序章。


汎神論。(哲・宗)

神は万物に内在するものであり。

この世のいっさいが神の現れであるとする考え方。(世界観)


1


かつて超科学文明がこの星に実在していた。

栄華を極めたこの文明は。

いつか自滅してしまった。

私達はリバースエンジニアリングによって。

高度な科学力を持つに至ったけれど。

前文明の遺跡や遺産は世界各地に点在している・・・。

私は興味本位で調べた。

教育の指針である。

人類の指針として提示された。

「人類は進歩すべき。」に習って。

自分の成長や進歩を人生の目的にしている。

かつての賢者の言葉は今人類の共通のテーマ。

これを糧に。

人は日々営みを続けている・・・。



2


とある家の中で。

本を書く女性がおりました。

スピカ。
「これでいいかな。」
「わたくしの著書も完成するかもだし。」
「第一部ってことでいいよね。」

レグルス。
「こんにちはー。」
「スピカ居る?」

スピカ。
「ようこそ。」
「レグルスさん。」

レグルス。
「作ったケーキ余ったから。」
「休憩も必要かと思って。」

スピカ。
「気を使ってありがたいです。」

ドゥーベ。
「スピカさん。」
「相談者が参りました。」
「貴族の方のようですが。」

スピカ。
「あら?」
「では教会の方へ出向かなければ。」
「自由時間はまた後程ですね。」

冷蔵庫にケーキを入れて。

教会へ。

祭壇があり。

執務室が入り口のほうにあり。

天に向かって。

いろんな人が祈りを捧げています。

神殿と教会が融合しており。

御祭神「デーミウルゴス」

別名・デミウルゴス。

来客。

スピカ。
「どんな案件でしょうね。」

ドゥーベ。
「子供の教育で行き詰まったらしいです。」

スピカ。
「あらま。」

丘の上から街のはずれのほうが見えました。

設定された飛行ルートを行き交いする。

輸送機が飛び交っています。

空飛ぶ車もあります。

内臓されたコンピューターが飛行経路を厳守させて。

輸送はすべて空を使っています。

街中は緑で溢れており。

市街地に森林があったり。

小川が整地されずに流れていたり。

野鳥が多いですね。

そこら辺に鳩の大群が居ます。

スピカ。
「今日は自然が心地よいです。」

ドゥーベ。
「自然を大切にする機械文明。」
「もうすこし畏敬の念を持たないとです。」

スピカ。
「いいことを言いますね。」

到着。

エルナト。
「お父さん。」
「なんで私を連れてきたのー?」

正統派貴族。
「かわいい子には旅をさせろ。」

エルナト。
「じゃあ私。」
「社会に放り出されるんだ。」

正統派貴族。
「そこまで厳しくないぞ。」
「手加減は意外と大事。」
「切り札を持たせよう。」
「英語のことわざ。」
「規則は破られるためにある。」
「規範を無視することを勧める言葉としてよく使われる。」
「覚えておくんだ。」

エルナト。
「絶対的な結論なんてある訳ないでしょ。」

スピカ。
「ようこそいらっしゃいました。」
「要件は?」

正統派貴族。
「娘をあなたの教会に預けたい。」

スピカ。
「よくある案件でしたね。」
「大丈夫です。」
「人手が足りてませんから。」

正統派貴族。
「後は頼みます。」

エルナト。
「わーん!」
「もうなるようになれ!」

スピカ。
「初めまして。」
「司祭のスピカです。」

エルナト。
「エルナトよ。」

スピカ。
「大切に預からせて頂きますね。」
「プロキオンさんを呼んできて。」

ドゥーベ。
「了解の了解!」

教会の建物内。

スピカ。
「どこからいらして?」

エルナト。
「ジンゲル地方です。」

プロキオン。
「なんだって?」
「娘が入った?」
「かわいがってやろうじゃない。」

スピカ。
「この人の下につきなさい。」

エルナト。
「うん。」
「やってみる。」

ドゥーベ。
「あの女の子。」
「資質が高そうですよ。」

スピカ。
「ですから。」
「より大切にすると言ったではありませんか。」

シリウス。
「おや?」
「姉貴!」

スピカ。
「シリウス君。」
「今日も元気でなにより。」

シリウス。
「お祈りに来たんです。」
「また何かあったら言ってください。」
「姉貴には貸しがあるんで。」

スピカ。
「わかりましたよ。」

今日は。

教会内の点検と。

スタッフの様子を見て。

帰宅。

何かポストに挟まっています。

スピカ。
「おや?」

読んでみると。

未踏遺跡の調査依頼でした。

前文明に興味が深かったのですが。

宗教関連者の調査員が居なくて。

伝説的な人物「マフィン」の弟子のスピカに。

依頼が回ってきたのです。

国王と政府の書状でした。

翌日には関係者が来訪。

正式に調査の依頼を受けましたよ。

スピカは引き受けることに。

この国の政治は立憲君主であり。

この国独自のやり方をしています。

準備していましたら。

噂を聞きつけた友人が次々に来訪するのです。

レグルス。
「えー!いいなー!」
「私志願してみよっと。」

プロキオン。
「あたしもやってみたい。」
「冒険って好きじゃん。」

ドゥーベ。
「私は従者として同行しますよ。」

シリウス。
「俺姉貴の調査隊に入ってるんだけど。」

スピカ。
「メンバー表にはあなた達が確かに入っています。」
「エルナトちゃんの文字もありますね。」

ドゥーベ。
「彼女は無理なのでは?」

スピカ。
「経験を積ませる常套手段ですよ。」
「そのくらいはしないと大成は無理です。」

レグルス。
「私も調査隊に!?」
「やったー!」

プロキオン。
「交友関係を見た上で依頼してたのね。」
「やるじゃん政府。」

スピカ。
「では。」
「司祭の任はアクエリアスさんに任せて。」
「私達は世界各地の遺跡に赴きましょう。」

レグルス。
「みんなでハイタッチ!」

連携が取れると思ったらしく。

友人同士で調査隊が組まれました。

難関の遺跡への依頼ですから。

当然でしょう。

かくして。

わたくし達の挑戦は始まりました。


3


輸送機で最初の地点に移動です。

街や村以外は森林と平原地帯がずっと広がっています。

女性がふたりにひとりしか結婚しないので。

人口があまり増えません。

なので。

開拓する必要が無いのです。

たまに。

マンティスという怪獣が居まして。

前文明で作り出された生物だそうです。

オオカミやヒグマに追い掛け回されて。

数が増える所か。

減ったり増えたりしています。

最初の地点に到着。

巨大な湖がある街から。

北部の森林地帯。

この国では水枯れが発生しており。

前文明との関わりが疑われています。

スピカ。
「しばらく歩きますよ。」
「随分な森林地帯ですけれど。」
「自然を知っていればなんともないですよ。」

プロキオン。
「日々軽快に走るトレーニングの成果。」
「見せてやろうじゃない。」

ドゥーベ。
「力を抜いて歩いてください。」

エルナト。
「ひええええ!?」
「まさかこんなふうになるなんて!」

スピカ。
「彼女のフォローをお願いします。」

プロキオン。
「任せなさい。」
「私を頼るように。」
「甘えていいんだから。」

エルナト。
「わ・・わかりました!」

レグルス。
「ちょっと前を歩いていい?」

スピカ。
「どうぞ。」

開けた場所に出ましたよ。

そこで。

巨大なカマキリ(1.5メートル)が出現。

数は3体。

スピカ。
「自然よ。」
「わたくしに力を。」
「マイクロブロックホール。」

1体は崩壊。

レグルス。
「突撃あるのみ!」

シリウス。
「待て。」
「突進は俺の役目だ。」

カマキリの攻撃を軽く回避して。

切り刻み。

撃破。

スピカ。
「進みましょう。」

透明な水が流れる小川がありました。

巨大な花が咲いており。

高さ20メートルのヒマワリが咲き誇る。

花畑を進みます。

遺跡に到達。

中に侵入。

スピカ。
「灯りを頼りに。」
「迷路のようですね。」

ドゥーベ。
「ここはミサイルサイロとして使われていたとか。」

スピカ。
「古い文字・・・。」
「地下にポンプ場がある?」

隊員。
「その文字を読めるのですか?」

スピカ。
「趣味で解読してましたから。」

開けた場所に。

コマンドウルフという。

組織的な戦いをする獣の巣窟があったのです。

数は10。

レグルス。
「私と坊ちゃんが突撃するから。」

シリウス。
「避けている俺達に援護な。」

スピカ。
「準備はいい?」

プロキオン。
「ライフルで一網打尽だぜー。」

エルナト。
「裏取りされてたらどうするんですか?」

スピカ。
「え!?」
「後ろを警戒!」
「隊員さん達で対処して!」

後方からコマンドウルフが3体。

戦闘開始。

回避能力で圧倒するレグルスとシリウス。

ショートソードで巧みに倒していきます。

プロキオンが誤射に注意しながら。

確実に仕留めます。

コマンドウルフは怯んでいました。

エルナト。
「女史は戦わないんですか?」

スピカ。
「燃費の悪さを知らなかったわね。」

コマンドウルフ。

巣穴から逃走。

負傷者なし。

先に進んでいきます。

装置がありましたが。

ダミーのようですね。

スピカ。
「みんな。」
「シールド発生装置を起動して。」

トラップが多く。

どこからか銃弾が飛んできては。

シールドが弾いていきます。

プロキオン。
「自動機銃だな。」
「ひとつずつ破壊っと。」

スピカ。
「階段を降りるとポンプ場でしょう。」

あまりに巨大なポンプに驚きました。

この辺りの水源を一括で汲み取って。

貯水層に貯めていたのです。

スピカ。
「なんて無意味なものを作るんでしょう。」

ドゥーベ。
「もっと効率良く取水できないかと。」
「考え過ぎたのでは?」

スピカ。
「こんなふうに自然を改造して。」
「滅びの原因を作っていったんですね。」

ドゥーベ。
「前文明はけっこうお馬鹿な所があります。」

スピカ。
「パスワードを求められました。」
「破壊してください。」

プロキオン。
「爆薬セット!」

この後も強引に破壊して進みました。

レグルス。
「怪しい気配が消えたわね。」

スピカ。
「怪獣は居ないということですか?」

シリウス。
「気配ないねえ。」

スピカ。
「それはよし。」

機密エリアで。

調査隊が様々なものを回収しましたよ。

スピカ。
「この壁は薄いですし。」
「コンクリートですね。」
「爆破してください。」

プロキオン。
「大きな花火だぞー?」

何か部屋があって。

極秘資料を発見。

スピカ。
「なるほど。」
「世界各地にポンプ場を作って。」
「確実に水を確保しようとした。」
「人工増加と。」
「水の節水に努めなかった報い。」

ドゥーベ。
「科学を間違った方向に使っていたんですね。」

エルナト。
「たぶん。」
「人の進化よりも科学の進歩のほうが。」
「ずっと上回ってしまったんだと思います。」

スピカ。
「自らの手で扱いきれなくなった。」
「言えますね。」

難関と言われた原因が分かりました。

防衛ロボットが故障しているのに。

向かってくるようになりました。

スピカ。
「トラップも動作しています。」

レグルス。
「このルートで脱出しない?」

シリウス。
「なに言ってんだ。」
「相手は小賢しいんだ。」
「馬鹿みたいに突進すればいいんだ。」

スピカ。
「裏道があります。」
「非常用階段ですね。」
「文字にそうあります。」

レグルス。
「トラップを仕掛ける割に。」
「そんなもの作ってたんだ・・・。」

シリウス。
「考え過ぎには馬鹿が効く。」

非常階段で。

外が見えるホールで。

巨大ロボットが出現。

スピカ。
「ここはわたくしに。」
「Quasar。」

巨大ロボット破壊。

ドゥーベ。
「女史。」
「これ以上の戦闘は避けてください。」
「生体エネルギーが低くなっています。」

スピカ。
「そのつもりです。」

外に無事脱出。

資料を獲得して。

キャンプになっている村まで逃げ延びました。

防衛ロボットは追いかけてきましたが。

途中で脱落。

残りは地雷で吹き飛びました。

翌日。

街に戻ったスピカは。

政府に報告書を提出。

功績となります。

このまま続けて欲しいと。

頼まれました。

興味が深いので。

自分の進歩の為に。

協力を伝えます。

スピカ。
「前文明は簡単な理由で自滅したのかもしれません。」
「科学の暴走。」
「人の進歩よりも科学の進歩が上回った。」
「興味深いですね。」

本を書く積もりで。

大量の資料が生まれていました。

今日はこの辺りで。

夕暮れです。


4


この国は立憲君主制を取っています。

とある国では民主主義を採用していますが。

腐敗してしまったら。

代替手段が無いため。

ためらう国が多いですね。

スピカは司祭でもありますが。

おもに。

文明の研究。

「人類はどのようにすればいいのか?」

「人はどうあるべきか?」

という学術研究を委託されています。

天に祈りを捧げる宗教を「統一宗教」と名前があり。

各国共通の宗教として確立しております。

スピカ。
「また依頼が舞い込んでいますね。」

ドゥーベ。
「宗教家は直感が冴えますから。」
「どうしても頼りたいんですよ。」

スピカ。
「前赴きましたポンプですが。」

ドゥーベ。
「科学者によって停止させられたそうです。」
「おかげで水源もある程度復活しました。」

スピカ。
「こういう貢献も中々いいものですわね。」

街を歩いています。

キャラクターグッズなど。

芸術品に困ることは無いですね。

みんな。

生活が安定していますので。

片手間に芸術に打ち込んで。

多彩なキャラクターを売り込んだりして。

メジャーになれば大ヒットですよ。

アニメ化される作品もあったり。

みんなそれぞれ。

自分の信条があるのです。

生活だけを目的にはしていません。

少しでも進歩しようと頑張っています。

レグルスとシリウス。

合流。

スピカ。
「前文明の人は。」
「生活だけで満足していました。」

レグルス。
「指針が無かったのよ。」
「真理に逆らっていたようね。」

スピカ。
「そうすると何もできませんよ。」

シリウス。
「その結果があれじゃあ。」
「哀れ極まりないな。」

レグルス。
「無力さ。」

シリウス。
「いいや。」
「もっと正直にならなかったからだね。」
「なんにでも逆らって見せてた。」

スピカ。
「従順も時には大切です。」
「逆らうことを求め続ければ。」
「残忍な使者も送られますから。」

レグルス。
「その残忍な使者に打ちのめされたのかもね。」

教会。

シリウス。
「俺は祈りを捧げてから。」
「ハンターの仕事に出るよ。」

レグルス。
「私はもうしばらく街を散歩してから。」
「警備員の仕事に行きましょう。」

スピカ。
「みなさん。」
「自分の果たすべき義務を遂行しましょう。」

さんにんでハイタッチ。

ドゥーベは買い出しに行っていました。

教会建物。

プロキオン。
「だからこれはこうやるんだって。」

エルナト。
「あ。」
「だんだんとわかってきました。」

プロキオン。
「慣れない仕事は最初みなそうだ。」

エルナト。
「相談レター溜まってますね。」

プロキオン。
「これは熟練しないと無理だから。」
「あんたはお守りとかグッズ担当な。」

エルナト。
「わかりました。」

スピカ。
「仕事に慣れてきたようですね。」

エルナト。
「はい。」
「一度掴めばこっちのものです。」

スピカ。
「その調子です。」

ドゥーベ。
「女史。」
「論文が難解だそうです。」

スピカ。
「あらやだ。」
「簡潔に書かないといけませんね。」

ドゥーベ。
「誰だって失敗はあるんですね。」

スピカ。
「わたくしでも万能ではありませんから。」
「もっとも。」
「自分こそ万能であるという態度を取ったばかりに。」
「予想外の失敗を招いて。」
「我を通そうとする人も。」
「居たとか。」

ドゥーベ。
「前文明のことですね。」
「彼らは随分と我が強かったとか資料にあります。」

スピカ。
「そういうのを愚かと言うんです。」
「時には我を折る事も正解になるんですから。」
「前文明の人達は叛意で満ちていた。」

ドゥーベ。
「図書室に新刊入れておきます。」
「その様子ですと。」
「女史の研究もかなり進んでいるようですね。」

スピカ。
「頼んだわ。」
「そろそろ学校に講義に出ないといけません。」

ドゥーベ。
「宗教家からの教育は大切な分野ですからね。」

プロキオン。
「女史。」
「不思議な宝石が贈られてきました。」

スピカ。
「これは。」
「科学と神秘。」
「こういうものをどうやったら作れるのでしょう。」

プロキオン。
「我々の科学力でもこういった神秘的なものを作るのは稀です。」

スピカ。
「私も少々作る事はできますが。」
「これは中々興味深いです。」

プロキオン。
「これは女史に渡しますね。」

スピカ。
「報告ありがとう。」
「今日は探究が進みそうです。」

不思議な宝石がふたつも贈られてきました。

ひとつは天然石。

もうひとつは科学で合成された。

神秘的な宝石です。

謎のエネルギーを放っています。

スピカ。
「科学力もここまで来ると。」
「ここまで不思議な物質を合成できる?」
「もっと詳しく見たいけれど。」
「講義に出かける時間ですね。」

この日は。

講義に出かけたり。

新しい教育教科書の作成など。

いろんな方面から仕事が舞い込んできますので。

宗教家は大忙しです。

エルナト。
「ちょっと機材を使って合成してみました。」

プロキオン。
「あれー?」
「なんでこんなもの作れるかな。」

エルナト。
「錬金術とか言うらしいです。」

プロキオン。
「はー。」
「聞いたことはあるけれど。」
「実在していたのね。」
「これは報告しておきます。」
「雑務じゃなくて。」
「もう少し量産してみて。」

エルナト。
「承りました。」

教会の外側。

ドゥーベ。
「錬金術?」

プロキオン。
「金を合成する試みだそうだけれど。」
「他にもいろいろ科学反応を使って。」
「バリエーションがあったみたい。」
「自分の家に伝わる伝承を元に作ったって。」

ドゥーベ。
「なるほど。」
「これは発見です。」
「古来から実在していたなんて。」
「報告しましょう。」

その夜。

スピカ。
「あの科学は古来では錬金術って言うんですね。」

ドゥーベ。
「どうも古来流で確立されていて。」
「伝承が残っているのみで。」
「まだ我々の科学も進化の余地があったのでしょう。」

スピカ。
「明日いろいろ尋ねてみます。」

次の日。

スピカ。
「錬金術についていろいろ話して。」

エルナト。
「私の家に眠っている伝書の中に少し書かれているだけで。」
「それ以上は独学です。」

スピカ。
「なるほど。」
「レポートにして貰っていいかしら?」

エルナト。
「はい。」
「扱える範囲ですけれど。」

一週間後。

お偉いさん。
「錬金術ねぇ。」

スピカ。
「私達が知らない科学がありました。」

お偉いさん。
「正式に名前が付いていたなんて。」
「発見してくれて感謝するよ。」
「文明も進展があるというもの。」
「予算は心配ないぞ。」
「いくらでも出してあげよう。」
「その調子で前進してくれ。」

スピカ。
「その積もりです。」
「期待以上の成果になるように。」

夕方。

家に戻りました。

ポストは満杯ですよ。

昔ながらのランプや絨毯など。

クラシック品はマニアの間で高値で取引されています。

文明も進むと。

むかしの品々が美しいものだったと。

わかるようです。

スピカもそのアニアのひとりなんです。

スピカに依頼が舞い込んでいますね。

また調査隊を組んで。

難所に挑戦して欲しいと。

宗教家の力がどうしても必要だと。

スピカはそれを見ながら。

著書の執筆を進めています。

古風な灯りの元で・・・。


5


遥か北方には巨大な水源があり。

南方にある首都に供給されていましたが。

何か細工がされているため。

水量が少なくなる場合が頻繁にあり。

入り口も謎の防備をされている為。

進めません。

スピカが派遣されました。

現地に行くのは難しくはありません。

自然を知っているので。

移動は簡単なんです。

森林と崖に囲まれた建造物。

レグルス。
「なんか強敵がうようよ居るらしいわよ。」

シリウス。
「正面から正々堂々叩き潰してやるのみだ。」

レグルス。
「時には猪突猛進!」

スピカ。
「入り口ですね。」
「なんでしょう。」
「この扉。」
「石で出来ていますよ。」

プロキオン。
「爆弾じゃ壊せないって。」

スピカ。
「では。」
「側面に回り込んで。」
「爆破して入らせて貰いましょう。」

険しい崖を簡単に乗り越えて。

建物の壁があったので。

そこから侵入。

スピカ。
「とにかく臨機応変に動いてください。」

レグルス。
「戦いは愚直な者は生き残れてないわ。」

レグルス。
「そういう統計があるってな。」
「俺は馬鹿だから。」
「上手に突進するのみ。」

プロキオン。
「考えのを辞めた馬鹿は難敵。」

レグルス。
「そういうことだ。」
「何があるかはお楽しみ。」

ドゥーベ。
「レーダーによると。」
「迷宮のような作りですね。」

エルナト。
「変な作り。」
「まるでわざと迷わせているような・・・。」

スピカ。
「変に考え過ぎた構造なんでしょう。」
「案内板があります。」
「右は核融合発電所。」
「リバースエンジニアリングできそうですね。」
「地下はポンプ場です。」
「停止させましょう。」

レグルス。
「トラップが多いみたい。」
「妙なオブジェクトがいっぱい。」

シリウス。
「だよなー。」
「馬鹿のひとつ覚えみたいな。」
「そんなトラップ。」
「おおっと。」
「そこには地雷だ。」

スピカ。
「トラップ駆除をお願いします。」

プロキオン。
「任せなさい!」

調査隊は。

二班に分かれて。

わたしたちは核融合発電所の跡地。

科学者グループはポンプ場に赴きます。

スピカ。
「電撃トラップですよ。」

プロキオン。
「放棄するときに誰も入れないようにしたな。」

シリウス。
「これパターンあるんじゃね?」

スピカ。
「パターンは読んでます。」
「一定間隔ごとにトラップがあり。」
「種類は資料のものと同じです。」

レグルス。
「パターン読めちゃうとおもしろくないなー。」

ドゥーベ。
「前文明は知能面では劣っているようですね。」

スピカ。
「単調な作りのようです。」
「レーダーさえあれば大丈夫ですね。」

発電施設。

故障していて。

稼働していません。

スピカ。
「電源を入れてみますか?」

ドゥーベ。
「やってみましょう。」

電源がオンになりました。

発電装置は生きています!

プロキオン。
「これすごくない?」

レグルス。
「素敵!」

シリウス。
「凄いというよりおもしろいぞ。」

プロキオン。
「水素発電よりは大電力のようで。」

レグルス。
「でも人工の太陽を作るんでしょ?」
「扱いきれないんじゃない?」

シリウス。
「どうもそうらしい。」
「ここは実験施設なんだとさ。」

プロキオン。
「どうりで。」

科学者達がいろいろ調べています。

スピカ。
「ハッキングにてトラップを動作不良にさせました。」
「ではそろそろ。」
「施設内の停止しているトラップや警備ロボットを排除しましょう。」

レグルス。
「やりますよー。」
「はりきってます。」
「やる気満々です。」

シリウス。
「少しは楽しめるんだろうな。」

プロキオン。
「久々に発砲できる♪」

ドゥーベ。
「ファーサイト起動。」
「いっぱい居ますよ。」
「ほとんど故障してますが。」
「怪獣も少々居ますし。」
「調査隊の迷惑になるもの。」
「全部破壊しちゃいましょう。」

エルナト。
「でもなんで難所なの?」

スピカ。
「古代文字を読めないと。」
「いろんな箇所が作動しないのよ。」
「トラップの位置とか。」
「危険だらけで。」
「直感が冴える宗教家しか。」
「上手に生き残れないの。」

エルナト。
「普通の人だとやられちゃうのかぁ。」
「でも他にも理由があるんでしょ?」

スピカ。
「そのようですね。」
「システムトラップを発見しました。」
「お手柄です。」

科学者がシステムトラップを解析。

解除に成功。

でも何重にも張り巡らされています。

スピカ。
「ここは破壊しても大丈夫でしょう。」

一部を破壊して。

システムトラップを動作不能にしました。

ポンプ場は無事停止させました。

規模が巨大でしたので。

他の河川に余剰分を排出して。

頻繁に洪水を起こしていたようです。

戦士たちはトラップの排除が完了しました。

スピカ。
「何時間か滞在して。」
「ここから退却しましょう。」
「後は第二陣の方々の仕事です。」

エルナト。
「前文明の人々って愚かなの?」

スピカ。
「驕りがあったのですよ。」
「自分こそ神であると。」
「自分たちこそ神であると。」
「小さな神様とか。」
「自分たちを称しているくらいですから。」

エルナト。
「私たちって被造物でしょ?」
「いつかの木の実を食べるとそうなるのかなあ。」

スピカ。
「文明が停滞を生むと必ず腐敗するものです。」
「その中で徐々に退化していったのですよ。」
「それで小学生のような事をはじめて。」
「その結果がこうして出現しているのです。」

エルナト。
「無神論の科学文明ってあってはならないと思います。」

スピカ。
「無神論?」
「わたくしたちは原則有神論ですけれど。」
「久しぶりに聞きましたよ。」

エルナト。
「人の力だけでやっていくのは困難の極みなんじゃ・・・。」

スピカ。
「そんなところです。」
「人の力はそんなに強くはありません。」
「人は弱い生き物ですから。」
「神によって強くされるのです。」

エルナト。
「人は平和を好む反面。」
「力の肯定を嫌ってしまう?」

スピカ。
「力を手に入れたら。」
「正しく使えないのです。」
「だから。」
「力を否定するようになり。」
「無力になった。」
「前文明の結論ですよ。」

エルナト。
「人は平和的な生き物だけれど。」
「平和の意味を間違えたのかも?」

スピカ。
「そんな感じです。」
「解析終わったそうです。」
「引き揚げましょう。」

レグルス。
「掃除終わった!」

シリウス。
「俺が多く倒したぜ?」

レグルス。
「なによ!」
「戦果確認機も居ないくせに。」

プロキオン。
「スイーパー兵器が半数近くやられてる。」
「もっと調整しておけば良かった。」

レグルス。
「人工知能には知恵が無いから。」
「何かあるとすぐやられる。」

シリウス。
「理論武装ってやつ?」
「理屈で動いてるから。」
「ワンパターン。」

プロキオン。
「そういうふうに調整した覚えはないんだけれど。」

レグルス。
「敵が強かったんじゃない?」

シリウス。
「ロボット兵器だし。」
「相手の方が性能良かったみたいだな。」

プロキオン。
「鹵獲機を調べてやるー。」

遺跡内には。

鋼鉄を切り裂く剣で撃破されたロボット兵器がいっぱい。

独立システムで動く自爆装置で。

暴走した味方ロボットが破壊されました。

敵機はジャミングが得意だったようです。

怪獣は逃げ出しました。

外の工兵隊が帰路を確保していて。

簡単に崖だらけの難所から脱出。

キャンプに帰還にて休息なんですよ。

翌日には。

第二陣が出発するのです。

調査で成果があがるので。

新聞は話題もちきり。

政府も満面の笑み。

帰路の飛行機内で。

談笑しながら。

帰宅。

スピカ。
「わたくしは少し休憩が必要ですね。」
「スケジュールは軽めに組んでおきましょう。」
「栄養ドリンクも忘れずに。」

メールでやり取りしながら。

夜を過ごしました。

月明かりが美しい。

とある街の外れで・・・。


6


休日。

スピカは共同花壇でガーデニングを楽しんでいます。

休憩時間。

ドゥーベ。
「女史が踏破した遺跡は。」
「過去おびただしい負傷者が出ていたそうですね。」

スピカ。
「並の人では太刀打ちできない。」
「かなり手の込んだトラップもありましたから。」
「構造を簡単に把握できないと。」
「進みようが無かったですね。」

ドゥーベ。
「意外なトリックをすべて見破っていましたよ。」

スピカ。
「史実を元に前人類が考えそうな事は。」
「すべて把握しておりましたから。」

エルナト。
「あの人達って単調な考え方でしたよ。」

スピカ。
「一度パターンを読んでしまいますと。」
「もうこっちのものなのです。」

ドゥーベ。
「なるほど。」
「それで簡単に進めたんですね。」

休憩のち。

ガーデニング。

綺麗な花がいっぱい。

スピカ。
「汎神論。」
「自然の美というものは。」
「見出すことは簡単な事じゃない。」
「でも一度現れてしまうと。」
「その美しさに見惚れてしまう。」

ドゥーベ。
「同感です。」
「私は野鳥の歌が好きですね。」

エルナト。
「わたしはお花を至近距離で見るのが好きかな・・・。」

スピカ。
「いろんな見え方。」
「わたしの目線で見えるもの?」

エルナト。
「そう。」
「いつもそれなの。」

ドゥーベ。
「みんな自然に対する向き合い方は違いますね。」

スピカ。
「楽しみ方も違いますね。」

ワンちゃんが寄ってきました。

エルナト。
「やーん。」
「かわいい!」

スピカ。
「かわいがられるためにある生物。」

ガーデニングを終えて。

広場。

試合用の台座があり。

たまに剣士が腕前を磨いています。

シリウス。
「85勝97敗だもんな!」

レグルス。
「そろそろ格の違いを見せてやろうじゃない!」

模造剣で試合中でした。

こうした個人同士の試合を見て。

市民も喜んでいます。

スピカ。
「おや。」
「歴史の本ですね。」

プロキオン。
「さっき買ったんだ。」
「なんと。」
「50年前の内戦でもっとも戦いに貢献したのは。」
「市民だったんだって。」

スピカ。
「市民が反乱軍を非難したり。」
「直接攻撃を加えて倒した。」
「美談として残る史実ですね。」

プロキオン。
「詳しく載ってるから。」
「じゃあまた!」

ドゥーベ。
「私は神学の研究を進めてきます。」

スピカ。
「ではまた。」

エルナト。
「神学?」
「なんですかそれ?」

スピカ。
「統一宗教の神学は。」
「自分の成長過程で得た事実や。」
「人々の探究や模索で出た英知。」
「それを元に進んでいくの。」
「知りませんでした?」
「おもに太古に登場する賢者や使徒からの言葉が原型だけれど。」

エルナト。
「どうやって確立したのか知りたい!」

スピカ。
「祈りを捧げた人の中で稀に啓示が降りる人が居て。」
「神託で得られた預言や。」
「歴史書に記された史実。」
「大半が地上に派遣されたとされる神の子の言葉で構成されているわ。」

エルナト。
「すごい世界だなあ。」

スピカ。
「わたくしも神聖な神事で人々の信仰を維持しなければならないから。」
「今日はこれで教会に戻るわ。」

エルナト。
「わたしは錬金術の研究に打ち込むね。」

スピカ。
「自分の役目をしっかりこなすのも。」
「人のあるべき姿のひとつでしょうね。」

シリウス。
「負けた!」

レグルス。
「中々やってくれるじゃない!」

シリウス。
「少し油断しただけだ!」
「もう一回だ!」

レグルス。
「あんたの負け惜しみが潰れるまでやってやるわ!」

市民はたまにノートを取ります。

そうやって。

自分の指針を捜して。

実行していくのです。

スピカ。
「ああいうのもあの人たちの尊き1ページ。」
「青春。」
「今.に存在するのは上級テクニックなのかしら?」

カップルが歩いています。

スピカ。
「あれも彼らの幸福のひとつの形。」
「わたくしは賛同しませんが。」
「賛同しないのと事実を伝えるのは別次元ですね。」
「ひとそれぞれ正解がありますから。」

スピカは教会に戻りました。

夕方。

ポストはやっぱり満杯。

手紙を読みながら。

要請にできるだけ答えようと。

資料を書き進めながら。

ランプの灯りの元で。

筆を走らせます・・・。


7


この国には大農園地帯が多数あります。

一級河川が密集している地域に。

まとめて築いているのです。

スピカ。
「収穫は良さそうですね。」
「安定期に入っています。」

エルナト。
「豊作?」
「農家さんの腕前が良くないですか?」

スピカ。
「技能訓練を終えてかなりの錬度を持っています。」
「多少の自然災害なら対応できるように仕上げていますよ。」

エルナト。
「これ以上農園を広げると。」
「キャパシティが超えてしまいませんか?」

スピカ。
「その通りです。」
「これ以上の拡大はしない方針です。」

文明の維持を監視するのも宗教家の役割です。

文明の発展にも貢献しなければなりません。

宗教家は神知を持っていることが多いため。

人知で無理な事はすべて宗教家に回ってきます。

視察を終えて帰宅。

ドゥーベ来訪。

スピカ。
「神の書を知っていますか?」

ドゥーベ。
「私も探しております。」

スピカ。
「あれが手に入らないかと。」
「恋焦がれています。」

ドゥーベ。
「前文明の良識人の間で普及していた。」
「いにしえの書物。」
「行方は未だにわかっていません。」

スピカ。
「遺跡踏破の段階で発見できるのではないかと。」

ドゥーベ。
「有り得ます。」
「この国のどこかに眠っていても。」
「史実の片隅にそれはあるのです。」
「この国に保管していたと。」
「そもそも印刷されて普及していたものですから。」

スピカ。
「うふふ。」
「少し楽しみ。」

ドゥーベ。
「私にも見せてくださいね。」

スピカ。
「もちろん。」

今日の教会への相談者は35名でした。

アドバイザーが不足気味ですので。

各地に赴いては。

有力な人材を捜しまわっているのです。

人材の確保は。

教会の仕事でもあります。

国王も惜しみなく予算を注ぎ込み。

国は豊かになっています。

人々は心の豊かさも手に入れつつあります。

みんな。

全員の努力の成果です。

新聞も随分と明るくなりました。

人類は少しずつ前進していき。

到達点に辿り着いては。

歓喜に包まれて。

着実に進化しております。

スピカは爽やかに本のページを閉じて。

探索の準備を続けます・・・。


8


東方の海岸。

人魚の水辺と呼ばれる。

危険地帯があります。

怪獣の巣窟が多く。

過激派が赴いて調査を行う場所でもあります。

お偉いさん。
「過激派を知っているかね。」

スピカ。
「ええ。」
「存じております。」

お偉いさん。
「近年活動が活発になってきた。」

スピカ。
「答えを急いでいる哀れな人達。」
「前文明に憑りつかれてしまった。」

お偉いさん。
「亡者だよ。」
「今回行く場所で遭遇するかもしれない。」
「銃撃戦を覚悟で赴いてくれ。」

スピカ。
「大丈夫です。」
「やってみせます。」

現地に赴いて2日。

ようやく辿り着きました。

早速。

大型のリスに遭遇。

数は5。

格闘家のリスとして進化した変異種で。

様々な技を使ってきます。

戦闘開始。

シリウス。
「お見通しだぜ!」

レグルス。
「腕前がいいみたいねー。」
「でもそれだけでは勝てないわよー?」

リスの攻撃はことごとく外れ。

斬られました。

リスは逃亡。

次にプテラノドンと遭遇。

復刻された生物ですね。

プロキオン。
「撃ち落とせー。」

ライフルが命中して。

プテラノドン撃墜。

まだまだプテラノドンは大量に居ます。

丘の上で激戦になりました。

スピカ。
「一体ずつ確実に落とします。」

シリウス。
「よっと。」
「軽いもんだ。」
「こういうのは専門な。」

レグルス。
「あんまり頭がいい攻撃はしてこないのね。」

エルナト。
「爆弾をくらえー!」

ドゥーベ。
「混戦ではピストルが使い易いですね。」

結局。

15匹を撃墜して。

プテラノドンは逃亡。

大神殿が見えてきました。

前文明でかつて崇められた神殿ですが。

前文明はこれを嫌って。

破壊してしまったのです。

なので。

いろんな所が破損していますね。

大きな海が見える廊下を歩いていきます。

スピカ。
「一見安全そうに見えますけれど。」
「意外な所で足元をすくわれます。」
「どんな些細な事でも報告してください。」

エルナト。
「それなら。」
「何事も無く進めている事が不可解なんじゃない?」

レグルス。
「あらやだ。」
「敵くらい出そうなものなのに。」

スピカ。
「こんなときこそ用心必須。」
「各自警戒。」

ドゥーベ。
「レーダーが狂いました。」

プロキオン。
「どっかにジャミング装置があるんだよ。」
「何してくるか分からない。」

シリウス。
「馬鹿になれば分かる。」
「こそこそと下準備をしてるんだよ。」

大きな海が見える絶景ホール。

巨大なロボットが設置されています。

砲台をかっこよくしたロボットで。

故障しているのでしょうか。

オブジェクトとなっていますね。

スピカ。
「これ起動しますか?」

プロキオン。
「前文明のだから。」
「故障してたら動かない。」
「故障してなかったら。」
「不意に起動するだけ。」
「これ半分生きてるな。」

スピカ。
「みなさん。」
「戦術フォーメーションを。」
「破壊します。」

プロキオン。
「オーケー。」
「爆弾セット。」
「くらえ!」

少し前にロボットが起動。

スピカ。
「調査隊を返り討ちにしたタイプとは別のものですね。」

戦闘開始。

フォートレスという名前が付けられた兵器ですよ。

スピカ。
「マイクロブラックホール。」
「最高威力。」

フォーレス爆破!

無傷です・・・。

フォートレスのミサイル。

不発弾が多く。

弾丸が劣化していて。

満足に戦えないようです。

散開して巧みに動いており。

フォートレスは優柔不断。

プロキオン。
「特別製の弾丸セット。」
「アキシオン・ブラスター!」

爆破!

これも無傷・・・。

エルナト。
「装甲が違いますよ。」

スピカ。
「装甲はオリハルコンなんですね・・・。」

レグルス。
「回避で手一杯よ。」

シリウス。
「引き付けるんだ。」
「俺たちで。」

プロキオン。
「ECMグレネード!」

電磁爆弾を投げて。

効果絶大。

エルナト。
「電気を閉じ込めた。」
「3000ボルト爆弾。」
「やー!」

大爆発!

フォートレス破損。

スピカ。
「ECMグレネードを使ってください。」

電磁爆弾で。

機械類が破損して。

フォートレス撃破。

プロキオン。
「万能カッターで装甲はぎ取っておくね。」

シリウス。
「オリハルコンって核爆発でも無傷だって。」

レグルス。
「なんて素敵な装甲。」

スピカ。
「あら。」
「隠し扉がありますね。」
「古来の聖典?」
「ありましたよ。」
「わたくしが夢見たものが。」

みんな駆け寄ります。

エルナト。
「ここに記されています。」
「これ2種類あるやつのひとつじゃないですか?」

スピカ。
「そのようですね。」
「もうひとつはどこでしょうか。」

シリウス。
「危険地帯には収穫多しって?」

レグルス。
「挑戦して得るものはあっても失うものはないってこと。」

シリウス。
「だったら人生の登山ってやらなきゃ損じゃんか。」

レグルス。
「ただ暮らしているだけでは。」
「得るものも限られているのかも。」

スピカ。
「持ち帰ります。」
「しばらく探索しましょう。」

プロキオン。
「剥ぎ取り終わった。」

ドゥーベ。
「長居すると余計なトラップに引っかかります。」

スピカ。
「なので適当に引き上げます。」

適当に探索して。

キャンプに戻って。

帰還。

街の博物館にて。

考古学者。
「なるほどー。」
「これが古来の聖典ですか。」

スピカ。
「なるべく早くに複製をください。」

考古学者。
「その辺りはご心配なく。」

聖典を考古学者に引き渡して。

新聞に載ったりもするスピカ。

そのうち複製本が届いて。

解読のために。

本の虫・・・。



9


天に伸びる塔がある場所。

その下にある遺跡群で調査中。

ドゥーベ。
「私は危険が無いか常時監視することにします。」

スピカ。
「任せました。」
「チームプレイは組織において常の最善です。」

エルナト。
「ここの遺跡って。」
「隠し扉が多いよ。」
「ほら。」
「また発見した。」

スピカ。
「お手柄です。」

レグルス。
「さっきから怪獣が少しずつ湧いてくるんだけど。」

シリウス。
「性根がセコイですなー。」
「徒党を組んで来ればいいのに。」

プロキオン。
「お望み通り。」
「レーダーコンタクト。」

スピカ。
「過激派のグループですね・・。」
「彼らも聖典がお目当てですか・・。」

ドゥーベ。
「彼らはこちらのグループを半分無視しています。」

スピカ。
「接敵しないようにして。」

エルナト。
「豪華なお部屋。」
「あれ?」
「金庫だ。」
「適当に弄っちゃえ。」
「はれ?」
「開いたんですけれど。」

スピカ。
「なんですって?」
「あらまあ。」
「現代の聖典がこんなにあっさり。」
「これでふたつ揃いましたね。」
「こっそり退却しましょう。」

ドゥーベ。
「過激派のドローンで書物を持っていることが発見されてしまいました。」

スピカ。
「あらやだ。」
「戦闘準備!」

調査隊の兵員は20名。

過激派は50名。

銃撃戦になってしまいました。

包囲されています。

プロキオン。
「このどうでもいい書物を囮にしよう。」

スピカ。
「なんでもいいから手を打ちましょう。」

豪華な本。

中身は途中で拾った豪華な日記ですが。

それを囮に逃亡を図ります。

相手は気をとられて。

書物に一直線。

見破られないうちに逃げ延びますが。

追いつかれました。

突撃してきます。

乱戦に突入しますが。

過激派の兵員は少ないです。

スピカと過激派のリーダーと1対1になりました。

スピカ。
「あなたがリーダー?」

ソウダード。
「人類は答えに行き着くべし。」
「早急に結論を出すべき。」

スピカ。
「答えを急ぎ過ぎです。」
「走ったら、息が上がりますよ。」
「人類を息切れさせる積もりですか?」

ソウダード。
「さっさと次の段階に行くのだよ!」

スピカ。
「一理あるかもしれません。」
「でも。」
「それは人類の総意によるはず。」

ソウダード。
「人類は遅れを取っているのだ!」

スピカ。
「一歩ずつ、積み重ねて、私達は、確実に!」

リーダーと格闘戦になりました。

体術に優れるスピカが終始優勢で。

リーダーが気絶しました。

過激派の一団はリーダーを抱えて退却。

最新型のシールド発生装置を装備していた為。

負傷者をひとりも出さずに。

逃げ延びることに成功。

敵は聖典を諦めたのだと思い込み。

すぐにフェイントだと知って追いかけてきましたが。

怪獣に邪魔されて。

足が遅れました。

近くの基地から国王軍の戦闘機部隊が緊急発進して。

過激派に機銃掃射しましたので。

過激派は逃亡。

大急ぎの帰路でした。

キャンプに戻って帰還。

考古学者に納めます。

一か月が経過しました。

スピカ。
「進捗どうですか?」

考古学者。
「いやー。」
「解読は思ったより難しくなかったですなー。」

スピカ。
「どんな具合に?」

考古学者。
「前人類はいつまでも本能に拘束されていたようで。」
「動物よりも動物らしくなるために生き。」
「文明に対して無関心で。」
「あらゆる思想に蝕まれ。」
「次第に退廃して。」
「何百年もかけて腐っていき。」
「ただひたすら利権を求めて。」
「好き放題自然を荒らした。」
「人間即ち。」
「悪意に満ち。」
「獣と大差が無い動物であった。」
「こんな事が書かれております。」

スピカ。
「中々に悲惨な文明だったのですね。」
「それ故に自分の首を絞めて自滅した。」

考古学者。
「いつだって人類が危機に直面するときは。」
「自分の行為の結果を受けてるんです。」
「前文明だけの話じゃないですよ。」

スピカ。
「ならば。」
「これらを教訓として。」
「私達は進んでいけそうですね。」

考古学者。
「おっしゃるとおり。」
「複製が出来たら差し上げます。」

スピカ。
「楽しみに待っています。」

二か月で複製本が届きました。

宗教家に解読して欲しいので。

優先的に配布されるのです。

やっぱり本の虫・・・。

とある日。

ドゥーベ。
「女史。」
「雰囲気違くないですか?」

スピカ。
「ちょっと楽しくなってね。」
「満たされた感じ。」

ドゥーベ。
「笑顔の女史を見るのは久しぶりですかね。」

スピカ。
「あら?そう?」
「あれだけの教訓と英知が詰まっているのよ。」
「おもしろくてしょうがないのです。」

ドゥーベ。
「解読もいいですけれど。」
「仕事のほうも気をつけて。」

スピカ。
「きちんとやってますよ。」
「夢中になって放り出す。」
「なんてことはしないわ。」

プロキオン。
「あんたの錬金術すごいことになってるよ。」

エルナト。
「そうですか?」

プロキオン。
「とりあいず。」
「あんたの仕事はそれに決定な。」

レグルス。
「探索楽しかったー。」
「私のいちばんの想い出。」

シリウス。
「俺もだ。」
「あんなに楽しめたのは久しぶり。」

レグルス。
「今日は美味しいものたべながら想い出話でもしよっか?」

シリウス。
「いいねぇ。」
「俺の歴史に刻まれるぜ。」

教会の目の前の大通り。

スピカ。
「この道路も幾多の人々が行き交い。」
「歴史の証人となっている。」
「そう見ると。」
「なんだか尊い。」

この日も。

教会に出勤するスピカの姿がありました。

新聞で取り上げられ。

名声を得ていたスピカ。

国王にも功績を称えられたスピカ。

引き続き調査依頼があり。

この後もいくつかの遺跡を渡り歩くのですが。

ある時から著書の執筆に夢中になり。

人気とは裏腹に。

地味な立場に至っているのでした。

とある歴史の片隅で。

語られている。

女史の軌跡。



10


宇宙空間。

地球より離れし星々の輝く世界。

宇宙港が存在し。

移動を繰り返しながら。

星々の交易を担っている。

いくつかの住める星々を発見したのは。

外宇宙を探索開始から30年後でした。

エルナト。
「窓の外が星々の景色!」
「なんて綺麗な!」

スピカ。
「私達もこの星々の一員なのですよ。」

エルナト。
「なんて素敵!」
「私も星になっちゃおうかな。」

巨大な花の形をした宇宙港。

各駅に宇宙船が停泊しており。

外宇宙探索船が大部分で。

住める星からの連絡船はあまり多くない。

船は飛行機と船が融合したような形をしており。

大気圏内での使用を前提としている。

スピカ。
「ここに来たのはテクノロジーを見せたいからですよ。」
「次はこちらを見ましょう。」

エルナト。
「なんか科学力も美しくできるんだね。」

スピカ。
「洗練された科学は芸術品ですからね。」
「それをたっぷり魅せるためです。」

エルナト。
「なるほど。」
「しっかり見ておかないと。」

レグルス。
「低重力は慣れたかしら?」

シリウス。
「お気になさらずに。」
「どうかご自分の心配をなさってください。」

レグルス。
「てっきり頭を打つんじゃないかと。」

シリウス。
「そんな!」
「あなたより賢くなったらどうするつもりです?」

レグルス。
「頭を打って変態になったら?」

シリウス。
「あなたでもあるまいし。」
「絶対にそんなことはありません!」

レグルス。
「そうそう。」
「同じ穴の狢ってわけよ。」

シリウス。
「むぐっ!?」

ドゥーベ。
「どうです?」
「旅行もいろいろと感じて知ることもあるでしょう。」

プロキオン。
「うん。」
「世界のこともなかなか知ることができたし。」
「見聞も広まりそう。」

シリウス。
「宇宙食の売店?」
「ちょっと食べてみるか。」

レグルス。
「こんな宇宙食があるのね。」

宇宙食。

缶に入ったブロック・クッキー。

乾燥させた皮むきバナナなど。

プロが味付けを担当しているので。

とても美味しいようです。

無重力エリア。

スピカ。
「こんな感じですよ。」
「無重力では上か下か分からなくなるんです。」
「そんな時は自分の足側。」
「足裏のほうを下と見なすんです。」

エルナト。
「なるほどー。」

ドゥーベ。
「機動兵器みたいな動きになります。」
「相応の空間認識能力が必要になりますよ。」
「お手本はこんな感じです。」

エルナト。
「これってマニューバーを誤ったら激突しますよね。」

プロキオン。
「慣れだよ。」
「基本の動き方教えてあげる。」

エルナト。
「あっ!これなら簡単!」

シリウス。
「あんまり食べると綺麗な容姿が崩れるぞ。」

レグルス。
「あんまり食べるといずれマッチョキャラになるわよ。」

スピカ。
「帰りの船がもうすぐ到達ですね。」
「宇宙では意外にも体力を使います。」
「この辺りで休息に入りましょう。」

プロキオン。
「なんか食べてる。」

レグルス。
「中々いけるわよこれ。」

シリウス。
「買いにいけばいいんじゃね?」

プロキオン。
「私そんなに食べない。」
「小食だから。」

レグルス。
「いっぱい食べないと大きくなれないよ。」

プロキオン。
「どういう意味で大きくなれないんですか。」

シリウス。
「成長期という意味です。」
「その年で太ったりしないから。」

プロキオン。
「過食は控える。」
「そのほうが動きやすいし。」

レグルス。
「おいしいよ。」

シリウス。
「こら惑わすな。」

プロキオン。
「間食ばかりするのは私の主義じゃないから。」

レグルス。
「食べ物に対する考え方が違うのよ。」

シリウス。
「個性かな。」
「食べ物について知っているんだなー。」

プロキオン。
「言葉じゃ説明できない。」
「不可説。」

スピカ。
「あら。」
「ちょうどニュースです。」
「立憲君主制度を廃止し。」
「完全な王政へと移行。」

エルナト。
「え?」

スピカ。
「あの話を実行したんですね。」

この日。

王権神授説を参考とし。

民のための王の有り方。

王は民のために立てられたという自然性に基づき。

人々のために国を統治する。

権威で人々の代表となる政治体制を構築。

簡易的な憲法で国王の信頼性を図り。

暴君が生まれないように制定された。

王民主義が公表された。

これは神政と呼ばれます。

この国は神権政治に移行致しました。

エルナト。
「憲法で安定を図る人達は反対しませんか?」

スピカ。
「猛反対でしょう。」
「前々から小競り合いがありましたし。」
「内戦になりますね。」

プロキオン。
「古い連中と新しい人々が争うかな。」

ドゥーベ。
「教会は中立ですので。」
「彼らは必死に打開策を求めるでしょう。」

スピカ。
「教会が戦火に包まれては。」
「人々を救う手だてはありません。」
「国王もそれを承知で。」
「事前通告しています。」
「中立でいるようにしてくださいね。」

エルナト。
「でも。」
「わたしのお父様は憲法主義者だよ。」

スピカ。
「決着が付くまでしっかりと見ておいてくださいね。」

エルナト。
「そうしてみる。」

空港に到着。

都市に帰還。

装甲車の姿が見られました。

教会にて。

教会には寮があって。

そこで暮らすこともできます。

エルナト。
「お父様から連絡があったよ。」
「是非に及ばず。」
「って。」

スピカ。
「仕方がないですね。」
「人類は試行錯誤の途中ですから。」
「何が正しいかはっきり分からないのです。」
「確かめるしかない。」
「それで王民主義へと移行したのですから。」
「神権政治も人類が編み出した正解のひとつ。」

エルナト。
「なるほど。」
「お父さん頑張って!」

女史の部屋。

教会のすぐ近くにある邸宅。

ドゥーベ。
「古代兵器が欲しいと依頼が来ています。」

スピカ。
「伝説の兵器ですか?」
「かつてこの星を覆い尽くした。」
「核融合爆弾ですか?」

ドゥーベ。
「要は大幅なリバース・エンジニアリングが欲しいと。」

スピカ。
「しょうがないですね。」
「私は無駄な戦火に包まれないように。」
「啓蒙活動もしないといけません。」
「とは言っても両者の仲裁。」
「両方の味方をしないといけませんから。」

ドゥーベ。
「微妙なポジションですよね。」

スピカ。
「わたくしは早めに寝ておきます。」
「あなたも休んでいらして。」

ドゥーベ。
「おやすみなさい。」

スピカ。
「人類もようやく前向きになったのですね。」
「喜ばしい限りです。」
「100年前みたいに。」
「保持したり現状維持を望んだり。」
「そんなことはもうしない。」
「とにかく前に進むんだ。」
「決意の現れなんですね。」
「少しばかり嬉しくなります。」

日記を付けて。

満月が除く夜の中に。

一週間後。

パレードが行われ。

人々は祝福ムードです☆

一部の人は納得行かずに。

説得を受けていますよ。

自分なりの人類のあるべき姿があるために。

それが正しいかどうか。

調べているのです。

それは歴史に飾られた。

尊き人々の輝き。

スピカはパレードに参加しつつ。

人の歴史に華を添え。

神権政治の始まりが告げられました。


11


森の中に巨大な神殿がありました。

旧人類が自分の都合の良いように。

いろんなものを崇拝して出来上がった寺院で。

邪悪な気配に満ちています。

比較的開けた場所にありますので。

着陸は容易でした。

オペラ・ハウスのような作りになっている神殿。

スタジアムに似た構造。

3階まである大きな建物。

前人類はここで何をやっていたのでしょう。

スピカ。
「では。」
「いつもの通りに。」

プロキオン。
「偵察機兵部隊出撃。」
「神殿の内部を探せー。」

難所指定のこの場所。

捜索部隊は何度も全滅しています。

ロボット部隊が何者かの攻撃に遭いました。

プロキオン。
「なんか変な奴がいるよ。」
「近くにも変な奴らが居る。」
「あっ。」
「変な奴らどっかへ行っちゃった。」

スピカ。
「邪悪な雰囲気がありますね。」

シリウス。
「強敵の気配がするぞ。」

レグルス。
「久々に全力を出すことになるかな。」

ドゥーベ。
「例のあれですね。」

スピカ。
「ええ。」

エルナト。
「なんか雰囲気悪い。」

神殿の入り口。

目の前は大きなホール。

到達すると。

謎の存在が出現。

スピカ。
「半分は幻影です。」

シリウス。
「あいつを倒せばいいわけか。」

レグルス。
「簡単には倒せそうもないわよ。」

プロキオン。
「私のロボット壊してくれたなー。」

ドゥーベ。
「物理攻撃はしてきませんよ。」

謎の黒い大男が彷徨っています。

半分は幻影です。

スピカは大きなお札を祭壇に貼り付けました。

謎の大男は光の中に消えていきます。

消滅。

レグルス。
「なんなの?あれ?」

スピカ。
「稀に人々が作り出すことがある。」
「超自然的な存在ですよ。」
「もう居ませんよ。」

エルナト。
「旧人類っておかしくなっちゃったのかな。」

スピカ。
「だんだんと腐敗していくと。」
「そんなこともしたくなるようですね。」
「義について自由に振る舞った結果のひとつです。」

3階部分の客席の通路に怪しい影。

ホールの上から誰かが狙撃体制を取っています。

プロキオンが狙撃して難を逃れました。

アルナイル。
「中々の索敵能力じゃない・・・。」

プロキオン。
「ロボット軍団行けー。」

スピカ。
「待ち伏せでしたか・・・。」

アルナイル。
「APFSDS弾装填。」
「ライフルで薙ぎ払われるロボット軍団の図。」

プロキオン。
「もう5機もやられた。」
「せっかく調整したのに。」

レグルス。
「そこのあんたー!」

シリウス。
「なんのつもりだ!」

アルナイル。
「作戦失敗かな。」

壁を挟んで。

小銃対ライフル。

エルナト。
「センサーピンボール。」
「Nボム。」

ピンボールのように転がってくる。

特殊手りゅう弾が直撃。

アルナイル。
「きゃー!!」

ふらふらになりながら逃走しますが。

捕まりました。

レグルス。
「この娘かわいいわね。」

シリウス。
「なんで攻撃したんだろう。」

軍服ワンピース。

緑の軍服風なワンピースに身を包んだ少女。

スピカ。
「攻撃した理由は?」

アルナイル。
「威嚇射撃よ!」
「私達の存在をアピールするため!」
「こうすればニュースに載るから!」

スピカ。
「どこの組織です?」

アルナイル。
「これを言えば解放してくれるんでしょうね。」
「ラディーアグミ。」
「いわゆる紛争などの火消し組織。」
「人類は私達というひとつの正解を持っている。」

スピカ。
「それが正しいかはいまの所わかりませんが?」

アルナイル。
「試してみるのよ。」
「だから私はこうしていた。」

エルナト。
「なんか尊いけれど。」
「敵なんですね・・・。」

スピカ。
「とりあいず連行するしかないですね。」

アルナイル。
「まだ私こうしていたいのにー!」
「何か見つかるかも。」
「何か見えるかも。」

ロゼ。
「隙あり!」

新手が。

閃光手榴弾を投げつけてきました。

アルナイル逃亡。

ドレス姿の女の子・ロゼ。

ロゼ。
「あんた何やってんのよ!」
「無理に交戦続行しちゃダメだって。」

アルナイル。
「しぃません〜。」

ロゼ。
「あれ食らったのね。」
「これ飲んで。」

アルナイル。
「なんか少しずつくらくらが治って・・・。」

ロゼ。
「あいつらまだ近くにいるから。」
「徹底するよ。」

アルナイル。
「はいはい・・・。」

分散行動しているスピカ達。

プロキオン。
「ロボットが見つけた。」
「深追いする?」

スピカ。
「適当に追い払って。」

プロキオン。
「ロボット威嚇射撃モード。」

エルナト。
「はぐれちゃった。」
「あれ?あの娘は?」

ロゼ。
「お前はあの一団の娘!」

拳銃を突きつける。

エルナト素早く壁に隠れる。

威嚇射撃に遭う。

エルナト。
「この武器実戦で使うの初めてだなぁ・・。」

背中に背負っていた。

メイスのような。

棒の先に鋭利な刃が取り付けられた。

打撃も斬撃も出来る。

特殊な武器。

棒術と相性が良い。

シャウラと呼ばれる。

棒の先に四つ刃が付いた。

打撃兼斬撃の武器。

特殊なスコープ。

スカウターと呼ばれる眼鏡型の電子機器。

歩兵用のアビオニクス。

ロゼが突撃してくる。

アルナイルが満足に動けないから。

射撃。

エルナト。
「あっと!」

スカウターは標準機の役割があり。

弾道を見切って。

シャウラで弾くことに成功!

ロゼ。
「やるじゃないの!」

ドゥーベ。
「そこまでです。」

ドゥーベがライフルを握っている。

少し回復したアルナイルに後ろを取られて。

格闘戦。

ロゼはスモークを炊いて。

周りは一瞬で煙だらけ。

ドゥーベは孤立したエルナトを回収して。

撤退。

レグルス。
「向こうで交戦してる。」

シリウス。
「深追いしたのか?」

スピカ。
「戦闘終了です。」
「まとめてやられる事を避けられました。」
「リスクがありましたね。」

プロキオン。
「今回の被撃墜は9機。」
「エンジニアさん。」
「回収お願い。」

捜索隊10人で機体回収。

神殿を調査した所。

地下の重要エリアに地雷が大量に設置されており。

レーザートラップや。

原始的な罠まで。

勢ぞろい。

さすがに進めませんでした。

Xスキャンで地面を捜査して爆破。

梯子を設置して進みます。

宝物庫のようで。

大量の資料が得られました。

プロキオン。
「これって古代兵器の設計図じゃないの。」

スピカ。
「重要な資料をここで保管していたんですね。」

エルナト。
「膨大な図書室だ。」

プロキオン。
「そこまだ入っちゃダメ。」
「罠があるから。」

レグルス。
「罠は処理班に任せましょう。」

シリウス。
「俺が破壊できたのはこれだけだ。」

入り口が確保できましたので。

後は第二陣に託しました。

地面に穴が開いて。

複数の梯子を設置しましたので。

出入りは楽です。

キャンプに帰還。

別の着陸地点。

アルナイル。
「しくじったー。」

ロゼ。
「無理に交戦しないでね。」

???
「人は万能ではない。」
「故に天に任せ自然の摂理を発現し。」
「全能なる存在に身を任せようではないか。」

アルナイル。
「総大統領制度も簡単ではなさそう。」

ロゼ。
「可能なのは確かよ。」

???
「治がおり。」
「全員で物事を行う。」
「治が民の総意を受け止め。」
「理非か。」
「正否で物事を決定する制度。」
「治と民がひとつになった政治こそ。」
「我らの理想とするもの。」

アルナイル。
「民主主義の発展型。」
「派生型なのよね。」

ロゼ。
「彼らとはやり方が少し違うから。」
「どうしても衝突するのよ。」

???
「ふたりともよくやってくれた。」
「我々の働きはすぐに公表される。」
「民に是非を問おうではないか。」

ラディーアグミが政治の世界に登場。

民に是非が問われましたが。

世情は王民主義なので。

よからぬ闘争を生んでいます。

この国の社会は二分化して。

小競り合いもあります。

とある地域の部隊と国王軍が小規模な戦闘を行いました。

人類はどうするべきか。

全員で考える機会を得ました。

スピカ。
「人類はどうするべきですか。」

ドゥーベ。
「模索していくのです。」
「きっと正しい有り方というものがありますよ。」

スピカ。
「正解はあるはずですよね。」

今日は。

深夜のティータイム。

カモミールで上品なひととき。

スピカは報酬を受け取りますが。

贅沢な暮らしは好まず。

割と普通の暮らしをしています。

貯金が1億円あっても。

自分が好きな生活を貫き。

ティータイムをしてから。

寝床へ。

ドゥーベは夜空を見ながら。

スピカは夢の中へ。

情勢が動く豊かな時節です。


12


天空から夜空や都市を一望できる。

クルーズ船があり。

理解できないほど高度なテクノロジーで。

重力に対して重力をぶつけて浮遊することができます。

飛行船の発展型なんです。

巨大な真ん丸い旅客船。

この日はそれに搭乗。

スピカ。
「美しい景色を堪能。」
「これって贅沢でしょうか。」

エルナト。
「なんかのご褒美なんだよ。」
「きっと。」

ドゥーベ。
「目に見えない法則と言いますか。」
「その力は恐るべし。」

エルナト。
「この世は見える世界と見えない世界で出来ていて。」
「見えない世界には自然の法則や条理や掟が存在する。」
「見えない世界の影響力が見える世界に発現する。」

スピカ。
「あらまあすごく勉強していらして。」
「上出来ですよ。」

エルナト。
「私だってやるんですから!」

プロキオン。
「なんか変な連中がいるよ。」

ロゼ。
「あー!お前らー!」

エルナト。
「キャー!なんで!?」

アルナイル。
「この前はやってくれたわね・・・。」

シリウス。
「うわっ!マジかよ。」

レグルス。
「もう一回やる?」
「私はいいわよ。」

ロゼ。
「それが目的じゃなーい!」

アルナイル。
「教えてやるもんですか!」

ふたり退散。

エルナト。
「彼らは敵対勢力なんじゃ?」

スピカ。
「やや過激な傾向にありますね。」
「手段を選ばないと言いますか。」
「ちょっと連絡しておきます。」

機関室。

ソウダード。
「なに?」
「私をこの前ボコボコにしてくれたあの女が搭乗している?」

兵士。
「はい。」
「中々の難敵かと。」

ソウダード。
「少しハードな任務になりそうだ。」

何やら工作。

ロゼ。
「見つけた!」

ソウダード。
「何者だ!」

アルナイル。
「早く武器を取りなさいよ。」

すぐに銃撃戦。

ソウダード。
「こうなったら早く爆弾を起爆させろ。」

兵士。
「うわっ!!」

ロビー。

スピカ。
「なにやら。」
「妙な連中が居たようですね。」
「警備員が走っています。」

ドゥーベ。
「不審者でしょうか。」

スピカ。
「ちょっと見てきましょうか。」

機関室で銃撃戦。

ロゼ。
「あの過激派どもめ!」

アルナイル。
「私たちも同じ事言えないよ。」

ロゼ。
「じゃあなんて言うのよ。」
「あのテロリストめ!」

ソウダード。
「あの女どもかなりの手練れだ。」
「一旦引け。」

兵士。
「被害は軽微です。」

ソウダード。
「退却後は反転して仕留めろ。」

ロビー。

プロキオン。
「なんか変だと思ったら。」
「なんか変な連中がドンパチやってる。」

エルナト。
「それなんですか?」

プロキオン。
「ファーサイト・サーチっていう電子機器。」
「壁を通り抜けて機影などを捉える兵器。」

エルナト。
「私もスカウター付けなきゃ。」

プロキオン。
「拳銃要る?」

エルナト。
「武器は一応持ってきてるから。」

プロキオン。
「しっかり者。」

エルナト。
「照れるなー。」

スピカは拳銃と短刀を忍ばせて。

探し回っています。

プロキオンから連絡を受けて。

レグルスとシリウス同伴。

レグルス。
「マジでやってるの?」

シリウス。
「あらあら戦争が好きなこって。」
「戦争のし過ぎで滅んだどっかの文明みたいに。」

レグルス。
「戦争も程良くしてもらいたいわね。」
「無駄な戦争は国力の疲弊や民の消耗を招く。」

シリウス。
「別に戦争を否定しているわけではないけれど。」

スピカ。
「兵士がフロアまで展開しています。」
「小隊を組んでここからはチームプレイです。」

レグルス。
「いい?チームはあくまで連携。」
「さんにんでひとつになるの。」

シリウス。
「さんにんが全力を出さなかったら石も持ち上がらないってね!」

警備員と連携してスピカ達が銃撃戦。

機関室。

ロゼ。
「兵力なかなかあるわね。」

アルナイル。
「残り30人。」
「あと半分くらいはなんとかなるよ。」

ロゼ。
「あいつらのテロリズムを破壊してやるわよ。」

アルナイル。
「暴力がボコボコにされる様って見ていて愉快だよね。」

ロゼ。
「醜いものは滅びておしまい!」
「行くわよ!」

一方。

スピカ達。

貨物室に到着。

輸送船も兼ねているので。

ある程度の容量の貨物室がありますね。

スピカ。
「この中に小型の原子爆弾がありませんか?」
「放射能の気配がします。」

プロキオン。
「サーチ中。」
「あるよ。」
「爆弾解除する。」

ドゥーベ。
「高度なシステム・トラップがあります。」
「お任せを。」

爆弾解除。

エルナト。
「よく搬入できましたね。」

スピカ。
「作業員に裏切り者がいるんです。」

ソウダード。
「おいおいおいおい。」
「発見するの早くないか?」

銃撃戦。

エルナト。
「敵の情報と・・・。」
「敵の戦術。」
「スカウターってすごい。」

敵兵10人で数で劣勢。

ソウダード。
「あくまで捕らえろ。」
「何かと便利な人質になる。」

スピカ。
「またあなたですか。」

ソウダード。
「また俺で悪かったな。」

シールド発生装置を起動しましたので。

弾丸を弾きまくります。

ソウダード。
「こっちも装備しているぜ・・・。」

兵士。
「残りのシールド・エネルギーパックが尽きました。」

ソウダード。
「なんだと!」
「ええい!」

障害物を挟んで睨み合い。

ロゼ。
「えいや!」

ソウダード。
「うわあ!」

アルナイル。
「当たって!」

閃光手榴弾炸裂。

ソウダード人質に取られる。

兵士。
「くっ!!」

ロゼ。
「撃つわよ?」

アルナイル。
「試しに足を撃ち抜いてみる?」

兵士は反撃しようとする。

ソウダード足を撃たれる。

兵士怯む。

アルナイル。

ソウダードを引きずって拉致しようとする。

ロゼ。
「早くどっかへ行け!」

そんなこと言っている隙に。

兵士が全員スピカ達にやられる。

ほんの数秒の出来事。

スピカ。
「不思議ですねぇ。」
「今日は味方ですか。」

アルナイル。
「そのようですね。」
「お互い平和が好きなのは共通点のようです。」

ロゼ。
「平和の為に戦ってんのよ。」
「これを落下させて街を火の海にしようってんだから。」

スピカ。
「弾道ミサイルはAI自動防衛システムがあって。」
「光線で焼かれてしまう。」
「なるほど。」
「この方法なら爆発させられますね。」

プロキオン。
「地上だと目立ってしょうがないから。」
「遠くの田舎停泊地から積み荷として搬入した。」

アルナイル。
「地上で爆破させるのは爆弾自体が大型だから。」
「誰でも分かって御用。」

ロゼ。
「過激派は戦闘機を持ってないし。」
「トラックに積んだらシステムに探知されるし。」

スピカ。
「警備ロボットが自動徘徊してますからね。」
「いくら小型化しても。」
「対テロリスト用の索敵システムに引っかかる。」
「爆弾や火薬の類でさえ。」
「ハイパーレーダーに表示されますから。」

ロゼ。
「地上爆破は貴重な部下を失うって判断ね。」
「失敗のリスクが大きかった。」
「なるほど。」
「あいつらこんな戦法を取るのね。」

スピカ。
「のんびり討論している場合ではありませんね。」
「残りの兵士を退治しないと。」

アルナイル。
「こいつどうする?」
「リーダーみたいだし。」

スピカ。
「警備員が来ました。」
「連行です。」

ロゼ。
「シールドを展開し過ぎてバッテリーが無くなったかぁ。」

アルナイル。
「私のあげる。」

ロゼ。
「もうひと頑張りね。」

兵士は全員退却。

パラシュートとグライダーが融合した小型の乗り物で降下して。

船に拾ってもらい。

脱出されました。

戦闘終了。

レグルス。
「私は3人倒した。」

シリウス。
「俺も3人倒した。」

レグルス。
「私のほうが強い兵士を倒した。」

シリウス。
「俺のほうが賢い兵士を倒した。」

レグルス。
「私のほうが鮮やかに倒した。」

シリウス。
「俺のほうが美しく倒した。」

プロキオン。
「やめなよ不毛な論争。」

レグルス。
「次は大差をつけるから覚悟しておくように。」

シリウス。
「次は美しい戦いを魅せてやるから覚悟しておくように。」

スピカ。
「さっきの女の子達の推理から報告書を作成しておきましょう。」
「なにかの足しになるでしょう。」

エルナト。
「爆弾がひとつとは限らないでしょ?」

スピカ。
「既にドゥーベさんが探し回っています。」
「ひとつしかないようですね。」

エルナト。
「良かったー。」

飛行船は無事着陸。

警察官が大量に入り込んできて。

軍人も居ました。

事情聴取。

兵士の多くはみねうちで生存しており。

ドクターの手当てと身柄を引き渡し。

一件は終了しました。

スピカ。
「過激派の目的は人類を煽ることでしたね。」

ドゥーベ。
「無理にでも進歩させようと?」

スピカ。
「彼らの目的は人類の進歩を無理矢理加速させることですから。」
「破壊も手段のひとつだと思ったのでしょう。」

ドゥーベ。
「そう見ると。」
「考え過ぎな連中ですよね。」

スピカ。
「半ば狂っていますから。」
「正しい手段や正しい破壊はしません。」
「彼らは自分たちが描く勝手な理想像を実現しようと。」
「ええ。」
「あれらには根拠がありません。」

ドゥーベ。
「人類の為を思うがあまり。」
「それが強過ぎて。」
「暴走と狂気に走った連中。」
「哀れかな。」

スピカ。
「同情してやるもんですか。」
「今日はもう休みましょう。」

ドゥーベ。
「もう7時ですね。」

スピカ。
「エルナトちゃんの様子はどうですか?」

ドゥーベ。
「素質が高いようで。」
「巫女たちの知識を超えています。」
「教えれば教えるだけ身に付き。」
「やればやるだけ物にできます。」

スピカ。
「毎晩自主練として鍛錬の日々。」
「きちんとした教えがベースにあるからできることです。」

ドゥーベ。
「向上心や才能に付いての知識は深いようです。」
「両親からよく教わっています。」

スピカ。
「英才教育を活かしたのね。」
「自分からいろいろ活かそうと。」
「心構えが違うからそういうことになった。」

ドゥーベ。
「心構えひとつであれだけ違うんですね。」
「では。」
「今日はこれで。」

スピカ。
「良い夜を。」

ドゥーベ退場。

のんびり読書しながら。

うとうと。

ベッドに潜り込んで。

また読書したら。

そのまま寝てしまいました。

爽やかな風が吹き付ける。

この葉が舞い踊り。

灯が優しく照らす。

そんな道をドゥーベは。

スキップで。

堪能しながら。

夜の小川を覗いたら。

テレビで変化の時代の到来が告げられて・・・。

みんなそれぞれに。

存在ありき。


13


地方の村にある。

民兵の基地。

ロゼ。
「憲法主義者はどうなの?」

アルナイル。
「なんか企んでるって。」

和服姿の女の子が来る。

ミアプラ。
「この際先手を打ちましょう。」

ロゼ。
「先手?」

ミアプラ。
「あらかじめ対策をしておくのです。」
「何が出てもいいように。」

アルナイル。
「あらかじめ作戦を用意しておくのね。」

ロゼ。
「私達に送られたのはこの資料集に全部入ってる。」

ミアプラ。
「憲法主義者がいままで目立った動きをせずに沈黙している。」
「何か変だと思わない?」

アルナイル。
「確かに。」

ロゼ。
「あいつらにしてはおとなしいわよね。」

ミアプラ。
「特に苦情も言わずに従順なんです。」
「なおさらおかしいよ。」
「小競り合い程度で済ますんだから。」

アルナイル。
「油断させてなにかやるつもりなら。」
「確かにそうなるわね。」

ミアプラ。
「でしょ。」
「どうにでもなるようにある程度の作戦を練っておきましょ。」
「無策で対応するよりはマシでしょ。」

ロゼ。
「上官はなんて?」

ミアプラ。
「採用してくれました。」

アルナイル。
「なるほどなるほど。」
「これはなにかあるよ。」

この日デモがありました。

中規模で。

平和的に抗議して。

対話を呼びかけてきます。

何かしら不都合が生じた人達で。

このところ毎日行進していますね。

でも。

情報統制が入って。

連絡網が遮断されました。

メディア。
「平和的デモに対して政府は情報統制ですよ。」
「これが王民主義ですか?」

専門家。
「これはテロリズム回避の為の処置で・・・。」

メディア。
「国民に圧力をかけ過ぎです。」
「いきなり頓挫したのでしょうかね。」

テレビの前で。

スピカ。
「変ですねぇ。」
「これは有り得ない。」

ドゥーベ。
「そんなことをするはずはないですから。」

スピカ。
「少し調べてきます。」
「今日は私の休日ですから。」

ドゥーベ。
「お気をつけて。」
「不審者にご注意を。」

ロボット兵器。

人と同じサイズの汎用型ロボットが徘徊していて。

そのうちの1グループが。

無差別に発砲を開始。

近くに居た警備兵が撃破しました。

もう1グループも無差別に攻撃して暴走しますが。

警察官が自爆させました。

一連の事件はラディーアグミの仕業であると報道され。

その証拠がいくつか提示され。

関連が疑われました。

しかし。

ラディーアグミの幹部が放送スタジオや国王の城に居た為。

証拠が全否定されてしまい。

国王に疑念が生じて。

入念に調べるように命じます。

ミアプラ。
「無事対応できたんだね。」

ロゼ。
「読みが当たってるよ。」

アルナイル。
「さすがみゃーちゃん。」

調査の結果。

憲法主義者が内部分裂して。

急進派と温厚派に別れて。

国王は事件を起こした急進派を責め。

軍隊を送りました。

遠くの街で急進派は敗戦。

どこかへ落ち延びましたね。

スピカ。
「濡れ衣を着せて。」
「おまけに。」
「政府への不信感さえ植え付けようとしましたね・・・。」

ドゥーベ。
「彼らには焦りがあります。」
「どうしても自分たちの考えが先走ってしまい。」
「我を折ることができないのです。」

スピカ。
「それでも被害は最小限。」
「こう言うべきですかね。」

エルナトの貸し部屋。

少し豪華で。

教会の敷地の外にある。

少し丘になっている。

住居エリア。

謎の人物が来訪。

スパイ。
「エルナト嬢。」

エルナト。
「なんでしょうか。」

スパイ。
「ご帰還の指示で参りました。」

エルナト。
「なるほど。」

さりげなく武器を手にする。

スカウターも装着。

エルナト。
「帰還と称して拉致する気ですよね。」

エルナト襲い掛かる。

スパイ。
「・・・・・。」

スパイと戦闘。

エルナト。
「丁度良い人質だと思ったのでしょうね!」

スパイ拳銃を出す。

発砲前に体を避けて回避。

拳銃を切断する。

スパイの足技を武器で受け止める。

武器をぐるぐる回してスパイに突きつける。

スパイ手傷を負う。

2番手が出現。

閃光手榴弾。

炸裂するが。

壁に隠れて退避。

スパイ突っ込んでくる。

エルナト。

姿を隠す。

スパイと追いかけっこ。

動きが読まれて。

曲がり角で突如突撃したエルナトにスパイやられる。

三番手。

屋上から飛び降りて強襲。

同じ棒系の武器で激しい戦いになる。

プロキオン。
「食らえ!」

プロキオンに撃たれるので逃げながら戦うスパイ。

スパイはシールド発生装置を作動させる。

プロキオンに裏取りされて撃たれた。

グレネードの弾倉にHEAT弾が装填されており。

HEAT弾はシールドを貫通。

火傷を負い。

スパイ逃走。

エルナト。
「なんですかあれ!」

プロキオン。
「通報する。」

明け方。

スピカ。
「この辺りに潜伏していた。」
「急進派のグループの仕業だったそうです。」

エルナト。
「はあ・・・。」
「帰還指示なんて来てなかったから不審に思って。」
「思い切って襲い掛かって良かった。」
「証拠も提示しないし。」
「適当に攻撃したら何も言わないし・・・。」

プロキオン。
「独断で行動して人質を取って。」
「温厚派相手に優位になろうとした。」
「いま進軍中だって。」
「今日の昼には温厚派と急進派の決戦がある。」
「国王軍も交じって。」
「人質を取れば戦いづらくなるだろう。」
「そんなとこ。」

エルナト。
「お父様は温厚派についたから。」
「少しでも有利にしようとしたのかあ・・・。」

スピカ。
「彼らは勝手に行動した連中です。」
「自分の出世を賭けての行動でした。」

シリウス。
「要は組織の意向じゃないってことだ。」

レグルス。
「本当に拉致していたら。」
「急進派はいよいよ悪党になるわよ〜。」

エルナト。
「なるほど。」

スピカ。
「いろんな考えや思想をヒントにする方針は変わってはいません。」
「だから温厚派が生まれたのです。」
「今日は休みなさい。」
「警察の事情聴取も多いでしょうが。」
「身分が身分です。」
「警察も無理強いできません。」

エルナト。
「了解です。」

社会が正常を取り戻しつつあるいま。

来る日来る日に苦労はありつつ。

真摯に受け止めて。

歩みを一歩ずつ確実に。

刻んでいます。

人は到達点に達するのでしょう。

その過程で様々なドラマがあり。

人の輝き。

人の美があります。

教会に朝が来て。

国はいつもの通りに動き出しました。

これは移り変わる時節。

過渡期。



14


とある星。

住める星。

青い霧がかかって。

天候に恵まれる日は多くない。

視界は広くはないが。

透き通った水があり。

いろんな作物が野に成り放題。

肝心なのはそれを見つけられるかどうか。

スピカたちはこの星を見学しに来ています。

エルナト襲撃は憲法主義者の急進派と穏健派から非難されました。

世情はひとつの答えを求めています。

国連が相談した結果。

ようやくひとつの結論に辿り着きそうです。

スピカ。
「少しこれを飲んでみてください。」

エルナト。
「どれどれ。」
「わー!」
「甘いし美味しい!」

プロキオン。
「この星の水ですら。」
「各所でバリエーション豊富な味がするよ。」

レグルス。
「信じられない。」

シリウス。
「信じられないほど美味しい。」

ドゥーベ。
「この草は食べられます。」
「食用に適した草木が豊富なんですよ。」

シリウス。
「動物はいるのか?」

ドゥーベ。
「わたしたちの星に似たような動物がいますが。」
「数は少ないようです。」
「この大陸に居るのは少数民族的ですね。」

レグルス。
「おいしいの?」

プロキオン。
「美味しい動物は少ないって。」
「そもそもまだ調査が全て完了してないほどだし。」

ドゥーベ。
「一応の安全性は確保されている程度ですからね。」

シリウス。
「ちょっと狩りたいな。」

スピカ。
「この星の動物は特殊な能力を持っています。」
「弱そうだからと言って難敵ですよ。」

シリウス。
「なおさら好奇心が湧く。」

しばらく散策して。

街はひたすら農村が続いてますね。

小さな街が大規模に続くのは。

土地としては高層ビル建設に適さないからです。

地震が多くて。

ビルなどは倒壊しやすく。

低密度の建物が好まれています。

一通り見学を終えて。

宇宙港に戻ります。

最近。

ラディーアグミは秘密裏に武器を買い付けて。

軍事組織としての意味合いを強めています。

いつの日からか。

なぜか。

無差別攻撃を行い。

甚大な被害を出しました。

過激派組織のリーダーが脱獄に成功。

火消しに追われたラディーアグミが暴走しています。

ラディーアグミの幹部は敵国と秘密裏に会談したりと。

何かと怪しい動きを見せています。

不審に思って。

国王の監査院が派遣されましたが。

捕らえられて。

身柄引き渡しに応じません。

敵対する国々と歩調を合わせて。

軍事作戦を行い。

無関係な国王軍の基地に仕掛けて。

小競り合いになります。

ラディーアグミの幹部の一部が敵国に感化されてしまい。

組織の一部が暴走を開始。


この日。

国王が反乱の気配ありとして。

ラディーアグミを反乱軍と断定し。

軍隊の派遣が公表されました。

宇宙港。

ラディーアグミの部隊がうろついています。

シンボルマークで発見。

スピカ。
「あらまあ。」
「どうやら宇宙港は占領されるようですね。」

エルナト。
「えー!?」
「すぐに離れなきゃ!」

ドゥーベ。
「借りてきたシャトルですが。」
「抑えられてはいないようです。」

スピカ。
「では。」
「素早く離れるとしましょう。」

ロゼ。
「発見見っけた見つけ星!」

スピカ。
「はい?」

ロゼ。
「人質になってもらうよ!」

スピカ。
「不思議ですねぇ。」
「今日は敵ですか。」

アルナイル。
「そこを動かないで。」

シリウス。
「生憎だが。」
「それはできんとです。」

ミアプラ。
「私達は反乱軍と見なされた。」
「自衛戦争なの。」

レグルス。
「あんた達何がしたいの?」

アルナイル。
「民のための。」
「民に優しい政治を提唱してきたのに。」
「上の連中が重武装を始めて。」
「火消し組織と呼ばれた私達の立場が無いのよ!!」

スピカ。
「残念ながら。」
「通らせて頂きますね。」

スピカはスモーク弾をぶちまけた。

同時に散開する。

もっとも遠くに行ったエルナトを狙う。

アルナイル。
「そこにいるのね。」

エルナトに突撃する。

エルナト。
「えいっ!!」

アルナイル。
「おっと!」

発砲するが。

動きが早いエルナトには当たらない。

近距離でスピーディーに動かれて。

拳銃を破壊される。

格闘戦を仕掛けるアルナイル。

目の前でシャウラを高速回転させられて。

突きつけられる。

たまらず退避するアルナイル。

プロキオン。
「中々素早いね。」

ロゼ。
「こいつ強敵。」

ミアプラ。
「援軍呼ぶから。」
「もう少し持ちこたえて。」
「人質は多いほうがいいの。」

ドゥーベ。
「警備兵と戦闘になりました。」

スピカ。
「揉み合っているうちに退避です。」

ドゥーベ。
「データ・リンクによると。」
「エルナトちゃんが遠くにいます。」

スピカ。
「援護に行きます。」
「あなたはシャトルを起動させて。」

ドゥーベ。
「了解です。」

シリウス。
「中々やるじゃないか。」
「でも。」
「押し切れないぜ?」

レグルス。
「これだと。」
「最後には私達のものね。」

ミアプラ。
「この人達予想以上。」

ロゼ。
「警備兵まで出てきて。」
「おまに強敵まで居る。」

ミアプラ。
「戦闘を辞めて私達も逃げましょ。」

ロゼ。
「逃げるって?どこへ?」

ミアプラ。
「叔父様がエストラテージアという組織のお偉いさんで。」
「いろんな思想や主義を研究する学者なの。」
「私達と気が合うはず。」

ロゼ。
「このまま戦っても犬死よね・・・。」

アルナイル。
「駄目だった。」
「かわいい服着てて良かった。」
「このまま討ち死にしても恰好が付くから。」

ミアプラ。
「戦死した場合に備えてドレスとかかわいい服を着る女の子は私達だけかな。」
「でも。」
「私達には次のステージがありそう。」
「ラディーアグミが内部分裂したよ。」
「でも私達はひとまずエストラテージアのお世話になろう。」

ロゼ。
「そこはいいとこなの?」

ミアプラ。
「今よりはずっとかいいと思うよ。」

ロゼ。
「そうと決まれば脱出よ。」

アルナイル。
「民間用シャトルを強奪しないと。」

三人娘。

シャトルを強奪しに行く。

スピカ退避中。

ソウダード。
「またお前か。」

スピカ。
「今度はどんな工作ですか?」

ソウダード。
「お前はそんな幼い連中に尻尾を振るのか?」

スピカ。
「狂人よりも健全な中学生のほうが存在的には正しいということです。」

ソウダード。
「俺から見ればみな異常者に見えるがな。」

スピカ。
「暗愚の害獣と従順な聖徒の違いということですよ。」

ソウダード。
「中々言ってくれるじゃないか・・・。」
「世界は大きな革命の渦中にあるべきだ。」

スピカ。
「鰯の頭も信心から。」

ソウダード。
「んうむ。」
「言ってくれるじゃないか・・・。」

スピカ対ソウダード。

ソウダードが拳銃を向ける前に。

スピカ下にもぐりこんで。

回避しつつ。

忍ばせていた短刀で斬りかかる。

ソウダードのシールド発生装置が破損する。

ソウダード必死に応戦するが。

怯んで後退。

そうしているうちに。

後ろからエルナトに殴られて。

ソウダード気絶する。

ソウダードの部下は後ろに居たのに。

警備員と交戦して全員撃たれた。

エルナト。
「こんなに銃撃戦やって宇宙港は大丈夫なんですか?」

スピカ。
「そういうこともあるので。」
「内部での戦闘を前提に建設されているのです。」

エルナト。
「なるほどー。」
「スピカさん綺麗・・・。」

スピカ達。

全員合流して。

宇宙港を脱出。

宇宙港は後。

占拠されましたが。

3日後に宇宙軍の攻撃を受けて。

陥落しています。

戦闘でダメージを受けましたが。

完全に修復されました。

ダメージに強い構造物として設計されていましたね。

スピカ。
「まだ混乱が続くかもしれませんね。」

エルナト。
「何が元凶なんだろう?」

ドゥーベ。
「そこが鍵ですよ。」

シリウス。
「なんか裏で動いている奴がいるよね。」

レグルス。
「そいつ倒さないと終わらない。」

プロキオン。
「すぐに見つかると思う。」
「公にし過ぎてるから。」

スピカ。
「わたしたちは巻き込まれないように注意しておきましょう。」

ちょっとデンジャラスな休暇でした。

国王は黒幕の調査を指示。

国連も調査に乗り出しました。

国の混乱は。

そろそろ終息しそうです。


15


アルナイル。

軍人の家系出身。

女の子の兵士。

女の子の兵士はそこまで珍しいものではない。

戦場の花と言わんばかりに。

男性陣から歓迎される。

ロゼ。
「兵士は兵士だから戦っている。」
「深い意味は無い。」

ミアプラ。
「意味を求めるって反対に言えば。」
「意味を見出せない哀れな人。」

アルナイル。
「わたしは尊いもののために戦ってみようって。」
「尊さを追い求めたら。」
「成り行きで兵士になって。」

ロゼ。
「男どもはあんたのファンよ。」

ミアプラ。
「この前告白されたでしょ。」

アルナイル。
「断ったけれど。」
「戦場で見つけた綺麗なお花をよくくれるの。」
「いろんな男の人から。」

ロゼ。
「モテモテじゃない。」

ミアプラ。
「ロゼちゃんも野戦基地の集いに呼ばれるし。」
「私は上官に頼りにされているし。」

アルナイル。
「女の子って意外な貢献をしているんだねー。」

ロゼ。
「そういえば。」
「なんか神権政治になるそうよ。」

アルナイル。
「民のための政治なら納得かな。」

ミアプラ。
「まあ意義は唱えないかな。」

???
「我々もだ。」
「しかし理非曲直も知ってもらいたい。」

ロゼ。
「そろそろ任務よね。」

???
「国王の依頼だ。」
「憲法主義者とそのグル達が紛争を仕掛けた。」

ミアプラ。
「残った戦力でやってやりましょう。」

アルナイル。
「また生き残れるかな。」

ロゼ。
「無謀な真似をしなければ大丈夫。」

支度途中。

アルナイル。
「わたしは尊いものを求めて戦場に身を投じる。」
「戦場にはわたしが望むものがある。」
「いつか手に掴むその日まで。」

ラディーアグミの分裂組織。

反乱軍を鎮圧に出動です。


16


ロゼ。

美人と呼ばれる女性。

大金持ちの資産家の家に生まれたが。

資金力を活かしてラディーアグミに入隊。

幾多の戦場を転々としている。

ロゼ。
「今回もやりますか。」

アルナイル。
「わたしたちって特殊な任務が多いよね。」

ロゼ。
「女性にしかできない任務を与えられるのよ。」

ミアプラ。
「男性たちに頼りにされているってことよ。」

アルナイル。
「ロゼちゃんはなんで入隊したの?」

ロゼ。
「自分がどれだけ出来るか試したいの。」
「資産家の娘で一生居るなんて出来なかった。」
「これじゃあわたしも財産の一部だし。」

アルナイル。
「なんだかかっこいいなあ。」

ミアプラ。
「自分に試練を課したのね。」

ロゼ。
「元々戦いが好きで。」
「むかしから好戦的って言われたわねー。」
「生粋の戦士なのかな。」

アルナイル。
「そうなんだと思うよ。」

ミアプラ。
「自然にそうなったのかあ。」

ロゼ。
「みんな大体自然の成り行きよね。」

アルナイル。
「何を選ぶかは自由。」
「そうやって人は選び取った結果に行き着く。」

ロゼ。
「戦闘好きは兵士になるのが自然だからね。」

アルナイル。
「自然がもたらしたもの。」
「みんなより兵士らしいよ。」
「突撃しても毎回被弾もしない。」

ミアプラ。
「私は討ち死にしないように気を付けているけれど。」
「ロゼちゃんは突撃を繰り返す。」
「私にはできないなあ。」

アルナイル。
「ロゼちゃん強いよね。」

ロゼ。
「知ってる?」
「自分の速度域に思考が追い付かないと。」
「頭のいい戦い方はできなくてよ。」
「考えながら動くのではなく。」
「動きながら考えている。」
「だから。」
「私は負けたことがない。」

アルナイル。
「そこまでの手練れ。」

ミアプラ。
「どうりで強いわけだね。」

ロゼ。
「アルナイルちゃんは。」
「変則的な戦い方をするから。」
「まだ向上の余地があると思うわ。」

アルナイル。
「ほんとー?」

ロゼ。
「ミアプラちゃんは安全策を取ったほうがいいと思うわ。」

ミアプラ。
「私も思っていたよ。」

着替え中。

ロゼ。
「ドレスで戦うなんて。」
「男どもも士気があがりそう。」

アルナイル。
「わたしは軍服ワンピース。」
「わたしたちは戦場のアイドル。」

ミアプラ。
「和服で戦うなんて。」
「こんなに戦場に似合う女の子は居ないよ。」

ロゼ。
「それでは。」

アルナイル。
「三人娘。」

ミアプラ。
「出撃。」

みんなでハイタッチ。

退場。


17


ミアプラ。

貴族の家柄。

三人娘は戦闘補佐という係。

戦場でのアドバイザーです。

小規模な戦闘。

ガンシップで展開。

既に陸戦部隊が戦闘中。

ミアプラ。
「この町は地形的に丘を取れば有利。」
「あそこから携行迫撃砲を撃ち込みましょう。」

上官。
「それはいい作戦だ。」
「砲兵隊行け。」

アルナイル。
「ちょっと。」
「第三小隊。」
「不利な位置に陣取っています。」
「横から撃たれたら終わりじゃない。」

上官。
「まずいな。」
「第三小隊いったん引け。」

ロゼ。
「ここでキャンプ。」
「待ち伏せしよう。」

小隊長。
「さっきから敵が走ってくる場所か。」
「狙い撃ちだな。」

敵兵が狙い撃ちに遭う。

敵小隊壊滅。

上官。
「歩兵が固まってないか?」

ミアプラ。
「少なくとも二部隊に分けるようにしましょう。」

上官。
「戦況は有利か?」

ミアプラ。
「敵兵がやけに消極的になっています。」
「何かしらの兵器をスタンバイしたほうがいいかと。」

上官。
「それは言えるな。」

ロゼ小隊が対空砲台を占領。

敵軍が戦車部隊を率いて突進。

携行対戦車兵器で撃破できず。

どこに対戦車兵器を当てても壊れないように。

前面装甲を減らして。

すべての方向に装甲を追加した。

対歩兵戦用の戦車。

25ミリ機関砲で攻撃してくる。

しかし。

近くで待機していたガンシップが仕留めた。

残りは後退。

ミアプラ。
「前進しないと終わりません。」

上官。
「私も同意見だ。」

歩兵が前進。

ガンシップがシールドを張りながら。

携行対空兵器を潰したので。

ここからはガンシップの一方的な爆撃。

敵は逃げ出しました。

敵逃亡。

勝利。

上官。
「見事な戦略アドバイスだった。」
「次もよろしくな。」

ミアプラ。
「ラジャー。」

少ない戦力で数で勝る敵を撃破した戦いでした。

帰りのガンシップ内。

アルナイル。
「楽勝かな。」

ロゼ。
「不利だと思って始めてみたら。」
「あっけなく勝利。」

ミアプラ。
「勝って兜の緒を締めよ。」
「これが必要。」

ロゼ。
「そういうこと。」
「戦いで驕り高ぶるような奴は。」
「強い相手には絶対に勝てない。」

アルナイル。
「そういえばミアプラちゃんってなんで兵士になったの?」

ミアプラ。
「わたし?」
「戦場を見てみたかったから。」

ロゼ。
「なんて純粋な理由。」

アルナイル。
「でも下手したら撃たれるよ?」

ミアプラ。
「なんか戦場をずっと見たくて。」
「なんでかな。」

ロゼ。
「不思議ねー。」

???
「戦う理由が純粋かつ簡単でいいじゃないか。」
「帰還したら。」
「少しアイドルみたいなことをしてくれ。」

ロゼ。
「またあれやるのかー。」

???
「君達は最近になって戦場のアイドルとして有名だからな。」

アルナイル。
「いやーん。」
「わたしたち注目の的。」

ミアプラ。
「そんなのもいいよね。」
「ここは一発やってやりましょ。」

女の子達の戦いは。

それぞれ言葉で説明できない。

何かを求めた結果でしょう。

戦いを重ねていくうちに。

少しずつ迫っていきます。

自らの真実に・・・。



18


レグルス。

一般家庭に生まれて。

自分で警備員に志願した女性。

いろんな戦闘を経験してきたので。

実戦経験を買られて。

汎用警備員になりました。

もしもの時の戦力として期待されています。

Gサミットという国家間の会議がありますので。

周辺をウロウロして怪しいものがないか。

ずっと調べていろ。

という命令がありました。

プロキオンに会いました。

プロキオン。
「激務じゃない?」

レグルス。
「自分で選んだんだから。」
「激務とは思わないわ。」

プロキオン。
「職業って不思議。」
「私はロボット軍団で偵察しているから。」
「また会うかもね〜。」

シリウスに会いました。

シリウス。
「俺は歩き回っているだけ。」

レグルス。
「わざわざ来なくていいのに。」

シリウス。
「かわいい顔を見ておくんだ。」
「そうすれば仕事もはかどる。」

レグルス。
「ちょっと!恥ずかしい台詞!」

シリウス退場。

プロキオンが戻ってくる。

プロキオン。
「恋人同士?」

レグルス。
「それは以前明確に否定したはずよ。」

プロキオン。
「でも仲いいよね。」

レグルス。
「共通点があるのよ。」
「だから気が合う。」
「男女の友情ってあると思う?」

プロキオン。
「あると思うよ。」
「恋を除けば。」

レグルス。
「なんだかんだ言って親友なのよね。」

プロキオン。
「いい関係。」

プロキオン。

退場。

変なロボットが居て。

IFFは同じでも。

データに無いので。

司令部に送ったら。

破壊しろと出たので。

サブ・マシンガンで撃破。

無事サミットは終了。

先ほどのロボットはテロリストが差し向けたものでした。

それが判明して。

追撃しようと司令部は必死です。

上官に呼ばれました。

ロボットについてです。

すべて情報を渡しました。

政治家は近くのホテルで夕食会ですが。

引き続き警備に加わります。

不規則に動いてみました。

レグルス。
「大電流を流して電子機器を破壊してきたらどうします?」

上官。
「なに?」
「ちょっと落雷用の装置に切り替えてみるか。」
「上に話を通しておく。」
「あり得ない話ではない。」

しばらくして。

電気ショックが発生して。

光に包まれましたが。

司令部と警備網はほぼ無傷。

変電所の辺りで工作されていましたので。

ガンシップが出撃していきました。

この事件は終了の時を迎えます。

上官。
「中々有能な女性ですな。」
「勲章を贈与してもらえるように推薦しておいた。」
「君はいずれ出世できるぞ。」
「いやーよかったよかった。」

レグルス。
「光栄の極み。」

レグルスはこの日から。

出世に意欲を燃やすようになります。

この世界に出来ることは。

自分の警備員としての在り方に賭かっている。

そう感じたからです。

レグルス19歳の時。

これから非凡な女性の代表として。

世界的に知られていくのでした。

レグルス。
「もっと手柄を立てましょう。」
「なんか気分いいわあ。」
「自分の存在ありきって感じ。」
「そうだ。」
「スピカさんに知識を貰おう。」

レグルス。

たまにスピカの家を訪れます。

頻繁にスピカの護衛を依頼される関係で。

レグルスは屈指のボディガードとしても名があります。

実はマフィンの最後の弟子と呼ばれたレグルス。

マフィンの熱狂的なファンで。

近づいているうちに。

弟子のような関係になって。

スピカと会いました。

レグルス。
「しかし。」
「私はどうやったら貢献できるかな。」
「それを考えていかなくちゃ。」

レグルスは自分の哲学が完成していないのです。

それでスピカを頼っています。

スピカも善言をたくさんあげています。

いつか自分の哲学が完成するといいですね。

レグルスは今日も賢明に模索します。


19


シリウスはハンター。

狩猟一族に生まれ。

なぜか幼いころから。

大物を狩るのが夢になった。

この日も。

山脈から湧き出る水の合流地点。

滝が複数流れる。

森林地帯。

複数の川が段差のように。

落ちては合流する。

深いバンカーで。

ワイヤーを発射しては。

崖を上がっていき。

スナイパーライフルで獲物を狙う。

巨大なトカゲというよりヤモリ。

壁伝えに移動しています。

シリウス。

ライフルで一撃。

シリウス。
「近々ここは観光スポットとして整備されるから。」
「周辺の怪獣は全滅させとかんと。」
「どうせ前文明が勝手に作り出した生物だし。」

次々と仕留める。

この日仕留めたのは15匹。

次の日から出没しなくなりました。

深追いしていきます。

大きな怪獣の集落がありましたね。

ピンボールのように跳ねていく手榴弾でまとめて焼却。

シリウス。
「前文明って悪趣味だなー。」
「相当かっこいいの作ろうとして。」
「自然に手を加えるとああなるのね。」
「遺伝子操作?」
「子供みたいに生物をもてあそんで。」
「そんな人間はこの世にいないほうがいいよなぁ。」

仲間。
「この世の嫌われ者さ。」
「あいつらは。」
「無秩序にこんなことを繰り返す。」
「止める者はいなかった。」
「まあ人間そんな程度だろう。」
「前文明って動物みたいな有様だから。」

他の仲間も合流します。

全員でこの地域の怪獣を皆殺しにしました。

シリウス。
「遺伝子操作とか子供の遊びじゃないんだし。」

仲間。
「あいつらは子供の遊びだと思ってたんだよ。」

シリウス。
「だめだこりぁ。」

仲間。
「馬鹿のひとつ覚えってやつさ。」
「前文明が科学に目覚めてから。」

シリウス。
「あいつらに科学はいらんとです。」
「満足に扱えてない。」

仲間。
「知的レベルの不足ってやつ。」
「さて。」
「あとでもうひと頑張りするか。」

シリウス。
「まずはゆっくり休んでから。」

シリウス。

ハンターを楽しんでいます。

普通の野生動物は殺しません。

ただ。

性に合っている仕事は。

いつもの楽しみです。

得意だし実力もあるし。

自然の中を動き回るのが。

心をくすぐるのです。

ハンターは他にも。

スズメ蜂の巣の撤去や。

イレギュラーと呼ばれる謀反人の襲撃。

動物の肉の確保など。

珍味などの調達にも使われます。

シリウスにとって仕事とは。

やらなければならないというものではなく。

自分の趣味なのです。

幼いころから。

ハンターに囲まれて育ったので。

ハンターの仕事が夢でした。

やりたいからやっている。

それがシリウスの姿です。

シリウス。
「よし今日もやるか。」
「お楽しみはとっておかないと。」

仲間。
「大物の前に小物を始末しないとな。」

シリウス。
「獲物を取った時の快感は忘れられない。」
「狩りに出発!」

シリウス。

ご機嫌です。



20


プロキオン。

貧困層の娘として産まれ。

有力な人材を探している教会にスカウトされ。

発掘された女の子。

機械工学に秀でており。

実はこの文明における立ち位置はエリート。

この日も鉱山で採掘している人をサポート。

発掘。
「なにかいろいろ新しい兵器が出てきますぜ。」

プロキオン。
「ここは前文明の元兵器工場でもあるから。」
「戦車とかいっぱいあるはず。」

発掘。
「たまに変な生物も出てくる。」

シリウス。
「それは俺の仕事だ。」
「出てきたら知らせてくれ。」

炭鉱や兵器工場地帯はすごく広いので。

もしかしたら。

巨大軍需産業の中心施設だったのかもしれません。

レグルス。
「今日は護衛任務かあ。」
「便利屋みたいな私だなあ。」

シリウス。
「それだけ頼りにされてるんじゃね?」

レグルス。
「いいえ。」
「何かいろいろと使いまわされるから。」
「意外なことが多くて。」

シリウス。
「それってけっこうおもしろいことだよ。」

レグルス。
「警備員ってこれだから。」
「毎回配置ががらりと変わって。」
「中々おいしい仕事。」

シリウス。
「汎用警備員っていいよなあ。」
「俺は雑魚を狩らないといけないこともあるし。」

プロキオン。
「工場地帯に何かあるよ。」
「気を付けて。」

シリウス。
「おっ?」
「久々に獲物か?」

レグルス。
「少しは歯ごたえがあるんでしょうね?」

プロキオン。
「護衛ロボットみんなやられた。」
「データ・リンク見て。」

シリウス。
「おわっ!?」

レグルス。
「どんな奴かしら?」

炭鉱夫や調査員が逃げてきました。

プロキオン向かいます。

入り口の大きなホール。

ひとり乗りの戦車?

ホバー移動する。

右と左に武装が付いた。

戦闘機のようなフォルムの兵器。

プラズマ・シールドを前に出して。

はじめの射撃を防ぎます。

壁に隠れる。

迎撃ロボットが多数攻撃に行くが。

薙ぎ払われる。

装甲が硬過ぎます。

プロキオン。
「アキシオン・ブラスター。」

戦車?は氷結してしまいました。

動きが鈍い戦車。

武装も使えない戦車。

弾切れです。

シリウス。
「ライジング・ロッドに耐えられるかな?」

ぴたっとくっついたマグネット・ワイヤー。

別のロボットが来て。

大電流を流します。

戦車撃破。

プロキオン。
「いろいろ調査したいから。」
「まずは動力炉を破壊しとかないと。」
「コンピューターは自己修復能力と再生機能があるから。」

シリウス。
「もう一台来たら俺に任せろ。」
「パターンは読めた。」

レグルス。
「まさかビークルとはね。」

次の日。

スピカが来訪。

スピカ。
「具合どうでしょう?」

プロキオン。
「上々だよ。」

スピカ。
「それは良かったです。」
「よくやってくれていますね。」

スピカみんなを集める。

スピカ。
「みなさん懸命に務めていらっしゃいます。」
「そのような人達はこの世界にとても必要なのです。」
「安全にいい働きができるように祈っています。」

スピカ退場。

プロキオン。
「向こうの炭鉱発見したって。」

レグルス。
「私は配置移動。」

シリウス。
「たまに飛来する怪獣。」
「雑魚ばっか。」

プロキオン。
「君もいないと困るから。」

シリウス。
「では。」
「雑魚の最多撃墜でも目指すかな。」

プロキオン。

まじめでひたむきです。

宗教関係者に協力して貰うと。

いろいろと発見があるため。

この所。

プロキオンの活動は盛んです。

夜になると焚き火をして。

楽しんでいます。

プロキオン。
「たぶん。」
「難しい事を考えないで。」
「すべきことをしていればいいのかな。」
「本当はなにもかも簡単なんだと思う。」

プロキオン。

多方面から頼りにされています。

教会を長く空けていましたので。

次の日には復帰です。

居ないといろいろな人が困る。

プロキオンという女の子。

意外な存在感がある。

不思議ちゃんかな。


21


ドゥーベ。

エリート階級の出身。

夢見ているのは国会議員への道。

ドゥーベは地味な役割を担っている。

教会の事務担当なんです。

スピカの親友。

スピカの家に赴きます。

スピカはくつろいでいましたね。

そのうち寝てしまいました。

ドゥーベ。
「女史の寝顔を見られるのは私の特権でしょうか。」
「その前に資料を作成しなくては。」

ドゥーベを現すと「勤勉」です。

ドゥーベは特に何も考えなくて。

ひたすら勤勉に勤め上げています。

きちんとしていれば良いという人生観を持っていて。

その通りに活動している人なんです。

そんなふうなので。

とても役立つ。

サポート役。

ドゥーベはこの日も。

サラリーマンのようなオーラで。

黙々と仕事をこなします。

本当は生粋の仕事師のようですね。

目立たない存在だけれど。

確実に貢献している。

影の立役者です。


22


エルナトのメモ。

私は貴族の生まれ。

産まれつき高い身分だけど。

特に何か目標があるわけでもなく。

いろんな技能を身に着けさせる。

英才教育を受けていました。

吸収率が良いと評価され。

お父様は私を受け渡す場所を探していたようです。

教会に引き取られ。

スピカさんの弟子のような位置づけですね。

いろんな遺跡探査で。

ある時悟ったんです。

それで。

自分の可能性を追求してみたくなりました。

雪に閉ざされた古代都市。

ビルがそびえたつが。

寒冷化によって廃棄された。

前文明の都市。

寒波が頻繁に到来して。

捜索隊を阻む。

エルナトは捜索隊の主任を任されました。

エルナト。
「前文明のことだから。」
「廃墟に入るごとに警戒して。」
「予想外の事なんて普通にあるから。」

捜索隊。
「心得ております。」

エルナト。
「それじゃあ身が持たない。」
「戦場に居るものと思ってね。」

捜索隊。
「了解。」

落とし穴がありました。

同行していた偵察ロボットがはまって爆発してしまいました。

エルナト。
「ひゃあ!?」
「その辺り一帯にあるっていうの?」

捜索隊。
「なんてトラップだ。」

エルナト。
「確実に安全な道を通ります。」
「高速道路だった部分はトラップを置けないはずです。」
「地雷くらいはあるでしょうが。」

高速道路には地雷がありましたが。

動作不良なので。

片づけておきました。

エルナト。
「あの塔に上がってスキャンしてみるね。」

ワイヤーを発射してあっという間に頂上に。

エルナト。
「多分ここから進めないや。」
「遠回りしよう。」
「変な反応が多過ぎます。」

捜索隊。
「むう。」
「前文明なにをしでかしたやら。」

捜索隊は遠回りして侵入。

エルナト。
「ここから大通りへ。」
「オフィス街かな?」

なんか基地みたいな施設がありました。

正面入り口は開かないので。

爆破させて侵入。

地下にはメイン・コンピュータールーム。

エルナト。
「エンジニアさん。」
「どうにかできる?」

エンジニア。
「やってみます。」

エルナト。
「あっ。」
「でもこれ。」
「触れると爆発したりして。」
「内部の回線を弄って。」
「起動させてみて。」

エンジニア。
「やってみますが。」
「そこの人がもう触れてます。」

システムは起動されましたが。

不正アクセスと見なされて。

アラート。

少し危険ですので。

籠城します。

防衛ロボットでも来そうなものですが。

故障していて。

1機も来ません。

都市の司令室を占領しました。

ハッキング中。

都市の中に多数のトラップを仕掛けて。

ここに辿り着けないようにしていましたが。

老朽化したせいで。

トラップが動作しなかったようです。

指令室のデータをまるごと持ち帰りました。

エルナト。
「動力配線を切断しておいて。」
「何が現れるか知らないから。」

エンジニア。
「了解。」
「システムダウン。」

宝物庫の位置が特定できました。

向かいます。

原始的なトラップが作動。

先行していた偵察ロボットが大破。

永久的に使える火薬とワイヤートラップで。

フリンクロック地雷です。

引っかかると火薬に火打ち石で引火して爆発します。

棘のトラップが至る所に。

これ以上は進めません。

上空から行こうにも。

吹雪が強いし。

着陸地点に困ります。

難所上空は飛行しないようにしています。

対空兵器が残っていたらやられてしまうから。

地下鉄がありましたので。

そこを進むことに。

宝物庫の近くに到達。

議員会館のようです。

トラップは何もありませんでした。

代わりに呪いの絵みたいなものが多数あるので。

みんなお守りを持参しています。

宝物庫まで辿り着いて。

お宝を回収しましたよ。

兵器管制センターを発見。

停止させました。

エンジニア。
「生き残りの兵器があったようですね。」

エルナト。
「停止させたから。」
「上空から撤収できそう。」

議員会館の上から。

飛行船が着陸して。

全員が回収されました。

捜索隊。
「いやー。」
「あなたがいて良かったです。」
「あいつら奇妙な技を使うもんです。」

エルナト。
「何か見せたくないものがあったんでしょ。」

エンジニア。
「そう!それですよ!」

エルナト。
「恥ずかしいので見られないようにしている。」
「次の世代に対しても。」
「でも重要なものなので。」
「破壊したくなかった。」
「そうこうしているうちに滅びたってことよね。」

捜索隊。
「そんな感じですよ。」

エルナト。
「成果はあった。」
「私もけっこうやるじゃん。」

帰還。

スピカ。

みんなを集める。

スピカ。
「エルナトちゃんはすごくよくやってくれました。」
「油も乗ってきたということです。」
「応援してあげてください。」

エルナト。
「ありがとー。」

夜。

エルナト。
「私は何か掴めた気がする。」
「この調子で。」
「私の可能性って無限大!」
「勝って兜の緒を締めよ!」

エルナトちゃん。

順調のようです。

この日から。

いろいろ頼られるようになりました。

スピカが推薦状を出したのも大きいですね。

エルナト。
「私の可能性への追及。」
「始まった!」
「いままでの退屈な自分からおさらば!」
「なにかぱっとしない。」
「ぼーっとしているだけだった私。」
「これからはいろいろ頑張っちゃうぞー!」

エルナトちゃん。

過渡期を終えました☆



23


スピカ。

鏡の前で。

琥珀が付けられたコサージュ。

ルビーのカチューシャ。

アメジストが飾れたリボンなど。

いろいろ試しています。

天然石で出来た指輪も装着したり。

特殊な岩石で出来たブレスレットを付けてみたり。

いろいろやってます。

まだ26ですからね〜。

スピカ。
「あらまたお手紙。」

熱烈に「好き」と書かれた単純な手紙が複数。

スピカ。
「結婚はしないと言ったのに。」
「でも嬉しいわ。」
「最近は5人に3人が結婚するようになりましたね。」
「あわよくばと思っているのでしょう。」

誰かが訪問。

実は手練れの男性。
「好きです!」

花束を受け取りました。

スピカ。
「その言葉。」
「受け取らせて頂きますね。」

実は手練れの男性。
「付き合ってください!」
「かわいいし。」
「私でよければ女性を楽しむ相手になれます。」

スピカ。
「それは最初から。」
「いいえ。」
「以外は有り得ません。」
「でも女性を喜ばせるのが得意ですね。」
「機会がありましたらお茶でもどうですか。」
「仲良くなれそうです。」

実は手練れの男性。
「それはふられたのですか?」
「OKでしょうか。」

スピカ。
「わたくしを好きになってくれたお礼とでも。」
「たまには男性と話してみたいですし。」

実は手練れの男性。
「やった・・・ではまたいつか!」

男性退場。

スピカ。
「何か勘違いなさっているのかしら。」
「いいお友達になれそう。」
「アイドルとファンの関係なのに。」
「でも男性と接するのも女性の喜び。」

次の日に。

おめかしスピカ。

ドレス。

アメジストのコサージュ。

天然石のバッジあり。

実は手練れの男性。
「まさか女史と仲良くなれるなんて。」
「ずっとあなたのファンでいます!」

スピカ。
「そこまで好きなんですね。」
「そうなると女心もくすぐられます。」
「1時間程度ですが珈琲でも。」

遠くから。

プロキオン。
「彼氏さん?」

ドゥーベ。
「近代によくある男女の交友関係ですよ。」
「アタックされた女性が友達として交友関係を持つ。」
「恋人と違うところは女性が男性の好意を受け止め。」
「女性として嬉しいので礼儀として返す。」
「少し難しいですよ。」

プロキオン。
「恋人じゃないんだね。」

ドゥーベ。
「よほどスピカさんの女心を掴んだんでしょう。」
「男性と接することで自分は女性という感覚が得られた。」

プロキオン。
「嬉しさのあまりにかまってあげるとかそういうものか。」

ドゥーベ。
「近いですね。」
「好意に対するお礼ですよ。」

スピカ。
「あなた中々おもしろい人ね。」

実は手練れの男性。
「ジョークがどうも趣味で。」

スピカ。
「あらまあこんな時間。」
「楽しかったですよ。」

実は手練れの男性。
「お付き合いには至りませんでしたね。」

スピカ。
「それはそうですよ。」
「敬虔なる者は結婚できませんし。」
「結婚しませんから。」
「それでも女性で居させてくれてありがとう。」

実は手練れの男性。
「私のような男に構ってくれてありがとう。」

スピカ。
「いいえ。」
「充分な男性です。」
「それなら女性を射止めるのは簡単です。」
「あなたに合った人が現れるといいですね。」
「所でアークトゥルスさん。」
「丸わかりですよ。」

実は手練れの男性。
「。」


スピカ。
「ボーヴォワールでもするんですか。」

「なんて
「また遊びましょう

実は手練れの男性。
「光栄です。」
「また今度。」

ふたり別れる。

帰宅。

スピカ。
「異性交遊という近代史のしきたりだけれど。」
「中々たまらない遊びですね。」
「相手方も何気に狙っていますし。」
「ちょっとこれはクセになります。」

手紙だらけの机の上で。

たまに体よく返されちゃう訪問者の中から。

気に入った男性と遊んでは。

男性も楽しんで。

女性も喜んで。

この手の交遊は確立されている。

この世界ならではです。

スピカは。

ここぞとばかりにおめかしできるので。

最近の趣味ですね。

週刊女子の取材を受けて。

たまに素の状態を撮らせてくれと言われますが。

かわいい衣装に着替えてみたりもします。

何かと人気な女性です。

スピカの青春は。

まだこれからですね〜。

桜散る季節に。

天然石で手芸に勤しむ。

スピカです。


24


ビル街の屋上のオープンスペース。

遠くに野山と草原と森林と河川。

展望台でのんびりお茶をしているスピカ。

ドゥーベも加わります。

一緒にハーブティーをゆっくり飲んでいる休日。

レグルスが来て。

久しぶりに御一緒。

レグルス。
「久しぶりです。」
「しかしこの景色。」
「歴史の風景としてはありがたいですよ。」
「汎神論が好きなわたしにとっては最初から素敵だと思う。」
「あなたは?」

スピカ。
「自然が大切にされている。」
「ここでは人間中心主義は存在しない。」
「人が神を中心に周回軌道を行っているという学説は。」
「この世界においてもっとも賢明であるとされている。」
「美しい文明。」
「人類のひとつの答えなのでは?」

レグルス。
「もっともです。」
「人には自由意志がある。」
「その結果として?」

スピカ。
「文明の本来あるべき姿はこのようなものでしょうか?」
「科学は自然の力を借りることができます。」
「そうなると科学は自然に由来し。」
「自然に帰属するもの。」
「こうなれば科学と自然は元来一体なのです。」
「こういう思想で設計された都市や社会なのです。」
「これも人の自然性の成せる技なのでは?」

レグルス。
「わたしもそう思うわ。」
「いつか見たいものがある。」

スピカ。
「この先の未来ですか?」

レグルス。
「創造主の存在を見たいの。」

スピカ。
「わたくしもです。」

ドゥーベ。
「これは尊い人生になりそうですな。」

スピカ。
「永遠のものになるかもしれません。」

レグルス。
「まだ許可は出ないから。」

スピカ。
「ジーザス。」
「いつか見れますように。」

レグルス。
「私も祈ろう。」

今日は久しぶりの休暇を楽しみました。

深夜。

自宅にて。

ものすごい。

対戦車兵器みたいなモジュールが屋上に置かれている。

屋根の下で。

スピカ。
「何か確信があるのです。」

ドゥーベ。
「それは大切にすべきです。」

スピカ。
「あらまあ綺麗な回答。」

ドゥーベ。
「星々が呼んでいますよ。」

スピカ。
「ええ。」
「今日は星が綺麗です。」
「特注の望遠鏡で覗いてみます。」
「さて。」
「もうひとつのわたくしはどこでしょう。」

ドゥーベ。
「それは天文台に行ったほうがよろしいかと。」

スピカ。
「いいえ見るんです。」
「見てから行きます。」

ドゥーベ。
「性能は不足してないでしょう。」

スピカ。
「でも無理みたい。」
「約60光年ありますから。」
「アルクトゥルスは見えます。」

ドゥーベ。
「600億キロメートルは無理ですね。」

スピカ。
「では天文台に行ってきます。」

ドゥーベ。
「おもしろそうです。」
「ご一緒に。」

天文台。

丘の上にあるちょっとしたもの。

スピカ。
「もうひとつのわたくしが見えました。」
「わたくしは自分が好きです。」
「その理由は約60光年にもうひとつのわたくしがあるからです。」

ドゥーベ。
「そう言われると宇宙は綺麗ですなあ。」

スピカ。
「ああなんて麗しい。」

ドゥーベ。
「女史も少女のようなところがある。」
「かわいいです。」

スピカ。
「ずっと眺めていたい。」

そのうち寝てしまったスピカ。

ドゥーベが起こして。

帰宅。

仕方がありません。

今日はもう就寝です。

また明日。

夜空もそう言っているかのように。

太陽がおはようございました。

また。

今度と言わんばかりに。


25


アルナイル。

ロゼ。

ミアプラ。

三人娘に護衛されながら。

極秘の研究施設で。

「円盤」というビークルをスピカが動かします。

これは自由自在。

あらゆる方向に移動できる。

最高の飛行機で。

UFOに似たデザインになっておりますよ。

スピカ。
「非凡な人に運転して貰いたいと?」

研究員。
「そうですよ。」
「女史ならいままでなかった。」
「信じられないデータが取れるんじゃないかと。」

スピカ。
「わかりました。」
「気の利いた飛行をしてみますね。」

「円盤」が固定されている台座。

階段から飛び移って。

ハッチを開けて。

起動。

全天周囲。

すべてあるゆる方向が見渡せるモニターです。

アビオニクスが作動。

少しずつ大きな扉に向かっていき。

飛び出します。

信じられない加速なのに。

Gがあんまりかからない。

不思議な乗り物。

快適に飛行を楽しんで。

性能を試しております。

ちょうどその頃。

領空侵犯があって。

防衛部隊が飛び立ちましたので。

スピカが接近許可を取り。

会敵座標に待ち伏せたのです。

一部始終をスピカは目撃しておりました。

敵は2機。

レーダーに味方の飛行隊3機。

無線を傍受できました。

「メビウス1そのまま飛行を続けてください。」

「こちらメビウス1敵機レーダーにて捕捉。」

敵戦闘機2機は真っ直ぐ味方に突撃するのですが。

不審に思ったスピカ。

望遠カメラで覗く。

天体望遠鏡と画像認識装置が融合したハイテク兵器。

天候さえ良ければステルス機も無効化できるスコープ。

遥か彼方。

機影を見るとなんと。

レーダーリフレクターが装着された巡航ミサイル。

味方編隊が横からロックオンされますが。

これはダミー。

ドローンを1機突入させる囮作戦。

まんまと食いついた敵機は。

ダミー戦闘機で騙して。

射撃位置についたのに。

それはUAV1機とダミー2個。

有利と思ったのに側面からロックオンされて。

たまらず敵は逃げ帰りました。

敵は後に。

「UFOまで味方に就いていたのか!?」と取り乱しています。

スピカ帰還。

研究者。
「さすがに良いデータになりそうです。」

スピカ。
「乗り心地がとても良かった。」
「実戦配備されたらレンタルできるかしら?」

研究者。
「その時は一番にお渡しできますよ!」
「またよろしく!」

極秘基地から帰宅。

アルナイル。
「時代は進んでいるよ。」

ロゼ。
「みんな真面目に人間やっているからよ。」

ミアプラ。
「真面目に人をやる?それってとても大事。」

スピカ。
「安楽に溺れる過去の人間たちに。」
「その言葉はぴったりです。」

アルナイル。
「いつでも歴史は教科書。」

ロゼ。
「教訓。」

ミアプラ。
「歴史とは人である。」
「人という歴史があるじゃないですか?」

スピカ。
「それは賛同できます。」

ロゼ。
「女史さんといい仲になりたくなった。」

スピカ。
「それはどうも歓迎です。」

アルナイル。
「人についてどう思いますか?」

スピカ。
「聖トマス・アクィナスの言葉があります。」
「神はすべての創造主で。」
「人間は被造物に過ぎない。」
「私達は被造物に過ぎないのに。」
「何を偉そうにしているんですかね?」
「人は神ではありません。」
「被造物です。」

ミアプラ。
「それは真実です。」
「人間の増長なんてありましたから。」
「人間は神ではありません。」
「人間は神にはなれず。」
「被造物に過ぎない。」

スピカ。
「そもそも人は神の為に存在しているのです。」

ミアプラ。
「聖アクィナスの言葉です。」
「なんて素晴らしい。」
「まさにその通り。」

スピカ。
「意見は一致しているようです。」
「今度一緒に食事でも?」

ロゼ。
「機会がありましたら是非一緒に。」

人類が「安楽」と決別して。

前進を選んだのは正しい事なのかもしれません。

もはや腐敗することが無く。

賢明になった人類は。

今日も建設に励んでいます。

自身の向上と。

真理を買うために。

悟りと知恵をも買うために。


26


ISAF(国際治安支援部隊)の派生型で。

EUのような各国の出資によって維持されている。

自らも資金源を持ち。

油田や金山などを多数保有。

傭兵の募集で有名。

ISAF(国際治安支援部隊)と親戚の関係を持ち。

連携することが多い。

任務は多種多様で。

紛争の戦火を消火する活躍で有名。

一騎当千の猛者が集う。

百戦錬磨の戦績を持つ。

あまりに強いため。

独立しようと過激化した上層部。

単なる傭兵部隊に堕落しつつありましたが。

非難が強く。

総意によって。

クーデターに成功したもので。

組織を再構成するのです。

今夜も幹部が集まって。

旧体制と新体制で分かれ。

話し合いが開かれておりますね。

ISAFに戻るか。

それから発展した傭兵の次世代版か。

国際法に基づいて。

犯罪集団やテロリズム。

反乱者を火消し。

このような方針は同じで。

結局はお互いの見解を融合させることで。

決着をつけようと。

可決しておりますので。

取り決めが続行されていて。

来年にも新しい組織として再出発するそうです。

アルナイル。
「義戦が理念だから。」
「本来の姿に立ち戻れそう。」

ロゼ。
「過激な任務が多かったから。」
「まあ一波乱あって良かったわ。」

アルナイル。
「平和維持軍なのに。」
「あれは無いよほんと。」

ミアプラ。
「国連直轄の民兵ですから。」
「我を張る連中とは以前から喧嘩していたし。」
「これで正々堂々と潰せるね。」

アルナイル。
「まずあの愚者たちを倒せば。」
「汚名返上。」

ロゼ。
「そんなわけで。」
「次の戦いの準備。」

ミアプラ。
「ユニット135と練習してみる?」

ロゼ。
「最近腕がなまっているから。」
「ちょうどいいわ。」

ヘリポートの近くの広場。

ユニット135とは?

人型戦闘兵器で。

通常はトレーニングマシンです。

戦闘ユニットを装備しますと。

戦場で捨て駒に出来ます。

アルナイル。
「グローブマスターで。」

ミアプラ。
「トレーニングモードで開始。」

アルナイルはユニット135の攻撃をパリィ。

受け流したり。

逸らしたり。

避けたり。

跳ね返したりするカウンターの総称。

ユニット135は尻餅をついて。

次にロゼが参加。

ロゼ。
「生半可な腕前でやってないわよー。」

アルナイル。
「わたしたちは凄腕で評判だからね。」

パリィされて。

攻撃が通用しないユニット135。

攻撃を空振りして投げられ。

倒れて。

撃破の判定で停止するメカ。

ミアプラ。
「あっけない。」
「動きを読まれたら終わりなのよねー。」

アルナイル。
「本能的に戦うのは弱者の戦法。」
「動きを読んでしまうと簡単。」

ロゼ。
「愚直なAIだから。」
「久しぶりにいい運動したわ。」

アルナイル。
「たまには訓練しないと。」
「錬度が落ちるからね。」

三人娘は宿舎へ移動。

男性兵士から一目置かれている女の子たち。

今日も注目の的。

戦場も女の子に彩られるんですね。

とある男性兵士が語る。

会議室でレポートを発表。

幹部が出席。

研究員が並んでいて。

それぞれの論文を述べる会なんです。

ミアプラ。
「エースパイロットの空戦マニューバー。」
「敵の一手先を必ず潰しに行きます。」
「敵戦闘機の未来位置を予測して。」
「そこに向けて自分も旋回します。」
「敵機はそのまま旋回を続けますと。」
「未来予測地点に旋回してしまうので。」
「エースパイロットは見事に背後に回り込むのです。」
「ミサイルの運動も読んでしまうと当たらないもので。」
「セイファートマニューバーと命名します。」
「エースパイロットに見られる特徴です。」

これには興味津々の研究員。

それぞれの論文が発表されています。

深夜。

宿舎にて。

アルナイル。
「生きることは戦うことだ。」
「という格言があるよ。」

ロゼ。
「平和は戦争から生まれる。」
「平和を生み出したくて。」
「わたしたちは戦争をしているのだと思う。」

ミアプラ。
「たぶんそうなんだよ。」
「義戦によって。」
「戦争から平和は生まれるから。」
「平和を生み出したいのかも。」

アルナイル。
「わたしは戦士としての素質があった。」
「戦うことで充実しているのかも。」

ロゼ。
「それで平和も生み出される。」
「あなたはそれを尊いと思ったんでしょ。」

アルナイル。
「そのとおり。」

ミアプラ。
「戦士なんですから。」
「戦いに出向くのは必然なのでしょう。」
「そろそろ組織がまとまるでしょうし。」
「準備あるのみですね。」

三人娘は戦争から平和を生み出そうとしているようです。

戦士としての本質を持っているから。

戦いに惹かれて。

義戦の中にいる。

過酷だけれど。

自分を知るようになった。

戦いをなんであるか知っていて。

戦いを選んだ女の子は。

それでもかなりの凄腕で。

兵士としては超級。

これからも戦いは続き。

その都度。

平和は生み出されるのです。


27


神権政治に移行して以来。

教会には人の出入りが多くなりました。

一波乱あった後。

政治基盤が安定した為でしょうか。

お偉いさんの姿も見えます。

神殿の看板に書かれている文章。

「赤ん坊のように行動しないでください。」

プロキオン。
「ルールは破るために作られる。」
「とは言いますが。」
「赤ん坊のように行動するのは辞めるわ。」

スピカ。
「失敗は間違った順番ですし。」

プロキオン。
「行動は言葉より雄弁に語る。」

市民。
「あの探検家の女史さん。」
「私達は愚者なのでしょうか?」

道化師。
「私が大人だって?」
「残念ながら、いいえ。」

市民。
「大人っていったいなんだ!!」

スピカ。
「正しい事を為せ、真の事を言え。」
「その疑問が大切です。」

道化師。
「生き辛い人がいたんです。」

スピカ。
「ウィーウェレ・ミーリターレ・エスト」
「生きることは戦うことである。」
「セネカの倫理書簡集に見られる表現です。」

道化師。
「この世は虚しい。」
「でも大戦果を期待できるようで。」
「今日まで働いてきた甲斐があったもの。」

プロキオン。
「悲観的な人はたんによく知っている楽観的な人だよ。」

道化師。
「ああもっとも。」
「感謝。」

スピカは事務所でノートに何か書き物をしている。

nemo sine periculo vincere potest.
誰も危険なしには勝つ事はできない。

usus est magister optimus.
実践は最良の教師。

ドゥーベ。
「冒険譚を出しますか?」

スピカ。
「その積もりです。」
「中々ありませんから。」
「いい取材でした。」

休憩の時間。

ニュースが滅茶苦茶なので。

逮捕者が出る報道を観ながら。

スピカ。
「嘘には脚がない。」

ドゥーベ。
「三人虎を成す。」
「根も葉もないデマでも。」
「大勢の人の口からでると事実として信じられるようになる。」
「三人の人が次々に「町に虎がいる」と言えば。」
「いない虎も本当にいることになってしまう。」
「戦国策から。」
「類市虎三伝。
「市に虎あり。」

スピカ。
「掃除が終わってないようです。」

ドゥーベ。
「それは彼らの仕事ですからね。」
「私達は自分の役割を。」

スピカ。
「神と人とを繋ぐ職務。」
「哲学的には。」
「教会は神が人を救うために建設した施設。」

ドゥーベ。
「人には多くの思惑がある、しかし主のはかりごとだけが成る。」
「人にはいろんな意図的な考えがありますが。」
「そんなものは本当は無視されるもので。」
「すべては主のはかりごと。」
「どんな道筋であれ。」
「結果は同じにするという意味です。」

雑誌の取材が来ていました。

事務所にて。

記者。
「いやあ大冒険でしたなあ。」
「収穫もいいようで。」
「でも他の地方では。」
「もっと凄い遺跡が眠っているとか。」

スピカ。
「一部の遺跡は解放できましたよ。」
「並の者では攻略できない。」
「中々とんでもない場所でしたね。」

記者。
「そうですよねー。」
「何が仕掛けてあるか分からない箇所しか無いですし。」
「不思議な知恵で乗り切ったんですよ。」
「不思議な力の持ち主です。」

スピカ。
「褒めて頂けて何より。」
「今回くらいはなんとかなりました。」

記者。
「そう言えば女史としては珍しく。」
「自分は万能ではないと言っていたそうですが。」

スピカ。
「よろめきは転倒を防ぐ。」
「多少失敗している方が大失敗に陥らない。」

記者。
「ううむ名言です。」

スピカ。
「ああこれですか?英語の諺ですよ。」
「良書を読まない人は読めない人よりも優れていることはない。」
「マーク・トウェンの言葉。」
「オックスフォードの英語ことわざ辞典。」
「あなたも読んでみては?」

記者。
「なるほど。」
「秘訣は学問ですね。」
「差があるわけです。」
「最後のわら一本がラクダの背中を折る。」
「わずかでも限度を超えれば大変なことになる。」
「余計な事は尋ねないようにします。」

記者は退場。

美しい青空と風。

天気が綺麗なお昼近く。

珍客が来訪。

ミモザ。
「こんにちはー。」

ドゥーベ。
「いらっしゃい。」

プロキオン。
「この不思議な女の子は?」

ドゥーベ。
「女帝の娘のミモザさんです。」

プロキオン。
「おや。」
「これは豪華なお客さん。」

ミモザ。
「スピカさんのお勧めで。」
「この辺りに滞在してます。」
「修行中というわけで。」
「お話出来ればいいと思って。」

ドゥーベ。
「女史なら休憩室で待っていればいずれ来ますよ。」

プロキオン。
「案内するね。」

休憩室で待ち続けること10分。

スピカ。
「久しぶりです。」

ミモザ。
「前より綺麗になりましたね。」

スピカ。
「素直に受け取りましょう。」

ミモザ。
「お世辞ではありません。」

スピカ。
「客観的な見解をどうもありがとう。」

ミモザ。
「女権の象徴になるのが夢ですから。」
「女性についてはそこそこ知ってます。」

スピカ。
「わたくしも同意。」
「女権は現代の課題ですから。」

ミモザ。
「巫女としても助言が欲しくて。」

スピカ。
「まずは神様に相談なされては?」
「形式的な巫女は必要が無いですから。」

ミモザ。
「そうだよねー。」
「神様に祈りを捧げて。」
「応答を貰えるまで頑張る。」

スピカ。
「いつか天啓があるでしょう。」
「巫女として相応しいのであれば。」
「神様は貴方に。」
「いいえ全員に強いる。」

ミモザ。
「わたしもまだ半人前。」
「なんとか神様に良しとされるまで。」
「旅を続けて成長します!」

スピカ。
「公明正大が提示される筈ですよ。」
「それに全員が従えばいいのです。」

ミモザ。
「それが神様からのメッセージなのかな。」
「会えて良かったです。」
「どんなことでもいいから教えてください。」

スピカ。
「けっこう話しますが。」
「考えなければ意味は無いですよ?」

ミモザ。
「はい。」
「きちんと考えます。」
「生まれの尊い親の子供が優れているとは限らず。」
「又無能な親の子供が卑しいとも限らない。」
「人について何一つ確かなことはないのです。」

スピカ。
「実際、理に適った言葉というものは大きな力を持つものです。」

ミモザ。
「女権を追い求めるのみ。」
「巫女としても修行あるのみ。」

スピカ。
「巫女とは何か?これは知識ではありません。」

ミモザ。
「充分です。」
「自分で見出せるでしょう。」
「また会いに来ますね。」

スピカ。
「次回はレストランになるでしょう。」

ミモザ。
「きっとそうでしょう。」

見送るスピカ。

元気に手を振るミモザ。

さて。

政治が安定してきました。

古い体制に執着する連中や。

愚者たちが駆除されたおかげで。

公害も減少しておりますね。

とある辺境の村。

廃棄された工場の中にて。

幹部。
「お前を代表にしたい。」

ソウダード。
「俺を?そこまで買ってくれるのか?」

幹部。
「言葉は要らんだろう。」

ソウダード。
「受け取った!俺のやり方で通させてもらう。」

幹部。
「証をやろう。」
「ちょっとした就任式を行うからな。」

ソウダード。
「任せておけ!」

退場する様子を複数人が目撃。

そのうち。

噂になる。

兵士。
「あの単純な野郎が代表になるって。」

将校。
「お偉いさんは最近の政治を見て。」
「萎えてしまったのだ。」
「納得行った連中も多いし。」
「責任をなすりつけて身を引くって寸法さ。」

兵士。
「なるほどなー。」
「つまり野郎は生け贄なんだなー。」
「同情するぜ。」
「かわいそうになー。」

ひそひそ。

小さなグループで噂話。

ソウダード。

知らずに計画を練っている。

すべてソウダードの責任にして。

逃れようとする将校の姦計とは知らずに。

過激派の代表として。

政府軍と敵対を続行することになる。

新聞の号外。

過激派に新しいリーダー誕生。

配達員が配ってくれました。

ドゥーベ。
「前にやりあった奴ですね。」

スピカ。
「あの情けない人ですか?」
「気の毒に。」

ドゥーベ。
「一方的に殴ってましたね。」

スピカ。
「柔よく剛を制す。」
「女性の戦闘スタイル。」
「あんな見かけ倒しが代表だなんて。」
「かわいそうな組織です。」

新聞を軽く読んで。

書斎に出向く。

資料を整頓。

お茶が欲しいそうです。

ドゥーベ。
「美しい筆がありましたよ。」
「どうです?」

スピカ。
「まあなんて素敵。」
「さすがドゥーベさんです。」

ドゥーベ。
「小説も書いているんですね。」

スピカ。
「シェイクスピアの模作ですよ。」
「模作は文学の基礎である。」

ドゥーベ。
「ソフォクレスの断片にある言葉。」
「かなりの原稿になってますよ。」

スピカ。
「執筆は趣味になりましたね。」
「この量も必然でしょうか。」
「とりあいず合間に原型を記すだけで。」
「余暇は筆と一緒ですね。」

ドゥーベ。
「この綺麗な筆は女史の所に来るべきものでした。」

スピカ。
「趣味がよろしい台詞をどうも。」
「そろそろ戻ります。」

境内の中。

レグルス。
「今日はオフを貰った。」
「体調管理という名目で。」

スピカ。
「温存?」

レグルス。
「だったら出世したもんだ。」

シリウス。
「そこのかわいいひと。」

レグルス。
「なに?」

シリウス。
「ほれ振り向いた。」


レグルス。
「乙女心をくすぐるなー。」

シリウス。
「言葉に真実があれば。」
「常に最大の力を持つものだー。」

レグルス側面体当たり。

シリウス吹っ飛ばされた。

プロキオン。
「恋人じゃないんだね。」

スピカ。
「お互いに理性がありますから。」
「成立する関係なんでしょう。」

なんかのほほんとした雰囲気に。

教会の境内には神殿があり。

教会と神殿は同一視されておりますね。

最初に神殿があって。

預言者が伝えたので。

融合した歴史があるんですよ。

今日も。

職務を終えて。

この夜にもスピカは執筆。

遺跡探索の成果を原型に。

冒険譚から。

おもしろ本に至るまで。

体験に基づいて書き記された。

後の名品が誕生するのです。


28


魔王と呼ばれる王の支配地域。

辺境ながら。

軍事力は強力。

密かに侵入し。

何かを持ち出そうとするソウダード一味。

神官兵。
「貴様!ここは立ち入り禁止だぞ!」

ソウダード。
「こっちには武器がある。」

神官兵。
「お?もしやこれは?」
「いいだろう。」
「お前が責任を取れ。」

遺跡の中へ。

魔方陣と祭壇の宝箱。

施錠があり。

これを解いて。

珠を掲げてしまった。

魔神。
「私を呼び出したのはお前か?」

ソウダード。
「俺と契約してくれ。」

魔神。
「数千年ぶりにこの世界に呼び出されたが。」
「何の契約だと?」

ソウダード。
「力の契約だ。」
「俺達の手で。」
「究極の社会を作り上げる!」

魔神。
「人間は理屈ばかり求めた社会を目指していたが。」
「次はそれか?」

ソウダード。
「世界を塗り替える!」
「その為に契約してくれ!」

魔神。
「生憎だが。」
「私は愚かな人間を使い。」
「思うがままに遊ぶと決めたものでな。」
「お前のおままごとなど。」
「どうでもいい。」

ソウダード。
「頼む!」

魔神。
「一度だけチャンスを与えてやってもいいぞ。」
「魔王の手勢がお前の不法侵入に対して。」
「問いたいそうだ。」
「見事に潜り抜けて見せろ。」

ソウダードは言われた通りに。

祭壇の入り口にある。

広場で迎え撃った。

登場した敵対者は。

人が敵う相手では無かった。

とある兵士は霧のように現れ。

とある獣は光のように速い。

また。

とある兵器は人に対して無限にホーミングしてくる。

幻影は無害だが。

手に持つ武器は威力がある。

何をしても通用しない。

まるで遊んでいるかのように攻撃を繰り返してくる。

ソウダード一味は祭壇に逃げ込んだ。

魔神。
「お前のような者が来て良い場所ではないのだ。」
「これが答えだ。」

ソウダード。
「頼みの綱をひとつ失った。」
「武器だ!これで勝負してくれ!」

魔神。
「武器だと?なるほど。」
「解り易いもので来たな。」
「振り回すがいい。」

すべての武器は動作不良で使用できず。

ナイフが魔神を貫くも。

すり抜けて。

元の姿に戻った。

魔神。
「もう終わりか?」
「あまり頑張るタイプでは無いな。」

ソウダード。
「ちくしょう。」

魔神。
「気の利いた出し物は無いのか?」

ソウダード。
「ぐう・・・。」

魔神。
「確かにこれでは勝負にならない。」
「あそこの甲冑と勝負させよう。」

甲冑が勝手に動き出す。

ソウダード一味は発砲するも。

有り得ない速さと打撃で。

全員ダウン。

叩きのめされてしまった。

魔神。
「まだやるかね?」
「私は歓迎するがね。」

ソウダード。
「参った・・・。」

魔神に認められなかったソウダード。

悔しがって。

落胆で。

膝をつく。

魔神は喜んだ。

魔神。
「ワタァシノカチダァ!」
「ホロビルガイイニンゲンドモヨ!」
「フハハハハ!」

魔神去っていく。

ソウダード一味は慌てて逃げ去る。

禁断の土地は。

人間の入る場所では無かった。



29


エルナトが教会の資料室に閉じこもって出てきません。

久しぶりの休暇を貰ったのですが。

何か思うところがあるようで。

次の日も籠もってしまい。

スピカが呼びに行きました。

スピカ。
「エルナトさん。」

エルナト。
「はい何か。」

スピカ。
「そろそろ出番です。」
「そう言えばまだ19でしたね。」

エルナト。
「まだ足りない部分があって。」
「そろそろ出ます。」

エルナト。

お手伝いに参加。

本の山がありまして。

雑用の人が片付けました。

ドゥーベ。
「女史に訪ねては?」
「一度迷うよりは二度尋ねるほうがいいでしょう。」
「道を尋ねないから迷ったり溺れたりするのです。」

エルナト。
「ごもっとも。」
「私は道を見つけるか。」
「さもなければ道を作るであろう。」
「スピカさんの所へ行ってきます。」

ドゥーベ。
「現在は休憩していますし。」
「中庭に行ってみてください。」

エルナト。
「ご親切に。」

スピカ。

中庭で。

蝶々が飛んでいる。

街自体に木々や花々が生い茂っている。

自然と調和していますので。

昆虫は飛び交い。

小鳥は告げています。

エルナト。
「スピカさん。」
「教えてほしいことが。」

スピカ。
「はい?」
「たぶんこれのことでしょうか?」

エルナト。
「この本は?」

スピカ。
「だいぶ前に発掘した古書ですね。」
「ギリシャ・ローマ学問の集大成です。」

エルナト。
「ご拝見。」
「ああ難しい。」

スピカ。
「3分でいいでしょう。」
「よく聞いておくように。」
「自由七科。」
「まず文法。」
「言語の構成・運用などの法則。語法。」
「文章をつくるうえのきまり。文章の作法。」

エルナト。
「初歩的なのですか?」

スピカ。
「これを習っていないと。」
「ろくな文章になりません。」
「いちばん良いのは文豪から習うことで。」
「玄人から見たままでコピーして使っていたようです。」
「文法を学んでいないと。」
「書き物は出来ません。」
「文字の識別。」
「読み書きも同じように組み込まれています。」
「意外に上手ではない人が多いのは。」
「文法について習ってないからです。」

エルナト。
「文章も学問なんだ。」

スピカ。
「修辞学。」
「言葉をうまく使って美しく巧みに表現する技術。」
「また。」
「その法則や方法を研究します。」
「綺麗な言葉で表現する手法でもあり。」
「普段私達が使っている言葉は。」
「制御はなく。」
「むしろ扱い方を全く知りません。」
「言葉を上手に使おうとする方法で。」
「汚い言葉をほとんど防げてしまいます。」
「達人となると。」
「言葉遣いが綺麗で。」
「雄弁まで扱えるほどで。」
「基礎だけあっても足ります。」

エルナト。
「なんとなく覚えた言葉も。」
「きちんとした使い方があるんだ。」
「しまった!知らなかった!」

スピカ。
「もう覚えたじゃないですか。」
「次です。」
「弁証法。」
「自己の発展によって自己内部の対立や矛盾を克服し。」
「新しい統一をはかる思考法・理論。」

エルナト。
「それって哲学用語ですよね。」

スピカ。
「故に使いやすい。」
「自分が発展するとあらゆる矛盾が自己に芽生えます。」
「それらに対処しつつ克服し。」
「自分を新しいものにしていく方法です。」
「意見交換にも使えます。」
「自己診断プログラムとしても使える優れものです。」

エルナト。
「クリティカルシンキングと併用すると効果的かも!」

スピカ。
「まあ基本ですからね。」
「次のページ。」
「算術。」
「現代で言う数学です。」
「商売の上で必須なもので。」
「達人は遣り繰り上手。」
「長期的な戦略を立てるなど。」
「数字を扱う上で強力ですね。」
「いろんな派生がありますが。」
「自分の役に立つ方法だけ選び取ると。」
「得意な手法が編み出せるなど。」
「現代とは少し異なっているようです。」

エルナト。
「単なる数学とは違いがある?」
「学問の世界って広い!」

スピカ。
「後からこの本を熟読してくださいね。」
「幾何学。」
「数学の一部門。」
「物の形・大きさ・位置・その他一般に空間に関する性質を研究する学問。」

エルナト。
「これ独学で使っていたかも。」

スピカ。
「空間認識は交通で多用されますので。」
「目的の場所までの距離や道筋を把握できたり。」
「知らない土地や森林。」
「山道でも使えます。」
「自分がレーダーみたいになりますよ。」

エルナト。
「いくつかは自然に身につくものかも?」

スピカ。
「それでは足りません。」
「飛行機のパイロットは特に必要で。」
「距離やスピード。」
「移動に多用されます。」
「図形などは工芸品など。」
「工業で発揮されますね。」
「物体の特徴を見極めれば。」
「あらゆる形を知っていますので。」
「上手に扱えるもので。」
「形や型を把握する。」
「建築に必須の学問だったようですね。」
「ものづくりに欠かせない技能です。」

エルナト。
「なんか開けてきた!」

スピカ。
「もう1分くらいでしょうか?」
「天文学。」
「天体の諸現象を研究する学問。」
「日時計などが代表になるでしょう。」
「星の位置などで天候も予想できますし。」
「航海では必須の技能となります。」
「すべての天体を暗記する必要があったようですね。」
「位置情報や日付なども確認できるもので。」
「天候予想が多いですよ。」
「日常生活で役に立ちます。」
「現代では宇宙進出の基礎ですが。」

エルナト。
「これは散々に習ったけれど。」
「改めて聞かされると。」
「新しい領域が開発されたかな。」

スピカ。
「音楽。」
「芸術を嗜むもので。」
「憩いの技能とも言えます。」
「作曲や楽器なども習い。」
「いまではクラシックを聴いていれば。」
「なんとなく把握できたりします。」

エルナト。
「芸術も必須科目?」

スピカ。
「そうですよ。」
「自由七科は生活の為に必須の学問で。」
「ギリシャ・ローマで公式な教科書として使われました。」
「必要な習い事だけを集約されており。」
「実際に役に立つ学問だけで構成されております。」
「リベラルアーツはこの発展型を使いますが。」
「独学で自由七科は習得可能なので。」
「実践して試してみてはどうですか?」
「実践で身に付きますよ。」
「有益。」

エルナト。
「ありがとー。」
「この本は持っていくね。」

スピカ。
「走るより前に歩き方を学べ。」
「もし学んだことを練習しなければ。」
「学習したものを保持することは困難である。」
「実践は最良の教師。」
「ゆっくり急げ。」

エルナト。
「え?」

スピカになでなでされたエルナト。

ほっぺにキスすると。

スピカ立ち去る。

エルナト。
「ほえ?」

プロキオン。
「スピカさんに好かれているよね。」

エルナト。
「女性らしい挨拶だなあって。」

プロキオン。
「健気な子。」
「だから好きになったんだよ。」

エルナト。
「なんかうっとり。」

プロキオン。
「自発的であるということは。」
「有能であるということである。」
「そういう所かもね?」

エルナト。
「ええ!そんな!」
「自慢できるような者ではないです。」

プロキオン。
「なるほどなー。」
「神様は人間的な素質を重視する。」
「品性に劣る者を軽視する。」
「謙虚でいいねー。」

エルナト。
「私は愚者ではありません!」

プロキオン。
「あはは・・・。」
「いまのうちに愚者をよく見て回ることだよ。」
「少し休憩してな。」
「こっちはなんとかなる。」

エルナト。
「そうします。」
「私!成長あるのみ!」

アクエリアスという教師さん。

講義開始。

スピカも参加している。

エルナト。

休憩を終えて。

プロキオンと一緒に。

儀式の準備やお客さんの対応。

午後からは宗教教育の現場へ一緒に出向いたり。

公的な場を取り仕切り。

スピカは政治家と対話するなど。

建設的な取り組みで溢れている教会。

神殿はいつものようにお客さんを出迎えて。

神と人とを繋いでいます。


30


女史が集まって。

お食事しています。

主宰。
「かなり危険がありましたね。」

スピカ。
「嵐のときはどんな港でもよい。」
「上がるものは必ず下がる。」

主宰。
「ううむ勇敢。」
「功績は誰もが認めるところ。」

スピカ。
「私に勲章の授与が決定されている?」

主宰。
「らしいです。」
「今後はどうするのですか?」

スピカ。
「他の者に委託するつもりです。」

主宰。
「あれは一歩間違えば死にますからね。」
「貴重な人物を失ってはみなも悲しみます。」

スピカ。
「適任はいるでしょうから。」
「探してみましょう。」

エルナトから旅行の届け出がありました。

スピカ。
「旅は知性を広げる。」

エルナト。
「神託を預かる巫女として推薦されたので。」
「まずは一通り観てから。」
「つまりは研鑽です。」

スピカ。
「よろしい。」
「いってらっしゃい。」

エルナトを見送る。

しばらくして。

珍しい無神論者が来訪。

無神論者。
「神様がいらっしゃる証拠があるので。」
「私は無神論という信仰を持つ。」

スピカ。
「目にすることが信じることである。」
「一応。」
「ひとつの正解は役に立たない。」
「私もあなたも。」

無神論者。
「反抗期だと思ってください。」
「さらば。」

市民。
「流行り病があるようで。」

スピカ。
「予防は治療にまさる。」
「予防にまさる治療はない。」

道化師。
「少しばかり重荷がきつい。」

スピカ。
「まったくないより、遅れてくるほうがいい。」
「どんな雲にも銀に輝く面があるから。」

お昼に誘われて。

アークトゥルスと一緒。

自慢の変装は辞めたらしいです。

スピカに笑われたので。

自慢できなくなって。

単なる道化芝居になったから。

アークトゥルス。
「魚が自転車を必要としないように、女は男を必要としない。」

スピカ。
「とまあ。」
「最後に、誰もが偽善者になります。」

アークトゥルス。
「禁欲と自制を覚えたんだ。」
「今日はおごり。」
「節約した1ペニーは稼いだ1ペニーの価値がある。」

スピカ。
「近況どうですか?」

アークトゥルス。
「兄弟は兄弟に敵対する。」
「人間の敵は人間である。」

スピカ。
「あらまあそんなもの。」
「わたくしは微妙な自分に納得できないのです。」

アークトゥルス。
「これはまあ意外。」

スピカ。
「どれを取っても微妙。」
「とりあいず告白はしないでくださいね。」

アークトゥルス。
「あわよくばと思っていましたが。」
「断念しないといけませんか?」

スピカ。
「私に質問するな。」
「私はあなたに嘘はつかない。」

アークトゥルス。
「夫婦星の名前も。」
「案外通用しませんな。」

スピカ。
「常識はみんなのものではない。」
「どんなルールにも例外がある。」

アークトゥルス。
「いいえ。」
「諧謔が過ぎましたな。」
「親友同士。」
「綺麗な女性が好きなもので。」
「そんな軽率な事を。」

スピカ。
「互いの心を汲み取るのは尊い。」
「心は読めないものです。」

アークトゥルス。
「そういうわけで。」
「女性大好きな私からパフェを。」

スピカ。
「貰っておきましょう。」

教会に戻る。

すっかり日常風景。

自然と調和した街には木々が生い茂り。

人の内面にも変化あり。

なんと素晴らしい時期で。

これからの人類の飛躍に繋がる。

原点のひとつです。



31


日曜日の集会。

スピカが教団に立つ。

祭壇に礼拝。

集まった信徒に向けて。

神学としての見解を述べる。

Homo vitae commodatus non donatus est.

人は生命を与えられたのではなく貸されたのだ。

スピカ。
「私達は命を与えられたのではなく。」
「貸されたのです。」
「なるべく神意に近く。」
「気持ちよく返却しましょう。」
「永遠の命がまだ無いのは。」
「命が借り物だからです。」
「借りた命で。」
「この世の様々なものを享受できます。」
「それらはあなたのものになります。」
「霊魂は借りた命によって。」
「様々な獲得した宝物が貯えられると思ってください。」
「人生といくら称しても。」
「所詮は借り物の命。」
「その命はあなたのものではないから。」
「大切に使用して。」
「いろんなものをコレクションしたり味わう。」
「こう考えますと。」
「うなづけますし。」
「いろいろ説明も可能です。」
「いつか死ぬのは借り物の命ですから。」
「レンタルしたこの身。」
「なんとか良い方に持っていき。」
「最後に返却してください。」
「もう変わった見方ができます。」
「こう思ったほうが不思議と平安が得られ。」
「死についても説明が可能です。」
「借り物の命でいいものを求めて。」
「いつか本物の命を神様から頂けるように。」
「頑張ってみましょう。」
「それは永遠の命。」
「神様が与えた命。」
「でもいまは借り物。」
「この命は借り物であると。」
「まず前提を打って物事を捉え。」
「最終的な目的に赴き。」
「そこで借り物の命は評価されます。」
「神様にです。」
「ですから。」
「この借り物の命を契約書通りに実行し。」
「なるべく。」
「神様が貸した通りにしてください。」
「これは個人の課題です。」
「アーメン。」

スピカの神学には根拠が多く。

広く認知されているところです。

日曜日の早朝は。

変わった視点で物事を捉える見解が表示され。

人々は有益な授業を受けました。

神殿は公に開放されていて。

ミモザが来訪。

ドゥーベ。
「スピカさんですか?」

ミモザ。
「今日はケーキを届けに来たの。」

ドゥーベ。
「ありがたく貰っておきます。」

プロキオン。
「中々風格があるよね。」
「もしかしてけっこうな手練なんじゃない?」

ミモザ。
「一通りは訓練されているよ。」
「高度な訓練を積んできたから。」
「雰囲気で分かったんだね。」

プロキオン。
「興味深いね。」
「良かったら調べさせて。」

ミモザ。
「いいけど。」
「何をすればいいの?」

境内のちょっとした研究室。

衝撃計測器に攻撃。

プロキオン。
「これは人体に命中したら致命傷です。」

ミモザ。
「弓矢みたいに放っている素人のパンチじゃないから。」
「戦車砲と同じ。」
「又は杭のように打っている。」
「筋肉は量じゃなくて質だから?」

プロキオン。
「にしても威力が違うね。」

ミモザ。
「歩兵の真似して鉄板を殴って遊んでいたら。」
「こんな威力になったけれど。」

スピカ。
「達人技なんですよ。」
「また会えましたね。」

ミモザ。
「はーい。」
「絶賛修行時代のミモザちゃんでーす。」

スピカ。
「いい料理屋さんがありまして。」

ミモザ。
「お互いに都合が良い時期を見計らって。」
「明後日がちょうどいいかな?」

スピカ。
「まあ予測はできないもので。」
「思えば予測の9割は外れました。」

ミモザ。
「真実を一割混ぜれば説得力はあるから。」
「予測は外れても言い訳して理屈をこねて無かったことにする。」
「なーんて。」

スピカ。
「そうですよ。」
「連絡先をお訪ねするのを忘れました。」

ミモザ。
「交換しよー。」

ミモザはそのうち退場。

スピカはお昼時の。

儀式に参加するために準備開始。

意外にも忙しい?

いろいろな方面からも頼りにされて。

アクエリアス大司祭に任せたりもします。

けっこういろいろな事業を任されているだけあって。

複雑なシステムを要する。

正教です。



32


森林地帯が大変なことになっていると。

スピカが視察に。

ドゥーベ。
「なんでしょう?」
「この市場。」

スピカ。
「新しい果物ですか?」

プロキオン。
「研究室に持ち込みたい。」

人の生活圏が狭まり。

新手の植物が大浸食。

風変わりな木の実や食べられる葉っぱなど。

中にはへんてこな効能を持つフルーツなど。

いつからか。

人里を離れると。

そんなものばっかり。

スピカ。
「何か特別な能力を持っている人物は?」

住民。
「それよりも見てくれ。」
「食べ物に困らないぜ。」

プロキオン。
「どうも乗り気がしない。」
「果物の値段が低下するよね。」

最近は。

変態が植物の種をばら撒いたせいか。

探せば生えている食べ物で溢れていて。

謎めいた自然環境なんです。

それを売って荒稼ぎしている商売人が急増して。

ビッグチャンスなんでしょう。

スピカ。
「いつの間にかこんなんなってます。」

プロキオン。
「あはは・・・。」
「食べ物は豊富だけれど。」
「経済に打撃が入りそう。」

ドゥーベ。
「まあいいことなんですし。」
「それにしても大増殖ですなあ。」

スピカ。
「当分は果物には困らないでしょう。」
「木の実もあるんですね。」
「食べられる葉っぱですか。」

住民。
「新手の農業になったんだ。」
「宣伝してくれよ?」

政府機関に報告となりました。

帰還。

スピカ。
「けっこう分からない所で凄いことになっているようで。」

プロキオン。
「把握しただけで。」
「10件。」
「いろいろあって面白いよ。」

スピカ。
「不思議な事案ですねぇ。」

ドゥーベ。
「まだ報告された。」
「耳を疑う出来事は寄せられています。」
「しばらく人々の好奇心を煽るでしょう。」

スピカ。
「不思議な世界になったもんです。」

帰宅したスピカ。

夜になり。

屋根に上がる。

よく見ると。

レンズの付け忘れだったようです。

スピカ。
「ああ!なんてこと!」

システムオールクリーン。

覗けばいろいろ見えてくる。

セイファート銀河。

輝かしい渦巻き。

ひまわり銀河を観測。

24.43億光年。

「3C 273」

最も近いクエーサー。

趣味の天体観察を楽しんで。

なんだか宇宙オタクになってしまいそう。

星空は自然の芸術かのように。

綺麗な輝きを。

あの星のようになれたら。

なんて夢想家になってみたい。

年頃。

なーんて。


33


フォレストアルコロジー。

木々が生い茂る。

コロニーの一種。

住宅地なのですが。

半分は商業のテナントになっており。

人工物とジャングルのコラボレーションになっている。

通路からホールまで。

植物で満たされている。

スピカ。
「この世のものはすべて儚い。」

ミモザ。
「人は日々労苦するも。」
「それが何の益になるのでしょう。」

スピカ。
「日は上り。」
「日は沈み。」
「昼夜は交代し。」
「月日は流れて。」
「年月を重ねる。」

ミモザ。
「この世は虚しい。」
「この世のものはただ虚しい。」
「生は虚しさで溢れて。」
「この世のことを知ってしまったら。」
「何も残らない。」
「しかしこれらは戒め。」

スピカ。
「伝道者の書は箴言ですから。」
「人々の労苦は何の益になるのか。」
「そしてすべては虚しい。」
「これが真理。」
「この世の説明書を読んでから。」
「各自出発するもんです。」

ミモザ。
「人は正しいものを理屈をつけて台無しにした。」
「すべての人がそうすると。」
「その結果があるだけです。」
「結果が反映された世がある。」

スピカ。
「神様の命令を守るべし。」
「これらを活かして糧にする。」
「この言葉は私の元から離れることはない。」

ミモザ。
「神様から送られてきたパンフレットだと思っています。」

商店街。

珍品も売られている。

お手頃で高品質が理念。

複雑な通路は階層式。

美術館があって。

ここが目的。

スピカ。
「芸術は美術館に行けばはじめて分かる。」

ミモザ。
「芸術とは美術館である。」

スピカ。
「そこまで言っても良いものです。」
「芸術とは美術館の事を言います。」
「美術館に行けば芸術が分かります。」

ミモザ。
「芸術の説明書だなー。」

スピカ。
「おや?ちょっとお時間になったみたいです。」
「と言いましても。」
「まだ1時間の余裕がありますけれど。」

ミモザ。
「では手短に。」
「普通に間に合いますよ。」

宇宙の絵がいっぱい。

豆知識。

高度70キロくらいで宇宙だよ!

戦闘機は5万フィートまでしか上がれないよ。

第六世代戦闘機は10万フィートくらいまで行けるらしいよ。

天体の周回軌道を計算しないと到達できないよ。

プラズマジェットエンジンがあれば太陽系はなんとかなるよ。

基本的に自然界にあるものは科学で解き明かせば使用可能だよ。

ここは宇宙の絵が多い美術館。

白いワンピースが似合う女の子がやってきて。

挨拶。

綺麗な娘。

ミモザ。
「私の友人です。」

スピカ。
「ちょうどいいところに。」
「一緒に小テーマパークにでも?」

メガリ・アルクトス。
「・・・(うなづく)」

ミモザ。
「文化に関する研究。」
「どう?」

メガリ・アルクトス。
「・・・(首をかしげる)」

スピカ。
「沈黙ですね。」

メガリ・アルクトス。
「・・・(グッドのサイン)」

ミモザ。
「サイレントガールだから。」
「けっこう珍しいわよ。」
「レアな女の子。」

スピカ。
「スカート短い・・・。」

メガリ・アルクトス。
「羨ましい・・・の?」

スピカ。
「司祭は女性と言えど。」
「色事は禁じられています。」
「なので。」
「スカートとか無理です。」

メガリ・アルクトス。
「短いワンピースの中にショートパンツ。」
「何かあれば中見られるから。」

ミモザ。
「スカートってそういう前提になっているから?」

メガリ・アルクトス。
「・・・・・?(苦笑い)」

スピカ。
「美貌と貞操が調和しましたね。」

メガリ・アルクトス。
「沈黙は女にとって飾りとなる。」

都市の文化エリアに入る。

スピカ。
「イソップ童話のスケールアップで。」
「映画化されましてね。」

メガリ・アルクトス。
「・・・(微笑む)」

ミモザ。
「イソップ童話から派生して。」
「戦争モノや他の童話と合流して。」
「創作がすごいもの。」

スピカ。
「あら楽しい。」
「ゲームセンターまでありますし。」

メガリ・アルクトス。
「広報だから新設エリアを知っています。」

スピカ。
「将来の拡張に考慮してある区画ですよね。」

メガリ・アルクトス。
「・・・!(ウィンク)」

ミモザ。
「戦争かあ。」
「戦って得た平和を民衆は貪る。」

スピカ。
「残念ですが。」
「戦って得た平和を貪る民衆がいて。」
「せっかくの平和が台無しになったりして。」

メガリ・アルクトス。
「・・・・・(困った顔)」

ミモザ。
「実際に戦争はあるから。」

スピカ。
「そういうわけで。」
「わたくしは戦争を敢えて肯定します。」

メガリ・アルクトス。
「私は戦いを決して否定しません。」

ミモザ。
「戦争の否定は決してしない。」

スピカ。
「火は火で治まる。」
「毒を以って毒を制す。」

ミモザ。
「無論、覚悟の上。」

スピカ。
「平和は大好きですよ。」
「しかし大局を動かすには非力過ぎる。」

メガリ・アルクトス。
「平和は支持しますけれど。」

ミモザ。
「平和に対して誰も否定しません。」

メガリ・アルクトス。
「・・・・・?」

スピカ。
「無論、ヒューマニズムは危険思想であると考えています。」

ミモザ。
「ヒューマニストでありがち。」
「その人自身の信用と発言の正否は関係がない。」

スピカ。
「人間の主観が優遇されますし。」
「まあすごい。」
「絶景。」
「イソップ童話はここまで模倣されたのですね。」

ミモザ。
「すごいね。」
「とても童話とは思えない。」

メガリ・アルクトス。
「グッズ・・・あるよ。」

スピカ。
「あらまあ。」
「しばらく見ないうちに増えました。」

ミモザ。
「ちょっと文化エリア広がっている。」

メガリ・アルクトス。
「地下にもっとあるよ。」
「文化ブースは建設予定がいっぱい。」

スピカ。
「一か月前とは様変わり!!」

ビルの屋上に庭園があって。

ハーブティーの喫茶店。

ミモザ。
「プラトンの饗宴。」

スピカ。
「饗宴。」
「ティマイオス。」
「宇宙を見るときは。」
「デーミウルゴスを基点にする。」

ミモザ。
「哲学書ですし。」
「プラトンは中立ですよね。」

スピカ。
「性善説を支持したいけれど。」
「性善説では説明できないことが多いので。」
「仕方がなく不具合とか。」
「偶然とかで説明していますね。」

ミモザ。
「本当は善いものであって欲しいし。」
「本当は善いものなのだけれど。」
「こうなってしまった結果論的な解説です。」

スピカ。
「勝手に悪が発生するので嫌なもの。」
「という説明です。」

ミモザ。
「プラトンは悪がこの世界にあることを認めていますが。」
「それは本来的なあり方ではないと考えています。」

メガリ・アルクトス。
「プラトンの宇宙論は親切。」

ミモザ。
「そうだよね。」

ハーブティーを飲んでいると。

カップルが歩道橋を歩いている。

空中のような立体交差から。

通路が多い都市部。

公園が大量にあるけれど。

こんな中でカップルはかなり目立つ。

生の花を摘んで髪飾りにする婚約者が多いからね。

スピカ。
「こう言われたらどうします?」
「男尊女卑は正しかった!!」
「なんていう暴論。」

ミモザ。
「女なんてそんなもんだろう?」
「殺し文句。」

メガリ・アルクトス。
「・・・・・!!」
「女性は嘘つきです。」
「あんなの女ではありません・・・・。」

スピカ。
「それです!それ!」

ミモザ。
「あんなのが女だなんて嘘です!!」

スピカ。
「女性は先天的な要素ですべて決まっていて。」
「後天的な要素を持たない。」
「従って。」
「女に産まれたから女。」
「これは筋が違います。」
「先天的な要素で決まっているだけなので。」
「自分の力がひとつもない。」

ミモザ。
「女は後天的な要素を軽視する。」

スピカ。
「女性は後天的な要素で決定されると。」
「ボーボワールは説きました。」
「先天性のモノしか持たないのは。」
「設定されている通りに動いているだけ。」

ミモザ。
「要するに女性は決定論になっていて。」
「女性は先天的にすべてが決まっているので。」
「後天的な要素を無視して。」
「先天的なモノに頼っている以上。」
「作為的に手を加えていない。」

スピカ。
「女性は作為的に自分を改造しませんし。」
「哲学的に言えば、女性は自然状態です。」

ミモザ。
「偶然だけで女性は良い物を獲得する。」
「後天的な要素を無視している。」
「先天的なモノですべてを語るのが女。」
「女性はすべて決められた通りに動いているだけ。」
「決定論。」

スピカ。
「女は後天的に獲得する本性であって。」
「女とは後天的に生じるものです。」

ミモザ。
「産まれた状態では多数決で設定された女であって。」
「決定論で行動するだけ。」
「後天的な要素で初めて真なる女になる。」
「フェミニズムは学問のひとつですからね。」

スピカ。
「決まりました。」
「わたくしは大胆ですね。」

ミモザ。
「第六感!直観!」

メガリ・アルクトス。
「・・・・・(手を口に当てて微笑んでいる)」

スピカ。
「このあとは人に会う予定が。」

ミモザ。
「了解。」

文化が急速に発展し。

文明の発展も限界が見えたようなこの世界。

過度期を迎えた人の世は。

被造物としての立ち位置を維持し。

次のフェーズに移り変わります。

移りかわりの途中の時期。

物事の移りかわりの最中で。

まだ安定していない時期。

スピカ。
「そろそろ次の街へ?」

ミモザ。
「そろそろかな?」
「ラディーアグミから招待状が届いていて。」
「いろいろ仕込んでくれるみたい。」
「最近は分裂したせいか。」
「すっかり温和な民兵になっているから。」
「許可も出ているし。」

スピカ。
「知り合いがいますから。」
「連絡しておきますよ。」
「三人娘。」
「きっと歓迎してくれるでしょう。」

ミモザ。
「持ちつ持たれつ。」
「感謝します。」
「また会いたいです。」

スピカ。
「適当に口実を作って。」
「会える時に会いましょう。」
「趣味が同じでなにより。」

ミモザ。
「手を繋いで行きましょう。」

メガリ・アルクトス。
「・・・・うふふ。」


喫茶店を後にして。

解散。

自然と融合した街づくりも。

かなりのレベルに達しました。

花々も咲き乱れて。

この形式は世界のスタンダードなんです。

自然と人工物のコラボレーション。

スピカは余裕を持って。

戻っていきました。

ミモザも荷物をまとめて。

次の目的地へ。

前進しないことは後退することである。

前進せぬは後退なり。

ラテン語のことわざです。


34


森が生い茂る街の中。

移動用の道路には。

たまに旧式の戦車などが通る。

旧式の兵器は破棄されず。

武装を外して売り飛ばされる。

乗用車として扱われて。

市街地に出現する。

プロキオン。
「あれはBMP-3だね。」

スピカ。
「次のはM2A2ブラッドレイです。」

シリウス。
「遠くの空域では。」
「F/A-18E/Fスーパーホーネットが飛んでいるとかね。」

プロキオン。
「大昔の主力戦闘機でしょ?」
「いくら撃墜されても替えが効いた。」
「でも老朽化で飛べないのでは。」

スピカ。
「最終生産型だけ飛んでいるそうですよ。」
「燃料の調達や整備はダメダメで。」
「サポートAIが頑張っています。」

プロキオン。
「むかしの兵器はマニア向けに売り飛ばされたからね。」

シリウス。
「けっこう遊覧飛行にはいいらしいぞ。」

スピカ。
「レトロな魅力はどこにでもあるものです。」
「レトロゲームとか?」

プロキオン。
「それ分かります。」
「旧式が骨董品になったり。」

シリウス。
「むかしの兵器も茶器と同じく骨董品かあ。」
「一生懸命作ったから当然かもな。」

プロキオン。
「あれでも当時の最高品を作ったからね。」
「デザインも凝っているし。」

スピカ。
「最近の兵器は洗練されていて。」
「あそこまで粗削りではありませんが。」
「ごちゃごちゃしていた方がいいのでしょうか。」

プロキオン。
「洗練される前のメカニックがいいとか。」
「一応は人が作った当時の傑作だからね。」

スピカ。
「マニアックな話になりますね。」

シリウス。
「マニアだなあ。」
「俺みたいな素人にはわからん。」

散歩。

スピカ。
「聖書によると人類は特殊に作られているそうです。」

シリウス。
「ならば説明できることがたくさんある。」

プロキオン。
「宇宙探索で次々と新しい天体や自然現象を発見。」
「宇宙も自然だから。」
「今の所は八個の住める星が開拓されている。」
「人類は自分が特殊であるとわかっていないとか?」

スピカ。
「それはあり得ます。」
「聖書にはそういう旨が。」

シリウス。
「なるほど我々は特殊なのか。」

ニュースの公開モニター。

通りかかる。

スピカ。
「平和の為に戦っていますね。」

シリウス。
「決闘とか言っていたな。」
「市民集会でも見た。」

プロキオン。
「正しいVS正しい。」
「これでは埒が明かないので。」
「決闘して決めようってわけ。」

スピカ。
「世界規模の決闘ですね。」
「勝っても負けても相手の命は取らない約束。」

プロキオン。
「正々堂々と行う傾向にあるよ。」

シリウス。
「まあ凄いことにやっているのはわかったな。」

スピカ。
「今日はもう少しで開催されるライブ。」
「百聞は一見に如かず。」
「諺通りに実践するわけです。」

シリウス。
「ああなるほど。」

ステージの広場に到着。



35


ゴスロリの女の子が声楽・歌劇の準備中。

既に観客が集まっていて。

しばらく待ったら開催されます。

喜劇シリーズと悲劇シリーズで引っ張りだこの女の子。

野外ステージが公園に固定配置されているので。

度々。

いろんなライブが開催されるのです。

スタヴロス・トゥ・ノトゥ。
「たらばがに!!」

観客。
「大間まぐろ!!」

スタヴロス・トゥ・ノトゥ。
「わん!!わん!!」

観客。
「始めて欲しいワン!!」

スタヴロス・トゥ・ノトゥ。
「みみみみゅゅゅあああ!!」

美声と美音に包まれた広場。

観客として遠くから観察。

一曲終了。

スピカ。
「むかしから女性が目立つ社会でしたが。」
「穏健な意見が多いです。」
「どうやら女性達が何か企んでいるようです。」

プロキオン。
「淑女同盟なる組織のことだよね。」
「自分達女性を研究する女性の集まりで。」
「会員制。」
「一方、女子会議という誰でも入れる集まりがあって。」
「こちらは女性とは何か?」
「これを調べる哲学的な組織になっている。」

シリウス。
「女性は20代が華って本当なのか?」

スピカ。
「容姿は40くらいで衰えますが。」
「早くも対策をしている試行錯誤なら。」
「書物がありますが。」

シリウス。
「女の子は未成年なんだが。」
「なぜ究極系なのか?」

プロキオン。
「未成年だから。」
「曖昧な年齢は面白いの。」

シリウス。
「俺女性について何も知らないわ。」

スピカ。
「成人女性は20からで。」
「40までは衰えはありません。」

シリウス。
「賢人の男性は老齢が黄金期。」
「壮年が最盛期。」
「女性は違うのね・・・。」

プロキオン。
「そういう具合に知っていく。」
「という訳でもう一曲始まるよ。」

スピカ。
「次はこちらへ。」

もう一曲が終わると。

ステージに案内される。

拍手。

発見されて。

語ってほしいと求められ。

指名。

飛び入り参加。

スタヴロス・トゥ・ノトゥ。
「帰納法は絶対的な結論にはならないなあ。」
「そもそも結論にならない。」
「無制限に考えても。」
「次に出てくるのは結論とは異なった現象。」
「自分は何も知らない。」
「ということは?」
「その道の人が詳しいはず。」
「神について知るには?」

スピカ。
「ヨブ記講演。」
「神様について知るにはヨブ記講演を参考にしてください。」
「けっこう手に入る書物で。」
「解説が素晴らしいのです。」
「なぜ?という疑問の深い考察。」
「神観誤謬についての指摘など。」
「貴重な訓戒になりますし。」
「説明書でもあります。」

スタヴロス・トゥ・ノトゥ。
「たまたま悪かったら?」

スピカ。
「神を怨んだりする人はかえって神に近い。」
「人間の考えで良いものとはなんでしょうか?」
「そもそも善人は存在しないという前提で話をしますよ。」
「真実の悪がうまくいくのは。」
「真実の悪だからです。」
「真実の悪は・・・悪徳の為に成功するのです。」

シリウス。
「なんでも手に入れた人がこの前打たれましたな。」

スピカ。
「必ずしも罪過の為に艱難は生じない。」
「たまたま良かった人が信仰すると必ず打たれることを示す。」
「悪人はわかりやすいタイプは多くはないです。」
「罪過に食まれて居なくなるので。」
「心が正しいのは人の前なのか神の前でのことでしょうか?」
「神に近い人ほど苦悩が多く。」
「人力が及ばない領域で。」
「神の力は強力かつ強烈に出てくる。」
「何より森羅万象をコントロールするべきではないし。」
「越権行為は禁止されているもの。」

プロキオン。
「人間の考えを実行して死んでいくのは。」
「たいした価値を感じません。」
「成功ですと?」
「ひょっとして彼らは偽りを大量に得たのみで。」
「本物を得た試しは無いのでは?」

スピカ。
「偽物を得るのは成功者の特徴ですよ。」

シリウス。
「本物を得ることはないんだなあ。」

プロキオン。
「成功者はみんな。」
「ヒューマニストであっただけです。」
「ヒューマニズム的に忠実であった。」
「合理的な展開ではない。」

スタヴロス・トゥ・ノトゥ。
「合理的に持っていけば。」
「偉業も可能であったでしょうに。」
「なるほど。」
「合理的な思考すら与えられない。」
「彼らには限界がある。」

観客。
「猫にゃんは公明正大の士です。」

スタヴロス・トゥ・ノトゥ。
「ありがとー。」
「よく調べておくと。」
「羨望に値しない成功者の裏側があるよ。」
「あれでいいんだと思う。」
「定数も確保しないとダメだから。」
「そこの地位でいるだけで無難であるとか。」
「どうでもいい人物だからこそ。」
「その地位が無難とか。」
「見放された人物ほど楽になりがちだよ。」
「真なるものは本物の特権。」

観客。
「猫にゃんは必然の結果であります!!」


スタヴロス・トゥ・ノトゥ。
「そうです!!」
「このステージは公義の舞台です!!」


スピカ。
「ヨブは偶然良いものをたくさん得たので。」
「神のおかげであるとアピールして打たれてしまいました。」
「しかし我々はそこまで持ち物はありませんし。」
「優れた境遇もありません。」
「神と向き合えるのはこうした事情も有利に働きます。」
「ヨブ記は訓戒であって。」
「ヨブ記講演は分析が豊富で感動するほど。」
「ヨブの場合はそうなったのですが。」
「信仰は個人のやり取りなので。」
「その点は悟る必要があります。」

プロキオン。
「ヨブ記講演。」
「そういえば書庫にあった。」
「けっこういろんな所で置いてあるから。」
「入手には苦労しないけれど。」

スピカ。
「神は物的豊かさも無頓着ではないです。」

スタヴロス・トゥ・ノトゥ。
「わたしがここにいる理由を考えました。」
「なぜわたしはここにいるのか。」
「その理由が少しだけわかりました。」
「求められた助言はみんなに届いたよ。」
「女史さんありがとねー。」
「そろそろ本番だから。」
「気を引き締めて!!」


観客拍手。

ライブはいよいよ本番に突入。

さりげなく立ち去る先。

森林公園の路地の中。

近道をしていると。

パズルのピースが落ちていて。

プロキオン。
「パズルを完成させると地図になる。」

スピカ。
「その場所に景品があるわけです。」

シリウス。
「下っ端にはわからん。」

プロキオン。
「お金持ちの道楽。」

スピカ。
「富裕層は皆。」
「あの世に富を持っていけないと知っているのです。」
「だからある程度は使うものです。」

シリウス。
「富裕層である立場を活用するだなんて。」
「凄まじく賢明だなあ。」

プロキオン。
「遊びに使っている事を忘れないで。」

スピカ。
「パズルの宝箱は中々手に入らないので。」
「これ1ピースでは意味ないです。」

プロキオン。
「持っておけば?」
「知り合いに届けてあげてもいいよ。」

スピカ。
「ではあなたに。」

シリウス。
「いやあ文化も凄いもの。」

プロキオン。
「古代ギリシアも文明は質素で。」
「文化はとんでもないスケールでしたよ。」

シリウス。
「うう・・・・俺ついていけない。」

プロキオン。
「ここまではついてこれた。」

スピカ。
「さて、余暇はこれ以上ありませんので。」
「今日は楽しかったです。」

シリウス。
「俺もだよ。」
「またなー。」

シリウス立ち去る。

ライブを見に戻ったらしい。

プロキオン。
「さてさて、生を無駄には使いません。」

スピカ。
「人生観や世界観はいろいろありますし。」
「そんなものは保留にして。」
「自分にとっての物事をやるだけです。」

教会に戻って再開。

人員が倍に増やされたので。

寄付金も。

国からの金銭も多くなり。

潤沢な聖域になっています。

人の独学も新展開?

動乱の世の中で育つ文化です。


36


この世の秘密は手が届かない。

届かない所へ置いたから。

空に手をのばし。

星空を楽しみとする。

レグルス。
「同盟国の把握。」
「悪感情も実際に会って見れば消える。」
「この実際が雇われ任務。」

エルナト。
「この辺りに傑出した人物がいるかもです。」
「辺境の王様が相談してくるとは思いませんでした。」

レグルス。
「王様も教会の許可を得て王位に就いているから。」
「相談を必要とする場合もあるのよ。」

エルナト。
「けっこう具合が良くないのでしょう。」

レグルス。
「話してみて。」
「アドバイスで少しはマシにしてあげないと。」

エルナト。
「助言者は必須ですからね。」

聖職者5名を含み。

輸送機で城のヘリポートに着陸。

ここは。

辺境の部族で。

領主。

カヌス王は丁度。

都会を見て回って。

プロイセンに。

傘下に入らないかと提案されていた。

しかし周辺諸国からはこちらに入らないかと執拗に誘われている。

王座。

カヌス王。
「これは!素敵な方々に来て貰いまして。」
「女性万歳!」
「道理にかなっている女の人は歓迎。」

レグルス。
「新しい口説き文句ですね。」
「好人物でいらっしゃる。」

エルナト。
「素直に受け取りますね。」
「イギリス紳士のようにイケている王様。」
「是非、画家に書かせてみては。」

カヌス王。
「それは名案!」
「すぐに手配しよう。」
「ここは王座から降りておこう。」

王座から降りて挨拶する。

レグルス。
「正々堂々。」
「これだと話しやすいものです。」

エルナト。
「素敵な男性が王位に就くと伝説のシーンになりますね。」

カヌス王。
「お互いの理解は達成されましたな。」
「立ち話はここまで。」
「おいでくださいな。」

謁見室に案内される。

着席。

カヌス王。
「私には出来ない事も多くてね。」

エルナト。
「できないことを見つけることで。」
「できることが見つかる。」

カヌス王。
「なるほど!!」

レグルス。
「内容はどうですか。」

カヌス王。
「プロイセン殿が傘下に入って欲しいと頼んでくる。」
「相手方は強国なので。」
「入ったほうがいいと思っている。」
「しかし周辺諸国が執拗に迫ってきて。」
「すぐに援軍をくれないと攻めてくる。」

エルナト。
「それは一筋縄では行きませんね。」

レグルス。
「プロイセン帝に条件付きで。」
「国土防衛と一緒に提案してはどうですか?」

カヌス王。
「それを考えているのだが。」
「板挟みですな。」

レグルス。
「どちらにつくか決められそうもないですね。」

カヌス王。
「いまの所は中立でいるしかなくて。」
「所で。」
「厄介な奴を追い払ってほしい。」
「ここら辺に潜んでいるので。」

レグルス。
「どんな奴です?」

カヌス王。
「人心を惑わす妙な中年野郎で。」
「逃げ方がうまい。」
「呪術師なのではと。」

エルナト。
「相手が単体なら始末しておきますね。」
「そういうの得意ですし。」

レグルス。
「プロイセンに板挟みの件を伝えてみては。」

カヌス王。
「両国に板挟みであると伝えておこう。」
「他に出来る事はありそうか?」

レグルス。
「志願兵を募って防衛線を構築。」
「非常時には戦闘可能にする。」

エルナト。
「プロイセンに密書を送って。」
「内部から浸透していく形で傘下に入れば。」
「周辺諸国が気付かないうちに合併可能です。」

カヌス王。
「よし!それを参考に組み立てたい!!」
「他にも話をしたいので。」
「まずはこれを考えてみる。」

レグルス。
「何日か滞在しますのでよろしく。」

カヌス王。
「了承した。」
「今日は政務に移る。」

プロイセンの役人が複数やってきて調査が始まった。

役人はお客さん扱いで。

周辺諸国は気づいていない。

プロイセンは銀山が複数あると知っており。

隠し持っている銀山を得たい反面。

力を誇示して。

先頭に立って軍事力を維持している同盟陣営の主力。

故に。

カヌス王の相談依頼は必要不可欠であった。


37


屋敷にて。

ファルサという将軍がいるが。

都会の無花果を見て心変わりしてしまった。※無花果とは古代ギリシアで贅沢のこと。

ファルサの横暴さが目立った。

ファルサ。
「傘下に入ったら、無花果を手にしたい。」
「中立でいるなんて間違いだ。」

アルゲオ。
「でも将軍。」
「それを覆すのにはいくら兵を集めても足りません。」
「王様を相手にするのは間違っています。」

ファルサ。
「黙って従えと?」
「このまま中立でいればいいと思っているのか。」

アルゲオ。
「現状維持を望む人々もいるものですから。」

ファルサ。
「つまらない態度を取りやがって。」
「それと。」
「領民はそろそろ来るか?」

アルゲオ。
「門の前で待たせております。」

ファルサ。
「来るように伝えろ。」

無花果を積んだ籠と一緒に。

農民。
「今回穫れた無花果は実りが良く。」
「ブランドは大成功です。」
「見事でしょうか?」

ファルサ。
「支持者の心のこもった贈り物。」
「都会の無花果を思えば。」

農民。
「贅沢をしたくない。」
「そう言ったら私は嘘つきです。」

ファルサ。
「余の支持者よ、複雑だ。」
「ありがたく頂戴する。」

村では噂。

農民。
「ファルサ将軍から推薦があって。」
「名産品になるでしょう。」

運び屋。
「おっと!儲け話に乗った!」
「うちで運んでいいか?」

商人。
「いいや、うちが売り飛ばしてやる。」

農夫。
「申し出てみようかな。」

商人。
「これは御呼ばりされたら大金モノだ。」

ミセリア。
「無花果で無花果をするのか?」

農夫。
「これは勇者ミセリア様。」
「お父上が戻ってこられて。」

ミセリア。
「その父上がまた旅に行ったので。」

農夫。
「これは失言でした。」

ミセリア。
「それよりも。」
「また税金が上がるのか。」

商人。
「ファルサ殿の様子が変なのです。」

主婦。
「いきなり人が変わったとか。」

ミセリア。
「王様の態度もぎこちない。」
「なぜだ?」

運び屋。
「一時的な財政難なんだろう。」

ミセリア。
「そうだろうなあ。」

散策しているふたり。

エルナト。
「生活必需品を作成するよくある田舎町です。」

レグルス。
「こういう人達があってこその物品なのよ。」

少年ニゲルに出会う。

エルナト。
「あなた、何者?」

ニゲル。
「近寄らないでください。」

少年ニゲルは逃げ出した。

レグルス。
「あれはちょっと普通ではない。」

エルナト。
「どこに行ったのでしょう。」
「野放しにすると危ない。」

少年ニゲルはミセリアと遭遇。

ミセリア。
「君はどうして雰囲気が悪いのか?」

ニゲル。
「僕は不意に来る狂気に怯えています。」
「どこから来るのか心当たりがありません。」

ミセリア。
「教会で見てもらいなさい。」

ニゲル。
「そうするべきでしょう。」

少年は去った。

屋敷にて。

ファルサ。
「王様が中立でいると噂を流せ。」

アルゲオ。
「それは・・・。」

ファルサ。
「板挟みでどちら行くかわからないが。」
「中立であると讒言すれば。」
「どこも何かしたくなるはず。」

アルゲオ。
「へっへっへ!!すぐにやりますよ。」

カヌス王が中立でいるとニュースが流れてしまう。

慌ててカヌス王は避難する。

ファルサ将軍は豪族で組織する同盟を集めて挙兵。

世論は大反発。

ファルサ将軍は横暴になっていき。

プロイセンは戦争をほのめかした。

兵士の態度も悪くなり。

治安は最悪。

ミセリア。
「何かトラブルがあったようだな。」

農夫。
「将軍が・・・何かやらかした。」

ミセリア。
「王様は逃げてしまったか。」
「早くに討たねば周辺諸国に侵略される。」

リガートゥル。
「兵士500名を集めておきました。」
「すぐにでも討ちましょう。」

ミセリア。
「ここは私の出番だ。」

勇者ミセリアは反乱の鎮圧の為に。

民兵を集めて挙兵し。

城に向かった。

20マイルある。

・・・。

憐れにも戦って。

本物の敵を知らずに。

敵達に欺かれ。

偽物の敵にただぶつかる。

哀れな戦い。

その哀れな上に。

屍はただ積み重なり。

哀れな者は屍の上で。

身を焼かれて。

死んでいく。


38


母親。
「どこに行ったの!?ニゲル!」

老婆。
「ニゲル?最近見てないね。」

商人。
「村の外に出て行ったとか。」

母親。
「なんてこと!」

老婆。
「家出だろうね。」
「何かしたのかい?」

母親。
「ハンバーグが生焼けで怒られたとか。」
「新しい服が実は粗悪品だったとか。」
「それで気分を害したのでしょう。」

城の広間。

ファルサ。
「わしに?ミセリアが用があると?」
「兵を向けてやれ。」

アルゲオ。
「はい、私は負けると分かっていて戦います。」

勇者ミセリアは兵士80人が守る砦を落とした。

兵器こそ旧式ではあるものの。

歩兵の士気は高く。

それだけで押せてしまう。

王が既に死んだとの偽情報が広まってくる。

家出した少年ニゲルは人さらいのトラックに会った。

拉致。
「ボク迷子でしょ?」
「おじさんがなんとかしてあげるよ。」

ニゲル。
「うん、たぶん。」

拉致。
「トラックに乗ってね。」

・・・。

暗闇に取り残されたの。

ひとりぼっち。

暗闇に取り残されたの。

ひとりだけで取り残されたの。

この世の暗闇で。

見えない盲目の。

人々の様子を見て。

自分も同じになる。

そう怯え。

嘆かわしく進むと。

それは絶対に変えられない。

それは絶対に代えられない。

それは絶対に換えられない。

人の絶対に替えられない。

それが人だからと。

・・・。

悪党の拠点があって。

収益に満足していた。

拉致。
「なんとか成敗されずに逃げている。」
「どうせ捕まってもたいした罪には問われない。」

誘拐。
「なぜなら証拠も。」
「売り飛ばした奴らも既にいないから。」

拉致。
「これは見つからないうちに。」
「大儲けして。」
「降りようぜ。」

誘拐。
「それがいい。」
「悪運も尽きれば役に立たない。」

拉致。
「見つかれば。」
「どうせ殺されるから。」
「その時になんとか助かればいい。」

夜中に焚火をしていたが。

突然、悲鳴が上がった。

少年ニゲルがナイフを奪って。

皆殺しにしたから。

奴隷や誘拐された人をぜーんぶ。

大人なら勝てるかと思いきや。

異常な程の敏捷性と。

ナイフの扱いがうま過ぎて。

抵抗むなしく。

容赦なく殺されました。

ハンドガンも当たらない。

拉致。
「化け物かよ!」
「うわあ!!」

誘拐。
「やめてくれぇ。」

少年ニゲル。
「なんでお前がそんな事言うの?」

誘拐。
「誰でも自分を正当化するからさ・・・。」

少年ニゲル。
「じゃあ僕があなたを殺すのも正当化するね。」

誘拐。
「ああ・・・やめろぉぉぉ!!」

みんな殺されてしまった。

少年ニゲルはシュビムワーゲンを奪ってどこかへ消える。

夜明けと共に。

砦の前に布陣するアルゲオ。

少数精鋭の勇者一行には。

雑兵では勝てない。

ずっと前からアルゲオは。

勇者ミセリアと一騎討ちをしたかった。

アルゲオ。
「お前が勇者なら、一騎討ちを望むだろう。」

ミセリア。
「当たり前のことだ。」
「さあ来るのだ。」

橋の上で。

激しく斬り合って。

あっけなく将軍は殺された。

兵士は逃げ出して。

どこかへ消えた。

主力2000人が丸ごと敵前逃亡したせいで。

ろくに戦える戦力が無くなったファルサ。

勇者一行は城に向かう。

もはや戦える者がいないと知ったファルサは乱心。

途中。

ミセリアは悪党の拠点を見つけて乗り込んだ。

ミセリア。
「なんだこれは?」
「焚火の跡が経過していない。」
「ついさっきの出来事なのか。」

アーミッティウス。
「こっちに生存者がいるぞ。」

兵士。
「誰か他の戦士が倒したかもしれない。」

ミセリア。
「親父かな?」

アーミッティウス。
「乱戦だったようで。」
「短剣で死んでいます。」

ミセリア。
「すごいな。」
「仲間に加えたかった。」

埋葬しておいたが。

何人かは生きていたので。

衛生兵が蘇生させることに成功。

勇者ミセリアが討伐したと思い込んだ生存者は。

これを記録に残す。

城の前に布陣する勇者ミセリアの部隊。

アーミッティウス。
「敵側は。」
「たいした戦力はありません。」

ミセリア。
「思い切って攻めるぞ。」
「攻撃開始する。」
「時間は30分後。」

攻城戦が開始される。


39


同時刻。

少年ニゲルがお見舞いに来た。

ファルサ。
「子供ひとりで?いい大人になるぞ。」
「どういう社交辞令が飛び出すか。」

広間で待っていても。

少年は来なかった。

ふと城の中を見回すと。

死体だらけ。

後ろに少年。

ファルサ。
「そういうわけね。」

ニゲル。
「あなたでしょ?」
「僕の狂気の原因。」

ファルサ。
「悪夢だ!」

槍を取って応戦するも。

一瞬で八つ裂きになって。

負傷しながら逃げる。

護衛兵がなんとか阻止している戦況。

勇者ミセリアは城に乗り込んだが。

乱戦に次ぐ乱戦。

傭兵が既に加わっており。

思ったよりは大勢であったので。

損害が激しい。

その中で突撃に成功する。

中では兵士が混乱状態。

アーミッティウス。
「内乱でもあったのではないか。」

ミセリア。
「そうであるならば。」
「反乱軍と会いたいものだ。」

ファルサを発見する。

ミセリア。
「待て!無駄な戦火を放火するとは!!」

フォルサン。
「勇者様、これはどういうことですか?」

ミセリア。
「何者か?」

少年ニゲルがやってきて。

尋常ではない雰囲気。

ミセリア。
「ニゲルじゃないか。」
「どうしてこんな所に?」

フォルサン。
「ああ!せっかく逃げていたのに。」
「ここもだめか。」

ニゲル。
「アナタも・・・?」

フォルサン。
「やめてくれ!」

少年ニゲル。
「あなたが原因を作った。」

フォルサン。
「どこに逃げても無駄か!!」

八つ裂きにされた老人。

暴走する少年ニゲル。

アーミッティウス。
「うわあ!なんだ!」

ミセリア。
「やめろ!」

乱戦の中で少年ニゲルが加わって混乱する。

最初のうちは取り押さえられるかと思った勇者一行。

手に負えなくなり。

激戦。

ファルサが勇者ミセリアと1対1となる。

勇者ミセリアは本気でやったものの。

一歩及ばず。

結局殺されてしまった。

ファルサは勝ったと思ったが。

後ろを見ると少年ニゲルがいて。

追い回されて惨殺された・・・。

戦闘は両者散り散りになって退却。

終了。

カヌス王が戻ってきて。

激しい戦闘を知り。

喪服で城に入った。


40


その優しさは。

その優しさは命取り。

この世に悪があるから。

優しさはあなたを殺すよ。

優しいだけでは。

あなたを殺すよ。

優しいだけだから。

優しいだけだと。

誰もが。

嘲笑するかもしれないと。

あなたに警告して。

優しいだけだと。

警告してあげて。

優しいだけだと・・・優しいだけだよ。

・・・。

ニゲルは自分が殺した人さらいのシュビムワーゲンを鹵獲しており。

村に戻って。

シュビムワーゲンを湖に捨てた。

帰ってきたニゲルに母親は感激。

母親。
「無事だったのね!」

ニゲル。
「ボク、記憶がないの。」
「優しいおじさんが親切にしてくれた。」

母親。
「ああ!母の至らなさは勘弁しておくれ!」

母親は分からなかったが。

父親は神父の元に少年ニゲルを連れていき。

悪魔祓いを受けさせた。

少年ニゲルの狂気は既になく。

プロイセンがやってくると。

揉め事で同士討ちをしたと判断され。

小国は吸収されることになる。

民は無事であった。

・・・。

この世・・・この世は奇跡。

この世・・・この世。

この世はすべて。

夢を。

この世のすべて。

希望を。

人こそ皆生まれてから。

この世のすべてを教わらずに。

独学すべてが独学であり。

誰もが。

どれでも独学で。

学問に王道なしと。

それでも人は調べ上げて。

この世のすべてを知るため。

希望を求めて探し出すよ。

それはこの世への無知の姿。

この世を誰もが調べ上げて。

最後に理解に辿り着くよ。

この世界の本当の姿を。

徹底的に。

調べ上げているよ。

きっと見つかって。

最後にわかるの。

それは奇跡になって。

きっと理解になるから。

それはもっとも大切な。

・・・。

待つことを知る者には。

万事が適当なときにくる。

・・・。

この世に生まれた日。

あらゆる災害を乗り越えて。

この世に生まれた日。

その日から。

あらゆる災害を乗り越えて。

これだけは。

これだけは。

決まっていて。

当たり前で。

当然で。

宿命論で。

それは人間の業だけは避けられず。

自分もその中に巻き込まれていく。

この世の惨劇を。

その身に刻みつけ。

本当は悲しい。

定めの中に。

いつものように。

いつものように生まれて。

いつものように。

その中へ入り込んで巻き込まれて。

いつものように気づかない。

・・・。

本国まで避難していたふたりは。

戻ってきて。

状態を把握していた。

エルナト。
「いきなり内乱になるとは思いませんでした。」

レグルス。
「いつでも避難できるように仕組んでいたから。」
「だめならプロイセンに話して。」
「仕掛けてもらうつもりだったけれど。」

エルナト。
「しかし何が悲しくてあんなことを。」

レグルス。
「噂の呪術師が引っかかるわね。」
「大体、知的レベルが低い奴が犯罪をしたり。」
「蛮行に走るけれど。」

エルナト。
「世の中から愚か者がいなくなったら?」
「これは素敵な空想です。」

レグルス。
「まずは原因を調べましょう。」
「結果的にプロイセンの部隊が駐屯しているから。」

カヌス王と会う。

カヌス王。
「こうなると知っていて。」
「ファルサを野放しにしていた。」

エルナト。
「成り行きに任せていたのですか?」

カヌス王。
「実は密約を交わした直後だったので。」

レグルス。
「なんとか潜り抜けましたね。」
「これからが始まりです。」

カヌス王。
「これが終わりだとは思ってはいない。」
「ひとつが終わっただけだ。」
「事が終わって・・・・まだ続いていくのだ。」

小さな町にて。

姉のポラリスは長い間自分の部屋にとじこもっていたが。

弟のニゲルが帰ってきたので。

元気を取り戻して再会したものの。

勢いあまって村の外に出てしまい。

戻ってくる途中であった。

ポラリス。
「いけない。」
「すぐに戻らないと。」
「夢中になって村の外まで来ちゃった。」

レウィス。
「失礼、ちょっといいかな。」

ポラリス。
「はい、なんでしょう。」

レウィス。
「この辺りに食料を売っているお店はないかな。」

ポラリス。
「はい、知っていますが。」
「すぐそこです。」

レウィス。
「やはり、この辺りで食料を補充できるのは本当だった。」

ニンフ。
「草原と小山だけだと思いましたか?」

レウィス。
「地図を持っていないもので。」
「空腹でそこまで動けるかな。」

ポラリス。
「もし良かったら。」
「乾燥したフルーツですけれど。」
「どうぞ。」
「あと、お店に案内しますね。」

ニンフ。
「親切な女の子ですね。」

ポラリス。
「情けは人の為ならず。」
「仕方ないです。」
「そこに善が必要だったので。」

ニンフ。
「いい子です。」

頭をなでられたポラリスは。

不思議な感覚を覚えたので。

もっと安く食料が買える場所を思い出して。

教えてあげた。

賢者はお礼を言って立ち去った。


41


眩しいお日様の下で。

ゆったり笑顔でただ歩く。

・・・。

ニゲル。
「お姉ちゃん、雰囲気が違う。」

ポラリス。
「そう?なんか不思議。」

ニゲル。
「蝋燭があるよ。」
「どこかで見覚えがある。」

ポラリス。
「えいっ!」

ニゲル。
「お姉ちゃんすごーい。」
「火打ち石なしで着火するなんて。」

ポラリス。
「なぜか使えるの。」

ニゲル。
「神父さんに見てもらいなよ。」

ポラリス。
「明日のお昼過ぎに行きたいね。」

次の日。

早朝から女友達と遊んでいる時に。

ふと運動場に来ると。

男達が競技で置いた剛弓があり。

簡単に扱って見せた。

女友達。
「それって、力自慢が使ってもまともに射抜けないものなんだけれど。」

ポラリス。
「いま当てるよ。」

女友達。
「やだ、この子信じられない。」

ポラリス。
「何回でも当てられるよ。」
「こんなふうに。」

女友達。
「これって良くないよ。」

村で噂になってしまう。

魔女かと疑われ。

早計にも。

男達がやってきた。

男達はポラリスを連れて行こうとしたが。

弟ニゲルが立ちふさがった。

男。
「なんだ?子供がどいたどいた。」

ニゲル。
「ひどいことしないで。」

いつかの記憶が残っていて。

異常な力を発揮。

男達をあっという間に蹴散らしてしまう。

レグルス。
「私刑をするな。」
「私らの管轄だ。」

エルナト。
「どいてくれますか。」

男性。
「どうしても用があるので。」

警察。
「消えろ、目障りだ。」

レグルス。
「妬むな馬鹿。」

そこに神父がやってきて。

場を収める。

神父は審問する。

神父。
「どうやって生じたのですか。」

ポラリス。
「あれはニンフです。」
「何か理由があってここまで来たんです。」

神父。
「ニンフに教わったのですか?」

ポラリス。
「頭を撫でられただけで。」
「いつの間にか身に付きました。」

神父。
「邪悪な気配がしません。」
「審問してあげます。」

審問の結果は良好で。

審問委員会はポラリスを認めたので。

村人も理解しました。

レグルス。
「あの女の子スカウトしてみる?」

エルナト。
「もう滞在期間は無いですし。」
「スピカさんも喜ぶでしょう。」

小さな町の路地裏。

ポラリス。
「何か良い武具はありませんか?」

商人。
「普通の槍ならお安くするが。」
「お金はあるのか?」

ポラリス。
「香水をかけてあげます。」

商人。
「どうなるのかな。」

その日のうちに。

商人へ良い仕事が入ったので。

普通の槍をポラリスに譲った。

ポラリスは試行錯誤の末。

不思議な槍を配達員に依頼し。

プロイセンのとある騎士に送り届ける。

ヌービルム。
「なぜだ、手にすると力が溢れる。」

仲間。
「これは魅力的な槍が贈られましたな。」

ヌービルム。
「いったいどんな人がくれたのだ。」

ちょうど戦闘があって。

つい最近の残党狩り。

騎士はそれを使って大戦果を挙げる。

ヌービルムはどんな女性が送ったのか見に来た。

神父。
「それはあの娘さんです。」

ヌービルム。
「審問を通過した不思議な女性ですと?」

ポラリス。
「こんにちは。」

ヌービルム。
「素敵な槍をありがとう。」
「10歳の女の子には求婚できない。」
「20歳くらいならお嫁さんに欲しかった。」

ポラリス。
「それは残念でしたね。」

ヌービルム。
「騎士として女性からの贈り物。」
「生涯大切に致します。」

騎士は去っていく。

とある日。

ポラリスはニゲルと一緒に野山を探検していた。

賢者とニンフにまた会う。

レウィス。
「また会ったね。」
「でも今はこの人を送り届けないといけないから。」

ニンフ。
「忙しくて猫の手も借りたいと真摯に思います。」

ポラリス。
「それなら運送屋さんに依頼しては。」

レウィス。
「最低限のお金しかなくてね。」

ニゲル。
「旅は道連れ世は情け。」
「お姉ちゃんは前に貰ったお金があるでしょ。」

ポラリス。
「せっかくなので私が払います。」

レウィス。
「これはありがたい。」
「大切に活用させて頂きます。」

ニンフ。
「こっちにおいで。」

ニンフはニゲルに触れると。

おぞましい幻影がニゲルから出てきて。

飛び去った。

村に同行しつつ。

話をつけたニゲル。

レウィス。
「これを貰っておいて。」

ポラリス。
「喜んで。」

レウィス。
「これを持っている人は理解される。」

賢者は証バッジをくれた。

ポラリスはふたつ貰ったので。

弟にもあげた。

運送屋さんは賢者達を乗せて遠くへ行った。

・・・。

駆け抜けて。

町々を。

ひとりだけでただ駆け抜けていく。

仲間は要らずとも。

この風景が残るから。

ただ駆け抜けて。

いつか消えるとも。

景色だけが残り続けて。

いつか消える。

それでもいつかは。

景色だけ。

残しては。

・・・。

ポラリスとニゲルの家を訪問。

レグルス。
「はろー。」

エルナト。
「正教の者です。」

ニゲル。
「お姉さん達初めてじゃないよね。」

レグルス。
「超自然的な子がいるもので。」
「スカウトしたくて。」

エルナト。
「レアな女の子と男の子。」
「一緒に来てみる?」

ポラリス。
「うん、ついていけばいいと思う。」

ニゲル。
「すぐに相談してみる。」

両親は反対しなかったので。

連れていくことになった。

さて。

騎士はどこかで考えた。

ヌービルム。
「この槍は皇帝に見せたらいいのではないか。」

騎士は馬を走らせた。

騎士はなんとか城に入って。

不思議な槍をプロイセンに見せると。

喜ばれて。

そのまま献上する。

プロイセンは槍の魅力を実感し。

騎士と姉弟に恩賞を与えることに。

・・・。

勇者が来る。

誰が勇者と認めたのだろうか虚しくも。

それは称号なのかニックネームなのか。

本物は過酷だ。

戦場で死んでいく方が。

圧倒的に多いだろう。

勇者とは無謀とは違うから。

そんなことも。

分からずに。

戦いがなんたるかを。

知ったかぶりしては敗北者となる。

戦いがなんたるかを知る頃には。

あなたは無残に打ち負かされて。

敗北あるのみだ。


42


地下の作業部屋。

元々は靴の工房。

父親の出張中に作成。

ポラリス。
「武器はトガに譲るべし。」

ポラリスはもうひとつ将軍に送るつもりでいる。

ちょうどその頃。

勇者ミセリアの父親が長旅から帰ってきて。

息子の末路を知った。

アシヌス。
「我が息子よ。」
「そこまでの者が討ち死にするとは。」

商人。
「これは残念でしたな。」
「今はプロイセンの天下です。」

アシヌス。
「信じられない。」
「わしはどこに行けばいいのやら。」

ポラリス。
「将軍に仕官してみては?」
「献上の品も一緒に差し上げます。」

アシヌス。
「なんだこのメイスは?」
「これがあればわしは無敵だ。」
「なになに?ヌービルム将軍のモノ?」
「わしが使いたい。」
「ご苦労であった。」

父親アシヌスは将軍の元を訪れた。

ヌービルム。
「そなたか。」
「勇者の父親は。」
「息子は残念であった。」

アシヌス。
「息子があんな最期を遂げるとは。」
「情けない限り。」

ヌービルム。
「ところで。」
「お前のメイスにはなぜ将軍ヌービルムの物と刻まれているのだ?」

アシヌス。
「申し訳ありません。」
「献上の品であります。」

ヌービルム。
「あのお嬢さんの品物だな。」

メイスの私物化は無かったことにされた。

ヌービルム。
「私の下で栄えようぞ。」

アシヌス。
「新しい活躍の場で御座います。」

都市ディアーリウムで怪しい男がいて。

謎の少年の話をしていたので。

冗談であろうと嘲笑されていたが。

アシヌスはポラリスの件を見て本当ではないかと思い。

接近した。

謎の男。
「同類か?」

アシヌス。
「その辺の傭兵です。」
「金ならあります。」

謎の男。
「深入りするなよ。」
「俺でもおぞましいと思う人物がたくさんいるからな。」
「変装がうまい奴には関わるな。」

アシヌス。
「謎の少年というのは?」

謎の男。
「さっきの冗談のことかな?」
「いい見物客だ。」
「全部話すよ。」

アシヌスは自分の故郷にいる少年のことなので。

調べようと。

一時的に帰ってきた。

ポラリスを訪ねた。

アシヌス。
「我が息子まで抹殺した少年がいるとか。」

ポラリス。
「うまい作り話ですね。」

少年ニゲル。
「話がうますぎるよ。」

母親。
「冗談を言いに来たのですか?」
「わざわざその為に戻って?」

アシヌス。
「奇妙だったもので。」
「やはり馬鹿をやったな。」

アシヌスは詮索を続けたので。

怪しい男から目をつけられた。

謎の男。
「それ以上踏み込むな。」
「これは警告だ。」

アシヌス。
「知りたいもので。」

謎の男。
「知らないほうが幸せだと思います。」

アシヌス。
「金ならある。」

謎の男。
「ハチマキをつけている同類を訪ねろ。」
「どうなっても知らない。」

ハチマキをしている女性。

バンダナをつけている男性と。

次々に接触したが。

とある日に。

謎の男は幻影であるとわかった。

幻影が形になって。

人のフリをしていたもので。

アシヌス。
「化け物だったのか!?」

謎の男。
「おっと!殺される前に。」

男は素早く逃げて。

怪しい男はヌービルム将軍に抗議する。

アシヌスは不審に思って。

男性を告発してしまう。

どっちにしろ。

影の者に頼っていたプロイセンにとっては迷惑。

使いの者がアシヌスに出ていけと伝令が言い放ち。

追放。

アシヌス。
「しまった!また馬鹿をやった。」

暗殺者。
「勇に過ぎれば無謀になる。」

ヌービルム。
「待て!死んでもらうぞ。」
「恩を仇で返すとは。」

夜の郊外で交戦。

アシヌス。
「思ったより強いぞ。」

ヌービルム。
「思ったより弱くないか?」

思ったより強くないアシヌスは。

思ったより強いヌービルムに押される。

・・・。

それはこの人の強さ。

お前が当たる日に。

お前が当たるその日に出ては。

その日の記憶。

刻まれてくる。

真実の英雄に。

打ち負かされて知るだけ。

真実の英雄を前に無力。

真実の英雄を前に。

ただ打ち負かされて。

敗北を知るだけだと。

無謀にも仕掛ける貴方がそこにいたよ。

・・・。

アシヌスはなんとか必死に逃げ延びました。

ポラリス。
「新聞で前のおじさんのことが載っている。」

ニゲル。
「ずっと前の戦闘が少し記憶にあって。」
「でも僕なの?」
「あんなこと出来ないよ。」

ポラリス。
「お姉ちゃんが魔法を使っているから。」
「ありえるんだと思ったみたい。」
「勇者ミセリアなんかと戦って無事で済む訳ないでしょ。」

ニゲル。
「僕もそう思う。」
「どうやってもミセリアには勝てないと思う。」
「暴漢をやっつけたことしか覚えてないや。」
「勇者を倒すなんて不可能だね。」

並ではない人物はやはり危険で。

なおかつ恐れられつつ。

歓迎されたりも。

異性について興味があるかと思いきや。

求婚を蹴っていく。

周囲の人間が妨害。


43


宿屋。

外では何やら。

共同体の人物が忙しい。

エルナト。
「善政を敷く王様の発表見ました?」

レグルス。
「専制政治の禁止も盛り込まれた文書もあるぞ。」

エルナト。
「興味深いのは古書から引用した正義についての考察です。」

レグルス。
「それは諸説あったよ。」
「正義は強者の利益を意味している。」
「支配者は正しいものが何かを取り決めた。」
「不正はそれの逆の形で出現した。」

エルナト。
「正しいなんてものは強者の特権で。」
「正しいものなんてころころ変わる。」
「正しいを定義しているのは支配者なので。」
「究極的な正しいなんて言い方は存在しない。」

レグルス。
「正義は強者が決めるのであって。」
「正義は強者の利益のために存在する。」

エルナト。
「正しいと言われるものも正義も。」
「支配者や被支配者によってころころ変わる。」
「結局、正しいなんて言われ方は変転極まりないし。」
「正義も変転極まりない。」

レグルス。
「移り変わるのが常の正義と。」
「移り変わる正しいの定義。」

エルナト。
「不正が正義の力を上回る可能性もある。」
「正義なんて強者が決めたもので。」
「正しいという言われ方も支配者が決めたもの。」
「正し過ぎるよりは不正が有効打になる場合もあり。」
「不正も移り変わるもので。」
「不正の定義も結局は存在しない。」

レグルス。
「しかし徒党を組んだ者達が全員で不正をすると。」
「不和と諍いになって自滅する。」
「正義が守られないと自壊する。」

エルナト。
「ボランティアで正義や正しいを実行する場合は。」
「支配者に捧げものをしていると思えばいい。」
「支配者の利益になっている行為なので。」
「正義は支配者及び強者に無償でする寄付である。」
「不正は一気に仕掛ければ勝利するので。」
「拘泥しないのならば敢えて不正をする作戦は有効。」
「不正をすれば手に入るものならば。」
「不正が最適の選択肢。」

レグルス。
「正義や不正とか正しい正しいよくわからないものに。」
「振り回されるのはやめてしまえばいい。」
「よって。」
「人が連呼する正義とは支配者の正義で。」
「人が連呼する正しいという発言も支配者次第で。」
「不正もその都度、時々によって決まってしまう。」
「この三種類はケースバイケースという説明です。」

エルナト。
「武士が人を斬り殺しても殺人とは言われないように。」
「自然災害が人を打ちのめしても天に文句が言えないように。」
「疫神が人を病気で殺しても絶句するしかないだろうし。」
「正義について何も知らないし。」
「正しいなんてものは何も知らないし。」
「不正についても何も知らない。」
「知ったかぶりを正義やら不正やら正しいやらの三要素にしていたので。」
「改めるべきでしょうね。」

レグルス。
「これまで語られて来た正義は正義で無かったし。」
「これまで言われて来た正しい事は正しくなかったし。」
「これまで行われた来た不正も不正ではなかったし。」
「定義は頻々に変更されるので疑わない方が馬鹿であったし。」
「自分自身もこんな変更が多い要素に振り回されて馬鹿を見た。」
「完全無欠を見て参考にするまでは理解する日は来ないでしょう。」
「結論?完全無欠を見て照合するまでは理解できないでしょう。」

エルナト。
「正義を批判し。」
「正しいとか何とかを否定する所から出直して来ますね。」

レグルス。
「結果で正否やら正義が現れがちです。」
「正義は後天的に身に着く徳性であって。」
「凡人やその他大勢が持っている訳が無いのですから。」

エルナト。
「正義という徳は後天的であって先天的にはない。」
「正義があって実行すれば良いのではなく。」
「ヒロイズムの正義はそれ自体が支配者への貢献を意味し。」
「利益は支配者に入る。」

レグルス。
「正義について勝手にデタラメが語られているのを。」
「鵜呑みにしてしまった反省と。」
「正否を逆転させて勝とうとする愚鈍なる行為の反省。」

誰か来る。

密告者。

ロベスピエールというオカルティストが活動しているようです。

地下室で何やらしていると通報があり。

侵入。

薬を盛って洗脳している所を。

偶然目撃。

レグルス。
「それは毒薬ですな。」

ロベスピエール。
「いいえ、藪医者なのでして。」
「軽犯罪として捕えてください。」

エルナト。
「おや?軽い罰で逃れられるとか。」
「発覚しないだろうとか。」
「刑罰すらも計算でやっていたの?」

ロベスピエール。
「そこまで突っ込まれると。」
「立場がありませんな。」

レグルス。
「通報する。」
「動くと斬る。」

ロベスピエール。
「実は脅迫されまして。」
「毒薬とは知りませんでした。」
「社会に毒を盛っても恨まないでね。」
「民衆が支配者を変えたいという最悪の要求をしたのですから。」
「事態がより良くなる所か逆により悪くなるのを身を持って知るのですから。」

レグルス。
「待て、何をする。」

エルナト。
「逃げても無駄ですよ。」

拳銃で銃撃してくるも。

シールドが自動作動して弾きます。

腰の部分にベルトのように装備されており。

反撃しますが逃げ足が速く。

家屋の敷地で追いつきました。

シールドで防げるので細剣を抜いてくる。

レグルス。
「燃える剣技を見た事はある?」
「どこぞのお土産ですよ。」

ロベスピエール。
「何か特殊な装備でもあるのだな?」

レグルス。
「話している暇があるのだな。」

ロベスピエール。
「馬鹿め、体力が無いだけだ。」
「逃げても無駄。」

レグルス。
「息切れですか。」

刀身の前半分に塗ったガソリンがあり。

ライターで着火して。

燃えさかる剣で斬りかかる。

ロベスピエール。
「おわああ!?」

レグルス。
「昔、ひとりで二十人殺した戦闘で使っていたよ。」

ロベスピエール。
「ああ・・・ひどい!!」

連撃を食らって。

相手は引火。

ロベスピエール。
「ひと思いに斬るが良い。」

レグルス。
「了解。」

引火した相手を斬り払ってダウンさせ。

みねうち。

援軍が来て拘束に成功。

エルナト。
「こういう輩が徘徊しているよ。」

レグルス。
「普通の方法では取り除けまい。」

エルナト。
「世界は普通の方法だけで解決はできませんからね。」

レグルス。
「普通の方法だけでなんとかなったら怠惰あるのみ。」
「指名手配犯に司法取引があって。」
「捕獲して来れば半分の刑期で済む。」
「詭計も重要だ。」

少年と少女をずっと観察している。

二人組。

思わしくない展開になるのを。

遠くで見ながら手続きを済ましている。

それでも。

歪曲された事態は戻りつつあるのです。

・・・。

最悪な目に。

遭いたいのか。

喜んで遭いたいのか。

喜んで遭いたいのか。

お前の罪悪がそれらを引き起こし続ける。

あらゆる罪悪が取り巻くお前だ。

それは彼方から。

何の気配もなしに。

突然見たこともない不意討ちで。

連続で追い回され。

喜んで遭いたいのか。

・・・。

姉弟は。

自衛が強くて。

すべて倒していく。

妨害した人間達には災害が多発していく。

ポラリス。
「そんな下品な男しか来ないの?」

母親。
「平凡な男では釣り合わないのでしょうか。」

ポラリス。
「今度は見掛け倒しじゃないですか。」

ニゲル。
「僕は家政婦を雇うのですか?」
「やめてください。」

母親。
「そんなことを言うから。」
「相手が苦虫を噛み潰したような顔ですよ。」

頃合いと見て。

レグルス。
「また会ったね。」

エルナト。
「正教の者です。」
「許可が出ました。」
「迎い入れます。」

母親。
「どうしてわたしらはこんなことを?」

レグルス。
「それはそこにいる呪術師が工作しているからです。」

ホモー。
「ついぞ看破されました。」

母親。
「そういうわけでしたか。」

男性。
「こういう奴らが?」

レグルス。
「そういうのが複数います。」
「警報を発してください。」
「呪術師だと分かったら通報を。」

警察。
「どんな工作をされているかわからないからな。」
「迂闊に動くんじゃないぞ。」

騎士。
「とりあいずお前から退治してやる。」

ホモー。
「これでも食らえ・・・うわあなにする!!」

男性。
「こんな近くにいたとは・・・。」

警察。
「逮捕だ!逮捕!」

騎士。
「取り調べてやる。」

老人連行される。

この後。

呪術師と魔法使いの間で戦闘が行われたので。

小さな内戦になってしまう。

・・・。

すべては使い捨ての操り人形。

誰にも逃さない。

神の糸。

金の意図に操られては。

踊る。

踊る。

神の糸に操られて。

自分で動いているように見えて。

自分だけはすべてを動かしていると。

見えて。

見えて。

金の糸で操られる滑稽な芝居。

・・・。

志願生として修道会へ。

スピカ。
「ようこそ。」
「まだ幼いですが。」
「特別扱いです。」
「もちろん神様は依怙贔屓はしませんが。」
「特別扱いはします。」

ポラリス。
「依怙贔屓は神様の技では無いんですね。」

ニゲル。
「では特別扱いは神様の技なんですね。」

スピカ。
「その通りでございます。」
「これは特別な子が来てくれました。」
「国際情勢を見ての通り。」
「最近は荒れていますし。」

ポラリス。
「ゴミがごっそり消えるんです。」
「脱皮と同じく。」

ニゲル。
「脱皮すると古いのはゴミになるでしょ?」

ポラリス。
「芋虫が蛹になって。」
「蝶々になる。」

ニゲル。
「その過程の出来事でしょ?」

スピカ。
「さりげなく真実を語るとは。」
「では早速、案内を。」

エルナト。
「習うより慣れよ。」
「とりあいず初日は一緒に散歩しようね。」

ポラリス。
「それよりもニュースでは膿を出しているのですか?」

ニゲル。
「人類は荒療治だと思います。」

エルナト。
「あらまあ非凡なことです。」
「なんかわたしと似てる。」

しばらくして。

初誓願が行われました。

新しいメンバーが加わって。

しかもレアな人材ですから。

この後。

度々切り札になります。

・・・。

この世に生まれて。

史実になって。

刻まれて。

祝福されて。

生きて行って。

死んでいって。

刻まれて行って。

この世に消えて。

いつも変わらず。

みんな消えて行って。


44


グローリア帝国で内戦が発生し。

援軍に三万の兵員を送り。

厳戒態勢。

スピカ。
「危険と責任感は名将の判断力を活発にするが。」
「凡将の判断力をだめにする。」

ドゥーベ。
「反乱軍は規模が大きいそうです。」
「また荒れましたね。」

スピカ。
「実力行使。」
「実力行使は。」
「反対を掲げるペンよりも強い。」

ドゥーベ。
「ペンでライフルには勝てませんよ。」

スピカ。
「言論すらも戦争では制圧されるものです。」
「武器を前に法は沈黙する。」

ドゥーベ。
「ただ言うだけでは何も変わりません。」
「具体的なプランになると誰も言及しません。」

スピカ。
「いざ実行になると誰もいませんし。」
「それが平和主義の現実です。」

ドゥーベ。
「戦争に反対する反面。」
「実行になると誰も動きませんし。」

スピカ。
「たまには利益にもたれて行動したいものです。」

ドゥーベ。
「利益を軽視するのはどうかと思われます。」

スピカ。
「人は利益の為ならどんなことをしでかすか分からない。」

ドゥーベ。
「主権を奪えば逆らう者もいない。」

スピカ。
「実際はどうでしょうか。」
「いくら平和を訴えても争いはあります。」
「戦争に反対しても実際には戦争があります。」

ドゥーベ。
「武器の前には誰もが屈するものです。」

スピカ。
「さて、戦争に反対する諸君。」
「私を止めたいのなら。」
「止める力を身につけることだな。」
「ゼノの演説ですよ。」

ドゥーベ。
「戦争に反対するのなら。」
「止めてみろ。」
「ああなんという挑戦状。」

スピカ。
「平和が何なのかは異論があります。」
「聖書には言及がありますが。」
「聖書から出さない平和はなんのことを言っているのでしょう?」

ドゥーベ。
「彼らは自分が臆病者であると知っていて。」
「殺されたくないから戦争に反対しているとか。」

スピカ。
「臆病者が平和を訴えていたら?」

ドゥーベ。
「それは勇気ではありません。」
「身の保全を確保しようと平和を訴えているのです。」
「自分のため。」

スピカ。
「情けない!!」

ドゥーベ。
「人間に多くを期待するからです。」

スピカ。
「平和を訴えるイコール善人ではありませんし。」

ドゥーベ。
「でも戦争をしたから平和が生まれたのですよ。」
「いまでもむかしと同じことをしている。」
「人間の本質は変わらないからです。」

スピカ。
「テレビばかり見ていると馬鹿になりますよ。」
「変態が世論操作してますから。」
「というわけでタイマー作動。」

ドゥーベ。
「え?最初から適当に観るつもりだったんですか。」

スピカ。
「そこまで付き合う暇はありません。」

ドゥーベ。
「前より腕を上げましたね。」

スピカ。
「政治に興味があるんですね。」
「彼らは賢いんです。」
「まあわたくしにはそんな暇などない。」

ドゥーベ。
「今日は休暇ですが。」

スピカ。
「珍しくスポーツでも。」

ドゥーベ。
「ランニングコースならいくらでも。」

スピカ。
「体がなまっています。」

ドゥーベ。
「迷宮モノでも行きます?」
「アトラクション施設。」
「前より変態ロボット人形が増えて。」
「ダンジョン達成の興奮がすごいとか。」

スピカ。
「ダンジョンですか。」
「そういえばアトラクションでありましたね。」

ドゥーベ。
「模擬戦闘を楽しめます。」

スピカ。
「まあ体験型。」

ドゥーベ。
「実際にやってみると最高ですよ。」
「人形相手に無双プレイは中々。」

スピカ。
「梨の実の味が知りたいのなら。」
「自分の手でもぎ取って。」
「食べてみなければならない。」
「本物の知識というものは。」
「すべて直接体験する中で生ずる。」

ドゥーベ。
「おや?本が増えましたね。」


スピカ。
「原稿を整理しなくては。」
「お誘いありがとう。」
「それから。」
「少し遅れていますし。」

ドゥーベ。
「これけっこうセンスいいですよ。」

スピカ。
「そう言われましても。」
「作家はメタ認知力が低いもので。」
「自分が描いたものなら。」
「なんでも傑作扱いにする。」
「そう思いたい。」
「自分の作品を客観的に見れない。」

ドゥーベ。
「そうなると認知バイアスが争点・論点になりますね。」
「認知バイアスは有名ですが。」
「引き合いに出せます。」

スピカ。
「相手は認知バイアスではありませんか?」
「そんな人間の話を律義に聞くのでしょうか。」
「ひょっとしたら自分も認知バイアスかも?」
「認識問題から自分を証明できるのか?」
「ここまで食い込むので。」
「逆手に取って。」
「煩わしいものを全部巻き込めるもの。」

ドゥーベ。
「ことわざにも。」
「裏には裏がある。」
「こう言いますし。」
「理解できないなら何もわからないのです。」

スピカ。
「裏には裏がある。」
「アナログ諺辞典を読めば。」
「たまに収録されていますので。」
「なんでも表には出ない裏があり。」
「その裏にも奥が深くて入り組んでいる。」
「表と思ったら裏があり。」
「裏にはさらに裏があって。」
「ということわざです。」
「さてと、コンディションが良好ですので。」
「少し遅れていますが。」
「するべきことをします。」

ドゥーベ。
「クリティカルシンキング。」

スピカ。
「頃合いでしょうか?」


ドゥーベ。
「ところで。」
「中央公園に戦車がいますけれど。」

スピカ。
「ああ、わたくしはこれからお城へ。」
「そのあと。」

ドゥーベ。
「サポートします。」

城の中へ通されて。

地下の金庫へ案内される。

巨大な宝物庫で。

金銀財宝が山積み。

いろんな部屋があって。

パズルを解いた先に。

黄金の短刀がありまして。

すり替えてしまいました。

スピカ。
「これをしろと言われたので。」

ドゥーベ。
「なるほど。」
「謎の戦車の見当がついた。」

スピカ。
「すぐに裏口から出ますよ。」
「こちらです。」

地下から水路に通じていて。

パズルを解いて地下から。

為政者の税理事務所からエスケープ。

カードを差して外へ。

家に戻って。

2時間後くらいに。

市街地で何か始まりました。

ドゥーベ。
「なんでしょうかね。」

スピカ。
「クーデターですよ。」

ドゥーベ。
「おおっと、物騒な。」

スピカ。
「お偉いさん方は全員。」
「首都から脱出していますので。」
「無駄です。」

影武者が捕らえられるも。

すぐに国王ではないと分かって慌てる反乱軍。

フラーテル王子はドゥム将軍を怒鳴りつけた。

フラーテル王子。
「なぜ父上はいない!!」

ドゥム将軍。
「知っていたのでは。」

フラーテル王子。
「もういい、次の作戦に移れ。」

ドゥム将軍。
「傭兵8万を組織中です。」
「財源は国庫があるので当分は・・・。」

フラーテル王子。
「よし!この黄金の短剣で我は正統とする。」

諸侯。
「残念ですが。」
「妻と子供が王様の娯楽に招待されていて。」
「どうも人質にされているのです。」

ドゥム将軍。
「要するに勝てばいいのだ。」

フラーテル王子。
「構わん、庶民よ!入場だ。」

マスメディアの前で正統の宝物。

黄金の短剣をかざすも。

偽物だと発覚してややこしくなる。

フラーテル王子。
「なぜだー。」

ドゥム将軍。
「なんということ。」

王子は怒って立ち去る。

諸侯。
「残念ですが。」
「王様は旧式の兵器を。」
「国の末端に輸送していて。」
「戦力なら三倍も確保しているのです。」

フラーテル王子。
「どこに行ったのだ。」
「かくれんぼなんてやらないぞ。」

市民がブーイングを始める。

内情を調べまくった市民が大勢出現。

王様の陣営へと送信してしまっている。

反対する市民が出てくると。

軍隊を動員して抑止するも。

一部の市民が武器を持って反乱軍に挑んでくると。

明らかに分が悪くなった。

弟モードゥスは有識者に指示すると。

国王の陣営に加わるために輸送機に乗って去っていった。

そして時間が経過です。


45


城の中で会議中。

フラーテル王子。
「この度は先王に非がある。」
「あのやり方では貧弱な治世となろう。」

ドゥム将軍。
「市民の方が一枚上手でした。」
「報道関係が破壊されていますし。」
「暴徒と化しています。」

諸侯。
「残念ですが。」
「有識者の工作が酷くて。」
「ブーイングです。」
「市民は何も聞いてくれません。」

フラーテル王子。
「いい政権になるのに?」

道化師。
「左派のインテリしか仲間にいないんじゃなあ。」
「左派のインテリの愚行だあ。」
「先見の明ある王様どこだあ。」

遊女。
「左派のインテリっていつもこうですね。」

道化師殴られる。

遊女逃げ出した。

フラーテル王子。
「アイドルお姉さん。」
「予測が狂ったよ。」

姉フィーリア。
「いまのうちに降伏すればいいのよ。」

フラーテル王子。
「アイドルやるより将軍やってください。」

姉フィーリア。
「なぜ?国民の文化の為だけに私はいるのよ!!」

フラーテル王子。
「頼むから。」

姉フィーリア。
「あんたの欲望より文化の方が大切よ!!」

フラーテル王子。
「ああ・・・もうやだ。」

ドゥム将軍。
「まあ未だ3時間ほどしか経過していませんし・・・。」

諸侯。
「残念ですが。」
「王様は10万の兵力で反撃して来ます。」

フラーテル王子。
「こちらは6万しかいないんだぞ!!」

ドゥム将軍。
「兵器の質ならいいですよ。」
「周辺諸国にも号令したから。」

姉フィーリア。
「噂の司祭に連絡したら?」

フラーテル王子。
「味方してくれるかな。」

呼び出される。

スピカ。
「絶対優勢は絶対不利につながり。」
「絶対不利は絶対有利につながる。」
「プロ棋士。」
「日本版チェスの名言ですよ。」

フラーテル王子。
「うーん。」
「人を間違えたなあ。」
「帰ってほしい。」

姉フィーリア。
「善悪なんて。」
「悪があるから善があり。」
「それはくらべることによって生じる。」

スピカ。
「善と悪を明確に区別し。」
「二者択一的な考え方は。」
「世の中が勝手に作った人間の創作であり。」
「老子が好まない所で。」
「そもそも絶対的正常などはないのです。」

フラーテル王子。
「因果関係が無い事が起こっている?」
「そんなものには理由がない。」
「理由もないのに出てくるから。」
「理不尽と思えるのも当然。」

姉フィーリア。
「依怙贔屓なんぞ弱者を勝たせようとする手段に過ぎない。」

「強者はいつも薙ぎ倒して進んでいったものです。」
「それより。」
「市民に嫌われていますよ。」

フラーテル王子。
「大義名分はどこにあったかな。」
「紛失した。」

スピカ。
「黒い猫でも白い猫でも。」
「ネズミを取るのがよい猫だ。」
「さらば。」

フラーテル王子。
「それは・・・。」

「毛沢東は言った。」
「どんな猫でも鼠を捕るのが良い猫だ。」
「どんな人でも獲物や目的を獲るのが優秀だあ。」
「肩書なんて関係ない。」
「人に適用すれば、獲物を獲るのが本物。」

姉フィーリア。
「計画がずさんよ。」

ドゥム将軍。
「まだこれからですよ。」

姉フィーリア。
「勤勉な馬鹿ほど。」
「はた迷惑なものはない。」

ふと何かを思って。

スピカを追いかけて呼び止める。

閃いたので。

問い詰めてくる。

姉フィーリア。
「所で。」
「私には未来の怨みがあります。」
「夢で見ました。」
「何かの偶然だろうと考えましたが。」
「定期的にそんな夢を見るのです。」

スピカ。
「はい?」

姉フィーリア。
「未来の復讐は誰もしないでしょうけれど。」
「とっても私に相応しい男性がいて。」
「本名を決して明かさないのです。」

スピカ。
「わたくしと関係が?」

姉フィーリア。
「はい。」
「あなたを密かに好んでいる男性です。」
「私の場所から離れていく。」
「そんな気配があるのです。」

スピカ。
「心当たりはいろいろですが。」

姉フィーリア。
「だからいまのうちに。」
「未来の復讐をしようかと。」

スピカ。
「その男性はどんな姿ですか?」

姉フィーリア。
「温和で親切。」
「紳士です。」
「でも頭が柔らかいので。」
「人を尊重します。」
「倫理に精通している方です。」
「そのお方と私はどうも相性が合うので。」
「一度でも会いたい。」
「夢の中で恋してしまって。」
「どうもあなたが連れて行ってしまうから。」

スピカ。
「わたくしは司祭です。」
「結婚は禁じられています。」
「恋の話ではありませんよ。」

姉フィーリア。
「でも、あなたが連れて行ってしまうから。」
「ドレスソードを持って。」
「あなたを倒したいのです。」

スピカ。
「わたくしと親しい男性の中には何人かいて。」
「そのうちのひとりかと思われます。」
「偽名を使っているのはアークトゥルスさんだけです。」
「他に思い当たることはないです。」
「決闘でもしたいのですか?」

姉フィーリア。
「その男性の写真はありますか?」

デバイスから写真を取り出して見せる。

動画まで注文するので。

アーカイブから取り出す。

姉フィーリア。
「この方のようです。」
「いま私の未来の復讐が行われる。」

スピカ。
「この人はむかしからわたくしを気に入っていて。」
「友人なのですが。」
「度々、仕掛けてきます。」
「往生際が悪くて憂いです。」
「この際、あなたと一緒になればよろしい。」

姉フィーリア。
「ええ?紹介してくださる?」

スピカ。
「喜んで。」
「偽名を使っていますが。」
「本名はクルクスと言います。」
「この人を言っているのですね。」
「未来の復讐はこんな形になりましたが。」

姉フィーリア。
「素敵!すぐにでも会いたいわ。」

スピカ。
「どうぞ。」
「わたくしが会わせて差し上げます。」
「どうせ今は庭師の作業中でしょう。」
「中央花壇の事務所にいつもいますよ。」

姉フィーリア。
「ああ!なんてこと。」
「さて、フラーテル。」
「頑張りなさいよ。」

フラーテル王子。
「なんとかするよ。」

ドゥム将軍。
「肩書は中才を際立たせ。」
「大才の邪魔をし。」
「小才によって汚される。」

フラーテル王子。
「愚痴はいいから。」
「周辺諸国はどうなんだ?」

ドゥム将軍。
「大勢力を小勢力で取り囲むのは兵法上の誤りかと。」

諸侯。
「残念ですが。」
「大勢を少数で包囲するのは愚策かと。」

フラーテル王子。
「とりあいず首都から出よう。」
「近くの陸軍基地へ。」

夜が明けると。

市民の非難は強力になっている。

王様がスピーチに出たニュース。

読み切っていたようです。


46


自宅にて。

スピカ。
「王様の戦術は。」
「後途の勝ちを重視した慎重なものです。」

ドゥーベ。
「後々の勝ちですね。」

スピカ。
「戦いは双方に多大な被害を及ぼす。」
「それでも戦争に耐えていけるのは。」
「それによって豊かにしていく先々の利を考えているからです。」

ドゥーベ。
「呼び出されると体裁が悪いのでは。」

スピカ。
「状況が悪くなればなるほど。」
「それを好転させることは簡単になり。」
「さらには、より大きな結果を生むことができます。」

ドゥーベ。
「すると?」

スピカ。
「可能な限りの工作を頼まれていますし。」
「このあと有識者の演説に加わります。」

ドゥーベ。
「なーるほど。」

中央公園で有識者が演説。

民兵だらけ。

反乱軍は前方50キロメートルに前進したので。

がら空きでした。

市民。
「智者も千慮に一失有り。」
「愚者も千慮に必ず一得あり。」

スピカ。
「巧詐は、拙誠に如かず。」

有識者。
「我々が苦痛を我慢すればするほど。」
「相手の残虐性はいよいよ強まる。」

市民。
「夜明け前がいちばん暗い。」

スピカ。
「王の王たらざるは。」
「為さざるなり。」
「能わざるに非ざるなり。」

市民。
「それは王様の口癖!」

熱狂。

市民はもはや王様の帰還を待つだけ。

運命。
「こんにちは。」

フラーテル王子。
「誰だこいつ。」

運命。
「運命と申します。」

フラーテル王子。
「味方してくれるのか?」

運命。
「はい、依怙贔屓をしてあげます。」

フラーテル王子。
「はあ、こんな時に、あんた暇だねぇ。」

運命。
「栄光が望みではないのですか?」

フラーテル王子。
「栄光?」
「褒められるだけだろう。」
「褒められるだけの何がいい。」

運命。
「私を使ってコントロールできますよ。」

フラーテル王子。
「俺は必要悪に迫られた時だけ。」
「コントロールする。」
「必要悪の場合だけのコントロールだ。」
「その時だけは入念にする。」

運命。
「私が要らないと?」

フラーテル王子。
「お前は何がしたいのだ。」
「依怙贔屓を持って。」
「言っていることが場毎に違うし。」
「依怙贔屓で何がしたいのだ。」

運命。
「それは勝利の為です。」

フラーテル王子。
「目的は?」

運命。
「後で作ります。」

フラーテル王子。
「お前の頑張り過ぎだ。」
「運命って退屈凌ぎにそんなことをするのだな?」

運命。
「人を使って遊ぶのが私運命のあるべき姿。」
「どうやらあなたを使って遊べないので。」
「別の奴の所に行きます。」

フラーテル王子。
「とんだ暇人が来たもんだ。」
「さっさと帰れ。」

ドゥム将軍。
「戦況が悪化していますが。」

諸侯。
「勝算はあるのですか?」


フラーテル王子。
「ああ、それね。」
「もうだめだ投降する。」

ドゥム将軍。
「すると私達はどうなる?」

フラーテル王子。
「売られてしまうな。」

ドゥム将軍。
「そうですよねー。」

フラーテル王子。
「なにをする。」

ドゥム将軍。
「周辺諸国の戦力だけが頼み。」
「連合軍の戦力で勝算はある。」

フラーテル王子。
「その戦力がダメならおしまいじゃないか。」
「わざわざ攻略の条件を出してしまっている。」

ドゥム将軍。
「捕虜です。」

フラーテル王子。
「おー。」
「ここまで落ちぶれたか。」

弟モードゥスの軍隊が迫っており。

反乱軍と交戦。

荒れ地と小さな町。

河川と林。

次第に捨てられた市街地に移動。

ここでにらみ合いになった。

一部の部隊は離反。

内部分裂した為に。

3万の兵力では足りない。

王様はあらゆる戦力で攻撃。

ここで過激派組織が横やりを入れてきたもので。

アシヌス。
「こちらへ来ませんか?」

ドゥム将軍。
「どういうことだ?」

アシヌス。
「王様の援軍。」
「戻ってきてこのままでは挟み撃ち。」
「犬死にもいいところ。」
「ちょうど勢力が減ってきて。」
「補充をしたいので。」

ドゥム将軍。
「仕方がない。」
「処刑で死ぬより鉄砲で撃たれて死にたい。」

諸侯。
「私らは投降します。」
「時間を稼ぐので。」

ドゥム将軍。
「感謝する。」

アシヌス。
「ソウダードさんが辺境の女性を娶って。」
「それは誰かの工作で。」
「女に溺れさせるつもりが。」
「女はあんまりうまくいきすぎたので。」
「惑わして両者行方不明。」
「私がリーダーになっとるんです。」

ドゥム将軍。
「老人がリーダーとはね。」

アシヌス。
「私だってしょうがないんですよ。」
「後継者が決まらないもんですから。」

ドゥム将軍。
「一度逃げた者はまた戦える。」

ドゥム将軍。
「人生はすごろく遊びのごときものにして。」
「熱望せしさいころの目が出ずとも。」
「偶然の出せしものを。」
「技術によりて修正せば可なり。」

再び交戦。

果敢に突撃するも。

数が足りない反乱軍。

諸侯は降伏したので。

戦争は終わって。

10日天下と呼ばれます。

馬鹿は全滅。

宇宙に出る前に。

まず自分たちの問題をクリアすべきと。

みな考えを変えていく。

この後。

政治を進める。

移住先の住める星を独立させ。

独自の政府を許可。

この時期。

小規模の国家群と中くらいの国家が。

大国と同盟国を取り囲んで挑戦しており。

兵法上のミスをしつつも。

民忠を魅せつけた市民と。

王様の復権で終わりを迎えました。



47


スピカ。

プロキオンと一緒に。

飛行場へ。

宇宙航行機がスタンバイ。

これは中々予約が取れないスーパーレンタル飛行機。

スピカ。
「わたくし達の番ですね。」
「用意は周到。」

プロキオン。
「動作はいいよ。」

スピカ。
「搭乗。」
「スタート。」

スペースシャトルの小型版のような。

かっこいいフォルムの航空機が発進。

離陸して高度を上げる。

プロキオン。
「大都市全体が自然公園になっている。」

スピカ。
「まあなんて景色。」
「いつ見ても絵になりますよね。」

速度が全く落ちずに。

1200ノットを維持しながら。

大気圏を抜けて。

宇宙に出ましたので。

クルーズモードで木星へと接近。

数分の出来事。

スピカ。
「望遠鏡に切り替え。」

プロキオン。
「ここまでは正常です。」
「モニター切り替えます。」

望遠鏡でクエーサーを捉える。

通常の銀河とは異なり。

中心の非常に小さな領域から莫大なエネルギーを放出している天体を活動銀河核といいます。

その中でも。

銀河の中心核だけで残りの銀河全体よりもはるかに明るく輝いている天体をクエーサーといいます。

準恒星状天体(quasi-stellar object、QSO)と言われ。

クエーサーという名前はその略語です。

クエーサーはアクティブなブラックホールによって生成される。

非常に遠い宇宙の「街灯」です。

遠くにあっても非常に明るいので観測することができ。

私たちが宇宙の構造を理解するのに役立っています。

スピカ。
「宇宙という領域。」
「宇宙を知ってしまうと。」
「まあなんて素敵な領域。」

プロキオン。
「じっくり見ておこう。」

スピカ。
「芸術ってこういうものではありませんか?」

プロキオン。
「すべての芸術は自然の模倣に過ぎない。」
「ルキウス・アンナエウス・セネカ。」

スピカ。
「その意味は分かりますが。」
「これを見たほうが説得力があります。」

プロキオン。
「同意だね。」

スピカ。
「ちょっと奥地に入りましたか?」

プロキオン。
「エネルギーが不足してきた。」
「余裕は多いほうがいいし。」

スピカ。
「ではクルーズモードを終了して。」
「帰路に設定。」

プロキオン。
「燃費悪いなあ。」

帰還中。

大気圏に突入。

操縦システムが停止する。

スピカ。
「人生と称してなんでもコントロールするのは辞めましょう。」
「操縦システムを切ってしまえばいいのです。」

プロキオン。
「わざと消したね。」
「この角度なら降下可能。」
「体勢も悪くない。」

高度12万フィートでバランスを崩す。

何か珍しい。

操縦システムが復旧する。

プロキオン。
「パラシュート着地でも決めるの?」

スピカ。
「このまま着陸可能です。」

プロキオン。
「へ?さっきのはわざと停止したんだよね?」

スピカ。
「ええ。」
「きっとそうですよ。」

飛行場への座標が設定されていて。

ルート通りに帰ってくる。

飛行場へとVTOL着陸。

久しぶりのフライトですっきり。

趣味を堪能しましたね。

ヒーリングルーム。

トロピカルジュースを飲んでいる。

プロキオン。
「操縦システムって。」

スピカ。
「何も言わないでよろしい。」

整備班が忙しそうにしている。

結局。

そのまま帰宅。

趣味を堪能したこの日。

でも。

ネタ帳には。

予備電源その二の活躍と記された。

戦争もほとんど無くなり。

現在は平和。

かつての軍事兵器も今は平和利用。

最初から平和はありません。

むかしのひとは殺戮?

今だから言えることです。

当時の人は平和を得ようとしても無駄でした。

今だからむかしのひとは戦争ばかり。

なんて言えるのです。

当時のひとは戦争をするしかなかった。

結果として生まれた平和に身を置いているから。

高みの見物が出来る。

いい身分ですね。

戦争の結果として平和が生まれた。

平和は戦争から生まれる(Pax paritur bello.)


48


マフィンの館。

いまは廃墟になっていて。

近々文明記念館として再建される予定。

スピカ。
「マフィン・・・。」
「あなたのことが好きでした。」
「女の子同士でなんて。」
「恥ずかしいけれど。」
「わたくしを見出してくれた日は忘れません。」

館の宝物庫にはデータが保存されている。

立体映像の記録である。

マフィン。
「これを見ている頃には私は存在しない。」
「自ら選んだ滅亡だ。」
「どうしてかな。」
「人はこうも過ちを繰り返す。」
「自分のしていることが分からないのだ。」
「ただ言えることは。」
「間違いを野放しにしては。」
「前文明と同じ結末になる。」
「人類が間違った道に進まないように。」
「私自身が犠牲になろう。」
「さらば。」

スピカ。
「人類が道を間違えた日。」
「それを正そうと。」
「たったひとり。」
「いいえ。」
「仲間と一緒に敵に挑んでいった。」
「人類の革新と称して。」
「すべて丸ごと変えようとした時期。」
「古来からの自然由来の考え方を無視し。」
「人の手だけですべてを行おうとした時期。」
「熾烈な戦争だったけれど。」
「人はやっと気付いた。」
「こんなものでは二の舞だと。」

館を進む。

地下に祭壇のようなものがある。

スピカ。
「ここで何をしていたか。」
「わたくしは知りません。」
「相当な人物でした。」
「あらゆることを知り。」
「あらゆることを行い。」
「人類史上稀に見る英傑でした。」
「あのひとの鍛錬の結果がある。」
「強いられて英傑になった人物でした。」

祭壇にかすかな邪気がある。

それを感じ取ったスピカは。

近づいてみる。

スピカ。
「何者ですか。」

???
「我は正しき破壊をもたらす者。」
「かつての文明は過ぎ去った。」
「現人類への生け贄として我が滅ぼした。」

スピカ。
「正しい破壊は好きですよ。」
「わたくしは力は絶対的なものとして認めます。」
「それによる正しい破壊も建設的な結果を生みます。」

???
「汝我と同調せし・・・。」
「人類に必要なのは正しき破壊。」
「我それを強要した。」
「自滅という名の結末を招いて終焉せし。」

スピカ。
「正しい有り方ではない存在は滅びゆく定め。」
「誰が神の形を崩そうとするのか。」
「彼らの形は神に似ていない。」
「昆虫そっくりでした。」

???
「我誓願を受理されし。」
「裏切るのはいつも人である。」

スピカ。
「人は勝手ですね。」
「物事を主観的に見る癖があります。」
「彼らが自滅したのは。」
「彼らのせいでしょうか。」

???
「我とある理由により姿を見せし。」
「これは試練。」

スピカ。
「何者ですか。」
「試練と称するからには・・・。」

???
「我の名は聖邪の天使。」
「邪悪なる者を滅亡へと誘い。」
「正しき破壊をもたらす者なり。」

不思議な雰囲気になった瞬間。

周りは宇宙空間。

足場がしっかりとしており。

平地のように歩くことができる。

聖邪の天使。
「我正しき破壊へと導く者ナリ。」

スピカ。
「人が造るものが正しいとは限りません。」

聖邪の天使。
「故に破壊という名の再生を欲する。」

スピカ。
「人は明らかに不完全です。」
「常に正しいものを造れる道理はありません。」

聖邪の天使。
「故に破壊は必要とされる。」

聖邪の天使の攻撃。

炎の弾をばら撒いてくるが。

スピカはひらりと避ける。

続いて。

炎が地面伝いに這って火炎となる。

スピカは相手に対して。

横向きに走って避け続ける。

聖邪の天使に隙が出る。

スピカのマイクロブラックホール。

聖邪の天使に命中。

聖邪の天使。
「人は非力なり。」
「よって力を欲する。」

スピカ。
「正しい力を得られるかどうかは疑問です。」

聖邪の天使。
「人は愚かなり。」
「得た力を悪に使う。」

スピカ。
「人の本性は悪でしょうか。」

聖邪の天使。
「善と悪が混ざり合い。」
「我それを目撃し。」

聖邪の天使が電撃。

回避すると。

聖邪の天使が突然消える。

目の前から杖で攻撃してくるが。

持っていた短刀で打ち払う。

隠し持っていた拳銃で攻撃するが。

すべて杖で弾かれる。

聖邪の天使。
「悪に飲み込まれし者無に還し。」
「人の子を裏切りし者は産まれるべからず。」
「早々に死に逝くが良い。」

スピカ。
「人の子を裏切る者は産まれてはいけません。」
「人権も認められないほうがいいのです。」

聖邪の天使。
「以上の事を見破れず。」
「正しく判断する能力無きに等しく。」

スピカ。
「それでは愚昧でしょう。」
「愚かで道理に暗ければ。」
「神に匙を投げられます。」

聖邪の天使。
「それは人の普遍性なり。」

スピカ。
「そうであるならば。」
「人はその程度の存在でしょうか?」

聖邪の天使。
「真の人あらば。」
「我はその者のみ助け得た。」

スピカ。
「愚昧の者ならこれまでいくらでも見捨ててきました。」

聖邪の天使。
「それも正しさなり。」

聖邪の天使がビームを発射。

スピカはなんとか回避する。

遠距離攻撃に徹する聖邪の天使。

側転で回避を続けるスピカ。

意思を持っているかのような。

マイクロブラックホールがいつの間にか複数浮遊している。

マイクロブラックホールが吸い寄せられて。

聖邪の天使に直撃!!

スピカ。

ワームホールを形成して。

侵入。

ワームホールを通って。

聖邪の天使へ背後から一発。

黒いレーザーが貫く。

聖邪の天使は半透明になって空高く上がる。

聖邪の天使。
「我姿を見せし。」
「汝に必要な姿を見せし。」
「人の子が神の形を崩す時。」
「人の子が獣の形となる時。」
「我は再び滅ぼすために。」
「汝らを強要す。」

スピカ。
「上手に行ったらどうしますか?」

聖邪の天使。
「我はそうなるよう。」
「汝らの抑止力となりて。」
「戒めとして存在せし。」

スピカ。
「心得ました。」

聖邪の天使が消滅。

祭壇の前にそっと着地。

スピカ。
「聖邪の天使。」
「初めて見ました。」
「伝説では知られていましたが。」
「目の前に現れるとは思いませんでした。」

マフィンの日記がある。

自分は強いられた存在であると。

繰り返し強調されており。

人類の暴走を止めるための。

犠牲となるべく。

そうなったのだと。

マフィンは没後。

評価が見直され。

伝説の人物として崇敬されている。

スピカはマフィンの弟子のひとり。

マフィンの英知をもっとも吸収した弟子であった。

司祭の娘に産まれて。

マフィンに出会い。

少女の頃から教わってきたスピカ。

スピカ。
「陽気な人でしたね。」
「義勇が目立つ人でした。」
「いまはみんなの憧れ。」
「みんなのお手本。」
「わたくしはわたくしの務めを果たしますか。」
「さようなら。」
「マフィン・・・・。」

スピカは廃墟気味の館を後にした。


49


国連が各国と相談して取り決めが成されます。

発表まで3日。

スピカも加わって。

意見を述べました。

世界各国の女史が集まって。

協議した結果は。

重要な道しるべとなりました。

過去の教訓が存分に活かされています。

宇宙港の一件から半年。

黒幕が判明しており。

敵対する国々が裏で工作をして。

国の動乱を誘っていましたので。

この度。

戦争に発展。

黒幕となっていた国々は自らを統一国家と名乗って。

連合軍と相手国と戦争を繰り広げ。

統一国家と名乗った国々は敗北。

火消し軍隊を失った世界は。

ラディーアグミを改めさせ。

エストラテージアと合併。

フロンテイラとなり。

国境を超えた火消し軍隊として新設され。

平和な時代を迎えます。

スピカ。
「動乱もいよいよ終わりですね。」

ドゥーベ。
「遺跡調査はしないのですか?」

スピカ。
「あそこまでの資料を手に入れれば充分でしょう。」
「興味があるものはすべて依頼の通りにこなしました。」
「そもそもわたくしは。」
「本の執筆で余暇が無くなってしまいました。」
「わたくしの興味はいまこの筆にあります。」

ドゥーベ。
「そうなると調査が滞るのは必然ですかね。」

スピカ。
「しかし。」

「これでは傾向文学です。」

ドゥーベ。
「別にいいのでは?」
「完璧な作品や著書なんて有り得ますか?」

スピカ。
「そうですよね。」

ドゥーベ。
「文学の形態に?」
「珍しい女史の三作目。」


スピカ。
「エルナトはどうしています?」

ドゥーベ。
「今度も遺跡探索チームに参加する予定です。」

スピカ。
「あの娘は短期間でかなり成長しています。」
「いずれ難所の調査を一手に引き受けるでしょう。」

ドゥーベ。
「あの娘の興味は女史への憧れですからね。」

スピカ。
「いつもわたくしを見つめていました。」
「健気ですね。」

ドゥーベ。
「奥底に秘める想いですかね。」

ふたりでティータイム。

発表がありました。

国連会議で歴史的な決議が成され。

これは世界の法律であった。

それは進展と共に書かれた次の一文である。

「決して停滞を生まない・人類は進展あるのみである。」

こうして人類に指針が示された。

人の手で辿り着いた。

人類のひとつの答えであった。

スピカはそれを目にした後。

動乱期の終了を感じ。

本の執筆へと向かいました。

ドゥーベはいつもの業務へ。

レグルスとシリウスもそれぞれするべきことへ。

プロキオン。
「遺跡調査に志願したの?」

エルナト。
「はい。」
「自分の可能性を追及してみたくて。」

プロキオン。
「わかった。」
「私がいろいろ叩き込んであげる。」
「次のメンバーにも入ってるから。」
「短期間で叩き上げるよ。」

エルナト。
「よろしくお願いします。」

後に。

エルナトは実戦派の女史として名を知られるようになる。

この時代の物語。

人類がひとつの指針を得た記念すべき時代。

歴史に名を残し。

歴史の中にそっと添えられた。

人々の軌跡。

それは優しくて儚い。

美しくて尊い。

歴史の中の1ページ。



50


聡明で名声に富んだ司祭の女性。

この時代における彼女の評価はそれに留まった。

しかし。

彼女の豊富な著書には。

後世の人々が遠く及ばない。

英知の結集が納められており。

本人は趣味で書いたに過ぎないという。

このあとの文明は。

苦難を乗り越え。

美しい世界へと変貌を遂げる。

彼女はその指針と礎を築いた功労者として。

歴史に残っていた。

これらは。

彼女の遺跡探索及び。

歴史的な出来事の一幕。

私生活と周囲の友人達を映した。

貴重な記録である。

END



後日談。

スピカとアークトゥルスは親友であった。

スピカの従妹とアークトゥルスの従妹は婚約。

度々会うもので。

パーティーの際にお互いを発見し。

魅かれたカップルは。

スピカとアークトゥルスの取り計らいで結婚に成功。

娘はスピカが手解きを行い。

その系統がメディオクリタースにまで引き継がれる。

五百年の時を経て。

開拓惑星に乗り出した際に。

開拓史に残る大成績を収め。

貴族を名乗ってよいと公認されたんです。

大きな領地を与えられ。

惑星「ナトゥーラ」に定住し。

メディオクリタースが生まれる。

外伝に続く物語で。

メディオクリタースはスピカの書を大量に読んで育った。

それを知っていたかのように。

スピカの書には自伝が詳細に書かれており。

道化物語や歴史物語など。

面白い本も多く残している。

一波乱ある時代を乗り越えたせいか。

資料はけっこう燃えてしまっていた。

第四次世界大戦が発生したせいで。

人類はここも乗り越えた。

その影響か。

スピカのその後の記録は存在せず。

30年後に300歳の中年男性が発見されている古い歴史書を見ると。

現在も存在しているようで。

行方不明でもある。

謎多き女性となったスピカは。

恒星の分身のように。

この地に降りて元に還ったのかも知れない。


オックスフォード・英語ことわざ・名言辞典436。

神が授けてくださるものは受け取りなさい。

プラウトゥス「綱曳き」

神が与えてくださったものは自分のものにしてよい。


おまけ。


スピカの祈り。

昼間も夜空も。

創造主に向かって語りかけ。

人々はあなたが造ったとは思えませんし。

信じてはいません。

しかしあなたの回答で。

私は和やかになりました。

わたくしがこの生で見出した事は。

「神なき世界は無意味だ」ということなのです。

カオスに包まれしこの星よ。

コスモスと均衡を保つまで。

星よ。

創造主よ。

こうして語らせてください。