序章。


生きることは戦うことだ(Vivere est militare.)

皇帝ネロの師として有名な、哲学者セネカが残した言葉。


「文明」は技術の発展を中心とする物質面の成果をいい。

「文化」は人間の精神的な価値の成果をいう。


人は女に生まれるのではない、女になるのだ。

ボーヴォワール「第二の性」


これまで男が女について書いたことはすべて疑ってみなければならない。

なぜなら、男は裁判官であると同時に当事者でもあるから。

プーラン・ド・ラ・バール。


1


わー!!

いいもの見つけた!

方分けの髪型。

元気いっぱいの女の子が。

凄まじい勢いで部屋に突入!

麻友。
「何か良いものを見つけたんですね。」

環奈。
「そうだよー!」
「見てみてー!」

ビラを配る。

心玖。
「見せてー。」

渚沙。
「犯人捜し大会?」
「上等じゃない。」
「参加しようってわけ?」

環奈。
「その通り!」
「みんなで参戦して犯人を捕まえよー☆」

麻友。
「この地域全体に複数居る犯人役を捕まえれば。」
「金一封。」
「街主催のイベントですね。」
「どれどれ。」

心玖。
「一般市民に紛れているから。」
「ヒントを持って。」
「ヒントを得ながらその人に行き着いて。」
「証拠を示せば確保。」
「なるほど。」

環奈。
「せっかくの夏休みだし☆」
「勉強そちのけで遊んじゃおう!」

渚沙。
「勉強に煮詰まると効率が悪化するわ。」
「戦略的に優れた発案ね。」

環奈。
「じゃあ!いますぐレッツゴー!」

部室から飛び出て。

周辺の捜索に出発です!


2


環奈ちゃんが住んでいる街は広々としていて。

市街地が集中しており。

郊外は草原と林に囲まれています。

渚沙。
「それで?」
「ヒントは?」

環奈。
「仮面をつけた男性を探し出せ。」
「だって。」

美玖。
「同時に宝探しも開催されているよ。」
「いろんな所に財宝を設置したって。」

麻友。
「中々気が利いたイベントですよね。」

環奈。
「探し回っている人が居るよー。」
「簡単には見つからなさそう。」

渚沙。
「仮面をつけた男性?」
「他には無いの?」

環奈。
「どこに居るのか分からない。」

渚沙。
「詳細があるわ。」
「衣装を着てどこかで待機しているようね。」

麻友。
「ヒントはゲームマスター。」
「ゲームマスターが誰かを当てるゲームですね。」

美玖。
「ヒントがそこら辺に転がっているみたい。」
「ほら。」
「看板に一丁目のあの人かもよ?だって。」

環奈。
「簡単には断定できなさそうだねー。」

西洋の街並みを外れて。

大きな公園に行きましたが。

何も発見できませんので。

この日は撤収。

環奈ちゃんは国で一番の剣士の娘で。

そこそこの豪邸を構えています。

中学生に上がって。

シグルブレイドを受け賜りました。

これは鉄も切り裂く威力を持つ剣刀です。

父親は王様の家来で。

いまは遠征中です。

王様の趣味で舟遊びがあるので。

同行しています☆

この日は家に帰ってきませんでした。

環奈ちゃんは日記に記して。

次の日も捜索に出かけます☆


3


街の外。

人里を少し離れます。

人里を離れるごとに。

恐獣という生物がうろついていて。

野生動物よりも好戦的なので。

気をつけています。

街道を歩行中。

環奈。
「いつも見る遺跡。」
「前の文明はなんで滅んだんだろう?」

麻友。
「文明自体が停滞を起こして。」
「300年進展が無かったからですよ。」

渚沙。
「そのうち腐って滅茶苦茶になって。」
「文明が基礎から崩壊。」
「人が生きられる状態ではなくなった。」
「あら?」
「前に学校で習ったでしょ?」

環奈。
「復習しないといかんかなー?」

心玖。
「ついでに言うと。」
「正統派の人が文明を立て直して。」
「再スタートしたらしいよ。」

環奈。
「意外にあっけないね。」

渚沙。
「この星は何度も文明が滅んでは再スタートしているのよ。」

環奈。
「いまの文明も大丈夫かな〜?」

麻友。
「滅んだら人間その程度ってことで。」

心玖。
「冷たいよー。」

麻友。
「あっさり片付いていいのでは?」

環奈。
「人以上にはなれなかったんだね〜。」

渚沙。
「いいえ無神論が原因よ。」
「教科書に書いてあるじゃない。」

環奈。
「そんな簡単な事で文明って滅ぶんだね〜。」

麻友。
「有神論と無神論では能力や知能に差があったみたいですね。」

心玖。
「やめてあげなよー。」
「あの人達だって最善を尽くしてああなったんだから。」

渚沙。
「ほんとに?」
「文明が滅んでいくのに対して何もしなかったじゃない。」

環奈。
「議論しても道理にかなった答えが出ないと無駄なのだー。」
「意味ないのだー。」

麻友。
「それはそうですね。」
「本気になってしまいました。」

心玖。
「前方500メートルに恐獣を発見だよ。」
「種類はスライム系統。」

渚沙。
「500メートルなら届くわ。」
「フレア!」

スライムに命中して火だるまになりました。

スライムは果敢に林に身を隠して接近してきますが。

環奈ちゃんが抜刀して切り伏せました。

環奈ちゃん。
「むかしの人類が遺伝子操作で生み出したとか。」
「放射能で突然変異とかいろいろ説があるけれど。」
「毎度見てもグロテスクなんてことはないのだー。」

麻友。
「むしろよくそこまで果敢に攻めてきますね。」

渚沙。
「恐獣にも美麗なタイプもいるし。」
「美しい生命体でも造ろうと。」
「馬鹿な事をしたんでしょう。」

心玖。
「側面900メートル。」
「大型の蜂類。」

麻友。
「距離が近くなりました。」
「あのくらいなら撃ち落とせます。」

フリント・ロックガンで一匹撃墜。

二匹目は渚沙ちゃんが仕留めました。

環奈。
「なんか遭遇率高いのだー。」

渚沙。
「ザコばかりね」
「恐獣って自然界では弱い部類なもんだから。」
「子供でも木の棒があれば倒せた事もあるくらい。」

麻友。
「どんな恐獣もグリズリーには勝てないらしいですね。」

心玖。
「変な攻撃ばかりするから難敵だよぉ。」

麻友。
「大丈夫。」
「頭を武器にすれば簡単です。」

渚沙。
「確かに変な攻撃ばかりよね。」

環奈。
「変な攻撃ばかりに注意すればいいのだー。」
「遺跡内には宝箱が見当たらないのだー。」

遺跡内を捜索しましたが。

何も発見できませんでした。

看板がありましたね。

「私ゲームマスターは普通の所には居ません。」
「特殊な場所に待機しています。」
「あと。」
「早く探してね。」
「こういう場所は息が詰まる。」

環奈。
「なるほど。」
「次はどこにする?」

麻友。
「リュスィオール大聖堂とかどうですか?」
「古代遺跡の発掘があるかもしれない?」

渚沙。
「いまもたまに使われている場所ね。」
「そんな簡単な所に居るのかしら?」

環奈。
「どこでもいいのだー。」

心玖。
「なんでー?」

環奈。
「下手な鉄砲も一応は的を狙うものだからねー。」

渚沙。
「なるほど。」
「どうせなら難しい所にしない?」

麻友。
「意外な場所を導き出したほうがいいですよ。」

美玖。
「すべて踏破してみる?」

環奈。
「ある程度的を絞るのだー。」
「詳細は追って報告します!」
「みんなの意見を聞いて。」
「良さそうな所をポイントして。」
「メールで送ります!」

麻友。
「了解ですー。」

渚沙。
「意見は述べるわよ。」

心玖。
「見つかるといいねー。」

みんなで。

街道を戻って。

解散です☆


4


学校は自由登校です☆

環奈ちゃんの部「有神論会議」と。

お隣の「多芸多才集会」はライバルです。

ばったり。

フェルト。
「あー!環奈!」

環奈。
「あー!フェルちゃん!」

フェルト。
「いい日に会ったわね。」
「いい加減決着つけるわよ!」

環奈。
「また正式な機会に。」

フェルト。
「上等じゃない!」
「次こそはねじ伏せてやるわ!」

廊下。

渚沙。
「久々に勝負しない?」

理沙。
「あら?」
「また負けたいのかしら?」

渚沙。
「トップ争いに終止符を打ってやるわ。」
「裏に来なさい。」

理紗。
「そうね。」
「あんたと久々に勝負したかったし。」
「最近どうも強い奴と戦った事ないし。」

裏で。

渚沙対理沙。

理沙。
「魔力制限は?」

渚沙。
「レベル3」

理沙。
「いいわよ。」
「指輪を取り付け完了。」

渚沙。
「はじめるわね。」

渚沙のフレア。

理沙には効きませんでした。

理沙。
「魔法防御力が高い私には効かないみたいね。」

渚沙。
「挨拶のつもりよ。」
「こんなひ弱な攻撃が効いたら凡人以下よ。」

理沙はマイクロブラックホールを作成。

投げつけてきました。

重力波で吹っ飛ばされますが。

見事に着地。

渚沙。
「ニュークリア。」

光の球が地面に着地した瞬間。

大爆発。

理沙は避けています。

渚沙の近接戦闘。

渚沙。
「ヒートハンド。」

理沙。
「当たらないわ。」

渚沙が近接攻撃でフレアを当てました。

理沙。
「あらら。」
「魔石が放電したわ。」
「魔法攻撃をこんなに吸収したのね。」
「指輪の魔法防護力が無くなっちゃった。」
「負けだわ。」

渚沙。
「あんた魔法防御力が有り過ぎるわ。」
「オーバーダメージも平気なのね。」
「それより。」
「あんた本気出してないでしょ。」

理沙。
「バレた?」

渚沙。
「失礼な奴ね。」

理沙。
「10勝9敗ね。」

渚沙。
「いいわよ。」
「肩慣らしになったし。」
「また付き合ってよね。」

理沙。
「いつでも。」

多芸多才集会の部室。

桜花。
「最近の教育は自主性スタイルよねー。」

詩織。
「教師だって万能ではありませんから。」
「自分で確かめたものが確かなもの。」
「でしょうか。」

桜花。
「幸いにも学校には膨大な資料があるし。」
「先生が生徒に合った方針を打ち出してくれる。」
「先生が教えるスタイルじゃなくて。」
「生徒が自ら体験して学ぶスタンス。」

詩織。
「それで好成績ですから。」
「ひとつの成功と言えますね。」

環奈。
「お菓子を配りに来たのだー。」
「作りすぎたのだー。」

桜花。
「おおー!やったね!」

詩織。
「ご厚意に感謝します。」

杏桜。
「あれー?」
「すごくいいものがあるー。」

環奈。
「マカロンとクッキー。」
「どっちがいい?」

杏桜。
「そんな!」
「どっちが好きだなんて言えるわけないじゃない!」

環奈。
「男の人を選ぶわけじゃないよー。」

杏桜。
「それでポテトチップスに浮気したら!?」
「ああだめよ!」
「わたしが決めるのはたったひとつだけ!」

桜花。
「真顔でギャグをやってくれるな。」

杏桜。
「わたしはいつだって真剣よ!」

詩織。
「うふふ♪」
「一生懸命決めましょ♪」

フェルト。
「見つけた!」
「さあ練習剣持ってきたわよ。」
「やりましょ!」

環奈。
「お菓子を食べてからなのだー。」

フェルト。
「なんですってー!!」
「なんでそんないいものがあるのよ!」

お茶タイム。

麻友。
「文明について考察しましょう。」

心玖。
「むかしの文明って行き当たりばったりだったよね。」

麻友。
「ほとんど無策だったらしいですね。」
「あ。」
「お茶が来ましたよ。」

渚沙。
「勉学も熱が入り過ぎると焦りになり。」
「余計な疲弊を招くわよ。」
「休憩や憩いも挟むべし。」

麻友。
「正論ですね。」
「言われた通りにしましょう。」

体育館。

フェルト。
「今度は勝つわよ!」

環奈。
「勝負なのだー!」

環奈対フェルト。

フェルトは突撃。

激しい斬り合い。

環奈ちゃんは後ろに引きながら。

突然前に。

スプリントスラッシュ!!

フェルト。
「うわああ・・ちょ!それを狙ってたわけ?」

環奈。
「スピードアップするのだ。」

環奈ちゃんのスピードがぐんぐん上がっていきます。

フェルトは対応できなくなりました。

あまりに機動性に優れた動きをされ。

避けては攻撃。

避けては攻撃。

繰り返されて。

練習剣がフェルトにヒット。

フェルト。
「もー!どうしていつも勝てないのよ!」

環奈。
「フェルちゃんも強いけれど。」

フェルト。
「もー!覚えてなさいよー!」

退場。

その日の夜。

フェルトはランニング中に公園を見ましたら。

環奈ちゃんがふたり相手にトレーニングしていました。

練習剣で。

ひとりでふたりを相手にして。

永延と試合をしていましたね。

フェルト。
「あの動きと剣捌きはああして身についたのね。」
「私はちょっと見くびっていたわ。」

フェルトは修練を見直すことにしました。

相変わらず。

宝探しと犯人捜しイベントは継続しており。

証拠のひとつ。

「佐々木である」というヒントを見つけました。

SNSで公開されているヒントですが。

フェイントかもしれませんね。

夏休みもまだ序盤です☆


5


今日は詩織ちゃんと桜花ちゃんも加わって。

散策です☆

環奈。
「中々ヒントが無いのだー。」

麻友。
「インターネットのヒント集って。」
「明らかに運営側が見越していて。」
「巧みにフェイントかけてますよね。」

桜花。
「運営は読み切っているのよ。」
「人の行動パターンを知っている。」

詩織。
「うまいくらいに転がされてますね。」
「ご自身の目で確かめるのが一番ですよ。」

渚沙。
「インターネットを見過ぎるとデマにもて遊ばれるわよ。」

環奈。
「自分の力で見て回らないと辿り着けないのだー。」

心玖。
「うーんと。」
「11時の方向。」
「距離800メートル。」
「大型の蜂類。」
「数は多いよ。」

桜花。
「あれー?」
「めっちゃ珍しいんだけれど。」

詩織。
「そうですよね。」
「人里近くで恐獣に遭遇するなんて。」

麻友。
「みくちゃんの人間レーダー凄いですね。」
「戦闘準備に掛かりましょう。」

大型の蜂さんが飛んできました。

大型にし過ぎたせいで。

運動性能に欠陥があり。

動きが単調で鈍いですね。

少しでも横に逸れるとついてこれません。

渚沙ちゃんに3匹撃ち落とされて。

環奈ちゃんが2匹切り刻みました。

桜花ちゃんも短刀で1匹撃墜。

環奈。
「凄い攻撃範囲の短刀なのだー。」

桜花。
「あーこれ?」
「ものすごい重量を持っているけれど。」
「持ってみる?」

環奈。
「こんなのまともに待てないよー!」

桜花。
「結構特殊な武器よ☆」

詩織。
「どうしたのかしら。」
「こんなに恐獣が居るのは。」
「ちょっと面妖です。」

心玖。
「3時の方向から人の機影。」

何者かが飛び出してきました。

謎。
「あんたら凄いな。」

環奈。
「だあれー?」

麻友。
「わっ!」
「この感じは魔族だ。」

環奈。
「教科書に載っていたあれかー。」

桜花。
「おもしろいものに出くわしたわね。」

魔族。
「ふふふふ〜。」
「出くわしたからには容赦しないぞー。」
「それゆけ蜂供!」

大型の蜂がいっぱい飛来しましたが。

渚沙ちゃんが大量に撃ち落としました。

魔族。
「こんのー!」

火の球を放ちますが。

環奈ちゃんは打ち払いました。

渚沙。
「次はあんたの番よ。」

魔族。
「私は強いぞー!」
「この前も大人を追い回したんだから!」

桜花。
「強い?」
「弱い奴に勝ったくらいで強いって?」
「強い奴に勝ってこそ自分が強いという証明になるのでは?」

魔族。
「んぐぐぐ・・・。」

詩織。
「どうしました?」
「動けないようですね。」

麻友。
「やっちゃいましょう。」

環奈。
「覚悟するのだ。」

別の魔族が来て。

仲間が抱えて逃げました。

桜花。
「あー!逃げられたー!」
「私の賞金がー!」

心玖。
「深追い無用。」

環奈。
「あれってなんだっけ?」

麻友。
「前文明で正統派と敵対していた。」
「愚かな人類の生き残り。」
「その血縁。」
「今では敵対勢力になっている一族ですよ。」

渚沙。
「妙なオーラを放っているから丸わかりよね。」

環奈。
「そういえばそう書いてあったのだ。」
「通報しないと駄目だよねー。」

詩織。
「報告書を作成して提出致しましょう。」
「そのほうが対応は簡単かと思います。」

環奈。
「うんそうしよう。」

その場を離れることにしました。

今日は何も見つかりませんでしたね。

多芸多才集会の部室。

フェルト。
「毎度見ても不思議だわー。」
「魔法って。」

理紗。
「自然の力を借りるのよ。」
「生体エネルギーに制限があるから。」
「あまり使い過ぎると生命力が枯渇するわね。」
「回復量も多くは無いから。」

フェルト。
「魔法使い一族かー。」
「私は名家の出身だから。」
「共感するわー。」

理紗。
「家が由緒正しいと美しい香りがするものよね。」

フェルト。
「それすごく分かるわ。」

理紗。
「魔法使い一族でもトップクラスの地位にいるんだから。」
「天才同士の凌ぎ削りって相当なものよー。」

フェルト。
「人より前に出るには。」
「普通の事をしても駄目よねー。」

理紗。
「常に何が足りないだとか。」
「どれを伸ばせばいいだとか。」
「自問自答が必須よ。」

フェルト。
「そうよね!」
「私も見直している途中。」

杏桜。
「いい雰囲気。」
「はっ!まさか!」
「そのままいちゃいちゃするとか?」
「ふたりきりの秘密の花園に突入!?」
「駄目よ!禁断の領域だわ!」

フェルト。
「想像力豊かのようで。」
「そんなに手を取り合って話すのが特別なことなの?」

杏桜。
「恋はいま始まったにあらず!?」
「女の子同士で・・・。」
「ああ!」
「どこまでも越えていくのね!?」

理紗。
「なんでも恋に例えて言うんだから。」
「言っている事がいちいち詩的なのよね。」

フェルト。
「参考になるわぁ。」

杏桜。
「恋を否定するのはかえって興味を深める。」
「隠れていちゃいちゃする気なのね!?」
「私にはお見通しよ!」

フェルト。
「ちょ。」
「興奮しないで。」

理紗。
「こうやって杏桜を観察するのもいいよね。」

杏桜。
「なんてこと!」
「次は私に目標を定めるのです!?」
「いいわよ準備は出来ている。」
「ベットでもどこにでも。」

理紗。
「ほら。」
「真顔で冗談言うんだから。」

フェルト。
「うふふふふ〜。」
「なんだか賑やかね。」

環奈。
「今日は何も見つからなかったのだー。」

フェルト。
「あらー?」
「私は学校の裏山でバッチが入った宝箱を見つけたけれど?」

環奈。
「いいなー。」
「かんなも見つけるだー。」

退場。

有神論会議。

麻友。
「街中は居ないかもです。」

心玖。
「姿を隠すのが上手だよー。」

桜花。
「それもそのはず。」
「犯人役は元特殊部隊の隊員だから。」

麻友。
「そんな情報まで持っているんですね。」

桜花。
「そういう分野は任せなさい☆」

環奈。
「みんなー。」
「どこ探すか会議しよー。」

渚沙。
「勉強会もしたいわね。」

環奈。
「それらをいまから会議するのだー。」

黒板に書かれる計画表。

今日ものびのびと過ぎていきました☆


6


桜花ちゃんと詩織ちゃん。

理沙ちゃんと散策です☆

勉学を頑張ったので。

成績が優秀であり。

夏季講習を逃れたメンバーです♪

南の砂浜まで探索に来ました。

環奈。
「砂浜だねー。」
「貝殻拾っておこう。」

桜花。
「たまに巨大な貝が居るわよ。」
「ほら。」
「向こう50メートルくらい。」

理沙。
「前文明も物好きよねぇ。」
「徹底的に美しいものを造ろうと一生懸命。」

環奈。
「おかげでカオスな生物も見れるのだー。」

桜花。
「個体の生存が難しいから。」
「数も多くはないんだけれど。」

詩織。
「変わった生物で溢れています。」

理沙。
「そうそう。」
「変わった生物が多くて。」
「たまにおもしろいと思うことがあるわ。」

詩織。
「さて。」
「海と言えばあれですね。」

環奈。
「水かけちゃえ。」

桜花。
「ぬわっ!」
「お返しは3倍返しが女の甲斐性よ!」

理沙。
「そんな甲斐性聞いたことがないけれど。」
「私も加わるわ。」

詩織。
「たまにはこんな事もいいですね。」

環奈。
「食らえー。」

しばらくお戯れ。

桜花。
「向こうに洞窟がある。」

理沙。
「探検心をくすぐる自然性。」

詩織。
「中に何か居そうですね。」

環奈。
「用心するのだー。」

洞窟の中には空中に浮くクラゲが居ました。

とても大きいのですが。

ふわふわ浮いているだけです。

詩織。
「美しい生物にも恵まれていますね。」

理沙。
「同感だわ。」
「たまにはこんな美的な生命体も存在する。」

桜花。
「前文明で造られた生物と。」
「新しい自然環境で生まれた生物が混在している。」
「知ってた?」

環奈。
「そうなのー!?」
「興味深いよー。」

詩織。
「紫と青が混じって。」
「発光していて綺麗ですね。」
「自然の美って知ってます?」
「自然の芸術を目撃した人は。」
「汎神論が好きになりますよ。」

環奈。
「かんなは自然の美しさをよく知ってるよ。」
「自然に刃向かう者は敵であり。」
「調和する者は味方。」

桜花。
「人も自然の中に居るからね!」
「これを忘れがち!」

理沙。
「人は自然無しでは存在できないわ。」
「自然への畏敬の念も大切よ。」

環奈。
「近くでもっとよく見るのだー。」

桜花。
「やめなさい。」
「鞭みたいなので防衛してくるから。」

環奈。
「そうなんだー。」

理沙。
「無害な生物を灰にしたくはないわ。」

桜花。
「ここに宝箱発見。」
「ヒントもあるよ。」

環奈。
「高級なボールペンだー。」
「山分けしようよ。」
「余ったのはじゃんけんでいいよね。」

詩織。
「ヒントは誘う踊りをすると釣られて踊る人である。」
「なるほどー。」
「個性的な人ですねー。」

環奈。
「クラゲさんがこっちに流れてくるのだー。」
「撤収。」

外に出ます。

海岸の高台に向かいます。

海岸の高台には祈りの場所が設けられてます。

祭壇のようだけれど。

段を上がると。

何もありません。

天に向かって祈りを捧げる場所です。

詩織。
「司祭の娘です。」
「お祈りの仕方は知ってますよね。」

環奈。
「ばっちりなのだー。」

理沙。
「大丈夫よ。」

桜花。
「心配ないわ。」

詩織。
「では。」
「ゆっくりと。」
「無心で祈りを捧げましょう。」

ひとりずつ台の上にあがって。

指を組んで祈りを捧げました。

詩織。
「創造主よ。」
「貴方の被造物らしくあるように致します。」

お祈りは終わりました。

帰宅。

有神論会議では。

文明の有り方や人の有り方について。

考察を進めて。

たまに論文を提出しています。

麻友。
「正しい人の有り方がありますよね。」

心玖。
「いろんなものを獲得するのも人の正しい有り方のひとつじゃない?」

渚沙。
「ちょっと席を外すわね。」

神学の研究もしている部活ですね。

今日も議論が白熱しております。

お隣の多芸多才集会は。

いろんな技能を身に着ける。

特技習得のための部活です。

フェルト。
「人って何かしら才能があるよねー。」

杏桜。
「楽器を弾けたり。」
「文才があったり。」
「お年頃になると発見するものよー。」

フェルト。
「誰でも精通する技能がある。」
「ひとりとして無芸な人は居ません。」
「私はこれを知っているわー。」

杏桜。
「あとは力の強弱よねー。」
「反抗期をしている限り。」
「自分から見つけようとはしないわー。」

フェルト。
「ひとり一芸。」
「これは真理の一部よ。」

杏桜。
「けっこう真理を知らないものよー。」
「知った途端に人のレベルは跳ね上がるんだから。」
「その分野に恋をすることが大事よね!」

フェルト。
「そう!その分野への恋!」

杏桜。
「ああだめよ!」
「熱情のあまりに。」
「求婚してしまうわ!」
「貴方が好きよ!好きよ!」

フェルト。
「そんな感じでいいんじゃない?」

杏桜。
「私は恋に溺れて。」
「恋焦がれて。」
「貴方の事だけをいつも想っています。」

フェルト。
「あらやだ。」
「いっその事そうしてしまいなさい。」

詩織。
「戻りました。」

フェルト。
「収穫あった?あった?」

詩織。
「ヒントを見つけまして。」

フェルト。
「やった!金一封への道は健在ね。」

桜花。
「膨大な情報をインターネットからかき集めているけれど。」
「9割はでたらめね。」
「金一封への道は簡単じゃないわよ。」

フェルト。
「私は考えてから行動しません。」
「考えながら行動します。」

桜花。
「それでこそ私の賞金も懐に飛び込む。」
「金一封は私のドリーム!」

理沙。
「そういえば渚沙の姿が見えないけれど。」
「知ってる?」

詩織。
「渚沙さんなら学校の裏山で訓練していますよ。」

理沙。
「放置すると追い抜かれるかもね。」
「私も余裕顔では居られない。」

詩織。
「勝率100パーセントと試算して。」
「負けてしまうこともありますからね。」
「勝負も時の運。」
「理沙さんも強者で居るには相当の覚悟が必要です。」

理沙。
「心得ているわ。」

フェルト。
「さてー。」
「会議をしましょう。」
「まずは整理整頓!」

その日の夜。

環奈。
「今日学んだことは。」
「えーと。」
「手当たり次第に書いちゃえ。」
「眠いなー。」
「えーい!」
「素直に就寝!」

メールが来ましたが。

適当に返事をするしかありません。

メールをした後に。

すぐに夢心地。

今日もしっかりと過ごしました☆


7


麻友。
「大変ですー!」

環奈。
「どしたの?」

麻友。
「心玖ちゃんが夏風邪だって。」

渚沙。
「なんですって?」

環奈。
「お見舞いに行こうよー。」

麻友。
「そうするですー!」

心玖ちゃんが夏風邪をひいてしまったので。

お見舞いをすることにしました。

心玖ちゃんの家。

心玖。
「冷房病かなー?」
「体が冷えてしょうがないや。」

環奈。
「思った以上に冷える夜もあるからねー。」
「少しずつ風邪が強まったみたい。」

渚沙。
「栄養ドリンクを持ってきたわ。」

麻友。
「私はホッカイロです。」

心玖。
「みんなありがとー。」

環奈。
「かんなは少年漫画なのだー!」

心玖。
「なんで?」

環奈。
「これで熱くなるのだー。」

麻友。
「ちょ。」

心玖。
「温めるのはハートじゃなくて体だよ?」

環奈。
「えー。」

渚沙。
「あんた天然なの?」

環奈。
「かんなも分からないのだ。」

心玖。
「少し元気が出たよー。」
「ありがとねー。」

環奈。
「お大事に!」

今日の散策です。

フェルちゃんと一緒ですね。

麻友ちゃんと渚沙ちゃん。

古城を訪れました。

環奈。
「ここに何かあるかなー?」

渚沙。
「人の気配があるわね。」

麻友。
「あそこに居るのは誰ですか?」
「あれー?」
「逃げないでください!」

環奈。
「逃げられたねー。」

何者かが逃亡してしまいました。

古城の陰から。

???
「だからやめろって。」

魔族。
「いいじゃない。」
「たまには狩りもやりたいし。」

???
「狩りと戦いの区別もつかないのか!!」
「密猟者もライオンに食われる。」
「そんな史実も無視するというのか!?」

魔族。
「いいもん。」
「少しくらいちょっかい出してもいいじゃない。」

???
「魔王に咎められるぞ。」
「こら!待て!」

魔族。
「人間どもー!」
「今日のあたしは違うぞー!」

フェルト。
「あら?どう違うのかしら?」

魔族。
「あー!」
「前にこてんぱんにしてくれた女!」
「よくもやってくれたわねー!」

麻友。
「まだ捕まってなかったんですね。」

渚沙。
「ひと捻りよ。」

魔族。
「食らえー!」

火の球を投げつけてきますが。

フェルトは打ち払いました。

魔族は接近して鉤爪で攻撃。

フェルトは軽く回避して。

くるっと一回転。

深追いする魔族にまわし蹴り。

魔族ふっとばされてうずくまる。

フェルト。
「思ったより弱いわね。」

魔族。
「そんなー!」

麻友。
「捕まえるか仕留めるか。」

銃口を突きつける麻友。

他の魔族がスモークを炊いて。

仲間を一瞬で担いで逃げました。

渚沙が追走。

射撃されますが。

魔族は攻撃を食らいながら。

逃げ延びました。

渚沙。
「もう少しだったわね。」

麻友。
「さっさと撃っていれば良かったかも。」

フェルト。
「捕らえれば賞金だから。」
「簡単に仕留めたらもったいないわよ。」

麻友。
「確かにそうですね。」

環奈。
「あんまり長居しないほうがいいね。」
「さっさと散策して帰ろう。」

古城の探索は直ぐに打ち切られました。

宝箱もヒントも未発見で。

謎の逃亡者まで目撃していましたが。

麻友ちゃんが撮影に成功していました。

環奈。
「これ仮面被っているよ。」

麻友。
「運営側が用意したダミーかもしれませんよ。」

フェルト。
「運営も頭脳プレーが冴えるわね。」

渚沙。
「意外とやるわね。」

心玖ちゃんが復帰しました。

心玖。
「みく復活だよ。」

環奈。
「待ってましたー!」

心玖ちゃんに抱き着く環奈ちゃん。

麻友。
「体調管理は気をつけてね。」
「簡単に治って良かったです。」

渚沙。
「風邪は万病のもと。」
「大事に至らず良かったわ。」

心玖。
「最近の情報は?」

環奈。
「報告会をするのだー。」

今日ものんびり過ぎていきます。

女の子達は確実に成長して。

自身の探求を深めているのでした☆



8


かんなちゃん。

占い師の修練を積んでいます。

占い師は宗教的なカウンセラーであり。

相談者の苦しみを減らす為にいます。

環奈。
「神道の占い師。」
「神社に正式な占い師がいるように。」
「私も神様から教わって修行中。」
「わたしもまだまだ。」

この日は相談者が5人来訪。

宗教的な方向から鑑定し。

助言を与えましたよ。

無料でやっています。

いつか仕事にできるといいですね。

環奈。
「裏には裏がある。」
「真実な話なのに実は別な意味をもっているの意。」
「表面に出ない事情が複雑にいりくんでいて真相が計りしれないというたとえ。」

「これを知らないと部分的な理解しかできない。」
「表面だけ見てすべてを知った気でいるのは。」
「気の毒です。」

午前中で閉店。

わたしも勉強しなくちゃ。

いろいろやるのです。

そうしていたら。

ちょうどいい所にちょうどいいひと。

麻友ちゃんが新聞を持ってきましたよ。

麻友。
「民衆扇動があったようです。」
「何をやってるんでしょ。」

環奈。
「それはそうだよ。」
「大衆は常に間違っているから。」
「そうでしょ?」
「芸術や文学からドラマや人物に至るまで。」
「正当な評価を大衆がすることは不可能。」
「人生の達人であるアールナイチンゲールの言葉そのもの。」

麻友。
「大衆は常に間違う。」
「その言葉は事実ですよ。」
「確か見本が無いのなら大衆の逆をやればいいとか言ってました。」
「あとその発言はマーク・トウェインです。」

環奈。
「引用が不完全で残念に思っている。」

麻友。
「多数派は常に間違っている。」
「自分が多数派にまわったと知ったら。」
「それは必ず行いを改めるときだ。」
「マーク・トウェイン。」

環奈。
「哲学的価値・歴史的価値・学問的価値。」
「素人に評価を委ねるほうが間違っている。」
「だって大衆は常に間違うからね。」
「大衆に評価を委託したり評価する権限を与えるのもまた間違い。」

麻友。
「確かにそうです。」
「人生の達人は素晴らしいですね。」
「ちょっとそれを基に新聞を探究しましょう。」

環奈。
「これも必要な鍛錬かな?」
「良いニュースだけを掲載している新聞もあるね。」

麻友。
「先程書店に寄って3つほど入手したんです。」

環奈。
「これも勉強かな。」
「自分の世界の事くらい知っておかないと。」

麻友。
「自分が知らなくてはいけないことを知っておかないと。」
「知らなくてはいけない事を知る必要があるんです。」

環奈。
「まさにそれだよね。」
「今日は新聞の虜かな。」

麻友。
「とにかく蒙昧は嫌いなのに。」
「それでもって無知です。」

環奈。
「実はわたしも知らない。」
「無知であるけれど。」
「否定の限りを尽くしてたどり着く場所には。」
「アポリア(行き詰まり)が待っています。」
「無知の知。」

麻友。
「自分は無知です。」
「知ったかぶりをしていただけなのです。」
「無知であると自覚して無知に陥り。」
「無知から生じた知識が真のもの。」

環奈。
「詳しくは専門書にあるね。」


麻友。
「それにしても。」
「哲学的問答法。」
「わたしたちよく使いますよね。」

環奈。
「なんでみんな自分は正しいと言えるの?」
「その根拠は?」
「根拠はどこから来ている?」
「問いを連発すると自称知者は自壊する。」
「人間や文学についても。」
「世界についても。」
「みんな何に対しても絶対的な根拠は存在しないのです。」

麻友。
「作品の評価は特に。」
「その作品が凄いと思った理由はなんですか?」
「あなたの評価の基準と。」
「その作品が良いと思った理由を教えてください。」
「もしかして特に無いとか?」

環奈。
「感情論で物は語りませんよー。」
「文豪シェイクスピアのヴェニスの商人。」
「ドイツの偉人ゲーテのファウスト。」
「シェイクスピアは大人の文学で。」
「小説らしい小説であると思いました。」
「わたしのお手本です。」
「ゲーテは詩人であって。」
「すべて詩文で構成されている所を見ると。」
「西洋の集大成とも言えるから。」

麻友。
シャーロック・ホームズ名言・出典・恐怖の谷。」
「凡庸な人間は自分の水準以上のものには理解をもたないが。」
「才能ある人物はひと目で天才を見抜いてしまう。」
「人の才能を見抜くのも才能が必要。


環奈。
「では才能とは?という問い。」

麻友。
「国語辞典によると実力の事を指すようです。」
「鍛錬ですよ。」
「武者修行で得られるという結論です。」

環奈。
問答法はこんなふうに展開できるし。」
「意外にも真理に近づけるよ。」


麻友。
「リベラルアーツの基本のひとつ。」
「問いが必要。」
「現代は正解を求めてしまう悪癖がありますが。」
「正解を定義付けたら。」
「愚直の見本市になっちゃいます。」

環奈。
「神様の存在は特に。」
「神が居ないのならなぜこの世はあるの?」
「なぜ人の存在がある?」
「自然から来るのなら自然はどこから発生した?」
「ビッグバンはどこから来たのか?」
「どう見ても神様がいらっしゃる証拠があるので。」
「わたしは自分が正しいと確信するようになった。」
「わたしは順正であれ。」

自分は正しい!と言うのなら。

自分が正しいという根拠がある筈。

正しいと言える理由があるはず。

自分は善人と言える理由も必要になる。

そうなると多くの人が自壊するのです。

いにしえの賢者達は凄まじいですよ。

しっかり学ぼうと思います。

新聞に夢中になって。

午後3時。

麻友ちゃんが引き上げて行って。

ちょっと思う所があり。

純文学をやってみます。

すらすら書けます。

この不思議な言葉があるのです。

意到りて筆随う。

いいたりてふでしたがう。

優れた詩や文章が思うままに。

すらすらと書けるようす。

文章を書くとき。

なかなか思うように筆が進まないものだが。

心にこう書きたいと思えば。

筆がそのように動いてくれるということ。

環奈。
「起承転結を使ってみよっと。」
「元々は漢詩の絶句における構成法のひとつ。」
「いまでは。」
「文章や物語の展開。」
「物事の組み立ての手法。」
「まず始まりがあり(起)」
「次にそれを受けた部分が続き(承)」
「内容が大きく変化し(転)」
「最後に結論、結果がある(結)という構成。」
「類語に起承転合がある。」
「学校で習うけれど。」
「習うより慣れよ。」
「ということかな?」

書き進めていますよ。

良い作品になるといいなあ。

わたしの文学は哲学の文体ですね。

古代ギリシア賢人プラトンの言葉。

「哲学は最高の文芸なり。」

人は通常。

唯物論的な世界しか認識できない。

イデアは景色や風景。

物の配置は同じでも。

内容は全く異なる。

それは唯物論の世界では無い。

これをイデアと言う。

イデアの世界は本物だけが存在し。

本当の現実がそこにある。

イデアに入るのはコツが要るし。

継続的に入れるというより。

多くの場合は一時的だけれど。

わたしはイデアの住人になりたい。

わたしの戸籍はイデアに入れたいなあ。

そこではすべてが尊く。

真実のみがある。

唯物論の世界なんてつまらないし。

くだらないよ。

イデアはこの世の真実。

わたしは体験したことがあるから。

わたしはイデアの住人になりたくて。

神様にお願いしようと思います。

哲学は真理をもたらす。

知性の探求。

わたしは知ってしまった。

さて。

この前買ってきた通俗小説が机の上に。

読み物としては優れていますが。

何かの価値は無いですね。

わたしは大衆受けする。

大衆に媚びた通俗的な文学を嫌っています。

純文学の定義はこれです。

広義の文学に対して、詩歌・小説・戯曲などのように美的情操に訴えるもの。

純粋な芸術をめざす文芸作品。

(対)大衆文学・通俗文学。

大衆に媚びた大衆的な文学はこれです。

大衆的。

庶民向きであるさま。

大衆文学。

(文)大衆をおもな読者とする通俗的な文学。

(対)純文学。

通俗的な文学には何の価値も無いのです。

いくら人気が出ても作品自体に価値はありません。

読み物として優れてはいても。

価値が無い雑誌のようです。

通俗小説とは。

文芸的価値に重きをおかず。

大衆の娯楽を主眼とする小説。

そんなのくだらないよ。

通俗的。

俗受けのするさま。

低級なさま。

くだらないさま。

こんなのが通俗的な物の定義ですから。

気持ち悪いです。

わたしの文学は純粋な芸術をめざしているんですよ。

純文学こそ小説らしい小説でしょう。

わたしは岩に刻むやり方をすると決めたんです。

ちょっと隣にあった国語辞典を読んだらハマってしまいました。

環奈。
「知識の宝庫じゃないのー!!」
「知りたい事がいっぱい!」
「言葉ってすごい!」

善と悪。

正義や道理。

知らなくてはいけない知識は容易に得られる。

最強の本ですねー。

わたしは主知主義になれましたよ。

角川さんの国語辞典で実際に書かれていた定義です。

文学。

自然科学・政治・法律・経済などの学問に対して、純文学・哲学・史学・倫理学・社会学・言語学などの総称。

想像の力を働かせて、思想・感情を言語・文字で表現した芸術作品。詩歌・小説・随筆・戯曲・評論など。(同)文芸。

詩歌・小説・戯曲などを研究する学問。

-文学史。

文学の発達・展開のあと。文学の歴史。また、それを歴史的に研究する学問。

-文学者。

文学作品をつくる人。作家。

文学の研究者。

-文学少年。

作家をこころざす青年。

文学的雰囲気を好む青年。

言葉の力ってすごい。

しばらく国語辞典の虜ですよ。

芸術作品の見方はふたつあって。

歴史的価値と学問的価値があるのです。

芸術至上主義なわたしは。

どんなものが創造できるのかな?

芸術。

学芸と技術。

文学・音楽・絵画・彫刻・演劇など。

特定の様式・素材によって美を表現する活動。

環奈。
「すべてを岩に刻み石に跡を残せ。」
「言い伝え。」
「いつかこの世が完全に行き詰まる時。」
「人は神様を求めるようになる。」
「人の力では不可能であると。」
「ようやく悟ったとき。」
「神は奇跡を見せる。」
「はじめて人は神を目の当たりにする。」
「はじめて人は神を見る。」
「そして神を知る。」
「ジーザス。」

祈りを捧げた夕暮れ。

綺麗な光は私を照らして。

自然とひとつに。

のどかな日常。

今日はこんな感じで有意義に流れていきました。

わたしは石に刻むような生き方がしたいです。

青春真っ盛りのわたしの夏ですね。


9


遠い国で戦争が始まりました。

連日激戦を繰り広げています。

環奈。
「なんかどんぱちやってるねー。」

麻友。
「あんなふうに戦いを好む。」
「火炎に焼かれて殺戮に生きる。」
「なんとかならないんですか?」

渚沙。
「ならないわよ。」

麻友。
「人間の業ですか。」
「確かに。」

多芸多才集会。

桜花。
「決闘戦争だって。」

フェルト。
「なになにそれ。」
「おもしろいネーミングね。」

桜花。
「両国が一斉に宣戦布告をしてやってるんだって。」
「正々堂々勝負するのだー。」
「てな感じで。」

フェルト。
「あらー。」
「人類もそんなお上手になれたんですね。」

桜花。
「流石に何千年も経てば進化するでしょ。」

詩織。
「前文明の人達は退化していました。」
「今の分類の人達は進化を続けていますね。」

桜花。
「進化をいつも目標にしている。」
「教科書にあるくらいだから。」

理沙。
「あら。」
「今日は杏桜ちゃんが居ないわね。」

フェルト。
「かんなちゃんに告白しに行ったのよ。」

理沙。
「あらそんな年頃なのね。」
「応援するわ。」

詩織。
「冗談で花を添えていますね。」

桜花。
「冗談も綺麗な添え方があるねー。」

学校の裏山。

杏桜。
「この小型ドローンを撃ち落とします。」
「準備はいい?」

環奈。
「OK!」
「目隠しをして。」
「スタンバイ!」

杏桜。
「では開始!」

目隠しをして。

練習剣で小型ドローンを撃ち落とす訓練です。

視界が無くても。

ドローンに命中弾を当てています。

直感的に位置が分かるみたいです。

環奈。
「全部撃ち落としたよー。」

杏桜。
「あらまあお見事。」

環奈。
「次はドローンの体当たり訓練。」

ドローンが環奈ちゃんに突撃してきます。

複数の方向から複数のドローンが。

全部避けていく環奈ちゃん。

5分間回避に成功しました。

環奈。
「ふぅ。」
「こんなもんかなー。」

杏桜。
「どんどんレベルが上がっているわ。」
「その調子!」

環奈。
「かんなはもっと頑張るのだー。」

杏桜。
「無理は禁物よ。」
「積み重ねが大事なんだから。」

環奈。
「そうだよねー。」
「ちょっと休憩。」

裏山で理沙ちゃんが散歩中。

魔族。
「この屈辱。」
「あいつにぶつけてやるー!」

???
「もうこの地域から出るぞ。」
「いい加減諦めろ。」

魔族。
「やだー!」
「せっかくだからひとりでも討ち取りたい。」

???
「我らは少数民族。」
「まともに戦争になったらどうするんだ。」

魔族。
「いつまでも弱い立場は勘弁なのー!」

???
「まったく。」
「敢えてやらせて手傷を負ったら。」
「連れて帰るとするか。」

茂みから。

魔族。
「奇襲攻撃だー!」
「あれ?消えた?」

理沙。
「奇襲ってなあに?」

魔族。
「うわー!いつの間に後ろに!」

理沙。
「あんたかわいいわねぇ。」

魔族。
「このー!」
「え?蜃気楼?」

理沙。
「マイクロブラックホール。」

魔族。
「ぎゃあーーーー!!」

魔族吹っ飛ばされて。

草むらに墜落。

???
「言わんこっちゃない。」

魔族。
「まだまだー!」

???
「適当な所で連れ戻すとするか。」

魔族。
「次はお前だー!」

ガーデニングをしている詩織。

詩織。
「はい?」

魔族。
「うおおお!?」
「え?体が動かない・・・。」

詩織。
「どうしましょう。」
「捕まえますか。」
「それとも・・・。」

魔族。
「うわ〜ん!」
「人間怖いよー!」

???
「迷惑かけたな!」

仲間を抱えて逃げ去りました。

魔族。
「もうやだー!」
「あんなの相手にしたくない!」

???
「我々魔族が弱い立場に居るんだと理解したか?」
「この地域を去るぞ。」

魔族。
「偵察任務のはずがー!?」
「あんなに強いなんて聞いてないよ。」

???
「侮って勝てる戦いがあるものか。」
「さあ帰るぞ。」

退場。

環奈ちゃん達はピクニックに出掛けました。

ぽかぽか陽気と夏風吹く美しい景色。

環奈。
「なんか蝶々がたくさん寄ってくるよ。」

麻友。
「蝶々に好かれちゃいましたか。」

心玖。
「香水のせいかな?」

渚沙。
「蝶々が寄ってくる体質なんじゃない?」

戻ってきて。

部室の整理整頓をしてみました。

環奈。
「前はアニメ研究会だったよね。」

心玖。
「秘蔵のDVDがいっぱいだよー。」

麻友。
「へー。」
「これなんておもしろそう。」

渚沙。
「こんな置物もあるのね。」

環奈。
「そう言えばこの観賞植物っていつ実をつけるの?」

麻友。
「実なんてつけませんよ。」

心玖。
「渚沙ちゃんのファッション雑誌がいっぱい。」

渚沙。
「最近服装はシンプルなのが一番いいと思ったわ。」

環奈。
「上下統一感が必要だよね。」

渚沙。
「流行りものは万能じゃないし。」
「統一感があるだけで優れもの。」

麻友。
「シンプル・イザ・ベストって奴ですね。」

心玖。
「複雑なものほど本質は簡単なんだね。」

環奈。
「ファッションにも奥義があって。」
「行き着いたのはシンプルという基礎中の基礎かあ。」

渚沙。
「無駄に自己主張するよりも。」
「簡単な構成のほうが強いわけ。」

心玖。
「それで成功例を見たことがあるよー。」

麻友。
「おしゃれにすればいいってものじゃないんですね。」

部室整理が終わりました。

もう夕方なので。

帰宅することに。

環奈の自宅。

環奈。
「この倉庫にはお父さんの特集雑誌でいっぱいなのだー。」
「お父さん。」
「今度は王様の領内探索に参加なのだ。」
「いつ帰ってくるかなー?」

環奈ちゃんはこの日も日記を書き記して。

メールで遊んで。

就寝です☆



10


環奈とフェルト。

ふたりで。

投射の塔にお出掛けです。

ここは視覚トリックが豊富で。

幻想的で。

変則的なアート建造物となっています。

観光客も居ますねー。

大きな吹き抜けと。

複雑に交わった通路が天井に見えます。

鏡が張り巡らされていて。

どこか不思議の国に迷い込んだようですね。

天井にも側面にも。

いろんな角度から。

「硝子の花弁」と呼ばれる塔なんですよー。

街からすぐ近くです。

有名な観光スポットですよ。

この塔は建設当初から。

有名な剣士達がすごく気に入っていて。

あまりの絶景と美しい舞台により。

試合が行われるようになって。

王様も貴族も公認するようになった歴史があります。

環奈。
「あそこに鎧が展示されてるよー。」
「現代の鎧の代表!だって。」

フェルト。
「セラミックス複合材を用いた鎧ね。」
「中々剣も届かないし。」
「軽量な上に着脱も容易。」

環奈。
「しかも銃弾も効果が無いほどの強度があるよねー。」
「美術品としても優れているしー。」

フェルト。
「少し高価なのが難点よね。」
「軍隊で大量調達されるのは量産型だから。」

環奈。
「中々お目にかかれないよね。」
「それにしても立派な鎧だなあ。」

フェルト。
「こっちには魔封じの珠があるわよ。」
「天然石?」

環奈。
「ある程度の魔法攻撃を無力化する。」
「そういえば理沙ちゃんと渚沙ちゃんも持ってたよね。」

フェルト。
「試合用の指輪かしら?」
「ある程度までの魔法攻撃を無効化するの。」
「でも上限があって。」
「それ以上の攻撃を受けると輝きが無くなって。」
「魔法を防げなくなる。」

環奈。
「そうなんだー。」
「こっちの看板に書いてあるよ。」
「魔法の指輪は一週間すれば溜まったエネルギーが排出されて。」
「また使えるようになる。」
「へー。」

フェルト。
「一度に大量に装備すると。」
「上手に効力を発揮しないわ。」

環奈。
「魔石同士が喧嘩するらしいね。」
「こっちは?」

フェルト。
「量産型の鎧と兜。」
「盾に剣に。」
「ここは展示コーナーね。」
「なんていう甘美な贅沢!」

環奈。
「量産型でも。」
「銃弾30発命中。」
「切り傷9回受ける。」
「それでも中の兵士は無事だった。」
「なんて話もあるほど。」

フェルト。
「有名な話じゃない。」
「高級品はもっと凄いわよ。」

環奈。
「こうなるとどこを斬ればいいのかなぁ。」
「勇猛果敢に出たとこ勝負。」

フェルト。
「私だったら斬りながら考えるわね。」
「どちらにしても手ごわい相手になるわよ。」

環奈。
「戦場に出るか分からないし。」
「んー。」

フェルト。
「進路決まってるの?」

環奈。
「兵員の教官かなぁ。」
「兵法学者も狙ってる。」

フェルト。
「私は警備員かなー。」

環奈。
「どうせなら他の事もしたいなー。」
「本を書いたり哲学に打ち込んだり?」

フェルト。
「私は詩文を書くのが好きよ。」
「仕事しながら。」
「自分の景色を詩にするんだから。」

環奈。
「いろいろやればやるほど。」
「人生がゴージャスになるからねー。」

フェルト。
「同感だわ。」

入り組んだ通路。

鏡の壁。

実際より奥行きが狭かったり。

坂になっていたり。

複雑かつ単純ですね。

空が見える通路をふたりで歩いています。

環奈。
「こうしてふたりで歩くのも久しぶりだよね。」

フェルト。
「そうよねー。」
「せっかくのデートだし。」
「観照を見つけたいわ。」

環奈。
「難解な事柄でも。」
「いくら難しい事柄でも。」
「本質は簡単だよね。」

フェルト。
「私が知りたいのはこの世界の真実。」

環奈。
「ほんとうのこと?まこと?」

フェルト。
「一見こんな光景も。」
「事実のひとつに過ぎない。」
「本当の姿がある。」
「真実の姿がある。」
「私はいつか見たわ。」
「この世界の尊さも。」
「真実の見え方も。」
「もう一回見たいの。」

環奈。
「この世界は幻想的で。」
「意外な所に神秘が潜む。」
「世界が歌のように優しくなればいいのになぁ。」

フェルト。
「いつか人も正義に従って生きるようになるわよ。」
「さあ頂上よ。」

塔の頂上。

展望台になっています。

フェルト。
「一度正々堂々と言ってみたかったの。」

環奈。
「かんなも正直に言ってみたかったよー。」

フェルト。
「真剣勝負したいって。」

環奈。
「かんなもそうだよ。」

フェルト。
「幼馴染みとはいえ。」
「あんたには散々に追い抜かれたわ。」

環奈。
「追走してくるフェルちゃんから逃れるのにいつも一生懸命だったよ。」

フェルト。
「その為に練習剣を持ってきた。」

環奈。
「かんなも同じ。」

フェルト。
「確か公の場の試合は。」
「周囲に危害が及ばなければOKだったわよね。」

環奈。
「この塔で試合をやる人はけっこう居るよ。」
「許可貰っておいたから。」

フェルト。
「心置きなく。」

環奈。
「本気で行きます。」

ふたり。

塔の頂上の大きなスペースで。

練習剣を抜く。

仕掛けたのはフェルト。

環奈。
「前と剣筋が違う・・・。」

フェルト。
「大人を相手に毎日本気でやりやってたのよ。」
「人の限界すら超えようと。」
「苦闘の日々だったわ。」

環奈。
「かんなは最初に世界を見せ付けられた。」
「世界とはこんなに途方も無い領域だと。」
「最初に世界を知った以上。」
「これを目標に日々邁進したのです。」

フェルト。
「私は人の可能性に賭けた。」
「人はこんな程度で終わるわけがないと。」
「その結果はこれよ。」
「人知の及ばぬ力!」

環奈。
「かんなと競う相手はいつも歴史上の剣士や世界の剣士。」
「偉大なるその力を前に。」
「尊敬と畏怖と。」
「私の中に奇跡を。」

フェルト。
「奇跡は繰り返される。」
「でも奇跡に頼ったら負けよ。」

環奈。
「かんなは可能性を実行する。」
「無二の力をいまここに。」

激しく斬り合っては退いて。

斬りあっては退いて。

観客は大盛り上がり。

両者のスタミナが徐々に減っていきます。

決着が付きません。

環奈。
「因果ですね。」

フェルト。
「良い意味でね!」

環奈。
「恵まれたの?」

フェルト。
「人の理解は及ばないわよ。」

環奈。
「人の力がこんな程度だとは思わない。」

フェルト。
「証明してみなさい!」

環奈。
「人の力。」
「人の可能性を目撃した者として!」

向き合います。

環奈は剣を逆さにして。

斜めに構えて防御体系。

フェルトは剣を真っ直ぐに伸ばして。

回り込もうとする。

環奈が剣を撃ち払うが。

フェルトは後ろにジャンプして逃れる。

追撃。

横転して回避するフェルト。

環奈は追い続ける。

フェルトのフェイント。

深追いする所を狙っていたようです。

環奈はすぐに防戦にチェンジ。

防戦一方だけれど負けません。

フェルトは戦法転換。

押し切れないと分かって。

テクニック重視の戦術を取ります。

環奈は劣勢だと分かって。

攻めに行きます。

環奈。
「人の輝きはあんな程度なの?」
「違う。」
「人はその力を半分も使っていない!」

フェルト。
「御名答!」
「反対に非力な者は自分の可能性を放棄したわ!」

環奈。
「人の力が才能で決まっていたら。」
「全員が絶望するように創られているなんてことに!」

フェルト。
「なるわね!」
「反抗してみなさい!」
「それができるのなら!」

環奈。
「許されし反抗。」
「その名は試練!」

フェルト。
「くっ!押し切れない!」

環奈。
「人よ!」
「戦士になれ!」

フェルト。
「人を戦士にするもの・・・。」

環奈。
「新しい領域に進む勇気ある者こそ。」
「新たな力を手に入れる。」

フェルト。
「そうよ。」
「私は試されている時。」

環奈が隙ありとばかりに斬り付けたら。

宙返りをして避けられました。

また睨み合いです。

環奈。
「決着はつけてみせるよ。」

フェルト。
「尊いこの世の華道!」
「意味なんて求める人は理屈を求めている。」

環奈。
「すべて自然にもたらされしもの。」

フェルト。
「この世の条理!」

環奈。
「いいや。」
「この世の真実。」

フェルト。
「するとこの世界は余程の正直者と見える。」

環奈。
「かんなにも見える。」
「これが私の青春の1ページ!」

フェルト。
「ええ。」
「美しきかな。」
「いま。」
「という瞬間。」

環奈。
「かんなは人に必要なのは。」
「絶対的な勝利ではなく。」
「戦う姿勢。」
「戦う意思だと思っているよ。」
「勝者は絶対者となり。」
「敗者もまた美しい。」

フェルト。
「それが正しいのなら。」
「人の中に美学を見出せるわよ。」
「そろそろ決着にするわ!」

再び斬り合いますが。

両者相手の動きを読み切っていて。

まったく決着がつきません。

環奈。
「まだ戦える!」

フェルト。
「よしなさい。」
「疲労で倒れるわよ。」

環奈。
「決着付かず?」

フェルト。
「そのようね・・・。」

両者スタミナ切れで引き分け。

観客は拍手喝采!

ベンチで少し休みます。

環奈。
「やりきったー。」

フェルト。
「久しぶりに本気でやったわね。」

環奈。
「フェルちゃん強いよ。」

フェルト。
「かんなも凄いわ。」

環奈。
「実力以上が出ていた。」

フェルト。
「いつも私の人生に華を添えてくれるのはあんたよ。」

環奈。
「いつもかんなの人生に美学を見出せるのはフェルちゃんのおかげ。」

フェルト。
「うふふ。」
「なんだか不思議ね。」

環奈。
「そうだねー。」

フェルト。
「今回は引き分け。」
「次は私の完全勝利♪」

環奈。
「次はかんなの大勝利♪」

フェルト。
「この〜♪」

環奈。
「もうっ!」

ふたりで大爆笑♪

手を繋いで。

鏡の塔から帰っていきました。

尊い少女の。

青春の1ページ☆


11


遠く離れた所に前文明の地下基地がありますので。

探検に出発です。

一応はイベントの制定範囲に入っています。

前文明の遺跡は。

地域にはたくさんあります。

そのうちのひとつ。

後期夏期講習を逃れたメンバー。

桜花ちゃんと麻友ちゃん。

さんにん。

環奈。
「たいした恐獣は居ないって。」

桜花。
「ある程度の情報はあるのよね。」

麻友。
「油断はしませんよ。」

正面入り口から侵入。

入り組んだ機械通路。

上下に複雑に組み合わさった通路。

兵器の残骸。

電灯が生きている。

いろんなオブジェがある通路。

生きた遺跡と呼ばれる所以です。

施設の一部はまだ稼働しています。

一説には誰かが修復しましたが。

途中で諦めて放置したとか。

環奈。
「左右警戒。」

麻友。
「私は横を見ています。」

桜花。
「私は後方を。」

スライムが居ましたが。

切り刻んで倒しました。

やたらと好戦的な。

鋭い爪を持つバトラーマウスと呼ばれる。

恐獣が居ましたが。

麻友ちゃんが仕留めましたよ。

麻友。
「先制発見。」
「先制攻撃。」

桜花。
「情報と少し違っているようね。」

環奈。
「それなりに厄介な恐獣が居たからねー。」

麻友。
「ここは司令室ですかね。」

環奈。
「ミサイルサイロも兼ね備えていたから。」

桜花。
「人類は結局こういうので自滅するのね。」

麻友。
「そうですねー。」
「人類が滅ぶとすれば自滅ですからね。」

環奈。
「哀れな結末!」

宝箱がありました。

お金が入ってましたよ。

500円硬貨6枚。

指令室から出て。

大きなホール。

ここは兵隊を集めて。

いろんな事をする多目的ホールのようです。

故障している防衛ロボットがおりまして。

剣と盾を持っています。

麻友。
「避弾経始の盾を持ってますね。」
「あれで向かってこられると。」
「弾丸をすべて弾いてしまうんですよ。」

桜花。
「驚異的なシールドね。」

環奈。
「剣兵は基本そういう盾を装備して戦場に出るのだー。」

ロボットが起動してしまいました。

麻友。
「あれー?」
「これも修理されている?」

環奈。
「なんてことー。」

ロボットは動き出しました。

でも。

故障していますので。

動きがぎこちないです。

麻友。
「ガーディアンMK.2」
「傑作防衛兵器として前文明で量産されたタイプ。」

環奈。
「向かってくるよー。」

麻友。
「えーい!」

麻友ちゃんが発砲。

避弾経始の盾を全面に押し出されて。

弾丸がすべて弾かれます。

環奈。
「かんなやります!」

環奈ちゃんが切り刻みますが。

装甲が分厚いですねー。

ロボットは動きが遅過ぎます。

桜花。
「任せて。」

桜花ちゃんが短刀で切り刻みました。

面白いほど装甲が切り裂かれます。

ロボットは破損して動かなくなりました。

麻友。
「なんていう切れ味!」

桜花。
「半霊半物質の刀剣だからよ。」
「特殊な剣を特注で♪」

環奈。
「すごーい!」

最深部に進みます。

コウモリ型防衛ロボット(半壊)の大群が待ち構えていましたが。

環奈ちゃんがすべて薙ぎ払いました。

環奈。
「このくらい簡単簡単♪」

桜花。
「かんなやるわね。」

麻友。
「まさに無双ですー。」

最深部は元機密エリアだったようです。

いろんな実験室がありますが。

宝箱を発見しました。

環奈。
「えっと。」
「銀貨がいっぱい入っているけれど。」

桜花。
「なんですってー!?」
「わー!」
「私のマイドリーム!」

麻友。
「これ本物の銀貨ですよ!?」

環奈。
「よーし!」
「山分けするのだー。」

この探検で銀貨をたくさん獲得できました☆

町興しの一環として開催されている宝探しですが。

どうやらバックに何か大物が居るみたいですね。

いろんな地域からも来客があるくらいですから。

帰路は特に何も遭遇しませんでした。

あんまり危険地域に長居は禁物です。

環奈。
「予想外の事には用心。」
「引き揚げよう。」
「目的以外の事はしちゃ駄目。」

麻友。
「兵法の原則ですね。」

桜花。
「帰りも警戒しながら行きましょう。」

地上に出て。

そのまま帰宅にしましたよー。

今日は銀貨を大量獲得。

みんなには内緒です☆


12


深い森の奥。

周囲を崖に囲まれた。

とても高い木々が生い茂る。

湖のある神秘的な場所。

ここは聖地。

環奈。
「久しぶりに来たねー。」

桜花。
「一生に一度は来ないといけない場所だから。」

詩織。
「ここには祭壇もありますよ。」

麻友。
「お祈りをしましょう。」

環奈。
「そうしよー。」

お祈りのあと。

芝生に座って。

お菓子を食べてます。

シートを敷き詰めて。

桜花。
「力って人にとって大切なものじゃない?」

詩織。
「力無くして人は成り立たず。」
「無力あらば人にあらず。」

麻友。
「正しい力というものがありますからね。」

環奈。
「てっきり暴力の事だと思って否定する人が居るよー。」

桜花。
「力の否定は無力に繋がります。」

詩織。
「人の力は力の否定によって奪われ。」
「人は虚無に還るべく定めを負う。」

麻友。
「まったくその通りです。」

環奈。
「暴力とそうでないものの区別すらつかなくなったら。」
「あれれー?」
「迷子さん?」

桜花。
「人という存在として大人になればなるほど。」
「力という概念についてよく知ることになるのです。」

麻友。
「ということは。」
「前文明の人は力について何も知らなかったことになりますね。」

詩織。
「力に対する無知ですか。」
「体験しないと分からないことも多いですからね。」

環奈。
「だよねー。」
「体験しないと分からないことばっかり。」

麻友。
「人生勉強ですね。」

桜花。
「熱が入り過ぎてはいけないわ。」
「空回りするから。」

麻友。
「心構えというものですか。」
「確かにそうですね。」

お菓子を食べ終わって。

湖の水を持ち帰ります。

沸騰させて飲むのです。

ここの土地の水は健康に良いものですからね。

出入り口から退場。

多芸多才集会。

フェルト。
「ヴィオラはこうやって演奏するのよ。」

理沙。
「案外簡単ね。」

杏桜。
「私はキーボードさんと縁があるようです。」
「どうしましょう!」
「楽器さんとお付き合い!?」
「この年でキーボードさんと結婚なんて!?」

フェルト。
「そんな感じだと。」
「楽器の事が早くに解りそうね。」

有神論会議。

渚沙。
「人のあるべき姿。」
「論文が完成したわよ。」

心玖。
「かんなちゃんを待とうよ。」

渚沙。
「かんなが戻ってくるまで。」
「アニメを観て有意義に過ごしましょう。」

心玖。
「なるべくいろんな事を体験するのもこの部活の趣旨だからね。」

この日は。

みんな別々の事をしておりました。

たまに別行動をしてみて。

いろんな収穫をしてみる。

年頃の学び時です☆


13


学校の裏で模造刀で鍛錬中。

桜花。
「それそれー。」

環奈。
「わわわわ!?」

桜花。
「少し油断してない?」

環奈。
「そんなこと!」

必死に食らいつきますが。

桜花ちゃんの動きについていけません。

ガス欠になりましたので。

休憩。

環奈。
「なんでそんなに強いんかな。」

桜花。
「いろんなスポーツやったり。」
「いろんな武器を使ったりしてたから。」
「ノウハウが膨大だから☆」

環奈。
「応用なんだね。」

桜花。
「別の分野の学習が別の分野で活きる。」
「これは奥義よ。」
「あまり話さないでね。」

環奈。
「さすがに一本だけじゃ上を目指せない?」

桜花。
「テコンドーの上級者がサッカーをやると。」
「無理な体勢からでもシュートを打てる。」
「シュート・テクニックが跳ね上がるの。」
「キック・ボクシング経験者はテニスが上手だったり。」
「サッカーのゴールキーパーは決まってバスケットボールが卓越している。」

環奈。
「そんなことがあるの!?」

桜花。
「あるのよ。」

環奈。
「凄い裏技なんだね。」

桜花。
「この世にはそんな裏技があるのよ。」

環奈。
「ようしもう一セット。

環奈帰宅。

母親。
「おかえり。」

環奈。
「ただいま。」

部屋の途中に。

いろんな雑誌が置いてあります。

さりげなく母親が設置している。

参考雑誌です。

あんまり読まないと撤去されます。

子供の頃からいろんな雑誌を読まされて。

男性アイドルに夢中になったり。

軍事系雑誌で物知りになったりも。

環奈は博学になってしまいました。

環奈。
「みんなにメールしよー。」

いつもにスマホを弄くる。

環奈ちゃん。

いろんなスポーツに興味を示しました。

体験入部してみようかと。

思っています。

環奈。
「人はいろいろやるけれど。」
「意味はあるの?なんちゃって。」

母親。
「案外自分の人生に役に立つことが多いわよ。」
「意外な所で効力があるから。」
「それと意味なんて言葉が出てくる自体。」
「意味を失っている証拠。」
「すべてを無意味だと感じている心境ね。」

環奈。
「意味を求めるってことは。」
「言い換えれば価値の否定。」

母親。
「そういうこと。」
「いろんなことを尊いと思ったことがある?」
「価値観が安っぽい人ほど意味を求めるから。」

環奈。
「そうそう。」
「価値観が薄っぺらな人ほど意味を欲しがる。」
「意味はあるの?という言葉は価値観の欠如。」

母親。
「宿題はあるでしょ。」
「適当にやるといいわね。」

環奈。
「はーい。」
「てきとーにやります。」

環奈ちゃん勉強タイム。

メールが来ても無視。

環奈。
「かんなはかんなの通りに進もうかな。」
「まだ充分な基盤が出来てない。」
「世界は狭くないから。」
「強豪に打ち勝つには鍛錬あるのみ。」
「かんなは形にならなければ。」
「どんなものにも通用しないから。」

夕食前にランニング。

夜はテレビ。

寝る前にメールをして。

いつもの朝。

環奈。
「行ってきます。」

母親。
「楽しんでおいで。」

通学路。

環奈。
「おはー☆」

麻友。
「かんなちゃんおはようございました。」

渚沙。
「グッド・モーニング。」

心玖。
「良い一日を。」

みんなでダッシュ。

みんな早めに出発して。

道草しながら通学するのが日課。

自由登校な夏休みだけれど。

なるべく多くを得られるように。

朝からみんなで通学です☆


14


とある日。

心玖ちゃんが「ゲーテ全集」を読んでいます。

環奈。
「難しい本だなー。」

心玖。
「読書百遍義自ずから通ず。」

環奈。
「読書はたまに才能強化に繋がるよね。」

心玖。
「だって。」
「作者が会得した英知が詰まっているから。」

環奈。
「ああ!なるほど!」
「それは有益なわけだねー。」

心玖。
「作者が血の滲む努力で獲得した技を一瞬で獲得できる。」

環奈。
「そうなると読書って自分強化の鍵だよね。」

心玖。
「そうだよ。」
「だから読書してるの。」
「本には当たり外れが大きいから注意して。」

環奈。
「こうなるとかんなは古本屋さんに行ってくるのだー。」

環奈退出。

麻友。
「おや。」
「とても難しい本を読んでいますね。」

渚沙。
「よく理解できるわね。」

麻友。
「ちなみに。」
「インテリは簡単な事を難しく言うんです。」

渚沙。
「無駄に難しくしてどうすんのよ。」

麻友。
「インテリに苦情を言ってくださいね。」

心玖。
「背が小さいってよくないこと?」

麻友。
「さあ。」
「ひとつ言えるのは否定ばかりしていると進歩なし。」
「ということでしょう。」

渚沙。
「個性なのよ。」

心玖。
「だよね。」

麻友。
「なぎちゃんかけっこしませんか?。」

渚沙。
「最近体がなまっているのよのね。」

両者退場。

心玖。
「なんだかみく。」
「ひとりだけ違うのかな。」

フェルト。
「あら〜?」
「みんな同じだったらその人は大変な不幸よ。」

心玖。
「みくはちょっと普通の女の子とは大きく違うから。」

フェルト。
「むしろ普通ほど不自然なものはないんじゃない?」
「人の有り方としては全員己の道を貫け〜みたいな。」

心玖。
「普通っていいことなのかなぁ。」

フェルト。
「普通の規格にはめ込むつもりなのかしら〜?」
「型にはまった人間ってかなりつまらないものよ〜。」

心玖。
「だよねー。」

フェルト。
「型にはまった優等生でも目指す?」

心玖。
「そんなのやだ。」

フェルト。
「人は何かの量産型じゃないんだから。」
「もしみんなと同じであれば正解なんだとか言っている奴が居たら。」
「人という存在を侮辱しているようなものよー。」
「つまりは。」
「あなたの個性を大事にしなさい。」

心玖。
「なるほど。」

フェルト。

さりげなく登場して退場。

心玖は本の虫。

家に帰って。

自分の本を書いています。

作家はデビューするまで。

どれだけ没原稿を書いたかが勝負なのですから。

それを前提で大量に作成しています。

心玖。
「将来作家になろうかな。」
「そう。」
「わたしはわたし。」
「みんなと同じという考え方は愚昧。」
「だってみんなに個性がある。」
「現にそうなんだもん。」
「個性を否定する考えはもうやめよう。」

心玖ちゃん。

前文明について研究して深入りしています。

前文明の思想はアーカイブに膨大に残っていて。

学習の過程で間違いを指摘されるのですが。

独学で行き過ぎて。

確かな学がないうちに。

入り込み過ぎ。

ちょっと思想を嗜み過ぎたようです。

この日ついに思想を乗り越えました。

学校では。

自然の法則に基づく教育が行われます。

夏休みにも。

ある程度の授業があるので。

積極的に参加してみることにしました。

心玖ちゃんの成長過程の出来事♪


15


麻友ちゃんの家は警察一家です。

功績を立てた家柄で。

いわゆる名家なのです。

身分も高く。

知名度があります。

麻友ちゃん部室で考え事。

環奈。
「どしたの?」

麻友。
「冷静に自分の実力を見たんです。」
「そうなるとたいした力はないんじゃないかって。」

環奈。
「それってかえっていい傾向じゃない?」
「愚か者は自信が強いって言葉もあるくらいだし。」

麻友。
「そうですかね。」

環奈。
「麻友ちゃんは伸び盛りかな。」

麻友ちゃんは考えながら。

学校をウロウロ。

フェルト。
「あら?」
「どうしまして?」

麻友。
「ふぇっちゃん。」
「ふと思うことがあって。」

フェルト。
「私で良かったら。」

麻友。
「才能なのかな。」
「才能で決まるのかな。」

フェルト。
「あなた。」
「才能という言葉を勘違いしているのでは?」

麻友。
「人が言う才能って違うんですかね。」

フェルト。
「才能は力の強弱よ。」
「強化しただけ才能は強まるの。」

麻友。
「そうなると私はなんでしょう。」

フェルト。
「実力が伴っていれば卑屈も消えるわよ。」
「私の場合証明も無い自信は持たないな〜。」

麻友。
「凄い事言いますね。」

フェルト。
「晴れた?」
「じゃあがんばってね〜。」

詩織ちゃんに会いました。

詩織。
「なんか新しい自分になりそうな顔。」

麻友。
「少し自信を喪失してしまいました。」

詩織。
「自分を知ることから始めてみたらどうですか?」
「警察官志望でしたよね。」
「では。」
「その前に戦士になるべきです。」

麻友。
「ありがとです。」
「私は進むしかないようです。」
「警察官に挑戦してみます。」

詩織。
「うふふ♪」
「お年頃の女の子って雑草伸び放題ね。」
「庭も手入れが必要なんてたとえかもしれない。」

麻友は父親に頼み込んで。

トレーニングを開始しています。

父親は大喜びです。

前向きになった麻友が嬉しいのです。

これまで自分で何かやろうと思ったことが無かったので。

娘の変化を祝して。

ミニ・パーティーまでやっちゃって。

麻友ちゃんの腕前は上達していきます。

ひとりの女の子の。

とある通過点でした☆


16


渚沙ちゃん訓練中。

自分の魔法力をノートに記して。

弱点や強みを記入。

渚沙。
「FCS射撃をお願い。」

心玖。
「簡単に誘導してあげる。」

遥か彼方の2キロメートルの的に命中。

渚沙。
「あんたの人間レーダー凄いわ。」
「あんな遠くにある的に当てるんですもの。」

心玖。
「わたしの特技だからね。」

麻友。
「特技が無い人はどうします?」

心玖。
「羨むだけで何もしない人は何も貰えないよ。」

渚沙。
「自分そのものを追及する過程で必然的に得られるのよ。」

麻友。
「ですよね。」

渚沙。
「私は敢えて普通から外れてみた。」
「だから非凡になれた。」

心玖。
「みんなと同じならみんなは羊の群れ。」

渚沙。
「どっかで飼いならされている牧場というわけね。」
「中々いい例えじゃない。」

心玖。
「みんなという群れに入るのはなんで?」

渚沙。
「数の力で自分を肯定したいから。」

心玖。
「すっきりした。」

渚沙。
「かんなはどこ?」

麻友。
「さっき水飲みに行きました。」

環奈。
「お待たせ。」
「訓練どう?」

渚沙。
「ちょっと模擬戦がやりたいわ。」

環奈。
「やろうやろう。」
「チームはひとつにならないと力を発揮しない。」
「魔法を吸収する魔石を装着して。」
「2対2で。」

夏休みには自由時間が豊富です。

通常の授業もやっていますが。

ほとんどの人は部活に熱心ですね。

環奈。
「理紗ちゃんに追いつくため?」

渚沙。
「むやみにライバル意識を持つとよくないわ。」

麻友。
「でも渚沙ちゃんなら理紗ちゃんに充分勝てるのでは?」

渚沙。
「理紗は自分の限界が見えているんだと思うわ。」
「それで本気を出すのをためらっている。」

麻友。
「限界を突破できるといいですね。」

渚沙。
「突破できないと知っているのよ。」
「自分の才能の限界。」

環奈。
「あんまり高いレベルの人達に囲まれているから。」
「絶対的に敵わないと思ったのかな。」

渚沙。
「そうみたいね。」

心玖。
「かわいそー。」

渚沙。
「私は訓練を続行するわ。」

環奈。
「かんなはアイス食べに行くのだー。」

麻友。
「私もです。」

心玖。
「私もそうだよ。」

渚沙。
「アイスはまた今度にするわね。」

環奈。
「またの機会に行こうね。」

渚沙は訓練続行。

エネルギーが不足してきたので。

終了します。

帰宅。

渚沙の母親。
「魔法によって試される。」
「魔法によって知ることができる。」
「魔法によって到達する。」

渚沙。
「古来から魔法は戦争のスキルだけではなく。」
「自然を直に体験したり。」
「神秘を目の当たりにするためとか。」
「いろんな事が言われてきた。」

渚沙の母親。
「この時代になってもすべては解明されていない。」
「そのことがずっとわたしたちを好奇心に駆り立てる。」

渚沙。
「魔法を使える人は特殊な傾向がある。」
「適した人にしか得られない。」

渚沙の母親。
「様々なおとぎ話。」
「魔法は力となった。」
「意味するのは魔法で何をしでかすか。」

渚沙。
「魔法によっていつも問われる。」
「心得ているわ。」
「今日はもう休むわね。」
「少し使い過ぎたから。」

メールも見ずにベッドで休憩。

渚沙。
「魔法で何をするべきか。」
「考えよという意味よね。」
「私の存在は。」
「この世界に何をもたらすの?」

渚沙ちゃんの夜が更けていきます。

いつも朝。

麻友ちゃんが迎えに来ました。

後ろから奇襲!

麻友。
「わっ!」

渚沙。
「成功よ。」

麻友。
「中々のやり手ですねー。」
「気配が無かったです。」

渚沙。
「凄いでしょ。」

麻友。
「よっ!天下の名女優。」
「スーパーウーマン。」
「賢女!奇才!芸達者!」

渚沙。
「そんなこと言っても何も出ないわよ。」

麻友。
「少しにやけましたね。」

渚沙。
「そんなことないわよ。」

麻友。
「うふふ〜♪」

環奈。
「おはー。」

心玖。
「おはようおはよう奥さんグットモーニング。」

麻友。
「みくちゃん何言ってんの♪」

渚沙。
「早いわね。」

渚沙の日常は陽日に包まれて。

クール・ビューティー?

思春期には雑草も生えてしまう。

お年頃かな。


17


剣術道場。

激しく打ち合う訓練生。

フェルトは大人に交じって。

厳しい鍛錬を積んでいる。

訓練生。
「フェルトもう上がりな。」

フェルト。
「いいえ。」
「もう少しやります。」

訓練生。
「なんて熱心な。」

フェルト。
「剣士という剣士に試合を申し込み。」
「一日に200試合をこなした剣豪も居ます。」
「並の鍛錬では並の人にしかなりません。」

訓練生。
「さすが名家だけあるか・・・。」

師範。
「この前とある女の子に負けた時から。」
「戦法の見直し。」
「猛特訓をしているな。」

訓練生。
「ああいう人が雲の上に行くんですかね。」

師範。
「まあ見ていなさい。」

次の日。

フェルトは大荷物を背負って。

中身は重り。

動きのトレーニングをしておりました。

フェルト。
「推力重量比。」
「体も身軽じゃないと。」

桜花。
「その様子だと環奈をすぐ追い越しちゃうわね。」

フェルト。
「いいえ。」
「あの娘は信じられないトレーニングをしているから。」
「そんな簡単ではないわ。」

桜花。
「才能ってやつ?」

フェルト。
「才は才に溺れる。」
「肝心なのは心構え。」
「才能は初期値があって。」
「自分を活かした人だけが優れた人物になれる。」
「神童と呼ばれる人を見て。」
「鍛錬したことなんてないはずよ。」

桜花。
「本物はストレートな強さがある。」
「才能だけでは勝てない。」

フェルト。
「才能の定義を知っておくべきね。」

詩織。
「おや。」
「凄まじいトレーニングですね。」

杏桜。
「それだけ鍛えて振り向いて欲しい人が居るとか?」
「ああ!なんて尊き刹那!」

フェルト。
「偉人のようになれなくても。」
「自分のオリジナルを追求すれば。」
「優れた人物よりも優位になる。」
「みんな努力努力言うけれど。」
「それでは方向性を失っているわ。」
「自分を活かす事を知らないんですもの。」

詩織。
「偉人はお手本。」
「こうなると。」
「才能は心構え次第ということでしょうか。」

桜花。
「才能が無いと主張する人は決まって何もしないから。」

杏桜。
「その芸にふられちゃうよ。」
「その年で失恋!?」
「花は早々に散ってしまうの!?」

フェルト。
「私は才能が無いと喚く人を哀れむ。」
「人の力の限界だから。」
「天からの助けが必要なのよ。」

桜花。
「人の限界とは中々悲しいものです。」
「才能は限界を突破できるかが焦点よね。」

詩織。
「本当は可能なものを。」
「見出せないから。」

フェルト。
「凡人が凡人で居るのはその人が凡人だからよ。」

詩織。
「それって言い換えますと。」
「平凡な存在だから平凡にしかならない。」
「存在的に平凡だから平凡以上にはならない。」
「という意味ですよね。」

フェルト。
「あなたレシプロ戦闘機に乗っていて。」
「敵の戦闘機のほうが性能が上回っていたらどうする?」

詩織。
「技量でなんとかしますね。」

フェルト。
「結論としては。」
「自分の可能性を徹底的に追及した人が。」
「圧倒的な力を持つに至る。」

桜花。
「多くの人は適当にやってそれが才能の限界だと言っています。」

杏桜。
「そんな中途半端にお付き合いしたら。」
「失礼でしょ!」

フェルト。
「そう。」
「やり方次第よ。」
「中々有益な議論よね。」

詩織。
「ではわたしたちはトレーニングの邪魔をしないように。」
「あくまでお手本として見ていましたから。」

桜花。
「邪魔しちゃったわね。」

杏桜。
「馬に蹴られないように退散しなくちゃ。」

一同退場。

フェルト。
「もう3セットやりましょ。」
「次は勉学に励みますか。」

フェルトは成績優秀です。

学校は教師中心ではなく。

生徒中心で。

内容は。

たとえば。

この歴史史実に何を見出すかとか。

いろんなアーカイブを見て。

理解を深めたり。

芸術に触れあって。

見識を広めたりも。

教師はテーマを決めて。

生徒が何に行き着くかとか。

集団主義教育ではなく。

自主性を重んじる教育になっています。

小学校は基礎を徹底的に学びますが。

それ以降は自由主義の教育になっているのです。

フェルトの家は国中で知られる名家。

むかしから多くの手柄を立て。

国王に信頼される家柄。

重圧もあるけれど。

それ以上にフェルトが打ち勝ってきて。

少女のうちからスカウトが見に来るほどです。

寝室。

フェルト。
「私は力という概念をよく知っている。」
「だからここまで強くなれた。」
「まだ向上の余地はたくさんある。」
「環奈も踏み台になったりして。」
「でもあの娘だけは侮れない。」
「何か他とは違うから。」
「私が見出したのは。」
「人の力という概念への無知。」
「普通に練習すれば上に行けるという妄想。」
「自分には自分なりの姿があって。」
「自分を追及すること・・・。」

机に向かいながら。

古風なランプを灯して。

「力は人に必要不可欠なものだけれど。」
「人は扱い切れず。」
「しかし力そのものは。」
「自分を受け入れる者にその身を宿す。」
「力を肯定した結果は強者であり。」
「力を否定した結果は弱者であり。」
「力こそ人の基本原理のひとつ。」

ノートを開く。

本のページを開く。

何かの参考書がいくつか。

フェルト。
「誰もが力という概念について蒙昧であり。」
「力こそ人を人らしくする。」
「やっぱりこれね。」

参考書を閉じました。

真摯に自分に向き合い続け。

己の力を増大させていきます。

フェルト。
「力は他の分野にも活きる。」
「結論としては。」
「強さや力は大切なものだから。」
「けなしてはいけない。」
「人が人であるために力や強さはあるから。」

フェルトはノートを閉じて。

剣を磨いています。

フェルト。
「真剣ってなんでこんなに美しいのかしら。」
「人の力の象徴だから?」
「ならいっそう美しいわ。」

武器に見惚れています。

翌日も鍛錬の日々です。

自分の基盤固めを怠らず。

ひたむきに走り続ける。

フェルトが見出したのは人らしさ。

女の子のひとつの可能性です・・・。


18


学校。

絵画を見ながら。

理沙。
「私はそんな程度?」
「いいえ。」
「まだ何か余地があるはず。」
「今年は世界ランキング県外。」
「小学六年生の時はU-12で世界ランク10位。」

詩織。
「劣勢ですか?」

理沙。
「反対に優勢だから勝てるという保証はないわよ。」

詩織。
「どうも有利不利で見てしまうのは。」
「生兵法ですよね。」

理沙。
「世界を見ていると。」
「どうも見劣りしてね。」

詩織。
「理沙さんって本気を出した事無いですよね。」
「もしかして。」
「半分諦めている?」
「燃費が凄く悪いんじゃ・・・。」

理沙。
「遠距離攻撃だけしか取り柄がないから。」
「いつも予選落ち。」

詩織。
「あれだけの技が出せるのに。」
「それでも予選落ちなんですね・・・。」

理沙。
「魔法使い一族の中では中の上くらい。」
「若いって損なのかな。」
「ベテランは弱点が無さそうだし。」

詩織。
「早熟な人は若くてもベテランを倒してしまいます。」
「若さで量ってはいけませんよ。」

理沙。
「私の場合は晩成かもね。」
「天才同士の戦いになると。」
「どうしても負けちゃうのよ。」
「実は渚沙に勝てないことを隠していたりも。」
「私は何か意欲を無くしていて。」
「どんなことも中途半端。」
「真面目になろうとしても。」
「つい弱さが出ちゃう。」
「ただ単に流されるだけ。」
「自分で舵を取るのをやめてしまった。」
「生まれつき才能があったから。」
「それに依存していくうちに。」
「通用しなくなれば終わりよ。」

詩織。
「原点回帰が必要ですか。」

理沙。
「初心者からやり直し。」
「私はいろんな所が崩れている。」
「なんに対しても手を抜くし。」
「でも。」
「そんな弱さを認めていくの。」
「人としての弱さを。」
「それを知ったから。」
「私は驕り高ぶったから。」
「それを壊されて何も無くなってしまった。」
「哀れな私。」

詩織。
「大丈夫です。」
「いちからはじめて100まで頑張りましょう。」

理沙。
「私には迷いが生じている。」
「試合でも上手に戦えない。」
「でも。」
「最近。」
「魔法を使って芸が出来るようになったり。」
「自分でも意外だわ。」
「見世物にすれば受けるかもね。」
「タロットカードで遊んでいたら。」
「叔母様に大喜びされたし。」
「カードが意思を持つかのように不思議な発現をするとか。」

詩織。
「元々試合に向いているタイプの魔法使いじゃないのかもしれませんね。」

理沙。
「そうだったら私としては微妙かもね。」
「なんか変に気分が良いわ。」
「ちょっと遊んでくる。」

詩織。
「最近みんないろいろですねぇ。」

杏桜。
「もうみんなお年頃なのよ!」
「恋の季節?」
「あなたを追いかけてどこまでも行きます?」
「ああなんて美しい青春。」
「是非是非恋話を聞かせて。」

詩織。
「うふ。」
「内緒です☆」

杏桜。
「ああ待って!」
「こんなことで私くじけない!」
「必ず射止めてあげるから。」
「私のこの情念の赴くままに!」

帰宅。

母親といろいろ相談している。

特殊な道へ行こうと決意する理沙。

理沙。
「私は特殊なタイプかぁ。」
「最強の魔法使いなんて夢見たけれど。」
「それも潰えて。」
「でも。」
「特異な能力で。」
「ひと咲きできそうね。」

理沙も過渡期でしょうか。

年頃の女の子には。

変化の時節が到来。

日々を過ごしながら。

模索あるのみです・・・。


19


杏桜ちゃんがフットサルをしています。

杏桜。
「ボールさんは渡しません!」
「私のものだから!」
「マイハニー!」

選手。
「中々取れないよー。」

杏桜。
「私の彼氏をあなたに託します。」

味方。
「ゴール!」

麻友。
「すごいボールキープ力ですね。」

杏桜。
「私の彼氏は誰にも渡さないわ!」

麻友。
「彼氏?」

杏桜。
「一度モノにした彼。」
「麗しき球体。」
「私だけにもたらされたもの!」

味方。
「駄目です。」
「情念だけが暴走しています。」

選手。
「手ごわいなー。」

試合終了。

スポーツホールにて。

麻友。
「なんでも恋にたとえますね。」

杏桜。
「いつか見たの。」
「両親に連れられてみたあの桜。」
「綺麗だった。」
「この世の美に魅せられて。」
「あの時の甘美なときめきが私をこうも突き動かす。」

麻友。
「わー手に負えない。」

杏桜。
「麻友ちゃんも好きよ。」

麻友。
「えー!?」

杏桜。
「いつか人が好きになったの。」
「だから麻友ちゃんみたいな人も好きよ。」

麻友。
「私ですか?」

杏桜。
「私の活躍を見に来てくれたじゃない。」
「本当の友達ってこういう所に居るのね。」

麻友。
「こんな言葉があります。」
「あなたがピンチの時に助けてくれる人が本当の友達である。」
「その時に友達では無い人は去っていく。」

杏桜。
「見せかけだけの友情なんて友情じゃないわ。」

フェルト。
「そのとおりよ。」
「仲がいいだけで友達というのは違うわね。」

麻友。
「しっかり友情を心に秘めていないと。」

フェルト。
「共に喜べなければ。」
「単なるつるんでいる知人。」

杏桜。
「一枚剥けば無くなる関係なんてばかばかしいわ。」

フェルト。
「このあと一緒に昼食どう?」

麻友。
「お弁当ありますよ。」
「お花見的な。」

杏桜。
「ぜひご一緒に。」

さんにんで昼食。

フェルトがちょっかいを出す。

麻友釣られる。

杏桜。
「女の子同士でいちゃいちゃだなんて。」
「何か生まれる!生まれる!」

フェルト。
「ちょっと♪」
「何言ってんのよ〜。」

麻友。
「そのまま恋に発展したりして。」

杏桜。
「キャー!!」
「ここから男子は読んじゃダメ!」
「男子禁制の女の園!」

フェルト。
「ふふふ♪」
「おもしろい人♪」

麻友。
「一緒に居ると楽しいですね。」

杏桜。
「キャー!!」
「何かのフラグが立った!?」
「ここから何の分岐!?」
「そのまま百合に突入!?」
「展開が読めません!」

フェルト。
「真顔で冗談を言うんですもの。」

麻友。
「どこまでが本当か分からないです。」

なんにでも恋をして。

なんでも恋にたとえる。

本人は冗談で言っているらしいです。

もしかしたら。

生粋の道化師なのかもしれません。

謎多き杏桜ちゃん。

変化球の達人です。


20


桜花ちゃん。

中央ホールで友達と一緒にダンス。

決めポーズ。

拍手喝采。

環奈。
「すごーい。」

桜花。
「でしょ?」

環奈。
「どうやったらそんなになれるかな。」

桜花。
「とにかくなんでもやってみたら。」
「多芸多才になれたなー。」

環奈。
「かんなはそこまでできないのだ。」

桜花。
「私はけっこう猪突猛進だから。」
「時に考える前に行動している。」
「それが結局いいほうに転ぶのよね。」

環奈。
「突撃あるのみだねー。」

桜花。
「まあどういうふうにもなるんじゃない?」
「どうにでもなるしどうにでもできる。」
「これが私の原則。」

環奈。
「かんなは上手に立ち回ることを考えるのだ。」

桜花。
「後は野となれ山となれ。」

フェルト。
「楽観的なのはいいことかもしれないわ。」

桜花。
「良い実を成らせたいわ〜。」
「それがいちばんの願望。」

理沙。
「悩みはないの?」

桜花。
「あるわよ。」
「カップラーメンの3分がどうしても待てない。」

環奈。
「かんなもそうなのだー。」

フェルト。
「簡単でいいわね。」
「珍しい人。」

桜花。
「あれこれ考えても何もいいことないでしょ?」
「私の場合。」
「悩みがあるとすれば。」
「人の愚かさが邪魔になることね。」
「でも正々堂々としているわー。」
「私に何も非が無いから。」
「相手が責任を負って。」
「私はその上を通ればいい。」

フェルト。
「まあ一理あるわね。」
「考えたからと言って。」
「悩んだからと言って。」
「それが良い実に繋がるとは限らない。」

桜花。
「自分にやましい所が何も無ければ。」
「あとは他の人の罪よ。」
「こういうわけで。」
「捨て身タックルしかしないわー。」
「悩みが出たとしても。」
「正面から突進しかしない。」

理沙。
「悩みを捨てたの?」

桜花。
「心配なんてない。」
「そんなに弱くない。」

環奈。
「かんなも思ったよー。」
「人を苦悩に駆り立てるのは。」
「人の弱さだって。」
「人は融通が利かないから。」
「人のせいでうまくいかない事は多い。」
「でも正々堂々としていたほうがいいよね。」
「相手に責任を問いただしてどかして通るとか。」

桜花。
「そうそう。」
「私が唯一嫌っているのは。」
「人が障害になる時よ。」
「その時は力づくよ。」
「相手に非があれば単なる邪魔者。」
「私もう行くわね。」
「次はヴァイオリンを友達と一緒に弾くの。」
「さらば〜。」

いつも忙しい桜花ちゃん。

生き方も猪突猛進。

これまで融通が利かない人たちと渡り合ってきて。

すべて打ち負かしてきたようです。

人は災難の権化である。

桜花ちゃんはまるで戦車のようですね。

青春街道を真っ直ぐ進軍です。


21


公園にて。

詩織ちゃんは司祭の娘。

とある神殿で巫女もやっています。

ふと思うことがあって。

詩織。
「女性らしさってなんですかね?」

環奈。
「女性の本質とか見ないとだめなんじゃない?」

桜花。
「女性本来の姿がある。」
「大昔の女性は。」
「結婚して子供を産んで。」
「これが女性らしさって。」
「なんだか不自然。」

詩織。
「本当に斬新な発想が出来るのは女性ですし。」
「男性が勝手に定めて。」
「女性が勝手に従ったとか?」

環奈。
「子供を産み育てるという極一部しか。」
「女性の事を知らないんだよ。」
「それで全体を推し量っている。」

詩織。
「一斑を見て全豹を卜す。」

桜花。
「一部分だけ見えてないくせに。」
「なんで女性の事が分かるの〜?」

環奈。
「現に女性のほうが優れている面が多いのだ。」

詩織。
「大昔は男尊女卑だったから。」
「その考えに従って女性らしさを勝手に決められた。」
「なるほど。」

桜花。
「あんまり前文明の思想について考えないほうがいいよ。」

詩織。
「好奇心なんです。」

桜花。
「なるほど。」

環奈。
「霊知が顕著だねー。」

詩織。
「人間の知恵で推し量れないこともある。」
「この世の知恵はわざと愚かにされたのかもしれません。」

ベンチで議論を終え。

さんにんで。

アイスを買いましたね。

詩織。
「人が最初に創造された姿に戻れば。」
「永遠の命も貰えるのかも。」

環奈。
「寿命も神様が定めたものだからねー。」

桜花。
「そうなれば永遠の命も有り得るってのは常識よ。」

詩織。
「なにしろ聖書に書いてありますから。」

環奈。
「でも人の在り様がでたらめだったら。」
「永遠の命は及ばぬ夢かも。」

桜花。
「正常じゃない存在にそういうものは与えられるはずはないし。」

詩織。
「私はもう一度神学の勉強をしてみます。」

環奈。
「その前に遊ぶことが大事だよー。」
「ほら。」
「大きな池にボート。」

自然豊かな公園。

詩織。
「よく見ると自然って美しいですよね。」
「なんとも言えない景色と言いますか。」
「言葉で説明できないです。」

桜花。
「こんな景色に見合う存在になりたいわあ。」

環奈。
「できれば自然と同化したいなー。」

詩織。
「人は神聖を取り戻しつつある。」
「ということでしょうね。」

帰宅。

世界各国のスタンダードは神権政治です。

神政を持って統治されています。

これがもっとも優れていると結論付けているからです。

前文明の失敗が大きく活かされています。

なので。

この世界にとって一番重要なのは宗教です。

詩織は巫女服を身に纏って。

今日も修練を積みます。

自分の道は定まっているのです。

詩織は人は祝福された存在であると。

心に思いつつ。

修練の場へ赴きます・・・。 

これはみんなの物語・・。


22


オリヴィエという女の子が。

森の奥地。

自然の聖域で遊ぶ相手を募集しているそうなので。

赴きます。

自然を残しつつ。

街が広がる都市部は。

なんとも綺麗な香りがします。

輸送はほとんど空を使っています。

輸送船で移動して。

徒歩移動ですね。

環奈。
「歩き慣れてないと山は難しいね。」

詩織。
「現代人が歩ける総距離は。」
「一日15キロだそうです。」
「貧困層の人が公共の交通費を節約するために。」
「毎日往復していたとか。」

杏桜。
「惚れて通えば千里も一里。」

理沙。
「そうそう。」
「精神面が大きい。」
「乗り物に慣れると歩くのが大変に感じるから。」

環奈。
「うわーん現代病。」

詩織。
「こんな時は気合いですよ。」

杏桜。
「険しい恋の道。」

理沙。
「邪魔をする奴は。」

環奈。
「馬に蹴られて。」

詩織。
「馬が斬られた。」

環奈。
「そんなー。」

開けた場所に来ました。

神殿かな?

オリヴィエ。
「おーい。」

環奈。
「やっほー。」

オリヴィエ。
「私は自然を守護するように政府から特命を受けている一族。」
「広報も大切なお仕事。」
「遊びに来てくれて嬉しいよー☆」

環奈。
「歓迎してくれて嬉しいよー☆」

詩織。
「なにをして遊びます?」

オリヴィエ。
「戦闘ごっこしよ!」

環奈。
「えー!?」

理沙。
「あんた中々おもしろいわよ。」

オリヴィエ。
「ここにシールド発生装置が4つあります。」
「残りエネルギーが20パーセント以下になった人は脱落です。」
「それまでに私のシールドエネルギーを20パーセント以下にできれば勝利!」

環奈。
「腕試しには丁度いいよー。」
「強い相手とも戦わなきゃ。」

詩織。
「手加減しませんよ。」

杏桜。
「あなたを射止めちゃいます。」

オリヴィエ。
「じゃあ行くよー。」
「戦闘開始!」

大きな花形の盾?が12個出現。

オリヴィエちゃんの誘導によってコントロールされます。

花を模った大きなシールドは。

空中に浮いて。

自由自在に動いて見せる。

杏桜。

電磁爆弾を取り出す。

これは命中するとしびれて動けなくなる。

元々は捕獲用の警察用品。

オリヴィエちゃんの先制攻撃。

環奈。

シールドの突進を受け止める。

素早く動き回り。

シールドに動きを捉えられないように。

当たる前に避ける。

捉えられる前に避ける。

理沙の攻撃。

シールドで防がれる。

オリヴィエ。
「この人の威力えげつないー。」

詩織。
「えいやっ。」

シールドのひとつの動きが止まる。

オリヴィエ。
「なにこれー?」

詩織。
「くらいなさい。」

オリヴィエ。
「あわわわわ!?」

オリヴィエの動きが鈍る。

杏桜の爆撃。

シールドを減らす。

続いて。

光子力爆弾。

無害な爆弾だけれど。

一定の存在に抜群の威力があります。

オリヴィエ。
「あれ?」
「誘導が狂った?」

環奈。
「キャー!!」

いちばん猛攻を受けているのは環奈ちゃん。

なんとか防いで避けての繰り返し。

理沙のブラックマジック。

空間が歪曲されたように見える。

オリヴィエの命中率が低下。

オリヴィエ。
「中々やるねー。」
「でもこれはどうかな?」

オリヴィエが片手をあげて。

光を集めて。

爆破。

全員のシールドが減る。

理沙。
「後ろを取ったわよ。」

オリヴィエ。
「わーん。」

理沙に猛攻撃を加えられる。

環奈が追い付いて。

袋叩き。

オリヴィエのシールドが20パーセント以下になって試合終了。

環奈。
「やった!」
「勝ったね!」

オリヴィエ。
「ありぁりぁ。」
「負けちゃった。」

理沙。
「中々楽しめたわよ。」

詩織。
「良い試合でした。」
「糧になるよね。」

杏桜。
「あなたのプロポーズは激しかったわ。」
「でもそれは応えられない。」
「私にはきっと素晴らしい相手が現れる。」
「あなたは私の相手とは何か違うのよ。」

オリヴィエ。
「恋?はないかな。」
「女の子同士の恋とかは。」
「宗教的に規定は無いけれど。」

環奈。
「戦闘を楽しむって生粋の戦士だよねー。」
「人を戦士にするものってなんだろう?」

詩織。
「それが分かったら苦労はしませんよ。」

理沙。
「楽しい試合をありがとね。」

杏桜。
「私達の勝ちのようです。」
「おとなしく好きにされなさい。」


オリヴィエ。
「あ〜♪」
「楽しかったー。」
「遊んでくれてありがとう。」
「これお礼。」

銀貨を4枚貰いました。

環奈。
「こんな高価なもの!」

オリヴィエ。
「実はねー。」
「主催者は自分の資産をどう使うか考えてたの。」
「貯めておくだけはお金に失礼。」
「そこでこれを企画したんだってー。」
「せっかくだから楽しんでもらおうと。」

詩織。
「やけに羽振りが良いと思ったら。」

環奈。
「そんな裏話があったんだねー。」

オリヴィエ。
「また遊んでねー。」
「次の相手がきちゃったから。」

後ろに若手の戦士がふたり。

環奈。
「私もいい実戦経験になったよ。」
「またお手合わせ願おうー♪」

手を振ってお別れ。

銀貨4枚はひとりずつ。

みんないろんなことをしているので。

都合が良い人だけでチームを組んで。

イベントをしています。

ひとりで探検するのは困難の極みですし。

フェルト達も人数が集まらないので。

合同なんですよー。

今日も収穫がありました。

自分から積極的にいろいろやって。

成長を得ていく。

年頃の女の子達の。

ちょっとした遊びでした☆



23


お父さんが帰ってきました。

清々しい顔で。

満面の笑み。

環奈。
「お帰りー!」

小十郎。
「ただいま♪」

母親。
「どうだった?」
「お土産話をちょうだいな。」

小十郎。
「また後で。」

母親。
「かんな。」
「まずは休息よ。」
「お父さん疲労があるから。」
「男はスタミナ維持が課題よね。」

その日の夜。

小十郎。
「なるほど。」
「いろんな出来事。」
「学校生活は楽しそうだな。」

環奈。
「大学生と試合をして勝ったんだよー。」

小十郎。
「おお!」
「幸先いいではないか。」
「次はプロに打ち勝ってみるんだな〜。」

環奈。
「かんなならできるのだー。」

小十郎。
「行ける所まで行く。」
「限界すら越えて行け〜。」

環奈。
「うをー♪」

深夜。

母親。
「かんなは具合良く成長しています。」

小十郎。
「無策で設けた子では無い。」
「その子の性質に合った育成方法を選択している。」
「臨機応変。」
「私の我を通したりはしないよ。」

母親。
「私も状況を見ながら。」
「あの子に補正をかけています。」

小十郎。
「子育ては簡単ではないのだ。」
「反抗期になったか?」

母親。
「反抗するどころか従順よ。」
「道理にかなっているって言われたわ。」

小十郎。
「人を育てるんだ。」
「責任があるもんだな。」
「稀に自分の所有物としか考えていない奴も居るが。」
「子供にも人権がある。」

母親。
「親になるのに資格はないのですから。」
「失敗すれば何かしらの方法で責任は問われます。」
「人を育てる。」
「人の未来に責任を持つのですから。」

小十郎。
「こういう責任からは逃れられないな。」

母親。
「まったくです。」

早朝。

小十郎。
「よし。」
「少し休暇だし。」
「練習剣で遊んであげよう。」

環奈。
「ずるーい!」
「本気でやってよね!」

小十郎。
「お父さんに本気を出させられるかな?」

環奈。
「なるほど。」
「やってやるからねー!」

試合開始。

斬りかかる環奈ちゃん。

先読みされて回避されました。

動きが読まれています。

軽く剣を叩かれてスタン。

くるっと剣を捻られて。

肩に一発。

環奈。
「うー!」

小十郎。
「中々強力な剣戟だな。」
「だが。」
「少し単調だぞ。」
「変則的な剣術を心掛けてみなさい。」

環奈。
「変則的。」
「理解したよ。」
「次こそ本気出させるからね!」

小十郎。
「何度でもかかってきなさい。」

環奈。
「行くよー!」

試合終了。

環奈。
「なんでそんなに強いんかな?」

小十郎。
「前にも教えただろう?」

環奈。
「あー!確か。」

小十郎。
「人は真理に従うなら自由を発見し。」
「真理に逆らうなら。」
「何一つすることができない。」

環奈。
「私たちは。」
「真理に逆らっては何をすることもできず。」
「真理のためなら。」
「何でもできるのです。」(Uコリント13:8)

小十郎。
「だからこそ強いのだ。」

環奈。
「さすがお父さん。」

小十郎。
「さて。」
「あの木まで競争だ。」
「かけっこならかんなでも勝てるだろう?」

環奈。
「よーし。」
「負けさせてやるからね!」

母親。
「あらあら。」
「青春やってるんだから。」

親子の時間は美しく流れ。

環奈ちゃんに華を添えられる。

人の美はここに満ち足りて・・・。


24


お父さんが前より強くなっていたので。

さすがに勝てませんでした。

環奈ちゃん相手に手加減しても勝てるようです。

でも環奈ちゃんの実力は大学レベルで勝ち進めるほどです。

お父さんが強過ぎるんですね。

川が流れる林と花畑と草原。

シートを敷いて瞑想する環奈ちゃん。

環奈。
「あの言葉を口に出そう。」

心を空っぽにしなさい。

形の無い水になりなさい。

カップに入れると、水はカップの形に従います。

また、ティーポットに入れれば、ティーポットになります。

水は流れることもできるし。

衝突することもできるのです。

あなたも水のようになることを学ぶのです。

環奈。
「これはあのひとの戦いにおける精神。」
「水のようになることによって。」
「戦いにおける冷静さと悟りがある。」

李・小龍(ブルース・リー)

軍隊にも認められている截拳道(ジークンドー)を創始した伝説的格闘家。

その言葉は戦いにおける急所を捉えていた。

環奈ちゃんはクラブマガも習っていて。

フィジカルがとても強い。

数々の医療機関や体育機関の専門家から。

クラヴマガは身体を鍛えるトレーニング手段としても。

驚くベきほど効果的であると認められています。

瞑想を終え。

帰った環奈ちゃん。

お父さんが剣を振るっていろいろ試しています。

小十郎。
「おお?雰囲気が違うぞ。」

環奈。
「お父さんってどういう道のりでそうなったの?」

小十郎。
「力をひたすら求めた。」
「力を肯定し。」
「力について知った。」
「その末の武力。」

環奈。
「力について悟ったんだー。」

小十郎。
「素晴らしい。」
「しばらく見ない間に成長している。」

環奈。
「そうかなー。」

小十郎。
「では手合わせしてみるか?」

環奈。
「うん。」

模造剣を取り出してきて。

打ち合います。

前より激しい剣戟を加える環奈ちゃん。

小十郎。
「戦闘スタイルが確立してきたんじゃないか?」

環奈。
「お父さんも余裕が無くなってきているよ。」

お父さんの一撃は重いので。

横にズラして。

軸に回転してパワーを逃がしています。

こうするとパワー負けしません。

動きが読まれていますが。

激しい剣戟でカバー。

いきなり絡め捕られて頭にこつんとやられました。

環奈。
「あー。」
「一筋縄ではだめかー。」

小十郎。
「やるなようになった。」
「ううむ立派だ。」

環奈。
「次こそは。」
「お父さんは本気になるよ?」

小十郎。
「楽しみにしている♪」

部屋に戻ったら。

心玖ちゃんが遊びに来ました。

部屋にて。

心玖。
「集団主義って気持ち悪い。」
「分析してみると。」
「集団でひとつ。」
「自分というものを持たない。」
「集団をコントロールされると終わってしまうから。」
「羊の群れと同じで。」
「最初の一頭が動けば釣られて動く。」
「1頭が動くと周りの羊も釣られて動き。」
「皆で迷える羊群となるのが集団主義者。」

環奈。
「むかしこんな実験があった。」
「地下鉄で煙装置を起動して逃げるか逃げないか。」
「集団主義者はみんなが平然としているから。」
「その理由で逃げなかった。」
「結果として列車は煙だらけになって終了。」

心玖。
「集団主義者は多数派の意見が正解であると認識している。」
「リーダーもいないし。」
「でも社会は集団じゃない。」
「組織とチーム。」
「これは定義がそれぞれ違うから。」

環奈。
「集団主義者は衆愚と呼びます。」
「衆愚だから集団を絶対視する。」
「多くの愚か者。」
「腐敗した民主主義の体系のひとつ。」
「衆愚の仲間になることを教えたらもう腐敗している証拠。」

心玖。
「わー気持ち悪い。」
「個人主義が正しいという結果になった。」

環奈。
「個人主義は基本でしょ?」
「自己犠牲とか進んでやったら。」
「かっこつけているだけで。」
「結果は悪いもの。」
「自分より他人が大事なんてことはないから。」
「自分を生け贄にするのでしょうか。」

心玖。
「あたまわるくなったらおしまいだね。」

環奈。
「なるほど。」
「哲学者の性格なんだねー。」

心玖。
「学者になりたい。」

環奈。
「私は職業がまだ定まっていない。」
「定まるまでお互いに頑張ろう。」

心玖ちゃんとチェスをやってみましたら。

ダブルチェックをされました。

さすが心玖ちゃんです。

心玖ちゃんと雑談して帰っていきました。

草原気味になっている家の周囲。

窓から眺めています。

環奈。
「最近は自然環境が変化して。」
「なんか綺麗になっている。」
「生物も変わっている。」
「なんだかなー。」

人々はみんな自分たちの愚かさを知っています。

間違っているし正しくないことも。

知っていますので悔い改めています。

都会に行くとみんなそれをよく話します。

この世界には食べると永遠の命が得られるという。

命の木の実があるそうですが。

どこにあるのでしょう。

許可無く手に入れられないそうです。

自然環境が綺麗になっている最近。

環奈ちゃんはほおづえをして。

自然を眺めています。


25


家で勉強している環奈ちゃん。

休養も大事な要素。

適当に勉強しつつのんびり過ごしています。

メールフォルダはいっぱいですけどねー。

環奈。
「コリント人への第二の手紙12章9節。」
「わたしの恵みは、あなたに十分である、というのは。」
「わたしの力は、弱さのうちに完全に現われるからである。」
「なるほどー。」
「人はそもそも本質的には弱いから。」
「これが欠けていたら力そのものについての悟りがない。」

鳥が自由自在にのんびりオリーブの木に止まっています。

1週間に2回。

鳩の餌を特定のポジションに設置しますので。

たまにキジバトがやってくるのです。

お米も撒いたりします。

2等米は有り余っていますねー。

趣味で育てる人が多いからでしょう。

環奈。
「原理原則に縛られることなく、それに従う。」
「リベラルアーツ。」
「型にハマった考え方が通用した試しはないなー。」

剣を磨きながら。

ショートソードではないですね。

それより刀身が長く。

ロングソードのようには大きくありません。

武器は人のステータスで。

武器を正しく扱えるのは人の誉れ。

これは。

倫理による適合検査で。

検査に合格しないと持てません。

年に検査が一回入ります。

環奈。
「こんな言葉もある。」
「敵と戦うときに。」
「勝敗を考えていてはいけない。」
「状況に応じて。」
「最善の手を打つだけでいい。」
「さすが歴戦の勇士。」
「そんなスタイルもあるんだ。」

環奈ちゃんはコロニーと呼ばれる。

密集型住宅地に赴いて。

人を観察してみました。

みんな自分の弱さを語っています。

共同ホールでは連日のように市民同士の弁論大会があるのです。

それを見ていました。

大地は自然いっぱい。

人類が自然を大切にする。

自然由来の文明を選択した為に。

自然豊かで。

人が住めるエリアを区切ってあります。

なので密集型コロニーなどは誕生し。

1キロ×1キロで二千人の人口を達成するなど。

最先端テクノロジーの成せる技。

商店街もきちんと定められて密集していますよ。

最近になって怪獣が増えています。

戦いの相手としては不足はありません。

戦う事で成長するのです。

怪獣は良い相手ですね。

自然の中を散策です。

川が自然のままに存在する。

清潔な空気の中で。

環奈。
「たまにはお散歩。」
「世界をきちんと見定めて。」
「それから決めても悪くないよね。」

歴史の教訓や聖典の訓戒が活かされています。

宗教教育が普遍の学校では。

人についての考察が豊富ですよ。

環奈。
「聖潔な世界がみんなの目標。」
「聖なる力かあ。」
「そこまで到達できるかなあ。」

環奈ちゃんも模索の日々。

まだ女の子。

これからいろいろ定まっていくのです。

それまで探索を続けていますよ。


26


今日も机に向かいます。

教科書が増えてきましたよ。

良書を頻繁に購入する為に。

いろいろ教育雑誌まで揃えています。

環奈。
「人生の為に勉強するのです。」
「学校の為ではない。」
「あるいは野望の為?」
「なーんて。」

詩織ちゃんが来訪。

本を並べて。

一緒に教材から習います。

詩織。
「人間の本性は善であり。」
「成長するうちに悪を知ってしまう。」
「これが性善説。」
「でもこれ合理的ではありませんよね。」

環奈。
「そうそう。」
「人を知る者は性善説を取れなくなる。」
「相手の心まで見透かすように。」
「善のようで。」
「道徳にかなっていない事をよくやる。」
「論理にはまったくかなってない。」
「正しくもないし。」
「思いやりもない。」
「こうなったら性善説は正しくない。」

詩織。
「一方。」
「人の本性は悪で。」
「生きていくなかで善を学ぶという考え方が性悪説です。」
「性悪説では人をまるで信頼していませんが。」
「けれどこの考え方は社会をより良くするための大切な概念となります。」

環奈。
「まず性悪説をベースとした社会では。」
「誰も政治家のことを信じないよ。」
「彼らは適当に職務遂行しているのみで。」
「実現した試しもない。」
「前と同じ事をやっているだけ。」
「誰がやっても同じ。」

詩織。
「あっ!それ典型です。」
「彼らに必要以上に期待しない点においては優れた見解です。」

環奈。
「有権者はひとりの人間に権力が集中しないようにするはず。」
「人についても期待しません。」
「性悪説から見ると人間だから仕方ない。」

詩織。
「人間は完全な生き物ではないと考えることで。」
「教育システムはより整備されたものになりました。」

環奈。
「理性的に行動するにはどのようにすればいいのかという。」
「精神的な教育に重きが置かれる。」

詩織。
「人は未熟であると言うことが共通認識となっているから。」
「だからこそ共同体として誰もが気持ち良く生きるにはどうするのが賢明か考えるようになります。」
「都市を設計するときは優雅で洗練されたものが目指され。」
「犯罪が起こりそうな要素はあらかじめ排除されてしまいます。」

環奈。
「人は成功し幸せになるものだという認識があるけれど。」
「ロマンチスト。」

詩織。
「悪平等?」
「でもこれだけは言えます。」
「人をよく観察していると悪い心の持ち主であると感づきます。」
「人間はその未熟さ故に失敗しますから。」

環奈。
「本来人は罪の性質を持っている。」
「聖書の言葉がある。」
「人は獣より何も優れてはいない。」
「これが真理なんですねぇ。」

詩織。
「性善説ばかり学んだら。」
「人に裏切られますよね。」
「利己主義で自分勝手な考え方をします。」
「彼らは何を基準にしているのでしょう?」
「自分です。」
「自分を基準にすることは自己中心という意味です。」

環奈。
「性悪説とは人に絶望した考え方ではありません。」
「むしろ性悪説を基準とした社会の方が。」
「思慮深く安定した世界になります。」
「教科書これで終わり。」

詩織。
「実際に見ると性悪説が通用しますね。」
「性善説は通用しません。」
「性善説を唱えると偽善者扱いされます。」

環奈。
「善だからなんでも許すなんて考え方。」
「あたまおかしいです。」

詩織。
「そんなに暴力を庇う理由ってあるんでしょうか。」

環奈。
「暴力は粉砕するに限るよね。」

詩織。
「神は善人より義人を選んだ。」

環奈。
「神は善良な者を悪者の前に差し出す。」

詩織。
「言い得て妙。」

環奈。
「悪を殺すのも人の道です。」

詩織。
「じゃあ悪者を殺して救ってあげましょう。」

環奈。
「キャー!バイオレンス。」

詩織。
「わあなんてブラックジョークなんでしょう。」

環奈。
「でも性悪説が合理的であるのは理解できたなー。」

詩織。
「性悪説のほうが現実味がしませんか?」

環奈。
「そうであるならば性悪説を採用すればいいのに。」

詩織。
「なのでこの教材はあるのです。」
「1時間勉強すれば充分でしょう。」

環奈。
「じゃあちょっと体動かそっかな〜。」

詩織。
「アスレチック広場がありますよ。」

移動。

いろんなアスレチックが設置されている。

複雑でパズルのようですが。

環奈ちゃん。

ハイジャンプして飛び越えて。

正規ルートではない場所。

屋根のような骨組みの場所を通り抜けていきます。

詩織ちゃんも続きます。

起伏を飛び越えて。

手を軸に体を回転させて。

アスレチック広場のゴールにあっという間に到達。

環奈。
「高度な体術。」

詩織。
「このくらいのトレーニングは序の口です。」

環奈。
「じゃあこの広場を使ってモダン・コンバットやろう。」

詩織。
「負けませんよ〜。」

模造刀で戦う試合の一種。

ただしとんでもない場所で戦うタイプの試合です。

場所はアスレチックの上。

または中。

このアスレチック公園は広大で。

倉庫にいろんな備品があり。

自由に使えます。

持ってきて。

お辞儀した後。

すぐ。

両者模造剣を抜いて斬りかかる。

最初は劣勢だった詩織ちゃんも。

アスレックを巧みに使って奇襲攻撃。

建物のような構造なので不意打ちや逃げながら戦うことも自由自在。

環奈。
「うー。」
「場所がまずいなー。」

詩織。
「わたしに分があるみたいですね。」

今度は天井から奇襲して。

詩織ちゃんが一撃離脱。

環奈ちゃんが追いかけて。

アスレチック上部の丸い高台にて追いつきましたよ。

ここで斬り合い。

詩織ちゃんが飛び降りて。

アスレチックのでっぱりを掴んで。

中に潜伏されてしまう一瞬の出来事。

環奈。
「そんなー。」

見失いました。

いきなり後ろから格闘戦。

不利になった詩織ちゃん一撃離脱。

そのまま試合を続けましたが。

スタミナ切れして辞めました。

環奈。
「思ったより凄いね。」

詩織。
「カンナちゃんも思った以上に強いですね・・・。」

環奈。
「休んでからスイーツ食べない?」

詩織ちゃん。
「それは良い提案!」

たまに屋台が巡回していて。

捕まえて。

クレープをベンチで食べて。

この日は終了。

環奈。
「またねー。」

詩織。
「平和でありますように!」

環奈ちゃん部屋に横たわる。

環奈。
「いっぱい遊んで遊び疲れた。」
「しばらく休養。」

メールフォルダは満杯。

ちょっと放置気味。

夜中。

メールの返事。

環奈ちゃんが忙しいと思って。

今日送られてきたメールは無いようです。

また明日から。

友達と真面目に遊んでみます。

今回の夏休みも有意義に過ごせそうです。

蝉が飛び回る。

気温は暑いがハートも熱いぜ的な。

元気MAXな女の子たちです。


27


森林地帯で花を摘んで。

冠を作って。

遊んでいます。

今日はひとり。

ここ数日みんな忙しくて。

ひとりでお散歩していますよ。

環奈。
「この辺りは怪獣は出ないし。」
「お昼寝でもしようかなー。」
「あれ?誰かいる?」

魔族。
「ん?」
「なにあの娘。」
「私達の仲間だったりして。」
「落ち合う約束は無かった筈。」

環奈。
「あー!」
「あの時の凶暴な女の子!」

魔族。
「ああそんな!」

環奈。
「待って。」
「逃げなくていい。」

魔族。
「なんで?」

環奈。
「ザコと戦っても意味が無い。」

魔族。
「そっかー。」
「なんですって!」

環奈。
「武器は使う?」
「それとも女らしく。」
「武器なしでやる?」

魔族。
「やってやるわよ!」
「後悔なさい!」

魔族の女の子が。

突撃して来た所を横に半分避けて。

掴んで首を手で軽く締めて。

拘束。

魔族。
「ぎゃああ。」
「何する気!?」
「えっちな事しないよね!?」

環奈。
「なに言ってんの!」
「少しはするかもしれないけれど。」

魔族。
「あたしだって嫁入り前なんだからね!」
「ハレンチはなしよ!」

環奈。
「わたしは養子の方が憧れるなあ。」
「男性に仕えるのはナンセンスだと思う。」

魔族。
「あたしには約束した人がいるの!」

環奈。
「だれ?」

魔族。
「えっと・・まだ告白とかしてなくて・・・。」

環奈。
「頑張って。」

魔族。
「うん・・・。」
「って放しなさいよ!」
「あたし達の国は放っておいてよね!」

環奈。
「弱い奴が戦いに出てくるなー!」

魔族。
「強いからっていつも勝てると思うなー!」

魔族逃げ帰る。

環奈。
「もう帰ろう。」

街道に戻って。

でも。

野に果物や野菜が大量に成っています。

ちょっと食べて帰りました。

野生にリンゴの木やオレンジなどを植えておき。

ちょっとオシャレにアレンジした森林ですよ。

どれだけ自然を重視しているかが分かります。

環奈。
「人は不自然になってはいけないなー。」
「人は自然発生したと思えばいいよね。」
「私達はそう教わっている。」

今日は空に輸送機が多いです。

簡単に垂直離着陸が出来る科学が完成したので。

輸送は空になりました。

車でさえ飛行機のような。

むかしミル24ハインド攻撃ヘリがありましたが。

それに似ているような形状の車が飛んでいるのです。

人工知能が安全装置になっており。

飛行ルートが設定されているほど。

発電所には対空兵器があるので。

近づくと撃ち落とされる非常事態。

パトロール戦闘機に違反を取られないように注意するのが基本です。

街の中心近くにある空港は大きな広場になっていて。

輸送機が大量に着陸しては離陸しております。

科学は自然を取り扱うもの。

火や雷や放射能も自然界にあるもの。

間違った科学。

科学の悪用は自然に敵対するでしょう。

人と自然は同義なのです。

人と自然は一致するのです。

環奈ちゃんは大きな木の上に座って。

眺めて過ごす今日の陽です。


28


みんなで映画を観に行きました。

夏休みはこうして過ごすのがいちばんです。

麻友。
「さすがに有名だけありますねー。」

杏桜。
「外見だけで惚れたりしないわ。」
「きちんと相手を見定めて。」
「それで私はあの映画に惚れた。」

フェルト。
「あらまあロマンチック。」

環奈。
「ほのぼの戦車隊。」
「あんなほのぼのとした戦争は無いよねー。」

理沙。
「最近は世界の主導者を決めようと戦争をしている。」

渚沙。
「義の為に戦争をするなんて思わなかったわ。」

詩織。
「人類を到達点に向かわせようと。」
「みんな真剣ですよ。」

心玖。
「むかしは必然的に戦争になっていたから。」
「強いられて。」
「でも歴史って人が創ったものだから。」
「私達がいかに歴史を学んでいないか明白だよ。」

桜花。
「歴史を否定するのって。」
「自分達で創っておいて否定すんのかい。」

フェルト。
「そんな人間のほうが駄作です。」

環奈。
「それじゃあコメディです。」

麻友。
「いいえギャグです。」

環奈。
「歴史はアートだから。」
「習うだけ習うと有益だよ。」

フェルト。
「歴史は教科書。」

渚沙。
「賛成。」

理沙。
「ってことで。」
「ほのぼの戦争なんてけっこう本質を突いていたり?」

詩織。
「それだけ戦いたくてうずうずしてたんですよ。」
「生粋の兵士ですよね。」
「しかも余裕があるのはおもしろいところ。」

環奈。
「なんかカッコつけとは違ったよね〜。」

フェルト。
「そこが良い所だったわあ。」

売店でスイーツを買って。

みんなそれぞれ目的があります。

心玖。
「わたし古本屋。」

麻友。
「私は人間観察です。」
「これから1時間たっぷり。」

フェルト。
「私は試合広場に行くわ。」
「今日も草試合をやっている筈。」

杏桜。
「私は独身!?」

理沙。
「仕込まれる予定。」

渚沙。
「軍人に訓練つけて貰う予定がある。」

桜花。
「ちょっとしたバイトをやるから。」

詩織。
「文学をやる予定です。」

環奈。
「じゃあみんなまたねー!」

みんなでちょっとした円陣を組んで解散。

環奈ちゃんは帰宅後。

切り株の林にて。

細い枝などを切り刻んだ。

最近はこの訓練によって。

剣捌きの精度を可能な限り最高のレベルにまで高めていた。

堅牢で効率的な動きを基本とし。

隙を最小限に抑えている。

アクロバティックな剣術も取り入れ。

魔法の一種を用いて。

走り、跳び、回転するといった自然界における剣士の能力を極度に高めている。

物理法則の限界を超越し。

あらゆる動きを組み合わせることに成功した。

環奈ちゃんの剣術は精巧な動きに満ちている。

環奈ちゃんはいろんな動物のデータを持っており。

それぞれの戦闘スタイルから独自の剣技を編み出している。

現実を超越したスタイルはセオリーを無視しており。

変則的になっていった。

環奈。
「これがお父さんが言っていた変則かあ。」
「よし。」
「これからが私の本番!」

環奈ちゃん笑顔でジャンプ!

スキップで帰宅!



29


環奈ちゃん。

アメジストの宝石の髪飾りを付けていますね。

天然石の指輪や。

希少金属のアクセサリー。

髪にちょっとルビーで飾ったり。

上流階級の楽しみである。

コロシアムで。

桜花ちゃんが出場するためです。

コロシアムは。

血を流す競技までありますが。

今回は無制限サバイバルゲーム対決。

桜花ちゃんと「キング」と呼ばれるこの国の最強です。

ドレス姿で環奈ちゃん赴きます。

マダム。
「余ったお金をどうしようかしら。」

ダンナ。
「少しくらいは散財してもいいんじゃないか?」

マダム。
「貧困層に投資でもする?」

ダンナ。
「偽善者にでもなってみるか?」
「おや?あれは環奈ちゃんだ。」

環奈。
「こんにちは。」

マダム。
「よかった。」
「ねえあなたお金を貯めたら。」
「使い道が無くて困っているのよ。」

環奈。
「お金を貯めると失うのを恐れるとはよく言います。」

ダンナ。
「それで2割くらい使ってみたくて。」
「何かいい使い道あるかな。」

環奈。
「どっかの国に魚の釣り方を教えてあげるとか。」

マダム。
「魚を与えても魚の釣り方を教えるのが大事よね。」
「さすがあの娘さん。」

ダンナ。
「高級車6台あっても困ってしまってね。」

環奈。
「では捜し求めましょう。」
「お金を使う機会はいずれ来るでしょうし。」
「貧しい国の事業に投資するとか。」
「天に任せたらどうですか?」

マダム。
「あらまあそれが良さそうね。」

ダンナ。
「では我が財産。」
「2割ほど自由に出ていきたまえ。」
「無駄にならないように。」
「お金を使うのも楽しいな。」

マダム。
「おおむねお金持ちの最高の楽しみはお金を適切に使うことですからね。」

ダンナ。
「ううむ50になってお金を知る・・・か。」

桜花ちゃんが入場です。

サバイバルゲームはアビオニクスが判定し。

3発命中でポイント奪取。

3セット取ると勝利です。

キングが派手に登場しますが。

あまり歓迎されていません。

桜花対キング。

突撃して真正面から撃ち合いになります。

キング。

桜花ちゃんの動きが早くて捉えられない。

桜花。
「なにやってんのよヘタクソ!」

桜花がジャンプして障害物の上から射撃。

キングやられる。

2セット目。

桜花ちゃん。

壁伝えに一瞬に2階にあがって。

背後からキングをねじ伏せる。

観客大盛り上がり。

桜花。
「やーい!やーい!へたっぴ!ぽんぽこぴーのおたんこなす!」

キング。
「おのれ見ておれ・・・。」

3セット目。

素早く動き回る桜花ちゃん。

桜花ちゃん。
「ロボロフスキーハムスターの如く。」

キング。
「撃ってやる。」

桜花。
「そう死に急ぐな、無知なる者よ。」

実はキングはザコを倒して成り上がった為に。

けっこう嫌われ者だったりします。

列強を相手にすると。

まぐれで勝ったりする事が多いのです。

桜花。
「変だなあ。」
「相手インチキしてる?」

キングはインチキで過去2回出場停止を食らっています。

今回もインチキでしょうか?

キング遠くから撃ってくる。

威嚇射撃。

動きがない。

キング右のほうから威嚇射撃を食らう。

次は左方向から。

キング。
「ちくしょう。」
「なんて動きが早い。」

桜花。
「遊んでいるのかな?」

キング詰めにかかるが。

障害物を飛んで乗り越えて。

背後に着かれて。

銃弾とサイド・キックでやられるキングに。

観客大熱狂!

マダム。
「あら女の子が勝ったわ。」

ダンナ。
「キングはまぐれ勝ちが多いからな。」
「最盛期を誇っていたキングはもういないのだ。」

桜花。
「現役引退すれば?」

キング。
「馬鹿な・・・女子供に・・・。」

マダム。
「キング負け惜しみが酷いわ。」

ダンナ。
「子供でも強い戦士はいる。」
「今日は賭け事に勝ったな。」
「程々にしよう。」

マダム。
「ギャンブルは程よく楽しむのがルールですからね。」
「散財したらそれは失敗。」

ダンナ。
「獲得した資金をどう使うかも楽しみだ。」

マダム。
「私達の財産も偶然の業ですから。」
「それは心得てますとも。」

ダンナ。
「なんとか這い上がっても。」
「財布しか持ってなかったら意味はないな。」

マダム。
「みんなそれを知ってます。」
「だから貴方はあの娘に投資したのでは。」

ダンナ。
「有望な子に支援は惜しまないよ。」

ふたり退場。

こっちに向かって目の近くでピースを決める。

桜花ちゃん。

環奈ちゃんも決めポーズ。

しばらくして。

賞金を持って出てくる桜花ちゃん。

環奈。
「戦いの中で人は進化するんだね。」

桜花ちゃん。
「平和な戦いがいまの時代のテーマよ。」
「命懸けで戦ってこそ意味があるんだけれど。」

環奈。
「武器を持たずして平和は語れず。」
「戦争から平和を語るべき。」

桜花。
「そこからならありのままを悟れるわね。」

環奈。
「人生も戦いの連続という見解もあるよね。」
「チェスに例える人はよくいるけれど。」

桜花。
「だったら戦って勝てばいいのよ。」
「人生のチェス?手段は問わないわ。」
「不正を使ってでもチェスに勝てばいい。」
「イカサマがチェスの極意でしょ。」

環奈。
「なんてダークな。」

桜花。
「ホワイトとか。」
「善良でいる限りは力の肯定もできないわよ。」
「暗黒面にわざと堕ちるの。」
「闇の力はなんでも蝕む。」
「白一色になろうとして清濁合わせない者は綺麗事だけを徹底するから。」

環奈。
「確かに暗黒面も受け入れると。」
「おおよそ人は愚者になれなくなるよ。」
「どんなヒーローアニメだって悪者に一理あるし。」

桜花。
「ホワイトにこだわっている奴じゃあ。」
「手に入らない最大の黄金もある。」
「うわべだけ善人面している人は私嫌いだよ。」
「中身が気持ち悪い。」

環奈。
「少し荒れてない?」

桜花。
「ああ人よ大人になるのだ。」

ハイタッチして。

桜花走り出す。

ダンナ。
「おやどうしたのかね。」
「送ってあげようか。」

マダム。
「お友達と何かありました?」

環奈。
「思春期みたいです。」
「何か荒れていました。」

ダンナ。
「おやおや。」
「よくあることじゃないか。」

マダム。
「人としての高みを目指す人は大抵ああなるものよ。」
「あなたも同類でしょう。」

環奈。
「褒め言葉ですね。」

ダンナ。
「意味もなく不満気で。」
「憤怒している人を見てどう思うかい?」
「抗ってばかりで。」
「反抗期は長過ぎる。」
「そんな人が前にいたよ。」

環奈。
「かわいそうです。」
「自分が納得行く結末が欲しいのでしょう。」

マダム。
「反抗期が長過ぎるわ。」

環奈。
「誰もおしおきしないからです。」

ダンナ。
「まあさすが環奈ちゃんだね。」
「また会おう。」

ふたり退場。

帰宅。

メールにて。

荒れている原因は。

「キング」が異常によいしょされている事でしたが。

この後もう一回キングは桜花ちゃんに惨敗して。

ついに興味を失い。

キングの名声は地に堕ちました。

キングは一時期大衆の為に戦っていましたが。

ヒーローになるにつれ。

実力が伴わず。

強敵にどんどんやられて。

ついにはランキング圏外になります。

学校にて。

中庭。

桜花。
「大衆は常に間違うから逆をやればいい。」

環奈。
「大衆に気に入られて得た名声だから。」
「気に食わなかったの?」

桜花。
「衆愚を見たらむかついただけよ。」

桜花退場。

先生。
「まともな人に出会うように言ってあげて。」
「たぶん衆愚をはじめて目にして。」
「その愚かさに腹が立っているみたい。」

環奈。
「前に授業でやったのに〜。」

先生。
「愚かな人を見ると誰でも一度はああなるわ。」
「肝心なのは賢くて道理に明るい人の比率が圧倒的に多いこと。」

環奈。
「いいえ。」
「あれはきっと。」
「かつての英雄のようになれない自分に対して。」
「自分に対しての怒りなんだと思います。」

桜花ちゃんの荒れ具合はしばらくしたら治りました。

まともな人の集会に参加したら。

2時間くらいで治ったそうです。

日記。

環奈。
「なんであんなほうに行くかな〜。」
「社会は二分化されているから。」
「習ってなかったんだね・・・。」
「さっぱりわからない。」
「桜花ちゃんは敢えて見せられて。」
「衆愚を踏み台にしているようにしか見えないよ。」
「衆愚なんて使い倒される連中で。」
「自ら根底に堕ちていった人達なのに。」
「むしろ衆愚を見に行くだなんて珍しい。」

学校で桜花ちゃんを見かけると。

明らかに動きが早いです。

キレがあります。

戦いの末に。

確実に進化している。

生粋の戦士桜花ちゃんですね。

今日は曇り。

雨も降りそうです。

雨を楽しむ日なのか。

むかしの人は雨に当って楽しめと言いました。

そこまでベテランになれたらいいなあ。

最近は思春期でいろいろあるみんなです。


30


今日はみんなで研究論文を披露です。

部室で語らう女の子達。

女の子達には共通点がありました。

女性とは何か?これを本気で探究した点において。

この「問い」に真っ向から立ち向かっていく姿はみな同じでした。

「類は友を呼ぶ」ですね。

環奈。
「女性らしさ。」
「まず女性は強くないといけないと思う。」

渚沙。
「弱点をカバーするのも必要でしょう。」

麻友。
「雷撃戦が女性の華ですよきっと。」
「勇敢さが女性の強みです。」

心玖。
「知恵を持つ女性は最強だよ。」

環奈。
「みんなそれぞれ違う。」
「だから自分の強みを活かして。」
「女性のあるべき姿を探求して見出すのが必要だと思います。」

麻友。
「才能と言う前に。」
「突撃すべきです。」
「才能より前にこういう姿勢が女性に問われるでしょう。」

心玖。
「結婚して子供を産むだけだったら。」
「そんなにつまらない存在はいないよ。」

渚沙。
「男性を参考にするのはいいことでしょうよ。」

環奈。
「男性を参考にする?」
「わたしは同感です。」
「男性が築き上げてきたものを参考にすると良さそう。」

心玖。
「男性から学ぶものは多いよ。」

麻友。
「確かに男性が手本を見せてくれました。」
「これは女性にとってチャンスです。」

環奈。
「では結論に至りました。」
「女性はまず男性を参考に。」
「歴史を参考に。」
「歴史上の偉人を参考にするべきでしょう。」
「こうしてはじめて女性と言えるのです。」

今日は有意義な議論でしたよ。

廊下にて。

フェルト。
「あら?」
「雰囲気が違うわね。」

環奈。
「かんなちゃんは進化するのです。」

フェルト。
「なおさら次の勝負が楽しみだわ。」
「また勝負しましょう。」
「楽しみが増えたわ。」

環奈。
「またやりあおうよ。」
「かんなも楽しみなのだ。」

手でお互いにタッチして解散。

学校は自由主義で。

正解は定義しません。

教師も教材が正しいとは一言も言ってはいません。

正解を定義すればその後の発展は無いからです。

歴史は自分達で創るものであると知っているので。

その積もりで学校は存在します。

なのでかなりフリーダムですよ。

学校も終わって。

みんなでお茶をしに行き。

今日はとっても有意義に過ごせました。

いつもこんな感じだと良いですね。

人は無意味であってはなりません。

何かやっていくうちに意味や存在意義は生じます。

全員が救済される説は否定されているから。

その積もりでただ進みます。

どこへ辿り着こうともそれはわたしの結果であり。

わたしを示しているからです。

環奈ちゃんの夏休みは。

とても収穫に恵まれていますよ。

蝉が木に張り付いて。

夏を彩る。

素敵な夏休みです!!


31


学校は部活やサークル活動。

自習生徒で活気がありますね。

この日。

小競り合いがありました。

生徒その壱。
「まみちゃんが最高の女の子よ!」

生徒その弐。
「わかばちゃんが最高なのよ!」

不毛な議論がエスカレートしたようですね。

廊下で永延とやられても収拾がつかないですし。

リーダーがいないのでそうはなります。

介入。

環奈。
「リーダーがいないのなら何も決めようがないですねぇ。」
「校内最高の女の子と言っても白黒つけてないからそうなるの。」

生徒その壱。
「かんな!」
「この娘は避けないと。」

環奈。
「私は弱いものいじめはしないんです。」

生徒その弐。
「だったらどうしろと言うの?」

環奈。
「そのうち決着が付くから。」
「あなた達が決めることではないよ。」
「最後の勝者を観るための拝観料をここで失うべきではない。」

生徒その壱。
「そういえばそうよね。」

生徒その弐。
「じゃあ勝ったほうが正しいって事で。」

生徒その壱。
「まみちゃんが絶対に勝つからね!」

生徒その弐。
「絶対は絶対にない!」

ふたり別れる。

渚沙。
「なんで止めたの?」
「やらせとけばいいじゃない。」

環奈。
「まさか。」
「まとめて争ってもらうため。」
「かつてあったことはいまもある。」
「人の有様だけはむかしと何ら変わってはいない。」

部室に戻る。

最近はオンラインゲームをメンバーで大侵略したり。

「チートバーサス」という人工知能と将棋やオセロで勝負するのですが。

プレイヤーは自由にチート「不正」を実行することができ。

もがいている人工知能を楽しむゲームで。

実は対プレイヤー戦もできます。

手札が見えないのでギャンブラー的ですねぇ。

環奈。
「デザインについて斬新なもの。」

麻友。
「むかしからのスタイルを取り入れましょう。」

心玖。
「みんなで本を持ち寄ってみる?」

渚沙。
「中々おもしろいアイデアじゃない。」

環奈。
「賛成?」

麻友。
「全員一致ですよ。」

みんなで読書。

歴史書が多いです。

古来からの教えに忠実であり。

古来からの教えを受け継いだ人こそ本物でしょう。

都(みやこ)を更地にして自分たちの王国を築いてしまったら。

「ワレワレがテンカビトの集団ナノダー」的なカルト社会です。

そうならないように学んでいますよ。

今日は特にみんなが活気づいていて。

夜遅くまで居た生徒が数十人。

通常の期間であれば余裕も多くはないので。

あそこまで活発にはならないです。

学校内の掲示板群。

凄い事になっていますよ。

環奈。
「おおっと!?」
「ここまでのわたしでも。」
「負けがあるということですね!?」

成果が書かれた掲示板に圧倒されています。

個人でもここまでの戦果があるものなんですね。

これは。

「エベレスト」を狙っているような。

自分の旗を山頂に立てられれば満足になりそうな。

そんな最近の女の子の在り様です。

わたしも負けないぞー。

ちょっと気合いが入った学校風景でした。


32


軍関係者にスカウトされて。

訓練施設でシュミュレーターをやっていますよ。

軍で使用される本格的な戦闘機シュミュレーターで。

「セクィトゥル」という小型高性能戦闘機の訓練で使用されているものです。

セクィトゥルは「MAPO」MiG-1.44のようなフィルムでかっこいいです。

環奈。
「山を飛び越えて。」
「わたしには空がある。」
「登山家には景色がある。」

基本的なマニューバーのテストと実戦試験が行われます。

次にWPの通りに飛行して。

爆撃を行うそうです。

離陸して飛行すると。

マキナ戦車の小隊がありました。

実はわたしが大好きな戦車なのです。

かつてのPL-01のような姿をしていて。

けっこう強いのです。

対空砲撃までしてくるので。

おもしろくなって。

ちょっと情念が暴走しました。

環奈。
「身持ちの堅そうな戦車ですね・・・。」
「プロポーズの仕甲斐があります。」
「その堅牢な装甲。」
「わたしの想いで貫いてさしあげます!!」
「あり余るこの熱情・・・。」
「この想い!弾丸に載せてあなたへ届け!!」

リベロミサイルで撃破ですよ。

このミサイルはいかなる目標にも攻撃できるのです。

小型で携行能力も高くて。

万能なミサイルなんですねー。

戦車小隊が全滅したので。

帰還ルートを飛行しますが。

ドゥクス戦闘機のエレメントが現れて。

僚機と共に2対2です。

ドゥクス戦闘機。

中型でかつてのX-2試験機のようなフィルム。


実はわたしが大好きな戦闘機なのです。

相手はカエルムミサイルのようで。

射程が長い反面。

命中精度が低く。

運動性能が高い機体には当たりませんが。

マイクロ・ミサイルを使って迎撃したりして。

楽々回避。

反撃のち。

強引に格闘戦ですね。

環奈。
「そう死に急ぐな、無知なる者よ。」

ドゥクス戦闘機を1機落としましたよ。

簡単です。

でも。

アウデオ戦闘機が入り込んできました。

アウデオ戦闘機も大好きなんです。

I-3戦闘機みたいなフィルムはとっても好み。


環奈。
「今度はアウデオ戦闘機ですか。」
「移り気な司令部ですね!」
「他の子に取られないように。」
「猛アタックしてあなたを仕留めます!!」
「強敵なハートブレイクで避けられても。」
「何度でもアプローチして見せますから!!」
「見惚れた戦闘機に狙いを定めます!!」
「貴方を落とすまで!!」

アウデオ戦闘機は簡単に撃ち落とせました。

ドゥクス戦闘機も落ちていきます。

同じタイミングで僚機も落ちましたね。

環奈。
「機動を読めばそのスピードも無意味なんだよー。」
「哀れだな、力無き者は。」

残弾はアクィラミサイルが1発。

機銃は尽きています。

損傷が無いので。

そのまま空軍基地へ。

着陸してシュミュレーターを終了しましたよ。

コックピットから出ました。

教官。
「素晴らしい。」
「そこまで戦えるとは。」

環奈。
「セクィトゥルはちょっとエンジン推力が足りないです。」
「フォルトゥムのほうがいいです。」

教官。
「では次はフォルトゥムのシュミュレーターに乗ってもらおう。」
「今日は協力感謝します。」

休憩ルーム。

ミーティングルームで話し込むふたりを覗き見しちゃいました。

関係者。
「あの娘には未知の能力が備わっているような。」

教官。
「ニュータイプ?」
「漫画であったが実在するのでは?」

関係者。
「超能力の類?」

教官。
「神知の成せる技かもしれない。」

関係者。
「さすがにあのお方の娘さんだけある。」

環奈。
「おもしろい事を言うなあ。」
「私もそこまで到達したのかな?」
「免許皆伝?」
「まさか。」

休憩ルームで書類を渡されて。

専門家の意見が書かれています。

セクィトゥル戦闘機の感想が欲しいそうです。

環奈。
「ソロモンに習うと。」
「人というものは最期に残るもの。」
「五千万円の貯金と土地と子孫。」
「それだけ。」
「みんな同じ結果になるという意味です。」
「少なくともわたしは違う結果になりそうです。」
「進みますよ。」
「神と共に。」

丁寧に書き記して。

提出。

引き続き協力することにしましたよ。

わたしのマニューバーは何か違うらしく。

戦闘能力。

状況判断能力など。

並のパイロットと比較できないそうで。

いつもやっているフライトシュミュレーターをお父さんが見ていて。

推薦してスカウトされたんです。

期待以上の結果を残せたようです。

わたしが仮に本物であるならば。

いろんなひとに敗北をもたらすことになりそうですよ。

夏休みのひととき。

期待の新星ここにありって感じ?

そんなまさか。


33


環奈ちゃん。

ぼーっと考え事。

環奈。
「わたしって神に似ているのかナ〜?」

この日。

近くの街で。

円卓の騎士団と言って。

高度な修練を積んだ騎士の本拠地があって。

王様にとって大事な聖堂です。

そこで内輪揉めして。

戦闘がありました。

旧体系と新体系の戦いです。

新しい側が王様の支援を受けて圧勝。

旧体系が落ち武者と化しました。

環奈。
「近くのカフェでおいしい珈琲を飲もうかな。」

環奈ちゃん。

ナンバ歩きでお散歩しつつ。

おいしい珈琲で定評がある喫茶店に入店。

今日はひとりです。

詩を書きながら30分過ごしましたよ。

帰り道。

落ち武者が出現。

武者。
「小十郎殿に取次願いたい。」

環奈。
「あなたはどうなされたのか?」

武者。
「さすがに古い側に道理がありませんでした。」

環奈。
「言葉で言っても信用できません。」

武者。
「私は武器を持っていません。」

環奈。
「お父さんは近くの川で仲間と一緒に釣りを楽しんでいます。」
「行ってらっしゃい。」

武者。
「感謝。」

帰宅した環奈ちゃん。

重りが入ったリュックサックを背負って。

動きのトレーニング。

環奈。
「基本レベルを鍛えれば何にでも活かせる。」
「なんにでも役に立つと知っている。」
「もうちょっと。」

激しいが正確無比に動いて。

スタミナの加減を考えて。

トレーニング終了。

庭にあるテーブルで緑茶を飲んでいたら。

また落ち武者登場。

落ち武者。
「ここにいると思っていた。」

環奈。
「あなたはなにしにきたのです?」

落ち武者。
「どうしたものか。」

環奈。
「迷いが生じている。」

落ち武者。
「斬ってくれ。」
「無様な死に方はしたくない。」
「せめて女性に斬られたい。」

環奈。
「ああそんな。」
「他の方法は?」

落ち武者。
「それが望み。」

環奈。
「うーん。」
「了解。」

環奈対落ち武者。

挨拶の代わりにライトニング。

電撃の魔法で攻撃。

軽く跳ね返される。

剣を振りかざして。

中距離に入るが。

落ち武者が距離を詰めていたので。

突進してくると読めていて。

あっさり回避際に一撃かすり傷。

落ち武者それでも果敢に攻めてくる。

環奈ちゃんはスピードで翻弄。

中距離から遠距離。

横に移動したり。

華麗にステップを踏んで。

さりげなく一撃。

弾く落ち武者。

一撃離脱を繰り返す環奈ちゃんに対し。

上手に攻撃したいができない落ち武者。

接近すると絡め捕られると知っている環奈ちゃんは。

相手の射程ギリギリで応戦。

落ち武者ミスを連発。

落ち武者は腕を斬られて負傷。

落ち武者肩をえぐられて倒れる。

環奈。
「やります?」

落ち武者。
「このまま自害する。」

憲兵が来ました。

憲兵突撃。

落ち武者。
「シーユーアゲイン!!」


憲兵落ち武者を真っ二つにした。

憲兵。
「ご協力感謝!」

憲兵落ち武者を持ち上げて。

トラックで運んで行きました。

お父さんに頼った武者は兵士として復職できたそうです。

お父さんに褒められました。

騎士として一人前であると。

小十郎。
「騎士道とは義の為だけに存在する。」
「神の義。」
「信仰によって気付くもの。」
「神に忠誠を誓った者こそが騎士となる。」
「弱き者を守るが甘さではない。」
「戦いの中で洗練され。」
「騎士道は完成される。」
「己の哲学の完成と共に。」

環奈。
「そして聖潔に。」
「騎士道とは魂。」
「いかに人が不完全であっても。」
「包括しつつ突撃するのみ。」
「雑草魂。」

お父さんから理念を再度教わりました。

またぼーっとしている環奈ちゃん。

環奈。
「神に似ている者はだれか?」
「だれでしょう?」

国際法では。

指針として「聖潔」を常の目標にしていますよ。

これはひとつの時代の出来事。

尊き歴史の1ページ。



34


腕試しに。

怪鳥を退治しに。

生け贄の祭壇として使用されていた。

遺跡に赴きます。

人里離れた場所。

環奈。
「まず地下から侵入するみたい。」

フェルト。
「戦争時に武器の保管庫だったとか。」
「いろいろな説があるけれど。」
「遺跡が多過ぎて手が回らないのよね。」

坑道のような洞窟を進み。

武器の保管庫を発見。

環奈。
「鎧がある。」
「見るからに超硬いスチール。」

フェルト。
「現代の鎧は重量が軽いけれど。」
「前文明のはあまりの優れモノね。」
「固定機関銃も防げたから。」
「重量も軽いし。」

環奈。
「鎧は慣れると自由に動き回れる。」
「スマホで撮影♪」

フェルト。
「階段。」
「怪鳥はいるかしら?」

洞窟から出て。

オオカミ出現。

環奈。
「怪獣類は突進だけが優れている。」

フェルト。
「パターンを読んでしまえばいいの。」

オオカミ突進。

横にステップされて。

追撃した剣に顔を刺されてオオカミ逃亡。

環奈。
「止まって戦ったら駄目だよね。」

フェルト。
「フィールドを活かして動き回るの。」
「相手が目の前にいても。」
「横の動きには弱い。」

祭壇の上に到達。

怪鳥がさりげなく奇襲してくる。

怪鳥は雉の巨大版。

鋭利な爪と鋭いクチバシ。

中々強そうな怪鳥の先制攻撃。

環奈ちゃん。

1テンポ前にステップして。

怪鳥盛大に外す。

もう一撃来る。

鋭い爪のアタック。

横に鋭く動いて。

追尾しきれずに。

怪鳥攻撃を外した。

台座の上で戦闘。

クチバシやら爪やらで。

パワフルな攻撃。

環奈は相手をよく見て後ろに跳んだり。

横にステップして避けている。

横からフェルトが怪鳥の首を狙う。

気付いた怪鳥が振り向きざまに攻撃するも。

予備モーションで読まれて。

戦略的Yの字移動。

攻撃前から回避運動をしていた為に。

一手先を常に潰される怪鳥。

環奈。
「一手先を潰し続ければチャンスがある。」

フェルト。
「二手先読んでみて。」

ふたりに翻弄され。

ついには首を斬られる怪鳥。

怯んだ隙に。

翼をもぎ取られて。

目を破壊され。

凄まじい勢いで部位破壊。

怪鳥は飛び立とうとしていましたが。

遅過ぎました。

一瞬の出来事。

環奈。
「止まって戦ってはいけないのが鉄則。」
「怪獣も一手先を読めば勝てない相手じゃないみたい。」

フェルト。
「さて。」
「首を持って帰りましょう。」

剣術師範の元に持って帰りましたら。

新聞に載りました。

期待の新星だって。

有望なのかな?

ふたりの腕試しで。

周りから一目置かれて。

「これが女の子だ!」とまで言われました。

女は度胸ですね〜。

環奈。
「またよろしく。」

フェルト。
「こちらこそ。」

本当は仲が良いふたりなのでした。

星空が綺麗な。

流星がたくさん降り注いだ。

珍しい日にて。


35


星空が綺麗な深夜。

王様のまち。

首都の警備に参加しましたです。

多数の剣士から優れていると言われて。

城下町の警備に加えられましたよ。

環奈。
「実戦は久しぶり。」

剣士。
「これからの活躍があるからな。」
「実戦経験というのは大事だ。」
「畳の上に100年立っているのとは違う。」

環奈。
「先人たちの教えを受け継ぎました。」
「わたしにはできます。」

剣士。
「それならもう言葉は要らない。」
「一人前というわけだ。」
「自分の事を言えるわけだから。」

環奈。
「先人たちが築き上げた大地に立っている。」
「決して否定してはいけない。」
「それはその者たちが愚かだという事実を決定付ける。」

剣士。
「そんな馬鹿な。」
「偉大な先人たちが築き上げたものを否定し。」
「すべて自分たちですべてやりましたとか。」
「そんな事を言ってみろ。」
「そんな奴らが貪るような世になってはいけない。」

環奈。
「わたしのいつもの杞憂です。」

剣士。
「その時は神々が罰してくださる。」
「いいではないか。」
「甘んじて罰を受けようではないか。」

環奈。
「そうですよ。」
「すっきりします。」

フェルトと合流。

剣士。
「最近は悪い意味で古い連中が幅を利かせているから。」
「不意にやられるなよ。」

フェルト。
「負けるもんですか。」
「馬鹿な連中を晒し首にしてやりますよ。」

剣士。
「おお!士気が高いな。」
「最近の女の子はあれか。」
「新世代なのか?」

環奈。
「もしかして女性を定義付けていませんか?」
「私は本来の女性とはこのようなものであると思うのです。」

フェルト。
「女性の哲学はこの世に必要不可欠。」
「女の子のカッコ良さ。」
「女性の美学。」
「わたしの追求したもの。」

剣士。
「素晴らしい。」
「いつかいいライバルになるだろう。」
「その時は正々堂々勝負だ。」

フェルト。
「その時まで腕を磨いておかないと。」
「ベテランの名が恥じるわよ。」

剣士。
「私はレディファースト。」
「その時勝つのが本物だ。」
「本当に素晴らしいよ。」

ランプを付けて警備していますよ。

何か向かってきますが。

味方の忍者部隊でした。

この辺りで待ち伏せしているそうです。

剣士。
「どうやら旧体系派だろうな。」

環奈。
「勝算があるのかな?」

フェルト。
「歴史を結果論で見ると駄目。」
「先人たちは自分が勝つなんて知らなかった。」
「それと同じ。」

環奈。
「でもあまりに無謀だよ?」
「的を絞っているはず。」
「たとえば議事堂とか。」

剣士。
「有り得る。」
「連絡があった。」
「我々は議事堂の守備に就く。」
「今夜は一戦ありそうだな。」

公園と花壇と銅像と。

池と樹木と展示物。

真ん中の議事堂。

3階建ての城のような作り。

既に警備員がけっこう配置されていますよ。

装甲兵がたくさんいて。

特殊な装甲服を着ています。

これだと機関銃も効果ないでしょう。

環奈。
「あの装甲服かっこいい。」

フェルト。
「重機関銃も耐えられる。」
「美しいわあ。」
「男性にも美学がある。」
「そう思わない?」

環奈。
「ああなんて素晴らしき芸術品。」
「負けてられない。」
「わたしたちも女性を魅せなきゃ。」

フェルト。
「きっちり戦果をあげましょ。」

環奈。
「まずは生き残る事が前提。」

剣士。
「そうだよ。」
「まず生き残る。」
「敵を討ち取るのは二の次だ。」
「生存を度外視した戦術など採用してはいけない。」

フェルト。
「わたしは雷撃戦が好きだから。」
「なるほど。」
「分が無い突撃はやめたほうがいいかしら。」

剣士。
「勇敢と無謀は違うぞ!」

環奈。
「なんか最終的に成功すれば勇者みたいな。」

剣士。
「そうだったりして。」

フェルト。
「実戦から学ぶことは多そうね。」
「実戦無き武術は役に立たない。」

屋上。

特に気配なし。

でも敵さん。

複数の方向から攻めてきたので。

対応できませんでした。

複数の方向から複数の手段で。

狙いは核の発射コードでしょう。

いまここに保管されているからです。

端末を操作すれば。

核ミサイルを動かせます。

敵主力部隊はミサイルサイロを攻撃していて。

こちらには特殊部隊。

屋上で敵と遭遇。

わたしたちを半分無視して進入していきます。

わたしたちの小隊5人と敵小隊3人が交戦。

敵があっという間に切り伏せられて。

対人戦を把握することができました。

みんな敵を追いかけていきます。

敵士官がエアークラフトで屋上に着陸。

なんと。

わたしとフェルちゃんだけ!?

敵兵2人と交戦。

女性ならではの身のこなしに。

敵兵はついてこれません。

女性は盾を装備しない傾向にあります。

回避を追及するためです。

敵は苦戦して。

ふたりのあまりの敏捷性に驚き。

怯みます。

こちらも攻めきれないです。

相手のガードが硬過ぎます。

屋上に残っていた部隊が援護に来て。

特殊なワイヤーを発射。

一度は斬られますが。

味方が果敢に組み伏せて。

敵の士官と将校は拘束されました。

わたしははぐれたので。

議事堂の中に慌てて追走。

フェルちゃんは仲間と合流。

わたしもデータリンクを頼りに合流しに行きます。

環奈。
「みんなどうして動きが乱雑なんだろう?」
「そっか!」
「相手がかき乱している。」
「攪乱!」

敵兵2人に発見されて攻撃を受けました。

横にひらりとかわして背中を頂きます。

もうひとり。

なんか横の動きに弱いですね。

ひらりとかわして。

距離をとって。

ミスするまで待ってみました。

敵は焦って。

突撃するも。

足払いで転んで。

足を頂きました。

環奈。
「そんなに強くないのかな・・・。」

剣士。
「おお!たいしたものだ。」
「探していたぞ。」
「敵がわざと滅茶苦茶に動いて攪乱している。」
「目的がわからない。」
「たぶん適当に攻撃して自分の存在を誇示しようとしたのだろう。」
「もう旧体系派は野放しにはならないぞ。」
「思い知らせてやる!」

環奈。
「ちょっと!足が速いです!」

敵兵総勢50人。

敵軍は使い捨て。

捨て駒的な兵士だけでしたが。

複数の目的を持っており。

5つあるうちの1つでも達成できればいいな的な。

中々の味の作戦だったそうです。

ミサイル・サイロにて敵軍撤退。

たまにあるのです。

戦争というものは。

戦争は世界のはじめからあるものです。

自然の摂理です。

人は戦争に多くの理屈を求めますが。

はじめから定まった宿命に抗うことはできません。

受け入れた者には力を授かるからです。

神が戦争によって人を試す事は知っています。

つい最近悟ったものです。

確かに。

私達は戦争を続けています。

必要があるからです。

でも。

平和の道を見つけることが大切です。

みんな知っています。

事後処理中。

フェルト。
「やるじゃない。」
「ふたりも殺るなんて。」

環奈。
「わたし思った以上にやれるんだね。」
「過小評価?過大評価?」

剣士。
「いい経験だったな。」
「そして生き残っている。」
「素晴らしいではないか。」
「新聞に載るかもしれない。」

環奈。
「自分を示せたのなら。」
「これ以上の名誉はありません。」

フェルト。
「まだ勝負はこれからよ?」

環奈。
「次はフェルちゃんが大活躍とか?」

フェルト。
「わたしの自慢話をたっぷり聞く事になるわ。」
「覚悟しなさい。」

環奈。
「オーケー!」
「このくらいで勝った気にならないよ!」
「まだ一回だけ勝っただけ。」
「最終的な勝利は未知の世界。」

剣士。
「謙虚でブラボー。」
「ほら新聞記者だ。」
「期待の新星?」

フェルト。
「今回はあなたの勝ちよ。」
「うふふ。」

環奈。
「え?コメント?そんな。」
「でも可能な限りお答えします。」

帰りの車の中で。

夜空が広がる。

わたしの1ページ。

流れ星があったから。

つぶやいてみる。

まだわたしははじまってはいない。

でも女性を極めようと思う。

私のやり方。

私自身の女性として。

やっぱり本来の女性とはこういうものでは?といつも思うの。

わたしは切符を買い求めてこうしている。

わかる?

切符が必要で。

いつか得られると。

そして出発するの。

わかる?

ちょっと人としての生々しさはあるけれど。

人は不完全ですから。

それらを包括しつつ。

女の子として。

わたしの存在はここにあり。


36


かんなちゃん。

着物スカートで外出して自然を満喫。

小川や森林にて。

小鳥のさえずりと。

鹿の姿もある。

リスが寄って来たり。

たまにパンをあげているハトさんがこんにちは。

環奈。
「世の中が明け進むこと。」
「わたしの望み。」
「文化。」
「人間が本来の理想を実現していく活動の過程。」
「人類は何を理想にしている?」
「それが愚かなもの。」
「無益なものだったら私はあざける。」
「尊いものでしたら。」
「素敵なものでしたら。」
「わたしは恋して眺めるでしょう。」

自然公園のあずま屋で。

着物姿の女の子を発見。

クラスメイトの千夜(ちよ)ちゃんが。

読書と執筆をしていたよ。

千夜ちゃんはこの国でもっとも有力な女性で。

新世代の中心人物です。

たまに会っていますよ。

環奈。
「わたしは装わない。」
「完璧を装わない。」
「人らしくすればするほど生が出る。」

千夜。
「確かに完璧を装ったり。」
「良い人に見せかける人がいる。」
「そんなそうじゃない?」
「でもそう言えるのなら。」
「真実にだって近づける。」

環奈。
「人について知りました。」
「人についての悟りあり。」

千夜。
「この世のことはもう既に知っています。」
「悟りあり。」


環奈。
「最近わたしこう思うの。」
「歴史の継承。」
「古来からの教えに学び。」
「人の原点。」
「永劫不変の真実に触れ合ってはどうか?」
「古き良き時代。」
「良い意味で古いとしたら?」
「知っていましたか?」
「古来が映し出す美しさがある。」
「人が辿ってきた歩みがある。」
「先人無くして私達はこの地に居ない。」

千夜。
「歴史を逆側から見てよ。」
「あの有名な民主主義でさえ樹立まで五千年経過したのです。」
「試行錯誤して出来上がった。」
「でも終わりじゃないよ。」

環奈。
「途中ってことだよね。」
「歴史は途中です。」
「偉人は何を教えてくれました?」
「偉大なものを教えてくれました。」
「天才はなにをもたらしました?」
「永劫不変の名作を生み出した。」
「英雄は大事業を成し遂げ。」
「政治家は民と国とに尽くした。」

千夜。
「庶民。」
「あの人達が何をしたいのか分からない。」
「何を求めているの?」

環奈。
「庶民?」
「人々はただ生活だけを求めたに過ぎないのでは?」
「しかし彼らにとってはそれで良かったのです。」

千夜。
「わたしたちは答えを急いでおり。」
「人類に絶望しています。」
「危険です。」
「楽天的に行きましょう。」

環奈。
「そのようです。」
「人類の革新を求め続け。」
「遂には人類に失望し。」
「絶望するようになった。」
「人の愚かさは確かにある。」
「わたしはそれでも良いと思った。」
「でも人類が歩みを止める時に。」
「わたしは窒息する。」
「同じ結果と同じ光景があるのは見るに堪えない。」

千夜。
「そこまで強大な力を身に着けた。」
「しかしそれは神様にお任せすればいいのですよ。」
「わたしたちは人を超えているのかもしれません。」
「もしかしたらもっとも愚かな答えに行き着いたのかもしれません。」

環奈。
「人類には大人になってほしい。」

千夜。
「世の中が明け進むこと。」
「人間が本来の理想を実現していく活動の過程。」
「人類は何を夢見てきたの?」
「何が望みでした?」

環奈。
「近代ではとにかく。」
「自然由来の考え方。」
「自然の道理に従っていく事を選んだ。」

千夜。
「もっとむかしはただ。」
「いい暮らしだけが目的でした。」
「庶民は良い暮らしをしたい。」
「その為に戦う道を選んだ人々がいる。」
「支配者が倒され。」
「権力者が交代し。」
「その連続。」
「本質的な進化が無かった。」
「永劫不変な教科書があるのに関わらず。」

環奈。
「歴史を継承する。」
「人の本来の理想は?」
「それを実現していくにはどうすればいい?」
「でもすべての事はしていいのです。」
「有益とは限らない。」
「人の描く理想がつまらないものだったら。」
「美しいもので無いのなら。」
「人類に対して絶望しか抱かない。」

千夜。
「でもいまは自然に還っている。」
「こう考えたらどう?」
「わたしだけ抜け駆け。」

環奈。
「それはいいと思う。」
「歴史は人を忠実に描く芸術作品。」
「歴史を見れば人という存在が分かる。」
「あれが人の本来の姿です。」
「信じようが信じまいがそれが現実ですよ。」

千夜。
「歴史の中に人の理想や夢。」
「信条や心構え。」
「人のすべてが詰まっている。」
「古本屋でもいい。」
「世界史の本を山ほど買ってきて。」
「歴史の持つ本質に迫ってみては?」

環奈。
「歴史を見ていれば。」
「人類の考えている事なんてお見通しです。」
「これだけ言いたいの。」
「むっとくる。」

千夜。
「まあまあ。」
「人類が自ら選択して。」
「自然の道理を選んだのですから。」
「近代史において人類は美しくなってない?」
「歴史という名の芸術作品。」
「小川と森林と。」
「草地と花々と。」
「この池の上のあずま屋。」

環奈。
「別に。」
「ちょっと阿呆やっていたむかしの時代に。」
「文句付けてやっただけなんだから。」

千夜。
「暗黒時代の事を言っているのね?」
「ああいうのは訓戒よ?」

環奈。
「いつでも人類のしくじりは教訓だよねー。」

千夜。
「こういう類の疑問や模索はよくあること。」
「雛鳥が大鷲に成っていく過程の出来事。」
「こんな感じでいいのよ。」

環奈。
「怪鳥鷹を鷲掴み。」

千夜。
「怪鳥対怪鳥。」
「さあてチェスをやってもらおうかしら。」

環奈。
「いやー!!」
「10勝12敗!!」
「いつも激戦になる。」
「すり減る。」

千夜。
「ではカードゲームは?」
「キャラクターデッキあるわよ?」

環奈。
「それだったら楽しく闘えるよ。」
「チェスはさすがに剣振るえば終わるなんてものじゃないから。」

千夜。
「簡単なのがいいわよね。」
「神代。」
「この国は神話の時代から続いているのよ?」
「原始時代からではない。」
「神話の時代からはじまっているのよ?」

環奈。
「原始人はどうやって発生したのですか?」
「海の生物から進化?」
「海の生物。」
「基を辿れば無から有が生まれている。」

千夜。
「人が理解できないから。」
「適当に理由を付けたのよ♪」

環奈。
「理解できない言い訳?」
「それはそうだよねー。」
「とりあいずこじつけて。」
「現時点でなんでも知っているかのように振る舞いたい。」
「じゃないと不安でたまらないらしい。」

千夜。
「わからないほうが神秘的でいいわあ。」
「人知では理解できない不思議なこと。」
「神秘的。」
「人間の知恵では量り知れないような、不思議なさま。」

環奈。
「霊異。」
「人間の知恵では量り知れないほど不思議なこと。」
「霊妙。」

千夜。
「人の理解力を超えているから。」
「有神論を極めるとこんな感じね。」

環奈。
「とりあいずその伏せた魔法カードのコンボ。」
「えげつないんですけど。」

千夜。
「勝負も時の運。」
「強いから勝つものだ。」
「なんて思ってませんか?」
「勝手に自分が強いと思って。」
「弱いと思った相手に対して攻撃前から勝利宣言。」
「これが内容です。」
「むかしのひとは自分が勝つなんて知らなかった。」
「勝利したからそれを見て結果論で勝敗を量るのよ。」

環奈。
「それは迷妄です。」
「っていうか全滅。」
「これで巻き返すよ。」

千夜。
「ちょっと。」
「最後のコイントス。」
「これで勝負が決まります。」
「あらら負けちゃった。」

環奈。
「辛勝。」

千夜。
「青春時代の貴重な1ページ。」
「わたしはまだ訓練するから。」

環奈。
「わたしも。」
「こういう修行時代を終えて。」
「羽ばたいていく。」

千夜。
「神様はわたしがすべき事をわたし以上に知っておられます。」

環奈。
「人類はどう進むのかな?」

千夜。
「暗黒時代の人々は愚者で満ちていた。」
「近代史は賢明な人々で満ちている。」

環奈。
「楽観的になれるかな。」
「腐敗・退廃・堕落を見てしまったから。」
「今後の人類がどうなるのかなと。」

千夜。
「順正で居てくれますよ。」
「これからも。」

環奈。
「そうだよね。」
「とりあいずお城は完成したって感じだから。」
「人類が次に何を築き上げるかを期待!!」

千夜。
「わたしたちも参加しますから。」
「この世界では役者は揃っています。」
「花を髪に付けてみて。」

環奈。
「キャー!!かわいい!!」
「アメシストの髪飾りとふたつでひとつ。」

千夜。
「また夜に会いましょう。」
「女の子やってますよね。」

環奈。
「女の子。」
「女性とは?という問いの中に見出す。」

千夜。
「学びて思わざればすなわち罔(くら)し。」
「思いて学ばざればすなわち殆(あやう)し。」

環奈。
「学んでも考えなければ。」
「はっきり理解した状態にならない。」
「また、考えるだけで学ぶことがなければ、独断に陥り危険であるということ。」
「また夜にっ!!」

ふたり別れて。

家に帰って。

テレビ。

テレビは良いニュースばかりで。

暗いニュースは分けられていて。

今日の最悪10選という名前で定時に発表されます。

経済が完成されていますので。

文化が発展しており。

宗教も同時に繁栄しましたよ。

キャラクターグッズならいくらでもありますから。

自分達で創る方法とかも学校で教わるほどです。

林に囲まれた住宅地。

村のような体系が維持できるのは。

人口が自然に減ったからですね。

女性の3割が自由意思によって結婚を破棄し。

減っていきました。

いまでは同じ水準を維持していますが。

半分になったからです。

夜。

池の上のあずま屋。

蛍が発光して霧も少しある。

幻想的な世界。

環奈。
「綺麗な世界に女の子がふたりきりで。」
「なんか美しくない?」

千夜。
「あらまあ。」
「これぞ女の子って感じで。」
「決まったわあ。」

環奈。
「小雨が降ってきたよ。」

千夜。
「題名。」
「女の子そこにあり。」
「綺麗過ぎるわ。」
「とってもいい。」

環奈。
「オーロラ?」

星空の中にオーロラ。

流れ星が煌めく。

環奈。
「平和の為に戦う人々の。」
「涙のよう。」

千夜。
「戦争もある世界ですが。」
「義戦が多く。」
「聖戦がほとんどで。」
「無益な争いはしません。」

環奈。
「争いは普通にある。」
「でも少なくともわたしは義戦のみ。」
「戦争は実在する。」
「いかなる争いも実在する。」
「ありのまま。」
「わたしは戦いは否定しない。」
「故に様々な者達を倒せる。」

千夜。
「戦争はあります。」
「ただそれはあります。」
「否定しても意味がありません。」
「矛先がこちらに向いたら。」
「戦うしかありませんもの。」

環奈。
「むかしは政権が弱体化して腐敗したり。」
「交代が必要で。」
「その都度権力が倒され。」
「その中で世の中は培われてきました。」

千夜。
「その蓄積が今にあるのです。」
「わたしは肯定しようと思います。」
「否定ばかりじゃ駄目ですから。」

環奈。
「静謐こそ平和の形。」

千夜。
「わたしたちの目的はいつだって天下太平です。」
「これを再確認しましょう。」

環奈。
「記念撮影♪」

千夜。
「うふふ♪」
「こんな綺麗なひととき。」
「この世は不思議ですね。」

環奈。
「反対だよ。」
「人の理解力が愚かなだけ。」
「人の認識力には限界がある。」
「不可知論。」
「あの星になりたい。」

ランプを灯して。

綺麗な池での。

かわいい夜会でした。

夜の美しさがあるんですよ。

家に帰って。

まだ時間がありました。

時も自然の法則。

可能な限り。

勉強に励みます。

思えば最近遊んでばかりでしたから。

遅れを取り戻しますよ。

いまのご時世。

世の中に天才の女性が溢れて。

女性の世が到来しているいま。

わたしの心境が杞憂だと知りました。

楽観視していますよ。

だって。

これに集約されております。

ローマは一日にして成らず。


37


小野田防衛大臣が馬を走らせて。

鷹狩りを楽しんでいます。

かんなちゃんはその様子を見に行って。

むかしながらの遊びの味の良さ。

これを見学したのです。

武士の大物。

奈良氏という大御所も同行しており。

華々しいメンバーでした。

この国では騎士は国家の直轄。

武士は王様に所属。

似た者同士ですよ。

宗派の違いと同じなんです。

この後は茶室に出向くそうで。

いいえ。

散歩していたら偶然に遭遇したのです。

環奈。
「神妙だなあ。」
「人の知力を超越した現象・不可思議な事。」

武士。
「借問する。」
「数奇者ではないか。」

環奈。
「御仁。」
「好きで見ているのが所存。」

武士。
「天晴。」
「益体なるぞ。」
「指南は誰ぞ?」

環奈。
「教化されし。」

武士。
「ここまで来ると祝着よ。」

環奈。
「士道たるもの。」
「昵懇ですよ。」

武士。
「己の役儀のため。」
「御明察。」
「女性とはこのようなお人の事を言うのでしょう。」
「驍名は本物ですな。」

環奈。
「諧謔だなあまったく。」

武士。
「謙徳を。」
「充分に楽しんでいかれるが良い。」

全員去っていきます。

丘の上に茶室があって。

湖を見下ろせます。

環奈。
「結局。」
「男性の偉人から学んだ事が多いなあ。」

虚言人。
「道化師の一団が来ますので。」
「巻き込まれないように。」

環奈。
「あらまあご忠告ありがとう。」

花畑に入って。

戯れています。

環奈。
「私曲だけは気を付けたいなあ。」
「邪(よこしま)で、不正である事。」
「物事を自分勝手に解釈して、曲がった考え方をする事。」
「それにしても道化師の一団?」

道を伺っておりますと。

確かに道化師の一団が来ましたが。

武装しております。

後を付けてみましたよ。

かなりの婆娑羅です。

噂の朴念仁でしょうか?

暗黒騎士ゼノ。
「どちらが正しいか戦って決めようではないか。」

従者。
「民の理想郷が実現しますな。」

暗黒騎士ゼノ。
「民主主義をはじめましょう。」

従者。
「人間中心主義のはじまりだ。」
「人類史上主義だ。」

暗黒騎士ゼノ。
「人類はどちらを取るかな?」
「私のような偽悪者か?」
「それとも究極をか?」

革新が迫っている中で。

生まれた過激派。

民主主義と称して。

人間のわがままを実現する為に。

大金と引き換えに戦いを選んだ偽悪者の一派。

世界の一部だけの人間の支持を得て。

条理に背こうと。

でも成功すれば莫大な報酬が得られるので。

それが目当て。

暗黒騎士ゼノ。
「何にも縛られたくない。」
「だから自由を強調した。」
「滑稽じゃないか。」
「自由を実現すれば好きなように居られるから。」
「自分達の為だけにあれを引き合いに出した。」
「人間による人間の為の政治こそ民主主義。」
「図星かな?」
「私はそいつらを利用しているだけだが?」

従者。
「悪役も苦労するんですわあ。」
「でも報酬と比べると。」
「大金のほうが魅力的だ。」

暗黒騎士ゼノ。
「後で裏切ってやるさ。」
「まずはね。」
「人間による人間の為の政治。」
「これを実現させてやる。」
「それが民主主義の本質とはね。」
「笑いが止まらないよ。」

15人が丘への道を上がっていきます。

通り過ぎるのを見ていました。

戦闘が始まったので。

退避。

逃げた先にさっきの一団のリーダーが来ちゃいました。

暗黒騎士ゼノ。
「あらららら。」
「あっさり負けちゃったじゃないの。」

従者。
「人間による人間の為の政治。」
「ただ自分勝手に振る舞いたいだけじゃないの。」
「これでは報酬どころじゃないですよ。」

暗黒騎士ゼノ。
「あそこにいる女の子でも人質にしようか?」

環奈。
「神妙だなあ。」
「討ち取れたらおもしろいと思っていた所。」

従者。
「おい馬鹿共。」
「3対1だ。」

環奈ちゃんに撫斬りにされて全滅。

暗黒騎士ゼノ。
「おお。」
「これでは大金どころではない。」
「ステージから降ろされる。」

環奈。
「自分たちにだけ都合が良い政治って意味ですよね?」

暗黒騎士ゼノ。
「そうだとも。」
「何者にも縛られない。」
「好きなだけ快楽に浸り。」
「何者の支配も受けない。」
「こんなに自分の都合だけを考える政治思想は無いね。」

環奈。
「そんな中で人がどんな堕落をするか。」
「腐敗して愚者へと変貌するか。」

暗黒騎士ゼノ。
「いいんじゃない。」
「民なんてそんなことくらいしか考えないし。」
「自分たちにとって都合が良い政治を敷ければ満足。」
「その中で快楽と安楽が望み。」

環奈。
「気持ち悪いです。」
「神々の怒りを買います。」

暗黒騎士ゼノ。
「いまなら止められるぞ?」
「私を倒せたら一角は崩れる。」
「どうだ?」

環奈。
「私の望みは神聖な世界。」

暗黒騎士ゼノ。
「私がやるのは。」
「人間の都合だけを考え抜いた世界。」

環奈。
「さようなら。」

暗黒騎士ゼノ。
「中々勇敢な女の子だ。」

環奈。
「勇気が私の持ち味。」
「義をみてせざるは勇なきなり。」

林の中で決闘。

敏捷性がかなり高く。

一撃離脱を繰り返すかんなちゃんに。

ゼノは大苦戦。

暗黒騎士ゼノ。
「この動きは驚異的だ。」
「力そのものが具現化したような。」
「それでもって。」
「必ず1手先を潰しに来る。」

環奈。
「動きが遅いです。」
「あなた。」
「本気を出していませんね?」

ゼノは斬りに行けば。

側面を見せたかんなちゃんに。

ひょいっと避けられて。

ぴょんぴょん軽やかに回避され。

剣を捉えられない。

反撃は常に一撃離脱。

ゼノは成す術が無い。

暗黒騎士ゼノ。
「でもなんだろう。」
「動きに迷いを感じる。」
「何かが完成されている訳でもなく。」
「それでもって確実に強い。」
「そうだ!この娘の哲学は完成されていないんだ!!」
「これは行ける!!」

暗黒騎士ゼノがかんなちゃんを追いかけたら。

フェイント。

わざと相手の射程ギリギリで戦い続けて。

ミスを誘っていたのです。

ゼノは深追いする形となり。

ざっぱぎり。

剣の持ち手を鮮やかに斬られて負傷するゼノ。

追い打ち。

バランスを崩した所を。

切り倒された。

暗黒騎士ゼノ。
「シーユーアゲイン。」

環奈。
「意外に装甲があるんですね・・・。」

負傷して逃げていくゼノ。

追いかけません。

敵の援軍と味方の援軍でもう1戦あって。

ゼノは行方不明になりました。

しかしゼノに負傷を与えた事が知られて。

かんなちゃんの技量は明らかにされ。

それなりに名が知れた存在になりましたよ。

かんなちゃんは定評があり。

それが知れ渡る事件となりました。

かんなちゃんには太鼓判が付いており。

もう言うことなしの次世代エースなんです。

新聞でも載りました。

次世代エースまた快挙!ってね☆

女性らしい女性を追い求めて。

女性とはなんでしょう。

問いがあり。

ただ女性という存在の真の姿を追い求めています。

いつか辿り着くのです。

女性の本質に。

女性の真理に。

窓から草原と花畑を見て。

わたしの青春を記します。

それは岩に刻むかのような。

儚く散る花とは異なった。

永遠を意味して。

いつの日か辿り着く。

あの場所へと向かっています。


38


夏休みも残り僅か。

王国祭が開かれ。

みんな思い思いに楽しんでいますよ。

句会やお茶会。

軍事パレードに。

演武や舞を踊る女性たち。

スポーツの試合は特に。

素人2人でプロ1人に対して戦うテニスハンデバトルなど。

スポーツ選手は激戦の日になっているようで。

市民にとっては憩いの時。

みんな出し物を持っていて。

それを披露したりも。

芸人やマジシゃンをはじめ。

各種イベントが一斉に行われる。

その中でもっとも人気があるのが騎士同士の試合なのです。

闘技場で練習剣を使って。

しかも市民も参戦できるという破格のイベント。

わたしはじっくり鑑賞。

渚沙。
「予想以上に強いわね。」

麻友。
「いつの間にか接近していますよ。」

心玖。
「瞬間的にスピードを上げる歩行テクニック。」
「あと。」
「体の限界以上の動きもできるみたい。」

環奈。
「それを維持できるの?」

心玖。
「通常の1倍なら体がついていけるらしいよ。」
「体の上限を大きく上回ると故障するとか。」

環奈。
「そんな技もあるんだ・・・。」

渚沙。
「やけにシンプルな技を使うわね。」

環奈。
「実戦では難しい技とか仕掛ける暇が無いんだよ。」
「形にこだわっていると余計に弱くなったり。」
「形にこだわると抜けない。」
「高度な技を仕掛けようなんて。」
「実戦ではまずできないよ。」

渚沙。
「だからシンプルな技に絞られていくのね。」

麻友。
「確かに複雑な技をかける暇は戦闘において皆無です。」
「確かに形ばかりに囚われると弱くなります。」

環奈。
「臨機応変自由自在。」
「剣術の秘伝だったり。」

心玖。
「あのパワーはどうやって出しているの?」

環奈。
「筋肉は量じゃなくて質だから。」
「トレーニングではなく実践的な訓練であそこまでの怪力になるんだ。」

麻友。
「ああ。」
「大柄な男性が吹っ飛ばされた。」
「フィジカルが違うんですね。」
「次元が違う訓練を積んでいるのでしょう。」

環奈。
「チャレンジャーが全滅した?」

渚沙。
「あんだけ強ければ挑む者もいなくなるわよ。」

環奈。
「うふふ〜♪」
「かんなが出て行って。」
「チャレンジしてみるのだ。」

心玖。
「ガールズパワー。」
「相手にパターンがあるみたい。」

環奈。
「見ていたよ。」
「でもあれは手加減している証拠。」
「行くよー。」

かんなちゃんが闘技場に降りました。

ルプス。
「ほう?相手は小十郎殿の娘じゃないか。」

環奈。
「わたしに倒される覚悟はよろしくて?」

ルプス。
「おもしろい。」
「やってみなよ。」

環奈。
「まさか手加減したりしないですよね?」

ルプス。
「してあげようか?」

環奈。
「後で言い訳にしないでくださいね。」

ルプス。
「倒せたらいいなあ?」

環奈。
「あらまあ。」
「いつから道化師になったのかな?」

ルプス。
「単なる無謀なだけでは?」

環奈。
「恐れているのかな?」
「これは情けない。」

ルプス。
「あなたの心配をしてあげているのだ。」

環奈。
「そんなかわいそうな台詞を言うのであれば。」
「お互いを思いやりましょう。」

ルプス。
「いいやそれは結構。」
「ただいつものように向こう見ずであると覚えがあるもんですから。」

環奈。
「まあそれを見分けられない辺り。」
「同情する他ないですよ。」

ルプス。
「なるほど大きく出たな。」

環奈。
「あなたのそれが名札でしたら。」
「そんな悲劇はないのですから。」

ルプス。
「よし分かった。」
「来るが良い。」

観客が盛り上がる。

歓声で満たされる闘技場。

カメラがズームイン。

練習剣を抜いて。

斬りかかるかんなちゃん。

軽く弾いて連撃を浴びせてくるが。

かんなちゃん。

ひらりと回避していく。

ルプス。
「!?」

環奈。
「考えてから動いたら遅いんです。」
「自然体。」
「自然に体が動かないと遅い遅い。」

ルプス空振りする。

反撃されて受けるのがやっとのルプス。

ルプス反撃するが。

横やナナメに動いて。

射程ギリギリに陣取り。

剣で弾きながら。

防御するかんなちゃんに苦戦。

ルプス。
「動きが読まれている・・・?」

環奈。
「相手の動きがわかる。」

冷静沈着なかんなちゃん。

ルプスは興奮しているので。

読み間違えたようだ。

環奈。
「戦いに興奮は禁物。」

ルプス。
「むう・・・思ったよりやるのか・・・。」
「侮ってしまった・・・。」

環奈。
「ペルソナ・ノン・グラータ。」

ガードした相手に対して。

剣を押し付けて。

ナナメに逸れながら。

肩や側面に一撃入れる連続技。

一撃離脱技のひとつ。

ルプスは防御に成功するが。

バランスを崩してしまう。

環奈。
「クォ・ヴァディス。」

ジャンプ気味に一撃入れたら。

それがフェイントで。

すぐに回転しながら相手の後ろに回り込んで。

斬りつける。

ルプス後退して避けて。

反撃するも。

既に射程外に一撃離脱されている。

環奈。
「ヤクタ・アーレア・エスト。」

今度はシンプルな技のみの攻撃。

コンパクトで鋭く。

攻撃と回避を同時に行い続けて。

ルプスはかんなちゃんを捉えられない。

ルプス距離を詰めて突進しようとするが。

読まれていて。

避け際に一撃。

有効の判定を受けてポイントを取られてしまう。

観客は大喜び。

ルプス。
「調子に乗ってくれたな・・・。」

今度は長期戦に持っていかれて。

興奮気味に剣を振るうルプスにミスが多くなる。

素早く。

同じ場所に留まらない。

蝶のように舞い。

蜂のように刺す。

クラスメイトでボクシングが上手な娘がいて。

そのような敏捷性も学んでいたのです。

むやみに接近すると投げられますが。

かんなちゃんは知っていて。

足や太腿。

腰や腹。

肩など。

頭まで。

いろんな部位に攻撃を繰り返し。

防戦一方なルプス。

鈍重な動きを訓練されていて。

どうしてもその場に留まって身構えてしまうようだ。

形を持たない変則的な剣術に大苦戦が続き。

ルプスは遂に崩されてしまう。

バランスを完全に崩して。

かんなちゃんのペースに呑まれる。

環奈。
「剣ってこういう使い方もできるんですよ?」

剣を突き上げて。

グリップを逆さに持ち替えて。

上から突き刺す。

ルプスなんとか打ち払うが。

向きを回転して後ろ振り返り斬りを食らう。

また有効の判定。

反撃でかんなちゃん。

一撃もらう。

2−1。


ルプス。
私に謬錯が!?」

かんなちゃん。

足元を斬りつけて。

また有効の判定。

返し刀で振り降ろしをガードしつつ。

ジャンプして後退。

動きが鈍重なルプスが追いかけるが。

横から回り込まれる。

ルプス。
「なんと!!」

環奈。
「どうやら下段ががら空きみたいですなあ。」

討ち合いになると必ず横に逸れたり。

後退を繰り返すので。

ルプスはさすがに勝ち目を失った。

環奈。
「わたしは剣の使い方を知っている。」
「あなたは剣術を学んで戦い方を知っている。」
「剣そのものについて知らないのです。」

ルプス。
「なんとか討ち合いに持っていけば・・・。」

射程ギリギリで仕掛けてしまい。

ミスした所を。

連撃を入れられて。

ルプス一本を取られて敗北。

観客は大はしゃぎ。

環奈。
「さすがエリートでした。」
「ギリギリ勝てた。」

ルプス。
「さすがあのお方の娘だ。」
「よく鍛えられている。」
「それに自分でよく工夫しているし。」
「自分を高めた。」
「私が剣の天才ならば。」
「あなたは鍛錬の天才だ。」

環奈。
「これは光栄です。」
「ようやく自分を証明できたというもの。」
「元々は真理の為にやってきたこと。」
「実も結ぶものです。」

握手して。

観客に決めポーズ!!

みんなで拍手喝采。

階段で元の席に。

これを見てチャレンジャーが次々と出て行って。

30人中。

騎士が交代しながら。

3人ほどの勝利者が出ました。

フェルちゃんもそのひとり。

いつの間にいたのかな?

連絡無かったです。

自慢するため?

えー?

渚沙。
「やるじゃないの。」

環奈。
「あれでもギリギリ勝てるくらい。」

心玖。
「でもみんな称えているよ。」

麻友。
「武勇伝になりましたね!」

環奈。
「少なくともわたしは本物だそうです。」
「ひとつの到達点なのかな。」

渚沙。
「誰かが手本を見せないと。」
「それがあんたにまわってきたんだと思うわ。」

環奈。
「フローレンス・ナイチンゲール。」
「マザーテレサ。」
「ジャンヌ・ダルグ。」
「女性のお手本はいくらでもいらっしゃいました。」
「女性らしい女性でいたいです。」
「それがわたしの目標。」
「わたしを岩に刻め。」

国民の歓喜が顕現した王国祭。

エリート騎士相手に試合で勝利する。

期待の新星としての名声を高め。

他のエース女子と共に並ぶことができました。

実はわたしの他にも強力な女の子は多数いて。

少しでも手を抜くと負けちゃうんです。

先駆者めぐみちゃんとか。

グリズリーを多数仕留めたチャレンジャー結衣ちゃんとか。

ゲームマスター蒼井ちゃん。

天才哲学者の弟子である奈々ちゃんとか。

虹色アーティスト時雨ちゃんとか。

スーパーアイドル澪ちゃんとか。

遅れを取らないように注意しつつ。

しかし。

この夏休みは。

わたしにとって。

黄金時代なのでしたよ。

女性とはこうである。

なんて正解を定義付けると。

正しい女性とはなに?という問いまで行き着きません。

究極の女性。

しかし女神様は女性がなんであるかを教えてくれるのです。

ただわたしは習うだけ。

結論に辿り着きつつ。

わたしたちの時代が訪れます。

黄金時代の再来へ向けて。

そして。

わたしの存在が石板に刻まれて・・・。


39


河原にあるベンチでおやつを食べている千夜ちゃんと環奈ちゃん。

フェルトが追加のお菓子を持ってくる。

千夜。
「久しぶりね。」
「弁論大会では楽しかったわ。」

フェルト。
「意見交換としては面白味があったわよ。」
「人それぞれ意見が違うし。」

千夜。
「意見が理にかなっていれば。」
「だけれど。」

フェルト。
「賢明な意見は誰でも欲しがるわ。」

環奈ちゃん。

世界史の地図を持ち出す。

世界の年表と地図が描かれている。

少し分厚い。

環奈。
「歴史に人類は示されている。」

千夜。
「歴史・世界史を見渡すと。」
「自国の繁栄。」
「物的な豊かさ。」
「よりよい暮らしを求めた人類の足跡がある。」

フェルト。
「戦争ですら。」
「自分たちの望み。」
「理想の為に。」
「邪悪な者を滅ぼす事もあるわ。」

千夜。
「日本では世の乱れが激しく。」
「乱世を治めるべき人物が常に必要とされた。」
「その政権がやがて廃れると。」
「また次の新しい政権が建てられた。」

環奈。
「彼らはまず王様を立てることによって。」
「自分たちの権利を保障してもらえると覚えた。」
「王様に委託すれば。」
「原始的な形態から脱出できると知ったから。」
「そのまま原始的な争いを続けるよりはずっと良かった。」
「これを自然に覚えた。」

千夜。
「人類に何かの望みはなく。」
「求めているものは何もない。」
「理想を掲げず。」
「現状維持に陥っている。」
「向上心はあるんだけれど。」

フェルト。
「まず自分たちの文明を確立させることに情熱を注いだから。」
「いにしえから受け継がれた教えは今日にも活きている。」
「天地創造の時から受け継がれてきた教えはいまもある。」
「教えを受けた人のみ。」
「自分の大黒柱を建てられる。」

環奈。
「世界史で行われてきた出来事は。」
「文明を確立し。」
「基本が出来上がる過程。」
「人類の歩みが記されている。」

フェルト。
「人や人類をよく説明する解説書なのよ。」

環奈。
「人類は何を理想としているの?」
「何を求めているの?」
「何が望みですか?」
「問われて初めて気付く。」
「答えを急いではならない。」
「人は賢明であったほうがいいのです。」

フェルト。
「文化はいにしえから受け継がれ。」
「ここにもあるから。」
「私は完全な新作は存在しないと思う。」
「受け継いできたものから創造される。」

千夜。
「文化を受け継ぐ。」
「これは基本。」
「歴史をおさらいしてみる?」

フェルト。
「賢者アリストテレス。」
哲学者の元祖タレスから繋がる。」
「ソクラテス。」
「プラトンによる三賢者。」

環奈。
「フロネシス。」
「神知の気付き。」
「知恵は強過ぎると良くない。」

フェルト。
「高度な知性。」
「フロネシス。」
「自分の基本原理になる。」

環奈。
「フロネシスは言わば知性の高度化。」
「コントロールの高度化を意味するよね。」

千夜。
「フロネシスは高度な知性。」
「中庸の徳性。」
「たとえば。」
「臆病と無謀の中間は勇敢。」
「この徳性によって。」
「実践に向く知性へと成立する。」

フェルト。
「過剰や不足に偏らない。」
「専門書に書いてあるわよ。」

環奈。
「これは美しい知性です。」
「フロネシスでわたしは機能しているほど。」


千夜。
「やっと知性の真理に到達したのです。」

フェルト
「知性にも真理がある。」
「高度な知性があるのだと知ったわあ。」

千夜。
「到達点ですよ。」


環奈。
「最近戦争が多くないですか?」

フェルト。
「戦争中毒にならなければいいけれど。」

千夜。
「戦争も時に必要です。」

環奈。
「相容れない故に争う。」
「主権の為に。」

フェルト。
「負けたら主権を奪われる。」
有史以前から戦ってきた。」
「いまもあるのです。」
「これは自然の摂理。」

千夜。
「しかし戦争に対する批判が無かった。」
「それで正義の為の戦争。」
「聖戦を知らなかった。」


フェルト。
「戦争は多いけれど。」
「義民のために。」
「正義のために身を投げ出して働く人たち。」

環奈。
「そうですよ義戦。」
「正義のために起こしたいくさ。」

千夜。
「常に義であるかに注意が必要。」

フェルト。
「義戦であれば戦争も正当なもの。」
「そうでなければ批判の的?」

環奈。
「ノーベル博士。」
「平和に対する考え方は他の活動家と違っていましたよ。」
「ズットナー夫人と手紙のやり取りをしつつ。」
「考え方の違いに疑問があったそうです。」

フェルト。
「ベルタという人の活動ではっきりして。」
「ズットナー夫人の著書。」
「武器を捨てよ。」
「これが大きな影響を与えているわ。」

千夜。
「その頃から慈善活動に目覚めて。」
「慈善家として活動していますので。」
「平和について正しい見解があったのだと思います。」

環奈。
「彼らはクリスチャンでも無いのに。」
「なぜ平和について語れたのかは知りませんが。」
「ノーベル博士は良い所を吸収して。」
「物にしていたみたい。」

千夜。
「戦争中毒になったらいけませんし。」
「でも戦争に参加した人ですから。」
「平和について悟った人だったかもしれません。」
「福祉の英雄です。」

フェルト。
「ノーベル博士については史実を基にした資料漫画があったり。」
「彼は神様が送り込んだ使者なのかしら。」

千夜。
「間違いありません。」
「偉人を称える賞を創設したのですから。」
「人類のために大きな貢献をした人々に毎年賞が与えられるのです。」

フェルト。
「では私利私欲ではなく。」
「受賞の基準は人類の為に大きな功績をしたのか?こういう意味です。」

環奈。
「道理からしてそうでしょう。」
「つまらない人物が受賞したら。」
「ノーベル賞の意味はありますか?」

フェルト。
人類の為に大きな貢献をした人のみに与えられます。」

千夜。
「私利私欲で取ろうとする人間を非難します。」
「愚か者め。」

フェルト。
「にしても創造性って不思議よね。」

千夜。
「ポイエーシス。」
「製作に関する魂の状態。」


環奈。
テオーレイン。」
「創造性について考察するという意味。」
「わたしはルネサンスの創造性の考え方を否定します。」
「創造性は神秘的なもので。」
「人間中心のものではないのです。」
「神様中心のものなのです。」
「よって。」
「とても不思議なものが創造性。」
「創造性は不思議なもの。」

千夜。
「やはり神様中心の文化は有り得るわあ。」
「芸術家がジーニアスではないから。」
「ジーニアスという名前の何かの助けがあるからジーニアスで居られる。」

フェルト。
「人間の知恵・理解が及ばない奥に入った所にジーニアスは居るわよ。」

環奈。
「神様中心の文化になると。」
「どうしても高度な知性や技術が確立されるよね。」


千夜。
「フロネシスもそのひとつ。」
「知性に真理あり。」
「わたしたちは高度な領域に足を踏み入れている。」


フェルト。
「フロネシスの要点のひとつ。」
「知性の真理。」
「高度な知性とはこのようなものだと説明してくれているのです。」
「知性の確立がアリストテレスのメインテーマだったんだよ。」
「適当に知性を持っていたら制御も使い方も分からない。」
「それを徹底的に研究して安全に使用・習得しようと言う試み。」

環奈。
「確かに知恵は放置すると何かしら振り回してしまったり。」
「そこまで上手に管理ができない。」
「知性の確立という点において必要な真理というわけですね。」

フェルト。
「知性を確立する?」
「素晴らしい。」
「この世で最高のモノ。」
「最高のひとつだわ。」

千夜。
「わたしたちは神様から訓練を受けているから。」
「天才でも早熟でも無さそう。」
「いにしえの賢者たちを理解できるのです。」


環奈。
「わたし達は花のように咲いて散るのではなく。」
「岩のように永く。」
「よって必要な訓練が生じている。」

千夜。
「そうですよ。」
「わたしたちは岩のように永く。」
「その為に必要な訓練を受けている。」
「神様に頼んだから。」
「最後に待つ永遠とはどんなもの?」

環奈。
「まだ道半ば。」
「ルネサンスが人間中心の文化なら。」
「神様中心の文化があっても良いはずだよね。」
「神様から教わっている。」

千夜。
「神様中心の文化?」
「それは大ありです。」
「悪影響の集大成ルネサンスの逆ですから。」
「やっぱり。」
「人にとっていちばん良いのは。」
「神様から教わることです。」
「すべて必要な事を教えてくれます。」
「ただこれだけで良いのです。」

フェルト。
「最近それを知って。」
「確かに。」
「人はいろいろ確立してきたけれど。」
「中には駄作とか迷作もあるから。」
「いにしえの教えも忘れかけていた。」

千夜。
「フロネシスもわたしの到達点。」
「神様から教わってようやく辿り着いた。」
「人から教わるものには間違いや愚見も少なくない。」
「そうやって積み重ねて。」
「人間色に染められるよりは。」
「全知全能なる神々に教えを乞うのがもっとも適切だと悟ったのです。」

フェルト。
「賛同するわ。」
「でも人が築いてきたものは無駄じゃないから。」

環奈。
「それはそうだよ。」
「正統なものはこの世にいくらでもあるよ。」

フェルト。
「私が見出したのは有神論者の結論。」
「神様から教えを受けるのがもっとも良いわ。」

千夜。
「神様は全知全能であられます。」
「それでもう言うことはありません。」

フェルト。
「まあ楽観視するわ。」
「ただ神殿に赴き。」
「言うとおりにする。」
「叛意を捨て。」
「なんとかやっていく。」

環奈。
「神様から教わる。」
「やっぱりこれが一番!」

フェルト。
「歩いていく過程で示される。」
「不思議な導きでそれは出てきて。」
「間接的な寺子屋のよう。」

千夜。
「それでいいんです。」
「それで。」

環奈。
「人として人らしく。」
「わたしたちって思想家?」

フェルト。
「たぶんそう。」
「自分の意見は言わないと。」
「しかし正しいとは限らない。」

千夜。
「結婚とかしますか?」

フェルト。
「無理にする必要はないと思うけれど。」
「個人によって違うわ。」

千夜。
「わたしは結婚する必要が無いわ。」

フェルト。
「私は競争が特に疎ましい。」

環奈。
「わたしは競争には加わらないことにした。」

フェルト。
「競争は常に勝者と敗者に分かれる。」
「全員が勝つわけではない。」
「必然として多くの人が敗北者になる。」

環奈。
「成功するのは一握り。」
「彼らは自分がその勝者になると思っているんです。」
「信じて疑わない。」

フェルト。
「あらまあお気の毒。」


千夜。
「人間中心主義だと。」
「大体が実力ではなく。」
「気に入られれば上へ。」
「媚びへつらいがすべて。」
「そんな簡単な構図が競争。」
「贔屓の引き倒し。」
「ひいきも度がすぎると、その人のためにならないこと。」
「むしろ、害を及ぼし、悪い結果を招くことが多い。」


環奈。
「愚かな人間の事ですから。」

フェルト。
「人間に対する批判が無いのが駄目なのよ。」

環奈。
「人類は自分の愚かさも乗り越えて行くのです。」

千夜。
「天の道理って知ってる?」
「それを適用してみて。」

環奈。
「ローマは一日にして成らず。」
「ローマ帝国が築かれるのに長い年月と努力が費やされた。」
「ということから。」
「大きな事業は長い努力の積み重ねがなければ。」
「成し遂げることはできないということのたとえ。」
「パリは一日でできたのではない。」

フェルト。
「一見有り得なさそうな事だけれど。」
「これが真実なのよ。」
「やるだけやれば。」
「人類が誤っても私の責任にはならないわ。」

環奈。
「それを悟ってからは楽観視できるようになったよ。」

千夜。
「天の道理に従ったらどう良くなるか?」
「そういうことよ。」

フェルト。
「自然の道理と天の道理が大切ね。」
「人類に失望したのは理解できるわ。」
「それはまともな人という意味なのでは?」
「人類を批判できる立場という意味。」
「あなたは別の存在だから。」
「失望して当然だし。」
「どうにでもなるのよ。」

環奈。
「なんの糸瓜。」
「わたしの思想。」
「人生・社会に対する見解は自然の道理によるもの。」
「自然由来の考え方。」
「道理に従っている事が順守される。」
「これがすべての思想です。」

さんにんでお菓子を食べて。

河原の風景を楽しみました。

魚が跳ねたり。

小鳥が飛んで来たり。

自然そのままが広がっています。

人と自然は元来ひとつなのかも?なんて。

汎神論。

小雨が降ってきましたが。

適度に雨に当たって気持ちがいいです。

雨を楽しむのも自然の恵み。

わたし達の夏休みは。

こうして有意義に過ぎ。

しっかりと記されて。

神様と共に。



40


学校に指導訓練生が来訪。

萌峰(もね)
「これから援護するですよ。」

太鳳(たお)
「支援攻撃からお任せあれー。」

彩葉(いろは)
「良い教官になろうと思います。」

学校の議会ホールで紹介されました。

大学生の三姉妹なんです。

これからたまに。

学問やスキルの向上など。

あらゆる手助けをしてくれるんだとか。

環奈。
「なんか新鮮な人達が入ったよ。」

心玖。
「有能な人材を好んでいる社会。」
「育成を極める事が重要らしいね。」

桜花。
「凡人は不用品になるのかな?」
「凡愚よりも一部のインテリが作ったAIの方が能力で優れている。」

詩織。
「AIに勝利するのがステータスですから。」
「AIは能力の査定基準になりますかね。」

環奈。
「AIに対しては実力で上回るしか方法が無いのかな。」
「負ける相手では無いけれど。」

桜花。
「人工知能。」
「宗教的要素を含む人物には敵わないだろう。」

心玖。
「人工知能は人間の限界を見せているよー。」

詩織。
「まあ人工知能とか人間が作ったものですし。」
「神様が創造した被造物には勝てないのです。」

環奈。
「いろいろと新しいものは出てくる。」
「でも一度確立すれば。」
「案外扱いやすくて。」
「悪いものはともかく。」
「新しいから。」
「知ってしまえば。」
「たいした事は無いのです。」
「使いこなせるから。」

心玖。
「二手先を読んでるね。」

桜花。
「それで。」
「スカウトされないか。」
「私は近寄ってみよう。」

詩織。
「ナイスチャレンジャー。」

心玖。
「私は先生にこの論文を届けるよ。」

詩織。
「全体主義の事を調べてたんですね。」

心玖。
「全体主義の愚かな所。」
「立場が違うから。」
「貶してるけれど。」

環奈。
「性悪説で説明すると。」
「仲良くはできませんよ。」
「主義・主張の違う者同士は対立する。」
「キレイゴトは偽善者の証明書。」
「世界は性悪説を中心に動いている。」

詩織。
「全員の意見の一致は無理ですね。」
「要点だけ一致していれば良さそうです。」

心玖。
「ちょうどそんな感じ。」
「じゃあ。」

詩織。
「私は新しい架空機を設計してます。」
「また。」

環奈。
「またねー。」

彩葉。
「こんちはー。」

環奈。
「はいこんにちはです。」

彩葉。
「あなたがかんなちゃん?」
「なるほどー。」
「大人しそうだけれど。」
「本気になったらどうなるのかな?」

環奈。
「競技U-23代表ですよね。」

彩葉。
「ちょっと練習試合やってみる?」

環奈。
「それは歓迎。」

いろはちゃん。

背が小さく。

ツインロール。

幼い雰囲気ながら。

カラスのようなオーラを持つ。

向こうから接触してきたんです。

裏庭の練習場。

先端に三枚ブレード装着の杖を持っているいろはちゃん。

これは取り替えて模造刀に換装可能。

練習剣が更新されて。

柔らかいけれど。

きちんと重くてしっかりとした。

本物の剣により近い次世代型が運び込まれていて。

今回から使用。

目に当たっても怪我しないほど。

模造刀として抜群の完成度。

環奈。
「では挨拶代わりに。」

彩葉。
「適当に。」

ロングソード(模造刀)で適当に攻撃するものの。

ガードが硬くて。

跳ね返されてしまい。

反撃で。

小さく跳ね飛ばされました。

環奈。
「なにこのパワー!?」

彩葉。
「一般人は力の大半をパワーロスしている。」
「それを効率的に使用できたら?」
「凄まじい破壊力になる。」

環奈。
「わたしも実戦経験はあるけれど。」
「これが本格派の力?」

彩葉。
「力を抜くと最大パワーになる。」
「体のすべての力を加えるから。」
「やってみて。」

討ち合っても。

動きが速くて。

読まれています。

なんか力の差があって。

カウンターを食らい続けましたよ。

彩葉。
「通常のコンバット・パターンは分析済み。」
「でもあなたは何か違う。」
「武器になるものが多いけれど。」
「実力で打ち負かすには少し足りない。」
「かなり強いけれど。」
「技術面で未熟な部分がある。」

環奈。
「強くない?」

彩葉。
「神より与えられし力。」
「人の本質的な弱さから来る力。」
「強く見えるのは人の限界がそこにあるから。」

環奈。
「なぜ崩せないの?」

彩葉。
「人には不思議な能力がある。」
「あなたは完全に読まれているから。」
「古流の剣術は久しぶりに見た。」
「戦法を変えてきている?」

環奈。
「手加減と言えど。」
「ここまで通じないのは初めて。」

彩葉。
「直観の精度が違うみたい。」
「二倍の開きがあるから。」
「そこまで通じないのは当然。」

環奈。
「ちょっと本気出してみて。」

いろはちゃん。

いきなり正面から逸れると。

ナナメ方向から連撃。

素早く動き回って。

あらゆる攻撃を仕掛けてきて。

防戦一方。

なんとか反撃したら。

縦斬りを避けると同時に。

上から抑えられて。

横にした杖でスタンになり。

鍔迫り合い。

いつの間にか側面。

さらに後ろと。

正面を徹底的に避けてきて。

蹂躙されて駄目だったなあ。

あらかじめ直観で攻撃を予知してきて。

何してもまともな反撃になりませんでした。

突進してみたら。

投げられて。

一瞬の回り込み。

ヘッドロックで終了。

彩葉。
「きちんとなっている。」
「さすが小十郎さんの娘さん。」
「今回は私が強過ぎた。」

環奈。
「こんなに一方的にやられるのは。」
「初めて。」

彩葉。
「グランドマスターはもっと強かった。」

環奈。
「え?あの伝説の人物?」

彩葉。
「いい?」
「適当にやっててここまで力をつけた訳では無いです。」
「過去の履歴は燃やしたけれど。」
「誰にも訪ねてはいけない。」

環奈。
「ちょっと・・・。」
「好きになっちゃった。」

彩葉。
「はい?」

環奈。
「腕前に惚れちゃったかな。」
「天才タイプでは無い。」
「実力派みたいで。」
「いろはちゃんかわいいし。」

彩葉。
「それはどうも。」

環奈。
「自分の成長の為に始めた剣技。」
「いろはちゃんに出会えて良かった。」

彩葉。
「いろんな事に役立つからね。」

環奈。
「神権政治だと武器が尊ばれる。」
「何故なのか。」
「少し解ったなあ。」

彩葉。
「なぜ現代で武器の所持が認められているか?」
「人が力を失わない為。」
「力は実行力。」
「人類が衰える事の無いように。」
「武器を持つの。」

環奈。
「性悪説の平和主義。」
「平和の為に戦う。」
「すべての動機論はそれです。」

環奈ちゃん。

いろはちゃんの腕前に惚れました。

教室。

太鳳。
「魔法という超常現象は未だ何の為にあるとか。」
「解明されていません。」
「でもふたりには考察と一緒に。」
「もう少し効率的に使用する方法を習ってもらいたい。」

渚沙。
「連日の消耗で威力が出ないわ。」

理沙。
「あと三歩くらいで倒れるかもね?」

太鳳。
「ポーションをあげるから。」
「もう少し省エネ使用をするのよ?」

中庭。

もねちゃん。

日傘と一緒に。

お茶会を開催。

生徒が集まる。

萌峰。
「自分の理想の女性になろうよ。」
「大人の女性もいいけれど。」
「最近はかわいい女性が流行なのよ?」

生徒。
「いろんな女性のバリエーションがあるんですね。」

壁の向こうから。

杏桜。
「これはサバイバルゲームに使うのよ。」
「私のキュンキュンハートを奪わないで。」

友人。
「自分の道具に凄い名前付けているのね・・・。」
「ちょっと借りるよ。」

杏桜。
「その子は決して貴方と一緒にならないから!」

イタズラ好きの生徒。

杏桜ちゃんのペイント弾をくすねて。

萌峰ちゃんに攻撃。

日傘を展開していた為。

跳弾してしまう。

萌峰。
「軽量特殊合金とシールド発生装置の内蔵。」
「ライトマシンガンでも破られないわよ。」

日傘に魔石が装備されていて。

魔石は消耗品ながら。

高い防御力があり。

複数の装置で銃弾を無力化する為。

連続発射したペイント弾は全く効果なし。

それ所か。

重量と強度による。

打撃攻撃が強烈なようで。

優雅に席を立って。

接近戦を仕掛けようと。

笑みを浮かべるもねちゃん。

萌峰。
「この距離なら一瞬です。」


友人。
「ギャー!そんな馬鹿な!」

たまらず逃走するも。

通りすがりの太鳳ちゃんが見ていて。

捕まって拉致される。

太鳳。
「向こうでいいことしない?」

友人。
「ひぇぇえ強姦される。」

太鳳。
「はじめて?」

友人。
「年頃の女の子を?」
「あなたも好きね。」

萌峰。
「うふふ。」
「かわいがってあげて。」
「子猫ちゃんを。」

いろはちゃんがおにごっこで。

近くを通り過ぎる。


生徒と遊びつつ。

自分の受けた教えを伝える三姉妹。

学校が活性化。

学校では学問を教えられ。

歴史上の偉大な教師からたくさん学ぶのです。

勉強とは異なり。

時間が余りますので。

遊ぶ時間も多くなりますよ。

練習試合を終えた環奈ちゃんは帰宅。

いろはちゃん。

夕方に市役所の人事部に意見書。

環奈ちゃんを推薦。

この日。

学校に来ていた環奈ちゃん。

女性史学者のスカウトが来訪。

女史。
「あなたがかんなちゃん?」
「どう?」
「女性について調べてるんでしょ?」
「うちに来ない?」

環奈。
「わたしは女性のありとあらゆる可能性。」
「実際に有り得た姿を知っています。」
「また考えさせてください。」

女史。
「その時まで待っているよ。」

最近は人材獲得競争のせいか。

どこも早いうちの確保しようと試みてます。

わたしの所も来るんですね。

三姉妹が来訪した。

新鮮な学校風景となりました。


41


富を持て余したお金持ち。

今度は競技ロボットに宝物を入れて。

各所に配置。

破壊すれば誰でも手に入ります。

お金持ちたちは。

福祉に投資しても。

直接助かる人は少なく。

偽善的な結果になるのを嫌がって。

思いついたそうです。

さらに「獲物」が追加され。

雇われた「やられ役」を倒せば貴金属をドロップする。

でも「ワード」を言わないとやられ役だと白状しません。

「ワード」はいろんな所に落ちてます。

国中で知られたこのイベントには。

多数の参加者が集い。

私達の街は大繁盛ですよ。

環奈。
「町はずれに発見したって。」
「バッテリーに繋がれている。」

千夜。
「久しぶりに戦ってみたい。」
「参加ですよ。」

桜花。
「人数揃わなかった?」
「なんてこと。」

環奈。
「三人でやるぞー。」

水素発電所がある川の近く。

バッテリーに繋がれたロボットがいまして。

環奈。
「わたしがひとりで正面攻撃する。」
「後ろから攻撃して。」
「私が退いたら攻撃を加えて。」
「みんなが退いたらわたしが攻撃する。」

千夜。
「簡単ですよ。」

桜花。
「任せなさい!」

このロボット。

情報によると競技用で。

アームに捕まると投げられたり。

催涙スプレーを噴射されたり。

強いタイプはクロロホルムで眠らされて。

放置されちゃうんだとか。

近寄るとロボット起動。

環奈ちゃんは射程ギリギリで身構えますが。

ロボットは思うように攻撃できないので。

とりあいずタックルしてきます。

そのまま逃げて距離を取ると。

後ろから桜花ちゃんがアタック。

ロボット。

桜花ちゃんに催涙ガスを噴射するも。

既に回避行動に入ってます。

環奈。
「食らえー。」

千夜。
「猟銃ですよ。」

千夜ちゃんの放った弾丸は電気弾。

命中してシステムにダメージ。

一発でリロードが必要。

桜花。
「おわっ!?」
「隠し腕なんかあるのか。」

環奈。
「6メートル級だから鈍いと思った。」
「近寄れない。」

隠し腕があって。

近寄ると捕まりそうで。

ミスが出るまで射程ギリギリで牽制。

千夜。
「はいっ。」

千夜ちゃんがモニターを狙撃。

ロボットは補助モニターで交戦続行。

千夜ちゃんが入り込んで。

強引に前後で挟み撃ちを決行。

千夜ちゃんを捕まえようと。

手を伸ばすロボットですが。

カラス流のステップを踏まれて。

ひらりひらりと避けていき。

ロボットは為す術がない。

環奈ちゃんが足部を攻撃。

環奈。
「動き回れば捕まらない。」

桜花。
「止まっていれば捕まる。」
「動き続けなきゃ。」

桜花ちゃんも懐に飛び込んで。

ロボットが歩行不能に。

激しく抵抗するロボットから離れて。

安全圏内で千夜ちゃんが狙撃。

千夜。
「APFSDS弾を食らいなさい。」

環奈。
「トドメ。」

桜花。
「えーい。」

ロボットが壊れました。

いきなり飛び出した宝箱の中には。

懐中時計が三個。

千夜。
「これはナポレオンの時代のクラシックです。」

環奈。
「でもレプリカみたいだよ。」

桜花。
「それよりも旧式の競技ロボットであれほどなのね・・・。」

環奈。
「懐中時計の鑑賞会。」

千夜。
「いいですね。」
「古き良きもの。」

桜花。
「どこら辺が美術品であるか話し合うのです。」
「自分の芸術的センスが問われます。」

環奈。
「近場は全滅したみたい。」
「また遠くに行こうね。」

市街地周辺のロボットは一掃されてしまいました。

自然豊かな市街地郊外。

ザコ敵はまだ残っていて。

普通に見かけますが。

ろくな物が入ってないそうで。

そっちは小学生が挑戦するのに適切みたい。

旧式化した競技ロボットは使い捨てにされます。

チャレンジャーによりますと。

もっと強い競技ロボットがわんさかいるとか。

なんだかおもしろくなってきた最近です。


42


千夜ちゃんと萌峰ちゃん。

意見交換。

萌峰。
「これからは芸術がモノを言いますね。」
「これからは芸術ですよ。」

千夜。
「芸術は常に魅了します。」
「あらゆる思想や狂気。」
「美しさが凝縮されている。」

萌峰。
「真理を観たような。」
「あの感覚が素敵。」

千夜。
「クラシックはより芸術としての音楽になっています。」


萌峰。
「モーツァルトは楽しい楽曲が多く。」
「ベートーヴェンは芸術的。」


千夜。
「クラシックは音楽の教科書ですね。」

萌峰。
「そうなると。」
「現代の音楽家はちょっと概念から外れたかなーって。」

千夜。
「現代は全体的にかっこつけたがる。」
「音楽は音の芸術。」
「本来の音楽を忘れている。」

真美ちゃんと若葉ちゃん。

2対1で太鳳ちゃんに敗北。

たおちゃんは元ユース選手なんですね。

杖の先端に魔石の結晶が装着された武器を持っていて。

感電させて捉えるパターンが得意。

魔石は消耗品だから。

近くの鉱山で入手する。

それだけに注意すればいいものではなく。

魔法攻撃も得意。

動画配信されているのですよ。

あと。

校内新聞が凄い事になってます。

いろはちゃんと練習試合。

環奈。
「なんか自然体の動きだね。」

彩葉。
「自然に体が動く。」

環奈。
「達人。」
「段々と慣れて。」
「まともに討ち合えるようになったなあ。」
「思えば本能的に戦う部分があって。」
「どうしても本能が勝ってしまうので。」
「その本能的な部分が疎ましかったです。」

彩葉。
「あなた本能を克服する訓練を受けてないの?」

環奈。
「まだ途中だから。」
「本能的な考えや行動とか。」
「本能がまだ勝ってしまっている。」
「でも最近ようやく本能を服従させ。」
「理性的になったよ。」

彩葉。
「剣術はただ相手を斬る。」
「それだけを追及すればいいもの。」
「シンプルよ。」

アマチュアでたまにやりますが。

実戦経験があるのに。

この力の差に驚きました。

けっこう教えてくれるいろはちゃん。

これを期にファンになりましたよ。

ベンチにて。

彩葉。
「フィロソフィア。」
「女性は力を肯定し。」
「力を持たなければいけない。」
「学問なしで何か出来る女性は居ないし。」
「そうでないなら女性モドキ。」
「あれは女性ではありません。」

環奈。
「女性モドキ?」
「女性らしい女性ってなんですかね?」

彩葉。
「まずは女性が実在するありとあらゆる可能性を。」
「実行する事から探究が始まるのでしょう。」
「ナポレオンはゲーテと会った時。」
「これが人間だ!と感動した。」
「歴史に習い。」
「ナポレオンのような英雄から。」
「これが女性だ!と言われた人が真実です。」


環奈。
「わたしは男性から教わった。」
「男性が確立した書物をモノにした。」

彩葉。
「女性史について教えてあげる。」

いつの時代もあったんですね。

ありとあらゆる可能性が。

それを実行しなかったこと。

いろはちゃんはそうした女性を。

女性モドキと嫌っているようです。

彩葉。
「あの金髪の女の子。」

環奈。
「ふぇっちゃん?」

彩葉。
「よーし。」
「風格が良さそう。」
「またねー。」

環奈。
「うん。」

ニュースがあって。

ここ数週間で。

悔い改める人が多くなり。

小さな集会がたくさん作られたとか。

真理を買え。

知恵も悟りをも買え。

無事に買えたようです。

私はようやくすっきりです。

いろはちゃんからいろいろ習って。

勉強は単なる基本で。

役に立つかは度外視されていますが。

学問は実際に通用しますし。

影響力は凄まじい。

フィロソフィア。

わたしも獲得しました。


43


萌峰ちゃん。

生徒に囲まれて。

実践の大切さを説いてますよ。

太鳳ちゃんが生徒と一緒に遊んでいましたね。

いろはちゃんはふぇっちゃんの所へ。

これからいろんな生徒を見てまわって。

スカウト報告。

人材獲得競争の時代。

いろはちゃんのようなスキルの需要は高まっています。

少し忙しい学校風景。

自由登校なのに。

人が集まる。

今年の夏休みは黄金色?

環奈。
「今回は2週間延長?」
「なんでだろう?」

教員。
「自主性があるか調べてみよう。」

校長。
「生徒はひとりで何か出来るのかな?」

環奈。
「ああそういう事なのね。」
「ここから逃げよう。」

校長室の前から逃亡。

今回は長くセッティングされていますが。

生徒がきちんと自分で学んでいるかの。

自主性のチェックだそうで。

何気に盗み取った情報だったり。

環奈。
「なにあれ?」

麻友。
「何かのお祭りですかね?」

環奈。
「謎!」

何か校庭にスモークが。

興味本位で接近。

後ろから。

いろはちゃんに抱き着かれました。

環奈。
「うわー!これは防げない。」

彩葉。
「戦場では特に。」
「予想外の行動に出る敵。」
「相手が策略に対抗するなど。」
「自分の想定した範囲ならまだしも。」
「自分の想定の範囲外に居る相手とは。」
「厳しい戦いになる。」

環奈。
「相手が想定の範囲内に居なければ。」
「計算は当てにならない。」
「なるほど・・・。」

彩葉。
「資料室が解放されたよ。」
「行ってみな。」

環奈。
「ああなんか好き。」

ちょっとうっとり。

サインを貰いました。

資料室がリニューアル完了。

簡潔な資料を簡単に閲覧できる。

資料に事欠かない。

学校設備。

環奈。
「これが資料室ですか。」
「正式な。」
「公式見解しか取り扱わない。」
「政府の資料。」

生徒。
「あの子が好きで。」

太鳳。
「恋ですか?」
「本当に縁があれば。」
「いつの間にか結婚とか。」
「自然に上手に行くものです。」
「攻めあぐねているのなら。」
「勝負になるだけですよ?」

図書室で常駐するたおちゃん。

助言を貰う生徒が多いのですが。

三姉妹。

博士号取得者だったんですね。

環奈。
「女性らしい女性とはなんですか?」

太鳳。
「まず始めに無能であってはいけないわ。」
「男性に勝利する事が。」
「ひとつのステータスになると思うんです。」

環奈。
「むしろなんで男性の英知を吸収しなかったのかな・・・。」

太鳳。
「見込みが無いんです。」
「女性の一生はワンパターンですから。」
「そこから外れるか。」
「異なった展開が期待されているのでしょう。」
「ワンパターンな一生を繰り返して。」
「いつか悟る事でしょうから。」

環奈。
「うわあ。」
「すっごい忠言。」
「わたしは女性の持つ可能性に賭けてみます。」

太鳳。
「そういう自分からいろいろする女性。」
「むかしはそういう女性の出現が待ち望まれていたもの。」
「いまとなっては普通の事。」
「女性も進みましたね。」

環奈。
「女性についてよく知っているひとだなあ。」

また女性としての理解を深めました。

良かった。

とっても凄いひとたちと触れ合って。

少しはレベルアップできたかな?

黄金色の夏休み?


44


試されし衰退の神殿。

地下に封印されていた御神体が消えてしまった。

ニュースにて。

人類に災いをもたらす神「魔神」が祀られていた場所で。

史実には何回も登場し。

人類に問いかけ。

腐敗に対しては破壊をもたらし。

繁栄に対しては災害を。

停滞に対しては要求を。

歴史的な出来事。

天候が怪しい最近。

いろはちゃんと一緒に鍛錬。

彩葉。
「仕上がってきた。」
「本能的な戦い方を捨てれば。」
「優雅で上品な戦いに至る。」

環奈。
「けっこう強過ぎだけれど。」
「慣れてきたよ。」
「なんとか勝負になりそう。」

彩葉。
「自分より力の強い者と競う事はできない。」
「もっと実力をつけないと。」
「でも私も手加減できなくなってきた。」

環奈。
「強い人と戦った事がほとんど無いから。」
「ちょうど良かったみたい。」
「不思議。」

わたしの戦闘フォームが古流で。

あらゆる回避を徹底する特徴があり。

ストレートで討ち合いに強いいろはちゃんは。

けっこうわたしに興味があるようです。

三姉妹がもたらしたひとつの結果は「変化」ですね。

保守的になりつつあった学校風景が。

自分の理想を求め。

あらゆる可能性の模索を開始。

これが狙いだったかもしれませんよ。

彩葉。
「ふぇっちゃん。」
「激しい剣技が特徴。」
「読みやすいけれど。」
「動きが速い。」
「中々いい女の子いるじゃない。」

環奈。
「一応はライバルなんです。」

彩葉。
「ただ周囲の人達のレベルが低いわね。」
「アマチュアでやってるから。」
「競技リーグ1部二軍でもいいから。」
「入れば開花しそうだけれど。」

環奈。
「愚直な流派みたいで。」
「型にこだわるとか苦情を言っていました。」

彩葉。
「型にこだわると勝てるものも勝てないのに。」
「次は7割で行くよ。」

いろはちゃん。

直観の精度が桁違いです。

特訓して貰って。

強い剣士を紹介してくれました。

本気で強い人と試合できそう。

もねちゃん。

ひたすら雑談を織り交ぜて。

基礎から説明していくスタイル。

たおちゃん。

芸術について講義をはじめました。

太鳳
「芸術は美の表現。」
「美しいものや。」
「自分の美学を描くもの。」
「または自分の理想を描く。」
「あらゆる可能性を尽くして。」
「作品とする。」

半数の生徒が自由登校で。

自由にミニ授業を受けたりも。

最近思うんです。

理想を追い求めるほど。

あらゆる可能性が実在することに。

他人が提供することもある。

何かのきっかけで。

他人の有り得た展開。

女性にも有り得た展開があるんだと。

本当は可能性は実行するほど多くなり。

いままで数多の作家は理想を追い求め。

凄まじい可能性を見せてきた。

だからわたしにもあるんだと思うんです。

今は資料室に籠もって。

女性史を学んでます。


45


学校のゲームルーム。

パソコンに最近のゲームがインストールされており。

レクリエーションや新しい開発など。

多用途に使用されている部屋。

最近はカオスな事が大好きで。

みんなを集めて。

フライトシュミュレーター。

風速200ノットの空港で遊んでます。

心玖。
「あああああ駄目。」

環奈。
「風に拉致されたー。」

杏桜。
「マイ旋風の中で機体が舞い踊る!」
「一風吹かせた私のB-777なのよ。」

詩織。
「戦闘機だと風向きさえ合えば抵抗できます。」

桜花。
「木星は風速650メートルでしょ?」
「プラズマジェットなら飛行できるかも?」

空中で静止。

滑走50メートル風で煽られ強制離陸。

旅客機も向かい風で垂直離着陸。

心玖。
「飛んでけー。」

駐留機が滑って行く。

杏桜。
「さあ風の向くままに。」

詩織。
「山に激突しますよ。」

環奈。
「ああコントロール不能。」

心玖。
「保存しとくね。」

これを撮影して先生に見せました。

おまけに。

前々から作っていた。

政治家をモチーフにしたカードゲームを作って見せちゃいます。

先生。
「あなたすっごいカオスね。」

環奈。
「発狂していないと作れないものもあるんです。」

カオスは混沌という意味らしいです。

木星の風速。

秒速約650メートルは吹っ飛ばされるだけなので。

風速300メートルで遊ぶのが楽しいです。

ここにはサークルがあって。

若葉ちゃんが部長ですよ。

最近発表した「トンデモレース」は時速1000キロで走る。

凄まじいスピード感のアーケードゲーム。

環奈。
「満足な動体視力が無ければクラッシュ。」

麻友。
「反射神経の問題じゃないですよ。」

環奈。
「この速度に対応できるか?」
「自分のスキルが問われるなあ。」

速過ぎて。

何度も爆発。

現実の時速1000と同じスピードですから。

コントロールは難しいです。

コース4までありますが。

初級コースでもうダメでした。

サークルの若葉ちゃんは。

ぶっ飛んだゲームをさらに制作するとのこと。

さすがです。

サッカーコートは女子サッカー部が占領。

バルセロナの「ポゼッション・キープ」とか「パスの連携」が目立ちます。

ボール保持率がかなり長く。

選手の位置取りなど。

連携が徹底されて。

本気なんです。

太鳳ちゃんが話しかけてきて。

サッカーでは本能的なプレーが禁止なんだとか。

太鳳。
「大人のサッカーは紳士。」
「気品・学徳を備えた礼儀正しい男子。」
「そういう人が本物になれるスポーツなのよ。」
「女子サッカーでは。」
「品位のある。」
「しとやかな女性が本物になれる。」
「真理を買いなさい。」
「代金は持っているでしょ?」
「あとは売ってもらいなさい。」

環奈。
「なるほど。」
「そこまで高度なスポーツなのかあ。」

もねちゃんのお茶会に参加。

雑談。

萌峰。
「明哲でありなさい。」
「人それぞれに自分の信条とする概念があるから。」

千夜。
「私は世界のスタンダード。」
「天理(自然の道理)が気に入っています。」

太鳳。
「利運ありってことよ?」
「たおは脱俗かな。」

生徒。
「私は理運だよー。」

太鳳。
「徳行はどうかな?」

生徒。
「それは難しい。」

太鳳。
「かんなちゃんはなにしているの?」

環奈。
「文芸学です。」
「苦戦してますが。」

太鳳。
「それなら我流ではなく。」
「古来からある型や形式・様式を使用したほうがいいわ。」

環奈。
「ああなるほど。」
「故きを温ねて新しきを知る。」
「あと心配なのは妄評です。」

太鳳。
「暴評?」
「馬鹿の意見は無視してOK。」

環奈。
「玄人に見せてみます。」
「餅は餅屋。」

太鳳。
「そうそう。」
「お酒造りは酒屋がいちばん上手い。」
「作物を作るのも農家がいちばん上手い。」
「工事は建設会社が専門で。」
「マイクロチップや飛行機のパイロットはその手の人が上手。」
「素人や浅い蒙昧な人が評価したら?」
「何事も専門家ってことよねー。」

学校に配られる新聞を見かけました。

大会は終盤に突入。

こうした流れに動かされ。

国が主催するフリールールの競技が予定されている?

これは指定された品物を主催者に持って来れば。

「土地」が貰えると。

その品物のひとつが霊鳥の羽根とか。

又は。

巧みに隠された特別製のメダルなど。

物によっては景品も豪華。

萌峰。
「これは国王がこうしたイベントで。」
「国民の楽しみを確保しようと。」
「余剰財産を使った計らい。」
「こうした娯楽のノウハウから。」
「娯楽政策を狙っている。」

環奈。
「騎馬レースも開催されるのかあ。」
「え?こっちは?」

萌峰。
市民はPL-01戦車への搭乗体験もできる。」
「次世代型の量産が開始されたので。」
「この戦車も既に旧式ですから。」
「輸送機が遊覧飛行の受け付けをするようになり。」
「余裕があれば随時。」
「市民が乗せてもらっています。」
「VTOL技術が発達しても。」
「宇宙までは上がれませんから。」
「貴重な体験として。」
「ちょっとした大気圏離脱までしてくれるのです。」
「国王の政策は続いていますよ。」

環奈。
「我らの聖王。」

「なんて美しい。」

萌峰。
「なおさら忠誠心が高まるでしょ?」
「いろはちゃんが呼んでたわよ。」

今年。

わたし。

急速に諸芸上達を果たす。


試合場にて。

かんなちゃんといろはちゃん。

いろはちゃんがブロードソードを勧めてくれました。

少し試してみます。

環奈。
「行きます。」

彩葉。
「今回は手加減はないよ?」

正確無比な連撃を回避。

距離を取り続けて。

高速回転の棒術。

崩されました。


いろはちゃんの突き。

横に半分避け。

剣で上から叩き付けて。

いろはちゃんの杖を鍔迫り合い気味に押さえつけ。

立ったまま横に回転。

いろはちゃんの杖を掴みつつ。

頭に当てました。


環奈。
「あっ!やった!」

太鳳。
「怪傑いろはちゃん。」
「負けるの初めて見た。」

彩葉。
「美技だよほんと。」
「次行くよ。」

ブロードソードに変更したせいか。

いろはちゃん相手に勝利できるようになったんです。

内容が大幅に改善されたみたい。

それでも。


勝率5:1ですけどねー。

いろはちゃんのおかげで。

わたしはスーパールーキーのひとりとして名が知られました。


三姉妹旋風は未だ健在。

もう夏休みは終盤。

のんびりした雰囲気から。

いつもの活気溢れる学校に。

戻りつつあります。


46


隣町の境目。

一級河川。

自動車用の橋と。

ウォーキング用の道にて。

勝負を申し込み。

倒した相手の武器を獲得し。

コレクションをしている大男に出くわしたのです。

老齢です。

ソードハンター。
「さあて今日は女の子か。」
「ひと勝負受けてもらおうか?」

環奈。
「うわあ暴漢!?」

ソードハンター。
「失礼な。」
「勝負を続けている戦士なんだぞ。」

環奈。
「あの噂になっている?」
「いい加減。」
「貴方の首を刎ねに。」
「討伐隊が来てしまいます。」

ソードハンター。
「俺はもうこの年。」
「陰りも見えた。」
「俺の時代は終わったもんで。」
「せめて名のある剣士に斬られて散りたい。」
「突撃隊長として。」
「随分猛威を振るったが。」
「もう俺なんて男が幅を利かせられる。」
「そんな時代じゃない。」
「最後の手柄として。」
「剣士を何人か斬った。」
「俺の新しい舞台だ。」
「付き合ってはくれないか?」

環奈。
「どうせ勝負を受けたと主張して。」
「斬りかかってくるのでしょう。」
「もう決闘なんかじゃありません。」
「賊です。」

ソードハンター。
「賊と戦士の区別はつくだろう。」
「ひとりの剣士として。」
「承諾してくれないか?」

環奈。
「これは好機と見ています。」
「どうせすぐに騎士様に。」
「討たれるその身。」
「わたしが貰います。」

ソードハンター。
「中々勇猛な娘だねぇ。」
「お手並み拝見。」

斬りかかってくるソードハンター。

しかし一瞬で側面に回り込んで。

一撃を入れる。

ソードハンター。
「うお!?」
「まだだ!!」

環奈。
「剣筋が悪い。」
「力押しですね。」

ソードハンターは負傷しつつも。

連撃を開始。

バックステップで避ける環奈ちゃん。

連撃による突進。

ジャンプで避けつつ即座接近。

激しい攻撃を防ぎつつ。

鮮やかに回り込んで。

いつの間にか。

ソードハンターの肩に剣が入っている。

ソードハンター。
「おわっ!?」

環奈。
「さようなら。」

軽く斬り捨てられたソードハンター。

かなり重症。

環奈ちゃんはその場から立ち去りました。

環奈。
「やはり力押しだけの相手。」
「たいして強くない。」
「雰囲気からして見て。」
「弱者の部類。」
「確かに。」
「あの人の時代は終わっています。」

ソードハンター。
「小十郎の娘だったか。」
「悪くない・・・。」

そのあとすぐに。

とある賞金稼ぎの剣士が。

ソードハンターを仕留め。

あの老人は。

望んだ最期を遂げました。

かつての凄腕が見る影もなく。

自然死よりも戦死を選んだ。

いつか首を刎ねられると知っていたのでしょう。

本当は戦犯で。

5年ほど潜伏していた。

なんて話も。

戦いとは美しいものでしょうか?

生粋の戦士は森の中で。

笑みを浮かべて。

剣で討たれました。


47


虎穴にいらずんば虎子を得ず。

少し遠出して。

前文明の遺産。

地下発電所に侵入です☆

柵を破壊して。

突入。

環奈。
「四方警戒。」

心玖。
「電気ねずみが居るよ。」

麻友。
「その恐獣は無害です。」
「触らなければ大丈夫。」

渚沙。
「薄暗くて。」
「でも電灯はあるものね。」

麻友。
「まだ少しばかり機能しているようです。」
「恐ろしい高寿命ですね。」

環奈。
「柵を蹴破ってどんどん進むのだー。」

麻友。
「まさにダンジョンです。」
「通路が入り組んでいます。」

広い場所に出ました。

心玖。
「コンタクト。」
「FCS射撃?」

渚沙。
「OK。」

コウモリタイプの防衛ロボットが複数待ち構えていたので。

300メートルの長距離射撃を行いました。

一部効果が無かったので。

環奈ちゃんが突撃して。

薙ぎ払いました。

環奈。
「どんどん最深部に入るのだー。」

麻友。
「この辺りは発電装置がありますね。」

渚沙。
「ここって?」

麻友。
「核融合発電所の跡地です。」

渚沙。
「地下に造るなんてね。」

麻友。
「事故が起きたときに。」
「周りに被害が及ばないように。」
「シェルターみたいに作ったそうです。」

渚沙。
「へー。」
「そのくらいの知能はあったのね。」

環奈。
「麻友ちゃんは後方警戒お願いします。」

麻友。
「ラジャー。」

環奈。
「心玖ちゃん。」
「何か発見した?」

心玖。
「奥の広場に大物が一体。」

渚沙。
「やってやろうじゃない。」

大きな扉を開けて。

大きなホールに出ました。

目の前には。

巨大なロボット。

大きさは9メートルくらい。

環奈。
「これ稼働してる?」

麻友。
「見たところ老朽化して動かないみたいですね。」

心玖。
「まだ動く気配があるよ。」

渚沙。
「とりあいず。」
「先制攻撃しとく?」

ロボット兵器が稼働しました。

麻友。
「unitRX-9。」
「偉大なる凡作と言われた防衛兵器ですね。」

環奈。
「フォーメーションF。」

ロボット兵器が動き出して。

攻撃しようとしますが。

散開戦術を取った環奈達に追い回され。

中々うまく立ち回れません。

渚沙。
「ニュークリア。」

大爆発。

被弾したロボットは中破。

環奈ちゃんが足の部分に深傷を入れました。

麻友ちゃん。

心玖ちゃんの支援で。

センサーというセンサーに弾丸を撃ち込み。

ロボットはモニターがダウン。

盲目のロボットに猛攻を加えて。

ロボットは炎上。

大破行動不能。

環奈。
「案外あっけなかったね。」

渚沙。
「そんなに強い相手じゃなかったわ。」

麻友。
「ああいう相手は予測していましたが。」
「思ったより弱いですね。」

心玖。
「もう敵は居ないよ。」

環奈。
「宝箱とヒントがある看板があるのだ。」

麻友。
「椎名さんであります。」
「なるほど。」

渚沙。
「それってうちの学校の校長じゃない。」

心玖。
「金貨が入っているよー。」

環奈。
「情報を整理しつつ。」
「撤収するのだー。」
「予想外の事があったら駄目だからねー。」

地下発電所から撤収。

とりあいず。

情報整理です。

校長先生の名前は「椎名満」です。

校長先生は外出中なので。

明日問い詰めます。

今日はメールのやり取りが凄いですね。

情報が漏えいしないようにしていましたが。

運営側がネッ上にデマをばら撒いて。

攪乱工作を行っていました。

そんな様子を見ながら。

明日に備えます。


48


しばらく前から。

奇妙な現象があり。

魔神が影のような。

半霊半物質の姿で。

大きな黒騎士のような姿と。

巨大な怪物の影を放って。

各地に出没するように。

現在文明は見直しの最中で。

人々は畏怖しております。

夜の7時。

クラシック音楽会の最後。

小十郎。
「近年。」
「蛮族という。」
「人間の愚かさの塊のような連中が。」
「意味不明な事をしていてな。」
「討伐しに行くんだ。」
「戦果を期待してなー。」

環奈。
「後武運を〜。」

小十郎。
「ちなみに。」
「暴力革命も発生してしまってね。」
「同盟軍としても出撃するかもしれない。」

母親。
「あなたの事だから戦死はしないでしょう。」
「でも伝えてあげて。」

小十郎。
「騎士道。」
「中世ヨーロッパで、騎士階級の間に発達した。」
「勇気・敬神・任侠・礼節・廉恥・名誉などを理想とする道徳。」
「受け継ぎたまえ。」

環奈。
「御意。」


蛮族は地方毎に局地的に拠点があり。

小さな内戦になっています。

環奈。
「ちょっとお星さま観たいな。」
「近くに小さな天文台がある。」

途中。

道から外れて。

森林に迷い込んでしまい。

いいえ。

なんか知りませんが。

いつもの道では無いのです。

巨大な怪物のような影を纏った。

大きな黒騎士が登場。

環奈。
「へ?」

黒騎士。
「・・・・。」

無言で斬りかかってきますが。

手加減しているのか。

私の攻撃に合わせてくれます。

強いというレベルではありません。

はっきり言って。

こんなの人が勝てる相手では無いです。

手加減してくれるから。

まともに討ち合えるのです。

三分ほど。

本気なのか稽古なのかわからない戦闘のち。

黒騎士は停止。

しばらく目の前で対峙しつつ。

去っていきました。

元の山道に戻れて。

すぐに帰宅。

環奈。
「すごい体験をした。」
「ちょっと記録に残しておこう。」
「なんなのか知らないけれど。」

同時刻。

とある地域の蛮族の集会で。

その影を見て攻撃し。

60人中55人が死亡する事件があり。

魔神の件と関係あるのかな?

その事件をきっかけに。

蛮族は愚行を連発。

騎士達と激戦になっていきます。

すこし前から。

ここら辺の地域ではありませんが。

広い地図では。

自然災害も多発していたり。

ちょっとまずいような。

世界の近況です。


49


朝の新聞で知りました。

聖職者は決断。

魔神の神殿にて。

御神体を別途用意して。

魔神を再度祀ることによって。

災害は弱いものとなりました。

散々に頻発していた地震から。

いきなり洪水が止んで。

暗黒オーラが消滅。

皆が「神を恐れた事案」として歴史に残りましたよ。

環奈。
「あの黒騎士ってなんだったの?」

小十郎。
「ん?多分。」
「魔神に気に入られたのだろう。」
「何かしたのか?」

環奈。
「お供え物を供えたけれど。」
「それだけ。」

小十郎。
「魔神に?」

環奈。
「ううん。」
「普通に神殿に。」

小十郎。
「蛮族かもしれないし。」
「本当かどうか知らないが。」
「本当に魔神かもしれないな。」

環奈。
「なんでフレンドリーな事されたんだろう?」

わたしは珍しい目撃者だったのかな?

記者が訪れたり。

学校で話題もちきり。

目撃者か?

蛮族か?

魔神のメッセージか?

なんかふと思う事があって。

いろはちゃんからきちんと習いつつ。

独学で「女性史」について学ぶことにしました。

環奈。
「女性っていったいなんでしょうね?」

小十郎。
「騎士は女性の為に戦う事が美しいものだと判断した。」
「お父さんはお母さんだけではなく。」
「女性という存在の為に戦っているのだ。」

母親。
「こういう情熱的な所がこの人の持ち味なんですから。」

環奈。
「なんかお父さんかっこいい。」

小十郎。
「お父さんはかっこよくある義務があるのだ。」

環奈。
「女性哲学はお父さん譲りなのかも?」

わたしも女性なのですが。

女性は男性とはまったく違う生き物で。

性質も性格も違い。

身体能力に差があるように見えて。

女性の方が敏捷性がありますし。

格闘技を習うと男性以上のパワーもあったり。

女性は本能的であると言われていて。

わたしは現在。

本能を克服する訓練を受けています。

環奈。
「女性ってなあに?」

萌峰。
「自分なりの女性スタイルがあると思うわ。」

太鳳。
「これが女性!と言った定義や正解は存在しないから。」
「臨機応変に考えて見出して。」

環奈。
「女性にして女性を知らず。」
「わたしめ未熟者。」

自己批判。

女性ってなんでしょうね?

「こんなのが女性だよ。」なんていう適当な愚論は多いのですが。

わたしは自分なりに到達しようと思います。

自分の理想の女性像に。


50


環奈。
「校長先生!」

椎名。
「なにかね?」

環奈。
「踊ってみるのだー。」

椎名。
「しまった!」
「私も踊ってしまうではないか!」

環奈。
「あなたが犯人ねー!」

椎名。
「その通り。」
「よく見つけてくれた。」
「金一封は君達のものだ。」
「早速運営に知らせるとしよう。」

運営側が発見者を告知して。

イベントが終了しました。

各自。

いろんな探検や考察がありましたが。

実力行動に欠けていました。

他の人達は中途半端だったようです。

イベント主催者から。

金一封が贈られました。

環奈。
「わーい!」

麻友。
「中身は・・?」
「30万円!?」

渚沙。
「山分けしましょう。」

環奈。
「ひとりずつ定数を貰います。」
「後は部費にしておきましょう。」

心玖。
「賛成。」

麻友。
「文句はありません。」

渚沙。
「公正な分け方は素晴らしいわよ。」

フェルト。
「あんたら見つけたってー!?」

桜花。
「私の賞金が・・・。」
「賞金がー!?」

環奈。
「天運我にありー♪」

理沙。
「いろんな場所に出向いたけれど。」
「頑張りが足りなかったわね。」

詩織。
「かんなさんに相応しいです♪」

杏桜。
「その賞金で何をするんです?」
「まさか・・・。」
「痴情のもつれに発展!?」
「お金を巡って女の嫉妬!?」
「ああ!」
「男の人の争奪戦。」
「その次は女同士の戦いなのね!」

環奈。
「賞金についてはもうまとまったよー。」

フェルト。
「次は私が勝つんだからね!」

退場。

麻友。
「他の人は宝探しに熱が入ったようです。」

渚沙。
「運営側の宝箱の配置。」
「読まれ始めたようね。」
「配置パターンが知られている。」

環奈。
「さすがに読まれるよね。」
「まだ宝物は50パーセントしか見つかってないんだって。」

心玖。
「運営側の発表があったよね。」

環奈。
「早くしないと取られちゃう。」
「今日も宝探しに出発だー!」
「。」

女の子達は今日もこの世界で。

自分を高め。

自分と向き合い。

世界を見つめ続けて。

ガールズパワーで進め!進め!

女の子の姿はここにあり。

女性そのものの発現だー!!

女性とはなんでしょう?

四の言葉に行き着きましたよ。

聖女。知徳のすぐれた立派な女性。けだかく、けがれのない女性。(宗)

賢女。賢い女。賢婦人。

才女。頭の働きのすぐれた女性。文才のある女性。(補)目立った才能がある女性。

女傑。知恵や勇気のすぐれた女性。男まさりの女性。(同)女丈夫。

国語辞典にも記され。

補足情報もある概念。

言葉は概念を説明するものでもある。

言霊。

言葉と神様は元来ひとつ。

遂にわたしは女性を発見したのです。

麻友。
「日記ですね。」
「女性史ですか。」
「これからは女性の時代になるでしょうし。」
「いい所を見つけましたね。」

環奈。
「協力ありがと。」

麻友。
「こんなの当たり前です。」
「ではまた新学期で。」

麻友。

爽やかに立ち去る。

環奈。
「夏休みの体験をディオニソス型として。」
「書いてみようかな?」
「哲。」
「ドイツの哲学者ニーチェの用語。」
「現実的・動的・情意的傾向のもので整った芸術形式。」
「わたしの夏休みは芸術作品!?」

こうして。

わたしの夏休みの日記はまとめられました。

この日記。

実は未完成なんですよ。

わたしの物語は未完成作品です。

まだ続きがあるんです。

でも書き切れません。

少なくとも夏休みだけは書き切りました。

やったね!!

太陽は万物のために。

女の子の道を照らしながら。

日々に華を添え。

突撃を繰り返していく人々の姿に。

美しさを見出しつつ。

一日一日と。

懸命に過ごし。

到達点へと進み続けるのです。

それはそれは。

歴史の片隅で・・・。

歴史の1ページに刻まれて・・・。



後日談(1)


「他人を尊重して敬意をもって接することができないなら、出ていけ。」

厳しい口調で繰り返すシルベリア中将の訓話は。

インターネットでも大きな話題となった。

BBC News Japan。


良識はこの世で最も公平に分配されているものである。

ルネ・デカルト。


嘘には三種類ある。

嘘とひどい嘘。

そして統計である。

ディズレイリ。


正義に適った人々を相手に自分の立場を守ることは容易でない。

ソフォクレス「処世」


わたしたちは知っているのです。

苦難は忍耐を、忍耐は練達を。

練達は希望を生むということを。

ローマの信徒への手紙 5章3-4節。

忍耐は「期待して踏みとどまる」とも訳されます。

また、練達は「確信」とも訳されます。

この言葉は聖パウロの体験に基づくものです。

苦難は忍耐を、忍耐は練達を、練達は希望を生む。(ローマの信徒への手紙 5.4)

神様に直接、訓練されているので、必然的に人間の域を超えてしまう。

すると人間の力では無し得ない技がいくらでも可能になる。

すると神様は自分の御力の一部を分けてくれる、なので神様に訓練されると。

神様から見て一人前になって自立する。

神様に訓練された人と訓練されていない人とは。

人間の理解を超えるほど桁違いで。

神様の力の一部まで使えるようになった者は神様の一部なので。

訓練された兵士が実戦経験を積んだように。

何でも倒せるという事は何でも可能という状態になり。

神様の一部から来る可能性が希望を生むようになる。

人は通常、何の訓練もされていないので。

我流しか持たない。

エデンの園の追放が無ければ受けられていた訓練を後天的に受けるので。

可能性が増えて実際に可能という好循環に至る。

何も出来ない平民と。

神様に習った猛者が敵を薙ぎ倒せるのと同様。

非武装未訓練の平民よりは。

神様に訓練された手練はなんでもあり。

神様に訓練されると武器に困らず。

なんでもありになる。

聖書に記されているのはフェーズ(段階)を意味しています。

神様に直接、訓練してもらうと、なんでもありになります。


主は天地を創造し。

人を造り。

エデンに住まわせた。

ひとつ命令がありました。

善悪の木から取って食べてはならない。

選択の自由が与えられたのです。

最高の天使として創造されたサタン。

自分があまりにも美しかった。

神になろうとした。

堕落し。

神の被造物であった人に目をつけ。

エバ(イヴ)を惑わし。

善悪の木に誘導した。

エバは実を食べ。

アダムに勧めた。

アダムはエバに命じられるがままに食べた。

善悪の知識の木の実は一種の毒物であったとされる。

理由はどうであれ。

決して食べてはいけない。

食べると必ず死ぬ。

再び主と会ったエバは弁解し。

アダムはあなたが傍に置いた女が勧めたのだ。

責任転嫁。

こうしてエデンを追放された。

この時。

女は産みの苦しみを大いに増され。

夫を恋い慕うが。

夫はあなたを支配すると宣告され。

女は夫に仕える宿命を背負ってしまった。

男には。

労働の苦しみを宣告。

あらゆる呪いを帯びた。

その後の世界は悪が増え。

正しい心の持ち主であるノアとその家族だけを残して。

洪水で排除されてしまい。

義人から再スタートになった。

これは解釈のひとつである。

ドイツの偉人は以下に記した。

人間は宗教的である間だけ、文学と芸術において生産的である。

ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ「勉学」

創作には宗教的な要素が不可欠。

実は文学の専門学校では。

宗教も必要な知識であると公認されている。

シェイクスピアの時代は。

大物や強豪揃いで。

下について。

なんでもやった。

結果として歴史になった。

シェイクスピアをベースにした文学を筆者はお勧めする。

文学の専門学校をお忘れなく。

また。

海外ではその国特有の文学形態があり。

非常に高レベルであるとお伝えしたい。

理性。

それは神から賦与された選良のものなり。

神の一撃を死すべき人間はかわせない。

芸術史上主義の私の座右の銘。

アリストテレス「芸術は自然を模倣する」

自然由来のものを模倣するのみ。

実際、理に適った言葉というものは大きな力を持つものだ。
ソフォクレス「処世」

著者「環奈」


後日談(2)


有神論者のつぶやき「合同執筆」

失敗は成功の素。

失敗した分だけノウハウが蓄積されて。

成功に辿り着く。

本来の意味はこうなんです。

現代人は言葉の意味をかなり間違えており。

「あざとい」は小賢しいという意味だったり。

「正義」も「正しい道理」「人としての正しい道」であったり。

悪を倒す英雄のことではありません。

何を学んで大人になったのか分からない。

そんな堕落は避けないといけませんよね。

「道理はすべてを支配する。」

私達は「賢さ」を売って「知恵」を買いました。

愚か者は買うことができないのに。

手に代金を持って棒立ちしております。

宗教を持つ人は学問と芸術を持っている。

ゲーテの言葉ですよ。

故事や古典などは重要だと結論付けています。

それは必要に駆られたか。

必然の産物であり。

奇跡でもあるからです。

こんなことわざがありますよ。

「裏には裏がある」
意味。
真実な話なのに実は別な意味をもっているの意。
表面に出ない事情が複雑にいりくんでいて真相が計りしれないというたとえ。

理解できないほど高度なものですよね。

こんな気の利いた言葉もあります。

人間にもっとも多くの災いをもたらすのは人間である。
出典。
大プリニウス
ガイウス・プリニウス・セクンドゥス。
1世紀・古代ローマの博物学者・政治家・軍人・西暦23〜79。
「自然史」

確かに。

人間自体が災いになりますよ。

無神論について。

とあるインテリさんは。

神が存在する証拠があるので。

無神論という信仰を持つことにする。

なんて凄い事を言っていたりも。

そんなこと言われると手も足も出ません。

格言は言い得て妙。

歴史はアート。

人の芸術品でもありますから。

このような超自然的な記述はたくさんあるのです。

間違って言葉や史実が伝えられる事態は防がないといけません。

かつてインターネットは情報で氾濫して溺れました。

誰もが都合の良い「真実」を求めました。

すべてが愚かな解釈でした。

インターネットは気軽に書けますが。

大抵は衆愚の一員が執筆しておりますので。

愚かな解釈を広めることでしょう。

反対に正しい事を言っても中々通りません。

ゲーテはこう書き記しています。

私が愚かな事を言うと、彼らは私の言いぶんを認める。
私の言うことが正しいと、彼らは私を非難しようとする。
(温なクリーニエン、第四集、ゲーテ格言集。)

おもしろいほどよく当たる言葉ですね。

学校で習うのは基本的なものなので。

本当の高みに至るには。

独学が必要なんだと思います。

むかしは「大衆教育」なんて揶揄されちゃったり。

書き物は偉人が片手間によくやる趣味なのですが。

こういう文章も失敗やノウハウが活きたものです。

文学の専門学校では。

宗教から芸術まで。

様々な分野を学ぶ必要があると伝えられ。

文学にはいろんなスタイルがあるものです。

公には公開されていませんが。

種類は豊富です。

知る人は居ないでしょう。

私達はシェイクスピアをコピーしています。

あんな凄い物を超えられないので。

コピーしたに過ぎません。

それでも通用するものです。

ノーベル文学賞までコピーしています。

情けない?

いいえ。

偉大な人物には及びません。

謙遜が必要です。

謙虚が必要です。

私達も所詮は歴史を土台に存在しており。

歴史から得たもので行動出来ています。

歴史が教師。

とにかく学んで。

よく吸収して。

いっぱい行う。

単なる学生であり。

歴史がくれたもので成り立っています。

そんな程度なのです。

歴史を冒涜するのは辞めました。

有神論者としては。

神様がそう仕向けたのだと思い。

学校の掲示板にこの論文を貼り付けようと思います。

「夏休みの成果」として発表され、高得点。


後日談(3)


カワラバト(ドバト)を飼い始めました。

かわいい仕草。

ずんぐりむっくりがたまりません。

ケージは大型インコ用のもの。

でも慣らしていくうちに。

逃げなくなりました。

しばらくすると。

外に放っても。

わたしの肩から飛ばずに。

木に乗せても逃げないので。

よく訓練されている鳩だったんですね。

今は癒しの存在。

最近柴犬を頻繁に見かけますが。

人気なのかな。

かわいい女性がたくさん世に出て。

特集が組まれています。

環奈。
「おやや?」
「しばらくぶりです。」

萌峰。
「やっほー。」
「久しぶりに自然探索。」

太鳳。
「おや?ハトさんですね。」

環奈。
「素敵な鳥さんですよ。」

萌峰。
「キジバトもよく見るけれど。」
「生で見るとたまらない。」
「動き回る様子だとか。」

太鳳。
「新鮮だもんね。」
「鳩の大群なんてさらにいい。」

環奈。
「生でしか味わえないオーラがあるよ。」

太鳳。
「ん?それは絵画にも同じ。」

萌峰。
「そもそも。」
「美術館に通わずに。」
「芸術は出来ないでしょ。」

環奈。
「何件も見て回りました。」

太鳳。
「本物は素敵。」

萌峰。
「そういうこと。」
「生の鳩は写真とは別物だわあ。」

環奈。
「もうけっこう慣らしています。」
「小さな小屋を建ててみました。」

萌峰。
「あら?自分で作ったの?」

環奈。
「男性から見て盗んだもの。」
「けっこう大変でしたが。」

太鳳。
「自分から進んで物事をやる。」
「女性はこうでなくちゃ。」

環奈。
「なんか私達って言っていることが哲学的。」

萌峰。
「そう?理性から出てくるけれど。」

太鳳。
「そうだ。」
「こんな情報があってね。」
「もうすぐ開催されるとか。」

環奈。
「ヌエ鹵獲大作戦?」

萌峰。
「殺さずに捕獲したら一攫千金。」
「とうとう出没した珍獣ってね。」

太鳳。
「私達も追ってみるけれど。」
「競争相手になりそう。」

環奈。
「手を抜かないでくださいね。」

太鳳。
「もちろん。」
「そうだ。」
「いつか渡そうとしていた論文。」
「これあげる。」

太鳳ちゃんからコピーした書類を貰いました。

芸術作品の基準についての考察。

欧米人の作品の評価に寄与しているもの。

「歴史的価値観」「学問的価値があるかどうか」

日本人の作品の傾向として。

作品の内容が極端に思想的。

または個人的なものの場合が多い。

個人的な感性、感情、記憶や過去、趣味趣向など自分本位な内容の作品。

「共感を求めている」ので。

「感情に訴えかける」ような特徴を持つようです。

芸術を評価するための6つの視点。

芸術とは文化の継承である。

芸術とは歴史である。

芸術とは政治である。

芸術とは思想・哲学である。

芸術とはその時代の技術の限界である。

芸術とは言い訳である。

何が凄いのか評価する力がないからこそ。

同調したりとか。

感動したりとか、そんな言い方になる。

環奈。
「人気作品とか。」
「どのような理由で人気なのか判断が必要ですなあ。」
「反対に嫌われている作品でも。」
「どのような理由で嫌われているか判断が必要。」
「大衆は常に間違うから。」
「論文形式で発表できなかったり。」
「暴評が多いみたい。」

太鳳。
「評価もプロが入れるものですよ。」

萌峰。
「餅は餅屋。」
「確かに大衆向けは素人が読むものだけれど。」
「芸術作品は素人には判定できません。」

環奈。
「手塚治虫は読者の事を考え抜いて描いていた。」
「読者第一の漫画家でした。」
「私は芸術家なので。」
「大衆向けには描かない。」
「豚に真珠。」

太鳳。
「純文学って本来そういうものでは?」

萌峰。
「大衆文学はよく売れますねー。」
「仕方がありませんよ。」
「個性なんですから。」
「大衆が読む者はあれでいいんです。」

環奈。
「人気作品の特徴は読者を中心に執筆されること。」

太鳳。
「芸術作品の特徴はより芸術的に。」
「美しさの表現に目的を置いていること。」

萌峰。
「絵画も美術品も。」
「骨董品もですよ。」
「販売には苦労するもんです。」

環奈。
「じゃあわたしは美術品や絵画として描こう。」
「目利きは買ってくれるでしょう。」
「大衆へ向けた読み物や工芸品ではないから。」
「きっと人気は出ないでしょう。」

萌峰。
「あっちは単なる商品。」
「こっちは美術品。」
「資本主義とかよく言うわあ。」
「資本主義の構造は中々知られませんですとも。」

太鳳。
「というわけで。」
「祈願して描いたのであれば。」
「まあ批判した人の逆罰は決定でしょう。」
「がんばって〜。」

姉妹は去っていきました。

るんるん。

鳩と戯れる。

カワラバトはそれぞれ模様や体格が違う。

人慣れしている種類。

元々は西洋から輸入されたそうで。

レース鳩などが野生化して繁殖。

野鳥でありますけれど野鳥ではないという。

ややこしい事になってます。

鳩の魅力は生で見たほうがいいですよ。

ずんぐりむっくり。

ふりふりしてとことこ歩く。

鳩マニアになったので。

鳩と一緒にしばらく遊びましょう。

家の庭に机があって。

ノート。

ちょっとメモ。

環奈。
「わたしが道理を説いた回数は50回。」
「やっぱり完璧な作品は書けないなあ。」
「そこは諦めました。」
「ぽっぽ。」
「おいでー。」

鳩は大人しく。

もう懐いているんですね。

ハムスターを飼った事が前あったのですが。

ゴールデンハムスターは懐くんです。

生き物の飼育は大変ですが。

鳩だけは飼えると知っておりました。

不思議な知恵のおかげか。

鳩を上手に飼えています。

たまらない。

のんびりまったりな日常。

三姉妹と繋がっている生徒たちは何か企んでいる?

女の子のやることは分からないもの。

女性がどうあるべきかは。

議論の必要があります。

それはきっと最重要事項ですよ。


後日談(4)


環奈ちゃん。

詩織ちゃんとフェルト。

三人組で自然散策。

市街地でも。

森林が多くて。

郊外になると。

整えられた自然が広大に広がって。

文化のひとつの形として。

自然を取り入れ。

健康を目指した成果があります。

健全が大切という訳です。

町外れは森林地帯。

環奈。
「自然哲学を採用した文化。」
「なんて健康なんでしょう。」

詩織。
「自然を観ますと。」
「自分の不自然な部分が浮き彫りになりますよ。」

フェルト。
「自然に違和感があった頃。」
「自分が不自然であったと感じたわ。」

環奈。
「自然と融合した街作り。」
「木々や花々に囲まれて。」
「健康を獲得するのは。」
「人類の結論のひとつ?」

詩織。
「真面目に自分たちの有り方を考えると。」
「自然と調和するのが手っ取り早いようです。」

フェルト。
「自然状態を意味するのではなく。」
「不自然そのものを無くすわけね。」

環奈。
「いろんなスタイルが世界中で試されている。」

詩織。
「隣町なんてテーマパークみたいな町作りしてます。」
「芸術家の集う街ですから。」

フェルト。
「人というもの。」
「そのくらいは出来るもんだわあ。」

背後にドレス姿の女性。

いつの間にか後ろにいて。

さりげなく振り向かせた。

幸運のピスティス。
「むみゃー!!」

環奈。
「え?なになに?」

詩織。
「個性が強い女性のようです。」

フェルト。
「気配すらなかった。」

幸運のピスティス。
「現実は単純じゃないよ!!」

前を先導して歩いて。

廃墟みたいな神殿に到達。

ドレス姿の女性は既に居ません。

詩織。
「この神殿は古代信仰。」
「現在の信仰が浸透する前に。」
「この土地に存在する神話。」

フェルト。
「中は綺麗なのね。」

環奈。
「国教が指定されるずっと以前にあったの?」

詩織。
「そうですよ。」
「もう忘れられていますが。」
「惨殺のハイマ。」
「あらゆる殺傷行為に関わる。」
「究極の力をもたらすと言われる力のデュナミス。」
「命のゾーエー。」
「与えしカルポス。」
「科学を司る機械のヘーリキアー。」
「世界を教えるゲオールゴス。」

フェルト。
「前文明の?」

詩織。
「いいえ。」
「数千年前から実在していて。」
「森の中で遂に発見したものです。」
「むかしにあったものが。」
「忘れられて。」
「現在の国教と入れ替わったみたいです。」

環奈。
「レアなの?」

詩織。
「同じものは世界各地にありますので。」
「むかし各地で流行したものが。」
「忘れられてこの森にあるんですね。」

フェルト。
「この森はたまに来るけれど。」
「ここは知らなかった。」

環奈。
「さっきの女性はなんだろう?」
「やけに素早い。」

適当に見て回っては。

そこから立ち去りました。

さて。

今夜も犯罪者狩りが始まっています。

軍隊の予備兵員で構成された。

掃除屋と言われるチームが。

今回も元気に。

テロリストや犯罪者を追い掛け回して。

暴力主義者を片っ端から捕獲しているもので。

一応は軍人なので。

けっこう強いもんです。

夜歩き。

河原で星空を見ておりました。

掃除屋の人がやってきて。

情報提供をくれと頼むので。

何もないと言いましたら。

決めポーズで立ち去りましたよ。

謎の男。
「あの女の子は掃除屋か?」

暴漢。
「いや無暗に関わるな。」

謎の男。
「おい!掃除屋が向こうから来てるぞ!」

暴漢。
「しまった!動きが遅かった!」

謎の男。
「徒歩と馬ではどっちが速い?」

暴漢。
「あの女の子を使って。」
「一時凌ぎの逃亡作戦でいいか?」

謎の男。
「掃除屋も人質を取られては。」
「容易に動けない。」

環奈。
「何を話しているんですか?」

謎の男。
「ぎゃあああ!」

暴漢。
「こいつも掃除屋かー!」

拳銃を向けてくる。

小型シールド発生装置。

量産品ながら。

起動して銃弾を防ぎつつ。

退却する環奈ちゃん。

暴漢。

掃除屋に発見された!

追い回されて。

環奈ちゃんの方に逃げてくる。

環奈。
「来るなー!」

暴漢。
「そんなこと言われても。」
「こっちしか逃げる方向が無いのだ。」

環奈。
「斬りますよ?」

謎の男。
「そんなこと言われても。」
「俺達が逃げる方向に逃げないでください。」

幸運のピスティス。
「みゃー!」

ドレス姿の女性が浮いていて。

光があるので。

見えました。

前方。

暴漢。
「なんだ!」

幸運のピスティス。
「六甲の天然水はどこにあるの!!」

暴漢と謎の男。

謎の力によって気絶。

掃除屋が追い付いて。

あの女性は居ません。

掃除屋。
「君がやったの?」

環奈。
「ドレスの女性がやりました。」

掃除屋。
「幸運のピスティスだ!」
「厄介な二人組を殺ってくれた!」
「あなたは見たのか!?」

環奈。
「ドレス姿で。」
「二度目です。」

掃除屋。
「なんという貴重な体験!」
「これ貰っていくから。」
「協力感謝!」

二人組は掃除屋数人に捕獲され。

無残な姿で運ばれていく。

謎の手段で毎回逃げ続ける。

逃走が上手すぎる犯罪者。

追っても追っても逃げられるのに。

最後はまぐれ当たりで。

環奈ちゃんをターゲットにしてしまい。

力尽きた。

二人組のひとりは死亡していたそうで。

治安はさらに良くなりました。

自然法の裁きからは逃れられない。

そういうわけです。

解放されて。

戻る最中。

夜道を怪しく歩く女の子。

桜花ちゃんと杏桜ちゃんを発見。

何やら取り込み中で。


研究室に招かれました。

祭壇があって。

蝋燭とお供え物と。

御神体。

桜花。
「この研究室で本を読み。」
「実践し。」
「多芸多才となったわたし。」
「いろんな分野から持ってきて。」
「複数の要素を組み合わせた。」
「融合。」

杏桜。
「それで分かったの。」
「大切な人の事は知らないと駄目でしょ?」
「上辺だけ知っても内面が分からないと。」
「出来れば生の感情。」

桜花。
「ここまで歴史が揃ってしまうと。」
「ほとんどの場合。」
「客観データを持って来れば足りる。」
「それにほんのちょっと注釈をつけるのみ。」

杏桜。
「天才と偉人。」
「英雄と賢者。」
「黄金時代は書に埋もれ。」
「私達はそれに縋る哀れな生命体。」
「それはひ弱で自分たちで何も作れないほどに。」
「肩を寄り添っては惨めに争い。」
「ひとつの王座を資格無き貧者が奪い合う。」

桜花。
「我を張り続けて。」
「我の強さで決定されていく儚い生でさえ。」
「もう少しマシには歩けるものを。」
「歴史は終わったと人々は言っている。」
「歴史をリセットしたと。」
「誇らしげに自信だけは強くて。」
「自分たちの敵は強大で。」
「目に見えぬ敵に怯えてなお。」
「自らの驕りを正そうとしない。」

杏桜。
「いいえ。」
「認めたら。」
「いままでの行為が否定されてしまう。」
「そこまで彼らは愚鈍な生物と化して。」
「己の弱さと全体主義の巣窟を崇拝して過酷な状況に虐められる。」
「そうまでして守りたい対象は決まって無価値で。」
「欲望を従えるのではなく。」
「欲望に仕えるために日々働く。」

桜花。
「故に個々の力は無力そのものとなった。」
「彼らはその嘆きと怒りをぶちまけ。」
「その対象が欲しいだけなのだ。」

杏桜。
「いまや民衆が熱心に求めるのはパンとサーカス。」
「美食と娯楽と快楽と。」
「貪欲と。」
「可能な限りの安定した生活。」
「しかし人には明らかなる安定は存在しないのよ。」

桜花。
「もはや自分たちで作りだした敵と対峙し。」
「知らぬうちに取り込まれて弱体化する。」
「これまでの進化の過程で動物がそうであったように。」
「変化に追従しない者は滅ぶだけだ。」

杏桜。
「エピステーメーそのものが変化し。」
「それが愚かな構造に成り果てて。」
「彼らはそれ自体に苦しめられる。」
「己の作り出した敵によって。」

桜花。
「もはや彼らは自分たち全員で他人の足を引っ張っているに過ぎんのだ。」
「まるで強者を監視し。」
「自分たちを囲む檻から出さないように。」
「囚人たちは囚人を監視しているのではないか。」

杏桜。
「そうなれば自分たちで作り出したハデスとなった。」
「自分たちで作り出した地獄という構図を彼らは味わい。」
「それらに気付かぬままに罠に落ちるのだ。」

桜花。
「まさか自分たちの敵を自分たちで作成するとは夢にも思わないだろう。」
「それが混沌の正体なのだ。」
「知らず知らずに他人を貶め。」
「悪循環によって地獄は深刻となる。」

杏桜。
「好循環が発生すればそれらも滅びよう。」
「ただしいくらか甚大な犠牲も出るだろう。」
「彼らは単なる生け贄に過ぎない。」
「残酷な人間たちに与えられるのは。」
「自分たちの中から生け贄を出せという残酷な要求だ。」
「神々は彼らの中から選別し。」
「死神は鎌を首に押し当てて。」
「むかしから言うではないか。」
「青白い死神は。」
「貧者の小屋も王の館も。」
「同じ足でたたく。」
「そう。」
「それが彼らの結果。」

桜花。
「おおよそ自由に振る舞った代償は高くついた。」
「我々は自由を一度だけ返却し。」
「神々の慈悲を乞おうではないか。」

杏桜。
「それはいい。」
「神々は寛容です。」
「数々の愚行を働いた我々と。」
「愚者の道を歩かせた人間への報復でもある。」
「最初にそれを知った者から。」
「愚者の仲間から外れるのだ。」

桜花。
「そうだ。」
「今日この日から愚者の仲間からとうとう解放されるのだ。」
「これには神々も労苦を慰めてくれよう。」

環奈。
「えー?これなに?」

桜花。
「客観データを発掘し。」
「客観データを引用すれば済むってわけ。」

環奈。
「客観データって大切なんですね。」

桜花。
「お気持ちVS客観データになるわなー。」
「客観主義者としては。」
「歴史書を使えー。」
「それで済む話!!」

環奈。
「これも歴史なんですよね。」

桜花。
「萌峰先生に提出するの。」

環奈。
「お裾分けありがとー。」
「また学校で会おうね。」
「ここで見たことは見てないことにする。」

人の数だけ意見あり。(テレンティウス)454「ポルミオ第二幕4.14」

リベラリズムは自然権に基づいて。

ほとんど自由にしていますが。

前文明の遺産はそこまでの考察を産み出して。

考古学者は栄えています。

なんか自分の事のように思えるのは。

たぶん。

認識問題なんでしょう。


後日談(5)


お姉さんの瑞穂(みずほ)

海外でイケイケの仕立て屋。

弟の伊蕗(いぶき)は騎士として早熟で。

訓練生として修練中。

アカデミー暮らし。

次女の幸々実(ここみ)

絵手紙が送られてきて。

遠くで暮らす大学生。

漫画にした近況を説明するとは。

思わなかったです。

環奈ちゃん。

詩織ちゃんとフェルト。

一緒に。

発見した神殿を再度訪れて。

ちょっと勉強かな?

興味本位。

神殿の屋根に。

ドレスの女性が立っていて。

こちらを見ておりました。

環奈。
「撮影。」

フェルト。
「不思議ね。」
「正体が分からないし。」

詩織。
「幸運のピスティスの可能性あり。」
「とのことで。」

幸運のピスティス。
「ニヒリズムは愉快犯!」

環奈。
「おお!ばっちりわたしのカメラ。」

幸運のピスティス。
「神様に背を向けた方向には。」
「何がありますかー?」

詩織。
「多分。」
「何もないと思いますけれど。」

幸運のピスティス。
「ねえねえ!みかんどこかに実ってないかしら?」

フェルト。
「市場に売ってるわよ。」

幸運のピスティス。
「雷に打たれると。」
「ようやく目覚めると思う。」

環奈。
「ああ!もう去っていくのかあ。」

幸運のピスティスが飛び去ってしまった。

詩織。
「なんか雲行きが怪しいですよ。」

環奈。
「うん。」
「早歩きで帰ろう。」

帰路にて。

雷が平原の樹木に命中。

みかんの木。

焦げたみかんが散らばっていた。

小さな双眼鏡で目撃。

フェルト。
「あらまあ。」
「珍しく天候が厳しいわね。」
「雨具あるからいいけれど。」

詩織。
「雨が降るみたいです。」

環奈。
「出発する時に。」
「黒っぽい雲が多かったから。」
「でもここを抜けると。」
「すぐに街の郊外。」

雷が数発。

木々に命中したものの。

すぐに晴れてしまい。

難なく帰宅できました。

あの神殿は。

一部の人が管理・整備している。

一般の人が発見できない。

秘密の場所だったみたい。

幸運のピスティスの写真。

これを市役所の役人に見せましたら。

コピーが欲しいと言われて。

これが名画に匹敵する価値になるとは思わず。

この事が法王様に知られて。

わたしの名前が覚えられるとは。

思い掛けないことでした。


後日談(6)


お姉ちゃんが久しぶりに帰ってきました。

リビング。

幸々実。
「かんなー。」
「久しぶりー。」
「前よりかっこよくなったみたいで。」
「話は聞いているよ。」
「さすが私の妹!」

環奈。
「大学では誰もが知る実力者であると聞いています。」
「文学では右に出る者は居ないと。」
「さすが私のお姉さん!」

幸々実。
「偶然の出会いではないってわけよ。」
「お姉ちゃんと妹でこの世界を独占しますか?」

環奈。
「勝算は?」

幸々実。
「それを考えているよ。」
「まずは勝つのが当たり前になってから攻めるの。」

環奈。
「ふふふふ。」
「兵法書は戦いの教科書ですなあ。」

幸々実。
「孫子兵法書が反戦論って知ってた?」
「現代訳の内容を読むと。」
「乱世の奸雄。」
「曹孟徳が注釈をつけていたけれど。」
「むやみやたらの戦争は無益であって。」
「戦争目的が最初に設定され。」
「国力や損害。」
「自軍の補充など。」
「いまやこれなしでは戦争は出来ないほど。」

環奈。
「世界を蹂躙するにはあまりに非力だ。」

幸々実。
「いいえ。」
「夢は大きなほうがいいよね。」

環奈。
「なるほど。」
「夢は大きく!」
「悪夢か正夢か。」

幸々実。
「楽しみもないと。」
「さあて文芸学をみたまえー。」

環奈。
「こんないっぱいノートが?」

文学の正式名称は戯曲。

ゲーテの「ファウスト」

シェークスピアが代表。

ライターズ・ブロックとハイパーグラフィア。

前者は執筆の妨げ。

後者は暴走と。

ライターズ・ブロックをハイパーグラフィアで打ち破るのが一般的。

ただし。

最後にはハイパーグラフィアもライターズ・ブロックに屈するので。

どちらも混在する状態に至る。

宗教を持っている人は芸術。

つまり文学まで持っている。

こちらはゲーテ格言集から出しています。

幸々実。
「こういう訳で。」
「文学もしんどいもので。」
「仕事にするのであれば。」
「けっこう骨が折れる。」

環奈。
「古典や古典文学を摸作する人が多いみたい。」
「模作は文学の基礎。」

幸々実。
「考えて出せるものじゃないし。」
「どこからか引用してきて。」
「オリジナル要素を加える。」
「考えるよりも。」
「原型を探すほうが簡単だと思っています。」

環奈。
「書き続けるには。」
「引用を狙ったほうがいいかも。」

幸々実。
「現時点では。」
「文芸学もすべては解明されていない。」
「でも宗教を持っていると。」
「どうしても書けてしまうのよね。」

環奈。
「ゲーテも同じ趣旨を筆記していますし。」
「そこは大事じゃないですか。」

幸々実。
「というのがノートの内容で。」
「語り続けるよりも。」
「たまには遊びたいわあ。」

環奈。
「隣街で文化交流があるそうで。」
「まだ期間中だよん。」

幸々実。
「よし遊びに行こう。」

という訳で。

隣町に来たのです。

お姉さんの滞在期間は短いので。

なるべく内容重視で行きます。

計画性。

広場の巨大掲示板群には。

男性とはどうあるべきか?女性とはどうあるべきか?

議論中。

レクリエーションに各スポーツを楽しむ。

運動公園は。

今は大会期間。

環奈。
「スポーツは得意不得意が明確です。」

幸々実。
「上級プレイヤーは。」
「最初から基本が出来ているし。」
「私達がそうであるように。」
「彼らもそうなのです。」

環奈。
「違いとはあれなんですね。」

幸々実。
「違いを認め合うのです。」

環奈。
「我が強いどっかの国とは違うね。」

幸々実。
「我を張る人間は特に醜い。」
「この世から出ていけー。」

環奈。
「他人を尊重し。」
「敬意を持って接することが出来ないのなら。」
「出ていけ。」

幸々実。
「世界は美しい。」
「しかし醜い人間はそれを汚す。」

環奈。
「お掃除は定期的に。」

商店街へ。

面白い話を持ち寄って、査定のち、書籍化される。

逸話文化の書店コーナー。

幸々実。
「これ本当にあったの?」

環奈。
「事実確認がされているとか。」
「もはや喜劇のような世界。」

幸々実。
「第三者の目線からのみ。」
「客観的な事象が判明するのではと思います。」

環奈。
「イドラなんでしょうね。」

幸々実。
「特にむかしの逸話は面白い。」
「自分が神であると思い込んで。」
「やりたい放題して処罰された。」
「頭のおかしい歴史がそこに。」

環奈。
「蛇は言いました。」
「あなたは神のようになり。」
「神なのです。」

幸々実。
「騙されてやんのー。」

環奈。
「そして己が神だと信じ込んだ人間たちは。」
「あらゆる愚行を正当化した。」

幸々実。
「人がそう言っても。」
「神から見たら違うのです。」
「良い意味でも悪い意味でも。」

環奈。
「多数決で自分を正当化する連中もいますから。」
「そんなものに縋るのはかわいそう。」

幸々実。
「その世間の考えも偶然に形成されたもの。」
「寄るべき根拠は存在しない。」
「乞食みたいに。」
「何か与えないと。」
「しかし満腹だと言い張るでしょう。」

環奈。
「まさか自分たちが間違っているなんて。」
「死んでも認めたくないでしょう。」
「彼らは世間の考えに縋るしかない。」

幸々実。
「神よ。」
「妄想を信じていたい。」
「哀れな愚者を救いたまえ。」

広場の公園。

各自、集まって雑談をして楽しむ交流文化があり。

広場の喫茶店はどこも満席。

芸術品・美術品・オリジナルを制作して発表する制作文化もあり。

出来の良いものは店頭に置かれるなど。

アニメ作品や工芸品。

漫画は常に山積み。

アニメや漫画にも。

哲学が存在しており。

栄えているのです。

お祭りの中心地。

巨大な教会。

只今祭典期間中。

協会は文明や文化の支援・管理なども含めて。

福祉全般を任されている。

幸々実。
「今日は降誕祭。」
「待降節。」
「聖ニコラウスの伝説から。」
「子どもに贈り物をする習慣が生まれました。」
「しかしなぜ誰も知らない私の欲しい物が。」
「朝目覚めると枕の横に置かれているのか。」
「誰にも話してはいない。」
「両親の企みでは無かった。」
「欲しいと言った贈り物が。」
「無条件で枕元に置いてある。」
「それは何故!?」

環奈。
「それは後から両親が用意したことになりました。」
「お父さんは感づいて。」
「こう唱えました。」
「ジーザス!!」

幸々実。
「聖ニコラウス。」
「慈悲深く、多くの貧しい人を助けたと伝えられています。」
「ある日、聖ニコラウスは、貧しい3人の娘が住む家の暖炉にこっそりと金貨を投げ込んで。」
「幸せな結婚をさせたという話が特に有名。」

環奈。
「プレゼントが出現したのは。」
「両親が用意したにしては上手過ぎます。」
「ひょっとしたら。」
「聖ニコラウスは現在も。」
「子供たちに届けているのかもしれません。」

幸々実。
「クリスマスのプレゼント。」
「あはは・・・お礼しておいたわ・・・。」
「主は受け取って下さいました。」

環奈。
「聖ニコラウスがモデルのサンタクロース。」
「言葉にできない。」

幸々実。
「不可説。」
「不可知論。」

教会前広場を後にして。

喫茶店でケーキを食べて。

広場で賭け事が行われておりました。

公式サービスに使える。

引換券みたいな。

商品券として機能している。

コインを巡って。

相手のバンダナを先に取れば勝ちというルール。

今日は女性が多く参加しておりまして。

たまには勝負してみたくて。

幸々実。

参加しようと接近。

環奈。
「小物はすぐに争うと聞きますが。」
「参加するの?」

幸々実。
「たまには自分の力を試したり。」
「たまにやる勝負事は面白いよ?」

幸々実対一般女性。

相手が愚直に取りに来たところを。

横にひょいっと避ける。

柔よく剛を制す。

素早い動きで。

相手の1手先を潰して。

空振りした相手のバンダナを掠め取る。

勝利したので。

コイン3枚ゲット!!

拍手喝采。

相手の女性たちが萎えたので。

撤収。

環奈ちゃんが手伝った。

最新鋭戦闘機F-45アストルムが。

町外れの発着場でお披露目されており。

軍関係者は。

近くで見せてくれました。

これは側面や各所に補助スラスターが装備されており。

通常の戦闘機では出来ない運動性能を誇ります。

特に低速度でのアクロバットは本機の特徴です。

ミサイルですら本機への命中は期待できません。

小型レーダードームを内蔵。

敵戦闘機が放った中距離ミサイルを。

3DかCGグラフィックで。

サブモニターに表示。

AIが算出する敵ミサイルの情報。

飛行経路と未来予測経路を表示し。

回避能力が向上している。

第六世代アビオニクス。

機関砲でミサイルを迎撃することも可能。

この場合は。

ある程度正面に出ないと。

旋回砲塔が対応できない。

戦闘機用ファランクス。

ミサイルはミサイルを迎撃できるものの。

パイロットが適切に回避をして実現できる。

最高の回避能力。

何よりシールド発生装置を内蔵しており。

数発の被弾まで許容できます。

再追尾可能なインフェルノミサイルを標準装備しており。

大型の制空戦闘機として大変に優秀です。

環奈。
「ペンナスラスターで。」
「様々な方向に飛行できるよ。」

幸々実。
「これってもはや戦闘機の運動能力ではないわあ。」
「だって横方向にも。」
「どんな方向にも切り返せる。」

環奈。
「ミサイルは全射程対応型。」
「短距離モードから中距離モードで発射する。」
「各モードで発射できるから。」
「地上目標にも攻撃可能。」

幸々実。
「科学も高度化しましたなあ。」
「こんな凄いもの普通に造れるのね。」

さて。

数日前。

ここから50キロメートル先にある。

放棄されていた筈の砦が陥落しまして。

無政府主義者に大金を注ぎ込まれ。

事実上の代表となっていた。

ゼノ。

廃墟を直して。

拠点としていたのですが。

攻撃されて陥落。

逃亡生活。

支持者の弱小国家に逃げ込む予定だそうで。

軍隊が行方を追っています。

普段は特殊メイクをしているらしく。

発見は簡単ではありません。

ゼノ。
「いいえ、誰も他人を正当に非難できません。」

無政府主義者。
「それならあの武器を無効化できるだろう。」

ゼノ。
「軍服に体を合わせるように。」
「現実を我々の計略に合わせていこう。」

無政府主義者。
「間違っているとするならば。」
「我々の計略通りにならない現実の方だよ。」

将校。
「こいつらは反省することなく。」
「争いを繰り返してきた。」
「これは人間である以上。」
「避けられない本能なのかもしれない。」
「そこで我々は彼を平和の種族に変えることで。」
「彼の心から争いを無くそうと考えた。」

士官。
「ここがゼノの自宅なんだって。」
「みんなでお邪魔するとしよう。」
「彼らが言うには。」
「ちょっともてなす兵士の数が少ないかもしれないけれど。」
「思う存分見ていってほしいとのことだよ。」

ゼノ。
「雪の降る中。」
「我々の歓迎のために。」
「こんなにも多くの人が集まってくれたよ。」
「みんなこの私に一目会いたくて。」
「列をなしている。」
「しかしちょっと興奮しすぎて暴徒と化しているがね・・・。」

エースパイロット。
「僅かの愚かさを思慮に混ぜよ、時に理性を失うことも好ましい。」
「クィントゥス・ホラティウス・フラックスの言葉である。」

アーレア1。
「真実を、どうして、私たちは聞かないのか、なぜなら、私たちが言わないから。」

アーレア2。
「悪人を許す人は、善人に害を与える。」

エースパイロット。
「事物の原因を認識し得た者は幸いである。」
「プブリウス・ウェルギリウス・マロの言葉(農耕詩)から。」

アーレア2。
「ドローンから報告があった。」
「無人小型偵察機からもだ。」
「ゼノはスラム街に入ったらしい。」

アーレア1。
「では我々戦闘機部隊は出番なしだな。」

アーレア2。
「ゼノを回収する部隊が複数存在すると報告があった。」
「攻撃指令。」

アーレア1。
「了解。」
「ターゲット情報。」

エースパイロット。
「民間機が多いから。」
「時間をかけよう。」

アーレア1。
「その発案には賛成する。」
「上層部に問い合わせる。」
「やはりそう来たぞ。」
「もう少し上空で索敵する。」

ゼノは町外れの先にある。

廃棄された無人地帯に潜みますが。

軍隊に攻撃されて。

数名の部下で姿を消す。

街中。

環奈ちゃんと幸々実ちゃん。

見て回って。

市民とゲームしたり。

パフォーマンスなどを鑑賞。

帰宅途中。

環奈。
「ゲームした人にカード貰った。」

幸々実。
「美術品なカードですなあ。」

環奈。
「女性アイドルのキャラクター。」
「これでも少しだけのレアだとか。」

幸々実。
「ほう。」
「美術品も困ってないようだ。」

バスの後ろを走る高級車がおりまして。

信号で停車すると。

市民がいきなり降車して。

数名の集団を攻撃。

何かと見てみると。

どっかで見たことがある連中が逃げる。

しかしそっちは崖です。

環奈。
「前に襲ってきたゼノだよ。」
「一回斬ったことがある。」

幸々実。
「もはや獲物でしかない。」
「狩りになってる。」

環奈。
「争いは何も生まないということだね。」
「なのでこれ以上争わなくていいように。」
「ここは矯正してあげなきゃ。」

幸々実。
「剣を持って直接話し合わないと分かり合えないものです。」

環奈ちゃんが追いかけて。

市民も武器を持っている始末。

湖で取り囲んで。

環奈ちゃん&市民vsゼノの一団。

ゼノ。
「あの時の女の子が相手?」
「ふははは・・・。」
「俺を誰だと思っている!」
「悪名高いゼノだ!」
「勝てるか?えぇ!?」
「いい所に埋葬してね。」

環奈ちゃんが接近して攻撃。

ゼノの取り巻き5人は降伏。

環奈ちゃんはガードする相手の武器に叩き付けて。

一瞬のスタンを突いて。

相手の鎧に傷を与える。

反撃は後ろに後退して受け切る。

ゼノの反撃を横に避けて。

同時に剣で叩き付ける環奈ちゃん。

後ろに剣を回してガードするゼノ。

態勢を立て直して。

必死にガードするゼノであったが。

連撃で攻めていき。

相手の腕を掴んで。

自分は反転してゼノを巻き込み。

肩に突き刺して投げました。

ゼノ。
「ぐおおぉぉぉぉぉ!?」
「レクイエムは一応聴かせてくれ。」
「埋葬の方法は・・・ぐわあああ!?」

市民に殴られて。

ゼノは倒された。

すぐに警察は退けられて。

軍隊の歩兵でいっぱいになる。

ゼノは連行されて捕虜。

無政府主義者の挑戦は無残な結果を迎えることになる。

この一件で環奈ちゃんは証明され。

最高の少女として褒め称えられ。

新聞を飾ることになりました。

具体的な手柄を多数持つ。

環奈ちゃんは。

後にそれがすべて効いてくる。

獅子のように勇敢な。

ひとつの女の子の形。

見出された文字があります。

この世のものはすべて儚いものです。

頼みにできる確かなところがない。

淡くて消えやすい。

儚い望み。

無常。

儚いこの世。

この世はすべて儚い。

儚く消えるこの世のすべてを。


後日談(7)


汝既に成長しけれども、童心未だ失せず。

お姉さんが大学卒業。

弟の神童が発覚するなど。

変動が多い半年でした。

万物流転。

環奈。
「死なんと戦えば生き、生きんと戦えば必ず死するものなり。」

小十郎。
「器用というのは?他人の思惑の逆をする者だよ。」

環奈。
「千日の稽古をもって鍛となし、万日の稽古をもって錬となす。」

小十郎。
「人と物争うべからず、人に心を許すべからず。」

環奈。
「それで?こんな難しい本を読むべきなの?」

小十郎。
「今やるか、永遠にやらないか。」

環奈。
「そう言われると。」
「好機というもの。」
「神は歯のない者にクルミを授ける。」

小十郎。
「馬を水際まで連れていくことはできるが、水を飲ませることはできない。」

環奈。
「生きるのに必要な技能は足りています。」

小十郎。
「年齢が年齢なので。」
「最後の仕上げ。」
「これまでよく耐えてくれたね。」
「何か望むものならなんでも言いたまえ。」
「ただし十個までだ。」

環奈。
「すべてをください。」

小十郎。
「ルールの抜け穴を突くなあ。」

環奈。
「だって条文が無いんだもの。」

小十郎。
「いや自然法を意識するべきだ。」
「お父さんは忘れたことはないぞ。」
「間違いを犯すのは人間、許すのは神。」
「人が間違いを犯すのは当然。」
「間違いを許すのは神の成せる業。」

環奈。
「そろそろ本の山を片付けないと。」

小十郎。
「勉強ばかりで遊んでいないとダメになるぞ。」
「よく遊び、よく学べ。」

環奈。
「文学のノートがあ・・・。」
「精読すべき本で埋もれた!」

小十郎。
「完璧な作品は存在しないぞー。」
「それに。」
「完璧を怖れる必要はない。」
「決してそこには到達しないから。」

母親。
「おやまあ。」
「自分の子供を知っているのは賢い父親ですね。」

環奈。
「子ヒツジのように千日生きるよりも。」
「ライオンのように一日を生きるのがよい。」

小十郎。
「そこまで。」
「遊んできなさい。」

環奈。
「はぁーい。」

街の人々が掃除をしておりました。

各自が戸口を掃けば。

町はきれいになるもんです。

幸運のピスティス。
「事故は起こるもの。」

環奈。
「あらまあ。」
「車がスリップしてきた。」
「立て直しがうまいね。」

幸運のピスティス。
「ゲームの終わりには、王も道化師も、同じ箱にもどる。」

環奈。
「あなたは?」

幸運のピスティス。
「悪いものだけが、あなたを傷つけるためにやってくるのではない。」

心玖。
「自然は最良の医師。」

渚沙。
「寝込んでたわ。」

理沙。
「くたばってたわ。」

環奈。
「ファーブラー公のお屋敷に招待されてます。」
「遊びに行きましょう。」

お屋敷。

城のような作り。

要塞とも言える。

美術品。

彫刻だらけで。

美術家の集団に造らせたという。

庭も丁寧に。

ただし。

少し情報量が多い敷地と屋敷。

特に門はとんでも動物。

馬という生物が飛躍した表現をされている彫刻。

虎も熊も。

ウサギでさえ。

かなり誇張した表現の銅像でいっぱい。

ファーブラー公。
「戦いは万物の父であり、万物の王である。」
「ある者たちを神々に列し、ある者たちを人間の列に置いた。」
「また、ある者たちを奴隷とし、ある者たちを自由人とした。」

幸々実。
「いらっしゃい!」
「アルバイト!」

ファーブラー公。
「彼女は訓練生。」
「中々の手練だよ。」
「いいお姉さん。」
「推薦状を書けるかもね?」

環奈。
「綺麗な場所で働けて。」
「お姉さんも好きな場所になるでしょう。」

ファーブラー公。
「私の所に来て頂いて。」
「働いて貰っていますから。」
「私の名誉から来る保証書になったりして。」

心玖。
「本当は若い女性が好きなのでは?」

ファーブラー公。
「否定しないよ。」
「目の保養。」
「美しいものは誰でも見たがる。」
「いいよ御嬢さん。」
「あなたのあらゆる言動をほめる人は信頼するに値しない。」
「間違いを指摘してくれる人こそ信頼できる。」

心玖。
「雄弁は銀、沈黙は金。」

ファーブラー公。
「いいや。」
「私は気分がいいね。」

幸々実。
「星に心をくくりつけた人は心を変えてしまうことはありません。」

理沙。
「家訓。」
「子どもをよく教育するものは、両親より、称えられる。」
「なぜなら、両親は、命を与えるだけだ が、子どもをよく教育するものは、生きる技術を与えるから。」

ファーブラー公。
「互いに褒め合おう。」
「君と君。」
「いつか弓道を嗜もうか。」

奥に入っていく。

いろんなお菓子。

環奈。
「ご厚意にお応えして。」
「ありがたく頂戴します。」

ファーブラー公。
「女の子に興味があってね。」
「そんな可憐な少女の内側に何を秘めているのか。」

環奈。
「人の心を知ることは簡単ではないです。」

ファーブラー公。
「女性という存在に恋をしているから。」
「レディファーストが私の義務になった。」

渚沙。
「丁度いいから。」
「質問すればいいのに。」

ファーブラー公。
「おお!お言葉に甘えて。」
「三十年に渡り女性の心を研究してきたにもかかわらず。」
「未だ答えることのできない大きな疑問。」
「女性は一体何を求めているのか?」

環奈。
「何も求めていませんでした。」

ファーブラー公。
「それは残念なことだ。」

渚沙。
「そんな馬鹿な!!」

理沙。
「強く激しい言葉は、その人の主張の根拠の弱さを示す。」
「ヴィクトル・ユーゴー。」

ファーブラー公。
「半信半疑だね。」
「判断材料が少ない。」

環奈。
「誰が正しいか、ではなく、何が正しいかが重要ですよ。」

ファーブラー公。
「百歳の童七歳の翁。」

幸々実。
「本を表紙で判断してはいけない。」
「人に例えて。」
「外見で、人を判断すると駄目ですね。」

メイドさん。
「あれを見れば誰でも分かります。」

息子。
「聖人のメイドはラテン語を引用するらしい。」
「とんでもない女性を雇ったな。」
「いまのうちに。」
「少しでも好意をゲットだ。」

ファーブラー公。
「あなたは最強のAIを倒したそうで。」

心玖。
「コンピューターなんて役に立たない。」
「だって、答を出すだけなんだから。」
「その都度答えを出すだけの人工知能。」
「答えが存在しない状況ではめちゃくちゃ弱い。」

ファーブラー公。
「おわっ!?」
「並の女の子ではないぞ。」

心玖。
「直感は科学的知識の源。」

ファーブラー公。
「科学者は床に倒れるだろう。」

環奈。
「その時はお酒を飲む筈です。」

ファーブラー公。
「草を掴んで倒れるまで飲まないよ。」

環奈。
「進むことがつらくなったとき、強い者が進んでいく。」
「苦しくなったら、強い者の出番。」

ファーブラー公。
「よく鍛えられているね。」
「自分で訓練したの?」

環奈。
「自分でそうなるまでに時間は必要でした。」
「荒療治も。」

ファーブラー公。
「なるほど。」
「戦場を潜り抜けた歩みか。」
「女性というもの。」
「美しいのは外見だけではないね。」

しばらく。

お菓子を食べて雑談。

ジュースがメイン。

1時間経過。

そろそろ帰りの時。

幸々実。
「泥棒。」

メイドさん。
「え?」

幸々実。
「私が対処する。」

メイドさん。
「相手に武器はあるの?」

警備員。
「妙な物を持っていたぞ。」

幸々実。
「夕方でしょ?」
「きわどい。」

ファーブラー公。
「とまあお金持ちはこうなるわけで。」
「ねたみは魂の腐敗ですな。」

環奈。
「正面から来たのですか?」

ファーブラー公。
「金持ちなだけでは誰も幸せになれない。」

メイドさん。

ライフルを持って。

ドローンを攻撃。

幸々実。
「シールド発生装置作動。」
「予備バッテリー含めて。」
「16分展開できる。」
「少し突撃しても大丈夫そう。」

ドローン6機は全滅。

強行偵察のようで。

泥棒は撃たれて。

負傷して。

仲間と一緒に逃げました。

ファーブラー公。
「まあたまにあるんです。」
「最近になって暴力主義者が目立ち始めて。」
「今夜も掃除屋が片づけてくれるでしょう。」

環奈。
「平和の世になればいいですね。」

ファーブラー公。
「すべてが異なる人と人。」
「意見の衝突は免れない。」
「世界に仲良くしろとは言わないよ。」
「掃除屋はやってくれるかな。」

息子。
「男が戦わなくてどうする!!」
「さあ自前の装甲服だ。」
「これならライフル程度は無力化できる。」
「シールドの組み合わせと。」
「クイック・ライフルでどうだ!」

メイドさん。
「泥棒さん。」
「追い払いましたけれど。」

息子。
「え?出遅れた?」

メイドさん。
「夕方ですし。」
「殺されたくないから。」
「素手で来たようです。」

息子。
「俺の手柄がぁあああ!!」
「怪我なかった?」

幸々実。
「私は蝶のように舞い、蜂のように刺す。」
「奴には私の姿は見えない。」
「見えない相手を打てるわけが無いでしょう。」

息子。
「ああ!あなたに惚れた。」

幸々実。
「申し訳ありませんね。」

息子。
「せめてあなたの姿を見つめるのみ。」

ファーブラー公。
「招かれざる客が来たんだ。」
「そろそろ帰ったほうがいい。」
「この世に愚者が居なくなったらどうする?」
「想像がつかないね。」

環奈。
「今日はありがとうございました。」
「また遊びに来ます。」
「さりげない女性への親切気。」

ファーブラー公。
「お菓子は持って帰ってね。」
「近頃は物騒だから。」
「近頃の世は万事逆さま。」

夕方の道。

帰宅途中の医者。

心療内科。
「まともな男を連れてきてみなさい。」
「そうしたら私が彼を治療してあげるから。」

環奈。
「ユーモアラスなあなたによい夜を。」

心玖。
「またねー。」

理沙。
「弓道の練習をするわー。」

渚沙。
「もう少し上品になってくるわー。」

環奈。
「平和でありますように。」

自然が生い茂る。

自然道。

自動車用の道路はがら空き。

幸運のピスティス。
「生と自らと取り巻く世界について。」
「どれだけ理解していないかを理解するとき。」
「我々一人一人に本当の英知が宿る。」

環奈。
「わあ!綺麗!」
「人生って食中毒になりますか?」

幸運のピスティス。
「結婚は人生の墓場。」

環奈。
「最近目撃者が多い。」
「素敵な女の人。」
「あなたと結婚したいくらい。」

幸運のピスティス。
「それが沈黙から進歩したものでなければ、話しちゃダメ。」

環奈。
「気を付けます。」

家に帰宅。

勉強かと思ったら。

お父さん沈黙。

また明日も訓練を受けますが。

次回はお小遣いをくれるそうです。

この世の造り通りに動いています。

この世の造りを曲げて通そうとする人がいます。

この世の造り通りにすべてが実存。

この世の造り通りにあるのです。

人は勝手な事を言って。

この世の造りとは全く違うものに変えようと。

理屈をつけます。

意外かもしれませんが。

すべてこの世の造りの通りに動いています。


この世の果てには。

この世の果てにて。

あの方。

おられて。

創造主。

この世に。

この宇宙。

治められて。

その祈りは届く。

その果てに。

目撃し。

この世のすべてに任す。

だけだから。

つぶやいて。


この世のすべてを。

この世のすべてを。

あなたに見せたの。

でもあなたは。

でもあなたは。

撥ね付けて。

撥ね付けて。

遂には捨てたの。

捨てたの。

悲しい夜だね。

それでも一度はあなたに見せたよ。

この世のすべての営み。

すべて。

すべて。

この世の営み。

残らずすべてを。

見てみて。

この世の姿を。


こんなにやっても何も残らない。

何をやっても結果にはならないと。

嘘なの?

嘘だ。

本当のこの世の姿。

この世の嘆きでどこかしら満ち溢れて。


あなたは確かに言った。

だからこそ。

一度見てしまい。

それを現せざるは得ないの。

この世に隠された謎を解いて。

この世のすべてを教えてあげるまでだから。

この世のすべてを知った。

この世のすべてを知った。

だから私だけは。

救われた者のひとりだから。

きっと君も君も。

この世に隠された。

謎を解きたまえ。

この世の嘆きでどこかしら満ち溢れて。


ノート。

全ての不可能を消去して、最後に残ったものが如何に奇妙なことであっても、それが真実となる。
アーサー・コナン・ドイル。


後日談(8)


図書館。

資料はすべてここに揃っておりますし。

アナログが結局強いのが。

資料の世界。

無料で長時間滞在できますし。

とりあいず図書館に籠もれば。

いかなる正規品を獲得できたりも。

世界の古典。

歴史書。

フェミニズム。

環奈。
「ボーヴォワール。」
「第二の性。」

彩葉。
「男が本来あるべき姿であり。」
「女性は本性。」
「生まれつきの性質としては劣っている。」
「欠陥があると見なされた。」

フェルト。
「特殊な存在とか。」
「劣等や欠陥。」
「主観的であるとか。」
「確かに欠陥はあるけれど。」

環奈。
「必然的に男性優位になって。」
「女性の経験や教育が無視された背景があるのでは。」

彩葉。
「ボーヴォワール。」
「第二の性。」
「世界には女になれなかった女で溢れている。」
「女に生まれたからと言って。」
「女になれるとは限らない。」
「性別が女だからと言って。」
「女になれるかは別の話。」

フェルト。
「第一に性別としての女。」
「第二に存在としての女ということ?」

彩葉。
「女に生まれて。」
「はい女ではなくて。」
「もう一歩進んで。」
「性別だけの女では駄目。」
「意味わかる?」
「意味が分からないので女性は劣っているのです。」

環奈。
「女性に生まれても。」
「性別上は女でも。」
「表面上のこと。」
「女性になれるかは別の話ってことで。」

フェルト。
「男性優位主義はいまでは珍しくなった。」
「成り行きで男性中心になった世界は。」
「女性が劣っていて欠陥があった。」
「それが原因。」

彩葉。
「女に生まれても女ではない。」
「女になるのです。」
「そのままでは女ではないから。」
「女に生まれてもそのままでは女ではない。」
「意味が分かればいいけれど。」
「分からないのなら女ではない。」

環奈。
「簡単な哲学と真理。」
「女なら理解できるけれど。」
「女は女に生まれるわけではない。」
「そのままでは劣った存在で欠陥もある。」
「そこから女にならなければならない。」

彩葉。
「女性モドキ。」

フェルト。
「フェミニズム。」

環奈。
「好き放題に発言する。」

フェルト。
「でも注意しないとね。」

彩葉。
「向こうが私に向かって。」
「自分の言いたいことばかりいつまでも言うのなら。」
「あっちも。」
「聞きたくないことばかり聞くことになります。」

環奈。
「不完全な人という存在。」
「性悪説は快適。」

フェルト。
「性善説は完璧なように振る舞う。」

環奈。
「性善説。」
「自分は善人であると主張する。」

彩葉。
「この前。」
「常識人と称して。」
「完璧であると言っていた人が居たんだ。」
「何も欠点がないということ以外には。」
「彼には欠点がない。」

フェルト。
「欠点が無いのが彼の欠点ですか。」

彩葉。
「意見交換。」

環奈。
「沈黙が言葉にまさる場合もあるだろうし。」
「言葉が沈黙にまさる場合もあるでしょう。」

フェルト。
「中間を行くのが、もっとも安全ですよ。」

環奈。
「その黄金色の本はレアなのかな?」

彩葉。
「んー?」

環奈。
「黙っていらっしゃるというそのこと自体が。」
「白状なさったのも同然です。」

フェルト。
「そんな本も図書館にはあるのね。」
「貸してはくれないわよ。」

彩葉。
「これはしばらく私が預かります。」

環奈。
「知識欲の人は図書館に埋もれる。」
「貪欲な人間には、いつも何かが足りない。」

フェルト。
「かんなちゃん。」
「今度弓道やらない?」

環奈。
「いいよー。」

フェルト。
「力があると思うゆえに力が出る。」

環奈。
「正しい格言集は良書にしか載ってない。」

彩葉。
「カドメイアの勝利。」

とりあいず本が読みたければ。

図書館にいっぱい蔵書がありますし。

インターネットの素人見解よりも。

アナログ資料の方がいいですね。

なんて思いながら。

女の子三人で。

話が弾みます。

世界は地図上のものではありません。

地図を知っているのと世界を知っているのとは別の話。

図書館でそれを実感致しました。


後日談(9)


池の上の小島。

四阿がありました。

竹が生い茂って。

花々で飾られた。

川もある自然庭園。

いい所のお嬢様の千夜ちゃん。

クラスメイトであって。

向上心と知恵に優れた女の子。

環奈。
「ちよちゃんって綺麗。」

千夜。
「そうかしら?」
「程々のほうがいいかも。」
「美人薄明。」

環奈。
「世界の事を考えて。」
「世界について知らなかった。」

千夜。
「あなたの人類への絶望。」
「その態度は間違っていた。」
「でもその危惧は正しかった。」

環奈。
「理法によって人々は正しくなっていく。」
「私は女性になりました。」
「女に生まれるのではなくて。」
「女性になりたいと思って。」
「女性になれた。」

千夜。
「女に生まれたからと言って。」
「そのままでは女性ではありませんからね。」

環奈。
「まさにそれ。」
「女性は劣っている存在。」
「女に生まれたから女ではありません。」
「女にならなくてはいけない。」
「そのままでは女ではない。」

千夜。
「フェミニズム。」
「世界的な古典。」

環奈。
「整理整頓。」

千夜。
「理性こそ人です。」

環奈。
「ちよちゃんの名前って。」
「けっこう素敵。」

千夜。
「千代という単語は千年の長い間。」
「本当はこの名前になる予定だった。」
「でもどうせなら詩的にしようと。」
「夜の幻想的な雰囲気と掛け合わせて。」
「こういう漢字になったんですよ。」

環奈。
「名は体を表す。」

千夜。
「この後弓道でもしませんか?」

環奈。
「喜んで。」

千夜。
「小物はすぐに争う。」

環奈。
「君子は争わない。」
「やるとしたら。」
「君子は互いを褒め合う弓道をする。」
「私は休暇中のお父さんに。」
「勉強ばかりするなって。」
「徘徊する羽目に。」

千夜。
「勉強ばかりで追い出されたの?」

環奈。
「日に日に自由にされていく。」

千夜。
「最初にすべてを教えて自由にする。」
「創世記の授業みたいでいいじゃない。」
「知らないうちに自由にしても路頭に迷う。」

環奈。
「そうならいいけれど。」
「最近はこう。」
「論語読みの論語知らず。」

千夜。
「勉強と学問は別物。」
「実践できない人をあざけるのはある意味面白いかも?」

環奈。
「ああ。」
「池には鯉。」
「屋根には小鳥。」
「川には小魚。」
「私はいつから不自然になったの?」

千夜。
「自然に触れたら。」
「自分の不自然さが分かりますよ。」
「ちょっと荒れていたみたいですね。」

環奈。
「ああなんかうっとりする。」
「自然と触れて。」
「治療された?」

千夜。
「自然と一体化できました?」
「自然は最良の医師。」

環奈。
「宇宙と一体化してみたい。」


千夜。
「カオスなこの世界も。」
「コスモスと均衡を保ちつつある。」


しばし沈黙。

環奈。
「ちよちゃんを見ていたら。」

千夜。
「あら?わたし?」

環奈。
「ちよちゃんみたいな。」
「素敵な女の子を見ればそうなります。」

千夜。
「あらー。」
「そこで恋に発展するのね。」

環奈。
「そのうちいろいろやりだして。」
「結婚・・・とか?」

千夜。
「そんな。」
「そこであんなことやこんなこと?」

環奈。
「それでああしたりこうしたり。」

千夜。
「なんてこと!」
「恋は盲目。」
「そうならないうちに。」
「逃げてしまいましょう。」

環奈。
「待ってよー。」

千夜。
「捕まえてみて。」

弓道の稽古場に。

追いかけっこ形式で。

池の畔を後にして。

世界の古典フェミニズム。

ボーヴォワール。

女に生まれたからと言って女ではない。

そこから女にならなくてはならない。

女性になるべく奮闘した。

女性の姿が。

この世界に溢れています。



後日談(10)


夏休みの後。

こんな大会が!?

怪奇!出没したヌエを仕留めろ!

ヌエとは?

頭はサル。

胴はタヌキ。

尾はヘビ。

手足はトラで。

トラツグミのような声をしている珍獣。

太古のむかしにも実在したとも言われている。

環奈。
「一応は害獣だから。」
「不気味だけれど。」
「捕獲すればかなり有益なんだって。」
「それで。」
「賞金まである。」

心玖。
「おもしろそー。」

麻友。
「手柄って奴ですね。」

渚沙。
「やるなら荷物持ちに徹するわ。」
「魔力が枯渇して倒れそう。」

環奈。
「お大事に。」
「しばらく使わないでね。」

渚沙。
「別の分野で貢献してやるわ。」

環奈。
「さて。」
「ヌエを倒しに行きたいと思います。」
「少し野山に入ります。」

麻友。
「装備が必要です。」
「猟師は獲物ばかり見て。」
「山全体は見てないと言いますし。」

環奈。
「大会だから。」
「捕獲したらお手柄。」
「一攫千金の捕獲作戦。」
「準備開始!」

学校は通常の授業。

正解を置かず。

答えも無く。

リベラルアーツ式の教育は。

「問い」が多い。

環奈。
「答えというものを頭の中に持ってしまうと。」
「それを基準に考える事しか出来ない。」
「まさに奴隷。」

心玖。
「今の世の中。」
「ひとつの正解は役に立たないよ。」
「臨機応変。」

渚沙。
「むかしは答えを徹底的に刷り込んで。」
「それを基に考えるような思考パターンを作らせたとか。」

心玖。
「自分の見解がひとつもない。」
「こういうことになりました。」

環奈。
「自分の見解がひとつも無いなんて。」
「ロボットみたい。」

麻友。
「そうなると人工知能の方が役に立ちます。」

環奈。
「答えを刷り込まれると。」
「過ちを指摘しても。」
「答えとは違うからと言って。」
「説得しても効果は無いよ。」
「そこらは新興宗教と同じだよね。」

心玖。
「人を信じ過ぎてるんだよ。」

麻友。
「人間なんてそんな程度です。」

渚沙。
「まあそれで。」
「自分たちが愚か者であったと判明して。」
「自分たちの方が間違っていたと。」
「謝罪したようなもんだけれど。」

心玖。
「多いから正しいとか。」
「公だから?」
「凡人の社会だから。」
「正しい訳が無かったよね。」

環奈。
「凡愚の社会では。」
「愚かなこともまかり通りますが。」

心玖。
「道理はすべてを支配する。」

渚沙。
「結局は屈する。」

麻友。
「彼らは靴を舐めた。」
「愚者らしい結果でした。」

彩葉。
「やっほ。」
「大会に出るのなら競争になるかも?」

環奈。
「ハンティング勝負になりますか。」

彩葉。
「条件はフェア。」
「おいしい話だから。」
「頑張ってね。」

三姉妹で訪問するのは。

彩葉ちゃんだけになりました。

期間終了ってことです。

彩葉ちゃん退場。


環奈。
「このあと作戦会議をします。」

部室。

出没が確認された範囲を捜索することに。

日曜日に実行。

野山の中。

環奈。
「杖で足元を叩いていれば。」
「ヘビは逃げていく。」

麻友。
「コンパスもあります。」
「ウェブポイント1を通過。」

渚沙。
「ピクチャーはクリーン。」

心玖。
「何か発見。」

心玖ちゃん。

クロスボウを取り出して。

射撃。

300メートル先の虎に命中。

こっちに暴走してくるものの。

環奈ちゃんは強引に避けて。

麻友ちゃんが撃ち殺しました。

渚沙。
「あらま意外な獲物。」

麻友。
「剥ぎ取りは任せてください。」

環奈。
「こんな所までトラがいるなんて。」

心玖。
「ヌエに追われてここまで追いやられたのかも。」

環奈。
「虎を倒すのはステータスだから。」
「とりあいず持ち帰ろう。」

朝から山に入っても。

痕跡だけで。

見つかりませんでした。

諦めて退却。

山道の中央にヌエ。

全員フリーズする。

棒立ちですからね。

心玖。
「えい。」

クロスボウは避けられた。

麻友。
「少し敏捷性があるみたい。」

環奈。
「覚悟しなさーい。」

環奈ちゃん突撃。

激しく暴れるヌエ。

バックステップやサイドステップで器用に回避して。

切り刻む。

一撃ずつ入って。

ヌエ逃亡。

ハンターがやってきて。

取り合いになってしまう。

環奈。
「おおっと。」
「よろしくない展開。」

渚沙。
「深追い無用。」

仕方がないので。

高速で逃亡したヌエは放置。

帰路に。

朝から山に入って。

もうすぐ夕方。

心玖。
「あれかなー?」

心玖ちゃんが再びクロスボウ。

500メートル先のヌエの急所にヒット。

ヌエ死亡。

環奈。
「これはこれは。」
「みくちゃんやりますねー。」

心玖。
「自分で撃つと百発百中。」

麻友。
「小さな個体です。」
「運べそうですよ。」

渚沙。
「この袋に入れて持ち帰りましょう。」

環奈。
「もう集落の傍だから。」
「余裕があるよ。」

ヌエを持ち帰り。

市役所まで。

ゲームマスター。
「なんと!もう仕留めたのですか。」

環奈。
「ついでに虎も仕留めているよ。」

ゲームマスター。
「は?虎!?そんなものまで!?」

麻友。
「トラの毛皮です。」

ゲームマスター。
「よくあんな試練みたいな猛獣。」
「倒せたなあ。」
「ヌエも一匹。」
「素晴らしい。」
「まだ大会も中盤。」
「暫定一位です。」

環奈。
「よし。」
「このままのペースで。」

次の休日も。

野に入りますが。

確認された個体のうち。

既に2匹仕留められて。

残りは2匹。

野山。

戦いに決まった型はありません。

水の流れのように変化し。

地形に沿います。

この日は収穫なし。

と思いきや。

近くに熊が居て。

不意討ちして殺しちゃいました。

環奈。
「ハンターを呼んでお肉をあげちゃおう。」
「熊の爪と顔の一部だけは持って帰ろう。」

麻友。
「剥ぎ取り箇所は任せてください。」

心玖。
「食用の動物はすべて食べても良い。」
「神の規則。」
「熊も慣れてしまえばこんな感じ。」

麻友。
「凄腕の猟師はけっこう簡単に仕留めますからね。」


環奈。
「剣だと難しい相手では無いなー。」


渚沙。
「古代ローマで熊や虎は剣闘士の良い相手だったわ。」
「ほとんどは剣闘士の勝利。」
「ローマ皇帝は熊と虎を150匹殺したとか。」

心玖。
「猛獣ってパターンを読まれると弱いんだよ。」
「あと。」
「急所を狙えば簡単に死んでしまう。」
「防御さえ出来れば勝ったも同然。」

環奈。
「猛獣より人の方が強いんです。」
「ヌエはもういないのかな?」

心玖。
「痕跡はあるけれど。」
「2キロ先でハンターが撃っちゃった。」
「最後の1匹なんじゃない?」

環奈。
「そっかー。」
「もうちょっと捜索してから。」
「退却しよう。」

ヌエは本当に全滅したらしく。

市役所にはハンターの集い。

ゲームマスター。
「は!?今度は熊を殺した!?」

環奈。
「チャンスだったので。」
「思い切って殺っちゃった。」

ゲームマスター。
「そんなにあっさり?」
「凄腕だわ。」

環奈。
「そうですか?」

大会は。

それぞれヌエを1匹ずつ。

全員に商品が贈られましたが。

わたしに何か通知が来ました。

法皇様が新人賞をくれるそうです。

家にて。

小十郎。
「かんなもやるようになった。」
「自分の力でやったのかな。」
「ならばなおさら賞賛に値する。」

環奈。
「自分からやってみましたら。」
「案外すんなり行きました。」
「自分なりの女性を追い求めたら。」
「もうここまでになったんですね。」

母親。
「立派になったわあ。」
「これからも精進しなさい。」

小十郎。
「多少の力を得たくらいで。」
「うぬぼれていては半人前。」
「ここからが大事だぞ。」

環奈。
「確かに。」
「序章に過ぎないものだと思っています。」

宮殿に出かけました。

法皇様と謁見。

綺麗な作りの大聖堂。

新人賞が贈られ。

法皇様と記念撮影。

メディアも環奈ちゃんを報道し。

もっとも有望で有能な女の子であると。

評判となりました。

怪鳥を仕留めたチャレンジや。

王国祭でルプス相手に勝利したことなど。

新人賞が相応しいと判断されて。

すべてが認められて。

公明正大。

法皇様のお食事会に参加して。

帰宅。

これを記しました。

参加したみんなは記念品が授与され。

大会もいい具合に終了。

生きたままの捕獲は出来ませんでしたが。

貴重な資料であるヌエの死骸は手に入ったと。

喜ぶ研究員。

夏休みが終わってから。

いつもの日常に戻りましたが。

すべてが変化していて。

わたし達はすっかり新しくなって。

わたしの記録は。

黄金色の想い出。

女史として名を馳せた今。

勇猛でデンジャラスな女の子であったと。

自分でも思っています。

これはひとつの断片。

わたしの最高潮の時節での出来事。

そして現在に繋がる。

重要な足掛かり。

女史として。

今日も「女性史」を語り。

最近ようやく。

女性の世がはじまりました。


おまけ。

環奈ちゃんに突き刺さった言葉がある。

以下の言葉を引用して。

教訓としていた。

これは第二次ポエニ大戦カンナエの戦い(前216年)で。

ハンニバルのカルタゴ軍が。

ローマ軍に壊滅的な打撃を与えて大勝利。

騎兵隊長マハルバルがローマに進軍しようと勧めたが。

ハンニバルが慎重に構えて動こうとしなかった。

マハルバルはこう言った。

なるほど神々は、同じ人間にすべてを与えることはなさらんのだな。

貴殿は勝つことはご存じだが。

勝利の使い道をご存じない。

リウィウス「ローマ建国史」第二十一巻51.4。

ローマはスキピオという特例の天才を指揮官とし。

スキピオ対ハンニバルが繰り広げられ。

ハンニバルのカルタゴはその後に。

敗れて滅亡している。

賢人は敵から多くのことを学ぶ。

これはアリストパネス「鳥」375。

プルタルコスにも「いかに敵から利益を得るか」というエッセイがある。

ローマでも「敵に教えられるというのも悪いことではない」という句がある。

これは「オウィディウス」変身物語第四巻428。

言うまでもなく。

的確に射抜かれた言葉は。

環奈ちゃんを女史に成長させるきっかけとなった。


P.S


自由のあるところに秩序(レゴラ)はない。

レオナルド・ダ・ヴィンチ「人生論」

(自由が蔓延すると秩序を失う)


十分に終わりのことを考えよ。

まず最初に終わりを考慮せよ。

レオナルド・ダ・ヴィンチ「人生論」

(なるべく早いうちに最期を考えておけ・・・人生における忠言と思われる)


ほめれば間違いだし。

そしればなおわるい。

君がそのことをよく理解していないときには。

レオナルド・ダ・ヴィンチ「人生論」

(賛美や批判を理解しないうちに触れるな・・・という忠告のようだ)


レオナルド・ダ・ヴィンチは教師として天才であった。

それはアリストテレスから学んだこの言葉を引用するほど。

要するに。

自らの幸運を有益に。

神意にかなった使い方をしたので。

天才であったという意味です。


アリストテレス「倫理学」

人間はその力にあることをなすかなさないかという點においてのみ。

毀誉褒貶にあたる。


環奈ちゃんの宝箱に入っている。

座右の銘。


後日談(11)


高等学校を卒業。

ここで。

フォンス大学院のスカウトを受け。

複数ある候補のうち。

田舎のクルトゥーラ国に目をつけていたかんなちゃん。

ここは田舎であるものの。

なにかをするのには不便ではない。

無論。

公に活動するのには不便ではある。

自治領として。

複数ある地方の中くらいの国家。

海峡を挟むと。

叛逆の使徒フォルミーカの国家群が乱立する。

あそこは全体主義が鉄則の。

そもそも法律ですらある。

問題児の巣窟。

向こう岸にこれがあるのだから。

度々。

小規模な戦闘が発生し。

前線として幾つかの国々が。

ここを防衛しているためか。

独特の流儀を所持しているもんです。

クルトゥーラ国は荒れておりますけれど。

古流の大学院もこの地にあるため。

招待状が届きまして。

大学院に入学することに決定。

地方空港に降り立ち。

車で移動している最中。

彩葉。
「ここは私の出身地なの。」
「地理には詳しいよ。」

環奈。
「田舎って割と良く思われない傾向にあるけれど。」
「少なくとも。」
「大都会よりは優れた点が幾つも見つかって。」
「むしろ都会の方が欠点が多くて大変なんだと既に理解した。」

彩葉。
「人ばかり往来する密集地帯というのも。」
「開放的な生活を好む人にとっては逆に汚点になるのだと知っています。」

環奈。
「都会好きは人が多い方がいいのでしょう。」
「少なくとも私には田舎の良さだけが目立っている。」

彩葉。
「でもここは単なる田舎って訳でもないけれど。」
「貪欲になったり。」
「強要されるように人に混ざることばかりの都会は。」
「自然の距離を保てる野鳥のように。」
「田舎の方が性に合う人もこれまた多いと思われた。」

環奈。
「確かに都心部に行く選択肢もあったけれど。」
「選べるのだからここにした。」
「しかし王様から招待状というのは何故?」

彩葉。
「あなたは定評があるから。」
「好まれたという意味で理解してください。」

環奈。
「ふむふむ。」
「相手が期待外れに思わないように。」
「尽力しなくては。」

彩葉。
「普通にやって普通に出来るから。」
「空回りしてはだめ。」
「通用するハズだから。」

環奈。
「助言をありがとう。」
「まずは宮殿で挨拶になりますね。」

いろはちゃんの両親は宮殿に勤めていた事があって。

知り合い。

広間に招かれると。

執務室に案内されます。

パテル国王。
「かんなさんようこそいらっしゃいました。」
「実力者と伺っております。」

環奈。
「私はまぐれかと思いましたが。」
「そうではないようです。」

パテル国王。
「私もまぐれとは到底思えないので。」
「それは実績から来る信憑性という意味です。」

環奈。
「それはかなりの誉め言葉ですね。」

パテル国王。
「いきなり大役を務めろとは言わないのです。」
「あなたはけっこう慎重なようで。」
「うぬぼれという空想話は笑い話になるようですな。」

環奈。
「そんな者が以前に蔓延していた。」
「という意味ですよね。」

パテル国王。
「そう・・・残念なことに。」

環奈。
「でもうぬぼれていない新人というのも。」
「探すのには苦労する筈です。」
「中年になって驕りがある者も。」
「どっちかと言いますと。」
「自信家の方が普通でしょう。」

パテル国王。
「おお!冗談がうまい。」
「吹っ掛けてみたのは。」
「知りたいからでした。」

環奈。
「しかし。」
「私自身の愚かな部分だけは保険適用外になりますけれど。」

パテル国王。
「どこの保険会社を指定すればいいのだ?」

環奈。
「誰にでも愚かな部分はあるもので。」
「しかし私は愚者なのではないかと。」
「思うこともあります。」
「従って。」
「そこだけは保証書は発行できません。」

パテル国王。
「私もそこら辺はどこの保険会社に相談すればいいのか。」
「分からないのだ。」
「こればかりは。」

環奈。
「連帯保証人になってくれる人を見つけましょう。」

パテル国王。
「その人は貧乏クジを知っていて引きますな。」

環奈。
「こればかりは自己責任であると?」

パテル国王。
「それはしんどいですぞ。」
「事故に関しては。」
「無かったことにしては?」

環奈。
「それがいちばんですね。」

パテル国王。
「中々の笑い話をしてくれる。」
「やはり招待して良かったものです。」
「頼みごとがありまして。」
「娘のペルナの遊び相手になって欲しいのです。」

環奈。
「それは極めて無難です。」

パテル国王。
「いまは屋上で空を見ているかと思いますので。」
「大学院から遊びに来て。」
「ペルナをよろしく見てやってください。」

環奈。
「無論。」
「わたしもそうやって育てられましたので。」
「慣れっこです。」
「なるべく早くに接触させて頂きます。」

パテル国王。
「ははん。」
「不完全なのは人の特徴。」
「一通り揃えた女性は自立している。」
「歓迎の意を表します。」

環奈。
「好意をありがたく頂戴します。」

退出。

屋上には。

ドレス姿の少女。

かんなちゃんを目撃して。

何故かフリーズ。

環奈。
「こんにちは。」

ペルナ。
「・・・あれ?」

環奈。
「どうしました?」

ペルナ。
「なんか素敵。」

環奈。
「自分が魅力ある女性であると女性に言われるのはうれしい。」

ペルナ。
「なんだろう?」

環奈。
「なんであるかは私からは分からないので。」
「三分ほど待てますが。」

ペルナ。
「好き!あなただあれ?」

環奈。
「かんなです。」
「エースであると言われています。」

ペルナ。
「お姉さん時間ある?」

環奈。
「まさか女性に口説かれるなんて。」
「あなたは?」

ペルナ。
「ペンナです。」
「一目惚れしてしまいました。」
「責任取ってください。」

環奈。
「面白い女の子。」
「構いませんよ。」
「お付き合いはおーけー。」

ペルナ。
「彼氏が出来た。」

環奈。
「男の子は興味がありそうもないですね。」

ペルナ。
「なぜ男の子を求めなければいけないのですか?」

環奈。
「確かに男性を求める義務はありません。」

ペルナ。
「エロティシズムから見て。」
「目的に価値が無ければ拒否するのが人なのではありませんか?」

環奈。
「人の色欲には目的はありますが。」
「本人にとって無価値なら。」
「それは有害でしかありません。」
「確かに本当に自分から発生したものなのか。」
「理由もなく男性と一緒になろうとしているのか。」
「調べる必要はあります。」

ペルナ。
「男女が一緒になるのは理由がないのにそうしているの?」

環奈。
「なんとなく。」
「一緒になって損している女性は何人か見たことがあって。」
「そもそも女性ってそういう存在なのでしょうかね。」

ペルナ。
「そうなると男性にも同じ事が問われて。」
「男性は女性に自分の都合を要求している意味になりますが。」

環奈。
「ほんとだ。」
「女性がそうなると反対に男性の説明がつかない。」
「女性がなんであるか問うと。」
「男性ってあれはなんだ?」
「そこまで考察が必要です。」

ペルナ。
「というように。」
「お姉さん好きです。」
「どこの人ですか?」

環奈。
「フォンス大学院に推薦入学した者です。」
「いつでも会えますので。」
「花束を持って来られても受け取りますよ。」

ペルナ。
「夜に忍び込んでもいいですか?」

環奈。
「その時は好きにしてあげる。」

ペルナ。
「やった!って好きにされちゃうの!?」

環奈。
「お望みならば。」

ペルナ。
「いやー!まだ乙女なのー!」
「というわけで。」
「これから時間ある?」

環奈。
「借家の整理と入学式の準備で。」

ペルナ。
「また来てねー!」
「そのうち訪問するからー。」

環奈。
「うん。」
「またねー。」

屋上から立ち去り。

貸し部屋の整理整頓。

親元から離れて。

フォンス大学院の学生となりまして。

確かに特大級のスカウトがあったのですが。

前々から気に入っていたこの地に移住。

王様とも話が弾んで。

彼女?もデキて。

好スタートです。


後日談(12)


大学院では噂が流れています。

環奈。
「え?パテル国王の息子さんが?」

喜彩。
「ラクリマさんは向こう岸の姫君に惚れ込んでいて。」

あろえ。
「意地でも取り返すと必死になって。」
「軍勢を編成しているのだと。」

学友。
「旅先で会った仲。」
「軍事衝突があるようですな。」

瑛菜。
「それで。」
「もうひとりの息子オーウォーさんは。」
「ウーティリタース公の妻。」
「セクィトゥルと姦淫を犯し。」
「自らの妻ルーベルに咎められ。」
「ウーティリタース公とは対立している。」

教員。
「娘パルスは元カレに不倫されたので。」
「元カレを追いかけて一発入れてやろうと。」
「そこら辺を探し回る旅の真っ最中。」
「王様はダメな自分たちを再建しようと。」
「第三者を介入させており。」
「なんとか収拾に務めている。」

環奈。
「ひどい荒れようですが。」
「みな哀れに思えました。」

萌峰。
「憐れむべき者は憐れむべきです。」

太鳳。
「哀れな人なら世界にはいっぱいいるものですが。」
「非難するのは人の道に外れている。」

学友。
「人道という理解ですよね。」

環奈。
「もねさんとたおさん。」
「久しぶりです。」

萌峰。
「ここで個別指導を行いつつ。」
「研究を進めているの。」

太鳳。
「小さな発見でも進歩につながるから。」
「かんなちゃんがいてくれて良かった。」
「特に野外で頼みごとがあるかもしれない。」

環奈。
「護衛とかなら得意ですよ。」
「なにしろ歩きなれていますから。」

萌峰。
「それを知っているので。」
「散策や調査には欠かせないわあ。」
「森や山。」
「川について知っているのはあなたの専門だから。」

太鳳。
「わたしたちは自然そのものを研究しているの。」
「自然学者。」
「だからあなたの力が必要になるかもって。」

環奈。
「構いませんよ。」
「これでも遺跡群に潜り込んだこと数十回。」
「密林でも山岳地帯でも。」
「自然を相手に論争して喧嘩したこともあるから。」

太鳳。
「その時はよろしく!」

学友。
「手練三姉妹と知り合いなんだ。」

教師。
「これはまた非凡な女性が入学したもんだ。」

大学院が始まって1か月。

パテル国王。
「最近は踊っているが。」
「年頃のうちは大切にな。」

ペルナ。
「彼氏が出来たの。」

パテル国王。
「そうか。」
「紳士であると願いたいものだ。」

ペルナ。
「かんなちゃんっていう素敵な女性。」

パテル国王。
「ああ・・・そういうことか。」
「その人は知っているよ。」
「思い切り遊ぶといい。」
「協力は惜しまない。」

ペルナ。
「やったー。」
「今日はお泊りするの。」

パテル国王。
「行っておいで。」
「でもその人の忠告は考慮に入れるように。」

ペルナ。
「はーい。」

郊外にある借家。

環奈。
「いらっしゃい。」

ペルナ。
「ふたりきり・・・。」

環奈。
「クラシックの定番モーツァルト。」
「ベートーヴェンの必殺技。」
「悲壮という楽曲もあるよ。」
「テレビゲームはお勧めできないなあ。」
「紅茶淹れるね。」

ペルナ。
「雑誌がいっぱい。」

環奈。
「文化系ならいっぱい持っているけれど。」

ペルナ。
「ゲームってどんなのある?」

環奈。
「これならいいかな。」
「狩人が目標のモンスターを。」
「どちらが早く狩るか勝負する内容。」
「妨害要素や長期戦もあったり。」
「モンスターと言っても動物と変わらないけれど。」
「上手に倒すのはアドベンチャー要素満載。」

ペルナ。
「私に出来るかな?」

環奈。
「最強のハンデ設定で私は出かけるので。」
「初心者でも楽しめるよ。」

ペルナ。
「ゲームは久しぶり。」
「パラエモンはやり込んだけれど。」

環奈。
「パラエモンは定番になったよね。」

ゲームはいい勝負。

目標をふたつ倒しても。

ペルナちゃんはハンデ設定で有利なので。

密林地帯に突進。

狩人が相手より先に標的を倒して。

楽しむゲームなので。

勝ち負けというより。

どんなふうに倒したかとか。

美しく倒したとか。

お互いを尊重して遊ぶので。

よく出来たゲームですね。

ペルナ。
「夕方になっている。」

環奈。
「そろそろ何か作りましょうか。」

ペルナ。
「わたし料理は得意。」

環奈。
「一緒にやろう。」

夕食。

星空を鑑賞しつつ。

寝る時間。

一緒にベッドに入ります。

ペルナ。
「いい匂い・・・あったかいぬくもり。」

環奈。
「わたしも女の子好きなので。」
「ちよちゃんを追いかけまわしたのはつい最近。」

ペルナ。
「他に相手がいたの!?」

環奈。
「ふざけてやっていたものだから。」

ペルナ。
「いいな・・・。」

環奈。
「女の子同士で戯れるのは。」
「わたしの趣味だからね。」

寝ようとした時に。

さりげなくペルナちゃんにキスを受ける。

環奈。
「ん・・・んんんん?」

ペルナ。
「どうしてもしたかった。」

環奈。
「ちょっとうっとりした。」
「もう一回してもいいよ。」

ペルナ。
「え・・・?」

環奈。
「いつかちよちゃんを押し倒した時も同じだったなあ。」

ペルナ。
「そんな・・・。」

環奈。
「おやすみ。」

さりげなくもう一回キスされましたが。

言及せずに就寝。

帰宅したペルナちゃんの様子を見て。

パテル国王も上機嫌。

ペルナちゃん。

あんまり親密な友人が出来なかったので。

遊び相手にと頼んだつもりが。

カップルみたいになっているので。

予想外の結果に。

笑顔になっているそうです。



後日談(13)


大学院は宮殿のように豪華。

デザインが綺麗。

宗教画からヒントを得たそうで。

ここでは実践に重点を置いて指導されます。

実技が多かったり。

ばったり会った彩葉ちゃん。

環奈。
「やっぱり素敵ないろはちゃん。」

彩葉。
「ナンパしてるのー?」

環奈。
「本当のことを言っているだけ。」

彩葉。
「あらまあ。」
「ならばあなたは才色兼備。」

環奈。
「少女の容姿で成人している。」
「ちょっと珍しいタイプのいろはちゃん。」
「男性には困らないでしょ?」

彩葉。
「確かにその気になれば男性なんていくらでも選べるでしょう。」
「わたしは背が低いから。」
「ちょっとしゃがんでくれる?」

環奈。
「女性について褒め合うと。」
「たまらない。」

かんなちゃんがしゃがむと。

ほっぺにキスされました。

彩葉。
「お互いに素敵に見える女性というわけです。」

環奈。
「男性ならなおさらですね。」
「求婚を退けるのは面倒くさい。」

彩葉。
「まったくです。」
「女性の方が好きですから。」
「男性と結婚する義務はない。」

環奈。
「いろはちゃんを眺めていると。」
「癒される。」

彩葉。
「あらまあお互い様。」

太鳳。
「自分は墓石に刻む称号のために。」
「生涯の時間を費やしてしまったのか。」
「(セネカ・生の短さについて他二篇)」
「名誉に囚われて。」
「度重なる苦闘によって力尽き。」
「こんな言葉を。」

彩葉。
「かんなちゃんにキスして貰ったら?」

太鳳。
「やだ贅沢。」

環奈。
「せっかくですし。」


太鳳。
「ごめんねー。」


萌峰。
木に登ったり降りたりをひたすら繰り返すように。
私達は、どうでもいいことで忙しい。

さて。

こちらは宮殿。

パテル国王。

軍事顧問が引退しつつあり。

次の人事を決めかねていた。

パテル国王。
全体の幸福のために必要なことが。
私を幸福にするわけではない。

オッフェーロ。
「大学院に在籍している。」
「環奈さんはお勧めできます。」
「定評もありますし。」

パテル国王。
「超人の剣士だと言われているが。」
「ふむふむ。」
「悪くはないな。」

オッフェーロ。
「環奈さんの専門を兵法に切り替えますか?」

パテル国王。
「それも良いだろう。」
「他には満足な候補もいないし。」

オッフェーロ。
「人材には困りませんが。」
「突出した人物には困っていますなあ・・・。」

大臣がスローペースで入場。

大臣。
「ラクリマ・・・ええ・・・あの方です。」
「先ほど海峡を越えて侵攻致しまして。」
「止められませんでした。」

パテル国王。
「はあ・・・。」
「なぜあのような女に惚れるのか。」
「恋は盲目・・・。」

大臣。
「惚れた理由がないんですよ。」

オッフェーロ。
「理由がないから止められない。」
「私は埋葬する場所でも探しておきます。」

パテル国王。
「そうしてくれ。」
「もう帰ってこないだろう。」
「既に死んだものだと思っている。」

戦死の報告が届いたのは。

10日後。

パテル国王。
「情けない。」
「悲しみよりは。」
「解放されたのだと。」
「むしろ本人にとっては慰めであったと。」

大臣。
「遺体は行方不明。」
「敗残兵がどこかに埋めて。」
「敵の手に渡らないようにしたとか。」

オッフェーロ。
「詩人に悲劇として語らせましょう。」

パテル国王。
「慰めは詩人に託すことにする。」

揉め事のひとつは悲劇になりました。

犯意の使徒は。

報復に小競り合いを仕掛けてきて。

適当に攻撃して本国に帰還。

つまらない戦争でしたが。

当事者にとっては。

詩人の歌になるのでした。


後日談(14)


ペルナちゃんに戦い方を指導。

戦いの技術は実践から。

本物の殺し合いを想定したり。

センスがあったペルナちゃん。

動きの速さと先読み能力。

ひらひら舞うような剣術まで。

短期間で習得。

ペルナ。
「戦いを知っているお姉さん。」
「教え方うまくないですか?」

環奈。
「戦いを知ると。」
「簡潔に指導できるから。」
「当然と言えば当然かな。」

ペルナ。
「戦いを知る・・・。」
「簡単な言葉に見えて。」
「大局を左右する実践訓だと思います。」

環奈。
「そのとおり。」
「道場剣術と実際に人を斬った剣士では。」
「人を斬った剣士の方が桁違いに強いから。」

ペルナ。
「拳闘士についても同じでは?」
「道場拳法と実際に暴漢と殴り合った技能では桁違い。」

環奈。
「簡単だけれども本当なのよね。」
「ほとんどの人が知らないけれど。」
「それが弱者と強者を分けてしまう。」

ペルナ。
「戦いの技術はいろいろな場面で活かせるみたい。」
「器用になったよ。」

環奈。
「実生活でも存分に影響するから。」
「鍛錬は怠らずに。」

なんか駐車場に。

BMP-2歩兵戦闘車が置いてあります。

ペルナ。
「今日はあれに乗って遊ぶの。」

環奈。
「え?あれ兵器なんですけど。」

ペルナ。
「操縦できるでしょ?」

環奈。
「何を攻撃するの?」

ペルナ。
「鹿とか。」

環奈。
「うわあ贅沢な狩猟だなあ。」

BMP-2を操縦して。

草原や。

荒地を走行して1時間。

鹿を発見。

ペルナ。
「見ててよ。」

環奈。
「そっちに機首を向けるね。」

30o機関砲を鹿に浴びせました。

鹿は惨殺された。

近くにいた狩人が寄ってきて。

肉を貰っていくそうです。

おまけに。

近くにイノシシがいて。

こちらは9M113コンクールスミサイルを打ち込んで。

イノシシは吹っ飛ばされた。

過激な遊びになったので。

終了させました。

環奈。
「兵器を使うのは誤射があるから。」
「次は軍曹さん同行にしてね。」

ペルナ。
「戦闘車両で一度やってみたかったの。」

環奈。
「きちんとした人を同行させれば。」
「また遊べるからね。」

ペルナ。
「火遊びはスリリング。」
「ミサイルはやり過ぎました。」

ラジコン飛行場に移動。

ラジコンにカメラを仕込んで。

森林地帯を飛行させて。

モニター中継して。

フライトを楽しみます。

環奈。
「フライトシミュレーターみたいでしょ?」

ペルナ。
「これツボにはまった。」

環奈。
「墜落すると経費を圧迫するから。」
「大事に飛ばそう。」

ペルナ。
「もちろん。」

ラジコン飛行機でモニター中継。

疑似的にフライトが楽しめるこの遊びは定番になりましたよ。

帰宅すると。

大型エアガンの弾をライトセーバーというオモチャの剣で。

弾いて楽しんだり。

ロケットランチャーくらいのエアガンは煙爆弾。

風圧で軽く吹っ飛ぶので。

宮殿でこれを使用して。

対戦したり。

激しく遊んだので。

掃除係の人が大活躍でしたね。

オッフェーロ。
「お楽しみはなにより。」
「まあ夢中になれることはいいことなので。」
「見守っています。」

環奈。
「だんだんと遊びが過激化しているので。」
「諫めている最中です。」
「私も夢中になるもので。」
「オッフェーロさんが監督してくれるといいのですが。」

オッフェーロ。
「なら引き受けましょう。」
「教育係として。」
「遊びにまでは干渉すまいと思っておりましたが。」

環奈。
「遊びが激しくなってきているので止むを得ないかと。」

オッフェーロ。
「理解しました。」
「以降は私が監督しますので。」
「あなたも存分にお楽しみください。」

ペルナちゃんも理解したようで。

平和な遊びに変化していきます。

遊び相手が居なかったというより。

この過激な遊びについてこれない子供がいた。

というほうが正確でしたよ。


後日談(15)


成人してから。

久しぶりに履いたスカートを。

いつの間にかペルナちゃんにめくられて。

見られてしまった。

ペルナ。
「大人の女性はそういう趣味なんですか?」

環奈。
「あははは・・・。」
「えっちな下着だと思った?」

ペルナ。
「大人の女性に興味があって・・・。」

環奈。
「女の子にめくられるのなら。」
「構わないけれど。」

ペルナ。
「お姉さん大好き!」

次の日もスカートを履いて。

宮殿に寄ると。

ペルナちゃんの姿が見当たらないので。

外の気候を観察していると。

今度は横から。

ペルナ。
「今日は地味なんですね。」

環奈。
「そんなに大人の女性に興味ある?」

ペルナ。
「大人の女性はきっと。」
「サングラスかけて。」
「スーツ着ていたり・・・のはず・・。」

環奈。
「なんとなくこうなんじゃない?と思う女性像はやめてください。」

ペルナ。
「スカートめくりしちゃだめ?」

環奈。
「エロティシズムですなあ。」

ペルナ。
「見てみたかった。」

環奈。
「それをエロティシズムと呼ぶのです。」

メイドさんもやられていた。

大学院に入って半年。

郊外に借家に住んで。

家族とは離れていますが。

手紙はけっこうな頻度で来ますね。

お母さんは理解してくれて。

お父さんは自分の哲学。

子供に生きる術を与える。

この任務をまた全うできたと喜んでいて。

いっそのこと。

自立してしまえば?なんて。

最近。

ペルナちゃんがエロティシズムに走っていて。

パテル国王がなんとかしてくれと。

教育係のオッフェーロさんが「もっと理性的になりなさい!!」という説教を開始。

ペルナ。
「理性が欲しい。」

環奈。
「女性に欠落しているのは大体が理性ですからね。」
「欲しくなるのは当たり前です。」

ペルナ。
「女の人って感情論がルールなの?」

環奈。
「少なくとも。」
「理性的ではありませんねえ。」

ペルナ。
「理性って基本って言われました。」

環奈。
「いいのでは?」
「基本がいま習うことができて。」
「成人したのに理性の欠片もない人だって少なからずいる。」

ペルナ。
「大人の階段ってこと?」

環奈。
「人は理性なしに語れないことは確かなことだよ。」

ペルナ。
「でも、かんなちゃんが好きでしょうがないの。」


環奈。
苦しみや悩みはある種の快楽になると言ってよい。
セネカ。

ペルナ。
「誤りでした。」
「でも、かんなちゃんは何も言及しませんね。」


環奈。
多くの者たちに惑わされることなく。
自分が正道を行っていると。
信じることである。
セネカ。

オッフェーロさん。

ペルナちゃんに理性を説く。

オッフェーロ。
人生は戦いだ。
(ショーペンハウアー)
肉欲との戦いです。
感情論との戦いです。

ペルナ。
「理性の獲得を戦争目的にします。」


オッフェーロ。
自分のおこないについて。
他人を手本にしてはならない。

詩人。
人間が不完全な存在であるかぎり。
さまざまな意見があることは有益。
他人に迷惑がかからない限りは。

オッフェーロ。
他人の意見と対照して。
自分の意見の間違いを正し。
足りない部分を補う。
これを習慣として定着させよう。

ペルナ。
理解。

私は大学院で。

兵法を習うように言われて。

萌峰ちゃんに指導を受けています。

そこそこの忙しさと余裕のある学習で。

仕上がってきているわたしです。


後日談(16)


息子のオーウォーは流刑になってしまい。

というか自分で国外退去したので。

誰も責めませんでした。

パテル国王も。

憐れな子を持ってしまったと。

自らの情けない姿を隠しています。

オーウォー。
「居所を変えることのどこが悪い。」


ペルナちゃんが周辺の遺跡群や。

古代神殿に行きたいと言い出して。

私を連れ出しに来たのです。

環奈。
「怪獣がいる地域だけれど。」
「護衛はつけてないの?」

ペルナ。
「一度は行ってみたくてしょうがなくて。」
「慣れている人と言えばお姉さんだから。」

環奈。
「それなら可能ですね。」
「私が一緒なら。」
「無事で帰れますよ。」

ペルナ。
「やった!」

環奈。
「でもいい?」
「常識が通じるような場所ではないから。」
「私の指示どおりに。」

ペルナ。
「その道の人の言うとおりに。」

出発。

小型飛行機。

民間用の小型飛行機で。

Fi156シュトルヒ連絡観測機。

これはテニスコートくらいの空き地があれば。

発着が可能なお手軽飛行機。

これで遺跡群のキャンプへ直行ってことで。

着陸。

環奈。
「不意打ちだけは防いでね。」
「突然現れて突然攻撃してくるのが実戦。」
「トラップが多いから。」
「はぐれたら?」

ペルナ。
「今回は真剣に取り組みます。」

環奈。
前文明人は馬車をつくったが。
同時に足をつかうことを忘れた。
杖で身体を支える代わりに。
筋肉の支えをすっかり失った。

森林と崖。

段差が多くて。

複雑な地形。

遺跡の中。

環奈。
「あれ?ペルナちゃんはどこ?」

ペルナ。
「こっち!!」

近場の遺跡には小型の龍が住んでいて。

定期的に掃除されるのですが。

こいつは生き残り。

いつの間にか龍が負傷していて。

抵抗が激しくてどうにもならない。

環奈ちゃんが駆け寄って。

相手に確実な攻撃を当てて。

一気に仕留めるのではなく。

地道に傷を与えて倒しましたよ。

環奈。
「けっこうな相手だったのに。」
「あっさりダメージを加えたね。」

ペルナ。
「教えてくれた確実な戦い方。」
「思ったよりうまく行ったからです。」
「さっきのでコツが掴めました。」

環奈。
「確かな剣術を物にしていたね。」
「充分に強いから。」
「あれよりもっと強い相手と渡り合えるように。」
「腕前を確かなものにしておいてね。」

ペルナ。
「当然です。」
「実践の大切さが分かりました。」

純金の剣が落ちていて。

ペルナ。
「これはなにゆえ?」

環奈。
「誰かが戦って返り討ちになったと見られている。」

ペルナ。
「貰っておこう。」

これを獲得。

Fi156シュトルヒ連絡観測機は大活躍。

戻って。

古代神殿を見学して。

帰還。

パテル国王。

ペルナちゃんの様子からして。

自分の目で世界を見て回っていると感心しておりました。

数日後。

反ニヒリズム運動があって。

さらには。

革命家と暴民が衝突。

軽く内戦に陥り。

市民だけの抗争でしたが。

治安は大いに乱れています。

パテル国王。
「いろはさん。」
「数日間。」
「ペルナを無暗に外に出さないようにしてください。」

彩葉。
「無暗に?ですか?」

パテル国王。
「はい。」
「無暗に・・・です。」

彩葉。
「御意。」

見張っていたいろはちゃん。

パテル国王の読み通りに。

どうしても見たいと言い出して。

ペルナちゃんが強行外出を仕掛けていました。

彩葉。
「無暗に飛び出さないように。」

ペルナ。
「いろはちゃんどいて!」

彩葉。
「どきません。」
「無謀です。」

小競り合いに。

環奈。
「どうしたの?」

彩葉。
「市民の抗争を見に行くと言い張って。」

環奈。
「私が護衛するから。」
「何故か私が一緒だと。」
「無事に帰ってこれるのです。」

彩葉。
「残念ですが。」
「外に出さないように命じられているのです。」

ペルナ。
「離して!」

環奈。
「ごめんいろはちゃん。」
「ペルナちゃんについてはよく知っているの。」
「譲れない。」

彩葉。
「申し訳ない。」
「命令されている通り。」
「譲れない。」

そこら辺にある資材である木の棒を。

両者手に取って。

小競り合いに発展。

器用に攻撃を仕掛けて。

いろはちゃんも応戦。

お互いの攻撃をガードしつつ反撃。

しかし環奈ちゃん。

パリィを連発し。

一撃当てた。

一瞬の隙から猛攻を加えた。

ひたすらうまい。

いろはちゃんの攻撃は。

すべてパリィされてしまい。

跳ね返されて。

何度も被弾し。

環奈ちゃんはいろはちゃんを組み伏せた。

彩葉。
「うっ!油断した!」

環奈。
「早く行って!」

ペルナちゃんは突破。

オッフェーロ。
「無鉄砲だが愚者ではない。」
「血気盛んなうちは多少は無謀な事をする。」
「向こう見ずな所は時にいいものです。」
「付き添いはあのお方ですし。」
「無茶をするのも今後に活かせましょう。」
「ペルナさんは勇敢な方ですから。」

彩葉。
「私はあの女性ふたりを侮っていた。」
「自分らしくない。」
「慎重過ぎて。」
「大胆に振舞えずに。」
「幸運は環奈ちゃんに味方した。」

オッフェーロ。
「王様は無暗に出すなと命じました。」
「無暗に飛び出さなかったみたいです。」

彩葉。
「倒された時に悟りました。」
「何か考えがあって飛び出した。」
「雰囲気から察しました。」
「あのふたりなら杞憂があるだけです。」

丘の上から双眼鏡。

ペルナ。
「乱闘?」

環奈。
「故に、ここも安全とは言い切れない。」
「便乗犯がいるはずだから。」
「隠れていようね。」

ペルナ。
「それは?」

環奈。
「要するに修道女の恰好をするのです。」
「変装。」

ペルナ。
「なるほど!」

何人かの野次馬が。

修道女だと思って。

話しかけてきたり。

被害者の救援だと名乗っておけば。

移動が簡単。

本当に福祉活動をしている修道女と混ざったので。

野党などは通り過ぎていきましたとさ。

無事帰宅。

ペルナちゃんは国民を知りたかったとパテル国王に報告。

パテル国王はかんなちゃんを卒業後に。

軍事顧問にすると決めた。


後日談(17)


三姉妹はそれぞれ専門があって。

実践そのものを教科書としています。

自由七科は基本で。

専門的な分野まで及び。

周囲の仲間も。

並の者ではないため。

それもその筈。

書庫の膨大な古典を読み漁った。

読書マニアの集いなので。

レベルが半端ないのです。

私も書庫に入って。

探索中。

環奈。
「本の数が半端ない。」

彩葉。
「世界中から集めていたり。」
「古典の原本をコピーしたものが大半。」
「少し読んでみて良いと思ったら獲得する。」
「速読を使うといいよ。」

環奈。
「そういえばむかしの人。」
「哲学者は特に。」
「頭がとても柔らかいんですね。」
「硬いところが無い。」

彩葉。
「だからこそ。」
「黄金時代があった。」
「歴史観としては。」
「黄金時代と退廃を繰り返している。」

環奈。
「古典は教科書になった。」
「でも。」
「古典を理解できる人は多くないみたい。」

彩葉。
「ニヒリストはリヒリズムの世界が真実だと狂信的だから。」
「古典については理解できないよ。」

環奈。
「こっちは古典文学。」
「むかしの文学は形式主義ではないみたい。」

彩葉。
「話数とかの制約や規定が無いから。」
「物語であれば短くてもいい。」
「古代ギリシャの古典文学は真理を示している。」

環奈。
「シェークスピアが理解できないってことは。」
「文学が理解できないってことだったり。」
「アリストテレスが理解できないってことは。」
「哲学が理解できないって意味だったり。」

彩葉。
「文学の真理を無視するのもニヒリストの特徴。」
「リヒリズムを説明するのはニヒリズム的な説明が必要ってこと。」

環奈。
「そういうことですね。」
「リヒリズムって嫌いだあ。」

彩葉。
「形而上学。」
「アリストテレスの論文です。」
「繰り返し読むことが大切で。」
「形而上学が何を意味しているのか。」
「多くの哲学者が解読していますし。」
「理解すれば扱えます。」
「これは様々な物事の謎解きに使用できます。」

環奈。
「遅れは取らないぞー。」
「本の山に埋もれることにした。」

大学院の書庫は膨大過ぎて。

すべて把握できなかったです。

あろえちゃん。

髪が長くて。

背が小さい。

ぬいぐるみ好きで。

ぬいぐるみを持って移動していたり。

21なのに少女と間違えられる。

大学院の生徒で。

期待のエース。

あろえ。
「むぅ!かんなちゃんを独り占め。」

生徒。
「ペルナちゃんの彼氏なんだって。」

あろえ。
「なんですとー!」
「ライバル登場ですか。」
「負けてられない。」

太鳳。
「どんなことをしても勝つこと。
を望まれているわけではない。
望まれているのは。
戦いを放棄しないこと。
「だけです。」

あろえ。
「略奪婚したい!!」


太鳳。
「あなた、馬鹿げたことをするのは。」
「うんと楽しめることだけになさいよ。」


あろえ。
「女性らしい台詞。」
「いいですよー。」
「かんなちゃんはアイドルだもん。」

太鳳。
羨望の気持ちをもたないようにしたまえ。
そのようなものを手に入れようと。
あくせくするのは。
生の損失となるだけである。

あろえ。
「ウィルコ!!」


さて。

パテル国王に朗報。

姉パルスが元カレに一発入れて帰ってきて。

残念無念な親族の末路を嘆いた。

パルス。
「なにやっているんだあいつら・・・。」

ペルナ。
「自ら招いた事ですし。」
「気の毒な。」

パルス。
「自滅するなんて。」
「かけてやる言葉もないな!」

ペルナ。
「成り行きとは言え。」
「成り行きで無残な結果になるんですもの。」

パルス。
「強要されたのか。」
「間違えたのか。」

ペルナ。
「無理が祟ったのでしょう。」

パルス。
「無理してそうなったのなら。」
「まあわかるが。」
「ところで。」
「その黄金の剣はどこで手に入れたのだ?」

ペルナ。
「偶然遭遇した龍を。」
「かんなさんと仕留めた時に。」

パルス。
「それは知っているが。」
「黄金の剣とな?」
「司教に見せてみようか。」

教会にて。

司教。
「限られた者しか所持できない。」
「特別な剣です。」
「龍に返り討ちに遭った人物は。」
「剣の持ち手に相応しくなく。」
「その場で落として拾ったのがペルナ様。」
「ならば持っていたほうがよろしいかと。」

パルス。
「成り行きで手に入ったのか。」
「どうやら私よりもペルナの方がいいものを持っているらしい。」

ペルナ。
「なにか魅かれるので。」
「扱いやすいですし。」
「私の物でいいみたいですね。」

パルス。
「面白い。」
「聖王になるかもしれない。」
「楽しみだな。」

同時期。

パテル国王は衰えを感じ。

隠居しようかと思案していたが。

まだ少し早くて断念した。

代わりに。

ペルナちゃんを女王にする予定を立てて。

そのための特訓が開始されたのですよ。

ペルナ。
「前みたいに遊べないかもです。」

環奈。
「遊び方が変わるだけでしょう。」

ペルナ。
「そうですよねー。」

環奈。
「私も大学院で評判がいいし。」
「卒業したら故郷に戻るのかな。」

ペルナ。
「その時は文通しましょう。」

環奈。
「もちろん!」

揉め事に決着がついて。

ペルナちゃんは特訓の日々。

環奈ちゃんは大学院と。

出会って別れる。

そんなものなのかな。

夢で。

原罪の免罪符。

これが天からもたらされた。

環奈。
「あれ?これは夢?」

机の上にあって。

宝箱に保存。

環奈。
「夢と?免罪符?」

司教に相談。

環奈。
「夢で原罪の免罪符が降りてきたんです。」

司教。
「実はね。」
「少し前からそのような出来事が。」
「何十件か発生していて。」
「知られていないのだよ。」

環奈。
「そうなんですか。」
「免罪符を保管しないとです。」

司教。
「他人が触れると擦り抜ける。」
「移動されると元の場所に瞬間移動する。」
「あなたの近くにずっと保管されるので。」
「無くす事はありえないとのことだ。」

環奈。
「教会の免罪符とは神秘性が違います。」

司教。
「ひとつの場所に落ち着いて保管されたのなら。」
「動かさないほうがいいね。」
「元の場所に戻りたがるから。」

環奈。
「なるほどー。」
「適切に扱います。」

大学院一年目の終わり頃。

わたしが軍事顧問として採用される見通しで。

在学中でも。

現在の軍事顧問が引退すれば。

就任されると決まっていて。

環奈。
隠れて生きよ。
エピクロス。
目立つことや。
人と関わり過ぎることは。
心の平静を保つ上で妨げとなる。
目立たず。
自分のペースを守り。
粛々と生きる。
その能力が大事。

太鳳。
「あなたがいいのなら。」
「という条件です。」

萌峰。
「兵法の修練は本格化しますが。」

環奈。
「拘泥を除けば。」
「それでいいんです。」

太鳳。
「あなた拘泥があるのね。」

環奈。
「わたしの悪い癖。」

萌峰。
「拘泥を克服したら?どうなの?」

環奈。
「ここでいいという意味になります。」

萌峰。
「拘泥が邪魔になっているのなら。」
「手を貸してあげる。」

環奈。
「じゃあ手紙を書いておきます。」

太鳳。
「わたしが届けてあげる。」

クルトゥーラ国。

拘泥を除けば。

この辺りで根を下ろすのがちょうど良さそうです。

古代神殿の奥地にある。

石碑に。

わたしの名前と解説が刻まれて。

同世代を代表する女性と知られたわけ。

ひとつの時代が終わり。

ここはかんなちゃんの終生安住の地となった。


後日談(18)


宮殿で花壇の中央。

パルス姉と。

午前の憩いにと。

ブルーマウンテンを頂きまして。

喜んで受け取ります。

環奈。
「これは本格派のコーヒーですなあ。」

パルス。
「いいや。」
「それが本物のコーヒーだね。」

環奈。
「これまでとは別物だなあ。」

パルス。
「職人の手作り。」
「堪能したまえ。」
「コーヒー店でも三ツ星ってわけさ。」

コーヒーを堪能。

にやけているパルス。

環奈。
「腕前は折り紙付きだとか。」

パルス。
「そのあんたは鑑定書がついているよ。」

環奈。
「あら。」
「お互いに証明されていましたね。」

パルス。
「私だけは相手にしたくないらしい。」

環奈。
「弱いもの虐めはいけないことですしね。」

パルス。
「力というのは制御すべきもの。」

環奈。
「力の制御は確立される。」
「暴発した力は所構わず手榴弾を投げるようなもの。」

パルス。
「そうそう。」
「戦った相手が弱いと虚しくなる。」

環奈。
「むしろなぜゆえにそんな弱い力で戦おうなどと。」
「弱虫の考えていることはわからない。」

パルス。
「なんでだろうね。」
「武器もない奴が戦おうとしたり。」
「弱いのに戦おうとするなんて。」

環奈。
「力をつけてから戦いに臨んでほしいものです。」

パルス。
「弱いもの虐めするこっちの立場にもなれよって。」

環奈。
「口論で敵兵は倒せません。」

パルス。
「ああいうのは見ていてかわいそうだ。」

従者が絵画を運んでくる。

環奈。
「これは趣味がいいもの。」

パルス。
「夜空を描かせてみた。」

環奈。
「ドレスコードの女性が祈り。」
「背景は。」
「その先は夜空。」
「良い絵です。」

パルス。
「たまに素晴らしい絵画が生成されるのだ。」
「いいものが描けたら買い取っている。」

環奈。
「たくさん確保しているのでは。」

パルス。
「彼らには農場を与えている。」
「文句は出る訳がない。」
「レオナルド・ダ・ヴィンチ。」
「政変に悩まされて。」
「芸術の都から芸術家が相次いで去っていくなど。」
「スポンサーが戦争で負けて追い出されたり。」
「招いてくれる王様や貴族は続出したが。」
「膨大なレポートをいくら書き残しても。」
「公正な評価はされなかった。」
「天才モーツァルトは大成功により有名人。」
「ベートーヴェンも大人気。」
「天才は生きている間も名声はあったけれど。」
「真価が発揮されたのは数百年後。」
「当時の時点で才能が評価されている点に注目。」

環奈。
「ルネサンス時代。」
「芸術家は希少で。」
「宝物を作成できる特別な存在として見られていた。」
「作品の完成の有無に関係なく。」
「給料の支払いはあり。」
「王族や貴族が好んで召し抱えた。」
「スポンサーには困らない。」

パルス。
「絵画を量産した者はいなかった。」
「壁画も完成する時としない時もあり。」
「それでも絵画は宝物なので。」
「ルネサンス時期に芸術家たちはお金に困った形跡がない。」

環奈。
「イタリアが中心になった人間中心の文化は。」
「復活・再生・掘り起こし・という意味で。」
「古典文化が発掘されて。」
「そのまま用いられた。」

パルス。
「ここで神中心の文化が掘り起こされて復元されていく。」
「神中心の文化からのシフトなのでした。」

環奈。
「戯曲は試作品を練っている所なの。」

パルス。
「文筆家は読み物として。」
「芸術家は芸術作品。」
「即ち絵画として文学を見る傾向がある。」
「文筆家は娯楽や慰安に貢献するし。」
「芸術ではなくて読み物として書くので。」
「その点で違っている。」

環奈。
「ルネサンスは参考書ですよ全く。」
「ルネサンスという参考書を読んで勉強。」

パルス。
「現在保管されている美術品の多くは。」
「ルネサンス時代のもの。」

環奈。
「神中心の文化もその過程で復刻されるから。」
「だって、ルネサンスが神中心の文化を発掘して再生したから。」
「ルネサンスを原型に。」
「神様中心の文化に到達するしかない。」

パルス。
「おお!理にかなっている!」

環奈。
「わたしは手練三姉妹と散歩をしてみて。」
「小説家や詩人を訪ねた。
「さてわたしたちはどのくらいに蒙昧なのか。」
「全員で持ち寄り。」
「作家の作品の中で最も苦心したと思われるものを取り上げて。」
「それが何を意味するのかをきき質した。」
「作家は何かを学びたいから、そう述べる、しかし私は真実を告げる。」
「席に居合わせたところの人はほとんどすべて。」
「その作品について作者その人以上の説明を与え得たのである。」
「詩人が詩作するのは智慧によるのではなくて。」
「むしろ、予言者や巫女のように。」
「一種の自然的資質と神來とによると悟った。」

パルス。
「おお!発展途上の人の世よ。」
「形而上学でなんとかしてくれ。」


環奈。
「プラトンの著書には。」
「神霊。」
「ダイモニア。」
「あるいは。」
「ダイモネスと書かれ。」
「ダイモニヤ。」
「とも解説され。」
「神様の使いと思われる。」
「神様の許可が出ると。」
「容易に来てくれて。」
「芸術などのインスピレーションを。」
「かなり強く与える。」
「ダイモニオン。」
「古代ギリシアでは認知されていて。」
「特に低位の神々。」
「人間と関係深く。」
「ギリシャだけではなく。」
「世界各国でも出現する。」
「どこにでもいる存在。」

パルス。
「自然の動きは信じるが。」
「自然を信じない人なんていませんよ。」
「超自然的に関して言っています。」

環奈。
「世人のあらゆる意見が尊重さるべきではなく。」
「ただ一部だけが尊重されるべきであり。」
「他は尊重されるべきではない。」
「万人の意見が尊重されるべきではなく。」
「一部の人の意見は、尊重されるべき。」
「他の者の意見は尊重されてはいけない。」

パルス。
「その尊重される意見とは誰が判別するのか。」
「誰が決めるのか?」
「こういうことになっているのですよ。」

環奈。
「尊重に値するのは智者の意見で。」
「自称智者ではないんだね。」

パルス。
「一部はいろんなものを自称して。」
「自分こそは正しいと我を張る。」

環奈。
「正否なんて明確ではありませんよ!」
「道徳も明確ではありません!」
「多数決で曖昧で明確ではないものを決めるとか?」
「そんな馬鹿な。」

パルス。
「わたしはむしろ大衆が最大の禍を加え得る者であってくれればいいと思います。」
「そうすれば彼らには反対の可能性もあります。」
「でも結局、曖昧で、どちらも出来ないのです。」
「彼らのすることは皆偶然の結果ですから。」

環奈。
「彼らがもし有権者や玄人この一人に対する服従を拒んで。」
「その意見と実績と正統性を軽蔑して。」
「かえって自称インテリや衆愚の意見を重視するとすれば。」
「その結果彼らは禍を被りはすまいか?」

パルス。
「そうなれば禍とはどのようなもの?」

環奈。
「もちろん身体に及ぶ。」

パルス。
「とある人はこう告発しなければならない。」
「権威や衆愚からありとあらゆる人間が。」
「彼らこそ私に不正を行い。」
「正当な評価をしなかったのだと。」

環奈。
「実際には禍害を加えるのと、不正を行うのとは。」
「どちらも違いがないからね。」

パルス。
「芸術家諸君。」
「学者諸君。」
「こう呼んであげるのはどうか。」

環奈。
「半分は完全な否定になっています。」

パルス。
「悪人が善人を害するということが。」
「神的世界秩序と両立するとは信じないが。」

環奈。
「善良な者と邪悪な者とどちらが好かろうか。」
「答えてください。」
「わたしが冗談を言っていることを見抜くでしょうけれど。」

パルス。
「人は冒涜が目立つぞ。」
「人ってそんなに偉いものなのか?」
「世界の支配者なのか?」

環奈。
「罰当たりなのは皆同じ。」
「彼は神を信ぜざるが故に。」
「しかし神々を信ずるが故に。」

従者が登場。

パルス。
「見せたい武器や防具を持参していてね。」
「ソルジャー2025。」

環奈。
「今日では普遍的な装甲服。」

パルス。
「液体ボディーアーマーがあるだろう。」
「ポリエチレングリコールとシリカ粒子。」
「普段は反発して浮いているが。」
「銃弾が当たると。」
「ハイドロクラスターと呼ばれる現象によって。」
「硬化して銃弾を無効化する。」
「中の硬くなった部分はすぐに液状に戻る。」

環奈。
「液体ボディーアーマーが次世代型に?」

パルス。
「その通り!」
「装甲服の進化により。」
「中距離の撃ち合いで決着がつかない。」

環奈。
「白兵戦で斬り合ったほうが効率が良い場合もある。」
「シールド発生装置を使用されると。」
「軍刀での近接戦闘の方が強くなる。」
「遠距離では当てても敵はあまり倒れないし。」
「騎士は鉄砲騎馬が主力。」

パルス。
「これまで以上にライフル銃が使いづらくなる。」
「最新型は既に量産体制に入っている。」

環奈。
「電子機器も歩兵は携行しますから。」
「騎士の戦い方も進化しそう。」

パルス。
「歩兵が中距離で決着がつけられない以上。」
「防御力の進化の方が断然強いので。」
「軍刀の需要はさらに高まった。」

環奈。
「装甲服は軽量で。」
「安くて作りやすい。」
「前文明のテクノロジーはやりたい放題。」
「唯一の脅威は魔術師。」

パルス。
「猛威を振るうだろうね。」
「魔術師も魔力が一定以下になれば。」
「朦朧としてまともに走れないから。」
「魔法は誰でも扱えるものではない。」
「唯一の強敵は魔術師になるか。」

環奈。
「戦場も地味になりました。」

パルス。
「戦争においても生活においても。」
「わたしは三度考えてからはじめて実行した。」

環奈。
「二度考えたらそれでよろしいよ。」

パルス。
「味のある助言ですな。」
「最近、何か違和感があってね。」

環奈。
「この世界について知ったかぶりをしている。」

パルス。
「それですぞ。」
「なぜここを選んだ?」

環奈。
「この世のことは、もう知ってしまったから。」

コーヒーを飲んで。

柴犬がやってきて。

なでたり。

おやつをあげて過ごし。

丁度いいところで帰らせて貰いました。

多分。

全軍指揮権を得るだろうから。

お互いに知っておきたいという。

計らいでした。


後日談(19)


商店街の隅にある。

丘によって段差が多い。

水の公園。

誰かが登場。

青年。
「好きです!」

環奈。
「はい?」

青年から花束を貰いまして。

環奈。
「求婚ですか?」

青年。
「アイドルに花束を渡していけない事ですか?」

環奈。
「そういうことですか。」
「憧れが正しかったと証明はしてあげますとも。」

ハグして別れました。

どうやらアイドルのように見られている様子です。

片思いの女性。
「あなた!彼を取るつもり?」

環奈。
「恋人でしょうか。」

片思いの女性。
「片思い・・・あなたは恋敵!」

環奈。
「あの人は貴族の方ですよね?」

片思いの女性。
「そうよ!なにか?」

環奈。
「では・・・あの青年にお見合いを提案しましょう。」
「彼の両親に手紙を送ります。」
「そしてあなたがお見合いの相手として目の前に出るのです。」

片思いの女性。
「その話乗った!」

環奈。
「すぐに手紙を送信しますので。」

片思いの女性。
「ありがとう!あとはわたし次第!」
「恋敵ではなくて味方だったのね。」

その後。

片思いの女性と青年はお見合いで顔を合わせたよ。

銅像公園で。

彫刻を見ていましたら。

横から。

男の子にスカートをめくられた。

しかしショートパンツを履いていたので。

この世の終わりのような顔をされたのです。

母親。
「なんて下品な!」

男の子。
「かんなちゃんが好きでやってしまった。」

母親。
「出来心のようです。」

環奈。
「男性と関われば女性も理解できます。」
「可憐な花を撫でたいというのも。」
「男性の趣味でしょう。」

母親。
「下品な男性は教育に失敗しています。」

環奈。
「自分を理解するのに。」
「女性を理解するのに男性も有り得ます。」

母親。
「寛容ですのね。」
「いまのうちに子供を打ち。」
「倫理について再教育です。」

環奈。
無益なことに労を費やしてもならず。
無益に労を費やしてもならない。

立ち去った。

貴族と富裕層は。

とても友好的。

明知と才知の撫で斬り伝説。

ここまで伝わっており。

憩いとしての集会で。

世界各国のボードゲームで豪遊する日もあり。

どこかの奥さんまで。

かんなちゃんがいると勝負が面白いと。

今夜もボードゲーム大会。

貴族。
「わたしは世に用いられなかったので芸がある。」

夫人。
「こまごまとした才能。」
「多芸は痒い所に手が届く。」

大富豪。
「大人の遊びとはこのことだ。」

騎士。
「おい!随分と引き離されたぞ。」

環奈。
「今日もわたしの勝ちですか?」

道化師。
「ああ!やめてくれー。」

貴族。
「追いつけそうだ。」

大富豪。
「一生懸命遊べ!」

道化師。
「やっぱり器用だなあ。」

夫人。
「真面目に遊ぶのです!!」

太鳳。
「ギリシアの詩人を信じれば、時に狂ってみるのも楽しい。」

環奈。
「プラトンは言った、正気の人間が詩作の門を叩いてもむだ。」

柚月葉。
「アリストテレスが言う、狂気の混じらない天才はかつて存在しなかった。」

サロン文化で。

女性が主催する文化人の交流がある。

この夜も勝負事で。

全員で熱狂。

遊びなので。

どういう趣向で勝利したかに評価があります。

翌日。

地理に詳しいかんなちゃん。

貴族の土地の様子を見るなど。

市民における雰囲気の観察や情報収集まで。

特に少年や少女が箴言を求めます。

ニコマコス倫理学をマスターしているかんなちゃんは。

すらすらと答えてくれる。

他にも。

頼み事を度々引き受けて。

こなしてくれる。

恩もあり。

初めから友好的に接した貴族や富裕層は。

好意に応えたかんなちゃんの支持者となっていますね。

この日は。

兵隊の練度を上げるように。

元帥に手紙を送り。

そこには傭兵たちがまとめた。

あらゆる戦闘の奥義と実戦経験の教えまで。

膨大なレポートが添えられており。

元帥。
「傭兵の意見書だと!?」

軍人。
「よく手に入れましたね。」

元帥。
「戦場はここまで奥が深いのか。」
「新しい戦い方まで。」
「武器の使い方もいろいろあるとな。」

軍人。
「こちらはどのような方法が成功率があるとか。」

元帥。
「戦場における兵士のデータですか。」
「これを読めば。」
「どのような状況でも行ける気がする。」

軍人。
「シチュエーションのケースが膨大ですから。」
「敵がどんな形も取らないし。」
「自由自在に対応する。」

元帥。
「これは現場の光景だけがプリントされた。」
「実際というものが手に取るように。」

軍人。
「戦場と戦争についての理解が深まります。」

元帥。
「これは資料として保管するとしよう!!」

軍人。
「戦場の資料集ですからね!!」

元帥は狂喜。

そういえば。

かんなちゃんにイタズラした男の子は。

女の子に興味が出て。

挨拶に。

かんなちゃんを見に来るようになり。

笑顔で対応するかんなちゃんに。

女の子好きが強大になって。

青年が近づいた誕生日。

縁談が来ると歓迎し。

相手の女性とうまくやれると。

閃いて。

それもそのハズ。


かんなちゃんを見て女性を知ったと。

貴族と富裕層は一連の動きに感動していたね。

環奈。
私がしなければならないのは。
私にかかわることだけであって。
他人が考えていることではない。

貴族。
一個の人間でありたいなら。
社会に迎合してはならない。

環奈。
「定言命法。」

貴族。
「おっと!アイドルの誕生ですか?」
「あなたは最高です。」
「気の利いた事をしてくれて頼もしい。」
「我々、実践は苦手らしいよ。」

環奈。
「実践知は誰にでも備えることはできません。」

貴族。
「実行力万歳ですな。」

環奈。
「事あるごとにやっておきますね。」

貴族。
「我々も応援致します。」

パルス。
「おお!近頃活躍しているね。」
「他人が出来ない事が多かったらしい。」

環奈。
「そのようです。」
「やれる人がやります。」

パルス。
「御自分の事も考えてやってください。」
「お節介かな?」

環奈。
「特別に大学院での卒業資格はほぼ決まっていますし。」

パルス。
「大学院は卒業できるのだな?」

環奈。
「道徳を修めないこと。」
「学問を習わないこと。」
「正義を聞きながらついてゆけないこと。」
「善くないのに改められないこと。」
「そんなになるのがわたしの心配ごとです。」

パルス。
「最高だよ。」
「一緒に散歩しよう。」

貴族。
「乗馬で散策しませんか?」

パルス。
「そうしよう!」

環奈。
「久しぶりのお馬さん。」

これだけのメンバーが揃っていても。

出来ない事はそれなりにあったようで。

そこを補完したのがかんなちゃんでした。

不足を補ってくれるかんなちゃんは。

幅広く支持されておりますよ。



後日談(20)


最高善が幸福であることは万人の容認せざるをえないところ。

だが、幸福の何たるかについては異論がある。

早朝。

自宅の庭で。

鳩と戯れる。

こちらが親だと思っているのかな。

環奈。
「たまらん。」

太鳳。
「んー好きな人はみんな虜。」

環奈。
「ああなんとも言えないずんぐりむっくり。」

太鳳。
「鳩という名前の革命について。」

環奈。
「鳩とは自然系の触れ合い生物である。」

太鳳。
「では、犬や猫は自然系ではないの?」

環奈。
「では、犬や猫はなぜそのような定めがあるのですか?」

太鳳。
「知らんがな。」

環奈。
「知らない、それは知らないと言えるよね。」

太鳳。
「知らないことを知れとは言いませんよね。」

環奈。
「わからないことをわかれというのと同じ。」

太鳳。
「ああ、弁証法のトレーニング。」

環奈。
「優等生について。」
「実力が足りていないのに。」
「威張る必要があるんでしょうかね。」

太鳳。
「ああ、優劣をつけるのを楽しんでいる。」

環奈。
「悪徳なんですね。」

太鳳。
「一般的に優れている・・・なんて人間は。」
「換言すると悪徳に秀でている。」

環奈。
「異論はありません。」
「悪徳によってチート能力を得ていたら?」

太鳳。
「少なくとも美徳には到達しない。」

環奈。
「自分は大きいものに値すると考えているとすれば。」
「それは正当ではない。」

太鳳。
「さて、美徳と悪徳、どちらが好みか。」
「エリートさんは悪徳を選んだから。」
「美徳には到達しないわけだ。」

環奈。
「わたしは矜持。」
「自分が大きいものに、それも最大のものに値する。」

太鳳。
「悪徳を選ばず、回避し、美徳に到達するにはどうすればいい?」

環奈。
「悪徳を選ばず、回避すればいい。」
「でもここで悪徳だけは回避できるのであって。」
「美徳への道は知らないでしょう。」

太鳳。
「彼らには手が届かない。」

環奈。
「最上なのは、みずからすべてをさとるひと。」
「また、よき言葉に従うひとも立派なもの。」
「だが、みずからもさとらず。」
「他に聞くもこころにとどめないのは。」
「せんなきやから。」

太鳳。
「今日の新聞で。」
「裁判が開かれました。」
「タイトル。」
「みずから進んで殺し殺されたのか。」
「それとも、どちらもすすんでではなかったのか。」

環奈。
「奇怪な。」

太鳳。
「社説に失笑。」

環奈。
「自説に固執する強情っぱりも出ています。」

鳩。
「くるっぽー。」

太鳳。
「悪徳・・・について。」

環奈。
「まず悪徳が出ますか。」

太鳳。
「苦痛が悪ならば快楽は善でなければならぬ。」

環奈。
「そんな主張は認めない。」

太鳳。
「そうでしょう。」
「当たり前。」

環奈。
「昨日、画家さんから購入した絵です。」

太鳳。
「素人は作品のよしあしに対してまったく盲目。」
「また、それが何によって、いかにしてできているか。」
「そうしていかなる性質のものはいかなる性質のものに調和するか?」

環奈。
「文化人が鑑定すれば。」
「間違いない、わたしたちのように。」

太鳳。
「そのとおりよね。」
「批評家とかあらさがしは得意だけれど。」
「否定はするが肯定はしない。」

環奈。
「見たままを言うけれど。」
「良い所を誉めないのは公正ではないよ。」

太鳳。
「自分が善人とでも?」
「そんな馬鹿な。」

環奈。
「論争の的にならないものはない。」

太鳳。
「いろいろの善からかえって。」
「害悪が生じている例も決して少なくはない。」

鳩。
「ぽっぽー。」

環奈。
「準備しよう。」

太鳳。
「乗り物の手配はあるよー?」

環奈。
「ああ!そんなー。」

太鳳。
「いつでも。」

簡易飛行機。

V-22オスプレイに酷似している乗り物。

オスプレイ系統が多いのは。

デザインが好みだから?

飛行場となる芝生。

花壇と銅像と。

広場がある大学院正門。

中に入ると。

ありとあらゆる古典の教養を身に着けた人々。

フードを被ったり。

宗教的な印象。

カトリック教会に似た壁画もある。

太鳳。
「せっかくなので連れてきたー。」
「鳩好き。」

環奈。
「結果的に送迎してもらったよー。」

萌峰。
「いまノートがまとまった。」
「はじめよう。」

環奈。
「大局というものを知りました。」

萌峰。
「実際の戦績から。」
「いや、一兵卒の戦いも指導するよ。」
「彼らが、どんな戦場で。」
「名も無き者として。」
「身を投じたかを。」

環奈。
「綺麗な人に囲まれて・・・はわわ!」

萌峰。
「あんたも綺麗な人の仲間でしょうに。」

環奈。
「神様見たいな。」

太鳳。
「同類だから送迎になったんでしょう。」
「さらばー。」

萌峰。
「同志よ、教科書なんて使わないぞ。」
「シミュレーションだぞー。」

環奈。
「兵法は実戦経験がすべて。」

萌峰。
「自由七科を学ばないと学問にならない。」

環奈。
「独学で可能ですか?」

萌峰。
「あのね、ノウハウを伝えてあげるから。」

環奈。
「神様見たいな。」

神秘的なひと。

スパルタ人が感動すると「神さまみてえな。」という発言が常。

教科書の内容を学ぶのではなく。

ノウハウから実践向きに訓練して。

モノにするように導く。

このコツというものを掴むか掴まないかで決まりますね。

最近では。

学的認識の獲得方法を萌峰ちゃんから学んでいます。

経験家ではなく理論家になりなさいと。

ジーザス。

恵まれたが故に。

これが恩寵だと知るや。

美徳へと繋げ・・・。

やっぱり。

スパルタ人みたいに言うと。

「神さまみてえな。」


後日談(21)


「学」とは「論証ができる状態」

「究極の論拠が明らかでない限り学的な認識だとは言えない!」

大学院の小部屋。

ソファーなどの休憩室。

ぬいぐるみを持つあろえちゃんと。

長い髪とミニスカート。

ニーハイソックスの女子中学生。

えなちゃんと。

少し短い髪と髪飾りが印象の。

長めのスカートとソックスの女子小学生。

きさちゃん。

あろえ。
「人としての義務を実践すればよい。」

瑛菜(えな)
「死への怯えが死の因になることはしばしば。」

喜彩(きさ)
「立派に死ぬ術を知らぬ者は拙く生きる。」

瑛菜。
「悪いものが栄えていたと仮定しますと。」
「天定まって人に勝つ。」

あろえ。
「聖書を読むと。」
「どれだけ人が愚かで悪か。」
「冷酷で悲惨か。」
「意外にも人は否定されている存在であると知る。」

瑛菜。
「人は自画自賛ですよね。」
「ぜんぶ自分たちのモノであると。」

喜彩。
「うん、人はそう。」
「ルールだと?自分達がルールだ!」
「私達がルールなんだぞ!って調子で。」

あろえ。
「我々は自分に関わりあるものを贔屓目で見るものですし。」

瑛菜。
「人間の都合に合わせたルール作りは。」
「芸術作品として見ると醜悪。」

喜彩。
「どこの国のことなの?」

あろえ。
「前文明でしょ。」

瑛菜。
「好条件を得た人ほどでたらめをするのはなぜですか?」

喜彩。
「アリストテレス曰く。」
「生まれの良いとか。」
「ちょっとばかり幸運のきまぐれで優秀でも。」
「諸条件を調子のとれた仕方で担ってゆくのは容易ではない。」
「彼らはそれを担うことができず。」
「他人に優越していると思って、他人を軽蔑して。」
「でたらめな行為をする。」

あろえ。
「依怙贔屓は正しい判断を妨げるのが常です。」

瑛菜。
「悪徳について。」

環奈。
「こんにちはー。」

あろえ。
「おお!いま話題の女性が登場である。」

環奈。
「公正な評価を知らない。」

瑛菜。
「世人以上に。」

環奈。
「世人以上かあ。」
「それは否定しない。」
「広場に何かあったよー。」

喜彩。
「賞賛する時は世人以上に。」
「という意味で。」

あろえ。
「かんなちゃんは我を張ることがないし。」
「ものわかりのよさがある。」

瑛菜。
「我が強くないのはいいことです。」

あろえ。
「あの人は欠点がものすごく少ないのね。」
「なんでも自発的に行動するから。」
「向上心がある女性は多くはない。」

瑛菜。
「女性は悪徳の方が好みですからね。」

あろえ。
「それには異議あり。」

三人娘が歩いていくと。

大学院の広場に。

誰が置いたのか。

「世界でもっとも美しい女性が被る月桂冠」というものが置いてあり。

謎であって。

これを被るのは「自分が世界で美しいのだ」などと宣言する意味になるので。

誰も手に取りませんでした。

あろえ。
「これを手に取ったら。」
「すごい自信だなあ。」
「自信だけあるのかドン引きする。」

太鳳。
「危険物なのでは?」

彩葉。
「傲慢な女が手に取りますよ。」

喜彩。
「誰が置いたの?」

彩葉。
「それだけに不吉。」

あろえ。
「わかりやすいトラップだなあ。」

瑛菜。
「美人の定義がわかりません。」

喜彩。
「男性にとって都合のいい女性のことですか?」

あろえ。
「そんな馬鹿な。」

彩葉。
「形而上学として。」
「中身も大人の女性のことではありませんか。」

あろえ。
「先生、わたしわかんない。」

しばらくすると。

それが無くなっていて。

自称美人が被っていましたが。

いろんな女性から疎まれて。

仕方がなく。

月桂冠を元の場所に戻したそうで。

謎の月桂冠は。

そのうち大学院で保管されました。

あろえ。
「愚かな女は容姿が良くても意味がありません。」

彩葉。
「あら?男性にも愚者や馬鹿は実在するのに。」
「女性にもいるのよ。」
「知らなかったの?」

あろえ。
「えー?変態とか阿呆とかまぬけとかも?」

彩葉。
「男性に実在するタイプは女性にもあるの。」

太鳳。
「幼い男性もいるように。」
「幼い女性もいる。」
「大人になりましょう。」

あろえ。
「ああ、そんな連中、捨て駒。」

えなちゃんはあろえちゃんの両親の友人の娘で、えなちゃんの親が教師。

きさちゃんは院長先生の娘で。

あろえちゃんと一緒にいるので。

三人娘として有名。

あろえちゃんが分校の教師の後継者に指定されている影響。

古典の教養は素晴らしく。

全体のレベルは高い。

環奈。
「最高善を求めて巡礼しようと思います。」

彩葉。
「休学するの?」

環奈。
「夏休みに。」

彩葉。
「行こう!行こうよ!」
「神々を待たせている。」

環奈。
「そのために。」
「形而上学を習いたい。」

彩葉。
「快諾。」
「学問に近道なし。」
「学問は段階を追って積み重ねていくことでしか習得できず。」
「一足飛びにマスターする方法はなく。」
「順序を踏んで学ぶべきである。」
「学問に王道なし。」

このあとわたしは。

永遠の処女の誓いを立てて。

神様に保証して貰い。

巡礼を繰り返しました。

休日という休日は旅に費やし。

短期的な夏休みは巡礼で埋められ。

それもその筈。

わたしは詩を歌ったところです。

朗読。

この世。

この世には。

この世。

この世の中に。

いたずらにも。

ただ時は。

さようならを告げていく。

この世。

この世では。

この世。

ただ時が。

それだけは。

嫌で。

わたしは飛び出した。

このままでいい。

それだけは。

それだけは嫌だと。

駆けて。


後日談(22)


パテル国王を笑顔にしようと。

道化師三人組が集う。

街中でねずみ花火を飛ばして。

バクチク弾を地雷と同じく設置。

100円を拾えと言わんばかりに配置。

市民と戯れています。

庶民。
「なにをはじめたんだ。」

商人。
「なかなかいい趣味をしている。」

主婦。
「さっき巻き込まれて。」
「悪くはありません。」

少女。
「なかなかいい味出しています。」
「新鮮でした。」

庶民。
「良いイタズラな訳か。」

主婦。
「たまにはあんなのも面白いもんです。」

商人。
「けっこう楽しめましたぞ。」
「チップあげちゃった。」

少女。
「いまはどこかに隠れているみたい。」

庶民。
「次はどんなことをしてくれるかな。」

路地裏にて。

道化師。
「王様にロケット花火をお見舞いするのは?」

芸人。
「王座でやらかして鞭になってみよう。」

漫才師。
「そんなさりげない襲撃者もいるもんだと。」
「何かの足しになるでしょう。」

道化師。
「よし!この花火ロケットを暴発させよう。」

馬鹿。
「王座で・・・なにをするのだ?」

道化師。
「おっと!見逃してくれ!」

馬鹿。
「それでは白状しろ。」

芸人。
「王座で暴発させようと・・・火薬をね?」

馬鹿。
「ん・・・そうか・・・実は俺もやる予定なのだ。」
「一緒にどうかな?」
「仲間もいるぞ。」

漫才師。
「どうやら鞭の仲間が出来たらしい。」

馬鹿。
「鞭?どうでもいいや。」

芸人。
「どうでもいい?おれたち自己犠牲のお人よし集団だぜ。」

道化師。
「では旅芸人の一団は王座に入ろう。」

馬鹿。
「しめしめ・・・こいつらを利用すれば濡れ衣にできる。」

一団。

仲間がいっぱい来たので。

準備をして。

宮殿の敷地に入る。

漫才師。
「おいおい、けっこうな仕掛けだぞ。」

馬鹿。
「お前さんも阿呆な割には玩具みたいな武器だな。」

道化師。
「俺は本気だぜ?」

馬鹿。
「そうか、堂々とやるなんて。」

仲間。
「これは罪をなすりつけるカモだな・・・。」

パルス。
「旅芸人の一団だって?」

道化師。
「はい・・・無料で広告の代わりにと。」

環奈。
「本格的な道具を持っていますが。」

パルス。
「本気で冗談をするらしい。」

道化師。
「我々は真面目にふざけていますので。」

環奈。
「上等な仕掛けがありますな。」
「これはお楽しみ。」

パルス。
「さあ通れ。」

道化師。
「喜んで!」

騎士たちが珍客をおもしろがる。

王座にて。

パテル国王。
「旅芸人とな?」

道化師。
「いいや、このカールグスタフで。」
「謀反人だあ。」

パテル国王。
「ふはは、そんな襲撃なんてあるのか。」

芸人。
「もし、我々が暗殺者だとしたら?」

漫才師。
「獲物があったら?」

パテル国王。
「おお!ぞわぞわする、そして続きは?」

道化師。
「無謀な連中は正面から来るもんです。」

馬鹿。
「そうそう、誰かを利用したりして。」
「安全に勝とうとする。」

パテル国王。
「安全に勝利なんて出来ないが。」

漫才師。
「台本と違うぞ。」

馬鹿。
「さっさとやれよ。」

仲間。
「お前が主犯格だろう。」
「どさくさに紛れてお前らを倒して。」
「国王も倒れて正当化から続くファンタジー。」

パテル国王。
「すごい想像力だ!」

道化師。
「もし敵さんが捨て身で来たら?」

パテル国王。
「おお!もっとぞわぞわする。」

漫才師。
「しかし裏切者は監視を掻い潜れない。」
「そこで結託してくるのです。」

馬鹿。
「早く火薬を放て。」

パテル国王。
「おおお!スリリングな冗談を。」

道化師。
「ぐわあ!!」

芸人。
「ぐええええぇぇぇ!?」

花火が炸裂。

風圧爆弾で吹っ飛ばされた。

漫才師。
「という風に自滅するのです。」

パテル国王。
「ふほほほ!これはたまらない。」

道化師。
「むかしからのテンプレートでして。」

馬鹿。
「そうそう、こっちのロケットは使わないの?」

環奈。
「あのロケットは妙に精巧ですがね。」

パルス。
「うん、本物みたいによく出来ている。」

パテル国王。
「ん?本物みたい?それも冗談なのか?」

道化師。
「即席で雇った新人なんで。」
「まだ余興ですぜ。」

仲間。
「この手榴弾を使いなよ。」

芸人。
「んなもん台本にねぇよ。」

環奈。
「あのー。」
「すごく本格派なんですね。」

道化師。
「新人さんめぇ。」

パテル国王。
「少しくらいドジったほうが諧謔としてはいいものだ。」

馬鹿。
「こんなのが転がったら?」

パテル国王。
「おお!手榴弾・・・本物だったら新手だな。」

微々たる爆発で。

しょうもない煙で包まれる。

漫才師。
「さて、いよいよ芸の方を。」

パテル国王。
「いいぞ!盛り上がってきた。」

馬鹿。
「早くこれを使えよ。」

道化師。
「対戦車ロケット?こんな道具持ってきたのね。」
「どうやって使うの?」

馬鹿。
「なかなか上等な仕掛けだぞ。」

道化師。
「重い!なんだこれ!」

環奈。
「ちょっといいですか?」

道化師。
「いろいろな遊び道具に精通しているが。」
「なにを用意したんだ?」
「なんか変だ。」

環奈。
「見せて。」

道化師。
「はい。」

環奈。
「これ本物では?」

パルス。
「はあ?バルコニーで確認してくる。」
「どこまでが冗談なのか分からん。」

馬鹿。
「手榴弾はまだある。」

道化師。
「けっこう慣れているらしいが。」
「台本をこれ以上乱すなよ。」

パテル国王。
「どうした?次は出ないのか?」

窓から。

ロケットが発射されて飛翔。

無人地帯に激突。

パルス。
「おや?本物だったぞ。」

騎士。
「これはどういう訳かな?」

騎士が数人取り囲む。

道化師。
「てめぇ!雇ったはいいが。」
「そういう輩だったのか!」

芸人。
「ひでぇ!」

漫才師。
「利用された!」

パテル国王。
「話は後でゆっくり聞いてあげよう。」
「誰かな、どこまでが本当なのかな?」

馬鹿と仲間数人が逃げようとする。

かんなちゃんに斬られる。

騎士数人に袋叩きになる。

環奈。
「捕らえました。」

パテル国王。
「状況がさっぱり。」

国王は避難を開始。

騎士や兵士がいっぱい集まってきて。

調べられている。

道化師。
「街中で志願した野郎を抱えてきたら。」
「野心家だったんだ!」

芸人。
「どこのテロリストだ!利用された!」

兵士。
「先ほど街中で三人組が戯れていて。」
「市民が満足しておりました。」
「その時は三人であったと。」
「動画にもありますね。」

騎士。
「するともう四人は後付けなのか?」

漫才師。
「志願してきたんだ!俺も芸人だってね!」

パテル国王。
「誠に良い余興であった。」
「で?次は?」

環奈。
「あと二歩で銃弾を叩き込まれていましたよ。」

パテル国王。
「おお残念、これは残念無念。」

道化師。
「おれたちはどうなる!?」

騎士。
「寛恕。」
「。」

パルス。
「巻き込まれたのはわかったので。」
「悪くはされない。」
「保護者に同行しなさい。」

漫才師。
「こらー!あの馬鹿野郎!」

馬鹿。
「阿呆に罵られるなんて冗談じゃない!」

パテル国王。
「ところで、どういう台本だったのだ?」

環奈。
「謀反ごっことのことです。」

パテル国王。
「そうか、謀反ごっこか、よくわからん。」

パルス。
「お父様、劇が混乱しているだけです。」

パテル国王。
「では続きは?」

パルス。
「1時間後を予定しています。」

パテル国王。
「わかったぞ、謀反ごっこ?」

環奈。
「この場は混乱してますね。」

テロリストはどうやら。

道化師に偽物の道具を使わせて。

仕掛けの中に兵器を混入させて。

道化師三人組が殺した事にして。

その場で成敗して。

自分たちだけ逃れ。

死亡した王と死人に口なしの道化師三人がいる。

という構図を作りたかったようで。

頭が足りない無謀な作戦でしたよ。

みんな知っているんです。

王座の裏には。

十字架があって。

市民も騎士も貴族も。

そういう前提で王様を見ているのに。

ああいう輩は。

この国の本当の統治者がわからない。

王様は体現者であって。

王位は祈りを捧げた結果であることを。

祈りから許可が具現化したことを。

知らずに。

道化師は貧乏くじ。

このあと道化師三人組は解放されまして。

この事件は決着がつきました。


後日談(23)


クラウゼヴィッツの戦争論。

具体的過ぎる兵法書。

萌峰。
「攻撃は防御よりも弱い戦争形式である。」
「いつまでも攻撃を続けることはできないから。」

環奈。
「攻撃一辺倒を果たして続けられるか?」

学友。
「勢いを失えば負けます。」

生徒。
「休息は必須なのに。」
「攻撃を継続するのはやがて疲弊を招きます。」

萌峰。
「攻撃は最大の防御。」
「これには異論があるものです。」
「攻撃が衰えたら防御はどうする?」
「休息時には防御の形態になるわけですし。」

学友。
「防御を考えていない。」
「防御の方が強くなりがちです。」

萌峰。
「攻撃で奪い取った土地を残しておくものですし。」
「そこの防御は欠かせない。」

環奈。
「勝者故の混迷を読んだことがあります。」

萌峰。
「戦いに勝つのは易く、勝ちを守るのは難く。」
「勝利を保ってゆくことは難しい。」

環奈。
「勝利したらそこで終わりではない?」

萌峰。
「勝利したからと言って。」
「まだいろんなものが続いている。」
「次に交戦すれば。」
「勝ったハズなのに敗北となる。」

学友。
「勝利に酔いしれて。」
「すべてが終わった積もりでいるのですか。」

萌峰。
「一回勝利した程度ではアテにならないよ。」
「戦いはまだ続いていくもの。」

環奈。
「戦争目的が大事になりますね。」

萌峰。
「目先の勝利は無視せよ。」
「意味のない勝ち負けは相手にしなくていい。」
「孫子兵法書の反戦論を理解してください。」

学友。
「中国の古典を読んでみると。」
「勝利した後の事を考えています。」

環奈。
「勢いがある時は無敵なのですが。」

萌峰。
「騎虎の勢い、下りるを得ず。」

環奈。
「ああ、一度虎に乗ったら。」
「降りれない。」

学友。
「迎合されない人は。」
「どうすればいいのですか?」

生徒。
「実力で優劣が決まらない場合は?」
「迎合有利な場合は?」

萌峰。
「嫌を避くる者は、皆内足らざるなり。」
「人から嫌われることを避けようとするのは。」
「心の修養が出来ていない。」

学友。
「美徳か悪徳かどちらか選べ。」
「そう言われているような。」

萌峰。
「資本主義なら資本主義者になりなさい。」
「全員が通る道から入らないこと。」
「学校を出て良い企業へ入るようなテンプレートは最悪。」
「あなたは競争だけに生きているのですか?」

生徒。
「そう言われると。」
「学生時代から競争だけに生きている人もいますよ。」

環奈。
「良い大学に入り、良い会社に入る。」
「これだけ考えて勉強するなんて。」
「換言すれば競争に生きているだけです。」

萌峰。
「敗北者の方がずっと多いでしょうし。」
「調和することを知らない。」
「ましてや志を持つ者はいない。」
「小人は利益に明るいね。」

環奈。
「志を持つ人とは比較できないものです。」

萌峰。
「比較するには不適切。」
「ことわざ。」
「月と鼈。」

学友。
「私達は義になるのです。」

萌峰。
「さてと、プラトンが言うには。」
「力は正義なり。」
「非力で義なる者はいないね。」

環奈。
「わたしの体験ですと。」
「柔弱は剛強に勝つ。」
「力任せの戦士は横の移動。」
「サイドステップに弱かったです。」
「本能的に動くと負けます。」
「実戦で知りました。」

萌峰。
「相手を打ち負かす力は持っておきたいものだよ。」

学友。
「力を否定してはいけない。」

萌峰。
「力だけで打開できるものばかりでもないね。」

生徒。
「それでたまに困窮する人もいます。」
「成り行きで。」

萌峰。
「君子は固より窮す、小人は窮すればここに濫す。」
「君子も窮するときがある。」
「小人と違うのは、小人は窮すれば自暴自棄になるが。」
「君子はそうではない。」

環奈。
「具体的にはどうなるのでしょうか。」

萌峰。
「人間万事塞翁が馬。」
「国境の近くに砦があって。」
「その地域に住む男は占いに長けていた。」
「ある時、馬が逃げ出した。」
「乗用車に等しい価値がある馬が逃げて。」
「人々は慰めに来たが。」
「この災難が、きっと福になる。」
「こう言った数か月後。」
「馬は一頭の駿馬を連れて帰ってきた。」
「人々は祝いに来た。」
「男は言った。」
「この福が必ず不幸になると。」
「男の家は良馬に恵まれた。」
「彼の子供は乗馬が好きで。」
「落馬して怪我をした。」
「人々はお見舞いに来た。」
「いや、これがやがて幸運になる。」
「北の異民族が攻めてきて。」
「砦の戦力は壊滅してしまう。」
「子供は怪我をしていて戦闘に参加できず。」
「父親と共に命拾いした。」
「有名な話。」

環奈。
「一喜一憂することもない。」

生徒。
「この世の不思議。」

学友。
「この世について知った気でいました。」
「反省。」

萌峰。
「さて、禁忌についてお話しようか。」
「この世には禁忌。」
「またはタブーがある。」
「禁忌は何であるか。」
「禁忌を犯してからはじめて知る。」
「禁忌の結果ですら分かりはしない。」
「タブーによって初めてわかる。」
「この世には禁忌で溢れているから。」
「禁忌を犯して結果に苛まされる前に。」
「逃げておけ。」

環奈。
「うわあ、心当たりがある。」

学友。
「タブーが平気で行われている光景を見たことがある。」

生徒。
「なぜ平気でタブーを犯すのか。」
「むしろそれが快楽になっているのか。」

萌峰。
「エバに続いてアダムが善悪の知識の木から取って食べた。」
「善悪の知識の木は禁忌として用意されたもの。」
「そそのかされると人はタブーを平気でする。」
「創世記は禁忌を犯して追放されたアダムとエバ。」
「人は平気で禁忌を犯すので。」
「はじめに警告する。」

環奈。
「人類は禁忌を平気でするんだね。」

生徒。
「ひええええ!!」

学友。
「とんでもない。」

萌峰。
「それから。」
「因果律を知っておくように。」
「哲学用語。」
「すべての物事は、必ず原因があって。」
「それに応じた結果として存在しているという自然法則。」
「禁忌を犯した結果が存在していれば。」
「因果ですなあ。」

一日みっちり学習しない。

大学院のスタイル。

余裕を持って鍛錬終了。

帰宅すると。

地中に埋め込んだ。

鉄の柱にパンチ。

力の制御が出来ていないと。

簡単に怪我するよ。

歩兵が遊びで鉄板にパンチしていたので。

真似してみたんです。

次に。

いつもの訓練。

石を積んだカゴを背負って。

マラソン。

時に山道を駆け上がる。

トレーニング。

コンディションを見て調節するもんです。

環奈。
「グルカ兵は平気でやっている体力作り。」
「石を積んだカゴを背負って。」
「登山。」
「レースをやっているほど。」
「筋肉自慢ではなくて。」
「体そのものの質が必要かな。」

市民。
「おお!重さ何キロあるのか。」

騎士。
「私も若いころやったなあ。」
「いまでは女性も普通にやっているのか。」

貴族。
「尋常ではない体力になりますぞ。」

騎士。
「便利になると。」
「肉体がついていかないものですぞ。」
「あのくらいは当然だと考えています。」

石満載のカゴを降ろして。

休息中。

お客さん。

ヘパイストス信徒から贈り物があって。

たくさん作ったうちのひとつ。

分けてくれました。

環奈。
「刀身の長さや重心の位置。」
「切れ味から使いやすさ抜群。」

鍛冶師。
「器用な人しか使えないブロードソードですぜ。」

環奈。
「最高の剣をありがとう。」

鍛冶師。
「あなたがもっとも良くこの剣を使ってくださると思いまして。」

環奈。
「知っていてあなたはくれたのです。」

鍛冶師。
「もう決まっていましたな。」

環奈。
「この剣は好きだから。」
「感謝。」

夕方の祈り。

預言者エレミヤの道のりは遠いと告げられた。

わたしなら。

なおさら遠いでしょうし。

現時点で救いはないでしょう。

聖アウグスチヌスの恩寵説が理解できたもので。

お年頃を有効活用したいと思います。

というのは。

誰も役職や地位などの活用方法を知らないわけで。

わたしも同じ状態を繰り返したりはしません。

万物流転。


後日談(24)


フェルトは巡礼の旅を続けていて。

かなりの長期間。

聖地を巡っておりました。

その間。

野党や盗賊を数十人斬り殺し。

あんまりにも強い女性がいると噂になっていました。

そこで。

宣王はなんとかフェルトを見つけて。

呼び寄せたのです。

宣王は。

文学者や思想家に会うのが好きで。

これは!と思った人物に屋敷を与え。

待遇は上流貴族と同じにするので。

天下の評判になり。

一家言を持った人物が。

治の国に集まっておりました。

治。
「容姿端麗。」
「いやあアイドルのようで。」
「野党と盗賊を殺し続けるのはどうしてか。」

フェルト。
「死んでみたいと思って戦いを挑むこともあります。」
「周囲の人々は剣術師範の跡取りであると。」
「勝手に決めているのですが。」
「諸国を巡らないうちは。」
「最初から決まっているものに縋りたくない。」
「決まっているのなら。」
「野党でも盗賊にでも殺されたはずです。」

治。
「もっと話をしておくれ。」

フェルト。
「生まれてからというもの。」
「もっとも非力で愚鈍でしたが。」
「月日が流れるうちに。」
「矜持が芽生えました。」
「家柄が良いとはいえ。」
「最大のものに値するはず。」
「わたしの場合は。」
「跡を継ぐだけの一人娘。」
「戦えば戦うほど。」
「わたしの力は倍に跳ね上がりました。」
「しかし周囲の人々の期待が縛り付け。」
「まるでそれしかないかのような状況を作り出します。」

治。
「後天的な要素が結果的にそなたに矛盾を生じさせた。」
「ということかな?」

フェルト。
「うまい。」
「そのとおり。」
「矛盾が大きくなり。」
「手に負えなくなった時。」
「道連れが欲しくて。」
「襲い掛かってきた野党を好きなだけ殺しました。」

治。
「相手は小隊規模なのに?ひとりで殺したのか?」

フェルト。
「いつかの怪鳥から見て学んだことです。」
「人が到達し得ないスピードとパワー。」
「策略まで駆使したテクニック。」
「抱えきれない矛盾が。」
「死ぬ物狂いで剣を振るわせ。」
「いつも死体ばかり転がっておりました。」

治。
「後天的に生じた矛盾か。」
「どこまで深い話かは興味がある。」

フェルト。
「最初は合っていた境遇が。」
「自分の進化と共に矛盾を生じさせ。」
「どうすることもできない不可抗力をこの世界にまき散らします。」
「わたし自身がもはや災害なのです。」

治。
「剣術師範の跡継ぎとして生まれて。」
「超過した存在となった。」
「最初の状態からかけ離れた存在になった。」
「結果的に間違えて生まれたことになった。」
「結果的に矛盾となり、すべてが誤りで。」
「認めざるを得ない状況で。」
「彷徨っているのだな。」

フェルト。
「お察しの通り。」
「この矛盾はやがて世界に亀裂を生じさせる。」
「滑稽でしょう。」
「そういうことになるはずだったのに。」
「結果的に誤りになり、矛盾があるだけ。」

治。
「己の存在自体が矛盾してしまった。」
「そういうわけか。」
「良ければ我が国に滞在しないか?」
「小さな家と侍女は簡単に用意できる。」

フェルト。
「お言葉に甘えて。」

治。
「望みはあるか?」

フェルト。
「軍隊の支援部隊で従軍看護婦くらいです。」

治。
「その気になったらまた申し出ておくれ。」
「吾輩は気長に待っておる。」

フェルト。
「御意。」

フェルトは自分の矛盾を抱えきれずにいた。

そして道連れと言わんばかりに。

野党が壊滅している。

宣王の家臣が家を訪ねると。

怪物の角などが置いてあり。

驚愕。

フェルト。
「巡礼の途中で寄った洞窟で。」
「殺しやすい怪物がおりまして。」
「挑んだら。」
「いつの間にか怪物が死んでいて。」
「剥ぎ取ったものです。」
「珍品は好みでしょうか。」

梓睿。
「おおお・・・こんな女性は他にいない。」

玉座。

治。
「おおっと、怪物の角とか皮とか面白いものだ。」

梓睿。
「あの女性は引き留めておいたほうが良さそうです。」

治。
「そうしないと。」
「いつかは討ち死にするでしょうな。」
「彼女は戦いを求めている。」
「矛盾がそうさせているのだ。」

桜綾。
「わたしあの女の人好きよ。」
「調べれば調べるほど。」
「持っているものがいっぱいあるんだもの。」

治。
「あなたもそう思いますか?」

女史。
「そう遠くないうちに。」
「化け物になるでしょう。」
「逃したら。」
「ああいう人材は二度と手に入りません。」

治。
「なんとか留まってほしいとは思うが。」
「そうは行くまい。」

梓睿。
「まずは様子を見ては?」

治。
「わたしも同意見だ。」

フェルトは宣王の地を拠点に。

巡礼を繰り返しましたが。

結局。

宣王の元に戻ってきまして。

世捨て人同然のフェルトに頼み事。

治。
「未だ管理が行き届かない場所がある。」
「適任がいないからだ。」
「そこでそなたに清掃や修理。」
「お客さんの対応をしてもらいたい。」
「自然の中ゆえに。」
「整備やおもてなしは重労働になるだろう。」
「しかし、本当に、適任がいない。」
「まぐれで機能しているだけで。」

フェルト。
「放浪の旅に出ようかと思っておりましたが。」
「どうやらここがゴールのようです。」
「移住に関して私物を届けてください。」
「巡礼の旅の最後はここというわけです。」

治。
「望みがあればもっと言いなされよ。」

フェルト。
「今更、欲を言うのは萎えました。」

梓睿。
「少し落ち込んでいますな。」

桜綾。
「また慰めに参ります。」

治。
「我が国はそなたを歓迎する。」

フェルト。
「せめて、頼み事くらいはなんとかします。」

毎日けっこうな来客がある聖域。

フェルトはあっさり受け取り。

麓に定住。

聖地の管理人にはうってつけ。

相性が抜群で。

聖地がすっかり整備されまして。

世界自然遺産にも登録されるほど。

フェルト自身は隠者同然になってしまうも。

城に度々訪れては。

教育係。

特に女性達に向けた家庭教師として抜群で。

辺境のアイドルとして知られていくことになりました。

時々。

進学した友人が来てくれて。

フェルトの楽しみになっています。

心玖。
「かんなちゃんとは連絡つかない。」
「忙しいみたい。」
「文通のみになった。」

フェルト。
「かんなちゃんはどこにいるの?」

心玖。
「田舎のクルトゥーラ国。」

麻友。
「もっと大きな舞台の誘いを蹴ったとか。」

渚沙。
「あの娘ならけっこう勝負できる。」
「競争を嫌がったのかしら。」

フェルト。
「調和や協力を選んだとしたら?」

桜花。
「勝利よりも。」
「真実に従って行動したのよ。」
「私は欲望の結果を知りたい。」
「賞金稼ぎ。」
「かんなちゃんとは真逆ね。」

理沙。
「最近は桜花ちゃんと。」
「闘技場で稼いでいるわ。」

フェルト。
「毎日がパーティーなのねー。」

桜花。
「毎日盛り上がってしょうがない。」
「性に合うわ。」
「わたしの支持者もたくさんいる。」
「やれるだけやろうと思う。」

心玖。
「桜花ちゃんは言わばスポーツ選手なの。」

理沙。
「わたしも意外とタフガイだったわ。」

麻友。
「ふたりとも絶好調ですよ。」

杏桜。
「あなた!大学とスポーツどっち取るの?」
「一夫多妻ですって。」

桜花。
「恋と言えば。」
「女の人に追いかけられたし。」
「犯されるかと思った。」

フェルト。
「最近はハイレベルな女性しかいないわね。」

詩織。
「むかしみたいに欠陥がありませんから。」

麻友。
「女性は単独で機能しなかったもので。」

詩織。
「今では大半の女性が自己完結ですよ。」

フェルト。
「新聞読んでいると。」
「時代は変わったわね。」
「わたしは憂いしかなかった。」

詩織。
「都会ばかり見ていたからですよ。」
「わたしたちもそのうち。」
「隠者の同類になると考えています。」

渚沙。
「どうしても終止符は打たれない。」
「プルトーネが見えるくらいだわ。」

心玖。
「世の中のことは、よからぬ結末に終わるほうが多い。」
「世に現れてくるものは、大半がよからぬもの。」

フェルト。
「先にそれを知ったから。」
「彷徨ったのかもね。」

旧友との関係は続いていて。

定期的に交流会を開くことにしましたよ。

新しい土地に。

いつの間にか定住したっきり。

女友達もいっぱいになり。

家族とは疎遠になりましたが。

世界自然遺産登録を成し遂げたのは偉業となりまして。

ひそかに世界に貢献するフェルトです。


後日談(25)


麻友、詩織、渚沙。

プロ並みに歌が上手なもので。

無料でイベントに出ては。

歌を披露し。

趣味のひとつですので。

企画部は大歓迎。

麻友。
「プロ歌手よりもうまいらしいです。」

詩織。
「お世辞なんじゃないですか?」

渚沙。
「どういう風の吹き回しよ。」

麻友。
「プロよりも優れるとか。」

渚沙。
「そういうことにしてしまいなさい。」

詩織。
「趣味の歌唱が思ったより好調。」
「無料でやっている限りは。」
「切り札なのでしょうか。」

麻友。
「いくら趣味とは言え。」
「凡人が予想するような鍛え方はしていませんし。」
「天才に習ったのは本当ですけれど。」

プロ歌手が負けているらしく。

並の歌手では分が悪いそう。

交通費だけ貰っていて。

趣味で喜ばせております三人娘。

本業に出来るのかもしれませんが。

その気は無いようです。

心玖。

古書を漁って売りさばく。

行商をやっている時があります。

物好き。
「なにがあるので?」

心玖。
「おもしろい本がメインですなー。」

物好き。
「・・・・・!!」

心玖。
「充実の品ぞろえ。」
「お安くしますよ。」

物好き。
「もっと他には!?」

心玖。
「こんなのどうですか?」

物好き。
「一体何者だ!?」

謎めいた行商になっている心玖ちゃん。

たまに営業しとります。

杏桜。

スポーツ科学に進んで。

自分もプロ二部リーグの選手と同等の能力があり。

貴重な人材として確保されました。

杏桜。
「ああ!ボールとお友達になる日が来ようなんて。」

博士。
「サッカーでトップ選手と渡り合ったのだから。」
「当たり前の結果として見てくれ。」

杏桜。
「自然科学。」
「自然にあるものを研究する学問。」
「化学。」
「ばけがくと言われる唯物論。」
「科学と化学は区別されている。」

博士。
「ちょっと質問していい?」
「相対性理論とはなんですか?」

杏桜。
「天文学と物理学を合わせると理解できますわ。」

博士。
「ということは?」

杏桜。
「宇宙にある諸現象を説明したのが相対性理論。」
「アインシュタイン博士はどっちかと言うと宇宙について研究したのでは。」

博士。
「わたしもそう思うよ。」
「これから観察によって証明されるでしょうから。」
「なるほど、この女の子は変わり者だが。」
「予想できない不確定要素を生み出す。」
「素晴らしい。」

大学の中でも神学校。

成績は難なく。

ともかく実績と実力が買われるご時世。

形式主義はどうでもよくて。

実践可能な生徒が引き抜かれる。

心玖。
「ちよちゃんが引き抜かれるよ。」

渚沙。
「ファッションデザイナーになるって言っていた。」
「あのひと?」

麻友。
「もう訓練を始めているようで。」

詩織。
「あらまあ二番手。」
「次は誰が就職するの?」

心玖。
「三番手はあずさちゃんになりそう。」

渚沙。
「うわあ、これならわたしが最後尾になるわ。」

詩織。
「わたしだけ考えなくていいのはなぜ。」

心玖。
「きっと活用しろよって言われているんだよ。」

詩織。
「怠りました。」
「普通にやっていても抜かりあり。」
「千慮の一失。」

麻友。
「わたしは職業倫理について研究を始めました。」
「最後尾とかは関係ないですよ。」
「スタートダッシュばかり速いと。」
「途中で疲弊するマラソンとかだったら・・・。」
「なんて考えです。」

渚沙。
「労働ってなんなのよ。」
「謎過ぎるわ。」

麻友。
「労働の起源から探っています。」
「生活に必要な行動から始まっていて。」
「いろいろ豊富になるごとに仕事が増えていったみたいです。」
「動物は獲物や食料が必要で。」
「人には必要なものがいっぱいあるでしょう。」
「社会が出来上がると。」
「必要なものや余剰品まで必要になる。」
「労働はこうして形成されているようです。」
「自分も世界の一部ですから。」
「貢献したいのは本能でしょう。」

渚沙。
「自分も世界の一部ねぇ・・・。」
「世界の一部であるわたしは世界の声。」

麻友。
「世界の一部であるならば。」
「誰も否定できませんよ。」
「労働倫理はそこまで資料がありません。」

杏桜。
「成長するごとに。」
「生まれ変わる。」
「蝶々のようで素敵。」

麻友。
「現時点でのわたしはこれくらいです。」

みんな。

なんでもやった。

だからこそ獲得した開拓者。

若いころはなんでもやるに限りますね。


後日談(26)


フェルトは夜の町中を歩いていて。

酒場に。

自分の邸宅で余っていた高級ワインを届けて。

お客さんに配った。

フェルト。
「宝の持ち腐れ。」
「飲んでくれたほうがまし。」

マスター。
「おおーというわけで甘えましょう。」

漢。
「女性万歳!」

酒豪。
「他にも上物は・・・あったりする?」

フェルト。
「まあまあ、一度に全部は出しません。」
「楽しみにしておいて。」

酒豪。
「ぐおおお次の日曜日にまた来たい。」

フェルト。
「日曜日がいいので?」
「明後日から順に持ってきますが。」

酒豪。
「そういうのは日曜日に飲みたい。」

漢。
「これこれ、任せたほうがいいですぞ。」
「ラディカルな女性ですから。」

酒豪。
「これはすまん、調子に乗った。」

フェルト。
「考慮には入れておきます。」

帰路。

酒場から郊外の大通り。

電気アシスト自転車しか通らない。

野外バーが開かれていて。

ワインの残りを届けに来た。

変態がフェルトを見て絡んでしまう。

変態。
「お前さんは飲まないのか?」

フェルト。
「飲んでも少量。」
「嗜みに。」

変態。
「いいからウォッカ飲もうよ。」

フェルト。
「断る。」

バカチントリオ。
「夜明けはまだ遠いぜー。」
「誘ってやろうよ。」
「独り者のようだ。」

フェルト。
「要領がいいからです。」

変態。
「いいから飲め飲め。」

四人組が強引にフェルトを誘うので。

フェルトは何人か殴った。

やけになった変態は。

無理に飲ませようと追いかけてしまい。

斬られた。

変態死亡。

すぐに梓睿がやってきたよ。

梓睿。
「なにごと?」

バカチントリオ。
「調子に乗った野郎が。」
「酒を飲ませようとして女性に斬られました。」

梓睿。
「被害者に原因があるのではないか?」

衛兵。
「相手が何かしたのでは?」

紳士。
「強要してましたよ。」
「運ばれている変態さん。」
「そこのバカチン三人組も加担しておりまして。」

梓睿。
「お前らが斬らせたのか?」

バカチントリオ。
「あの女性に原因がないんです。」
「俺たちがやらせました。」

衛兵。
「どうしますか?」

梓睿。
「フェルトさんには三日間。」
「自宅で休養して貰おう。」
「被害者面しても無駄だぞ。」

バカチントリオ連行される。

梓睿。
「なんでも攻撃した人のせいにしたがる。」

紳士。
「心理学でこういうの習いましたよね。」
「被害者のせいであることが大半ですし。」

梓睿。
「被害者が原因を作ることもしばしばある。」
「死んだのは事故ということでよろしいね。」

衛兵。
「原因を作った側を責める法度がありますし。」
「ドグマティズムになる気はありませんよ。」
「物事の判断に根拠を求めず。」
「独断では行わない。」

梓睿。
「そういえば法廷はどうなった?」

衛兵。
「明日になります。」

次の日には。

法廷でバトル。

三人組。
「若者を惑わした中年野郎!」

ソクラーテス。
「こいつらは法廷を凶器に私を殺そうとしている。」

裁判官。
「法律で殺人ができるんですね。」

三人組。
「これは国法だ!」

ソクラーテス。
「法律法律言うときに限って。」
「殺人の口実に使うくせに!」

裁判官。
「申し訳ないが。」
「道理にかなっていない法度なんぞここにはありません。」

三人組。
「そいつを毒殺してください。」
「国法なんでしょ?」

ソクラーテス。
「司法を殺人に使うのか!」
「人殺し!」
「相手が死ぬとわかっていて訴追したな!」

裁判官。
「ああ・・・。」
「聖アウグスチヌス。」
「自然法が現れるように。」

三人組は岐路の途中に。

暗殺されました。

さて。

フェルトは三日間籠って出てきませんでした。

かんなちゃんが来訪。

フェルト。
「しばらくぶりね。」

環奈。
「相変わらずかわいいね。」

フェルト。
「いや・・・ちょっ・・・口説いてんの?」

環奈。
「決して嫌いではありません。」

フェルト。
「それって好きという意味では。」

環奈。
「いいえ。」

フェルト。
「女性のいいえはいいえではない。」

環奈。
「そんなー!ほのめかしたのに。」
「いいの?」

フェルト。
「もう!諧謔は健在ね。」

環奈。
「放浪したそうなので。」
「行動の方が雄弁でしょうし。」

ケーキを持ってきている。

フェルト。
「本当に友人だったようね。」
「ありがたく貰っておくわ。」

環奈。
「わたしも取り組み中で。」
「お茶したら戻らないと。」

フェルト。
「可能な限り遊んで行って。」

環奈。
「おーけー。」

かんなちゃんが退場したちょうどその時に。

女性の一団がフェルトの家に入った。

その半日後に。

梓睿さんが来て。

始末がついたので。

もういいらしくて。

いつもどおりになりましたとさ。


後日談(27)


支配階級の子孫が。

育成段階で使用する。

郊外の家があり。

通りかかったフェルト。

かまどの近くに薪が積まれているので。

主人に言った。

フェルト。
「煙突を曲げて、早く薪をよそに移しなさい、さもないと、火事になりますよ。」

主人。
「はあ・・・大丈夫なんだろう。」

フェルト。
「無視しないでください。」

主人。
「いや、そんなことあるかいな。」

聞き捨てにされた。

10分後に火事になりまして。

近くの人々が消火。

家の主人は不始末を王子に詫びて。

牛を殺した後。

酒を持ってきて。

人々を労った。

火傷までした人が上座に座ったが。

王子は違和感があった。

王子。
「先ほど、金髪の女性に何か言われましたか?」

主人。
「煙突を曲げ、薪を移せと、火事に。」

王子。
「もしあなたが、その女性の忠告を受け入れていれば。」
「牛を殺すことも酒も要らない。」
「家屋が損傷することも。」
「家事の災難に遭うことも無かったはずです。」
「いまここで消火に尽力した人を労うなんて。」
「忠告してくれた人には何の恩返しもしないのですか?」
「火傷をした人や。」
「消化活動をした人が上座になぜいる?」

主人。
「うわあそんなあ!!」

発狂した主人は。

散歩中のフェルトをなんとか見つけて。

もてなした。

突を曲げ、薪を徙す。(とつをまげ、たきぎをうつす)

わざわいを未然に防ぐことをいう。

論功行賞の難しさのこともいう。

梓睿。
「最近、あなたは・・・よりにもよって!な場面が多い。」

フェルト。
「占い師に凶運がついていると言われて。」
「祓い清めるために巡礼をしていたのです。」
「不吉な。」
「縁起が悪く運が悪いように見えて当然です。」

梓睿。
「ラディカルですなー。」

フェルト。
「これまでの常識を覆す新しい性質ですか。」

梓睿。
「新しいという点で肯定的です。」

フェルト。
「過激という点で否定的な場合もある。」

梓睿。
「そんな評価の下され方もありますが。」
「王様も喜びます。」
「ラディカルな女性には。」

フェルト。
「何かわたしに出来ることならば。」
「お使いください。」

梓睿。
「旅は道連れ世は情け。」

すっかり定着したフェルト。

若い女性と言えば。

お化粧して彼氏にくっつく。

ラディカルな女性は。

まったく別方向。

「テンプレートさん。」という揶揄が生まれているこの時代。

国際祝日には。

かんなちゃんがやってきて。

世間話。

フェルト。
「人生と称して作り上げた概念を基準に。」
「こうあるべきだ。」
「こうならないといけない。」
「それはないでしょう。」

環奈。
「ヨブ記を読んで察することの出来る人は幸いです。」
「神様に自己主張してみて。」
「そのあとヨブ記を読んでみる。」

フェルト。
「ヨブに似ているような展開。」
「人生などと訴えて。」
「森羅万象をコントロールはナンセンスだわ。」

環奈。
「勝手に出来上がった人生という名前のルール。」
「生存が確保されると。」
「人生と称して偶然出来上がった基準に乗せられてしまい。」
「思惑にはまる。」

フェルト。
「そんなことはお見通しなので。」
「人生なんぞ神様に奉還するのが得策よ。」

環奈。
「妄信的に人生という基準を作って。」
「こうであるだろう。」
「こうなれ。」
「ちょっと後出しじゃんけん。」

フェルト。
「歴史的に奴隷とかは人生どうしたのかしら。」
「虐げられて虐殺されたり。」
「ナチスに殺されたユダヤ人とかは悲惨。」
「一切の希望を奪われて衰弱死。」
「人は一切の希望を失うと。」
「途端に衰弱するとか医師が観察しておりまして。」

環奈。
「全体主義は怖いですなあ。」
「哲学的には個人よりも社会を優先させる思想で。」
「集権的な政治体制をとりますし。」
「ナチスだって全体主義でしたよ。」

フェルト。
「人生って起源はあるんでしょうか。」

環奈。
「人生という規定に起源はありません。」
「勝手に作られて勝手に乗っています。」

フェルト。
「理不尽に殺された人の方が大多数なのでは。」
「下の身分で出世は困難。」
「民主制特有のものかしら?」

環奈。
「民主主義者はあんなもんです。」

フェルト。
「民主主義者。」
「主義とは常に守ってかえない一定の主張・方針・思想上の立場。」
「主義者は思想を持つ人の略称。」
「国語辞典を読んで。」

環奈。
「民主主義も思想なんですね。」
「民主制なんぞ社会契約説の発展型でしょうし。」
「最近争っていますね。」

フェルト。
「新聞で。」

最近。

暴力革命。

人民が武力で国家権力を握ろうとする革命。

民主主義者が武装蜂起。

しかし二者は相いれず。

別々に内戦を引き起こしております。

環奈。
「あんまりなじると。」
「民主主義者に睨まれる。」

フェルト。
「民主制が好みの人ばかりではない。」
「徳を持って統治する君主が最良です。」

環奈。
「定住したのは意外。」
「大都会で勝負するかと思った。」

フェルト。
「わたしの相手が務まる人なんぞいないんですわ。」

環奈。
「ルプスさんと試合をして勝ったとか。」

フェルト。
「少し前にすっごい強い女性騎士がいて。」
「見てもらったことがある。」
「驥尾に付く。」

環奈。
「驥尾に付く。」
「すぐれた人のあとについて、恩恵をこうむる。」
「自分にそれだけの能力がなくても。」
「驥のしっぽについていけば、一日に千里を行ける。」

フェルト。
「それだけ身軽でないとだめ。」
「勇将や軍師が揃っているから。」
「さすがに人材に困らないみたい。」

環奈。
「あなたもその一員ですよー。」

フェルト。
「そっか、強者の一員なんだ。」
「これは盲点。」

環奈。
「ノンアルコールシャンパンを一杯。」

地位が確立していくフェルト。

いろんな頼み事が舞い込んでは。

こなしていき。

「おつかいテーゼ」と親しまれることに。

意外にも芸があり。

細かいことが得意。

世捨て人のフェルト。

長期間公には出てきそうもありません。



後日談(28)


4号戦車が整備されており。

誰でも野外フィールドで乗り回せます。

技能訓練用に格納庫にある。

麻友。
「4号戦車に乗ってみましょう。」

詩織。
「指定されたフィールドを出てはいけない・・・なるほど。」

渚沙。
「説明書は読んであるわ。」

麻友。
「戦車兵の基本は戦車の上り下り。」
「ちょっときつい。」

詩織。
「足を滑らせる。」

渚沙。
「梯子があるわよ。」

麻友。
「中は・・・。」
「資料には主力戦車として作ったけれど。」
「実際にはあれもこれも足りないので。」
「いっぱい付け足したそうです。」

詩織。
「設計を超過する装備を積んで。」
「10種類も型があるほど。」
「戦争後半で力不足になったという。」

麻友。
「わたしは右に。」
「エンジンスタート。」

詩織。
「砲塔の旋回が遅いですね。」

渚沙。
「あのね、4号戦車の砲塔はふたりがかりで回していたのよ。」

詩織。
「それでも回りますが?」

麻友。
「どんな怪力ですか。」
「実習フィールドに出ますよ。」

砲身の後ろに渚沙。

その右斜め運転席に麻友。

詩織が砲塔をまわして遊んでいますよ。

渚沙。
「補助エンジンなしでなぜ回せるのよ。」

詩織。
「なにか仕掛けがあるのでは。」

麻友。
「ドイツ兵が悪戦苦闘した4号戦車の砲塔ですよ?」

詩織。
「乗り心地がいいように近代化改修されているのでしょう。」

草原地帯をドライブ。

走破性はそこまで良くないので。

近くを乗り回すも。

マニュアルに故障注意と書かれている。

発見。

渚沙。
「この戦車は不具合が少ないそうよ。」

麻友。
「パンター戦車は故障でまともに動ける車両が少なかったとか。」
「この戦車は使い古しです。」
「ここまで安定して運用されていますが。」

詩織。
「なんか匂いがします。」

麻友。
「よくあることです。」

エンジンがストップ。

明らかに燃えているようなので。

とにかく多い脱出ハッチからみんなで飛び出しました。

乗員の数より脱出ハッチが多いのがこの戦車。

エンジンの経年劣化でダメでした。

整備が行き届いていましたが。

フルパワーを入力しましたところ。

一気に破損したと報告。

残念です。

先生はすぐ。

74式戦車を勧めてくれました。

麻友。
「さっきのは残念。」

渚沙。
「4号戦車が燃えた夢を見たのよ。」

詩織。
「おはようございます。」

麻友。
「ところで。」
「砲手はどこに?」

渚沙。
「あなたの足の間。」

麻友。
「ひぃわたし短いスカート。」

詩織。
「わたしでいいですか?」

麻友。
「見ないでね。」

殺人的アクティブ投光器は外されていて。

車高が狭くて車内は狭い。

渚沙。
「2メートル潜れるらしいわ。」

麻友。
「それは完全な潜水能力ではありません。」

詩織。
「あらまあ、水たまり。」

麻友。
「ちょっと深い場所に入ったから。」
「引き返そう。」

渚沙。
「あなたが運転したほうがいいわ。」

麻友。
「交代しましょう。」

快適なドライブ。

普通に使える訓練用のビークルで。

他にもいろいろありますが。

指定されたフィールドからは出れません。

GPSのシステムサポートのおかげで。

戻ってこれました。

麻友。
「ロシアくらいしか女性の運転手はいませんでしたよ。」

詩織。
「T-34中戦車は搭乗員不足でしたから。」
「工場の女性行員が前線に出されたとのことで。」

渚沙。
「戦い慣れていない女性が?お気の毒に。」

詩織。
「4人乗りが3人しか乗っていない時期もありました。」
「戦争ってけっこうごちゃごちゃしていて。」
「整っている機械なんてありませんね。」

麻友。
「戦車の基礎が作られた時代ですから。」
「あそこから完成品になっていく。」

渚沙。
「民間用の技術も元々は戦争から出たもの。」
「まるで戦えと言わんばかり。」

詩織。
「戦うのが地球人類です。」

麻友。
「争いは形態を変えていくのでしょう。」

詩織。
「戦争がメインテーマの生物って少ない。」

渚沙。
「しかし実際に乗り回すと。」
「男と遊ぶより面白かったわ。」

麻友。
「ボーイフレンド?」

渚沙。
「遊び仲間ね。」

詩織。
「むやみに男性と触れ合うと妊娠する。」

麻友。
「忠言が必要だったらしい。」

渚沙。
「忠告をありがとう。」
「娼婦な訳ないでしょ。」

先生が来て。

感想文を書いて欲しいらしく。

格納庫にて執筆。

大学にはこうした施設もあって。

多種多様な体験が可能です。

ラジコン機材から舟遊びまで。

弓道で風船や木製のドローンターゲットを貫く遊びが人気。

モーターグライダーの部活もあって。

体験重視の学校です。

教科書を叩き込んで実戦して習得しよう。

というスタイルなので。

野外学習が多いのです。

今回は戦車を乗り回しましたが。

普通の女の子には出来ません。

大学でよくある出来事。


後日談(29)


杏桜、理沙、桜花。

フットボールの練習試合で。

欠員が出まして。

レギュラーのコンディション調整が必要で。

どうしても控え選手を活躍したい監督から。

出場依頼を受けましたよ。

杏桜。
「助っ人行きますか。」

理沙。
「球蹴り遊びですもんね。」

桜花。
「久しぶりにフットボール。」
「張り切りますよ。」

杏桜。
「連携を重視するチームです。」
「個人技などは劣っているとか。」

桜花。
「あれだけ激しく朝練習していたのに?」

理沙。
「あれで個人技が駄目とかレベルどんだけ高いの。」

相手チームが現地入り。

ユニフォーム。

女子大生同士の試合。

ミーティング。

来夢。
「連携だけで勝負です。」

璃々。
「うちらを試合に出したくてコンディションとか言ったのでは。」

桜花。
「育成がしっかりしているね。」
「みんな鍛えられている。」

来夢。
「レギュラー入りしないとダメだし。」
「士気は高いよ?」

璃々。
「個人技は・・・これぞフットボール!というのをやるから!!」

杏桜。
「思ったよりストレートな方です。」
「恋の直球勝負でゴールイン!」
「新婚旅行は国立競技場!」

璃々。
「結婚できるといいね。」

来夢。
「わたしは相手くらい自分で決められますが。」

理沙。
「結婚願望を久しぶりに見たわ。」

璃々。
「望んだ結婚ほど充実したものはないよ。」

桜花。
「本能的に恋心・・・はイエローカード。」

来夢。
「どんな審判ですか。」

杏桜。
「お熱いハートでネットを貫いちゃうぞー!!」

何かと士気が高い。

相手は県大会優勝校。

フォーメーションは4-3-3。

ボランチ杏桜とMFが理沙、桜花。

スリートップは下がってパスワークに参加。

こうなるとワントップになる。

逆に。

ワントップが下がって菱形を形成しつつ。

ツートップに即時変更するなど。

ワントップ来夢は切り札。

異常なくらいシュートテクニックが高いのは。

テコンドーの影響。

GK璃々はボクシング経験者。

ボランティアの審判。

ネットゲームのやり過ぎで眠たい。

位置についたよ。

審判は立ったまま寝たね。

・・・・・。

・・・・・・・。

・・・。

・・・・・・。

・・・!?

来夢。
「ああ!この沈黙に耐えられない!」
「早くホイッスル!プリーズ!プリーズ!」

審判。
「ん・・・おっと。」

試合開始。

ミスが多い相手側。

ボールポゼッションで上回る。

連携重視の試合展開は。

必然的にこちら側のシュートが多くみられる。

来夢。
「キーパー正面!?」

桜花。
「キーパーが読んで移動していたのよ。」

杏桜。
「ひとりでブスケッツやるのは持ちませんよ。」

理沙。
「何人か跳ね飛ばしちゃった。」

相手。
「何気にやばい奴いるし。」

GK璃々。

DFを指揮してシュートコースを限定。

マンマークがうまくて。

ボールを処理。

中盤でボールを取ってペナルティエリアでこぼれ球。

相手は防御を崩せない。

戦術が中央突破なので。

面白いほど真ん中が通る。

桜花。
「おっと?」

トラップで跳ね上がったボールをシュート。

ドライブシュートになるも。

キーパーパンチング。

防がれる。

来夢。
「一点が取れない。」

璃々。
「わたしは暇している。」

敵のシュートが飛んできても。

軽く読んでいて。

防ぐ璃々。

サッカーは防御力が基本なので。

ここら辺は徹底的に鍛えられているね。

パスが通らなくなった相手チーム。

動きが読まれていく。

理沙。
「わたしにルイス・フィーゴをやれと?」

来夢。
「こっち!」

ひとり抜いてパスを繰り返す理沙。

シュートに持っていくも。

シュート精度が悪くて。

枠内シュートが少ない。

相手がドリブル。

単純なカットインを仕掛けてくる。

杏桜。
「いらっしゃいませ。」

あっさり奪ってロングボール。

来夢トラップ時。

足で跳ねてボレーシュート。

一点獲得。

来夢。
「やった!」

監督。
「控えチームではエースだな。」

相手。
「あの子に打たれるとまずくない?」

GK。
「針の穴通すようなボール狙ってくるし。」

すぐにコントロールシュート。

GKはこれをキャッチング。

味方DFとGKが優秀で。

防御力が高くて押し切り勝利。

相手。
「うわっ!・・・過小評価してたなんて。」

GK。
「こんなんダークホースになるわ。」

試合終了。

来夢。
「分かっている・・・・?」

璃々。
「中盤の三人のおかげで押していたから。」

来夢。
「あんなのできる?」

MF。
「わたしは勝負できないと思った。」

DMF。
「力不足がわかった。」

杏桜。
「恋は押すのもありだわ。」
「勇気を持って!」

MF。
「あれだけの小バルセロナはうちら作れない。」

桜花。
「認めればいい。」
「手本が分かれば向上できる。」

理沙。
「あんたらもっと手の届くプレイヤーを手本にしなさいよ。」

来夢。
「え?」

理沙。
「スター選手みたいになれるか怪しいが。」
「もっと身近にいる猛者とか。」
「二軍で強い奴とかいるわよ。」
「トップ選手を手本にしないでよ。」
「ストレートに強い近い選手にしなさいよ。」

来夢。
「それだったかも。」

MF。
「なにやってもパワーアップしないのは盲点でしたね。」

DMF。
「それは盲点。」

璃々。
「今度、草サッカー観に行かない?」

来夢。
「男子サッカーのJFLとかは?」

璃々。
「初めから目標が一足飛びだった。」
「次会うときは。」
「助っ人より桁違いになりたい。」

杏桜。
「成長は止まらないわ。」
「大人になるのよ!」
「いい女に成長するのよ!」

桜花。
「わたしらはこれが限界。」
「でもこの娘たちはまだまだ成長の余地があるかあ。」

監督。
「内容が良かったぞ、結果も内容も良かった。」

珍しく監督が褒める。

大学レベルでも平均的。

でも勝率が良いのは。

防御力と士気の高さのおかげ。

もっと成長するサッカープレイヤーは。

助っ人を超えられるか。

レギュラーが特訓から帰ってきたら。

大学サッカー部の勝負は激しくなりそう。

学友の助っ人は見事に成功。

それと同時に。

穴埋めされた選手たちは。

決意を新たにしました。


後日談(30)


心玖ちゃん。

各地を巡って珍品を収集。

家には謎の物品が大集結。

両親は大変な物好きであると。

投資してくれています。

大学にて。

麻友。
「なんという奇天烈なものまで。」

心玖。
「スマホ画像資料はごく一部。」

渚沙。
「いい趣味しているわ。」
「金色の造花が気に入った。」

理沙。
「そこまで売れているのね。」

心玖。
「物好きを訪ねれば大抵売れるよ。」

麻友。
「斬新な。」
「何か秘訣があるんですか?」
「商売上手だけではないような。」

心玖。
「例えば。」
「ニヒリズムの世界ではニヒリズムの反対をやってみるとか。」
「ニヒリストは例外なく幼稚だから。」
「どんどん弱体化しているよ。」
「ニヒリズムの反対をすればいい。」
「意味を知っていれば反対をやるだけで良かったりして。」

麻友。
「ニヒリストは大体が子供ですもんね。」
「大きな体で中身が子供。」

渚沙。
「内面が子供ではまともなことはひとつもできないわよ。」

理沙。
「中身が幼いのなら。」
「半分死んでいるわ。」

心玖。
「虚無主義と訳されて国語辞典に載っているけれど。」
「内容を見ると。」
「この手の思想は子供になれるよ。」
「幼稚になって体だけ大きい子供に立ち戻れるよ。」

麻友。
「素敵!若返ることが出来る!精神だけ。」

渚沙。
「若返りの秘訣!体は除いて精神だけ幼児になることだわ。」

理沙。
「再びオムツが必要ね。」

杏桜。
「人類が子供になった!?」
「保育園の需要が高まるわ。」
「大きい大人が通うのよ。」
「子供好きでしょ?」

詩織。
「体は大人で内面が子供ですよ。」
「冗談じゃないです。」

心玖。
「そんなのが普通にいたら?」
「ニヒリストは基本的に今述べた連中。」

麻友。
「いいじゃないですか。」
「精神はいつも若くて青春で。」
「体に無理があっても太陽に向かって走るくらい。」
「いつものことでしょ。」

渚沙。
「若いのはいいことよ。」
「体だけでも。」

詩織。
「いやそれ褒めてないでしょう。」

杏桜。
「すべて子供向け。」
「対象年齢15歳のオープンワールド。」
「体だけ大きいのは除いて。」
「幼稚園児だらけで。」
「子供好きは見ておくべき。」

理沙。
「いやそんなの煉獄みたいなもんでしょ。」

桜花。
「続々と集まっている。」
「ニヒリストとは子供になれる若返りの薬なんでしょ?」

心玖。
「精神だけ。」

桜花。
「いいことじゃない。」
「精神は若いほうがいいでしょ。」

詩織。
「どう考えても体は40代というのはグロテスク。」

理沙。
「グロテスクなこと言わないで。」

桜花。
「さっきテーマが発表されたよ。」
「一人一芸が鉄則だって。」
「この学校の伝統。」

心玖。
「一人一芸は理にかなっているような。」

麻友。
「遠回しに無能になるなと言ってますね。」

渚沙。
「上層部は下層部の質と練度と内容で決定されるから。」
「マルクスが言うには。」
「上層部を優秀にしたいのなら。」
「下層部をまず優秀にしろと。」

理沙。
「最近は特に人材獲得競争が激しいから。」
「優秀な人をたくさん出したいのかも。」

桜花。
「授業開始まであと三分。」

心玖。
「散文を提出?詩的な方がいいです。」

渚沙。
「散文は我流過ぎてダメだわあ。」

教室に移動。

これをどう活用できるか?というのが授業の最後に出る。

実践のノウハウは膨大で。

人材獲得競争に合わせた内容になっており。

年によって変幻自在に内容が変わるのは。

賢者は考えを変えるという格言から。

愚者は変えませんが。

珍品だらけの倉庫から。

知り合いの小屋に運んで販売。

物好きが集まっては。

そこら辺の人も見に来たり。

趣味で始めた商売。

いい商品があるから売れますし。

いい仕事をしたから儲かるのです。

いいことをするからお金になる。

心玖ちゃんはビジネス関連の書籍から。

普遍的な戦法を編み出していて。

上流階級も面白がっております。

心玖。
「いにしえの貨幣。」

騎士。
「おおマニアックな。」

心玖。
「中国でよくある小さな壺。」

紳士。
「量産品にしては品の良い。」

心玖。
「芸術家が関与した絵が描かれた盾。」

夫人。
「これをこんなに安く?」
「お買い得よ。」

心玖。
「こちらは普通にある化石。」
「天然石はどうですか?」

パン屋の女性。
「あらまあこのお値段なら買うわ。」

商売は「イイ所」に目を付けた人が勝つ。

心玖ちゃんは大学の中では突出していき。

成績と実績によって。

スカウトが入りそう。

意外にも進学先でもっとも抜群なのは。

心玖ちゃんでしたね。


後日談(31)


会議室。

レポートを朗読する麻友。

教師と三年生が出席。

麻友。
「これまでの女性像はすべて必然。」
「女性を調べるほど。」
「当たり前の結果でした。」
「むかしの女性のことを言っています。」
「しかし近代に至っては。」
「現代ではいろんなものを女性は選ぶことができます。」

教師。
「むかしの女性はなんであったのか?」

麻友。
「夫に仕えるだけの生き物です。」

学友。
「数少ない例外を除いて。」
「でしょう。」

麻友。
「これまでの女性は失敗作でした。」
「失敗から学ぶことができます。」

学友。
「むかしの女性は失敗作にするの?」

心玖。
「思い切って不良品にすればスッキリするよ。」

麻友。
「むかしの女性はすべて失敗しました。」
「しかし今に至っては。」
「失敗から学ぶことができる。」
「むかしの女性の失敗は現在の女性に選ぶ余地を与えました。」
「女性はもはや選ぶことができます。」

教師。
「そのむかしからの女性というのは。」
「生贄なのか?」

麻友。
「プロトタイプです。」
「実験機は失敗に終わりました。」

学友。
「それはどういう論証か。」

麻友。
「決まりきった決定論で生きていました。」
「すべて生の展開は読めるでしょう。」
「生まれて教育を受けて大人になって結婚して出産子育て。」
「あとは朽ちていくパターン通り。」
「生そのものが決定論です。」
「だって、それ以外の事はできなかった。」
「凡人の女性を調べれば証拠になります。」
「以上の論証は歴史的に証拠が豊富です。」

心玖。
「解放奴隷か自由人か曖昧な女性がローマにいて。」
「ビジネスをやっていたよ。」
「少数の女性は善く生きていたよ。」

麻友。
「大半の女性のことを言っています。」
「そういう少数派については除外しています。」

教師。
「では、大昔の女性は失敗したのか?」

麻友。
「調べました。」
「大半の女性は失敗作に終わりました。」
「教訓だけが残りました。」
「失敗をどこまで活かし。」
「偶然決定された女性という思想から。」
「各自散開すること。」
「正解はひとつではありません。」
「女性という思想から散開することから始めましょう。」
「自分のモノを取り。」
「自分で選ぶのです。」

学友。
「見事!歴史の中に埋もれた女性を調べるとは。」

教師。
「歴史の中に埋もれた名もなきモブは。」
「すべて失敗作であったと烙印を押してしまえば。」
「今日の女性達の進歩主義も正統性を増す。」
「失敗と教訓から。」
「さらなる女性を追い求めよう。」

麻友。
「具体的な作戦は。」
「大昔からの・これが女性だよ・を失敗作とすること。」
「むかしの女性を教訓として。」
「失敗作または実験機から新しい女性。」
「真実の女性を散策すること。」

心玖。
「真実の女性になるのがボーボワールの哲学です。」

教師。
「フェミニズムの資料も溜まってきたね。」
「論文貰っておくよ。」
「貢献者のひとりだからなあ。」

麻友。
「恐縮です。」

会議終了。

論文は高評価。

資料としての価値あり。

渚沙。
「大昔の女性はすべて失敗作ねえ。」

桜花。
「女性は恋しか求めない。」
「女性の創作物にはイケメンとの恋しか書いていない。」
「真顔で冗談が出来るとは凄い奴だわ。」

詩織。
「本人は真面目に書いていたそうです。」
「それでもあんなにたくさん作れたんですね。」

麻友。
「そんな馬鹿な。」

渚沙。
「女性が創作すると大半は恋モノ。」
「恋だけ求めているのかしら。」

心玖。
「女性が求めているものってなあに?」

麻友。
「世界征服とか企めばいいのに。」

桜花。
「おや?女性が求めているのはたかが知れていますね。」

麻友。
「そこを研究していますよ。」

大昔の女性について調べられています。

歴史の中に埋もれた女性の言動や行動。

態度が。

そのうち・これが女性である・という思想を作ったのです。

連帯責任かのように。

必然的に伸し掛かった災厄。

大勢の愚かな女のせいで。

そうではない女性も巻き添えを食らう。

麻友。
「個室に戻ります。」

ネットカフェみたいに。

個室が割り当てられており。

資金が豊富。

寄付金もありますが。

人材欲しさにいろんな企業が投資してくれるので。

当たり前の充実さを誇る。

有能な人材はいくらでも出てくる。

人材のプール計画が進行中。

麻友。
「むかしの女性とは?あれは女性ではありません。」
「欠陥品です。」
「女神様を見れば人間の女性はとにかく愚鈍で。」
「女神様と比較すれば人間の女性は稚拙過ぎます。」

コンピューターの画面に何か現れた。

「お邪魔します!!」ボタンに「さようなら!!」がある。

イタズラであることは明らか。

ボタンを押すと勝手にゴミ箱に入ってしまい。

たぶん。

心玖ちゃんですね。

ホワイトハッカーのジョーク。

校内の庭で演説している中年女性。

とても50代の女性とは思えない容姿。

生徒。
「古代ギリシア単語集でありましたが。」

民主制論者。
「民主制とは万能である。」

生徒。
「民主制論者は向こうに行ってください。」

警備員。
「なにやっている?」

民主制論者。
「民に都合がいい世の中を。」

警備員。
「無神論で無宗教な民主制はナンセンスだと思うが。」

民主制論者。
「民主制はメリットいっぱいアルヨ。」

ソクラーテス。
「間接民主制とは誰が作ったのですか?」

民主制論者。
「ワタシタチが作ったアル。」
「法律もワタシタチが作るアル。」

ソクラーテス。
「君主制は自然発生だ。」
「神々が制定したのだ。」

民主制論者。
「とりあいず民主制にすればなんでも解決するアルヨ。」

ソクラーテス。
「それは左派が作ったという意味ですね?」

ブルータス。
「では俺は三人目のブルータスというわけだな!!」
「二人目のブルータスは左派のインテリだったぞ。」
「とりあいずカエサルを殺せばなんでも解決するという安直な考えでな!!」

民主制論者。
「とりあいず民主制にすればなんでも解決するアルヨ。」

ブルータス。
「消えろ!左派のインテリ!安直な考えで民主制言うな!」

投石した三個の石。

ひとつが。

全く関係がない人に命中。

月桂冠の苦悩。
「ブルータスお前もか!ならば死ね!シーザー!」

警備員。
「おお!シーザーさん大丈夫か?」

月桂冠の苦悩。
「両親がシーザーチキンが好きでね。」

道化師。
「気違いだ!気違いだ!助けてくれ!!」

狂気の詩人。
「おお!民主制!挙句の果ての民主制。」
「ニヒリズムから生まれしもの愚かなり。」
「リヒリストから生まれしもの邪悪なり。」
「民主制をも食らうのか。」
「虚無主義の世界はすべてが無意味。」
「迷子の上で盲目で。」
「自分のルールを叫ぶがいい。」
「教条主義の世の中の。」
「すべてのルールに支配され。」

民主制論者。
「民主制が教条主義だと!?」

狂気の詩人。
「さあ常識だけでもの語れ。」
「勝手に作った常識で。」
「暴力すらも常識で。」
「常識暴力融合し。」
「常識を振るって人殺せ。」

民主制論者。
「ぎゃあああああああ!!」

道化師。
「気違いだ!気違いだ!助けてくれ!!」

警備員。
「おおおおお前ら!援護してくれ!!」

窓から眺める麻友。

麻友。
「なにかやっていますね。」

桜花。
「たまにあるよね。」

麻友。
「歴史上の女性。」
「その中でも一般人。」
「歴史の中の庶民や平民。」
「さらにその中の女性の様子を調べています。」

桜花。
「市民の中にいる普通の女性を?」

麻友。
「そこから普遍的な結論を出しています。」

理沙。
「歴史に埋もれた普通の女性を調べた?」

杏桜。
「妻になるのが目的で生まれたはずよ。」

麻友。
「そんな馬鹿な。」

理沙。
「歴史の中の一般女性を調べると。」
「何も求めない・・・というのは反論できそうもないわ。」
「そこを突くとやりたい放題に言えるわね。」

麻友。
「そこら辺が根拠です。」

杏桜。
「少女は言った・・・わーい男性だあ。」
「可哀そう・・・。」
「善く生きる女性は稀。」
「知性に恋した女性はかつて存在しなかった。」
「富や地位や権力や正義。」
「さらには力や野望に恋した女性もいませんでした。」

麻友。
「自分の見識を持っているのは一人前ですよ。」
「少し籠りますね。」
「放課後ですし。」

桜花。
「がんばれー。」
「もう一歩。」

フェミニズム研究では。

歴史の中に埋もれた一般女性を資料にしております。

偉人の女性は究極ですが。

一般女性などを調べると。

むかしの女性に言い分はありません。

フェミニズム研究では。

歴史に埋もれた一般女性から普遍的な見解を得て。

現代に応用するのです。


後日談(32)


夜空鑑賞。

丘の小屋から。

麻友。
「あの星になりたい。」

詩織。
「あの星になりたいです。」

心玖。
「探査機も高性能化。」
「多機能化したけれど。」
「科学力に限界があるよ。」

渚沙。
「現時点における化学の限界ねぇ。」

桜花。
「地球人類は数千年くらいは太陽系に釘付け。」

理沙。
「有人飛行でオールトを抜けて。」
「恒星を眺めるくらいよ。」

杏桜。
「放射能のスポットライトを浴びて。」
「眩しくてスターは辛いですね。」

詩織。
「宇宙にはスーパースターがいますから。」
「地上のスターは勝てそうもないです。」

麻友。
「星空のスターの方が地上のスターより桁違い。」
「あの星になりたい。」

解散直後。

夜11時過ぎ。

相変わらず掃除屋さんが。

暴漢をハンティングしようと徘徊。

犯罪者はとてもじゃないけれど。

こんな夜には外に出れない。

道徳教育がしっかりしているので。

道徳教育もなしに処罰はしないのです。

それでもなお。

故意にするなら。

死んで頂いております。

麻友。
「私たちは罪で罰せられる事はありません。」
「罰はすでに一度限り与えられました。」
「罪に定められることは決してありません。」※ローマ人への手紙8章1節。

詩織。
「神様と和解し。」
「帰還した人は。」
「決して処罰されません。」

桜花。
「わたしは罪と縁を切るように祈ったわ。」

理沙。
「こうなると無意味に悪いものがあるとしか言いようがないわ。」

杏桜。
「女性は肉と呼ばれるものに従っていますから。」
「肉的なことを考えています。」
「肉の思いで女性は生きています。」

詩織。
「悪の反対をすればいいと行動したことがあります。」
「悪がいけないのなら。」
「悪の反対をすればいいと。」
「子供でも出来ました。」

麻友。
「自力で七つの罪源から脱出せよと命じられているのです。」

詩織。
「悪に勝てるかな?って試しですね。」

心玖。
「自分の悪に勝てるかな?勝敗はいずれ・・・。」

桜花。
「ちょっと時計が。」

麻友。
「では解散。」
「さらば。」

舗装されていない道。

シュビムワーゲンが頻繁に通ります。

オフロードタイヤを装備した軽自動車で。

簡単な自動車。

屋根を追加したタイプがあり。

どこでもレンタル可能です。

麻友。
「人が犯した罪が原因で。」
「貶められたら?」

桜花。
「神様に復讐をお願いするのがいいよ。」※ローマ人への手紙第12章19節。

麻友。
「すべての復讐を代行してください・・・と?」

桜花。
「自分で復讐しても成功しないからね。」
「責任の所在なんて自分でわからないでしょー。」

麻友。
「どこまでが自分のせいなのか分からない。」

桜花。
「どこから他人のせいなのかも分からない。」

心玖。
「我が国の刑法では。」
「何かあったら神様に復讐を祈ってから。」
「したほうがいい。」
「モーセの律法が法律の原型だからね。」

麻友。
「人に一度も攻撃されたことはありませんが。」
「覚えておきます。」

望遠鏡で天体観測している人がちらほら。

雲がないから?

狂気の詩人。
「おお!武力と暴力の区別がつかない愚者よ。」
「混同した力を振るうがいい。」
「人を刺した刃で己も刺され。」
「野ざらしの遺体へと。」
「武力と暴力の違いがわからぬ者へは。」
「相応しき似合うぞそのお姿。」

麻友。
「わあ!最近どこにでもいるポエマー!!」

狂気の詩人。
「悪をするのが趣味ですと。」
「戦争するのが趣味ですと。」
「悪が楽しいから?悪が快楽だから?」
「戦争が楽しいから戦争を?」
「おお!人の形をしないでよ。」

麻友。
「やめてー。」

狂気の詩人。
「武力と暴力違いがわからぬ。」
「それこそ子供の幼稚園。」
「さあさあ大人は区別はついたぞ幼稚園。」
「体も精神も幼稚園。」

狂気の詩人。

目測を誤って。

小さな橋から転落。

狂気の詩人。
「市民諸君!助けてくれ!!」

ホラーティウス。
「お前はわざと落ちたのではないか?」

狂気の詩人。
「泳ぐぞ!魚は魚。」
「魚になっては魚のように。」
「泳ぎも溺れても。」
「うまくなっては復活し。」
「ほらまた獲物に食らいつく。」

道化師。
「おっとごめんよ。」

狂気の詩人。
「今のはわざとだろ!!」

道化師。
「ごめん、前見てなかった。」

騎士。
「さっきから何をやっている。」

狂気の詩人。
「騎士様よ。」
「この事故を憐れんでください。」
「女性に披露せし美声をも。」
「ナンパと間違え拒まれて。」

騎士。
「ほら!今夜は帰れ!!」
「夜出歩く時はもっと警戒しなさいよ。」

麻友。
「早歩きでたまに走っていて。」
「クリアリングしていたのに。」
「手動発電懐中電灯もあります。」

騎士。
「どんだけ速いんだ!あの詩人のスピードは!?」

麻友。
「初めて絡まれた。」

騎士。
「いやあの人のスピードによくついてこれたな。」
「意外にも競歩の名人?」
「徒歩でも競争でも。」
「追いかけられるスピードではないし。」
「見つからずに絡むことはできないだろう。」

夜警のシュビムワーゲンが通りましたよ。

旗があるのですぐに分かります。

何台か通り過ぎる。

女性。
「乗っていく?」

麻友。
「ご厚意感謝。」

珍しく11時を過ぎたので。

いろいろ出てきたらしいです。

それに対抗するかのように。

掃除屋さんが巡回。

家の前で降車。

馬に乗った貴族と兵士。

貴族。
「まあ我々も腐敗するだろう。」

兵士。
「どこも自分はいずれ腐敗すると言っていますよ。」

貴族。
「自分たちが腐敗する前提でやっているのだ。」

兵士。
「歴史から見てどこも腐敗したから。」
「自分たちも同じでしょう。」

貴族。
「自分だけ例外だとでも?」

兵士。
「歴史をリセットしたと妄信していますから。」

貴族。
「歴史をリセットしたので腐敗しませーん。」
「んな訳あるか民主制論者。」

兵士。
「よりいっそう多様化しましたなあ。」

通り過ぎて。

家の敷地に入り。

寝る支度。

時計は12時。

ちょっと夜歩きをしてしまったので。

時間調整をミスしております。

メールでも。

9時開始は遅過ぎたとか。

メンバー全員時間を忘れていました。

あらしまった。

誰かが間違いを修正しないと。

麻友。
「一応はリーダーなのに。」
「及びませんね。」
「かんなちゃんが一人前だったかあ。」

柴犬専用部屋。

予備のパソコンの音声入力システムがオンになってしまい。

AIが誤作動して。

ワンちゃんの声を自動翻訳のち。

SNSに載せてしまったみたい。

旧式のAIなので。

電源を調整。

両親は相変わらず。

12時を過ぎても。

薬草パイプとクラシック音楽でのんびり。

大人になったので。

不用意な言及はしてこない。

わたしのほとんどは独学なのですが。

独学という学問は中々強いですね。

今日はここまで。

ノートにいろいろ書いた後。

就寝。


後日談(33)


オンラインゲームで人気の。

着ぐるみキャラクターが。

いろいろやっちゃう試合モノ。

レース。

スーパーマリオサンシャインでポンプなしのアクション自動生成コース。

自然リングの上で8人で落し合い。

テニスラケットで吹っ飛ばすことも可能。

遺跡探索で。

自動生成されるダンジョンを進み。

先にボスを何体か倒した人の勝利など。

パソコンゲーム安定稼働用のゲーム機で快適プレイ。

麻友。
「このゲーム機は最低限のものがついて価格が安い。」
「将来のアップデートに対応する。」
「グラフィックボードやメモリはカスタマイズが簡単なように。」
「取り外し式。」
「各ゲーム機に割り当てられた暗号化コードがあって。」
「認証してからプレイすることも可能。」

心玖。
「高度な通信システムも標準搭載。」
「いいところしかないね。」

麻友。
「ダウンロード販売専用くらいかな。」

心玖。
「敵をハエたたき。」
「または虫取り網で捕獲せよ。」

麻友。
「四人同時参加できる直接接続ケーブルはいいですよね。」

心玖。
「従来のゲーム機みたいに。」
「複数で1チームも可能。」
「コントローラーはテレビやPCモニターと接続可能。」
「電源関連に注意書きがあるね。」
「家庭用の電源では推奨されない。」

麻友。
「勝率が良くないのですが。」

心玖。
「能力の違いが出ると思う。」
「強い人は強い。」

麻友。
「複雑なゲームほど実力差が出ますし。」

心玖。
「アクシデントでトップ全員戻ったよ。」
「ランダムな妨害要素で麻友ちゃんが独走。」

麻友。
「これも能力差ですか。」

心玖。
「ゲームって何の能力が影響するのか分からない。」

麻友。
「わたしがこのラウンドで1位になったのも実力差です。」

心玖。
「勝負とはそういうものだよ。」

麻友。
「負けるのが嫌なら参加しなければいい。」

心玖。
「競争は敗北者の方が多いからね。」

マリオモドキはえげつない。

敵キャラクターの妨害や。

隕石。

竜巻。

滅茶苦茶になって。

先着30人が先に進みます。

次のラウンドで先着15人から脱落。

麻友。
「これって偶然の要素がすごく強い。」

心玖。
「そうだよ。」
「こういうゲームは偶然の要素を強く作ってあるよ。」
「それを言っていたの。」

麻友。
「ああちょっと誤解していました。」
「偶然の要素のことでしたね。」

心玖。
「誤解と言えば。」
「歴史上の偉人の多くは誤解されてきたね。」

麻友。
「当時の常識から外れているだとか。」
「そんな理由で。」

心玖。
「常識って内容を言えた試しはないけれど。」

麻友。
「常識の条文を言ってみなさい。」
「無いでしょ。」
「それが真実。」

心玖。
「常識の条文はありません。」
「勝手に常識外れは定義できますし。」
「何が常識なのか自分で決めているのです。」

麻友。
「なにそれ気持ち悪いです。」

心玖。
「もっと気持ち悪いとある文明の史実を朗読してあげる。」

麻友。
「やめてください。」

キャラクターが空爆されてリングアウト。

心玖。
「変なこと言ったから?」

麻友。
「そんな些細なことで?」
「攻撃ヘリに銃撃されて吹っ飛びました。」
「ハイドラロケットでリングアウト。」
「リスポーン・・・もう間に合わない。」

心玖。
「相手を掴んで投げた。」
「アイテムがあるよ。」

麻友。
「プレイヤーと共倒れ。」
「ゲームそろそろやめましょう。」
「おかしくなる。」

心玖。
「電源オフ。」

心玖ちゃんの家。

地下室には書籍と。

Nゲージの大部屋があり。

Nゲージのフィールドを制作したりも。

お姉さんが職人をやっているので。

Nゲージのジオラマも作っているのです。

お姉さんは仮眠中。

心玖。
「中庸を尊ぶ気質は古代ギリシアからもある。」
「孔子の論語と融合したよ。」

麻友。
「世界が交差すると多様性になりますね。」

心玖。
「多様性ってそういうことだよ。」

麻友。
「ひとつの思想で統一できないです。」

心玖。
「だからこそ人を尊重する社会が求められた。」

麻友。
「正義マンなんて文献で読みました。」
「正義とは?」
「正しい道理・人としての正しい道という意味ですが。」
「正義とは悪を倒すヒーローなんてものは解釈が間違っています。」

心玖。
「馬を牛と言っているのと同じ。」

麻友。
「悪を倒すと言いつつ。」
「自分より弱い攻撃しやすいターゲットを探す。」
「スケープゴートの合法化ですかね。」

心玖。
「正義マンは勝手に悪を決めて攻撃したらしい。」
「何を持って悪とするかは自分で決める。」

麻友。
「攻撃対象と口実を自分で決めるって。」
「それで自分が正しいと主張するのは・・・。」

心玖。
「暴力を振るいたいので。」
「自分をヒーローということにしてたの。」

麻友。
「テレビの見過ぎでは。」

心玖。
「ヒーロー特撮では悪の組織がやられ役だったから。」
「そういう構図になったのかな。」

麻友。
「大人になってもヒーローごっこですか。」

心玖。
「わかりやすい敵を作って粉砕して子供を楽しませたら。」
「真に受けちゃったらしい。」
「犯罪者やテロリスト相手に攻撃しないし。」

麻友。
「悪に報いてやろうとか。」
「そんなことをするとか。」
「精神年齢が悲惨。」

心玖。
「勧善懲悪っていつもそう。」

麻友。
「性善説ってお人よし・・・と思ったら。」
「なかなか暴力的でもあるんですね。」

心玖。
「性悪説の方が現実的。」
「性善説は通用しない。」

麻友。
「機械的な判断しかできないのでしょう。」

心玖。
「という文献がありました。」
「読まないほうがいいよ。」
「義人を探しています。」

麻友。
「本当に?常識と違うからと?」

心玖。
「うん。」
「哲学的に説明が多いよ。」
「哲学の世界では。」
「常識と違うからと言って迫害された人が多い。」

麻友。
「そうなると常識人は異常者の集まりですね。」

心玖。
「常識を正しく理解すると。」
「残念ながら。」

麻友。
「常識人という名前の異常者について。」

心玖。
「哲学の世界では定番の実話。」

みくちゃんの両親はコンビになって。

教科書の作成に携わっていたり。

いろんなマニュアル作成のプロフェッショナル。

本業は科学者なのですけれど。

家の外では。

渚沙ちゃんが来ていて。

お菓子を持ってきてくれまして。

敷地のテーブルにて。

森林と都市が融合しているので。

家と家との間隔が離れている分。

敷地が多いのです。

女性が革命を起こし。

結婚を破棄したので。

出生率が激減。

人口が半分以下にまで低下。

そのあと少回復したので。

都市が限定され。

農村も限界があり。

多くの土地から人が離れた。

壮絶な歴史があります。

渚沙。
「パラレルワールドって面白くない?」

麻友。
「選択肢で分岐するのは論理にかなっていない。」

心玖。
「他のプレイヤーの行動で。」
「自分の選択も変化するからね。」

渚沙。
「自分の選択では分岐しない。」
「そこが面白い。」
「論説としては滑稽だから。」

心玖。
「可能性としてはあるよ。」
「ってことなのでは。」

麻友。
「ありえた展開を予想したのでは。」

渚沙。
「実際には他人の行動で分岐が強制されるから。」
「何事も自分が主体ではないし。」

麻友。
「利他主義も必要です。」

渚沙。
「利己主義は自分が神だと主張しているわ。」

心玖。
「利他的な要素も人には必要だよ。」

麻友。
「人を尊重するのは道徳的。」
「人として正しいことってあるんじゃないですか。」

渚沙。
「人として大切なことってあるわよね?」

心玖。
「正しい道理ってあるよね。」

麻友。
「そうですよ。」
「向こうから何か来た。」

ラーメン屋。

腕の良いラーメン屋台が移動中。

お菓子はデザートに変更し。

ちょうど日曜日のランチへと。

ちょっとした公園にラーメン屋台は展開され。

あの素晴らしいラーメンを食べ終わると。

さんにんで散歩。

途中で別れて。

でぇがくの準備です。

成績は良好。

実績は最高。

実績があるので。

実力だけがまかり通ることもあります。

でぇがく入ってパワーアップです。


後日談(34)


麻友執筆中。

研究論文。

中身は。

「人の世についてはあらゆることが係争中。」

書き終えると。

ボールで遊んでいるグループに加わりましたね。

理沙。
「この前の裁判。」
「いろんな奴が悪者に仕立て上げたらしいわ。」

詩織。
「でっち上げですが。」

理沙。
「相手を悪者に仕立て上げれば。」
「悪者ということにできるわね。」

詩織。
「周囲の人々の作戦だったと?」

理沙。
「みんなグルになって被告を悪者に誘導し。」
「誘導したら悪者ということにして。」
「悪者として処刑しようと。」
「悪者に仕立て上げて遊んでいたとか。」

詩織。
「どんな理由で?」

理沙。
「勝手に悪だと思ったので。」
「私刑で処罰しようとしたら・・・。」

詩織。
「私刑で制裁を加えたんですね。」

理沙。
「私人が勝手に行う制裁・・・を実際に加えたから。」
「悪漢が個人的な好き嫌いで。」
「仕立て上げた連中を拉致して。」
「法廷は・・・それを知っていたから。」

詩織。
「連中は今頃奴隷でしょうね。」

桜花。
「奴隷と言えば。」
「古代ギリシアと古代ローマでは定番。」
「奴隷に労働を丸投げして。」
「自由人がいましたね。」
「自由人は公的な場に余暇を投じた。」
「奴隷を大事にする主人もたまにいたとかなんとか。」
「主人が最悪になると。」
「下の者が言うことを聞かない場合もあったとか。」

心玖。
「奴隷は言い逃れの達人だったよ。」
「現代人が古代ギリシアの奴隷と弁論して。」
「勝てるかはわからないよ。」

詩織。
「奴隷がよくやる必殺技なんてありましたもんね。」

理沙。
「黄金時代の史実。」
「黄金時代と衰退を繰り返しているのかしら。」

運動場。

ボールだらけになっております。

渚沙。
「さあ投げなさい。」

麻友。
「フォークボール。」

渚沙。
「チェンジアップは?」

麻友。
「弾速が低くて飛距離が出ません。」
「そこまで届きません。」

渚沙。
「もったいない。」
「キャッチャーまで届けば中々のモノなのに。」

麻友。
「肝心なモノが決まって抜けています。」

環奈ちゃんが遠くから訪問。

詩織。
「取り込み中の所をようこそ。」

環奈。
「移動手段が速くて助かります。」
「高性能な輸送機を使いたい放題。」

詩織。
「宮廷に出入りできる。」
「神様は特別扱いをしますよ。」
「神様は依怙贔屓をしませんが。」

環奈。
「思い通り・・・という。」
「その思い通りって。」
「その人にとってはなんでしょうか?」

詩織。
「大富豪とか権力者のことでは?」
「有り得ないファンタジーに到達できずに。」
「思い通りにならない・・・というのは擁護できませんよ。」

環奈。
「愚か者の思い通り・・・とは。」
「王様になりたいだとか。」
「なぜか必要なものだけ欲しいというものではない。」

詩織。
「なぜか必要なものだけ欲しがらず。」
「とんでもないものを望んで。」
「思い通りにならないとか・・・それはないです。」

環奈。
「その人の思い通りと他人から見た思い通りは違うので。」
「なんとも言えません。」

詩織。
「立ち話もよくないです。」
「中へ。」

休憩室。

おもちゃがいっぱい。

麻友。
「いらっしゃい。」

教師。
「かんなちゃんだぞー。」
「女性の資料として見ておくように。」

生徒。
「御意。」

麻友。
「世の中の事はすべて係争中。」
「当事者同士でやっています。」

環奈。
「関係のない物事に突っ込む必要はないよね。」

麻友。
「自分に関係のあるものだけ言及しています。」

環奈。
「腕を上げているように見える。」

麻友。
「そうですか。」

環奈。
「前より麻友ちゃんの技量は倍に増えている。」

麻友。
「そうかな。」

心玖。
「しばらくぶり。」

環奈。
「ああ・・・贈られてくる書物の内容には転倒したよ。」

心玖。
「貴重品。」

環奈。
「みくちゃんどんな凄腕なんでしょう。」

渚沙。
「水を得た魚。」

環奈。
「ぴちぴち飛び跳ねればいいのか。」

麻友。
「ことわざで遊ばないでください。」

渚沙。
「ことわざにも言い得て妙なものと。」
「愚見なものと二種類あるわね。」

環奈。
「またいい女性になりました。」
「お化粧がうまい。」

渚沙。
「あんたは逆にお化粧しないわね。」

環奈。
「なぜか無頓着。」

麻友。
「自立した女性なんですよ。」
「フローレンス・ナイチンゲール曰く。」
「女性よ、自立しなさい、自分の足で立ちなさい。」

渚沙。
「この人は自分のことが言えます。」
「自分というものを持っている。」

心玖。
「こう言えばいいんじゃない?」
「魚に泳ぎを教えるな。」

環奈。
「私はお魚。」
「ぴちぴち。」

麻友。
「おっと、真面目にふざけています。」

盛り上がったけれど。

授業の時間になりました。

余裕を持って再開されますが。

お昼休みも終わり。

ロスタイムなので。

荷物をまとめて。

環奈。
「またねー。」

麻友。
「それは予約ですよ。」

ネットカフェみたいな個室に。

再度入力。

「人の世についてはあらゆることが係争中。」

でぇがく。

国法は「理法への服従。」「多様性による排他主義の禁止。」

随分。

むかしから定められています。

でぇがく。

好調。

無事に卒業できるかな。


後日談(35)


ソフォクレス「かえって強制力が私にこのことをなさざるをえなくする。」

エウエノス「およそ必然的(アナンカイオン)な事柄は常にいやなこと。」

みんなで会食。

環奈。
「レシートは私の物だからね。」

麻友。
「分かっています。」

渚沙。
「理解はしあわせ。」

心玖。
「あらゆる理解はしあわせ。」

桜花。
「多様性とか?」

理沙。
「無視すれば無視するほど苦しくなる事案もある。」

心玖。
「火に炙られて火を認めない奴はどうかしている・・・なんてね。」

理沙。
「詭弁で火に炙られて平気な訳がない。」

渚沙。
「無理して焼死する。」

環奈。
「無理のやり過ぎで自己崩壊。」

理沙。
「なんでも行き過ぎは悪い結果に繋がる。」

杏桜。
「モテモテも行き過ぎると相手を絞れなかったり。」
「そのうち異性なら誰でもいいとか言ってしまったわ。」

詩織。
「矛盾がいっぱいで滑稽です。」

麻友。
「矛盾。」
「いくらか証拠を出せれば。」
「それは矛盾です。」

フェルト。
「しかし矛盾は自分が崩壊したくないので。」
「そういうことにしたくて。」
「論証や証拠を無視する。」

環奈。
「自分で矛盾を処理しても。」
「事実の解釈を変更して。」
「勝手に埋められてしまうので。」
「神様にひとつ残らず報告しておかないと。」

詩織。
「証拠が出た時点で矛盾がそこにありますから。」
「内面のことではなく。」
「自分の境遇や生に関するもの。」
「自分の存在や境遇が矛盾していたら。」
「神様に伝えておくべきです。」

麻友。
「全知全能なる神様に。」
「これは矛盾ではないかと疑っています。」
「このように相談すべきです。」

環奈。
「自分の生に関する矛盾かあ。」
「わたしは考えたこともなかった。」
「ほとんどの国は公正だから。」

フェルト。
「結局、矛盾はそこで止まったわ。」
「いつも公明正大な君主と市民。」
「土地柄なのかな。」

「こっちは変人ばかりで。」
「毎日がコメディよ。」

桜花。
「どの王様もだいぶ丸っこくなった。」
「いにしえから公正なのは変わらない。」

麻友。
「ローマ帝政で不正を受けても平気な人が史実に残っています。」
「君主制で老齢を迎えられるのは簡単ではないみたいです。」

環奈。
「それなら・・・セネカ怒りについて。」

詩織。
「閣下、不正をありがとうございます。」

理沙。
「閣下、不当な仕打ちをありがたく頂戴致します。」

渚沙。
「なんて皮肉な。」

麻友。
「悪になって頂き光栄です。」

詩織。
「素晴らしい悪逆無道っぷり。」
「お見事です。」
「右に出る者などおりません!!」
「この度も暴力に感謝します。」

渚沙。
「無理に反撃しないので生き残る皮肉。」

環奈。
「むやみに応戦しないので生き残る皮肉。」

心玖。
「やめてよ。」

麻友。
「君主制は不正を受けても黙っていたほうがいい。」
「ターレス曰く。」
「年老いた君主は珍しい。」

フェルト。
「セネカ怒りについて。」
「怒りの処方箋よね。」
「立場をひっくり返す事が可能よ。」

環奈。
「冗談に持ち込めるのが強み。」
「復讐に染まるのなら。」
「適当に攻撃して済ますほうがいい。」

フェルト。
「怒ったら適当に当たり散らして気を済ますのが理性的。」

環奈。
「ここの料理は高くない。」

心玖。
「さりげなくパフェも頼んだ。」

桜花。
「小金持ち!!」

環奈。
「ヨーロッパはむかしから。」
「余剰財産は教会に寄付したけれど。」

フェルト。
「カトリックは予算に余裕があった。」
「カトリック教会は基本的に豪華。」

環奈。
「みんな好調でなにより。」

麻友。
「レポート。」
「読んでみる?」

机に並べる。

論文。

環奈。
「良識ある市民最強論説。」
「民主制によって。」
「或いはとある手段によって。」
「市民があらゆる保証をされると。」

渚沙。
「必然的に市民の能力や良識が強化される。」
「市民の能力や技術が向上すれば。」
「好循環でパワーアップする。」
「そうなれば。」
「文化人の中に市民が多く加入し。」
「支配階級に匹敵するほどの強さを市民が持つことになる。」

心玖。
「かつて一部の人のみに与えられた世襲制の才能や賞状は。」
「市民の進化によってことごとく見破られて。」
「結果論として市民が最強になってしまう。」
「数の力ではなく。」
「強力化した市民が全体で論破可能。」
「実行力を持つようになるため。」
「支配階級にも手に負えない。」
「寡頭政では太刀打ちできない基盤が生成される。」

フェルト。
「間接民主制は必然的に市民の超人化を生んだ。」
「文化に触れあい。」
「いろんな思想や伝統。」
「学問を習得。」
「自ら進んで鍛錬し。」
「そういう人が市民の中で育ちつつ。」
「市民同士の交流や遭遇によって交差すれば。」
「好循環で市民が超人と化していく。」

心玖。
「こういう中で良識を獲得した市民は。」
「常識を捨てて良識を身に着けることにより。」
「最強の存在に到達する。」
「全体で生成されるため。」
「常に好循環になり続ける。」
「これを良識ある市民最強論説と自薦状にする。」

環奈。
「これは観測によるものだ。」

麻友。
「否定しないでくださいよ。」

詩織。
「否定すると危険なモノがある。」

理沙。
「否定も過ぎると侮辱に過ぎない。」

心玖。
「何かの参考になりそう。」

料理が到着。

ここから方向性が変化。

美味しく頂いて笑顔で解散。

輸送機が発着する土のグラウンド。

ただ広い空地。

狂気の詩人。
「良識ある市民による支配を!良識ある市民による支配を!」

狂信者。
「良識ある市民による支配を!良識ある市民による支配を!」

狂気の詩人。
「できる限り賢明であれ!できる限り賢明であれ!」

狂信者。
「説教!説教!説教!説教!説教!説教!説教!説教!説教!(言葉にならない)」

狂気の詩人。
「qあwせdrftgyふじこlp・・・!!」

環奈。
「また会おうね。」

フェルト。
「元気でいてね。」

抱きしめあう。

ほっぺにキス。

バス停みたいな小屋で。

タッチパネルを操作。

輸送機に搭乗するフェルト。

メモをしている人が同乗。

環奈。
「創造性ってすごい。」

芸術家。
「創造性?事前にあらゆる良質の美術とか。」
「芸術作品をいっぱい読んでないと出ないぞ。」
「美術品と思われる良いものを事前にたくさん観ておくのだ。」

環奈。
「助言ありがとうございます。」

芸術家。
「ダイモニアを呼べば来るぞ。」

輸送機離陸。

そのまま。

自分の家に帰宅。

生まれ育った土地から出てしまうと。

未練はありませんね。

消滅してしまう。

実家にはたまに行っていますが。

お父さんに。

そっちの人を招待せよ。

こう言われたので。

中々。

会いにはいけません。

巣立った雛に別れを言うがごとく。

狭い世界で暮らしてほしくないようで。

今日は久しぶりに友人と会食し。

いろいろすべきことが多いので。

旧友との交流も限定的な。

近況です。


後日談(36)


街中で暴れている女性。

恵斗(けいと)

女性大好き。

女性好きの女性で。

かなりの美人。

手当たり次第に女性をナンパしては。

写真を獲得していますね。

恵斗。
「あなた素敵!地味だけれど。」
「ファッションがシンプルで無駄がない。」

パン屋の娘。
「わたしは質素な服しか持っていませんが。」

恵斗。
「反対に無駄な見栄えにこだわる連中を見てよ。」
「何にも基づかないファッションですって。」
「勝手に決まったものに振り回される駄作人間!」

パン屋の娘。
「風刺はともかく。」
「あなたのような上流階級と接するのは。」
「性に合わない。」

恵斗。
「では他律というわけで。」
「勝手に巻き込む。」

パン屋の娘。
「そんな!なにをするつもりで!」

恵斗。
「しばらく眺めさせて。」

パン屋の娘。
「あなたは綺麗な人だから。」
「ちょっと恥ずかしい。」

恵斗。
「下町少女はあはあ・・・。」

夫人。
「またあの人は女の子追いかけている。」

貴族。
「いいや、あれでいいんだ。」
「自分の正解を当てはめる気違いになりたいのか?」

夫人。
「失言でした。」
「青春に言及なんて。」

環奈。
「綺麗ですね。」
「わたしの名前は・・・・。」

恵斗。
「キャー!いま話題のかんなちゃん!!」
「好きにしていい?」

環奈。
「わたしも好きにしたい。」

恵斗。
「来る?来る?」

恵斗抱きしめられる。

恵斗。
「ひゃあああ!たまらない!」

環奈。
「おもしろい女の人。」
「見ている限り。」
「女性大好きなんですね。」

恵斗。
「かわいいもん。」
「もちろんあなたも例外では・・・ない!」

環奈。
「おわっ!」

激しく抱きしめられる。

撫でられて。

そのうち離してくれた。

恵斗。
「ひゃああああ!大人の女性も素晴らしい!」

環奈。
「女性に求められるなんて。」
「中々いいもんです。」

恵斗。
「ねえねえ、かわいい女の子知らない?」

環奈。
「それならあろえちゃん三人娘です。」
「瑛菜ちゃんと喜彩ちゃんとかは?」

恵斗。
「どこにいるの?わたし温室育ちだからわかんない。」

環奈。
「大学院に来ています。」
「しかし美人さんだなあ。」

恵斗。
「よく言われるわ。」
「男の人がけっこう訪ねてくるけれど。」
「女の人は多く来てくれない。」

環奈。
「お相手には困らないのでは?なんて。」

恵斗。
「男性を求める義理があるんですかね?」

環奈。
「女性は学生から成人して。」
「結婚して出産。」
「子育て。」
「あとは朽ちていくだけ。」
「これでは産まれて冥府へ行くために前に進んでいるようなもの。」

恵斗。
「男性も同じでは?」

環奈。
「論争の的を作ってあげるので。」
「感謝して欲しい。」

恵斗。
「本当にお見合いのお誘いがあるのよー。」
「なぜ男性を求めないといけないのですか?」

環奈。
「なぜか催促されるよね。」
「結婚しなさーい。」
「なんて。」
「片っ端から半殺しにしたけれど。」

恵斗。
「わたしもぉ同じだぁ。」
「てめぇの許可が要るのかよ。」
「そう言ってやりましたー。」
「あははは!!」

環奈。
「大多数の人が通る道は広くて舗装されている。」
「そして進んでいくと。」
「最後には冥府に続いていて。」
「冥府に行くために産まれて。」
「気付いたら冥府の中。」
「ソロモンから教わりましたよ・・・うふふ。」

恵斗。
「あらー?やっぱり同類でしたのね。」
「今時なんとなくで婚姻する女性はいませんが。」
「望んで結婚する人だけで構成されていないと。」
「理解が足りてない。」

環奈。
「むかしから望んで結婚する人だけでしたからね。」
「その中になんとなくやってしまう女性も多数混ざっていた。」
「だから女性は全員望んでいると考える悪風は残っている。」

恵斗。
「うふふ。」
「立ち話も難ですし。」
「これ名刺です。」

環奈。
「わたしも名刺です。」

恵斗。
「またお会いしましょう。」

環奈。
「同意します。」

恵斗。
「さあて、さっきのあるある少女の集大成。」
「逃げられちゃった。」
「次はそこの女子高生だあ!」

JK。
「うわっ!なに?」

恵斗。
「写真撮っていい!?」

JK。
「ああその素敵なドレス。」
「絹のようですね。」
「身分がよろしいかと。」

恵斗。
「パテル国王の遠い親戚!」
「ツーショットいい?それともうち来ない?」

JK。
「ごめんなさい。」
「遅刻するので。」

恵斗。
「ざんねん。」
「次はそこのぴちぴち!」

女性。
「うわっ!なんですか?」

恵斗。
「大人の女性もなかなか魅力的!」
「少女とは異なるなにかがある!」

女性。
「ちょうどコーヒーを飲みに出かけようとしておりましたので。」
「最近噂のけいとさんですよね。」

恵斗。
「大人の女性は大人の魅力・・・ひぁぁ。」

女性。
「美人さんにいきなり会うなんて。」
「いいですよ。」
「一緒に喫茶店行きましょう。」

恵斗。
「うわあああん!行こう!行こうよー!」

大人の女性を獲得。

自分の好みの女性にアタックした結果。

次から次へと。

味のある女友達が増えていきます。

女性大好き恵斗。

街では噂になっております。


後日談(37)


大学院での昼休みに。

侵入してきた恵斗ちゃん。

瑛菜ちゃんと喜彩ちゃんに遭遇。

恵斗。
「はわー!女性の凝縮版みたいな!」

喜彩。
「うわっ!すんごい美人!」

瑛菜。
「なにか用ですか?」

恵斗。
「撮っていい?」

喜彩。
「わたしが好きみたい。」
「お姉ちゃんって呼んでいい?」

恵斗。
「きゃあああ!いいよ!いいよ!」

あろえ。
「おお!貴族の中の貴族。」
「尊い方が何の用事で?」

恵斗。
「女性っていったいなんなの!たまらん。」

あろえ。
「あなたも女性じゃないですか。」

恵斗。
「へ?そういえばそうだ。」
「美人とはよく言われますけれど。」

あろえ。
「そんな綺麗な人がなにゆえ。」

恵斗。
「いろんな娘がいてたまらないの。」

あろえ。
「興味深い。」
「どういう理由で好きなのか。」
「美人さんがなにゆえにかわいい女の子に憧れるのか。」

恵斗。
「理由なんてないわ。」
「そこに女性がいるから。」

あろえ。
「それは!趣味にまで言及しないわ。」
「蓼食う虫も好き好き。」

喜彩。
「辛いタデを好きな虫がいるように。」
「人の好みもいろいろで。」
「ひとくちには言えない。」
「物好きのたとえとしてもよく使う。」

瑛菜。
「毛吹草と世話尽。」
「故事にありますね。」

あろえ。
「類語が豊富で。」
「人のすきずき笑う馬鹿とか。」
「って何枚撮っているの。」

喜彩。
「どう?わたしって女性らしいですか?」

恵斗。
「女性の基準がわかんない。」

あろえ。
「処女神アテナを見れば教科書になるよ。」

恵斗。
「力と知恵を併せ持たないと。」
「戦えないし、勝利も得られません。」

瑛菜。
「せっかくだから。」
「なにかして。」

恵斗。
「わたしは百合よりも。」
「女の子眺めたい。」

あろえ。
「大人の女性には興味ないの?」

恵斗。
「少女の面影を残す大人の女性は多くはないから。」

あろえ。
「なんでだろうね?」
「かわいい女性って多くはない。」

瑛菜。
「ここらでは傾奇者ばかりで。」
「少女の雰囲気を持つ女性は少ないよね。」

恵斗。
「個性が強い女性はたまらん。」
「好きです!」

喜彩。
「わたしも美人さんは特に好きです。」

瑛菜。
「あなたも個性が強くていいですね。」
「タイプです。」

あろえ。
「どうも変人らしいが。」
「悪くはないですよ。」

恵斗。
「変人?わたしって変人なのかしら。」

あろえ。
「同工異曲な人間よりは比較にならないほどいい人ですよ。」

喜彩。
「何の違いのない人よりは比較対象にならないのでは。」

瑛菜。
「え?みんな違いのない人なんているの?」

あろえ。
「個体差がない生き物なんているハズがない!」

恵斗。
「ロボットよりは変人の私がいいや。」
「変人のわたしの想いを受け止めて!」

喜彩。
「おねえちゃーん。」

ハグする。

彩葉。
「あらあら。」
「ロスタイムに入っているわよ。」

恵斗。
「それではまた!」

あろえ。
「変人の女性もたまらん。」

彩葉。
「けいとちゃんに捕まったのね。」
「男性を得たければ。」
「けいとちゃんを頼ればいいよ。」

あろえ。
「どうして?」

彩葉。
「男性から熱烈な視線を浴びている反面。」
「いろんな男性と交流があるのよ。」
「紹介ならいくらでもしてくれるわ。」

あろえ。
「それで?有名人?」

彩葉。
「そういうこと。」
「美人だから男に困らない反面。」
「国中の男性を知り尽くしていて。」
「本人は女性の方が好き。」

あろえ。
「趣味ではない男性のストックに困らないから。」

喜彩。
「けいとちゃん目当てのつもりが。」
「不思議と自分の妻を迎えられる?」

彩葉。
「お見合いについて頼み込むと。」
「コネクションが豊富だから。」
「けいとちゃんを諦めて。」
「そちらを選ぶ男性が多いらしいわ。」
「私の教師はそれで結婚したし。」

瑛菜。
「うはあ。」
「謎。」

あろえ。
「いい男なら勝手に寄ってくるから。」
「しかも男は好きではない。」
「それで女性が頼み込むと。」
「いい男に繋いでくれると。」

彩葉。
「そういう構図が出来上がっているの。」

喜彩。
「わあ謎。」

あろえ。
「女性にはいろんな欠陥があると言われているけれど。」
「あれを見るとどういう意味かわからん。」

下校時刻に。

恵斗ちゃんの待ち伏せに逢うかんなちゃん。

なんとも思わず。

そのまま友人に。

最近になって外に遊びに出るようになった。

恵斗22歳。

それまでは大人しい女性であった彼女は。

薄くて偉大な本を読み続けると。

とたんに自分に目覚めて。

そのうち有名人になった。

というのは。

メイドさんの中では知られている話で。

そのメイドさんも求婚されて逃げたことのある。

思いっきり爆走している女性は。

まだ猛威を振るいそうです。


後日談(38)


同類相求む。

同じ性質をもつ似た者同士は自然と求め合い。

寄り集まる。

故事では定番の史記から。

類は友を似て集まる。

同気相求む。

などの類語がある。

恵斗。
「好き!女の子ってなあに?」

パン屋の美人。
「女性について調べているのですか?」

恵斗。
「三段論法で物を語っても。」
「絶対的な結論は出ないけれど。」
「帰納法でいいよね。」

パン屋の美人。
「あはは、女性に求められるのも面白い。」
「いいですよ、これ終わったら遊びましょ。」

恵斗。
「やったー。」

恵斗は女性に猛アタックしつつ。

遊んでいます。

裏庭の通路。

彩葉。
「あなたゾーンに入っていなかった?」

環奈。
「うん、たぶんそれでいろはちゃんを圧倒した。」

彩葉。
「はあ、神懸かり的な女性を相手にしたのね。」

環奈。
「成り行きでそうなってしまったけれど。」

彩葉。
「いいえ、ただ、戦いには敗北も表裏一体。」
「前より力が倍に増えたわ。」
「負けを知ったから。」

環奈。
「次に試合でもしたら。」
「勝敗がわからない。」

彩葉。
「若者と老人にはそれぞれ共通の性格があります。」
「若者と老人両者の中間。」
「言わば壮年の性格を掴んでモノにして。」

環奈。
「若者と老人の中間?」

彩葉。
「若者は行き過ぎていたり。」
「欲望まみれで色欲に突進。」
「期待を抱いて欺かれることを知らず。」
「勝利に拘泥して戦争目的を設定しない。」
「プライドだけで自信だけはある。」
「それゆえに無謀で驕りから失敗が生じている。」
「老人は世事を知り過ぎて。」
「冷えてしまっている。」
「経験に頼りがちで。」
「利益や損得を優先する。」
「若者とは正反対の共通の性格を持つ。」
「中間がいいの。」
「その中間の感覚を掴んでおけば。」
「後々の財産になる。」

環奈。
「ううむ、わたしもそれを学んでいますが。」
「はっきりと自覚するのは時間が必要かな。」

彩葉。
「求めている人と愚痴を言うだけの人間って。」
「得られるのはどちら?」

環奈。
「文句を言うだけの人は資格がないらしい。」

彩葉。
「あの件だったら、言わなくていいのに。」

環奈。
「探ってみようかと。」

彩葉。
「ならば内緒話。」

環奈。
「おっとわたしも背丈は小さいほう。」

くちびるにキスされる。

彩葉。
「あらまあ、これが証拠よ。」

環奈。
「うん、わかった、いろはちゃんが好き。」

大学院の裏庭で。

一緒に歩いていると。

恵斗。
「見たぞー!カップル発見!」

彩葉。
「わっわたしたちの友情に入ってこないで!」

環奈。
「ふたりだけの内緒だからっ!」

恵斗。
「あらまあ、カップルではない。」
「わたし夢があって・・・。」
「タイプの女性と一夜を共にしたい・・・。」

彩葉。
「斬新な女性ですこと。」

環奈。
「暴走する癖があるんです。」
「というか個性が強くてなにより。」

恵斗。
「ファーブラー公のお抱えアイドル。」
「素敵だったわあ。」

環奈。
「どんな女性でした?」

恵斗。
「幸々実ちゃんって言うらしくて。」

環奈。
「ごめん、それわたしのお姉さんです。」

恵斗。
「なんですと!」

環奈。
「よければ紹介してあげますが。」
「期待しないでくださいね。」

恵斗。
「はわああああ!?」

幸々実ちゃん。

恵斗ちゃんを招待し。

ファーブラー公も歓迎。

幸々実ちゃんと一夜を過ごしたよ。

添い寝したあと。

恵斗ちゃんは気が狂った。

お見舞いに訪問。

環奈。
「ドゥクスさんこんにちは。」

ドゥクス公爵。
「おお!よくぞ来てくれた。」
「娘がとんでもなくて。」

環奈。
「お姉さんと遊んでから様子が?」

ドゥクス公爵。
「発狂してしまってね。」

環奈。
「ああ可哀そうに。」

寝室では。

倒れている恵斗ちゃんがいて。

環奈。
「かんなですよー。」

恵斗。
「かんなちゃん・・・あれは・・・たまんない。」

環奈。
「なにかされた?」

恵斗。
「一緒に寝ただけ。」
「ほわあ〜。」

環奈。
「恋ですよ。」

恵斗。
「そうなんだと思う。」

環奈。
「お姉さんとまた会いますか?」

恵斗。
「そのうち冷えて理性が戻るよ。」
「しばらく籠ってまーす。」

環奈。
「そうしてください。」
「伝えておきますよ。」

リビングにて。

ドゥクス公爵。
「ああ、そういうことね。」

環奈。
「そっとしておいてあげましょう。」

ドゥクス公爵。
「訳を話してくれないから。」
「わからんかった。」

環奈。
「調べることって大事ですねー。」

ドゥクス公爵。
「おっしゃるとおり。」
「自分の娘のことも満足にわからんとは。」

環奈。
「親には欠陥があると教わったものです。」

ドゥクス公爵。
「それが、私にもあったのだ。」

環奈。
「あーあ。」

ドゥクス公爵。
「笑い話もいいところだ。」
「子供?養うために、私に苦労をかけるように。」
「母親が生むのだ。」
「妻が望むので。」

環奈。
「私がサポートして差し上げます。」
「一か月くらいで治るでしょう。」

ドゥクス公爵。
「一寸先は闇。」
「常闇の中を探ろうとしても無駄。」
「古い炭鉱を懐中電灯だけで冒険するようなものさ。」

恵斗は三日後に復活。

また女性を追いかける。

前とは違って。

これが女性だ!という人にアタックするようになり。

的を絞るようになって。

かんなちゃんも巻き込まれ。

変人の親友が出来たという。

この時代は。

天の道理が破られて。

天の道理がもとに戻り。

人力は及ばない天の力が顕現した時期。

終生安住の地にて。



後日談(39)


夢の中。

星々の中から出てきたわたし。

なぜか地上に引かれて。

そのまま落っこちた!!

なんでー?

目が覚めると。

墜落。

大爆発。

ミラ・ケーティー。
「はわわわ!?」

煙が充満し。

周辺に衝撃波が発生。

誰か来るのですが。

あろえ。
「おわ!?なにこれ!」

恵斗。
「クレーターになってますよ。」

瑛菜。
「迫撃砲でも食らった?」

喜彩。
「無事みたい。」

ミラ・ケーティー。
「あれ?さっきまでお星さまに混ざっていたけれど。」

恵斗。
「何があったのかわかりません。」

ミラ・ケーティー。
「わたしも。」
「墜落したみたい。」

あろえ。
「あなた、名前は?」

ミラ・ケーティー。
「誰でもない。」

喜彩。
「誰でもない?」

瑛菜。
「どこから来たの?」

ミラ・ケーティー。
「覚えてない。」

恵斗。
「まあ!何かあって記憶喪失でよろしいですか?」

あろえ。
「何か覚えていることは?」

ミラ・ケーティー。
「お星さまの中から。」
「でも夢の中の出来事かもしれない。」

あろえ。
「しまった、正体がわからない。」

恵斗。
「事故にでも遭ったのでしょうか。」
「隕石が落下して直撃を受けたとしか思えません。」

ミラ・ケーティー。
「墜落したのは覚えているけれど。」

あろえ。
「なんと哀れな!どこかの旅行者なんですよ。」
「とりあいずこちらにおいで。」

アポロン神殿に巫女がいて。

訪ねています。

あろえ。
「正体不明の女の子を拾いまして。」

巫女。
「なるほど。」
「不思議なことを言っているのですね。」

恵斗。
「保護したほうがいいかな。」
「記憶喪失っぽいし。」

巫女。
「あなたはひとりくらい置いておけますよ。」

恵斗。
「何かの縁でしょうし。」
「記憶が戻るまで、旅行者と思われる女の子。」
「預かりましょう。」

巫女。
「あなたは趣味でそれを言っている。」

恵斗。
「図星ですね。」

巫女。
「しかし言い得て妙。」

恵斗。
「はい、わたしに与えられた妹だったりして。」

巫女。
「養女にしてはどうか?」

恵斗。
「記憶が戻ったら、帰ってしまうでしょうし。」
「そうですよ、好きにできる女の子が向こうから来たんです・・・・はあはあ。」

ミラ・ケーティー。
「このまま野を歩いても、宛がないでしょうし。」

恵斗。
「いいよ、向こうから来たんですから・・・はあはあ。」

巫女。
「あなたの存在を知っていて、その娘はそこにいた。」

恵斗。
「そうですよ、うちに来て来て。」

ミラ・ケーティー。
「よろしくです。」

宮殿があり。

金が塗られた銅像や。

ユーモアな壁画。

オリーブの木がたくさんあって。

鳩がそこらへんにいっぱい住んでいる。

リスがうろついていて。

門を開くと。

森林が広がり。

森のトンネルを抜けて。

生い茂った通路の先に。

玄関がありました。

中はよくある宮殿の内装で。

絵画がいっぱい飾られている。

ミラ・ケーティー。
「意外に質素。」

恵斗。
「んん?それはそうだよ。」
「豪華よりはデザインや内容重視。」
「この廊下とかは。」
「壁画が中心で。」
「回廊で繋いでいる別館は。」
「複雑な構造だから。」
「迷うかもね。」

ミラ・ケーティー。
「お金いっぱい持っていそう。」

恵斗。
「意外にも倹約家。」
「収入が多いので。」
「こうなっているらしい。」

ミラ・ケーティー。
「贅沢という印象があったのですが。」

恵斗。
「結果的に裕福になっている点で違います。」

ミラ・ケーティー。
「それで、どこに居ればいいの?」

恵斗。
「まずは着せ替え撮影・・・うへへ。」

ミラ・ケーティー。
「それだけでいいの?」

恵斗。
「えー?もっと好きにしていいの?」

ミラ・ケーティー。
「いまのところ居候ですし。」

恵斗。
「いいえ、持ちつ持たれつ。」
「情けは人の為ならず。」
「妹が出来たと思っているわ。」
「とりあいず・・・着せ替えうへへ。」

ミラ・ケーティー。
「変人に拾われた。」
「反対に個性が無い人ってなんですか?」

恵斗。
「全体主義者はみんな個性がないよ。」
「統率者がいない集団ってなんだろう?」

ミラ・ケーティー。
「率いている人が集団にはいませんが。」

恵斗。
「体の良い奴隷なのでは?」

ミラ・ケーティー。
「個性についてなぜ述べられないの?」

恵斗。
「真実を言わないで。」
「個体差が無い場合は。」
「そもそも世間の考えがどこから生じたのか考えてみよう。」

ミラ・ケーティー。
「わたしたちは正しさのうわべだけ見て欺かれる。」※

恵斗。
「次からそういうのをこう呼んでね。」
「響きのよいたわごと。」※

ミラ・ケーティー。
「あなたがたは笑いを抑えることができるだろうか。」※
「みんな自分の考えがひとつもない。」

恵斗。
「彼らは忠告者には反抗的ですね。」※
「自分の考え。」
「自分の見識があるはずです。」

ミラ・ケーティー。
「これこそあなたの判断であり、良識です。」※

恵斗。
「学者たちが議論を戦わせており。」
「この問題は今なお係争中ですけれど。」

ミラ・ケーティー。
「所で、衣装はどこですか?」

恵斗。
「さてと、脱いで。」

ミラ・ケーティー。
「あなたも脱ぐべきです。」

恵斗。
「ひゃ・・・ひゃああああ!!」

メイドさん。
「お嬢様が気絶しました。」

執事。
「いつものことじゃないか。」

メイドさん。
「女の子連れ込んでますけれど。」

執事。
「さっき連絡があったけれど。」
「旦那様は構わないそうだよ。」

メイドさん。
「では、あの娘の生活用品を揃えてきますね。」

衛生兵。
「また気絶したんですね。」
「運ぶの手伝ってください。」

親族の女性。
「ほら、こんなの慣れたものよ。」

その妹。
「姉さんも中身はいいみたいね。」

親族の女性。
「聖書によると。」
「生まれた順番で序列を決めてしまう。」
「悪しき心の持ち主が。」
「追放される場面があるわ。」

その妹。
「愚か者の共通点なのでは。」

親族の女性。
「カインの同類なんでしょ。」

執事。
「こちらの部屋をお使いください。」
「巫女さんの指示でしょう?」

ミラ・ケーティー。
「ご存じの通り。」

親族の女性。
「よくわからないけれど。」
「正体がわからないし。」
「旅は道連れ世は情け。」
「仲間が増えたわ。」

その妹。
「寄せ合う人は多いほうがいい。」

ミラ・ケーティー。
「ご厚意に感謝。」

恵斗。
「ああ・・・。」
「なんという僥倖。」
「あの娘を大事にしまーす。」
「ぐへぇぇぇぇぇぇ。」

謎の女の子は噂になり。

正体が分からないので。

しばらく庶民の話題になりそうです。


後日談(40)


アポロン神殿。

ミラ・ケーティー。
「夢の内容しか覚えていないの。」

巫女。
「星の子?」
「何か出来ることある?」

ミラ・ケーティー。
「夜であればいろいろ出来ます。」

巫女。
「人を集めても?」

ミラ・ケーティー。
「嘘は言いません。」

巫女。
「よし、夜ですね。」

その日の深夜。

20人集まって。

夜空を鑑賞。

ミラ・ケーティー。
「ううう・・・。」

念力を込めて。

手を夜空にかざすと。

流れ星。

巫女。
「2回続けて可能ですか?」

ミラ・ケーティー。
「いまやってます。」

もう一度手をかざすと。

流れ星。

続いて三回目も成功。

何度やっても。

流れ星が手の先に出てくる。

巫女。
「願うなら。」
「この娘に頼みなさい。」

市民。
「皆で言われたとおりにしよう。」
「どうやら願望の届け先がこの世にはあるらしいぞ。」

庶民。
「何度でも出来るそうだ。」

夫人。
「素晴らしい。」

貴族。
「実はこんな私でも願いのひとつくらいはあります。」

巫女。
「用意はいいですか?」

少女。
「どこに出てくるの?」

ミラ・ケーティー。
「あそこ。」

手をかざして。

流星が出てくる。

今度のはけっこう長く輝いたので。

謎の女の子の能力は明らかでした。

巫女。
「たまに来てください。」
「できれば常駐して欲しいのです。」

ミラ・ケーティー。
「喜んで。」

不思議な女の子の噂は広まり。

深夜に散歩をしている女の子を見たら。

流れ星のチャンスになりました。

たまにやってくれない場合があり。

それでも願望が実現することを知っている庶民は。

何かの使いだと思い。

歓迎することに。

ミラ・ケーティー。
「ミラ・ケーティー。」
「ミーティアと呼んでください。」

パテル国王。
「噂は知っています。」
「私がスポンサーになりますよ。」
「願望と言えば。」
「無いとは言えませんが。」
「ソロモンのように。」
「いろいろ持つようになると。」
「私的な事には無頓着ですが。」

ミラ・ケーティー。
「何か叶うのであれば?」

パテル国王。
「では、神様と雑談したいな。」
「とりあいず、私の言い分を聞いてもらえば充分だ。」

ミラ・ケーティー。
「それなら巫女さんに伝えればいいのでは。」

パテル国王。
「なぜなら千年後にどうなっているかわからないからね。」
「この時代はこれが理想でした。」
「さて、そんなものは千年後の人にどうやって読んでもらえるか。」

ミラ・ケーティー。
「この星が創造されるずっとむかしに。」
「宇宙はありましたから。」

パテル国王。
「そうそう。」
「宇宙から見て我々は脇役だったりして。」
「少なくとも数百年後の人々への言い訳を述べたい。」

ミラ・ケーティー。
「ホラティウス。」
「よろこばせるためにつくられたものは、できるだけ真実に近いものでなければならない。」

パテル国王。
「死すべき人間がつくったものは滅ぶだろう。」
「わたしは信じることができず、胸が悪くなる。」

ミラ・ケーティー。
「公共の利益とかはありますか?」

パテル国王。
「論語。」
「先生が言われた」
「君子は正義に明るく、小人は利益に明るい。」
「利益について。」
「利益ばかりにもたれて行動していると、怨まれることが多い。」

ミラ・ケーティー。
「ではなにをお望みで?」

パテル国王。
「不可抗力。」
「人の力ではどうすることもできない力や事態。」
「こういうわけよ。」

ミラ・ケーティー。
「不可抗力が憂いなのですね。」

パテル国王。
「それをなんとかならないかと。」
「人の力ではどうすることもできん。」

ミラ・ケーティー。
「それはあなた様だけではないです。」
「倫理学。」
「誰かに起こりうることは、誰にでも起こりうる。」

パテル国王。
「それは慰め。」
「不可抗力は誰にでもある。」

国王に歓迎された後。

再び。

アポロン神殿。

巫女。
「信仰を侮辱しても神は侮辱できない。」

ミラ・ケーティー。
「信仰を否定しても神は否定できない。」

巫女。
「それをやったら死人が出る。」

ミラ・ケーティー。
「愚か者は心の中で、神はいない、と言っている。」※詩編14章1節。
「本物の愚者はこういう心理。」
「聖書の聖句。」

巫女。
「あなたも巫女になりませんか?」
「存在が特殊ですし。」

ミラ・ケーティー。
「機会がありましたら。」

恵斗。
「迎えに来たよー。」
「今度こそ着せ替えはあはあ・・・。」

ミラ・ケーティー。
「おねえちゃーん。」

恵斗。
「ひゃああああ!!」

環奈。
「ああ!慣れるまで頑張ってください。」

恵斗。
「私に向かって現れたのだあ!!」

環奈。
「さらばー。」

巫女。
「またいつでも。」

話題になっている女の子。

記憶喪失なので。

いろんな推理が流行っています。

恵斗ちゃんに拾われて。

養女になりかけている。

不思議な娘です。


後日談(41)


花畑が広がり。

趣味で作ったらしく。

遠目で見ながら。

庭でお茶しております。

カワラバトがとことこ歩いていて。

パンクズを貰えると知っているらしく。

ここのハトは半分飼われていますね。

ミラ・ケーティー。
「不可抗力に対して叱責できますか?」

恵斗。
「いや筋違いでしょ。」
「不可抗力について責める気違いなんぞ。」
「いるわけがないですね。」

ミラ・ケーティー。
「人の力ではどうすることもできない力や事態。」
「それについて文句を言う人は。」
「神になったつもりでしょうか。」

恵斗。
「悪い行いに対する宣告がすぐ下されないので。」
「人の子らの心は悪を行う思いで満ちている。」※伝道者の書8章11節。
「人の子の心理について言及が多いです。」
「刑罰ではなく宣告。」
「宣告した通りになります。」
「この場合は逃げ場はない。」

ミラ・ケーティー。
「もし死に定められたら。」
「指定された日に死亡するでしょう。」

恵斗。
「懲りずにまだ悪をしようとするもんです。」
「悪い心に満ちているのは、懲りないから。」

ミラ・ケーティー。
「永遠の刑罰を受けても知らない。」

恵斗。
「不可抗力については言及しないこと。」
「責めたりしないこと。」
「それをするのは神への挑戦です。」

ミラ・ケーティー。
「そうであると思われる。」
「驕った者はそういうことをしたがる。」

恵斗。
「そんなに死に急ぐことないのに。」

ミラ・ケーティー。
「地獄にでも行きたいのでしょうね。」

恵斗。
「死んでも生きても呪われたままでしょうね。」

ミラ・ケーティー。
「そういう者は呪いを受けますよ。」
「何か落ち着きがないようで。」

恵斗。
「招待状を送って。」
「素敵な女の子に来てもらう時刻。」

綴(つづり)
「わたしのことですか?」

恵斗。
「大学院で見たっきり。」
「一度でもいいから独り占めしたくて。」

綴。
「はあ、美人さんに口説かれるなんて。」

恵斗。
「かわいいのに男性みたいな服装。」
「自分で作ったの?」

綴。
「男装は無理でしたが。」
「いかにも女性っていう服は似合わないもので。」
「この服は男性でも着れますよ。」
「さすがに市販品ではないと分かりましたね。」

恵斗。
「服に関してはマニアですからねー。」
「具合はどう?」

綴。
「どうにか学年トップの成績です。」
「ここは学問の場所なんですね。」
「勉強は利益のためにするもので。」
「ここは役に立つことだけ教えてくれます。」

恵斗。
「論語読みの論語知らず。」
「いないでしょ?」

綴。
「実践できなければ嘲笑ですよね。」
「論語読みの論語知らず。」
「ここら辺にはひとりもいない。」

恵斗。
「形式って時に無能を隠すために使われる。」
「または、正統性を示すためにも使われる。」

綴。
「大学院を鑑定書にはしませんよー。」
「使えねーなんて言われたら情けない。」

恵斗。
「一分野だけ出来る人。」
「無難に与えられた仕事しか出来ない人。」
「そうならないように頑張って。」

綴。
「そんな可哀そうな人にはなりません。」
「忠告ありがとう。」

一緒にお茶。

男の子のような雰囲気の女の子。

つづりちゃん。

女の子らしい服装は嫌いらしく。

男性でも着れるような中性的な服を自作して。

普段着にしているそうですね。

恵斗。
「次世代エース。」
「大好きだよ!!」

綴。
「なんとか障りもなく上に行けていますが。」
「実力が足りるかは分かりません。」
「鍛錬あるのみです。」

つづりちゃんは去った。

恵斗。
「流れ星さまあ・・・。」

ミラ・ケーティー。
「わたしが呼んだお星さま。」
「こういうことだったのかあ。」

恵斗。
「またやってぇぇぇ。」

ミラ・ケーティー。
「そんなお手軽に出来ませんよ。」
「自分から呼び寄せるのは難しいんです。」
「気配がある時にだけ呼べるんです。」

恵斗。
「そうなのー?」
「つづりちゃんと一緒に寝たい。」

後ろから。

環奈。
「けいとちゃん。」
「わたしでは満足できない?」

恵斗。
「ほわー?かんなちゃんと一緒に?」
「不足はありまーん。」

環奈。
「ミラちゃん。」
「今度わたしにもお星さま呼んで。」

ミラ・ケーティー。
「今夜9時くらいに来てください。」

環奈。
「では夕方伺いますね。」

恵斗。
「ああー!おほしさまー。」

この夜。

環奈ちゃんはお星さまを10回目撃し。

流れ星は有り得ない時間光輝いて。

ミラ・ケーティーの力に与った。

これ以上は出来ないので。

戻るように言われて。

けいとちゃんがわくわくして。

ベッドの上で女の子座り。

かんなちゃんと一緒に寝たけいとちゃんは。

発狂。

そのまま朝になって。

ミラにお礼を言う。

恵斗。
「やっぱりあなたはわたしに向かって現れたのね。」

ミラ・ケーティー。
「記憶が戻らないです。」

恵斗。
「ここに来るためにあなたは来たのよ。」
「わたしに幸福をもたらすために!」

ミラ・ケーティー。
「もし最高善に値するのなら。」
「申し出るべきです。」
「幸福は最高善が産み出します。」

恵斗。
「ありがとー。」
「記憶が戻るまでじゃなくて。」
「ずっといてください!」

ミラ・ケーティー。
「わたしは構いませんが。」

恵斗。
「よーし。」
「不思議な女の子を確保。」

市民の間では。

流れ星を呼べる女の子として知られ。

けっこうな確率で流星を呼んでくれるため。

流れ星に願いを伝えることができる。

不思議な出来事に慣れている庶民にとって。

特別な存在は何をもたらすか興味津々。

既に定着しているミラ・ケーティー。

記憶が戻るのはいつになるのかな。


後日談(42)


環奈。

恵斗。

ミラ・ケーティー。

綴。

いつしか。

ミルザム四人衆と呼ばれていて。

フェミニズム学者から研究対象として選ばれていますね。

大学院にて。

学者が出した議題。

敢えてこの世の愚かな所をなじる。

風刺。

フェミニスト神学。
「女性が彩る世界は。」
「なんとも甘美なものですよ。」

環奈。
「宝石みたいにきらきらしていて。」
「見栄えもいいでしょ?」

フェミニスト神学。
「女性とは本来こういうものかもしれない。」

恵斗。
「多くの女性が欺いてきました。」
「人の世は欺く。」
「正しいように見せかける。」
「その上で取り違えさせるべく。」
「人間は工作する。」

フェミニスト神学。
「いやあ辛辣な酷評で。」
「真実に従って判断するとは。」

ミラ・ケーティー。
「真実は自然にあるよ。」
「自然を観察すれば。」
「真実がわかるもの。」
「自然には一切の嘘がない。」
「自然こそ真実。」

フェミニスト神学。
「いくら法定義しても。」
「自然由来の現象には太刀打ちできない。」
「こんな例え。」

綴。
「こんなふうに。」
「人は基本的には不自然な存在です。」
「わたしはどんな被造物からも教わっています。」

ミラ・ケーティー。
「世界が創造された形を保っているのは自然と天体などの宇宙。」
「自然は世界が創造された原型を映し続ける。」
「人はあらゆるものを人工物にして。」
「もっとも不自然な存在になりがち。」

フェミニスト神学。
「まあ人の世なんて風刺の題材になるだけですよ。」

環奈。
「宇宙を眺めていれば。」
「真理に気付けると思われる。」
「宇宙に真理あり。」
「特に太陽について。」

フェミニスト神学。
「そのとおり。」
「そういうことを前提にして考えているのが我々。」
「隕石が落下しても文句は言えまい。」
「疫病を法で縛ることはできない。」
「むしろ法が裁かれる。」

環奈。
「人に関するものは何でも欺くと思っていたほうがいいでしょうよ。」

フェミニスト神学。
「理法が規定されたのも。」
「あなた方の分析から来るものです。」
「理法は究極の法律。」
「いいや法律すら支配する道理。」

ミラ・ケーティー。
「あらゆる自然現象に人は無力です。」

フェミニスト神学。
「人の力はそこまでだ。」
「頑張ったと思っている。」
「人は自然由来のあらゆるものに屈するので。」
「増長もそこまで。」

ミラ・ケーティー。
「大きい犠牲のほうが。」
「小さい犠牲よりも好まれる。」

綴。
「換言すれば。」
「大きい犠牲をしてください。」
「それは小さな犠牲よりも好まれます。」
「人の世界について。」

恵斗。
「人には大きな犠牲を払ってもらうそうです。」
「ニーチェという好ましいリヒリストが述べていましたね。」

ミラ・ケーティー。
「何がよくて。」
「何が悪いのか。
「それは、まだ誰も知らないのだ。」

フェミニスト神学。
「本物のニヒリストはそんなに強いのか。」
「自立しているニーチェさん。」

環奈。
「自分を無視できるようになることが必要です。」
「たくさんのものを見るためです。」

綴。
「選ばなくてもやはり選んでいるのだ。」
「受動的で何もしなくても。」
「何もしないことを選んでいるし。」
「拒まないこと、黙っていること。」
「傍観しているのも選んでいること。」
「JPサルトルが抉った。」

フェミニスト神学。
「何も言わなくても同意というのは間違いない。」
「そうして選んだ結果は・・・。」

環奈。
「心に思想を抱いていることと。」
「胸に恋心をいだいていることは。」
「同じようなもの。」

綴。
「古典を持ち出した者の中で偽物はいない。」

恵斗。
「古典の有無で判定がつくのでは。」

フェミニスト神学。
「これは圧倒される。」

環奈。
「ある意見を、自分たちの独断でそれはダメなものだと。」
「あらかじめ決めつけて。」
「聞いてみようともしないのは。」
「自分たちにとっても有害。」

フェミニスト神学。
「むかしのひとが現代を見たら。」
「なんて愚かなんだ!と嘆いたりして。」

恵斗。
「現代が著作物なら批判も受けなければだめ。」

綴。
「作品だから批判も出るよ。」
「人工物なら出来栄えを判断されても不自然ではないでしょ。」

フェミニスト神学。
「女性たちから。」
「意見を聞いてみて。」
「人は変わる必要があると実感した。」
「まだこんな程度なのか。」
「それとも以前よりもずっと良くなったのか。」

環奈。
「もっとも愚かな時代との比較ですから。」
「教訓を述べたまで。」
「人は相対的に判断しますから。」
「このような批評家の集まりになった訳で。」

ミラ・ケーティー。
「批評家が70点を入れたら。」
「はじめて傑作。」
「この世でもっとも厳しい審査員ですし。」
「アリストテレスも批評家であったし。」
「人は不完全なので。」
「不完全な作品しか出来ない。」
「それを除けば。」
「批評家や文化人は最良の審判。」

フェミニスト神学。
「なるほど女性はこれまで欺く要素に無抵抗だったわけだ。」
「欺く世界に翻弄されてああなった。」

環奈。
「真実を求めないとくれないよ。」

フェミニスト神学。
「どうもありがとう。」
「今日は批評家になってくれて。」
「人生の舵取り・・・船乗りではないから分からん。」

綴。
「人生の舵取りですって?」
「金庫の数字合わせのようなもの。」
「つまみをひとひねりしても。」
「金庫が開くことは稀ですよ。」

ミラ・ケーティー。
「運命はトランプをまぜ合わせ。」
「われわれがそれで勝負する。」
「チェスのような対局は不可能。」
「膨大なプレイヤーと頻繁に交差するから。」
「ゲーム理論としては。」
「1対1のやり取りではないよ。」
「これが運命の力です。」

フェミニスト神学。
「運命とはそういうものか。」
「男女一緒ではなくて独立しているらしい。」

恵斗。
「恋って女性が一方的に損をする構図です。」
「割に合わない。」
「合理的な女性はこんなふうに言及しますから。」

環奈。
「合理主義の女性は手に負えないでしょうね。」

フェミニスト神学。
「知識人に現状批判をして貰った。」
「よく記録しておくように。」

助手。
「ばっちりです。」

夫人。
「お高いケーキを持ってきました。」

従者。
「形にして出すべきなのです。」

フェミニスト神学。
「そういうわけよ。」
「お持ち帰りもあります。」

環奈。
「おおー!男性は理解力が優れている。」
「そもそも男性から習ったものでやってきている。」

綴。
「わたしも男性から教わったものでやっています。」

フェミニスト神学。
「男性の芸術作品は気に入ってもらえたようで。」
「今後とも頼みますよ。」

恵斗。
「もちろん、また呼んでね。」

ミルザム四人衆は帰路へ。

環奈。
「女性とはなんだ?」
「まず最初は男性を模倣することでした。」

綴。
「中々マイルドでユーモア満載な世界を。」
「作り始めたのは男性ですし。」

恵斗。
「巨大プラモデル戦艦大和みたいな歴史観を持ちます。」

ミラ・ケーティー。
「上手なたとえもあるみたい。」

環奈。
「男性のやり方ですと。」
「芸術作品みたいな兵器がいっぱい出来た。」
「それで男性を証明できるのではないか?」

恵斗。
「戦車に関しても同じく。」
「男性のやり方で造られた作品は。」
「少年を虜にした。」
「女性がずっとむかしは脇役でしたが。」
「自らを証明できない女性は放っておけばいいです。」

綴。
「わたしも最初くらいは男性をお手本にしたものです。」

ミラ・ケーティー。
「男性はかっこいいものを作りたいがあまり。」
「美術品が発生することもしばしばある。」

環奈。
「兵器は特に男性の趣味が出るよね。」
「男性が先遣隊として前線に出たのは疑いなし。」

恵斗。
「そもそも女性は長らく黙っていたので。」
「あれも女性が選んだ世界だったのです。」

環奈。
「これは論争になりそう。」

V-22オスプレイに酷似した。

VTOL機が着陸。

タクシー。

この日は熱い議論になりました。

エリック・ホッファー。

前進への最良の刺激は。

われわれが逃げ出さなければならない。

何かをもつことである。

注釈。

現状に不満を持っていれば。

良くなりたいがあまりに逃げ出します。

不満を持つことは現状から逃げ出し。

善き方へ前進するきっかけ。


後日談(43)


パテル国王に呼ばれて。

王座。

騎士が笑顔でお出迎え。

何の用事かと言いますと。

パテル国王。
「衛尉に指定したい。」
「王族や貴族の護衛ならびに。」
「全体的な警備を取り仕切ってほしい。」
「在学中なのは仕方がないが。」
「日曜日の夜だけは頼みたい。」

環奈。
「喜んで。」
「試験投入になりますが。」
「自分を示したい。」

パテル国王。
「言葉を贈る。」
「道を歩き、つまずくは常なり。」
「いささか心を労するに及ばず。」

環奈。
「言い訳が得意な者が。」
「他のことが得意であることは滅多にない。」

パテル国王。
「ミスはしないに越したことはないが。」
「つまずくのは当然と考えている。」

環奈。
「自分の限界がどこにあるか。」
「発見するためには、自分の限界を超えて。」
「不可能だと思われるところまで。」
「行ってみる他はない。」

窮するもまた楽しみ。

通ずるもまた楽しむ。

楽しむ所は窮通に非ざるなり。

パルス。
「力を以て人を服する者は。」
「心服に非ざるなり。」
「力贍らざればなり。」
「徳を以て人を服する者は。」
「中心悦びて誠に服するなり。」

環奈。
「権力や武力で人を従えても。」
「心から従う者はいない。」
「徳をもって家臣や民にあたってこそ。」
「人は心から喜んで従う。」

パルス。
「議論は知識の交換であり。」
「口論は無知の交換である。」

環奈。
「人は常に前へだけは進めない。」
「引き潮あり、差し潮がある。」

ミラ・ケーティー。
「出ずれば生、入れば死。」
「世の中の常識から外れるならば。」
「人は自由に生きられる。」
「反対に常識にとらわれると死んだも同然。」
「老子。」

環奈。
「推薦で年金が出ているけれど。」
「余剰財産なのはどうして。」

パルス。
「もしも人間の価値がその仕事で決まるものならば。」
「馬はどんな人間よりも価値があるはずだ。」
「馬はよく働くし。」
「だいいち文句を言わない。」

オッフェーロ。
「ただ才のみ是を挙げよ。」
「こういうわけで。」
「国家が必要とする人物は才ある者のみ。」
「枢密顧問官の推薦もありますよ。」

環奈。
「報徳あるのみ。」

立ち去る。

小川の公園。

綴。
「勝ち負けは重要ではない。」
「といった人は、おそらく皆負けている。」

恵斗。
「最大の危機は勝利の瞬間にある。」
「歴戦ナポレオン曰く。」
「最後までわからないし。」
「勝利を確信した時に台無しにしたことがあるらしいです。」

ミラ・ケーティー。
「いかに多くの人が汝より先行しているかを見るよりも。」
「いかに多くの人が汝より遅れているかを考えよ。」

環奈。
「生き残ることのできる生き物は最も優れた生態能力を持った。」
「種族ではなく、環境の変化に順応できる種族である。」
「適者生存。」
「強い者、優れた者ではないし、身体能力や頭の良さは生き残りの条件ではないと。」
「ダーウィン。」

綴。
「目の前の山に登りたまえ。」
「山は君のすべての疑問に答えてくれるだろう。」

恵斗。
「宇宙を観察しても同じだよ。」
「なにかいいことあった?」

環奈。
「軍師大公望と共に。」
「酒池肉林の商の紂王を討った武王は。」
「王朝を開いたので山のてっぺんに宮殿を建てようとした。」
「弟の周公旦曰く。」
「我が王朝が腐敗したら。」
「みんなで滅ぼしに来やすいように平地に建てましょうよ。」
「笑い話になったという。」

白拍子。
「古人の徳ですね。」
「身の保身に走る我が情けない。」

綴。
「最近加わったの。」

環奈。
「女の人だ。」
「何か洒落でもあったりして?」

白拍子。
「適切にルールを破る方法を見つけるために。」
「ルールを学びなさい。」

綴。
「それって偉人の発言の中にあった。」

白拍子。
「モラリストなもので。」

綴。
「わたしも同じく。」

恵斗。
「古代中国の才人と比較すると。」
「現代人がどの程度か判明する。」

白拍子。
「凡人のやり方をしないだけで。」
「天才の同類になる。」

環奈。
「にしても。」
「社会についてはあらゆる所が係争中。」

白拍子。
「ヒューマンエラーまで誰も保障できない。」

綴。
「そう言われると。」
「正しいとか間違いだとか。」
「善だとか悪だとか。」
「そういう判断は有害。」

環奈。
「それを判定する人は誰なのか。」
「自分が決めていいのか。」

白拍子。
「ちょっとばかり馬鹿な方がまし。」

恵斗。
「自分が愚か者なんだろうと。」
「思っているくらいが丁度いいものですよ。」

話し込んでいると。

三人娘登場。

あろえ。
「広場でいろいろやっていたよ。」

瑛菜。
「謎の絵師がハイクオリティな絵を販売しているよ。」

喜彩。
「謎の行商が珍品を売りさばいている。」

あろえ。
「道化師が踊り狂っている。」

白拍子。
「声楽と言いまして。」
「歌劇だと思われます。」
「演じるだけではなく。」
「歌も踊りも大事。」
「声楽はアイドルの起源。」

綴。
「さすが遊女。」
「餅は餅屋。」

あろえ。
「狂気の詩人が暴れていた。」

環奈。
「それはさっき見たけれど。」
「向こうで焚火やっているよ。」
「焼き芋らしい。」

喜彩。
「わあ!利他主義もいたほうがいい。」

あろえ。
「利己主義に対抗するのだあ。」

瑛菜。
「エゴイストの目的は我儘をすること。」
「自由を求めてはいない。」

白拍子。
「質的功利主義でも読んでみては。」
「献身が必要な社会と自由の限界について。」

あろえ。
「哲学は理性的判断でなくてはならない。」
「焚火の方へ行こう。」

三人娘立ち去る。

白拍子。
「自分の思想に哲学的な根拠があると。」
「何を述べても安定するものです。」

恵斗。
「文学では。」
「思想が用いられることは明らか。」

環奈。
「本気でそう言っているのだと。」
「恣意的解釈されるでしょうけれど。」

綴。
「人が集まってきた。」

環奈。
「古代ギリシアでは。」
「どこでも議論が行われていた。」
「市民同士で。」
「どこかで読みました。」

白拍子。
「人は不完全な存在ですし。」
「人は独学で様々な発見や観測をしてきた。」
「神様から教えられたのは少なき事。」

環奈。
「天文学を考えるとき。」
「太陽系において。」
「必ず太陽を中心に考えます。」
「人も同じ。」

恵斗。
「太陽の立ち位置や存在を考察すれば。」
「人に関する真理は自ずと知れてくる。」

白拍子。
「せっかくの休日ですし。」
「ランチでも。」
「集会の参加人数が超過するでしょうし。」

綴。
「ここ10分で公園の人数が倍になった。」

環奈。
「明日から大学院で。」
「鍛錬の日々です。」
「私は古典の精読は怠らない。」

恵斗。
「まあ頃合いでしょうし。」
「ランチに行きますか。」

公園に集まってくる人数が増え続ける。

ランチタイムに移行。

哲学とはなんぞや。

という問題には。

いろいろ見解があって。

一致していない。



後日談(43)


ランチの後。

あろえと綴ちゃんが離脱。

珈琲専門店で語り合う。

綴。
「信徒は神を体験する。」
「無神論でもオーケー。」
「ちっぽけな人間が。」
「そんな大いなる。」
「超越的な存在を理解することはできないから。」

あろえ。
「聖アウグスチヌスから引用。」
「新しい脅威は常に発生するもの。」
「人間の愚行だけが変わらない。」

綴。
「哲学は元祖学問であると知っていますよね。」
「すべての学問を包括しており。」
「それぞれに独立した。」
「逆に言えば。」
「元祖学問を使いこなせば。」
「どんな学問も難しくはないよ。」

あろえ。
「思想はあるけれど。」
「変だとかおかしいとか。」
「凄いとか素晴らしいとか。」
「もっともだとか。」
「アリストテレスを借りれば。」
「そういうのはいったい誰が決めるのか。」
「形而上学での決め台詞。」
「そういうのは誰が決定するのか?」
「みんないろいろ決めたがっている。」
「かれらは。」
「健康な人か否かの判定者は誰かと問うている。」
「すなわち、一般的に言えば。」
「誰が各について正しく判定する者であるかと問うている。」
「しかし論拠のないものに論拠を求めている。」
「論証によってとらえようとしている。」
「説得すれば容認しますけれど。」
「ここら辺は悪い癖として語られていますね。」

綴。
「この世にあるものを発見しつつ。」
「論争を潜り抜けた歴史があり。」
「実際に観測された現象が書き残される。」
「反対に論争をすべて避ける態度は問題だよ。」

あろえ。
「自分の主張があっても。」
「歴史や学問の客観データを載せるだけで。」
「片付いてしまう。」
「他人や専門家は常に研究中で。」
「自分だけ頑張らなくていい。」
「心理学がちょうど。」
「一般人を動物のように説明したように。」
「フォールス・コンセンサス効果として告発したように。」
「告発者は好戦的。」

綴。
「同じ事が世界のどこでもやっている。」
「自分のすべきことだけでいいと思われる。」

あろえ。
「この世について知ってしまうと。」
「必要以上のモノは求めなくなる。」
「虚しいから。」

綴。
「作家は没原稿の数で決まります。」
「一度でもヒットすれば。」
「没原稿を手直しして。」
「次から次へと出せます。」
「何が天職かは調べたほうがいいし。」
「やってみればわかる。」

あろえ。
「俗事や煩わしいニュースなんぞ。」
「自分ひとりの力では何もできないから。」
「機会がある時だけでいいでしょ。」
「何があっても地球人類の選んだ結果。」
「すべて人類が選んだので。」
「なんて迷惑な!と苦情を言えばいいのです。」

綴。
「人類の愚行に巻き込まれて。」
「我儘を大勢で通されて。」
「自分が公害を受ける。」
「そうなると人のせいですし。」
「いかなる人間も神々と力を競うべからず。」
「民主制はエゴイストに口実を与えて滅んだ。」
「ヘパイストスが戦闘機や戦車を作ったら。」
「世界中の軍隊が数日の戦闘で滅ぶ。」

あろえ。
「冗談を混ぜながら。」
「議論を進めましょう。」

綴。
「ヨブ記は前と後ろが省かれて伝わりがち。」
「先天的な信仰の姿が説明されている。」
「後天的な信仰はヨブを反転させたものになる。」
「どちらかと言うと。」
「後天的な信仰の方が優しい。」

あろえ。
「国語辞典。」
「後から備わるもの。」
「先天。」
「生まれ出る前から身につけていること。」
「先天的。」
「生まれながらにして持っているさま。」
「後天。」
「生まれてから後に身に備わること。」
「後天的。」
「後天のものであるさま。」

綴。
「先天的な信徒は。」
「ヨブ記のように試されるが。」
「後天的な信徒は。」
「反転した内容なので。」
「ヨブ記を読んでおこう。」

あろえ。
「ノンクリスチャンに聖書の解読能力はありませんが。」
「文脈の通りの解釈なら。」
「なんとか可能ですよ。」

綴。
「青人草。」
「または被造物としての自覚を持っていること。」
「これをアイデンティティと呼びます。」
「自分が何者であるかを自分でわかっている状態。」

あろえ。
「信仰の到達点がアイデンティティです。」
「哲学用語。」

夫人。
「素敵な女の子・・・。」

哲学者。
「素敵に素敵と言って何が悪い。」

綴。
「もっとスーパーイケメンに言って貰いたい。」

紳士。
「本当のことを言って反論するのは勘弁してくれ。」

道化師。
「ソクラテスやヘパイストスも。」
「ギリシア伝説の山の精も。」
「醜男だったぞ。」
「優秀な男性ほど醜男なのではないか?」

哲学者。
「イケメンとはなんだ?どんな容姿のことだ?」

綴。
「みんな見かけ通りであるべきです。」

道化師。
「そうだ!みんな見かけ通りであるべきだ!!」

あろえ。
「やめなさいよ。」

夫人。
「え?顔だけで判断するの?」

哲学者。
「顔イコール素晴らしい・・・なら。」
「イケメンを礼拝する必要がある。」

道化師。
「美人女性・・・このプシュケめ!!」※美人に対する罵り。

夫人。
「プシュケがどうなったか知ると・・・。」

騎士。
「男だと!?」
「英雄と比較してやる。」
「シャルル七世より格好よくはないだろう。」
「ナポレオンみたいに格好よくはなるまい。」※イケメン男性への罵り。

哲学者。
「容姿と中身が一致していればどんなに素晴らしいことやら。」

綴。
「外面と内面が一致している訳がない。」

道化師。
「やめてくれー。」

あろえ。
「やめなさいよ。」

紳士。
「この世界を勘違いしているのではないか?」

哲学者。
「世界に対する誤解。」

騎士。
「勘違い。」
「誤解。」
「それは物事が本当のことになっている状態。」
「馬と間違えて山羊に乗ったり。」
「斧だと思ったら鍬だったり。」
「気付くまで。」
「本当のことになっている。」

哲学者。
「欺く・・・これは正しいと見せかける。」
「欺かれたら。」
「勘違いや誤解したまま行動する。」
「鹿だと思い込んで人間に狙いを定めてしまう。」

騎士。
「みんな自分の見識があって素晴らしい。」

哲学者。
「宗教とは説教ではなく実践である。」
「この人の出番だ。」

神父。
「祈りが通じてこう出たのだ。」
「代理人は言う。」
「私は、他の者には、まやかしの善をまとわせ。」
「その虚ろな心を長い偽りの夢幻で玩んだ。」
「金銀象牙で飾ってやった。」
「だが、内側に善は何もない。」
「お前が幸せ者だと見あげている連中は。」
「表に映るものではなく。」
「隠されているものを見れば。」
「惨めで、不潔で、醜い。」
「彼らの館に似て、配慮は外だけだ。」
「そんなものは無垢の幸福ではない。」
「化粧板、それも薄っぺらなものにすぎない。」
「だから、彼らが傲然と聳え、思うがまま、みずからを誇示できるうちは。」
「燦然たる輝きで人を騙す。」
「だが、何かが起きて彼らを揺さぶり。」
「上辺が剥げ落ちると。」
「その時、どれほど深く途方もない醜さを借り物の光沢が隠していたか。」
「あらわになる。」

綴。
「内面はこのようなもの。」
「外面だけは立派になった。」
「仮面。」
「彼らの上辺は偽り。」
「彼らは欺く。」
「彼らの内面を見れば醜悪であると?」

神父。
「聖書には誰も善であるとは書いていません。」
「全員悪だと書いています。」

綴。
「神様から見た人はこうなんだと。」
「啓示とは読むだけで倒れる。」

神父。
「前提・・・我々とは悪だから・・・。」
「しかし絶対的な演繹法ですぞ。」

綴。
「愚かでごめんなさい。」
「いずれ言いに行きます。」

神父。
「お金持ちと聖職者とは相性が悪い。」

あろえ。
「窮乏そのものはケチ。」
「人も節約したい。」
「命も節約する。」

神父。
「やめてくれぇ。」

あろえ。
「苦痛は随分なドS。」
「女王様の服装でいかがわしい。」
「いつもそんな姿。」
「運命。」
「正体は狡猾な蛇のオマージュ。」

神父。
「義となるのです。」

あろえ。
「義となるべきです。」

綴。
「彼らは不正を受けることも行うこともできない。」
「害することと害されることは、繋がっているからである。」

道化師。
「愚者で満員なら。」
「病気になったほうがよい。」
「健康ではいられないから。」

哲学者。
「それは私論か?」

道化師。
「私論を書いて何が悪い。」

哲学者。
「愚考を描く権利は誰にでもある!!」

道化師。
「そうだ!愚考を書いて何が悪い!!」

変態。
「私論を書籍にいたしまして。」
「私論という言葉の意味は・・・分かりますか?」

道化師。
「私論とはなんでもあり。」
「持論として持論を述べる。」

変態。
「こんな小説を書きました。」

道化師。
「この場面も小説か?」

変態。
「はい、この場面も小説の一部です。」
「タイトルは・・・ファックユー。」

騎士。
「・・・!!この戯曲は全年齢対象だぞ!!」
「こんなこと書く奴はぶっ殺してやる。」

乱闘が始まった。

激しい相撲。

店員が踊りながら運んでくる。

パン屋の娘。
「戯曲ですって?」
「わたしもできるかしら。」

作家。
「不完全にしてしまうのが秘訣さ。」

パン屋の娘。
「不完全な作品ですか。」

(H.48v.)

希望が死ぬと願掛けが生まれる。

レオナルド・ダ・ヴィンチ。

(手記・上)

綴。
「希望には一度死んでもらったほうがいい。」
「希望を自ら殺すほうが。」
「希望が他人によって殺されるより優しい。」

あろえ。
「性善説は子供の考え方をしている。」
「残念ながら、証拠を集めるのを忘れました。」

綴。
「わたしは歴史を証拠にする。」
「根拠?なんですかそれ?攻略可能なゲームのこと?」
「証拠ですよ、証拠には誰も逆らえない。」

あろえ。
「根拠ではなく証拠の方が桁違いに強力。」
「究極的な根拠は証拠を出すことです。」
「証拠に逆らえる奴などいません!!」
「証拠は服従の強制。」

綴。
「証拠能力とか証拠が正統とかの審査は?」

あろえ。
「そこが争点ですよね。」
「作られた証拠ではならぬ。」

綴。
「歴史書が証拠。」
「とりあいず古代ギリシアと古代ローマとか出せばいい。」
「聖書も出せばいい。」

あろえ。
「あとは勝負。」
「力と力の一騎討ち。」
「根拠ではなく証拠。」
「それは歴史を証拠に。」
「いっぱい出す。」

綴。
「反論する人々は証拠を出せるでしょうか。」

あろえ。
「多分、論破する人が出てくるでしょう。」

綴。
「その人は賢者です。」

あろえ。
「少なくとも、その人はわたしよりは上の存在です。」

綴。
「そんな猛者がいるのでしょうか。」

あろえ。
「これから出る。」

綴ちゃん。

「論争の的」というダーツの的を作成しており。

ダーツ場へ持っていく。

この「論争の標的」は。

いろんな人にダーツで射抜かれた。

何気に人気の的になってしまう。

「論争の的」は。

ワイルドなレストランの名物となる。

この後。

論争の的は。

ズタズタになって。

新しいものに取り換えられたとさ。

議論が進んで。

結論。

(省略)

くぁwせdrftgyふじこ。


後日談(44)


黄泉比良坂は現実に存在する。

島根県松江市東出雲町揖屋。

心霊写真になる場合が多い。

鳥居を潜ると激しいプレッシャーを受ける。

死ですか・・・?出てきた所に帰る・・・戻るだけです。

黄泉比良坂へと・・・。

という話をしているのは桜花ちゃん。

環奈。
「電話ありがとう。」

桜花。
「疎遠になったりして。」

環奈。
「それは否定する。」

桜花。
「バッチグー!さいならー。」

環奈。
「いい夜を。」

用事があって。

夜道を歩く。

さりげなく目の前。

空中。

翼の生えた男子。

聖なる武器を持っている。

鎧と金の兜。

ファヌエル。

希望の天使。

続いて。

杖を持った美青年。

ハラリエル。

警告の天使。

地球儀を持っている。

小さな地球儀が複数浮いている・・・・?

テイアイエル(未来の天使)とタブリス(自由意志の天使)

後ろを向くと。

フェネクス(悪魔学・ソロモン72柱の魔神)

不死鳥とは区別されている。

環奈。
「何事!?」

気を失う・・・と?

プラネタリウム?

ファヌエル。
「希望はあなたが存在するずっと以前からあった。」
「希望の力を体験することです。」

ハラリエル。
「地球人類に警告を与えるも。」
「気付く者は稀であろう。」
「警告は災害として強くする。」
「警告を受けて気付かなければ死あるのみ。」

テイアイエル。
「人々が悔い改めれば。」
「別の展開もありますよ。」

タブリス。
「それはできぬであろう。」
「自由意志を放棄する選択・・・。」
「滅ぶことを選択したのなら・・・。」

ファヌエル。
「希望はあなたの所有物。」
「神様からの贈り物だよ。」
「希望という名前の贈り物を貰ったかい?」

環奈。
「あなた方は?」

テイアイエル。
「目が覚めたら。」
「悪魔が来ないうちに帰りなさい。」

タブリス。
「真実を言う。」
「あれが人類の自由意志の結果だよ。」
「何度も言う。」
「人類が選んだ結果だよ。」
「あれが。」
「地球人類の自由意志だよ。」

ハラリエル。
「警告には犯意を持ってする人類。」

テイアイエル。
「あなたはまだ余地がある・・・。」

ファヌエル。
「神様から贈られし希望を捨てないで。」
「あなたに与えられたものだから。」

気絶から回復・・・?

棒立ち。

環奈。
「これは前に体験したような?」
「神の御技には少し慣れたけれど。」

???
「何か言われましたか?」

環奈。
「早く立ち去ろう。」
「ここは町の外れ。」
「人がいない所を通ってしまった。」

走って帰路へ。

悪魔ロノウェ。

言語を・・・した・・・。


後日談(45)


夢の中。

アズラーイール。

死を司る天使。

見たこともない姿。

こちらを見せている・・・。

剣で語りますか・・・?

謎の空間に飛ばされた・・・。

黒い翼の黒模様の獣人。

アドラメレク。

ユダヤ教とキリスト教において悪魔とみなされる。

深い偽善者と表現されている。

アスタロト。

過去と未来を見通す能力を持つ悪魔。

アイム。

人々をそそのかすのが得意で、法律にも詳しい悪魔。

アズラーイールの攻撃。

大きな星型の光を大量に降らせて。

起爆。

太刀打ちできない。

無傷。

環奈。
「え・・・?」

アドラメレク。
「性善説を信じよ。」
「偽善を信じよ。」
「悪を信じよ。」

アイム。
「怒りを受け入れよ。」
「怒りはお前の一部だ。」

アスタロト。
「あなたの未来が視えますか?」
「必然的にそうなると見えますか?」
「あなたが読んだ未来が真実です。」

アイム。
「法律は勝ち負けなのです。」
「一方的に有利で一方的に不利な争い。」
「正義とは関係ないのです。」

アドラメレク。
「悪を信じなさい・・・。」
「すべてに逆らいなさい。」

アイム。
「法律は人間の都合なのです。」
「人間の考えで神の真似事が出来るのです。」
「さあ・・・平和な暴力を受けなさい。」
「ゲーテは言いました。」
「法律は平和な暴力のひとつであると。」

アスタロト。
「未来は・・・ワタシタチ悪魔の物ダアァァァ!!」
「未来を提示シタ?」
「未来は悪魔の管轄ダアアァァ!!」

アズラーイール。
「死を恐れてはなりません。」
「あなたを弱くします。」
「生への執着があなたを貶めます。」
「生への固執が恐怖を生みます。」
「死を恐れるがあまり。」
「より死がやってきます。」
「死は生への執着を持つ人を好みます。」
「生への固執は死が好むものです。」

環奈。
「うう!これは?」

アイム。
「人生ですよ・・・大切に・・・へっへっへ。」

アドラメレク。
「あなたの人生ですからね?」

アイム。
「人間は何かあるとボロが出ますな。」
「あなたもいっぱいボロが出ますよ?」

アドラメレク。
「偽善を信じなさい。」
「あなたは善人を名乗っていいのです。」
「現実に善人じゃないですか。」

アイム。
「善悪の知識の木から盗って食べた善悪が法律になったダケサ!!」
「人間は善悪に欠陥がアルヨ・・・アハハハ。」

アスタロト。
「未来を予測すると・・・ワタシガデルヨ!!」

環奈。
「この悪魔ぁぁぁああ!!」

アズラーイール。
「力の強さ・・・心の強さ・・・。」

環奈。
「自分の心に恐れを感じる・・・。」
「死は逃げていく・・・。」

アズラーイール。
「死は生を求める者を好みます。」
「死んだ後の事は誰も伝えられないから。」

環奈。
「死んだ後のことはわからない。」

アズラーイール。
「死んだ後の続きは・・・またおいで。」
「最期の時に・・・迎えに行きます・・・・。」

目が覚めて・・・。

いつもの部屋。

二度寝したら。

その日の夕方に思い出して・・・。

???


後日談(46)


家族からの手紙の内容。

そこへ行くとぼくは、作品を続々と出しすぎたので。

うんざりされた。

君も今何巻目を読んでくれてるのか知らないが。

頼む。

ぼくの本はそれ一巻しかないと思って読んでくれ。

マルティアリス。

なるほど。

そう言うと。

珍しいものが喜ばれるのだ。

林檎も初物ならいっそうよいし。

冬の薔薇なぞ、そりゃあ高値を呼ぶ。

批評家は大体。

その作品の愚かな場所を徹底的に叩く。

自称審査員よりも批評家の方が優れている。

庶民という名の文化人も手ごわい。

手紙をしまって。

机にはアリストパネスの喜劇作品が置いてあって。

古書で溢れている。

来客。

女の子のお茶会。

あろえ。
「結婚を辞退する権利は自然権と自然法に含まれる。」

瑛菜。
「エロティシズムが男性目線であるが。」

喜彩。
「女性目線のエロティシズムが必要であると説く。」

あろえ。
「結論は出ない。」

環奈。
「要領なら、いい方です、私は独り者ですからね。」

あろえ。
「シェークスピアの詩人のシナ。」
「寸鉄殺人。」

喜彩。
「結婚なんて風刺の対象。」

瑛菜。
「それのなにゆえにそうあるか。」

あろえ。
「反対者は持論に執着して。」
「まともな論証は有り得ない。」
「言及する資格がない証拠になる。」

喜彩。
「悪平等。」
「ニヒリストを相手にするのは合理的ではない。」

瑛菜。
「そいつらはケンカを吹っ掛けるのは得意なんですけれどね。」

環奈。
「現代が最高峰という歴史観は否定されませんか。」

あろえ。
「現代が最高峰と言える証拠はない。」

環奈。
「例えば、退廃すると自分が腐っているとかわからない。」

あろえ。
「いいえ、彼らのあれは悔し泣きです。」

喜彩。
「泣き喚いて、こちらを巻き込もうとしています。」

瑛菜。
「冥加に尽きる。」
「神様に見放された連中が。」
「ハデスに焼かれる前に道連れにしようと。」
「頑張っているんです。」

環奈。
「実際にはハデスに焼かれる人の方が多数派なんだけれどね。」

あろえ。
「天国に行けるのは少数で。」
「残りは地獄行きっていうのは習わなかったのかな。」

喜彩。
「馬鹿まで助ける義務はないでしょ。」

瑛菜。
「前文明はテスト版なの?」

あろえ。
「洪水で流されたらしいけれど。」

喜彩。
「人間なんて選ぶから。」

環奈。
「こう叫んではどうですか?」
「滅びるがいい人間共よ!!」

あろえ。
「人間に仕える結果というのを。」
「きっと知らないでしょうね。」

瑛菜。
「天定まって人に勝つ。」
「天の道理を破る人間が栄えたとしても。」
「それは一時のことでしかない。」
「天の道理がもとに戻れば。」
「自然の理により結局悪は滅びる。」
「しょせん人力は天の力には及ばないものだ。」
「出展。」
「史記。」
「故事。」

環奈。
「もし以上のように。」
「人間が調子に乗っても。」
「そうなるのね。」

喜彩。
「私はそれを祈っています。」

あろえ。
「かんなちゃんも神様に祈りなよ。」

瑛菜。
「ソドムとゴモラは通報がたくさんあってから。」
「硫黄で滅ぼされた。」
「現代は?」

環奈。
「おおっと!そうすれば良かった。」
「千慮の一失。」

最近は天意に背く者も出ているので。

それではいけないと。

そういう連中が出ないように。

食い止めています。

世界の基本法は理法で。

天意こそが人の理念。

再確認と再構成の時期に差し掛かりました。

自己診断です。

環奈。
「お茶おいしかったな。」

美人。
「かんなちゃん!」

環奈。
「はい?」

美人。
「結婚してください!」

環奈。
「えー!?」

花束を渡されまして。

女性に求婚されてしまい。

美人さんでして。

襲われそうなので。

花束を受け取って逃げました。

美人。
「お返事待ってます!」

環奈。
「気持ちだけ受け取りますー!」

王座にて。

パテル国王。
「それで?いいこと?とは?」

大臣。
「女性が進歩主義になっております。」

パテル国王。
「しばらく前から女性は進歩主義になったな。」

大臣。
「進歩主義に活動する女性ですが。」
「能力は未知のもの。」
「我が国でもアイドルが必要かと。」

パテル国王。
「象徴は確かに必要だろうなあ。」

大臣。
「かんな女史を現代女性の象徴にしてみては?」

パテル国王。
「おお反対などしないぞ。」
「お前の好きなように。」

大臣。
「では、代表者になってもらおう。」

雑誌の記者が取材に来て。

写真集も出したいと。

かんなちゃんに直談判。

環奈。
「いい話ですね。」

記者。
「今時の女性の代表として。」
「おはなしを。」

環奈。
「思う存分。」

再び王座。

パテル国王。
「今度はなんだ?」

大臣。
「かんな女史を。」
「市長にしてしまったほうがいいのでは。」

騎士。
「教師の方が融通が利くのでは。」

貴族。
「提督にしてしまったら大胆。」

国王の親戚。
「宮廷顧問官のほうがいい。」

パテル国王。
「ああよくわかるが。」
「ちょっと気が早い。」

いろいろな話になる。

というのも。

まず我を張ることがない。

我が強くない。

というのが知られていて。

パテル国王。
「話はわかったので。」
「何か手柄を得たら。」
「小さな領地を与えるのもいい。」

貴族。
「逸材でしょうから。」

大臣。
「騎士たちの好みなのです。」

パテル国王。
「承知しているから。」
「まだ何かあれば言っておくように。」

議論になった。

なにより。

女性の英雄や。

女性アイドルを国が求めていたので。

田舎ではそこまでとびきりの人材がいるのか怪しく。

近年の女性の変化と進化。

女性が進歩主義になっているので。

やっぱり象徴となる女性が必要で。

そこでかんなちゃんが適任であると思われたので。

男性たちが何やら話し込んでいるようです。

環奈。
「そこの貧乏人。」

貧困層。
「なにか?」

環奈。
「神様に頼めば1000円降ってくるよ。」

貧困層。
「大言壮語じゃないよな?」

環奈。
「さあ早く。」

貧困層。
「おお!我に1000円くれたまえ・・・本当に降ってきた。」

環奈。
「大切に使うように。」

同時刻に。

お金持ちが。

富の使い道に苦悩し。

手品好きだったので。

スリを反対に使って。

いろんな人のポケットに現金をねじ込んで。

いつの間にか1万円がポケットに入っているもんだから。

大喜び。

軍事顧問の経験を積むように。

派遣された最前線では。

度々戦闘があり。

年に数回小競り合い。

PMSC(民間軍事警備会社)が奇襲を受けたので。

撤退支援に。

実戦訓練としてかんなちゃんは派遣。

搭乗するビークル。

全面装甲戦車の指揮官型。

正面装甲の防御力を廃止して。

どこに対戦車ミサイルが命中しても良い。

すべての角度に複合装甲という戦闘車両。

スパイクLRミサイルの集中攻撃に中破で済んだ実績。

上方フレア発射装置や。

敵ミサイルを迎撃する装置。

内部には大型モニターで外の様子が鮮明。

ここで指示が必要。

環奈。
「森林と小川の多様な地域であり。」
「小山もあり。」
「奇襲に適している。」
「補給は大回りで行い。」
「ここの地域は通らない。」
「道路はけっこうあるので。」
「日によって道路を変更するなど。」
「空輸を増やすなどを提案します。」

少佐。
「護衛をつけて補給物資を届ける。」

軍師。
「失敗はショートカットが原因である。」
「かんな女史が正しい。」

PMSC(民間軍事警備会社)が大回りを選ぶと。

奇襲に失敗する敵が続出し。

結果論として将軍は満足した。

宮殿の屋上にて。

ペルナ。
「女王になるらしいです。」
「ただし、何も起きなければ。」

環奈。
「わたしには公義がある。」

ペルナ。
「結婚してください。」

環奈。
「結婚なんて、文明的であるかのように偽装された。」
「奴隷制度にすぎません。」

ペルナ。
「人々の偏見とは違う意見を冷静に表現できる人はごくわずかです。」
「ほとんどの人は、そのような意見を持つことすらできません。」

環奈。
「わたしは名声を得てどんどん馬鹿になりました。」
「もちろん、それはごく普通の現象ですけれど。」

女性が進歩主義になっており。

女性はひたすら進歩主義に訴えて活動中。

あろえ三人娘を中心とした。

国家公認女性アイドルが創設され。

最高が環奈ちゃん。

雑誌の取材や写真集のオファーが来たり。

クルトゥーラ国における女性の象徴なので。

忙しさがあります。

女性の進歩主義社会が誕生。

進歩主義の女性は斬新な活動を開始。

世界各国は女性の進歩主義に呑まれています。


後日談(47)


平和ならんがために戦争を行う。

戦争することのために戦争することを選ぶとか。

戦争を挑発するとかはしないのである。

実際、もし戦闘や殺戮が行われるのを目的に。

敵を作るのなら吸血鬼。

アリストテレスの倫理学より。

パーティー会場にて。

環奈。
「みんな理法に従う気はないようですが。」

綴。
「理法に逆らうことばかり考えていない?」

環奈。
「再三にわたって理法に従いなさいと。」
「説教したのですが。」

綴。
「悪しき者はただ、そむく事のみを求める。」
「それゆえ、彼に向かっては残忍な使者がつかわされる。」

環奈。
「理法に逆らうらしい。」

恵斗。
「因果関係もなしにいろいろある。」
「優遇や冷遇もある。」
「異世界テンプレートなんてありますが。」
「形而上学としてはああいう展開。」
「似たものならありふれている。」
「理由もなしにそうなっているので。」

綴。
「因果関係なしに最強とか現実にもありますよ?」
「因果関係も理由もない現象が普通に・・・です。」

環奈。
「そんな馬鹿な。」

綴。
「運だけで勝利するとか本当にあるよ。」

恵斗。
「公正を求めても人の要素にどこにもない。」

環奈。
「優遇と冷遇を見れば。」
「一般人の説明がつかない。」

綴。
「そこら辺は・・・。」

機械からの神。
「世襲制ですよ。」
「人の運も権力も成功も。」
「人のすべては世襲制ですよ。」
「支配者たちの悪徳によって、寡頭制(オリガルキア)が。」
「人生における成功とやらと出生の決定権を持っているのです。」
「人の自然権も自然法も神秘的な寡頭制は踏み倒す。」
「悪徳ですからね。」
「何か都合が悪ければ。」
「出生も成功も世襲制で決まっているのだから。」

ミラ・ケーティー。
「良識を備えているほどの者は決して・・・・・すべきではない。」

恵斗。
「自説に固執する強情っぱりもいるし。」

ミラ・ケーティー。
「パルメニデス。」
「あるものがあらぬということ。」
「このことはどのようにしても証明されない。」
「を論破しないで歩調は合わせられない。」

環奈。
「すべてに仕合わせな人間などいない。」
「世間には、本当に自由な者など一人もいない。」
「なぜなら。」
「世の人間は金銭か運の奴隷であるから。」

少年。
「自分自身を知らねばならないというのは嘘だ!!」
「とにかくあの愚鈍さを見れば分かるが。」
「彼らが本当に自分自身を知っていたのなら。」
「人権などと主張してはいない!!」

紳士。
「あなた、免疫もないのにワインを飲んだよね。」
「酒を飲むからそんなことを言いたくなるんです。」

瑛菜。
「確かにルール違反でしょうけれど。」
「しかし道理にかなっている行動なんです。」

喜彩。
「害というのは都合から来る害なのでは。」

あろえ。
「道理にかなっていることを言ってはいけないのですか?」

少年。
「言われてみれば。」
「言っているような害ではありません。」

あろえ。
「しかるべき名誉を認めないことも侮辱の一つである。」
「かの者はわが名誉を辱めたり、わが褒賞を奪いて己がものとせしゆえ。」
「この私を、あたかも名とてなき放浪の徒のごとく。」

紳士。
「軽蔑する資格のない者。」
「より劣っている者にとって相応しいのは。」
「自分より優れている者を軽蔑しないことなのだから。」
「ザコはザコらしく振舞うこと。」

喜彩。
「正義とか結婚とかは。」
「なにであるか。」
「物事のなにであるか。」
「問い求めるのは当然の理がある。」

議論が白熱する社交界。

環奈。
「倫理としては。」
「平和ではないので戦争をするんです。」
「戦争をする側は平和ではないので。」
「戦争をする。」
「平和ではないから戦争がある。」

道化師。
「何のために快楽するかを問いはしない。」

白拍子。
「危機に遭ってなお立派に振舞っているのであれば。」
「その災難が本人には不当なものである上に。」
「目の前に居座っている。」

喜彩。
「不当な災難?もはや決定論。」

あろえ。
「決定論に訴えたほうがいいよ。」

瑛菜。
「どんな哲学でしたっけ?」

あろえ。
「決定論。」
「ある出来事が生じるのは。」
「先行する条件によって完全に決定されている。」
「という論説。」
「ボールを投げるときは物理学によって。」
「飛距離が決まっているので。」
「選択が入り込むことはない。」
「脳も単なる物質であれば。」
「あらかじめ決まった通りに動いているだけ。」
「自由や選択は錯覚になってしまう。」
「そうなると。」
「先行する条件でそうなっているだけなので。」
「車で事故になろうが。」
「自由意志など錯覚なので。」
「初めからすべてが決まっている。」
「こうなると運転手に責任はない。」
「決定論は責任や道徳を無効にする場合がある。」

喜彩。
「しかし証拠ならいくらでも見かけましたが。」
「この世には選択によっても変えられない事が多過ぎるもので。」
「勝手に決まった条件によって。」
「強引に進められてしまったり。」
「強制されたりすると。」
「選択なんて無視されてしまう。」
「他律になれば選択した意味がないです。」

瑛菜。
「本人の選択に関係なく物事があって。」
「本人の選択を無視することも可能です。」
「有利ならある程度は自由意志で決まりますが。」
「不利なら自由意志とは関係なく。」
「言い掛かり。」
「挑発を繰り返す。」
「犯罪者に仕立て上げる。」
「無理にこじつけて攻撃。」
「罵って煽る。」
「強要罪を発生させたり。」
「命令すれば選択の余地なんてありません。」
「騙したり欺くと。」
「欺く回数が多いと選択を踏み倒せます。」
「要は洗脳すれば決定論が正しくなる。」

あろえ。
「強要されたりすると。」
「自由意志はもう関係ないです。」
「この世界を調べますと。」
「決定論に有利な証拠が何個も見つかります。」
「選択と決定論は両立しているもので。」
「お互いにセットになって存在しているのが合理主義の見解です。」

瑛菜。
「自由意志と決定論はセットになっている。」
「この証拠ならけっこう見つけます。」
「ゲーム理論で説明できますけれど。」
「膨大なプレイヤー全員がナッシュ均衡を選択すれば良いのですが。」
「思惑は全員違いますし。」
「必ずしも合理的な判断をしないので。」
「とりあいず貶めて殺害すれば。」
「選択の自由?なにそれ?馬鹿じゃない?死人に口なし・・・なんて展開もありうる。」

喜彩。
「なんでも強制すれば自由意志など関係ないですし。」
「選択したからと言って実行力があるわけではない。」

あろえ。
「自由意志による選択は実行力がありません。」
「実力行使してくるもろもろの何かはそれらを無視できます。」

喜彩。
「出生を操作して先行する条件を作り出せば。」
「あとは決まった通りに動くだけでしょ。」
「こういう説明で決定論の証拠になる。」

瑛菜。
「自由意志は何の実行力もないので。」
「出生や環境で外的帰属が強力になりますと。」
「必然的に決定論が強力になりますね。」

あろえ。
「自由意志と決定論が両立している。」
「どちらも正しいが。」
「セットであることの証拠は出せましたね。」
「正教としては決定論の方が有利です。」
「選択の自由にそこまでの実行力はないです。」
「自由意志で出来る事は限られています。」

喜彩。
「自由意志と決定論はセット。」
「神様に伝えるべきか。」

あろえ。
「祈りによる霊感・霊験から見て。」
「決定論に陥る状況はありますよ。」
「本人の選択だけでいろんなものが決まるわけないでしょ。」
「道徳や責任を無効化する作戦も時に必要。」
「形而上学からして。」
「決定論を持ち出して正当化しないと成り立たない場面もある。」

弁論家。
「いかなる弁論も証拠と一緒に繰り出すものですぜ。」

道化師。
「本当にあなたが選んだものだけで成立しているのですか?」
「これで自由意志はほとんど意味がなかったことになる。」

政治家。
「むしろ勝手に決定されているもので成立していませんか?」
「これで決定論が実存するものであると説明できる。」

弁論家。
「いかなる弁論も証拠と一緒に繰り出すものですぜ。」

白拍子。
「実存主義!実存主義!」

道化師。
「カトリックは真っ蒼になる。」
「プロテスタントは材料にする。」

紳士。
「仮説形成にしては説得力がありすぎる。」
「自由意志と決定論は共存関係にある。」
「自分の選択だけでは決まらないし。」

あろえ。
「他のプレイヤーの変態行為でけっこう左右されたり。」
「形而上学と哲学と宗教とゲーム理論と兵法などを包括して述べておきました。」
「どっちも正しかったね。」

弁論家。
「いかなる弁論も証拠と一緒に繰り出すものですぜ。」

道化師。
「それより政治が嫌なら革命でもやれば?」

紳士。
「自分で倒せと煽るのか?もはや暴力でしかない。」

弁論家。
「いかなる弁論も証拠と一緒に繰り出すものですぜ。」

政治家。
「君主制(バシレイア)」
「貴族制(アリストクラティア)」
「ティモクラティア(有資産者制・制限民主制)」
「ポリテイア(立憲民主制・共和制)」
「最善なのは君主制。」
「最低なのはティモクラティア。」
「民主制は悪しき種類で。」
「いろんなもののマイナーチェンジとのこと。」

少年。
「この!リアリストがあああ!?」

資本主義者。
「現実主義者?それがどうした?」

少年。
「お前の言う現実って何のことだ!?」

哲学者。
「写実主義者?実在論者?」
「リアリストがなにをしたのだ?」

少年。
「ただそこにいたのだ。」

老将厳顔。
「それは理由もなしに攻撃するだけではないか。」
「リアリズムが嫌いなのか。」
「屁理屈でもいいから口実にしたいのか。」
「口実があれば人を攻撃できるが。」
「口実を自分で作るとは。」

少年。
「現実現実勝手に作りやがってリアリズム!!」

紳士。
「適当に相手してやってください。」
「あらまあ次の瞬間にはやられちゃったのね。」

民主主義者。
「私は善人です。」
「と言う人はずるい。」

白拍子。
「善人を名乗るなんて狡猾な。」

環奈。
「私は悪人です。」
「と言うのは。」
「私は善人です。」
「と言うことよりもずるい。」

道化師。
「性善説とはいつもケンカしているよ。」
「あんた性悪説なんだって?」

白拍子。
「苦情ならダイモニアに言ってください。」
「言ったら言ったで文章やアイデアなどを失いますが。」

書家。
「ソクラテスの弁明・クリトン。」

牧師。
「ダイモニヤに言うなんて自殺行為だ。」

白拍子。
「ダイモニアのおかげなのです。」
「モラリストの執筆活動・・・これも例外ではない。」

環奈。
「誰かがお酒を混入させた。」

道化師。
「食中毒だ!少年は倒れている。」

牧師。
「ダイモンの名前を呼ぶと来るぞ。」
「耐えられるかは別の話だが・・・。」

書家。
「気違いだ!気違いだ!助けてくれ!!」

牧師。
「なんだ?」

書家。
「狂気の詩人に捕まる!!」

白拍子。
「一度捕まると殺すまで詩を朗読してきますよ。」

ホラーティウス。
「なぜ彼は詩を書きまくるのか。」
「よく分からない。」

演劇が始まって収束。

ここぞとばかりに演説をする人が続出。

基本的になじる議論。

パーティーは終了。

帰路。

怪しげな一団。

よく見るといつか見たゼノ。

ゼノと名乗る人物は複数いる。

ゼノという二つ名はむかしからある意味人気。

環奈。
「足の傷の具合はどうですか?」

ゼノ。
「おかげで作戦は失敗したよ。」

環奈。
「噂があります。」
「扇動しているのは本当ですか?」

ゼノ。
「誰かが流した讒言なんじゃない?」

後ろから何者かが接近。

不意討ちをかわした。

ゼノ。
「僕は傭兵なのでわかんなーい。」
「そいつを拷問することだな!さらば!」

謎の男性と交戦。

曲芸みたいな動きをするかんなちゃんに。

翻弄される暴漢。

剣に打ち付けて。

スタンした所を。

掴まれて斬られて暴漢ダウン。

衛兵がやってきて。

捕獲。

珍しく扇動者を捕虜に出来ました。

ゼノ。
「民主制だって?そんなことはない。」
「民主制は賢明ではないので。」
「脅威になる心配がないためだ。」

衛兵。
「何しに来た!傭兵!」

ゼノ。
「民主制は安全でいいよ。」
「平和が得られやすいし。」
「民に優しい。」
「政変も無ければ。」
「ローマ共和国のように運命共同体。」
「無駄に自由だし。」
「好きなだけいろんなことがやれる。」
「馬鹿をしても殺されない。」
「保身を考えなくてもいい、危険人物は少ないから。」

衛兵。
「だからここに何しに来た?受け答え次第で拘束する。」

ゼノ。
「やっと編み出した間接民主制によって。」
「いい暮らしが出来ている。」
「素晴らしいよね。」
「愚かだけれど。」

衛兵。
「なにが言いたいんだ。」

ゼノ。
「民主制は愚かだが素晴らしい。」

衛兵。
「仲間なんだろう?」

ゼノ。
「そんな事実があっても害はない。」
「賢明な者が攻撃してくることは有り得ない。」
「道徳にかなっているものを攻撃するのは公害だ。」

衛兵。
「だから何が言いたいんだ。」

ゼノ。
「馬鹿の仲間ではないだけで迫害される!」

衛兵。
「取り調べていいか?」

ゼノ。
「民は一生懸命だよ。」
「娯楽に関しても富んでいるよ。」
「庶民は最善を尽くしているよ。」
「善良市民であることを心掛けているよ。」
「可能な限り自分を向上させているよ。」
「ただし、ひとりも道理にかなっている者はいなかったが。」

精神分析医。
「何かの作戦では?」

ゼノ。
「私は全体主義が嫌いで・・・と申します。」

衛兵。
「まだ言うのか?」

ゼノ。
「外的帰属がいろいろと・・・申すつもりはありません。」

精神分析医。
「何かの作戦です。」

ゼノ。
「ばったり偶然クジ運が悪くて・・・などと。」

衛兵。
「だからなんなんだ。」

ゼノ。
「そう言っても納得するようには見えんな。」
「成り行きでこうなってしまったのだ。」

精神分析医。
「作戦ですって。」

衛兵。
「どうしろと言うんだ!!」

ゼノによる前置きで時間潰しに遭う。

このあと。

同じ事の繰り返しで10分続いたそうですね。

ゼノ。
「言論弾圧でもしますかな?」

騎士。
「ローマでも言いたい放題言っている人がいたよ。」

市民。
「牢獄に入れてあげましょう。」

衛兵。
「馬鹿はどっかへ行け。」

神学者。
「懲罰は治療。」
「匡正のため。」
「医師も最初は軽いものからはじめる。」
「だめなら。」
「患者が軽傷ではないのなら。」
「より深刻な治療を施す。」
「患者が重症化すれば。」
「霊的に死んでしまうから。」
「体にメスを入れることもある。」
「懲罰とは矯正と治療であって。」
「患者が病を直す努力も必要。」
「病院に通って医師に診察してもらう必要がある。」
「セネカ曰くこれが懲罰の真実である。」

牧師。
「真理は五千円ほど用意して。」
「どこかの店に行けばひとつは手に入る。」
「さて、自分にとってなにがいいのか。」
「考えてみよう。」
「神様と一緒に。」
「こういうのも真理。」

ゼノ。
「財布の中身が・・・不安。」

騎士。
「不安だって?」
「蓋然性の度合いの管轄だぞ!!」
「少し学べば分かることじゃないか!!」

衛兵。
「不安と蓋然性が戦争して。」
「蓋然性が勝利する。」

ゼノ。
「それで?お縄にするので?」

騎士。
「今回は見なかったことにしてやる。」

市民。
「民主制論者をやめれば?」
「王政に反対したバスチーユよろしく。」

ゼノ。
「でも、人の数だけ意見あり・・・ですぜ。」

市民。
「ローマ共和制を見なかったのか?」

騎士。
「理にかなった意見なら意見書で送付せよ。」

ゼノ。
「理に合わない意見は?」

騎士。
「そんなものあるのか?」

ゼノ。
「理にかなった意見を演説していいか?」

衛兵。
「自分を裁けるのなら。」

ゼノ。
「自分を裁く?未熟な内はいいのか?」

兵士。
「大人になると不要らしい。」

ゼノ。
「自分を裁く基準がどこにもない・・・。」
「なんて悲惨な人間はどうすればいい?」

騎士。
「自分を裁く基準がない?」
「それは最悪だ。」

通りすがり。
「でも。」
「霊的な大人になったら。」
「自分を裁かないって。」

騎士。
「牧師さんの所へ行きなさい。」
「餅は餅屋。」
「餅を搗くのは餅屋が一番うまい。」
「それが戦闘機だったらどうするんだ。」

ゼノ。
「コンピューターはマイクロソフトと言った具合に?」

騎士。
「自動車は自動車メーカーが一番うまい。」
「探査機はNASAが一番うまい。」

ゼノ。
「NASAがうまいのは誰でも認めるが・・・。」

騎士。
「F-22Aラプターと同じものを素人が作ればいいのか?」

ゼノ。
「はい!牧師さんや神学教授に意見を求めます!!」

敬礼して去っていくので。

グッドをかます衛兵。

民主制論者も歓迎される議論の場。

寛容な政治はあらゆる政治形態を実験したい。

大体。

我を張る人間しか争いをしないので。

珍しい御沙汰でした。

環奈ちゃんお手柄。

暴漢は先導者の幹部クラス。

何かの勢力が複数いて。

マフィア的な連中が内乱を企んでいるようです。

警備員と暗殺者が交戦したあとで。

警備員に損害が出て。

暗殺者はみんな死にました。

パーティーを狙ったらしいですが。

この国はへなちょこではありません。



後日談(48)


-大学院にて-

わたしはここで他の人が学んでいたことはすべて学んだ。

しかも。

教えられていた学問だけでは満足せず。

もっとも秘伝的で稀有とされている学問。

魔法書。

占星術や錬金術を扱った本まで。

手に入ったものはすべて読破したのだった。

すべて良書を読むことは。

著者である過去の世紀の人々と親しく語り合うようなもので。

しかもその会話は。

彼らの思想の最上のものだけを見せてくれる。

入念な準備のなされたものだ。

雄弁術にはくらべるもののない力と美がある。

詩にはうっとりするような精細さと優しさがある。

数学には精緻を極めた考案力があり。

これが知識欲のさかんな人たちを満足させるのにも。

あらゆる技術を容易にして人間の労力を軽減するのにも。

大いに役立つことができる。

習俗を論じた書物は。

いかにもためになる教訓と徳への勧めを数多く含んでいる。

神学は天国に至る道を教えてくれる。

哲学はどんなことについても。

もっともらしく語り。

学識の劣る人に自分を賞賛させる手だてを授ける。

法学、医学、その他の学問は。

それを修める人に名誉と富をもたらす。

そして最後に。

これらの書物を。

どんなに迷信めいたもの。

どんなに怪しげなものまでも。

ことごとく調べあげておくと。

その正しい価値を知り。

欺かれないようにするためにはよいことである。

書物には充分な時間を費やし。

充分以上は不都合が生じ。

不具合に悩まされるのは最初から分かるもので。

しかし良識を獲得するのには必要であると信じている。

柚月葉。
「どこに出かけるのか、何をしようと思っているのか。」

環奈。
「いや、まったく、私にも分からない、だが、誰かに会えるだろうし、何かをするだろう。」

柚月葉。
「いつかは自分のために生きたい。」

環奈。
「我々にはわずかな時間しかないのではなく。」
「多くの時間を浪費するのである。」

柚月葉。
「自分は半ば自由、半ば囚われの身。」

廊下で友人と立ち話。

上の階。

屋上の机に教科書を開いて。

予習中。

帝王学を習っているペルナちゃん。

旅行に来た優斗という少年が接触する。

ペルナ。
「生きる術は生涯をかけて学び取らねばならないもの。」

優斗。
「美しい。」
「女性の中の女性だ。」

ペルナ。
「まあテンプレート通りの男性だこと。」
「口説いているの?」

優斗。
「ありのままの表現に。」
「口説き文句はナンセンスですぞ。」

ペルナ。
「ほうほう。」
「ではあなたは男性らしい男性ということです。」

優斗。
「おやまあ。」
「お互いに事実であると言うのですか?」

ペルナ。
「男性の資料としてはあなたは有益です。」

優斗。
「あなたは女性の資料としては最高です。」

ペルナ。
「しかしわたしは男性と関わろうとは思いません。」
「おまけに彼氏がいるんですもの。」

優斗。
「ん?男女は結び合うのが世の常ですか?」

ペルナ。
「女性が好きで何かいけないことでも?」

優斗。
「所で男女結び合って。」
「婚姻するのは誰が決めたのですか?」

ペルナ。
「結婚や恋は誰が作ったのですか?」

優斗。
「勝手に決まっている気がする。」

ペルナ。
「自由意志で拒否権を行使できるでしょう。」

優斗。
「本当に男女の構図は誰が決めたのでしょうね。」
「何の疑いもなく従うのは知性があるのかないのか。」

ペルナ。
「これは個性です。」
「欠点ではない。」
「この世には誰が決めたのか分からない考えが多くある。」

優斗。
「その立派な剣で。」
「自分のモノではないモノ。」
「みんな破壊してやってください。」

ペルナ。
「自分のモノではないモノをすべて壊せと?」

優斗。
「そうです破壊です。」
「自分のモノではないモノには冷酷に対応し。」
「踏みにじって殺してしまうのです。」

ペルナ。
「そうなるとあなたが危ないです。」

優斗。
「婚姻が自分のモノではないモノであれば。」
「僕は斬られてしまいます。」

ペルナ。
「では先ほどの話は無かったことに。」

優斗。
「いいえ。」
「素敵な女性がいれば褒めるのは男性の義務ですから。」
「ここら辺で立ち去りましょう。」

美少年は去った。

かんなちゃんが入場。

ペルナ。
「下手に男性と関わらないほうがいいんですね。」

環奈。
「上手に歩むものはころぶこと稀である。」

ペルナ。
「男性って誘惑するんですね。」
「女性は色欲の奴隷になりがちです。」

環奈。
「もし快楽をえらぶとしたら。」
「快楽のうしろには面倒と怨恨とをもたらすものがついていることを知っておくがいい。」

ペルナ。
「さすがの女史さん。」
「私も称賛されたい。」

環奈。
「ほめれば間違いだし、そしればなおわるい。」
「君がそのことをよく理解していないときには。」

ペルナ。
「何事も一筋縄ではいかぬ。」

環奈。
「ホラティウス曰く、神は勞苦を代償としてありとあらゆるよきものをわれらに賣りたもう。」

帝王学のレッスンは次第に本格化するのです。


同じことを繰り返しておきながら。

異なる結果を期待するとは。

きっと頭がどうかしているのでしょう。



後日談(49)


わたしは自然については少しだけ知っていますが。

人についてはほとんど何も知りません。


不穏分子が国外退去した。

オーウォーを呼び戻して挙兵。

一個師団を作成して。

反乱が発生。

パテル国王が呼び出すと。

まず会見が開かれました。

パテル国王。
「なぜそのような狼藉を?」

オーウォー。
「私を頼ってくれる人々がいるのです。」
「申し訳ありません。」
「彼らを裏切れません。」

パテル国王。
「まさか息子に剣を向けられるとは。」

オーウォー。
「いいえ。」
「私は戦場で何も武器を持たないことにしています。」
「少し時間をお待ちください。」

パテル国王。
「ふむ、戦国武将は平気で何年も待ち続けるのが常であった。」
「なにを考えているのかさっぱり。」

オーウォー。
「わたしたちを倒してください。」
「そうすればわたしを頼った彼らに恩返しができます。」
「わたしたちが勝利したら。」
「その時は愚か者が国を支配する駄作になります。」

パテル国王。
「そなたの兵力は貧弱だ。」
「わかった。」
「正面から戦ってやるから。」
「お前の信念は貫き通せ。」

不穏分子は美少年をペルナちゃんに接近させたようです。

美少年。
「イケメンというのは美少女の傍らがふさわしい。」

ペルナ。
「イケメンなんて山ほどいるから。」
「あなたのようなイケメンにはいくらでも代わりはいます。」

美少年。
「そう言わないで。」
「君の為に尽くすから。」

ペルナ。
「奴隷になってくれるの!?」

美少年。
「あなたの趣味ならば。」

ペルナ。
「斬られたければ。」
「留まるがいい。」

美少年。
「貧乏クジを引いたものだ。」

優斗。
「ストーキングするつもりかね?」

美少年。
「僕の魅力の説明はまだ理解が足りてないようで。」

優斗。
「あの娘にとっては邪魔なだけだ。」
「さっさと消えろ。」

美少年は優斗に殴られ。

ボコボコにされて。

追い払われた。

優斗。
「女性の為に戦うのは騎士の役目。」
「紳士も同じ事をしただろう。」
「あなたの邪魔にならないように。」
「僕ももう帰ろう。」

屋上は誰もいなくなった。

戦争開始。

反乱軍の拠点はアグリコラ村。

ここに軍隊の司令部が置かれて。

国王軍が進軍させた軍隊と対峙。

部隊展開。

環奈。
「こちらのグループのほうが多数と思われる、などと答えてよい理由はない。」

軍人。
「論争好きでソクラテスのコピー品。」
「ソクラテスのコピー品は論争好き。」
「論争に明け暮れると、毒を飲まされる。」
「論争好きは、投獄されて、逃げずに毒杯を飲む。」

環奈。
「お前は私の言っていることを故意に歪曲している。」

元帥。
「計画どおりに運ぶことを請け合ってくれるいかなる保障を得たというのであろう。」
「事が自分の割り振りどおりに運ぶことを。」
「そもそも誰が許してくれるというのか。」


環奈。
「他人を攻撃する人は自らも安全ではない。」
「相手の戦力規模は小さい。」
「無難な戦いをするべきです。」

軍人。
「無難な戦争ですか?」

環奈。
「ストレート勝ちできる戦争と思われます。」
「しかし油断はできないもの。」
「そこで無難な戦いを行い。」
「無難な勝利を目指します。」

軍人。
「ふむふむ。」
「一気に攻め落とすよりも。」
「普通に攻撃するよりも。」
「無難に戦ったほうが。」
「たいした損害も。」
「二次災害もありませんなあ。」

環奈。
「思い切った手段は使わず。」
「地道に戦うのもありです。」

元帥。
「これは勝てる戦いです。」
「無駄な被害を出さないために。」
「かんな殿の意見は尊重するべきです。」

軍人。
「よし、それで行こう。」
「指揮官に報告する。」

元帥。
ソクラテスもピタゴラスもニュートンも。
みんな誤解されてきた。
偉大であることは、誤解されることなのだ。

オーウォーは三日間。

小兵力で無理な戦闘を行い。

将兵の士気があまりに低く。

合流した不穏分子の軍勢も。

士気の低下で脱走兵が続出。

戦車は旧式のM60A3が主力で。

航空戦力はcoin機に対空ミサイルを搭載した程度の品物。

PL-02が主力のパテル国王軍。

ビークルを早々に排除すると。

I-3戦闘機を投入。

オーウォーは砦に籠り。

包囲されて降伏したのです。

戦争の経過はあっけないもの。

いいところなしに。


オーウォー敗北。

パテル国王。
「無謀な戦いだったぞ。」

オーウォー。
「不穏分子をすべて巻き込んだ内戦です。」
「誰でもいいので。」
「反意を持つ者たちを引き込みました。」
「政治犯や野心家まで全員です。」
「私が招集して。」
「一か所にまとめました。」

パテル国王。
「なるほどな。」
「そなたの計略になっていたわけだ。」
「ご苦労さん。」
「どうしたい?」

オーウォー。
「山に籠って歌でも作ります。」

パテル国王。
「悪人という悪人まで一か所に集め。」
「一網打尽にさせたわけだ。」
「お前の考えはそれだったな?」

オーウォー。
「政情不安に付け込む輩なんぞ。」
「道連れにしたのです。」

パテル国王。
「もう良い。」
「山の中で過ごすがいい。」
「いずれ私がみなに伝えるから。」
「いまは処罰という体裁で。」
「ほとぼりが冷めるまで待ちなさい。」

オーウォーは山に住まうことになり。

山に定住していた。

とある牧師に委ねられました。

企みが見破られた者達は。

順番にパルスに追い掛け回される。

あんな女性がいるので。

男系にこだわった自分たちが馬鹿であったと。

逃亡先から謝罪する者まで。

仲間を売り渡していく者が続出し。

パテル国王は寛大に処分。

この時も。

市民は二分化していて。

抗争が発生しておりました。

環奈。
「誰か仲裁してくれれば・・・。」

司教。
「第三者。」
「確かに仲裁が入れば止むでしょう。」

環奈。
「市民から人望の厚い者が複数います。」

司教。
「では、市民に仲裁者を入れましょう。」
「無益な争いは意味がありません。」

仲裁が入った市民は我に返った。

司教に従うことによって。

両者の争いは消滅していきます。

陰でコソコソ扇動していた魔術師がおりまして。

軍関係の魔術師が逮捕に乗り出し。

小競り合い。

司教。
たんなる好き嫌いを判断の基準にしているなどと。
自分から認める者はいない。
しかし、人の行動についての意見は。
道理にもとづかないのであれば。
個人的な好き嫌いにすぎない。
J・Sミル・自由論。

環奈。
「仲裁者を買って出る人がたくさん登場してくれました。」

司教。
「神に祈りましょう。」
「仲裁者によって平和になるのですから。」

環奈。
「市民は穏やかになりつつあり。」

司教。
「後は彼らに任せましょう。」
「さて、史実を書き記します。」
「最初の言葉は何にしますか?

環奈。」
「ペテンやにせの奇蹟を商賣にして大衆をだましていたものがたくさんいた。」
「萬一たれかがそのペテンを見破ったら、連中はそのひとを處罰するにちがいない。」

司教。
「賛同します。」

人類の歴史。

黄金・銀・青銅・英雄・鉄の五つの時代に分けられており。

鉄の時代から続く人類は滅びるのか。

これ以上の愚行を人々は嫌い。

この時代に合格点を貰えるように。

多くの人々が神殿や教会に足を運び。

仲裁に応じ。

仲裁に応じなかった人間を排除。

クルトゥーラ国は落ち着きを取り戻し。

荒れていた国内情勢は次第に回復。

パテル国王は寛容(クレメンティア)を理念に掲げたため。

市民はすっかり感動して。

自分たちの至らなさ。

愚かさを教会で謝罪するようになりました。

行く末が保証されてはいるものの。

満ちれば欠ける。

御沙汰終了。

解放されて。

休暇が与えられる。

野山のハイキングコース。

河川や滝。

沼地の橋。

湿地帯には花々が。

野生のインコが飛んでくる。

自然を被造物と見ると発見あり。

環奈。
「自然由来のモノに偽りがない。」
「自然観察によって分かったけれど。」
「カトリックとしては。」
「自然にあるものは被造物。」
「天体や恒星。」
「木々や河川も被造物。」
「鳥や獣も神様が創ったから。」
「被造物として観察していると。」
「はじめて世界がわかった。」
「たまに被造物を観察しては。」
「自分のおかしな所を修正しているの。」

瞑想スポットがあり。

そこだけ石のタイルになっていたり。

瞑想スポットはかなり多くある。

塔があり。

太陽や宇宙を見上げる為に建設されている。

環奈。
「地球と宇宙は神と人間からする国家。」
「あの物言いは何かを的確に伝えているような。」

虫たち。
「自然状態が解かれたのも自然の御業。」

環奈。
「神様が解いてくれた。」

スズメ。
「だからこそ自然が分かる。」

蝶々。
「それがそうならなかったら。」
「子供が壮年になってから適切な行動を知るように。」

メダカ。
「少なくとも。」
「自然に君主制や貴族政は出たね。」

オタマジャクシ。
「その自然も被造世界。」

環奈。
「汎神論。」

ハクセキレイ。
「なんでも自然に出来たというのは。」
「極めて中立。」

市民。
「人間なんてものに神を理解しろだって?」
「やめてくれー。」
「理解を超えている。」
「現に神様は理解を超えた手段を取るではないですか。」

逃亡。

花の種を適当に植える人がいて。

花々が時々ある道。

ヒマワリの種が人気。

夏になるとどこにでも咲いている。

自然を被造物と見ると発見あり。

自然を被造世界と見ると発見あり。

・・・・・。

おお、汝、人の世の道しるべなす学問よ。

徳を求めて倦まず。

もろもろの悪徳を駆逐する学問よ。

汝の教えに従いて有益に過せる一日は。

罪に包まるる永生に優れり。


現実なんて幻想にすぎないのですが。

とても永続性があるのです。



後日談(50)


他人に正しく立派なアドバイスをすることは簡単だが。

自分が正しく立派に行動することは難しいという格言には。

多大な真理が含まれています。


親戚だらけになる大広間。

お茶会。

分家や遠い親戚など。

身内を呼び。

交流。

ペルナ。
「わたしは帰納法の思考方法だから。」
「究極的な結論は出せません。」

パルス。
「反対に演繹法ですと。」
「非常にリスキーだろうなあ。」

ペルナ。
「恣意的な解釈をされたら。」
「たまったものじゃないし。」

家長。
「どう頑張っても愚か者にしかなれぬ。」

老婆。
「どう頑張っても愚考になるわ。」

老人。
「いくらあがいても愚見しか言えぬ。」

きれもの。
「残念、それが真実だ。」

青年。
「ならば愚者になればいいのか?」

老獪。
「愚者になればいいのだ。」
「どうせ皆様が言ったとおりになる。」

家長。
「では、愚者を代表して。」
「人は結局。」
「愚かな要素がついてまわるのだ。」
「自分が愚か者だと思っている。」

少年。
「それでいいんじゃないか。」

紳士。
「自分が賢いだなんて余程の馬鹿だ!!」

駿馬痴漢を乗せて走る。
「賢い?自己申告制なのはなぜだー。」

娘。
「知らないよ。」
「こんなのが結論なんだもの。」

賢明。
「スコラ哲学。」
「聖トマスの言う通り。」
「聖アウグスチヌスの言う通り。」
「神の存在証明をベースに。」
「この世界を見るようにしよう。」

謎。
「この世界は被造世界なのだ。」

猜疑心。
「こうなっているのはなぜですか?」

人形。
「知らんがな。」
「なぜかそうなっている。」

知識。
「なぜだかそうなっているらしい。」

愚意。
「そんなのがあるということだけはわかる。」

失態。
「そうだろうけれど。」
「こうなっているので。」
「すべきことがあるのだ。」

失意。
「あるので、そのようにしている。」

従順。
「あるものはあるので。」
「なんとかする。」

胡蝶の夢。
「あるんだもの。」
「あるからそういうことにした。」

パテル国王。
「仕方がない。」
「ケーキを出しなさい。」
「でないと。」
「我々はヨウムになってしまう。」

少年。
「オウムの学校の先生になりたい。」

少女。
「将来の夢はオウムの学校の先生です。」

中年紳士。
「なにを言っているんだ。」

少年。
「だって、僕はヨウムらしいでしょ?」

胡蝶の夢。
「わかった。」
「こういうことになっているので。」
「こんなんです。」
「こんなわけよ。」

少年。
「ヨウムの真似を人間がやります。」

家長。
「やるのだ。」
「ヨウムだからしょうがない。」

パテル国王。
「わかった。」
「ジャンク・フードを持ってこい。」

やっと沈黙。

意味不明なお茶会。

誰がヨウムで何がヨウムなのか。

誰にも分からないさ・・・。

パテル国王
「立派に費やされた一生は長い。」
「あたかもよくすごした一日が安らかな眠りを與えるように、よく用いられた一生は安らかな死を與える。」
「私は沈黙していたほうがよろしいね。」

王様。

沈黙が多くなる。

娘ひとりは屈指の軍人。

もうひとりは政治タイプであるため。

どちらが女王になっても困らない。

環奈。
「わたしは野原を通る。」

貴族。
「人間という名前の偶像について。」

環奈。
「人間から寝返った。」

老人。
「わしもだ。」

柚月葉。
「私も。」

夫人。
「わたしもです。」

騎士。
「おお!仲間には困らない。」

あろえ。
「恩寵説。」

喜彩。
「救いではなく恩寵を選びなさい。」
「という教え。」

瑛菜。
「さっそく同類に恵まれる。」

あろえ。
「アリストファネスは喜劇の題材として。」
「いろんなものを攻撃しておりました。」
「喜劇はそうして出来上がった。」
「アリストパネスに習って。」
「わたしたちもそうしてみては?」

環奈。
「いろんなお馬鹿を題材に?」
「それなら原稿が溜まっています。」

恵斗。
「文学の本質は詩ですから。」
「文学は詩人のためにある。」
「アリストテレスの詩学から引用ですね。」

環奈。
「詩人しか文学は無理です。」
「正気の人間は詩人になれない。」

あろえ。
「わたしの趣味は。」
「アリストテレース。」
「詩学。」
「第25章に基づいています。」
「岩波文庫。」

騎士。
「アリストテレスの詩学はマスター済み。」
「さあて風刺の標的はなんになるか。」

柚月葉。
「こういう行為は彼らに害を及ぼすものであるとしても。」
「しかし道徳的には立派な行為なのだ。」

喜彩。
「この世は人が思っているものと違いますし。」
「人の考えているものとは違う。」

瑛菜。
「災いを癒すに災いをもってするとして。」
「それがどうして精神のためを図る行為でないと言えよう。」
「セネカの言葉。」

環奈。
「人の歴史は戦いの連続。」
「戦いは形を変えて繰り広げられる。」
「正統派牧師さんによると。」
「人生とは戦いの連続。」

柚月葉。
「戦いは形態が変化すれば。」
「何者も理解できることがない。」
「戦いの形が変われば。」
「対応できない。」

あろえ。
「さて、デカルトによると。」
「いちばん穏健な意見は最善であると。」
「真なるものか見分けられないのなら。」
「蓋然性の高い意見が好ましい。」

環奈。
「穏健な意見はしくじっても安全らしいよ。」
「時に自分の能力以上が求められるから。」
「教えを受けない人は脱落する。」

貴族。
「ここまで来ると。」
「正統なのは我々だ。」

蛇。
「リンゴの味はどうでしたか?」
「賢くなりましたか?」
「自分が神だと思っちゃいますか?」

環奈。
「善悪の知識の木から取って食べてはならない。」
「善悪の知識の木は禁忌として創造されたものだから。」
「善悪そのものの概念が禁忌なので。」
「善悪とは罪である。」
「善悪から出したものはすべて罪に繋がる。」
「善悪は自分であると人は主張することになった。」
「善悪を引き合いに出してはならない。」
「善悪によって禁忌に触れて罪を犯す。」
「善悪とは罪である。」

世界は。

平和(パクス)

「外なる平和」と「内なる平和」を目指し始めた。

クルトゥーラ国と市民。

貴族たち。

世界に歩調を合わせることに合意。

未来は主観。

!!

世の人々を見てみるがよい。

己の幸いを知る者が。

なんと少いことか。

知ってもこれを求める者が。

なんと少いことか。

環奈。
「時よ、時よ、ただ流れ往く時よ。」
「今も、今も、ただ過ぎ去る時よ。」

鏡の前。

ペルナ。
「たまたま自分のルールが通用したからって、調子に乗るなよ。」

ヨウム。
「たまたま自分のルールが通用したからって、いい気になるなよ。」

景色を見ながら回廊。

環奈。
「我は、我は、ただ時を積み重ねし者よ。」
「我は、我は、ただ時を積み重ねし者よ。」
「時の中で。」
「埋もれていく。」
「時に流されていくだけ。」
「すべては消え失せる。」

察した様子。

パテル国王。
「かんなさんの影響は計り知れない。」
「来てくれなかったらどうしたことか。」

オッフェーロ。
「縁の下の力持ち。」
「ペルナさんも急成長しましたし。」
「荒れている国政を回復させてくれました。」
「石板に記してはどうでしょう。」

パテル国王。
「うむ。」
「恩人なのだ。」
「数百ある石板。」
「また一枚増えるのも望まれたことだ。」

国王はかんなちゃんの名と解説を。

石板に記して。

保管することに。

恩人の名前は代々こういうしきたりで。

岩に刻んでいるのです。

ささやかな風。

水路の清き流れ。

捧げられし石板。

日は落ち。

暗闇の中。

やがて日の出と共に。

照らされた石板は。

奥地に運ばれて。

陸には穏やかな風が心地よく。

海では強き風がさらっては。

小雨が降って。

暦は進む。

星の定まれるものは左顧右眄しない。

END