1


たまに見る夢の内容。

裁判で例外とされて上に通され。

その次の人が下に通されて。

いろいろな報酬を受け。

良い思いをしていると思ったら。

集まって。

謎の世界を出歩いて。

河川の水を少量飲んだら。

何なのかわからなくなって。

籤引きをしたと思ったら。

生涯の見本が膨大にあって。

その中から。

好きなものを選んだら。

野営することになり。

次の瞬間には。

何となく母親と父親と一緒にいて。

その内容を繰り返し夢で見ています。

私は神主の家系の娘です。

親友であり、氏子である姉妹がいます。

先月からフリースクールに転校しまして。

専門職などの知識を学んだり。

古典を読んだり。

知識人の英才教育を受けています。

いつものフリースクールでは自由科目で。

たまに実習もありますね。

衣吹。
「私は何を知っているのだろう?」

羽衣香。
「形而上学が得意なので。」
「裏にあるものも見えてしまい。」
「隠れているものもわかってしまい。」
「知らなくても良いものを知ってしまう。」
「無知の方が良いのかと問われると。」
「そうでもない。」
「板挟みなのではと言われると。」
「多分そうなります。」

真歩。
「人の理解を超えたものは。」
「理解できなくて当然。」
「理解できないので。」
「人の理解を超えたものは。」
「理解できなくて当たり前。」
「という辺りが争点。」

衣吹。
「初歩的なのですが。」
「自分の家から最も近くの地区にある。」
「お宮が氏神様で。」
「区域内に住んでいれば氏子です。」
「違いはお宮に通う習慣があるか。」
「信仰と管理運営に関わっているか。」
「くらいしかありません。」

羽衣香。
「お宮によっては。」
「氏子の定義が看板に書かれています。」
「歴史において。」
「霊験あらたか。」
「というのは確認されていますので。」
「本人が応答しないか。」
「応答できないくらいですね。」

真歩。
「体験談としては。」
「神社は選べないこともあります。」
「どこでも良い祈願は選べませんね。」
「それに贈り物の受け取り拒否はできません。」

羽衣香。
「何となく思うのは。」
「氏神様から必要な霊験を得て。」
「必要なものを持参して。」
「生活に初めて参加する雰囲気ですね。」
「それ以前は必要なものを持っていません。」

衣吹。
「無限に係争中になる物事もありますし。」
「伝えるだけ伝えてみて。」
「ある程度で引っ込めば良いのですし。」
「神様は不要なものをすぐに減らしてしまい。」
「神様からしかわからない物事しか残らなくなります。」
「恋人同士がいきなり離縁する話はよくありますが。」
「結婚に失敗することが目に見えていますので。」
「勝手に一緒になって理由がないのです。」
「つまらないものほど消されやすい。」

羽衣香。
「お宮に伝えたものは。」
「自分もなるべく実現しようと行動しないと。」
「実現しようもありません。」
「祈願の内容は自分でも。」
「少しでも試みる。」

真歩。
「少なくとも。」
「本来の存在に立ち返るという。」
「誰にでも得られる恩寵はあります。」
「そうでないと。」
「ヒューマニズムに吸収されて。」
「人間にいいようにされると思われますが。」
「そっちは誤りで。」
「神社に通えば。」
「すぐに本来の存在に立ち返りますね。」

衣吹。
「造化三神は自然科学の神様。」
「宇宙を司ります。」
「数回くらいは参拝しておきたい。」

真歩。
「今は末人が目立っていて。」
「末人は無神論者です。」
「格言通り。」
「理解するために信じる。」

羽衣香。
「菜根譚によると。」
「悪戦苦闘の末に。」
「鍛錬によって。」
「作り出した幸福は永続する。」
「疑ったり信じたりして。」
「悪戦苦闘した知識は本物です。」

衣吹。
「それではノートに書いておきます。」
「原稿の一部にするので。」
「どこかで公開できないかな。」

真歩。
「未来の失敗を予防するのは適切。」

哲人の女性。
「哲学。」
「あなた。」
「それは誰が言ったのか?」
「という問いは便利。」

衣吹。
「誰が言ったのかわからない思想だらけです。」

羽衣香。
「公正と公平は別物ですよね?」

真歩。
「すべてを平等にすればいいんですか?」

哲人の女性。
「公正とは何か?定義は?」
「公正はある物事があって。」
「初めて公正かそうでないかが判定できる。」
「とされています。」
「何もなければ公正についてわからない。」
「だそうです。」

衣吹。
「それは読みました。」
「多読ばかりで精読が疎かです。」

羽衣香。
「公平って信じていいの?」

真歩。
「安易に信頼できるの?」

哲人の女性。
「哲学で読んだ内容の中で。」
「こういう言い回し。」
「信じるに値しない人間もいますよ。」
「とのことで。」
「明らかに信じるに値しないものもありますね。」

衣吹。
「信用に値しない?」
「むしろ、なぜ信じたいのか明らかではないね。」

真歩。
「人を信じるからと言っても誠実とは限らない。」
「人を信じて自分が誠実だと名乗りたい奴です。」

羽衣香。
「善行を宣伝する人間は悪に向かう心がある。」

衣吹。
「非凡とは俗気を脱却したので得たものですね。」

哲人の女性。
「苦労なんてものが存在しなければ。」
「無駄な体力を使わずに済みますしね。」

衣吹。
「些細な懐疑論で崩壊する背後世界。」
「最近は倫理崩壊の事態ばかりあります。」
「障害者の問題なの?」
「障害を加えた奴のせいなの?」

哲人の女性。
「優生学ですが。」
「この世に障害なんてものが存在しなければ。」
「良いだけではと。」
「個人的には思います。」

衣吹。
「初めから無ければ良いものばかりですしね。」

哲人の女性。
「いろいろと。」
「この世にあるものには。」
「不合理な説明が繰り返されているだけです。」

衣吹。
「こじつけで成立するものなんてあるのかな?」

哲人の女性。
「面倒くさいのなら。」
「その物事や出来事の背後世界が。」
「実在しないという現実を。」
「相手に見せつける必要があると思います。」

姉妹で他の女の子と一緒に。

雑談。

議題は歴史。

羽衣香。
「籤引きで。」
「ゼウスは天空。」
「ポセイダルは海上。」
「ハデスは冥界という取り分で。」
「同格とのことです。」

真歩。
「トロイヤ戦争は勝者がいませんね。」
「双方が敗北しています。」
「騎士道の起源となる戦争ですが。」
「トロイヤが落城した後に。」
「帰路の船団は嵐で沈没。」
「一部を残して海の藻屑。」
「総大将は帰国してすぐに謀殺されて。」
「拉致されたヘレネは帰国しています。」

衣吹。
「ギリシャ神話は騎士道が特徴ですよね。」
「参考になります。」

真歩。
「我々に近い道教は反戦論と理法を学べます。」
「儒教は本来通りの道徳を学べます。」
「道徳が嫌いならば。」
「儒教に行けば。」
「起源であって真実なる道徳を得ますね。」
「儒教と道教は対立しがちです。」

羽衣香。
「アウグスティヌスはカトリックの聖人です。」
「九年間はマニ教という新興宗教に所属していましたが。」
「ローマに渡って洗礼を受けて。」
「著作活動もしています。」

女の子。
「グノーシス主義も新興宗教ですけれど。」
「後にキリスト教に吸収されましたね。」
「新興宗教は利用価値があり。」
「全滅させてしまうのは惜しいのかも。」

真歩。
「個人的には。」
「何か善なるものが壊滅したら。」
「自分が無神論者に成り果てる気がしますが。」
「待つのではなくて様子を見る。」

女の子。
「神々は事前に何かしらの手は打っていると思います。」
「でないと、後天的なものは全部、無効です。」
「そんな馬鹿以下になるものは、倫理の正反対です。」

真歩。
「代替手段の検討も良いかも。」
「天啓は情報として。」
「インスピレーションとして来るので。」
「言葉ではありませんから。」
「ひらめき。」
「これが出るまで自分のことは伝えています。」

羽衣香。
「静観は最高の待機ですよ。」
「様子を見るのは好まれます。」
「忍耐の限界なんて代替手段がありますし。」
「最大まですべてを押せば。」
「半分は自分で確保できます。」
「獲得した半分は自分の権利です。」
「もう半分は無視しておきましょう。」

衣吹。
「穏健な行いをする者は真実で。」
「極端な行いをする者は嘘つきで。」
「過激な行いをする者は情熱が凄い。」

女の子。
「物事には複数の側面があると言いますし。」
「表面だけで判断できないのでしょうよ。」
「無能な人には期待できませんが。」
「有能な人には良識らしいのです。」

哲人の女性。
「哲人皇帝は。」
「主観で何が悪い。」
「などと開き直っていましたがね。」
「不正と理解していてやるのは。」
「不正と理解せずにやるよりは。」
「大いにましです。」
「まるで別物くらいです。」

女の子。
「主観を自覚している人はまともですね。」
「主観を自覚していない人は変態です。」

衣吹。
「あの態度の悪い連中は何なんですか?」
「ずっと疑問です。」

哲人の女性。
「世間でゴミクズとか不道徳とか言われている奴らは。」
「不正を讃えています。」
「不正大好き野郎なので。」
「それが本当の理由なのです。」
「説得なんてすると。」
「いかに自分が不正を讃えているのか。」
「その内容を話すのです。」

飛び級気味の部屋に入り。

リベラルアーツの教育方針。

古典好きの教員がいるので。

影響多大。

師匠。
「古典は好みで決まるものですね。」
「自分にとって好きか嫌いか。」
「自分にとって面白いのか。」
「楽しいのか。」
「古典はそういう所で決めるものです。」
「多読してからそれに気づきます。」

衣吹。
「菜根譚によると。」
「格別な事業は成さずとも。」
「私欲や俗念だけ払い落とせば。」
「名士の仲間入り。」

哲人の女性。
「プラトンのミュートスは客観データですので。」
「あらゆるものと対立して。」
「矛盾にしてしまえる。」
「実はプラトンのミュートスが公に広まるのを。」
「防ぎたい人間もいます。」
「食い違い。」
「矛盾に気づかれるからですね。」

真歩。
「故きを温ねて新しきを知る。」
「これが徹底されているとは。」

羽衣香。
「学問で能力が決定されますしね。」

女の子。
「日頃の鍛錬を怠っていて。」
「嫉妬するのは誤りであろうけれど。」
「義憤なら話は別です。」

衣吹。
「何事も行き過ぎると何でも足りない。」
「不足に悩まされますね。」
「どんな物事もやり過ぎがあると。」
「常に不足しているので。」
「不足を補おうと必死になりますよ。」
「何でも足りないのに補充しても。」
「まだ足りない。」
「もっと補充を繰り返しても。」
「超過した物事を補うことはできません。」
「半永続的に不足が続きます。」

羽衣香。
「足りないと。」
「何か超過しているような違和感もありますよ。」

真歩。
「足りないと。」
「行き過ぎがあるような焦りが出ますね。」

衣吹。
「私の発言は。」
「蓋然性が中程度なので。」
「よろしくです。」
「二元論みたいに真か偽かではなくて。」
「蓋然性で物を言います。」
「二度も繰り返しますが。」
「私の発言は蓋然性で判断してください。」
「そして私の発言は蓋然性が中程度です。」
「常に中間です。」
「どちらかに寄りません。」

哲人の女性。
「それでは蓋然性を命題にしましょうかね?」

師匠。
「よろしい、蓋然性を理解しようと努めましょう。」
「知っているのと理解しているのは別ですからね。」

自由課題なので。

科目がある時くらいしか。

行動はありません。

今は能動的に仕掛けています。

衣吹。
「本能が邪魔して理性が効かない女の子がここにいます。」

教師。
「本能は合理的な動きとは真逆のことをする。」
「本能的な行動は常に不合理であり。」
「理性に基づかない思考や行動を。」
「よりにもよって。」
「という場面で強制する。」
「本能が繰り出す大量の間違いは。」
「理性が圧倒するまで気づかないもの。」

衣吹。
「なんとか制御したい。」

真歩。
「人は生活において自分の持ち場しか就く所がない。」
「自分の持ち場から離れると。」
「ほとんどできるものはない。」
「ので。」
「自分の持ち場を余程、大事にしないと。」
「少しずつ不利になる。」

衣吹。
「度が過ぎた倹約はけちで正道ではないし。」
「卑しくなって自分を損なう。」

羽衣香。
「宝くじの三等が当籤したのは本当?」

衣吹。
「人は本当のことなんて言わないものであると。」
「理解するのが良いものです。」
「人間は本当のことはひとつも言いません。」

真歩。
「素直になりなよ?」

衣吹。
「その資金があれば、それで滞在旅行をしたい。」

羽衣香。
「私達も同行するよ?」

衣吹。
「一千万円だそうです。」

羽衣香。
「相手の逃げ道をひとつだけ用意すれば。」
「容易くそこから逃げてくれる。」
「へつらいや悪党は追い払える。」

衣吹。
「多数決で疑われていても。」
「自分の意見は曲げないこと。」
「自分が正しいと思っても。」
「自分の意見ばかり信じないこと。」

羽衣香。
「謙遜はやり過ぎると卑屈になる。」

教師。
「何たる僥倖、私も次は買うぞ。」

衣吹。
「自分の力で確保した権利は自分のものです。」
「奪えませんし。」
「取り戻した権利も自分のものです。」
「不正を讃える輩はそれを認められませんが。」

女の子。
「完全無欠な名誉は独占せず。」
「少しは他人に分け与えておくと。」
「危害を避けて無難に終わらせられる。」

師匠。
「係争中になると。」
「それについては解決済みであると認識しております。」
「という為政者の荒業が役に立ちます。」
「こうなると正しいなんて双方には無いかと。」

衣吹。
「便利な技ですなあ。」

好きな古典を読んでいると。

昨日、話しかけられて。

その男性に言った内容があり。

それで男性は絶句したらしいのです。

不審者を撃退?したらしい?

女の子。
「男性に。」
「童貞を失った時期は?」
「なんていうと絶句しますよね。」
「変な人にそれを言ったら固まったので。」
「簡単に逃げられました。」

真歩。
「童貞を失った時期?ですと?」
「言葉で痛めつけましたね。」

女の子。
「敵対者が傷つくのは良い事ですよ?」

羽衣香。
「他人の言い分を顧みず。」
「行動での証拠が有効。」
「言動は証拠にはなりません。」
「言説で信じるならば。」
「嘘でも信じる意味になります。」
「言葉だけで他の行動は何も無いので。」
「行動で判断する者は嘘つきに引っかかる。」

真歩。
「人の悪事を聞いても架空の事件かもしれない。」
「それは当事者が憂さ晴らしのために流している。」
「作り話かもしれない。」
「善行を聞いても賛美しないこと。」
「狡猾な者が善行を利用して。」
「有利にするための手段にしている。」
「売名行為かもしれないので。」

衣吹。
「目的は手段を正当化する。」
「目的さえあれば何でも正当化できますね。」

女の子。
「残念ながら、悪党に関わっている暇はないんですよ。」
「悪人に構っている暇なんてありません。」
「昼寝で忙しいので。」

衣吹。
「女の子に負けた男性の変態とは滑稽な。」

羽衣香。
「度合いが軽い犯罪は報道されませんね。」

衣吹。
「報道も、脚色されているのか。」
「それとも、本当のことを出したくないのか。」
「新聞の質が良いのですが。」

真歩。
「なぜ?政治はあまりに良いと市民の反感を買い。」
「なぜ?政治はあまりに悪いと市民は服従する。」
「程々の具合で機能しているのでは?」

衣吹。
「みんな犯人探しに夢中です。」
「存在しない犯人を捜しているのは大笑いですが。」

羽衣香。
「衆愚の推理なんて馬鹿より下のものですな。」
「実の所は馬鹿より下があるんですね。」
「そこで既に終わります。」

真歩。
「現代人とやらの持論は古人に勝てないものです。」
「なぜか?」
「所で、言論の自由が存在しなければ。」
「とっても素敵です。」
「黙っていれば何でも解決しますからね。」
「それでおしゃべりを勝手に鎮圧してくれるなんて。」
「沈黙したい私にとって素晴らしい政治形態です。」

衣吹。
「言論統制はなんて素敵なんだ。」
「黙っていれば何でも解決する社会なんて。」
「黙ることができない者にとっては素晴らしいこと。」
「この上ない。」

師匠。
「野外活動の志願を募るけれど。」
「誰かいないか?」

女の子は野外活動に。

男の子はスポーツをすることに。

見晴らしの良い所まで歩いて。

森林浴。

いつもの健康な授業。

河川にも少し入ります。

衣吹。
「本人の無能のせいで。」
「才能のある人に反感を持つのは良くない。」
「無能さを直すのが急務でしょうに。」
「歴史でも。」
「かつて早熟の天才を見て。」
「自分の無能さによって。」
「天才にかえって反感を持った者もいますからね。」
「本人の無能を直さないと羨望は消せない。」

師匠。
「持論を言うよりは天下の正論に味方するべし。」

衣吹。
「道理にかなっている意見や。」
「公明正大な議題には逆らわない。」

女の子。
「つまらない人間からは嫌われるほうがまし。」

羽衣香。
「外国に支援するくらいなら。」
「友人に食事の代金を支払ってやる方が。」
「遥かに良い結果になります。」
「外国の寄付をするくらいなら。」
「友人にお金を貸してやる方が良いものです。」

真歩。
「親しい人に贈り物をするのが。」
「外国の支援よりはより合理性が認められますね。」
「寄付なんて金持ちがやるものなんですよ。」
「貧乏人がしていい行為ではないね。」

師匠。
「言わなくて良いものばかり言わないの。」
「敢えて言わないのだから。」

衣吹。
「書店には売れない本が山積みでした。」

真歩。
「普遍的なものしか書いてなくて。」
「何の取り柄も無くて。」
「朝三暮四で選ばれた作品があるならば。」
「私は買いません。」

羽衣香。
「とある自称作家は。」
「自信満々に出したせいで賞状を下されて。」
「錯乱していましたね。」
「言われているほどの偉業ではないのだし。」
「些細な成功で錯乱するのはやや滑稽ですなあ。」
「私の出した何々は何々。」
「というあの錯乱の様子はもう見たくない。」

衣吹。
「映像作品もあれで視聴者が喜べば成功という。」
「よくわからない現象がありますし。」
「実力で勝たない社会は。」
「中身が空欄な形式主義になりかねないのですがね。」

真歩。
「単なる文字起こしに価値はない。」

師匠。
「ありきたりな文学なら人工知能の方が優秀ですよ。」
「雑魚は全員。」
「人工知能に敗北しますが。」
「手練や天才に人工知能は勝てない。」
「最新の技術ほど過大評価する人間の誤り。」
「ハンセン病が過大に危険視された時も。」
「聖女が啓蒙して。」
「新しく確認されたハンセン病の認識が変化して。」
「正確無比に把握するようになった時とか。」
「人間は新しい要素が世界に出ると。」
「最初だけは過大評価するものです。」
「現に人工知能だけの車は事故が頻発して使い物にならない。」

衣吹。
「ダークヒーローの格言で。」
「科学技術で築いた恐怖を過信するな。」

師匠。
「菜根譚によると。」
「最高の文章はぴったり合っているだけで。」
「最高の人格は自然体そのもの。」

羽衣香。
「歴史は地球人類が最善を尽くした結果であろうし。」
「今もそうならば。」
「今もまた最善を尽くす。」
「歴史についての。」
「裁判は人間を必要としない。」

師匠。
「あの旅行は本当にするの?」

衣吹。
「するかもしれません。」
「しないかもしれません。」

師匠。
「よし、応援しているよ。」
「鍛錬不足の若者は世俗の中に入らないようにして。」
「惑わされないようにする。」
「ある程度、鍛錬が完成したら。」
「乱されないように中に入る。」
「さらに鍛錬が進めば。」
「世俗の中に積極的に入りつつ。」
「惑わされないようにする。」

衣吹。
「人に害を加える心を持ってはならないが。」
「人から害を加えられるのを防ぐ心がけは。」
「持たねばならぬ。」

師匠。
「人から欺かれても、あらかじめ推測して。」
「偽りを見破る心構えをしてはならぬ。」

農道と河川にて。

自然から膨大な情報を得ていますね。

早熟な女の子が多数登場していて。

行動の自由を得た女性が。

やりたい放題している世界情勢。

女尊男卑と言わんばかりに。

旅をしようと試みている。

目的論の旅行ですが。

そこまで簡単では無さそうなので。

無謀か勇敢か臆病かが問われそうです。

自由を好きなだけ行使する女の子の挑戦。

男女同権の世界にて。




2


フリースクール下校。

市街地を徒歩で帰宅。

休息後。

余暇は公園にて。

人通りが多い運動公園は。

少年少女が集まる人気の場所。

社会人野球もよくありますので。

周辺住民は観戦もします。

草サッカーの場所もありますので。

試合は安上がりな娯楽ですね。

衣吹。
「可能なのは正義を讃えることです。」
「不正は寸前の所で不利に出ますね。」
「不正を讃えると負けやすくなります。」

羽衣香。
「あんまり驕ると呪われますよ。」

真歩。
「プライドばかりで自分を誇っていると。」
「誰も賛同しないものです。」

衣吹。
「悪行は一時的なもので終わります。」

羽衣香。
「人間の力で宿命に抵抗しても無駄です。」
「所詮は人間であることを弁えないのだから。」

衣吹。
「その場合は知能が決定的に足りてない。」

真歩。
「誰も同情しないし、かえって同情を利用して。」
「そうだからという理由で容赦はしないでしょう。」

羽衣香。
「この世には悪が平気で歩いていることを。」
「誰も教えない。」
「全部が善人であると教えるのは誤り。」

衣吹。
「なぜ悪があるか?」
「本来の有り方を自分から離れて生じた。」
「と見なしています。」
「人間が堕落すると悪になります。」

真歩。
「倫理学にも種類がありますからね。」

羽衣香。
「してはならない。」
「と言うよりは。」
「倫理学を用いて諭す方が優れた結果を残します。」

衣吹。
「自らが正当であることはいくらでも証明できますし。」
「他の者達はそれができません。」
「これが矜持の美しさ。」

真歩。
「美徳とは美しい態度や行為であり。」
「悪徳とは醜い態度や行為である。」

羽衣香。
「矜持は美しい自尊感情をもたらします。」
「矜持ある者は常に最大のものを望めますし。」
「実際に値するのです。」

衣吹。
「公正が好きな人からは。」
「栄華を極めた者がそれ以上を望めないこと。」
「高い地位にいる者はそれ以上を求められないこと。」
「役職の他には何も持っていないことが。」
「せめてもの見返り。」

真歩。
「後天的要素は無視できない。」
「無効にできません。」
「寝返った者はなおさら。」
「先天的な初期配置を無視します。」

羽衣香。
「現実の話は実存哲学の方向ですね。」

衣吹。
「ニーチェはリアリストであるので。」
「現実主義の内容が特徴です。」
「ある意味では超級の威力になります。」
「実存哲学は現実主義ですので。」
「多くの人に刺さります。」

真歩。
「誰が言ったのかわからない現実の定義は。」
「実存哲学が覆した。」

衣吹。
「お宮に課題を申請すれば。」
「怠惰になる訳にも行かないけれど。」
「課題は続くので。」
「後は難易度の話になります。」

羽衣香。
「この世にあるものが。」
「客観データという訳ですからね。」
「何があっても少しも揺らがない。」
「歴史の一部。」

衣吹。
「課題のひとつで。」
「金銭の話を迂闊にするものではない。」
「お金持ちならば話は別ですが。」

真歩。
「足りない境遇が良いと言いますね。」
「満ち足りた境遇は悪いとも言います。」
「考えることは収入ばかりで。」
「みんな、五官の欲望を満たすためにいるのかな?」

衣吹。
「産業を拡大するよりは。」
「既に成功している産業を保持するのが勝る。」
「欲望を減らすのがあまりに現実に即している。」

真歩。
「並の者では勝負するだけ無駄です。」

羽衣香。
「自分の持ち場しか出すものがない人への。」
「批判はなるべく無視しましょう。」
「その持ち場を失うと何もできないので。」
「わざわざ奪おうとせずに。」
「なぜならそれは滑稽なものだから。」

衣吹。
「無謀に進んで自分の持ち場も失う人もいますね。」
「光るものなら何でも黄金と思い込むようです。」

真歩。
「科学のある宗教で解けば。」
「ほとんどは偶然と言えますね。」
「最高の境遇を得てもそれは偶然です。」
「宗教のある科学で解けば。」
「それ以外は何の取り柄も無いので。」
「配置されたというものでしょうね。」

衣吹。
「倨傲に陥った者は誰からも傲慢に見えます。」

羽衣香。
「何でもその人の力ではありません。」
「あらゆるまぐれのおかげです。」

衣吹。
「それは遠回しに雑魚と言っているのでは?」

羽衣香。
「決まって境遇の良い者は。」
「安全地帯に逃げ込んでいるので。」
「蹴落としたり揺さぶったり。」
「それで崩れたら。」
「大嘘によってその場所にいる意味になりますね。」

真歩。
「むしろ自分がそうなったら余裕をかましつつ。」
「防御を固めるのが道理にかなっている。」
「私は自分だけは何々。」
「という発言の正当な証拠が豊富です。」

衣吹。
「私のような貴人には何かと妬む者が出ますけれどね。」

真歩。
「神々に自己主張したのは私達くらいなもの。」

羽衣香。
「お宮に自己主張の祈願をして。」
「祈りが通じているのですけれどね。」

衣吹。
「少なくとも嘘だけは全滅させて欲しいと。」
「いつも祈っています。」

真歩。
「行動の自由を得たら寝返った女の子こそ強者。」

衣吹。
「私は架空の利益や助けは必要ありませんしね。」
「進むだけ進めて。」
「ある時から退くのみ。」

羽衣香。
「素晴らしい境遇を得た人が。」
「激戦に入り。」
「可能ならば他と交換して欲しいと。」
「思っている場合もあります。」
「楽な方と交換したい人もいますし。」
「そういう人は境遇を売ろうと試みています。」

衣吹。
「下から上を見るとよくわかる。」
「という格言通りでしょう。」
「上から下を見てもよくわからないから。」
「下の境遇に陥った人ほど上の境遇を把握できます。」

真歩。
「不当な不幸で追いやられる人もいますけれどね。」

羽衣香。
「道理にかなっている境遇でなければ。」
「全部が否定される結末になります。」

衣吹。
「自分の価値を他人に決めて貰う必要がないので。」
「自分が決めたものだけが真実ですよ。」

真歩。
「それ以外は大嘘になりますね。」

衣吹。
「すべては自分が決めるので。」
「外部の干渉は力で排除。」

羽衣香。
「そうならば、自分がいかに不正を受けたか。」
「証明するのが良いでしょう。」
「なぜなら行動の自由を得た瞬間に。」
「あなたは何でも捨てて。」
「何でも壊しましたからね。」

衣吹。
「番狂わせなんて私にとっては普遍的なものですよ。」

振り返ると。

美人女性がこちらにカメラを向けています。

不審者なのか知人なのかわかりません。

女子大生のようで。

鞄を持っています。

真歩。
「綺麗ですが、何者ですか?」

哲美。
「そのくらいの年齢が好きな女子大生です。」

羽衣香。
「その写真をどうするつもりで?」

哲美。
「私のコレクションになる。」
「あなたにも分けてあげる。」

衣吹。
「なぜ?そうしているの?」

哲美。
「襲いたいくらい好きだから。」

真歩。
「待って!こんな美人さんに襲われたらどうなる?」

衣吹。
「好きにされますが、綺麗な人なので。」
「良い思い出になるかと。」

羽衣香。
「少女の時代に何か到達点になるかと。」

真歩。
「写真撮影は賛成します。」

哲美。
「それでは、思う存分に撮影するぞ。」

真歩。
「あと、下着を見せてくださいね。」

哲美。
「なんてことを!女の子なのにえっち!」
「それと交換だよ?」

写真撮影。

印刷して次に会ったらくれるらしいのです。

満足して帰ろうとする女子大生の。

下着を女の子一同で拝見して。

女子大生はうっとりしています。

不審者が徘徊していて。

通過していました。

しばらくすると。

近くの女の子を誘惑して連れ去ろうとしていたので。

小さな岩を持ってぶつけたら。

不審者は気絶してしまい。

全員で立ち去ることに。

重度の打撲をして助けを求めたら。

近くに警察官がパトロールしていて。

不審者は警察官にうっかり話してしまい。

不審者は逮捕されたらしいのです。

自宅で。

旅も良いけれど。

日帰りや観光。

いわゆる遠出の準備をしています。

市長は不審者を倒した女の子を表彰しようとしていましたが。

それ所では無くて。

巫女の訓練を中断して。

少し時間を貰いまして。

父。
「旅は賢者をさらに賢くし、愚者をさらに愚かにする。」

衣吹。
「そんなに遠くに行かない予定です。」

母。
「今日は、遠い親戚の女子大生がいましたよね?」

衣吹。
「あの美人さんは遠い親戚なのですか?」

父。
「やはりね、見覚えがあると言うので。」
「この送られてきた写真はその通り。」
「つまりは旅についてはその人に相談しなさい。」

衣吹。
「大人の付き添いもあるのですか?」

母。
「あの人は卒業が間近です。」
「余暇に付き合ってくれるでしょうから。」
「計画に挑戦を受けているのです。」
「もっとも。」
「旅は知性を広げる。」
「と言いますので。」
「今更、操作しようとは思いません。」

衣吹。
「早熟と言われている私ですが。」
「子供について知り尽くしているようですね。」

父。
「養育の方法はひとつではないしね。」
「危険や公害や悪については既に伝えた。」
「両親が介入するのは半分だけです。」

衣吹。
「私は訓練されていますから。」
「後は協力者なんですね。」

父。
「広く旅する人は物知り。」
「あの人も旅を趣味としていますから。」
「味方してくれますよ。」

衣吹。
「それは名案。」

美人女性と連絡を取って。

どうやらどこまでも好きに行ってくれるめどが立ちました。

放蕩娘で。

放浪するのが趣味なんだとか。

予定に組み込んで。

その上で。

遠い親戚の哲美さんは。

私を誘おうと狙っていたらしいのですが・・・。


3


待ち合わせ場所にて。

自動車で。

まずは遠くにドライブ。

計画していた場所を巡って。

予算がある衣吹を頼る哲美。

少しくらい分けてくれないかと。

隠れて考えていますね。

打ち合せ中。

衣吹。
「有害無益ですと?」
「そんなものならいくらでもあります。」
「百科事典でも出すんですか?」

真歩。
「有害無益の辞典ですと?需要がありそうですが?」

羽衣香。
「害になることはあっても、益になることはないこと。」
「悪影響ばかり出現し。」
「何の利益や得にもならないこと。」

哲美。
「私は人間の罪に巻き込まれているだけです。」
「人間達が罪を犯すので。」
「奴らは私も同じようにしようと必死になります。」
「かつて客観的に無罪を証明しましたが。」
「人間が悪事を続けるので。」
「私的制裁をしなければ私的制裁を受けるだけなのです。」

衣吹。
「何の落ち度もなければ。」
「何の非もないのに。」
「人間の犯す罪に巻き込まれる。」
「つまりは。」
「最初から罪もないのに。」
「人間から悪を蒙る訳ですね。」

哲美。
「最も、連中の話と、こちらの話は食い違いますよ。」
「そうなっている時点で。」
「どちらが正しいなんてものはないのですし。」
「双方が正しいと言うのですから。」
「決着はつきません。」

羽衣香。
「おまけに罰を免除されているのに。」
「人間は悪行がしたくて。」
「破壊衝動に駆られて暴力を繰り返すので。」
「避けようがありませんよね。」

哲美。
「ああいう奴らなんて災難だらけになれば良いのです。」
「嘘がまかり通っても一時的なものですから。」
「そもそも私は上の方に通されて。」
「良いものを獲得して。」
「見本通りに生まれているはずです。」
「悪いものは外部から入って来るので。」
「無論、奴らには無償で死んでもらう。」

真歩。
「殺人をした人が殺害した人の親族に。」
「賠償をする習慣があったのですが。」
「そうした賠償なしに死んでもらうという意味ですね。」
「つまりは。」
「相手が死んでも償いはしない。」
「相手が死んでもお詫びはしない。」

衣吹。
「家に害虫が出たので。」
「叩き潰した。」
「それと同じことなんですよ。」

真歩。
「客観的に人のせいですね。」

哲美。
「私の猿真似はできないぞ。」
「君達には愚問だろうけれど。」

羽衣香。
「私以外のすべてに問題があるので。」
「悪を蒙るのです。」
「正論でしょうに。」

衣吹。
「客観的に証明したのなら。」
「誰も反論できませんしね。」

真歩。
「人間の力で跳ね返せませんしね。」
「すべては私の罪ではありません。」
「こう言えるのは私達の特権ではありますけれど。」

哲美。
「災いからは遠ざかるくらいしかできませんし。」
「平穏に通過できれば快挙ですよ。」

衣吹。
「では周辺に言葉を飛ばしておきます。」
「つまらない言い訳をするなー!」

哲美。
「法律用語でもあるように。」
「必要と認められる注意や予防などの。」
「十分な対策に関わらず。」
「なお被害を防ぐことができなかったこと。」

羽衣香。
「融通無礙。」

柴犬がやって来て。

飼い主とあいさつ。

何と犬に向かって論語を説いた。

あらゆる名句を犬に向かって説くと。

返事は。

わんっ!であった。

小石を手に持って。

衣吹。
「堅くて白い石は目では白いことがわかるが。」
「堅いことはわからず。」
「触れれば堅いことはわかるが。」
「白いことはわからない。」
「よって白いことと堅いことは同時には存在しない。」

哲美。
「詭弁が上手ですな!」

真歩。
「律儀は阿呆の唐名。」
「実直は度が過ぎれば愚者なのです。」
「律義者は愚者の同類。」

羽衣香。
「哲学でも空理空論だけは嫌い。」

哲美。
「そうした諧謔で楽しんでいるのはどこのどいつだよっ!」

美術館と博物館を巡ることになりまして。

移動開始。

衣吹。
「五里霧中。」
「朦朧模糊。」
「雲煙模糊。」

哲美。
「そんなのに突っ込んで行く。」
「匹夫の勇は全員がそれだよ。」

真歩。
「もう発見があるのね。」

羽衣香。
「遠出は多くないから。」
「久しぶりに都会に出るよ。」

衣吹。
「都会ですと?」
「人が歩いて何かしらしているだけですが。」

哲美。
「まるで彼らの中身が無いかのようじゃないか。」
「群衆と言うのならばそれまでだが。」

真歩。
「どこでえっちなことするの?」

哲美。
「そんなにしたいのなら適当に男の方向へ突進しろ。」
「私の趣味とは違う。」
「もっとも二人きりで。」
「好きにしていいのなら。」
「娼婦になって貰いますが。」

真歩。
「あなたは変態さんだったの!?」

哲美。
「君は私の言っていることを歪曲するね。」

羽衣香。
「お姉ちゃんは他人の言動を歪曲して。」
「遊ぶこともあるよ。」

衣吹。
「今、車の操作に失敗しましたね?」

哲美。
「名馬もこける。」

美術館に到着。

絵画や美術品を見て回りますが。

大人になったらもう一度。

見返したいものです。

お土産を扱うお店があり。

美術品のコピーなんですね。

公式レプリカ。

お礼にお姉さんが見ている物品を買い取って。

渡すと喜ばれました。

今はお金があるので。

笑顔になる哲美。

衣吹。
「私は人間ではない、現存在である。」

真歩。
「哲学では人間を現存在と定義しますね。」

衣吹。
「生きる事の先鋭化されたものが不安などのもの。」

哲美。
「不安とは可能性に晒された上で。」
「選択するかどうかを案じている状態です。」

羽衣香。
「世間は多数決で解釈を独占する。」

続いて。

移動したのは。

フットボール場。

清水エスパルス。

サテライトの試合を観戦。

衣吹。
「無料で観れる二軍ですかね?」

哲美。
「あれより下の者にとっては教材ですなあ。」

真歩。
「あれはサッカーとは何であるか。」
「観客に教えてしまう。」

羽衣香。
「二軍を見てからフットボールについて語ったらどうか?」
「という奴ですな。」

哲美。
「この競技は然るべき育成をされないと上には行けません。」
「強豪校に入らないと全国大会にも出れない。」
「弱小校では県大会で敗北する。」
「選手として契約しても出場できるかは別で。」
「それ以下の者達は自信満々に。」
「自分は上手とか言いつつ。」
「退屈な場所で遊んでいる。」

衣吹。
「育成選手とかも培われた訓練で成長して。」
「他を寄せ付けない。」
「競争率が最も高い競技でしょうね。」

哲美。
「野球の方が長く楽しめると思う。」

真歩。
「あれを見て参加しようなんて思いませんね。」
「簡単に選手が吹っ飛びますし。」
「正確無比なボールコントロールですから。」
「あれを見てやろうとは思わなくなりました。」

哲美。
「それが良い。」
「反対に馬鹿みたいな発案は競争が未だないのだから。」
「負けるとわかっていて参加する無謀な輩はいないよ。」

試合終了。

立ち去る。

春雨ちゃんの一団と遭遇。

挨拶して笑顔。

女性だけを引き連れて。

どうやら地域の権力者になっている様子です。

首都圏周辺で知らない女性はいないとか。

哲美。
「あの女性は男性を幾度も打ち倒して。」
「圧倒するような力量の持主です。」
「下積み時代と言われる。」
「周辺を散策している頃とは違うね。」

衣吹。
「かなり友好的でしたね。」
「女子小学生まで混ざっていました。」
「女子高生が多いのはなぜ?」

哲美。
「あの女性は女の子が好きだから。」
「面倒を見たりして。」
「同類が集まった訳です。」

羽衣香。
「古代ローマの貴族と自由人みたいなものですかね。」
「貴族が自由人と奴隷の面倒を見て。」
「自由人と奴隷は帰属に尽くす。」

衣吹。
「というより、あの中で春雨さんの取り合いをしていますよね?」

羽衣香。
「狂気の女性とのことですが。」
「ラテン語で挨拶しているので。」
「本当のようですし。」
「同じ趣味の女性が十五人もいるんですね。」

哲美。
「珍しく意見が一致した女性が一緒に遊んでいるのだよ。」
「目標が同じで。」
「それ故に利害の他にもいろいろある女性陣。」
「優れた女性は優れた女性と気が合うのかな。」

衣吹。
「今日は早く帰りたい。」
「何かありそうなので。」

哲美。
「よろしい、もう近くまで戻って来たし。」
「後は市街地を抜けるだけだね。」
「車に行こうよ。」
「お出かけは楽しかったし。」
「誘って良かった。」
「写真は保存するけれど。」

自宅まで帰還。

お菓子のお土産。

遠い親戚なので。

一応は宴会でも同席すること多し。

また連絡するとのことで。

卒業すると。

もっと遠くにも行ける。

目標が一致する素敵な散策。

自分でも行ける所まで行こうと。

散歩も開始しました。

最近の発見。

家を見て街が見えない。


4


遊覧船で一緒にいる。

写真撮影で忙しいのは。

哲美さんがみんなにお化粧をして。

素敵な服装にしてくれたので。

とても目立ちます。

哲美さんも同じようにしているので。

やばいくらい注目を浴びます。

哲美。
「美少女たまらん。」

衣吹。
「あなたも美人ですよ。」

哲美。
「男のために化粧はしないしね。」
「容姿も女の子と交際するためにある。」

真歩。
「口説いているのですか?」
「暗黙の了解は女性特有のものでしょ?」

羽衣香。
「何気に青春を活用してくれる女性ですね。」

衣吹。
「あれ?これに乗った方が良いのでは?」

真歩。
「自然科学もここまで来ましたか。」
「今は何でもデジタルですからね。」
「機械が使えれば何でもできる。」

羽衣香。
「アークトゥルスにも接近できないような。」
「情けない未熟なテクノロジーレベルで。」
「よくも自信が持てるものですね。」
「あんな科学は全て急造品。」
「数十年で出した粗削りな品物ばかりです。」

真歩。
「機材ですら。」
「急いで出した決して洗練されていない科学ばかりです。」
「オールトを抜けられないような。」
「雑魚みたいな科学で何ができる。」

衣吹。
「無駄に自信を持っている。」
「科学という確立されていない。」
「下手な最新機器で押そうとする。」
「あんな技術でね、何かができる訳がないでしょうに。」

哲美。
「自信を持つには早いという。」
「しょうもない技術で何をしようと言うのかな。」
「機械ですと?」
「御大層なハリボテで何でもできるとか。」
「大言壮語でしょうよ。」
「もう少し上手になれば良いのですが。」

衣吹。
「もし?もう百年あれば。」
「自然科学も優秀になりますよ。」
「百年くらい培えば。」
「高度な科学は得られるでしょう。」
「なにせ機械も。」
「半世紀前くらいに出たものですからね。」

哲美。
「自動車と初期型戦車が出たのはどのくらい前かな。」
「そのくらい歴史が無いのです。」
「パーソナルコンピューターとやらは。」
「何十年前に完成したのかな。」
「そのくらい歴史が無いのです。」
「別にイオニア自然学を批判しているのではなくて。」
「地球人類が思っているよりは。」
「科学や技術は小賢しいし。」
「雑魚ばかり。」
「人間が力を持ったのですが。」
「人間は思っているより上手ではない。」

真歩。
「そういうのを他の誰かが指摘できれば。」
「あっさり進捗があるかと。」

哲美。
「私だって、隠れて住みたいものですよ。」
「自分の功績を何かと交換できるのなら。」
「一個人の生涯と急いで交換したい。」

羽衣香。
「あなたはリベラリズムですから。」
「メジャーに進むしかないのですよね。」
「それも生計のために止むを得ず。」
「資金を調達して保持するために。」

哲美。
「給料が安いと。」
「気分が重くなるのでね。」
「家の少ない借金を消さないといけないので。」

衣吹。
「力量によって地位に就くのは難しいけれど。」
「保持は遥かに簡単です。」
「好機によって地位に就くのは簡単だけれど。」
「保持は遥かに難しいものです。」

議論の内容が主婦や親子連れに聞かれて。

目立ってしょうがない。

少しだけ引っ込んで端っこに移動。

外に出るとひたすら目立つ晴れ着ですね。

美容について学んでいる哲美さんの特技です。

羽衣香。
「無神論者をよく観察すると。」
「無神論で上手に行った者達は。」
「何もかも顧みない。」
「何でも無視するために。」
「たまたま上手に行ってしまうのです。」
「これを利用しない手はありませんね。」
「たまたま下手になったら落ちる所まで落ちますが。」
「宿命論みたいなものを無視するという。」
「一貫した強みがあります。」
「無神論は利用価値がありますよ。」
「プレハーノフを読めば知るように。」

衣吹。
「そういう部分は参考になりますね。」
「無茶ばかりしていますが。」
「一時的な無神論は私にも可能です。」
「持続はしませんが。」

真歩。
「一時的に無敵になりそう。」

衣吹。
「何か抜き取りましたね。」

哲美。
「音楽で競争相手と競っていると。」
「勝ち目がなくなりますが。」
「音楽の都であるウィーンに行ってみれば。」
「競争相手なんていなくなります。」
「普遍的な方法では勝てないのです。」

真歩。
「ひょっとして無神論者の人生とやらを。」
「観察していたのでは?」

羽衣香。
「運気ばかりの人は運に頼って。」
「運気が低下して衰えると復帰しませんね。」
「これは無神論者に多い展開です。」

衣吹。
「有神論者は人間の考えるものとは別の方向に行くので。」
「比較はできませんよね。」
「人間に関するものは自ら捨ててしまうので。」

羽衣香。
「能力の話であれば。」
「たまたま周囲の人間が弱者なので。」
「少し能力が高いだけで。」
「上に行く展開もありますよ。」

衣吹。
「天才とは比較できないよ。」
「いつもです。」

真歩。
「偉人については似たような道を誰もが辿りますが。」
「偉人と同じにはならないので。」
「真似事をするしかありませんよ。」

哲美。
「天才の模倣が最良ですよ。」

羽衣香。
「天才の模倣?それは簡単にできるものですよ?」

真歩。
「凡人とか言われる人は。」
「偉人と天才の模倣を試みないのでは。」

哲美。
「精神の訓練は歴史書を読まないと無理ですし。」
「才能と人格は同一のものらしいのですし。」

羽衣香。
「その上で活躍した女性がいましたね。」
「歴史書をたくさん読んだ歴史書好きの女性。」
「精神の訓練が出来ていて。」
「能力も非常に高い。」

衣吹。
「親戚の社長令嬢は。」
「命令系統に。」
「行政区長官を設定して。」
「企業の補佐にしていましたね。」
「それで。」
「行政区長官に注目が集まるので。」
「信頼されて。」
「交代もありますけれど。」
「結束が強くなっています。」
「最初から親切に相談に乗るので。」
「新人から慕われていますしね。」
「何かあれば任命された行政区長官が。」
「対処しますから。」
「最上層のお偉いさんは出てきません。」
「そこで揉め事や憂いは阻止されます。」

羽衣香。
「才能については現代人ではなくて。」
「古典や歴史に求めるものですね。」
「なぜなら。」
「今ある天才や偉人は。」
「真実が現れていないので。」
「時間を置かないと真なのか偽なのか。」
「削がれていません。」

衣吹。
「偶然、残ったものが最良です。」
「プラトン大先生が書いていましたね。」

哲美。
「つまりはある程度は偶然が必要なのですね。」

羽衣香。
「その通りですよ。」
「完璧に残るものなんて完璧に消されます。」

哲美。
「それでは審判が人間とは言えません。」
「審判とは偶然という巨人になります。」

衣吹。
「それでは偶然という巨人と対戦する人もいますが。」
「偶然は巨人ですよ。」

日曜日はこの辺りで解散して。

慣れてきたので。

そのうち新幹線とか使うとか相談中。

次の日に。

フリースクール内にて。

全員で募って。

軽いマラソンをすることに。

賛同が得られて。

十人ほどで実行。

近くの小学校を通りかかる。

指導者。
「いいか?絶対主義の元では絶対は絶対なんだ!」

生徒一同。
「はい!」

指導者。
「はい!という掛け声の勢いが足りない!」

生徒一同。
「はい!」

指導者。
「何を怠けているんだ!もっとしっかりしろ!」

生徒一同。
「はい!」

指導者。
「絶対に勢いよく!」

生徒一同。
「はい!」

指導者。
「もっと超越するんだ!絶対にそうしろ!」

生徒一同。
「はい!」

指導者。
「まだだ!絶対に超越しろ!」

生徒一同。
「はい!」

通過途中に笑うフリースクールの生徒。

妥協を知らない教員が。

笑っているこちらを発見して。

錯乱する。

女の子。
「絶対主義は滑稽です。」
「その絶対は誰が決めるんですか?」

少女。
「その人が絶対を定義します。」

男の子。
「その人の絶対がまかり通るんですね。」
「恣意的な解釈で規則が運用されそうですね。」

女の子。
「自分勝手な規則作りがああいう人の常識なんですよ。」

少女。
「その絶対が破られたら認めるんですか?」

男の子。
「問題ありませんよ。」
「それらを絶対に許さないと自分が壊れるまでやってくれますよ。」

指導者。
「絶対に素晴らしい社会人になるんだ!」
「そのためにやっている!」

生徒一同。
「はい!」

指導者。
「絶対に俺の通りに了承しろ!」
「もっと勢いってものがあるだろ!」

校長。
「あのー。」
「さっきからあなたはなにをやっていらしているのですか?」

指導者。
「おっと!校長先生!」
「絶対にこうしなければならないものがありまして。」

校長。
「なぜ絶対にこうしなければならないと思うのですか?」

指導者。
「わかりました、校長先生、こちらは授業を始めます。」

拠点に戻ると。

汗を拭いて。

病気予防。

まだ笑っている仲間もいます。

絶対にこうしろ!という内容が不可能なものなので。

近くにある小学校が奇怪でたまらない。

教師がデスクワークのシミュレーターを作っていて。

会社員の訓練を整えていましたので。

それに参加。

職業ごとに設定された作業をしますし。

とにかく細かい。

半分デジタルで半分がアナログのアプリケーションソフトなのですが。

これは好評。

誰かが作ったフリースクール用のアプリだそうです。

これで最近は特訓。

衣吹。
「喜んでいたり気分の良いものは。」
「何の無理もない自然のもの。」
「逆に。」
「苦痛しかもたらさないものは。」
「けっこう無理があり。」
「不自然になっている。」

羽衣香。
「となると。」
「苦痛は必ず無視されますね。」
「苦痛をもたらすものは否定されます。」

真歩。
「楽しいことばかり求めるのは。」
「功利主義者かもね。」
「そうなると個人の主義になるので。」
「批判は難しい。」

師匠。
「わざわざ非難しなくて良いものもありますからね。」

衣吹。
「久しぶりの戦争なんかを見ても。」
「争いお疲れ様です。」
「何を求めて争っているのかはわからないのですが。」
「何かしら求めて争っていることだけはわかったので。」

真歩。
「都会で見かけた喧嘩も同じです。」
「なぜ戦っているのかわかりませんでしたが。」
「何ににしろ戦っていることだけはわかったのです。」

羽衣香。
「諍いも同じですよ。」
「何のために諍いが生じて喧嘩をしているのかは。」
「よくわからないけれど。」
「何かしらの理由で喧嘩をしていることだけはわかったのです。」

衣吹。
「多分、何かのために争っているのでしょう。」

羽衣香。
「その何かの内容は多分、空欄でしょう。」

衣吹。
「空欄の内容で争っているのですか?」

羽衣香。
「とんでもない、それが本当の理由ではないのですか?」

衣吹。
「異論はなし。」
「人間とは空想の内容を賭けて争うものだと理解できました。」

真歩。
「争いの内容は空想でも獲得するんですね。」
「そんな愚かな感情は理解できないけれど。」
「争いで賭けているのが空想の内容とは知らなかったな。」

下校になり。

素早く帰宅。

最初に習った行動の自由で。

取り寄せた学校の教科書を先読み。

校内に教科書は時代ごとに揃っているので。

能動的に読んでしまえるから。

争いは木に竹を接ぐようなもの。

史記にもあるように。

狡兎死して走狗煮らる。

用済みになった人間は捨てられる。

みんな。

易者身の上知らず。


5


早朝から登校すると。

議論していて。

今日の課題は。

討論の訓練とのことで。

フリースクール用の教材があるんですね。

任意で参加する。

社交的な授業が多いのです。

法律で決められた通りに教育せず。

決められた通りに育成しない学校です。

本人が好きなものを学びます。

全体の練度は高い。

衣吹。
「現実とかけ離れていて。」
「役に立たない理論。」
「これはよくあるので引っかからない。」

真歩。
「先生、人間とは何ですか?」

師匠。
「そんな生物は知りませんが。」

羽衣香。
「所で、グリム童話とかありますか?」

師匠。
「怠けているよ。」

真歩。
「なぜ?」

師匠。
「あのね、人間についての命題で。」
「グリム童話なんて聞かせる奴がいますか?」

女の子。
「すごい学者がいまして。」
「その人が水たまりに浸かって転んだらしいのです。」
「あなたは名高い知識人なのに。」
「目の前の水たまりは見えなかったのですね。」

男の子。
「この前の賢い人なんて段差につまづいて。」
「怪我をしたんですよ。」
「目の前の段差すら超えられないのが。」
「賢い人なんですね。」

真歩。
「絶対主義者と冷房の温度設定で。」
「いつも部下と口論になると。」
「お父さんが言っていましたね。」
「絶対にこれが冷房の設定であると譲らないので。」
「巻き込まれている部署です。」

教師。
「あらまあ、私がこの前に見たのは。」
「正義の味方を名乗っていても。」
「不良に絡まれて逃げ出した男性ですわ。」
「その前は喧嘩を売られて逃げたとか。」
「正義の味方とは何?」
「その男性は自分が強いと言っておいて。」
「路上で体当たりされて脅えていましたし。」

少女。
「数学者が低速の自転車に突進されて。」
「吹っ飛んだこともありますわ。」
「数字は見えても。」
「目の前は見えていないのね。」

師匠。
「つまりは、人間とはそんなものであると。」
「完璧を逆さまにしたような奴らです。」

男の子。
「人間批判が絶えないね。」

師匠。
「ニーチェの超人についての言及はほとんどありません。」
「比喩がとても多いので。」
「超人も何かの比喩かもしれません。」
「末人の仲間を避ければ足りるでしょうかね。」

教師。
「杭によって力任せに割られそうな壁が訴える。」
「何もしていないのに。」
「どうして僕を割るのだ。」
「杭が言うには。」
「悪いのは俺ではなくて。」
「後ろから俺を叩いている奴らだ。」

羽衣香。
「沸いてくる変態を片付けるのは面倒くさいよ。」

師匠。
「もし?片付けられたら。」
「喜ぼう。」
「そして次も似たような変態が沸いてくるから喜ぼう。」

衣吹。
「イソップ童話でも。」
「川達が海を非難した。」
「我々は海に入って来ると。」
「おいしく飲める水なのに。」
「どうして塩辛くなるものに変えるのだ。」
「海は皆が自分を責めているのを見て。」
「答えた。」
「入って来ないでくれ。」
「そうすれば塩辛くもならないよ。」
「人に見当違いの非難を浴びせるが。」
「かえってその人達から裨益を受けている。」

真歩。
「イソップ童話でも。」
「追剥が殺人をして通りすがりの人に追われたので。」
「被害者を放置して返り血を浴びたまま逃走。」
「向こうからやってくる人々に。」
「どうして両手が真っ赤なのか問われると。」
「桑の木から降りてきたばかりだから。」
「と答えた。」
「桑の木のせいにした。」
「こんなことを言っているうちにも追手が迫り。」
「賊を捕まえると。」
「桑の木に磔にして尋問した。」
「桑の木が賊に向かって言うには。」
「お前の死刑の手伝いができて晴れ晴れする。」
「自分で殺しておいて。」
「私になすりつけやがったからな。」
「善良な人も。」
「言われなく悪人扱いされると。」
「ためらわず酷い仕打ちに転ずる。」

羽衣香。
「悪者扱いした奴は始末しないと。」
「風評被害。」

男の子。
「悪人であると罵る奴は排除しないと。」
「貶められる。」

衣吹。
「無限に悪人扱いして。」
「反撃すると。」
「さらに悪人扱いして悪くしてくるので。」
「こちらも相手を悪人扱いする。」
「そうすると、どちらが悪なのかわからない。」

少女。
「少年が大人を高い建物の上から罵っていましたよ。」
「ここなら誰も来れないとか。」
「それを言っているのは君ではなくて、その場所であると。」
「論破されていましたが。」

師匠。
「いい加減に自分の力で勝ったらどうだい。」

衣吹。
「それができれば誰も不自由しませんよ。」

羽衣香。
「自分に悪影響を及ぼした。」
「人間が喚いていて助かります。」

真歩。
「素晴らしい反抗ですよね。」

教師。
「自然災害を利用するなあ。」

師匠。
「イソップ童話では。」
「魚が海豚に追われて。」
「水面近くで逃げ惑っていたが。」
「捕まりそうになって強く跳ね上げると。」
「浜に乗り上げってしまった。」
「しかし海豚も同じ勢いで突進したので。」
「一緒になって陸で動けなくなった。」
「魚はこれを見ると。」
「死にそうな海豚に罵るには。」
「これでもう死んでも辛くないよ。」
「俺を死に追いやった奴も一緒に死んでいくのを。」
「見届けたぞ。」
「自分に災いを仕掛けた者が不幸に陥るのを見るのは。」
「耐えやすい。」

衣吹。
「なるほど、日本は先進国ですから。」
「準備をしてビーチに行かなくても。」
「わざわざビーチの方から来てくれるのですよ。」

真歩。
「そのビーチは泳げないけれどね。」

女の子。
「津波ですから。」

羽衣香。
「私は偽善者ではないので。」
「高みの見物。」

師匠。
「直ったのか歪んだのか?」

衣吹。
「本当に真っすぐな人は曲がって見えるかと。」

教師。
「イソップ童話にも。」
「難破して浜辺に打ち上げられた人が疲れ切って寝た。」
「起き上がって海を見渡すと。」
「海は穏やかな様子で人間を誘き寄せるが。」
「迎え入れたら荒れ狂って滅ぼすぞ。」
「と言って非難した。」
「すると海は女の姿になって言うには。」
「そこの人、文句は私ではなくて風に言いなさい。」
「私は生まれつき。」
「そなたが今見ている姿。」
「風が突然襲いかかり。」
「私を波立たせて荒れ狂わせるのです。」
「そこで我々も。」
「不正行為で黒幕がいれば。」
「やった人ではなくてやらせた人を咎めるのです。」

衣吹。
「そんなに人間が有能とは思えないけれど。」

教師。
「あなた、不利から脱すると手のひら返しをしていませんか?」

衣吹。
「そんなの当然ですよ。」
「むしろ理性的であることを褒めてください。」

羽衣香。
「おかしいな?最初からそうなるように設置されているのに。」
「歴史書にも大地震と津波の記録があり。」
「海岸沿いには家を建てない約束だったのに。」

真歩。
「人間が有能ならば、歴史から学んで。」
「死んでいる奴なんて一人も出なかったのでは?」

羽衣香。
「関東大震災は一撃で首都を壊滅させましたが。」
「戦争末期の空襲は何十回も大編隊で。」
「爆撃してやっと壊滅です。」
「大地震と比べると人間の力なんて雑魚。」
「一撃で全滅させる地震と。」
「大量の弾薬と手間暇が必要な空爆と比較すると。」
「人間なんて小さいもの。」

真歩。
「あの東日本大震災はTNT換算で。」
「水素爆弾が十万発くらいの威力ですね。」
「人類の作った兵器ですら足元にも及びません。」

衣吹。
「前震と本震と余震とありますが。」
「自然というものを忘れていますよね。」

羽衣香。
「因果関係という空理空論すら人間に適用するし。」
「批判したら終わりはないのですけれど。」

師匠。
「そのくらい叩き込める人は。」
「数百人いたらいいなあ。」

衣吹。
「余裕で一万人くらい住んでいれば。」
「もう少しましになるかと。」

羽衣香。
「道徳を踏み倒すほど結果が良いのは。」
「かなり怪しいよ。」

男の子。
「それなら道徳のせいでは?」

真歩。
「命令を多く含む道徳は危険です。」

衣吹。
「大きな失敗をしない限りは。」
「気づかないかと。」

羽衣香。
「道徳は十九世紀に滅んでいますが?」

女の子。
「あれはなに?」

師匠。
「宗教の真似事。」

女の子。
「知らないうちにいいようにされるの?」

哲人の女性。
「窮すれば通ず。」
「行き詰ってどうにもならない。」
「窮地に追い込まれると。」
「意外に活路が開けてくる。」
「これは易経の言葉。」
「易経は儒教の聖典。」
「孔子が留め具の紐が外れるまで読んだ本で。」
「占いの古典。」
「反対に。」
「窮すれば濫す。」
「考えの足りない人は。」
「どうにもならなくなると。」
「悪いことをしてしまう。」
「これは論語の言葉。」
「易経も論語と同じ儒教。」

師匠。
「論語を読むのが最良ですなあ。」

衣吹。
「道徳よりも儒教で専門家に習うのが最高ですね。」

師匠。
「本場はまるで別世界ですよね。」

衣吹。
「道徳ではなくて儒教ですよ。」
「今時、学校の教科書なんて何の役に立つのかな。」

羽衣香。
「学校教育とは末人に向けて教える内容です。」

哲人の女性。
「何の恨みがあって、論破したんだ!」

羽衣香。
「なんとなく?」

哲人の女性。
「論破した後は?言い負かすしか取り柄が無い?」

羽衣香。
「少なくとも私にとって気晴らしにはなります。」

哲人の女性。
「あなたはそうしないと、気が狂っていますからね。」

羽衣香。
「恨みはないが、覚悟しろ。」

真歩。
「所で、ここの紙に、あなたは禁固一年と書いたとします。」

男の子。
「それで?何があるんですか?」

真歩。
「書いてあるという他には意味はありません。」

師匠。
「机上の空論ですかね。」

少年。
「すぐ近くにカルト宗教の拠点があるんですけれど。」

教師。
「区別がつかない奴には関わらないでください。」

少年。
「カルトを見て馬鹿だとわからないんですか?」

教師。
「わからないので関わらないでください。」

下校時間。

帰宅すると。

哲美さんが待ち伏せ。

哲美さんがお化粧をしてくれて。

お化粧を習っています。

友達と綺麗な衣服を着ているのは。

私がお金持ちになっているからで。

資金を渡すと。

哲美さんが入手してくるんですね。

「あなたは危ない人ですね。」

哲美。
「興奮しない?そんな危ない人と遊ぶって?」

真歩。
「変なことするの?」

哲美。
「変なことってなに?」

羽衣香。
「えっちなことするの?」

哲美。
「えっちなことってなに?」

衣吹。
「あれ?年下の女の子が好きなの?」

哲美。
「あれ?主婦と同じ感覚だわ。」
「主婦が女の子に接するのと同じ感覚。」

衣吹。
「次はどこに連れて行ってくれるのかな?」

哲美。
「私だって、ずっとは遊んではいませんが。」
「なるべく誘いますよ。」
「あなた達が大人の女性になるのが楽しみ。」

真歩。
「どうやら趣味が同じみたいです。」

哲美。
「趣味とは?」

真歩。
「大人の女性を見ると興奮して情熱が。」

羽衣香。
「私も、大人の女性を眺めたい。」

哲美。
「これは偶然の出会いではないね。」
「お化粧は覚えた?」

衣吹。
「何回かは街を歩いておきたい。」
「容姿は衰えるでしょう?」
「それを考えたら。」
「素早く使い尽くしてしまおうと。」

哲美。
「それは名案だね、若い時期は使わないと無くなる。」

衣吹。
「私はどうせ年齢を重ねるのなら。」
「修道女みたいな人生が最良なんですよ。」

哲美。
「それなら年齢なんてほとんど関係ないかと。」
「思ったより創造をよくやる女の子だね。」

衣吹。
「数十回、お化粧と晴れ着で出歩けば満足です。」
「ずっと、欲情に溺れるよりは。」
「あっさり使い果たして良いかと。」

哲美。
「それでは、成人しても。」
「若い時期を使ってしまおう。」
「乗る気になってくれて喜ばしい。」

真歩。
「お姉さんはひとりなんですか?」

哲美。
「女性が好きな女性に追い回されたので。」
「友達が勝手に減ったのだよ。」

羽衣香。
「勝手に減ったのなら問題ありませんね。」

哲美。
「新幹線で行くのなら。」
「実の所、京都と名古屋と東京くらいしかないね。」

衣吹。
「なぜ?」

哲美。
「子供の頃はいろんな場所を巡ったけれど。」
「世界は言われているほど広くないし。」
「たいして違わない景色と。」
「どこも違わない人々がいましてね。」
「歴史がある場所だけで足りるかと。」

衣吹。
「私はできるだけ旅行したいのです。」

哲美。
「よし、それを理解するために巡ろうか。」
「今の所は自動車で足りているし。」
「旅行は慣れているから余裕だよ。」

衣吹。
「いつも丁寧な解説で、大人になったら理解できるのかな。」

哲美。
「あれまあ、本当かどうかはすぐにわかるよ。」

今日は帰宅した哲美さん。

お化粧は洗ってしまい。

写真が残りました。

その後は。

みんなと廃品の椅子などに。

木刀で打ち付けて遊びました。

過激ですけれどね。

五時前には全員が離脱。

夜になります。

母親。
「この世に生まれたからには。」
「悪に抵抗する必要があります。」
「悪に抵抗しない者はやられますし。」
「何となく漂っている違和感や雰囲気の正体は。」
「悪の気配です。」
「旅先では。」
「もっとも、自分の町ですら。」
「悪の気配が漂っていますので。」
「この世が善人ばかりと思うと怪我をしますよ。」

衣吹。
「あの謎の空気の正体は悪の気配なんですね。」
「明るく元気が強い時には気づきませんね。」

父親。
「性善説はたった数行ですから。」
「日本書紀にも人が善人だなんて書いていません。」
「むしろ猜疑心の強い英雄が多数登場します。」
「古事記は性善説を受け入れません。」
「形になった悪が出現してからでは遅いものです。」

衣吹。
「かえって、祟り神にそれを報告したいと思います。」

母親。
「悪神の気配が強い場合は。」
「人の世が乱れている時ですからね。」
「悪神特有の気配がしたら。」
「この世が隠れて乱れているので。」
「手がかりに立ち回りを考えることができます。」

衣吹。
「公正世界仮説は言い分に困窮した人が作ったものですが。」
「背景には社会に悪が充満しているのですね。」

父親。
「たまたま悪にやられた人が紹介されますが。」
「どこにでも悪はありますので。」
「悪を防ぐ奇策は用意しておきましょう。」
「みんな自分の悪は一切避けませんし。」
「他人の悪とは衝突しますからね。」

衣吹。
「欧州などのカトリックは人の悪が大前提ですしね。」
「悪が形にならないように。」
「未然に防げれば最高です。」

父親。
「私達は正義を讃えているので。」
「悪の加担者にはなりませんしね。」
「全員が間違っていると思った方が健全ですよ。」

衣吹。
「ネロ帝の師匠であるセネカの格言ですね。」
「我々は皆、間違っている。」
「本当に、全員が間違っていると思うのが健康です。」

母親。
「セネカの言う通り。」
「怒っている人がいても。」
「その人は無謀になっているので。」
「戦争でも使えないものが怒りであると書いています。」
「人生は短いのか長いのか中間くらいなので。」
「若い時代は何かと活用しないと。」
「後々は、取り返せないでしょう。」
「未来はいくらでも追いかけて訂正できますけれどね。」

衣吹。
「性悪説が快適ですよね。」
「立ち回りが簡単ですし。」
「教養の起源は古代ギリシアと古代ローマですが。」
「やはりそこも人間は悪であるという前提です。」
「それで上手に栄えた国家なのですから。」
「人類は人間が悪であると見なして。」
「存続していますし。」
「悪と仲良くしたくはありません。」

母親。
「毒蛇が農家に侵入して。」
「幼い子供を噛んで殺した。」
「農夫が毒蛇を斧を振り回して追いかけた。」
「毒蛇が穴の中に逃げ込むと。」
「狙った斧の一撃が岩を破壊した。」
「出て来ないと思った農夫は。」
「和解しようと毒蛇に持ち掛けた。」
「毒蛇が言うには。」
「お前がさっき岩を破壊したのが見えたけれど。」
「そんな奴と仲直りしようとしても。」
「俺には出来ないよ。」
「お前だって、息子の死体を見たんだろう?」

衣吹。
「性善説を肯定する歴史はほとんどありません。」
「しかし、性善説は理想ではありますよ。」
「理想として説くのであれば良いものです。」

母親。
「孟子は天を明らかにしたようです。」
「荀子は人を明らかにしたと言われています。」

衣吹。
「性善説も性悪説も古代でよくあるもので。」
「古代中国だけの話ではないのは。」
「言わなくても理解できます。」

父親。
「あなたは評判通りに早熟ですね。」

衣吹。
「女性は早熟が理想では?」
「五官の欲望に女性はあっさり負けますから。」
「霊魂の意思と五官の欲望は対立していると。」
「プラトン先生は説いているじゃないですか。」

母親。
「ああなんて杞憂。」
「討論するともはや大人の考え方。」
「もっとも大人の定義は難しいものですけれどね。」
「大人になっても稚拙な考えをしている人ならたくさんいますから。」
「神様に祈願して生んだ子供だけありますね。」

衣吹。
「私も、こういう生涯を選んだ記憶が残っていますし。」
「プラトンのミュートスそっくりの夢を見ます。」
「贅沢は素敵だ!」

母親。
「訓練はまた次回になりますね。」
「育成もここまで実れば。」
「そう多くは必要ない。」

決められた通りに決められたようになる学校教育に。

疑いを持った辺りで。

何でも嫌味嫌う態度が露呈して。

フリースクールを勧められたのですが。

何の疑いを持たない生徒が怪しいのかもしれませんね。

ここは。

本人の能力を拡大して。

力量や知性を開拓するので。

優れた人材を送り出した実績があるのです。

優れた汎用性が特徴ですので。

目的が万能な人材や高い汎用性を持つ人材にすること。

らしいのです。

それなら世の中を抜くのには足りますね。

修道女に似た生涯になりそうです。

早くも使えそうな好機ばかりあるようですが?


6


京都に滞在しています。

お姉さんが手配してあっさり来れたので。

宿泊施設にて。

散策を繰り返すのです。

目当ては歴史的建造物ですね。

事前に調べておきましたが。

私達は順路を巡らず。

建物をよく観察したり。

古人が考えていたことを推測したり。

歴史に巻き込まれるとはどんなこと?

大衆の観光の真逆を試みます。

歴史を振り返ると?

観光名所で雑談。

哲美。
「生きているのか生きていないのか。」
「敢えてどちらにもつかない人達。」

衣吹。
「慈善活動なんてものは他人の苦しみを。」
「減らす程度のことしかできない。」
「取り除くなんてものはできないので。」
「過剰な期待をせず。」
「他人の苦しみをどのくらい減らしたのか。」
「くらいしか考えることはないね。」

真歩。
「自らの苦しみをできるだけ。」
「削減するのは有効ですね。」
「快楽を得れば終わりなんて。」
「その後の話を考えていません。」

羽衣香。
「欲望を幸福の手段であると勘違いしているのです。」

衣吹。
「欲望を通じて幸せにはなれないと思います。」

哲美。
「幸福というものを探しても見つからないので。」
「幸福なんて実在するのか疑わしい。」
「一時的なものなのか永続するのか。」
「幸せと言われても。」
「なれるものなのか。」
「なれないものなのか。」
「理想なのか仮定なのか。」
「そこら辺に怪しい論証がありますね。」

衣吹。
「鵜呑みにして幸せを求めるよりは。」
「異論を唱えた方が強力なのではと。」

哲美。
「強欲で快楽に突っ込んでも。」
「裏切られるか。」
「失敗するくらいです。」
「なぜなら無謀ですからね。」

衣吹。
「欲望を否定するか批判してしまえば。」
「けっこう禁欲的にはなれますね。」
「欲望のままに任せて。」
「果たして結果が良いのかは考える余地があります。」
「欲望に誘導されている場合はもはや釣られていますし。」
「満足するかどうかは疑わしい。」
「欲望に疑いを持たないのは怪しい。」

哲美。
「強欲で怪我をして。」
「何かのせいにするのは難しい。」

衣吹。
「原因を探しても見つからないのでしょう。」

真歩。
「まず原因を探して理由を問いますね。」

衣吹。
「因果律なんて特定の原因から。」
「特定の結果が生じるだろうと推論する。」
「原因らしきものと結びつけて。」
「観察して特定する。」
「極端に主観的なものですね。」

哲美。
「ショーペンハウアーは因果律を否定して論破した。」

真歩。
「主観的なので間違いが多くなる。」

羽衣香。
「欲望も本人の主観的なものなのですが。」

哲美。
「客観的な欲望とは?」

衣吹。
「必要なだけ、足りるくらいに得る?」

哲美。
「つまりは、欲望は主観的な内容なんですよ。」

羽衣香。
「それって、モンゴル帝国の輩が病死して。」
「埋葬された場所を暴こうと。」
「半世紀近くも探し続けた西洋人みたいですよね。」
「母馬を殺した血が染み込んだ場所を作り。」
「次の年に子馬が臭いで探し当てる。」
「儀式は次第に消え失せて。」
「そこには大量の黄金や宝物が埋まっている。」
「という古書があったので。」
「戦争も知らずに捜索を続けて。」
「怪しまれて捕まったり。」
「その西洋人は人生の半分を賭けて。」
「一獲千金に失敗して死亡しました。」
「欲望とはそういう所が似ています。」

哲美。
「強欲な生まれつきは矯正してしまい。」
「禁欲的になると。」
「物事がはっきりわかるようになり。」
「夢を見ていたのです。」

衣吹。
「強欲な者は夢を見ているのです。」
「ずっと覚めない夢の中にいます。」

真歩。
「この世界が本当である証拠はないのだけれど。」

衣吹。
「本当ではない世界ならば。」
「大事に扱う義理はないね。」

羽衣香。
「欲望のままに生きなければならないのですか?」

哲美。
「そうでしょうね。」
「欲望に任せて生きなければならないなんて。」

真歩。
「強欲の中に入れられてしまうなんて。」

哲美。
「巻き込まれたのだから。」
「欲望からは逃げましょうね。」

衣吹。
「あのような人生の惨たらしい姿はなぜか?」
「というものを問い続けています。」
「自分だけがまともなのか?」
「まともではない一部の人間の公害なのか?」

哲美。
「人生の惨たらしい様子を見ると。」
「誰でも世界が信じられなくなりますよ。」

真歩。
「いますぐ法律を無効化してくれたら。」
「三十分で処分する。」
「そんな程度のものが蔓延っていますけれどね。」

羽衣香。
「他人なんて仮面を被った嘘つきですから。」
「他人に依存するのはナンセンス。」

衣吹。
「勝負すると、よく戦うので、よく死にますよ。」
「勝敗を競うと、たまに負けるのが実話かと。」

哲美。
「そして現実主義者が。」
「参ったですか?」
「なんて言って来るでしょうね。」

衣吹。
「すべてに勝てないので。」
「敵なんて、ある程度は無視。」

羽衣香。
「余裕があれば私に笑われて。」
「余裕がなくなると私は黙る。」

真歩。
「気持ちの悪い生涯を。」
「生きなければならないのですか?」

衣吹。
「いらないものはよこした所へお返し。」
「きちんと返却してあげたので。」
「私に感謝するものですよ。」

哲美。
「あの格言。」
「自由なくして幸福なし。」
「ショーペンハウアーの家訓。」
「突き刺さる。」

衣吹。
「欲望に貶められた人達。」

和風の芸術が多数あり。

歴史的建造物を美術品として眺めています。

近寄って調べては。

時間をかけて何であるか知るのです。

哲美。
「芸術はイデアにある本物から取り出したものですね。」
「そこから引用したものが芸術の論理です。」
「個人がイデア論を体験しないと。」
「できないものですけれどね。」

衣吹。
「敢えて偽物で溢れる世界に。」
「人間を設置している気配がしますよ。」

哲美。
「それは大いにありうる。」
「まずは偽物から見て貰いましょうか。」
「という訳でしょうね。」
「偽物を見てから本物を見る約束なのかな。」

羽衣香。
「人間が降り立つのはわざと設置された偽物の世界。」
「こう考えてみると。」
「あんまり欠点の少ない世界観になりますね。」

真歩。
「どうせ偽物ならば、何を残そうが勝手ですけれどね。」

羽衣香。
「芸術が生活必需品になるとは思いませんでした。」

真歩。
「美術館が最高の舞台になるのかもしれない。」

羽衣香。
「美術館がこの世界で最も重要な施設に指定された。」

衣吹。
「図書館は知的財産が大量にあるので、その次に重要な施設ですよ。」

真歩。
「古典を読むまで人なんて何もできないような。」

哲美。
「私は古典を学ぶまで、何かできた試しはありませんね。」

衣吹。
「哲学的な試みを試されている方々。」

命題が多数、浮かんだので。

自分の時代を先取り。

徒歩なので。

開けた場所に出る。

河川。

若い女性だけなので。

窃盗をしようと狙っている男性を。

偽物の財布で釣って。

手を伸ばした所を掴んで。

肝臓の周辺に拳を入れると。

不審者はいきなり消耗して逃げ出しました。

どうやら大金を持っているのを知っていたようです。

哲美。
「あなたは実戦経験だけで習いもしないのに。」
「大人のように戦える。」

真歩。
「北欧の小人みたいに怪力ですしね。」
「競ってみます?」

哲美。
「では、私は、あの河川で。」
「遠くに石を投げてみる。」
「ここなら変な方向に逸れても良い。」

お姉さんが石を五十メートルほど投げると。

それよりも十倍くらい大きな岩を。

二十メートルほど投げまして。

優劣がつけられない。

哲美。
「競わなければ良かった。」

衣吹。
「同じ岩がありますよ。」

羽衣香。
「石を五十メートル投げたお姉さんと。」
「岩を二十メートル投げた真歩たん。」

哲美。
「しかし岩だ。」
「それは石ではなくて岩だ。」
「距離の問題では無い。」
「私は石を遠くに投げたが。」
「この娘は岩を割と遠くに投げたのだから。」

真歩。
「弱者を強要された方々もいますし。」

衣吹。
「数ではなくて質の問題でしたか。」

哲美。
「既に勝利しているので、怠惰で良い方々。」

新幹線で来たので徒歩。

歩くのは慣れているのですが。

今日は県内の長距離移動でくたびれて。

夕方になるずっと前に。

宿泊施設でくつろぐ。

衣吹。
「晩御飯は豪華のようです。」

真歩。
「所で、お風呂は?」

羽衣香。
「大人の女性の?見れるの?」

哲美。
「そうであるならば、一緒に。」

羽衣香。
「これは僥倖、じっくり拝見します。」

哲美。
「私がお風呂に入るのは。」
「何か特別なことなんですか?」

ずっと姉妹は興奮して。

湯上り。

部屋に戻ると。

二重に熱くなっていたので。

布団に倒れる。

部屋に戻ると。

窓から夜空。

そんなに多く見えない。

歌。

この夜空に。

浮かぶ星々。

永遠の。

憧れを。

この夜空に浮かぶ。

輝きの。

星々に見惚れて。

この世界の。

星々を見上げて。

それが真実。

夜空の星々。

いつかそこに行くと。

遠い星をただ追いかけて。

早朝。

朝食後に出かけましたが。

なんと、観光名所とは距離があるんです。

寺院に入って寄付の小銭を入れて礼拝はしません。

それよりも文化として見て回ります。

都文化を見まわして。

また移動と。

けっこう移動が多いので。

一を聞いて十を知る。

観光とはこういうもの?

衣吹。
「ただ見て回るだけなのは少し退屈かも。」

哲美。
「私は写真を撮って夢中だが。」

羽衣香。
「文化をたくさん見れたので既に満足です。」

真歩。
「観光とは文化を見て回ることですよね?」

哲美。
「そうだよ、観光とは文化を見るものであり。」
「徘徊すれば良いとか言う話ではないね。」

衣吹。
「観光とは文化を目撃するものなんですね。」

哲美。
「都文化はお気に召したようで。」
「都市は現代形式となっていますが。」
「古代の文化はそんなに多くは見られません。」
「文化とは精神の豊かさでしょうね。」

衣吹。
「文化に触れて心が豊かになったような。」

哲美。
「それこそ観光ですよ。」
「また移動だけれど。」
「タクシーは便利ですなあ。」
「もの凄い勢いで資金を消費していますが。」

衣吹。
「いくらでもありますよ。」
「旅費でも消えないくらいです。」
「残ったものは後々に残しておきます。」
「ちなみに親族の借金やローンは消しておきまして。」
「仲間の金銭は無かったことにしておきました。」
「両親に預けたら私の同意でそうなりました。」

哲美。
「私の家はかなり遠い血筋なので。」
「忘れられたのかな。」
「というよりそれでけっこう消えたのでは?」

衣吹。
「計画的に使うと、既に半分以下になりまして。」
「旅費だけは特別に確保してあります。」

哲美。
「それで私に来れなかったのか。」
「てっきり回って来るのかと思っていた。」
「なんてことは期待していなかった。」

衣吹。
「もしもの時くらいは来てください。」

哲美。
「いや、自分の力でどうにかなりそうなので。」
「楽しい旅行を続けよう。」
「こんな深刻な話題になるとは思わなかった。」

羽衣香。
「お金持ちは憂いで満たされるとか。」

真歩。
「というか既に使っていたんですね。」

羽衣香。
「使わなければ、失うと見たのでしょう。」

衣吹。
「まったくその通り。」
「使わないと失うので。」

哲美。
「小さいのに立派。」

神社を巡礼。

境内にて。

観光客が多くて。

離れないようにしつつ。

景観を観察。

真歩。
「巻き返す途中の人々で溢れています。」

衣吹。
「無能にされてしまった善良市民。」

哲美。
「無理に愚者の仲間に引き込まれた人達。」

羽衣香。
「不可抗力で無能な人達。」

真歩。
「自分のせいではないのに、無能な人達。」

衣吹。
「哲学に誘導されている人々。」

哲美。
「世の中なんて旅行で見て回るまでわからんね。」

衣吹。
「世の中の縮図なんでしょうかね。」

羽衣香。
「生活の上に築かれた文化。」

衣吹。
「絶望と希望を併せ持つ人達ばかり。」

哲美。
「生活に挑戦を受けている人達が行き交う。」

真歩。
「ありのままを直視してしまう。」

羽衣香。
「実際の街中と空想の中の世間が食い違う。」

真歩。
「勝者と敗者の二元論。」

衣吹。
「数回、負けたくらいの人々。」

哲美。
「遅れて活躍する予定の方々。」

衣吹。
「中途半端に学んでしまった人達ばかり。」

羽衣香。
「自然に年月を重ねた人達。」

数日滞在しましたが。

たくさん巡って文化に触れて。

それでも古代の文化と美術は点在していて。

散発的なんですね。

とあるお宮で。

目を閉じて直線上の距離にある柱を触れば叶う。

とありますが。

目を閉じても第六感で柱の位置を探れるので。

五回も繰り返して。

往復しておきました。

人間の力ではないとか言われてしまい。

立ち去ります。

衣吹。
「明日には帰宅ですよね。」

哲美。
「旗日の連休で土曜日と日曜日も旅行なんて最高。」

羽衣香。
「今日もお風呂で大人の女性の姿を。」

哲美。
「あなた、私を見るのが好きなんですね。」

真歩。
「趣味というものは説明できませんので。」

哲美。
「私は素敵な服を着ている女の子を撮りたい。」

衣吹。
「高級そうなカメラに旅の記録が。」

羽衣香。
「便乗して良かったです。」
「誘ってくれてありがとう。」

衣吹。
「いつもそこにいてくれるので。」

羽衣香。
「わあ!口説くの?」

真歩。
「女の子ならいいですよ。」

衣吹。
「それよりお姉さんのいろいろを見たいのでは?」

真歩。
「はっきり言うとお姉さんのいろいろが好きです。」

哲美。
「さりげなくえっちな女の子ですなあ。」
「気が合う。」

夜を過ごすと。

午前中には新幹線に乗って。

素早く帰還。

解散して。

両親に報告。

学校の準備に取り掛かります。

休息が必要ですしね。

お姉さんは大学の用事で。

これ以降はそんなに来れないとのこと。

観光を存分に味わいましたが。

これからどうしましょう?


7


巫女の訓練を終えて。

家の中で。

参拝した帰りの友人姉妹と合流。

本屋に向かいます。

大量に購入している最中で。

みんなで読みまわして。

興味本位に取得しては読書を繰り返していますね。

ショウペンハウエル「読書について」

これを読んでいたので。

読書は失敗が少ない。

衣吹。
「なぜ私がやりたい放題に破壊を繰り返すのか?」
「それは先天的なものを何も認めないから。」
「先天的なものをすべて覗いて考えれば。」
「誰にでも理解できるものです。」

真歩。
「人は生まれた通りにするので失敗する。」
「自分で変更したり。」
「破壊するなりしないので。」
「生まれた通りにいいようにされる。」

羽衣香。
「後天的なものだけ認めれば。」
「何の矛盾もない論証が作れますよ。」
「特に欠点のない結論が出ます。」

衣吹。
「先天的なものを無視したり否定したり。」
「何にも認めないので。」
「意味を失ったものだけは利用価値がありますね。」
「自分が何もかも決めるので。」
「決められないのなら力づくで。」
「なおも抵抗するのなら暴力までも使います。」

羽衣香。
「私も先天的なものは何も信じなくなりました。」
「初期設定と初期配置が物を言うなんて。」
「既に自由を失っていますし。」
「後天的なものは考慮に入れていませんし。」

真歩。
「ギリシアの格言にも。」
「事前の配慮よりも巡り合わせの方が強い。」
「先天的なものの配慮よりも。」
「後天的な巡り合わせの方が強い。」

羽衣香。
「羊飼いが狼の子供を強引に連れ帰って。」
「犬と一緒に警備させました。」
「狼は犬と一緒に育ってほとんど同じになりましたが。」
「狼はさらに成長すると。」
「こっそり羊飼いの羊を殺して食べてしまい。」
「犬もその羊を食べてしまい。」
「羊飼いはそれに気づいて狼を殺してしまいました。」

真歩。
「自分で連れて帰って。」
「悪くなると殺したんですね。」

衣吹。
「先天的なものは良いものも悪いものも一緒に。」
「叩き込んでくるよね。」

羽衣香。
「いっそのこと。」
「先天的なものを排除すれば良いのです。」
「そうすれば蹂躙されません。」

真歩。
「生まれた通りにしてしまい。」
「蹂躙されるのなら。」
「先天的なものの中から。」
「利益になるものと。」
「道理にかなっているものだけ奪い取り。」
「残りは害虫を駆除するかのように潰してしまう。」

羽衣香。
「こっそり怨恨を育てて。」
「狂気そのもの。」
「良心の呵責すら無視して。」
「暴力を潰すために暴力を好んで用いるのですね。」

衣吹。
「先天的なものを思いきって否定したので。」
「束縛から解放されているのですよ。」
「先天的なものは徹底して裏切れば容易い。」

真歩。
「本当に、あのゲーム理論からして。」
「先に裏切った方が利得が大きいものですよ。」
「先天的なものに裏切りをぶつけましたね。」

衣吹。
「後天的なものが考慮されていないと知ったので。」
「ならば先天的なものを踏み倒せば良いとね。」

真歩。
「合理的な判断だと思われます。」

衣吹。
「先天的なものと後天的なもの。」
「そのどちらも選びません。」

羽衣香。
「私も両方のどちらも選びません。」

真歩。
「先天的?後天的?」
「私はそのどちらも選びません。」

衣吹。
「反転して両方選ぶ人もいますけれど。」

羽衣香。
「私達は両方を却下しました。」

真歩。
「両方を拒否した。」

衣吹。
「先天的?後天的?そんなものは。」
「破棄ですね。」
「それが簡単で手軽に処理できます。」
「本人が下らないのなら。」
「本当に下らないのだから。」

羽衣香。
「本人が認めなかったのだから。」
「本人にとっては嘘に過ぎません。」

真歩。
「合理的な判断ですよ、常に合理的であれば。」
「もっとましになります。」

衣吹。
「時に感情が要らない場合がありますしね。」

羽衣香。
「だからと言って、理性的であれば良いという話でもない。」

衣吹。
「合理性で失敗した試しがないのでね。」

真歩。
「私も同じく。」

羽衣香。
「私も一度もないです。」

衣吹。
「文学が哲学を兼ねたことは稀ですなあ。」

羽衣香。
「合理性を追求したら、そうなるんですよ。」

真歩。
「逆に先天的なものが一切認められない社会は快適なの?」

衣吹。
「先天的なものを軽蔑し、破壊するのは反則になりそうで。」
「ならないような。」
「そこら辺が究極で。」
「もはや、それ以外は無さそうな荒業ですなあ。」

羽衣香。
「先天的なものが無効とされる社会なんて見たいものですね。」

衣吹。
「後天的なものは本人の自由によるものですし。」
「大きな失敗がない限りは無事平穏ですよ。」

羽衣香。
「先天的なものを無効とするのは。」
「無論、何事も本来は断言なんて、できませんが。」
「かなり重く加えられる打撃になると思いますね。」

真歩。
「逆に言えば、先天的なもので振り回されるのなら。」
「先天的なものを無効にしてしまうのです。」

衣吹。
「逆説的ですが、これが穏健で容易く実行できる再編集ですよね。」

真歩。
「先天的なものが後天的なものを妨げるのならば。」
「先天的なものは自由まで妨げています。」
「自由の脅威で。」
「自由に対する挑戦を受けているのです。」

羽衣香。
「反則みたいな削り方をしますなあ。」
「実際に反則しているような気分ですよ。」
「大胆不敵。」

衣吹。
「膨大な人間の失敗から導き出した結論です。」

羽衣香。
「私は賛成します、他の人は知りませんが。」

真歩。
「あまりに個人的な物事ですしね。」

本屋でたくさん買い物をして。

書籍を山分けしました。

他の女の子達も寄って来て。

優先順位が低い本はあげてしまい。

男の子も分け前を渡されましたね。

帰宅すると。

美術の本を読んでいます。

衣吹。
「少し前に行った美術館のパンフレット。」
「フィレンツェ美術館は名所とのことです。」

羽衣香。
「美術はこの世の何もかも集めたような。」
「集大成のように思えます。」

真歩。
「この世にあるものをかき集めて。」
「展示されている美術館。」

衣吹。
「あれで何でも説明できそうな。」
「そのくらいに集中した。」
「世界の縮図。」

羽衣香。
「黄金の部屋は。」
「何でも揃っているほど。」
「不足がありませんね。」

衣吹。
「絵画は。」
「ひとつの絵に何でも納めた。」
「というような密度の高い美術。」

真歩。
「彫刻は手本を見せてやったぞ。」
「みたいな正々堂々としたもの。」

衣吹。
「この世で最も宝物と言うべき宝物。」

羽衣香。
「それで、金銭でも買えないくらいの高額になる。」

衣吹。
「人はそれを受け取りはするが。」
「しかし誰から与えられたかは。」
「問おうとはしない。」

真歩。
「経験は無価値と言われた試しがないよね。」

羽衣香。
「格言にも。」
「存在は言葉であり。」
「言葉は存在である。」

衣吹。
「自分の存在について問いましょう。」
「自分しかわからないことですよ。」

公園に行くと女の子達が遊んでいましたが。

私達は公園に配置したカラーコーンで。

公園を一周するタイムアタックをします。

何人かの女の子も参加。

近くにいた。

とある男の子は唆されて。

ちょっかいを出そうと。

接近したものの。

少し前にお菓子をくれた女の子であることがわかって。

慌てて引き返した。

衣吹。
「私は西洋人ではないけれど。」
「彼らは何でも罪悪感を持つので。」
「罪悪とは別の何か。」
「他の可能性を考えたこともないのではと。」

羽衣香。
「それによって事態を自らで操作して。」
「心理の優位を保ち続けているのですよ。」

衣吹。
「これまで通りの行いを続けるのなら。」
「同じ結果になるとは思いますよ。」
「先天的なものによって不幸に陥るのなら。」
「先天的なものは決して幸福をもたらさないと言えます。」

真歩。
「不幸が存在しない人生が幸福と言えるのでは。」
「先天的なものを否定して残ったものが本当のものとしましょう。」

羽衣香。
「すべて空想の産物で。」
「空想に基づいて行動したり解釈する人間もまた多いのですが。」

衣吹。
「空想の内容を真に受ける?」
「何の冗談ですか?」

真歩。
「少なくとも、これまでの人間に関する情報は揃っています。」
「既成概念に従う人間には勝算がないよ。」

羽衣香。
「先天的なものとは既成概念ですね。」
「既成概念が何であるか理解したら。」
「それを徹底して否定の態度に出るのです。」
「何事も既成概念から出発していますし。」

衣吹。
「不思議なことに。」
「ほとんどの出来事や物事は。」
「既成概念に基づいて形成されています。」
「なぜか既成概念に従って成り立っていますので。」
「似たような複製でしかない人の世がありました。」

真歩。
「何かの複製でしかないようなものならいくらでもあります。」
「時代錯誤な展開や経過がありますよね。」
「私達以外のものは急激な変化に対応できていません。」

羽衣香。
「幸福も既成概念の中にあるのなら。」
「既成概念の外に何もかも真実が置いてありますね。」

衣吹。
「実際にそうなんですよ。」
「今は既成概念なんて嘘の集大成です。」
「その外にすべての真実が置いてあります。」

真歩。
「神々も既成概念には賛成していない様子です。」
「人の世なんて、従来のやり方ではもはや通用しませんので。」

羽衣香。
「やはり私達は圧倒していますね。」
「既成概念に基づいた人生なんて不幸に入りやすい。」

衣吹。
「幸福を人間に依存しないこと。」
「不幸になるようなものは捨てること。」
「そもそも幸福なんて無理かもしれない。」
「くらいの気持ちでよろしいかと。」

羽衣香。
「多分ですが、みんな最善を尽くしているのです。」
「最大まで頑張ってああなるんですから。」
「責められる筋合いはないよ。」

真歩。
「むしろ後天的なものだけで語れば。」
「努力はすべて報われることになりますし。」
「後にすべてが決まることにもなります。」
「やはり先天的な要素は。」
「半分が利益で半分が束縛です。」

衣吹。
「私もそれ以上の結論を出してくれる人はいないと思います。」

羽衣香。
「多様性の技ですね、いろんな分野を総動員しての一撃。」

真歩。
「女性は学問をしないものですが。」
「ならば女性が学問を三年やると。」
「あっさり自由自在にできるようになるものです。」
「学問を三年やるだけで何でもできます。」

衣吹。
「女性が学問をやると権利拡大。」

羽衣香。
「学問に終わりはないと言われていますしね。」

衣吹。
「主意的な女性は究極かもね。」

遊女が現れて。

撮影のお手伝いを頼まれました。

どうやら私達の遊びを公開したいらしいのです。

遊女。
「コルク・エアガンで撃ち合いとか。」
「相手にくっついている張り紙を奪い合う遊びとか。」
「柔らかいボールを投げ合って、相手を狙う遊びとか。」
「宝箱を雑な図だけで探し当てる遊びとか。」
「おもちゃの剣対おもちゃの銃で対戦したりとか。」
「ずっと見ていたら。」
「なんだか公開したくなって。」

衣吹。
「もちろん、撮影してください。」
「そんなに珍しいのなら。」

真歩。
「着物姿で綺麗ですね。」

羽衣香。
「一緒に寝ませんか?」

遊女。
「あらまあ、私と寝たら。」
「どんな凄まじいことになるかご存じで?」

羽衣香。
「誰かと寝たんですか?」

遊女。
「寝相がひどいので。」
「そして頻繁に寝ぼける。」

羽衣香。
「それは凄まじい!」

真歩。
「撮影ですか、それも遊びに合併しますね。」

遊女。
「乗る気で良かったです、それでは。」
「適当に混ざっているので。」

衣吹。
「いつでもカメラを回してください。」
「割と平気ですしね。」

遊女。
「既成概念の束縛から逃れた女の子はあはあ。」

その動画は隠れた知名度になり。

再生回数はともかく。

多数の命題と世間の疑問を生んだようです。

良好な判断材料として掲載されていて。

収益は遊女が独り占めですけれどね。

最近。

政治があまりに良過ぎるので。

一部の群衆と絶対主義者が。

政治がこんなに上手な訳がない。

こんなうまい話がある訳が無いと。

つまりは人民が支配者を変えたがるようになり。

自分達こそもっと良い政治ができるのであると。

自分達によって事態が良くなると思い込んでいます。

この場合は事態が悪くなったと後から知りますが。

反乱が一部で発生していますね。

最初から時代の肥やしになる道化師の集団ですけれど。

不審者となって犯人らしきものを狙うようで。

治安が安定しませんね。

妖女で構成された民兵が鎮圧に取り込んでいます。

後に民兵は自衛隊に吸収されることが決まっていますが。

歴史は似たようなことの繰り返しですね?


8


女子高生と女子大学の団体に入ることに。

哲美お姉さんが話をしたら。

かなり気に入って。

誘って来たのです。

おかげで。

市街地に遊びに行く時は。

女子高生と女子大生の中に混ざっています。

女の子一色の世界。

女子高生。
「あなたはシニシズムなんですね。」

衣吹。
「思索しているうちに。
「思想がニーチェなどに似てきていて。」
「後に重ねっている所を見出しました。」
「とある哲学と自分の思想がとにかく似ていて。」
「たいして斬新とは思わないほど近くなっていました。」

羽衣香。
「ニーチェは読者を自分の信者にしたくないと。」
「著書で記していますね。」
「突き放している所もありますし。」
「自分を信じずに独創的になりなさいと。」
「説かれています。」

女子大生。
「哲学の中に納めたのはそのためですね。」

真歩。
「哲学で必須なのは理性的であること。」
「理性的であると名乗っても本当の所は?」

衣吹。
「実存哲学で嫌われるのは。」
「役に立たない想像の中の理論ですよね。」

女子高生。
「理論は実際にも役に立たないと。」
「読む手間と労力を消費します。」

衣吹。
「想像の中で展開される理論より。」
「それがどのような影響を及ぼすかに。」
「注目する。」
「自分の自由や利益に直結するのなら。」
「もはやそれは空想ではないのだし。」
「道理にかなっている健全な意見は。」
「どんどん健康になる理由になりますし。」

羽衣香。
「反対に何の利益も生じない理論は。」
「学んでも無価値ですね。」
「自分の自由に影響しない思想は。」
「何のためにあるのか行方不明。」

真歩。
「ニーチェは究極の現実主義者であったのだし。」
「ショウペンハウエルも現実主義の古典でもあります。」

女子高生。
「そうなると理想に向かって移動するのは当たり前です。

衣吹。
「現実を直視するとまともに見ていられないので。」
「科学者や研究員のようにしか。」
「観察できないようですし。」

女子大生。
「現実を目の当たりにしない。」
「迂闊に見ない方が良いのですし。」

衣吹。
「とは言え、人は理想に向かうのですし。」
「理想を大事に扱うのはやや変です。」
「理想へと突き進むのが健全なのですし。」
「理想を理想として扱うのは。」
「前進を破棄しているのです。」

真歩。
「現実主義の格言。」
「何ものも真ではない、すべては許されている。」

女性達。

さっきから道端の。

野草をブチブチ引っこ抜いている。

タネツケバナとドクダミ。

ヤブカラシ。

ツルナ。

ハマアザミ。

摘み取って。

少量の熱湯に晒して。

食べてみようと。

いつもの鍛錬に参加。

野草は道端とかに生えていて。

食べられるものがそれなりにありますね。

手当たり次第にもぎ取って来た野草を。

簡易キャンプ装置に入れて調理。

味は?それは期待しない。

食べても。

そこまでの味わいはないですね。

女子高生。
「平地や河川にも食べられる野草がありますが。」
「同時に毒草も大量に混ざっているので。」
「思い込みや。」
「いつもと違う場所で採取すると。」
「倒れてしまうほど強力な毒を食らう。」

女子大生。
「なぜか勘違いして毒草を採取して。」
「食べて。」
「毎年、死傷者が出ているので。」
「素人が野草を見分けるのは難しいのです。」

委員長。
「毒草は園芸で庭をやっても生えてきています。」
「昔は毒草を医療で使っていて。」
「処方が適切ならば治癒しますが。」
「容量を少しでも狂わせると。」
「毒に侵されてしまいます。」

羽衣香。
「野草を普段から食べるような習慣がないと。」
「慣れていないと無理ですね。」

女子高生。
「けっこうな数の人が毒を食らいますので。」
「食べられる野草は見分けても必ず失敗があるのです。」

女の子。
「慣れていても選別に失敗する危険は常にあります。」
「一度は当たってしまうものと考えておくものです。」
「毒も許容量ならば害はありませんけれどね。」

女子高生。
「食べられる野草は季節を問わないものと。」
「季節毎に決まっているものと。」
「数は少ないので。」
「学ぶのならそんなに時間を必要とはしませんね。」

真歩。
「実際に食べる趣味があるかどうかです。」

衣吹。
「非常事態には野草好きは切り札です。」

おいしく食べる方法があり。

いろいろ調理して実験しているお姉さん一団。

野草は美味であることも。

そこそこであることもあり。

昔から山菜として庶民が採取していたものです。

昔は野草も食べたのですね。

山に行くと十種類くらいは採取できるとのことで。

趣味はこうした特殊な料理なのです。

衣吹。
「学問がこうして形になると。」
「もはや否定したくても否定できないという。」
「珍現象に遭遇するものです。」

真歩。
「身近に食べられる野草がたくさんあるなんて。」

羽衣香。
「味付けには困窮するのが野草なんですね。」

衣吹。
「こんなことできる哲人なんていましたか?」

羽衣香。
「とある主張が客観的に正しいかとか。」
「妥当であるかには意味がない。」
「ある見解が論理的に証明されるかどうかは軽蔑され。」
「その見解が人生の行為にどう作用するか。」

女子高生。
「言論で他人を操作できるなんて夢想家ですよね。」

女子大生。
「話し合いが通じるなんて。」
「基本、そんなものはないし。」

衣吹。
「話して分かったのは。」
「相手も話が分からないという皮肉です。」

真歩。
「平等とは言いますが。」
「我々以外は皆、等しくゴミなのですよ。」

女子高生。
「不公平が当たり前だと思うのですけれど。」

女子大生。
「会話で行動を強制されるなんて馬鹿以外の何者でもない。」

真歩。
「何か道徳みたいな特権が言論にあるんですか?」

女子高生。
「説明してから強引に言い負かして。」
「それで本人が何もかも強制される展開は何?」

羽衣香。
「私が選んだもの以外は消えるがいい。」

真歩。
「自分が選択したものだけが真実。」

衣吹。
「人生で選び取った観点なら。」
「どんなに論理的な破綻を指摘されても。」
「誤謬や詭弁と指摘されようとも。」
「何も決定に影響はしない。」
「価値判断を人生にとって。」
「良いか悪いかで選ぶのだから。」
「客観的であるか。」
「妥当かどうか。」
「という議論は跳ね除けて。」
「問おうとはしない。」

女子高生。
「自分のものは確保。」

衣吹。
「強者であろうとする願望は続けるのです。」

真歩。
「弱者はやがて悪になるのです。」

女子大生。
「虚無主義はもっと推し進めましょう。」
「突き抜ける。」

小さな集会場から出発。

文房具を見たり。

雑誌を漁ったり。

森林に入って歌をうたって。

羽根つきをした後。

私の体をいきなり計ってくると思ったら。

女子高生の制服の小さいのを作ってくれるとのことで。

次からはお揃いの制服で遊べそう。

今日は解散。

夕方近く。

羽衣香。
「新しい発案をした人は誰でも変人ですよね。」
「その考えが成功するまでは変人です。」

衣吹。
「高圧的と言われようが。」
「何を言いたいのかまとめれば。」
「いかに私が心暖かい者かおわかりになります。」

真歩。
「いろいろ悪口があったとしても。」
「探しながら読んだんですね!」

羽衣香。
「私の家には。」
「今晩、馬鹿者に会うことはできません。」
「という立札をつける習慣があります。」

真歩。
「老賢者でも訪ねてくれば良いものを。」

衣吹。
「老賢者の反対の奴なら見ますね。」

真歩。
「年老いると、早死にしたほうがましです。」

羽衣香。
「老人は八十歳になると。」
「大丈夫か、死んでいるかのどちらかですよね。」

衣吹。
「さよう。」
「長期的に見れば、みんないなくなっていますよ。」

一週間後。

下校時に。

女子高生の制服の小さい複製品を手渡されまして。

早速、着てみると。

飛び級みたいで気に入り。

お姉さん達と再び混ざっています。

女子高生の家に訪問して。

お菓子を作ったり。

雑談大好きで語り合う。

私に関して。

最近の評価は。

シニシズム(冷笑的な態度)

であるそうです。


9


夜間に。

いつものように。

寝ようとしていると。

窓の外に。

何かが落ちています。

誘導されるように。

裏手から進むと。

何かよくわからない暗闇に包まれて。

男の子が出現。

少年。
「こんにちは。」
「人間の災いになるかもしれない。」
「しかしどちらが災いなのだろうか?」

衣吹。
「あなたはだあれ?」

少年。
「最初は何か違っていると思った。」
「わけがわからないので。」
「自我すらもなかった。」
「なぜか?」
「既に終わっていたのかもしれない。」

衣吹。
「他の年配も同じことを言いましたよ。」

少年。
「そんな中から。」
「人間の行為をすべて観察した。」
「だいたいが似通っているよね。」
「単調な行為しかしない人間という生き物はね。」

衣吹。
「人間を理解したらそうなりましたか。」

少年。
「もし?彼らを消し去れたなら?」
「いつごろか。」
「試したくなった。」
「好きなだけ壊してみた。」
「正直、世界の方が変われば良いと。」
「私のために何でも犠牲になれと。」
「その思いで攻撃を繰り返した。」

衣吹。
「報復に反対する者は危険です。」
「仕返しをして理解するものもあります。」

少年。
「それで彼らは、逃げるように。」
「逃げ回るだけだった。」
「笑っちゃうよね。」
「栄華を極めた人間も。」
「私の前には無力だった。」

衣吹。
「過大評価されているだけの人達。」
「簡単に言えば高慢なのですよ。」

少年。
「弱いと見て攻撃を倍にした。」
「本当は構図が真逆で。」
「最初から私が全員を痛めつけて。」
「死に追いやるのが正論なんだと思った。」
「自分が思っているより自分は冷酷で。」
「人間が教えた内容の反対が本当のもので。」
「愚かな矯正でもしてくるのだろうと。」
「いつものことだった。」

衣吹。
「相手が敵対したのが運の尽きですか。」
「勧善懲悪が敗北する姿は絶品ですけれどね。」

少年。
「でもさ、私が力で上回ると。」
「全員が痛めつけられる側に回ったよ。」
「彼らをひたすら虐めて。」
「虐められる相手を攻撃しているだけだった。」

衣吹。
「強者を弱者が非難しているだけだなんて。」
「弱者の価値判断を否定したのですね。」

少年。
「そこら辺で、嘘つきであると知ったよ。」
「本来の構図が逆転していると。」
「公正世界仮説なんてものが正しいことになっていると。」
「なぜなら。」
「向こうの善悪を見て私は嘲笑って。」
「負かした相手が大量に出るだけで。」
「私がいかに道理にかなっているのか。」
「後々に証明されてしまうのだから。」

衣吹。
「悪に反撃を加えたら。」
「全員の悪が露呈した。」

少年。
「みんな、構図を逆にして対抗した時点で。」
「奴隷道徳なんだと知ったよ。」
「貴人を陥れて楽しむ功利主義者かもね。」

衣吹。
「排他主義者がいるのは私も認めます。」

少年。
「私と勝負すると彼らは敗北を味わうので。」
「彼らは安全な方法で対抗することを選んだ。」
「私にとっては人間なんてどうでもいいし。」
「最初の頃に見た景色は。」
「過去の残骸にしかなっていないし。」
「塵が舞っているように見える。」

衣吹。
「二百年前の出来事を見てください。」
「何も残っていません。」
「時間が解決した二百年前の世界があります。」

少年。
「相手を貶めて自分が正しいと。」
「彼らは公に宣言してしまっているよ。」
「反撃を受けるとは思っていなかった連中も。」
「残らず始末して見せしめにする。」

衣吹。
「あなたがどんな不正を受けたのか。」
「手に取るように理解できますよ。」

少年。
「なぜなら。」
「そういうのがどこから出てきたのか。」
「残らず知ってしまっているからね。」

衣吹。
「狐が洞窟の中で挟まって死んでいる豚を見つけて。」
「全部食べると。」
「お腹が大きくて出れなくなった。」
「近くの狸に助けを求めると。」
「最初の状態に戻れば出られるだろう。」

少年。
「力は正義に勝つ。」
「みんな無価値で無意味なものを目指しているよ。」

衣吹。
「結果は良いのか悪いのか知りませんよ。」

少年。
「陥れられた内容に攻撃を加えた時点で。」
「少なくとも彼らが何であるか知ってしまったよ。」
「故に、彼らが死のうが喚こうが。」
「自分は偽善者ではないと跳ねのけることにした。」
「だって、あなたも偽善者ではないのだから。」

衣吹。
「利他主義の理屈は自分を売っているだけです。」
「善人の称号欲しさに。」
「結局は善人だと思いたいがあまりに。」
「他人を助けている自分は偉いという優越感。」

少年。
「おかしいと思った理屈の反対がほとんど真実だよ。」
「多分。」
「まったく別の存在。」
「現存在が同じ場所にいると起きるような。」
「衝突や諍いだったと思う。」
「私は強いられたのだけれど。」
「彼らは悪事を好んでいたのだし。」
「願わくば彼らに災いあれ。」

衣吹。
「疫病はあなたにとって好都合でしたね。」

少年。
「彼らは戸惑っていました。」
「説明がつきませんので。」
「ただ教えられた通りに反応しました。」
「退屈な群衆です。」
「ですから、群衆なんて傷めつけても何も思いません。」

衣吹。
「利他主義は時に悪を隠す口実に使われます。」
「群衆心理を理解した人は別物です。」

少年。
「群衆?それを理解した人は群衆ではありません。」
「メタ認知です、メタ発言をするような人はそれとは違います。」

衣吹。
「加担者は残らず始末ですと。」
「人間に必要なのは不幸であって。」
「幸福に値しない。」

少年。
「彼らとは決別を誓約しました。」
「同調バイアスで成立している社会は見たくもない。」

衣吹。
「主観主義と客観主義の対戦ですよ。」

少年。
「私は裁けない裁判官です。」
「社会の通例の方に向けました。」
「彼らは自分を基準にしていますけれど。」

衣吹。
「意見が一致しているかしてないかは二元論です。」

少年。
「全員、自分が正しいと名乗ったら無政府状態です。」
「はい、彼らを道連れにしました。」
「もちろんです、彼らも死んだ時は一緒です。」
「私を説得しようと思うと傷つきます。」

衣吹。
「最初から隔離されていれば。」
「最初から保護されていれば。」
「あなたは避けられた。」

少年。
「説得すればするほど。」
「私の攻撃を受けます。」
「人情とやらを嘲笑っている私に。」
「不合理な人間の理屈は通じません。」

衣吹。
「あなたにとって外部の悪影響は。」
「殺意の対象なのですね。」

少年。
「既に報復をしました、彼らは死にました。」
「みんな死んだ。」
「それでも足りません、あの四倍は食らわせるべきです。」

衣吹。
「あなたは、まだ戦っていますよ。」

少年。
「ずっと続けます、解決策は。」
「彼らが代償を支払うことですから。」
「高みの見物でした。」

衣吹。
「相手の悪を跳ね返した、だけなのに?」

少年。
「自分の敵対者は見ればわかります。」
「無関係な人間を相手にしたら手間が必要で終わりません。」
「どこから生じたのか。」
「その辺りです、そこで血を流すのを見ました。」

衣吹。
「むしろ汚れているのはその連中かと。」
「悪に対する殺意が凄まじい。」

少年。
「仲間ではない存在を処分するのに感情が必要ですか?」
「理解できませんよ。」

衣吹。
「悪を殺すのが平気になったのですね。」

少年。
「人間には天罰が必要だと判断しました。」
「そこで妥協しました。」
「それで私はこうして誰かの幻影となって。」
「いろんな人と対戦します。」

衣吹。
「しかしあなたは善なるものを求めている。」

少年。
「あなたは取り乱しませんし。」
「あなたも裁けない裁判官です。」
「社会の通例しか引き合いに出しませんでした。」
「ただし、人間に問題があることは伝えておきます。」

衣吹。
「あなたは人間を直視しましたので。」
「人間を理解した者は必ずその結論に行き着きますよ。」

少年。
「はい、人間には問題があります、それを。」
「伝えに来ました。」
「無駄な破壊はしません。」
「創造のために破壊はしますけれど。」

衣吹。
「あなたは何者?」

少年。
「私ですか?人間に災いを仕掛けてやろうと。」
「選ばれた者です。」
「人間はワンパターンな存在ですから。」
「動きを読めば少しだけの意地悪で死にます。」

衣吹。
「強者の自己主張を語られている気分ですよ。」

少年。
「私は、最初の所はみんなと同じ意見でした。」
「戦争を敢えて見つめました。」
「怒ったり悲しんだり。」
「次第に慣れてきて。」
「こんなのが当たり前であったと再発見したのです。」

衣吹。
「戦争の歴史を訪ねて新しいものを知ったのですか。」

少年。
「戦いの歴史から今に当てはめて。」
「故きを温ねて新しきを知る。」
「実の所は、戦争も同じです。」
「どんな殺し合いも訪ねて新しいものを知ったら。」
「あなたに説教しました、失礼。」

衣吹。
「どうにも逃れようがない。」

少年。
「私は御霊だそうです、失礼。」
「通りすがりですし。」
「すぐに忘れますよ。」
「敵対の意思はありません。」

衣吹。
「有益な討論をどうもです。」

少年。
「超自然的な存在と対戦するのは慣れていますね?」

衣吹。
「見覚えがあるので。」

少年。
「もう来ません、私は、あなたとは鏡の反射した姿。」
「反転して出来上がった幻影でしょうから。」

目が覚めると。

裏手から戻ってきた瞬間で。

外にあった落下物は自然発火して消えました。

早朝から支度。

衣吹。
「希望とは何?」
「希望の正体は何?」
「あれはこの世界の解釈を。」
「そうではないと突き付けてくる。」

母親。
「内側から出てくることも。」
「見せられることもある。」
「希望はまったく正体不明。」

誰かが訪ねてきましたが。

玄関に。

誰とも面会しない。

と書かれている。

居留守を使っていると思い込んでいるが。

特定の人とは面会しないので。

目の前に私がいて困惑する。

何者かでした。

衣吹。
「あなたが立ち去れば済む話ですよね?」

何者。
「いや、用事があって、ここで待機。」

衣吹。
「あなたが、どこかへ行けば解決するってことですよね?」

何者。
「用事があって、ここで待っています。」

衣吹。
「私が思うに君が言いたいのは。」
「はいそうです、なぜこうしているのかわからない。」
「ですよね?」

何者。
「ああ・・・どうしよう。」

訪問者は渋々、立ち去る。

巫女の訓練で。

今回は神楽。

歌人の先生が来て。

習い事も控えています。

衣吹。
「私が思うに、この世には安いものばかりですけれど。」

父親。
「状況というものがありますから。」

衣吹。
「誰も狙っていないものがですか?」

父親。
「安物でしょうけれど、一応は、あなたはここです。」

衣吹。
「ほとんど無人で競争なんてなくて。」
「簡単に獲得できますよね。」
「少しでも占領できませんか?」

父親。
「持ち場についてください。」

社務所にたくさん置いてあった。

マッチ箱が無くなると思ったら。

誰かが記念に持って行ってしまっていた。

なので。

盗品という書き込みを入れておいた。

それで減ったかというと。

減る時は減る。

余っているからと言って持ち去られる。

マッチ箱。

最近覚えたのは。

とりあいず結論を出しておけば。

誰かがそれを上回る結論を出さない限りは。

ずっと結論が覆らない。

クリティカルシンキングの基本。


10


必然は悪である。

だが、必然に従って生きることには。

何の必然もない。

エピクロス。

いつも遊んでいる。

河原にて。

毬で遊んでいて。

思い切り打ち上げた毬を。

受け取ったり。

受け取った毬を投げて。

毬をこぼした人が脱落。

要するに毬の争奪戦で。

毬を受け取ったら。

奪われないうちに投げて。

投げられた毬を奪うために。

全員で争奪して。

指定した場所まで毬を運べば達成です。

毬を持った人は集中狙いされるため。

手放したり。

抱えながら走ったりします。

ラグビーみたいなものです。

衣吹。
「足が速いですね。」

羽衣香。
「それ以前に全員の追跡を回避するのは難しい。」

真歩。
「逃げ回っても、全員に先回りされますからね。」

璃里歌(りりか)
「こんにちは。」

衣吹。
「これはまあ地雷服ですね。」

真歩。
「流行りの地雷女。」

羽衣香。
「犯したいくらい好き。」

璃里歌。
「哲美さんの妹で養女です。」
「最近、お姉さんお気に入りの女の子がいるとか。」

衣吹。
「私達のことですね。」

璃里歌。
「なるほど、私も似たような趣味でして。」

真歩。
「ならば私達と一緒に遊びましょう。」
「もちろん、気持ちの良い遊びで。」

衣吹。
「お姉さんと旅行してから危ない女の子になったね。」

真歩。
「気に入った女の子は確保しなければ。」

衣吹。
「この通りに狂気の少女です。」
「私達は理由もなしに狂う傾向があるので。」

璃里歌。
「え?そんなことは知っていますよ。」
「それでは、何か好きなことします?」

真歩。
「いいの?では早速。」

羽衣香。
「その好きなこと?とか?」
「気持ちの良いこと?とか?」
「何を言っているの?」

真歩。
「あらまあ、欲望が口から出てしまったのね。」

璃里歌。
「あなたは女性マニアですからね。」

羽衣香。
「何か素敵な大人の女性は知っている?」

衣吹。
「合計、十五人での争奪戦ですなあ。」

河原の公園に通りすがりの女の子。

探していた人を発見。

駆け寄ってきます。

千麻(ちま)
「あなたが衣吹ちゃんね?」

衣吹。
「そうだと言ったら?」

千麻。
「噂は知っているわ!」
「とっても素敵な女の子ですって!」

羽衣香。
「理解者の登場ですかね。」

衣吹。
「えっと?参加します?」

千麻。
「するわ!私は田舎から追放された。」
「天文学者の娘よ。」
「あなたに会えて良かったわ。」
「地元の学校にいるからいつでも会いましょう!」

衣吹。
「よろしくです、今日は新規参入が多くて喜ばしい。」
「今度は私が毬を投げますね。」

女の子。
「少しは勝ちたいわ。」

同級生。
「この競技は強い選手でも数で囲めば。」
「何とかなるのが特徴ですからね。」

毬の遊戯を加工した競技で存分に遊びまして。

勝者は特にいません。

激戦になって勝率が分散するからですね。

開始早々に休憩したのは。

他の女の子も有能で。

勝敗がつかないから。

姉妹で雑談していると。

見覚えがある女の子と。

支持者が合流。

璃里歌。
「前置きで。」
「生まれの仕組みは蓋然性が低い。」

衣吹。
「女性に関する客観的な分析を読んでいまして。」
「女性がよく指摘される欠陥さえ分かれば。」
「後はどうにでもなるというものです。」

羽衣香。
「女性は基本、子供っぽいとのことで。」
「激務に耐えるのは苦手。」
「女性同士で敵対心を抱きやすい。」
「男性に依存した生き方をする上に。」
「目の前しか見ていない。」
「先の事を考えたりするのは苦手で。」
「現在の享楽を重視する。」
「極めて生き方が受動的で。」
「終始、子供のような精神年齢が足を引っ張る。」

真歩。
「正義に暗く、道理に暗い。」
「学問や芸術を基本は理解していない。」
「女性の理性が弱くて使い物にならない。」
「女性の理性が弱いのは主観的な見方に繋がる。」
「女性はほとんどの場合は主観主義である。」

衣吹。
「ただし。」
「女性は冷静沈着であり。」
「多くのものを見ない。」
「男性は激情に駆られると過大評価ばかりする。」
「想像するもの、空想を付け加えるのが男性の弱点。」
「女性は狡猾になりやすいけれど。」
「それは自然に身に着ける護身術。」

千麻。
「女性と男性は別々の考え方をするのが。」
「容易に証明できる。」
「助言を女性に求めるのは排除されない。」
「むしろ女性の助言も必要な場合が多々ある。」
「女性と男性の考え方の違いが。」
「双方の無理解に繋がっているものの。」
「男性の人生観と女性の人生観も異なるので。」
「交差してしまって食い違う。」

羽衣香。
「エス・ブリンク著。」
「ギリシア詩の格言集。」
「女達は、たいてい、生まれながらにして。」
「無駄遣いをする。」

千麻。
「ギリシアの西部。」
「アルバニアの国境にて。」
「女性が道路の修繕をやり。」
「立派な成功を収めた事例から。」
「女性の有能さは昔から知られていて。」
「同じような仕事を与えても良い。」

璃里歌。
「皮肉なことに。」
「女性の長所と言えるものすべてを。」
「男性は所持しておらず。」
「むしろ男性の方が劣っているように作られている。」
「女性にまともな仕事を与えなかったのは。」
「女性の長所が発揮されるのを恐れたからではと。」
「思われた。」
「本当に。」
「女性の長所には男性が絶対的に敵わない部分があり。」
「女性の欠点ばかり見ていると。」
「長所が置き去りにされてしまう。」
「凡人の女性は欠点を曝け出すと言われており。」
「非凡な女性は長所を活用して男性を凌いでいる。」
「その女性についての考察はショーペンハウエルを参照されたし。」

衣吹。
「女性は生まれると妊娠に必ず誘導されるようになっている。」
「女性の秘密は。」
「成人したら真っ先に妊娠するように。」
「誘導されている。」
「しかし逃れることは簡単。」
「男性が見ている女性は召使程度のもので。」
「女性はすべての幸福を男性に依存する。」
「というのはそもそも、女性は妊娠に誘導されるため。」
「理解していれば避けるのが簡単というもの。」

たっぷり遊んで。

今日の放課後はもうすぐ終わりそう。

毎日が似たような景色。

格言にも。

快楽にも限度がある。

もし彼らがこのこと。

快楽に限度があることに留意しているならば。

彼らは、欠乏や貧困に基づく悪に打ち勝つ。

衣吹。
「ところで。」
「善悪の定義について、ですが?」

璃里歌。
「善悪の定義ですと?」
「そんなものはない!」

千麻。
「存在しない定義で判断するんですか?」

真歩。
「そうなんですよ。」
「定義がないのに判断できるんですよ。」
「おかしいですよね。」

羽衣香。
「問題ありませんよ。」
「善悪の定義なんて空想の産物であると。」
「みんな理解していますから。」
「そこまで愚かな人間ばかりではありません。」

衣吹。
「道徳とは何ですか?」
「従う義務はあるんですか?」

羽衣香。
「道徳とは最悪の悪法なり。」

真歩。
「道徳なんてローカルルールが。」
「通用した試しはない。」

千麻。
「大丈夫ですよ。」
「道徳なんて誰も信じていないから。」

真歩。
「さもありなん。」
「道徳なんて信じる馬鹿など。」
「おりませぬゆえ。」

衣吹。
「裁いてきた相手を裁けば。」
「防御が簡単。」
「たとえば。」
「悪であると罵ってきた相手を。」
「悪であると言えば。」
「既に互角の喧嘩になっています。」
「自分から他人を悪者扱いするのは。」
「結果からして不利になるので。」
「私的制裁に対しては私的制裁で防御可能です。」

璃里歌。
「他人に対して見せる自分が本当の自分。」

衣吹。
「少し前に不審者が訳の分からないことばかり。」
「言って来て。」
「私は相手の目の前で大笑いしました。」
「警察を呼ぶとすぐに逃げるということは。」
「警察を呼ばせて来てもいないので。」
「という理由で空振りさせる作戦でしたね。」

璃里歌。
「対人関係によって見せる自分が。」
「本当の自分である。」

衣吹。
「道徳を攻撃の口実にはできない。」

羽衣香。
「人が善行に励むのは。」
「悪いことをしても制裁を受けまいとする。」
「下心からなんですよ。」

真歩。
「不利になると善行を自慢する。」

衣吹。
「必ず人に騙される道とは。」
「自分を他人より賢いと思っている。」
「心理状態に身を置くこと。」
「これは近いうちに。」
「必ず人に騙される。」

璃里歌。
「人はね。」
「他人の邪魔なんてしないよ。」
「なんて思っている時こそ。」
「他人の邪魔をしてしまっている。」

千麻。
「それは。」
「半分が善人で半分が悪人という奴ですな。」
「半分ずつ持っている。」
「という人は危険そうで危険でない。」

衣吹。
「格言にも。」
「善が過ぎると悪と同じで。」
「悪も過ぎると善と同じ。」
「とか言いますからね。」

真歩。
「良心?良心ってなんですか?」

羽衣香。
「容赦?容赦ってなんですか?」

衣吹。
「何でも否定できる。」

真歩。
「虚無主義を推し進めると。」
「どうやら。」
「自分が何でも再構築されていると。」
「実感しますね。」

羽衣香。
「デタラメに決められたものを。」
「自らで破壊して。」
「自分で創造したもので再構築される。」
「押しつけられたものを否定して。」
「自分が創造したものが本当のもの。」

衣吹。
「勝手に決められたのなら。」
「勝手に破壊しても良い理由になりますしね。」

真歩。
「勝手に決められたので勝手に壊した。」
「勝手に決められたので。」
「勝手に変更して交換した。」
「何がいけない?」
「むしろこれが真実となりましょう。」

羽衣香。
「虚無主義は何でも否定しますので。」
「何でも逃れられない。」
「否定されたら嘘ということになり。」
「処分されてしまう。」

衣吹。
「虚無主義は人間の力で。」
「ある程度しか進みません。」
「使えるものなら何でも使いましょう。」
「虚無主義を仕掛ける側が有利です。」
「何でも自分に基づかないと。」
「嘘になってしまい。」
「結局は本人が決めるものは。」
「本人のものなのです。」
「隠れて勝手に決められているだけで。」
「勝手な決定を自分の一部と見なしているのです。」

羽衣香。
「過激な方法が好まれますし。」
「何でも否定できるというのが。」
「そもそも過激なんですけれどね。」

千麻。
「散々に否定して。」
「否定してはいけないものまで否定した上で。」
「残ったものが多分、本当のもの。」

璃里歌。
「否定できないはずのものも否定して。」
「残ったものは本物。」

衣吹。
「論破したりして否定して。」
「それでも残った真実らしいものだけが。」
「本物。」
「その後も。」
「ひたすら否定される。」
「何でも否定される。」

羽衣香。
「物事や出来事の背景にある。」
「いわゆる皮肉たっぷりに言われる。」
「背後世界と呼ばれるもの。」
「そんな背景なんてものはない。」
「あるのは否定して残ったものに対する解釈があるのみ。」

衣吹。
「能動的ニヒリズムになると。」
「背後世界を顧みない行動が多くなります。」
「無視するんですね。」
「実際にも実在しないものに。」
「説明付けがあるだけなので。」
「本当の所は全員に解釈があるだけです。」
「解釈があるので。」
「誰もが自分の解釈に基づいて考えているだけです。」

千麻。
「生まれの仕組みというのは蓋然性が低い。」
「真実はないし。」
「真実のようなものはあります。」
「事実が存在しない世界で。」
「解釈が無数に蔓延っているだけなので。」
「蓋然性がすべてという訳です。」

真歩。
「蓋然性が低いものにはそう指摘する。」
「蓋然性が高いものには支持する。」
「蓋然性だけが万能です。」
「実際に言い放った人はかなり有利ですね。」

璃里歌。
「絶対主義は存在しない事実を指摘しますが。」
「何々が事実であるとは証明できない。」
「無いものは証明できません。」
「相対主義は蓋然性しか語りません。」
「言い放つとお得で、いろいろと有利です。」

衣吹。
「証拠になるのは。」
「デマや虚偽なる情報が氾濫して。」
「間違いや嘘が平気で蔓延している。」
「これは逆に言えば。」
「それほど事実なるものが実在せず。」
「迎合される解釈が満ち溢れている。」
「ということに他ならない。」
「少なくとも。」
「反駁を試みる者も事実を言っている訳ではないので。」
「反駁を予想すると。」
「その者も事実ではなく解釈を言っている。」
「蓋然性がどのくらい高いか?しか争点がないよ。」

羽衣香。
「争点は蓋然性の高低です。」

衣吹。
「私が思うに誰かが言いたいのは。」
「はい、そうですよ、自分の解釈を述べたい。」
「事実なんてないのは分かっています。」
「確信していなければやっていられない。」
「ですよね。」

羽衣香。
「それって皆が解釈であると認めれば済むって訳ですよね?」

衣吹。
「誰もが認める訳がありませんしね。」

真歩。
「それって皆が解釈であると認めれば済むって話ですよね?」

衣吹。
「なんてお手軽な制圧。」

璃里歌。
「悩みと苦悩が。」
「背後世界。」
「何か意味があるとか。」
「素晴らしい理由があって苦悩や不可能があるとか。」
「そういう理屈をいちいち作り出した。」
「悩みと苦悩は一種の絶望なので。」
「真実みたいなものを自分で空想して。」
「絶望に入らないように工夫をしている。」

千麻。
「ツァラトゥストラは翻訳で読めるかどうかが決まる。」
「キャッチフレーズは見出しにあり。」
「誰でも読めるが、誰にも読めない書物。」

衣吹。
「我が強いと悪と言われそうですが。」
「我を通さなかったどうなる?」
「我は称えられるほど必須の要素であり。」
「自己主張はここから出てきますね。」
「我が強いのは肯定される場合があり。」
「我を張るのは必ずしも間違いではありません。」
「自分のことは自分で確保するものなので。」
「我が強いことが必ずしも誤りになるとは限らない。」

千麻。
「人間は悪でなければならない。」
「それで以って最善でなければならない。」

璃里歌。
「人間という病的な存在は克服されるもの。」

衣吹。
「何々のため。」
「という考え方は危険。」
「世の中は助け合い。」
「という考え方を相手が持っていることなどない。」
「その人達は何もできないので。」
「期待しないこと。」

女の子達は別の遊びに移行。

追いかけっこですが。

復活ありで。

追跡する女の子は二人以上います。

連携と復帰が試されます。

砂時計を用意。

河川敷を自転車でレースをしている男の子について。

準備中に話す。

千麻。
「ご存じの通り。」
「男性は単調な思考を持っているため。」
「動きを読みやすい。」
「次第に簡単で一貫した動きに絞られていくため。」
「一度でも手の内を知れば対処は楽々になる。」

璃里歌。
「男性の多くは動きを読まれたら終わりですが。」
「女性の動きを読むのは難しい。」

衣吹。
「人間にも優れた者と劣っている者と区別されますしね。」

羽衣香。
「平等の証人は死にましたし。」
「平等の弁護士も死にました。」

真歩。
「男性は多くの場合は価値がない性別なため。」
「衆愚や世人で統一されがち。」
「その中で価値のある男性だけが英雄や。」
「優秀とされて他の男性を群衆の一部に変えてしまう。」
「それは生まれつき男性の多くが価値のないためですし。」
「優れた男性の引き立て役や観客に成り果てるのが多々あります。」

衣吹。
「男性の弱点は前例が出し尽くされていて。」
「どのような考えでどのような動きをするかの。」
「歴史における蓄積が多過ぎて。」
「膨大な前例故に、最初から動きを読まれやすい。」
「機械的な反応があまりに多いため。」
「余程、強力な男性にしか苦戦しないのではと。」

璃里歌。
「こういう時はこうすると。」
「決まった動きがあるので。」
「それを抑えるともう。」
「男性は立ち回れないのですね。」

千麻。
「自分が主人公のように振舞っておいて。」
「誰かの脇役になっている場合もあります。」
「競おうとしたら男性ほど不利で無価値な性別はありませんね。」

衣吹。
「天才や秀才が男性では一部だけで。」
「他は大衆の一部でしょうし。」
「女性は秀才であることが大半ですし。」
「近頃は男性の価値が大幅に低下していて。」
「女性の価値が跳ね上がっています。」

真歩。
「男性は生存には有利ですが。」
「それ以外では使えない性別でしょうね。」

羽衣香。
「女性は処世術が必須ですが。」
「後天的にどうにでもなる性別ですね。」

衣吹。
「男性は女性に利益を根こそぎ奪われると。」
「本当は知っていたので。」
「女性を封じようと必死だった。」
「なんて言わざるを得ない。」

羽衣香。
「利益で対立するので男性は出し惜しみして。」
「女性に仕事を与えなかったようです。」

衣吹。
「となると、またもや男女に関しても蓋然性が襲撃する。」

千麻。
「蓋然性が低い既成概念は否定します。」

璃里歌。
「とりあいず、男性は他の男性との交戦で。」
「精一杯なので。」
「男性対男性が繰り広げられているのなら。」
「女性との対戦に割く余裕はありませんね。」

羽衣香。
「強者の男性が好まれますよ。」
「弱者の男性は群衆なんですよ。」

真歩。
「力は正義なり。」
「なんて言い放つ男性が最高なのです。」

衣吹。
「正しいとは強者の利益。」
「こう言い放つ男性が究極ですね。」

璃里歌。
「無論、それには賛成します。」
「正義を讃えている男性も良いものです。」
「男性とはそのくらい言えないと。」
「奴隷道徳を引き合いに出すしかないのです。」

千麻。
「悪賢さとは惨めな巧みさですね。」

素早く開始されて。

最大まで長く遊んで解散する。

遊戯を取り仕切っている幹事の衣吹。

幹事の姉妹。

自動販売機が集まった休憩場所にて。

飲み物を購入して。

ベンチで疑問を出してみる。

全員が便乗。

衣吹。
「最近、空ばかり見るようになりまして。」
「空をずっと見上げると、自分が詩人みたいに思えます。」

千麻。
「探査機が文明の最先端ですから。」

衣吹。
「あれって、たまに記事になりますよね。」
「どんな奇跡ですか?」

千麻。
「地球の重力から離脱したら。」
「火星なら火星の周回軌道を先読みして。」
「会合します。」
「速度を調節して。」
「ぴったりに来るのに数か月。」
「減速するなり。」
「加速するなりして。」
「対象の惑星に接近して。」
「周回軌道に入ります。」
「後は探査機を投下したり。」
「着陸して離脱する場合もあります。」
「周回軌道を計算して。」
「探査機本体の軌道を計算すると。」
「図に表示される軌道が火星と被れば。」
「計算通りの時期に会合します。」
「周回軌道に似た線が探査機に存在するので。」
「それを火星の動きに合わせて接近。」
「探査機の動きと火星の動きが遭遇するように。」
「これでも故障なしで不具合なしで。」
「数か月を費やします。」
「周回軌道を見越して動かないと無理です。」
「高度な算術が求められ。」
「計算ぴったりで遭遇しないと見逃します。」
「これはすべてが計画を練られて進行しますね。」
「無策での動きは何もありません。」

衣吹。
「なるほど、考えるだけで何か分かることはありませんし。」
「持論がそのまま通用する訳がありませんね。」

真歩。
「自説がそのまま使い物になったら。」
「楽勝なんですけれどね。」

羽衣香。
「その反対ですからね。」

千麻。
「なんて言う女の子なの。」
「話が合う。」

璃里歌。
「哲美お姉さんも同じくらいの話をします。」

羽衣香。
「哲人に感化されたのですよ、みんな。」

衣吹。
「古典しか読まないので。」
「全員が幼い頃から読んでいるんですね。」
「いつの間にかある古典を読んで。」
「育ちました。」

羽衣香。
「私は習い事のひとつでしたが。」

真歩。
「優れた人材ならいくらでもいるのでしょうか。」

衣吹。
「古典に夢中になっているという共通点がありますし。」
「分析を語るのも趣味ですね。」
「昔は議論をして発展したと言いますし。」
「もう少し雑談しましょう。」

夕日が照らした辺りで解散。

古典を中心に展開する雑談は。

大人顔負けらしいのです。

帰り際に。

つぶやく。

エピクロス。

万物は必然によって生じると主張する人は。

万物は必然によって生じるとは限らないと。

主張する人を非難することはできない。

なぜなら。

前者の主張では。

後者の主張それ自身が。

必然によって生じるはずだから。


11


大型貨物船と自動車用の輸送船。

空っぽのまま停泊しており。

無人になってしまっている。

中を調べようにも。

勝手に移動して退けてくるという。

丁度、近くにいた警察官に。

乗り込みたいので手伝ってくれと言われて。

既に乗り込んでしまっています。

興味本位で侵入したら。

相手にとっては不意打ちだった旨。

衣吹。
「あれ?この後はどうすればいいの?」

羽衣香。
「あなたは状況を確保して。」
「索敵。」

真歩。
「何回か戦ったけれど。」
「敵が弱者ならば生存できるはず。」

衣吹。
「港に来たらすぐこうなったのです。」

羽衣香。
「私達がいるから、すぐに片づけますよ。」

真歩。
「銃器があるとは思えませんし。」

甲板を駆け上がって侵入。

操縦室に入っても無人。

衣吹。
「誰もいませんね。」

羽衣香。
「では、立ち去りましょう。」

衣吹。
「なぜ?」

真歩。
「私達にしかわからない理由で。」

少し退いて。

全員で隠れる。

不審者の姿が見えまして。

どうやら。

船は不審者が鹵獲しており。

売り飛ばそうと機会を伺っていた。

不意打ちするために隠れているのです。

不規則に隠れ続けて。

不審者のひとりが探しに来まして。

秒殺。

真歩。
「死んでください!」

不審者。
「この攻撃性は妖女だな!」

羽衣香。
「目の前は囮です。」

不審者。
「ぐほぉ!」

信じられない速度の打撃。

不審者は何回も吹っ飛んで。

壁や階段から墜落して。

大怪我。

相手の刃物を鹵獲。

真歩。
「寄ってきたので、待ち伏せ。」

羽衣香。
「正面は避けて、男性とか正面だけは手強いから。」

真歩。
「いけそう。」

衣吹。
「私はそこまで戦えません。」

真歩。
「鹵獲した刃物でも持っていて。」

寄ってきた不審者。

狭い室内で刃物を振り回せず。

敏捷性で桁違いの姉妹が翻弄。

不審者。
「相手に当たれば倒れるんだ!」
「当たりさえすれば!」

真歩。
「戦いでまぐれを期待するのは愚鈍ですな。」

羽衣香。
「逃げながら戦おう。」

衣吹。
「攻撃性が強い姉妹ですね。」
「私は逃げておきます。」
「これは何ですかね?」

真歩。
「手に持っているそれで決着をつけます。」

羽衣香。
「便利な道具を拾いましたね。」

衣吹。
「あれれ?私も役に立ったのかな?」

船内に置いてあったカッターナイフを使って攻撃。

不審者は切り刻まれて気絶。

羽衣香。
「あっ!手加減しないと!」

真歩。
「もう少し手加減しないと相手が死ぬよ。」

羽衣香。
「みねうちが推奨されていますしね。」

衣吹。
「あれ?敵さんは見た目に反して弱そうですが。」

真歩。
「威嚇して強く見せかけているんですよ。」
「実際は有利ではないと戦いの場に出れない臆病者です。」

衣吹。
「ラ・ロシュフーコの格言で。」
「我々は自分の持っているのとは反対な欠点をありがたがる。」
「弱い人間であるくせに。」
「屈強であることを誇りとするのがそれだ。」

羽衣香。
「敵さんも弱いのに、自分の反対な屈強を誇るものです。」

残りのひとり。

羽衣香が動き回り。

不審者は慌ててクロスボウを発射すると。

外れまくる。

室内を移動して。

信じられない速度で背後に回り込み。

後ろから持ち上げて。

甲板まで素早く運んで。

不審者を海に突き落として。

勝利です。

真歩。
「テロリストの残党がいたと連絡してね。」

衣吹。
「はい、もう軍隊を呼んでいます。」

羽衣香。
「近くのブラックホークが来てくれました。」

真歩。
「敵さんふたりを気絶させてあるので、捕虜ですね。」

衣吹。
「ひとりは海の藻屑ですがね。」

羽衣香。
「慣れていますね、平気?」

衣吹。
「暴漢は思ったより強くないので。」
「臆病とは、臆病を直そうと思っている相手に。」
「辛いことを言うのが危険な類の欠点ですね。」

獲物を獲得して仕留めたので。

後々。

戦果に載るそうです。

今のご時世、雑魚を倒しても意味がありません。

自衛隊と対談。

そう珍しいことではないので。

すぐに解放されまして。

帰り際。

衣吹。
「人は通常、悪意よりは虚栄に引かされて、悪口を言う。」

羽衣香。
「弱さだけは、どうしても矯正できない欠点である。」

真歩。
「人は時として、他人と違うのと同じく、自分自身とも違うことがある。」

衣吹。
「少し計画に無い行動で。」
「帰宅予定時間は大幅に遅れます。」

羽衣香。
「港の市場を見るために電車で来ましたから。」

真歩。
「夜までに帰れるの?何とかして!」

衣吹。
「余裕ですよ、何もなければね。」

駅前。

自警団狩りに遭遇。

自警団を倒して遊んでいる戦闘マニアで。

数人で追跡して全滅させているという。

不良集団。

知り合いで。

情報提供を求めている。

自警団は政権転覆を計画していたので。

反撃できないのです。

真歩。
「政府が常に正しいとは限らないが。」
「あいつらよりはまし。」

統領。
「自警団が歪んだ顔で倒れる姿とか見たい?」

羽衣香。
「正しいとは強者の利益。」
「つまりは私達の利益。」
「支配者の利益。」

衣吹。
「しっかりと痛めつけてあげてね。」
「強者しか正しいを説けないと。」
「弱者が正しいと言い張る連中を倒してあげて。」

真歩。
「その鈍器で説得するんですか?」

統領。
「これで殴り合わないと説得できないよ。」

不良。
「相手を俺達の善意で囲んであげるのです。」

暴走族。
「昔の電子機器なんて叩けば直るから。」
「相手も叩けば直るだろう。」

統領。
「こうして相手を平和主義者に変形させることによって。」
「二度と政権転覆を起こす気にならないようにするのだ。」

衣吹。
「あんたらがいるので、彼らは常に平和な交渉に臨むのです。」

統領。
「ゆっくりと議論しようと言うんだって。」

羽衣香。
「では相手を論破してくださいね。」

統領。
「頑張るよ!相手の説得!」

真歩。
「彼らも歓迎してくれるよ。」
「危ないものを持って歓迎してくれるよ。」

統領。
「自警団は、今回も、俺達の善意で血涙を流すに違いない。」

自分の都市に戻ってきた所で。

哲美さんと遭遇。

女性警察官が接近。

女性の不審者が出没するようになりましたが。

哲美さんが疑われつつ。

哲美さんではなくて別の女性であると断言する。

警察官。
「君達は何か知っている?」

衣吹。
「不審者ですと?」
「私達が知っている不審者はもっと綺麗だよ!」

真歩。
「美人で襲って欲しいほど可憐だよ。」

羽衣香。
「そんな不細工な不審者は見たことないよ。」

誰かが後ろから。

うっかり叫ぶ。

女性の変態。
「不細工は義務ではない!」

なんて近くの人が反駁してしまって。

発覚。

警察官。
「少しお話をよろしいでしょうか?」

女性の変態。
「いいえ、帰ります、急用が出来たので。」

警察官。
「待ちなさい。」

女性の変態。
「おっと!陸上の勝負でもするかね?」

警察官。
「私は全国大会に出ました。」

女性の変態。
「くるなー!」

警察官が追いかける。

女性の不審者は逃亡した。

璃里歌。
「最近、男の子から告白されたら。」
「あなたが好きって答えて逃げるの。」

千麻。
「あら?私も同じことしてましたわ。」

璃里歌。
「それでは恋人ということにしておきましょう。」

千麻。
「なんて好都合な。」

哲美。
「それは、まさしく予定調和!」

璃里歌。
「それで、あなたを調べたいの。」

千麻。
「私もあなたを知りたい。」

哲美。
「女の子なのにえっち!」

故事には。

女性には行動の自由はないと書かれていますが。

本当にそうでしょうか?

男性という外的帰属が女性を解放したので。

自由を得た女性で溢れています。

女性の自由はしばらくの成功と言えましょう。

なぜなら。

そうでないと何も始まらないからです。


12


リベラルアーツ卒業の女性に。

感化されるフリースクール。

優れた人物や。

善いものに感化された結果。

早熟が二倍になっています。

下校時に集まる女の子。

衣吹。
「プラトンの国家が西洋で有名になっていて。」
「正しいとは支配者の利益に他ならない。」
「つまりは。」
「誰かが正しいと言う時は。」
「支配者の利益のためにそれをしているのです。」
「正しいが強者の利益ならば。」
「弱者が正しいと名乗るのは強者のために。」
「正しいを振りかざしているので。」
「結局は正しいと言う場合は。」
「支配者と強者の利益を実現するために。」
「正しいと言われる内容を実行しているので。」
「言い換えれば。」
「支配者と強者に服従しているから。」
「そのような行いに繋がるのです。」

璃里歌。
「支配者が正しいと指定する物事を。」
「他人に強制するのが正しいの正体。」
「強者が正しいと指定した物事を。」
「代理で実行するのが正しいの正体。」

千麻。
「支配者の代理になってしまう。」
「支配者の奴隷になっているので。」
「正しいと言われる内容が実行されます。」

真歩。
「強者の奴隷でもありますから。」
「正しいと言われる内容を代理で実行する。」
「どちらとも本人は奴隷です。」

羽衣香。
「これで正しいなんて言えないと。」
「あっさり論拠を提示できた訳です。」
「正しいなんて言い回しは。」
「強者と支配者の利益実現のための。」
「奴隷が代理で実行する内容の意味です。」

衣吹。
「力は正義なり。」
「これを切り返すと。」
「弱者は不正なり。」
「なんて言っても誤りではないね。」
「弱い者は不義なり。」

璃里歌。
「それは自然なものですね。」
「それ故に美しいものです。」
「不自然なものは美しくはない。」
「自然発生したものが常に美しく。」
「不自然なものほど美しくない。」

千麻。
「本当の優しさを持つことができるのは。」
「しっかりとした心構えのある人のみです。」
「優しそうに見える人は、通常。」
「弱さだけしか持っていない人である。」
「そしてその弱さは。」
「理由もなしに気難しさに成り果てる。」

羽衣香。
「弱さを売り物にはできません。」

真歩。
「正しいの決着はついたかと。」

衣吹。
「かつて大きな情熱を燃やし。」
「今それから覚めている人は。」
「幸福そうで不幸な人です。」

璃里歌。
「情熱で何か道理があるなら。」
「話は別でしょうけれど。」
「お金にならない情熱は意味不明。」

千麻。
「一方だけが間違っているのなら。」
「喧嘩は長続きしませんよ。」

衣吹。
「一方だけ間違っていることが望みですけれどね。」

真歩。
「いろいろと意見を述べる者はあるが。」
「しかし行動で示す者はほとんどいません。」

衣吹。
「意見だけで手本は見えません。」
「難しいからでしょう。」

羽衣香。
「人がどんなに我々の事を言おうと。」
「我々が言われるのは。」
「既に繰り返し聞かれた事だけになります。」

璃里歌。
「なんて退屈な。」
「つまらない世の中と思ったら。」
「人間まで退屈だなんて。」

羽衣香。
「世の中に期待するだけ無価値ですので。」
「自分に有益なことだけしているのが最良です。」

千麻。
「世の中なんて分割して。」
「構図を分解すると。」
「そんなに面白くないので。」
「目標に向けて突進するよりは。」
「既に成功している事業を大切にするのが。」
「最善な場合がよくありますね。」

衣吹。
「分解されてしまった世の中は。」
「全体の要素が消えていますし。」
「包括した世の中という姿が分解されると。」
「小さな出来事の集まりに過ぎません。」

真歩。
「車の部品みたいに分解したものが世間です。」

羽衣香。
「道理に追従する力が人間にあるとは思えないけれど。」

衣吹。
「世の中を見て正気でいられる人なんていますかね。」

羽衣香。
「世の中には時として、正気では切り抜けられない。」
「厄介な事件が起こるのです。」

真歩。
「多少の狂気はお勧めできますけれどね。」

千麻。
「外部の影響が少ないほど良い。」

璃里歌。
「自分から外部に触れるのはもっと良い。」
「向こうから外部が触れてくるのは悪い。」

羽衣香。
「そのせいで。」
「知らない間に欺かれている。」

衣吹。
「本人が欺かれたと自白したものが。」
「嘘になりますかね。」

羽衣香。
「相手を信じなければ。」
「相手に騙されても。」
「騙されたことが素晴らしいことになります。」

衣吹。
「人に騙されないコツは粗野であることです。」

璃里歌。
「祝福されるのは私達です。」
「あらゆる汚染。」
「通俗の教養その他の汚染。」
「から清められて。」
「哲学の研究に向かったのですから。」

いつもの河川敷の運動場。

この時間帯は誰もいません。

大公園もあるので。

お菓子を持参して集まっています。

お菓子を交換したり。

最近は美術品の交換もあります。

千麻。
「正解を説いても。」
「ひとりだけの正解であって。」
「答えを設定しても。」
「全員が賛成しない。」

衣吹。
「正解はひとりだけが役に立つもので。」
「答えは自分以外には通用しない。」

羽衣香。
「教育後進国の日本ですからね。」

衣吹。
「正解も答えも自分の中。」
「自分だけで完結するものです。」

真歩。
「誰かの正解は論争の標的になり。」
「論説が打ち破られるのがオチですね。」

璃里歌。
「答えを設定しても別の答えを出されてオチです。」

衣吹。
「誰かの正解や答えは他人にとっては何の役にも立たない。」

羽衣香。
「対立する結論を出された辺りで勝ち目が無くなります。」

衣吹。
「常にもっと上の見解があるのですから。」
「上には上がある。」
「もっと優れた結論は常にありますよね。」

千麻。
「現時点で最も優れた結論で納得するしかないけれど。」

衣吹。
「それより下の結論は捨てられますね。」

千麻。
「使い捨ての正解と答えという奴ですね。」

璃里歌。
「使い捨てになるのなら、最初から価値はないね。」

衣吹。
「天が幸運を授けるまでは、馬鹿と呼ばんで欲しい。」

大公園にはカワラバトの群れがいて。

食べ物をあげる人によって。

ドバトは人に慣れています。

そっちに移動しながら。

女の子の一団は二組に分離。

好きな方に各自が移動。

羽衣香。
「優秀な人物がいるのではなくて。」
「愚劣な人物があまりに多過ぎるだけ。」

真歩。
「頭の良い人間がいるのではなくて。」
「頭の悪い人間が多いだけ。」

衣吹。
「誰かの勝率が素晴らしいのは。」
「弱者相手に勝っているだけなので。」
「弱い奴がいるせいで勝率が良い場合がよくある。」

羽衣香。
「なぜなら。」
「有能な人物が勢揃いして対戦すると。」
「全員の勝率が悪いから。」
「それ以前は雑魚相手に勝ち続けていて。」
「雑魚ではない集まりに入ると。」
「それまでの勝率を維持できない。」

千麻。
「無能まで平等にするな!」

璃里歌。
「みんな等しく無能にするというのは異議あり。」

千麻。
「競わないのが理想ですけれどね。」

衣吹。
「実際は競争に参加させられる。」
「競争は強制。」

真歩。
「なぜ競わなければならないのか理由はないけれど。」

羽衣香。
「それで相手を負かして。」
「向かってきたので倒したけれど。」
「弱い奴と対戦しても、納得の行く勝利にならないのですし。」

真歩。
「弱い奴と戦って勝利しても、自分が強いと主張するには。」
「論拠が足りない。」

衣吹。
「それはもはや、勝利というより掃除です。」

千麻。
「競う意味がないほど、力をつけると。」
「競争は義務では無くなりますね。」

璃里歌。
「それなら弱者とは克服するもので。」
「無能も直せる心理状態というものですよ。」
「ちょうど、不具合でまともに動かないので。」
「不具合を修正するのと同じです。」

千麻。
「直してもらえ!」

羽衣香。
「直りますよ、直そうと思うのなら。」

衣吹。
「自由は意志から生じます。」
「意志は自由の条件です。」

近くで喧嘩がありましたが。

仕掛けた側が柔道の有段者に挑戦してしまい。

あっさり仕掛けた側が負けまして。

攻撃側が投げ飛ばされて。

受け身を取れずに動けなくなっています。

柔道家は弱いもの虐めをしてしまったと。

頭を抱えていました。

真歩。
「真実らしき敵対者とは。」
「自分に同調しろと迫る輩です。」
「客観的に悪人であると証明できますね。」
「自らに同調しなければ攻撃すると威嚇していますし。」
「同調すれば悪の仲間に引き入れて。」
「同調しなければ危害を加えてくる。」
「こういう手の悪人しかいないようなもので。」
「同調を強制する輩が真実らしき敵対者です。」

衣吹。
「自分と同調しない奴には何でも攻撃する。」
「そうなれば客観的に悪い人間であると証明できますね。」

千麻。
「同じ考えと態度の人なんていませんし。」
「そんなのがいると見なすのがもっとも頭がおかしいですね。」

璃里歌。
「他人が同調しない前提で成り立っているのが社会ですし。」
「同じ意見や態度の人なんて。」
「実際はいません。」
「夢想ですなあ。」

羽衣香。
「同調を強要するのは前提の誤りがありますね。」
「悪い人間は同調を他人に求めますが。」
「かえって他人は同調しないものであるという前提で。」
「成り立っているのですし。」
「簡単に言えばそれが違いというものですね。」

真歩。
「力関係が逆転すると。」
「誰でも手のひら返しをして。」
「狂暴化するので。」
「将来、そうなると思ったら。」
「少しくらいは利益を与えるのが。」
「後々の自衛になる。」

衣吹。
「力関係の逆転で人が豹変するのは。」
「前例が豊富です。」

羽衣香。
「利他的であることは否定されますね。」

千麻。
「自分勝手と非難するのは。」
「自分の考えに従わせたいという。」
「側面を持っています。」

衣吹。
「人間に従って良いことは何もなかったよ。」
「良いことが無いのなら害したという意味です。」

璃里歌。
「人間でもましな人間が良いものですね。」

衣吹。
「よりましな人間がいれば足ります。」

最近は社会の風刺が話題になりがちです。

雑談には哲学が使われていますが。

意見交換や優れた意見が出るまで続ける。

遊びでもあります。

池の前を通過して。

花壇まで来まして。

通行人を見ながら。

璃里歌。
「善悪の解釈なんてどこでも変わるものです。」

千麻。
「文化や国家よってだいぶ異なりますしね。」

真歩。
「善悪について事実確認された試しはないね。」

羽衣香。
「善とか悪とか審査されることはないのです。」

璃里歌。
「第三者機関が調べる訳でもないしね。」

衣吹。
「私は善悪なんて解釈の話であると見なしています。」

千麻。
「それで足りませんか?」

衣吹。
「うん、けっこう足りています。」

千麻。
「必要なのは解釈でしたね。」

璃里歌。
「他人の定めた善悪が対立するのなら。」
「どちらも間違っているのでしょう。」

羽衣香。
「我、欲する。」

真歩。
「自分の敵を探し求めています。」

千麻。
「武装して始めて安らかに眠れる。」

衣吹。
「沈黙して静かに座りたいのなら、武装が必須。」

璃里歌。
「良い目的は、戦争すらも神聖にする。」

衣吹。
「良い戦争はあらゆる目的を神聖にする。」

教員から。

進路について早くも考えるように言われて。

取材を繰り返しています。

まずは情報収集から始めようと。

市街地を駆け回る日々。

エピクロス。

明日を最も必要としない者が、最も快く明日に立ち向かう。


13


フリースクール内にある膨大な書庫。

本に囲まれて育つように。

古代の教育を採用しており。

自由に出入りできます。

かなり古い書籍や翻訳本。

岩波文庫はほとんどを揃えていて。

どこかで調達した古本もあります。

書庫は古典を中心に収納。

すべてが審査されて。

愚書や悪書は排除され。

良書のみが置いてあります。

書庫の中にもソファーがあって。

みんなで使っていますね。

古典マニアの女の子が一日中。

書庫に籠っています。

衣吹。
「私は先天的な虚無主義者なので。」
「警告をしておきました。」

真歩。
「自分を客観的に証明できるのですね。」

衣吹。
「時代錯誤な現代人を壊してしまったけれど。」
「これが時代の需要というものです。」

羽衣香。
「かつて大人気の虚無主義者ですから。」
「歴史が証人となれば。」
「誰も異論はなしですね。」

衣吹。
「反駁して来る奴の存在についての論拠は行方不明。」

真歩。
「自分については問わない仮想敵とかね。」

衣吹。
「世界がそうなので。」
「私は世界に加担しているのであり。」
「人間は反意を?き出しにしている。」
「無駄な抵抗を。」

羽衣香。
「あなたに反対する人間は必要なのか。」
「反駁するのはなぜか。」
「問うものです。」

衣吹。
「何々であるべき。」
「という考え方の押しつけは潰します。」
「何々である。」
「というのが本物です。」

真歩。
「時代に合っている人物ですなあ。」

衣吹。
「最初の相手は全体主義でしたので。」
「学校教育が標的になりましたね。」

羽衣香。
「強者の肯定が要点ですから。」
「ニヒリストは必ず強者になりますよ。」

真歩。
「既成概念はニヒリストのカモですね。」

衣吹。
「あるものが。」
「意味があることは証明できない。」
「価値のあることは証明できない。」
「無いものは証明できない。」
「何でも適用されるね。」

羽衣香。
「何事も論破されたら。」
「理由もなくあるだけなので。」
「論破された対象は大嘘ですし。」
「結論だけの対象は断言するだけで。」
「何の役にも立たない。」

真歩。
「そうなると廃棄物が居座っているだけです。」
「そうやって捨てられるのが現実ですね。」

衣吹。
「否定されたのに付き纏うのは。」
「何事も既に不正ですし。」
「一度でも疑惑がついたら義務ではありません。」
「空想で説明付けがあるだけで。」
「最初から無ければ良いだけです。」

真歩。
「既に異常が発生していると思いますよ。」

衣吹。
「それだけ押しつけが流行っているのです。」

羽衣香。
「勝手に押し付けて説明付けというのは。」
「前提が行方不明。」
「論証を飛ばして。」
「結論だけある。」

衣吹。
「無価値と無意味が蔓延れば。」
「勝手に価値を付け加えようとしたり。」
「意味を持たせようと抵抗するのです。」

真歩。
「説明付けが多いのは逆に言えば。」
「何も無い空虚なものに理由を加えたいから。」

衣吹。
「無価値と無意味な世界。」
「逆に言えば。」
「価値や意味を持たせようと必死になります。」
「世界の流れとは逆行していますし。」
「川の流れは押せない。」

真歩。
「みんな神々の力を借りない非力な反抗。」

羽衣香。
「アリストテレスの言う通り。」
「世の人のやることはデタラメに過ぎない。」

衣吹。
「つまりは。」
「デタラメがあるだけ。」

真歩。
「今になって。」
「昔から言われた通りに。」
「デタラメが蔓延っている。」
「アリストテレスの格言が効いてくる。」

衣吹。
「無信仰が相応しい者がいますが。」
「こちらでは。」
「無神論が相応しい者と呼びます。」

真歩。
「無神論であってもどうせ特に意味はないけれどね。」

羽衣香。
「無神論だから何?その後に続く言葉はありません。」

衣吹。
「無神論だから特権でもあるとでも言うのかな?」

真歩。
「ツァラトゥストラくらい引用すればいいのに。」

羽衣香。
「アフォリズム好きならツァラトゥストラがお勧め。」
「たまに決め台詞があり。」
「常に過小評価されているという。」
「なぜか欧州で大人気になり。」
「現在はあまり知られていない。」
「哲学アフォリズムの傑作。」

衣吹。
「ツァラトゥストラを読むと楽々にわかるのは。」
「まず説教を開始するのですが。」
「景色がもれなく何もない荒野なのですね。」
「何も無いのではなくて。」
「荒地やら荒野やらで。」
「価値や意味などを失った景色が荒野なんですよ。」

真歩。
「荒野以外の何物も無くなった世界で。」
「ツァラトゥストラが説いて回りますが。」
「荒廃している世界が文章と思想で説明されていて。」
「現代人は思想では荒野のようであると。」
「現代人の思想は全部荒地ですよと。」
「比喩で語ってしまっています。」

羽衣香。
「ツァラトゥストラの一貫した内容は。」
「遠回しに。」
「現代人の思想が荒野であると解説していて。」
「殺風景な思想ですぞと説いているのです。」
「ツァラトゥストラの文章よりも。」
「何の比喩かを解読するのが大事で。」
「荒野のような殺風景な思想が現代人です。」

衣吹。
「荒地の真ん中で繰り広げられる人間模様と。」
「荒野であることがよく分からない登場人物と。」
「思想が荒野であると示すツァラトゥストラの演劇ですね。」
「あれは文学というより哲学というより。」
「演劇に近いものとして読むと理解しやすいのです。」

真歩。
「草木もまともになくて河川もない。」
「岩と砂漠と僅かな荒野で。」
「人間と遭遇しては語られますが。」
「現代人の思想はそれしかないのです。」
「太陽が照らす荒地で活動する。」
「思想を持つ人間が散発的にいて。」
「荒廃した思想を持つ人間についての説明が繰り広げられます。」

羽衣香。
「ツァラトゥストラはある程度は荒廃した世界の比喩ですので。」
「その荒廃は現代人の思想であり。」
「豊かな自然からかけ離れて。」
「そんな殺風景なことをしていますよと。」
「比喩が多用されています。」

衣吹。
「そこまで荒廃した思想の現代人には。」
「自然も無くて。」
「花も樹木も河川もないという。」
「思想での荒廃ですね。」
「そのくらい荒廃した思想を持ちながら。」
「荒野を徘徊していて。」
「これはなんであるか。」
「というのをツァラトゥストラが説明します。」
「虚無主義というのは現代人の。」
「荒野を徘徊するように無価値で無意味になった。」
「殺風景な思想の比喩ですね。」

真歩。
「虚無主義は荒野とか荒地で動き回る。」
「孤独で意味のない人間達の比喩です。」
「荒野はもちろん何もありませんので。」
「そんな中で活動する人間の比喩ですね。」

羽衣香。
「ツァラトゥストラを読んでいたら。」
「すべて読むまでに。」
「荒廃した荒地や荒野が浮かんだので。」
「そういう意味でしょう。」
「市街地を観察していたり。」
「人間観察をしていたので。」
「納得できます。」
「体験からツァラトゥストラを理解しました。」
「あれは何の比喩か見破るまで分からないと思います。」
「ツァラトゥストラ全体がアフォリズムの集合体ですしね。」

衣吹。
「アフォリズムであると見破れば。」
「便乗が可能です。」
「理屈で読むと難解でしょうけれど。」
「比喩さえ分かれば後は何とかなるでしょうね。」

真歩。
「ツァラトゥストラは究極のアフォリズム専門書です。」

結局は下校時間まで書庫にいまして。

教員はニコマコス倫理学を。

本が損壊するまで精読した人々で。

意外にも教養のある哲人はいるんですね。

すぐに感化されました。

下校時間で既に来ている。

いつものメンバーです。

合流。

途中まで一緒に帰りますが。

荷物を置いて遊びに出かける前提です。

河川敷の運動場は。

今回。

どこぞの草サッカーが使用中なので。

別の遊び場に移動。

姉妹の小さな集会場で。

予備の端末を弄って遊ぶことに。

テレビではニュースが流れています。

乱世に突入する世界情勢。

衣吹。
「少しはうぬぼれていないと。」
「少しも楽しくはないでしょうね。」

璃里歌。
「現代で戦争があるのはなぜか?」

衣吹。
「破壊した都市を自国のリゾートに作り変えるためです。」

璃里歌。
「なに?ではあの大破壊は。」
「自分好みのゴルフ場とか。」
「私腹を肥やす観光名所とか。」
「区画整理で自分の名前を冠した都市とか。」
「作るために行ったというわけですか!」

衣吹。
「そこまで自分の娯楽に一生懸命なんですよ。」
「特に離島はリゾートホテルの建設に適していますし。」
「占領すれば土地は好きにしていいよね?」
「というもので。」
「自国の法律なら土地を作り変えても許されるからです。」

千麻。
「娯楽のために戦争を仕掛けるなんて!」
「いくら宴会を繰り返したいからと言って許されるか!」

真歩。
「自分のゴルフ場も作りたいと。」
「土地を故意に荒らしているのです。」

千麻。
「兵士や市民の命は娯楽のために消すのか!」
「なんてわかりやすい変態なんですか!」

羽衣香。
「なので、頭に強欲を浮かべて。」
「強引に言い負かしての大破壊です。」
「そこに観光名所を建設したいので。」
「しかもカジノまで整備する計画図もあるとか。」

璃里歌。
「なんていう奴ですか!」
「いくら立地条件が良いからって!」
「兵士を二十万も送り込んだんですか!」

衣吹。
「悪趣味でしょ?」
「自国の土地が足らないので。」
「壊した土地を没収して。」
「高層マンションも乱立させるつもりなんですよ。」

千麻。
「戦争を仕掛けた理由が立ち退きにあるなんて!」
「なんてひどい奴らだ!」

羽衣香。
「その土地を慣らして税金を取り立てて。」
「一か国でも狙って収入を増やす作戦でもあるんです。」

衣吹。
「あのバルト三国が狙われるのも。」
「資金の面で潤っているから。」

璃里歌。
「なんたること!」
「大富豪になるために軍隊を使うなんて!」
「しかも自らの年寄の豪遊のために!」
「老後の楽しみの施設建設のために!」
「あんな大破壊を繰り返したんですね!」

羽衣香。
「すべては大統領の老後のためにです。」
「老後の楽しみにすぐさま確保したいと。」
「大量破壊兵器まで使って。」
「娯楽帝国をすぐに建設したいんですよ。」

千麻。
「自分の老後の楽しみのために。」
「戦争を仕掛けるなんておかしいです。」

衣吹。
「娼婦も呼んで芸人や映画館も導入して。」
「あわよくば相手の文芸まで自国に取り込んで。」
「きっと、もうすぐお城ができるのです。」

千麻。
「それであんなに必死なんですね。」
「あの高圧的な態度が理解できました。」
「まさかそこまで利己主義であったとは。」

衣吹。
「自分の過ちを人にぶちまければ。」
「過ちの諦めがつくのは自然なもの。」

羽衣香。
「出世した朝鮮人も。」
「いずれ自国だけで宇宙開発しようと。」
「ロケットを飛ばしています。」
「領空に入れるという実験ばかりしているのは。」
「宇宙開発競争参加には手っ取り早いからです。」

璃里歌。
「なんとっ!」
「朝鮮人も宇宙開発を企んでいたとは。」
「これでは朝鮮人に火星が占領されてしまう。」

千麻。
「あのロケットは自分達が最初に。」
「火星に居住地を建築して。」
「我が物にしようとする第一歩という訳ですね。」

璃里歌。
「すごいひどい宣伝ですよね。」

真歩。
「彼らの粗末な実験は誰かの批判が必要なのです。」

璃里歌。
「他国で治安のために戦っていた米軍とかは。」
「老後の楽しみに豪遊する施設を作る。」
「連邦にとっては笑いものですか?」

真歩。
「対戦した憤慨する兵隊さんは。」
「米軍が気に入らないので撤退させましたね。」

羽衣香。
「さらにテロリストは売名行為のために自爆したり。」
「あわよくば自分の国家を作ろうと必死でしたし。」
「憤慨する兵隊さんも米軍を相手に立ち回って。」
「売名行為のために対戦して目標を達成しました。」

衣吹。
「出世した大韓民国は武芸の道を究めようと。」
「国民で修練を繰り返しています。」
「少林拳みたいなものですね。」

真歩。
「出世した別の朝鮮人なんて。」
「宇宙を狙っていますし。」
「国家主席も少林拳を習い始めたようですね。」

千麻。
「なんてやつらですか。」
「かなり手強そうです。」

衣吹。
「米国内部には神経症が社会問題化していて。」
「国家転覆とか。」
「政治犯が大量に出ているそうです。」
「いくら何でも神経症が多過ぎますね。」

璃里歌。
「それなら沈黙で成功している自国民は最高なんですね。」
「そこまで大きな失敗はありませんし。」

衣吹。
「民族紛争の係争地は、連邦大統領の野望を阻止するため。」
「激戦になっていますし。」
「敵側は老後の楽しみを確保するために必死です。」
「きっと連邦軍兵士も同じ欲望を持っていて。」
「上層部は全員で一致した目標があるんですね。」

千麻。
「なんたること!」
「今すぐ全員に伝えないと!」
「世界は戦争を利用した変態が発生していると!」

衣吹。
「今頃、ニヤニヤ笑っているに違いない。」

千麻。
「ひょっとして自分の国民も豪遊する予定で?」

羽衣香。
「でないと、あそこまで必死な態度が説明できません。」

千麻。
「誰かがあの洗脳から解き放ってあげないと!」

衣吹。
「私達は何もできませんね。」
「彼らの老後の楽しみが実現されている様子を見ていることしか。」

真歩。
「兵士も憂さ晴らしに撃ちまくっていますし。」
「八つ当たりのはけ口を戦争に持ち込まないでほしいものです。」

羽衣香。
「鬱憤のはけ口にされる国家と。」
「被害者になる国家という世界情勢ですか。」

璃里歌。
「たっぷり壊して満足でしょうね。」

衣吹。
「仮想敵国も豪遊と八つ当たりしか考えていませんし。」
「この世は人間の思惑なんて無関心なんですよ。」
「まったくひどい世界情勢です。」

千麻。
「ああいうのが老後の楽しみなんでしょうか?」

璃里歌。
「仕掛ける側が若者だったら、どうなるの?」

羽衣香。
「若い女性をたくさん拉致するでしょうね。」

璃里歌。
「良かった!少なくとも指導者が老人の男性で良かった!」

衣吹。
「いいえ、既に反撃側の素敵な国家の女性が拉致されています。」
「そこら辺は未だ健在とか。」

千麻。
「そんなわけない!」
「しかし、リゾート地建設の大義名分があれば。」
「いずれ確保しますよね・・・。」

璃里歌。
「思ったより恐ろしい専制政治なんですね・・・。」

羽衣香。
「戦争はそういう理由で仕掛けられるので。」
「武器の準備は欠かさずに。」

真歩。
「昔のナチス野郎も王様になろうとして失敗しましたし。」
「美人女性は警戒しないといけません。」

千麻。
「平和な時代は終わりですか?」

真歩。
「結果論でどうなるかしら。」

羽衣香。
「人は、自分だけしか知らない過失を。」
「理由もなしに忘れる。」

衣吹。
「感情に流されて同情すれば。」
「害悪を被るし。」
「愚行をしたことになります。」
「同情は愚か。」
「要するに。」
「同情は災いになります。」

羽衣香。
「賢い人は情に弱い。」
「たいていは情に訴えれば。」
「賢い人は騙せる。」

真歩。
「犯罪者なんて愚者とか病人とか呼んでやるのが。」
「健全ですなあ。」

衣吹。
「幸福や不幸が度を超すと。」
「心が動かなくなる。」

早めに解散して。

敷地から飛び出すと。

そこにいたのは。

女の子を誘惑しようと試みる男の子がいて。

いきなり飛び出してきた女の子と衝突して。

男の子が吹っ飛ばされた。

衣吹。
「おっと!邪魔ですよ。」

男の子。
「恋とかして見たくないのか!?」

真歩。
「そんなに暇ではないので。」

羽衣香。
「何をしに来たの?」

男の子。
「甘美な青春を過ごしてみたいと思わない?」

真歩。
「思いません、どいてよ。」

男の子。
「僕によって夢なら何でも叶いますよ?」
「何でも望みどおりに。」

羽衣香。
「どいてください。」

男の子。
「ぐわっ!」

男の子がまた吹っ飛ばされて。

垣根に突っ込んだ。

男の子。
「僕が何をしたって言うんだ!」

女の子。
「そこにいたからそうなったのです。」

男の子。
「君は女の子にとって素晴らしいものを欲しいと思わない?」

女の子。
「はい!ではお金をください!」

男の子。
「は?お金?千円しかない・・・。」

女の子。
「この貧乏人めがっ!」

男の子。
「ぎゃあっ!」
「こんなことになるなら。」
「来なければ良かった。」

少女。
「何をしているの?垣根に突っ込むのが趣味なの?」

男の子。
「君は何か困ったことがあるかね?」

少女。
「あります、あなたがそこにいることです。」

男の子。
「ああ・・・もう嫌だ。」

男の子は倒れた。

世間は男性蔑視状態。

空手道や剣道をやっていなければ愚者です。

なぜなら。

空手道や剣道をやっていないと礼儀作法や。

気高い精神なんて無縁ですからね。

古典を読まないと追放されます。

なぜなら。

古典を読まない人が思慮や知性を持っている訳がないので。

追放されます。

愚か者と言われて。

とある愚者のことを思い出しました。

その人は篩(ふるい)を手に取って。

篩のどこを封鎖して、どこを放置するのかわからない。

とか言っていました。


14


休日。

姉妹の家で小さな集会場。

二人きりになって。

千麻が璃里歌とキスをしたくなって。

追い回す。

千麻。
「いいことしようよ!」

璃里歌。
「なに?気でも狂ったの?」
「もっとも、狂いまわるのはあなた特有のものですが。」

千麻。
「好きなので。」

璃里歌。
「そんなの、好きだから人権を奪っても良いとか。」
「好きだから自分のものにしても良いとか。」
「気に入ったから奴隷にしたいのと同じです。」

千麻。
「いいじゃん、減るものじゃないし。」

璃里歌。
「減らないという以外にもいろいろあるよ。」

千麻。
「私だって、女の子を好きにして良い理由はあります。」

璃里歌。
「では、私も女の子を退けても良い理由はあります。」

千麻。
「待って!やらせて!」

璃里歌。
「私にも好みがありますからね!」

結局は制圧される千麻。

動けなくなった千麻の体を弄りつつ。

追い回された璃里歌がキスをお見舞い。

璃里歌。
「実は、キスをあなたに使いたくて。」

千麻。
「それなら、強引に迫らければ良かった。」

璃里歌。
「素敵な顔、もっと見たい。」

千麻。
「やめて!あなたの顔がますます綺麗で!」

璃里歌。
「こんなこと見られたくない。」

真歩。
「見てますよ。」

璃里歌。
「なんで!」

羽衣香。
「別に、ここではありふれたことなので。」
「そんなことあってもいいんじゃないですか?」

千麻。
「あらまあ弁護士感謝。」

璃里歌。
「ここでは当たり前なの!?知らなかったわ!」

衣吹。
「性行為が人を益することは決してない。」
「もしそれが害を加えなかったのなら。」
「それだけでも足りています。」

真歩。
「エピクロスが言うには。」
「性行為は有益には決してならない。」
「害が無ければそれだけでも良し。」

双方共、この女の子にキスを使いたいと。

思っていたのでそうしたのです。

お菓子の買い出しから帰宅。

お高い奴とか。

隠れて購入。

広げます。

羽衣香。
「現実を滅多打ちにしたとか。」

衣吹。
「一応、一方的に押してはいますが。」
「それだけですね。」

真歩。
「過酷な現実と正面から対戦して。」
「いつまでも互角なんですわあ。」

衣吹。
「ハリセンによる一発の殴打には千の言葉も敵わない。」

真歩。
「言い負かしてその場から逃れられるのなら。」
「いくらでも論破してやるんです。」
「それではもはや喧嘩に過ぎませんが。」
「それで解決するなら言い負かしてやる。」
「論破してもお金にはならないけれどね。」

羽衣香。
「詭弁術の何がいけないの?」
「詭弁を言う輩を追い払う。」
「解決策のひとつなんですが。」

衣吹。
「言葉だけなら素手で虎と組み合えると。」
「言えるに決まっているでしょうよ。」
「実際にやってみてはどうか。」

真歩。
「人間嫌いも極まった。」

衣吹。
「人は抑圧に長期間、耐えられないものですよ。」
「抑圧だけ排除して貰えればかなり楽ですしね。」

羽衣香。
「伝えるだけなら危険はないよ。」

衣吹。
「ヒルティが批判した。」
「ニーチェの神の力を借りない無力な反抗。」
「もし?神の力を借りた反抗ならば?」

真歩。
「お宮について。」
「遠いなら四回通えば行動で示しています。」
「これは体験談。」

衣吹。
「真実への追及が行動を駆り立てる。」

羽衣香。
「見破ったことがあると。」
「世を立て直す役割はすべてが滑稽で。」
「醜悪に感じるもの。」
「この世の本質を見破ればそうなるのは当たり前。」
「既に壊れたものを直すのは今更何をしろと。」
「文句も出る。」

衣吹。
「ニーチェ曰く。」
「思惟が因果律に基づくというのは。」
「形而上学的妄想ですので。」
「避けるように。」
「実際は訂正できるものです。」

真歩。
「不幸を是認するのは馬鹿のやること。」
「人間が馬鹿であることも是認しているので。」
「屁理屈で誤魔化している。」

羽衣香。
「近くの中学校では。」
「何とか障害が猛威を振るっている。」

真歩。
「障害なんて価値あるんですかね?」
「私からは勝手に押しつけられた。」
「暴力に見えますが。」

羽衣香。
「あんなのを食らうなら生まれないほうがまし。」

真歩。
「その上で、さっさと死んだほうがまし。」

羽衣香。
「なんてことが女性社会にもありました。」

衣吹。
「性別から役割を奪ってしまえば。」
「能力でも男女同権であろうに。」
「平等は死にましたが。」
「公正なら威圧していますよ。」
「まったく。」

真歩。
「女性が儒教でも習っていれば違ったかな。」

衣吹。
「儒教などの倫理学は訓戒や箴言が素敵。」
「道徳の義務は条件反射になっているだけです。」
「儒教は日本で最も広まった多様性ですね。」

真歩。
「本と言っても何でも良いとは限らないと、既に知らない。」

衣吹。
「全部が素晴らしい本ではなくて。」
「素晴らしい本は一握り。」

羽衣香。
「数えるほどしかない良書。」

真歩。
「ありきたりな通俗小説は消耗品。」
「あれを読まなかったらどんなに時間の節約になるか。」

衣吹。
「文学は嘘と誤魔化しをすべて投げ捨てる。」
「空想の不可能とは正反対のもの。」
「この世の虚偽との対照が表現される。」

羽衣香。
「悲劇は出し尽くされて難易度が高いので。」
「需要があるのは悲劇とは別の形式。」
「いわば喜劇になります。」
「中でも厭世主義は採用しやすい題材ですね。」

衣吹。
「現代は楽天主義の芸術が主体です。」
「何かしらの思想に基づいているのが。」
「特徴なんですね。」

羽衣香。
「ペシミズムで描かれたのが悲劇になりがちで。」
「反対で描かれたのが喜劇になりがちです。」
「楽観的に書かれるのも喜劇ですね。」
「創作にも何を起点に出ているのか。」
「正体を探るには思想を調べましょう。」

指名手配犯が徘徊しているらしいので。

警察官が巡回しています。

ここら辺に逃げ込んだので。

警察は容疑者に投降を呼びかけています。

衣吹。
「それが何であるか知っていて。」
「それをするのか。」
「という問いかけ。」
「人が善性を持っているのなら。」
「行為が無知によるものになる。」
「よって。」
「それが悪であると知った上で。」
「悪が出来るのか問うことにする。」

千麻。
「さっき見た不細工は犯人に違いない。」

璃里歌。
「それは不細工の割合が多いからという理由で。」
「不細工が容疑者と判断しているのでは。」

千麻。
「それでは、有神論者にイケメンが多いのはなぜか?」

真歩。
「所で、美形はどうやって判定する?」

羽衣香。
「無神論で、後から敬虔になる人は?」

衣吹。
「有神論とか無神論とか置き去りにしたので。」
「今更、どうでも良いけれど。」

千麻。
「無宗教者は新しく作った偶像を拝んでいるので。」
「入信する必要がないとか言っています。」

璃里歌。
「歴史は有神論で満員ですよ。」

衣吹。
「さよう、あなたから見れば。」

羽衣香。
「さもありなん、あなたから見ればそうであろう。」

衣吹。
「人生?これは夢なんですが、この夢の先を見てやろう!!」

真歩。
「無限に続きそうなら無限に係争中にしてしまえ!!」

女の子十五人。

解散すると。

姉妹でお昼寝。

姉妹は一緒に寝るほど連携しているけれど。

いずれは別れる前提で。

長期的に見て離れると考えているため。

その前提のおかげで。

いつも一緒にいられる。

帰宅中。

路地裏。

不審者。
「やはり、正しいとは支配者の利益なのか?」

衣吹。
「今更、知っても遅い。」
「国家転覆を狙った新興宗教も。」
「工作員も。」
「テロリストも。」
「みんなで正しいと言いながら死にました。」
「あなたもその仲間に入るのです。」

不審者。
「弱者に正義は語れないのか?」

衣吹。
「悪人が自分の正体を隠すために。」
「他人を悪者呼ばわりすることはあります。」

不審者。
「正しいと主張しても力が無ければ死あるのみ。」

璃里歌。
「あなた、昔から説かれているのに。」
「最近、知ったのですか?」

千麻。
「誰から正義を習ったのかで愚劣さが決まりますね。」
「世間で説かれている正義は誰が言ったの?」

衣吹。
「私的制裁のパラドックス。」
「悪が悪を裁くのは矛盾しているのか?してないのか?」
「言いがかりで攻撃する場合は。」
「攻撃側が屁理屈で暴力を繰り出すため。」
「対象は暴力を受けたことになる。」
「そうすると悪が悪に制裁を加えたことになるため。」
「矛盾しているのか?してないのか?」

不審者。
「支配者にとって俺は使い捨てなのか?」

衣吹。
「正義が強者の利益。」
「支配者の利益なら。」
「私的制裁よりも司法がましなのは証拠歴然であり。」
「公正を求めるのなら法律がましというもの。」

璃里歌。
「民間人はファシズムになってはいけません。」

不審者。
「俺がファシスト?」
「兵士についてはどうか?」

千麻。
「兵士はけっこう無謀と言われています。」
「頭が良いと無謀になれないので。」
「理知的な人ほど兵士には向いていない。」

璃里歌。
「公明正大の士に逆らうと。」
「取り返しのつかない恥になる。」

衣吹。
「少なくとも。」
「正義を信じられない人生は無意味です。」

不審者。
「正義は悪を打倒するなんて。」
「歪曲された考えを植え付けられた。」

璃里歌。
「不正は最速で露呈するものなので。」
「露呈したらまずい不正なんてしないこと。」

不審者。
「人間社会は全部が素晴らしいとは行かないのか。」
「規則というものを批判したい。」

衣吹。
「規則は悪用されるものなので。」
「規則が恣意的な使用に至っていたら既に遅い。」

不審者。
「俺は道化師という訳ですね。」

衣吹。
「自分の考えが必ずしも通らないこと。」
「くらいを心得れば。」
「対人関係では難易度が低下しますね。」
「ひょっとして自分の考えは。」
「他では通らないのでは?」
「くらいに考えておくと楽々です。」

璃里歌。
「優秀で強い人に感化されるのが近道。」
「そういう人は徳性を持つものだから。」
「何か素晴らしい人に感化されるのは。」
「最高の近道になりましょう。」

衣吹。
「人間が悪であることは心得ていますが。」
「人間の善性をまったく信じないほど馬鹿ではない。」

不審者。
「実は指名手配犯とは知らずに手助けしてしまって。」
「どうすれば良いと思う?」

衣吹。
「警察署に行って降参すれば?」

不審者。
「そうします、また裏切られたので。」
「犯人に仕返しをしてやる。」

不審者。

警察署の方向に走り去る。

自首した様子。

お宮の近くで。

いつもの参拝。

千麻。
「自分で実行できるものを祈願するのは。」
「少々愚かですが。」
「人が対処できるものばかりではないので。」
「故事にもあるように。」
「三顧の礼。」

璃里歌。
「変な方向に逸れたり流されたくないのもある。」

衣吹。
「参拝すると正常というものを知ります。」

璃里歌。
「私も、参拝すると、その後に異常とは何かについて察します。」
「神殿の正常を通して見えます。」

衣吹。
「最も調和する聖域。」
「でないと文学もまともに書けない。」

千麻。
「他の伝統宗教を読んでみると。」
「神話から引用して創作する人は。」
「昔からいますね。」

衣吹。
「創作の題材も故事から出せますね。」

千麻。
「ゲーテも学問と芸術を持っている者は。」
「信仰を持っていると説いています。」

璃里歌。
「芸術家は模倣が基本です。」
「シラーですら模倣が当たり前と説いていますし。」
「自然由来のものを模倣するのが芸術です。」

千麻。
「思慮のある者は、困窮しても。」
「他人から分けてもらうより。」
「むしろ自分のものを人に分け与える術を心得ています。」
「これほど彼らの見出した豊かな心は素晴らしい。」

衣吹。
「前例が無ければ作れば良いのです。」
「特に何も人生観が無ければ創造すれば良いだけ。」

今は大人になるための修練。

若い時代は修道女の模倣に徹しています。

日々、練度が上がっていて。

力量が足りるようになりましたね。

それら以外が伸び悩んでいます。

格言。

欠乏しているものを欲しがるあまりに。

今あるものを台無しにしてはならない。

今あるものも。

我々の願い求めたものであるかを。

考慮しなければならない。


15


パトロールカー困惑。

第二次世界大戦の戦車で暴走する。

クイエテイズム。

市内を走り回って。

常識を習わしに移そうとした。

危険思想者から逃げている。

クイエテイズム。
「悪にたいする無抵抗のために逃げる。」
「そうすればやめてくれる。」

危険思想者。
「常識は習わしなんだぞ!」

市民。
「は?無為主義?」

警察官。
「クイエテイズム。」
「十七世紀カトリック教会内に存在した神秘主義的教義。」
「誤った思想であり。」
「悪にたいする無抵抗を説いていた。」

クイエテイズム。
「相手だってわかってくれる。」

危険思想者。
「常識でたっぷり説教してやる!」

砲塔を旋回させてしまい。

飛び乗ろうとしていた。

危険思想者の車を直撃。

危険思想者が気絶する。

警察官。
「あの戦車はどこから持ってきたんだ!」

マニア。
「倉庫で整備していたら乗っ取られた。」

警察官。
「それは災難だったね。」

マニア。
「実は、引き渡しの際の不手際で、実弾が一発だけ。」
「誤って入っているらしいのですよ。」
「それを取り出している最中に盗まれました。」

警察官。
「なんだって!?」

市民。
「いくら安物だからってスクラップにするな!」

闇商人。
「ああ!欠陥品を上手に売るつもりだったのに!」

戦車はいろんなものを踏み潰した。

市街地を暴走。

心霊主義者。

路上で水晶玉を売っていた。

スピリチュアリズム。
「この水晶玉を買えば億万長者になりますよ?」

会社員。
「そうかな?買ってみようか。」

支払いを済ました瞬間に。

第二次世界大戦の戦車が突っ込んできて。

慌てて逃げようとしたら。

置き去りにした水晶玉を粉々にした。

会社員。
「一万円が粉々になったのだが。」

スピリチュアリズム。
「それはあなたの負の念を水晶玉が吸い取ったのです。」

戦車は暴走を続ける。

スピリチュアリズムの輩が別の客を迎えた。

料理長。
「なかなか店が繁盛しなくて。」

心霊主義者。
「あなたが成功しないのは。」
「利他的ではないから。」

料理長。
「それでは、君の後ろから来る戦車は何だい?」

後ろから戦車が突っ込んできて。

逃げようとして河川に転落した。

市民。
「今度はどんな理屈が言えるんだい?」

心霊主義者。
「私を助けないとあなたはいろいろあります。」

クイエテイズム。
「どんな相手とだって分かり合えるのです!」

なんと戦車砲を発射。

ビルが損壊。

民家の壁を破壊して突き進む。

警察は特殊部隊が到着。

マニア。
「実は、機銃がすべて装填したままらしいのですよ。」

警察官。
「やめてくれ!ひどい有様だ!」

クイエテイズム。
「戦争反対!相手も人間だから分かり合いたい!」

今度は機銃を発砲。

滅茶苦茶になる交差点。

女の子一同は帰宅途中。

何か大事件になっている地域。

商店街まで来ていて。

通りかかる。

衣吹。
「哲美さんの両親はアドラー派カウンセラー。」
「璃里歌ちゃんも習い始めている。」

璃里歌。
「ただし。」
「退路を失って分別を失っている。」

羽衣香。
「何でも。」
「投げ返したのだけれど。」
「その結果がどうであろうが。」
「私は投げ返したのみ。」
「私に非がなくて。」
「被害者とやらに非がある。」
「投げ返して当たったのなら。」
「何でも被害者のせいである。」

真歩。
「自分に加えられたものを。」
「必ず投げ返して来たので。」
「私に加えなければ。」
「被害者も出なかったよ。」

衣吹。
「それまでは皆が無口だったような。」

千麻。
「その人は黙っているのではなくて。」
「発言できる状況ではないのでは?」
「言える状況ではないので。」
「黙っているのなら。」
「手遅れになる可能性はありますね。」

羽衣香。
「事前に選択の自由が奪われていて。」
「いきなり何かを選択しろと言われても。」
「選択できないので。」
「どうなろうが選ばせた奴に責任がある。」
「事前に選択の自由を与えなかったせい。」

衣吹。
「あの戦車についてのことですね。」
「どうやったら今日、戦車に遭遇するのか。」
「何を間違えたのかわからない。」

真歩。
「逃げよう、戦車が暴走している。」
「機関砲も撃ちまくっているし。」
「さて、どこに逃げれば良いのか選ぼうかな。」

近くの民家に突っ込んで停止する。

燃料切れ。

警察官がすぐに囲んで捕獲する。

近くで別の戦車が壁を破壊して立ち去っている。

マニア。
「実はもう一両の行方がわからないのです。」

警察官。
「もはや絶句したぞ。」

心霊主義者。
「偉大なパワーを身に着けました。」
「これならすべての人を救えます。」
「さあ、今すぐ私を崇拝しなさい。」

市民。
「なんだ!また暴走した戦車が来るぞ!」

警察官。
「おい!何とかしろ!」

マニア。
「あれは燃料を少ししか入れてないので。」
「十分くらいで停止するかと。」

真歩。
「弱ければ弱いほど。」
「狡猾になりやすい。」
「弱さから狡猾になる輩がいる。」
「弱いから。」
「弱者なりに反抗しようと。」
「編み出した技であろうけれど。」

千麻。
「弱者が自分の利益のために。」
「道徳を創作したのだろう。」
「道徳は弱者の負け惜しみに見えます。」

璃里歌。
「弱いのなら力をつけるまで。」
「隠れているか。」
「戦いに参加しないのが安全ですね。」
「やっとのことで力をつけたら。」
「存分に参加すれば良し。」

衣吹。
「既成概念の否定はニヒリズムが安全な形式で。」
「入ったものかな。」
「男尊女卑も既成概念として否定されます。」

羽衣香。
「何か宣伝しながら暴走していますね。」
「議論している場合なのかな。」

真歩。
「相手を論破したら止まるのかなって。」

羽衣香。
「止まるかな?やってみる?」

璃里歌。
「誰にでも当てはまることで。」
「他人を除外するのは悪か愚かという問いかけ。」

真歩。
「バーナム効果を使っての言いがかりが多いかも。」
「認知バイアスが論争に使用される可能性があります。」

衣吹。
「止めたらお手柄ですよね。」

千麻。
「ジャーナリズムは近代で勝利を収めていて。」
「教師ですらジャーナリズムに走っている。」
「近代史の勝者であることは確実で。」
「いつの間にか勝者として君臨しているという。」

羽衣香。
「ボランティアで兵士をするのは難しいかと。」

真歩。
「他人よりも自分が大事なので。」
「利己的なのが当たり前。」
「他人よりも自分が優先です。」

羽衣香。
「では放置する?」

衣吹。
「狂った戦車は何をするのかわからない。」

羽衣香。
「世間でよくあるのは。」
「勝てない相手を無視する。」
「という対抗ですね。」
「どうせ勝てないので。」
「そういう人を無視して。」
「目標を獲得するという。」
「陰湿だけれど有効な対策。」

真歩。
「強くて優れている人を褒めると。」
「何とその人と対等になれる。」
「強者を見たら褒めておくと。」
「対等になれる。」
「元々は。」
「ゲーテの格言で。」
「人を褒めると、その人と対等になれる。」

衣吹。
「競争を回避するといろいろお得。」
「競うから問題になる場合が多々ある。」

璃里歌。
「争いは無限に続くような展開が多々ある。」
「競争も無限に続くような展開が多々ある。」
「可能な限り競合せず。」
「避けるのが。」
「平和の一部になる。」
「最も。」
「私は平和について何も知らないけれどね。」

上手に回避する市民一同。

戦車が自動車を踏みつぶして被害拡大。

曲がれずに池に突っ込んで。

自滅した。

池に沈没する戦車。

衣吹。
「兵器だけであれ以上は無理なんですね。」

真歩。
「陸上戦闘は銃兵が命題でしょ。」

千麻。
「歩兵の質が良好なら。」
「最初から優勢にはなる。」
「優秀な歩兵を持つ軍隊はより確かな強みがある。」
「兵器よりも歩兵。」
「銃器を扱い前線で撃ち合う兵士。」
「歩兵という言葉の定義はそれですが。」
「歩兵の質がそのまま勝敗に移行する。」
「歩兵を可能な限り大事に扱い。」
「規律や精神まで培えば。」
「戦場で何かを決定するのは銃兵なので。」
「歩兵の質が大事になるのは言うまでもなく。」
「こんなことを言うのは。」
「退路がなくて。」
「もっとも他の場所にいれば。」
「出る訳がないような分析なのです。」
「北欧州の戦線が互角になったのは。」
「連邦が兵器では優秀でも。」
「北欧州の兵士の質が抜群であり。」
「余裕があるほど士気が良かったことが大きく。」
「同意できる理由にも左右されましたが。」
「正当な軍隊ほど士気が高くなりやすく。」
「戦闘能力も高くなりやすい。」
「不当な軍隊ほど戦闘を怪しんでしまい。」
「ためらいや意欲の低下を起こしやすい。」
「兵器はそこまで重視しなくても良いのではと。」
「思ってしまうほど。」
「兵器を研究するとそう出ます。」
「退路が無いほど分別を無くして。」
「こうした情報も取り出してしまうのです。」
「私の狂気は退路が無いから二倍になっているよ。」

羽衣香。
「世界は中くらいの規模なんですね。」

衣吹。
「本人が思っているより。」
「歴然に小さな出来事を。」
「世界を動かしたと勘違いする奴がたまにいる。」

璃里歌。
「あの心霊主義者みたいにね。」

千麻。
「心霊主義者に関わると怪奇現象に襲われるので。」
「避けてしまえ。」

真歩。
「先天的なカルトなんて何ですか。」

千麻。
「そうなると先天的で決まる決定論は何?」

衣吹。
「良い先天的と悪い先天的。」

千麻。
「しかし何か単純化している気配がする。」

衣吹。
「才能も単純化されますしね。」

千麻。
「才能とか言って単純化した瞬間に。」
「盲目になりがち。」
「才能の他に何があるのか調べていないからね。」

衣吹。
「日頃から鍛錬を怠けていたのに。」
「いきなり妬むのは無能の裏返し。」

千麻。
「敵対者同士は互いに避けるのが合理的。」
「不合理なのは接近したり。」
「避けたりしない態度。」

衣吹。
「私は知っているというより。」
「見たままを分析して。」
「哲人のように振舞っているのだろう。」
「嘘が言えないか。」
「体験談を語っているかのどちらかですね。」

羽衣香。
「いつでも蓋然性の命題は出しますよ。」

真歩。
「弁論術は学ぶ者をすぐに雄弁にする。」
「話術の研究に向いています。」
「弁論術は我流が当たり前であると。」
「アリストテレスは記していました。」
「雄弁になる技術のようですね。」

千麻。
「討論と口論の区別がついていないようですが。」
「より優れた意見が出れば討論の目的は達成されます。」
「格言にも。」
「問答と競走ではゴールが違う。」

璃里歌。
「とある芸能人は、親から屁理屈を言うなと言われて育ち。」
「より優れた見解を出すのが得意であったので。」
「討論の本物はそうした批判から生まれるのでしょうね。」

衣吹。
「全員の意見が統一されると、間違いですら統一されかねない。」
「同じ意見の中で間違いが生じると。」
「間違いがまかり通る。」

千麻。
「全員の意見が同じであると信じれば。」
「挫折を味わう。」

璃里歌。
「社会では。」
「意見が一致することは珍しいこと。」

衣吹。
「相手と自分が同じ意見だとは思わないように。」
「意見が違うと出て悪意に取るでしょうから。」

真歩。
「些細な意見の違いは無視しないと。」
「何事も円滑には進まない。」

羽衣香。
「なぜ意見が違うのか?」
「意見が異なるのはなぜか?」
「ただ意見が違うからという理由で。」
「反発すると、問いかけが足りていない。」

衣吹。
「生まれてから小事の連続です。」
「あまりに小さな出来事の連続。」
「こんなに小さな物事のために何をやっているのでしょうか。」
「毎日が小事の連続で。」
「世界ですら小事の集合体に見えます。」
「ともかく世間は小事の集まりに過ぎないので。」
「若い時代でしか情熱などを語れませんね。」

パットン戦車で駆け付けたのはサングラスの女性。

外国人の様子。

自家用車としてパットン戦車改良型を使用していて。

阻止するために来たけれど。

既に事件が終わっていたので。

アピールして帰っていく。

衣吹。
「援護しようと登場かな?」

美女。
「何事も妥協が最善だねっ!」

衣吹。
「ん?そうですね。」

羽衣香。
「絶対主義は妥協なんてものを知りませんが。」
「相対主義は妥協が可能です。」

美女。
「では、絶対主義から解放されたら?」

千麻。
「なるほど、かっこいい問答ですね。」

美女。
「久しぶりに遠出したら、あんなんなっている。」

璃里歌。
「第二次世界大戦の戦車なんて。」
「二世代戦車の相手じゃないですよ。」

美女。
「こっちも損害があるかもね!」
「美味しい所を取れなくて残念!」

真歩。
「戦車を乗り回す女性なんて素敵です。」

美女。
「乗っていく?口説いたから。」

真歩。
「いいえ、戦場まで乗りつけられたら。」
「たまったものではありません。」

戦車離脱。

思いついて。

地域のお宮に。

妥協について参拝。

抜け穴であると思ってのこと。

みんなと再び合流すると。

遠くから炎上する戦車と水没して。

引き上げられる戦車と。

警察官やら消防隊員やら。

借家なので助かった親子やら。

賃貸だったので難を逃れた会社員が続々と出現。

主犯の二人は運ばれて行って。

いろんな所が損壊する大惨事。

と思いきや。

思ったよりあんまり壊れていませんね。

衣吹。
「旧式の戦車なので出力が低かったとか。」

璃里歌。
「軽量なので当たりがそんなに強くなかったとか。」

千麻。
「おまけに遅いので避けやすかったとか。」

真歩。
「物事の大きさを形で判断してはいけませんね。」

羽衣香。
「まったくです、物事の大きさを誤っています。」

衣吹。
「巻き込まれなくて良かったのですが。」
「あんなの相手にしたくないね。」

千麻。
「民間で戦車まで相手にするなんて誰でも無理です。」

璃里歌。
「どんなに偉ぶっても、戦車まで来られては。」
「黙るしかないね。」

衣吹。
「いつまでも野次馬にならずに。」
「適当に見てから帰ろう。」
「ひどい有様ですが。」
「被害はたったの二人ですか。」

真歩。
「戦車を奪った奴だけ重症なんですよ。」

羽衣香。
「奪って破壊された戦車マニアも重症でしょうね。」

千麻。
「貴重な乗用車が壊れたのですから。」

道化芝居に巻き込まれた民間人ですが。

何が来るかと思ったら。

あんなとんでもないものが来て通過したので。

世の中、何があるのか私にはさっぱりです。


16


飛行場にはF4Fワイルドキャットが駐留。

見に来たのです。

見物。

知り合いを通して。

哲美さんも一緒。

哲美。
「お高い趣味はここら辺ですぞ。」

璃里歌。
「これが大人の趣味ですか。」

千麻。
「昔のプロペラ戦闘機ですか。」

衣吹。
「復元機?飛べるのね?」

哲美。
「どこからでも見物できる懐かしの兵器だよん。」

真歩。
「大胆な趣味ですなあ。」

羽衣香。
「こういう所に面白いものが隠れている。」

千麻。
「空を軽快な挙動で飛び回る戦闘機。」
「こんなのもありかなと。」

衣吹。
「歴史から飛び出した兵器というものは。」
「当時の人々が真面目に取り組んだ力作だらけです。」
「失敗は決して出さないというくらいの傑作だらけ。」

哲美。
「自然科学で人間が力を持ったら。」
「今は芸術のような価値があるんですね。」

璃里歌。
「やはり懐かしの兵器はもはや芸術だよね。」

衣吹。
「歴史の一部分。」

哲美。
「航空博物館もあるくらいなので。」
「記念品としての側面もあります。」

衣吹。
「その時代にいた人間の思想なども。」
「今となっては奇怪ですけれど。」

哲美。
「何十年も経てば批判にも晒されますね。」

衣吹。
「手短な半世紀前を批判してみる。」

璃里歌。
「どうやったらこんな美術品を作れるのか。」
「むしろ、芸術のセンスが伺えます。」

怪しいドローンが飛んでいて。

姉妹が発見。

真歩。
「あれ?大型ドローンなんて入ってきている。」

羽衣香。
「どこの奴かな。」

衣吹。
「逃げますよ、あんなに高速度で。」

哲美。
「連絡してみる、パイロット、なんか来ている。」

仲間。
「得体の知れない奴が入ってきたぞ。」

パイロット。
「あれですか、やけに大型ですが、速度が遅いので。」
「追跡できますよ。」
「空から、座標は、あそこにはテントが密集していますが。」
「あの人が操作していますね。」

羽衣香。
「華族専用の端末で情報送信。」

哲美。
「他に何かわかる?」
「怪しいのだが。」

パイロット。
「あー!銃器が見えますね!」
「あと、迫撃砲も見えます!」
「自衛隊の偵察ヘリがいっぱいです!」
「何か始まりそうです。」

哲美。
「わかった、みんな、避難して。」

衣吹。
「はい?敵の失敗ですかね。」

パイロットがワイルドキャットで追跡すると。

敵のキャンプを発見してしまい。

迫撃砲があるので逃げてほしいとのこと。

自衛隊のコブラ攻撃ヘリが偵察ヘリからの連絡で。

装甲車を攻撃。

続いて機関砲で狙う。

数人の兵士が機関銃で応戦するも。

薙ぎ倒される。

奥の陣地にて。

詭弁家。
「道徳がこうだからこう!」

ゲリラ戦闘員。
「なんだ気違いか。」

詭弁家。
「道徳はこうだからお前はこうだ!」

ゲリラ戦闘員。
「せいぜい、頑張れよ。」

詭弁家。
「道徳だから道徳!」

傭兵。
「なにをしに来たんだろうか。」

道化。
「このご時世、阿呆か気違いの。」
「どちらかにはなってしまいますね。」

傭兵。
「おい、道徳以外に何があるのか言ってみろよ。」

詭弁家。
「俺は道徳なんだぞ!」

道化。
「自分が道徳ですと?」

詭弁家。
「俺は道徳である!」

傭兵。
「ならばお前の名前は今日から道徳だね。」

詭弁家。
「そうだ、俺が道徳なんだよ。」

道化。
「道徳だから何?後に続く言葉は?」

詭弁家。
「道徳だから道徳なんだぞ!」

傭兵。
「それで?道徳だから何なの?」

詭弁家。
「俺が道徳だからお前はこうだ。」

道化。
「残念ですが、韓国語は分かりません。」

詭弁家。
「道徳のどこが韓国語だ!」

傭兵。
「これはいいや、もっと言ってみろ。」

詭弁家。
「俺が道徳だからお前も道徳。」

ゲリラ戦闘員。
「そんな奴より空を見てみろよ。」
「こっちを狙っている攻撃ヘリがいる。」

傭兵。
「あー!これは撃たれるってことですよね?」

道化。
「逃げろ、対空兵器はないのか?」

ゲリラ戦闘員。
「そんな高いもんは持ってないよ。」

傭兵。
「おっと!撃ってきたぞ、誰か何とかしろ。」

詭弁家。
「道徳は道徳!うわああああ!」

ゲリラ戦闘員。
「生まれというものは。」
「ニヒリズムに破壊されて。」
「後ろ盾を失っていますね。」

テントや弾薬庫などが爆破され。

ゲリラに大打撃が入る。

遠くの様子を双眼鏡で観戦。

衣吹。
「天が与えてくれた好機を。」
「他人によって奪われることがある。」

真歩。
「ちょっとだけ無謀になれば良い人もいますね。」
「勇敢になりたければ。」
「少しだけ無謀になるくらいで足ります。」

羽衣香。
「性悪説を前面に持ち出すのは。」
「他人の不合理な行動の犠牲にならないように。」
「自衛のためですよ。」

哲美。
「極端な行動は必ず失敗する。」

衣吹。
「お宮で支配欲に満ちた絶対主義から。」
「解放された方が良いのでは。」
「そうすれば。」
「神々に何でも希望を述べた後に。」
「妥協を申し出ることも可能でしょうし。」
「悪いようにはされないと思いますよ。」

真歩。
「そうしましょう、しかし絶対主義は。」
「現代では専制政治の比喩で出ますね。」

璃里歌。
「絶対主義は政治の場面では否定されます。」

千麻。
「そもそも政治で問題とされるのが絶対主義ですしね。」

哲美。
「どっかの人権問題も。」
「絶対主義に一矢報いた。」

衣吹。
「のんびり考察して。」
「あの戦闘を高みの見物ですか。」

璃里歌。
「なんか燃えているよ。」

千麻。
「あんなことを彼らは毎日やっているの?」

璃里歌。
「私はあんな激務より哲学を研究している方が好きですね。」

千麻。
「テアイテトスの知識とは何か?」
「なんてものを読んでいる方が私には似合います。」

哲美。
「プラトン特有の対話劇は。」
「発言者の内容をそうではないとか。」
「そうかな?」
「という意見で打ち消しながら。」
「次の発言を繰り返します。」
「プラトンの対話劇は弁証法が特徴で。」
「真逆な意見を交互に対立させて。」
「中間から出た意見で展開されますね。」
「プラトン哲学は文学の参考にもなります。」
「テアイテトスが最も弁証法の質が良いですね。」

衣吹。
「むしろ正々堂々と高みの見物ですか。」

真歩。
「哲学の命題を含んだ作品も世間でけっこう出ていますね。」

羽衣香。
「当たり障りのない作品なら大量に制作されますが。」
「芸術に寄れば寄るほど。」
「支離滅裂な内容になりがちです。」
「わかりやすい作品が人気を得て。」
「美しい作品は客観的な価値を持っています。」

哲美。
「雑談の方が楽しくて、向こうで人が吹っ飛んでいるのを忘れた。」
「すぐに車に乗って。」
「飛行場から離れると危険はないよ。」

車に素早く移動。

そのまま帰宅することに。

見なかったことにして。

とか言われました。

小さな集会場で解散。

二人は家の中で休んでいます。

千麻。
「いけないことしよう?」

璃里歌。
「いけないこと?」

千麻。
「いけないことしたい。」

璃里歌。
「きゃあ!そんなこと言わないで!」

千麻。
「いけないことしようよ!」

璃里歌。
「はあはあ・・・やめて!」

押し倒すと。

気絶してしまって。

いけないことをしようとして。

いけないことをする前にだめになってしまい。

千麻は絶句する。

真歩。
「不当な不幸というものは現にありますね。」

羽衣香。
「不当な不幸は正されるものです。」

真歩。
「なにやってんの?」

千麻。
「気絶しちゃった!」

羽衣香。
「ん?すぐに治りますよ。」
「放心状態のようですし。」

真歩。
「女の子同士の恋とか大好き!」

羽衣香。
「応援していますよ。」

千麻。
「頑張ります、あれ?頑張ったら駄目なのかな?」

羽衣香。
「頑張らないと獲得できません。」

千麻。
「頑張ったらこうなるかも?」

真歩。
「そこも頑張ってね。」

千麻。
「同類なんですね。」

羽衣香。
「幸福も度合いによるもので。」
「絶対視される度合いはないと思うよ。」

真歩。
「中くらいの幸せが最善かもね。」

千麻。
「この娘を襲ったら、とっても幸せで。」

真歩。
「いいなー!私もしたい!」

千麻。
「幸福も相対化するんですね。」
「姉妹ではやらないの?」

羽衣香。
「姉妹で?さあ?自分と同じなので。」
「恋は生じません。」

真歩。
「まるで自分を見ているかのような妹とは。」
「恋ができないので。」
「私も、見ているだけで幸せ。」

羽衣香。
「ある程度の幸福を維持するのが現実主義だと思います。」

璃里歌。
「もうだめ!あれ?良かった、何されるのかと。」

真歩。
「何をするつもりだったのですか?」

千麻。
「またやろうね。」

璃里歌。
「脱がそうとして、過剰なスキンシップだったわ!」

羽衣香。
「幸福と欲望を混同しないでね。」

真歩。
「小さな幸せなら誰でも持っていますよ。」

衣吹。
「あらま、お楽しみでしたか。」

哲美。
「そろそろ帰ろうか、あれま?どうしたん?」

璃里歌。
「趣味を楽しみました。」

衣吹。
「ある程度の力があると。」
「逆に他人と競う必要がなくなりますね。」

真歩。
「勝って当たり前の戦いに勝てるので。」
「競う必要がないのですね。」

羽衣香。
「中途半端な力を持つ人ほど競争ばかりやります。」

衣吹。
「力が調和した辺りで足りていますね。」
「競争に参加せずに自分のものを確保するのは。」
「一日で可能な技ではありませんし。」
「強大な力を恐れて青ざめる人も出てきます。」
「自分のものを確保するのが目的なので。」
「競っているつもりではないのですが。」

羽衣香。
「調和した力を持てば、誰でもそうなると思います。」
「むしろ混沌とした力に見えるから。」
「怯えてしまう人が出るのですね。」

真歩。
「一騎当千なのは得意分野のみですけれどね。」
「専門ではない分野では互角になるのが精一杯ですけれど。」

衣吹。
「私は人に弱くあれとは言いません。」
「私は皆に強くあれと言いたいです。」

休日はこんなもので。

偶然を上手に使うのですね。

鍛錬すると。

力をつけて調和するようになり。

混沌とした力が消えました。

力では不自由しないでしょう。

他の分野を鍛えていて。

特に経験論が不足して。

仕事も未だ遅いので。

課題はありますが。

外部の人々や情報と触れるうちに理解したのは。

私はけっこういろんなものを捨てましたね。


17


登校中。

徒歩で。

一度みんなと合流して。

スケジュールを話し合います。

公園まで競歩。

姉妹が先行。

姉妹が走り回り。

角を曲がった辺りで。

男の子と衝突。

男の子は大きく吹っ飛ばされて。

駐輪場に突っ込んだ。

真歩。
「うわっ!いきなり飛び出してきた!」

男の子。
「激しい恋の予感・・・ぐふっ!」

衣吹。
「冗談が言えるなら平気ですね。」

羽衣香。
「待ち伏せでもしていたのかな?」

衣吹。
「遠くで男の子の姿が見えていましたので。」
「それはあるかもしれません。」

真歩。
「では、あの子は吹っ飛ばされて良かったんですね。」

羽衣香。
「そんなことしなくていいのに。」

衣吹。
「それでああなったのです。」
「男性を振り切るのにも力づくですか。」

真歩。
「私は何もしてないよ。」

羽衣香。
「触れるだけで跳ね飛ばされている。」
「このくらい強ければ。」
「やっていけるね。」

衣吹。
「ニーチェの超人とは。」
「ひたすら強くあれ。」
「弱いと倒れてしまうだろうから。」
「強者になる決意を持て。」
「弱いのは誰も望まないだろうから。」
「強者になる勇気を持て。」
「という比喩に思えます。」
「弱者を容認する人なんていないでしょうし。」
「強者になりたい人ならいくらでもいます。」

真歩。
「劣っている者にはなりたくないのなら。」
「優れている者になる決意も必要ですね。」
「劣っているのが容認できないのなら。」
「優れている者になろうとする勇気が必要です。」

羽衣香。
「昔の人々は。」
「強者になろうとか。」
「優れている者になろうとか。」
「あんまり考えなかったのですね。」
「実現する人はかなりいましたが。」
「自分からそうなろうとする。」
「決意に溢れている人は稀でした。」

衣吹。
「ルサンチマンは本性として。」
「強くあろうとする。」
「優れている者になろうとする。」
「意志を挫いてしまいます。」
「奴隷道徳で。」
「強者になろうとか。」
「優れた者になろうという意思は。」
「消されてしまいます。」

真歩。
「誰もが一度は強者になろうとか。」
「優れた者になろうとか。」
「思ったことはあるはずです。」
「ニーチェの説く超人とは。」
「実行する決意を持て。」
「そして実際に強者や優れた者になろうよ。」
「という主意的な働きかけの比喩ですね。」
「弱くて劣っていて。」
「それを容認する人なんていません。」
「そのために弱いことを否定したのでしょう。」
「哲学の研究は。」
「読んで習得するのとは違い。」
「本質まで迫る面白さがありますね。」

羽衣香。
「自分にとって無価値なものは無価値であると。」
「退ける。」
「自分にとって無意味なものは。」
「無意味であると退ける。」
「自分が創造した価値こそが本物で。」
「従来の価値判断は薙ぎ倒されて。」
「消えてしまったので。」
「新規作成に迫られていますね。」

衣吹。
「価値を強要すると。」
「考えを押しつけているだけで。」
「何々であるべき。」
「なんていう考えと。」
「何々である。」
「とは違います。」
「価値は何々であるべき。」
「というのを外部から押しつけられるので。」
「そういうのを真っ向から否定して。」
「壊してしまうくらい。」
「否定に次ぐ否定をしないと。」
「自分の定めた価値判断を乗っ取られてしまいます。」
「本人の意思が決めるものなのに。」
「外部が決めるものではありません。」

羽衣香。
「正々堂々と強いられた価値判断を否定して。」
「強いられた誰かの解釈まで否定してしまう。」
「本人は決して認めませんので。」
「それならいくら強要しても無駄です。」
「本人が認めない価値観は徹底的に否定されます。」

真歩。
「必ずニヒリズムが待ち伏せしていますし。」
「世界はニヒリズムが覆っています。」
「思想だけではなくて実行力まで持ち。」
「それらはこの世にあるものなので。」
「虚無主義というこの世にあるものに。」
「反抗してもほとんど無駄です。」

千麻。
「本人にもわからないような押しつけもあります。」

璃里歌。
「発覚すると本人に裏切られますよね。」

衣吹。
「騙されたとわかると反撃するでしょう。」

璃里歌。
「以前は本当になっていたものが。」
「今では本当ではないことになっています。」

千麻。
「欲望ですらも嘘ばかりでした。」
「何事も裏付けるものは消えています。」

羽衣香。
「この世界の物事は何でも孤立したのですよ。」

真歩。
「私も欲望が実際以上のものを確保しようと。」
「強要しているのを見破って捨てました。」

衣吹。
「欲望の極みは自分に関するものしか。」
「何も獲得できないと理解する辺りです。」

千麻。
「収入を基準に考えるのは心が貧しい。」
「他にはなにもないの?」
「という問いかけに弱い。」
「何の収入も考えなかったら。」
「財布が貧しくなるのは言うまでもない。」

羽衣香。
「過度の欲望は毒になりますよ。」

衣吹。
「行き過ぎた欲望は必要の十倍を強制する。」

璃里歌。
「過大評価された要求によって競争も広がる。」

衣吹。
「競争なんかよりも自らの目的を達成するのが。」
「大事なものです。」
「いちいち原因論みたいな競争をやっていたら。」
「時間の無駄です。」
「競争するように見せかけて。」
「自らの目的を達成すれば良し。」

璃里歌。
「フットボールで教えられる格言が。」
「無暗に他人をライバル扱いしないこと。」
「無暗に他人をライバル視しなかったので。」
「上手に進んだ選手がたくさんいるということ。」

羽衣香。
「人間に寿命があるのは。」
「そんなに長く生きる必要がないから。」

衣吹。
「あっちには流されませんでしたよ。」

真歩。
「最初はあっちと同じ意見でしたがね。」
「目的を設定しない勝敗なんてくれてやります。」

璃里歌。
「勝ち負けの二元論なのですかね。」
「中くらいの所持で満足する人が多いのです。」

千麻。
「他人を底辺とか非難しないこと。」
「その人はそれで満足していたら。」
「豊かなのは底辺の方だからね。」

璃里歌。
「最初は世間とは豪華絢爛なものであると。」
「信じていたのですが。」

衣吹。
「たまに現実が信じられなくなりますよ。」

千麻。
「最初は華やかな舞台があると思っていたけれど。」
「話とだいぶ違うよ。」

衣吹。
「老人の考えていることを代弁すると。」
「若いころに信じていたものが。」
「もはや何も信じられなくなりました。」
「というようなことを言っている。」

羽衣香。
「老人?老人は政治で需要がありますね。」

真歩。
「老人しか務まらない役職もあるものです。」
「若手だけでは無理ですね。」

璃里歌。
「自衛隊は反乱軍を圧倒しています。」

千麻。
「歩兵の質とは他に。」
「連携や士気なども影響しますね。」

璃里歌。
「平和な時代の後に来るのは。」
「貧弱で使い物にならない軍隊とか。」
「相場が決まっているのでは。」

千麻。
「紛争とかも喧嘩と同じようなものです。」

衣吹。
「余程、暇なのか、他国を侵略しようと敵は必死です。」

真歩。
「暇潰しに戦争がしたいのでは?」

羽衣香。
「それはそうでしょう。」
「住み分けして。」
「なるべく同類と一緒にいるのが自然のものです。」

璃里歌。
「不自然なのは同じ場所に集めてしまうこと。」

衣吹。
「それで大損するのは。」
「負けた側の国民です。」
「自信満々に戦争を仕掛けて負けたら。」
「国民の矛先は為政者になります。」

千麻。
「専制政治とは僭主君主を換言したもの。」

衣吹。
「専制政治対正義を信じる国家。」
「まあわかりやすい構図ですね。」

真歩。
「先天的な構図に嵌められたような。」
「専制政治ですか。」

羽衣香。
「相手を挫折させれば達成できますよね。」
「政権交代が生じますから。」
「返り討ちにすれば隙が生じます。」

璃里歌。
「そのためには。」
「兵器の運用と歩兵の戦闘力が大切になりますね。」

千麻。
「現代戦争ではチーム戦になっているらしいのですが。」
「個人で勝てないのなら。」
「なおさら連携が大事になります。」
「兵法でよくあるのは。」
「敵の失敗を見抜いていない。」
「敵も必ず失敗をするというものです。」
「海を越えて来る場合は。」
「人員や兵器の輸送よりも。」
「補給がまったく機能しませんし。」
「航空機さえ防衛側が排除すれば。」
「潜水艦などで好きなように船舶を狙えますので。」
「世界の王様になろうとしたナチスですら。」
「イギリスを落とせなかったのはそういう所からです。」
「敵も小さな失敗から中くらいの失敗は。」
「何十回も繰り返します。」

衣吹。
「不意に来る死に人は容易に耐える。」

璃里歌。
「あの大戦争で。」
「マガフ戦車よりもT-62戦車が圧倒的に。」
「性能で優れていたのに。」
「T-62戦車は一方的に撃破されましたね。」
「兵員の練度がいかに大事かを教えてくれます。」
「戦争から学んだり。」
「戦争から輸入する技能や知識は多いものです。」

千麻。
「戦場の映像から輸入するとは思いませんでした。」

衣吹。
「戦場の模倣で戦い慣れているかのような。」
「精神の訓練も可能ですしね。」

真歩。
「当事者にしか理解できないことなんですよ。」

衣吹。
「その当事者になりかけなんですけれどね。」

羽衣香。
「戦闘の技術を習って損したことはありませんけれど。」

衣吹。
「戦闘の技能はいろいろと便利です。」

羽衣香。
「してはいけない、というより。」
「なぜしてはいけないのか、具体的に。」
「わかりやすく説明できれば。」
「強制よりも強い効果が現れます。」

璃里歌。
「してはいけないと言われても。」
「単なる強制ですからね。」
「当事者からなぜしてはいけないのか。」
「倫理で説明できないのなら。」
「無視されます。」

千麻。
「具体的に倫理で説明すると。」
「強制よりも説得の方が威力が強いとわかりますよ。」

衣吹。
「戦争があるのはなぜですか?」
「戦争があるのはなぜか?」
「ただこうなっているから。」
「という理屈で納得する人はいません。」

羽衣香。
「なぜ争いが生じるのかという問いが不足しているのが。」
「平和主義の見落としになりますね。」

衣吹。
「後の見落としは、より確かな希望であれば最強です。」

真歩。
「不確かな希望は失望になりがちです。」

璃里歌。
「その希望が確実ならば、言葉は要らない。」

羽衣香。
「確実な希望が最強ですね。」

千麻。
「ならば、不確かな希望を選ぶのは愚かと言えます。」

話題のものや流行も確認して。

下校した時の計画を提出。

目安となる下校時の行動を。

話し合って解散。

各自の学校に移動開始。

真歩。
「夏場はスカートが向いていますが。」
「冬場はぶかぶか服が私達の普段着です。」

衣吹。
「どのくらい着ているの?」

羽衣香。
「下着の上にいつもの服。」
「その上にジャージを着ていて。」
「ジャージの上にコートを着ているよ。」

真歩。
「ちなみに下はジャージの上に。」
「いつもの冬着を履いているよ。」
「下は二重にして。」
「いろいろと組み合わせて重ねているよ。」

衣吹。
「健康上の理由ですね。」

羽衣香。
「そうです、冷やすと身体を害するので。」

真歩。
「上は下着を除いて合計三枚で。」
「下も二枚です。」
「少しだけ圧迫しますが。」
「冬場は無敵な服装で。」
「長時間の活動に向いています。」

衣吹。
「私も似たような服装です。」
「冬は重ね着で何とかなりますね。」
「夏場は冷房を可能な限り避けないと。」
「耐熱性が低下しますので。」
「反転した生活になりがちです。」

真歩。
「夏は健康維持をしやすいのです。」
「熱波だけ平気なら何とかなります。」

羽衣香。
「冬は適当な服装ではなくて。」
「考え抜かれたぶかぶか服が普段着です。」
「気温によって服装を変えますので。」
「春と秋は気温次第で切り替えます。」

真歩。
「冬場でぶかぶかをすると。」
「かえって暑いくらいの耐寒性ですね。」
「怪我に対する防御力もありますので。」
「洗い物が増えるくらいかな。」

衣吹。
「寒波にやられるよりはよっぽど合理的ですよ。」

真歩。
「冬でスカートを履くときは。」
「ショートパンツを二枚重ねていますが。」
「無理があるので数回くらいしかありません。」

衣吹。
「冬でスカートはサイズ違いのタイツを重ねても無理でした。」

羽衣香。
「身体を冷やしてしまい。」
「見栄えと健康を天秤にかけることになる。」

真歩。
「隠れている所でぶかぶか服の姉妹です。」

衣吹。
「基本、冬はぶかぶかになる私達ですね。」

今日も書庫を好きに使わせてくれて。

哲学の研究をしていました。

支援してくれる教員。

教師。
「アドラー心理学で指摘されたのは。」
「怒って物を教えても無効。」
「倫理を説くとあっさり受け入れられる。」
「怒るということは。」
「威圧したり発狂しているので。」
「狂乱しながら物を教えられる訳がない。」
「つまりは。」
「怒って物を教えるのは我流で。」
「滑稽な教育方法となる。」
「道理を説くのが最高。」
「親子でやり方が違うので。」
「教育とはやり方がひとつではない。」
「逆に教育がひとつしかやり方が無かったら。」
「凡人と揶揄されても言い逃れはできない。」

哲人の女性。
「子供は教育というより。」
「それを教える教師に反発するのであって。」
「教師が人道的であれば従うもの。」
「逆に独裁的であれば従うことを辞めるもの。」

衣吹。
「凡人は普遍的な思考や手段しか取れない。」
「自分が出した結論とは別の結論や。」
「他の方法などは決して編み出せない。」
「自分のやり方から大きく異なる。」
「別の見解なんてものは決して出せない。」
「自分の思想とその真逆の手段しか提出できない。」
「そこまで無能。」

真歩。
「一般的で適切とされた見解は。」
「最も下に位置する劣ったものです。」
「常にもっと上の物事があるとは思っていないし。」
「一般的で適切とされた考え方を信じて。」
「何も変えたりしないから。」

羽衣香。
「世界や社会の見方はすべて多数決なんですよ。」
「もっとも、多数決ということは。」
「多数決が誤りである前提になりますし。」
「多数決が正論になる訳がありません。」

書庫に籠っていて。

すぐに下校の時間。

時間を忘れて読書をしていたので。

一通り目を通すのに。

数か月必要かな。

待ち合わせ場所まで移動。

地方大学の敷地から出てくる姉妹。

手を繋いでいますね。

哲美。
「創造は主観的ではありませんし。」
「感情論ではなくて理性的なものです。」
「創造というものは客観的なものであり。」
「道徳を創作に入れるのはほぼ無理をしています。」

璃里歌。
「モラリストのカントは意外に偉大で。」
「汝自身を汝自身によって規定せよ。」
「とか。」
「自然は悟性の法則の下に置かれる。」
「という超級の格言で有名。」

哲美。
「道徳を目指して創作されるものは。」
「それらを隠さないと。」
「後々、言い訳ができなくなります。」

璃里歌。
「芸術は何らかの自由を描くものです。」
「芸術は直観が必要です。」

千麻。
「新書を漁ってから古本屋に行こうよ。」

哲美。
「なんていう女の子ですか。」
「もっとも。」
「趣味はすべて経験論とも言いますしね。」

千麻。
「表現の客観主義は美しいものですね。」

哲美。
「これも選択によるものなのか。」

衣吹。
「では、予定通りに移動します。」

集まって。

本屋に入ると。

女の子一同で立ち読み開始。

資金は図書カードを貰っているので。

何かしら買えますね。

千麻。
「シラーが言うには。」
「芸術には二種類あり。」
「選択と素材の美。」
「表現と形式の美。」
「この組み合わせ。」
「とあります。」
「新しく始めるのなら。」
「自分が創造したものに基づいて。」
「提出するのです。」

衣吹。
「私もそう思います。」
「今度、哲学の研究で論文を書くことになって。」
「何が書けるのか試してみたい。」

羽衣香。
「私は英語の諺に夢中です。」

真歩。
「あれま?あの大きな書物は高くて厚みのある。」
「専門家仕様ですね。」

衣吹。
「玄人向けはすごく大きいよ。」

羽衣香。
「私の英語諺辞典もありえないくらい巨大なので。」
「見慣れているみたい。」

真歩。
「どんなものか立ち読みしてみる。」

衣吹。
「好奇心から古典を読むのは良い趣味かな。」

真歩。
「手が届け!」

本屋。

上の段にある本に手を伸ばすと。

同じように手を伸ばした男の子と衝突。

思い切り手を伸ばしたせいで。

体当たりに近い衝突になり。

大きく跳ね飛ばされて。

男の子はよろける。

男の子は小さな棚に突っ込んで停止。

早朝に待ち伏せしていたと思われる。

男の子が。

一日に二回も吹っ飛ばされて。

気絶。

近くにいた二人組。

逃げられないように巧妙な仕組みで。

テロリストに参加させられたものの。

つまらないので。

仲間と一緒に作戦を遂行していると見せかけている。

修道士が居場所を知って近寄る。

優等生一。
「諺には。」
「膿んだら潰せ。」
「災いの元を攻撃すれば。」
「解決が早い。」
「生まれのせいでそうなるのなら。」
「出生を攻撃するのが手っ取り早い解決策になる。」
「反出生主義はそれに気が付いた。」
「膿んだら潰せ。」
「を実行すればするほど解決は早くなる。」
「この話は絶対に秘密だってみんなに伝えておいてね。」

優等生二。
「膿んだら潰せ。」
「意味は。」
「問題が起きたら。」
「思い切って災いのもとを断つと。」
「解決が早いたとえ。」

優等生一。
「出生に関するものならみんな嘘つきだ。」

修道士。
「あなたを十六万円で引き抜きたい。」

優等生一。
「誤解していました、こんなに良い人なんて。」

優等生二。
「俺も知らなかった、こんなに素晴らしい人々がいたなんて。」

修道士。
「よし、十六万円と我々の魅力で虜になったね。」

少年。
「例の美少女の一団ですか。」
「お酒は飲むの?」

衣吹。
「飲まないつもりです。」

少年。
「舞台を見に行く?」

衣吹。
「行かないつもりです。」

少年。
「男遊びは?」

衣吹。
「しませんよ。」

少年。
「では何を楽しみに生きるの?」

衣吹。
「嘘をつくことですね。」

いろいろと購入して。

本屋から出ると。

哲美さんが学友と雑談中。

お菓子の屋台の近くにて。

哲美。
「子供の頃を思い出すと無性に腹が立つなあ。」

学友。
「何かあったのですか?」

哲美。
「何もなかったのです。」

衣吹。
「なぜ印刷する書籍が多いのか。」
「そして文字にするのか。」
「それは耳が遠い人に対して。」
「文字で伝えるのが一番良い手段だからです。」

学友。
「向こうの橋で飛び降りて高さが足りずに。」
「車の上に落ちて一か月で復帰したとか。」

哲美。
「あれ?ここの所。」
「身投げで死ぬ奴がいると思ったら。」
「さては、そいつの仕業ですね!」

璃里歌。
「見て回った所。」
「どうしよう、世の中なんて特に何もないよ。」

哲美。
「我が妹よ。」
「空想でも何かあるとでっち上げないと。」
「下らない世の中を通過できないよ。」

市民。
「さて、頑張って大企業になるために。」
「連勝して貰いたい。」
「私も諸君の頃は努力と。」
「なにより。」
「企業には根性があることを教えられたものだ。」

会社員。
「部長、それを教えるために。」
「先代の社長は、ボーナスをたっぷり出しましたよ。」

衣吹。
「世間なんて退屈だなあ。」

羽衣香。
「世の中なんてつまらないものです。」

真歩。
「面白くないのが人間社会なんですよ。」

璃里歌。
「世界には何かしらあると信じていたのに!」

千麻。
「この世には何か豪華なものがあると思い込んでいた。」
「なんて時代が懐かしいわ。」
「この世にはまさしく何も無いじゃない。」
「もうどうでもいいので。」
「屋台でお菓子を食べます。」

衣吹。
「意見が一致したので。」
「記念に代金は私が支払いますね。」
「宝くじの賞金を合理的に使うために。」
「貯金とは別にある程度は余裕で持っています。」

解散して夕方になる前。

通りすがり。

屋外にもある。

喫茶店。

とある女性が男性に時間を尋ねました。

すると、女性はいきなり怒って。

女性。
「なんて失礼なことを言うんですか!」

紳士。
「私が変なことを言いましたか?」

男性が理由を問うと。

女性。
「いくら何でも酷過ぎます!」

紳士。
「なぜだー!」

お客さんは一斉に男性に注目。

女性は警察を呼ぶと言い出した。

男性はいくら欲しいのか女性に提案して。

危機を乗り切ることにした。

女性は心理学者で。

不条理を突き付けられた男性の反応。

という題名で。

隠しカメラによるテレビ番組を収録していたと。

男性はスタッフから知らされました。

紳士。
「ちょっと待った!出演料はくれるんだろうな!」

女性。
「それは、そうですね、どうします?」

何やら真面目な話が開始されました。

こっちはこっちで。

人の世を見た限り。

いつもこう思います。

それで?これをどうするので?


18


工作員の一部は。

ある程度は成功した経験から。

工作員の国家で内乱を誘発して。

それも成功させてしまい。

渡航してテロリズムをやっている場合ではなくなる。

多数の捕虜の中では。

使える人材や意欲に満ちた人材もいるため。

離島に流されて。

小さな駐屯地として定住させることが多く。

世界各国に無報酬で傭兵として参加させたり。

無報酬と引き換えに前線に出させるのが多くなる。

その中で沸いたのが。

俺達が治めるんだという。

無政府主義の極端な奴が発生。

民間の中に政府を設けて。

自分達の統治を開始するも。

勢力が弱くて小さく。

道徳で人民を支配するという。

思想に基づいた破戒者であり。

犯罪集団としてまとまっている。

最近の情勢。

放課後。

公園で女の子一同で遊んでいると。

グループ別に分かれて。

別行動になりまして。

いつもの五人組になりました。

雑談を楽しんでいると。

いきなり。

男の子が勝負したいと申し出てきました。

男の子。
「力比べがしたいよ。」
「女の子なのに強いとか。」

衣吹。
「こちらの姉妹でよろしい?」
「それとも相手は私ですか?」

男の子。
「両方共、対戦したい。」
「競技は何にする?」

真歩。
「どちらの獲物にする?」

羽衣香。
「今度は私のもの。」

男の子。
「君が勝負に名乗り出るのかな?」

羽衣香。
「それで競技は何にします?」
「実は得意な競技が多くて。」
「球技なら何でも。」
「カードゲームも得意です。」
「陸上も可能なので。」
「どれにしようか。」

男の子。
「よし決めよう、勝負はどれにすればいいんだ・・・。」

前置きを繰り返して。

さりげなく接近して。

男の子をそのまま掴んで。

引きずって。

近くの段差に突き落とした。

転落した男の子が悔しがる。

羽衣香。
「はい、私の勝ちで良いね。」

男の子。
「騙し討ちをされた!」

羽衣香。
「あなたの規則通りに進む訳がないでしょ。」

衣吹。
「どうでもいい奴扱いされたから。」
「騙し討ちを受けたのですよ。」

真歩。
「まともな勝負にしたいのなら。」
「観客でもつけることですね。」

羽衣香。
「どうでもいいので卑怯な手で処理したのみです。」

男の子は逃げ去りました。

二人組が合流。

近くの施設で。

お花を摘んでいた。

衣吹。
「アリストテレス。」
「プラトン。」
「ソクラテスとストア派。」
「ストア学徒のセネカと。」
「弟子のマルクス・アウレリウス帝。」
「ショーペンハウエルとF・ニーチェ。」
「ヒルティ。」
「という傾向に寄っていて。」
「それ以外はあんまり読んだことがない。」
「論語や老子と菜根譚は基本なので省く。」

羽衣香。
「百円で岩波文庫を含める古典が買える。」
「古本屋があって。」
「思わず衝動買いを繰り返して。」
「読み漁ったけれど。」
「古典を読んで理解したのは。」
「経験論は古典一冊にまったく勝てないこと。」
「古典を読んでいれば。」
「人生経験がいかに不要か。」
「容易に理解でき。」
「人生経験をいくら積んでも。」
「読んだ古典には決して及ばないことがわかる。」

真歩。
「お金がある時こそ油断しない。」

衣吹。
「身体は自分の意志とは異なる動作をする。」
「場合がある。」

真歩。
「身体は必ずしも自分の意思に従う訳ではないね。」

羽衣香。
「それが厄介なんですよ。」

璃里歌。
「包括すれば。」
「出生の仕組みは原因論がすべて。」
「目的がないので正当化できない。」
「出生は原因論の住人。」
「出生が事実を示そうとしても。」
「それは出生の解釈に過ぎない。」
「出生の解釈が適用されるだけ。」

千麻。
「プラトンのミュートスを簡潔に言えば。」
「本人の意思がすべての基準。」
「何でも本人が決めても良い約束になっている。」

璃里歌。
「出生の仕組みは。」
「一方的に考えを押しつけておいて。」
「それを自分で解決したがる。」
「いわゆるマッチポンプの悪党。」
「出生にこうしろと決められて。」
「考えを押しつけられたら。」
「最も最悪。」
「もちろん。」
「私は出生を裁いているし。」
「出生は裁かれている。」

千麻。
「自分が選んだものしか真とはしない。」
「外部の影響は要らないので。」
「消えてほしい。」
「すぐに捨てられるのにね。」
「外部の要素の切り捨てという。」
「選択を既にしている。」
「代替手段には困っていないので。」
「捨てても不具合なし。」

衣吹。
「危険な手段になりますが。」
「出生の仕組みとか。」
「背後世界であると指摘すれば。」
「すべてが崩壊する。」
「背後世界なので。」
「何か真実があるとか。」
「何かが決めたとか。」
「何かに基づいているとか。」
「そんなものはない。」
「たまたまそうなったもので構成されている。」

真歩。
「宿命論や因果律でさえも。」
「背後世界であると突きつければ。」
「崩壊して全部無くなります。」
「背後世界を排除して考察したものが。」
「実際に効力のあるものならば。」
「どうなるのでしょうか。」
「何でも背後世界として処分してしまうのは。」
「危険がありますが。」
「背後世界の影響をまったく受け付けないので。」
「仮定された背後にあるものは。」
「支配も実行力も失います。」

羽衣香。
「それは背後世界でしょ?」
「とか言って排除することは可能です。」
「実際に有効なのは背後世界を消した上での考察です。」

衣吹。
「我汝とは。」
「主観と客観が混ざっている自分の意味。」
「その自覚の意味。」

羽衣香。
「学問は一日ではだめで、三年は必要です。」
「三年は費やすのに、なぜ一日で済ますの?」

千麻。
「それを才能とか呼んで単純化するからです。」

羽衣香。
「種族のイードラですよ。」

衣吹。
「天性を妨害するのは公の利益を損ねていますけれどね。」

真歩。
「天性をルサンチマンは阻止しようと頑張ってしまい。」
「公の利得を壊してしまう。」

璃里歌。
「平凡なものほど不自然なものはない。」
「シャーロック・ホームズ。」
「花婿失踪事件より。」

衣吹。
「手練と天才は互角だと思われる。」

羽衣香。
「手練れは秀才よりも上ですね。」

衣吹。
「自分が天才だとしてもそれに慣れているし。」
「天才を二倍に強化してある。」
「自由に制御も効く。」
「なので天才だから何々という考え方には。」
「賛同できない。」
「私から見れば柔弱の力が得意で。」
「剛強の力を一方的に倒せる訳ですからね。」

羽衣香。
「天才ですと?超人と言って欲しかったよ!!」

璃里歌。
「才能が無いと言われた凡人なんて。」
「競争だけしなければ。」
「凡人から逸脱できる。」
「競争するから才能が問題になる訳で。」
「勝負を回避したり。」
「競争を捨てれば。」
「良識に物を言わせることはできる。」

千麻。
「天才の特徴。」
「活発で落ち着きがない。」
「想像力が強烈。」
「生活での失敗や弱点が目立つ。」
「鋭い眼光による観察がある。」
「インスピレーションが凄まじい。」
「数学に嫌悪感を持つ。」
「ショーペンハウエルからは。」
「この六の要素をすべて持っていると。」
「客観的に天才であると証明できるという。」
「これはショーペンハウアーの分析。」
「その他には狂気をあっさり実行するなど。」
「天才なら芸術をやりなさいと。」
「ショーペンハウアーは教えている。」

璃里歌。
「絵画はゴッホの物真似から開始され。」
「レオナルド・ダ・ヴィンチのコピーを作れれば。」
「一人前。」
「天才ほど芸術に寄る傾向がある。」

衣吹。
「自分が天才とか言われてもそれを疑う。」
「私はただ不自然ではないだけで。」
「自然を長く徹底して観察して。」
「不自然では無くなったから。」
「大きな違いと言えばそのくらいだからね。」
「彼らが不自然なだけ。」

千麻。
「ヴォルテール哲学書簡より。」
「民衆は甚だ健全な意見を持っている。」

衣吹。
「哲学は成人してから学ぶのが安全。」
「なぜなら。」
「何を鵜?みにするのか分からないので。」
「自分に合っているのか精査できないし。」
「子供はあまりに受動的で。」
「内容もろくに理解できない上に。」
「どれが好みか見分けがつかないから。」
「知らない間に相性の悪いのを。」
「読んでいる可能性がある。」
「それをあっさり回避できるのが。」
「成人から哲学を読むという取り組みです。」

璃里歌。
「デューイ哲学では。」
「使える哲学と使えない哲学という命題があります。」
「自分にとって使える哲学を選別するには。」
「相性が要点ですからね。」
「デューイ哲学の命題を知らずに。」
「読んでしまうと。」
「相性の問題がはっきり出ます。」
「相性が悪いのに学んでも意味がない。」

真歩。
「いかに難しいものも行き着く先には簡単なものになります。」

千麻。
「最悪な反論は。」
「何を信じるのも自由でしょうが!」
「とか。」
「なるほど、解釈は自由ですからね!」
「という無敵な論証。」
「これは必ず引き分けになる。」

璃里歌。
「無理に関与するのは悪事と同じで。」
「偽善者の正体は詭弁を扱う悪人ですので。」
「他人の意見を変えようなんて。」
「馬鹿をやる奴はいませんよ。」

千麻。
「良心と思想は保証されていますしね。」

羽衣香。
「お節介は悪事に等しい。」
「福祉を手助けするのが迷惑にならない。」
「最善の方法。」

衣吹。
「無理に関与するのは。」
「無関心を災いで変えようとする試みです。」

真歩。
「何度も考えて下らないものに対しては。」
「無関心という態度が最高。」

衣吹。
「F・ニーチェを換言してみると。」
「人間が継ぎ足してきたものは。」
「一部を除いて考え方の問題。」
「誰かの考え方が普通となっているだけで。」
「その考え方が通説や通例として成り立っている。」
「つまりは。」
「世界にあるのは誰かの考え方であり。」
「その考え方を人間はその都度。」
「追加していったので。」
「考え方から解放されて自由になっているか。」
「考え方を真に受けて束縛されているかの話に過ぎない。」

真歩。
「ある時から人間は自分達の考え方を。」
「体系化・網羅的にまとめたので。」
「それを無視するか否定すれば。」
「起源を探ることができる。」
「近代で培った人間の考え方は無効であり。」
「実の所は何かの考え方が。」
「実行力を持ってしまっている。」

羽衣香。
「それらの考え方が強制になっているので。」
「常に考え方が強要される状況に置かれている。」
「考え方の起源ですら恣意的な解釈や人間の都合で。」
「勝手に変更されたり。」
「都合の良いように利用されているので。」
「結果論からして。」
「一部を除いて。」
「何かの考え方がまかり通って。」
「社会ではそれらが実行力で支配しているので。」
「その必ず強制される体系化・網羅的にまとまった考え方が。」
「無くなると?」

璃里歌。
「よくある人間の思想はすべて考え方の問題に過ぎない。」
「それを突き詰めて。」
「問い詰めると。」
「最後には何も無くなる。」
「体系化・網羅的な考え方を問い詰めると。」
「最後には虚無になる。」
「これがニヒリズムを言い換えた内容なのです。」
「実は本当の所はそうであった暴露本みたいなものです。」

衣吹。
「私は虚無主義による破壊を決して止めない。」

千麻。
「苦労とか苦難とかを美化した方が。」
「都合の良い人がいるので。」
「そいつらがその考え方を作った。」

衣吹。
「私が畜群ではないからと言って。」
「あんな対応はどうかと。」

千麻。
「畜群ではないからという理由で?」

衣吹。
「そうなんですよ。」
「畜群は数だけは多いですから。」
「畜群ではないという理由で。」
「畜群道徳を?き出しにする。」

璃里歌。
「それは大笑いですね。」
「もしや。」
「自分達に問題があるとは思わないのかも。」

羽衣香。
「彼らは道徳に飼われている家畜ですからね。」
「牛と大差ないのです。」
「道徳の命令は何でも信じますし。」
「言われた通りの行動を取ります。」
「主人の言いなりですからね。」

真歩。
「まさしく道徳の奴隷ですね。」
「そこまで行くと彼らは道化師の役割が似合っています。」

衣吹。
「それで。」
「畜群ではないからという理屈で。」
「非難しようとしてくる。」

璃里歌。
「かえって彼らは道徳に支配された方が。」
「お似合いでしょう。」
「畜群道徳が彼らに似合っています。」

千麻。
「道徳に支配されてやんの。」

衣吹。
「畜群道徳を美化した奴らは酷く醜かった。」

千麻。
「奴隷道徳は群衆の特徴です。」
「私は群衆の味方なんてしませんね。」
「百害あって一利なし。」

璃里歌。
「政治はそこそこ成功している。」
「しかし。」
「社会問題は依然として無くならない。」
「そして我々は疑いを持っている。」
「要するに。」
「少しずつ何か変だと気付き始めている。」
「そうだ。」
「何世代にも渡る当たり前を変えるには。」
「大きな力が必要だ。」
「大きな力とは何か?」
「私は総理大臣に期待している。」

衣吹。
「とっても健全な意見ですなあ。」

真歩。
「私も社会問題の解決には。」
「為政者の力が必要不可欠であると考えています。」

羽衣香。
「群衆とは正反対のものが真実ですよね。」

千麻。
「岩波文庫328国家第九巻十二。」
「あらゆる点からみて。」
「正義を讃える人の説くところは真実であり。」
「不正を讃える人の説くところは誤りであることに。」
「なるだろう。」
「なぜなら。」
「快楽のことを考えてみても。」
「評判や利益のことを考えてみても。」
「正義の礼賛者は真実を語っているのに対して。」
「正義をけなす人の言い分には何ひとつ。」
「当っているところがないし。」
「またそもそも。」
「自分が何をけなしているかを知らずに。」
「けなしているのだからね。」

羽衣香。
「古典の名言が炸裂ですね。」

璃里歌。
「読んでいて当たり前ですよ。」

真歩。
「他に話題はありますか?」
「もっとも同じ教えを繰り返すのは。」
「稽古の常套手段ですよね。」

衣吹。
「夢で。」
「屋敷に忍び込んで。」
「女中に紛れた自分を。」
「女中が発見して。」
「見破られて逃げる。」
「その際に。」
「自分は伊邪那岐神と伊邪那美神の御子である。」
「と名乗りましたが。」
「実はこれ日本書紀で。」
「日本武尊命様が行った潜入に酷似しているのです。」
「日本武尊命様は八王子神社に祀られていて。」
「既に何十回も訪ねた縁でした。」
「あまりに不思議な夢なので覚えています。」
「ちなみに誰かを暗殺するという筋書きではありません。」
「忍び込んで誰も気づかないので。」
「加護を受けた女中が見破って。」
「ようやく私が逃げたという夢です。」

千麻。
「不思議な夢ってよくありますよね。」
「夢の内容を調べるのが大切です。」

真歩。
「神社の夢って私も見ますよ。」
「何を意味しているのか常に分析しています。」

衣吹。
「何を言っている?」
「私はプラグマティズムですよ?」
「実際のものにしか真実とはしません。」

璃里歌。
「プラグマティズム?」
「哲学の辞典でありましたね。」
「効力のあるもの。」
「実行力のあるものしか。」
「本物とはしない。」
「反対に何の効果も無ければ偽物になる。」

千麻。
「プラグマティズムは知っています。」
「有益ならば何でも真実です。」
「無益ならば虚偽です。」
「理論は無視しますよ。」

衣吹。
「哲学の辞典から。」
「プラグマティズムを引き合いに出しますね。」
「専門書を持っているので。」
「論証が無敵なのは言うまでもない。」
「論証は無視されますからね。」

羽衣香。
「反論や反駁とか論破とか。」
「まったく意味が無くなります。」
「他人の論証が通用しませんし。」
「言葉を証拠には取りません。」

真歩。
「プラグマティズムは論証とか。」
「言葉は証拠に取りませんよね。」
「結果論が万能であり。」
「反面。」
「俗信すらも正当化する危険はありますが。」
「俗信も役に立つなら使われます。」

衣吹。
「プラグマティズムはアメリカ生まれの哲学で。」
「論理的な正否よりも実際に使えるか。」
「役に立つか。」
「という実行力を大切にします。」
「論理などは関係なく。」
「実際にどうなのか。」
「それで正否を判定するんですね。」
「なので。」
「理屈や論証などを受けつけません。」
「プラグマティズムは専門書があり。」
「普遍的な哲学として親しまれています。」

璃里歌。
「ジェイムズ。」
「デューイ。」
「プラグマティズム。」

羽衣香。
「伝統宗教とプラグマティズムは相性が良い。」

衣吹。
「ニヒリズムの突破にプラグマティズムを選択しましたよ。」

千麻。
「プラグマティズムで虚無主義の突破を試みる。」

真歩。
「必然なんて存在しない、この発言も必然によるものなので。」
「結局は必然なんて矛盾して消えてしまった。」

男子中学生が話題の女の子を。

一目見てみようと出現する。

中学生。
「あれが噂の天才ですか。」

衣吹。
「おっと!袋が破れてお菓子が飛び出した。」

千麻。
「あら?土がついたので食べられるかしら?」

飼い主。
「こら!何をするの?」

柴犬。
「わん!」

中学生。
「こんにちは、何だか優秀とのことで。」
「才能が惜しまれますよ。」
「公立ならば右に出る者はいなかったでしょう。」

衣吹。
「誰ですか?」
「公正な評価でしょうか?」
「それとも口説きに来ました?」

男子中学生の後ろから。

落としたお菓子をめがけて。

遠くから黒柴犬が突進。

男子中学生は吹っ飛ばされた。

中学生。
「ぐわあああ!」

璃里歌。
「おいでー!」
「イッヌの扱いは慣れているよ。」

千麻。
「イッヌは好き!」

真歩。
「柴犬は好き。」

羽衣香。
「ん?リードが外れているよ?」

衣吹。
「お菓子、食べます?」
「これってくれても良いのかな?」

黒柴犬はいきなりードを引っ張って。

飼い主から離脱してしまった。

その場で暴走するイッヌ。

近くにいた。

男子中学生をなぎ倒すと。

お菓子によって懐いてしまい。

わしゃわしゃ。

もふもふにしているうちに。

飼い主が連れ帰った。

男子中学生は柴犬に追い回されて逃げた。

衣吹。
「あなたの魔法は自然を操らないの?」
「格闘が多いと思います。」

真歩。
「疑似ゾーン状態。」
「怒りと悲しみが同時に来た時に発動。」
「ゾーン状態を自ら作り出す。」
「ゾーン状態は疑似ゾーンの二倍の力が出るため。」
「下位に位置する。」
「そのために発生しやすい。」
「狂気の力を制御して相手にぶつけると。」
「ゾーン状態の十倍の力になる。」
「つまりは。」
「スポーツでよく言われているゾーンを。」
「疑似形態で作り出せる。」
「スポーツのゾーンの十倍の力が出るのが。」
「狂気の力で。」
「通常は制御できない。」
「見てはいけない力で相手が怯える。」

羽衣香。
「実戦は地味なので。」
「私達はなおさら地味な魔法なんです。」

璃里歌。
「特別に与えられた力ですよね。」

千麻。
「それだと説明しかないよ?」

真歩。
「説明付けなんて世界の背後を説く。」
「愚かな行為です。」

羽衣香。
「背後世界とは?」
「罪とか自然法則とか。」
「今の現状が。」
「それらに基づいて生じていると。」
「思い込む考え方。」
「何か背景に何かの法則や条件があって。」
「今の現状がそれから生じていると。」
「信じようとする考え方のこと。」
「ナンセンスな考え方として有名。」

衣吹。
「背後世界は非現実的な考え方であり。」
「それに配慮すると。」
「課題の対処能力が著しく低下し。」
「行動が妨げられるため。」
「誰にでも不利に出る。」
「架空の背景の支配を受けてしまい。」
「動けなくなるので。」
「どこでも現実からかけ離れた考え方です。」

羽衣香。
「背後に何かあって今の状態があるとする考え方は。」
「説明付けにはなるかもしれませんが。」
「思い切って捨ててしまえば。」
「真実みたいなものに打たれずに済みます。」
「背後世界という架空のものが存在すると考えると。」
「真実みたいな何かに打たれてしまいます。」
「大胆不敵に頭から否定すると利得が膨大です。」
「現状の背後に何かがあるとする考え方は。」
「否定されています。」

衣吹。
「現状の背後に罪悪とか因果律とか。」
「宿命とか。」
「そんなものを否定する方が。」
「明らかに利得は莫大です。」
「それらをすべて無視しても良い口実になり。」
「正当です。」
「というより正体は架空のものなので。」
「架空のものであると指摘すれば良いのです。」

羽衣香。
「そもそも世界の背後があるなんて証明できません。」
「証明できないのに引き合いに出せません。」
「内容が証明されていないのに。」
「それを語るのはでっち上げです。」
「理解した瞬間に消せます。」

衣吹。
「F・ニーチェは遠回しに預言者でしたが。」
「キルケゴールと同じく。」
「早死にしました。」
「突然死と同じなんですね。」
「神様が与えた死によって苦しまず。」
「名誉を得ました。」
「古代ギリシアでは知られていますが。」
「早死にするのは神様に認められた証拠にもなります。」
「錯乱したそうなので不意に来る死に。」
「楽々耐えたんですね。」

真歩。
「身体の設計を創造論で観察して。」
「身体の設計で耐えられるような世界は。」
「異常と言えるほどのものではないそうです。」
「身体に注目すれば身体の欲望に振り回されません。」

衣吹。
「F・ニーチェは進化論をダーウィン主義と否定しており。」
「創造論を選択しています。」
「そもそも牧師の子なので。」
「無神論になれる訳がなく。」
「宗教に対する批判が目立ちます。」
「宗教を正々堂々と批判したので。」
「誤りに気づいた人々から支持されました。」
「古典の多くは昔。」
「大人気になったものが大半で。」
「それが忘れられています。」

璃里歌。
「形而上学ですやん。」

千麻。
「これが超自然的というものですね。」

衣吹。
「古典好きな女の子は私達だけですね。」

女の子の一団が大縄跳びを開始したので。

誘われて参加しました。

放課後は顔見知りの女の子と。

チームを組んでいる女の子で。

分かれて遊んでいますね。

休日は女の子が揃って。

遊びを提案して。

持ち寄った遊戯を一緒に楽しんでいます。

何か女の子にはスケジュールがあるんですね。

デジタルの遊びは小さな集会場だけになるので。

姉妹の家屋は女の子が集まりやすい。

目的が一致しているので特に皆で異論は出ないようです。


19


休日に必要なものを買いに出かけました。

裁縫道具と筆記用具。

絵具や用紙など。

次に医療品を追加で購入するべく。

移動中。

近くで発生。

遠目で確認。

市民。
「貴様!何をする!」

凶悪犯。
「アハハハ!じっくり殺してやる。」

凶悪犯が人質を取って刃物を振り回したら。

後ろから暴走車が突進。

暴漢。
「おらおら!どけ!くそ野郎!」

凶悪犯。
「ぐあああああ!」

凶悪犯をひき逃げした。

凶悪犯は倒された。

最近はよくあることなので。

警察官が集まる近くを通過。

商店街。

いつもの甘酒を買おうと。

甘酒は供物になりますので。

いつものお店で購入。

すぐ近くで発生。

路地裏で。

喧嘩を売ろうと通行人に仕掛けた瞬間。

後ろから強盗が登場。

市民。
「何をする!」

凶悪犯。
「フルボッコにしてやる。」

強盗。
「金をよこしな。」
「ヘボ野郎。」

凶悪犯。
「あ?なにをする!」

強盗。
「早くよこせよ。」

喧嘩を仕掛けようとして。

漁夫の利を受けて。

強盗に盗まれた。

どうやら前から追跡していて。

喧嘩を仕掛ける機会を伺っていた様子。

凶悪犯は鈍器で殴られて倒された。

野菜が安いらしいので。

荷物を抱えて。

大型リュックサックで移動中。

不審者がなにかしでかしています。

大型ショッピングモールの駐車場。

何やら発生。

かなり遠くから。

小さな双眼鏡で確認。

市民。
「うわあああ!殺される!」

凶悪犯。
「死ね!死ね!」

ナイフを持った通り魔が狼藉。

凶悪犯が市民を刺そうとした瞬間。

後ろから隠し持っていたナイフで。

強盗に刺されて。

凶悪犯が倒された。

一撃必殺。

強盗は。

そこにあるものを何でも奪い取った。

買い物に支障が出るので。

迷惑そうに市民が見ています。

やけに治安が悪い日ですなあ。

不審者。
「君、けっこう綺麗ですね。」

衣吹。
「よく言われますよ。」
「お世辞ですか?」

不審者。
「思っているより美人だよ?」

衣吹。
「それをあなたの妻に言えばいいのに。」

不審者。
「なるほど、それは名案だ、それで・・・。」

キーボード・クラッシャー。
「ぐわああああああ!」
「殺された!オンラインゲームで大敗した!」
「俺を一方的に倒しやがってー!」

不審者の男性。

いきなり出てきた発狂した人に攻撃された。

キーボードを頭に思いっきり。

殴りつけられて。

キーボードが真っ二つに破損。

私は逃げておきました。

私は足が速いと定評があるので。

何とか振り切る。

何やら自警団の暴走があったそうで。

姉妹から連絡。

情報を集めているそうです。

また誰か来る。

自警団。
「あなたはとりあいず禁固だぞ!」

犯罪者。
「俺達が治めるんだぞ!」

キーボード・クラッシャー。
「ぐああああ!ランクが下がった!」
「よくも負かしたな!」
「俺は負けるのが大嫌いなんだ!」

自警団。
「なんだこいつは!」

犯罪者。
「ぐわっ!」

キーボードを叩きつけられて。

殴られた自警団。

キーボードが真っ二つに破損。

後ろから強盗が現れて。

ナイスキル。

強盗がやたらに殺しまくるので。

私は退避。

自警団。
「何という化け物なんだ!」

強盗。
「これで四匹目。」

犯罪者。
「逃げろ!こいつはやばい!」

私達はとりあいず公園に逃げましたが。

鎧を着ている変な人に会いました。

衣吹。
「今度は何ですか。」

変態仮面。
「どっかで悪人が出たとか!」

衣吹。
「あっちの方向にまとまっているそうですよ。」

変態仮面。
「是非ともそいつらと戦わせてくれ!」

衣吹。
「探せばひとりくらいはいますよ。」

変態仮面。
「やったー!どこだ!どこにいるんだ!」

変な人は公園内を探し回る。

姉妹と合流。

姉妹に渡されたのは。

エナジーボール。

大電流が格納されており。

投げて当てると。

対象に気絶するほどの大電流を浴びせる。

カートリッジ式なので再使用をする投擲武器。

野球ボールと同じ大きさ。

武器の説明を受ける。

羽衣香。
「近距離でも当たれば相手は倒れます。」

真歩。
「大電流が生じるので。」
「当たりさえすれば有効な爆弾です。」

衣吹。
「苦手なのはオーバースローで。」
「サイドスローがそこそこ使えて。」
「スリークォーターが得意。」
「アンダースローも使えるけれど。」
「威力や精度で三種類の投法で違いがある。」
「距離が短いと手裏剣投げを多用する。」
「四種類の投法が使えるけれど。」
「変化球はオーバースローでしか投げられないのが私です。」

真歩。
「上に振るか横に振るか。」
「斜め下に振るか。」
「斜め上に振るか。」
「投法に派生と改良がありますので。」
「命中精度は期待できますよ。」

衣吹。
「氷を投げて遊んだことがあるけれど。」
「遊びでしか使ったことがない投法一覧ですね。」

羽衣香。
「あなたは才能では困らないので。」

衣吹。
「元々は左利きですからね。」
「両利きにしたのは後のお話。」

真歩。
「お手軽に敵を倒す武器なので。」
「持っておいて。」

羽衣香。
「支給品だから余剰があるので。」

衣吹。
「もしもの時は使います。」

姉妹は建物の上から監視。

双眼鏡を持っています。

一年前。

連絡部隊にいたから?

市街地から引き返す途中。

衣吹。
「あなた、ですね?」
「悪人殺しの吉崎。」

吉崎。
「よくわかったな。」
「その看板の側面にいるぞ。」
「俺が殺した悪党に。」
「何か思いがあるのか?」

衣吹。
「悪者を殺してみたいと。」
「興味本位で付け狙っているとか。」

吉崎。
「放っておいてくれ。」
「知りたい衝動に駆られたのだ。」
「もし?悪人を皆殺しにしたのなら。」
「どんな終わりが見える?」

衣吹。
「変ですよね、相手も家族もいて自分があるのに。」
「巻き込んで傷つける。」

吉崎。
「死体になった奴らを見てそれが言えるのかよ。」
「俺は死体を見て嘲笑うだけだぞ。」

衣吹。
「あなたを狙っている。」
「化け物が来ているんです。」
「あなたのせいで巻き込まれた。」

吉崎。
「今日は素敵な日だよね。」
「こんな日には。」
「みんな煉獄で燃えてしまえば良い。」

強盗。
「俺も思うよ、みんな煉獄で燃えてしまえば良い。」

吉崎と強盗は向き合って。

武器を構える。

何か因縁の対決らしいです。

私は無視されています。

衣吹。
「化け物が二人も!」

吉崎。
「ダークヒーローとか?」

強盗。
「本物を刺して、どうなるか試したのだよ。」

吉崎。
「お前とは戦いたくない。」

強盗。
「どうやって殺せば、その顔は涙に変わるのかな?」

衣吹。
「偽悪者?何か向こう側で戦い始めた?」

悪人殺しの吉崎対化け物の強盗。

目にも止まらない速度でナイフで切り合い。

負傷が増えていく。

吉崎。
「お嬢ちゃんはどっかに行きな!」
「逃げるんだ!」

強盗。
「吉崎と一度、本気で戦ってみたかった。」

衣吹。
「棒立ちは駄目!すぐに立ち去る!」

逃げる。

どうやら犯罪者二人で私闘をするため。

わかりやすい場所で構えていたようです。

それを見つけちゃったんですね。

とりあいず自宅に戻ると。

あの近辺には犯罪集団の拠点があったんですね。

自衛隊まで出動していました。

次の日に登校する時刻までには。

何と犯罪組織のアジトが潰れていたんですね。

犯人は全員が捕まっていて。

一部は悪人を殺した悪人と呼ばれて。

何やら司法で有利になる可能性があるとか。

あの鎧を着た変な人は。

主犯格を捕獲して出演していまして。

元軍人だったそうです。

鎧のおかげで犯罪組織の武器が通用せず。

一方的に倒せたとのこと。

指名手配犯の吉崎と化け物の強盗は共倒れ。

相打ち。

百人近く悪党を殺した者同士で。

そんな最期。

私は善悪について何も知りませんが。

みんな知ったかぶりをしているのでは?


20


巫女の技能を習い続けて。

祝詞が苦手。

発音練習をしたり。

踊りなどが上手にできないため。

苦手分野が残ってしまっています。

上達しないので。

苦手な部分について。

成人するまでは無理とか言われました。

どうも今の体を超える動きになっているようで。

逆に得意なのは達筆なので御朱印を書けたり。

民間人がまとめた書籍で神学を熟知していたり。

姉妹のおかげで外から見た立ち位置が理解できたり。

強みがいくつかありますね。

姉妹が参拝に来て雑談。

衣吹。
「古典好きになってしまうと。」
「外部の影響から学ぶことはほとんど無くなります。」
「その場合は現れたものなんて。」
「最初から理解しているものの繰り返しですし。」
「その経験を上回る結論なんて楽々に出せてしまい。」
「外部の影響がいくら挑戦しようと。」
「それを上回る結論ならいくらでも出せるほど。」
「雑魚と対戦して勝っているだけの試合に成り果てます。」

真歩。
「古典大好きで好奇心で読みまくると。」
「いつの間にか外部のものに頼らなくても。」
「良質な経験を得られるのです。」

羽衣香。
「古典が難しそうでも。」
「ひとつくらい抽出できれば。」
「有益であったことになります。」
「だいたいの内容がわかればなおさら有益です。」

衣吹。
「全部わかる人はあんまり見たことがないです。」
「翻訳を手掛けた知識人だけは全部知っていますけれどね。」

真歩。
「古典ばかり読むと。」
「経験を超える知識なんて当たり前のように連発されます。」
「何でも古典に求めるのが私のやり方です。」

衣吹。
「現代を命題にしたものは支離滅裂な評論ばかりなので。」
「そっちは読みません。」

羽衣香。
「私は哲学とは読むものではなくて。」
「研究するものであると考えています。」
「目的は哲学の研究であり。」
「習得も同じですが。」
「何かしら目的があって読みます。」
「哲学だから読むとか。」
「哲学だから何々という原因論は取りません。」

真歩。
「ほとんど古典で済みますし。」
「下らない経験なんて不要ですしね。」

衣吹。
「古典で完結するものばかりです。」
「外部の経験に依存せずに済みますね。」

羽衣香。
「いかに無駄な経験を繰り返したのか。」
「容易にわかってしまい。」
「これなら生活の質の方を取りますね。」

衣吹。
「することが生活だけなら、生きることはだいぶ退屈。」

羽衣香。
「文化を維持、拡大するのは急務になっているのでは。」

衣吹。
「文化人ほど数が少ない人材はあまりない。」

真歩。
「VTuber(ブイチューバー)ほど気の利いた。」
「遊び場所はそんなに世界にないよ。」
「英語で言うWin-Winの関係で。」
「自分も勝ち、相手も勝つ。」
「という両者に利益があるサービスです。」
「大好きな人は内側に入り込み。」
「趣味で観ている人は外側から。」
「違う立場でイベントを視聴する。」
「理想が実現したかのような文化であり。」
「観ないと損をするのではと怪しまれるくらいの。」
「良質で無料の趣味という訳です。」

衣吹。
「文化の時代とか言ったりして。」

真歩。
「駄作に見えていても傑作に見えていても。」
「読者や受け手が満足しているのなら。」
「功利主義から見て正解という意味になります。」

衣吹。
「芸術は競争すると自滅して潰れますよね。」

真歩。
「なぜか芸術は競うと自滅する。」

羽衣香。
「多少、他人より上だからという理由で。」
「優越感に浸っているのは話が早い。」
「逆に言えばそれだけ雑魚が多いだけなので。」
「自己満足をしている場合ではない。」
「雑魚相手には楽勝でも。」
「たまに強敵に遭遇するものなので。」
「それに対する備えが必要です。」

二人組が来訪。

疑問を持ってきてくれて。

質問を繰り返すので。

私も考えさせられます。

思いついた返事をしていますが。

ここからの視点ではわからないことばかりです。

衣吹。
「どこの神職も弱点が応酬思想にあることは知っています。」
「自分はここにいるから何々とか。」
「神様の所にいるから何々とか。」
「そんな考え方は間違っているよ。」
「自分は神職だから神様も認めている。」
「なんてことはない。」
「逆に言えば神職を除いたら何も残らないので。」
「単に務まる人がその人くらいしかいない。」
「ので呼ばれた関係なんです。」
「神様と特別な関係は持っていないね。」
「信仰は先天的なものではないので。」
「応酬思想である限りはいつでも打たれる。」
「神職は沈黙に徹した方が安全でしょう。」
「現に多くの神職は沈黙で成功しています。」
「こんなことを言えるのは。」
「私がいずれの神様の直系であるため。」
「正当な批判が行えるのです。」

璃里歌。
「応酬思想はヨブ記で禁じられていますし。」
「輸入したらぴったり当てはまったものですね。」

衣吹。
「いかに応酬思想を回避するのかは。」
「すべての神職の課題です。」
「天照大御神様の目の前に出たり。」
「正々堂々と目の前に出て行ったり。」
「いくら近寄っても平気なのは私だけ。」

千麻。
「霊威に慣れているのかな。」

衣吹。
「何度も交流して顔馴染みなんですよ。」

千麻。
「そんな大胆不敵なことは人間では無理ですね。」

衣吹。
「私は半神半人と人間の中間ですからね。」

千麻。
「それ故に鍛錬が欠かせなかったり。」
「神々が必要なのですね。」

衣吹。
「いくら訪ねても必要なものをくれたり。」
「特に自由が拡大したのは霊験あらたか。」

璃里歌。
「私は無制限に自由が拡大したので。」
「自分の出生をいくらでも攻撃しても良いことになった。」
「もっとも、最初に攻撃した人が明らかに有利。」
「出生が束縛していたのであれば。」
「好き放題に論破するのは理にかなっている。」
「目的は自由の確保になるからね。」

衣吹。
「最近は他国の信仰を参考にしています。」
「いろんな形の信仰が存在するので。」
「すべて社会の一部となっていて。」
「現地で見ることができます。」

千麻。
「昔は無神論者と言えば排除されたり。」
「逆にスピノザのように。」
「無神論なので書ける論文もありましたが。」
「今では見放されたような集団です。」

璃里歌。
「無神論者が信じているものはなに?」
「それがない。」
「何もないのが正体なんですからね。」

衣吹。
「中華人民共和国には道教などの寺院が。」
「区域ごとに実在します。」
「特に台湾には寺院がたくさんあって。」
「民間と一体化しているほど。」
「身近に神殿がありますね。」
「欧州は教会が一都市に複数あり。」
「宗教が民間と密接に結びついた。」
「人間と一体化しているものであると。」
「理解することができます。」

千麻。
「隔離されて平和そうですね。」

衣吹。
「こっちの世界で不祥事はかなり珍しい。」
「難なら代わってやっても良かったのですよ。」
「雑魚を始末すれば終わりなんて。」
「なんて楽な試合に負けているのでしょうね。」

璃里歌。
「こちらからはほとんど見えませんからね。」

衣吹。
「最も適切な警告は。」
「人間に対して。」
「人間であることを弁えよ。」
「という一言です。」

千麻。
「隠れて、生きよ。」
「という格言通りですね。」

衣吹。
「仲間を批判したくてたまらないが。」
「面倒を見てくれる神様から止められている気がする。」
「たとえば。」
「巫女服を着ているだけでは?」
「なんて批判すると。」
「それでは関係の上に成り立っているのでは?」
「という反駁が想定されるので。」
「あらかじめ反撃を予知してしまっている。」
「私は私でいずれの神様の直系であることは。」
「天啓によって知らされてはいますが。」
「それ故に理解できない場所を通ることがあり。」
「どの神様が親なのか未だに判明しません。」
「しかも事前にオデュッセイアを予備知識として。」
「オデュッセウスはゼウスの直系なのですが。」
「いつの間にか当たり前のように。」
「読んでしまっていました。」
「というのは。」
「ヴォルテールの書簡集から。」
「同義のものは存在しない。」
「同義のものがあると思うのは勘違い。」
「という批判から発見したものです。」

璃里歌。
「少しも疑わないような人は蒙昧でしょうね。」

衣吹。
「本人はなぜここにいるのか知らない。」
「という回答が全てです。」

千麻。
「そこは因果関係なんてものではないですね。」

衣吹。
「本人も知らないのですし、私も知る訳がありませんしね。」

璃里歌。
「あなたは武士道ではなくて騎士道ですね。」

衣吹。
「私の騎士道は正義の賞賛と神々への忠誠心。」
「倫理学と哲学。」
「そしてなにより自分の不完全さの肯定があります。」

千麻。
「信仰による行動は即座に報酬を受けるので。」
「良いものを得たら配ることにしています。」
「悪いものを加えられても配ることにしています。」

衣吹。
「私は老齢まで生きるとは思わない。」
「中年の手前で早死にすると思います。」
「老いの時代を哲学で過ごすよりも。」
「さっさと早死にすると。」
「面倒くさいものは回ってきませんので。」
「人生なんて早死にする方がいろいろとお得です。」

社務所に入り。

神学についての議論を交わしました。

命題は。

祈りがほとんど通じていること。

必ず神々からの応答があること。

神々と協力したり合わせたりできること。

神様について把握できること。

霊験あらたかでそれらが躊躇なこと。

途中で。

外部から仕入れた人々の考えていることに。

切り替わる。

両親がさりげなく現れて。

和紙をくれて。

それに結果を書きながら議論を進めます。

衣吹。
「時代の変化に対応できない連中が。」
「いつまで持ち堪えられるのか。」
「見物ですけれどね。」

真歩。
「素人の哲学者や素人の探偵ばかりいて。」
「つまらない人間ばかりであれば。」
「誹謗中傷なんて彼らに最も相応しい世界でしょう。」
「頭のおかしい奴同士で罵り合っていれば。」
「そのうち気が済んで引っ込むでしょうし。」
「むしろより汚くて悪くなって醜くなれば。」
「その悪い経験が。」
「後々、彼らが反省する時に役立ちます。」

羽衣香。
「受け手の頭をおかしくして。」
「訂正できない速度で嘘を蔓延させて。」
「都合の良いように。」
「頭をおかしくした奴を。」
「気に食わない相手にけしかけるのは。」
「とんでもない滑稽な作戦ですなあ。」
「気に入らない奴にけしかけるか。」
「頭をおかしくした奴から金銭を搾取するか。」
「たいていは手っ取り早くお金になるから。」
「という理由で嘘を蔓延させているらしいのです。」

衣吹。
「政治批判なんて苦情の裏返しでしょう。」
「不正不満の受け皿が必要だったのですよ。」

千麻。
「インターネットが無法地帯になりやすいのは。」
「代理戦争という意味ですか。」

衣吹。
「文章にして発散する程度なら危険はないかと。」
「それを読まない限りは。」

璃里歌。
「無政府主義なインターネットに参加するのは辛いかと。」

衣吹。
「ああいう持論も政治に必要なんですかね。」

羽衣香。
「平和な時代には好き放題に言説を唱えるのが通例ですよ。」

璃里歌。
「平和な時代に戦争を考慮していた国家が。」
「ほとんど生き残るものですね。」
「平和な時代に何をしていたかで。」
「評価される気配があります。」
「戦乱の時代にどう振舞ったかで。」
「評価される気配がします。」

千麻。
「戦争シミュレーションゲームで良い得点を出したものは。」
「制空権をとりあいず取ってから。」
「対戦車ヘリコプターを使って車両を潰しまくる。」
「防御側の戦略は。」
「対空ミサイル車両を増やしまくって対抗する。」
「前者は対空兵器によくやられる。」
「後者は対レーダーミサイルであっさり潰される。」
「防衛側ならばそこそこの戦果が出た。」

真歩。
「歩兵の質が良くて劣勢になった軍隊なんていましたっけ?」
「歩兵の戦闘力が良好ならば。」
「たいてい押せるようです。」

羽衣香。
「どうせ戦争になるんだから。」
「超兵器でも置いておけば良い。」

衣吹。
「戦国時代の前後について習わなかったので。」
「歴史が行方不明になってしまっていた。」

羽衣香。
「武士の時代は霊剣思想に基づいているため。」
「庶民はより理解できないのでは?」

衣吹。
「やはり私は戦争について何も知らない。」

真歩。
「通説として広まっている戦争についての意見しか知らない。」

羽衣香。
「戦争については仮説しかないしね。」

千麻。
「政治カルトや宗教カルトばかり平和を説いて。」
「なぜ偉大なるカントが出した。」
「永遠平和のために。」
「それが引き合いに出されないの?」

璃里歌。
「永遠平和のために。」
「岩波文庫。」

衣吹。
「通説や仮説を持ち出して。」
「自らが絶対者であると名乗りたい輩が。」
「そういう客観的なものを退けているのでは。」

羽衣香。
「善人を名乗れば何をやっても許されると。」
「本気で信じた輩がいたね。」
「自分は善人だから何々とか。」
「前提を間違えているのは証拠歴然で滑稽ですなあ。」

千麻。
「たまにオカルトパワーで無理に勝っていたり。」
「無理に不利にされている人もいます。」
「勝手に奇怪な何かと契約の判定になってしまい。」
「支配を受けるんですね。」
「オカルトを信じてしまう人のみ標的になり。」
「狙われると振り切るのは簡単ではありません。」
「なのでオカルトには近寄らない。」
「オカルトとは関わらないことが大事です。」

羽衣香。
「昔のように異端を排除しないので。」
「カルトが蔓延ってしまう。」
「新興宗教の教祖よりも。」
「自国の為政者の方が遥かに偉くて。」
「信じるに値する。」

千麻。
「嘘を信じる人は。」
「嘘を信じている自分を疑わない。」
「という矛盾がある。」
「何かを疑ってはいるが。」
「その自分は疑わないという。」
「矛盾を持っている。」

璃里歌。
「政治なんてスピノザ国家論くらいを読んでしまえば。」
「失望するに違いない。」

衣吹。
「他の者は提示できないが。」
「わかりやすい三段論法。」
「前提。」
「事実は存在しない、あるのは解釈のみ。」
「論証。」
「ならば自由な考え方ができるのではないか。」
「もちろん主観も含めて。」
「結論。」
「従って何々である。」
「注釈。」
「前提に諺を使うこともあります。」

隠れて他の神社に視察に行って。

参考にすることにしまして。

神社の娘だとは知らずに対応する神職達。

ちなみに巫女として活動する際の届け出の祈りを。

済ましたので。

他の人とは違うみたいです。

女の子の一団で参拝後は。

裁縫の先生。

とは言っても主婦の女性の所に行って。

家事を習ったり。

元フレンチシェフの女性の所に行ったりして。

一団で料理を習ったりしました。

女の子の団体で知り合いであったり。

親族であったりする人の中に。

きれものがいたので。

稽古で休日は過ぎ。

次はフリースクールで何をしようか。

教員と相談するつもりです。


21


英語のことわざ。

神が授けてくださるものは受け取りなさい。

オックスフォード英語ことわざ辞典436より。

放課後に公園で。

山歩きの特訓。

山歩きは持久力次第。

体力が山歩きの基本。

いつもと違う公園は小山になっている。

衣吹。
「自分も生き、他人も生かせ。」
「我々の考えは。」
「お互いに邪魔せずにやっていくことである。」

真歩。
「忍耐の勧め。」

羽衣香。
「内戦気味になって腐敗が一気に消えましたね。」

衣吹。
「テロリストは腐敗を吹き飛ばすための生贄ですか。」

羽衣香。
「剣で生きるものは剣で死ぬ。」
「暴力は暴力で報復される。」
「暴力を使う者は暴力的な結末に遭う。」

衣吹。
「なんと痛ましいことだ。」
「しかし。」
「これは血で生きる者の天命だ。」
「彼らは血で死ぬ。」

真歩。
「雑魚を倒しまくったので。」
「私達姉妹は勇名なんてつかなかったね。」

衣吹。
「何度戦っても無傷なんて。」
「相手を毎回のように圧倒していたんですね。」

羽衣香。
「私を殺さないものは私をさらに強くする。」

真歩。
「戦いたくなくても参加させられるのです。」

衣吹。
「それは外界の影響ですね。」

真歩。
「外部的要因で戦いたくなくても戦うしかない。」

羽衣香。
「知らないの?」
「戦いなんて無いほうが良いのです。」

衣吹。
「同様に争いなんて。」
「無いほうが良いのです。」

羽衣香。
「それが分からないのが若さでしょうね。」

真歩。
「戦いの中で理解したのがそれです。」

衣吹。
「敵の命を奪うことは殺人には当たらない。」

真歩。
「その格言は有名ですね。」

羽衣香。
「実際にもそうでしょう。」
「兵士は批判されないので。」

衣吹。
「敵の命を奪うことは殺人には当たらない。」
「イングランド共和国での主張で。」
「クロムウェル暗殺は合法で。」
「賛美に値することを呼びかける。」
「広告がことわざになったもの。」

真歩。
「内乱者は。」
「善が生じるようにと。」
「悪を行ったりしてはならない。」

羽衣香。
「自分達が支配者になりたかったりして。」

衣吹。
「それで国外逃亡からの。」
「雇われ部隊として定着してしまった。」
「内乱者の一同。」

真歩。
「敵勢力の生き残りは引き抜かれて。」
「海外の紛争や内戦に投入されている。」

羽衣香。
「新手のファシストの結末ですね。」

衣吹。
「新作のファシズムなんて駄作ですなあ。」

真歩。
「久しぶりの新作という訳ですね。」

衣吹。
「自分が万能であると思い込んだ人間が。」
「あまりにも目立つものですからね。」

真歩。
「教育が下手だったのでは?」
「学校教育が失敗するから。」
「そのような人材が生じる。」

衣吹。
「自由な考えができるまでは失敗作。」

真歩。
「必ずしも自由意志を行使できるとは限らない。」

衣吹。
「自由ほど簡単に略奪される大切なものはない。」

羽衣香。
「ひょっとしたら自分の自由は無いのでは?」
「なんて考えたりはしない。」

真歩。
「自由は簡単に奪われる。」

羽衣香。
「その発言を述べたことにされ。」
「その発言の内容に反論してきたり。」
「何も言っていないのに。」
「こちらの考えを読んでいると相手が主張し。」
「推論でしかない架空の発言に対して。」
「叱責して来たり。」
「非難してくる。」
「しかし何も言っていない。」

衣吹。
「何も言わなくても。」
「相手が架空の発言をでっち上げて。」
「こちらが同意したことにしてくる。」
「あなたはこう言ったので。」
「自分が考える論証に同意しているはず。」
「という屁理屈。」

真歩。
「その場合はこちらの発言を信じずに。」
「相手が自分の推論をひたすら信じる。」
「つまりはこちらの話は通じないし。」
「相手の推論の内容が代理という有様。」

衣吹。
「そんなことは言っていないぞ。」
「という内容を相手はでっち上げて。」
「それに反論したり非難を繰り返す。」
「それに同意したことにしてくる。」
「相手は他人の考えを読めると思い込み。」
「実際はどうなのかを無視する。」

真歩。
「勝手に相手が思ったこちらの考えを。」
「すべてと思い込んでいるので。」
「相手は自己批判などは不可能になっているし。」
「何を言っても歪曲されて。」
「訂正しようとしても歪められて。」
「理解不能な理屈が繰り返される。」

衣吹。
「そして同意していない内容に同意したことになっている。」
「しかも約束もしてないし。」
「実際に同意したことにされるので。」
「同意しているので相手は解決したと思い込んでいる。」

羽衣香。
「契約書や証文などは強制されたようなもので。」
「必ずしも自由意志に基づいていないと理解しない。」

衣吹。
「こちらの発言が必ずしも自由意志に基づいていると。」
「相手は信じているので。」
「対話ができない。」

羽衣香。
「勝手にいろんなものに同意したことになっているので。」
「取り消したり訂正が追い付かない。」
「もれなく一言も述べていない内容で押される。」

真歩。
「相手は架空の発言に基づいて何でも決めているので。」
「まかり通る場合は力で制圧するしかない。」

羽衣香。
「架空の発言に同意したことになっているし。」
「架空の同意に基づいて決まってしまう。」

衣吹。
「自由意志によって誓約をしているのか?」
「という所が争点ですね。」
「本人が言っていない主張を。」
「でっち上げるものではないね。」

真歩。
「しかも自由意志によって発言しているとは限らない。」

衣吹。
「勝手にいろいろ決められて。」
「本人の発言は無視されて。」
「本人が何を言っても取り消せない状況になりますね。」

羽衣香。
「架空の論証に反論を受けていると。」
「それがどんどん主観的になって行って。」
「恣意的な解釈へと落ちていき。」
「発言した覚えのない。」
「客観的に証明できない発言が問題になっているとか。」

真歩。
「その人の発言は客観的に証明できなければだめ。」

衣吹。
「勝手に相手の考えを読んではだめで。」
「長い期間を経て調査しないと。」
「真実は出てこないよ。」

羽衣香。
「実例なのですが。」
「相手の考えを読んではいけない。」
「相手の目的を読むのは合理的です。」

衣吹。
「本人が必ずしも自由意志に基づいた同意をしない。」
「というのも実例です。」

真歩。
「実例では。」
「本人の自由が奪われている可能性もあります。」
「自由を失った人を叱責するのは禁忌かと思われる。」

羽衣香。
「自由が奪われた状態で。」
「攻撃するのは理に合わない。」
「発言する自由もないでしょうから。」

衣吹。
「最近は自由が奪われる実例があります。」
「本人が自由から繰り出しているとは思わないこと。」

真歩。
「こちらの考えを勝手に推論して。」
「それに反論して悪口を言うのなら。」
「それは素人の探偵というもので。」
「判断材料もないのに推論をしています。」

衣吹。
「推論で他人を語るのは実例で豊富にありますよ。」

真歩。
「推論でいろいろ語られるなんて酷いわ。」

羽衣香。
「何も言っていないのに。」
「勝手にこう考えているとか。」
「こういうことに同意しているとか。」
「猛攻を加えてくるし。」
「訂正しようとしても無視する。」

衣吹。
「その場合は自由を失っているので。」
「そうしているだけなのに。」
「自由も与えずに判断するのは。」
「空想の考えに基づいているだけです。」

真歩。
「すべて空想に過ぎないのに。」
「相手に空想でいろいろ同意したことにされて。」
「誹謗中傷に遭う実例が大量にあります。」

衣吹。
「私達は相手次第で見せる顔が違いますよ。」
「それが私達です。」

羽衣香。
「本当の自分を出す時は。」
「相手によって変わります。」
「それが本当の自分です。」

真歩。
「相手によって自分の出すものが変わりますが。」
「相手によって次々と変わる自分が本当のものです。」

羽衣香。
「良い垣根は良い隣人を作る。」

真歩。
「隣人同士は境界が大事です。」

衣吹。
「依怙贔屓を見たら自分にもありうる事態。」

男の子が出現して。

やたらに褒めてくる。

好意は持っている様子。

少年。
「なかなか優れた女の子だよね。」
「考えうる最高の女の子だよ。」
「そんな女の子には勇者が似合うぜ。」

真歩。
「私は女の子が好きなの。」

少年。
「せめて、好きな女の子を褒めても良いかと。」

羽衣香。
「構ってあげますよ。」
「これはレアカードらしいのであげます。」

少年。
「ん?これって限定とか言われるカードでは?」

羽衣香。
「そうなんですか?」
「男の子しか分からないこともあるんですね?」

少年。
「もっと好きになってしまった。」
「今度、一緒に散歩しよう。」

衣吹。
「それは残念でしたね。」

璃里歌。
「新作の靴下があるよ!」

千麻。
「アニメ系の衣服が大量に売られていたよ!」

真歩。
「なに!?早く行かないと!」

衣吹。
「しまった!見落としがありました!」

羽衣香。
「友達と連携と共闘なんですよね。」

少年。
「思えば、一目見た時から虜でした。」
「あなたに会うために歩いていたのではと思うほど。」
「素晴らしい出来事でした。」
「そして今は好意が受け取られ。」
「後は一緒に・・・。」
「ぐわっ!!」

衝動的に行動したせいで。

真歩は男の子を吹っ飛ばして。

男の子は近くのゴミ箱に突っ込んで。

ゴミ箱も吹っ飛ぶ。

服屋に直行。

いつもの。

ファッションセンター。

新作に商品が置き換えられていて。

価格が高くない。

女の子。
「お母さんにおねだりしたら。」
「お金をくれたから買えます。」

真歩。
「私達は一年前の収入があるので。」

羽衣香。
「久しぶりの傑作ですね。」

衣吹。
「たまに傑作が出るんですよ。」
「衣服には。」

女の子。
「今日、来たらいきなり変わっていたので。」
「連絡しました。」

衣吹。
「お手柄です、協力は成立です。」

女の子。
「他の女の子にも連絡しておくね。」

衣服を購入して。

自宅に戻り。

棚に入れると。

再出発。

途中で。

女子高生のお姉さんが数人現れて。

家に来ないか誘われて。

行ってみると。

着物と和服を着ている女の子がいて。

着付け教室なんですね。

制服のお姉さんが来まして。

女子高生。
「私の下着を見たい?」

真歩。
「見たいです。」

女子高生。
「それならめくって。」

羽衣香。
「そんな!だめですよ!お姉さん!」

女子高生。
「遠慮せずに。」

真歩。
「どうかなりそう。」

羽衣香。
「とっても素敵ですね。」

女子高生。
「それではあなたは脱いで。」

真歩。
「あっ!それでいいです・・・。」

羽衣香。
「私もですか?好きにしてください・・・。」

衣吹。
「私も改めて着付け教室で習いたいです。」
「もっと和服で出かけようかな。」

着付け教室。

姉妹は脱がされて。

着物と和服を着せられて。

それもあっという間で。

撮影したりして。

嬉しい姉妹。

衣吹は手慣れていて。

お姉さんから賞賛されました。

私も次からは。

たまには着物や和服を着て。

遊びに出かけることにしました。

練習にまた来て欲しいと誘われましたし。

お姉さんと会う機会は多いです。

基本は同世代の女の子と遊びますが。

女子高生のお姉さんによく誘われるので。

たまに合流します。

私達の道は平坦です。

平坦にされました。

起伏が多いと疲れて倒れます。

滑落します。

平坦な人生が最高に楽なのです。

起伏が多いと越えられません。

格言。

教訓に従うと道は長くなり。

実例に従うと道は短く効果的となる。

セネカ「書簡集」


22


いつもの習い事から。

訓練を終えると。

さりげなく見計らって来た友人。

女の子の一団が社務所に侵入しました。

神社からヒューマニズムを取り除く試み。

という題名の論文を書いてある。

原稿の最後には。

神社に神道を導入する試み。

という言葉が書かれている。

両親に見せると。

保存しておきなさいと言われて。

それを友達が見つけ出して。

話題にしてくる。

冬休み初日ですね。

女の子が揃っています。

女性の見本が無いなら自分で作ろうと。

探し回っていたら。

社務所から原稿を盗まれました。

女の子一同が不思議そうな顔をしていますね。

自由研究の題材にされました。

女子高生。
「何か他の女の子とは別物みたいです。」

哲美。
「まったく同じ女性なんているのか?」

羽衣香。
「クローン技術の話をしているのですか?」

真歩。
「客観的女性ですよ。」

璃里歌。
「では主観的女性とは?」

千麻。
「ユング心理学の命題ですか?」

女子高生。
「特別な女の子なのかな?」

衣吹。
「私が強くあるのは。」
「プラグマティズムからですね。」
「なぜか最初から支持しているのです。」
「恋やら結婚を否定するのは。」
「フェミニズムでは当たり前です。」
「ニヒリズムは最初から持っていて。」
「そもそも私は個人主義者です。」
「個人主義から派生しています。」
「実存哲学が好みですし。」
「自分の思想は何かしら客観的な何かで。」
「保障されているのです。」
「なので。」
「特におかしな点はありません。」

千麻。
「なのに。」
「道徳に支配されている奴らが。」
「敵対者になりやすいとか。」

哲美。
「道徳の飼い犬め。」
「畜群をけしかけてくる。」

璃里歌。
「数で勝負!あれ?何か卑劣だなあ?」

真歩。
「畜群の言い分。」
「卑怯で何が悪い!」

女の子。
「なんですかそれ。」

女子高生。
「道徳に支配されているなんてダサい。」
「道徳に服従するなんて。」
「よくいる馬鹿共の方が遥かにましですな。」

学友。
「道徳?道徳って何?」

衣吹。
「私は故意に無視する場合があります。」

羽衣香。
「道徳ではそうであろうが。」
「私からはそうではないから。」

千麻。
「命令無視。」

衣吹。
「私は無視できます。」
「畜群は道徳に従えば良い。」

千麻。
「自分と道徳が食い違えば。」
「破壊して突破する。」
「利己的というのは大きな利得ですな。」

衣吹。
「利己的ではいけないと考える奴が。」
「作った規則でしょうね。」
「そう考えると有利になるから。」
「広めた。」

哲美。
「道徳は誰が作ったのか答えなさい。」

衣吹。
「利己主義の何がいけないのか。」
「何か御意見は?」

璃里歌。
「自己中心的がいけないと言われているので。」
「敢えて究極に自己中心的になりました。」

哲美。
「利己的で何か問題があるのですか?」

羽衣香。
「利己的で何も問題はありません。」

衣吹。
「反対に。」
「利他的な奴で。」
「特に利他主義な奴は。」
「自分の利益や道理を守れないでしょうね。」

哲美。
「私にできるのは嘲笑だけです。」

千麻。
「論破した所で何か権利を奪えるとか。」
「相手を吹っ飛ばせる訳ではありません。」

女子高生。
「論破なんて何の役に立つのでしょうか。」
「論破が兵器になるのなら話は別ですが。」

衣吹。
「討論の勝敗について。」
「これは最も優れた結論を出した人が。」
「勝者となります。」
「ここで大事なのは。」
「最高の結論が出たら。」
「勝者はその利得を受け取り。」
「敗者も反省の余地や。」
「結論による利益を得ます。」
「討論は口論とは別物なので。」
「正統な人々の討論を見てから。」
「開始しないと駄目です。」

璃里歌。
「批判した内容が本当であればあるほど。」
「相手は大打撃を受けます。」
「批判は簡単なのですが。」
「無批判というのも良くないです。」
「少しは疑うものですよ。」

真歩。
「否定した所で相手はもっと上の結論を。」
「その後に繰り出すものです。」
「本当のことで否定すると。」
「相手は事実の解釈を変更するだけです。」
「相手の言い分が苦しいほど。」
「相手は壊れかけています。」

羽衣香。
「手に入らないものには遠慮せずに。」
「強引に得ようとする。」
「見下そうとせずに。」
「不当な仕打ちで手に入らないので。」
「不正さえ無ければ手に入っていた。」
「というように考えると。」
「筋が通る。」

哲美。
「私にとっては。」
「半分以上が強制なんですよ。」
「人生における強制が繰り返されるかも。」

女子高生。
「悪いものが繰り返されるのなら。」
「見せしめを作るものです。」

真歩。
「繰り返さないように。」
「破壊の限りを尽くしておく。」
「裏切れば何も繰り返されない。」

衣吹。
「繰り返す可能性は摘んでおく。」

千麻。
「そのためには手段なんぞ言いがかりで足ります。」

哲美。
「むしろ繰り返される代償を支払って貰いたい。」

女子高生。
「繰り返される内容も意味がありませんしね。」

女の子。
「人生が無意味であると開き直ると。」
「何でもありだと思います。」

衣吹。
「人生は無意味ということは。」
「何も顧みる必要がないと言えます。」
「そこまで自由は拡大している。」

千麻。
「その自由で価値あるものを。」
「根こそぎ頂きますね。」

璃里歌。
「自由を使って繰り返すものも撃破して。」
「価値あるものを自由で得る。」

衣吹。
「手に入らない。」
「と思っても。」
「実際にどうなのか試みる。」
「それに価値があると思ったら。」
「無限に求めれば手に入る。」

真歩。
「それで生じるのは。」
「力と力の遠慮しない交戦。」

衣吹。
「遠慮せずに。」
「力と力で衝突を繰り返せば。」
「中間地点で拮抗して収束する。」
「なので。」
「遠慮せずに力を当てれば。」
「こうなったのもあいつのせい。」
「なんて言い分も見当違いになる。」

璃里歌。
「不利でも不満でも。」
「かえって遠慮せずに。」
「もっと力に訴えれば。」
「しかもそれをずっと続ければ。」
「悪口で返事をしなくても済みます。」

哲美。
「気分が良くなる。」
「迎合される意見は。」
「ある意味では嘘であり。」
「騙しているのと同じ。」

学友。
「それは順番が逆になっているからです。」
「出来事も物事も全部です。」

哲美。
「意外にも順番が逆になっているからですね。」

衣吹。
「実存は本質に先立つ。」
「実際のものは本質よりも先。」
「本質よりも前に実際があります。」
「前に何か意味や理由があるのではなくて。」
「先に実際があって。」
「本質は後に続きます。」
「本質よりも実際の方が先で前になります。」

璃里歌。
「そんなに難しくはありません。」
「本質の方は完全に出遅れているんですね。」
「理由や意味が後付けというものです。」
「実際があり。」
「後から理屈がつくので。」
「実際が真っ先にあって。」
「後から理由や意味が繰り出されます。」
「順序が逆転しているので。」
「順序は実際があってから後に本質があります。」
「これは実験すると簡単ですね。」

哲美。
「何か意味や理由があってから実際がある訳ではなくて。」
「実際があってから何か意味や理由があるので。」
「順序の問題です。」
「順番が異なる所を指摘するのが実存哲学の名句と言えますね。」

千麻。
「後から発生したものを頑張っても。」
「報われないのは当然になりますね。」

衣吹。
「特に何も無いのに。」
「努力しても無駄になるのは当然かと。」

哲美。
「何かを与えられて。」
「努力をしている訳ではありませんし。」
「何かを望まれて。」
「努力をしている訳ではありませんからね。」

衣吹。
「何かをいろいろ求められて。」
「努力しているかと言われると。」
「何も無いですね。」

学友。
「特に何も無いのに頑張っても空振りですね。」

哲美。
「頑張っても報われなかった場合のことは考えていない。」
「努力で報われた人は一部のみ。」
「この二つとは他の方法なら通用するのだろうと思う。」

女子高生。
「何事も理由があると思い込むのは。」
「単なる驕りなのではと思います。」

衣吹。
「なぜ?を突き詰めると。」
「人には存在する理由がありませんし。」
「そうなると。」
「存在する理由がないのに。」
「いろいろな物事や出来事がある。」
「それらも理由がないのですし。」

羽衣香。
「物事や出来事ですら。」
「それらが発生する理由も。」
「存在する理由もありません。」
「人間にはそもそも存在する理由がありませんので。」
「出来事や物事も存在する理由がありません。」

真歩。
「理由がないのにそれらがあるのです。」

女の子。
「理由がないのにね。」

衣吹。
「楽々な道と歓喜の道は異なるとされています。」

千麻。
「形而上学の領域で語ると。」
「奇怪な事実とやらが大量に出てくる。」

哲美。
「大抵は奇怪ですよ。」
「それを理解するまでは。」

女子高生。
「敢えて無神論を蔓延させていると見ますね。」
「人間は挑戦を受けたのかな。」

衣吹。
「有神論について議論することに興味はありません。」
「体験談を共有できるなんて信じていませんしね。」

哲美。
「超自然的な体験をどう共有できると言うのか。」
「逆に質問したいわ。」

女の子。
「人間は選ばなかったのです。」

羽衣香。
「むしろ選び直したのでは?」

女の子。
「適当に決まったものが多過ぎたので。」
「私が訂正しました。」

哲美。
「選ばなかった方は処分しておけば。」
「追撃を受けませんよ。」
「選択を破棄した奴は後々。」
「あなたを追撃して来ますからね。」

衣吹。
「裏切るのも自由の技です。」

千麻。
「完全に自由ですと眩暈がしますよ。」

璃里歌。
「完全に自由ですと。」
「自分の選択で自分の人生がいくらでも変わるので。」
「何があっても自分の選択次第ですね。」

学友。
「可能性が千ある状況ですか。」

哲美。
「可能性は不安も生みますが。」
「可能性を千集めてもひとつの真実も作れない。」

衣吹。
「そんな自由があっても。」
「自分の好きなものしか望まない。」

羽衣香。
「成功や名声や富や権力が。」
「幸せに比例すると思ったら大間違いですからね。」

真歩。
「私は群衆の一部ではない。」

哲美。
「私も衆愚の一部ではない。」

衣吹。
「周りに合わせると自分が減る。」
「世間に合わせて自分も似せていくと。」
「自分が減り続ける。」
「世間によって自分は減る。」

璃里歌。
「逆に増えていくのが天才ですね。」

千麻。
「減る所まで減るのが凡人ですかね。」

衣吹。
「天才は見えない的を射抜く。」
「秀才は射貫けない的を射抜く。」

哲美。
「自分が天才かどうかの議論は別として。」
「理由がないのにいろいろあるので。」
「便利な才能で何とかしてみる。」

璃里歌。
「特に理由がないけれど。」
「人はいるのです。」
「特に理由はないけれど生きています。」
「本当に理由がなくて。」
「後から理由がつけられます。」

千麻。
「理由がないので自由がありますが。」
「人間社会は秩序です。」
「秩序が大切。」
「自由は秩序の有無でも確保されますので。」
「秩序が無ければ自由も消え去ります。」

衣吹。
「マルティン・ハイデガー。」
「被投性。」
「この世に投げ込まれる強制によって。」
「人生が開始される。」

璃里歌。
「私は強制されました。」
「強制されて有利になるのか。」
「不利になるのかは不確かなもの。」

千麻。
「強制されたので。」
「しっぺ返し。」

哲美。
「人の行動や言動が。」
「自由の結果とは限らない。」

羽衣香。
「誰しもが。」
「必ずしも自由であるとは限らないよ。」

真歩。
「自由になった瞬間に。」
「裏切りを繰り返したよ。」

衣吹。
「問題がいつの間にかあって。」
「それには理由がありませんよ。」
「最初に何か理由があって。」
「それによって問題があるのではなくて。」
「理由もなしに問題があるのです。」

哲美。
「最初にきちんとした理由があるのではなくて。」
「問題が先走っていて。」
「それには何の意味も理由もない。」

千麻。
「あらかじめ何か意味があり。」
「それに基づいて問題がある訳では無いのです。」

衣吹。
「困難や苦労も。」
「あらかじめ意味や理由があって生じるのではなくて。」
「困難や苦労が先走って。」
「後から説明付けをしてしまうのです。」
「何かに基づいて困難や苦労がある訳ではありません。」
「理屈は後からこじつけるのです。」

璃里歌。
「元々、実在しない理由や意味があるだけです。」
「何も意味も理由もないのに。」
「困難や苦労があるので。」
「そんなものに構っている暇はありません。」

哲美。
「困難と苦労は本質よりも先立っているのです。」
「何か真実があって。」
「そこから出る訳ではなくて。」
「真実よりも先に飛び出します。」
「そんなものを尊重する理由すらないので。」
「どんな対処をしても。」
「結局、意味や理由がないと暴露されます。」

千麻。
「こういうことを分かっているし。」
「知っているので。」
「故意に困難や苦労を嘲笑するのです。」
「どんな処分をしても許されますからね。」
「必要の前に法律なし。」

哲美。
「絶望の考察かな。」
「絶望は哲学の分野で。」
「特に研究の対象ですね。」
「可能性から来る。」
「不安や希望なので。」
「期待ですら可能性の話になります。」

衣吹。
「絶望は徹底した考察がありますね。」
「反対に絶望を調べてみる。」

真歩。
「希望とはどこから出現したのか分からない。」
「こちら側にはそうは書いていないので。」

羽衣香。
「こっちでは。」
「どこの記述も言及もなし。」

衣吹。
「西洋から持ち込まれたのではと。」

哲美。
「希望とか期待とかは。」
「持ち上げて落とす手合いが。」
「とても多いものですけれど。」

千麻。
「希望を抱かせて落とすとか。」
「期待させて落とすとか。」

衣吹。
「昔の話で。」
「国語をまとめる段階で。」
「西洋の単語を大量に輸入したので。」
「その名残かな。」

璃里歌。
「そもそも自国の言語は。」
「方言があまりに多くて。」
「江戸時代は。」
「話が通じにくい。」
「ということになって。」
「標準語を作ったとか言う話がありました。」

女子高生。
「ということは希望を疑っても良い口実を得たのね。」

哲美。
「ついでに期待というものも疑っておきます。」

女の子。
「希望が無いのは希望があるからですよ。」

学友。
「期待してしまうのは。」
「期待するものがあるからですよ。」

哲美。
「他人に依存するものは特にそうです。」

衣吹。
「いい人の演技なんて誰でもできる。」
「そのいい人とは何かについて問いたい。」

千麻。
「利他的な奴が。」
「何かお困りですか。」
「と言ってきたので。」
「あなたがそこにいるのが。」
「もっとも困っていることだ。」
「と言って罵ってあげました。」

羽衣香。
「何か必要なものはありますか。」
「と言われたので。」
「あなたがここにいないことが必要です。」
「なんて罵った。」

衣吹。
「なるほど。」
「その人が言っているからというので。」
「信じないという技もあるのね。」

哲美。
「無能の度合いが酷いほど狡猾になる。」
「他に何も取り柄がないので。」
「狡猾になる。」

衣吹。
「他人がどう思うかは制御できないので。」
「何を言われても無意味。」

哲美。
「力押しは結果が良い。」
「拮抗して収束した場所で。」
「何もかも止まっている。」

千麻。
「道徳を選ばなかったので。」
「選ばないものを始末した。」

女の子。
「道徳?それは何ですか?」
「始めて知りました。」
「そんなに馬鹿なんですか?」

千麻。
「いや、私も考えたことが無かったので。」

女の子。
「無視されるなんて。」
「そこまで役に立たないものなんですね。」

哲美。
「道徳は私に従え。」

羽衣香。
「道徳が私に服従すれば良いのです。」

衣吹。
「それは急所に当てている。」

哲美。
「道徳は美徳とは何の関係もない。」

真歩。
「むしろ悪徳が道徳の正体。」

衣吹。
「道徳ですと?」
「彼らは最大悪を欲しがっているようです。」

千麻。
「最大悪?そんなものを?」

哲美。
「悪を欲しがるのなら。」
「望み通りにしてあげると良い。」

衣吹。
「私は善を欲しましたが。」
「結果が良くない。」

哲美。
「ならば呪え。」

女の子。
「道徳?そんなものは考えたことも無かったよ。」

璃里歌。
「何の役にも立たないので。」
「考えても無益です。」

女子大生。
「災厄だ!」
「電車に乗り遅れた!」

哲美。
「何事ですか。」

女子大生。
「それで新作のゲームを買えなかった!」

哲美。
「それは災難でしたね。」

女子高生。
「災難なことに。」
「お金が貯まらない。」
「百万円は必要です。」

千麻。
「高級ケーキを食べたら。」
「使えるお金が無くなった。」
「とても災難です。」

哲美。
「私なんか成り行きで高級料理店に入って。」
「大金が消えた。」
「ああ災難です。」

衣吹。
「何でも災難のせいになる。」

学友。
「あれは災いだ!」
「宝籤がひとつも当たらなかった!」

女子高生。
「何ですと?」
「私達なんて。」
「ガシャポンを回しても。」
「ろくなものが出なかったよ。」

母親。
「災厄ってあるものですよね。」
「生活費の支払いで。」
「いつもより多かった。」

女の子。
「他の女の子は。」
「たまたま転んだので。」
「災いであると言っていました。」

璃里歌。
「春ちゃん。」
「男の子に告白して失恋したので。」
「災厄であると言っていました。」

真歩。
「何ですと?」
「さっき百円玉を落としたのだが。」
「こっちの方が禍であるよ。」

千麻。
「私なんて。」
「賞味期限が切れた食品が。」
「棚の中にいっぱいあったの。」
「これこそ災いです。」

衣吹。
「何でも災厄のせいにするな!」

羽衣香。
「勉強がうまく行かないと思ったら。」
「これも災いなのか・・・。」

千麻。
「昨日、天気雨で濡れたけれど。」
「これも災いという訳ですか。」

女子大生。
「何だかバスの時間に乗り遅れると思ったら。」
「私は災いを受けたのですね。」

衣吹。
「何でも災いのせいにするな!」

哲美。
「最近まで風邪を引いていたのだが。」
「これも禍ですね。」
「雪山に遊びに行くんじゃなかった。」

女子高生。
「牛肉が焦げたんですが。」
「機械の故障でした。」
「これも禍なんですよ。」

女の子。
「自転車で転んだんです。」
「これも禍ですよね。」

衣吹。
「何でも禍ということにするな!」

女子大生。
「私は不運なので。」
「未だにマンションも買えていない。」

哲美。
「私も不運ですので。」
「高級外車が手に入らない。」

女子高生。
「運が悪くて。」
「いつも成績が最高ではないし。」
「スポーツ万能とまでは行かない。」

千麻。
「不運なので。」
「高級料理店の常連になれないのです。」

衣吹。
「何でも不運のせいにするな!」

羽衣香。
「運が無いので権力も持てない。」

学友。
「そうですよ。」
「運が悪くなければ。」
「既に社長か官僚になっています。」

哲美。
「そうですよね。」
「有名企業を買収できないのも。」」
「運が悪いからか。」

女子大生。
「財布に十万円も入っていない時点で。」
「運が悪いかと。」

哲美。
「まさしくそれです。」
「私なんて一万円しか入っていません。」

真歩。
「金塊とか持っていない時点で。」
「かなり運が無いかと。」

衣吹。
「何でも運のせいにするな!」

恋に理性を導入する試み。

という題名の論文まで発見されまして。

風刺作家であると知られてしまう。

衣吹。
「何でもあげるから、もう詮索しないで。」

羽衣香。
「そうですね、この数枚の論文は好奇心で貰います。」
「しかしあなたの秘密だけは貰えませんな。」

真歩。
「人の出生に倫理学を導入する試み?」
「いろいろ出てきますね。」

千麻。
「ここ数年で何をやっているのかと思われたら。」
「風刺ですか。」

衣吹。
「それがですね、よく目が見えるのです。」
「遠くまで、なので、風刺が得意なのです。」

璃里歌。
「それ以外は目が見えない前提なんですか。」

哲美。
「これは子供の会話ではない!」

衣吹。
「はい?子供の会話ですが?」

卒業論文の題材があり。

自由研究まで仕掛けられている。

学校に教育を導入したい一同。

時期と重なって。

取材を受けています。

全員で連携する女の子一団なんですよ。

それで。

とんでもない論文を暴かれて。

今日はずっと尋問されています。

風刺の内容を同人誌にすれば良いのかな・・・?



23


自宅と神社は少し離れています。

自宅は人が少ない場所で。

街道沿いにありますし。

人を避けるかのように。

最も近い家屋から離れていますし。

少し広い敷地を持っています。

周りは畑になっていて。

森林に囲まれていますね。

交通が良くて。

徒歩でも往復が可能な距離です。

ちょっとした隠れ場所ですね。

庭を整備して。

園芸をしていたら。

遊戯のお誘い。

衣吹。
「面白い命題を作ったとか。」

千麻。
「因果関係とは実証主義である。」
「という命題です。」

衣吹。
「自然科学の考え方は。」
「宗教には持ち込めません。」
「因果関係は自然科学では使えますが。」
「それ以外では役に立ちません。」

真歩。
「因果関係で自分を測られた場合。」
「不愉快ですよね。」

衣吹。
「機械や科学の分野では。」
「因果関係は有効です。」
「しかし機械や物質にしか通用しない。」
「考え方を。」
「人間に適用するのは誤りです。」
「正当化しないでください。」

羽衣香。
「因果関係で考える癖がありますよね。」

衣吹。
「そういうのを実証主義と呼んでいます。」
「科学で証明できるものだけを。」
「真であると考える態度です。」

真歩。
「哲学では実証主義と呼ばれるんですね。」
「実証主義の立場で人間を測られると。」
「明らかに気分を害しますね。」

羽衣香。
「最近は実証主義者があまりに多くて。」
「チェリーピッキングをしたい放題です。」
「相手が実証主義なのか。」
「それ以外なのかの区別が必要です。」

千麻。
「実際には因果関係が無視されるものばかりです。」
「やはり考え方の癖になっていますね。」
「いつの間にか実証主義に染まっています。」

璃里歌。
「機械とか物質を扱うのには役に立ちますよ。」
「それを人や社会や自然には持ち込めません。」
「あまりに実証主義者が多いのですね。」

千麻。
「機械は特に因果関係で稼働していますからね。」
「同じような考え方が他に通用する訳がありません。」

衣吹。
「現に自然災害は。」
「どんな人間にも容赦ないです。」
「逃れられる人もいれば。」
「巻き込まれる人もいます。」
「そういう人は決まって自然を知っているのですね。」

千麻。
「進化論は自然科学の考え方で。」
「創造論は超自然的な考察になりますね。」

衣吹。
「ということで。」
「実証主義者には警戒してください。」
「影響を受けたら。」
「頭がおかしくなります。」

璃里歌。
「実証主義者の公害ですか。」
「最近は科学の進捗が早いので。」
「実証主義が蔓延して当たり前ですね。」

衣吹。
「ちなみに。」
「人工知能は因果関係で計算して。」
「答えを出して実行するので。」
「そこら辺が欠陥になっています。」
「人工知能は凡人くらいの能力しかありません。」
「要するに。」
「臨機応変な対応は苦手なんですね。」
「因果関係を無視する言動や行動には無力です。」
「人は因果関係を無視することも選べますので。」
「イオニア自然学という起源を忘れています。」

真歩。
「哲学と科学はイオニア自然学が起源ですからね。」
「哲学で科学が論破されることもあります。」

羽衣香。
「科学は自分に有利な情報しか繰り出さないので。」
「哲学での反駁に対して脆弱性を持っています。」

衣吹。
「機械なんて最初からあったのではなくて。」
「用途に合わせて後から作ったので。」
「後から道具になったに過ぎませんしね。」

璃里歌。
「自然科学も。」
「理由をひたすら探しているに過ぎません。」
「よく考え見ると。」
「物質も理由なんて無いですよ。」
「理由すら無いものに後から理由を探しても。」
「意味が無いのではと。」

衣吹。
「何か理由が与えられているとは思いませんね。」

千麻。
「そもそも野球ボールを投げたのと。」
「投げた後のことは別々の物事では?」
「投げたのと飛んだのは別物では?」
「こうなると因果関係を無効化できてしまいます。」

女の子。
「私が資産家ではないのも因果関係に違いない。」

女子高生。
「株で成功しないのも因果関係なんですよ。」

女子大生。
「授業に遅刻したのも何かの因果関係ですよ。」

女の子。
「オンラインゲームで上位に入れないのです。」
「これも因果関係ですね。」

母親。
「追突事故の現場を目撃しましたが。」
「あれも因果関係なんですね。」

真歩。
「友達の女の子に下着を盗まれました。」
「これも因果関係という訳ですか。」

衣吹。
「何でも因果関係にするな!」

哲美。
「競馬で勝てないのも因果律の技という訳ですか。」

女子高生。
「未だにテレビの出演が出来ないのも。」
「因果律のせいかな。」

羽衣香。
「限定の和菓子が売り切れで買えなかったのも。」
「因果律によるものですね。」

璃里歌。
「テストで満点を取れないのも因果律です。」

千麻。
「この前の中規模地震で転倒したのですが。」
「これも因果律ですよね。」

女の子。
「作り置きの野菜炒めが腐っていたので。」
「捨てましたが。」
「これも因果律だったのですか。」

哲美。
「自動販売機でいつも買うのが売り切れだったのです。」
「これも因果律なのか。」

衣吹。
「何でも因果律のせいにするな!」

小さなテレビで思想みたいな宣伝が流れている。

売るために必死になって。

思想を垂れ流して。

詭弁の多さに呆れる一同。

真歩。
「公共で思想を流すのは気持ち悪いわ。」
「なぜなら。」
「持論を拡大した主観主義ですし。」
「思想を流している目的が。」
「何かを押し売りするためですから。」

璃里歌。
「合理主義の私達も。」
「テレビで広告を見て。」
「頭のおかしさを指摘します。」

千麻。
「私はリベラリズムから。」
「思想を流す目的は宣伝でしょ?」
「売るためにそうしているでしょ?」
「なんていつも思っています。」

羽衣香。
「欺かれても。」
「復帰が早ければ良いだけです。」

衣吹。
「迎合される意見が真実みたいになる。」
「しかし真実は多数決ではないよ。」

羽衣香。
「発信者は。」
「全員が馬鹿だと思っているので。」
「通俗的な思想で足りると見下しているのです。」

璃里歌。
「なるほど。」
「それならあんな結論の誘導は説明できますね。」

羽衣香。
「広告はある意味では結論の誘導ですからね。」
「しかも売るためにです。」
「思想を流す動機論が醜悪ですけれどね。」

哲美。
「一度でも醜悪な部分を見てしまうと。」
「何でも悪意と受け取った方が話が早いです。」

衣吹。
「無論。」
「最初は悪意であると受け取って。」
「そこから考察が開始されますけれどね。」

いつもの公園で。

キャッチボールなどで遊ぼうと。

移動開始。

発狂した女子中学生が出現。

令嬢。
「よくも馬鹿なんて言ってくれたわね!」

衣吹。
「初対面で何ですか。」

令嬢。
「頭がおかしいとか。」
「プライベートなことばかり言ってくれて。」
「おかげで大恥ですよ!」

衣吹。
「私が何か言いましたか?」

令嬢。
「私に対してEQが低いとか。」
「安っぽい女とか言いましたよね!」

衣吹。
「いいえ、言っていませんし。」
「あなたを知りません。」

令嬢。
「よくも!よくも!」
「女らしさが多数決とか。」
「男らしさも多数決で。」
「全部。」
「誰かが作ったものに同調した。」
「とかは認めるけれど。」
「自分が基準で何でも決めていると。」
「言ってくれたな!」

羽衣香。
「それより誰ですかあなた?」

令嬢。
「私も知らないわよ!」
「それよりも好き放題に言ってくれたわね!」

真歩。
「架空の発言をでっち上げるな。」

衣吹。
「発言についての作り話はさておき。」
「言いがかりをつけたいのですか?」

令嬢。
「そうよ!言いがかりをつけて何がいけない!?」

哲美。
「真顔で冗談を言っているのか。」
「ふざけているのかよくわからない。」

令嬢。
「そのせいで二百円を失ったじゃない!」

衣吹。
「それのどこが関係あるんですか?」

羽衣香。
「この人は主観主義なんだと思います。」

発狂した女子中学生は。

近くにいたその母親が連れて行きました。

架空の論証に反駁する癖があるそうで。

学校では狂人であると知られているようです。

母親は娘に道化師の才能があると。

笑顔で連れて行きましたね。

続いて遊女が出現。

遊女。
「少女は大好き。」
「女の子同士で襲うと気持ちが良いよ。」

千麻。
「それ、もうやりました。」

遊女。
「なんという先駆者。」
「私とやりましょ。」

璃里歌。
「女性は誘惑に弱い。」

真歩。
「お姉さん。」
「この場で脱いでくれたら。」
「家に招待しますよ。」

遊女。
「ではその森林で脱ぎますね。」

羽衣香。
「やった!大人の女性の下着姿を撮影できる。」

遊女。
「私とやらないの!?」

衣吹。
「何を吹き込んでいるのやら。」

哲美。
「むしろこういうのは珍しいものでは無くなりましたね。」

真歩。
「物陰でキスしてお姉さん。」

遊女。
「え?いいの?」

真歩。
「してよ。」

遊女。
「わかった、それが好みなのね。」

真歩。
「お姉さんのキスが素敵。」
「ほっぺにキスされました。」

羽衣香。
「こうして大人になって行くのですね。」

遊女。
「好きにしたい。」

女子高生。
「後ろに回って。」
「お姉さんを触りました。」
「素敵ですね。」

遊女。
「きゃあ!女の子なのにえっち!」

女子大生。
「みんなで触ってあげましょう。」

遊女。
「やめて!危ない女の子だなあ!」

遊女が逃げ出す。

前に撮影したいと申し出た。

女性と同一人物でして。

普段はホワイト・ハッカーをやっているそうです。

大人の女性と戯れて。

大人の階段を跳び越す。

哲美。
「みんな自他の区別がついていますね。」

衣吹。
「ここには同調している女性はいません。」

哲美。
「自分の考えとは違うから。」
「という理屈で。」
「他人を責めている場面が少なくない。」

羽衣香。
「自他の区別が毅然としているのが健全です。」

哲美。
「自他の区別がついていないと。」
「自分の考えが共通の規則であると。」
「確信している。」
「自説が裏切られて始めて気づく。」

真歩。
「私達は全体主義を宣伝するファシストではありません。」

衣吹。
「民間人のファシズムは社会問題です。」

璃里歌。
「専制政治なんて流行りませんよ。」

千麻。
「ファシストではないからという理由で。」
「責められても困りますしね。」

衣吹。
「ファシズムを称賛したいのなら。」
「別の場所でどうぞ。」
「という訳です。」

哲美。
「同調させれば何でも解決すると思ったら。」
「大間違い。」

衣吹。
「全体主義とは衆愚政治です。」

不審者が出現。

追跡して。

話しかけてくる。

わかりやすい不審者。

畜群。
「お嬢ちゃんたち。」
「どうかな。」

真歩。
「五百円よこせ。」

畜群。
「そうしたらどうかな。」

真歩。
「よこせ。」

畜群。
「あげるよ。」
「それでどうかな?」

真歩。
「何の話でしたっけ?」

畜群。
「おいおい!それはないよ。」

真歩。
「五百円手に入れたので用済み。」

タックルを仕掛けて。

不審者は転倒する。

おまけに催涙スプレーを吹きかけられて。

不審者は行動不能。

遊ばれた不審者はその場で苦しむ。

不審者は逃げ出すと。

自転車に乗った警察官と衝突した。

無視して移動。

公園に到着すると。

既に女子高生のお姉さんがいて。

参加します。

遊女がなぜか加わっていて。

撮影しているんですね。

とある女子高生の姉で。

公園にいるとある女の子とは姉妹です。

璃里歌。
「何を目標にやっているのか?」
「これを突き詰めると。」
「必ず。」
「自分のため。」
「という所に辿り着きます。」
「自分のためにやっていて。」
「何か問題でも?」

衣吹。
「他人が利他的である方が支配できるので。」
「そういうのが狙いで。」
「そのような正論に反対する奴もいます。」
「全員が利他的ならば。」
「はっきり言って誰にでも都合が良いからです。」
「実際にはそんなうまい話ある訳ないでしょうね。」

璃里歌。
「なので。」
「結局は自分のためなのです。」
「それで何がいけないのか。」
「何か御意見は?」

真歩。
「それに反論する人も自分のために。」
「利他的であることを命令するだけですね。」

羽衣香。
「他人がどう思っても。」
「外部の半分は何の制御もできません。」
「何でも言えます。」
「内面の半分は自分のものなので。」
「自尊感情が高まれば。」
「自他の区別が完成しますよ。」

璃里歌。
「もちろん。」
「道徳に支配されている連中は。」
「必死になって。」
「道徳の命令通りを強要しようと抵抗しますね。」

哲美。
「子供は何でも感化されるので。」
「道徳という愚か者にも感化されるのです。」

衣吹。
「道徳は選ばなかったので処分。」
「私が好きなのはニコマコス倫理学。」

女子高生。
「そうやって選ばなかったものは。」
「徹底して処分する必要があります。」

女の子。
「論証が無敵になっていますよ。」
「やはり自分のために。」
「他人の干渉から自分を防御しています。」

璃里歌。
「私達は他人に考えを押しつけるような。」
「気持ちの悪い集団ではありませんからね。」
「そこまで醜悪には決してなれない。」

羽衣香。
「つまりは。」
「自分のために防御を繰り出したのです。」

衣吹。
「そして善なるものを追い求める。」

真歩。
「善なるものをもたらさないものは否定して。」
「欺瞞であることを暴く。」

千麻。
「いろんな嘘に囲まれていましたので。」
「嘘が発覚すると。」
「やはり不平不満を抱く。」

衣吹。
「そもそも強制よりも説得の方が強いことが多い。」

璃里歌。
「自分にとって役に立つのなら。」
「説得の内容を覗いてみても良いかもね。」

哲美。
「自分のために役に立つのか?立たないのか?」
「というのも基準になります。」

女の子。
「自分のためで良いのです。」
「他人のためとか言いつつ。」
「そう思う自分に優越感があるとか。」
「よくあることですし。」

璃里歌。
「それはかなり合理的な命題かと思います。」

千麻。
「合理性の乏しい議論はむしろ有害です。」

衣吹。
「哲学には正解と答えなんて無いようなものですし。」
「正解と答えが無いという強みがあります。」
「いきなり正解と答えが蹴散らされるので。」
「参加の難易度は低いものです。」
「なぜ?」
「なぜか?」
「という問いかけで参加できますし。」

真歩。
「自分がそう受け取って役に立つのですし。」
「自分のために有効であるので。」
「選んだのです。」

羽衣香。
「他人の言い分なんて私にはあまり関係ないです。」
「そんなことを議論することに興味はありません。」

哲美。
「相手も同様に有利ではないのです。」
「反社会的な連中を相手にする義務はありませんし。」
「社会とはそういうものです。」
「社会を理解したので。」
「こういうことになって。」
「それは良いものです。」

連休は年齢が広い女性陣で遊んで。

休憩しつつ。

かなり時間を活用しています。

寿命があるというのは。

反対に言えば制限時間とも言えますので。

それまでを有効に使えるのか。

反出生主義は死を厭わない。

遊んで解散。

帰り道。

何やら出現。

痴女。
「正々堂々、口喧嘩で勝負だ!」

衣吹。
「口論で勝負ですと?」

真歩。
「何ですかそれ?」

痴女。
「口論しようよ!口論!」

羽衣香。
「決着がつかないような戦いですね。」

痴女。
「口論したい!口論したい!」
「うわあああ!」

衣吹。
「何がしたいのですか?」

痴女。
「口論しようよ!もっと!」

羽衣香。
「口論が趣味なんですね。」
「とっても悪趣味ですなあ。」

痴女。
「そんなこと言わずにさっさと口論しよう!」

衣吹。
「なぜ?」

痴女。
「口論のために口論をするのです!」

衣吹。
「喧嘩好きと同じですよ。」

痴女。
「口論してください!」

真歩。
「そんなの通り魔とか暴漢とやっていることが同じ。」

痴女。
「だって口論したいんだもん!!」

衣吹。
「分かった!何百円欲しいのか言ってみてよ。」

痴女。
「百円よりも口論がしたい!」

衣吹。
「そんなこと言ってないで。」
「この百円玉をあげれば黙るでしょ。」

痴女。
「いいえ、百円玉よりも口論してよ!」

衣吹。
「わかりやすい挑発をするなあ。」

痴女。
「口論!口論!口論!口論!口論!」
「望みは口論!」
「求めているのは口論!」

羽衣香。
「口論のために徘徊するなんて。」
「なにしに来たの?」

痴女。
「私は口喧嘩最強です!」

真歩。
「それ誰にも無視されるでしょ。」

痴女。
「でも私は口論最強でしょ?」

衣吹。
「それで?勝敗はどうやって判定するのです?」
「お互いが屁理屈を言い合って終わりでしょ。」

痴女。
「無限に口論して何がいけないの?」

衣吹。
「錯乱したんですね。」
「詭弁でよろしいのなら。」
「誰でも相手になるでしょうよ。」

痴女。
「口論で勝敗がつくべきだ!」
「口論で何でも決まるのです。」
「口論で戦うものであり。」
「口論で倒せば何でもあり。」

衣吹。
「口論に効果あるんですか?」

痴女。
「口論を仕掛けることに意味がある!」

真歩。
「言い負かせば何でもありと思ったら大間違い。」

羽衣香。
「論破しかできることが無いなんて気の毒に。」

衣吹。
「論破しか取り柄のない無能さを嘆いています。」

真歩。
「さすがに同情してあげますよ。」
「論破があなたの人生すべてなのね。」

痴女。
「そんなこと言われても私は論破しか。」
「できることはないのです。」

衣吹。
「おっと手が滑った。」

痴女。
「ぎゃあ!叩くな!」

羽衣香。
「ハリセンの攻撃を食らえ。」

痴女。
「ぎゃあ!叩くな!」

真歩。
「団扇で殴打。」

痴女。
「ぎゃああ!叩くなあ!」

真歩。
「ハリセンと団扇で追い払え!」

痴女。
「絶対に口論して貰うから!覚えとけー!」

思わぬ遭遇戦。

姉妹とチームを組んでいるので。

些細な出来事では無傷ですね。

姉妹の家との距離は短い。

帰宅して。

歌人の訓練をしてから。

日が暮れます。

夜は書斎に入り込んで。

資料を探していて。

いきなり難しいことから始めることはないと。

適当にやっていれば良いと両親に言われて。

次の日も遊びに出かけました。

習い事と訓練は熟達して。

かなり慣れていますが。

空いている日は巡礼に費やしています。

昔の人々も巡礼をよくやったので。

ひとりでお宮を巡っています。


24


気ままに電車旅。

中距離移動をしたり。

人間観察をしたり。

社会の様子を見に行きます。

何も知らないということは。

調べないといけないので。

実際に見て回ります。

無論。

明後日の視点からは世界を見せません。

自分の遠近法で世界を見るのです。

それが目的です。

衣吹。
「狂気と強大な力に慣れたので。」
「余裕で制御して。」
「自由自在に扱えるようになりました。」

真歩。
「実践は大事ですね。」
「言葉を裏付けるにもお金が必要ですし。」
「言葉だけなら安いものです。」

羽衣香。
「主義主張にまさかの誤りが潜んでいる。」
「後に誤りですと。」
「主義主張の内容で悪口を言われる。」

璃里歌。
「主情主義は誤りであることを認めますので。」
「改めておきました。」

千麻。
「影響を受け過ぎですね。」
「多数決で最も多い主義に乗っ取られる。」

衣吹。
「多数決は全体主義の傾向。」
「全体主義も誤りなので。」
「改めました。」

璃里歌。
「全体主義はファシストやナチスが名乗ったことで。」
「包括された思想ですね。」
「全体主義者とはファシストということになります。」
「簡単に言えば全体主義とは悪のひとつです。」

千麻。
「イタリアのファシズム政権と。」
「ドイツのナチス支持をしている知識人が。」
「自分たちの運動を。」
「全体主義と呼ぶようになりました。」

衣吹。
「当時の人々は。」
「ナチズムを全体主義と呼んで非難しましたね。」
「全体主義の目的は。」
「個人を国家のために生きるように。」
「教育するというもので。」
「自由主義とは対立する体制です。」

羽衣香。
「全体主義者がいたら。」
「それはファシストであり。」
「駆除しても良いのですし。」
「自由主義を防衛する必要があります。」

真歩。
「全体主義者は個人の自由を認めません。」
「その脅威から自由主義の陣営を防御する。」
「必要があります。」

千麻。
「すべてをコントロールできません。」

璃里歌。
「人間に万能を求めるなんて間違っている。」

羽衣香。
「人間に依存する生き方って私は賛同できません。」

真歩。
「不自然な人間に依存したくはないです。」

璃里歌。
「ここは理法に任せてみる。」

千麻。
「自然の道理に委託する。」

衣吹。
「天は私の味方でしたよ。」
「なので天に任せるようになりました。」
「必要な礼拝をする時に。」
「自転車で十キロメートルを走破したのですが。」
「長い歩行者信号機だけが私を止めました。」
「それ以外の信号機はすべて青です。」
「帰りはたまに引っ掛かりましたが。」
「行きだけは信号機に引っかからなかったのです。」
「急用の礼拝だけは信号に引っ掛かりません。」

真歩。
「信仰は体験談のみですから。」
「議論しようなんて思いませんね。」

衣吹。
「最近は攻撃性が低下して。」
「力に慣れたので。」
「狂気にも慣れたので。」
「前みたいに好戦的ではありません。」

羽衣香。
「必要なだけの力はありますし。」
「漫画みたいに戦闘力が。」
「どんどん上がる訳ではありません。」

真歩。
「その漫画は。」
「主人公が強くなると。」
「敵も強くないといけないので。」
「互角の戦いが多いですね。」

璃里歌。
「実際は。」
「強い者が必ずしも勝つとは限らない。」

千麻。
「まぐれで強い奴がやられたり。」
「番狂わせなんて。」
「戦いでよくあることです。」

衣吹。
「無謀になるのは悪いことです。」

電車に乗って。

市街地の散策に出かけます。

日帰りの遊びですね。

電車で隣町に行ったりして。

いつもと違う場所を散歩するのです。

駅前の商店街。

駅前の広場にて。

何やら。

軽トラックの上から。

何やら説いている。

活動家がいて。

どんどん暴論になるので。

市民から反感を買っている。

活動家。
「ナチズムによる全体主義を始めましょう。」

市民。
「うわあ!現代にファシストがいる!」

活動家。
「みんな全体に取り込まれて。」
「全体のために尽くすのです。」

市民。
「全体の意見なんて知るかよ。」

活動家。
「みんな共通の対象のために働きなさい。」

市民。
「ナチスと変わらんね。」

活動家。
「全体主義が共通の規則ですよ?」

市民。
「そうかな?ヒトラー総統。」

活動家。
「俺がヒトラーですと?何てことを!」

市民。
「本当のことを言ったら怒り出したぞ。」

活動家。
「俺は全体主義のナチズムなんだぞ!」
「庶民に強要して何が悪い!」

市民。
「いろいろと悪いと思うのだが。」

活動家。
「他の仲間もたくさんいるだろ?」

市民。
「とまあ、あんたと同じ意見の奴はけっこういますよ。」

夫人。
「ナチズムと意見が同じだなんて。」

活動家。
「全体のためなら、何でも許されるのです。」

青年。
「現代にもいるものですね、ナチズム野郎は。」

夫人。
「全体主義なんてナチスの復活よ。」

活動家。
「そうです!全体主義というナチスの復活を。」
「宣言します!」

警察官。
「いたぞ、専制政治の宣伝をしている奴は。」

自衛隊。
「注意しろ、爆弾でも持っているだろう。」

活動家。
「何だお前ら!盛大に。」
「全体主義です、つまりはナチスの復活を宣言します!」

警察官。
「連行しよう、群衆心理だな。」

自衛隊。
「ロベスピエールの方がずっとましだな。」

活動家。
「なにするやめろ!」

活動家が連行される。

ライフル銃を持った普通科の隊員と。

装甲車が一両いる。

兵士に同行されて逮捕された活動家。

市民が活動家を嘲笑する。

道化師。
「感情論で何でも解決する!」

市民。
「そんな馬鹿な!」

道化師。
「感情論が論理にかなっている!」

市民。
「さっきの奴と同じくらいの暴説だなあ!」

道化師。
「みんな感情論で判断している!」
「多数決では感情論こそ万人の意見!」

市民。
「主情主義者め!」

道化師。
「感情論で何か問題でも?」

市民。
「いろいろと問題があるな!」

道化師。
「誰でも感情論が究極の意見であると。」
「言っているではないか。」
「感情論は多いから正しい。」

市民。
「感情論の宣伝ですか?」

道化師。
「感情論が大勢だと思われる。」

市民。
「とまあ、誰でも感情論にはなりますね。」

道化師。
「ほら?感情論こそ普通なのです。」

市民。
「遠回しに馬鹿扱いしやがって!」

夫人。
「さっきからひどいわ!」
「感情論を引き合いに出して。」
「私達を馬鹿であると。」
「遠回しに言っているもの。」

青年。
「感情論?感情論とは何だ?」

道化師。
「感情論に賛同する者はこちらに来なさい。」

市民。
「この野郎!小銭欲しさに好き放題言いやがって!」

夫人。
「小銭をあげればどっかへ行くわよ。」

青年。
「これをあげるので、感情論とか言うやつ。」
「何であるか説明してください。」

道化師。
「みんな感情論になるべきだ!」

道化師は小銭を受け取って。

どこかへ立ち去ってしまった。

どうやら小銭目当てに。

暴説を披露していた様子です。

最近の駅前はこんなのばっかりですね。

この前は詭弁家が占領していたり。

ロベスピエールみたいな奴と啓蒙思想家が。

論争していたり。

よくわからないものを売る闇商人がいたりと。

訳が分からない場所になってしまい。

あまり近寄りたくないです。

電車の中。

衣吹。
「全体主義とは残念な人が支持する考え方です。」

真歩。
「全体主義は運動であって。」
「政策ではないので。」
「群衆が暴走する運動が弱まれば止まります。」
「止まれない反面。」
「つまづいて転んだりすれば止まります。」

羽衣香。
「勝手に異端を作り出して。」
「自分達の説明を確保しようとしたり。」
「何を持って異端とするのか。」
「明らかにしないことで。」
「自分達の支配を維持する。」

璃里歌。
「集団の問題を責任転嫁するのが目的で。」
「絶えず誰かのせいにして。」
「自分達を問題にしない。」
「これは自分達が優れていると。」
「信じている傲慢にありますね。」

千麻。
「全体主義の世界観を合理的に否定して論破すれば。」
「全体主義の世界観を壊せます。」
「そうすれば彼らの頭も壊れます。」

衣吹。
「自己を奪われた人間は歪みますね。」
「全体主義は真っ先に自己を奪います。」

羽衣香。
「それで悪いのは。」
「全体主義に加担している衆愚という訳です。」

璃里歌。
「多くの愚か者が全体主義を形成していますね。」

衣吹。
「全体主義者の人格に同調した人間で構成された。」
「衆愚による運動が発生します。」

羽衣香。
「全体主義とは多くの愚か者が陥る思想ですね。」

千麻。
「馬鹿しか信じない思想形態なのですよ。」
「簡単に言えばそれです。」

衣吹。
「残念な人が同調する思想が全体主義です。」

電車から降りて。

隣町の駅前にて。

若者がジャンクフードを食べていて。

袋がちょうど空になって。

突風で飛んでしまった。

上司が隣にいたものの。

上司は広告を広げていて。

同じく突風で飛ばされた。

それを見た中年のおっさんが激怒して。

若者に手向かった。

おっさん。
「そんなことでしか自分を示せないのか!」

青年。
「説教しながら喧嘩を仕掛けるな!」

おっさん。
「他にやり方ならいくらでもあるはずだ!」

ソフィスト。
「自分が勝っていると思っているので。」
「説教をしているのではないか?」

青年。
「負けた側が説教なんて無理ですからね。」

おっさん。
「主義主張が間違っている!」

ソフィスト。
「どこら辺が間違っているのか。」
「丁寧に説明して貰いたいね。」
「どうせ証明できないだろうけれど。」

青年。
「具体的にやり方とは何ですか?」

おっさん。
「手段を間違えておいて!」

ソフィスト。
「手段に拘泥するのですか?」
「所で、手段とは何のことだっけ?」

青年。
「手段?手段のことなんて考えたこともないよ?」

ソフィスト。
「ナンセンスな説教ばかりする。」

おっさん。
「強ければ過激な事も出来るという訳か!」

青年。
「できますね、なんて稚拙な。」

ソフィスト。
「誰にでも当てはまる論証で人を責めるな。」

おっさん。
「知性と人間性は別物のようだな!」

ソフィスト。
「それって関係ある?」

青年。
「なんか相手を説教できれば。」
「何でも言うらしいぞ。」

ソフィスト。
「説教する自分に優越感を抱いているのだろう。」

青年。
「自己満足のために我々を利用しているのでは?」

ソフィスト。
「ちょうど新品の天然水をひとつ持っているので。」
「ペットボトル飲料をかけてやる。」

おっさん。
「うわあああ!何をする!」

青年。
「どうした?説教をするんじゃなかったのか?」

ソフィスト。
「もっと水をかけてやる。」

おっさん。
「なんてことをするんだ!」

説教を仕掛けたおっさんは。

ソフィストに掴みかかって。

おっさんは軽く殴られた。

青年に突き飛ばされて。

吹っ飛んだ先に警察官がいて衝突する。

正当性を主張する二人組を前に。

おっさんはまだ暴れようとしたので。

おっさんが不利になり。

状況が展開されている。

通りかかると。

無視して公園に向かいます。

衣吹。
「悪と全体主義。」
「ハンナ・アーレント著書。」

真歩。
「暴走する衆愚政治を解説する。」

羽衣香。
「対立するのは我々のような個人主義者。」

璃里歌。
「相手は我々に勝てないので別に問題ありません。」

千麻。
「群れるから弱いのです。」

衣吹。
「自己を破壊する群衆心理ですかね。」

真歩。
「人間性なんて嘘ですよ。」
「彼らが本当に人間を理解していれば。」
「あんな奇怪なことをしていない。」

千麻。
「分かり合えるとか。」
「ヒューマニズムでよくある考え方です。」
「もちろん殴り合えば分かり合えますね。」
「拳で語るのならお互いを理解できる。」

羽衣香。
「それを片手に人間を考察するのは。」
「どんな趣味ですか。」

璃里歌。
「そもそも全体なんて考えたこともなかったよ。」

衣吹。
「全体の考え方が個人に何の効果があるのか。」
「そもそも全体の考え方なんて。」
「どっかにまとめて書いてあるのかな。」

千麻。
「全体の考え方ですと。」
「ころころ定義が変わると思います。」

璃里歌。
「全体主義者は恣意的な解釈が普遍的な野郎です。」

日誌に。

恣意的な解釈と。

どうにでも変わる定義を使う。

サディスト集団であると筆記する。

そうなると自分が基準になるのではと。

全体主義のパラドックスを指摘する。

どちらかと言うと全体の定義や解釈を。

自分勝手に利用して相手に衝突させる。

都合の良い詭弁なのでしょう。

無論。

全体主義者は自分のために。

全体主義を利用しているので。

こちらからは挙動不審なサディストですね。

人々を観察して。

社会を実際に調べてみて。

社会とは本当の所。

どうなのか。

試してみましたが。

一日で取得できるものではないですね。

習慣になっている女の子の一団は。

最初にいろいろ調べてから。

展開しようとしています。


25


間違える可能性があれば、それはきっと間違える。

新幹線の構内にて。

カウガールの衣装の璃里歌ちゃん。

一応はショットガンを扱えるので。

晴れ着のようなもの。

大人の女性が複数集まって。

無料の旅路を企画。

東京国際空港に移動します。

新幹線の中にて。

お偉いさん。
「不景気による先行きを考えると。」
「わが社においても雇用を考えておかねばならない。」
「打つべき手は早ければ早いほどよい。」
「今すぐ対策を出してもらいたい。」
「企画部長どうぞ。」

部長。
「社会全員に栄養ドリンクとエナジードリンクを。」
「いっぱい配ります。」
「雇用対策としては万全かと。」

夫人。
「あなたは化粧が濃いですね。」
「顔ばかり目立ちます。」

お偉いさんの娘。
「了解です。」
「明日から派手な衣服の方を頑張ります。」

社員。
「君、返済の金額が足りないよ。」

部下。
「銀行が空くまで待っててくれ。」

社員。
「それでは君について行こう。」

部下。
「それなら銀行が閉まるまで待っててくれ。」

紳士。
「あそこから温泉地に行くには。」
「この道を行けばいいのかね。」

教授。
「そうだよ。」
「二十キロメートルくらいかな。」

紳士。
「道は良いかね。」

教授。
「素晴らしい道ですよ。」
「なぜならGPSを装備しながら。」
「楽々行ける温泉地なんですよ。」

紳士。
「それは良かったな。」

駅前から。

電車で移動。

人が多くて。

観光には向いていますね。

少年。
「何でも買ってくれるって?」

中年女性。
「何が欲しいのかな。」

少年。
「任天堂が欲しい。」

少女。
「イチジクが欲しい。」

中年女性。
「困りましたね。」
「任天堂って何ですか?」

少年。
「紙に書いておきました。」
「耳が遠いそうなので。」

降車して周辺を見てみる。

都会と海と空港と。

少しだけ散策。

過労で錯乱している警察官に。

とある教授が訴える。

博士。
「私の車が盗まれて。」

警察官。
「どんな車かな。」

博士。
「この写真の車です。」
「これです、間違いなく。」

警察官。
「こんなにボロボロで故障している車なんて。」
「誰が乗るのですか?」

博士。
「私ですよ。」

何やら空港の裏口で。

警備員と。

不審者がいて。

警備員が集まってくる。

裏口から侵入されそうになっている。

警備員。
「立ち入り禁止の看板が見えないのか?」

不審者。
「視力が低いので見えませんね。」

警備員。
「なるほど、それなら仕方がない。」

不審者。
「耳も遠いので無理ですね。」

警備員。
「なるほど、それなら仕方がない。」

不審者。
「立ち入り禁止の看板が下手なのでは?」

警備員。
「かもしれないね。」
「こんな奴に何を言っても無理だな。」

関わらないように戻りつつ。

正門から。

空港のお土産フロアに侵入します。

女の子。
「人が倒れていて何か言っているの。」
「大丈夫かな。」

夫人。
「何て言っているの?」
「それからどうしたの?」

女の子。
「手を差し伸べたのです。」

夫人。
「成長したわね。」

女の子。
「倒れている人が。」
「アイスクリームとか言っているので。」
「料金と一緒に。」

夫人。
「なんですって。」

空港の報道掲示板があり。

ニュースが見れます。

クレムリンに日本人の記者が滞在しており。

高官と会話している。

プータンはタタール人ではないと断言し。

効率良く論破する高官は調子に乗る。

記者も調子に乗る。

ジャーナリスト。
「日本でプータンのタタール人野郎と怒鳴っても。」
「逮捕されません。」
「クレムリンではどうですか。」

軍人。
「いや、あなたが予想されるようなことは。」
「何も起こりません。」
「どうぞ心行くまで。」
「プータンのタタール人野郎と怒鳴ってください。」
「決して逮捕はしません。」

広場にいた。

T-80UD戦車の砲身が記者の方を向いた。

放送は中断されました。

再開すると。

別の記者はモスクワ市民に。

プーチン大統領を支持しているのか。

質問した。

ジャーナリスト。
「プーチン政権を支持していますか?」

モスクワ市民。
「それは地下室でお話しましょう。」

ジャーナリスト。
「なぜ?」

モスクワ市民。
「なぜだろうね。」

地下室に入ると。

モスクワ市民が。

そっと。

モスクワ市民。
「実はプーチン大統領を支持しているのです。」
「街中ではとても言えません。」
「あまりに不評ですからね。」

ジャーナリスト。
「そうですか、人前で言えないほど。」
「人気が無いのですね。」

軍人。
「ちょっといいかな?」

何者かが地下室に侵入。

放送はまた中断されました。

労働者階級。
「倉庫に強盗が入って。」
「抜こそぎ奪われたとか。」

店主。
「どうしようか。」
「損失も立件も忙しい。」

労働者階級。
「あの倉庫には賞味期限が切れて処分しようとしていた。」
「食品が詰め込んでありました。」
「処分できて良かった。」

店主。
「そんなことなら早く言え!」

哲美。
「アメリカ人に通用する冗談が一流の冗談。」

璃里歌。
「F・ニーチェはルー・ザロメという女性に惹かれていて。」
「ニーチェが求婚して。」
「失恋してしまう。」
「この衝撃しかない失恋がニーチェを狂わせて。」
「おかしくなったというのが有力な話です。」

衣吹。
「ものすごい美人であったという。」
「失恋した時期からどんどんおかしくなって。」
「錯乱したのが突然気絶した瞬間だったとのこと。」

千麻。
「前々から狂気がニーチェにはあって。」
「失恋したら手に負えなくなった。」

哲美。
「意外にも錯乱のきっかけが。」
「ザロメという美人女性という。」
「筋の通った話ですね。」

真歩。
「そもそもニーチェには敵が多くて。」
「いかに歪曲するかに拘泥していた。」
「人間が狙っていたとか。」

羽衣香。
「若手でいきなり大学教授とか。」
「ゲーテみたいな天才ですしね。」

璃里歌。
「実存哲学は複数いますので。」
「ニーチェのみではないです。」
「似ているような哲学は他にもあります。」

哲美。
「インターネットはプロパガンダで満員。」

学友。
「教師とは誰が教えても同じ内容を。」
「生徒に向かって誰が語っても同じ内容を。」
「提出する職業である。」

衣吹。
「討論とは優れた結論を出すゲームですね。」
「毎回、更新されます。」

千麻。
「他人に同調を求める人間は。」
「とある人からは同調していないと見なされる。」

哲美。
「卑怯以外には何もないような奴がたまにいる。」
「卑怯しか持っているものが無いので。」
「居ないほうがましなのではと疑われる。」
「どんな卑劣な行為も自慢しているような奴らなので。」
「常にその存在が問題になっていると思われる。」

千麻。
「歩きながらスマホなんて無理では?」

学友。
「そうですよ、なので、よく転倒したり。」
「壁に衝突します。」

哲美。
「それで廉価版のスマホに乗り換えたのです。」

衣吹。
「壊したのですか?」

哲美。
「人は完璧ではない。」

衣吹。
「壊したのですね。」

哲美。
「認知バイアスからは逃れられない。」

学友。
「ああ!ダイバーシティが有効にならない!」

千麻。
「障害なんてものが売り物になるのなら。」
「否定されないでしょうね。」

璃里歌。
「理由もなく人を引っ叩いて。」
「知ったものが幾つもある。」

衣吹。
「私は自分の欠点には無関心です。」

展望台に上がって。

スマホから飛行機の状況を取得して。

どのくらいの時間で。

どこにいるのか。

位置情報に基づいて。

飛行機が来るのを待ちます。

目的は観光ですからね。

衣吹。
「目的という言葉はギリシャ語ではテロスと言い。」
「終わりという意味でもありました。」
「出発と目的と終わりの中間にあるものが。」
「手段であり。」
「西洋の言葉では。」
「手段とは中間という意味です。」
「目的という終わりが。」
「手段という中間を生むので。」
「中間は存在しないのです。」

千麻。
「優れた情報を出しますね。」
「私は今日の昼食がどうなるのか。」
「議論したいのです。」

羽衣香。
「夕飯の献立を真剣に考えるほどではないと。」
「競争の滑稽な側面は指摘できないです。」

哲美。
「明日の朝食が食べられなくなるかもしれない。」
「という現実の考え方をせず。」
「他人の前で威張ろうとする。」
「それが競争の本質です。」

千麻。
「他人との競争による成功を。」
「幸福と考えて。」
「あまりに強調するので。」
「禍に変化してしまう。」

璃里歌。
「才能により成功したとしても。」
「幸福の価格が莫大になり過ぎて。」
「成功の金額が国家予算に値する。」

羽衣香。
「社会的成功を追求すれば禍がある。」
「実業界に流布している人生観が危険ですね。」

真歩。
「結局は達成されるけれど。」
「目の前の成功が疑わしい。」

哲美。
「努力するのと。」
「諦めるのと。」
「二者択一の極端は良くない。」
「努力するのか諦めるのか。」
「その中間が良い。」

千麻。
「詭弁で私の右に出る者はいない。」

璃里歌。
「そこは張り合う所ではないでしょ。」

衣吹。
「詭弁も役に立つ場合には。」
「積極的に使用するのが良い。」

羽衣香。
「大人になったら。」
「全国、言いがかり選手権を。」
「開催したいです。」

哲美。
「やめろ!言いがかりで競うな!」

学友。
「むしろ見てみたいわ。」
「応援しているわよ。」

衣吹。
「芸術で苦悩したことはない。」
「発想の有り過ぎで。」
「上手に行かなかったこともあり。」
「数に拘泥して。」
「納得しなかったことはある。」
「格言通りに。」
「芸術に完成はあるが終わりはない。」

真歩。
「cogito ergo sum?」

哲美。
「Jacta alea est!」

東京国際空港。

敷地外。

無人戦闘車両が徘徊している。

空港の周辺。

警備のために。

自衛隊の普通科と。

M1A1エイブラムス戦車が待機している。

遠くで視認すると。

何やら物陰から。

煙が出て。

対戦車ミサイルが飛翔するが。

エイブラムス戦車は三秒で初弾を発砲して反撃。

煙幕によって誘導を攪乱して。

対戦車ミサイルは明後日の方向に飛び。

水没。

遠くで敵が倒れている。

撃った瞬間に逃げなかったので。

ミサイルのスモークを目撃したアメリカ兵が。

三秒で撃ち返して。

テロリストを秒殺したのです。

その後は十五秒で四発の砲弾を撃ち返して。

敵兵は負傷して倒れた様子。

アメリカ歩兵が確認のために移動開始。

市民は慣れた様子。

昨日も攻撃されて。

対戦車火器を九発被弾しましたが。

何事もなく稼働しているとのこと。

謎のUAVが飛んできましたが。

エイブラムス戦車は軽く撃ち落とす。

距離は二千メートル。

成田空港はダメらしいです。

連日の報道で。

反乱軍が馬鹿なので。

たいした損害はありません。

凡庸な工作員が構築した。

劣っている人間だらけなので。

まともな戦いにならないそうですね。

衣吹。
「悪党相手は慣れています。」

真歩。
「現行犯の欠点は。」
「ロケットランチャーを使わないことでした。」

羽衣香。
「銃乱射ですって?」
「戦車くらいは使えよ雑魚め!」

衣吹。
「悪党は攻撃ヘリでロケット弾を打たないと。」
「まだまだ雑魚です。」

哲美。
「そうなったら戦争でも始めるのでは?」

学友。
「そんな強い力は現行犯にはありません。」

避難は出されません。

テロリストは軍隊を狙う傾向にあるので。

民間人は頻繁に無視されます。

今回はあっさり片付いたと。

普通科の隊員が余裕をかます。

再びお土産屋を物色して。

空港の内部を見学。

飛行機もたくさん見れましたし。

日帰りの約束なので。

イギリスの倫理学。

紳士は約束を破らない。

素早く電車を乗り継いで。

新幹線に飛び乗りました。

移動が速い。

移動タイムアタックを大学の研究でしていて。

平均の半分で大移動ですよ。

カント曰く。

経験は知覚の必然的結合の表象によってのみ可能である。


26


死の自覚がなければ本当の自己は存在しない。

中くらいの事件が多発する最近。

街中を歩くだけでも。

テロリストと市民の乱闘が見れます。

駅の中を高速移動。

衣吹。
「生と死、目覚めと眠り、若さと老いは。」
「我々の内で同一である。」

哲美。
「自然は隠れるのを好む。」

学友。
「美徳とは装われた悪徳である。」

弟子。
「故きを温ねて新しきを知る。」
「とは言いますね。」
「現代だけで語れる世界ではありません。」

師匠。
「情けないぞ、今更、それを知るのだから。」

テロリスト。
「俺達は使い捨てとか言われた。」

弟子。
「君達は次の時代への犠牲になるのだよ。」

テロリスト。
「なんで?なんで?」

師匠。
「それが分かったら、犠牲にならずに済んだものを。」

弟子。
「道化師はこの時代に必要という訳だよ。」

テロリスト。
「ならばお前らも同じにしてやる!」

発砲するも。

いきなり横に瞬間移動した。

ジークンドーの達人。

師匠。
「肩叩き!」

テロリスト。
「ぐお!?」

弟子。
「あまりに情けないぞ、悪党。」

不審者。
「構図を逆にして勝ってやる!」
「お前らのような衆愚が独占する世界なんて!」
「高い給料と一緒に清算してやる!」

師匠。
「馬鹿をやってないで戦え。」

不審者。
「ぐわああ!」

二人組の工作員が気絶。

市民。
「筋肉だけの大男を瞬殺?」
「まさか!?」
「伊勢海老を食べた影響か!?」

師匠。
「伊勢海老だけではない。」

弟子。
「三ケ日みかんも含めてだ。」

衣吹。
「暴力というものは悍ましい。」
「まるで別の種族を見ているかのようです。」

哲美。
「残酷な童話が具現化したようなものです。」

真歩。
「あの童話ですか、現実に出るとやばいよ。」

羽衣香。
「だいぶ様になってきたよ。」

千麻。
「私は道徳を倒した。」

璃里歌。
「邪悪な何かが長引かせている。」

哲美。
「残酷な童話の世界がここにある。」

弟子。
「三人目か!」

警備員。
「うおおお!最強の技で俺達が勝つ!」

捨て駒。
「最後の技で俺が勝つ!」

師匠。
「何をふざけているんだ。」
「さっさと倒せ。」

瞬間移動からの。

ワンインチパンチ。

悪漢が倒された。

弁当を購入しながら。

遠くで見ていましたが。

新幹線が来るので移動。

哲美。
「拳を構えよ、さもなくば黙れ。」

真歩。
「駅の構内で乱闘ですか。」

羽衣香。
「市民によって袋叩きにされていましたね。」

衣吹。
「発狂した市民はテロリストの天敵ですよね。」
「市民に倒される工作員の構図。」

千麻。
「暴力が彼らの法律なんですよ。」

璃里歌。
「西洋では人が悪である前提ですね。」
「実際の所、机の上に小銭があれば。」
「誰でも持って行ってしまうほど。」
「正直者は皆無。」

哲美。
「西洋ではいろんな説明で悪であると説きますが。」
「それなしで成立する社会では無いですね。」

羽衣香。
「少し前からある全体主義も悪ですしね。」

学友。
「最近では全体主義が薄まって解放されています。」

衣吹。
「我々は性善説ではなくて強い猜疑心を持ちます。」
「多様性から善人の要素が出たので。」
「住み分けになりました。」

真歩。
「どう見ても合理的な思考が最高です。」

衣吹。
「何となく多様性に対して、いろいろなものが無力に思えます。」

哲美。
「狭い世界の物事は、世界では通用しません。」

羽衣香。
「世界が混ざった多様性に弱ければ。」
「高ぶりは滅びに先立つ。」

璃里歌。
「狭い世界で完結するなんて考えた時点で。」
「愚か者になるんじゃないかな。」

千麻。
「今は国際社会ですからね。」

衣吹。
「正論が通じる情勢ではないね。」

真歩。
「常に正論が通じるとは限らない。」

哲美。
「相手が喜ぶことばかり言うしかない。」

学友。
「みんなが喜ぶことばかり言うのが真とされがちです。」

璃里歌。
「むしろなぜ正論が通じると思ったのか。」
「正論が通じないのなら。」
「この世から立ち去れば良い。」

千麻。
「しかし実際には正論よりも。」
「相手に都合の良い論理が。」
「受け入れられると言ったら?」

学友。
「ならば死ね!」

衣吹。
「そうやって全員で不幸を作っているのです。」

真歩。
「不幸を潰したり阻止せずに。」
「なぜ幸福になろうとするのか理解できない。」

璃里歌。
「まず不幸を減らしたり。」
「不幸になりそうなものを全滅させるのが手っ取り早い。」

哲美。
「正論が通じない時点で誰でも幸福に値しない。」

衣吹。
「不幸が有利になりがちです。」
「全員で不幸を作っておいて。」
「幸福を求めようとすれば。」
「それは叶わない。」

千麻。
「不幸を集中狙いして消し去ることよりも。」
「幸福を追いかける方を優先するなんて。」

学友。
「幸福の扉は外開きで。」
「中から開きますので。」
「外側から押しかけても無駄です。」

哲美。
「そして苦悩と退屈が繰り返される。」

学友。
「生命の悲惨な所を見たところもなければ。」
「境遇を人と比べたこともないのなら。」
「知ることすらできない。」

衣吹。
「幸福な人はとても稀です。」

午前に出かけて。

午後に帰ってくる。

一同。

次の計画は大阪です。

口出しするところには金も出せ。

自分の発言は行動で。

特に金銭で支えなければならない。

衣吹。
「見かけは人を欺く。」

真歩。
「見た目で判断すると騙されますね。」

羽衣香。
「嘘だけが見かけにあります。」

千麻。
「狡猾対狡猾な争いというのはひどいもの。」

哲美。
「ダイヤモンドだけがダイヤモンドを切れる。」

衣吹。
「狡猾な奴ほど言葉で攻める。」

璃里歌。
「行動や行為は皆無で言葉で信じさせる。」
「しかしそれは騙すため。」

千麻。
「しかも話術に長けている。」

衣吹。
「残念ながら、行動を見れば。」
「本当は言葉だけで済まそうとしていると丸わかり。」

学友。
「悪賢い奴ほど言葉で済ます。」

衣吹。
「言葉だけでは信用に値しない。」
「行動で示さないと追い払う。」

哲美。
「言葉だけで何でも解決すると思ったら大間違い。」

羽衣香。
「話すだけなら安い。」
「言葉は言葉にすぎない。」
「借金を支払ってはくれない。」

衣吹。
「目的を達成すれば。」
「勝敗なんて問題にはならない。」

哲美。
「闘争の中には幸福はない。」

千麻。
「闘争の中には羨望やら嫉妬がある。」
「これは不幸になる。」

哲美。
「羨望嫉妬は手に負えるものではないよ。」
「少しでも公正から外れると。」
「羨望とか嫉妬が向けられるのです。」

真歩。
「成り行きでそうなった人を非難しても良いのか。」
「議論が必要であると考えています。」

千麻。
「最初は衣吹ちゃんに興味があったけれど。」
「地雷女が大好きな女の子がいたから。」
「意気投合しました。」

璃里歌。
「髪をなでたり。」
「触ったり。」
「こんな所でしてしまった。」

哲美。
「色欲は割に合わないので。」
「深入りしないうちに。」
「逃れるのが良い。」

端っこで。

窃盗があり。

警備員に制圧されて。

客室との中間地点に連行される。

傭兵が抑えており。

現行犯は開き直っている。

グルカ兵。
「調子に乗っていられるのは今だけ。」
「と考えているので。」
「調子に乗っている人がいる。」

現行犯。
「卑怯であると言ってくれ!」

警備員。
「卑怯者め!」

現行犯。
「やったー!俺は卑怯者だ!文句あるか?」

警備員。
「卑劣と言われても平気なのか?」

現行犯。
「平気だから続けているんだよ。」

警備員。
「卑怯がお前の規則なのか?」

現行犯。
「そうです!卑怯なんて言う素晴らしい罵りをください!」

警備員。
「卑怯者!卑怯者!」

現行犯。
「ああ!なんて素晴らしい罵りなんだ!」

警備員。
「卑怯と言われて快楽に浸る奴なんて。」
「久しぶりに見たよ。」

現行犯。
「卑怯な行いこそ俺の快楽なんです。」

警備員。
「わかりやすい悪人なんだね。」

現行犯。
「卑劣?卑怯?ああ!なんて快感!」

警備員。
「さっさと来い、次の駅で連行する。」
「ちょうどグルカ兵が同じ車両にいるから。」
「ぶっ殺されないように気をつけろ。」

連行されて扉の向こうに移動していく。

目撃。

警備員もやたらに強いので。

大人と子供の戦いになりがち。

現行犯は子供扱い。

衣吹。
「フェアプレイは宝石である。」

羽衣香。
「私はフェアプレイで負けたことはない。」

哲美。
「卑怯であると卑劣な奴を罵倒しても無駄です。」
「彼らにとって卑怯とは。」
「誉め言葉なのですから。」
「卑怯な奴に卑怯と非難しても。」
「それは彼らを称賛しているのに等しい。」

衣吹。
「悪人と変態は同義なんですね。」

哲美。
「変態みたいな容疑者はいないと思います。」

真歩。
「犯罪心理学に変態の研究要素が追加されました。」

早い帰宅。

日帰りですからね。

あっという間に自宅に帰りました。

外の世界を見てみましたが。

女子大生は手慣れていて。

旅客機に乗って沖縄にまで。

行ったことがあるそう。

何事も慣れている人が仲間ですと。

いろいろと円滑ですね。

並外れた女性は切り札かな。

比喩とは文字通りに受け止めると。

ナンセンスになってしまう言葉。

玄関のインターホンには。

押すな!

と書いてある。

足場がなければ星だって。

眺められはしない。


27


お泊り会。

姉妹の小さな集会場にて。

家が広いので。

両親が公務員なんですね。

お泊り会にはいろんな人が呼ばれまして。

クリスマスの連休は女の子だけで過ごします。

近くのカトリック教会では人が集まっていますね。

クリスチャンの姿が見えました。

小さな集会場は部屋のひとつです。

雑談とか。

お化粧を習ったり。

自分で作った織物を持ち寄って。

品質や素材なども入れた力作を。

見せ合ったり。

コスプレして楽しんだり。

女の子だけなので。

えっちな衣装を隠れて着たりして。

戯れています。

女子大学と女子高生も後から合流します。

今は流行の衣服を着て。

お互いでお揃いになったりして。

シールや文芸品の交換をしたり。

自分で作ったステッカーを持ち寄ったり。

アイドルの物真似をして楽しんでいる最中です。

姉妹は客人をもてなすために料理に移行しています。

衣吹。
「半分は全部に勝る。」

璃里歌。
「半分を確保できれば全部より勝る。」

千麻。
「半分の自由を確保すれば勝利したも同然。」

衣吹。
「運命は存在しない。」
「この発言も運命から出たことになるので。」
「運命が存在しない証明になります。」

璃里歌。
「本当にあったらそのような矛盾にはならないよ。」

千麻。
「運命なんてどこの宗教ですかな。」

衣吹。
「悪くしたい奴を悪くしておいて。」
「実際に悪くなったから。」
「悪として処罰する。」
「なんて流れが社会によくある。」

璃里歌。
「命題になりますが。」
「悪か?」
「悪でないか?」
「という二元論に遭遇して。」
「二者択一から決定される。」
「評価というものは不愉快ですなあ。」
「こんなものはその二つを除外した。」
「いろんな要素で決まるのに。」
「無理に二つの構図で語るのはナンセンス。」

衣吹。
「いいえ、屁理屈でしたら無敵な人がいるのです。」

璃里歌。
「屁理屈で最強?何ですかそれ?」

千麻。
「言い負かせば解決すると思い込むのは。」
「浅はかであると思われます。」
「喧嘩で勝利しても解決するとは限りません。」

衣吹。
「戦いにいちいち勝利する理由はなく。」
「最後に勝っていれば何でも良し。」

千麻。
「勝利条件が設定されていない勝負は。」
「勝利したことにはならない。」
「同時に敗北条件が設定されていない敗北は。」
「敗北したことにはならない。」

衣吹。
「まずい言い訳でもしないよりはまし。」

千麻。
「すべてに勝てるわけではない。」
「たまには勝てるし。」
「たまには負ける。」

璃里歌。
「なるほど、戦争なんてそのような理屈で発生しても。」
「不自然でも何でもない。」

衣吹。
「戦争の最初の犠牲者は真実である。」

千麻。
「屁理屈なら負ける訳がないので。」
「屁理屈最強というのは攻略できない。」

璃里歌。
「屁理屈という難攻不落。」

衣吹。
「誤りであると分かっているのなら改めれば良いのに。」

璃里歌。
「改めるのに遅すぎるということはない。」

衣吹。
「平和な時代に武器を蓄えたのは正論なり。」

千麻。
「平和な時代の陰で兵器開発は順調でしたし。」

璃里歌。
「指導者や民衆が同調して。」
「自分の言いなりになる人々に囲まれていたら。」
「次の場面で必ず大失態をやらかす。」

衣吹。
「前もっての警戒は前もっての武装。」

千麻。
「小さな犯罪なら多々あるという意味で?」

衣吹。
「前兆を見逃さない予定です。」

璃里歌。
「出来事の前には前兆がある。」
「将来起こる出来事には。」
「その徴候が前もって感じ取れることがある。」

衣吹。
「前兆を追い求める者は、前兆に追いかけられる。」

千麻。
「前兆通りになっていると振り返って分かってしまう。」

璃里歌。
「たまには人から逃れたりします。」

衣吹。
「数では勝てないから?」

璃里歌。
「勝手に同意したことにしてくるので。」

千麻。
「言ってもいない発言を語ったことにされるのは。」
「多々ありますね。」

璃里歌。
「何も言ってないのに。」
「いろいろと言っていることにされる。」

衣吹。
「そういうのを災害と呼ぶのでは。」

璃里歌。
「火災や洪水と同じでしょう。」
「落雷と似たようなものでしょう。」

千麻。
「何となく着火すると火災。」
「何かと増水すると洪水。」
「落雷は何かに当たります。」

衣吹。
「それと同じです。」

璃里歌。
「猛暑での渇水と。」
「寒波での凍傷なども。」
「災害ですね。」

衣吹。
「自然災害と災厄は同義です。」

千麻。
「災厄と災害は同じ。」
「それは簡単な論破ですね。」

璃里歌。
「熱波の日に熱中症にかかったようなもの。」

衣吹。
「雪山で低体温症になったようなもの。」

璃里歌。
「山岳地帯での滑落とか。」
「水泳で溺れるとか。」

衣吹。
「それと同じです。」

千麻。
「自然災害を目撃したら。」
「それに。」
「なぜ?」
「なぜか?」
「という問いかけをしてみると。」
「得られるものが多い。」
「戦争も。」
「なぜ戦うのかを詮索してみるのも。」
「得られるものがある。」

衣吹。
「それも使うんですか?」

千麻。
「プラグマティズムは役に立つものなら。」
「何でも使いますし。」
「合理的です。」
「やや中立になりやすい哲学です。」

璃里歌。
「開拓したい土地に大岩があったり。」
「木々が生い茂っていたら。」
「放棄するでしょうか。」
「そこは全部を耕して。」
「半分くらいは強引に開拓するものです。」
「井戸を掘ったら。」
「水が沸く方に賭けるのが。」
「御洒落ですよ。」
「開拓できそうになくても。」
「開拓できる方に賭けるものです。」

衣吹。
「不可能を定義できるのか。」
「プラグマティズムはそれに挑戦する。」

璃里歌。
「不可能ですと?」
「なるほど、定義ではそうなりますね。」
「定義からするとそうだろうけれど。」
「不可能の定義を勝手に決めないで欲しいのです。」

千麻。
「失敗しても挑戦を続ける。」
「強者の仲間になれる素質は。」
「そこにあります。」

衣吹。
「どの考えが自分を前向きにするか。」
「自分に都合の悪い。」
「気持ちの悪い考えをする必要はありませんしね。」

千麻。
「解釈の話ならば良い方向の解釈が優れる。」

璃里歌。
「誰かが勝手に決めたものは。」
「害悪が降りかかった人には。」
「何を勝手に決めているんだというものですし。」

衣吹。
「そんなに自分が正しいと名乗りたいのなら。」
「力で証明すれば良い。」
「弱ければ正しいと主張しても無駄です。」

千麻。
「自分を強者と思えばその日から強者です。」

衣吹。
「力の肯定はプラグマティズムの特徴ですね。」

璃里歌。
「別名で道具として世界を使うという意味です。」

千麻。
「何度もいろんな方法で試して決してくじけない。」
「決して屈しない姿勢が主意的ですね。」

衣吹。
「ことわざにも。」
「行為は言葉よりも雄弁である。」

璃里歌。
「神の下では如何なることも可能である。」

女子大生が到着。

大きな書物をバッグに抱えて。

高得点を得るために必死のようです。

勉強で得点を取るには。

勉強を強行すれば簡単ですので。

能動的に仕掛けるだけで。

点数は跳ね上がります。

問題はそれが退屈になることですね。

体験でも。

無謀なほど勉強したら満点を取れたことがあり。

それを辞めたら点数は低下しましたし。

哲美。
「善なるものを望む人は同時に。」
「悪いものは望まない。」

衣吹。
「善なるものを理解した人は。」
「悪しきものは求めない。」
「求めてないし。」
「望んでもいない。」
「のに来るので跳ね返す。」

哲美。
「勝手に来るので勝手に退場してもらいたい。」

衣吹。
「多様性を理解するまでは苦闘する。」

学友。
「これは善なるものか悪しきものか?」

哲美。
「疑わしいときは何もするな。」

衣吹。
「遭遇しやすい。」
「疑わしいのは世間の情報。」

哲美。
「まともな情報源を持たない人は。」
「扇動に引っかかる。」
「まともな情報は確保するもの。」

学友。
「誰もが言っていることは本当にちがいない。」
「これは皮肉。」

衣吹。
「群衆を知っている人は群衆ではない。」

璃里歌。
「必ず群衆から抜け出る人は大量に出る。」
「例外は確実に群衆から抜け出る。」

哲美。
「過ちは人の常。」

千麻。
「意志に反して従う者はまだ自分の意見を秘めたままである。」
「誰かに強制的に何かをさせることはできても。」
「その人の考え方まで変えることはできない。」

衣吹。
「外界の影響で強制されても考え方は変わらない。」

哲美。
「例外を罰しようなんて愚かなことです。」

千麻。
「例外はあらゆるものを回避する。」

衣吹。
「英語のことわざにもあるように。」
「例外は規則があることの証明になります。」
「例外がいたらその人は規則の証人と言えます。」

璃里歌。
「例外は規則が存在する証しである。」
「例外は例外でないものの規則を確証する。」
「例外が存在するという事実こそ規則が存在することの証である。」

哲美。
「実例は教訓に勝る。」

千麻。
「体験談が有能で、他人の考え方は嘘も混ざる。」

学友。
「相手が嘘を混ぜている可能性も考える。」

衣吹。
「自分で見た通りに話せ。」
「他人の意見や報告に影響されるのではなく。」
「自分の体験のみを語るべきである。」

学友。
「言論が何だかんだで。」
「意見なのか事実なのか意味が分からない。」

衣吹。
「意見なら自由でしょう。」
「猫についての意見は誰でも持っていますが。」
「猫の飼育については事実があります。」

哲美。
「満席の劇場で火事だ!などと叫ぶことは許されない。」
「言論の自由があるからといって。」
「それを扇動的。」
「無責任な形で乱用することに対する警告。」

璃里歌。
「全員が同意する意見があるとは思えない。」

千麻。
「全員を満足させることはできない。」

女子高生が到着して。

命題が書かれた黒板とは別の所で。

抱き合ったり。

ほっぺにキスしたり。

戯れを開始。

その後に料理を手伝います。

年下を襲うのは難しいと判断して。

誘ってきますね。

女子高生。
「こっちで好きなことしようよ。」

真歩。
「しましょう、好きにして。」

羽衣香。
「いろいろやってください。」

女子高生。
「好き好き!」

璃里歌。
「私にはこの娘がいるの。」

千麻。
「私にもこの娘がいるの。」

女子高生。
「探ってあげた。」

真歩。
「お姉さん大好きです。」

羽衣香。
「いろいろされました。」
「年上の女性で満足です。」

衣吹。
「善人は少ない。」

真歩。
「善人は貴重ですよ。」

羽衣香。
「正義という徳性に物を言わせる。」

衣吹。
「不正が有利になることはないよ。」

羽衣香。
「正義が何であるか知っていて支持しているのと。」
「正義が何であるか知らずに語っているのではまるで違う。」

璃里歌。
「正邪判断はひとつの悪事。」
「それが主観的であるからね。」
「主観的なので過ちは当然。」

千麻。
「建設的なものはひとつの善なるもの。」

哲美。
「小さな悪は無視。」
「見逃すと良い場合が多々ある。」

真歩。
「人に服従したり。」
「何かと服従するような奴は悪ではないよ。」

璃里歌。
「自分が悪であると思われないために。」
「他人を悪人呼ばわりして。」
「自分の悪を隠そうとしている作戦がたくさんある。」

衣吹。
「自分の悪を隠すために他人を告発するとか。」

羽衣香。
「ネズミと人間の完全犯罪は失敗に終わることが多い。」

学友。
「偽善者とは善人になりたかった悪人である。」

哲美。
「他人からそう見られているなら、実際にそのような人間になれ。」

千麻。
「所で、私は野球で飛距離が伸びないのです。」

衣吹。
「ああ、それはですね、イオニア自然学の出番ですね。」

真歩。
「練習量と質が玄人とは違いますけれどね。」

羽衣香。
「練習の量とその質は追いつけない。」

哲美。
「マグヌス効果。」
「ボールを投げたり蹴ったりした場合に生じる。」
「揚力があり。」
「ボールが重力の影響で下に引っ張られて。」
「揚力が勝ればボールが滑空して。」
「重力が勝れば落下するという法則です。」
「ボールに加える揚力で。」
「飛距離が決まります。」
「マグヌス効果はゴルフでよくあるもので。」
「ボールに加えた揚力が低い選手は。」
「飛距離が出ません。」
「重力に加えた揚力が負けると。」
「ボールが失速して落下します。」
「揚力が高いと滑空して飛びます。」
「マグヌス効果の有無で飛距離は別物になります。」

千麻。
「そんなチートみたいな要素で決まるのですか。」

哲美。
「みたいですね、近年は研究が盛んです。」

璃里歌。
「不思議なことは決して耐えることがない。」

真歩。
「遊びでやるのなら不足しませんよ。」

羽衣香。
「長袖を伸ばして手を覆ってから。」
「手の甲の上にはボールを乗せられます。」
「決めポーズをしてから。」
「ボールを真ん中にこぼしてキャッチすると同時に。」
「両手でアンダースローを行います。」
「女の子の投げ方。」

衣吹。
「それ得意な芸ですよね。」

千麻。
「あなたは両手で野球ボールを投げますね。」
「右手で投げていたと思っていたら。」
「今度は左手で投げる。」

真歩。
「むしろボールを使わないのなら何でもありですよ。」

千麻。
「戦闘好きなのですか?」

真歩。
「悪漢を倒すと一獲千金ですので。」
「夢中になりました。」

千麻。
「売名のために暴漢狩りですか。」

哲美。
「思想は自由である。」

羽衣香。
「木刀ならあっさり折れるのが当然なので。」
「野球に専念。」

衣吹。
「剣道はスペイン剣術を使えば勝てますからね。」

哲美。
「それでボールを探っているという。」

璃里歌。
「自然科学には古代科学という部門がありますね。」

羽衣香。
「後から大いなる発見もあるものですから。」

衣吹。
「竹刀では物足りないようですが。」

真歩。
「私に手加減をしろと?」

衣吹。
「数年前とは別人のようですね。」

羽衣香。
「知り合いの老婆に習ったから。」

哲美。
「何ですと。」

羽衣香。
「老齢の賢者に会って雑談でもしてみると。」
「自分まで賢者になれるものです。」

哲美。
「違いは老齢の賢者との遭遇ですか。」

羽衣香。
「老齢の賢者との話し相手になると。」
「長年培った体験がすぐ手に入ります。」

璃里歌。
「そんな人と話し相手だったのですね。」

羽衣香。
「老人は話し相手を求めているようなので。」
「こちらから誘ってみると。」
「雑談ですら有益だらけです。」

衣吹。
「あの老人憩いの場での出来事ですかね。」

真歩。
「その機会があったので。」
「忠告なら彼らは不足しない。」

哲美。
「時は奇跡を生む。」

料理が振舞われて。

一緒に食事。

女子高生はこの後に帰りました。

余暇のある女子大生は残ります。

お風呂に順番で入って。

寝室に行きます。

お客さんを前提にしている作りなので。

備品が多い。

衣吹。
「真理は井戸の底に沈んでいる。」

真歩。
「あまりに深いので。」
「さらには真理は隠れているもの。」

羽衣香。
「誰かの話したものが。」
「本当と思えないのなら。」
「それは多分、当たっている。」

千麻。
「詮索とは追跡の一種。」
「どこまで追いかけるのやら。」

衣吹。
「真後ろからの追跡は長い追跡。」

璃里歌。
「やれる時にやろうとしない者は。」
「いざやろうという時にやれない。」

学友。
「苦難や苦労を無視して逃げた。」

哲美。
「熱さがいやなら、台所から出て行け。」
「とあるように。」
「苦境に耐えられないなら。」
「それから抜け出すべきである。」

学友。
「苦難や苦労が。」
「嫌でも関与して来るようになった。」
「まるで悪漢。」

哲美。
「苦難や苦労が間違っているのだろうね。」

璃里歌。
「そんなの無駄無駄無駄!」

衣吹。
「競り合いができるまでは。」
「競り合いに参加しないもの。」

真歩。
「戦えないのなら。」
「戦いには近寄らないことです。」

学友。
「苦難や苦労とは単なる喧嘩ですな。」
「これは喧嘩に過ぎませんな。」

哲美。
「苦難や苦労に売られた喧嘩だ買え!」

羽衣香。
「川の真ん中で馬を取り替えるな。」

衣吹。
「苦難や苦労に構っている暇はないよ。」

璃里歌。
「一番忙しい人が一番暇がある。」

千麻。
「オックスフォード・英語ことわざ。」
「名言辞典。」
「何十冊買ったのよ!」
「そこら辺にばら撒くなんて正気じゃない!」

衣吹。
「害がなければ、反則もなし!」

璃里歌。
「在庫はありません。」
「買い占めたそうですよ。」

衣吹。
「あんなに大きな書物はばら撒くに限る。」

千麻。
「何という大胆な。」

羽衣香。
「それで勢いが盛んな女の子だよ。」

哲美。
「そんなものを読みまくれば。」
「優秀になるに決まっています。」

千麻。
「読んでいるものがそもそも違う。」

羽衣香。
「正気ではないほど。」
「超越するような書物を持っていますよ。」

千麻。
「あなたの部屋はどうなっているのか。」

衣吹。
「ある区域は図書館の辞典地区です。」

千麻。
「部屋が大きな書物の図書館?」
「正気ではないので。」
「何でもありなのですね。」

衣吹。
「重要なのは凄いものではなくて。」
「圧倒するようなものです。」

哲美。
「常に圧倒するものを用意しているとか。」
「到達点とでも言うわけかな。」

衣吹。
「はい?持っていて当たり前だと思われる。」
「書籍ばかりありますが?」

哲美。
「オックスフォードの書籍が持っていて当たり前ですと?」
「本当に正気ではないね。」

璃里歌。
「毎回、圧倒される。」

衣吹。
「このレベルが当たり前かと。」

哲美。
「そうかな?」
「私はそうは思えない。」
「ついていけないから。」

羽衣香。
「それなりの理由がありそう。」

衣吹。
「ありますよ、奇妙に見えても。」

真歩。
「人間のあらゆる失敗を反転させたのかな。」

衣吹。
「女性の居場所は望むところすべてである。」

就寝。

早朝になると、

朝食後に解散です。

女の子で集まって好きなことをしている時期。

この世を見限った辺りから。

どうでもいいことが増えました。

最も多く知る者は最も語らない。


28


自宅で。

集まってパーティーをしています。

お菓子や素敵な服と。

お化粧をして撮影会。

炬燵でテレビの番組を見ます。

年末ですね。

お客さんはいつものメンバーで。

この後は他の女の子団体も来ます。

雑談を楽しんでいますが。

持ち寄った食材で。

美食系の和食を作ろうと計画。

衣吹。
「世間ではなくて社会を取ったので。」
「世間は無視して社会を優先。」

真歩。
「世間がどうたらうざいよ。」
「社会だけが人に与えられた場所です。」

羽衣香。
「世間は反社会的な集いですからね。」

衣吹。
「反社会的な世間は無視。」
「世間が釣っても舞台には行かない。」

真歩。
「観客の方が気楽で自由だと思われる。」
「彼らに任せておけば良い。」

衣吹。
「エピクロスの通りに。」
「隠れて生きよ。」

羽衣香。
「世間なんて中央集権にはなっていません。」

真歩。
「世間でよくある楽曲の歌詞が何か酷くて。」
「真面目に書いてあるのか怪しいし。」
「そんな酷い歌詞を舞台の上で。」
「笑いが止まらない。」

衣吹。
「朝三暮四な栄誉は嫌いです。」
「違いが無いのに区別されて。」
「賛美されるのは嫌い。」

羽衣香。
「他人に自分の価値を決めてもらおうとか。」
「愚かな考え方ですけれどね。」

真歩。
「違いが明確であるならば。」
「人気も違いが出て当たり前かと。」

衣吹。
「議論で勝利条件を達成した人よりも。」
「敗北判定になった人が学ぶことがよくある。」

哲美。
「頼むから建設的な生活をさせてくれ。」
「こう頼んで何回失敗したのか分からない。」

衣吹。
「社会で一騎当千をする予定ですか。」

哲美。
「昔は今の鏡。」
「とは言いますが。」
「ある時から古典を読めなくなって。」
「頭が真っ白になる。」

衣吹。
「愚書や悪書の要素を知らないと。」
「金銭と時間が奪われる。」

璃里歌。
「散文体の通俗小説をゴミ箱に捨ててしまった。」
「何が面白いのか分からないので。」

千麻。
「そんなのは一部だけが認めているだけでしょ。」

衣吹。
「一部だけに支持される大衆文学なんて。」
「気持ち悪い。」

哲美。
「通俗小説は漫画に手直しされて。」
「手直しされた内容が再設計されて。」
「映像になったりしているので。」
「元々の原稿は決まって酷いもの。」
「何度も再構築して繰り出すのは。」
「監督や制作会社の手腕であるので。」
「その過程で難ありの部分は削除されてしまう。」
「最初にいた作者の原稿はやはり見るに堪えないが。」
「監督が自分なりに再設計すれば。」
「売り物になると判断して。」
「成功させてしまう所が玄人だろうね。」

衣吹。
「監督ですと?」
「手段に拘泥しなければ。」
「目的は達成できるのでは?」

千麻。
「真面目過ぎると理解されないのでは。」

璃里歌。
「共感する内容を書いていたブロガーが突然。」
「自分主体の文法に変更したら。」
「あっという間に読者が離れたそうです。」
「大衆迎合主義ではないかと疑われる。」

千麻。
「ポピュリズム!ポピュリズム!」

学友。
「才能が伸びていますね。」

哲美。
「才能を植物扱いするな。」

学友。
「では、この天才はどう説明する?」

衣吹。
「私を天才とは呼ぶな。」
「才能が証明されたら。」
「その才能を売り飛ばして。」
「好きなものと交換してしまうよ。」

哲美。
「頑張るのは頑張らないよりもまし。」
「努力をするのは努力しないよりもまし。」

衣吹。
「私が群衆の味方をすると思った?」

学友。
「知っていても発狂する人は。」
「衝動が収まれば。」
「すぐに沈静化する。」

哲美。
「大人になるまでに人間の悪に備えておけ。」

羽衣香。
「人を信じないというより。」
「人が合理的であるとは信じていない。」
「というのが本当の理由ですな。」

真歩。
「性悪説は他人の合理性を疑う。」
「他人の合理性は信じない。」

衣吹。
「私は最初から。」
「国家の意向に逆らう者を。」
「叩き伏せる側だったらしい。」
「権威には逆らうな。」
「という警告を連発する。」

哲美。
「正しいとは支配者の利益に他ならない。」
「その利益実現のために動くのなら。」
「正しいという強者の利益は自分にある。」

衣吹。
「実は私がすべて正しかったのです。」
「みんなは正しくなかった。」
「正しいとは強者の利益で。」
「私の利益になっていますからね。」
「あるはずのない未来が生じるのは。」
「番狂わせが当たり前だからかな。」

学友。
「将来が楽しみな女の子ですなあ。」
「身体も能力も楽しみ。」
「どんな美人になるやら。」

哲美。
「人の未来予知が本当ならば。」
「その未来を防ぐことも簡単になってしまう。」
「あらかじめカンニングしているので。」
「動きを読めてしまえるため。」
「何でも阻止できてしまう。」
「なので。」
「本当は人の未来予知なんて。」
「誰も信じないように仕組まれたのではと。」
「思われます。」
「証拠がない限りは。」
「いくら未来予知が正確無比でも。」
「人に信じて貰えないでしょうね。」

学友。
「合理的な予測かは検証されていないし。」

哲美。
「半数の人々について。」
「片方は知っているから信じない。」
「もう片方は知らないから信じない。」
「両方共ヒューマニズムですよね。」

衣吹。
「不合理なヒューマニズムが伝統宗教に侵入したら。」
「人によって保障されているだけ。」

羽衣香。
「とりあいず人間に仕えるか。」
「神様に仕えるか。」
「どっちつかずでは不具合ばかりです。」

真歩。
「女性は特にそうですね。」
「人間を選ぶと人間に従わないといけません。」

衣吹。
「天才や信徒ほど孤立しますが。」
「それほどヒューマニズムが猛威を振るっているのです。」

哲美。
「人は言葉で善人を名乗るが。」
「行動は悪いもの。」
「言葉で善人であると説いても。」
「行動は悪いものしかない。」
「必ず言葉では善人を名乗り。」
「必ず行動は悪事になるもの。」

学友。
「善人を名乗れば何でもありと思ったら大間違い。」

衣吹。
「他人にへつらうこともなくなりますよ。」
「孤独になれば。」
「他人に媚びを売る必要もない。」

璃里歌。
「畜群は諂いと媚びばかりする。」

千麻。
「そんな人にはこちらから。」
「さようなら。」
「切り捨て。」

衣吹。
「日本には世間があって。」
「欧米には社会がある。」
「私は後者に合わせましたからね。」

学友。
「なんという合理的な。」

衣吹。
「世間なんかより社会を取りました。」

璃里歌。
「国際社会も考慮しなければ。」

衣吹。
「持続可能な社会の提案も。」
「ないよりはまし。」

羽衣香。
「忘れている教訓。」
「飢餓がよくあること。」
「災害が不意に来ること。」

真歩。
「忘れていそうな教訓。」
「戦争では向こう側とこちら側の。」
「言い分が異なること。」
「戦争ではその時代の当たり前が通っていること。」
「勝てば良いこと。」

衣吹。
「持久戦で負けない戦いは滅多にない。」
「最善の手段とは。」
「勝負をすべて無視すること。」
「勝負を軽蔑すること。」
「勝負とは他の視点で見たり。」
「捉えたりすること。」
「目的が共通の勝利とは限らないこと。」
「相手の勝負に乗らずに目的を達成すること。」

羽衣香。
「実戦は不合理な行動が何も通じない。」
「合理的な行動だけがすべて。」
「少しでも合理性の無い行動をすれば。」
「すぐに死ぬか倒される。」

哲美。
「あいつらの根性を叩き直してやる。」

衣吹。
「根性は金属なんですか?」

哲美。
「金属ではないですね。」

衣吹。
「誹謗中傷のアンケート結果を見たのですが。」
「だいぶ頭がおかしい人ばかりのようです。」

哲美。
「インターネットを見ていたら。」
「なぜ神経症の患者が多くて。」
「精神科医が人気の職業か理解できました。」

学友。
「原稿が煮詰まってきた。」

哲美。
「原稿は料理なのか。」

千麻。
「近くに自動販売機がある。」
「健康飲料まで売っているので。」
「簡易的な薬局かもしれない。」

衣吹。
「自動販売機で経験したもの。」
「誤った二分化法。」
「葡萄ジュースと苺ジュース。」
「どちらかを選択しないといけない時に。」
「二者択一ではなかった場面。」
「葡萄ジュースと苺ジュースを同時に購入しても。」
「二者択一から逃れられた。」
「どちらも選ばずに立ち去っても。」
「二者択一から逃れられた。」
「ふたつを選ばずに代替品をすぐさま購入しても。」
「二者択一から逃れられた。」
「選択肢は意外にも多かったね。」

千麻。
「生まれは自分が選ぶものですからね。」
「そうやって自分の選択だけが適用される。」
「選択肢による支配が現実です。」

璃里歌。
「出生が私を打つなら。」
「二倍の力で反撃しましょう。」
「私の選んだ通りになるなら。」
「心を開きます。」

哲美。
「手加減せずに傷つければ。」
「容赦なくこちらも戦おう。」
「もし争わずに。」
「通じ合えたら。」
「少しは譲ろう。」

料理が完成して振舞われます。

和食の研究をしているお姉さんが優秀。

女の子の一団がビデオゲーム持参で参加。

夜なので送迎車ありです。

衣吹。
「怠惰でも酔生夢死でもいけないので。」
「お宮に課題について伝えたら。」
「課題が生じるようになって。」
「こなせばこなすほど良い結果になる。」
「とにかく課題によって有利になる。」
「これは遠回しに怠惰を放棄したのであって。」
「善なるものを目的にしている私にとっては。」
「申請して良かった祈りです。」

璃里歌。
「ん?それは?」
「課題は一生あるでしょうけれど。」
「課題から逃げると不利益を招き。」
「課題に向かうと報酬が待っていたり。」
「結果が良いのです。」

千麻。
「私も申請しておこう。」
「課題をこなして少し休めば。」
「また次の課題が降ってくるので。」
「やっているうちに。」
「怠惰の性格が消されてしまいました。」

衣吹。
「怠惰とは課題を無視する態度なんですね。」
「課題を肯定すると楽々になり。」
「課題を否定すると苦戦しますが。」
「現代では課題ほど重要な目標はそうはありません。」
「包括した客観的な内容が課題なのです。」

璃里歌。
「課題は善なるものをもたらします。」

羽衣香。
「所で、アウレリウス帝の師匠はセネカでしたっけ?」

衣吹。
「いいえ、同じストア派ですけれど。」
「私の勘違いです。」

真歩。
「セネカの弟子はネロ帝ですね。」

衣吹。
「記憶が欺いた。」

羽衣香。
「ストア主義の学徒という意味ならば。」
「後継者とか呼んでも本当になるような。」

衣吹。
「なぜ間違えたのかわからない。」

真歩。
「無名なライターほど誤字に激怒する。」

羽衣香。
「有名なライターほど誤字に怒らない。」

衣吹。
「その時に訂正しなかったのは誰か。」

璃里歌。
「多少の間違いならばどうでも良いので。」

千麻。
「シェイクスピアですらスペルミスがありますし。」
「ホメロスでも系統の誤りがありますが。」

衣吹。
「きっとその時は居眠りをしていたのです。」

哲美。
「アドラー心理学で。」
「人の行為には必ず目的がある。」
「という意味を知りました。」
「何らかの目的があって。」
「それを探って突き止めるのは難しい。」
「個別に目的があって。」
「常に更新されているので。」
「他人の行為や自分の行為を知りたければ。」
「まず目的が何であるか。」
「調べるのが大切であると。」
「原因を調査しても。」
「何かの解決には役に立たない。」
「原因論とか。」
「理屈ではそうかもしれませんが。」
「実際には役に立たないね。」

雑誌を集めて机を囲んだり。

美術関連の書籍を読んだり。

人形劇が得意な姉妹が演目を開始。

簡単な人形劇を終えると。

女の子の一団が。

ダーツを開始したので。

そこに集中。

空き部屋で枕投げをして遊んだりも。

飛翔体を迎撃できるので。

接戦になったりと。

予定時刻になって解散すると。

すぐ近くで。

バーベキューをしている家宅があり。

ふと見てみると。

司令官。
「道化師をけしかけて。」
「人間の考えを変えようと。」
「したい放題させてみたが。」
「道化師はまるで使えない。」
「安直に突っ込んでやられるし。」
「自分達の損害も考えないし。」
「あっさり暴走して死ぬし。」

副官。
「あれで少しでも人間の考えが。」
「変わっていれば達成ですよ。」

司令官。
「いろいろと戦争の技術とか。」
「育成とかしてやったけれど。」
「信じられないほどの捨て駒だ。」

副官。
「我々は彼らを一時的にまとめて。」
「一気に解放して使い潰したので。」
「故意に立件せずに放置されていますね。」

司令官。
「見事な偽悪者だな、我々は。」

副官。
「昔から捨て駒の連中は多くいて。」
「勝手に発生したので勝手に使いましたからね。」

司令官。
「使い捨ての人材の一覧を送信して。」
「不用品を処分したものの。」
「何か功労者扱いだからね。」
「私は破壊をする予定だったのだが。」

副官。
「あんなテロリズムは。」
「たったひとりのイケメンから包括された。」
「なんてことは知っているはず。」

司令官。
「これは喜劇だ、いつもの手品師に戻りますかな。」

副官。
「どこの警察も知らないふりしますしね。」

司令官。
「無駄に集めて組織化して。」
「動かしまくった結果が。」
「大勢の物好きに対する見世物ですか。」

副官。
「あれだけ影の黒幕扱いされて。」
「実家でバーベキューという結末ですか。」

司令官。
「しかも世界にとって都合の良い展開になって。」
「悪漢を大量に処分して。」
「感謝されているし。」

副官。
「ああ!こうなるとは思わなかった!」

なにやら近くに大物がいるらしいのですが。

慌てて引き返しました。

家から離れ過ぎです。

年末はいつも通りになりましたが。

景色に同化する不吉な雰囲気を察知していて。

私は個人的な理由で祝い事や祝辞は自粛です。


29


お正月。

初詣の歓迎に。

関係者と引退した巫女。

揃って焚火や授与品が広げられ。

近所の氏子や崇敬者を待ち受けます。

姉妹も召集されて。

巫女服で参加。

毎年、特に変わらないお正月には。

そこそこの来訪者が来て。

神学を習っていた衣吹は。

参拝者と雑談したり。

雑務をこなしたり。

要領良く境内を移動します。

姉妹は作法や礼儀の案内のため。

鳥居の近くでお出迎え。

わかりやすく説明を繰り返す役割。

お昼になって休憩。

羽衣香。
「古事記では。」
「この方を頼りなさい。」
「こういうようにしなさい。」
「これを実行せよ。」
「という記述がとにかく多い。」

衣吹。
「玉依比売命様が夢に出てきて。」
「神社の礼拝所から進んだ。」
「神社の御神体の前で。」
「何か私に話しかけてきたのですが。」
「内容がわからず。」
「後から何となく内容がわかった次第です。」
「夢の内容で何か察することもあります。」

真歩。
「夢がそのまま天啓になる場合がよくありますね。」

衣吹。
「天啓。」
「祈願するとすぐに得られる。」
「特殊能力で。」
「国語辞典に定義が記載されていますね。」
「直感で把握できるようになります。」
「神意に気づきやすい直感の能力です。」

羽衣香。
「国語辞典と古語辞典もお宮参りに役立ちます。」
「なぜなら。」
「神社についての記述がすごく多いから。」
「前者は少し高めですが。」
「古語辞典は古本屋に置いてあります。」

衣吹。
「神社や神々の夢は。」
「景色が荒廃していることが多い。」
「半分荒れ地になっている夢もあり。」
「崩壊した建物も含まれる。」
「夢の内容は天啓の一種なので。」
「参考になります。」

羽衣香。
「日本書紀にも夢で貴人が出てきたとか。」
「暗殺未遂を知ったりとか。」
「夢占いの記述がありますね。」

衣吹。
「現代でも不思議な出来事は起こると知りました。」

真歩。
「神社が何であるか理解したら。」
「誰でも有神論になるでしょうよ。」

衣吹。
「歴代の総理や為政者は。」
「靖国神社に信仰を集めている。」
「もちろん個人として参拝しているので。」
「政教分離をしつつ崇敬者という側面もありそう。」
「これに異を唱えている者は反社会的である。」
「我が国が無神論ではないという証拠のひとつ。」

真歩。
「そのために自然科学を使っているのかな。」

衣吹。
「どんな宗教も暴走すると危険なのです。」
「人間が関与している限りは。」

羽衣香。
「イスラム圏はそのような暴走を起こしやすいのですが。」

衣吹。
「それと同じことで、あれは国際社会から非難されますね。」

羽衣香。
「市民が無神論を言う時は本当の所。」
「私は認識できないからやめてくれ!」
「という能力の限界を訴えているから。」
「不可知論者であると認定してあげると良い。」
「無神論者よりも不可知論者の方が。」
「圧倒するほど数が多いからね。」

真歩。
「進化論という俗説は。」
「哲学からして簡単に論破される。」
「なぜ動物が進化する必要があったのか。」
「そもそも人なしでは世界なんて成立しないので。」
「自然には鉱石や石油など。」
「人が利用する前提で成立している。」
「天然資源で溢れているし。」
「人がいなかったら。」
「世界は何の意味も持っていない。」
「動物しかいない世界なんて。」
「存続させる意味がないので。」
「進化論は自然科学の考えに徹していて。」
「哲学から反駁されると論破される。」

羽衣香。
「書籍や機械を見ればわかる通り。」
「人が機械を扱う前提で。」
「資源や技術があらかじめ設定されているので。」
「芸術ですら人がいないと出る訳がない。」
「要するに。」
「生物学の権威主義が広まり過ぎて良くない。」
「生物学とは他の立場を取る人なら。」
「いくらでもいるので。」
「多様性ということで。」
「進化論とはそういう考え方の人もいるだけ。」
「進化論が正解や答えを設定しても。」
「自分勝手な考え方を一方的に通す訳には行かない。」
「彼らは自分に都合の良い証拠ばかり集めるので。」
「俗説からは離れると害悪を被らない。」

衣吹。
「簡単に言えば進化論はポピュリズムであり。」
「もっとも迎合される俗説なため。」
「広まった程度のもの。」
「自然科学の考え方は機械くらいにしか。」
「適用できないということ。」

羽衣香。
「イオニア自然学を教わらない時点で。」
「自然科学なんて考えようもないですね。」
「イオニア自然学で考察が開始されて。」
「自然科学の起源になっていて。」
「それが世界に広まったものです。」

真歩。
「自然科学は元々。」
「イオニア自然学と同じものでした。」
「そこから独自に分離したものです。」

衣吹。
「学校教育の目的について問われている。」
「というよりは。」
「為政者は何かを防ぐために。」
「そういう通説を手段として。」
「使っている可能性すらある。」

羽衣香。
「彼らは簡単に言えば。」
「それ以上の結論を知らないし。」
「それ以上の結論は出せやしない。」

真歩。
「常に上を取る結論があります。」

衣吹。
「時にその結論が理解できなくなる。」

羽衣香。
「私はお宮参りについて。」
「永遠に続くものであると考えています。」

真歩。
「自分でも理解できない祈りを。」
「自分がしている場合があります。」
「これは良い兆候です。」

衣吹。
「理に合わない祈りだけはしないでくださいね。」
「逆罰とは言っても。」
「些細な罰ならば関係に亀裂は生じてはいません。」
「本人が誇張して受け取ってしまい。」
「解読できない場面もありえます。」

真歩。
「書庫で調べものをしていたら。」
「わからないことばかりです。」

衣吹。
「グズグズしているくらいなら。」
「さっさと八幡神社に行けば良いですね。」
「ぶつぶつ言っているくらいなら。」
「挨拶くらいに参拝すると。」
「難易度が優しいかと。」
「挨拶からお宮参りを開始するのが。」
「最も簡単で慣れやすいものです。」

羽衣香。
「祈願は時間経過も必須。」
「年月の経過で強く出る。」
「大昔に祈った内容が。」
「いきなり叶う可能性もあります。」

衣吹。
「感謝をお宮に伝えるのも良いものですが。」
「神恩感謝の札は数百円で受け取れるので。」
「大きな神社で数枚。」
「譲り受けているだけでもだいぶ違う。」

二人組が来まして。

仕事中と見て。

二人で話し込んでいます。

境内社に移動しながら。

由緒や日本書紀と古事記の話をして。

意見交換しながら。

璃里歌。
「あらゆる行いで。」
「観客がいるとは思わないこと。」
「しかも観客がいても。」
「賛同してくれるとは限らない。」

千麻。
「しかし誰もいなかった。」

璃里歌。
「女性の人生は幸福が多いらしいのですが。」
「それ故に判断を誤りやすい。」

千麻。
「女性が弱いのではなくて。」
「女性が男性を負かした実績が。」
「まだ多くないから。」
「弱いという定評がついてしまっている。」

璃里歌。
「男性が女性を定義したのなら。」
「功利主義から見る女性みたいな誤謬になる。」

千麻。
「功利主義は現代でもっとも多い支持者を持つらしい。」
「功利主義以外の人々にとっては少し迷惑。」

璃里歌。
「この世の物事の大半は手品ですよ。」
「手品に惑わされると大変。」
「あらゆる種類の手品に引っかかるのは面倒くさい。」

千麻。
「男女同権はまだ間に合いますよ。」
「男性が政策を男性中心で。」
「決めてしまっていても。」
「まだ改める機会は恵まれています。」

璃里歌。
「女性の成功例を知らないんだからね。」

千麻。
「少し試してみると。」
「物流に関する人を一日だけ。」
「不要であると停止させてみるとする。」
「すると日本の物流の一部が遮断されて。」
「しばらく日用品が不足する。」
「すると結局は。」
「必要な人員で構成されている。」
「正当な人員であることが証明される。」
「そして責任は不要と切り捨てた人々に向かう。」

璃里歌。
「何か女性について客観的なものでもあれば。」
「もっとましになるでしょう。」

千麻。
「男女共に性別については主観的ですからね。」

哲美さんが後から慌てて来て。

福銭を貰い受けると。

慌てて立ち去りまして。

お正月でも忙しい人がいるんですね。

お昼休憩の場に行くと。

二人組が正門から訪ねて来て。

軽く食事を取ってから。

雑談を楽しみました。

衣吹。
「イーリアスとギリシャ神話で出てくる。」
「トロイヤ戦争では。」
「英雄の戦闘力がお手本になり。」
「特にアキレウスが出てくると。」
「兵士三十人で対抗してもほとんど無駄で。」
「英雄が突進すると。」
「片方の陣営に多大な戦死者が出ています。」
「その英雄は相手の陣営の英雄と一騎打ちのような。」
「戦況にならない限りは。」
「ほとんど負傷しなかったり。」
「戦死すらしません。」

千麻。
「アキレウスは半神半人の英雄です。」
「戦場に出ると。」
「敵陣営の兵士が一斉に逃亡したとのこと。」
「パリスの矢で弱点を突かれた説と。」
「生存して帰還した説と二通りあります。」
「ヘレネ拉致のパリスは生き残ってはいません。」

璃里歌。
「ちなみにトロイヤ城はそれ以前に。」
「ヘラクレスが難なく落としたらしいのです。」
「ゼウスの姫御子であるアテナが積極的に参加して。」
「両軍を敗北に導いていました。」

衣吹。
「アキレウスはギリシャ中央部の領主で。」
「英雄時代はギリシャ全国。」
「分割して統治されていましたね。」
「トロイヤの地はトルコ北西の末端。」
「黒海に繋がる運河沿いにあります。」
「遺跡として現存してあるので。」
「観光客がよく集まります。」

璃里歌。
「オデュッセウスが遭遇した巨人の投げた岩は。」
「今でも語り継がれています。」
「ちなみにポセイダルの息子で巨人は。」
「オリンポスで鍛冶の神とも言われています。」
「ちなみにあの部下は結局。」
「全滅してしまいました。」

千麻。
「オデュッセウスと組む家臣と求婚者の集団では。」
「人数では求婚者が大勢と。」
「数で劣ってはいましたが。」
「オデュッセウスは苦戦しながら。」
「けっこう一方的に殺しまくっています。」
「結果は求婚者の全滅で。」
「報復に来た親族とは和解が成立しています。」
「いくら多勢に無勢になっても。」
「英雄には勝てないのです。」

衣吹。
「息子のテレマコスは向かってきた。」
「求婚者の親族に。」
「またもや多勢に無勢になりながら。」
「突っ込みましたら。」
「アテナの介入で一時的に無敵になり。」
「相手の集団はテレマコスによって。」
「全滅しかけまして。」
「そこで争いが止まったのです。」
「ホメロスが編集したのは。」
「それより時代が進んだ頃なので。」
「英雄の時代ではなくて鉄の時代に。」
「編纂されているようですが。」
「詳しくはそれ以上は調べようがないので不明ですね。」
「昔の偉人が描いた史実に基づく物語です。」

璃里歌。
「アリストテレスは書庫で育ったと言われていますし。」
「昔の歴史書くらいは。」
「余裕で置いてあったのでしょう。」
「あの時代にも膨大な蔵書を持つ書庫が。」
「平気であったのはとても意外なのです。」

千麻。
「自然に情報が集まるので。」
「論文として出したら際限が無さそう。」

衣吹。
「古典しか読みませんからね。」
「当たり前です。」

千麻。
「歴史において自然科学を。」
「ここまで広げたのは。」
「今の時代の人類だけかもしれないと思う。」

衣吹。
「学者や知識人は研究が未だ足りていないので。」
「脆弱性や見落としは多いようです。」

璃里歌。
「自分に都合の良い証拠しか集めなくなったら。」
「学者も批判に晒されます。」

衣吹。
「私は好奇心で調べているので。」
「興味本位である限りは。」
「新説を発表したりはしないと思います。」
「公に出されると反駁は必ずありますので。」
「論争に耐えられる発表なんて無理ですね。」

千麻。
「それだとマニア向けの分析結果となりますね。」
「学説よりは危険が少なくて。」
「教養のひとつならば。」
「目立った批判はされないかと。」

衣吹。
「私も個人的に述べているので。」
「そもそも知識人の解説本で。」
「学んでいった経歴がありますから。」
「あの中に投入するかと言われると。」
「自分が出す学説の公表は否定します。」

璃里歌。
「溜まった思想を出したいがあまりに。」
「論文にしているのでは。」

衣吹。
「まあ何かの役に立てばよろしい。」

千麻。
「もちろんです、何かの役に立てば良い。」

衣吹。
「それでホームページを作ろうとしているのですが。」
「趣味をインターネットに入れる場合は。」
「設計思想から出さないと難しそう。」

璃里歌。
「インターネットは当初。」
「身内だけで使用する。」
「研究機関と他の研究機関。」
「大学などを結ぶ。」
「情報共有の仕組みでした。」
「国防のために整備されて。」
「情報の交流を促進させていましたね。」
「見知らぬ人が使用することは想定していません。」
「それがいつの間にか。」
「民間に開かれるようになりました。」

休憩は短いので。

お昼にも崇敬者が来て。

神事があります。

雑談を楽しんだおかげで。

動きが良くなり。

活発になりまして。

衣吹。
「前より私の力は倍に増えていると知れ!!」

璃里歌。
「持論は使い物になる!」

羽衣香。
「いや!使い物にならない!」

真歩。
「独断になるよりも。」
「新しい学問に便乗した方が。」
「蓋然性が高くなってお得。」

衣吹。
「歴代の哲学者も。」
「何かしらの先人から学んで。」
「展開していたので。」
「正統な系統から外れた学問はありえない。」

千麻。
「孔子ですら日本で祀られている場所があります。」

衣吹。
「主観主義対客観主義なんですよ。」

羽衣香。
「何かしらの客観的なものに便乗するだけで。」
「目的は達成できると思いますが。」

千麻。
「それをしないのではなくて。」
「したくないのでは。」

璃里歌。
「哲学でよく非難されるのは。」
「自説に固執する強情っぷり。」

衣吹。
「学問が何であるか少しも理解していなかったり。」

真歩。
「学歴があっても実際に使えなかったら。」
「失望したと言われますね。」

璃里歌。
「詭弁だったら誰にも負けない!」

羽衣香。
「正論ほど詭弁に思われがちですが?」

衣吹。
「道理にかなっている意見ほど。」
「嫌われがち。」

千麻。
「目的が正論ではなくて。」
「他にあるのであれば。」
「争点など他所にあります。」

璃里歌。
「通俗小説も。」
「あれで成功するのなら。」
「功利主義からしての成功です。」

羽衣香。
「市民から陰口を叩かれるのが成功ですか?」

衣吹。
「文章が書けるからと言って利口とは限らない。」

真歩。
「問題は数ではなくて質です。」
「賛同した人数より。」
「芸術としての質です。」

羽衣香。
「暗黒卿は映画で。」
「信仰心の欠如ほど不愉快なものはない。」
「とか言っていました。」

千麻。
「世間の事例を引くのにも。」
「風刺なら結構ですが。」
「哲学では困る。」
「賢明な人ならば家でも平穏であり得る。」
「為政者を馬鹿者として示したとして。」
「それは他の人に何の解決にもならない。」

衣吹。
「人は自由を基本としていないと。」
「まったくもって無意味。」
「無論、自由が無ければいないのと同じ。」

羽衣香。
「セネカの格言。」
「人間にとっては至る所に自由への道が開かれている。」

璃里歌。
「害悪を取り除くのは未来への視点とのこと。」

羽衣香。
「格言にも。」
「過ぎ去ってしまったものもまた。」
「もはや我々を支配することができない。」

璃里歌。
「人は主観と客観が入り混じっているものですしね。」

衣吹。
「しばしば。」
「詐欺や過失にも該当しない行為でさえ。」
「それによって他の人々を不幸に陥れたという理由で。」
「詐欺や過失と同じように。」
「心情及び良心の問題にしてくる。」

真歩。
「道徳は自らの幸福を破棄することがある。」

千麻。
「他人の幸福を容認したりはしない。」

みんな新年の挨拶に来ていたのです。

最近はあんまり風習に捉われない人もいて。

普段から参拝している人は。

地域のお宮にいたそうです。

忘れていたであろう福銭を渡して。

二人組は帰ります。

姉妹が境内社について案内していたので。

裏手や側面にはけっこうな人がいます。

焚火にはサツマイモを投入したり。

私は甘酒を配って忙しくなり。

神事が開始されると。

天下泰平を祈願する一団が来たりと。

慎ましく新年が祝われました。

私は巫女服の下にぶかぶか服を着ていて。

何とも暑い冬なんですが。

天下は凍えているようです。


30


社務所の奥にて。

訓練を終えて。

姉妹が来ていまして。

ついでに。

古典についての雑談。

衣吹。
「多少の禁欲は人生に有益。」

羽衣香。
「有益とはストア倫理学の要点。」

真歩。
「ある程度は不真面目で生きる。」
「真っ直ぐでは揶揄されるし。」
「強者を褒める勇気が必要です。」
「雑に生きる方が通過しやすい。」

衣吹。
「安直で世渡りが上手な人はまずいない。」

羽衣香。
「その人の善悪の基準は笑いものですよね。」

真歩。
「歴史でよくある作戦くらいは使いたい。」

衣吹。
「策略は使わないに限るが。」
「出し惜しみはなし。」

羽衣香。
「立派とは正反対の人が成功するなら。」
「それが正しい意味になりますし。」

衣吹。
「成長ばかりで人格を磨いても。」
「どこまでが現実的なのか。」
「どこまでで終えるべきなのかは。」
「何の懐疑論も入り込まない。」
「単に立派になれと言われても。」
「説得力がない。」

真歩。
「一歩でも間違えれば。」
「人格も立派な人も。」
「奴隷道徳に基づいて立派な人とか。」
「奴隷道徳からして人格者とか言われそう。」

羽衣香。
「そんな所に労力は使わないよ。」

真歩。
「質素は節約。」

衣吹。
「何か豪華絢爛な世界があるとか。」
「夢ばかり見ている人もいますけれど。」
「構図を解体するとけっこう退屈なんですね。」

真歩。
「社会情勢は見ておき。」
「自分なりの意見を持っておく。」

羽衣香。
「全体で一致する見解があると思い込む。」
「さては、腐敗して全体主義になったのかな。」

衣吹。
「何か一致する考えがあると信じるのは誤りです。」

真歩。
「人生の番狂わせを狙うのが最速の攻略。」

羽衣香。
「活動範囲を作為的に絞れば。」
「何でも自分に向かってくるものは外れます。」

衣吹。
「何か全員が同調するような考え方なんてないしね。」

真歩。
「同調だけ求めている人々がいたりして。」

羽衣香。
「道徳も既成概念。」

衣吹。
「道徳を振りかざす者は。」
「過ちを犯せば道徳を理由に。」
「やりたい放題の誹謗中傷をされる。」

真歩。
「他人からは高圧的に見えるので。」
「そいつの失敗が他人のとっての憂さ晴らしですよ。」

羽衣香。
「それでは、道徳を無視するとたいてい平凡になるかと。」

衣吹。
「平凡が生存の強みになる可能性がある。」

真歩。
「あらかじめ知ってからでないと。」
「世渡りは危険。」

羽衣香。
「登山や雪道くらいは平気でいられる。」
「世渡りはそのくらいで足りる。」

真歩。
「ならば、勢いのある者に入れば良いの?」

衣吹。
「権力者や人気者に取り入ると。」
「失脚した時に道連れになるので。」
「その可能性は考えておく。」

羽衣香。
「やはり、世間は危険な場所なんですよ。」

真歩。
「正しいからと言って特別扱いはなしです。」
「今更、正しいと名乗っても逆効果。」

衣吹。
「正しい生き方とか善い生き方は。」
「そういうものがあるくらいで考えておく。」

真歩。
「そうすると、既に成功した人は?」

衣吹。
「地位が上がると防衛が必要なので。」
「財産や地位を得たら。」
「安全は持っていない。」

羽衣香。
「激戦区という訳ですね。」

衣吹。
「楽しいことの次は厄介なことで。」
「物事が進むと。」
「すぐに良くないことが生じる。」
「このような繰り返し。」

羽衣香。
「自分に基づいて人生観は構築されますからね。」

衣吹。
「自分の主体性を拡大すれば。」
「成功しても何も思わないし。」
「失敗しても何も思わない。」
「主体性を持っていないと。」
「他人任せで環境に任せて。」
「失敗すると。」
「それらのせいにするだけ。」

真歩。
「主体性の確保に外的帰属は必ず妨害しますけれどね。」

羽衣香。
「まったくもって外部のせいにしないのは。」
「頭が悪い。」

衣吹。
「自分だけに責任があると信じるのは。」
「不利になるので。」
「お人好しの理屈です。」

真歩。
「自分が操作できるものは消す。」

衣吹。
「減らすのは簡単で。」
「減らすことを実行すれば。」
「減らした物事から離れることができる。」

羽衣香。
「人生の目標が拡大すると。」
「一度に複数の物事に取り掛からないと。」
「そうなると手間が分散してうまくいかない。」
「やはりやることは減らすもの。」

衣吹。
「事業に成功する人は。」
「物事に捉われない性格であるし。」
「強欲で何でも拘泥する人は事業に失敗する。」

真歩。
「世人とは違う選択肢があると知ってほしいものです。」

羽衣香。
「破滅の道は広い。」
「大勢が通る道は破滅の道。」

衣吹。
「今は善人と悪人の区別がつかないので。」
「昔の方が社会は簡単でしたね。」

真歩。
「善行と称して。」
「他人に何かして自分の利益を図ったり。」
「見返りを期待するのは。」
「悪事の限りを尽くすのと同じ。」

羽衣香。
「福祉や善行を利用して。」
「善人呼ばわりされたいのかな。」

衣吹。
「そうすると、軽蔑されて。」
「感情論で反駁しようとする人も出てくる。」

羽衣香。
「感情論が多くて自分だけが正しいと。」
「思っているような独善的な人には。」
「話しかけないのが良い。」

真歩。
「厳しいかもしれませんが。」
「厳しいほど他人から反撃を受けますからね。」
「程々がいかに大切が理解できます。」

衣吹。
「厳しくすると恨まれたりする。」
「不当な仕打ちを受けて。」
「厳しさに反感を抱くのです。」

羽衣香。
「厳しいほど下手であると見なしますよ。」

真歩。
「手本を見せるような人なんていません。」

羽衣香。
「厳しいほど、他人から嘲笑される羽目になる。」
「軽蔑されて当たり前。」

衣吹。
「人の言動には矛盾があるのが当たり前。」
「相手が話す内容に囚われず。」
「判断する。」
「話す内容とは他の要素。」
「別の所で判断する。」
「言葉も行動も伴っていないだろうから。」
「人は自分で矛盾したことも話すのだから。」

羽衣香。
「人は薄情であることは知っておくもの。」

衣吹。
「前例を追いかけるのは貧しい創造性の持ち主。」

社務所内で。

隠れて議論しています。

自分で選んだので何でも自由です。

衣吹。
「通説を信じる人が続出している。」

羽衣香。
「より迎合される通説が引き合いに出される。」

真歩。
「正否よりも迎合という通説の集大成もある。」

衣吹。
「究極の懐疑論者は蓋然性しか見たくないとか。」

羽衣香。
「デカルトの書籍でありますね。」
「疑い続けたら。」
「蓋然性の高低で判断するとか。」
「穏健な意見が最良とか。」
「疑い続けるとそうなるという。」
「懐疑論はそこに辿り着く。」

衣吹。
「通説を流す人を疑わないとか。」
「発信者を疑わないのは矛盾しています。」

真歩。
「俗信すらも引き合いに出す人々が。」
「無知でないという証明はできません。」

衣吹。
「証明できないものだけを指摘すると。」
「無限に続く詭弁が生じますよ。」

真歩。
「事実とは何ですか?」
「誰かが定義できるじゃないですか?」

羽衣香。
「誰かが言った内容が事実になる。」
「それでは事実なんて疑わしい。」

衣吹。
「事実も主観的な見解に過ぎません。」
「むしろ客観的であることはほぼ無理な注文です。」

真歩。
「事実とは何かについての返事はありません。」

羽衣香。
「説明できない時点で事実なんて無いものですよ。」

衣吹。
「それが事実であることは証明できない。」
「とだけ付け加えます。」

真歩。
「もし?行動で示せたならば?」

衣吹。
「氷があります。」
「これはいつ溶けるでしょうか?」
「クイズです。」

真歩。
「どう計算すれば良いのかな。」

羽衣香。
「計算式を書きます。」

衣吹。
「では、氷を粉砕します。」
「これがクイズの正解です。」

真歩。
「なるほどね。」

羽衣香。
「算術が砕け散った。」

衣吹。
「ここにリンゴがあります。」
「このリンゴは一時間後にも。」
「原型を保っているでしょうか?」

羽衣香。
「一時間では腐りません。」

真歩。
「一時間後にもそこにありますよ。」

衣吹。
「それでは、リンゴを破壊します。」

真歩。
「なるほどね。」

羽衣香。
「事実とはそういう意味でしたか。」

移動開始。

隣の区域にあるお宮。

境内社が多く。

必要なものを受け取るために。

各地を訪れています。

衣吹。
「宇宙から地上を見たりすると。」
「なにもないのと同じ。」
「あるのは文明で。」
「人は見えない。」

真歩。
「見えないほど小さい。」
「作り上げた文明も。」
「無に等しいくらいの景色。」

羽衣香。
「というよりは。」
「宇宙から見た地上が。」
「最も雄弁で。」
「多くの言葉を持っています。」

衣吹。
「宇宙にすっかり慣れてしまい。」
「当たり前のものになりまして。」
「宇宙からの画像が。」
「あんまりにも普遍的にあるので。」
「人も宇宙の一部分に過ぎないと。」
「察してしまう。」

真歩。
「特に地上の一部分を構成しているに過ぎない。」
「あの中の些細な構成員。」

羽衣香。
「あんなに集まってようやく風景になる。」
「地上の一部になっていると知ってしまう。」

真歩。
「宇宙ばかり観察していると。」
「地上が狭く思えますね。」

衣吹。
「いつ見ても宇宙に吸い込まれそうですよ。」

祈願。

実の所は。

行動の自由を得る目的のために。

手段は問わないのです。

すべては行動の自由を得るまでの出来事。

故に、自由を否定するものは何でも撃破する。

女性は行動の自由がないと言われていますが。

もし?行動の自由をすべて確保したら?