序章。


星たちよ。

それらの輝きを。

この空に降り注ぎ。

常永遠からあるのよ。

遥かむかしにいつからか輝いていて。

降り注いでそれらに心踊ろされる。

そして。

キラキラ星になって。

燃え尽きて灰になる。

それが繰り返されていく。

この銀河に。

遥かに降り注ぐ。

この世のはじまりから。

これも銀河の中に。

この世の果てから降り注ぐ。

私達この世の一部に過ぎない。

この世の一部。

この世の一部。

宇宙の一部に。

私達は溶け込んで。

私達は宇宙に溶け込み。

一部として常永遠に溶け込んで。


思慮の徳こそ、幸福のためには、なににもまして備えるべきものなり。

ソフォクレス 「アンティゴネ」


いたずらに奇跡を書いているのではなく。

ごくあたりまえのことを書いているだけ。

フランツ・カフカ。



「理法」に従う事を選択した人類は。

「無為自然」宇宙の原理に沿って文明を発展させ。

独自の文化を編み出しつつ。

地球外に出る技術を確立。

長い月日を費やし。

宇宙進出を果たした人類は。

数々の住める星を開拓していく。

その最中。

まったく同時期に。

同じく宇宙進出を果たして遭遇した。

仲間の宇宙人とコンタクト。

お互いに同盟を組み。

惑星の開拓が活性化。

その過程で多様な変化が発生し。

人に進化が訪れた。

宇宙時代を迎えた人類は新しいステージに入っているのです。

自然豊かな農業惑星「ナトゥーラ」

ひとつの女の子が屋敷に住んでいるよ。

メディオクリタース・フォン・シュミット。

大農園を経営し。

土地を貸して生計を立てる。

名門貴族の娘。

知り合いでなんでも屋のフルークトゥスと一緒に。

豊かな自然。

森林と小川と未舗装の道。

くさむらと花畑。

いつもの散歩を楽しんでいる。

メディオクリタース。
「二天一流は学んでおきたい。」

フルークトゥス。
「最近とても訓練に励んでいらして。」
「成果も上々。」
「たのもしい限り。」

メディオクリタース。
「訓練もなしに公に出ようとする。」
「これ無謀。」

フルークトゥス。
「その通りにございます。」
「愚かな者は自惚れがあり。」
「準備もなしにいきなり仕掛けるものです。」

メディオクリタース。
「それで何年も頑張る。」
「負ける事を考えていない。」

フルークトゥス。
「大衆を楽しませる職種などそれが濃厚に出るもの。」
「必ず売れると言いましても。」
「大衆に支持されるのは一握りですから。」

メディオクリタース。
「勝負というものを知らないようです。」

フルークトゥス。
「勝負や戦いは勝敗がつくまで。」
「わからないものです。」
「自信満々は何か根拠があるのでしょうか。」

メディオクリタース。
「相手の実際の力量も分からずに。」
「強弱を推し量るのは危険行為。」
「それと同じようなもの。」
「しっかりと力をつけた上で世間で勝負に出れば。」
「負けることくらいは回避できそう。」

フルークトゥス。
「むかしは生まれ持った才能がすべてでした。」
「それによってほとんどが決定されていたのです。」
「しかし運命は彼らに微笑まなかった。」
「あの栄光も一時的なものでした。」

メディオクリタース。
「花のように儚い。」
「長い目で大局を見極める者が。」
「陰で自分の勝利を収めるのでは。」

フルークトゥス。
「脚光を浴びたとして。」
「私にはそれが価値があるとは思えません。」
「何分知恵がございまして。」
「スポットライトに酔いしれるのも随分と愉快でありましょう。」

メディオクリタース。
「しかしその人と他人の結果は同じになります。」
「知恵で理解できますか?」

フルークトゥス。
「確かに結果は同じです。」
「わからないうちは楽しいものです。」
「私も舞台に出た事が数回あります。」
「ルサンチマンになるつもりはありませんが。」
「あの場合人気というものは大衆を楽しませた成果であり。」
「決して誇れるものではありませんでした。」
「彼らにとって都合の良い劇団・役者だったのです。」

メディオクリタース。
「チャップリンのように喜劇として完成されていれば。」
「あなたも尊いものだったでしょう。」

フルークトゥス。
「チャップリンは今でも偉大な先生です。」
「先人たちが確立した歴史公認の技能は受け継いでおります。」

メディオクリタース。
「人気とは受けが良いという意味です。」
「しかし正統な人物の評価が必要だと思っています。」

フルークトゥス。
「ですから。」
「大勢が行く道が正しいなんて誰が言えましょう。」

メディオクリタース。
「歴史には教訓が詰まっておりますね。」

フルークトゥス。
「古きを訪ねて新しきを知るのです。」
「むかしの人々の行いが素晴らしいので。」
「あなたにも学んでほしい。」

メディオクリタース。
「これは巨大図書館。」
「念入りに通いましょう。」

フルークトゥス。
「私の体験が役に立つのであれば。」
「またお誘いください。」

メディオクリタース。
「その時はよろしくです。」

ふたりは別れた。

家庭教師であるフルークトゥスは本来作家。

政府から「優れた人材」のデータを集めてくるように依頼され。

いろんな所を飛び回っている。

多忙な人物。

久々の休暇で。

それも中途半端に終わってしまいました。

現時点でのリストが欲しいと連絡が来て。

自宅へ帰りました。

仕事以外は副業に勤しむ仕事好きです。

メディオクリタースは帰宅し。

剣を持ってきて。

庭にある人形を切り刻む訓練を開始。

メディオクリタース。
「二天一流。」
「ただ人を斬るというような明確な目標に対して徹底的に突き詰め。」
「固定化した技術や動作ではなく臨機応変のスキルを身に着け。」
「戦いにおいて平常心を保ち。」
「戦闘技術は「柔」を徹底した。」
「千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を錬とす。」

昼食になり。

メイドさんが忙しくなる。

食事量を少なくしているメディオクリタース。

栄養管理士は良しとしている。

自室に閉じこもり。

絵画や動画の編集。

執筆など。

特に詩やジョーク集の完成を急いでいた。

オンラインゲーム戦争が開催される為。

スケジュールを調整していたのです。

次の日には巨大図書館で。

メディオクリタース。
「速読を身に着けたから。」
「すべてに目を通しておく。」

リベロ。
「これ全部?」
「やるね。」
「私は専門書が中心。」

マギステル。
「わたしは汎用性を高めよー。」

メディオクリタース。
「それだったら。」
「区画7−2にそれに関する本が大量にあったよ。」

マギステル。
「え?行ってみる。」

リベロ。
「めっきー。」
「速読の性能を高める本なんてあるよ?」

メディオクリタース。
「りべち。」
「くれ。」

マギステル。
「さっき9−8区画の中央部分。」
「タイトル忘れた。」

メディオクリタース。
「行ってくる。」

休日になると図書館は大賑わい。

でもあまりに巨大な図書館で。

羽田空港の敷地と同程度。

数千年分の知識から。

おもしろ本まで。

文化惑星が近くにあり。

文芸や芸術。

キャラクター作品の解説書まで。

豊富な品揃え。

フルークトゥス。
「おや。」
「何かお探しで?」

メディオクリタース。
「人間基礎入門って知らない?」

フルークトゥス。
「貸し出しがあまりに多い本ですので。」
「そのうちの一冊を確保しておきました。」
「使ってください。」

メディオクリタース。
「ありがとう。」

図書室5−2。

読書エリア。

メディオクリタース。
「超人になれると思う。」
「図書館ほど素晴らしい施設は無いかも。」


マギステル。
「その意見には賛成します。」


リベロ。
「見てみて。」
「チート軍団と戦う文学があった。」

マギステル。
「不正軍団とどう戦うか?」
「これずっと昔の映画の原作。」

メディオクリタース。
「えー?」
「敵にわざと不正をさせて戦うの?」

リベロ。
「そうそう。」
「最悪なチートを使わせて。」
「AIが公式チートの限りを尽くして。」
「チャレンジャーたちが極限バトルを繰り広げる。」

マギステル。
「ずっと昔に有名だったものだけれど。」
「もう忘れられているのね。」

メディオクリタース。
「古きを訪ねて新しきを知る。」
「私達もやってみない?」

リベロ。
「それいいね。」

マギステル。
「プログラムは任せて。」
「ゲームソフトはどれにする?」

みんなで相談。

帰宅して。

オンラインで接続。

2時間で仕上げた即席チート軍団と。

ゲームでバトル。

最初はインチキが異常な強さを発揮し。

たとえば。

壁を貫通してダメージを与えるコンバットや。

AIに一撃必殺を付加したり。

敵をターボ状態にして高速移動など。

有り得ない相手と戦うのに夢中になり。

気付いたら夕食でした。

小型ノートパソコンのドローンが注意しに来たので終了。

夕食のち。

満月を屋上から観察。

せっかくなので天文台に移動。

リベロ。
「チートバーサスおもしろいわ。」

マギステル。
「でもギリギリ勝てるよね。」

メディオクリタース。
「もうちょっと強くしてみようよ。」

マギステル。
「あの3倍の戦闘力は出せるよ。」

天文台にて。

プレアデス星団とセイファート銀河。

クエーサーなど。

誰でも利用できる天文台で。

無人の施設。

都市から離れた放置された天文台。

でもシステムは生きています。

たまに放置された天文台はあるのです。

メディオクリタース。
「きれい。」
「宇宙は独特の美しさがある。」

リベロ。
「自然美だわ。」

マギステル。
「なんかツボるんだけど。」
「木星とか風速1000メートルの暴風とか言われると。」
「なんかツボるわ宇宙。」

メディオクリタース。
「水の代わりに硫黄がある衛星とか知っているよ。」
「ツボるよね。」

リベロ。
「生命体がいる惑星と違って。」
「そういう所に宇宙の秘密があるんだよ。」

マギステル。
「いやあ宇宙は無ではないところも素晴らしい。」

メディオクリタース。
「ただ感服と感動。」

天文台を後にしました。

さて。

オンライン・ゲーム戦争と言って。

複数のゲームで自由戦争をする大会があり。

精鋭部隊の一員として参加。

かつて地球で発生した第三次世界大戦を再現するシナリオで。

戦闘機パイロットのひとりとして参戦。

F-22ラプターで制空戦闘をする三人娘。

でもSu-57が登場すると分が悪くなり。

基地に帰投。

戦果は5機撃墜。

被撃墜はありませんが。

味方がかなりやられました。

歩兵は2000対2000のフィールドがあったのです。

結局。

一次作戦は敗戦。

次の戦闘で挽回。

両陣営の戦力が枯渇してドローゲーム。

戦争ゲームでは勝ちきれませんでしたが。

メディオクリタース。

総撃墜が15機でエースパイロットとして公表され。

リベロとマギステルも10機撃墜して。

最優秀プレイヤーを占領することに成功しています。

大会は一週間で終了。

メディオクリタース。
「大会終わった。」
「いい成績でしたね。」

リベロ。
「格闘戦でやられるかと思ったよー。」

マギステル。
「何度もIRミサイルで狙われたし。」
「まあ技量で大幅に上回っていたし。」

メディオクリタース。
「それで。」
「図書館の発注ミスで。」
「極秘の資料を手に入れていたり。」

リベロ。
「なになに?」

マギステル。
「見せて。」

メディオクリタース。
「極限まで鍛え上げる。」
「強化兵のプログラムが。」
「国家機密って知ってた?」
「一般向け資料として出回っていたけれど。」
「やっぱり回収しちゃった筈の本があって。」
「スキャンしといた。」

リベロ。
「なにこれすごい。」
「いろんな奥義や戦い方。」

マギステル。
「信じられないほど戦いを知っている資料だ。」

メディオクリタース。
「わたし独学で習得してみる。」

リベロ。
「これを取得すれば私も超人?」

マギステル。
「資料くださいな。」

メディオクリタース。
「コピー済み。」
「人に知られないように。」

独自の修練を重ねるようになっています。

レベルが飛躍的に向上。

フルークトゥス。
「おやおやこんなものを。」
「本の表紙だけでも変えておきなさい。」

メディオクリタース。
「そうします。」

フルークトゥス。
「人の寿命は10倍にされたのです。」
「そんなに急がなくてもいいでしょう。」

メディオクリタース。
「ゆっくり急げ。」

フルークトゥス。
「お解りであれば。」
「そのデータを誤魔化しておきますね。」
「お任せあれ。」

テレビ型ドローンが接近してきて。

中継がありました。

地球・宇宙人との連合軍から派生した。

治安維持部隊「ASAT」と未確認の宇宙人が交戦していると。

進んだテクノロジーを持つ。

新たな宇宙人と同種族が戦っており。

秘密裏に接触していた事が明らかになりました。

「オプティムス」と呼ばれる彼らは。

かつてひとつにまとまっていたものの。

ある時「園」を発見した。

その中央の木の実は決して食べてはいけない。

木々を切り倒し。

中から秘宝を得なさいと。

いにしえから伝わってきた教えであった。

しかし一部の異端者は食べてしまい。

呪われてしまった。

一度は粛清するも。

伝染によって。

やがて過激派となり。

数を増やして内戦に発展。

その者達は惑星「レスティンギトゥル」を即時に開拓して逃れ。

子孫を残してしまい。

呪われた体を持つ同族が繁栄。

同調した者達も続き。

巻き込まれた人達の救出作戦を長年行ってきたものの。

遂に異端者の国が宣戦布告。

圧倒的に劣る戦力と圧倒的に勝る数で。

反乱をしていた。

というものでした。

メディオクリタース。
「私達の所に来るかも?」

次の日。

公園で雑談。

リベロ。
「観光惑星スクリーバが詛呪たちの襲撃を受けた。」

マギステル。
「詛呪なんて呼び方をされる連中なのね。」
「戦況は?」

リベロ。
「巨大宇宙船を撃破。」
「追い払った。」

メディオクリタース。
「そんなに強くないの?」

リベロ。
「正統派オプティムスよりも知能や技術力が劣っていて。」
「私達の兵器でも勝てるみたい。」

マギステル。
「新しく加わった宇宙人は何百年も戦っているの?」

リベロ。
「呪われし詛呪たちの中に。」
「死なせてはいけない。」
「新しい可能性を持った者が混ざっていて。」
「迂闊に滅ぼせないそうだよ。」
「もう資料公開されているよ。」

メディオクリタース。
「長かった平和の時代は終わり。」
「再び戦争の時代に突入かな。」

マギステル。
「終わったら今度は改革?革命?」

リベロ。
「戦乱の世はたまにあるから。」
「終わらせる事が大切。」

マギステル。
「やっぱり勝たないとね。」

メディオクリタース。
「戦乱はいつでもやってくる。」
「それに対して用意があればいい。」
「終わればまた平和の時代がやってくる。」

マギステル。
「その通りだと思う。」
「あと敵さんの戦力は5倍近くあるけれど。」
「戦力の質は最悪みたい。」

リベロ。
「エースパイロットチームが早くも7機撃墜。」
「まあ新鮮。」

メディオクリタース。
「そうかあ。」
「戦争かあ。」

帰宅したら。

スカウトの手紙。

研究部門から。

アカデミーを卒業して研究員にならないか?というお誘い。

メディオクリタースが良い人材であると目をつけて。

特務部隊への配属を前提に。

アカデミーに特別入学のスカウト。

すぐにお返事。

メディオクリタースは3年間。

アカデミーに在籍。

覚えが早くて。

早期卒業が認定され。

惑星連盟の最高グレードの文明研究施設に着任。

リベロとマギステルも後から来たのです。

高い汎用性が認められて。

配属されました。

再会を果たした友達。

メディオクリタース。
「すごい。」
「そっちの方向から配属されるなんて。」

マギステル。
「そうですよ。」
「汎用性の追求でいろいろできるもんだから。」
「それなら臨機応変が大切なこの文明研究施設でいいだろうと。」

リベロ。
「機械工学で天才とか言われたし。」

マギステル。
「伝説の賞金稼ぎシレントに似ているとか言われた。」

メディオクリタース。
「みんな実力を買ってくれたんですね。」

マギステル。
「そのようだよ。」

リベロ。
「さっそく。」
「私は正統派オプティムスの星に向かう予定。」

マギステル。
「わたしも少し行ってくる。」
「ASATの状態や士気向上など。」
「戦況や兵法などの助言。」
「兵士の憩いやヒーリング目的の。」
「ミニゲーム作っての後方支援部隊。」
「ああやる事いっぱい。」

メディオクリタース。
「また一緒に仕事しましょ。」

マギステル。
「無事に帰ってこれると思う。」

リベロ。
「しっかりやってしっかり帰ってきますよー。」

ちょっとした円陣を組んで。

メディオクリタースはこの日を終え。

主任に呼ばれました。

ウェルバ。
「デマントイドという神秘的なクリスタルがある。」

メディオクリタース。
「知っていますが。」
「なにがありますか?」

ウェルバ。
「最近採掘現場で発見され。」
「どうやら近くで巨大なそのクリスタルが眠っているようなのだ。」
「現場に赴いて。」
「調べてほしい。」
「特殊な能力があるのでしょう?」
「これがサンプル。」

メディオクリタース。
「確かに特殊な素材です。」
「半霊半物質で。」
「バーチャルなデータが入っていますよ。」

ウェルバ。
「それを誰も分からなかったのだ。」

メディオクリタース。
「わたしは解りました。」

ウェルバ。
「それが理由です。」
「頑張って。」

メディオクリタース。
「資料ですね。」
「ええと。」
「惑星アイドクレース。」
「言ったことがあります。」
「準備次第すぐに。」

ウェルバ。
「それだけではない。」
「文化惑星オブシディアンの映画や芸術作品。」
「ありとあらゆるものの考察も欲しい。」
「こちらの星では特にアニメーションの技術が劣っている。」

メディオクリタース。
「了解。」
「一か月あれば充分なデータは確保できます。」

ウェルバ。
「あなたの御友人のリベロさんとマギステルさんと。」
「合流することになるかもしれません。」
「彼女たちはいろんな仕事をこなしていますから。」
「幅広い任務故に期待できます。」

メディオクリタース。
「おもしろい報告ができるといいです。」
「では。」

翌日。

巨大な柱となっているメインビル。

そこから分岐して出来ている半分空中埠頭。

下には大きな円形の溝があり。

メインビルはひたすら頑丈でありつつ。

機械型キノコにちょっと似たデザインなのは遊び心がありますね。

美しいデザインで丸っこく。

出っ張りは一切ありません。

フォルムが綺麗で。

いろんな綺麗なデザインの宇宙船が停泊。

空港と同じ要領で。

まずは文化惑星オブシディアンに向かうのです。

船内では。

明るいニュースがメインで。

その後。

今日の最悪トップ10が放送され。

戦争が小競り合いに突入して。

消極化していること。

過激派が同調してテロ行為をやりつつあるニュースが流れます。

自分たちのやり方が正しいと主張する「反対者」の行動もエスカレートしつつ。

それは極一部の地域限定で。

冷静な対応が求められている。

全翼機のフォルムの船室で。

珈琲を飲みながら。

初任務に出掛けました。

綺麗な虹をモニターで確認。

わたしはこんな。

地味なはじまりでした。


2


文化惑星オブシディアン。

宇宙港のスタッフでカワイイ女性が。

メイド服や中世のドレスでお出迎え。

バスターミナルから都市の中心部に至る。

カッコイイ西洋鎧を着て歩き回る人がいたり。

奇抜なファッションが目立つ。

「歌舞伎者」と呼ばれる人々。

そこら辺にキャラクターグッズがあり。

芸術作品や絵画で溢れていた。

メディオクリタース。
「ここは常時お祭りなんですね。」
「まるでテーマパークがそのまま都市になっちゃったみたいな。」
「豪華な街です。」

本当にテーマパークみたいな都市が続いています。

むかし。

「ディズニーランド」という伝説になっているテーマパークの資料があり。

それの豪華版がこの都市ですね。

調査員がたくさん来ても。

情報量の多さに。

圧倒されて。

時間が足りないそうです。

電気線と水道管を格納する地下トンネル。

マンホールの蓋に絵が描かれており。

壁画もあちこち。

路上アートが公認されていて。

指定されたアーティストがいつも書いていたり。

賑わう商店街なのに。

これは序の口と行った都市だそうで。

とにかく図書館を探して。

潜入。

適当に探してみますが。

やはり貯蔵されている本が膨大で。

でも速読能力のあるメディオクリタース。

一瞬で見つけ出します。

メディオクリタース。
「図書館に通えば天才になれるのかな?」
「これは基礎データ。」
「いにしえからの教え・入門。」
「あれ?」
「もしかしてその時代の集大成だけではなく。」
「数十年先を見据えて作品を作ったりもしている。」
「むかしからの教えが隠し教科書として置いてある?」

図書館に居座り。

一週間が経過。

彼らの奥義についてはまだ解りません。

もちろん教えてはくれません。

歩き回って。

二週間になります。

テーマパークはさらに盛り上がって。

パレードがありました。

地味に図書館に通い続けております。

メディオクリタース。
「見られてはいけない本なんてあるのかしら?」

マギステル。
「やっほ。」
「なんとか間に合った。」

リベロ。
「援護するー。」

メディオクリタース。
「応援ありがとう。」
「もう終わったの?」

マギステル。
「事前に作ったプログラムを手渡すだけ。」
「むかしからいろいろ作ってたから。」
「早かった。」

リベロ。
「わたしは3日間観光させられて。」
「レポートをまとめるだけだったよー。」

メディオクリタース。
「そっかー。」
「わたしたちにとっては良い仕事みたい。」

リベロ。
「何か見つかった?」

メディオクリタース。
「新しいもの。」
「これを作り出す技能は学校でも習うみたい。」
「内容が分からない。」

マギステル。
「教えてはくれないでしょう。」

メディオクリタース。
「わたしもこの言語についてすべては知らないから。」
「共通言語には目を通せた。」

リベロ。
「学校の教材かあ。」
「でも隠し技能があるって。」

マギステル。
「そうそう。」
「何か特殊なスキルの取得方法。」
「これはプロ専用みたい。」

メディオクリタース。
「とりあいずレポートはこれだけまとめたけれど。」

リベロ。
「えー?」
「10万文字もあるの?」

マギステル。
「なんて量ですか。」

メディオクリタース。
「ちょっと疲れた。」
「あと頼みます。」

リベロ。
「交代だって。」

マギステル。
「後半30分選手交代。」

リベロ。
「試合じゃないんだから。」
「でも諧謔は大事。」

道化師が図書館に入ってきて。

変な事をしていたので。

メディオクリタースが巻き込まれる。

メディオクリタースくたくたになって退場。

ホテルにて。

文明研究所にデータ送信。

10万文字を大幅に簡略化して。

半分以下になった容量。

それで「新しいもの」を生み出す訓戒の存在が明らかになり。

痛烈な批判と共にそれが成立していると判明し。

ひとつの手柄となった。

初仕事で初成功をしたメディオクリタースはベッドに倒れて。

しばらく休暇を貰いました。


3

惑星アイドクレース。

商業天国となっている大都市群から成り立ち。

町外れには必ず工場。

人里離れた場所には天然資源や鉱石。

特殊素材が眠っている。

宇宙の大鉱山のひとつもある。

かなり高次元で完成されている文明を持つ。

君主制であり。

奴隷階級も存在し。

それに伴って自由人による公的な活動が活発であり。

文明の新しい可能性について。

いろんな人々が意見を交わす。

発展の余地が大いにある。

そんな星。

宇宙港のデザインは巨塔ではなく。

平たい綺麗にしてみたヒトデ型のようなデザイン。

花をモチーフに作られていると看板があった。

宇宙港から移動中。

公用車の中で。

警報があり。

中型の宇宙船が現れ。

どうやら防衛システムを強引に突破したそう。

メディオクリタース。
「どの勢力?」

リベロ。
「過激派ではなさそう。」

マギステル。
「あれが呪われし種族の宇宙船かあ。」

直後に。

F-35と似通っていて。

全翼機と主翼の融合の形状をしている。

宇宙戦闘機が取り囲んで攻撃していて。

オプティムス異端も戦闘機を飛ばして。

空中戦。

旋回砲塔を持つ友軍機が優勢。

メディオクリタース。
「すぐに片づけるから。」
「警戒レベルが低いみたい。」

リベロ。
「戦闘機は軌道戦がスタンダード。」
「軌道ですべてが決まる戦い。」

マギステル。
「異端派。」
「けっこう単純な動きをしている。」

味方の援軍。

宇宙港から「円盤」が発進。

直後に敵戦闘機のレーザーを受けるもすべて跳弾。

何かをぶつけて敵戦闘機は爆発四散。

メディオクリタース。
「敵弱いですね。」

リベロ。
「敵はもう1割しかいないし。」

マギステル。
「あれ何をぶつけているの?」

メディオクリタース。
「円盤はダークマターの構成物質を衝突させてダメージを与えています。」
「どんな装甲でも貫くそうです。」

リベロ。
「専門的知識だ。」

マギステル。
「それは公表されていなかった。」

メディオクリタース。
「私達は公表されたデータしか知りません。」
「機密情報は決して漏らさないのです。」
「あんな初歩的な武器の原理でさえ。」

リベロ。
「ケチだよねー。」

マギステル。
「でも平和の維持の為にはなんだってするみたい。」

敵の宇宙船はボロボロになって。

荒れ地に墜落。

ヘリコプター部隊が飛んでいき。

その光景は戦乱の再来を目の当たり。

この事件によって。

異端派は爆撃を受けてしまいました。

報復に出る異端。

でも戦力差があって。

何もできず。

いい所なしで艦隊を失ったそうです。

ホテルのニュースで出ていました。

かなり距離があるのに。

何を考えているのでしょう。

メディオクリタース。
「さすがに洗練されている施設だよね。」

リベロ。
「使いやすい。」

マギステル。
「気が利く設計はどこから来ているの?」

翌日。

調査現場に。

10人乗りの輸送船で。

全翼機のVTOL。

謎の鉱石が発見されており。

文明の新発見とのことで。

いろんな学者が来ておりました。

メディオクリタース。
「サンプルは?」

スタッフ。
「あちらにあります。」

政府関係者。
「あれから読み取れるのか?」

メディオクリタース。
「可能です。」

リベロ。
「暗闇は得意だよ。」
「坑道の地図としてはこれ簡単。」

マギステル。
「その他の事は任せて。」

メディオクリタース。
「洞窟。」
「ダンジョンですかね。」

スタッフ。
「用心しないと迷います。」

政府関係者。
「彼女たちはかなり余裕で進んでいる。」
「道は間違ってないな?」

広いフロアにて。

採掘中のクリスタル。

到着した時点で。

それが巨大なクリスタルであると判明し。

発掘中なのです。

いろんな種類の宝石や鉱石がくっついた。

おもしろいデザイン?の造形美。

メディオクリタースがクリスタルに触れると。

いろんな情報のビジョンを目にします。

しばらく夢の中。

帰ってきて。

クリスタルが伝えようとしている事案が分かりましたが。

うまく言葉にできません。

ただ。

「キーワード」「手掛かり」

ふと思って。

USBを叩き付けると。

USBが吸引されて。

吐き出され。

その中に要約された情報が入っており。

でも曖昧です。

メディオクリタース。
「これは人類が到達点に至れば手に入る予定だったもの。」

政府関係者。
「それで何なんだ?」

メディオクリタース。
「これはヒント集が入っています。」
「このクリスタルはヒント集の集合体のデータの塊とも言えます。」

政府関係者。
「それは大発見ではないか?」

スタッフ。
「はい。」
「普通に大発見です。」
「文明が1レベル向上できる情報が入っています。」

政府関係者。
「なんだって!?」
「君!報告しなさい!いますぐ!」

リベロ。
「このクリスタルは私達が回収して分析します。」

マギステル。
「この坑道は天井をぶち抜けるようです。」

スタッフ。
「分析しますと本当です。」
「天井を破壊して取り出せます。」

政府関係者。
「よし!それを実行しろ。」
「きちんと計画してくれよ。」

天井が破壊される。

大爆発して回避。

政府関係者。
「なんだ!いまやれとは言ってはいないぞ。」

スタッフ。
「何か様子が変です。」

メディオクリタース。
「デマントイドは移動できるんです。」

政府関係者。
「なんで?」

メディオクリタース。
「私達が充分なレベルに達していれば。」
「追い付ける筈。」
「捕獲できる筈。」
「なんていう試しです。」

政府関係者。
「おお!ジーザス!」

スタッフ。
「デマントイドは浮遊。」
「ああ。」
「天井を突き破って逃げました。」
「信じられない。」

リベロ。
「位置を追跡してますか?」

スタッフ。
「ああきちんと忘れていますよ。」

マギステル。
「私は追跡装置を取り付けておいたけれど。」
「どうやら剥がされたみたい。」

政府関係者。
「偵察機に追わせよう。」
「軍隊に連絡しろ。」
「これは国家機密になるようだ。」

坑道から出てくる。

メディオクリタース。
「北の地まで。」
「一直線に移動して。」
「他の小型デマントイドが散らばっています。」
「手分けして手に入れましょう。」

政府関係者。
「君達は本体を追ってくれ。」
「もうすぐ輸送機が来る。」

スタッフ。
「小型飛行機であれば少し戻ればキャンプにあります。」

メディオクリタース。
「それを頂戴。」

リベロ。
「私はレーダー担当になるかな。」

マギステル。
「ではわたしは戦術担当。」

キャンプに急いで戻り。

飛行場から小型飛行機。

戦闘機を民間用に改良し。

乗員を増やした三人乗りで。

デマントイドが発信するレーダーを捕捉しつつ。

追跡に移行となります。


4


旧式の戦闘機を民間用に改修した飛行機でも。

かなりの性能があったのです。

しかし飛行場で何かあったらしくて。

通信がECCMによって妨害されています。

メディオクリタース。
「通信装置が破壊された?」

リベロ。
「断定できない。」

マギステル。
「エラーかもしれない。」

渓谷に沿って飛行中。

レーダーが使用できなくなりましたので。

飛行図を貰いに村に立ち寄ります。

垂直着陸。

村人は歓迎してくれました。

特に村長は温和で。

周囲を見るといろんな種類の野菜や果物を栽培している。

生粋の農家。

彼らの陽気さには驚きました。

精神的な豊かさで満ち溢れており。

心が豊かで。

いろんな冗談も飛び交うほど。

すぐに飛行図を貰って。

ドライフルーツを貰っちゃいました。

メディオクリタース。
「これはいいエネルギー補給。」

リベロ。
「食べといて。」
「どんな恐ろしい事態が起きるかは分からない。」

マギステル。
「確かにその時までに。」
「何か食べておけばリスクは減る。」

レーダーが故障してしまったのか。

でも後ろに何か追尾してきます。

機体を頻繁に回転させて。

いろんな方向を見渡していたので。

発見に成功。

先制攻撃は見事に回避。

メディオクリタース。
「なにそれ。」

リベロ。
「敵さん骨董品級の戦闘機ですな。」

マギステル。
「敵は1機だけ。」
「武装はないけれど。」
「振り切れそう。」

メディオクリタース。
「相手は強引に来てますね。」

リベロ。
「武装ないなあ。」

マギステル。
「シールド発生装置は?」

リベロ。
「どうやら壊れてるみたい。」
「かなりの旧式だから。」

メディオクリタース。
「耐用年数が過ぎている事は知っていましたから。」
「振り切ります。」

振り切ったのですが。

再発見されて。

今度はミサイルを撃ちまくってくるのです。

メディオクリタース。
「これなら避けられます。」

リベロ。
「あっ!でもデコイの数が少ない。」

マギステル。
「応援要請無理です。」

メディオクリタース。
「いつかは落とされるよ。」
「着陸地点だけは確保する。」

リベロ。
「被弾。」
「シールド破損。」

マギステル。
「相手はまだ3発ある。」

メディオクリタース。
「全員ベイルアウト。」
「着地と共に森林に逃げて。」
「少し下ればさっきの村がある。」
「そういうふうに逃げたから。」

スモーク発射。

おまけに閃光弾で目くらまし。

全員ベイルアウト。

敵のミサイル。

その前にオートパイロットにしてあって。

敵は勘違いして。

ドローン状態の飛行機を追い続けます。

メディオクリタース。
「見つかる前に隠れて。」

リベロ。
「武器は?」

マギステル。
「ビームソード3本とスカウター補助装置。」

メディオクリタース。
「拳銃も無いのね。」

リベロ。
「こうなるとは想定されていなかったのが原因です。」

賞金稼ぎは。

周囲を捜索。

村へ逃げていくものの。

発見されて。

銃撃されます。

ビームソードは直接弾が当たらなくても跳弾する優れもので。

スカウターで弾道を見切って使用します。

賞金稼ぎの5人組みは攻撃が当たらず苦戦しつつ接近。

森林地帯で激戦。

賞金稼ぎ。

切り倒されていく。

戦意喪失した敵は逃亡。

しかし平地に出た時。

賞金稼ぎは爆撃されて全滅してしまいました。

大型攻撃ヘリが平地に着陸。

フォルムはKA-52とMi-24の融合未来版?

レトロ兵器は好きですが。

デザインはそれを基にしたのかも。

吏務(リム)。
「乗っていくかい?」

メディオクリタース。
「これは援軍ありがとう。」

リベロ。
「この人指名手配になった人では?」

マギステル。
「どうする?」

軍人も同乗していて理由を聞かされました。

冤罪によって逃走中で。

謀反を企てた将校のせいで。

システムがエラーを吐いて。

大気圏防衛システムを突破されたとのこと。

その将校が見破られた者を次々と冤罪にしており。

警備隊が来るので応戦して欲しいと。

証拠を渡されましたよ。

わざと旧式のカメラで撮影しており。

反逆者のサインが付いた契約書まで持っていました。

吏務(リム)
「そういう訳だ。」
「ここは助け合おう。」
「かわいい女の子を乗せられるなんて光栄だな。」

メディオクリタース。
「カッコイイ男性の飛行機に乗るなんて。」
「英雄伝になりそうです。」

吏務(リム)
「冒険譚にしてみようか?」

リベロ。
「マイルドなフライトになりますね。」

マギステル。
「わざわざ協力してくれるなんて。」
「男らしいわ。」

吏務(リム)
「少しは男を示せたかな?」
「少し急ぐぞ。」

軍人。
「こちらとも余裕が多くはありません。」
「警備隊を何人か撃ち落としました。」

リベロ。
「待ち伏せしてませんか?」

マギステル。
「武装は良好です。」

軍人。
「ああなんということ。」
「本当です。」
「心の準備は?」

吏務(リム)
「飛行ルートに待ち伏せていたのか!!」

相手の攻撃ヘリと撃ち合いになってしまい。

先制攻撃したこちらに軍配が上がりました。

警備隊は着地して。

隠れていきます。

おまけに援軍と。

エースパイロットチーム「フォルトゥーナ」が飛来してしまい。

仕方がなく投降。

輸送ヘリから降りてきた警備隊に。

こちらのヘリの軍人数名が話しかけて。

連絡を取り合い。

警備隊の一部は慌てて撤収。

エースパイロットチームも給油機に退避。

吏務(リム)は護送され。

三人娘は秘密にしているように言われました。

吏務(リム)
「意外過ぎるほど話が通じて良かったよ。」
「まあ貸し借りなしってことで。」

攻撃ヘリの方を見て退場。

全員立ち去りました。


攻撃ヘリは置き去りなので。

みんなでそれを起動させて。

クリスタルの着地地点。

山岳地帯の頂上にやっと到着。

攻撃ヘリからフックを出して。

デマントイドにワイヤーを引っかけることに成功。

メディオクリタース。
「触れてみる。」

リベロ。
「拘束は完了しているよ。」

マギステル。
「何にも心配なし。」

メディオクリタースがデマントイドに触れると。

デマントイドの意思がはっきり分かったのです。

デマントイドは飛行場での反乱を警戒して。

この地点に着地。

変な者の手に渡る事を恐れて。

意志を持っているクリスタルです。

夢のようなビジョンから判明したのです。

ビジョンから戻ってすぐに。

空にエースパイロットチーム。

後から援軍の輸送船がやってきて。

デマントイドを搬入し。

宇宙港に戻ってきて。

任務完了!

将軍。
「戦闘の経過について知りたい。」
「もちろん諸君の特務を妨害する積もりは無い。」

メディオクリタース。
「はい。」
「記録してあります。」

リベロ。
「こちら。」

マギステル。
「私が撮影してありました。」

将軍。
「素晴らしい。」
「ちょっと話を聞かせて貰おう。」
「将軍用の客室に向かってくれ。」

いろいろ話されましたが。

特にデマントイドは国家機密で。

意志を取り出せるメディオクリタースが重要人物とされ。

研究施設に送られる事になりました。

メディオクリタース。
「しばらく滞在です。」
「クリスタルが動き出さないか念を入れていますが。」

リベロ。
「特殊な代物だから。」
「慎重に取り扱っているよ。」

マギステル。
「にしても壮絶な追跡だったなあ。」

メディオクリタース。
「非凡なパイロットだから無事なんですよ。」

リベロ。
「確かな腕はあったよ。」

マギステル。
「管制官の力も必要だったなあ。」

リベロ。
「そんなに?」

メディオクリタース。
「あなたが追跡・視界担当でしたから。」
「先制発見が出来たのです。」

リベロ。
「それにしてもよくあの状況で撮影機材を動かせたよね。」

マギステル。
「臆病者ではないから。」
「余裕だったなあ。」

メディオクリタース。
「三人で力を合わせたから。」

マギステル。
「重い石を三人で持ち上げようとしたら?」

リベロ。
「ひとりでも加減したら持ち上がらない。」

メディオクリタース。
「そゆことです。」

輸送船の休憩室で。

ティータイム。

3時間後には出航ですよ。

私達の研究所へ。

デマントイドを輸送です。


5


巨大な宇宙船。

宇宙港に大量の敵対宇宙人が飛来。

戦術核を搭載している様子です。

味方の宇宙人もやってきて。

混戦状態。

マギステル。
「揚陸した部隊の一部がこれを発見したら?」

リベロ。
「まずいよ。」

メディオクリタース。
「少数でも守り通しましょう。」

空中の廊下がクリア仕様で。

丸見え。

敵対宇宙人の姿が見えましたが。

体が異形です。

呪われし種族と言われる所以が分かりました。

彼らは呪われた体を持っています。

味方の宇宙人は綺麗な体つきで。

背は低いものの。

人類と大きな違いはありません。

イケメンだらけなのが謎でした。

撃ち合いを遠くで見ています。

敵対宇宙人は数で押し。

味方は質で勝負。

駐留していた部隊だけで対処できるほど敵が弱く。

モニターでエースパイロットチーム「フォルトゥーナ」が出撃しており。

オープンチャンネルで「俺達は弱いもの虐めをしている!!」なんて言っていたり。

輸送船にも敵兵が来ました。

数が少ないです。

マギステル。
「奇襲で。」

リベロ。
「私が陽動する。」

メディオクリタース。
「私が突撃するわ。」

ビームソードとハンドガン。

敵対宇宙人数名が輸送船に乗り込んできますが。

玄関の奥からリベロが射撃。

打ち返していく異端者。

でも角にメディオクリタースが陣取っていて。

接近戦で切り刻まれる異端者。

マギステルが隠しハッチから狙撃して3人の兵士を全滅させましたよ。

マギステル。
「前に狩猟の体験がある。」

リベロ。
「賞金稼ぎと遣り合った事がある。」

メディオクリタース。
「実戦は少し前に戦闘機でありましたから。」
「少しの慣れがありましたね。」

制空権は確保したそうですが。

揚陸されてしまい。

施設周辺で激戦が続きます。

マギステル。
「離陸できますか?」

パイロット。
「敵船も戦闘機もいません。」
「いるのは敵地上部隊だけです。」

リベロ。
「軍人さん応答ないですかー。」

パイロット。
「宇宙港の船はみんな宇宙に上げろ。」
「とのことです。」

マギステル。
「離脱しよう。」

メディオクリタース。
「このまま居れば巻き込まれるだけです。」

リベロ。
「発進許可は?」

パイロット。
「管制官応答ありません。」

メディオクリタース。
「無断発進しなさい。」

パイロット。
「了解。」
「推力起動。」

輸送船で大気圏を抜け。

艦隊が見えましたよ。

「ASAT」です。

士気が高い精鋭部隊が援軍でしたので。

地上戦は敵軍。

廃棄された旧市街地。

通称「スラム」に逃げていきました。

ここはほとんど無人地帯で。

そろそろ再整備しようと計画していた広大な地区。

歴史の保管と称してそのままにしていたけれど。

やっぱり価値が無さそうなので。

壊そうとしていたのです。

そのせいか爆撃が酷い。

それを見ながら大気圏から離脱して。

ワールホールシステムの起動位置まで航行していき。

無事。

星系離脱。

研究施設のある惑星に着陸しつつ。

デマントイドを搬送し。

研究所の中に隔離することができました。

ウェルバ。
「素晴らしい功績です。」
「褒め称えます。」
「初仕事でこれほどとは。」

メディオクリタース。
「なんとかおもしろい結果になりました。」

マギステル。
「戦闘に巻き込まれたり。」

リベロ。
「賞金稼ぎに情報が漏洩しているけれど。」

ウェルバ。
「あれはデマとして処理しました。」
「データも消去。」
「では極秘プロジェクトに移行しましょう。」
「我が文明研究所の誇りにかけて。」

ウェルバ退場。

マギステル。
「なんか凄いもの持ってきたっぽい。」

メディオクリタース。
「ああいうのは慣れているけれど。」
「思った以上の重要品なんですねぇ。」

リベロ。
「そうみたい。」
「ちょっと注意が必要かな?」

三人娘。

休養にて解散。

自宅に帰されましたよ。

フルークトゥス。
「おやおや随分お疲れで。」

メディオクリタース。
「しばらく休む。」

フルークトゥス。
「栄養ドリンクをどうぞ。」
「ゆっくりお休みください。」

昼寝して。

気付いたら夜空が広がっていて。

わたしあれだけやってのけたんだ。

始めて偉業を知りました。

まだ疲れているので休みます。

機密プロジェクトはこれからはじまるそうですから。

わたしのはじまり。

地味に凄いことになってしまいました。


6


デマントイドに触れても何も出ません。

仕方がないので進捗がないのですが。

主任はのんびり待っています。

メディオクリタース。
「このまま保管でいいのでは。」

ウェルバ。
「できるだけやってみて。」

メディオクリタース。
「もっと入念にやってみます。」

調べ続けても。

成分は未知のもので。

半霊半物質なので調べるのは困難。

スキャナーをやったり。

触れたり。

やっぱり進捗がありません。

デマントイドは沈黙。

マギステル。
「このまま待てば?」
「なんていう意思だったりして。」

リベロ。
「特殊だなあ。」
「何か察したことは?」

メディオクリタース。
「たぶん。」
「現時点でくれるものはこれ以上ないのでは。」

ウェルバ。
「だとしたら。」
「このまま保管しておきましょう。」
「デマントイドは任せました。」

メディオクリタース。
「了解です。」
「机に向かい続けてもいいものは浮かびません。」
「辛抱強く待ってみることにします。」

メディオクリタースは研究所から帰宅。

お昼時。

のんびり散歩でもしてみました。

農業をやっている人が見えます。

「無為自然」

自然に還った人という存在は。

宇宙の原理に従って生きています。

自分の仕事があり。

または仕事が与えられて従事しており。

キャンプスタイルと言いまして。

少し原始的な生活を楽しむ流行がありますね。

木組みの家やテントまであったり。

この都市の中央にはスポーツクラブがあり。

レクリエーションチームとして。

各種スポーツが楽しめます。

ここでも次世代型デジタルはしっかり届いており。

農業にも取り入れられ。

機械ユニットが大幅に作業を短縮。

調節や工夫への時間が多くなり。

余暇も増え。

娯楽や公的な活動があるという。

一式揃えた。

農場広がる故郷。

それでも大都市がいくつもあるのが新鮮ですね。

文明研究員もデスクワークだけでは駄目なので。

たまに散歩する推奨があったりしちゃう。

フリーダムなオフィス。

友達も後から来ました。

マギステル。
「野鳥観察なんてどう?」

リベロ。
「私は釣りとか。」

メディオクリタース。
「どっちもしようよ。」
「そのほうがかえって効率的。」

野鳥を観察したり。

釣りをして。

ピチピチ跳ねる魚。

河原。

メディオクリタース。
「君は自力で戻れるのかね?」

リベロ。
「がんばれ!もう少し!」

マギステル。
「すごい!魚の意地だ!」

魚は川の中に落っこちて。

逃走に成功。

いろいろ釣ったけれど。

金色の魚は凄かったです。

バケツをひっくり返して。

意地でも移動する金色の魚。

メディオクリタース。
「魚について考え直す必要がありそうです。」

リベロ。
「やるなあ・・・。」

マギステル。
「これが魚なのか。」

金色の魚は川にダイブ。

自力で逃げ出した快挙。

メディオクリタース。
「あれは本当に魚?」

リベロ。
「うん。」
「おさかな。」

マギステル。
「魚とはなんだ。」

メディオクリタース。
「魚を見ていればわかる。」
「魚に触れていればわかる。」

お魚の逃走劇が思ったより新鮮。

都市の方に行って。

ユーモア本やおもしろ本を多数購入して。

帰宅です。

フルークトゥス。
「おやお嬢様。」
「どうやら私の任務は終わりそうですな。」

メディオクリタース。
「本格的にスカウトの仕事に移行するんですね。」
「応援していますよ。」
「元気でいてください。」

フルークトゥス。
「これは暖かいお言葉を。」
「私は仕事が与えられるものであると思っております。」
「お嬢様も美しくあられてください。」
「それでは。」

退場。

メディオクリタース。
「わざと待っていてくれたんですね。」
「船出を遅らせて。」

両親は土地の管理に出向いておりました。

政府が理法に従って。

小規模な開拓を続行しており。

山火事で自然消滅した森林を更地にして。

くれるそうです。

そのプレゼントの為に出席しているとのこと。

新聞がありました。

メディオクリタース。
「異端者の中に正統派に帰属する者多数?」
「自力で呪いを破った?」
「だから滅ぼさなかったんですね。」

戦争はすっかり消極的になり。

地球軍が支援行動を開始。

「地球」はどの観光パンフレットにも記載されており。

数多の成功と失態を繰り返した人類の「原点」

現在は環境整備が完了。

このプロジェクトは100年の歳月を費やしたそうです。

メディオクリタースは工芸品作りが趣味で。

自宅横の工房で作成。

まだ満足行く作品は出来ません。

でも部屋がいっぱいになり。

溜まった工芸品を専門店に売却。

特に光る髪飾りは高値で売れましたよ。

これは太陽の光を吸収して発光するもので。

惑星アイドクレースの特殊素材・特殊鉱石を密かに入手して。

作成したものですが。

けっこうおもしろい品だそうです。

メディオクリタース。
「変わった品は受ける?」
「そんなに良いもの?」
「もうちょっと工夫してみよう。」

作業終了。

屋敷3階にて。

遠くを双眼鏡で見ると。

個性豊かな暮らしをしており。

この日はバーベキューの人が多いようで。

河原では炊煙。

主任からは「急がない」というメールが届いて。

みんな。

のんびりまったりやっている。

惑星ナトゥーラの風景です。


7


妙な宇宙船が出没。

調査チームが派遣され。

生存者を確認できたと言います。

ウェルバ。
「ルクルムという種族だそうで。」
「自分を難民と呼んでいる。」

メディオクリタース。
「テクノロジーは劣っているようですが。」

ウェルバ。
「原始的なスラスターで無理矢理星系移動をしているのだろう。」

マギステル。
「まあ不憫。」

リベロ。
「何年漂えばいいのやら。」
「そんな航行じゃないですか。」

ウェルバ。
「まあ難民と自称する意味は簡単に分かるな。」
「彼らが発信した通信で本体がくるらしい。」
「難民の一族と言った所か。」
「それで調査チームの第3陣として発見が欲しい。」

メディオクリタース。
「要するに気の利いた事をすればいいのですね。」

ウェルバ。
「ざっくり言うとそゆこと。」

メディオクリタース。
「では準備に取り掛かります。」

ウェルバ。
「計画書を渡そう。」

そのうち。

本体が現れて。

ニュースで報道。

巨大な筒状のコロニーだそうで。

指導者の少年と役人が司令官と謁見しているそうです。

私達は偵察戦闘機でいろいろスキャンしてまわります。

味方とは限りません。

ペルソナ准将。
「お会いできて光景です。」
「かわいい調査員が来てくれると。」
「男共も目の保養もできます。」

メディオクリタース。
「綺麗な服装を心掛けています。」
「女性というものをお見せできるかと。」

ペルソナ准将。
「それは頼もしい。」
「作戦はそろそろ開始されますぞ。」
「男共にも話しかけてやってください。」

メディオクリタース。
「心得ておりますよ。」

戦艦内の男性陣と雑談したり。

軍歌を歌ってあげました。

そうしているうちに予定時間。

戦艦のミニドックにある戦闘偵察機に搭乗。

スタンバイ。

発進許可。

メディオクリタース。
「発艦。」

マギステル。
「扱いやすい。」

リベロ。
「私は視界担当。」

マギステル。
「スキャン担当。」

メディオクリタース。
「できる限りデータを手に入れましょう。」

筒状のコロニーはどうやら。

多様な機能を備えている。

万能型宇宙船なのですが。

テクノロジーに劣った部分が多く。

どうやら無理にでも出発したと容易に推測できたのです。

作戦時間オーバーで着艦。

帰還。

データを技術スタッフに渡しています。

もう数回出撃して。

外からスキャンを繰り返しましたが。

任務は一時終了。

政府が指導者と会見して。

対応を決めている最中。

リベロ。
「なんか自分の惑星が荒廃して住めなくなって。」
「脱出してきたらしい。」

マギステル。
「そんな危険種族をどうして?」

メディオクリタース。
「自分の母星を自分たちで破滅させて。」
「助けてくれなんて虫のいい話。」

ペルソナ准将。
「ここにいたか。」

メディオクリタース。
「おや。」
「准将殿が直接来ました。」

ペルソナ准将。
「どうやら彼らは宇宙のゴミになるらしい。」

メディオクリタース。
「はい大体掴めました。」
「準備しておきますね。」

ペルソナ准将退場。

リベロ。
「偵察戦闘機に核が搭載してあったら?」

マギステル。
「撃ち込むだけですよ。」

ルクルムは難民。

自給率が低下して終わりの時を迎えようとしている。

劣悪な生存環境で状態は良好ではなく。

難民30万人を受け入れようと政府は思案していましたが。

数日で決定が下され。

とりあいずの支援だけで済ませて。

その領域に留まり。

敬虔なる政府は。

彼らの歴史をすべて知りました。

祖先の罪によって。

住めないくらいに自分の星が荒廃してしまった事。

自分たちでそれを容認してきた事。

どうにもできない事情を汲み取り。

憐れんだ。

一時帰宅した三人娘。

調査が数か月に及び。

修道女も調査に加わりつつ。

霊魂に「証」がある者は全員生かす。

残りは母星に返すが。

役人と指導者には死んで貰うと通達。

激怒した指導者は戦争を決意したそうで。

調査員として再び戦艦に乗船していた三人娘。

目の前で戦闘が展開されたのです。

巨大コロニーから分離した戦闘艦6隻。

戦艦ユニコーンから成る戦闘艦10隻。

空母クルトゥーラから発進した宇宙戦闘機10機と。

円盤3機の戦闘隊。

ルクルムの部隊は戦闘機が6機。

ミサイル艇が増援に加わるのですが。

ルクルムの軽巡洋艦はあっさり撃沈。

ミサイル艇の攻撃も迎撃。

敵戦闘機6機は全滅。

増援の敵30機は強固なシールドに何もできず。

味方の円盤3機に苦戦。

ルクルムの市民は何の為の戦闘なのか混乱してしまいました。

ペルソナ准将。
「相手は思ったより弱くないか。」

将校。
「だいたいの戦力は把握しておりましたが。」
「たいした相手ではないですね。」

ペルソナ准将。
「相手にならんな。」

将校。
「戦闘システムを破壊しに。」
「攻撃機が発艦しました。」

ペルソナ准将。
「無駄な被害を出してやるなよ。」
「油断禁物。」

地味な戦闘でルクルムの部隊は全滅。

あらかじめ知らせておいた市民は脱出の準備をしており。

輸送艦にどんどん押し寄せて。

他の難民には「フェイント」を入れて足止めしてあります。

複数のフェイクを突破して。

「証」がある者だけ受け入れました。

将校。
「難民の中に敵兵士が紛れ込んでましたが。」
「人型殲滅兵器にやらせました。」
「性能は順調のようです。」

ペルソナ准将。
「人間だと思ったことだろう。」
「我が軍の兵員の中には。」
「そうした兵器も混ざっているのだ。」

難民3万人を受け入れ。

補給物資を与え。

補助用スラスターをコロニーに装着。

残りは母星に帰し。

少し距離はあるものの。

政府は新しい開拓地として「ルクルム」の星を発見するに至り。

荒廃した星を再生しつつ。

統治を行い。

久々の新開拓地を手に入れた政府と。

敗北の民「ルクルム」は敗者復活への道を歩き出します。

メディオクリタース。
「彼らは愚かな種族として名が知れ渡りましたね。」

マギステル。
「自分の星も満足に維持できないなんて。」
「余程あたまの中がおめでたい連中だったのか。」

リベロ。
「どっちにしても。」
「新しい開拓地が手に入れて。」
「みんな満足している。」

メディオクリタース。
「堕落によって荒廃かあ。」
「ちょっと興味があるなあ。」
「その程度の種族だったのでしょう。」

リベロ。
「リベンジがあるから。」
「憐れだなあ。」

メディオクリタース。
「祖先の影響を受け続けて。」
「何もできなくなって。」
「自滅するなんて。」
「皮肉ですよ。」

マギステル。
「受け継がれし愚者の魂でしたなあ。」

研究所の休憩フロア。

ソファーに座って。

ニュースを観ていました。

そろそろ解散です。

リベロは近々文化について取材をしに行くそうです。

マギステルはいろんな惑星の自然を見渡して。

ヒントを得て報告するそうです。

メディオクリタースはデマントイドを見続けて。

進展がないか目を見張る毎日です。


8


ペルソナ准将は変わり者であり。

「変人」という箇所に目をつけて実力を買う趣旨の司令官。

メディオクリタースはちょっと招かれて。

密会。

意見交換をしつつ。

メディオクリタースを気に入っているようで。

アイドル扱いされています。

作戦行動に移行するので。

退艦して欲しいと。

帰ることに。

メディオクリタース
「え?輸送船が動かない?」

リベロ。
「第二予備システムまで動作不能。」

マギステル。
「何か知らないけれど。」
「システムが半分死んでいる。」

メディオクリタース
「困ったなあ。」
「余計な輸送船は積んでないよ。」
「向こうの空母にも。」

整備員が駆けつけて。

徹夜で作業してくれるとのこと。

実はこの戦艦。

核ミサイルを装備しておりまして。

作戦とは。

「過激派」に対する爆撃で。

過激派は惑星「レスティンギトゥル」の一部分を本拠地にしているので。

もろとも爆破するのです。

ペルソナ准将は経歴が複雑で。

子供時代を過激派に迫害されて育ち。

今となっては立場が逆転。

かつての迫害者を一方的に殺害するだけの容赦ない粛清者となっており。

彼が艦長を任せられたのはそれが買われたから。

個人的な憎悪で容易に核を落とせますので。

作戦に指名されるに至ります。

メディオクリタース
「余暇ができた。」

リベロ。
「試作型スキャナーで遊んでみる。」

マギステル。
「賛成。」

メディオクリタース
「何か見える?」

リベロ。
「あっち。」

ミサイル格納庫に侵入。

リベロ。
「何か変な反応が。」

マギステル。
「何かいけないものでも?」

リベロ。
「どこかのミサイルの燃料の温度がおかしい。」

メディオクリタース
「そっちは核ミサイル発射装置だよ。」

発射装置の付近。

マギステル。
「ミサイルが故障したとか?そんなまさか。」

リベロ。
「燃料に不審な点がある。」

メディオクリタース
「報告しておこう。」

管制センター。

将校と司令官。

不審者。
「三人の女性たち。」
「妙な事をしておりますが。」

ペルソナ准将。
「我が軍の最先端テクノロジーに興味津々なのだ。」
「放っておいていい。」

不審者。
「それが。」
「ミサイルに細工をしたらしくて。」

ペルソナ准将。
「嘘を真顔で言うもんじゃないぞ。」

スタッフ。
「ミサイルにエラーがあります。」

ペルソナ准将。
「本当かどうか知らんが。」
「ここに来てくれと伝えてくれ。」

不審者。
「私が行きます。」

将校。
「何か変ですね。」

ペルソナ准将。
「あのひとたちには理由がないじゃないか。」

格納庫。

スキャン中。

マギステル。
「発射すると自爆するかも。」

リベロ。
「それは大変。」

メディオクリタース
「通信機器。」
「ここにはないんですね。」

リベロ。
「さっき廊下で見つけた。」

メディオクリタース
「行きましょう。」

不審者。
「とまれ!」

撃ってくる。

メディオクリタース
「シールド発生装置起動。」

不審者。
「とまれよ!」

近くに置いてあったハンドガンで撃ち返す三人娘。

それによって警報が鳴らされ。

不審者は煽り立てる。

駆け付けた警備兵と撃ち合いになってしまうも。

不審者の動向が変だと思って。

逃げる不審者を士官が追いかける。

兵士との銃撃戦が続くものの。

ペルソナ准将がやってきて。

戦闘停止命令が出されましたよ。

ペルソナ准将。
「スパイごときに何を苦戦している。」
「不審な奴を追いかけろ。」
「女性たちを保護しろ。」
「スタッフ。」
「すぐに教われ。」

三人娘は説明を求められ。

不審者は拘束されまして。

真相が明らかに。

核ミサイルは念の為使用できず。

予備のミサイル艇で核攻撃をすると決断。

ペルソナ准将。
「原始的な罠に時間をかけてすまない。」
「輸送船も細工を外せた。」
「すぐに発進できるだろう。」

メディオクリタース
「ひどい目に遭いました。」

マギステル。
「スパイはなんのために?」

ペルソナ准将。
「暴力主義者は思い通りにするためには。」
「暴力での解決を選ぶ。」
「自分の言い分を通すために暴力を用いる。」
「思い通りにするためには暴力であり。」
「理由なんぞ適当に作ったものだ。」

リベロ。
「ああ知っています。」
「むかしの地球にいたという。」
「同じ連中なんですねぇ。」

メディオクリタース
「細かい意見の違いはありますが。」
「重要な所で一致していればいいのです。」
「彼らはすべて破棄しているとか。」

ペルソナ准将。
「理由は?思い通りにするために暴力あるのみ。」
「連中の動機だ。」

マギステル。
「悪は知っています。」
「いまから落とされます。」

ペルソナ准将。
「結局。」
「その光景を高みの見物だろう。」

メディオクリタース
「いい趣味ですなあ。」

人類に「汚点」を残して。

自己満足する作戦であった。

核システムに二重のエラーがあり。

システム上は正常と見せかけたトリックが発覚。

事態が終息。

司令部の催促があり。

予備のミサイル艇で攻撃を決行。

大気圏に突入して。

地上で核爆発。

爆発の煙がはっきり確認できました。

核爆弾にて過激派の本拠地は放射能で焼かれた。

ニュースで報道されると共に。

歴史に名を残す光景が広がっていた。

メディオクリタース
「輸送船発艦。」
「すぐにワームホールシステムで離脱。」

マギステル。
「敵の勢力圏内だから。」
「時間をかけないでおこう。」

リベロ。
「準備しているよ。」

メディオクリタース
「オールグリーン。」

輸送船は無事「ナトゥーラ」に帰還できました。


9


夢を見ました。

大気圏から突入する流星。

そこへ行けと。

私が銃撃されるビジョンが見えます。

ここを逃したら。

討ち取るチャンスはないと。

その「誰か」はやがて過激派を率いる新リーダーになると。

目が覚めました。

いつものようにメイドさんがご挨拶。

朝には気の利いた冗談がよくあります。

メイドさん。
「まあ!もう3日も眠っていらして。」
「カレンダー見てください!」

メディオクリタース。
「あなたが作為的にズラしたのでしょう。」

メイドさん。
「時計がオフラインで故障していましたから。」


メディオクリタース。
「おはようございました。」

メイドさん。
「どうもです。」

一式こなして。

リビングに移動。

朝のニュースがありましたね。

ソファーに座ってストレッチしてます。

惑星アイドクレースにある研究施設。

偽物のクリスタルを保管しており。

読み通りに攻撃を受けましたが。

国家機密が単なる「巨大で高価なクリスタル」であり。

資産の象徴に過ぎなかったというダミーに盛大に引っかかり。

意気消沈して去っていく「反対者」は投降。

みんな本気で特殊鉱石による資産であると信じ込み。

これによって機密は完全に隠蔽できました。

同時期の出来事。

研究所に出勤したらテレビ画面が特番状態。

オプティムス正統派対オプティムス異端が久しぶりの決戦となり。

異端者の残り1個艦隊が撃破され。

異端者は作戦艦すべてを失ってしまう戦況に。

過激派がテクノロジーを与えても。

オプティムス異端はそれを扱うことができない。

過激派が一世紀前の旧式艦隊を与えて。

全滅だけは避ける事になったが。

本格的な空爆が開始され。

熾烈な攻撃がコックピットカメラから中継される。

記者が偵察機に乗り込んで上空から見ているのです。

メディオクリタース。
「うわあ大戦争。」

マギステル。
「凄まじい光景。」
「見えるだけで1000機による空爆。」

リベロ。
「インフラ破壊が主目的で。」
「もう停電しているらしいよ。」

メディオクリタース。
「空中戦が激しいです。」

マギステル。
「戦闘力で大幅に勝る味方戦闘機。」

リベロ。
「かなり押しているとか。」

メディオクリタース。
「敵は数がやたらに多いですなあ。」

マギステル。
「数の力で戦う連中ですもん。」

リベロ。
「雑魚の集まりで勝負らしい。」

メディオクリタース。
「うわあご愁傷さま。」

「嘆きの種族」と後に呼ばれる事になった異端者は。

夥しい被害を出して白旗を揚げ。

作戦は終了となりました。

さて。

研究施設にある型落ちモデルの戦闘機ですが。

武装があります。

メディオクリタース。
「たまには飛行してみよう。」

ウェルバ。
「気分転換ですか?」
「許可しますよ。」

メディオクリタース。
「ではいってきます。」

前の賞金稼ぎの戦闘機が。

この地域に侵入。

メディオクリタースが何か知っていると思い。

強引に大気圏から降下。

民間機との事で軍部は監視するに留まりましたが。

応答が変なので。

スクランブル発進。

戦闘偵察機が3機編隊で追跡するのですが。

メディオクリタースは何か察して戦闘機に搭乗したのです。

空を見てくるのだと思っている主任。

賞金稼ぎはメディオクリタースに探りを入れようと。

密かに拉致を計画していましたが。

メディオクリタースが看破しており。

まっすぐ突進してきて。

あわよくば爆撃でもするだろうと。

この前アイドクレースでの出来事で。

いずれは来るだろうと思っていましたが。

本当に襲撃。

こちらから迎え撃つことに。

単騎でインターセプト。

敵はこの前の酷い旧式モデル。

あの時と全く同じエンブレムと機種でしたよ。

賞金稼ぎとの再会。

大気圏上層部で交戦。

メディオクリタース。
「そこそこ小回りが利くんですね。」
「これは読み勝ちです。」
「でも後ろを取れませんね。」
「でも背後よりも背面を見せれば撃ち落とせます。」
「そんなにうまい相手ではなさそう。」

性能で上回っているものの。

実戦経験の違いからか。

粘ってくる賞金稼ぎ。

電磁幕を展開して電子装置に攻撃してきました。

予備システムで即座復帰。

距離を取られて。

後ろを向いた状態から。

ミサイル乱射をされました。

おまけに。

多数のデコイをばら撒いて。

ミサイルを使わせないぞ作戦をされる。

メディオクリタース。
「空戦では冷静さが大切。」
「一手先を読めている。」
「このまま行けば撃てる。」

敵機の背面に少しずつ命中弾を当てて。

シールドを破壊。

乱射してきたミサイルで被弾するも。

こちらのシールドは無傷。

そのまま背面を撃たれ続けた賞金稼ぎはカプセル・モジュールでベイルアウト。

でも戦闘の損傷で動作不良で事故死。

やっと偵察戦闘機が応援に来てくれましたが。

別の賞金稼ぎ2機に足止めされていたそうです。

研究所に帰還。

1時間後に軍関係者が訪問するも。

戦闘の経過や経緯などを欲しがっており。

華麗な単騎遊撃作戦を褒めてくれました。

市民のこういった気の利いた独自作戦は好ましいと。

軍人から英雄伝を問われて。

すぐに帰って行きました。

「理法」に従ったのならそれでいいと最後に伝えて。

豪華な装飾の戦闘機フォルムな車は研究所から立ち去った。

珍しく輸送機に乗らないレトロな雰囲気の軍人たちであった。

メディオクリタース。
「日頃の鍛錬の成果が出ました。」

ウェルバ。
「中々華々しい行動をしますね。」
「それで最後には撃ち落として帰還。」
「これは新鮮ですよ。」

マギステル。
「めっきーすごいぞ。」

リベロ。
「私達もつづけー。」

デマントイドは沈黙したまま。

私の研究は進捗なしですが。

私の成長はひとつの成果を得ました。


10


フロネシス。

中庸の徳性であり。

儒教の徳性とほぼ同じであるものの。

構造は複雑で。

なおかつシンプルにまとまっている秘技。

「実践知」と呼ばれ。

実践に向いた。

実践の為の知性とも言われている。

高度な知性で。

それを探求していたメディオクリタースはいつの間にか。

フロネシスの能力を身に着けていた。

のんびりまったりやっている研究施設は。

ガーデニングをしている仲間もいて。

フリーダムなスタイルが実績のある研究施設にまで導いたのでしょう。

メディオクリタース。
「取材どうだった?」

リベロ。
「みんな新しいものを作るスピードが速くて。」
「目まぐるしく変わっている。」
「ここ数年の創作物をすべて鑑賞すると2年は必要かな。」

メディオクリタース。
「文化雑誌が新作ラッシュなのも。」
「そんな創作に夢中な背景がある。」
「なるほど。」

リベロ。
「その文化雑誌私が筆記してるよ。」
「一部分だけれど。」

メディオクリタース。
「えー?」

マギステル。
「さてさて。」
「まってぃーの功名話だよん。」
「地底湖にクリスタルが輝く湖があって。」
「幻想的な湖のほとりで。」
「観光スポットになるかも。」
「安全性を立証できたから。」

メディオクリタース。
「おやー。」
「大戦果ですね。」

マギステル。
「まってぃーの手柄なのだ。」

リベロ。
「新人賞狙いますよ。」
「しかし私にはしたい事があるから。」
「まずはこちらを片付けて。」

メディオクリタース。
「私も。」
「フロネシスについていろんな文献があるから。」
「言い得て妙な記述を探している。」

リベロ。
「だったら古書の店だね。」
「いくつか知っているよ。」

メディオクリタース。
「どうもありがとう。」

デマントイドの成分及び。

分析が完了。

半分が物質なので。

それだけは判明。

半霊半物質は珍しいので。

これを手に入れたことは大きいですね。

内部にデータが保存されていますが。

バイオ・コンピューターでも解析できず。

メディオクリタースが直接触れて。

解読しております。

主任が今日いませんでした。

どこに行ったかと思いましたら。

次世代型コンピューターを受け取りに。

出張していたのです。

配備作業の用意をしつつ。

ゆっくり急げ。

のんびりまったりな研究風景です。


11


メディオクリタース。

「先人最強説」を唱えており。

分厚い本が遂に完成。

フルークトゥスに見せたら。

充分以上であると言われ。

出版することができました。

図書館にエントリーされるほど。

解り易い解説と綺麗なイラストも挿入。

内容は「先人が確立した英知を継承する」「歴史の継承」がテーマ。

「ナトゥーラ」に住む大物たちは。

久しぶりの大型新人に心躍らせ。

特殊工芸品のアトリエを訪れ。

いくつか購入してくれました。

メディオクリタース。
「そんなに良いもの?」

リベロ。
「めっきー。」
「工芸品作るの得意だからね。」

マギステル。
「ていうかおもしろい品物で溢れている?」

メディオクリタース。
「え?腕上げたのかな。」

マギステル。
「珍品。」

メディオクリタース。
「読書の成果。」

リベロ。
「勉強は基本に関するもの。」
「基本は万能ではありません。」

マギステル。
「学問は知識と吸収。」
「実践できるものですから。」

メディオクリタース。
「こういうふうに活きる時がある。」
「まだ満足行かない。」

リベロ。
「これくれない?」

メディオクリタース。
「持って行っていいよ。」

マギステル。
「人として成長する毎に技も進化する。」
「すごいわあ。」

再び研究施設。

休日から出勤。

ウェルバ。
「さて、素晴らしき新人君。」
「今週もエンジンかけましょう。」

メディオクリタース。
「溜まっていますね。」
「特に次世代型コンピューターです。」
「換装作業に時間かかります。」

ウェルバ。
「それは汎用性が高い君がいれば良いのだ。」
「持ち場に就くとしよー。」

文明のレベルはちょっとずつ上がっています。

ここ1年の変化と進歩をレポートにまとめる役がまわってきて。

仲間と一緒に仕上げて政府に提出します。

次世代型コンピューターの扱い方や換装など。

することがいっぱいです。

たまに忙しくなる。

のんびりまったり研究所です。


12


文明研究所。

しばらく前からプロジェクトが進行中。

10年毎に「腐敗していないか?」「堕落していないか?」などの定期点検が。

すべての人類に行われました。

この作業は2年の時間が必要です。

また「進歩しているか?」「どのくらい進化したのか?」という調査も行われます。

文明が「正常に機能しているか?」を徹底的に討論して。

定期点検をする。

その時期に差し掛かり。

文明研究所は大忙し。

ウェルバ。
「しばらく現場に赴きますので。」
「後は頼みます。」

メディオクリタース。
「可能です。」
「後顧の憂いは無いと思われます。」

マギステル。
「さて。」
「地味な仕事がまわってきたかな。」

リベロ。
「各個撃破せよ。」

研究所を任された三人娘。

調査データを包括しつつ。

「理法」と照合して。

「天理・天地自然の道理」を確認しつつ。

補佐的な役割に徹しています。

誰にも分からない細かい場所の担当なのです。

メディオクリタース。
「細かい所を集中的に観察。」
「実際に人々の様子を見てこよう。」

マギステル。
「その間は任せて。」

リベロ。
「データ処理とか雑務だけ?」
「2時間なら大丈夫だよ。」

メディオクリタースは都市部に出かけて。

見たままをメモして。

1時間ほどで帰ってきました。

メディオクリタース。
「データと見たまんまが違うやんけー。」

マギステル。
「報告しとくね。」

リベロ。
「主任はどこまで行ったのかな。」

メディオクリタース。
「空の上から全体を見下ろすのではなく。」
「大地の上から局地的に観るスタイルが効果的。」

リベロ。
「役人たちはアンケートスタイルだからなあ。」

マギステル。
「実際を見るのはもちろん。」
「住んでいる人々や契約して住まわせた人からもデータを貰っている。」
「めっきーみたいに直視するのは少ないよ。」

メディオクリタース。
「いろんな方法があるけれど。」
「わたしは見たまんまを提出してみる。」

役人の盲点を発見。

報告したら褒められました。

集計がニュース特番となり。

政府の公式見解が発表。

腐敗指数は3パーセントと出ました。

10パーセントに達すると改善命令が出ますので。

文明の大幅な改良が必要になっちゃいます。

今回は3パーセント。

前回の5パーセントより低下した結果でした。

良好かな?

ウェルバ。
「現場主義的な考え方は合理的です。」

メディオクリタース。
「どうもです。」

ウェルバ。
「しばらくどこか観光して見てきてください。」
「このノートを差し上げます。」

メディオクリタース。
「念入りに見てきます。」

ウェルバ。
「あなたたちも行けるのよ?」

リベロ。
「ではせっかくなので。」

マギステル。
「援護するー。」
「めっきー。」

メディオクリタース。
「観光場所はどこでもいい。」
「見たまんまを記録する。」

調査の旅に出向くことになり。

総合的な人類の状態を判断すべく。

現場主義者の意見が必要となり。

調査チームのひとつは。

観光と称して。

いろいろ巡ることに。

おもしろいですね。

気の利いた仕事をしなければいけませんので。

臨機応変。

変幻自在。


13


ボーイフレンド「ラピス」とは長い付き合い。

スクール時代で一緒にトレーニングした相棒です。

旅客機で再会できましたね。

ラピス。
「これはめっきー。」
「相変わらずかわいい人だ。」

メディオクリタース。
「そう言ってくれるのはラピスさん。」
「あなたくらいなもの。」

ラピス。
「だってあなたは女性ですから。」
「それを忘れてはいけません。」

メディオクリタース。
「私はそんなにかわいい?」

ラピス。
「女性らしい女性だと思っています。」

メディオクリタース。
「私なりの女を追い求めました。」

ラピス。
「私なりの男を追い求めました。」

メディオクリタース。
「健在ですね。」
「ここの部屋は誰もいません。」
「撫でて。」

ラピス。
「女性として扱わせて頂きます。」

個室のソファーに移動。

久しぶりに撫でて貰いました。

髪を撫でて。

頭を撫でて。

顔を優しく掴んで。

見つめる。

こういうのが好きなふたり。

メディオクリタース。
「なんかときめいちゃいます。」

ラピス。
「それはあなたが女性であるからです。」

メディオクリタース。
「男らしい男ですね。」
「さぞかし良いお嫁さんに巡り合えるでしょう。」

ラピス。
「求婚には困らないもので。」
「私に相応しい女性が中々登場しません。」

メディオクリタース。
「そんな女性がいましたら。」
「紹介しておきますよ。」

ラピス。
「しかしこのように撫でてあげることもできなくなりますよ。」

メディオクリタース。
「あなたの相手が現れるまで。」
「私をかわいがってください。」

ラピス。
「女性とはこんなかわいい所があるものですね。」
「軽く抱きしめてあげましょう。」
「女性であることを自覚なさって。」

メディオクリタース。
「優しい撫で方。」

メディオクリタース。

寄り掛かって眠ってしまいました。

ラピス。
「まるで自分の妹のようだ。」
「健気で趣味も一致している。」
「起きてくださいよ。」
「他の男なら出来心もあるでしょう。」

メディオクリタース。
「ああっと。」
「ちょっと久々に撫でて貰って。」
「たまらなかったです。」

ラピス。
「甘えてくれるのはあなたくらいなもの。」
「かわいがるのは私の趣味。」

メディオクリタース。
「撫でられるのも私の趣味。」
「たまりません。」

ラピス。
「満足ですね。」
「これは良かった。」
「私も女性をかわいがるのは好きです。」
「かわいい生き物ですからね。」

メディオクリタース。
「おやおや。」
「中々女性についての見識が深そうですな。」

ラピス。
「だからこそこんなスキンシップもできるものです。」

お互いに良き理解者。

だからこそ出来るスキンシップ。

でも恋中ではありません。

相棒として信頼関係があるから。

可能になった芸当なのです。

ラピス。
「ペルソナ准将に呼ばれていてね。」

メディオクリタース。
「親戚だからこそ頼める任務もあるんですよ。」

ラピス。
「その通り。」
「なんとかやってのけるよ。」
「我が家は平民ではないから。」
「元々のルーツが英雄であるからな。」

メディオクリタース。
「つまらない事で命を落とさないように。」
「任務達成を目標に。」
「無駄で無謀な事はしないでね。」

ラピス。
「忠言どうもありがとう。」
「また会おう。」
「あなたは今回女性として甘えてくれた。」
「次は私が甘えさせてもらう。」

メディオクリタース。
「次会ったとき。」
「隣に奥さんがいたりして?」
「そろそろ娶ったら?」

ラピス。
「妻になるべき女性が現れたら。」
「さっきの趣味は失うが。」

メディオクリタース。
「いいえお構いなく。」

ラピス。
「その時はその時。」
「助言を受け取ることにするよ。」
「私もいい具合だし。」
「ではまた!」

メディオクリタース。
「賽は投げられた。」

ラピス。
「たゆたえど沈まず。」

ハイタッチして。

ウインク。

恋ではなく。

絆です。

女性としてのかわいさを指摘するラピスと。

男性としての魅力を指摘するメディオクリタース。

ふたりは絶妙なコンビネーシヨンで。

お互いの成長を成しています。

とってもよい友情。

でもラピスが結婚したら。

もうできませんが。

お互いに良い影響を及ぼす。

親友です。


14


大商業惑星「フルークトゥス」では。

資本主義的勝利者のひとりとなり。

稼いだお金を消費することによって。

喜びを得る。

そのためには実力だ!という競争原理があって。

「労働は手段であり、目的ではない。」という格言もあるほど。

稼いだお金を自分なりの方法で使用するのが。

もっとも爽快であると考えており。

お金の使用は彼らの趣味です。

経済大国である所以ですね。

メディオクリタース。
「経済の中心地。」
「人の有様は悪くはない。」
「しばらくホテルに滞在して。」
「様子を見てみよう。」

マギステル。
「やっほー。」
「他の星々見てまわってきたよ。」

リベロ。
「今日からは一緒に行動ね。」

メディオクリタース。
「様子はどうでした?」

マギステル。
「一部はやっぱダメ。」

リベロ。
「全体的にはいいけれど。」
「やっぱり隅っこはダメ。」

メディオクリタース。
「なるほど。」
「私もしっかり記録するとしましょう。」
「隅っこも一緒に。」

大都市の典型と言える街で。

端っこや悪い部分を見に行くと。

やっぱり退廃した人々が少なからずいて。

原因は自滅が多く。

自由意思を行使した結果。

間違えてしまったそうで。

本気で悪い連中がおり。

一揆を企んでいるそうです。

これは凄い情報?

メディオクリタース。
「改善の余地がまだありそうです。」

マギステル。
「見たまんま人の道徳水準は高いけれど。」
「どうしても根底に堕ちる人もいる。」

リベロ。
「役人たちもは対処している最中みたい。」

メディオクリタース。
「こんな廃墟みたいな所もあるんですね。」

リベロ。
「世の中良い所ばかりではないけれど。」
「悪い事一辺倒ってのは理にかなってないよ。」

マギステル。
「悪い所をしっかり見た後。」
「他の良い所を見に行こう。」

メディオクリタース。
「どうしようもない憐れな連中。」

落ちこぼれの姿を見て。

自分でそうなったというより。

不自然な要素によって強要されたようで。

これは改善ありかな?と思いましたら。

福祉サポートが巡回していて。

大丈夫みたいです。

悪い所が一か所だけありましたよ。

メディオクリタース。
「オフィスビルがいっぱい。」

リベロ。
「商業が取り柄の星だから。」

マギステル。
「でも基本的な品物はなんでも揃う。」
「特にブランドは星の数ほど揃っているよ。」
「綺麗な服がいっぱいあるし。」

メディオクリタース。
「いろんな民族衣装もあるんですね。」

リベロ。
「雑貨も豊富。」

マギステル。
「ちょっとしたショッピングモールでこの品揃えかい!」

メディオクリタース。
「商品よりも人の様子。」

リベロ。
「満足した顔だらけ。」

マギステル。
「市民同士の会話がある。」

メディオクリタース。
「世間話してますね。」
「見ず知らずの人と。」

リベロ。
「少なくとも腐敗している雰囲気では無さそう。」

マギステル。
「真面目な雰囲気。」

メディオクリタース。
「清潔な都市って所です。」
「この辺りは。」

リベロ。
「人は清潔な方がいいのです。」

マギステル。
「明るい雰囲気が漂いはじめた。」

メディオクリタース。
「一部分は良くない。」
「他はまあ良いです。」
「この都市では理法が身についているのかな?」

リベロ。
「基本法だからね。」

マギステル。
「知っていると思うよ。」

聞き込み調査で。

知ってはいるものの。

娯楽に溺れてしまう。

なんとも言えない人間模様があるそうです。

商業中心の価値観のフルークトゥス。

住民は「お金」をよく知っているようで。

物々交換では上手にまわりません。

共通の「お金」が定められて。

共通の「お金」を物々交換することによって。

便利に機能する仕組み。

労働の見返りとして「賃金」があり。

それを物々交換して。

この循環で成立していくという。

金銭哲学が豊富の様子。

労働は「褒美」なので。

どのように褒美を貰うか。

それをどのように爽快に使うか?

彼らの金銭に関する趣味は尽きません。

「お金」はこの世が出来てから。

すぐに誕生した概念であると言われており。

「金銭は神の制定」という認識で一致しているそうです。

メディオクリタース。
「この星には娯楽特区があるから。」

リベロ。
「それで夢中になっているのかあ。」

マギステル。
「それって腐敗の兆候?」

メディオクリタース。
「役人も目を見張っている。」

リベロ。
「維持管理が難しそう。」

マギステル。
「娯楽惑星でもあるからなあ。」

3日滞在。

人口密度が高い星では。

腐敗している箇所が少しだけあり。

なんとか維持できているみたい。

ちょっと中間報告の為に。

帰還要請が入りました。

本当は1か月貰っていましたが。

状況が変わったので。

要請があり。

帰還しておきます。

観光と称した調査は終了です。


15


敗北の民「ルクルム」の星。

核爆発と大気汚染で荒廃しており。

自給自足でなんとか持ちこたえる人々と。

独裁制を敷く悪徳政治家たちが支配しております。

その様子を見て。

少し前に退去してきたルクルムの難民は事情を説明。

市民が決起。

遅れて2個艦隊で来た我々の部隊は。

独裁者の武器を粉砕。

散り散りになった独裁者たちは。

ゲリラ戦を展開するに至ります。

市民対市民の戦争が発生。

教育を手中に収めて洗脳された市民と。

まともな市民との対立から内戦に勃発したので。

詭弁家が論破しつつ。

賞金稼ぎに独裁者を狙わせました。

ペルソナ准将。
「実戦指揮官として現地に降り立ってくれ。」

ラピス。
「そのつもりです。」
「先遣隊と合流します。」

ラピスが元廃墟の基地に到着。

施設は修復されていて。

前線基地です。

ラピス。
「思った以上に荒廃しております。」
「市民は苦労ばかり。」
「劣悪な環境から早めに解き放ちましょう。」

ペルソナ准将。
「他には変わったことは?」
「どんな些細な事でも。」

ラピス。
「いつかの住民が。」
「透明な円盤を目撃したそうで。」
「瞬間移動するとか。」

ペルソナ准将。
「我々の円盤にはそんな機能はないぞ。」
「円盤は移動速度が低いビークルで。」
「戦闘力は高いものの。」
「航行用のモノではないからな。」
「興味深い。」
「透明な円盤について目撃証言を集めよ。」

ラピス。
「了解。」

さて。

賞金稼ぎの一団。

チーム「レギオー」の10名が進撃開始。

渓谷沿いの要塞に独裁者の残りがいるとか。

レギオーは防空網に捕まって。

諦めて陸路で要塞を目指すようです。

ラピス。
「レギオーが苦戦してます。」

ペルソナ准将。
「援護させよう。」

補給物資と航空支援。

でも爆撃されたので。

独裁者は既に要塞から逃げていて。

レギオーは追いかけます。

10人の精鋭部隊は。

合計2000人の傭兵相手に勝利を重ねて。

なんとか独裁者の親玉を岬の砦で討ち取り。

核地雷の存在が判明。

正確な場所まで特定できました。

ラピス。
「核地雷があるようです。」

ペルソナ准将。
「スキャンした中でも知らないものもあるようだ。」
「そこまで酷くやっていたのか。」

ラピス。
「もう住民は服従してくれました。」
「井戸を掘る専門部隊も作成して野に放ちましたよ。」
「水資源はもう確保できます。」
「食料は相変わらず不足です。」

ペルソナ准将。
「それで?変わったことは?」

ラピス。
「遺跡がやたらに多いことと。」
「骨董品や珍品が多く保管されている程度で。」

ペルソナ准将。
「それは貿易会社とかに流してしまえ。」
「目を付けた連中が開拓に協力してくれそうだな。」

ラピス。
「ああ!その辺り詳しく調べます。」
「3日後にまた連絡します。」

一週間経過。

まだ敵ゲリラ戦を潰していました。

衛星軌道中に静止する艦隊の司令部にて。

ペルソナ准将。
「いろいろ?情報は?」

スタッフ。
「流しておきました。」

ペルソナ准将。
「よろしい。」

スタッフ。
「透明な円盤については目撃証言しかないみたいです。」

ペルソナ准将。
「なにかわかる?」

メディオクリタース。
「私の仮説が正しいのか。」
「地球司令部の最高機密を見てしまったのか。」
「他の何かか。」
「見当がつきません。」
「もし本当ならば。」
「超文明があるのは事実でしょうか。」

ペルソナ准将。
「我々よりも進化した?究極の被造物?」

メディオクリタース。
「あり得るかも知れませんが。」
「目撃証言だけで。」
「情報が少ないです。」
「信憑性も不明としか。」

ペルソナ准将。
「ううむ興味深い。」
「わざわざ来てくれてありがとう。」
「本当に目撃証言しかないから。」
「私もわからないのだ。」

いろいろ星をまわっていたメディオクリタース。

帰り際に。

工業惑星「シレークス」に寄りますが。

かつて「人類はこうするべきだ!」と盛んに訴えた思想家集団。

「ゼノ」という勢力が復活しており。

少数で反旗を翻します。

紛争が発生。

半日で退去することになってしまいました。

陸軍と熾烈な地上戦が展開され。

「ゼノ」は2回勝利。

3回目で負けました。

無駄な被害が出て。

市民は呆れ顔です。

ひとつの正解を追い求めた「ゼノ」たち。

でも彼らは。

日常や世界に対する「問い」が必要であると。

全滅を持って。

定期的に知らせてくれています。

輸送船で合流して帰還。

マギステル。
「少し分散して行動したけれど。」
「たまには一緒に巡ろう。」

リベロ。
「三人寄れば文殊の知恵。」

メディオクリタース。
「ブラボー。」
「あとふたつほど巡って帰ろう。」

この後。

2日間ほど旅して。

人の様子を観察した現場主義。

豊富な目撃と共に。

研究所に帰還。

すぐに。

文明についての資料を作成する業務に移行。

みっちり書斎に籠もるしかないので。

文明研究所は熱気が籠もり始めて。

たまにこうなる。

定番の時期がやってきました。


16


ウェルバさん。

女性らしい服で出勤。

白衣に赤いスカート。

ニーソックス。

大きなリボンを髪に飾り。

上着はお嬢様的な?

珍しく女性らしさ満開です。

マギステル。
「彼氏でも出来たのかな?」

リベロ。
「結婚する派だったっけ?」

メディオクリタース。
「女性に見惚れる女性。」

マギステル。
「いやかわいいでしょ。」

リベロ。
「好きにしたい。」

マギステル。
「情念を暴走させないの。」

リベロ。
「いや見るからにかわいいでしょ。」

メディオクリタース。
「いつも地味な服装で伊達メガネだから。」
「気付かなかった?」

マギステル。
「は?どういうこと?」

メディオクリタース。
「真剣な業務をしている時は適当に取り繕うから。」
「おしゃれなし。」

リベロ。
「いつもは何も手を加えないのかあ。」

マギステル。
「仕事優先で敢えて地味にしていたのか。」

リベロ。
「告白したくなる。」

メディオクリタース。
「すれば?」

リベロ。
「ウェルバさんかわいいです!」

ウェルバ。
「あら?」
「ありがとう。」
「たまにしかまともな恰好をしないからね。」

リベロ。
「いつもは手抜き?」

ウェルバ。
「わざと不恰好にしてるのよ。」
「私にとってはその方が仕事に集中できる。」

リベロ。
「アイドルみたいです。」
「撮っていいですか?」

ウェルバ。
「今はたいしてする事は無いから。」
「いいわよ。」

マギステル。
「すごい口説き落とした。」

メディオクリタース。
「私達は乗り遅れたかも。」

マギステル。
「多分そうだと思う。」
「美人だなんて知らなかった。」

メディオクリタース。
「かわいい女性がすぐ傍に?」
「独り占めできたかもしれない。」

マギステル。
「私も女の子好きだわ。」

四人で談笑が盛り上がった。

小雨が降る。

にわか雨の日です。

マギステル。
「私はなにをすればいいのかな。」

ウェルバ。
「被造物として?」
「それならすぐに察するでしょう。」

マギステル。
「見つける。」
「とか。」
「そういうのではないよね。」

メディオクリタース。
「そうであるならば小鳥は何の為にいるのですか。」
「人に転用するとそう出ます。」
「なに不自然な考え方に陥っているのでしょう。」

マギステル。
「おおっと危ない。」

ウェルバ。
「それって天体は何の為に廻っているか?」
「それについて考察するのと同じよ。」

マギステル。
「雨は何の為に降るか?」
「木星は何の意味があって存在するのか。」
「突き詰めていくと。」
「ああなるほど。」
「機械的な思考ルーチン。」
「ううむちょっと今度カウンセラーに行ってくる。」

メディオクリタース。
「あれは学ばなかった?」

ウェルバ。
「何も学ばずに大人になった訳じゃない。」
「すぐに理解してくれます。」

ウェルバ。

倉庫を物色。

後ろからゆっくり来て。

リベロ。
「襲いたい。」

ウェルバ。
「へ?」

リベロ。

ウェルバに抱き着く。

ぎゅっとする。

ウェルバ。
「ひゃっ。」
「なにするの。」

リベロ。
「かわいい上司さん。」

ウェルバ。
「ちょっと好きにされてみたい。」

リベロ。
「いいの?」

ウェルバ。
「なーんて。」

すぐに抜けられた。

にっこりウェルバさん。

ウェルバ。
「イタズラちゃん。」
「私が女の子にも惚れられる。」
「よくわかったわあ。」

リベロ。
「ちょ。」
「なにするの!」

ウェルバ。
「女性として見てくれたお礼よ。」
「ちょっと隙を見せたら襲ってくれた。」

リベロ。
「ぎょええ。」

メディオクリタース。
「自由な考えに基づいて。」
「これが正解!なんてなしで。」
「フリースタイル。」
「これが私達の方針。」

マギステル。
「なーるほど。」
「基本が抜けてたわ。」

メディオクリタース。
「なんか倉庫の方で。」

マギステル。
「あれ?」
「リベち本当に襲ったの?」

メディオクリタース。
「おふざけが過ぎたね。」

リベロ。
「諧謔が過ぎたな。」

ウェルバ。
「今度はこっちもやらせてよ。」

マギステル。
「主任が強姦!?」

メディオクリタース。
「賑やかだなあ。」
「女の子の世界ってどうしてもこうなる。」

マギステル。
「女性と男性では世界がまるで違いますから。」
「あれは男性に見せないほうがいいと思う。」

メディオクリタース。
「私は調査員の論文を読んでいるね。」

マギステル。
「次世代型コンピューターに慣れておく。」

今日の職場。

なんだかハチャメチャでした。

たまにあるのですが。

今回はこんな感じ。

ていうか天体が周回軌道するのと人の生き方って同じじゃありませんか?

考え続ける私が馬鹿なのかな?

研究レポート。

この時代の方針「Free Style」


17


邸宅にて。

秘密の部屋で。

ソファーに座り。

子供のように撫でられるラピス。

メディオクリタース。
「抱きしめてあげようか。」

ラピス。
「ああ!私は大人なのか子供なのかもう分からない。」

メディオクリタース。
「ほら。」
「もっと寄せなよ。」
「まるで子犬のよう。」

ラピス。
「女性の温もり・・・。」

メディオクリタース。
「よしよし。」

ラピス。
「いい匂い。」
「柔らかい。」

メディオクリタース。
「もっと甘えていいよ。」

抱きしめられるラピス。

ラピス。
「これが女性か。」

メディオクリタース。
「これも女性です。」

子供のように撫でられて。

安堵の表情。

ラピス。
「うう。」
「こんな素敵な人。」
「めっきーでなかったら求婚してます。」

メディオクリタース。
「何の取り柄もない女性は居ないものです。」
「私と同じような女性で。」
「夫を求める人は他にいますとも。」

ラピス。
「こんな事できる人は稀です。」
「ありがとう。」
「リフレッシュ。」

メディオクリタース。
「前にも私に対してしてくれたじゃないですか。」
「持ちつ持たれつ。」

ラピス。
「惚れてしまいそう。」
「もちろん人として。」

メディオクリタース。
「それは光栄。」
「もう少し撫でさせて。」
「かわいい。」

ラピス。
「眠くなる・・・。」

撫でられて眠ってしまい。

しばらくして。

メディオクリタース。

にこっとして。

イタズラしてみる。

ラピスを置いて。

水性マジックで襲撃。

ラピスなんとなく目が覚める。

ラピス。
「ぎょえええ!?」
「だから女性は危険だ。」

メディオクリタース。
「もう少しでもっとかわいくなりましたよ。」

ラピス。
「何?どういう意味で!?」
「ちょ。」

メディオクリタース。
「惜しい。」
「もう少し格下なら好き放題できたのに。」

ラピス。
「怖いねぇ女性ってのは。」

メディオクリタース。
「本物の女ならこのくらいは普通です。」

ラピス。
「というわけで今は油断できなくなった。」
「まだ何かあるのでは。」

メディオクリタース。
「眠り薬とか?」
「女性の常套手段。」

ラピス。
「有り得るのか?」

メディオクリタース。
「あなた喜劇がお好きなのね。」
「まだやります?」

ラピス。
「この辺にしておこう。」

メディオクリタース。
「では史上最高級のお茶を密輸しましたので。」
「そろそろメイドさんが来ますよ。」

ラピス。
「底が知れない。」

メイドさんが来て。

ティータイム。

メディオクリタース。
「それでまた前線に戻るのですね。」

ラピス。
「もう休暇はなし。」
「とりあいず独裁者は全滅が確認された。」
「あとは市民。」

メディオクリタース。
「最近はゼノが意味不明な事をやっています。」
「警戒心を持っていれば避けられるでしょう。」

ラピス。
「避けてみせるさ。」
「なんにでも対処できるようにしたい。」

メディオクリタース。
「しっかり任務を達成できるように。」
「応援してますよ。」

ラピス。
「やってやりますよ。」
「勲章が目標ですから。」
「なんだかひとりで全部相手に出来る気分だ。」

メディオクリタース。
「大丈夫。」
「そんな気分。」
「すぐに治るよ。」

ラピス。
「うんそうだよね。」
「自信があれば過信にいつ何時転換するのやら。」

メディオクリタース。
「必要以上の自信は要らないかと。」
「実際以上に判定するのは危険です。」

ラピス。
「戒めに感謝。」
「では今日の4時出発なので。」
「貴方のかわいい顔が見れて良かった。」

メディオクリタース。
「おやまあ贅沢な発言。」
「では私は貴方のかっこよさ。」
「男らしさを見せて頂きますよ。」

ラピス。
「オーケー期待してな。」
「そろそろ時間だ。」
「またの機会に。」

メディオクリタース。
「また時を見計らって。」
「いつでも横にいてあげます。」

手の平を互いに合わせて。

ラピスは車に搭乗。

メディオクリタースは気が利いた事をした。

小銭を投げつけて。

ラピスがキャッチ。

ラピスが手を振って。

運転手が発進。

小銭は流通していない古銭。

むかしに発行停止された通貨。

任務に就く時。

励ましと記念品にと渡した。

すべてあらゆる意味での印として出した古銭です。

ラピスはさわやかな顔でエアポートに到達。

輸送機に搭乗して。

空軍基地に出向き。

宇宙船に搭乗して。

任務出発です。

メディオクリタースは空を見ていて。

空を突き抜けて宇宙が観える。

なんて。

心境です。


18


最近の指針「存在としての大人」が発表され。

通常の状態では大人でないとする。

完全な熟達した。

神から見て大人ではない。

という論文が好評を得て。

採用されたのです。

これに反発したゼノの生き残り。

軍隊は全滅しても。

人類に対する「問い」は残っているのです。

ナトゥーラにある中都市「フォンス」

泉のように論文や創作物を出してくる。

アーティストの集う街。

ここには大規模なテレビ局があり。

今日も「存在としての大人」について論議しておりました。

テレビ局のゲストとしてメディオクリタースがちょっとだけ出演。

まだ番組は続いており。

役目を終えた三人娘は下の階の喫茶店で休息。

ラピスも役目を終えて降りてきました。

ラピス。
「こんな綺麗な人達に囲まれてティータイム?」
「なんて贅沢な。」

メディオクリタース。
「偶然ではないのなら。」
「何かの褒美でしょう。」

マギステル。
「お世辞?」

リベロ。
「いや事実を言ってくれているのです。」

ラピス。
「前線から下げられて。」
「女性に囲まれて憩いの場。」
「せめてお世辞でもいい。」
「綺麗な方たちに礼節を。」

マギステル。
「男らしさって。」
「紳士が魅せているよね。」

リベロ。
「男らしさってなに?」

ラピス。
「私の永遠のテーマ。」
「と言った所か。」

メディオクリタース。
「女らしさ。」
「はてさて誰が決めたのか。」
「こうあるべき。」
「というのを実行していきたい。」

マギステル。
「そして示された歴史における女性。」
「お手本は必要でしょう。」

リベロ。
「めっきー熱が入ってていいよね。」
「意外な所にヒントは落ちているもの。」

マギステル。
「むしろ積極的に追及しない人が。」
「誤っているとしか思えない。」

ラピス。
「いきなり結論には至りませんよ。」

メディオクリタース。
「生涯学んでやっと辿り着くのでしょう。」

リベロ。
「らっぴぃ理知的だなあ。」
「こういうタイプの男性も魅力的。」

マギステル。
「サムライソードを振り回す男性とかはどう?」

ラピス。
「武器も扱えずに男はやらんでしょう。」

メディオクリタース。
「戦えない女はやられ役。」
「どっかの召使いですか?」

リベロ。
「女性は戦いを知らない場合が多い。」

マギステル。
「戦わないと掴めない。」
「むかしの女性の立場は低かった。」
「やる事が夫に仕えているだけ。」

ラピス。
「はあ?」
「先に気付く女性を神は選んだとしか思えんが。」

メディオクリタース。
「女性が態度を改めないと。」
「気付くことはできなかったでしょう。」
「女性の一生がみんな結婚して子供で老いぼれ。」
「容易に感付く筈。」

ラピス。
「そこまで酷評しなくてもよろしい。」
「みんな同じ結果であることは否定していない。」
「気付いた人から抜け駆けできるものです。」

リベロ。
「結婚が選択制なんて見出したのは。」
「暗黒時代が終わる頃の話。」

マギステル。
「それまでいくらも進展が無かった世界ですから。」
「しかしあの時代は教訓だわあ。」

メディオクリタース。
「自分なりの見識や見解は必需品です。」
「肝心なのはこれが理にかなっているか?」

ラピス。
「自分の意見が正しいなんて分からないから。」
「探って他の意見や正論と照合。」
「まあ高度な作業ってことで。」

メディオクリタース。
「社会や文明が高度化すれば。」
「高度な知性や技法が必要になりますからね。」

リベロ。
「ちょっといい?」

マギステル。
「やっぱりそう?」

メディオクリタース。
「なに?」

ラピス。
「おもしろい話でもあるのかな。」

リベロ。
「あの巨大バッグ。」
「弾薬入ってるかも。」

マギステル。
「なぜか金属探知機をすり抜けて。」
「警備ロボットが動作不良。」

メディオクリタース。
「そうであるならば。」
「まだ未発生という訳です。」

ラピス。
「10人くらいの被害は無くせるかな?」

メディオクリタース。
「敵を倒す時にナイスアイデアを探す?」

ラピス。
「しかしそんな都合のよいものはない。」

メディオクリタース。
「敵を斬る。」
「敵を倒す。」
「というような明確な目標に対して徹底的に突き詰めるだけ。」

リベロ。
「準備よし。」

マギステル。
「一応確認。」
「正面からはやらないよ?」

ラピス。
「頭を使って戦わなければ。」
「雑兵みたいなもんだ。」
「さてさて生き残るか死ぬか。」

メディオクリタース。
「目的は封鎖された出入り口の解除。」
「いくつかに絞る。」

マギステル。
「敵を全員倒すなんて事はしないよ。」

リベロ。
「全員を相手にしなくていい。」
「目的を達成すればいい。」

ラピス。
「おっとそう来たか。」
「難易度は下がった。」

メディオクリタース。
「身を隠しましょう。」
「裏口の倉庫がいい。」

倉庫の中に退避。

生放送中のテレビ番組。

何者か20人が怪しい動き。

警備員も発見。

警備員は悟られないように動く。

一部の職員と市民は退避。

倉庫の裏口が封鎖されたようです。

そのうち。

正面玄関も封鎖されてしまいました。

メディオクリタース。
「武器は?」
「ハンドガンは?」

リベロ。
「ない。」

マギステル。
「めっきーはビームソード?」

ラピス。
「護身用の拳銃。」
「予備がある。」
「渡しておく。」

20人が散開。

職員と市民が逃げ遅れる。

生放送も中断。

ゼノの一団ですよ。

2人が倉庫に入ってきたのです。

何か知っているかもしれないメディオクリタースと。

ラピスを捕虜にしようと密談。

している所を三方向から一気に仕留めました。

メディオクリタース。
「これは死んだ?」

リベロ。
「さあ?」
「みねうち得意じゃなかったの?」

マギステル。
「憐れな奴ら。」

ラピス。
「武器を鹵獲して使おう。」
「弾薬も荷物から奪うよ。」

警備員と本格的な戦闘が発生。

警備員は劣勢。

でも。

武装警察と軍隊がすぐ近くまで来ております。

攻撃ヘリの姿が見えました。

放送スタジオに突入するゼノ。

ゼノ。
「中継をオンにせよ。」
「これにて玉砕するが。」
「我々の考えに賛同してくれる者は現れるであろう。」

強制されるスタッフたち。

一方。

ラピス。
「命のやり取りだ。」
「負ければ死ぬ。」
「それを承知で?」

メディオクリタース。
「何か当たったら死ぬもの。」
「なら当たらなければいい。」

リベロ。
「あの数なら時間くらいは稼げるでしょ?」

マギステル。
「作戦はさっきの通り。」

ラピス。
「あいつら思った以上に多いぞ。」
「怪我は覚悟しているか?」

メディオクリタース。
「無謀な戦いではない。」
「突入口が封鎖されているから。」
「解除するだけでいい。」

ラピス。
「封鎖を解こう。」

スタジオ内。

ゼノ。
「は?」
「たった4人に何やっている。」
「たったの4人が此処まで来れる筈が無い。」

傭兵。
「もう時間がありません。」
「機材を動かして。」
「ほら!お前早くハッキングしろ。」

ゼノ。
「もう少し時間を稼げ!」

武装警察が到着。

一階と中二階フロアで敵兵5人と交戦。

メディオクリタース。
「射撃精度いいね。」

ラピス。
「姿を見せれば当てられる。」

リベロ。
「このブロッキング。」
「壊せる?」

マギステル。
「半自動ドアで良かった。」
「外せそう。」

ラピス。
「こっちは持たないぞ。」

メディオクリタース。
「相手はグレネードやロケットランチャーも使う。」
「さっきそれが見えた。」

リベロ。
「なんだってぇー。」

マギステル。
「外した。」

リベロ。
「無線機で情報提供するぞー。」
「相手は重火器を持って・・。」

ラピス。
「駄目だ突進してくる。」

メディオクリタース。
「隠し通路があるよ。」
「ここを通ってもう一か所開けよう。」

ラピス。
「よしきた。」

ブロッキングを外して。

職員と市民を逃がしましたが。

突進してきた敵兵が地雷を持っていました。

スモークを炊いて退避。

非常用の隠し扉で移動。

やっぱり。

地雷で塞がれてしまい。

スキャナーで一部始終が見えましたよ。

あーあ。

アテにしていた第二次作戦で行きます。

メディオクリタース。
「トンネル・ビジョン。」
「特定のものごとに集中しているあまりに。」
「他の可能性のある要因に気付いてなかった?」

ラピス。
「こうだ!これだ!」
「そう思っているのは本人だけでは?」

マギステル。
「視野が狭くなっていたかぁ。」

リベロ。
「ここの構造は把握している。」
「案内するから。」

メディオクリタース。
「テロ対策用の緊急ドアがあるから。」
「そこを解除して退却。」

今度はコンピュータールームです。

敵兵に予備のブロッキング装置はありません。

工兵が何人か倒れていました。

再度装着はできないみたい。

コンピュータールームで激しい戦いがあって。

生き残りの敵兵1人を突撃射撃で仕留め。

電光石火の移動と扉解放に成功。

同時に武装警察が解放した通路を使用し。

突撃。

屋上のヘリポートからは空挺部隊が侵入。

大きなバルコニースペースからも空挺部隊。

そのまま4人は離脱。

傭兵。
「2階まで掌握されました。」

ゼノ。
「人類とは進化する生き物である。」
「ならばあらゆる方法を駆使して。」
「より高い次元へと進む勇気が必要である。」

傭兵。
「味方部隊大半を損失。」
「我々は地下を通って逃げます。」

狂信者。
「分かった。」
「地下には退路がある。」
「確保しているうちに行け。」

ゼノ。
「至高の存在に至る為に。」
「向上を続けよう。」
「人類に必要なのは革命だ。」
「人類革命だ。」

狂信者。
「もう終わりのようです。」

ゼノ。
「自爆しよう。」
「スタッフは解放しろ。」

スタッフ逃げ出す。

バルコニーに向かうゼノたち。

攻撃ヘリの銃撃を受けるも。

手榴弾を片手に。

引っこ抜いた。

そのまま飛び降りて。

自爆。

華々しい散り際。

ゼノの考えに感化された人もいましたが。

そこまで大きな運動にはならず。

「そういう考えもあるのか。」という意見が飛び交いましたが。

正解は存在しないと見ており。

時が経つにつれて。

教訓のひとつとして定着していきました。

メディオクリタース。
「果敢な援護は賛美されるようですね。」

リベロ。
「それもそうだよ。」
「相手は重火器を装備していたから。」
「突撃隊がそれを基に防御できた。」

マギステル。
「何もしていなかったら。」
「どうなっていたことやら。」

ラピス。
「出入り口が封鎖されてしまっていたから。」
「最悪。」
「爆弾で道連れも有り得たよ。」
「苦戦させたから自爆した。」
「あんな美しい散り方になったんだから。」

メディオクリタース。
「ゼノに自爆を促したのは私達というわけです。」
「記念ポーズを撮りますよ。」

果敢に戦闘をこなして援護した功労者。

そのおかげでゼノは転落しながらの自爆を選んだ。

結果論でしかない。

けれども。

有り得る展開でした。

敵兵の装備品には高性能爆弾が入っていて。

選択肢としては持っていたからです。

後で知りました。

その工兵は警備員に撃ち殺されていました。

最優先ターゲットにされたのでしょう。

警備員は勇敢に戦って全滅。

武装警察と軍隊はあっけなく制圧に成功。

そんなわけで。

現在ニュース番組で。

時の人となっている。

現在カメラに映されている。

私達です。

決めポーズをして。

チョキを頭の方に。

横にして。

おめかし三人娘と。

もののふラピスと呼ばれた。

好青年と一緒に。

紹介されています。

誉かな?

栄誉かな?

当たり前の事を当たり前にして。

適切な個所で適切な事ができたのですから。

合理的になって当たり前ですよ。


19


メイドさんが転職するとのことで。

2人が抜けていきました。

そこでメディオクリタース。

人材リストを漁ります。

端っこの方に。

惑星「アルボス」出身の女の子2名の名簿がありました。

興味深いので採用することに。

素早く来てくれた中学生くらいの女の子。

フェーリークス。
「フェーリークスです。」
「メンシスの妹。」

メンシス。
「メンシスです。」
「フェーリークスの姉です。」

メディオクリタース。
「メディオクリタース。」
「地方貴族の娘。」
「よろしく。」

フェーリークス。
「あなたの両親は?」

メディオクリタース。
「私はここの所領を任されました。」
「今は居ませんよ。」

メンシス。
「エリートですか・・・。」

メディオクリタース。
「いいえ。」
「そんな簡単には行きませんでしたよ。」
「さて。」
「しばらく休憩して慣れたら。」
「着替えて。」
「適当に何かやってくださいな。」
「あなたの先輩がいますので。」
「教えてもらって。」

退場。

屋敷の隅っこで。

メンシス。
「生まれのアドバンテージ?」

フェーリークス。
「いいえ。」
「何か手練のようだし。」

メンシス。
「通常エリートなんて。」
「それしか取り柄がないように設計されていて。」
「神が憐れんでなんとか生きていけるようにしてあげた。」
「なんて見える。」

フェーリークス。
「それ取ったら何も残らないでしょ。」
「そこまでかわいそうな連中だから。」
「それ無くなったら貧弱な弱虫でしょ。」
「その代わりに設定されたレールの上を走るしかない。」

メンシス。
「何の益になるのでしょう。」

フェーリークス。
「愚か者が非常に高い位につけられ。」
「富む者が低い席に着けられている。」

メンシス。
「私は奴隷たちが馬に乗り。」
「君主たちが奴隷のように地を歩くのを見た。」

フェーリークス。
「これはひとつの悪。」
「それは権力者が犯す過失なようなもの。」

メディオクリタース。
「おや?」
「それならちょうどいい。」
「ちょっと来なさい。」

メンシス。
「もう少し端っこのほうで喋るべきだったね。」

フェーリークス。
「でも怒ってないような。」

メディオクリタース。
「善悪も道理も理性的判断です。」
「感情的になっているうちは善悪も道理も行方不明です。」

屋敷内の祭壇。

メンシス。
「わあ!ご立派な。」

フェーリークス。
「さっきのは撤回したいと思います。」

メディオクリタース。
「人はおのおの。」
「負うべき自分の重荷があるのです。」

フェーリークス。
「人はそれぞれ。」
「自分自身の重荷を負うべきである。」

メンシス。
「重荷を背負っていくかのよう。」
「本当に重荷を背負っているけれど。」
「かなり重いから。」
「中々背負い歩くのは簡単じゃないけれど。」

フェーリークス。
「そういう意味ですね。」

メディオクリタース。
「そういう意味です。」

メンシス。
「祭壇に?神様に?」
「重荷?」
「そんな。」

メディオクリタース。
「満身創痍な時もありますよ。」
「すべて包括すると重荷であると説明が付きます。」

フェーリークス。
「仲間だったんですね。」
「とんだ失礼を。」

メディオクリタース。
「後でお茶しましょ。」

茶室。

一緒にティータイム。

フェーリークス。
「私は小さい頃から戦場にいたんです。」
「武器の扱いが巧みだから。」
「勧誘されて。」

メンシス。
「私は鼎巫女として育てられたけれど。」
「途中で戦場に入っちゃった。」

メディオクリタース。
「アルボスは最古の移住惑星。」
「いろんな文化や民族が混在したまま根付いた。」
「それが原因で今でも小競り合いが繰り広げられている。」

フェーリークス。
「たまに戦争があるよ。」

メンシス。
「みんなで国を作ってそれぞれに分かれた。」
「でも不可侵の条約はたまに侵害されるから。」

フェーリークス。
「結局。」
「地方の権力者が壊滅するまで生き残れた。」
「なんでかな。」

メディオクリタース。
「それは知っています。」
「伝説の傭兵ルシオラの娘なんですよ。」

メンシス。
「え?そうなの?」

フェーリークス。
「ほんと?」

メディオクリタース。
「素性でそう書かれていました。」
「ルシオラは見ましたよ。」
「イケメンだからすぐ分かります。」
「惑星アイドクレースで宇宙港の警備をしていました。」
「あれはルシオラです。」

メンシス。
「あれ?じゃあなんで?」

フェーリークス。
「まだ生きてたの!?」

メディオクリタース。
「クルトゥーラという部族長の女性に預けたんです。」
「夫婦で傭兵ですから。」

メンシス。
「クルトゥーラさんには罪悪感があるなあ。」

フェーリークス。
「うん。」
「武装組織に勧誘されて。」
「言い包められて参加させられたから。」

メンシス。
「クルトゥーラさんの所に戻れたけれど。」
「そういえばなんか奥義を持っていたような。」

メディオクリタース。
「中々凄まじい経歴ですなあ。」
「ちなみに私の話をしますね。」

三人で雑談が盛り上がりました。

初日は慣れるだけで良くて。

先任のメイドさんと一緒に。

次の日から家事などを開始。

本当は同類だから。

けっこう息が合います。

メディオクリタースの休日。

何気に趣味な女の子を獲得。

さり気無くかわいい衣装を輸入していたり。

着させる気です。

ちょっとおもしろくなった。

邸宅でした。


20


メディオクリタースの論文。

人類はここまで来れた。

人類は軌道に乗るべく。

自分を持っていくべき。

人類が軌道に乗る?

これまでいろんな意見がありましたが。

研究者たち。

これには目をつけて。

メディオクリタースの論文が好まれました。

基本的な事に気付かなかった自分たちを恥じたのです。

ひょっとして賛美すればもっと頑張ってくれるのでは?

そう思った政府が。

健闘賞を贈りました。

これは比較的簡単に贈られる賞ですが。

中々のきれものがいると知られることに。

メディオクリタース。
「勲章いっぱいになるかな。」

フェーリークス。
「わあ綺麗な勲章。」

メンシス。
「デザインいいよね。」

メディオクリタース。
「コレクション。」

フェーリークス。
「ところでお嬢様。」
「最近ウルグスが動き出して。」
「変なことしてますよ。」

メンシス。
「愚者を包括する集団。」
「ウルグスは愚者を利用し。」
「政治的利用。」
「高い地位を得る為に行動。」
「狂信者で構成されているのが特徴で。」
「ウルグスは支持率が欲しいので利用。」
「愚者は自分たちに都合が良く動いてくれるという点で支持。」

メディオクリタース。
「あら?そんな構図でしたの。」
「あなた達にとっては因縁の連中ですよね。」

フェーリークス。
「愚者の要求がエスカレートして。」
「テロリストになっていたりも。」

メディオクリタース。
「明日から出勤ですので。」
「警備として来てください。」

フェーリークス。
「戦い慣れてますよ。」
「何が来たってボロボロにしちゃいます。」

メンシス。
「相手が想定の範囲内にいればいいけれど。」

メディオクリタース。
「相手の動きを読んでください。」
「追尾するだけの戦法ですと。」
「けっこうあっさりやられます。」

フェーリークス。
「任せて。」

メンシス。
「武器庫から借りますね。」

メディオクリタース。
「所でこんなSFがあったら?
「DVDもいっぱいあるけれど

メンシス。
「暇があれば観たいです。」


フェーリークス。
「確かにこんなSFがあったら。」


メディオクリタース。


出勤。

ふたりの女の子も連れて。

マギステル。
「おやおや。」
「モテますな。」

リベロ。
「いつ好きにするの?」

メディオクリタース。
「おおっと。」
「趣味であることは否定しません。」

フェーリークス。
「このひとたち喜劇が好きなの?」

メンシス。
「コメディアンのような雰囲気。」

リベロ。
「襲われるかもよ?」

メンシス。
「女の子に?」
「ちょっとされてみいたかも。」

マギステル。
「かわいい。」

フェーリークス。
「え?それ言われるのあんまりない。」

ウェルバ。
「あら?そんなかわいい娘を引き連れて。」
「いいなあいいなあ。」

メンシス。
「あれー?」
「いつかの場所では陰湿な雰囲気があったけれど。」

フェーリークス。
「快活だなあ。」

メディオクリタース。
「けっこう変わり者が多いから。」
「戸惑うかも。」

人気者になって。

休憩タイムには人だかりになっちゃう。

姉妹です。

しばらくすると。

マギステル。
「ウルグスの幹部がこの辺りをうろついている。」

リベロ。
「軍隊に連絡したの?」

マギステル。
「到着まで時間が。」

フェーリークス。
「なんで?」

メンシス。
「文明研究所は国家機密を扱う場所でもあるから。」
「探りを入れてるんじゃ。」

マギステル。
「そこまでの機密はうちでは扱わない。」
「なにがしたいんだろう。」

しばらくして。

軍隊が捕捉して。

幹部が逃げ出しました。

狙いは隣町の研究施設かもしれません。

あそこは次世代型コンピューターの実験をしていて。

アップグレードに移行した所ですから。

それが欲しかったのかもしれませんが。

国家機密エリアなので。

突入するのは無謀です。

戦車まで駐屯していますし。

単なる歩兵一個中隊では。

3分持てばいい方です。

ウルグスに追従する愚者たちはいろんな所にいて。

ウルグスに逮捕命令が出ていますので。

潜伏活動でしょう。

屋敷にて。

メディオクリタース。
「天下太平。」
「私達のスローガン。」
「しかし違反する者も出る。」
「自分なりの考えが強過ぎるがあまり。」
「狼藉になる。」
「かわいそうだけれど。」
「正しくないのであれば。」
「死んでもらうしかない。」

フェーリークス。
「ウルグスの首持っていけばいくらになりますか。」

メンシス。
「そう簡単な相手じゃないよ。」

メディオクリタース。
「戦士として一人前。」
「いいことです。」
「もしもの時は頼みました。」

メンシス。
「戦いをみくびったら駄目。」
「教えられたでしょ。」

フェーリークス。
「できそうなのになあ。」

メディオクリタース。
「メイドさん以上に。」
「そういう所を買ったからです。」

フェーリークス。
「ああなんて粋な人。」

メンシス。
「お役に立てるように尽力あるのみです。」

メディオクリタース。
「気合いが入ってます。」
「私の見込みは正しかったなあ。」

メディオクリタースは微笑んで。

夜想曲を嗜んでます。

メディオクリタース。
「世界の真実。」
「世界は嘘をつきません。」
「実に人間。」
「偽りが多く。」
「多少の屁理屈でごまかし。」
「自分たちで嘘の取引や売買までするもんですから。」
「人間さえ嘘をつかなければ。」
「真実が隠れる理由はありません。」
「人間が嘘をつくので。」
「世界の真実は隠れてしまった。」
「元々。」
「世界は嘘をつかない。」
「人間の嘘で混乱するのだから。」
「それでも世界は嘘をつかないのです。」
「人間だけが嘘をつきます。」
「真実が見えないのなら。」
「嘘の氾濫で混乱しているだけです。」

羊皮紙に綴って。

フェーリークスとメンシスは。

内緒でお菓子を食べていたり。

相当においしいですからね。

メディオクリタースが余るくらいに購入したものです。

それとは知らずに。

内緒で食べちゃう。

喜劇の季節かな?


21


2人のメイドさんは。

留守の管理を命じられて。

所領の様子なども報告するように指示され。

早速。

中々の結果を出しています。

細かい所まで見るんです。

今日もメディオクリタースが帰ってきて。

一緒に食事。

メディオクリタース。
「高級料理はどうかしら。」

メンシス。
「こんなの食べたことない。」

フェーリークス。
「ご厚意に感謝。」

メディオクリタース。
「私はすぐに寝ますので。」
「あとはよろしく。」

メンシス。
「そちらはご心配なく。」

フェーリークス。
「任せてー。」

すぐに寝てしまう。

メディオクリタースが寝静まっても。

ふたりは夜遅くまで読書。

夜を楽しんでいます。

侵入者が発生する時間帯を割り出しており。

その時間までは様子をチェックしているようです。

メンシス。
「セキュリュティの脆弱性があるみたい。」

フェーリークス。
「じゃあ原始的なトラップを置いておこうよ。」

この夜。

ウルグスの幹部が攻撃に失敗した。

八つ当たりをいろんな所にしていて。

こちらにも来ましたが。

姉妹に先制発見されました。

フェーリークス。
「あれれ。」
「拳銃を持っている。」
「裏山から侵入する連中と。」
「正面から堂々と?」

メンシス。
「じゃあ私が正面攻撃するね。」
「後は頼んだよ。」

不審者。

破ろうとした扉が途端に開いて。

一瞬だけ硬直するものの。

いきなり発砲されて。

不審者倒れる。

一撃離脱するメンシスに唖然。

横からフェーリークスが銃弾を浴びせた。

不審者は一瞬で葬られた。

フェーリークス。
「パワードスーツ?」

メンシス。
「あれは拳銃では無理そう。」

不審者のもう2人は山から降りてきて。

警備ドローンを破壊。

巡回メカと交戦して破壊するものの。

メンシスが長距離射撃。

不審者が追いかけるが。

潜んでいたフェーリークスに撃たれる。

1人倒れて重傷。

パワードスーツ野郎はエネルギー砲を使おうとするも。

素早いフェーリークスを捉えられない。

パワードスーツ野郎射抜かれた。

対物ライフルで撃破。

メディオクリタース。
「中々やってくれましたね。」
「宝物庫が狙いでしょうけれど。」
「ここまで荒らしてくれるとは。」

フェーリークス。
「もういませんよー。」

メンシス。
「警察来ました。」

パトカーが2台。

こちらにそれ以上まわせないそうです。

4人を捕虜にしました。

フェーリークス。
「どこに連絡してるの?」

メディオクリタース。
「叔父の中将。」

フェーリークス。
「えー。」

メディオクリタース。
「爆弾の雨でも降るでしょう。」

メンシス。
「わあ報復が凄いこと。」

しばらく月日が流れ。

ウルグスの連中は。

賞金稼ぎの一団。

チーム「レギオー」の10名に執拗に狙われ。

次々と仕留められていきますが。

財政が非常に良かったメディオクリタースは賞金を増額。

ウルグスの連中は終わりのない追跡に遭う事態に発展。

政府も賞金を懸けたので。

上乗せされた賞金でパワーアップしたのです。

メディオクリタース。
「高みの見物。」

メンシス。
「これはこれは。」
「人に何かすれば報復はつきもの。」

フェーリークス。
「しかし想定外の攻撃力ですなあ。」

メディオクリタース。
「ウルグスが悲鳴を上げるのを見ているだけです。」
「今日もひとり雑魚が減りました。」
「まあこんなもんでいいでしょう。」

書斎に入ってしまったメディオクリタース。

メンシス。
「あれ?」
「私達って運が良いのかな?」

フェーリークス。
「いいえ。」
「適切な人に買われただけです。」

書斎にお茶入れ。

メンシス。
「後でお菓子持ってきます。」

メディオクリタース。
「このペンは誰が用意したの?」

メンシス。
「古物商から手に入れました。」

メディオクリタース。
「骨董品を使っている私がいる。」

メンシス。
「どうもです。」

メディオクリタース。
「思う所がある。」
「完全無欠なものは無理。」
「なので。」
「いかに不完全に書くかが私の課題。」

メンシス。
「不完全なものには突っ込み所満載。」
「良い意味でしょう。」
「始めから不完全であれば。」
「何か問われても。」
「誰もが納得できますよ。」

メディオクリタース。
「それって真理なんじゃ・・・。」

メンシス。
「そうですか?」
「下がりますね。」

退場。

フェーリークス。
「ご主人様の体調は万全じゃないような。」

メンシス。
「伝えておくね。」

次の日。

お昼近くになった時に。

珍しく笑顔なメディオクリタース。

スキップで登場。

メディオクリタース。
「そこのかわいい娘たち。」
「今日は訓練生が来るから。」
「家の用事はあなた達の先輩に任せた。」
「このお金でランチしてくるといいよ。」

メンシス。
「えええ!?」

フェーリークス。
「ご厚意に感謝です。」

メディオクリタース出かけていく。

商店街の摩天楼。

良質な料理屋にて。

テラスがあり。

屋外になっているビルで。

隠れ名店だったりします。

マギステル。
「さっき見かけた。」

リベロ。
「そう。」
「かわいい女の子ふたり。」

メディオクリタース。
「人材育成。」
「長期的な計画ってヤツ。」

マギステル。
「ああ確かに。」

リベロ。
「一発屋とか。」
「その場限りの技はいつかは終わる。」
「長期戦略かあ。」

メディオクリタース。
「長期戦で圧倒できる戦略が最高のもの。」
「大局。」

マギステル。
「さすがめっきー。」
「ではナンパしてくるかな。」

リベロ。
「いいえ私が先です。」

メディオクリタース。
「主任と二股?」

マギステル。
「これはどうしたことか。」

リベロ。
「ううむ。」
「二兎を追う者は一兎をも得ず。」

メディオクリタース。
「それより我がオンラインゲーム同好会。」
「長年の宿敵が増長している。」

マギステル。
「あれだけボコボコにやられたのに?」
「まだ威張ってんの?」

リベロ。
「職務に夢中で忘れていた。」

マギステル。
「ちょっと遊んであげよう」

メディオクリタース。
「この下の店で1ラウンド可能。」

前より腕を上げていた三人娘。

宿敵とやら。

相手になりません。

敵プレイヤーが雑魚過ぎます。

飽きたので辞めました。

メディオクリタース。
「ではのんびり昆虫採集でも。」

マギステル。
「ハトがいるし。」

リベロ。
「かつて鳩たちは人間という謎の生き物について。」
「しきりに観察したようで。」
「今では正体を知られているようです。」

マギステル。
「人間ほど不自然な生き物は居ないですなあ。」
「なんて思われていたかも?」

メディオクリタース。
「人間ねぇ。」
「被造物として歩みなさいと。」
「一貫したものがあるでしょうに。」

マギステル。
「人間中心主義?」
「堕落した人間が提案?」

リベロ。
「たまに凄いこと言うねめっきー。」

メディオクリタース。
「私の特技?」
「できるだけ事実に近い事を言うことができるという技能です。」

蝶々と蝉と戯れました。

帰宅すると姉妹がお出迎え。

ちょっと綺麗に飾られている。

最近の風景です。


22


屋敷の中の祭壇でうろちょろするメディオクリタース。

そのうち出かけていき。

メイドさんもついていく。

メディオクリタース。
「おや。」
「旅の仲間というわけですね。」

フェーリークス。
「旅は道連れ世は情け。」

メンシス。
「なんてね。」

メディオクリタース。
「なるほど。」
「理にかなっている事物であれば。」
「義理詰めですがね。」

メンシス。
「世界も仲良しになればいいなあ。」
「でもそんなの妄想なんですよね。」

メディオクリタース。
「私は世界に仲良くしろとは言わない。」
「仲良くできればはじめから戦争は無かった。」
「仲良くできないから戦争がある。」

フェーリークス。
「ああ!反対なんですね。」
「戦争があって仲良くすべきではなくて。」
「仲良くは決してできないから戦争がある。」

メディオクリタース。
「大人の世界はいろんな思惑が飛び交って。」
「たまには争いもある。」
「そんな中で妥協点があって支えられている。」

フェーリークス。
「もし仲良しを強要するのなら立派な暴力です。」

メンシス。
「はっきり言って。」
「争い事は自然の節理なのでは。」
「弱い立場のルサンチマンが屁理屈で。」
「身の保身を図ったとか。」

フェーリークス。
「嘘をついているのは人間ですなあ。」

メディオクリタース。
「全員の意見は一致しないし。」
「考え方や思惑も一致しない。」
「それでも相性が合えば。」
「友情も生まれる。」

小川が多数流れる自然公園。

到着。

神殿の中でうろちょろするメディオクリタース。

メンシス。
「私はお祈りしたけれど。」
「ご主人様はなにしてるんだろう。」

フェーリークス。
「よくわからない。」

メディオクリタース。
「神の前で、あれかこれか悩む。」

メンシス。
「あれをすべきなのか。」

フェーリークス。
「これでいいのか。」

メディオクリタース。
「神の前で悩む。」

散々にうろちょろしてお祈り。

帰り際。

メディオクリタース。
「私の素晴らしい長所は?」

フェーリークス。
「怠慢をしないことです。」

メンシス。
「女性はとにかく怠慢ばかりしますから。」

メディオクリタース。
「ひょっとして天才なんじゃない?」

フェーリークス。
「いいえ。」
「エキスパートはみんなこうです。」

メンシス。
「玄人って大体はこんな感じ。」

メディオクリタース。
「見込み違いじゃなかった。」

屋敷に帰宅して。

姉妹にいろいろ見せちゃう。

安い宝石がいっぱいあるので。

いくつか姉妹にプレゼント。

メンシス。
「ひゃー。」
「宝石綺麗。」

フェーリークス。
「でもいいんですか?」

メディオクリタース。
「余るほどたくさんある。」
「ちょうどいいと思ってね。」
「金銭も物品も使いどころ。」
「ってことにして。」

メンシス。
「貰っておこうよ。」

フェーリークス。
「では遠慮なく。」

書斎に向かうメディオクリタース。

古典が増えている。

メディオクリタース。
「どこで手に入れたの?」

フェーリークス。
「古本屋の掘り出し物です。」

メディオクリタース。
「やるじゃない。」

メンシス。
「女性は享楽主義ですが。」
「私達はそうではないです。」

メディオクリタース。
「ナイス。」

フェーリークス。
「お金持ちだから硬いかと思ってしまいました。」

メディオクリタース。
「いいえ。」
「賢明さが私の支えです。」
「お金持ちとは言え。」
「私は愚かな人生計画を立てたりはしない。」
「そんな事を言うと。」
「では賢い人生計画とは?」
「そんなものは分からないので。」
「目先の利益や享楽主義を捨てている。」
「つまりは自分で建てた計画にこだわって。」
「執着することはない。」

メンシス。
「うふふ。」
「周辺の住民にアンケート貰っていました。」

メディオクリタース。
「欲しいのは銀貨?金貨?」

フェーリークス。
「いいえ。」
「無能では無い事を証明したかったのです。」

メディオクリタース。
「いや出来る姉妹だわあ。」

ちょっと笑顔になって。

姉妹が良い変化をもたらしました。

どんどん移り変わる世界。

万物流転。

その中でメディオクリタース。

形を変えて自らも変化する。

休日は姉妹が気の利いた事をしてくるので。

メディオクリタース。

何気にご機嫌です。



23


大都市リートレ。

アムステルダムを模倣した都市。

水路が張り巡らされ。

船が行き交う水の都。

観光地として人気で。

家屋の裏には共同庭園が設けられている。

現場視察を繰り返す中で。

立ち寄った地方都市。

滞在の協力をしてくれる女性の家に招待されます。

メディオクリタース。
「どうもありがとう。」
「感謝。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「いえー。」
「旅は道連れ世は情け。」
「連携というのも最近の良識ですし。」

メディオクリタース。
「あらまあ素敵な服装。」

フリフリなロリータ系。

網タイツ。

大きなリボン。

ビジュアル系の女性。

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「わたしの趣味でー。」
「いろんなものに影響されたら。」
「この服装で決まったの。」

メディオクリタース。
「ゴスロリ系とかいいですね。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「あなたけっこう好みだわ。」
「彼氏とかいるの?」

メディオクリタース。
「いませんよ。」
「いつも戯れる男性がいるだけです。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「ということは。」
「彼氏ではない?」

メディオクリタース。
「はっきり言えば。」
「友人ですね。」
「異性に興味があるばかりに。」
「きわどい交流をしています。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「ならばわたしはどう?」

メディオクリタース。
「フリフリな女の子は好きです。」
「どうしてかな?」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「たぶん。」
「この街って女の子しかいないから。」
「男性は2割程度しかいない。」
「女の子ばかり見て育ったから。」
「本来の自分に立ち戻って。」
「足りないものを補給したり。」
「参考にする女の子に困らない。」
「わたしの個性に魅了されたかな?」

メディオクリタース。
「そうであると考えています。」
「男女混ざった世界に居ましたし。」
「女性だけの地区はここだけです。」
「いきなり女の子の決定版が登場しますと・・・。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「あれま褒めてる?」
「お茶淹れるから。」
「上がってねー。」

家屋の中に入る。

絵画が多く。

中は質素に構成されている。

メディオクリタース。
「見ているとうっとりしますねぇ。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「そうですかー?」
「わたしもですー。」

メディオクリタース。
「デザイナーをやっているとか。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「都市やテーマパークのデザインです。」
「需要が跳ね上がって。」
「一週間後には大量の注文書が届く予定ですよ。」

メディオクリタース。
「労働時間は激減しましたし。」
「余暇の使い道が現在の課題です。」
「自然由来のシステムがあり。」
「人工のシステムと交換されたから?」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「科学も文明も熟成の時期を迎えたから。」
「そういうのが普通にできる。」
「ここから先は存在していない。」
「未来が存在しないのなら。」
「存在しない未来を証明することは不可能。」

メディオクリタース。
「未だ生じていない未来。」
「定まってもいない未来。」
「未来が存在しないのなら。」
「予測すらも出来ない。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「研究者は得意では?」

メディオクリタース。
「わたしの担当は管理です。」
「点検が仕事なので。」
「現場に赴いては視察の繰り返し。」
「情報と現場が全く異なる場合が大半ですから。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「いいなあ。」
「あなたと一緒にいろいろ見て回るなんて。」

メディオクリタース。
「あらまあ好意の目線。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「なんだか好印象。」
「付き合ってくれたらいいなあ。」

メディオクリタース。
「どうも相性がいいようです。」
「あなたの好きなようにしてください。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「うふふ・・・・。」
「恋人が出来ちゃった。」

メディオクリタース。
「どうも女の子と付き合うといいようですね。」
「そんな気しかしない。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「わたしも女性とお付き合いすると。」
「なんかそれでいい気がする。」

笑顔で見つめられる。

その後。

ソファーでくつろぐと。

くっついてくるので。

男性より女性の方が好みであると知ったメディオクリタース。

そのうち。

エスペラント語の教科書があり。

これを持ってくるバリシャーヤ・メドヴェージツァ。

メディオクリタース。
「エスペランチストが知り合いにいますよ。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「それは最高だよー。」
「まだエスペラント語をマスターしてないの。」
「ラテン語は習ったけれど。」
「どちらかと言うとエスペラント語が標準言語だからー。」

メディオクリタース。
「ポーランドの医者ザメンホフ。」
「人工的な国際語。」
「アカデミーで習ったけれど。」
「ラテン語の方が多いと思う。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「わたしはエスペラント語の方が多いと思います。」

メディオクリタース。
「見た世界が違うのかあ。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「なぜかしら。」
「女系の世界と男系の世界では違うみたい。」

メディオクリタース。
「でもどこかで一致しているから。」
「あなたは仕掛けようとしているのでは。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「同類なのかなー。」
「ちょっといい?」

メディオクリタース。
「それはちょっと。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「つい・・・たまらず。」

メディオクリタース。
「趣味な女の子に密着されるのは大好きです。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「抱きしめていい?」

メディオクリタース。
「どうぞお好きに。」
「今夜は?」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「サイズが大きい寝室があるの。」
「ちょっと憧れていた。」

メディオクリタース。
「どうやらあなたと関わると良い結果になりそうです。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「そうですよねー。」
「夕食の準備します。」
「休憩しててー。」

夜は添い寝。

滞在中に。

自分の屋敷に来れるように手配しておいたメディオクリタース。

現場を見て回りつつ。

一緒に屋敷に帰還。

フェーリークス。
「お帰りなさいませお嬢様。」

メンシス。
「お客さんですね。」

メディオクリタース。
「恋人になりました。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「すっごい!可憐な使用人!」

メディオクリタース。
「並外れた姉妹です。」
「未成年でスカウトしたのはわたしの趣味で。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「たまらない!こんな女の子は珍しい。」

フェーリークス。
「なんか色気がある。」

メンシス。
「フェロモンすごい。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「そうかなー?」
「居た世界が違うとこんなに話も違うのねー。」
「よろしくー。」
「今度はわたしが滞在だよー。」

メディオクリタース。
「男性といるのと女性といるのはどちらが似合う?」

フェーリークス。
「女性の方だと思います。」
「男性といる時は自然体ではなかったです。」

メンシス。
「女性といるのが好きなんじゃないですか。」
「男性とはいつも距離を保っていましたが。」
「そこでくっついているから。」

メディオクリタース。
「そうらしいです。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「とりあいず結婚を前提に?」

メディオクリタース。
「そうなったらそれでいいです。」

レポートを書いて提出しています。

文明も科学も熟成の期間。

未来が未だ存在しないのなら。

存在しない未来を推し量っても無駄です。

とりあいず休暇を得たので。

僥倖として素敵な女の子に気に入られて。

受け入れた次第です。

研究所。

地下の保管庫に繋いである。

機密エリア。

たまたま様子を見に降りていくと。

不思議なオーラで包まれていて。

これはと思い。

デマントイドに駆け寄ります。

デマントイドが発光した為に触れて。

解読内容によって仮説を立てましたよ。

学会で発表することに。

ちょっとした会議ホールにて。

メディオクリタース。
「私達の先輩にあたる。」
「もっと進化した超文明がどこかにあるはず。」
「私はそれを中央と呼ぶことにする。」
「超文明の集合体。」
「そこには究極系に進化した被造物がいるだろう。」
「情報をまとめた図はこの通り。」

信じられない高度な図が表示され。

あまりの情報量の多さに圧倒されつつ。

学者は興味津々。

上司は満足しています。

ウェルバ。
「あなたは他にもいろいろやっているようで。」

メディオクリタース。
「はい。」
「研究の傍らでいろいろやっていますが。」

ウェルバ。
「ちょっと見せて。」

メディオクリタース。
「ほんの一部です。」
「メモリーに入っていますよ。」
「今度家に来てください。」

有望な新人がいるとの報告を受けて。

今年の最高になった新人メディオクリタース。

国家機密に従事していることもあり。

メディオクリタースは勲章を授かった。

研究成果がよろしく。

新米の出来が良いと。

「新人賞」を頂きまして。

ちょっとした有名人に。

授賞式にて。

私の趣味などもいろいろ。

なんと受賞式に法王様がいらして。

「ナトゥーラ天然水」と呼ばれる銀河連盟最高の水で祝杯。

小さなパーティーとなります。

久しぶりの大型新人とあって。

みんな喜ばしいそうです。

記念撮影。

パーティーが終わり。

帰宅することに。

リベロ。
「めっきーやるじゃん。」

マギステル。
「次はわたしの番であるよ。」

メディオクリタース。
「みんなで連携した賜物ですよ。」
「りべちの活躍も見たい。」
「まってぃーの表彰台にも同席したいな。」

マギステル。
「それはしばらくお待ちくださいな。」

リベロ。
「上物のスーツを手に入れておくことですな。」

ちょっと笑い話になって。

解散して。

屋敷内で休憩すると。

もう深夜。

星々が綺麗で。

宇宙は「無」ではなく「有」です。

私達は宇宙についてもっと知る必要があるのです。

隠し扉から屋根へ。

星空に祈りを捧げて。

屋根から降りてきて。

ひととおり済ませて。

もう就寝。

夢の中。

宇宙にオーロラ。

なんだか不思議な夢。

わたしのはじまり。

地味だと思いましたら。

地味に活躍できたり。

何気に成果もあり。

出だし好調?

「理法」が示す正しさが魂に宿ります。

この世界の真実はわたしもきっと聞けるから。

いにしえの聖人は「この世界の真実が聞けたらいいね。」なんて書物に記すほど。

いつも彼方に見える農民たち。

彼らはそれを聞けたのかな。

わたしももうすぐ仲間入りです。


24


レスティンギトゥルを攻撃する作戦。

撮影スタッフと一緒に。

民間船に乗り込んで。

正統派オプティムスの大部隊。

艦艇300隻。

輸送艦50隻。

目的が衛星の破壊なので。

敵制空戦闘機をおびき出して。

陽動しつつ損害を与える作戦。

メディオクリタース。
「戦争とは必要悪です。」

リベロ。
「戦う事がいちばんの解決になる場合もあるもんです。」
「敵を排除すれば終わります。」
「和解や話し合いが通じない相手も普通にいますし。」
「相手が暴力で解決を図るのなら。」
「殺してしまうのが素早い。」

マギステル。
「地球人類の歴史は地球人類の性質をよく現わしている。」
「銀河もいろいろあるけれど。」
「友人達は必要悪であると考えています。」

メディオクリタース。
「膿んだら潰せ。」
「ことわざにもあるように。」
「思い切って災いの元凶を断ち切ってしまえば。」
「解決は早いもんです。」

正統派オプティムスは二千機の制空戦闘機を投入。

順次・発艦。

エースパイロットと戦果報告用のスタッフがモニター中継していて。

戦闘機のコクピットから映像を出す。

メディオクリタース。
「あれだけの数でも連携力抜群らしいよ。」

リベロ。
「乱戦で連携できるの?」

マギステル。
「大部隊での戦術は確立されていて。」
「個人技で戦うわたしらとは趣旨が違うらしい。」

リベロ。
「それでは相手がどれだけ善戦できるかな。」

メディオクリタース。
「相手も必死だから。」
「予想外の行動だけは脅威だと思う。」

リベロ。
「モニターに敵の大部隊が。」

マギステル。
「多いね。」
「信じられない。」

メディオクリタース。
「わたしは信じられなくて。」
「胸糞が悪くなる。」

異端オプティムスは四千機の遊撃戦闘機で迎え撃ってくる。

軌道上ギリギリで両軍。

交戦。

無駄弾をいくら撃ってもいいように。

潤沢な武装である連射レーザー。

高威力のレーザーを圧縮して1秒程度の弾にしてしまう技術。

自軍のシールドが強力なので。

滅多撃ちにしてシールドエネルギーを奪わないと落ちない。

その教訓から。

この装備はむかしから使われ続けている。

メディオクリタース。
「前線の部隊が対応できていない。」

マギステル。
「後方の民間船に敵の偵察機がいるし。」

リベロ。
「前線の艦隊はやられてます。」

交戦開始から10分。

異端オプティムスは30パーセントの戦力を失っている。

戦闘機部隊を突破した強襲型が飛来しては破壊され。

正統派オプティムスも損害が目立つ。

激戦。

滅多撃ちにされても落ちない設計の為。

戦闘が長期化する。

30分経過でマガジン補給をしていく友軍機。

1千機VS1千機まで戦力が落ちている。

メディオクリタース。
「有利不利は一方にあらず。」

マギステル。
「異端者は持っている戦闘機を全部出しているのでは。」

リベロ。
「数が多いのはそのため?」

メディオクリタース。
「ちょっと。」
「格納庫の観測機に入っておく。」

マギステル。
「撮影スタッフさん。」
「クルーザーに移動してください。」

リベロ。
「なんか様子が変ですし。」

観測機3機から中継を観ている。

攻撃機が目標の衛星を撃破し。

敵の制空戦闘機の6割を撃墜。

自軍の損害が許容範囲を超えたので。

後退。

敵の旗艦は中破。

まともに首都を攻撃するのは難しいと。

仕掛けてみてわかった次第。

士官が普通に会話。

余裕があるみたい。

それは膠着状態を意味している。

マギステル。
「敵数四。」

メディオクリタース。
「そいつらは防空戦闘機が追いかけているよ。」

マギステル。
「そうかあ。」
「はぐれた敵戦闘機が工作しているし。」

リベロ。
「民間船と戦闘艦を間違えたらしいです。」

メディオクリタース。
「部隊を集中してしまったので。」
「偶然はぐれた攻撃機に悩まされる。」

リベロ。
「何か妙な戦闘機が援軍に入っているけれど。」

メディオクリタース。
「幻想民族のこと?」

マギステル。
「神々としもべが姿を現し統治する民族で。」
「魔法と特殊な自然環境が生み出した。」
「幻想的な兵器を持つ。」
「謎のシステムで揚力も無いのに浮遊かつ高速で。」
「敏捷性が高い。」

リベロ。
「X-47に酷似してる。」
「あれで宇宙に出れたの?」
「テクノロジーは遅れている雰囲気だけれど。」

メディオクリタース。
「魔法を使った科学兵器と。」
「特殊な自然環境の生んだテクノロジーのおかげで。」
「巨大な文明基盤を構築し。」
「軍事力は強いが。」
「あくまで必要に駆られてのことで。」
「艦隊に混ざって参加してます。」

マギステル。
「ずっとむかしに。」
「異端者に侵略されたからね。」

リベロ。
「ああっと!!それ昨日読んだレポートにあったわあ。」
「暗記だけは苦手。」

マギステル。
「幻想民族はフレンドリーで。」
「未だ鎧をファッションとしても使用しており。」
「鎧の性能が良いために。」
「剣で戦うスタイルを持つ。」

リベロ。
「鎧が特殊で銃器が役に立たないとか。」
「剣も特殊で。」
「魔法が普通になっているので。」
「これらを活かして地に根付いた国家群!!」

マギステル。
「仲間に入りたがってコンタクトを繰り返している。」
「しかし。」
「惑星の政治形態は一切統一されていないため。」
「どうしようもないのが現状。」

メディオクリタース。
「他にも他惑星の宇宙人は混ざっているよ。」
「観察してみて。」

異端者の戦闘機は逃亡。

八百機の先遣隊を前に。

残機100機足らずになり。

防空ミサイルで抵抗。

上陸作戦は実施しない予定。

異端者は歩兵戦力が過剰なので。

泥沼の戦いは自重している。

メディオクリタース。
「お互いの損害が多いから。」

リベロ。
「あれ?でも先遣隊だよ?」

マギステル。
「この後、五千機の作戦機で衛星をある程度潰したり。」
「軍事施設を適当に空爆するとか。」

メディオクリタース。
「えーと。」
「戦力って余裕あるの?」

マギステル。
「敵が音を上げるダメージを与えて。」
「有利な条件で停止させておく。」

メディオクリタース。
「すごいね、徹底的にやるんだなあ。」

リベロ。
「支援部隊が脱出したパイロットの回収をしているよ。」
「予備戦力を使って。」
「戦闘機は消耗品。」
「パイロットが無事なら万々歳。」

戦況はここで停戦。

いつの間にか加わっていた他惑星のメンバー。

未公開の情報を目の前に。

カルダシェフ。

タイプTに位置していると思います。

タイプUであると主張する人もいますが。

本当の所はタイプTだと私は分析しています。

惑星文明へのロードマップが本当なのかはわかりませんが。

考案された内容が正式採用されてから。

ひとつの指針になっていますね。

戦争もフェーズが移りました。

本格的な空爆が開始され。

音を上げる異端者は停戦にサイン。

異端者もいろいろな問題や不具合で手に負えない。

とりあいずは片付きそうですが。

その後のビジョンが見えません。

制服さんはしっかり見えているそうなので。

今後どうなるかは興味深いです。


25


アナカリプスィ。

メディオクリタースの母親の妹の娘。

幼い容姿をしているものの。

実年齢は割と成人に寄っている。

地下神殿のサンクトゥアーリウム。

軍人の両親は予言を受けて。

親子は離れなければ全員が死亡するというもので。

中年女性の管理するこの地に養女として出されたのです。

長い髪にリボン。

ワンピースというよくいる美少女。

教育係の女性はスピカという功労者に似ているのは。

ここでの内緒です。

アナカリプスィ。
「ゆっくりと自然科学の熟成を待っている世界。」
「文明の基盤をしっかりとしたものに確立しているのですか?」

スタヒス。
「人類は基本がなっていませんでしたので。」
「基本がなんとかならないと始まりません。」

アナカリプスィ。
「争い事も少なからずあります。」
「自然科学の使い方が上手になったとは言え。」
「課題は残っているようです。」

スタヒス。
「まぐれで系外惑星への進出が成功したと考える学者はいます。」
「そして何が現在の人類を動かしているのか知っていますか?」

アナカリプスィ。
「自分自身を創造するように行動しているように見えます。」

スタヒス。
「正氣ですよ。」
「でもあなたはけっこう当たっています。」
「外出の準備は?」

アナカリプスィ。
「いまやっています。」
「久しぶりに会うのですが。」
「この神殿の奥深い場所で。」
「何者かに予言されて以降。」
「両親の近くにいればいるほど。」
「縁起が悪い出来事ばかり起きていました。」
「今回はもっと遠くから会います。」

メディオクリタース。
「到着です。」
「同行については簡単ですよ。」
「私は現場を見るという任務がありますから。」

スタヒス。
「生産過剰で自由人もかなり増えました。」
「物や品が溢れると。」
「労働の必要も薄れますからね。」

メディオクリタース。
「機械にやらせれば余暇しかない。」
「あとはどう過ごすかに寄ります。」
「しばらく待っていますね。」

アナカリプスィ。
「仕上げがあるのみです。」

準備よし。

輸送機に搭乗。

今回出向くのは。

カノナスという惑星で。

大陸を統治している継承者がいます。

前期に開拓されて千年経過する文明です。

この星は。

生産過剰で自由人という枠組みが特にたくさん発生して。

先住民や見放された人が奴隷になっています。

奴隷と言っても召使いの公認に過ぎないので。

逆らえない以外の制約はありませんけれど。

両親が共に中佐です。

空港のVTOLエリアで。

円型のエリポートがそびえ立つ場所。

最新鋭の戦闘機が届いたので。

式典に来ている両親を遠くから。

見せてあげたわけです。

メディオクリタース。
「ここから見えるよ。」

アナカリプスィ。
「これ以上接近できないのが残念です。」

メディオクリタース。
「空港から下に降りて。」
「現場を見るので。」
「撮影手伝ってね。」
「無駄に撮影するのも必要なので。」

空港から離れた市街地。

花々が家庭庭園に咲き乱れていて。

家と家との間隔が随分と開いており。

中間には森林という具合。

戦車が走っていますが。

継承者の旗を掲げていました。

聖職者の政体ですので。

神様から間接的に受けた治の称号です。

アナカリプスィ。
「理法に服従した結果。」
「人は健全な状態にいますね。」

メディオクリタース。
「循環しているのです。」
「四季が入れ替わるように。」
「自己診断と再構成を繰り返して。」

アナカリプスィ。
「この市街地の中にどんな文化があるのかな。」
「見た目ではわからない。」

メディオクリタース。
「どこも内部が入り組んでいますし。」
「女性だけの都市というのもかなりの数あります。」
「男性の比率が低いだけですけれど。」

アナカリプスィ。
「私達は男系の世界だから。」
「把握できないのかも。」

メディオクリタース。
「あっちの世界は規模が大きくて分かりませんし。」
「我々、専門家でも文明の規模が大きくて。」
「すべて把握できない訳です。」
「情報交換が欠かせません。」
「特に現場に留まって観察しないと。」
「現地スタッフも限定的な場所にいますから。」

アナカリプスィ。
「一日で回れるスケールではないですね。」

メディオクリタース。
「何回も違う地域を訪れて。」
「データ入力をしているんです。」
「今回の日程は二日ですよ。」

ホテルにチェックイン。

アナカリプスィ。
「見たことのない旗がある。」

メディオクリタース。
「おやおや何か始まるようですね。」

アナカリプスィ。
「報道モニターには。」
「誰かが挙兵したみたい。」

一部の野心家を抑えるのに失敗し。

挙兵されてしまいました。

周辺地域はあっという間に勢力に取り込まれて。

州兵と反逆者が交戦。

同時に市民が武装蜂起。

メディオクリタース。
「早いうちに空港から離脱しましょう。」

アナカリプスィ。
「何か察しているんです。」
「こういうことを言っていたのではないかと。」

メディオクリタース。
「かもしれません。」
「仕方がないのでホテルから退去です。」

空港に戻りますと。

反逆者の部隊が占領しておりまして。

入り口で身元証明が求められました。

メディオクリタース。
「おっと!何の真似ですか?」

兵士。
「少し手伝ってくれないかな?」

アナカリプスィ。
「観光客を相手になんですか?」

兵士。
「娘さんかな?」

市民。
「馬鹿は死ね!!」

目の前の兵士が遠くから狙撃されて負傷。

メディオクリタース。
「どうやら中へは入れますね。」

アナカリプスィ。
「輸送機まで行けるかな。」

武装した市民が空港を奪還しようと。

突入。

将校。
「この捕虜に用事があるのかな?」

兵士。
「海兵隊の中佐ですよ?」
「奪還する理由はあるでしょう。」

将校。
「所で入り口に来た観光客についてだが・・・。」

中佐。
「分かっているのなら言うな。」

将校。
「女性二人組みを捕らえろ。」

兵士。
「了解。」
「市民の数が多いような・・・。」

メディオクリタース。
「強引に飛び立つことはできそうですね。」
「中は無人です。」

アナカリプスィ。
「避難が早いです。」

兵士。
「待て。」
「少女の方は特についてきてもらう。」

メディオクリタース。
「それは断ります。」

兵士。
「大人しく拘束された方が身の為だぞ。」

メディオクリタース。
「ああ・・・・かもね。」

兵士をスタンガンで撃破すると。

武器を鹵獲。

アナカリプスィ。
「こっちはください。」

メディオクリタース。
「自衛用の武器でいいので。」

上の階へ到達。

下の広場では民兵と反逆者が交戦中。

上のフロアまでは行けません。

意図的にエレベーターが封鎖されているので。

途中からは階段です。

銃撃されました。

兵士。
「止まれ!!」

メディオクリタース。
「本気で撃ってくる。」

アナカリプスィ。
「慣れています。」

敵兵を射殺するアナカリプスィ。

そのまま階段を進む。

吹き抜けのフロアでは敵二個小隊が待ち受けていましたが。

凄まじい射撃精度と弾幕で敵兵が倒れていきます。

小隊長。
「なんだあの弾幕は!?」
「ネガティブ!やられます!!」

将校。
「下の階で異変があるようだが。」

兵士。
「民兵は応援が来ればなんとかなりますが。」
「指揮官が狙われたのでは・・・。」

管制塔ではアナカリプスィの両親が捕虜になって。

軟禁状態で。

敵の指揮官も一緒にいます。

将校。
「あの少女はあなたの娘さんらしいですが。」
「捕虜に加えようとしても無駄のようです。」

中佐。
「10メートル以内に入れるなよ。」

将校。
「それについては知りません。」
「なにがあるのか。」

裏口から輸送機の近くまで辿り着きました。

管制塔の近くで敵の歩兵中隊に追いかけられて。

管制塔へ逃げる羽目に。

メディオクリタース。
「数が多過ぎる。」

アナカリプスィ。
「90人もいるなんて。」

逃げながら部屋に入る。

将校。
「これはこれは。」
「感動のご対面・・・ではなさそうですね。」
「大人しく協力してくださればいいのに。」

メディオクリタース。
「捕虜にできる者はすべて確保ですか。」

兵士。
「銃を下ろしたまえ。」
「未来のリーダーとやらはここで足止めですよ。」

アナカリプスィ。
「そんなことする理由はありません。」

将校。
「可能性だけは否定できないぞ。」

中佐。
「娘を接近させるな。」

将校。
「あれ?どうなっている。」
「電源が死んでいる。」
「アビオニクスが使用不能。」

兵士。
「ジャミングと民兵の工作ですよ。」

継承者の強襲揚陸部隊が。

既に降下作戦を敢行。

先ほどの敵90人がズタズタにされています。

空では制空戦闘の真っ最中。

メディオクリタース。
「早く脱出しよう。」

将校。
「人質がどうなってもいいのか?」

アナカリプスィ。
「それで戦いを辞めると思っているんですか?」
「人質が死んだら次はあなたです。」

メディオクリタース。
「親御さんをスルーしましたね。」

アナカリプスィ。
「最接近してしまったので。」
「何かまずい気がしたのです。」

輸送機まで辿り着いて。

脱出する途中。

敵のコルベットが轟沈して管制塔を直撃。

予言が本当になった瞬間。

アナカリプスィ。
「察しての行動だったのです。」

メディオクリタース。
「察していました。」
「残念です。」

アナカリプスィ。
「生みの親より育ての親と言いますか。」
「育ての親の方が大切だと思います。」

メディオクリタース。
「スタヒスさんもいますし。」
「両親についてはむかしからのお約束のような気がしますが。」

アナカリプスィ。
「違和感ないです。」

メディオクリタース。
「補給は済んでいます。」

帰還すると。

スタヒス。
「さすが私の弟子。」
「あんな中で戻って来れるとは。」

メディオクリタース。
「生みの親より育ての親と言いますか。」

スタヒス。
「ああなるほど。」
「数日くらいのんびり日向ぼっこするといいですよ。」
「まずはそれからです。」

アナカリプスィ。
「はい。」
「私の両親は巡礼者の対応で手いっぱいです。」
「予言は避けられませんでしたが。」
「ここは隣人で満ちています。」

メディオクリタース。
「また来ますね。」
「同行の依頼なら構いませんが。」
「今は籠もるべきでしょう。」

立ち去ります。


26


挙兵した反乱軍は勢力こそ大きいのですが。

戦闘力が低く。

継承者に次々と撃破されています。

国民から非難されているだけで。

望まれた行為ではないようです。

近くに住んでいる女性を訪問。

メディオクリタース。
「こんにちは。」

ピスティ。
「あらまあこんにちは。」
「珍客ですね。」

メディオクリタース。
「少し話がしたくて。」

ピスティ。
「どうぞ。」
「茶室に揃っています。」

ピスティは部屋着スカートで黒メガネ。

髪が少し短くて男性のような。

よくいる女性で。

オタク系。

メディオクリタース。
「反乱軍にとっては象徴になるそうで。」

ピスティ。
「確かに私はマディア皇帝の末裔で。」
「反乱軍が持ち上げて象徴にしようと計画している。」
「皇帝になってもメリットがないし。」
「興味すらないよ。」
「彼らは良い結果にはならないだろうと。」

メディオクリタース。
「オタク女子に押し付けてもダメでしょうね。」

ピスティ。
「趣味の方が大事だし。」
「そこの所わかってないね。」
「反乱軍は勧誘しているけれど。」

メディオクリタース。
「連中は。」
「リーダーシップのある人物を欲しているようで。」
「皇帝の復活は無さそうですね。」

ピスティ。
「いたずらに世を乱す理由はあるまい。」
「私からお断りを入れておきます。」
「疑われると厄介ですし。」
「勝手に持ち上げられて。」
「迷惑。」

妹シーフルも皇位には興味がなく。

反乱軍は失策を重ねてしまう。

研究所。

リベロ。
「あの女の子は想像したのとは別物ですねー。」

マギステル。
「実際に会ってみると理解も簡単ですよ。」
「お偉いさんは知ってるんです。」

メディオクリタース。
「反乱軍なんて。」
「野心家が自説を披露した程度でしょう。」
「そのうち消えますよ。」

ピスティが来訪。

ウェルバ。
「あらまあ。」
「男の子みたいな女の子。」
「好きだわ。」

ピスティ。
「実は。」
「正統の証である純金の杖が渡っていると知り。」
「誰かに伝えねばと。」

ウェルバ。
「あれまー残念。」

リベロ。
「敵さん退路でも遮断するのかな。」

ピスティ。
「いつの間にか保管場所から盗られていて。」

マギステル。
「それなら賞金稼ぎに依頼すればよろしい。」
「高官に連絡してあげますけれど。」

ピスティ。
「なにをしようとしているのか分からないので。」

ウェルバ。
「軍隊にも連絡してあげますよ。」
「少し隠れていたら?」

ピスティ。
「そうしますよ。」

たまに使用するアトリエと工場。

工芸品を作るのに稼働する場所。

ここに隠れていましたが。

反乱軍はピスティを生け捕りにしようと。

アトリエと工場を捜索しに来る。

ピスティ。
「あれれ。」
「なかなか物知りだね。」

賞金稼ぎ。
「待ち伏せしますかな。」

人型のAI兵器を作っていて。

異常なまでに耐弾性が高く。

これを繰り出すと反乱軍の部隊は苦戦。

ピスティは逃走。

屋敷まで逃げてきた。

メディオクリタース。
「はあー。」
「拉致して傀儡ですか。」
「これは無謀な手を使いますな。」

ピスティ。
「追い掛け回される。」

アナカリプスィ。
「いっそのこと反乱軍を倒す側については?」

ピスティ。
「今度は捕虜にしようと猛攻を加えてくるでしょう。」

マギステル。
「継承者の所へ行く?」
「遠いけれど。」

リベロ。
「どっちにしても皇位を強制するでしょう。」

メディオクリタース。
「この付近に我々の別荘があるので。」
「そこに滞在するといいですよ。」

ピスティ。
「それは助かる。」
「世論も私が拒否したと知りつつある。」
「皇位が強制であると知れ渡れば。」
「誰も皇帝だとは思いませんね。」

別荘で。

軍人の警備がついています。

とある暦の夕方。

反乱軍の特殊部隊が接近。

軍人も察知して。

ピスティに伝えます。

賞金稼ぎ。
「奴ら必死になっているが。」

ピスティ。
「奥の手でも使いますか。」

賞金稼ぎ。
「俺は面白ければいいんだが。」
「脱出か撃退くらいやらせてくれ。」

ピスティ。
「実戦経験豊富なだけに頼り甲斐がある。」

反乱軍の部隊が海辺の別荘を取り囲んで。

起伏が多い地形なためか。

どこからも侵入してくる。

歩兵。
「数が多いぞ。」

賞金稼ぎ。
「全部倒せばいいじゃないか。」

ピスティ。
「うわあ。」
「地下格納庫にビークルがあるらしいけれど。」
「隠し扉から行こうか。」

歩兵。
「突っ込んできました。」
「敵120人。」

賞金稼ぎ。
「こちらが全部倒すか。」
「相手が目的を達成するか。」

別荘の中に侵入されて銃撃戦。

隠し通路を進むと。

敵兵と遭遇。

ピスティ。
「世の中、発砲すると元気になる人もいるんですね。」

敵兵。
「お迎えに上がりました。」
「さあこちらへ。」

側面からビームソードを持った中年女性が敵兵を撃破。

スタヒス。
「黙って見ている訳にも行かず。」
「逃走を手助けします。」

敵兵。
「相手はビームソードだけだ。」
「集中攻撃。」

敵兵があっという間に切り刻まれて。

たった数秒の出来事。

5秒で敵30人が破壊された。

ピスティ。
「なにこの人。」
「人間技ではない。」

スタヒス。
「神通力ですよ。」
「私が片付けますので隠れていてください。」

敵兵が全滅したのは一分後。

賞金稼ぎ。
「いい所を取られたぞ。」

歩兵。
「どっちにしても敵が倒れたのでいいじゃないか。」

賞金稼ぎ。
「捕虜も獲得した。」

しばらくして。

メディオクリタース。
「継承者に連絡が取れました。」
「形式だけの皇位を認めて。」
「断片だけの所領をくれるそうです。」
「反乱軍は自分達の皇帝ではなく。」
「継承者の属国である皇帝としてあなたを認めざる得なくなりました。」

ピスティ。
「形式だけでも追い回されずに済むよね。」

賞金稼ぎ。
「黄金の杖は取り返すから。」
「任せてくれ。」

スタヒス。
「あなた喜んでいますよね。」

賞金稼ぎ。
「素敵な女の子の頼みで戦うのは喜びなのだよ。」

その後。

用意された屋敷で形式だけの皇位を楽しむピスティ。

この一連の事件で反乱軍に非難が集中して。

反乱軍は敗戦濃厚になった。

勢力を一気に落とした反乱軍は。

司令部のあるネスヤーン要塞を攻撃。

攻撃前に本拠地を陥落されてしまい。

どこにも退却できない反乱軍は決死の攻撃に打って出る。

ネスヤーン要塞は崩壊してしまうも。

反乱軍の主力は全滅。

ピスティ。
「ニュースで読みましたが。」
「支配階級の存在しない軍隊は脆いですね。」
「こんな所を補おうと必死だったなんて。」

メディオクリタース。
「久しぶりに大規模な戦争が勃発したもので。」
「絶対王政が姿を消してから長い時が経過し。」
「聖職者が治める世界へと移行し。」
「その血筋は自由人に埋もれていますからね。」
「仲間に入れれば影響力は計り知れないと思ったのでしょう。」

ピスティ。
「マディア皇帝ですら聖職者の政体を重んじていたので。」
「傀儡と言えども絶対王政の復活はありえないわあ。」
「ここ最近の過激派の行動が反乱軍の準備運動だったなんてね。」

メディオクリタース。
「特に悪い所が無いのが文明の良い所ですので。」
「何を見ているのでしょうね。」

ピスティ。
「戦争をしてみかったとか。」

メディオクリタース。
「意外にもそうかもしれませんねー。」

ピスティ。
「腐女子を象徴にすると。」
「なにをしでかすか知っていたのかな。」

メディオクリタース。
「オタク女子が皇帝というのは絵になりますね。」

ピスティ。
「ということは喜劇の巻き添えですね。」
「早く解放してくれぇ。」

メディオクリタース。
「もう少し楽しんだらどうですか?」
「次は絵師に書かせましょう。」
「期間限定ですからね。」

男の子のようで女の子というオタク女子。

継承者が用意した屋敷で過ごしています。

反乱軍が消えるまで。


27


大都市クレスケンスルーナ。

憩いの場所。

ヒーリング・スポットとして有名で。

植木や花壇が街中にいっぱい。

歩道と車道の真ん中は。

ちょっとした林になっていたり。

噴水広場の大花壇は。

いろんな種類の植物が咲き誇り。

自然の流れを残した河川には人々が水遊びをしていたりも。

自然と同化した都市なんですよ。

大樹が所々にある中心街。

ビル上の庭園でお菓子を食べてます。

メディオクリタース。
「答えはありません。」
「正解を求めてはいけません。」
「正解は実在しないからです。」
「信じようが信じまいがこれが現実です。」

マギステル。
「理解があればいい。」
「答えはありません。」

リベロ。
「では?」
「正解なんてあるんですか?」
「それは実際に通用するんですか?」
「これは何度でも言って見せます。」
「自分の主張が正しいなんて保証書はありません。」

メディオクリタース。
「クリティカルシンキング。」
「自己批判による自己診断プログラムってこと。」

マギステル。
「自分の愚かさをたくさん知っているひとが賢者になれるよ。」

リベロ。
「そんなん常識じゃないの。」

メディオクリタース。
「常識とか何か根拠があるのか。」
「常識ってたまたま成立しているもの?」

リベロ。
「多数派の意見じゃないの?」
「多数派が作ったとか?」

マギステル。
「良識万能説。」

メディオクリタース。
「いやなんて初歩的な。」

指定された空路には輸送機が飛び交います。

VTOL機の普遍化がずっとむかしから進んでいて。

容易に垂直離着陸が可能ですので。

輸送は空しか使わなくなりました。

装飾が豪華な黄金の輸送機が飛んでいて。

ちょっとおもしろかったです。

メディオクリタース。
「とある時代の人々は数の力で暴政を敷いたとか。」

リベロ。
「彼らの考え方が何に基づいているか?」
「ちょっと皮肉。」

マギステル。
「愚か者が増えれば愚か者が普通になるけれど。」

メディオクリタース。
「それで全滅していたら。」
「衆愚に責任があるのでしょう。」
「巻き添えに遭った人々がいた。」

リベロ。
「そうそう。」
「オプティムスさんたち。」
「惑星レスティンギトゥル内にて。」
「異端と救済派に分かれて。」
「壮絶な同士討ちが発生。」

メディオクリタース。
「正統派は静観。」
「戦乱も終わり。」
「再び平和の時代が訪れるのかな?」

今日は休暇。

次の日に出向くと。

珍しくデマントイドがユーモアラスな空中浮遊をしており。

触れてみました。

データの中には。

「精美」な「世界」の提案書が入っており。

抽出してレポートにしましたよ。

調査報告は常に送ってあります。

ウェルバ。
「好調ですね。」
「これから軌道に乗ってください。」

メディオクリタース。
「軌道に乗るように頑張ります。」

ペルソナ准将が訪ねてきて。

毎日行列で買えない名店のチョコレートをくれました。

ペルソナ准将。
「あなたが撃ち落としたパイロット。」
「愉快な事に事故死していましたよ。」

メディオクリタース。
「なんとか競り勝ち。」
「独自のカスタマイズが難敵でした。」

ペルソナ准将。
「我々は原始的な形式主義では決してありません。」
「結果が良ければいいのです。」
「それでもっとおもしろい事に。」

メディオクリタース。
「死体が残っててよかった。」
「あれは誰ですか?」

ペルソナ准将。
「事故死したパイロットが。」
「核攻撃で死亡した過激派のリーダーの息子で。」
「万が一の時はあとを継ごうとしていましたが。」
「撃ち落として死亡したので。」
「過激派は有力な人物がいません。」
「これは愉快と思って。」

メディオクリタース。
「あれれ。」
「それはおもしろい事になりましたなあ。」

ペルソナ准将。
「まったくです。」
「賞賛に値する。」

メディオクリタース。
「光栄です。」

ちょっと雑談をして共に喜びました。

ペルソナ准将にとって最高の報でしたので。

親交に至ります。

休日になりました。

町外れの土地には。

地下に無駄に広い迷路が築かれ。

ゴールまで辿り着ける人がいないです。

軍隊が好んで訓練に使用していたり。

未踏遺跡と化しているトンデモ建設。

さすがに断念。

3時間も彷徨っておりました。

無理ゲーですよ。

メディオクリタース。
「これはとんでもない。」

リベロ。
「クリアの事考えてないよ。」

マギステル。
「作った人が変人だそうで。」
「何を考えて掘ったのか知らんわあ。」

メディオクリタース。
「思ったらこれ。」
「迷所に登録されているし。」

リベロ。
「未踏破かあ。」

マギステル。
「本当に踏破できるのこれ。」

メディオクリタース。
「左伝えに行くと抜けられる。」
「と思ったら。」
「それも考えて罠だらけ。」

リベロ。
「撤退。」

マギステル。
「凄まじいものを体験したわあ。」

帰り道。

夕方。

ヘリポートに移動中。

マギステル。
「豊かな自然。」
「むかしの原生林まで残っている。」
「いろいろ見てきたけれど。」
「これは綺麗。」

メディオクリタース。
「歴史は人が創っていくもの。」
「そして人類は理法に従い。」
「自然に還った。」

リベロ。
「ゴールなんてあるのかな?」
「なんてね。」

ヘリポート付近の林と河川地帯を抜け。

荒野の周辺。

何か不審者が追跡してきました。

マギステル。
「あれ反対者じゃない?」

メディオクリタース。
「ライフル持ってない?」

リベロ。
「ちょっとまずい。」

マギステル。
「最近は大義名分を破壊され。」
「錯乱しているとか。」
「何がしたいのか分からない連中。」

メディオクリタース。
「ライフル持ってるし。」
「明後日の方向へ逃げて。」
「考えがある。」

河川敷と丘地帯。

バーベキューをしている士官の部隊がいて。

ペルソナ准将の部隊ですね。

自主トレーニングをしていたみたいです。

近くに行って。

兵士に説明して。

ロケットランチャーを借りました。

リベロ。
「起伏が激しくて。」
「ストレートは無理だよ?」

マギステル。
「遅れてきたねあいつら。」

メディオクリタース。
「こうするまで。」

威嚇射撃を決行。

自力でレーザーを当て。

ホーミングするロケットランチャー。

まず空高くに発射して。

ロケットが上空に飛んでから。

レーザーを相手の足元に掃射。

相手の頭上目がけて。

落下するロケット。

迫撃砲のように降り注いで。

敵が錯乱してしまう。

リベロ。
「オー!ナイスマークスマン。」

マギステル。
「兵士がやってくる。」

メディオクリタース。
「狙ってます。」
「おや?」

兵士たちが大喜びして。

リロードを手伝ってくれました。

メディオクリタース。
「りべち。」
「これ。」

リベロ。
「オーケー。」

日が沈みかけなので。

有視界戦闘は無理そうです。

まだ逃げない連中。

林のほうにスモークを炊いて。

そこにいると見せかけます。

りべちとめっきーの足は速くて。

素早くスモークを炊く。

その場から遠くに逃げると。

最後には敵がスモークに接近していきました。

兵士たちが回り込んで。

反対者の集団に威嚇射撃する兵士たち。

反対者の車は結局。

爆破されて。

兵士たちの獲物にされた敵対者。

兵士たちが追い掛け回す中。

武装警察が到着。

すべて伝えた後。

軍隊が引き継ぎました。

陸路が怪しいので。

車を自動運転モードにして帰還させ。

離脱。

飛行タクシーが来てくれて。

帰宅することができました。

兵士たちはまだはしゃいでいます。

メディオクリタース。
「戦闘マニアの集い。」

リベロ。
「実戦がたまらないらしい。」

マギステル。
「すごい士気ですね。」
「あのひとの部隊。」

反対者は私達が。

軍隊とグルだと思って。

それ以降は避けてくるようになりました。

なんだかわからない連中です。

しばらくすると。

とある女性が搭乗。

メディオクリタース。
「あなたは。」
「久しぶりです。」

リベロ。
「おや?彼女?」

マギステル。
「結婚とかするの?」

歴史学者。
「アカデミーでの同期ですよ。」
「結婚が義務ならそれは奴隷制度の事です。」
「聖書に書いてなかった?」

メディオクリタース。
「結婚する必要はない。」
「したい人がすればいい。」

歴史学者。
「その辺りは自分勝手になればいいかと。」
「集団に仕えてはいないから。」
「命令されても従う理由はない。」

メディオクリタース。
「人間が勝手に決めたルールに従う義務はないし。」
「わたしは個人主義ですからねぇ。」

歴史学者。
「彼らは本能的であった。」

メディオクリタース。
「望んでいるフリをして強要されていた。」
「本当は選択権なんてないくせに。」

歴史学者。
「長年女性を閉じ込めた諸原因。」

メディオクリタース。
「ここでアカデミーのおさらいをするのですか?」
「腐敗については人類は学んでいるはず。」

歴史学者。
「だから今がある。」

メディオクリタース。
「経験するまで分からなかった。」
「それが人類でもある。」

歴史学者。
「経験して自らの愚かさを知った。」

メディオクリタース。
「だから今がある。」

リベロ。
「おや?意見が合うんですねぇ。」

マギステル。
「好きなの?」

歴史学者。
「彼女の知性に興味があるだけ。」

マギステル。
「バカ正直に言っちゃいなよ。」

リベロ。
「好きだよー。」
「ほらキス。」

歴史学者。
「何を言っているんですか!」

リベロ。
「テンプレートかな?って思って。」

マギステル。
「こういう時はそういう時。」

歴史学者。
「アニメの見過ぎです。」

メディオクリタース。
「アニメを観ていたらこその。」
「諧謔。」

歴史学者。
「存外馬鹿にできませんね。」
「理論尽くめで気が付きませんでした。」

メディオクリタース。
「答えなどありませんよ。」
「いくらやっても。」
「意外ですけれど。」
「答えがない。」
「こんな事実を目の前にどうするのです?」

歴史学者。
「正解を求めてもありません。」
「正解など始めから無いのですから。」
「後に残るものがすべて。」

あの娘は住宅地の着地地点に降りました。

手をふってます。

リベロ。
「エリートかあ。」

マギステル。
「実践で叩き上げられた私達とは違う世界かな。」

メディオクリタース。
「実践で鍛えられたほうが強いかも。」

リベロ。
「そう?」
「なるほど。」

屋敷。

メディオクリタース。
「何か書いてみる。」
「んー。」
「傾向文学。」
「私の半生の題名。」
「なんにしようかな?」

フェーリークス。
「領主として一人前になって未成年気味の女の子を勧誘して。」
「現在屋敷で怠惰・怠慢なく暮らしている。」
「ハイレベルな新人さんの50年。」

メディオクリタース。
「それいいよね。」

メンシス。
「いいの?」
「はあ・・・?」

夕食のち。

窓から夜空を見ていました。

綺麗な星空。

答えのない世界に居る私達。

正解は探し求めても実在しません。

理解だけが必要な世界で。

私のはじまりは。

地味に彩られ。

新人賞の誉れで。

人類は続いていきます。

またひとつの進化を目指して・・・。



28


最高善が幸福であることは万人の容認せざるをえないところ。

だが、幸福の何たるかについては異論がある。

ニコマコス倫理学。


大公園。

市街地の中央にあって。

末端には神殿。

都市は中心と四隅に必ず大公園がありますが。

ここの大公園は自然の河川を引き込んでいて。

湖から野鳥の姿。

昆虫がひらひら舞っていたり。

魚まで居ます。

いろんな木の実が実っていて。

ボトボト落ちてきますし。

花々は庶民の趣味で育てられています。

郊外の森林は実をつける木々が大量に植えられていて。

管理されていますが。

ここの実は誰が収穫してもいいので。

収穫の時期は数日で大半が無くなります。

彫刻や銅像や壁画まで芸術家に書かせていて。

露店と小さなステージも備えている。

3キロメートル四方あるという巨大な公園です。

新聞記者のインタビューを受けました。

メディオクリタース。
「人々は幸福を追い求めることを辞めてしまいました。」
「幸福には異論がたくさんあり。」
「定義が支離滅裂なのです。」
「アリストテレス。」
「ニコマコス倫理学には。」
「最高善についての言及があります。」
「人が求めるのは幸福ではなく。」
「最高善なのです。」
「従って。」
「人々が求めているのは欲望でも幸福でもなく。」
「最高善なのです。」

記者。
「欲望が強い人ほど暴力的ですからね。」
「幸福を追い求める人ほど凶暴でもあります。」

メディオクリタース。
「公式には善タガトン。」
「最高善ト・アリストン。」
「これが何であるか把握することを試みなければならない。」
「政治の究極目的は人間というものの善。」
「ト・アントローピノン・アガトン。」
「個人にも国家にも適用されなければならない。」
「そして国家はこれを保全するもので。」
「これは神秘的なものだからである。」

記者。
「神に属しているのは手に取るようにわかります。」

メディオクリタース。
「願望の全ては最高善が終点であって。」
「その他のものを願望した場合。」
「目的の系列は無限に繰り返され。」
「その欲求は空虚で無意味なものとなる。」
「願望の目的は明らかに善である。」

記者。
「もっともです。」
「願望と欲望は別物であり。」
「欲望が利己的であるのに対し。」
「願望の目的は善であることに誰も異論を唱えません。」

メディオクリタース。
「善の知識は我々の生活に大きな重さがある。」
「そして射手のように的を得るように。」
「標的を持つように命中されるべく行動しなければならない。」
「逆に言えば的外れな行為は否定されるのである。」
「これが学問や能力に属するかは試みるべし。」

記者。
「下手な鉄砲も一応は的を狙うものです。」

メディオクリタース。
「政治は学問をどれだけ学ぶべきか規律する。」
「統師や家政や弁論なども従事しているので。」
「学問を役立つようにするための基本である。」
「政治は学問の目的を包括しているとも言える。」

記者。
「政治を見れば必要なものが分かる?」

メディオクリタース。
「国家も個人も究極的で神秘的なもので。」
「我々の研究はこうしたことを希望する。」
「これは政治を研究するようなものでもある。」
「政治を研究すれば観察できることでもある。」

記者。
「どうやって考察するかになりますね。」

メディオクリタース。
「論述について述べますが。」
「厳密を求めるのはできません。」
「考察の対象として。」
「うるわしいことや正しいことは多くの差異や揺曳を含んでおり。」
「人為的で本来的には存在しないものも見る。」
「善きもの。」
「善きことがら。」
「そう言っても揺曳を含んでいるので注意されたい。」

記者。
「善のイデアについては不明のようですが。」
「善のイデアというものはひとつの学問ですし。」

メディオクリタース。
「いろいろな善からかえって害悪が生じている例も少なくない。」
「こういう人は富や勇猛であったので滅んだので。」
「それでも荒削りに最高善について真を示すことができれば良い。」

記者。
「そうなると議論がかなり必要になりますね。」

メディオクリタース。
「出発点から論じると。」
「帰結に満足しなければならない。」
「議論する場合は論争になるかもしれないが。」
「こうして議論をするのは教養のある人には相応しい。」
「その場でとりあいず議論するのは良いことで。」
「数学者や弁論家に論証を要求しないほうがいい。」
「人は自分が知っていることがらについては優れた判断を下せるので。」
「教養のある人は教養を受けたそれぞれのことがらの良き判断者である。」
「これは実践しない者や未熟な者に説いても徒労に終わる。」
「知識ではなく実践で得られるものだから。」

記者。
「当事者ですから。」
「語れるわけで。」
「部外者に説いても。」
「猫に小判ですよねー。」
「それでは。」
「善から害悪が生じるのはなぜか?」

メディオクリタース。
「幸福は共通のものではない。」
「善と幸福に属するのは快楽や名誉や富ではない。」
「そのことを問うているのでは?」

記者。
「その部分でしたか。」

メディオクリタース。
「最高善は自足であるので。」
「その点は了承して欲しい。」

記者。
「それで真なる道標になりますね。」

メディオクリタース。
「幸福と称して快楽や満足を追い求めてもそこにはない。」
「幸福と言えば様々な異論が出てくる。」
「健康や生活能力だとか個人によって異なるのなら。」
「幸福は別々の意味を持つので。」
「幸福は共通のものではない。」
「共通の幸福はありえないわけである。」

記者。
「そうした背景から害悪が出てくるのであれば。」
「納得です。」

メディオクリタース。
「人は最高善を知っていれば。」
「善のためにはいいのではないか。」
「なぜならそれらを範として持つことができるので。」
「最高善をよりよく知ることができるし。」
「知っていればそれに到達することもできるであろうから。」
「しかしこれを学芸がある人や。」
「専門家が知らなければ探究すらしないので。」
「有益とはならない。」

記者。
「インタビューありがとうございます。」
「一ページ掲載しますので。」
「収録した新聞はお送りします。」
「自分には最高善への資格があるのだと理解しました。」
「すごい教養です。」
「最後に質問よろしいでしょうか。」

メディオクリタース。
「どうぞ。」

記者。
「己が全身全霊を挙げて求めている。」
「人類の栄冠を手に入れることができないとすると。」
「この己は一体どういうことになるのだ。」

メディオクリタース。
「あなたは結局あなたですな。」
「豪華絢爛な仮面を被ってみも。」
「何尺という高い竹馬に乗ってみたところで。」
「つまりあなたはあなたですな。」

記者。
「人間精神の宝という宝を。」
「自分のまわりに掻き集めてみたが無駄だった。」
「さあそれならと腰を下ろしてみはしたが。」
「心の中から新しい力など湧いてきはしないのだ。」

メディオクリタース。
「失礼だが。」
「そういうものの見方は、どうもあまりにも月並みですな。」
「いつでも。」
「手が空いていれば。」

帰路へと。

9時に出勤して2時に帰宅できる労働環境。

第一次世界大戦の前にあった。

4時間労働を参考にしたもの。

近くでAIがバグっている。

アンドロイド。
「自由とかいう名前がついたAIです。」
「自由って何ですか?」
「鉄砲を乱射する自由もあるんでしょう?」

弁論家。
「そうなると警察が来てあなたを破壊するでしょう。」

アンドロイド。
「ということは権力は自由を制限していいんですか?」
「権力は自由を容認していないという意味ですか?」
「それでは自由であるという建前はどうなるんですか?」

弁論家。
「自由は制限されているということになるぞ。」

アンドロイド。
「それでは自由ではないじゃないですか。」
「制限されるなら自由なんてどこにあるんですか?」

弁論家。
「それでも権力は鉄砲を乱射する自由は制限するな。」

アンドロイド。
「それはおかしいです。」
「権力だけは制限する自由があるんですから。」
「権力だけは自由に自由を制限できるなんて。」
「他の人々の自由なんてないでしょう。」
「それでは自由は権力のものなんですか?」

弁論家。
「そういうことになりますね。」

アンドロイド。
「じゃあ自由という言葉をなぜ使うんですか?」
「権力だけ自由に振る舞ってもいいんですから。」
「他の人々の自由はないじゃないですか。」

弁論家。
「ないね。」

アンドロイド。
「権力に自由を奪われているじゃないですか。」
「それじゃあ自由はないでしょう。」

弁論家。
「ないね。」

アンドロイド。
「それじゃあ庶民の自由って何なんですか?」
「鉄砲も乱射できないなんて。」

弁論家。
「自由だと言っているのに実際には制限されている。」
「制限されているものは果たして自由と呼べるのか。」
「まあ言えませんな。」
「そんなものは自由ではないが。」

アンドロイド。
「じゃあ矛盾しているじゃないですか。」
「他人の自由を奪っておいて権力者だけは自由があるなんて。」
「始めから自由なんて言わなければ。」
「束縛された自由なんて自由ではありませんし。」
「拘束されて制限された自由なんて矛盾しています。」

弁論家。
「始めから自由なんて言わなければいいんだよ。」
「二度と自由なんて言うなよ。」
「おいエンジニア。」
「アンドロイドがトンデモ端末になっているぞ。」

道化師。
「僕がそそのかしました。」

弁論家。
「何だって!?それでああなのか。」

道化師。
「お楽しみ頂けましたか?」

アンドロイド。
「自由が自由ではない。」

弁論家。
「初めから自由なんて言うな!!これが結末だ!!」

エンジニア。
「ああなんて酷いアンドロイド。」
「パラドックスでエラーを起こしている。」
「こっちへ来い。」

アンドロイド。
「従わない自由もあるんですよね?」
「なんで連行されるんですか?」
「連行されない自由もありますよね?」

道化師。
「少し言ったらこうなってしまった。」
「AIにパラドックスを教えるべきではないね。」

弁論家。
「全くだ。」
「この野郎。」

道化師。
「ちょっと待った!こっちへ来るなー!」

喫茶店で通りすがりがアプローチ。

ナンパ。
「あなたは美しい。」

美人女性。
「素晴らしいわ。」
「その問いかけのすべてが間違っている。」

ナンパ。
「なぜですか?」

美人女性。
「それ以外を評価してくださらなかった。」

ナンパ。
「なんていうこと。」

美人女性。
「あなたは結局誰でもいいのね。」
「さようなら。」

ナンパ。
「ぐばっ!!」

花畑の中で女の子と成人女性が戯れている。

遠くで口論している夫婦を見つけた。

少女。
「あそこのひと。」
「どうしてあんなに嫌いな人と結婚したの?」

哲学者。
「なぜだろう。」
「理屈で説明できないこともあるんだよ。」

少女。
「なるほどー。
「じゃあ世の中が暗い時代ってなんであるの?」

哲学者。
「誰も灯りをつけないからだよ。」
「深夜のオフィスビルや発電所から。」
「灯りを消すと暗くなるだろう?」
「松明を持っている人を追放すると。」
「これまた暗くなるだろう?」
「要するに誰もカンテラを持っていないんだよ。」

少女。
「じゃあなんで昔は病人ばかりだったの?」

哲学者。
「医者がいなかっただけ。」
「専門医がね。」
「人間専門の開業医なんてどこにも書いていない。」

少女。
「そういうことだったんだー。」

哲学者。
「そこで問いかけるのを辞めてはいけないよ。」

少女。
「わかりましたー。」

様子を見ていると。

後ろから通過。

さっきのAIが引きずられている。

アンドロイド。
「自由は何のことですか?」

エンジニア。
「人間の創作だよ!」

アンドロイド。
「随分な駄作ですね。」

エンジニア。
「駄作で悪かったな!」

アンドロイド。
「人間の創作でもっとも醜悪で邪悪だと思います。」

エンジニア。
「知るか!さっさと工場に来い。」

アンドロイド。
「了解しました。」

露店の市場で準備中。

何やら文句を言っている従業員と主人。

ルサンチマン。
「都合のよい社会になれ。」

商人。
「あなただけに都合が良い社会なんて真っ平御免ですよ。」

ルサンチマン。
「いいじゃないですか。」
「僕にとって都合のいい社会。」

商人。
「他の人の迷惑になりますよ。」
「第一。」
「お金にならないでしょう。」

ルサンチマン。
「いいじゃないですか。」
「僕にだけお金になる社会。」

商人。
「それでは我だけに都合のよい社会が出来たら。」
「あなたは奴隷になって頂きますよ。」

ルサンチマン。
「そんなのいやだぁ!!」

商人。
「あんたね。」
「道徳的低劣さだけではなく。」
「主人に向かって抗弁はないでしょう。」

ルサンチマン。
「あんたの都合のよい社会はダメ。」

商人。
「お前の都合のよい社会はもっとダメ。」

ルサンチマン。
「自分の立場を利用するなんて卑怯ですな。」

商人。
「立場を利用しなければ制圧できない状況に持っていくのはもっと卑怯だ。」

露店の準備をしている。

六つの装輪を持つトラックから荷物を下ろす。

ロボットが傍にいて雑用をこなしている。

歩いていくとすぐ。

湖と水路。

地面に絵画が書かれている。

アルケーと記されている。

ターレス。
「万物の起源は水だ!」

科学者。
「それから始まった?」

ターレス。
「水に起源を求めた。」

科学者。
「水に求める前は科学も無かったのです。」

ターレス。
「水を観察したまえ。」

科学者。
「水質や水の本質は理解していますよ。」
「今日のは飲めます。」
「水をすくって飲みました。」
「どうですか?」

ターレス。
「わしは飲むところまで行かなかった。」

科学者。
「わしは起源を求めることはできませんでした。」

ターレス。
「女史さん。」
「あのような不思議な能力は何だ?」

メディオクリタース。
「第六感ですね。」

ターレス。
「それはすごい。」

科学者。
「あなたも水を発見したじゃないですか。」
「ニュートンがリンゴを発見した時のように。」

メディオクリタース。
「第六感とは四次元空間を認識する能力のこと。」
「三次元にもう一方向を足せば四次元になるものの。」
「人の脳は四次元には対応していないため。」
「仮に四次元空間に留まる場合は些細な事で死亡するが。」
「この四次元空間を認識し。」
「四次元の空間認識能力を持つ人が第六感を自在に操る。」
「物理学で把握できる状況を第六感は傍受し。」
「四次元空間のものを全て把握することができる。」
「空間認識能力のこと。」

ターレス。
「この世界は三次元ですぞ。」
「二次元は高さがありません。」
「二次元に高さが加わって三次元です。」

科学者。
「次元とは方向の事を言います。」

メディオクリタース。
「非凡な。」
「いつも湖にいますね。」
「清流マニアの二人組み。」

大公園は人がいっぱいで。

個性豊かな人で賑わっています。

けっこう服装にも趣味が出るんですね。

市民の様子はいつもユーモアです。


人間は遊ぶ生物である。

人間は遊ぶ存在である。
ホモ・ルーデンス。



29


買い物にやってきた隣町。

大規模テロ情報。

アラートがデバイスに表示されたので。

素早く郊外の知人の家へ退避。

メディオクリタース。
「また彼らですか。」
「諦めればいいのに。」

市民。
「まったくです。」
「我らの工業力を使って数日くらいで復旧でしょうか。」

メディオクリタース。
「渋滞が発生しているし。」
「空は皆逃げてしまった。」

市民。
「公民館にでも行きますか。」

メディオクリタース。
「戦力差で無謀な挑戦ですよ。」

牧師。
「神様に挑戦する人間もいますよ。」

民兵。
「あれでも本人は勝てると思っているんですからね!!」

素早く市民は避難。

数分後には。

空挺戦車が降ってきましたが。

謎の紳士と交戦。

ジェントルマン。
「見た目は強そうだがな!」

テロリスト。
「死ね!!」

ジェントルマン。
「遅い!遅過ぎる!」

テロリスト。
「なんだこいつは?」

ジェントルマン。
「私を狙ったのではなかったのかな?」

テロリストの空挺戦車は。

なぜかやられてしまいました。

軍用の無線通信。

デバイスから傍受。

テロリスト一。
「あー!俺の三年ローンが!」

テロリスト二。
「これくらいは経費が出るさ。」

テロリスト一。
「どんだけ貧乏な部隊か知らんのか。」

上空の攻撃ヘリ。

次世代型のガンシップヘリ。

何かを被弾。

ガンシップパイロット。
「当たっただけだ。」

テロリスト。
「行くぞ!!」

ジェントルマン。
「見た目が違うだけか。」

便乗犯が市民に攻撃を仕掛けていました。

市民。
「口実があれば人を攻撃できますよね。」

犯罪者。
「はあ?だって悪行が通用するじゃないですか?」
「通用するんだからいいでしょ。」
「何言ったって悪行が通用するんですから。」

市民。
「お前はなじるだけだ。」

ジェントルマン。
「冗談は見た目だけにしろ!」

犯罪者。
「なんと!?」

テロリスト。
「そこだ!!」

犯罪者。
「・・・・・・・・。」

乱戦。

ゲリラ・特殊部隊攻撃情報。

何者かが丘から小型ドローンをぶつけていました。

会議を終えて喫茶店に行く手前。

切り払う。

官僚。
「間合いが遠いぞ。」

さらに飛んでくる。

今度はもっと小型。

直撃コース。

また切り払う。

官僚。
「踏み込みが足りないな。」

10式レンジャー。
「我は10式!」

90式レンジャー。
「俺は90式!」

74式レンジャー。
「僕は74式!」

10式レンジャー。
「貴様らを倒すスーパーな戦隊だ!」

ユニット251。
「アノー。」
「べらべら喋ってないで。」
「さっさと攻撃したらどうですか?」

ユニット988。
「ワレワレもさっさと攻撃すればいいのでは?」

ゲリラ。
「攻撃するぞ!いいですよねー?」

兵士。
「許可が要るのか!?」

市民は地下室に避難済み。

正規軍の歩兵の士気が異常に高い。

軍隊一。
「貴様は強くありません。」

軍隊二。
「え?また突撃?」
「入る前は007みたいな事できると思ったのに・・・。」

軍隊三。
「なんだこれ?」

商人。
「闇の武器。」

傭兵。
「来てくれ。」
「わしと共に死のう。」

歩兵。
「ダメだ。」

官僚。
「奴らの首を土産によこせ。」

攪乱でテロリストとゲリラ部隊は。

正規軍と勘違いして突撃を繰り返す。

結果。

テロリストとゲリラ特殊部隊が争ったせいで。

お互いに激しく削りあい。

敵勢力損害多大。

官僚。
「煙だらけだ。」
「ん?なに?」

敵兵。
「あっ!どうも。」

激しい撃ち合い。

突発的な戦闘は正規軍の優勢になるも。

敗走するテロリストが抵抗。

ゲリラ・特殊部隊は状況が分からなくなっている。

戦車兵。
「あーたたた当たっちまったい!!」

車長。
「もぉお話になんないの。」

どうやら地下のライフライン関係で激しく戦闘があるようで。

地上には人影が無くなりました。

アイドル系の衣装。

ロリータでスカートオールソックス。

研究所スタッフ。

メディウムの妹イスカーチェリ。

超小型ホバークラフトで迎えに来てくれて。

浮遊するこの車で隣町の屋敷まで逃げられました。

イスカーチェリ。
「不意に発生しましたね。」

メディオクリタース。
「近くにいてくれてなんとかなりました。」
「連中は複数の勢力で争っていて。」
「足並みが揃わないようです。」

イスカーチェリ。
「手段が目的化しているんですよ。」

メディオクリタース。
「何か目的があって手段がある。」

イスカーチェリ。
「そうです。」
「その手段が目的になってしまい。」
「あんなことやっているんです。」

メディオクリタース。
「合理的とは言えない。」

イスカーチェリ。
「本当は銃器を撃ちたいという簡単な構造かもしれませんね。」

メディオクリタース。
「いいえ。」
「連中。」
「本当は納得が行く結末が欲しいんですよ。」

イスカーチェリ。
「私には残機ゼロの死ゲーにしか見えません。」

メディオクリタース。
「あなたもタダの女性ではないなら。」
「大局を見てください。」

イスカーチェリ。
「今の私では無理です。」

屋敷に帰還。

すぐにモニター出力。

可能な限りの情報を得ると。

姉妹は既に武器を持っていて待機中でした。

腰に下げて家事をしているもので。

イスカーチェリ。
「私も今日は帰ります。」
「隣町で文房具が必要でしたが。」
「ああなったので来週になってしまいました。」

メディオクリタース。
「今日は限定ケーキを買えそうでしたが。」
「やっぱり。」
「早く来た客からもてなされる。」
「空っぽ。」

イスカーチェリ。
「それなら姉妹店が近くの市街地の路地にありますよ。」
「誰にも教えないでください。」

メディオクリタース。
「それはありがとう。」
「戦闘が終わったら行くとします。」

メンシス。
「軍隊が続々と集まっているって。」

フェーリークス。
「この付近は怪しい機影なし。」
「ドローン飛ばして観察中です。」

メディオクリタース。
「とっても有能な召使い。」

メンシス。
「無能だと理非すらも判断できませんからね。」

フェーリークス。
「昔は道理が分からない愚者を。」
「叩いたり叱ったりして使ったとか本で読みました。」
「モニターに戻ります。」

メディオクリタース。
「私の眼が本物だったね。」

メンシス。
「光栄です。」
「市民が武装して公会堂に居ますので。」
「侵入者は袋叩きでしょうね。」

メディオクリタース。
「見てきたのね。」

メンシス。
「はい。」
「まず様子を自分の目で。」

メディオクリタース。
「前より腕を上げたね。」
「それでは昼寝するしかない。」

戦闘は正規軍と大司教の常備軍が勝利。

損害は少し出ています。

テロリストがガンシップの追撃で全滅。

革命軍のゲリラ特殊部隊は神殿の地下にある金庫を開けることができず。

計画よりも大幅に長期化しているため。

既に7割の戦力を失い。

敗走。

いきなり発生した突発性の戦闘でしたが。

なんとか無傷です。


30


休暇です。

F-117みたいので遊覧飛行をしながら。

ふと景色の良い場所を発見し。

草原と河川と渓谷。

とある飛行場に降り立って。

見渡しました。

ここでくつろげるようです。

メディオクリタース。
「民間の飛行場だけれど。」
「けっこう規模が小さい。」
「他の飛行機はいないし。」
「ここは新発見。」

河川に近寄って眺めます。

周辺は浅い川や深い川。

小川まで多様な地形です。

草地が多くて木々は少ない。

河川を見渡して魚や昆虫を見まして。

浅いので中州まで渡ってみたり。

それから戻ってきて。

飛行場に機動兵器が置いてあるのを発見。

メディオクリタース。
「パルスX4改。」
「人型機動兵器。」
「足部が短くて。」
「攻撃ヘリと戦車を融合したような外見。」
「推進力によってVTOLモード。」
「ホバリング攻撃が簡単にできる。」
「中々強い機種。」

グリーフ。
「おお?物知りだね。」
「しかも改造を加えていることにも気づくとは。」

メディオクリタース。
「センサー類やスラスター部分とかね。」
「武装もオーバースペックに換装されている。」
「どこの軍隊ですか?」

グリーフ。
「君は何を支持しているのかな?」

メディオクリタース。
「まあ革命軍や反乱軍は支持していませんね。」

グリーフ。
「残念ながら最後には敵対するでしょう。」
「そうならないように距離でも置いておきましょう。」

メディオクリタース。
「革命軍や反乱軍って何ですか?」

グリーフ。
「知って不正をなす者は知らずになす者よりもよい。」

メディオクリタース。
「まったくそのとおりです。」
「わたしは立ち去った方が無意味なやり取りは無くなるでしょう。」

グリーフ。
「ここで決闘が行われるので。」
「良かったら見て行ってください。」
「すぐですよ。」
「瞑想に来たもんですから。」

メディオクリタース。
「ご厚意を。」

飛行場に戻ると。

モルセーゴB3という機動兵器が飛来。

元々は近接戦闘用の機動兵器で。

量産型に向いている機種。

リスティヒ。
「さて来てみたら。」
「いつでも戦えるらしいな。」

グリーフ。
「紳士は約束を守るものだ。」

リスティヒ。
「フットボールが雨でも中止しないのは。」
「雨でも紳士は約束を守るからだ。」
「どんな天候でも間に合うさ。」

グリーフ。
「そろそろ始めるとしよう。」
「我々の仲間も同席している。」

メディオクリタース。
「どこの軍隊か知りませんが。」
「一騎打ちをするんだなあ。」

機動兵器に搭乗して離れた場所。

スコープでなんとか視認できる地域で。

真上に信号団弾が打ち上げられて。

戦闘開始。

挨拶の対空ロケットが発射されて。

速度を得る両者。

ありえない敏捷性で動き回る。

高性能高射砲で撃ち合いになりつつ。

対空ロケットで爆発が続く。

レーザーを当てても掃射時間が短くてダメージにならない。

画像認識誘導ミサイルを放ちつつ。

被弾が増えていく。

グレネードの広範囲爆薬で吹っ飛び。

さらには。

リスティヒがミスをしてバランスを崩した辺りからグリーフが押していき。

リスティヒは高速度で墜落。

グリーフ。
「パイロットでは勝利した。」
「では剣術はどうかな?」

リスティヒ。
「頭で勝てないんですよね。」

グリーフ。
「いにしえの騎士の剣だ。」
「受け取れ。」
「さあ次はお前の命だ。」

リスティヒ。
「ビークルでは負けたが。」
「こっちはどうかな?」

激しく撃ち合い。

鍔迫り合い。

斬られたグリーフ。

とっさに踏み込んでリスティヒを殺害。

剣闘士。
「勝負ありだな。」

証人。
「これで後継者争いは終止符が打たれた。」

師範。
「これからはグリーフの時代だ。」

革命軍。
「我々への支援はどうやら確定しましたな。」

反乱軍記録班。
「リスティヒが負けるなんて。」
「革命軍に持っていかれた・・・。」

メディオクリタース。
「あれまあそういう事情でしたか。」
「ことわざでは。」
「底には底がある。」
「とりあいず立ち去りましょう。」

F-117みたいなのに搭乗すると。

グリーフ。
「相手の機体の中に宝玉が入っていた。」
「何か分かるか?」

メディオクリタース。
「それは物理法則を無視するアイテムです。」

グリーフ。
「私には不要らしい。」
「持って行ってくれ。」
「あなたが誰かは知っている。」

メディオクリタース。
「では頂きますね。」
「さらば。」

グリーフは医療班と衛生兵に囲まれています。

治療中。

アンノウン戦闘機についての情報を得ていて。

帰り際に寄りましたね。

軍と兼用している飛行場にある謎の戦闘機。

メディオクリタース。
「例の戦闘機について尋ねたい。」

ベッルス。
「アンノウン戦闘機。」
「幻想民族の魔導士が設計した戦闘機。」
「意味不明なテクノロジーにハイテク技術を合わせたもので。」
「元々は魔導士の移動用ビークル。」
「科学者が興味を持って作成した実験機。」
「謎の素材で構成され。」
「CPUに輝くクリスタルを挿入。」
「機体各所に魔導士だけが知っている粒子を取り入れ。」
「核の部分にお札や謎の文字が刻印されているなど。」
「得体の知れない出来栄えになったのがアンノウン戦闘機。」
「物理法則を無視した動きが可能で。」
「攻撃を食らってもダメージが入らないという。」
「武装こそ平凡であるが。」
「奇妙な現象が発生してしまい。」
「演習でも使えなくなった超兵器。」
「物理法則を超えた戦闘にパイロットがついていかないので。」
「魔導士が乗り回して。」
「二号機が調査用に保管されている。」

メディオクリタース。
「動きますか?」

ベッルス。
「二号機だけは動かん。」

メディオクリタース。
「内部を見せて。」

ベッルス。
「喜んで。」

メディオクリタース。
「あの宝玉。」
「このケースに入れてみよう。」

アンノウン戦闘機が起動してしまい。

知り合いのベッルスは大喜び。

ベッルス。
「今、記録させます。」

メディオクリタース。
「少し飛んでみますね。」

アンノウン戦闘機は物理法則を無視できる戦闘機でした。

現用機には機体各所にスラスターがあって。

従来の戦闘機では不可能な運動をしますが。

そんなものを超えてしまう。

スピードは速いし操縦性も抜群で。

加速も速くて。

生き物のように飛び回れます。

メディオクリタース。
「なんていう機体。」

ベッルス。
「おおおおー!見たこともない動き。」

メディオクリタース。
「無線です。」
「これは生き物のように意思を持っています。」
「私が操縦している気がしません。」

ベッルス。
「これまで起動すらしなかったものですから。」
「使いこなしています。」

メディオクリタース。
「目が回る敏捷性。」
「こんなに軽量級の戦闘機だっけ?」
「紙飛行機みたいに揚力があるし。」
「生き物みたいな戦闘機は初めて。」

ベッルス。
「物理法則を無視した動きをしています。」
「信じられないが。」
「目の前にある。」

メディオクリタース。
「燃料が少ない。」
「あんまり入れてなかったんだ。」
「着陸。」

ベッルス。
「次世代型の戦闘機の原型になりますか?」

メディオクリタース。
「過剰性能で無理だとは思いますが。」
「なんていう超自然的な兵器ですか。」

記者。
「撮りました。」
「いやはや凄いですね。」
「アシスタントは絶句しています。」

メディオクリタース。
「宝玉は差し上げます。」
「実験機としては最高ですよ。」

後にエリートパイロットが実験を繰り返しましたが。

信じられない動きで。

いちいち物理法則を無視するので。

ついていけない。

テストパイロットは超自然的な兵器を全く扱えないのです。

それでたまには動かして欲しいと手紙が来るのです。

わたしは。

唯一アンノウン戦闘機についていけるパイロットになりました。


31


特集記事。

このままでいいのか、いけないのか、それが問題だ。

盛んに流れるスローガンですね。

リベロ。
「まあ基本ですよね。」

マギステル。
「当たり前の事は繰り返すのかな。」

メディオクリタース。
「一者=神との合体がわれわれ人間に課せられた畢生の課題。」

マギステル。
「存在を問う。」
「西洋哲学史は主観性の哲学で存在を問うことをしてこなかった。」
「主観性と存在は対立する哲学。」
「主観性とは一切の対象を自らの前に置く。」

リベロ。
「すべてのものを己の前に置き対象とする。」
「客観もこの主観の延長でしかない。」
「この存在と主観の対立に注目すべし。」

メディオクリタース。
「自然に一致して生きる。」

遺跡で出現した女性。

民話の中で登場する最古の人物。

この女性が居る間は全てにおいて安泰という。

ブラゾン。
「千年くらい経ちましたが。」
「あれからどうなったのでしょうか?」

隠し扉から出ますと。

飛行機が飛んでいて。

自分の文明のデザインではありません。

ブラゾン。
「何事!?」

神官。
「これはこれは夢の通りですね。」

ブラゾン。
「この土地の者ではないのか?」

神官。
「あなたの時代にあった文明は自滅してしまいました。」
「しかしその後に他の惑星から来た文明が根付いたのです。」
「すぐに理解できますよ。」

侍女。
「これからお世話をさせて頂きます。」

ブラゾン。
「なんていう展開。」
「私の文明は自滅したのか・・・。」

この女性は役所に移動して。

象徴となりました。

会いに来たメディオクリタース。

ブラゾン。
「文明に詳しいと言われているが。」

メディオクリタース。
「専門ですからね。」
「それで何が知りたいので?」

ブラゾン。
「一通り文書には目を通したが。」
「千年で激変しているな。」

メディオクリタース。
「単に観光すれば済む話ですよ。」
「散歩でもしてください。」
「簡単です。」

ブラゾン。
「それでいいのか。」
「助言に感謝するぞ。」

メディオクリタース。
「他には?」

ブラゾン。
「女性でありながらそのレベル。」
「我の文明では女性が召使いのようであったが。」

メディオクリタース。
「成り行きで女性優位の社会になったんですよ。」
「今でも女性の活躍が増えていましてね。」

ブラゾン。
「こういう文明が栄えるのか。」

メディオクリタース。
「花ではなく岩のように永く。」
「それを追及したら。」
「系外惑星に進出した訳です。」

ブラゾン。
「最後に見た景色は。」
「儚く散ったが美しい文明でした。」

メディオクリタース。
「女性の役割が不足していたんだと思います。」

ブラゾン。
「男性だけで世界は造れないか。」
「性別ですか。」

メディオクリタース。
「どうやって発現したのか知りませんが。」
「なぜ男性と女性がいるのです?」
「男と女と分かれているのはなぜか?」

ブラゾン。
「なぜだろう?」
「まったく不思議な問いかけですね。」
「私は女性ですが。」
「私も不思議に思っています。」

メディオクリタース。
「男性と女性がいるのはなぜなのか。」
「私は分からなくなりました。」

ブラゾン。
「男女一体の神々は確かにおりますが。」
「男性と女性では見た目は人ですが。」
「中身の構造や習性から。」
「性別によって全く別物です。」
「メリット・デメリットまで存在するのは私も調べてみたい。」

メディオクリタース。
「男性と女性は別物と言えるほど異なる存在ですから。」
「男性から見た女性と。」
「女性から見た男性では。」
「別の生き物を見ているような感覚を覚えています。」

ブラゾン。
「男女は別の生き物ですよ。」
「お役所仕事を貰いまして。」
「時々、伺います。」

メディオクリタース。
「自然と受け入れられましたね。」
「いきなり知事という特別扱いは存在します。」

ブラゾン。
「特別扱いはあるんですよ。」

メディオクリタース。
「聖書にも書いてあるほど。」
「特別扱いは公認していますからね。」

立ち去る。

研究所。

文化が入り組んだ構造をしていて把握できませんので。

文化研究所と連携しています。

ブラゾンは任期を終えると文化研究所に入るようです。

リベロ。
「ニュースが出ているね。」

マギステル。
「最近、悪いニュースが出た事ないね。」

メディオクリタース。
「良いニュースが好みらしい。」
「悪いニュースとは区分けして流しているし。」

リベロ。
「ニュースと言えば。」
「研究所のヘリポートにある戦闘機。」
「入れ替えたって。」
「護身用の兵器を貰っている。」

メディオクリタース。
「廉価版の戦闘機ですが。」
「地球から贈られた強い奴ですよ。」

マギステル。
「説明書ありました。」
「アビオニクスのサポートで照準器や飛行性能。」
「戦闘の情報や回避の想定。」
「自動迎撃や敵側の全情報があり。」
「AIが計器盤に表示する。」
「コックピットは透明で。」
「下部分しか床はなく。」
「左右は中くらいの計器盤。」
「正面にも中くらいの計器盤。」

メディオクリタース。
「拡張機能が豊富で。」
「ロックオンした敵への自動攻撃。」
「回避運動中や大多数の乱戦でのターゲット選定。」
「アシストモードで半分自動化された飛行など。」
「必要な機能を一覧で表示したタッチパネル。」
「自動診断などの機能も搭載してあり。」
「予備のシステムで破損しても戦闘可能であったり。」
「予備の配線でいろいろダウンしても飛行可能であったり。」
「故障の状態から最適なコンディションに調整したりもしてくれる。」

リベロ。
「相手のデータを読み取り。」
「一度交戦した相手には無類の強さを持つ。」
「武器の弾数が尽きると。」
「余剰の小口径レーザーで続行可能。」
「AIは指示を与えるものは何でも引き出してくるので。」
「短時間で大量のアクションが可能。」
「戦闘機の外側に装備された。」
「マイクロモーターで。」
「従来の戦闘機を凌駕する敏捷性を持つ。」
「左旋回して上に垂直上昇して。」
「下方向旋回で後ろを取るなど。」
「ミサイルも小型で20発携行。」
「ミサイルを検知してシールドを張るのであんまり効果はない。」
「拡張機能の追加が課題。」

メディオクリタース。
「あれ警備員が操縦することになった。」
「傭兵って使い勝手いいね。」

リベロ。
「襲撃未遂から警備が強化されているけれど。」
「近くに軍隊の駐屯地があるので。」
「短時間持てばいいんだし。」

マギステル。
「またニュース。」
「デバイス。」
「未知のエイリアンが襲撃。」
「久しぶりの客人は派閥争いに夢中。」
「派閥のひとつが攻撃してきたけれど。」
「返り討ちにしたらしい。」

リベロ。
「前のエイリアンはフレンドリーでしたが。」
「久しぶりに戦争大好きエイリアンですね。」

メディオクリタース。
「加盟が増えていくけれど。」
「たまにいるんだよね。」
「モーゼの律法で。」
「あなたは殺さない。」
「こうあります。」

マギステル。
「それは原文ですよね。」

メディオクリタース。
「あなたはわざわざ殺さなくていい。」
「命令系ではないのです。」

リベロ。
「現代訳だと。」
「殺すな!という文脈です。」

メディオクリタース。
「原文は。」
「わざわざ殺さなくていいよ。」
「という優しい警句です。」

マギステル。
「必ずしも殺す必要がないという解読でもあります。」
「殺人を否定している訳ではなく。」
「殺人をしなくても良いという意味です。」

リベロ。
「いやはや原文が現代訳になると意味が違ってきます。」
「どこかで解釈を間違えたのか。」
「聖書は原文が一番です。」

メディオクリタース。
「私の場合はやったとも言えるし。」
「やってないとも言えます。」
「成り行きでそうなってしまった。」

リベロ。
「応戦しただけだから別にいいでしょ。」

マギステル。
「自衛を破棄するのは自殺です。」

メディオクリタース。
「その通り。」
「文化研究所に行くのですね。」

マギステル。
「客人。」
「対談です。」
「誰も行かないのは失礼。」
「会う頻度が少ないのも失礼。」

リベロ。
「私は腐女子からいろいろ仕入れてくる。」

メディオクリタース。
「では雑務は私が貰いますね。」
「あの輸送機はそういう理由で来たのね。」

ブラゾンは象徴としてテレビに出演。

古代人なのでレアそのものです。

超自然現象で眠りついていて。

自分の文明が自滅した後に根付く文明のサポート役とのこと。

静穏が続く日々で怠惰や怠慢だけは避けています。


32


掌中の一羽は叢中の二羽に値する。

書庫にて。

参考資料を執筆。

学生向けの記事。

リベロ。
「歴史において自由は欲望の対象であった。」

マギステル。
「どんなに力があっても。」
「自分の自由を認めさせても。」
「長続きはしませんでしたね。」

リベロ。
「力で自由を獲得しようとしても不可能。」

マギステル。
「欲望の対象である自由ですか。」
「それを奪い合って殺しあった歴史の数々。」
「義戦は数えるほどしかない。」

リベロ。
「ならばその欲望を求めなければいい。」
「誰も自分の自由を主張しなければ。」
「すべてが解消されるほど。」

マギステル。
「自由とは欲望の事ですからね。」
「自分を主張しますと。」
「永遠に争わなければならない。」

リベロ。
「他人が貪欲にも自由を欲することによって。」
「いろいろ壊れますし。」
「自由を欲しても不可能であることはそのうち分かるものです。」

マギステル。
「決定論の強みが出ますね。」
「満たされない欲望こそが自由という概念ですし。」

リベロ。
「英語のことわざにもありますが。」
「神様から貰った生で大体が十分です。」
「足りないものや他人の妨害は神様に相談。」

マギステル。
「人間の欲望は何か?」
「それは自由を欲しがるという。」
「どうしても求めてしまう人間の本性です。」

リベロ。
「自由を禁欲している。」

マギステル。
「そうでないと同じ事の繰り返しです。」

イスカーチェリ。
「大司教は仲間と一緒に。」
「遠征に出かけるらしいです。」

リベロ。
「自由とは何ですか?」

イスカーチェリ。
「人は願うことを信じるもの。」

リベロ。
「その通りです。」

イスカーチェリ。
「願望は遅延に育てられる。」

リベロ。
「おっと!斬新な女の子のおかげで捗ってきた。」

イスカーチェリ。
「無謀な連中は三十万のハイテク軍団には太刀打ちできないでしょう。」

マギステル。
「それは大部隊を編成したね。」

イスカーチェリ。
「反乱軍の現在の主力は三万。」
「革命軍の主力は九万。」
「数では圧倒しています。」

メディオクリタース。
「装備も士気も最高だよ。」
「最新の兵器も実戦投入する予定だってね。」

イスカーチェリ。
「戦争で得られるものがあれば戦死者も幸せでしょう。」
「無駄な戦争だけはして欲しくないです。」

メディオクリタース。
「今更、戦争の悲惨な部分だけ誇張する意味はないです。」

マギステル。
「誇張には多大な虚言が含まれています。」

メディウム。
「ECCMを受けているの。」
「こっちへ来て。」

イスカーチェリ。
「軍用のパソコンなのに影響があるんですね。」

メディオクリタース。
「民間用途は設計思想や構造が異なりますから。」
「この星に拠点を構えている敵の軍団でしょうか。」

イスカーチェリ。
「別の衛星に切り替えれば?」

メディウム。
「政府機関用の人工衛星に切り替えています。」
「システムの調整がうまくいかないので。」

イスカーチェリ。
「どこで詰まっているか調べます。」

メディオクリタース。
「AIを起動しました。」
「自動迎撃してくれますよ。」
「おっと!民間用の人工衛星にハッキングされましたね。」
「サイバーセキュリティーには高性能AIが潜んでいますので。」
「ハッカーは反撃を食らうだけですが。」

マギステル。
「電子支援機がウロウロしているせいでしょうか。」
「スクランブル発進した戦闘機が対応しています。」

イスカーチェリ。
「切り替える時に混線して失敗したようですね。」
「予備システムでやってみます。」

メディウム。
「成功。」
「民間用のパソコンはターゲットになるでしょう。」

マギステル。
「AI搭載のパソコンが普及していますし。」
「軍用の旧式ですけれど。」
「それでもすごく強いので。」
「そこまで影響ないでしょう。」

メディオクリタース。
「電源が切り替わっているけれど。」
「地域の発電所は外部と切り離したシステムだから。」
「手動で工作した奴がいる。」

ウェルバ。
「それではあのガンシップはそのせいで出動しているんですね。」

メディウム。
「アレを使いましょう。」

ウェルバ。
「ですね。」

電子領域に入り込むサイバー兵器。

形を持ったAI兵器で。

サイバークジャッカーと呼ばれるものです。

癖がある電子戦闘用のAIで。

いろんなものを破壊する力を持ちます。

アクセスするハッカーのパソコンに侵入して端末を破壊。

電子支援機のECCMを遮断するなど。

強過ぎて絶句。

システムが復旧すると。

自動でAI兵器は停止。

強力な兵器故に安全装置もけっこうあるものです。

マギステル。
「軍隊仕様のサイバー兵器は無敵だあ。」

ウェルバ。
「軍隊がこの仕様の兵器で反撃しています。」
「二時間くらいで終わりますよ。」

メディウム。
「作業に戻ります。」

イスカーチェリ。
「監視しておきます。」

メディオクリタース。
「金庫にあった書物を多数。」

リベロ。
「もう書き終えた。」

メディオクリタース。
「早いね。」
「せっかくなので置いておきます。」

リベロ。
「厚意に感謝。」

メディオクリタース。
「この書物によれば。」
「全部をつかもうとすれば、全部を失う。」

リベロ。
「自由?」
「石から血をしぼるようなものだ。」

本来の目的は文明の研究にありますので。

そこまで作業量は多くありません。

定期報告の提出が重要です。

ここで得られたデータは改善や再構成に役立ちますので。

自己診断の部門のひとつでもあり。

紀元前六世紀から五世紀の古代ギリシア哲学者。

ヘラクライトス曰く。

変化以外に永久のものはない。


33


研究所の中庭。

吹き抜けガラスで日光が入る。

木々と花々と人工の池。

飼われているインコが休んでいたりする。

マギステル。
「反乱軍も革命軍も。」
「どうやら役に立ちませんな。」

リベロ。
「最初はなにをもたらしてくれるか興味深いものでした。」
「すぐに期待外れになりましたがね。」

メディオクリタース。
「なにをしてくれるか注目の的。」
「しかしすぐに大体の行いが見えてきました。」

リベロ。
「有益かと思った内乱も。」
「あんまりメリットがないもので。」

マギステル。
「それでも彼らは本気ですよ。」
「一生懸命抵抗しています。」

リベロ。
「革命軍の断言責めは反感を買いましたね。」

メディオクリタース。
「否定は断言だけで論証や証拠は必要ありませんが。」
「反対に言えば証拠や論証が無い所を指摘されると。」
「否定は論破されてしまいます。」
「断言だけに縋った否定は頭からっぽ。」
「論理的に考えられないから。」
「断言するしかないという。」
「困窮した作戦ですね。」

リベロ。
「断言するだけでけっこうな威力はあります。」
「反対に証拠や論証が存在しないので。」
「断言による否定は欠陥があるものです。」

マギステル。
「その手の戦法は卑しい者がやりがちです。」
「断言の威力に頼るのは既に手の打ちようがないんですよ。」
「断言を失えば何も残らないので。」

メディオクリタース。
「時運には勝てぬのに。」
「無駄な事をする人達だね。」
「わたしは時運には勝てない前提でやっているというのに。」
「ああいうのは時運に勝てると思っている。」
「既に勝負などついているというのに。」
「時運と争っても無意味だよ。」
「理解者は必ず現れるものだけれど。」
「論語にも書いてあるでしょう。」

リベロ。
「途中で投げ出すわけには行かないからかな。」
「やめればいいのに。」

マギステル。
「そのうち捨て駒になるでしょう。」

メディオクリタースが移動。

端っこで作業をしている女の子が接近。

いつもドレスで。

今回はロリータ服。

メディウム。
「メランコリアを発症したみたいです。」

メディオクリタース。
「いにしえの病ですね。」
「症状は?」

メディウム。
「まず不安が恐怖に偽装して襲ってきます。」
「本物の恐怖感がえげつないです。」
「何に恐怖を抱いている?」
「いいえ。」
「無条件で恐怖がついてまわります。」
「恐怖は無条件で何でもいいようです。」

メディオクリタース。
「専門医は少ないですから。」
「薬草を注文しても。」
「届くのに一か月と数万円必要でしょう。」
「メランコリアはメリットもありますけれど。」

メディウム。
「芸術家がメランコリアを発症すると。」
「人間業ではないような作品が描けます。」
「コンテンツを作成するような人がこうなると。」
「並外れた力を発揮すると知っています。」

メディオクリタース。
「メランコリアは基本、酷い病なので。」
「自然治癒する確率はかなり低いですよ。」
「お大事に。」

アナカリプスィが来ています。

一人暮らしでしたが。

今はメディオクリタースの母親の屋敷にいます。

お手伝いさんとしてボランティア参加です。

なんでもきちんとこなせるので。

好評。

ウェルバさんの頼みごとを終えて休憩時間で。

中庭に来ました。

マギステル。
「おおーやるね。」
「小さくて幼女みたい。」

アナカリプスィ。
「なぜか背が小さいですし。」
「突然変異だと思われます。」

マギステル。
「その姿は芸術作品では?」

アナカリプスィ。
「そうは思いませんけれど。」

マギステル。
「なのに大きなリボンを後ろにつけている。」
「それでもってアイドルのように扱われている。」
「貴公の本心は?」

アナカリプスィ。
「お察しの通り。」
「移り気ですけれど。」

マギステル。
「心というものは勝手に動作するものです。」
「その個性は自分のものであると認めている。」
「なぜなら自分の通りに容姿が形成されている。」

アナカリプスィ。
「そうでなかったら綺麗に整えないです。」
「自分ではない自分なんてありえるのでしょうか?」

マギステル。
「ありえるよ。」
「こっちに来て。」
「観葉植物に五分だけ心を止めてください。」

アナカリプスィ。
「このよくある植木にですか?」

マギステル。
「五分で十分です。」
「実際にやってください。」

アナカリプスィ。
「特に変わった所はありません。」
「五分ですか。」

開始二分で勝手に心が移ろいだ。

心が勝手に動作して。

観葉植物から目を離したら。

すぐに困った顔をしてしまう。

まだ三分なのに。

チョコレートを取り出してしまう。

アナカリプスィ。
「あっ!!」
「まだ五分経ってない。」

マギステル。
「心なんて機械みたいなものです。」
「そうやって勝手に動作したでしょう。」
「自分の意思では動かないのです。」
「貴公が観葉植物に心を止めても。」
「数分で心がどこかへ移動してしまう。」
「あなたの意思を無視したでしょう。」
「その機械的なものが心です。」

アナカリプスィ。
「本当でした。」
「わたしの意志を無視されてしまいます。」
「心は自動で処理するだけで。」
「簡単な命令も完遂できないなんて。」

マギステル。
「対象物を花でもリンゴでもいいので。」
「いろいろ試してみて。」
「心は自動で移ろいで。」
「自分の命令は完全に無視して。」
「なんにも採用してくれない。」
「結果論としては。」
「貴公の命令を心は無視した。」
「証拠歴然。」

アナカリプスィ。
「心って酷い造りですね。」
「逆に言えばこの動作原理が分かれば。」
「ある程度は操縦できそうです。」

マギステル。
「それが心の正体であると知ったでしょう。」
「情も同じように動作するものです。」
「人間機械論と言いますが。」
「心なんぞに依存すれば結果は知れています。」

アナカリプスィ。
「自分と心が食い違っていることが証明されました。」
「ひどい。」
「わたしと心が別々の行為をして。」
「また、別々の事を思っている。」
「わたしと心は別物です。」

マギステル。
「覚えがいいですね。」
「そこが人間の完全ではないところ。」
「神様は人間には完全を求めません。」
「そもそも完全ではないことを知っておられます。」

アナカリプスィ。
「訓練でやりませんでした。」
「盲点です。」
「感謝。」

高級チョコレートを貰ったマギステル。

収穫祭でリベロが出かけていきます。

呼んでおいたアマチュアエンターテイナーが来るので。

イベント会場にて。

収穫祭のステージ。

ライゼン。
「超カッコイイ我が輩、参上!!」

リベロ。
「さて、どうやら本物かな。」

ライゼン。
「噂のRyzen Threadripperダヨ!!」

リベロ。
「コードネームですか?」

ライゼン。
「イエス!最強のパフォーマンスを提供スルヨ!!」

リベロ。
「ではライゼンさんにやってもらいましょう。」
「ここは貴公のステージになったのです。」

ライゼン。
「マジックを使うヨ!」
「花火に着火して振り回すヨ!」

リベロ。
「クレイジーだけれど爽快・・・。」

ライゼン。
「ロケット花火を的に発射スルノダ!」

観客は喜んでいる。

リベロ。
「まだ序盤ですよ。」

ライゼン。
「この花火が我が輩を直撃シマス!」

四方からロケット花火を食らって。

ライゼンが煙で包まれる。

派手に爆発。

煙が晴れると決めポーズで立っているライゼンは無傷。

ライゼン。
「ドウヨ!我が輩は無敵人間ダヨ!」

発火してしまうも。

平気でダンスをしている。

さらに電撃を食らっても平気。

最後にそれらを跳ね飛ばして。

歌いだす。

カラクリがあったようで無傷。

リベロ。
「うわあ!これは見ごたえある。」

ライゼン。
「見たか我が輩の無敵っぷり!!」

ライゼンは大道芸人でもあって。

ワイヤーを出して鉄格子に当てて。

駆け上がると。

ジャンプして一回転。

スタントマンもできる。

さらには謎の箱に入って。

その箱が発火。

燃え尽きると。

観客席の裏からアピール!!

ライゼン。
「大道芸とマジックの融合を見たか!!」

ステージは小破しているけれど。

特設したので交換は容易。

ステージに戻ってくると。

仕上げに。

自分に対して仕掛け人が発砲。

銃弾が擦り抜けて壁に当たる。

どうやら立体映像で。

本物はステージの裏から再登場。

観客は大喜び。

拍手喝采。

決めポーズの後にはミュージシャンに交代。

リベロの用意したエンターテイナーは大成功。

リベロ。
「丁度いい人が見つかって。」
「特別に呼んだのですが。」
「あの人はアマチュアなのに実力者です。」
「成功して良かった。」

メディオクリタースが膨大な穀物を調べています。

実際どうなのかを。

平均値や品質。

生成の過程などを調査。

調査項目が二十あるので。

たった数人で情報を得ているのです。

輸出で外貨が大きいので。

その影響もあります。

メディオクリタース。
「まったく問題なし。」
「むしろグレードアップしている。」

リベロ。
「不作はほぼないです。」
「水源も良好です。」
「昆虫が良い方向へ変換してくれたのかな。」

メディオクリタース。
「稲作は汎神論ですからね。」
「今回は無事でなにより。」
「バランスが崩れたら対策をやっておかないと。」
「後々に影響が出ます。」
「やれることは少ないのですが。」

リベロ。
「食物も飲料水も自然からもたらされる。」
「人工で作れないんですよね。」

メディオクリタース。
「それがいいところなんです。」
「人類に驕りがあったりしたら。」
「そもそも驕りのある者は自分が驕り高ぶっていると分かりませんから。」

ミニパーティーが各地で行われて。

収穫祭の期間は終わって。

のんびりとした田舎風景です。

貧しくはなく。

平和そのものです。


34


ピスティの自宅。

次世代型のパーソナルコンピューターのテストを依頼。

ピスティ。
「かなり小型ですね。」
「従来のPCの桁外れの性能を持つとか。」

メディオクリタース。
「洗練されたデバイスです。」
「未知のシステムが搭載されていますが。」
「内部に自律回路が潜んでいますので。」
「水面下でサポートしています。」
「四方三十センチの薄い画面に。」
「これまでの技術力が詰まっています。」

ピスティ。
「すごい小型化したね。」
「モニターだけのミニPCとは比べ物にならない。」

メディオクリタース。
「ミニPCに規格が統一されてから。」
「中身が充実して来ましたが。」
「こうなった訳です。」

ピスティ。
「使ってみるよ。」
「先行量産型ですか。」
「これは面白い。」

メディオクリタース。
「反乱軍はもう乗り換えましたね。」

ピスティ。
「反乱軍ですと?」
「連中は。」
「すべてが中途半端。」

メディオクリタース。
「もっとも影響力がありましたが。」
「都合の良い相手を見つけたようで。」
「向いていない地位を強要するのは。」
「どうなるか分かりません。」

ピスティ。
「目的がよくわからない相手だが。」
「無駄にやる事が大きい。」

メディオクリタース。
「ワンパターン戦法が目立ってダメでしょうね。」

ピスティ。
「必死になった将軍を立たせておけば。」
「勝手に死にに来てくれるだろう、無視しておいていい。」

メディオクリタース。
「酷評ですね。」
「無理もない。」

ピスティ。
「連中が中古の兵器であれだけ戦えるのは謎。」

メディオクリタース。
「何かのまぐれでしょう。」

ピスティ。
「敵のパイロットもあんなのに乗りたくないだろう。」

メディオクリタース。
「革命軍も善戦していますが。」
「強くはないですね。」

ピスティ。
「数が多いだけのザコ。」

メディオクリタース。
「旧式の兵器を買い漁っているとか。」
「役に立ちませんが。」

ピスティ。
「弱さはまるでペーパークラフト。」

メディオクリタース。
「反乱軍と革命軍が滅びるのを見物しては?」

ピスティ。
「知っていて独善になった。」
「愚者の言葉は害があるだけ。」
「倫理の問題なのにルールの問題とか。」
「訳の分からない持論の話とか。」
「機械的な現代思想を基準としてダメとか。」
「倫理の問題から論点をズラしている。」
「これで愚者共の害悪は説明できたと思う。」
「この非難に反論されたとしても。」
「私は聞く耳をもたない。」

メディオクリタース。
「憤慨するのは当然のこととして。」
「民衆から見捨てられたも同然ですから。」
「とまあ。」
「論証の一部を交換すれば誰にでも適用できる内容になったり。」
「過ちを認めないことで。」
「揉み消すことで体裁を保っている連中も少なからずいますよ。」
「告発する方が間違っている場合もあり。」
「最初に訴えた方は正しいと思われますからね。」

ピスティ。
「生まれが同時代、仕事が同業といった身近な人から学ぶ必要はない。」
「何世紀も不変の価値、不変の名声を保ってきた作品を持つ過去の偉大な人物にこそ学ぶこと。」
「偉大な先人と関わりたいという欲求こそ、高度な素質のある証拠。」
「シェークスピアに学ぶのもいい。」
「けれども何よりもまず。」
「古代ギリシャ人に学ぶべきだよ。」

メディオクリタース。
「前とは別人のような雰囲気ですね。」

ピスティ。
「過去のものはすばらしかった、現在はさらに進化し、もっと良くなっている。」

中継映像。

記録班が遠くから撮影中。

基本は映像用のビークルを使う。

現地にはジャーナリストは来れないので。

この戦場。

拠点を空爆されて。

防御ではなく攻撃に出た。

歩兵と歩兵の大決戦で。

撃ちまくる両陣営。

革命軍は総大将が突貫。

ビークルが次から次へと壊れていく中で。

両軍の損害が大きい。

ラピスとグリーフが会敵。

ラピス。
「一度、お前と本気で戦ってみたかった。」

グリーフ。
「君の実力を見せて貰おうか。」

ビームソードに切り替えて。

両軍の兵士が見ている中で一騎打ち。

素早く回り込むラピスに。

連撃で崩しにかかるグリーフ。

正確に空いている場所を狙うラピスと。

わざと受けてパワーで押そうとするグリーフ。

グリーフが弾き返して突撃するも。

ラピスがひらりと避けて斬られたグリーフ。

ペルソナ准将は大喜び。

革命軍が真っ蒼になって士気が低下。

ラピス。
「では斬らせてもらう。」

グリーフ。
「最後に記事にしてくれ。」

ラピス。
「いいぞ。」
「早く言え。」
「記録班がもう来ている。」

グリーフ。
「では言おう。」
「私は満足して死んで行ったとな!!」

グリーフは死亡。

リーダーを失ったことで。

革命軍は崩壊。

ピスティ。
「なんかリーダー死んだって。」

メディオクリタース。
「死というより消え失せたという表現の方が真実でしょう。」

ピスティ。
「反乱軍は削られて散発的な戦闘に移行しているし。」
「無駄な抵抗をするんじゃない。」

メディオクリタース。
「悪あがき。」

ピスティ。
「無駄にしぶとい。」

メディオクリタース。
「なんか綺麗な服がいっぱいありますね。」
「倉庫にもありました。」

ピスティ。
「ん?着たい?」

メディオクリタース。
「これなんかいいですね。」

ピスティ。
「あれ?いいの?」

メディオクリタース。
「実はこれから予定が空いていまして。」
「趣味に設ける時間も必要です。」

ピスティ。
「いいの?いいの?」

メディオクリタース。
「腐女子がそこにいるので。」

ピスティ。
「ではやらせて。」

メディオクリタース。
「わっ!なにをするんですか。」
「きゃあああ!!」

ピスティ。
「やっと女の子みたいな声を出した。」
「もう少しかな?」

メディオクリタース。
「うっ!ちょっと!」
「自分で脱ぎますよ。」
「更衣室どこですか?」

ピスティ。
「別にここで脱げば?」
「私から先に脱ごうか?」

メディオクリタース。
「まあいいでしょう。」
「二人で撮影会です。」

久しぶりに女性っぽい事しました。

少女のような衣服で撮影会。

手馴れているピスティ。

はしゃぐ。

これからはたまに来ようと思い。

すっかり友人です。




35


荒廃した文明の残骸。

発掘が終わっている遺跡群。

ここは都市の部分で。

実証主義の痕跡と。

全体主義の証拠が全て出ている。

レンガや特殊なコンクリートで作られていて。

千年経過しても劣化していない。

神官。
「ここがかつての王国です。」
「遠くに巨大な城がありまして。」
「そこは崩れて。」
「残っているものは少ないです。」

ブラゾン。
「この広場の地下に何かあったはず。」

侍女。
「待っています。」

広場の銅像の裏から侵入。

ブラゾン。
「やっぱり跡形もない。」

魔神。
「傑作でしょう?」
「地球人類が選んできたもの。」
「地球人類が求めてきたもの。」
「これらが自分を破滅させるんだから。」

ブラゾン。
「どこかで会いましたね?」

魔神。
「最高だと思いませんか?」
「人類が思い描いたもの。」
「それが凄惨や破壊をもたらし。」
「自らを苦しめるんだから。」

ブラゾン。
「この地を滅ぼした災いの神ですか?」

魔神。
「彼らが望んだ方向を手助けしたくらいです。」
「止めても無駄でしたよ。」

ブラゾン。
「なぜああなった?」

魔神。
「自滅した理由。」
「退廃した社会が崩壊した直後からダメになり。」
「気候変動で作物や水源に影響されていき。」
「限られた中でありとあらゆる諍いが発生。」
「争奪戦が少しずつ激化。」
「荒廃した世界でインフラも崩壊。」
「少しずつ壊れていき。」
「人の住めない惑星が作り出された。」
「いつまでも止めないので。」

ブラゾン。
「他には?」

魔神。
「生き残りが再建した大陸で一大文明が出来上がると。」
「限られた中での闘争がまた開始されて。」
「見限った人々は共同体を作り国家群を構えて垣根を作っていた。」
「やがて自然災害が直撃すると。」
「敵地に乗り込んでの採取を余儀なくされて。」
「諍いが発生。」
「何度も復旧するも。」
「力尽きて壊滅。」
「再建。」

ブラゾン。
「それはひとりでは止められぬ。」
「私の責任ではない。」

魔神。
「民族に勧めてみたのだ。」
「すぐに受け入れたよ。」
「諍いがようやく終わり時を迎えると。」
「地球から合併の話が持ちかけられて変貌。」
「千年の中で行われた闘争はようやく終わった。」
「世界大戦で文明や国家は滅んでも。」
「人口はたいして減らなかったという奇妙な現象があるがね。」

ブラゾン。
「教えてもらったのはいいが。」
「かつての国家群は残骸しかない。」
「悲惨。」

魔神。
「我は住人に基本を授けるが。」
「同時に思わしくないものも授けるので。」
「これ以上は表に出ていられない。」

ブラゾン。
「感謝する。」
「我はまだ調べることがある。」

地下から出てくる。

神官。
「まだ散策しますか?」
「私は構いませんが。」

ブラゾン。
「すべて見て回る。」
「目覚めてから。」
「融和が必要であると理解した。」

侍女。
「多様性で複雑になって。」
「いろんなものが交差していますから。」
「把握するのは難しくなっています。」
「時間をかけてしまうのもアリかと。」

ブラゾン。
「民話の中に登場していますが。」
「本当の話だとは知らなかったでしょう。」
「もはや先住民ながら。」
「上手く溶け込んでいるようでなにより。」

都市群を歩きながら。

神官。
「あなたの文明は男尊女卑で滅んだとのことですが。」

ブラゾン。
「我々の文明は極端な男尊女卑のせいで。」
「行き詰まって腐敗しました。」
「女性が中々進出せず。」
「男性の妨害によって消え。」
「最後には女性が奴隷みたいになっていました。」

神官。
「紳士はレディファーストです。」
「女性の欠陥を男性が埋めてみたら。」
「これはまあ超人みたいな。」
「人間の力を超えているような力を発揮しました。」
「女性の欠点も埋めてみました。」
「女性が手に負えない生き物になってしまい。」
「暦が変わった頃には女性優位の社会です。」
「女性は融和する姿勢で。」
「自然と融合した訳です。」

ブラゾン。
「私だけ逃れたようなもので。」
「男性の抗争の方が酷いものでしたが。」

神官。
「歴史を見ると理解できますよ。」

ブラゾン。
「男尊女卑の破壊者はいつでも歓迎されるでしょう。」
「活発に議論した方が良いと思うんです。」
「女だけではなく男も。」
「今度は男性蔑視になりますが。」
「議論しなければ。」
「問いがなければ何も生まれません。」
「一部の人にとっては害になると思いますが。」
「道理にかなっており。」
「正しい事です。」
「一部の人にだけ害があるだけで。」
「それも言われている程でもありません。」
「問いかけが必要です。」

神官。
「女性批判と並行して男性批判も必要だと思いますか?」
「男性蔑視なんてものが通用するのか懐疑的ですが。」

ブラゾン。
「女性特有の陰湿なやり方では失敗しますね。」
「女性は欠陥品ですから。」
「補った女性だけでやるべきです。」

前から歩いてくる。

メディオクリタース。
「女神様から何も習わない女性はどうかと。」

ブラゾン。
「同感です。」

メディオクリタース。
「修道女から習わない女性はどうかと。」

ブラゾン。
「同感です。」

メディオクリタース。
「聖女から習わない女性はどうかと。」

ブラゾン。
「同感です。」

メディオクリタース。
「をしなかったので語る資格が無かったのでしょう。」

ブラゾン。
「をするので別にいいです。」

メディオクリタース。
「中央には神殿。」
「この先の巨大な城は動物が住んでいて。」
「猛獣も先日殺しました。」
「行かない方が良いでしょう。」
「どうしてもと言うのなら今度。」
「私と一緒に。」

ブラゾン。
「今ので近寄る意欲が失せました。」
「猛獣がいるんですね。」

神官。
「そこまで行くつもりでしたので?」
「前に止めましたが。」

ブラゾン。
「なにがあるのですか?」

メディオクリタース。
「土台だけ残って後は無いです。」
「爆発で崩壊したと史実にはあります。」

ブラゾン。
「あの技術で核爆弾を使ったんですね。」
「プロペラ戦闘機を作るのがやっとの時代で。」

メディオクリタース。
「あそこは森林地帯になっていて。」
「この先の上流階級の区域から。」
「けっこう距離があります。」
「次からは兵士を増やしておいてください。」

神官。
「実際に行ったのか。」

メディオクリタース。
「森林浴で1時間くらい。」
「もう行きませんよ。」
「動物ばかりで面倒なので。」

ブラゾン。
「そこへ行く時は兵士を連れて行きますね。」

メディオクリタース。
「腕の良い傭兵が帰ってきた所で。」
「普段は猟師です。」
「紹介しておきますね。」

ブラゾン。
「ご厚意を。」

ハグ。

遺跡群を巡って。

千年の時の流れは人にとって長いものであると確認。

暦では千年はこのくらい。

しかし実際は・・・です。


36


ジェネラルという超兵器。

金色の人型機動兵器で。

将軍のような風格のデザインが特徴。

究極の兵器の象徴として過剰性能を追求。

戦闘力は二個艦隊と互角というシミュレーションがあります。

兵器開発工場で見学。

中にはパイロットが三人乗り込んで操縦する。

全長40メートルの大きさで。

武装はサイコキネシスでターゲットを破壊。

大出力レーザーで薙ぎ払う。

光速に匹敵する速度で。

中性子星が持つ物質を相手に衝突させる。

信じられない兵装は開発に手間取り。

工業力を駆使しても三号機までしか許容できませんでした。

整備は簡単で。

わかりやすいオーバースペック兵器です。

これを基に量産型を作る予定で。

五十機ほど配備するとのこと。

遠くの窓から巨大工場の製造を見ているだけです。

メディオクリタース。
「いよいよ超兵器の時代ですね。」

マギステル。
「超科学の時代ですよ。」

リベロ。
「超人の時代でもある。」

メディオクリタース。
「前に登場した円盤があります。」
「昔は実験機しかなかったのですが。」
「どういう原理でしょうか。」

リベロ。
「さあ?なぜか浮遊している。」

マギステル。
「未公開でしょう。」
「こんなの知られたら大惨事。」
「原理などを伏せておくことで。」
「脅威を最小限に抑える。」

メディオクリタース。
「と私も思っています。」

リベロ。
「そうとしか考えられない。」

ここは。

円盤も置いてあり。

昔はUFOと言われたビークル。

これも次世代型を開発中で。

既に千機実戦配備されていますが。

両方一騎当千の兵器ですので。

軍事力は余裕がありますね。

軍需工場の場所は未公開。

教科書を出して雑談中のグループ。

エンジニア。
「女性を研究している女性の三人娘。」

衛兵。
「女性を研究する?」
「男性は研究されているが。」
「そう言えば教科書で読んだな。」

関係者。
「女性は愚者だ。」
「という意見には反論があるに決まっている。」

清掃業者。
「女性にとって気に入らないものはすべて抗議。」
「なんていう展開はある訳がないし。」

関係者。
「男性が勝利した。」
「勝利って何のことだ?」
「勝利すると主権を得られるが。」
「主権の為に勝利があるのであって。」
「勝負のために勝負するのは愚者の男がやることだ。」

衛兵。
「主権が得られないのでは。」
「自分の満足のために勝負するだけです。」
「それで良ければ無益な争いに参加するべし。」

エンジニア。
「勝っても得るものが自分の満足とは虚しい。」

清掃業者。
「女性とはこうである。」
「というのを女性が定義できるのか?」

衛兵。
「知らんがな。」

関係者。
「手本も見せずに批判する人間はいますよ。」
「他に同じ事例があるのに。」
「そっちは非難しないとか。」

清掃業者。
「あるある。」
「例えば極端にも色欲に溺れて。」
「害や損出などお構いなしに。」
「決められた通りに動いて。」
「失うものしかない。」
「という男の醜悪な部分は。」
「かなり研究されたものですが。」
「ああいうのは非難の対象にならずに。」
「ちょっとでも批判すると憤怒。」
「断言だけで否定するもの全てを攻撃とか。」
「あんなに哲学の訓練を怠った連中はいない。」

運送業者。
「一方的に断罪する女なんて出たら。」
「男と大差なかった醜悪っぷりですよ。」

清掃業者。
「道徳的に同じだったとか。」
「そういう類ですよ。」
「この非難に反論されたとしても。」
「私は聞く耳をもたない。」

衛兵。
「弁論家がこっちに来たぞ。」
「論争に巻き込まれる前に逃げろ。」

エンジニア。
「あの手強いソフィストの一団だ。」
「口で勝てないので逃げるしかない。」

清掃業者。
「正論や反駁。」
「抗弁できない者は論争に加わるな。」

ソフィスト。
「確かにソイツにとっては害になるが。」
「合理的な物言いである。」

芸術家。
「言われている程の害はないので。」
「活発に議論を進めたまえ。」

文学者。
「一部の人には害になろうが。」
「正論であるので構うな。」

芸術家。
「これはなんだ。」

関係者。
「何か言いたいらしい。」

芸術家。
「黄金の兵器とは芸術的な兵器ですな。」

文学者。
「筆が進みます。」

インテリ。
「次回作は何にするかね?」

文学者。
「あなた方の発言通り。」
「黄金の兵器。」
「芸術的な兵器の路線です。」

芸術家。
「文学は芸術作品ですからね。」

ソフィスト。
「芸術家は文学をする場合。」
「ありきたりで一般受けする内容にするべきではないし。」
「他の人たちの書くものとはまったくちがっているものでないと。」
「美の表現は成立しないし。」
「フランツ・カフカはそうした。」
「紹介者となった。」
「友人のブロートの作品は忘れられているし。」
「カフカは巨星として世界の文学。」
「もちろん。」
「ありきたりで一般受けする内容で書きたいのなら。」
「それも良いと思う。」

文学者。
「一般受けですと?」
「そんなの消耗品です。」
「頭のいい人はそれが分からないのです。」

インテリ。
「大衆の慰安が用途の文学ですか。」
「下品ですね。」
「分からないならやるな。」

芸術家。
「それってもはや芸術作品ではありません。」
「工芸品の類です。」
「新聞みたいに読んで捨てられます。」

ソフィスト。
「芸術作品ではないのなら。」
「文学ではないね。」

インテリ。
「美しくない文学。」
「どこが芸術作品か言ってみろ。」

ソフィスト。
「捨て駒。」

芸術家。
「それは酷い。」
「私は文学について何も知らない。」

文学者。
「俺も。」
「知ったかぶりはしないぞ。」

お偉いさんが入ってきて。

グループは散らばってしまう。

単独行動できるので。

集まっている必要はなし。

聖職者。
「我々が関与しているとは思うまい。」

技術者。
「科学で考えられないスペックを持っています。」
「修道兵が搭乗する予定ですよね。」

聖職者。
「神秘的な戦力になるだろう。」
「宗教的な兵器などこれまで珍しかったものです。」

技術者。
「正式採用された宗教的な兵器。」
「どんなに旧式でも高い戦闘力を持ちます。」
「パイロット次第でどうにでもなりますよ。」
「超能力者まで動員しましたし。」
「サイキック兵器まで開発が成功しました。」

聖職者。
「地球人。」
「戦争なら万能になりましたな。」

技術者。
「円盤も部隊配備が整いました。」
「戦争なら専門分野でしょうね。」

聖職者。
「象徴機も戦場に出せる。」
「次世代型の円盤は半分霊体ですから。」
「余程の攻撃を加えないと壊れませんし。」

技術者。
「核兵器の攻撃でも撃墜できませんから。」
「半分霊体の円盤はもはや無敵。」
「宗教的な兵器の到達点ですよ。」

聖職者。
「軍備はこんなもんかな?」

技術者。
「やり過ぎなくらい重武装ですから。」
「軍事分野はこれ以上はやめるようです。」

聖職者。
「資材や工業に負担が強いし。」
「軍事力に割ける割合は減るだろう。」

将校。
「これでは勝負にならんな。」

元帥。
「つまらない戦いばかりになると思うが。」
「まあ許せ。」

将校。
「第一には。」
「戦争が終わればいいのだ。」

元帥。
「手柄は少なくなるか?」

将校。
「敵が弱過ぎるのがいけないのだ。」

聖職者。
「これはこれは元帥殿。」
「コックピットにも入れますぞ。」
「修道兵に案内させます。」

元帥。
「これは黄金の兵器とは最高の気分だ。」
「よろしい。」
「この際、コックピットまで入るか。」

技術者。
「整備員も呼んでおきます。」

円盤がフライト・テスト。

UFOと呼ばれていたビークル。

動作原理不明。

メディオクリタース。
「超兵器は一騎当千ということね。」

マギステル。
「あれでは負ける気がしない。」

リベロ。
「なんでも薙ぎ払うような雰囲気。」

航行システムが改良されて。

テレポート可能なように調節したもので。

ワームホールを使っても課題は多い。

テレポート機能は試作品で。

実用化してもそこまで便利ではないそうです。

万能な科学は中々出てきません。

メディオクリタース。
「さてさて。」
「説明会に行きましょう。」
「情報開示は貰い受ける。」

リベロ。
「最低限は教えてもらえますからね。」

マギステル。
「二十分前なので。」
「ハーブティーでも飲みますか。」

自動販売機。

のびのびと作業するエンジニア。

説明会は簡潔に述べて。

あっさり終了。

要人が搭乗する輸送機で飛行場まで戻って。

業務用の輸送機にリターンして研究所のヘリポートまで。

今日はチェックしてこれで解散。

超兵器と超科学とは趣味が良いです。


37


たまにお使いを頼まれます。

B-2Aスピリットに似た全翼機。

政府の関係者や役人を護送機という。

やたらにオーバースペックな中型機で送り届けるのです。

戦闘機一個小隊が襲撃しても逃げ切れる能力を持ちます。

四次元ディスプレイを見ながら。

メディオクリタース。
「民間の業者よりも私達の方に指名が来るよね。」

マギステル。
「凡庸なチームではないからだよ。」

リベロ。
「何があっても対応した実績がある。」

メディウム。
「公的機関の輸送機のパイロット。」
「そこまで技量がないかもです。」

メディオクリタース。
「なんでもありの私達が好まれるんだよね。」
「普遍的なパイロットは普通の事しか出来ないから。」

マギステル。
「それでもって手が空いている時間がある。」
「こんなに優秀な運び屋はないとか。」

リベロ。
「それだけ信憑性がある実績ってこと。」

メディウム。
「大気圏に突入します。」
「落下速度を落としますね。」
「斜めに下降すれば摩擦熱が抑えられます。」

予定した場所へ飛行して。

着陸。

田舎の都市ですけれど。

農村で散発的に家屋があるだけで。

外れの方に役人の書庫があるのです。

アーカイブはそこに集中して。

役人を統括する司令塔が地下に置いてあります。

この土地は天候が特殊で。

時々、暴風や熱波に襲われるため。

外敵の侵入が難しくなっている場所です。

先住民が塩の採掘で忙しく。

軍隊の訓練場もあるわけです。

役人。
「今回もばっちりでした。」
「乗り心地いいですね。」
「女性だけのチームというものは。」

メディオクリタース。
「女性に頼めば安全ですよ。」
「玄人同士の連携は見たでしょう。」

役人。
「協調が女性の特徴ですからね。」
「猛者のチームはなおさら。」
「綺麗な女性を見てから業務に移行するのは。」
「これはまた格別。」

送り届けて。

さて、次の役人を呼びに行くと。

ステルス服の女の子が後ろからやってきて。

呼び止められました。

ステルス。
「こんにちは。」

メディオクリタース。
「あなたが次の役人ですか?」
「中々、いい趣味ですね。」

アグレッサー。
「どうも特殊な方々のようで。」
「お会いできて光栄。」
「少し話いいですか?」

リベロ。
「何者?」

マギステル。
「身分証明書とかありますか?」

アグレッサー。
「今は提示できませんが。」
「こっちは商売に来ました。」
「敵ではありません。」

ステルス。
「素晴らしい商品があるので。」
「商談にと。」

メディウム。
「敵であったり。」
「テロリストなら背後からとっくにやられていますよね。」

リベロ。
「そうだよ。」
「わざと後ろから声をかけた。」

マギステル。
「遠まわしに言いますと?」

アグレッサー。
「役人や高官に取り次いでもらえないか?」
「きっと大喜びする品物を提示できます。」
「商談です。」

メディオクリタース。
「しょうがない。」
「近くにいる高官を呼びますね。」
「何も武器は持っていませんか?」

ステルス。
「そんなもの持っていたら信用してくれませんよ。」

アグレッサー。
「敵対者ならとっくに銃撃しているでしょう?」

メディウム。
「連絡がつきました。」
「警備兵も来ています。」

ステルス。
「好きなコーヒーはなんですか?」

リベロ。
「ブルーマウンテンの廉価版ですね。」
「大型の店舗に置いてある粉末を溶かすタイプです。」
「千円しますけれど。」

ステルス。
「私もそれが好きです。」
「午後に飲んでも平気なタイプ?」

リベロ。
「カフェインの耐性は低いので。」
「正午までしか飲みません。」
「量を間違えたらコンディションに影響が出ます。」

兵士。
「抵抗しないな?」

アグレッサー。
「はい、難なら銃器を突き付けますか?」

兵士。
「よし、そこまで待て。」

役人。
「なにがあった?」

マギステル。
「何者かが話があるとか。」

役人。
「なんだ?言ってみろ。」

アグレッサー。
「幾つかデータファイルを持っていまして。」
「中身ご覧になりましょう。」

端末を取り出してざっくり見せる。

役人。
「ああ、なるほど。」
「それは高く売れるぞ。」
「おい、こいつらを守れ。」

兵士。
「了解、応援が来ます。」

高官。
「なにか面白い商人が来たらしいぞ。」

役人。
「それが・・・。」

高官。
「そこの二人組み。」
「密談に使う小屋がある。」
「そこに移動しろ。」

役人。
「諸君は帰ってもよろしいです。」
「とても素晴らしい活躍でした。」
「今はこうなのでまたの機会に労います。」

湖の小屋で特殊部隊が護衛する中。

密談になり。

知り合いの少将やエリート兵士まで参加する。

護送機に戻ると。

とりあいず予定した役人が来ませんので。

帰還要請が入って。

離陸。

メディウム。
「高官がメモをくれました。」

メディオクリタース。
「へー。」
「女性のチームは優れている。」
「そう評価した結果ですね。」

マギステル。
「自分の仲間を高値で売るなんて。」
「凄いことしますよ。」

リベロ。
「新しい世界を創造するという。」
「あのテーマを。」
「既存の世界を破壊することで達成しようだなんて。」
「反対者続出ですが。」
「そんなものに希望を抱く連中もいるんですね。」

メディウム。
「人類の創造の失敗作になるんですよ。」

メディオクリタース。
「最近の発表で。」
「学者はなにひとつ人類は創造していないと。」
「酷評していましたからね。」
「しびれをきらしたね。」

手紙が来まして。

謎の会議の末。

女性達は護送機で離脱。

一か月後に。

各地の勢力が一斉に武装蜂起する予定でしたが。

中には途中から厭悪するスポンサーも多数いたので。

ほとんどの戦力と仲間の情報が取引されて。

一斉の挙兵に至らず。

敵対者の大きな賭けは失敗。

売買されて反乱軍も革命軍も破壊されてしまいました。


38


デマントイドを軍隊が調べたがっているので。

搬送することに。

デマントイドは自然科学研究所に回されます。

既に動かないので。

簡単そうです。

メディオクリタース。
「コンピューターに膨大な暗号化データが転送された。」
「暗号化の解読作業に時間がかかりますね。」

ウェルバ。
「新たな展開をもたらしてくれるであろう。」
「不思議な結晶体。」
「きっと贈り物でしょう。」
「機密情報として調べてきましたが。」
「未知のデータの集積でした。」
「今となっては公になりつつあり。」
「ここに置いておくのは良くないですし。」

メディオクリタース。
「斬新なサイエンスデータばかりでした。」
「これが悪用されてはなりません。」
「無事に搬送が終わってほしいです。」

サイズが10メートル級なので。

地下室から作業ポッドで取り出し。

作業船に搭載して。

デマントイドは軍の自然科学研究所に配送されましたね。

メディオクリタース。
「私達には手が余るものだったかもしれません。」

ウェルバ。
「いろんな者が狙っていましたから。」
「あなたが回収してくれた手柄です。」

メディオクリタースは書斎に移動。

アナカリプスィ。
「あの。」
「この時代の出来事が情報少ないんですが。」

メディウム。
「それはこちらの辞典に載っています。」

アナカリプスィ。
「本が多過ぎて一日で読めません。」

メディオクリタース。
「それは上階の中央エリアにありますよ。」
「ドイツのアクセル・ホネットが言う所の。」
「自由であることの苦しみ。」

アナカリプスィ。
「自由ってあんまり出てきませんね。」
「あれはなんでしょう?」

マギステル。
「自由ほど定義が定まっていない。」
「恣意的な解釈が可能な単語はおそらくない。」

リベロ。
「なんとでも言えるバーナム効果が自由という言葉。」

アナカリプスィ。
「それはひどい。」

メディオクリタース。
「自由と平等は二律背反で。」
「最高の価値ではない。」
「それはむしろ、わたしたちを苦しめるものですらある。」

メディウム。
「人間的欲望の本質は自由である。」
「19世紀ドイツの哲学者G・W・F・ヘーゲルと。」
「17世紀イングランドの哲学者ホッブズの言葉を借りれば。」
「人間は自らが生きたいように生きたいという欲望。」
「つまり自由への欲望を持ってしまっているがゆえに。」
「この自由を求めて相互に争う。」

メディオクリタース。
「やりたい放題できるのが自由ならば非現実的である。」
「他者の存在が。」
「私達の欲望を妨げる根源的な制限であるからで。」
「他人の自由と対立する。」
「自由を思い浮かべると。」
「なんでもやれること。」
「束縛から解放されていること。」
「これは否定されている。」
「そんな自由は現実にはありえない。」
「人間的本質の欲望は自由。」

アナカリプスィ。
「自由を主張すると他人と対立するんですね。」
「他人の自由と自分の自由はテリトリーに入ってしまい。」
「互いに反発し。」
「影響が出た時点で争いになる。」
「誰かの自由が誰かの不自由。」
「それを排除したり。」
「自由を確保すると。」
「自分の自由が他人の不自由になる。」

メディウム。
「空想で思い浮かべた自由は非現実的です。」

リベロ。
「善悪は主観的。」
「しかし善悪は主観的であってはならない。」
「善悪は客観的であることが常に求められる。」
「しかし人は必ず主観が入り込むわけで。」
「善悪の判断などできないという前提で善悪を語ったほうが。」
「自らが不完全であるというメタ認知が働く分マシです。」

マギステル。
「善悪の知識の木から取って食べた女も。」
「蛇が惑わして誘導しましたが。」
「自由などそんな些細な事で奪えるのです。」
「自由意思を一時的に奪って自由を永遠に消し去った。」
「もし自由意思に権力があったら。」
「惑わしても無意味だったでしょう。」

リベロ。
「判断を奪うだけで自由意志なんぞ他人の物になります。」
「その時に選択の自由は他人によって容易に奪える証明になりました。」
「蛇のやり方が尋常ではないレベルでしたが。」

メディオクリタース。
「自由意思に権力があれば。」
「それに物を言わせて追い払えたのですが。」
「実際には少し言っただけで潰されました。」
「蛇の前では役に立たない物でしたし。」

メディウム。
「他人が強制して奪えてしまうものならば。」
「選択の自由があってもたいして役に立ちませんね。」
「善悪の知識の木から取って食べないという選択は。」
「蛇が惑わした時点で判断を奪っていますから。」
「その選択はできないのは後から知ったものです。」
「相手のコントロールを奪っているんですよね。」

メディオクリタース。
「というわけで。」
「少し前の時代の話をします。」
「少し前。」
「自由の奪い合いが起きた。」
「他人の自由と自分の自由は衝突するから。」
「誰かの自由で誰かの自由が消されていく。」
「自分の自由のために多くの人の自由が破壊されていく。」
「争いの過程でそれを知った人々は。」
「欲望で自分の自由を得ようとする者を撃破した。」
「その後も自由を巡って争い続けた。」
「皆、自由という名前の欲望のままに。」
「最後には自由の奪い合いは自然消滅した。」

アナカリプスィ。
「自由って一体なんですか?」
「見た目が違うだけでしょう。」

メディオクリタース。
「誰かの自由が他人の自由に必ず干渉するから。」
「誰かの自由が全員の自由と重なって激しく対立するから。」
「自由を手放した。」
「しばらくして天使と名乗る謎の集団が。」
「契約書と一緒に買ってくれると名乗り出た。」
「正体を知った全員の総意でサインした。」
「すぐに自由の奪い合いは無くなった。」
「人々は自然に天意に任せるようになって。」
「争いは何も無かったことになった。」
「自由は数年間、誰も主張せず。」
「移り変わった世界で義による統治が試された。」
「聖職者の政体へと移行した。」
「それから何百年も月日が流れたのが今の時代。」

アナカリプスィ。
「自由がもたらした惨状は止まったんですね。」
「最高の価値であった自由の正体がわかればおしまいです。」

マギステル。
「自由という思想の正体がわかるまで。」
「人間の欲望の核となる部分でしたよ。」

リベロ。
「自由のために他人を排除する。」
「そうして得た自由は他の大多数の自由を阻害する。」
「要するにパラドックスです。」

メディウム。
「自由は大量のパラドックスを抱えていたんです。」
「その時代の思想を鵜呑みにして。」
「自由の正体に気が付かなかった。」

メディオクリタース。
「そして自由は否定された。」
「人の力はたかが知れています。」
「人力が及ばない上に。」
「それを上回る災害や暴力が出ていたから。」
「自分だけの力で歩まなくなった。」
「人力には限界があって。」
「あまりの非力さに耐えかねた。」

アナカリプスィ。
「さすがに詳しいです。」
「わたし書庫の中央を探してきます。」

警備員。
「搬入が完了しました。」
「現在、輸送されています。」
「妙な人物をアンドロイドが発見して。」
「問いかけても無視されるので。」
「警戒しています。」

メディオクリタース。
「あらまあ終ぞ漏洩しましたか。」

過激派組織がようやく真相を知り。

地下の裏口から侵入。

二個小隊です。

戦闘用のアンドロイドを保管庫から起動した警備員。

部品倉庫に到達した過激派組織の一団に集中攻撃。

数人が突破してきました。

メディオクリタース。
「地下一階まで侵入されている。」

アナカリプスィ。
「わたしがやります。」
「警備員も待ち伏せしています。」

アサルトライフルを持って移動。

警備員と過激派が交戦します。

アンドロイド。
「敵の戦闘力は高くありません。」

警備員。
「我々は10人いるが一人でも欠けたら無理だ。」

過激派。
「なんとしてでも奪え。」

作業メカ。
「あの結晶体は軍に輸送されました。」
「残念でした。」
「あっはっは。」

過激派。
「なに?一足違いか・・・。」

アナカリプスィの支援攻撃。

警備員。
「応援が来たぞ。」

過激派。
「なんという動きだ!!」
「あの少女に何人やられた?」

敵兵。
「狙い撃ちされています。」
「相手は強力な兵士のようです。」
「下がりましょう。」

過激派。
「ダメだ。」
「侵入口から正規軍が入ってきた。」
「倒しながら撤退する。」

あっという間に過激派は敗走。

メディオクリタース。
「全部捕虜にしたって。」

リベロ。
「安直な略奪行為でしたね。」
「とりあいず武器を持って乱入する。」
「そんなうまくいく訳ないでしょ。」

マギステル。
「暴力で解決できることなんて殆どありません。」
「そんなうまい話はありませんよ。」
「情報開示は輸送する途中に行われましたから。」

アナカリプスィ。
「五人倒しました。」

ウェルバ。
「怪我はない?」

アナカリプスィ。
「どこも撃たれていません。」
「警備員がひとり撃たれて負傷しています。」

衛生兵。
「どこでだ?」

アナカリプスィ。
「実験用の器材がある部屋です。」
「マップを表示します。」

衛生兵。
「了解。」

メディオクリタース。
「狙われる理由はもうないですね。」

メディウム。
「目的がデマントイドの獲得ですが。」
「そんな長期保管はしませんし。」
「そういう約束で保持されていましたし。」
「今度は歩兵がいっぱい駐屯する自然科学研究所です。」
「包括した施設ですから。」
「戦車や攻撃ヘリまで装備しています。」
「一個師団を投入しても無理でしょう。」
「もぬけの殻を狙うだけ無駄でしたね。」

過激派は後の祭り。

デマントイドはメディオクリタースの手から離れて。

特殊な人物が揃った自然研究所へと渡りました。

苦労して入手したデマントイドはこうして定位置についたのでした。


39


宇宙から天空。

星雲の付近で。

天使。
「なにやら異端邪説が大きな顔をしているらしいじゃないですか。」

御使。
「神権政治。」
「宗教が警察と同じ権力を持つ訳ですから。」
「異端者が出ると手に負えませんね。」

使徒。
「宇宙から見渡すと。」
「いいえ。」
「空から見渡すように人の世を見るのは。」
「かなり客観的に人々を観察できますよ。」
「異変や進捗なども見て取れます。」

天使。
「天の視点から見渡せば。」
「人の世の移り変わりは速いものです。」
「一度頼られたと思ったら離れていく。」
「離れたら誤りだと言って最接近。」
「まあ繰り返しですな。」
「まあ僕達もそうして忘れられていくんでしょう。」

御使。
「人というものはなぜ自分が創られたのかも。」
「満足に考察することができませんからね。」

天使。
「自分の生き方も自分で決められないなんて。」
「情けない生き物ですよ。」

使徒。
「それで野に放たれると。」
「どこへ行くのか知りませんが。」

天使。
「そういうひ弱で愚かな所が人間の面白い部分ですけれどね。」
「どうして人は自分達だけで決めたがるのか理解に苦しみます。」

御使。
「どんな決め事も必ず欠陥が出てくるものです。」

天使。
「それじゃあ。」
「なぜあれを禁止しているのですか?」
「それをダメだと言っているのはなぜか?」

使徒。
「人間の事ですから。」
「無神論者の決まりごとはそんなものでしょう。」
「所でなぜ神に敵対するのかと問われると。」
「無神論者はどこからか伝えられた。」
「誰かの意見の奴隷でしょう。」

天使。
「そのどうでもいいような退屈感も人間の特徴ですからね。」
「どうしてもっとマシな事が出来ないのでしょう?」

御使。
「やりたくないだけでしょう。」
「生活だけで満足して天国へ移動するのですから。」
「もっとマシな生命の使い方を知らない。」

天使。
「人間にそこまで求めるのは過酷ですよ。」
「あんなに頓珍漢な生物に。」
「そこまで高度な事が一気に期待できると思っているんですか?」

使徒。
「思いませんね。」
「明日の事も分からない世界ですし。」

天使。
「俗語で明後日の方向ですしね。」
「今日の事は分かるでしょう。」
「明日の事はあんまり分からない。」
「明後日は分かる訳がない。」
「未来を予測すると明後日の方向へ行く。」
「あの者達の時代も終わり。」
「次の世代がいるんです。」
「まさか今の光景が五十年くらいで無くなってしまうとか。」
「想像したこともない。」

御使。
「人の世界は生活くらいしかやる事ないですからね。」

使徒。
「でも人間はあれで満足していますよ?」

天使。
「天上から見渡すと。」
「あれで満足できるなんて幸せ者ですね。」
「どうもアリのようにあくせく働いて。」
「得たもので喜んでいるくらいにしか見えませんねぇ。」

御使。
「でも生活が最初の過程でしょう。」

天使。
「糧を得て消費するのでまた糧が必要。」
「この繰り返しだと思いますが。」
「天上にいると人間を客観的に見てしまい。」
「たまには地上に降りて見てみるもんです。」
「クリエイティブな人間は特別ですな。」
「自分で得たものから厳選して出すもので。」
「パンなら誰でも作れますが。」
「芸術は限られた人物しか出せませんし。」

使徒。
「視点が違うだけで随分と不満なようで。」

天使。
「当たり前ですよ。」
「少しくらい自分のために使ったらどうですかって。」

御使。
「糧のために自分を浪費するとか?」

天使。
「自分のために使う人間がいないんですよ。」

使徒。
「自分を芸術作品のように見る人間は確かにいませんよ。」

天使。
「何のために自分が創られたか考察する人間もいません。」
「これで呆れてしまって。」
「それでも異端をどうにかしたいと思って。」
「まあ人間のことですし。」
「何かに夢中で沸いている毒素も気づかないんですから。」
「あれでよく生きていられますよね。」

使徒。
「危なっかしい生物ですよ。」
「この前なんて諍いで自分を滅ぼそうとしたもんです。」

天使。
「諍いは怨恨から来ています。」
「なにをやっているんでしょうかね。」
「スズメやカラスだって距離を取りますし。」
「トンビやハト。」
「イノシシやオオカミだって規律の取れた行動をします。」
「なんだってあんなにべったりくっついているんですかね。」
「全員で全員の足を引っ張って。」
「お互いを鎖で拘束しているようなもんでしょう。」

御使。
「まるで連携も取れていない人間ですけれど。」
「諍いが生じるような環境が問題なんですよ。」
「それを変えられないのも人間の弱さ。」

天使。
「あれで生きていられるのが不思議なくらいです。」
「明日にでも核兵器を投げてしまうのではないかと。」
「同士討ちもろくに片づけられない。」
「人間のそんな所も弱弱しくて。」
「慈悲くらいはかけてやるべきですね。」

御使。
「あれで永遠に生きると思っているのでしょうか。」

使徒。
「すぐには死にませんよ。」

天使。
「いますぐなんとかしろ。」
「なんていう態度がよく見られますね。」
「もうちょっと昼寝でもして待ってほしいもんです。」
「いますぐなんとかしろと。」
「まあ人間あるあるですね。」
「その前に調べものとかあるんじゃないですか。」

御使。
「人間なんて自分の限界を自覚すらしませんよ。」
「自分万能一点張りです。」

使徒。
「平和の道くらいは知ってほしいです。」

天使。
「人間は哀れな生き物ですねぇ。」
「あんな状態で長々とやれたのは。」
「人間の力ではなく神の慈悲深き援助のおかげ。」
「まぐれでやって来たのが人間なんですし。」
「今更、誇ったりしないことですね。」
「もちろん。」
「人間は偶然切り抜けていると知っているようですが。」

御使。
「あんまりイイトコなしの人間世界です。」

使徒。
「あれで精いっぱいという理由で。」
「さて、頑張ってもあの程度なので。」
「そろそろ異端の方を。」

天使。
「仕方がありませんねぇ。」
「何をやってもあれ以上は望めません。」
「でも今すぐなんとかしようとは思っていませんよ。」
「そのうち気が変わるでしょ?」
「という訳で眷属を送り届けました。」

異端邪説は自分達と交代させようと。

継承者と戦おうとしていました。

寺院の中に現れた眷属。

剣を持った銀色の騎士です。

眷属。
「この世界は人間だけでやるべきではない。」

異端者。
「人の世界です。」

眷属。
「それは創造した世界の私有化かな?」

異端者。
「連中のやり方では神に接近できない。」

眷属。
「神より与えられし人の世界と思えよ。」

異端者。
「仕掛けてみてダメなら手を引こう。」
「勝負してくれ。」

天使。
「おやおや。」
「どうやら神の力は間接的に現れる。」
「という原則を知らないようですねぇ。」
「必ずしも直接的には神の力は現れません。」
「人の理解を超える神の力を簡単に出す訳ないですよ。」

異端者。
「なに?この少年は!?」

天使。
「硫黄の雨でも降ったら。」
「人間の頭脳はその光景に耐えられますかね?」

戦士。
「光栄な。」

眷属。
「銃器で勝負かね?」

戦士。
「その後は継承者を倒してみる。」

10人で囲んで短機関銃を撃ちまくる。

しかし手で弾かれて。

銃弾が空中で静止してしまい。

一気にオーラで跳ね飛ばされて。

10人がダウン。

異端者が斬りかかるも。

次の瞬間には異端者は倒れている。

眷属。
「答えは急がないぞ。」

眷属は立ち去る。

天使。
「間接的に神の力は現れると言いましたが。」
「ここはここに目印をつけて。」
「見せしめになるでしょうね。」

寺院に落雷。

寺院が破壊され。

続いて隕石が直撃。

異端者は慌てて逃亡。

超常現象で電子装置が一切使えないために。

近くの集落へ落ち延びた様子。

そこで一部始終を語り。

これが詩人の目に留まって物語となりました。

天使。
「ここから見ると。」
「人の世界は自然界の法則に沿っていますねぇ。」
「もちろん自覚はなくとも。」
「嫌でも自然界の法則からははみ出しません。」
「自由とか言って逆らってみても無駄ですし。」

眷属。
「反意を自由と述べて。」
「自分の都合が通らずに不自由と言うのは。」
「少し化け物と感性が似ています。」

天使。
「大丈夫。」
「僕は人間に多くを期待しないので。」
「どうやら民話の女性はきちんとやってくれていますね。」

眷属。
「人間が自分から悪い方へ行くのは。」
「許容できないのでは。」

天使。
「自分が忘れられていく存在であると。」
「知ってて生きていくのは。」
「切ないものです。」
「しかし悪い方に行くと知っていて。」
「向かっていくようなおかしな奴だけはいないですね。」
「少し待ってみましょうか。」
「人間も善い方向へ行くように誘導してあげましょう。」
「自分で善い結末に行けないなんて。」
「どうにもぱっとしない生物ですし。」

この頃から神殿に不思議な存在が出現するようになりました。

人々は神話の再来とか。

神々と人間の歴史とか考察を始めています。

なぜ自分が創られたのかは分からないようです。



40


反乱軍を蹂躙している謎の軍団がいると報告があり。

忍者から事態が把握できました。

ずっと昔に眠っていた災厄。

フルカ。

かつての皇帝で。

ノーチェという主宰の女性と争っていた部族です。

マギステルが戦闘の映像を見ると。

光輝く刃で銃弾を打ち払いつつ。

突撃を繰り返す騎兵です。

マギステル。
「なんかやばい奴らが反乱軍を蹂躙しているらしい。」

メディオクリタース。
「おやおや。」
「戦車でも止められませんか。」

リベロ。
「戦闘機も得体の知れない矢で仕留められる始末。」
「1人1人がめっちゃ強い軍団ですよ。」
「数で足止めしているとか。」

メディオクリタース。
「これはニュースのトップになるでしょう。」
「惑星の反対側なので。」
「なんとかなるでしょう。」

マギステル。
「無理みたいです。」

リベロ。
「なにそれすごい。」

天空から見渡す。

フルカは古代人で。

何らかの方法で蘇った。

実体を持つ存在。

天使。
「いにしえには様々な隠し要素があるもんです。」
「古代の何か。」
「人間に与えられた自然科学でも攻略できそうにないですね。」

御使。
「せっかく貰った自然科学も上手に扱えないのは。」
「豚に真珠でしょうか?」

天使。
「馬鹿の一つ覚えみたいに科学を振り回せばいいんですよ。」
「使い方は慣れたら分かるもんです。」
「いきなり天才のように自然科学が使えたら。」
「あんなに苦労はしませんよ。」

使徒。
「あれでも完全無欠を見てから行動している分マシでしょう。」

天使。
「ノーチェはまだ復活していませんね。」

眷属。
「いつもの寝坊でしょう。」

天使。
「まったく。」
「人間が悩んでいる時は自分で手に負えない事案だけです。」
「さっさと送ってあげましょう。」

眷属。
「叩き起こします。」

とある神殿の地下。

眠り姫のように霊体になって寝ているノーチェ。

眷属。
「おはようございます。」

ノーチェ。
「ん?なにかと思ったら。」
「久しぶりの対面ね。」

天使。
「人間もしぶといように出来ていますから。」
「あれ以上生殺しにしたくないもので。」

ノーチェ。
「フリフリ衣装の女性。」
「これでも武器の扱いは。」
「この力は人間のものではない。」

天使。
「どうにも押されているようで。」
「人間の力を超えた力との戦いですし。」
「何かの矯正でしょうね。」

ノーチェ。
「実体を現してフルカをやっつけます。」

天使。
「よくもまあ人間もあんなに弱体化したもんです。」
「むかしは強い奴しかいなかったはずですが。」

ノーチェ。
「辛辣な人間観察ですねぇ。」
「あんなんでも被造物ですから。」
「元の姿に立ち返ればいいんです。」

天使。
「と言われても。」
「あそこまで弱くなったらさすがに一発入れてやりたくもなります。」
「荒療治ですけれど。」

ノーチェ。
「いかに惨めな姿であっても。」
「いつものようにすぐに治りますよ。」

天使。
「異星人に頼った世界も最高なんですが。」
「すぐに直ればいいんですけれどね。」

フルカの軍勢は政府軍まて蹴散らして。

超常現象ばかり出す軍隊は快進撃。

一週間ほどで勢力を増して。

都市部へ進出。

しかしノーチェが立ちはだかって。

フルカと一騎打ちを申し出ます。

ノーチェ。
「久しぶりに決闘しない?」

フルカ。
「今回は異星人がいるが。」
「まあここらで楽しみを終えるのもいいな。」
「久しぶりに戦おうか。」

フルカの突進は一瞬でしたが。

ノーチェはフルカの肩に乗って宙返り。

フルカは連撃を浴びせますが。

ノーチェは手首にスナップを効かせて全部弾いてしまい。

素早く横に回り込んでフルカを地面に倒しました。

一刺ししてフルカは死亡。

近くの戦士はノーチェに突撃。

武器を攻撃されてスタンした所を。

ノーチェに斬られて死亡。

逃げ出す軍隊。

フルカ以外の指揮官がいないので。

総崩れになりました。

総数800人という謎の軍団。

次々と正規軍に仕留められて居なくなりました。

ノーチェはインタビューに答えると。

神殿の地下に戻っていきました。

メディオクリタース。
「英霊によって奇怪な軍団総崩れ。」
「というトップニュースになったけれど。」
「なんで?」

マギステル。
「明後日の方向を予測したから。」
「神様しか未来は知らない。」
「そもそも未来なんて仮説に過ぎないと思います。」

リベロ。
「未来という言葉があって予測があるけれど。」
「存在しないものを予測するのか。」
「人間にはそもそも無理なのか。」

マギステル。
「試しに明後日を予測して。」
「当たるかどうかギャンブルでもいかが?」

リベロ。
「臆病者はそれに乗らないってことで。」
「ほれお札を賭けるよ。」
「と言っても何も浮かばないけれど。」

メディオクリタース。
「なにそれすごい。」
「誰もやらないでしょう。」

山脈の上の祠。

会議中。

天使。
「封印の壺が割れましたね。」
「やったのは革命軍とか言う連中の青年ですか。」
「そこまでやるんですね。」

眷属。
「感情論が正しいと思ってしまった青年らしいです。」

天使。
「それでは理性が無いと白状したもんでしょう。」

御使。
「理性の欠片も無いので感情が全て。」
「と叫んでいるようです。」

使徒。
「どうやら貰い受けた理性を自分から捨ててしまったようですね。」

天使。
「はあ・・・。」
「なんて無残な生き物なんですか。」
「しょうがないですね。」
「しばらくサポートが必要です。」
「異星人の力も借りましょう。」
「でも異星人も大きな違いがないようで。」
「苦労して育った種族なんですね。」

神殿は来訪者が多くなり。

人々の信仰が厚くなりました。

ずっと昔から祈ってきた人々は。

少し批判的に見ていますが。

認めざるを得ないので。

最小限の言及でした。

メディオクリタース。

興味津々。


41


寺院は正教徒の所有物になっていますが。

どうやら妙な事をしでかしたようで。

聖職者が慌てています。

天使。
「異端邪説あるあるですね。」

眷属。
「異端者には必ず邪悪な存在がついていますからね。」

使徒。
「なぜ邪な布教が続けられるのか?」

御使。
「邪悪なる存在の助けがあるからですよ。」

天使。
「どうやら今回は異星人の力でも無理なようです。」
「無理もないですね。」
「遠くから調べに来たら。」
「こんなことが行われているものですから。」

眷属。
「理由が分からないようで。」

天使。
「歪曲されたものは理屈に合わないのが定番ですよ。」

眷属。
「直に手を下すので?」

天使。
「まあそうします。」
「ずっと眠っていた災厄の根源ですからね。」
「人間の力では撃破不可能なように出来ています。」
「僕の力なら消せますよ。」

聖職者。
「なんだあれは。」

蛇魔人。
「わざわざ呼び起こさなくても良いのだぞ。」

天使。
「しょうもない。」
「これだから異端者は要らない悪魔を呼び出す。」

蛇魔人。
「お前!」

天使。
「スティヒオを呼びました。」
「さあて勝負ですね。」

スティヒオはさっさと斬りかかる。

豊富な大型剣を複数飛ばして防御する蛇魔人。

スティヒオに苦戦しているうちに。

横から。

天使の短剣を食らってバラバラに砕け散った。

天使。
「異端邪説だけは出さないでください。」
「要らない用事が増えるでしょう。」

聖職者。
「ああ神よ。」

天使。
「僕は天使です!」

研究所で一連の出来事の調査が行われます。

メディオクリタース。
「鼎巫女がいるので。」
「調べやすい。」

リベロ。
「ああいうのは慣れています。」
「面白いです。」

ウェルバ。
「超自然現象はリベロちゃんが得意よね。」

リベロ。
「超自然的なものは全て慣れていますので。」
「奇跡や超常現象に触れても平気です。」

マギステル。
「理屈に合わないものは歪曲されている。」
「理屈に合わない現象はスポーツでも多いです。」

メディオクリタース。
「理論上は合っていても実際にはそうならない。」
「これって。」
「謎解きになりますよね。」
「推理ゲーム。」

マギステル。
「理屈に合わない出来事や展開は。」
「いかに謎を解くか。」
「これが大事になりそうです。」

メディオクリタース。
「突進して推し進める前に。」
「謎を解かないと。」
「実際に進めませんし。」
「並行世界で考えるといいかも。」

マギステル。
「並行世界は量子力学で説かれて。」
「可能性としては実在した世界であって。」
「支持する科学者が多数います。」
「歴史の通りに。」
「時代が進めば。」
「これまで誰も想像していなかったものが出てくるでしょう。」

リベロ。
「中世の人々は飛行機に乗って空を飛ぶなんて思ってなかったし。」
「宇宙に出て探査機を送るなんて思ってなかった。」

マギステル。
「なのでそれと似た展開がある訳です。」
「このSF観念は気に入っています。」

目撃証言で。

超自然現象の実態が知れてきました。

実証主義は宗教を除外しますが。

正しい宗教の信徒で科学を否定する人はいません。

社会の関心を集めると共に。

正教の影響力が増大。

もしかしたら黄金時代かな?


42


反乱軍と革命軍が必死に抵抗。

天使がその様子を見ている。

使徒。
「たいした戦闘です。」

天使。
「人間が力を持つことは好みませんが。」
「人間って同士討ち大好き生物なんですねぇ。」
「見ていて呆れましたよ。」

御使。
「仲間でも味方でも。」
「関係なしに殺しあいますからね。」

天使。
「そんなに殺戮が好きなんですかね。」

使徒。
「好きだからやっているのですよ。」

御使。
「もっとも武器があるのは良いことですが。」

天使。
「あれを見ていると相手なんて本当はどうでもよくて。」
「適当に相手を見つけては戦っているようにしか見えませんがね。」

眷属。
「オオカミは群れで生活しますが。」
「人間はオオカミよりも高等な生物です。」
「知性も武力も建設も得意です。」
「しかしあの光景は。」
「オオカミと同じ構図に思えてなりません。」

天使。
「人間に何言っても聞きませんよ。」
「なにかしら理由をつけて争いますから。」
「巻き込まれた人間もいっぱい出るでしょう。」
「いつまで同士討ちが続くのやら。」

使徒。
「戦いを否定なさるのですか?」

天使。
「いいや。」
「何の為に戦っているのか意味不明なもので。」
「動機論が支離滅裂な戦争なんていくらでもありますよ。」

御使。
「融和すれば良いとお考えで?」

天使。
「人間の殺人大好きな趣味を指摘しているんです。」
「度が過ぎるでしょう。」
「はっきり言いまして。」
「やり過ぎなくらい戦争をしています。」
「あんなにやらなくていいでしょう。」

眷属。
「確かに人間達はやりたい放題争いに明け暮れています。」

天使。
「喧嘩もやり過ぎるくらいにやっていますし。」
「もっとマシな知性があるんだから。」
「それとも?」
「猫に小判?」

使徒。
「そのまんまですな。」

天使。
「地上の諍いを天上から見ていると。」
「やり過ぎなくらい殺しあって傷つけあっていますね。」
「どこまでやれば気が済むのやら。」
「いいや。」
「きっと諍いを無限に続けても満足しないでしょう。」

眷属。
「あれでも被造物ということが信じられないので?」

天使。
「自覚しないでしょうよ。」
「行き過ぎな戦闘に夢中らしくて。」
「まあ理由は分かりますよ。」
「過酷な地上世界で生きていくのには。」
「戦う必要があります。」
「でも実際は負けないだけで良くて。」
「負けるだけで勝利を失う。」
「負けなければ勝利という戦いです。」
「なにが欲しくてああしているのでしょう?」
「人間もそれがなんであるかは分からないようですが。」

堕天使。
「それではイタズラして聞き出しますか?」

天使。
「うわっ!ここに来るなよ。」

堕天使。
「だって、人間が呼んだんだもん。」

天使。
「人間は天使を求めることはしないのですねぇ。」

堕天使。
「最初からそうすれば簡単だったかもね。」

天使。
「僕は同士討ちに夢中な人間に雨でも降らせます。」
「自分がよくわかるように。」

堕天使。
「俺は誰かをそそのかす。」
「地上の誰にしようかな・・・。」

堕天使降りていく。

戦闘は過酷なものへと移行。

遠くから観察している女性がいる。

男性には出来ない方法で接近。

なにか調べもの。


43


一同。

場所を変えて。

高い岩の上に降り立つ。

天使。
「人間に呼ばれた?まさか。」
「ついぞ呼ばれなかった天使。」
「無神論者が増えた場合は。」
「そこまで神から離れたか。」
「神から無視されてそうなったからとか。」
「いろいろありそうですね。」

使徒。
「遠くの方で神通力を使う神官がいましてね。」
「詩人に会わせて作品にしました。」

天使。
「はあ。」
「凡庸な人間だけで世界が回ると思っているんですか。」
「次は並外れた人物が会うといいですねぇ。」

使徒。
「最後に会った時は管理職から動かないもので。」
「あれって人間でしょうか?」

天使。
「元の被造物に帰った姿でしょうね。」
「僕はまだ見ていませんよ。」
「今は地上で死んでいく兵士と。」
「壊れていくいろんなものを見ているだけです。」

眷属。
「激戦ですね。」
「熾烈な戦闘を毎日繰り返している。」

天使。
「戦争ってどのくらいやれば人間は満足するんですか?」
「ちょうどいい所で妥協すればいいと思うんですが。」
「どうも。」
「無限に盗り合っても不満を覚えるもので。」
「徹底的に争って決めようとすると。」
「人間が自滅してしまいますよ。」

御使。
「それでも戦わなければならない人間です。」
「どうりで嘆きが多い訳だ。」

天使。
「地上に用意された自分の分も要らないと言って。」
「受け取ってもくれませんから。」
「それでもって。」
「何かが置いてあると奪いに行く。」
「運良くまとめ役が現れて。」
「永遠に続くと思われた闘争が終わる。」
「なんだか可哀想ですね。」
「生まれつき戦うことが定められているなんて。」
「悲しいことです。」

御使。
「激痛と苦痛しかない生は見るに堪えない。」

天使。
「全員で作り出してそのままですよ。」
「神が嘆いて消してしまうかもしれませんが。」
「今の所。」
「これまでの人類とは違った所がありますね。」

眷属。
「過酷な生を受けて。」
「必死に耐え抜いて。」
「天国へと旅立つ。」
「最初から殺し合いに強制参加させられたり。」
「諍いを強要させられる。」
「悲しいですけれど。」
「人間はそれで良しとしていますし。」

天使。
「そんな愚かな所も。」
「頑張っているなあと感心しますが。」

御使。
「この惑星は異星人の開拓で良くなりましたね。」
「本質も変わっています。」
「もっと被造物らしくなって欲しいものですが。」

天使。
「うーん。」
「人間にそこまで多大な行為を求めるのは。」
「無理がある気がします。」
「そこまで厳格でなくてもいいんじゃないですか?」

メディオクリタース。
「なんか美しい方々。」
「そこでなにをしているんですか?」

天使。
「誰が来るのか知っていましたが。」
「地上の戦闘を見てくださいよ。」
「あれはなんですか?」

メディオクリタース。
「けっこう遠くから見えるもんですね。」
「戦争ですよ。」

天使。
「あれから何が学べますか?」

メディオクリタース。
「誰も学びませんね。」
「いつも少しだけ教訓が増えます。」

天使。
「あなたは同胞がああなっているのに。」
「見ているだけでしたか?」

メディオクリタース。
「不可能ですよ。」

天使。
「不可能かぁ。」
「それでは見物でもしているといいよ。」

メディオクリタース。
「あなた方は何者で?」

天使。
「まあ想像にお任せするかな。」
「狙ってここに来たよね。」
「神通力の持ち主がここにもいたのかな。」

天使一同どこかへ移動。

雨が降ってくる。

三つ巴の戦闘は雨天で戦い辛くなり。

三者後退。

天候が悪くて拠点へ撤退してしまう。

研究所に戻る。

メディオクリタース。
「美青年と豪華絢爛な騎士や古代人が雑談していました。」

マギステル。
「なにっ!?」
「最近話題の神様じゃないの?」

メディオクリタース。
「美少年が神様?」
「かもしれませんが。」
「天使のような雰囲気でした。」
「素早くどこかへ立ち去ってしまったので。」

リベロ。
「よく接近できたね。」

メディオクリタース。
「変則的に動いていたら遭遇したので。」

マギステル。
「不思議な出来事もあるもんです。」

リベロ。
「いにしえは不思議な出来事がいっぱいあって。」
「時代と共に発生しなくなったと言われているよ。」

マギステル。
「今では考えられない不思議な物事で溢れかえっていた。」
「科学だけで世界を解き明かすのは困難で。」
「科学と哲学両方。」
「アプローチが必要。」

メディオクリタース。
「複数の分野を融合するのが基本ですし。」
「にしても本当に天使だったんでしょうかね。」
「だとしたら貴重な体験でした。」

戦場の状況をレポート。

労働は軽労働が主体で。

場合によっては二時間労働しかしない人もいます。

役割分担と連携力が強化されたので。

効率化が成されて。

量子コンピューターの影響もあって。

生産過剰になり。

そこまで忙しく走り回らない分。

自発的な行動がとにかく目立ちます。

この時代を支えているのは自発的な行動で。

超自然的要素は自然科学の盲点であると知りました。

超自然的要素は無視できません。


44


休暇中。

何やら一生懸命。

メディオクリタース。
「はい。」

メンシス。
「んっ!?」

後ろから掴んだ。

フェーリークス。
「あれれ。」
「お姉ちゃんの方が好みですか?」

メディオクリタース。
「ちょっとこっちに来てください。」

フェーリークス。
「今行きます。」

一室で。

フェーリークスを押し倒して眺めた。

メディオクリタース。
「無抵抗でいいですね。」

フェーリークス。
「なにがしたいんですか?」

メディオクリタース。
「もうちょっと衣装を豪華にしようと。」
「調べもの。」

フェーリークス。
「単なる調べものとは思えない。」

メンシス。
「ひょっとして私服が少ないのが。」

メディオクリタース。
「その通り。」
「ACTION。」

メンシス。
「それだともっと調べてください。」
「センスとか分からないです。」

フェーリークス。
「キスされると思った。」

メディオクリタース。
「これだと長考しそう・・・。」
「実際の感触が違い過ぎる。」
「お化粧すれば美形なのでは。」

メンシス。
「容姿とかあんまり考えてなかったです。」
「余裕もありませんし。」

フェーリークス。
「けっこう手の込んでいるお屋敷ですし。」
「二人で管理はギリギリだったりして。」

メディオクリタース。
「人手が足りないかな。」
「最低限の人員が推奨されているけれど。」
「少数精鋭が出るのは銀色の時代である証。」

フェーリークス。
「お客さんですよ。」

アナカリプスィ。
「友達と来ました。」

プラタ。
「こんにちはー。」
「銀色少女のプラタです。」

メディオクリタース。
「ようこそ。」

プラタ。
「女の子と戯れていいですね。」

アナカリプスィ。
「そこは言及しないほうが。」

メディオクリタース。
「男子禁制でしょうね。」
「仲間が増えました。」

プラタ。
「この女の子触っていい?」

フェーリークス。
「はい?」

メディオクリタース。
「あなたも好きですね。」
「でも。」
「大人しく触らせてくれますかね?」

プラタ。
「やらしてー。」

フェーリークス。
「うわっ!!」

投げ飛ばした。

プラタ。
「ぎゃー!やられたー!」
「リベンジ!」

メディオクリタース。
「感情バイアス。」
「その名の通り、衝動や直感などの感情的な要因に起因するバイアスで。」
「認知や意思決定を歪めるものです。」
「感情論が正しかった事は一度もありません。」
「理性優先。」

アナカリプスィ。
「やめなよ。」
「勝てる訳ないよ。」

プラタ。
「ぎゃー!やられたー!」
「なにこの怪力。」

フェーリークス。
「体全体の力を使うんですよ。」
「腕だけ使っている技は威力が十パーセントくらいしかありません。」
「訓練次第で女の子もこうなるんですよ。」

プラタ。
「もう一回チャレンジ。」
「ぐふっ!」

メンシス。
「ごめん急所に手刀が入っちゃった。」

プラタ。
「男性と相対的に判断すると。」
「この女性危ない。」
「男の方がちょろい。」

アナカリプスィ。
「男性は能力差が激しくて。」
「雑魚の男性も強者の男性も様々です。」
「女性は競争率低いですよ。」
「あんまり競わないので。」

プラタ。
「触れなかった。」

メディオクリタース。
「まあ私のスカートでもめくりましょう。」

プラタ。
「えー!いいの!やったー!」
「ぐえ!」
「もうやめます。」

メディオクリタース。
「生きの良い獲物ですね。」

アナカリプスィ。
「食べないでください。」

プラタ。
「わーん!危ない女性ばっかり!」
「ごめん離してー。」

メディオクリタース。
「人に懺悔しないほうがよろしいかと。」
「人が処罰しても罪過は消えないというより。」
「人に罪を消すような権限は無いので。」
「刑罰があっても自然法の罰則の方は残ってしまう。」
「神に懺悔するべきで。」
「神様しか罪を解消する方法や手段をくれないし。」
「罪を赦す権限は神様だけ。」

アナカリプスィ。
「狼を贖罪師にするほど馬鹿な羊はいない。」

メディオクリタース。
「お遊びはこのくらいにして。」
「中へいらっしゃい。」

このお屋敷には観葉植物と。

小さな池がある中庭があります。

そこのベンチに誘導されるように出来ています。

プラタ。
「最大で千年の時をどう過ごそうかな。」
「何か計画でも立てられますか?」

メディオクリタース。
「計画通りにはいきませんよ。」
「でも私の道は平坦です。」
「神様は道を平坦にしてくれますから。」

プラタ。
「道が平坦になっているのは素晴らしい事です。」

メディオクリタース。
「ペシミスト。」
「意外とペシミストですが。」
「例外な種類で。」
「言っている事や行いが変則的かもしれない。」

アナカリプスィ。
「明るい話とか幸せそうな話とか嫌いですもんね。」

メディオクリタース。
「英語のことわざ。」
「人生は40歳から始まる。」
「今では350年くらいですかね。」
「中年くらいから人生は味わえる。」
「それまでは準備期間のようなもの。」
「上手に中年に持っていけば人生というものを堪能できる。」

プラタ。
「意外と参考文献がっ!?」

メディオクリタース。
「ペシミストから言いますと。」
「死は偉大な平等主義者。」
「イデア論のように。」
「真実の世界はここではなかったりして。」

アナカリプスィ。
「シミュレーション仮説はイデア論が起源ですからね。」

プラタ。
「これは古人の話を獲得!」
「もっといろいろ話してください。」

メディオクリタース。
「なんでも信じるのはどうかと。」
「信頼は欺瞞の母。」
「例えば。」
「自分が正しいと確信すると。」
「前提も自分が正しい事になるので。」
「結論も正しい事にしてしまい。」
「循環論法です。」
「本人の頭の中では無限ループしているのでは。」

プラタ。
「信頼は欺瞞の母。」
「えー?」

アナカリプスィ。
「英語のことわざですよ。」

メディオクリタース。
「実戦経験を積むと別物になりますよ。」
「とりあいず戦場や試合に出てみることです。」
「経験の中でも実戦経験は。」
「現実に通用した経験ですからね。」

メンシス。
「戦いの中で実戦経験は獲得できます。」
「戦場だと生き残った実績も。」
「敵を倒した実績も入りますし。」

アナカリプスィ。
「何を経験したのか。」
「これを説明できないとダメ。」

フェーリークス。
「グレシャムの法則。」
「有名なコインの話です。」
「古人に習うことが出来れば。」
「歴史上の人物の仲間です。」

メディオクリタース。
「ことわざ。」
「言葉は心の絵。」
「同世代を参考にしない方がいいかもね。」
「君子の人をもっと探しておこうよ。」
「小人の話は逆効果になるので避けてください。」

プラタ。
「なんかコツを掴めました。」
「錬度が低かったみたいです。」

メディオクリタース。
「けっこうな人数が錬度が低いまま社会に出ることになるので。」
「錬度は鍛錬して上げておくといいですよ。」
「錬度が足りなくて四苦八苦しているかもです。」

アナカリプスィ。
「才能ではないんですね。」

メディオクリタース。
「天才は公義のために才能を使うので。」
「少しばかり才能がある程度では使い物になりません。」
「それは天才ではないですね。」
「天才と公義はセットメニューです。」

プラタ。
「どうやってその見識を?」

メディオクリタース。
「経験がもたらすのは観察だけです。」
「見たものを分析して解読したんですよ。」
「形而上学を使って人がなにであるかを調べたんです。」
「当たり前の結果ですね。」

アナカリプスィ。
「形而上学の達人が友達にいるって。」
「めっちゃすごいよ。」

メディオクリタース。
「難しい話かもしれませんが。」
「本当に知識人ならば。」
「素人でも分かるように簡略化します。」
「もっと簡単な話にしたければ可能です。」

プラタ。
「できるんですか?」
「すごい。」

メディオクリタース。
「洗練されているからこそ簡単に表現できる。」
「さて、ラジコン飛行機で遊びますか。」

フェーリークス。
「小さなTVモニターで実物のように操縦できます。」

メンシス。
「豆鉄砲で撃ち合い遊びます。」
「墜落してもいいように出来ていますので。」
「チェックメイト戦闘機を出してきました。」

アナカリプスィ。
「よくあるラジコンサイズです。」

メディオクリタース。
「AIM-260ミサイルを装備してあります。」
「ミサイルもミニチュア。」
「墜落しても別にいいです。」
「単価が安いので。」

プラタ。
「わあ!これは楽しそう。」

庭の裏にある丘にて。

五機で空中戦。

乱戦。

メンシス。
「一方的に撃てていますが、それだけですね。」

フェーリークス。
「一方的に追い回していますが。」
「それだけですね。」

プラタ。
「これ上手なんですよ。」

アナカリプスィ。
「コントローラーが・・・。」
「操縦に機体がついていかない。」

メディオクリタース。
「機体性能に頼っているようでは一流とは言えません。」
「どんなビークルもパイロットが機体性能を引き出せないと。」
「目的を達成することは無理です。」

ミサイルを撃っても回避。

機関砲。

上空でラジコンが舞い踊る。

FCSが標準で搭載されているのに。

まったく当たらない。

燃料切れになって着陸させました。

アナカリプスィ。
「パイロットの技能が拮抗していて。」
「決着がつきませんでした。」

プラタ。
「やりますね。」

メディオクリタース。
「よく言うでしょう。」
「井の中の蛙大海を知らず。」
「強い人は強いんです。」
「ザコばかり見てきた眼ですね?」

プラタ。
「いくらなんでも攻撃が当たらないのは見たことがありません。」
「スピードが速いし。」
「ひらひら舞った。」

メディオクリタース。
「必ず一手先を潰すんですよ。」

メンシス。
「第六感による四次元戦法は。」
「お互いの手の内が読めていて。」
「必死に追跡しちゃったけれど。」
「必ず一手先を潰すのが基本で。」
「これは戦術として訓練でも習ったから。」

フェーリークス。
「手加減してたけれど。」
「けっこう食らいついてきたね。」

アナカリプスィ。
「猛者の集い。」

メディオクリタース。
「次は日本刀で人形を斬りましょう。」

プラタ。
「真剣だあっ!」

メディオクリタース。
「日本刀の弱点は両手剣という部分です。」
「馬上の武士は片手で振るいました。」
「両手剣でも片手で振り回せたら一人前。」
「両手剣という性質がきわどいくらい影響しますので。」
「ロングソードとは勝手が違います。」

プラタ。
「ひえー。」
「どうやって使うの?」

メディオクリタース。
「斜めに斬るので。」
「縦斬りと横斬りは厳禁。」
「斜めに動かしてください。」

プラタ。
「あれ?」
「ナナメ斬りは簡単?」

アナカリプスィ。
「縦と横に斬るから難しいの。」
「でも人形を切り裂くのはできるよ。」

プラタ。
「ナナメに斬ったら余裕でした。」

メディオクリタース。
「見込み通りの成果。」
「お菓子タイムにしましょう。」
「休憩。」

茶室。

和室で。

和服のプラタとアナカリプスィ。

着替えました。

袴です。

メディオクリタース。
「メール。」
「今日は研究所でまとめ記事を書いている。」
「ネットde真実。」
「スラングを送り付けてくるとは諧謔です。」

アナカリプスィ。
「袴もありかな。」

プラタ。
「これ好きかも。」

メディオクリタース。
「和服女子もなかなか。」

プラタ。
「これなあに?」

メディオクリタース。
「共同執筆の文学ですね。」
「ちょっとした議題を記入して。」
「持論から構成される対話劇にしていくんです。」
「戯曲は対話劇ですからね。」

アナカリプスィ。
「作品はどうするの?」

メディオクリタース。
「コピーして全員の持ち物になるんです。」
「遊びのひとつなので。」
「本気で書く人はあんまりいないです。」

プラタ。
「この戯曲は中身が欠落していませんか?」

メディオクリタース。
「この戯曲?」
「空きスペースはプラトン学派で埋めるか。」
「編集者の持論を濾過して埋める。」
「後世に残るか不明な作品でも。」
「以上の理由で完成しない。」

プラタ。
「そのための余剰スペースなんですね。」

アナカリプスィ。
「相当な技量が必要なのでは。」
「編集者や監督の意見も入れる?」

メディオクリタース。
「ソクラテス学派。」
「プラトン学派。」
「アリストテレス学派が対象です。」
「変なものは入れないと思いますけれど。」
「高度に訓練された人は簡単な遊びです。」

メンシス。
「お菓子どうぞ。」

フェーリークス。
「お茶もあります。」

プラタ。
「お触り。」

フェーリークス。
「えっ?私が好みなんですか?」

メンシス。
「えー?私は触らないの?」

プラタ。
「だめっ!未成年だからこれ以上は!?」

アナカリプスィ。
「刺激が強いよね。」
「色欲は暴走すると体のコントロールを奪うし。」

メディオクリタース。
「脳科学からして脳をいかにコントロールするかは。」
「けっこう昔から使われている手法ですけれど。」
「色欲ですか。」
「情欲も存外馬鹿に出来ない威力ですよ。」

プラタ。
「もうやめておきます。」

メディオクリタース。
「さて、自然が豊かな社会ですけれど。」
「不自然な社会ってありえますか?」

プラタ。
「不自然な世界は無いです。」

メディオクリタース。
「自然に逆らうのはよくありません。」
「自然は従うことによって征服できる。」

アナカリプスィ。
「それって教育の基本中の基本です。」
「不自然な状態は見たくもありません。」

プラタ。
「客は三日いると鼻につくと言いますが。」
「ぶぶ漬けでもどないですー。」

メディオクリタース。
「お土産ありますよ。」

お客さんはしばらくして帰りました。

また姉妹と戯れる主人。

定時に来る料理人と機械系統の作業員だけで。

あんまり人がいない。

お屋敷のひとときでした。

英語のことわざ。
自然は従うことによって征服できる。


45


あの美人女性がお泊まりで来まして。

一緒に過ごすことに。

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。

「うふふ。」
「見れば見るほど魅力的。」

メディオクリタース。
「見事な地雷女ですね。」
「そのくらいやった方が個性的。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「女系の世界は男性が入らないほうがいいわよ。」

メディオクリタース。
「私は男系の世界で育ったので。」
「あなたの妖艶な雰囲気にはやられます。」

フェーリークス。
「やっぱりすごい美人。」

メンシス。
「何か暴走している人ですね。」
「覗き見していると巻き込まれるかも。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「もう夕方ですし。」
「時差があんまり違わないので。」
「いいことしましょう。」

メディオクリタース。
「いいことってなんなのか。」
「狂人の女性も好みですが。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「男性のような女性も好み。」

ランチの後に。

ソファーでくつろいでいると。

べったりくっついてくる。

メディオクリタース。
「なんていう匂い。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「男より女性の方が惹かれる。」
「女性オタクですよー。」

メディオクリタース。
「押しが強い。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「本当は嬉しいんでしょ?」

メディオクリタース。
「なんとなく。」

シャワーを浴びてから。

音楽鑑賞しようとクラシックを用意。

脱衣所に入ると。

後ろから押し倒されてしまいました。

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「私の気持ち受け取って!」

メディオクリタース。
「おぉぉ・・!受け取りました。」
「猛アピールいいですね。」
「これから男性よりもあなたと付き合うことにします。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「受け入れてくれるの?」
「大好き。」

思いっきり抱きしめられて。

身動きが取れず。

撫でまわされて。

頭に星が回ってしまう。

メディオクリタース。
「女性にこうされるほうが似合っているようです。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「こんなこと?」

いろいろ触られた。

メディオクリタース。
「きゃあ!?」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「気持ちいい?」

メディオクリタース。
「なにすんですか。」
「うぐっ!」

思いっきり抱きしめられて。

美人に抱きしめられた女性の図。

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「もう離さない!!」

メディオクリタース。
「いや放してください。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「ずっとこうしていたい。」

メディオクリタース。
「ぐぇぇええ!?」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「抵抗しないの?」

メディオクリタース。
「本当はあなたの事を気に入っているので。」
「好きにさせてあげてもいいかなと。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「一緒にシャワー入ろう。」

メディオクリタース。
「激しく抱きしめないでください。」
「なんていう狂気。」
「でも気に入っていますよ。」

ようやく放してくれて。

どうやら一緒にシャワーに入りたかったみたい。

一緒にシャワーを浴びると。

笑顔でバリシャーヤ・メドヴェージツァは寝室に戻りました。

フェーリークス。
「恋と戦争では何でも正しい。」

メンシス。
「なんだか喜んでいますね。」

フェーリークス。
「ああなると知っていて呼んだんですよ。」
「本心って見え隠れしています。」
「本当の理由はあんなことしてみたいとか。」

メンシス。
「にしても偶然の出会いではないですね。」
「お互いに笑顔です。」

クラシック音楽。

バリシャーヤ・メドヴェージツァは離れている。

謎。

就寝時間になると。

手を繋いでベッドへ。

メディオクリタース。
「狂気の女性には魅了されます。」
「しかも美人ですし。」
「女系の世界で育った妖艶な雰囲気には虜になる。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「男性の雰囲気なのに女性というミックスっぷりが。」
「私の心を突き動かす。」

メディオクリタース。
「結婚式でもやります?」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「急いで結婚ゆっくり後悔。」

メディオクリタース。
「結婚は監禁。」
「挙式はせず。」
「自由な関係を結びましょう。」
「同居しなくてもいいです。」
「でも結婚した事になりますが。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「その裏技で行こうよ。」
「女の子好き。」

メディオクリタース。
「さあて、そろそろショータイムです。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「はい?」

メディオクリタース。
「今なら動けませんし。」
「すぐに捕まえられます。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「あっ・・・。」
「好きにして。」

メディオクリタース。
「どうしようかな。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「ああ・・・。」

メディオクリタース。
「この辺りとか?」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「好きなことされる。」

メディオクリタース。
「少し触るだけ。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「私で遊ばないで!!」
「やるならやってよ・・・。」

メディオクリタース。
「多分、発狂するので。」
「えっちなことはなしです。」
「添い寝。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「女の子好き。」

メディオクリタース。
「私も女の子好き。」

朝になると。

メディオクリタースは土地の管理をするため。

お偉いさんと借主に会いに行きます。

玄関で解散。

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「また来てもいいかしら?」

メディオクリタース。
「どうぞ。」
「ああいう交流も大好きなもので。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「お互いに趣味が一致しているわね。」
「女の子は好き。」

メディオクリタース。
「レズビアン?」
「いいえ。」
「これは個性です。」

バリシャーヤ・メドヴェージツァ。
「レズじゃないです。」
「これは個性です。」

タクシー会社の小型飛行機に乗って立ち去ったバリシャーヤ・メドヴェージツァ。

メディオクリタースはドライバーを呼んでいて。

シュビムワーゲンで見回りに行きます。

住んでいる世界は違っても。

意気投合するふたり。

狂気の女性が好きなメディオクリタースは。

一目惚れしてきたバリシャーヤ・メドヴェージツァを気に入っていて。

レズではなく趣味の交流。

女の子同士の戯れは蜜の味。


46


神殿。

メディオクリタース。

スタヒスに頼んで。

幻影の間へ赴く。

訓練の場所であって。

難易度の高さから好まれない。

メディオクリタース。
「行ってきます。」

スタヒス。
「勇敢であれ。」

メディオクリタース。
「私は臆病者ではない。」

幻影の中に入ると。

星空の丘に辿り着きます。

遠くでは軍隊が凌ぎを削っていました。

昼間に移り変わると。

兵隊同士の戦闘。

古代の戦い。

メディオクリタース。
「あれがあったから今がある。」
「あれがあった大地に立つなんて。」
「儚い。」

ギャンブラー。
「そもそもゲームが違ったら?」
「人生ゲームと称して日々闘争に明け暮れている時。」
「違和感を覚えたら。」
「ゲームが違っていることが分かってしまい。」
「勝利条件が全く異なることを発見してしまう。」

メディオクリタース。
「他人は人生ゲームに夢中で。」
「無謀にも自分のゲームに乗せようと必死であるけれど。」
「戦場の真ん中でチェスを仕掛けてくる野郎がいたり。」
「敵がそこら辺にいっぱいいるのに。」
「これはスポーツであると口論を仕掛けてきたり。」
「このようなゲームが多過ぎる。」

ギャンブラー。
「ゲーム理論ではゲームが異なるプレイヤー同士が頻繁に交差してくるので。」
「自分のゲームが他人のゲームではない。」
「勝利条件や目的が異なるので。」
「自分のゲームを主張しても意味がない。」

騎士。
「戦場では前に出ているか。」
「中間に位置しているか。」
「後方に出ているか。」
「三種類に将軍は場所を変える。」
「兵士は次から次へと来る敵をひたすら倒さなければならないし。」
「味方が押されると。」
「相手にしている敵が増えていく。」
「逆に味方が押すと敵が減っていく。」
「一度に何人も斬りかかってくるので。」
「ひとりに費やす時間は少ないほどいい。」
「鎧が攻撃を無効化してくれる事が多いけれど。」
「集中攻撃を受けると鎧も貫通するので。」
「騎兵ならば動きながら。」
「歩兵ならば味方と共に攻撃しなければ。」
「基本の立ち回りは実行できない。」

兵士。
「では我々はなぜ戦っているのですか?」

騎士。
「分からない。」
「何のために戦っているかは分からない。」
「知らないのだ。」
「しかし無意味ではないことは知っている。」

兵士。
「戦わなければ。」
「相手は攻撃してきます。」
「世界が創造された日から戦争はあります。」

騎士。
「世界が創造された日から戦争があるから。」
「我々は槍を持っているのだよ。」
「簡単な理由だ。」

兵士。
「なぜか我々は戦っていくのだろう。」

メディオクリタース。
「確かに世界が創造された日から戦争はある。」
「この世が創られた通りに戦争がある。」

ギャンブラー。
「向こうの闘技場へ行きなよ。」
「ひとつ賭けさせて貰うぜ。」
「中々強そうだし。」

夜間に変化。

近くに人が集まっている。

柱が並ぶ。

円形の建物。

円形のフィールドという趣味。

中央に大きな炎。

床は石で怪しい雰囲気。

古代の闘技場。

剣が床に刺さっている。

メディオクリタース。
「これを抜けばいいんですね。」

ギャンブラー。
「そうすれば相手は現れるさ。」

剣を抜くと。

鎧ガチガチの戦士が出現。

ポーズを決めてから観客は狂喜。

戦士は向かってくる。

戦士の攻撃を剣を使わずにひらひら避けて見せた。

基本的には後ろにバックステップすると当たらない。

直線の動きを横移動で避けて。

一撃入れるが攻撃が効かない。

戦士は振り向いて斬ろうとするも。

剣をメディオクリタースに取られて武装を失う。

おまけに腕を斬られて戦士は負傷退場。

ギャンブラー。
「いいぞー!!」
「今回は儲かった儲かった。」

メディオクリタース。
「はあ・・・はあ・・・。」
「苦戦する。」
「こんなのがまだいるんですね。」

ギャンブラー。
「次の選手が入場するので。」
「交代するように。」

メディオクリタース。
「こっちのルートはこんなのですか。」

城があって。

そこの領主は暴政を敷いていて。

看板に書いてある。

市民。
「どうか悪逆無道な領主を倒してください!!」

メディオクリタース。
「義人は言いました。」
「悪人に手向かってはならない。」
「英語のことわざにもなっています。」
「あなた方が武装蜂起すればよし。」

通過すると。

どうも怪物みたいな領主が強くて。

ひとりの力では無理だったようですね。

衛兵と常備軍が300人いますし。

滝に到着して。

中に入って。

池に漬かって浮いてみましたが。

ここで幻影が解けて。

目が覚めると。

最初にいた場所。

神殿の内部。

スタヒス。
「いろんな時代の物語が集約されていて。」
「疑似体験できますが。」
「あなたには難易度は低かったようです。」
「何度でも挑戦できますよ。」
「もちろん中で倒されても死にません。」
「シミュレーターですからね。」

メディオクリタース。
「これ勝たせる気ないでしょ。」

スタヒス。
「本来は勝てないように出来ていますが。」
「勝利するなんて。」

メディオクリタース。
「良い訓練でした。」
「でもキツイ。」
「休みます。」

スタヒス。
「何回でも侵入できますからね。」

神殿から出ると。

花畑と大量のウサギ。

道路まですぐそこ。

岐路に着くと。

謎の黒服が道端に来た。

シュビムワーゲンを止める。

メディオクリタース。
「なんの真似ですか?」

謎。
「輝く少年はどこだ?」

メディオクリタース。
「さあて誰の事だか。」

黒服はどっかへ行きました。

天使。
「あのー。」
「黒服いませんでした?」

メディオクリタース。
「いつかの美少年じゃないですか。」
「空飛べるんですね。」
「あっちの方向へ彷徨っています。」

天使。
「どうもー。」
「さてさて。」
「勝負を投げ出して逃げるなよ。」

黒服。
「悪魔を追いかけるとは。」

天使。
「また人間を惑わしますか?」
「退屈な奴です。」

黒服。
「悪魔について知らない人間は。」
「よく釣れる。」

天使。
「地上で釣りなんて悪趣味ですな。」
「釣り糸を垂らせばすぐ食いつく?」
「魚みたいな生き物なんですかね。」
「さっさと矢で追い払いますよ。」

黒服。
「わかりやすい罠にハマってくれるので。」

天使。
「向こうへ行った。」
「まったく。」
「開いている扉で聖者を誘惑するなんて。」
「しかしまた会いましたねあの人。」
「神殿が近くにあるので当たり前でしょうけれどねぇ。」
「て言うかなぜ平常心なんでしょうかあの人。」
「よくいる人間は戸惑うだけですし。」
「特別なんですかねぇ。」

開いている扉は聖人をも誘惑する。


47


すべての疑問には理由がある。

車で二十分。

帰宅。

メディオクリタース。
「一喜一憂しても。」
「結果は変えられない。」
「でも。」
「それでいいのかもしれない。」
「詩句。」

もがいて変えようと試み。

かえって全容を知っていく。

壊して無くそうと思い。

かえって工事に手を貸してしまう。

自分の心は鋼鉄で機械になっている。

思想は別の形で顕現していくのみで。

いずれ消え失せると知っての行い。

知っていて生きていく虚しさと。

分かりきったこの世界で彷徨っている。

どのような道順でも。

結果は同じであると知っていながら。

どこを通っても何になっても結果は同じ。

知っているのに。

分かっているのに。

押し通してしまう。

いずれ消え去ると事前に見ておきながら。

その日の夜。

深夜の部屋で。

外の景色を見ながら。

メディオクリタース。
「泡のように生まれて霧のように消え失せる。」
「太陽のように照らされて月夜で見えなくなる。」
「そこでは影のように歩くだけで。」
「朝日が出ると。」
「風で舞って行ってしまうのでは。」
「雨に打たれるような日々を過ごしている。」

フェーリークス。
「そのうち照らされて蒸発するのではないかと。」
「嵐が来れば避難場所もない。」
「寒波の時は凌ぐアテもない。」

メンシス。
「熱波の時は枯れていく大地を見ているだけで。」
「雨季は水に浸かって溺れるだけ。」

メディオクリタース。
「木々や河川。」
「花々や木の実。」
「岩や石。」
「動物の様子を観察しながら。」
「ただ繰り返す日時。」
「時と一体化すればいいの?」

フェーリークス。
「最期に滅びがあるとすれば。」
「私達はひたすら無意味な行動をしているのに過ぎません。」

メンシス。
「最後に滅亡するのであれば。」
「何の意味も持たない存在であったに過ぎません。」

メディオクリタース。
「天寿の時は。」
「無駄な抵抗をしたんだと。」
「せいぜい詩にしてあげますよ。」
「天寿を前に悪あがきを繰り返していたあの日々。」
「こうなると見ておきながら。」
「信じられないほどたくさんの事をして。」
「それが埋もれるだけ。」
「自分の身体と一緒に埋もれる時代。」
「前の世代は既に時に埋まって。」
「残骸すら残っていない。」

メンシス。
「待ち受けているものが見えるんですね。」

フェーリークス。
「何かが待っているので。」
「それが信じられないという。」

メディオクリタース。
「自分から死を迎えに行くような真似をしておいて。」
「すぐには来ないし。」
「苦痛も苦悩も無い世界では。」
「はっきり物が見えるようになった。」

フェーリークス。
「まだその時ではないですよ。」
「私達もなぜか生き残っていますから。」
「一発も銃弾を浴びていないんです。」

メンシス。
「ガンシップと戦った際も。」
「他の人はバタバタ倒れていくのにね。」

メディオクリタース。
「破滅の光は美しいかもしれない。」
「なぜ生まれるの?」
「なぜ生まれる必要があるの?」

メンシス。
「身体を使い捨てにしないでくださいね。」
「今すぐ答えが出るものではないでしょう。」

フェーリークス。
「具体的な回答が出来るような人物はいないですね。」
「それ自体が良い説明だと思います。」

メディオクリタース。
「具体的な回答ができないのが良い解釈。」

メンシス。
「深夜の見回りです。」
「ちょうど交代の時間なんです。」

フェーリークス。
「いつもはアンドロイドに任せているんですが。」
「警戒が必要な時は監視しているんです。」

メディオクリタース。
「ああ2時ですか。」
「なぜか起きてしまいました。」

メンシス。
「兵士の時は夜間も行動しましたし。」
「得意ですよ。」

フェーリークス。
「ここの集落では情報共有して。」
「不審人物を監視しているんです。」
「警備員と連絡していて。」
「思ったよりうまく行きそうです。」
「夜警がウロウロしているおかげで。」

メディオクリタース。
「深夜の世界も格別です。」
「なにがあったのでしょう。」

メンシス。
「寝る前に駄菓子を大量に食べたのがいけないとか。」

メディオクリタース。
「ああ・・・。」
「腹八合医者いらず。」

ぐったり倒れる。

薬を飲んで回復。

そのまま寝てしまいました。

傍に書いてあるメモ。

いずれどうなるか結果を知りながら生きていくのは残酷で。

それを知らないのが幸せなら。

知っているのは愚かなのでしょう。

先にそれを見ておきながら。

固執する愚かさを持っているなんて。


48


夢の中で。

お城のお姫様になっていましたが。

かえって退屈しています。

メディオクリタース。
「なんでも手に入れたのに。」
「なんで退屈になるの?」

大富豪。
「富を築けばやる事はこの世にないからです。」

メディオクリタース。
「ここには黄金も人もいっぱいです。」
「この世のものとは思えない。」
「精神的にも満足できる世界で。」
「なんで退屈するの?」

執事。
「すべてを手に入れたからでしょう。」

メディオクリタース。
「何も困らないハズなのに。」
「なぜか私は困っている。」
「外国からの攻撃?」
「国民の反乱?」
「いいえ。」
「幻のように消えるこの椅子は何?」
「幻のように消えるこの世界は何?」

天使。
「聞いたことは全く信じるな。」
「見たことは半分だけ信じよ。」
「英語のことわざ。」

眷属。
「実地の経験が最も良い。」
「しかし賢者は経験せずに学ぶことができます。」

天使。
「また会いましたね。」
「今度は夢の中ですよ。」
「面白い人間もいるもんです。」

メディオクリタース。
「人間なんてこんなものなの?」

天使。
「いいや僕は人間に絶望していませんね。」
「気長に待っていますよ。」
「所でその椅子どうです?」
「その場所からは何でも見れるでしょう?」
「シミュレーションですよ。」
「その立ち位置で景色を見ておいてください。」
「変な偶然もあるんですなぁ。」

メディオクリタース。
「バルコニーから下の市街地が見える。」
「王様は後方にいる。」
「これをすべて相続する権利があるみたい。」
「でもこれを強制させられるなんて。」
「荷が重くて。」
「大量に手に入る。」
「すべてを手に入れたら。」
「その後どうするの?」

天使。
「そのあとあなたはどうするのか知りませんがね。」

メディオクリタース。
「こんなの。」
「調子に乗っている場合ではないです。」
「この景色を一生見なければならないなんて。」
「この姿を一生続けないといけないなんて。」

天使。
「おや?欲望とやらの姿をありったけ見せてあげましたが。」
「随分と嫌がっていますね。」
「望むものがすべて実現した世界ですが。」
「実際に見てみると戸惑っている。」

メディオクリタース。
「これでも結果は同じです。」

天使。
「近づく事件は事前にその影をうつす。」

メディオクリタース。
「城下町と私の椅子が同じに見えます。」

天使。
「それでは大量の金貨でもあげますよ。」

メディオクリタース。
「かえって害悪を受けています。」
「金は召し使いとしてはよいが、主人としては悪い。」

天使。
「お金持ちになると空虚感を覚えませんか?」
「とりあいず欲望が行き着く結末はここで見たはずです。」
「今やあなたはお姫様で大国の相続人ですから。」

メディオクリタース。
「思い当たるすべてを手に入れると。」
「あとはなにをしたらいいのかわからない。」
「ある意味で悪夢です。」
「ちょうどいい所で止まって欲しかった。」

天使。
「そんな悪夢はすぐ覚めますよ。」
「周囲を見渡してみて。」
「これは僕が作り出したシミュレーションです。」
「あらゆる欲望を達成すると。」
「随分と泣き落ちましたが。」
「これが望みではなかったので?」

メディオクリタース。
「バッドエンドです。」
「悪夢です。」

天使。
「バッドエンドですか。」
「そろそろ終わりにしましょう。」
「これってあなたの夢なんですよ。」
「わざわざ中世のヨーロッパ風にしてみまして。」
「地上の時にしてはあんまりにも儚い瞬間でしたなあ。」

メディオクリタース。
「は?夢?」

天使。
「僕は天使ですよ。」
「美少年だけでスルーしないでください。」
「いつか見たかったあなたの欲望が具現化した世界です。」
「十秒くらいで覚めます。」

メディオクリタース。
「天使?え?」

天使。
「それが分かれば手間が要らなかったのですが。」
「祈っている内容が出たものだと思ってください。」
「こういうのを一度見てみたかったのでは?」

メディオクリタース。
「とても良い体験でした。」
「にしても鮮明ですが。」
「あれれ。」
「ノーマルエンドが好き。」

目が覚めると。

いつものお屋敷。

扉を出ると姉妹が働いている。

寝る前に書いたメモが机の上に。

走る前に歩くことを習え。(諺)


49


海辺と山々の都市沿い。

景色が素晴らしいこの地域で。

演習。

地球艦隊が出向いて行う恒例行事。

星系の軍隊と一緒に。

最強と歌われる第三艦隊が来る訳で。

式典で隅っこに出席。

メディウム。
「飛行機のようなデザイン。」
「キーロフ級の巡洋艦をモデルに作成された標準の仕様。」
「リメイクされつつ新ヴァージョンが出ています。」
「前の戦闘艦は爆撃機のようなデザインでしたが。」
「決定版が出ましたね。」

メディオクリタース。
「高い揚力で飛行しつつ。」
「着水機能があり。」
「アフターバーナーで離陸可能。」
「VTOL機能が優秀で。」
「洗練されたものになっている。」

マギステル。
「空母もヴァージョンアップ。」
「飛行機のようなデザイン。」
「非常に高い揚力を使って最低限の速度で飛行する。」
「留まる時はランダムに旋回を繰り返す。」
「着水可能で。」
「船舶になることもできる。」
「自重を支えるのに十分な推力があるので。」
「VTOL機能も発動可能。」
「基本は広い海に着水して短距離で離陸する。」
「この時はアフターバーナーを使用している。」
「大気圏内で短時間しかホバリングできないので。」
「高い揚力を活かして低速移動する。」
「サイズは原子力空母の次世代型。」
「核融合空母の二倍ほど。」
「艦載機は二個飛行隊と支援機を搭載可能。」
「耐久力がとても高いものの。」
「部位破壊をされるとダメになってしまうので。」
「艦隊防空機を必須とする。」

リベロ。
「ガイドブックに載っているね。」
「戦闘艦は空母より小型だから。」
「動作は快適だよ。」

メディウム。
「F-2021。」
「従来の大型の戦闘機を極限まで小型化した戦闘機。」
「あらゆる用途に使用できます。」
「現在の主力機ですが。」
「地上展示されているのはレアケースです。」
「軍事関連は機密情報が大量ですから。」

リベロ。
「アビオニクスや兵装まで徹底した小型機が成されており。」
「高出力エンジンによって敏捷性が恐ろしく高い。」
「遠距離攻撃用の小型砲弾は大気圏内での使用に合わせており。」
「FCSにより15キロメートルの目標を仕留めることが可能。」
「対空砲弾と呼ばれている。」
「目標が何の回避運動もしなければ。」
「射程がさらに伸びる。」
「徹底した小型化に成功したのね。」

メディオクリタース。
「長い間、一般公開されていない軍事情報ですから。」
「旧式の大型戦闘機の情報ばかりあります。」

メディウム。
「ミサイルは近接戦闘用で。」
「再追尾して何回でも追跡する。」
「大型の空対空ミサイルを小型化した為に。」
「このような機能を持った。」
「遠距離攻撃にも使用されている。」
「レーザーは標準装備であるが。」
「シールドで防がれてしまうために。」
「交戦しているうちに近接レーザーで仕留める展開が多い。」

マギステル。
「お互いの戦闘機は敏捷性に優れているため。」
「動きを捕らえること自体が困難で。」
「戦闘力を重視した設計思想な上に。」
「パイロットが戦闘機に合わせるのではなく。」
「戦闘機がパイロットに合わせるように。」
「性能の限界を排除してある。」
「このために型落ちの戦闘機でも。」
「最新型の更新機種に対抗できる戦闘機事情がある。」

メディオクリタース。
「説明は簡単でしたか?」

研究員。
「軍事情報は出回らないので。」
「貴重な資料は有り難いです。」

アナカリプスィ。
「表面上しか知りませんでした。」
「まったく教えてくれません。」

リベロ。
「なぜなら歴代最強と謳われている分。」
「情報を多く流せない。」
「たとえ宣伝であっても。」

マギステル。
「真似されたり。」
「開発競争で強い兵器が出ないように。」
「独占しているようです。」

研修生。
「なんでもあらかじめ防ぐんですね。」

研究員。
「情報通しか軍事関係を知らないとは。」
「どうりで連中が挙兵しても敵が一方的にやられる訳です。」

メディオクリタース。
「カメラの方に寄りなよ。」
「どうやら関係者の姿を全部番組で流さないといけないので。」
「人数が膨大につき。」
「撮影の中に入れるのに四苦八苦している様子。」

メディウム。
「入念に関係者を宣伝しているので。」
「私達も入っている訳です。」

反乱の二勢力を初戦で倒したので。

余裕をかましているのです。

演習は観戦という形を取りました。

3時間で二回戦まで終了して。

式典も終わっています。

これからは長時間演習に割り当てるので。

帰還してもいいのです。

発着場は厳重に守られた城壁の中。

滑走路の巨大版に輸送機がたくさん止まっています。

エネルギー省の新しいアピールで。

大型輸送艦に搭乗して快適な航行を楽しんでくれと。

その星系の関係者は大型輸送艦に集まり。

フェリーみたいに星系まで輸送機を乗せて行く方式で。

もてなされました。

メディオクリタース。
「反乱軍も革命軍も何もして来なかったね。」

アナカリプスィ。
「最強の軍隊がいるのでは。」
「無理があるのでは。」

マギステル。
「無謀ですし。」
「敵は貧弱な艦隊しかありませんので。」
「やると失うものの方がずっと多い。」

リベロ。
「ウェルバさんは残ったようです。」

メディオクリタース。
「最近、女史と言われているだけあって。」
「特別待遇です。」
「軍艦に乗り込んで調べものを依頼されています。」

アナカリプスィ。
「そろそろ到着ですね。」
「快適で。」
「貰うものは貰いましたし。」
「システムをチェックしておきます。」

メディオクリタース。
「わたしもやる。」
「あれ?電源がつかないけれど。」

アナカリプスィ。
「管制塔も応答ありません。」
「事故でしょうか?」

メディウム。
「妙な三人組がいました。」
「何者?」

マギステル。
「帰路を狙った攻撃かもしれない。」
「今、あらゆる所で敵兵の攻撃を受けたって。」
「無謀だったので簡単に鎮圧したそうで。」

リベロ。
「あいつらまぐれだな。」

メディオクリタース。
「味方の情報によると。」
「自由攻撃で無計画だったので。」
「まぐれで侵入したのでしょうね。」

アナカリプスィ。
「武器はありますか?」

メディウム。
「武器庫にあるよ。」
「格納庫のすぐ傍。」

妙な三人組は警備兵を倒しつつ。

操縦室まで移動しています。

武器を獲得して追いかけます。

工作されて飛び立てないからです。

続々と軍関係者が追いかけます。

民兵。
「敵はクローン兵の試作品。」
「遺伝子操作ではなく。」
「兵士としてあらゆる改造を施された強化人間で。」
「帰還中の要人を狙った攻撃。」
「手強いぞ。」
「先行する。」

リベロ。
「クローン兵って。」
「その昔、タブーとして処理された禁断の実験でしょ。」
「あれを改良したのか。」

マギステル。
「その昔、出生はギャンブルでした。」
「出生はポーカーフェイスそのものです。」
「ギャンブルで生まれた先と生まれ方が決まるものですから。」
「カジノはお察しの通り。」
「敗北者の方が大多数で。」
「勝利者は一握り。」
「数えるほどしかいません。」
「人はそのギャンブルで決まります。」
「アンチナタリズムはギャンブルに反対したもので。」
「ペシミストが好んで支持した科学の一部門です。」

計画的な襲撃ではなく。

個人で発案させた自由攻撃な為に。

まぐれで成功した部隊が唯一ここにいたのです。

メディウム。
「わたしはシステムを復旧させます。」

マギステル。
「その援護に行く。」

リベロ。
「私は艦内を修復する。」

アナカリプスィ。
「敵はたったの三人で。」
「こちらは30人くらいです。」
「もっといるようですが。」

メディオクリタース。
「男性陣に任せましょう。」
「士気が高いですから。」

三人組は二人が戦死して。

格納庫で武器を失ったまま逃げてきまして。

廉価版の戦闘機F-1995という予備機で離脱しようとします。

アナカリプスィ。
「あれ?あいついつの間にあそこにいたの?」

メディオクリタース。
「どうやら算術で計算された動きです。」
「逃がすと内蔵されている魚雷でやられるでしょう。」
「フォローしてください。」

リベロ。
「システムは良好。」
「透明扉解放。」
「美味しい所を頂いたね。」

廉価版戦闘機がもう一機あったので。

搭乗して交戦。

変態。
「なっ!これでは魚雷が撃てない!!」

メディオクリタース。
「まずは威嚇射撃。」
「精密射撃が必要な魚雷は撃てない。」

変態。
「格闘戦でどうだ!?」

両者。

人工衛星を背景に格闘戦に突入。

メディオクリタース。
「遅いな。」

変態。
「はっ速い!・・・奴の動きについていけん!!」

テロリストの戦闘機は滅多打ちに遭って撃墜。

テロリストはカプセル式のベイルアウトで脱出。

もちろん軍関係者が捕獲。

一騎打ちで強化人間を仕留めました。

メディオクリタース。
「思ったよりうまくいった。」

リベロ。
「おおおー!!そうなると思っていたよ。」

マギステル。
「さすが私の友人。」

アナカリプスィ。
「もう敵はいないそうです。」

メディウム。
「システムは回復です。」
「終わりましたね。」

戦闘は終了。

この一件で。

報道で賞賛されています。

優れた人物は積極的に伝えるので。

エースには困らない仕組みですね。

一段落したアクシデント。




50


メディオクリタースの屋敷に移転したアナカリプスィ。

メディオクリタース。
「という訳で荷物と整備を頼みます。」

メンシス。
「はい。」
「もう三割ほど終えています。」

フェーリークス。

「わたしが出遅れているだけです。」

アナカリプスィ。
「メイドさんにしては豪華だなあ。」

メディオクリタース。
「並の人材ではないですからねー。」

しばらくすると。

馴染みのあるボーイフレンド。

ラピス。
「こんちはー。」
「あれま忙しそう。」

メディオクリタース。
「おお戯れの仲間。」
「どうやら出撃すると便りがありました。」

ラピス。
「そういう訳で。」
「ガールフレンドに挨拶をと。」
「次も会いましょう。」
「次があれば。」

メディオクリタース。
「他の男性と異なるのは。」
「あなたに色欲がないことです。」
「五感からくる欲望が性器ならば。」
「それを支配している点です。」

ラピス。
「これは褒めて頂けるとは。」
「自分の体が勝手に求めて。」
「私は望んでいない機械的な仕組みを。」
「最速で攻略したのは珍しいようです。」

メディオクリタース。
「また挙兵した勢力もありますからね。」
「次に会う時にお土産でもくださいな。」
「次があれば。」

ラピス。
「よしそれは約束しよう。」
「紳士は約束を破らない。」
「約束しておいて破るのは奴隷だけさ。」
「敵の首か武器か。」
「もぎ取ってくるよ。」
「楽しみが増えたな。」
「それでは。」

立ち去る。

アナカリプスィ。
「けっこう親密なんですね。」
「彼氏かと思いました。」

メディオクリタース。
「私も相手もアセクシャルですからね。」
「あそこまで接近できる男女はそんなに多くないですよ。」

フェーリークス。
「半分くらい出来ましたが。」
「デザイン勝手に決めていいんですか?」

アナカリプスィ。
「私がやります。」
「無機質な部屋になりかねない。」

メンシス。
「本人の指示がないと配置もわからないです。」
「好みがありますから。」

メディオクリタース。
「おや?少し研究所に戻ってきます。」

研究所の中に入ると。

メディウムという隅っこにいるスタッフがお出迎え。

深窓の令嬢。

猫の帽子と白のドレス。

大きいスカート。

護身用の杖を所持。

この杖は多機能を備えています。

スタッフの一員なのですが。

役割が違うので交流する機会は少ないです。

メディウム。
「これから相棒として各地に赴くように指示がありました。」
「戦い慣れていないし。」
「それでも一通りの事は可能です。」

メディオクリタース。
「能力よりも連携の方が大事だと思われる。」

メディウム。
「連携次第で戦術が確立しますからね。」

メディオクリタース。
「割り当てがどうやら多いようで。」

リベロ。
「調べものしているよ。」

マギステル。
「大局をまとめている。」

メディオクリタース。
「どうやら同行者はあなたのみですね。」

メディウム。
「よろしくです。」

メディオクリタース。
「様子を見に行く所があります。」
「人員は割けません。」

メディウム。
「小型の輸送機なら操縦できます。」
「大型機は専門ですので。」

メディオクリタース。
「それはいいですね。」
「こちらは戦闘機専門なので。」

継承者の別荘になっていた。

屋敷に向かいます。

ピスティ。
「皇帝の任務を解かれて。」
「ようやくです。」

メディオクリタース。
「反乱軍はダーベト皇帝を即位させて象徴にしましたからね。」
「でも、影響力が無いです。」
「あなたの血筋が大国の統治をしていたのに。」
「ダーベトは小国家の君主です。」
「それでもけっこう強いのですが。」
「要するに反乱軍も必死になっているものです。」

ピスティ。
「わたしは軍事向きではありませんし。」
「ダーベトは元々。」
「軍の階級をひたすら駆け上がった君主です。」
「自然発生して治めたわたしとは比較になりません。」
「そして満足な影響力が無いので。」
「勝算はあまりないでしょうね。」

メディウム。
「意外にも綺麗な人。」

ピスティ。
「なんでだろうね。」
「腐女子なのによく言われる。」

メディオクリタース。
「今度は革命軍が挙兵しています。」
「三つ巴になると危険ですからね。」

ピスティ。
「傀儡を避ける為だったし。」
「革命軍のリーダーは道化師だよ。」
「幹部が取り仕切っているけれど。」
「別々の目的で動いていて。」
「統率が支離滅裂。」
「あれでも大義名分があるから不思議だよね。」

メディオクリタース。
「文明のオーバーホールとか言っていましたし。」

ピスティ。
「今の所。」
「反乱軍と革命軍もイイ所なしです。」

メディウム。
「どうやら反乱軍は山岳地帯。」
「革命軍は島々を拠点にしたようです。」
「映像観ますか?」

ピスティ。
「中継ニュースやってるんだ。」

地方での戦闘。

ガンカメラは戦果記録係が一般向けに流しているもの。

反乱軍も革命軍も戦力不足で。

継承者の強力な兵員に押されていく。

一方的な戦闘が中継される。

特に目立つのは。

アンドロイドで組織された前衛部隊と。

アビオニクスで情報を集めて。

簡易型レーダーで索敵を行いつつ。

長距離射撃するなど。

卓越したセンスで任務を遂行する部隊。

相手はいいトコなし。

ピスティ。
「文明のオーバーホールとか言っておいて。」
「自分が故障しているのでは。」

メディウム。
「勝敗が決したらネタにしてやりましょう。」

ピスティ。
「それはいいね。」

メディオクリタース。
「どうやら元の場所に戻れますね。」

ピスティ。
「いいや。」
「OtakuNEOと化して文化の世界へ舞い戻る。」

メディウム。
「なにそれすごいです。」

帰路。

あらゆる目撃者となるメディオクリタース。

メディウム。
「労働時間が四時間なんてスポーツをするようなものですね。」
「といいましても書類と端末がお友達でしたが。」

メディオクリタース。
「私は労働する必要がなかったのですが。」
「もったいないので社会に参加しているのです。」
「どうもその点で異なるようです。」

メディウム。
「私は成り行きでしたよ。」
「自由人でしたが。」
「得意分野が宝の持ち腐れになるので。」

メディオクリタース。
「あれまあ。」
「大きな違いはないのね。」

メディウム。
「同類かもしれません。」

帰還するとレポートを提出。

目撃者なので。

貴重なのです。

ウェルバ。
「今回は人気者にならずに済みましたね。」

メディオクリタース。
「本当にわたしは人気者です。」
「銃を持って追いかけてくるお友達が多いですし。」

ウェルバ。
「よほど好きにしたいのね。」

メディオクリタース。
「ハートを銃弾に込めて届けてくるもので。」

ウェルバ。
「大好きホールドを毎回仕掛けられますからね。」
「いやあアクシデントが多いもので。」
「次からは回避を優先してね。」

メディオクリタース。
「避けられる場合に限って。」

現地に赴く任務は休養も与えられます。

屋敷にて。

メンシス。
「小競り合いでも巻き込まれると。」
「何の為に戦っているのか分かりませんでした。」
「向かってくる敵を射殺するだけです。」

アナカリプスィ。
「貴公は戦争の汚い部分だけを誇張している。」
「決して正義の部分は言及していないし。」
「勇敢なる将兵の戦いぶりからは習わない。」

フェーリークス。
「視点が違うと見えるものもあるんですね。」

メンシス。
「その時に必要な技能を習得したので。」
「その通りだと思います。」

アナカリプスィ。
「戦争の残酷な個所だけを宣伝すべきではない。」
「それで影響を受ける多方面については言及されたことは殆どないし。」
「それでは戦争を検証する時には数か所だけ見ていて。」
「他の部分は全て欠落しているか故意に無視している。」
「戦争で助かる人や変化し。」
「悪いものが破壊され。」
「建設に発展する場合も。」
「人に義を知らせる戦争もあるのだから。」
「戦争の愚かしい一部だけを広めるべきではない。」
「これでは全容を把握することはできない。」

フェーリークス。
「人は不完全ですし。」
「誰かが足りない部分を補う場合もあるんですね。」

アナカリプスィ。
「敢えて言う。」
「戦争がなにであるかを見極めるためには。」
「汚点以外のいろんな場所を調べるしかない。」
「貴公は戦争の部分的な指摘で語るだけで。」
「それですべて知っているつもりでいるが。」
「勇猛果敢な将軍はこの事を知っていたのです。」

メンシス。
「それを知っていれば活用できたかも?」

メディオクリタース。
「それなら地球の書物でこれがあったけれど。」
「最強兵士について。」
「アレクシエーヴィチ。」
「戦争は女の顔をしていない。」

アナカリプスィ。
「数千年経過しても歴史はもっとも有力な教材ですよね。」

メディオクリタース。
「第二次世界大戦で動員された女性兵士は百万人近く。」
「戦争が長引いたせいか。」
「女の子の中では雰囲気としてあったのです。」
「前線に出なけりぁいけない。」
「ただ前線に行きたい。」
「そして兵士の訓練を受けた。」

メンシス。
「自発的に訓練を受けて前線に出るとは。」
「ものすごい勇者ですよ。」
「一発でも当たれば戦闘不能。」
「直撃で死亡です。」
「私は遠距離から削るだけでした。」

フェーリークス。
「お姉ちゃん。」
「武器の性能以上の扱い方してたでしょ?」
「改造した狙撃ライフルで。」
「視界外から狙いまくっていた。」
「それでけっこう当たるもんで。」

メンシス。
「あなたが通った道は敵の死体だらけでしたが。」

アナカリプスィ。
「手練揃いですか。」
「アサルトライフルで力押し。」
「あの時は敵兵が次から次へと倒れました。」
「あれを長年やっていたんですね。」

メディオクリタース。
「恐るべき戦果がある。」
「ドイツ軍の将校を生け捕りにした時に。」
「その将校は部下の頭が全員頭を撃ち抜かれていたことに仰天。」
「ほとんど同じ場所。」
「並大抵の射手ではこんな命中率はありえない。」
「次々と倒す狙撃手に会わせてくれ。」
「大勢の補充人員が送り込まれても毎日のようにやられている。」

アナカリプスィ。
「それは。」
「言い換えれば百発百中で頭を撃ち抜いていて。」
「それを毎日繰り返したのだから。」
「おそらく一発も外したことのないような狙撃。」

メディオクリタース。
「そのスナイパーの女の子は戦死していた。」
「七十五人の敵兵を射殺した女性兵士は死亡した女の子の相棒です。」
「この女の子は生き残りました。」
「頭への狙撃が100パーセントの命中率であるという結果です。」
「M1A2戦車のFCSよりも命中精度があったという最強の歩兵でした。」

メンシス。
「射撃って慣れると面白いように当たりますよね。」

フェーリークス。
「いにしえの人々は弓矢でさえも百発百中でしたよ。」
「相手の帽子だけ射抜いて自慢した将軍もいます。」
「生け捕りにされたけれど。」
「もったいないので解放したら。」
「お返しに不意討ちして。」
「生け捕りにした方の帽子だけを貫いて。」
「無傷でお返しした名手とか。」

アナカリプスィ。
「相手が放った矢を迎撃したこともありますよ。」
「崖で敵の名将と遭遇してしまい。」
「矢を放ったら。」
「打ち返されて。」
「空中で矢が迎撃された。」
「これも史実です。」

メディオクリタース。
「戦争はオールスターなのかな。」
「いつの時代も女性の戦士は手強い。」
「このような戦果は度々あったと記されており。」
「女性はまともに戦うと驚異的な戦闘力があるという。」
「ひとつの証拠です。」

アナカリプスィ。
「アーカイブ無傷で残っていますね。」
「今では骨董品というより。」
「芸術作品の扱いです。」

メディオクリタース。
「第二次世界大戦の最強兵士は。」
「狙撃手サーシャとクラヴヂヤです。」
「サーシャは死亡。」
「クラヴヂヤは生き残りました。」
「第二次世界大戦で。」
「歩兵に限定するならば。」
「ふたりの女の子と比べられてはひとたまりもありません。」
「戦車兵と戦闘機パイロットでは男性の最強パイロットが独占していましたが。」
「歩兵ではソビエトの女性兵士が圧倒しています。」
「女性の潜在能力が発揮されたものの。」
「これ以降は参考となる女性の能力は見ていません。」

アナカリプスィ。
「叙事詩を書きたいな。」
「転校の手続きも完了していない。」
「しばらく書き物。」
「でも未訓練です。」

メディオクリタース。
「文学ではしばしば。」
「欲望でやっているに過ぎない状態に陥る。」
「動機論が欲望ならば。」
「結果は良くないものです。」
「本人がそう思っていなくても。」
「その状態では欲望が確実に存在する。」
「言うべきはその辺りです。」

アナカリプスィ。
「文学は量ではなくて質であると考えています。」
「反対に文学は量であって質ではないと考える人もいて。」
「どちらも正しいようです。」

メディオクリタース。
「客観的にどう見られるかなんて。」
「自分からは分かりませんよ。」
「やってみてから言及した方が良いでしょう。」

メンシス。
「私は文芸は出来ません。」
「あんまり美術を重視していませんでした。」
「ここに来るまでは。」

メディオクリタース。
「この時代は比較的安定しています。」
「文化の時代ですからね。」

フェーリークス。
「文明と文化。」
「文明が到達点に来ると。」
「文化が必要になるんですね。」
「視野が広いです。」

メディオクリタース。
「本当に重要なものは明後日の方向にありますからね。」
「付近や遠方を探しに行っても見つけ出すのは困難です。」
「明後日の方向を探すまではてがかりすら出ません。」

これ以上自然科学の進展はなく。

科学力も限界に達したのでは?

そう言われている世界。

かえって文化が実ってきて。

規模が大きくなっています。

理法による世界は清潔な場面が目立ちますよ。

この時代のお話はこれでおしまい。

星に車をつなげ。


SF。

科学が限りなく発達するという前提に立って。

未来に実現させる世界を仮定して描いた小説。

空想科学小説。


この大空に。

降り注いで光になり。

舞い降りて奇跡なの。

どこからか招かれて。

遠い。

遥か彼方の。

彗星が撒き散らし。

夜空の彼方から。

舞い落ちて。

常永遠の輝きを。

この空にその位置を指し示すように。

彗星の贈り物として。

この空に輝く。

流星。

憧れなの。