います。」
路香。
「面白い冗談は世間に無いんですかね。」
怜亜。
「私は喜んで学ぶが、教えられることに関しては嫌いです。」
今夜は解散。
さて。
人災を連れて来た天人。
天人が、人災に命令していると。
人災は来年、地上である、ありとあらゆる投票の結果を。
持って来てしまいました。
一年前に、誰が投票で合格するか。
誰が表彰されるのか。
誰が人気を得るのか。
天人からは丸見えになってしまい。
天使に報告したら。
天使は、そこまで人間に多くを与えるのは良くないと。
神に相談したら。
来年、表彰される人から、得たものと同等のものを没収すると決まって。
天人に、一覧表に載っている人から。
いろいろと奪うように命じられて。
人気、表彰、それ以外に何も無いように工作が行われました。
こんなジョーク格言がある。
戦争で完全勝利を達成できる人がいても。
良好な平和を作ることはまったくできない。
最高の平和を作る人がいても。
戦争ではまったく勝利することはできない。
9
早朝。
本を読んでいます。
古典は誰しもが読む時代ですね。
漫画は電子書籍が進んでいて。
実店舗に買いに来る人は多くない。
日本では近代化、戦後まもなく。
書籍の値段が非常に高く。
簡単には手が出せないものでした。
岩波文庫が人気になった頃から。
誰しもが古典の翻訳を読むようになりました。
図書館では古典が平気で置いてあります。
無料ですが、破損させると同じもので弁償しないといけません。
デマ、誤情報が蔓延しているご時世。
自分で図書館に行って、専門書を読んで。
調べた方が効率的ですね。
情報源が悪いと、簡単に騙される。
通信販売で頼んだ本で。
山積みになっています。
妃世。
「なんで、なんで、と言っても。」
「必ずしも納得が行く理由はない。」
怜亜。
「なぜこんなことが、と言ったとしても。」
「必ずしも道理にかなっていることがあるとは限らない。」
路香。
「どうしてこんな目に、と言った所で。」
「正当な理由があるとは限らない。」
妃世。
「理由を探る癖があると。」
「そもそも理由がない事故や愚行について。」
「無駄に悩みますね。」
怜亜。
「他人のやっている馬鹿が理由と言うこともありますし。」
路香。
「社会では全員が賢明という訳ではありませんからね。」
妃世。
「神は最初から人間にたくさんのものを与えていませんね。」
「なので、最低限しか与えられなかった人は。」
「必然的に愚かになります。」
怜亜。
「愚か者に限って自分が神だと思っていますからね。」
妃世。
「ゲーテがファウストで揶揄していましたが。」
「人間は神になろうと、いつまでも同じ所で地団駄をしている。」
怜亜。
「人間は神にはなれない。」
「努力の方向を間違えています。」
路香。
「しかし人間はどこか自分が神であると錯覚していることがありまして。」
怜亜。
「それが愚行の原因だと私は思います。」
妃世。
「自己中心的というか、自分勝手な人の共通点で。」
「自分は世界の中心、または自分が基準というものがありますが。」
「よく見ると自分が神である前提で解釈していますね。」
路香。
「カトリックやプロテスタントは、自分は神ではないし。」
「本物の神を礼拝しているので。」
「自分自身を神だとは思いません。」
「不可知論者や無神論者に。」
「変な前提は目立ちます。」
怜亜。
「愚かな行いをする人の前提は常に間違えていますからね。」
妃世。
「正当化ですら、その人は前提を間違えていますから。」
「君の正当化は前提を間違えているから、君の正当化は成立していない。」
「という崩し方もあります。」
怜亜。
「ということで、なんでなんで、という追及は。」
「最後には、正当な理由が必ずしもない、ということですね。」
妃世。
「納得が行く理由が必ずしもないのは。」
「この世では正当な理由もないこともたくさん起きるということです。」
「下らない出来事ですけれどね。」
路香。
「そんなことはどのように処理しても正解になるので。」
「対処が終わると、原因を探す必要は必ずしもないです。」
「原因が支離滅裂であることがよくある。」
妃世。
「この世ではどんな馬鹿なことでも。」
「どんなに狂っていることも、平気で起きます。」
「なので、なんで、なんで、なぜ、と調べた所で。」
「幼稚な原因があったり、子供じみた理由があったりと。」
「気持ちの悪いものを暴くこともあるので。」
「神秘的な解釈だけは不要です。」
トラック到着。
本部から素材が送られて来まして。
それを搬入して。
支度をしています。
調合の準備中。
妃世。
「同じ日本で、全体主義者と個人主義者は。」
「どうやったら対等な関係になれるのか。」
路香。
「表現の自由は最高です。」
「好き放題に不平不満を言っても処罰されない。」
「やりたい放題に苦情を言っても処罰されない。」
怜亜。
「自国民の民間ファシズムをどうやって証明するのか。」
「他人と違った意見を発信すれば、すぐに証明される。」
路香。
「都市にある葬儀屋、割引期間になったら。」
「いきなり死者が増えたらしいよ。」
妃世。
「最期が安いからと言って死ぬな。」
怜亜。
「計画の練り過ぎですね。」
路香。
「都市にいるあの愚か者は、もうすぐ病死するらしいのです。」
怜亜。
「はあ、十年間も都市を荒らして。」
「病気で死ぬのなら、もうすぐなんて早いものですよ。」
路香。
「あの愚か者の代理が出現しないか。」
「懸念されますが。」
妃世。
「それは葬儀屋に質問するべきですね。」
怜亜。
「そもそも、都市のあの嫌われ者は今頃、どうして死ぬの?」
妃世。
「これまで神の雷が外れていたからです。」
路香。
「ようやく当たったんですね。」
怜亜。
「何か面白い遊びない?」
妃世。
「ロシアンルーレットなんてどう?」
怜亜。
「実弾で?玩具の銃で?」
妃世。
「どちらにしても面白い遊びですよ。」
路香。
「昔、神仏に見放されている人がいました。」
妃世。
「珍しいですね、めったにないのに。」
怜亜。
「そんな野郎は無視して、見なかったことにしましょう。」
路香。
「人間からも見捨てられるんですね。」
妃世。
「昨日、正義マンの集団がこの辺りを通り過ぎたらしいのです。」
怜亜。
「通り過ぎてくれたのなら、いいじゃないですか。」
路香。
「汚い言葉遣いはやめなさいと、両親から言われました。」
妃世。
「それでは、おほほほほ、都合の悪い人々よ、お死になさい。」
「綺麗な凡人たちよ、そこから綺麗に這いつくばっていなさい、とか。」
「言えばいいのか。」
路香。
「それは綺麗な言葉なのか、汚い言葉なのか、判断に迷う。」
怜亜。
「中国人から、あなたは外国人ですよね、とか言われたよ。」
妃世。
「外国?それは国の名前ではないですよね?」
路香。
「別に外国と呼んでも差し支えないのなら、勝手に呼べばいいのですが。」
同時刻。
出勤前に、朝食。
明け方から活動しているためか。
全員、揃っている。
机には山積みになった自然科学の本。
羽純。
「現代は複雑系です。」
「原因があれば必ず特定の予測通りの結果が出る。」
「なんてことはない。」
未藍。
「問題が起きたとき。」
「特定の個人や一つの出来事だけを責めても解決にはなりません。」
「システム全体が複雑に絡み合って不具合があるんですね。」
伊央。
「これを変えたら、別のどこに影響が出るか?」
「影響への配慮も必要です。」
里美。
「多様性と無駄、余裕も確保しないといけません。」
「社会を単純化して効率化を続けると。」
「パンデミック、災害、市場の急変。」
「新しい脅威、予想外の事故があると、一瞬で破綻します。」
未藍。
「そもそも予測が不可能と言えるほど複雑ですからね。」
澄和。
「複雑系入門という現代で必須な本もありますが。」
「社会が自然科学と同じような原理で動いている以上。」
「科学が出来ないか、苦手な人は、複雑系の社会に気づかないね。」
羽純。
「個人の問題も、あらかじめシステムに問題があって。」
「そこから同じものが無制限に出るため。」
「犯人捜しは時代遅れで。」
「システムの問題、そこからどう連鎖しているのか。」
「調べないといけません。」
里美。
「特定の個人を排除すれば解決、ではなく。」
「どういう繋がりや環境がその問題を生んだか、その構造です。」
伊央。
「構造が変わらなければ。」
「第二、第三の同じような人が現れて。」
「同じ問題が繰り返されるのが特徴です。」
澄和。
「人間の脳は単純な物語が好き。」
「先天的に複雑系には非対応。」
羽純。
「特定の個人を排除してもその人が担っていた役割が残る。」
「その人を排除すると。」
「システムは次の新しいスケープゴートを自動的に作り出し。」
「全体のバランスを保とうとします。」
伊央。
「社会は人間の手から離れて、独立して動いているようなものです。」
「コントロール不能。」
里美。
「社会は生き物のように動いているのが現代ですからね。」
未藍。
「人間が社会を作ったら、社会が独立して動くようになってしまった。」
澄和。
「複雑系を知る人は、問題のある人を排除した後に。」
「必ず、なぜそんな人が生まれる。」
「あるいは活躍できてしまう構造になっていたのか。」
「分析し、システム自体を書き換えます。」
伊央。
「個人を排除すれば解決する、と信じ込んでいる人は、複雑系に対して無知。」
羽純。
「複雑系入門は千円程度ですよね。」
伊央。
「ええ?千円の本も買えないの?」
未藍。
「現代では社会学と自然科学が融合していますね。」
澄和。
「複雑系に慣れている人は、自分の捉え方だけではなく。」
「他人の無知により早く気づいてしまうという皮肉がありますね。」
報道。
しばらく前から。
農家が、窃盗に遭って。
穀物を盗まれています。
食糧難の時期には。
農家には収穫した食料が保管されていることがよくあるので。
合法的に手に入らないし、食べ物が欲しいのなら。
やはり窃盗、強盗、略奪ということで。
国内の農家から窃盗が相次ぎ。
おまけに逮捕者、続出。
国家の食糧庫には民間軍事会社の警備員が。
二十四時間、見張っているほどです。
お姉さんの所に。
昨日の夜、作れるだけ作った。
ポーションを届けに行ったら。
尾行されていたので。
何回も故意に角を曲がりました。
妃世。
「あれ、相手は右に三回も曲がって来た。」
怜亜。
「尾行ですね。」
妃世。
「違法な探偵かな?」
怜亜。
「三回も旋回するなんて素人ですな。」
妃世。
「同じ人物が、同じ日に、別々の所に。」
「何回も出現したら、それも尾行です。」
怜亜。
「今回は車両でしたね。」
妃世。
「こちらは尾行であると分かりやすいものですね。」
怜亜。
「素人臭いですなあ。」
警察に通報したら。
尾行はパトロールカーに追跡されて逮捕されました。
民間人による尾行は犯罪という、簡単な事実があります。
出勤前、何とか到着。
羽純。
「ようこそ、ポーションですよね。」
妃世。
「これが必要と言われまして。」
羽純。
「もちろん、万能な薬ですからね。」
怜亜。
「魔力を回復する薬もありますが。」
未藍。
「それは最低限、持ってないと。」
「私達は途中で無力化されます。」
里美。
「精力剤ない?」
妃世。
「何に使うの?」
里美。
「いえ、女の人と、一杯やりたいなって。」
怜亜。
「栄養剤のポーションもあります。」
羽純。
「一食分、ごまかす、便利な薬よね。」
「たまに昼食に行けないときがあるので。」
伊央。
「希少な薬ばかりですね。」
澄和。
「普通に買うと、非常に高価ですからね。」
伊央。
「しかも説明を受けないと、何の薬なのか分からないという。」
澄和。
「しかも量を間違えると、副作用が起きますからね。」
未藍。
「身内にアルケミストがいて良かった。」
澄和。
「普通、手に入らないものですからね。」
お姉さん出勤。
工房に戻ってきました。
そこで、窃盗犯が倒れていまして。
催涙ガス爆弾、というものを軍用に作って。
自衛隊の補給部隊に渡すつもりだったのですが。
窃盗犯が誤って使用して。
自爆していたようです。
一日に、二度も警察を呼ぶとは思いませんでした。
婦女。
「あそこのお店、また泥棒が入ったんですって。」
青年。
「何に使うか分からない高級品の店に?」
市民。
「この世界は本当に悲惨で最悪な場所だよ。」
詩人。
「そうだね、でも安心していい。」
「君もちゃんとその世界の一部として、悲惨さに貢献しているから。」
窃盗犯。
「世界は本当に悲惨で、不条理に満ちている。」
警官。
「我々はその悲惨さと不条理を取り締まっているのだ。」
窃盗犯。
「俺の名前は不条理ではない。」
民衆。
「まあ、君がその世界の一部として存在している時点で。」
「最初から答えは出ていたようなものだけどね。」
彼らはいつも世の中は悪いと嘆いていた、鏡を見るまでは。
ペシミズムジョーク、世界は悲惨だが、彼らはその世界の一部なのだろうか。
今夜。
他人の間違いから学び。
人生の最適解を編み出すことに成功しました。
愚かな人生計画を立てた?
賢明な人生計画でも異論はあるのか?
10
富士総合火力演習の動画を観ています。
本格的な軍事訓練で。
昔は一般公開されており。
抽選で観客席に入れました。
自衛隊は少数精鋭というコンセプトになっており。
兵員も兵器も、大量に持ってはいません。
それでも世界の軍事力ランキング上位に位置しています。
本気で敵と渡り合うことが出来ますし。
練度の高さは割と知られています。
長い間、領空侵犯に戦闘機が緊急発進して。
対応していましたが。
仮想敵国の戦力が増大するにつれ。
想定が厳しいものになって行きました。
ちなみに仮想敵国は公式にはいません。
自衛隊の動画は希少で。
創立記念行事、駐屯地祭に行けば。
現物を見ることが出来たりします。
自衛隊の広報施設は日本全国に数多く存在します。
妃世。
「かなり懸念していますが。」
「他国からの本格的な軍事侵攻を受けた際に。」
「反戦と自衛を混同する危険がありますね。」
怜亜。
「大いにあります。」
「日本の端っこで撃ち合いになっているのに。」
「反戦なんて言い張る愚行の危険があります。」
路香。
「地上に上陸されると。」
「民間人はとにかく危険で。」
「拘束されたり、外れ者の兵士に暴行されたり。」
「軍規違反者に略奪されたりしますからね。」
妃世。
「国際法を無視するとろくなことはないのですが。」
「相手が国際法を守るとは限らないし。」
「相手の国が、占領地域についてこちらの民間人を保護しなければ。」
「現地民は何でもやられます。」
怜亜。
「本土に上陸すると、相手は補給線がまったくもたない。」
「すぐに弾薬、食料、物資、燃料、連携が崩壊しますが。」
「離島なら、制限が緩いよ。」
妃世。
「芸能人が、反戦と自衛を混同して。」
「自衛隊の隊員が戦死したり。」
「米軍の兵士が負傷したり。」
「兵敵の死体が大量に転がっていたり。」
「現地の民間人がぶっ殺されているのに。」
「戦争はよくない、とか間違っていることを言いそうです。」
路香。
「芸能人は他国のスパイなどに利用されますね。」
妃世。
「他国のプロパガンダに利用されますね。」
怜亜。
「まず相手を撃退しないと。」
「敗北したら、自由は剥奪されますからね。」
妃世。
「敵国に敗北することは。」
「すべての自由を奪われることですからね。」
路香。
「負けたら、敵国に服従しなければいけないからね。」
怜亜。
「逆らったら、強制収容所行き。」
妃世。
「まず勝ってから、やっぱり戦争は良くないね、なんて。」
「言ってあげた方がいいよね。」
怜亜。
「その攻撃が、地上部隊だけとは限らないけれどね。」
路香。
「猛烈な空襲であることが懸念されます。」
妃世。
「勝者になってから、戦争はよくない、と言ってみてはどうか。」
怜亜。
「それだと誰も文句を言えませんね。」
路香。
「勝者が、戦争はいけないんだよ、と非難すると。」
「敗者は、返す言葉がない。」
妃世。
「とりあいず芸能人が、知名度を使って。」
「国防の妨害をする危険はありますよと。」
怜亜。
「負けたら、次に銃口を突きつけられるのは、あなたの番ですよ、まったく。」
妃世。
「芸能人はプロパガンダに利用される上に。」
「敵国にとってターゲットにされやすい。」
怜亜。
「相手が過激だと、捕虜にした芸能人を処刑する映像を流すね。」
路香。
「というか、芸能人が現地に行って説得、なんてして捕虜にされそう。」
妃世。
「初めて運命の力が通用しないことを知るのでしょうか。」
怜亜。
「そこまで馬鹿なら、信じた人々は愚か者だったのでしょう。」
路香。
「支持者が、間抜けだった、という証明がつく、それだけ。」
妃世。
「私は自国が侵略を受けたさいには、芸能人が沈黙してくれることを期待します。」
怜亜。
「意外と、馬鹿な真似をしたら、自国の警察に連行されるのかもね。」
路香。
「知名度は武力ではない。」
妃世。
「私は格言の誤謬、ペンは剣よりも強し、というものが誤謬であることを指摘します。」
怜亜。
「言論統制で負けるので、ペンは剣よりも強し、という格言は嘘だと思う。」
妃世。
「ペンは剣よりも強し?いいえ、武力にあっさり負けますが?」
路香。
「ペンは剣よりも強し、という格言は通用していませんね!」
羽純。
「コンディションは良さそうね。」
妃世。
「お姉さん、綺麗ですね。」
羽純。
「あなたも同類でしょう。」
未藍。
「私はどう?」
妃世。
「美人女性、大好きです。」
未藍。
「どういうこと?」
妃世。
「そんな、眺めていたら、手を出してしまうのかも。」
未藍。
「へえ、同感ね、二人きりになったら、何かしたくなるよね。」
怜亜。
「私は?触ってみる?」
未藍。
「そんなに触って欲しいのなら、触りますが。」
「それであなたは満足なの?」
路香。
「社長令嬢ですよね?」
羽純。
「あら、ここにもいい女がいるじゃない。」
未藍。
「本当ですね、雰囲気がいいわね。」
「ギャルみたいで。」
路香。
「光栄ですね。」
未藍。
「良かったら、一緒にホテル行かない?」
路香。
「仕方がないですね。」
未藍。
「冗談ですよ、冗談。」
伊央。
「今回も配送しますよ。」
里美。
「身内で独り占めな商品ですね。」
澄和。
「なかなか高い価格設定ですが。」
「お金はあるわよ。」
妃世。
「はい、頼みます。」
怜亜。
「今の時代ってなに?」
羽純。
「現代という時代は、投資。」
「生きる苦労に対するリターン。」
「幸福のパフォーマンスが最悪の暗黒期。」
澄和。
「今は過渡期であり、生きるコストがリターンを上回っている。」
「ウェルビーイングの低下。」
未藍。
「科学技術が問題を解決した後のマイルドな未来はもう数十年先ですね。」
伊央。
「二十年前は生きることがサバイバルのようになっていました。」
「今は相対的にサバイバルが楽ですね。」
里美。
「最悪の未来の予測が二十四時間絶えなかった。」
怜亜。
「つまり、生まれる時代としては外れ籤なんですね。」
羽純。
「外れですね、時代という名前の貧乏くじ。」
澄和。
「古いシステムが壊れたのに、新しいシステムがまだ機能していない狭間の時代。」
伊央。
「人工知能で仕事は効率化されたが。」
「労働時間が減るわけではなく。」
「より高い成果を求められるだけになった。」
未藍。
「未だ、システムが完成してリターンがコストを上回る時代ではないよ。」
澄和。
「現代は最後の奴隷労働時代。」
伊央。
「現代は、高度な知性を持っているのに。」
「家や食料などを人質に取られて。」
「一日の大半を労働に費やすことになった。」
澄和。
「昔の無制限なる経済成長の支払いが本格的に始まった時代ですからね。」
里美。
「自分たちは大した恩恵を受けていないのに。」
「過去の世代の負の遺産をひたすら返済させられている。」
羽純。
「歴史では、あの時代に生まれなくて本当によかった。」
「と言われる暗黒期がいくつも存在します。」
「こちらは、コストパフォーマンス最悪の時代です。」
怜亜。
「はあ、どうりで具合が悪い訳ですね。」
澄和。
「就職、結婚、マイホーム、定年後の安泰、というテンプレートが崩壊していて。」
「現代はそれらの維持が難しく、手に入れてもリスクになる時代なんですね。」
妃世。
「百年後は?」
羽純。
「現在ある社会問題の大半は無くなっていますね。」
伊央。
「産業革命初期のイギリスと比較をしてみては?」
里美。
「ローマ帝国崩壊後の西ヨーロッパも比較対象になります。」
澄和。
「十四世紀のヨーロッパとかもね。」
未藍。
「可視化されてしまっているので。」
「狭い世界にいた昔とは違い。」
「嫌でも比較対象が目に入ります。」
「なので、その可視化によって。」
「人生について諦めることが不可能になってしまっています。」
羽純。
「これまでの常識。」
「大企業に入れば安泰。」
「結婚して子供を作れば幸せ。」
「地球環境は持続する。」
「という幻想が崩壊し。」
「人々の精神が慢性的な不安に晒されている点も悲惨ですね。」
怜亜。
「絶望が覆う時代なんですね。」
伊央。
「真面目に生きるほど理不尽が増大するよ。」
里美。
「合法的ルールの内側で狡猾に立ち回ることが攻略法のひとつ。」
羽純。
「相手のルールをハッキングし、乗っ取れば楽勝です。」
澄和。
「ゲームをハッキングして乗っ取れば、公式チートの完成ですね。」
「禁止されていないことは、やってもいい。」
里美。
「立ち回りの手札は必ず変えないといけない。」
澄和。
「持っているだけで死に直結する呪いの手札ですからね。」
妃世。
「文句を言わず、ルールを破らず、他人に迷惑をかけない真面目な人は。」
「集中狙いされますよ。」
未藍。
「正直者はシステムの構造上、損をするように出来ています。」
怜亜。
「うわあ、そこまで膨大に悪いことがあるのなら。」
「今、私が平気でいられるのは奇跡ですね。」
妃世。
「あれ、知らなかったんですね。」
怜亜。
「今、知りました、手遅れまで後僅かでしたが。」
路香。
「所で、社長令嬢の妹さん。」
「ホテルの件、本気で考えていますから。」
未藍。
「あらまあ、それならハグをしましょうか。」
路香。
「社長令嬢にハグされた!」
未藍。
「はい、ほっぺにキス。」
路香。
「ひゃあ!」
未藍。
「気に入りましたよ、現場監督さん。」
羽純。
「もう運んだ?」
伊央。
「すべて積みました。」
里美。
「あら、雑談しているから。」
「クラシックを聴いていたんだけれど。」
澄和。
「さあ本部に行くわよ。」
羽純。
「それでは、また来るわね。」
未藍。
「女性同士、競争の必要が必ずしもなくていいわね。」
路香。
「私もそう思います。」
怜亜。
「ううむ、いろいろと知ってしまった。」
妃世。
「知らないよりはましでしょう。」
怜亜。
「受け入れるのに、少しかかりそうです。」
キャンピングカー出発。
本部の倉庫に入れるそうですが。
使用と補充が追いついていないため。
注文が絶えません。
説明書も発行しないといけないので。
路香にやってもらいました。
午前十時になり。
路香は出勤。
公園で何やら。
近くでも人が大勢います。
久しぶりの食料品、大セールがあるんですね。
スーパーマーケットは列になっています。
そこに行く人も出かけています。
業務員。
「こんなに列になって、食糧事情も悪いものですね。」
店長。
「よし、私がなんとかしてやる。」
業務員。
「どうやって?本部に頼み込むんですか?」
店長。
「倉庫にあるパイプ椅子を並べてやってくれ。」
「それで改善されるはずだ。」
青年。
「おい、それは毒キノコだぞ。」
若者。
「お前が信用できないので、毒キノコではない。」
婦女。
「他の物を食べなさいよ。」
若者。
「嫌だ、目の前にこんな大きなキノコがある。」
青年。
「だから毒キノコだってば。」
若者。
「俺に他のものを食べろって言うのか?」
紳士。
「都市にある豪邸の裏手には食べられる野草がありますよ。」
若者。
「よし、そこに行こう、裏手で食べさせてもらおう。」
紳士。
「思ったより食料が少ないのか?」
婦女。
「いいえ?」
「手間はかかるけれど、自然界のものなら。」
「かなりの数、採取して食べていますが。」
青年。
「なぜ毒キノコに目を付けたんだ?」
婦人。
「大事なものを無くしてしまいました。」
男児。
「指輪か?金銭か?」
婦人。
「あなたへの情熱です。」
男児。
「ちょうど良かった、俺も結婚して失うものに気づいた頃だった。」
市民。
「あのクソ野郎、友人を拉致して身代金だと!」
役人。
「もう警察に通報したのか?」
市民。
「いいや、あんな金額は支払えないし。」
「そもそも、一週間前にあいつと仲違いしていたんだ。」
「ものすごいクソ野郎だったからな、死ねぇぇぇ。」
詩人。
「今日は良き日だ、すべてが揃っている。」
「友人には贈り物をして。」
「これから彼女と出かける。」
「そして敵対者は今、災厄を受けている。」
「さらには、嫌いな愚か者は病死した。」
「こんな素敵な日はまずない。」
暴漢。
「食らえ、悠太!」
壮夫。
「わはははは!」
暴漢。
「なぜ笑っている?」
壮夫。
「俺は悠太ではないのだ。」
近くの温泉で。
芸能人がロケをしていて。
撮影が終わったとたん。
旅館の玄関前で。
罵詈雑言を受けた。
民衆。
「この運命論野郎が!」
悪漢。
「生存者バイアス野郎が!」
凡人。
「インチキしやがって!」
芸能人。
「なぜなんだ。」
「なぜ私一人のために、こんなにたくさんの人が。」
「反対しているのだろうか。」
撮影班。
「私も分かりません。」
「たった一人の人間の考えや態度が。」
「なぜこんなに大勢の人々に反対されないといけないのか。」
芸能人。
「私が何か世間に失礼なことでもしたのかな?」
撮影班。
「町中の嫌われ者になることなんてしました?」
芸能人。
「どこをどうやったら、世間からこんなに反対されるのでしょうか。」
近くの市役所で事件。
新聞記者が押し寄せる。
ジャーナリスト。
「今回の賄賂は、日本ではあってはならないものです。」
「所で売春宿があるらしいのですが。」
県議会議員。
「売春宿?ここにはそんなものがあるのか?」
今日の新聞。
賄賂で売春宿に!?
賄賂を貰った県議会議員の発言。
ここには売春宿があるのか。
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