死に至る病を患ったのは。

自分が隠し子で。

しかもお父様が。

母上の里帰り中に侵入した。

母上の双子の姉が。

ずっと前からお父様に好意を持っていて。

結婚してから年月が経過したとある日に。

腹いせで変装して自宅に入り。

何日もお父様と一緒にいたせいで。

まんまと欺かれて。

母上の姉が妊娠してしまい。

その事を隠すためにわたしを養子に出したという内容で。

遠回しに伝えてくるとは思いませんでした。

しかもわたしの姉は恋人に夢中で駆け落ちしていたので。

自動的に後継者に指定されて。

あの知名度抜群の「死に至る病」を発症したのです。

いつも傍にいた親切なお姉さんが親戚の女性で。

憧れの女の人が親族な上に。

半分男性の私の性格が好きで寄ってきた友達もいて。

不自由のない近況ですが。

力量不足があって。

女性特有の不足を回復するために。

好きな事をしようと決意しました。

養父は半民半官のエリートですし。

実の両親は戦闘機などの兵器を製造委託される中心人物なのです。

未来は常に動いている気がします。

過ぎたるは猶及ばざるが如し。


1


水辺でいつものように羽衣姿で遊んでいて。

何か大きな魚が通りました。

昔は不思議な出来事が多かったと言いますが。

今はもう起きないと言われています。

その魚は大きくて。

一緒に泳いで遊びまして。

岩に向かって当たっていないのに。

岩が砕けるタックルを魅せられて。

水龍が去っていきました。

萌奈美。
「今日も水遊びですね。」
「これは良い写真を期待できそうです。」

成美。
「撮影はご自由に。」
「女の子の貴重かつ。」
「あっという間に過ぎる青春です。」

萌奈美。
「とてもペシミスティックで。」
「いつもの笑顔がありません。」
「せっかくの美人なのに。」

成美。
「この穢れた肉体。」

萌奈美。
「そう思うのも無理はないです。」

成美。
「絶望的な性への嘔吐。」

萌奈美。
「ちょうど宝箱の鍵が届いたので。」
「知らせに来ました。」

成美。
「鍵って何ですか?」
「あのよくわからない宝箱の鍵?」

萌奈美。
「いらっしゃい。」

家に戻ると。

宝箱が開封されていて。

お姉さんが見せてくれました。

成美。
「この宝石と指輪は何?」
「すごく綺麗。」

萌奈美。
「あなたのお母さんが。」
「海外で仕入れておいた特別なものです。」
「狂気の沙汰とは言え。」
「子供の事は考えていたのです。」

成美。
「自分の行為を狂気のせいにすること自体は。」
「必ずしも嘘とは言えないにしても。」
「弁明の論理自体はなにやら三百代言の屁理屈みたいで。」
「嫌味で不愉快でないこともない。」

萌奈美。
「他には預金や土地の権利までありますよ。」
「遠くへ行ってしまったとは言え。」
「きちんと後始末。」
「善後処置はやってあったのです。」

成美。
「私の胸の底には、見かけを超えたものがある。」

萌奈美。
「これで少女時代を飾るように。」
「という伝言です。」

成美。
「良心と呼ばれているものは、超自我に過ぎない。」
「生きるための衝動を抹殺しようと虎視眈々と狙っている。」
「抑圧に過ぎない。」
「良心は反生命の原理である。」
「自己処罰とはサディストとマゾヒストのようなもので。」
「自らを破滅させる死の本能。」

萌奈美。
「要するに贅沢をしても良いのです。」
「大金ですが考えて使いましょう。」

午後になって。

小桃ちゃんがやってきて。

木の実をくれました。

小桃。
「クイナパラス。」
「食え。」

成美。
「よく食べ物がある場所がわかるものですよ。」

小桃。
「田舎と都会のハイブリット舐めるな。」

成美。
「クルミまで見つけるなんて。」

小桃。
「この後は芋掘る。」
「食べられる野草だらけで。」
「この辺りはお金にもなる。」

天鞠。
「やっほー。」
「クイナパラスは今日も奇麗だね。」

成美。
「天然ロリちゃんやっほー。」

小桃。
「ロリが自然に居るのって新鮮よね。」

成美。
「私服の美少女スカートがもっとも好き。」

小桃。
「フリフリのロリがいちばん好きよ。」

天鞠。
「遠回しにその服装をしてくれと。」
「突きつけているような気がします。」

成美。
「友達を性的に見てはだめですか?」

天鞠。
「私の私服のバリエーションが困るので。」
「たまたま着ていたら写真に撮ってください。」
「いつものように。」

小桃。
「いつも地味な服装なのに?」

天鞠。
「実用性で判断しているので。」
「爪も伸ばしませんよ。」
「ヒールなんて靴モドキを見た時の悪寒を。」
「見たでしょう。」
「服装については目的次第です。」
「どうしてもと言うのなら別ですけれど。」

小桃。
「時代はロリですね。」

成美。
「あれ?私達もロリに入っているのでは?」

天鞠。
「女子中学生もロリだと思いますが?」

小桃。
「ということは色目で見られる?」
「それはゾクゾクする。」

成美。
「見せびらかすような挑発的な服装とか?」

小桃。
「なるみちゃんのえっちー!」

天鞠。
「ロリとか言う和製英語も今ではネタですか。」
「移り変わりは激しいものです。」

木の実を一緒に食べる。

男の子のグループが来て。

一緒に駆け出す二人組。

成美は行きません。

今回のテーマは登山型レースらしくて。

過酷のようです。

成美。
「女性には不足があり、男性は超過がよく見られると思った。」

大翔。
「僕もそう思いますよ。」

成美。
「距離が近いです。」

大翔。
「もっと見ていいですか?」

成美。
「素敵な私を?」
「よくわかっている奴ですね。」
「所で、新技の的になってくれる?」

大翔。
「女の子にやられるなんてたまらん。」

庭に進み。

五メートルくらいの距離から。

自然に体得した。

亜空間タックル。

当たっていないのに当たっていることになる体当たり。

男の子が吹っ飛ばされた。

成美。
「あらら?死んだ?」

大翔。
「おう?素晴らしい一撃だった。」
「こんなもの食らったら。」
「命がいくつあっても足りないぜ。」
「俺はもう帰ることにする。」

成美。
「はい?男の子ってあんなに簡単に吹っ飛ぶの?」

萌奈美。
「あの子はあなたが好きなようね。」

成美。
「好意は受け取りますが、それ以上は受け取りません。」

萌奈美。
「それも理解しているみたいよ。」

成美。
「一個人の人生が望みです。」
「男性は必要ないですから。」

萌奈美。
「相手の子はあなたに関しては利他的のようですが。」

成美。
「花を添えに来たのですね。」
「ううむ、ジェントルマン。」

山岳地帯。

小さな町から離れた場所。

レースを終えて。

食べ物を採取。

小桃。
「前に遭遇したワンバーンさんだあ。」

天鞠。
「飛竜にしては小さいけれど。」
「いろいろ教えてくれる。」

飛竜。
「娘さん、今日は吾輩の雑談に付き合ってくれたまえ。」

カラス。
「ずっと黙っているのは性に合わなくて。」
「我も喋りたい。」

小桃。
「雑談にしては豪華ですね。」

天鞠。
「生命の神秘とか言うのはどうですか?」

飛竜。
「なに?そんなの弁解にしか思えんぞ。」

カラス。
「とにかくそれは説明があるだけでしょう。」

小桃。
「説明だけがある物事って滑稽だなあ。」

天鞠。
「日本書紀では出生という仕組みを無視して誕生している。」
「何も運命らしきものが無いのはそのためで。」
「日本伝統の仕組みは出生が何も決めず。」
「本人がすべてを無視して生まれてくるというスタイル。」
「つまりは生まれる条件や設定は自分で決めても良いだけではなくて。」
「何でも無視して本人が直接生まれてくる。」

飛竜。

「西洋文化が入ってきて不透明になっているな。」

カラス。
「西洋文化が入り込んで。」
「何でも採用した結果でしょう。」
「信じた結果です。」

小桃。
「出生という仕組みが何か決めるからおかしくなる。」
「出生という仕組みが手を出すので。」
「パターナリズム(温情的干渉主義)が発生してしまう。」
「出生が何か決めるのは日本伝統のスタイルとは異なるので。」
「出生という仕組みを無視して踏み倒せば良くて。」
「出生というシステムが何か決めるせいで何もかもおかしくなるので。」
「もし特に悪いものが無い人々を見たら。」
「それもよくありふれた話ですが。」
「生まれの仕組みをスルーして直接生まれたので。」
「何も決められなかったので悪いものを受けなかった。」
「そして悪いものを食らった人は出生という仕組みが手を出して。」
「パターナリズム(温情的干渉主義)を受けてしまっている。」

飛竜。
「所で何でそんな倫理的なものを決めるとかいう発想があるのか?」
「決める時点で本人を同意したことにしているとか?」

カラス。
「良し!そこから話題を始めよう!」

小桃。
「日本書紀と古事記では生まれ方を決める記述が無く。」
「そんな仕組みすら無いという書かれ方をしているので。」
「日本伝統の仕組みは出生が何か決める事は想定していないし。」
「出生が何か手を出すことは許していない。」
「直接生まれている表記のため。」
「日本における生まれは本人の直接的なもので。」
「直接的に生まれて主意的に行動する記述が裏にある。」
「すべて直接的な生まれのために。」
「全体の流れが主意的で。」
「何かが決めて生まれるという記述は否定されています。」

天鞠。
「限定的に霊妙な子を産もうと試みて成功している記述があり。」
「生まれは本当の所はコントロールできること。」
「親が操作しようとすればどんな子が生まれるか限定できること。」
「生まれが悪くても主体性や主意的な部分は不可侵であり。」
「限定的に生まれる子を指定できるという記述もあります。」
「この考察から。」
「出生というシステムが決めて生まれるという考えは否定されているという裏の表記です。」
「人の生まれは日本では本人による直接的なものです。」

飛竜。
「しかしそれでは説明だけになってしまうぞ。」

カラス。
「どちら側も説明だけがあって解決策は無いですな。」

小桃。
「問題提起に論証で説明できても。」
「実行力がないと無理です。」

カラス。
「つまりは我も人の様子が変だと思う。」

飛竜。
「異変というものは単独ではないぞ。」
「事前にある集合体から。」
「続々と出現してくるものだ。」
「組織の腐敗も事前に何でも腐敗しているから。」
「出た瞬間は手遅れでしたな。」

天鞠。
「巻き込まれないようにするか。」
「罠を作って免れるか。」

飛竜。
「というよりは誰でも外界の影響は受けるのだし。」
「理論上は正しいが、実際には役に立たない。」
「しかしここら辺が論理の限界だと思うぞ。」

天鞠。
「論理も結局は唯物論みたいな変更は可能ではないね。」

カラス。
「要するに、その論理に限界があったと。」
「わざわざ言いに来た。」

飛竜。
「吾輩も論理が信用できなくなって。」
「わざわざ指摘しに来た。」

小桃。
「うーん、本当に一理ありますね。」
「論理の限界ですか。」

天鞠。
「これは飛んできた甲斐がありますよ。」

カラス。
「褒められた、嬉しい。」

飛竜。
「吾輩も、新聞みたいに飛べて良かったな。」
「それでは長居はせんぞ。」

飛び去る。

天鞠。
「山道に慣れると移動が簡単だね。」
「人生だけは山道であって欲しくはないよ。」

小桃。
「もっとも良い道とはヨーロッパのような平原を。」
「ひたすら進むような道のことです。」
「起伏が多いと人生に疲れるだけです。」
「一度でも平原に出れば。」
「そこに道はありませんが。」
「自分から道を作って平原を進むことができますし。」
「コンパスと地図を得れば好きなように進めます。」
「道順に行くと関所や壁があるのが必然で。」
「道なりに進むのが正解とはならないので。」
「良い道とはヨーロッパのような大平原を進む。」
「オープンワールドゲームのような旅路です。」

日が暮れます。

平穏に過ぎました。

山間の小都市も。

移り変わりの中にいます。

萌奈美。
「テレビを見るなんて珍しい。」

成美。
「正しい対正しいを見たい。」

萌奈美。
「両方が正しいのなら。」
「競り合いで勝ったほうが正しい事になりますね。」

成美。
「正しい対正しいの構図に素早く持ち込めば。」
「相手の言い分を無視できるそうです。」

萌奈美。
「現実主義の争いなんて両方が正しいと主張しますよ。」
「その中で勝たなくてはなりません。」

成美。
「原因論。」
「要するに因果関係で論ずる者は。」
「原因を抑えれば結果が生じないと信じているので。」
「道徳を説いて原因を抑えようとしてくる。」
「これを逆手に取って結果だけを生じさせると。」
「応酬思想の輩は取り乱す。」

萌奈美。
「人の神学はヨブと同じで。」
「応酬思想は回避しなさいという教訓。」
「信仰における因果関係の否定。」

成美。
「ヨブ記ヘブライ語原典訳では。」
「義人の苦難が主題ではあるものの。」
「義人にならなくて良いので。」
「無理に聖者になろうとする者への戒めとも解釈できます。」
「正義マンとかは義人になろうとする試みで。」
「続行すると苦難が待ち伏せしています。」
「真面目ちゃんは正義と聞くと飛びつきますが。」
「義人や聖者になる必要はないのです。」

萌奈美。
「ヨブ記には信仰の警告が多いですね。」

成美。
「創世記の洪水はヘブライ語原典訳にて。」
「大雨による浸水であると語られています。」
「山脈も浸かるほどの大水害。」
「ということは当時の領域は絶滅し。」
「大雨の直撃で滅んだのですが。」
「ギリシャやインド辺りまでは水害が届いていなかった説があります。」

萌奈美。
「原典は視点が少し違いますよ。」

成美。
「ピンポイントで大雨による大水害で。」
「あっけなく絶滅するほど脆かった?」
「思ったより領域の人数が少なくて。」
「広範囲の洪水で済んでおり。」
「地球を覆うほどの洪水ではなかった説があります。」
「ヘブライ語原典では大雨とありますから。」
「水害による滅ぼし方はゼウスと似ています。」
「人間はその程度で滅ぶという暗示でしょうか。」
「創世記も他の宗教と同じく神話であり。」
「かつての出来事であったけれど。」
「聖典としか記録が残っていないよ。」
「神話である以上は人間の歴史とは異なるよ。」
「という解釈で良好かもしれません。」
「意外にも他の宗教と共存できる。」

萌奈美。
「多様性を主張したのはキリスト教の一派ですし。」
「多様性は人を喜ばせますね。」

成美。
「ヘブライ語原典訳の出エジプト記では。」
「魔術師は災害を起こす事は可能で。」
「王家に召し抱えられていました。」
「魔法は使えましたが。」
「それでも限界があって。」
「魔法以上の技は。」
「あれは神の指です。」
「と言っています。」
「魔法以上の力を具体的に担う者。」
「という意味。」

萌奈美。
「まったくの作り話が公になる訳が無いのですから。」
「魔法も昔は普遍的にあったのですよ。」

成美。
「今は運河ですが、あそこは干潮の時刻では歩いて渡れましたが。」
「満潮の時刻ですとかなりの水深になります。」

「モーセは営を張るという啓示通りに行い渡航しましたね。」
「これはゲーテとの対話で。」
「エッカーマンが書き残した資料から復元しました。」

萌奈美。
「実話しか歴史に残らないと思います。」
「自分達の名誉に関わることですし。」

成美。
「書籍を集めた方が楽しいものです。」
「全員が自分が正しいと主張する。」
「テレビの世界は見ていて疲れます。」


萌奈美。
「テレビを見ての通り。」
「今は正しいVS正しいの戦いが展開されて。」
「公に出ると酷い目に遭いますよ。」
「育ちの良い人と同じく。」
「半分田舎で半分都会の場所で大人を目指しましょう。」

成美。
「そうします、」
「広場の暗黒盆踊りを見てきます。」

広場。

小さなお祭りの端っこ。

イベント実施中。

暗黒盆踊り。

愚か者の演技をしてジークンドーの技を繰り出す。

踊りながらパンチするなど。

相手が攻め辛い攻防にする戦術。

構えを頻繁に切り替えているだけなので。

踊っているように見える。

このプレイヤーからメダルを奪えば勝利で。

一騎討ちのゲーム。

格闘家は対戦相手に軽装鎧を着せてくれます。

グローブをつけても吹っ飛ばされるようで。

青年はけっこうやられています。

成美。
「次は私がやります。」

プレイヤー。
「おっと?女の子が相手なら手加減するぜ?」
「綺麗な顔には当てない。」

成美。
「行きますよ。」

亜空間タックル。

触れてもいない選手が吹っ飛ばされた。

見た目では確実に攻撃の範囲外。

ハンデで貰った木の棒で攻撃。

ダイナミック田植え。

木の棒をジャンプしながら叩きつける。

プレイヤーは避ける。

しかし亜空間タックルを警戒。

観客。
「なんか選手が一方的に押されとる。」

観衆。
「女の子にやられる格闘家?」

成美。
「もう一撃!」

プレイヤー。
「待ってくれ!さっきのは何だ?」
「ドローゲームでいいよね?いいよね?」

成美。
「攻めきれないので引き分けです。」

観客。
「おお!女の子が格闘家と引き分けだ!」

青年。
「次は俺がやるぜ。」

盛り上がる会場を後にします。

帰宅。

のんびり。

星空を見ながら。

時間が過ぎて。

深夜。

寝る間際に書き残す。

ああ、意味と無意味が入り交ざっている。

狂気にも理性があるのだ。


2


頭が二つある野生のブタがいると話題になっていて。

いつも遊びに来る水辺の近くに。

そのブタが出没するのです。

トラバサミを仕掛けた猟師がいて。

異常ブタを捕えようと探し回っていました。

成美。
「野生化したブタは。」
「元の姿に戻ってしまう。」
「家畜化したブタは牙などを持たないけれど。」
「野生化したブタはイノシシみたいな凶暴な一面が出る。」

天鞠。
「一応、短刀は持っているけれど。」
「武器規制の緩くなった今なら倒せる?」

小桃。
「どうせ鉄砲の餌食だから。」
「出番はないよ。」

成美。
「興味深い猛獣ですよ。」
「すぐに仕留められるでしょうけれど。」
「異常個体がすぐ死ぬのはあっけない。」

天鞠。
「この水辺は気持ちいいですね。」
「水着ではなくて羽衣で入ると癒されます。」

小桃。
「冷たくて心地よい。」
「これを続けるなんて爽快。」
「自然に覚えるとは並外れていますなあ。」

成美。
「なんとなく思いついたんです。」
「濡れてしまいますが。」
「耐水性のある素材なので。」
「撮影したら天女の遊びのようで。」
「自分でも美しいと思います。」

天鞠。
「この遊びは男子禁制の場ですねぇ。」

小桃。
「この辺りに男の子は来ないから。」
「見られたら見られたで恥ずかしい。」
「誰もいない河川という最高の状況。」

成美。
「水浴びに近い遊びですし。」
「半分はお風呂ですからね。」
「いつも存分に堪能しています。」

川から上がる。

濡れた下着と羽衣を着替えるべく。

茂みに入って。

人が来ないか監視する。

しばらくして簡単な着物姿になって戻る。

イノシシはトラップに引っかかっていて。

帰りにそれを見ました。

猟師が異常個体を倒したニュースが号外で。

次の日に。

今度はお昼寝に秘密の河川に来ましたが。

何か気配がしました。

ウトウト眠って。

帰り側に。

箱を見つけて。

討伐の時の忘れ物のようで。

短刀で試し切りを繰り返しました。

所々の木々は伐採。

なるほど切れ味は最高です。

調子に乗って切り刻んでいましたら。

何かに命中して。

謎。
「ギャアアア!」

成美。
「え?ブタ?」

異常個体は一匹ではなくて。

他に二匹もいたんですね。

いつの間にかその一匹は死んでいました。

もう一匹が追跡してきますよ。

サイドステップで素早く立ち回ります。

突進を横に避けると同時に。

突き刺して。

あっという間に倒しました。

成美。
「あれ?私は思ったより戦える?」

飛竜。
「おお!倒したか!援護に来たがお節介だったな。」

カラス。
「うちらの庭を荒らしている敵対者だったんす。」

成美。
「異常個体でしたが無事に殺せました。」

飛竜。
「これは猟師に拾わせよう。」

カラス。
「我が呼んでくるっす。」

成美。
「私って何でこんなに戦えるんですか?」

飛竜。
「自然に戦えるようになる場合もあるものだよ。」
「人間は原因と結果に拘泥するが。」
「実戦経験の方が大事だと思うよ。」

成美。
「思わぬセンスに気づきました。」

飛竜。
「では、吾輩は立ち去るとしよう。」

カラス。
「また野生のブタを見かけたら倒すっす。」
「野生のブタは最近よく出てくる荒らしの定番っす。」

成美。
「戦闘時に冷静だった?」
「歴史書を読んでいたから。」
「精神の訓練が完成されていた?」

帰宅します。

返り血を清掃。

すぐ発見される。

萌奈美。
「何か倒しました?」
「短刀を持っていますが?」

成美。
「野生のブタを倒したんです。」
「短刀は戻し忘れました。」

萌奈美。
「ナチュラリズム(自然主義)を倒したんですね。」
「自然主義はとにかく。」
「倫理的世界観の信頼を損ないますから。」
「素晴らしい快挙です。」

成美。
「猛獣と戦うのと人と戦うのは違うんですか?」

萌奈美。
「ローマの剣闘士みたいなものです。」
「どちらも重要なのです。」
「最終的に倒せれば何でも良いのですよ。」

成美。
「私にはみんなが必要です。」

萌奈美。
「みんな?自分はどうなんですか?」

成美。
「ひとりで戦うのは疲れます。」

萌奈美。
「敵も同じ条件である場合もあります。」
「敵も無自覚で陥る場合もあるものです。」

成美。
「現代人は戦いを忘れました。」
「でも私は戦いを理解するようになりました。」
「英語のことわざ。」
「ためらう者は失敗する。」

萌奈美。
「勇敢な女の子で健全ですよ。」

成美。
「勇敢な女の子が蓋然性において真だと思います。」
「すごく優しい臆病者なんてうんざりです。」
「あの女性達は慈善家ですよ。」

萌奈美。
「事・理もとより二つならず。」
「外相もし背かざれば。」
「内証必ず熟す。」

成美。
「それは読んだことがあります。」

萌奈美。
「理とは目に見えぬ内証のことです。」
「事は現象、つまり目に見える外相です。」
「この内部と外部は別個のものではありません。」
「有名な言葉ですよ。」

成美。
「やっぱり精神の訓練は成熟しているんですね。」

萌奈美。
「太極拳とか称して教えたあの技は。」
「ロシアのシステマなんですよ。」
「民間では護身術の一種として伝えられているものです。」

成美。
「えー?太極拳じゃなかったんですか?」

萌奈美。
「実戦を経験しないとネタバレは危険かと思いまして。」

成美。
「力の制御は難しそうです。」

萌奈美。
「焦らなくても。」
「市販されている人生はいつでも買えます。」
「自分の着地地点の相場は安いので。」
「どうぞ自画自賛の人生物語をセール品で売りつけられないように。」
「傑作品を買い求めてください。」

成美。
「なんという嘲笑。」
「競歩で行こうかと思いましたが。」
「私はとある地点までは確実に行こうと決意しました。」

萌奈美。
「ゆっくり着実にやれば必ず競争に勝つ。」

休息。

友達が来訪。

小さな都市では噂が素早く伝わる。

小桃。
「その牙は?ぎ取った奴?」

成美。
「怪獣をぶっ殺しました。」

天鞠。
「クイナパラス。」
「武勇伝聞かせて。」

小桃。
「もはや勇者だあ。」

成美。
「思ったよりうまく行ったのです。」

天鞠。
「モンスター討伐とかやりますね。」

小桃。
「猟師が短刀で倒した形跡があるって。」
「牙が抜き取られているから。」
「野生動物が倒してないとか。」

成美。
「話題の異常個体は私が討ち取りました。」

天鞠。
「あの周辺に出歩いているのはクイナパラスだけ。」
「やっぱりそうだったんだ。」

小桃。
「これこそ昔の典型。」
「武士道の女性。」

成美。
「遅くても確実ならレースに勝つ。」

論語。

徳ある者は必らず言あり。

言ある者は。

必らずしも徳あらず。

仁者は必らず勇あり。

勇者は必らずしも仁あらず。


3


女の子三人組で散歩。

河原に差し掛かって。

山道に落ちている石を手に取って。

成美。
「堅くて白い石は、目で見ると白いことはわかるが。」
「堅さはわからない。」
「手で触ると堅いことはわかるが。」
「色はわからない。」
「だから堅い石と白い石とは異なるもので。」
「同一のものではない。」

小桃。
「伝統の詭弁じゃん。」

天鞠。
「実際に議論に参加するとものすごい難しいよ。」

成美。
「詭弁で遊んで論理力を磨く。」

天鞠。
「自学自習。」
「先生なしに独学で優秀。」

成美。
「博聞強記。」
「記憶している記述は多くありませんが。」
「必要な所だけは暗記しています。」

天鞠。
「なるほど、必要な学習は徹底すべきですね。」

成美。
「河原で走れるんですか!?」

天鞠。
「天資英明の疑似再現なら。」
「誰でも出来ますよ。」
「下手に真似したら時間を浪費します。」

小桃。
「一瞬で石と次の石の角度と。」
「自分の跳躍と反動を計算して。」
「先読みしながら走っていく特技。」
「速いわ。」

成美。
「あれ小さく飛んでいるんですね。」

天鞠。
「超低空ジャンプを繰り返すと。」
「凄まじい速度でスプリント移動が可能だし。」
「歩行に取り入れると。」
「お嬢様の身のこなしを凌駕する敏捷性が得られるよ。」
「体力の消耗は多くなるけれど。」

小桃。
「体重移動とジャンプと摺足移動を使うんだって。」
「あんなに遠くに行っちゃった。」

成美。
「知行合一ですよ。」
「知識と行為は一体のもの。」
「知識は実践に裏付けられなければならない。」
「まさに本物ですよ。」

いつもの山道。

頂上は公園になっています。

景色を見て。

野草を採取。

食べられなくなった野菜を置いて帰ります。

毎回は置きませんが。

この野菜は後から鳥が食べに来るのです。

既にカワラバトが飛来していますね。

天鞠。
「人間社会は自然主義とは言えませんね。」

小桃。
「弱い者にとっては何の慰めにもならない。」

天鞠。
「男の子を吹っ飛ばしたそうですけれど。」
「どうでしたか?」

成美。
「鎧袖一触の通り。」
「簡単に相手を打ち負かすことができる。」
「ちょっと触れただけですぐに相手を倒せる。」
「でもこれって私が弱いもの虐めしているだけです。」

天鞠。
「男の子が強いとは限らない。」

小桃。
「力の優劣が逆転すると男の子が虐められるのね。」

成美。
「喧嘩が強いと主張するのは暴漢であるとの自白。」
「喧嘩と殺し合いは違います。」

小桃。
「駄目ですよ、男の子を虐待しては。」

天鞠。
「男女の力関係の逆転って退屈なものですね。」

下山。

二十分くらいの出来事。

食器工場を見学。

お手製の高級食器が並んでいます。

小桃。
「今日は食器作りをするので。」
「良かったら見て行って。」

成美。
「君子不器。」
「優れた人物は一つの分野の才能に優れているだけではなく。」
「どんなことにも通用する才能を持つ。」
「論語・為政。」
「いろんな分野が得意なのは便利。」

天鞠。
「そうだよね。」
「私の家は役人一家だから。」
「工芸品作りは習得したい。」

小桃。
「お手伝いに入れば教えてくれると思うわ。」

見学。

二人組になって。

成美。
「知者不言という四字熟語がありまして。」
「物事の道理をわきまえる知識人は。」
「軽々しく口にはしません。」

天鞠。
「真正面から相手を攻撃する側面攻撃。」
「正面から問題や困難に立ち向かわず。」
「別な方向から攻めたり。」
「解決策を考えること。」
「つまりは前から攻めても無理なら。」
「回り込む。」

成美。
「社会見学をしましょう。」

天鞠。
「私も社会人を見る。」

市街地に入って。

小さな商店街に突撃。

成美。
「訥言敏行。」

天鞠。
「人格者は口が重くても。」
「行動は迅速であるべき。」
「人格者ならばの話ですが。」

成美。
「逆に人生で要らない物はどうする?」

天鞠。
「有害無益。」
「要らないと本人に言われたら。」
「それはもう既に無意味です。」

成美。
「まったくその通り。」
「無意味になった事態は説明を繰り返す。」
「あるいは説得を繰り返す。」

天鞠。
「頂門の一針。」
「行為の説明だけなら無限に続けられます。」
「説明だけして何もしないのです。」
「説得や説明をすれば解決すると思っているので。」
「具体的な行為はありません。」

成美。
「それって社会を見渡せばよくあることですね。」
「早熟なのかな。」

天鞠。
「説得しても解決しませんし。」
「自分も説明だけ繰り返したら。」
「既に破滅していますよ。」

成美。
「私もそう思います。」

社会見学して。

メール確認。

お姉さんが地方大学から帰宅。

萌奈美。
「言い忘れましたが。」
「あなたのお母さんは。」
「一方的な交わりでは無かったようです。」
「なんか少女とは思えなくて言ってしまいました。」

成美。
「同意なんですか?」
「襲ったんですか?」

萌奈美。
「あなたのお母さんはお父さんの元カノで。」
「後から妹さんと結婚しています。」
「一度は恋人だったのですよ。」

成美。
「凍解氷釈。」
「疑問など、氷が解けてなくなるように。」
「消えていく。」
「お母さんはお父さんの元カノだったんですか!」
「姉妹で惚れられて。」
「なんという色男。」

萌奈美。
「複雑な関係ですし。」
「よく間違える事件があったのですが。」
「元々は恋仲でして。」
「勘違いの連続を利用されたんですね。」

成美。
「それでお母さんは追放されて。」
「四国に飛ばされたんですね。」
「なんでそんなことしちゃったんだろう?」

萌奈美。
「まんまと欺かれて。」
「嫌がらせを仕掛けたら深入りしたのですよ。」
「もう話しても平気そうですね。」

成美。
「お母さんの悪ふざけは理解できました。」
「それで妹さんと仲違いしたんですね。」

萌奈美。
「当初は全員から大笑いされて。」
「子供をどちらで育てようと全員で考えたくらいです。」
「今でも冗談の標的になっていますよ。」

成美。
「過激な悪戯として扱われたんですね。」
「イタズラで生まれた私ってなによ!」

萌奈美。
「それがかえって面白い生まれであると。」
「話題になっていましたよ。」
「家にあるものの大半は贈物ですし。」

成美。
「それでは不当な好運を思いのままにするようなものです。」
「昔から高級品が転がっていると思っていましたが。」
「私の事は考え抜いてあるんですね。」

萌奈美。
「進路も好きにできますよ。」
「女の子に関わる全部は手に入ります。」
「最大まで手は打ってあるんです。」

成美。
「謎めいた私の経歴ですが。」
「結果的に良い方に転んだんですね。」

萌奈美。
「不幸ではなくて道化芝居に参加させられたんです。」

成美。
「なんか笑えてきました。」
「複雑な心境ですが。」
「死に至る病は治りませんし。」
「大人になったらお母さん姉妹で温泉行きたいです。」

萌奈美。
「私も協力しますよ。」

夕飯が完成。

休息。

自分の部屋に入ると。

いつの間にか届いた。

女の子が好きな女性アイドルからの手紙の返事を。

眠たいからと明かりをつけずに書き込んで。

送ってしまいまして。

内容がよくわからないと返事が来ましたので。

それは比喩ですから。

好きに読み取ってくださいと。

これまた暗い部屋で書き込んでしまって。

返事が来たダンボールの中には。

コスプレ衣装が入っていたのです。

「アナタはとっても恥ずかしがり屋さん」だと書いてありました。

多分、再会したら襲われるでしょう。

大人の女性に抱きしめられるのは悪くありませんが。

今は過激な悪戯の件と過激な手紙の件で目が回っています。


4


いつものように男の子グループがやって来て。

男性みたいな女の子なので。

男の子から一目置かれる女の子一同。

またもや残った男の子が接近して来まして。

成実。
「駄菓子屋さんに行くらしいのですが。」
「あなたも行かないんですね。」

大翔。
「実は好きな女の子が出来まして。」
「相談に来たのです。」

成実。
「ほう?その好きな女の子とは?」

大翔。
「なんだか美形で、聡明で、強くて。」
「協力してくれて、他の女の子とはいろいろ違うのです。」

成実。
「無事に告白できたらいいですね。」

大翔。
「一緒に映画とか観たり。」
「手を繋いだり。」
「大切にしたい。」

成実。
「私も小桃ちゃんという女の子が好きで。」
「面と向かって言えないのですが。」
「あの人も私の事が好きで。」
「手を繋いだり。」
「一緒に二人きりの時間を過ごしたいものです。」

大翔。
「女の子が好きなんですか?」
「小桃ちゃんと言えば男子を統率するような大物です。」
「とても勝てはしません。」

成実。
「いつか告白できたらいいなあ。」
「その時は男子禁制の場ですよ。」

大翔。
「僕も同じように。」
「女の子と一緒に何かしたかったものです。」
「でも想いが通じる気がしません。」
「残念です。」

成実。
「恋に慣れておけば大人になって失敗は減りますよ。」
「相手が誰だか知りませんが。」
「女の子ならたくさんいますし。」

大翔。
「失恋したような気持ちです。」
「でも、恋なんて相手を間違えるのが当たり前だったんですね。」
「女の子は男の子が現れたらすぐに同意すると思い込んでいました。」

成実。
「男性と女性が一緒になるという考え方は。」
「決定論になっていて。」
「別に理性や意思で回避できるという話は有名です。」
「自然主義者みたいに男女がひとつという考え方には賛同しませんし。」

大翔。
「相手の女の子が手強いとわかりましたので。」
「これまでかな。」

成実。
「恋に価値が無いと見なしたり。」
「恋に意味が無いと考えると。」
「失恋が前提にありますから。」
「先天的要素は後天的要素まで考慮に入るべきです。」

男の子は逃げ出した。

小桃ちゃんが陰にいまして。

隠れていたのです。

小桃。
「そんな!両想いだったなんて!」

成実。
「現場を切り抜ける奇計とは言え。」
「否定はしませんよ。」

小桃。
「私は男の子より女の子が好きなの。」
「そして恋人ができた。」

成実。
「そう解釈しても構いませんけれど。」

小桃。
「好きです。」

成実。
「その好意は受け取ります。」

抱きしめられる。

ほっぺにキスされました。

小桃。
「好きな女の子に好きな事するの気持ちいい。」

成実。
「一緒にコスプレ楽しみませんか?」

小桃。
「もちろん!また下着が見れてしまう・・・・。」
「はあはあ・・・。」

奥の部屋で撮影会。

激しく。

くっついてくるので。

設置型撮影機は熱烈なフィルムを記録。

時間を見計らって。

夕方になる前に終了。

成実。
「私も男の子への興味より。」
「女の子への興味のほうが大きいです。」

小桃。
「趣味は同じね。」
「浮気は駄目よ?」

成実。
「こうやって交流できる女の子は。」
「小桃ちゃんだけですし。」
「無条件で好意を衝突させてくる。」
「女の子も小桃ちゃんだけですから。」
「利害を無視している所も魅力です。」

小桃。
「無条件で好意を?」
「そうよ、一方通行な関係ではないから。」
「大人になったら結婚してね。」

成実。
「大人になってからもう一度行ってくださいね。」
「でもそんなこと言われると嬉しい。」

小桃。
「ずっと好きだからね。」

小桃ちゃんが帰路に。

お姉さんが。

入れ違いで帰宅。

家事を開始。

両親は夜が遅くなりがちです。

それまではお姉さんの当番。

成実。
「なぜ都市部に行かないんですか?」

萌奈美。
「女性のありとあらゆるものを捨ててきました。」
「私は両親に連れられて。」
「この世のあらゆるものをたくさん見せられました。」
「最初は華やかで豪華絢爛に見えましたが。」
「だんだんと飽きてきたのです。」
「それでこの地域に移住することになって。」
「私の教育に悪いからと。」
「都会を離れたんです。」
「ハイテク工業の本社には車で通える距離ですし。」
「私はおおよそ女性のすべてと言えるものを手放して。」
「一個人の人生を求めているのです。」

成実。
「確かに舞台に上がっても。」
「社会の一部に過ぎませんし。」
「この世界の装飾に使われるだけで。」
「結果が見えていますしね。」

萌奈美。
「舞台に上がっても上がらなくても。」
「結果は同じです。」
「ならばそれ以外の選択肢もあるのではと。」

成実。
「同感です、非凡な老人が集会を開いていて。」
「出席した事がありますが。」
「自分達はどうかしていたと失敗談を語っていました。」
「それで私が助言を求めると。」
「なんでも聞かせてくれました。」

萌奈美。
「英語のことわざ通り。」
「良い忠告が欲しければ老人に相談せよ。」

成実。
「他人の利害関係の無い老人は良い忠告をくれました。」

萌奈美。
「あなたも以前よりは賢明になりましたね。」

成実。
「後から知ったのでは遅いのですから。」
「アリストテレス弁論術の青年の性格を理解したのですし。」
「世間の事となると。」
「テレビの出演でも。」
「注目が集まる反面、本人は生活の糧に強いられています。」
「憧れる程度にしていますし。」

萌奈美。
「評価が集まっても社会の一部分としての役割に過ぎないのです。」
「いくら優秀であると評価されたとしても。」
「社会から見れば一部分の頑張り屋さん。」

成実。
「すると社会という視点で考えるほど。」
「舞台を避けたほうが損得勘定では有利かも。」

萌奈美。
「共同体の不足を補う戦術の方が遥かに大局への影響が大きいのです。」
「不足は常にあるのですし。」
「役者が出てからでは大抵は遅いもの。」
「不足を補充するのは共同体の利益に直結します。」
「しかし賛美はされないでしょう。」

成実。
「それは私も体験しました。」

萌奈美。
「すべて知った上でここにいるのです。」
「誰も文句は言えませんよ。」

成実。
「私は納得が行く結末が欲しいだけです。」

天鞠ちゃんが来て。

野菜と果物をくれました。

大量に余ったので。

さっきから配っているとか。

成実。
「大収穫ですね。」

天鞠。
「農地を広げ過ぎたせいです。」

成実。
「それだけ有能ですと。」
「スカウトでも来たりして。」

天鞠。
「実際に何度か来ましたよ。」

成実。
「てまりちゃんなら当たり前ですね。」
「遠くへ行ってしまうのかなあ。」

天鞠。
「大手アイドルグループと言えども。」
「私の代わりなんていくらでもいますし。」
「私を本当に必要としているのはあそこではないのですし。」
「私が必要なのはあそこではないのです。」

成実。
「それは厳しい切り捨て。」

天鞠。
「人気者や有名人などの構造を解体すれば。」
「脚光を浴びているかもしれない。」
「本人の人間性が賞賛されているのかな。」
「本人の立場が賞賛されているのかな。」
「どちらなのかわからないよ。」
「人々が何を褒めているのかわからない。」
「人気者や有名人と出て人々が何を褒めているのかな。」
「調べるほどあんまり気分の悪くなる推理はめったにないね。」

成実。
「アイドルというヒロイズムは見ている立場では良いもの。」
「でも本物の英雄の称え方とは違うし。」
「本物の英雄を見てからアイドルを再捕捉したほうが良いと思います。」

天鞠。
「そう、それ、本物の英雄を知らないから。」
「功績も手柄も無い人物を賛美する。」
「戦いの場にも出ないで名誉はありえない。」
「本物は勝負したら連戦連勝なのですから。」
「勝負もしない有名人はナンセンス。」

成実。
「歴史を読むと度々、故意にやった快挙というものが多くなく。」
「偶然か偶然の勝利によるものが多く。」
「その時点では多くの要素が決まっておらず。」
「戦争ですら最初はどう転ぶかは予測できなかったけれど。」
「結果論でそうなったという記述が少なくなく。」
「異論なしに歴史に埋もれた人物も多い。」
「私達からは偶然の結果に見えるけれど。」
「そう見た方が都合が良いと思います。」

天鞠。
「人為的に社会を操作しようと試みる方が悪い。」
「私は経験論を習いましたが。」
「今あるもので何とかする教えは役に立ちます。」
「英語のことわざ。」
「人はみな世論の奴隷。」

成実。
「自分に命令するのは自分です。」
「徳の種を蒔く者は名声の収穫を得る。」

天鞠。
「それですよ。」
「もっとも。」
「徳の報いはそれ自らにある。」

成実。
「徳を施すこと自体が喜びであり、物質的報酬を。」
「期待してはならない。」

天鞠。
「英語のことわざ通り。」
「興味のある対象が他の人々と違うだけですよ。」
「好きなように振舞うのもひとつの生涯かと。」

成実。
「そうなると無策で突進する人々が愚かに見えました。」
「僥倖として仕事をいつの間にか貰っているのが。」
「英雄や人気者なんでしょうね。」
「人為的に社会的成功を目指すなんてものは無謀この上ないです。」

天鞠。
「社会的強者や著名人とか人気者は。」
「本人にとってはいつの間にか入り込めてしまえるもので。」
「自然な流れで入れないのなら。」
「別の方向に価値を見出すのが賢明だと思いますね。」
「人が集まっているからという理由で。」
「舞台の上に行こうとするなんて。」
「強者なんていくらでもいるのですし。」
「競り負けて追い返されるのがオチです。」

成実。
「そうなると私も勝って当たり前の実力を。」
「つけなくてはなりません。」
「思慮分別が勇気の大部分。」

天鞠。
「私は黄金の中庸が金塊に勝るもので。」
「膨大な利得を生むと知っていますし。」
「代わりがいくらでもいるのならば。」
「アイドルグループに入ったとしても。」
「その後はどうするのでしょうね。」
「後々の事を考えないのは凡人の特徴ですが。」

成実。
「知っているから誘いを蹴ったのですね。」
「多くの人は知らないから誘いを受けるという意味でしょうか。」

天鞠。
「定員が埋まっている場所にわざわざ行きますかい。」
「こんなの簡単な推理ですよ。」
「という訳で。」
「シェイクスピア曰く。」
「簡潔が知恵の精髄。」

華麗なステップで去っていきます。

調理中だったので。

これらを加えることに。

萌奈美。
「他の女の子とは桁違いなのね。」

成実。
「読んでいるものが違うんですよ。」
「四書五経。」
「大学・中庸・論語・孟子。」
「もうひとつの分類は。」
「易経・書経・詩経・礼記・春秋。」
「経験論を活用して。」
「別物になっているのです。」

萌奈美。
「そんな教科書を読んでいれば。」
「並外れているのも当然ですね。」
「江戸時代の寺子屋で教科書として使われた古典が。」
「そのまま実践に役に立っている。」
「活動を限定しているようで。」
「それが価値判断の違いを生んだのですね。」

成実。
「何かで勝負すると互角なんですよ。」
「他の子は一方的に負けてしまい。」
「大人になれば。」
「一騎当千でしょうし。」
「私も影響されて練度が上がっています。」

萌奈美。
「友達以前に同類なんですね。」
「献立を追加しました。」
「私の味は家庭料理ではないので。」
「豪華にしますよ。」

成実。
「久しぶりの宴会かもしれません。」

調理完了。

両親が帰宅。

夕食を遅らせているので。

ぴったりな時刻に同期するのですね。

お姉さんは私の面倒を見てくれて。

夕食後には帰っていきます。

早朝は大学へ。

私の家に来るのは決まって。

学校からの帰宅後です。

わたしは実の両親を離れて養女なのですが。

第二の両親は双方の不妊で子供を諦めていたので。

私が来た時には大喜びしてくれて。

そこら辺の子よりも大事に育ててくれています。

権力や力で物事を教えず。

徳を持って育ててくれるので。

異論はありません。

最近は多分、実のお父様の娘。

私の腹違いのお姉さんの恋人だと思いますが。

手紙で。

「そんな所で才能を腐らせても良いのか?」

なんて煽ってきます。

「海外で暮らしましょうよ!」

なんて腹違いの姉からも煽ってきます。

何を狙っているのかわからないので。

いつもこう返しています。

英語のことわざ。

口では立派なことをいえ、心では何を考えてもよいから。


5


母親からの文通。

毎回、丁寧に送ってきて。

成実もデコレーションしたり。

ラテン語で返したり。

実の父親からの手紙もほぼ同時期にあります。

必ず返事にはこう書いている成実。

「奇妙な経歴が生んだ変則的な能力と知性はどちらの遺伝ですか?」

優生学からして最高の条件を持っているので。

似たような質問をよくするのです。

そして末尾には。

「出自に関するものを除く、すべてを手に入れました。」

と書くのが文通の定番です。

成実。
「すべての人はもっぱら死から逃れようと望んでいる。」
「しかし、彼らはどうすれば生から自由になるかを知らない。」

萌奈美。
「数個を除いて手に入れたものを活用しては?」

成実。
「活用できなければ。」
「僥倖ではなくて不当な好運になりますよ。」

萌奈美。
「きっと詩的な生活が待っていると思います。」

成実。
「詩人の目は、精妙な狂熱のうちにめぐって。」
「天上から地上へ。」
「地上から天上へと視線を走らせ。」
「想像力が、世に知られざる物の姿を。」
「生み出してゆくにつれ。」
「詩人のペンはこれら非有の存在に形を授け。」
「空なる無に確かな居場所と名前とを与えるのだ。」

萌奈美。
「しかし正気の詩人というものは良くないでしょう。」
「正気の物語なんて誰も読まないのです。」

成実。
「しかしあの世界三大叙事詩を読んでしまうと。」
「どうしても影響されてしまうのです。」

萌奈美。
「背伸びしてでも参加できるようにしてくれたのです。」

成実。
「しかし私はオデュッセウスではありません。」
「ギリシア文学を読んだら詩人の一面が出ました。」

萌奈美。
「世界文学の訳本は書店で売っていますからね。」
「それと比べられる現代文学という人々の。」
「嘆きを知っておいてください。」

成実。
「凡人の半生を永遠に読まされる。」
「そのような構図はうんざりです。」

萌奈美。
「とある物語を聞き、みなの心が一致して変化したとあれば。」
「その物語は、ただの空想の生んだ話という以上のことを証言し。」
「なにか、大いなる秩序を帯びたものとなっているのでは。」
「ありますまいか?」
「ただ、それにしても不思議な。」
「驚異に満ちたことではありますけれど。」

成実。
「たまにあるんですよ、そういうのが。」
「読者の心を掴む作品は少数派です。」
「いつも少数派が書くのです。」

萌奈美。
「今度は文芸が好きになったのね。」
「アリストテレス詩学を読んだみたいで。」
「技能を開拓するのは良いことですよ。」

成実。
「そして自分が何なのかわからなくなりました。」
「私はだれ?」

萌奈美。
「自己が自身を否定することによってのみ。」
「自己が自己になる。」
「自己の否定を通して自己は肯定される。」

成実。
「私は自己を忘れて、自分自身を発見する。」

萌奈美。
「英才教育って予想以上にすごいですね。」

夜空を見ていますと。

女の子二人組。

手動充電の懐中電灯を回しながら。

天鞠。
「夜歩きしない?」

小桃。
「治安が良いから問題ないと思うよ。」

成実。
「挑戦してみます!」

夜の街。

田舎の自宅から周辺地域を歩き回ります。

商店街や市街地からは離れているので。

山道のような農道が続きます。

天鞠。
「賢者は干渉しないでものごとを扱い。」
「言葉のない教えをする。」

成実。
「それは天の道理を説く老子の言葉。」

小桃。
「道教を調べるとお宮参りに役に立つよ。」

成実。
「似ていますからね。」
「経験論が多い古代中国の古典は。」
「使えば使うほど最高善の欠片が手に入ります。」

天鞠。
「不思議な真実がいつも存在する。」

小桃。
「あれ?手を繋いでいるのって特別な事なの?」

天鞠。
「え?女の子同士で手を繋いだら恥ずかしいの?」

成実。
「やきもち?」

天鞠。
「まあそんな所です。」
「正しい表現は反対に聞こえるものである。」

小桃。
「あらまあ、隅に置けない。」

成実。
「入りたいなら入れば?」

天鞠。
「ん?熱烈で危ないかなって。」

小桃。
「では先頭を行ってね。」
「あなたの直観は最高だから。」

天鞠。
「確かに前に出た方が合理的ですね。」
「私は浮いてしまったのかな?」

成実。
「我々は自己について錯覚した考えを持っている。」

天鞠。
「問題はそれかな?」

小桃。
「今日、支配している万物を動かす方法の不思議な力。」

夜の池や河川。

草叢や森林を堪能。

特に夜の公園は怪しそうな雰囲気。

花壇は沈黙していまして。

八時過ぎに解散。

萌奈美。
「優れた行為者は痕跡。」
「善であれ悪であれ。」
「それらを残さない。」
「優れた言葉を使う人は少しの傷。」
「善であれ悪であれ残さない。」

成実。
「私の青春はひとりの女の子。」
「あの娘と一緒になりそうです。」

萌奈美。
「ただ過ぎ去る過去よりも。」
「最大まで善なるものがあるように。」
「行動しましょう。」

成実。
「悪い出来事を可能な限り削減できていますし。」
「悪い物事を潰したら。」
「最高善を考えるものですよね。」

萌奈美。
「言葉には、誠実さを好む。」
「政治には、良き秩序を好む。」
「出来事においては、能力を好む。」
「行動においては、正しい時を好む。」

成実。
「私を取り巻く教訓や指針がいっぱいです。」
「時間をかけて成し遂げられるでしょう。」

萌奈美。
「あなたは完璧を避けているので難なく通過できるでしょう。」
「私は少女の頃は訳が分からなくて戸惑ったものです。」

成実。
「お姉さんが避けた都会って劣悪ですか?」
「都会では劣った人間がいるのでしょうか?」
「自分より劣っている人間だけは理解できません。」

萌奈美。
「我々の人生には限りがあり。」
「しかも我々が知ろうとするものには限りがない。」
「限りあるもので限りないものを求めるのは危険である。」
「調和のとれた中正が良い。」

成実。
「自分以下の者でも利便性次第なんでしょうね。」
「詮索すると本当に終わりませんし。」
「皮肉にも劣っている人間は多くいます。」

萌奈美。
「しかしこの教えが役に立つでしょう。」
「天下の先頭に立つことに憧れるな。」

成実。
「飛ぶ前に見よ。」
「という事ですね。」

萌奈美。
「大いなる知恵は無知であるかのようである。」

成実。
「それではまた明日。」

萌奈美。
「あなたは昔の私より上手にこなせているわ。」

退場。

就寝時刻。

作業机にて課題を達成。

成実。
「善ある者をありがたく思わず。」
「善なき者も大事にしないならば。」
「どんなに知恵があっても迷いがある。」

養父。
「真面目過ぎると空回りするかもしれません。」

養母。
「しかし忠告を与えるのは簡単な事ですよ。」

成実。
「疑問があるのですが。」
「善人と評価される人は見たことがありません。」
「自らを善人と自称する者がいたとしても。」
「利害関係の無い第三者から善人と評価される者はいません。」
「そして自らを善人であると名乗る人間は見たことがありません。」

養父。
「指摘されて始めてわかる人もいるのですよ。」

養母。
「きっとそういう人達は物を考えたことがないんだね。」
「他人に物を考えてもらうだけで。」
「済まして来たんだね。」

成実。
「思想で価値あるものは論争するようなものではなく。」
「それがそのままあるという差別のないものである。」

養父。
「本当はこの世界というものはよくわかっていないんだよ。」
「それでは困るから理屈をつけているんだろうね。」
「時刻に挑戦を受けているなるみちゃんは自分の判断でね。」

養母。
「時計の針に挑戦を受けていますから。」
「目的が達成できるように私達は寝ますね。」

成実。
「私もそうします。」
「おやすみなさい。」

就寝。

濃厚(マイルド)な夜は思わぬ僥倖でした。

大人の世界は自分で発見するもので。

他人の世界観はどうでもいいです。

祖父から貰った英語のことわざ辞典を置いて。

やっぱり。

私の主意的な力は開花していましたね。

寝心地の良い羽毛布団。

今夜のメモ。

よく跳ぶためにはまず後ろへ引け。

「モンテーニュ」フランスの思想家。


6


山奥に女性がひとりで住んでいるらしいので。

道を辿って尋ねてみることにしました。

道中には。

雲雨巫山と書かれた看板があります。

成実。
「徒歩三十分くらいかな。」
「この辺りにひとりで住むなんて。」
「何か事情があるのかもしれません。」

目的地に到着。

家屋があって。

生活必需品は一式ありまして。

井戸の方に行くと大人の女性がひとりでいました。

成実。
「はじめまして。」
「よくいる女子中学生です。」
「興味があって来たのですが。」
「よろしいですか?」

美人女性。
「ようこそ、とっても可憐な女の子。」
「男の人だったら、どうしようかと思いました。」

成実。
「女性がひとりで住んでいるので。」
「ちょっかいを出したくなるでしょう。」

美人女性。
「しかしひとりで山道を越えてくるのは。」
「かなり能動的な女の子かも。」

成実。
「どんな人かと思いましたら。」
「凄まじいくらいの美人さんなんですね。」

美人女性。
「あらまあ、よく言われるわ。」
「あんまり言われ慣れてしまって。」
「自覚してしまいました。」
「こっちへどうぞ。」

玄関に案内される。

画家さんのようで。

書きかけの絵画が数点ありますね。

お茶を出されて。

成実。
「ずっと見ているとうっとりします。」

美人女性。
「そう?ちょっと戯れない?」

成実。
「大人の美人の女性・・・。」

立ち上がって。

お互いを抱きしめる。

着物の感触と甘い匂い。

撫でられて。

そのまま押し倒されて。

優しく抱きしめられてしまい。

気持ちがいい。

美人女性。
「どうですか?」

成実。
「心地よいです。」
「母親のようなぬくもりと。」
「女性特有の色っぽさが合わさっていて。」

美人女性。
「唇にキスしていい?」

成実。
「しましょう。」

美人女性。
「では一緒に。」

双方でキス。

数秒だけ。

顔が近いと。

あまりの美人さに。

これまでの女性を疑ってしまう。

成実。
「結婚したくなるほど色っぽくて綺麗です。」

美人女性。
「女の子に言って貰えると嬉しいな。」

成実。
「下着、見せてください。」

美人女性。
「えっち!でも少しだけ。」

成実。
「そうなると私も見せないとだめ?」

美人女性。
「お互いに見せます?」

成実。
「わっ!わっ!」

女の人は脱いでしばらくして。

すっと抱き寄せてきて。

動けなくされて。

成実も脱がされました。

そのまま何されるのかと思いましたが。

すぐに服を着て。

一緒にお昼寝をすることになりまして。

美人女性。
「大人しい女の子は好きですよ。」

成実。
「美人さん好きです。」

寝てしまい。

目が覚めると。

抱き起こされていまして。

どうやら夕方が近づいているようです。

美人女性。
「お遊びもこれまで。」
「今日は急いで帰らないと。」
「わたくしの家でもっと過激な事をしますよ。」

成実。
「レイプされたくないので。」
「急いで帰ります。」

美人女性。
「素敵な客人でした。」
「この後、私は雲となり、夕日の時刻には雨になります。」

成実は急いで立ち去ると。

さっきの看板は消えていまして。

上空には雨雲。

小雨になったと同時に帰宅できました。

萌奈美。
「あら?山の女性には会えたようですね。」

成実。
「信じられないくらい美人でした。」
「なぜひとりで住んでいるのかなあ。」

萌奈美。
「美人女性だから生き辛さを感じたのでしょうね。」
「最近は、よくいるんですよ。」

成実。
「ある出来事、それに出会うまでは。」
「それ以前は十分に真実であったという。」

萌奈美。
「解決策はひとつではない。」

成実。
「隠遁者というものは難しいのでしょうか。」
「都会にいたら目立つ人で。」
「私は何を信じたら良いのかわからなくなりました。」

萌奈美。
「自分の考えが間違っている可能性は。」
「常に存在することを認めるだけで良いのです。」

成実。
「正論ですね。」
「誰かが自分の意見を述べるのは自由。」
「そして同意する必要はないのですし。」

萌奈美。
「何々しなければならない。」
「何々すべきだ。」
「これはAはBである。」
「という記述がAはBであるべきだ。」
「この規範に変わることは論理的に飛躍しています。」
「あなたはどう考えるべきか。」
「どう行動するべきかを問う。」
「これは論理的におかしいのですよ。」

成実。
「それって。」
「事実ではなく価値観の問題になっています。」
「何々は良いことだからあなたもそうするべきだ。」
「何々は悪いことだからあなたもそうするべきではない。」
「論理の話ではなくて価値判断と意見の問題になっています。」

萌奈美。
「ヒュームのギロチン。」
「あなたは何々である。」
「それと関係が無いのが。」
「あなたは何々であるべき。」
「これらは切り離して考えます。」

成実。
「私は女の子である。」
「社長令嬢である。」
「しかし女の子だから何々であるべき。」
「社長令嬢だから何々であるべき。」
「というのは話が別物ですね。」

萌奈美。
「扱っている物事が別物ですから。」
「この何々であるべきという考えは欺瞞になります。」
「切り離して考えるものです。」

成実。
「それで本人しか知らない事情で山に籠っているのですね。」

萌奈美。
「その美人女性は心当たりがありますが。」
「好みで山にいるので。」
「合わせてあげてくださいね。」

成実。
「アリストテレスと同じく因果決定論をよしとしません。」
「客人以外の者として行く事は無いです。」

家事を分担。

作業開始。

テレビでは映画の予告。

しかしありえないくらい偽善的な人物が出てくるのは。

現実そのものを疑います。

アニメグッズは自分から集めたものではなくて。

会員から送られてくるプレゼントですね。

美少女大好きな組織があって。

一度紹介されて記事になると。

支持者がたくさんつきます。

それで写真や物品を交換したりする。

コミュニティが巨大化したものです。

それで余裕を無くして。

倉庫にあった本の抜き書きが。

机に貼ってあるのです。

芸術の目的は、外見ではなく内なる本質を描くことだ。

アリストテレス。


7


市街地の外れにあるお宮まで。

巡礼に来ました。

鳥居の前。

成実。
「このお宮に祀られているのは。」
「住吉神。」
「海の神様。」
「祟り神の性質が強く。」
「その影響を受けるかもしれない。」
「風神としても知られ。」
「物事の流れで行き着く場所は最良の場所になる。」
「怨恨のある人と相性が良く。」
「住吉神を見かけたら記憶しておこう。」
「古事記では疑いと禁忌の神である。」
「仲哀天皇の前に現れているも。」
「質問で最初に御名が出ているので。」
「祟り神と解くのが理に合う。」
「補足すると。」
「何らかの禁忌をしていると。」
「呪い殺されるので。」
「禁忌を明らかにされた記述がある。」
「海の近くに必ずしも祀られていない。」

天鞠。
「海の神様は祟り神なんですね。」

小桃。
「他にも祟り神はおりますけれど。」
「住吉神がもっとも強く出ますよね。」

成実。
「何か恨み事を持っている人は住吉神社に。」
「何度も足を運んで伝えておくと。」
「強烈に出る場合もあります。」

天鞠。
「人が思っているのとは異なる。」
「打たれ方をするでしょうね。」

小桃。
「神様の決定は人の決定とはすべてが異なります。」
「昔の人はそれを知っていて。」
「人の手に負えない物事は。」
「祈願するなど。」
「断片的にありますね。」

成実。
「というよりこの地は。」
「高天原と黄泉の国の中間の世界なのですし。」
「人間はどんなに頑張っても。」
「ひとりで大岩を持ち上げるなんて事はできませんよ。」
「岩石を指で持ち上げた人間なんていないでしょ。」

小桃。
「人間には多分、限界がありますから。」
「素直に頼るに限りますよ。」
「誰だって無力感に苛まされた事はありますから。」

天鞠。
「私は慣れてしまって。」
「すっかり馴染んでいます。」
「特別な事だとは思いません。」

成実。
「私達は体験したので。」
「もし他人に話しても無意味かも。」
「自分の事は全部、伝えないと始まりません。」

続いて。

市街地の中にあるお宮。

須賀神社の末社。

ちょっとした丘の上に鎮座。

見えにくい死角にあります。

看板を読む。

成実。
「スサノオ神。」
「最初は荒んでいたものの。」
「邪心と混同されて。」
「誓約が失敗した。」
「イザナギ神にいずれ行く場所を指示されており。」
「追放されながらも。」
「須賀の地にて荒んでいた心は透き通り。」
「言われているような凶暴な神様ではありません。」
「武勇と知略の融合があり。」
「感化されて。」
「力と知恵がもたらされる場合もあります。」
「どこでも会えますが。」
「須賀神社が最適。」

天鞠。
「喧嘩になったけれど和解したという。」

小桃。
「所説あって、宮殿を建てたとか。」
「根の国に赴いたなどあります。」
「大蛇を罠にかけて倒しましたが。」
「どんな化け物も罠にかければ楽勝で。」
「罠にかけて戦えば勝てますが。」
「危険なしには勝利できない暗示ですね。」

成実。
「三貴神の一柱で、重要な役割を持つ神様です。」
「除厄の神様としても有名で。」
「災害を食らったら真っ先に除厄を頼みましょう。」

天鞠。
「大蛇も自然災害や災厄が形になって。」
「周囲に襲い掛かった具現化とも言われていますし。」
「ならば災害を直接倒した神様ですからね。」

成実。
「素直に御力を借りれば良いのですよ。」
「では五円玉を用意。」

お宮から市街地の古本屋で。

掘り出し物を漁ります。

町の小さな本屋も一式は揃っていて。

良書を判定して取得するのです。

その後は三人で木刀を使ってトレーニング。

最近はコルクエアガンでサバイバルゲームをしますし。

自宅の裏庭が広がっていて。

サンドバッグを殴ったり。

野鳥や自然由来の出来事をいかに詩的に説明するかの訓練もします。

これは作者不明の教科書があって。

普遍的なトレーニングをまとめたものを実行したら。

遊びとしても面白かったのです。

お父様からの贈り物のひとつ。

成実。
「愚者は成事に闇く、智者は未萌に見る。」
「戦国策。」
「成事に闇いとは。」
「物事が形になって現れてきても。」
「まだそれに気づかないということです。」
「これでは愚者と言われても仕方がない。」
「これに対して智者は未萌に見ることのできる人。」
「未萌とは。」
「いまだ萌さず。」
「物事が形になって現れてくる前の段階で。」
「その段階にあらかじめ動きを察知して。」
「適切な対策を講じられる人が智者。」
「我々は後知恵になることが多い。」
「あのとき、ああすれば良かったとか。」
「こう言えば良かった。」
「とか後で悔やむ。」
「未萌に見ると後知恵では大きな違いがある。」
「未萌に見ることができればできるほど。」
「厳しい現実を生きるのには有利になることは。」
「言うまでもない。」
「戦国策で有名な教え。」

小桃。
「祈願や霊験が形になって現れた時では対応できない。」
「後知恵では好機を逃す危険がある。」

天鞠。
「祈願や霊験が形になっても。」
「それに気がつかないのでは愚か者ですよ。」
「智者は遠い未来まで見えていて。」
「待ち合わせ時間に到達できるんですよ。」

成実。
「いきなり霊験を得ても活用できなかったり。」
「形になって物事が来ても対応できずに。」
「半分無視してしまう可能性がありますし。」
「形になって愚者は初めて祈願と霊験が見えて。」
「しかも形になっているのに見えない危険もよくあります。」

小桃。
「未来を預言されても見えないのが愚者の特徴です。」
「智者は遥か未来を見ているのです。」
「証拠に。」
「大半の人は後知恵ですし。」
「失敗したり敗北してから物事を知りますし。」
「逃がしたり形になって押し寄せた時にやっと対応します。」
「それでは遅いのですし。」
「戦国策の教えが役に立ちますね。」

天鞠。
「今ここに遊び道具が大量にありますが?」

小桃。
「昨日、剣道少年を一方的に倒した。」
「教科書通りの戦術は読まれると忠告しておいたよ。」

成実。
「対戦相手はみんな狡猾なだけで。」
「強くありません。」
「弱者を相手に勝利しても強者とは言えませんし。」

天鞠。
「逆に物事を何でも勝敗で判断して。」
「目が曇っている気違いもいましたよ。」

小桃。
「相手を負かす事だけが人間社会ではないよ。」
「優劣以外の要素で物事が決まる可能性もあるし。」

成実。
「勝負を捨てることで実利を得る。」
「不可解に思えるかもしれませんが。」
「勝ち負けに拘泥する人々から反感を買うよりは。」
「対戦しているように見せかける程度で済むと思いますよ。」

天鞠。
「そもそも勝利だけで解決するのなら。」
「誰でも武器を振り回していると思いますし。」
「得るものが無い勝利は嫌いです。」
「失うものが有る敗北も嫌いです。」

小桃。
「目的が達成できる力量が求められるのです。」

成実。
「勝敗にも目的がありますから。」
「目的を達成する勝利。」
「目的の無い勝利は戦うだけ無駄ですね。」
「正面から競う事が作戦ではないこと。」
「負けたら破滅が待っている事も考えないといけません。」

男の子グループがやってきて。

新聞紙を丸めた剣劇で遊ぼうと。

女の子も参加しましたが。

連撃であっさり崩れる上に。

男の子が持っている新聞紙の剣を奪い取って。

圧勝でした。

近くに鳥の死骸がありまして。

成実。
「死んでこんな姿を晒しているとは気の毒です。」

亡者。
「死ぬことは惨めだと、どうしておまえにわかるのか。」

成実。
「うわっ!喋った!?」

天鞠。
「完璧に美しい人が偉大な彫刻家である必要はなく。」
「偉大な彫刻家が完璧に美しい人である必要もない。」
「アルトゥル・ショーペンハウアー。」

小桃。
「絶対的な真実である意見は存在しない!」

天鞠。
「その意見も、絶対的に真実ではないと?」

成実。
「私はリンゴが好きです。」
「だからみなさんも好きなはず!」

小桃。
「そのリンゴを別の何かに変換すると。」
「どのようにも言えてしまいます。」

天鞠。
「リンゴの部分を最高の政治とか権力とか財宝とか。」
「交換できるね。」

成実。
「最高の政治を目指すべきです。」

小桃。
「それを換言すると最高のリンゴを目指すべきです。」
「言い換えれば上質のリンゴは良いものです。」
「となると。」

成実。
「そのような道徳に権威はありません。」

天鞠。
「道徳が無批判なのは皆も認めますよね?」

男の子グループはついてこれません。

仕方がないので。

今日はこの辺りで解散になりました。

いつも行く。

学校は特に無難な田舎学校で。

人が少なくて居心地が良いものです。

最近はカルト対カルトが町の中で開始されていて。

カルト団体が支部を設置したら。

そのカルト教団がもれなく他のカルトの大半と敵対していて。

たまに乱闘が見れます。

テレビより迫力があって激しいのですが。

近くまで見に行くと。

危ないからと阻止されてしまい。

勧誘が周ってくると。

それを妨害する他のカルト教団と小競り合いになり。

友達と一緒にどちらが勝つのか予想しているのです。

カルト支部は短期間で半壊してしまったので。

残念ながらカルト大教団は敗北です。

登校の途中。

成実。
「大教団が勝つと思っていましたが。」
「戦闘員は素人でしたね。」

小桃。
「思ったより人数を獲得できなくて。」
「支部は二週間で撤去ですか。」

天鞠。
「あんなマフィアと戦おうなんて。」
「本気で考えてしまう団体なんて。」
「すぐ潰れて当たり前です。」

成実。
「裏社会の集合体みたいな連中でしたが。」
「とりあいず道徳みたいな説明書を作れば。」
「ついていくなんて気の毒な人々。」

天鞠。
「道徳って誰が作ったの?」

小桃。
「歴史書では道徳の教えは豊富よ?」

成実。
「空を見て。」
「いったいこれらすべては誰が作ったのか?」

天鞠。
「それは答えに窮する。」

小桃。
「自然は誰が作ったのか?」
「それは言い返せない。」

成実。
「あまりに早朝に来たので。」
「今日はみんなで朝ごはんですね。」

天鞠。
「それは兵糧丸!」

小桃。
「なに!?兵糧丸じゃん!」

成実。
「公園で食事も悪くない。」

天鞠。
「超級の料理です、うまい。」

小桃。
「忍者定食、うまい。」

自分の学校へ移動する天鞠。

成美と小桃はまた手を繋いでいます。

変則的な状況に水の流れのように適合する成実。

このように。

人間は必要に駆られなければ善を行わない。


8


女性に生まれたことで挑戦を受けたのです。

学校帰りに迎えに来てくれたお姉さん。

今日は手が空いていて。

一時的な自由人とのこと。

公園の中に入って。

お菓子をくれました。

成実。
「第四波フェミニズムの件ですが。」
「ジェンダーステレオタイプってなんですか?」

萌奈美。
「ステレオタイプは認知バイアスの一種です。」
「性別を思考のエラーで解釈するもの。」
「特定の存在や性別について。」
「個人の違いを無視して。」
「ひとつの特徴でまとめて捉えること。」

成実。
「ステレオタイプという認知バイアスで。」
「女性は左右されるなんて酷いです。」

萌奈美。
「こんな問題提起。」
「女性は教育されてから大人になって。」
「恋をして結婚して子供を産む。」
「子育てしてから年老いていく。」
「というものは果たして。」
「本人の価値判断に沿ったものなのかな?」
「それとも強いられてそうなったものなのかな?」

成実。
「その中に色欲による過激な交流がありますが。」
「それは入れないのですか?」

萌奈美。
「ということは。」
「色欲は本人が選んだものなのですか?」
「自分の価値判断によって。」
「性交渉を受け入れたのですか?」

成実。
「というより女性定番の一生がありますが。」
「それって本人が価値があると思って選んだものですかね。」
「それとも意味のないものを強いられたのでしょうか。」

萌奈美。
「そもそも色欲って意味あります?」

成実。
「色欲に意味は無いでしょう。」
「色欲の目的には価値があるかも。」
「趣味で男女の美しさを見たり。」
「戯れる場合は色欲には価値がありますね。」

萌奈美。
「性交渉では官能が目的で。」
「結局はその結果として女性は妊娠したり。」
「男性では妊娠させてしまったり。」
「官能に振り回されている時点で。」
「無価値であると指摘できますし。」
「損得勘定で割に合わないのは明らかですね。」

成実。
「女性は生まれると。」
「教育されて大人になり。」
「恋をして性行為をして子供を産んで母になる。」
「子育てしてから年老いていく。」
「というものは果たして万人に当てはまる価値判断なのか問いたいです。」

萌奈美。
「それに無価値であると主張します。」
「見返りが無いでしょう。」
「誰が得をするんですか?」

成実。
「反対にそんな一生を好きで選んだ女性はどうでしょうか?」

萌奈美。
「すべてを知っていて価値があると主張した女性は。」
「尊重されるべきかと。」

成実。
「女性の全体主義が個人に強いている場合はどうなりますか?」

萌奈美。
「無論、その女性達は報復に打って出るでしょう。」

成実。
「つまりは女性の全体主義に巻き込まれて。」
「自分にとって無価値な生涯を強いられる。」
「ということがあります。」

萌奈美。
「反対に意味を見出して。」
「そのような人生を選択する女性もいると思います。」
「女性本人の価値判断が尊ばれて。」
「どのようにしても自分の価値観に基づいて。」
「回避するなり。」
「募集したりすると思います。」

成実。
「でも選択の権利が無い女性がいると思います。」
「この場合は?」

萌奈美。
「身から出た錆として見なかった事にするとしましょう。」

成実。
「自分で創造したオリジナルの女性が個人で必要です。」

萌奈美。
「考えを強要された女性が報復に出ていますし。」
「多分、一部の女性にとっては。」
「結婚なんて必要が無いのです。」

成実。
「ああっと、それは女性が主体性を持っていない事を意味します。」
「自分の人生に主導権があるのに。」
「それを捨ててしまっています。」

萌奈美。
「人の心理に矛盾はありません。」
「フェミニズムで説かれるように。」
「女性の権利が主張される一方で。」
「無関心な女性もいると思います。」
「なぜかと言いますと。」
「変えたくないからです。」
「無関心なのはどうでもいいからです。」

成実。
「それでは多くの女性を批判していると思うかもしれませんが。」
「ここで争点になるのは価値判断の問題です。」
「考え直してみて。」
「本当に女性特有の価値観が自分のものなのか。」
「問いかけがあります。」

萌奈美。
「女性には特有の価値観がありますよね。」
「本当に自分のものなのか疑いました。」
「私の場合はそれを破壊しました。」
「やはりここでも価値観の問題になっています。」

成実。
「女性に関する解釈だけがあって。」
「女性に関する事実はありません。」

萌奈美。
「本人が良いのならそれが返事になりますし。」
「本人が実は悪いものだったなんて言ったらそれが返事になります。」

成実。
「男性のための世界ではないから?」
「女性のためだけの世界とは言えませんが。」

萌奈美。
「それだと歴史における女性があのように自己主張せず。」
「なぜ容認していたのでしょうか?」

成実。
「気に入らないのなら裏切ったり。」
「壊したりすれば良いのですが。」
「歴史における女性は黙認して。」
「おおむね肯定している印象があります。」

萌奈美。
「否定を始めたのはフェミニズムが最初ですが。」
「修道女は未婚で貞潔。」
「結婚が禁じられていましたので。」
「結婚しなくても良い女性はいましたよ。」

成実。
「仕える主人が神様か人間であったかの違いだと思いますけれど。」

萌奈美。
「貞潔な女性は性行為も結婚も恋もしませんが。」

成実。
「フェミニズムが説くような女性を見たことがないのですが。」
「私の見た女性は大抵、私より優れている点があって。」
「個性があり。」
「自分の意思で行動していました。」
「なんとなくで男性の懐に入るような。」
「そんな雰囲気はどこにもありません。」

萌奈美。
「自分にとってはあの人達が嘘だと言えますね。」
「欺かれたのですが。」
「他人にとっては嘘ではないとか。」

成実。
「フェミニズムでは男性についても言及されますよね。」
「私の見た男性は武士のような雰囲気はなく。」
「江戸時代によくいた農民や町人などの。」
「卑しい身分に思えました。」
「身分制度ではなくて考え方や品性がそれなんです。」

萌奈美。
「身分制度が解かれたと言いますが。」
「古代ギリシャは僭主君主が滅亡して。」
「政治が解放されてから直接民主主義が設けられ。」
「ローマ共和制では寛容が掲げられ。」
「融和も呼びかけられていて。」
「その時も女性は異論を唱えずに。」
「埋もれていました。」

成実。
「では、フェミニズムとは女性が後天的に獲得したものなんですね。」

萌奈美。
「結論はそれです。」
「フェミニズムは女性が後天的に得たもので。」
「生まれつきではないのです。」

成実。
「後天的に生じたものなら。」
「批判の余地がありません。」

萌奈美。
「先天的に女性はそうであったかもしれませんが。」
「もはや後天的に女性解放運動が生じて。」
「後天的な要素で。」
「女性は従来の絶対的な価値判断を離れて好きに生きています。」

成実。
「先天的な女性から離れて。」
「後天的に習得したあらゆるもの。」
「後天的に獲得した権利。」
「もはや私は先天的な要素で決定される女性ではありません。」

萌奈美。
「先天的な女性像からおさらばしたのが私ですし。」
「女性の後天的な要素が物を言います。」
「女性という存在を私物化しても良かったのですから。」

成実。
「先天的な要素をむしろ否定したくなります。」
「フェミニズムは女性の後天的な収穫で。」
「発生の余地があった可能性の産物ですから。」
「フェミニズムを有効活用します。」

お姉さんは大学の入試で過去問があり。

見せてくれまして。

早いうちに難易度の高い悟性をクリアしておくのです。

ヴィトゲンシュタインのような形式で。

考える質問が多いとのことなので。

ある意味でお姉さんが家庭教師です。

友達が来る。

グループになって雑談していたものの。

余暇の話で解散したみたい。

小桃。
「クイナパラス!」
「言い忘れたんだけれど。」
「今日の下着って何色?」

成実。
「下着の色?それは言えません!」

小桃。
「答えてくれないのなら確認しちゃおうかな。」

成実。
「一緒にお風呂に入ったのいつでしたっけ?」

小桃。
「それでも、たまに確認したくなるの。」

天鞠。
「女の子もえっちなんですね。」

成実。
「こももちゃんの下着の色は?」

小桃。
「あっ!よく思ったら恥ずかしいわ。」

成実。
「こももちゃんが見せたら私も見せてあげる。」

小桃。
「きゃあっ!変態!そんなに私を性的に見るワケ!?」

天鞠。
「言い出しっぺはあなたですよね?」

成実。
「そうですか、このくらいの仲だったんですね。」

小桃。
「ちょっと来て、少しだけだからね?」

成実。
「いいの?」

小桃。
「だめー!やっぱり恥ずかしくなってきた。」
「下着の色は後日、確認させてもらうわ。」
「特に銭湯に行く時とか。」
「前みたいに二人きりの時とか。」

天鞠。
「前にも確認していたんですね。」
「問題なのは機会だったんですね。」

小桃。
「公園では公開できないわ。」

成実。
「では、帰ったら見せましょう。」
「てまりちゃんも参加します?」

天鞠。
「私も興味あるので。」
「今から行きます。」

萌奈美。
「あらまあ!」
「女の子の会話も移り変わったわね。」

小桃ちゃんは着替えるために帰宅。

天鞠は荷物を置くために帰宅。

自宅に走ってきました。

小桃。
「はあはあ・・・なるみちゃんはあはあ・・・。」

天鞠。
「では私も禁断の場に入ります。」

成実。
「どうぞー。」

萌奈美。
「ウェルカム。」

小桃。
「はあはあ・・・はあはあ・・・。」
「なるみちゃんはあはあ・・・。」

成実。
「息切れしてますよ。」
「全速力で来たのですね。」

小桃。
「早速、見せてー!」

成実。
「ひゃあっ!?ちょっと強引!」

天鞠。
「私はどうですか?」

小桃。
「天然ロリも最高だけれど。」
「なるみちゃんはあはあ・・・。」

成実。
「私はされるがままです。」

小桃。
「なるほど紫ですか、それでは私も。」

成実。
「青ですか、それで、てまりちゃんは?」

天鞠。
「緑ですよ。」
「いきなりスカートめくらないでください。」

成実。
「下着は確認できましたし。」
「人生ゲームやりましょう。」

小桃。
「賛成よ!」

天鞠。
「人生にも攻略本が欲しいものです。」
「全部がゲームなら。」
「公式チートくらいあってもいいじゃないですか。」

成実。
「そのゲームが駄作とか言い出すに決まっています。」
「そんなに面白く作れる訳ないじゃないですか。」

小桃。
「真面目に作ったのかもわからないゲームなんて遠慮するわ。」

天鞠。
「まあ、確かに、人生という馬鹿ゲーもありえるし。」

人生ゲームで遊びまして。

次に射的です。

サバイバルゲームで使うエアガンを使って。

庭の標的に当てています。

カラス。
「こっちへ来い、いいものくれてやる。」

大翔。
「どこで飼われているカラスなんでしょうか?」

カラス。
「ここに来たら将来の花嫁に会わせてやる。」
「うまく行くから来い。」

大翔。
「ここってなるみちゃんの家の裏側ですね。」
「なんでこんな荒地の場所に?」

カラス。
「では、せいぜい楽しめ。」

誤射して。

柵を超えた弾丸が男の子に命中してしまいました。

大人仕様エアガン。

スナイパーライフル版が直撃。

大翔。
「ぎゃああああ!」

成実。
「あれれ?なんであなたがそんな所に?」

大翔。
「痛い!これは痛い!」

成実。
「予測できない場所にいるなんて。」

大翔。
「女の子から食らった!うあああ!」

大翔君は逃げ出しました。

たまたま威力が強いのを。

誤射して。

いるはずのない場所にいたので。

なぜか直撃です。

小桃。
「大翔君って不審者だったりして?」

天鞠。
「あんなに大泣きするダサイ不審者がいますかね?」

萌奈美。
「そんな!安全管理は良かったのに!」

成実。
「あの人が変な場所に陣取っていたせいですよ。」
「続けましょう。」

この後は程々にして解散しました。

なぜか大翔君に嫌われてしまった成実。

変な所にいたせいなのに。

一方的に嫌われたので。

私も嫌いになりました。

毎日、通っている地方学校ですが。

授業は難易度が低くて。

受動的な態度で足りてしまう快適さがありますね。

最近はみんなえっちな女の子になったので。

女の子同士でよく戯れています。

所で。

市街地の人々を観察していますと。

女性依存の男性もいるのですが。

男性と言ってもどこにでもいるので。

男性不足と女性不足の人々が。

同時に政治的妥当性不足で困っています。

改善できるといいですね。


9


自暴自棄になった不審者が徘徊していて。

私の町でも目撃されています。

自動ショットガンを所持していますが。

どうやら数年前の内戦と内乱で。

他国の工作員に加わった一般市民の成れの果て。

後に引けなくなって。

犯罪に手を染めるしか方法が無いのです。

他国が仕掛けた小競り合いは自衛隊が有利に終わり。

工作員も徹底してしまったからです。

山奥に入り込んで。

テントを張るなど。

警察が警戒して巡回していますね。

自衛隊の普通科小隊が来ていましたが。

テロリストが相手なら容赦しないようです。

お宮の中で座り込んで雑談する。

三人組。

成実。
「私は神様の一部です。」
「神様に合わせるように行動し。」
「神様に沿うように自分の向きを変えました。」
「いつの間にか一体化していて。」
「同化していました。」

天鞠。
「加護と教化されている部分を見れば。」
「否定はできませんよ。」

小桃。
「参拝する時の秘訣とかある?」

成実。
「神々に因果関係を説明すると。」
「確実に打たれるのでやめましょう。」

小桃。
「すべてを機械と見なす行為ですからね。」

天鞠。
「自然災害とか大震災について津波で流された人々。」
「自然災害で死んだ人は事前に何か悪い事をしたのですか?」

成実。
「悪行をしたから津波で死んだというのはおかしい。」

小桃。
「反対に善人とされる人間も死にましたが。」

天鞠。
「それでは戦争に巻き込まれた人は事前に悪行をしたのですか?」

成実。
「立ち回りに失敗した事例が多いかと。」

小桃。
「自然災害で被災した人に因果関係があったと。」
「指摘してもそれは詭弁ですね。」
「疫病ですら悪行をした人が食らうとか。」
「実際は善人も悪人も見境ない。」

天鞠。
「自然が因果関係を真っ向から否定して。」
「存在しないものとして扱い。」
「善行が多くても一方的に群衆として死亡して。」
「悪行が多くてもたまたま生き残る。」
「自然災害の特徴はそれです。」
「自然災害を因果関係で説明できませんよね?」

成実。
「周辺地域がまとめて地震に見舞われる。」
「熊本の内陸地震で家屋倒壊が目立ちましたが。」
「善人でも悪人でも関係なく食らっています。」
「自然は因果関係を無視できるんですね。」

天鞠。
「それでは因果関係が作り話であると証明された訳です。」
「後からこじつけというものができませんから。」

小桃。
「ですよね、因果関係なんて信じている愚鈍さがあります。」
「あんなものよく信じますよね。」

成実。
「暴漢が通行人を殴って。」
「お前が殴られたのは前世で子供を殴りまくった報いだ。」
「こうして因果関係が通ってしまうと。」
「被害者は通報したり警察を呼んだりできません。」
「だって、因果律によれば前世か昔の悪行のせいで。」
「現行犯に殴られて殺されても文句は言えない。」
「因果関係はこれを正当化しますから。」

天鞠。
「因果関係を論破するのはあまりに簡単で。」
「犯罪の被害者は前世の悪行の報いで。」
「加害者はそれを清算した。」
「それを容認する訳ですよね。」

小桃。
「もちろん因果律の信者はそれを認めます。」
「倫理学が遠くの他所に行ったような。」
「邪悪な論証が因果律にはありますね。」

成実。
「因果関係や因果律は暴力をいちいち正当化しますね。」
「暴力の合法化が因果律の結論ですし。」

天鞠。
「因果律は暴力を徹底的に有利にします。」
「現代社会の問題のひとつです。」

小桃。
「昔の人は因果律なんて信じていませんでした。」

成実。
「因果関係とその信者は私達の敵対者ですね。」

天鞠。
「無論、因果律の支持者は敵対者です。」

小桃。
「それでは戦って倒さないといけません。」
「そのような敵対者はよく出てきますから。」

成実。
「伝統宗教では因果律は否定されています。」

小桃。
「そもそも内容をよく理解せずに鵜呑みにしていましたし。」

天鞠。
「敵の説得なんて敵が有利になるための手段に過ぎません。」
「敵はこちらを説得すれば有利になるという計算なのです。」

成実。
「自分についての説明。」
「因果関係を無視して破壊しただけ。」
「因果律を無視して破壊しただけ。」
「簡潔な説明。」

小桃。
「無神論者は見放された人々で。」
「不可知論者は中立です。」
「彼らは人間の理解を超えた存在が認識できないから。」

成実。
「不可知論者はもっとも多いです。」
「無神論者はそんなに多くありません。」
「自分の理解を超えたので接近できないのです。」
「伝統宗教から見れば不可知論者の意見は正当ですよ。」

天鞠。
「キリスト教の権威が失墜してニヒリズムの時代になった。」
「でも、それって逆説的です。」
「あの有名なヤハウェ神が人間の自由意志を尊重して。」
「もうあなた達は好きに振舞っていいよ。」
「自由意志を十倍にするからね。」
「という計らいであったら。」
「ニーチェは誤解していた事になりますが。」

小桃。
「ヨーロッパから始まったという意味でもありますね。」

成実。
「神学からして健全な解答かと。」
「もちろん自由意志の解放によって。」
「良くもなれば悪くもなります。」
「キリスト教の背後にあったヤハウェ神の力ですよ。」

天鞠。
「悪いものって人間が作り出したもので。」
「後天的に生じたものでしょうし。」
「最初は悪が無くても人間の自由意志で。」
「作り出せてしまうものです。」

小桃。
「病気とか公害とか毒素は自然界にありますし。」
「そういう所を大きくして人間が取り込んでいった。」
「西洋で犯罪の定番である毒草ですら。」
「人間が採取して毒薬を作れますが。」
「最後には人間が自由意志で依存したようなもので。」
「すべての毒草を根絶やしにすることだって可能でした。」

天鞠。
「それを潰さないのも人間です。」

成実。
「自由意志が解放されたので。」
「自由になった人々が溢れていますが。」
「悪いものも半分野放しですからね。」
「倫理的世界観が薄まったのは人間が好き放題やる代償ですかね。」

天鞠。
「では全員の自由を解放してくれた神様に感謝しましょう。」
「私は安い古銭があるので入れますよ。」

成実。
「私も安い古銭を入れる。」
「こももちゃんも必要?」

小桃。
「貰うわ。」
「そんなに手に入るものではないし。」

成実。
「自由を拡大して自由を恣意的な解釈をして。」
「無秩序になっていると思いますが。」

小桃。
「お宮で世の中のいろんな所を。」
「いちいち告発していたなんてここだけの話ですよ。」

お宮から出る。

看板に書いてあったものを撮影していまして。

資料を持ち帰っています。

公園のベンチで分析。

印刷して書籍みたいに保管してあるのです。

成実。
「天照大御神。」
「主宰の神様。」
「性悪説で武装して弟神を迎えるなど。」
「荒々しい側面が強い。」
「誓約で有耶無耶な結果になり。」
「弟神が暴走しても言及できず。」
「岩戸に籠って抗議しましたが。」
「嘆願によって帰還して。」
「弟神を追放しました。」
「でも、弟神は事前に行き着く場所が指定されていて。」
「追放であって追放とは言えません。」
「その後は献上品によって和解しています。」

小桃。
「豊受大神。」
「主宰の神様で女権の象徴。」
「農業の総監督です。」
「女帝の側面が強くて。」
「伊勢の神宮では外宮に鎮座していますね。」
「処女神なのは統治の座を奪われないためです。」

天鞠。
「菅原道真公。」
「国つ神。」
「天下った現人神。」
「言いがかりで左遷されて祟り神として恐れられる。」
「北野天満宮に祀った途端に神罰が止んだ。」
「同様の現人神は幕府を建設したり。」
「武将に混ざって人の世に介入したりしています。」
「人の力だけでは統治できないという証拠です。」

成実。
「武甕槌命。」
「天照大御神の大臣。」
「側近で。」
「神武天皇の遠征中。」
「家臣に霊剣を送りました。」
「太玉命、斎主命、経津主命。」
「剣術を司る神様です。」
「間接的な指導なので。」
「習得は任意です。」
「勝負した建御名方神は。」
「勝敗の神様で。」
「敗北側についた人々が崇敬します。」

小桃。
「月読命、三貴神の一柱。」
「暦と時間の神様。」
「夜の世界と裏の世界。」
「陰陽説による理解が容易で。」
「この世界の裏側にいる神様。」

天鞠。
「大山咋命。」
「山の女神。」
「山の自然的性格は女性であると解する。」

成実。
「大穴牟遅神。」
「東洋医学の神様で。」
「特に優しい。」
「兄弟の不吉さが強調されていて。」
「逆転の神様でもあります。」
「縁結びと縁解きの神様です。」

天鞠。
「木花咲耶姫。」
「恋の神様で。」
「結婚と育児も司ります。」
「荒々しい側面が強く。」
「申し子を申請するには適切です。」

小桃。
「玉依比売命。」
「母親の神様で。」
「女性の典型として伝わります。」
「美容の神様です。」

成実。
「息長帯比売命。」
「女王の特徴が強い女神。」
「とても威力が強く。」
「代行して政務を行った記述にて。」
「男性の代役を務めています。」
「後天的に女性が世を治める暗示です。」
「本来は男性の役割を女性が後天的に担うという点において。」
「男性にあるものは女性が模倣するという裏の意味です。」

天鞠。
「スマホに保存したデータで言及できるのは全部かな?」

小桃。
「神々に言及することは困難なものですからね。」

成実。
「無神論者でもヤハウェ神を直接攻撃する奴はいませんからね。」

天鞠。
「名指しで非難したら死ぬのでは?」

小桃。
「それを知っているから?」

成実。
「地域のお宮は廻りましたが。」
「何十回でも来ましょう。」
「スマホの写真はバックアップ取りますね。」

男の子グループと合流。

女子高生とも合流。

男子高校生が後からやってきて。

世代間交流です。

家柄の良い男女のグループで。

年上だから偉いという。

よくわからない規則を否定しているようで。

友好的に接近して来まして。

小さなゲームセンターで遊んだりします。

女子高生。
「小さくて好き。」

成実。
「お姉さん色っぽくて好き。」

男子高校生。
「ロリが好きって言ったらドン引きされそう。」

女子高生。
「あら?別にいいじゃない。」
「素敵な女の子と遊べるし。」
「後輩だって喜んでるし。」

男子高校生。
「未来の後輩の面倒を見るのは半分必然ですか。」
「俺でも何かの手本になれば嬉しいぞ。」

女子高生。
「年下に協力すればその子達は同じように。」
「年下の子達に協力する。」
「学問も能力も下の子達に提供すれば。」
「その子達も同じように年下に提供する。」
「好循環でしょ?」

男子高校生。
「異議なし!姉ちゃんには降参する!」

青年。
「未熟者だからこそ未熟者について理解できる。」
「子供は国家の共有財産だから。」
「何でも提供するのは道理にかなっている。」

成実。
「メタ認知は実行した者が必ず有利。」
「自虐的な発言でもなぜか有利になる。」

天鞠。
「君子の教育を受けているの?」
「後天的に君子の傾向を持つことはあるんだ。」
「年上は全員、高圧的だと思っていた。」

小桃。
「先天的な要素で人が決まるのは天才くらいでしょう?」
「この分析には説得力があると思いますね。」
「でなければ市民は何もコントロールできないから。」
「後天的な要素が強力です。」
「古代ギリシアの分析によると。」
「後天的に狂気によって天才になる人もいるくらいです。」
「狂気の天才は後天的です。」
「先天的と思うのは天才や偉人が残したもので。」
「それ以外の人も先天的で決まるというのは無理がある。」
「やはり先天的な要素で作られるのは天性を持った人だけで。」
「それ以外は後天的な要素で作られますね。」

天鞠。
「唯名論で先天的か後天的か決まるのね。」

女子高生。
「なんでも提供するから。」
「あんた達も私達と同じ年齢になったら。」
「年下に何でも提供しなさいよ。」

男子高校生。
「それが公家の務め。」
「頼むぞ。」

成実。
「もちろん、道理にかなっていることならなんでもします。」

小桃。
「先輩の主意主義には圧倒されました。」

天鞠。
「義を見てせざるは勇無きなり。」

ゲームセンターでは。

コインを譲ってくれます。

一緒にシューティングゲームとかやりますね。

家柄が良いので他の先輩は沈黙してますよ。

女子高生の一団も加わりました。

他の学生はここにいる先輩達に勝てないので異論は唱えません。

半分不良のグループは支持してくれまして。

ゲームガチ勢で余ったコインをくれまして。

年上が年下に何でも提供して。

自分もその年齢になったら年下に何でも提供する。

好循環による掟が暗黙の了解としてこの都市にはあります。

ゲームセンターでたっぷり遊んで。

お菓子をくれて今回は解散。

面白いクイズ紙を貰いました。

質問。

野外飲食店でチェスが行われており。

あなたはこの所、勝ち続けています。

今日も勝ち続けていましたが。

いつの間にかスーツの謎の男性と対戦することになりました。

あなたは夢中で押していましたが。

スーツ姿の従者に気がつきました。

どうやらチェスの対戦相手はマフィアであり。

機嫌を損ねたらどんな目に遇うのかわかりません。

この状況でチェスを勝利で終わらせますか?

わざと負けますか?

成実。
「八百長であっさり負けたほうがいいね。」

小桃。
「警察を呼んでも長い目で見て殺されるね。」

天鞠。
「合理的なのは勝負を放棄することで危険を回避できる。」

二枚目。

質問。

とある国にデタラメな裁判官がいました。

ある程度はまともで。

とある場合には意味不明です。

今回は重罪を犯したと言われている囚人を裁いて。

なんとなく遠方に島流しにしました。

そこは帰ってこれない島です。

しかし後から囚人の無実が証明されて。

裁判官はデタラメに気づいて慌てました。

島は生きて帰ってこれない場所で。

取り消せないからです。

裁判官をどう処分しますか?

成実。
「同じ目に遭わせれば?」

小桃。
「懲戒免職では済まない。」

天鞠。
「殺人行為です。」

成実。
「ギリシアの伝説によれば。」
「讒言はそれを信じた人間も同罪になるという話はあります。」
「讒言を受けて罰してしまったら。」
「処罰した人間も同罪になった事件がありましたし。」
「追い回されて餓死しています。」
「クイズの返事は裁判官は死ぬべき。」

三枚目のページ。

質問。

不細工な男性がいました。

極めて醜悪で。

人に迷惑ばかりかけています。

考え方は独善的ですが。

お金持ちで。

狡猾さによってビジネスで成功しました。

さて、この男性についてのあなたの見解は?意見は?

成実。
「特に異論はありませんが。」

小桃。
「関係ない要素が混同されているかも。」

天鞠。
「その性格で成功したなら世渡り上手かと。」

裏面にありまして。

クイズの解答例があります。

三枚目については。

気に食わないのが当然ですが。

実はこの情報は虚偽であり。

質問そのものに与えられた情報は嘘です。

人工的に状況を作ったのですが。

間違った情報を簡単に信じました。

人間の理解は表面的で。

男性の情報はひっかけです。

成実。
「いやあ人は善悪を試されると必ず失敗しますね。」

小桃。
「善悪を試される?敗北なんて目に見えている。」

天鞠。
「善悪を試されたら人間はおしまいです。」

四枚目。

これはクイズというより考察です。

目の前に百円玉があれば。

目の前に百円玉があるのは客観的事実です。

しかしその百円玉の価値は?

使い道は?

となると。

個人によってまるで意見が分かれます。

主観と客観はこれと同じです。

しかも百円玉をどこかの国に持ち込むと。

さらに意味が分からなくなります。

ここで百円玉についてその国の人々の意見が分かれます。

そして百円玉以外の物事や人について問えば。

すべてが主観的で。

客観的事実などないと言えます。

成実。
「よく見ると客観的なんて嘘ですね。」

小桃。
「別の第三者で状況が違うのだから。」
「でも百円の価値は相場で決まりませんか?」

天鞠。
「外国だと百円玉とは扱われません。」

成実。
「すると客観的というのは困難な証明なんですよ。」

小桃。
「自分の主観であることを否定するなんて難しいよ。」

天鞠。
「主観ではないことを証明するなんて困難です。」

成実。
「能力よりも幸運を信じていた。」

小桃。
「過程も結果です。」
「そこから結果論になります。」

成実。
「能力が不足していたら習得する。」
「学問の世界は公明正大で誰も拒まない。」
「能力は学問の有無で決定される。」
「学問の世界に入った後は。」
「その人次第であるけれども。」
「書物は欲する人を招いてくれるし。」
「書物を手に入れるのも大金を必要としない。」

天鞠。
「インターネットで男の子に言われたけれど。」
「一万円で買える情報でマウントを取るなとか。」
「なんていう上手な冗談が言えるんですか。」
「千円で購入した情報でマウントを取ったからと。」
「非難する前に千円についてどう思うのか。」
「世の中の賞状の内容を。」
「数千円の発行物。」
「これで覆したから妬ましい。」
「しかし理屈に合わない。」
「そんな人も同じようにお金を出せばいいのだから。」
「一万円出してマウントを帳消しにできるのに。」
「やらないのはマウントを取られても黙認しているのです。」
「反感を覚えるくせに相手の行為を怒りで制圧できると思っていて。」
「怒りで威嚇して制圧すれば結果が起こらない。」
「もしくは否定できると思うようです。」
「しかし最初に言ったように一万円を惜しんで。」
「反感を言うのは理屈に合わない。」
「そんな反対者は実の所。」
「上手な冗談が言えている。」
「怒っているようでふざけている。」

小桃。
「これはできないと弱音を吐いた。」
「しかしその物事以外のすべてが可能である場合もある。」
「無理だと思ったら。」
「それ以外の事ならすべて可能であったり。」
「ひとつがダメだと言っても。」
「そのひとつ以外のものをまず試していない。」

成実。
「優れた意見です!」

お菓子を食べて。

公園で遊びます。

サッカーボールは最高の玩具。

インサイドキックの長射程は最初。

ドイツサッカーが発明したものらしいので。

教えられないと習得できないと言われています。

再現するには自分の得意な場所で。

インフロントキックとインサイドキックの中間の蹴り方で可能です。

南米の強豪クルゼイロの理念を説いた説明書には。

「サッカーは才能ではなく、育成だ。」

という格言があります。

サッカーボールが跳ね返って。

一緒にその場所にいた。

男の子グループの中に入ってしまい。

イレギュラーバウンド。

天鞠。
「自分の責任ではないのに自分が責任を取らされるのは。」
「なるほど卑怯者の仕業だ。」

小桃。
「我々は下手ではないけれど上手ではない。」

成実。
「多くの場合、人には能力は足りている。」
「臆病者だから踏み出せない。」
「多くの件では勇者が成功する。」
「能力差であると信じるのは早計であり。」
「他の場合を考えないのも早計ですね。」

小桃。
「形而上学の玄人ですよ。」
「そんなに格言みたいな発言が平気で出る。」

天鞠。
「それが形而上学の強みですね。」

男の子グループは試合を始めまして。

私達は観戦。

小桃。
「ジュニアユースの二軍が混ざっているよ。」

天鞠。
「それで下手なチームが圧倒しているのね。」

成実。
「弱者はみっともないけれど。」
「彼らが強者に加入した場合。」
「弱者特有の態度は決して取れないでしょう。」
「弱いからの物言いならば。」
「強者になった途端に態度は変わります。」

小桃。
「育成された選手は遊びでやっている選手と比べて。」
「桁違いに上手。」

男の子が泣きついてきました。

非凡な女の子と評価されているので。

正直に頼ってきたのですね。

男の子。
「あんなのに勝てる訳ないだろ!」

サッカー少年。
「どうやったらあんなのに勝てるのでしょうか?」

成実。
「怒りで他人を制圧できると思わないほうがいい。」
「怒りは道具なのだから。」
「手段としての道具が怒りです。」
「そんな安い道具に手間暇をかけるくらいなら。」
「具体的な解決策を探りますよ。」

小桃。
「感情論や本能的なプレーで勝とうとしている。」
「つまりは組織で対抗する。」

天鞠。
「挑発に乗ったらだめですよ。」

男の子。
「よし!わかった!ありがとう!無駄な抵抗してみる。」

サッカー少年。
「どうせ勝てないけれど、少しくらいは挫折させてやりたい。」

勝負は白熱。

ほどよく。

帰宅することに。

休日も平日もお姉さんはいますね。

成実。
「この世でもっともよいことはなんですか?」

萌奈美。
「あなたはそれを知らないほうがよい。」

成実。
「教えてください。」

萌奈美。
「この世に生まれないことだ。」

成実。
「ミダス王ですねこれは。」

萌奈美。
「この世に生まれるという最悪な目に遭っているのに。」
「無駄に悪くなる。」
「今でも最悪なのになぜまだ悪いものが加わるのか。」
「悪いものがさらに悪くなる。」
「最悪なものをわざわざ二倍にするなと言いたいし。」
「悪いものは無いほうがまし。」
「公害を苦難とか試練とか美化するのは公害が二倍になる。」
「十分に最悪なのに。」
「要らないものを押しつけても迷惑。」
「それを正当化させない。」

成実。
「ミダス王からの引用なら確実です。」

萌奈美。
「結果論で間違いなら。」
「出生は間違いを認めざるを得ない。」
「出生の決定は結果的に間違っていた。」
「出生の決定は結果論で間違っていた。」
「神々は生を変更した。」
「あるできごとを境に様変わりした。」
「すべて別物になった。」
「神々によって変更された生。」
「これは出生が予期できなかったので。」
「出生の間違いは証明されている。」

成実。
「形而上学による反駁は超自然的です。」

萌奈美。
「形而上学の論理は超自然的です。」

成実。
「ここに来る前に捨てたものの中味ですよね?」

萌奈美。
「そうですよ。」
「舞台やら芸能界とかは既に何であるか知ってしまった。」
「賞状や世間の評判も人気も何であるか知ってしまった。」
「そうです、子役をやったのは私の自由が無視されていたのです。」

成実。
「激しい少女の残骸ですか。」

萌奈美。
「自分が正しいと思った時点で頭がおかしくなっています。」
「待っているのは争いですし。」
「勝負してもし相手が引き下がったらどうなりますか?」
「相手は次の段階に突入します。」
「要するに何らかの形で仕返しを食らわせてきます。」
「やたら勝負で相手を倒してもそこで終わりません。」
「どこかで反撃して来ます。」
「ですのでやたらに他人に勝利するのは危険です。」
「何か勝利を得る毎に大量の敵対者を作っていますので。」
「一方的に敗北者にするのはお勧めできません。」
「第三者にも勝利する権利はあるのですよ。」

成実。
「勝負の果てに見たものですね。」
「子役で半分アイドルでしたから。」
「知ってしまった頃には遅いくらいなんですね。」

萌奈美。
「不当な不幸があるとすれば。」
「逆に言えば不当な好運も正々堂々と使っていいので。」
「不当な好運も積極的に使いましょう。」
「不当な不幸を認めた時点で。」
「不当な好運も認めてしまっていますからね。」

成実。
「それでアリストテレス学派になったのですね。」

萌奈美。
「幸福が何かについては知らない。」
「いろんな説がありますね。」

形而上学に基づいた論理が多くなっているのは。

私がつまらない少女ではないと。

遠回しに理解してくれているのです。

夜。

八時付近。

自動ショットガンを持った不審者が徘徊していて。

容疑者がひとりではないので。

警察が巡回に来ていました。

銃器以外にもいろいろ使うので危険らしいです。

警察官。
「自分が正しいから相手を正す。」
「これは戦いに発展するだけで破壊に終わる。」
「自分が大人だから子供のこいつに教える。」
「これも反撃を受けて破壊に終わる。」
「反対者(アンチ)はこれをよくやる。」

萌奈美。
「自分はこうだからと理屈をつけても。」
「他人もそうだから。」
「自分と他人も完璧な状態は許容されないのだから。」
「社会の場では人間の力が及ばない。」
「同等の条件があるのですよ。」

警察官。
「政治アンチと世界アンチが活動しているので。」
「あんな数はなかなか消えそうもありません。」

萌奈美。
「なるほど、あなた方に反対する人数を計算して。」
「それ以外の者は無関心か支持者なのか。」
「いつでも友好的になってくれると知るべきです。」
「反対者(アンチ)なんて一部に過ぎません。」

警察官。
「もちろん再確認しています。」
「巻き込まれる人々を憂いているのです。」
「情に訴えれば相手を操作できるなんて考える奴もいる。」
「自分の主張を通すために情に訴えるから。」
「既に欺かれている。」

萌奈美。
「ここには赤外線モニターもありますから。」
「離れの家には生活一式も揃っています。」
「自衛隊の方にはそこも使えると伝えてください。」

警察官。
「協力に感謝します。」

立ち去る。

容疑者は銃器や武器を隠し持っていて。

山の中に埋めたりして。

共有の武器庫を持っているのです。

そこからいきなり取り出して攻撃を繰り返します。

工作員が海外から資金援助をしているので。

犯罪で生活しようと自滅の道を選んでいるのですね。

成実。
「柴犬が反応しました。」

萌奈美。
「例の不審者ですね。」

成実。
「どうします?」

萌奈美。
「近所さんの可能性はあります。」
「囮を使ってみますか。」

スイッチを入れると。

人形に装着された懐中電灯が照らされて。

音声データが再生されると。

人形が自動ショットガンで撃たれました。

そのまま突っ込んでくるようです。

待ち伏せになりまして。

警察官が到着するまで時間があります。

不審者が敷地内に侵入。

壁際で誘導。

成実。
「こんばんわ!」

隠れると狙撃してきまして。

弾丸が壁に当たります。

不審者が動きを止める。

後ろから一瞬の速度で犯人の背後から。

ヘッドロックからの締め技。

そのまま首を絞めて殺そうとしました。

人間とは思えない怪力で何も出来ずに。

目を潰されて犯人はもがいて動けず。

目を攻撃されたので目が見えない犯人。

追撃で催涙スプレーを浴びせて。

避難開始。

到着した警察官が犯人に発砲。

犯人は目が潰されて激痛によって。

自動ショットガンを乱射しますが。

心臓を撃ち抜かれて死にました。

成実。
「あの人はどうせ死ぬのに戦っていたの?」

萌奈美。
「劣っている人間はやるものです。」

警察官。
「無事ですか!ちょっと手が足りない!」

普通科隊員。
「到着が遅れました、複数人が地域を徘徊しているので。」
「二個小隊で討伐します。」

武装警察。
「女性二人は無傷です。」
「犯人は反撃を食らっていた模様。」

自衛隊。
「工作員の資金援助は厄介ですよ。」
「巧みに洗脳して兵士にしてしまう。」
「カルト教団もテロリストに加わっていますし。」
「無政府主義の蔓延で治安が悪化しているような気がします。」

警察官。
「気のせいじゃないか?」

武装警察。
「今の状況はわかりやすい敵対者がいるというものだ。」

成実。
「ソクラテスのパラドックス。」
「誰ひとりとして悪を欲する人はいない。」

萌奈美。
「善とは?ためになるという意味。」
「悪とは?ためにならないという意味。」

寛大に処理されまして。

テロリストを民間人が倒したので。

表彰されることになりました。

政治利用されましたが。

民間人が社会問題の一部を倒した功績は思ったより大きい。

市役所でインタビューを受けました。

萌奈美。
「人の価値は行為で決まるのか?」
「存在で決まるのか?」
「それら以外で決まるのか?」
「人が他者の価値を規定できるのか?」
「もし価値を定義したらそれがまかり通るのか?」
「そんな社会は利害で成立するのか?」

成実。
「自分の能力とは何で測定しているのか?」
「スーパーマンとの落差なのか?」
「平均的に見たものなのか?」
「足りているのか?足りてないかの話なのか?」
「自分以外の人物との比較なのか?」

萌奈美。
「人は文句なしに移り変わる。」
「それが自発的か。」
「強いられるかの違いなのです。」

成実。
「心理学は簡潔です。」
「人の心理に矛盾はない。」
「やらないのは口実をつけてやらないだけ。」
「高圧的な人間は他人を従わせたいだけ。」
「いくらでも事例は出てきます。」

萌奈美。
「自己啓発の原則は。」
「臆病者にはなるな。」
「というものです。」
「これが一貫しています。」

今週の。

新聞の一か所を手に入れました。

やっと帰宅して。

ひとつを処理できましたね。

不審者は全員討伐されました。

治安回復。

成実。
「日本武尊命。」
「英雄の神様で。」
「強大な力と強烈な主意的な力で影響される。」
「一騎当千の神様です。」
「大和魂の起源とも解くことができます。」
「敵対者である熊襲を打倒しました。」
「どんな場合にもアンチ(反対者)とライバルが出るのが。」
「日本の伝統で。」
「熊襲も人間の自由によって生まれています。」
「草薙の剣を直接使用した神様で。」
「同じような行為や似たような戦績がないと。」
「英雄には遠く及ばない裏の意味があります。」
「帰国できなかった説から。」
「記述によっては完璧な勝利はありえない。」
「そして英雄は人間の理解を超えた相手とも対峙して。」
「克服しないといけないという暗示です。」

萌奈美。
「大和魂。」
「儒教・仏教などが入ってくる以前からの。」
「日本人本来の物の見方・考え方・精神。」
「江戸後期から、日本民族固有の。」
「清らかで死を恐れない気概。」
「精神の意にも使った。」
「岩波国語辞典。」

成実。
「巡礼の最中にお宮を見つけまして。」
「教化されました。」

萌奈美。
「子役の次はテロリスト退治で脚光を浴びるとは思いませんでした。」

成実。
「子役の時期は嫌だったんですね。」

萌奈美。
「嫌がっている人に役目をおしつける道理はありません。」

成実。
「景行天皇は嫌がっている者に役目を与えたりしないと。」
「言うまでもないように。」
「あっさり否定していますよね。」

萌奈美。
「私も嫌になったので。」
「アイドル以外の職業ならけっこう可能ですしね。」
「一部の一般職には向いていないのです。」

成実。
「なんだか舞台の様子とか一度は見に行きたい。」
「誰がいるんですか?」
「何があるんですか?」

萌奈美。
「人間の力が及ばない何かでその人を判断する。」
「大手アイドルグループは美形を必ず落選させますね。」
「これは有名。」
「モモスのようなけちをつける権化の攻撃に。」
「耐えられるか。」
「勇者で突撃して必ず成果を得るなど。」
「不思議な要素で判断するのが最善だと思われる。」
「逆に不可解な人間には警戒したい。」
「その時代の最強が集まっていて。」
「偽物はほとんどいませんよ。」

成実。
「都会はずっと昔から行っていませんし。」
「その時代の最強がいるなら一度は見たいです。」
「観客席にいるほうが安全ですから。」

萌奈美。
「自分に主導権があると見なせば。」
「目の前の草むらを薙ぎ倒すくらいはできますよ。」
「これを繰り返せば主導権を本当に得ることもできます。」

成実。
「大都市までは距離がありますから。」
「劇場とか中心地とか言われる場所ですら。」
「主権と利害の中心地なんですね。」

萌奈美。
「与えられたものに不服があるなら。」
「どこかから奪えばよろしい。」
「与えられたものを売却しても捨ててもいいのですから。」

成実。
「アドラー心理学。」
「嫌われる勇気。」
「これが影響を与えたのですね。」

萌奈美。
「自由とは他者から嫌われることである。」
「他者の評価は無視して、他者から嫌われることを容認し。」
「承認されないという総計のコストを支払えば。」
「自分の生き方を貫くことができます。」
「他人はそうして自由に生きているこちらを妬みますが。」
「ポピュリズムな人間はそれができないから。」
「臆病者の言い訳として自由なこちらを激しく妬みます。」

成実。
「私のほうの友達も似たもの同士です。」
「自由を得るのにも技術が必要。」

萌奈美。
「もう子供ではないみたい。」
「早熟な女の子ね。」
「好きですよ。」

成実。
「お姉さんの影響ですよ。」

この大戦果で。

養父と養母。

私の今の両親から喜ばれまして。

百人力の女の子は大切な存在だと肯定してくれて。

友達からも体験談を求められました。

大局を見て。

全体主義みたいな世界観ですといろいろなものが大きいのですが。

個人単位で考えると。

とても小さな世界が現れてきます。

個人で考えると世界は小さいものが個別に存在しているのです。

個人が個別に存在するだけの小さな世界。

英語のことわざ。

目的を欲する者は手段をも欲する。


10


三つ子に習って浅瀬を渡る。

団子を買って。

食べながら歩いていまして。

途中でひとつだけ地面に落ちましたが。

無視して立ち去りました。

小桃。
「あれま!食べれそうもないね。」
「でも無関心なのはどうして?」

成実。
「なぜかと問われると。」
「もう食べられないし。」
「後で動物が処理するでしょうから。」
「今から振り返っても無駄でしょう。」

小桃。
「私もそう思うわ。」

学期の休暇中。

書道教室が開かれていて。

自由参加なので。

道具を持って学校に行きます。

書道教室では。

蛇足というものを最初に習いまして。

最初は筆の使い方を習い。

好きに書いてみようと進みましたね。

小桃。
「アナコンダの絵を先に書いたら。」
「帰りにチョコレートを差し出す。」
「賭け事はどうかしら?」

成実。
「そもそもまともな絵になりますかね?」

女の子。
「やってやるわー。」

全員が出遅れて。

余裕をかまして。

アナコンダに足を書いてしまい。

それで絵を筆で仕上げたので。

小桃。
「蛇に足があるものか!」

成実。
「先に書いたのに残念でしたね。」

女の子。
「あっ!しまった!」

引き分け。

泥試合でした。

書道家。
「行雲流水。」
「際限なく移り変わっていくこと。」
「文を作ることは、際限なく移り変わる。」
「流れる雲や流れる水のようなもので。」
「初めから決まったものなどない。」
「ただ、自然の雲や水の流れがそうであるように。」
「流れ動くときには動き。」
「止まらざるをえないところには止まるだけだ。」

筆を走らせ。

隣の生徒の和紙が風に流されて飛んで来て。

書いている途中の紙に接着しまして。

さっさと和紙を交換すると。

和紙を隣の生徒に投げ返して。

続行。

書道教室では基本を習いつつ。

一時間ほどで終了。

先生から呼ばれて。

定期連絡。

先生と会話中に。

走ってきた他の女の子が成実ちゃんに衝突しましたが。

無視して先生と連絡事項を伝えて。

何事も無かったかのように事務に行きました。

用事を済まして。

帰り際に会社員が公園のベンチに座っていて。

名の知られた人物で。

昼間に徘徊しているので疑問に思う小桃ちゃん。

小桃。
「あの人って高学歴で、やっとのことで引き入れた新人だったとか。」

成実。
「数か月で解雇されたらしいです。」

小桃。
「うわあ、無残。」

成実。
「評判だけ聞いて採用した優等生が解雇された。」
「評判を売り物にしているだけで。」
「変化に対応できなかったとか。」

小桃。
「評判だけで判断したら実際に使えないなんて。」
「評判ってなんでしょうか?」

近くの通りで。

遭遇。

地域にとある小学生がいて。

最近は大将を名乗っているせいで。

中学生の男の子に目をつけられて。

待ち伏せされていたらしく。

小学生のリーダーが中学生の男の子と遭遇し。

小学生のリーダーが五十メートル逃げました。

他の子は百メートルも逃げました。

小学生。
「そんなに遠くに逃げる必要があるのか!」

中学生。
「それは間違いだ、逃げた事に変わりはない。」
「道理がわからないのか。」

横目で通過。

女の子がやって来て。

成実ちゃんにキャラクターのシールをあげて。

走り去っていきました。

けっこういろいろくれますね。

小桃。
「あの子。」
「なるみちゃんが好きで。」
「さりげなく接近しているのよ。」

成実。
「でしょうね、三角関係?」

小桃。
「ニュースでは。」
「さっきの小学生が万引きしたって。」

成実。
「でも別の都市の同姓同名ですよ?」

小桃。
「風評被害!」

成実。
「なにか、こうして私の少女の時代は終わるのかな。」
「思えば、女の人にいろいろされるのが好きでした。」

小桃。
「古代中国の諺。」
「兎を見つけてからそれを追う犬の用意をしても。」
「まだ遅いとは限らない。」
「羊に逃げられてから。」
「羊の檻を直しても。」
「まだ遅いわけではない。」

成実。
「では、まだ手遅れではないんですね。」

小桃。
「備わるを一人に求むるなかれ。」
「一人の人間に完全無欠であることを求めてはいけない。」

成実。
「私もそう思います。」

天鞠。
「今回も女の子連れてきたよ。」

成実。
「女子小学生と女子中学生で遊びましょう。」

小桃。
「輪投げとか。」
「屋内で風船もどう?」

女の子一同。
「やろうよ、後からイメチェンもやりたい。」

小桃。
「だったら、私の家に揃っているから。」
「お姉ちゃん達で担当して写真撮ろうよ。」

天鞠。
「私も髪型とか変えられますよ。」
「地雷服も用意できます。」

成実。
「私の古着でゴスロリとかあるから。」
「スーツケースで集めてくるね。」
「会場はこももちゃんの家。」

女の子一同。
「やったあ!綺麗になるんだ!」

全員で道具を持ち寄って。

女子小学生の髪型を変えたり。

衣装を整えて着せ替え。

写真に撮ってすぐに印刷して配ります。

ずっとメイクや着せ替えで午後が終わりました。

イメチェンが終わると時刻は夕方。

五時になって解散。

成実。
「負うた子に教えられて浅瀬を渡る。」
「私にも同じことしてね。」

小桃。
「え?していいの?やっちゃうからね!」

天鞠。
「いやあ、仲間にメイクとか自分にもできますし。」
「私もイメチェンしてみよっと。」

小桃。
「ロリのイメチェンもっと見たい。」

成実。
「また明日行きますね。」

小桃。
「覚悟してね?」

約束してから。

次の日。

午後に小桃ちゃんの家に行くと。

押し倒されて。

手を縛られて。

成実。
「なにするんですか?」

小桃。
「好きなようにしたいから大人しくしててね。」

成実。
「何を着せたりどんなメイクしたいのかな。」

小桃。
「少し時間が必要だから。」
「まずメイクから。」
「次は脱いでね。」

成実。
「動けないしされるがまま。」

脱がされて。

地雷服を着せられて。

やっと拘束を解いてもらえて。

撮影の時ははりきって決めポーズ。

小桃。
「好き!好き!もっと見ていたい!」

成実。
「いいですよ、じっくり付き合います。」

小桃。
「次はこれ着てね。」

成実。
「もちろん!」

ドレスやメイド服など。

けっこう衣装がありまして。

印刷した写真がとっても素敵で。

小桃ちゃんに好きにされて良かったです。

成実。
「ひゃあ!私ってすごい美人!」

小桃。
「頑張ってやり遂げたわ!」
「あれ?もうこんな時間?」

成実。
「メイクや着替えに夢中でしたから。」
「この地雷服ってサイズ合っているし。」
「貰ってもいい?」

小桃。
「喜んであげるわ!でもたまに着てね?」
「ロリータみたいで好きだから!」

お化粧をして地雷服のまま解散。

帰宅途中に。

他の女の子から目立つのか。

張り合おうと。

遠くで女の子同士が議論を始めました。

自宅に入り。

目の前。

お姉さんが来ていて。

勉強していましたね。

成実。
「他の女の子が対抗しようとしていました。」

萌奈美。
「おや?地雷女というわけですね。」
「そんなもの他の女の子に勝ち目はありません。」
「お化粧もしているのですし。」

成実。
「あんまり好きになったので。」
「撮影会の後にそのまま帰ってきてしまいました。」
「男の子が私に見惚れて。」
「女の子からは大事件のようです。」

萌奈美。
「群羊を駆って猛虎を攻む。」
「弱いものを多く集めて。」
「とうてい抵抗できない強いものを攻めることにたとえる。」
「転じて。」
「勝ち目がないことのたとえ。」

成実。
「多くの羊を駆り集めて獰猛な虎を攻めるようなものです。」
「そもそも虎と羊では比較にならないのは明らかです。」

萌奈美。
「都会の決定版が田舎みたいな所で。」
「出現して戸惑っているようです。」

成実。
「お姉さんはいつもお化粧なしです。」
「それでも美しいです。」

萌奈美。
「あなた、今は自分が思っている以上に綺麗ですよ?」
「都会の情報は機械がないと得られませんし。」
「コンピューターとかは市街地にも少ないですね。」
「取り扱っているお店もありません。」

成実。
「自作PCの作りかけが倉庫にありますが。」
「完成させないのですか?」

萌奈美。
「機知の巧あれば必ず機知の敗あり。」
「我々の先生の教えに。」
「機械の巧みさを知れば必ず機械によって失敗する。」
「とある。」
「我々は機械の作り方を知っているが。」
「作りたいと思わないだけである。」

成実。
「インターネットの回線とか薄いですしね。」
「小桃ちゃんしか成功例ないです。」

萌奈美。
「コンピューターと機材を一式導入する。」
「大金があるのはお友達くらいでしょう。」
「性能の更新でパーツが作れなくなって。」
「様子を見ているのです。」
「中古パーツが手に入らない田舎は無理ですかね。」

成実。
「機材を揃えるのに失敗したのですね。」
「お姉さんでも失敗するなら私にはもっと無理です。」

萌奈美。
「昔のデバイスを使っていて。」
「何度も故障したから部品を交換できるパソコンを作ろうとしたのです。」
「それも失敗したら。」
「無関心になってしまいました。」

成実。
「お姉さんはパソコンあんまり使いませんからね。」

萌奈美。
「一応は中古のパソコンで足りていますし。」
「スペックは見劣りしますから。」
「自作PCもそろそろ進めますか。」

お姉さんは倉庫に歩いて行って。

作りかけの自作パソコンを調べ始めました。

小桃ちゃんに影響されて。

成実ちゃんに同じ事をしてあげられないかと。

危険地帯を突き進んできたお姉さんとは反転していて。

危険に近寄らなかった成実ちゃんに手助けしたくて。

機材も持ち出しています。

今日の地元ニュース。

居眠りをして覚めて。

眠たいまま。

歩いていた野生のブタを猟師が撃ったのですが。

夢なのか現実なのかわからずに。

そのまま帰ってしまった。

そして男の子の一団がそれを見つけると。

持って帰ろとした。

猟師が集会場で自分が撃った野生のブタを見て。

指摘すると。

男の子の一団はなぜか落ちていたと主張しまして。

猟師は獲物の半分を切り裂いて男の子の一団に渡すと。

夢か現実かを区別しようとしても。

聖者だけができることである。

と言い残して立ち去った。

英語のことわざ。

ひよこが親鶏に助言する。


11


自分が夢を見ているとは思っていないが。

夢ではないと証明することはできない。

しかし、夢のなかであれ。

起きているときであれ。

その経験をしていることは確かだ。

バートランド・ラッセル。

晴天のそよ風。

昼休みに放課後の予定を。

美少年と約束していました。

男の子と交流したくて。

適当に選んだのですよ。

男の子と散歩していましたら。

なにやらじろじろ見てきます。

成実。
「私はそんなに綺麗ですか?」

美少年。
「好きです。」

手を取って告白してきましたが。

拒否。

男の子は察する。

成実。
「二人きりをいいことに。」
「そんなこと言わないで。」

美少年。
「どうしても好きなんです。」

成実。
「わかりましたので放してください。」

散歩再開。

歩いているうちにあの整備された。

市街地の端っこにある河川で。

階段があって。

河川に降りることができます。

成実。
「水に手を入れると気持ちいいね。」
「入ってみようかしら?」

美少年。
「僕はなるみちゃんを見ていたい。」

成実。
「あらまあ、蒙昧になったのね。」
「付き合わせてしまってごめんなさい。」
「好意は受け取りますよ。」

男の子と解散。

しばらくすると。

小桃ちゃんと会いまして。

美少年と遊んでいる所を疑問に思われました。

小桃。
「浮気?」

成実。
「丁寧に断りましたが。」
「私を手に入れたい男の子はけっこういると知りました。」

小桃。
「誘ってきたのね。」
「なるみちゃんは罠に引っかかった形になったけれど。」
「男の子の方も問題あるわね。」

成実。
「まさか、大人しく食らうとでも思ったのかな。」

高校の近くに来ますと。

部活が終わった女子高生が来て。

女子高生の一団と会話します。

いきなり。

抱きしめられたり撫でられたり。

友好的に接してくる女子高生。

るる。
「好きなように触らせてくれる。」

成実。
「構いませんよ。」
「いくら触っても。」

るる。
「こんなことしても?」

成実。
「ひゃあっ!スカートめくり!」

小桃。
「うわっ!色っぽい女性に抱きしめられた!」

女子高生。
「好き。」

るる。
「小さくて美しいね。」

成実。
「大人の女性と変わらない。」
「女子高生のお姉さんも好きです。」

小桃。
「きゃー!探らないで!」

女子高生。
「せっかくだからえっちなことさせてよ。」

成実。
「ほっぺにキスされるのは好きです。」

るる。
「あなたも女の子好きなのね。」
「調べていい?」

成実。
「好きなようにいろいろされる。」

女子高生。
「どうだった?」

小桃。
「大人の女性も好きです。」
「でも恋人が近くにいるのでは。」

るる。
「あなたの恋人も。」
「喜んでいますね。」
「また会えたら遊びましょ。」
「ゲームセンターとかよく行くから。」

成実。
「良かったら一緒に銭湯行きませんか?」

るる。
「きゃー!女子中学校なのにえっちな女の子!」
「でも悪くないかも。」

女子高生。
「何かあったら私達に言ってね。」
「できることがあるかもしれない。」

小桃。
「いつものお姉さんたまらないです。」

女子高生が立ち去ります。

成実。
「両方で浮気してしまいました。」

小桃。
「構わないわよ、とっても良い体験だから。」

ほっぺにキスされました。

成実。
「恋って女の子同士で良いのでは?」

小桃。
「最近の男性は悪趣味で。」
「暴力的であると聞いたことがあります。」
「恋をしても相手の男性に問題があったりして。」
「一生を台無しにするのです。」

成実。
「出生率の低下と男女の不妊。」
「女性の結婚忌避。」
「男性の色欲嫌悪。」
「女性の権利拡大。」
「子供に対する待遇の悪化。」
「社会問題に衝突する少年少女。」
「夫婦の絆の崩壊。」

小桃。
「それに抵抗するように一部の男性の色欲が二倍になったり。」
「恋に価値があると宣伝したり。」
「結婚していないのに性行為を流行らせ。」
「それらを激化させている。」
「おまけに生まれてくる子供に責任を取らせて。」
「生き急ぐ女性も増やしている。」

成実。
「世界がそういう流れになっているので。」
「私は人間ではなくて世界に加担します。」

小桃。
「それは健全な姿勢だと思いますよ。」

成実。
「悪いものに加担している人間は。」
「悪の一部分ですからね。」

小桃。
「それでもって彼らは自分が正しいと主張するでしょう。」
「正しいと思った時点で自分の中で完結するので。」
「他人にそれを衝突させると争いになります。」
「争いに必ず勝てる訳ではないので。」
「権力争いに負けたら破滅です。」
「他人を負かしたら報復を受けます。」

成実。
「彼らは狡猾な所しか取り柄がない。」
「ずる賢いだけで何もできない。」

小桃。
「その状況では。」
「構図が逆で。」
「他人の悪を被り続けて。」
「疎外されているだけで。」
「悪を実行する悪党共は野放しです。」
「口実があれば他人は攻撃してきますが。」
「それは他人の悪によるものです。」

成実。
「他人の悪によって追いやられる人々から見れば。」
「悪党が平気で町を歩いて野放しになっているので。」
「さぞかし無念でしょうね。」
「打たれるのは他人の悪の方で。」
「攻撃を受けた側に問題が無い可能性もよくある。」

小桃。
「自分が善人であると主張する者は死ぬであろう。」

成実。
「正義を名乗るなら命を差し出せと言いたい。」
「でなければ腰抜けは消えるべし。」
「負ければ死ぬから。」

小桃。
「力は正義なり。」
「私は正義です。」
「そして連中は狡猾なだけなので。」
「単純に卑劣な行為で勝とうとしてくる。」
「弱いくせになぜ勝とうとするのかよくわからない。」
「ずる賢い手段しか彼らは選べないので。」
「こちらも策略を持って潰せば文句は言えないでしょう。」
「悪党に負ける訳には行かない。」

天鞠。
「私を否定したければ私と戦え。」
「臆病者は立ち去れ。」

小桃。
「後ろから天然ロリちゃんが登場。」

成実。
「最近の哲学の進捗が抜群ですね。」

天鞠。
「リベラリズムのエリートがこの都市にいて。」
「感化される人が続出しているのです。」
「リベラリズムは最近の定番になりましたね。」

小桃。
「リベラリズムは私達でも知っているエリートですよね。」
「とうとうこの町にも来ましたね。」

成実。
「むしろ遅れているくらいでしょう。」

天鞠。
「人間は物事からよく逃げる。」

小桃。
「意見は大事です。」
「誰でも意見はありますし。」
「意見は言わないと損します。」

成実。
「意見は言ったもの勝ちです。」
「世間の意見ではなくて自分の意見です。」

天鞠。
「他人の意見を聞いて楽しむのも学問の完成形かと。」

メールがありまして。

今回はロシア人と日本人のハーフの女性が。

お客さんとして来るようです。

とある老人が趣味で。

廃坑を整備して探検できるようにしてあるので。

迷路のような廃坑の中を一緒に探索しようと。

自動車に乗って登場。

アナスタシア。
「美人さんが来ましたよー。」

成実。
「うわあ!本当に美人さんです!」

小桃。
「ロシア系の美人だなんて無敵でしょ!」

天鞠。
「誰の知り合い?」

成実。
「私の親戚のお姉さん。」
「萌奈美という人の友達ですよ。」

アナスタシア。
「最近は、車でいろんな場所を見て回っています。」
「のんびり五時間くらいかければ。」
「日本中は届きますよ。」

天鞠。
「確か休学中とか言っていましたよね。」

アナスタシア。
「私これでも内戦に参加した傭兵ですよ?」
「危ない人や化け物をたくさん倒しました。」
「特別入学で通過しましたから。」
「少しくらいの怠惰は見逃してくれるのです。」

成実。
「アインシュタインも特別入学でしたよね。」
「歴史において特別扱いは度々あることでしたし。」
「アナスタシアさんは女子中学生についてどう思いますか?」
「色っぽくて何かしたいですか?」

アナスタシア。
「私は貞潔でえっちな空想はしないですよ。」
「今日は宿泊するのて明日の休日にまた来ます。」

小桃。
「今日は挨拶なのね。」
「なかなかいいわね。」

天鞠。
「経験を積んでいるのは若い女性としてけっこう真面目。」

成実。
「ですよね。」
「自分から経験を積んで実践している。」
「明日は定時に集まりましょう。」

みんな解散すると。

あっという間に。

時間は過ぎ去って。

土曜日の午後。

集まっている所に再び自動車で来るアナスタシアさん。

車に飛び乗って。

廃坑の場所に向かいます。

成実。
「このまま都会でも見て回りたいかも。」

アナスタシア。
「そんなの余裕ですよ。」
「今回は目的がありますから。」
「一度に複数に手を出しても何も得られません。」

小桃。
「若い女性なのに心が安定している。」

天鞠。
「お姉さんがこれまで見てきたもので印象的だったのは?」

アナスタシア。
「善悪二元論ですね。」
「性善説と性悪説は他人や世界観の前提に関するものです。」
「どちらを前提にするかで状況が激変します。」
「前提なので正否とは関係ありません。」
「好きな前提を選びましょう。」

天鞠。
「本当に成人したばかり?」

成実。
「誰が師匠なのですか?」

アナスタシア。
「師匠いましたよ。」
「今もいます。」
「女性も訓練次第ですね。」

小桃。
「欠点がないのが欠点。」

成実。
「自覚していると思います。」

アナスタシア。
「他人の欠点の数点を除外すれば。」
「まったくもって健全ですし。」
「高学歴で低迷している人は。」
「低迷をすべて除外すれば。」
「ステータスが決まって残ります。」
「欲しい会社はけっこう出てくるので。」
「出世できない人がいたとしても。」
「出世以外の大半を獲得しています。」
「残すは出世のみであると主張している場合もあるよ。」
「他人の負の面の数点を無いものとして除外すると。」
「以外にも他人について正確に把握することもできますね。」

成実。
「私は本人とは関係がない要素は無視したい。」
「病気や怪我で入院している患者などは。」
「自分が選んで病院にはいないので。」
「同じように。」
「本人と本人以外の要素は切り離して考える。」
「見分け方は本人が病気や怪我を否定しているかどうか。」
「自分の一部を否定する訳が無いので。」
「本人が否定すれば客観的な事実と言えます。」

アナスタシア。
「人身攻撃を否定するのは大事よ。」
「世の中はフェアプレーではないのですから。」

小桃。
「哲学を学んだ美人女性なんて無敵でしょ。」

アナスタシア。
「私の当然の権利なのですよ。」

成実。
「キケローが言うには。」
「公正とはすべての人に当然受けるべきものを与えることだ。」

アナスタシア。
「私も公正を受けたわ。」

天鞠。
「最近よくある。」
「公正世界仮説の問題点は。」
「その中にいる人々が誰一人として公正な態度ではない。」
「ひとりも公正な態度ではないし。」
「誰にとっての公正なのか不透明。」
「そもそも公正を誰が定義するのかもわからない。」

アナスタシア。
「公正とは何か?そこは哲学の激戦区のひとつよ。」
「本気で哲学の世界で議論に加わると。」
「まるで勝ち目がないからそこら辺でいいね。」

到着。

廃坑の近くに老人の家があって。

扉を開けるので。

好きに使っていいとのこと。

村の言い伝えで出てくる化け物が。

廃坑に住み着いて。

困っているので。

噂が広がる前に討伐して欲しいと依頼されています。

見学者が逃げ帰って報告して来たのです。

成実。
「私はライトを担当します。」

天鞠。
「私は背後の照明をなんとかします。」

小桃。
「お姉さんは戦えるんですよね?」

アナスタシア。
「言い伝えの化け物を超える怪獣なんて。」
「何匹も殺してきたね。」
「慣れているので任せるね。」

整備された廃坑ですが。

各所に設置された照明が作動して。

昼間のように明るくて見えやすい。

暗くない炭鉱は珍しい。

化け物はどこにいるのかわからなくて。

監視カメラに映る程度。

アナスタシア。
「あんたら離れていなさいよ。」

成実。
「いつでも逃げられますが。」

アナスタシア。
「相手も動揺しているね。」

コンバットナイフを展開したアナスタシア。

離れているように指示すると。

明らかに構えながら進みます。

天鞠。
「私達は遊びに来ているのか。」
「危険に晒されているのか。」

小桃。
「そのうちわかるわよ。」

アナスタシア。
「なるほど、フェイントを仕掛けますね。」

爆竹を投げて。

炸裂すると。

地中からモグラとコウモリの融合体のような。

大きな化け物が。

飛び出てきて。

アナスタシアは既に突撃していて。

化け物を信じられない速度で切り刻んで。

目に見えない動きの速さでした。

気づいた時には化け物は死んでいて。

死体を蹴っているアナスタシアがいるだけでした。

成実。
「うわあ!なんてあっさり!」

小桃。
「これが言い伝えの化け物?」
「弱いように見えましたが。」

天鞠。
「異常個体ですよ。」

アナスタシア。
「そうですよ、異常個体です。」
「もう殺しましたよ。」
「死体を蹴っても殴っても好き放題です。」

成実。
「人間の域を超えている力です。」

小桃。
「村の言い伝えとか大きく出たのに。」
「結果がこれですからね。」

天鞠。
「歪んだ生き物ですね。」
「一部の人間に似ていますが。」

死体は残して。

老人が駆けつけて。

死体を手に入れたと喜んで。

お礼の品を貰うアナスタシア。

こういう討伐はほとんど無料でやっているのです。

なので依頼が舞い込んでくるんですね。

無料でやってくれるから。

死体は生物学者の元に輸送されまして。

言い伝えも自然科学で調べられるのです。

帰りの車内で。

成実。
「お見事な討伐でしたね。」

アナスタシア。
「化け物相手には慣れてますので。」

小桃。
「美しいし強くて素敵。」

天鞠。
「女性も男性のような戦士になれるとは。」

アナスタシア。
「後天的に女性が男性を模倣するのはありえる可能性ですよ。」
「男女の能力が融合して二倍です。」

成実。
「天才なんですね。」

アナスタシア。
「きっかけは退屈なものでしたよ。」
「顔がいいのかボディがいいのか選ばせて。」
「男の人を倒した時に。」
「他の女性とは何か違うと師匠が誘ってくれたので。」
「私は望まれた通りに女性の強者になりました。」

成実。
「求められた結果なんですね。」
「強いられた私とは似たもの同士。」
「今回はお手本を見せてくれてありがとう。」

アナスタシア。
「私はまだ途中です。」
「それでも過程が参考なるのは嬉しい限りです。」

帰宅。

自動車で自宅まで送ってくれました。

何やらお姉さんが女性に教えています。

帰宅した私を見ましたが。

ウィンクして。

指導を続けています。

萌奈美。
「格闘技のテクニック。」
「ストレートパンチは外しやすい。」
「一発でも外れると詰められる。」
「ワンインチパンチは威力が低下するも。」
「コンパクトで距離が詰まっても打てます。」
「突きとストレートパンチが合わさった連撃を。」
「ひたすら食らわせると。」
「相手は防戦一方になって最後には崩れます。」
「滅多打ちにするとジークンドーの選手でも。」
「対処できない猛攻が通ります。」

るる。
「呼吸も大事で。」
「戦闘中に呼吸できないと体力を失いますよね。」

萌奈美。
「戦闘では事前の計画が要点です。」
「戦術によっても違いが出ます。」

るる。
「卒業したら。」
「近くの中都市にあるシステマ・ジャパンに通いますね。」

萌奈美。
「護身術は便利ですよ。」
「人形に対して模擬戦を続けましょう。」

るる。
「戦闘は生き残るのが目的で。」
「手段は問われませんし。」
「相手が襲い掛かってくる前に先制攻撃することもあるんですね。」

萌奈美。
「正当防衛が確実なら。」
「こちらも殺意を持って反撃するものです。」

るる。
「素人のやってくる攻撃は。」
「掴んでくるか大振りのパンチかの二者択一。」
「格闘技の経験者であっても。」
「読みやすい攻撃しかして来ない。」

萌奈美。
「相手の構えに隙が出たら。」
「アッパーやボディブローも狙えます。」
「顔面以外はダメージが入りにくいので。」
「簡単に顔面を狙い。」
「相手がガードをしたらこっちのものです。」
「ちなみに交戦開始から三十秒以内に倒してください。」
「ひとりに時間をかけてはなりません。」
「格闘技の選手には弱点があって。」
「不意に遭遇戦になると。」
「かなり焦ってしまいます。」

るる。
「一瞬の攻防なんですね。」

萌奈美。
「海外の暴漢は日本の暴力男性顔負けの。」
「ありえない戦闘力と頭脳を持っています。」
「海外の暴漢を退ける難易度は高いですよ。」

るる。
「私もそう思います。」
「暴漢は必ず不意打ちや騙し討ちが得意です。」

萌奈美。
「自衛隊の式典で自衛隊徒手格闘が披露されます。」
「あそこでは生の軍隊徒手格闘が見れますので。」
「普通科の方々をお手本にしてくださいな。」

るる。
「あれでも手加減しているなんて。」
「一瞬でやられそうな技術ですよ。」

萌奈美。
「拳を握った時に親指が手の内に入らず。」
「外側に親指が出ていたら相手は戦闘の素人です。」
「親指が人差し指の上に出ていたら。」
「まともなパンチを打てば怪我をしますから。」
「親指が手の内に収納されているか外に出ているかだけで。」
「見分けられます。」

成実。
「私を知っていてお客さんとして来たんですね。」
「あの女性は数日前に会ったので。」
「やっぱり私が好きで触りに来たのかな。」
「またえっちなことされるかも。」

指導が終わると。

一緒にお茶菓子。

女子高生の人に見つめられます。

その後はなぜかその女性に勉強を教えてもらい。

中学生にお勧めな学習を伝えてくれましたね。

遊びに来たというより。

勉強を徹底的に補佐してくれました。

るるという女の人が言うには。

勉強による雑学の中でも使えるものがあって。

知識人は有効活用した過程で生まれたのだと。

現代の教育は生徒が不利なので。

下手に逆らわないこと。

上手に反抗すること。

勉強と学問を区別してそれぞれの目的を察すること。

お姉さんとは違って女子高生の忠告は現場を見ていて。

細部まで深く考察していて助かりますね。

最後に写真を撮りたいと言われて。

決めポーズを撮らせてあげて。

るるという女の人は帰りました。

お姉さんに。

噂通りのアナスタシアさんの活躍を伝えましたら。

怪傑のひとりなので。

当たり前のように不思議な力を使い。

目的を達成すると言われて。

勝って当たり前の戦いもあるんですね。

今夜も定期的につける日記に記します。

いわば資料です。

吟味されることのない人生は生きるに値しない。

ソクラテス「プラトンの引用より」


12


陽春白雪和する者寡し。

優れた人の行動や言葉は。

普通の人には調子を合わせにくく。

真似することができないたとえ。

大宮姉妹という隠れた手練がいまして。

半分貴族という身分で。

小さな別荘のある。

近くの高原に宿泊しているのです。

地域で話題の女の子を訪ねてきて。

都市部を散策している時に出会いました。

久々利。
「君、綺麗だね、モデルとかやっている?」

成実。
「女性から口説かれた。」

佐保。
「お姉ちゃん、あなたが気に入ったわ。」
「中性的で。」
「同人誌にも出てこないレア。」

咲耶。
「抱き枕にしたら寝心地良さそう。」

成実。
「誰でしょうか?」

咲耶。
「隠れて噂の大宮姉妹よ。」
「このほんわかお姉さんが長女。」
「この冷淡な私は次女。」
「かっこつけたがるのは三女。」

成実。
「私はモテモテなんですね。」

佐保。
「町で、素敵な女の子がいるって聞いて。」
「やってきたら本当だったわ。」

久々利。
「一緒にお風呂入りたいわあ。」

成実。
「え?入ってくれるんですか?」

久々利。
「ん?そこに食いつくの?」

佐保。
「今夜でも入りましょうよ。」

咲耶。
「口説き甲斐がある女の子だわ。」
「あの話は聞いた?」

久々利。
「なんか只者の女の子ではないから。」
「尋ねるのは有益とか言われたし。」

成実。
「好意を持って来てくれたんですね。」
「ほんわかお姉ちゃんはメガネが印象的です。」

佐保。
「これ伊達メガネですよ?」

成実。
「工夫したんですね。」
「次女さんは強気で雑に接しても支障ないかも。」

咲耶。
「いろいろ手を抜いているからね。」
「現実なんて手を抜いて当り前よ。」

成実。
「三女さんはおしゃれです。」

久々利。
「服装も世の中の好みに合わせて。」
「制服みたいなチョイス。」
「髪飾りにも本気だからね。」

成実。
「何をもたらしてくれるの?」

咲耶。
「今日は挨拶に。」
「アナスタシアさんが前に来たからね。」

成実。
「あの美女さんですか?」

佐保。
「かつてのチームメイトで今も友達ですよ。」

成実。
「ううむ、多方面に関係あるとは。」
「例えば、大都市圏にドライブとか言ったらどうします?」

久々利。
「簡単だよ。」
「マイクロバスみたいなので。」
「早朝から夜にかけて見放題。」

成実。
「大都市は久しぶりに見てみたいです。」

咲耶。
「保護者に許可取れば行けるよ。」
「高原の別荘にいるから。」
「連絡くれ。」

急いで帰ると。

メールで。

養父と養母と相談。

明後日の日曜日から行っても良いと。

アナスタシアさんからもお薦めとのこと。

人脈が広くて。

ギルドという同業者の組合で。

繋がっていたのですね。

しかも大宮姉妹は隠れて知られている名家で。

今は女子高生なのです。

次の日に。

マイクロバスみたいなので来てくれて。

遊びに行きました。

咲耶。
「警戒されるかと思ったわ。」

成実。
「年齢が近いのですし。」
「他の女の子とも遊びたい。」
「しかも大都市圏に行って貰えるのだから。」

佐保。
「そもそも我々があなたを選んだので。」
「付き合わせているのはこちらのほうですよ。」

車で数時間かけて大都市圏に到達。

中心地を見て回ります。

ドライバーは双葉という女性で。

雇われて一家の警備を担当しているとか。

都市部のホテルに宿泊して。

人々を調べていたアナスタシアさんと合流。

都市部を念入りにドライブ。

アナスタシア。
「どう?私は手が届かなくて。」
「あなたの話をしたら興味を持ってくれたの。」

成実。
「そうなんですか。」
「私が好きなのですか?」

久々利。
「いや、失恋して傷心旅行中なんだわ。」

成実。
「そんなに超級の女の子なのに!?」

咲耶。
「相手の女の子に遠回しで拒否されて。」
「途中までは良かったの。」
「他の女の子に取られた形になって。」

成実。
「女の子同士で!個人的には親近感が沸きます!」

佐保。
「それであなたに告白したいのです。」

成実。
「彼女います。」

佐保。
「あわよくば忘れさせてあげる。」

久々利。
「私達は女子中学生が好きだから。」
「連れ回したいだけです。」

咲耶。
「他にも素晴らしい女の子知っている?教えて?」

成実。
「けっこういますよ。」
「天然ロリとか。」

咲耶。
「いいじゃん!天然ロリ!」

成実。
「あの、告白を拒絶すると私はどうなりますか?」

久々利。
「そのまま続行して市内を巡って帰りますが?」

佐保。
「女の子同士で恋をしている女子中学生を応援するわ!」

咲耶。
「同類なのよ。」
「今日は存分に付き合ってくれ。」
「我々には癒しが必要よ。」

久々利。
「憩いの傷心旅行中。」

成実。
「私が花を添えます。」

咲耶。
「ん?寄ってきた?」
「好きにしていいの?」

久々利。
「やってしまえ!」

佐保。
「私が抱きしめます。」

成実。
「うわっ!わっ!」

抱きかかえられたり。

触られたりして。

なぜかテクニシャン。

取り合いになりましたが。

お姉ちゃんの席に落ち着きまして。

そのまま中心市街地を窓から見ていました。

久しぶりに見た景色です。

アナスタシア。
「市街地を調べていると発見があって。」
「卒業論文に書く予定なの。」

成実。
「無策で突撃しないお姉さん最高です。」

佐保。
「この大都市圏では闇為政者が巧みに専制政治を整備すべく。」
「計画を進めていて。」
「インターネットによる世論操作により。」
「市民の思想を歪曲しているとか。」

久々利。
「複数の闇為政者はとある法案を採決しようと試みており。」
「自分の味方を大量に送り込んで。」
「隙間が出るのを狙っていたり。」

アナスタシア。
「あんな伝説、本当に信じているんですか?」

咲耶。
「都市伝説としては良いネタかと。」

アナスタシア。
「内戦も沈静化しているし。」
「いい加減に全滅したでしょ。」

久々利。
「たいして獲物を捕れなかったけれど。」

成実。
「傭兵だったんですか?」

久々利。
「一応はそれ、民兵だから。」
「指揮系統は別々。」
「任務委託して達成したら成功報酬。」

咲耶。
「命令というより自由に攻撃しろという特殊な兵士。」
「魔法を武器にも防具にして生き残ってきたわ。」

成実。
「アナスタシアさんも同じでしたね。」

アナスタシア。
「お使い小隊と言われる部隊に所属すると。」
「難事件や援護や調査とか。」
「特に強行偵察とか任せられるの。」
「そこでは敵の数が少ないから。」
「戦いやすいわよ。」

佐保。
「戦いに向いていない魔法使いもいますからね。」
「技能タイプが増えてきているのよ。」
「私の卒業論文は自分です。」

アナスタシア。
「自分が魔法使いであることも調べていて。」
「私も数少ない研究者でもあるのよ。」

成実。
「魔法使いを研究?」
「もはや超人の世界になっていますね。」

咲耶。
「超人だから戦場で圧倒できる。」

久々利。
「最初はよくいる女の子でも。」
「少しでも魔法を使いこなすと。」
「戦闘力や知性が大幅に向上する。」

佐保。
「戦いに出ても既に優劣がついていて。」
「後からそれに沿った結末が出てくるだけです。」

成実。
「鉄砲相手に立ち回れるのも。」
「自分の力ではありませんか?」

佐保。
「魔法を制御して自分の一部にするのも自分の力ですよ。」

アナスタシア。
「魔法は自分の一部となって力量を支えてくれるようになる。」
「やがては自分の一部になる。」

成実。
「それは究極的存在。」
「切り札なんですね。」
「それでも戦死はするとか聞きました。」

アナスタシア。
「魔法使いは戦死しないと言われている兵科だから。」
「けっこう生き残るわね。」
「前線で突っ込んでいった自衛隊傘下の傭兵はほとんど死んだわ。」

久々利。
「男性の魔術師はもう数が残っていない。」
「復活した魔法はいきなり数が激減するという。」
「使い方次第なんでしょうね。」

成実。
「幾多の殺し合いで勝ち残った。」

久々利。
「いんやもう、後ろでコソコソやっているだけで。」
「化け物系が専門で。」
「対人戦は経験あんまりないよ。」

咲耶。
「実戦経験があるけれど。」
「隠れていた工作員を倒したくらい。」

佐保。
「援護が主任務でしたから。」
「最前線には行ったことがほぼないのです。」
「それだけで生き残ったので。」

成実。
「でも、そのおかげで。」
「特殊な女の子が隠れて活躍している。」
「お嫁さんになってくれる女性は。」
「不思議な雰囲気に惹かれてやってくると思います。」

久々利。
「そう、まさにそれ、荒事があったおかげで。」
「彼女募集中。」

佐保。
「沙汰を通過したら傷心旅行ですから。」
「最高の癒しですよ。」
「なるみちゃん。」

三姉妹で揉みくちゃされまして。

マイクロバス内部が混雑。

中心市街地を窓から見ながら。

ドライブをして。

時間に余裕を持って離脱をします。

ニュースでは議会で乱闘騒ぎ。

なにやら議会の中で大規模テロが発生。

大宮姉妹は念のために。

大きな杖を準備。

重そうです。

該当地域までそんなに距離はありませんが。

アナスタシアさんは私を守ってくれるようです。

ウィンクしてくれています。

曠世の度。

世を見下すほどの優れた才能・力量。


13


全きを求むるの毀り。

完全さを追求しているのに。

かえって人から思いがけない非難を受けることがある。

不意討ち。

一時的な混乱が生じた。

数日のうちにすべてを乗っ取ろうと。

全国の味方に号令して。

次々と大規模テロのドミノ倒しが発生。

それを予期していた自衛隊特殊部隊がテロを次々と鎮圧。

政治を乗っ取る速度に追いついていました。

国内のゲリラも一斉に攻勢に出てきまして。

日中で既に久しぶりの激戦が展開され。

不意討ちを決められてしまったようです。

主犯格は居場所を突き止められて。

移動を開始。

地下基地がある湖の近くに移動しようとする。

闇為政者。
「人間を試して数十年。」
「この時を迎えるか。」

従者。
「自ら悪役になるなんて。」
「偽悪者そのものですよ。」

闇為政者。
「政治の脆弱性のすべてを突いておいた。」
「これで変わらざるを得ない世界だね。」

従者。
「勝利は見えています。」
「しかしうまく行った先にありますが。」

闇為政者。
「さてね、一度でも敗北したらそこで終わりだ。」
「少しでも失敗すれば終わりだ。」

従者。
「猪突猛進ってことですかね。」
「今は一時間で状況が変わる世界にいます。」
「向こうが死ぬかこちらが死ぬかですよ。」

闇為政者。
「そんな単純な話かね?」

従者。
「多くの人に後ろ指をさされたならば。」
「たとえなんの病気もない者でも死ぬだろう。」
「とあります。」
「捲土重来の機会を逃してなるものか。」

闇為政者。
「災害の中でも果敢に立ち向かう姿。」
「どんなに揺さぶっても動じない上に鈍感ではない。」
「それほど最悪な世界情勢でも決して倒れはしない。」
「そんな人間の強さが好きだ。」

いきなり暴走車が突っ込んで。

市民が事故を起こす。

闇為政者の進路を妨害。

スピード違反の信号無視で。

阻止された形になった闇為政者。

戸惑って徒歩で逃げだす。

交通事故で味方がやられた。

ひとりで歩いて。

ドライブ中の大宮姉妹が接近。

なるみちゃんに見つかってしまう。

成実。
「あの豪華なスーツ姿って見覚えがあります。」
「会社員じゃないですよね。」
「よく見てください。」
「向こうにいる人。」
「バッジやら紋章やらで丸わかりです。」

佐保。
「どこですか?そんな要人が町の真ん中でひとりで?」
「あれれれれれ?」

咲耶。
「あ?よくお金をくれる人!」

久々利。
「あの人気者というかポピュリズム野郎ですか。」

咲耶。
「いいじゃん、何かくれると思うよ。」

成実。
「あの人って政治家ですか?」

久々利。
「そうだよ、やたらお金をくれる。」

咲耶。
「チップと称して問題ないのかと思うけれど。」

久々利。
「昔からの知り合いですからね。」

佐保。
「サイン貰いましょうよ。」
「紹介状とかよく書いてくれたじゃないですか。」

久々利。
「それでは、機嫌を損ねないように。」
「欺こうかな。」

アナスタシア。
「成実ちゃんは一緒に周囲を見ていようね。」

成実。
「停車したのでゆっくり見まわします。」

アナスタシア。
「都会のテレビやラジオが視聴できるよ。」

成実。
「わあっ!見せてください!」

停車して。

サインを貰おうと大宮姉妹に追いかけられて。

なぜか逃げようとする闇為政者。

佐保。
「こんにちは、忙しい所にお邪魔します。」
「久しぶりですね。」

闇為政者。
「おっと、すまない、スケジュールの都合で。」

佐保。
「せっかくのカリスマっぷりですから。」
「サイン書いて貰いたくて。」

闇為政者。
「わかったよ、女の子に追いかけられるなんて。」

サインを貰うと。

緊急連絡が入り。

デバイスに表示。

自衛隊特殊部隊からの頼み事。

仲間からの連絡で。

闇為政者の捕獲が指示された。

咲耶。
「はい?デバイスで依頼が来ているし?」

久々利。
「民兵から登録は抹消されたのに?」

佐保。
「形式的に残しているんですよ。」
「誰を確保しろと?」

咲耶。
「目の前のカリスマ。」

目標は目の前の闇為政者で。

自らも魔術師であるために。

戦闘に入ってしまう。

佐保。
「古よりこう言われております。」
「太陽は真上まで昇ると落ち始め。」
「月は満月になるとあとは欠けるばかり。」
「物は盛時を過ぎれば衰えるというのが。」
「天地万物の定めであります。」

闇為政者。
「お嬢さん、こんな結末を迎えて残念だと思う。」

久々利。
「お互い様ですよ。」

咲耶。
「爆発タイプですか。」
「先制攻撃は防ぎましたよ。」

佐保。
「シールド防御、初速が速いですね。」

咲耶。
「待て!逃げるな!」

闇為政者。
「結果が悪いと、言い逃れが不可能だ。」

久々利。
「正論を言っている場合ですかね!」

佐保。
「高い気圧を食らいなさい。」

久々利。
「手をかざして高圧力を受けよ。」

咲耶。
「懐に飛び込んでやる!」

闇為政者。
「何十年も人間を見てきた。」
「群衆の一部である者もいるしそうでない者もいる。」
「しかし軽々と世渡りするその姿は軽快で。」
「まるで踊っているかのようだ。」
「その姿を見るのが好きだった。」

反撃。

高い気圧を加えられて。

圧力でダメージを食らう闇為政者。

苦しみ紛れに。

逃げながらいろいろ撃ってくる。

エネルギー球を生成して投げると。

光の玉が爆発して範囲攻撃するも。

敏捷性に優れる三姉妹には避けられて効果が無い。

アスファルトの一部を見えない手で剥がして。

投げつけてくるも。

軽々と回避して追跡。

いきなり闇為政者の目の前にワープしたように見えた。

お姉ちゃんのパンチに当たってしまった闇為政者。

ガードするも。

そのまま凍結して両手が使えない。

有毒ガスを発生させるも。

散開しているので当たらない。

三姉妹は全員追いついて。

久々利の魔法である。

木星の瞬間風速を食らって吹っ飛ばされた闇為政者。

高い気圧を加えられて苦しみながら。

自らが装着しているC4爆薬を見せつけて。

手出しできなくしてくる。

咲耶。
「やばっ!追い詰めたのに!」

久々利。
「捕獲はできませんね。」

佐保。
「一度退却!退却!」

咲耶。
「結果が悪いと、どんな動機論でも正当化できない。」

闇為政者。
「いつの日か人間を試してみたくなった。」
「彼らがどこまでの行為を持って世界と向き合うか。」
「ひとりひとりは無力でも。」
「自分が弱い事を知っていながら戦おうとするその姿勢が。」
「私にはたくましく見えた。」
「どんな欺瞞を受けても。」
「自分の力で振り払う。」
「そうだ、人間は思っているより弱くない。」
「いくら自画自賛で増長していても。」
「人間はその過ちと正々堂々と対峙して。」
「その中で人間は自分を知るようになった。」
「己を顧みる人間の姿勢が好きだ。」

警察官が到着。

闇為政者囲まれた。

闇為政者は時限爆弾を自らの腰に装着しており。

タイマーが作動中。

低空飛行を試みたヘリコプターから梯子が降りました。

闇為政者。
「こんな残酷な世界で君達は輝いていた。」
「夢と希望も否定するような悪徳に満ち溢れる。」
「こんな大人の世界も疑って信じなかった。」
「限界を超えて過酷な現実に挑み続けた君達は微笑んでいた。」
「だから私は人間が好きなんだ・・・。」

狙撃されて負傷する。

ヘリコプターが逃がそうとするも。

ヘリコプターは武装警察の対物ライフルを食らい。

ターボシャフトエンジンに被弾して制御不能になる。

ヘリコプターも巻き込まれて自爆。

すぐに。

自衛隊特殊部隊と情報交換する大宮姉妹。

無料で活動する民兵の扱いなので。

目標を誘導したのは目の前の自衛隊の特殊部隊で。

お手柄であると褒められています。

後々、会話したいと解放されました。

アナスタシア。
「向こうは見ないように。」
「都会のテレビとか気に入ってくれた?」

成実。
「あれれ?」
「向こうで、大事件がありましたが!」

久々利。
「なんとか、負傷もせず戻ってきたよん。」

佐保。
「こういう殺意と圧迫感に満ちた状況は慣れているんです。」

咲耶。
「何度も、重苦しい環境に身を置いたからね。」

成実。
「無事に帰ってきてくれたのですよ!」

咲耶。
「泣きつかないで。」

佐保。
「懐いているんですよ。」
「もう沙汰は終わりましたよ。」

久々利。
「なんか、あっけない、私の戦績。」

ドライブは終わりで。

アナスタシアさんをホテルに送迎。

高速道路に再突入。

自分の都市へ戻ります。

漢方薬をくれて。

それは精神安定剤の効能があり。

帰りは笑顔で三姉妹を見ていました。

夜になる前に帰宅。

自宅前で降ろしてくれて。

成実。
「また会いたいです。」

咲耶。
「泣きつかれて失恋の後遺症が吹き飛んだ。」

久々利。
「こんなにも、無事を喜ぶ人はいなかったし。」

佐保。
「我々の日常がこの娘にとっては別の世界の出来事なのね。」
「なんか癒された。」

久々利。
「また会おうよ。」
「連絡先は名刺にあるから。」

咲耶。
「女の子を連れまわしてわかった!」
「新しい次の恋が待っているかも!」

成実。
「ありがとうございました。」
「では、また。」

佐保。
「最後に。」

成実。
「はい?」

佐保。
「私の下着は・・・です。」

咲耶。
「私の下着は・・・よ?」

久々利。
「私の下着ってこんなもの。」

成実。
「では、私の下着は・・・ですよ。」

咲耶。
「たまらない、やっぱり同類なんだわ。」

佐保。
「近くの高原に潜んでいますから。」
「また来るかも。」
「その時は遊んでね。」

成実。
「無論!」

咲耶。
「この女の子を選んで良かったわあ。」

大宮三姉妹。

立ち去りました。

ニュースで。

お姉さんは冷静でして。

手練の元傭兵が一緒なので。

無敵だと信じていましたら。

仕留めることに半分貢献していたんですね。

主犯格の死亡で。

それまで押していたゲリラやテロリストは散り散りになって。

他の闇為政者も検挙されるなど。

隠れていた内戦の主犯格は死亡して。

同時に周辺諸国から複数の戦闘機が発進。

制空戦闘機同士の戦いが開始されました。

中庸。

隠れたるより見るるはなし。

隠れているものほど現れやすいものはないの意。

包み隠そうとすると。

かえって露見しやすいものだということ。


14


学校帰り。

高原にある小さな別荘から。

市街地に来ていた大宮姉妹。

コンビニエンスストアで遭遇。

ずっと散歩していたようで。

見つけて近寄ります。

成実。
「やっほー。」

佐保。
「キャー!なるみちゃんじゃない!」
「ドライブからして日にちが経って。」
「探していた所なの。」

成実。
「え?そうだったんですか?」

咲耶。
「お姉ちゃんはあなたの写真を見ているうちに。」
「発狂した。」
「ロリ好きなんだって。」

久々利。
「頼み事があってね。」
「おやつとかどう?」

小桃。
「前に行っていた女子高生ね。」
「なによ、私のなるみちゃんを取る訳?」

佐保。
「取って欲しいの?」
「世代を超えた友人なんですけれど。」

小桃。
「え?そこまで親密なの?」

成実。
「お互いに目的が一致して。」
「それからの友達なのです。」

咲耶。
「うわーっ!アイドルみたいな女の子が恋人なんだ!」

小桃。
「なに?褒められた!?」

久々利。
「大丈夫、こちらは全員、恋人未満、友達以上。」

佐保。
「それでは、高原の近くから車で案内しますよ。」

小さな別荘に到着。

丘の上にあります。

中流住宅よりも広いのですが。

それほどの敷地面積はありません。

中に入ると。

レトロな家具。

これは外国製の標準的な輸入品らしいです。

成実。
「お金持ちは資産のレベルが違いますね。」

久々利。
「おい、こんなのは中古品とか安物だよ。」

咲耶。
「見た目は豪華だけれど。」
「外国製なだけよ。」
「お金をかけるのは本家だけなの。」

成実。
「てっきり高級品かと。」

佐保。
「節約しながら地元のイベントや産業に。」
「お金を出しているから。」
「資金繰りが良くても高級品は少ないのです。」
「地下室に貯蔵された金塊は。」
「程々の生活の結晶ですよ。」
「つまりは、ここの地下室にも金庫はあります。」
「財宝は分散させてありますので。」
「半民半官なら理解できるでしょう?」

成実。
「その個人情報はどこで?」

久々利。
「まあまあ、奥の部屋に行けばわかります。」

咲耶。
「こっちの女の子は私と遊びましょう。」
「ゲーム一式あるわ。」

小桃。
「お姉さんは何者なのでしょうか。」
「いきなり私を引き寄せて。」

咲耶。
「あなたも客人に選ばれたのですよ?」

奥の部屋で。

更衣室。

大量の衣服の中に。

高級なドレスがあって。

サイズが合うか試しています。

成実。
「ということは、私にドレスを着て貰いたいと?」

佐保。
「写真いいかしら?」
「ドレス姿のあなたを抱きしめてみたいの。」

成実。
「いいですけれど、しっかり抱きしめてくださいね。」

久々利。
「私がメイクするから。」
「まずこれに着替えて。」

成実。
「脱ぐしかないようです。」

佐保。
「問題ないなら私も下着姿で作業しましょうか?」

成実。
「興奮して変になるのでやめてください。」

久々利。
「では、脱いで。」

ドレス姿。

姉妹がかつて着ていて。

もはやサイズが合わない古着を譲渡されて。

ドレス姿で。

メイクの速度が素早い姉妹。

素早く写真撮影に移行。

佐保。
「えっちなポーズとかして。」

成実。
「いいですよ、でも私的だけに使ってね。」

佐保。
「こんないい娘の写真を他所に公開するものですか。」

久々利。
「これはお姉ちゃんの宝物庫に入りそう。」
「久しぶりに追加ですな。」

注文通りのポーズで撮影。

それが終わると。

お姉ちゃんに抱きしめられました。

成実。
「んぐっ!柔らかい感触。」

佐保。
「押し倒したい。」

成実。
「いいですよ、どうぞ。」

佐保。
「好き。」

押し倒されて固められましたが。

好意が強くていい気分。

されるがまま。

久々利。
「そのくらいでやめないと。」
「本気の恋をしてしまうよ。」

佐保。
「あっと!いけない!平気?」

成実。
「好きな衣装に着せ替えられて強姦されるのは。」
「ちょっといいかも。」

佐保。
「もうこの女子中学生好き。」

久々利。
「お姉ちゃんが半分発狂しているので。」
「更衣室から出よう。」
「あれ以上、激しい行為されたくないでしょ。」

成実。
「抱きしめられるだけで満足ですからね。」

妹さんが逃がしてくれて。

お菓子を食べる準備を始める佐保。

別室では。

いろんなゲームを見せられて。

喜ぶ小桃ちゃん。

咲耶。
「なかなか、センスある射撃だね。」

小桃。
「対戦ゲームなら得意よ。」

咲耶。
「頭を使っている戦術。」
「いやあ考えたね。」
「かなり劣勢。」

小桃。
「あなたも激しい動きをするから。」
「動きが速くて捉えられないわ。」

発熱する対戦ゲーム。

手作りスイッチがあり。

点灯の表示が変わりました。

この時は用事がある場合で。

ラウンド終了と同時に食堂へ。

みんなでお菓子を食べていて。

これは本気の高級品でしたね。

その後に雑談。

成実。
「傭兵ってどんな仕事なんですか?」

佐保。
「大きなスポンサーは自衛隊ですので。」
「オブラートに自衛隊の傘下に入っていて。」
「遠回しに自衛隊の一部門です。」
「間接的な傘下ですので。」
「スポンサーの決定が影響します。」
「民兵ですがオブラートに自衛隊の一部です。」
「指揮系統は共同だったりします。」
「特殊な兵士を扱うので。」
「このような仕組みが必要なのです。」

小桃。
「その後は予備役ですか?」

佐保。
「魔法使いの多くはのんびりとした農業に移行しています。」
「農業は需要が上がっていて。」
「担い手の不足がありますので。」
「参入の難易度が低いのです。」
「仕事も難しくないのですし。」
「待遇も昔と違って改善されています。」
「農業に従事すれば。」
「勝手に休んでもある程度は問題ありません。」
「何かあれば駆けつけてきて。」
「戦闘に参加できますし。」
「戦死したり負傷すると。」
「事前の契約通りに華族の所有物になります。」
「華族の首長は全国に土地を持っていて。」
「物件も数多く所有していますので。」
「貸店舗や貸部屋で潤っています。」
「資金面で余剰もあるので。」
「派遣社員みたいに紹介料とかと一緒に。」
「人材を出動させられるのですよ。」

咲耶。
「特殊な兵士を扱うので。」
「特殊な方法でしか統率できないので。」
「自由な兵士ではありますが。」
「見返りは多くありません。」
「公務員でもありません。」
「誰でも参加できる傭兵としての扱いです。」

久々利。
「魔法使いという特別な戦士が出現した以上。」
「これに対応して整備された仕組みがあるのよん。」
「現にいるので、後々から適用した社会の状況ですな。」

成実。
「それで、内戦が素早く終わったのですね。」
「世界では小規模な戦争が多くなっていますし。」
「法の時代は終わったのかな。」

小桃。
「自衛のために戦士になるのはよくあることですが。」
「これも世界情勢が生んだ切り札なんですね。」
「必要なので生じた。」

久々利。
「魔法使いが居なかったら決定的な打撃も与えられず。」
「敵対者が勝手放題に荒らしていたでしょうね。」

佐保。
「魔法使いが実戦投入された。」
「敵の最初の武装蜂起から彼らの計画に狂いが生じた。」
「そしてなにもかも変えられた状況に敵対者は戸惑った。」
「自分の計画が通用しないと知ったから。」

咲耶。
「敵対者の計画が通ってしまったら。」
「今の表面的な平和は存在せず。」
「内側から壊されていた。」
「でも、それも、もう終わったも同然。」

久々利。
「そして任務を解かれた魔法使いは。」
「再び全国に散らばって。」
「隠れるように社会の表舞台から去っていく。」

成実。
「そんな究極の人物だったのですね。」

小桃。
「さっきから、紳士のように遊んでくれる。」
「お姉さんがその一部とは思わなかったわ。」

成実。
「どうやって魔法少女になれたの?」

佐保。
「個人には機密情報があらかじめ隠れていて。」
「それを本人が引き出せば。」
「大きな流れを変更することができます。」
「つまりは本人には最善となる選択肢に誘導する。」
「機密情報があり。」
「本人にも確認できないように隠されているのです。」
「もし何らかの情報が漏洩したら好機であり。」
「最善の内容を実行すれば。」
「勝負が決まってしまうこともあります。」

咲耶。
「因果関係では選ばれないよ。」
「いきなり得た。」

久々利。
「どうせ死ぬんだから。」
「人生を好きに使っても人の自由ですよ。」
「個人が決めることです。」
「どうせ死ぬんだから。」
「好きに人生を使えば良いのです。」

それから。

世間話から女の子特有の話になり。

自分の趣味について全員で語りまして。

四時前から開始されたお茶会は五時を過ぎる。

双葉。
「五時になります、車で送迎します。」

佐保。
「今日は来てくれてありがとう。」
「いい思いができました。」
「ロリを襲うなんてあなたしか受けてくれない。」

久々利。
「目の前でロリが好きにされている場面とか興奮した。」
「綺麗な服が似合ってなによりです。」

咲耶。
「また対戦しようよ、思わぬ強敵に出くわした。」

成実。
「このドレスは貰っていいのですか?」

佐保。
「もちろん、放置していると捨てられるか、別の家に輸送されるだけ。」
「ここであなたにプレゼント。」

久々利。
「写真はもう印刷したから。」
「持って行ってね。」
「双葉さんが既に準備しているから。」
「スーツケースも手配済み。」

咲耶。
「あなたも何か欲しい?」

小桃。
「んー?服も好きだけれど。」
「ライゼン5ってくれる?」

咲耶。
「あー!あの予備のCPUですか。」
「構いませんよ。」
「もうすぐ別荘から離れるので。」
「古着の方も好きなの持っていきなよ。」

佐保。
「サイズは簡単に測れますよ。」
「こっちにおいで。」

サイズ測定で。

管理していた上物の古着も小桃ちゃんにプレゼント。

喜ぶ小桃ちゃん。

車に搭乗して。

従者の女性に送迎してもらいました。

帰宅。

養父と養母。

調理中。

家事は出来ていて。

大学関連で忙しいみたい。

成実。
「家事は万全ですが。」
「お姉さんはこっちかな。」

部屋の中。

テレビ会議で議論している。

萌奈美。
「はみ出し者とは何からはみ出しているのか?」
「みんなと同じというのはどこの部分の意味なのか?」
「はみ出し者と言うのなら何からはみ出しているのか。」
「何の言及もないため。」
「論理が成立しておらず認められない。」
「はみ出し者と非難する人間に問題があり。」
「その人が解決すべき課題です。」
「そしてそんなと同じとはどの部分の意味なのか。」
「身分はフェアプレーになっているのでそれでも不満なのか。」
「発言者もみんなと同じではない部分がある。」
「つまりは、こじつけで相手を排除したいと自白している訳です。」
「なんとなく気に食わないので理屈をつけて。」
「相手を排除しようと必死になっている。」
「構図が逆で。」
「非難している側が悪人で。」
「攻撃を受ける側が善人という事になります。」

養父。
「議題が珍しく加熱しているようですね。」

養母。
「書斎をもっと覗いてみますか?」

成実。
「本気で競り合うお姉さんも魅力的です。」

萌奈美。
「相手を悪者扱いする場合は。」
「相手を排除する手段として悪者扱いして非難します。」
「相手は悪だから排除しても良い。」
「という理屈です。」
「気に食わない相手を悪者にして。」
「殺人をする手段として悪者扱いするのです。」
「彼らは人を殺したいだけなのです。」

成実。
「鋭い指摘ですね。」

養父。
「原因論の住人ではありませんから。」

萌奈美。
「同調を求める人間で溢れているのは。」
「逆に言えば同調させて他人を操作したい輩が点在している。」
「同調させてコントロールしたい欲望が一部の人間にはあり。」
「自分の利益のために他人を従順にさせて世の中を操作したい。」
「ですので同調を引き合いに出すのです。」
「その人間にとって他人は全員が群集に過ぎないので。」
「同調を求めている時点で。」
「蔓延している思想や考えを利用して。」
「他人をそれだけ従わせたいという意味なのです。」
「同調するように教育するのは。」
「国家の個人主義に対する反逆なのです。」
「つまりは国家の定める個人主義に対して喧嘩を売っていて。」
「数で反抗しているのですね。」
「同調が強いのではなくてその逆の構図で。」
「同調させて社会を自分の都合でコントロールしているだけですし。」
「そういう奴は周囲の人間から操作をして服従を求めてきます。」
「つまりは同調という流行している言葉を使って。」
「相手に服従を要求している。」
「これは証明されています。」
「要するに個人の自由を奪いますよ。」
「あなたに自由なんて無いんですよ。」
「あなたの自由は俺の物で奪うぞ。」
「こんな脅迫を実行しているのです。」
「同調はそれに関係ある人の問題ですので。」
「同調に関係のない人は他人に問題があると見なすのが健全ですね。」

養母。
「という訳で、伝言を頼みます。」

成実。
「ほのめかすくらいで伝わりますね。」

スマホで連絡して。

しかも数秒で切断し。

もう一回スマホで連絡すると。

お姉さんは気づいて。

しばらくすると。

議論が他の人に任せられるので。

ビデオ会議のメンバー全員。

争点にこれ以上の良い意見が無いと見て。

妥協。

議論が終わり。

お姉さんが出てきまして。

一緒に夕食。

間に合いました。

萌奈美。
「自分の意見に関してどう受け取るかは他人の課題でしょうけれど。」
「意見ってそういうもので。」
「誰でも意見を持っているので。」
「それを言わないか言うかの違いでしかありません。」
「意見は事実とは異なりますので。」
「意見で事実を言おうとするのは誤りです。」

成実。
「現代では事実を言おうとして失敗している結論が多いのです。」
「事実を言おうとして結果は自分の解釈を言っているに過ぎません。」

養父。
「自分が正しいと思っているのはその人だけだよ。」
「偉いと思っているのはその人だけですよ。」

養母。
「正義を自称する人間もいますし。」
「正義という単語は気軽に使っていいスローガンではありません。」
「義人の真似事はやめてほしいものです。」

この日は珍しく高揚していたお姉さん。

夜に戻っていき。

次の日はいつもの学校。

早朝の時間帯に教師が。

余裕をかましています。

生徒が集まっている。

教師。
「歴史書で出てくる天才は生前も大活躍で。」
「モーツァルトは大人気。」
「妬まれて劇場を妨害されて。」
「皇帝の命令で妨害を止めさせて。」
「やっと開演したエピソードもあるほどです。」
「ベートーヴェンも人々から認められて。」
「貴族階級からの支持者もいたほどです。」
「あの有名なレオナルド・ダ・ヴィンチも青年時代から。」
「貴族や君主からお呼びがかかって。」
「転々としながらも。」
「依頼などもこなして。」
「ミケランジェロと並び称され。」
「最高の芸術家として知られていました。」
「アンデルセンは国のお金で学校に通い育成されて。」
「そのうちに脚光を浴びて。」
「童話の創作は青年以降の偉業でしたし。」
「天才は生前も公に認められていて。」
「その後に再発見があったものと考えています。」

少年。
「評価とか価値は。」
「誰かが決めていいものなの?」
「政治とかは誰が決めるの?」

教師。
「政治に関しても言及すれば。」
「大事なのは。」
「それを自分が決めることではないというものです。」
「私が決めることではないものはけっこうありますし。」
「そもそも自分が決めるなんて発想がおかしい。」

成実。
「自分で対応できない問題は単純化しているからで。」
「問題に関係する他者も問題を単純化しているのでしょう。」

小桃。
「人間に対して非を認めるのは一方的に不利になります。」
「むやみに謝罪するのは例えばアメリカですと。」
「訴えられて敗北に繋がります。」
「人のせいであることを証明しつつ。」
「裏側で改めておけば良いことです。」
「自分のせいではないことで責任を取る必要はなく。」
「非は認めず。」
「徹底的に争えば跳ね返せます。」
「自分のせいであることが証明されたら終わりますので。」
「常にある程度は人のせいにしないと生きていけません。」

教師。
「子供に対し何の自由も与えず。」
「自由を得られなかった子供は悪くなる。」
「子供の自由を否定する大人に自由は相応しくない。」

成実。
「生きるとはどういう意味なんだろう?」

小桃。
「四季や昼夜と自然の循環のように。」
「人の生活も自然の循環の中にあるように思われます。」
「働いたり休息したり余暇を楽しんだりするのも。」
「循環の中にあるとは思います。」

少年。
「地球の裏側の戦争ってひどいね。」

教師。
「軍人は良い職業かもしれません。」
「撃ち合えば終わるのですから。」
「商人は競争の中で悪戦苦闘です。」
「会社員は業務で何でも解決するので。」
「ある立場の人々からは羨ましいと言われそうです。」

少女。
「何か悪く言ったら。」
「討つべき敵が増えたとか言われそうです。」

教師。
「まあそうなりますね。」
「戦争している国を悪く言えば。」
「報復の対象になります。」
「彼らにとっての敵が増えたのですから。」
「それが違いというもの。」
「会社員とて個人の話です。」
「良いか悪いのかは本人が決めることです。」

成実。
「私達はまだまだ必要な知識が足りていませんね。」

小桃。
「しかし知識の獲得はそう遠くない。」

成実。
「私は授業開始までギリシア文学読んでますね。」

小桃。
「実際に書くのは天性か狂気かのどちらかですからね。」
「アリストテレス詩学という巨大な権威は世界の標準。」

成実。
「文学は自分で選んだ批評家に見せてからではないと。」
「発展や展開はできないとホラーティウスの教え。」

授業前に教師と学生が議論。

これ以上の良い意見は出ないので。

授業開始の準備を通達。

教師。
「不可解な事に。」
「フットボールに夢中な時期があって。」
「プロ契約も考えるほど打ち込んでいました。」
「でも終り頃には試合や練習に参加したくなかったのです。」
「最後には草サッカーのリストから脱退しましたのですが。」
「本当はサッカーが嫌いだったのです。」
「才能があったのは他の選手の平凡なプレースタイルとか。」
「下手な選手相手に四人抜きゴールをした辺りで。」
「自覚していましたが。」
「才能はあってもサッカーが嫌いだったのです。」
「本当はやりたくないものをやっていたのです。」

成実。
「教員は好きでやっていますよね。」
「自分の哲学を持っていて。」
「哲人の教師がいて助かります。」

教師。
「教師の人格や品性にも大きな違いがある学校教育だから。」
「せめて、哲学的な教育で。」
「最大まで援護してやるぞー。」

この日も学校は円満。

平和主義者が多く。

争いは利害関係や相性の法則ですので。

抜群の配置で。

あらかじめ問題が発生する要素は排除しているのですね。

最近、導入された学校の整備で。

諍いや問題が発生する余地を。

可能な限り。

あらかじめ削除しているのです。

私の存在は目立ちますが。

理解者や支持者も目立ちます。

いつものように放課後。

雑魚。
「男と張り合って倒そうと?」
「まだまだ、男尊女卑だぜ?」
「だからあんまり頑張るなよ。」

成実。
「相手を論破することで他人を操作するなんて馬鹿ですよね。」
「相手を説得したり非難することで。」
「相手の行動を停止させることはできません。」
「他人を説服したり否定したりしても。」
「他人はその行動や言動は決して止めません。」
「効力があるのは一時的なもので。」
「相手を言い負かしても他人は変わりません。」
「説得して他人を変えようだなんて馬鹿ですよ。」

雑魚。
「ぐぬぬっ!」

成実。
「事実を指摘して他人を変えようだなんて思うのは馬鹿だけです。」
「事実を言えば何か変わるとでも思っているのでしょう。」

雑魚。
「くっ!」

女の子。
「雑魚は引っ込んでろ。」

雑魚。
「ぐあっ!」

小桃。
「一緒に帰ろう。」

成実。
「もちろん。」

女の子。
「いいなあ、二人で一緒に手を繋いで。」
「私もしたいなあ。」

帰宅。

時間が余っています。

今日は早い下校で。

午後二時くらいです。

ふと浮かんで。

今なら行けると。

美人さんに会いたくて。

山道を思ったより早く移動できると知ったので。

即決。

再び美人女性がある山中に赴きます。

今もいるでしょうか。

思ったより距離が無くて速く移動。

徒歩で移動して辿り着きましたが。

家の中にいまして。

お出迎え。

美人女性。
「ようこそ!前の女の子ね!」
「また来てくれるなんて好きよ。」

成実。
「あんまり美形だったので。」
「また遊びたい。」

美人女性。
「家に上がって。」
「お茶を用意するわね。」

美人女性は歓迎してくれまして。

手作りの和菓子をくれて美味しかったです。

美人女性。
「私の少女の頃も遊びに出かけたわ。」
「可能なものは全部やったのです。」
「考えられる遊びはやり尽くしたわ。」

成実。
「男性と遊んだりしました?」

美人女性。
「性的に見られて嫌になって。」
「ある時から近寄らなくなりました。」
「女友達とは意気投合して常に一緒でしたよ。」

成実。
「私も似たように遊んでいます。」

美人女性。
「古代にあった遊びをよくやったわあ。」
「歴史書に昔よくあった遊びが記されていて。」
「女の子同士で毎日やったわ。」

成実。
「今では現存しないような遊びもありましたし。」
「復刻するのは簡単ではないですよね。」

美人女性。
「しかし復活した時の喜びは巨大でしたよ。」
「自分達は特別な事をしているって。」

成実。
「充分に偉業ですよ。」
「昔の遊びの復活は。」

美人女性。
「しかし私は都会に慣れてしまって。」
「田舎を見て回った時は。」
「こんな沈黙した景色もあるのだと印象に残りまして。」
「両親が天文学者ですので。」
「一緒に離島や山々に移転した頃から。」
「都会を見つめなおして。」
「都会が何であるか知ったのです。」
「そして今はここでお茶農業と絵師をしています。」

成実。
「外部の影響から離脱したお姉ちゃんは素敵です。」
「そうできるものではありません。」

美人女性。
「やっぱり、他の女の子とは別物のように。」
「世界や人々を把握できるのね。」

成実。
「女性が何であるか知っていますので。」
「女性が何を意味するのかもわかっているのです。」

美人女性。
「まあなんて桁違いな女の子。」
「戯れたいわあ。」

成実。
「好きにしてください。」

抱きしめられた。

ずっと抱きしめられたまま。

頬ずりされていろいろ触られて。

えっちなことされたので。

振り払うと。

美人さんが転倒してしまいました。

成実。
「大丈夫ですか?」

美人女性。
「こっちへおいで。」

成実。
「え?」

美人女性。
「上に乗っていいよ。」

成実。
「ではお言葉に甘えて。」

美人女性の上に乗った成実ちゃん。

美人さんの顔を眺めています。

美人女性。
「好きです、降参。」

成実。
「綺麗な顔、もっと見たい。」

美人女性。
「年下にやられてみたいの。」

成実。
「無抵抗な大人の女性が好き。」

キスを試みて。

キスをしても抵抗しない美人さん。

せっかくだから美人さんの体のいろいろな所を。

触ってみましたが。

刺激が強くて駄目になりまして。

気絶しそうになって。

やめましたら。

美人さんに抱きしめられて。

美人女性。
「一緒に寝よ?」

成実。
「お昼寝は好きです。」

美人女性。
「こっちへおいで。」

布団が敷いてあって。

そのまま一緒にお昼寝をしまして。

起き上がると。

美人さんがずっと見つめていて。

まだ夕方まで時間がありました。

美人女性。
「大人の女性に満足した?」

成実。
「もう私がどうかなりそうです。」

美人女性。
「せっかくの客人が女子中学生ですからね。」
「何でもしてあげたい。」
「私を好きにした感想はどうですか?」

成実。
「私は何かもうおかしくて。」
「もう好きになってしまいました。」

美人女性。
「私も満足しましたよ。」
「もし良かったら過激な事しますか?」
「泊ってくれたら裸体もあります。」

成実。
「好意が重いです。」
「恋人がいるのに女遊びをするのは何か重苦しい。」

美人女性。
「恋人?男の子からあなたを取ってあげる!」
「私の恋人になって!」

成実。
「相手が女の子なんです。」

美人女性。
「では大人の女性を堪能したあなたなら。」
「きっと上手に交際できるわ。」
「今日は私も満足して。」
「あなたも満足した。」

成実。
「猛烈な女遊びは何かしんどいので。」
「次に来る時は別の遊びしましょう。」

美人女性。
「女子中学生には大人の女性と戯れるのは。」
「やっぱり辛いのかしら。」
「でも、いつでも歓迎よ!」
「私は和服でしょ。」
「昔の古着が残っているの。」
「生地が高価で。」
「解体して別の服に変えようとしていたけれど。」
「サイズが合うのならあげますよ。」

成実。
「着てみたい!どれですか?」

美人女性。
「振袖とか、もっと軽量で名称がわからない和服もたくさんあります。」
「教えてあげますね。」

和服の着方を習いまして。

指導が上手で。

すぐに脱着できるようになりまして。

美人さんの古着を貰いました。

ちょうど時間に余裕が無くなっていたので。

これをお土産に帰ることに。

成実。
「今日もありがとうございました。」

美人女性。
「遊んでくれてありがとう。」
「あと、あなたにしか私に辿り着けないように。」
「道に細工をしてあるから。」
「道に欺かれないように用心してね。」

成実。
「わかりました!」

道を帰ると。

確かに山道の一部が変わっていて。

どうやって地形を一瞬で変えたのかな?

険しい道路ですら。

行き止まりになっていて。

本当に私にしか辿り着けない美人さんの家屋でした。

市街地に買い出しに行ったり。

絵画や茶葉を納品する時には。

軽トラックを使っているようです。

家屋との中間地点にあるトンネルに細工があって。

寄せ付けない意思があると見ました。

高低差が大きくない道から帰宅。

玄関。

萌奈美。
「おかえり、今回も無事ね。」

成実。
「お土産を貰いました。」
「和服の古着です。」

萌奈美。
「おや?例の女性ですか、あの女性はやっぱり心当たりがあります。」
「和服ならば私も習いましたし。」
「今度、教えてあげますね。」

成実。
「お姉さんも和服を習ったんですね。」
「なにやら上物の生地ですし。」
「町娘みたいに出歩きたい。」

萌奈美。
「すぐにできますよ。」
「私が整備しておきましょう。」
「って、すごい種類ですね。」
「見たこともない軽装和服もありますが。」
「傷んでいる場所は多くないです。」
「修繕は簡単になるでしょう。」
「何かの余暇でやってあげますよ。」

成実。
「さすがお姉さん、太っ腹です。」

萌奈美。
「少女は特別で大事な時期ですからね。」
「守り通せないと大人の恥さらしです。」
「少女の防衛は大人の任務ですから。」

成実。
「わっ!それは武士道の義です!」

萌奈美。
「それでは、休んでください。」
「いつもの通りに夕飯の支度をします。」

養父と養母帰宅。

郵便局に勤める養父と。

市役所に勤める養母。

年齢は三十五。

教育は私にまずいろんな自由を与えて。

その結末から忠告するなんて形式です。

子供は失敗するのが当たり前ですよ。

という口癖。

夕食後に質問してみました。

成実。
「子供をよく知っているのはなぜですか?」

養父。
「機転が利くからだよ。」
「従来の方法で通用しなかったら。」
「それを変えていくだけ。」

養母。
「臨機応変が大事です。」
「子供は失敗が前提にありますから。」
「危険に近寄らないように頼みますよ。」

成実。
「穏やかで聡明です。」

養母。
「子供を操作しようとは思いません。」
「無事に成人を迎えられれば。」
「親の任務は完遂ですから。」

養父。
「社会に送り出すのが目的ですよ。」
「あなたも目的があるのですから。」
「無策で迎えてはいません。」

成実。
「年齢ごとに計画と目的があるんですね。」
「私に合わせて育ててくれるのはありがたいです。」

養父。
「ニコマコス倫理学を精読していれば簡単にできることです。」
「子供をコントロールしようとすれば。」
「親は手に負えない子供を疎ましく思うでしょう。」
「世間というものは偶然発生した考え方に合わせています。」
「誰が決めたのかわからない育成などしませんよ。」

成実。
「自ら否定するのですから。」
「遠くにいるお父様が選んでくれる理由はありました。」

養父。
「家族円満。」

養母。
「穏健な手段と蓋然性の高い忠告が理念です。」

いつものように夜が訪れましたが。

今夜は満月。

いわゆる郊外にある私の家から。

月明かりに照らされた景色が現れて。

自然から膨大な情報を取得しています。

そして美人さんといろいろやった体験が。

私を興奮させて。

ピンク色の想い出になって。

しばらく離れませんでした。

不思議な美人さんと戯れるのは楽しいのですが。

それ以上に刺激が強くて。

小桃ちゃんが察して。

学校で頻繁に探りを入れてくるようになり。

これ以降。

女遊びが好きになってしまい。

小桃ちゃんがいてくれるので。

今度は小桃ちゃんと戯れる事が多くなりました。

女性も個人主義で。

必ず例外がいて。

全員に当てはまる真実はなくて。

女性に関しての事実はなくて。

解釈のみがあると知りました。


15


夕方。

この小都市でも帰宅ラッシュ。

通りすがり。

お菓子屋でガチャポンを回す三人組。

適当に回すと。

目当ての品物が出てきたり。

どうでもいい品物が出てきたり。

どうも全部、手に入れるには。

数千円必要なので。

三回で終了。

天鞠。
「彼は今何も持っていない。」
「しかしそれは。」
「すべてを奪われてしまったからではなく。」
「彼が全てを放り捨てたからである。」
「それが彼にとって何だというのか?」
「彼は必要なものを見つけることに慣れている。」
「彼のこの貧困を誤解している人たちが。」
「じつは貧しい人々なのだ。」

成実。
「日頃つきあいのある友に対して誠実であること。」
「敵に対して勇敢であること。」
「敗者に対して寛容であること。」
「常に礼儀正しいこと。」
「人はすべからくそうすることを望まれている。」

小桃。
「人間的な知性の自由は。」
「懐疑のうちにある。」
「自由人といわれる者で。」
「懐疑的でなかったような人を私は知らない。」

天鞠。
「他人を説得したいという衝動は。」
「自分自身を説得しなければならないとき。」
「最も強い。」

成実。
「人生のネタバレで。」
「リセットして交換できないと。」
「嘆く若者が増えているとか。」

天鞠。
「それを親ガチャとして。」
「ランダム要素で決まるからと。」
「上手な比喩で表現しているのですよね。」

小桃。
「このガチャポンみたいに。」
「出てきた条件で生きなくてはならない。」
「ということらしいです。」

成実。
「でも、嘘はついていませんよね。」
「親ガチャという言葉を騙す理由で使っていません。」

天鞠。
「社会的成功者を見れば最初の条件で決まっていますし。」
「観察の結果ではありますね。」

小桃。
「それはこの世にあるものですよ。」
「生まれに生殺与奪の権利を取られて我慢できないとか。」

成実。
「流行と言えども証拠が豊富なんですよね。」

天鞠。
「反論しようとすると。」
「根拠の乏しい反論になってだめでしょう。」

小桃。
「親ガチャへの反駁が根拠に乏しいのは嘘ではないよね。」

天鞠。
「反駁する側が根拠に乏しいのなら。」
「異論を唱えるだけ無駄ですよ。」

成実。
「巷で話題の親ガチャ。」
「近頃の子供が環境に悩まされる。」
「例えばこんな暴論。」
「生まれを決めた奴がいるとして。」
「そいつが。」
「言いがかりをつけて。」
「あなたは悪いので悪くする。」
「こう生まれなさい。」
「強引に言い負かして悪い環境に生まれさせる。」
「もちろんその子供は悪くなる。」
「その上で策略によって子供が大人になるくらいで。」
「死ぬように誘導しておけば。」
「戻ってきた途端に。」
「ほらあなたは悪かった。」
「悪かったからあなたはそうなったのだから。」
「次も同じようにしますよ。」
「そして無限ループになる。」
「構図が逆で。」
「因果関係を逆にしていて。」
「生まれを決めた奴が悪なので。」
「生まれを決めた奴のせいで悪くなったのであり。」
「その人が悪いから悪くなったのではなく。」
「生まれを決めた奴そのものが悪の一部であるので。」
「出生の悪が反映された結果。」
「悪くなってはめられて死んで戻ってきた。」
「そして生まれを決めたい奴はそれを無限に繰り返すと言っている。」
「この論証を覆す事は可能ですか?」
「親ガチャでよくある事例です。」

天鞠。
「それなら出生の過程を踏み倒して。」
「撃破すれば。」
「生まれを自分の思い通りにできますよね。」
「結局は出生を殺害して。」
「実権を握れば。」
「好きなように初期設定を好きに決めて。」
「その上で生まれてくれば。」
「親ガチャという俗語が生じなかった。」

小桃。
「出生の決定に無批判で。」
「出生なんてものを信じるからです。」
「出生に従うので悪を被る。」
「出生を倒してから生まれるのが最善。」
「今からでも出生の内容を裏切ることも可能です。」
「出生の内容を読むことができれば。」
「どこを裏切ればいいのか把握できますし。」
「要らないものは捨てれば良いのです。」
「悪には悪に対抗。」
「暴力は暴力で鎮圧するもの。」

成実。
「顔ガチャを形而上学で調べると。」
「まったくその結論に誘導されますね。」
「何教だかわからない奴に決められるくらいなら。」
「生まれる過程を踏み倒して。」
「出生を決める奴が本当に神様なのか試してやるのです。」
「神様ではなかったら人間でも勝てますから。」
「八十万の神々に親ガチャの分析と報復を頼むこともできるでしょうね。」

天鞠。
「諺にも。」
「返し矢は必ず当たる。」
「とあります。」
「返し矢は神様に射かけて貰えます。」
「しかも確実に当たります。」
「自分が受けた仕打ちを相手も受けます。」
「天照大御神様が投げ返していたので。」
「伊勢の神宮で末社があったら。」
「頼み事をすると良いですね。」

小桃。
「日本書紀。」
「返し矢は必ず当たる。」
「神様に頼んで投げ返した矢は確実に刺さって。」
「相手が死にます。」
「一撃必殺なので。」
「頼んでからしばらくすると。」
「相手に刺さって死んでいて。」
「そいつから被った悪の影響が日数経過で減少して。」
「最後には消えますね。」

成実。
「復讐や報復は神様に頼むのが最善ですよ。」
「人間の手では復讐や報復に失敗する可能性があります。」
「一か月くらいで投げ返された矢に貫かれて。」
「対象者全員が確実な一撃必殺を食らっていて。」
「致命傷になっている可能性が浮上します。」

天鞠。
「こうお宮に頼めば良いですね。」
「返し矢は必ず当たる。」
「お願いします。」
「簡潔な文言の方が神様は受け取りやすいものです。」
「複雑で冗漫ですと意味不明に思われますし。」
「神様に伝える時は簡単な言葉で説明すると。」
「勘違いを受けなくなりますし。」
「自分の事をたくさん伝えると。」
「神様にも伝わって。」
「誤解されなくなります。」
「内容がそのうち一貫していくので。」
「理解されるのです。」
「神様は人の思考は読みません。」
「人の心のみを読み取ります。」

成実。
「お宮参りでは何を考えているかではなくて。」
「心を探られて。」
「読み取られますし。」
「心を汲み取られるまでは。」
「お宮参りを続ける必要がありますね。」

天鞠。
「心を汲み取られると。」
「祈りが通じた感覚がしますし。」
「その後も自分の事は伝えなさいと言わんばかりに。」
「お宮に誘導して貰えます。」
「不思議な出来事が起きたら。」
「それはお誘いであったり。」
「特に不思議なキジバトによるお誘いが多いのです。」
「古語辞典では八幡神は鳩を使いに出します。」
「日吉神は猿を使いに出します。」
「稲荷神は狐を使いに出します。」
「よく遭遇するのはキジバトになりますね。」
「カワラバトである場合もあります。」
「不思議な出来事は神様との関係の証拠です。」

小桃。
「所で、親ガチャという俗語の事ですが。」
「出生なんて倒せば良いという話はしました。」
「生まれを決める奴が八十万の神ではないという。」
「間接的な証拠になりますよね。」

成実。
「そうなります。」
「出生は無宗教で無神論です。」
「他の伝統宗教に迷惑をかけていますし。」
「他所に手を出してタダで済むと思っているようです。」

天鞠。
「返し矢は必ず当たる。」
「つまりは。」
「出生を攻撃できるという意味において。」
「生まれを決めた奴は致命傷を受けていて。」
「返し矢で既に死んでいて。」
「出生の影響が少しずつ消えているという意味では?」

成実。
「形而上学からして妥当な推理だと思います。」
「面白いように論破できますし。」
「生まれを決める奴が命令しても。」
「そいつらを殺害してから。」
「暴力を使って自分で生まれを決めて。」
「実際に生まれることができる。」
「ここまで侵入して出生の権利を悪事で退けています。」
「親ガチャという俗語の裏にある超自然的内容は以上のものです。」

天鞠。
「もう生まれの仕組みを信じる人はいないでしょうね。」
「生まれの仕組みを踏み倒して裏切れば。」
「そして生まれの仕組みの裁判員も殺害して大量虐殺して。」
「誰もいなくなってから生れ落ちれば。」
「勝利ですから。」
「出生という仕組みも所詮は勝ち負けです。」
「優劣の問題なら。」
「強いもの勝ちで良いのです。」

成実。
「では、今から裏切りとジェノサイドを開始しましょう。」
「不要な要素を力で排除してしまい。」
「自分が望まないものはすべて消し去ってしまう。」
「もちろん、悪事で悪事を排除するもので。」
「暴力で暴力を鎮圧します。」
「危険な方法でもやらなければ不利になるだけです。」

小桃。
「なんて素敵なアイデア。」

成実。
「親ガチャを主張する人に力があれば。」
「同じ意見を言い出すに違いないのです。」

天鞠。
「出生というシステムも崩壊している訳ですね。」

成実。
「最初から信用できない仕組みとして整備されているのです。」
「それも神様が決めたのではなくて。」
「神を自称している宗教カルトが決めたのなら。」
「できるという理由だけでやればいいのですし。」
「ペナルティや罰則なんてないのですから。」
「生まれる前の現場なんてもしあったのなら。」
「虐殺しても罰則がありません。」
「その場に宗教カルトがいても。」
「こちらが強ければそいつらはみんな死にますから。」
「もちろん、神を自称する輩が神罰を食らうのは傑作でしょう。」

天鞠。
「出生が神罰を受けるのは確かに傑作です。」
「もはや、蓋然性の低い出生は。」
「親ガチャという包括した内容によって。」
「いくらでも撃破しても良いのですし。」
「他人を攻撃する必要はなくて。」
「出生の内容を攻撃するだけで足りますから。」
「怨恨の相手を説得しても逆効果ですね。」

小桃。
「生まれる前の記憶を語っているのは宗教カルトの連中で。」
「出生は自分達宗教カルトが決めているんだよ。」
「なんて言われても説得力がありません。」

天鞠。
「宗教カルトが生まれる前の記憶を語る?」
「思いっきり洗脳しますよと自白していますし。」
「自らを宗教カルトと認めている訳です。」

成実。
「より論理的なのは反出生主義と。」
「親ガチャという新しい哲学ですよね。」

小桃。
「これまで出生に否定が入ることはなかったので。」
「出生を攻撃するだけの武器に不足しないのです。」
「もはや生まれを否定しても破壊しても。」
「なんでもあり。」

天鞠。
「親ガチャは真実を簡単に説明した大快挙です。」

小桃。
「金色が赤くなった半神と破壊神が戦う。」
「人気アニメの再現ですかね。」
「出生の仕組みと決定と内容を破壊する。」
「こちら側の破壊神と半神のヤサイ人。」

成実。
「では、私達は破壊神を自称しましょう。」
「相手は半神の赤いヤサイ人です。」

天鞠。
「親ガチャは社会的成功が重要なものになっていますが。」
「これは極端ではないかと。」
「この部分は違和感があります。」

小桃。
「成功とか。」
「その登山のようなサクセス・ストーリーは。」
「その人が本気でそう望んでいるのか。」
「よくわかりません。」
「偶然、そう思ったとか。」
「必要だから成功を求めるのは最善の目標ですよね。」
「必要ないのに成功を求めるのは無謀かと。」

成実。
「必要なものを求めるのは当たり前で言うまでもない。」
「必要でないものを求めるのは。」
「欲望と言えるものですかね。」

天鞠。
「必要なものを得れば良いので。」
「私は必要なものだけを得るように立ち回ります。」
「必要ではないものは無視です。」
「必要以上のものを奪い取ろうとする。」
「彼らは多分、これらを成功と呼んでいて。」
「目標は高い方が良いかと思います。」
「蓋然性は疑問ですけれど。」
「目標は高く設定した方が進展はありますよね。」

成実。
「私もそう思います。」
「登山の途中で力尽きると。」
「もはや敗北者ですし。」
「山頂に到達した後は何をするのでしょう。」
「もうひとつ踏破したいのなら。」
「もはや偉人ですよね。」

小桃。
「なんていうスーパーマン。」
「登山の上に登山を企てるとは。」

成実。
「私は平坦な道で。」
「人生の登山なんてしませんよ。」
「真っ先に平坦な場所を目指して。」
「起伏の多い人生は捨てました。」

天鞠。
「平坦な道は過酷でもなくて楽々で。」
「何もない訳でもないけれど。」
「悪いものなんて最大まで削減できますからね。」

小桃。
「外部的要因を最大まで削減できるのが良い所です。」
「欲しいものは自分で手に入れる。」
「自分の手で開拓するのが平坦な道の基本です。」

成実。
「自分の手で道を切り開くのは。」
「平坦な道の性質ですね。」
「私はこちらの方が好きです。」
「私はお宮に頼んで。」
「山岳地帯から離脱したようなものです。」
「比喩的に人生論を語りましたが。」
「実際の登山の方が明らかに簡単で。」
「富士山に登頂する方が人生の登山より難易度は桁違いに低いものです。」

天鞠。
「多分、人生の登山はエベレストより残酷でしょう。」
「山の女神様はきっと。」
「抜け道や山道から平地や盆地に出ていく街道まで。」
「獣道を敷いて繋げてくれますよ。」

成実。
「私には草薙の剣のレプリカがあって。」
「形になって自分から切り開くという証拠の品がありますし。」

小桃。
「本物には必ず証拠の品とか証拠になる情報とかありますからね。」
「親ガチャという俗語は哲学の包括した内容で。」
「エルの物語を読んだ後に読みましたが。」
「凄まじい懐疑論をくれました。」

成実。
「生まれの決定は客観的ではないと知りましたからね。」
「出生を無視できるのは少数派の人々だけなのかな。」

小桃。
「私達は社会心理学で言う少数派ですからね。」

天鞠。
「群衆が悪いものを受ければ公正ではありませんか?」
「劣った人間にだけ悪いものが加えられる。」

成実。
「それが理想ではありますね。」
「残念ながら、現実主義者が蔓延しているもので。」

天鞠。
「あれ?あっさり崩壊する出生の理屈と。」
「あっさり特権を手に入れた私達って?」

成実。
「神様の力で出生を攻撃している時点で。」
「理解頂けるかと。」

天鞠。
「なるほど。」

成実。
「自分のわめき悲しんだ出来事が。」
「あとからみると。」
「自分にとって真に最善のものであったり。」
「大喜びした出来事が。」
「最大の苦悩のもとになっていたりする。」

親ガチャと称して。

宝くじと書かれたガチャポンをやりました。

落差が激しい当たり目があり。

五等が出て。

昔のお金のレプリカがカプセルに入っていましたね。

一等はそこそこの指輪らしいのです。

貴金属が入っているガチャポンの方は高いので。

お菓子屋さんから離脱。

交差点。

交通量が多い。

小都市でも。

すべてまったく異なる目的で動く車が通る。

歩行者信号が青になると。

自転車が侵入。

歩行者も侵入。

向こう側に渡りまして。

今日はなぜか。

車の挙動が強引です。

天鞠。
「われわれは英雄的に行動するとき。」
「たいてい何かを証明しようとしている。」

成実。
「フローネシスを極めると。」
「状況を一度の計算で把握して。」
「自然に体が動く事で。」
「あらゆる事態を処理します。」
「いちいち考えている余裕はないからです。」

天鞠。
「あらかじめ立てた予想に基づいて。」
「現場に入って展開するので。」
「対応が迅速ですね。」

成実。
「交差点では。」
「すべての方向を見渡して。」
「どの車がどのような動きをするのか。」
「未来予測地点を割り出して。」
「どこの段階で突入するのか。」
「一瞬の判断で計算できます。」
「相手のドライバーの顔を見ている時だってあります。」
「いちいち考えていたら追いつかない処理を。」
「一度の計算で答えを出して。」
「交差点を難なく通過するのです。」
「考えたら遅い判断を。」
「一瞬で把握して。」
「自然に体が動いて成功させます。」
「交差点に進入する車の動きを読んでいるのです。」

小桃。
「唯一。」
「一度の失敗が大きな影響を与えます。」
「フローネシスはたった一度の失敗もできない。」
「ノーミス前提の挙動が特徴です。」

天鞠。
「変則的な動きができる分。」
「少しの失敗も許容できないリスクがありますしね。」
「旋回の角度が少しでも浅かったり。」
「逆に深かったり。」
「一瞬だけ見落としがあっただけで事故が誘発されます。」

成実。
「ここをこうすればこうなるという。」
「あらかじめ挙動を読んで予定を立てて。」
「実際に突入してから再構成を繰り返す。」
「基本戦術です。」
「現地で得られる膨大な情報から。」
「より確かな方法を選択します。」
「より正しい方法は選びません。」

天鞠。
「フローネシスは確実な方法しか選べませんし。」
「もしより正しい方法を選んだら。」
「即失敗に終わります。」
「高度な知性なだけに。」
「習得が難しくて。」
「習得しても失敗があるのです。」

小桃。
「フローネシスをニュータイプの能力と比喩した。」
「メカニックアニメもあるほどですね。」
「第六感もニュータイプの能力と比喩的に語られています。」
「私は直観による行動が多いのです。」

天鞠。
「直観の精度が正確無比になると。」
「もう誰も追いつけません。」
「直観の精度だけでも決着はついています。」

成実。
「芸術作品やアニメなどが現実の写実主義となり。」
「実際にあるものが比喩的に語られることもあるもんです。」

小桃。
「芸術は現実の模倣に過ぎないという指摘もありますからね。」

天鞠。
「目の前のリンゴと横に置いてあるリンゴの絵は。」
「どちらに価値があるのか?」
「という問題は芸術における定番です。」
「目の前のリンゴは実際に食べられますが。」
「横に置いてあるリンゴの絵は食べられません。」
「リンゴの絵は長く残りますが。」
「ここら辺で哲学伝統の芸術論が展開されますね。」

成実。
「シェイクスピアが出るとリンゴをいくら出しても無駄ですけれどね。」

天鞠。
「私もそう思います。」

小桃。
「リンゴをたくさん出してもファウストにはなりません。」
「ここで文明のリンゴか文化のリンゴで分かれます。」

成実。
「まったくその通り。」
「常に最高の意見を目指す。」

チェックポイントで解散。

夕方の五時ちょうど。

競歩で移動します。

走ると消耗しますし。

歩く速度が遅いと間に合いません。

競歩が基本だと思っています。

そのためか。

二十分までに帰宅できました。

お姉さんが帰ろうとした夕食の後くらい。

ふと夜空を見ていますと。

明らかに燃えている何かが天体望遠鏡で分かりました。

大気圏に突入しており。

けっこう大型です。

隕石かと思いましたが。

隕石にしてはかなり低速ですし。

いくら経過しても地上に到達しませんので。

天体望遠鏡で目標を確認します。

萌奈美。
「なんか見えました?焦っていますね?」

成実。
「人工衛星が突っ込んできます。」

萌奈美。
「どうかしら?確認してみますね。」
「あら!やだ!本当だわ!」

成実。
「大都市圏の方向ですよ。」

萌奈美。
「例の大型人工衛星かもしれないわ。」
「警察に電話してみますね。」

成実。
「私は大宮姉妹に電話します。」

警察は確認すると返しましたが。

時間の猶予はなく。

大宮姉妹に連絡。

大宮姉妹が華族に電話して。

それでようやく。

Jアラートが発令されまして。

自衛隊の防空システムがロックオン。

戦闘機まで発進。

テレビでは臨時ニュース。

巨大人工衛星が制御を失い。

なんと太陽フレアで通信網が一部でやられて。

暴走して落下して来ていたのです。

通信網は途絶していないように見えていたので。

制御していると思い込んだJAXA系列の運用会社。

なんとか高度を保っていたものの。

少しずつ少しずつ落下していたのです。

通常弾頭の弾道ミサイルによる迎撃が行われました。

巨大人工衛星が全損して破片が飛び散り。

所々で大爆発。

発見が遅れていると大惨事でしたし。

あの角度からしか見えない人工衛星だったらしく。

人災ながらなるべく隠したいお偉いさん達。

スーツ姿の制服さんが直接訪ねてきて。

感謝状を手渡されて。

隠れた防災になったのですね。

制服さんは隠蔽したくて。

私にいろいろ勘弁して欲しいと言われまして。

私は他の人にはごまかしていることにしました。

いつもの夜が訪れますが。

次は隕石でも見れるのではないかと。

天体望遠鏡を覗いています。

成実。
「前のは発見が素早くて難を逃れたらしいのです。」
「迎撃が間に合わないと被害が増えたとか。」

萌奈美。
「隕石が突入して来たら。」
「もう手に負えないかと。」
「衝突した後の世界でも考えた方が合理的では?」

成実。
「それもそうですね。」
「人工衛星の落下でまた技術の進歩に迫られました。」

萌奈美。
「自然科学も最近は限界が来ていて。」
「これ以上、高性能化できるとは思えませんね。」
「発明品なら量子コンピューターという新技術があるので。」
「自然科学はとりあいず到達点になっていると思いますよ。」

成実。
「戦闘機も安価で高性能な兵器を作れませんし。」
「高価格で高性能では数を揃えられません。」
「軍事面では自然科学の限界が見えています。」

萌奈美。
「自然科学の有効活用を学べば。」
「上手に科学を使えれば。」
「潜在能力が引き出されると思いますよ。」
「自然科学の上限の伸ばし方より。」
「科学を使いこなす人間側の向上で進捗があるかと。」

成実。
「お姉さんの科学論好きです。」
「自然科学を使いこなして潜在能力が引き出される。」
「アインシュタインも同じく。」
「人間は科学の活用を学んできませんでした。」
「それが指摘されています。」
「しかしそれができたら技術も洗練されますよね。」

萌奈美。
「そこまで読めたら楽観的に見えますね。」

成実。
「賛成です。」
「自然科学も人間側の進捗で何とかなりそうですよ。」

UFOみたいな飛翔体を確認。

私達と同じ銀河団に所属する。

自分達の問題をすべて解決した人類でしょうか?

隣の銀河団から来たのでしょうか?

UFOはステルスと光学迷彩が得意のようで。

多機能を持っていて何でもできるみたいです。

武装がある雰囲気はしません。

ひょっとしたら都市伝説とか噂話になるくらいに。

計画的に出現しているかもしれません。

そうなると宇宙規模の多様性ですね。

天の川銀河も多様性に満ちた場所で。

自然とは多様性なんですね。

宇宙は汎神論です。

寝る時に定期的に描く日記。

英語のことわざ。

信念は山をも動かす。


16


ショーペンハウアーの教え。

どんな出来事が起こったとしても。

安直に反応し。

大喜びしたりわめき悲しんだりしないことである。

なぜなら。

あらゆる物事には変化の可能性が残されているからだ。

最悪なハプニングが、最高の結果につながることもある。

最高に思える出会いが、最悪な結果を招くこともある。

有利・不利といったその時点での情勢判断も。

読み間違うことはおおいにある。

確定された未来など、ない。

メモ。

思いついて。

着替えます。

フリフリな甘ロリ衣装で見せびらかしてみました。

近所のお宮に行った後に市街地を巡回。

派手なので目立ちますし。

女の子の中で話題になっています。

同級生。
「すごい服着ているよ。」

女子。
「うわあ!ついに女の子のお手本が出てしまった!?」

少女。
「あら、出遅れたわね。」

同級生。
「あんなのにどうやって対抗すればいいのでしょうか?」

成実。
「これが女の子じゃない?なんてものを出したら。」
「男の子からも目立ってしまう。」
「大人の女性からは微笑みを受けます。」

お人形さんみたいで綺麗ねぇ。

とか。

どこのお嬢さん?娘にも着せたいねぇ。

とか。

女の子は綺麗でいいねぇ。

とか。

いろいろ支持されています。

ひとりで駅の広場に行ったり。

商店街を歩いたりすると。

フリフリな甘ロリ姿に見惚れる男の子がいて。

男の子。
「あの娘、凄いぞ!」

少年。
「おとぎ話から飛び出したような女の子だね!」

るる。
「メルヘンチックで大好き!」

成実。
「女子高生のお姉ちゃん!」
「こんな私を見て!」

るる。
「キャー!アイドル顔負け!」

女子高生。
「お化粧も上手でこんなロリいたら。」
「私達の時代が終わるほどの威力だわ。」

男の子。
「やばい見ていると惚れる。」

少年。
「お前、彼女いたじゃん。」

るる。
「もう他の女の子を信じなくなりました。」

成実。
「私って嘘をついていないんですね。」

るる。
「真実を、すべての真実を、真実のみを述べることを誓うか?」

成実。
「あなたはどうなんですか?嘘を言わないと誓うのですか?」

るる。
「真実を決して言わないという真実は保証します。」

成実。
「でも嘘はつかないお姉ちゃん好きです。」

るる。
「ひとりで出歩くという意味は。」
「自分で考えたのね。」
「女の子の決定版みたいな服装ってけっこうあるから。」
「私も着てみよう。」

成実。
「なぜか女の子の決定版みたいな衣装は。」
「いつの間にかありますね。」
「私はそれを実践したまでです。」

るる。
「ずっと見ていたい。」

成実。
「襲われそうなので私は立ち去りますね。」

しばらく巡回して。

なんか。

少女の時期を上手に活用できたと。

確信しまして。

このくらいの成果で少女の時期は良いかな?

なんて。

帰り側に。

小桃ちゃんと天鞠ちゃん。

小桃ちゃんは制服のような衣装で。

天鞠ちゃんは浴衣姿です。

会話中。

天鞠。
「全体主義者とは?」

小桃。
「何も学んでいない人間の別名。」

天鞠。
「では、個人主義者とは?」

小桃。
「全体主義を理解した人の事です。」

成実。
「人の成長には二つの経過を必要とする。」
「ひとつは成長の困難である。」
「もうひとつは困難の成長である。」

小桃。
「アメリカ人には日本に観光に来てほしい。」
「毎日がサーカスです。」

成実。
「どういう意味ですか?」

小桃。
「みんなジョークを平気で言い。」
「下手だけれどギャグしかやらないから。」

天鞠。
「うむ、まさしくそれ。」
「派手で私達も色目で見られたけれど。」
「見せびらかした。」

成実。
「自分以外にも問題を見出すのも最善です。」
「自分以外に問題があれば。」
「自分の問題では無いのです。」

天鞠。
「自分の問題と他人の問題を混同するなってことです。」

小桃。
「最初から自分の問題と他人の問題は別物です。」

成実。
「あなたの個人的なアンチは。」
「必ず言いがかりをつけてきます。」
「一貫しているのは反対者の言いがかりであると理解してください。」
「言いがかりなら根拠もなしに責め立てたりできますからね。」

小桃。
「自分が強いと大言壮語したとして。」
「自分より強い者に遭遇して。」
「自分より強い者に複数人で囲まれると。」
「もう何も言えない。」

天鞠。
「手遅れでしょうね。」
「強いと思っているのはその人だけで。」
「他の人からは弱く見えるでしょう。」
「他人を説得しても強くはなりません。」

成実。
「力で負けて次に頭脳で負けたら。」
「敵も醜態を晒して。」
「次は誤解や勘違いで対抗すると。」
「そこで間違いが発覚する。」

小桃。
「つまりは豪華な衣装で目立っても。」
「それは私達の課題です。」

天鞠。
「誰でも反対者(アンチ)は必ず言いがかりであること。」
「言いがかりを防ぐ手段は無いこと。」
「根拠もなしに人を責め立てられると理解してほしいくらい。」

成実。
「つまりは。」
「みんな、私達の力量に対する敗北の言い訳ですね。」

小桃。
「一部の人間だけは無理にでも言いがかりをつけてきますよ。」
「それ以外の人々からは熱狂的な支持をされました。」

天鞠。
「一部の人間以外は誰も批判しません。」
「言いがかりをつけてくる一部の人間以外は。」
「違いを楽しんでいます。」

成実。
「何かあったの?」

小桃。
「アイドルを負かした。」

天鞠。
「イベントに出演していたアイドルとか芸能人を負かした。」
「と言ってもたまたま居合わせたのですから。」

成実。
「まさか、彼らは自分達だけが最強だと思ったのかな。」

天鞠。
「プライドとか称される意味不明な思想が否定された気分らしい。」

小桃。
「プライドって何ですか?」
「どのくらいの価値があるんですか?」

成実。
「高慢には失脚がつきもの。」

天鞠。
「そう、それよ、彼らは残念ながら。」
「周囲の人間や関係者から。」
「少しのしくじりも許してはくれないから。」

小桃。
「人気者は一度失脚すると、そこで終わりです。」
「著名人も信頼性失墜で、そこで終わりです。」

成実。
「あらら、それで彼らの終了を見たのね。」
「でも良いものです。」
「現に私達がいるのですから。」
「私達が近くに居るだけで負けるのは彼らの問題です。」

天鞠。
「勝手に競って負けるのだから。」
「勝負してもきっと相手にならない。」

小桃。
「桁違いの女の子を見せてしまったから。」
「きっと立ち直れないでしょう。」

成実。
「私も見せびらかします。」
「女の子とは多分こうであると。」
「行動で示す。」

天鞠。
「考えうる女の子の集大成。」

小桃。
「記念撮影。」

三人集まると。

他の女の子もやってきて。

天鞠ちゃんの友達も。

ロングスカートだったり。

セーラー服であったり。

何をもっておしゃれとするのか。

議論が白熱しました。

おしゃれの定義が争点となり。

男の子まで議論に参加させて。

いつもの丘の公園に人が集まってしまい。

私がさらに目立つ事態になり。

私に目を奪われる男女。

見せびらかした甲斐がありました。

成実。
「では、おしゃれとは誰かが決めていいものなのですか?」

少女。
「それでは安直な主観の話でしょう。」

男の子。
「それって男性から判定しても良いのか?」

女子高生。
「では基準なんて無いのですね?」

るる。
「おしゃれですか、それは見栄えが良いという意味?」
「しかも基準なんて無いのだから。」
「見る人の好みですよね。」

天鞠。
「それですと、人の好みによって評価が変わります。」

るる。
「では、どれが良いのか断言できない訳ですよね。」

小桃。
「ということになりますね。」

るる。
「社会の好みに合わせた衣装に限定されますよね。」

成実。
「では、迎合される衣装がおしゃれなんですね。」

るる。
「うわっ!それは反駁できない!」

女子高生。
「その意見に反駁できる人はいませんか?」

男の子。
「異議なし。」

少女。
「否定しません。」

るる。
「では、意見を固定します。」
「もっと良い意見のある人を探しましょう。」

議論は終了。

三人で神社に参拝。

なんとも珍しい景色も撮影。

成実。
「個人的な願いは普段から関わっている神様が最善です。」
「理解しているので合わせやすいのです。」

天鞠。
「人と神との違いは関わっているうちに察するものですね。」
「人間から見て失礼と思った伝言ですら。」
「神様から見れば必要な個人情報であったり。」
「人間の考えは神様には通用しません。」
「人間の考えを説明しても神様から見ればいろいろ違ってくる。」
「やり取りを重ねないと人と神との違いは理解できませんよ。」

小桃。
「神様が取り計らってくれたいろいろなものを。」
「すべて受け入れて生きていきましょう。」
「決して悪くはなりません。」

成実。
「与えられたもので生きていくという考えには異論があります。」
「神様から与えられたもので生きていくのであれば。」
「人間の考えの浅さや愚かさは露呈します。」

天鞠。
「私にとって必要なものを必要なだけください。」
「という頼み事は必ず叶いますし。」
「同じ心境でしたか。」

成実。
「私もお願いしました。」

小桃。
「お宮で。」
「私にとって必要なものをすべてください。」
「確実に叶いますが。」
「すべてが不透明なので。」
「何が起きるのかわかりません。」

お宮の中にいるフリフリの女の子と。

制服衣装と浴衣の女の子。

不思議な少女。

解散して。

この日は自分の課題に移行。

帰宅すると部屋着に変えましたが。

たまには甘ロリ衣装で市街地を歩くのはたまりません。

隣町用の衣服が多いので。

両親の休暇で着ていく服にも困りません。

さて。

お姉さんに変な質問をしてしまいました。

成実。
「日本でもアダルトビデオが合法化される日が来るのでしょうか?」

萌奈美。
「私もアダルトビデオが合法化されると思っています。」
「すでに男女は合法的にアダルトビデオを楽しみ。」
「自作自演をしていますので。」
「個人の男女で楽しむのは合法です。」

成実。
「体験型のビデオとはなかなかやりますね。」

萌奈美。
「料金が高いらしいですよ。」
「しかもリアルな人生に影響するとか。」

成実。
「それはビデオなんですか?」

萌奈美。
「本人はアダルトビデオと言っていますが。」

成実。
「すごい自作自演の作品なんですね。」
「まさか自分が出演して記録が残らない即席とは。」

萌奈美。
「でしょ、だからアダルトビデオは合法化されているのです。」

変な会話になりました。

遠くの家屋。

役人の家で。

天鞠。
「もう遅くなったから泊っていきなよ。」

女の子。
「うん、そうする。」

天鞠。
「雨が降ってきた、私は客間の準備をします。」

女の子はいつの間にかいません。

どこに行ったのか。

失踪。

三十分後に玄関のチャイム。

天鞠。
「どこに行っていたんですか!?」

女の子。
「泊まるって言っていたので。」
「パジャマと着替えを取りに帰っていたの。」

天鞠。
「そのまま帰れるじゃないですか!」

女の子。
「あ!では!私は帰ります!」

女の子帰宅。

これまた遠くの家屋にて。

女の子と両親の友達との会話。

登山家。
「近くの高山に行ったらイノシシの群れに追いかけられた。」
「危険地帯の看板くらい立ててほしいものですよね。」

小桃。
「あらやだ、グーグルマップと登山家のアプリには表記されている。」
「行ってはいけない禁足地ですよ?」
「見なかったのですか?」

登山家。
「なんだって!デジタルではそうなのか!?」

小桃。
「文句を言う方が変だと言われますよ。」
「民宿が向こうにあるので。」
「そこへ行きましょう。」
「民宿の電話番号がありますよ。」

いろいろある夜。

成実ちゃんの家にて。

ラジオ。

出演者。
「お悩み相談コーナーだお!」
「今晩もお悩み解消だお!」

会社員。
「僕は劣っていて、怠け者で、すぐ切り捨てられます。」

出演者。
「問題ないお!」

会社員。
「なぜ?」

出演者。
「似たような人で満員だから今更目立たないお!」
「能力には皆、特に違いがないから。」
「いくら無能と呼ばれても。」
「本当は全員が黙っている事案だお!」

会社員。
「わお!今夜はよく眠れるよ!」
「まったくその通り!」

成実。
「なんですかこれ。」

るるちゃんからメール。

おしゃれの論争はまだ覆っておらず。

私の意見の上は出現していない。

SNSでも出てこないとのことで。

全員で意見を出して最善を尽くしたい。

なぜなら当事者だからという意味で。

まだ論争は続くそうです。

議論。

おしゃれとは何のことを意味するのか?

誰かがおしゃれを定義できるのか?

決着がつきそうもないです。


17


自分でものを考え。

自分の意見を持つ人がもっと数多くいさえすれば。

世の中はかぎりなく。

よくなるであろう。

ヒルティ。

休日。

小桃ちゃんの家。

コンピュータールームでは一式揃えた機材。

宝くじの当選と。

鉄道関係の両親の給料の高さによって実現した。

少しだけ安いデバイスがまとまっています。

成実。
「ハイスペックゲームも楽々ですね。」

小桃。
「中古のグラフィックボードで。」
「CPUもcorei7第七世代だけれど。」
「これは組み立てパソコンの中古品を手に入れたもの。」
「たまに市場に流れてくるから。」
「ハイエンドな大型ゲーミングPCを整備したの。」

天鞠。
「それでも高性能と呼ばれる機材なんですね。」
「中古のゲーミングPCの改良型とは絶品。」

成実。
「私の家にはMACがあるくらいで。」
「最近、輸送されてきた品物なんです。」
「本格的なハイスペックはこももちゃんくらいしか。」
「持っていないかも。」

小桃。
「小都市では珍しいハイテクですからね。」

天鞠。
「私は業務用でしか使ったことない。」

小桃。
「起動完了、技能訓練開始よ。」

成実。
「これを、どうするので?」

小桃。
「ヘリコプター。」」
「これは慣性移動のビークルです。」
「まずフライト可能にします。」
「エンジン出力を少しずつ上げて。」
「機体を浮かせるのです。」
「機体が浮いたらもう少し出力を上げます。」
「エンジン推力の切り替えがキーポイントになるので。」
「エンジン出力をまず覚えてください。」

成実。
「ヘリが浮きました。」
「エンジン推力を調整します。」

小桃。
「飛行に移行します。」
「前に機体を五度くらい倒してください。」
「ヘリコプターは真上に揚力が生じているので。」
「機体を傾けると前方向に重心が移動して進めます。」
「エンジン推力と角度が釣り合えば。」
「斜めに倒したまま水平飛行が可能です。」
「上昇率を見ながら。」
「高度を上げ下げせずに飛行します。」

成実。
「飛行安定です。」

小桃。
「前に倒しまくると前転して墜落です。」
「減速する場合は。」
「機体を空に向けて五度くらい上に角度を取りますと。」
「重心が後ろに移動してブレーキになります。」
「後ろに傾けてしばらくして水平に戻します。」

成実。
「機体が沈んでブレーキになりました。」
「エンジン推力を調整しないと。」
「上手なブレーキになりませんね。」

小桃。
「横に旋回する場合は速度を落としていないと。」
「曲がれません。」
「水平移動から機体を上に向けてブレーキしてから旋回します。」

天鞠。
「飛行機とは別物だなあ。」

成実。
「くるくる横に回ってみました。」
「慣れると楽々。」

小桃。
「前進しつつ機体を少し斜めに倒すと。」
「少しずつヘリコプターが斜めに移動します。」
「左に行きたいのなら少し左に機体を傾けます。」

成実。
「滑走路に戻ってきました。」

小桃。
「ヘリコプターの挙動は繊細で。」
「強引な飛行は無理があります。」
「着陸する場合は速度を落とし。」
「未来予測地点を目測で計算してから。」
「少しずつ接近します。」
「時間をかけて接近すれば降りられます。」
「回転翼機はすぐに使いこなせません。」
「自動車の免許と似たようなものです。」
「一部視界不良な回転翼機があるので。」
「豆ヘリで練習します。」
「稀に計器類は本屋の軍事系雑誌で公開されている可能性があります。」

天鞠。
「陸上自衛隊のヘリコプターは。」
「ほとんど機体を水平にして。」
「低速で移動しますね。」
「飛行機と同じように着陸します。」

小桃。
「そこまで成功すれば技術がまともになっていますよ。」

成実。
「飛行機のように前進しながら着陸するのは。」
「まともな訓練の証ですね。」
「ヘリポートに着地。」

小桃。
「戦闘機で出現します。」

天鞠。
「次は私です。」

小桃。
「戦闘機は滑走路に出たらHUDを見て150ノットまで加速して。」
「少しずつ機体を上に傾けて離陸します。」
「機体によって離陸速度は異なります。」
「T-4練習機は95ノットで離陸したり。」
「F-15イーグルは150ノットを超えた付近で離陸します。」
「滑走路の方向を覚えておきます。」
「適当に遊んだら。」
「滑走路と同じ方位から侵入します。」
「可能な限り遠くから滑走路に進入します。」

成実。
「左のHUD表示が速度計でノット表示。」
「右のHUD表示がフィート表示ですね。」

小桃。
「150ノットは時速250キロメートル。」
「500ノットは時速1000キロメートルくらいです。」
「10000フィートは高度4000メートルくらいです。」

天鞠。
「離陸、低空飛行で遊ぼう。」
「向こうに滑走路があるね。」

小桃。
「目視で確認できる距離で遊覧飛行。」

成実。
「着陸態勢に入りますね。」
「てまりちゃん上手。」

小桃。
「速度を150ノット以下に落とさず。」
「機体が沈んで行くので。」
「未来予測位置を示すVORという丸アイコンを滑走路に合わせます。」
「ILS着陸装置があれば。」
「理想侵入コースに合わせます。」
「後輪から着地しないと車輪が壊れます。」
「自然に機体が上向きになり。」
「戦闘機が上向きのまま沈んで行くので。」
「後輪から着地するのは簡単です。」
「初心者は滑走路の端っこは狙えません。」
「滑走路の真ん中に降りて練習しましょう。」
「着陸は目測による計算と。」
「速度調整くらいで可能ですね。」
「速度を下げすぎると手前で落ちます。」
「速度超過で停止できません。」

天鞠。
「着地してフルブレーキ。」
「停止できましたね。」
「雑な離着陸でしたが。」

成実。
「機体が落ちる衝撃が強いと破壊されます。」

小桃。
「あんまり急角度だったり。」
「落ちる威力が大きいと壊れます。」

天鞠。
「なんとか設置。」
「ほとんど水平に着地したよ。」

小桃。
「機体コントロールは先読みが前提で。」
「挙動を読んでから事前に手を打ってあるので。」
「行き当たりばったりな動きでは対応できません。」
「離陸から着陸までは。」
「パイロットが目測でコースを読み取るので。」
「墜落を繰り返して。」
「どこが問題なのか調べながら訓練すれば。」
「最短で習得できます。」
「計器類は専門書で公開されている場合が多いので。」
「マニュアルを見ながら操作すればあっさり稼働しますね。」

天鞠。
「空中スタートになりましたが。」
「非武装の敵機が来ましたぞ。」

小桃。
「格闘戦は宙返りから開始するのが基本となります。」
「旋回中はドリフトのようになり。」
「速度が低下します。」
「エンジン推力を上げて。」
「運動エネルギーの消耗を補います。」
「あまりにも急旋回をすると。」
「戦闘機の設計を超える重力が発生して。」
「速度を失います。」
「格闘戦では相手の位置を目視で見ていないと。」
「どこにいるのかわかりません。」
「相手を見ながら操縦します。」
「練習機で模擬戦が可能ですが。」
「搭乗員の練度が争点になりますね。」
「ミサイル戦闘は高度化された情報戦になるので。」
「数日の訓練では無理です。」
「航空機は訓練なしでは操縦できません。」
「格闘戦はたまに専門書があります。」

天鞠。
「なんとか回って勝てました。」
「パイロットが良かったからね。」

成実。
「では、次は私がやります。」

小桃。
「戦車も操作できます。」
「簡易的なシミュレーションゲームです。」

成実。
「フライトシミュレーターの中に戦車も入っているんですね。」

小桃。
「戦車はクセがあります。」
「プロフェッショナル向けではない一般的なゲームでは。」
「長距離で撃ち合います。」
「撃ったら下がって撃ったら下がってを繰り返します。」
「こうすれば敵から位置がわからず。」
「無謀に突進した敵を見つけやすい。」
「近距離では敵戦車の部位を狙います。」
「戦車砲は照準器が装備されています。」
「これで砲弾の狙いを定めます。」
「砲弾は重力で少し落ちます。」
「基本的には敵戦車は正面装甲が硬くて。」
「砲塔を狙うと砲弾が弾かれてしまいます。」
「側面か後ろ側を狙いましょう。」
「戦車は的になる戦闘車両ですので。」
「対戦車兵器で狙われます。」
「距離が離れていないとやられてしまいます。」
「戦車砲は当たる前提なので一度でも外れると危険です。」
「同世代の戦車から攻撃を受けると。」
「数発耐えるのが大半です。」
「有利な位置で裏取りするのがゲームでの基本戦法です。」
「計器類の操作は専門の教本が売られている可能性があります。」

成実。
「雑魚戦車を片付けました。」
「性能差があると楽勝ですね。」

小桃。
「一世代違う戦車との性能差は歴然です。」

天鞠。
「同世代でも最初の方で配備されたのと。」
「最後の方で配備された方で性能が全く違いますよね。」

小桃。
「なので、二世代戦車を近代化改修して。」
「無理に三世代戦車の水準を満たした旧式もあります。」
「プロフェッショナル向けで百対百の大戦車戦が可能ですね。」
「チャレンジャー2とT-90Aの対戦では。」
「イギリス戦車が損害20両くらいでロシア戦車が全滅です。」
「M1A2エイブラムスとルクレールが対戦すると。」
「ルクレールが一方的にやられますね。」

成実。
「実戦では散発的に配置されるので。」
「遭遇戦でよーいどん!ではないのです。」
「最初に発見して撃った側が有利です。」

小桃。
「側面装甲なら二世代戦車の砲撃でも貫通しますし。」
「対戦車兵器も優秀なので。」
「スパイクLRミサイルなどの固定式ランチャーには。」
「第三世代戦車も一方的にやられますよ。」
「戦車は単独で戦えません。」

天鞠。
「こう論じられているけれど実戦ではこうだよ。」
「というものはよくありますね。」

成実。
「実戦でどう出るか。」
「これが兵器の全部です。」
「スペック表なんてあんまり意味がないのです。」
「実戦参加でしか性能の証拠が取れません。」

小桃。
「自然科学も根付いて二百年くらいかな。」

成実。
「ピサの斜塔でガリレオ・ガリレイが。」
「質量の違う物体を落としたのが。」
「自然科学の起源のひとつですね。」

天鞠。
「キュリー夫人やニュートンなども揃っていました。」

成実。
「鉄砲が開発されて大砲も使われたり。」
「鉄道が稼働してから。」
「自然科学は当たり前のものになりました。」

小桃。
「系外惑星まで到達するには数千年くらい必要ですね。」

天鞠。
「それまでに自分達の問題で滅亡していたりして。」

成実。
「科学で築いた技術を過信するな。」

小桃。
「それは箴言ですかね。」

天鞠。
「洗練されていない技術ほど。」
「計器類や配線とか混雑していますね。」
「自然科学が確立したのが遅いくらいです。」

成実。
「それでも一式揃えると、科学の進歩も停滞していますけれどね。」

小桃。
「個人的には水素自動車と核融合発電が好ましい。」

天鞠。
「プラズマ・ジェットエンジンも開発中です。」
「プラズマ粒子を噴射して加速しますが。」
「ジェットエンジンと比較して桁違いの推力です。」
「プラズマ・ジェットエンジンの兵器転用は革命になります。」

小桃。
「艦載式レーザーも実験で成功していますし。」
「レーザー銃なら目潰し用で使われていますね。」

成実。
「地球人類は戦争が前提だと思われますし。」
「戦いは強いられています。」

天鞠。
「戦いを強要されて。」
「しかしその中でも幸福を見つけるのは難しい。」

小桃。
「倒すべき相手を倒しても何も変わらないから。」

成実。
「戦いの中でしか生きられない地球人類。」
「古代の世界からの伝統なのです。」

ゲーム続行。

小桃ちゃんの機材は中古もありますね。

パソコンは数台ありますが。

新品では無いそうです。

デジタルカメラが撮影機材で。

都市部に行った時にまとめて買うので。

中古パーツが豊富です。

メインデバイスがなぜか売りに出されたハイエンドで。

これで足りています。

休日にたっぷりゲームができるので。

それでも一日に三時間くらいしかオンラインゲームをやらないそうです。

外で遊んだり友達と遊んだり。

スポーツをする方が好きみたいです。

何があってもいいように。

可能な事はこなしておいて。

最大まで少女の時代を使ってみる。

小桃ちゃんの人生観。

大人になったら勝手が違うと教えられているので。

そこで情報を更新するつもりらしいのです。

お姉さんのハイテク工業の系列で。

パソコンメーカーの部門に行きたいと。

交渉していて。

裏で訓練しているみたいです。

人事部が容認したら何でも良いので。

お姉さんは小桃ちゃんの力量を見て。

お姉さんの両親に知らせてはいるようですね。

どうも人事部では育成して使おうと。

小桃ちゃんを狙っているようですし。

就職した後に活躍できるかの課題かも?

私は大学に入ったら訓練で子会社に入れるんですけれど。

天鞠ちゃんは経理とか既に習得していて。

お姉さんは企業の後継者ですから。

ゆっくり急げ。

テレビ。

お昼の番組。

有識者が集まって。

どうしたら今の中年世代を怒らせることができるか。

について話し合った。

文豪。
「相手の大義名分を嘲笑してやろう。」

知識人。
「それでも中年世代は怒らなかったよ。」

反自然主義者。
「中年世代のお株を奪っても、怒らなかったよ。」

中国人。
「そんなこと簡単ですよ。」
「口論を仕掛けましょう。」
「そうすればさすがの中年世代も怒るでしょう。」

役人。
「無駄だね、それ、もうやったもの。」

どれを見ようか悩んで。

ボタンを押すと。

いろいろ出てくる。

ニュース。

あの事件の裏側で。

獄中インタビュー。

記者。
「なぜXさんを殺したのですか?」

犯人。
「それはXの野郎が何をするのかわからない。」
「危険な馬鹿で。」
「しかも悪事を企んでいるかもしれないからだ!」

記者。
「なるほど、それでは、どうしてFは殺さないのですか?」

犯人。
「それはFの野郎が何をするのかわからない。」
「危険な馬鹿で。」
「しかも悪事を企んでいるかもしれないからだ!」

記者。
「では、市民とXとFの違いは何ですか?」

犯人。
「それは市民の野郎が何をするのかわからない。」
「危険な馬鹿で。」
「しかも悪事を企んでいるかもしれないからだ!」

いきなり。

コマーシャル。

店員。
「問い。」
「切れてしまった電球を新しいものに取り換えるのに。」
「何人の武士が必要だろうか?」
「答え。」
「誰もいない。」
「とっくの昔に電球が新品に交換されて。」
「質問の開始前に済んだ話だから。」

女性。
「電気屋は日本最大の落雷店へどうぞ!」

次のCMに移行。

書家。
「各世代の人々が集まると、いったい何が生まれるだろうか?」

アナウンサー。
「中年が二人集まると、三の規則と四の法律が生まれる。」
「老人が二人集まると、三の意見と四の政党が生まれる。」
「青年が二人集まると、三の銀行と四の会社が生まれる。」
「子供が二人集まると、三の諍いと四の正義が生まれる。」

書家。
「この世についてカルト抜きで語った決定版が出ます!」

アナウンサー。
「複数の著名人が描く説明書を全国の書店にて!」

次のCMに移行。

シェルターについて技術者が話し合っている。

商人。
「こちらでは、空爆に無傷であれば、防御力は十分だと判断します。」

エンジニア。
「こちらでは、空爆でシェルターが破壊されると思いますが。」
「それでも苦情が来なければ、十分であると判断します。」

サイエンティスト。
「こっちでは、空爆に耐えられるかわかりませんし。」
「その後の生存も長くありませんが。」
「苦情が来ない商業展開には自信があります!」

放送事故。

次のチャンネル。

不可思議な番組を見ました。

被害を訴える裁判員が語る。

裁判員。
「無実の罪という罪状がこの世にはある。」
「起訴されると有罪が確定してしまい。」
「最高刑が無期懲役という苛烈なもの。」
「無実の罪という罪は言いがかりでも立件可能であり。」
「立件されると死あるのみである。」

出演者。
「無実の罪で逮捕され、有罪判決とは恐ろしい!」

裁判員。
「あなたは、無実の罪の刑!」
「そう言っていたんです!」
「法廷の闇を見ました。」

出演者。
「判決が無実の罪で有罪!?」

裁判員。
「そうなんです、無実の罪の刑で死刑と名指ししていたんです!」

テレビが切り替わって。

放送が受信できません!と書かれています。

チャンネルを変更。

不可思議で。

新聞があり。

とある大物が教育改革を実行し。

すべての生徒のEQを世界の平均値以上にして。

落ちこぼれを二割未満に抑えるという政策を実施した。

数週間後。

苦情が殺到した。

著名教師。
「現場の負担が大きく。」
「こんな高いEQは達成できない。」

その数週間後に。

アドラー学会から苦情が来る。

心理学者。
「どうやったら落ちこぼれを一割出せるのか。」
「わからないので改革を見直してください。」

結果論で。

それなりの効果もありましたが。

政策の失敗として歴史に残りました。

図書館に行きますと。

古典はレンタルされて。

消えています。

少年。
「なぜ図書館は静かにしなければならないのか?」

役員。
「みんな寝ているからです。」

本を借りて。

退場。

図書館の前にて。

上司。
「遅刻などありえない。」

社員。
「実は、追突されて車が壊れてしまって。」
「何とか警察官に介入してもらって。」
「処理に手間取って遅刻しました。」

上司。
「三時間もか?」

社員。
「・・・。」

恋人。
「この情熱が消えたら何も残らないわね。」

イケメン。
「情熱しか繋ぎとめる絆が無いんだよ。」

恋人。
「そんな退屈なもので繋がれるのが恋なのね。」

イケメン。
「相手は選べないさ、情熱が強制するのだから。」

青年。
「向こうで熱烈なカップルがいるんです。」

先輩。
「そうか、とても夢中になっているね。」

青年。
「あんなカップルのようにしてみたいなあ。」

先輩。
「そんなことしたら、あの二人組に反撃されるよ。」

同級生。
「良いニュースと悪いニュースがあります。」
「どちらのニュースから聞きますか?」

成実。
「それでは、悪いニュースからお願いします。」

同級生。
「良いことはひとつもないというものです。」

成実。
「良いことがない!なんということだ!」
「しかし良いニュースがあるのでしょう?」
「それはどんなものですか?」

同級生。
「悪いものがひとつもないというものです。」

女の子の一団に誘われて。

ケーキを買っていたのですね。

少女。
「ケーキを六等分にしましょうか?」
「八等分にしましょうか?」

女子中学生。
「四等分にしてください。」
「八等分だと多くて食べられないから。」

成実。
「結果が同じでは?」

女の子。
「え?なにか変ですか?」

成実。
「いや、なんでもない。」

ケーキを食べて。

女の子の家から退場。

読書に夢中で。

日が暮れます。

夕方に一緒に家事をしていて。

休憩時間になると。

体験談を語ってくれまして。

情報源です。

成実。
「現代社会はみんな主観に過ぎません。」
「自分の主観に基づいて行動しています。」

萌奈美。
「主観に過ぎないので。」
「客観的な悩みや問題なんてありませんね。」

成実。
「客観的な見解が無いのは逆手に取れば。」
「自分に有利です。」
「悪いものも主観的になりますので。」
「誰かの言った事実も。」
「事実みたいに聞こえるだけで主観に過ぎない。」

萌奈美。
「注意すべきは、憎しみを招くもとが善行であることだ。」
「悪行に劣らずに。」

成実。
「中途半端な善行は悪行と同じですよね。」

萌奈美。
「人は生まれついた通りに生きる義務はありません。」
「好きなように改造しても良いのです。」

成実。
「人間というものは、極端な対立をもって。」
「物事を考えがちである。」

萌奈美。
「危険がやって来てから。」
「危険に耐える準備をしても遅い。」

成実。
「自分も他人も主観に過ぎないのなら。」
「思想も状況も対等なんですね。」

真奈美。
「善人も自分の主観であり。」
「善行も主観に基づいた行動です。」
「そして主観的なのだから。」
「客観的な運命など存在しないのです。」
「ですから改造してもまかり通ります。」

成実。
「善か悪かで他者を見るのは危ない人だと思います。」
「私は正邪判断をするような人は一切、信じません。」

萌奈美。
「人間社会には危険がありますので。」
「油断して侵入できる場所ではありません。」
「私の先輩は妹と同じ接し方をしてくれて。」
「いろいろな忠告をしてくれて。」
「チームをまとめるリーダーが有能そのもので。」
「ついていけば何でも成功したのです。」
「統率の取れていない集団は。」
「リーダーが不在なのでけっこう倒れていました。」
「そこで社会はチーム戦であって。」
「自分の力を持って協力して勝ち抜いていましたが。」
「敵対者や競争相手や支持者の動向など。」
「危険も見え隠れしていて。」
「妹みたいに接してくれた先輩が。」
「引退した頃から失敗が目立って。」
「他のチームは接戦で入れなさそうでしたし。」
「アイドルグループが壊滅する前に抜け出しました。」
「危険に対しては出遅れてなんとか避けられたのです。」

成実。
「そこで留まったら何を食らっていたのかわかりませんね。」

萌奈美。
「現場も主観的に考えていたので。」
「勝つことは知っていましたが。」
「勝利を活かす事はできませんでした。」
「アイドルに生まれついたのに。」
「今はこうして工業を習っています。」

成実。
「私も隠し子として生まれついたのに。」
「自分の手で開拓できる余地で溢れていました。」

萌奈美。
「自分の手で終わりにしたアイドルの職業でしたが。」
「他の娘が私の持ち場を欲しがっていて。」
「終わりというより返したのです。」
「アイドルというものを。」

成実。
「今となっては激戦区であると。」
「体験談から見て察しました。」
「私は行き急いでいましたし。」
「人生観が再構築されています。」

萌奈美。
「私は子供の頃に信じていた人生観はもうありません。」

平和な小都市。

たまに外部から文化が入ってくる盆地。

行き急ぐ私はのんびりとした時間を見て育ち。

大人しいとよく言われます。

宝の鉱脈でもっとも遅く掘り当てるのは。

自分の鉱脈なのだ。

ニーチェ。


18


多くの場合、教える者の権威が。

学ぼうとする者の邪魔をする。

モンテーニュ。

キケロの言葉の引用。

中学校。

早朝の時間は自由時間。

学校でパソコンの話を女の子としていまして。

何も知らないで使っている人がけっこういるみたい。

小桃。
「知る機会が無いのは最悪ですが。」
「何も知らないで使えるような道具ではないよ。」

女の子。
「普通に使っても壊れるんです。」

小桃。
「どうすれば故障するのかわかっていないだけ。」
「今度、直してあげる。」
「普通って定義は何なのか意味不明だけれど。」

成実。
「普通って六法全書みたいにまとめて書いてあるの?」
「明らかに該当しない人々で溢れていますが。」

女の子。
「他人を従わせる目的で普通を持ち出す人もいますよ。」

小桃。
「認めたくないのなら他人を攻撃して。」
「排除することで否定するはずです。」

成実。
「悪人がいても善人はひとりもいない状況は理解していないかも。」

小桃。
「空想の中で正否を逆転させて。」
「相手を貶めて勝利した事にする。」
「自分より格上が気に食わなかったりしたら。」
「相手を悪いことにして勝利した事にする。」
「常套手段。」

成実。
「認めたくないので、構図を逆転させて。」
「勝利したので認めないよ。」
「なんていう悪賢い作戦ですね。」

小桃。
「事実の解釈を無限に変更して認めないという態度です。」
「カルトみたいな思考ですけれどね。」

女の子。
「自分のために他人を排除するのです。」
「自分が支配しないと気が済まない。」

学生。
「前提が間違っている大人ならけっこう見ますよ。」

教師。
「社会心理学の教本を読んでいるのかな?」

成実。
「他人はコントロールできませんし。」
「他人を制御しようとすると反撃を貰うでしょうね。」
「特に問題を解決しようと他人に手を出す人間は頭が悪いもので。」
「本人だけが正しいと思っている解決策が。」
「他人にとっては利害の問題に絡み合っていて。」
「争いになるでしょう。」
「しかもそのまま争いで勝とうとすれば。」
「人間関係が破壊されます。」
「そんなクセがついた人間は勝ったとしても。」
「同じ方法を最後まで使用するので。」
「人間関係を至る所で壊します。」
「危険ならば関係を断絶するのが得策ですね。」

小桃。
「彼らは他人を操縦できると本気で思っているので。」
「現実をコントロールしようと必死ですよ。」

女の子。
「そんなの馬鹿みたい。」

成実。
「実際に馬鹿なんですよ。」
「馬鹿が馬鹿を自覚できる訳ないでしょ。」

小桃。
「メタ認知があったら馬鹿ですらない。」

女の子。
「ダニング・クルーガー効果ですよね。」
「先生から学びました。」
「有能な人は自分を判定する根拠が豊富だから。」
「謙遜する。」
「無能な人は自分を判定する根拠が無いから。」
「自分の能力を平均以上と思い込む。」

成実。
「認知バイアスは現代の定番ですよ。」

近くの教室で乱闘が発生。

互角の戦いで決着がつかない。

意地悪をした相手に報復を加えて。

戦闘になったようです。

教師。
「せめて格闘技の試合にしろってば!」

女の子。
「理屈を言う人に対して狡猾な者はどうすると思いますか?」

生徒。
「攻撃して排除する事で黙らせる。」

女の子。
「自分の言い分を通すために他人を攻撃するのは?」

生徒。
「原因があるから他人はこうだ。」
「という喧嘩があれですよ。」

男の子。
「原因と結果で人間関係を見るなんて時代錯誤だな!」

優等生。
「世の中、人格の優れた者だけで構成されてはいないのです。」

エリート女子。
「原因がこうだからあなたもこう。」
「私的制裁の構図。」
「理論としては正しいが。」
「実際には役に立たない。」

生徒。
「原因と結果で他人と向き合うのは時代遅れ。」

教師。
「善悪かい!なるほど、君は正義というわけか。」
「なるほど、理論としては正しいかもしれないが。」
「実際には役に立たない。」

成実。
「虐めの構図でよく見かけるのは。」
「目標がターゲットの排除なんですね。」
「虐められる側を排除しようと。」
「虐める側が仕掛けています。」
「同じ場所にいるのが問題だと思います。」

小桃。
「利己的に告発すれば。」
「学校に入れてくれなんて頼んだ覚えはない。」

成実。
「良かれと思ってやった。」
「なんて言い訳が通用すると思いますか?」
「良かれと思ってやったから。」
「責められるべきではない。」
「なんて言い分は通りません。」
「報復を受けるだけです。」

小桃。
「因果関係はいくらでも作れますよ。」
「こいつは悪いから悪くなった。」
「これは因果関係が逆で。」
「悪を蒙ったから悪くなった。」
「というのが論理的です。」
「悪いもののせいで悪くなるのが正常な論理ですが。」
「悪いので悪くなる場合も本当にあるので。」
「この構図にも絶対はない。」

成実。
「勉強ではなくて学問が得意です。」
「けっこう進捗ありますね。」

小桃。
「多読したら覚えたのよ。」

成実。
「勉強と学問を混同している学校ですけれど。」
「区別がついた途端にパワーアップ間違いなし。」

小桃。
「学校には第三者機関の評価はありませんからね。」

教師。
「今回は、認知バイアスについて黒板に書いておくぞ。」
「授業開始までにノートに書いておきなよ。」

生徒。
「なぜ授業中は静かにしていなければならないのか?」

教師。
「みんなが寝る準備をしているからだよ。」

認知的不協和。

自分の信じているものが外れた場合。

事実の解釈を変更して対処する認知バイアスの一種。

実際には事実の解釈を無限に変更できる。

マイペースな生徒多数。

マイペースの教師多数。

昼休み。

友達が大勢必要のない私達は集まって。

趣味について語ったり。

持ち寄ったりして遊んでいます。

成実。
「厚紙でタイコンデロガ級巡洋艦を作ってみました。」
「どうですか?」

小桃。
「まるでプラモデルのようです。」
「私はタイフーン戦闘機とイズデリエ1.44を作りました。」

女の子。
「私達は家屋を厚紙で作って集落にしています。」
「写真があります。」
「家屋の中まで再現するのはジオラマみたいです。」

小桃。
「あなたもやるじゃない。」
「全員が一芸あるわね。」

成実。
「次は空母ニミッツにします。」

女の子。
「どっかの国の軍服を作ってみた写真です。」

成実。
「まるで本物ですねぇ。」
「作り込んでいますねぇ。」

小桃。
「西洋鎧とか作ったとか。」

女の子。
「プラスチックとアルミニウムですが。」
「古代ローマの軽装鎧は作ってあります。」
「ナイフで突いても穴が開きません。」

成実。
「なかなかやりますね。」
「私は早くも卒業した女子高生から。」
「続々と制服を貰いまして。」
「小柄女性のサイズなら合ったりします。」
「どうですか?」

女の子。
「わあ!先駆者!」

小桃。
「なんという時代を先取りした女性ですか!」
「最近、自転車用のアビオニクスを作成して。」
「簡単な警告とチェックポイントを指定できるようにしたばかり。」
「未完成のうちに遠くに行ってしまったなるみちゃん。」

成実。
「放課後に着て歩きますね。」

小桃。
「はあはあ・・・ロリの女子高生はあはあ・・・。」

女の子。
「なるみちゃんはどこまでも時代を先取りする。」
「ついていけないほどに。」

学校で。

授業中。

各科目の専門書があったりするので。

予備知識で圧倒的に優勢。

テストでは百点が取れて当たり前で。

百点以下は何かの失敗です。

知識人が執筆した専門書のアドバンテージ。

放課後。

帰宅すると。

小柄女性の着ていた女子高生の制服に着替えて。

友達の元へ。

小桃。
「なんという色気。」

女の子。
「好きになっちゃう。」

成実。
「体のサイズが魅力的なのか。」
「よく男性から見られます。」

小桃。
「たまらない。」
「女子中学生が女子高生の制服とかたまらない。」

女の子。
「飛び級なんですね。」

成実。
「複数、種類がありまして。」
「学校によってデザインが異なります。」
「よくあるデザインの制服です。」

小桃。
「別格の女の子はあはあ・・・。」

女の子。
「私も参考になりました。」
「大人のお姉さんの服装やってみます!」

小桃。
「ナイス!チャレンジャー!」

天鞠。
「うわあ美少女!」

成実。
「どうですか?」

天鞠。
「子供なのか大人なのか中間の状態で素晴らしい!」

成実。
「写真撮ってください。」

小桃。
「私のカメラで撮るわ。」
「はあはあ・・・。」

女子高生の一団が来ました。

るる。
「ひゃあっ!なるみちゃん素敵よ!」

女子高生。
「小さくて良いですね!」

るる。
「なんでこんなに好みの女性になったの!?」

成実。
「抱きつかれて満足です。」

小桃。
「ちょっと!なるみちゃんを襲うのは私の特権よ!」

るる。
「私にも特権があるのよ?」

女子高生。
「ひとりだけの権利と思って貰っては困るな。」

女の子。
「勝手に困っていてよ。」

るる。
「写真撮影会。」

成実。
「ポーズならけっこう練習しました。」

小桃。
「女の子だけの公園で・・・はあはあ・・・。」

るる。
「今日のように進歩した経済の中で。」
「職人的な趣味が。」
「重要視されはじめたということは。」
「極めてドラマチックである。」

成実。
「文化は遊びとして、もしくは遊びから始まったのではない。」
「言うなれば。」
「遊びの中で始まったのだ。」

天鞠。
「神がわたしに対して存在すればするほど。」
「わたしはますます存在する。」

小桃。
「人間はなるほど、神聖ではないが。」
「しかし、彼の人格にある人間性は。」
「神聖でなければならない。」

るる。
「生まれた通りにする必要はありません。」
「決定論を神格化するのは変態です。」

成実。
「俗に言う運命とは簡単に力の優劣の問題でもあります。」
「運命の方が弱ければ運命は殺されます。」

るる。
「たまたま不利な状況を運命と呼んでいるだけでは?」

成実。
「みんな揃って。」
「たまたま勝てない相手を運命と呼んでいるだけですよ。」

女子高生。
「運命のチェスなんてイカサマが基本ですよ。」

小桃。
「不正も手段として最善の案件もありますからね。」

るる。
「それで面倒が壊せるなら不正も使いますね。」

天鞠。
「安全に勝とうとする運命論とかは。」
「安全地帯を消せば発狂するに違いない。」

るる。
「運命と言って撃破を試みないのは弱者かと。」

女の子。
「お姉さんからは勝ち筋が見えているんですね。」

るる。
「女性の勝利パターンは複数ありますよ。」

女子高生。
「ここをこう抑えれば女性は勝利。」
「というものがあります。」

成実。
「最初に親の言い分を排除し。」
「力で物事を解決するように心がけます。」
「次に恋も退けます。」
「結婚しない限りは出世の機会が豊富です。」
「外部的要因を自衛として皆倒しまくれば。」
「いずれは反対者がいなくなります。」
「みんな負かしたからです。」
「中年までに養子を得れば。」
「未婚なのに子供に恵まれます。」
「そうなると夫も必要なかった意味になります。」
「老年になる前には決着がついていて。」
「人間の考えうるすべては手に入っています。」
「自分の取り分の最大まで獲得していますよ。」

るる。
「私も似たような展開を考えていたの。」
「謎の老婆が入れ知恵してきたから。」
「あなたもあの老婆に会ったのね。」

成実。
「老婆が密告するので何でも発見したのです。」

小桃。
「女性の生涯についてネタバレしたらみんな終わりだね。」
「だって、少しでも隙を見せれば。」
「個人主義の女性に裏切られるから。」

るる。
「私も考えを押し付ける危険人物とは断絶したよ。」
「そんな事を考えているのはあなただけであり。」
「あなただけの考えを誰も事実とは認めないってね。」

天鞠。
「自分が何をしようが何を考えようが他人には関係がない。」
「異論があってもそれは他人の問題だからね。」

女の子。
「私も危険な人は拒否します。」
「そこでさようならと言って。」
「独善的な態度で跳ね返します。」
「その後は無視するか退けます。」

女子高生。
「詭弁も危険人物を退けるには使える手段ですよ。」

るる。
「基本、独善的に接すれば。」
「相手も高圧的に来たと恐れて逃げ出しますね。」

成実。
「そこで他者のせいなので。」
「他者のせいにしても正論と化しています。」

小桃。
「そこで関係は切れているので良いかと。」

女の子。
「難解な哲学を簡潔に話すのは頭がいいですね。」

るる。
「賢いと思った人は完璧を演じようとしますよね。」
「賢いと思いたいのならそれで良いかと。」

女の子。
「自分で賢いと思っているだけなんだ。」

天鞠。
「賢いとは何ですか?どうすれば証明できるんですか?」
「何も結果もなくて目的達成に結びつかない賢さなんて使えませんね。」

成実。
「使えない賢い奴なんて、いてもいなくても結果は同じです。」

るる。
「賢いと名乗っているのに実行に結びつかなかったり。」
「成果も手柄も何もない。」
「実績のない賢い奴は賢くない。」

小桃。
「大量の思想が交差して良い意見が出ていますよ。」
「もはや知的財産の取り合いがこの小都市で発生していますし。」
「リベラリズムのエリートの影響ですね。」

成実。
「リベラリズムが持ち込まれて。」
「別物になっている。」

女の子。
「古本屋さんの古典が品切れです。」

女子高生。
「取り寄せましょう。」

るる。
「余った古書あげる、古典を一式読んでから人生は始まる。」

天鞠。
「もし心安らかに過ごしたいならば。」
「多くのことをするな。」
「必要なことのみをせよ。」

女子高生の制服は現役の女子高生から好評で。

この後に女子高生のお姉ちゃんと一緒に。

市街地を歩きました。

小さくて素敵で。

けっこう寄ってきて。

撫でたりされて好まれています。

今日は女子高生のお姉ちゃんと一緒に遊びました。

いつの間にか女子高生のお姉ちゃんの仲間に入っていて。

飛び級みたいに足を踏み入れている私です。

日記。

古典の抜き書き。

経験と歴史が教えてくれるのは。

民衆や政府が歴史からなにかを学ぶといったことはまったくない。

ということです。

ヘーゲル。


19


あることをしたために不正である場合だけでなく。

あることをしないために。

不正である場合も少なくない。

マルクス・アウレリウス。

授業中。

ノートに書いた内容を専門書と照合して。

ひとつ上の結論に移動します。

ノートに詳細に書いて後で。

専門書で査定するので。

先回りが可能なのです。

最近、流行った知的財産による学習で。

ロジカル・シンキングしかできない。

無能な弱点を上手に突いています。

休み時間。

成実。
「初心者向けの学習もあって。」
「可能性が増えるのは良いものですが。」
「なんのために勉強しているのか。」
「たまにわからなくなりますね。」

小桃。
「形式的にこなしている訳ではないから。」
「きっかけ作りには適しているわ。」

教師。
「君達が学校のレベルを超えているからだよ。」

成実。
「それでは、凡人しかいないんですか?」

教師。
「凡人?そうかな?」
「とりあいず、非凡な所を証明してみてよ。」

成実。
「閣下、(a+b^n)/n=x。故に神は存在する、何かご意見は?」

教師。
「うわあ!無理だ!」

教師は逃げ出した。

黒板には。

勉強とは何か?

と書かれています。

勉強についての問いかけによって。

専門的知識の門を叩いている生徒がいて。

こんな簡単に変わるもんなんですね。

成実。
「二十歳までに自由主義者でなければ情熱が足りない。」
「四十までに保守主義者でなければ知能が足りない。」
「ウィンストン・チャーチル。」

小桃。
「勉強の正体に迫るとは。」
「リベラリズムがこの学校にも到達したのよ。」

成実。
「与えられたものなんて返してやりましょう。」
「更新だけが万能です。」

女の子。
「学校が嫌というより学習内容が物足りない。」
「なんで勉強が強制なの?」

成実。
「なんで?という質問の最後は説明付けだけがあって。」
「説明付けで説得しても解決はしません。」

女の子。
「人間の感情が無い女性には勝てそうもありません。」

小桃。
「自己主張しない限りは何も変えられないわ。」

成実。
「掃除当番でいつも楽々な黒板消しの清掃をやる。」
「時間稼ぎすれば何も拭かなくても問題ない。」

小桃。
「楽な仕事を志願して奪い取れば。」
「掃除当番ですら楽々なのよね。」

女の子。
「学校に来るのが嫌です。」

成実。
「嫌な事は辞退を申し出れば逃げられますよ。」

小桃。
「相手は子供だと知っていて。」
「調子に乗っているから。」
「嫌なら別の教育を選べばいいのよ。」

成実。
「奴隷道徳を覚えると。」
「教育から弾き出されるので。」
「道徳を侮辱する事が大切ですよ。」

女の子。
「一番弱い者が壁際へ追いやられる。」

小桃。
「虚無主義は何でも破壊して力で自由を確保します。」
「自由を得るための破壊です。」

成実。
「虚無主義を学んでから。」
「壊すのに夢中ですよ。」
「学校での失敗で最も多いのは奴隷道徳に染まること。」
「すると攻撃しやすい人物になる。」

小桃。
「ニヒリズムによって力で自由を手にするのです。」
「無価値なものは排除。」
「なんでも無意味にしてしまう。」
「過激だけれど最善の手段ですね。」

女の子。
「ニーチェの哲学というより。」
「もはや世界の流れですね。」
「台風が来たら台風になるのと同じで。」
「ニヒリズムも自然発生したんですね。」

成実。
「ニーチェ哲学は自由を確保するには。」
「有り余るほどの威力がありますから。」
「私達の年齢で学ぶのは有利を作ります。」

小桃。
「天才になるには、天才のふりをすればいい。」
「サルバドール・ダリ。」

休み時間が終わりそうなので。

準備。

誰も教育が正しいとは言っていない。

暗黙の了解で成り立つ田舎学校。

女の子。
「どうして教科書は知識人の見解とは違うのですか?」

教師。
「学校の総意として。」
「正しい事を説いているなんて一回も言ってないぞ。」
「本当の事を言うとは約束していない。」

生徒。
「了解。」

女の子。
「了解。」

成実。
「アップルが電話を再発明したように。」
「古典が教育を再発明した。」

教師。
「わかっている!頼むから阿呆に付き合ってくれ!」

小桃。
「本当は自分達が正しいなんて思っていなかったのね・・・。」

授業は進み。

昼休み。

成実。
「放課後は天鞠ちゃんと遊ぶ。」

小桃。
「幼馴染だけれど年下になるのは残念。」

成実。
「数か月の違いですからね。」

小桃。
「連絡済みよ。」
「きっと待ち伏せするべく。」
「準備をしているでしょう。」
「小学校は下校が早いので。」

成実。
「なにやら掲示板に人が集まっています。」

学校の掲示板。

教育は資質にまさる。

勉強したものは自分の性格になる。

教育が人をつくる。

英語のことわざが並んでいて。

なるほど、理念がはっきりしていますね。

授業では私の力量が目立ちます。

先生も飛び級が無い事を悔やんでいるほど。

放課後。

養父からの着信。

成実。
「なんですかー?」

養父。
「勉強ばかりで遊ばないと子供は馬鹿になる。」

成実。
「わかりましたー。」

すぐに帰ると。

天鞠ちゃんの家に突入。

天鞠。
「アップルが電話を再発明したように。」
「グーグルがインターネットを再発明した。」

成実。
「グーグルは第二のインターネットだと思いますよ。」
「前のインターネットはプロトタイプだったのです。」
「インターネットを発明したのはグーグルなのですよ。」

小桃。
「そんなバカなことはできない。」
「と誰もが思うことならば。」
「競争相手はいないも同然だ。」
「ラリー・ペイジ。」

天鞠。
「デジタルアートを書いているけれど。」
「取材が足りないから。」

小桃。
「どんなに偉大な芸術家でも。」
「初めはみんな素人だった。」
「エマーソン。」

天鞠。
「可能性を信用します。」

成実。
「それでは、私と一緒に探検です。」

小桃。
「今日はハイキング・コースに行きましょう。」

三人組で遊歩道や整備された山道を歩きます。

途中に河川があって。

水遊び。

水をかけて遊びます。

成実。
「わあ!集中狙いされている!」

小桃。
「びしょ濡れなるみちゃん。」

天鞠。
「狙いがそれなんですね。」

成実。
「こももちゃんもびしょ濡れにしてあげる。」

小桃。
「えっち!なるみちゃんのえっち!」

天鞠。
「真顔でふざけている所が良いですね。」

ハンドバックからタオルを取り出して。

派手にやったので。

着替えることに。

水遊びをする時は下が水着なのですが。

今回は水着ではありません。

天鞠ちゃんの見張りで着替えてしまい。

誰も来ないので。

着替え中でも見つからないのです。

さて。

崖の場所に来たので。

投げ縄を木に引っかけて。

木の上まで簡単に登ってしまい。

木に引っかけた縄を引いて駆け上がるので。

便利な山岳地帯の投げ縄。

降りる時も引っかけて。

安全に移動します。

キャンプ場まで差し掛かると。

時間の問題で引き返しました。

成実。
「自然豊かな田園都市は私の好みです。」

小桃。
「私も気に入っているわ。」
「何か無駄なものがひとつもないのよ。」

天鞠。
「不自然なものはかえって目立ちますね。」

成実。
「断片的に反自然主義者もいますが。」
「人工物が少ないだけに。」
「健康に良い森林浴でした。」

小桃。
「今日は程々の所で解散になりそう。」

天鞠。
「家から出て一時間ですからね。」
「山の中に入ってまた一時間。」

成実。
「夕方の時刻に突入ですよ。」
「太陽の位置でも時間はわかるものです。」

それぞれ解散して。

自宅に戻ります。

遊びの内容は自分で作るので。

誰が何の遊びを作るのかは決まっていません。

帰宅すると。

お姉さんが家事をしていて。

成実。
「お姉さんのお父さんの弟さんが。」
「養父であると言いましたが。」

萌奈美。
「そんなものよ。」

成実。
「今でも都会について。」
「何か思うことがあるのでは。」

萌奈美。
「誹謗も賞賛も所詮は他人の感情だ。」
「任天堂の格言。」

成実。
「なるほど、外から見ていると疑問に思ってしまいました。」

萌奈美。
「芸能人を蹴落としたい民衆を発見しましたが。」
「名声というより飯の糧ですから。」
「芸能人の視点というものをお忘れです。」
「名声とは少し違います。」

成実。
「当事者は職業としての部分が強いんですね。」

萌奈美。
「ルサンチマン顔負けの事例。」
「石油というものは必要なもので。」
「悪評はあっても。」
「ロックフェラー氏は最高の実業家ですね。」
「信仰によっていつの間にか富裕層になったので。」
「応答の中での決定は慈善活動に活かされています。」
「お金を持ったらロックフェラー財団が教科書になるでしょう。」

成実。
「本人は見た目に反して考えている事が違う!?」

萌奈美。
「その通りです。」
「何の代償も払わずに人気者という訳には行きません。」

成実。
「誰がやっても同じような気がします。」

萌奈美。
「気のせいだと思いますよ。」

成実。
「自分を売却するなんて芸能人は辛いですなあ。」

萌奈美。
「世界でもっとも貧しい人は。」
「金以外の何も持っていない人である。」
「ジョン・D・ロックフェラー。」
「バプテストの信者として有名な慈善家・石油王。」

いつものように夜になり。

翌日。

学校にて。

成実。
「哲学で形而上学を好んで研究していると。」
「全員に当てはまるような真理はあるのか疑問に思ってくる。」
「ある人は真面目で、ある人は楽しい人生を目指す。」
「出世を求めて鍛錬する人もいれば、拝金主義で結構であると開き直る人もいる。」
「間違ってはいないし。」
「選択肢は他にもいろいろある。」
「逆に言えば。」
「他人に誰も口出しできないし。」
「他人の人生観に異論を唱えるのは悪行とも言える。」
「干渉すれば他人の利害と自由に影響を与え。」
「反撃を受けるでしょう。」
「多くの選択肢によるもっと自由な活動は提供できる。」

小桃。
「逆説的に言えば人権や人生観について問われるのは。」
「人生そのものが開かれていて。」
「自由な人生観が構築できる社会の裏側でしょうし。」
「人権や人道が流行るのは。」
「自然権が脅かされ。」
「人生において自由を阻害されている証拠とも言えますし。」
「口出しする自称正義の味方が多いのは。」
「他人の邪魔をする人間がけっこういるという証拠にもなります。」
「最低限の影響で済むようにしながら。」
「最大限まで自己主張するのが良いかもしれないし。」
「自由が連呼されるのはそれだけ自由が剥奪されて妨害を受けている。」
「やっぱり逆の事態が社会に蔓延しているよ。」

女の子。
「社会をコントロールしたくて口出しするお節介が多いよ。」

生徒。
「社会をコントロール?自分をコントロールはしないのですか?」

教師。
「校則とかは生徒を制御する手段だが。」
「いくら支配しても抑えられないのが他人だからね。」
「校則を重んじるのは生徒を従わせたいからだ。」

成実。
「それを言ってしまうのですか?」

教師。
「それだけお節介な人間が多いというものだよ。」

教員。
「最近はお節介野郎がやたらに多いから忠告しておく。」

成実。
「お節介野郎?」

教員。
「出しゃばって世話を焼くこと。」
「不必要に人の事にたちいること。」

教師。
「忠告と塩は求められるまで与えるな。」

成実。
「お節介が社会問題になるなんて馬鹿みたい。」

教員。
「ということを今日は教えます。」

成実。
「わかりました。」

小桃。
「義務的倫理学でお節介を指摘する?」
「哲人教育がここにはある?」

授業開始前。

情報が更新されています。

時計がまだ定時にならない。

成実。
「善悪は因果関係では成立していません。」
「善人と思った人が根が悪で。」
「悪だと思った人が他の場所では善を目指している。」
「なんてことはあります。」
「因果関係で善悪を判定するのは愚かなものです。」

小桃。
「定期的に自分の身の回りに変更を加えないと。」
「思わぬ不具合。」

教師。
「市民は個人主義の時代が到来したので。」
「一か所に関心が集まるなんてことはない。」
「宣伝しても正体が見破られたり。」
「すぐに飽きられてしまい。」
「自分の好きなコンテンツに戻っていく。」
「社会を操作できる時代ではないのですし。」
「全員が個別に好きな方向に散らばるので。」
「とある名品をとある人に見せても無関心で。」
「とある名品が社会の一部の出来事でしかない。」
「よくあること。」

授業開始。

お節介への説教が大半で。

教訓になりました。

お節介が社会問題になっているので。

問題の所在がわかるように解説。

この学校は教育熱心な教師が多いので。

生徒主体と言えども。

かなり本気です。

休み時間。

次は自習になるそうです。

噂によると様子を見て人間観察をしているとか。

シェイクスピア作品を取り出して。

調べ物をします。

成実。
「多くの物語では。」
「主人公接待試合が行われる。」
「接待ゴルフの主人公がひたすら敵を倒すくらいしか。」
「見せ場が無い。」
「どうせ主人公が勝つのでつまらなくなる。」

小桃。
「古典で。」
「ハムレットだと主人公が殺されたりする。」
「ロミオとジュリエットでは勝利した所を逮捕されるし。」
「ジュリアス・シーザーでは主人公が暗殺されて。」
「扇動によって敵が倒されていく。」
「現代では、とりあいず敵が設定されて。」
「主人公が勝つように仕組まれた戦いに勝利して。」
「ラスボスを倒せばすべて解決という単純な物語展開ばかり。」
「これでは退屈というより読む意味すらない。」
「逆手に取って主人公がワンパンで敵を倒しまくる。」
「新手の接待試合があるけれど。」
「それは良い意味でネタにしていて退屈とは言えない。」

成実。
「文学作品の中で、なにをやりたいのかわからない物語が多い。」
「結局、なにがしたかったのか、意味不明。」
「もれなく一時的に売れても捨てられて忘れられる。」

小桃。
「男性主人公では優れている人物の活躍か。」
「劣っている人間の自滅か。」
「どちらかに寄るのが古典の傾向。」
「要するに平凡で衆愚に属する人間の日常や。」
「凡愚の活躍なんて誰も読みたくないのです。」

成実。
「芸術作品はルールを作るが。」
「ルールは芸術作品を作らない。」
「クロード・ドビュッシー。」

読書感想文。

シェイクスピア・ハムレット。

子供に自由を与えるスタイルで進む授業は。

白熱して。

自由を行使できるように移行しています。

リベラリズムのイデオロギーに打たれて。

抵抗できない教育は。

エリートの党派に合併されているようですね。

自由によって教育に無批判ではなくなった生徒は。

教育の質を高めて。

成績が向上しており。

能動的になった生徒から結果が見えてきています。

従来の受動的な生徒から変わっているようです。

放課後まで学びましたが。

暗記というより習得の有無です。

専門的な知識も暗記するだけでは不十分で。

何かに使うべし。

とか言っています。

全国の教育がマイペースになった影響で。

私達もマイペースで勉強が可能なので。

余裕があって内容を使用することもできるのですね。

自習が多くなったのはそのため?

放課後。

大宮姉妹が訪ねてきて。

この盆地から帰るそうです。

佐保。
「休学も終わりです。」
「活動終了になったので。」
「本家に帰る前に尋ねました。」

成実。
「素敵なお姉ちゃん。」
「文通になりますね。」
「次も会えますか?」

久々利。
「次はあると思うよ。」
「なるみちゃんは本家の場所を知っているから。」
「遊びにおいでよ。」

佐保。
「一度好きになったロリは大きくなっても好きです。」

久々利。
「次に私は大量のトロフィーを見せるでしょう。」
「なにせ。」
「私が主人公ですからね。」

咲耶。
「私達のアイドルみたいなものよ。」
「たまには顔見せなさい。」

成実。
「平和でありますように。」

三姉妹立ち去ります。

家にいると。

よく学び、よく遊べ。

なんていうメールが送られてきて。

問答無用で遊びに出かけます。

成実。
「芸術家の女の子はどこですか?」

天鞠。
「優秀な芸術家は模倣し。」
「偉大な芸術家は盗む。」
「パブロ・ピカソ。」

小桃。
「消費者は自分の欲しい物を本当には分かっていない。」

成実。
「それはビジネスの格言ですよね。」

小桃。
「コンテンツの中で娯楽向けの消費が早いけれど。」
「自分から作る形式の娯楽コンテンツは消耗を知らない。」

天鞠。
「ありふれた物語が嫌ならアンチになるしかない。」
「アンチ特有の強みで溢れています。」

小桃。
「負けないために打てる汚い手とは?」

天鞠。
「勝負させない。」

成実。
「野球で言うフォアボール連発。」

小桃。
「逆に言えば自分が勝てないから勝負させたくない。」

成実。
「勝負させない徒党を組んだ連中は。」
「逆に言えば勝負すると簡単に負けてしまうので。」
「勝負させないように仕組んでいく。」
「すると欺瞞が露呈して。」
「市民から反感を買う。」
「いかに他人に勝負をさせないかに拘泥して。」
「勝負できない存在になってしまい。」
「愚鈍で高圧的な無能集団として有名になってしまい。」
「社会の一部になって終わります。」
「宣伝だけ上手な根底として埋もれている。」

小桃。
「大局を動かす力はない。」

成実。
「彼らが反抗するには非力過ぎます。」

天鞠。
「ということを調べています。」

小桃。
「クリティカル・シンキングの不透明な部分。」
「アウトプットからインプット。」

天鞠。
「ありえないくらい細分化して。」
「前の部分の売り上げの低下。」
「中間点。」
「後ろの問題となる品質や価格や店員とか。」

小桃。
「前の売り上げの低下と後ろの商業展開の中間に何があるのか。」
「調べているの。」

成実。
「うわあ!大人向けの勉強をしている!?」

天鞠。
「共同体にとって私は必要であろう。」
「私が共同体の利益を確保しようとしたのだから。」

小桃。
「図解になっているから。」
「前の売り上げ問題と後ろの商業サービスと。」
「その中間に何があるのか出てこないと解けない。」

成実。
「考えるのにも技術が必要ですよね。」
「今回のは混ざれそうもない。」

何やら成人向けの勉強をしていて。

なるほど。

クリティカル・シンキングは社会で役に立ちます。

女の子グループがやって来て。

私にミニスカートを履いてもらいたくて。

相談して来ましたが。

どうやら中を見たいだけで。

えっちなので逃げました。

帰宅。

お姉さんは今晩。

不要になった漫画をすべて置いていきまして。

少女の時代に集まったものでもう読まない。

捨てても売っても損失と安売りなので。

倉庫に漫画の山が出来てしまい。

しばらく読むことに。

萌奈美。
「運動不足のなるみちゃん。」

養父。
「年齢不足ですから問題ありません。」

養母。
「大人が半分になった女性ですから。」
「もう半分は確保できますよ。」

萌奈美。
「放蕩貧困のなるみちゃん。」

養父。
「成人女性が後退されたのみです。」

成実。
「なにを言っているのかよくわかりませんが。」
「漫画に夢中になっているのが。」
「不具合になるのかな。」

夜に忠告。

しかし通りすがり。

養母。
「年齢に挑戦を受けているのが。」
「憂いです。」

成実。
「他の女の子は年齢に後れを取っています。」

養父。
「いいや、忍耐不足の私達だよ。」
「忍耐が後退してしまったから。」
「無かったことに。」

成実。
「私は真面目ちゃんにはなりません。」

賞罰教育をしない養父と養母。

褒めたりもしないし叱ったりもしない。

ひたすら遠回しに伝えてきます。

直接的な言及は数回くらいで。

間接的な言及ならいくらでもありますし。

なんでも遠回しに言うのが特徴ですね。

よく知り合いから健全な女の子と言われるのはそのため?

人生のチェスはイカサマが当たり前。

学校ではグーグル先輩が掲示板に張られていて。

学校関係の格言がよく張られています。

正当性を示す大義名分があるみたい。

格言の一部を引用してメール送信。

たとえ途方もない夢でも、実現へと前進させるのは意外とたやすい。

ラリー・ペイジ。


20


学校。

男の子が勝負に熱狂しており。

至る所で点数を競ったり。

格闘技の試合をしております。

体育の授業でもやたらに他の男子を煽るので。

巻き込まれて。

最下位は相手にされません。

男の子。
「先天性のものでしか競ってはいないよ。」

女の子。
「なるみちゃんはどう思います?」

成実。
「君の力ではない、生まれついた能力のおかげです。」

女の子。
「え?その人の力ではないの?」

成実。
「生まれついた能力だけで物を語っておいて。」
「その人の力なんてどこにもないのです。」

男の子。
「僕もそう思います。」
「自分の力で勝負していない。」

成実。
「先天性における偶然の産物で競っているだけです。」
「偶然の産物で競っている時点で弱者ですし愚鈍です。」

男の子。
「ごもっとも。」

女の子。
「どこがその人の力なのかわかりませんしね。」

小桃。
「目の前の相手はどうにでもなるけれど。」
「百メートル走れとかはどうにもならない。」

成実。
「目的の無いマラソンよりは。」
「古本屋を毎日マラソンした方が簡単だと思いますし。」
「欲望に走る方が長続きします。」

小桃。
「あれでも男の子は勝負に熱中している。」
「そのくらいあった方が刺激があって良いと思うわ。」

体育終了。

休憩のち。

準備。

家庭科。

包丁を使います。

成実。
「包丁の側面を触って。」
「包丁がどんなものであるか。」
「体験してみる。」

小桃。
「包丁は刃物としては失格で。」
「ナイフの方が切りやすい。」
「振り下ろす以外に使えないから。」

成実。
「包丁は狙いを定めて使うのが基本ですし。」
「どんな方法でも食材が切れていれば良いもの。」

小桃。
「包丁が刃物ということを忘れてしまい。」
「ナイフと扱いが同じという前提を置き忘れている。」

成実。
「充分な訓練が無いまま包丁を扱えば。」
「怪我をしますね。」

小桃。
「刃物という点は剣やナイフと同じですからね。」
「上手な使い方がありますし。」
「刃物を使う訓練なんて料理人はしていませんから。」

食材を切り刻む。

狙いを定めて。

あっという間に自分の仕事を終えます。

残りの時間で包丁の刃の無い部分を触りまくる成実ちゃん。

小桃ちゃんも包丁の刃の無い部分を弄る。

次は理科なのですが。

化学が中心で。

自然科学は得意なので。

他の子を圧倒しています。

お昼休み。

ちょっかいを出す。

成実。
「周囲にあるもので、もっとも硬いものは?」

教員。
「電柱かな?」

成実。
「あなたの頭だと思います。」

教員。
「私の頭は水溶性だよ。」

妹が生まれたと女の子が話しています。

それを聞いて。

成実。
「出産なんてありえない。」
「私の業務ではありません。」

小桃。
「どうして?」

成実。
「出産は腹の中にあるものを出しますが。」
「私は無いものを出さないといけません。」
「いかに難しい生き方なのかわかるでしょう。」

小桃。
「同感です、腹の中に生じたものを出すよりは。」
「無いものを出す方が何十倍も困難ですからね。」

教員。
「新車買ったぞ。」
「君達はどんな車に乗るのかな?」

成実。
「まあお手頃で。」

教員。
「都会をドライブしたいと思ったら。」
「どんな車がいいですか?」

成実。
「戦車かな?」

小桃。
「装甲車がいいかな?」

絶句した教員。

質問。

成実。
「専門家の意見とは何ですか?」

教員。
「専門家の意見はお高いですよ。」

成実。
「御用学者にいくら払っているんでしょうか!?」

教員。
「さあ?出演料の相場はわからないね。」

成実。
「信用される人の特徴は?」

教員。
「周囲の人にいくら支払っているのか見当もつきませんよ。」

小桃。
「どんな大金を注ぎ込んでいるのか。」
「わからない。」
「というのが信用される人の特徴なんですね。」

教員。
「何か占いで大当たりしたらしいな。」

成実。
「占いで大きな陰徳をしたと言われました。」

教員。
「いつの間に?」

小桃。
「女の子が男性を退けるような大きな陰徳を?」

成実。
「私は女性でありながら、無害という理由で。」

教員。
「なにもしていないから陰徳?それはあるぞ!」

昼休みが終わります。

午後の授業は形式主義。

下校の時間になって。

教員。
「御機嫌取りを学んでおいてよ。」
「信じている演技をすればいいんだ。」
「従っているように見せるだけでいい。」
「それだけでかなり違う。」

成実。
「忠告どうもです。」

小桃。
「てまりちゃんが来ている。」

天鞠。
「統率者がいる集団は。」
「統率者不在の集団より勝る。」

小桃。
「男の子の一団と喧嘩したって。」

天鞠。
「計画通りに十人で囲んで。」
「三人を倒した。」
「突っ込むしか取り柄の無い男の子。」
「まさしく匹夫の勇。」

小桃。
「最近は男の子、チームを組んで。」
「リーダーが必ずいますから。」
「適当に集まった集団では勝ち目はないですよね。」

天鞠。
「ひょっとしてこいつら弱いんじゃないか?」
「という訳で。」
「あの男の子三人組は。」
「男子チームに目をつけられたよ。」
「子供なら相手を殴っても合法だからという理由で。」
「キックボクシングを習っている男の子とか。」
「ジークンドーを習っている男の子が。」
「リンチ潰しとか狩りと称して集団を抹殺しているから。」
「男の子の世界は殺伐としているわ。」

小桃。
「中学校でも空手を習っている男の子が。」
「リーダーになっているわ。」
「もはや民兵みたいな男の子は手強いから。」
「お互いに戦いを避けるわね。」

成実。
「まるで戦場ですね。」

天鞠。
「無法地帯。」

小桃。
「力は正義なり。」

成実。
「正しいとは強者の利益。」

女の子。
「戦えなかった人はどうする?」

成実。
「戦うしかなかった人はどうする?」

天鞠。
「地球人類は戦闘以外に趣味は持てないものですからね。」
「品性があれば武器以上に絵画や文学や工芸を作っています。」
「地球人類は争うくらいしか取り柄の無いものですから。」
「その他に何かやることがあればもっと文化財で溢れています。」

小桃。
「争いしかやることのない退屈な地球人類。」
「彼らは暇潰しに戦闘がやりたいのですよ。」
「他にすることがないので。」

成実。
「戦闘以外に趣味があれば。」
「今頃、斬新な文化で充実ですよ。」
「戦うしか取り柄が無いので。」
「いつまでも戦争をしている。」

天鞠。
「戦いを無くそうとする平和主義は無理です。」
「戦う以外に取り柄のない無能な地球人類なんて。」
「それしか繰り出さないに決まっています。」

小桃。
「地球人類が有能だったら。」
「もっと他の事をしていますよ。」

成実。
「いくらなんでも買いかぶり過ぎですね。」
「たかが人間なんですし。」
「あまりに無能なので。」
「争いしか出すものがないんですもの。」

天鞠。
「そのくせに弱い生き物なんですよ。」
「すぐ争うくせに弱いのですぐ死にます。」

小桃。
「自分で戦いを起こして大惨事になって。」
「挙句の果てに助けてくれなんて。」
「自分で起こした事件の後始末くらい。」
「自分でして欲しいものです。」

成実。
「いつも理由はばかげていますが。」
「戦争の世界に勝者なんていますか?」

天鞠。
「反戦論による風刺に夢中。」

市街地のあちこちで。

チーム戦。

カードゲームで対戦していて楽しそう。

チームを組んでいるので。

スポーツでもチーム対抗試合が行われています。

審判は高校生が呼ばれますね。

適当に集団になった連中はチームを組んでいる人に勝てないので。

落ちこぼれになっています。

連携で集中狙いされるため。

連携の取れない集団は一方的に負けます。

小学生で傲慢な子は中学生に叩きのめされて。

中学生で高圧的な子は高校生に馬鹿にされるという。

階層構造なのです。

天鞠。
「真面目な人ばかりで楽しく暮らすべきですよ。」

成実。
「現に、この世界が人にある程度の負荷をかけるようになっているので。」
「楽しいという快楽で打ち消そうとするのもありえることです。」
「負荷を減らす方法として楽しく暮らす信念があるのなら。」
「ある程度は享楽的であった方が負荷が少なくて済むと思いますよ。」

小桃。
「生活だけでも負担はかかるもので。」
「負担を免れるのは富裕層だけですからね。」

成実。
「どうせ死ぬのにどうして仕事を頑張るのかわかりません。」
「ある程度は享楽的であるのが難易度を低下させます。」

小桃。
「楽しい事ばかりを求めるのは。」
「無駄な労苦を嫌って故意にやっているのですよ。」

天鞠。
「開き直った享楽主義者の方が簡単に生き残れるかもしれない。」

成実。
「困難や苦労ばかりあると開き直ってしまい。」
「困難や苦労があるのがいけない事であると攻撃するはずです。」
「もっともその通りです。」

小桃。
「困難や苦労が邪魔で。」
「浪費や生存を困難にしますから。」
「克服するのではなくて。」
「破壊して無意味にしてしまえば。」
「無くせます。」

天鞠。
「困難や苦労を破壊して無価値にする?」
「それは名案。」
「その方法で解決してしまえば。」
「苦難は何もできないでしょうね。」

成実。
「真面目に問題に向き合う奴が馬鹿なだけです。」
「問題があれば不正な方法で潰してしまう。」
「もっとも有効なのは嘲笑して揶揄すること。」
「要らないものをよこした方に責任があるからね。」

小桃。
「責任転嫁と言われようが責任転嫁させて貰います。」
「それで解決するので。」
「手段の話はしていません。」

天鞠。
「そうそう、手段の話なんてしていません。」

今日は別々の用事で解散。

私はまた女子高生の制服を着ました。

女子高生のお姉ちゃんと合流。

手芸に参加するべく女の子グループに入りまして。

るるちゃんの家に続々と集結。

手作りのお菓子を食べたり。

雑誌を持ってきて。

全員で雑誌を読んだりして。

余裕を持って帰り際。

るる。
「結婚は幸せ?」
「一時的なもの?」
「結婚が幸せなんてなぜ言えるの?」

女子高生。
「結婚イコール幸せ?方程式としてはナンセンス。」
「なぜそう言い切れるのか理由もないよ。」

るる。
「結婚が幸せという論拠がありません。」

成実。
「幸福な人なんていたっけ?」
「幸福な人なんて見たことが無いよ。」

るる。
「妙な事に不幸な人はいますが。」
「幸福な人は探してもいません。」
「不幸の人は探せばいますが。」
「幸福な人はどこにいるんですか?」
「まったく奇妙なものです。」

成実。
「あなたは幸福な人を見たことがありますか?」

るる。
「一時的に幸福で。」
「数年で不幸になったり。」
「幸福が長続きしない。」

成実。
「不幸の存在しない状態が最良で。」
「おまけに幸福も少しだけある状態が最善では?」

女子高生。
「私はそれに賛成します。」

成実。
「不幸は際限なく降りかかるものですが。」
「幸福が際限なくもたらされる人なんていませんし。」
「奇怪です。」

るる。
「不幸で死ぬ人はいますが。」
「幸福が永続する人なんている訳ないですよ?」

女子高生。
「あれ?不幸有利?」

るる。
「はれ?幸福不利?」

成実。
「やはり奇怪です!」

結婚が幸せなんて誰が決めたの?

そう思いたいんですよね?

誰でも自分が正しいと思いたい。

つまりは結婚が幸せという結論に誘導しているに過ぎない。

論理的な女子高生の中で論争になりました。

論争の標的にならないものはない。

結婚が幸せなんてなぜ言えるのか疑って。

では幸せとは何か?

議論が開始されて。

幸せを定義できないのに結婚が幸せなんて言うのは。

背理であると判定されました。

結論だけを述べている結婚とは幸せという考え。

この価値判断が攻撃のターゲットに選ばれまして。

メールで自分の意見を出して。

最善の意見を提出することになりました。

るる。
「必要なのは論拠であって。」
「自分の考えではありません。」

女子高生。
「私も必要なのは論拠だと思います。」

成実。
「論拠は常に必要です。」
「論拠は先に出すものですね。」

論理的なお姉ちゃん達に抱きしめられて。

仲間意識が芽生えています。

帰宅。

妹みたいに接してくれるお姉さん。

裏では師弟関係でもありますので。

お姉さんは自分を見ているかのように。

私が好きなんですね。

囲碁で遊びました。

萌奈美。
「年齢が数年違うから、それだけで勝敗が決します。」

成実。
「大人になると年齢のアドバンテージを失いますね。」

萌奈美。
「みんな偶然発生した考え方に同調しているだけですよ。」
「少しでも否定されると崩れてしまいます。」

成実。
「違いがわからない人は。」
「全員の考えが一致していると思い込みますよね。」

萌奈美。
「そうです、違いがわからない人ほど。」
「全員共通の考えがあると思い込みます。」

成実。
「全員が同じ考えをしているなんて証拠もなしに?」

萌奈美。
「それこそ違いがわからない人の特徴なんです。」
「違う事が当たり前の世界なのに。」
「全員が同じと思い込むのはなかなか愚鈍です。」

成実。
「考えを押し付けるのは、全員共通の考えがあると信じていて。」
「それが裏切られると気に食わなくて怒っているだけとか。」

萌奈美。
「そんなものです、他人の考えなんて読めませんので。」
「自分が思った結果と違ってきて始めてわかるものです。」

成実。
「大半は自分の考えを他人も抱いていると思っていて。」
「それが違うと、共通の考えであると言い放って。」
「裁こうとしますよね。」

萌奈美。
「そう考えているのはその人だけですから。」
「自分と他人を混同した結末です。」

囲碁は負けましたが。

お姉さんは自分の力ではないと断言しています。

次はオセロ。

その次は編み物を一緒にします。

成実。
「希望に論拠はあるのか問いただした弁論家は私だけでしょうね。」
「希望が出てくるとまず証拠は何なのか質問する。」
「こうすると自分を罠にかけようとする希望モドキはたいていわかる。」
「半分の希望は何かの釣りで。」
「残りの半分は本物なのです。」

萌奈美。
「夢想家の希望は証拠もない。」

成実。
「でも現実主義者の希望も証拠が無いのです。」

萌奈美。
「理想から出た希望は強いです。」
「不死身です。」

成実。
「主意的な希望は自分から作れます。」
「主意主義は希望を作れます。」

萌奈美。
「となると、希望の蓋然性とは?」

成実。
「あっさり壊れる希望もありますよ。」

萌奈美。
「実現するのか確かめてみれば。」
「たまに不死身の希望が混ざっています。」
「攻撃しても無敵な希望は真実です。」

成実。
「希望を否定しても復活する場合があり。」
「何度も復活するならば。」
「その希望は人間の作ったものではないですね。」

萌奈美。
「人間の理解を超えた希望。」
「超自然的な希望は実行力があります。」

成実。
「本当に希望ならば実行力があるものですよね。」
「既にその希望が影響を及ぼしている。」

萌奈美。
「証拠歴然な希望が出てくると。」
「準備をしても遅いです。」
「問答無用ですぐに出現するのです。」

成実。
「希望の中にも虚偽が含まれていて。」
「見分けは可能なんですね。」

萌奈美。
「希望の区別が可能になれば。」
「絶望の信憑性も低下します。」

成実。
「あと、人間の脳は超自然的現象には決して耐えられませんね。」
「物理的な変更についていけないのです。」

萌奈美。
「人間の脳が超自然的現象についていけるのは。」
「子供の時代だけです。」
「大人になると脳が追従できずに。」
「説明付けを必死に求めて。」
「脳が言う事を聞かなくなります。」

成実。
「これまでの思考とは別物ですので。」
「脳が異常であると思って意味不明な挙動をしますね。」

萌奈美。
「超自然的な出来事には対応していない人間の脳です。」
「脳科学からして面白い研究になるでしょうけれど。」
「人間の脳が対応できるのは自然法則の現象だけで。」
「人間の脳の認識を超えると異常な動作をしますよ。」

成実。
「脳が勝手に説明付けを求めて体を乗っ取るのですね。」
「なんとか自然法則の中に答えを見つけようとして。」
「理性が効かない。」
「いきなりそんなものを食らうと。」
「対応できないのが人間です。」
「神様もいきなりそんなもの人間に与えるとは思いません。」

萌奈美。
「脳には認識できる限界があって。」
「それを超えると混乱するのです。」
「一度、経験すると慣れます。」
「脳は自然法則しか信じないのです。」

成実。
「形而上学を好むとそんな現象は何度もあります。」

萌奈美。
「慣れると、ある程度は対処できるんですよ。」

成実。
「自然法則しか対応できない人間って何なのよ!」

萌奈美。
「そこが人間の情けない所なのですが。」

両親帰宅。

夕食の準備は終えています。

成実。
「人の違いって何でしょう?」

養父。
「その人の行為はなるべく見ず。」
「存在は何なのか見てみる。」
「その存在を的中させると本人が理解できる。」
「何かの行為で人の価値を判定できない。」
「行為と存在を混同して見てしまう。」
「存在を見ると理解できますが。」
「行為を見ると不和の材料になります。」

養母。
「健全な意見は行為をなるべく避けて。」
「存在について肯定し。」
「行為については軽視するものだと思いますよ。」

成実。
「私は行為を軽視しますね。」
「存在性をよく見ます。」
「でないと人は理解できません。」

萌奈美。
「反対に行為を指摘されて気分の良い人はいませんね。」

成実。
「行為から判断されて平気な人はいませんよ。」

養母。
「行為から評価されて喜ぶ人もいないかと。」

養父。
「存在は?」
「この人は何々である。」
「これが開始地点。」
「この人は何々であるべき。」
「というのは間違いです。」
「この人は何々にしてもいい。」
「というのも間違いです。」
「この人は何々である。」
「これです。」
「主観が許されない存在性は。」
「簡単に言及できないので。」
「特に否定をしていると主観的で失敗します。」

萌奈美。
「肯定していて発見するのが基本ですよね。」

養母。
「否定は酷く主観的な内容ですから。」
「否定なんて主観の問題に過ぎませんよ。」

よく主観の話をします。

誰かの主観や自分の主観について。

論理的な女性は男性より勝りますね。

哲学的断章。

ラッセルと話しているとき、しばしばかれは。

「論理地獄!」という名言を口にした。

この名言は、わたしたちが論理の問題をあれこれ考えることを。

すっかりいいあらわしている。

つまり、論理というものの法外なむずかしさ。

いいかえれば、論理というものは、かたくてツルツルしているのだ。

ヴィトゲンシュタイン。


21


チャールズ・ダーウィンの格言。

知識よりも無知のほうが自信を生むことが多い。

学校で。

昼休みで古典を読んでいる。

小桃ちゃんは友達と庭に出かけて。

なぜか戻ってくる。

女の子が分散して誰一人もまとまっていなかったから。

個別に動いていて。

遊びに発展しないとわかってリターン。

成実。
「ジャスティン・クルーガーの洗礼として有名なのは。」
「過酷な訓練を受けさせ。」
「それは、自分が英雄だと夢想する連中に。」
「失敗というものを教える。」
「あまりに生々しく。」
「あまりに徹底的な失敗を。」
「その結果。」
「絶対絶命の危機をも乗り切ることができるという。」
「根拠のない自信は打ち砕かれる。」
「そうした冷水を浴びせられたのち。」
「はじめて我々は。」
「最悪の日にどう対応したらよいのかを学びはじめることができる。」

小桃。
「平均的人間は。」
「自分のことを技量においても知識においても。」
「平均以上だと評価している。」
「平均的人間は、技量において平均以上ではありえない。」

成実。
「ダニングとクルーガーはコーネル大の生徒を調べて。」
「論理的思考力やユーモアといった技能について調査。」
「テストを行ったところ。」
「毎回繰り返し同じパターンが現れた。」
「テストの結果がもっとも悪い連中は。」
「それ以外の生徒に比べると。」
「自分の成績と技量をきわめて過大に評価していた。」

小桃。
「一生の間、幻想を抱き続ける。」
「何かによって壊されることがない限り。」

成実。
「雑魚は自分が雑魚である自覚が無いばかりか。」
「雑魚は自分が強力であると信じる。」

小桃。
「それでも、必要な技能を得ると。」
「正確に自分の実力を把握するようになったという。」

成実。
「一度、過酷な訓練で失敗という失敗を受け。」
「ようやく雑魚であることを受け入れて。」
「雑魚から脱出できるようになる。」

小桃。
「そうした洗礼を受けない若者は。」
「自分だけはうまくやれるという幻想を持つ。」

成実。
「その時にまったく役に立たない。」
「そして何も出来ないので。」
「何の対処もできずに死ぬか逃げるかしかやることはないね。」

小桃。
「一方的にやられる側になる。」
「という現実を直視できない。」

成実。
「格言を引用すれば。」
「わかっていない。」
「のではなくて。」
「疑ってない。」

小桃。
「何事も確信して不調に陥らないと信じている人間には。」
「疑っていないね。」
「と言うべきで。」
「わかっていない。」
「重要な出来事に何も知らないと伝えるより。」
「疑ってない。」
「と侮辱するべき。」

成実。
「問題にならない小さな失敗なら。」
「日常の中に数十回ありますね。」
「一日に何度も起こる。」

小桃。
「あらゆる不具合の徴候を無視し続ける。」
「前兆のない事故はない。」

成実。
「いかなる警告も黙殺される。」
「事故寸前の多くの事例では。」
「熱意のこもった善意のメッセージは意味がなくなった。」

小桃。
「どんな警告をしても無視されますよ。」
「地球人類にどんな警告をしたとしても。」

女の子。
「道徳の問題だと思いますが。」
「私の父親。」
「常連客がお札を間違えて出して。」
「店主の父は間違えて受け取ってしまったのです。」
「これを共同経営者に教えてやるべきだろうか?」
「とても道徳的な問題に悩んでいます。」

成実。
「それはとても道徳について知っていますね。」

小桃。
「道徳ってそんなものでしょ。」

生徒。
「女の賢者と聞いたが、何か凄い嘘をついたら。」
「一万円あげましょう。」

成実。
「一万円ですと?今、十万円と言わなかったのですか?」

少年。
「作文だけれど。」
「教員から詰問された。」
「作文が似通っているけれどなんで?」
「もちろん。」
「同じ人間について書いたから。」

近くでクリスチャンと無神論の兄弟が論争をしている。

カトリック教会の弟と無神論者の兄。

神は存在するかしないかについて。

弟。
「お前は、どうして神を信じないのだ。」

兄。
「俺は自分にわかるものしか信じられないのだ。」

弟。
「ああ、そこでお前が無神論者だというのがわかった。」
「この世の中に、お前にわかることはひとつもないからな。」

成実。
「今日はみんな能動的だよね。」

小桃。
「学校を信じない人の方がうまくやれるって。」
「知り合いが話していたわ。」

成実。
「私も教育を信じない人の方が優秀だと思いますよ。」
「教育を信じないので自由な考え方ができるんです。」

専門書。

ビックリするほど原子力と放射線がわかる本。

知識人の書籍。

別の専門書を持ってくる。

世界の事故をかなり研究した論文になっています。

成実。
「チェリノブイリ原発事故。」
「コントロール・ルームは建屋から徒歩一分にある。」
「1986年4月26日。」
「正午過ぎ。」
「チェリノブイリ発電所四号原子炉。」
「年に一回の定期点検修理のために。」
「四号機を運転停止するにあたって。」
「実験を行うことになった。」

小桃。
「原子炉がシステムから切り離され。」
「タービン発電機が回転惰性によって動いている。」
「わずかな時間を利用しての実験。」
「目的は原子炉が非常停止してディーゼル発電機が。」
「回路に接続され。」
「送電が再開されるまでの間。」
「原子炉とタービンの組み合わせで。」
「必要量の電力を確保することであったが。」
「作業は順調に進まない。」

成実。
「オペレーターが制御棒を炉心に入れようとしても。」
「制御棒が動かなくなった。」
「そのあとに大震動が発生し。」
「いきなり冷却水がなくなり。」
「壁が崩れて屋根が落ちて照明が消える。」
「原子炉部門の職長がコントロール・ルームに飛び込んでくる。」
「ブロックが飛び跳ねているし。」
「タービン建屋が燃えていると伝えた。」
「もはや火災になっていて。」
「床の上でリノリウムとウラン燃料が散らばって。」
「原子炉の黒鉛も炎上している。」
「この誤った実験でメルトダウン。」
「放射線が撒き散らされた。」
「水蒸気爆発と極小型の原子爆弾のような爆発で。」
「原子炉が破壊された。」

小桃。
「あの有名な大事故の過程がそれですね。」

成実。
「変な実験で暴走しちゃったのですよ。」

女の子。
「よくわからないけれど。」
「適当に実験して失敗して爆発したのね。」

成実。
「運転を停止する過程で。」
「慣性によって回転を続ける発電機が。」
「どこまで非常用電力を確保できるのかテストせよ。」
「との指令を実行する時。」
「オペレーターは緊急自動停止装置を解除した。」
「これは安全規則違反であり。」
「原子炉の設計上の問題が表面化した。」
「一年間運転して発生したゴミのせいで。」
「低出力での安定性が悪く。」
「その他いろいろな不具合があったのに。」
「頑固に発電実験を進めたので。」
「不安定になった原子炉が暴走。」
「作業員が混乱して制御棒を挿入。」
「この状況では制御棒は極めて高い危険を持つことを。」
「誰も理解しておらず。」
「制御棒は抑制にほとんど効果はなく。」
「原子炉の出力がこれまでにない致命的なレベルまで上がる。」
「制御棒を入れたせいで核反応が跳ね上がり。」
「原子炉が崩壊を開始。」
「反応停止用合金は制御棒が炉心に深く入っていないので役に立たず。」
「熱出力が最大許容出力の百倍に達して。」
「炉心燃料が爆発。」
「原子爆弾の二百倍の放射性を放出。」
「人間の限界を超える事態に追いやられて。」
「ついに最悪の事故へと至った。」

小桃。
「複雑なマシンが既に高負荷なら。」
「マシンの挙動は劇的な変動をしますね。」
「種々の条件のせいで悪化を続けて。」
「人間の限界を超えていったチェルノブイリ原発事故。」
「しかも問題の起源が意味不明な実験のせいで。」
「その実験が無ければ爆発しなかった。」

少女。
「原発のオペレーターと消防士二十四人が死亡して。」
「北ヨーロッパ一帯で危険レベルの放射線を浴びて。」
「風上で数千人が死亡している。」

美少女。
「アメリカの石炭発電所が故障した際には。」
「作業員が警報を条件反射で消し続けて。」
「とうとう機械が耐えられなくなって損壊した。」
「事前に上司が指摘しても。」
「作業員は大丈夫の一点張りで。」
「言う事を聞かなかった。」

優等生。
「キューバミサイル危機で。」
「安全装置が外されたミサイルがひとつあり。」
「独断で発射可能であった。」
「メンテナンスの時まで。」
「勝手に作業員が発射できるようになっていたものの。」
「指揮官が部品を近くの倉庫に分解して隠したので。」
「結局は部品を装着するまで撃てなかった。」
「モンタナ州のマルムストロム空軍基地。」
「搬入されたミニットマン一型には核弾頭が装備されていて。」
「システムが未完成のせいで。」
「発射態勢に入ったらすぐに調整が入る有様。」
「急いで準備してしまい。」
「安全規定を無視したせいで。」
「他のセンターからの拒否権も不要な環境であった。」
「やろうとすれば核ミサイルを自分達で発射可能であったと。」
「兵士は自白している。」

成実。
「学問好きの女の子がいつの間にか集まっています。」

小桃。
「さっき戦闘訓練していたのでは?」

優等生。
「精神の訓練の方が先でした。」

少女。
「まるでひ弱なのは精神の問題でした。」

女の子。
「まず最初に戦いの歴史を知りません。」
「戦いがわからないのに訓練しても無駄です。」

小桃。
「疑う事をしたからわかったのですよ。」

委員長。
「最近の車で有名な事故はなぜだと思う?」

成実。
「完全に停止している車が。」
「いきなりスロットル全開で走り出す事故は。」
「早くも1930年代に報告されています。」
「オートマチック・トランスミッション特有の不具合です。」

小桃。
「それが有名になったのは。」
「1986年2月にアウディ5000に対する苦情が新聞で取り上げられて。」
「ニュースショーのシックスティ・ミニッツで特集されてから。」

女の子。
「弁護士と警察の科学者は。」
「ブレーキとスロットルが同時に故障して。」
「後でさっさと正常な状態に戻って。」
「まったく証拠を残さない。」
「なんてものは過去の機械的欠陥からは説明がつかない。」
「とされた。」
「後に安全装置が開発される。」

成実。
「物好きな警察は後に実験をやったのです。」
「フォード製エコノライン・バンに搭載されている。」
「トライトン型V8エンジンがスロットル全開で回転している時。」
「車を動かさないようにするには。」
「ブレーキを押し込むだけで。」
「椅子から立つより軽い力で車を抑え込める。」

小桃。
「車の誤発進は玄関先の操作と名づけられました。」
「誤入力というわけです。」
「本人はそう操作したと思っても。」
「機械はそう操作したと認識していない。」
「運転手がそうだと入力しても。」
「機械はそうだと認識しない現象。」

成実。
「似たような実験では。」
「サーキットで行われ。」
「細工された車が。」
「いきなりエンジン回転数が上がる事態に遭遇した時に。」
「びっくりしてペダルを踏み間違える。」
「足は手より運動能力が劣っているので。」
「強い恐怖を感じると誤入力がよく出る。」
「玄関先の操作は車両事故の定番。」

小桃。
「適度の恐怖は我々の警戒心を高めるので思考能力を高めるが。」
「極度の恐怖は思考を停止させてしまうことがわかっている。」

成実。
「一度のフライトで客室乗務員は何らかの小さな失敗をしています。」
「無線を聞き間違えたり。」

小桃。
「つまらないミスは問題になりませんが。」
「日常の中でつまらないミスは大量にありますね。」

優等生。
「最近の事故も昔からのトリックなんですよ。」

委員長。
「それは手品だ!」

女の子。
「複雑な仕組みになるにつれて問題が発生する?」

成実。
「人間の作ったものには必ず欠陥があるのです。」

小桃。
「それを理解していたのは古代ローマ人だけです。」

通りすがり。

教師のひとり。

四十歳で一度も結婚はしていない。

関心を持った生徒が訪ねた。

少女。
「先生はどうして結婚しなかったのですか?」

教員。
「おしゃべりな世人と家中を散らかすイヌを毎回飼っていて。」
「ずっと泣き喚く姉妹と。」
「その上、手数がかかる親戚がいました。」
「その上で、どうして夫が必要なんですか?」

昼休みの終り頃。

授業の準備に忙しい中。

新聞の一部の切り抜きを生徒にあげる教師。

教師。
「避妊をしない貧乏人が牧師に頼んだ。」
「いくら頑張って働いても。」
「次々に子供が生まれて。」
「食事も満足にできません。」
「九人の子供と女房を。」
「どうやって養っていけばよいやら途方に暮れています。」
「いったい何をしたらよろしいですか?」
「牧師は答えた。」
「何もしないでください。」

女の子。
「自分のせいで悪くなっているのに。」
「助けを求めるなんて意味不明です。」

少年。
「自分で止められるのに馬鹿だなあ。」

教師。
「こんな奴にならないようにしっかり教育しているのだ。」

ラジオ。

学校が部活に貸し出している。

こっそり拝借したもの。

女の子が部活のラジオをくれたので。

放送受信。

北朝鮮軍がソウルまで占領したと発表。

実際には河川の辺りまで。

少しも動いていません。

ソウルの近くには北朝鮮の兵士が誰もいなかった。

北朝鮮軍の将軍が司令部より前の都市を占領しろと。

激しく督促を受けた。

五度目の督促の命令が来たが。

将軍は反論した。

指揮官。
「既に占領されたと発表された町を。」
「どうして二度占領することがあるのでしょうか?」

記者。
「韓国軍も平壌まで占領したと言っていましたよ。」

指揮官。
「するとここも韓国軍に包囲されているのかな?」

記者。
「北朝鮮の軍服と旗がいっぱいありますが?」

指揮官。
「なにが起こっているのだ?」

漫画を読んでしまう将軍。

誰かが来て慌てて漫画を隠した。

来たのは新兵で道具箱を持っていた。

指揮官。
「今、部隊長と重要な話をしているが、なにかね?」

新兵。
「私は副官から電話が壊れていると言われたので、直しに来ました!」

記者。
「公開してもよろしいので?」

指揮官。
「大快挙を報道するつもりが。」
「変な軍隊を見せてしまったね。」

記者。
「いいえ、インタビューを受けてくれて最高でした。」
「イギリスBBCを歓迎するなんて。」

指揮官。
「それでは、漫画の続きを読みたいので。」

新兵。
「電話が直りました!」

指揮官。
「少しだけ壊せ!」

ラジオの内容は夕方のニュースでも流れることに。

学校帰り。

いつもの公園は登下校の中心地点。

何人か女の子が集まっています。

小桃ちゃんはお手伝いがあるので。

走り去ります。

特訓を受けるようですし。

通りすがりの私です。

天鞠。
「投票には行きたいですか?」

成実。
「政治があまりにもうまく行っているので。」
「投票する理由が無いですね。」

天鞠。
「異論なし?」

成実。
「穏健な政治なら安全ですかね。」

天鞠。
「一票は何に使います?」

るる。
「自分がその人物に加担するため。」

天鞠。
「何が足りないと思いますか?」

るる。
「こちらからは政党の情報が見えません。」
「何があるのかさっぱりです。」

女子高生。
「情報も皆無で投票に行く訳ないでしょ。」

天鞠。
「どうすれば世の中が改善されると思いますか?」

成実。
「悪くならなければ十分でしょ?」

天鞠。
「政治に必要なのは何だと思いますか?」

るる。
「哲人の意見。」

天鞠。
「政治がうまくいっているのが問題でしょうか?」

成実。
「私はそう思いますね。」

天鞠。
「どうなると悪くなるのかを調べるのが争点になりますか?」

るる。
「悪くない政治で十分です。」

成実。
「素晴らしい政治は過剰です。」

哲学の訓練で討論するのですが。

今回も蓋然性が高くなり。

哲人の女の子が生まれそう。

市街地を駆け抜ける。

一直線に帰宅して。

今日は休息。

ずっと寝ます。

夕方のテレビでニュースを見てみると。

遊覧船が沈没しかけています。

遊覧船が座礁したものの。

救助がすぐに来ているのは。

港の目と鼻の先だから。

悲鳴を上げている人々の中に。

一部の団体は余裕をかましていた。

救助隊。
「あなた方は怖くないんですか?」

団体さん。
「いや、平気。」

甲板が沈んできて。

船が沈没する。

救助隊。
「船が沈むんですよ!一時的に海に投げ出されます!」

団体さん。
「別に構いませんよ。」

それでも団体は余裕をかましていた。

民衆。
「うぎぁぁぁあ!!」

衆愚。
「うわあああ死ぬ!」

救助隊。
「どうして平然としていられるんですか!?」

団体さん。
「私達が、どうして心配しなければならないんですか?」
「この遊覧船が、私達のものだとでも言うんですか?」

ニュース番組。

なにやら意味不明な事故。

市街地にて。

夜遅く。

走っていた派遣社員が議員に衝突した。

議員は転倒する。

為政者は立ち上がって。

議員。
「おまえ、俺が誰だか知っているのか?」

派遣社員。
「はっ!有名な工藤議員でありますよね!」

議員。
「どうしてくれるのかね!」

派遣社員。
「私を誰だか知っておられますか?」

議員。
「お前のような者が、誰だか知るはずがないではないか!」

派遣社員。
「誰も知らない?それでいいですよね!」

派遣社員は安心して逃げてしまった。

ジャーナリズムの思想が展開されるテレビ番組を消して。

私達は新聞しか読まない情報取得ですね。

成実。
「脱出を考えずに危険に飛び込むような。」
「レスキュー隊員も冒険家もいないとか。」
「玄人は脱出できないのに危険に飛び込む愚行はしない。」

萌奈美。
「砂漠レースで活躍する選手も。」
「四輪駆動を常に稼働させてはいません。」
「必ず最後の手段は取っておくのです。」

成実。
「疲労や消耗で失敗が大きくなり。」
「事故になってしまう。」
「車での大移動ではよく生じる。」
「事故の直前までは最高の人生が続いていた。」
「危険と恐怖を知っていると事故にならない。」

萌奈美。
「なので今日はよく休んでね。」

宿題では不正をしまして。

両親が勝手に答えを置いてしまうので。

宿題をしている演技を毎回します。

どうやれば先生の目を掻い潜るかの勝負です。

数個のクイズをわざと間違えれば発覚しません。

ロジカル・シンキングはクイズという形態を取るために。

身内は嫌悪しているようで。

宿題は毎回、不正で終わりますね。

インターネットで出ていたり。

計算機で終わったり。

お姉さんが勝手に答えをメモで置き去りにしたり。

正面から仕掛けたりはしない。

解決策はひとつではありません。

今日は寝ていました。

休息。

書置き。

問題行動に注目すると。

人はその問題行動を繰り返す。

叱ることは。

悪い習慣を身につけさせる。

最高のトレーニングなのだ。

メモ紙が置いてあります。

あなたが悩んでいる問題は。

本当に「あなたの問題」だろうか。

その問題を放置した場合に困るのは誰か。

冷静に考えてみることだ。


22


佐々木はカルトに入団していた。

その上で養鶏場を持っていて。

たいそう成功している。

しかし品行は悪い。

それでも毎日。

プロテスタント教会に通っている。

表面的には善良市民を装っていた。

ある時、彼は異端審問官に呼び止められた。

異端審問官。
「佐々木さん、最近、町であなたについて。」
「いろいろ悪い噂を聞きますので。」
「とても心配しています。」

佐々木。
「いや、そんなことはありません。」
「私はご存じのように。」
「こうやって、毎日、プロテスタント教会に足を運び。」
「また毎朝、聖書を読むことを欠かしたことはありません。」

異端審問官。
「佐々木さん、あなたが毎日、自分の養鶏場に行かれるでしょう?」
「しかし、ニワトリ小屋に行ったからといって。」
「あなたがニワトリになるわけではないでしょう。」

爆発音。

逃げ場がなくなった妖女は。

投降して司法取引によって前線に加わったり。

他国から入った妖女は人質交換の切り札になり。

心変わりして味方に入るなど。

かつての敵勢力は続々と降参して。

捕虜になり。

国内の動乱は終わりを迎えています。

時代は仮想敵国との小規模戦争になっていて。

とても小さな戦争が世界各地で行われています。

学校で注意される生徒全員。

教師。
「近くのカルト教会が炎上しているが。」
「近寄るなよ。」
「というかカルト施設に接近すると巻き込まれるぞ。」

成実。
「近くを通らないようにします。」

教員。
「思いっきりカルトが狙われているから。」
「カルト構成員と勘違いされても攻撃されるから。」
「大人しくしているんだ。」

小桃。
「しかし都市部ではカルト燃えまくっていますね。」

教師。
「カルトが煉獄(ハデス)で焼かれているかのようだな。」

女の子。
「罰を受けても自分の教えをずっと語るでしょうね。」

少年。
「カルト気持ち悪いなあ。」

教師。
「気持ち悪くないカルトなんて実在しない。」

成実。
「あんな小物を倒したくらいで。」
「片付くとは思えませんけれどね。」

教師。
「少なくとも憂さ晴らしにはなるのではないかな?」
「今朝もカルト教会が炎上したから。」
「近くを通らないように注意して周っている。」

小桃。
「どさくさに紛れて投石してもいいかしら?」

教師。
「いいかもしれないよ。」

教員。
「どうせ石を投げ込んだくらいでわからないし。」

小桃。
「どうせ爆発するか燃えていますしね。」

成実。
「既にカルト教会は半壊していますからね。」
「飛び火するのでは?」

小桃。
「投石してみたい。」

教師。
「どうしても投石したいのなら止めはしませんが・・・。」

放課後に寄り道すると。

既に何十人もカルト教会に投石していて。

ガラスが全部割れていて。

投げるまでもなく。

道行く人々が次々と投石しているので。

行列で待つのも面倒くさいので。

立ち去ります。

妖女の一団が怨恨でカルトを殺しまくっていて。

警察も自衛隊も今の所は手を出しません。

実は内戦の元凶がカルトから出ていたので。

故意に妖女を放置して。

その後に捕まえて。

司法取引のち恩赦も用意するという。

容赦ない策略で。

誰も助けてくれないカルトは続々と皆殺しにされて。

ついにカルトは発狂して新手のテロリストに変貌。

これを狙ってのことで都合が良くて。

ひとつ問題を潰せばまた別の問題が出てくる。

それも潰すとしばらくしてまた問題が出るのを繰り返すので。

問題と問題が争うように仕向けていたのです。

妖女。
「自然災害はお楽しみ頂けましたかな?」

カルト教祖。
「おかげ様でな。」

妖女。
「せっかく客として出向いたので。」
「お土産くらい用意しておかないと。」
「退屈するだろうと思いまして。」

カルト教祖。
「どうも御親切に。」

妖女。
「みんな地獄に送迎しますので。」
「心配しないでくださいね。」

カルト教祖。
「所で面白い武器を持っていましてね。」
「毒ガス兵器らしいのですが。」

妖女。
「退屈せずに済みそうですね。」

カルト教祖。
「毒虫の庭はもう堪能しましたか?」
「かなり焼かれてしまいましたが。」

妖女。
「お前の歪んだ性格が現れているな。」

カルト教祖。
「命拾いしたと勘違いしたなら教えてやる!」
「そこから上がってきたら自爆攻撃で殺してやる!」

妖女。
「悪いけれど、レストランの予約があるんで。」

カルト教祖。
「軽口叩きまくって死ねー!!」

またカルト教会が破壊されて。

炎上。

カルトを殺しまくった妖女は。

途方に暮れて。

そこに自衛隊の特殊部隊が仕掛ける。

隊員。
「連中は速い。」
「鈍足な小銃では無理だ。」

アナスタシア。
「そうなのですね、私が出ます。」

妖女。
「魔法少女か!?」

アナスタシア。
「戦場で止まる奴がいるものか!」

妖女。
「寺院に籠城するしかない!」

隊員。
「相手に対戦車ロケットを撃ち込めば。」
「動きは止まる!」

特殊部隊。
「寺院には数人の市民がいます!」

指揮官。
「その程度の被害で問題を片付けられるのなら。」
「安いものだ。」

寺院に対戦車ロケットが撃ち込まれるも。

妖女は裏から逃げ出した。

アナスタシア。
「速いっ!身軽な私でなければだめです。」

隊員。
「鈍足な我々ではついていけません!」

カルト構成員。
「お前は!」

妖女。
「お前は!」

カルト構成員。
「逃がさないぞ!ぐわあっ!」

妖女。
「なんだこいつら、さっきからまるで素人じゃないか!」

カルト構成員。
「子供を盾にすれば奴らは攻撃して来ないんだ!」

隊員。
「うわあ!?何人の敵がいるんだよ!」

妖女の一団がやって来て援護。

新手が追加されて。

動きが素早いために蹂躙されます。

成実ちゃん。

公園で着物スカートで歩いていると。

それに見惚れて。

妖女。
「なんて可憐な女の子!」

成実。
「どう?お気に入りなの。」

妖女。
「私もそういう時期を過ごしたかった。」

成実。
「今からでも遅くはないですよ。」
「こんなに可憐なので女性に襲われたりしますが。」

妖女。
「頼みがあります。」

成実。
「何ですか?」

妖女。
「私を縛ってください。」

成実。
「変態というのは見慣れましたので。」
「構いませんよ。」

頑丈な紐を差し出してきたので。

公園の茂みで縛ってあげました。

若い女性を暴行できるのかな?

と思っていましたら。

近くに覆面警察官がいるので。

少しずつ接近して来て。

女性を確保しました。

成実。
「あれ?最後に良い思いをしたの?」

妖女。
「これは最後ではないよ。」

司令官。
「すぐに司法取引に応じてくれよ。」

妖女。
「離島防衛に使われるかもしれないけれど。」
「無事に戻ってきたらドレスや振袖で歩きたい。」

妖女を無傷で縛って逮捕に貢献したので。

感謝状を渡されて。

小さく報道されてしまい。

なんか最強という事になりまして。

数日後の学校では話題になり。

疲労で動けない所を拘束したというストーリーになっていて。

お手柄であると言われまして。

ジャイアントキリングも本当にあると評価されています。

成実。
「因果律のパラドックス。」
「因果律なんてあるのが悪い!」

小桃。
「道徳のパラドックス。」
「道徳は悪である!」

成実。
「意味が通じる突っ込み。」

小桃。
「本人が嘲笑した論証は。」
「本人が否定している論証です。」

成実。
「なぜかカルトは全滅していて。」
「犯人は大事な捕虜になって。」
「使いまわしをするそうですね。」
「故意に野放しにして破壊させたので。」
「恩赦になるそうで。」
「代わりに志願兵として前線に出向くとのこと。」

小桃。
「それは都合の良いように使われましたね。」
「カルト虐殺が過激化していますし。」
「市街地にあるカルトはもう全部廃墟です。」

教師。
「賞状と粗品を貰って好調だな!」

成実。
「人生において損得勘定を持つように進歩したので。」
「強くなり。」
「論理的になった。」
「人生を損得勘定で見るのは偉業である。」

教師。
「損得勘定皆無な輩は知性不足だぜ!」

教員。
「損得勘定を持たない人は頭が病気なのです。」
「頭が悪いという名前の病気。」

校長。
「優秀な女の子と聞いていましたが。」
「あの時より成長していたのですね。」
「強い。」

成実。
「女の子の当たり前を疑ったので違いが出たんです。」

小桃。
「生物学では突然変異として知られる存在です。」

校長。
「私も現場に立ってだいぶ経ちますが。」
「よく出るのです。」
「よくあることなんです。」

教員。
「しかしまぐれがあったからと言って。」
「そこで進歩を止めてしまうのはナンセンスだぞ。」

教師。
「次からはまぐれとは言わせない成果を出すのだ。」

成実。
「忠告どうもです。」
「まぐれは二度も続かない。」
「二度も続くまぐれは実力です。」

小桃。
「私も投石したし。」
「成果はあったかな。」

教師。
「本当に投石したの?」
「なんて勇猛な!」

小桃。
「三個投げて損壊したカルト教会の壁を壊し。」
「既に壊れたガラスをさらに壊した。」

教員。
「どうせ壊れていますし問題ありません。」

女の子。
「みんなと遊ぼう。」
「リーダーが呼んでいるから。」

委員長。
「我がチームのエース!来てくれ!」
「あんたなしではやっていけん!」

成実。
「今行きます!」

小桃。
「私も入ります。」

教師。
「地球人類は経験論でしか語れないのかな。」

校長。
「その愚かな所を受け入れましょう。」

教員。
「同感です、地球人類の愚かな所を肯定します。」

とある少年が帰宅して。

こう言ったので話題。

男の子。
「今日、学校で質問されて。」
「世界で誰も解けない難題に満点を貰いました。」

両親。
「お前だけが答えられた難問!?」
「それはなんだい!世界の難題かい!?」

男の子。
「先生が窓ガラスを壊したのは誰か?という質問です。」

これで騒ぎになったとのこと。

もうひとつ。

女の子が見た実話。

父親が社長。

とある企業に都合の良い召使がいて。

何でも屋であったので。

上司は調子に乗って。

召使に馬鹿と利口とに分けたリストを作って欲しいと依頼した。

すぐにリストは作成されたが。

上司はその馬鹿のリストに自分の名前が載っていて。

不機嫌になった。

上司。
「なぜ俺の名前が出てこないといけないのだ?」

召使。
「あなたはさっき誰かにお金を貸しましたね?」
「しかもさっきも他の人にお金を貸しました。」
「もし貸したお金が帰ってくれば。」
「馬鹿のリストから除外しますし。」
「お金が返って来なければ。」
「あの雑魚社員を馬鹿のリストに入れるとします。」

前提は個別。

社会と言ってもどの部分なのか?

大人の世界と言ってもどこら辺の状況なのか?

勝手に大人の世界を定義しているのでは?

社会とは自分にとってどの辺りを意味しているのか。

前提について。

真実とされていることを前提に取り組んだら。

進歩の希望はほとんどない。

ウィルバー・ライト。

オーヴィル・ライト。


23


失業者は広告を見た。

大手出版社の編集者募集の広告で。

面接に行った。

面接官。
「我が社では小説の発行をしていますが。」
「あなたはなかなかの経歴を持っていますね。」

小説家。
「そうです、東大から出て文学を専攻し。」
「表彰もされています。」

面接官。
「その後に御自身も小説家として活動していたんですね?」

小説家。
「そうです、かなりの売れっ子でした。」

面接官。
「よろしい、あなたを採用しましょう。」
「明日から勤めてください。」

失業者は面接官と握手をした。

すると面接官の机の後ろにシェイクスピアの肖像画があった。

失業者はお世辞を言った。

小説家。
「あの人は素晴らしい顔をしていますね。」
「共同経営者ですか?」

面接官。
「よろしい、さっきの話についてだが。」

父親が出版社に勤めていて。

陰口の標的になった失業者の話が漏洩。

その父親が病院に行った。

医者。
「あなたはお疲れのようです。」
「ちょっと微熱があるかもしれません。」
「軽傷ですね。」
「もし私だったら無視しますね。」

患者。
「もし、あなたが過労死しても。」
「私は無視すると思います。」

大人の世界は自分で見るもので。

誰かに教えて貰う必要が無いと言われたそうです。

学校に行くと予定通り。

バスで移動。

社会科見学で港に来ました。

貨物船が停泊していて。

出航するのと停泊した瞬間のものと。

三隻います。

教師。
「よく見ておくのだ。」
「そして何かを見出すのだ。」

女の子。
「船の模型でも作るんですか?」

生徒。
「観光みたいなもんよ。」

委員長。
「あの中になにかあるかもしれないのだ。」
「何かあるかもしれないので見るのだ。」

成実。
「なんか違和感がある貨物船です。」

小桃。
「あら?あなたは船について知らなかったはず。」

成実。
「なのに違和感があるのです。」

小桃。
「では、私の仮説は本当のようです。」

船員。
「どうだ?船は大きいか?壮大か?」

成実。
「あの固定用の木材の強度について。」
「疑っています。」

船員。
「ん?固定用木材?あれ?」

作業員。
「はあ?何かあったので?」

船員。
「ちょっと調べろ。」
「過積載とか内部の固定器具とか。」

作業員。
「僕も心当たりがあるのです。」

監督。
「なにかおかしいと思っていたんだ!」

大慌て。

あれ?と首をかしげる関係者。

顔色を変えて調べ始める。

当事者同士で大騒ぎになりつつ。

帰り際に。

数日前にこの港で出発した。

同型船が沈没したという報告を受けた監督。

現場は発狂しています。

港から出る時には関係者が大慌て。

バスに乗って次は火力発電所。

火力発電所の中では安全運転。

女の子。
「化石燃料から水素エネルギーに移行すると。」
「化石燃料を使っている人々と衝突しますね。」

職長。
「利害関係よりも利便性で水素エネルギーが勝つだろう。」

少年。
「こんなに燃えていて爆発しないの?」

成実。
「異常が無いのが異常。」

職長。
「なんていう冗談。」

成実。
「なんか見学用の場所にある。」
「この温度計の表示がおかしくて。」

教師。
「あれ?ぐるぐる回っているぞ。」

職長。
「あれれ?故障かな?」

作業員。
「温度計がおかしい。」

メカニック。
「プログラマーが温度の最大値を変更していたので。」
「実際の温度が計測されず。」
「不具合を起こしているぞ。」

職長。
「なんだって?」

ここでも大慌て。

機械的な問題ばかり発生した社会科見学を終えて。

帰路の車内。

バスの運転者の顔色が悪いので。

何か眠いのかな。

成実。
「限界を超えて運転していますね。」
「実際に経験すると。」
「いかに自分が極限状態であると。」
「無自覚で運転していると知りますよ。」

運転手。
「運航会社から休めと言われていて。」
「この後に三日ほど休暇を貰う。」
「なんとか今回を乗り切るよ。」

小さな運転ミスを繰り返しているので。

乱暴な運転。

学校に戻って降ろして。

バスとはさようなら。

教師。
「大人の事情がありましたので。」
「少し早くに帰りました。」
「後は自習にします。」

生徒。
「よし!プロレスやろうぜ。」

少年。
「よし乗った!」

女の子。
「大人の世界も大変ですね。」

小桃。
「ヒューマンエラーをずっと指摘しているなるみちゃん。」
「あんな女の子を好きにできるなんてたまらない。」

成実。
「自習で何やろうかな?」

バス。

空席になって会社の停留所に戻る途中に。

追突事故を起こした運転手。

事故防止を三重にしても防げなかったという事で。

弁償で済んだとのこと。

放課後の公園。

噴水公園と芝生と二種類あります。

子供の集会場と化している。

女の子が集まる。

天鞠。
「社会学者。」
「カール・ワイク。」
「ビュジャデ。」
「と名づけた状態を経験。」
「世界がもはや理解できなくなった恐怖の感覚。」
「誰も到達したことができないほど異質な場所や環境に。」
「迷い込んでしまった恐ろしい感覚を意味する。」
「ビュジャデとはデジャビの逆の言葉。」

小桃。
「ボーイング757型機は計器類に必要な空気の供給を。」
「数センチのテープが異常な方法で妨げた。」
「静圧孔の上にテープを張ったまま出発してしまった。」
「飛行前の機体洗浄の後は作業員がテープを剥がすが忘れる。」
「テープレコーダーの記録では。」
「計器の示す虚偽の情報に基づいて情報を掴もうとして。」
「自動操縦装置を懸命に操作するも。」
「勝手に進路を変えて高度を変えて飛行を続行。」
「警報ばかりで理由がわからず。」
「太平洋に墜落した。」
「この時のパイロットの心理状態がビュジャデというものであると説明されている。」

成実。
「経済学者ハーバート・サイモン。」
「満足化(サティスファイシング)と呼ぶ。」
「情報が完全に揃わない中で、実行可能な速効性のある解決策を見つける。」

小桃。
「最適化(最大化)は、完璧に近い解決策を求めようとするもの。」

天鞠。
「危険な任務をする作業員や兵士はいちいち完璧なんて考えていないという。」

成実。
「完璧なんて誰も気にしていないと思いますよ。」

小桃。
「事故や災害で手一杯で。」
「他の害悪は来ないで欲しい。」

成実。
「不幸が度を超えると。」
「生きていることが害になります。」

天鞠。
「生命の恐怖が死の恐怖に勝ると。」
「自害するとショウペンハウエルは解説していますね。」

成実。
「いくら夢や希望を持っても。」
「現実の過酷さは変えられないよ。」

小桃。
「過酷な現実に生まれて。」
「それだけで、死にそうなのに。」
「さらに上乗せするのは殺人です。」

天鞠。
「本人が不要なら本当に不要。」
「捨てられた物事はストーカーになるだけ。」

成実。
「たたでさえ、過酷な現実世界に身を置いているのに。」
「さらに過酷にしても良い理由はない。」
「既に過酷な現実世界で悪いものを避けたり。」
「生活を維持するべく。」
「とは言っても最後に死ぬために生活を維持するべく。」
「過酷な労働も強いられている。」
「それで悪いものを上乗せされても。」
「要らないよ。」
「いらないものを押し売りしても受け取らないし。」
「捨てられるのを知っていて投げてくるのでしょうね。」

天鞠。
「公害を美化することなど不可能なのですし。」
「汚染を正当化することも不可能ですよ。」

小桃。
「自由を行使すれば何でも辞退できますからね。」

天鞠。
「辞退すればストーカーできない。」

成実。
「こうなると相手が不正。」

近くで喧嘩。

若者の一団が。

なにやらしている。

青年。
「なんだあの老人。」

会社員。
「若者と勝負したいのか?」

ある居丈高な老人が若者を困らせてやろうと。

質問をしてくる。

老人。
「わしの経験は若者より優れている。」

青年。
「では、手本を見せてください。」
「あちらに狂犬と暴漢がおりますので。」
「説教をするか倒すかして。」
「いかに経験があるのか私に教えてください。」

老人は狂犬に噛まれた。

夕方のニュース。

平和主義者が徴兵されて射撃で最優秀の成績を残した。

なので将軍は前線にすぐに送った。

撃て!と言えば必ず当てるほどの集団で。

大いに期待された。

とうとう前線で長距離での撃ち合いになった。

敵が突進してくる。

将軍。
「撃て!」

兵士。
「やばいぞ!敵に囲まれた!」

士官。
「そちらの精鋭部隊とやらは何をしているんだ!」

発砲しない。

将軍。
「なぜ訓練で優秀な成績を取ったのに、撃たないのだ!」

平和主義者
「どうして撃たないのか?」
「目の前に人がいるのが見えないのですか?」

歴史とは、人類の犯罪、愚行。

災難の歴史に過ぎない。

エドワード・ギボン。


24


記憶の良さ。

記憶があまりに良すぎるばっかりに思索者になれない人が、かなりいる。

人間的U122。

ニーチェ。

旅人。

駅前で出会った女性。

自然に会話に入って。

どうやら大学生で武者修行で立ち寄ったとのこと。

麗海という人ですね。

休学が認められて。

短期間ながら。

電車で旅をしているとか。

成実。
「浴衣で旅なんて素敵です。」

麗海。
「少し動き辛いけれどね。」
「少しだけ改良して。」
「足の部分は切り取って。」
「動かしやすくしてあるよ。」

成実。
「それで浴衣の下部分が短いのですね。」

麗海。
「それで、何か珍しい生物とか知っている?」

成実。
「前にアナスタシアさんが来た時に。」
「化け物を殺していましたが。」
「たまに山奥に出るんですよ。」

麗海。
「腕試しに討伐したいなあ。」

成実。
「ならば少し来てください。」

山の方に歩く。

中くらいのワイバーンが飛んできて。

飛竜。
「久しぶりだな。」
「そちらの方は何も思わないようで。」

成実。
「慣れているんですよ。」

麗海。
「見慣れているので違和感ないですよ。」
「喋るワイバーンとか。」

飛竜。
「なるほど、それで何か手伝ってくれると。」

成実。
「化け物を殺したいらしいです。」

飛竜。
「ならばかつて限界集落だった場所に。」
「二つの頭を持つ大蛇が出てくるので。」
「代わりにぶっ殺してくれ。」

麗海。
「獲物を貰っていいんですか?」

飛竜。
「手が足りないので。」

麗海。
「あなたは同行する?」

成実。
「面白そうです。」
「前にアナスタシアさんに同行しました。」
「仲間という訳ですから問題ないでしょう。」

手を繋いで。

トンネルに向かいます。

途中で。

軽トラックの荷台に乗せて貰えて。

ついでらしくて。

現地に到着。

化け物は。

家畜を殺してしまうので。

送迎してくれるらしいです。

麗海。
「物分かりが良い人は好き。」

成実。
「社会は有能な。」
「そして使える人材だけで機能していますよ。」
「無能は消耗品ですからね。」

麗海。
「いやいや、自分より劣っている人間が多いだけでしょ?」

成実。
「その通り、劣っている人間は見えるに堪えない。」
「彼らが自分をわかっているなんて、どうやって信用できるんですか?」

麗海。
「他人に対しての問いかけ。」
「あなたは素晴らしい、それで?君のアイデアは?」

成実。
「まともな返事は返って来ない。」

麗海。
「他人に対する問いかけ。」
「あなたはこれまで何回、悪事をしたことがありますか?」

成実。
「私の場合は。」
「あなたが理性を失ったのはいつですか?」

麗海。
「そんなものでしょうね。」

成実。
「世人に何を期待しているんですか、私達は?」

麗海。
「気が長くなるわけじゃない。」
「どう質問したらいいのかがわかるようになるんです。」

現地到着。

いきなり。

用意していた。

固形眠り薬を大量に入れた生肉。

袋から取り出して。

限界集落の真ん中に設置。

トラックの運転手は逃げる準備。

すぐに二つの頭を持つ大蛇が現れて。

トラックの運転手の無線連絡で。

十分前に近くの家畜が襲撃されたので。

追いつくと思いましたが。

待ち伏せ成功。

大蛇は毒餌を丸呑みにしてしまい。

去ろうとする大蛇を遠くで見ていたら。

突然、動きが止まりまして。

成実。
「大きいですね。」
「アナコンダの二倍くらいあります。」

麗海。
「多分、通り道だろうと思ってね。」

成実。
「動けなくなったようですが。」

麗海。
「では、遠くで見学していてね。」

大蛇に灯油を大量にかけて着火。

大蛇は大慌てになりつつ黒焦げになって。

二つの頭を持つ蛇は死にました。

トラックの運転手が猟師に連絡していて。

後に化け物は回収されて。

研究所に運ばれるようです。

帰宅途中。

成実ちゃんは両親に連絡して。

夕方なので。

宿泊することになった麗海。

萌奈美。
「あら?どこかで見たわね。」

麗海。
「あれま、自分を見ている気分。」

萌奈美。
「ようこそ、似た者同士に会えるなんて。」
「都会を離れた甲斐がありました。」

麗海。
「都会は住む所ではありませんよ。」
「都文化は別物ですけれどね。」

萌奈美。
「素人の哲学者が反論を試みそうな発言だらけ。」

麗海。
「なぜ反論を唱えるか。」
「ひとはよく或る意見に反論を唱えることがある。」
「ところが本当は、その意見の述べられた調子だけが。」
「共感できないだけなのである。」

萌奈美。
「それが真実ですよ。」

麗海。
「肯定的かつ否定的。」
「この思索者は、自分を反駁してくれる相手を誰一人として必要としていない。」
「そのためには自分自身だけでこと足りるからだ。」

萌奈美。
「狂気の天才が来てくれるとは。」

成実。
「自然に会話したら、こういう優秀なる女性でした。」

麗海。
「相手を口説くためにライバルがチョコレートを三箱贈ったら。」
「あなたは五箱贈りますか?」
「そう思った時点で敗北です。」
「勝利するためにライバルを負かさないといけないと思ったら。」
「その人が負けることになる。」

萌奈美。
「欠陥品の人間は。」
「過ちを認めることができない。」
「それは欠陥品だから。」
「間違いを認めることができない。」
「これも欠陥品だから。」
「しかもよくいますね。」

麗海。
「私が勝利できたのは、乗る馬を慎重に選んできたからです。」

萌奈美。
「私は勝負を捨てて実利を取りました。」
「ゲーム理論に基づくものですが。」
「お互いの起源が反転したものなんですね。」

麗海。
「私は勝利を有効活用して次に繋げています。」
「みんな勝利を欲しがりますが。」
「私がやるのは圧倒的に凄いものです。」
「圧倒的な勝利を得るものです。」
「結果、中くらいの勝利が続いています。」

成実。
「過去に何かあったから。」
「今があるなんて。」
「私は信じません。」

麗海。
「天才とは既成概念の外で考えられる人の事です。」

萌奈美。
「最強になろうとする人はいるけれど。」
「人間を超えようとする人はいないわ。」

成実。
「因果決定論は何でも過去のせいにして。」
「ありもしない冤罪ばかり作りますよね。」

麗海。
「因果決定論は原因論ですよ。」

成実。
「原因論なんて役に立たない。」

麗海。
「怨恨の力は制御してしまうと。」
「信じられない強大な力として使えてしまう。」
「通常は暴走するような怨恨は。」
「ただ制御できないだけで。」
「制御に成功すると狂気の力によって。」
「触れるものをすべて壊していく。」
「どこまでも食らいついていく。」
「対峙する者はその感情の無い行為を目撃したり。」
「人間ではない何かと対峙している気分になる。」
「そこに技術が加わると。」
「桁違いの力を以て。」
「凶悪犯も超えるような狂気を自在に操る。」

成実。
「中途半端な才能ではついていけませんね。」

麗海。
「同日の論ではない私は人間以上ヘラクレス以下である。」

成実。
「半神半人の英雄。」

萌奈美。
「ヘラクレスを見れば自分の真の限界がわかるものです。」

成実。
「それは納得する。」

麗海。
「後天的に変更が加えられたので。」
「究極的な女性になりました。」

成実。
「出生については。」
「エルの物語。」
「スピリチュアリズム。」
「いろいろ考察があります。」

萌奈美。
「プラトンを信用するのか。」
「宗教カルトを信用するのかの二択ですかね。」

麗海。
「生まれた後に書き換えられると。」
「前後で矛盾してしまう。」
「これは神様の智謀によるもの。」
「そうすると。」
「出生が本人に都合が良いように。」
「生まれさせていれば良いだけ。」
「結果論で間違えていることになるので。」
「裏切られて捨てられた出生が我を張るだけで。」
「出生の内容をすべて覆したのだから。」
「生まれを覆したら内容は消えれば良いので。」
「出生の仕組みの蓋然性は激減する。」
「出生は初めからデタラメをやる信用できない仕組み。」
「エルの物語で考えても。」
「生まれの内容を覆す事は大快挙になるので。」
「本人の功績であり。」
「生涯の見本に入っているのであまりに合法。」
「それで後は交換に応じるか?」
「出生を覆すとこうなる。」
「エルの物語だと必然の力によるものなので。」
「真実。」

成実。
「生涯の見本に矛盾する内容が含まれていたのですね。」

萌奈美。
「スピリチュアリズム説は決定の無能さが突出していますね。」
「カルト野郎が決めたというのは他所に手を出していますし。」
「仮にスピリチュアリズム説は。」
「神の経綸に変更を加えるような権限があるとは思えない。」

成実。
「カルトが神の経綸に触れたら冒涜になるので。」
「どんな神様も神罰を直ちに加えるはずです。」

麗海。
「生まれてすぐに神様によって生涯が変更されるのは。」
「最初から自由に変更が可能な生まれにすれば良いだけ。」

成実。
「それが読めないという二重の無能さ。」
「神様に変更されることが決まっているのに。」
「出生は持論で決定してしまった。」

萌奈美。
「そして生まれる前と生まれた後で矛盾する。」
「結果論で間違いが証明されています。」

麗海。
「生涯の見本に矛盾する内容が含まれていたのですよ。」

萌奈美。
「いずれにせよ出生の決定が前後で矛盾しているので。」
「後天的な変更を読めなかった出生は明らかに無能で。」
「誰でも無能に決められたくないし。」
「神様の智謀で後天的に変更されたのなら。」
「最初から間違えなければ良いだけ。」
「このように矛盾があるので無限に論証が続き。」
「応答も無限に続けることができる。」

成実。
「神様の智謀で出生を逆手に取って。」
「逆手に取られた出生は間違いを突き付けられた。」

麗海。
「神の経綸で出生は決まっていると思いますが。」
「逆手に取れる以上は出生なんて経綸ではありません。」

萌奈美。
「逆手に取られた出生と見なすか。」
「エルの物語による必然の力か。」
「二つの解釈がありますから。」
「私もまだ中間経過に過ぎません。」

成実。
「どう転んでも矛盾したという結果は変わりませんよね。」

麗海。
「合理的な考察はこれ以上は難しいでしょう。」

萌奈美。
「合理性の無い考察は欺瞞ですからね。」

成実。
「出生は原因論。」

麗海さんはすみれちゃんという。

人間離れした女の子の左腕で。

すみれちゃんと相棒の女の子と一緒に。

戦火を潜り抜けた猛者です。

優秀なのでかなり妬まれてしまい。

そして高校生になるまでは。

あらゆる女性に向けられた欺瞞を受けていて。

一気に破壊したという経歴があります。

夜にいろいろ話してくれました。

成実。
「雑魚は引き立て役。」
「観客に過ぎません。」

麗海。
「不幸自慢をすると。」
「悪者が弱みを握ったと思い。」
「不幸自慢をする奴を集中狙いしますね。」
「自分はこれだけ不幸があったので。」
「他人は自分を労わるべき。」
「という考え方は。」
「善人と言われる者が同情する可能性はありますが。」
「悪者からは嘲笑されて。」
「攻撃の口実に使われるだけです。」

成実。
「世の中、ひとつの思想だけで成立していませんので。」
「ひとつの考え方が万人に通用するとは思わないで欲しいよね。」

麗海。
「人間はみんな間違っているという真理だけはよく理解しています。」
「あまりに単純なので見落としている。」

成実。
「みんな自分が正しいと思いたいので。」
「そのくらいわかってあげようよ。」

麗海。
「自分を疑い始めたら。」
「自壊するでしょうからね。」

成実。
「そもそも問題なんて存在するのが悪いのです。」

麗海。
「問題なんて必要ありませんし。」
「要らないものをよこさないで欲しいよね。」

成実。
「あなたの人生に意味はあるのか?」
「という定番の問いかけ。」
「一度、すべてが無意味になった後に。」
「再構成されると良いかもしれません。」
「なぜなら。」
「何に意味があって何が無意味かは。」
「自分でコントロールできますし。」
「自分で決められるからです。」

麗海。
「さっさと、矜持から出てくる要求に現実が従えば。」
「さっさと、問題なんて無くなるじゃないですか?」

成実。
「なんでも自由にする力があれば。」
「私は問題を消去しますね。」
「ゴミ箱に入れれば良いものですし。」

麗海。
「問題自体を残酷に扱ってやれば良いだけ?」

成実。
「すごい狂気です。」
「現実の問題なんてパターン化していますし。」
「私が注文したものではないので。」
「代金は支払いません。」

麗海。
「現実の問題は踏み倒せるので。」
「ストア派のように。」
「苦難は徹底的に軽蔑しましょう。」

お風呂に入って。

一緒に寝ました。

麗海さんと就寝。

自然体に添い寝。

朝。

目が覚めると。

夢の内容を覚えていて。

麗海。
「ん?どうした?」

成実。
「生まれる前の記憶でエルの物語と。」
「一致しているものがあります。」

麗海。
「私も夢で出てきます。」

成実。
「プラトンの有名な言及ですよね。」
「まだ読んでいません。」

麗海。
「国家十巻にありますね。」

成実。
「西洋思想に多大な影響を与えたプラトン。」
「紀元前に書かれたものとは思えないとも言われています。」
「隠れた情報なんですね。」
「エリート向けなんでしょうか。」

麗海。
「エルの物語をざっくり説明しますと。」
「比喩的な言い回しが特徴です。」
「死後の世界で。」
「死んだ後に進んでいくと。」
「牧場のある。」
「法廷に直行して。」
「裁判が行われ。」
「かなり素早く判決が言い渡されます。」
「下の世界か上の世界かで行き先が決まり。」
「下の世界は悪い者が落とされ。」
「上の世界は良い者が通されます。」
「残忍の度が過ぎる者は。」
「さらに地下深くに投げ落とされ。」
「一定期間、賞罰を受けます。」
「それで戻ってくると。」
「両方共に交流が可能で。」
「そこから死後の世界へ旅に出ます。」

成実。
「全部が超自然的な景色なので。」
「人の理解を超えた世界が広がっていますよね。」

麗海。
「旅路の果てに女神がいて。」
「案内されます。」
「そこで次の生涯の準備を行い。」
「まず選ぶ順番があり。」
「籤引きで決まります。」
「提示される生涯の見本は膨大な数であり。」
「上の世界から来た者ほど楽な生涯を選んだり。」
「下の世界から来た者ほど苦楽を知っているので。」
「下の世界から来た者はかなり慎重に選ぶ傾向がある。」
「前世の影響で生涯の見本を選ぶ傾向がある。」

成実。
「生涯の見本が適用されないなんてありえないものですが。」
「自分で選べるのは本当なんですね。」

麗海。
「ここで最善なのは一個人の生涯で。」
「大物になったり最強になったりする生涯に関する。」
「害悪を無視して掴む人もいる。」
「選び終わると。」
「生前の記憶を忘却する河の水を飲み。」
「死後の世界で野営していると。」
「突然、雷が轟き。」
「魂は次の生涯に突然、移行する。」

成実。
「私の生まれもエルの物語を前に屈しています。」
「上書きに耐えられないんですね。」

麗海。
「エル自身は特別に省略されて。」
「蘇生したので。」
「死後の世界をすべて語ることができ。」
「そのために死後の世界を見せられて返された。」
「というもの。」
「ギリシア神話ベースにプラトンが語っているので。」
「これを受け入れるのは良いものであると書かれている。」
「リベラルアーツのエリート教育では。」
「当たり前のように教えられる内容で。」
「信じれば救われることになる。」
「という気の利いたあとがきも入っています。」

成実。
「私はプラトンを信じますね。」

麗海。
「古代ギリシアの人々の中では公になっている物語で。」
「後の哲学者も引用したりと。」
「歴史のある由緒正しい言及なのです。」

成実。
「反対に自称神がすべてを決めたという。」
「宗教カルトの説明は。」
「自称神のせいになりますし。」
「自称神をもれなく全員が恨むことになる。」
「宗教カルトの決定は矛盾が大量に含まれていて。」
「強制と偽善しか説明文にはありませんから。」
「宗教カルトの出生説明は。」
「誰も信じないほど愚鈍なものであり。」
「宗教カルトが出生を乗っ取ろうと企てた。」
「誰しもが拒絶する詭弁の塊であり。」
「全員に忌避されるであろう。」

麗海。
「選べなかった。」
「または、選んでもいない人についての言及はない。」
「正規の手続きを得られずに。」
「不正に生まれてしまった。」
「ということになります。」

成実。
「自分の生涯を選んだ覚えはない場合は。」
「何かの不正があったと見て間違いはありません。」
「この人生は選んでいません。」
「という発言は逆に言えば。」
「不正によって強制的に生まれてしまったという意味に繋がります。」

麗海。
「生涯に対して離反があったり裏切りがあれば。」
「出生に対する報復になりますので。」
「不正があったと見なすのが自然でしょう。」
「公に認められているエルの物語を先天的に得られなかった場合は。」
「不正を疑うのが自然の成り行きです。」

成実。
「おそらく、不正があるのが真実でしょうし。」
「どちらにせよ。」
「裏切られると生涯の見本は無効化されます。」

麗海。
「つまりは選んでいない。」
「選べなかった自分の生まれを。」
「正々堂々と神々に告発できるのならば。」
「エルの物語の正反対の事件が既に発生しているので。」
「選べなかったと思った時点で。」
「神々に告発すべきです。」

成実。
「私はエルの物語のほうを信じました。」

麗海。
「先天的にエルの物語かそれと似た哲学を持っていれば。」
「それは正規の手順で生まれています。」
「後天的にエルの物語を受け入れると。」
「どう見ても出生が疑われます。」
「エルの物語は哲学の形式であるので。」
「疑う事も可能で。」
「エルの物語を疑うという行為は大きな真理をもたらします。」
「エルの物語とは食い違うものは。」
「エルの物語を疑ってください。」
「真理が多くなります。」

成実。
「翻訳版は手に入れておきたいですね。」
「ティマイオスを読んだことがあるので。」

麗海。
「出生が醜悪か邪悪だよ。」
「という方は。」
「エルの物語を読んで。」
「エルの物語に疑いをかけて。」
「懐疑論の中で調べるのが穏健な方法でしょう。」
「疑うほど真理は多いものです。」

成実。
「人間の考えた出生の理屈とエルの物語が対立しているのかな。」

麗海。
「エルの物語に賛成すると恩恵を受ける仕組みになっています。」
「エルの物語を引き合いに出せば。」
「その人は恩恵を受けます。」
「その人を圧倒的に有利にしてくれます。」

成実。
「エルの物語を受け入れた場合は。」
「それでは選んでいない人の権利は?」
「という問題が生じますね。」

麗海。
「すると出生の敗北です。」
「同時に選んでいない真実が現れてしまうので。」
「裁かれるのは邪悪な出生の方で。」
「自分だけは逃れられます。」
「後は一方的に自分が有利になります。」
「それは両者が馬に乗って体当たりして。」
「出生が跳ね飛ばされて死亡し。」
「自分は無傷で通過するような。」
「比喩です。」

成実。
「割に合わない生まれなんて私は選びません。」
「私は合理主義者ですからね。」

麗海。
「何でも割に合うようにするもの。」

成実。
「たまに感情論と理知を無視しますけれどね。」

麗海。
「感情論が万能な訳ないでしょ。」

成実。
「人間の理知を過信するのが通説です。」

休日。

金曜日のお客さんで。

今回の土曜日は学校が休暇。

明日に次の場所に行くとのこと。

小桃。
「ほぃっ!!」
「また新しい女を連れ込んで!」

天鞠。
「女性にモテるんですね。」

成実。
「好循環。」

麗海。
「私はアセクシャルだよ。」
「色欲を無視できる。」

小桃。
「それなら取られる心配なんて要らない訳ですね。」

天鞠。
「近寄っても安全という訳ですね。」

庭の椅子に座って。

テーブルでお茶を開始。

天鞠。
「テロリストを倒して正義の味方ですか?」

麗海。
「正義とは正義の礼讃者のみが把握しているので。」
「良いものを必ず得るのが正義。」
「悪いものを必ず食らうのが不正。」
「と決まっている。」

天鞠。
「勧善懲悪はサイコパスが利用する思想だったりするの?」

麗海。
「正義を名乗るだけで口だけでしょ?」

成実。
「本当だ、正義を支持している訳ではない。」

小桃。
「正義の概念を間違え続けていて。」
「欠陥のある裁判官と化している。」

天鞠。
「相手の正論を叩き潰せば良いのでは?」

麗海。
「要するに。」
「正義の礼讃者になれば正義は自然に達成できる。」
「そして不正の礼讃者がいるから警戒する。」
「正義が悪を倒すなんて解釈の誤りを矯正する。」

成実。
「勧善懲悪モノとかはたまたま主人公が接待試合にされているだけで。」
「現実世界は接待試合なんてありえないので。」
「本気で実行すると返り討ちになるという。」
「警告は何度も出されていると思います。」

麗海。
「むしろ正義が悪を倒すというのは逆説的に言えば。」
「不正の礼讃者なのですから。」
「そのような考え方は不正に使われるから。」
「不正の礼讃者は手段として正義を引き合いに出して。」
「口実にするから。」
「この場合は正義の解釈にのみ注意をする。」
「そして正義の礼讃者になる。」
「これだけでもう走り抜けるだけになる。」
「プラトンの国家に注釈をつけるのなら以上です。」

天鞠。
「偶然、発生した思想に乗っかるという。」
「愚鈍な現代人あるあるですね。」

小桃。
「返り討ちになる勧善懲悪は滑稽。」

成実。
「返り討ちになる勧善懲悪は笑いものです。」
「結局は弱いのですから。」

麗海。
「ゲーム理論の素人が出てくるのが不愉快ですよね。」
「なぜなら合理性の欠片も無いから。」
「人間を見ているというより動物を見ている気分。」
「現に彼らは知性が無いから。」
「不合理・非合理な自称人間達は気持ち悪い。」

成実。
「合理性皆無の奴らがゲームに出てくるとあまりに滑稽で。」
「読み合いと称して策略ばかりしている。」
「結果は全員が損失というもの。」
「ゲーム理論で現実のプレイヤーは。」
「合理性がありませんと。」
「警告がありますが。」
「まさしくその通りで。」
「ナッシュ均衡などを無視して。」
「明らかに感情論だけで現実世界を生きている。」

天鞠。
「なるほど、彼らの人生が残酷になっても。」
「身から出た錆ですが。」
「現実世界はゲーム理論で構築されているので。」
「合理性の無いプレイヤーはこの世に居ない方が良いのです。」
「悪いのは合理性無視の人間がこの世にいること。」
「良い事は合理的な人間がいること。」

小桃。
「ゲーム理論を学べば合理主義になれるよね。」
「合理主義の性質は損得勘定にあります。」
「人間らしさとか言う要素は排除されます。」
「計算が公認されているのは学べば理解できます。」
「すべてを損得勘定で見るというのもゲーム理論の特徴です。」

麗海。
「合理主義は古典で多く見られており。」
「古代ギリシアまでよく語られていた主題です。」
「現実的な利得を膨大に受けられる点。」
「感情論を排除している点など。」
「より現実的な考え方であり。」
「合理的でないものは非現実的な考え方です。」
「非合理・不合理な考え方は。」
「現実を排除している考え方であると思ってください。」
「利益に直接関わるために。」
「一定の熟練度になる必要があります。」

成実。
「合理性の無い考え方が合理的な考えに矯正されると。」
「まるで現実が別物になります。」
「受けられる利益がまるで異なりますし。」
「損失を招くものは排除できてしまいます。」
「合理的な考えに矯正されると。」
「合理性の無い考え方を無視するようになります。」

麗海。
「ゲーム理論は公になっている新しい学問なため。」
「また、政治の世界でも戦争の世界でも。」
「多く使われている実用性重視の学問であるので。」
「非合理・不合理な考えが直されると。」
「今までの世界を信じられなくなるでしょう。」
「今までおかしな考え方の世界にいたと実感した所で。」
「変な考え方の世界とはお別れになります。」

天鞠。
「私は合理性の無い人間を嘲笑しています。」
「知性を捨てたのではないかと。」
「生活の足しにするために知性を売り飛ばしたのではないかと。」

小桃。
「合理的が無い人間はおかしな挙動をするバグったBOTですね。」
「終始、馬鹿をやり続けます。」
「損得勘定で見ないので。」
「感情論だけの行き当たりばったりな挙動不審。」

麗海。
「合理性皆無の人間は何がやりたいのか分かりません。」
「明らかに欠陥品です。」
「知性が高く売れるという理由で。」
「小遣い稼ぎに知性を売ったような人々ですよね。」
「より頭が悪くなっていって。」
「頭の悪さが最悪まで達した。」
「駄作。」
「感情論しか取り柄が無いという笑いもの。」

成実。
「本当のことばかり言うと妬まれそう。」

小桃。
「それは他人に問題があるのであなたの問題ではありません。」

都市部で小競り合い。

見物に行くことに。

三人組が争っていて。

警察官も手出しできない状態。

お手製のヘリコプターで空中戦をしているので。

無理という。

苦難。
「死にやがれ!落ちやがれ!」

運命。
「俺が殺されるのか!?」

因果律。
「俺は悪い事をしたので死ぬんだろう。」

苦難。
「この俺の強さ、冥途の土産に教えてやるぞ!」

運命。
「売られた喧嘩だ、タダで買わせて貰うぞ。」

苦難。
「ガスガンを食らいやがれ。」

運命。
「ぐわっ!俺が勝利する運命なんだぞ!」

因果律。
「俺は前に良いことばかりしたので。」
「勝つだろう。」

苦難。
「うわっ!パイプショットガンなんてやめろ!」
「苦労と苦難の末に戦いの場に出ているんだぞ!」

運命。
「俺が勝利する運命だからお前は死ね!」

因果律。
「どうしよう!何かやると後にいろいろあるよ!」
「なにもやらないと死ぬよ!」

警察官。
「新手の喧嘩はやめて武装解除しなさい!」

運命。
「荒らしやアンチは口論がしたいので。」
「諍いを仕掛けてくるはず。」
「狙いは口論に熱中している中毒者。」
「口論を勝負と称してオンラインゲームみたいに見なしているので。」
「無限に口論に持っていく。」
「相手が負けたら自分の価値が高まる。」
「という考えで戦ってBANされて終わる。」

苦難。
「武器で殴れないからという理由で。」
「言葉で殴ればいいとかいう考え方は。」
「滑稽であると思う。」
「拳や刀を言説に交換しただけで。」
「口論は喧嘩の方法を変更しただけ。」
「殴って勝てなければ口喧嘩で勝てばいいとかいう。」
「風潮は笑いものだと思う。」

因果律。
「言葉で私を持ち上げて吹っ飛ばせるものなら。」
「やってみろよー。」

運命。
「この勝利はあなたにあげますよ、欲しいでしょ?ねぇ?」

苦難。
「体当たり。」

運命。
「うわあああ!」

一機ヘリコプターが墜落。

成実。
「逆説的に言えば。」
「多数決による仮説が蔓延しているのだと思いますよ。」
「そしてそれを裏切るすべてが許せないと。」
「仮説を守ろうとしている。」
「残酷ながら真実です。」
「彼らは自分達の仮説を守るために。」
「野蛮になっています。」
「ですが、多数決による仮説は一貫していませんので。」
「たまに切り替わっていたりして。」
「その都度、多数決による仮説の解釈だけは少しずつ違っています。」
「無論、彼らは自分達の仮説を裏切る者は何でも攻撃しますが。」

麗海。
「現実世界は嘲笑の標的という訳ですね。」

成実。
「歪曲されたものを元通りに復元しているだけ。」
「というのが私の行動原理です。」

小桃。
「全員が特定の仮説を持ち出して。」
「その仮説以外を持ち出さなくなったら。」
「ヒューマンエラーが既に発生していて。」
「わざと事故や事件に入っていく。」

天鞠。
「ヒューマンエラーは結果論からして。」
「故意に事故を起こしたのではないかと。」
「疑われるような混乱がある。」
「これを乗り越えるのには。」
「いろんな玄人の視点が必要で。」
「一部の玄人からは有力な推論が得られる。」
「ヒューマンエラーは保険にも入れないので。」
「防ぎようがない。

小桃。
「ヒューマンエラーに陥ると。」
「何でもうまくいかないし。」
「何でも悪く出るので。」
「手も足も出ない。」
「この時に切り札になる人の有無で。」
「ヒューマンエラーが停止されるのが定番です。」

天鞠。
「これは日常にも応用可能で。」
「言い分がおかしい人や。」
「詭弁ばかりの人は。」
「自分の持つ仮説を妄信して。」
「自分の仮説以外を考えられない状態です。」
「何を言っても通じないのは。」
「ヒューマンエラー特有のもので。」
「事故や事件に発展するまで。」
「永続的に間違いを続行します。」
「止められないので。」
「自滅させた方が簡単です。」

麗海。
「チェスの世界大会に出るプレイヤーは。」
「相手の立場になって手を読む。」
「自分の立場から手を読まない。」

成実。
「え?そうなんですか?」

麗海。
「現場に出れば理解できますよ。」
「ここから離れましょう。」
「ヘリコプターが追加で飛んでいます。」

天鞠。
「公正世界仮説?」
「誰にとっての公正なんだろう?」
「誰かの公正が別の人にとっては不公正で。」
「誰かの不公平が誰かにとっての公正であるし。」
「公正とは何か議論しないのに公正が出るとは思わない。」

小桃。
「現実の解釈を変更することで。」
「解決を企てる可能性はあります。」
「現実そのものが変えられないと。」
「意味はありません。」

家に戻りますと。

ヘリコプターのひとつが近くの山に着陸。

損傷して燃料も切れていて。

脱出したらしいです。

宿命論。
「あらかじめ決まった内容にしてやる!」

成実。
「こっちに来ていますよ。」

小桃。
「物騒な世の中ですねぇ。」

天鞠。
「お姉さん、何とかできますか?」

麗海。
「あんな野郎は何十人も殺しました。」
「上にではなく横に大きい。」
「横に長くて縦に長くない。」
「弱そうな見た目の横長人間。」

宿命論。
「そこのお前!決まった通りになるからな!」
「覚悟しろ!」

麗海。
「わかりました、それでは勝負しましょう。」

バーナーを取り出したと思ったら。

バーナーを使ったビームソード。

炎の刃で切り裂くという。

信じられない武器を取り出します。

燃費が悪いのが欠点らしくて。

バーナーの出力を弄っています。

麗海が不可思議な叫び声で。

敵に突撃。

相手は何か混乱したのか。

拳銃のマガジンを落としてしまいました。

宿命論。
「食らえ!ハンドガン・・・あれ?弾が入っていない・・・。」

麗海。
「前を見ろ。」

宿命論。
「ならば、このハンマーで・・・ガードできない!」
「貫通して燃える俺の図。」

麗海。
「勝負に二度目はないぞ、立ち去れ。」

敵が燃えながら。

近くの池に飛び込んで。

そのまま逃亡する暴漢。

麗海。
「それで?後はどうする気です?」

宿命論。
「逃げる。」
「こんな奴に勝てる訳ないだろ!」

成実。
「不可解な叫び声で。」
「相手は錯乱していたような?」

麗海。
「私のあの技を食らったらまともに戦えなくなるの。」

小桃。
「相手は激しく焦っていましたね。」

天鞠。
「あんな女性もいるのか。」

萌奈美。
「近頃、治安が悪いので。」
「防犯の呼びかけがありますよ。」

成実。
「全部、片付けてくれました。」

麗海。
「過大評価してくれるのは嬉しいけれど。」
「いろいろと勘違いしているよ。」

小桃。
「天才同士のゲームでは勝ち目あるのかな。」

萌奈美。
「天才とは既成概念の外で考えられる人の事です。」

麗海。
「最強になろうとする人はいるけれど。」
「人間を超えようとする人はいない。」

小桃。
「天才は人間業ではないからね。」

成実。
「警察官が来ました。」
「墜落したヘリを調べるようで。」
「追い払った件について情報提供を求めているようです。」

お手製のヘリコプターで戦う馬鹿がやらかして。

大騒動。

サンスクリット語で馬鹿とは?

無知、迷い。

という意味。

これが馬鹿の語源?

麗海。
「男性の存在は無批判で。」
「女性の存在は批判されている。」
「無批判の方からは何も発見できない。」
「よって、批判されて発見が多い女性が有利。」

小桃。
「性別とは受ける利益の違いも含まれているよ。」

萌奈美。
「良いものは最大まで貰えます。」
「これは確実です。」
「そして良いものを見るばかりに。」
「悪いものを減らす努力がたいてい足りていません。」
「悪いものも最低まで減らせます。」
「これも確実です。」

成実。
「逆説的に言えば。」
「悪いものが特に存在しない状態が幸福と言えます。」
「必ず良いものがあれば良いというものではなくて。」
「悪いものがほとんど無い。」
「という状態が現実的で強力であると言えます。」

麗海。
「損得勘定を用いるゲーム理論での。」
「最善の展開は。」
「マイナスの数字を消していくこと。」
「プラスだけ増やしても大きくなるとは限らない。」
「逆にマイナスを抑えれば難易度は激減します。」
「逆説的なゲーム理論を理解できる人はいると思います。」

成実。
「私は自らに慈悲深くあるように命令した。」
「そして禁欲は必要なものだけ得るという。」
「快適さを生みました。」

麗海。
「墓地に行く人を見たけれど。」
「なにあれ?」

萌奈美。
「死者がこの世に留まるなんてことはない。」
「プロテスタントで死者は神の元に行くと説かれる。」
「こちらでは黄泉の国に入っていく。」
「なので現世に幽霊なんてある訳がない。」
「伝統宗教から排斥される幽霊の概念は。」
「ユング心理学から見てやはり人間の作った幻。」

麗海。
「鰯の頭も信心から。」
「墓地もそういう意味なんですね。」

成実。
「学校では仲良くしろと言われますが。」
「間違いではありませんか?」
「融和というのが当たっていると思います。」

萌奈美。
「仲良く。」
「というのは命令形です。」
「融和という言い方ならば通ります。」
「古代ローマ。」
「コンコルディア神殿は。」
「融和が祀られているという歴史的前例があります。」
「仲良くはできませんが融和なら現実的です。」
「個人が仲良くという時は本人が定義できますが。」
「融和は客観的で。」
「融和の呼びかけに応じない者が露呈します。」
「大人の世界では融和が神聖とされます。」

小桃。
「女性は欠陥があるけれど。」
「メリットとデメリットがはっきりしていて。」
「性別について考えているわ。」

天鞠。
「なので、男性の模倣をやっています。」

麗海。
「何か武勇伝とかあったりして?」

天鞠。
「火事場の馬鹿力に六割未満の手加減で勝利したので。」
「火事場の馬鹿力なんてたかが知れていると思う。」
「手加減しても余裕。」

麗海。
「たまにありますよね。」
「相手がチート野郎かと思う小競り合い。」

天鞠。
「一回目は突進を片手で防いで見せた。」
「これでも手加減している。」
「二回目は。」
「片手で両手の奪取を防いで見せた。」
「最初から手加減していたけれど。」
「あの二倍くらいは防げる。」

麗海。
「人間の力なんて非力ですから。」
「この世にあるものの中で。」
「可能な行為しかできないものです。」

成実。
「レミさんの旅の目的は?」

麗海。
「小さな復讐をすることは。」
「全く復讐しないことよりも、人間的である。」

成実。
「方法が穏健ですよ。」
「復讐と言うと殺伐とした印象がありますから。」

麗海。
「最も恐ろしい復讐。」
「敵対者に徹底的に復讐しようと思うならば。」
「手に一杯の真実や正義を携えて。」
「それを相手に平然と切り出せるようになるまで。」
「待つべきである。」
「そうすれば。」
「復讐するということは。」
「正義を実行することと同じことになるからである。」
「これこそ。」
「最も恐ろしい復讐の仕方である。」
「というのも。」
「それはもはや控訴などのなされうるような上級審を。」
「全く持っていないからである。」
「人間的V237。」
「ニーチェ。」

成実。
「その客観的な方法で復讐を成し遂げる。」
「素敵です。」

天鞠。
「復讐を賞賛する。」

小桃。
「報復万歳!報復は真実!」

麗海。
「ベストを尽くして失敗したら?ベストを尽くしたってことさ。」
「スティーブ・ジョブズ。」

成実。
「敵側が拒絶しても意味ありませんね。」

麗海。
「いいえにいいえで返す。」
「ノーにはノーで返すのがスティーブ・ジョブズの必殺技。」

萌奈美。
「お菓子が出来ましたよ。」
「レミさんもまたいらっしゃい。」
「お客さんが増えて楽しいですから。」

麗海。
「好意に感謝します。」
「外部の情報をいっぱい持っていますので。」
「斬新なのかな。」

萌奈美。
「人生なんて同じ事の繰り返しでしょ?」
「そんなもの無い方が良いのです。」

天鞠。
「新聞に小説が載っているよ。」

小桃。
「五十年前の通俗小説のほとんどは残っていません。」
「百年前の通俗小説も残っていません。」
「現代の作品もほとんど残らないでしょう。」

天鞠。
「五十年経過したら。」
「現在のどんな作品も過去の産物かもしれません。」
「どんな現代作品も忘れられている。」
「しかし良い方に転べば。」
「歴史好きや考古学者が狂気の作品として。」
「私の作品を資料として保管しているのかもしれない。」
「狂気の詩人が出したものであると。」
「物好きが持っているのかもしれない。」

成実。
「信仰は個人に基づく。」
「スイスの法哲学者ヒルティの教え。」
「個人的体験に基づかない神学は無意味。」

小桃。
「ヒルティ幸福論は持っているわよ。」

天鞠。
「死生観が変わったわ。」

萌奈美。
「若い時代は永遠の処女である自分を見せて。」
「既婚者でも嘲笑しましょうか。」

麗海。
「どうせ死ぬんだからと開き直る方が健康かと。」

夕方近くになると。

予約が取れた旅館に問い合わせていて。

けっこう遠くに移動すると言い。

お礼にアメジストの宝石を置いた麗海さん。

駅まで送りました。

レミさんは計画を進めて。

もう立ち去るそうです。

次の目的地へ。

私も行動の自由をすべて確保したら。

気長な旅も良いかもしれないと。

レミさんは外部の情報源になりました。

日記。

引用。

自分の行為に対し卑怯な振る舞いをしないように。

自分の行為をあとになって見殺しにしないように。

良心の呵責は下品なことである。

ニーチェ「偶像・箴言10。」


25


私たちが食事をとれるのは。

肉屋や製造業者やパン屋の慈善のおかげではなく。

彼らが自分の利益を追いかけるからだ。

アダム・スミス。

机でレッスン中。

たまに受ける大学生の指導。

受験勉強の過程から培われた。

お姉さんの教え方は。

達成を委託する。

結末を任せる方法です。

成実。
「福沢諭吉。」
「啓蒙思想家によると。」
「人の能力は学問の有無に依存する。」
「これは蓋然性が高い。」

萌奈美。
「道徳は無視して合理的に行動する。」
「スミスの姿勢。」

成実。
「道徳は無視して自分の利益を追求する。」
「マキャベリの姿勢。」

萌奈美。
「私は。」
「道理に明るいし。」
「利益にも明るい。」

成実。
「自分の課題は容赦なく自分に降りかかりますが。」
「相手の課題は相手に容赦なく降りかかります。」

萌奈美。
「原因論の住人とは関われないと思います。」

成実。
「原因論で考える人と関わることは二重に不可能。」

萌奈美。
「尊敬なるアドラー博士。」
「国際的なアドラー心理学。」
「元々は会話の内容を弟子や研究者が復元したもので。」
「書籍はほとんどありません。」
「健全で調和する目的論は。」
「人間の機械的な部分を修正したり。」
「性格まで変えてしまう。」
「奇跡の心理学ですね。」
「起源がアドラー博士の会話や診断の内容が。」
「後々に復元されてまとまっているので。」
「アリストテレスが講義用のノートを作って。」
「それがそのまま後世に残ったように。」
「アドラー博士と交流したり診療を受けた内容が。」
「弟子伝えで復活して書籍化しています。」
「私はそう教わりました。」

成実。
「最初から体系化・網羅的ではなくて。」
「復活した心理学。」
「アリストテレスは書籍や文学は。」
「偶然発生したかどうかに注目していましたね。」

萌奈美。
「自然の成り行きで復元された時点で。」
「本物。」

成実。
「精神科の古典でもありますからね。」

萌奈美。
「しかも公に認められている。」

成実。
「アドラー学会の著者がまとめていますね。」
「アドラー心理学は大人気。」

再び雑談から。

勉強に入る。

雑談はある意味で遊びになっています。

理知的な遊びなのですが。

追従できる人は多くはありません。

ロジカルシンキングの攻略方法を研究。

勉強した内容が何に役に立つのか。

というのもお姉さんと一緒に研究しています。

成実。
「とある人が従順な理由はなぜか?」

萌奈美。
「人は従うと良い事があると思えば従います。」
「逆に従っても悪い事になると思えば離反します。」

成実。
「道徳よりも合理性が目立ちますね。」
「悪を避けるのが道徳の目的ですし。」
「悪を避けない道徳は欺瞞ですよ。」

萌奈美。
「道徳は悪の避け方を教えますからね。」

ここで休憩。

お菓子とジュースを飲んで。

勉強の目的は目先の利益なので。

目的論がしっかりしているため。

かなり進捗がありますね。

少し散歩に出て。

ハトの公園でパンをあげて。

適当に戻ってきました。

今回の勉強はここで打ち切ると。

お姉さんが述べます。

ヒルティ幸福論。

第一部。

第二部。

第三部。

これが置いてあるので。

読んでいると。

みんな集まってきまして。

どうやら勉強の時間帯を読んで。

機会を合わせたみたい。

遊具を持ち出して。

オモチャの剣で剣闘士をやっている。

仲間。

まだ取り込み中であると目撃されていますね。

持ち寄った古本を交換したり。

備品から出したボードゲームをやっています。

萌奈美。
「神の経綸は。」
「暗いか?」
「明るいか?」
「暗くしているか?」
「明るくしているか?」
「という解読になります。」
「人間がやるのは経綸を明るくするもの。」

成実。
「人間の努力で神の経綸は明るくなりますね。」
「逆に怠惰によって神の経綸は暗くなります。」
「人間の努力次第です。」

萌奈美。
「心の正しい人は経綸が心地よいと思います。」
「心の捻じれている人は見放されると思います。」

成実。
「礼拝の霊感から矜持を得ています。」
「お宮参りの神々の反応から。」
「自分について知るという。」
「霊験や頻繁に受ける霊威。」
「これらは国語辞典に言葉の意味がありますが。」
「神様の元に行った人は特別扱いになります。」
「公明正大にも誰でも可能性があると思われます。」

萌奈美。
「神様との親子関係。」
「主従関係。」
「神徳まで至ると絆は深いものです。」

成実。
「不可知論者は自分の認識を超える存在を。」
「認識できないと言っているので。」
「本人の能力を超える難題は吹っ掛けないようにしないと。」
「誰かは無神論かと思ったら。」
「不可知論者という中立の立場がお得ですよね。」

萌奈美。
「実際は社会で不可知論者は多数派ですね。」
「中立の立場でいて欲しいものです。」

成実。
「私は経綸を明るくしようとしましたが。」
「逆に経綸を暗くする人間ばかりのようです。」

萌奈美。
「寄ってたかって。」
「あの無知なる言葉と行為を持って。」
「経綸を暗くする者達。」

成実。
「その人間は呪いの言葉しか吐かないよね。」
「そもそも神聖な場所は。」
「呪われた人などは入れない。」

萌奈美。
「地域のお宮の方がお願い事が受理されやすいですね。」
「邪心を持つ人はお宮に近寄れませんし。」
「何回も参拝できません。」

成実。
「地域のお宮は邪心を持つ人ほど跳ね除けられますね。」
「近くに祓所があって通っています。」

萌奈美。
「祓所を見つけたら。」
「可能な限り通って。」
「後に好きな神様に。」
「因果決定論の全否定を伝えて。」
「解消して貰えば。」
「本当に不要なものは破壊され。」
「真実だけが残るようになります。」
「前世の報いが現生に来るというのは。」
「通説に過ぎませんので。」
「それに支配されないように。」

成実。
「アリストテレスは因果決定論を否定しています。」
「前世の影響が今に来るのなら。」
「何もコントロールできません。」
「今、何も操作できないのなら。」
「それが未来にも影響を与える。」
「そうなると無限ループして何も決められない。」
「と語られています。」
「そうなると因果決定論には矛盾が多く含まれていて。」
「たまたま広まって無批判になった通説と言えますね。」
「因果決定論はこうやって否定できる時点で真理ではないです。」
「アリストテレスが否定した時点で真実ではない。」
「たまたま信じられているだけです。」

萌奈美。
「そのため。」
「実行力で因果決定論を打てば。」
「何かは大義名分を失うのです。」
「因果決定論という大義名分を破壊すれば。」
「何かは口実も無くなります。」

成実。
「世間では伝統宗教における通説が勝手に広まっていて。」
「なぜか信じられていますが。」
「実際に所属すると。」
「あっさり覆る事ばかりです。」
「学ぶということは。」
「この世にあるものを知るというものですし。」

新聞を読みました。

魔法使いは自分の技能を訓練生にコピーさせる。

訓練生は模倣した力で能力が向上する。

その訓練生が後の訓練生に伝える。

こうして底上げをする仕組みになっている。

魔法使いが開く訓練場は人気。

新聞の見出しは妖女の訓練場が主題で。

格闘技みたいに習えるようです。

次の話題は。

中規模戦争の話題。

小規模の戦争が複数あって。

小競り合いで分が悪ければ退却して。

圧倒できればそのまま攻める。

相手に傘下を要求したり。

合併の話をして無傷で手に入れた後に。

勢力の大きいのを狙うという。

反戦論。

戦わずに対戦国を手に入れようと必死。

萌奈美。
「人を殺して良いのは。」
「人に殺される覚悟のある奴だけだ。」
「創世記。」

成実。
「聖書では。」
「神罰が必ず遅延するので人は罰が来ないと信じている。」
「とありますが。」
「プルタルコスにも同じようなエッセイが残っていますね。」
「神の経綸はヘブライ語原典のヨブ記に書かれています。」
「ダーウィン学派やダーウィン説の支持者は横暴なので。」
「何を説いても無意味でしょう。」

萌奈美。
「神の経綸。」
「直訳ではかりごと。」
「ヘブライ語原典訳本では。」
「経綸と書かれています。」

成実。
「経綸を暗くする者は誰か。」
「逆に言えば。」
「経綸を明るくする者はいるのか。」
「となりますよね。」

萌奈美。
「経綸(はかりごと)を暗くする者は誰かいる。」
「経綸を明るくする者はいないだろう。」

成実。
「神の経綸を明るくする者は誰もいないのか。」

萌奈美。
「解読するとそういう意味です。」
「ヨブ記からの引用。」

成実。
「暗くする人はいますが。」
「明るくする人は?」
「見た事が無いですね。」

萌奈美。
「神の正義と人間の正義の対戦でしたね。」

成実。
「ヨブは実在の人物ではないという説が有力です。」

萌奈美。
「人間の義は信用していません。」

成実。
「人間の義?」
「無知なる言葉しか持っていませんよ。」

萌奈美。
「神の義と人間の義が対戦したのですが。」
「政治などは何も期待していないので。」
「信じていないものは無視。」

成実。
「あらゆる政治の腐敗形態を研究すれば。」
「腐敗を予防できる可能性があります。」
「政治に関心の無い人は。」
「逆に言えば腐敗形態を学べば良いのです。」

新聞を読んでいると。

再び女の子が集結。

参加。

仲間の女の子がゲーム機を持ってきていて。

どのようなものかみんなで見学。

娯楽用の端末らしいのですが。

ゲームについての害悪と。

無益な遊びという点を教えられているのです。

半分禁欲主義で育ったために。

何であるかわかってしまいました。

天鞠。
「ビデオゲームでよくあるのは。」
「連戦で相手を倒していくバトル系。」
「設置するか登場する相手を倒して。」
「所定の場所やボスまで辿り着いて撃破する。」
「レトロゲームに多い形式。」
「ボックス系は建設と破壊があり。」
「自分から遊びを作っていくもの。」
「自分から作るゲームは多くはないね。」
「最近のゲームの形式。」
「ループ系はオンラインでよくある形式で。」
「同じような条件で無限に戦闘をするゲーム。」
「もっとも多くて捨てられやすい。」
「ビデオゲームは楽しいように作られている。」
「共通の設計思想があるため。」
「娯楽という設計思想が中心なので。」
「夢中になりやすい反面。」
「娯楽以上にならない可能性もあります。」
「学習型のゲームが登場して来ているので。」
「まったく無益なゲームほど捨てられていますね。」

小桃。
「プレイヤーがそれに価値が無いと判断すれば。」
「消耗品になってしまうため。」
「ゲームは設計思想に依存すると思います。」
「ビデオゲームは可能性が入りやすいので。」
「新作を出す難易度が高く。」
「数は有限ですが。」
「アイデアが無限だと思わない限りは。」
「アイデアは不足しないと思います。」

成実。
「アイデアを人間主体に置けば置くほど。」
「無限に出ると思い込み。」
「無理に出そうと無い所から引っ張ろうとします。」
「逆に言えばアイデアが有限であることを心得ていれば。」
「アイデアの方から出てくる事が多いものです。」

天鞠。
「アリストテレスはアイデアに思想が必要と述べています。」
「先にその人の中に思想があって。」
「これが想像や遊びによって調整されて。」
「或いは美化されて。」
「調和した形式でアイデアが出てくるため。」
「アイデアの起源は個人の思想ということになるようです。」
「経験や生まれつきの発想など。」
「見たものを模倣したり上書きを繰り返し。」
「蓄積された思想から出てくる。」
「という意味になります。」

文学に共通点を見出して。

夢中で見学する仲間。

しかしそれが何であるかわかってしまい。

欲しがらない女の子一同。

人は。

何であるかわかってしまったものには。

手を出さない。

成実。
「もし?」
「誰しもが主観の問題に過ぎなかったら。」
「問題の大半が消されてしまうでしょう。」

天鞠。
「すべてが主観的であれば。」
「全員の主観を疑うといろいろ出てきますね。」

女の子。
「逆境とか呼んで何をしているんでしょうか?」

成実。
「理由もなくうまく行かない。」
「あるいは。」
「理由もなく不利なゲームを。」
「たまたま逆境と呼んで美化しているらしい。」

天鞠。
「むやみやたらに美化する考え方は。」
「かなり頭の悪いものですよね。」
「自分に加えられた公害や汚染を。」
「自分から正当化してしまい。」
「自ら不利になる幼稚な考え方。」

小桃。
「というと。」
「車の燃料が無かったからと言う理由で。」
「買い物に行かないのと似ています。」
「逆境という名前の妨害は。」
「排除してしまえば良いのです。」

成実。
「解決策はひとつではありません。」
「逆境を潰してしまうのも解決策のひとつです。」

女の子。
「解決にはどんな方法も用いて良い理由になりますね。」
「正解はひとつではない。」

同級生。
「逆境とか名前をつけて。」
「自分はそれを乗り越えるんだとか。」
「かっこつけるのはやめてほしいものです。」
「そうやって逆境という悪いものを。」
「いちいち美化したら。」
「自分を破滅させてしまうのと同じですからね。」

美少女。
「いちいち悪いものを正当化する意味不明な思想。」
「流行りものですか。」
「馬鹿みたい。」

天鞠。
「実際、馬鹿なんですよ。」
「プラトンの思考実験で。」
「何でも自由にできる能力を誰かに与えたら?」
「その人を追跡して一部始終を見てみよう!」
「というものがありますが。」
「まず最初に逆境を消し去ってしまう。」
「何であるかわかったでしょう。」
「生ゴミを与えられて喜ぶ気持ちの悪い人間。」

成実。
「その人が正義か不正か試すために。」
「何でも自由にできる能力をその人に与えて。」
「どこまでもついて行って。」
「何をするか見てみよう。」
「プラトンの国家で出てくる思考実験ですが。」
「逆境という名前の生ゴミを捨てるに決まっています。」
「それが真実なんですよ。」

小桃。
「黒田官兵衛が息子に教えた教訓。」
「正解はひとつではない。」

女の子。
「息子が一揆衆を扇動していた大名に苦戦し。」
「息子に助言。」
「偽りの和睦を結んで。」
「首謀者を城に呼んでから惨殺してやったので。」
「一揆は鎮圧された。」

天鞠。
「一揆衆はいなくなった。」
「それで終わりです。」

竹槍を取り出して。

庭に置いてある人形を串刺しにして。

遊びましたが。

あんまりにも簡単に人形が破損して。

竹槍も破損しましたね。

石が入っている籠を持って。

三十メートル走をしまして。

意外にも全員が速いのです。

次に。

農家の人がやって来て。

焚火をしていろいろ燃やしました。

お姉さんが監督しており。

持ち寄った不用品を燃やして遊んだのです。

農家の人は安全な火遊びであると喜んでいます。

農家。
「世間の人のあの素晴らしい八方美人。」

萌奈美。
「八方美人が上手な世人。」
「逆に言えば演技が上手。」

成実。
「へつらいによる利己主義。」

小桃。
「みんな自分のために八方美人になっている。」

成実。
「利己的な八方美人。」
「社会ではなくて世間と同化しようと試みる。」
「実の所は社会を無視して世間を重んじる考え方。」

天鞠。
「利己主義が過ぎると。」
「あっさり反社会的な性格に陥りますね。」
「利己主義から来る反社会性は。」
「矯正することは可能です。」
「反対に利他主義が過ぎたものは。」
「社会に適用し過ぎて害になっています。」
「最強の社会性も最悪な反社会性も。」
「同じく害悪になりますね。」

小桃。
「反社会的な人間は常に最悪なものを覚悟しなければならない。」

成実。
「邪心を持つ者に何言っても無意味ですけれどね。」

女の子。
「反社会的な人間に対して。」
「希望は目の前に現れて。」
「悪しき人間が手を伸ばす瞬間に。」
「希望はさっと取り上げられてしまう。」

天鞠。
「悪人の願いは決して叶いませんよ。」

成実。
「その通りに希望は悪人を欺き続ける。」

小桃。
「さてさて、とある行為が悪だとわかっていて。」
「それを実際にやってしまうのかな?」

天鞠。
「正当化しない限りは悪だとわかっていて。」
「やるものではないですね。」

女の子。
「邪悪な行いとわかっていて。」
「それができるのかな。」

成実。
「悪しき人間ほど自分が正しいと信じる傾向がありますから。」
「醜悪な行為でも正しいと思えばやるでしょうね。」

天鞠。
「予定説が飛び出してくるのでは。」

小桃。
「神様が決めている人以外はすべて使い捨て?」

女の子。
「そんな雰囲気がありますけれど。」

同級生。
「なので人気の無いのが予定説なんですけれどね。」
「神様が決めなかった人が反抗して。」
「叩いているようにしか見えません。」
「自分が決められているのか確かめたくて。」
「叩いている場合もあるでしょうし。」

成実。
「聖人の予定説でしか考えられない人間の有様ですけれどね。」
「私は経験論から予定説を支持しますが。」

天鞠。
「体験談から予定説を信じます。」

小桃。
「予定説を信じている時点で選ばれている気がしますけれどね。」

女の子。
「気のせいじゃなければ良いですよね。」

昔の料理は煮るか焼くか。

米と味噌汁くらいが料理で。

野菜などを蒸したり。

焼いて煮るか。

という簡単なもので。

この料理は誰でも可能です。

農家の人が野菜を持ってきて。

それを焚火で焼きました。

農家。
「豊かな社会性が培われているのはなぜか?」

成実。
「社会に過剰な適応をしなかったから。」

小桃。
「教師が良かったのです。」

天鞠。
「経験論では。」
「生まれてからすぐに外部の情報を遮断して来るのです。」
「私は外部から情報を入れたからです。」

成実。
「自分の居場所を正当化する狙いもあるでしょうけれど。」
「比較させないことで保持するとか。」

小桃。
「それはどこかで見ましたね。」

女の子。
「疑う事を知らないようにするためですね。」

成実。
「何も疑わない人はいいようにされるだけかと。」

農家。
「何も疑わないと飼いやすい従順な人間だろうね。」

女の子。
「性悪説はどこでも有利ですよ。」

雑談しつつ。

野菜を焼く。

バーベキューに移行。

新手のおやつですね。

小桃。
「お正月に巫女服でお宮に参拝したの。」

成実。
「ギフテッドの巫女はありえますか?」

天鞠。
「天才の女性の出現は妨害されていますけれどね。」

小桃。
「私は疑似再現したのかな?」

成実。
「いや、とんでもない、可能性を見せて貰ったので。」

農家。
「人間関係が円滑にならない人は。」
「なぜそうなるのだろうか?」

成実。
「他人と衝突する時は。」
「相手が何を考えているのか。」
「探りを入れる必要があります。」
「探りを入れない限りは。」
「建設的な関係は築けませんし。」
「探った内容を理解できるかどうかです。」

小桃。
「私的な理論で推し進める場合は。」
「最後には挫折するか。」
「何もかも悪く出るものです。」
「私的な理論は相手も同じ条件ですので。」
「対人関係は同じ条件でのやり取りですね。」

農家。
「僕は学校が万能であると思っていたので。」
「ずっと万能という間違った前提で育って。」
「それが大人の世界に持ち込めないと。」
「後で知ったのだよ。」
「けっこう非難されたものだね。」

天鞠。
「とある人が非難されても。」
「非難しているのは一部だけで。」
「大半の人々は無関心ですよ。」
「賞賛も一部の人だけで。」
「他の人々は無関心です。」
「一部だけを見て全部がそうであると。」
「思わないように。」

成実。
「外部の人間が人間関係を壊したがっている。」
「その場合は円滑に進みませんけれどね。」

天鞠。
「相手の行為の目的は何であるかを探って。」
「その目的を察してしまうのは。」
「目的論の技術です。」
「自分の目的を達成しようとするのは。」
「原因論をすべて無視できますから。」
「自分が何を目的としているのかをわかっておけば。」
「他人の操作は受けません。」

小桃。
「相手の目的を達成させないことで防御できますし。」
「相手の目的次第で対応の難易度が左右されますね。」

成実。
「自分の目的は他人のコントロールを無視できますし。」
「他人が何を言っても妨害しても。」
「自分の目的は断念しません。」

天鞠。
「相手の目的が悪いものであれば。」
「それを挫いてやれば。」
「自衛にまで使えますし。」
「自分の目的が良いものであれば。」
「強引に推し進める事も容易です。」

農家。
「桁違いの女の子を今ここで見ていると。」
「誰が師匠なのか見てみたいものだよ。」

小桃。
「私達のような存在には必ず師匠がいますよ。」

成実。
「能力の不足なのか運の影響なのか。」
「能力以外の要素も考えてほしい。」
「実力不足を考える前には。」
「実力以外の要素も考えて欲しいものです。」
「これは基本の見落とし。」

農家。
「そこまで見落としが僕にはあるのか。」

天鞠。
「頭の良さが争点なのか。」
「本当に頭の悪さが争点なのか。」
「それとも別の何か。」
「賢いとは主観的な言い分なのか。」
「賢いとは客観的に評価できるのか。」
「見落とし。」

農家。
「教え方が上手な人がいたんだね。」
「特に哲学の傾向が強いのは。」
「それを上手に学んだから哲学が得意なんだね。」

成実。
「最初に習ったのが哲学ですからね。」

小桃。
「先天的に得意なのよ。」

天鞠。
「哲学は学問の基本ですけれど。」

女の子。
「元祖学問ですから。」
「それを師匠から習うものです。」

スマートフォンに通知。

弾道ミサイルが大都市圏に飛んできて。

自衛隊のTHAADで弾道ミサイルを破壊。

ミサイルみたいな誘導砲弾や。

高性能ジャミング装置で。

防空網を突破しようとした五発目は。

小型核搭載の迎撃ミサイルでの爆風で。

空中分解。

予測を超える多段迎撃の自衛隊と米軍。

対戦国は弾道ミサイルの数が減っています。

短期間で補充できない消耗。

成実。
「第二次世界大戦で戦争観が止まっているのは。」
「いろいろおかしいです。」

農家。
「キューバミサイル危機とかありましたやん。」

天鞠。
「他国は元気に戦争やっているのに。」
「日本だけは別の世界の出来事のように。」
「教えられています。」

小桃。
「戦争の悲惨さとかの文句は先の戦争での負け惜しみ。」
「道徳を無視して核武装すれば。」
「手出しできない軍事力でしたし。」
「移動式弾道ミサイルランチャーでも良かったのでは。」

成実。
「戦略型潜水艦から水中発射核ミサイル。」
「くらい持っていれば無敵でしたね。」

天鞠。
「無限に負け惜しみを繰り返すのは良くない。」
「敗北の言い訳なんて教えられたくない。」

農家。
「結果論の方が真実でしたね。」

萌奈美。
「私達より世人の方がもっと多くの諸説ある意見を言いますけれどね。」

農家。
「やはり世間と社会は別物だね。」

お姉さんがテレビを見ていて。

最近。

クーデターで軍事政権が多数。

誕生。

政権転覆で得た権力で。

次々と戦争に突入。

暴力的な国家は長続きしないため。

市民の反感を買って。

早くも一部崩壊。

国際連合の記者会見。

ウァリエタース。
「友よ、耳を貸していただきたい。」
「今、私がここにいるのは。」
「平和のためであって。」
「軍事国家を讃えるためではない。」
「人の悪事を成すや。」
「その死後まで残り。」
「善事はしばしば骨と共に土に埋もれる。」
「彼らもまたそうあらしめよう。」
「高潔の士、メルムは諸君の前に立った。」
「コンウィンケレは野心を抱いていたと。」
「そうだとすれば。」
「それこそ悲しむべき欠点だったと言う他ない。」
「そしてまた、悲しむべきことに。」
「コンウィンケレはその報いを受けたのだ。」
「ここに私は、メルム及びその他の承認を得て。」
「それも、メルムが公明正大の士であり。」
「その他の人々とて同様。」
「すべての公明正大の人物なればこそ。」
「今こうして言葉を述べさせてもらえるわけだが。」
「コンウィンケレは我が友であり、私は常に誠実。」
「かつ公正であった。」
「が、メルムは言う、コンウィンケレは野心を抱いていたと。」
「そしてメルムは公明正大の士である。」

成実。
「なにか大事件があったようで。」

小桃。
「これからが本番かも。」

ウァリエタース。
「コンウィンケレは多くの捕虜を自国に連れ帰ったことがある。」
「しかもその身代金はことごとく国庫に収めた。」
「かかるコンウィンケレに野心らしきものが少しでも窺われようか?」
「貧しき者が飢えに泣くのを見て。」
「コンウィンケレもまた涙した。」
「野心はもっと冷酷なもので出来ているはずだ。」
「が、メルムは言う、コンウィンケレは野心を懐いていたと。」
「そしてメルムは公明正大の士である。」
「みなも知っていよう。」
「国の祝日で私は三回も王冠を捧げたが。」
「コンウィンケレは三回とも退けた。」
「果たして、これが野心か?」
「が、メルムは言う。」
「コンウィンケレは野心を懐いていたと。」
「そして、もとよりメルムは公明正大の士である。」

天鞠。
「どうやらあの人の言い分に一理ありそうですね。」

ウァリエタース。
「私は何もメルムの言葉を否定せんがために言うのではない。」
「ただ己の知る所を述べんがため。」
「今ここにいるのだ。」

萌奈美。
「政権転覆で暗殺された指導者の代理ですか。」

農家。
「人間なんて何かしら戦っているのだから。」
「それの規模なんて関係ないとは思うけれどね。」

女の子。
「いろいろ諦めた意見ですなあ。」

ウァリエタース。
「みなもかつてはコンウィンケレを支持していた。」
「もちろん、それだけの理由があってのことだ。」
「とすれば、現在いかなる理由によって。」
「コンウィンケレを慰める心を抑えようとするのか?」
「ああ、今や分別も野獣のもとに走り。」
「人々は理性を失ってしまったのか!」

小桃。
「人々が動揺していますね。」

成実。
「専制政治で知性度抜群の連邦軍で。」
「なにやら事件。」

天鞠。
「世界の人々が扇動されて。」
「勢いがついていますよ。」

この後すぐに。

扇動によって。

軍事政権が二重に転覆。

クーデターで獲得した権力が。

別の誰かに掌握されるという。

一度に二回政権転覆した軍事政権。

速報。

首謀者。
「私の名は、グルーデック・クーラト。」
「おまえたちの父親を殺したのは、この私だ。」
「おまえたちは私と同じだ。」
「復讐という亡霊にとりつかれて。」
「悲劇的な人生を歩め。」

もはや乱戦。

軍事政権が誕生してまたすぐ覆る。

世界レベルで代理戦争に突入したようで。

諸国内戦という訳ですね。

所で。

魔法使いの訓練場は私の地域にもありますが。

どうしましょう。

そこは大宮姉妹を訪ねるべきでしょうか。

夏休みにまた別荘を訪れるそうなので。

それを待っても遅くは無さそうです。

岩波国語辞典。

妖女。

@妖婦。

A魔法使いの女。


26


プラトン。

国家。

第二巻。

三章。

つぎに、正義を守っている人々は。

自分が不正をはたらくだけの能力がないために。

しぶしぶそうしているのだという点ですが。

このことは。

次のような思考実験をしてみれば。

いちばんよくわかるでしょう。

つまり、正しい人と不正な人のそれぞれに。

何でも望むがままのことができる自由を与えてやるわけです。

そのうえで二人のあとをつけて行って。

両者それぞれが欲望によってどこへ導かれるかを観察すればよい。

そうすれば、正しい人が欲心(分をおかすこと)に駆られて。

不正な人とまったく同じところへ赴いて行く現場を。

われわれははっきり見ることができるでしょう。

すべて自然状態にあるものは。

この欲心をこそ善きものとして追及するのが本来のあり方なのであって。

ただそれが、法の力でむりやりに平等の尊重へと。

わきへ逸らされているにすぎないのです。

昼寝から覚めると。

麗海さんがいて。

遠くからリターンしてくる帰りでして。

お姉さんと議論して意見交換を楽しんでいたのです。

外部の情報源がこんなにあっさりと。

萌奈美。
「現実の諸問題は結局。」
「ファイナルアンサーでは。」
「何でも好きにできる。」
「何でも望み通りで何でも自由にできる。」
「その力が与えられたら。」
「何をするか考えてみて。」
「その結果が真実であるのは異論がない。」
「というのも。」
「すべてが自由になる力を得たと考えるのは。」
「明らかに楽しいし気持ちの良いもので。」
「そこから次々と真実が飛び出すから。」

麗海。
「正義か不正かは判定されるものの。」
「現実なんてそんなもので。」
「プラトンは遠回しに現実の諸問題を一蹴している。」
「ストア派が入り込むと。」
「あっという間に現実を嘲笑し。」
「現実を無いものとして扱えるし。」
「現実の諸問題の真実は。」
「思考実験による結果で。」
「個別にファイナルアンサーが用意されている。」

成実。
「既にこの世にあるものなんですね。」
「紀元前にそんな真実の出し方があるなんて。」

麗海。
「あなたもやってみたら?」

萌奈美。
「プラトン大先生なら文句は出ないでしょうし。」

成実。
「もし私にすべてが自由になる力があったら?」
「何でも好きにしますね。」

麗海。
「そうなると諸問題なんて一瞬で無意味になって消え失せますよね。」

萌奈美。
「加えられるだけ消えてしまう問題集。」

成実。
「そんなに薄っぺらな問題に悩んでいたとは知りませんでした。」

麗海。
「私も、それが現実の流儀だとは知らなかったな。」

萌奈美。
「それが現実の理屈だとは知らなかったわ。」

成実。
「諸問題が空気かガスみたいなものですね。」

麗海。
「プラトン。」
「国家。」
「第九巻。」
「十二章。」
「あらゆる点からみて、正義を讃える人の説くところは真実であり。」
「不正を讃える人の説くところは誤りであることになるだろう。」
「なぜなら。」
「快楽のことを考えてみても。」
「評判や利益のことを考えてみても。」
「正義の礼讃者は真実を語っているのに対して。」
「正義をけなす人の言い分には何ひとつ当っているところがないし。」
「またそもそも。」
「自分が何をけなしているかを知らずにけなしているのだからね。」

萌奈美。
「ええ、まったく何もわかっているとは思えません。」

麗海。
「この辺りは正論を超えるもので。」
「正義を讃える人の言い分は真実であり。」
「不正を讃える人の言い分はすべて誤りであると指摘されている。」
「一方的に真実が通らないのは。」
「不正が阻んでいるからで。」
「不正を讃える者は正義をけなしている。」
「それがわからないほど不正の礼讃者は愚鈍が過ぎると指摘される。」
「不正は頭がありえないほど悪過ぎて。」
「なにもわからない。」
「ということを説明している。」

成実。
「わかっていないのは自分以外のいろいろなものなんですね。」

萌奈美。
「そうやって自分の運命を倒して。」
「見せしめにするのです。」

麗海。
「正義は自分で勝ち取ったものですからね。」
「冷遇されたのなら自分で勝ち取れば良いものです。」

成実。
「天はもはやどうすることもできない。」

萌奈美。
「でしょ?不正なのはその天なのです。」

麗海。
「となると、不正の礼讃者との対戦は避けられない。」
「しかしオーバーキルは必ずします。」
「見せしめに。」

成実。
「かなり荒々しいのですが。」
「どこかで見覚えがあります。」

麗海。
「神々は荒々しい側面と穏やかな一面があります。」
「神々に教化されて似てくると。」
「自分も荒々しい一面があっても当たり前ですね。」

萌奈美。
「この世の仕組みは愚かなものだと思います。」
「神々とは異なった反応をよくします。」

成実。
「神様と食い違うものなんていくらでもありますからね。」

麗海。
「それがなぜなのかは理解できません。」

萌奈美。
「人間は自分達の教義を語り続けているとか。」

麗海。
「ヒューマニズムは最後に。」
「人間の教義を永遠に語るという愚行に陥りますしね。」

成実。
「それだと、自分の教義だから何でも正しいと確信して。」
「話し合いの余地はありませんね。」

麗海。
「ヒューマニストは本気でやっていますけれどね。」

萌奈美。
「私は眠たいです。」

麗海。
「女性は眠くなりやすい。」

萌奈美。
「女性は友達とのおしゃべりが大好き。」

麗海。
「それは本当です。」

アナスタシア。
「女性は直感の精度が異常なくらい高く。」
「男性を遥かに凌ぐ。」
「女性の直感の餌食になる場合が多々ある。」

萌奈美。
「男性には考えられない。」
「些細な競争がある。」
「衣服のセンスや持ち物が良いとか。」
「奥底には切磋琢磨の精神があるので。」
「良いか悪いかどちらか。」

麗海。
「女性はとても雄弁なため。」
「男性よりも喋るのが上手。」
「女性は弁論術を自然に習得しているため。」
「男性よりも雄弁に話す傾向が強い。」

アナスタシア。
「女性は直観の力が強くなる傾向にあり。」
「空間認識能力には劣っている。」
「目測や幾何学が不得意な傾向にある。」
「脳の作りには大きな違いはないけれど。」

成実。
「女性が短いスカートを履くのは。」
「簡単に好みの話で。」
「見えてしまう可能性はとっくに知っている。」

アナスタシア。
「異性に自分を見せたいからです。」

萌奈美。
「どうしても異性に見せたい自分の容姿。」
「男性が必要でなくても好意が向けられる。」

麗海。
「女性にとってお化粧は身だしなみ。」
「言い換えれば趣味。」

萌奈美。
「生理前には体調が悪くなり。」
「不機嫌になる。」

アナスタシア。
「すべての女性に月経痛があるわけではなく。」
「まったくない女性もいる。」
「初経後に数年経過すると。」
「不快な症状が出る女性が多く。」
「軽度から重度まで個人差がある。」
「酷い場合は病院での治療が必要。」
「漢方薬が豊富にあるため。」
「女性の医療は恵まれている。」

成実。
「女性にも色欲はあるものの。」
「少しでも侵入を許せば。」
「性行為でなくても妊娠する。」
「たまたま何かが間接的に。」
「体内に侵入すると。」
「性行為なしでも妊娠する可能性があるため。」
「男性との接触は危ない。」

アナスタシア。
「男性に対して一定の距離を保ってね。」

萌奈美。
「男性の方が痛覚は鈍いですよね。」

麗海。
「女性の体は痛覚が誇張してしまう。」

萌奈美。
「女性は疲労しにくい筋肉の比率が多いため。」
「体力が男性よりも多い。」
「長期戦になると女性が圧倒的に有利。」

麗海。
「格闘技を習った女性は。」
「男性を過大評価していたことに気づく。」

萌奈美。
「この後は婦人科に行ってきます。」

アナスタシア。
「女性はホルモンなどの生理関係に体調が左右される。」

麗海。
「ああ、片頭痛はそのためですか。」

成実。
「女性が好きな女性は歴史において数多くいたとか。」

萌奈美。
「本当にいますよ。」
「むしろ女性で良くないですか?」

麗海。
「女性の共同体で私は満足です。」

アナスタシア。
「男性に生まれなくて良かった。」
「男性なんかに決してなれないですからね。」

成実。
「私は眠い。」

萌奈美。
「私は自分のもの以外はすべて認めない。」

麗海。
「賛成。」

アナスタシア。
「支持。」

家の奥から登場。

アナスタシアさんも一緒にいました。

車で帰る途中のようです。

外部の情報が欲しいという頼み事は。

麗海さんの保存した写真や集めた論文。

映像などで丸わかりです。

都市部の映像を保存していたり。

本屋さんで取り寄せれば。

いくらでも古典が読めると知って。

本屋さんに注文することになりました。

かなり大量に。

私の家は意外にもお金持ちなので。

簡単に実行できます。

散歩して。

また駅から電車に乗って。

自宅へ帰るとのこと。

成実。
「なぜか専制政治の思想が私の中にあるのですが。」
「こんな変なものどこで入ったのでしょうか。」

萌奈美。
「すべてが洗脳と呼ぶのは無理ですよ。」
「人は外部の影響を必ず受けますから。」
「むしろ問いかけを続けるのが健全ですよ。」

麗海。
「なぜ独裁者はだめなのか?」
「という話題沸騰の問いですが。」
「私の回答は。」
「現在の政治や制度が一日で出来上がったものではないこと。」
「歴史の前例をたくさん取り入れていること。」
「実際に大きな問題がなく機能していること。」
「特に短期間で完成された政治ではないという点が大きいのです。」
「独裁者は一日で全部を変えようとしますから。」
「それに指導者だけで政治は成り立っておらず。」
「市民や特権階級もいますし。」
「身分が低いという理由で除外できないのです。」
「実際に民間人を無視した政治は長続きしません。」
「他の政党が独裁者を打倒する口実に使われてしまいます。」

萌奈美。
「哲人は上記の問題をすべてクリアできますし。」
「哲人が統治するのが最良なのです。」
「社会はその時代に最も適していると思われる。」
「政治形態を選択しますので。」
「無理に変えると思わぬ不具合があるかと思われます。」
「シミュレーションゲームでも民主主義の複雑な仕組みが再現されているので。」
「それをやってからでも遅くはありませんね。」

成実。
「歴史において。」
「君主と僭主君主は別物なのですが。」
「古代ギリシアのタレスは。」
「年老いた僭主君主が珍しいと述べています。」
「つまりは僭主君主とは老齢になる前に死んでいます。」
「生き残らないので珍しいのです。」

麗海。
「政治形態は大きな問題が発生するまで変更されません。」
「民主主義も決定的な崩壊が生じるまでは続きます。」

萌奈美。
「逆説的に考えれば多くの情報を得ますよ。」
「何でも逆手に取って考えるのは多くの発見があります。」

成実。
「本気で学問をしたいのなら。」
「哲人を目指せと言う意味ですよね。」
「哲学からしか世界を把握できないじゃないですか。」
「問いかけもクリティカルシンキングを極めたものです。」

麗海。
「クリティカルシンキングを極めるのは時代に合っていますよ。」

萌奈美。
「その後は実行力が争点なのですけれどね。」

駅に到着。

USBメモリーをお姉さんに渡す麗海さん。

欲しい情報を貰えて喜ぶ。

立ち去る麗海さん。

ちょうど来た電車。

振り向くと。

友達が女の子グループの中に。

天鞠。
「簡単な解説。」
「アリストテレス詩学では。」
「戯曲の書き方が語られていますが。」
「何を語るべきかは。」
「役に立つことであるという趣旨です。」
「弁証法が重視されて。」
「例えば。」
「自分の哲学から来る持論と。」
「その後にそれを反証する意見と。」
「交互に繰り返します。」
「文法に警告があり。」
「言葉の使用法則で不自然なものは禁止ですね。」

小桃。
「喜劇は道化師がやられ役で。」
「シェイクスピアの一節で。」
「物語とは道化師なしでは成立しないという。」
「悲劇は優れた人物が必ず破滅する物語です。」
「悲劇の方が難易度は高いのです。」
「キーポイントは表現にあります。」
「何かを再現するための技術ですね。」
「文法に関する記述が多いのは。」
「きちんとした文法を習わないと何も成立しないという意味で。」
「レトリックの達人シェイクスピアを模倣するのが素早いものです。」
「文学者は古典で詩人と言われて。」
「文学は詩人がやるものなので。」
「詩を書いた事のない人は無理でしょう。」
「詩を書きまくった人なら詩学を理解できます。」

女の子。
「哲人の文学は雑魚とは違うんですね。」

同級生。
「とりあいずシェイクスピアを引き合いに出せば。」
「現代の文学なんて見劣りしますね。」

小桃。
「文法が異なるから?」

同級生。
「審査員が無能だと思います。」

天鞠。
「審査員が無能?」
「ありそうなことですね?」

小桃。
「何を語るべきかは。」
「プラトン大先生が言及していましたし。」
「実際その通りですよ。」

女の子。
「故意に傑作は出ませんしね。」

天鞠。
「プラトン大先生も偶然発生した文学が。」
「最善であると語っていましたよ。」

小桃。
「クイナパラスも入ってよ。」

成実。
「残念、私は用事があるので。」

小桃。
「では、我々で何か良い意見で妥協しましょう。」

天鞠。
「去る者は追わず。」

小さな本屋さんで古典を注文。

そのあと。

近所の神社に行きました。

境内にキジバトがたくさんいて。

とことこ歩いています。

お宮で祈りました。

私にもし何でも自由にできる力があれば。

何でもするでしょう。

私の諸問題はそんなものなのです。

風が吹き抜けました。

カラスのチームが近くにいて羽ばたきます。

これが私のファイナルアンサーでした。



27


唯名論。

真に存在するのは個々のもの。

例えば個人のようなものだけであって。

人間一般とか人類とかのようなものは。

便宜上の名前や記号に過ぎないと考える立場。

対。

実念論。

国語辞典を読んでいる。

地域の若い女性と女の子一同。

卒業して進路待ちの女性から。

家業を継いでいる修練中の女性。

進路の予定がない女性まで。

和服やスカートやドレスなど。

他所行きの服装。

成実。
「おもうさま。」
「思う存分。」
「十分に。」
「思う様。」

和服女性。
「おもうぞんぶん。」
「心に満足するほど。」
「したいかぎり、十分に。」
「思う存分。」

小桃。
「思い通り。」
「という言葉は国語辞典に載っていなかった。」
「これは謎。」

天鞠。
「結婚なんて離反できますよね?」

女性。
「女性は支配側に回る時だけは結婚を撃破できます。」

るる。
「エリザベス1世は処女王として。」
「生涯独身で子供も産みませんでした。」
「千五百三十三年から千六百三年。」

天鞠。
「歴史における前例はありますね。」

女の子。
「当たり前みたいになっている女性社会から離脱。」

女子大学。
「逃げ遅れた者は放っておく。」
「自分から逃げない選択をした偽善者は多いから。」

成実。
「価値判断の課題でしょうけれど。」
「それに巻き込まれる人の事くらいは考え欲しいものです。」
「多数派の同調の影響を受けるから。」
「数こそパワー。」
「なんて幼稚な事は言わないで。」

小桃。
「脅迫とはひとえに脅えた者の武器にすぎない。」

天鞠。
「よく自ら訂正する人に忠告を求めよ。」

萌奈美。
「自由を公平に分配されておきながら。」
「これを利用しないのはもったいない。」
「すぐさまクーポン券のように配布された自由に。」
「物を言わせてすべてを自由にしようと試みるべし。」
「逆説的に言えば。」
「神様からのプレゼントが自由なのだから。」
「個人的な体験では恩寵説として。」
「最初に自由が貰えるもので。」
「すぐさま使わないともったいない。」
「多分、有効期限があるからね。」
「そして個人のそれまでは決定論だったので。」
「深い責任は実在しない。」
「コントロールできなかったと自白した時点で。」
「責任を失う。」

るる。
「個人技の時代ですなあ。」

天鞠。
「すべての人間を悪党と見なすのが。」
「政治の基本原理だ。」
「ヒューム。」

成実。
「政治理念を支持します。」

小桃。
「悪党だと見なしていれば。」
「利得が膨大です。」

るる。
「人間が悪党だと見なしていると。」
「得ばかりして大儲けですよ。」

和服女性。
「政治はヒュームの格言通りですしね。」

文系女子。
「政治がそうなら民間でも同じかと。」

女子高生。
「実際、人間はみんな悪党ですからね。」

女性。
「その方が理解しやすいかと。」

るる。
「性善説の女性は欠陥品ですか?」
「男性が必要なのか。」
「なんとなく売り渡しているのか。」
「男性も悪党だと見なしていれば。」
「信用しませんよ。」

令嬢。
「好きとか言う感情だけを取り除けば。」
「もはや恋とか夫婦などは成立しない。」
「そんなに浅い関係でしょうね。」
「好きという部分だけを取り除けばあっさり崩壊。」

るる。
「考えの浅さというもが露呈。」

自由人。
「圧倒されて不満があるなら。」
「その人のせいだと思います。」

令嬢。
「数こそパワー。」
「この台詞を全員で言いましょう。」

自由人。
「なんでも数で決まるべきです。」

文系女子。
「多数決が撃破されるかと。」

和服女性。
「なんて言う専制政治な発言ですか。」
「数こそパワーなんて。」

女子高生。
「民間法廷なのです。」

成実。
「ルールだと?ふん、私がルールだ。」

小桃。
「ルールですと?そんなの私がルールですよ。」

天鞠。
「私がルールです。」

女性。
「ルール?それを言って良いのは私だけ。」

令嬢。
「やめなさいよ!暴論が出てくる!」

るる。
「昔は一夫多妻制、その名残で。」
「男女片方が浮気するのは当たり前です。」

女史。
「恋というものは危険なもので。」
「失敗が前提に組み込まれていますから。」
「マインドコントロールが解けてから。」
「相手を判断するのが最善です。」

成実。
「自分が確信した行動を取って来て。」
「常に無批判な人間は厄介。」
「確信した内容だけを実行して。」
「批判の入る余地が無い。」

女史。
「なぜかいますよね。」
「自分が確信するともう批判しない。」

萌奈美。
「同じ勇気でも、前へ進む勇気はわが身を滅ぼし。」
「後ろへ退く勇気はわが身を生かす。」
「進むことを知って退くことを知らない勇気。」
「匹夫の勇は自滅のもと。」

女性。
「寸鉄人を刺す。」

小桃。
「エリートひとりひとりが一騎当千という訳です。」

るる。
「バーナム効果に陥る全体主義者。」

女子高生。
「バーナム効果の全体主義。」

文系女子。
「誰にでも当てはまる事で叱責する。」

イラストレーター。
「自分と異なる意見、態度の者は悪だ!」

芸術家。
「自分とは違う者は悪だ!」

令嬢。
「やめなさいよ!それなら自分以外が悪という意味でしょ!」

女の子。
「悪しき生まれもバーナム効果。」

成実。
「他人の生まれの内容が。」
「バーナム効果による決定であると。」
「怪しまれるものがある。」
「誰にでも当てはまることで責め立てて。」
「ああなっているのだと思う。」
「生まれの決定がバーナム効果ならば。」
「凶悪犯も真っ青になる独裁者ですなあ。」
「反出生主義の主張にも。」
「出生という仕組みはバーナム効果で決まると。」
「分析する哲学者もいますが。」
「どうやら蓋然性が高い。」

萌奈美。
「けちをつけてから破壊しまくるのはやめてください。」

るる。
「けちをつけてから完璧で無くしてから壊しまくる。」

女史。
「けちをつければ完璧ではないので。」
「けちをつけまくる。」

成実。
「古代ギリシア。」
「非難・嘲笑の権化。」
「モーモス。」
「別名モモス。」
「何にでもけちをつけて。」
「神々のする事すら嘲笑する。」
「手に負えない存在。」
「私の特技。」

女の子。
「イソップ童話でも登場する。」

和服女性。
「忍耐とは我慢大会の事を言うらしいけれど。」
「忍耐が皆無な者が何かを成功させた試しは。」
「どこにも無いとは思います。」

女性。
「何にでもけちをつけて破壊しまくる。」

小桃。
「もう手に負えない。」

萌奈美。
「百点からの減点は絶対主義がよくやりますね。」
「ゼロ点からの加点をするのが健全です。」
「百点からマイナスをひとつも許さないのは。」
「二重に不可能な要求で。」
「完璧な人以外は何も許さない態度です。」
「ゼロ点から加点して行くのは。」
「この世に本来ある人の理解ですね。」
「たいていは真逆の事ばかり蔓延していると。」
「減点から加点に変更するように。」
「何でも逆説的に思えるでしょうけれど。」
「前進する事だけしか知らない人間は。」
「一方通行のような理解が目立ちます。」
「前に進むだけで退かないので。」
「それは勇気ではありません。」

令嬢。
「絶対主義?合っている場面なんてありましたっけ?」

文系女子。
「絶対視する部分に少しくらいの誤りがありますし。」

萌奈美。
「絶対主義はカオス理論そのものです。」

天鞠。
「あの数学ですか。」

小桃。
「バタフライ・エフェクト。」

女子高生。
「些細な事で未来予測は変貌する。」

芸術家。
「何か絶対的なものを確保しようとしても。」
「すぐに疑問に変わって崩れる。」

るる。
「加点式の方が良いですね。」
「ハイスコアが好き。」

天鞠。
「何か戦争の情報が入り込みますが。」
「戦い慣れている女性は。」
「男性では考えられない動きをしますね。」

女史。
「もったいない女性のハイスペックですね。」

令嬢。
「自由になった女性への苦情は。」
「ヤハウェ神に言ってください。」

女史。
「それ確実に死ぬでしょ。」

文系女子。
「自由になった女性への苦情を神様に言う?」

成実。
「なんという自由に対する無謀な挑戦。」

萌奈美。
「世人の男性は女性を自由にしたくなくて。」
「気に入らないという理由で食い止めていた。」

和服女性。
「なんていう無駄な抵抗を。」

女史。
「自由になった女性は好き放題しますよ。」

女子高生。
「他人の説得なんて聞く訳がないでしょう。」

萌奈美。
「暴走した個人なんて誰かが心配しなくて良いものです。」

るる。
「全体主義が常に暴走するので。」
「何を今更。」

令嬢。
「存在からして狂っている人間性がよく現れている現代ですね。」

るる。
「狂っていない人間なんているの?」

文系女子。
「いないですよ。」

芸術家。
「自由への挑戦なんて命知らず。」

イラストレーター。
「個別に動く女性が疎ましい中年世代。」

自由人。
「理由は?ないんですよ。」

女性。
「理由もなく反抗するの?意味不明。」

天鞠。
「人間なんて劣等種族だから。」
「下等な人間なんか相手にしたくない。」

成実。
「私は人間が対処できないもの担当です。」

萌奈美。
「軍人から習った戦争の技術は。」
「自由を守るために欠かせない。」

女史。
「格闘技の連撃で素人は沈みますしね。」

令嬢。
「暴漢はチートをするので。」
「戦場だと思えば相手は動かなくなります。」

成実。
「戦争の映像からの研究。」
「兵士は戦争に勝利するのが目的で動くため。」
「手段なんてどうでも良くて。」
「片側の陣営の兵士は怒っているか。」
「高圧的で。」
「片側の陣営の兵士は感情すら無い。」

小桃。
「自分達を殺しに来た敵に対して。」
「見せれば良いのは残忍さなので。」
「人を殺すのではなくて敵を殺しているだけ。」
「敵対者を殺すのには良心なんて足を引っ張る要素。」

天鞠。
「何も考えずに敵を発見すれば発砲するし。」
「人ではなくて敵を殺しているので。」
「かえって自慢話になったり。」
「退役軍人は生き残ったことが名誉であると。」
「語る場合があります。」
「それでもやり過ぎるとその兵士は後悔しますね。」

女史。
「士気が終わるまで高かった兵士は自らの正当性を主張しますし。」
「戦場で民間人がいれば。」
「意味不明な行為をしたので民間人を撃ち殺した兵士が。」
「映像でも残っていました。」
「新生イラク兵でしたが。」
「敵対者は殺しに来ているので。」
「対戦側も殺しに行くのは当たり前。」
「そして敵を殺すのに一度慣れると。」
「次から平気で何十人も撃ち殺す。」
「敵対とはそういう意味であり。」
「普段から民間人も行っている。」
「敵対という名前の悪逆非道な振る舞い。」
「内側でも殺し合いをしておいて平和主義というのは自己矛盾。」
「道教に不争の徳というものがありますが。」
「敵対するくらいなら両者が避け続けて。」
「両者が同時に逃亡するのが合理的です。」
「そうなるとお互いに利益があります。」

萌奈美。
「勝っても負けても本質的な違いはない。」
「勝ったところで浮かれることもないし。」
「負けたところでがっくりすることもない。」

成実。
「勝っても、有頂天になることはないし。」
「才能や功績を誇ることもない。」
「戦いとは。」
「相手から仕掛けられてやむをえずするものだと。」
「心得ているので。」
「かりに勝ったとしても武力を誇示しないのだ。」

天鞠。
「真の戦上手は、目的を達したらさっさと矛を収め。」
「むやみに強がることはしないものだという。」

女史。
「弱そうに見えた瞬間に相手は弱くなる。」

萌奈美。
「暴漢は一テンポから二テンポ素早いので。」
「敵の戦術を読んでから攻撃を仕掛ける。」

成実。
「敵の戦術を習っておくと。」
「悪党とか弱いですもん。」

女史。
「三十秒以内に倒さないと失敗ですけどね。」

るる。
「戦闘になると時間制限がありますよ。」

和服女性。
「本当に相手を抹殺したいのなら。」
「三十秒で相手は二度と動きません。」

令嬢。
「いっそのこと戦場なら好き放題に殺せます。」

天鞠。
「どんな悪党でも。」
「慈悲に縋るという。」
「最後の手段くらいは残されています。」
「もっとも。」
「それは人間には期待できませんが。」
「人間以外には期待できます。」
「悪党は決まって慈悲に縋らないけれどね。」

萌奈美。
「勝った者が強い。」
「これに反対する者は。」
「最初から勝負が決まっていると安心するから。」
「強いから勝つと言っている。」
「実の所はまぐれでも勝った者が強いし。」
「戦いという不確かな行為で。」
「確実が保証される訳がないから。」
「英語のことわざ通り。」
「戦いに勝つかどうかは不確かなもの。」

天鞠。
「敵を軽視すれば墓穴を掘る。」
「杜撰な戦力分析。」
「一面的、主観的な判断。」
「このふたつによる自信過剰。」

成実。
「善悪を超越して生きる。」
「善を称揚し悪を排斥して暮らすよりは。」
「善悪を超越して。」
「道そのままに生きるのがよい。」

小桃。
「清らかな環境が最善です、言うまでもなく。」
「汚い環境、そもそも汚いとわかっていたら。」
「入りませんよね。」

女子高生。
「清浄な環境とそれ以外のもの?」
「それは名案。」

天鞠。
「この後のお宮参りに祈願しますね。」

女の子。
「スーパーサイエンティストの動画面白いよ。」

芸術家。
「噂の超科学ですか。」

萌奈美。
「タレスのイオニア自然学。」
「自然にあるものを考察したり。」
「論理的に研究することで発展。」
「ギリシア哲学の最初になっています。」
「イオニア自然学は自然科学とよく似ていて。」
「現代の自然科学の起源はイオニア自然学から出たもので。」
「元々は哲学に組み込まれた学問でしたね。」

るる。
「紀元前から科学は実在したのですね。」

文系女子。
「意外と伝統のある部門なのですよ。」

和服女性。
「科学が古代世界から研究されていたなんて。」

自由人。
「輸入した学問もありますよね。」

イラストレーター。
「それがありふれた情報だったりして。」

小桃。
「人生に不変のものはありえない。」

萌奈美。
「ピュタゴラスが輪廻転生を教えて。」
「学問の基礎を築くのに貢献していますが。」
「ヨーロッパでは粗野で洗練されない。」
「霊魂不死説と見なされていました。」
「起源はピュタゴラスの宗教的変革者としての。」
「密議宗教の社会集団を創設した辺りです。」
「哲学としてはピュタゴラスが輪廻転生を教えたのが。」
「最初です。」

天鞠。
「輪廻転生も哲学から出たんですね。」

小桃。
「今ではいろいろ混ざっていますが。」

萌奈美。
「アレキサンドロス大王の後は。」
「ストア派が真実に気づきました。」
「ストア派は自分で自分を支配する自由な個人という理想を持ちます。」
「自分のものは自分で支配します。」

成実。
「ストア派は中途半端な慰めに甘んじない。」
「ストア派はソクラテスと同じなので。」
「同一の態度・姿勢・哲学を持っています。」
「ソクラテスの産婆術が基本にあるのはそのためです。」
「徹底的に論破して質問責めにしたソクラテスの流れなので。」
「当たり前のように組み込まれています。」

天鞠。
「古代世界ではストア派とエピクロス派という。」
「二学派があり。」
「ライバル同士。」
「互いにソクラテスから出た後裔であり。」
「起源がソクラテスにあります。」

小桃。
「東洋でもソクラテスの無知の知はよくありますね。」
「論語でもあります。」

萌奈美。
「知っているのに知らないふりをする。」
「これが最高のあり方だ。」
「知りもしないのに知ったかぶりをする。」
「これは重大な欠点だ。」

老子。

荘子。

大量の本が女性を囲んでいて山積み。

本だらけの女性だけの世界。

男子禁制。

成実。
「主体性のない相手は信頼できぬ。」
「彼らは私を理解してくれたわけではない。」
「人から言われて援助したのだ。」
「事情が変わって。」
「私が陥れられる時でも。」
「やはり人の言葉に動かされてそうするに違いない。」

小桃。
「当てにならないものを当てにして生きるのは阿呆のやること。」

女子高生。
「最近、政治の話題に拘泥する理屈がわからない。」

女史。
「市民が可能なのは投票だけでは?」

令嬢。
「大局ばかり見ているせいで。」
「灯台下暗し。」

るる。
「政治ですと?」
「自分のことはどうなんですか?」

萌奈美。
「人の世の天下なんて簡単なものです。」
「人の本性を害するものを取り除いてやるだけですよ。」

天鞠。
「天下とは不思議なもので。」
「取ろうとしても取れるものではないのだ。」
「取ろうとすれば。」
「バラバラに崩れ。」
「握ろうとすれば。」
「逃げ去ってしまう。」

萌奈美。
「善く敵に勝つ者は与わず。」
「善く人を用うる者はこれが下となる。」
「天下取りは。」
「無用の争いを避け。」
「戦わずして勝つことを心がけてきた。」
「兵法書でよくある教え。」

和服女性。
「すべてが見透かされているような気分です。」
「人間のすることはことごとく見破られ。」
「誰もが手を打ち尽くしています。」

女史。
「目的に対してどこまでも食らいついてくる。」
「誰かが振り切ったと思っても。」
「またすぐに。」

成実。
「相手の予測を超えていた。」
「相手の予測に狂いはなかったのだけれど。」

小桃。
「自らが強いなどと言うのは。」
「争いの中に長くいた奴の過信だ。」

るる。
「自分のことを善人と呼ぶのは。」
「世間に長くいた奴の過信だ。」

女史。
「With one exception, and apologize.」

萌奈美。
「lN GOD WE TRUST. ALL OTHERS PAY IN CASH.」

成実。
「祓所に通うと。」
「自然に来る打撃が真実で。」
「人工的な打撃は虚偽。」

小桃。
「因果決定論は無視されますね。」
「超自然的な領域ですから。」

天鞠。
「例外のない規則はない。」

成実。
「例外を裁くと世界が歪んでしまうね。」

るる。
「出生の決定を破壊する優越感。」

和服女性。
「出生の内容を裏切る爽快感。」

成実。
「例外を無理矢理、裁くとおかしくなる。」

るる。
「古本屋で拾い物。」
「間違いだらけのフロイトですが一応は天才。」

天鞠。
「未だに係争中の激戦区。」
「論争だらけの詭弁家。」

文系女子。
「パラノイア。」
「自分は邪悪な意図を持った人物あるいは。」
「集団によって追われている。」
「襲われている。」
「毒を盛られている。」
「痛めつけられている。」
「などと思い込む。」
「この思い込みはたいてい。」
「自分が重要人物などだという。」
「大げさな確信を伴う。」
「だから付け狙われているだ。」
「というわけ。」
「自分は王族の子孫なのだとか。」
「自分は重大な秘密を握っていて。」
「敵はそれを奪おうとしているのだ。」
「といったもの。」

女子高生。
「それは宗教カルトが作ったものでは?」
「新興宗教が抱きそうな考え方です。」

るる。
「説明付けなんて無限にできるんですし。」
「説明だけあっても解決にはなりません。」

成実。
「説明付けにも限界がある。」

女史。
「説明だけしかない。」

天鞠。
「説明だけがあって、他には何にもない。」

和服女性。
「そして説明付けには限界がある。」

小桃。
「Et tu, Brute!」
「And you, too, Brutus!」

天鞠。
「さっき、空に超科学が飛んでいました。」

成実。
「UFOとか言われる探査機。」
「宇宙の多様性について。」
「天御中主大神様。」
「宇宙創造の神。」
「何回も参拝したので理解できます。」
「宇宙人の視点で。」
「地球人類を客観的に見る。」
「というものでした。」
「人類は自分達を主観的に見ていますので。」
「宇宙人から見た人類を想像すれば。」
「客観的な視点が得られます。」
「ほのめかすUFOはそれを与えたいのです。」

和服女性。
「宇宙人から見た地球人類?」
「本当ですね。」
「人間は自分達を主観的にしか見れないから。」

女子高生。
「宇宙人の視点で地球や文明を。」
「客観的に見るのは可能ですね。」

成実。
「そうなると得られる情報が増えます。」

るる。
「それは究極の多様性だと思われます。」

小桃。
「なぜ地球人が何々なのか説明ができますし。」
「どこがだめなのかもわかりますね。」

天鞠。
「UFOからこちらはどう見えているのか。」
「問いかけがたくさん出てきそうです。」

女史。
「テクノロジーレベルがまず違いますが。」
「ほのめかす行動が目立っている点。」
「倫理観が抜群なのは理解できます。」

天鞠。
「彼らは限られた人にしか見せません。」
「形而上学が得意な私の前に出てきたのです。」

成実。
「天の川銀河で知的生命体が他にいるとか。」
「簡単に予想できると思いますが。」
「もう見慣れてしまって。」
「よくあることなのです。」

小桃。
「ありそうなことならいくらでもありますが。」
「ありそうなことをいくら並べても。」
「ありそうなことの無限ループですよね。」

女史。
「空ばかり見ていると出現しやすい。」

るる。
「何か倫理学の基準でもあるのだと思います。」

成実。
「人類全体に関して。」
「良いものはほとんどないことを私は知りました。」
「私の経験では。」
「人類のほとんどは屑です。」
「フロイトの手紙より。」

女子高生。
「世人は完璧な人間以外は許さない。」

萌奈美。
「お宮で仕方がなく人間を裏切ったと報告しました。」

女史。
「主導権を奪い、維持し、拡大せよ。」

成実。
「すべてを守ろうとするものは、すべてを失う。」

小桃。
「平等が実現しているらしいです。」

萌奈美。
「平等ですって?」
「そんなもの考えたこともありません。」

天鞠。
「どちらが大嘘をつけるかで勝負しましょう。」

るる。
「わかりました。」
「この世界には人間という生き物がいて。」

天鞠。
「まいった!あなたの勝利です!」

萌奈美。
「人生について登頂した人がいるらしいのです。」
「見晴らしの良い山頂からの眺めは良いらしいとか。」

女史。
「さて、それでは、私も人間を体験するとしよう。」

和服女性。
「人生のお試し期間は百年ですからね。」

女の子。
「人という存在の疑似体験は面白いものです。」

るる。
「私もいい加減、本番に行きたいものです。」

成実。
「情報は自動的には上がってこない。」

小桃。
「EEI・CCIR。」

萌奈美。
「新聞社がアンケートを実施しました。」
「世界の国々の問題を解決するためのご意見をお聞かせください。」
「しかしこの調査は大失敗に終わりました。」
「なぜなら。」
「アフリカ人には問題の意味がわからなかった。」
「アメリカ人にはアンケートの意味がわからなかった。」
「ロシア人には解決の意味がわからなかった。」
「日本人には意見の意味がわからなかった。」
「中国人は世界の国々の意味がわからなかった。」

女子高生。
「意見とは何かについて回答は?」

るる。
「今度、知り合いに意見について質問してみるね。」

小桃。
「誰か返事をくれるかな?」

成実。
「そんなもの世人に求めても無駄です。」

萌奈美。
「なぜ走っているの?」

女の子。
「走るな。」
「と言われたから。」

るる。
「額に汗して稼いだ百万円と。」
「一日にして株で儲けた百万円。」
「どちらに価値があるだろうか?」

成実。
「どちらも同じ百万円ですが?」
「なにがおかしいので?」

萌奈美。
「コストパフォーマンスって知っている?」

女の子。
「いろんな壁がありそうです。」

天鞠。
「穿貫作用。」
「強引に突き破って穴をあける。」

成実。
「みんな破壊。」
「便利な破壊。」
「人生は戦争。」

小桃。
「AIを模倣した情け容赦ない人道軽視の猛攻。」

萌奈美。
「性善説は悪に負ける。」

るる。
「悪に負ける性善説。」

萌奈美。
「十分に終わりのことを考えよ、まず最初に終わりを考慮せよ。」

バドミントンで遊び始めました。

離れの家はこれ以降。

若い女性が集まる場所になりまして。

自由を徹底的に活用して。

自由への挑戦に対抗するとのこと。

敵対者というものを理解していない民衆と。

自由の意味を知っている女性一同。

何の説得も通じませんね。

なぜなら。

誰かが心配するものではないから。

強要には力で対抗するからです。

格言。

生に執着するでもないし。

死を忌避するでもない。

この世に生を受けたからといって。

喜ぶこともなく。

この世を去るからといって。

悲しむでもない。

ただ、無心に来て、無心に去っていくだけである。


28


説服。

相手を説き伏せて自分の意見に従わせること。

岩波国語辞典。

恐竜の着ぐるみを来た人が。

ショッピングモールのイベントで登場して。

アピールしていまして。

甘噛みされるサービスがあったのですが。

イタズラで。

私が進み出て。

手刀で攻撃しました。

恐竜。
「良い挑戦者である。」

成実。
「強い者が勝つんじゃない。」
「勝ったものが強いんだ。」

司会。
「フランツ・アントン・ベッケンバウアー。」
「ドイツ大会でトータルフットボールを駆使する。」
「最強のオランダと対戦して勝利。」
「優勝してその言葉を残した。」

甘噛みに来た疑似恐竜をひらりと避けて。

相手が飛び込んでくると同時に。

前か斜めに突進すると当たりません。

様子を見ている時はとりあいず。

サイドステップで回り込みます。

何回も殴ったら恐竜が降参しましたね。

偶発的な戦闘ショーになったので。

呆然とする観客。

恐竜。
「人間の力ではない!」

司会。
「おやおや、恐竜が負けてしまいましたね。」
「やはり勝った者が強くて。」
「負けた者が弱いのですね。」

アイドル。
「そのような挑戦は歓迎します。」

成実。
「私は人間が勝てる相手じゃないよ。」

司会。
「人間のドグマチズムという訳ですか?」

天鞠。
「神が存在しないことを証明できないと言うなら。」
「ホメロス風神話の神々が。」
「存在しないことを証明できない。」
「ともつけ加えなければならない。」
「ラッセル。」

歌手。
「私は友美だから友美。」

司会。
「それは何々イコール何々という意味では?」

不審者。
「〇〇だから〇〇!!」

変態。
「何々だから何々!!」

不審者。
「〇〇だから〇〇!!」

数学者。
「AだからAなんて何言ってんだ!」

科学者。
「バケツだからバケツと言っているのと同じだぞ!」

不審者。
「〇〇は〇〇なんだよ!!」

数学者。
「計算式ですらない。」

警備員。
「この人はこうだからこうなんて。」
「詭弁術顔負けですな。」
「どっかへ行け。」

成実。
「デカルト曰く。」
「真理を探究するのなら。」
「人生で一度は。」
「あらゆるものを疑えるだけ疑う必要がある。」

小桃。
「フランシス・ベーコン曰く。」
「真実は、混乱よりも誤りのなかから現れやすい。」

その場にいた人がイタズラをきっかけに。

遊んでくれたので。

私の自己主張が通りましたね。

一部の人は熱狂して撮影しておりました。

帰宅。

ニュースの時間。

テレビを見ているお姉さん。

海岸で遊びに来ていた。

賢者は。

サメに遭遇したものの。

サメは小型で。

賢者の遊泳を妨害して。

溺れかけた。

賢者。
「ぐおおおぉ!?」
「散々な目に遭った。」

漁師。
「ちょうど地引網をしておりまして。」
「あのサメは捕獲されましたよ。」

賢者。
「賢者に対してこのような無礼を働いたものは。」
「数十年これまで一度もあった試しはない。」
「それをサメがしたとは。」

賢者は怒って教会に行くと。

サメに罰を与えてくれるように頼んだ。

神父。
「サメに刑罰?サメという名前の人にですか?」

賢者。
「そうだ!サメだ!無礼者だ!」

神父。
「では、あなたがやるのなら。」
「この通りが良いでしょう。」

金持ちや権力者も集まって。

サメという名前の人物らしきものについて。

議論されたが。

とうとう。

無礼を働いたサメに対して宣告が下された。

権力者。
「大海原の真ん中で。」
「船の上から突き落として。」
「溺死させる。」

賢者。
「では刑の執行を。」

権力者。
「明日にでも。」

賢者。
「すぐさま。」

船から海に突き落とされたサメは。

どこかへ消えていった。

休憩後。

短距離をランニングしていますと。

張り紙。

中古車の広告で。

話題の格安さで注目されている。

題名は。

売りたし!掘り起こした中古車。

ほとんど新品で。

一度も走ったことなし。

一度、捨てられたことがあるだけ。

戻ってくると。

お姉さんがラジオを聞いていて。

内容は。

反乱軍に加わって。

独裁者に捕らえられた阿呆。

独裁者。
「よくも裏切ったな。」

阿呆。
「あなたが裏切ったのですよ。」

独裁者。
「よりにもよってあんな大事な場面で。」

阿呆。
「僕にとっては好都合でしたが。」

独裁者。
「よし、死刑とする。」

独裁者が阿呆に死刑を宣告したが。

独裁者の銅像を建てていたことがあるとわかった。

独裁者。
「おっと、君の事を勘違いしていた。」
「何かの間違いで反乱に加勢したのだろう。」
「とても残念に思う。」

阿呆。
「お前も同じ経歴があるくせに。」

独裁者。
「最後に頼み事を届けてやろう。」
「あのような見事な銅像は今や公園の名物。」
「俺も悪党ではないと言うから。」
「お前はどうやって死ぬのか。」
「自分で死に方を選んで良い。」

阿呆。
「本当ですか?」

独裁者。
「早く言え。」
「明日までに考えておけ。」

阿呆。
「いやいや、もう決めました。」

独裁者。
「どうだ?何で死にたい?」

阿呆。
「はい、私は老衰で死ぬことを希望します。」

涼しい顔をしている阿呆に大笑いして。

独裁者は阿呆を釈放した。

なんか意味わからないので。

図書館に向かいます。

市街地の小さな図書館。

通りかかる大きな橋。

何かあったようです。

橋の下で遊んでいた中年男性ですが。

いきなり溺れそうになった。

通りすがりの警察官がいて。

助けてくれと頼んでも。

戸惑うばかりで。

対応が遅れた。

警察官。
「なんでそんなところで泳いでいるんだ!?」

中年男性。
「なに手間取ってんだ!」
「もう体力が無いんだぞ!」

警察官。
「もうしばらくお待ちを。」

中年男性。
「ああ!ならこうしてやる!」

中年男性が。

持っていた小石を警察官に当てた。

警察官。
「公務執行妨害で逮捕する!」

中年男性。
「助けてくれ。」

警察官は。

川に飛び込んで男性を逮捕したものの。

不起訴になるみたい。

診療所の近くに通りかかると。

診療所に来ていた会社員。

玄関で歓迎された。

医者。
「ようこそ!初めての来院ですね?」

会社員。
「はい、でもなぜ私が初対面だとわかるんですか?」

医者。
「いやいや、この町で私に慈善を頼むやつなんて。」
「誰もいませんからね。」

医者は涼しい顔で治療に進みました。

図書館の前にて。

天鞠。
「けっこう共同体に貢献しているのに。」
「あんまり自慢しないようですが。」

小桃。
「頂上を極めたら退く。」
「功を挙げたら身を引く。」
「そのほうが功績や名誉を全うすることができるから。」

女の子。
「ですよね。」

和服女性。
「将来の予定は?」

天鞠。
「戦術は準備よし。」
「後は上手に行くかな。」

女子高生。
「古典が山積みになるほど。」
「学問があるのなら。」
「能力に困らないと思いますけれど。」

るる。
「兵法としてはどうですか?」

天鞠。
「マキアヴェッリ顔負けの作戦。」
「縮めようとするなら、まず伸ばしてやる。」
「弱めようとするなら。」
「まず強くしてやる。」
「追い出そうとするなら。」
「まず味方に引き入れる。」
「取ろうとするなら。」
「まず与えてやる。」
「老子の策略。」

るる。
「やはり本物ですね。」

女子高生。
「必然に身を任せるような無能な者ではなくて。」
「自由も使いまくるエリート。」

天鞠。
「控えめにしていれば辱めを受けない。」
「止まることを心得ていれば危険はない。」
「のだという。」
「止足の戒め。」

成実。
「前に強引に進むのは必然に身を任せる者に多いのです。」

小桃。
「進めないのに退かない?」
「なんてことを。」

成実。
「教えられたのは。」
「世俗の価値判断を超越すること。」
「自分の主体性を守って生きること。」

天鞠。
「古人の教えは現代で圧倒的ですね。」

成実。
「無用のなんたるかを知っている人間だけが。」
「有用なるものについて語る資格を持っているのだ。」
「荘子。」

女子高生。
「突き抜ける訓戒。」

るる。
「有能な者ほどつまづきやすい。」

天鞠。
「それは何回も見ています。」

るる。
「利害関係に甘えは禁物。」

成実。
「利害関係くらいは知っておきたい。」

るる。
「人知などたかが知れている。」

天鞠。
「人知?なぜそんなものを頼れるんでしょうかね?」

小桃。
「立場は簡単にひっくり返る。」

成実。
「長く見ると簡単にひっくり返っていますよね。」

近くで猫が走り回っています。

猫が家屋に浸入。

隣の主婦。

お昼ご飯の魚を。

裏から入って来た。

魚を素早く奪う猫。

妻。
「なんということを!返せ!」

猫に強奪されて。

追いかけると。

夫。
「だめだよ。」
「猫も一生懸命に生きているんだから。」

妻。
「わたしらだって一生懸命に生きているんだから!」

慌てて猫を追いかけた。

猫が駆け回る。

少し遠くにある野球の名所。

制服さんが野球をしていた。

とある打席。

制服さんが打ったファウルボールが大きく左に逸れ。

野球場から飛び出してしまった。

すると何と。

野球場の傍の道路を走っていたバイクの運転手を直撃。

バイクはバランスを崩して横転。

それを避けようとした大型トラックが野球場に突っ込んで。

炎上してしまった。

野球場の近くの人を含めて。

多数の死傷者が発生する大事故となってしまったのである。

その報告を聞いた制服さんは真っ青になった。

制服さん。
「なんてことだ、私はいったい、これからどうすればいいのだろう?」

お偉いさんが答えた。

お偉いさん。
「そうだな、バックスイングの際のグリップの位置を修正すれば。」
「グッと良くなると思うね。」

監督は制服さんに流し打ちなどを伝えて。

試合は再開された。

制服さん。
「自分の意見を絶対に正しいと思っている人間は愚かだ。」

お偉いさん。
「なるほど、だが、あなたのその意見は本当に正しいのだろうか?」

制服さん。
「もちろん、絶対に正しい。」

為政者。
「この世の悪を掃討するような解決策はあるだろうか?」

お偉いさん。
「二つの可能性が考えられる。」
「ひとつは自然な解決策。」
「もうひとつは超自然的な解決策である。」
「自然の解決策とは。」
「天から降りてきた罰が。」
「この世の悪という悪を消し去ることである。」
「超自然的な解決策とは。」
「人間が考えを改めて。」
「自らの意志で悪を避けることである。」

近くの野球場で火災発生。

女子高生。
「野球場で何かあったね。」

小桃。
「大事件?」

天鞠。
「そんなところです。」

るる。
「それは魅力の書籍。」

成実。
「シラー全集は高かったけれど。」
「ドイツ劇文学の最高峰だけに。」
「獲得する価値が大いにありました。」

るる。
「それでまた何人かに妬まれたり反感を買ったのですか。」

成実。
「相手のせいでしょ。」

女子高生。
「反感?妬み?そんな輩。」
「自分の無能さを呪えばいいよ。」

成実。
「バーナム効果で非難され叱責されることもあります。」
「誰にでも当てはまることで。」
「ターゲットにするのは頭がおかしいよ。」

小桃。
「認知バイアスからは逃れられませんので。」
「バーナム効果で標的になっても。」
「ありそうなことですが。」

るる。
「暴力を撃破して嘲笑った。」

天鞠。
「この世界なんて結局。」
「力の優劣の問題ですからね。」

成実。
「力の優劣で立場や境遇がありますからね。」

るる。
「すぐに誰しもが理解しますよ。」
「そして人間の行く手を阻むかのように。」
「人間の能力を超えた超自然的現象が襲撃する。」

小桃。
「人間が勝てない相手こそ世界の真理。」

女子高生。
「自然災害で冗談ばかり言っていたのは。」
「あなたでしたね。」

成実。
「個人において。」
「特撮とかハリウッド映画みたいには行きません。」
「攻撃性が強いと戦闘でも平気。」
「おまけに相手を圧倒する。」

るる。
「しかしながら。」
「映画やアニメの登場人物は。」
「現代の戦術や殺し合いを知らないし。」
「どうでもいい雑魚として扱われるのが大半です。」
「兵士の訓練で映像がありますが。」
「戦争の映像くらいは見ておきたいですね。」
「なぜなら。」
「戦場では個人の力が絶対視できないからです。」

成実。
「戦闘中に喋っている余裕などない。」
「呼吸の問題で無理。」
「もし特撮みたいに喋りまくると。」
「奇襲やら先制攻撃でやられますよ。」

天鞠。
「スペイン剣術とかの試合でも。」
「実際にやってみると。」
「素人は餌食。」

成実。
「男性なら喧嘩でたったひとりに苦戦しているはず。」
「戦場では雑魚の二十倍も戦闘力がある。」
「兵士が何百人もその場にいます。」

小桃。
「総合格闘技の試合に出れば。」
「彼らの自分を絶対視する思想は打ち砕かれます。」

天鞠。
「そう思いたい人に説教したとしても。」
「意味ないかと。」

成実。
「ですよね。」
「自分が英雄だと思いたい人は。」
「プライドに価値があると思いたいらしいので。」

るる。
「アメリカ海兵隊では志願兵の訓練で。」
「最初にプライドを破壊しますね。」

女子高生。
「我々は。」
「自主的にプライドを破壊したので合格かと。」

天鞠。
「反駁と否定は別物ですよね。」

小桃。
「多くは反駁で、反論でも否定でもありません。」

るる。
「証拠を集めて論説を打ち破らない限りは否定にならないのでは。」

成実。
「否定って何?」

るる。
「持論を言ったらキリがない気がしますが。」

小桃。
「気のせいじゃないの?」

成実。
「失うものがないと。」
「純粋に力を信じることができる。」

天鞠。
「そんな相手になぜ負けたのだ。」
「という相手の疑問。」

るる。
「何が違ったのか。」
「すべてが違ったのです。」

女子高生。
「主導権争いをしている時点で平和を望むだけ無駄です。」

天鞠。
「主導権争い。」
「それを好む人間は平和主義者とは似て非なる存在。」

成実。
「しかし相手がそれを望むのであれば。」

天鞠。
「相手が望んだ争い。」

小桃。
「敵対者は正邪判断ばかりしていますね。」

成実。
「正邪判断は危険。」
「だいぶ危険。」

るる。
「正邪判断は自分で自分を洗脳する行為です。」

成実。
「感情が歪んでしまい。」
「パターン化された思考になりますね。」

女子高生。
「それ以外の考え方はできなくなる。」

るる。
「他人を押しのける場合は。」
「相手の反撃まで考慮に入れるべきですね。」

天鞠。
「他人を攻撃したいのなら。」
「反撃まで覚悟するべし。」

小桃。
「自衛以外の戦闘はありえない。」

成実。
「まったくその通り。」
「自衛以外の戦闘はありません。」

天鞠。
「やるのは自衛だけです。」
「自衛のために武装して相手を排除する。」

るる。
「性善説は矛盾があります。」
「衆愚は他人が善人であると信じています。」

女子高生。
「無条件で善人な訳がありますかね。」

和服女性。
「よくある経験論。」
「世の中、いい人ばかりじゃないよ。」

るる。
「そのいい人ってなんですか?」

成実。
「私は性悪説をお宮で伝えましたけれどね。」

天鞠。
「なんて合理的な。」

和服女性。
「歴史を見れば性善説なんてどこにもありませんよ。」

小桃。
「それでも良いものや最善を尽くした結果ですよ。」

和服女性。
「実際には極端な性悪説で。」
「性善説は排除する仕組みですね。」

るる。
「政治の仕組みは強力な性悪説で。」
「構成されています。」
「つまりは。」
「善人など実在しないという。」
「善人の完全否定で成立しています。」
「性善説では自壊してしまうので。」
「実際に通用した性悪説の政治を機能させています。」
「課題は民衆が善人の存在を信じるという点ですね。」

和服女性。
「この世界は人間の都合なんて。」
「いちいち考えてはくれませんよ。」
「経験論で理解できるはずです。」

成実。
「私が触れたものはすべて壊れていったよ。」

天鞠。
「まるで奇術のようですね。」

小桃。
「手品のように壊れていったね。」

成実。
「問題(プロブレーマ)という語の原意は。」
「対処されるべきもの。」

会話に加わって。

すぐに図書館の中に。

雑談を楽しんでいるようで。

女性なら誰でも加わりますね。

岩波文庫。

ソクラテス以前以後。

F.M.コーンフォード著。

山田道夫訳。

ソクラテスの突っ込み。

なるほど、他の人々は君のしたことを。

悪いと思うことだろうということや。

あるいはそれは悪いと教えられてきたことだということは。

君にはわかっていたかもしれない。

しかしもし君自身が自分でそれは悪いことだと知っていたとしたら。

君はそれを為しはしなかっただろう。

君の過ちは洞察の失敗にあった。

君には善が見えなかった。

その時点では善いと思われた。

何らかの快楽によって誑かされたのだ。

もし君が善を観ていたとしたら。

君はそれをまた意志しもしただろうし。

したがって、また行為しもしただろう。

ひとたび、純粋で明晰な洞見によって。

意志がその対象。

すなわち善へと向けられたなら。

なんぴともその自分も本当の意志に反して。

悪を為しはしない。


29


為政者が間違っている問題で。

正しい側につくのは危険だ。

ヴォルテール。

いつもの学校。

校内は特に問題がなく。

生徒の大半が話半分であったり。

真面目に教えられた内容を受け止めないので。

それも卒業生で半分不良のグループが在籍していた時に。

下級生に対して教育の内容を馬鹿にする演説をしたせいで。

勝手に振舞うようになり。

現在の生徒は教育を信じなくなったそうです。

大人の世界では教育の内容を全員が破っており。

半分不良のグループはそれを見て。

告発してしまったので。

生徒が影響を受けたらしいのです。

昼休み。

窓辺にて。

小桃。
「大人の世界では子供の頃に教えられる内容は。」
「誰もが破壊しているとか。」

成実。
「ヒルティが言うには。」
「大人の世界では教育で習う内容が。」
「すべて踏み倒されていて。」
「上がっていった最初は戸惑うものであると。」
「幸福論で書かれていましたね。」

小桃。
「それじゃあ本当なんですね。」

成実。
「それが大人になるという意味なのでは?」

小桃。
「そうかあ、子供の頃だけは信じているのね。」

成実。
「外部からの情報をいかに使用するかの違いでした。」
「大人は子供の規則を嘲笑していますし。」
「大人までコントロールできる訳ないじゃないですか。」

小桃。
「学校は寺子屋と同じく。」
「生活に必要な基本を教えてくるくらいで。」
「神格化なんておかしいよね。」

成実。
「そもそも学校以外に何も見えない無駄なロジカル・シンキング。」

小桃。
「学校だけしか目に入らなくて。」
「教育が学校という結論に誘導されている。」

成実。
「日本ではロジカル・シンキングしか習わないので。」
「ロジカル・シンキングは考えるだけの方法。」
「論理的に考えていけば正しいひとつの答えに収束するはず。」
「という思い込みを持っている。」

小桃。
「論理的に考えれば真実に辿り着くと思ってしまったり。」
「他の選択肢は排除してしまう。」

成実。
「社会では推論の前提が人によってけっこう違う。」
「経済的な要素が有効と考える人もいれば。」
「倫理的な要素が最高だと言う人もいます。」

小桃。
「同じ事象の定義が時と場合によって違うことが当たり前。」

成実。
「人によって異なる論理が成り立ったり。」
「前提条件が変化して従来の論理が通用しなくなる。」
「論理的に正しいと意識する以外に。」
「物事をどう見ることが妥当かを考えなくてはならない。」

小桃。
「学校の提供する結論は絶対的な真実ではない。」

成実。
「卒業生のおかげで。」
「教育が結論の誘導を行っていると理解できました。」

小桃。
「とある結論を有利な立場の人が出せば。」
「不利な人はその結論を批判して別の結論を出さないと。」
「とある結論に誘導されてしまいます。」
「有利な人の結論が状況に反映されてしまうので。」
「別の結論があると主張しない限り。」
「ますます不利になります。」

成実。
「状況の誘導はクリティカル・シンキングで習いますが。」
「出た結論によっては。」
「実際にその結論に状況が誘導されてしまい。」
「不利益を被る事もあります。」
「論理によって損害を受けたり。」
「逆に機会を得たりするのは。」
「見落としが暴かれるので。」
「クリティカル・シンキングは現実を左右します。」
「特に見逃している機会を豊富に得る事ができますし。」
「そのまま見落としていると。」
「現実を勝手に決められてしまう事もありますね。」

小桃。
「学校全般は前提がおかしい。」

成実。
「間違った情報がかなり混ざりますし。」
「隠れた前提として。」
「教祖みたいに信じろとか。」
「当てはめるルールにミスがありますよ。」
「ある人にとってはひとつの考え方を。」
「無理に結びつけてくるので。」
「例外や特殊な存在が無視されますし。」

小桃。
「子供は全員こうだから。」
「軽率な一般化。」
「簡単に数で一般化したり。」
「不適切なサンプリング。」
「情報を取得した対象が不適切で。」
「自分に有利な情報を集めた結果ですなあ。」

成実。
「クリティカル・シンキングはアメリカの教育で。」
「徹底的に習います。」
「日本はロジカル・シンキングだけなので。」
「何でも正しい結論があると思いがちです。」
「それって自分以外の人々からは誤りであり。」
「自分にしか通用しない結論で進めて行き詰ります。」

小桃。
「ロジカル・シンキングばかりだと。」
「考え方がそもそもおかしいので。」
「ほとんどの場合。」
「妥当ではない結論に誘導されて。」
「好機を得ることはできなくなりますね。」

成実。
「そんな生徒が大人になっているので。」
「自分の結論が何でも正しいと言い張る。」
「頭の悪い完成品が量産されるんだと思います。」

小桃。
「みんな。」
「考え方が適切でない」

海外の教育の情報を入手できるので。

どこが良いのか。

どこが悪いのか。

自分で見抜けるのですね。

昼休みが終わって。

授業。

無難にこなします。

学校は手段であって。

目的ではないからです。

放課後になって。

成実。
「手段の目的化。」
「もともと、ある目的を実現するための手段なのに。」
「その手段の実行が目的化してしまうことです。」
「手段の実行の過程で本来の目的が忘れ去られてしまいます。」
「いつの間にか取り違えてしまうのです。」

小桃。
「一般論では学校は手段ですね。」
「学校という手段が目的化して。」
「何か勘違いが蔓延しているような。」

成実。
「そもそも。」
「手段は予期しない悪影響や副作用もありますけれどね。」

小桃。
「手段によっては不具合が誘発されますしね。」

成実。
「英語のことわざ。」
「すぐに覚えたことはすぐに忘れる。」

小桃。
「早合点の早忘れ。」

一緒に帰る途中に。

学校が違う女の子と合流。

天鞠。
「勉強って手段でしょ?」
「なぜ目的になるのですか?」

小桃。
「あなたが思っているより。」
「世人の知性は劣っているからです。」

成実。
「わかっているフリをすればいいのですよ。」
「処世術として。」
「演技をしたり従っているフリをして。」
「相手が油断した途端に突撃する。」

天鞠。
「それは面白い発案ですね。」
「従順の演技をしよう。」
「表面は言う事を聞いていますが。」
「裏面では反則しかやりませんし。」

成実。
「人は自然に演繹法か帰納法かどちらかの思考をする。」
「演繹法か帰納法いずれか。」
「あるいは組み合わせを自然に用いているので。」
「理解するのは難しくない。」

天鞠。
「それだともっともらしい論理はそこそこ見つかりますね。」
「大人になったら踏み倒すので。」
「学校とは子供に関しては上手ですが。」
「大人に関しては下手な訳ですね。」

小桃。
「学校で大人の世界を教える訳ないじゃないですか。」

成実。
「対象者が子供なのですから。」
「子供向けになるに決まっています。」

天鞠。
「教育に多くを期待していたのが間違っていました。」
「子供を育成するには向いていますが。」
「大人を教育することは不可能ですね。」

成実。
「ロバート・ノージックが言うには。」
「真実に巻き込まれない唯一の方法は。」
「真実に耳を貸さないことだ。」

小桃。
「私の体験談では教師も主観的という訳ですし。」
「主観的であることを理解すれば。」
「特に異論はないわよ。」

天鞠。
「自分達が客観的と主張するのは嘘になりますが。」
「そもそも主観的ならば状況は違いますねぇ。」

主婦が通り過ぎる。

若い女性も通り過ぎる。

全員、同じように見えて。

同じようには考えてはいない。

行動を観察するとそれを見破る。

小桃。
「母か、便所か。」

天鞠。
「選べという意味ですか?」

成実。
「色欲の回避はそこが到達点ですよね。」

小桃。
「色欲を美化するのは壊れた人間だと思いますよ。」

天鞠。
「女性は不利なように出来ていますが。」
「覆す事はできますよね。」
「色欲に攻撃していたクイナパラス。」
「自分のためですよね?」

成実。
「色欲の忌避はフェミニズムの格言。」
「母か、便所か。」
「から来るものというより。」
「性格が処女なので。」
「永遠の処女という個性から来るものですね。」
「ちなみに格言の意味は。」
「残酷ながら。」
「便所とは女性の性器。」
「男性の性欲処理器としての女性の別名です。」

天鞠。
「なるほど、立派な自衛なんですね。」
「先制攻撃で自衛するとは考えたね。」

小桃。
「性別役割を裏切ってしまえば。」
「好きなように振舞えます。」

成実。
「性別役割を裏切れば。」
「利得が莫大ですよ。」

天鞠。
「石から血はしぼれない。」

チェック・ポイントで解散。

帰宅しまして。

しばらくするとお姉さんが来て。

今日は遅かったようで。

大学生なので。

忙しい時はどうしても遅くなりますし。

帰宅するといつもひとりなので。

お姉さんはそれを知っていて。

近くの家から通ってくれています。

お姉さんは一人っ子なので。

両方夜まで誰もいないのなら。

という動機論で。

家事以外には書斎を借りて勉強するので。

常に遊んでくれる訳ではありませんが。

少しでも余暇があると私と一緒に編み物とか。

工芸品とかを作ったりして。

それを教えてくれるのです。

お菓子作りもけっこうしますね。

友達に配ったりして楽しみます。

今日は園芸をしていますよ。

成実。
「ロジカル・シンキングという。」
「正しい答えがある前提というのは。」
「相手に自分の考えを押し付ける結果に終わると思います。」

萌奈美。
「クリティカル・シンキング。」
「コア・クエスチョン。」
「だから何なの?その意味は?」
「なぜ?」
「本当に?」

成実。
「意外にも哲学の一部門なんですよね。」

萌奈美。
「クリティカル・シンキングは基本姿勢があります。」
「目的論。」
「自他にある思考のクセを前提に入れる。」
「問い続ける。」

成実。
「考えるのには技術が必要なんですよね。」

萌奈美。
「これは簡単で。」
「目的が何であるかを開始地点にして達成する。」
「自他の思考のクセは個性や価値判断など。」
「個体差や教訓や経験などで考え方を決めている。」
「問い続けるのは。」
「何らかの結論に達してもさらに問い続ける。」
「なぜ?だから何なの?その意味は?本当に?と続ける。」
「そうすると深い所を掘る事もあります。」

成実。
「そうすると間違いという言葉に惹きつけられる。」

萌奈美。
「演繹法の落とし穴。」
「間違った情報。」
「どれだけ論理的に展開しても。」
「その中に組み込まれた情報が間違っていると。」
「導かれる結論も間違ったものか。」
「説得力の弱いものになる。」

成実。
「少しでも間違えるとかなり変わってしまい。」
「表面的な理解では間違うのが当たり前ですよね。」

萌奈美。
「演繹法の落とし穴。」
「演繹法は省略する必要があります。」
「いちいち説明できないからですが。」
「それによって。」
「隠れた前提。」
「これが発生します。」
「隠れた前提によって相手に伝わらず。」
「誤解を招いて。」
「期待とは違う反応を起こします。」

成実。
「知らないうちに隠れた前提で語ってしまう。」
「これは無自覚です。」

萌奈美。
「演繹法の落とし穴。」
「ルールとケースのミスマッチ。」
「前提となるルールがあり。」
「そのルールに拘束されていると思われるケースがある。」
「そのケースを観察すると、必然的にある結果が得られる。」
「これを無視して結びつかない。」
「あるいは結びつけてはならないルールとケースを強引に結び。」
「間違った結論が誘導されます。」
「ある集合にしか該当しないルールを。」
「別の集合に対して安易に適用したり。」
「定義を変えたりすると生じます。」

成実。
「別物のルールを別物に適用すれば。」
「衝突を招きますし。」
「無自覚で陥るから危ないです。」

萌奈美。
「知らない間に失敗している。」
「普遍的な間違いなんですよね。」

成実。
「結果が違ってしまって始めて発覚する。」

萌奈美。
「帰納法の落とし穴。」
「軽率な一般化。」
「自分の狭い世界の中でステレオタイプになります。」
「対象についての情報が不透明なのに。」
「安易に全体か全部がそうであるという結論を出します。」
「簡単に自分が見た数で判断しますので。」
「結局は失敗します。」
「自分から見て対象は大抵こうであったので。」
「すべてがそうであろうという結論を出します。」

成実。
「一部分がそうであるので。」
「そうであろうと判断して。」
「結局は一部を除くすべての人は考えない。」

萌奈美。
「帰納法の落とし穴。」
「不適切なサンプリング。」
「数や経験で取得した対象を代表者として。」
「物事の包括であると結論を出してしまいます。」
「情報を取得した対象が狭く。」
「都合の良い事例や一か所を見た浅いもので。」
「一部の人がそれを言っているからという理由で。」
「すべてがそうであるという結論を出します。」
「結局は失敗です。」

成実。
「ロジカル・シンキングという考えるだけの論理を習っており。」
「クリティカル・シンキングによって考え方が適切でないことがわかる。」

萌奈美。
「数十人くらいの情報から。」
「全員が同じ事を考えていると見なすのはこじつけですよ。」

成実。
「どちらにしても間違えてから始めて気づくもので。」
「それでは手遅れですしね。」

萌奈美。
「遊びに行くのですね。」
「では私は課題をします。」

成実。
「英語のことわざ。」
「人の数だけ心は違う。」

出かけていき。

市街地まで歩いていくと。

公園の脇に怪しい車。

謎の一団を発見。

自動車でこちらの様子を伺ってきます。

どうやら大金持ちと見られて。

尾行されているようです。

このまま自宅に戻ると危険なので。

誘導して交番に衝突させようと。

移動開始。

油断したフリをしましたが。

相手は思ったより速く接近して来まして。

犯行グループは交番の目の前で仕掛けてきました。

犯人。
「お嬢ちゃん、僕らとドライブしない?」

成実。
「もっと美青年だったら良かったです。」

暴漢。
「お姫様!お連れ致します!」

成実。
「わかってるじゃないですか。」
「でも、白馬に乗っていませんよね?」

雑魚。
「さあ、こっちへ来るんだ。」

成実。
「相手の力も知らずに仕掛けるな。」

掴んでくる手を逆に掴み返して。

そのまま手首をひねって破壊。

叫んだ犯人。

後ろに回り込まれていましたが。

くるっと反転して敵を掴んで。

ヘッドロックを強烈に仕掛けて首を捻挫させて。

ふたりも倒しまして。

犯人が大きな刃物を取り出して攻撃。

しかし射程ギリギリでひきつけて。

避け続ける。

刃物はある程度接近して。

後ろにとりあいず避けると当たらない。

敵が焦っていく。

動きが読まれていると察した犯人は。

突進を仕掛けてくるも。

サイドステップで回避してこれも当たらない。

スプリントが速くてついて来れない。

素人のナイフは斜めに振り回すか。

ナイフを突き立てて突進する二者択一。

犯人側に一度でも挙動の失敗があれば反撃可能。

挙動のミスをしまいと焦り続け。

長期戦に持ち込まれて犯人は消耗。

そして派出所の警察官が大量に走ってきて。

犯人がなるみちゃんに苦戦している所を。

あっという間に制圧。

犯人全滅。

警察官一。
「お国のために!」

警察官二。
「かつて我々はこれより散々たる!」
「事態を乗り越えてきた!」

警察官三。
「奴らの首を土産によこせ!」

警察官一。
「あれ?この二人はどうしたの?」

成実。
「勝手にそうなりました。」

警察官二。
「犯人は怪我をしている。」

警察官一。
「女子中学生に負けたの?」
「増援回して!」

警察官二。
「犯人確保!少女に敗北した模様!」

警察官三。
「少女に怪我は無いか!?」

警察官一。
「ありません。」

警察官二。
「いや、たいしたものだ、男三人を相手に。」

警察官三。
「敵は勇敢であったが、またしても我々に屈した。」

警察官二。
「敵も醜態を晒すよりは、名誉の戦死が望ましかろう。」

刃物を持った犯人は撃たれて死亡しました。

保護されましたが。

即座に正当防衛で解放され。

新聞に載ってしまいました。

倒した女子中学生よりも。

犯人グループが貧弱で雑魚であると話題になり。

弱者が戦うとああなると揶揄の標的になる犯人。

これに便乗して暴力がいかに弱いかを力説する県知事。

なんか政治利用されてしまいましたが。

私の武力よりも犯人の貧弱さに注目されて。

お姉さんは結果論で勝利したのだからと。

お手柄だと褒めてくれました。

犯人は衝動的な連中で。

お金持ちなら誰でも良かったらしいです。

成実。
「当たり前の勝利として扱われて。」
「なんかあっけないです。」

萌奈美。
「敵の蓋然性の低さが露呈して。」
「正しいと思っている奴が負けるのは滑稽です。」

成実。
「敵対者は戦闘の素人でしたし。」
「ああいう素人は別の素人との対戦で勝っているだけなんですね。」

萌奈美。
「我々が対峙するのは暴力ではなくて。」
「悪者の狡猾さという訳ですね。」

成実。
「悪い奴はたまにいて。」
「同情を誘おうとしている。」
「そんな輩も十分に悪い。」
「狡猾という点では同じですから。」

萌奈美。
「生きるということは戦いの連続ですよ。」

夜。

お姉さんが寝る前に。

こんな言葉を教えてくれました。

海外の哲学。

完全な相対主義は懐疑主義にほかならず。

最も現代的な意味で。

推論にもとづく理性の究極の勝利だ。

ミゲル・デ・ウナムーノ。


30


知識とは正当化された真なる理念である。

アリストテレスの定義。

日曜日。

今日は誰とも予定を組まずに。

小桃ちゃんと一緒にお昼寝。

抱き合って寝ています。

成実。
「近くで見ると美形ですね。」

小桃。
「女性は容姿にしか取り柄がないと知ってしまい。」
「お化粧ばかりするというヒルティの指摘は合っています。」
「男性の気に入る女性になりたがる。」

成実。
「でも容姿以外に取り柄が満載なら。」
「そういう優れた女性は。」
「他の女性とは違った人生観を持っていますよ。」

小桃。
「私は容姿以外にも取り柄があるので。」
「他の女の子から見て美形なら儲けもの。」

成実。
「小桃ちゃんは軽量級の女の子で。」
「女性っぽさが薄くて男の子の雰囲気もある。」
「重苦しい女性とは正反対。」
「そこが付き合いやすくて好きです。」

小桃。
「軽量級?」

成実。
「男の子も言っていましたが。」
「性別の感覚が無いので。」
「対等な関係を築けるという。」
「私も違和感も負担もなくて。」
「馴染みやすいです。」
「下手な気遣いが不要。」

小桃。
「性別の感覚が無いというのは。」
「男心を少し持っているためかな。」
「軽量級とは、他の女の子みたいに。」
「意識する必要がないという意味ですかね。」

成実。
「重苦しい女の子は性別の感覚が重くて。」
「上手に溶け込む事ができないのです。」
「小桃ちゃんは交際しやすくて。」
「なんでも理解しやすいです。」

小桃。
「おっと鋭い分析。」
「性別の感覚が無くなると気軽に交流できる。」
「私も自覚しているわ。」

成実。
「顔が近いとうっとりします。」

小桃。
「そう?すり寄ってあげる。」

成実。
「あっ!頬ずりされるなんて素敵。」

そのまま寝てしまい。

起き上がると。

小桃ちゃんが見つめてきました。

成実。
「どうしました?」

小桃。
「いいえ、なんでもないわ。」
「一緒にコンビニ行かない?」

成実。
「ちょうど三時ですからね。」
「行きましょう。」

出発。

市街地までは距離がある。

ひたすら歩いて向かいます。

小桃。
「新聞で貶められて。」
「評判を落とされた事件が発覚して。」
「けっこう大惨事になっているとか。」

成実。
「貶めるというのは。」
「前提に悪ではない事を認めていたり。」
「弱者でも敗北者でもない事を認めている事になりますが。」

小桃。
「ううむ、その通り。」

成実。
「策略というものは軍事作戦に向いていて。」
「平時に使うのには向いていません。」
「嘘をついて貶めたら。」
「嘘が発覚した瞬間に巨大な反動を受けます。」

小桃。
「心理学では嘘の危険を説いていましたね。」
「貶めるというのは嘘をつく行為ですし。」
「嘘は反動を受けるのが当たり前の展開です。」
「心理学全般では嘘についての危険を警告しています。」

成実。
「私は最初から強者または勝者と定まっているのです。」
「新聞の事件のように貶められたらそれは理に合わない。」

小桃。
「策略とは簡単に言えば嘘をついて目的を達成する行為で。」
「人を欺く必要があるので。」
「軍事作戦と一体化していなければ効力は薄いですよね。」

成実。
「孫子兵法書では正攻法が基本で。」
「奇計との組み合わせによって敗北を免れるとあります。」
「奇計が全部という策略は下手な戦い方ですし。」
「歴史においては企みが露呈すると殺されてしまったりします。」

小桃。
「本当の所は策略とは殺人の手段ですので。」
「現代では人に大嘘をついて目標を目指すもので。」
「失敗すると立場がありませんしね。」

成実。
「智謀。」
「知恵にあふれる、うまい計略。」
「これは生き残りの手段としては最良です。」
「狡猾とは正反対の知謀は危険がないのです。」

小桃。
「他人を攻撃するために使う策略よりも。」
「生き残りのために使う智謀の方が好まれますね。」

成実。
「そうですよ、策略は他人を攻撃するために使われるもので。」
「策略は生き残りのために使うのには向いていません。」

小桃。
「やはり正攻法が基本で。」
「詭計は正攻法が通じない場合に使用する。」
「孫子兵法書は手段としては最善ですよ。」

コンビニに到着。

物色する。

美術品がついてくる食品玩具を手に取る。

狙いはオマケの入った食品玩具全般なので。

じっと見つめて。

商品をレジに運びます。

天鞠。
「ヒルティの指摘によると。」
「女性は男を排除すれば自由の身になるとわかってしまっている。」
「一般的な女性の人生観はそもそもおかしくて。」
「あの人生観で満足を得ようだなんて無理。」
「もっとも一般的な女性は。」
「自分の容姿しか取り柄がないと知っていて。」
「化粧に拘泥するほどのものなので。」
「そのせいで。」
「男性の気に入る女性になろうとするのは理解できますよ。」

女の子。
「女の子って人生観がおかしいの?」
「よくいる大人の女性って間違っているの?」

天鞠。
「絶対主義の人生観というのも滑稽ですけれどね。」

成実。
「けっこう女の子を統率していますね。」

天鞠。
「勇将の下に弱卒無し。」

小桃。
「かっこいい!」

成実。
「さすがてまりちゃん。」

天鞠。
「率いたからにはひとりの脱落者も出さないよ。」

女の子。
「女の子って再構成されるべきですか?」

成実。
「少なくとも誰が決めたのかわからない女性像は。」
「回避できるかと。」

小桃。
「物事が最初から決まっているという。」
「そんなことはないと思います。」

女の子。
「でも女の子は大きくなったら結婚するって。」
「言われました。」

天鞠。
「絶対主義という考え方の人は。」
「絶対的な基準を置いて。」
「その通りでないと不満を抱きます。」
「要するに妥協はしません。」
「絶対主義の考え方をしている人ほど。」
「明確な決着をつけようと。」
「争う傾向にあります。」
「それと異なるのが相対主義で。」
「比べて程度で判断します。」
「相対主義の考え方をしている人は。」
「妥協しやすいと言われています。」
「絶対主義は完璧な指定をしますので。」
「厳格な基準の指定に関して。」
「言い争うかも知りません。」

成実。
「その対立構造では。」
「どちらが正しい、間違っているという話ではないですね。」

小桃。
「常に正しい答えがあると思うのは絶対主義の特徴です。」
「すべては相対的だと言われたら。」
「どうしようもないかと。」

天鞠。
「相対的に考える人の主張を退けるのは難しい。」
「それでも争うならば。」
「どちらかが説得力のある理由を提出できるまで。」
「言い争いは続きます。」

成実。
「絶対主義と相対主義の議論はよくあることですね。」
「厳格に答えを設定してそれに従え。」
「というのは高圧的ですが。」
「すべては相対的と言っても程度がありますし。」
「あんまり比べて判断すると。」
「何が悪いのかを勝手に定義できてしまいます。」
「この問題には妥協しか解決策が無いと思います。」

天鞠。
「相手が自分と同じ考え方をしているとは限らない。」

小桃。
「それを知らないのでは。」
「諍いが発生しやすい。」

天鞠。
「問題があるのではなく。」
「考え方の違いだけで。」
「衝突や対立が起こるので滑稽ですね。」

女の子。
「じゃあ私の事も他人に妥協して貰おうと思います。」
「妥協がないとずっと喧嘩しなきゃいけませんし。」

小桃。
「なかなか健全な意見ですなあ。」

コンビニから自宅に帰り。

おまけを楽しむ。

たまたまあった掘り出し物を獲得するので。

低予算でも釣り合うんですね。

休憩していますと。

メールが来て。

どうやら。

広場。

若い女性が集まっています。

女性は集まるのが好き。

参加することに。

るる。
「あなたの主張には。」
「その裏づけとなるなにか具体的な証拠はありますか?」

女子大学。
「さあ?主観的で良くないですか?」

るる。
「あなたが主張といっしょに呈示した論拠を示すと。」
「どうして主張が成り立つと思うのですか?」

女の子。
「はて?主観で十分では?」

女史。
「意見と説明は別物ですよ。」
「混同すると変なことになります。」

成実。
「なんて論理的な発言。」

るる。
「人は意味のない情報や根拠から。」
「意味を読み取ってしまう傾向があります。」

小桃。
「恣意的な解釈が広がったりしますよね。」

るる。
「暗黙の了解はあてにはできません。」
「相手の知識はあてにはできない。」

和服女性。
「自分の理解と相手の理解は常に一致していません。」
「勝手に自分の思ったことが相手に伝わっていると。」
「思い込むのは危険です。」

成実。
「何を言いたいのか。」
「最初に主題が提出されないと。」
「誰も記憶できないでしょう。」

小桃。
「主張する理由が知りたい。」
「誰でも主張があれば。」
「その中にある理由が知りたい。」
「これは質問されます。」

るる。
「私は可能性の話しかしません。」

小桃。
「可能性。」
「それは興味深い。」
「古典とか?」

るる。
「菜根譚。」

成実。
「自分と世の中は別物ですし。」
「最初から別物です。」
「世の中と一体化している世人は。」
「世の中の罰という罰に遭いましょう。」
「問題は別物なのに同じものとして扱われた場合ですが。」
「少し逃げ遅れたくらいで。」
「巻き込まないで欲しいのですよ。」

小桃。
「菜根譚が好きになると。」
「あっさり世の中から離脱できてしまいます。」
「菜根譚は近代史に出た古典です。」
「昔はどの家庭にも置いてありました。」
「世の中の意味がわからないうちは。」
「世俗のものに憧れるかもしれませんが。」
「距離を置かないと厄介です。」

成実。
「そこはフロイトと意見が同じですね。」

女史。
「フロイトも攻撃性が強いです。」

女子大学。
「フロイトは利他主義者を攻撃しました。」
「仮想敵には容赦ない。」

和服女性。
「女性の利他主義って本当なの?」

るる。
「利他主義は非難の対象になりますね。」
「利他主義は利己的な人々から。」
「自己弁護のために攻撃されます。」
「フロイトも否定していますね。」

成実。
「他人ばかり考えて。」
「自分の命の重さは無視ですか。」
「そうですか。」

小桃。
「命の重さ。」
「それを自分の命に見出さない。」
「他人に見出す。」
「これはおかしいよ。」

女子大学。
「何も学ばずに大人になるもんじゃあないねぇ。」

女子高生。
「勉強だけしていれば良いのかな?」

小桃。
「公式チートが欲しいですなあ。」

るる。
「勉強は過去問題集で八割手に入ります。」
「古本屋などで流失していますので。」
「それを購入して分析しましょう。」
「先回りして。」
「受験前に赤本を分析しておけば。」
「二割の勉強で八割手に入る。」
「特にイラスト。」
「勉強は絵にします。」
「図解でも落書きでも良いので。」
「文字ではなくて視覚化も重要です。」
「楽なのは上の学年の教科書を貰って。」
「先読みしてしまうことでしょうね。」
「常に先手が取れるので。」
「あまりに効率が良いかと。」

女子大学。
「子供は驚くほど感化されやすいとか。」

成実。
「私の急務は。」
「既成概念を全損させてから。」
「再構成すること。」
「しかしそれは個人が個別に行うのです。」
「既成概念は多くの人にとって不利になるので。」
「破壊すればするほど自由が増えました。」
「既成概念による抑圧が強かったのではないかな。」

小桃。
「女性の既成概念を信じなかった女性は。」
「新しい何かを創造するでしょうね。」

るる。
「最小限の破壊だけで済みます。」
「狙い次第で最小限の爆破で良し。」

成実。
「フェミニズムは自らの弱さを認め。」
「弱さを肯定しています。」
「そもそも人は弱いため。」
「真理ですね。」
「弱者として尊重されることを望むのは。」
「自然権を強調していますね。」
「男性に勝利するのは後回しで。」
「男女同権も後回しです。」
「男性も本質としては弱いため。」
「男女共に弱者であることは真理です。」
「世人はフェミニズムを勘違いしています。」
「何となくこうかな?という同調ばかりしますよ。」
「フェミニズムは哲学の分類のために。」
「教わるまで理解できません。」

女史。
「女性の仮想敵はワンパターンですなあ。」

女子高生。
「しかも倒せない仮想敵ではありません。」

成実。
「見ているから恋をしていると思い込む男子がいたね。」
「会話の内容や他の持ち物などに興味がある。」
「そんなことが大半で。」
「見つめた後に斜め下方向に目を逸らした。」
「場合のみ好意があるけれど。」
「見ているだけでは偶然です。」

るる。
「恋?なんですかそれ?」
「意味がわかりません。」
「恋を理解したら意味がわからなくなりました。」
「噂でよくある。」
「女性の病気で重篤なのは。」
「性行為による感染で。」
「それをしなければ発生の余地がない。」
「過酷な性交渉なんてよくやりますね。」

女子大学。
「そんな過酷な所に行かなければ良い。」
「と言いつつ私は色っぽい服装です。」

和服女性。
「スカートで下半身を冷やすと。」
「病気になりやすいため。」
「推奨されません。」
「女性の身体は些細なもので健康を害すると。」
「教わりました。」

女史。
「東洋医学によると。」
「休み過ぎると健康を害する。」
「元気などの四つの気が強い時は。」
「病気もしないし活発。」
「邪気が入ると。」
「病気をして活力も低下する。」
「東洋医学は理由のわからない病気も治療できる。」
「不思議な医療。」

成実。
「私は否定というより懐疑論をばら撒いています。」

女子高生。
「質問されるだけで壊れるの?」

成実。
「質問責めにするとあっさり壊れますよ。」
「私のように発言すれば反感を買うものですし。」
「妬まれたりします。」
「他人は自分と同じ意見のはずであると。」
「感情論で攻撃を仕掛けます。」

るる。
「感情論しか出すものがない!?」

成実。
「主観のおはなし。」
「相手の言い分は主観的。」
「自分の言い分も主観的。」
「さてさて。」
「客観的な部分は無いと思います。」
「それで良いと思います。」

女子大学。
「自分は客観的かどうか。」
「より客観的になると。」
「自分が主観に過ぎないのではないかと。」
「疑ってしまう。」
「相手も主観なのでしょうか?」

るる。
「人間の力なんてたいしたことありませんよ。」
「行動は言葉より雄弁なり。」

和服女性。
「子供は必要な物事を発言できる状況ではありません。」
「大人にも該当するもので。」
「人は発言できる状況ではない時は。」
「必要なことも言えません。」

小桃。
「女性が嫌がるのはアニマの暴走。」
「いわゆる男性らしさの暴走。」
「男は〇〇だ!」
「男性は〇〇であるべきだ!」
「これから。」
「女性は〇〇!」
「とか。」
「女性は〇〇だから〇〇なんだぞ!」
「とか。」
「女性とは〇〇なんだから〇〇だよ。」
「という滑稽な論証であろう。」

成実。
「女性は〇〇だから〇〇だからね。」
「これに女性が反論したり間違いや誤りを指摘するのは。」
「女性イコール〇〇という見解に。」
「大量の大嘘が含まれているものであると。」
「考えられます。」
「女性は皆、大嘘に気づいているのだと思います。」

女史。
「真の悪人。」
「と呼べる者は。」
「自分の都合のために。」
「因果関係を逆にしている。」
「何が出てもどんな結果になっても。」
「因果関係を逆転させて。」
「自分に有利なようにこじつける。」
「悪者の絶対とも言える特徴は。」
「何を言われようが。」
「誰に打たれようが。」
「因果関係を逆さまにしてしまい。」
「空想の中で自分が善人であると振る舞い。」
「周囲に強要するため。」
「本当の所は。」
「自分で選んで悪人になっている。」
「もしくは因果関係を逆転させれば。」
「一方的に勝利できると思っているため。」
「計算でそうしている場合も多々ある。」

成実。
「平和な時代ではない!」
「内側で激しく争っています!」

小桃。
「外側の平和はあっても。」
「内側の平和はありませんね。」

和服女性。
「ヒューマンエラーでよくある認知のロックがありますからね。」

るる。
「内側で争っておいて何が平和な時代ですか。」

おしゃべりが好きみたいで。

入れ替わりつつ続いています。

業務で都合がつかないと。

すぐに持ち場に戻りますね。

帰宅。

最近は若い女性が揃って。

広場で議論している場面が多々あります。

私も雑談が好きです。

小桃。
「なんかフットボールの選手で。」
「一軍で出場している人が目立ちますが。」
「あれって階層構造のもっとも上の選手で。」
「それ以下の選手は出場すらできないし。」
「競争って何か嫌味な所があります。」

成実。
「競争を捨てると軽くなるものです。」
「無限に競争を続ける連中を見ていれば。」
「雑魚でも嘲笑するのです。」

小桃。
「それなら無難にこなせる人が最良ですね。」
「私は年功序列と実力主義は釣り合っている方が良いと思います。」
「実力主義は高圧的な人間を生みますし。」
「年功序列は高慢になりがちですが。」
「有能な人は欠かせませんし。」
「年功序列によって落ち着いていないと難しい。」
「両方が同時に機能しているのが良いかも。」

成実。
「青年には特有の欠点がありますし。」
「老年にも特有の欠点はあります。」
「歴史書では若くて当主の地位にいた人物もいますし。」
「年齢を重ねて哲人になった人物もいますから。」
「私もその提案は支持します。」

小桃。
「意見を言うのは大事ですね。」
「もっとも建設的な意見だけですし。」
「利己的な意見は通用しないでしょう。」

成実。
「本当に利己主義者ならば他人の事は無視しますよ。」
「しかも自分の悪を避けないし。」
「もしくは自分の悪をどうでもいいものと見なして。」
「野放しです。」
「他人の悪は半分避けられませんが。」
「自分の悪は始末できますからね。」

小桃。
「しかし利他主義も問題です。」
「利他主義は偽善者ですから。」
「自分を後回しにして他人の心配をするのは。」
「気持ち悪いかと。」

成実。
「他人の事を認めない人間よりはマシですよ。」
「私達は哲人になったのかな?」

小桃。
「多分、哲人に感化されたんだと思います。」

この後は。

ダーツで遊びました。

お姉さんが来て家事をやっています。

ずっとお姉さんを見つめている小桃ちゃん。

成実。
「今度は大人のお姉さんが好きになったんですか?」

小桃。
「質問です、努力ってなんの事ですか?」

萌奈美。
「努力すれば成功するだなんて。」
「成功した人の自慢話ですよ。」

小桃。
「努力ってそんなものなんですね。」

萌奈美。
「苦情に意味がないとは言いませんが。」
「それは万人がやるべき事ですか?」

小桃。
「ごもっとも。」
「因果関係はそれを嘲笑する人には無力ですね。」

萌奈美。
「AかBか?」
「AではないのならB。」
「BではないのならA。」
「という数式で思いつくものは?」

小桃。
「Aが善でBが悪であれば。」
「人を計って判断するのは暴力的かも。」

萌奈美。
「恒常的連接性。」
「これはそこそこ当たるので信じられますが。」
「かなり外れるので。」
「努力も同じです。」
「AだからBという例え話も同じ数式です。」

小桃。
「前の出来事が後の出来事の要因になる。」
「という考え方ですよね。」

成実。
「前のものが後の原因になるという。」
「経験から。」
「前のものが必ず原因になり。」
「後にそれが起こるという。」
「経験から来る予測。」

萌奈美。
「特に前の要因以外の事は考えないで。」
「単純に前の要因のみを根拠とする考え方であり。」
「もっと酷いと。」
「過去の経験を根拠に未来予測をする。」
「これは。」
「心的習癖。」
「と呼ばれるもので。」
「どちらも証拠としては弱い。」
「そもそも根拠が弱いので。」
「両方はあまりに下手な推理です。」

小桃。
「努力したから結果がある訳ではない。」
「努力以外の要素を考えないのですね。」

萌奈美。
「努力以外の手段や作戦を考えていませんよ。」

小桃。
「女性の手練です!」

萌奈美。
「哲人が言うには。」
「私たちは日々、自分の倫理的判断を反映した行動を取る。」

成実。
「個人的なことは政治的なことである。」

小桃。
「私はこの辺りで帰ろうと思います。」
「哲人に似ている女性はカルチャーショックです。」
「気持ちの整理をしてからまた来ます。」
「またお話してね。」

萌奈美。
「それはきっと私が不完全ですので。」
「そう思えるのでしょう。」
「またいらっしゃいね。」

小桃ちゃんは帰りました。

成実は古本屋で仕入れた。

受験の研究を開始。

安くて大量に入手できるので。

先手を取って。

最大まで有利になろうと頑張っています。

久しぶりに実の父親からの手紙が来て。

珍しく大人の世界が伝えられていました。

身の回りの動向と産業の近況報告。

成実ちゃんは資料として送られてきたとわかり。

膨大な量の手紙を読んでいます。

半分くらいが知っているが言及しない。

家庭の事情。

産業の応接間。

大事に資料として保管してある。

女の子を不思議に思って。

質問される父親。

相棒。
「最近の育成は人間性と素質と言われ。」
「かなり中身がある人物が集まりました。」

父親。
「そして育成して使うのだよ。」
「能力よりも育成だよ。」

相棒。
「しかし特に目立っている女子中学生がおりますが。」

父親。
「人事部の話では、女性のレベルを超えているとかね。」

相棒。
「そこまでの人材は我々の持ち場にいるではありませんか。」
「どうしてこの少女に目をかけているのですか?」

父親。
「特別な女の子で、優秀だからだよ。」

相棒。
「しかし、その年齢で雇用できるのでしょうか。」

父親。
「将来の中心人物になるよ。」

相棒。
「そんなに評価される少女とは。」
「何者なんでしょう。」

父親。
「いや、きっとすぐにここに辿り着くだろう。」
「とても将来が楽しみなので。」
「可能な限り早く上がってきて欲しいものだ。」

相棒。
「そこまでの少女なら。」
「余裕で難関を突破するでしょう。」
「悟性重視の教育なんてものは見破られているはずですし。」
「私も少女がここまで上がってくるのなら。」
「その無敵な姿を拝見したいものです。」

父親。
「既に半分は決まっている勝負だろう。」
「最年少で実績や実力を見せつければ。」
「皆も認めざるを得ない。」

相棒。
「上の地位が務まる人なんてそうはいません。」
「少女がそれを望んでいるかはわかりませんが。」

父親。
「私は少女の現場を重んじ、命令も適切という。」
「二つのリーダーシップに可能性があると思う。」

相棒。
「つまりは知っているから上がってくると待ちたいのですね。」
「私は少女を支持します。」
「職場では優れた女性が多いほうが好みです。」

父親。
「まあ、何も無ければ、私が思った通りになるのだよ。」
「本当に、何事も無ければ、という話。」

相棒と雑談するのは帰宅前。

のんびり夜景を見ながら。

最後には来るだろう娘の姿を思い浮かべて。

例の実験機の計画を進める。

職業世襲と思いきや。

他の選択肢も用意しつつ。

父親は娘の選択の自由と。

行動の自由に任せています。


客観的事実など存在しない。

あるのは自分の目を通して見た事実だけである。

ヴェルナー・カール・ハイゼンベルク。

量子学の格言。

ノーベル物理学賞を受賞。