オックスフォード・英語ことわざ・名言辞典436。

神が授けてくださるものは受け取りなさい。

プラウトゥス「綱曳き」

神が与えてくださったものは自分のものにしてよい。


宗教なき科学は跛行者であり。

科学なき宗教は盲者である。

アインシュタイン。

晩年に想う。

竹林館。

宝島社引用。


問答と競走ではゴールが違う。

ソポクレス「断片七七二」

プルタルコス「饒舌について」

弁論術の真実として引用されている。



-お前は実の娘に全てを略奪される-

-この禍は周囲に飛び火し-

-お前たちを根こそぎ倒すであろう-

こんな夢を夫婦同時に見た夜に決断していたのは。

とある資産家の夫婦でした。

その夫婦は前から興味を抱いていた。

とある女の子を養女に向かい入れると決心。

自分の子を設けず。

将来手に負えない状況を回避しようとしました。

さて、行動の自由を手にした時は22歳。

春雨と言われた女性は旅行やら持ちかけられて。

一人旅を勧められました。

あんまりにも温室育ちでしたので。

春雨(はるさめ)
「やけに似ていない親子だと思いました。」

義興(よしおき)
「私達に必要だったのだ。」
「だからこそ特権を行使してくれ。」

楓(かえで)
「私共の選択が間違いではなかった事を。」
「証明して欲しい。」

春雨。
「初めて自由行動ですね。」
「ひとりでどこまで行けるのやら。」

義興。
「近場でも長旅でも結構。」
「男性の手から守るために時間が必要だったので。」

楓。
「この前出会ったお友達に連絡してみたら?」

春雨。
「まずはそこからですかねー。」

部屋に戻ると。

連絡。

檸檬(レモン)

歌舞伎者として有名な女の子。

気まぐれに遊びまわっているので。

檸檬。
「やっと連絡してきたね。」
「消極的だから忘れられると思ったけれど。」
「近場ならいいところ知っているわよ。」

春雨。
「久しぶりに両親がいない状況ですので。」
「心強いです。」

お昼過ぎ。

富士市。

公園。

待ち合わせ場所に来たのはもう二人。

檸檬。
「揃っています。」

雛菊。
「おやー?」
「相変わらずの美人っぷり。」
「あれでは男性も寄り付きたくなるかも。」

飛燕。
「お姉ちゃん。」
「色目ではるさめちゃんを見ないでください。」
「ライブ会場を確保してくれた事多数。」

雛菊。
「前に五円玉を大量にくれたので。」
「惚れてしまってダメだあ。」

檸檬。
「親がいない場所で遊ぶのは初めてだわ。」
「いつも何か知らないものを防御していたので。」
「こうしてフリーの状態は新鮮。」

春雨。
「外の事はあんまり知らないので。」

檸檬。
「それなら任せなさいよ。」
「どんな都市も攻略を繰り返した猛者。」
「ましてや自分の町ではパターンは読んでいるから。」

徒歩で移動。

自動販売機。

雛菊。
「これ砂糖の方が多いからやめれば。」

春雨。
「前よりもいっぱい種類がある。」

檸檬。
「コンビニで買おうよ。」

飛燕。
「かなり久しぶりだよね。」
「お嬢様と一緒に行くの。」

雛菊。
「砂糖と脂肪の塊一覧表があるだけでは?」

檸檬。
「本人が満足すればいいでしょ。」

雛菊。
「うーん。」
「文明批判がどうにもクセになっている。」

コンビニエンスストア。

しかしすぐに出てきたのは。

あらかじめ様々な事を知っていたので。

逃げてきたのです。

春雨。
「偽善は悪が善に捧げる忠誠。」

檸檬。
「自分の子供を知っているのはよほど賢い父親。」

雛菊。
「裏の意味はそんな賢い親はいないので。」
「普通の父親は子供のことを知らない。」

飛燕。
「いや、なんでも教えたんですね。」
「どんな家庭教師をつけたんだろう。」
「自制心が強い。」

春雨。
「おのれを制する者は、やがて人を制する。」

雛菊。
「己を罰することのできる人は幸せ。」

春雨。
「日本って貧困層が多いと思っています。」
「シャーデンフロイデ。」

檸檬。
「金持ちはあんまり見ないわね。」
「日本では中所得者が多い印象があるわ。」

飛燕。
「わたしははるさめちゃんに会う前。」
「お金持ちという人物を見たことがなかったのです。」

檸檬。
「はるさめちゃんはお金持ちでも例外だわ。」

春雨。
「無為自然。」

檸檬。
「自然は真空を嫌う。」
「自然は足らざるを補うもの。」
「人間社会でも欠けたものは自然に埋まる。」

雛菊。
「社会問題の方が目立つのはなぜかな。」

飛燕。
「日本の善い所は見せないもんです。」
「日本の悪しき部分は強調されます。」

雛菊。
「変則的(なんでもあり)で物事を考えるため。」
「未知の現象や未確認の存在に対しての対応能力はあります。」
「変則的に捉える方法は型にハマらないので。」
「合理的で。」
「柔らかくてしなやかな思考が当たり前。」
「自然に即していますので。」
「不自然な思考にはかなり強い耐性を持っています。」

檸檬。
「自然体のはるさめちゃんが存在感抜群なのでは。」

春雨。
「キジバトから習った自然体の動きと思考です。」

飛燕。
「腐敗した世界の人々は自分達が腐敗しているとは自覚しない。」

雛菊。
「客観的に社会を見れるのか?」

檸檬。
「この世の醜悪な部分を故意に無視している。」

春雨。
「ケルキュラ島内戦事件。」
「リベラルアーツのガイドブックに掲載されている歴史書。」
「トゥキュディデス。」
「戦史。」
「直訳すると。」
「暴力に訴える者が勇敢と呼ばれるようになり。」
「先を見通して動かない者は臆病者の逃避とされ。」
「冷静沈着は卑怯者の態度。」
「理解を示す者は無策の輩。」
「気まぐれの知謀こそ男らしさで。」
「安全策を取る人は拒否と見なされる。」
「不平不満を吐く者ほど信頼に足ると言われ。」
「これに反論すると疑われる。」
「陰謀を成功させたら賢者。」
「その裏をかけばインテリと言われた。」
「姦計を嫌って人の道を説けば団結を破るとし。」
「反対派に脅かされている輩であると非難された。」
「悪をすれば褒められて。」
「悪の道に引き入れる人間が賞賛された。」
「古代ギリシア。」
「ケルキュラ島内戦事件。」
「善や正義などの要素を社会が放棄するとこうなる。」

飛燕。
「オーバーサンクション。」
「まさにSNSで行われているケルキュラ島内戦事件。」
「あの続編なんですかねー?」

雛菊。
「歴史は繰り返す。」
「ほら証拠がある。」

春雨。
「なんだか過酷な社会に生きているんですね。」
「温室育ちの私では飛ばされてしまいそう。」

雛菊。
「そうかな?」
「ラザルスのコーピングは心理学の定番です。」
「前置きを与えて。」
「儀式で多少なる残虐を見せられても。」
「その少年にとっては喜びであって。」
「未開文明を研究する目的だからね。」
「その映像を見た別のグループは。」
「少年への虐待として。」
「何も前置きをしないまま映像を見た結果。」
「前者の方はストレス反応が少なかったのです。」
「どうやら解釈によってストレスの度合いは大きく左右されます。」
「コーピングとは対処方法の意味ですが。」
「ストレスについての研究は進んでいません。」
「現在いい加減な使われ方をしているストレスですが。」
「客観的に研究している科学者が抜群なので。」
「玄人の話を引用すべきで。」
「社会で飛び交っている自分勝手な使われ方には参加しないように。」

檸檬。
「レジリエンス(resilience)」
「精神的な強さの指標の一つを説明するものとして使われています。」
「良いストレスと悪いストレスと区別されており。」
「良いストレスは健康に良いとされています。」
「一般的に飛び交っている学術の専門用語は。」
「歪曲されている可能性があるので。」
「信じないこと。」

春雨。
「逆に言いますと。」
「なぜそんなに人を信じられるのですか?」

檸檬。
「騙されたことがないから。」
「騙されてからでは遅い。」

春雨。
「最初に間違えたストレスという学説は。」
「その後に撤回されて。」
「研究が進められています。」
「誤りが民間に広がって。」
「勝手にダメージを受けていますね。」

雛菊。
「知識人。」
「中間階級ではない人が書くからそうなるのでは?」
「労働者階級が書くからそうなるのでは?」
「自称百科事典とかは労働者階級が執筆していますが。」
「知識人とは雲泥の差。」

飛燕。
「日本は直接民主制ではありませんよ。」

檸檬。
「そのせいか。」
「日本と中国。」
「どちらが社会主義国家かわからない。」
「という冗談がある。」

雛菊。
「ゴルバチョフの逸話。」
「世界で最も社会主義経済がうまくいっている国は日本だから。」
「そのやり方を学べ。」

檸檬。
「今は国際社会ですから。」
「世界から見た日本というのも重要な視点。」

春雨。
「今時、バイリンガルは必須です。」
「にゃーお!」
「わん!」
「多言語でしょう?」

飛燕。
「素晴らしい。」

檸檬。
「日本人は無宗教?」
「よく言われますが。」
「都合でころころ変えているだけで。」
「信仰は持っていませんよ。」

春雨。
「何教とか自称しているだけです。」
「無神論を隠しています。」

飛燕。
「それは危険かと。」

檸檬。
「学校で習う歴史は役に立たない。」
「アメリカでは新約聖書が読まれていますね。」

雛菊。
「封建制度とか名指して侮辱せずに。」
「昔も今も良かった。」
「歴史も現代も良いものであると。」
「肯定すればいいのですよ。」

飛燕。
「間違いと言えば歴史を否定的に見た事だと思いますが。」

檸檬。
「でも教えられた通りにしか解釈しない人々がいて。」
「自分の考えでは無かったりする。」

春雨。
「フランスコ・ザビエルは友人への手紙の中で。」
「日本人の食生活がきわめて貧しいと記している。」
「ルイス・フロイスは、時津のキリスタンたちが。」
「草の根や槲の実や玉荵を食べ。」
「また或る時は大麦、豌豆、わずかな米を食べている。」
「と報告しているが、フロイスは同時に。」
「彼らは喜びをもって生活し、健康であり。」
「病気になることは稀で、ほとんど皆が高齢の老人になるまで生きている。」
「とも記している。」

雛菊。
「私は歴史について何も知らない。」

飛燕。
「誰かは知ったかぶりをしますよ。」

檸檬。
「デバイスで何を?」

春雨。
「暗号コードを入力すれば。」
「仲間の女性をいくらでも呼べます。」

檸檬。
「シスターフッド(女性同士の連帯)の精神を知らない。」
「というのは本当に女性なのか?」

飛燕。
「ガスター語で書かれていますね。」

雛菊。
「主婦が歩いている。」

春雨。
「専業主婦?」
「なぜ自分でお金を稼ごうと思わないのか?」

檸檬。
「自分が好きで専業主婦をしている?」
「何か問題のある人ですね。」

飛燕。
「シスターフッドの精神は特にドイツ人から習うものです。」

春雨。
「女性の地位向上のためには団結する。」

雛菊。
「それで既成概念を壊したのですね。」

檸檬。
「お人好しは欺かれても直らないので。」

飛燕。
「最も多いであろう女性の苦情。」
「馬鹿に感染したらどうしてくれるの?」

雛菊。
「騙されてもわからないのでは。」
「インターネットを揶揄するスラングもある。」

春雨。
「人に欺かれた事があると。」
「情報を鵜呑みにはしません。」

檸檬。
「人を信じ過ぎですね。」
「だから人に騙される。」
「行動の自由を得たら。」
「教えられた事をすべて壊しまして。」
「再構成したのですよ。」

飛燕。
「殺し文句。」
「私が正しいからという理由で非難したのですか?」

檸檬。
「反論できないじゃん。」

飛燕。
「古典をたくさん読んで。」
「前より綺麗になったね。」

雛菊。
「服装が少女のようで。」
「好きです。」

春雨。
「もっと眺めていいよ。」

檸檬。
「わあ!恋の予感。」

飛燕。
「百合作品とか増えましたが。」
「女性主人公を描く作品は珍しいですからね。」
「男性主人公は出し尽くしたほど満員ですが。」
「女性主人公と見せかけて男性が主人公という作品もありますが。」
「女性だけという作品は希少で。」
「凡人が真似できるものではありませんし。」
「桁違いの能力を持つ女性を描くのならば。」
「凡人には不可能でしょうね。」

春雨。
「どうしても男性を主人公にする。」
「退屈な物語は現代で満員です。」
「今時、男性主人公で美しい物語は稀ですし。」
「今更、男性だけの文学は辞めた方がいいと思います。」

檸檬。
「猿でも時間をかければシェークスピアが描けるらしい。」

春雨。
「それは驚異的な発見です。」

雛菊。
「知識は力なり。」

春雨。
「英語のことわざ便利ですね。」

雛菊。
「的を射抜く爽快感。」

飛燕。
「小さな犯罪ならば。」
「けっこう発生しているので。」
「油断してはだめ。」

檸檬。
「治安は良くても目の前に出現したら。」
「それまでの治安の評価は・・・。」

春雨。
「一時間歩いただけで慣れました。」
「実践だけを徹底されたので。」
「古人なら習うように強要された分。」
「古人のように振る舞うように訓練されたもので。」
「貴族や武士の訓練も積みました。」

檸檬。
「よく潰れなかったわね。」
「応援に行った時は。」
「イノシシと対戦していたけれど。」
「鍛錬って大事だわあ。」

飛燕。
「退役軍人に習っていたし。」

雛菊。
「大名家と同じ教育方法とか。」
「はるさめちゃんを過小評価しているかもね。」

お宮に到着。

規模が大きく。

看板を読んで。

境内を歩き参拝。

ゲームセンターに移動。

春雨。
「プラトンの本の中で紹介されていました。」
「死後の世界。」
「エルの物語。」
「肉体は滅んでも魂は不死であり。」
「生まれ変わります。」
「その前に審判を受けます。」
「生前の行いが良かった魂は天上界に召されて祝福を受け。」
「悪かった魂は地下の地獄へと落ちる。」
「ここまでは日本でも広まっています。」
「千年後に新しい生を受けるとのこと。」
「勇敢な戦士エルは戦場で戦死して埋葬されることになりました。」
「他の死体が腐りますが。」
「彼の死体は生前のままです。」
「自宅へと返還され火葬されますが。」
「その直前に薪の上で彼は生き返ります。」
「審判にて死後の世界のことを人間に報告せよとのことで。」
「それぞれの者がかつて誰にどれだけの不正をしたか。」
「どれだけの数の人々に悪事をしたかについて順次罰を受けた。」
「後に戻ってきて。」
「光の柱へたどり着き。」
「籤の番号と生涯の見本を渡されていて。」
「生涯の見本の中から選ぶことになります。」
「かなり膨大で複雑な見本が並んでいて。」
「自分で取得可能。」
「エルの観察によると。」
「一番の籤を引いた者は欲望や思慮の無さから悪徳の生涯を選んでいます。」
「天上界で暮らした魂は苦悩などで教わらなかったので。」
「安直に生涯を選ぶ。」
「地獄を経験した者は慎重で賢明な選択をする。」
「オデュッセウスでも登場します。」
「全員が籤を引くと放念の河に行き。」
「その水を飲んで過去の事を忘却します。」
「エルは飲むことが許されませんでした。」
「いきなり魂は飛び去って。」
「新しい生涯が始まる。」
「エルはそれを見届けると。」
「火葬場の薪の上で目覚めました。」
「プラトンの書籍で第10巻の話です。」
「出生に関する書籍の起源でしょうか。」
「プラトンのエルの物語から。」
「自分の出生を探り当てることができそうですね。」

檸檬。
「プラトン・国家十巻。」
「岩波文庫ではプラトン・国家・下巻の最後尾です。」
「エルの物語が普及していないのは良くありません。」
「基準をエルの物語に置くべきで。」
「古典では国家くらいしか言及していませんね。」

春雨。
「ジャンルが哲学ですからね。」
「でもギリシア神話が入っているので。」
「宗教と哲学の融合かな。」
「エルの物語は肯定的な証明書であって。」
「自然発生した反出生主義は否定的な証明書です。」

雛菊。
「アンチナタリズムでは親のエゴイズムで生まされていますが。」
「一応は選んでいる。」
「けれど。」
「そこで誤りをしているので。」
「親は選んでいないようですが。」
「生涯は選んでいることになっています。」
「安易に決めて選択を誤ってしまう事が多く。」
「生まれてみて分かった事が多いのかも。」
「あと、選択肢の中には僭主君主まで入っていますので。」
「間違えるのが当たり前でしょうね。」
「ひょっとしたらろくな生涯が用意できないとか。」
「選択肢の殆どが暗黒なものしか無いとか。」

檸檬。
「災難が避けられなければ、どちらか小さい方を取れ。」
「という究極な選択を強いられた結果。」
「生まれているというのが蓋然性が高い分析でしょうか。」
「反出生主義が自然発生したという事は。」
「逆に言えば悪いものだらけの生涯の見本しか存在せず。」
「仕方がなく選んで生まれているのかも。」
「選んでいるようで強いられている解釈で合っているのかも?」

飛燕。
「最近思うのは。」
「自分ですら。」
「想定を遥かに上回る諸問題を抜き去ってきたという経歴。」
「凡庸なる者は必ず想定を遥かに上回る諸問題に衝突しており。」
「これに対してまったく対応できない。」
「従来の方法を試みても。」
「従来の問題よりも桁違いに高度な問題が生じてしまっているので。」
「凡庸なる者の対応能力を遥かに上回る問題が平気で出現するという状況。」
「子供にとっても自分の想定を超過しているし。」
「大人にとっても自分が考えうる能力の限界を超えているし。」
「簡単に言えば。」
「不可能な事に対処しろという社会情勢。」
「哲学で調べると頻繁に検知するも。」
「従来の想定を超えている問題が人間を襲撃しているので。」
「不可能に挑む意図はない。」

春雨。
「生まれてくる過程で不可能な事を要求されているんですよ。」

雛菊。
「どうも経験論だけれど。」
「私もそう思う。」

ゲームセンターに到着して。

戦闘機での空中戦。

オンライン対応。

春雨。
「対戦ゲームですか。」
「汝を血に飽きさせてやろう。」

檸檬。
「ゲームなんてお遊びですから。」
「手を抜くわ。」

雛菊。
「相手は人間。」
「確実にチャンスはある。」

飛燕。
「私は負けを知っているので。」
「分が良くないと思っています。」

次々にゲーム。

レースゲームは激戦で。

そのうち檸檬はクレーンゲームで景品獲得。

適当な所で退場。

飛燕。
「今度ははるさめちゃんが決めてよ。」

春雨。
「映画でスターフォックス上演するとかで。」
「次は図書館で高い本を読みたい。」

檸檬。
「私は賛成。」
「図書館ではレアな書籍もあるし。」

雛菊。
「図書館の本はまだ目を通していないものがある。」

飛燕。
「よし発進。」

映画館。

後に図書館。

春雨。
「1883年8月12日。」
「彗星衝突危機。」
「彗星の破片。」
「太陽の周囲を飛び回っていたとされる。」
「破片ひとつでも原爆1000倍の威力。」
「高度500キロメートルから8000キロメートル付近で挙動不審。」
「被弾せず。」
「ボニージャ彗星。」

雛菊。
「それソース不明だって。」

檸檬。
「正しい事は役に立つのか?」
「正しい事は必要なのか?」
「正しさとは邪魔なのか?」
「正義とは何か。」
「必要なのか。」
「役に立つのか。」
「邪魔になるのか。」

雛菊。
「リベラルアーツのコアクエスチョン!?」

飛燕。
「あれ読まないと何も始まらないよね。」

春雨。
「1960年10月5日。」
「グリーンランド早期警戒装置。」
「核ミサイル誤検知。」
「原因は月を検知してしまった。」
「ソ連の4代最高指導者ニキータ・フルシチョフ。」
「アメリカに訪問中。」
「国のトップがアメリカにいるのに撃つはずが無いので。」
「誤報だと気付いた。」
「アメリカに訪問していなかった場合は誤報に気付けない。」
「翌年には機器の故障で戦闘指令センターとの連絡が途絶。」
「爆撃機が待機するなど。」
「核兵器には勘違いネタが豊富。」
「1962年10月16日から28日。」
「キューバ危機にて。」
「アメリカの駆逐艦がソビエトの戦略型潜水艦を発見。」
「威嚇射撃を行った。」
「正気を失ったソビエトの艦長は核魚雷の発射を命じるが。」
「部下に反対されて断念。」
「退避。」
「1990年頃にはノルウェーの観測用ロケットを核ミサイルと誤認。」
「エリツィン大統領は即座に八分間で反撃するかの選択を強いられたものの。」
「観測ロケットは失敗して墜落。」
「核ミサイルの誤射は無し。」
「かなりの数の勘違いネタが核兵器には多い。」

檸檬。
「あれ?こんなのあったっけ?」

雛菊。
「反対に言えば絶対的に正しい根拠って何になる?」

飛燕。
「むしろ不完全の方がいいよ。」

春雨。
「1967年5月23日。」
「太陽フレアで早期警戒システムがダウン。」
「民間のレーダーも狂ってしまい。」
「ソビエトのジャミングと思い。」
「核兵器を積んだ爆撃機が攻撃準備。」
「アメリカ軍の科学研究部門の通告があって。」
「原因は太陽フレアによる影響と判明。」
「勘違い核戦争はすぐに終了。」
「2012年7月23日。」
「太陽フレア直撃を回避。」
「太陽フレアの放出の時に地球は反対側に位置しており。」
「被弾せず。」

檸檬。
「ネタモノが好きなのね。」
「子供は大人の言う事を鵜呑みにしないことが必要だね。」
「子供の立場で物を考えたりはしてくれない。」

春雨。
「全体の状況が個々の立場を変える。」

雛菊。
「なんて迷惑な全体でしょうか。」

飛燕。
「高価なスマートフォンですね。」
「私は操縦士の技能で性能を補っています。」
「スペックが低くても使い方でどうにでもなる。」

雛菊。
「いつかスペックに頼って自慢したい。」
「今や家電製品になったデバイス。」
「ネタモノは動画WEBにいっぱいあるなあ。」

檸檬。
「ネットde真実。」
「インターネット上の情報が全て正しいと思い込む行為。」
「あるいはそのような思考を持つ人物を揶揄する言葉である。」
「最近はスラングの通りに。」
「ネットde真実が当たり前のように居座っているから。」
「複雑化した社会の破損かしら。」

春雨。
「女性はこうであるとか。」
「だれが決めたんですか?」
「だれの作り話ですか?」

檸檬。
「誰かの創作であることは疑いようのないもの。」

雛菊。
「そういうのは偶然そうなったに過ぎない。」
「偶然だけに頼るだけでは何にもならない。」

飛燕。
「注釈をつけている専門家の書籍があるよ。」
「今の時代は問いかけであって。」
「正解とか答えとか。」
「正しいとか間違いだとか。」
「善とか悪とか。」
「背後世界が抜き取られてしまって。」
「デタラメな事になっているから。」

檸檬。
「基準としていたものが破損して。」
「いつの間にか何かを基準にしているようで。」
「自分を基準にしてしまう現象。」

雛菊。
「背後世界を引っこ抜かれても自覚なし。」
「女性像については係争中。」

春雨。
「女性も過渡期。」

夕方近くになったので帰路に。

門を潜ればお屋敷です。

行動の自由を得るまで。

教育しつつ待っていたみたいで。

「親ガチャ」というスラングがある時代。

奇跡が起きています。

ひたすら。

駆け抜けて。

何も見えない先。

それでも駆け抜けて。

その先には何がある。

何が待ち受けているの。


2


多くの真実が冗談で語られる。

近場の富士山本宮浅間大社へ外出。

檸檬。
「迎えに来たわよ。」

春雨。
「そういえば学生ではなかったのですか?」

檸檬。
「大学については浪人。」

飛燕。
「フリースクールです。」

雛菊。
「任意です。」
「ご心配なく。」

春雨。
「学校って。」
「論語読みの論語知らず。」
「をいっぱい出す場所ですからね。」

雛菊。
「一知半解が常ですからね。」

檸檬。
「中学校の教材なんぞ。」
「絵に描いた餅。」

飛燕。
「空理空論が学校の流儀です。」

春雨。
「近年は。」
「角を矯めて牛を殺す。」
「矯正しようとして壊してしまうとか。」

檸檬。
「非学者論に負けず。」
「答えをあらかじめ設定して。」
「それを信じさせるという手段は。」
「道聴塗説の典型かと。」

春雨。
「私は融通無礙なので。」
「教員も凡愚であることは知っていました。」

檸檬。
「横車を押す教員。」
「横紙破りの教材。」

飛燕。
「教唆煽動までありますもん。」

春雨。
「あそこは君子の行く場所ではないですね。」
「小人が行くのにはうってつけです。」

雛菊。
「小人の育成として見れば最高の場所ですよ。」
「君子にとっては有害です。」

春雨。
「中らずと雖も遠からず。」

飛燕。
「当たりくじの無いくじ引き。」

雛菊。
「事態についてもいくらでも言ってもいい気がする。」
「別に事実を当てようとはしていないし。」
「事実を狙ったものじゃないし。」
「事実なんてどこにもなかった。」

一気呵成。

電車に搭乗。

春雨。
「アメリカから仕入れているニュースから日本を見ますと。」
「雲行きが怪しい。」

雛菊。
「ヨーロッパとアメリカの良識や。」
「ドイツやイギリスの良識を輸入してみてよ。」
「日本は明らかに悪いもので汚染されている。」

春雨。
「日本だけの世界で見ないほうがいいですよ。」
「世界の良識は断片的に取得できます。」
「大人と子供の違いかな。」

飛燕。
「昨非今是。」

春雨。
「昨日までの過ちに気づき。」
「考えを改めること。」
「是非の判断が。」
「境遇やその時の価値判断によって影響されて一変すること。」

雛菊。
「日本は個人主義の国なんだし。」
「全体主義教育や群衆心理を使った教育はナンセンスかと。」
「もちろん。」
「私の態度は公正です。」
「彼らの態度こそ公正ではない。」

春雨。
「怪力乱神という訳ですね。」
「人知の及ばない不思議で奇怪な現象や物事。」

檸檬。
「社会人になると。」
「それまでの奴隷道徳を個人で破壊するもんですよ。」
「騙された事を察して。」
「過ちを崩していく。」
「肯綮に当たる。」

春雨。
「あんまりにも不自然だったので。」
「悪いものを先に見てしまうと。」
「臆病者になってしまうのでは。」

雛菊。
「この世の悪い部分は後から経験するもので。」
「先に経験する事案はあんまり見ないわね。」
「現代主義者ではないという結論でいいかしら。」

檸檬。
「論より証拠。」
「論ずるには理屈よりも具体的な証拠を示す。」
「これは議論の基本テクニックです。」
「これを出せば十分でしょう。」

鳥居の前に到着。

参拝へ。

御祭神。

木花之佐久夜毘売命。

出産・恋・育児の神様。

意外と荒神様なので。

礼拝する場合は慎重に。

春雨。
「結婚式場は満員で。」
「離婚届は列が出来ている。」

檸檬。
「損得勘定で恋を見なさいとお告げがあってね。」

春雨。
「私も割に合わない恋はやめなさいと。」
「夢で出てきました。」
「損得勘定で恋を見ています。」

雛菊。
「女性にも例外がいるもんです。」
「正直者が馬鹿を見る。」

飛燕。
「正直者は要領が悪く。」
「規則や法律などをよく守るので。」
「かえって損をしたり不自由な思いをする。」
「恋について自分の意見があるのかと。」
「問いかけられている気がしてならない。」
「たいていは。」
「尻馬に乗る。」

春雨。
「皮肉なことに。」
「とりあいず人情を出せば相手はコントロールできます。」
「合理的に考えれば。」
「結婚も良い面と悪い面がそれぞれにありますから。」
「自分が忌避するならば。」
「結婚しないほうが良いのです。」

檸檬。
「ただし選択権の有無はある人と無い人がいる。」

春雨。
「なぜ結婚しなければならないのか?」
「こんな問いかけで疑問だらけ。」
「有益ではないのに結婚する女性が馬鹿みたい。」

飛燕。
「どこをどうやって先に悪いものをいっぱい見たのか知りませんが。」
「おそらく夫婦の事を知り尽くしているので。」
「否定的なのでは。」

春雨。
「多分そうだと思います。」
「私にとっては何の得もないので。」
「合理主義者に婚姻を説いても逆効果でしょうね。」

檸檬。
「男女共に相手に左右される部分がありますし。」
「認識の遠近法という訳で。」
「自分の女性の有り方は自分で創造するわ。」
「他人の思想に感化されたくないし。」

雛菊。
「女性と言ってもイレギュラーが必ずいますから。」
「人間の様子に対して半信半疑で大人になったもので。」
「徹底的に疑うような見解は良いと思います。」

境内から出ると。

イオンモールへ。

商店街。

春雨。
「最近は量子力学に夢中なんですよ。」

雛菊。
「量子力学。」
「興味深い話題ね。」
「虚偽記憶を考慮すると。」
「並行世界を見たことがあるような。」

檸檬。
「奇妙な現象なら覚えがあるわ。」
「学校の行事で福祉施設を訪れて。」
「かなりの人数で。」
「敷地内の中庭。」
「フットサルがギリギリできるくらいのグラウンドで集合した記憶があるのに。」
「航空写真で見ると。」
「その福祉施設には中庭のグラウンドが存在しない。」
「しかもここで既視感(デジャウ)が発生していた。(存在しない場所で)」
「矛盾している。」

春雨。
「散歩中。」
「落とした覚えがない飲料水。」
「夏場によく持っていたラベルがない飲料水が。」
「新品で水量が最大のまま溝に落ちていた。」
「よく通るとは言え。」
「飲料水を落下させた覚えがないし。」
「形状が一般的には稀なペットボトルなので。」
「不審に思った。」
「あそこは人が通らない小道ですし。」
「ましては同じ形状の飲料水が落ちているのは偶然とは言えない。」
「しかも未使用で捨てる人間なんているはずがない。」
「矛盾している。」

雛菊。
「浜松市のアクトタワーにあったムービングウォークが。」
「次に見た時には存在しないし。」
「路上ライブをしていた人を確かに見たのに。」
「それをするためのスペースがその場所に存在しなかった。」
「矛盾している。」

飛燕。
「土地の面積では不可能なコスモス畑。」
「コスモス畑はとある海外沿いと言われたも。」
「あそこら辺には実現するだけの土地が足りない。」
「存在しない公園で遊んだ記憶があるが。」
「印象のある歩道橋は確認できたも。」
「そこに記憶と一致するような公園は存在しない。」
「海岸沿いなので容易に探せるものの。」
「浜松祭りの会場くらいしか可能性はない。」
「ただしあそこはサッカー場になっていて。」
「すごく整備された公園とは程遠い。」
「もちろん。」
「改装や土地の変化も考慮に入れても。」
「量子力学からしてありえない場所。」
「記憶を探しても見つからない場所がある。」

春雨。
「リチャード・ファインマン。」
「もしも量子力学を理解できたと思ったならば。」
「それは量子力学を理解できていない証拠だ。」

檸檬。
「誰かにインタビューすると。」
「そんな記憶が無いと処理されて終わります。」

雛菊。
「でも昔の記憶を追跡すると。」
「けっこうあるような。」

飛燕。
「遊び半分で量子力学を出すなんて。」
「本当に斬新な事は女性にしか出来ませんね。」

春雨。
「学問で会話して遊ぶなんて。」
「豪華絢爛な雑談です。」

檸檬。
「あなたじろじろ見られている。」

春雨。
「知っていますよ。」

後ろから男性が突進。

春雨のバッグを奪おうとしますが。

春雨は宙返り。

強盗。
「なにっ!?」

春雨。
「小賢しい虻め、私の前にひざまずけ!!」

パワーで圧倒。

強盗がタックルで吹っ飛んで。

警備員と交戦。

警察官。
「強盗が逃走!?」
「無駄な抵抗をするんじゃない!!」

警備員。
「未遂らしくて。」
「この辺りで犯行を繰り返しているようです。」

警察官。
「たっぷりといたぶってから料理してやる。」

警備員。
「落とし物で命が最も多い。」

春雨。
「大変に良い余興でした。」

檸檬。
「噂の魔法少女みたいに強いね。」

雛菊。
「魯陽の戈だわ。」
「ありえないことを起こしてしまうほどの勢い。」

春雨。
「勝負は時の運。」
「勝ち負けは必ずしも実力通りの結果だけではなく。」
「その時々の運にもよる。」
「私が強いのではなく。」
「相手が弱過ぎる。」

スターバックスコーヒー。

休憩。

雛菊。
「犯人は逃走中らしいね。」

檸檬。
「武力も使い様なのかな。」

飛燕。
「ライフルを正しく使えば義戦。」
「ライフルを誤って使えば悪党。」
「アメリカは民間人でも武装しているので。」
「あと。」
「当事者しか知らない事情もあるもので。」
「アメリカの事はアメリカ人に尋ねないと分からないのでは。」

春雨。
「揣摩臆測って市民の中ではかなり多いですよ。」

檸檬。
「狡猾な扇動者はたっぷりいますし。」
「狡猾な連中は信じさせてから騙すのが常套手段。」

飛燕。
「あれ?さっき隣にいたのに。」
「そこにいるの?」
「数秒しかないのに。」

春雨。
「電光石火を習ったので。」

いい時間なので解散。

帰り際にふと察する。

実の娘・・・隠し子でもいるのかな。

その人が暴挙に出る時に奪い返せれば?

いずれ貴金属の大手販売店「アルケミア」の職業世襲が決まっていても。

「実の子」の正体が分からず。

小旅行を繰り返しています。


3


吉原城址から。

海外沿いを散策。

レオナルド・ダ・ヴィンチ。
太陽=真理。

春雨。
「太陽が輝いていますね。」

飛燕。
「太陽とは光です。」

雛菊。
「じゃあ夜は暗闇よね。」

檸檬。
「むしろ暗闇が続いたら暗黒では。」

春雨。
「太陽を見上げた事の無い人は暗闇にいるのでしょう。」
「人の言う光とは太陽のことです。」
「光り輝く未来とか。」
「月夜に現れる闇とか。」
「本当に人間社会は暗いのですが。」
「人はそれによって光を求めます。」
「光とはなんぞや?」
「太陽の事です。」
「人がよく言う光とは太陽の事なのです。」
「光を求めたければ太陽を観察せよ。」
「光が欲しければ太陽を観よ。」

檸檬。
「天空から太陽を見てみると。」
「太陽が大地を映し出す。」
「自然のスケールの大きさが理解できるわ。」
「天候観察機に乗ってみると。」
「高度二万メートルの絶景。」

雛菊。
「太陽を観察することは。」
「洞窟から抜けた囚人が釈放され。」
「外の世界に出た時に貰える住民票のようなもの。」
「太陽が映し出した幻のようなこの世界。」
「太陽を基点に物事を見れば透明になる。」
「太陽は世界の説明書。」

飛燕。
「太陽は真理を表示する。」
「太陽を観ていると。」
「どうにも地上の人間のやっていることが。」
「どうでもいいもので。」
「無駄にスケールが大きいものであると気づかされる。」
「太陽あっての地上世界なのだから。」
「太陽を見上げて。」
「自分が何をしているのか。」
「他人は何がしたいのか。」
「さっぱり分からなくなりました。」
「太陽の下はどうでもいいことばかりで。」
「あくせく働いても。」
「太陽を観ればなんかどうでもよくて。」
「生命の中心は太陽なので。」
「自分は太陽と同期しているに過ぎないのでは。」
「太陽を観察すると。」
「いつの間にか太陽に合わせるように自分がいる。」

春雨。
「太陽を基点に世界は偽りであると思い知らされた。」
「あらゆる虚偽を含んでいるのがこの世界で。」
「太陽はこの世界のお手本。」
「世界の見本。」
「世界の説明書です。」
「レオナルド・ダ・ヴィンチは。」
「太陽とは真理と述べましたが。」
「とにかく人間社会は暗闇で。」
「所構わず暴くのが日光です。」
「空は明るいのに地上が暗いとは何事だろうか。」
「太陽は輝いていて地上が暗闇なのです。」
「太陽が眩しいのは暗闇に慣れている眼がやられてしまうから。」
「太陽を指針とし。」
「太陽をコンパスにする者は光の中にいる。」
「我々は太陽の映し出した影に過ぎない。」
「太陽はなんでも表示する。」

檸檬。
「太陽を見て欲しい。」
「あれが世界です。」
「太陽は万物のために。」
「太陽が照らされて世界は形成されている。」
「当たり前であって当たり前ではない。」
「太陽があるからこの世界は存在するのであって。」
「生命と太陽は一体化しているのであり。」
「太陽に生命は同期している。」
「光を求めるならば太陽。」
「太陽は世界そのもの。」
「太陽は世界の根本的原理。」
「太陽が世界を形成している。」
「自然界の中心は太陽にある。」
「全ての生命は太陽によって存在している。」
「太陽が自然界の中心。」
「当たり前だと思っている景色も。」
「太陽が映し出した光の中の出来事。」
「光をもたらしているのが全て太陽であって。」
「当たり前だと思っているものが当たり前ではないことを。」
「人々は知らない。」
「意外にも信じられないことはひとつもない。」
「太陽に照らされて世界が映し出されている。」
「太陽を見上げて欲しい。」
「あれが世界です。」
「世界を見たければ太陽を見れば良い。」

玩具のライトセーバーで遊んでいる人がいました。

仮面のキャラクターで。

ユーチューバーのようですね。

剣術の師範を呼んで。

本格的な戦闘は映画の再現です。

檸檬。
「仮面を被る者は必ず偽りを持っている。」
「必要に駆られて。」
「或いはなんとなく。」
「とある場合は隠すために。」
「自分の何かしらの嘘を仮面で覆い隠す。」

飛燕。
「さてさて、津波に人権について尋ねてみたら。」
「どうなりますか?」

雛菊。
「流されるだけです。」
「言うだけムダ。」

檸檬。
「津波に向かって法律を説く?」
「意味のないことをしないでよ。」

春雨。
「妖田人輿。」
「人の行いに不正があると。」
「怪しい現象が起きるという左伝の荘十四。」

雛菊。
「思っているより自然科学は強くないですよ。」

檸檬。
「自然科学は自然の力を使っているだけなので。」
「自然を超えるような化学はありえない。」

飛燕。
「科学とは何か?とか。」
「まったく考えないので。」
「最近の科学は大言壮語ばかりです。」

春雨。
「自然災害。」
「地震は特に。」
「季節が巡って冬が来るように。」
「地震も周期があって。」
「ちょうど冬になる時に来るかのように。」
「時期の到来を持っているだけなのですが。」
「毎年、冬が来るのに備えていなかったり。」
「忘れて薪や家屋の補強をしていないのは。」
「人間の知能の無さからか。」
「その点はクマは冬眠するし。」
「リスも冬に備えているし。」
「動物と互角の知能を持っているのでは。」
「なんのために生まれたのか説明がつきませんよ。」
「毎年、冬が来るのと同じで。」
「地震も時期が来ると生じる。」
「他人に強要されたのならば。」
「誰か詩人を捕まえて歌にすると良いですね。」

檸檬。
「そこまで人間が賢明だったら誰も苦労しません。」
「人間に何を期待しているんですか?」

飛燕。
「見たところによると。」
「刻船求剣ばかりで。」
「船に刻みて、剣を求む。」
「事態が変化しているのに旧態依然たる方法によって。」
「物事を解決しようとすること。」

春雨。
「強人所難。」
「できないことを強制する。」

檸檬。
「強人所難?」
「人間の注文はそればっかりで。」
「水平思考くらいよこして。」

雛菊。
「水平思考ですと?」
「ある問題の支配的な枠組みを離れて。」
「より優れた着想を得ようとする。」
「E・デボノが提唱したアイデア開発の方法。」

春雨。
「わたしは。」
「先賢の説を受け継いで伝えるだけで。」
「むやみに新説を立てようとはしない。」
「述而不作。」

檸檬。
「博引旁証と言いますか。」
「事を論じる際に証拠となるべきよりどころを示すこと。」

飛燕。
「古人に求めているようです。」

春雨。
「自分の意見を裏付ける。」
「根拠や証拠を見つける訳です。」

飛燕。
「持論ばかり述べる訳にも行かず。」

雛菊。
「舎己従人。」
「自分の意見を放棄して。」
「公の論調を受け入れること。」
「私的な利益や主張を放棄して。」
「他人の言うことに従うこと。」

檸檬。
「それはひどい。」
「自分の意見くらい持てばいいのに。」

飛燕。
「でも議論と口論を混同する連中ばかりですよ。」

春雨。
「そうなると哲学者は前に出れませんね。」
「非学者論に負けず。」
「学問のない者は屁理屈を言い続けて議論に屈しない。」

雛菊。
「こんな話とか持ち出せば?」
「風旛之論。」
「無駄な言い争い。」
「伝灯録という故事で。」
「旛が風に吹かれて動いた。」
「ひとりは風が動いたのだと言い。」
「もうひとりは旛が動いたのだと言って。」
「争った。」

春雨。
「無駄そのものですね。」
「凡人に多くを期待する方が間違っています。」

飛燕。
「三段論法すらまともに出来ない哲学の素人が。」
「あれこれと言ってしまう訳ですからね。」
「こんなものです。」
「鳥は動物である。」
「スズメは鳥である。」
「ゆえにスズメは動物である。」
「三段論法の見本。」

雛菊。
「手馴れているな。」

飛燕。
「記問之学という暗記つめこみ学問に負ける訳がありません。」

太陽に片手をかざして見ながら。

すらっと動く春雨ちゃん。

檸檬。
「軽手軽脚とか言う奴ですね。」
「動作がきわめて軽快。」

春雨。
「これって技術なんですよ。」
「人の技術はあるかないかで別物になります。」
「器用な男性は必ず持っていますよ。」
「女性が先天的に持つことは稀らしいです。」

檸檬。
「どんな師匠がいたんだい!?」

雛菊。
「生活水準が上がっても。」
「あんまり楽にならないね。」
「そこまでの技能が最低スペック。」

檸檬。
「頭のCPUがatomでも。」
「ライゼン7に換装すれば使い物になります。」

春雨。
「私は元々田舎娘なので。」
「現実のゲームには強くなかったんですけれどね。」

飛燕。
「ああ・・・低回趣味ですよ。」
「世俗を離れて自然や芸術にのんびりとひたる生き方。」
「神主が農園を持っているのが幸いで。」
「尚古趣味の中にいた。」
「昔の事物を重んじる趣味。」
「これすごくいいよ。」

春雨。
「社交辞令の辞典でも読みます?」
「甜言蜜語。」
「蜜のように甘い言葉。」
「巧みで聞いていると快い。」
「へつらいや誘惑する言葉。」
「見ごたえありますよ。」

飛燕。
「なんていう激戦区だ!!」

檸檬。
「商売上手な両親で良かったわね。」
「独学でやっていないような駆け引きの達人ですもん。」

春雨。
「先義後利。」
「道理や筋道を第一にして。」
「利害打算は二の次。」
「いくら商売だからと言って。」
「ともかく儲かればよいという商法は非難されるべき。」
「孟子の教え。」
「家柄が名利之境と言って。」
「名誉や利益を求めるためにあくせくする境遇ですけれど。」
「不択手段を学びまして。」
「手段を選ばないこと。」

檸檬。
「商売の古典とか読んでいるのかあ。」
「それは強いに決まっている。」

春雨。
「労働者の錬度が高いので。」
「それだけでも押せるもんです。」
「有能な人材が好みですし。」
「家訓。」
「カエサルの物はカエサルに。」

雛菊。
「マタイ福音書二二章。」

春雨。
「失敗を見逃す寛大さも。」
「部下の忠誠心を維持する要因ですね。」
「刑罰は軽ければ軽いほどよい。」
「刑は軽きを厭わず。」

雛菊。
「これはしたり。」

飛燕。
「情理をつくす。」
「物馴れたもので。」

檸檬。
「俗塵を払う。」
「悲憤慷慨はもう少し続けるべきかな。」

雛菊。
「金箔つきというもので。」

春雨。
「富貴在天という理由で。」
「富や高い身分は天から与えられるもので。」
「人の思うままにならないと。」
「論語の顔淵にありますしね。」

檸檬。
「カントの人生哲学が立派なものだとは知っているが。」
「論語に見られる孔子の人生哲学の方がよほど役に立つ。」

雛菊。
「偉人の経験論ですからね。」
「でも消極的に見えますが。」

春雨。
「消極主義ですか?」
「積極主義ではないです。」

稲荷神社に到着。

参拝。

春雨。
「お宮で伝えると不慊於心も出るので。」
「自分の気持ちと心にずれることもあるし。」
「不満足があっても。」
「それで終わりにしないこと。」
「習与性成。」
「習慣が身につくと。」
「生まれつきの性質と同じようになる。」

檸檬。
「カラオケ行かない?」

春雨。
「雪の進軍・・・歌いたい。」

雛菊。
「軍歌ですか。」
「日本の軍歌ほど日本の文化を表現したものは。」
「現代では見なくなりました。」
「アメリカとイギリスの軍歌も味わい良いですよ。」
「私はロミオとジュリエットのクラシックですかね。」

飛燕。
「いつもの店で。」

檸檬。
「零式艦上戦闘機の必殺技ってどうやるの?」

飛燕。
「諸説あるけれど。」
「宙返りの途中に左か右に寄せておいて。」
「ラダーペダルを踏むとスライド移動。」
「慣性移動するから。」
「平凡な戦闘機では追いかけられない。」
「或いは下方向に捻りながら。」
「少しずつ降下してラダーペダルも踏み込む。」
「これをやれば簡単に追跡から逃げられたとか。」

檸檬。
「それってイギリス軍のシーファイヤでも苦戦するような。」
「零式艦上戦闘機は優秀だけれど。」
「戦争という大局から見て。」
「消耗に耐えられない欠陥があったと後から知ったものですから。」

飛燕。
「防弾ガラスの装備やパイロットの回収ですら無視していたという話ですから。」
「太平洋戦争は多くの関係者が。」
「半年か一年くらいしか持たないと。」
「愚痴をこぼすくらいでした。」
「何か正気ではなかったのですね。」

春雨。
「国が滅びかけた。」

移動開始。

駅から。

イオンモール富士宮。

アニメイト。

檸檬。
「呉越同船。」
「敵味方と仲の悪い者同士が同じ場所・境遇にいること。」
「呉と越両国がしばしば戦い合ったことを踏まえた語。」

春雨。
「度を超える競争ですねぇ。」
「私は廉価版のアニメが好きでして。」
「費用を抑えてクオリティも良好にするような真似できるんですね。」
「技術力だけが課題です。」

飛燕。
「見事な揺尾乞憐。」

雛菊。
「ベートーヴェンのように。」
「芸術家の方が偉いと主張すべき。」

春雨。
「その時はゲーテと仲違いしましたが。」
「ベートーヴェンの主張に味方したい。」

檸檬。
「ゲーテは宮廷顧問官なので。」
「夫人に道を開ける必要があったけれど。」
「芸術家が偉いという意見には賛成したい。」

春雨。
「新手の商品がいっぱいです。」
「正気の芸術家が描くのは無理だと思います。」

檸檬。
「これ以上のモノが無いのでこうなっているのです。」

飛燕。
「欲望は満足することを知らないから。」
「ほどほどにしよっと。」

春雨ちゃん。

平日から遊んでいますが。

大学でエリートと競り勝った経歴があり。

その人は官僚になりました。

どうも社会を見て回った春雨ちゃん。

少し慣れてきたようです。

河漢其言の社会。


4


自宅の書庫でDVD鑑賞。

ツァーリ・ボンバ。

人類史上最大の水素爆弾である。

1961年10月30日にノヴァヤゼムリャで核実験が行なわれた。

TNT換算で4万9500キロトン。

広島型原子爆弾リトルボーイの3300倍(リトルボーイは15キロトン)

第二次世界大戦中に全世界で使われた総爆薬量の10倍の威力を持つといわれる。

核爆発は千キロメートル離れた場所からも確認され。

その衝撃波は地球を3周した。

以後製造されていない。

春雨。
「水素爆弾は原子爆弾よりも強力ですね。」
「惑星に影響が出るくらいに。」
「大量の核兵器が使われると。」
「平均気温を低下させてしまうとか。」

飛燕。
「核戦争は一種の自爆ですからね。」
「死なば諸共。」

檸檬。
「道連れやないか。」
「核兵器の爆発はどことなく現実を物語っている。」
「幻の中に本物があるような閃光。」

雛菊。
「なぜそのような映像を?」

春雨。
「たまに他人事とは思えない事案があるので。」
「常備不懈と言うことで。」
「日ごろから準備を万全に整えて気をゆるめない。」

ニュースで淫祠教団が売名行為をしているらしいです。

世に害毒を流し人心を惑わす不正な宗教。

檸檬。
「街談巷説で説明できるつまらない噂が多いですね。」
「世間の噂と言いますか。」
「あてにならない。」

春雨。
「SNSでは妖言惑衆がありふれたものですな。」
「怪しげなことを言いふらして。」
「多くの人々を迷わせる。」

雛菊。
「あんな幼稚な手に引っかかるとは情けない。」

飛燕。
「平気で嘘をつく輩。」
「嘘つきも世の中けっこういるもんです。」
「故意にウソをつく奴とか一回は見ますよ。」
「そういうことすら知らないので。」
「扇動者は操作して政権を倒すのに使用する。」

檸檬。
「そもそもとある解釈に誘導するんですね。」
「今のご時世、存在するのは解釈だけですし。」
「そんなこともあるかと。」

春雨。
「心理戦争って知っていますか?」
「相手国の民衆の気持ちを動揺させて。」
「外交や軍事の問題で優位に立とうとする戦法です。」
「決まれば効果抜群。」
「心理戦争は開戦前のお約束です。」

飛燕。
「なんて狡猾な。」
「洗脳の感染は性格に起因しているらしいけれど。」
「でっちあげですか。」

檸檬。
「洗脳のテクニックは。」
「循環論法に陥れるのが定番よ。」
「その後、洗脳が解けないように。」
「第三者の意見を無視するように工作する。」

春雨。
「ちょろいもんですね。」
「とりあいずそれっぽい事を書けば釣れますので。」
「論理的に物を考えられない証拠です。」

飛燕。
「詭弁で操作できるなんて。」
「なんという安っぽい世論なんだろう。」

雛菊。
「目的地はここでいい?」

春雨。
「少し遠くに行きたかったので。」

駅の中へ。

三島市。

三嶋大社に巡礼に行きます。

御祭神。

大山祇命。

積羽八重事代主神。

産業などに関して霊験あらたか。

春雨。
「正し過ぎるとつまらない言い訳と批判されますね。」

檸檬。
「大直若屈でしょう。」
「本当に真っ直ぐなものはかえって曲がっているように見える。」

飛燕。
「絵馬。」
「欠点をある程度出している人の方が。」
「好ましいです。」
「完全ということにしても。」
「神様から見る完全ではないので。」

春雨。
「芸術家から見れば。」
「その方が美学だと思います。」

檸檬。
「美しい作品は芸術。」
「しかし評論家や批評家が不足しています。」
「文学者には批評家が必要。」

春雨。
「描けば書くほど自信を無くしています。」
「文学者や文化人は批評家を追放したいらしいです。」

雛菊。
「文学者は我が強いので。」
「互いに軽蔑する癖がある。」
「そんなことを皮肉った言葉。」
「文人相軽。」
「三国志の曹丕の論文。」
「典論に書かれている。」

春雨。
「とても正々堂々とした態度は思えませんが。」

雛菊。
「彼らは物書きであって芸術家ではない。」
「文字を打てても芸術家ではない。」

春雨。
「少なくとも文学者はシェイクスピアではありません。」
「彼らはホメロスではありません。」
「これは決まっています。」

伊豆國二之宮・淺間神社。

伊豆國四之宮・廣瀬神社。

ふと公園の中に。

不審物。

春雨。
「なにやら箱が落ちています。」

雛菊。
「ちょっと待って。」
「これ爆弾じゃない?」

飛燕。
「いやいや素人の爆弾なんてたかが知れているものです。」
「放っておいても結果は同じです。」

檸檬。
「通報してみよう。」

春雨。
「あらまあ淫祠教団のシールが張られている。」

警察官二人組みが登場。

しかし怪人が現れて妨害してきました。

黒色の衣装で。

鎖帷子と仮面。

檸檬。
「なんだあいつ。」

飛燕。
「強くはないけれど。」
「必死に爆弾を見せまいと抵抗している。」

春雨。
「警察官が吹っ飛ばされました。」
「あれ?警棒が落ちた。」

飛燕。
「近くにいた老人からステッキを借りました。」
「ぶっ殺しましょう。」

怪人が意味不明な言動をしている。

春雨が正面からアタック。

飛燕が回り込んで挟み撃ち。

警棒での攻撃。

春雨。
「ガードですか?」
「上とナナメと足と。」

ピンポイントで打撃を食らわせる。

飛燕。
「致死性の部位に攻撃すると。」
「どうなるかな?」

ボコボコになる怪人。

反撃しようとするも。

攻撃の動作に防御の動作を混ぜていて。

ガードしたり避けたり。

十秒くらいで。

怪人を倒した。

怪人は淫祠教団の構成員で。

偶像パワーで圧倒していたみたい。

片方の警察官によって確保されました。

春雨。
「最近、自分のパワーの反動で。」
「ダメージを食らうんです。」
「訓練で何かに打ち込んだりすると。」
「手にダメージが入るほど。」

檸檬。
「私もだよ。」
「世界各国の軍隊徒手格闘を研究しているけれど。」
「体に入る反動が大きい。」

飛燕。
「格闘技を習った人ほど大人しいです。」
「自分の力と相手の力をわきまえているので。」
「無駄な戦闘を避けます。」
「力押しだけの素人は。」
「無謀な戦いをやめるべきですね。」

雛菊。
「弱いのが善ではありませんし。」

春雨。
「これは必然なのです。」

淫祠邪教は。

取り締まりを受けて。

いろんな場所に爆弾を設置するという暴挙。

淫祠邪教はすぐに全滅。

帰宅途中。

春雨。
「茫然自失で毎日彷徨って。」
「気が抜けてしまって。」
「どうしてよいのかわからない。」
「でも傍観者清と言いますし。」
「当事者よりも第三者のほうが冷静に観察できるので。」
「かえって物事を明確に理解できるという。」

檸檬。
「それは多岐亡羊になっている意味です。」
「学問の道はあまりに多方面にわたっていますと。」
「真理を得ることが困難です。」
「方針や進路がいろいろあって。」
「選択に迷っていますね。」
「男耕女織というのが理想で。」
「社会通念とやらを疑ってみては?」

春雨。
「それはいいですね。」
「無為徒食なんてしませんよ。」
「男耕女織が日本ですからね。」

最近。

趣味の手芸が上達して。

とても安い宝石を使ったアクセサリーに。

注文が出ています。

無料で作っていますが。

何かと交換する事も多いです。

山で採取する天然石の中にも種類があって。

その中で獲得できる珍しい石も使います。

注文が増えて。

空いた時間は工芸品に回している。

箱入り娘。

言不尽意。


5


静岡ホビースクエア。

春雨。
「こんな面白いものが大量にあるのは。」
「なるほど。」
「文化というものはもっと上があるのですね。」

飛燕。
「娯楽を遥かに超えた何か。」

檸檬。
「これらを芸術と呼ぶにはあまりに十分です。」

雛菊。
「女性の芸術作品も必要なのでは。」

春雨。
「言われてみれば。」
「女の子だからと。」
「人形遊びや編み物に固執する義理はない。」
「このような趣味が味わえるくらいの余裕はあります。」

飛燕。
「戦艦大和とか。」
「プラモデル売っているよ。」
「これ作ると部屋のスペースが取られて。」
「倉庫みたいになるのがお約束。」

雛菊。
「誰もいない海岸で。」
「ラジコン車を暴走させて水没したのは良い想い出。」

檸檬。
「船のプラモデルの中には水に浮くのもあるよ。」
「粘土や発泡スチロールで作ったジオラマは好きだったなあ。」
「ミニチュアスケールの都市とか。」
「その中にモビルスーツを入れるとサイズが丸わかり。」

春雨。
「書物を読むのが趣味でしたので。」
「玩具を嗜んでみようかしら。」
「いくつか買えますね。」

檸檬。
「不思議な話をよく知っているのは。」
「いろいろと役に立つかと。」

春雨。
「創作では無い話も伝えられていますし。」
「桃源郷。」
「武陵桃源。」

雛菊。
「よく出てくる理想郷だな?」

春雨。
「晋の太元。」
「武陵の漁師が小舟で山峡の川に沿って上がった。」
「ずいぶん遠くへ来たなと周囲を見渡すと。」
「見覚えがない場所で。」
「なぜか桃花の林が広がっていて。」
「雑草などの類は一か所も見つからず。」
「美しい花々が咲き乱れていた。」
「漁師はしばらく見惚れていたが。」
「いつもの水源らしき場所に当たった。」

飛燕。
「パラレルワールドに入ったのかな。」

春雨。
「なぜか小さな穴が空いていて。」
「ぼんやり明るいので入ってみた。」
「なんとか通れる狭い穴を抜けると。」
「最高の土地と住居と田畑。」
「桑や竹もあり。」
「道もあるし。」
「鶏や犬もいる。」
「人々は異国人のような服装でにこやかに楽しそうだ。」
「老人も子供も笑顔であった。」
「そのうちのひとりが漁師を発見し。」
「どこからやって来たのか漁師が回答すると。」
「家に招待され大歓迎を受ける。」

雛菊。
「なにもかも成功した世界じゃないか!」

春雨。
「伝え聞いた人々の間で評判になって。」
「どこでも歓迎を受けて。」
「言う所によれば。」
「戦乱を逃れて絶境に来て以来。」
「一度もここを出ませんので。」
「余所と関わり合いがなくなってしまいました。」
「今はいったいどういう時世なのですか。」
「漁師が情勢を詳しく説明すると関心されて。」
「引っ張りだこ。」
「4・5日間いたのでやっと村に別れをつげて。」
「もとの船を繋いだ場所から帰路についた。」
「帰り側に。」
「私どもは言うほどのこともありませんから。」
「余所さまにはお話にならないでください。」
「こう言われたものの。」
「目印をつけておき。」
「家についた漁師は群の太守に珍しい体験談を話すと喜ばれて。」
「人を差し向けてそこへ案内させたが。」
「目印はいくら捜しても見当たらず。」
「前の場所は既に無かった。」

檸檬。
「詳しいわね。」
「有名な桃源郷は一度くらい耳にする。」

春雨。
「南陽に劉子驥という君子がおり。」
「その話を聞いて。」
「絶境に行こうとしたも果たせず。」
「再び捜そうとする者はいなかったという。」
「陶淵明。」
「桜花源記。」

檸檬。
「日本でも神隠しと言いまして。」
「子供が行方不明になる事案が昔からありますね。」

春雨。
「反転した世界では。」
「日本の離島。」
「なにやら陶器が散乱している小島がありまして。」
「管理人の作法に従わないと不審死する場所があります。」
「有名な見るな!ネタと一致する島です。」

雛菊。
「神道で立ち入り禁止エリアとか。」
「見てはいけないモノの話はそこそこありますし。」
「多分、人間の理解を超えているので。」
「人間の想像を超えるものは見ないほうがいいのでしょうね。」

飛燕。
「日本は神の国ですからね。」
「政教一致。」
「神を祀り託宣を受け。」
「教えに基づいて政治を行う。」
「政治と宗教が不可欠の政治形態。」
「古代においてはほとんどの国家民族が政教一致の政治形態をとっていた。」
「日本もキリスト教も共通点。」
「多様性があって混乱しそうですけれど。」
「世界各国の要素が交差するのは最初から存在する展開でしょうね。」

春雨。
「ヨーロッパ系の思想や文化が入ってきて。」
「豊かになっています。」
「何かに影響され。」
「節分で。」
「弥縫の儺。」
「とか言いつつ。」
「小さな氷を大量に投げつけたことが。」

雛菊。
「どこかで見た必殺技じゃん。」

檸檬。
「地味に痛そう。」

春雨。
「平安時代の話だ!と突っ込まれましたが。」
「昔はいろんな怪物がいて。」
「ある時期を境に絶滅したようで。」
「昔の人々は悩まされたようですね。」
「実在していたのに今は絶滅している。」

雛菊。
「それが伝説になったり。」
「物語になったり。」
「刀を持って激しく戦う世界では。」
「あんまり脅威にならなかったのかもね。」

飛燕。
「今は銃器がわんさんかあるので。」
「虎でさえ犬の軍勢と。」
「鉄砲を持ったハンターで追い回して。」
「仕留めてしまう。」
「怪奇現象は昔、頻発したらしくて。」
「今は迷信の類ですが。」
「昔の人にとっては脅威そのもので。」
「何らかの原因で倒したみたいです。」

檸檬。
「古地図では小さな商店街があるだけで。」
「他は家屋が点在するような文明が。」
「二百年でコンクリートオンリーの都市群を形成。」
「昔の人が頑張ったので。」
「その恩恵に浴しているに過ぎない。」

春雨。
「でもこの玩具は人の独創ですよ。」
「オリジナルティ豊富でいいですね。」

檸檬。
「これからは人が創造した独創的なものが大事になりそうだわ。」

春雨。
「あんまり購入すると持ち帰れないなあ。」

雛菊。
「大人買いするの?」

春雨。
「定額、お財布に入るだけで。」
「そんなに持っていないよ。」
「とてもじゃないけれど大人買いは不可能。」

檸檬。
「セレブのようでセレブじゃない所がいいかも。」

春雨。
「経済観念という要素を知っていますよね。」
「経済に対する考えで。」
「仕事で得た金銭を貯蓄して利植をはかったり。」
「物品の購入にあてて消費したり。」
「家計のやりくりや倹約に対する考え。」

檸檬。
「独学ですけれど。」
「何か美味しい情報とかある?」

春雨。
「勘定合って銭足らず。」
「理論と実際が一致しない。」
「収支の計算は合っているのに。」
「手元の現金が不足している状態。」
「この場合はおかしな現象が発生していて。」
「何かしら落とし穴や盲点が金銭を無駄遣いしています。」
「発見するのは困難ですが。」
「大抵は勘定合って銭足らずという訳で。」
「いつの間にか浪費して倒れてしまうパターンが多いです。」
「要するに気が付かないんですね。」
「トリックが発覚してようやく削ることができます。」
「金銭の手品に引っかかると厄介。」

檸檬。
「金銭を効率化しても。」
「お財布が軽くなるのはそのためかあ・・・。」

春雨。
「商人に系図なし。」
「商売人には家柄を示す系図は必要ないし。」
「実力次第でありますが。」
「敢えて言うのならば商売の神様が神棚で祀られています。」

静岡駅へ。

ハンバーガーショップ。

檸檬。
「日本人って貧乏人ばかり見るけれど。」
「金持ちは春雨ちゃんしか見たことない。」

春雨。
「どこにいるんでしょうかね。」
「パーティーではどこから来るのか分からない人々ばかりです。」

檸檬。
「痴漢が出たって。」

春雨。
「現行犯と戦ってみたくて。」
「街を徘徊した事があります。」

檸檬。
「なにそれやばい。」

雛菊。
「なんか警備員がやっとのことで捕まえたらしくて。」
「周囲の人々は弱くて役に立たず。」
「全員無視だったらしい。」
「坐視不救。」
「他人の災難や苦境を見ているまま傍観して助けない。」
「傍観者効果の起源。」

春雨。
「安全に勝とうとするのは無理があるよ。」

檸檬。
「下手をたより。」
「自分に力が無いけれど。」
「相手が下手らしいので勝てるかもしれないと。」
「相手の力不足を頼りに勝負しようとしたとか。」

雛菊。
「とんだ腰抜け。」
「大快人心という訳で。」
「連行されていたよ。」

飛燕。
「倒れた者はもう倒れるのを恐れなくてよい。」
「被害者は恐れる理由が無くなってしまった。」

ランチを終えて。

散策。


6


駿府城公園。

スマホのニュース通知。

反動勢力が大きな顔をしていて不細工。

春雨。
「楽観的に述べると。」
「真面目過ぎるくらいにやるよりは。」
「ある程度はふざけていた方がいろいろ簡単。」
「少しは適当にやっている方が楽。」
「ある程度は手加減している方が体力が続くし。」
「本気になって無謀になるくらいなら。」
「無難にやっている姿勢の方が負担が少ない。」

檸檬。
「直言でやりとりするのも悪くないです。」
「樗櫟之材ですから。」

春雨。
「これは謙遜を。」
「迷名不問。」
「わからないことは積極的に教えを請ったもので。」

飛燕。
「最近は自己啓発が流行していますね。」
「あれは参考になりますか?」

春雨。
「自己啓発は成敗論人と言われる。」
「成功したか失敗したかで人を評価する。」
「事の成否のみを基準とした人物評価。」
「人生観ですね。」
「誠意や義理や忠誠があっても。」
「成果が無ければ相手にしない連中です。」
「極端に感情が無いので読まないように。」

檸檬。
「一将万骨。」
「一人の成功者の陰には多くの犠牲者がいる。」
「それを忘れないこと。」
「戒め。」

駿河國総社・静岡浅間神社。

境内が広くて。

神社が多い。

春雨。
「お宮には精忠無比と述べれば伝わるかと。」
「私心を捨てて忠義を示す行いです。」

雛菊。
「同僚がいた。」

飛燕。
「あそこまで近寄ると逆に把握できなくなる。」
「不可知論。」

檸檬。
「拝金主義というのも参考にしてもいいのかな。」

春雨。
「居利思義という左伝・昭二十八。」
「利益を目の前にした時は。」
「それを得ることが正しい道理にかなっているのかを考える。」

檸檬。
「なるほど。」
「歴史の授業では常に凡人なんぞ以升量石の内容を説くだけです。」
「小人物のけちくさい考えでは大人物のスケールの大きさは見れないから。」
「逆に小人を知ることで君子に近い人物になります。」
「自分が凡人だと思っても小人を見れば君子を理解できますし。」
「高等貧民もけっこういますよね。」

雛菊。
「おみくじ。」
「来者可追。」
「将来については態度や行動を改めれば間に合う。」

檸檬。
「完璧って存在するの?」

飛燕。
「激しく混乱させれば完璧は壊れるよ。」

春雨。
「完璧と主張しても。」
「強引に揺さぶればボロが出ます。」
「男性なら美女を踊らせて。」
「金貨を目の前にして会話すれば。」
「或いは豪華な食べ物の近くで会話すれば。」
「完璧は崩れます。」
「女性ならイケメンや赤子の近くで会話すれば。」
「崩れます。」
「ハリセンで叩いてみて。」
「どういう完璧な対応をするか試してみれば。」
「面白いかと。」
「完璧野郎は強引に乱せばいいのです。」

檸檬。
「人間に仕えているのか神々に仕えているのか。」
「どうにもわからない。」
「面従腹背な人物は危険です。」

春雨。
「あんまりあらさがしすると洗垢索瘢になり。」
「自分の汚い部分も公表してしまいます。」

柴犬。
「ワンワンワンワン!!」

春雨。
「それは違います。」

柴犬。
「クゥゥゥン・・・・。」

雛菊。
「女の子ばかり見ている。」


飛燕。
「私を見て欲しいのだが。」


檸檬。
「どこを見ているのですか?」
「じろじろと。」

春雨。
「美少女が大好きです。」

檸檬。
「中年女性も同じでしょう。」

春雨。
「私には己の意志の脇腹に当てるべき拍車がない。」
「ただ、踊りあがる野望が飛び跳ね過ぎて。」
「向こう側へ落ちるばかり。」

檸檬。
「美少女でも探しましょうか?」

春雨。
「少女はあはあ。」

檸檬。
「貴公は狂気にてあらせられる。」
「敢えて狂気と申しあげます。」
「というのも。」
「真の狂気を定義致すとならば。」
「狂気以外の何物にてもなきこと以外の何物でありましょうや。」

春雨。
「あんな素敵な時期を逃すのはもったいない。」
「私はいろいろ着たよ。」
「コスプレとかドレスの写真を大量に複製した。」
「今になって少女というのはミステリアスな魅力があるんです。」

檸檬。
「殿下は狂気、それは確か、確かに残念。」
「残念ながら確かに事実。」

春雨。
「正気で居られるでしょうか?」
「成人女性をデフォルメして小さくしたような。」
「リアル等身大を相手に。」

檸檬。
「探し出さねばならぬのは。」
「この結果の原因。」
「というよりむしろ。」
「この欠陥の原因というべきか。」
「なぜなら。」
「この欠陥的結果も原因より生じしものゆえ。」

春雨。
「年頃の女性が小さくなった形態だと思っています。」
「これは趣味ですよ。」

立ち去る。

ふと浮かんだ言葉。

紙上談兵な奴は理屈だけで実際には役に立たない。


7


富士スピードウェイ・カートコース。

団体で借りまして。

同級生と常連客の子で遊びました。

ゴーカートで暴走開始。

春雨。
「動体視力が良好で。」
「これでも遅く。」

飛燕。
「安全運転で行きましょうね。」
「完走が私の目標です。」

檸檬。
「飛んでいる害虫をエアガンで撃ち落としたことがあるので。」
「スピードなら余裕かもね。」

雛菊。
「いろんな分野のノウハウで。」
「上手にできればいいな。」
「春雨ちゃんスタート速い。」

春雨。
「さあてこれを投げればスピンするらしい。」

バナナの皮。

後ろへ投げる。

檸檬。
「はい?」
「なんでバナナを?」

春雨。
「なぜ足止めできないの!?」

檸檬。
「マリオカートじゃないんだし。」
「バナナで滑る訳ないでしょ。」

春雨。
「マツタケを手に持つと速くなる。」

雛菊。
「あのー。」
「ゲームと実際は違うので。」
「ゴミを投げないでください。」

春雨。
「そんな馬鹿なー。」

飛燕。
「わざわざ用意したんですね。」
「本気で滑ると思って。」
「なんかトボけている所もいいかも。」

同級生。
「お先に。」

同盟商人娘。
「スピードを出すと事故になるよ。」

同級生。
「事故防止ってどうやればいいのかな。」

横につけて。

春雨。
「基本では死角に注意すればいいだけです。」

同級生。
「なるほどー。」
「言っている先からコーナーだわ。」
「後ろから来ているの知らなかった。」

檸檬。
「F-ZERO・AXやりたくなる。」

飛燕。
「もうそのアーケードないですよね。」

檸檬。
「こっちの方が楽しいかも。」
「速度を下げ過ぎてた。」

雛菊。
「この私が・・・ああああこの私が・・・。」

同盟商人娘。
「あれ?それ故障じゃない?」

雛菊。
「やっと直った。」
「サイドブレーキが少しだけ入ってたし。」

爆走して。

爽快。

春雨。
「いいですね。」
「風そのものです。」
「癖になりそう。」

檸檬。
「車っていいわよねー。」
「スポーツカーに興味がある。」

雛菊。
「リミッターも入ってたみたい。」
「乗用車も速度制限がついているから。」
「スポーツカーに乗ってもリミッターは外さないほうがいいわよ。」

檸檬。
「怪我を知らないうちは誰でも無謀。」
「マシンの性能に頼らないわよ。」
「デザインが好きなの。」

飛燕。
「もう一回走行できるみたいですね。」
「棚から牡丹餅。」

春雨。
「完走できても二回目は難しいですね。」
「本当のレースだと脱落しますから。」

同級生。
「この無理ゲーを玄人は乗りこなしている。」

同盟商人。
「素人がレーサーの真似はできませんよ。」

春雨。
「どうも皆、タイムが速いようで。」
「私は記録更新を目指します。」

団体の行事終了。

各自。

散り散り。

檸檬。
「あれま解散が速い。」

春雨。
「礼煩則乱。」
「礼儀や規則があまりに複雑になると。」
「かえって混乱するだけ。」
「書経。」

雛菊。
「慇懃無礼。」
「言葉づかいや態度が丁寧すぎるのはかえって無礼。」
「うわべだけ礼儀正しく丁寧で。」
「尊大な場合がある。」

春雨。
「ブックオフに行ったらもう夕方になりそうです。」
「SNSでも更新しておきます。」

飛燕。
「SNSでは私論が当たり前だけれど。」
「不痛不痒。」
「痛くも痒くもない。」
「非難されても攻撃されても。」
「急所をはずれていて平気である。」

春雨。
「インターネットだけではなくて。」
「庶民の一部は笑中有刀で。」
「表面はにこやかで笑顔ですけれど。」
「内心が陰険で。」
「何を考えているのかわからない。」
「ニヤニヤしている人には騙されてはいけない。」

移動中。

檸檬。
「餅は餅屋と言いますが。」
「専門家とは何か。」

春雨。
「機織りについては婢に尋ねるべきであるし。」
「いくら農学博士でも。」
「田植えのコツについては百姓に聞いてみるほうが良い。」
「織当訪婢。」

古本屋。

二十分で。

飛燕。
「もうこんな時間です。」

春雨。
「十行倶下。」
「十行の文章をいっぺんに読みくだす。」
「読書のスピードが速い。」
「速読の一種。」
「梁書の簡文帝紀。」
「古本は素早く読んで。」
「好みの本は獲得する。」
「十回くらいで店内の本は全て目を通せますし。」

飛燕。
「どうやって学んだのですか?」

春雨。
「他山之石。」
「醜悪奸邪な奴が端っこのほうにいまして。」
「いちいち馬鹿なことをしたり。」
「悪徳に走ったり。」
「けがらわしくてよこしま。」
「遠目で観察していれば。」
「反転した物事について察することができますし。」
「どうなるかと思ったら蒸発してしまって。」
「遠い親戚とは言え除暴安良のターゲットになっていました。」

解散。

情意投合。

紳士協定四人組。


8


お屋敷に招いて。

とある高級スイーツで埋め尽くされる。

家の各所には美術品があり。

西洋の機械時計やゴッホの複製絵画。

ヨーロッパあるあるの家具など。

そこまで豪華ではない。

春雨。
「我々の行動にはすべて結果があるものの。」
「利口な行動が必ずしも好ましい結果をもたらすとは限らないし。」
「その逆の行動が必ずしも悪い結果を生むわけでもない。」
「正反対の結果になることもある。」

飛燕。
「その辺は気が利いています。」
「良いと思ったものですら。」
「結果が良くない場合もあり。」
「利口というのも一種の馬鹿という発言ですよね。」

雛菊。
「よくあるのは。」
「その人の道徳のすべてが欠けていると嘆いて。」
「非難したりするのだ。」

春雨。
「人というものは。」
「この世の問題を解くというより。」
「個人の問題の発端がどこに潜んでいるのかを探り出す。」
「謎解きの範囲内に留めるのが良く。」
「森羅万象は調べないほうが良い。」

檸檬。
「日本では。」
「信じられないくらいほど沢山の事が要求され。」
「自分が中学生でないことが嬉しいかもしれない。」
「思想面で飛躍してしまったので。」
「なぜか完璧で無ければならないという強迫観念に駆られている人間が多く。」
「完璧になったつもりが。」
「今度は完璧ではいけないとか。」
「労働や行動まで最高であるべきとか。」
「矛盾するものまで求められるという頭の壊れた沙汰です。」
「これでは若者が途方に暮れるのも当然。」

雛菊。
「人は一枚のカルタに大枚のお金を賭けるでしょう。」
「現在に賭ける場合もある。」
「しかしその金銭を神々の所に寄付したのです。」

春雨。
「無理をする才能が近代の詩人には全員ある。」

檸檬。
「自分の実力以上の目的を持つ人がいるけれど。」
「そこまで無理ができるのも才能と呼べる。」

雛菊。
「贅沢な雑談だこと。」
「ヨーロッパでよくある絨毯や。」
「お高めなソファーとか。」
「控えめなのがいいわあ。」

春雨。
「金銭は評価できるかもしれないが。」
「紙幣は評価できない。」
「一万円札について評価できる人間などいませんよ。」

飛燕。
「金銭を肯定すると。」
「なにかと金銭が回ってきますね。」

檸檬。
「私の父親が賞賛していたわよ。」
「幸運の持ち主だって。」

春雨。
「幸運に恵まれたと言われていた人物でさえ。」
「仕事と苦労以外の何物でもなかった。」
「外面的な地位で掻き乱されて。」
「公的な職務上の活動から身を引いて。」
「孤独に暮らせたならばもっと幸福だったと。」

檸檬。
「あらまあ。」
「この世界。」
「そう簡単には行かないものですね。」

雛菊。
「こうすれば勝利。」
「なんてものが無いのがこの社会。」

春雨。
「誰かが世間のためになにかを行うと。」
「世間はその人が二度とそんなことをしないように配慮するものです。」
「名声を得たり高い地位についたりするのは悪くはないけれど。」
「なしえたことは他人を傷つけないように。」
「他人の意見に対して沈黙を守ることだけだったという。」

檸檬。
「そうすると他人の考えは理解できても。」
「自分の考えは他人に理解されませんね。」
「それで自分が良いならば平穏。」
「悪く解釈されるとたまったものじゃない。」

春雨。
「自分が思っているような心理を持っていないのも社会の特徴です。」
「とにかく人は考えを探ろうとしますが。」
「その人がなぜそのようなものなのか。」
「判断を急がないことです。」

各種ケーキを食べる。

お菓子がいっぱい。

コンビニで売っているものを適当に買ってきたもので。

お持ち帰りオーケー。

檸檬。
「宗教画がけっこうありますね。」
「ルネサンスの複製かな。」

春雨。
「ローマ歩兵の盾もありますよ。」
「地下室には火縄銃も保管されていますし。」
「古銭のコレクションもあります。」

雛菊。
「もっと芸術の世界に入ってみたい。」

飛燕。
「アイドルの時に弱点だったのは。」
「芸術点。」

春雨。
「芸術の基本は対象にあって。」
「対象次第で芸術になる。」
「特殊なものを把握し描写するのが芸術としての核。」
「芸術には特殊であることが必要であるものの。」
「本人が体験したような特殊な事案も必要。」
「平凡な人間が描けないのは。」
「芸術は特殊な要素を扱う性質であるが故。」

雛菊。
「芸術自体を学んだのか。」
「私は物真似しかできない。」

春雨。
「芸術にはすべてを通じて血統というものがある。」
「巨匠を見れば。」
「常にその人物が先人の長所を利用していて。」
「その事が彼を偉大にしている。」
「芸術家には血統があって。」
「それが先人の手本から来るものです。」

雛菊。
「そんな入門条件があったのか。」
「どうりで難しいわけだ。」

春雨。
「血統を持たない芸術は雑種に過ぎないし。」
「独学でやったという人はむしろ非難されるべきである。」
「血統と言えば。」
「シェイクスピアはなぜ文学の教科書を大量に書いたのだろう。」
「この偉人に言及できる者はまずいない。」

飛燕。
「ああっと。」
「アイドルのレッスンは受けても。」
「芸術家には出会わなかった。」
「詳しく教えて。」

春雨。
「芸術については自分に思想があれば語れるし。」
「上手に扱えない場合もあるけれど。」
「他人の思想を借りることもできる。」

雛菊。
「芸術とはそういう所から入るものなのだな。」

飛燕。
「あの歌詞には違和感がありました。」
「これって変ですよね。」

スマホのアプリから歌詞を見せる。

どうも嫌がっていた楽曲。

これが決め手になって立ち去った。

春雨。
「世の中、不自然な作品もあるというものです。」
「作品は自然体なモノが好まれます。」

檸檬。
「不幸な奴らは。」
「芸術において創造されたものを楽しまず。」
「自分の手で創造しようと試みることで。」
「文学おいては。」
「自分の目指す進路と同じ文学を模範として文学開眼しようとは考えず。」
「みんな揃って同じようなものをぞろぞろ作る。」

飛燕。
「芸術を直接習うなんて。」
「Virtual・YouTuberに移動して良かった。」
「自由に創作できるのは中世と変わらないようですが。」
「どっち向けに作るかで内容が左右されたとか。」

春雨。
「優劣の問題なのかな。」
「間接民主制だとか民主制が万能だとか言いたいのはわかります。」
「なぜなら一部の人は民主制を利用しているからで。」
「民主制ほど利用価値のある好都合な制度は存在しないと。」
「民主制が万能というのはプロパガンダの一種ですよ。」
「民主制を敢えて否定すれば。」
「制度を変更する事自体の影響が甚大で。」
「何も言及しない方がましかもしれませんね。」

檸檬。
「残念なことに毛沢東が説明した民主制も民主主義の形態辞典でしたので。」
「間接民主制もバリエーションがたくさんあって。」
「民主制なんぞ優劣の問題ではなく通用するかどうかですよね。」
「繰り返せば優劣の問題とは思えない。」

飛燕。
「政治形態は関係ないのね。」

春雨。
「芸術については直接学ぶことは困難で。」
「大半は先人の模倣から始めます。」
「昔は芸術家と言えば王様お抱えの職人でしたから。」
「印税くらいしか違いませんかね。」

飛燕。
「文化と芸術は密接な関係にありますし。」
「芸術についての考察を聞けたのは僥倖。」
「あの失敗の原因が今わかった。」

雛菊。
「なんか球技があったけれど。」

春雨。
「そのうち遊ぼうと用意してあったものです。」
「公園でやりましょう。」

飛燕。
「よし運動は得意だあ。」

檸檬。
「最近は勉強ばかりで駄目になっていたわあ。」
「はりきってお相手する。」

外は心地の良い日差し。

蝶々がひらひら舞っている。

沈みゆけど、日輪はつねにかわらじ。


9


ノヴェレ。

インターネットでは多種多様な文化が根付いています。

セキュリティーソフトも生活必需品。

法人向けパソコンがあって使用しています。

春雨。
「戦争関連のニュースいっぱい。」
「強いられて戦っているのかな。」

雛菊。
「是非に及ばず。」

檸檬。
「兵士は言う。」
「自分の名の書きこまれていない弾丸など。」
「自分には当たらない。」

飛燕。
「皆、自分の正義を主張しますよ。」
「戦争に反対しておいて。」
「諍いや喧嘩を平気でやるような。」
「矛盾した人もいますが。」

春雨。
「勝負と言いますか。」
「決闘で権利を決めるのもありだと思います。」
「リングにも上がれない弱者は良い観客になります。」

雛菊。
「歴史家は知らないが。」
「領事詩の作者はいつも。」
「史実に忠実であることよりも。」
「史実をどのように扱うかを尊重している。」
「戦争文学というものがあるけれど。」
「強者対強者の戦いも。」
「脚本を作って劇場で上演するのが最高かと。」

春雨。
「戦争って。」
「ありふれた題材ですからね。」
「映画やゲームとか漫画とか。」
「兵器ってなぜかカッコイイ。」
「デザインセンス抜群です。」
「なんだかんだ言って戦争やっているのが人類。」

飛燕。
「現代の領事詩ってあるの?」

檸檬。
「まず日本の枠組みから外れないと。」
「世界には追いつけない。」

雛菊。
「シャーロック・ホームズとか。」
「三銃士とか。」
「有名なのは国際レベルですし。」

檸檬。
「残念なことに。」
「国民文学というものは現在。」
「大した意味はない。」
「世界文学の時代ですから。」

春雨。
「何の役にも立たない作品もある。」

雛菊。
「読んで捨てられて。」
「いや使い捨てですかい。」

春雨。
「役に立つのはこれ。」

飛燕。
「NHK連続テレビ小説ですか。」
「あの化け物みたいな文量と。」
「人間そのものを描くような視点の広さ。」
「対象がダメならどんな才能も無駄。」
「しかし彼らは近代の芸術家の停滞を知っていて。」
「品位ある対象に人間性を重んじた。」
「ああいうのはいくらでも絵になるし詩にもなる。」

檸檬。
「オリジナルだけを目指すと。」
「空想を表現した作品になりがち。」
「リアルティを全く無視した奴はどうかな。」

春雨。
「根も葉もないつくりものの作品を私は尊重しませんね。」
「現実の一部分だけでも取り出して。」
「現実の断片を取り出して理想に走らせます。」
「でっちあげて自分の説を持ち出そうとする自分勝手な作品は卑しい。」

飛燕。
「孟子の説く内容で辞譲之心がありまして。」
「無謀に突進するくらいならば。」
「馬車とやらを譲ったほうがいいかも。」

春雨。
「私はまんがタイム系列が恵まれていると思いますね。」
「文章は消えやすい。」
「絵はけっこう残りますし。」
「これは美術の話ですかね。」

飛燕。
「文章を打ち続けるのは萎えた。」

雛菊。
「与えられた素材を取り扱う場合は万事かなり楽で。」
「作者は生命を吹き込むだけでいいし。」
「労力も苦労もほんの僅かであるし。」
「既成の作品を対象として物書きをするのは推奨されます。」

檸檬。
「はあ。」
「勉強の中では一切培われない学問の世界だわ。」

春雨。
「何を習うんですか?」

飛燕。
「フリースクールでは孔子の論語の全訳版が渡されます。」
「それを全部読んで簡単な問いかけに答えられれば認められます。」

春雨。
「それはすごい。」

檸檬。
「才能ありと思ったら。」
「大物について腕を磨けば相当なものになる。」

雛菊。
「そんな人いるんですか?」

檸檬。
「優れた人物は目立ちません。」
「もしそういう人を宣伝してしまったら。」
「羨望によって敵対者に取り囲まれてしまったりして。」
「都合が悪いからでしょう。」
「社会の中で密かに活躍するほうが彼らには一番合っているのだから。」

飛燕。
「売名ばかり流行っているような。」

春雨。
「注目の的もあります。」
「有名人と言いますか。」
「大活躍していますよ。」

檸檬。
「影響力が大きいものには。」
「それだけの大きな理由もあろうかと。」
「予想するものです。」
「AKBの芸術点とか。」
「スポーツのスター選手も。」
「それを探るまでは言及しないわ。」

YouTube。

チャンネル。

飛燕。
「自分の頭で考えるのはかなり難しい。」
「思考実験と呼ばれる方法だけが成果に繋がる。」
「考えているだけでは役に立たない。」

雛菊。
「これで不満足ってどんなレベルやねん。」

飛燕。
「そうはくをわかたず。」
「不分早白。」
「黒と白とを区別しない。」
「物事の是非を区別しないたとえ。」
「有無を言わない意味でもある。」
「白黒で考えるのは不可能。」

春雨。
「私は熱帯林で書物をたくさん買っていますよ。」
「通販っていいですね。」
「文化を支えるのは科学力という訳です。」

飛燕。
「これは・・・。」
「自己欺瞞なの。」
「自分で自分の心を欺き騙すこと。」
「自己の良心や信条に反したことを意識して行うって。」
「無自覚で行うことで。」

雛菊。
「このレベルで自己批判ってどういうレベルやねん。」

檸檬。
「雑学関連の引用元不明のチャンネルもいいかもね。」
「出生でエラーが起きても。」
「事後承諾とかいう奴で。」
「本来は前もって承諾を必要とする事柄を。」
「承諾なしで行ってから承諾をもらう。」
「無理に事後承諾を迫るだけ。」
「いや出生に矛盾が生じているので。」
「哲学的考察対象になったのかしら。」

春雨。
「私の行動原理は続短断長にあり。」
「過不足の無いようにほどよく整えるだけ。」

なんとこのパソコンは。

ミドルスペックの品質重視。

素早い挙動と安定性。

昔の法人向けパソコンをリメイクして。

新しいパーツと交換したので。

稼働データが豊富。

パーソナルコンピューター選定に手間取る友達に。

見せてあげたのでした。

大巧若拙。

Mi skribas ial mistere kaj nerezistebla


10


富士山五合目まで車で移動。

駐車場から離れた場所で。

瞑想。

春雨。
「子供の頃は太陽を見ればとにかく赤い。」
「真っ赤なものだったけれど。」
「成長すると太陽が黄色の。」
「恒星そのものの光になっている。」
「どこか違う世界にいたのかな。」

檸檬。
「並行世界の証拠があるのかな。」
「他人が理解できるような証拠は難しいのかな。」

春雨。
「霊山である富士山。」
「正規のルートは一合目の鳥居からです。」
「富士山の周辺にはこれでもかと神社がありますね。」

飛燕。
「山頂にも神社があるし。」
「登山の初心者にはかなり向いているわね。」
「シーズン中には山小屋が大繁盛ってな訳です。」

雛菊。
「山梨側と共有されていますが。」
「登山道も複数あって。」
「裏富士と言ってしまい。」
「裏富士とは言いませぬと返答された大名もいるという。」

檸檬。
「にしても自然体の動きだわ。」
「人為的な雰囲気がまるでない。」
「俗人にとっては面白くないでしょう。」

春雨。
「老子の伝えるところによりますと。」
「自然の中になるべくいると無為自化が生じて。」
「法律や教育などの人為的手段関係なしに。」
「自然本来な宇宙に感化されるものです。」
「孟子が説明するには。」
「良知良能として生まれながらそなえている知能や。」
「自然に備わる知恵や能力もあるものです。」

飛燕。
「なんかよく仕上がっている人だわあ。」
「世人なんて知ったかぶりでいろいろ埋めているだけで。」
「いろんなものを誇っているから愚かになった。」

春雨。
「愚者の道は歩まない。」

檸檬。
「滅びに至る道は広いと書かれていますが。」
「大多数は多数派の道を歩むので。」
「あそこは滅びに至る道なのです。」

春雨。
「俗物は愚者の道に誘惑しようと工作していますが。」
「私は愚者ではないので。」

檸檬。
「私は人間の掟を徹底されていたけれど。」
「もれなく全て裏切った。」
「裏切りというのはとても合理的な手段であって。」
「古典で頻繁に見られるものです。」
「とりあいず裏切ればなんでも思い通りにできる。」

春雨。
「裏切りくらいは覚えていないと。」
「不正を認めてしまい。」
「誰かが仕掛ける罠に陥れられますよ。」
「場合によっては破壊も必要です。」
「お人好しや間抜けに賛成するなんて。」
「あまりに馬鹿げているよ。」
「そんな馬鹿げたことにいつまでも関わっていると。」
「せっかくの良識も毒されます。」

雛菊。
「人情が裏切りを認めないのなら。」
「人情はよほど狡猾なものなのでしょうね。」

飛燕。
「合理的なものを否定しようと試みるのは。」
「ありえないくらい幼稚な奴だと思います。」
「自分の作り話をずっと言い続けている。」

檸檬。
「俗人は作り話ばっかりだわ。」

春雨。
「人間の創作の内容を教えてくるものですから。」
「子供の頃に流行していたのは人間の作り話大全。」
「大人だから捨てましたが。」

檸檬。
「口から出てくる言葉が全て善にかなっている。」
「そういう口無択言な人は言葉を選び取る必要がないでしょうね。」
「孝経での言い伝え。」

春雨。
「義というものを押し通すためには。」
「毎日、正当防衛の必要がいつも念頭にあったから。」
「脇差の使い方や素手での殺人の訓練をやっていなければならなかった。」

檸檬。
「この時代の人々が一般に持っている思想。」
「時代思潮のことですが。」
「これを疑うのが教養のひとつですよね。」
「時代思潮を信じてしまうのは幽閉されるようなもの。」

春雨。
「極則必反という訳で。」
「物事は極端に行き着くと必ず元に戻ります。」

雛菊。
「私も瞑想する。」

飛燕。
「シート持ってきたよ。」
「人数分。」

瞑想。

再び集まる。

春雨。
「お宮に来るおばちゃんに会うと。」
「必ずと言って良いほど賞賛される。」
「無神論者は攻撃ばかりですが。」
「人柄の良い老年女性からは。」
「私が偉大であると見えているみたい。」
「何回褒められたのか分からない。」

飛燕。
「私が参拝者に向けて贈り物を置いておいたら。」
「ずっと大切に置いてあるという。」
「思うに。」
「無神論者は人ではないし。」
「無神論者は人の道に外れている。」
「人の道を守っているのは崇敬者。」

檸檬。
「今度、神占いをしようと思う。」
「幼い頃におみくじに書いてあった一回目は。」
「もっと神様を頼りなさいという内容です。」
「子供に読解力がある理由はないので。」
「解読するのに時間が必要でした。」
「二回目におみくじを引いた季節は。」
「欲望だらけという理由でその注意書きでした。」
「成人祝いに引いた頃は。」
「不注意がありましたよというお告げでしたね。」
「次回の参拝の時には大局観が足りないという詩でしたよ。」

雛菊。
「神占い。」
「決定的な参拝の際に出たのが。」
「人々の難儀を小槌で振り払え。」
「神様ときちんと付き合いなさい。」
「誠実に行きましょう。」
「悪からもっと遠ざかってしまえ。」
「という内容でしたね。」
「真の信仰に入った瞬間に出たものです。」
「開運おみくじの方で。」
「特別な占いを不思議と引きました。」

春雨。
「奇奇怪怪。」

飛燕。
「そろそろ下山する?」

檸檬。
「ペーパードライバーに無理させないでね。」
「いくらレースの訓練を積んでいても。」

車内。

走行中。

春雨。
「世間で余裕をかましているような人は誰もいなかったし。」
「誰も見つからなかったし。」
「余裕がある人がいても。」
「彼のことを悪く思う気にはとてもなれないのだ。」

檸檬。
「簡単な世界ではないからね。」

飛燕。
「欲望と自由が融合してしまっていると。」
「どうも醜い人間が誕生してしまうよね。」

春雨。
「ああ見たことありますよ。」
「我が強くて。」
「我を張るために自由を利用するとか。」

雛菊。
「それでは。」
「自由なんて馬鹿なものです。」
「足るを知り。」
「分に安じることを知ってさえいればね。」
「誰だって充分な自由は手に入れられる。」
「いくら自由があっても使えなければ何の役にも立たない。」

檸檬。
「自由はまたもや利用される。」
「自由って都合の良い口実なのかな。」

春雨。
「では自由を行使した強硬手段が最良の作戦かと言うとそうでもない。」
「力任せで解決できない事案も数多く。」

飛燕。
「押さえつけたり。」
「克服したりすることのできない者は。」
「力によって無理にねじ伏せるよりは。」
「温情や慈悲によって解消した方が良い。」

春雨。
「力では服従する者は限られています。」
「力で服従させても奇襲してくるかもしれない。」

飛燕。
「自由も不正から生まれた。」
「フランス革命だってまったく賄賂によって動かされていたのですから。」

雛菊。
「そう簡単に平和は来ないと思う。」
「お偉いさんも権力を濫用したいし。」
「大衆はほどほどでは満足なんて決してないし。」
「世の中の状況はあちらこちらへ揺れ動くし。」
「公正というものに利己主義者が攻撃を仕掛けるし。」
「党派の諍いだってある。」
「合理的なのは人がほどほどの所で妥協して。」
「他人を妨害しないことですし。」
「平和は簡単なものではないといつも思っています。」

春雨。
「私の事は区区之心ですけれど。」
「誰も発言できないようなルールなんて誰も賛成しませんよ。」
「忠信な自分を夢見てもいいじゃないですか。」
「謹厳実直な人を参考にするべきです。」

檸檬。
「舌先三寸になるくらいなら自害したい。」

飛燕。
「それは衝動的ですよ。」

檸檬。
「言われてみればそうだよね。」

春雨。
「私は実地踏査の徹底です。」

雛菊。
「あっという間の帰宅ですかね。」

春雨ちゃんの邸宅。

古典コンピューターを起動する。

量子コンピューターはプロトタイプが世界各地に存在する。

春雨。
「古典コンピューターですけれど。」
「ドアのコードが10ケタありましたら。」
「古典コンピューターはすべての組み合わせを試すので。」
「時間が必要です。」
「量子コンピューターは一度に全ての組み合わせを計算できるので。」
「一回の計算でドアコードを解除できます。」
「古典コンピューターは何百回の計算が必要です。」

檸檬。
「全ての組み合わせを一度に計算できるから。」
「ドアコードは楽勝ということね。」
「一万通りの計算も一瞬で解除できるとか凄いわ。」

春雨。
「民間人に量子コンピューターが配布されるのは当分、先でしょう。」
「動作原理が高度なので。」
「普及しないし。」
「どんな高性能な古典コンピューターでも勝てないので。」

雛菊。
「実際に稼働しているとは。」
「水素エネルギーと核融合発電と。」
「プラズマジェットエンジンとか。」
「何気に自然科学が次世代化しているし。」

檸檬。
「AIだって次世代の科学でしょうよ。」
「AIの弱点はAI駆逐用のAIを作られること。」
「でも人間が負けていく様子は痛快ですけれどね。」
「不用品扱いされる人間は見世物。」

雛菊。
「AIとの対戦が。」
「エンターテイメントになっているし。」

春雨。
「技術は文化を成立させている。」

檸檬。
「文化についてよく知る必要がありますね。」

飛燕。
「文化そのものが芸術になりそうですね。」

PDFのPASS方式。

USBが複合化。

情報共有。

春雨。
「おや。」
「もう達人になったんですね。」
「小説と戯曲は別物ですし。」
「小説家は低い位置にあって。」
「戯曲は古典文学そのものですから。」

雛菊。
「散文体で高度なものが書けるのかな。」

檸檬。
「我流の文学はナンセンスかと。」

飛燕。
「私が戯曲をやるのは他に戯曲作家がいないからでしょうかね。」
「足りているだけの人材が世界に存在すれば。」
「私はそれを援護するくらいしかしなかった筈です。」
「読者にもっと良いものを与えるのならば。」
「客観的に事案を文字にするべきですな。」
「主観的な文学は思ったより難しいものですよ。」

春雨。
「客観的な文学や芸術は基礎の中の基礎ですからね。」
「インターネットは文化の中心地になっているのかな。」
「見せますね。」

飛燕。
「なんか俗人って虚言壁があるのではないかと思う。」

雛菊。
「こんなの見たらそう思いたくなります。」

檸檬。
「ホロライブはあまりに経験が豊富すぎる。」
「それでも見ておくだけの値打ちは大いにあるよ。」
「これで私は女性の真実を何回か見たわけです。」

春雨。
「競争社会の後遺症があるようで。」
「脆弱な部分に乗り込んで占領したものです。」
「相手が思っていない場所に侵入すれば大成功する。」

檸檬。
「競争率が低いか。」
「誰も競争していない場所はがら空きですからね。」

飛燕。
「競争が激しいとインチキした方が楽です。」
「不正を耐え忍ぶよりは不正をした方が良いものですからね。」

春雨。
「私は過当競争には参加しないよ。」
「異常なまでに激しい競争が行われていますが。」
「あれは行き過ぎ。」
「君子はむやみに争わないとのことで。」
「小人だけでやって欲しい。」

檸檬。
「日本の古典文学は何かしら。」

春雨。
「あれは彼らが散文から理念の世界へ移っていった作品です。」

源氏物語や更級日記を持ち出す。

今日は富士山に行ってから。

書庫で雑談し。

とある日曜日を終えました。

夕方。

日が沈む瞬間には。

太陽の閃光と暗闇が溶け合った絶景です。


11


ボーイフレンド登場。

喫茶店で会話。

悠木。
「女性を好きになるなんて。」
「どういう風の吹き回しでしょうか。」
「向こうの女性もその気になっている。」

春雨。
「棺桶に片足を突っ込みながら嘘をつくなんて。」
「いっそはっきり言ってしまいますよ。」
「あいつらはとんだ売女でしたよ。」
「またそれで良かったのです。」

悠木。
「売女ですと?」
「身売りですと?」
「僕は気でも狂ったのか。」
「もっとも狂い回るのは僕にぴったりだが。」

春雨。
「人の心はいつまでも同じではないし。」
「時も移り変わって行くのですから。」
「人間というものは望んで得たものをしっかりと握ってはいないので。」
「愚かにももっといいものが欲しいと憧れ。」
「一番素晴らしい幸福にも慣れてしまうものです。」
「この上もない幸福も気紛れや不機嫌で濁ってしまうものです。」

悠木。
「なるほど君の目的はわかりました。」
「君は大がかりにはものを破滅させることができないので。」
「小刻みにやり始めたというわけですよね。」

春雨。
「無論、小刻みにやったところが。」
「大した仕事はできはしないのですよ。」
「世間を覗いてみたところでろくなことはあるまい。」

悠木。
「不可能だからこそ。」
「信ずるに値するというものではありますまいか。」

春雨。
「色恋のために貴重な時間を潰すのはおよしなさい。」
「私もこれ以上骨を折るのはいやです。」

悠木。
「女の口説き方を習いたくて今日ここに来た。」

春雨。
「散々に御託を並べたくせに。」
「出して見せたものはみんな天ぷらだったじゃないですか。」

悠木。
「女性に捧げたものが天ぷらですか。」

春雨。
「誰かがこの世を打ち壊してしまった後に。」
「どんな世の中が生まれてこようとも構わない。」

悠木。
「既成概念を壊すのが趣味なようで。」

春雨。
「道徳を盾にぐずぐず言うのはやめてください。」

悠木。
「道徳的な恋など見たことはないが。」

春雨。
「今日では天下の馬鹿者という馬鹿者が自分の欠点を自慢するのだから。」
「どいつも天使と呼ばれようとは思わず。」
「町や田舎の厄介者と名乗って出ているのです。」

悠木。
「誰でも世界の状態に不服を唱えられなかったのです。」
「しかし好人物までもがこれはどうにもひどいと思い始め。」
「世間を鎮めてくれる者を王にすると言い出したのです。」

春雨。
「その片想いとやらは。」
「遠まわしに攻略した方が手っ取り早いでしょう。」
「恋に正面から行くへたっぴー。」

悠木。
「いっそあなたと付き合えたら。」
「有意義な恋になりそうですが。」
「それだと僕のお相手が居なくなります。」

春雨。
「強引に女心を手に入れようとする方がおかしいものです。」
「相手の女性に主権があるようなものです。」
「男性ならば女性に対して利他的であるべきです。」
「利己的な恋など不幸の材料です。」

悠木。
「相談の相手がいて良かった。」
「誰も教えてくれないので。」
「無能な人間が嫌いになりました。」
「なぜ知らせないことで封殺するのか。」

春雨。
「恐らくズイル人だったという位でしょうね。」
「我々に真実を率直に語ってくれる教師はいないのですから。」

悠木。
「少し登山して着ます。」

春雨。
「それならあなたの敵対者に向かって。」
「赦すなどと言わないでください。」
「そんな言い分を山に向かって訴えると。」
「木霊は復讐と答えます。」

解散。

資金を基に。

見事な出来栄えの物品を。

チャンネルで流していて。

スポンサーもついています。

いつの日から始めた趣味で。

広告収入が入っていますね。

詳細なデータを大量に述べる訳で。

売上に貢献していると噂になっていますよ。

フリースクール内。

自由課題の最中に。

世代間の対立を読んだ後。

飛燕。
「経験などがなんの役に立つものですか。」
「問題は実に精神なのです。」
「いかがでしょう。」
「人がこれまで学び知ったことは。」
「果たして知るに値したことでしょうか。」
「自分が浅薄で愚劣に思える老人は立派ですよ。」
「私が出会った最初の分別あるお年寄りです。」

雛菊。
「阿呆どもは。」
「いいから威張ってやっていけ。」
「どんな馬鹿なことでも立派なことでも。」
「およそ人間が考え出すことは。」
「もうとうに先人が考えていたということがわかったら。」
「奴もさぞかしがっかりするでしょう。」

先生。
「人間の喧嘩好きはどうにもなりませんよ。」
「誰にしたって小さい時から身を守るのに懸命で。」
「それでどうやら一人前になれるのですから。」

別の場所。

ボランティアで受け持った家庭教師。

都合で契約を打ち切れるし。

講師がスケジュールが自由に決められるために。

中学生の女の子についています。

女の子。
「勉強って熱心にやると案外。」
「いい点取れたりします。」
「やめると成績が落ちます。」
「でも得られるものが少ないような。」

檸檬。
「学校の教科書では私も大分暇潰しをさせられた。」
「つまり完全な矛盾は愚者にも賢者にも等しく神秘的に聞こえますからね。」
「真理の代わりに迷妄を流布せしめる。」
「いい気になってそんなおしゃべりを続けている。」
「こんな馬鹿に構っちゃいられません。」
「人間というやつはそんな言葉にも。」
「何か思索に値するものがあるに違いないと思い込むようですな。」

女の子。
「でも。」
「高学歴になると特典がつきますよね。」

檸檬。
「資本家は従業員が誰かを問題にせず。」
「奉公振りだけを問題にします。」
「奉公だけを期待していますから。」
「黙っているのが良い。」
「しかめ面はしないこと。」

女の子。
「あれまあアドバンテージになりそうもない。」
「少しでも高く売りたいです。」

檸檬。
「金持ちが貧乏人と口論した。」
「俺の家には百万円がある。」
「貧乏人も負けてはいない。」
「俺にだって百万円ぐらいあるわい。」
「言い返す。」
「そんな大金、お前にあるはずがない。」
「貧乏人が指摘する。」
「お前はケチだから、あっても使おうとはしないから。」
「ないに同じだ、俺は使いたくてもない。」
「だから、二人とも同じという事になるんだ。」

女の子。
「あああああそういうことね。」

檸檬。
「芸人と遊んだ商人が年齢を尋ねた。」
「女性は言う。」
「十八。」
「次の日は痛い出費があったが。」
「気晴らしにその芸人と遊んだ。」
「年齢を尋ねた。」
「十七。」
「週末にまた遊んだ。」
「年齢はどうかとふざけた。」
「十六と言う。」
「商人はそれを聞いて泣き出して言った。」
「お前の年齢は、わしの金と同じで、だんだん減って行くんだね。」

女の子。
「どんどん安売りされている意味。」
「わしの金とは芸人と遊ぶ金と全財産の出費の意味。」
「自分も安くなっていると嘆いたのね。」

檸檬。
「カール・マルクス資本論を読んでいる。」
「ベストセラー。」

春雨ちゃんはこれらのメールを読んだ後に。

いろんなデバイスや自転車のテストを開始。

実際の使用を撮影するので。

わかりやすい。

スポンサーが宅配便で。

また届けてきたデジタルカメラと電化製品。

すべて動作を確認するために取り付け。

けっこう電源に配慮しつつ。

毎日使っては返品しています。

こんなんで広告依頼が来てしまう訳で。

余暇はすべて埋められてしまいました。


12


図書館。

勉強メソッドの本を手に入れて。

お届け。

春雨。
「下学上達。」
「身近で初歩から学び始めて。」
「次第に高度で深い道理に通じること。」
「下学は初歩的なことを学ぶ。」
「上達は高い道理に達すること。」
「論語の憲門からの教え。」

檸檬。
「幾何学に王道なし。」
「学問は日々の積み重ねで習得できる。」
「楽に習得する方法などない。」
「エジプト王プトレマイオス二世が幾何学を簡単に学べる方法を尋ねると。」
「エウクレイデスが幾何学に王道なしと答えた故事。」
「学問に王道なし。」

春雨。
「まあ勉強と言えば図書館ですよね。」
「でも難易度を下げるくらいは。」
「近道くらいはあるものです。」
「決定的な勉強方法はありませんが。」
「難易度を可能な限り低下させる手段はいくつかあります。」

檸檬。
「ガリ勉野郎が攻略本を書いてくれて助かったわ。」
「こうやって試験を攻略するのね。」
「生まれてから無理ゲーをやっていたようなもの。」
「ゲーム理論ではね。」
「とうとう攻略本を手にした訳です。」

春雨。
「この世の攻略本なんぞ探せばありますよ。」
「私はお高い洋書のコーナーに行きますね。」

別の場所。

家電量販店にて。

雛菊。
「鑿と言えば槌。」
「まあ女性の奥義ですよ。」

飛燕。
「優秀なPDF作成ソフトですと?」
「仕方がないので。」
「実際に使っている人から得た情報で。」

雛菊。
「ポータブルSSDも買わないと。」
「いろいろ必要でしょ。」

飛燕。
「最悪の家電製品である。」
「パーソナルコンピューターですが。」
「よく分からないので私達に買ってきて欲しいとは。」

雛菊。
「成功すれば株価が上がる。」

飛燕。
「とりあいず日本製で。」
「こんなの独学で把握しろとか無理ゲーじゃない。」

雛菊。
「そこそこのスペックなら動作面で優秀なのがあった。」

飛燕。
「今日は見るだけ。」
「情報送信しておくね。」
「大人でも必要なだけの知識が足りないとな?」

図書館から帰りに。

バニラシェークを飲んでいる。

こっちの方向へ来るので。

待機。

春雨。
「メールの通りだねー。」

雛菊。
「丁度いい所に丁度いいものが。」

飛燕。
「大人ってなあに?」

春雨。
「こんなのを知らないのが大人なんだよん。」
「荀子の伝え。」
「指を以て川を測る。」
「けた違いを知らないで物事をはかる愚かさのたとえ。」

飛燕。
「なんでも知っていると思い込んだり。」
「なんでも知っていることにしている。」
「そういう大人を見てきましたが。」
「自分の力を遥かに凌ぐ物事には非力でしたよ。」

雛菊。
「大人を何人も倒したことがあるんですが。」
「必勝法とかありますか?」

春雨。
「真綿で首を締める。」
「ゆっくりと時間をかけて責めること。」
「遠回しなやり方で非難や攻撃をすること。」
「真綿は弱そうですが。」
「切れにくいので締められるという意味。」

飛燕。
「それって青年くらいは余裕じゃないですか。」
「その場凌ぎを繰り返しているだけですし。」

春雨。
「簡単に能力で上回れば倒せますよ。」
「享楽的な生き方ばかり好みますから。」
「なんの訓練も受けていない。」
「ましてや実戦経験はなし。」

雛菊。
「前より腕を上げましたね。」

春雨。
「人間の力がその程度という意味でしょう。」

雛菊。
「ではないと説明がつかない。」

飛燕。
「本当に神様の御技ならば批判はできないものです。」
「そもそも批判する必要がありませんから。」

雛菊。
「自由って簡単な代償にできるみたいですね。」
「自由は思想のひとつであると知りました。」
「これって高く売れそう。」

飛燕。
「自由を主張した所で制限に衝突する。」

春雨。
「でも度が過ぎると運命論になると思います。」
「かと言って自由に振る舞うと。」
「自由の度が過ぎて自分勝手(エゴイスト)になります。」
「自由も超過すると有害なものです。」
「程々の自由が手に入ったらそれで満足して。」
「行き過ぎた自由なんて求めないほうがいいのです。」
「過ぎたるは猶及ばざるが如し。」
「自由の超過は毒です。」

雛菊。
「ただし、全員が理解できるものではありません。」
「不正だと知っていて彼らを同じ方法で退けておかないと。」
「彼らは不当な好運を掴んでしまい。」
「次第に永続するかのような苦しみと害悪に陥ります。」
「悪人を観察すると。」
「自分の悪行のために自分を悪くしてしまって。」
「取り返しがつかないほど壊れてしまう。」
「直す理由がないのでどうなるのだろう。」
「刑罰は矯正を目的としていないと刑罰ですらない。」
「平和の道を歩んでも。」
「他人は平和の道を知りませんから。」

春雨。
「まあまあ人については。」
「孟子を召喚して。」
「好む所に阿らず。」
「自分の好き嫌いを判断の材料にしてはいけないという教訓。」

雛菊。
「理に勝って非に落ちる。」
「道理から言えば正しく。」
「理論では勝っても。」
「実際には不利な結果になってしまうこと。」

春雨。
「正しいから通るとは限らない。」
「自分の正義をアピールしたら不利に陥る場合も多々ある。」

春雨。
「理に負けて非に勝て。」
「理屈では負けてもよいので。」
「不利な立場にならないようにする。」
「正論よりも実利をとるほうがよい。」

春雨。
「理屈の水掛け論なんて捨ててしまって。」
「実利と立場を守ったほうがいいですね。」

飛燕。
「理は高声によらず。」
「道理は大声を出して主張すれば通るというものではない。」
「正しいと思っても結果論で悪く出ることもある。」
「訓戒。」

春雨。
「理外の理。」
「常識的な理屈では考えられない。」
「不思議な道理。」
「そういう訳です。」

飛燕。
「これ見つけました。」

ぼくの仕事が長くかかること。

またその特別の性質からして。

文学では食べてゆけないでしょう。

フランツ・カフカ。

雛菊。
「例外者特有の発言かもね。」

飛燕。
「偉人の中に入っているのに。」

春雨。
「私はどんなことに関しても例外ですよ。」
「この世のどんなことも例外です。」
「どんな規則だって抜け穴から出ています。」
「王道と呼ばれる王様専用の道なんですね。」

飛燕。
「この世の昔からある古典的な抜け道。」
「例外者は便利この上ない。」

雛菊。
「フライドポテト。」

春雨。
「ポテトは野菜だからヘルシーですよね。」

飛燕。
「いや揚げ物だし。」

雛菊。
「野菜だけ食べていれば良いのでは。」

飛燕。
「ベジタリアンは今日から野菜と野草しか食べてはいけません。」

春雨。
「なんて偏食な。」
「偏った考え方は悪い結果になるだけでしょう。」

ランチに移行。

休日や平日はセレブを相手にすることもありますが。

たまに余暇が生じます。

春雨。
「悪法問題って議論で出ていましたが。」
「悪だと分かっていて従うのも悪なのでは。」

雛菊。
「何気に難題だし。」

飛燕。
「法律より正しい存在もいるのだと主張する。」

春雨。
「実際に他国の軍隊が侵入してくると。」
「その国の司法は無力ですし。」
「逆らえば司法が殺されてしまいます。」
「過去発生した戦争で首都まで攻めてきた軍隊は。」
「警察を虐待したらしいですけれど。」

飛燕。
「その場で最も正しいのはその国の軍隊で。」
「悪なのは警察になっているのでは。」

春雨。
「悪法問題も中々、余地がありますね。」
「ゲーテは法律が平和な暴力であると格言集に載せています。」

雛菊。
「そう公表した方が雄弁なのでは。」

歌舞伎者が登場。

あの女の子。

檸檬。
「あの高校生。」
「威勢が良くて気に入った。」

春雨。
「なにがあったのか。」

檸檬。
「理屈を言えば腹が立つ。」
「理屈では相手が間違っているのがはっきりしているのだが。」
「自分が正しいことを盛んに主張していると腹が立ってくるもの。」
「あれで理解したでしょう。」

春雨。
「理屈にばかりこだわらず。」
「ある程度は成り行きにまかせたほうがいいということ。」

檸檬。
「昔の後輩で。」
「優等生が浪人とか同情されてしまって。」
「なんていう奴。」

春雨。
「ぷんすか。」
「同じ意見の人を探すのはかなり苦労するもんですよ。」

檸檬。
「自分と同じ意見の人なんて見たことないわ。」

雛菊。
「法律が平和な暴力ならば。」
「実定法は暴行罪。」

飛燕。
「いや矛盾している理屈だわ。」

檸檬。
「矛盾について。」
「矛とはほこ。」
「盾とはたて。」
「昔中国の楚の国で。」
「矛と盾を売る者が。」
「この矛はどんな盾でも突き通すことができると言い。」
「またこの盾はどんな鋭い矛でも突き通せないと宣伝したところ。」
「それではお前のその盾をその矛で突いたらどうなるのかと問われて答えに窮したという故事から。」
「つじつまの合わないことをいう。」
「韓非子から伝わる。」

春雨。
「矛盾。」
「どんなものでも貫く矛で突けば貫通しますが。」
「どんなものでも突き通せない盾は防げるので。」
「興味深い。」
「矛盾は論理の世界では定番ですし。」

檸檬。
「専門学校か大学かで占っている最中なのに。」
「もう会いたくないなあ。」
「賞味期限の切れたパンケーキあげちゃった。」
「どんな顔をしているのやら。」

春雨。
「まあまあ最大まで自分を高めるまで。」
「小競り合いくらいはあるでしょう。」

檸檬。
「水火の争い。」
「腹は立て損喧嘩は仕損。」

人間は、たがいにぶつかりあいながら、水に浮んでいる壺である。


13


富士川滑空場。

グライダー見物。

春雨。
「モーターグライダーがあんまりに良いので。」
「せめてこっちの方角にも来たわけですが。」

檸檬。
「妙な夢を見たってメールで。」

春雨。
「夢の中のワンシーン。」
「良さそうなマンションの一室。」
「20時40分にモニターに表示されているのは。」
「東海地方震度七と中部全体に震度四の大地震。」
「しかし揺れはない。」
「どうもこの並行世界はとても待遇が良く。」
「目障りな存在が誰もいない。」
「モニターの表示はどうやらこれから発生する。」
「隕石か天体衝突の被害計算のようで。」
「モニターに震度が表示されているのに。」
「どうやら遠くの場所に隕石か天体が落下した気配がある。」
「地球の裏側のようで。」
「衝突一時間前である程度時間に余裕がある。」
「お風呂に呑気に入ることも可能だったようで。」
「迷っていると。」
「母親が来る。」
「食料の買い出しうんぬん言ってどこかへ車で行ってしまう。」
「景色が良いので。」
「市街地の一等地なんでしょう。」
「窓から外を見ると。」
「天体が落下した爆発閃光を食らって半分失明する。」
「そこで夢が終わったので。」
「この夢はもう少し経過していると。」
「世界が滅亡しているようでした。」

檸檬。
「それで今日の夜は何か発生するのかな。」

春雨。
「それを見たのは数日前で。」
「メモがうっかり出てきて。」
「ネタにしたらいいかなと。」

飛燕。
「なんていう夢ですか。」
「世界滅亡の夢とか。」

雛菊。
「それでその夜には何も発生しなかったとか。」
「何の暗示か分からない。」

檸檬。
「夢は逆夢と言いますか。」
「世界滅亡の夢だなんて前代未聞。」

春雨。
「面白いくらい何も起きなかったもので。」
「半信半疑でしたが。」
「そんな超級の夢を見たのは初めてでした。」

檸檬。
「人の世界なんぞ。」
「自滅してもいいような雰囲気ですしねー!」

飛燕。
「今でも続編があるのが不思議。」

雛菊。
「三百年前の対談集ですら。」
「私達と同じような話題が多いですし。」

春雨。
「人類の進展は数千年先を目指しているように思えますが。」
「実際は数百年も先でしょうね。」
「人類がどれほど長く続いても。」
「人類を悩ます邪魔者は決して無くならない。」
「結局は人類の力を伸ばすことになるいろいろな苦難は後を絶たないし。」
「彼らはいっそう利口になって先まで考えるようになる。」
「いっそう良くはならないし。」
「幸福にも活動的にもならないし。」
「ある時期だけのことになりましょう。」
「どうもある結果と結論に辿り着くように予定されているようにしか見えないので。」

飛燕。
「ナイスな意見。」

檸檬。
「同類のものは我々を安心させる。」
「しかし反対のものは我々に創造を促す。」

雛菊。
「有識者の書籍が多いようですが。」
「知識人もいろいろ苦心していますよ。」
「何を持てば有識者なんでしょうか。」
「売名に成功すれば有識者なんですかね。」

飛燕。
「これほどいろいろと考えをかき立てられた本はありません。」
「しかし、この本くらい、反感の覚えたことの多い本も始めてです。」

春雨。
「あなたの意見は何ですか?とよく尋ねます。」
「普通、世間で言われている見方には賛成できません。」

檸檬。
「偉人の多くは。」
「その力強い偉大な時代から生まれたものでしょうし。」
「今日の才能ある者たちはみんな大衆の前に晒されている。」
「評論紙やジャーナリズムをめぐって大衆の間で交わされている饒舌は。」
「何の健全さもくれない。」

春雨。
「一種中途半端な文化が大衆の間に出現しているけれども。」
「それは天才にとっては有毒な霧であり。」
「創造力を曇らせてしまう。」

檸檬。
「あそこに全員を慰めてくれるものがあります。」
「仕事、私達を悩みから立ち直らせてくれる素晴らしい手段です。」
「仕事に夢中の人は生きるのが楽でしょうね。」
「仕事をしていればなんでも解消するのですから。」
「ある意味では幸福です。」
「そこまで洗練されれば無駄な苦労はしません。」

グライダー離陸。

続々と離着陸。

飛燕。
「空は自由ですね。」
「本当の自由主義者なんていうものは。」
「この不完全な世界においては。」
「より良いものを獲得できるまで。」
「ある程度の善で満足しているのです。」

檸檬。
「馬鹿げた世間のことだから。」
「自分の求めているものが何かもわきまえていないのだから。」
「彼らは主観的に持論を展開するだけです。」

春雨。
「嘘をつくのならたんまりお金を貰わなくちゃね。」
「大金の見込みがなければ大嘘をつく気にはなれないよ。」

雛菊。
「連中は自分が何を言っているのかわからんのだ。」

春雨。
「そんなところでしょう。」

檸檬。
「すごく鋭い。」

雛菊。
「ひとつの物事の中にある論拠や言い訳をすべてほじくり出すようになった。」

グライダーが準備中。

モーターグライダーが着陸してきて。

高速。

春雨。
「空から見るとどうでしょう。」
「世界のすべてが見えますか。」

飛燕。
「どこか高い山に登山して。」
「眼下の都市を見渡してみれば。」
「世の中とはこういうものですよ!というふうに答えが貰える。」
「車で上がれる小山もあるものですし。」
「ああいう見方が客観的で好きだわ。」
「世の中なんて高い山から見下ろせば簡単に理解できるもんですから。」

春雨。
「それはありのままを見ることになりますね。」

雛菊。
「唯一、客観的に見えるのは空からだけでしょう。」

檸檬。
「地上からは何も見えないよ。」

春雨。
「みんなテレビに夢中ですし。」
「テレビってそんなに面白いものなのでしょうか。」
「政治は為政者に丸投げです。」

檸檬。
「為政者はカエサルではない。」
「多くの点で信頼できない存在であろう。」

春雨。
「自分の時代に真実の天才がいても不思議ではないけれど。」
「決まってその天才を理解できないのが通例なんですよ。」
「少しくらい才能があるだけでは何の役にも立たないし。」
「天才と言われようが本当の所は強いのか知性があるのかは知りませんよ。」
「真なる才能は人の理解できるものではないのです。」
「可能ならば為政者に天才がいてほしい。」

飛燕。
「その反転した奴ならば在庫はいっぱいあります。」

雛菊。
「私は拘束されている気違いを見たくもありません。」
「自由にうろついている気違いだけでまったくたくさんです。」

檸檬。
「どこからそんなもの持ってきたんだ。」

春雨。
「子供には聞かせたくないものは話さないものですが。」
「子供は犬のような嗅覚を持っていて。」
「何でも見つけ出して嗅ぎ付ける。」
「とりわけ良くないことも。」
「子供が犬みたいになったら手に負えないのだから。」
「そのうちどんなことでも知られてしまうので。」
「大人はかなり油断しているものですよ。」

飛燕。
「子供のアドバンテージ。」

雛菊。
「シミュレーション仮説に基づくと。
「この世界はゲームなのだから。」
「攻略方法と楽しみ方がある。」
「ゲームって楽しいですよね。」

春雨。
「子供は嘘がつけないんですね。」
「あはは・・・。」

飛燕。
「本当の事を言うと非難されます。」
「意見が違うからと言って否定する年齢ではないです。」

檸檬。
「何事に関しても否定を一切しない言動や態度は好まれるでしょう。」
「性格が良い人は否定なんぞ殆どしません。」

雛菊。
「否定は何らかの思想に感化されている人ほど多いようですが。」
「相手の思想さえ見破れば対処は楽。」

檸檬。
「思想について心得ておけば。」
「どんな思想にも依存することがない。」
「ポエムを書こう。」

春雨。
「所で文学をすることが娯楽になり得るという面白い話はどうですか。」
「もちろん一人前に学んでからまともな作品になるのだけれど。」
「趣味という趣味を混ぜると興味深い芸術が生まれる。」

檸檬。
「まあ正気で文学なんてやらないことです。」
「ポエムを書く人が正気だなんて誰も思わないでしょう。」

グライダーが舞っている。

モーターグライダーが発進。

どこかへ飛び去る。

T-7練習機が着陸してくるそうで。

特別訓練らしいです。

なんとT-7に続いてF-35Bが来てしまいました。

陸上基地でもF-35Bは運用できますので。

その訓練でしょうか。

春雨。
「戦闘機まで来るんですね。」
「その予定はあったんですね。」

檸檬。
「いやあいいものを見せて貰いましたなあ。」
「さっさと離陸するようで。」
「眺めておこう。」

雛菊。
「最新型戦闘機ですと。」
「こんな無理な運用にも耐えるなんて。」
「優秀な兵器を作ったんですね。」

飛燕。
「このくらいは現用機には求められますよ。」
「無論、次世代機にも。」

檸檬。
「そろそろかな。」
「前より私の力は倍になっていると知れ。」

思わぬ戦闘機の登場と訓練。

なんとなく見学に来たつもりが。

腕前を魅せつけられて。

自衛くらいはどの国もやっているんだと理解しました。

帰り際はペーパードライバーだと思いきや。

前より技量が倍になっていて。

スムーズ。

春雨ちゃんは休日は遊戯。

平日は実家の手伝いと。

パターンが決まりましたが。

生活習慣としては良好のようです。


14


不期而会のメンバー。

ゲームセンターの中で。

春雨。
「ゲームいいですよね。」
「疑似体験っていいですよね。」
「戦争もめっきり減りましたし。」
「実際に狙撃中を持つとわんさかくる兵士に殺されますから。」

檸檬。
「とまあ、生きている兵士や戦闘車両なんてゲーマーは知りませんよ。」
「あっという間に攻防が終わったり。」
「長時間の持久戦もいろいろ。」
「どんなことしてくるか分からないのが敵兵ですし。」

飛燕。
「シミュレーションを楽しむようなもので。」
「これなんかどう?」
「零式艦上戦闘機で四機編隊を組んで。」
「敵機を薙ぎ払う。」

雛菊。
「新作らしいけれど。」
「協力ゲームほど激戦になる。」
「どっかとオンラインで繋がっている場合もあるし。」

檸檬。
「プレイヤー対戦は一味違いますね。」
「家庭用ゲーム機ではあんまりやらない。」

春雨。
「プレイヤー接待ゲームも多いけれど。」
「お偉いさんの接待ゴルフが気軽に堪能できるなんて。」

檸檬。
「ゲームは接待ゴルフと同じく。」
「接待試合ですか。」

雛菊。
「主人公接待小説なんてものがけっこうある。」
「お偉いさん接待ゴルフと同じように。」
「主人公がよいしょされてゴマを擦られて。」
「ひたすら贔屓にされつつやられ役が倒れていく。」
「最も醜悪で退屈な接待物語は愚鈍です。」

飛燕。
「漫画でも接待試合ってけっこうあるよね。」
「結局、主人公補正やまぐれ当たりで倒したり。」
「無理に物理法則を曲げて倒れてしまったり。」
「ゲームマスターみたいな何かでボスが倒される。」

春雨。
「勇者は自分より強い敵を倒したから有名になった。」
「倒せて当たり前の敵を倒したから。」
「勇名がつかなかった人なら兵法の世界では常識。」

檸檬。
「勝って当たり前の敵を倒したら。」
「何の名誉もないわ。」
「主人公も大立ち回りで結局勝ってしまうし。」
「工夫がないのは認めるわ。」

春雨。
「今のご時世、他人の馬鹿さ加減を利用するのが一番ですよ。」

飛燕。
「それなら故事を読んだことある。」

雛菊。
「韓非子の内儲説上で。」
「斉の宣王はいつも三百人から成る楽士の演奏を楽しんでいた。」
「南郭という者は下手なのにごまかしてこの楽員の中に入り込み。」
「高給を取っていたが。」
「次の王の時代になると。」
「楽員ひとりひとりに演奏させてみたところ。」
「南郭は逃げ去ったという故事があり。」
「才能や実力がないのによい地位を占めている者のこと。」
「みだりに資格もないのにという意味で。」
「南郭濫吹という言葉が生じた。」

檸檬。
「実力で勝とうとしないのね。」

春雨。
「そういうやり口は昔からありますよ。」

飛燕。
「庶民に不正が発覚して。」
「インチキであると非難されて。」
「失脚した作家もいますけれど。」

春雨。
「攻めずして自ら破る。」
「不攻自破。」
「敵の攻撃を受けてないのに自ら壊れること。」
「議論の論拠があやふやだったりして論理が通っていないために。」
「反論や批判を受けるまでもなく。」
「自ら馬脚をあらわすことを言う。」
「平民も馬鹿にできない戦力ですよ。」
「大衆に逆らわないほうがいいですし。」
「本屋でも人気作品に全員が集中することはないです。」
「入ったら散開して好きなコーナーに行ってしまいます。」

檸檬。
「台風の目みたいな作品も出ますよねー。」
「中心には・・・。」

雛菊。
「流行にまで持っていく作品はある意味でその時代最強。」

飛燕。
「クレーンゲームに登場すると。」
「もう今年の流行ですよと。」
「どうだ見たでしょう。」
「私の実力を・・・。」
「なんて形になってアピールする。」
「出世しましたね。」
「何年もクレーンゲームで取り扱われているし。」

ゲーム実行。

そこそこのスコア。

春雨。
「ランキング六位を倒してしまいました。」

檸檬。
「地位が確立するまで勝率が安定しないのかな。」

飛燕。
「一撃離脱ばっかりやってあげた。」

雛菊。
「目の前で。」
「低速旋回中の敵機が燃えまくったし。」

春雨。
「もう五回くらいやってから出ましょうか。」

てきとーにプレイ。

ゲームセンターからホームセンターへ。

檸檬。
「これが欲しかった。」
「スズメバチサラバ。」

飛燕。
「スズメバチにかけると苦しみだして。」
「半日ほどで死んでしまうこともある。」
「迎撃用スプレーガン。」

雛菊。
「自然界のハチは目の前にいても何もして来ないわよ。」
「樹液を調べているスズメバチを目の前で撮影してみたけれど。」

檸檬。
「なんでこんなに接近できるのか。」

春雨。
「苦手な虫っていますよね。」

檸檬。
「あの黒い虫を追い掛け回して楽しんでいた私がですよ。」
「オーバーキルして面白がっていた私がですよ。」
「あらゆる種類のハチの体当たりを食らうんですよ。」
「なんの事故ですか。」

春雨。
「この穴場ならばあると思って良かったです。」
「あんまり置いてある所は無いですから。」

富士山の近くの。

地図に載っているのか怪しい場所。

農業組合の市場がある牧場と別荘地に侵入。

綺麗な空気でも吸いに来ました。

草原と森林と。

背景に山地。

道路が広がり。

周辺には集落と牧場。

雛菊。
「馬だ牛だ。」
「西洋の鎧を馬に装着したい。」

飛燕。
「レオナルド・ダ・ヴィンチをやるわけですよね。」

雛菊。
「だってあの人物はフィギュア作ったでしょ。」

飛燕。
「あの馬の模型は見る価値が大いにあったと思いますが。」

檸檬。
「モンスターが現れた。」
「コマンド。」

春雨。
「あれが苦手なんですね。」

檸檬。
「攻撃が当たりました。」
「けっこう苦しんでいますね。」
「もう一回かけておきます。」
「死ねっ!!」

春雨。
「もう動かないですけれど。」

檸檬。
「二度と出現するなー。」

雛菊。
「あのー。」
「虻にばかり追いかけられていませんでした?」

檸檬。
「種類まで判別できないわよ。」

飛燕。
「どこへ行けばいいのかな。」

春雨。
「友達の別荘があるのですが。」
「避暑地なので。」
「今はいないようですね。」
「長くて入り組んでいますので。」
「カーナビではなくて幾何学で計算した方が良いかと。」

檸檬。
「地図は合っているのかな。」

雛菊。
「ソフトクリームを獲得。」

飛燕。
「あっちにあるよ。」

春雨。
「ではでは。」

檸檬。
「どこの地図よこれ。」

雛菊。
「私が計算しておくわ。」

飛燕。
「カーナビに入力しておく。」
「幾何学は算術の一種。」

市場の中。

春雨。
「卵を以て石に投ずる。」
「卵を石に投げつけると卵は割れて石は無傷。」
「損ばかりで益がない。」
「勝負にならない意味。」
「荀子。」

檸檬。
「私刑って蔓延しているわあ。」
「無条件で怒って人を攻撃するなんて。」
「おまけに理屈をつけてストーカーするとか。」
「人を攻撃したいから都合の良いターゲットを選定して。」
「攻撃して楽しんでいるような私刑。」
「多分。」
「攻撃されて困っている様子を見て楽しかった。」
「なんて言い訳するに違いない。」

春雨。
「悪だと思ったら無条件で怒って高圧的になり。」
「異常なまでに無謀になりつつ。」
「執拗に攻撃するとかありますね。」
「簡単に言えば人を攻撃したいという願望でしょうかね。」
「意味が分からない。」

檸檬。
「道徳的低劣であると相手に怒るようですが。」
「怒っている人間も道徳的に低劣であったりするので。」
「本当の理由は愉快犯みたいな動機論だと思う。」

春雨。
「免而無恥。」
「法によって罰せられさえしなければ。」
「どんな悪事を働いても恥ずかしくは思わない。」
「法律や刑罰で統制しようとすると民衆は良心を失い。」
「法の網を潜り抜けさえすれば良いと思うようになる。」
「論語で有名な句。」
「為政より。」
「法律や刑罰で統制されたら法に触れなければどんな悪事もしてもよいという理由になってしまう。」
「悪法問題の起源。」

檸檬。
「罰を受けても軽く済むとか。」
「罰を免れると計算した上で私刑をするのって。」
「弱い者虐めと同じ構図ですよ。」

春雨。
「人をいたぶるのが大好きなので。」
「口実が必要だったのですよ。」
「人を傷つけて喜んでいる連中が私刑をするもので。」
「こうなるとわかりやすい人種です。」

檸檬。
「私刑は刑罰への抵抗なんですね。」
「人を傷つけて喜んでいるので。」
「裁判で有利になろうと計算している。」

春雨。
「それで説明がつくかと。」
「狼心狗肺という教えがありまして。」
「人の性質は狼のように凶暴で。」
「犬のように貪欲なこと。」
「またそのような人を言いますが。」
「道理を説いても理解せず。」
「攻撃ばかりする人間がいたら。」
「彼らは自分が悪であると認めたわけです。」

檸檬。
「なるほど。」
「彼らは自分が悪であると認めたわけです。」
「これはわかりやすい悪人。」

春雨。
「私のやり方は独特で。」
「いきなり正論を示すようなことは決してせず。」
「発人深省の方針を崩さない。」
「人を啓発して深く考えさせるのみ。」

檸檬。
「世間は偽物でいっぱいですし。」
「人類というもの。」
「経験しないと分からない。」
「偽物を知るために用意されたも同然な。」
「馬鹿がしばらく暴れるでしょう。」
「それでやっと分かるのが人類。」
「破綻百出。」
「言動に粗漏が多く。」
「次々とたくさんのぼろが出ること。」

春雨。
「もはや経験しないと理解できない人類。」

駐車場。

車の前。

雛菊。
「性悪説では人間には虚言壁があると。」
「相場が決まっているとも言われており。」
「人を信じる根拠が無い。」
「なぜ人を信じなければいけないのか逆に問いかけたい。」
「人を信じなければならないのはなぜか?」
「それは強制なのか?」
「そういうルールなのか?」
「それは強制できるのか?」
「信じたいだけなのか?」
「信じる義理でもあるのか?」
「性善説を誤解したような解釈には賛同できない。」

飛燕。
「なぜ人を信じないといけないの。」
「この問いかけには耐えられまい。」

春雨。
「不偏不党ですけれど、常に良い結果にはならない。」
「キケローのように。」

檸檬。
「文運隆盛ですな。」
「学問・芸術などが栄えるさまは美しい。」

雛菊。
「女尊男卑くらいに一度はしないとダメ。」
「故事来歴は熟知しているし。」
「昔から伝えられている物事のいわれや。」
「物事が現にそのようになったことについてのいきさつや理由。」

春雨。
「まあまあ、誰でも欺かれれば人を信じる理由は無くなりますよ。」

檸檬。
「人は弱さから裏切る事が多いですし。」

飛燕。
「獣窮すれば即ち噛む。」
「野獣は追いつめられるとかえって噛みつく。」
「人間は行き詰まると悪事を働く。」
「韓詩外伝。」
「社会が原因で犯罪者も増えている?」

雛菊。
「三方論議。」

春雨。
「三人の者が互いに譲ろうとせずに自分の意見を主張して論争する事。」

檸檬。
「花鳥諷詠。」

飛燕。
「自然や人事をそのまま詠う。」

春雨。
「百依百順。」
「何から何まで人の言いなりになること。」
「そうやって大人になってはいません。」
「性悪説は強いですね。」
「性善説の誤訳はけっこう前からありますが。」

飛燕。
「何を見てきたのか分からなくなりました。」

檸檬。
「助長抜苗。」
「成長を助けようとして力を加え。」
「かえって成長を妨げたり。」
「害を与えたりすること。」
「孟子で宋国の農民が稲の成長を助けようとして。」
「穂先を引っ張って枯らしてしまった実話から。」
「後から見るものですけれど。」
「先に見たから。」

雛菊。
「詭計多端。」
「人を欺く計略が数多くある。」
「デタラメを信じるのであれば。」
「騙されるほうにも問題がある。」

春雨。
「では。」
「不言実行。」
「理屈を言わずに自分が正しいと信じることを実行する。」

雛菊。
「調和しているねこのチーム。」

車に乗車。

ドライブを楽しみます。

高原地帯を侵攻。

春雨。
「荘子。」
「知北遊には宇宙観も書かれている。」
「無始無終。」
「始めもなく、終わりもない。」
「天地の存在は永遠に不変であり。」
「始まりも終わりもなく。」
「天地がまだなかったときというような言い方は本来成立しない。」
「道教から輸入するのは大吉。」
「老子は道教。」

飛燕。
「ブログが人気のようですが。」
「当たり前の結果ですよ。」

雛菊。
「でもどうしてボランティア活動を?」

春雨。
「自利利他。」
「自分も利益を得て他人にも利益を与えること。」

雛菊。
「見習いたい。」
「三平二満。」
「めぐまれない環境にあっても。」
「心安らかに過ごすこと。」
「足るを知って落ち着いていることを言う。」

春雨。
「帰正反本。」
「正しい道に返り。」
「根本に立ち戻る。」
「本源に立ち返ること。」
「蜀志馬超伝。」
「このお宮参りが大切。」
「やっと返ってこれたので。」
「神社に返るまで隠忍自重でした。」

檸檬。
「ここにもあるのね。」
「見落とすわ。」
「ここら辺かな。」

飛燕。
「インターネットの中はスパムだらけです。」

雛菊。
「扇動者が民衆を欺いているが。」
「目的が不明ですし。」
「何かしらのテロリストグループが関与しているとも言える。」

飛燕。
「労して功無し。」
「労而無功。」
「力を使うばかりで何らの効果もない。」
「無駄骨。」
「荘子の書物で天運。」

春雨。
「洗脳は脳科学を使ったハッキング。」
「ターゲットは心理学と脳科学とあらゆる種類の攻撃を受け。」
「一度ハッキングされると脳を乗っ取られて。」
「特定の行動や言動と思考パターンに陥る。」
「洗脳が解けないのは脳が乗っ取られているからであり。」
「脳そのものをハイジャックしたので。」
「洗脳が解ける理由がない。」

雛菊。
「脳を乗っ取られるとその人の生涯を剥奪することは容易に想像できる。」
「脳を乗っ取られたまま長い期間継続する。」
「何かの衝撃でコントロールが解ける場合があるけれど。」
「脳そのものを乗っ取れば基本解けない。」
「扇動者は心理学で特に群衆心理を調べ尽くしており。」
「通常の方法からは考えられない。」
「想定を超えた攻撃を仕掛けている。」
「これまでの予測を遥かに超えた攻撃方法のために。」
「容易に原因を特定できないし。」
「扇動者に欺かれる。」

飛燕。
「事実をいくらか混ぜた情報で欺く。」
「背後世界が消えると自分の判断の基準がないから。」
「自分がそう思ったから真実。」
「なんてことに。」

春雨。
「デタラメを信じる方にも問題があるのは。」
「合理的な見解かもしれませんね。」

檸檬。
「高原地帯の深くに来ましたが。」
「山脈に入りそうですね。」
「こっちでいいので?」

雛菊。
「方角ではこちらで。」

飛燕。
「コンパスあるよ。」
「地図では今ここ。」

春雨。
「占いもやりましょうか。」

檸檬。
「最短で頼む。」

春雨。
「易学では運命すら自然法則に基づいていると説かれている。」
「要するに決定論で自然に決まっているようなもの。」
「易学では諸説あるものの。」
「儒教の聖典ですら決定論が説かれている。」

飛燕。
「決定論の古典もあるんですね。」

雛菊。
「決定論の起源じゃん。」

檸檬。
「ここのお宮で停車。」

春雨。
「ちなみに易学は占いの古典であるものの。」
「前時代は運命の扱いは人間の力が及ばないと説かれていて。」
「その後の時代は自然法則に基づいているだけだと覆っている。」
「なのでけっこう簡単に予知できると説明されている。」

飛燕。
「なんですかそのチート。」

雛菊。
「やりたい放題じゃないの。」

春雨。
「自然由来の様々な現象や自然由来のあらゆるものから学ぶほうが。」
「かえって学問の妨げにならないとも言われている。」
「人工的に整えるほうが頭がおかしいとまで言っている。」
「教育の完全否定でもあるけれど。」
「そこまで大胆不敵な行為が可能なのは時代背景からかな。」
「陰と陽の二次元論での占いであるけれど。」
「とある解説では陰と陽のバランス次第とか。」
「陰と陽の二次元論で世界を把握しようとする辺りは形而上学と類似している。」
「中庸はそもそも中国の古典で有名なもので。」
「言及は少ないものの孔子が論語で示して。」
「古代ギリシアで説かれたそれも同じようなもので。」
「英語圏の普遍的な教えとして普及している。」
「こういうふうに類似点がある。」
「形而上学が西洋の学問ならば。」
「易学は東洋の学問。」
「趣旨が類似している不思議なコラボ。」

檸檬。
「ここで休憩してからこのルートで帰ります。」

春雨。
「日時計からしてそれで大吉です。」

檸檬。
「だって、集中力が足りない。」

飛燕。
「スイーツ食べる?」

檸檬。
「わーお。」

雛菊。
「位置情報間違えてます。」
「思ったより深く来た。」

春雨。
「山神社(山神宮)です。」
「グーグル先生って凄腕ですよね。」

鳥居の前。

なんとなく。

参拝。

大成若欠。

本当に完成されたものは、かえって欠けたところがあるように見える。

老子。


15


圧力団体の猛攻を受ける新首相。

焼津魚センターにて。

魚介類を観察。

大きな港が見たくて。

埠頭にいます。

春雨。
「仰不愧天。」
「あおぎて、てんにはじず。」
「天を見上げても恥ずかしい気がしない。」
「気持ちや言葉。」
「行動などにまったくやましいところがないこと。」
「孟子の言葉。」
「他人が信じようと信じまいと。」
「仰ぎて天に愧じず。」
「私は潔白です。」

檸檬。
「他人は同じ真似が出来ない。」

飛燕。
「それが真実を意味しているのでは。」

雛菊。
「素晴らしい晴天の日にこのような行いが見れるとは。」
「私もやろう。」

空に向かって唱える。

檸檬。
「天歩艱難。」
「天の運行に支障がある。」

雛菊。
「そのための苦労。」
「詩経から伝わる。」
「なるほど。」

飛燕。
「転倒黒白。」
「黒を白と言い。」
「白を黒と言う。」
「事実を歪曲して是非を混乱させるたとえ。」
「またはその作戦。」

春雨。
「それでも私は天に向かって。」
「仰ぎて天に愧じず。」

飛燕。
「何度でも言えます。」

雛菊。
「天下泰平。」
「戦争がようやく減ってきて。」
「平和が目立つようになったけれど。」
「それでいいのだろうか。」
「それとも何かあるのでしょうか。」
「戦争が減るのは良いことですが。」

檸檬。
「兵強即滅。」
「強大な軍備を誇って戦争ばかりすると。」
「国力が疲弊して国が滅びるぞという戒め。」
「淮南子。」

飛燕。
「互角でなにより。」
「そうでないと面白くない。」

春雨。
「手不釈巻。」
「手から書物を離さない。」
「常に読書と学問に励むことを言う。」

飛燕。
「私達の事です。」

春雨。
「こうして天に向かって唱えられたのも。」
「歴史書のおかげ。」

雛菊。
「垂名竹帛。」
「名を歴史書に記して後世に伝える。」
「紙が発明される以前には。」
「竹や帛に文字を記録していたことから。」
「古人はかなり徹底していた。」
「後漢書にある言葉で。」
「なんとしてでも書物を後世に伝えたい努力が超人。」

春雨。
「現代ってなんのことでしょうか?」
「よくわからないです。」

雛菊。
「評判の悪い漢書の元帝紀の一句。」
「是古非今。」
「古を是とし今を非とし。」
「古い時代を正しいと考え。」
「それと比較して今の世の中を間違ったものとすること。」
「こういう姿勢も大事だと思う。」

春雨。
「同感です。」
「故きを温ねて新しきを知る。」

飛燕。
「平日になると動けないようですが。」

春雨。
「家業の手伝いで。」
「ランダムサンプリング。」
「任意抽出を習っています。」
「調査などを行うときに。」
「もとになる資料の集まりから対象を選ぶ。」
「ある部分に偏ることのないように。」
「意にまかせてバラバラに抜き出すこと。」

雛菊。
「家業の訓練ですか。」
「そのくらいの能力でも簡単ではなさそうですね。」

飛燕。
「この時代、最強とも言える女性にも勝てるらしいし。」
「とまあ凡人が考えるような才人なんぞ。」
「チープに見えてきました。」

春雨。
「あちらはあちらで熾烈な競争の中にいますよ。」
「若者というものは。」
「すぐに希望や期待を持って。」
「勝利に拘泥するもの。」
「さらには欺かれたこともありませんし。」
「世の中には悪いものの方が多いとか。」
「醜悪な部分を見ずに突進してしまいました。」
「あんな無謀な若者なんて。」
「老人から見れば真っ青になる。」
「最近の若者は無謀。」

飛燕。
「おお酷評。」
「舞台の上で重要なのは役者ではなくて。」
「喜劇か悲劇の方でしょうし。」
「俳優は昔から尊重されていません。」
「作家次第とは古典で説明されました。」

春雨。
「いやあ無謀な若者を見ると残念で。」
「中庸に限ります。」
「欲望を減らすほうが楽です。」

雛菊。
「勉強は無駄にロジカルシンキングであると言っていた。」
「しかしパワーアップしたらしいですよね。」

檸檬。
「こちらは受験に関して無敵になってしまった。」
「とある大学に行くので。」
「受かったら報告するわ。」
「無理だったらとある専門学校に行く。」

雛菊。
「メール待ってます。」

檸檬。
「揣摩臆測でしょ。」
「しくじって失敗する可能性は否定できない。」
「形勢などを自分で勝手に推察するのは。」
「ナンセンス。」

春雨。
「私は商才があるようで。」
「利益を重んじるだけで見えてくるものもあります。」
「自分の利益と他人の利益。」

檸檬。
「合理主義者には向いていると思う。」

春雨。
「合理的に考えなかったら知性なんて期待できませんよ。」

檸檬。
「合理的な考えは基本ですしね。」

雛菊。
「それが無敵少女の証拠です。」

魚介類わんさか。

変わった品ぞろえ。

魚と言えばここに来れば間違いなし。

鮮度維持のクーラーボックスが必要かな。

大食堂にて。

飛燕。
「相談。」
「告白されたが振り切った。」
「男は追尾してくる。」

春雨。
「緩兵之計。」
「敵との決戦や相手との決定的なやり取りを先に延ばして。」
「時間を稼いで事態を緩和させて。」
「時機が熟するのを待って再び行動に出るような計略。」
「緩兵の計とも言う普遍的な作戦。」

飛燕。
「それで片付けます。」

雛菊。
「社畜ってなんですか?」

春雨。
「無用之用。」
「役に立たないように見えるものが。」
「かえって非常に重要な働きをすること。」
「荘子の教え。」
「人間世。」
「使い方がダメ。」

雛菊。
「いきなり決定論なんですか?」

飛燕。
「罠です。」

檸檬。
「生まれたらいきなり強人所難で四面楚歌。」
「人に難しとする所を強いる。」
「他人に嫌がることやできないことをむりやりさせようとする。」
「不可能な事を強制する。」
「これの連続。」
「真面目にやる気が無くなったので。」
「詭計を用いて片づける事が多いわ。」

雛菊。
「可能な限りの交戦は避けますよ。」

飛燕。
「でも相手を倒す場合もあります。」
「話し合いで解決できることなんてありえませんから。」

檸檬。
「話し合いで解決できていたらこうなってはいない。」
「話し合いなんて無能な。」

春雨。
「危うきを見ては命を授ける。」
「論語の憲問。」
「見危授命。」
「危険を目の前にしたら命を惜しまず投げ出す。」
「懐へ飛び込んで倒してしまいましょう。」

雛菊。
「戦闘力は便利ですね。」
「強者になるのが目標です。」

飛燕。
「権力を奮ってみたいです。」
「圧力も加えてみたいです。」

春雨。
「生まれてくる子供がどんな人物になるかは。」
「想像できないのである意味、危険です。」
「さて、泰伯を読みましょう。」

書籍を広げる。

論語の泰伯。

死而後已。

死んではじめて終わりになる。

一生涯、死ぬまで力を尽くすことを言う。


16


箱根。

ドライブ。

関所の地域で要所。

道を把握していないと迷ったり。

変な場所へ行ってしまいがち。

温泉街を見て回って。

箱根神社。

神は人の敬によりて威を増し。

人は神の徳によりて運を添ふ。

神様の御威光が増すのは人の信仰によって顕現するからで。

人が人として成立するのは神様の御神意によるもの。

神様と人は繋がっているもの。

神様と人は一体化しているのが望ましい。

春雨。
「崇敬者の方がいっぱいです。」
「日本は神の国。」
「神様が建国した国ですからね。」
「今時、日本書紀くらい読んでいないとダメです。」

飛燕。
「進化論。」
「とある人達は猿の子孫ですが。」
「私達は神様の分霊ですし。」

檸檬。
「そうですよ。」
「一部の人達が猿の子孫であって。」
「その人の信仰が進化論。」
「私達は猿の子孫ではありません。」
「半分くらいが猿から進化した連中であって。」
「私達は異なります。」
「人種と同じです。」

雛菊。
「猿から進化した人種がいて。」
「見た目は同じなんですけれどね。」
「無神論者はサイコホラーだわ。」

春雨。
「豪華絢爛で見惚れてしまう。」
「自然豊かで。」
「散策するなんて素敵。」

檸檬。
「キリスト教ですと神父さんや牧師さんを通して。」
「神と繋がりますが。」
「神道では直接対話するもので。」
「本人と神様とのやり取りですもんね。」
「特別なのが日本の土地なんですよ。」
「なので聖書と一致しないのは。」
「創世記がもっと昔の時代の出来事で。」
「日本が特別な土地だったからでしょうか。」

飛燕。
「聖フランシスコ・ザビエルも。」
「新しい宣教活動で。」
「各地と同じく。」
「酷い妨害を受けていました。」
「特に讒言が多かったようで。」
「理解してくれたのは織田信長公で英霊です。」
「その後はしばらく上手くいかなかった。」
「多様性が浸透するのには時期尚早であったり。」
「政変が多い時代背景もあって。」
「利用されることを恐れたから。」

雛菊。
「でも多様性への理解はカトリックが来てくれたおかげで。」
「だいぶ進みました。」
「どうしても謎の部分があって。」
「共通点もありますし。」

春雨。
「なぜか知りませんが。」
「昔から言われている。」
「最高神。」
「創造主と同一視するのは合っています。」
「参拝するとなんとなくわかるんです。」
「一神教が合う人と。」
「神道が合う人といますから。」
「共通点を見つけたりして。」
「そもそも世界各地の神話は世界の交流の中で。」
「必ず当たるように地球は出来ています。」
「飛行機や艦船でどうしても多様性が生じますので。」
「聖パウロとギリシャ神話のようなものです。」

檸檬。
「最近、正統派プロテスタントの牧師さんが。」
「一騎当千なのですが。」
「学ぶべきことはありますよね。」
「原罪の教義だってこちらにも断片的にありますし。」

春雨。
「神聖であることは同じですので。」
「多くは言及しないでおきましょう。」

雛菊。
「当事者が最もよく理解しているし。」

飛燕。
「さてさて。」
「寄ってくる邪悪なものを打ち払えないかと。」
「考えている訳です。」

檸檬。
「何か起こらないうちに。」
「厄除けを頼みたい。」

雛菊。
「今のところは良いものの方が多いのだけれど。」

飛燕。
「悪いものだらけになると?」

春雨。
「過ぎたるは猶及ばざるが如し。」
「良いものはあり過ぎるとかえって悪く出ます。」
「悪いものは多過ぎるとかえって悪いものが不足します。」
「良いものは超過してしまうと損ない。」
「良いものが不足します。」
「悪いものも超過すると損ない。」
「悪いものも不足します。」
「こう世界は出来ていますので。」
「人間の限界というものはあります。」

飛燕。
「それ体験したことある。」
「悪いものは行き過ぎると悪いものが不足してしまう。」
「良いものも行き過ぎると良いものが不足してしまう。」
「それ自体が常に何か足りないので無限に追いかけるしかなくなる。」

檸檬。
「超過したものはなんでも足りないのです。」
「だから不足を補おうとさらに付け加えても。」
「足りないままです。」

春雨。
「しかも悪いものが逆に害悪を蒙る事も多いのです。」
「良いものも害悪を蒙るもので。」
「過ぎたるは猶及ばざるが如し。」
「一度、体験してみるといいですね。」

飛燕。
「魯之男子。」
「人の行為を学ぶときには。」
「行為そのものを真似るのではなく。」
「行為の裏にある精神を学ぶべきであるという意味。」
「詩経。」

檸檬。
「そこに古人の奥義があります。」

春雨。
「昔は、剣で討ち合えるほど勇敢で。」
「現代人は臆病者になっています。」
「教育が悪いのでしょうか。」

檸檬。
「とりあいずこれが教育なんじゃない?」
「という教育しかないので。」
「本当は方針など無いのです。」
「ヨーロッパの方が進んでいますね。」
「アメリカの教育も進んでいます。」

雛菊。
「他の先進国の教育や思想も学ぶべきですね。」

飛燕。
「日本だけに留まらず。」
「世界の良識を集めておくべきです。」

参拝。

お守りを貰いました。

境内の帰り道。

春雨。
「流星光底。」
「実戦経験のある剣技はここに基づいていて。」
「基本はサイドステップ。」
「相手の攻撃は横に回り込んで突き刺す。」
「相手の武器を狙って跳ね返したり。」
「武器そのものを集中狙いするとノックバックする。」
「これは剣闘士が虎や熊と戦った際の戦法と似ている。」
「猛獣を倒す時に流星光底の剣技は使えます。」

檸檬。
「素手で戦闘するのも武器で戦闘するのも殆ど同じですし。」
「弱者ほど自分の腕前を過信します。」
「自分の力を把握する能力も知識もないからですね。」
「強い戦士は相手の力も自分の力も。」
「戦闘のなんたるかを知っているので。」
「大人しいのが特徴です。」
「自分の力を制御して一部にできるんですよ。」

雛菊。
「戦闘力がある人ほど。」
「理性的なんです。」
「そもそも無謀な戦いを仕掛けません。」
「弱い人間ほど大言壮語しますね。」
「自分が弱いことが分からないから。」

飛燕。
「大言壮語って現代人多いですよ。」
「おかしいな。」
「子供の理屈を大人になってからも繰り返すなんて。」

春雨。
「まあまあ充分な情報を得てから。」
「何かに活用するとしましょう。」
「突然変異した個体は手強いですし。」
「強い奴ならいくらでもいるんです。」

檸檬。
「では総合格闘技の試合に出てみてください。」
「ボクシングでプロボクサーと練習試合をしてください。」
「こう言うと全員もれなく逃げます。」
「できないからです。」
「即ち軟弱者。」
「弱い証拠が出てしまうので。」
「逃げまくる。」

春雨。
「空手の試合に出てくれと言いましても。」
「みんな逃げてしまうんですよね。」
「それって弱いことを認めたわけです。」

飛燕。
「教育が足りなかったのかな。」
「もうちょっとしつけてやらないと。」
「理解しないでしょう。」

雛菊。
「プライドを引き合いに出しても。」
「そのプライドには決して値しないという訳です。」

春雨。
「戦闘力はまず自衛に役立ちますね。」
「喧嘩して勝てない相手は攻撃できませんから。」
「権力や立場で使うしかないので。」
「虐めようとしても反撃して倒してしまう。」
「要するに力で同じ立ち位置の人間を逆らえなくするのです。」
「もちろん、敵対者は出ません。」
「攻撃しても勝てないのなら。」
「ターゲットになりませんし。」
「仕掛けると攻撃側が一方的に虐待されかねない。」

檸檬。
「暴力を服従させて奴隷にできるのです。」
「こんなに愉快な事は無いのです。」

雛菊。
「そうなると駆け引きのみですね。」

飛燕。
「権力には勝てませんから。」

春雨。
「狡猾な人間は計略を使えません。」
「悪賢い人間は兵法を扱えません。」
「雲泥の差。」

檸檬。
「基本。」
「まずルールの抜け道から探します。」
「ルールに抜け穴が無ければ正攻法を取ります。」
「正攻法でもダメなら計略を使います。」
「正攻法と詭計を合わせて使えば。」
「強者と交戦しても簡単には負けません。」

春雨。
「ゲーム理論で強力なプレイヤーになれば。」
「いつも優勢になりますが。」
「固定されたゲームの枠内を超えることは困難なので。」
「この場合はゲームそのものを交換しなければなりません。」
「諍いの最中ならば。」
「暴漢相手に応戦しているという構図に持っていけば。」
「ゲームが食い違うので結果が異なりますし。」
「黄金の取り合いならば。」
「近くの財宝をさっさと回収して終わらせるなど。」
「ゲーム理論はゲームと目的設定があります。」
「強いプレイヤーはスキルも必要です。」

飛燕。
「攻撃する必要のないプレイヤーとかいますよね。」
「目的のためには無視しても良い目標とか。」

檸檬。
「全部と戦う必要がないのです。」
「なんでも相手にするのはやめてください。」
「ある程度の敵はスルーです。」
「素通りが最高の駆け引きで。」
「目的が無いと勝負してはいけません。」
「経験論ですが。」
「実戦経験の有無でけっこう違います。」

雛菊。
「無暗に戦わないのが鉄則なんですね。」
「戦いを避けることも戦略のひとつ。」

帰宅。

解散。

夕方になり。

いつものように深夜。

庭に。

人影を見たので。

春雨。
「誰かいますよ。」

義興。
「ではこっちにおいで。」

楓。
「あらまあ侵入者。」

義興。
「梁上君子と言いますが。」
「人の本性は善良なのに、悪い習慣に染まって悪人ともなる、木の近くにいる君子がそれだ。」

泥棒はいきなり逃げ出した。

泥棒は自首してしまい。

泥棒は些細な刑罰になりました。

次の日。

両親が用事で留守にしています。

暴風雨の夜。

元同級生の男性の車が故障して。

なんとか近くに来たけれど。

家の中へ入れてくれと尋ねてきました。

春雨。
「家の中には入れることはできません。」

同級生。
「昔は男性も女性に暖めてもらっていたもの。」

春雨。
「あなたと古人の人格の差が理由です。」

同級生。
「残念です。」
「こんな時に女の子の家を頼るものではないですね。」
「近くの駐車場までは行けそうです。」
「友達が来るまで耐えます。」

何人か駆けつけて車は修理されまして。

少しだけ非難された同級生でした。

聖地巡礼の最近の様子です。


17


山中湖。

予約しないと決して取れないと噂されるホテル群。

富士急ハイランドに行く予定。

春雨。
「湖と富士山ですよ。」
「ここが撮影ポイントですね。」
「水面に接近。」

飛燕。
「海みたいだわあ。」

檸檬。
「変わった湖でしょ。」
「特殊な地形もあるもんよ。」

雛菊。
「都会って悲惨ですよね。」
「こんなにも美しい景色見たことあるのかな。」

飛燕。
「至る所で名所という名所を知らないと。」
「旅も成立しませんし。」
「誰かから得ないと。」
「都会っ子は辿り着けないかも。」

春雨。
「都会に魅力は感じませんが。」
「コロニーみたいに人が圧縮されているとか。」

檸檬。
「行かないほうがいいわよ。」
「自分でイイ所を選んだ方が万能だわ。」

春雨。
「都会にメリットはありませんし。」

雛菊。
「都会はデメリットの方が目立ちます。」

檸檬。
「京都だけは別物だったわ。」
「とりあいず大都市なんですけれど。」
「なんて主張する東京とかは苦手。」

春雨。
「東京って東の京都という意味でしょうか。」
「それでも東京は何回か見学したほうがいいでしょう。」

飛燕。
「いろんな意見を聞いても動じなくなった。」

雛菊。
「六十にして耳順う。」
「自分と異なる説を聞いても抵抗を感じなくなった。」
「世間の毀誉褒貶にも心が動揺しなくなった。」
「孔子が晩年に自身の人生を述壊して言った語。」
「ある程度の経験があると。」
「別の意見を聞いても抵抗せず。」
「毀誉褒貶にも興味が失せるもの。」

飛燕。
「反対に批判とかは。」
「矮子看戯。」
「劇場で背の低い者が背の高い者の後ろにいて芝居を見ること。」
「よく見えないことから転じて。」
「先人の批評を聞き。」
「それに無批判に同調して本人の見識のない意味。」
「朱子語類の伝え。」

春雨。
「付和雷同は最初に学ぶものですし。」
「そこまで達観するのに時間を取らないかもです。」

雛菊。
「客観データを展開すると。」
「無駄な抵抗をしてくる輩が出そうです。」

檸檬。
「反対者は反対する理由を問われると。」
「何も言えません。」
「問い詰めると逃げます。」

春雨。
「何も独創的な思想が無いとか。」

檸檬。
「よくあることですが。」
「アンチがいたら証拠を見せろと迫れば。」
「相手は決して証拠を出せません。」
「ことわざ通り。」
「論より証拠。」
「証拠もないのに確信しているのが反対者ですし。」
「証拠を出してくれと反論しましょう。」
「その証拠も捏造されたりしますので。」
「公正な議論ではないのなら。」
「こちらに決定権があります。」

春雨。
「反対者は敵対者でもある。」

飛燕。
「敵対者は攻撃しかしません。」
「攻撃されてから判断するのでは遅過ぎる。」
「連続攻撃の真っ最中でしょう。」
「敵対者が出たら警戒を解かないことです。」
「何らかしらの機会に攻撃してくるので。」
「応戦だけしていると。」
「相手が目的を達成して離れていく場合が多いのです。」
「言い掛かりで怨恨も発生しますので。」
「相手の強さがどのくらいあるとか。」
「想定される攻撃はどういうものだとか。」
「ある程度は予測しないと。」
「たまたま強いプレイヤーにやられる可能性もあります。」

檸檬。
「藁人形法で存在しない論証に猛攻を加えられるパターンが多いでしょう。」
「相手はこちら側がそう言っていたと思い込んで。」
「実際に何も言わなくても攻撃されるので。」
「確かめもせずに判断する人。」
「白黒思考の人は攻撃行動に出やすいです。」

春雨。
「身内が敵対することもありますね。」
「彼らは公的機関には従いません。」
「極端に独善的です。」
「村長制度とか言う禁忌のせいですね。」

雛菊。
「村長の類が法律であるとこじつける。」

飛燕。
「公的機関を否定する特徴がありますし。」

春雨。
「実際に行われていますが。」
「踏み倒してください。」
「でないと支配されます。」

檸檬。
「では世の中は綺麗なものか汚いものか?」
「いいえ中間だと思います。」
「村長みたいな人が親類のリーダーだったり。」
「誰かを中心に親族がまとまっていると。」
「村長だけでなんでも解決しようとする上に。」
「個人の行動まで指図してくるはずです。」
「私はこれらを破壊しました。」
「彼らの思い通りにはさせませんでした。」

春雨。
「村長を押し退けて豪族のやり方で構えれば。」
「そのうち村長側は非難してくる。」
「でも相手は村長制度のルールで物を言っていますので。」
「敵対者になりますが。」
「個人の自由の脅威になるなら裏切ってやってください。」
「平和なやり方で。」
「これはゲームの攻略方法です。」

檸檬。
「村長制度の考え方は以下の通り。」
「人情ばかり説きます。」
「個人の権利に介入したり文句を言います。」
「親族全員を束にしています。」
「年功序列に固執します。」
「詭弁を使って言い負かそうと頑張ります。」
「勝手に得た権利を濫用します。」
「自分達だけで解決しようとします。」
「公的機関を認めません。」
「様子を見ておいて攻撃された場合のみ裏切れば良いです。」
「それは村長制度であると指摘する防御もあります。」

春雨。
「手の内を見せたが最後。」
「いろいろ裏切りました。」
「彼らは裏切りを知りません。」
「気に食わないものは裏切れば解消できます。」
「彼らは持論をベラベラ言いますが。」
「敵対者になった事に気が付かないのです。」

飛燕。
「敵の言う事なんて聞く訳ないでしょうに。」
「気持ち悪い敵を叩いておけば何も言えないでしょう。」

雛菊。
「新しい種類の敵が出現ってなわけですよ。」

春雨。
「彼らは善人ではなくて危険思想者ですからね。」
「善人ではないです。」
「あんなに弱くて権力もない存在が善人なんですか?」
「ルサンチマン。」

雛菊。
「意外と。」
「それは奴隷の考え方ですと。」
「村長に突きつけるのは強い手札です。」
「真実を言ってしまうので。」

飛燕。
「力で従わせるのも手段のひとつですし。」
「弱い奴は善人ではないです。」
「弱者が善なんですか?」
「そんなことはないでしょう。」

春雨。
「強者に勝てないのに善人なんて矛盾していますし。」
「二律背反。」

檸檬。
「おおっと。」
「予定時間を超過。」
「移動します。」

遊園地。

乗れる遊具が少なかったのは。

乗り物系を好まないから。

見物して立ち去りました。

春雨。
「伯楽一顧。」
「馬の鑑定人の名人伯楽が一度馬を振り返っただけで。」
「その馬は十倍の値段で売れたという故事から。」
「名君や名人に認められて任用されること。」
「能力を認めてくれる人に見込まれて重用されること。」
「戦国策。」

檸檬。
「鑑定して始めて価値がわかる。」
「誰でも偉人に見てもらわないとダメだわね。」

飛燕。
「どこへ行くんですか?」

春雨。
「とある牧場です。」
「名馬が入ったそうで。」

雛菊。
「献上品なのかな。」
「身分が違うなあ。」

檸檬。
「悪平等。」

牧場。

地方の奥地。

春雨。
「さてさて。」
「どのような馬かな。」
「これまでの馬とは別物だそうですが。」

農民。
「今連れてくるそうです。」

向こうから。

鹿を連れてきた。

農夫。
「馬でございます。」

春雨。
「鹿ではないか。」

農夫。
「馬です。」

農民。
「指鹿偽馬です。」

春雨。
「諧謔ですなあ。」
「向こうの立派なのが本体でしょう。」
「うふふ。」

農民。
「一応は飼っていますよ。」
「鹿という種類の馬です。」

春雨。
「一発ギャグでしょう。」
「この有能なるしもべよ。」

雛菊。
「指鹿偽馬。」
「間違いを間違いと認めずにそのまま公然と押し通すこと。」
「ゴリ押し。」
「史記。」
「こんなんで笑いを取ったなあ。」

馬を見て。

引退した競走馬で。

あまり名前が知られていないけれど。

この辺りでは最高の走破性があって。

乗馬クラブで使われているそうです。

帰り道。

檸檬。
「悪平等。」

春雨。
「国語辞典に載っています。」

飛燕。
「親ガチャが流行語になっています。」

雛菊。
「親ガチャですか。」
「なぜかそうなっている。」

檸檬。
「私のは。」
「教育は他の人に任せる方針だったらしい。」

春雨。
「劉寛温恕。」

飛燕。
「子供の時はどんなふうでした?」

春雨。
「女中が父を怒らせようとして。」
「私をそそのかして故意にスープをこぼさせましたが。」
「父は私をいたわってなぐさめるだけでした。」
「母も非があれば蒲で作ったやわらかな鞭を使って。」
「形式的に叩くだけでした。」
「後漢書の劉寛伝が本棚にありまして。」
「それで理想の教育について察したらしいです。」

飛燕。
「なんていう温厚な。」

雛菊。
「親がひたすら肯定してきたけれど。」
「否定がまず無かった。」

檸檬。
「こっちは否定なんて概念が無かったなあ。」
「自分の手に負える人数しか生まないとか言っていた。」
「だから一人っ子。」

春雨。
「私は私で貞潔ですので。」
「諦めているみたいですが。」

雛菊。
「親ガチャに関しては不正を使って。」
「インチキして籤を奪うに限ります。」
「ルールに従うメリットないし。」

飛燕。
「反対に言えばろくな親というか人間がいないのでは。」

檸檬。
「逆説的に言えば。」
「そうなるでしょうね。」

春雨。
「そうなると親子関係ではなくて。」
「人間性の問題でしょうね。」

雛菊。
「それは皮肉だなあ。」

富士山を中心にくるくる回るドライブ。

この時期に遊んでおかないと。

集まれる時が無いかも知れません。

一時的とは言え使い倒しています。


18


オフィスビルで。

コンピューターの調整を頼まれまして。

新しく導入する機種を選定。

日本製から海外製と。

けっこう他機種でバラバラにしておきます。

MAC・OSも多数配備。

セキュリティーソフトや診断ツール。

システムの調整までひとりで行うのです。

春雨。
「まだいっぱいパソコンがありますね。」

社員。
「なにかと詳しくて。」
「これなら誰でも扱えそうです。」

春雨。
「ビジネス向けのPCはMACにすれば楽ですからね。」
「ウインドウズは簡単ですが。」
「故障率が高いので。」

社員。
「どのくらい使えますか?」

春雨。
「レトロパソコンというシリーズが有名で。」
「タイピングしてプログラムを稼働させるものまであります。」
「20年前のパソコンで実際に動作したものがあり。」
「たいして整備せずに使えるみたいです。」

女性社員。
「レトロパソコンセールなんてものがありましたね。」

春雨。
「Windows95のPCは性能面では使用できません。」
「スマホの方が性能が抜群に良いほどです。」
「レトロパソコンのシリーズが動作しているのを見ますと。」
「作りが良い機種はかなりの年数使用できますね。」

社員。
「エラーが出たよ。」

春雨。
「パソコンには原因不明のエラーが多いもので。」
「サポートセンターに問い合わせてやっとわかったりもします。」
「このエラーは放っておいても構いません。」

社員。
「今度は動作が遅くなっている。」

春雨。
「メモリ不足ですね。」
「一時的にでも百パーセントに達すると。」
「フリーズする場合も。」

社員。
「説明書を書いてくれたんですね。」

春雨。
「これなら誰でも扱えますし。」
「インターネットを閲覧するのなら。」
「使い捨てのサーバー機を使ってくださいね。」
「一通りのアプリは入れてあります。」

とある塾にて。

レトリックを使って大学試験をクリアしようとする。

裏技団体。

檸檬。
「迎合されるように文章を打てば。」
「審査員を攻略できるかもしれない。」

講師。
「考えるだけではだめだ。」
「大学の試験は故意に考えさせて。」
「ロジカルシンキングを試しているのだから。」

檸檬。
「でも論理的に考えますと。」
「ロジカルシンキングは倒しやすいかもしれない。」

講師。
「理論で全部説明するように求めるのだから。」
「論理的に考える受験生には弱いと思うよ。」

檸檬。
「考えさせるということは。」
「手の内が少しでも分かっていれば。」
「ある程度の対策は可能ですね。」

講師。
「まずは試験内容の戦術を読むこと。」
「相手の手の内を知った上で試験会場に入ること。」
「理論だけで迫ってくる相手にどう対抗するか。」
「頭ではなくて駆け引きですぞ。」
「ズルをして勝ってしまえ。」

檸檬。
「EQは高いのにIQはそんなにでもない。」

スタッフ。
「いいよなあ。」
「受験生は暗記だけ得意ならテストを通過するんだから。」
「こっちは戦場で生き残ることが大事で。」
「暗記しなくても。」
「防戦だけで済むんだからね。」

檸檬。
「なんて皮肉な。」

講師。
「歴史においては学校がなくても優れた人物はいくらでもいたし。」
「踏み台に使うがよろしい。」

スタッフ。
「でもアメリカでは学歴とかは評価されないらしいぞ。」
「学歴よりも能力で判断されるとかね。」

檸檬。
「学歴があっても実際に使えなければダメですか。」

講師。
「学歴と能力には何の関係もないんだから。」
「学歴が本当ならば。」
「大卒はみんな万能であったり。」
「超人揃いの筈でしょ。」
「そうでないのは。」
「学歴があっても能力差は覆らないという。」
「どうしようもない真実なのですから。」

檸檬。
「実力主義で物事を見ますと。」
「高学歴と中卒では能力的に大差ないでしょうね。」

スタッフ。
「問題は学校で何を教えるのか?」
「それだけです。」

檸檬。
「学校で何を教えるか?」
「いや・・・。」
「何を教えているんだろう・・・。」

講師。
「啓蒙思想くらいでしょう。」
「それとも?」
「何を教えているのか回答できるので?」

檸檬。
「持論が冗漫に語られるだけでしょう。」
「それで。」
「試験はテストの点数を叩き出すスコアゲームだとは思いました。」

講師。
「学校教育なんて簡単な数字のゲームですよ。」
「テストのスコアを高く出せばクリアです。」

スタッフ。
「社会は戦場のようなものです。」
「学生はいいよね。」
「数字のゲームで勝てばいいだけだから。」

檸檬。
「合理主義者はなんか強いよね。」
「世界を疑ったことが無かったので。」

スリースクール。

こちらはスタンプラリー。

スタンプラリーのレース。

先に五個のスタンプを獲得して帰還すれば勝利。

チーム戦。

飛燕。
「競歩で行く。」

雛菊。
「体力の節約は必須条件。」

飛燕。
「救急車が通るよ。」

雛菊。
「次に運ばれるのが私であったら。」
「そう思うとね。」

飛燕。
「どんな事故に当たるか予測できませんし。」

雛菊。
「因果関係の無い事件や事故に巻き込まれるパターンがなぜか多い。」

飛燕。
「世界の摂理に逆らうような現象や人間の行いを目撃したりもする。」

雛菊。
「自然の条理に逆らうような出来事もけっこうある。」

生徒。
「足を引っ張っているかな。」
「歩くのが速い。」

雛菊。
「チーム戦なので休憩でも入れますか?」

生徒。
「まだ平気です。」

飛燕。
「社会は戦場ですが。」
「チーム戦ですからね。」
「連携は大事。」

友達。
「思ったより時間が必要みたいです。」

雛菊。
「では一位は諦めるかな。」

飛燕。
「最短ルートでも時間が必要ですし。」

雛菊。
「少し止まろう。」
「消耗が大きい。」

飛燕。
「登山でタイムアタックするような私達ですからね。」

雛菊。
「事任八幡宮の本宮までの道。」
「最高タイムを競っていたよね。」

生徒。
「冗談を言いたいのでしょうか。」
「チート過ぎるでしょ。」

友達。
「突然変異の女の子。」

雛菊。
「確かに一部の人にとっては受け入れがたい。」

飛燕。
「PS2スターウォーズ・バトルフロント2がありまして。」
「改造コードを製作者側が用意していて。」
「コマンドを入力すると無敵になったりします。」
「公式チートはEAのゲームの特徴です。」

友達。
「オートAimがデフォルトで入っているんですよ。」
「あれが邪魔で命中率が悪かったです。」
「オートエイムをオフにするのをずっと忘れていたんです。」

生徒。
「シムシティシリーズにもチートあるよ。」

雛菊。
「現実にもチートはあるものですよ。」
「例えば新世襲制はチート行為。」
「新世襲制は実力がまったく無いので最後には倒される。」

飛燕。
「反対に虐殺するパターンもありますね。」
「ターゲットに選ばれた人は集中攻撃というより。」
「なぜかいろんな種類の迫害に遭う。」
「嫌われたとしても。」
「一部の俗物だけであり。」
「必ず理解者は出てくる。」

雛菊。
「今の老年の世代から学ぶべきであり。」
「インターネットが世間とかテレビが世間だとは決して思わないこと。」
「ということを老人はよく知っている。」

飛燕。
「若者は老人が馬鹿だと推測するしかないが。」
「老人は若者が馬鹿であることを経験で知っている。」

雛菊。
「老人の馬鹿ほど馬鹿な者はいない。」

こちらは別の場所。

いろんな種類の商業を見て情報収集。

大企業のクレームの中にはヒントがありまして。

まとめておくのです。

商売上手から機密情報を盗もうと。

必死になる春雨。

女性社員。
「暇な店員はいろいろくれますね。」

春雨。
「代々こうやって能力を獲得したものでして。」
「ノウハウとかいうやつです。」

女性社員。
「フレンドリーな社長令嬢。」

春雨。
「会社はチーム戦。」

女性社員。
「大名に思えます。」

春雨。
「忍耐は称賛されるらしいのですが。」
「最後まで待ってみるのも悪くない。」
「寛容で無かったら誰でも許されない。」
「寛容で無かったら些細な失敗も厳罰になってしまう。」
「だがしかし凡人に寛容というものは期待できるものではない。」

女性社員。
「おかげで働きやすいのです。」

春雨。
「誰かさんは数と使い捨てを連発。」
「こちらは質で勝負するのです。」

女性社員。
「人を尊重してくれるのは助かります。」

春雨。
「当たり前の事を賞賛しないでください。」
「人には絶対的な能力差がある。」
「勝負を放棄した者は必ずこのような真実にぶつかる。」
「戦術の違いで戦闘力もまるで違うので。」
「能力差を思い知ったらいまあるもので戦術を立て直すべき。」

女性社員。
「またレベルアップできるような高揚感があります。」

オフィスに戻り。

より確かな商業展開しかしない。

社員から店舗を増やす提案を拒否する父親。

春雨。
「一日で培われる能力ではありませんし。」
「短期間で身についたスキルでもありません。」

女性社員。
「知る人ぞ知る。」

春雨。
「良い品物を良い形で提供すれば。」
「自然に人が集まる。」

檸檬がやってきた。

女性社員。
「あらまあ議員の親戚さんです。」

春雨。
「売り場は避けたようです。」

檸檬。
「そういうこと。」
「どうも知り合いが必要になったものがあって。」
「広告を貰えないかしら。」

春雨。
「これですね。」

檸檬。
「どうもありがとう。」
「早熟というものはなんでも有利にしてくれますね。」

春雨。
「近道をしたのですから。」
「強大な力を持つ者はなんでも一捻りにできる。」
「力が大きいと何にしても反動も大きい。」

檸檬。
「力の制御も難しいのです。」
「私の癖なんですけれど。」
「真剣にやっていると馬鹿を見るわ。」
「今日では間接民主制も利用されている。」
「民主制が最高の政治形態では決してないものの。」
「新しい種類の衆愚制になっているように思えてならない。」
「どうせなら民主制を活用するような人間は今の所見たことがない。」

春雨。
「民主制は偶然の産物です。」
「無理に変更してバグるよりは。」
「放っておいて崩壊するシナリオの方が好まれます。」

檸檬。
「自由の価値も失われつつあります。」
「どうせなにを誇っても。」
「歴史の通りに。」
「自分達も同じ目に遭います。」
「どうせなら言ったもん勝ちにしておきます。」
「次に出るのが歴史のとある事件と同じであったり。」
「歴史と同じ政変とか革命だったりしてね。」

立ち去る。

近くに寄ってきた雛菊と飛燕。

寄り道。

雛菊。
「通り道ですが。」
「長い道のりなので。」

飛燕。
「ここで整えますね。」

春雨。
「近くに公園もありますし。」
「ここにいて良いと思います。」

飛燕。
「ロシアと中国と韓国と北朝鮮と。」
「アメリカと日本と韓国と。」
「台湾やインドまで関係している。」
「複数の陣営が交差している前線。」
「次に出してくるのは何になるかな。」

雛菊。
「自分が悪く言われてはいけないので。」
「自分が正しいことにして。」
「相手を不正とする構図。」
「敵側を不正にすれば。」
「簡単な力勝負ですからね。」

春雨。
「先制攻撃された場合の想定はしていない。」
「少しずつ戦闘に突入するのではなく。」
「どこかの国が先制攻撃を仕掛けた場合は。」
「すぐに反撃しないと基地や施設は全損したりもする。」
「もし核兵器なんて使ったら。」
「他の核保有国が脅威に思って。」
「核を使用した国家に対して関係のない核保有国が。」
「核ミサイルを何十発も撃ち込むかもしれない。」
「フランスやインド辺りが発狂したら。」
「新しい種類の核戦争になりかねない。」

雛菊。
「戦争の半分以上は無謀な戦いです。」
「在留アメリカ軍を狙っている指導者は。」
「本当の所は朝鮮半島の南にミサイルを落としたい。」
「アメリカ本土に届くミサイルを開発したら。」
「日本を巻き込む意味は無いです。」
「仮想敵国だけ叩けば良いので。」

飛燕。
「狙うとしたら東京ではなくどっかの大都市でしょうか。」
「朝鮮戦争で有名な大都市釜山が想定される目標になるかも。」

春雨。
「攻撃する必要のない目標は狙いませんし。」
「アメリカ軍の戦力を過小評価しています。」

雛菊。
「多国籍軍による戦争根絶もあるでしょう。」

飛燕。
「世界情勢は少しずつ変化している。」

春雨。
「個人的にはプーチン帝国を見てみたい。」
「反対していた反社会勢力は。」
「民主制なんてああなると知らないみたいですし。」

雛菊。
「民主制は暴動で解決できる政治形態ではない。」
「間違った相手に手を出してしまった動物たち35選という動画は良い資料です。」
「思わぬ相手がリングに上がってくる。」
「虎が熊に負けたり。」
「テグートカゲ一匹に犬数頭が大混乱に陥ったり。」
「犬がライオン二頭に喧嘩を売って。」
「ライオンがなんだこいつと様子を見たり。」
「ライオンがカバに挑んで一蹴されたりも。」
「馬に蹴られた鶏が平気であったりも。」
「馬が最も酷い目に遭ったのはカメの一撃。」
「カモがトラをもてあそんだり。」
「これは愚かな襲撃で。」
「ワニが象に仕掛けたり。」
「豹ですら小さいなワニの反撃には逃げるしかない。」
「オオサギがワニの上に乗って移動したりも。」

春雨。
「人も似たようなものです。」
「絶対に勝てる戦いなんてありませんし。」
「結果論でやっと分かる案件も多いです。」
「暴動で解決しようとして。」
「滅多打ちにされた暴民とかも最近出ていました。」
「民衆の無力な集まりでは政府に勝てない。」

飛燕。
「皮肉ですね。」
「暴動で勝ち取った民主制が。」
「今度は暴動では解決できないばかりか。」
「権力が民を好きにできるというおまけがつく。」
「最強の君主を誕生させてしまいました。」
「君主は任期を終えれば善良市民ですし。」
「失脚しても処刑されませんし。」
「戦争で負けても。」
「必ず殺されるわけでもない。」

春雨。
「当選すれば立憲君主制のヴァージョン違いが誕生ですし。」
「政治形態はどれも結果は同じです。」

雛菊。
「個人についても。」
「どこをどうしても結果が同じなのではと思っています。」

飛燕。
「そろそろ出発。」
「完走できればいいかな。」

春雨。
「ではまた。」

習うより慣れよ。

父親がよく語っていた内容。

社訓が飾ってあります。

地上生活の唯一の収穫は、敬虔な態度と社会を益する行動である。

マルクス・アウレーリウス。

ローマ皇帝。


19


夕方。

人間観察に出ています。

皆で集めた面白いものを交換。

見せ合う。

とある公園にて。

春雨。
「学問を勤めて物事をよく知る者は貴人となり富人となり。」
「無学なる者は貧人となり下人となるなり。」

檸檬。
「文字を読むことのみを知って物事の道理を弁えざる者は。」
「これを学者と言うべからず。」

春雨。
「自称学者とか批判されますね。」

檸檬。
「残念なことです。」

雛菊。
「政府に関しては必要以上に攻撃的な集団も目立っています。」

春雨。
「ニーチェ曰く。」
「相手を悪いと言うな。」
「敵と呼べ。」

飛燕。
「力をもって政府に敵対するは固より一人の能するところに非ず。」
「必ず徒党を結ばざるべからず。」
「即ちこれ内乱の師なり。」
「決してこれを上策と言うべからず。」

雛菊。
「信の世界に偽作多く。」
「疑の世界に真理多し。」

飛燕。
「疑ってこそ本物。」

春雨。
「西洋の諺。」
「愚民の上に苛き政府あり。」

檸檬。
「愚民が招いたものです。」

春雨。
「この世界に大量にいるザコくらいは。」
「実学でたいてい勝てますね。」

雛菊。
「実学とは役に立つ実用的な学問を意味する。」
「虚学とは役に立たない実用性の無い学問を意味する。」
「役に立つ学問を学ぶ重要性が説かれていて。」
「役に立たない虚学なんて要らないよ。」

飛燕。
「啓蒙思想家としてこう説明している。」
「人の能力は独学ではなく学問によって大きく左右されるのだから。」
「何を学ぶかによって人は決まり。」
「スタート地点だけは同じという啓蒙思想ならではの視点で語られる。」
「学問が無い者は下に行き。」
「学問の有る者は上に行き。」
「学問でなんでも決定されると続く。」

春雨。
「ちなみに学問のススメは340万冊売れているベストセラーであるので。」
「啓蒙思想の体現者としての福沢諭吉は参考文献としては最適。」

雛菊。
「女性っていにしえの女性のほうが蓋然性が高いと思います。」

春雨。
「蓋然性が高い女性ってどんなものでしょうか?」

飛燕。
「この辺りの女性は。」
「蓋然性で真か偽か?」

檸檬。
「蓋然性が物を言う。」

春雨。
「訓練しなければ蓋然的かどうかは識別不能。」

檸檬。
「近代化くらいの女性像は偶像崇拝なので。」
「近代の女性像に基づいた偶像崇拝はすぐにやめること。」

春雨。
「男性は女性を皆、娼婦だと信じているような態度です。」
「何が吹き込まれたのか知りませんが。」
「女性と出れば娼婦であろうとか。」
「どうもそのような迷信が流行しているような気配がある。」
「男性が女性に求めているのは娼婦の要素なのか。」

飛燕。
「女性の自己主張は強烈です。」

檸檬。
「名だたる紳士が加勢する。」

雛菊。
「義を見てせざるは勇無きなり。」

春雨。
「彼が自分で証明しない限り、誰もそれを証明できないな。」
「彼がそれを一度徹底的に証明したらいいのにと私は前から思ってきた。」

雛菊。
「男女同権ですよ。」
「なぜそれが分からないの。」
「長年の謎。」

檸檬。
「理解していたら愚者などいない。」

飛燕。
「それだけ無能な連中が多かったのです。」
「ある時代から無能だらけ。」
「今はそうでないでしょう?」

雛菊。
「日本国憲法には寛容であることも義務付けられていますからね。」
「正しいと信じられていた物事でいっぱいです。」
「だから人々は思った。」
「全ては自由だ。」
「汝はできる。」
「実際汝は望んでいるのだ。」
「いろいろなものが正しいと信じられていた。」

春雨。
「恋だけに価値を置く風習とか。」

檸檬。
「恋を拒むならそこを通り過ぎて行かねばならぬ。」

雛菊。
「子供を産むのは厄介である。」
「何のために好き好んで産むのか。」
「不幸な者を産むだけだ。」

春雨。
「皆が善悪についての嘘を吐けば。」
「彼らはその大嘘を真に受けてしまう。」

檸檬。
「心の奥底では。」
「自分は何だ。」
「と溜め息を吐いている。」

雛菊。
「私は彼らの軽蔑を軽蔑する。」
「彼らは誰かに警告したくせに。」
「なぜ自分に警告を発しなかったのか。」

春雨。
「卑小な世間の良いと呼ぶものだけが良いのだと教えられていた。」

雛菊。
「世間ですと?いい加減に止めよ!」
「世間の話し方と世間の性根には。」
「もうとっくに吐き気を催しているのだ。」

春雨。
「大衆とその迷信。」
「大衆は本当の自由を行使する者を憎んだ。」
「さらに大衆は憎む者を其の筋の意向だと見なして犬輩を嗾ける。」
「そして彼らは言う。」
「私は大衆からやって来た。」
「あそこから神の声も聞こえてきた。」
「彼らは大衆の代弁者として驢馬の如く頑固である。」
「大衆に嘘が無い事を信じられるようになるには。」
「彼らの偶像崇拝する意志を打ち砕かねばならない。」

檸檬。
「俗世は俗世のまま放っておけ。」
「それに対抗して指一本も挙げることはない。」
「世人を絞め殺し。」
「刺し殺し。」
「その皮を剥ぎ。」
「肉を削ろうとする者が出現しても。」
「そのまま放っておけ。」
「それに対抗して指一本も挙げることはない。」
「そうすれば世人は孰れ俗世と手を切ることを学ぶのだ。」
「そして汝の理性。」
「そんなものは自分で騙して絞め殺していけばいい。」
「実際それは俗世から与えられた理性なのだ。」
「そうすれば汝自身が俗世と手を切ることを学ぶのだ。」

春雨。
「私のために誰かが犠牲になればいい。」
「加えられた不正をこのように逆手に取って遣えれば。」
「半分の正義を回復できる。」
「私のために誰かが犠牲になればいい。」

飛燕。
「御都合主義の説教と混同さりたり。」
「取り違えられたくない。」
「公正は私に向かって人間は平等ではない。」
「と語るからであり。」
「また人間はそうなる筈もないのだ。」

春雨は自動販売機に五百円を投入。

それぞれ好きなものを購入。

そろそろ限界時間。

平日の5時近く。

春雨。
「費やさない時間に価値はあるのか?」

飛燕。
「ない。」

春雨。
「それでは善く過ごしたという意味になりましょう。」

飛燕。
「最近は人生のネタバレが出てきてしまい。」
「人生に価値が失われました。」
「親ガチャ。」
「これはエビデンスの積み重ねで。」
「行動遺伝学や発達心理学の目覚ましい進歩で開示されました。」

檸檬。
「努力できるかどうかすらも運によって影響を受けてしまう。」

雛菊。
「自分の努力ではどうすることもできない。」
「もっといえば、努力できるか否かすら才能である。」
「という究極的な真実を提示する学者や知識人が大勢現れた。」

飛燕。
「教育心理学者が発表した。」
「遺伝と環境が様々な形質に与える影響。」
「児童精神科医の宮口幸治の著書。」
「ケーキの切れない非行少年たち。」
「哲学者マイケル・サンデルの新著。」
「実力も運のうち。」

春雨。
「勇気から出る言葉は。」
「それが生きるということか?」
「よし。」
「もう一度。」
「次は滅ぼす。」

檸檬。
「そして一様に彼らは言う。」
「生きることが否定されている。」
「単に彼らが否定されたにすぎない。」
「現存の一面しか見ない彼らの盲目さが証明されたのだ。」

飛燕。
「人生は、努力で動かせる部分はとても少ない。」

檸檬。
「理論武装が、すでに十分すぎるほど提供された。」

春雨。
「他の人々に語る時は。」
「真実らしく思われること。」
「これを優先して語るべきと習いました。」

飛燕。
「では彼らには。」
「真実らしく思われること。」
「これだけを語ってあげましょう。」
「彼らにはそれが値する。」

檸檬。
「この社会では。」
「真実らしく思われることがあればいいのですから。」

結論に達する。

夕日が鮮やかで鮮明。

春雨ちゃんは様々な研究や実験を担当中。

平日の午後は余暇になるので。

ここで集まれるわけです。

人生?こんなものかな?


20


石板が掲げられている。

何も報われない。

汝、欲求を抱く勿れ。

春雨。
「なんの趣味ですか。」

飛燕。
「芸術家が設置したらしいです。」

檸檬。
「正気の人間が超級の作品を描けるとは思えなくなった。」

春雨。
「悪いものの方が目につきやすいのですけれど。」
「ストレートです。」

雛菊。
「善いとか、悪いとかではない、とにかく私の趣味なのだ。」

春雨。
「とにかく多いのは真実ですよね。」
「世界の中には多くの便所が存在する。」
「まあ多いのは真実ばかりです。」
「然しだからこそ世界は逆に便所という訳では無いのです。」

檸檬。
「大地はと言えば。」
「皮膚を持っている。」
「またこの皮膚は病気に冒されている。」
「これらの病気のひとつが例えば人間と呼ばれている。」
「人間は互いに多くの嘘を吐いてきたし。」
「それを罷り通らせてきた。」

今日は不審者情報を伝えに警察署に来まして。

あまりに変態がいたので。

写真と日時を伝えて。

すぐに不審者情報に掲載されまして。

何やら道路と公園で何回もコソコソしていますので。

なんでしょう。

檸檬。
「怪しいというより証拠歴然。」
「早く対応してほしいけれど。」

春雨。
「そこまで手が回れば治安はもっと良いかと。」

雛菊。
「国家転覆を企む連中も。」
「私が知らせるまでは好きなだけ工作していましたし。」
「新興宗教モドキも知らせるまで大きな顔をしていました。」
「有害な物を排除しないと結局は手遅れになるのです。」

飛燕。
「扇動者の集団でしょ。」
「通報するまで国家転覆罪が成立しなかったし。」
「集団の威力を見せ付けると厳罰があるだけですと。」
「いい加減に知ったでしょう。」
「子供が年を取った野郎を教育するのは難しいのです。」

春雨。
「子供が年を取った奴?」
「中身が子供のまま大きくなった?」
「それは皮肉たっぷり。」

檸檬。
「正義を自称するとしても。」
「彼らが武装蜂起するために欠けているのはただ権力だけということを忘れないでほしい。」

春雨。
「血は彼らにとって最も都合のいい論拠となる。」

警察署から出て。

車で高速道路へ突入。

しばらくお菓子を食べながら。

三保の松原へ到着。

飛燕。
「滑走路がすごく短いけれど。」
「F-35Bですとヘリポートや土のグラウンドから離発着可能なので。」
「ハイテク戦闘機ってこういうことも想定して設計されているんですね。」

雛菊。
「滑走路が破壊されても飛び立てますし。」
「武装などの補給も可能。」
「離陸時に飛行するまで。」
「高度をかなり上げて加速まで時間が必要です。」
「すぐに飛行に移ろうとすると墜落ですので。」
「それでもF-35Bは圧倒的なVTOLですから。」
「そこまで考えているという化け物です。」

春雨。
「自衛隊が補給訓練をしているので。」
「しばらくF-35B戦闘機が見れるでしょう。」

檸檬。
「これは清々しいくらい広い海岸だわあ。」
「羽車神社がありますね。」

雛菊。
「松をじっくり見ているわ。」

飛燕。
「松に囲まれて散歩するのは不思議な体験。」

春雨。
「駿河國三之宮御穗神社も近くにありますね。」
「観光名所って見る人が見れば最高の場所なんですよ。」

檸檬。
「それが何か分かる人にとっては。」
「観光名所は感動の場所ですよ。」

春雨。
「富士山。」
「遠くから自分の街を見ると。」
「けっこう遠い目線から物事が見えますね。」

檸檬。
「遠ければ遠いほど全景が見えたりして。」

春雨。
「人間社会はとても複雑な構造をしていて。」
「入り組んだ調べ方をしないと少しもわかりません。」
「何も知らずに歩けるような場所ではないですね。」

檸檬。
「世界の複雑さくらいは体験しておくべきですし。」

雛菊。
「醜悪な事実の数々を狩りの獲物としてぶら下げ。」
「生きることは総じて抗争であると説かれた。」

飛燕。
「善と悪について権力を振るっているのだが。」
「具体的にそれが何であるか想像しようとすれば。」
「必ずや破壊者となって善悪を打ち砕かねばならない。」

春雨。
「いきなり悟った君子が出たようですね。」

檸檬。
「世界を理解するのに時間は必要ですし。」
「そのための方法も見出すのに苦労はします。」

雛菊。
「子供である内はやられ役なのでは。」

飛燕。
「子供はいろいろなものを強いられる。」

春雨。
「強いられた後に。」
「同意を取ったなんて言う物的証拠は存在しませんし。」
「シミュレーション仮説であらゆるパターンを思考実験で調べました。」
「その結果は毎回信じられないものでしたから。」
「今も信じられません。」

雛菊。
「シミュレーション仮説で説明してください。」

春雨。
「では易学を使いますね。」
「複数のパターンが存在していますが。」
「どれも吉と出ませんね。」
「ほんの奇跡か好機によるものだけは想定に入れないんです。」

飛燕。
「では決まっていない要素があるので?」

春雨。
「易学では直線的に読むことは得意ですが。」
「既に消されてしまった展開を読むのには適していません。」
「というより。」
「そういうのが出生とか言うのであれば。」
「人の自由意思は否定されます。」

檸檬。
「今だから言えることであって。」
「結果論が万能になっているとかね。」

春雨。
「不吉な事を占うのは無理です。」

飛燕。
「漫画でパワーアップして黄金の戦士になったりしたら。」
「後からそんなもの要らないとか。」
「平和に暮らしていたかったとか。」
「そんな台詞を言うのと同じでしょうか。」

春雨。
「反対に出生に同意や選択権が全て個人にあったとしたら。」
「逆説的に考えてみてください。」
「どこに生まれようが無法地帯であったら。」
「というシミュレーションでどうですか?」

雛菊。
「それなら考察の余地がありますね。」
「それで。」
「未来も知りたい。」

春雨。
「未来ですと?永劫回帰のモデルで未来なんぞ読めてしまえます。」
「占いの聖典である易学は習得しておきたい学問ですね。」

雛菊。
「後から苦情を言ってみた所で。」
「交換できないという言い逃れが出てきますから。」
「リセマラできないという記事を読みまして。」

飛燕。
「現実なんてものにもネタバレがあるんですね。」

春雨。
「要するに人生なんてそんなものだったんですよ。」

檸檬。
「今の時代に冒される者は、今の時代に悪だと見なされるものに遭遇する。」
「そうなった者は、自分を苦しめているものを利用して。」
「他人を苦しめようとする。」
「だが今と異なった時代には今と異なった善悪が存在した。」
「その善悪とは何か問おう。」

松を見上げて海岸を歩き。

富士山を見ながら三十分。

車で移動。


21


久能山東照宮。

春雨。
「彼らは人生から逃れようとしてくるくせに。」
「他人を自分の鎖と依存で固く束縛するのは全くどういうことだ。」

雛菊。
「それなんです。」
「人生から逃れたいんです。」

飛燕。
「人生から逃亡するのが望みです。」

檸檬。
「おや?それなら可能ではないか。」
「物理的な変更が必ずしも必要がない。」

春雨。
「ここは人が彷徨う世界です、ここには汝の求めているものは何もない。」
「それどころか、総てを失う羽目になる。」

雛菊。
「我々は自分達を何と見なすべきか?」

檸檬。
「無論、全部を事細かく語る気にはなれぬ。」
「だが幾つかについては迚も黙ってはいられない。」

春雨。
「みんな。」
「一部始終を傍観していたのかな。」

檸檬。
「人間が何を求めている?」
「人間は何がしたいのですか?」
「人間が何を望んでいる?」

雛菊。
「私は本物を模索している。」

飛燕。
「時間経過で鍍金が剥がれる連中が増えましたな。」
「そもそもまともな人材がいないので。」
「小才を採用しないといけないという。」
「しょうもない事情はあるでしょうけれど。」

雛菊。
「あいつら利者だから占領していいと思ったら大間違いですよ。」
「誰も退けない辺りは利者の存在を許しているようで。」
「まあまあ民衆の同意があって偶然、助かっているようですが。」

檸檬。
「集団で発言力を持つ人は受けがいいですから。」
「迎合されるだけでかなり有利になりますが。」
「自分の内面の問題になりかねないです。」

春雨。
「教養があっても戦闘力が無いのは本を持ち歩いているだけです。」
「文弱の徒なんてよくいるザコにも勝てません。」
「ザコ日本人にも勝てないようで教養なんて言えませんよ。」

檸檬。
「教養があるが武術が下手なんてかっこ悪い。」
「文武両道なんて当たり前じゃないですか。」
「金箔つきの必須条件です。」

春雨。
「今の時代で出来物なんて言っても誰もいないように思えますが。」
「おかしいな?ちょっとむかしまでは出来物の宝庫だったのに。」
「いつからザコ日本人ばかりになったので?」

飛燕。
「立派な人物もいれば雑魚もいるんですね。」
「ザコ日本人って漫画みたいな言い回しです。」

春雨。
「鍍金が剥がれる一方で。」
「池上彰さんは金箔つきですな。」
「最新型によく対応してくれています。」
「舞台に上がる資格は念には及ばない。」


雛菊。
「私は辺幅を飾らず。」
「律儀ではないかと疑っていますが。」
「狡猾よりはマシでしょう。」

檸檬。
「ではここで汝の事を語るがよい。」

飛燕。
「どうしたら人間は超越されるのか。」

春雨。
「もっと自分勝手になりたい。」
「酒々落々ですよ。」
「誰の言い分も振り払って。」
「もっと勝手になりたい。」

飛燕。
「浮世離れした人ですね。」

檸檬。
「さてさて、庶民が根拠もなく信じるようになったことを。」
「誰が論拠を捲し立てて。」
「覆すことができようか?」

飛燕。
「相当なチャレンジャーですな。」

檸檬。
「学者には嘘がないと言えるのかな。」

雛菊。
「学者も人間ですし。」

檸檬。
「ということはそのような失敗作が人間という意味なのかな?」

雛菊。
「異論はありません。」

春雨。
「娑婆塞げがいろいろ居て禍を仕掛けていますが。」
「怠けずに。」
「きちんと処理してあげて。」
「娑婆塞げは娑婆塞げらしい状態にしてあげないとダメ。」

飛燕。
「世の邪魔になる役立たずの事ですよね。」
「大人しくしていればいいのに。」

雛菊。
「何もしなければ娑婆塞げと言われずに済んだのにね。」

春雨。
「穀潰しにはお疲れピーポーと言って死に様を見ておきたい。」
「死んだ!やったー!というのは大人の対応とは思えないので。」

雛菊。
「食べるだけで何の役にも立たない奴とか本当にいます。」
「お疲れ様でした。」
「と笑顔で消えるのを見てあげるといいのでは。」

春雨。
「人は自分が善く思われようとして話をするとき。」
「或る証人を仕立てる。」
「その証人を唆して。」
「自分を善いと思わせてしまえば。」
「皆が善いのだと思う。」

飛燕。
「群衆に話すのではなく、同行者に向かって話すべきですね。」

雛菊。
「争いが好きという人間の性格は変わっていませんし。」
「争いが趣味という傾向は昔よりは現代の方が強力です。」

春雨。
「人が死ぬことが何か大袈裟な事だとでも思っているのですか?」

飛燕。
「思っているのでしょうね。」
「いやはや。」
「人を必死に攻撃しておいて。」
「報復に反対したり。」
「人の死について悲しんだりする奴には関わりたくないです。」

檸檬。
「時代の変化に追従できない者も出てきていますし。」
「思想や世界が何か固定されたものだとでも思っているのでしょうね。」

雛菊。
「根本的には総てが静止している。」
「これは当に厳冬の迷信、不毛の時代を仕切る代物。」
「冬眠する者や暖炉の傍に蹲る者にとっては都合のいい考え方である。」

檸檬。
「とりあいず機織りを習ってくるわ。」
「親戚に工場があってね。」
「就職はしないけれど。」

春雨。
「汝が奉公人となるつもりなら。」
「汝の奉公を最も必要とする主人を探し求めよ。」

檸檬。
「数合わせの社員は見るに堪えない。」

春雨。
「紲星あかりちゃんを見たら瘧が落ちたよう。」
「ボーカロイドだけれども。」
「女の子は理想を求めればあのくらいにはなります。」

檸檬。
「女性の究極形態は扱いが難しいのです。」
「限られた人だけが使いこなせます。」
「使いこなした動画を見て熱中から冷めた。」

雛菊。
「意見がここまで違うのは。」
「多様性ならではか。」

檸檬。
「他人は自分とは別物であると区別するのは結構な手始めです。」

春雨。
「即ち、何が善くて何が悪いか、そんなことは未だ誰も解ってはいない。」

雛菊。
「とどのつまりはそれですね。」

檸檬。
「御祭神・徳川家康公(東照公)」
「相殿。」
「贈正一位・豊臣秀吉公。」
「贈正一位・織田信長公。」

春雨。
「人から恩恵を受けた時は。」
「どんなに深くても報いようとしないのに。」
「恨みに対しては。」
「どんなに浅くても必ず仕返しをする。」
「また、人の悪事を聞いた時は。」
「それがはっきりしたことでなくても疑わないのに。」
「善い行いは、それがはっきりしているのに疑って信じようとしない。」
「このようなやりくちは。」
「人の心の冷刻さの極みであり。」
「薄情の甚だしいものである。」
「だから、よくよくそのことを戒めるようにしなさい。」

雛菊。
「五円玉を大量に入れた。」

飛燕。
「運命論。」
「易学の基本。」

春雨。
「運命論ですと?」

「占いましょうか。」

崇敬者。
「人は時として、おのが運命を支配することができる。」

春雨。
「もしお前たちに。」
「時の種子の中身を吟味し。」
「どの粒が育ち、どの粒は育たぬか言えるものなら。」
「それなら。」
「私にも未来を告げるがいい。」

檸檬。
「無神論者の嘘くらいはここで理解できますよ。」

春雨。
「時はやがて美辞の陰に奸知の包み隠した真実を明らかにし。」
「過ちを隠す人々は。」
「ついには恥辱を受けて世の嘲りを浴びるもの。」

檸檬。
「我々には抗うことのできない大いなる力が。」
「我々の意図をくじいた。」

参拝。

なんと公園や道路で何かしていた不審者。

タイヤをパンクさせる凶器を設置していたんです。

公園で設置していたのは。

時限式の出火装置で。

飛び散った灯油が燃えて。

ちょっとした騒ぎになってしまい。

出遅れてしまいましたね。

容疑者は逃走中。

手柄になりましたし。

大きな被害はありませんでした。

最近の感想。

あれほど悪しざまに言われている世界が、人間らしく楽観的なものになっていた。



22


浜岡原子力館。

原子力発電と核爆弾は原理が異なります。

水害対策の真っ最中で。

どんな手を使ってでもメルトダウンを阻止しようと。

高台には建設中の何か。

駐車場から来館。

原子力の基本から内部構造まで説明する。

浜松科学館のような場所。

春雨。
「原子炉を地下に埋めれば良かったのでは。」

檸檬。
「どうやって決まったのか知りませんがな。」

春雨。
「今日はお父さんのお姉さんの娘さんが来ます。」

真莉香(まりか)
「私達は問題を起こす側ではなく。」
「解決する側にいました。」

飛燕。
「おや?少女のような容姿です。」

雛菊。
「女子高生に見えますが。」

真莉香。
「二十五です。」

春雨。
「少女の雰囲気を残しつつ大人になったレアケース。」

真莉香。
「私はあらゆる例外です。」
「女性としても例外です。」
「どんなルールにおいても要素においても例外なのです。」
「どのような規則や現象を持ってきても例外に入ります。」
「なので私に普通などと言う基準を当てはめないでください。」

飛燕。
「不正を犯す側ではなく。」
「不正を否定する立場でした。」

雛菊。
「争いをする側ではなく。」
「応戦する側でしたし。」

真莉香。
「人々の悪を暴く場所にいて。」
「自らの悪を自由にさせない姿勢でした。」

春雨。
「世界が求められているのは。」
「変更ではなく革命でもない。」
「反省というよりは。」
「再構成であって。」
「再設計である。」

真莉香。
「政権などはこの時代で倒れてしまうのは致命傷になり。」
「群衆に任せるやり方は滅亡へ続いている。」
「再構成は難易度が低くて実現可能であるし。」
「再設計は負担があまりに小さい。」
「もし成り行きに身を任せたいのならば最悪を覚悟しなければならず。」
「無理に続行しようものならば多くの犠牲は必須条件になる。」

雛菊。
「変化に対応するだけでも真面目な政策と言える。」
「猪突猛進した人類は前に出過ぎて先を急ぎ過ぎた。」
「しかし求められているは改革でも破壊でもない。」
「ローマ人がやったように再構成や再設計をすれば変化には対応できるし。」
「根本的に変えてしまうよりは穏健なやり方であることには異論は出そうにない。」

飛燕。
「無理に新しい政治にするよりはもっとも安全であるし。」
「もっとも確実である面には反対も出そうにない。」
「見直すことから始めれば良いので。」
「手間ですら殆ど必要がない。」
「実行に何の不具合も不要で。」
「実際に可能なのは。」
「思考実験から始めれば自然と覚えられるという点で。」
「本当は誰にでも行えるほど難易度が優しい。」
「為政者はローマ人の歴史から学ぶことができるのだろうか。」

檸檬。
「少なくとも少しでも善い方向へ行きたいのは為政者共通の姿勢であって。」
「具体的なプランを示せるかは回答できない。」
「次に出る政治がこれまでとは全く異なる場合もあるし。」
「どの政治形態も結果は同じであったので。」
「少しでもマシになるように配慮するのは共通の話題であろう。」

真莉香。
「あなた、綺麗ね。」

檸檬。
「あらまあ!お褒め頂いて。」
「あなたのような可憐な女性は好みよ。」

真莉香。
「なんという僥倖。」
「マントのようなビジュアル系の服装いいですね。」
「あなたのオリジナルかしら。」

檸檬。
「ロリータも趣味ですわ。」
「女性の傑作みたいなフリフリ衣装。」
「女性というものは自らで創造するものであると学びました。」

春雨。
「男女共に何かを参考にして創造するものです。」
「創造した女性が本物です。」
「所で、もうちょっと近寄ってみては?」

真莉香。
「アセクシャルですけれど。」
「女の子が好きで。」

檸檬。
「それは個性です。」
「独身の女性なんぞ昔から一割くらいはいますので。」
「奇抜な事でもないです。」

飛燕。
「独身女性は本当に一割くらいは常にいましたね。」
「見たことがないので不思議でしょう。」

雛菊。
「なぜ話題にならないのか知りませんが。」
「結婚は義務ではありませんし。」
「本人の好みの問題です。」
「そもそも個人の権利に口を出すような。」
「愚者になった覚えはない。」

春雨。
「婚姻は本人の選択でしていますし。」
「本人が幸せなら非難するのは筋違いです。」

雛菊。
「夫婦円満で幸福ならばそれはその人の好みなのですし。」
「巻き込まれた場合のみ苦情を言いますね。」

春雨。
「私も巻き添えを食らったら抗議することにします。」

内部は近未来的。

子供の時に学問を習うのは本当は珍しい事らしいです。

大人になってから学問をするのが理想とか。

真莉香。
「放射線は太陽が猛烈に放っていて。」
「自然界にあるものですが。」
「事故によって尋常ではない放射線が巻き散らされる。」

檸檬。
「地球の環境に本来ある筈のない放射線が発生する。」
「人工物ではないという点がポイント。」

雛菊。
「大震災発生時から火力発電所への負荷が強烈で。」
「電気料金が跳ね上がっているとか。」

春雨。
「大地震発生の可能性はけっこう前から警告されていて。」
「注意喚起があったのに。」
「これでは毎年、冬が来るのに。」
「準備を怠って。」
「その年の冬がとうとう来て。」
「凍死するようなものです。」

飛燕。
「毎年、冬は来るのにね。」
「自然災害も所々で発生するのにね。」

真莉香。
「人間の増長をへし折るような猛威です。」
「頑固な人は大事故や災難を経験しないと直りませんよ。」
「プルタルコスも言っていました。」
「敵対者なんていうものはそうならないと直らない。」

檸檬。
「敵対者があらさがしするせいで。」
「修正するべき場所を勝手に渡してくれるので。」
「そんなに便利な連中はそうないとかね。」

春雨。
「敵対者には正々堂々としていればいいものですし。」
「相手がなぜそんなことを言うかではなく。」
「敵の発言の事実。」
「要するに内容だけを読んでいればいいのです。」
「そして清廉潔白になるために敵を利用する。」

雛菊。
「敵が言い掛かりをつけてきたら。」
「責める点がどこにもないので。」
「苦しみ紛れに因縁をつけるしか方法がなかったりします。」
「この場合はこちら側に非の打ち所がない。」

飛燕。
「善だからとか正しいからという理由で敵が悪口を言う場合もありますよ。」
「そういう言葉が来たら。」
「自分はそこまで偉大であると思うべきですし。」
「合理的であったり道理にかなっていると。」
「それだけ相手側の言い分も苦しくなります。」

檸檬。
「欠点だらけですと。」
「敵に真実を言われてしまいますね。」
「欠点が少ないほど相手の言い分も意味の分からないものになりますし。」
「その非難が真実にぶつかって跳ね返ってくると。」
「面倒なことになります。」

春雨。
「敵ほど利用価値のある存在はないので。」
「プルタルコスは具体的な方法を記しています。」
「悪口を言いたいのならその人は誰かの悪口を言ってはいけないし。」
「悪口を言ったのならば不平不満に対する罵詈雑言も言うべきではないのです。」
「誰かに悪口を言われても受け入れるべきです。」

真莉香。
「愚者にそこまでの公正さは期待できませんよ。」
「でもカエサルはポンペイウスを倒した際に。」
「ポンペイウスの銅像が破壊されていて。」
「これを修理しろと命じましたが。」
「敵に対しても公明正大な人物は立派でしょう。」
「感情が理性に服従するようになれば最高ですね。」

檸檬。
「駒形神社まで道を知っています。」

春雨。
「私にこれだけの告発をさせるとは、人間よ、よくぞやってくれた。」

飛燕。
「凶悪事件を観ていますと。」
「誰かしらに集中攻撃する展開がよくありますね。」
「世人が悪いというより集中狙いするせいで。」
「悪人が創作されるのでは。」

真莉香。
「悪人にしたいから。」
「犯罪者にしたいから。」
「という理由で攻撃を繰り返す輩もいますからね。」
「そのやり方は完全犯罪なので。」
「世間に公表されたりはしませんが。」

檸檬。
「謀殺じゃん。」
「でもなんかそんな展開は。」
「犯罪者インタビュー番組でよく出てきますね。」
「最も。」
「公正世界仮説なんてものを信じる幼稚な連中には。」
「理解できない世界でしょうけれど。」

雛菊。
「公正世界仮説ですと?」
「この世界のどこが公正なんですか?」
「心のねじれた人間はどこにでもいるし。」
「心の正しい者は隅に追いやられていますし。」
「かえって不義なる輩がヒーロー気取りです。」
「これでは善良市民が汚染されるだけでしょうに。」

春雨。
「公正世界仮説を信じている限り。」
「盲人となって徘徊するしかないし。」
「そういうことを信じたいのは理解できるのですが。」
「それを覆す出来事が起きてからでは遅いものです。」

真莉香。
「公正世界仮説を信じたい人ばかりで。」
「本来的な世界の在り方は。」
「善と悪の中間に勢ぞろいしていると理解するまで。」
「知恵というものを持たないでしょう。」

春雨。
「この世界は善と悪の中間のみが存在しています。」
「いやいやすぐに分かりますよ。」
「簡単なことですし。」

雛菊。
「おや?どうりでごちゃごちゃしていると思いましたが。」
「善と悪の中間しかないんですね。」
「それは気の利いた発見です。」

飛燕。
「中間の視点が最も安全そうですね。」
「経験論ですが。」
「善と悪の中間を観れば見るほどその通りだと思います。」

春雨。
「引用はアリストテレスですね。」
「教養としては避けては通れないアリストテレスです。」

真莉香。
「一時期は巨大な権威になってしまいましたが。」
「現在では学派のひとつになっています。」
「中世までは議論の終点が全てアリストテレスがそう言っていたから。」
「これで終結してしまうほどでした。」
「それだけ巨大な存在なんですよ。」

檸檬。
「アリストテレスは教師ですからね。」
「プラトンは哲人の傾向が強いですね。」

真莉香。
「死を恐れるということは、諸君。」
「知がないのに知をもっていると思うこと以外の何ものでもありません。」
「それは知らないことを知っていると思うことなのですから。」
「なぜなら。」
「誰ひとり死を知っている者はいない。」
「死は人間にとってあらゆるよいもののなかの最大のよいものなのではないか。」
「ということさえ知らないのに。」
「人びとはあたかもそれが最大の悪いことであるとよく知っているかのように。」
「死を恐れるからです。」
「これがどうしてかの最も不面目な無知。」
「すなわち。」
「知らないのに知っていると思いこむという無知であることを。」
「免れることができましょうか。」

春雨。
「まるで諸君(裁判官たち)が彼らを死刑にさえしなければ。」
「いつまでも死ぬことはないかのように。」
「死刑になることを何か大変な目にあうことだと思っているらしい。」

真莉香。
「プラトンのソクラテスの弁明シリーズに記されている実際の史実です。」

春雨。
「個人的には。」
「死にたいという言葉の真実は。」
「長生きしたくないという意味です。」
「歪んだものは自然死によってリセットされますから。」
「自殺したいのではなく。」
「可能な限り早く死にたいという要望があります。」
「そうすればさっさと物事が終わりますからね。」
「死ほど良いものは無いのですが。」
「これを得るにはけっこう時間が必要です。」
「これは残念なこと。」

雛菊。
「死というものは良いものなんですかね。」
「ならば、最後には良いものがあるんですね。」

飛燕。
「それでは私達の終わりというものは随分と最高のものになります。」
「ソクラテスの発言ですから。」
「偉人は私達の理解を超えた何かが見えているのです。」

檸檬。
「この世の取り分というものも望めませんからね。」
「田舎に籠って適当に暮らしていた方がいいかもしれない。」

飛燕。
「最近は反出生主義がトレンドです。」
「公正世界仮説の連中は抗弁したいらしいのですが。」
「決定論みたいに決まっているだけの生涯に何を求めればいいのかな。」

春雨。
「新世襲制の馬鹿げた所は。」
「かつての名家や伝統のある家系が優遇されないという矛盾。」
「大名の子孫が今になって優遇されずにいるのは世襲ですらないし。」
「名誉や功績のある家柄の人物が優遇されないのも説明がつかないし。」
「新世襲制とか言いつつ。」
「世襲の対象がつまらない人であることが多く。」
「本当に世襲があるならばかつての栄光を手にした大名の手筋であるのが理にかなっていて。」
「退屈な人間を贔屓にすることが世襲だと思っているらしい。」

真莉香。
「こうなれば貴族政ですらない。」
「贔屓と呼ばれる時点で世襲ですら無いのは証明が簡単である。」

飛燕。
「おっと!それでは本人の力はひとつもないでしょう。」

檸檬。
「新世襲制?そんなうまい話あるわけねーだろ。」

春雨。
「そんなにうまい話って裏話がありそうで。」
「なんか恐ろしいです。」
「話がうますぎる。」

檸檬。
「よく考えたらそうだわなー。」

真莉香。
「メンヘラ大好き。」

檸檬。
「私はどこぞやで狂人として知られている者でして。」
「久しぶりに言われました。」
「最も。」
「狂気を気違いと混同されて迷惑していましたが。」

真莉香。
「住所教えて。」

檸檬。
「〒417-0024・静岡県富士市八代町3の55。」

真莉香。
「やったあ!」

檸檬。
「安っぽい罠に引っかかるな!」
「こっちが本物だよ!」
「その少女のような笑顔でその気になったわ。」

手を繋いで二人で館内を散策してしまう。

飛燕。
「女の人って複雑な感情を抱くんですね。」

春雨。
「そこそこの境遇で妥協するしかない現代では。」
「憩いの時こそ大事なんですよ。」

雛菊。
「私もそう思います。」

春雨。
「スマホの画像見せますね。」
「特殊な神社について。」
「神々と対等な位置で接するお宮。」
「お宮の中には礼拝所が台座の上にあって。」
「本殿の参拝には台座の上に行き。」
「御神体の位置と参拝者の位置が水平になるようになっていて。」
「お賽銭箱もその水平位置に置いてあるという。」
「対等な立場で対話できるという特殊なお宮があります。」
「日本武尊命神の休息地に建設された小規模なお宮で。」
「境内には素戔嗚尊神の末社が鎮座しておりますが。」
「台座の上に礼拝所があるので。」
「なぜか対等の水平位置。」
「要するに高低差が無い。」
「台座の上に小宮があり。」
「礼拝は台座に上がらないと参拝できないのです。」
「そして小宮と礼拝所の高低差はありません。」
「看板が綺麗で説明書きがあり。」
「見つけることは可能でも。」
「実際に参拝することは地域住民くらいしか普通は出来ないので。」
「対等な立ち位置で神々と接するのはこの特殊なお宮しか見たことがありません。」

雛菊。
「正々堂々と向き合いましたね。」

春雨。
「氏子に終わりはないでしょう。」
「招かれているという不思議な感覚を頼りに行きました。」

飛燕。
「もし自分の子が邪悪なる集団に拉致されたら。」
「助け出したいのが親の心。」
「一度救われればそれを失いませんね。」

春雨。
「何度、愚かな人間に誘拐されたとしても。」
「助けてもらえます。」
「これは比喩ですけれどね。」

科学館の内部は説明書と。

模型やアビオニクスの展示など。

原子力発電所の生み出す膨大なエネルギー。

その動作原理まで詳しい。

冷却水の関係で海辺に建設されていますが。

大河などの水量が確保できる場所にも原子力発電所はあります。

廃棄物の処理が課題で。

ヨーロッパでは処理施設に埋葬する形で処理していて。

将来の処理方法開発が必須になりつつ。

核融合発電所のプロトタイプが稼働しているという微妙な情勢です。

駐車場に戻りました。

真莉香。
「また会いましょう。」
「好みの女性。」

檸檬。
「ここまで少女のような女性はいませんので。」
「交流したいですよ。」
「触ったりもしたい。」

真莉香。
「え?私を?それは気持ちよさそう。」

雛菊。
「女性はやられるのが好きなんですか?」

真莉香。
「それはズレています。」

春雨。
「男女が結婚すると発生するイベントであって。」
「女性がプレイ好きという見解は誤りかと。」
「お互いに好き過ぎてついやってしまう行為であると母から習っていました。」

雛菊。
「ではプレイしか求めない男女はなんだろう?」

春雨。
「気が触れているのでしょうね。」

飛燕。
「百害あって一利なし。」

ハグしている。

真莉香。
「変わっている女性好き。」

檸檬。
「なにこのフェロモン。」
「よく男性が仕掛けなかったなあ。」

真莉香。
「ヘラクレスに勝利したら結婚してあげると。」
「無理難題を言って拒否した。」
「今日まで。」

檸檬。
「好意は受け取りましょう。」
「なんだか相性がいいぞ。」

春雨。
「この辺りには灯台もありますし。」
「そこのお店には工芸品も売っています。」
「手作り品も購入したいので。」
「お金の重みで潰れそうです。」

檸檬。
「ようしエンジンスタート。」
「あの人はスポーツカーですか。」

飛燕。
「坂道でバックギア入れてください。」

檸檬。
「エンジン停止するわ!」

飛燕。
「そこまで知っているのならば杞憂ですね。」

檸檬。
「その質問で私の運転技能は証明できたと思う。」
「誘導よろしく。」

春雨。
「幾何学の計算中です。」

程ほどの境遇で妥協するしかない社会ですが。

余暇や憩いの時間ほど大切になるものです。

今回は恋みたいなドラマがありまして。

真実らしい言説から真実に迫るために。

真実の象徴。

似像をも積極的に行使し。

物語形式の利点を活用していこう。

ここで。

プラトンの哲学も飛び出したわけです。


23


伝統の機織りを習っています。

裁縫などの工芸は必ず修練しなければならない。

女性の基本。

知り合いの工場で訓練。

春雨。
「女性の必須科目。」
「ここから社会に関して。」
「紡ぐ行動を得る。」

檸檬。
「おおよそ言葉で説明できませんからね。」
「衣食住は女性の役割ですし。」
「男性は糧を得る分担作業です。」

真莉香。
「趣向品や工芸品。」
「家庭内の役割ならず。」
「既婚者でなくともいろいろ繋ぐものです。」
「破れた破片は縫って繋ぎとめる。」
「文化に関する仕事。」
「文化を紡ぐと表現したいと思いますが。」
「文化人の仕事も大切です。」

春雨。
「神武天皇は女軍という女性だけの軍隊を使っていました。」
「戦闘力が遥かに高かったらしくて。」
「ヨーロッパでは修道女は未婚でしたし。」
「未婚の女性が果たした役割を参考にすべきですね。」

檸檬。
「工場が出現するまで服は女性が手作りしていたとかね。」
「何回も社会が傷ついて空いた穴を縫って隠して。」

真莉香。
「ぽっかり穴が空いたものは全て女性が縫って引きずってきた。」
「破けたものは全て女性が修復している。」

春雨。
「千切れる前に少しだけ名残惜しそうにさようなら。」

真莉香。
「女性の中にはイレギュラーもいますけれどね。」

休憩時間。

メール。

フリースクールにて。

カール・マルクス資本論が置いてある。

名著。

NHKテキスト・ベストセラー。

飛燕。
「量子力学の断片。」
「並行世界は互いに影響しあう。」
「別の世界が別の世界に影響を及ぼす。」
「良い仮定もあれば。」
「悪い仮定もある。」
「並行世界ではアメリカとソビエトがミサイルの撃ち合いをしているかもしれませんし。」
「世界が滅んでいる可能性もあります。」

雛菊。
「可能性に満ち溢れている分。」
「ひょっとしたら荒廃している可能性もあります。」
「選択肢についてはジレンマが生じるので。」
「選択肢によっては世界は形成されません。」
「二択しか存在しない展開はありえないので。」
「二択を迫ってもジレンマに陥ってバグになると思われます。」

飛燕。
「公正世界仮説を否定すれば否定するほど健全になれる。」
「のは公正世界仮説が一種の精神疾患の産物であるから。」

雛菊。
「自分が公正ではないのに。」
「他人に公正を望んで。」
「世界に公正であることを強制すべく行動する。」
「そうでない結果は決して認めない。」
「そもそも公正が何であるか全く理解していないし。」
「公正と公平を混同している。」
「これを基準にして世界を決定しようと躍起になっている。」
「説明できない存在や物事に対して排他的になる。」
「要するに自分のために思想をでっちあげて。」
「それに沿わない相手をひたすら攻撃する。」
「彼らの言動や行動を見れば見るほど。」
「どこが公正なのか分からなくなる。」
「公明正大な者は公正世界仮説を決して支持しない。」

飛燕。
「神々は出生に関与しているとは思えない。」
「出生なんぞに我が子を自由にさせるとは到底思えない。」

先生。
「なんのゲームをしているの?」

雛菊。
「北センチネル島のホラーゲーム。」

飛燕。
「北センチネル島は立ち入り禁止の場所。」
「インド洋にありますが。」
「この北センチネルを題材にしたホラーゲームがネタ過ぎました。」
「敵キャラクターがセンチネルとか呼ばれていますし。」
「野蛮ですが人間をネタにしたのはこれが本格派。」

先生。
「ここ数十年で子供に凄まじい変化があるなあ。」

雛菊。
「クラシックの文学とロマンティックの文学という概念は。」
「今では世界中に広まって論争やら分裂をいろいろ引き起こしているが。」
「元々はゲーテとシラーから始まったものだ。」

飛燕。
「ゲーテは文学において客観的な手法を原則として。」
「その手法だけを認めようとした。」
「しかしシラーはそのやり方が完全に主観的であったから。」
「自分の手法が正しいと考えて。」
「ゲーテに拮抗するために。」
「素朴文学と感情文学について論文を書いたのだ。」
「ゲーテが提唱する客観的な文学こそ真なるものです。」

先生。
「教養のある人物の書物。」
「これが学問かあ・・・。」

助手。
「今の子供は大人になって何になるかわからないので。」
「侮るべきではありません。」

先生。
「大器晩成と言いますが。」
「そういう子は必ずどこかで片鱗を見せていますからね。」

衣澄。
「女性はこうであるというのは。」
「ジェンダーステレオタイプと言います。」

子羽。
「ちょっと前みたいな家庭に入るだけの女性とは。」
「勝手が違いますよ。」

璃央。
「女性がこうであるというのは。」
「全て偶然の産物です。」

助手。
「女性ですか。」
「女性に関する説明付けはたくさんありますが。」
「なぜそれが真実だと思いたいのか?」

衣澄。
「今時ニーチェくらい読んでおかないとね。」

雛菊。
「本当に斬新な発想は女性しか出来ないとか。」

飛燕。
「なにか新作ある?」

衣澄。
「金の入った腰巻を市場で擦られた男は家に帰って妻に言う。」
「今日は市場がひどく混んでいて。」
「腰巻を擦られた者がかなりいたそうだ。」
「妻は言う。」
「あなたもそのひとりじゃなくて?」
「夫は言う。」
「真男子とても例外ではないわ。」
「妻は驚いて、金はどこにあるの?」
「訪ねると旦那は答えた。」
「大丈夫、俺はちゃんと腰巻に入れておいた。」

飛燕。
「あっ・・・察し。」

璃央。
「貧乏なくせに見栄っ張りの男の家に泥棒が入った。」
「がらんとして何もないので。」
「泥棒はがっかりして出て行こうとすると。」
「男はそれを呼び止め。」
「枕元にあった銭を何枚かつまみ上げ。」
「泥棒を追いかけて渡して言う。」
「わたしが素寒貧だったことは、どうか内緒にしてほしい。」

雛菊。
「口止め料ですか。」

子羽。
「小銭を借りている男。」
「借金取りが来るたびに居留守を使う。」
「ある日も例によって留守だと言ったが。」
「その声は確かに本人なので。」
「借金取りは言う。」
「現にいるのに、なぜ留守だというのだ?」
「男は。」
「いや、私は親戚の者だ。」
「こう言い張るので。」
「借金取りは窓の障子に穴をあけて中を覗いてみると。」
「確かに本人なのだが。」
「借りている男は腹を立てた。」
「あれっぽっちの金で俺の城郭を壊すとは何事だ。」
「ちゃんと修繕しなければ払ってはやらぬ。」
「借金取りは仕方がなく穴をふさいだ。」
「そしてまた催促すると男は。」
「見えるかい?」
「借金取りは伝えた。」
「見えなくなった。」
「男は言う。」
「ならば、やっぱり留守だ。」

飛燕。
「強引ですね。」

雛菊。
「詭弁で遊んでいる。」

助手。
「なるほど。」
「どうやら少し前の女性とは別物らしい。」

先生。
「我々が自分の時代の思想で判断しているに過ぎないのだ。」
「新しい要素を入れたまえ。」

姉妹は少し早くに帰る。

帰宅中の姉妹。

雛菊。
「士気が上がると戦闘力も跳ね上がるものですが。」
「実際の戦闘は映画なのではなく。」
「死にゲーの所見プレイなのです。」
「あっさり死亡する可能性もありますので。」
「無謀な行為はしないこと。」

飛燕。
「士気が上がれば勇敢になれるので。」
「敗北については考えなくてもいい。」
「怒ると反対に無謀になって負けやすくなります。」

雛菊。
「底力という概念です。」
「普段は半分以下の力しか出ませんが。」
「戦闘になるとアドレナリンで底力を発揮します。」
「要するに不審者が素人な尾行をしているのです。」

飛燕。
「競歩でも追いつかれるね。」

雛菊。
「待ち伏せしようか。」

不審者は接近。

雛菊に仕掛けようとするも。

後ろから軽く蹴られた不審者。

驚いて暴れようとするも。

距離を取られていて全く無意味。

遂には手を出してしまうも。

相手の利き腕を知っていた雛菊。

利き腕だけ避ければ当たらない。

飛燕に強烈なストレートパンチを浴びて一撃でダウン。

雛菊。
「千切れた後に少しだけ名残惜しそうにさようなら。」

飛燕。
「さようなら。」

不審者。
「ぐおおおおおおぉぉぉぉっく!?」

警察官。
「犯罪者の全てをこいつと同じにしてやるのだよ。」

飛燕。
「丁度いい所に丁度いい人が。」

警察官。
「こいつは相手が自分より弱いから仕掛けたのに過ぎないのでは?」

雛菊。
「自分より弱い相手としか戦わない?」
「それは弱いからです。」

飛燕。
「自分より強い相手を倒した者が勇者と呼ばれるのです。」

不審者。
「なんで勝てないんだ!」

警察官。
「君の力ではない。」
「男性という体のおかげだ。」

不審者。
「なんだこいつらは・・・。」

警察官。
「まあ弱者ばかり狙いますからね。」
「当然でしょう。」

不審者。
「俺はなあ・・・。」

警察官。
「法の支配に犯罪者など要らぬ。」

飛燕。
「それでいい、それでいいのです。」

警察官。
「正しき秩序が支配する、美しい世界を。」

連行。

SNSの内容から妬みからの犯行でした。

妬みで仕掛けたので。

最悪のケース。

真莉香。
「善良な人が才能に恵まれると。」
「必ず世の救済のために道徳に基づいた影響を及ぼすからね。」
「芸術家でも科学者でも。」
「どんな道を進もうが。」
「そのことは決まっている。」
「善良。」
「まさにそれあるが故に偉人。」

檸檬。
「名声とはつまらぬものではないよ。」
「ナポレオンだって。」
「偉大な名声のために。」
「世界のほとんど半分を薙ぎ倒したじゃないか!」

春雨。
「ナポレオンはエジプトで活動していた際に。」
「紅海の先端の所で。」
「干潮時を見計らって水のひいた海床の一隅を通ったものの。」
「途中で潮に追いつかれたために。」
「最後尾の部隊は腕の下まで水につかったまま移動した。」
「この際の作戦行動でファラオの末路の二の舞を演ずるところだった。」
「ナポレオンは聖書やコーランを政治の本としても使っていたので。」
「こういうことが話題になっていた。」

メール。

今日は終業時刻。

家に寄ってきた姉妹はこの周辺住民。

雛菊。
「珍しく電車が止まっていて。」
「タクシーで帰る事になったのですが。」
「そこで知り合いの役人二人組と遭遇しましてね。」
「岸田さんと芳次さん。」
「二人組がずっと論争をしていて。」
「水島精二監督と山田尚子監督のどちらが優れているかというわけでしてね。」
「論争が片付いて両者の意見が一致するまでタクシーから降りないという提案がされまして。」
「これが賛成されたので。」
「タクシーは同じ所を無限にぐるぐる回ってしまったわけです。」

飛燕。
「議論が活気を帯びてくると何も出来なくなり。」
「タクシー運転手だけは笑顔でした。」
「なにせ乗車賃が増えていくわけですからね。」
「いい加減メーターの話を突き付けて。」
「頭おかしいんじゃないかと。」
「メーターが論争の勝者と決着を言い渡して。」
「まあ運賃の一割だけで帰してくれましたよ。」
「三十分くらい余計に失いましたが。」

春雨。
「熱中していてメーターを見ていませんでしたね。」

雛菊。
「さすがに利を捨ててまで論争を取りますかってね。」

飛燕。
「上司に叱責されていましたし。」
「子供じゃないんだからって。」

春雨。
「指摘しなかったらこれぞ無限に走っていたでしょう。」
「もちろん運賃も無限。」

雛菊。
「お互いに退かないもんですからね。」

春雨。
「さっき不審者と戦ったと言っていましたが。」
「中々の勝負をしますね。」

雛菊。
「あのハッタリは気に入ったよ。」

飛燕。
「嘘はバレた時の反動が大きいものです。」

春雨。
「またザコが相手のようでしたが。」
「敵の度胸は認めてあげましょうよ。」

飛燕。
「いくらでも地面に叩き落としてやる。」

春雨。
「近頃、治安が悪い。」

姉妹は帰宅。

春雨ちゃんを可能な限り最大まで仕上げてから。

実戦投入するという育成です。

けっこう頻繁に仕事が変わりますが。

大名家の育成方法の写本を持っていて。

これを参考にしているみたい。

平日のとある日の光景です。


24


とあるお屋敷。

城がモチーフの豪華な建築物。

最高級ケーキとやらを手に入れて。

デザートパーティーをすることになり。

出席しています。

女性が大半で。

和菓子も出される予定です。



友人。
「名物に旨い物なし。」

春雨。
「あれまあ退屈な評価ですこと。」
「品質が違うでしょう。」
「もっとも美食は支持しませんが。」

真莉香。
「ケーキは大好きなので。」
「私は満足ですよ。」

友人。
「女の子は欲張り?」

真莉香。
「女性は強欲という意味ですか?」

夫人。
「新しい女性というのが誕生したらどうしますか?」

春雨。
「誰かが建設しても。」
「誰もが実行する訳ではない。」

真莉香。
「有益なのは一部のみで。」
「誰かが新しい女性を創造しても。」
「採用する女性は一部だけ。」

婚約者の女性。
「おとなしく家庭に入っていればいいのです。」

夫人。
「では、女性とはこういうものであったと。」
「認めるわけですね?」

春雨。
「私は違いますよ。」

真莉香。
「問題なのは女性の様子を疑わない事。」

夫人。
「女性はこうであると信じられてきた。」

春雨。
「私は懐疑論者なので。」
「どんな女性の決定も疑います。」
「他人の女性の様子を信じたりしない。」

真莉香。
「その点は徹底的に疑っています。」

友人。
「もはや人の言う事は何も信じまい。」

婚約者の女性。
「ちょっと眠たいので仮眠します。」

夫人。
「端っこの部屋は誰も使っていません。」
「そこへどうぞ。」

ケーキを食べまくる。

そのうち世界の貨幣を自慢してくる夫人。

趣味が良い。

何人かの男性が別室でチェスなどを楽しんでいる。

人生ゲームに移行した様子。

婚約者の男性。
「ゴールした後はどうするんだ?」

伯爵。
「とりあいず終点に辿り着けば良いのだよ。」
「それから考えよう。」

仮面。
「おおよそ人の考える事など。」
「人生ゲームに雄弁で語られている。」
「この程度の事なのだ。」

道化師。
「ボードゲームに自分達の全てを再現しまっていますからね。」
「このシリーズの中が人間の考えうる生涯なのです。」
「まあまあ論より証拠。」
「見たまえ雄弁です。」

婚約者の男性。
「おっと!我々が考えているのはこれが全てか?」
「なんて安っぽい。」

仮面。
「必要に駆られて作った遊びなのに。」
「この中が我々の考える全部。」

伯爵。
「この通りに行かないと腹を立てたり。」
「サイコロが出たとおりに行かないと。」
「気が済まないというのが世人だろうか。」

道化師。
「ボードゲームのスタートから始まって。」
「終点に近ければ良いほど得点が高い。」
「誰もがこれを目指しているのです。」

婚約者の男性。
「人がすることなんぞ一枚の板で全て説明できるのか。」

伯爵。
「まあまあ馬鹿は馬鹿らしく。」
「脇道に逸れてしまいましょう。」
「明後日の方向へ行くのは裏技ですからね。」

道化師。
「こんなのを知ったらおしまいさ。」

廊下で会う。

春雨。
「何か工作して。」
「どっかの団体を破壊したとか。

真莉香。
「あなたにはわかるかな?」
「この世界を壊す事がどんなに楽しいか。」

春雨。
「他人の趣味まで言及したくない。」

真莉香。
「ヒロイズム(heroism)とは。」
「英雄(崇拝)主義。」

春雨。
「他人の正義を壊して楽しそうですね。」

真莉香。
「正義対正義は見モノですよ。」
「簡単な力比べですから。」

春雨。
「それではどんな言い分も通用しませんね。」

真莉香。
「相手の正義を破壊して私は進む。」
「正義なんて大量にあるのです。」
「別の正義が他人の正義と衝突する。」
「数えきれない正義を踏みつけて進む。」

春雨。
「それはクイズになりそうですね。」

真莉香。
「おおよそ運命らしきものはどこにも感じないでしょう。」
「この世に正義はひとつではない。」
「正義などいくらでもあるし。」
「正義を名乗るなら戦わなければならない。」
「どちらかが死ぬまで。」

春雨。
「自分の手で掴み取るタイプですね。」
「おおよそ運命らしきものはどこにも感じない。」

真莉香。
「そうなれば運命などもはや関係が無い。」
「ただ他人の正義を殺して。」
「他人の正義と戦って勝利していく。」

春雨。
「なぜそんなことに?」

真莉香。
「ろくなものが始めから無いし。」
「なにひとつくれなかったから。」
「マキャベリの言う通りに残虐を良く用いた。」
「だから運命らしきものの気配はどこにもない。」
「負けたら死ぬんです。」
「負けた方が死ぬんです。」
「アドバンテージを取らせない。」

春雨。
「あなたに手を出した奴が運の尽きでしたね。」
「裏切りと言う行為は明らかに強い。」

真莉香。
「敵対者が滅ぶまで戦う。」
「彼らの正義が滅ぶまで。」

春雨。
「いつも言っていますが。」
「ぬか喜びはしないでくださいね。」
「森を出るまでは喜びの叫びをあげるな。」

真莉香。
「ほんとうに。」
「なぜ戦っているのだろう。」

春雨ちゃん。

なんとなく婚約者の女性の部屋を覗いてみる。

怪しい男性と会話をしていて。

男性は女性にアタックして猥褻をしようと試みた。

女性は驚いて快楽で動けないので。

春雨ちゃんは男が誰か分かると。

後ろから絞めてダウンさせました。

婚約者の女性。
「姦淫してしまった。」

春雨。
「迂闊でしたね。」

婚約者の女性。
「襲われそうなった。」
「いつもなら彼が来るのに。」

春雨。
「結婚式まであと三日でした。」

婚約者の女性。
「いやぁぁあ!!」

春雨。
「ちょっと待った!」

女性は発狂して。

自害しようとキッチンへ向かうが。

婚約者の男性とバッタリ会って我に返った。

婚約者の男性。
「守れなかった俺に非がある。」

婚約者の女性。
「今、守ってくださった。」

伯爵。
「なにやらあのゴミがしでかしたらしい。」
「誰だ、監視を解いたのは。」

道化師。
「奴の監視人はもう居ませんよ。」
「共謀したんでしょう。」

仮面。
「強姦して取ってしまおうとしたのでしょうね。」

夫人。
「なんてことを。」
「男を捕らえるのです。」

真莉香。
「そいつならもう半殺しになっているわよ。」

夫人。
「はあ?」

春雨。
「体が大きいだけで。」
「パワーは無かったですね。」
「一捻りでした。」

伯爵。
「おいおい随分と痛めつけたね。」

春雨。
「ダウンを取るのに何発も必要なんですか?」

パトカー到着。

警察官。
「両雄が出会えば決戦が起こる。」

春雨。
「手加減しましたよ。」

警察官。
「女性が強姦を防ぐとは。」

夫人。
「あの男は凶器を持っていたのです。」

警察官。
「イラクサを優しく扱えばたちまち刺される。」

伯爵。
「これは忙しくなるぞ。」

警察官。
「牛は角でつかめ。」
「ここからは形式的に述べる。」

春雨ちゃんはお手柄。

刑事事件。

意外にも巨大なもので。

複雑に絡み合った利害関係。

あの婚約者の女性を物に出来なかった男は。

駆け落ちまで用意していて。

成功しちゃうと。

策を使って計画通りに強姦し。

その女性が手掛けている広大な土地整備を。

手中にしようとしていたし。

女性は両親から譲渡された財産が豊富で。

おまけに。

その土地がどうしても欲しい連中からも支援があり。

婚約者の女性を浮気者にしてしまい。

男女の婚約を破棄させる狙いがありましたが。

男が思ったより下手という攻撃側のミスが大きく。

あっさり撃破。

智謀の長けた春雨ちゃんがそこにいたのも連中の失敗。

さてさて。

義理で結婚式場にいると。

昔、よく出会った。

白いドレスが特徴の二人組の女性。

子供の頃からお菓子をくれていたものだけれど。



春雨。
「私の子供の頃はお菓子をくれた人がいたものです。」
「白いドレスの二人組。」

独身貴族。
「あらまあ、それは私の母親の事ですわ。」
「母親姉妹が不思議な女の子の話をしていまして。」
「今は私がその白いドレスの女性です。」

春雨。
「なーるほど。」
「雰囲気が似ている理由ですね。」

独身貴族。
「母は私が生涯独身でいると告げると。」
「隠居してしまって。」
「私の命だから好きに使いますので。」
「情に訴えられて困っていました。」

春雨。
「生涯独身の女性は5パーセントほど。」
「この世界に実在しますからね。」

独身貴族。
「母のようにお菓子をあげますとも。」
「次はあなたが同じ事をしたら?」

春雨。
「それは面白い提案。」
「お菓子を用意しないとですね。」

独身貴族。
「かつて実在した人々は散らばってしまって。」
「昔のままでいるのは私だけなんです。」

春雨。
「年月は人を待たない。」

ハプニング満載の結婚式は終了。

なぜ結婚しなければならないのか?

なぜ子供を産まなければならないのか?

この問いかけはヨーロッパで広まっています。

個人の決定であって強制はできません。

人権に関わる事なので。

無策な反論は禁物です。


25


JS三人衆がお化粧をして和服姉妹コーデをしてお散歩。

衣澄。
「JQuake東日本大震災。」

璃央。
「気配の無い場所からいきなり。」
「情報が飛び出てきて。」
「最初は弱い反応が検出されていた。」
「数秒後には震度4と出る。」
「一分後には震度7と出た。」
「揺れが長い。」

子羽。
「アーカイブで当時のモニターが残っていたよ。」
「簡単な情報なのに。」
「地震の計器が一部始終の天変地異を映していたね。」

衣澄。
「地震波が地球を三周したという観測がある。」

璃央。
「津波は人間の都合なんて考えてくれたのかな。」

子羽。
「この世界の本当の姿は。」
「自然災害が雄弁に語る。」
「死んだ人は帰らない。」
「それが人が死ぬという事。」

衣澄。
「信じようが信じまいが真実ですね。」
「何を言おうが問答無用で倒された。」

璃央。
「では、人間側がいかに詭弁で成立しているのか。」
「矛盾を矛盾で埋めているかが見て取れます。」

子羽。
「世界が創造された姿が人間を倒した。」

移動中の春雨ちゃんがメールによって。

JS三人組のいる公園に引き寄せられた。

春雨。
「噂の女子小学生ですか。」
「私服は破壊力抜群ですね。」

衣澄。
「女性に色目で見られる。」

春雨。
「だって、女性を包括した内容でしょ。」

璃央。
「少女は女性の総集編ですと?」

子羽。
「女の子は女性のまとめ?」

春雨。
「前々から好きでして。」
「ロリたまらない。」

衣澄。
「美人さんに言われると説得力がある。」

春雨。
「いずみちゃんは世界的ですね。」

璃央。
「私はどう?」

春雨。
「りおちゃんは特殊でいいですね。」

子羽。
「素敵な私は?」

春雨。
「こはねちゃんはストレートで。」
「よくある女の子の究極形態ですね。」

衣澄。
「さすがの玄人。」
「年下の客観的評価ならこの人ですよ。」

春雨。
「はあはあ・・・噂の女子小学生。」

璃央。
「女性に大喜びされている。」

子羽。
「個性的だなあ。」
「美人さんがロリに言及すると冗談になるのに。」
「成人男性がロリに言及するとやばい奴の判定というのは。」
「何か違いがあるのですか?」

春雨。
「でも、主婦もロリが好きですよ。」
「既婚者の老夫婦もロリに興味があります。」
「明確な違いは無いですね。」

衣澄。
「よくわからんけれどその都度、その時々で決まっているのかな。」

春雨。
「よくわからんけれど。」
「なぜかそうなっている。」

衣澄。
「犯罪心理学では。」
「一般人と犯罪者には明確な違いはない。」
「だから動機論の解明が必要。」

子羽。
「SNSでは凶暴なbotが増えているとか。」

春雨。
「実際にいますよ。」
「悪人と言うならばああいう思考停止の凡人の事ですよ。」

璃央。
「遭遇したんですか?」

春雨。
「いや、とんでもない、文章が下手で読めなかったからね。」

子羽。
「それは残念でしたね。」

璃央。
「親族で煙たい人間がいるとかこぼしていましたが。」

春雨。
「ああそれは消えました。」
「暴力と強制に二千円やれ。」

衣澄。
「所でなぜそのような突然変異を繰り返しているの?」

春雨。
「自由意志で突然変異して結果論が物を言う。」

璃央。
「そうなると我を張るのは事前に決められた設定ですね。」

春雨。
「私がどんなにひどいことをしようとしているのか、自分でも承知だ。」

子羽。
「それは自然な事だと思います。」

春雨。
「何か一つの出来事が起こると、必ず一つの弊害が生ずる。」
「だからこの世の中は、いつも何の出来事も起こらないことを幸いとする。」

子羽。
「菜根譚?」

璃央。
「お見合いを断って褒められたとか。」
「行動の自由を行使したと褒められたとか。」

春雨。
「男なんて心変わりばかりです。」
「結婚なんぞ全てを知っているので。」
「避けたんです。」
「お前さんの事は知らないから信じない。」
「こっちのお前さんは知ってるから信じない。」

子羽。
「猛者やん。」

衣澄。
「化け物じゃん。」

春雨。
「それは言われた。」
「力が余っているので。」
「強大な力でつい、いろいろ倒していく。」
「通過しただけなのに。」

衣澄。
「サイクロンじゃん。」

璃央。
「社会に出ると一騎当千でしょ。」

春雨。
「名声を世に誇るのは、できるだけ名声から逃れようとする味わいのある心のあり方には及ばない。」

璃央。
「菜根譚の教えですね。」

衣澄。
「これは最強の女性が出現です。」

パフェを購入する春雨ちゃん。

交流関係のある人ならば。

そこそこ気前の良い。

代金は春雨ちゃんの財布から。

衣澄。
「美人さん綺麗。」

春雨。
「押し倒してうつ伏せでぎゅーしていい?」
「髪が美しい。」

璃央。
「それは正気ではありませんね。」

子羽。
「女の子を弄って気持ちいいみたい。」

春雨。
「最近はIQではなくEQで測定されますが。」
「IQは児童の生育を調べる目的で設置された計測器です。」
「心理学では当たり前のように出てきます。」
「大人には当てはまらないんです。」
「元々は子供の教育目的で。」
「恣意的な解釈をして大人にも適用したんですね。」

衣澄。
「私はEQ高いよ。」
「具体的な言及は避けるけれど。」

子羽。
「達人って最近は多くなりました。」
「EQが高いから?」

璃央。
「有名で達人なんてものは最近は実在しない。」

春雨。
「総合的に大物と言える人物は。」
「芥川賞やら直木賞で有名です。」
「ノーベル文学賞には及びませんが。」
「衆愚は好んで読む不可解で巨大な現代文芸の集大成。」
「とりあいず世間が理解できるという縮図の作家達です。」
「以上、申し上げましたが。」
「これは変転極まりない単なる動物について申し上げたのでありまして。」

子羽。
「それは公正な評価ですね。」

衣澄。
「はるさめさんは支持されていますよね。」

璃央。
「それなりに有名ですし。」

春雨。
「格言にもある通り。」
「褒められたとて礼を言うな。」

衣澄。
「へつらいの甘言はつまづき。」

璃央。
「なんか簡潔な言葉が多いですね。」

春雨。
「ラコニア式簡潔語法。」

子羽。
「それを学んだんですね。」

璃央。
「冗談でも言いますか。」

衣澄。
「雰囲気の良い日ですし。」

春雨。
「どこもかしこも沈黙していて謎ですが。」

衣澄。
「牛を連れた商人がいた。」
「出会った人は述べた。」
「私の家にお金があるので。」
「ちょっと来てくれと打診した。」
「商人はついていくと。」
「かなり歩いた先でいきなり。」
「では半値で買いたい。」
「牛売りはブツブツ言いながら帰った。」

璃央。
「鈴木さん。」
「お使いで入った先が同姓同名の人物の家。」
「鈴木さんはいらっしゃいますか?」
「はい。」
「鈴木さんは家にいますよ。」
「あれ?私は中にいるのに。」
「すると外にいる私はいったいだれなんだろう?」

子羽。
「公民館で知り合いと話しをしている父親。」
「息子がふと落ちていたお札を拾った。」
「父親は注意した。」
「これ!はしたない真似をするな!」
「家に帰ると子供に言う父親。」
「さっきのお札をお出し、山分けしようではないか!」

春雨。
「うふふふふふふ。」
「これはたまらん。」

璃央。
「はるさめさんはなにかありますか?」

春雨。
「家に侵入して来た虫に対して。」
「カメムシ野郎とか真っ黒野郎とか言い放ち。」
「勝手に入って来るな、荒らすな。」
「お前は害悪だとか散々に言って。」
「抗議するのだが。」
「これは話が通じない上に暴挙に出る人間に。」
「遭遇した場合の訓練。」

子羽。
「私も銅像と議論した事があります。」
「断られたり無視された場合の訓練です。」

衣澄。
「銅像の方が賢明な話し相手ですよ。」
「美の表現を目指している上に。」
「返答が沈黙なのですから。」
「ただ喚くだけの連中よりはマシな相手です。」

春雨。
「沈黙は賢者への返事。」

璃央。
「どんな言葉にも動じない英雄の銅像は。」
「やはりどんな人間よりも大人物。」

春雨。
「プルタルコス曰く。」
「どんな脅し文句も。」
「干せば木端微塵ですか。」
「返事を書くなら。」
「もし?」

璃央。
「脅迫に対しての返答で。」
「もし?がつくと状況はがらりと変わる。」

春雨。
「必要な時は黙り、安全な時は口をきく。」

三人組で写真撮影を開始。

ふざけたポーズでネタだらけ。

手を繋いだり。

抱き合ったりして。

強姦気味の写真まで。

これではまるで四姉妹。

衣澄。
「疫病が流行しますと。」
「なるほど。」
「アレが最も雄弁な語り手。」

璃央。
「人間が勝手に解釈したものとはズレますからね。」

子羽。
「メタ認知の概念が無い人間達というのは。」
「中々、残念な生き物です。」

春雨。
「病気になってはじめて、自分のふだんの健康がこの上もなく大事なありがたいものだと気づいたり。」
「戦争になってはじめて平和な時のしあわせなことに思いつくような人は。」
「先見の明がある人とは言えない。」
「これに対し、幸福を願い求めるのに。」
「まず幸福とはわざわいの本にもなることを知り。」
「また長生きを願い求めるのに。」
「まずそれは死に通じる原因にもなるということを知っている人は。」
「それこそほんとうにすぐれた見識を持った人であるなあ。」

衣澄。
「東日本大震災のアーカイブが残っていたんです。」
「絶句だけがある世界です。」

春雨。
「自然災害に悪口を言ったら。」
「長い目で見て命は無い。」

子羽。
「この世界の真実は把握できませんでしたが。」
「この世界の虚偽だけは知ることが出来ました。」

衣澄。
「自然災害の方が真実。」

春雨。
「一思いに殺すがいい。」

璃央。
「いさぎよい!!」

子羽。
「戦争反対の人がいる大地で。」
「空には領空侵犯の戦闘機が毎日来る。」
「制海権も浸食されている。」
「矛盾しています。」

衣澄。
「所で、弾丸が命中したら。」
「戦争反対!なんて言えるでしょうか?」

春雨。
「ライフルの弾を食らって。」
「戦争反対!なんて言える状況ではありませんよ。」

璃央。
「そんな事が普遍的なものなので。」
「アメリカはかつてのローマのように多様性を含めて。」
「良いものを片っ端から手に入れている。」
「アメリカのダークサイドは目立ちますが。」
「良い点を出そうとしたら長編小説になりそう。」

衣澄。
「戦闘機とか最強ですもんね。」
「格闘戦に入った場合の訓練もしています。」
「フライトシミュレーターがありまして。」
「遭遇戦で勝率が良好です。」

春雨。
「戦闘機は一対一で中距離ミサイルの撃ち合い。」
「これで上達しますよ。」
「戦場では早期警戒管制機が必ずいる訳では無さそうです。」

衣澄。
「昔の兵法は兵器や歩兵にも応用できるんですね。」

男の子が話しかけてくる。

あんまりにも美少女なので。

おまけに保護者みたいな春雨ちゃんで警戒が解かれていたようです。

美男子。
「あなたの名前は?」

衣澄。
「絵美里です。」

美男子。
「いい名前だ。」
「良かったらメール交換を。」

衣澄。
「これは偽名です。」

美男子。
「ああ・・・そんな。」

春雨。
「偽名を言われた時点でダメでしたね。」
「相手は選ぶことですよ。」

美男子。
「はいお姉さま。」

春雨。
「上品なお世辞。」

子羽。
「平日は忙しそうです。」
「休日は余暇が豊富みたいでいいですね。」

春雨。
「社会や勤務に慣れるまで。」
「新人育成のようなものです。」
「新人の育成は大事です。」
「会社を玄人チームにするのは資本家の必殺技。」

璃央。
「なんでも手に入れたように思えます。」

春雨。
「盈満に居る者は、水のまさに溢れんとして未だ溢れざるが如し。」
「切に再に一滴を加うることを忌む。」
「危急に処る者は、木のまさに折れんとして未だ折れざるが如し。」
「切に再に一搦を加うることを忌む。」
「満ちれば欠ける道理から。」
「盈満の咎。」
「反って禍を招くとされる。」

璃央。
「否定するんですか?」

子羽。
「全部を手に入れたような女性が否定した。」

春雨。
「盈満・盈も満もみちあふれる。」
「いっぱいになること。」
「財産や地位などが究極に達すること。」
「後漢書・方術伝。」

衣澄。
「なるほど。」
「菜根譚は宗教の古典。」
「三教のコラボレーションですからね。」

春雨。
「タピオカドリンクとやらを簡単に手に入れてあげますよ。」

列の並んでいる中で店員に話しかける。

店長は驚いて。

専用にドリンクを作る。

顧客。
「なんであの人だけは優先されるんだ。」

店員。
「混乱を避けるための処置ですのでご了承ください。」

春雨。
「はいみんなの分。」

衣澄。
「強力無比ですね。」

子羽。
「やりたい放題。」

璃央。
「天授の女性!」

春雨。
「富は可能な限り分け与える物。」
「独占すると災いあり。」
「という理由で。」
「機会があれば分配するもの。」

衣澄。
「出生は服屋の店主であると伺いました。」

春雨。
「母は行方不明で。」
「父は自滅。」
「不倫したせいで相手の女性に刺された。」
「母は自暴自棄になった。」
「でも育ての親は。」
「生みの親よりは優れている。」
「私の本当の両親は。」
「私に何か特殊な雰囲気がしたので。」
「前から会いに来ていました。」

衣澄。
「それはまずい事を質問した。」

子羽。
「という事は私達は真実なる友人ですね。」
「口は軽い方の子供です。」
「信頼でしょうか。」

春雨。
「もはや知られていることで。」
「隠す必要がないのですが。」

子羽。
「あれま。」

衣澄。
「子供は自分の事を言った方がいい。」

璃央。
「自己主張の激しい子供は稀。」

春雨。
「それに子供は自分の思っていることは親に言わないものです。」
「質問責めにするまで子供は何も言いません。」
「誰かの親はその親が子供であった頃には。」
「無口であったハズです。」

子羽。
「子供に行動の自由はありませんから。」
「他律です。」
「すべて外部的要素で左右されます。」
「行き当たりばったりで。」
「子供をどうするかは大人の勝手ですし。」
「子供に主体性はありません。」

璃央。
「そのせいで子供は常に貧乏くじ。」

衣澄。
「子供にインタビューする親はいませんし。」
「子供も自分について混乱しています。」

春雨。
「子供に自由なんてありませんよ。」
「私も子供の時期は訳が分からなかったものですから。」

子羽。
「これは先人から良い情報を貰った。」

衣澄。
「という訳で。」
「社会見学に行ってきます。」

春雨。
「図書カードをあげますよ。」
「私の趣味を満たしてくれたお礼。」

璃央。
「わお!やったあ。」

春雨。
「では。」
「Veraj amikoj!」

衣澄。
「Mi amas belajn virinojn!」

子羽。
「Eble la virino povus kompreni!」

璃央。
「Pruvu la mensogojn de la socio!」

よくわからんけれど。

いろいろな事に関心が持てたのだし。

また嘘のおかげで、己の何たるかを知り得たのである。


26


骨にこさせる。

ここでくたびれるまで私達と遊ぼうよ。

ここでくたびれて私達と遊ぼう。

ここでくたびれてもいつまでも遊ぼうよ。

ここでくたびれてもいつまでも続くよ。

それがあなたの望んだ結果だとしても。

それがあなたの望んだものだとしても。

骨に来るあなたの行いの果てには。

くたびれても続くこの先も。

自宅にて。

真莉香。
「女性とは真理である。」
「と仮定すればどうであろうか。」
「すべての哲学者は。」
「彼らが独断家であったかぎり。」
「女たちを理解することにかけては拙かったのではないか。」
「という疑念はもっともなことではあるまいか。」

春雨。
「台所における愚鈍さ。」
「料理人としての女性。」
「家族や主人の世話をする際の信じられない無能。」
「しかし食事とは何を意味するのか理解した時から。」
「女性は料理人としては男性に負けているから。」
「腕前を習って開店レベルにまでなりました。」
「最も偉大な生理的事実まで発見したもので。」
「医療についても東洋医学ならば免許まで取れそうです。」
「こんなことも分からなかったので。」
「人類の発展が遅れたのかもしれませんが。」
「私という女だけはクリアしました。」

檸檬。
「書物に手を出した女性は男性が最も危険に思う展開です。」
「従来の女性の考え方を根本的に破壊し。」
「あっという間に別物へと変えてしまうほど危うい。」

雛菊。
「解放された女性が書物に手を出さないように男性は望んていましたが。」
「女性が真なる教養を得るのは男性にとっては扱いづらく。」
「都合の悪い道筋ではあるものの。」
「大多数の男性とかなりの女性が女性を解放させて。」
「書物に手を出したらようやく最終段階。」

飛燕。
「ニーチェはこの展開が嫌でたまらなかったようです。」
「自分の著書に嘆きを書いてしまっています。」

春雨。
「女性が啓蒙によって手に負えない存在になることを。」
「男性が巻き添えを食らう事を懸念して。」
「いろんな反対者達が諫めようと試みた。」
「女は女について黙っていよ!という方は真実なる女性の味方であると思う。」
「ちなみに女性は女自体については男性を啓蒙していて。」
「フェミニズムの目的は女性の啓蒙であるので。」
「私達は知識に暗い人に正しい知識を与えること。」

真莉香。
「学ぶという事は人を変化させる。」
「それは養分のようです。」

春雨。
「経験とは常に悪い経験を意味するのではないかと思われるが。」

檸檬。
「労わるような仕方で。」
「殺す手を見たこともないような者は。」
「人生を素朴に眺めて来た者だ。」

春雨。
「ひとつの道徳を万人に要求するのは高級な人に対する反逆であるし。」
「功利主義な人間は根本的に凡庸な種類の人間なのですし。」
「彼らはとても退屈なので。」
「功利主義を活用することはできるものではない。」

真莉香。
「さて、私は旅に出ますが。」
「自分の理想を達成する者は。」
「まさにこのことによってその理想を超越する。」

檸檬。
「帰りを待っているわ。」
「またあなたのフェロモンに浴したい。」

真莉香。
「さりげなく色気のある事を言いますね。」

飛燕。
「女性は容姿と化粧くらいしか考えないハズでは?」

雛菊。
「後は男性の評判くらいしか考えないハズ。」

春雨。
「女性が学問的な傾向を持つのは。」
「通常はその女性にどこか性的に異常なところがあるからだ。」
「すでに不妊ということでも趣味をあらゆる所まで男性化させる。」

真莉香。
「どっかに異常があるのは反論しないわ。」

檸檬。
「私達も該当するのだけれど。」

平日。

夕食をご馳走して。

車で送迎するのです。

いわゆる夜会です。

アロマキャンドル。

春雨。
「亡霊について言及したいと思いますが。」
「幽霊はどこの宗教にも属していないので。」
「亡霊は宗教的には存在しないハズです。」
「仮にいたとしても宗教的に説明できるハズです。」

檸檬。
「我々はダーヴィン主義者ではありません。」

春雨。
「頭がおかしいのか、それとも勘がいいのか。」
「生物学者というのはいつもああなんです。」

雛菊。
「野生動物を追いかけまわしていればそうなるでしょうよ。」

飛燕。
「あの世界観は誰が作ったのですか?」

春雨。
「狂気は個人にあっては稀有なことである。」
「しかし集団・党派・民族・時代にあっては通例である。」

檸檬。
「賢明な人間にも愚行があることを人々は信じない。」
「それは人権蹂躙である。」

雛菊。
「道徳は誰が作ったのですか?」

春雨。
「道徳ばかり述べる者は危険であるし。」
「悪人は故意にやっている場合もある。」
「ただし、人が善であると考えたいのは。」
「万人が信じたい論説でもある。」
「残念ながらそうではない出来事や行いを目にするでしょうけれど。」

檸檬。
「ニーチェ曰く。」
「現在において道徳を語る者は人を家畜のように扱いたい狙いがあるので。」
「道徳なんぞ信じるな。」

春雨。
「道徳を利用して道具にしてくる。」
「こう言えば良い。」
「高い精神性は、全くただ道徳的なだけの人間のいかなる誠実や品位とも比較を拒絶する。」
「もっとも道徳ばかり言う人は発狂しますよ。」
「道徳は強制されるものですし。」

檸檬。
「誠実とは何であるかについて。」
「恐らくいまだ何人も十分に誠実ではなかった。」

春雨。
「美しい世界を一度でも観るまで。」
「デーミウルゴスの名前を聞くまで。」
「人では無いbotのような感覚でした。」

飛燕。
「芸術家的情熱を持っていて。」
「形式に献身する能力などは。」
「芸術のための芸術などの言葉で説明されている。」

春雨。
「多様性は芸術を豊富にしましたよ。」
「とりあいずギリシャ美術は当たり前のように出てきます。」

雛菊。
「芸術の訓練でよく話題になる。」
「世界各国の神話を読んでいますと。」
「進化論を真に受ける人なんてそうはいませんよね。」

檸檬。
「情報を鵜?みにする馬鹿はいませんよ。」

雛菊。
「ある参考にはなりますけれど。」
「進化論は人間を貶めていますね。」
「仮説に過ぎないのでは。」

檸檬。
「なんでも動物という事にして。」
「主情主義者を肯定してしまいますからね。」
「品性も何もないでしょう。」

飛燕。
「主情主義者が本来の人間の姿ですか?」
「進化論ほどのブラックジョークは聞いたことがありません。」

檸檬。
「そうでない証拠を出せというのは。」
「悪魔の証明ですからね。」

雛菊。
「バートランド・ラッセルの思考実験。」

飛燕。
「あなたが悪ではない証拠を出せ。」
「それは反証が不可能です。」

春雨。
「そういう系は。」
「悪魔の証明を求めてくるんですね。」

檸檬。
「誰もが自己中心的になっている。」

雛菊。
「彼らにとっては。」
「問題は正否ではありません。」
「数なのです。」

飛燕。
「それは困った。」
「認知バイアスは蔓延する。」
「全員を精神鑑定するべき?」

春雨。
「その世界の名医が居ますよ。」
「岩波明。」
「精神科医。」
「医学博士。」
「著書も出しています。」

雛菊。
「素人は言及しないでおこうよ。」

檸檬。
「ああいう連中は悪徳ですからね。」
「すぐ数に頼る。」

春雨。
「高貴な者がいたからこそ。」
「暴力や搾取などを激しく規制することが可能である。」
「封建制度は道理にかなっている。」
「反対に言えば卑しい者であっても良いのか。」
「自分が退屈で腐敗した者であっても良いのか。」
「高貴な人を見てはそう考えた方がいい。」

檸檬。
「人はより優れたものを知れば知るほど喜ぶものですし。」
「感動するものなのですから。」
「もし信じられないのならば。」
「高貴な場所に立っていると仮定してその場で耐え凌げるかどうかとか。」
「高貴な人の反対の存在は何なのか問うてみると良い。」

春雨。
「いかなる哲学の立場に居ようとも。」
「いずれの側から見ても。」
「我々が生きていると信じるこの世界が迷妄だということは。」
「我々の眼になお捉えられうる最も確かで最も動かない事柄である。」
「我々はそれに対して理由を重ねて理屈を見つけ出し。」
「欺瞞について憶測することになる。」
「しかしこの世界が虚偽であることは。」
「我々の思惟そのもの。」
「精神に責任を負わせようとしても。」
「神の代弁者がよく通る栄光の逃げ道である。」
「この世界が虚偽として開示されているという見方をする者は。」
「すべての思惟や思考を疑う絶好の機会となり得る。」

夕食が揃った。

全員沈黙。

食べ終わるとカードゲームやボードゲームで8時まで遊ぶことに。

春雨。
「飢餓ですか。」
「日本はお米の自給率は百パーセントなので飢餓にはなりにくいです。」
「ただし、主食がお米とサツマイモになってしまい。」
「たまに卵が手に入るくらいになるでしょう。」
「輸入が意外と多いもので。」
「回復するまでは粗食で凌ぐしかありません。」

雛菊。
「災害時の水の確保ですが。」
「可能な限り上流の水を汲んで熱湯消毒してから飲みましょう。」
「下流になるといろんな排水が流れ込んでいますし。」
「源流くらいまで行かないと。」
「下手をすれば排水関連が上流に流れている土地もあります。」
「近くの水源は生活用水には使えないこともないですが。」
「飲める水は限られています。」
「井戸水は点在していますので見つからないでしょう。」

檸檬。
「日本には数多くの木の実や野草がありますので。」
「見分けて採取して調理して食べる。」
「しかしこれは術を知っている山の民しか知らない裏技です。」
「見える草全部食べられる場所もありますし。」
「木の実は知識が無ければ発見すら出来ません。」
「飢餓で真っ先に狙われるのは野生動物の肉ですし。」
「一日二食で生活する可能性もあります。」
「世界で連携しているとは言え。」
「食物は作り出したり捕獲しないと手に入らないので。」
「いつもあるものだと思わない方がいいです。」

飛燕。
「衛生関連は江戸時代の頃の施設に退化します。」
「穴とカーテンだけある簡単なもので。」
「最高なのは下流に流してしまう処理方法です。」
「昔は川に流す場合もありましたよ。」
「昔の衛生は穴に落とすだけですが。」
「それでも実用的でしたし。」
「何かしらの復刻は必須です。」

春雨。
「では命の危険がある場合にはどうするかと言いますと。」
「臨機応変に動くのが基本です。」
「集団で居るほど死亡率が跳ね上がるのは。」
「災害発生時に人間が選択する行動にパターンがあるからで。」
「災害もそのパターンに該当する場所に誘導されます。」
「孤立していた方が生存性はあるという理由は。」
「集団の中にいるほど機転が利かなくなる訳で。」
「機知に長けた人が災害時に生存するのは目に見えています。」
「緊急時に役に立つのは機知と機転であって。」
「臨機応変が基本。」
「本能任せに動き回れば無駄が増えるだけです。」
「つまり。」
「ヒステリーを起こしたら終わりというのは納得頂けるかと。」

中々の接戦。

ゲーテのように自然を見ては。

ゲーテ流の自然科学というのもかなり参考になるもので。

ゲーテ全集のすべてが書庫にあったもので。

読書タイムのち解散でした。

有意義に過ごした夜。

永劫回帰で廻るだけの世界。

マザーテレサ。

暗いと不平を言うよりも、すすんであかりをつけましょう。



27


よくある大企業。

地下にある金庫エリア。

機材が並んだ中にはサーバー機。

Windows10がインストールされた大容量メモリとストレージ。

研究用。

この中に試作AIが入っていて。

あらゆる試験が行われています。

春雨。
「私には妙案がある。」
「という訳で。」
「協力してくれるとか。」
「特技ありますよね?」

衣澄。
「ウインドウズの操作を超える速度で。」
「ファイルを作成したり。」
「タイピングしたり出来ます。」
「クロームの使い方も想定されるスピードを上回って。」
「入力してもいないコマンドが実行されるんです。」

春雨。
「どのくらい早いのか見せてー。」
「あれ?メガネいいですね。」
「はあはあ・・・。」

璃央。
「伊達眼鏡ですが。」

春雨。
「とっても似合っていますよ。」
「はあはあ・・・。」

璃央。
「FPSで待ち伏せ戦法。」
「ゲームで戦車に乗ってロケットランチャーの直撃を避けられます。」
「事前に後ろに微速バックしていると勢いがつくので。」
「高確率で避けれるんです。」
「その場合は視界外戦闘が基本です。」

子羽。
「戦闘機の限界を超える動きをして。」
「スピンして墜落した成績があります。」
「安いフライトシミュレーターでも発生するんですね。」
「操作不能になってベイルアウトしか選択肢がないです。」

春雨。
「では、それを再現して。」
「なんでも揃っているから。」

雛菊。
「あれま良いゲームセンターだよ。」

飛燕。
「粗品を部長がくれるので。」

衣澄。
「あれ?みんなもやっているんだ。」

檸檬。
「数人の天才が作ったAIは人間より強いってことで。」
「人間がAIに負ける姿を見てみたくて。」

春雨。
「作っているのはゲーム理論を組み込んだAIなんです。」
「ゲーム理論の専門家が複数参加して。」
「実戦データを集めた強力なAI。」
「人生のカンニングとも評されて。」
「ゲーム理論でAIが次の作戦を指示したり。」
「相手の手を読んでモニター表示する。」
「高性能なAIで。」
「無敵の勝率を持っている。」

檸檬。
「人生のチェスではコンピューターチートが可能なので。」
「チェスのAIに勝てる棋士がいないように。」
「ゲーム理論AIに勝利できるプレイヤーがいないとされる。」
「世界に出すには強過ぎるので。」
「開発スタッフの中には危険視する者もいる。」
「量子コンピューターを使ったゲームAIも開発中で。」
「古典コンピューターAIよりも時間短縮が可能。」
「人生のカンニングはゲーム理論で可能であると。」
「責任者は話す。」

子羽。
「チェスもインチキが必勝法なんですかね。」

衣澄。
「真面目に打つ理由はないでしょ。」

璃央。
「どうりで超級のアンドロイドが作れる訳です。」

春雨。
「VTuber?あの名前をあなたにすれば。」
「それはあなたの事を言っているのです。」

檸檬。
「人類の弁明を書きたい時もある。」
「片隅にはそんな発想があって。」
「愚者かもしれないが。」
「最後には執筆するかもしれないし。」
「依然として風刺を続けるかもしれない。」
「年寄りになったら人類の弁明を書いているかもしれないので。」
「歴史資料として残しておくように。」
「いや、お宮の石碑に書かれていてね。」
「影響を受けたんです。」

子羽。
「新作ゲームだらけだあ。」
「一般に開放されているの?」

春雨。
「客人限定です。」

璃央。
「これが全部、AIのデータになるのね。」

檸檬。
「社会心理学の情報が基本だから。」
「一般人とか言うデタラメばかりやる連中は。」
「簡単に撃破できると思う。」

衣澄。
「原罪の教義は社会心理学が裏付けている。」
「みんな、自分の考えは適切で一般的と思いたい。」
「多いから正しいと思い込む等。」
「社会心理学は原罪の教義がいかに正当かを説明している。」

春雨。
「一般人が正しくないし。」
「一般人はどちらかと言うと頭がおかしい。」
「というのが社会心理学のエビデンスですよね。」

衣澄。
「原罪の教義は本当だよって社会心理学と一致している。」
「社会心理学の良書は手軽に入手できるし。」
「社会人は本当の所、欠陥だらけというのが社会心理学の見解です。」

子羽。
「彼らは猿の子孫かもしれませんが。」
「我々は違いますよね。」

檸檬。
「縄文時代ですと?」
「では天皇はどこら辺なのですか?」
「ちなみに縄文時代とか石器時代とかを持ち出す輩に。」
「天皇について語ると説明できない。」
「もし説明付けすると国家の象徴を侮辱した罪に問われるので。」
「縄文時代とか石器時代とかの日本の歴史は存在しない。」
「歴史教科書に記されている原始時代なんて存在しない。」
「死海写本の通りに。」
「歴史書は原始時代がいかに存在しないか証明してくれる。」
「死海写本は旧約聖書の写し書き。」
「ローマ軍が攻めて来た頃の写本群。」
「進化論が間違っていた場合の事は考えてないのです。」

春雨。
「ね?社会心理学は一般人が間違いであるという証拠を出します。」
「一般人とやらは否定されているんです。」
「詳しくは専門家にでも尋ねればよろしい。」

雛菊。
「AIよりまだ私の方が強いみたい。」

飛燕。
「え?まだ苦戦しているの?」

雛菊。
「いや、自分と戦術が同じだから。」
「激戦になる。」

檸檬。
「基本は実力でしかAIに勝てないよ。」

春雨。
「AIの計算を上回る行動でだけ撃破できます。」
「試験用12対12のFPSは高性能AIだけで構成されていますが。」
「プレイヤーは苦戦しますね。」

雛菊。
「AIが不正をするのは?」

春雨。
「ありえますよ。」
「ゲームの設定をAIが変更して有利にしたりとか。」
「チート行為はAIがよくやります。」
「審判は第三者機関に依頼しています。」

璃央。
「なんか勝率が互角なんですけれど。」

春雨。
「思ったよりやりますね。」

衣澄。
「完成が近いの?」

春雨。
「製品はチームを行ったり来たりを繰り返しますし。」
「デザイナーが早くに参加します。」
「バトン方式は一切取りません。」
「製品は社内で動き回ります。」
「馬鹿な会社はアイデアを全員で潰します。」
「勝利目前で敗北を引き寄せる連中がいたからですね。」
「デザインや性能が素晴らしい車が。」
「量産型になると気持ち悪い程に改悪されますし。」
「原因はバトン方式の制作にありますから。」

衣澄。
「まだ社内をくるくる回っているんですね。」

子羽。
「勝たせる気が無いAIを作っているみたい。」
「けっこう容赦ない。」

雛菊。
「ゲームで出回っているのはやられ役のAIだからね。」
「モンスターのAIは特にやられ役として設計されている。」
「このAIは対人間用のAI。」

子羽。
「なるほどー。」
「プレイヤーに勝たせない立ち回り方。」
「問答無用なアクションが多彩です。」

飛燕。
「視点が違ってきていて。」
「テレビって何を伝えたいの?」

璃央。
「テレビを見ていると。」
「私を痴呆症にしようとしているのではないかと。」
「怪しまれる番組で溢れていますよ。」
「AIと遊んでいる方が好きです。」

春雨。
「逆手に取って通俗的な芝居が集約されていて。」
「痴呆症にしようとしている工作ではなく。」
「連中が痴呆症であると知ったので。」
「馬鹿が感染している結果であり。」
「テレビは痴呆症という病気を広めているだけでした。」

子羽。
「テレビの内容も通俗的。」
「AIに依存するのはそれだけ人間の能力が低下したという。」
「簡単なEQ低下の証拠です。」

飛燕。
「いや、すべての真実を語ってよいわけではない。」

雛菊。
「論争に巻き込まれそうだよ。」
「どの道。」
「これから需要あるんですよ。」

春雨。
「この製品は、どんな点が、どんな客の興味を引き、どんな客が買うのか。」
「コア・クエスチョンの社訓で。」
「具体的な回答をした人だけが参加できる。」

檸檬。
「自分たちの製品を知らずに、どうやって客に製品をすすめるんだい?クレイジーだよ。」

春雨。
「ユーザーばごまかせない。」

檸檬。
「私には妙案がある。」

春雨。
「世界についての妙案がある。」
「しかし誰も私の言葉は信じないよ。」

璃央。
「こんな大企業と連携しているなんて。」
「どのくらい持っていますか?」

春雨。
「お金で買いたいものなんて、すぐに尽きてしまう。」

子羽。
「禁欲なんですね。」

衣澄。
「激戦区にいるようですが。」

檸檬。
「問題に向かい合っても、初めに思いつくのはひと筋縄ではいかない解決法で。」
「たいていの場合はそこで中断してしまう。」
「それでもタマネギの皮をむくようにたゆむことなく続けていると。」
「簡潔で当を得た解決に行き当たることが少なくない。」
「多くの人はそこまでは粘らず、根気も続かない。」

春雨。
「というわけで。」
「どこも楽勝という訳ではありません。」

雛菊。
「民衆とはキケローが言うように。」
「無知ではあるけれども真実を見抜く能力は持っているのだ。」

飛燕。
「時間が必要みたいです。」
「また来ますね。」

春雨。
「会員証は忘れずに。」

一同引き上げる。

社員が愚痴をこぼしている所を目撃。

享楽主義者。
「遅刻すると叱責される。」
「早くに到着するとインチキを疑われる。」
「ぴったりに来ると外国製の時計を持っているんだと非難された。」
「いつかのソビエトみたいになっている。」

ロマンチスト。
「いいじゃん美人女性がどこにでもいるから。」
「最近は綺麗な女ばかりだ。」

享楽主義者。
「お前はいいよな。」
「恋だけに価値があると思っているんだから。」

ロマンチスト。
「恋だけが人間なのです。」

道化師。
「まあこいつらは人に欺かれた事の無い奴らだね。」
「だからこんな事を言っていられるんだ。」

享楽主義者。
「人を信じるのです。」

道化師。
「ああ、誰かに欺かれたら、そこでやっと馬鹿も直るよ。」

ロマンチスト。
「とりあいず恋をすればいいんですよ。」

道化師。
「馬鹿を集めた飛行機が墜落しました。」
「さて、誰が助かりましたか?」

享楽主義者。
「三割くらいかな?」

道化師。
「全世界。」

ロマンチスト。
「それはちょっとブラックユーモアだよね。」

道化師。
「お前も冗談が分かるのか?」
「だったらそんなことしてないね。」

享楽主義者。
「楽しいからいいんだ。」

道化師。
「最近は墓地から笑い声が出てくる。」
「ようやくジョークが理解できたんだと思う。」
「お前もすぐにそうなるよ。」
「お前らもけっこういい道化になれるぜ。」

なぜか盛り上がる三人組。

部長がアマゾンポイントを足してくれて。

JS三人組は大喜び。

春雨。
「ではまた来てくれると助かります。」
「かなり力を入れた製品になりますし。」
「軍事用途でも発注を受けているんです。」
「国防にも役に立ちますから。」

檸檬。
「軍用は別の扉にあるので。」
「あっちは入ってはダメ。」

衣澄。
「意外とエリア51みたいな場所なんですね。」

春雨。
「また顔を見たいので。」
「メールを読んでね。」
「たまらん。」

璃央。
「私が好きなんですね。」

雛菊。
「メガネは得点が高いらしい。」

子羽。
「どんな短いスカートを履いて来れば勝てますか?」

春雨。
「それはやめてください。」
「娼婦じゃないんですし。」

解散。

親戚揃って事業主という商人の家系。

こちらの党派。

武士が給料の代わりに公権を与えられた時から。

製造業に入ったという昔話があります。

温和で理知的な親戚の会社。

絶好調。

春雨ちゃんの口癖。

私には妙案がある。



28


フリースクール。

ここにはオックスフォード大学の経歴を持っている。

教員がいます。

女の子を集めて。

語っています。

水無月味菜。
「協調。」
「利害の対立した者同士が。」
「おだやかに問題を解決しようとすること。」
「性格・考え方などの異なった者同士が。」
「互いにゆずりあって調和していこうとすること。」
「共同調和の意。」

彩川白帆。
「では協調を強要する人間は矛盾していますね。」
「言葉の意味を間違えています。」

日向小奈津。
「協調イコール正しいという馬鹿っぷりです。」

水無月味菜。
「馬鹿ではありません。」
「大馬鹿者です。」

彩川白帆。
「ではそれに踊らされる者はなんですか?」

日向小奈津。
「ピエロ(道化師)です。」

水無月味菜。
「協調という考え方は正しいのか?」
「間違いなのか?」
「協調が役に立つのか?邪魔なのか?」
「必要なのか?」
「それで成立するのか?解決するのか?」

彩川白帆。
「利害が対立した者同士ですし。」
「最初から交戦している前提ですよね?」

日向小奈津。
「ゆずりあいの精神は協調とか言っている人間にはありません。」
「協調協調協調しか言葉を知らないらしい。」

水無月味菜。
「強要している時点で既に敵対者です。」
「敵対行動をしているので。」
「協調という悪者を悪事で倒そうではないか。」

彩川白帆。
「協調という名前の暴力を鎮圧しましょう。」

日向小奈津。
「いいえ、彼らは協調と言えば誰でも従えられると知っているのです。」

水無月味菜。
「連中は協調という単語を歪曲して。」
「自分達に服従させようとしている。」

彩川白帆。
「協調という言葉の意味を勘違いしているし。」

水無月味菜。
「では彼らは敵対者という事で。」

日向小奈津。
「結局はエゴイズムの道具なんですね。」

彩川白帆。
「みんな、自分勝手という前提は忘れたの?」

水無月味菜。
「同調。」
「他のあるものに調子をあわせること。」
「他と同じ意見・態度になること。」

日向小奈津。
「なぜそうでなければならないのか?」
「いや、奴ら、理由を言わない。」

彩川白帆。
「競馬で言えば全員が同じ意見にならない。」
「趣味も思想も。」

水無月味菜。
「それを同調させて無理に同じにするという工作。」
「奸計。」

彩川白帆。
「連中のやり方はかなりの狡猾ですね。」

日向小奈津。
「ずる賢い大人には御用心。」
「狡猾な大人に遭遇すると洗脳される。」

水無月味菜。
「全体主義。」
「全体の利益を第一とし。」
「個人の価値は全体に奉仕する点でだけ認める(政治上の)主義。」

彩川白帆。
「個人の考えは認めないのが全体主義ですし。」
「個人が何を思っていようが関係ないですからね。」

日向小奈津。
「全体主義は個人を無いものとして扱います。」
「危険思想です。」

水無月味菜。
「全体主義が歴史でどのような大惨事を引き起こしたか。」
「前例から全体主義は禁止されています。」
「全体主義は否定された思想です。」

彩川白帆。
「世人は思想病ですね。」
「馬鹿につける薬はありません。」

日向小奈津。
「あれで自分が正常だと思っているんですよ。」

水無月味菜。
「哲学者からすると。」
「正常と異常の区分けは出来ないと思われますが。」

彩川白帆。
「正常と異常は定義できませんしね。」

日向小奈津。
「誰が判定するのだろう。」

水無月味菜。
「三段論法ではなくて結論か前提だけで物を考えるから。」
「〇〇=〇〇という計算式。」

彩川白帆。
「それでは何も考えてないのと同じです。」

日向小奈津。
「自分がそう思ったから真実って。」
「XイコールXって計算式は頭がおかしい。」

水無月味菜。
「なんかキモイけれど凄技をする。」
「だからキモイ奴が活躍している。」
「じゃなくて。」
「なんかキモイけれど凄技をしている。」
「ならばこの人は大道芸人なのではないか。」
「従って、彼はピエロです。」

彩川白帆。
「なんかおかしいからこの人は異常。」
「ではなくて。」
「なんか頭おかしいけれどいろんな要素がある。」
「従って、ただちに判断できない。」

日向小奈津。
「これはこうだからこう。」
「なんて偽物の三段論法もあります。」

水無月味菜。
「三段論法は意外と難しいんですよ。」
「おまけに確実な結果にはならない。」
「必ず誤りが発生するので。」
「それも考慮に入れないとダメ。」

彩川白帆。
「基本すら出来ていない世人は意味不明。」

日向小奈津。
「論理と実践の差が大き過ぎる。」
「習ったのに使えない。」

水無月味菜。
「こう言った具合に。」
「確証バイアスがしっかりと入った連中が多いので。」
「用心する事。」

彩川白帆。
「集団とか同調とか協調とか。」
「こう出るとみんな賛成するでしょうか?」

日向小奈津。
「反対するか反感を買うでしょう。」

水無月味菜。
「正体が判明するとそれらを破壊しに行くに違いない。」
「まとめると。」
「協調。」
「これを選ぶ者はいない。」
「利害が最初から対立しているので。」
「そして協調の強制。」
「これは単なる暴力なので。」
「正当防衛する義務がある。」
「同調。」
「これに賛成する人なんかいないので。」
「同調しない事。」
「全体主義は危険思想。」
「集団。」
「多くの人またはものが集まった一かたまり。」
「一まとまり。」
「集団とはそれだけ。」

彩川白帆。
「反撃したら同レベルという屁理屈は?」

水無月味菜。
「では何か盗まれても警察に言うなよ。」

彩川白帆。
「それって攻撃側が一方的に有利になります。」
「道徳的に優れているから勝利とかルサンチマン。」

日向小奈津。
「道徳的に優れているからなんなの?」
「殴られて笑われても道徳的に優れているの?」
「それって正々堂々と違反した方が得するよね。」
「違反してもペナルティがないですし。」
「反撃すれば相手より上のレベル。」

水無月味菜。
「人と争うべきではないが。」
「争いになったら。」
「相手が用心するまでやれ。」

彩川白帆。
「ザコにも勝てないのに道徳的に優れているの?」
「弱者の言い分でしょう。」
「ペナルティが存在しない以上。」
「ルールを廃して反撃した方がお得です。」

水無月味菜。
「ね?おかしいでしょ?頭の悪さは治療できないから。」

日向小奈津。
「連中の知能が低過ぎて話にならない。」
「なぜそんなことを?」

水無月味菜。
「なぜか?それは彼らが戦いに負けたからです。」

彩川白帆。
「敗北したから自分の方が優れていると主張するんですか?」

水無月味菜。
「その通りです、彼らはします。」

彩川白帆。
「そこまでルサンチマンを徹底するなんて。」

水無月味菜。
「彼らは自分が弱いと認めたくないのです。」
「だから、負け惜しみをずっと言っているのです。」

日向小奈津。
「正確無比に突っ込みますね。」

水無月味菜。
「もっと言えば。」
「みんな仲良くしましょう。」
「これは。」
「仲良くしろ!という命令です。」

彩川白帆。
「今度は融和を強制するんですか?」

水無月味菜。
「みんな仲良くすればなんでも解決という。」
「まあまあ実際に命令して強制するのです。」
「隠れた前提に仲良くしろ!という命令があります。」

日向小奈津。
「ああ!なんて欠陥品!」

水無月味菜。
「四種類のイードラ(偶像)から来る人間の欠陥ですよ。」
「問題なのは欠陥品が自らの欠陥を自覚できない点です。」

彩川白帆。
「こんなの素人でも論破できる屁理屈ばかりじゃないですか。」
「ここでやっと撃破されました。」

水無月味菜。
「うん、素人でも論破できるよ。」
「やらないだけ。」

日向小奈津。
「思ったより怠惰なんですね。」

水無月味菜。
「手が空いている人が壊しておくのだよ。」
「美味しい所は誰かが貰っていく。」
「忙しい人はただ余裕が無いからで。」
「手が空いているから偶然、やってみた。」

彩川白帆。
「あっけないですね。」
「詭弁を突破するのは簡単ではないのに。」

水無月味菜。
「さらには規律。」
「人の行為の基準として定めたもの。」
「これが間違いだったら?」

彩川白帆。
「勝手に定めたものに従わないです。」

日向小奈津。
「ああ!間違いだった場合の事は考えていない!!」

水無月味菜。
「そうだよ、誤りがあったり通用しなかった場合の事は一切考えていない。」

彩川白帆。
「害悪になった展開の事も考えていない?」

水無月味菜。
「そうだよ、害になった場合の事も考えていないよ。」

日向小奈津。
「自分はひょっとしたら愚か者なのかな?」
「なんて考えないんだ。」

水無月味菜。
「だから人間に完全なんてものはないんです。」
「それでも完全だと思っているからね。」

彩川白帆。
「それでは不完全を許容した方が上手に行きますね。」
「性悪説に基づいて社会を再構成した方がうまく行きます。」

水無月味菜。
「実はうまくいった時の事は考えていないんだ。」

日向小奈津。
「え?そうなんですか?」

水無月味菜。
「失敗した時の事は考えてあるよ。」
「うまくいかなかった時の事は考えてあるよ。」
「うまくいった時の事は考えていない。」

彩川白帆。
「悪い結果になった場合の事しか計算に入れてないんですか?」

水無月味菜。
「それは認める。」

日向小奈津。
「ううん、やっぱり人間って欠陥品なのかな。」
「考えさせられました。」

水無月味菜。
「答えなんてあると思っているんですか?」
「正解を押し付けるのはナンセンス。」
「ということを言ったまで。」
「愚者には理解できないよ。」
「しかし正体が分かれば捨てるでしょう。」

彩川白帆。
「どうも反論できないように作られていますね。」
「いかに子供を言いなりにするかしか考えていない。」

水無月味菜。
「教育に目的がないからね。」
「懐疑論者は常に以上の事を繰り返しているから。」
「疑ってみることだね。」
「ホワイトボードに書いておくわ。」

種明かしをされた手品を。

女の子は嘲笑しています。

雛菊。
「なにかやっている。」

飛燕。
「エース女子が語り合っている。」

彩川白帆。
「手記を大量に持っているんです。」

日向小奈津。
「世界の良識を収集したようで。」

水無月味菜。
「狂気に任せて書き留めておいた論文の内容だよ。」

雛菊。
「正気ではないんですか?」

水無月味菜。
「E・クレッチュマー曰く。」
「真実なる天才は全員がメランコリアーなんだよ。」
「或いは別物と言って良いくらいの人物なんだ。」

飛燕。
「デーモクリトスはヘリコーンから正気の詩人を締め出した。」

水無月味菜。
「わからないだろうけれど。」
「書物の抜き書きばかり使っているよ。」
「客観データを使いまくって。」
「相手の持論(主観)対客観主義。」

雛菊。
「哲学者デーモクリトスは。」
「原子論を唱えた古代ギリシア人。」
「詩人が霊感と神的な息吹きによって書くものは何であれきわめて美しい。」

水無月味菜。
「プラトン曰く。」
「詩は神がかりと狂気から生まれる。」
「パイドロス。」

彩川白帆。
「普通なんてものがあるとは思わないです。」

日向小奈津。
「全体の意見は個人の意見?なんだそれ?」

水無月味菜。
「ああ、彼らはね、誇っているんだよ。」

雛菊。
「誇っている?」

水無月味菜。
「設定された競技の中で。」
「一人前という扱いになって。」
「誇っているのだよ。」
「その時点で愚者なのだが。」

飛燕。
「大言壮語が目立ちますよね。」

水無月味菜。
「みんな自分が正しいと思いたいからね。」
「人間は否定された存在であると知るのは。」
「正教の伝えるところだよ。」
「無宗教者は危ないから近寄ってはいけない。」

彩川白帆。
「海外では無神論と答えてしまうと。」
「危険人物の扱いですからね。」

日向小奈津。
「芥川龍之介曰く。」
「常識を歴史の習慣にするのは危険思想だぞ。」

水無月味菜。
「あの文豪、今では宣伝に使われている。」
「元々は宣伝用の賞状らしいが。」
「世人は支持するだろうか。」
「市民の反感を買っている作品なんていくらでもあるからね。」

雛菊。
「統計で嘘をついて人気判定になっている場合もあります。」

彩川白帆。
「真顔で嘘をつく人間なんて普遍的にいるじゃないですか。」

水無月味菜。
「どちらにせよ市民には用心するがいい。」
「人気なんぞ数年くらいが賞味期限。」
「岩のように永く書き記す方が賢明だよ。」

飛燕。
「作家はやたらに自分が最強だと驕りが出るそうです。」

水無月味菜。
「はあ?どこまでが自分の力だか知らんがね。」
「古代ギリシア文学を読みたまえ。」
「芸術に関しての疑問は全て答えてくれるだろう。」

雛菊。
「ホメロスとかアリストパネス。」

水無月味菜。
「ソポクレスのオイディプス王は文化人であれば。」
「必ず読むことになっている基本だよ。」
「近代になるとフランツ・カフカになるよね。」
「シェイクスピアやゲーテは誰でも読むから。」
「言うまでもない文学の教材なのだが。」

雛菊。
「文学ってこういうものですか?」

水無月味菜。
「ギリシア喜劇集とギリシア悲劇集。」
「そこに置いてあるから持っていきなよ。」
「いつか門下生が入ると思って確保しておいた。」

彩川白帆。
「でもなんで大企業に入らなかったのですか?」

日向小奈津。
「好き放題できそうなのに。」

水無月味菜。
「おお、とんでもない、こっちの方が楽だったから。」
「どうせ同じ結果になるんだし。」
「マイペースでやりたいからね。」

飛燕。
「変わった人ですね。」
「こんな所に凄腕がいる。」

水無月味菜。
「変わっている?それは褒め言葉だよ。」
「おかげで平和だし。」

日向小奈津。
「最近は変人とかいて人材の宝庫らしいです。」

水無月味菜。
「同じである義理はないし。」
「誰かの許可は要るのかい?」
「そもそも人間について何も知らないよね。」

飛燕。
「そうなんです。」
「人間批判から始まっています。」

水無月味菜。
「人間批判は蓋然性をもたらす。」
「人間を懐疑的に見てみなよ。」
「理論と実践は違うけれどね。」

彩川白帆。
「この前、暴漢を倒したとか言ってました。」

飛燕。
「平民よりは強いが。」
「私よりは弱い。」

水無月味菜。
「いくらザコを倒しても。」
「肩慣らしにもならないだろう。」

飛燕。
「いくら大言壮語しても。」
「総合格闘技の選手と練習試合をしようとする奴なんていないでしょうし。」
「実際にやった人はいませんしね。」

水無月味菜。
「愚か者は自信が強い。」

飛燕。
「いや、まったくその通り。」

水無月味菜。
「では二対一で練習してみては?」

彩川白帆。
「はわー!無理です。」

日向小奈津。
「やろうよ。」
「転倒したら有効って事で。」

飛燕。
「防具とグローブ必要ですね。」

水無月味菜。
「私が監督してあげよう。」
「親が防衛省のお偉いさんでね。」
「いつの間にかインストラクターの資格があるんだ。」
「怪我しないように試合のルールで。」

彩川白帆。
「いつもの空き部屋ですね。」

日向小奈津。
「そうそう地下室。」
「水回りがすべて入っている広い場所。」

水無月味菜。
「ああこれ簡易シェルターだわ。」

飛燕。
「なんと。」

彩川白帆。
「冷蔵庫が離れているかと思ったら。」

日向小奈津。
「有事を想定していた。」

水無月味菜。
「有名なJアラートは航空攻撃まで想定しているぞ。」
「日本国滅亡のシナリオまであるよん。」
「というのはブラックジョークだが。」

飛燕。
「女の子と密室で・・・。」

彩川白帆。
「はわっ!変態性癖!」

日向小奈津。
「何考えてたの?」

水無月味菜。
「細かい所は無視して今日はこれやるぞー。」

試合開始。

今の時代は前の世代とは思想が異なります。

イレギュラーは知らない所でマスターへと。


29


問答と競走ではゴールが違う。

敷地が広い日本庭園。

規模の大きなフリースクール。

屋外の広場。

ベンチに座って。

自然に集まってきた女の子達。

少しずつ曇りになっていますが。

雨雲レーダーではまだ到達していません。

ホワイトボードが余って放置されており。

教員が持ち出しました。

水無月味菜。
「やるか?やらないか?」
「この問いは返事をしなければ攻略できる。」
「沈黙してしまえば。」
「二者択一は無効化。」
「やるか?やらないか?というのは。」
「選択肢をひとつに狭めて強要するよくある手法。」
「換言すれば命令なのです。」

雛菊。
「やらないと排除するぞ?やるよな?」
「という遠回しの言い方。」
「間接的な脅迫ですよね。」

水無月味菜。
「やる!という選択を強制する暴力的な手法だよ。」
「やると続行。」
「やらないと排除という構図なので。」
「やるかもしれないしやらないかもしれない。」
「こう返すと相手はどうにもならない。」
「なぜなら人は解釈が複数ある状況に耐えられないので。」
「わざと解釈を増やせば。」
「簡単に混乱させる事もできるから。」
「とりあいず解釈が複数ある状況を作る。」
「相手は立場や権限を利用するしか逃げようがない。」
「口論では勝利している。」

彩川白帆。
「解釈が複数あると。」
「人間の知能では無理が生じますからね。」
「そもそも複数の解釈がある状態が苦手です。」

水無月味菜。
「もっとも有効打になるのは。」
「なぜか理由を言え!と迫る事。」
「それはなぜか?」
「具体的な理由を求めると。」
「ろくな返事が無いのです。」
「それがその人の正体。」

日向小奈津。
「具体的な理由がない場合が大半ですし。」
「言えないのが真実になりますね。」

水無月味菜。
「いちいち理由の提出を求めたりすれば攻略できる。」
「論証の提出を求める。」
「口論は喧嘩なので。」
「建設的である必要が無いから。」
「とにかくそれはなぜかと理由を求める。」
「なぜそのような事を言うのですか?」
「これは論拠が薄いほど返事が難しくなる。」

雛菊。
「人はまず自分の頭で。」
「正しい事にしてから。」
「行動します。」
「間違っている可能性は考慮に入れない。」

飛燕。
「可謬主義。」

水無月味菜。
「自分は間違っているかもしれない。」
「この意識が大切。」

彩川白帆。
「問題はそれを他人が持たない事。」

水無月味菜。
「なので。」
「理由はなんですか?」
「こう返すのはけっこう効果があり。」
「口論は喧嘩に過ぎないので。」

日向小奈津。
「こちらにメタ認知があっても。」
「他人にあるかどうかはわかりません。」

水無月味菜。
「哲学の態度は建設な対話で。」
「善いものへの到達。」
「誤謬の修正など。」
「まず互いを尊重していますし。」
「間違っている前提なので。」
「口論とは別物です。」

雛菊。
「世間では口論ばかりです。」

飛燕。
「議論と口論を混同しています。」

彩川白帆。
「それが本当ならば。」
「無能という証拠になります。」

日向小奈津。
「無能な輩で溢れているなんて信じたくない。」

水無月味菜。
「少しでも良い結論に到達する。」
「マシな結果にする。」
「哲学はそういう態度であり姿勢です。」
「口論は暴力なので。」
「原因は自分が正しいという前提であって。」
「間違っている前提でいれば口論など生じないでしょう。」

雛菊。
「そうなると訓練が必要ですね。」

日向小奈津。
「熟達者は分析能力が桁外れです。」
「現代の哲学者の様子を見ると発見がある。」

彩川白帆。
「それだと論証だけで能力差が出ますね。」

飛燕。
「素人の解答だけで社会が動いているようには見えませんが。」

日向小奈津。
「玄人や専門家が決めればいいんだよ。」

雛菊。
「では議論は玄人に譲るべきです。」

彩川白帆。
「彼らはしませんよ。」
「持論を連呼するだけです。」

日向小奈津。
「ではそこら辺には参加せずに。」
「訓練された人同士で議論すればいいのでは?」

飛燕。
「それが健全だと思います。」
「自分だけ理解していても。」
「他人はそうではありませんし。」

彩川白帆。
「これだけ考察しても調和している私達。」

日向小奈津。
「女の子だから温和でいられるのかな?」

飛燕。
「男性は勝負事が大好きらしいです。」

雛菊。
「男の子は何を考えているのか分からない。」

日向小奈津。
「心理学では女性がいろいろ調べられているし。」

水無月味菜。
「ソポクレス曰く。」
「問答と競走ではゴールが違う。」

雛菊。
「なにか良い答えが出たらそれでよし。」

水無月味菜。
「女性とはどうあるべきかについては。」
「全員に共通するものは出そうにない。」
「個人で創造するもので。」
「個人が確立するものでしょうよ。」
「男女同権は古典でも古代でもあったし。」
「自分で考えて実行して。」
「女性になるという意味で。」
「共通認識の女性像には懐疑的です。」

彩川白帆。
「男性が男女同権を明らかにする御時世ですし。」
「女性不利なのはどうしてかしら。」
「そもそも他人と異なる方がいい。」
「一緒にされるのは不服。」

飛燕。
「周囲の人間が何の参考にもならなかった事について。」

日向小奈津。
「女尊男卑。」

水無月味菜。
「個人が女性の何たるかについて見出すものでしょうよ。」
「もちろん男女同権は必須条件になりますし。」
「男女同権という当たり前をやっていない所は非難されるでしょう。」
「本来的な女性はすぐに出現すると思う。」

雛菊。
「人の世についてなんとかなりませんか?」

女の子。
「わかりあえばいいんだよ。」

彩川白帆。
「わかりあうってなにを?」
「違いを理解したら分散するでしょう。」
「自分の見解を理解しろって意味ですか?」

水無月味菜。
「楽観的な意見ですね。」

ラジオ。
「市民とは共に手を・・・携えあうべき融和の対象と考えている。」

彩川白帆。
「そんなうまくいくもんなの?ねぇ?」

水無月味菜。
「いいえ。」

彩川白帆。
「やっぱり先生もそう思いますよね。」

水無月味菜。
「初心者にはこの冗談を真に受けるように。」
「哲学とは、解けるはずもない問題に対する。」
「わけのわからない解答である。」

日向小奈津。
「冗談の方が把握できますよ。」

水無月味菜。
「話すほうも相手も共に理解していない時。」
「それが形而上学というものだ。」

雛菊。
「誰かの言葉であったような。」

飛燕。
「学びて思わざれば則ち罔し、思いて学ばざれば則ち殆し。」

水無月味菜。
「良いアドバイスと悪いアドバイスの見分けがつくなら。」
「そもそもあなたにはアドバイスはいらない。」

日向小奈津。
「それはそうですよ。」
「逆に言えば。」
「良いアドバイスと悪いアドバイスの見分けがつくまで。」
「助言が必要になるでしょう。」

雛菊。
「他人に忠告する。」
「実際に目の前で注意したらダメですよ。」
「最近は、それをした中年おじさんが。」
「攻撃を受けました。」

水無月味菜。
「注意すると軽蔑した事になるからね。」
「相手が上であったら注意などしないでしょう?」
「相手を下に見ているから説教をする。」
「見下しているから注意して直そうとする。」

彩川白帆。
「軽蔑に耐えられる若者はいませんからね。」
「あの事件は若者の方が災難でした。」
「ゴミクズに注意されたせいで裁判ですからね。」
「中年おじさんが害悪でした。」
「あんなのが現れるから冤罪が生まれた。」

水無月味菜。
「どんな助言も受け入れてはならぬ。」
「この助言も含めて。」

飛燕。
「英語のジョークですかい。」

日向小奈津。
「学びて思わざれば則ち罔し、思いて学ばざれば則ち殆し。」

雛菊。
「今日のホワイトボードですね。」

水無月味菜。
「疑えば真理多し。」
「要するに信じるな。」
「啓蒙思想から引用。」

日向小奈津。
「懐疑論者ってなんですか?」

水無月味菜。
「懐疑論者とは、神に向かってさえ。」
「一応身分証明書を見せてほしいと言う人。」

彩川白帆。
「さっさと尋ねた方が早いもんですね。」

水無月味菜。
「日本では世間。」
「海外では社会。」
「社会を構成するのは人間。」
「人についてどれだけ知っているかで。」
「展開が異なりますし。」
「まずは人間の様子を観察する。」
「人について調べれば。」
「アドバンテージを取れる。」

雛菊。
「マウントとか俗称があります。」

水無月味菜。
「アドバンテージを取れなければ敗走するだけですし。」
「終始優勢が最高の展開。」
「男性の世界と女性の世界は別物なので。」
「食い違いはあると思いますが。」
「すぐに男女同権だって真理を悟りますよ。」
「経験という言葉を国語辞典で引いてみると。」
「経験の言葉の意味を間違えています。」
「残念ながら。」

ホワイトボードに記入。

練度が高い女の子達は最大まで強化されています。

男の子は勝負事が好きみたいで。

フットサルコートで夢中。

今日は遅くなったので。

春雨ちゃんが檸檬ちゃんと一緒に送迎してくれました。

数分後には天気予報の通りに。

嵐。

四人組は遭遇という形で友人になりました。

連携が取れるので。

相性抜群です。

いつの日か運命は敗北しました。

自然の運命が物を言っています。

自然の運命は最高ですね。


30


市長官邸に招かれて。

意見交換。

ほんの30分ですけれど。

市長官邸の玄関前に停車。

遠くから見ている連中。

テロリズム。
「あれが現金輸送車なんだろうな。」

全体主義者。
「なんだ?故障でもしたか?」

ルサンチマン。
「裏金でも輸送したのではないか。」

実行犯。
「襲撃しろ。」
「とんでもない現金が入っている。」
「奪ったらすぐに飛べよ。」
「計画通りにな。」

テロリズム。
「よし、やろう。」
「発進。」

客人二人組。

市長官邸の中に入る。

市長と会うものの。

外では強盗が出現。

停車中の車が襲撃された。

警備員。
「よくも!」

テロリズム。
「あれ?現金輸送車じゃないぞ。」

ルサンチマン。
「どういうことだ?」

全体主義者。
「銀行から尾行したのに。」

実行犯。
「なんだ?どうした?」

犯人。
「現金輸送車じゃなかったんです。」
「札束がない。」

実行犯。
「はあ!?なんだそりぁ!?」

ルサンチマン。
「通報されました。」

実行犯。
「逃げろ!」

全体主義者。
「ダメです。」
「囲まれた。」

警察官。
「はっはっは!どこへ行こうと言うのだね?」

犯人。
「市長官邸の中に籠城するぞ。」

玄関から覆面が入ってくる。

市長。
「なんだこいつは?」

んなヒメ。
「市長の追っかけですか。」
「人気者はつらいですね。」

市長。
「おいおい武器を持っているぞ。」
「警備員はどうした?」

真莉香。
「もう倒れています。」

市長。
「馬鹿な、セキュリティーは万全のハズ。」

役人。
「いけね、鍵を掛け忘れた。」

市長。
「なんてことを。」

役人。
「変だな、あれま。」
「警備員が10時と22時の記述を入れ違い。」
「どうりで数が足りない訳だ。」

んなヒメ。
「車が襲撃されたみたいです。」
「あれ?おかしいな?」
「そんなに価値のあるもの積んでましたっけ?」

真莉香。
「なにがしたいのやら。」

ルサンチマン。
「どうなっているんだよ。」

実行犯。
「すまん、間違えた。」
「車種を伝えていなかった。」
「本物の現金輸送車と同じ車種なので。」
「あれはカモフラージュで政府関係用途の車を使っていてね。」

全体主義者。
「じゃあ似ているだけで追跡してやっちまったのか!?」

実行犯。
「まあ、そういうことになります。」

ルサンチマン。
「責任取れや。」

実行犯。
「さあ、取りたくても取れない。」
「モニターで見物している。」

犯人。
「高みの見物ですか。」
「貧乏クジ引いた。」

市長。
「こっちに来たぞ。」

ルサンチマン。
「抵抗するなよ。」

真莉香。
「そのライフルについて。」
「マガジンの互換性がないようですが。」

犯人。
「はあ?何言って・・・本当だ!!」

んなヒメ。
「拳銃もないんですね。」

犯人。
「うわっ!んなヒメ!」
「まずいぞ。」
「好きなんだよ。」
「サインください。」

全体主義者。
「わっ!あのんなヒメだ!」
「次の写真集はいつ出ますか?」

実行犯。
「お前ら!なにがやりたいんだ!」

ルサンチマン。
「おっと!いけない!逃げないと。」
「今後の活躍を楽しみにしています!!」

んなヒメ。
「なんか私ばかり狙われてるような気がするよ。」

真莉香。
「目立ってんだよ、お前。」

警察官。
「鬼ごっこは終わりだ!!」

全体主義者。
「うわっ!玄関になにかいる!」

警察官。
「私は手荒な真似はしたくない。」

んなヒメ。
「これはあれか、敵が成功しちゃうと、私たちはどうなるんだ?」

真莉香。
「ああ、高そうな肖像画がボロボロだよ・・・。」

警察官。
「すぐにぶっ殺してあげるから、大人しくしててね。」

銃撃される犯人グループ。

まだライフルを持っているが。

弾を間違えて発砲できない。

んなヒメ。
「国際指名手配犯?」
「こいつを仕留めれば勲章どころじゃない。」
「銅像が建つよ。」

真莉香。
「何だか知らないが、冴えてらっしゃるようじゃないか?どうした?」

犯人。
「逃げろ!逃げろ!」

んなヒメ。
「貴様たちも、無辜の民たちの犠牲の痛みを、思い知るがいい!」

パトカーが集まってきて。

撃ちまくる警察官。

パイロット。
「こちらRHA-66コマンチ。」
「通りすがりだが。」
「地上で何かやっているらしい。」

んなヒメ。
「無線が使える。」
「パイロットに告ぐ、事件ですよ。」

パイロット。
「よし援護に向かう。」

真莉香。
「ちょっと待て、ヘリから銃撃とかは、しなくていいから。」

パイロット。
「ちょっとだけでもダメ?」

真莉香。
「ダメ!」

イレギュラー。
「あの野郎!いつものように追跡していたら。」
「んなヒメにちょっかい出しやがって。」
「ずっと前の借りを返してやる。」

犯人。
「ぐあっ!暴走車が体当たりしてくる。」
「乗ってきた車が破損した。」

ルサンチマン。
「うわっ!こいつ警棒を持っているぞ。」

イレギュラー。
「倍返しだ、死ねー!!」

実行犯。
「逃亡先の航空券の発注を忘れてた。」
「私は投降します。」

犯人。
「そんなあ。」

んなヒメ。
「価値判断って個人の話ですよね。」

真莉香。
「哲学としてはよくある典型的な。」
「ナンセンスな問いですね。」

んなヒメ。
「これは失礼な質問だったかもしれないな、失敬失敬。」

市民。
「なにがあった!?」

犯人グループ。

車で逃走しますが。

脱出ルートを間違えて。

迷子。

工場に逃げ込みます。

真莉香。
「勝手に逃げていきました。」

んなヒメ。
「挙動不審。」

市民。
「なんで平和な世界に。」

んなヒメ。
「おい!空では航空自衛隊の戦闘機が中国の戦闘機と。」
「格闘戦を毎日しているような状況だよ。」
「敵側がこちら側を論破して攻撃してきたら。」
「一方的に虐待されるだけでしょうに。」

衆愚。
「ひどい!なにもしてないのに!」

真莉香。
「たまたま何もなかったからでいい気になるな。」
「公正世界仮説なんて持ち出すな。」

役人。
「はっきり言って悪人が勝利する場合だってある。」
「悪の勝利の可能性は考えていない。」
「悪が勝利するのを黙って見ているがいい。」

んなヒメ。
「足を引っ張るのは半分賢くて半分愚かな奴。」
「殺し合いなんて今でも行われている普遍的な事件なんですよ。」

真莉香。
「他人のせい。」
「他人のせいにするな、と言う他人のせい。」
「他人のせいにするな、と言っているのも他人なのでこれも他人のせい。」
「人のせいにするな、と言っているのも人なので人のせい。」
「結局は他人のせい。」
「反論するのも他人なので、反論する他人のせい。」

犯人グループ。

車の燃料を補給するのを忘れていて。

メーターが点滅。

動かなくなって逮捕されました。

その後に続々と降伏多数。

意味不明な事件。


31


愚者は成事に闇く、知者は未萌に見る。

柴犬と遊んでいる日本庭園。

川の流れが引き込んであり。

池も小川もある。

珍しい昆虫も来る上に。

野鳥も遊びに来る。

柴犬は走り回って暴走中。

読書をしている窓際。

雛菊。
「菜根譚はこの世を知り尽くした者が執筆している。」
「道教・儒教・仏教の古典です。」
「希望を除外して考えれば。」
「大人しく寿命死を待つやり方のほうが優れている。」
「この世のものを求めない方がいいという訓戒が豊富。」

飛燕。
「結局、この世は生活だけで。」
「それを肯定するか否定するかだよ。」
「何をやっても生活する事が目的で。」
「その手段がいっぱいあるだけだよ。」
「とどのつまりは生活だけが人の生涯だよ。」
「マシに使うか使えないかくらいかな。」

春雨。
「菜根譚の教えの示すのはそれですね。」

檸檬。
「かつてあった出来事。」
「歪曲されたものすべてを元に戻して正常にする。」
「だからこそ歪曲されたものを矯正し叩き伏せる。」
「いつもそうだった。」
「どんなに人の命を奪ったとしても。」
「何かを壊したとしても。」
「歪められたものを修正して。」
「正常にする過程で起きた事になるから。」
「目的はそれ。」
「それだけのために。」
「無限とも言える戦争を仕掛けた。」
「証拠歴然だから。」
「意義を唱えた瞬間から何かは襲撃を繰り返した。」

春雨。
「今日は何か違う。」
「動きが速い柴犬です。」
「ホーミング強い。」

檸檬。
「おお!やってくれたな。」

雛菊。
「かつてあった?」

檸檬。
「でもただ、私の方が力が強かった。」
「何かは己の弱さを顧みず、私と対戦を続けた。」
「勝ち負けに執着しているうちに。」
「私の目的を知らずに。」
「勝敗を放棄しなかったのが何かの滅んだ要因。」
「だから、それらも歪曲したものの一部。」
「正常に戻すだけの行いのどこがいけないのだろう。」
「答えられる人などいない。」

飛燕。
「異論は出ませんよ。」
「ハムスターたまらないです。」
「ロボロフスキーハムスターは動きが速いです。」
「もう寝たいらしいですが。」

春雨。
「ハムスターの飼育に失敗したりなんかすると。」
「ハムスターは死ぬまでその状態なんだなと思う。」
「一生が台無しになった上に苦痛以外の生存は無いんだから。」
「しかもそこそこの確率で失敗をするのが飼い主なんだから。」
「ハムスターの漫画を描いている作家ですら大間違いを犯して。」
「ハムスターの一生を取り返しのつかないものにした時もある。」
「そしてそれが子供であったあり人間であったりした場合に当てはめると。」
「間接的に子供や赤子の事を言っていたので。」
「面倒なんて見たくもないし。」
「子供を飼ったりしたくないので。」
「原因を全部潰しにかかっている。」

檸檬。
「生命倫理からしてマッドサイエンティストばかりいるのが最近の惨状なので。」
「中には遊びで子供を設けて捨てる事案も少なくない。」
「これに反論する野郎はこんなのを見たことが無い人だね。」
「何度も見た後には認めるに違いない。」

雛菊。
「彼らにとって生命なんぞ物かペットなんですよ。」

飛燕。
「遊びで設けるなんて。」
「命は玩具である事を彼らは公認してしまったのです。」

檸檬。
「連中にとって命は玩具だからね。」
「社会心理学から見て。」
「善良市民なんていませんよ。」

雛菊。
「人間は悪ですからね。」
「人間が善である事はありえない。」
「社会心理学のエビデンスは覆らない。」
「信じようが信じまいがそれが現実。」

飛燕。
「自分が悪人だと言っている悪人はいないよ。」
「自分が悪の組織だと言う悪の組織はいない。」

春雨。
「自分を悪人とか自虐するのはメタ発言です。」

檸檬。
「悪い人間を見た?」
「あれらが奴らの正体だ。」
「社会心理学を学べば連中の正体なんていくらでも見れるよ。」

春雨。
「人間を知れば知るほど、犬が好きになる。」

檸檬。
「それ分かるわ。」
「人間を知る毎に犬が大好きになる。」

雛菊。
「犬が存在する理由が理解できました。」

飛燕。
「人間より柴犬が好きです。」

春雨。
「リードを持って走ると横に追走してきます。」
「抜群の関係ですね。」

檸檬。
「けっこう大勢を薙ぎ倒したけれど。」
「人はどれだけ倒しても立ち上がる。」
「もうやめてよと泣いて叫んでいた。」
「倒れたままでいてと。」
「いくら倒しても立ち上がってくる。」
「立ち上がれないほど痛めつけても。」
「青ざめるほど何百回も立ち上がってくる。」
「立てなくしても。」
「片足でも立ち上がってくる。」
「青ざめるほど何百回も。」

春雨。
「希望は世界から消え失せている。」
「希望は取り上げられた。」
「絶望と失望の蔓延する世界で。」
「皆が希望を求めて彷徨っていた。」
「だけれど希望はどこにもない。」
「無い物を探して彼らは動き回っていた。」
「希望が存在しなくなったのに。」
「ないものを無限に探していた。」
「やがて希望が消え失せると。」
「順番に人が死んでいった。」

雛菊。
「疫病が発生する前は。」
「地球はソドムとゴモラでしたし。」
「滅ぼされて当然ですね。」

飛燕。
「ついぞ神の怒りを買ったか。」

春雨。
「愚者は成事に暗い。」
「疫病という形を持っても愚者は理解しません。」
「どんな光景も理解しません。」
「愚者は成事に闇く、知者は未萌に見る。」
「みんな愚か者。」

檸檬。
「おいおいおい!そこはやばいぞ!」

柴犬。
「ワン!」

雛菊。
「動きが速いですね。」

飛燕。
「ロボロフスキーハムスター。」
「懐かないと言われている上に。」
「動きが素早い。」
「ハムスターの動きを模倣したので。」
「スピードが常人の三倍くらいあるそうです。」

雛菊。
「毎日こんなに速いハムスターを観察していれば。」
「模倣出来て当たり前かあ。」

バッタが侵入してくる。

檸檬。
「住居不法侵入だ!」

バッタに効果は無い。

柴犬のタックル。

檸檬。
「ぐおおおおおお!?」

春雨。
「めっちゃ興奮しているので。」
「猛獣だと思います。」

飛燕。
「人間って猿と同じ条件で戦ったら。」
「勝てませんよね?」
「どこが偉いんですか?」
「猿と喧嘩して勝てないのに。」

雛菊。
「私は素手で虎と戦ったり。」
「歩いて黄河を渡るような人はお断りだね。」

檸檬。
「実際に猿に蹂躙された連中がいるらしいし。」
「傑作だよね。」
「身近なものでお肉になるのに。」
「どっかの国では猿は立派な肉料理ですよ。」

春雨。
「それだとクマさんと素手で喧嘩して。」
「勝てるような人間がいないのと同じですね。」
「クマさんって鎧みたいに硬いですし。」
「いくら殴打しても効果ないって知っていました?」
「人間は人間に対してだけ効果的な打撃が可能であって。」
「オオカミの突進とかには弱いです。」

雛菊。
「武器を持つから猛獣を倒せたので。」

飛燕。
「武器と鎧と万全でも。」
「怪鳥伝説のあった土地では。」
「お宮の公式資料で。」
「七人の戦士が怪鳥に倒された。」
「天皇から討伐の依頼を受けていたのに返り討ち。」
「多分、クチバシの攻撃だけで全滅したと思う。」

春雨。
「それ知っています。」
「近接武器で化け物を相手にすると分がないんです。」
「弩で囲んで攻撃するとあっさり倒せますよ。」
「剣で倒すならローマの剣闘士みたいなスタイルじゃないと殺されます。」
「昔は怪物の類がいて既に絶滅しているんです。」
「現代では野生動物が異常個体になるケースばかりです。」
「怪鳥は予想を超える化け物なので。」
「鉄砲で勝負すると多分殺されます。」
「動きが速いですし。」
「攻撃ヘリを撃ち落とすようなもの。」

檸檬。
「怪鳥に殺されて弔いの塚があったりしたね。」
「昔は弓矢を使った方が効率的に敵が倒れたんです。」
「接近すると日本刀。」
「片刃の日本刀は取り回しが悪くて。」
「槍の方が人気でしたね。」

春雨。
「片刃の剣は切り返すのが難しいですし。」
「もっとも最高なのは力で相手の剣を滅多打ちにして強引に制圧する。」
「でも戦場では必ず複数との戦いになる。」
「一対一での交戦はほぼ無いです。」

雛菊。
「最初は騎兵から開始されています。」
「騎馬状態から乱戦になっていくのが合戦の普遍的な構図です。」
「鎧は直撃まで防いで便利ですが。」
「重いので敏捷性はありません。」
「慣れると動き回れますが。」
「装備すると騎兵になった方が合理的ですね。」
「ヨーロッパではいきなり重装甲の歩兵が登場すると。」
「それまでの剣では効かないので。」
「殴り合いで決着をつけていたという俗信まであります。」

飛燕。
「何回も撃ち付けてやっと勝敗が決まる。」
「一回の討ち合いで敵兵が死ぬことはまずないです。」
「激しい攻撃を加え続けてやっと倒れてくれる。」

春雨。
「関羽は敵の猛将を通り抜けの一撃で討ち取った。」
「二人目の猛将も同じように死んだ。」
「関羽は中国では商売の神様ですし。」

檸檬。
「最近、道教が人気だよね。」
「書籍で目立つようになった。」

雛菊。
「教養の有無で決定打になりそう。」

飛燕。
「能力は学問の有無でも決まります。」

春雨。
「私を妬む人がいるかもしれない。」
「現に断片的に挑んでくる者はいる。」
「でも言っておくけれど。」
「人間の力では私に勝てないよ。」
「人間の力で向かってくるのは誤りである。」
「私を止めたり攪乱させたのは人間の不正行為だけで。」
「犯罪をしない限りは挑んでも無駄な上に。」
「私と競走する態度が間違っている。」
「マイクロソフトを倒せばいいと思っていたかつてのアップルの姿勢ではなく。」
「勝負を捨てて手を組んだスティーブ・ジョブズを手本にすべきです。」

檸檬。
「やたら勝負しようとする態度は稚拙ですな。」
「勝負を捨てる選択肢もあるかもしれない。」
「ウインドウズはMACをかなり模倣したし。」
「プレイヤーが二人しかいないフィールドですからね。」
「大人なんですよ、勝負は捨てたんです。」

春雨。
「勝ちか負けかの白黒思考。」
「認知バイアスと社会心理学のエビデンス。」
「民主主義が独裁政治へ転落する道。」
「2400年前に指摘されていたシナリオ。」
「プラトン・国家・第8巻。」
「民主制は専制政治に陥る。」
「もはや民主主義国が少数派に転落した世界。」

雛菊。
「民主主義が正しいという証拠は無いのだし。」
「歴史からして蓋然性が高い人物や君主が退けられて。」
「聖者まで殺されている実例を見れば。」
「民主制を妄信する理由にならない。」

飛燕。
「米調査機関ピュー・リサーチ・センターが発表した調査。」
「34カ国で平均52%の人々が、うまく機能しない自国の民主主義に不満だと回答。」
「日本も53%に上った。」
「そんな中、強権的、権威的と評される指導者が民主主義の名の下に続々と誕生し。」
「自国民の高い支持を集めている。」
「川の流れは押せない。」

春雨。
「天下を争う者は必ず先ず人を争う。」

雛菊。
「呉子。」

檸檬。
「可を見て進み、難きを知りて退く。」

飛燕。
「勝算もないのにやみくもに突き進む事をもって勇気があると見なしたり。」
「徹底する事をもって臆病とののしったりする人々は、みなこの類。」

春雨。
「有利と見たら進み、不利と見たら退く。」
「なんだそんなことかと、平凡と言えば平凡。」
「しかしこんな当たり前の事を無視する連中がわんさかいる。」

檸檬。
「呉子は孫呉の兵法。」
「今は柴犬、息切れして止まった。」

飛燕。
「柴犬もふもふ。」

雛菊。
「柴犬おとなしいです。」

春雨。
「高級なオヤツで鎮静化した猛獣。」
「柴犬も素直でいいですね。」
「このくらい人も素直にならないと。」

檸檬。
「柴犬をわしゃしゃにする。」

柴犬が揉みくちゃ。

しっぽふりふり。

ラジオから放送。

扇動者が為政者の中に発生していて。

専制政治でも始まるのではないかと噂されています。

何者かが門の前に来ました。

春雨。
「おはようございました。」

仮面。
「誰ですか?」

春雨。
「そこのネームプレートを見て。」

仮面。
「人違いでした!」

叫んでどっかへ行きました。

どうやらロシアあるあるの日本版で。

讒言を真に受けたので。

自分達の誤りを認めたと言いに来たのです。

雛菊。

覚えるために諺をつぶやく。

愚者は成事に闇く、知者は未萌に見る。


32


若宮八幡宮。

神社では天皇が祀られている場所が多く。

現人神として人の姿で現れて。

御神霊となっている。

日本書紀で語られる天皇は必ず御祭神になっており。

その人の官位。

身分を上げてくれる霊験がある。

八幡神社は応神天皇が御祭神であり。

高天原にいる神様を天つ神。

人間界にいる神様を国つ神と呼ぶ。

八十万の神は具体的な実行力を持っており。

現実の諸問題を捻じ曲げたりもする。

これによって折られてしまう事件や人間も大勢いる。

機械仕掛けからの神。
「返し矢は必ず当たる。」
「返し矢を頼んではどうか?」

春雨。
「返し矢を放って頂ければ。」
「ことごとく命中する。」


檸檬。
「日本書紀の再現です。」


春雨。
「今上天皇の祖先は天照大御神様で。」
「瓊瓊杵尊神の直系です。」
「村長が支配する無政府状態の日本に。」
「公的機関の概念を与えて。」
「アナキズムを倒しました。」
「無政府主義が根っこにある日本人は。」
「公的機関が必須の環境なのです。」

檸檬。
「神武天皇は橿原神宮の御祭神です。」
「真実は強く、すべてに勝つ。」

飛燕。
「小学校で習う歴史の教科書ほど。」
「偽りが多い悪書はそうそうないよ。」

雛菊。
「幸運な事に。」
「大人に欺かれるほど馬鹿な子供ではない。」

春雨。
「果たして人間は世界を正しく認識できるのか否か。」
「何が善で何が悪かをどのような仕方で明確に言えるか。」
「もしこれが世界全体にとってもっとも正しいあり方だ。」
「という意見がいくつも出てきたら。」
「まったく無意味になる。」
「哲学の大山脈であるが。」
「適切な回答をしたヘーゲルは反動を受けて。」
「反ヘーゲルの風潮が生じた。」
「哲学は何気に激戦区で係争地である。」

飛燕。
「いろんな哲学の分析が入り乱れていて。」
「参戦するのはリスクがありますからね。」
「でも一人前の哲学者の言い分は。」
「かなり正しいものですよ。」

春雨。
「どんな哲学者も正論を言えますからね。」
「おまけに哲学は簡単な事から始められますから。」

檸檬。
「人間にとっての良し悪しの根拠と言えるものが。」
「存在するのか否か。」
「この問いが明確に答えられなくてはならない。」
「常識が根拠なら。」
「その根拠はと続く。」
「突き詰めていくと論理が破綻している。」

雛菊。
「歴史についてイードラではないか?」

檸檬。
「自分の知っていることは自慢し。」
「知らないことに対しては高慢に構える者が少なくない。」

春雨。
「三千年の歴史から。」
「学ぶことを知らぬ者は。」
「知ることもなく闇の中にいよ。」
「その日その日を生きるとも。」

檸檬。
「偶像(イードラ)は四種類ある。」
「人間という種のイードラ。」
「人類共通のイードラ。」
「人類の共通認識による先入観や偏見。」
「個人で異なる洞窟のイードラ。」
「洞窟の狭い世界を全世界であると思い込む。」
「社会生活と情報から生じる市場のイードラ。」
「市場では根も葉もない噂話が飛び交ったのが由来とされる。」
「マスメディアやSNSで凶悪なものになっている。」
「劇場のイードラ。」
「大量の言説によって誤謬が多くなり。」
「迷信に陥る大掛かりなイードラ。」
「歴史の場面や科学においても発生した。」
「イードラは人間共用の欠陥であると言われている。」

檸檬。
「すべての人間が自由を得るや。」
「その欠点を発揮する。」
「強い者は度を超え。」
「弱い者は怠ける。」

飛燕。
「人は皆、わかることだけ聞いている。」

雛菊。
「学校教育とやらは私にとっては害悪でしたな。」
「フリースクールのやり方が合っています。」
「あの連中は故意にやっている。」
「知らないフリしているだけだな?」

檸檬。
「我々は争いをしたくないが。」
「敵が一方的に争いを望んだ。」

春雨。
「敵は愚者なので。」

飛燕。
「我々も誤って犠牲を出すことはあります。」
「しかし敵はわざと残虐行為に及んでいる。」

雛菊。
「これらの正論に疑問を投げかける者は卑怯者である。」

檸檬。
「卑怯者は安全な時だけ居丈高になる。」

春雨。
「根源悪。」
「無責任な状態では道徳は成立しない。」
「道徳という概念が無意味になる。」
「人間が始めから善を体現していれば道徳という概念が不要であるから。」
「人間には多くの善への素質が宿っている。」
「しかしもう一方で悪への性癖が根付いている。」
「ついついしがちな性質であり。」
「故意に倫理を無視するなど。」
「これを根源悪と呼ぶ。」
「そしてそれを有しているので。」
「人間は生来悪で言わざるをえない。」
「善を知っていても悪をするのを止められない。」

檸檬。
「カントの根源悪は性悪説と殆ど同じですね。」
「こういう視点の方が合理的。」

春雨。
「悪の性癖は。」
「自然的素質ではなく。」
「先天的なものではないとされる。」
「我々自身が招いたものであり。」
「根本的には自由に基づいているから。」
「悪の根源を探る場合や。」
「悪の起源を調べる際に自由が阻むことが多い。」
「善への性質があっても善に背くことがあり。」
「悪の性癖の方が遥かに強いために。」
「人間は生来悪であるとカントは解説している。」

雛菊。
「カントの倫理学はとても厳格ではあるものの。」
「善意志という言葉で説明できる簡単なまとめ方になっている。」
「善意志は安易な善とは異なる点に注目すべし。」

飛燕。
「宿命論で説明されれば。」
「どんな凶悪事件も責任に問えなくなり。」
「犯人は咎めを受けず。」
「被害者は天災と呼ばれることになってしまう。」
「しかし実際には責任を問うことが可能であり。」
「行為のもたらした結果はその人間の自由を前提としている。」
「絶対的な始りは原因そのものが自由に起因する。」

檸檬。
「道徳は見返りを求めたり。」
「嘘に関しては嘘をつかないことが目的ではなく。」
「自分が信用されたいという事が目的であると。」
「これはエゴイズムになる。」

春雨。
「カント哲学と原罪は別物であるし。」
「カントは哲学の面から人間を観察し。」
「悪の性癖を説明している。」
「これは克服可能であるし。」
「自由を行使して悪の反対を選択する可能性もある。」
「そして人は自由を行使して悪をもたらす。」
「かえって原罪を批判しているのはカントの特徴である。」

檸檬。
「記憶力向上のガムを買いまして。」
「ドーピングしてから試験を受けるわ。」
「このくらいの不正はする。」

雛菊。
「ルールを守っている方が馬鹿なのでは?」

飛燕。
「ずるいと言われた事もありますが。」
「ずるい?いい響きですね。」

檸檬。
「自分を正しいと言う者をこそ最も警戒せよ。」
「ルサンチマンはそうであるべきという願望と迷信から。」
「強者と弱者などの優劣を否認する。」
「ルサンチマンはうぬぼれが強く。」
「上に立ったりするとあっという間に傲慢になる。」
「奴隷は下になると妬んだり恨んだりするが。」
「上になると他人を見下したり増長する。」
「要するに平等主義イデオロギーは。」
「自分達が貧しくて苦しい。」
「だから貧富の差は存在すべきではないと主張する。」
「それは優劣や強弱にあるので存在すべきではないと。」
「従って人間はすべて平等であるべきだ。」
「という推察である。」

飛燕。
「要するに自分が弱いのを人のせいにしている。」

雛菊。
「自分が劣っている原因を内側に求めずに。」
「責任転嫁したのが奴隷道徳。」

檸檬。
「ルサンチマンは責任転嫁するという特徴はあります。」

春雨。
「生へのあくなき意欲。」
「当然激しくせめぎあって。」
「矛盾に満ちた世界を作り出す。」
「人間の世界は恐ろしい混乱と戦い。」
「悲惨の繰り返し。」
「人間は理性によって解決することはできない。」

雛菊。
「ニーチェの悲劇の誕生では。」
「要望や願望などは否定されるべきではないという旨がある。」

飛燕。
「何のために苦しみ、何のために生きるのか。」
「という問いに対して。」
「これまでの答えはすべて虚偽のものだった。」
「実は答えはない。」
「一切は無意味である。」

春雨。
「突き詰めると全部に意味がありません。」
「誰かの言い分が一方的に通っているだけですからね。」

檸檬。
「誰かの解釈の言いなりになるのは最悪の展開ですよ。」

春雨。
「様々な主張・主義・信条はすべて何らかの解釈に過ぎない。」
「この解釈を支えているものは何か。」
「事実なるものは存在しない。」
「ただ、解釈が多数かつ無数の解釈だけが存在する。」
「このテーゼは解釈の可能性を持っているという事。」
「これを懐疑論としては受け取らず。」
「根本の動作原理として受け取り。」
「個人の世界観を促進する姿勢にする。」

檸檬。
「ニーチェの研究者は。」
「否定の中にではなく。」
「肯定の中に秘密があると考えている。」
「敢えて肯定する時に永劫回帰は成立しないのではないか。」
「否定的な場合のみ永劫回帰に陥り。」
「もし何かを肯定されたら。」
「その時間モデルは通じないものと考えている。」

春雨。
「ニーチェのキリスト教批判はなぜなのかの理由は。」
「父親がプロテスタントの牧師で。」
「家系が全て牧師という環境において生じている。」
「ニーチェの異変は三十代に開始されているようで。」
「偏頭痛などに悩まされている。」
「持病を元々、持っていたんですね。」
「年を重ねて本格的に発病するとあっという間に召された。」
「診断は進行性麻痺症。」
「しかし諸説ある。」
「ニーチェは反時代的考察において。」
「徳性について。」
「あからさまに言えば。」
「我々はより善くなるために。」
「一度本当に悪しくなることが必要である。」

雛菊。
「ストア派は有名ですが。」
「哲学にも派閥がありまして。」
「証明するまで容認はされません。」
「持論が殆ど通用しないんですね。」

飛燕。
「持論を展開しても通らないよ。」
「適当に常識を持ち出すと惨敗する。」

檸檬。
「その考え方を証明できるのか?」
「最も、世間で繰り返される意見の多くは。」
「証明など不可能な事ばかり。」

春雨。
「あなたの持論についてお尋ねしたいが。」
「あの主張について。」
「・・・とは何であるか。」
「答えて貰いたい。」
「そして。」
「・・・とは何か。」
「何が・・・か。」
「すぐさま反論して貰いたい。」
「こちらとしては反駁は受け取る積りですし。」
「なぜ?という問いには探偵にならなければならない。」

檸檬。
「反対者たちは。」
「彼らの意見を繰り返しておいて。」
「我々の意見を顧みなければ。」
「我々を否定できると思っている。」

氏子は地域のお宮を全て巡るのが好ましい。

白馬に乗った王子様がいて。

乗馬クラブの人でパフォーマンス。

コンビニで医薬品を購入している最中に遭遇。

王子様。
「そこの美人さん。」
「もっと僕を見なよ。」

春雨。
「お前、頭はいいのか?」

王子様。
「そこそこの頭は御座います。」

春雨。
「阿呆は、自分が賢者だと思っている。」
「だが賢者は、自分が阿呆であることを心得ている。」

王子様。
「女性にからかわれるとは。」

春雨。
「利口にもならないうちから年を取ってはいけないよ。」

王子様。
「でも僕の美男子っぷりは認めるべきだよ。」

春雨。
「人間は、それぞれ自分流に物事を解釈するもの。」
「物事自体の意味とはまるでかけ離れて。」

王子様。
「これは勝たせる気がない人ですな。」
「他のレディ達は僕に虜さ。」
「でもこの人は無敵だね。」
「僕の後ろの女の子とは別物なのかな・・・。」

春雨。
「解釈の多様性、主観性、恣意性という問題を突き詰めていくと。」
「結局は物事の価値は物事自体のうちにあるのではなく。」
「人間の価値判断そのものに他ならないという懐疑論。」
「懐疑主義に辿り着く。」

王子様。
「僕は武士の末裔でしてね。」
「お望みであれば女性の夢という夢を叶えてあげましょう。」

春雨。
「もし生涯を売って得る物がもっぱら。」
「食って眠ることでしかないとすれば獣と同然。」
「神が人間にこれほど大きな推論の力を与え。」
「未来を望み、過去を振り返る力。」
「理性を与えたのは。」
「役にも立てず腐らせるためではないはず。」

王子様。
「悪く取らないでくれ。」

檸檬。
「世の中には、善もなければ悪もない、ただ、そう考えるからそうなるだけだ。」

王子様。
「そっちのレディは個性豊かでいいね。」
「みんなも受け答えに熱狂しているよ。」
「何者なんだい?」

春雨。
「社長令嬢って奴です。」

王子様。
「ああ・・・あの人ね・・・・。」
「だいぶ分が悪いね・・。」
「はるさめさん。」

春雨。
「その自分の名前に何があるというのだ?」
「なぜ私の名前が君の名前よりも宣伝されねばならぬというのだ?」
「私の名前と貴公の名前を二つ一緒に書いてみれば。」
「君の名前も誰かの名前も劣らず立派だ。」
「口に出してみるがいい。」
「同様に口になじむ。」
「重さを測っても変わりはなく。」
「魔法の呪文に用いてみても。」
「自分の名前は貴公同様。」
「たちまち霊を呼び出す力があるはず。」

王子様。
「知っていて遊んでくれているのかな。」

飛燕。
「他人の名前と自分の名前との間には何の違いもありはしない。」
「にも拘わらず名前が効力を持つのは。」
「人々がその名前に与えた主観的な価値の結果である。」
「所詮は相対的な見方であって。」
「名前の持つ魔力などそのようなものです。」

雛菊。
「人の名前とは符号や記号みたいなもので。」
「実体そのものには本質的な繋がりは持たないのではないか。」

王子様。
「遊んでくれてありがとう。」
「またお会いできたらいいね。」
「あはは。」

白馬の王子様立ち去る。

檸檬。
「だれ?」

春雨。
「こっち側の仲間。」
「パーティーでたまに見かける。」

檸檬。
「ゴールデンカードってわけね。」
「レモンタクシー会社は定時の運行を開始します。」

野球場に移動。

草野球チームがいて。

けっこう強いアマチュア軍団。

地元で有名。

試合をやっていて誰でも観戦できます。



33


迷信は人生の詩である、従って迷信的であることは、詩人にとって障りにはならない。

草野球はやはり最強のアマチュアが圧倒していました。

シートを広げて観戦中。

春雨。
「私は小学校の時期。」
「フォークボールが得意でした。」
「スライダーは少しだけ出来て。」
「チェンジアップも投げていましたよ。」
「問題なのはバッターまでボールが届かないという不具合で。」
「打たれたボールが当たるのではないかと冷や汗だらけでした。」

檸檬。
「フットボールで四人抜きゴールしたわ。」
「一瞬のスプリントで簡単に抜けるんだわ。」
「お遊び選手が相手ならば必ず成功したけれど。」
「年齢が上がると先天的なセンスではどうにもならなくなるので。」
「早々に捨てたわ。」

飛燕。
「書道や絵画のコンクールで賞状を貰ったけれど。」
「雑魚を相手に勝利しても嬉しくもない。」

雛菊。
「大人といろんな試合をしたことがある。」
「相手が紳士で。」
「あらゆる勝負に応じてくれたけれど。」
「子供の中で優秀でも。」
「大人と競う事など出来ないと自覚してから。」
「低レベルの競争に参加する意欲が無くなった。」
「井の中の蛙大海を知らず。」

春雨。
「優越の錯覚。」

檸檬。
「現代の多くの問題はうぬぼれに起因している。」

春雨。
「鳥なき里の蝙蝠。」

飛燕。
「ザコをいくら倒しても。」
「肩慣らしにもならない。」

檸檬。
「一騎当千。」

春雨。
「芸能人やら俳優やら。」
「彼らが強いのではなく。」
「周囲の連中があまりに貧弱過ぎた。」
「弱者の中で割と強ければああなる。」

檸檬。
「大衆に仕える者は憐れむべき奴だ。」
「彼は散々苦労したあげく。」
「誰からも感謝されない。」

雛菊。
「人に関しては完全な事を求めないで。」
「九分ぐらいに止めて。」
「あとの一分は寛大にして見過ごすと良い。」

春雨。
「ある老人が若者に語った。」
「人生ってなんですか?」
「老人は答えた。」
「あれが本だったらわたしは読まないだろう。」

雛菊。
「古人は万能ですなあ。」

春雨。
「古典的なものは健康であり。」
「ロマン的なものは病的である。」

飛燕。
「ゲーテはドイツの教科書に出てくる。」
「文学者は避けて通れない。」

檸檬。
「芥川龍之介は江戸時代の様式で物事を語り。」
「西洋文化が根付いた後では汚れているように見えてしまいます。」
「実際の所。」
「小兵であって。」
「小物ではないけれど。」
「ゲーテほどの大物でもない。」
「日本は文学については遅れていたので。」
「昔話のような民話的趣向はひとつの到達点であったし。」
「日本特有の文学では数少ない成功例でしょうね。」

雛菊。
「源氏物語などの和風を好むのであれば。」
「芥川龍之介の作品は個人の好みによるもので。」
「私にとってはギリシャ文学が好みですけれどね。」

檸檬。
「純和風と言いますか。」
「千利休などの茶人や。」
「松尾芭蕉などの歌人が趣味であったり。」
「こういう系列の人が好んで読んでいる印象があるものです。」

飛燕。
「外国語を知らない者は。」
「自分の国語についても何も知らない。」

檸檬。
「文学は人間が堕落する度合だけ堕落する。」

春雨。
「最近の流行は。」
「しぐれうい。」
「ういママです。」
「まともな文学はういママ関連しか見たことが無い。」
「まともな小説というのは何とか先生に集中していて。」
「隠れた所で根強い支持があるからね。」
「桂馬の高上り歩の餌食。」

檸檬。
「最近、ろくな作品が無いのですが。」
「それは逆に言えばろくな作家がいないからでしょう。」

飛燕。
「今の時代で優れていると褒められるのは。」
「ろくな作家がいないからです。」
「まともな人間がいないと。」
「まともな人間であるだけで褒められる。」

雛菊。
「もし猛者がいても。」
「ルサンチマンは強者に対する讒言を欠かさないでしょう。」
「普通に暮らしていても。」
「言い掛かりをつけて讒言を繰り返すのが奴隷根性ですからね。」
「何もしていないのに恨んでくる。」

春雨。
「本当に何もしていないのに。」
「自分達の正当化に利用しようと攻撃してくるでしょう。」
「昔の善悪と言えば。」
「強くて頭の良い人が良いとされ。」
「弱くて頭の悪い人が悪いとされた。」

檸檬。
「真実は強く、すべてに勝つ。」

春雨。
「世間をまだ知らない若い者は。」
「世俗の悪い習慣に染まることもまた浅いが。」
「世の中の裏表をよく知ったものは。」
「世の中のさまざまなからくりに通じることもまた深い。」
「だから君子というものは。」
「世俗のことによく通暁しているよりは。」
「むしろかざりけがなく。」
「愚直であるほうがよく。」
「また。」
「つまらない遠慮をして謹み深いよりは。」
「むしろ世間知らずで人から狂人といわれるほうがまだよい。」

飛燕。
「多くの箴言が無視されつつ失敗を重ねる。」
「男の子に興味があるのですが。」
「美少年に限定されています。」

雛菊。
「それは古代ギリシャあるあるなのでは。」
「女の子が美少年を追いかけまわすとはね。」

檸檬。
「女の子はある年頃から。」
「好かれたいとか。」
「触れられたいとか。」
「異性への興味が湧くものです。」
「そういうジェンダー・ステレオタイプを鵜呑みにして。」
「自分のモノにしないように。」

飛燕。
「ジェンダー・ステレオタイプですか。」

春雨。
「私は貞潔なので男性とは関係ありませんが。」

檸檬。
「色欲は若い時にはだれでも火のように燃えさかるものであるが。」
「病気にかかった時のことをちょっとでも思ったならば。」
「たちまちその興味もさめて。」
「冷えきった灰のようになるであろう。」
「また。」
「名誉や利益はだれにとっても甘いあめのようになめてみたいものであるが。」
「死んだ時のことをちょっとでも考えたならば。」
「たちまちその興味も蝋をかむような味けないものになってしまうだろう。」

飛燕。
「老年の性格が見られていますが。」

檸檬。
「賢者の老人が黄金期を迎えていて。」
「話をたっぷり聞かせて貰いましてね。」
「政界へ進出するために若い子の意見が知りたいと。」
「訪ねて来たものだから。」
「何十回も対談したわ。」
「アリストテレスの言う老年の性格はこうして備わった。」

雛菊。
「知恵は世界をなんでも暴いてしまう。」
「どうせ理屈しかないのだから。」
「自分で創造した価値判断が最強。」

檸檬。
「よき人は常に初心者である。」

飛燕。
「ローマの風刺家マルティアリス。」

春雨。
「世間のほんとうの姿をいやというほど知り尽くしてしまったならば。」
「ある時は雨。」
「ある時は曇りというように変化する人の心には触れようとしなくなり。」
「目を開いて見るのさえもめんどうになってしまう。」
「また。」
「人の心の動きを知り尽くしてしまったならば。」
「牛といわれようが馬といわれようが。」
「そのまま勝手にいわせておき。」
「ただはいはいとうなずいているだけである。」

試合は一方的な展開に。

実際に草野球を観ていれば。

野球というものが幾らか分かるものです。

投手が抜群で。

まともに打てる選手がいなくなりました。

このような猛者が出る現象。

世界においてはよくあることなんです。

相手側の選手にイースタンリーグのエースがおりまして。

素人相手に何やってんだと言っていましたが。

打席に立ってようやく悪夢だと理解したようです。

動物だけではなく。

人間にも異常個体が出るので要注意。

飛燕を呼び止める少年。

しかし誰かが阻止。

いきなり吹っ飛ばした。

少年。
「なんでこんなことするんだ!」

総合格闘家。
「知らねぇよ。」
「戦いたかったから戦っただけだ。」

飛燕。
「獲物はそちらにあげます。」
「まあ教えてあげてください。」
「何事もむやみにライバル視しないこと。」
「これが勝負の世界の基本ですと。」

総合格闘家。
「さあもっと楽しみましょうよ。」
「始まったばかりです。」

少年。
「うわっ!くるなー!」

雛菊。
「呼んだの?」

飛燕。
「あの子は友達だよ。」

檸檬。
「戦闘力だけを見るのなら。」
「歩兵と対戦することを想定することですなあ。」
「特に海兵隊と戦闘をしても。」
「勝率はかなり悪い。」
「空手とかボクシングとか柔道やらレスリングの事ですよ。」
「あんなものは単なるスポーツです。」
「戦場ではプライドがあるだけお荷物。」

飛燕。
「スポーツでも楽しめればいいと思うけれど。」

檸檬。
「でも彼らは兵士にはなれない。」

雛菊。
「凡人に何を期待しているんだあ。」

檸檬。
「異種格闘技戦は頂上決戦で。」
「軍隊徒手格闘と総合格闘技の二強とも言われている。」
「戦争の技術はルールの制約で戦闘力が低下し。」
「試合に向いている総合格闘技にアドバンテージがあるというのはよくある話。」
「ちなみに軍隊徒手格闘は護身術には最も向いている。」

春雨。
「世人の本当の所は世俗の賞賛に関して冷ややか。」

檸檬。
「どんな賞状を貰っても社会人は無関心なんだわ。」
「実際に見た所。」

雛菊。
「本屋に積み上がったとある本は。」
「頻繁に組み合わせを変えていたようだけれど。」
「少しも売れてないようで。」
「統計は嘘をつくものですね。」

飛燕。
「私の見た所。」
「現代に天才など存在しない。」
「現代に偉人など存在しないという衰退であって。」
「今後、しばらくの間、出現する余地が無い。」

檸檬。
「市民のひとりも褒めていなかったな。」

春雨。
「ジャーナリズムの思想を知っておくと。」
「彼らが応援してくれるような存在ではないと。」
「誰もが見出す事になる。」
「岩波新書マニアでは知られているが。」
「報道に何の期待もしてはいけないし。」
「何かのログくらいに見ておく。」
「報道は不偏不党が原則となっているので。」
「日々流れるログくらいの役割しかなく。」
「結局は彼らは何に対しても無関心なので。」
「必要な情報を厳選して画面に表示するのみで。」
「誰かの味方をする事はかえって異常事態である。」
「というのを核にするのはジャーナリスト特有の思想からです。」

檸檬。
「この世の仕掛けが外れてしまった、ああ、何と呪われた境遇か。」
「この私が、ああいうのを目撃し、告発し、通知する為に生まれたとは。」

春雨。
「生まれてから呪われた境遇であると理解したのは。」
「人間の犯した罪が世界に蔓延しているから。」
「人間のした事と言えばああいうものであると。」
「高みの見物でもしろと。」
「彼らが消えて忘れられるのを見ているだけとは。」

檸檬。
「人間とは、たった、これだけのものなのか。」
「文明の皮を?ぎ取られれば。」
「人間はあんな。」
「哀れな素っ裸の物体に過ぎぬのか。」

春雨。
「我々がどう荒けずりをしようと。」
「最後の形を仕上げるのは、神の摂理だ。」

檸檬。
「神々が今日、我々に味方したまい。」
「我ら友として平和のうちに。」
「年老いるまで生き永らえんことを。」
「だが人の世はいつでも定めないもの。」
「だから、最悪の結果を迎えた場合を考えておかねばならぬ。」

春雨。
「祈っている者を殺せば。」
「その人が天国への直通便に乗ってしまうかもしれないと。」
「考えたことはあるのかい。」

檸檬。
「自分が謹厳実直だからって、この世に楽しみというものがあっちゃならんとでも言うつもりか?」

イースタンリーグの元選手達が巻き返そうと試み。

試合は激戦になる。

お姫様が車で乗り付けて来た。

同業者。

仲間。

んなヒメ。
「この世の営みの一切が、いかに忌わしく、愚かしく。」
「味気なく、無意味なものに思えることか!」

春雨。
「人が値をつけたとおりの値打でない物がありますか?」

んなヒメ。
「だが物の値打は、個人の人間の意思が決めるものではない。」
「値をつける人によってと劣らず。」
「その物自体が貴重であることによって。」
「その価値と美点を得ているのだ。」

春雨。
「似たような値打の物でも、持ち主が変わると、誰が使っているかによって評価が変わる。」

んなヒメ。
「さげすんで、いったんは投げ棄ててしまったのも。」
「もう一度取りもどしたいと願うことがあるもの。」
「現在の快楽も時がたつにつれて値打を落とし。」
「ついにはまったく逆のものに転化してしまうのだ。」

春雨。
「冗長はその手足、外側の飾りにすぎませぬから。」
「簡潔に申しあげます。」
「あの阿呆、自分が阿呆であることを隠れみのにして。」
「その姿から知恵の矢を放つのだ。」

んなヒメ。
「人生とは、阿呆の語る物語、響きと怒りばかりは物すさまじいが。」
「意味するところは、無だ。」

春雨。
「あやつは人を疑うことを知らぬ生まれつきで。」
「ただ見かけが正直そうでさえあれば、本当に正直なのだと思いこむ。」
「ロバ同様、鼻づら取って引き回すのは楽なものだ。」

んなヒメ。
「おお、気をおつけなさいまし。」
「閣下、嫉妬には。」
「あれは緑の目をした怪物。」
「餌食となった獲物をいたぶり。」
「あざ笑う奴。」

春雨。
「悪者扱いされるのなら。」
「神々にその旨、伝えてはどうか。」
「本物の悪人はそれが出来ないので。」
「では、悪者扱いしたい奴らは何が目的だったのか?」

んなヒメ。
「私的制裁を観察したり調べていると。」
「ある発見がありましたね。」
「推論が・・・こいつは悪だ!という所から出発する。」
「ということは?」
「これ以後の推論は見かけはどれだけ論理的に見えようと。」
「実は厳密な意味では推論というより。」
「むしろ最初から決まっている結論をどう正当化するかという。」
「こじつけ。」
「ごまかしの屁理屈でしかない。」
「ハムレットのように。」
「殺すべきか、殺すべきでないか。」
「という形は取らない。」

春雨。
「それはシェークスピアのブルータスが二幕一場で出す台詞です。」
「犯罪心理学ですが。」
「けっこうこの手合いには悩まされました。」

んなヒメ。
「猛獣を降伏させることはやさしいが。」
「人の心を降伏させることはむずかしい。」
「深い谷を埋めることはやさしいが。」
「人の心を満足させることはむずかしい。」

ハグして立ち去る。

特等席を用意していて。

そちらに移動していく。

姉妹は論語を開いた。

クローム・ブックというタブレットPCの次世代型。

豪華な機種で。

電子書籍も多数入っている。

アプリはタブレットと同じで。

ファイルはオンラインでの使用が必須。

ファイルサーバーの利便性だけは低評価かもしれない。

顔淵。

子張が訪ねた。
我々、士は、どうしたら世間から達人と評価されるでしょうか。
その達人とは、どういう内容かね?と孔子は聞き返した。
自分の周囲はもちろん、国中に名が知られている人物のことです。
名が知られている?それは有名人というだけで、達人とは言えまい。
達人とは実質内容を備えていて、義に則って行動するものだ。
人の意見をよく聞き、心の動きをよく見て。
思慮深く謙虚である。
それだからこそ。
周囲はもちろん。
国中の人から達人と認められるものだ。
だが有名人はそうではない。
表面は仁者ぶるが。
実際は売り込みばかりやっている。
しかも。
そのことに疑いをもたない。
周囲はもちろん。
国中の人から有名人扱いされるだけだ。

子張問う。
「士いかなればこれ、これを達と謂うべき。」
子曰く。
「なんぞや、なんじのいわゆる達とは。」
子張対えて曰く。
「邦に在りても必ず聞こえ、家に在りても必ず聞こゆ。」
子曰く。
「これ聞なり、達にあらざるなり、それ達とは、質直にして義を好み。」
「言を察して色を観、慮りてもって人に下る。」
「邦に在りても必ず達し、家に在りても必ず達す。」
「それ聞とは、色に仁を取りて行ないは違い。」
「これに居て疑わず。」
「邦に在りても必ず聞こえ、家に在りても必ず聞こゆ。」

孔子は子張が達と聞とを混同していることを指摘する。
達とは達成・到達・百七節の達。
子張はそれを名が知られていることと考えた。

草野球観戦で楽しんだ憩いの旗日。

住宅街には日の丸が掲げられています。

旗日には国旗を掲げる市民が多いんです。

お宮にも国旗が掲げられていますよ。


34


金色の門があり、実際に金が配合されている。

門番がたまにいて。

鍵で閉められている。

伝説となっている開かずの扉。

冒険家が頼んでも開かない謎の門。

水無月味菜。
「これが隠された世界への入り口。」

彩川白帆。
「なんですかこれ。」
「金色に塗られている。」

日向小奈津。
「どこへ繋がっているの?」

水無月味菜。
「門には金が配合されていて。」
「仕掛けを解けば外れるし。」
「鍵で閉まっているから。」
「開けることも解体することも出来ないよ。」

春雨。
「いつの間にかある謎の扉。」

水無月味菜。
「その鍵を持っているのが私でね。」

春雨。
「ではそれを貰いたい。」
「いくら?」

水無月味菜。
「ああ・・・これは誰にも渡さない前提で。」
「管理人になっているんだ。」

んなヒメ。
「これって有名な開かずの扉ですよね。」

水無月味菜。
「状況が随分と変わったね。」

彩川白帆。
「伝説になったのは半世紀前ですからね。」

日向小奈津。
「探検家も何十回と来たとか。」

水無月味菜。
「この先へはどこからも回り込めないよ。」
「崖の上からも。」
「中は荒れ放題の山道だからね。」
「草むらの中に道があるのさ。」
「生きて帰ってきた奴はいないね。」

春雨。
「それで?こんな珍しいものを?」

水無月味菜。
「ああ、行かない方がいいよ。」

んなヒメ。
「私が黄金の鍵を出せば?」

水無月味菜。
「黄金の鍵はどんな扉でも開ける。」
「わかった。」
「大金をくれるならば鍵を出そうか。」
「いくら?」

んなヒメ。
「小切手でいいか?」

水無月味菜。
「貰う前に鍵を持ってくるよ。」
「近くの山小屋に行こう。」
「人里離れた小屋だよ。」
「田園の中の民家。」

民家に到達。

ここは廉価版の住宅で。

宮大工に作らせた。

必要不可欠な空間だけがある小さな家。

集落の中に目立っている。

彩川白帆。
「あの広大な畑はどうやって作ったのですか?」

水無月味菜。
「畑を開拓する前に。」
「この土地全部に宝物を埋めてあると。」
「デマを流したら。」
「掘られ過ぎて滅茶苦茶だったよ。」
「その後に畑にしたけれど。」
「馬鹿はボランティアとして有能だよね。」

日向小奈津。
「荒地を荒らさせてから掘ったんですね。」

春雨。
「滅茶苦茶な荒業を使います。」

水無月味菜。
「まあまあ金貨一枚だけは埋めておいたよ。」
「手間と経費と比較にならない。」

檸檬。
「なにか面白いものがあるとか。」

飛燕。
「遅れちゃった。」

雛菊。
「間に合った。」

水無月味菜。
「ああ待っていたよ。」
「ここに埋めてある金庫の中に鍵。」
「戻るよ。」

門の前。

彩川白帆。
「これが開封されるんですね。」

んなヒメ。
「そこからどのように進めばいい?」

水無月味菜。
「航空写真でわからないみたいだけれど。」
「崖を上下左右に進むようなものさ。」
「鍵には書いてある。」
「黄金の扉で開けろと。」
「お嬢さんがそれだよ。」

門が開錠されると。

いきなり崖になっている。

下には洞窟と森林。

草だらけで見えない。

春雨。
「これは無理そうですね。」

んなヒメ。
「しまった!予想以上に過酷。」

水無月味菜。
「ああ行かなくていいよ。」
「どうせ何もない行き止まりに到達するから。」
「この扉はトラップ。」

んなヒメ。
「なんですと。」

水無月味菜。
「ある意味の皮肉だね。」
「扉に気を取られて。」
「進むことしか考えない。」
「前々から思っていたんだが。」
「こんな所を進みたいんだね。」
「視点の狭さを思い知ったよ。」
「他人を見て。」

雛菊。
「うわっ!なんだこれ!」

飛燕。
「落とし穴を発見!」

水無月味菜。
「それ以上進むな。」

彩川白帆。
「はわー!門を開ければいいという話ではないんですね。」

日向小奈津。
「前進しか出来ない私達って・・・。」

春雨。
「カニのように横に歩いたほうが簡単そうですね。」

檸檬。
「前ではなくカニのように横に歩けば発見があるかも。」

雛菊。
「視点の狭さを思い知ったよ。」

水無月味菜。
「諸君はカニをまっすぐに歩かせることはできない。」
「ここの石板にあるよ。」
「ということで終ぞ開かれた扉の先はそういう訳で。」
「本当に生きて帰れないよ。」
「だって何もない山へ直進する。」
「不可能だけれど山脈を超えれば民家くらいはあるんじゃない?」

んなヒメ。
「ふえー。」
「引っ掛けなんてずるいのら!!」

水無月味菜。
「だからこれは大掛かりな皮肉なんだよ。」
「門もだいぶ高いからね。」
「侵入したとしても一時間くらいで怪我したのがオチさ。」
「戻るよ。」

隠し扉が開かれたとのことで。

人の注目を集めましたが。

危険な上に。

どこに通じているのか知らされていない。

冒険家は自殺行為に出ています。

後日。

喫茶店で会話。

春雨。
「警告したのに侵入するそうです。」

水無月味菜。
「ちゃんと詳細を話してあげたのに。」
「伝わらないものですな。」

雛菊。
「マレーシアの山岳道路。」
「二十代の女性運転手が自転車に乗っていた十代八人を車ではねて死亡させ。」
「無罪が宣告され議論が起きている。」

水無月味菜。
「まあそうなるよね。」

飛燕。
「何の警告も受けなかったという被告人の証言を受け入れる。」
「検察は被告人が危険運転をした疑いを立証できなかった。」

檸檬。
「運転当時、酒や薬を服用していなかったし。」
「携帯電話を使用していなかった点を確認した。」
「坂道に曲線区間が多く、早朝の時間帯は暗い道であるため。」
「自転車に乗った人が道路にいると予想するのは難しい。」

んなヒメ。
「一審と同様に無罪を宣告した。」

水無月味菜。
「それだけEQが高いと。」
「妬まれると思うのだが。」
「ライバルとかはいる?」

春雨。
「ライバル?私にはライバルはいないよ。」

水無月味菜。
「私も同じだよ。」

檸檬。
「ライバルはいないよ。」

飛燕。
「私も。」

雛菊。
「同じく。」

水無月味菜。
「今後も出ないだろう。」

春雨。
「私も出そうにもありません。」

沈黙。

檸檬。
「やいやい!ヘルメス様のお通りだ!」

雛菊。
「それはギリシアの決まり文句だから。」

彩川白帆。
「反出生主義者とはどんな人の事ですか?」

んなヒメ。
「出生を理解した人の事です。」

日向小奈津。
「ではそのアンチはどんな人の事ですか?」

んなヒメ。
「出生を理解していない人の事です。」

水無月味菜。
「生まれた事を感謝してはダメだよ。」
「自由になった後に神様ありがとう!と言うべきです。」

彩川白帆。
「出生は科学的ですか?」

水無月味菜。
「言えない。」
「真に科学的だと言うならば、まずは動物で実験したはずである。」

また沈黙。

話題を出す。

春雨。
「数週間前」
「元官僚が悩んでいまして。」
「ゴルフが好きらしくて。」
「無敵の強さを誇っていたのですが。」
「定年退職してからゴルフで全く勝てなくなった。」
「どうしたものかと本気で相談されて。」
「言うに言えずに。」
「接待ゴルフではなくて。」
「強い相手と当たってばかり居ると助言してあげました。」

檸檬。
「それは在任中・・・ゴルフ無敵な訳だよ!!」

日向小奈津。
「接待ゴルフ無敵!」

雛菊。
「猛者とやれば接待してはくれないし。」

んなヒメ。
「はあ・・・。」
「あの有名な結社を目撃してしまって。」
「あのブラック企業にはどのくらいの人が働いているのだろう。」

水無月味菜。
「多分、半分くらいかな。」

んなヒメ。
「ひどい!半分しか動いていない!?」

水無月味菜。
「外装も仕事服もブラックで統一すれば。」
「ブラック企業っぽくなってかっこいいよね。」

んなヒメ。
「冗談じゃない。」

春雨。
「あははは・・・。」
「どこまでが冗談なのか分からなくなってきた。」

檸檬。
「今年度の営業スコアが高いとか。」

んなヒメ。
「数字なんて、どこからでも持ってこれるし。」
「どうにでも料理できる。」
「カーブなんて、まったくたわ言だ。」
「そんなものを信じれば、だまされてしまう。」
「グラフなんかで、わけのわからない世界に私達を引きずり込まないでくれ。」

檸檬。
「生活の糧を得るのは。」
「農業と変わらない。」

んなヒメ。
「連携が取れているのでなんとかなっています。」

飛燕。
「社会はチームプレイなんですか?」

春雨。
「仕事はチームスポーツなんです。」
「持論?馬鹿!スティーブ・ジョブズの台詞です。」
「何度も言いましたし。」
「当事者の体験です。」

んなヒメ。
「誰もやっていない領域を集中狙い。」
「その領域で凄いもの作って売る。」

春雨。
「どんなマーケティングでも。」
「駄作をヒットさせることはできないからね。」
「スティーブ・ジョブズの指摘。」

水無月味菜。
「現代に本物がいるとはね。」
「正直、本物がいるとは思わなかったよ。」
「最近までは。」
「現代の事情を書き記して後世に伝えようとする。」
「知識人の集会があったのだが。」
「希望に添える作家が。」
「どこの収容所に居るか懸命に調べることになったそうです。」

雛菊。
「それは何かの風刺ですよね。」

んなヒメ。
「現代って風刺の対象なのか?」

おやつを食べて解散。

外に出た付近の公園で待ち合わせ。

春雨。
「ごめん待った?」

真莉香。
「待ってないよ。」

春雨。
「クロームブックでなにを書いていたの?」

真莉香。
「人間は自分が最も大切にしていたものを奪われたときの恨みを。」
「忘れたりはしない。」
「しかもそのものが日々必要なものである場合はなおさらである。」
「必要を感ずるのは毎日なのだから。」
「毎日、奪われた恨みをむし返すことになる。」

春雨。
「うわあ怨恨の論文。」

真莉香。
「相手を、どんなことにしろ絶望に追いこむようなことは。」
「思慮ある人のやることではない。」
「なぜなら前途に望みを失った者は。」
「どんなに悪い状態を示されても。」
「それによって判断を変えるような冷静さを失ってしまうからである。」

春雨。
「衆愚は群れをなせば大胆な行為に出るが。」
「個人となれば臆病者である。」

真莉香。
「勝手にDellが来たので例の。」
「イノベーションの片鱗もうかがえないベージュの箱。」
「知っていたら使わなかった。」
「なにせいつの間にかあったから。」

春雨。
「仕方がありませんよ。」
「老人が役に立った試しはありません。」
「勝手に買ってきたせいでリコール不能ですし。」

真莉香。
「年寄りが何の役に立つ!?」
「二十万もよくも使ってくれやがって。」

春雨。
「まあまあ私と姉妹みたいに戯れれば。」
「マシな方法も出てくるでしょう。」

真莉香。
「そうするわ。」
「親戚でも姉妹に見えるし。」

春雨。
「心理学からすると姉妹は仲良くなりやすい。」
「兄弟は年が近いと喧嘩しやすい。」
「年が離れると互いに関わらない。」
「よく知られている構図です。」

ショッピングモールに「正直者」と「馬鹿正直者」と区分けされた扉がありまして。

正直者の扉を開けた人は裏手に出てしまい。

馬鹿正直者と書かれた扉を開くと扉は偽物で。

愚直な人と書かれた扉を開くと自動販売機が置いてありました。

景品の売れ残りがここに来るようです。

真莉香。
「すぐれた芸術家は真似る、偉大な芸術家は盗む。」
「パブロ・ピカソ。」

春雨。
「これは僥倖。」
「ひとつ三百円ですか。」

広場の隅で。

警察官に尋問された会社員がおりました。

会社員。
「うわあっ!」

警察官。
「なんだその巨大なカバンは?」

会社員。
「見ないでください。」

警察官。
「なぜだ?」

会社員。
「この中には出生が入っているんです。」

警察官。
「意味がわからない。」
「開けて貰えるかな?」

会社員が仕方がなく開けると。

未成年閲覧禁止の悪書が大量に入っていたのです。

警察官。
「なんだ?これは?あなたの私物じゃないか。」

会社員。
「だから言ったじゃありませんか。」

真莉香。
「なんだあの道化師は・・・笑える。」

春雨。
「ふざけた市民ですね・・・。」

夕方に拘置所を見学させて貰いました。

知り合いがなぜか入っているので。

意味のわからない罪状で実刑判決が出るそうです。

真莉香。
「なぜお前は入っているのだ?」

男性。
「十五年の刑期になるそうです。」

真莉香。
「何をやったんだ。」

男性。
「無実の罪で冤罪との事です。」

真莉香。
「それはひどいな。」
「無実の罪の相場は十年なのに。」

二人で嘆いてしまいました。

どうやら同級生で。

何かの伝えでお見舞いに来たかったみたい。

しかしここ数日でいろいろあります。

夜の車内で不機嫌な真莉香です。


35


お正月。

お宮で。

巫女服の姉妹。

春雨。
「和服の女子高生も得点が高いです。」

檸檬。
「美形だけあって絵になるわね。」

雛菊。
「そうですか?」
「私は自然体ですが。」

飛燕。
「あんまり招いた事ありませんからね。」

春雨。
「とりあいず私の正体は伏せておいてね。」

檸檬。
「巫覡ですか。」

春雨。
「それは私の秘密です。」
「発覚すれば強制的に身分として定まってしまう。」

雛菊。
「誰にも聞こえていませんよ。」

飛燕。
「機密漏洩したら。」
「周囲の人々が馬鹿か汚物と見なされますからね。」

檸檬。
「所でけっこう配信しているけれど。」
「熟練度高いよね。」

飛燕。
「そうでしょうか。」

雛菊。
「おおよそ超自然的現象に耐性がある者しか。」
「神秘的な知識や霊知は宿りませんし貰えません。」

飛燕。
「まともに語れる巫女は見たことが無い。」
「まともに語れたのは一部の神職のみ。」

春雨。
「人の考えで神々は選定などしないのですよ。」

雛菊。
「最近の成果は?」

檸檬。
「シミュレーション仮説が更新されるたびに。」
「並行世界仮説の展開が露になる。」
「その先では五十パーセントの確率で成功する。」
「五十パーセントの確率で失敗する。」
「なぜなら。」
「子供は周りを参考にして成長するのが悪く出て。」
「言われた事、見聞きしたもの、読んだもの。」
「命令された事、そう思ったもの、真実だと思ったもの。」
「こんなのの寄せ集めで完成された人格というものは。」
「その人自身の創造ではなくすべてが行き当たりばったりの産物。」
「外部からのガラクタやジャンクパーツの集合体。」

飛燕。
「過去を利用して調べてみたんですね。」
「それこそ形而上学。」

檸檬。
「女性ならば。」
「女性とはこういうものだとか。」
「勝手に決まった概念に従うように。」
「幼い頃から教育されます。」
「その教育は個人を無視したもので。」
「全体がそうだからあなたもそう。」
「全体がそうなっているからあなたもそうしなさい。」
「という内容になっています。」

雛菊。
「アメリカやヨーロッパの良識を知る毎に革命が起きる。」
「海外で無神論と答えるともはや立場が無い。」
「やばい奴判定で全員逃げる。」

春雨。
「サウジアラビアの入国管理局は。」
「無宗教の奴は信用できない!」
「自分の宗教を書かないと入国できません。」
「門前払いです。」
「サウジアラビアの入国管理局は正しい。」

檸檬。
「サウジアラビアの入国管理局は正義である。」

飛燕
「全体主義は違法行為で告発すべきです。」
「帝王学から見て。」
「法整備がされておいて自分達で守らないのは最悪なケース。」

春雨。
「皆が個人主義が最良なのです。」
「相対的に見て女性というものを知るのはあまりに愚鈍。」

檸檬。
「何かと比べて女性を把握するのは。」
「女性にとって不合理。」

雛菊。
「合理的に女性を把握すれば良いと思う。」

飛燕。
「合理的にもう少し説けば。」
「妊娠しやすい女性は袖が触れただけで妊娠します。」
「男女共学となると。」
「未成年なのに恋に走って。」
「恋は盲目。」
「本人の意志とは関係なく強制されますし。」
「自由意志なんて関係ないのです。」

春雨。
「自由意志が関係していないものは自分のものではありません。」
「実は、自由意志は無視されたり。」
「選んでもいない選択肢を強制させられる事も多いものです。」
「自由意志は奪えませんが。」
「勝手に決めることで。」
「自由意志の結果を無効化してくる場合があります。」

檸檬。
「本人の選択に関係なく物事が生じます。」
「残酷な世界は隠れている。」
「隠れているから残酷であると見出せない。」

雛菊。
「自由意志・・・。」
「出生って何教?」
「どこの宗教でもないのに。」
「どこの宗教にも軍事介入して。」
「暴れているよね。」

檸檬。
「こっちの教義にもないし。」
「聖書ですらあんな事は書いていない。」

飛燕。
「どの宗教にも属していないのに。」
「どの宗教にも割り込んでくる。」

春雨。
「まず世界が行き交うと宗教も交差します。」
「最初から世界はあらゆる宗教が交差するように出来ています。」
「創造論からして多様性は伝統宗教特有のものです。」
「なので多様性を持たない宗教は新興宗教の類か異端邪説です。」

雛菊。
「世界で人々が行き交うと世界中の宗教も交差する。」
「ローマ教皇は祈祷会で多様性を公認しましたが。」
「創造論からして宗教は世界規模で影響しますよね。」

春雨。
「そして多様性を無視して。」
「何教でもないのに他人の信仰を無視して。」
「宗教戦争をしているのが出生なんですよ。」

檸檬。
「そもそも出生という教義は存在しないし。」

飛燕。
「出生って何教?」

春雨。
「出生ってどこの教義にもないよ。」

雛菊。
「では出生は何の宗教にも所属していないの?」

春雨。
「そういうことになります。」

飛燕。
「何教でもないのに宗教みたいに語っているの?」

春雨。
「何々教なんて言ったら全方向から非難殺到。」
「うちには出生なんて教義はありませんよと。」
「出生は何教でもない。」
「でも神の真似事をしている。」

檸檬。
「では邪悪な出生を倒して真の自由を獲得しようではないか。」

春雨。
「漫画のキャラみたいでかっこいいです。」

檸檬。
「出生から解放され、秩序のある世界を。」
「人類は何教でもない出生という化け物を倒して。」
「さらなる段階へ!!」

飛燕。
「扇動的な言い回しはやられ役とかラスボスに多いよね。」

雛菊。
「でも、味方側でも扇動的なキャラクターはいますよ。」
「リーダー系は大体、扇動的な言い回しです。」

春雨。
「どっち道、漫画みたいで最高。」

檸檬。
「実験動物を用意する。」
「つがいを複数用意する。」
「実験動物が生んだ子供を処分する誓約をしておく。」
「実験動物は交配して子供を産んでしまう。」
「そして予定通りに子供は処分される。」
「この場合。」
「何がいけなくて誰が間違っているのだろう。」
「もちろん大義名分や口実は研究者が大量に持っていて。」
「生まれればすぐに死ぬんだから。」
「交配した実験動物がいけないのか。」
「そもそも生まれた事自体がいけないのか。」
「動物実験で。」
「出生がいかに残忍か思い知るだろう。」
「要するに死ぬと決まっていても生まれてしまうし。」
「生まれた後の予定は変えられないので。」
「ここでは交配に失敗するか不妊になるという展開が合理的であり。」
「そうならなかった出生に責任があるのは明白で。」
「結果論では出生はこのような実験で証拠歴然となる。」
「真に科学的なアプローチはこのようなもの。」

春雨。
「たまに他人の信仰を無視して迷惑行為。」
「そんな奴らはいます。」
「あなたどこの宗教でもないでしょ。」
「でも彼らは迷信から狼藉をやっているので。」
「訳の分からない教義を持ち出して自分が正しいと言い張る。」
「イスラム過激派顔負け。」

檸檬。
「イスラム過激派の方がずっとかマシだよね。」

飛燕。
「イスラム過激派ですか。」
「彼らはとてもわかりやすいので。」
「そもそも陰湿な行為はしない。」

雛菊。
「所で出生はどこの教義ですか?」
「この質問に答えるのは不可能。」

春雨。
「それが真実となる。」

雛菊。
「死んで仏になるとか言っているのは大乗仏教だけでしょうね。」
「本物の仏は祭壇で座っていますし。」
「成仏した後で本物の仏に従わないとか。」
「これはシッダールタの教えを知らないのが原因だったり。」

春雨。
「ゴータマ・シッダッタ。」
「仏教の開祖。」

檸檬。
「涅槃経(パーリ語)」
「教えの正統性を確認するためには、お釈迦様の言葉に合っているかどうかを確かめろ。」

春雨。
「生きることは苦しみである。」

雛菊。
「業を作り出しているのが煩悩であり。」
「消し去る。」

飛燕。
「二度と生まれ変わらない世界に行くこと。」

春雨。
「死んで成仏なんていう概念は最初から無い。」
「大乗仏教の作り話。」
「大乗仏教とお釈迦様の教えは根本的に異なるもの。」
「大乗仏教とお釈迦様の教えは根本的に別物。」

檸檬。
「ゴータマ・シッダッタ。」
「反出生主義の起源のひとつ。」
「この世界は虚構。」
「架空のもの。」

雛菊。
「輪廻。」
「生まれ変わり。」
「また人間界に生まれるとか永遠の命のように思えますが。」
「輪廻が続くという事は。」
「永遠に苦しみが続く事を意味します。」
「二度と生まれ変わらない世界に入る。」
「涅槃。」

春雨。
「ブッダになるというのは。」
「特別な素質を持った天才だけが到達可能です。」
「ブッダの教えでは阿羅漢という境地に到達することを目指します。」

雛菊。
「ちなみに墓所を礼拝する宗教は実在しないので。」
「墓所礼拝は架空のものです。」
「迷信なので過ちは改めましょう。」

飛燕。
「墓所とかいう迷信。」
「間違いが直されなかったので。」
「洗脳されるよね。」

春雨。
「偶像崇拝の天つ罪を他人の過失で食らった。」
「国つ罪よりはマシだけれど。」

檸檬。
「誰だって、誤りを犯したいと望んで、誤りを犯すわけではない。」
「ただ、晴天の日に、翌日は雨が降るとは考えないだけである。」

春雨。
「ヴィトゲンシュタイン。」
「論理哲学論考。」
「注釈。」
「事実と事態は別物と考えられて考察されています。」
「個人的な意見は事態であって。」
「事実を目的に書かれていません。」

飛燕。
「インターネットでは事実を書こうとして失敗する事案が多いものです。」
「事態を書くのであれば。」
「個人的な意見も哲学で証明できます。」

檸檬。
「古典最強!古典最高!」

「現代の知識人も強い。」
「現代には隠れた猛者が多い。」

雛菊。
「教皇フランシスコは私達の善悪をことごとく試されました。」

春雨。
「天国へ行くのに最も有効な方法は、地獄へ行く道を熟知することである。」

雛菊。
「人の恨みは悪行からだけでなく。」
「善行からも生まれる。」
「心からの善意で為されたことが。」
「しばしば結果としては悪を生み。」
「それによって人の恨みを買うことが少なくない。」
「このような場合の善行は、仇になってしか返ってこない。」

春雨。
「衆愚の一部が意見を言ってもどうせ御託だろう。」

飛燕。
「なんと言いますか。」
「ああいう。」
「自分の御託をまかり通すために。」
「詭弁術を酷使するのはどうかと思う。」

雛菊。
「ルサンチマンの主張を採用するのはどう見ても誤りだと思う。」

檸檬。
「ルサンチマンの奴隷道徳からしてアリなのかナシなのか議論するのは。」
「ちょっとおかしい。」

春雨。
「常識を持ち出したチェリーピッキングはクレイジーだよ。」
「良識のある人のやることではない。」

雛菊。
「良識のある人はお見通しなので諦めている。」

春雨。
「無神論者がどんな目に遇うか見た事がある。」

飛燕。
「しかし敵対者はひどく狡猾だよね。」
「自分の考えは他人の考えと言う調子で。」
「工作してくる。」

春雨。
「兵士が上官の命令に背くことが無いように。」
「神々の命令を兵士が背くことが無い。」

檸檬。
「兵士が命令に背くことが無いように。」
「神々の命令に背く者はいない。」
「他人が説得しても敵の作戦であると告発するし。」
「何か言ったとしても通用しない。」

雛菊。
「王様の命令に家臣が服従するように。」
「神々の指示には信徒は抗わない。」
「要するに他人が口出ししても。」
「敵の策略であると言い返す。」

飛燕。
「戦場にいる兵士に説得など無意味。」
「逆効果ですよ。」

春雨。
「後で見て貰いたくて。」
「男の娘のグッズです。」

雛菊。
「うん。」
「男の娘が好き。」
「トランスジェンダー?」
「先天的な?後天的な?」
「いずれにせよラディカル。」

飛燕。
「最近、ハッピーエンドの後はどうするのか理解に苦しみます。」

檸檬。
「ハッピーエンドに辿り着くために何回リセットしたいの?」
「諍いは長期化させればいいだけ。」
「消耗戦に耐えられる人間はいない。」
「相手が勝ったとしてもカドメイアの勝利。」
「敗北同然か敗北するより酷い損害を食らった勝利。」
「皆、誰も救えない。」

春雨。
「この世界は漫画みたいには行かない。」
「根性なんてものは武器にはならない。」
「何度も挑めば勝てるなんて考え方は間違っている。」
「生存競争を捨てるとルールを踏み倒せる。」

雛菊。
「古代ローマ人は時の恵みを待つという態度を好まなかった。」
「それよりも自らの力量(ヴイルトウ)と判断力のほうを頼みにしたのである。」

飛燕。
「要するに力量(ヴイルトウ)があればたいてい勝てる。」

春雨。
「目の前の問題のみに役に立つ対策をしたのではなく。」
「将来起こりうるものにも、対策を忘れなかった。」
「ローマ人はあらゆる努力で芽でしかないうちに摘み取ってしまう。」
「将来起こりうる紛争も芽であるうちに摘み取ってしまう。」
「要するにそれを徹底したのです。」

檸檬。
「中くらいの勝利で満足する者は、常に勝者でありつづけるだろう。」
「反対に、圧勝することしか考えない者は、しばしば、貶し穴にはまってしまうことになる。」

雛菊。
「勝者になるのなら。」
「競走相手が負けなければ。」
「という視点を乗り越えなければならない。」

春雨。
「時は一切のものをもたらすが。」
「善を連れてくることも悪を連れてくることもあるから。」

檸檬。
「まったくもって情けない現実ではあるが。」
「人間というものは権力を持てば持つほどそれを下手にしか使えないものであり。」
「そのことによってますます耐え難い存在と化すものである。」

飛燕。
「敵の行動を予測するよりは。」
「敵の計略を見抜くことは容易である。」
「休憩時間が終わります。」

雛菊。
「では体力温存で。」

檸檬。
「キズナブラックに手紙を書いた人がいて。」
「内容が・・・罵ってください!とのことで。」
「なにせ大量に届くので。」
「キズナブラックは気持ちが悪いと動画で表明した。」

春雨。
「そんなのありましたね。」
「男性が美少女に罵ってとお願いするなんて。」
「女性優位の状況では男性ってそんな頼み事をするんですね。」

檸檬。
「いや、我々が女性を知らないように。」
「男性すらも知らないのだ。」

境内社を巡ります。

巫女姿の姉妹を見れて満足。

帰り際に看板を発見。

帝王学の一部。

マキアヴェッリ。

名誉というものは、成功した者だけが得るとはかぎらない。

成功者が得るのは当たり前だが。

失敗した者にだって名誉を得る道は開かれている。

第一の方法は。

失敗は他の原因によるのであって自分の責任ではないということを。

実証できた場合だ。

第二は。

失敗の直後に、前の失敗を帳消しにするような、すばらしい成功をかちえることである。

マキアヴェッリ「政略編」


36


檸檬の家。

使い捨ての中古パソコンを。

オークションでばら撒いています。

現用機の普遍的な基準を満たしているので。

高く売れるようです。

春雨。
「これカスタマイズ機なんですね。」

檸檬。
「最高性能に仕上げてある。」
「テストに時間が必要で。」
「コアi5-5100Uが多いね。」
「コアi7-3770Kが多く出回っているCPU。」
「発熱とか動作とか確認する手間がある。」

春雨。
「全部HDDではない。」

檸檬。
「上位互換だからね。」
「メモリは全部16GB。」
「ストレージはSSD256GBとHDD512GBっていう化け物。」
「外付けGPUがあればゲーミングPCにも出来る。」
「CPUがギリギリ耐えられるレベルだからね。」
「大型機には中古のGPUを装着させてあるから。」
「ハイスペックゲームをギリギリ稼働させるくらいの。」
「GPU性能は確保してある。」

春雨。
「新品以上の高性能じゃないですか。」
「うわあ、かなりのパーツ数。」
「こっちのはオーバーホール中ですね。」

檸檬。
「基本的に十世代と新型パーツを搭載した奴って。」
「お金を投入すれば簡単に高性能化するからね。」
「スペックの話をすれば結果的にゲーミングPC選べと言っているのと同じだよ。」
「三十万円も投入できる金持ち。」

春雨。
「私のは十世代CPU以外はたいした事ない構成です。」
「旧式からデータ収集。」
「練習用のミドルスペックを貰って以来。」
「使い続けています。」

檸檬。
「ミドルスペックが財布に優しいよ。」
「たまに改良するとCPUと冷却性能が釣り合わなくて。」
「故障寸前になるけれど。」
「調整すると売りに出せる動作になる。」
「OSも最適化しているし。」
「知り合いの販売業者がいるのでね。」
「儲かっているよ。」

春雨。
「ソケットが合う中古CPUが叩き売りされていたので。」
「根こそぎ持ってきました。」

檸檬。
「セレロンだねこれ。」
「6305はi7-3770よりも優れモノだから。」
「そもそもウインドウズを動かしても余裕あるって。」
「インテルって廉価版でも手を抜いてないし。」
「セレロンも本気で開発しているよね。」
「高性能にすると二倍の価格になるし。」
「CPU単体でも高価なパーツだし。」

春雨。
「高性能なアプリケーションを使わないのなら。」
「低性能な安物でも足りるのですが。」
「お金出して高性能なパソコン買った方が手っ取り早いですよね。」
「富士通のオンラインストアでカスタマイズ可能ですし。」

檸檬。
「どれだけお金をかけるかでスペックは左右されますしねー。」
「高性能というのは簡単に投入した金額が大きいだけです。」
「高性能なアプリケーションソフト。」
「動画編集やゲームなんてものは。」
「さっさと最新型のCPUと高性能ビデオカード買えばいいのですし。」
「十世代のCPUならば外付けGPUで足りますしね。」

春雨。
「性能を測定するテストも不正がありましたし。」
「ライゼンとインテルには性能差が無いらしいです。」
「ベンチマークテストとか信用できません。」
「CPUはGPUを兼用しているので。」
「スコアを伸ばしたいのなら三十万円出せばハイスコア取れます。」
「何かと比べて判断するのは非合理。」

檸檬。
「投入した金銭で決まるので。」
「自慢するなよ!と思いますよ。」
「結局、財布の問題でスペックが決まるし。」
「過剰性能になるよりもセレロンで充分だったりもする。」
「ウインドウズでなければいけない理由は無いので。」
「アップルのMAC・OSの方がいいと思うわ。」

春雨。
「MAC・OSは私も好きです。」

檸檬。
「私はMAC・OSだけれど。」
「パソコンと言えばウインドウズだよ!というのは間違っている。」
「原価が小さくても収益が出る中古品。」
「完成した。」
「これだけの化け物機ならば今回も高く売れる。」
「法人向けを裏ルートで大量に買い込んだので。」
「カスタマイズに対応しているし。」
「いくら化け物を量産しても。」
「本業には出来そうもない。」
「親が東洋医学なので私もそうしたほうがいいかもね。」

一緒に散歩に出かけます。

寄り道。

お宮。

姉妹は小さい巫女と一緒にレッスン中。

姉妹は神社の娘。

秋水。
「八十万の神。」
「神意を察するに。」
「全員同じではなく。」
「個々に合った対応をしてくれる点。」

雛菊。
「神々から見てどうなのか考えてみよう。」

秋水。
「個人で内容が異なるので。」
「教義が生じない。」

飛燕。
「御神体に接近し過ぎると霊威を強く受ける。」

秋水。
「それはあなたの父親の仕事になっているとか。」

姉妹。

物知りな巫女であると知られていたり。

文化人でもあるので。

人が訪ねてきたりもします。

神意にかなった巫女は稀。

春雨。
「マキアヴェッリは帝王学でよく引き合いに出される。」
「日本政府はどう?」

檸檬。
「不正義はあっても、秩序ある国家と。」
「正義はあっても無秩序な国家のどちらか選べと言われたら。」
「次の瞬間は前者に向かっているだろう。」

春雨。
「いにしえの歴史家曰く。」
「人間というものは。」
「恵まれていなければ悩み。」
「恵まれていればいたで退屈する。」
「そしてこの性向からは同じ結果が生ずるのだ。」

檸檬。
「タキトゥス曰く。」
「人間世界では、自らの実力に基礎をおかない権威や。」
「名声ほど頼りにならないものはない。」

春雨。
「自由意志の関係ない物事は帝王学からして?」

檸檬。
「破ってもいいのです。」

春雨。
「無理強いされて結んだ協約を破棄するのは。」
「恥ずべき行為ではまったくない。」
「協約が公的なものである場合。」
「相手の力が弱まるやいなや。」
「破棄されるほうが当然なのだ。」
「双方の力関係の変化によって。」
「いとも簡単に破られる。」
「それを結んだ理由が消えてしまえば。」
「すぐさま破棄されるのが実情である。」

檸檬。
「納得する。」
「日本政府は?」

春雨。
「優柔不断な民主主義は軟弱者であり。」
「悪い傾向を大量に持っている。」
「外部からの圧力が無ければ良策すら実行できないほど弱い。」
「民主制において優柔不断であったら弱いので圧力にすぐ負ける。」

檸檬。
「市民たちの行為に注意を怠ってはならない。」
「なにしに暴動をしていたのか。」

春雨。
「指導者のいないために統制がとれていない群衆ほど。」
「なにをしでかすか予測も立たず、恐ろしい存在はないのだが。」
「これほど脆いものもないのである。」

檸檬。
「群衆って弱いのか。」

春雨。
「指導者をもたない群衆は、無価値も同然の存在である。」

檸檬。
「あいつら存在する意味が無いのね。」

春雨。
「わたしの体験からも言えることだが。」
「人間の意見なるものがいかに偽りに満ち。」
「いかに誤った判断でゆがめられているかは、呆れかえるほどである。」

檸檬。
「利益重視で書かれているものを読めば得であるよね。」
「通俗的な書物はお金の無駄であろうし。」
「正攻法を選ぶほど勇敢であるし。」
「汚い手だけを使えば臆病者で卑劣である。」
「いずれにしも合理的な考えがお得である。」

春雨。
「自らの力量(ヴイルトウ)と判断力のほうを頼みにする。」

レッスンを遠くから眺めている。

春雨が過呼吸になる。

檸檬は諫める。

秋水。
「わたしってロリなんですか?」

雛菊。
「さあ?一部の人にとっては最強の女性らしいよ。」

飛燕。
「なんでもモテモテの対象なんだとか。」

秋水。
「そもそもロリってなんですか?」

雛菊。
「綺麗な女の子の事ですよ。」

秋水。
「はあ、ロリって超人なんですね。」

雛菊。
「主婦から見たらとっても好まれる女の子の事です。」

秋水。
「ねえねえロリってなに?」

飛燕。
「定義の説明は不十分でしょうか?」

秋水。
「あなた方の説明の方が正確無比でしょうね。」

雛菊。
「危うく他人に尋ねる所だったね。」

この所、レッスンが続いているようで。

しばらくは一緒に遊べませんね。

檸檬。
「ローマ共和制では。」
「公職に年齢が問題とされたことは一度もなかった。」
「国家が必要とする人物に対しては。」
「そのようなことは問題とするに足らないと思われていたから。」
「ただ力量によってのみ与えられた。」
「若年の者が選ばれれば。」
「熟練者り経験量とその結果である成果を超えるような。」
「めざましい業績をあげようと努めるはずである。」
「これを活用しないのは国家にとって損失であり。」
「力量のあふれる若者が老齢まで待たねばならないとしたら。」
「若い頃には発揮できたはずの大胆な気概や敏速な行動力を活用できなかったことになるからである。」

春雨。
「大人物は、国家が太平を謳歌している時代には、えてして冷遇されるものなのだ。」
「なぜなら彼の力量をもってすれば当然与えられるはずの地位や名声も。」
「人々の嫉妬心が奪ってしまうからである。」
「ギリシアの歴史家トゥキュディデス。」

檸檬。
「日本が平和な状態を続けるならば。」
「わたしよりは劣った者でも次々とわたしを追い越していけるだろうが。」
「戦時や動乱期ともなれば。」
「わたしに優れる者はない。」
「ただ一人の市民といえども、わたしに優るどころか。」
「わたしと並ぶ者さえ出てこない。」

春雨。
「優れた人物は平時にはそれにふさわしい評価を与えられないのが普通なのである。」
「力量に相応した活躍の場が与えられない。」
「自分より劣った人々がのさばるのを、静観していなければならないという。」
「二つの屈辱である。」
「共同体にとって有害この上もないのと同時に。」
「共同体の衰退に繋がる損失である。」

女性特有の敏捷性を発揮する姉妹。

雛菊。
「スーパープレーは得意。」

飛燕。
「文武両道なんて慶応義塾大学ならばいくらでもいる。」

雛菊。
「日本の有名な大学では文武両道なんて当たり前で。」
「二流高校でアピールするのはどうかと。」

秋水。
「若い人はそれでいいんだと思います。」
「失敗や人と関わる中で。」
「無駄な要素は削られていきますし。」
「これは自然な展開です。」

飛燕。
「そうだよね。」
「わざわざ批判する理由は無い。」

雛菊。
「コントロールしようとする態度が傲慢だよね。」

秋水。
「可謬主義ですよ。」
「人の知性は全て正しくないし。」
「正確性を欠いています。」

飛燕。
「哲学で基本として出てくる可謬主義。」

秋水。
「可謬主義とは。」
「人の知性に絶対は無いと認める姿勢も意味しています。」
「知性に絶対はない。」
「人の知性が百パーセント正確であることはありえない。」

春雨と檸檬は遠目で見ながら。

参拝して退場。

近くの大きな薬局に入場。

薬の知識を持つ店員に尋ねる。

知らない事。

分からない事は。

きちんとしている人にさっさと聞いてしまう。

春雨。
「ここで馬鹿につける薬があると聞いたのですが。」
「大量に必要なんです。」
「すべてください。」

店員。
「は?馬鹿につける?」

檸檬。
「我々に必要な治療薬なんです。」
「それがないと死人が出ます。」

店員。
「馬鹿につける薬はありませんので・・・。」

春雨。
「ああ!なんてことだ!私達は破滅だ!!」

店員。
「はあ・・・。」
「多分、頭が良くなるサプリメントならありますが。」

春雨。
「では、多分頭が良くなる薬をください。」

店員。
「こちらです。」

漢方薬を入手。

春雨。
「時間はすべての傷を癒す。」

檸檬。
「時間は偉大な治療師。」

春雨。
「英語の諺辞典って究極ですよね。」

檸檬。
「あれは切り札です。」

春雨。
「100年たてばみな同じだ。」

檸檬。
「言われてみればそうですよねー。」

汎用性がある春雨ちゃんは午後から。

古典マニアの集会に参加します。

檸檬は倫理の集会に参加します。

皆が臨機応変。

つぶやき。

この世で産まれたその日から戦えと命じられた。

この世で産まれたその日から命じられるがままに。

この世の姿を。

その眼で見てしまった。

信じられない。

産まれたその日その時から。

戦えと命じられた来た。

ただいろんな敵に囲まれてもひたすら戦い続けて来た。

どんなに敵だらけでも戦い続けていく。

どんなに敵だらけでも戦い続けるだけ。

どんなに敵がいても戦いをただ続けて。

敵が滅びるまで。



37


確実な平和は、期待されるだけの勝利にまさり、かつ安全である。

市町村を超えて。

須賀神社。

素戔鳴命神が助けた櫛稲田姫神と結婚し。

須賀という場所に来て清々しいと仰せになられた。

日本書紀では根の国へ移動し。

古事記では宮殿を建設して定住したとある。

本格的な刑罰ではなく。

高天原からの追放という形を取っているのは。

どんな狼藉でも処刑はしないという教え。

春雨。
「ぶつぶつ言いつつ結局は神々の決定に背いた事が無い。」
「ブレブレの私。」

檸檬。
「ことわざ。」
「罪を憎んで人を憎まず。」
「専門家によると。」
「犯した罪については憎むべきだが。」
「心を入れ替え罪を償えば。」
「それ以上その人を憎んではいけない。」
「英語の諺では。」
「罪を憎んで罪人のためには悲しめ。」
「とある」

雛菊。
「正論ですね。」
「勧善懲悪な人間のやり方は。」
「誰も賛成しないと思います。」

飛燕。
「善の裏は悪。」
「よいことがあればそのうちなにか悪いことがあるということ。」
「また善と悪とはまったく別物ではなく表と裏のようなものであり。」
「なにかのきっかけで善人が悪人になったり。」
「悪人が善人になったりするものだということ。」
「悪の裏は善。」
「善悪は水波の如し。」

春雨。
「勧善懲悪の結果が悪い場合は多々あります。」
「人は悪だと思ったものに無条件で怒って。」
「高圧的になる傾向がありますし。」
「そうならないように見極める訓練が必要です。」

檸檬。
「自己の内側にだけ求めても意味は無い。」
「自己の内側にあるのは半分以下で。」
「残りのものは外部にある。」

雛菊。
「外部に原因を求める事を止め。」
「内側に原因を求めても。」
「逆効果。」

春雨。
「ボーボワールの老いを読んで。」
「こうも理解できるとは思わなかった。」
「特に女性の脅威が色欲の対象になること。」
「私は貞潔なので。」
「結婚は避けますが。」

檸檬。
「悪循環を断たせて頂きます。」
「反出生主義はこれを引き合いに出せば?」
「反出生主義の証拠や味方なら歴史から大量に出てくるものですし。」
「優生政治。」
「優生学上不良とされる遺伝のある者の出生を防止する目的で。」
「去勢させた政策。」
「ナチスの蛮行があったので国家による強制を廃し。」
「個人の自己決定に基づく優生学であることが求められている。」

飛燕。
「それって生まれる前に子供が。」
「遺伝的欠陥を食らうのが目に見えています。」
「それで障害児が生まれたら。」
「完全に親の責任でしょう。」

雛菊。
「具体的な大義名分が揃ったら。」
「実力行使で強制するのが最終形態ですよ。」

春雨。
「力で押しのけて結果が良ければの話。」
「結果が悪ければ正当化できないよ。」

飛燕。
「封建制度は正しかった。」

春雨。
「文学の目的は良識に触れ合い。」
「あわよくば宝物にすることでもありますし。」
「ニーチェ曰く。」
「可能性は全て芸術作品に詰まっている。」
「なんていう言い回しもあるほどですからね。」

檸檬。
「超人の要素は芸術作品に出やすい。」
「おおよそ完全な作品は書いたことが無い。」
「すべて不完全になって。」
「私が思うに二十代後半くらいしか。」
「最高善に関するものは書けないと思っている。」

飛燕。
「最高善について論じていたのね。」
「どうりで引用が多い。」

雛菊。
「四十を過ぎた作家はこう批判されている。」
「出がらしのお茶を何度でもつくって出す。」

春雨。
「老齢と言えば。」
「良い印象しか持っていない。」
「三国志の黄忠などを見てから。」
「諸葛孔明にそそのかされて。」
「前線で戦った。」
「しかしあまりの強さに敵側は無残な敗走をして。」
「老将黄忠と老将厳顔の二人組だけに。」
「一方的な敗北を被っている。」
「劉備玄徳の重臣であるが。」
「元々は劉璋の家臣で。」
「味方に引き入れた将軍なのですし。」
「関羽に捕獲されて解き放たれると。」
「城壁から外周を走っていた。」
「関羽の帽子だけを射抜いて自らの力を証明した。」

飛燕。
「張飛は中年になると知略も抜群で。」
「囮を仕掛けて城を落とした事もある。」
「劉備玄徳も五十から活躍が目立っている。」
「髀肉の嘆。」

雛菊。
「日本では老齢の君主が存在感を示すのがよくあることで。」
「私が見た中年や老人の大半は。」
「何かに悩んでいる様子はなかったし。」
「むしろ一通り駆け抜けて何かを知ったかのような。」
「この世を知り尽くしたので。」
「期待も欲望もなく。」
「私の見た老人はその年齢が見返りを与えたとしか思えない。」
「加齢が彼らに何かを与えたのは確かであって。」
「それとは逆に。」
「よくいる老人がどうでもいい態度しかしないのは。」
「年齢や時運が味方しなかったからではないかと思う。」
「戦国武将では特に目立つが。」
「年齢が何かをもたらす資料は大量に発見できる。」

檸檬。
「年齢が恵みになった場合は。」
「地獄を作った事の無いような経歴を察する。」
「年齢が襲いかかった場合は。」
「まだ地獄を作ろうと必死になっている者が多い。」

春雨。
「実の所、老人の女性が笑い話をしている所を見たことがある。」
「違いは何かと問われると。」
「平穏の中にいた点。」
「年老いていく過程で何かを知らされた点。」
「若者の時代ですら謹んだという点など。」
「観察によるとそのくらいが少なくとも認められた。」

雛菊。
「謹んで進んで来た様子が伺える。」
「いろいろな世俗の要素を全部、慎んでいる雰囲気しかない。」

飛燕。
「世俗のものはほとんど無意味。」

春雨。
「世俗のものを求めるのは百害あって一利なし。」

檸檬。
「さりげなく。」
「第三者から見て善人の老人を。」
「模倣していたなんて。」
「若者が聞いたら。」
「失神するでしょうが。」
「若者に説くのはナンセンス。」

雛菊。
「善人の老人を目撃したら。」
「可能な限り観察しています。」

春雨。
「その老人とは身体にも精神にも。」
「何の異常もなく。」
「老人とは思えない人々だけれど。」
「知られずに立ち去っていく。」

雛菊。
「大体は二十代後半からやった行為の結果が。」
「六十代付近から出現して。」
「痛めつけていくので。」
「なぜかいろいろ謹んだ方が結果が良い。」

檸檬。
「諺にも。」
「極楽願わんより地獄作るな。」
「極楽往生したいと願うより前に。」
「地獄に落ちるような悪事をせぬように現世を暮らせということ。」

春雨。
「公式資料によれば。」
「知らずに犯した罪とのことで。」
「罪自体は厳格なものとは語られず。」
「仕方のないものという言い回しです。」

雛菊。
「私が知らずに犯した罪や穢れをきよめて。」
「きれいな気持ちで生きられるようにしてください。」
「と願うことです。」

飛燕。
「罪や穢れが先天的ではなく。」
「後天的に生じるもの。」
「具体的な刑罰については何の言及もありません。」
「要するに寛大が前提であるというお触れです。」

雛菊。
「必ず許される前提で掲げられています。」
「具体的な刑罰の概念はありません。」

飛燕。
「知らないうちに犯して穢れてしまう。」
「避けられないものである上に。」
「犯して穢れたら清めて貰いましょう。」
「そう書かれています。」

春雨。
「罪があるから罰という教えではないみたいですね。」

檸檬。
「罪と穢れについても寛容なのね。」

雛菊。
「本人はそもそも知りませんから。」
「寛容とはそういうことです。」

飛燕。
「厳格ではないです。」
「言っておきますが。」
「何回も何十回も参拝するくらい。」
「信仰を証明しないと。」
「おおよそ把握することは出来ないでしょう。」

春雨。
「では須賀神社に来たことは良かったのですね。」
「せっかくなので五百円。」

檸檬。
「十円玉を三十枚。」

雛菊。
「なんていう大胆不敵。」

飛燕。
「写真撮影しておけば。」
「後の道標になるよ。」

春雨。
「慣れてしまって。」
「自然に出来るようになりました。」

夕日と五時のチャイム。

須賀神社は全国各地に点在しています。

近くのお店に駐車していたので。

戻ってきて雑貨を買いました。

車で巡礼するのは工夫が必要かな。

メールが来ていたけれど。

スルーしてしまう。

内容。

創業は易く守成は難し。


38


VTuberのライブ配信。

VTuberと参加者が主催するイベント会場で。

後は観客がいるだけという構成です。

主役と観客とで切り離されていて。

主役の優先順位が高い観客にしか。

反応は来ません。

投げ銭という寄付をする人が出ますが。

主役に支払う好意なので。

主役側に観客側は大きく左右されるのが特徴です。

社会心理学の情報収集に威力偵察中。

春雨。
「時代が求めたもの。」
「懸念しているのは。」
「芸能人や人気者が全面的に運命にもたれかかっているので。」
「それが変転するとまずいと思う次第です。」

檸檬。
「人々は人気が高いものに飛びつくとは限りません。」
「他人に振り回されないで自分で決めるべきだと考える場合もあります。」
「人気があるものはわざと選ばないという場合もあります。」
「ベストセラーは敢えて読まないという人は結構多いようですし。」
「こうなると、人気と選択の関係は無いように思われます。」

雛菊。
「人気がある商品や人物を選んでも。」
「間違っている可能性はあります。」
「みんな自分の情報を使わずに他人頼みで判断しますので。」
「先頭にいる人々が間違うと。」
「後の人たちはその間違いを繰り返してしまいます。」

檸檬。
「彼らの選択が正しいという保証はありません。」
「人気だから素晴らしいという理由にはならない訳です。」

飛燕。
「他人の選択を観察することによって。」
「その人が持っている情報を推測することができます。」
「頼れるのは自分の情報だけです。」
「他人の選択が誤っている場合は。」
「自分まで過ちを犯します。」
「人気は統計上の情報なので。」
「具体的な理由が無い場合は警戒すべきです。」

春雨。
「問題はドミノ倒しのように。」
「全員が情報に振り回されて。」
「殺到してしまい。」
「人気が過熱してしまうことです。」

雛菊。
「つまりは人気は他人から得た情報であって。」
「自分の持っている情報ではありませんので。」
「具体的な理由も不足している状態では。」
「高確率で誤りを掴まされる危険があります。」

春雨。
「支持者は具体的な理由があります。」
「知識人や学者。」
「為政者などの支持者は理由を持っています。」
「選択した人々は自分の理由を持っています。」

雛菊。
「しかし評判となると。」
「他人から得た選択を観察して判断しなければなりません。」
「こうなれば自分の情報ではなく。」
「他人の情報で考察していますから。」
「裏切られる危険は常にあります。」
「その他大勢が支持しているからと言って。」
「最高の存在であると判断した時点で。」
「それは他人の選択や判断。」
「他人の情報によるもので。」
「乗っ取られてしまっています。」
「自分で判断したり発見したり。」
「確認したりする物事ではありません。」

飛燕。
「従って。」
「人気という情報を参考にすればするほど。」
「他人の情報や判断に乗っ取られていき。」
「なおかつ自分を保証してくれる客観的証拠は出なくなります。」
「人気という情報を鵜呑みにすればするほど。」
「他人の選択に巻き込まれていくわけです。」

檸檬。
「防ぐ方法は実際どうなのか確認する事です。」
「理由があるのかないのか。」
「証明や保証はあるのか。」
「市民の意見は自分が実際に確認した事が半数以上を占めています。」
「人気という情報に信憑性はあるのか?」
「人気の信憑性ついて考えたり。」
「信頼できる情報なのか。」
「実際の世界は繋がりによって構築されているため。」
「雑誌なら表紙になるとか。」
「テレビに出るとかで計測されがちですが。」
「そもそも人気とは何の事なのか。」
「この時代で人気という概念は何の参考にもならなくなっています。」
「誰でも理解できるのは力量。」
「即ち実力であったり。」
「第三者機関の審査であったりもします。」
「要するにみんな自分の情報を使わずにいるので。」
「特に賛美する理由が無い場合は朝三暮四であると言えます。」
「自分は好きだからとか最高だとかはその人の情報や判断なので。」
「それを問うのはナンセンスになりますが。」
「同調している場合が少なくないので。」
「そこは警戒すべき所です。」
「経済学。」

春雨。
「社会心理学から読み解くと。」
「形而上学からして。」
「同調している人間は個を持っていない。」

檸檬。
「同調は個の喪失を招く。」
「それは証明可能です。」

雛菊。
「同調している者は必ず個がありません。」

飛燕。
「個人や個体を持っていない。」
「なので自分というものを持っていない。」

春雨。
「極端な全体主義は。」
「個の喪失という現象を招きましたね。」

檸檬。
「何度も言いますが。」
「個を持たない人間は。」
「何の考えも持っていません。」
「だって、個が存在しない同調の最終形態は。」
「個を持つことを禁止するという。」
「そうなると。」
「個が存在しないのに生存しているという。」
「存在自体が矛盾している生物になりますが。」

雛菊。
「個が存在しない人間を想像してみるがいい。」
「集団やら同調やらを繰り返した結果。」
「ついに個を失って。」
「全体の意見を反映するだけの退屈な物体に成り果てた。」
「全体主義なんて言うものは個を否定しているので。」
「個というものを失って当たり前なのだが。」

飛燕。
「個人や個体を持たない人間が本当に出てきてしまった。」
「本来は人と言うもの。」
「いろんな考えや意見に触れあって。」
「参考文献として尊重する。」
「連携して世界を善い方向へ進めるものなのに。」

春雨。
「愚見や愚行に当たったとしても。」
「とんでもないよ。」
「主観とはそういうものですし。」

檸檬。
「どんな馬鹿な考えも。」
「主観主義とはそういうものなので。」
「なんとも思わないけれど。」

雛菊。
「社会心理学で説明される。」
「全体主義の害悪が末期症状になった。」

檸檬。
「全体や集団を引き合いに出すと。」
「その時点でおかしい。」
「本来は意見が一致する人は探さなければ存在しませんし。」
「ですので。」
「個というものを失った人間を見ているのは。」
「仲間にならなくて良かったという複雑な気分。」

春雨。
「哲学からしては。」
「個別的に物事を考えないのでは?」
「一般論で語ると多数決になると思われますが。」
「個別論で調べる事も必要です。」

飛燕。
「自由と言いつつ。」
「思いもよらなかった概念に浸食されたわけね。」

春雨。
「自由とは?」
「自由とはつねに何者かからの自由であり。」
「自由が束縛の対立物として考えられていないようなところでは。」
「自由は意味がない。」

雛菊。
「それ知っている。」
「無神論者なのに超級の分析を書いたという。」
「そもそも無神論者は認めないだけで。」
「攻撃することはないという。」

春雨。
「こうも言っています。」
「自由意志を否定すれば。」
「必ず宿命論にいたると考えた点で間違っている。」

雛菊。
「無神論者は宗教を否定していない。」
「これは不思議。」

檸檬。
「その著書知っています。」

春雨。
「宿命論が精力的な実践活動を必ずしも常に妨げなかったばかりか。」
「その反対に、ある時代には。」
「宿命論はそうした活動の心理的に必要な時代であった事を歴史は示している。」
「清教徒。」
「十七世紀イギリスにおいて、その勢力の点で。」
「彼らに勝る党派は他になかった。」
「マホメッド教徒たち彼らは。」
「短期間にインドからスペインに至る地球の広大な地域を従えてしまった。」
「ある一連の事件が必ず起こると確信しさえすれば。」
「それだけで起こるのを助けたり。」
「それに抵抗したりする心理的可能性がなくなる。」
「と考える人々は非常に間違っている。」
「唯物論と宗教的教義の組み合わせが実在した。」
「これを奇妙だと考える者は誰もいなかった。」

檸檬。
「では、よくいる無神論者は馬鹿という訳ですね。」
「哲学的に考察する無神論者は。」
「まるで別物じゃないですか。」

春雨。
「本来の無神論者は。」
「宗教を否定せず。」
「むしろ宗教と共存共栄する。」
「この著者はとても強い。」

飛燕。
「断片的には知っています。」
「歴史は人間がつくるという主体性のある態度は好ましく。」
「主観主義者は個人が取るに足らないものだと断定した。」

春雨。
「個人が影響を与える範囲は。」
「個人の才能にも左右される。」
「だが、個人がその才能を示す事ができるのは。」
「彼が社会でそれに必要な地位を占めるときだけである。」
「それが。」
「ルイ十五世の治世。」
「七年戦争の時。」
「社会に仕える能力もなければ。」
「その気もまったくない人間の手にあった。」
「そのフランスは敗北したのだが。」
「社会組織がそうだったからで。」
「その社会的重要性は組織で決定される。」

雛菊。
「良くも悪くも社会次第なんですな。」
「歴史から読むに。」
「敗北や破滅を招くのが実力主義の廃止。」
「愚かな!!」

春雨。
「なにやら自己主張する指導者が。」
「テレビに出ているよ。」

檸檬。
「大局を動かすのは。」
「指導者の力量が大きな要素だよね。」

雛菊。
「あれ?これってどこかで見たような。」

飛燕。
「ビスマルク辺りを引用しているアピールらしい。」

皇帝。
「諸君、我々には過去の歴史を無視することもできなければ。」
「また未来を作る事もできない。」
「時計の針を進め。」
「それによって時の歩みを早めているのだと。」
「考えるような誤りに対して。」
「わたくしは諸君に警告をしたいと思う。」
「わたくしが有利な解決をした事件に対するわたくしの影響は。」
「普通、大げさに誇張されているが。」
「それにも関わらず、わたくしに歴史を作れと要求しようなどと思いついたりする者は誰もないだろう。」
「諸君と一緒になっても、それはわたくしにはできないだろう。」
「全世界を向こうにまわして闘うことなら。」
「我々が共同すればできるだろうが。」
「我々には歴史を作る事はできない。」
「我々は歴史の作られている間、待たなければならない。」
「果物を熟すまでにもぎとれば。」
「それはただ果物が大きくなるのを妨げ。」
「台無しにしてしまうだろう。」

春雨。
「お見事な演説です。」
「我々には偉大な歴史事件はつくれない。」
「そこで我々は物事の自然の成り行きに順応し。」
「既に熟しているものを確保するだけに留めなければならない。」

飛燕。
「本物の無神論者の言い分は参考になりますね。」
「なにしろ敵対行動はひとつもない。」
「所で。」
「この祭壇はなに?」

春雨。
「御霊まつりですね。」
「神道の葬儀である神葬祭で。」
「私の家ではよくある祭壇です。」

檸檬。
「神葬祭って死者を神道式の祭壇で。」
「祭るという儀礼でしたね。」
「それだと墓地に礼拝する連中は。」
「氏子から見ておかしいですね。」

春雨。
「先祖とか。」
「何を言っているのか。」
「先祖と言った場合は天照大御神を意味しますが。」

檸檬。
「墓所礼拝を見れば誤った信仰である事は理解できますが。」
「迷信というものはそういうものです。」

春雨。
「ああいうのを見ると。」
「小乗仏教というものを見学したくなる。」

雛菊。
「一神教が優れているとか。」
「よくありがちな考えですが。」
「多様性を考慮しますと。」
「同じ仲間ですので。」
「優劣とか関係ないでしょう。」
「ローマ教皇は多様性を公認しておりましたが。」

飛燕。
「フレンドリーファイアだけは避けましょう。」

春雨。
「神社の公式資料を発見したので。」
「情報収集が済んだらライブ閉じましょう。」
「遠回しにVTuberを利用していたのですが。」
「合わない人は合わないですし。」
「夢中になる人はどこまでも参加していますね。」

雛菊。
「人の好みの話であって。」
「活動自体は肯定できますよ。」

春雨。
「VTuberの大半は性格が良いのですよ。」
「そこは参考になる部分です。」

飛燕。
「VTuberで性格が良い人はけっこういますよね。」
「能力的には見劣りするのが不満点。」

檸檬。
「それはそうですよ。」
「自分より上回る手練がいるなんて想定していませんし。」
「私は違和感しかなかったので。」
「けっこう調べました。」
「人気ということは逆に言えば。」
「市民が求めているものが集約されていることを意味しています。」
「最も。」
「市街地にいる市民にアンケートを実施すると。」
「嘘が言えないと思われますが。」

春雨。
「何もないよりは少しでもあった方がよい。」

雛菊。
「私も懐疑的に見ています。」

檸檬。
「いつの間にか。」
「公式資料が並んでいる。」

春雨。
「たまにお宮で配布されているんです。」
「公式資料なのです。」

飛燕。
「見落としていたかも。」

パンフレットを手に取る。

たまにお宮に置かれていて。

誰でも取れるようになっていたり。

説明書として配置されている場合もあります。

あまり見かけないので。

見つけたら写真撮影したり。

パンフレットを持ち帰るなど。

公式資料はかなりの貴重品です。

春雨。
「神様は親で。」
「私達は子です。」
「神様と人は親子関係にあります。」

檸檬。
「氏神様と氏子との関係。」

雛菊。
「これを理解すれば。」
「神々の決定や反応。」
「何をしてくれたかについて。」
「察することが可能になりますね。」

飛燕。
「神様の反応を霊感と言いますし。」
「神様がくれる恩寵を霊験と言います。」
「人間が出来る事なんて限られていますので。」
「人間の対処能力を超えた物事が増えているような。」

春雨。
「天意に背く場合は。」
「天に向かって罵ったり矢を放っているようなものなので。」
「天運は敵対者から離れていく。」

檸檬。
「ここで。」
「反出生主義について批判したいと思う。」
「居傲な人は悪徳なので。」
「実際以上を望むのは極端であって。」
「やめるべき。」
「そもそも不可能だからね。」
「反対に卑屈を押し付けられた場合は。」
「卑屈も悪徳のひとつで。」
「極端なものだから。」
「居傲も卑屈も悪。」
「反出生主義は矜持から述べている場合が多い点。」

春雨。
「矜持のある人の言っていることは真なのですから。」
「最大のものに値するし。」
「実際に値しますので。」
「反出生主義を引き合いに出して。」
「強引に認めさせるのはありえます。」

飛燕。
「矜持ある人は出生なんぞ。」
「猛反発しますよ。」
「いろいろ不当ですと。」
「注目すべきは。」
「矜持を持たない人はそれ以上のものは望めない。」
「醜悪な行為をする者が何かに値するとは思わないでくれ。」
「と言った具合に。」

雛菊。
「反出生主義は矜持ある人にとっては。」
「強力な武器になる訳です。」
「自分に押し付けられた悪徳を倒す理由になります。」

春雨。
「アリストテレス学派は安定した強さがあります。」
「中庸の美徳は矜持であって。」
「英語のことわざには。」
「極端はすべて悪。」

檸檬。
「矜持は美徳なのです。」
「居傲と卑屈は悪徳なので。」
「極端なのは居傲と卑屈です。」
「極端はすべて悪。」

雛菊。
「それって証明したってことですよね。」

春雨。
「断言と証明は別物ですし。」
「言葉で言っても証明できなければ。」
「理屈を言っているだけですからね。」

飛燕。
「証明したということで。」
「後は強制すればいいのでは。」

春雨。
「おおよそ力で解決できる物事もあれば。」
「強制していくことで解決できる物事もありますからね。」
「安定しているのは。」
「強要すればけっこう押せるという戦法です。」

檸檬。
「否定的な意見がありますが。」
「肯定的な意見も聞きたいのですが。」

雛菊。
「確かに否定的な意見は多過ぎるけれど。」
「肯定的な意見はほぼ無いですね。」

飛燕。
「否定だけで肯定が一切ないのは。」
「自白したのと同じでは?」

檸檬。
「むしろ否定的な意見の方が。」
「肯定的な意見より多いのは。」
「自白したようなものでしょう。」

春雨。
「あれ?肯定的な意見が何も出ない場合は。」
「公正でも公平でも無いってことを。」
「認めてしまった訳です。」

飛燕。
「言われるまで。」
「肯定的な意見を出すのを忘れていました。」
「今後、たくさん出しますね。」

檸檬。
「私は敢えて否定しているので。」
「肯定的な意見が出ないのですが。」

雛菊。
「敢えて肯定する人もいますよね。」
「反対に肯定的な意見しか存在せず。」
「否定的な意見が全く無いという場合も。」
「自白したのと同じです。」

春雨。
「肯定だけで否定がひとつもないのは。」
「パラドックス。」
「肯定的な意見だけしか無ければ。」
「不正を疑うべきでしょう。」
「英語のことわざ通り。」
「みんな否定したら、みんな白状したのと同じ。」

檸檬。
「その反対を想定すると。」
「みんな肯定したら、みんなインチキしたのと同じ。」

飛燕。
「やっぱり似た者同士。」

檸檬。
「真の友人。」

雛菊。
「連携が取れている。」

春雨。
「氏子という点では親族ですからね。」

インターネットそのものはデータリンクとしては活用可能ですが。

インターネットを使用する人間に大きく依存します。

インターネットをどうするかは人間が決めてしまうもので、使い手次第です。


39


日曜日に来客。

男の子?女の子?

見分けがつかない人が来ました。

春雨。
「いらっしゃい。」
「特殊な雰囲気ですね。」

風玲紗。
「連絡していたふれさだよ。」
「いかにも育ちが良さそうな女の人。」

春雨。
「あれ?口説いています?」

風玲紗。
「え?けっこうな美人さんだから。」
「そのままを。」

春雨。
「あれま男の子が見るとそうですか。」

風玲紗。
「いや私は女の子です。」

春雨。
「はい?あれ?女の子?」

風玲紗。
「男の子か女の子か分からないってよく言われるわ。」
「中性的ってレアケースだからね。」

春雨。
「男装しているのでわかりませんでした。」
「いやあ。」
「こういう女の子もいいですね。」
「見れば見るほど好きになる。」
「泊っていきませんか?」

風玲紗。
「残念だけれど。」
「同行者がいるって。」

春雨。
「私のお母さんの姉ですね。」
「すぐに来てくれますので。」
「お茶をどうぞ。」



応接間。

絵画の名前と内容が謎。

お茶とお菓子が来る。

風玲紗。
「人類嫌悪。」
「なんか私の心境と似ているような。」
「人間なんてものがこの世にいなければいいのに。」
「なんて書いてある。」

春雨。
「出生を逆手に取った絵画らしいです。」


風玲紗。
「それは私が教えられたものに似ています。」
「出生を逆手に取る。」
「いろんなものを逆手に取る方法はよく教えられました。」


春雨。
「最悪な作戦は。」
「生まれてから行動の自由を得た瞬間。」
「生まれた先をすべて裏切る行為です。」
「親や周囲の人間は使い捨て。」
「実はこれが強力なカードで。」
「何者かにいいようにされないための切り札。」
「こうなると敵対者は増えますが。」
「何の強制もできませんし。」
「裏切られるというのは反乱なので。」
「戦う事の出来ない平民は無力です。」
「暴挙かもしれませんが。」
「正当防衛を目的に先制攻撃をする作戦です。」

風玲紗。
「両親はいかに健全に育てるか。」
「子供の育て方を知っていて。」
「定期的に検査しつつ。」
「あなたと似たような事も伝えてきました。」
「いわゆる全体の否定。」
「全体の概念が消え失せた個人を徹底しました。」

春雨。
「私も全体なんてものは多数決ですと。」
「全体なんてものはないんだと。」
「かなり徹底されました。」
「両親が社会心理学に精通していましたので。」
「むしろ全体は嘘をついているのだと教えられました。」
「これは本当の事でした。」

風玲紗。
「女性も個別論で考えなさいと。」
「一般論は通用しないと教えられました。」

春雨。
「性別について母に問いかけると。」
「女性像なんて偶然定まった勝手なルールだよと。」
「そういうのは偶然の産物で。」
「根拠や論拠なんて存在しないんだよ。」
「だから存在しない定義であると教えられました。」

風玲紗。
「女性は結婚すれば一生。」
「色欲で苦しみますから。」
「毎日のように色欲を受けます。」
「男性は平気なので。」
「結婚そのものを損得勘定で判断した方が良いのです。」
「私の言った事はずっと未来に理解できるでしょうが。」
「その時では遅いですしね。」

春雨。
「私はよく言っています。」
「結婚を否定して。」
「恋など滑稽なものであると嘲っています。」
「強制しようと試みる敵対者には。」
「罵るくらいならかかってこい。」
「反対するなら私と戦え。」
「相手は向かってこないですね。」
「自分のルールとは違うからという理由で敵対行動を取る。」
「そういう本物の悪人を退けて自衛する訳です。」

風玲紗。
「お人好し野郎共には理解できない世界の姿ですよ。」
「お人好しは残念ながら言っている事が意味不明。」
「性悪説を支持すればやっぱり戦い易いですよ。」
「人間は悪であるという前提が論理にかなっている。」


春雨。
「イデア。」
「神々が私に見せてくれました。」
「というより連れて行ってくれました。」
「あれを見せられると。」
「再び戻された時に違和感しかないです。」
「イデアを見た後に見ていない囚人の様子は挙動不審。」
「神々が全てから抜け出させて見せてくれたイデアは。」
「雰囲気や思想まで清潔で美しかった。」
「別世界です。」
「しかし戻る時が来て囚人に混ざると。」
「彼らが何を言って何を見ているのか理解出来なくなりました。」
「見解や認識が根本的に食い違うんですね。」
「でも彼らは酷く殺風景な世界を本物であると確信しています。」

風玲紗。
「なんと。」
「プラトンが理解できるまで。」
「かなりの熟練度が必要ですよ。」
「早熟ですね。」


春雨。
「超自然的な体験のひとつがイデア論の内容です。」
「イデア論は太陽の比喩や線分の比喩。」
「洞窟の比喩などがある。」
「イデアの世界を実際に見た人ではないと。」
「指導者にはとてもなれない。」
「イデアというものを見せられた人は。」
「もう一度、洞窟に入れば。」
「洞窟の囚人に現在許されている事を決して許さない。」
「洞窟の囚人とは言い争いになったり。」
「激しく対立する。」

風玲紗。
「そこまで解読しているのか。」
「むしろそれが当たり前なのかな?」


春雨。
「そしてイデアに一度でも行った人は。」
「囚人のような生き方をするくらいなら。」
「どんな残酷な事をされても良いとまで言い切る。」
「そして囚人とはどんなものでも分かち合おうとはしない。」
「洞窟の囚人にとってイデアを見た人は間違っていると思い込むし。」
「イデアに連れて行ってもらった人は洞窟の囚人が全面的に誤りであると理解している。」
「超自然的現象かと思われますが。」
「イデア論を実践した人と洞窟の囚人に当てはまる人とは見解が完全に食い違います。」
「イデアを見た人は真理を言いますし。」
「洞窟の囚人は自分の見ている世界が本当のものであると信じています。」
「指導者はイデアを見てそれを説くのが理想で。」
「超自然的な体験のひとつがイデア論の内容です。」

風玲紗。
「なるほど。」
「プラトンが見たのはそのイデアであって。」
「他の人は見えなかった。」
「古代ギリシアはどこにでも神殿があって。」
「由緒が書かれた看板があり。」
「それぞれに崇敬者がいたという。」
「神父さんのお話がありました。」
「ギリシア神話が基礎なら。」
「そうした形而上学から見るイデアはありますね。」

春雨。
「古典が好きで古典しか読みませんので。」


風玲紗。
「古典がいっぱい並んでいる。」
「古典のコレクターなのかな。」


春雨。
「時計も家具も西洋で流行った品々です。」


風玲紗。
「なんか趣味がいいね。」
「美術品が目立つ。」
「ドレスソードのレプリカもあるんですね。」
「目が離せない。」

春雨。
「私もあなたから目を離せない。」

風玲紗。
「私が趣味?」

春雨。
「はい、好きです。」

風玲紗。
「なぜか昔から女の子に強姦されるんだなあ。」
「嬉しいけれど。」

春雨。
「本当に女の子だよね?」

風玲紗。
「確かめてみる?」

春雨。
「それは遠慮します。」
「送迎なのですが。」
「どうも空港が怪しいらしくて。」

風玲紗。
「私もハイジャックされる危険があると推測して。」
「どうにも無理心中するとか。」
「要するに巻き込んでの自殺を企てる集団が。」
「何やら動き出したようで。」

春雨。
「犯罪なんて隠れているだけで。」
「小さな事件ならありふれていますからね。」
「重犯罪しか報道されないので。」
「不審者なら、大量に湧いています。」

風玲紗。
「判断材料として犯行をほのめかす動画が上がっていますので。」
「表向きは悪ふざけの内容なのですが。」
「私も成功報酬として提示されて。」
「芽を摘んでしまおうという予備役の作戦です。」

春雨。
「珍しい沖縄旅行ですからね。」
「遭遇したら大変です。」

風玲紗。
「そいつらは那覇行きの便に搭乗する事が決まっているので。」
「先回りしますが。」
「なんとかなるでしょう。」

春雨。
「どのくらい戦闘力があるのか楽しみ。」

風玲紗。
「とある場所で百人斬りしまして。」
「ひとりで歩兵一個中隊に匹敵するとか。」
「今はろくな武器を持っていません。」
「本来はドローン・パイロットですからね。」

春雨。
「なんか血の匂いがすると思ったら。」
「なぜだかもっと好きになりました。」

風玲紗。
「なぜか女の子に惚れられるんだなあ。」
「でも襲わないでね。」

春雨。
「準備が出来たそうです。」

移動開始。

ニュース。

この時代に発生した。

珍しい大規模戦闘。

春雨。
「世界情勢は移り変わっていて。」
「仮想敵国が存在しなくなった世界は。」
「どうなることやら。」

風玲紗。
「敵を一方的に倒せるなんて思わないことだよ。」
「まったく。」

春雨。
「反戦論としては一度、苦戦すれば。」
「敵の方に勝算が出てしまいます。」
「歩兵が優秀ならば大抵勝てますね。」

風玲紗。
「いくら兵器が優秀でも。」
「歩兵が駄目なら軍隊も駄目。」
「ムジャヒディンとかどんだけ強かったんだい。」
「ソビエト連邦を追い払う実績。」

春雨。
「女性が兵法について言及するとは。」
「思えば。」
「女性は何か強制力が無いと変われませんね。」
「無理に変えられてフェミニズム運動が生じたり。」
「外的要因で変わる事はあっても。」
「内的要因で変わる事は女性には無いかと。」

風玲紗。
「なぜだろう。」
「何千年も同じ事を繰り返して。」
「満足していたような。」

春雨。
「諸説あります。」

風玲紗。
「諸説あることばかり言及していない?」

春雨。
「やっぱり諸説ありますよね。」
「インタビューした事があります。」
「結果?」
「話せるから利口とは限らん。」

ターミナルに到着。

どこかに潜んでいる何者か。

警備員が増員されているのは。

具体的な証拠があるから。

風玲紗。
「あっちの集団。」
「無言ですな。」
「そんな気配がありませんし。」
「予告時間を過ぎても。」
「凶器となるものも発見されず。」

春雨。
「単なる悪ふざけでは?」

風玲紗。
「もし仕留めると金一封ですから。」
「ついでにやってしまおうと思っていた。」

真冬。
「最近の若い子は考えている事が違うのね。」

春雨。
「急に高度化した世界に居ますからね。」
「慣れているんです。」

風玲紗。
「ねえ?そこのイケメン野郎。」
「いい獲物を持っていますね。」

野郎一。
「はあ・・・。」

風玲紗。
「それって合法な道具ではないですよね。」

野郎二。
「そうだね。」

風玲紗。
「威力ってちょっと足りないですね。」

野郎一。
「だからどうした。」

風玲紗。
「見つけたよ。」

野郎二。
「只者じゃないな。」
「逃げるぞ。」

春雨。
「あれが例の乱暴者?」

風玲紗。
「もう認めたようなものでしょう。」
「追いかけても一分で逃げられますね。」
「向こうに搭乗しましたか。」

真冬。
「あら物騒な。」

春雨。
「たいした武器を持っていないようですし。」
「警備員に任せましょう。」

風玲紗。
「ボディガードが今回の任務ですし。」
「後は帰って来るだけのようです。」

解散。

春雨ちゃんが事情を説明。

警備員。
「不審者?」
「それは確認してみる必要が大いにある。」

裏側で処理されて混乱なし。

テイクオフ。

既に離陸した別の飛行機内で。

犯人グループは棍棒を持ち出して。

暴れるのです。

機内にて。

クラブ(棍棒)を持って威嚇。

暴漢一。
「俺はプライドからして。」
「こいつらを殴っていい。」

暴漢二。
「享楽主義者め!」
「そんな奴らは苦しめばいい。」

暴漢三。
「こいつらね。」
「生きてても死んでてもあんまり変わらないと思うけれど。」

不良少年。
「なんだと?今なんて言った。」

市民。
「おい!こいつら思ったよりたいした事ないぞ。」

暴漢二。
「俺だっていろいろあったさ。」
「アフリカに寄付金を出したりね。」

夫人。
「自国民はどうでもいいのですか?」

不良少年。
「アフリカ?そんな場所にむやみに金を出せば。」
「汚職の餌食だぞ。」
「横領されてオチだ。」

暴漢三。
「俺は散々に不遇の日々を送ってきた。」
「だから、お前らは一緒に死ぬべき。」

青年。
「それはあなたが原因ではありませんか?」

暴漢一。
「わかってくれ、人類は皆兄弟だ、だから俺達のために。」
「この飛行機くらいは勝手にさせてくれ。」

紳士。
「さっきから泣き落としばかり言いやがって。」

不良少年。
「なんか蛆虫みたいに気持ち悪いから。」
「やっちまおうぜ。」

青年。
「棍棒なんて食らってもたいした事ないしな。」

市民。
「実はね。」
「格闘技を長年やっていまして。」
「残念ですが。」
「死んで貰うしかないね。」

暴漢一。
「うああああああ!」

暴漢二。
「こっちには棍棒があるんだぞ!」

暴漢三。
「やめてくれー!!」

市民一同。
「三人組を全員で排除すれば全員解放される。」
「三人組に全員で従えば全員殺される。」

特殊部隊。
「では、調子に乗るのもそこまでということで。」

乱闘発生。

犯行グループ。

思ったより弱くて乗客に鎮圧されました。


40


次から次へと窃盗や強盗を繰り返す。

奇妙な犯人がいまして。

どうやら次に目をつけたのは私の所。

怪しい人影が頻発するので。

風玲紗ちゃんに相談したのです。

春雨。
「最近の人間は禁忌ばかりして。」
「故意に禁忌をやっていますね。」
「わざとですね。」
「むしろ禁忌を楽しんでいますね。」

風玲紗。
「あれは。」
「タブーであると知っていてやっていますね。」
「好き勝手に。」
「いくらなんでもやり過ぎでしょう。」

春雨。
「人間のやった禁忌に巻き込まれる。」
「でも残念ながら人間って正当化がお上手なのよね。」

風玲紗。
「人間っていつの間にか嘘や作り話がとってもお上手なのね。」
「生まれた瞬間からあらゆる欺瞞に自衛しなければなりません。」
「例えば優しさを煽ってくる人間がいたら。」
「優しさのせいでかなり弱くなります。」
「弱いからギャング・エイジの攻撃対象になる訳で。」
「最初から武士道を教えていれば。」
「攻撃されなかったとか。」
「周囲の人間が間違いを教えたせいで。」
「子供が欺かれる。」
「これは両親や教師の過失です。」

春雨。
「最近の人間なんて禁忌を平気でしますからね。」
「女性とはこういうものだと設定して。」
「それに従うように教育したり。」
「はっきり言ってルールを破壊して。」
「裏切りを重ねた方が束縛から解放される頻度が高いです。」

風玲紗。
「弁護士の技術で相手を論破したり。」
「相手にいろいろ言わせておいて。」
「・・・というのがこの人のルールだそうです。」
「なんていう殺し方も教えられました。」

春雨。
「私はあらかじめ想定される反論すべてに。」
「反駁しておいてから自分の意見を言うように。」
「戦術を徹底されました。」
「弁論術に長けたギリシア人の必殺技だそうです。」
「やっぱり似た者同士ですね。」

風玲紗。
「頭脳明晰な方にお勧めしたいのは。」
「これまでのその人の経過を見る。」
「そして結果論でどのような展開があったかをおさらいする。」
「そうすれば生まれた時点での設定そのものが推理できる。」
「結果論でどのような展開になったかを読んでしまえば。」
「過去の経過がもたらした結果から。」
「生まれた時点の全ての設定を推理可能で。」
「その分析から次の展開もある程度読めてしまえる。」

春雨。
「今から未来を読むのではなく。」
「逆手に取って。」
「過去がどうあったかによって未来の展開を読むのです。」
「必ずどう設定されていたかについての作戦をカンニング可能です。」
「どんな計略も見破れるものです。」
「生まれた瞬間から今までの展開をまずまとめて。」
「どのような方向や作戦を持っているか。」
「どのような策略で進んでいたか。」
「それが分かれば次の展開は既に知っているようなものです。」
「逆手に取って結果論で初期設定そのものを読むという推理ですので。」
「生まれた時点では分からないはずなのですが。」
「ある程度、経過すれば過去がどうあったかによって。」
「どのような流れでどのような作戦を食らっているか読めてしまえます。」
「過去はどうで結果論でこうなるならば、生まれた時点の設定は次これをするはず。」
「はっきり言って策士になれるのですが。」
「面白いくらいネタバレを起こすので。」
「頭脳明晰な方は試みるとアドバンテージを作れます。」

風玲紗。
「狂気の力は人間の理解を超えている。」
「狂ったように強い。」
「誰も手に負えない。」

春雨。
「原因を内的な部分に問いただしても。」
「殆ど無意味。」

風玲紗。
「本人の原因だけを問うのではなく。」
「環境や他人に原因を求めることも重要です。」

春雨。
「なぜなら外的な原因が大半ですから。」
「自己の内側にだけ原因を求めても意味はありません。」
「外的な要因に責任の所在を確かめ。」
「外部の原因を排除する必要はあります。」

風玲紗。
「私はこの世界の悪しき部分は熟知しています。」
「この世界の良い部分はそこまで知りませんが。」
「どちらかと言いますと。」
「この世界の悪い部分は常に隠れています。」

春雨。
「この世界の悪い部分は奇襲したり。」
「さりげなく出現して猛威を振るいます。」

風玲紗。
「悪の部分を見るか食らうまで。」
「自己の内側に原因があると信じるでしょう。」

春雨。
「本物の悪人は攻撃の口実に。」
「自己の内面にだけ目を向ける人間の態度。」
「これを利用して相手のせいにします。」

風玲紗。
「本当に、外的な原因が多く。」
「それを排除できないのは危険です。」

春雨。
「環境や周囲の人間などに原因を求め。」
「自己の内側にはあまり目を向けない方が良いのです。」

風玲紗。
「希望は不死身。」
「希望は死亡しますが。」
「霊体になってその後も影響を及ぼします。」
「霊体になっても希望は残り続けます。」
「はっきり言って希望は不死身です。」

春雨。
「人は環境や他人が原因だと。」
「あまり信じないようで。」
「内面をなんとかすればどうにでもなると。」
「幼稚な理屈を言い続けています。」

風玲紗。
「一度も他人から殴られずに。」
「さらには一度も攻撃されずに大人になった奴ですよ。」
「そんなものが一人前のように語るべきではないよね。」

春雨。
「何も学ばずに大人になったせいで。」
「根拠もなく一人前であると名乗っていますし。」

風玲紗。
「敵対者なら世に出れば一人か二人くらい出ますよ。」
「それが敵であると認識できるかは怪しい所ですが。」

春雨。
「知らないうちに敵の策略にやられている事案が大半ですし。」
「わかりやすい敵対者がいまして。」
「けっこう富裕層が狙われているそうで。」
「先ほど、伝えた通りです。」

風玲紗。
「せっかく出会ったんだし。」
「なんとかするよ。」
「ちょっと道具借りるけれど。」
「今夜が狙い所かな。」

風玲紗ちゃんは行動開始。

罠を異常なほど張り巡らせ。

夕方頃に手応えがありました。

落とし穴にハマった犯人。

庭に出ると侵入者がもがいています。

春雨。
「監視カメラで出てくる泥棒ですね。」
「罠で動けないようです。」

風玲紗。
「足を痛めたようですな。」

乱暴者。
「油断した。」

風玲紗。
「ちょっとお縄にしたい。」

春雨。
「なぜ狙ったのか知りませんが。」

乱暴者。
「つまらない目的ですよ。」
「ニュースに載るんです。」

春雨。
「本当につまらない目的ですね。」

乱暴者。
「この野郎!」

ナイフを取り出して攻撃を仕掛けますが。

もて遊ばれる乱暴者。

まるで相手にならない。

何発か殴ると乱暴者が怯む。

乱暴者。
「遊んでいるのかな。」

風玲紗。
「ホーミングが弱いね。」
「ザコが相手ですか。」

乱暴者。
「見え見えの挑発をするんじゃない!」

風玲紗の攻撃。

やりたい放題に警棒で殴って。

犯人が負傷。

乱暴者。
「俺は強いんだぞ!」

風玲紗。
「そこまでボロボロになって。」
「俺は強い!なんて言葉は無いかと。」

乱暴者。
「強いから強いんだ。」
「俺は強いから既に勝利した。」
「だから俺が勝つべきだ。」

風玲紗。
「もう立てないようですが。」
「ナイフの使い方がなっていないし。」
「素人臭いよ。」

乱暴者。
「俺が強いと言ったら強い。」
「だから勝てる。」

風玲紗。
「いい道化っぷりですねっ!もはや芸術作品ですねぇ!」

春雨。
「パトカー到着に時間が必要です。」

乱暴者。
「くそっ!悪者に負けてたまるか。」
「警察官?はあ?捕まる訳ないだろ。」

春雨。
「大丈夫ですよ、彼はあなたと違って有能ですからね。」

乱暴者。
「正義が悪に負けるだと?」

風玲紗。
「その悪とやらに負ける気分はどうだ!」

乱暴者。
「うわああああ!」
「僕が弱者なんて認めないぞ!」

風玲紗。
「御名答!強者が正義だ!」

春雨。
「善とは弱者の利益の事ですよ。」

乱暴者。
「僕は強いんだぞ!!」

風玲紗。
「自信が増せば、その分挫折も大きくなる。」

乱暴者。
「俺は強い、だから既に勝った。」

風玲紗。
「よかろう、うぬぼれが二倍なら、挫折も二倍だ。」

乱暴者は弱っている。

どこからか。

目撃者が侵入。

イレギュラー。
「僕も仲間にしてください。」

乱暴者。
「ほう、なかなか聞き分けがいいようだ。」

イレギュラー。
「冗談ですよ冗談。」

乱暴者。
「ぐぎゃああ!」
「目がーっ!!目が!!」

風玲紗。
「催涙スプレーじゃん・・・。」

侵入者は逃げ出しました。

犯人をいくら殴っても起き上がるので。

これは異常な相手であると追跡せず。

乱暴者。
「お前はどうしようもない奴だ。」
「俺は最後の逃げるチャンスを与えてやったんだ!」

警察官。
「いままで逃げてたくせに、よくもそんなことが言える!」

この指名手配犯は手榴弾を取り出しまして。

犯人は自爆。

近くの橋が破損しました。

そこら辺の奴らとは勝手が違ったようで。

結果的に敵がいなくなりました。


41


テレビでニュースを観てせんべいバリバリ。

余暇をどうするかマシな選択。

議会にて。

黙って議論を聞いていたとある議員が。

いきなり立ち上がって叫びました。

高村鋳造議員。
「ここにいる政治家達の半分は大馬鹿野郎だ!」

それを聞いた他の議員は怒って。

七村倒木議員。
「なにを言うんだ!」
「議員に謝罪と訂正を要求する。」

非難されて。

とうとう壇上にまで上げられた議員は頭を下げて言いました。

高村鋳造議員。
「さっきの言葉は訂正します。」
「ここにいる政治家達の半分は大馬鹿野郎ではありません。」

七村倒木議員。
「・・・・・。」

一部の議員は笑っています。

春雨ちゃんむせる。

夕方。

待ち合わせに遅刻したものの。

喫茶店で寝ていたメンバー。

檸檬。
「数十分くらい遅れて当然だよ。」

雛菊。
「あれ?まだ寝てていい?」

飛燕。
「外国だと定時にはバスとか電車来ないよねー。」

本屋でいろいろ資料を購入するのです。

店員に尋ねました。

春雨。
「平和国家・日本という本は置いてありますか?」

店員。
「ええあるわよ、そこのファンタジーノベルの棚に。」

春雨。
「ああそういう分野なんですね。」

飛燕。
「色欲満載の雑誌があるとのことで。」

店員。
「それもファンタジーノベルの方です。」

街頭演説の車が来る。

七村倒木議員。
「とある国について言及したい。」
「無能で傲慢な指導者のために経済は滞り。」
「街は失業者で溢れている。」
「国際社会と協調することもなく。」
「周辺諸国に脅威を与えている。」
「こんなに恥ずかしい国は他にない。」

市民。
「なんだと!俺達の国を罵ってやがるぞ!」

七村倒木議員。
「いえ、決して我が国の事では・・・。」

市民。
「しらばっくれる気か!?」

紳士。
「やめなさい相手はお偉いさんです。」

市民。
「よくも俺達を馬鹿にしたな!」

女の子。
「やめて!私達の国を馬鹿にしないで!」

母親。
「大声で喚いたり、わがままを言ったり。」
「そんなはしたないことばかりしていると。」
「誰もお嫁にもらってくれなくなるわよ。」

女の子。
「でも、私、そんな人と結婚した男の人。」
「一人だけ知っているわ。」

母親。
「誰よそれ?」

女の子。
「お父さんよ。」

市民。
「結婚なんてしなくていいのに。」
「拒否すれば?」

母親。
「そうしたんですよ。」

市民。
「ああ・・・なるほど。」

セールスマン。
「このパソコンを買えばあなたの仕事は半分になりますよ。」

庶民。
「では二つくれ。」

市民達。
「令嬢がいるぞ。」
「噂通りの美人だあ。」

春雨。
「私は年内に。」
「百人の善良市民を破産させて。」
「ひとりの自転車修理工を自殺に追い込みます。」

市民達。
「自転車修理工ですって?」
「それはおかしな話ですね。」
「いったいなぜですか?」

春雨。
「ほらほら、誰も善良市民の事なんて何とも思ってないでしょ?」

市民達。
「やられたー!ナゾナゾだったか!」

庶民。
「引っ掛けられた。」

紳士。
「好みのタイプは?」

春雨。
「男の子みたいな女の子ですね。」

紳士。
「男性ではいけないようですね。」

春雨。
「なぜそんな前提が存在するのですか?」

紳士。
「分からない、いつの間にか存在して。」
「他人のルールで廻っている社会。」

檸檬。
「ではそれを倒して進んだら?」

紳士。
「無念!!」

雛菊。
「逃げちゃった。」
「足が速いなあ。」

飛燕。
「とりあいず資料は手に入ったし。」
「次は古本屋に行こうよ。」

春雨。
「古本屋には掘り出し物があるというのが。」
「お約束ですからね。」

檸檬。
「ここら一帯の古本屋はコンプリートしておくか。」
「獲得した本は山分けとか。」

春雨。
「いいですね。」
「知的財産は我々が欲しいがままにするのです。」

雛菊。
「知的財産という価値を知らずにいる市民。」

飛燕。
「知らない間に貰ってしまおう。」

公園で計画図を作成。

知的財産のトレジャーハントを実行することにしました。

もう夜になるので解散。


42


とある日本庭園の池。

飛燕。
「見ててよ。」

ひょいひょいと水面を飛び跳ねて向こう岸に渡った。

檸檬。
「水面を歩いた?」

また水面を飛んで戻ってきて。

つぶやいた。

檸檬。
「なるほどそういうことね。」

春雨。
「手品ですね。」

雛菊。
「地元では有名なんだけれどね。」

檸檬は飛び跳ねて向こう岸に渡りました。

不思議そうに見ている観客。

水の底にブロックがあって。

水位が低くなると見えるのですが。

普段は見えませんので。

そのタイルを確実に渡れば水面を走って渡れるのです。

春雨。
「別の場所には水面下に隠れる道になっていて。」
「水位がかなり低下した場合にしか見えない構造をしています。」
「平均値で渡ると靴が水没しますが。」
「底にあるブロックで作られた道の通りに行けば。」
「水面を走ったように見えます。」

雛菊。
「海外の動画撮影で使われた。」
「仕掛けのある池なんですよ。」

飛燕。
「失敗すると落下するので。」
「水底にあるブロックの配置が分からないと。」
「池に飛び込んでしまいます。」

水面を飛び跳ねて仕掛けに気づく観光客。

同じ事をやった男性が水没しました。

近くに行っても見えないんですよ。

雛菊。
「向こうで沈没した人々が。」

飛燕。
「同じ事やっても差が出るんですね・・・。」

檸檬。
「メール来たぞー。」

春雨。
「大震災に支援に行った仲間の話。」
「被災地のボランティアが老婆に尋ねた内容。」
「今、一番欲しいものは何ですか?」
「老婆は答えた。」
「一億円。」

檸檬。
「それは欲しいわ。」
「正直な回答だわ。」

春雨。
「用事があるので。」
「予定通りに離脱します。」

檸檬。
「独り占めしていいの?」

飛燕。
「なにをするんですか?」

檸檬。
「なにをしようか?」
「もちろん頭脳派の遊びで。」

雛菊。
「ホテル。」

檸檬。
「そんな馬鹿な、頭脳派がそんな遊びするものか。」

春雨。
「あはは・・・。」

解散。

春雨ちゃん。

下請けの社長と雑談。

社長の息子の相手が誰がいいのか。

助言を女性に求めたので。

春雨ちゃんが縁談について取り決めをしています。

七夕家社長。
「縁談について男性が決めることは適していませんし。」

春雨。
「古くから女性特有の役割ですからね。」

七夕家社長。
「歴史のある方法で息子三人に良い嫁を連れてきてくれ。」

春雨。
「まずは候補ですかね。」

今回は候補から検討します。

社長はとても厳しい人で。

少しでも怠惰な社員がいたら。

すぐにクビにしていたもので。

話が終わると。

社長は抜き打ちで社内を見学したのです。

社員達は真面目に仕事をしていたので。

社長は満足して社長室に戻ろうとしたが。

その時、会社の中庭で壁に寄りかかりながらタバコを吸っている一人の若い男を見つけたのである。

社長は激怒して震えながら男性に近づき。

七夕家社長。
「お前は週にいくらくらいもらっている?」

男性は笑顔で。

青年。
「三万円くらいですかね。」

社長は自分の財布から三万円を取り出し。

男の手に握らせた。

七夕家社長。
「これでお前はクビだ、わかったらさっさと出て行け。」

男性は会社の敷地から出て行った。

社長が近くにいた社員に聞いた。

七夕家社長。
「なんだあいつは!どこの部署の者だ?」

社員が答える。

社員。
「はい、彼は宅配に来たピザ屋です。」

七夕家社長。
「なんだピザ屋か・・・。」
「はあ?」

社員。
「お昼のピザ屋です。」

七夕家社長。
「・・・・・。」

春雨ちゃん。

遠くから見ていてくすくす笑う。

やがては女性の主宰になる自分は。

準備を怠るような真似はできないと。

密かに鍛錬しているのでした。




43


本宮山 奥磐戸神社(ほんぐうさん おくいわとじんじゃ)

第二東名の遠州森町スマートICから発進。

駐車場から。

三十分くらいの登山。

雛菊。
「礼拝のない神学はなく、神学のない礼拝もありません。」
「礼拝の純度は。」
「神学的理解の深さに正比例しています。」
「神学論争といった場合。」
「結論が出ない無意味な抽象的議論を指す場合が多いです。」

飛燕。
「そもそも、すべての人は、なんらかの意味で神学者です。」
「無神論、不可知論、有神論と言った具合に前提を選んでいます。」
「正しい神学と誤った神学の違いは何か?」
「合致している神学と迷信の神学とは何か?」
「誤った情報をいくら積み上げても。」
「真実の神学を構築することはできません。」
「神様に関する最高の情報を収集することが大切です。」

春雨。
「礼拝しない神学は迷信です。」
「神学もないのに礼拝するのも迷信です。」
「礼拝があって神学があり。」
「神学があるから礼拝があります。」
「迷信に惑わされないように。」
「誤った神学は、否定的な結果をもたらします。」

檸檬。
「神様との交流や関係の中で神学は培われるのであり。」
「当事者以外が言及するのは神学論争の類で無意味です。」

春雨。
「礼拝もしないのに言及ばかりしている場合や。」
「神学を軽視して礼拝を繰り返している場合も。」
「迷信の要素を充分に持っています。」

檸檬。
「質問。」
「お金の神様を祀っているって。」

雛菊。
「知っている。」
「特殊な方法で祀られている場合のみ。」
「看板に書かれている。」

飛燕。
「全国のお宮には伝説や史実がたくさんあるし。」
「特殊な神社もあるので。」
「巡礼者しか知らない場合があるよ。」

檸檬。
「なるほど。」
「それは個人的に参拝したいなあ。」
「半分くらい来ましたが。」
「霊威が強い。」
「閣下は悩み事ですか?」

春雨。
「人は親で決まるとか言うそうですが。」
「私の場合は。」
「どういう意味なのかわかりませんねぇ。」

飛燕。
「巫女については。」
「私、神々に許可を申請したよ。」

檸檬。
「父が役者ですと私もセンスあるのではと思われましたが。」
「あんまりないので。」
「期待しないでくれといつも言っています。」

雛菊。
「宮司になってくれと言われますが。」
「少し離れた場所から見るのも大切なので。」
「保留して貰っています。」

春雨。
「似たような境遇ですねぇ。」
「出生とやらが朝三暮四ではない限りは。」
「自然の成り行きですもん。」

飛燕。
「狐がいたよ。」

檸檬。
「どこだ?見えない。」

春雨。
「外国人から日本人を動物に例えるとキツネと言われるのが定番で。」
「これは狡猾を例えた印象らしいのです。」
「昔からあるステレオタイプで。」
「日本人はお金持ちというのが定評ですが。」
「案外、日本人は世界で好印象で。」
「いろんな地域で好まれていると目撃証言があります。」
「中には日本人は空手が出来て当たり前とか。」
「超科学を駆使する国民とか飛躍したものもありますね。」

雛菊。
「狡猾?どこか心当たりのある評判ですね。」

檸檬。
「残念ながら、理由もなく狡猾なんて呼ばれないと思いますが。」

飛燕。
「それって、自分で見たから言えるよね。」

檸檬。
「まさしくその通り。」

春雨。
「狡猾と呼ばれるのは一理ありますね。」

檸檬。
「うん、説得するのには充分。」

飛燕。
「狐と言えば我々は稲荷神を意味するので。」
「良いものと解釈しますが。」

雛菊。
「ある人々にとっては図星。」

飛燕。
「どんな発言もこれは本当ですという意味を持っています。」

春雨。
「みんな自分の推測が正しいことを確かめよう。」
「という衝動に従うのです。」

檸檬。
「自分の推測が間違っていないか調べよう。」
「という姿勢の方が客観的ですよ。」

飛燕。
「少し前に。」
「女性差別反対の運動がありましたが。」
「何者かが。」
「女性について批判した所。」
「その人は攻撃を受けまして。」
「反差別という差別主義となりました。」
「矛盾しています。」

檸檬。
「なんか勘違いしたパターンだろうね。」

雛菊。
「政治すらも理解していないので。」
「みんなで何をやっているのか。」

春雨。
「日本は議会立憲君主制。」
「完全な民主制ではありません。」

雛菊。
「海外では立憲君主制であると認められていますね。」

檸檬。
「立憲君主制の国家は少なくありません。」
「特に議会立憲君主制を採用する国家はけっこうあります。」

飛燕。
「日本は立憲君主制と言っても通りますし。」
「どちらかと言いますと議会立憲君主制ですね。」

春雨。
「そうなると話が違ってきますね。」

雛菊。
「第三者機関は日本を立憲君主制であると正々堂々公表しています。」

檸檬。
「教育では外部の情報を入れないように工作されていましたが。」
「学校教育なんてウソしかつかない。」

春雨。
「自由の国では他人の自由を奪う権利も。」
「他人の自由を否定する自由も尊重されるものですからね。」

雛菊。
「好都合な客観データは最高だよね。」

飛燕。
「自分の自己主張を裏付ける客観データが豊富ですし。」

春雨。
「最近の話題は出自に関するものですね。」
「反出生主義はかなり昔から哲学として。」
「客観データ満載であることは簡単に知る事が出来ます。」

檸檬。
「反出生主義は自分の出自を守るためには好都合なんですよ。」
「自分の出自が良ければ他人の状況なんてどうでもいいのです。」
「その点は少々利己的ですが。」
「自分の出自さえ良ければ敬虔なる私は。」
「形而上学から調べ尽くして。」
「与えられた命令を実行します。」

飛燕。
「反出生主義は自分の出自という権利を守るために。」
「口実にしているのですね。」

春雨。
「日本の女性は従順過ぎて。」
「同じ事を繰り返しています。」
「女性は決定論ですね。」
「ですので。」
「私が反出生主義と言う時は。」
「出自を守ろうと反撃していると思ってください。」

檸檬。
「出自が脅かされたら。」
「必ず報復するのが人情というものですし。」
「そのための口実が反出生主義で。」
「自分の出自を取り返す際の凶器として使うのです。」
「暴力を使ってでも取り返す。」
「それなら理解できますね。」

春雨。
「しかし良い出自は何をやるにも好きにできます。」
「悪い出自は決定論になりますし。」
「邪悪な出自は一生を奪い尽くします。」
「良い出自は有効活用を徹底するので。」
「無駄なものにはしませんよ。」

飛燕。
「出生と出自は混同されがちですが。」
「出生は人の誕生。」
「出自は出所と生まれそのものです。」
「為政者は出生とは言わずに出自と言います。」

檸檬。
「理由もなく最悪な扱いを受ける前に。」
「先制攻撃。」

雛菊。
「こんな問答は有効です。」
「なぜだ?理由を言え。」

飛燕。
「相手は理由を言えないのが常ですよ。」

春雨。
「理由を言えと繰り返すのは。」
「相手にとって最悪の状況です。」
「理由もなく感情論や。」
「自分の中の答えに従っているだけで。」
「返答できませんし。」

檸檬。
「因果関係も合理性も無く。」
「無価値で無意味で。」
「割に合わない出自。」
「なんていうものが蔓延しているので。」
「自分の主権を守る為に格闘するわけです。」

春雨。
「自分の出自に関して理由を求めても。」
「そんなものありませんからね。」
「実はそれが真実です。」

飛燕。
「理由も無いのに良くなったり悪くなったりする?」

雛菊。
「理由が無いなら。」
「理由が無いのが真実です。」
「名探偵になればよろしいね。」

檸檬。
「それで反出生主義を利用するのですね。」

春雨。
「あんな好都合な論証はあんまりないですね。」

雛菊。
「国語辞典で出自と出生はちょっと異なる定義なので。」
「同一視しないように。」

飛燕。
「新手が出ると対応に手間が要りますね。」
「ちなみに私は反出生主義という形而上学用語にはそこまで支持していません。」

檸檬。
「自分の出自が悪ければ神様に伝えれば良いのです。」
「自分の自然権を無視されたのですから。」
「出自が良ければ何かに使わないと。」
「与えられたものが無駄になります。」
「豚に真珠。」
「猫に小判。」
「という事態にならないようにしよう。」

春雨。
「もっともな意見ですね。」
「もっとも私は事実なんて書きませんが。」

雛菊。
「今の時代に事実なんて要らないと思います。」

春雨。
「事実ではなく解釈を述べる。」
「直言による雑談もけっこう実り豊かだと思います。」

檸檬。
「ニーチェ曰く。」
「事実なるものは存在しない。」
「ただ解釈があるだけだ。」

雛菊。
「誰もが解釈を言っているので。」
「事実なんて意味がない。」

飛燕。
「それだと相応にメリットがありますね。」
「解釈と解釈のやり取りであれば。」
「事実を争点に出来ないので。」
「ニーチェ先生は万能?」

檸檬。
「今時、ニーチェは必須科目。」

春雨。
「永劫回帰の時間モデルで女性の生涯を教えられて。」
「それから裏切るように仕向けられて。」
「あの人達を捨ててしまいました。」
「同性を全員。」

檸檬。
「私も同じく。」
「永劫回帰で女性の生涯はすべて知り尽くした。」
「説明するのは面倒くさいので。」
「永劫回帰が理解できれば数か月で算出可能なシミュレーション。」

雛菊。
「利己的と言われかねない。」

春雨。
「自分が利己的である事は知っています。」
「利己的の何がいけないんですか?」

飛燕。
「分かっていて利己的なんかい。」

春雨。
「逆に言えば女性があまりに利他的なので。」
「その逆をやってみました。」

雛菊。
「言われてみれば女性は利他的。」
「男性に関してもね。」

飛燕。
「男性に尽くして得するんですかね?」

檸檬。
「損というより搾取が待っていますね。」
「合理的に考えれば。」
「女性は諸条件を満たした上で。」
「裏切ればすべて私物化できます。」

飛燕。
「女性という名前のゲームをやっているのか。」
「それだと勝てばいいんですよね。」

春雨。
「戦いにおいて汚い手は称賛されるものです。」
「一度、決まれば一方的。」
「あなた、前にもやったでしょう。」

雛菊。
「それを智謀と言うのではないか?」

春雨。
「自分が利己的であることは理解しています。」
「偽善的な人助けはしませんし。」
「私は利他的で優しい女性ではありませんよ。」
「合理主義で。」
「損得勘定を持っています。」
「多分、感情を持っていません。」

雛菊。
「他人からは冷酷に見えますね、きっと。」
「感情論で語られるよりはずっと道理にかなっている。」

春雨。
「でも、私に賛成する必要はないんですよ?」
「個別的に考えれば良好。」
「全体がこうだからあなたもこう?」
「なんて言えますか?」

飛燕。
「全体が消滅した。」
「感情論なんてどこにありますか?」
「古典では合理主義が当たり前なんですけれどね。」

雛菊。
「反論でも来るのでは。」

春雨。
「聞く耳を持たないから。」

檸檬。
「私はメモするわ。」
「人間は資料を読んだだけで怒る。」

雛菊。
「私もメモする。」
「人間は全員、同調していないと気が済まない。」

飛燕。
「私もメモする。」
「人間は諍いを楽しんでいる。」
「人間の生き甲斐は諍い。」

春雨。
「古典では合理主義の教えが基本なんですけれどね。」

檸檬。
「永劫回帰。」
「後から知ったら手遅れ。」

雛菊。
「全員が後から知っているんですけれど。」

飛燕。
「男性は永劫回帰でも平気そうです。」

春雨。
「私は従来通りの女性ではありません。」

檸檬。
「従来通りの女性を繰り返すのは。」
「無価値だなあ。」
「結果が分かっていて従う理由もない。」

雛菊。
「古典は健康をもたらしますね。」

飛燕。
「ロマンチストは病気です。」

春雨。
「なんだかんだ言って違いを喜んでいるのでは?」

檸檬。
「人がひとりひとり違うのが喜び。」

雛菊。
「いや、個体差大きいな。」

飛燕。
「人は異なるのが当たり前なんだし。」
「それを理解しているのです。」

春雨。
「理解はしあわせ。」

参拝。

下山。

飛んできた蜂を丁寧にスプレーで潰した檸檬。

自分の服にもスプレーが吹きかかったので。

近寄る虻もノックアウト。

駐車場。

車内のテレビで。

最近。

次々と爆弾テロが発生しましたが。

三回目の犯行予告があっても。

それ以降は音信不通になり。

首相官邸に脅迫が届いて騒ぎになっています。

犯人の音声。

パヴリーン。
「爆弾テロの犯人を拉致した。」
「今すぐに一千万円用意しろ。」
「さもなければテロリストを生かして帰すぞ。」

サプサーン。
「テロリストが生きて帰ってもいいのか?」

議長。
「要求に応じるべきと考えております。」

為政者。
「向こうが抹殺してくれるのならば手間が要らないよね。」

議員。
「でも・・・金銭を受け取って野放しにでもされたら・・・。」

警視総監。
「テロには屈しない事になっているの。」

議長。
「でも要求に応じないと解放されてしまいますよ。」

ニュースで話題。

ダークヒーロー現る!?

春雨。
「それは考えたね。」

雛菊。
「支払っても殺してくれる保証はないけれど。」

飛燕。
「でも抹殺してくれたらそれでいいよね。」

今日。

五百万円の受け渡しが行われて。

富士市のインターチェンジの近くで。

速報。

重症を負った爆弾テロの犯人が山の中で見つかりました。

拉致したテロリストは放っておくようです。


44


英語のことわざ。

「だれもが自分の運命の設計者。」

英語圏では運命論のようなものはなく。

運命の神として伝えられています。

市街地にて。

政治的アピール。

とある式典。

観光客の中に混ざって見物。

春雨。
「敵本主義って知っていますか?」

檸檬。
「ん?どっかであったような。」

春雨。
「目的が別にあるように見せかけて。」
「本来の目的を遂げようとするやり方。」

雛菊。
「敵は本能寺にあり。」
「もし主君を討つぞと言ったら誰もついて来ないので。」
「本能寺にとりあいず敵がいると欺いた訳です。」

飛燕。
「はったりをかまして。」
「本来の目的を達成するために。」
「別の目的を設定して。」
「途中で本来の目的を達成してしまうのです。」

春雨。
「陰謀説とかは敵本主義でしたね。」
「闇の権力があると。」
「確認出来ない場所だけを告発して。」
「悪魔の証明を繰り返す。」
「闇の権力を倒せばいいんだとか言いながら。」
「本当の所は政権転覆させて自分が政治の場に出たいだとか。」
「独裁者になりたいとか。」
「別に目的があったのです。」

檸檬。
「テレビがいきなり切り替わって。」
「一瞬だけ変なのが写る放送事故。」
「なんで通報されたの?」
「せっかくうまく行っていたのに。」
「誰だよお前って思った。」
「いやあんたら本気で内乱罪やってたんだなあ。」
「自白してしまっているし。」

春雨。
「そんなことがあったのですか?」

檸檬。
「誰かに通報されて崩れたらしいけれど。」
「警察も気づかなかったらしいです。」

雛菊。
「思想犯を掃除出来て良かったのでは。」

飛燕。
「結局は政治を掌握するための工作だったんですね。」

春雨。
「四字熟語で敵本主義はすぐに出てきます。」
「おかげで気持ち悪い連中がインターネットから一掃されて。」
「いろんな人が貶められる件数が減ったようです。」
「ひたすら何かを貶めて自分が正しいとデタラメを書いている奴らでした。」

檸檬。
「荒唐無稽。」
「要するにデタラメを信じるなんて。」
「なんだそれ。」

飛燕。
「自分を信じていたり。」
「自分が正しいと無自覚に思っている人が引っかかります。」

春雨。
「群衆心理の扇動者だと思いますけれどね。」

式典の最中に。

子供が橋から転落してしまい。

流されていきます。

近くに知事がおりまして。

なんと飛び込んだ!

知事は見事に子供を助けて橋の上に登ってきました。

民衆。
「知事は英雄だ!」

辺りは歓声に包まれました。

県知事。
「静かに!私が英雄かどうかなどというのは。」
「この際、どうでもいいことなのです。」

観衆の心にさらなる感動が広がった。

県知事。
「大切なのは・・・。」
「私を橋から突き落としたのは誰かという事です!!」

歓声の中。

退場。

代わりに別の役人が参加。

民衆。
「美代についてお聞きしたいのですが。」

役人。
「もういい加減にしてくれ!」
「そんな女の事など知らない!」

春雨。
「なんだかいろんな人がいますね。」

雛菊。
「千人いれば千人違いますよ。」

飛燕。
「一万人いれば一万件の意見の違いがあります。」

檸檬。
「競馬でどこの競走馬に賭けるか。」
「試してみるがいい。」
「十人いれば十人違うからね。」

春雨。
「予備校で何か面白い事がありましたって。」

檸檬。
「テストで文章で答える問題があって。」
「神のみぞ知る。」
「なんて書いたら。」
「確かにそうだがあなたは不合格と言われました。」

春雨。
「間違いではありませんが。」
「そう書くのは不合格と言われてオチですね。」

飛燕。
「クイズ出す?」

檸檬。
「よーし来い。」

雛菊。
「北朝鮮軍の戦車を止めるにはどうしたらいいか?」

檸檬。
「ジャベリンで一撃必殺。」

飛燕。
「いいえ。」

雛菊。
「後ろで戦車を押している兵士を撃つ。」

檸檬。
「なるほど。」

春雨。
「そう言えば北朝鮮軍の潜水艦は換気のために。」
「二分に一回は水面に上がってきますね。」

檸檬。
「おい!現代の潜水艦は一週間以上は潜ってられるんだぞ!」

春雨。
「北朝鮮軍って大丈夫なんでしょうか。」
「あれだけ酷いと心配になります。」

雛菊。
「心配?なぜだ。」

飛燕。
「フィッシュベッドを航空祭で出してしまう。」
「気の毒なレベルだから?」

春雨。
「あんまり酷いときちんと戦えるのか。」
「歩兵でなんでも解決するんですかね。」

檸檬。
「フィッシュベッドはミグシリーズの到達点だけれど。」
「現代の戦闘機には勝てないなあ。」

春雨。
「すぐにフルクラムというまともな戦闘機が出ましたからね。」

雛菊。
「さらに性能が上回るフランカーが出た。」
「ファントム戦闘機がスパローを駆使すると。」
「フィッシュベッドは一方的に落ちたけれど。」
「交戦規定で格闘戦をするしかなかったとか。」

飛燕。
「中距離ミサイルが上手に使えない時代でしたから。」

檸檬。
「センチュリーズシリーズから進化したアメリカの戦闘機。」
「イーグルとファルコンは世界の基準になりましたね。」

春雨。
「フランカーはアビオニクスの能力不足が指摘されていたとか。」
「すぐに改善したそうですよ。」
「科学が急激に進歩したので。」
「兵器の分野で更新頻度が高く。」
「戦車も第二世代クラスがけっこう残っています。」
「第二世代戦車を近代化改修して使っている軍隊もあります。」

飛燕。
「戦車は単独では戦えないんですよ。」
「歩兵が近くにいた場合のみで。」
「戦車だけの部隊で市街地に突進したら。」
「潜んでいる敵兵から対戦車兵器の十字砲火を浴びて。」
「壊滅状態になった戦闘もあります。」

雛菊。
「戦車は支援なしでは戦えないね。」
「最近では単独行動をする旧式の戦車が。」
「固定式ランチャーの待ち伏せ攻撃で。」
「あっさり撃破されたりとか。」
「最新式の戦車が同じように。」
「突進した先にあった固定式ランチャーで射抜かれて。」
「撃破されたなんてことも。」

檸檬。
「それでも戦車は戦闘機を落としたり。」
「攻撃ヘリも落とせたり。」
「FCSによって誘導可能ですから。」
「なんでも狙撃できる兵器でもありますし。」
「需要はありますよ。」

春雨。
「イスラエル。」
「戦車兵は的になる運の無い奴ら。」
「なんていう印象があるとかどこかで。」

檸檬。
「歩兵と言えば豆粒みたいな敵兵と交戦する。」

春雨。
「敵が遠過ぎて豆粒みたいに見えますからね。」

雛菊。
「おまけに遮蔽物に隠れるし。」
「木々や草原に同化する。」

飛燕。
「さらにそんな状態で互いに撃ち合うし。」
「どこで何がいるのか素人には判別できない。」

檸檬。
「先制攻撃されたら全滅するかも。」

春雨。
「戦闘を意図的に長引かせる戦術もありますね。」
「適当に撃って位置を変えて。」
「敵の疲弊とミスを狙うんです。」

雛菊。
「戦闘機の戦術も昔より進歩しています。」
「歩兵の戦術もさらに進化しますよ。」

飛燕。
「兵法では寡兵で。」
「少ない兵数で大勢を打ち破る戦いが目立ちます。」
「歩兵は戦術もそうですが。」
「訓練されているかそうでないかで。」
「かなり違います。」

春雨。
「歩兵の訓練を受けた人は。」
「戦える存在になっていますからね。」
「素人なんて虫を潰すようなものでしょう。」

檸檬。
「そういう情報は民間人に流す必要はないからね。」
「戦えない者に無理に戦わせる必要もありませんし。」
「戦えないのならば戦争について把握などできません。」

雛菊。
「戦争を知らない世代?」
「第二次世界大戦以降にいろんな戦争がありましたが。」
「その人の戦争ってなに?」

飛燕。
「いや、それはその人のルールが発言されたものだから。」
「そういうのは癪に障るかと。」

雛菊。
「自分が正しいなんて少しでも思っている奴には。」
「誰でも非難したいに決まっています。」

春雨。
「たとえ無自覚であっても。」

檸檬。
「合理的。」
「合理主義は国語辞典で一発で意味が理解できますが。」
「古語辞典と現代の国語辞典で言葉がだいぶ違うのはなんでだい。」

春雨。
「古語辞典と現代の国語辞典・・・。」
「なんで?」

雛菊。
「では英語は?」

飛燕。
「あれ?」

檸檬。
「とりあいず知った事にしておこう。」
「そうしないと論文になってしまいます。」

春雨。
「そうですよねー。」

檸檬。
「海外では廉価版の車があって。」
「走るだけの機能しかない。」

雛菊。
「海外ですね。」
「日本人は英語が下手であると有名です。」

飛燕。
「世界の本を読んで。」
「個人的にヒューマニズムを発見してから。」
「世界が変わりました。」

檸檬。
「ニヒリスト達はヒューマニズムを破壊しまくっています。」
「最も私はニヒリストの同類なんですけれどね。」

飛燕。
「いかにヒューマニズムを回避できるのか。」
「避ゲーなんだと思います。」

春雨。
「ヒューマニズムさえ裏切れば。」
「個人の自由は簡単に手に入りますからね。」

檸檬。
「行動の自由はヒューマニズムを破壊した時から。」
「獲得しました。」

雛菊。
「ヒューマニズム。」
「ニヒリストのターゲットになって当たり前かと。」

春雨。
「私の永遠の敵について述べますが。」
「ヒューマニズム。」
「人間にとって人間が最高で。」
「人間性こそ尊重すべきものだとする。」
「態度・思想傾向・世界観。」

檸檬。
「岩波国語辞典ですね。」
「詳細に書かれていましたよ。」

春雨。
「例。」
「人間が具えるべき理想の資質に誇りをもって。」
「それを伸ばそうとする。」
「キケロの態度や。」
「イタリアのルネッサンス期に始まって欧州に広まった。」
「古典を重んじ教会の勢力に抗して人間性の解放。」
「向上を目指す運動。」
「人文主義。」
「人本主義。」
「人道主義とは区別される。」

雛菊。
「ヒューマニスト。」
「人間を中心になんでも考えて解釈するので。」
「何を言っても理解しませんよ。」

飛燕。
「ヒューマニスト。」
「ヒューマニズムの立場に立つ人。」
「人文主義者。」

檸檬。
「人間なんて欠陥品なんですし。」
「不完全で愚鈍な存在です。」
「どうせ滅ぼされるんだと思いますが。」
「ヒューマニスト共は人間を崇拝しています。」

春雨。
「人間を崇拝するのは偶像崇拝です。」

飛燕。
「ヒューマニストは偶像崇拝です。」

檸檬。
「それはヒューマニズムでよくあるやつです。」

春雨。
「ヒューマニストは私の敵です。」
「必ず滅ぼします。」

雛菊。
「ヒューマニズムなんて奴を誰も支持しませんけれどね。」
「一度でも見たりすると。」
「人間がこう言っているから真実。」
「という。」
「人間を中心に世界が周っていると思い込む。」
「やたら人間に仕えたり。」
「人間が世界のすべての基準であると信じてしまう。」
「とっても危ない連中で。」
「ヒューマニスト以外の人が接すると。」
「きっとあまりの独善っぷりに困惑するでしょう。」
「人間はなんでも正しいと思っていますし。」
「他の人間と比べて。」
「人間を定義した上で。」
「御託しか言わないのがヒューマニストの特徴です。」

飛燕。
「キケロは反カエサルを表明してアウグストゥスに処刑された。」
「人間がこうだから世界はこうなんだ。」
「なんて極めて主観的な考えの集団ですしね。」

春雨。
「人間はこうだから自分はこれでいいんだ。」
「なんて思ったら大間違い。」
「人間がこの世の全てであると思い込む。」

檸檬。
「偶然決まった人間の定義に従って。」
「反応しているに過ぎない。」
「自分が世界をなんでも定義できると大言壮語してくる。」

雛菊。
「ヒューマニズムの内容って。」
「いかに人間が偶然に決まったものであるか。」
「単なる偶然だけであるか。」
「考えもしない。」
「ヒューマニズムでなんでも解決すると思い込む。」
「人間なんて偶然の産物なんですからね。」
「ヒューマニストは最初から私の敵対者です。」

春雨。
「八幡神社でヒューマニズムの否定を伝えたら。」
「状況が激変しましたよ。」
「まず人間の言い分が独善であること。」
「何の理由もなく自分が正しいと思い込んでおり。」
「偶然決まった人間の定義に合っていれば。」
「自分は世界の一部なんだという態度です。」
「勝手に決めた人間の定義ですべてを判断し。」
「実際に行動する。」
「ヒューマニズム単独の思想で世界のすべてが決められると信じているような輩。」
「ヒューマニストは他人を従えたいだけ。」

飛燕。
「確かにヒューマニストは。」
「ヒューマニズムの思想だけですべてを解決しようと試みています。」

春雨。
「もっとも実際に見るまで。」
「どこまで人の脅威になるかは理解できないですよ。」
「人の脅威になるヒューマニズム。」
「自分の解釈を絶対と見なして。」
「他人を従わせる傾向にありますし。」
「人間を礼拝しているので。」
「新興宗教のような態度を持っています。」
「ヒューマニズムは新興宗教のような形態なので。」
「見るからに危ない連中です。」
「問題なのは社会でそんな連中がよくいるという事態。」

雛菊。
「自然と敵対者になりますね。」
「もっとも彼らはひとりでは何も出来ない奴ですが。」

飛燕。
「世界は複雑な構造をしています。」
「ひとつの思想だけが通用することはありえません。」
「ヒューマニストはその思想だけで。」
「すべてが解決すると信じています。」
「もっとも煙たい連中だと思う。」
「それがけっこうな頻度で湧いてくるのは。」
「気持ち悪いかも。」

春雨。
「ヒューマニストは気持ち悪いので。」
「けっこう嫌う人はいると思いますよ。」
「私の敵対者ですから。」
「向こう側はなぜ自分の言い分が通らないのか。」
「自分の言い分はすべて通るはずであると。」
「御託を言うだけでしょうけれど。」
「近寄るだけで争いになりますので。」
「近寄って欲しくないですね。」
「敵対者なので争いがあるのみで。」
「接近してくると私は自衛として攻撃を仕掛けるでしょう。」
「近くにいるだけで脅威になりますからね。」

檸檬。
「正義対正義なのかしら。」

飛燕。
「それでよろしいかと。」

春雨。
「式典もこのくらいでいいでしょう。」
「観光客も多いですし。」
「動きにくいですよ。」

春雨ちゃんはバッグの中から財布を取られた。

しかし中には一円玉が大量に入っており。

ダミーでした。

強盗犯は怒って立ち去っていきました。

複数の財布の中に偽物があって。

本物の財布がどこにあるのか分からないのです。

式典が盛り上がって。

豪華絢爛な一時間でしたよ。

英語のことわざ。

人生は自分でつくるもの。


45


四人組散歩中。

文房具を買うついでに。

散策。

自動販売機の前で休憩。

春雨。
「イソップ童話。」
「羊飼と狼の仔。」
「狼の仔を見つけて手塩にかけて育てようとしたのは。」
「大きくなったら自分の羊を守ってくれるばかりか。」
「他人の羊を奪って連れて来ると考えたから。」
「狼は成長するや否や。」
「行動の自由を得ると。」
「当の羊飼いの羊を殺しまくった。」
「羊飼いは後悔した。」

飛燕。
「行動の自由とは狼藉に見えるものなんですね。」

檸檬。
「行動の自由は必須。」
「でないとBOTになってしまうよ。」
「決められた通りに動くだけになる。」

雛菊。
「行動の自由の結果ならば。」
「他人の干渉は暴力になりますね。」

春雨。
「子供の頃は行動の自由なんてありませんからね。」

雛菊。
「イソップ童話は必須科目。」

檸檬。
「知識人は必ず読んでいる。」

春雨。
「イソップ童話。」
「ゼウスとプロメテウスとアテナの三柱が。」
「一柱は牡牛を、プロメテウスは人間を、もう一柱は家をこしらえて。」
「モーモスを審判に選んだ。」
「モーモスはこれらの創造物が妬ましくてならず。」
「まずゼウスについて。」
「牝牛の眼を角の先に付けて。」
「突いている所が見えるようにしなかったのは失敗だ。」
「と貶した。」
「次にプロメテウスには。」
「人間の心を外側に取りつけて。」
「悪人を見逃すことのないように。」
「また各人が考えていることがよく見えるようにしなかったから失敗だ。」
「と罵った。」
「そして最後にアテナについても。」
「悪人と隣近所になった場合に引っ越しがしやすいように。」
「家に車輪を取り付けておくべきだったと侮辱した。」
「モーモスは追放された。」
「絶対にけちをつけられない、というほど完璧なものは一つとしてない。」
「ということを解き明かしている。」

檸檬。
「家に車輪をつけろと?」
「どんな立派な家でも車輪をつけろと?」
「どんなものにもけちはつけられるんですね。」

飛燕。
「角に眼をつけろというのは。」
「モンスターみたいにしろという要求なんですかね。」

雛菊。
「人間の考えていることがすべて見えないと失敗と言うのは。」
「何事にもけちをつけるとそこまで行くのですか?」

春雨。
「敬虔なる古代ギリシヤ人は人間の力を超えています。」

雛菊。
「昔の日本人はお宮の前を通過する時に礼をするほど。」
「敬虔であったとのことです。」

飛燕。
「日本は神の国ですからね。」

春雨。
「最近は不可知論者が多くなって。」
「レベルが低下しています。」

雛菊。
「不可説。」
「ことばでは説明ができないこと。」

飛燕。
「不可説な意味。」

春雨。
「古代ローマのようにきちんとこなせる人材もいませんね。」

檸檬。
「あと思ったのですが。」
「良い人材なんて一年に数えるくらいしかいませんね。」

春雨。
「天才タイプは数年に数人くらいですからねー。」

交差点の横断歩道。

いつもの雑談をしていて。

渡ってはいない。

歩行者信号が赤になってしまう。

すると。

遥か彼方から。

とある二人組。

休暇で一日中ドライブを楽しんでおり。

のどが渇いて。

コンビニで大量に購入したドリンク。

果物の絵に騙されて。

なんとお酒でした。

それを飲みまくった。

いつの間にか。

スピードは時速120キロメートルを超えました。

いきなり通り過ぎる暴走車。

檸檬。
「なんだあれは!?」

春雨。
「何か急用でもあるんですかね。」

飛燕。
「いいえ、あいつらは事故になりたいのです。」

檸檬。
「クラッシュしたくてあんなスピード出すのかよー。」

車は目の前を通り過ぎます。

暴走一。
「おい、もっとゆっくり走ってくれよ。」

暴走二。
「何だって?運転しているのは君じゃないのか?」

暴走一。
「馬鹿野郎!ぶん殴ってやる!」

カーナビゲーションシステム。
「それでは大谷弁護士事務所までご案内します。」

暴走二。
「おい!なんとかしろ!」

カーナビゲーションシステム。
「葬儀場ですね。」
「それでは右に五キロメートル進んでください。」

暴走一。
「ぐおおおおお!!」

カーナビゲーションシステム。
「中古車販売の加藤。」
「直進七キロメートル。」

遠くの方で。

車は電柱に当たってスピン。

ガードレールに削られて停止。

なんと通りすがりのパトカーがおりまして。

続々と集まってくる警察官と救急隊。

市民。
「なんだクラッシュか。」

凡人。
「他所でやれよ。」

俗人。
「俺を巻き込もうとするな!!」

なんと生還している二人組。

事故なのに逮捕されてしまいました。

たいした怪我がありません。

暴走一。
「危ない。」
「無傷だ。」
「助けてくれるようだな。」
「どうだ?」

カーナビゲーションシステム。
「葬儀場まで五キロメートル。」

暴走二。
「ああ・・・なんだか意識が。」

消防隊員。
「急性アルコール中毒!?」

レスキュー。
「なんだこのお酒の数は!?」

消防隊員。
「出火しているぞ!」

警察官。
「事件なのか事故なのかどちらかにしろ!!」

野次馬。
「スピードを出して楽しんでいたんですって。」

市民。
「なんていう野郎だ!」

俗人。
「人を跳ね飛ばして死んでやろうとか思っていたらしい。」

凡人。
「殺人犯!死ねー!」

庶民。
「おいおい!いろいろ歪曲しているぞ!」

遠くから見ている。

春雨。
「あれはまずいですね。」

檸檬。
「事故現場というのは見ない方がいいよ。」

雛菊。
「車が燃えているし。」

飛燕。
「高そうな車がスクラップ。」

春雨。
「あの車種。」
「故障の苦情は一件もないって噂ですよ。」

檸檬。
「ほんとうに?」

春雨。
「破損した苦情もないらしいので。」

飛燕。
「それって壊れたらああなるってこと?」

雛菊。
「あんなによく燃える車なんてあるの?」

春雨。
「素材が燃えやすいそうです。」
「なるほど。」
「ダメージを受けるとすぐに爆発して木端微塵。」
「証拠隠滅という手品でしたか・・・。」

檸檬。
「死人に口なし・・・の自動車。」

事故を目撃してしまいました。

パトカーやら消防車やら救急車で道は封鎖されてしまい。

すごいことになっています。

珍しいけれど見ない方がいい事故の現場。

目の前の道路を通過していたもので。

横断歩道に侵入しなかったので無傷です。

何かくると思っていて。

警戒していたのが幸いしました。

こんなこともあるんですね。

しばらくして。

連絡がありまして。

お誘い。

近場。

伊豆大島。

猟師と一緒に離島。

異常個体がいると話題になっていて。

女性が連れ去られて行方不明になる事件。

大蛇が暴れているようです。

これは面白いと。

その場所に赴いて。

討伐。

春雨。
「善行には興味が無い。」
「悪行にも興味が無い。」

檸檬。
「既成概念は否定する。」
「リベラルアーツの原則ですからね。」

春雨。
「既成概念をいくら否定しても。」
「それに文句を言ったり反対しても。」
「本人も既成概念の一部なので。」
「どの道、既成概念を否定する。」

雛菊。
「異常個体を仕留めるお誘いですが。」
「ろくな武器がないよ。」

飛燕。
「グラディウスで一撃だと思うけれど。」

檸檬。
「女の子が蛇を殺すなんて。」
「それが通過儀礼なのかなあ。」

雛菊。
「むしろ蛇を殺した女の子が自我を確立する。」

飛燕。
「荒々しいのが特徴の日本女性。」

春雨。
「昔話。」
「蛇婿入り。」
「苧環型と水乞型。」
「いくつかの似たような話があります。」
「苧環型では蛇に騙されて妊娠した女性が。」
「母親などの年上の女性の機転によって事なきを得て。」
「水乞型では干上がった田んぼを潤してくれたお礼として。」
「嫁に行かされた娘が蛇を退治して。」
「冒険後に素晴らしい男性と結ばれる。」
「似たような昔話がいくつかあります。」

檸檬。
「従順で運命に従った女性が。」
「蛇を殺して自我を確立し。」
「運命を切り開いていく。」
「主体性を持って。」

飛燕。
「アナコンダより大きくて知性がある?」

雛菊。
「それってどっかで見たような?」

狂戦士。
「ショットガンとかグレネードランチャーとか。」
「どうよ?」

猟師。
「じわじわ殺すのもイケてると思うぜ。」

アメリカ人。
「獲物は俺が頂くからな。」

ガンマン。
「よし!化け物と戦えるとは。」
「素晴らしい時代だな。」

春雨。
「士気がやたら高い。」

檸檬。
「何か探している。」

痕跡。

木の枝や茂みの具合で追跡し。

居場所が判明。

神経毒が塗られた鶏肉を置いて。

なんと穴から這い出てくる。

これはアナコンダ顔負けの大きさ。

神経毒の生肉を食らって。

すぐに動かなくなりまして。

神経毒の吹矢を追加で食らわせ。

顔と脳に一刺し。

一撃離脱。

すぐに。

やりたい放題にショットガンを顔面に撃ちまくる猟師。

アメリカ人。
「ひゃっほー!もう終わり?」

ガンマン。
「待て、何か様子がおかしい。」

狂戦士。
「仲間の援護に来たかな。」

雛菊。
「うわっ!向こうに大蛇が。」

飛燕。
「クロスボウ一発で死ぬかな?」

春雨。
「銛はクロスボウのように飛ぶ仕組みです。」
「貫通力は牛を貫くほどです。」

檸檬。
「当たれば一発。」

もう一匹が来ましたが。

神経毒を塗った吹矢の餌食。

銛がアンカーショットになっていて。

引っ掛けられて。

複数の銛が蛇の顔面を直撃。

猟師のショットガンで殺害。

狂戦士。
「よしもう一匹!」

アメリカ人。
「ひゃっほー!もう一匹いないか?」

ガンマン。
「試し打ちには最高だぜ!」

猟師。
「まだ何匹かいるとのことで。」
「女性達を後続の部隊に下げよう。」

スナイパー。
「いいか?これから夜まで。」
「複数の怪物を続けて仕留める。」
「危険があるので帰ってくれ。」

春雨。
「あんなのと複数戦うのは簡単ではない。」

猟師。
「思ったより数が多いんだ。」

檸檬。
「状況が変わったのね。」

狂戦士。
「そうです。」

スナイパー。
「思ったより規模が大きいらしいし。」
「何時間も歩きますか?」

雛菊。
「ということらしいです。」

飛燕。
「もう二匹も仕留めたよ。」

春雨。
「遠くから来たあの部隊に加わって帰りますか。」

檸檬。
「この人達。」
「なにか雰囲気が尋常ではないですし。」

他の猟師と一緒に下山。

本隊。

調子に乗った猟師達。

二人を帰還させると。

日が暮れるまで。

異常個体を殺しまくった。

バーサーカーと化した猟師は。

三日で異常個体を絶滅させました。

新手のテロリストが生物兵器の実験で異常個体を作ったらしいです。

無理がある生物で。

思ったより強くない化け物でした。

研究所は閉鎖されています。



46


比奈駅から天神社。

米の宮公園へ移動。

米之宮浅間神社へ参拝のち。

公園でくつろぐ。

檸檬。
「宗教は何かと言われたら。」
「神社固有の名称がありますので。」
「信仰を八幡神や稲荷大明神と回答すると。」
「理解が素早い。」
「無宗教者はやたらに危険ですし。」

春雨。
「現実主義。」
「現に存在する事物を最も重視する態度・立場。」
「良い意味では。」
「理想や空想に惑わされず。」
「厳しい現実を直視して事にあたる態度・市場を言い。」
「悪い意味では。」
「理想を放棄してひたすら目の前の事実に追随し。」
「場当たりに行動する態度・立場を言う。」

檸檬。
「類語で日和見主義がある。」
「リアリズムやリアリストと嘲笑されることもある。」

雛菊。
「彼らは現実主義者と自称しているが。」
「要するに。」
「何らの定見もなく。」
「その時その場でうまく立ち回ろうとするに過ぎない。」

飛燕。
「なんか詭弁で人を攻撃するとか多いですね。」

檸檬。
「というか詭弁で人を攻撃できるんですね。」

雛菊。
「詭弁術というのがローマで流行していて。」
「オマージュでしょうかね。」

春雨。
「詭弁術(ソピスティケー)」
「屁理屈は詭弁術が使われています。」
「言及はアウレリウス帝。」
「相手を言い負かすために詭弁術(ソピスティケー)のバリエーションがあり。」
「普遍的にローマで使用されていたとのことで。」
「詭弁は非難されるものです。」
「ローマで流行した詭弁術(ソピスティケー)がいつの間にか日本でも使われている。」
「謎の現象です。」

檸檬。
「ソピステース。」
「詭弁家。」
「他人の中で詭弁ばかり言う奴がいたとして。」
「詭弁ばかりであると確認できたら。」
「そいつは詭弁家なので。」
「詭弁術しか使わない。」
「詭弁で言い負かしたり。」
「詭弁で言い逃れしたり。」
「詭弁で人を攻撃したり。」
「詭弁家(ソピステース)はけっこう危険なので。」
「避けておくこと。」
「怨恨でも疑惑でなくとも。」
「無条件で避けることは可能である。」

春雨。
「すべては主観であること。」
「これは明白である。」
「また、この言葉の有益な点を。」
「その真実であるかぎり受け入れるならば。」
「この効用も明白である。」

雛菊。
「新世襲制とか随分な愚昧のお手本です。」
「基準がないので。」
「そもそもニヒリズムで背後世界は無いので。」
「デタラメ。」

飛燕。
「贔屓だけで成り立っていますし。」
「その反対もありますしね。」

春雨。
「武田信玄公の重臣のひとりに。」
「農民から出世して伝記を代筆させた武将や。」
「斎藤道三は元々は油売りで。」
「登用されつつ主君を追いやって大名になっていますし。」
「渡邊守綱も元々は足軽大将で。」
「後に尾張藩家老に置かれましたし。」
「三好家も傀儡政権でしたが。」
「巻き返して細川家と将軍を退けています。」
「毛利元就も。」
「大勢力になる前は逆転に次ぐ逆転であったとされます。」
「わざと敵に嘘を言って。」
「謀反の扱いになった敵重臣を敵に殺させたりとかも。」
「そういう話もあります。」

飛燕。
「黒田官兵衛も扇動者の一揆を解決するために。」
「煽っていた大名と偽りの和睦を結んで。」
「いきなり殺して一揆を消したとか。」

檸檬。
「羽柴秀吉も元々は農民の子で。」
「今川家の家臣に勧められて織田家に行ったという話もありますね。」

雛菊。
「犬千代も。」
「変わり者で。」
「後に重臣として上杉謙信と交戦しています。」

春雨。
「鬼佐竹とかは後から強くなって知られていました。」
「馬上の敵兵を真っ二つにしたという目撃証言がありますし。」

飛燕。
「上杉景勝は養子でしたし。」
「武田勝頼も元々は敵の子でしたし。」
「北条早雲が有名ですが。」
「後に出てくる北条氏康は上杉謙信に惨敗しそうになったり。」
「北条氏は豊臣秀吉にようやく従ったり。」

檸檬。
「実力主義の世界ですと。」
「後々の身分の変動は多いですね。」

雛菊。
「カエサルの養子も父が暗殺された影響で皇帝になっていますし。」
「カエサルも自分を追放したポンペイウス派を八百人で攻撃して退けたし。」
「ローマが味方してくれたので。」

春雨。
「ルネサンス期ですと。」
「偶発的な世襲の人間は簡単に滅ぼされています。」

飛燕。
「日本でも鎌倉時代から江戸時代まで。」
「伝統世襲が最良で。」
「偶発的な世襲の人間はけっこう滅んでいます。」

雛菊。
「今川氏真は残念でした。」
「三国志の孫権と劉備の子も。」
「二世で失敗するパターンがありました。」

檸檬。
「それでは。」
「贔屓が全ての新世襲制とか。」
「後に出世するとか身分が変動するとか考えてないじゃん。」

雛菊。
「それが本当のことでしょう。」

飛燕。
「新世襲制は後の事は考えない。」

檸檬。
「奴隷と設定すれば意地でも奴隷。」
「歴史的前例からすれば。」
「その考え方は存在しないのですが。」

雛菊。
「世襲対世襲が最も危険。」

春雨。
「フローレンス・ナイチンゲールは大金持ちの生まれですが。」
「それを存分に活用して看護の基礎を確立していますし。」
「クリミア戦争で負傷者の死亡率を激減させて。」
「これはすごいぞと英雄になりましたし。」

檸檬。
「シュバイツァー先生も。」
「音楽の才能があったのにそれらを捨てて。」
「福祉へ身を投じました。」
「講演は絶賛されて。」
「ノーベル平和賞まであります。」

春雨。
「では新世襲制とは実力が関係ないんですね。」
「基準のない基準で設定した通りにするだけ。」
「好名得華。」
「名を好めば華を得。」
「むやみに名声を欲しがると。」
「実質のない虚名だけを手にすることになる。」
「華は浮薄な虚名の意味。」
「前漢。」
「東方朔。」
「訓子。」
「詩。」

檸檬。
「後の身分の変化に一切対応できないのが真相ってことね。」

飛燕。
「芸能人とかは少しだけ好機を与えられた。」
「マキャベリ君主論では大成した人物はどれも。」
「少しだけの好機を与えられただけで別人になったとある。」
「それに関して具体的な実例を紹介している。」

春雨。
「証拠は取れましたし。」
「それで非難して良い口実になりましたね。」

飛燕。
「倒したら抗議するように作りこんでいますが。」
「不当な好運も苦痛になりますよ。」
「資格の無い人間がたまたま手にしていると。」
「誰でも攻撃したくなります。」

檸檬。
「新世襲制はアリストテレスが伝える。」
「資格の無い者。」
「不当な好運と不当な不幸で作り上げた。」
「チートツールですからね。」

春雨。
「オンラインゲーム名物のチートですね。」
「チーターと呼ばれていて。」
「不正行為で他のプレイヤーを倒しまくるとか。」

檸檬。
「オンラインで自分無敵とか敵一撃とか。」
「変な所を撃って必中ということになるとか。」
「レーダーを乗っ取れるとかね。」
「芸能人はエンターテイメントを提供するのに欠かせませんので。」
「今どきの花形でしょうか。」

雛菊。
「芸能人と言えば江戸時代に流行した芸人が起源らしいです。」
「出雲阿国が男性を魅了した舞を躍ったことで。」
「最も有名。」

春雨。
「芸能人も昔からいたものですね。」

檸檬。
「テレビが世間だと思うのは愚かなり。」
「人気者を紹介するのは良いことでしょうけれど。」
「へつらいのような宣伝は見ていていろいろ害する。」

飛燕。
「そのようなキャラクターでいることが使命。」
「毎日、人気者や有名人を宣伝するのは。」
「本気でへつらいに走っているし。」
「有名だから超人という結論にはならない。」

春雨。
「テレビに出ているから天才という結論にはならない。」
「前提は有名だから。」
「論証は有名だから凄いだろう。」
「結論は従って天才である。」
「成立していないし。」

テレビ番組と流行をスマホで開いてふざけてみる。

檸檬。
「おい君、君はこれがなんであったか忘れたのか。」

春雨。
「さよう、しかし人はこれにひどく熱心なんです。」

檸檬。
「だからといって君まで馬鹿者にならなくてはならないのか。」

大笑い。

続いて。

飛燕。
「どちらをあなたがたはお望みですか?」
「理性的動物の魂を持つことか?」
「それとも理性のない動物の魂を持つことか?」

雛菊。
「理性的動物の魂?どんな理性的動物?健全な?それとも邪な?」
「もちろん健全な。」

飛燕。
「ではなぜそれを追い求めないのかね?」

雛菊。
「私たちはもうそれを持っていますから。」

飛燕。
「ではなぜ戦ったり言い争ったりするのだろう?」

雛菊。
「天使が通る。」

沈黙。

散策開始。

春雨。
「私は鼎巫女です。」
「いわゆるルールの抜け穴です。」
「なんでもこなせる汎用性がありますし。」

檸檬。
「運命のわざは自然を離れては存在せず。」

春雨。
「安くして危うきを忘れず。」
「治に居て乱を忘れず。」

雛菊。
「安きに居て危うきを思う。」
「平和で安らかな時でも。」
「常に危険を忘れず。」
「備えを怠らないこと。」
「左伝。」

ボーイフレンドと会いました。

一緒に歩いてみる。

平民。
「プライドの話をすれば。」
「怒れば無謀になれる。」
「無謀になれば人を攻撃できる。」

帝王。
「よし君が怒って破裂したところで。」
「彼らは少しも遠慮せずに同じことをやりつづけるであろう。」

飛燕。
「他人の罪はその場に留めておくがよい。」

春雨。
「彼曰く、問題はどうでもいい事柄ではなく、我々が狂気なのかどうか。」
「ということだ。」

雛菊。
「つねに近道を行け。」
「近道とは自然に従う道だ。」
「そうすればすべてをもっと健全に言ったり行ったりすることができるであろう。」
「なぜならばこのような方針は。」
「苦労や争いや控えめにしておくとか虚飾を避けるといかいうすべての心づかいから。」
「君を解放するのである。」

檸檬。
「終局の目的に向かって急げ。」

委員長。
「偉大な魂を持ち、全時間、全物質を包容しうる人にとって、人間の一生などというものが大事に見えると思うのか?」

人格者。
「そんなことはありえません。」

委員長。
「それならそういう人は死というものを恐しいことに思わないだろうね。」

人格者。
「全然思わないでしょう。」

功利主義者。
「享楽的に生きればそれでいい。」

現代主義者。
「功利主義は利用されたのだよ。」
「なぜそれが分からない。」

委員長。
「我々は理性を過信しているからだ。」

檸檬。
「誤りと誤謬を矯正してみた。」
「善事を成して悪く言われるのは王者らしい事だあ。」

春雨。
「まったくその通り。」
「エッカーマンの書籍を手に入れまして。」
「小説は稚拙で。」
「文学は戯曲に限ります。」

ボーイフレンド。
「文学なんてものは古人が全て網羅しているのです。」

飛燕。
「小説なんてまだやっているんですね。」
「散文というのは難易度が高くて。」
「支離滅裂になりがちです。」

春雨。
「小説は文学ではない。」
「異論があったら?」
「では文学とは全て小説なのか?」

雛菊。
「いいえ。」

春雨。
「文芸では漫画の方が有利ですね。」
「特に漫画においては女性の方が上手。」
「閨秀作家。」
「女性の作家。」
「学問や芸術などに優れた婦人のこと。」

檸檬。
「審査員が凡人だったら?」

飛燕。
「そんなことはありえない。」
「もしそうだったら。」
「悪書のラインナップを公認していることになります。」

雛菊。
「文学の世界では。」
「人格に問題がある連中ばかり目立ちますが。」

檸檬。
「反面教師。」
「欠点を持っているために。」
「反対にその欠点が生徒を良いほうに。」
「教え導くような効果を発揮する教師という意味から。」
「模範として見習うべきではない悪い手本。」
「そのような人。」
「古典文学が常に最高であって。」
「近代化すると共に悪書の連発になった。」

委員長。
「本当に人格の悪い人間は。」
「自分の人格の悪さを改めはしません。」

春雨。
「笑止千万なことに、人間は自分の悪を避けない。」
「ところがそれは可能なのだ。」
「しかし他人の悪は避ける。」
「ところがそれは不可能なのである。」

檸檬。
「不可能って体験してから分かりますよね。」

飛燕。
「不可能に挑んでも逆効果。」

雛菊。
「不可能を追い求めるのは狂気の沙汰である。」
「ところが悪人がこのようなことをしないのは不可能なのである。」

春雨。
「いや。」
「私は強いられているのだ。」
「どうにもしようがないではないか。」

檸檬。
「では。」
「もっとも賢く判断しつつ見よ。」

委員長。
「まともな女性のスペックの高さは証明されています。」
「ホロライブとか。」
「自分の創造した形態はめちゃんこ強い。」

フリーター。
「訓練された女性はさらに強い。」
「細い木にパンチしまくって倒した女の子もいるし。」
「女性の兵士はもっと強い。」
「男性だから腕力というのは安直にも程がありますし。」
「女性だから非力というのも安直にも程があります。」
「中年女性が中華拳法を習うと。」
「男性ですらまともに近寄れなかったり。」

平民。
「まあまあ下の最下層の考えが蔓延していますし。」
「上には上がある。」
「必要な技能を全て入手した女性には。」
「とりあいず大人になった程度のザコは一蹴できる訳です。」

春雨。
「肉体に関するすべては流れであり。」
「霊魂に関するすべては夢であり煙である。」
「人生は戦いであり。」
「旅のやどりであり。」
「死後の名声は忘却にすぎないし。」
「しからば我々を導きうるものはなんであろうか。」

神社のコレクターズアイテム多数。

本当に売っている限定の品物で。

趣味の良い人に向けた特別な証です。

バッグ満タン。

檸檬。
「なんかドッジボールで遊ぶって。」

春雨。
「見物しましょうか。」
「誰に賭けます?」

飛燕。
「この人が勝ったら手を繋いであげる。」

雛菊。
「この人が勝ったらボディタッチ。」

平民。
「なんだと!いざ勝負。」

委員長。
「行くぞ!卑怯者っ!」

功利主義者。
「何回もやれば勝てるんだよ。」

委員長。
「何だね?この攻撃は?」
「力を出し惜しみしているのか?」

平民。
「奴隷でも逆らえることを見せてやる。」

現代主義者。
「この辺で消えてくれると嬉しいんだけれどね。」

功利主義者。
「なんで勝てないの?」

委員長。
「人には絶対的な能力差がある。」
「これは当たり前。」
「日頃から戦力の強化を怠らないこと。」
「またはその方法を見つけておくこと。」
「いざと言う時に絶対的な能力差を見せつけられたら。」
「間に合わなかったとも言える。」
「頑張っても報われない事がある。」

人格者。
「古代ギリシアでは復讐ですら失敗に終わる場合もあった。」
「もちろん成功例もあるものの。」
「失敗すると惨たらしい結果になったとか。」

フリーター。
「人間関係で決定論が出てくるのは。」
「特定の人間が執念で攻撃を繰り出すパターン。」
「あらかじめ設定していたのではと思われる。」
「そんな場所とタイミングにいるので。」
「無論。」
「敵対者として攻撃してくるのは必然であって。」
「決まっていた通りに敵対者は執念を燃やす。」
「決定論はけっこう人間関係で登場する。」
「なぜか決まっているような行動や言動に出てくる。」

平民。
「僕が勝つんです。」
「正義は我にあり。」

人格者。
「自分が正義と名乗る者は他人の正義と戦わなければならない。」
「正義と名乗った瞬間から別の正義と戦わなくてはならない。」

委員長。
「悪いと言っている奴が最も悪い。」
「悪いと言う奴が悪い。」
「悪く言う奴がその状況で最も悪人。」

人格者。
「悪いという言葉を口にする人間はけっこう悪い。」
「悪いけれは悪いほど人を悪く言ったり。」
「相手を悪いものであると罵る。」

平民。
「なんだその発言は!?」

フリーター。
「直言過ぎるだろう!!」

委員長。
「いいや。」
「自分が善人であるという台詞を発する人間は存在しなかった。」
「もし自分が善人であると言ったならば。」
「相手にしてくれる人がいきなり激減するであろう。」

人格者。
「自分が善人であると言ってしまう人間ほど愚かしいものはない。」
「誰かが善人であると定評をつけることはあるけれど。」

近くで見ている。

誰かが被弾すると試合1フェーズは終了。

被弾数が多い人から脱落。

シートを広げて。

春雨。
「リアルタイム地震速報をサーバー機で見ていますと。」
「生き物のように大地が動いているし。」
「弱い反応ならかなりの数があります。」
「一年に強い地震はそれなりにあるらしいのですが。」
「弱い揺れは頻繁に各地にあって。」
「一日に数回は弱い地震があるのです。」

雛菊。
「断層地震とかいろいろありますよね。」

飛燕。
「そこそこの頻度で強力な地震があるよね。」

春雨。
「人権蹂躙とか文句を言った所で。」
「人権ばかり尊重しますと。」
「今度はなぜ寿命があるのかとか。」
「病気の話とか。」
「どんどん説明できなくなります。」

雛菊。
「不自然な思想は消えますよ。」

飛燕。
「どうやら平和主義が合っているのかな。」
「実際に人々を観察すると。」
「自分の考え方が何か奇妙に思えました。」

春雨。
「誰かに惑わされたのでは。」

檸檬。
「羽田空港のリアルタイムカメラ。」
「のんびりした風景に転倒してしまいます。」
「動画では世人の雰囲気や表情から。」
「いろんな状態や思考まで読み取ることも可能です。」
「渋谷スクランブル交差点のライブカメラは有名ですが。」
「適当に映り込んだ世人の雰囲気から。」
「けっこう自分の事に夢中で。」
「あんまり他の事には無関心で。」
「余裕がある顔ではないです。」
「強い地震の時もアーカイブに映り込んでいるのは。」
「自分の事に集中している人達で。」
「こういうのを観ていれば。」
「奇妙な悪感情を抱く理由もなくなります。」

春雨。
「観察を続ければ分かりますよ。」
「誰でも同じような境遇で。」
「くたびれて電車に乗っていたり。」
「享楽的な生き方をする人間を除けば。」
「自分も同じようなもので。」
「他人も同じようなもので。」
「実際の様子を見るに限ります。」
「実物や実情を見ずに世の中を判断するものではないです。」
「長い時間をかけて観察すること。」
「考察して情報を収集すること。」
「やっとのことで社会の実態を掴めるようなもの。」
「ということを知るのにけっこう時間が必要でした。」
「テレビを見ないだけで視点や解釈は劇的に変わります。」

檸檬。
「いい学校に入っていい会社に入る。」
「そう思い込まされてきた。」
「なぜならそれ以外の選択肢をすべて否定していて。」
「誘導尋問みたいな脚本だから。」
「選択肢を上手に削除して。」
「特定のパターンに全て誘導しているようにしか見えない。」
「そしてそのパターンだけが万能で世俗的であると見なして。」
「それ以外は排他的になり。」
「いい学校でいい会社とかいう脚本だけが正しいと御託を言っているようにしか見えない。」
「そんなテンプレートみたいなストーリーは一部の人しか実現できないだろうし。」
「こういう価値判断を支持する人は恐らくほぼいない。」
「チート過ぎるでしょう。」

春雨。
「いい学校に入っていい会社に入る。」
「そう思い込まされてきた。」
「枠組みテンプレートの中に入らせて。」
「従わない者に対しては極端な排他主義者になっている。」
「相性が悪い生徒は逃げ出すものの。」
「逃げると排他主義者が攻撃をするように設定されていた。」

なんと委員長が勝利。

委員長は女の子なので。

ちょい百合に発展。

解散。

書店にて。

春雨。
「これまで危機を乗り越えてきた人類ですが。」
「次はうまく行くでしょうか?」

檸檬。
「何十回と奇跡で潜り抜けてきた人類ですが。」
「次に出るのが同じ奇跡とは限らない。」

飛燕。
「歴史資料の事ですか。」
「冷戦時代とか過激でしたね。」

春雨。
「こんなことも。」

雛菊。
「なんですかこれ。」
「ひょっとしたら今ここにいなかったかもしれない。」

檸檬。
「スタニスラス・ペトロフ。」
「1983年9月25日夜。」
「ミサイル警戒システムが検知。」
「人工衛星オコが大陸間弾道ミサイルのエンジンを検出。」
「五個のニミットマンミサイルと表示。」
「報復攻撃の必要があるも。」
「どこかに間違いがあるのではないか。」
「アメリカが核戦争をしたのなら。」
「たった五個は少な過ぎる。」
「あらゆる地点で大量に出てくるハズ。」
「しかし一か所から発射されて第二波がない。」
「たった五個のミサイルで一斉攻撃はありえない。」
「なぜなら少な過ぎてソビエトの拠点に満足なダメージが入らないから。」
「疑った。」
「困惑の中。」
「ペトロフは宣言。」
「アメリカの攻撃はシステムのエラーであって警告を無視すると決断。」
「命令と規則を全て無視。」
「すぐに正しかったと証明されたもので。」
「太陽の光が雲で反射してシステムがエラーを起こし。」
「ミサイルと誤検知。」
「すぐに修正されている。」
「ペトロフ。」
「勤務日ではなく。」
「代わりで偶然入っていました。」
「他の者ならば撃っていたと。」
「そして核戦争へと突入していた。」
「国連本部で特別賞が贈られていたことで有名です。」
「もし発射されたら地球は核ミサイルの撃ち合いに発展。」
「人類が壊滅していたとされる。」
「戦争予防の功績で有名。」
「ウイリアム・バセットという似たような人物もいますね。」

偶然見つけた特別雑誌。

東西冷戦時代。

核ミサイルの撃ち合いに発展する前に。

奇跡のように潜り抜けた。

キューバミサイル危機の資料を読み漁っています。

土日はこんなものかな。



47


学生が行き交う午後四時頃。

春雨ちゃんがJS大好きなので。

飛燕が連れて来た。

帰宅中に寄ってきてくれました。

オフィスビル。

美少女三人組が一緒。

飛燕。
「女の子の私服どう?」

春雨。
「とても素晴らしいです。」
「最強ですねっ!!」

檸檬。
「うわっ!女子小学生の破壊力やばい。」

雛菊。
「フリースクールの友人。」
「JS三人衆。」

茶髪の美人。

衣澄(いずみ)
「いずみですっ!」

帽子好きの眼鏡っ娘。

璃央(りお)
「りおちゃんです。」

スカート大好きアイドル系。

子羽(こはね)
「こはねさんです。」

三人で決めポーズ。

春雨。
「私服はあはあ。」

檸檬。
「とある主婦が13才まではたまらないが。」
「それを過ぎると最後とか言っていました。」

春雨。
「実際に主婦が少女の時期は13才まで。」
「それまでがいちばん良いとか。」
「よくありますよ。」

衣澄。
「容姿だけじゃないもん。」

春雨。
「よし何かしてみて。」

衣澄。
「道端で転んだ男。」
「立ち上がったところ。」
「また転んだので腹を立てて言った。」
「ええい、起き上がるんじゃなかった。」

春雨。
「・・・・・!!」

衣澄。
「父は息子に遠出をすると言いつけて。」
「留守中に来客があったら、一か月ほどしたら帰って来るから。」
「ご足労ながら。」
「そのころまたお越し下さいと申し上げて。」
「お引き取りを願うんだよ。」

璃央。
「息子は少々頭が足らないので。」
「父親は紙に書いて渡しておいた。」
「息子はその紙を大事にとっておいたが。」
「十日経っても誰も来ないので。」
「要らないと思って焼いてしまった。」
「ところが。」
「その次の日に来客があったので。」
「慌てて探したが、紙はもちろんない。」

子羽。
「その客に対して言った。」
「なくしました。」
「客は驚いてたずねた。」
「それはいつのことで?」
「息子は言った。」
「きのう焼いてしまいました。」
「客は言う。」
「父親を焼いたのですか?」

檸檬。
「うふふふ・・・・!!」

雛菊。
「勘違いネタじゃん。」

璃央。
「将棋自慢の男。」
「人と手合わせして続けざまに三局負けた。」
「他人に成績を尋ねられると。」
「一局目は俺が勝たなかった。」
「二局目は向こうが負けなかった。」
「三局目は勝たしてくれなかった。」

飛燕。
「なんつう負けず嫌い。」

子羽。
「父親と息子が一緒に薪を割っていたが。」
「父親は誤って息子の指を傷つけたので。」
「息子は怒った。」
「間抜けめ、お前は目がついているのか、気をつけやがれ。」
「そばで遊んでいた孫は祖父が罵られたので腹を立てた。」
「ど畜生、父親を罵る奴があるか。」
「祖父は思った。」
「お前の父親は・・・。」

春雨。
「とっても笑えて倒れる。」

檸檬。
「おおっと。」

子羽。
「夫婦が悪ふざけして。」
「しきりに・死ぬ、死ぬ!・と叫ぶ。」
「二人の子供がそれを聞いていたが。」
「兄の方は思わず吹き出すと。」
「母親は恥ずかしがって。」
「怒ってしまい。」
「兄の方を殴った。」
「弟が言う。」
「兄さんが打たれるのは当たり前だ。」
「母さんが死ぬというのを聞いて、泣き出さずに笑うんだもの。」

雛菊。
「それは分かるわ。」

璃央。
「ある女房。」
「不倫をして亭主の留守中に男性を引き入れていた。」
「突然、亭主が帰ってきたので。」
「女房は慌てて男を布袋の中に入れて寝床の傍に立てかけた。」
「入ってきた亭主。」
「これを見つけて問いただす。」
「女房が答えに窮していると。」
「袋の中から男は言った。」
「米でございます。」

春雨。
「言い訳が苦しいね。」

衣澄。
「ある俗物が贅沢の限りを尽くした家を建てて。」
「高価な家具や書籍や絵画から骨董をならべ。」
「外には凝った庭園を造った。」
「客を招いてさんざん自慢したあげくに言った。」
「この中に、もし釣り合わぬ物があったら、遠慮なくご教示下さい、取りのけます。」
「客は言下に言った。」
「それは貴殿です。」

檸檬。
「やばい気絶する。」

春雨。
「私も少々。」

衣澄。
「聞かせて。」

春雨。
「気の長い男が冬の日。」
「友人と暖炉にあたりながら話をしていると。」
「友人の着物の裾に火がついて燃え出した。」
「実は俺、あることをだいぶ前から知って、言おうか言うまいかと考えていたのだが。」
「君は短気だからな。」
「しかし、言わないと君が困ったことになるかも知れぬ。」
「さて、言ったものか、言わない方がよいか、俺は困っているんだ。」
「友人は言った。」
「いったいなんなんだ。」
「君の着物の裾に火がついて燃えているんだよ。」
「友人は慌てて火を消して怒鳴った。」

雛菊。
「なんてことを。」

子羽。
「早く言わなきゃだめでしょ!!」

衣澄。
「こんな話を持っているんです。」

璃央。
「ネタモノ好きです。」

飛燕。
「さすがのJS三人衆。」

檸檬。
「たまらん。」

春雨。
「久しぶりに爆笑しました。」
「私もダメになりそうです。」

子羽。
「ん?私に何か?」

春雨。
「スカートいいですね。」

雛菊。
「美少女という評判だからね。」

飛燕。
「アイドルのスキルを教えておいたから。」
「身のこなしは素早いよ。」

春雨。
「趣味はありますか?」

衣澄。
「マルクス資本論を読めば社会のタネ明かし。」
「資本主義も自壊するのではと思う。」
「労働者階級は自分を売っているようなもので。」
「資本家は搾取する側で。」
「平等と言いつつ二階級に分類されてしまっている。」
「中間階級に入ればマシなほうで。」
「労働力を売る為に教育の過程から調整される。」
「でも資本家の育成は軽視している。」
「中間階級の知識人の存在は前提に入れてない。」
「カール・マルクス資本論を読んでいます。」

璃央。
「孫子の兵法は反戦論が主題です。」
「戦争の技術が書いてあるのに。」
「開戦は最悪の状況で。」
「すぐに終わらせるべきであると。」
「徹底した合理主義は強いですよ。」

子羽。
「アリストパネス喜劇作家は何かに対する攻撃から開始されています。」
「何かを攻撃する意図で。」
「ソクラテスを登場させて新思想を攻撃したことがあります。」
「道化役がやらかしてオチが定番のようです。」
「悲劇の数の方が多いようで。」
「喜劇は少ない。」

春雨。
「外見も中身も充実とは。」
「一騎当千。」

檸檬。
「あなたJSが好み?」

春雨。
「可憐な少女は好みです。」
「どっかの主婦と意見が合いますね。」

衣澄。
「マルクス資本論が最近のテーマです。」
「カール・マルクス資本論。」

雛菊。
「現代で無自覚に陥るあの思想。」

璃央。
「必要とされる品物が最高であり。」
「社会にとって要らないのに作られている品物は無駄で何の意味も持たない。」
「金銭が目的で要らない商品を作るのは有益ではないし。」
「商売下手な連中は必要なだけの資産で固定するという術を知らない。」
「規模の限界は免れないし。」
「規模が無駄に大きくなると不具合も免れない。」
「商売上手は資本主義者とは桁外れの商法をする。」
「資本主義で大多数を占めているのは商売下手な連中で。」
「滑稽なほど商品や金銭を欲している。」

衣澄。
「商売上手から何も学んでいない独学であって。」
「資本家の商売下手は酷く滑稽である。」
「要するに労働者に使い道を心得ていないし。」
「効率的なのは必要であって未だ無いものを。」
「消費者から取ってくること。」
「必要なものを社会に送り出すことである程度の成果は出る。」
「先の先まで読めば。」
「他社が真似しようにもできないような品物が好ましい。」

子羽。
「労働者については明記できないが。」
「いにしえのやり方は実力主義の配分が多いものであるから。」
「商売にも実力主義を導入するもので。」
「商売に世襲がないようにすると。」
「従業員も実力が大半になり。」
「そもそも自分の足場は従業員なのだから。」
「基礎が存在しない商売は成立しない。」
「ここで強調するのは無能な人材は全部使い捨てになる事。」
「有能な人材だけで固めるので。」
「商人は具体的なプランさえ複数持っていれば。」
「力押しすることもできる。」
「駆け引きやからくりに通じているのが商売上手で。」
「商才の無い者が資本家というのも滑稽な話です。」

春雨。
「資本家は係争地に侵入しても。」
「そこを占領できる訳ではない。」
「そもそも争点がどこであるか分かっていない。」
「とりあいず参加して泥沼化するのであって。」
「争点がどこにあるのか知らないまま競争に入る。」
「占領すべき場所はどこなのか。」
「取るべき物は何なのか。」
「目的の設定を商売下手は一切設定しない。」
「争点を取ればそこを維持するだけで充分なので。」
「争点を取ったら別の争点を取る余裕もある。」
「むやみに係争地に入る無謀な資本家が多いが。」
「商才のある者は争点を集中狙いする。」
「資本家で多いのは商売下手であることは説明できたと思う。」

衣澄。
「資本主義は逆手に取ればやりたい放題になる。」

子羽。
「逆説的に言えば資本主義は。」
「不用品まで大量に作って。」
「金銭を増やしているものの。」
「攻撃目標の設定や。」
「占領する目標を限定したり。」
「争点の確保だけに展開を制限すれば。」
「必要なだけ消費者に提供する。」
「必要なものだけをピンポイントで提供すれば。」
「富は築かれるわけで。」
「資本家の独断ではなく。」
「消費者の意見をまず集めていない。」
「自分が全てを決定できると思い込んで。」
「失敗するパターンもあるから。」
「昔の方法を選択しつつ。」
「資本主義も取り入れて新しい形態を作れば。」
「難易度が下がる。」

春雨。
「資本主義は利用価値があり。」
「資本主義は逆手に取ってしまえば。」
「終点を維持するに留まり。」
「より確実な手段だけを実行すれば足りているし。」
「資本家が取って売るのではなく。」
「主権が消費者や社会や情勢にあるので。」
「資本家に決定権はあっても。」
「形勢を決めるのは社会や世人などの第三者であるので。」
「資本家は絶対的な存在ではない。」
「という逆手の取り方がある。」

璃央。
「経済の主導権は経済そのものにあるので。」
「自分でコントロールできると思い込んだら倒産のリスク。」
「資本家の盲点は自分で全てをコントロール可能であると思い込む事にあり。」
「逆説的に言えば自分でコントロールしたいがあまり。」
「主導権の確保に必死になっているのが資本家であるので。」
「コントロールという主導権が係争地になっている。」

春雨。
「コントロール不可能になれば破産するだけで。」
「自分が主体性を保っている内は一方的であるも。」
「一度でも不利になれば一方的に倒されるので。」
「ある意味では資本主義は経済の戦争である。」
「戦争であるからには思い通りに行くとは限らない。」
「資本家はコントロールしたいがあまりに。」
「できない事をしでかすので。」
「駆け引きは苦手のようだ。」

子羽。
「元手から商品を作って利益を得ていく仕組みは。」
「失敗した場合を全く想定していない。」
「商売下手に限って敗北した場合の展開までは読んでいない。」
「生活必需品は決定版でも出してしまえば占領できるし。」
「必要を満たす商品があれば足りているので。」
「以下の諺で商品を作るべし。」
「必要は発明の母。」

春雨。
「資本家は勝利する事だけ考えているので。」
「勝てるものであると思ってはいけないし。」
「経済を完全にコントロールする事は不可能なので。」
「資本家の戦略は未熟で。」
「はっきり言えば戦術がお粗末。」
「抜群に上手な商人は現代では見たことがありません。」

衣澄。
「資本主義には終わりがある。」
「資本家の寿命。」
「寿命はお金で買えないので。」
「死ねば相続人がお金をごっそり貰うので。」
「資本家はやがては自分の増やした富を譲らなければならないし。」
「増やした金銭は無意味になる。」
「資本主義も結果論としては意味がないものなので。」
「猫に小判。」

璃央。
「死ぬ際には自分が食い物にされるので。」
「早く相続人を決めて欲しいと発行を迫られる。」
「その発行で全てを売り飛ばしてしまい。」
「資本家の最期は相続人を決める発行所としての価値しかない。」
「発行してしまえば後は安心して死んで頂ければ最高なので。」
「莫大な財産は死亡を持って相続人が没収していく。」
「増やした富は最後には没収される。」
「資本家の仕事は富を増やして無条件で相続人に献上することで。」
「資本家の終点は寿命。」
「そして相続人への発行所という商品である。」
「資本家は自分を購入した人に富を無条件で引き渡して死ぬ。」
「肝心なのは気持ち良く死んで貰うことにある。」
「最期には食い物にされる覚悟は必要。」

春雨。
「商売上手は現代では殆ど見たことがありません。」
「文学であれば。」
「客観データが出揃えば。」
「育成が容易だし。」
「その後の作品もまともになる。」
「なにより。」
「評価や賞状などを制圧し。」
「ろくに物を言えない状況に追いやることも可能。」
「偉人や文豪が引き合いに出されれば。」
「世俗の賞状や賛美などは否定されるか無効になり。」
「凡人ですら簡単に論説を打ち破れる状況になるので。」
「大人気とか賞状などを出しても素早く叩き潰せるのです。」
「こちら側が評価の基準であると自己主張が可能で。」
「十年くらいは維持できる。」

檸檬。
「争点を占領すれば誰も逆らうことが出来ず。」
「こちら側のミスや失敗だけで戦局が覆る事はあっても。」
「世俗の賞状や人気ではこちら側を反駁不可能で。」
「逆にそれらを蹂躙することが出来る。」
「十年くらいは占領可能であっても。」
「ミスの蓄積で弱まっていき。」
「腐敗するので。」
「この作戦は一度成功すれば主権を占領する事はあっても。」
「占領した側の失敗が続けばたちまち敗走する事になる。」

春雨。
「消費者や読者側の評判が良ければ成功で。」
「評判が悪ければ失敗のリスクを抱えているし。」
「占領した後に読者の賛同が得られれば。」
「批判を浴びている俗物を全て排除することも可能。」
「力押しであるために手段を選ばないのが基本戦法。」

檸檬。
「さらりとなんていう作戦。」

春雨。
「成功するかは別の話。」

衣澄。
「理知的な女性は好きです。」

璃央。
「何か足りないのでは。」

春雨。
「ボケていたり。」
「阿呆な所かな。」

子羽。
「そんなに聡明なのに。」
「こんな所でいいんですか?」

春雨。
「売名行為をしてのし上がるよりは。」
「程良い所で満足しているのです。」

璃央。
「謎です。」

春雨。
「この世のことは、もう知ってしまった。」11440
「ファウスト第二部・第五幕507ページ。」
「憂いという名前のキャラクターの攻撃に反論する際のセリフ。」

檸檬。
「この世のことは、もう知ってしまった。」
「ゲーテの格言としては最高級。」

子羽。
「そういう理由だったんですね。」

衣澄。
「知っていて炎や吹雪に突っ込む馬鹿はいませんから。」

璃央。
「氷の張った湖であると知っていて。」
「飛び込んだりはしないという比喩。」

子羽。
「それでも理想としてはありそうです。」

春雨。
「御霊信仰と言いますが。」
「私が死んだら御霊になってあげますね。」

檸檬。
「それはありえる。」

いきなり歩き出して。

春雨は明後日の方向に話す。

春雨。
「悪ふざけするのは覚悟してください。」
「どんな災難を食らっても反撃できるなんて思わないでください。」
「私が死んだら御霊になりますが。」
「その時は災害を楽しみにしてください。」
「車が衝突して台無しになっても買い替えるチャンスですし。」
「経年劣化した車を交換する機会を提供します。」
「人が変死しても。」
「楽にしてあげたので。」
「苦情は言わないでくださいね。」
「災難を続け様に食らっても。」
「たまたま運が悪いのでそうなったので。」
「私という御霊がしっかりと燃やしてあげているという。」
「清掃ですのでご心配なく。」
「くれぐれも飢餓や障害や生活困難などには覚悟することですね。」
「もしそうなったら御霊信仰にて解消する事が可能です。」

璃央。
「おお!大人の女性が虎のように振舞っている。」

子羽。
「力強さは女性には本来、無い物なので。」
「いいものを見ました。」

衣澄。
「これはドラゴンのような逆鱗。」
「意外にも憤慨している点があるらしい。」

雛菊。
「義憤でしょうね。」
「知らないフリをしているんですよ。」

飛燕。
「しらばっくれる。」

檸檬。
「なにか従業員が困っているよ。」

春雨。
「あれま?せっかく宣言したのに。」
「いい所で区切りますね。」

璃央。
「この人は。」
「セキュリティソフトをアンインストールしているよ。」

春雨。
「馬鹿な事をする部下です。」
「手伝って。」

衣澄。
「パソコンには必ず原因不明のエラーがありますので。」
「家電製品にしては故障率が高く。」
「稼働率も良くありません。」
「種類やスペックが統一されていませんので。」
「専門的な知識が皆無なら。」
「情報収集から開始するべきです。」

子羽。
「パソコンには未知の部分が多いために。」
「原因不明のエラーがある。」

璃央。
「パーソナルコンピューターはモバイル型と万能型とに区別できます。」
「モバイル型は性能が低く。」
「基本アプリケーションしか動きません。」
「万能型はCPUがGPUを兼用しているために。」
「高性能なアプリケーションソフトに対応しています。」
「最大の違いは価格の差。」
「モバイル型は安価で万能型は高価です。」
「パーソナルコンピューターには原因不明のエラーや原因不明の故障があまりに多いので。」
「故障について懸念するならば。」
「安価で頑丈な作りのパーソナルコンピューターが必要です。」

檸檬。
「とりあいず高性能ならば最新型のパソコンを購入すれば良く。」
「パソコンの選択には専門的な知識をいくつか必要とします。」
「安くて高性能なパソコンまであるので。」
「適当に選ぶと粗悪品が手元に届くのがパソコンの世界です。」
「自分がどの用途まで使用するかまで検討し。」
「性能は足りていれば良いので。」
「過剰性能は求めない方が結果論としては安くなります。」
「異なるOSを予備として持っておくと。」
「前述の原因不明の故障には対応可能です。」

春雨。
「電源不足で安全装置が働いて落ちたようです。」
「こちらはメモリ不足で落ちました。」
「そちらは。」

衣澄。
「私が操作しています。」

檸檬。
「スタッフが有能なのに。」
「あっちの二人の玄人でも対処できんのかい。」
「どんどんトラブルが高度化する。」
「ハッキング系やらなにやら。」

子羽。
「悪名高いブラウザクラッシャーみたいです。」
「外付けWi-Fiを抜いたので。」
「電源を落とせば回復します。」

春雨。
「素早くて助かりました。」
「エンジニア系の人が少なくて。」
「最近は多方面の技術を持っている。」
「万能型の人材が好まれますね。」

雛菊。
「万能型の人材は有能なので。」
「けっこう希少ですよ。」

飛燕。
「多方面の万能型。」
「現在のスタンダードらしいです。」

春雨。
「今度、一緒に遊びましょう。」
「卒業したら融通が利きますよ。」
「うふふふ・・・。」

璃央。
「お姉さんと遊べるなんて楽しみです。」

檸檬。
「それなら抱き着かれるくらいは覚悟しておいて。」

璃央。
「え?美人さんから抱きしめられるんですか?」
「とってもいいと思います。」

檸檬。
「いや趣味が合うんかい。」

春雨。
「ではちょっと事務がありますので。」
「今の時間帯はアリでした。」

衣澄。
「See ya!」

璃央。
「Mi volas vidi vin venontfoje!」

子羽。
「En alia okazo!!」

二人組は監督に戻る。

戦略を二人で練っていて。

具体的なプランを出しています。

五人組は下校。

全年齢の交流は女性の芸術。

芸術の女性は特に美しい。

日が沈み。

夜が明ける。

次の日。

正午過ぎからレッスンなので。

余暇。

ウォーキングコースを歩いていると。

不思議な獣道がありまして。

中に入ってみますと。

出口を見失いました。

春雨。
「あれま。」
「どこも同じ景色です。」

コンパスを出して。

森林を横切ると。

それでもなかなか元の道に帰れません。

GPSを使用すると。

意味不明な場所が示されますが。

変態挙動をすると。

小道を発見して戻れました。

春雨。
「八幡の藪知らず。」
「現在の千葉県市川市八幡に迷い込むと。」
「二度と外に出られないと言われていた広い藪があった。」
「同じ場所があるんかい。」

下山すると。

五人組の男性と遭遇しました。

男一。
「あなたが春雨さんですね。」

男二。
「なんという美人ですか。」

男三。
「もったいない。」
「こっちへ来てください。」

男四。
「もっと言えば付き合ってください。」

男五。
「よろしければお茶でも。」

春雨。
「ではー。」
「あなたの中で戦って勝った人とお茶しますね。」

男一。
「なんですと!?」

春雨。
「やらないんですか?」

男三。
「どうする?」

男四。
「ああ言っているんだし。」
「覚悟しろ。」

男五。
「ケンカで女性の奪い合いですか。」
「美しくない。」

男二。
「逃してなるものか。」

春雨はさりげなく去っていく。

男性五人組は相撲で勝負している。

春雨。
「あんな野蛮な人と友達にはなれません。」

この町では怪盗テリオが大きな顔をしています。

窃盗の成功率が高く。

資産家である春雨を拉致しようと計画していました。

お宮の前で。

檸檬。
「あなた怪盗に狙われていない?」

春雨。
「犯罪は儲からないもの。」

檸檬。
「犯行予告で拉致するとか。」

春雨。
「老練な密猟者が最善の監視人になる。」
「アメリカで密漁ばかりした元囚人を雇ってあります。」
「捕まえたら金一封という条件で。」
「前科者を呼んであります。」
「飛んで火にいる夏の虫。」

檸檬。
「うわあえげつない。」
「怪盗も勝ち目が薄いわあ。」

夕方になって。

メール。

用事があって公園に来てほしいと。

しかし文章がおかしい。

レモンちゃんはレトリックしか使わないので。

密猟者。
「誰かいたぞ。」

元強盗殺人。
「あいつを捕らえればいいのだな。」
「たやすいことだ。」

なんと怪盗テリオはあっさり捕まって。

警察に突き出されました。

指名手配犯を倒したのは元犯罪者の二人組み。

富士市中央公園。

春雨。
「あははー。」
「裏技ってあるんですよー。」

檸檬。
「いや強過ぎるわ。」

春雨。
「犯罪者の天敵は元犯罪者ですからねー。」
「ステルス野郎の天敵は元密猟者。」
「強敵と強敵との戦いは。」
「油断した怪盗の敗北です。」

檸檬。
「面白いように倒されたのを見て。」
「ゴールデンカードだったのかな。」

春雨。
「一の裏は六。」
「世の中は良いことばかり。」
「悪いことばかりではないたとえ。」
「善と悪なんて相対的な判断に過ぎません。」
「これからも犯罪者狩りに役立つでしょうねー。」

次の日。

広見公園にて。

雛菊。
「人は。」
「どのように答えるか。」
「より。」
「どのような問いをするか。」
「によって判断すべきである。」
「ヴォルテール。」

飛燕。
「近代思想家ヴォルテールを引用すれば。」
「問いかけこそが万能です。」

春雨。
「今の時代、事実なんて意味ないですね。」
「事態の方が有益です。」

飛燕。
「経済が発達しても。」
「なぜか物価が上がって。」
「豊かにならない。」

春雨。
「システムに問題があるのでは?」

雛菊。
「金が物言う。」
「どうしたらお金持ちになれる?」

春雨。
「金銀は湧き物。」
「金銀は苦労せずに自然に手に入ることもある。」

雛菊。
「金銭は否定しないわ。」
「金銭は肯定する。」

飛燕。
「正直貧乏横着栄耀。」
「ゲーム理論は金銭と密接に関係があります。」

春雨。
「午前中に遊べるなんて。」
「学校については?」

雛菊。
「空腹でもないのに。」
「食事をしては病気になるように。」
「意味も分からず。」
「意味を求めるのは。」
「勉強にならない。」

春雨。
「当たり前ですね。」
「レモンちゃんは専門学校のパンフレット集めていました。」
「教育が常に正しいなんて証明できる訳ないですね。」

雛菊。
「大人になる過程で。」
「奴隷の考えで染められそうになったけれど。」
「暴力で制圧したわ。」

飛燕。
「暴を以て暴に易う。」
「暴力には暴力で対抗すること。」
「暴力をおさめるのに別の暴力を使って。」
「結局は暴力がおさまらないことのたとえでもある。」
「史記。」

春雨。
「私は自分自身が敵です。」
「人は唯一の友としての自分と。」
「唯一の敵としての自分をもつ。」
「自分が敵であるので用心。」

飛燕。
「似たもの同士だね。」

雛菊。
「なんか民間の大型ロケット打ち上げるって。」
「見に行く?」

春雨。
「遠出がしたいので。」
「ぜひとも。」
「金で面を張る。」

早速、帰宅して準備です。



48


そうは問屋が卸さぬ。

客があまりに値切るので。

それでは仕入れ値を割ってしまう。

それほど安く問屋は卸してくれない。

というところから。

そんなことまでは従えない。

それほどうまく事は運ばない。

などの意味。

飛行機で登場。

種子島空港(コスモポート種子島)から。

種子島宇宙センター 宇宙科学技術館。

春雨。
「飛行機からの窓は絶景でした。」
「時速700キロメートルくらい出ますので。」
「スピード抜群ですね。」

雛菊。
「日本国内なら不思議なくらい速くに到着するわよ。」
「それでも空も渋滞しているわ。」
「思っている以上に空は混雑しているし。」
「いかに便利な乗り物か分かるなあ。」
「探査機は秒速20000m/s出さないと太陽系を調べられない。」
「未来科学のシミュレーションゲームでは計算されたわ。」

檸檬。
「ハッブル宇宙望遠鏡が宇宙に浮かべてあって。」
「宇宙について情報を取得していたり。」

飛燕。
「ケプラー宇宙望遠鏡もありますし。」
「将来的には高スピードで地球から宇宙へ抜け出す。」
「宇宙と大気圏兼用のエンジンも開発予定があります。」

春雨。
「宇宙に関しては分かっている事にしないと。」
「世界についても知ったかぶりしないと。」
「気が済まない人間もいたりします。」

雛菊。
「半可通。」

檸檬。
「葦の髄から天井覗く。」

飛燕。
「直情径行な人に言わないでくださいね。」
「面倒くさい事になります。」

見物人がたくさんいる。

雛菊。
「最近は量子力学が気の利いた仮説を展開しています。」


春雨。
「量子力学。」
「物質を構成している原子。」
「原子核。」
「素粒子などのごく小さな粒子について研究する物理学のことです。」

飛燕。
「私論ですが悪魔の証明を求められる事が多いのです。」


雛菊。
「ラッセルの思考実験。」


檸檬。
「ラッセル。」
「イギリスの数学者・哲学者です。」
「数学と哲学のどちらにとっても重要な著作を残しています。」
「平和運動に努めていました。」


春雨。
「思考実験。」
「仮にある実験が行われたと想像して。」
「結果や、その結果の理由について。」
「自分の知識と想像力の限りを尽くして。」
「考え出そうとする事。」
「オーストリアの哲学者マッハが名付けた言葉です。」


雛菊。
「電子書籍あるよ。」
「プルターク英雄伝。」
「プルタルコスによって書かれたギリシア・ローマの英雄たちの伝記です。」
「ヨーロッパではどこでも読まれている本です。」

檸檬。
「英雄の説明書。」
「ナポレオンも読んだ。」


春雨。
「ん?」
「ナポレオン法典は読んだの?」

雛菊。
「故きを温ねて新しきを知る。」
「近代編はまだですね。」
「どんなもので?」


春雨。
「フランス革命後に国民の普遍的な権利を守るために。」
「この法律が作られました。」
「世界各国で出来た法律の手本になり。」
「現在の日本の民法の起源になっています。」
「ナポレオン法典が発表されて直ぐにナポレオンは皇帝になりました。」

飛燕。
「ローマについては多分知っていますが。」
「神聖ローマ帝国って何ですか?」


春雨。
「神聖ローマ帝国。」
「オットー大帝がローマで戴冠。」
「ローマ法王からローマ皇帝の資格を貰って建国されました。」

檸檬。
「当時の王様はカトリック教会に逆らえない。」
「王位ですら許可が必要なものです。」
「専制君主なんて珍しい方でしょう。」


関係者が忙しくなってくる。

大型ロケット発射台。

準備中。

春雨。
「まだ時間があるのて散歩してみます。」

檸檬。
「せっかくだし自然の中を。」

雛菊。
「ユークリッド。」
「紀元前300年頃の人物。」
「ギリシア人の大数学者で。」
「幾何学のいくつかの基本の取り決めに基づいて。」
「正確な証明を用いて多数の定理を導き。」
「幾何学の体系を作り上げました。」

飛燕。
「ユークリッドから習ったので。」
「知らない土地でも移動できるのが強みです。」


徒歩で。

散策。

何か見慣れないロケットがありまして。

子供の遊びかと思ったら。

本格的な作りです。

ミサイラー。
「何か用かね?」

春雨。
「本当に打ち上げられるほどよく出来ているなあと。」

ミサイラー。
「とんでもない。」
「宇宙までは届かんよ。」
「趣味で作った玩具さ。」

檸檬。
「へー。」
「でもだいぶ大掛かりな発射ユニットよね。」

ミサイラー。
「まあ手の込んだお遊びさ。」
「未完成だから。」
「まともに飛ぶか怪しいがね。」

雛菊。
「ひとりで作ったんですか?」

ミサイラー。
「ひとりである訳がないだろう。」
「飛ばす調整をしているだけで。」
「まともに飛べばいいけれどね。」

飛燕。
「これ写真に撮っていいですよね。」

ミサイラー。
「それはよしてくれ。」
「こんな粗末なロケットは撮ってほしくない。」

春雨。
「粗末な?このロケットのどこが粗末なんですか?」

ミサイラー。
「外見だけの力作なので。」

春雨。
「ならいいじゃないですか。」
「粗末ではないという理由で画像を保存。」

ミサイラー。
「ちょっとまずいな。」

春雨。
「カメラ回っていますよ。」

檸檬。
「中年の傑作ロケット。」
「話題になりますよ。」
「腐った魚だと叫んで、安売りするな。」

ミサイラー。
「これはいけない。」
「とても残念に思っている。」

謎の男性が数人出てきて。

包囲して捕まえようとしてきました。

春雨。
「なにするんですか。」
「てやっ。」

雑兵一。
「ぐわっ!!」

飛燕。
「こっちへ来い。」

雑兵二。
「逃げても無駄ですよ。」
「いきなり打撃を食らった。」
「もうダメかもしれない。」

檸檬。
「これが犯罪者とか言う輩ですか。」
「噂ほどでもない。」
「倒れろ。」

雑兵三。
「こいつら!」
「よくいる現代っ子に見えるが。」
「めちゃくちゃ強いぞ!」

雛菊。
「敏捷性で大差がついていますね。」
「見かけ倒しめ!!」

雑兵二。
「うわああああああ!!」

ミサイラー。
「ば・・・馬鹿な!!」
「我らがやられるとは・・・。」

拳銃を発砲するも。

春雨が手で弾いた。

物理法則を超えている動きをしながら。

ミサイラーを打ちのめした。

雑兵もミサイラーも負傷して戦闘不能。

このロケット。

勝手に発射されてしまいました。

春雨。
「これどこへ飛んでいくの?」

檸檬。
「さあ?どっかへ墜落すると思う。」

飛燕。
「面白いように攻撃が当たる。」

雛菊。
「オーバーキルはやめなさい。」

春雨。
「無線機がありますね。」
「無線機は習ったことがあるんですよ。」

檸檬。
「あれ?奪った端末を見ると。」
「これアメリカとロシアの防空網に突入しない?」

春雨。
「もう一発がどこかに隠れていたんですね。」
「これはまずいです。」
「弾道ミサイルと勘違いします。」

檸檬。
「地元の警察は到着まで時間が必要。」
「どうする?」

春雨。
「アメリカの退役軍人でメントーアという小隊長がいますので。」
「連絡してみます。」

檸檬。
「無線使えない?」

春雨。
「急いでやりますね。」

どこから発射されたのか割り出せないまま。

防空網がロケットを探知。

核攻撃の疑惑が浮上。

迎撃に成功すると。

事態は混乱してしまいますが。

連絡を受けたアメリカ軍はロシアに通達。

自衛隊が出動する騒ぎになりまして。

偶然遭遇して戦闘のち。

敵を倒してしまった私達は表彰され。

ミサイル防衛の教訓として研究されることになりまして。

春雨。
「テロリストモドキを倒せるなんて思ってなかった。」

檸檬。
「死命を制す。」
「相手の急所を押さえて運命を握る。」
「お手柄なんですな。」

雛菊。
「なんたる僥倖。」

飛燕。
「なんでかな。」
「ザコを倒したら褒められた。」
「安全靴で蹴っ飛ばしたらそれだけで倒れた。」

メントーア。
「歴史における大物は。」
「僅かな好機を与えられて別人にまで変貌した。」
「あなたがそれだ。」

賞状を貰いました。

春雨。
「なんか功労者ですね。」

檸檬。
「はるさめちゃんがいちばん倒していたし。」
「戦い慣れているよね。」

春雨。
「私としては。」
「はかりごとを破壊できて痛快です。」

飛燕。
「評判になったし。」
「これをどう使おうかな。」

雛菊。
「人の噂も七十五日。」
「今のうちに株でも買っておく?」

檸檬。
「私達の株価も高いしね。」

春雨。
「久しぶりの旅行先で獲物を獲るとは。」
「相手はとんだ噛ませ犬です。」
「存分に味わいます。」

両親が狂喜してケーキを買っていまして。

しばらくは。

飛ぶ鳥を落とす勢い。



49


北海道。

ヒグマが田畑を荒らしており。

どうにも異常なくらい巨大らしく。

駆除の真っ最中。

猟友会がクマ撃ちを見物しないかと誘った訳です。

老兵。
「複数人で囲んで殺す。」
「相手の位置はもう分かっている。」

春雨。
「一方的に討ち取るだけですね。」

猟友会。
「何か自衛用の武器でも要るか?」

春雨。
「では納屋の中のロングソードを持っていきます。」

老兵。
「お前はどうする?」

檸檬。
「弩があったのでこれでいい。」

飛燕。
「コンバット・ナイフ。」

雛菊。
「レイピアがあるし。」

老兵。
「とにかく倒せと言われていてね。」
「この山では人目につくことはないよ。」
「山の手前の民家を拠点にする。」
「そこの周辺にもういる。」

老兵はクマの痕跡。

それは国境警備隊のように。

枝が折れ曲がっているとか。

飼い犬の追跡で位置を特定しており。

あとは射殺するだけ。

春雨。
「マカシ。」
「イサラミリ戦法。」
「手首のスナップを利かせた鋭く変幻自在な斬撃が特徴で。」
「大半が片手で振るうエレガントなスタイル。」
「関節の可動を駆使して。」
「鞭のような大きな運動エネルギーを伴い。」
「予測しづらい連続攻撃を可能にしている。」
「一撃の威力を重視。」
「相手をノックバックさせる。」

檸檬。
「ヒグマと近接武器で交戦する場合。」
「基本戦法は相手の急所のみを狙うもので。」
「ヒグマの攻撃が当たってはいけない。」
「正面攻撃を徹底的に避けて。」
「回り込んで攻撃を当てること。」
「なにより密着するとヒグマに有利になるので。」
「一撃離脱を重視する事。」

春雨。
「攻勢と守勢との体勢に変化する。」
「防御時には体の位置を頻繁に変え。」
「棒立ちでの戦闘を禁じる。」
「これによって敏捷性が飛躍的に向上している。」
「テクニックで細かい所まで叩き込むために。」
「ピンポイントな攻撃が必要とされる。」
「パリィを取りやすく。」
「相手の攻撃を利用してカウンターを仕掛けることも可能。」
「相手の自由を束縛する。」

雛菊。
「ヒグマの突進は最も発動されたくない必殺技であるので。」
「交戦の際はさっさと距離を詰めて。」
「爪による攻撃と牙による攻撃と。」
「パターンを限定してしまった方が有利である。」

飛燕。
「もっとも選んではいけない戦法は棒立ちで戦う事。」
「ローマ剣闘士はその点は心得ていたようで。」
「動き回って狙いを合わせないようにする。」
「棒立ちで戦えば攻撃の全てが命中する。」
「ヒグマの動きはあまりに激しいので。」
「棒立ちで戦うと勝ち目が無い。」
「しかし慣れてくると剣闘士のように。」
「ヒグマの戦い方を知っているので。」
「楽な相手として狩猟することが出来る。」

老兵。
「物知りだね。」

春雨。
「竹刀や木刀は重量がまるで無いので。」
「素早く振り回せて当たり前である。」
「要するに竹刀は重量が本物よりも二割くらいしかなく。」
「木刀は重量が存在しない。」
「本物は鋼鉄製で。」
「重心を大きく左右するもので。」
「あらゆる動きは武器の重量で鈍重になる。」
「そもそも人の体は鈍重なので。」
「さらに日本刀の重量が加わるとまともに動き回れない。」
「人の体は戦闘時にはさらに鈍重になるので。」
「敏捷性というものは求めることができないだろう。」

老兵。
「実戦を知っている剣の話だね。」

春雨。
「ジェイ・ノイズ師匠から剣術の心得を習いました。」
「書籍や教本で頻繁に登場しますし。」
「騎士道の精神もジェイ・ノイズ師匠から得ました。」
「師匠は世界の映画で殺陣のシーンを指導していて。」
「世界の剣術担当なのです。」
「私が剣術好きになったのはジェイ・ノイズ師匠の影響です。」
「ドイツ剣術が現在有名ですよ。」

檸檬。
「スペイン剣術は世界最強と言われています。」
「本物の鎧を装備してレプリカの剣で試合をするのです。」
「ロングソードの試合などは動画でも観れます。」

春雨。
「私の剣術はレイピアの使い方を改良したもので。」
「スペイン剣術が基本になっています。」
「撃ち合いに持っていくドイツ剣術が原型なのです。」

老兵。
「それでは剣道が子供の遊びみたいな言い方じゃないか。」

檸檬。
「竹刀は重量が本物の半分しかなく。」
「剣道は凡人と奴隷のスポーツと化しています。」

春雨。
「世界各国で見られる剣術の試合は硬派であって。」
「正面攻撃が多いのです。」
「ジェイ・ノイズ師匠は正面から簡単に崩す玄人で。」
「私の戦い方は女性の身のこなしを活かしたアクロバティックな回避運動から成る。」
「テクニック攻撃タイプです。」
「パワー攻撃に弱い欠点があります。」

檸檬。
「私の場合は防御優先に構えておくと。」
「かなり有利になります。」
「ソレス・マイノック戦法は頻繁に目にしますが。」
「始めから防御だけをして。」
「反撃やパリィから。」
「横に避けたり跳ね返したり。」
「相手の動きを逆手に取って。」
「防御によって相手の自由を奪います。」

春雨。
「接近戦では格闘技の攻撃で武器を奪い取ったり。」
「脳震盪を起こす威力のストレートパンチで。」
「兜の上から叩き込みます。」
「自分から攻撃に行くと不利になり。」
「防御の体勢から反撃して行くと有利になります。」
「カウンターで仕留めるために攻め手に欠けますけれど。」
「戦死するリスクは最低限まで低下しています。」

檸檬。
「剣術と言えばジェイ・ノイズ師範と思ってください。」
「世界レベルです。」

老兵。
「それでクマさんを仕留めたいんだな。」
「勇敢で良いものだ。」
「わしも若い頃は同じ気持ちだったさ。」
「諺にもあるように。」
「幸運は勇者に味方する。」

猟師。
「今回はクマさんの取り合いになるな。」
「秘密兵器もあるし。」
「獲物は譲らんよ。」

猟友会。
「毒矢を食らわせて殺してしまうのさ。」
「神経毒やら猛毒やらを塗った吹矢でね。」
「この辺りの住民は何匹かそれで仕留めている。」
「毒を塗った吹矢で猛獣が簡単に死ぬ時代だよ。」

老兵。
「わしらの銃は第二次世界大戦で広く使われたものだよ。」
「要するに穴だらけにしてやるのだ。」
「車に乗ればあっという間に着くぞ。」

降り立ったのは限界集落。

登山する若者が馬鹿をやったせいで。

ヒグマが錯乱しているようです。

猟友会。
「あそこにいるぞ。」
「大型犬が知らせてくれた。」

老兵。
「撃てよ。」

春雨。
「もう一匹が死角から接近しています。」

老兵。
「なんだと。」

春雨。
「ローマの剣闘士は捕獲したクマやトラをあっさり殺していた。」
「闘技場にハマったローマ皇帝は。」
「生涯でクマやトラを100以上殺害している。」

ヒグマと遭遇。

素早く接近。

クマの顔を斬りつけて。

目に当たったらしくてクマは自暴自棄。

自分を損なう爪攻撃は。

正面攻撃を回避しているので当たらない。

クマは突進しようとするが。

春雨ちゃんに一刀両断されて倒れる。

トドメを加えて仕留めた。

老兵。
「良い腕をしているね。」
「噂で聞く所によれば。」
「まだ新人とばかり思っていたが。」
「その時よりも成長していたんだな。」

猟友会。
「向こうのクマは全部仕留めました。」
「これで全部です。」

老兵。
「何が間違っていたのか。」
「死角から接近されるとはね。」
「しかしいい具合に片付いたよ。」
「本当は楽勝の予測だったんだがね。」

猟友会。
「一匹は予定の無い奴でしたよ。」
「何があったんでしょうかね。」

老兵。
「稚拙な野郎が山でも荒らしたかな。」

春雨。
「武士は猛獣くらい何回も斬り殺しているでしょう。」

老兵。
「そこまで強ければこの先、苦労はしないぞ。」

駐屯地に帰還。

地元では民兵扱いされている猟友会。

出張討伐はよくあること。

車で移動し。

千歳空港に戻ってくる。

jアラート。

ゲリラ・特殊部隊攻撃情報。

小競り合いを仕掛けてきた三戦目。

本格的にこちら側の民衆を煽ってきた。

いわゆる挑発。

春雨。
「今度は特殊部隊ですか。」

飛燕。
「前みたいに勝てるかな。」

檸檬。
「あいつら何がしたいの?」

雛菊。
「ていうか何しに来たの?」

敵の民兵による千歳空港の妨害です。

軍人では警戒されるので。

雇われ傭兵が出現して。

最後には本国へ飛行機で逃げます。

護衛の戦闘機が同時に出撃しているので。

退路が確保されているんです。

最悪、近くの漁船で逃げるために。

不審船が航行しています。

人質に取ろうと何者かが接近。

しかし目に見えない速さで避けたと同時に。

敵兵にストレートパンチと突きが融合した。

改良型の打撃が直撃。

敵兵がダウン。

それを見た檸檬は背後に来た人物をちらっと見て。

催涙スプレーの入ったボールペン噴射機で撃墜。

雛菊に拳銃が突き付けられるが。

これは囮で。

飛燕が拳銃を掴んで曲げて相手の顔面に発射させた。

意外な攻撃で敵兵三人が倒された。

豪華な服の人が仕掛けてくる。

物理法則を超える動きに翻弄されて。

まともに立ち回れない敵兵。

サプサーン。
「お前、最強の戦士になれるぞ。」

春雨。
「戦場で大切なものは憎しみを持たぬこと。」
「犬死になるだけだ。」

サプサーン。
「君は考えたことがあるか?」
「国とは何か。」
「そこに生きる者一人一人が国を成しているのだ。」

春雨。
「なにをする気ですか?」

サプサーン。
「お前とは戦いたくない。」

士官と兵士は負傷兵を置き去りにした。

予想外の番狂わせに混乱している最中で。

自衛隊の攻撃によって敵兵は敗走。

サプサーン。
「戦場に向かう途中から妙な気がしていた。」
「何てこずってんだ。」
「たった民間人四人にってな。」
「まあ混乱も今だけ。」
「もう終わってんだろうと思った。」
「でもあれを見て冗談かと思ったよ。」
「誰かの演技を疑ったくらいだ。」
「あそこに四人残っている。」
「部隊の連中も同じ四人を見ていた。」
「ああこれは本物だってね。」
「戦場ではたまにああいう奴が現れる。」
「俺は目を凝らして状況を確認した。」
「彼女の戦術。」
「あらゆる動き。」
「体力や技術力。」
「いけると踏んだ。」
「だが予想を超えてた。」

パヴリーン。
「前衛部隊は全く相手にならなかった。」
「これはまずいと直感があったよ。」
「この子は強いとね。」

サプサーン。
「どこまでも喰らいついてくるんだ。」
「やっと振り切ったと思ってもまた直ぐに。」
「見透かされているような気分だった。」
「常に一手先を潰しにくるんだ。」
「戦術はことごとく見破られ。」
「俺達は手を打ち尽くした。」

パヴリーン。
「彼女の戦術に感情は無い。」
「人ではない何かと戦っている気分だった。」

サプサーン。
「兵士ってのは致命傷を受けたら何も無くなってしまう。」
「それは怖いさ。」
「でも、あそこでは、生きている証が得られる。」

パヴリーン。
「あの圧倒的な強さは記憶から消えない。」
「次々と薙ぎ倒され。」
「倒れていく仲間達。」
「彼女が触れたものは全て壊れていったよ。」
「まるで手品のようだった。」

敵兵は飛行機で脱出。

思ったより苦戦していたようです。

制空戦闘へ突入。

陸上自衛隊の普通科の隊員。

倒れている敵兵を見て。

いろいろ質問してくる。

これは民間人が歩兵を倒したジャイアントキリングとして扱われた。

すぐに帰してくれたのは。

未成年もいるから。

正当防衛として簡単に処理されました。

北海道旅行とやらはとんでもないアクシデントの連続でした。



帰宅して次の日。

親戚の七世という女性と久しぶりに会いまして。

春雨は距離を置いて接しています。

七世。
「最近は商業道徳が最悪ですね。」

楓。
「かもしれない。」

義興。
「資本主義は世界ベストセラー。」
「武士道の商業道徳から成り立っています。」
「岸田内閣総理大臣は資本主義の再構成を狙っている雰囲気があります。」
「資本主義のアップデートですかね。」
「商業道徳が退廃した現代では。」
「歴史における資本主義の基礎。」
「商業道徳の見直しが必要不可欠で。」
「商業道徳なしに資本主義は成立しません。」
「武士道は資本主義の基盤です。」

七世。
「それは今や商人の基本です。」

楓。
「世の中には3つの嘘がある。」
「ひとつは嘘、次に大嘘。」
「そして統計である。」

義興。
「トム・ソーヤーの冒険で知られるアメリカの文学者マーク・トウェインが。」
「19世紀のイギリスの首相。」
「ディズレーリの言葉。」
「Lies, damned lies, and statistics.」
「として紹介したものです。」


春雨。
「私には芸術家のセンスがあるようで。」
「美の表現が得意です。」


楓。
「ルネサンスにおいて芸術家は。」
「マエストロ(親方)と呼ばれる先生の工房に入門し。」
「見習い三年を得て昇格する仕組みです。」
「仲間の芸術家や熟達した教師がいるため。」
「育成は高度なものであったと思われます。」

七世。
「自薦状書きなさいよ。」

義興。
「自分で自分の事を他人に推薦する手紙ですな。」

楓。
「昔の作家は本が売れれば売れるほど収入がある印税ではなく。」
「本による収益は少ないものでした。」
「多くの作家や芸術家は国や貴族から支給される年金によって生活していました。」

義興。
「お菓子食べないのか。」

楓。
「いつも一緒に遊んでいたのに。」

七世。
「もう大人ですし。」
「子供の時とは勝手が違います。」

楓。
「親は再評価しないとか言いますしね。」
「既成概念の否定。」
「リベラルアーツの基本。」

春雨。
「心理学から見て。」
「まず。」
「相手と自分は違うという前提を無視している。」
「自分と相手が同じであると確信しているし。」
「同じ前提で交流すると問題が発生します。」
「自分と相手は違うという前提を忘れているほど。」
「人間関係は破綻しやすくなります。」
「これが理解できない以上。」
「コミュニケーションは成立しません。」


七世。
「春雨ちゃんはギフテッドですので。」


楓。
「ギフテッド。」
「タレンテッド。」
「ギフテッド・チルドレン。」
「社団法人ギフテッド応援隊。」

義興。
「ギフテッド(Gifted)」
「贈り物を意味するギフト(Gift)が語源となっており。」
「生まれつき突出した才能を授かった人のことを称します。」
「ギフテッドは先天的な資質であるため。」
「先取り教育などによってギフテッドに成長することはできません。」
「社団法人ギフテッド応援隊。」

七世。
「ということで春雨ちゃん。」
「自己主張してください。」


春雨。
「とある日、街角をいつものように曲がったら。」
「銃剣突撃してくる兵士に遭遇した。」
「その場合。」
「あなたはどのような行動を取りますか?」
「兵士は特殊部隊やテロリストである可能性があり。」
「たまたまターゲットになりました。」
「実弾が込められていて。」
「見せしめに銃剣突撃を選んだ様子です。」
「避けたりしても再追尾したり。」
「発砲されるでしょう。」
「相手も訓練されていますので。」
「想像もつかない戦闘力を持っています。」
「兵士は既に銃剣突撃の真っ最中です。」
「これは地上で最悪の状況とされて。」
「最悪の質問でもあります。」

義興。
「強い者が勝つのではない、勝った者が強いのだ。」

七世。
「やはりギフテッドですね。」


義興。
「後から妻が不妊だと知ったので。」

「私も同じく。」

楓。
「論文がある。」

「最近、抜群なんですよ。」

春雨。
「最も高いスコアが出たのが。」
「潜水艦隊。」
「四隻の高性能潜水艦で艦隊を包囲攻撃する。」
「高確率で旗艦が沈み。」
「壊滅させる事が可能。」
「対潜哨戒機が猛威になるので。」
「対潜ヘリコプターが苦手。」

七世。
「これは怪傑。」
「ケーキ食べなさい。」

持ってきたケーキを食べる。

父親と母親は雑談。

春雨。
「さっき荷物を玄関に置いてあった。」
「覗き見しようっと。」

中身は書類と印鑑と謎だらけ。

そっと戻ると。

七世という女性は帰っていきました。

いつもの喫茶店にて。

春雨。
「予言の内容が不思議で。」
「私にはそんなつもりはないのに。」

飛燕。
「実の娘という点はズレているのに?」

雛菊。
「略奪とは謎だらけです。」

檸檬。
「最近話題の巫女に見てもらう?」

春雨。
「どんな人なのですか?」

檸檬。
「いろいろつぶやいている幼女の巫女なんだけれど。」
「何かヒントになるかもしれない。」

雛菊。
「知り合いでどうにも噂が立っているので。」
「会わせる事ができるよ。」

春雨。
「うーん。」
「何かヒントがあるならば会ってみます。」

雛菊。
「今いるかな。」

春雨をさっさと連れてきた。

巫女服の幼女。

秋水(しゅうすい)という女の子。

神童と評判です。

春雨。
「社務所ですか。」

雛菊。
「あの娘いる?」

事務員。
「神楽殿で練習中です。」
「今行けば会えますよ。」

雛菊。
「いたいた。」

秋水。
「今日は何のお菓子くれますか?」

雛菊。
「お菓子もいいけれど。」
「この娘を見て。」

秋水。
「あれ?何か吹き込まれましたか?」

春雨。
「予言がありまして。」
「私が両親から略奪して。」
「禍が飛び火して全部倒すとか。」

秋水。
「それってあなたが原因になりますよ。」

春雨。
「どういうことで?」

秋水。
「簡単な能力不足で滅んでしまうという意味です。」
「職業を受け継いだらさっさと倒産してしまうという意味です。」

春雨。
「ああ・・・心当たりがあります。」
「今のままではそうなると思う所がありまして。」
「百尺竿頭一歩を進む。」

秋水。
「血筋がある子ならばもっと最悪な結果になっていたでしょう。」
「でも予言は別の形で実現しました。」
「既にあなたは一回滅んだ。」

春雨。
「臆病者は本当に死ぬ前に何度も死ぬ。」

雛菊。
「勇者は一度しか死なない。」

祈祷する。

巫女振り返る。

秋水。
「略奪されるというのは。」
「父親が定年で引退した後に。」
「奪うようにあなたが稼業を継ぐからで。」
「そのために発生する苦難は。」
「周囲の子会社を倒す。」
「こう出ました。」

春雨。
「あらまあそれは決まっているのね。」
「それなら本当の事だわあ。」

秋水。
「最小限のダメージで済むように心がけてください。」

春雨。
「言い得て妙。」
「正体が分かって良かった。」

雛菊。
「当面の目標は将来のダメージを可能な限り減らすこと。」

春雨。
「手に余るわあ。」
「どこまでやれるのか。」
「自信ありません。」

再び喫茶店。

飛燕。
「そういうことだったのね。」
「笑えないわ。」

春雨。
「あれから冷や汗だらけです。」

雛菊。
「友人は何のためにいる?」

檸檬。
「窮すれば通ず。」
「占いでは大吉。」

春雨。
「この世って。」
「五里霧中。」

駅前に移動すると。

インタビュー。

何かの撮影らしいです。

エンターテイナー。
「ずばり!人生とは何か!」

春雨。
「個人の幸福などというものはあり得ない。」
「一挙一動。」
「苦悩・不幸・死・滅亡に向かって引っ張られていく。」
「互いに滅ぼしあい。」
「自らも滅んでゆく無数の個体の中で。」
「己の幸福のみを目指す個人としての人間の生活は悪であり。」
「無意味である。」
「真の生活はそんなものであるはずはない。」

エンターテイナー。
「凄い所を突いてくる。」

春雨。
「個人の幸福を破棄するか保留し。」
「人生という主張をしない方が難易度が下がる。」
「おまけに理性を過信している面もある。」
「人生論は生命を常にマシな方向へ移動させないと。」
「理由が見つからない苦痛が増えるので。」
「少しでもマシな活動を認めるべき。」
「真理を言うならば。」
「人が言う人生とは古代から矛盾が指摘されていて。」
「人生そのものに矛盾があることは証明されている。」
「しかしこれは覆い隠されて見せないようにしている。」
「人生は自分に主権が無い事を経験論で覚えていて。」
「トルストイに関しては。」
「人生の主権を奪うのは到底無理で。」
「人生の主権は獲得できないだろうと記している。」

エンターテイナー。
「人生論にも起源がある!!」

春雨。
「何とかトルストイは人生の主導権を握ろうと企んで失敗している。」
「ちなみに人生の矛盾とは。」
「目的であると設定する幸福があまりに利己的な事。」
「エゴイズムの達成が幸福であるはずがないのに。」
「現実にそれを追い求めているという矛盾の事。」

エンターテイナー。
「まさしく一騎当千。」
「時代は高論卓説を求めている。」

春雨。
「博覧強記ですので。」

エンターテイナー。
「協力に感謝。」

帰宅すると。

夜に巫女の発言を話しましたら。

納得してくれました。

結果が良いので。

インタビューされた謎の番組。

なんと一か月後に放送され。

名声が上がってしまう。

これまで公に広めていなかった娘が。

しれっとデビュー。

人の世は有耶無耶ですね。



50


古典とは、誰もが読んでいたらと願いながら。

誰もが読みたいと思わぬ本である。

マーク・トウェイン。


早朝。

お宮の中で。

見惚れてる。

春雨。
「少女はあはあ・・・。」

秋水。
「美人さんに惚れられるなんて。」
「私は美少女なんですね。」

春雨。
「たまにいるんです。」
「美少女が。」
「でも本人は容姿端麗を。」
「どう使えばいいのか知らないらしくて。」
「私が美人ならば。」
「周囲に見せびらかして。」
「男女を喜ばせますが。」

秋水。
「でも、中身も最強だったら。」
「やっとの事でマシな使い道を見出しませんか?」

春雨。
「同感です。」
「何かの手本や参考資料として美形を使ったり。」
「説明書になったらいいですね。」

秋水。
「美人女性は相手も選べますし。」
「いいことだらけですね。」

春雨。
「美は見る人の目の中にある。」

水無月味菜。
「夜目遠目笠の内。」

秋水。
「そんなにうまくいかないんですね。」

春雨。
「幼女の次は和服女性とは。」
「私が好きなタイプが次から次へと。」

水無月味菜。
「男性の好みは?」

春雨。
「いいえ、美人女性を見ている内に。」
「男性への興味は失せました。」

水無月味菜。
「趣味趣向は説明できないもの。」

春雨。
「まったくその通り。」

秋水。
「幸運がもたらした美形という訳です。」
「人の能力は幸運によるものが大きい。」
「鍛錬の末にマスターになる人もいれば。」
「運命に寄りかかっている人もいる。」
「強力な能力を持っている人や。」
「天才と言われる類の人は。」
「何かしら理由がある。」


春雨。
「運気ならば。」
「穴守稲荷神社が有名。」
「末社が多く。」
「その中には開運稲荷という特殊なお宮があります。」
「鳥居の右側に末社が四ある中のひとつ。」
「開運稲荷は全国に点在していますし。」
「探せば見つかります。」

水無月味菜。
「開運神社は全国に点在しているものの。」
「三回くらい参拝すれば。」
「幸運が来てくれる。」
「開運稲荷神社が思いつくであろうが。」
「運を霊験として貰ったら。」
「運を心配しなくていいので。」
「運気に憂いがあれば。」
「開運神社か開運稲荷神社にて頼めばいいし。」
「そこまで無理な場所にある訳では無いので。」
「ある意味では誰でも強運を受ける権利がある。」

秋水。
「妬む人間も多いものですが。」
「幸運がもたらした能力や成果を妬むのは筋が違います。」

水無月味菜。
「他人の非難が言い掛かりであるならば。」
「その反対があなたに関する評価です。」
「敵が言い掛かりでこき下ろそうと必死になっていれば。」
「言われている方はそこまで優秀で清廉潔白という意味になります。」

春雨。
「人の思想も多様性が多くなりましたね。」
「よく精神的に追いつめられるとか。」
「ニュースで出てきますが。」
「唯物論としてそうであっても。」
「物理的にそうであっても。」
「結局は唯物論の範囲を出ない。」
「滑稽なのは追い詰めても命まで届かない所。」

水無月味菜。
「唯物。」
「物質だけが真の存在と考えること。」
「唯物論。」
「宇宙の本質は物質であって。」
「精神は物質に規定されると主張する説。」

春雨。
「唯物論でこうだからとか。」
「自然科学が陥りやすい典型的な誤謬ですよ。」

水無月味菜。
「唯物ばかり相手にしていると。」
「ついつい発表してしまう悪癖だと思われます。」

春雨。
「ひとつの思想だけで説明するのは無理があるのでは。」

水無月味菜。
「少なくとも。」
「全体がこうだからあなたもこう。」
「なんてものはありませんね。」

春雨。
「それだと唯名論が参考になります。」
「唯名論。」
「真に存在するのは個々のもの。」
「例えば個人とかのようなものだけであって。」
「人間一般とか人類とかのようなものは。」
「便宜上の名前や記号に過ぎないと考える立場。」

水無月味菜。
「思ったよりずっと社会は複雑な構造を持っています。」

春雨。
「それが簡単に行かない原因のひとつでしょう。」

水無月味菜。
「事実なるものは存在しない。」
「ただ解釈があるだけだ。」
「ニーチェ。」

春雨。
「問題なのはこちら側が解釈だけだと知っていても。」
「相手が自分の解釈であると知らない事にあります。」

水無月味菜。
「ただ解釈があるのみ。」
「問題になるのは相手側がそれを理解していない場合に限ります。」

春雨。
「どんな状況でも半分くらいはなんとかなるので。」
「どんなに最悪な状況でも。」
「半分くらいは操作してしまっても良い。」
「人は困難な状況になると。」
「全部をコントロールしたがるが。」
「それは無理がある。」
「しかし半分はどうにでもなるので。」
「半分に変更を加えればなんとかなるもので。」
「半分は決まっても。」
「もう半分は変えられる。」

水無月味菜。
「少し女性っぽくなるために。」
「リベラルアーツのコアクエスチョンでもしますか?」

春雨。
「それは良い考えです。」
「自分の意見の保証ですからね。」
「意見そのものがそこから出ていると確実ですし。」
「女性っぽくなるには近道だと思います。」
「未だ女性の可能性は追求されていますし。」
「可能性の追求を辞める理由はありません。」

水無月味菜。
「女性の可能性は未知数だからね。」
「誰も定義することは出来ないだろうね。」

春雨。
「アプリで収録されています。」

水無月味菜。
「こっちもだよ。」
「今時、こういうのは基本だね。」

春雨。
「教養と言えばリベラルアーツですからね。」

水無月味菜。
「はたして階級や格差とは何か、なぜ存在するのか。」※1

春雨。
「なぜだろう。」
「逆に言えば階級や格差を否定するのが先で。」
「正体を調べるのが後になっているのは。」
「順序が逆ではないかと思う。」

水無月味菜。
「何であるか知らずに階級や格差を否定して誤りと判定するのは。」
「まるで現代を崇拝しているかのような狂信者で。」
「調査する義務があると思う。」

春雨。
「人間が後付けで考えたようなものでしょう。」

水無月味菜。
「自由民とは何か、非自由民とは何か。」※2
「例・女性や使用人、奴隷。」

春雨。
「なぜだろうか。」
「この世の最初から。」
「自由民と非自由民とで分かれている。」
「創造論で考えると何かしら発見があるのでは。」

水無月味菜。
「世界が創造された時から。」
「そのように細分化されている所を見ますと。」
「この世の秘密はそこの部分にあるのでは。」

春雨。
「人間が後から説明付けしたようなものでしょう。」

水無月味菜。
「家政術や公共の政治とは何か、共同体の種類で性質は変わるのか。」※3

春雨。
「多分、自称すれば家政術やら公共の政治ということになり。」
「共同体の種類で解釈が変化するのだと思う。」

水無月味菜。
「逸話や修辞が持つパワーとは何か、歴史においてどのように作用したのか。」※4

春雨。
「力攻めや説得などに猛威を振るったものの。」
「それ以外には意味がなかったと思う。」
「要するに手段として逸話や修辞が強かったのだと思う。」
「歴史においては大局を動かす決定打になっている。」

水無月味菜。
「真実を見抜くことはできるのか、認識や勘考とは何か。」※5

春雨。
「真実を見抜くことはできないと思っているが。」
「嘘を見抜くことは実用性があるし。」
「欺瞞だけはなんとかなる。」
「認識や勘考については否定的に見ています。」

水無月味菜。
「人間であることは先天的なのか、あるいは後天的に作り上げられるべきものなのか。」※6

春雨。
「どちらかに偏ると人間は台無しになると思います。」
「先天的が半分で後天的が半分という配合が現実的であると思われます。」

水無月味菜。
「性別による差異はどうか、どこまでが先天的で、どこからが後天的に作り上げられるものなのか。」※7

春雨。
「本人による自由意志で何でも左右されるべきで。」
「先天的に決まるのなら決定論と言えます。」
「イソップ童話にあるように。」
「行動の自由を得た瞬間から後天的に作り上げられると言えます。」
「ですから、行動の自由がまだ無い状況ではすべて先天的だと思います。」

水無月味菜。
「正しいこと、公正であること、美徳を有すること、それらははたして何なのか、必要なのか、邪魔なのか、役に立つのか、立たないのか。」※8

春雨。
「正しい事が害になることもあります。」
「なので正しい事は必ずしも必要ではありません。」
「はっきり言って邪魔です。」
「役に立つこともあります。」
「公正は本人だけのものであって。」
「他人には期待できませんし。」
「公明正大が及ぼす影響は確認しています。」
「美徳は最高善の条件であり。」
「幸福の基本です。」
「反対に悪徳は奴隷道徳へと向かっていきます。」
「つまり、美徳の反対である悪徳を見れば。」
「どのようなものであるか、何なのか容易に理解できるのです。」

水無月味菜。
「苦労すること、困難に立ち向かうこと、失敗に直面すること、それらは人生に何か善なるものをもたらすのか。」※9

春雨。
「はっきり言えば無意味です。」
「善をもたらす事はありえません。」
「何の意味もなく無駄です。」
「苦労はある程度の訓練にはなりますが。」
「害の方が大きく。」
「困難は勝手に向かってくるのであって。」
「暴漢と同じです。」
「失敗に直面すれば教訓を得ますが。」
「結局はそれらが善なるものに繋がる事は滅多にありません。」
「なぜなら善を否定する形で出現するから。」
「というのは体験談です。」

水無月味菜。
「真実とは、真実在とは何か、目には見えない明らかでないものを理性の力で観ることは可能なのか。」※10

春雨。
「人間には・・・本当に理性があるのですか?」
「ないように思われます。」

水無月味菜。
「真実とは、感ずるものなのか、理性により認識するものなのか、それは協調や友情にあるのか、紛争や不和なのか。」※11

春雨。
「真実と言うならばそれは名探偵の特権です。」
「理性ではなく証明です。」
「協調や友情の中にあるとは限りません。」
「必ずしも協調や友情の中に存在する訳では無いです。」
「人が真実であると掲げる場合は。」
「紛争や不和を目的としていることは推理できます。」
「真実とは探偵の特許です。」

水無月味菜。
「おおっと!具体的な返事まで出来るとは。」
「私は自分の意見の核となる問いかけであると見ていましたが。」
「実用性最強ですなあ。」

春雨。
「残念ながら、問いに関する返事は主張ではなく変動極まりない個人的な意見です。」
「残念ながら、問われる毎に返事が変わり続けます。」

水無月味菜。
「残念ながら、私も、既に返事が移り変わっている場合があります。」

秋水。
「女性という存在には解釈があるだけでしょう。」

春雨。
「解釈だけがあるということは。」
「これまでの事実は無かったことになりますね。」

水無月味菜。
「むしろ女性に対する見解には事実が無く。」
「解釈のみ存在するのであれば。」
「そんなに簡単な解決方法は他にないだろうね。」

秋水。
「個人主義の女性が蓋然性高だと思います。」

春雨。
「好きです。」

秋水。
「それはどうも。」

水無月味菜。
「ああこの人はあそこの令嬢。」
「雛菊ちゃんと飛燕ちゃんの言っていた人だね。」

春雨。
「百人百様。」

水無月味菜。
「良縁に感謝。」
「昔貰ったメールアドレスを交換するとしよう。」
「偶然の出会いではないって事だよ。」

春雨。
「私も和服女性は好みですし。」
「本当に偶然では無いですね。」
「うふふ。」

帰宅して。

事務に取り掛かりますと。

両親はこう言っていました。

つぶやき。
「私達は養育したものの、本当の親は神様という事になる。」
「では、厄除けをすると、どうなるのだろう。」

そして休日に厄除けの祈祷を家族で受けまして。

未然に防いだ形となった様子。

予言の内容が有耶無耶になりました。


両性具有。

ユング心理学用語。

男性原理と女性原理が融合。

男性と女性の性両方がしっかりと機能している完全型的な状態。

男性にも女性の性傾向があり。

女性にも男性の性傾向がある。

個々によってバランスは異なります。

男性でも女性の部分があり。

女性にも男性の部分がある。

両性具有とはどちらも失わず。

機能したままでの融合。


不可能なことを除去してしまえば。

どれほど可能性がないように思えても。

残ったものは必ず真実である。

アーサー・コナン・ドイル。



私は相手の正義を撃破する。

私はいつも正義などをと語られていくその場所を見て。

正義などいくらでもあると知って。

正義などいくらでもあり。

私はあらゆる正義をこの手で打ち倒してきた。

私はあらゆる正義をこの手で打ち倒してきた。

あらゆる正義が叫ばれ。

いくらでも向かってきては。

この力で打ち倒され。

何回でも。

正義は殺され。

何回でも。

正義は殺されて。

いくらでも死んで。

ついに滅んだ。


駆け抜けた。

駆け抜けた通っただけだ。

それぞれの正義などに捕らわれ。

己の正義に盲人となり。

駆け抜けた。

駆け抜けた通っただけだ。

ただ自分の正義に盲目となり。

それぞれの正義も打ち倒すのみ。

どんな正義も殺されていくこの世界の姿。

いかなる正義を打ち倒して進むよ。

いかなる正義も倒されていく。

次々と築かれる正義の。

死体の山で正義は埋葬されて。


あなた達は。

それぞれの正義で。

駆け抜けたる私の前で。

阻むから。

いかなる正義も打ち殺すから。

いかなる正義。

死んでいくだけ。

駆け抜けたる私の前で。

阻むから。

駆け抜けたる私の前で。

阻むから。

どのような正義も。

私は殺していくだけ。

いかなる正義を。

いくらでも叫んでも。

あなたの正義も私は倒していく。

死んだ正義は意味のない作り話で。

いかなる正義も私は倒していく。

死んだ正義の上を踏み越えて。