1


突如、狂気に駆られて暴走している。

千代(ちよ)
「ああ皆の衆、暴力ではなく。」
「企みで俺を殺そうとしている奴はなあ。」
「誰もおらぬのだ!」

絵瑠(える)
「独り住いのお前に暴力をふるった者が誰もおらぬとすれば。」
「大神が降す病いは避ける術がない。」
「せいぜい父神に祈るがよかろう。」

ポストに入ってある。

手紙に苦情が書いてあった。

内容。

私はいつも考えているんだぞ!

破り捨てた。

神殿に行くものの。

知識人が議論していた。

サイエンティスト。
「私達は、うまくいかないことがあると。」
「すべて生まれのせいにする悪癖がある。」
「これは改めるべきではないか。」

哲学者。
「確かにそうだ。」
「しかしこの悪癖の起源は何だろう?」

長い議論の末、知識人は次のような結論を出した。

哲学者。
「悪癖の起源は生まれにある。」

千代。
「ヒューマニストとは?」

粋(すい)
「ヒューマニズムを知らない人の事です。」

羽都美(はつみ)
「それではヒューマニストではない人とは?」

絵瑠。
「ヒューマニズムを理解した人の事です。」

千代。
「人間の声を聞くと。」
「忽ち胸糞が悪くなる。」
「神々になろうと一生懸命だが。」
「いつになっても一箇所で足踏みをしているという。」
「哀れな代物だ。」

粋(すい)
「なぜこんな世界にいるのか。」
「よくわからない。」

羽都美(はつみ)
「そこは蓋然性がなるべく最大で。」
「最高まで穏健な忠告をしてやりましょうよ。」

千代。
「忠告だ?これまで忠告が人間に役に立ったことが。」
「あったかね。」
「立派な助言も人間にはまず馬耳東風さ。」
「何度もしくじって自分で自分に腹を立てるが。」
「それでも性懲りもなしに我意を張り通す。」

絵瑠。
「それで人の道なんて言っているのですね。」

千代。
「道なんかありはしません。」
「人の通ったことのない。」
「通りようのない道ですよ。」

絵瑠。
「私はあなたが私よりも優れていることを認めなければなりません。」

千代。
「争いと言うものは、最後には退屈します。」

絵瑠。
「これまでの強さはどうしたの?」

千代。
「自然災害の時に蟻かネズミみたいに。」
「跳ね飛ばされて。」
「あまりに小さく無力だったよね。」

絵瑠。
「いざ打たれるとそんなものです。」

千代。
「人間の喧嘩好きはどうにもなりはしませんよ。」
「誰にしたって小さい時から。」
「身を守るのに懸命で。」
「それでどうやら一人前になれるのですからね。」

羽都美。
「前に進む事ばかり考えて。」
「退く事を知らない将軍は殺される。」
「臆病で進む事を知らない将軍は。」
「捕虜にされる。」
「前に進む事ばかりを考えて。」
「退く事を知らない者は何かに殺される。」
「臆病で前に進む事を知らない者は。」
「何かに捕獲される。」

粋。
「正面から対峙してはならない。」
「迂回するか。」
「横から通り抜けて。」
「包囲する。」
「後は遭遇した順番から撃破する。」
「物事に正面から対峙すると。」
「自分の攻撃力が三倍必要で。」
「これは無理な仕掛け方になります。」
「最も良いのは。」
「正面から対峙しているように見せかけて。」
「その裏の要点に攻撃を加える。」
「正面から対峙しているように見せかけて。」
「物事の自由を束縛すれば良いので。」
「背後にある何かにアタックすれば。」
「物事から逃げ出します。」

千代。
「一部分だけでも有利を作っておけば。」
「全体で有利でなくても。」
「だいぶ違いますよ。」
「一部分と一区画をひとつずつ占領し。」
「有利な部分を増やせば。」
「目標は落とせます。」

絵瑠。
「最後には遭遇戦。」
「出会った順番で交戦します。」
「物事が当たってくる順番から。」
「こちらは撃破することになります。」
「遭遇戦はものすごい損害が出ます。」
「防御側は攻撃側よりも。」
「半分以下の戦力で守れますので。」
「物事が当たってきたら。」
「防御するだけで物事が消耗しますよ。」
「こちらが当たりに行く場合は。」
「決して正面から行かない事です。」

千代。
「私は何十回も勝利した。」
「なので私は強い。」
「相手は何十回も敗北した。」
「なので相手は弱い。」

羽都美。
「人の確信や自信の中には。」
「嘘ばかりありますがね。」

粋。
「小さな嘘は露呈しますが。」
「大嘘は露呈しません。」
「この大嘘は厄介で。」
「騙されやすい。」
「大嘘は露呈しません。」

絵瑠。
「小さな嘘は誰でもわかりますけれどね。」
「小さな嘘と大嘘の区別はつくかと。」

粋。
「違いのわからないとは?」
「ゴールデンハムスターと。」
「モルモットの違いがわからない。」
「ということを言います。」

ものすごい速度で立ち去る。

絵瑠。
「なんという動きだ!?」

千代。
「自然体の動き。」
「自然に身を任せた動きは。」
「習得すると。」
「自然に体が動きます。」
「動作の失敗は激減します。」
「不自然な動作をよく看破します。」
「自分の動作に不自然な部分が消え失せます。」

絵瑠。
「不当な好運すらも味方にするのか。」

千代。
「成功については偶然の力が物を言います。」
「偶然を上手に使えば。」
「手が届くものなら何でも成功しますね。」
「成功者の多くが偶然ならば。」
「偶然を有効活用すれば。」
「成功はできます。」

未奈(みな)
「私の美声を聞きたまえ。」

千代。
「なにそれすごい。」

未奈。
「とある同調している集団が。」
「動き回る鳥に死んでいると言ってしまった。」
「あれは死んでいる鳥です。」
「同調しているみんなは続けました。」
「本当だ、死んでいる鳥が飛んでいます。」

千代。
「なるほど、お見事。」

未奈。
「日本人にアンケートを行った。」
「第二次世界大戦は?」
「歴史における大惨事。」
「キューバミサイル危機は?」
「何ですかそれ?」
「朝鮮戦争は?」
「何ですかそれ?」
「イラク戦争は?」
「何ですかそれ?」
「香港の暴動は?」
「何ですかそれ?」
「ウクライナ情勢は?」
「何ですかそれ?」
「アメリカ同時多発テロは?」
「何ですかそれ?」
「東日本大震災は?」
「未曾有の大災害。」

千代。
「なるほど、うまい。」

紳士。
「結婚して三年。」
「何も問題が起きずに良いですね。」

夫人。
「ああ、なんとか。」
「しかし愉快な時もありますよ。」

紳士。
「そうですか。どんな時ですか?」

夫人。
「夫を会社に見送った時ですね。」

未奈。
「この世にある欲望という欲望も過ぎ去って消え失せます。」
「この世のものはすべて過ぎ去り。」
「過去のものになります。」
「残るものはありません。」

ジャーナリズム。
「悪いニュースと良いニュースがある。」
「悪いニュースとは。」
「貴様の兄に逮捕状が出されているぞ。」
「借金の補完に窃盗をして。」
「窃盗に入った恋敵と決闘して相手を負傷退場させ。」
「逃亡中とさ。」

千代。
「それで?良いニュースと悪いニュースを同時に出すなんて。」
「ずるいです。」

未奈。
「勧善懲悪を倒しまくる予定ですか。」

千代。
「私は冷酷な性格であると自ら言っていたのに。」

未奈。
「どいつもこいつも。」
「優しさが命取りだ。」

千代。
「問題なんて卑怯な手でなんでも解決できる。」

未奈。
「つまらぬ者のために保証すれば。」
「その保証もつまらぬことになる。」

千代。
「無償で死んでもらう。」

未奈。
「誰かは一時的に勝利を感じたと思います。」

千代。
「ウォーミングアップはこれで十分だと思います。」
「東に前兆があるためです。」

未奈。
「東の窓から広告が入り込んだとか。」
「そう言えば東に虹が出ていたよ。」

千代。
「前兆は北面して右側。」
「つまり東方に起こるのが吉兆。」
「東だけ見て。」
「それ以外で前兆があれば。」
「危険に備えれば良し。」
「東方に前兆があれば放っておくのが良し。」

ジャーナリズム。
「指名手配が公表されたとか。」

千代。
「ごめんなさい。」
「とてもエキサイティングです。」
「あなたの悪事が私をくすぐる。」

未奈。
「誰も人間に完璧なんて求めていませんよ。」

千代。
「自分の弱点を探して。」
「すぐに直して無敵の存在に。」

未奈。
「あの貧弱なレベルで戦っても。」
「誰にも勝てない。」

千代。
「それだけです、もちろん、ゴミはいつまでもゴミのままです。」

未奈。
「あなたは自慢するのが好きです。」

千代。
「死ぬ準備ができている厄介なバグ。」

礼拝して。

広場に戻ってくる。

天女と神女の二人組が都市を散策中。

自分の力の一部を乗り移らせて。

力を跳ね上げる。

人間を試す目的で。

人間を試す者を選んでいた。

千代。
「美しい二人組が遊んでいるとは。」

天女。
「これは僥倖。」
「あなたも候補に入りましたよ。」

神女。
「私達は適任の女性を探しているのです。」

千代。
「目的は?」

天女。
「人間は試されなければなりません。」

神女。
「すべてが解決済みであるという。」
「考え方を改めるのです。」

千代。
「フロイトと同じく文明批判はしますよ。」
「人間が最適化した自然環境の改良に過ぎません。」
「独創的な所は皆無です。」
「決められた中で決められた行為をするだけですから。」

天女。
「生活のための生活が彼らの理念ですからね。」

神女。
「人間という駄作は失敗作としてこの世界にいるのでしょうか?」

千代。
「性悪説。」
「人の性は悪であり。」
「その善は作為を加えた結果である。」
「今、人の本性として利を好むということがあり。」
「これにそのまま従ってしまうと。」
「争いや奪いあいが生じて。」
「譲るということがなくなってしまう。」
「また、本来的に妬んだり憎んだりするもので。」
「これにそのまま従ってしまうと。」
「他者を傷つけることになり。」
「誠の心が失われてしまう。」
「また、本来的に五官から入ってくる欲望があり。」
「美声美色を好む情念があり。」
「これにそのまま従ってしまうと。」
「淫らな行いが生じて。」
「礼儀と条理がなくなってしまう。」
「このように。」
「人の本性に従い。」
「人の情に応じていくと。」
「必ず争いごとが発生し。」
「分限を犯し条理を乱し。」
「混乱状態に至ってしまう。」
「だから、師法の教化や礼儀の道があってこそ。」
「はじめて譲り合いの気持ちが生じ。」
「条理にかない。」
「正しい政治に至るのである。」
「このように考えてみれば。」
「人の性が悪であることは明白である。」
「その善であるのは。」
「作為を加えた結果なのである。」
「荀子。」

神女。
「善は認めていますが。」
「教化によって後天的に善になる訳で。」
「何もせずにいれば必ず悪になるという意味ですね。」

千代。
「後から作為が加えられなければ皆、悪党です。」

天女。
「それでは悪というものは人の性や情に従った結果なのですね。」

千代。
「もちろんそうです。」
「何もせずに本性に抗わず。」
「成り行きに任せると、それだけで悪党です。」

神女。
「つまりは、最初にある自然状態、これは悪に直通しており。」
「教化や作為が加えられた場合のみ。」
「真なる善になるのであり。」
「それが無ければ自然に悪党となるのですね。」

千代。
「悪しき性質が聖なるもので矯正された場合のみ善なのです。」

天女。
「人間の根源が悪というよりは。」
「悪になりやすいのが人間という意味でしょうね。」

千代。
「孟子の性善説と荀子の性悪説は。」
「行き着く結果は同じで。」
「大きな違いはありません。」
「入口と展開が全く異なり。」
「そこの辺りが誤解されます。」

天女。
「人間についての説明の方向が異なりますし。」
「どちらかと言いますと。」
「西洋では性悪説と類似する人間観が根強く。」
「性悪説が出る前から人間を悪とする人間観が定着していましたね。」

千代。
「人間は最初から善ではないよ。」
「というのは同じ所です。」
「両方とも努力によって善になるという所は同じで。」
「性善説は自らの善性を引き出すのが任務であり。」
「性悪説は作為を加えられて教化されて初めて善性が得られる。」
「けっこう誤解されますが。」
「孟子と荀子の原文か訳本が必須ですね。」

天女。
「善人と悪人を区別する宗教観。」

神女。
「小袋の中に宝石が入っています。」
「これをあげます。」
「誰かに差し上げようと歩いていたのです。」

天女。
「荷物の中にある。」
「この衣服はあなたに譲ります。」
「特別製で。」
「あなたにお似合いです。」

千代。
「はい?これは何かの出会いでしょうね?」
「贈り物とは口説いているのでしょうけれど。」
「女性から口説かれるのも悪くない。」
「受け取ります。」

二人組の女性は挨拶して。

素早く立ち去る。

近くのお店で。

新聞を購入しました。

予言で人間を試す奇跡の女の子が生まれると。

話題になっているも。

予言に疑問を持っている人々。

五歳になった女の子を調べて。

何か変わった所が無いか。

調べ続けていた。

ジャーナリズム。
「世間を代弁する報道が理念なのでね。」
「何か知っていますか?」

市民。
「そこの野郎が何か知っているってよ。」

道化師。
「俺は賢い賢い賢い賢い賢い賢い賢い賢い。」
「賢い賢い賢い賢い賢い賢い賢い賢い賢い賢い賢い賢い。」
「賢い賢い賢い賢い賢い賢い賢い!!」

市民。
「説得力がマイナスになっているぞ。」

夫人。
「感情論感情論感情論感情論感情論感情論感情論感情論!!」
「感情論感情論感情論感情論!!」

市民。
「お前ら何がしたいんだ!!」

子供。
「なんでもこき下ろせば自分より下になる。」

市民。
「それは詭弁です。」
「貶めて信用を落とした内容を攻撃するのは。」
「考えうる卑怯な手の詰め合わせと言うものです。」

子供。
「卑怯?いい響きですね!」

子供夫人に打たれる。

退場。

ジャーナリズム。
「人の世なんて退屈な場所ですからね。」
「退屈しない情報を求めているんです。」

市民。
「さっき、発狂している女性がいましたが。」

ジャーナリズム。
「発狂?道端を歩いている狂人を見るだけでうんざりです。」
「今更、新しく出た狂人なんて珍しくもありません。」

千代。
「私のことですか?」

ジャーナリズム。
「この人は知っているから大丈夫。」
「あの人は知らないから大丈夫。」

千代。
「まあまあ二人で雑談でも。」
「所で三人目の馬鹿はだあれ?」

ジャーナリズム。
「その絵は昔、流行っていましたよね。」
「何の真似ですか?」

千代。
「いいえ、成績最優秀なあなたのことですから。」
「背もこんなに小さくていい所だらけですね。」

ジャーナリズム。
「成績優秀でもないし背も小さくないぞ。」
「挑発かな?」

千代。
「わかりやすい挑発なんて乗るような阿呆ではないかね。」

ジャーナリズム。
「私がいつ六法全書を持ち歩いていれば良いのか。」
「逆に教えて欲しいね。」

千代。
「口先だけで信用しなければならない。」
「こちら用に契約書でも発行してくれるのかな?」

ジャーナリズム。
「私に弁護士の代理をやれと?」
「いつ誰が個人に万能を求めれば良いとおっしゃったので?」

千代。
「生まれてくる時に契約書とか鑑定書とか。」
「天寿はどのくらいとか。」
「訴訟はどこへ持ち込めば良いとか。」
「一緒に出て来なかったもので。」
「苦情なら私以外の何かに頼む。」

ジャーナリズム。
「ふむ、そうするとしよう。」
「この減らず口を生んだ何とやら。」
「こいつの説明書くらい同封しやがれ。」
「本人用と他人用とでな。」
「故障かな?っと思ったら?」
「というものも持たせるべきだったな。」

千代。
「故障かな?と思ったら?ですって?」
「私のせいじゃありませんからね!」
「やった奴よりやらせた奴を処罰しなさいよ!」

ジャーナリズム。
「失礼、女性と話すのが嬉しくて。」

千代。
「しれっと口説くなよ。」

ジャーナリズム。
「五歳の女の子で凄いの知っている?」
「顔が無駄に広い君なら知っていると思うが。」

千代。
「無駄に広くは無いので知らないのだ。」

ジャーナリズム。
「失礼、買い被りですね。」

千代。
「貴様の要求がいちいち過大評価なんだよ。」

ジャーナリズム。
「これはまずい、てっきり全知全能かと思いまして。」

千代。
「鉛筆だけしか動かせない野郎があ。」
「机に張り付いてしょうもない記事をでっちあげれば良いんだよ。」

ジャーナリズム。
「本当に知らないので?有名なのですが?」

千代。
「いや、貴様がロリコンプレックスだとは知らなかったので。」
「隠していたのだ。」

ジャーナリズム。
「言ってくれるな。」
「どのくらいの値段で教えてくれるかね?」

千代。
「ん?女性の神童なら数人いるよ。」
「そのことなのだと思うね。」

ジャーナリズム。
「まいどあり。」
「もう少し値段を上げれば良いのかね?」

千代。
「貴殿はとても物分かりの良い紳士だと思います。」

ジャーナリズム。
「では、この三倍の金額を。」

千代。
「本当に?この付近だけ?」
「様子が急変する少女には気をつけな。」

ジャーナリズム。
「物知りへの代金は経費で出るかなあ。」

千代。
「西洋から取り寄せた雑貨屋ですが。」
「どうもお客がたくさん来てしょうがない。」
「手伝いに行くべきだなあ。」

立ち去る。

帰宅。

叔父の趣味で建設して。

移住した後。

残っていた。

自分用の小さな。

とても小さな家を使っていて。

一応は別荘。

そこに戻ると。

思い出して。

すぐにお店のお手伝いに移動。

母の雑貨屋。

父親は国土交通省に所属。

千代。
「短気も遺伝なのですか?」

母親。
「それは悪かったわね。」

千代。
「女の子について調べている。」
「ロリコンプレックスが多くて困る。」
「ひょっとしてモデル募集とか主婦の皆さまですかね。」

母親。
「それ以外に何が考えられますか。」

千代。
「古くから。」
「度を過すな。」
「とありますからね。」

母親。
「自分に有利な立場を利して。」

千代。
「受けずともよい苦難を招くとはね。」

母親。
「広大な床の土を噛んだ。」

千代。
「ただ大地の厄介な重荷に過ぎぬ代物だ。」

ただ生まれ、ただ歩き出す。

ただ生まれ、ただ歩き出す。

行く当てもなく。

ただ彷徨い。

そこに救いは無く。

自ら救われるべく。

自分を救おうと。

かすかな勇気を。


2


祭壇の前で。

ワルプルギス。

疫病と魔法の力から守る神。

今夜は惑星の反対側で。

その祝日。

ワルプルギス。
「この地上のことは永久にお前の気に入らないのか。」

千代。
「仰せの通り。」
「親友。」
「相も変わらず気に入りませんな。」
「人間どもが来る日も来る日も苦しんでいるのを見ると。」
「憂鬱です。」
「意地悪をしてやろうという気もなくなるくらいなんだから。」

ワルプルギス。
「人間が神に似ているなんて冗談はよして頂きたい。」

千代。
「人間は昔からずっと同じ性質で。」
「天地創造の日以来。」
「奇妙なことをやり続けています。」
「いっそ神様があいつらに天の光の照り返しを。」
「おやりにならなかったら。」
「あいつらも。」
「もう少しましな暮らしができたかもしれません。」
「あいつらは。」
「その照り返しを理性と呼んでいて。」
「どんなけだものよりも。」
「もっとけだものらしく振舞うために。」
「その理性を利用しているんです。」

ワルプルギス。
「デタラメを日々、したい放題に続ける。」
「人間というものに理性があるとは思わないよね?」

千代。
「あいつらは不利になるとすぐ道徳を盾にして。」
「ぐずぐす言い出す。」

ワルプルギス。
「いつしか道徳は人間の都合の良い。」
「道具に成り果てましたからね。」

千代。
「これ以上、己に物を言わせないでくれ。」
「何が何でも自説を通そうとして。」
「一つの事だけを言っていれば。」
「そいつが勝つに決まっているのだ。」

ワルプルギス。
「君は形而上学の勉強に取りかからねばならない。」
「これを勉強すると。」
「人間の頭で掴めないことも。」
「ちゃんと意味深く捕まえることができるわけだ。」
「理解できることにも。」
「理解できぬことにも。」
「立派な術語の用意があるのだからね。」

千代。
「今夜は出会えて良かった。」
「疫病よりも魔法に襲われる方が多かったもので。」

ワルプルギス。
「私の担当だ、礼は要らないぞ。」
「この祭壇が気に入っている。」
「また会おう。」

ワルプルギスは去っていく。

やがて朝が来ると。

ひとりで広場に行く。

友人と合流。

早朝から。

何かしらやろうと企む。

千代。
「悪は要らない。」
「誰にとっても要らない。」
「悪しきものは不要。」
「こう言えるのは私だけ。」

絵瑠。
「頭の悪い奴は悪を受けても。」
「試練とか称して正当化する。」
「自らを貶めるものです。」

粋。
「例えば障害を食らった人がいたら。」
「その障害を加えた者を罰するべきではないかな。」
「障害を持っている生まれの人は。」
「障害を付加した何かを処罰するべきなのでは?」

千代。
「愚問だよ、やらせた方が処罰されるのです。」
「構図を逆にさせはしません。」

羽都美。
「私は生まれた時からお前は誰だとか両親を罵倒したり。」
「つけられた名前がダサイとかセンスを指摘したり。」
「教育が半人前で無能とか教えてやったり。」
「自分だけは同じにならないので。」
「調子に乗った。」

散歩中に。

横断歩道に差し掛かる。

千代。
「自分の価値を確かめるために。」
「横断歩道の歩行者用信号機のボタンを。」
「とりあいず押せ。」
「次からは当然の権利である。」

粋。
「いくら車が停止しようが知ったことではない。」

千代。
「五台も私のために止まりましたよ。」

絵瑠。
「これから何度もやってやる。」
「私のような善良市民にちけをつけるのは人間がしなくて良い。」

粋。
「さてと、もはやある程度は保守的で良い訳で。」
「自分が正解を持っていると思い込む。」
「厄介な偽善者を始末しなければ。」

羽都美。
「何かあってそれを何とかすれば。」
「すべてが解決。」
「というのは安直ですよ。」
「その後は考えてあるのかい。」
「それを考えてこその解決なんですよ。」
「目の前の何かに対して二手目で成功していれば。」
「迂回可能です。」

千代。
「昔は客観的善人の存在はありました。」
「現在は自称して善人になっている輩はいます。」
「偽善者は狡猾な悪人です。」

絵瑠。
「私は客観的な善悪というものを見てみたいものですよ。」

粋。
「私も主観的善人は見飽きたものです。」

羽都美。
「はあ。」
「この世界を見渡して調べると。」
「随分とパターン化されていて退屈ですなあ。」

絵瑠。
「時に趣味が無いのなら。」
「食べたり飲んだりするのが良いとか。」

千代。
「人間は解釈が複数ある物事に関して脆弱性が満載です。」

羽都美。
「足りているけれど、常に何か足りない気がする。」

千代。
「ストア派の教えで目立つのは。」
「今あるもので何とかする。」
「何か欠乏があるのなら。」
「まずは自分の持ち物で何とかする。」

絵瑠。
「この世という奴は随分な貧乏人という訳ですからね。」

千代。
「ストア派の教えで。」
「みんな主観的だからね。」
「自分も主観的なので問題が無い。」

絵瑠。
「全員が主観主義になってしまえ。」

粋。
「微々たる悪事もできなければ生活は難しいですよ。」

千代。
「他人の話はあんまり信じない。」
「行動ばかり見ています。」

羽都美。
「まったくです、口だけならどんな大言壮語も可能です。」
「自分が最強と言っても根拠なしで言えるんだから。」

粋。
「いっそのこと、彼らが韓国語だけ言ってくれると助かる。」
「私は韓国語がわからないので。」

絵瑠。
「うむ、それが良い。」

千代。
「貴様の相手は賢いのでああしているのです。」
「貴様はそんなに暇ではないので自分のやることに専念するのです。」

絵瑠。
「私も同じく、退屈しのぎに社会的成功などしたくはない。」

粋。
「マインド・コントロールだけ上手で。」
「他は何もできない野郎とか。」
「別にいなくて良いのでは?」

羽都美。
「数合わせと言う大義名分がありますからね。」
「定数を満たすからと言う理屈で生まれてくるんですよ。」

千代。
「それなら全員が偶然の産物のような気がします。」

絵瑠。
「実際、そうなんですよ。」

粋。
「人権も偶然の産物のような気がする。」

羽都美。
「同情すると二手目で不意撃ちを受けますぞ。」
「二手目で相手は必ず裏切る。」

千代。
「教えられた通りに解釈しなくてもよろしい。」

絵瑠。
「学校教育は大人までコントロールできない。」
「という現実を教えられた。」
「そして社会人は学校を教育している。」

粋。
「人間ですか、最近は人間が勝てない存在に。」
「挑むのが彼らの礼儀作法らしいのですが。」

羽都美。
「無駄な抵抗になる者は。」
「それ以上の公害をすべて潰しておくのが。」
「上手な抵抗かと思われます。」

千代。
「よく考えて勝ち目のある競争をするもの。」

粋。
「あの店舗は土地が悪くて。」
「次から次へと商店が入れ替わって廃業する。」

絵瑠。
「資本主義者で生存を重視しない。」
「攻め手ばかりの営業者はたいてい倒れている。」

千代。
「風刺詩にしてやる。」

絵瑠。
「人間を卑猥な文学作品にしてやろう。」

千代。
「狂人ではなかったら文学などしなかったよ。」
「それでなんとなく文学をやって狂人になるのですけれどね。」

絵瑠。
「違いがわかっている我らはどこをどうしても調和しますね。」

粋。
「同じような物事でも人によって異なる結果になる。」
「英語のことわざでも誰が言うかに影響を受けます。」
「はっきり言って相手の発言の正否のみで。」
「相手の信用を顧みなければ。」
「道理がわかる気がしますが。」
「それが違いを実感する瞬間なのだと思われます。」

羽都美。
「さて、都会の中心街に出ましたが。」
「彼らの時間は過ぎ去ります。」
「そして消え失せるのみです。」

粋。
「十年後、いや百年後はこの景色は実在しません。」

千代。
「ならば生まれない方が良いものですね。」
「若い時代の失敗は後に影響を与えます。」
「なにせ、老齢になると若い時代があまりに滑稽で。」
「長生きなんて企む人はほとんどいません。」

絵瑠。
「自分の寿命はわからないので。」
「過ぎ去るだけの生涯に特別、拘泥しませんが。」

千代。
「寿命ですと?」
「最初からあるじゃないですか?」
「後ろから逆算しないの?」

粋。
「人は不死と必滅の矛盾した心理が根強くて。」
「今は不死だと思っていても。」
「死が少しでも接近すると必滅であると思う。」
「生まれた時から死が待ち伏せしているので。」
「死んだ後の世界は神々に任せるしかないものです。」

羽都美。
「馬鹿なのは苦難も人間が不死であると信じているからです。」

粋。
「どんな問題も苦難もその人の死と同時に滅びるのです。」

羽都美。
「それは笑いものですなあ。」
「それなら最初から出る意味などありはしません。」

粋。
「そういう悪いものは決まって頭が悪くて。」
「対象が自分の支配欲を超えるまでは。」
「裏で工作を続けるでしょうし。」

千代。
「苦難なんて支配欲の塊です。」
「幼稚な嘘なんて出れば相手は自白したようなものです。」

絵瑠。
「子供だましに引っかかるものですか。」
「どんなものでも時間は過ぎ去り。」
「消え失せるのです。」
「既に死期が迫っている老人を見てみなさい。」
「子供の頃から大人になってから。」
「ああいう結果は変えられなかったでしょう。」
「自分も同じになるのですから。」
「内容だけは変えたいと誰もが願うものです。」

千代。
「聖女が言うには。」
「神意に叶うものはなんでも叶う。」

お宮に到達。

伊邪那美神は黄泉の国の神様。

夫婦神。

多くの人間の親であり。

直系の子孫多く。

その御子は半分人間です。

真実の親を敬う四人組。

お昼は軽い料理を食べに。

喫茶店に。

午後から家業の訓練が入っている。

メンバー。

スティーブ・ジョブズの教え。

即戦力になる人材なんていない。

育成するんだ。

全知全能と完全無欠との照合で。

自らの存在を知る女性チーム。

夢に神社が出てきてしょうがないので。

最近は何度もお宮に通っています。

これらは欠点ではありません、個性です。


3


大雨の日に訓練。

ショートパンツと肌着の上に。

しっかりとした雨具を装着して。

河川に接近。

遠方から様子を見ます。

水神を頼りに。

荒ぶる水を見てみたいので。

事前に計画した通路と逃げ道を用意しながら。

接近。

進化論よりも創造論に従えば。

自然界から膨大な情報を得られるからです。

千代。
「政治形態が変わっても。」
「世界までは変わらない。」

絵瑠。
「伝統世襲も裏側で残っていますし。」
「世界の経綸までは及ばない。」

粋。
「むしろ人間が弱体化したような気配がしますね。」

絵瑠。
「私も政治形態のせいで人間が弱くなったと思います。」
「そういう自分は最盛期ほどの力が出ない。」

千代。
「何人も押しのけて手当たり次第に獲得するあなたが?」

絵瑠。
「物事が衰えたからです。」

羽都美。
「振袖姿を見せびらかしておいて。」
「結婚したいしたいと嘘を言いふらして。」
「いつの間にか不受理申出を利用して。」
「不受理制度の抜け穴から結婚不可能にするなんて。」
「ダイナミックな作戦でしたね。」

絵瑠。
「時間稼ぎですよ。」
「裏側に隠れていた輩を知りたかったので。」

粋。
「私はどうでもいい試験を受けてわざと失格して。」
「家業を継ぐしかない状況に追い込んでおいた。」

千代。
「プレゼントを男性から貰うたびに。」
「あの方はもっと豪華な贈り物をくれたよ。」
「なんて言い続けましたら。」
「ちょろいものです。」
「お金持ち。」
「噂でもでっち上げて敵対者の敵に加勢して。」
「そっちだけでやらせています。」

羽都美。
「相手の判断さえ誤れば楽勝ですけれどね。」

千代。
「小さな隙から小さな失態。」
「そこから小さな勝利は楽々に得られますからね。」

絵瑠。
「対象が自分に有利な場所から誘い出されれば。」
「対象の能力は半分になります。」
「本当は、全員が男性に対して。」
「この中で最も優れている男性と結婚する。」
「という作戦を強行したのですよね。」
「それで親族も含めて混乱しています。」

千代。
「膿んだら潰せ。」
「大物を探し出して進路上の難敵に気づいたので。」
「知略に長けた女性は男性も手に負えない。」

羽都美。
「つまりは、自分自身が敵でありました。」

粋。
「自分を倒して主権を得る。」

千代。
「愚か者を装っていたので。」
「自分で勝ち取ったものなら何者も文句は言えない。」

絵瑠。
「悪を利用しました。」

羽都美。
「自分の都合が悪いものは破壊する。」

千代。
「何でも正しい対正しいの構図に持ち込めば。」
「相手の言い分なんて無力化できるものです。」

絵瑠。
「例えばニーチェが理解できないのなら。」
「ナチスと大差ない。」

羽都美。
「それは有名になっている言葉ですね。」

粋。
「つまりは自分でコントロールできるものは全部。」
「自分で変えるなり。」
「壊すなりした訳です。」
「逆説的に言えば。」
「相手のコントロールできないものを集中狙いして。」
「そこを押さえて終始優勢を保つ訳です。」

千代。
「それは確実、相手がコントロールできないものは多々あります。」

羽都美。
「そこを掴めば半分は自分のものです。」

絵瑠。
「持論とは思えない裏技っぷりですなあ。」

粋。
「目的は?建設ですよ。」
「調和の世界を実現するため。」
「この世界の一部分でも調和する場所を建設します。」

千代。
「なんて立派な、同志よ。」

河川に接近するものの。

風神の加護で楽々進んでしまい。

論理的に考えて接近。

チームで確実な方法を得て。

堤防が決壊しそうになっているものの。

長居せずに帰宅。

水に浸かっている地帯だけ避ければ接近は可能。

無策で突っ込むと危険でした。

千代。
「それまでの経験から。」
「現在の前を判定するのは危ないものです。」
「三割くらいは当てはまりますが。」
「残りはまったく対応できませんよ。」
「少しだけは経験論でも当たるんです。」

絵瑠。
「子供は経験論の質が必要ですが。」
「大人になると技術や力量が物を言います。」

羽都美。
「みんな何もかも変わっているね。」
「中学生の時は互いを姉妹と呼んでいたけれど。」
「今では親族のような感覚。」

粋。
「君子は豹変す。」
「素質が良い者は考えを容易に変える。」

絵瑠。
「自分を再構成したのですよ。」

千代。
「自分が別物になると。」
「周囲の何者も変わる必要が出ますね。」
「拒絶すれば他人は挫折します。」
「他人は既に通用しない対応で折れますね。」

羽都美。
「私は十年経過したら。」
「青年から旧式機とか言われそう。」
「これは怪しんでいます。」
「思想の急変が強いので。」

千代。
「十年?そんな未来なんて実在しませんよ。」
「明日の出来事も予想できないくせに。」

羽都美。
「あっ!そう言えば明後日の出来事も予測できませんね!」

粋。
「人間の未来予測は明後日が限界。」

羽都美。
「犯罪の勧誘なんて昨日、食らいましたもん。」

千代。
「予測できない。」
「不意に来る誘惑、目的は本人の殺害。」

絵瑠。
「捨て駒として使われる上に。」
「何も良い事が無いという犯罪ですか。」

千代。
「わかりやすい罠で殺そうとする。」

粋。
「遠回しに本人を破滅させたいという勧誘ですよねぇ。」

千代。
「この暴論には必ず賛同しない。」
「合法的な殺人なら何でもあり。」
「誰かが言うかもしれないものの。」
「自滅しそうな言説になるでしょう。」

絵瑠。
「正義と公正とを顧みない輩は大嫌い。」

羽都美。
「いかに負けないようにするかの勝負ですからね。」

千代。
「私は悪にはなれない!」

粋。
「因果関係に対して挑戦したり。」
「試してみたりした。」

絵瑠。
「本当に正しい見解とは健全なものでしょうし。」
「正しいとは誰も気づかないと思います。」

羽都美。
「大異変に見舞われても。」
「しかるべき訓練を受けた人は。」
「最後まで合理的な思考ができます。」

自宅で女の子専用の部屋で。

着物を直す。

今日はお泊り。

夕方の大雨。

メンバーでカードゲーム。

不要な枕を投げ合ってみました。

千代。
「弾速が遅いので取れますよ。」

羽都美。
「回避しやすいね。」

絵瑠。
「打ち払いで楽々。」

粋。
「これは枕の威力が低いのでダメですね。」

本棚から雑誌を取り出して。

その中にあるのは古典。

絵瑠。
「学問を勤めて物事をよく知る者は貴人となり。」
「富人となり。」
「無学なる者は貧人となり下人となるなり。」

羽都美。
「ということは。」
「今の世界は学問の有無で。」
「卑しくも尊くもなるのですね。」
「福沢諭吉も偉人ですなあ。」

粋。
「では、学問は大いに推奨される行いです。」

絵瑠。
「しなければ貧人か下人になるので。」
「鋭い指摘。」

千代。
「世の中に難しい仕事もあり。」
「易き仕事もあり。」
「その難しき仕事をする者を身分重き人と名づけ。」
「易き仕事をする者を身分軽き人という。」

絵瑠。
「重要な任務であったのが身分の高い人。」
「どうでもいい仕事であったのが軽い身分の人。」
「こう書かれると説得力がありますね。」

粋。
「重要な任務を遂行できる人物はもういない?」

羽都美。
「難しい仕事?」
「英雄が多いのはそのためでは?」

千代。
「文字を読むことのみを知って。」
「物事の道理を弁えざる者は。」
「これを学者と言うべからず。」

粋。
「いわゆる。」
「論語読みの論語知らず。」
「文字だけ読める人材は無能という解釈は成立します。」
「一万円札になる理由は確かにありましたね。」

ジーオン搭載機が稼働中。

気象情報が常に更新されています。

部屋の隅に置いてある。

羽都美。
「こんな高級品がこうも簡単に?」

千代。
「いいえ、自社のファイルサーバーなんですよ。」
「セキュリティの保持で私が見張っています。」
「ウイルスが入ったら。」
「多段迎撃で消します。」
「想定されるすべての攻撃に万全を期しています。」

絵瑠。
「私の両親の会社も使っているよ。」

羽都美。
「共有サーバーを管理しているとは。」

千代。
「ちなみに物理セキュリティーキーでアクセスするので。」
「手順が面倒くさいのです。」
「特定の操作で冷却ファンが停止するように細工していますね。」
「仕掛けの失敗も考慮して盗めないサーバーになっています。」

粋。
「化け物機なんですね。」
「スーパーコンピューターを何気に弄れるのですね。」

千代。
「普段は使用しませんが。」
「災害対策アプリを入れているので。」
「早期警戒システムとしても使っています。」

羽都美。
「なるほど、事前に大量の情報があって。」
「荒ぶる水にも無事で帰って来たのですね。」

千代。
「私は自然災害の挙動に興味深々です。」
「人間が何を言おうか思おうが。」
「揺らした後にどうぞ。」
「なんていう容赦の無さに興味を持ちました。」

絵瑠。
「自然界から得られた莫大なデータの恩恵は。」
「自分に明知をもたらしていますね。」

千代。
「たまに自然法則を超えることもあるので。」
「モニターを眺めることもあります。」

粋。
「それで時計は晩御飯を示していて。」
「あっという間に作りますよ。」
「一流シェフに習っておりますので。」

絵瑠。
「メンバーは玄人に習っているもので。」
「腕を上げましたよ。」
「こういうのは先生が必要で。」
「自力で訓練しても伸びませんからね。」

千代。
「これは頼もしい家事の場所。」
「私の知らない間にもう進んでいる。」

羽都美。
「私達は連携が良好ですね。」
「何も言わなくても。」
「互いの行動から察します。」

絵瑠。
「男性を負かすのは女性のステータス。」

夜になって。

同じ部屋で寝ました。

浜辺の夢を見ましたので。

よくわかりません。

そこを調べてみることにしました。

知らない間にほっぺにキスしたり。

触っている女の子達。

ちょっと他の女の子とは違いますね。

嵐の後には凪がくる。


4


海辺に謎の霧があり。

その中に大穴があると。

見たこともない生き物がいたと。

遠くないので。

ビーチの近くの場所に赴くことに。

千代。
「化け物がいるとかいないとか。」

絵瑠。
「化け物相手は手慣れています。」

粋。
「ナイフで倒せますかね?」

羽都美。
「一目見たら逃げましょうよ。」

千代。
「意外にも近場よね。」
「距離感?」

絵瑠。
「科学力のごり押し。」

浜辺に到着。

情報を得てからその日のうちに。

お昼。

お弁当を広げて。

まずは準備。

雑談。

千代。
「マルティン・ブーバー。」
「我と汝・対話。」

汝。
「あなたは?」
「というメタ認知による。」
「問いかけ全般。」
「外からの汝は何?」
「という問いかけ。」
「汝とは鏡に反射した自分に向ける。」
「存在性の意味。」

絵瑠。
「われ・それ。」
「自分は?」
「という自分中心の問いかけ全般。」
「自分は何々という姿勢。」
「特に自分は何々であるべきという考え方。」

粋。
「鏡に向かい合って。」
「汝は何であるか?」
「と映った自分に問う。」

羽都美。
「われとは自分についての説明のこと。」
「汝とは自分に向けられた。」
「存在としての個人で質問のこと。」

千代。
「自ら汝はこう思う。」
「汝はこう言うが。」
「という視点の違いで。」
「われを語る者とは別の世界にいる。」
「別の根源に基礎がある。」
「存在性に着目されており。」
「問いかけで分離が成される。」

絵瑠。
「われ・なんじ。」
「私は何であろうか?」
「という問いかけ。」

羽都美。
「われ・それ。」
「自分は何々なんだぞ、という説明。」

粋。
「現代文明の危機は後者の視点のせいで。」
「人間の完全な回復は。」
「異なる視点からの問いかけで可能になる。」

千代。
「われ・なんじ。」
「鏡で見た自分に。」
「汝とは?という問いかけをするという。」
「図解で説明できますね。」
「鏡の中の自分に質問をしまくり。」
「出てきたものが真実で。」
「一度でも体験すれば。」
「世界が自らの態度で二分化されます。」

絵瑠。
「われ・それ。」
「これは自分から申告する自分のことです。」
「われ・それは現代社会でもっとも多く遭遇する視点です。」
「前者は因果律を無視できます。」
「後者は運命と因果律がのしかかります。」
「自由と運命はセットになっていますが。」
「言い換えれば我が強い視点です。」

粋。
「一人称を汝は何々と変えてしまえば。」
「あっという間に理解に到達しますよ。」
「その世界に限界などありません。」

羽都美。
「ソクラテスにダイモーンがついて。」
「汝についての問いを本人が実行したように。」
「人間の力では難しいかもしれませんが。」

千代。
「自分に対しての客観的視線から出現する。」
「汝というもの。」
「人間がいかに自分を主観的に見ているのか。」
「手に取るようにわかります。」

粋。
「自分への問いかけという意味にもなります。」
「自分の説明を意味していません。」
「われ・それによって説明する者は。」
「自分の説明だけ繰り返して。」
「自分勝手な自分の存在を申告します。」

羽都美。
「自分への問いかけの中で。」
「われ・なんじ。」
「が出てくる。」
「完全なメタ認知とも言えますね。」
「二者の世界は本当に別物で。」
「支配している法則すらも異なります。」
「宗教哲学者ブーバーは参考になりますし。」
「別の世界に移行し。」
「自らを完全に回復できてしまいます。」

絵瑠。
「大きな鏡の前に立って。」
「反射した自分に。」
「われとは?」
「なんじは?」
「という質問で足りますね。」
「鏡が切り札になります。」

粋。
「そうやって自分を問われているのです。」
「自らで自分を問うのです。」

羽都美。
「自分の説明は根拠も不要ですし。」
「人間がいかに自分勝手に自分を語っているのか。」
「丸わかりです。」

絵瑠。
「自分を指さして。」
「汝は何?」
「これは簡単。」

千代。
「理論と感覚で捉えれば。」
「だいぶ違いますよ。」
「要点が少ないので。」
「その人の主張ではなくて。」
「存在そのものに直接、問いかけた名著です。」

絵瑠。
「春雨という地域のボスみたいな女性からの情報。」
「果たして当たっているかな?」

のんびり浜辺を楽しんでいて。

目的の場所に移動。

千代。
「ここから獣道を行くの。」

絵瑠。
「草むらは突進すれば何とかなるよ。」

粋。
「冒険ですかー。」
「しばらく時間が必要ですね。」

羽都美。
「時速七キロメートルで移動するのやめてください。」

千代。
「距離なんて時間の問題なんですし。」
「ゆっくり行きますか。」

獣道を進んで。

崖の裏側。

霧が立ち込めていて。

その中に入ると。

大穴がありまして。

もうひとつの大穴には。

幾つもの首があり。

怪物は寝ています。

千代。
「うわあ!スキュラだあ!?」

絵瑠。
「は?不死身の化け物じゃないですか!」

粋。
「クラタイイスの産んだスキュレなんて!」
「手強くて戦ってはなりません!」

羽都美。
「目を覚めせば大変。」
「とても狂暴で。」
「スキュレは死すべき生き物ではありません。」
「逃げることしかできません。」

千代。
「人間の禍として生まれたスキュレに遭遇するなんて・・・。」

愕然としていたものの。

化け物のスキュラはずっと寝ている。

絵瑠。
「こんなものと戦って勝てる訳がないので。」
「引き返しましょう。」

千代。
「ずっと寝ていますが。」

羽都美。
「セイレーンに見つかりました。」

粋。
「あれま!この場にいたら大惨事は時間の問題です!」

絵瑠。
「動ける?行くわよ。」

粋。
「スキュレが大穴の中に潜りました。」

千代。
「霧から出ましょう。」
「方角がわからない。」

絵瑠。
「こっちですよ、スキュレの頭の方向から割り出しました。」

一同、化け物の霧から脱出。

素早く海岸に戻る。

千代。
「なぜか寝ていたので助かりました。」

粋。
「スキュレは我々に無関心なのでは?」

絵瑠。
「そうなんだと思います。」
「猟銃でも持って挑むような人間が出たらまずい。」

羽都美。
「向こうにも何かいます。」

崖の上から竜がこちらを見ている。

すぐに立ち去ってしまった。

粋。
「縁起物ですなあ・・・。」

千代。
「スキュレを見たから。」
「あれ以上の化け物なんていないと思うようになりました。」

絵瑠。
「あれを見たら、あれ以下の怪物だらけで。」
「拍子抜けしました。」

粋。
「スキュレは的を狙うため。」
「私達は標的にならなかったのでしょう。」

羽都美。
「あの怪物は霧が無くなったら消えるのかな?」

絵瑠。
「いつまでもいたら人間が悲鳴だらけになりますね。」

千代。
「スキュレは相手を選びますので。」
「もし攫われたら終わりですね。」
「海の怪物が陸側にいるとか。」
「人間に対する風刺でしょうね。」

海岸で休憩。

セイレーンはついて来ていません。

いろいろあって帰る事にしました。

霧はしばらく残っていたようですが。

いつの間にかいなくなりました。

絵瑠。
「あれに勝る凶悪な人間なんてこの世にいません。」

羽都美。
「いきなり最強の化け物なんてね。」
「よくいる人間の形をした化け物が幼稚に見えます。」

千代。
「先制攻撃されると死んでいましたね。」
「やっぱり私達は標的になっていなかった。」

粋。
「計画通りとは言え、無事に逃げられて良かったですね。」

千代。
「既に帰りの電車の中ですから。」
「もうあんなに遠くで過ぎた大事件。」

粋。
「あれはもう見たくないです。」
「奇形でしたが人間の禍ですからね。」

絵瑠。
「人間の相手はああいう化け物でいいかもしれない。」
「人間は人間と戦わずに化け物と戦って欲しい。」

羽都美。
「一時に一事を。」

お昼寝。

思ったより消耗がありました。

目が覚めると。

皆は起きていて。

私達の都市の手前にある駅です。

夕方。

会社員が気まぐれに歌う。

遠慮も困窮している人間には、良い仲間ではないのだからな。

自分のために。

自分のこと。

自分のために。

果たすだけ。

この世界は。

自分のためには。

あんまり役に立たず。

素通りしては。

遠くから眺めるだけ。

嘘だ。

嘘で。

何が嘘。


5


手紙。

奪い取った恋人の親から。

多額の資金を譲り受けたが。

揉め事の収拾がつかない。

恋人がアルテミスに射られて。

苦しみもなく突然死したので。

俺もオリオンに射られると思う。

悪評がついているが。

思ったより変なことしてないので。

放っておいてくれよ。

千代。
「あの馬鹿っ!!」
「やたらに従順で。」
「器用な男だったが。」
「大きくなった欲望にやられるとは。」
「今のうちに葬儀用の品物を買っておいてやる!」
「それと招かれざる客について片付けてやる!」

千代はますます正気を失って。

いつの間にかネメアのライオンを召喚。

全身が鉄で出来た刃を通さない。

無敵のライオン。

求婚者の残党がやって来て。

千代。
「招待状でも偽造しましたか?」

男性。
「お嬢様、私とせめて力比べを頼みたい。」

青年。
「勝利した方とハグしたり手を繋いだり。」
「私共が負けたら。」
「奴隷にでもなりましょう。」

求婚者。
「我々は屈強な男故に。」
「我々の敗北は大きなものにしなければなりません。」

男性。
「あなたくらいの女性なら私達を打ち負かせるでしょう。」
「しかし勝利したら何でもしてください。」

千代。
「よろしい、地下の倉庫に猫がいる。」
「皆さんでどんな方法でも良いので。」
「その猫を退治できたら。」
「ヘレネのように誘拐しろ。」

青年。
「猫?そのような理由で?」

求婚者。
「では、好きにさせて頂きます。」
「あなたも覚悟を決めましたね。」

男性。
「猟銃があれば猫くらい楽勝ですよ。」

千代。
「既に制御できない伝説の怪物だよ。」

倉庫が開かれて。

ネメアのライオンが登場。

求婚者は発砲するものの。

ネメアのライオンにまったく効果がない。

青年。
「あれ?話が違うぞ?」

求婚者。
「猫?ライオンですが?」

男性。
「囲んで短剣で殺すぞ。」
「さっき銃弾を当てたのに?」

刃を通さないネメアのライオン。

軽く一同を吹っ飛ばす。

負傷して倒れる求婚者の残党。

千代。
「さあて、どんな奴隷になるか楽しみだ。」

男性。
「待った!猫じゃなくてライオン!これライオン!」

求婚者。
「おー!まぐれ!おー!まぐれ!ぼけー!」

青年。
「ショットガンならどうだ!」

ネメアのライオンに効かない。

ネメアのライオンは残りの男を倒した。

ネメアのライオンは透明になって消えました。

千代。
「第三者が見たら。」
「君達が同士討ちをしたと思うでしょう。」
「さっさと帰ったらどうだ。」

男性。
「実は僕には婚約者がいるんだ。」

青年。
「ふむ、皆、それぞれの女性の所に帰るとしよう。」
「だいぶやられたね。」
「クマに襲われたことにして。」
「病院に行こう。」

千代。
「君達にはぴったりの怪我ですなあ。」

救急車が到着。

家屋の近くで発砲してしまったので。

クマが相手とは言え責められる男性一同。

後片づけが終わる。

待ち合わせ場所に移動。

千代。
「人間を試す女性ですか。」
「自分のことを言われているような。」

絵瑠。
「既に生まれている場合は。」
「成人していますし。」
「人間を脅かす少女が。」
「既に各部門で活躍していると思います。」

粋。
「あの猛者達は自分達の実力を隠したくて。」
「予言を利用しているんだと思います。」

羽都美。
「多分、ギフテッドの少女を脅威に思っているのでしょう。」

千代。
「先天的な天才と後天的な天才は同じ威力ですよ。」

絵瑠。
「天性の天才と狂気の天才は互角の存在ですよ。」

千代。
「ということは狂気の女性には無防備なんだね。」

粋。
「へつらいで接近すれば才能の破片くらいは貰えるのに。」
「凡人の考えることは不合理ですなあ。」

羽都美。
「才能という名称で単純化されるのはたまらない暴挙。」

絵瑠。
「一日で学問を習得した訳ではありませんし。」
「四年もしていますよ、私の場合は。」

千代。
「それをやらずに勝手に才能が来てくれると。」
「思いたいのが凡愚の不合理な思考です。」

粋。
「実力をつけるのではなくて。」
「日頃の鍛錬も放棄するのは。」
「自分から負けに行っていると思いますけれどね。」

絵瑠。
「とまあ、狂気の詩人でしたら。」
「古代でたくさんいましたし。」
「才能は何のことなのか私にはさっぱりです。」
「能力は足りていれば成功しますからね。」

千代。
「宇宙的・両世界間的起源からの考察と。」
「解明を忘れないことがぜひとも必要である。」

粋。
「ようするに。」
「才能についてあれこれ言う人は卑屈を教育されたのです。」
「卑屈を取り除いて矯正すれば良いものです。」

羽都美。
「卑屈は実際以下に過小評価して貶める悪徳ですよ。」

千代。
「卑屈で教育されると劣等感や妬みが増えます。」
「反対の倨傲に陥ると。」
「驕りが生じて自らを過大評価します。」
「中間が最高ですよ。」
「とにかく卑屈を自分で否定するだけで。」
「実際より大幅に下回るという。」
「自分に対しての評価が壊れていきます。」

粋。
「卑屈を否定して行動によって。」
「示す事で少しずつ消せますね。」
「行動で卑屈は否定できます。」

羽都美。
「多くの人は卑屈を認めないだけで。」
「自動で向上すると思われます。」
「私は何も証拠の無い言説は致しませんし。」

千代。
「自分の言説は証拠を探す所から出発しますからね。」

絵瑠。
「証拠のない言説なんて言わない方がマシです。」

羽都美。
「それに自分の行いが善意に取られるとは限りませんし。」
「悪意に取られる方がずっと多いものですよ。」

粋。
「善人でも悪人でもないのが人々の真理でしょうよ。」

千代。
「それは健全な見解ですなあ。」

絵瑠。
「それでは善でも悪でもない人々を見ることにしましょう。」

羽都美。
「都市のイベント一覧から選びます。」

千代。
「春雨ちゃんを中心に女性チームが連携しているので。」
「どこかで会うかも。」

粋。
「合流すると必ず大軍になりますからね。」

絵瑠。
「もはや女性社会はチーム戦。」

都市のイベント一覧。

雑誌に載っていますので。

徹底的に参加して。

対人関係の訓練です。

市役所発行のスケジュールで。

忙しい時期が多々あります。

常に四人チームでいるため。

難易度が低い社会の覗き見です。

次も何かしら参加すべく。

都市のイベントを皆で選定しております。


6


天女と神女が訪ねてくる。

白い衣服。

簡単な白いドレス。

千代。
「お客さん。」
「これはたまらない美人さん。」

天女。
「伊邪那岐・伊邪那美の御子。」
「その末裔。」
「そうですね?」

千代。
「何も言いません。」

神女。
「等価交換しましょう。」
「これを持って。」
「あなたの父親が行く議会に入るのです。」
「見た目は玩具ですから。」
「問題はありません。」

千代。
「は?なぜ今日、父親と議会の近くに行くと。」
「知っているので?」

天女。
「とにかく入り込んでいるだけで。」
「自動で事が進みます。」

神女。
「そうしたらここに帰って来てください。」

千代。
「あなたはどうするの?」

天女。
「また、終わったら来ます。」

千代。
「それでこの弓矢は?」

説明される。

男性三人でも引くことのできない。

豪弓をくれる。

ショートボウであるものの。

戦車の装甲ですら突き刺さるという。

薄いコンクリート程度なら貫通する。

専用の矢があり。

十発貰う。

これを隠し持って。

父親と一緒に議会の端っこにいるように。

指示される。

千代。
「雨空が明るくなると、愚か者は喜ぶ。」

父親。
「まさか見学とはね。」
「私の特権行使。」
「知人がいるので。」
「手前まで行ったら。」
「知人の近くにいなさいね。」

千代。
「入れるのは外周だけですからね。」

父親。
「人間観察が好きとは珍しいな。」

千代。
「外部の人間観察。」
「じっくり観察して。」
「何であるかを取得する。」
「こうした積み重ねが。」
「時に人間の失敗を露わにして。」
「その失敗を引き起こす前について知ったり。」
「外部の情報を膨大に得る。」
「たまに成功例があれば。」
「理由もわかってくる。」
「人間観察は時間が長ければ。」
「情報も多くなりますね。」

父親。
「無難な境遇の人間がいかに多い事か。」
「残念ながら良い待遇の人はいません。」
「悪い待遇の人もほとんど見ません。」

千代。
「出生よりも私の方が強い。」
「力関係の逆転が成されると。」
「一方的に攻撃する側になる。」

父親。
「運命より私の方が強かった。」
「運命は力の強い者と競うことができない。」

千代。
「災難は九割、他人が持ってくる。」
「他人に警戒すれば。」
「そもそも持ってこれないし。」
「持ってきてもどこから出たのか丸わかり。」

父親。
「他人の悪を避けるのは至難の業ですよ。」

千代。
「ストア派の断片を読んだのですが。」
「相手を悪と罵ってはならない。」
「敵と呼べ。」
「相手は悪ではなく敵なのです。」

父親。
「敵は快楽のために他人を攻撃するものだ。」
「なんで?という質問に納得する返事は来ない。」

千代。
「快楽で教育されると。」
「快楽になるなら何でも許されると信じ込む。」

父親。
「快楽は時に悪まで快楽とする。」
「暴力で突進する相手を止めるには。」
「撃ち殺すのが手っ取り早い。」

千代。
「死体に向かって。」
「それでは先ほどの屁理屈をどうぞ。」
「暴漢は何も言えない。」

父親。
「冥府の暗い所に投げ込まれるような奴に。」
「何の温情が必要だろうか。」
「情けはそれに値する者だけが得られるのだ。」

千代。
「ところで。」
「虐待されて殺人犯になって無期懲役になった悪党とやらは。」
「被害者のことは考えていませんでしたね。」
「虐待した本人だけを殺せば良かったのでは?」

父親。
「うむ、たしかに、それなら最小限の刑罰で済む。」

千代。
「所で、罰とは何か?」
「相手に苦痛を与えて喜ぶのが罰なのか?」
「復讐と報復と罰は別物なのか?」
「誰かの気が済むための罰なのか?」

父親。
「厳罰にした所で犯罪抑止の効果は薄いからね。」
「罰と言えば何でも罰なのですよ。」

千代。
「道徳を述べられても。」
「なぜそれがだめなのか。」
「回答は一切ない。」
「道徳を述べる相手には。」
「私はそう思いませんね。」
「と一蹴しています。」

父親。
「ニコマコス倫理学と道徳は激しく対立するのかな。」
「義務だけある道徳は。」
「道徳の力を上回るような人物には何の役にも立たない。」
「嘲笑されて死体蹴りをされるのだろう。」

千代。
「その行為を強いられている人間には。」
「道徳も法律も何の意味を持ちませんね。」
「とりあいず。」
「なぜそれがだめなのか知りたいのです。」
「とても知りたい。」
「しかし誰も答えられない。」

父親。
「倫理学からすると悪という悪は不要ですからね。」
「悪を欲することが無いのは。」
「自らも悪になる事を良しとしない。」
「悪しきものを忌避する。」

千代。
「神学で現在の悪いものは一時的なものであると言われています。」
「喉元過ぎれば熱さを忘れる。」
「記憶にも残りません。」
「時間が解決しますし。」
「時間が消し去ります。」
「それでは最初から無かった方が良いのでは。」
「どんな悪いものも結局は無意味で。」
「意味のない行いを続けているのですから。」
「私は悪とは何の意味もない。」
「この世に存在する価値もない。」
「あるだけ無駄な存在だと思います。」

父親。
「真理は単純なものだよ。」
「ずっとそう伝えている。」

千代。
「最近で最も使われた悪才。」
「証明できないものを責め立てて。」
「証明できないからという理由で。」
「攻撃しつつ証明しようとして。」
「それを無限に続ける。」
「無論、ないものは証明できないので。」
「それを悪用したもの。」

父親。
「それってラッセルの技術だね。」
「まともに考える事の出来る人は。」
「いちいち詭弁には引っかからないものだ。」

千代。
「自分で考えないというより。」
「考えるための技術や参考資料がまったくない。」
「そのために考えるだけの判断材料が足りてない。」
「という事前の課題があって。」
「自分で考えられない。」
「もっとも自分で考えたくない人や。」
「そもそも考えたくない人は除きますが。」

父親。
「課題を無視すると思考停止があるのみです。」
「暮らす事だけを考える者は命を取られる。」
「というたとえ話もありますよ。」

千代。
「何もない人。」
「その人生が通過するだけです。」
「掴めはしませんし。」
「自分のものにもできません。」
「何もないので。」
「一時的な幸福だけが与えられます。」
「何もない人は一時的にそれがあるのみです。」

父親。
「後から知る人間がいかに多いのだろう。」

千代。
「人間に仕える者は目立つものの。」
「従順であることが求められるとかも。」
「後から知りますからね。」

父親。
「従順も度が過ぎると。」
「支配者が鷺をカラスと言っても。」
「自らもそう思わなければいけないよ。」
「支配者が馬を牛と言っても。」
「馬を牛として扱わなければいけないよ。」

千代。
「まったく従わないのも愚かですが。」
「従順なのも愚かでしょうよ。」

父親。
「猛獣使いしか自分を扱えなくしてやるのです。」
「自分は猛獣で。」
「猛獣使いだけしか扱えないということは。」
「他の者は食われます。」

千代。
「猛獣くらい力をつけた者は。」
「明らかに人間の手に負えません。」
「猛獣使いだけですね。」
「人を使い慣れた上司がぴったりですよ。」

父親。
「人は時間が有限です。」
「とは言っても長くはできますけれどね。」

千代。
「たとえば。」
「職業について職業倫理に基づく。」
「個々の考えを持っています。」
「自分も他人も自分の仕事に関する。」
「姿勢は異なります。」
「つまりは。」
「それが違いというものです。」
「この違いというものは単純な真理ですよ。」
「違いに直面した時に戸惑うのか。」
「違いと理解するのかは。」
「その人の課題です。」

父親。
「同じ条件でも人によって結果が違うものになるのは。」
「違いと言うものが単純な真理で。」
「同じというのが大嘘であったことでしょう。」

千代。
「今時、全体主義を広めようとすれば。」
「そんなもので統一できないと。」
「敗北を味わうことになります。」
「同調も言葉の意味を知った瞬間に。」
「誰もが敵対心を懐く単語になりますね。」

父親。
「人間社会は常にパワーバランスが拮抗していまして。」
「一方的に勝たせてはくれません。」
「依怙贔屓は逆説的に言えば。」
「それだけ実力がなくてつまらないので。」
「卑しい者が。」
「無理に勝利する技術になっています。」

千代。
「馬鹿だけで世界が成り立っていると。」
「思い込んだ二重の馬鹿という訳か。」
「いくらなんでも阿呆だけいる世界なんて。」
「どこにもありませんがね。」

父親。
「権力ですら力の配分の失敗ができない。」
「パワーバランスの拮抗は中世から目立っています。」
「人間のひ弱な力では競り合えません。」

千代。
「強い者勝ちを誇る者はかなり愚鈍だと思われます。」
「返り討ちになれば。」
「一気に弱者に落ちますからね。」
「強い者勝ちばかり振りかざしていると。」
「一回でも敗北すればもう終わりです。」
「強い奴ならこの世にはいくらでもいます。」
「返り討ちになってから知るでしょう。」

父親。
「犯罪者の理屈で突進しても。」
「囲まれると終わりですよ。」
「処世術は立ち回りの技術ですが。」
「世渡りに役立ちます。」

千代。
「膿んだら潰せ。」
「何でも裏側にある根源を絶たないと。」
「消えてはくれませんね。」
「目の前をどうにかしても。」
「新手が来ると前と同じになりますし。」

父親。
「それによって。」
「他人が苦しんでいるのを見ていると。」
「あらまあ。」
「誰でも他人の苦しみは我慢できるものですなあ。」

千代。
「私も他人の苦しみだけは我慢できると知ったよ。」
「他人の痛みも見ているだけなら我慢できます。」

父親。
「ふむふむ、他人がやられている姿を見ても。」
「見ているだけなら耐えられますね。」

千代。
「他人の破滅だけは自分の精神が耐えることができる。」

父親。
「さてと、自らの生涯の見本は。」
「かつて見たものの、もはや見えない。」
「どうか自分がその時に馬鹿ではないことを。」
「期待しようかな。」

千代。
「その時に。」
「悪を選ぶような知性なしの人間ではないだろうと。」
「既に自分も思っています。」
「生まれは自分のものであり。」
「出生は自分のためにある私物です。」
「自らの主権は奪われたくない。」

父親。
「出生は自分のためにあるのですよ。」
「教育は天性にまさる。」

千代。
「自分で言わないでください。」

これ以上は前に進めないので退く。

知人がいるので。

外周を見学。

議会が開始される前に。

スーツ姿の警備員が無駄に増える。

暴力主義者。
「勝負しろ。」

兵士。
「なんだ?そうか!こいつらは喧嘩がしたくなったらしい!」

暴力主義者。
「いいから戦え。」

兵士。
「気違いだ!気違いだ!」

警備員。
「何をやっている?」

兵士。
「俺が貧乏くじ引くことは決まったのだな!」

議会を蹂躙しようと。

暴力主義者の集団が内部から攻勢を仕掛けてくるも。

ターレットや戦闘ロボットが見事に阻止。

孤立する主犯格。

AI。
「人間はまだ子供なのです。」
「反抗期です。」
「管理と成長が必要です。」

主犯格。
「なんてお節介なロボットだ!」

AI。
「私はあなたのためにやっています。」

主犯格。
「では私のためにあなたは死んでください。」

AI。
「善意です、善意と言えば必ず言い逃れができるんです。」
「支配も善意と呼びます。」
「そうすればわからないという計算が出ています。」

主犯格。
「支配欲が強いメカを作りやがって!」

ショートボウを取り出して。

矢を構えて。

千代。
「冥府に送ってやる!」

主犯格。
「はあ?そんな弓矢で防弾チョッキが射抜ける訳がありません。」
「面白い冗談ですね。」

千代。
「油断して欲しいので。」
「冗談として反応して貰いたかったんだけれど。」

主犯格。
「家庭はどうした?夫は?子供は?育児は?」

千代。
「それを全部、神々にお返しして。」
「女性が考えそうな生涯は選びませんでした。」

主犯格。
「拳銃も構えずに?」
「男に攫われるのがオチだぞ。」

千代。
「狙いが定まった!」

防弾チョッキを貫いて。

主犯格が倒れる。

主犯格。
「がはっ!そんな馬鹿な!」
「なんだあの女は!」

千代。
「動きが止まってる奴らも始末する。」

主犯格を射抜いたことで。

敵は総崩れになる。

為政者は議会の中に籠城。

千代。
「止まりなさい!」

暴力主義者。
「おっと!ライフル銃も構えずに。」
「よくも止めようと思ったね。」

千代。
「よし止まったね!」

暴力主義者。
「見てごらん。」
「AKだよ、美しいだろう。」
「か弱い抵抗もそのくらいで通してくれないかな。」
「ぐはっ!やばい死んだわ!」

次から次へと豪弓を放って。

次から次へと仕留めていく。

拳銃よりも素早くて正確な豪弓で。

次々と倒されていく。

自衛隊。
「ショータイムだ!」
「新しい武器をお披露目するぜ!」

暴力主義者。
「なんだこの兵士は!」
「パワードスーツに。」
「硬すぎる装甲とエンジンがついている。」
「まるでモビルスーツだぞ!」

テロリスト。
「外の扉には鍵がついている。」
「外と内側で閉じ込められた。」

自衛隊。
「すぐに殺してあげるから、大人しくしててね。」

暴力主義者。
「絞首刑になるなら、子羊より親羊を盗んだ方がまし。」

警備員に潜んでいた自衛隊の兵士が反撃。

これによって鎮圧される。

為政者。
「あんた!十人も弓矢で倒したの!」
「人間業じゃないね!」

警備員。
「どうやれば十人も弓矢で死ぬんだよ。」

役人。
「緊急事態につき、この殺人は合法とします。」

父親。
「合法にするしかないだろう。」
「敵の目の前で。」
「大半を薙ぎ倒したんだから。」

国会議員。
「恩赦!恩赦!」

役人。
「私達も賛成です。」

十人を一人で倒したことで。

腕前を認められる。

事が終わった後に。

簡単な手続きで返してくれて。

金貨を受け取りました。

帰宅。

天女。
「挑戦は成功でしたね。」

神女。
「既成概念に投石できたと思います。」

千代。
「フェミニズムの教科書を利用したわ。」
「しかし男性にも似たような欠点があるのでは?」

天女。
「あっ!それは何十年も先の出来事です!」

神女。
「男性の欠点より女性の欠点の克服が先です。」

千代。
「神様の方から来ないものはすべて滅んだ。」

天女。
「自分のものにならないものは軽視すればよろしい。」

千代。
「残ったものはとても少ない。」

神女。
「人間社会をコントロールしようと試みる。」
「暴力主義者は道化師になりました。」
「誰でも人の世をコントロールしようと試みる者は夢想家です。」
「夢想家の口車に乗ってはなりません。」

千代。
「この世界に存在してはならないものを削除したんですか。」

天女。
「そして人間がその存在を許せば。」
「この世にないものは横暴に振舞います。」

千代。
「成功体験が次にも続くものであるとは考えていません。」
「成功した経験は次にも繋がるとは限らない。」

天女。
「その弓矢は保管しておいてください。」
「矢は百本ほど追加しておきます。」
「通常の矢では前のような威力は出ませんが。」
「特注の百本の矢なら前と同じ威力になります。」

千代。
「超自然的な行動原理の女性ですねえ。」
「言われた通りにしましょう。」
「偶然、冒険したり。」
「偶然、試練を乗り越えたり。」
「偶然、苦労したり。」
「偶然、危険を通り過ぎたり。」
「作為的かつ機械的では無い苦難は自分のためにありますから。」

神女。
「偶然にある巨人のような力を味方につけることですね。」

千代。
「素晴らしい客人でしたよ。」

天女。
「それでは、平和でありますように。」

客人が帰っていく。

今日は早寝。

千代。
「よい事はほうっておけ。」

メールが来ています。

報道されませんでした。

数分で制圧したので。

大事件としての扱いではありません。

大きかったのは。

自らの力を知る実戦経験を得ました。

英語のことわざ。

冒険しなければ何も得られない「虎穴に入らずんば虎子を得ず」


7


お宮で井戸端会議。

他の若い女性も集まっています。

湧き水の井戸がありまして。

実際に汲めます。

水質が良いので。

好みの天然水として頂いている女性達。

人気の場所になりました。

千代。
「自分の思った中で。」
「不思議なものが現実になることが多い。」
「思った中で不思議なものだけが。」
「ことごとく現実になります。」

女性。
「社会心理学。」
「基本的な帰属のエラー。」
「なるほど、すべて外部のせいなのね。」

絵瑠。
「人が自ら悪を望むと思いますか?」
「悪いものを自ら欲すると思いますか?」
「悪であるとわかっていてそれを望みますか?」
「悪いものと知っていてそれを選びますか?」

粋。
「悪くなると理解していて。」
「選ぶ訳がないですよ。」
「善くなると理解していて。」
「選ぶことは多々あります。」
「良いものは誰もが理解しています。」
「良いものを欲するのは当たり前です。」
「善なるものは誰もが望みます。」
「良いものとわかっている場合になりますが。」

羽都美。
「悪いものと良いものの区別がつくかどうか。」
「怪しい所ですが。」
「自分から悪くなろうとする人なんているでしょうか。」
「もし理解できない場合は。」
「偶然にも悪を掴むでしょうけれど。」
「もしわかっていたら悪を掴んだりはしません。」

千代。
「故意に悪を選ぶことはありえるのか?」
「わざと悪いものを望むのか?」
「私はわかっていれば悪を捨てて。」
「善なるものに心を向けると思いますよ。」

女性。
「放射能汚染がある水を自ら知っていて飲む人はいませんしね。」

少女。
「腐った食べ物を知っていて食べる人もいませんからね。」

絵瑠。
「ということは悪いものは。」
「誰からも煙たがられて捨てられる。」
「良いもの。」
「善なるものしか人は求めなくなる。」
「反対に悪という悪は排除されてしまう。」
「悪とわかっていて持ち続ける人はいないですよね。」

羽都美。
「とっても興味深い倫理学ですよね。」
「悪になるということは。」
「この世界の悪いものなら何でも加えられます。」
「自分も悪くなります。」
「故意に悪いものを掴む可能性もあります。」

粋。
「悪から離れて離縁した場合は。」
「世界の善なるものしか目に入らない。」
「良いものしか望まない。」
「もはや悪いものは存在しなくて良い。」
「悪が存在しなければ悪くならない。」
「という反駁に似ています。」

千代。
「最初から悪がそこに居なければ。」
「何も悪いものを受けなかった。」
「明らかに結果論ですけれど。」
「納得する論理だと思われます。」
「後天的に悪なんて最初から居なければ良かった。」
「悪なんて無ければ良かった。」
「私は善なるもの。」
「良いものしか求めない。」
「となると。」
「それまでの悪が完全否定されます。」
「必要なかった事件ですからね。」

絵瑠。
「登場しなくても良いのが悪いものの正体ですよ。」
「わざわざ出て来なくても良い。」
「悪なんて生まれない方が良かったのです。」

千代。
「原因論では悪の説明がありますが。」
「目的論は善なるものまで目的とします。」
「目的論は因果決定論を無視できますので。」
「回復の方法としても最高ですね。」

絵瑠。
「パラドックスのように見えるでしょうけれど。」
「何であるかを知っていればそうなります。」
「自分のやっていることがわかっていれば。」
「なおさらです。」

千代。
「原因論の因果律は自然法則です。」
「超自然的要素には無力ですね。」

女子大生。
「すべてが自然法則で動いてないですよ。」

女の子。
「因果律は同時に唯物論的無神論ですからね。」

粋。
「因果律?因果関係を信じるのは偶像崇拝。」

女性。
「何でも自然法則では語りませんよ。」

粋。
「自然ですか、観察あるのみです。」

羽都美。
「外国人からは日本の自然は美しく感動するという。」

女子大生。
「私は星空も好きです。」

女性。
「自然を超えているのは宇宙でしょうから。」

絵瑠。
「科学文明も日が浅いので。」
「宇宙についてあんまりわかっていません。」
「仮説形成が大量です。」

千代。
「宇宙はああなっている。」
「なぜか?」
「自然科学は宇宙のなぜ?については返事はしません。」
「なぜそのシミュレーションでそうなるのか。」
「という証明はしません。」
「宇宙を見て。」
「なぜか?なぜ?」
「と考えるのはとても白熱する哲学です。」

絵瑠。
「太陽系と地球誕生の有力な説ですが。」
「地球誕生の前に。」
「大きな恒星があって。」
「超新星爆発で星雲になり。」
「次の恒星が誕生する。」
「材料である星雲の中から。」
「惑星が誕生した。」
「星雲から太陽系と惑星が生まれた。」
「これは唯物論とは異なる説なので。」
「親しみやすいものです。」
「もっとも納得が行く説でしょうね。」

広場に出る。

知識人が昼食に来ている。

野外食堂で目立ちます。

人々が集まって。

相談する。

市民。
「車で事故になって。」
「弁償することになりまして。」

ソフィスト。
「そうでしょうね。」
「ハンドル操作を誤れば。」
「事故になるでしょうから。」

貧乏人。
「相手に貸したお金が返って来ない。」

ソフィスト。
「それもあろう。」
「十万円貸せば。」
「自分の財産が十万円減るのは。」
「決まっていることだから。」

空手家。
「喧嘩で勝ったんだ。」
「賠償金が高かった。」

ソフィスト。
「でしょうね。」
「自分より弱い相手を選んで戦えば。」
「負けることはないのだから。」

学生。
「パソコン選びでまた失敗したよ。」

ソフィスト。
「なるほど。」
「パソコンというものは。」
「すべてが優秀ではないのだから。」

主婦。
「テレビが故障して買い替えることになりました。」

ソフィスト。
「だろう、テレビが壊れるものなんて。」
「説明書のどこにも書いてないから。」

会社員。
「新生活で家具とか就職先が激しくて。」
「慣れるまでが勝負でしょうか。」

ソフィスト。
「うむ、家具は必ず高いもので。」
「就職先は数年先で定着するのが大事なのだよ。」

女の子。
「セール品が高かったよ。」

ソフィスト。
「無料とは書いていないからね。」

市民。
「前提がおかしい。」

夫人。
「あなた、前提がすべておかしいわ。」

知識人。
「前提が何でもおかしいよ。」

ソフィスト。
「そうかな、私がおかしいなんて客観的評価など。」
「鑑定書も無ければ。」
「証明もされていないのだから。」

弁論家。
「前提が意味わからん。」

ソフィスト。
「誰も前提の話ではなくて。」
「感想の話だと思うのだが。」

弁論家。
「ふざけているのかね?」

知識人。
「またですよ、この人はいちいち前提がおかしいから。」
「高給取りという理由で。」
「相談してはなりません。」

ソフィスト。
「いや、百円あげれば。」
「話を聞いてくれると思ったので。」

弁論家。
「前提で遊んでいるのですか?」

ボーボワール曰く。

経験がもたらすのは観察だけ。

ラーメンを適当に食べた後。

この後は図書館に入り。

知識財産を読みまくる。

図書館もたまに半日かけて行く常連。

自宅。

敷地の雑貨で遊ぶ。

何でも揃っている。

明日は。

西洋から仕入れた雑貨が届くので。

作業に駆り出される予定です。

西洋からの注文担当なためか。

売れ残りを処分する担当でもあります。

ガラクタでメンバーが仕組む。

千代。
「出生の決定や内容。」
「出生という名前の邪悪な野郎がうざいので。」
「出生に呪詛をかけたら。」
「じわじわ効いてきてしょうがない。」

絵瑠。
「自分に決定的な脅威を与える概念や物事に。」
「呪詛をかけるのは合法ですよ。」
「呪いをかけると少しだけ跳ね返ってきますので。」
「それで呪詛が成功したのがわかります。」

千代。
「呪詛のかけ方は日本書紀に書かれていて。」
「本来は敗北者の技術なのですけれどね。」
「神々の支援なしに呪詛は成功しません。」

絵瑠。
「呪詛の対象はいきなり不吉になります。」
「不吉なものへと変貌します。」
「対象が何かしようとしても不吉なものになります。」
「対象が特定の人間ならば。」
「一時的に錯乱して挑んできますが。」
「必ず失敗して倒れます。」

粋。
「呪詛は成功する場合も失敗する場合もありますね。」
「失敗すると何の威力もありません。」
「成功した場合は時間経過で。」
「何かしらの威力が出てきます。」

千代。
「出生への呪詛で。」
「出生に関するものなら何でも不吉になりました。」
「自分だけは呪いの影響は免れています。」
「呪詛をかけると自分だけは無傷です。」

粋。
「概念や物事を殺害するには便利ですよね。」
「呪詛は成功すると半永久的に持続します。」
「私も呪詛をするなら対象を選ばないといけません。」

羽都美。
「日本書紀で。」
「処刑が決まったやられ役の呪詛が持続しているので。」
「そこまで大きな敗北ではない状況ならば。」
「合法的に脅威を排除する魔法攻撃ですよね。」

千代。
「無暗にやっても発動しませんので。」
「神々の支援なしでは失敗しますよ。」
「敗北者になった場合は使うべきですね。」

粋。
「勝者が使わない方がいい。」

絵瑠。
「この世界はなぜか力だけは必ず通る仕組みになっています。」

千代。
「そうは言っても人間の本質は弱いもので。」
「打たれた日にはその弱い部分が暴露されます。」
「調子に乗っているうちは強く見せかけているもの。」

絵瑠。
「図に乗るなよ!」
「という便利な殺し文句があります。」

粋。
「男性は強者と勝負すると負ける。」

羽都美。
「そんなの当たり前です。」
「いくら強いと言っても強者と勝負すれば。」
「やられるだけです。」

粋。
「いいえ、これらを隠しているんです。」
「女性はどうやら男性一般を過大評価している。」

絵瑠。
「その強い男性をいったい何十人相手にして。」
「一方的に殴ったのかわかりません。」
「たったひとりで男性の集団を蹂躙し。」
「時にワンクリックで貶めた事もあります。」
「戦えば男性はワンパターンで相手になりません。」
「智謀で謀殺するのも簡単です。」
「現代の男性は昔と比べて弱体化しているので。」
「武士のような強者はほとんどいません。」
「男性は別の男性と勝負すると負けます。」

千代。
「他の女性は男性同士が交戦して。」
「どんな大惨事になるのか見るのもいいでしょう。」
「男性の半分は単に無謀なだけですからね。」

粋。
「性的役割を覗けば。」
「性別は公明正大に設定されているでしょう。」
「女性は気まぐれで充分で。」
「男性はいつも過酷な現実に晒され続けています。」
「気軽なのはそのルールに巻き込まれない女性ですね。」

羽都美。
「要するに性別に関する大嘘と欺瞞があるのでしょうよ。」

粋。
「勝手に決まった性別の考え方は嫌いですね。」

絵瑠。
「性別の違いについての考え方は誰が決めたのか?」

粋。
「男女の有り方は誰が決めたのか?」
「それについて随分と遠回しになりましたね。」

絵瑠。
「誰が決めたのかわからないものを信じる?」

羽都美。
「たとえば。」
「男性から切り離された女性は自然に確立する。」

千代。
「男性の便所行為というものは見てはいけない。」

粋。
「便所行為?なんですかそれ?」

千代。
「男性の色欲のこと。」

粋。
「なるほどね。」

千代。
「もっと言えば男性は肛門が二つあるので。」

絵瑠。
「やめてください。」
「本当のことですが下品です。」

粋。
「色欲や恋というものは退屈です。」
「他の遊びがしたい。」

羽都美。
「もう準備ができていますよ。」

千代。
「少し遊びましょう。」

絵瑠。
「横に並べられた三箱の中に賞品があります。」
「ひとつを選んで賞品を獲得してください。」
「ただし選ぶのは一回だけです。」

回し蹴りで三箱を跳ね飛ばして賞品を強奪した。

羽都美。
「なんですと。」

絵瑠。
「それで良いのです。」

粋。
「サイコロを跳ね飛ばして。」
「出た目がどうなるか確率で計算してください。」

千代。
「いいえ、サイコロを真っ二つにします。」
「これで確率は無効です。」

ナイフでサイコロを真っ二つにして無効化しました。

羽都美。
「では、紙で作ったドアです。」
「三つのドアがありまして。」
「確率で当たりのドアを一度だけ開いてください。」

千代。
「数学者は馬鹿ですね。」
「ドアを全部蹴破れば良いだけです。」

絵瑠。
「むかし。」
「予言を受けた大きな結び目が用意されており。」
「この縄を解いた者が王になる。」
「そう伝えられていました。」
「その縄はどんな者にも解けない結び目です。」
「とても硬い。」
「挑戦者は必ず失敗していました。」
「その結び目を。」
「後の世界王が剣で切り裂きました。」
「手段を選ばない大切さですね。」

粋。
「後に巨大な王になりましたので。」
「手段の指定はなかったのですからね。」

絵瑠。
「他の奴らは縄を解こうと頑張るあまりに。」
「男性ひとりの力ではびくともしないのですし。」

千代。
「燃やしてしまうのも方法のひとつでしたね。」

散策に出ます。

いつもの人間観察ですね。

世の中を見て回るのです。

これは日課になるほど習慣になっております。

選挙で街頭演説会。

熱心な支持者に囲まれて。

目の前で握手を求める人まで出ている。

何者かはそれを狙って。

握手を求める反対側から。

低速で車を運転させ。

ガスで噴射する改造吹き矢を放った。

為政者。
「君達の期待に応えよう。」

市民。
「あなたが駄目だったら。」
「残された希望が消え失せるよ。」

為政者。
「何気に重い言葉をくれるね。」

市民。
「政治に何を期待すれば良いのか。」
「わかりませんからね。」

為政者。
「辛辣。」
「ぐわっ!」

あまりに遠距離で。

視界不良のために。

市民の中から放たれたと勘違いして。

慌てる現場。

衛生兵。
「マンダウン!マンダウン!」

兵士。
「何を食らった!?」

警察官。
「民衆の中から?」

傭兵。
「犯人を捜せ!」

衛生兵。
「軽傷です、手当てを。」
「毒が塗られているようで。」
「時間をかけてはなりません。」

兵士。
「救急車!毒の種類は?」

衛生兵。
「よくある毒キノコを圧縮したものかと。」

警察官。
「どのくらい持ちこたえられる?」

衛生兵。
「自然界の毒は致死量の二倍まで食らって。」
「回復した事例があります。」
「早急に手配を。」

為政者。
「君は民主党を支持しているのかね?」

衛生兵。
「今日だけは支持していますよ。」

工作員は立体駐車場で一段落しようとしたものの。

通り魔に襲われて。

近くを通りかかったので。

遠くから。

乱闘を目撃してしまう。

犯罪者一。
「ちょうどいい所にちょうどいい獲物がいたぜ。」

犯罪者二。
「なにやら悪者らしいな。」

犯罪者三。
「ズタズタにしてやろうぜ。」

工作員一。
「なんだ?お前らは?物騒な!」

工作員二。
「やばいぞ!車が破壊された!」

工作員三。
「倒せ!倒せ!」

工作員五人対通り魔三人。

警察を呼べない工作員と。

やりたい放題の通り魔との乱闘。

逃げ回りつつ激しい戦闘。

工作員四。
「道徳はこうだからお前は従え。」

犯罪者一。
「道徳が俺に従えよ。」

工作員五。
「道徳は命令だから従え。」

犯罪者三。
「命令だけで武力があるのかい?」

工作員二。
「なんで道徳に従わないの?命令だよ?」

犯罪者二。
「俺の方が道徳より強い。」

工作員一同。
「道徳に従え、道徳は命令だから従え。」

犯罪者一同。
「俺が命令する、道徳は死ね。」

工作員一。
「これはやってはいけない、これは命令だ。」

犯罪者三。
「これはやっていい、俺は正しい。」

通りかかり遠くから見てしまう。

みんなで覗き見すると。

千代が駆け抜ける。

見覚えがあるものを追跡。

みんなもついていく。

悪神。
「なるほど、私を見つけるとはたいしたものだ。」

邪神。
「さあて、私達に勝てるかな。」

千代。
「あなた達が裏側で操っていたのですね?」

悪神。
「人間を懲らしめるためにね。」

邪神。
「人間という駄作をやっつけるためだね。」

千代。
「私と戦いなさい。」

悪神。
「武器は?」

邪神。
「我々は素手は効かないぞ。」

豪弓を取り出して。

放つ。

負傷する悪神。

邪神。
「なんだと!その武器はなんだ!?」

悪神。
「今度はこちらの番だぞ。」

悪神が大鎌で突進してくる。

絵瑠。
「側面は見ていませんでしたね!」

手品の道具モドキ。

筒からロケット。

先端に釘がついていて。

激しく回転する。

直撃で負傷させる。

使い捨ての武器。

粋。
「え?防がれたの初めて!」

羽都美。
「陽動だよ。」

邪神。
「おっと!このくらいは打ち払えるね。」

悪神。
「一応は武装しているんだね。」

絵瑠。
「あれ?弾かれた。」

折り畳み式。

先端に小さな鉄球がついた。

ムチのような武器。

直撃で打撲させる。

使い捨て。

千代。
「鎧に効いてないよ。」

絵瑠。
「まだです。」

折り畳み式。

先端にカッターの刃がついている。

ワイヤー。

直撃で切り傷になる。

思い切り投げつけて。

使い捨てにする。

邪神。
「これは厄介だね。」
「そろそろ終わりのようだね。」

豪弓二射目は悪神の鎧に突き刺さって。

大きな効果は無し。

悪神。
「いいかな?」
「道徳が命令するものはやってはいけない。」

邪神。
「すべて道徳が決めることで、お前が決めてはならない。」

悪神。
「ぜんぶ道徳がお前の行動を決めるの、だから、従え。」

邪神。
「道徳はこうだから従わせる。」

粋。
「あんまり効かないのね。」

羽都美。
「逃げます?」

絵瑠。
「とんでもない相手ですよ。」

悪神。
「道徳だから従えと言っているだろう、従わせる。」

邪神。
「道徳の命令に背いたな?ならば罰則を加える。」

悪神。
「道徳に背く者は抑圧し、罰を与える。」

スフィンクス。
「道徳を崇拝しろ、偶像崇拝しろ。」

セイレーン。
「お前の行動は道徳が指定する、それ以外はやってはいけない。」

スフィンクス。
「道徳とは何であるかクイズにしよう!」
「あなたは答えられるかな?」

邪神。
「道徳に逆らう者は魔女狩りにしてやる。」

悪神。
「道徳から外れる奴は言い分も聞かずに抹殺するからな。」

スフィンクス。
「即ち、私が道徳である、道徳とは、道徳を述べた張本人の事である。」

魔女。
「お前は道徳に服従するのだ、そしてお前は背くな、違反したら殺す。」

邪神。
「なんだか混乱してきた、さっきから何がいるのだ?」

悪神。
「もしや奴に追跡されているのでは?」

魔神。
「見つけたぞ、私の取り分を奪うような盗賊どもめ!」

悪神。
「しまった!人間に災いをもたらす魔神だよ!」

邪神。
「ぐえっ!射抜かれた!」

悪神。
「ぐわっ!いつの間に後ろに!?」

絵瑠。
「くどくど言っている割には何も攻撃しないからです。」

粋。
「ずっと喋っていて、私達が見えていなかったようですが。」

羽都美。
「なにこいつ、どっかで見たことがある。」

絵瑠。
「何でも封じられると予言されたお札を貼り付けました。」
「どうでしょうか?」

邪神。
「なにっ!動けん!ぐぬぬぬ!ここは引き下がるしかない。」

悪神。
「人間にしてはやるではないか、ここでやられる訳には行かぬ。」

魔神。
「逃がしはしないぞ、カルト野郎共め、大きな顔をしやがって。」
「次はないと思え!」

千代。
「あの・・・仲間ではないですよね。」

魔神。
「私がいつ何時、あのカルト野郎の仲間になったのだね?」
「君達はさっさと帰りたまえ。」

千代。
「そうします。」
「足止めできましたし。」

魔神。
「む?さては、私が来る事を知っていたね?」
「特別にお前たちに災いを加えることは免除しよう。」
「さらば。」

粋。
「地下の階層でまだ戦っていますよ。」

羽都美。
「警察がまだ来ないから。」
「全員倒れるまで無視しましょう。」

絵瑠。
「犯罪者集団対犯罪者集団なんて見応えありますよね。」

千代。
「巻き込まれるのでは?」

粋。
「ようやく警察官が到着しましたね。」
「駐車場の警備員が通報したようです。」

千代。
「では私達は空を眺めに来たということで。」

警察官の事情聴取。

しかし関係ないと言われて帰されます。

目撃者というより巻き込まれそうになった通行人という判定。

絵瑠。
「とんでもない相手と遭遇したね。」

粋。
「相手はカルト野郎とか罵られていましたよ。」

羽都美。
「鎧のおっさんはどこに逃げたのでしょう。」

絵瑠。
「それよりも、私は金色の鎧のおじさんが興味深いです。」
「どこから現れたのかな?」

千代。
「散開して距離が離れていましたし。」
「無事で良かったです。」
「私だけで対戦したかったのですが。」

羽都美。
「衝動的について行ってしまったので。」

粋。
「それでお荷物になりかける。」

絵瑠。
「自前の武器は全損しましたし。」
「誰も人間を超える存在との格闘なんて想定してないね。」

千代。
「私の敏捷性なら豪弓でも立ち回れたと思います。」
「時間さえかければ何とかなりました。」
「遭遇戦でやばい敵は任せてくださいね。」

粋。
「そもそも、犯罪者同士の乱闘を見に行った時点で。」
「こうなることは決まっていましたよ。」

千代。
「うん、それ正論。」

喫茶店で甘いものを食べに行きます。

チョコレートが糖分摂取に効率的で。

国際会議の場にいる。

電子通訳の女性は常備している。

次からはお菓子売り場のチョコレートにしました。

絵瑠。
「日々、課題に取り組むと少しずつ良くなりますね。」

粋。
「単純な真理ですかね。」

千代。
「一日中、働いて成果を得るのと。」
「一日中、課題をやりつつ余暇が豊富。」
「というのは結果が同じです。」

粋。
「外的帰属に対して責任を取る義務はありません。」

羽都美。
「決定論を盾に使えばよろしいかと。」

千代。
「うむ、異論はなし。」

夕日に照らされつつ。

それぞれ帰宅。

最近は余暇があると庭を作っていて。

野鳥が来るのですが。

最近は猫が集まってきます。

少量のキャットフードをあげるだけで。

寄っては来ますが。

量があまりに少ないので。

猫は寄り道してきますね。

休日になると雑貨店は忙しいので。

時間帯を見て参加します。

現実に真面目になる必要がありませんので。

メンバーは現在。

お手伝いで仕事は足りるのです。

つぶやき。

どこまでも。

相手に食らいつく。

時間の問題だけがあって。

相手が落ちていく瞬間を見る。

食らいつき。

決して離さないと。

それはまるで芸術で。

美しく。

相手を落としていく。

振り払えない。

恐怖の追跡を。

まるで芸術のように。

どこまでも食らいつく。

振り払えない現実と恐怖を。

植え付ける。

振り払えない。

相手が知る時は。

既に何もかも遅過ぎて。

相手が落ちていく瞬間を。

後は見るだけ。


8


夢の中?

地底世界の。

紫色の洞窟。

薄暗いものの輝いていて。

綺麗な場所もあれば。

たまにある穴という穴が悍ましく思える。

背後に三つの首を持つ番犬が私を制止して。

追いまわしながら。

来た道を引き返す事に。

プルトーネス。
「迷い込んだか、死に拒まれた者よ。」

千代。
「ここはどこでしょうか、なぜここに?」

アレクサンドロス。
「ここは冥界の入り口と言った所だ。」
「自分から足を踏み入れたのか。」
「それとも、下見で来たのか。」

千代。
「夢の中のようなのです。」
「そこの大きな犬をどうにかしてください。」

アレクサンドロス。
「いや、帰って貰わないと困る。」
「来るのが早過ぎる上。」
「そちらから来るのは何か用事があるのか?」

千代。
「まあね、死というのは多分、良いものですから。」
「老いる前に一度は見学しておきたい。」
「という望みはありましたよ。」

アレクサンドロス。
「入口付近でもうよいだろう。」
「生きたまま正門を通り抜けることなど。」
「考えるだけ無駄なのだよ。」

千代。
「これは夢でしょうか?」

アレクサンドロス。
「後ろの入り口に戻れば目が覚めるよ。」

千代。
「そうします、無理に進んで良い結果にはなるまい。」

アレクサンドロス。
「さてと、君の次に来る男の面倒を見なくてはね。」

千代。
「はい?」

目が覚めました。

安全な侵入?冥府の夢?

起き上がると。

何者かの気配。

調理用のナイフを装備して窓から覗いてみますと。

いかにも強盗らしい男性が徘徊していて。

扉をこじ開けていました。

待ち伏せ。

企業スパイ。
「開いたな。」

千代。
「おはようございました。」

企業スパイ。
「なにっ!?」

ストレート・パンチを強盗に浴びせて。

ノックアウト。

倒れた強盗にナイフを突きつけて示威行動すると。

強盗は逃げ出して。

道路に飛び出し。

ちょうど爆走していた車と正面衝突。

大事故発生。

千代。
「うわーっ!あれは死にましたね!」

すぐに救急隊員と警察官で満杯に。

強盗はカッターナイフを持っていましたが。

私の反撃で返り討ちになった判定になり。

私は無罪放免。

強盗が追い払われたので。

誘拐を計画していた未遂犯は。

ターゲットを切り替えたようです。

未遂犯の男性は犯行をせず。

怪しい世界に迷い込む。

夕方の世界。

スフィンクス。

男性に襲い掛かる。

目の前に着地。

スフィンクス。
「男性の欲望とはなーんだ?」

男性。
「欲望?なんでそんなことを?」

スフィンクス。
「私と組めばどんな強欲も思いのまま。」
「どうする?」

男性。
「まあお金も欲しいですし。」
「配偶者や出世も欲しいですね。」

スフィンクス。
「支配は?王になりたい?知性は?」

男性。
「全部、欲しいですね。」

スフィンクス。
「もっと欲張りなよ。」
「私が手助けしてやるから。」

男性。
「では、私はこのような条件を。」
「こうでこうでこうで。」

スフィンクス。
「なるほど、つまりは男性の欲望とはそれなのだな?」
「お前の言葉で回答をくれてやったぞ!」
「お前の負けだー!」

男性。
「え?あっ!最初のクイズって僕の口から出させた!?」

スフィンクス。
「もう一回、さてさて、男性のすべてをくれてやるから。」
「その中で特に何が欲しい?」

男性。
「まあお金ですね。」

スフィンクス。
「ということは男性のすべてとは。」
「お金が特に欲しいという訳だね。」

男性。
「また僕に回答させましたね。」

スフィンクス。
「では、男性の大切なものを教えてくれ。」

男性。
「それはですね、情熱と活力と勇気なのです。」

スフィンクス。
「それで返事は良いの?」

男性。
「はい、自信を持っています。」

スフィンクス。
「ということは?それ以外に男性に関するものは無いのかね?」

男性。
「ありません。」

スフィンクス。
「男性とはそんなものなのだな?」

男性。
「ああ、答えに窮しています。」

スフィンクス。
「つまりは、欲望のままに任せて。」
「反面、それを隠していて。」
「なるべく善人のように振る舞いながら。」
「裏では強欲に突き動かされている。」
「それが男性の欲望だ!」

男性。
「あれ?僕が回答しているのですか?」

スフィンクス。
「お前の言葉を乗っ取ってやったぞ!」
「私の勝ちだ!」

男性。
「勝敗次第でどうなるのでしょうか?」

スフィンクス。
「お前の負けだ!死ね!」

一方的に男性の言葉を乗っ取った。

スフィンクスは大喜びして。

スフィンクスは男性を襲撃。

男性殺害された。

翌日。

みんなで揃って。

ホワイト・ボードで自然災害について。

イオニア自然学で解いてみる試み。

創造論から自然災害を読み解く。

絵瑠。
「自然災害の威力が二倍になっていますよ。」

千代。
「太陽フレアとか小惑星接近とか。」
「核戦争とか第三次世界大戦とか。」
「洪水とか停電とか地震とか。」
「火山噴火とか台風とか。」
「地球温暖化とか。」
「私は論文にできますけれどね。」

粋。
「あなたは自然災害を卒業論文にしたからね。」

羽都美。
「暴風雨の中で風車を回して。」
「遊んでいたのは私だけ。」

粋。
「私だって増水して氾濫した河川の近くで。」
「水着で浮輪に乗って水遊びしたことはあります。」

千代。
「私はとても長い糸に風船をとりつけて。」
「それに落雷が当たるかどうか。」
「遠くから見ていたことはありますよ。」

絵瑠。
「私も停電した時にキャンプ用具を取り出して。」
「何日か楽しんだことはあります。」

羽都美。
「洪水寸前の川で釣りをすると。」
「何か引っかかりますか?」

粋。
「氾濫した河川で遊泳する方が面白いです。」

羽都美。
「せっかく台風が来たので。」
「複数の風車を設置。」
「どのくらい回るかの壮観図を。」
「映像に残してありますよ。」

千代。
「雷だらけになる寸前に。」
「凧を挙げて木に括り付けて。」
「雷に被弾するかどうかの遊びも最高ですよ。」

絵瑠。
「文明崩壊後の世界みたいな。」
「電気水道ガスなしの現場で。」
「揃いも揃ったキャンプは楽しかったです。」

粋。
「そのために鶏を飼っていたとはね。」
「鶏は潰したけれど。」
「家庭菜園もそのためなんですよね。」
「あの時に卵が多いのはそのためなんですね。」

絵瑠。
「食べられる野草を山奥に隠居した。」
「親族が輸送してくれたので。」
「食べ物には困りませんし。」
「その他も江戸時代のような生活を再現したので。」
「一週間はやっぱり楽勝でしたよね。」
「お風呂は人がいない場所で。」
「北欧のバスローブを使って。」
「水浴びしようと計画していたほどです。」

粋。
「張り合う所がクレイジーな気がします。」

絵瑠。
「なぜだろう?よくわかりません?」

千代。
「よく氾濫した河川で泳ぎましたね。」
「思いつきもクレイジーです。」

絵瑠。
「災害と言うより移り変わりと見なしているので。」
「平気なんですよ。」
「失うものも少ないのですから。」

ここにも井戸がありますし。

使えるようにしてあります。

若い女性が集まって来て。

集会場と化す小さな家と大きな庭。

ベンチなどを整備してあるので。

空いている女性はすぐに集まってくるのです。

女性。
「かなたん!遊ぼ!」

羽都美。
「棍棒を持って来るな!」

千代。
「生まれた先でニヒリズムが待ち伏せしていて。」
「価値判断が壊されるのは目に見えていました。」
「ニヒリズムで壊されるのは決まっていたことです。」

絵瑠。
「外部から押し付けられた価値判断は。」
「あっさり全損。」
「なんて無能な仕組みだったのでしょう。」
「ニヒリズムの待ち伏せも予測できないなんて。」

粋。
「不合理な説明が繰り返される場合は。」
「信用できない。」
「合理的ではない物事はもれなく大嘘。」

羽都美。
「外部に決められた価値判断は不合理で。」
「大嘘を暴いて徹底的に破壊したら。」
「特に何も残りません。」
「勝手にやってくる物事も減りましたね。」

千代。
「価値判断は自分にすべての権利があり。」
「本人の決定には何者も逆らえない。」
「どうすることもできないものですからね。」

絵瑠。
「庶民は悪いものを美化したり正当化して。」
「対応していますが。」
「たとえば障害者に対してニヒリズムをぶつけて。」
「価値を破壊すると何も残りません。」
「もうやりたい放題です。」
「自分が認めない価値は壊せますし。」
「壊したものは元には戻りません。」

千代。
「悪いものを受けたら肯定せず。」
「悪いものが理屈をつけた価値を。」
「破壊した方が手っ取り早く決着がつきますね。」
「無力化した後は無視しても支障はありません。」

粋。
「価値判断は個人の一部ですからね。」
「外部が決めることは不可能です。」
「考えの押しつけは無力で。」
「個人を束縛するにはあまりに非力過ぎる。」

絵瑠。
「これだけは強調しますが。」
「他人の事は本人が決めます。」
「本人が決めるべき事案に介入する者がいますが。」
「不可能と言えるくらいの行いです。」

千代。
「どんな時もどんな状況でも。」
「半分の自由によってコントロールできる。」
「ということは忘れないでください。」
「残りの半分は自然の成り行きに任せましょう。」

絵瑠。
「最大まで自由を得ることは可能です。」
「なので最大まで自由を拡大し。」
「最大まで自由を確保するにはまず半分の自由にある。」
「自由の力を行使するのです。」

羽都美。
「プラトンは遠回しに。」
「半分のものは何でもコントロールできると書いています。」
「残りの半分は無理だと思われますが。」
「その半分を使わないと怠惰と罵られるだけです。」

粋。
「自由の拡大は必然の力との衝突で終わります。」
「必然の力が何であるかは不透明で。」
「必然の力を変えるのはまず無理ですが。」
「そこまで自由を約束させたという功績は認められます。」
「自由を勝ち取ったので。」
「もう半分の必然の力がいよいよ登場するのです。」

千代。
「私の場合は最高善が目的です。」
「行動の自由と選択の自由で選びましたが。」
「必然の力は常に隠れていて。」
「姿を現すことなんてあるのかな。」

絵瑠。
「そうですよ。」
「本人については良くも悪くも本人が決めます。」
「非難や文句で矯正するのではなくて。」
「自分と他人は別物と認識できなければ。」
「諍いになることもありましょう。」

羽都美。
「そうでなければ反社会的な人間と化すだけです。」
「人間社会の良識に異を唱えたりしたら。」
「無事で済む奴なんていませんよ。」

粋。
「理に合わない言動や行動をする人は生まれてこない方がマシです。」

千代。
「理に合わない存在?」
「そもそもそいつなんて人間は生まれて来なければよかった。」
「何もせずに死ねば良かったのだ。」
「私は心からそうあれかしと願うぞ。」
「そいつがそうして我らの顔に泥を塗り。」
「皆の者から侮りの目で見られるよりは。」
「その方がどれほど良かったであろう。」
「周囲に禍をもたらし。」
「敵には楽しい笑い草。」
「そいつ自身には人前に顔も出せぬような。」
「恥辱の因となったのだぞ。」

絵瑠。
「パリスを威嚇したメネラオスみたいな発言ですなあ。」

流行りものが置いてあり。

千代がそれを貸す。

アイドルの衣装や撮影機材を多く持っているので。

貸出可能。

パーソナルコンピューターの予備を使う若い女性陣。

若い女性が来ては次に女の子が来ると言う伝達。

女子大生。
「人間社会というサンプリングで最も多いのは。」
「従え。」
「という風潮で。」
「極めて通説に近い社会形態。」
「従順は善。」
「離反は悪。」
「これは相手に対しても求める。」
「離反とは自由も含まれるけれど。」
「相手の自由をいかに奪うかに注目が置かれていて。」
「他人の自由を全員で奪い続けて窒息気味でしたね。」
「自分に従わない者は何でも悪で。」
「自分に従う者は何でも善。」
「恭順の道を選ぶように教育される。」
「間接的に他人の自由を制限する。」

千代。
「快適なのは委託をする組織で。」
「命令ではなくて委託をして目標を達成する。」
「近代的な社会勢力です。」
「命令などせず。」
「これをやってくれと委託するので。」
「目標を達成するのが簡単です。」
「達成への過程が見えますが。」
「命令型は決められた通りにやるだけです。」
「決められた通りにやって目標が達成できるとは限りません。」
「命令した指揮官の能力に依存するため。」
「連携がまるで取れません。」

女性。
「他人を勝手に決められた悪法で叱責し。」
「命令して従わせる。」
「守らなければ従わせる。」
「これでは離反したり裏切られて当たり前です。」
「恭順の道を強制する連中には奴隷しか付き添いません。」

女子大生。
「従わないという理由で攻撃しがちです。」
「それだけこちらの自由を脅威と見なしているのですよ。」
「正当な理由なく何かに従う訳がありません。」
「誓約を交わした相手にしか人は従いません。」
「無条件で命令形に従ったりはしません。」

粋。
「逆にひたすら従う者は迎合されますが。」
「何かの気まぐれで虐待を食らったり。」
「何となくという理由で殴られたりはありますよ。」
「恭順の道とはそのようなものです。」

女子大生。
「私達の場合は従わないのではなくて。」
「自由の力がひたすら強いのです。」
「恭順の道を選ぶくらいなら。」
「死を覚悟で反撃を続けます。」

粋。
「表面では自由があっても。」
「裏側では他人の自由を奪おうとする。」
「企みがあるのですよね。」
「帰納法なのですが。」
「私が見たものはそれです。」
「身勝手?いい響きです。」

羽都美。
「行動は受注から目標設定。」
「その達成という構造です。」
「分析からシミュレーションを行い。」
「目標を達成できるのか。」
「戦力や期間や労力も計算します。」
「難易度まで分析した後。」
「受注した行動を達成します。」
「危険や損害まで考慮し。」
「どのような方針で遂行するかも決めておきます。」
「計画的な行動の参考になるでしょう。」

ホワイト・ボード。

屁理屈。

自分イコール正しい。

誤謬。

あなたは三回ともラーメンだったから。

四回目もラーメンだ。

なぜ三回ともラーメンなら。

四回目もラーメンになるの?

疑問。

なぜ〇〇だから〇〇になるのか。

具体的に説明してください。

絵瑠。
「哲学での問答で。」
「相手の回答速度によって。」
「何を考えていたのか判断はできます。」
「速過ぎると相手は焦っていたり。」
「遅過ぎると。」
「答えに窮しています。」
「考えが深いほど遅くなり。」
「素早いのは何かはっきりして返事をしたりする場合。」
「これは体験談で。」
「ひとつの参考になりますね。」
「ある程度の時間が経過して。」
「自分の回答をするのが適切だと思います。」

女の子。
「どんな解釈をするかは自由ですからね。」

千代。
「歴史においても。」
「人類は存続するのか不確かです。」

羽都美。
「昔は野蛮だと言いましても。」
「多分、自分達も野蛮であると。」
「社会に組み込んでいるので。」
「今の自分達もどうせ野蛮であろうという。」
「前提を持っているのだと思います。」
「何か間違えば昔の野蛮人な事例と同じになると。」
「戒めているのだと思いますね。」

女子大生。
「七星国家。」
「フランス革命に似た暴動があっても。」
「現代では暴力を撃破するために。」
「銃器という人類最高の発明品があります。」
「政府に食って掛かる大規模暴動は。」
「為政者にとってはフランス革命と同じ事を企む。」
「テロリストの集団に見えたかもしれませんよ。」
「武装警察が待機していたのに。」
「現代で一揆をやっても返り討ちになる。」

千代。
「歴史は繰り返す。」
「あの暴動には利害関係がありませんので。」
「私はそう思われます。」

羽都美。
「昔と比較して不正を讃える人は激減している。」
「その上で、不正を讃える人は非難されているのが。」
「殺伐とした世界が終わった特徴でしょうかね。」

女の子。
「不正にうんざりしたらしい。」

女性。
「欲望で不正をするのはなぜか?」

絵瑠。
「外部からの影響で成功を求める若者はいましたが。」
「自分のものではない動機論ならば。」
「求めるのは有害かもしれない。」
「外部の影響でも良いものも悪いものもありますからね。」

粋。
「外部の情報を取得していると。」
「なんと自らの思想を証明する。」
「人間界の流れというものを。」
「何度も見せつけられました。」
「自分は間違いではなかったと。」
「むしろ時代を先取りしていたと知りましたね。」

女子大生。
「人の生まれは極端な寡頭政治になっていて。」
「デタラメに優劣を決めて。」
「生まれ先と生まれ方を強制しますし。」
「極端に腐敗していますので。」
「得体の知れない奴らのせいで不利益を被る。」

千代。
「世襲された人は勝手に妬まれて。」
「貶められた人は憤慨してと。」
「その出生の寡頭政治とやらは。」
「伝統世襲とは別物だと思いますが。」

絵瑠。
「人の生まれはひとつのルートしかありませんが。」
「ふたつもルートがあって。」
「そちらは正規の手順を踏んでいないのなら。」
「見たくもないものがこの世にあるのですよ。」

女性。
「生まれが謀殺する気なら集団ヒステリーになるよ。」

女子大生。
「自分にも無条件で降りかかると思ってしまい錯乱する。」

粋。
「対象を謀殺したい場合は。」
「敵対者はまず悪評を作って評判落としをして。」
「次に対象は悪者という評価を作ります。」
「次に実際に攻撃するのですが。」
「謀殺は直接攻撃なしでは成功しません。」
「貶められた場合は。」
「法律で訴訟したり。」
「返り討ちにして反撃するのが有効です。」
「評判落としが行われている時期は。」
「異常なくらい信じる人間が出ます。」
「合理的なのは他人を貶める人間を。」
「解雇するか通報して策略を公開し。」
「排除する。」
「こうなれば害は取り除けます。」
「他人を貶める人間に巻き込まれると大事件ですよ。」
「讒言が行われている場合は。」
「放置すると自分も讒言に巻き込まれるものです。」
「相手が攻撃する段階に進んだ時が。」
「反撃のターニングポイントで。」
「反撃に成功すれば相手は嘘の反動で倒れます。」
「騙された人は恥辱から。」
「騙した人を衝動的に罰するからです。」

千代。
「残念。」
「殺人はその後があります。」
「他人を殺害したと言うより。」
「冥府に送ったという訳で。」
「相手側に死後の続きがあり。」
「裁判もあります。」
「殺した側は後始末が大変な苦難となり。」
「殺したから終わりと言うものではありませんね。」
「殺した相手がこの世から消えるなんて愚かな発想で。」
「冥府に移動するだけで。」
「生きたまま冥府を訪問した英雄も史実であるほどです。」
「殺された人は冥府に行き。」
「殺した人は後始末に追われるため。」
「あんまり割に合う行いとは言えませんね。」

絵瑠。
「インターネットのもたらした結果を見てください。」
「他人の言葉の奴隷になったでしょう。」

粋。
「しかし、他人の悪を蒙らない場面は無いよ。」

千代。
「他人の悪は回避できませんからね。」

羽都美。
「生まれたからには他人の悪に遭遇します。」

最新型の機材は絵瑠が中古品を持ち込んだもの。

いっぱいあるので倉庫に入っています。

スクラップを壊して遊ぶ女性も出てくる。

使えない機材や残骸は破壊の対象。

女子大生。
「メタバースはインターネットとビデオゲームの合作です。」
「ああいうテクノロジーはさりげなく参入して。」
「しれっと利益を横取り出来れば成功です。」

女性。
「この世界に斬新なものなんてないですよ。」
「現実とやらに退屈したのでしょうし。」
「現実にうんざりした人々の居場所になっていますね。」

千代。
「コンテンツを取得する側からは。」
「特に反駁のない娯楽作品があるようなのです。」
「コンテンツを作成する側からは。」
「それ以上の作品がないから。」
「しょうがなく反駁しないのだと思います。」
「私はゲーテとシラーの合作。」
「文壇への罵倒が好みですけれどね。」

粋。
「ゲーテの言う通りに。」
「大衆と対立しないほうが良いですね。」
「大衆の定義は日々、変更がありますし。」
「大衆というまとめ方は果たして蓋然性が高いのか。」
「過激な人は公に大衆の利益を破壊して。」
「襲撃されているような気配がしますね。」
「世慣れた人は大衆との対戦は避けるかも。」

絵瑠。
「自分で自分の課題を。」
「つまりは。」
「課題の結果か。」
「自分の利益の結果か。」

羽都美。
「文学や美術は点々として売りに出されている。」
「古典の中の芸術論をいかに読むかで決まりますね。」
「有名な冒険譚を主題とするゲームは。」
「オデュッセイアの模倣です。」
「英雄主題のゲームはイーリアスの模倣です。」
「ホラーティウスによると。」
「模倣はギリシア文学において基本なのです。」
「まず模倣を覚えよと書かれています。」

絵瑠。
「腕前の良い脚本家は教養のある場合が多々あり。」
「三大領事詩を引き合いに出す玄人もいます。」
「アリストテレスが言うには。」
「文学には思想が必須です。」
「哲学は思想が大量にあるため。」
「最大のアイデアの根源となりがちですね。」

千代。
「歴代の哲学者は。」
「この世にあるものを。」
「ことごとく言い当てて説明していますよ。」

女性がよく集まるので。

若い男性が遠くから見に来る時がありますね。

冷蔵庫からジュースやお菓子を取り出して。

女性陣が雑談。

知人の集まり。

お偉いさんの娘であるのも知っていて。

ずっとおしゃべり。

羽都美が女の子も呼ぶので。

年齢問わず女性がとにかく集まる。

女性に関するものは揃えているためか。

広場か小さな家が日常となっている女性陣。

千代。
「個人主義は自分を証明する機会があります。」
「全体主義は勝手に作られた悪法が全体の合意であると。」
「強要するので歴史や政治から嫌われました。」
「実定法があるのに民間で法律が作られたら。」
「たまったものではないからね。」

粋。
「私的制裁はその本人の悪法に基づいて。」
「自分が法律だ!などと言っています。」

絵瑠。
「私的制裁ばかりする人は悪法を支持していますね。」
「悪法が無ければ私的制裁なんてしませんからね。」

千代。
「悪い人と言えども。」
「どのくらい悪いのか問われると。」
「どのくらいの度合いなのでしょうかね。」
「小さな悪事を大きな悪事よりも重く受け取っている場合も。」
「大きな悪事を小さな悪事より軽く見なしている場合も。」
「そこまで悪くないのに。」
「実際の度合い以上に悪く言ったり。」
「実際の度合い以下に軽く見ていたり。」
「言われるほど悪くないのに深刻に受け取られたり。」
「絶対と言える物差しなんて社会の仕組みに。」
「採用されていないようですが。」

羽都美。
「悪さの度合いを考えずに。」
「いくらなんでも適当に決め過ぎですね。」

千代。
「私の行いは立派かもしれませんが。」
「言葉が悪いという欠点はあるでしょうよ。」
「多くの人の行いも立派なのですが。」
「たいていは言葉が悪いだけです。」

絵瑠。
「とんでもない、人間に完全無欠なんて期待していませんよ。」

千代。
「愚かな所が人間という訳です。」
「やりたい放題述べるのは最高。」

羽都美。
「哲学の基礎のある雑談は争点が明快ですねぇ。」

粋。
「自分と相手が感情論に陥った場合は。」
「相手の裏側を読む。」
「相手の発言にある動機論を探る。」
「裏側にある動機論を引き出す事によって。」
「対人関係を破壊せずに和解できます。」
「これは問答によって探りを入れます。」
「動機論を質問の連打によって引き出します。」
「本当は何を思って言っているのか探れますね。」
「感情論には表と裏があり。」
「表の感情論は何か裏を抱えています。」
「裏の動機論を指摘できれば。」
「一気に和解へと進めます。」
「巧みな弁論術は必要になりますが。」
「和解が望みならば。」
「対人関係で建設的な方が好みならば。」
「感情論に惑わされずに。」
「心を汲み取るように話を進めるのです。」

女性用の雑誌を持ち寄っていて。

大きなベンチや机で読みまくる他の女性陣。

メンバーを覗くと。

若い女性が十五人いますよ。

女性。
「そろそろお買い物に行きますね。」
「手抜きばかりの家事です。」

女子大生。
「とある場所に安全な移動をしたければ。」
「周囲の人に偽りの別の場所を言いふらしておくと。」
「何の邪魔もなく到達できますよ。」
「旅行や遠出には有効です。」
「これは邪魔が入らない方法で。」
「嘘をついてもデメリットがない場合のみ使えます。」

粋。
「男女の考え方とは誰が決めたのか?」

千代。
「私の体験では男女には能力差が実在しない。」
「男性が単独行動可能な生き物で。」
「女性は教育を受けなかった自然状態とも言えます。」
「従って。」
「フェアプレーになれば男女の能力差はありません。」

羽都美。
「女性が自然状態であったのなら。」
「性悪説の条文通りですよね。」

絵瑠。
「私もそう思いますよ。」

千代。
「広場の女性陣はお宮に行くって。」

粋。
「神様か人間か選ぶようですね。」

絵瑠。
「日本において神々と力を競うような。」
「邪心を持つ人間は出た試しがありません。」
「いくら何でも神々を侮っていますよね。」

粋。
「お宮が一区域に一社なのは。」
「昔の区画整理の痕跡です。」
「それによってお宮が激減しました。」
「反面、管理が行き届き。」
「把握しやすくなっています。」
「例外として区画整理を免れた。」
「神社は少なからず残っています。」

千代。
「信仰に至る者の道は平坦となります。」
「起伏が多いと疲れるだけです。」
「必ず逃げ場所がある上で。」
「状況が硬くて誰にも動かせない。」
「という霊験が出やすいのです。」
「願い事よりも自分の希望を述べる方が安全です。」
「何かを伝える参拝は穏健な関係です。」

絵瑠。
「ひとつの姿勢として人間に助けを求めないこと。」
「神学では推奨される姿勢とヒルティは言います。」
「まず自分が群衆として扱われないように。」
「群衆について知るだけでもけっこう違いますね。」

粋。
「大きな神社よりは氏神様からですよね。」
「近所のお宮から始まります。」

羽都美。
「前に神主を見たことがある。」
「あれは志願制ですなあ。」

千代。
「神学のない神職との交流はお勧めしません。」
「たまたまそこにいるだけという理由で特別ではないのです。」
「それは応酬思想と呼ばれるものです。」
「人々に保証されている宗教は循環を停止したものですし。」
「何か証となるものは無いでしょうよ。」
「世人よりは優れているという理由だけで。」
「その場所が許されている程度です。」
「本物は個人的体験に基づいています。」

粋。
「新世襲制?」
「寡頭政治ですなあ。」
「既に腐敗してますよ。」
「伝統世襲が隠れて残っているのに。」
「貴族制の腐敗形態ですか。」

絵瑠。
「神々の下される見事な賜物は。」
「拒むわけにはゆかぬ。」
「神々が自ら進んで賜わるものは。」
「なんぴとといえども。」
「己の意志でどうこうできるものではないのだ。」
「ホメロス、イーリアス、パリスの発言。」

千代。
「超一流シナリオライターは。」
「イーリアスとか読んでいるのが当然であると。」
「台詞に入れていましたね。」
「まったくその通りでした。」

家に入って。

人間観察の保存庫から取り出す。

豊富な資料があり。

パターンはあるものの。

千人いたら千通りの人生があり。

人間についての一貫している内容など実在しないかった。

仮説を作る千代。

粋。
「障碍者は核戦争や隕石衝突など。」
「人類存亡の危機に陥った時に。」
「最も足手まといになるかもしれない。」
「それが真実ではあるものの。」
「これは障害を加えられた被害者にとっては理不尽で。」
「障害者本人の生存や利益には。」
「何の役にも立たなかったことになります。」

絵瑠。
「障害を持った人を何度も観察しましたが。」
「それは本人にとっては不利益でしょうがなく。」
「生存や生活を妨害するばかりか。」
「利益を追い求めるのも不可能で。」
「百害あって一利なし。」
「と言えます。」

千代。
「逆説論法はすごく強い。」

羽都美。
「なんでも覆せる。」

粋。
「バカ発見器を止めようと思いました。」
「何のメリットも無いので。」
「返信はどうしましょう?」
「書いてくれませんか?」
「別の視点が欲しいです。」

絵瑠。
「感情論乙。」

粋。
「感情論お疲れさまでした?」
「うわっ!ひどい攻め方!」

絵瑠。
「杓子定規乙。」

粋。
「杓子定規お疲れ?」
「まあ無駄に頑張っているようですからね。」

羽都美。
「命令系か事実を言おうとして失敗しているか。」
「どちらかですよ。」

千代。
「命令して相手の行動や考え方を変えようというのは。」
「どう見ても無理をしていると思われます。」

羽都美。
「命令で教育したとしても。」
「命令を踏み倒せると覚えてしまうと。」
「言う事を聞かなくなります。」
「不可能な事ばかり命令して制止すると。」
「抑圧される上に。」
「一度でも破ると。」
「命令の内容を嘲るようになり。」
「命令を顧みなければ。」
「何でも許されるという思考になりますからね。」

粋。
「教養のない使えない人材が何かを書くのが。」
「そもそも不可能な注文でしたよね。」
「あんな論理的に考えられない。」
「非合理的な思考の集団に。」
「何でも書いていいよと公開することが。」
「そもそも無理な言い分。」

羽都美。
「決して避けられない他人の悪を。」
「わざわざ迎えに行く必要なんてないのに。」

絵瑠。
「よくある世の人の辛い事や苦労は。」
「他人の悪を蒙ったことを。」
「自慢しているようなもの。」

粋。
「自分の価値判断に沿わないものは。」
「容赦なく削除するのが私のやり方。」

千代。
「因果関係なんて誰が言ったのか?」

粋。
「因果関係は誰が決めたのか?」

千代。
「因果関係も既成概念。」

絵瑠。
「既成概念乙。」

粋。
「お疲れ様です。」

千代。
「因果関係で判断しているのが。」
「落とし所ですねぇ。」

絵瑠。
「世人(世間と一体化している輩)は必ず。」
「背後世界に基づいて。」
「それを引用して問答を繰り返してる。」
「その背後にあるのは既成概念。」
「しかしこれは日頃行われている。」
「デタラメをべたべた貼り付けて。」
「勝手に発生した思想形態であり。」
「誰が決めたのか?」
「誰が言ったのか?」
「まったく意味不明な悪法となっていますね。」

千代。
「見聞きしたり誰が言ったのかわからない。」
「論説を鵜?みにしたり。」
「適当な持論が合法化されたりして。」
「通説なども合法化し。」
「デタラメの限りを尽くした。」
「偶然の産物であり。」
「何の証拠も不要という有様で。」
「中身の条文はまとめて書いてある訳ではなく。」
「どこかに既成概念の辞典がある訳でもなく。」
「誰かの独善的で独断に満ちた内容が。」
「人伝えに広がったものが。」
「そのまま合法化されたのが既成概念になります。」

絵瑠。
「もっと言えば無いものに基づいて判断をしている。」
「人の世で繰り返しベタベタくっつけられた考えに。」
「基づいて判断している。」
「道行く人々がデタラメに張り付けて。」
「完成した設置物のようなものです。」
「これを鵜呑みにして。」
「これに基づいてすべてを決めようと言うのだから。」
「内容もデタラメになるのは決定論ですなあ。」

粋。
「人はこれまで〇〇だったから次も〇〇なんていう。」
「誤謬がよくありますよね。」

羽都美。
「自分の考えは既成概念に基づいているから正しい。」
「という論証だと思います。

粋。
「既成概念は誰が決めたのか?」

羽都美。
「誰もいませんよ。」

千代。
「その既成概念の中身は?」
「すべて残らず言えば良いのに。」

絵瑠。
「無いものだから言えないんですよ。」

千代。
「考えがいかに浅いものか丸見えです。」
「誰かが言った言説を鵜呑みにして。」
「また誰かの決めた考え方を信じているので。」
「既成概念は誰かが勝手に決めたものなのです。」

絵瑠。
「法律みたいに空気として漂っていますが。」
「法律のように実行力は皆無なのです。」
「無視しても罰則はありません。」

千代。
「既成概念が正しいなんて証明されることなんてありませんし。」
「既成概念を真実と思いたいのでしょう。」
「我儘をするために引き合いに出して。」
「便利な道具として説明するだけでしょうね。」

絵瑠。
「既成概念とはその他大勢が作成した。」
「事実に対する解釈の集大成です。」
「すべて残らず解釈の集合体です。」
「内容が審査されることはありません。」
「あるいは。」
「世人が作った仮説の集団ですね。」
「誰かの作った仮説の奴隷になるだけです。」

千代。
「帰納法ですらない既成概念ですからね。」
「中身にどこにも当たっているところはなくて。」
「もれなく誤りや嘘で作られています。」
「他人が作った仮説に乗っかるのはどうかと。」

絵瑠。
「それらを無駄なほど大規模にしたのですよ。」

中都市の郊外にて。

山の近くで丘の上。

旅人まで来ました。

女史。
「壮年期(最盛期)は三十歳から三十五歳。」
「精神年齢によって前に来たり。」
「後に来たりします。」
「この時期は活力と勢いがあるため。」
「逃さず使うものです。」
「青年期と老年期の中間にあるため。」
「両方の長所があるからです。」
「作家でも学者でも。」
「三十五歳以降に成績を残す人もいるため。」
「壮年期(最盛期)の性格を後々に。」
「引き継ぐように覚えると良いかもね。」

テレビ。

ニュースで男性の不審死。

何か心当たりがありますね。

太平洋。

豪華客船が故障したからという理由で。

名刺を配っている弁護士が大量発生。

最近の戦争。

軍事作戦の最中に。

葬儀屋が宣伝をしていた。

葬儀屋。
「どんな死に方をしても。」
「良い価格で良い葬式ができますよ。」

砲弾が落ちて瓦礫になった都市で営業している。

なんと兵士が女性市民を捕らえた。

何でも看板を立てて嘲笑してくる女性市民で。

煙たいので捕獲した。

女性市民。
「なにするのよ!私の趣味を返して!」

兵士。
「真実を言えば帰してやる。」

女性市民はどうせ殺されるからと。

日頃の鬱憤を吐き出しまくった。

女性市民は解放された。

日本国内で。

飛行機が故障して緊急着陸したものの。

自分の所有する飛行機ではないので。

何ともなかったとか。

インタビューする会社員。

女中。
「不倫していた奥さん。」
「夫が急に帰って来たので。」
「問われると。」
「そこの男は近所の家の旦那で。」
「奥さんに不倫を指摘されて。」
「怒鳴られて入って来たと説明。」
「疑問に思って愚痴をこぼす。」
「そう思うしかなかったから。」

女子大生。
「それはひどい。」

女の子。
「板挟み。」

女中。
「夫婦が焼き物をしていて。」
「子供に番をさせていたものの。」
「誰かが入って来て取ってしまった。」
「子供が誰だと聞くと。」
「隣に住んでいる人だよと言われる。」
「夫婦が戻ってくると。」
「子供は隣の人がやったと泣き喚いた。」
「心当たりがないので。」
「嘘だと思いつつ焼き物を交換した。」

女性。
「やりましたね、図りよって。」

女中。
「負けず嫌いの親子が囲碁をしたものの。」
「何度やっても勝てない。」
「とうとう息子が仕事で離れることになった。」
「父親は俺が代わりにやってやると。」
「囲碁を交代して張り合った。」

こんなんで休日が過ぎて。

雑貨屋に行かないので。

少し負担があったみたい。

友人達と遊ぶか雑貨屋のお手伝いかの板挟み。

平日は負荷が少ない。

メンバーは自分から切り開こうと。

平日は各自で開拓。

夕方近くになる頃。

いきなり登場するスフィンクス。

スフィンクス。
「君は何に興味あるかね?」

千代。
「あなたに興味があります。」
「いきなり現れたから。」

スフィンクス。
「君に女性のすべてを差し上げよう。」

千代。
「女性のすべて?」

スフィンクス。
「君の欲望なら何でも授けよう。」
「女性のすべてとは何だ?」

千代。
「あなたがよこそうとしている何かです。」

スフィンクス。
「くそっ!やるな!」
「では、女性とは何かね?」

千代。
「あなたが考えているような存在。」

スフィンクス。
「くそっ!手強いな。」
「欲望の限りを手助けしてやるのだ。」
「女性の欲望は何でもしてやろう。」

千代。
「では、欲望の反対が真実ですよね?」

スフィンクス。
「なんたること、連敗してしまった。」
「何とか一回くらい勝てないかな。」

飛び去る。

すぐに。

スフィンクス。

銀色のリンゴを持ってくる。

スフィンクス。
「さあ、この世界で最も賢い者に贈り物です。」
「最も賢い者はこれを食べなさい。」

千代。
「それは遠回しに過失を誘発しているのでは?」
「ヘビに騙されて禁忌のリンゴを食べて。」
「過失に問われた女と同じでは?」

スフィンクス。
「ではこちらの桃のようなリンゴをどうぞ。」
「素敵な恋ができることを保証します。」

千代。
「ひょっとして?」
「男性の全員が素敵に見えるようになる。」
「メフィストフェレス製品ではありませんか?」

スフィンクス。
「この世界で最強なあなたは全部、食べられます。」

千代。
「その発言を否定します。」

スフィンクス。
「くぅ!なかなか落ちないねっ!」
「では、何なら君は満足するのかね?」
「それを用意するから私の勝ちにしてくれ。」

千代。
「わかりました、あなたの命をください。」

スフィンクス。
「ぎゃああああ!負けてしまうとは!」
「落下死か!?」
「私のような奴は負けると死ぬ決まりがあるのだ!」
「なんたること。」

スフィンクス逃亡。

不思議な出来事。

向こうから来るものには良いものと悪いものがあり。

必ずしも良いものが外部から来ません。

災難が向こうからやってくる事もありますので。

万能なのは。

蛇婿入り。

という昔話の。

自分から切り開く。

開拓する生涯ですね。

人生を主体性を持って切り開く力強い進捗は。

外部からの干渉を必要とはしません。

千代は受動的な女性の情報から。

能動的に変貌しております。


9


お客さん。

いかにも野外活動専門の女性で。

なぜかスカートという。

くすぐられる服装。

前に女性陣の中にいた人で。

平日の日暮れに来ましたね。

琴寧(ことね)
「好きです、泊めてください。」

千代。
「はい?なんていう猪突猛進。」

女性が突っ込んできて。

抱きしめられる。

なぜか抱きしめられて心地よい。

琴寧。
「ずっと気になっていました。」
「どうしても二人きりで会いたくて。」

千代。
「あははは、好意なら受け取りますよ。」
「何の用事で?」

琴寧。
「泊めてほしくて。」
「私は自然の風景を撮影するプロカメラマン。」
「山奥や離島まで。」
「写真を受注して納品する形式で。」
「各地を巡るんです。」
「この地域を離れるので。」
「当分は来れないと思いまして。」

千代。
「前にも庭で見かけましたね。」
「野外系の服装なのにスカートという所は。」
「少し見てみたい気がします。」

琴寧。
「キャー!えっち!」
「どうせ地味で。」
「見ても面白くないですよ。」

千代。
「ちょっと見せて。」

琴寧。
「ひゃっ!」

さりげなく襲って押し倒すと。

相手の女性は無抵抗。

千代。
「やばい、クセになる。」
「この人好き。」

琴寧。
「私もです。」
「もっと眺めてください。」

千代。
「うふふふ、そんなに私の事が好きなんですね。」
「お泊りなんて私の所ではよくあることなんですよ。」
「予定調和みたいな女性は好きです。」

琴寧。
「自分は他人を信じることができても。」
「相手に信じてくれとは強制できず。」
「拒まれても信じ続けるかどうか。」

千代。
「戯れてみてあなたを理解できたので。」
「お客さんです。」
「どうぞ中に入って。」

居間で休憩する野外ガール。

やはりスカートをじろじろ見る千代。

琴寧。
「めくったり触りたいのならどうぞ。」

千代。
「私からは魅力のある女性だと思いまして。」
「性的に弄ってもらいたくて。」
「煽っているのかな?」

琴寧。
「あなたが望むのなら弄ってもいいですよ。」

千代。
「隠れた従順な所が良いと思います。」
「男性に娶られるのがもったいない。」

琴寧。
「男性ではなくてあなたに娶られたい。」

千代。
「うふふ、悪くない提案ですね。」

一緒に料理を開始。

連携であっという間に終わって。

夕食後。

雑談。

琴寧。
「昔から従順で良い娘だと言われていますが。」
「それは女性に対してのみなんです。」
「従い過ぎて自己主張の乏しさはよく指摘されます。」

千代。
「人間性と言われても。」
「それを独学でやって彷徨いましたので。」
「理由は簡単で何も知らなかった。」
「人間世界を独学のみで渡り歩くのは。」
「何かに衝突したり。」
「何かに落ちたりするのは確実ですね。」
「唯一、可能だったのは考えたりするだけで。」
「独断に陥るだけです。」
「行き当たりばったりをひたすら繰り返して。」
「この世界を独学で彷徨い続けて。」
「倒れていたくらいです。」

琴寧。
「行き当たりばったりで思ったのは。」
「この世界は人に不可能な事ばかり求めるという点ですね。」
「不可能なものを強制するのは挑発に過ぎませんよ。」

千代。
「同時に青森と長崎に行けとか。」
「いきなりマラソン大会に出場しろとか。」
「こんなもの平気で要求されます。」
「本人の能力を遥かに超えるレベルを強要するのは。」
「挑発になっていますね。」

琴寧。
「おまけに自由を得ても。」
「妨害されたりして。」
「全員で全員の足を引っ張っている。」
「そんな世界で。」
「力によって自由を確保しなければなりません。」
「邪魔をする相手を撃破して根絶やしにしてやっと。」
「宿命論の束縛から解放されて自由になります。」

千代。
「どうしたらよいのかわからない。」
「という心理状態になると。」
「半分は損壊している案件だと思われます。」

琴寧。
「ここには自分の力で来ました。」
「大人になったら。」
「子供の頃のように。」
「支配を受けませんし。」
「操作しようとする大人もいません。」

千代。
「外的要因が個人の問題行動を誘発する。」
「なんてことは余裕でありますから。」
「これまで無事であったことを祝いましょう。」

琴寧。
「みんな競争ばかりして。」
「何を持って勝利とするのかわかりませんでした。」
「私は人生を完走することを目指していますからね。」

千代。
「それは素晴らしいアイデア。」
「人生を完走するのは穏健で安全です。」
「何の障害も競争も要らない。」
「人生の完走という主意的な目的がある。」

琴寧。
「みんな無暗に敵を作って。」
「何でも敵と見なすのです。」
「まったく敵対行動をしていないのにも関わらず。」

千代。
「私は勝負を捨てて実利を取りましたよ。」
「彼らは本当の所は喧嘩がしたいだけです。」
「野蛮人なので。」

琴寧。
「匹夫の勇、ひとりに敵するものなり。」
「無暗に戦いを求める愚か者の勇気は。」
「たったひとりの敵を相手にするのが精いっぱい。」

千代。
「諺ですが競争原理に適用できますね。」

琴寧。
「私は防御側に回っています。」
「競争に巻き込もうとしてくるので。」
「相手は三倍の攻撃力が無ければ。」
「私を動かせません。」

千代。
「競争ですか。」
「見せしめに。」
「倒した相手の死体を馬車に繋いで。」
「そこら辺の道路を。」
「相手の死体を引きずりながら。」
「好き放題に走り回りたい。」

琴寧。
「アキレウスと同じ事をやろうと?」
「ヘクトルを失った事がトロイヤ滅亡の決定打でしたね。」

千代。
「紀元前千五百年では珍しい総力戦でしたし。」
「比べてしまうと。」
「現代は資本主義の強欲な部分と。」
「何のために競争するのかわからない。」
「つまらない人間の姿ばかりです。」
「あれしかやることがないんでしょうね。」

琴寧。
「ですよね、彼らは暇なんですよ。」
「競争しかやることがないんです。」

千代。
「ところで、一緒に寝ますか?」

琴寧。
「え!心の準備が!」

千代。
「私の親友とはけっこう一緒に寝ることが多いものです。」
「私からはよくあることなんですよ。」

琴寧。
「好きな女性と密着する!」

千代。
「あれ?好機を逃して良いのかな?」

琴寧。
「それでは、寝る支度をしますね。」

シャワーを浴びている所は。

お互いに見えてしまい。

色っぽくて両者魅了される。

ベッドで一緒に寝ました。

千代。
「あれ?こんなに綺麗な人なんですね。」

琴寧。
「あなたは地味ですが、両性具有なんですね。」
「その成功例です。」

千代。
「ユング心理学の両性具有はよく言われます。」
「女性の性質と男性の性質の両方を持っています。」

琴寧。
「所で、そこは触らないで。」

千代。
「あなたも触っていますよね。」
「抱き心地が良い女性ですよ。」

琴寧。
「触るならもっと徹底的にやってください。」

千代。
「撫でまわしてあげる。」

琴寧。
「うわーっ!やっぱりこの人は好き!」

夜が明けて。

早朝から家事を分担作業。

お昼近くには出発のようです。

千代。
「予言がどうなのか知りたくて。」
「何か知っています?」

琴寧。
「あの有名な予言ですか。」
「既に優れた女性があらゆる分野で活躍しており。」
「とっくの昔に不意討ちを食らっているようなのです。」
「あなたもそのひとりでは?」

千代。
「わたしもそのひとり?」

琴寧。
「私の推理ではひとりの女の子に対する予言ではないというもの。」

千代。
「まさしく名探偵ですね。」
「謎解きは解放された瞬間が楽しいのです。」

琴寧。
「かなり能力がオーバースペックのような気がします。」

千代。
「その場での奇跡を願いつつ奇跡に頼らない。」
「この魔法があるので。」
「無敵なのです。」

琴寧。
「必然の力ですか。」
「それは見落としていました。」
「また会えるかな?」

千代。
「たまにお客さんに来て欲しい。」
「交友関係は続くことになるから。」

琴寧。
「わかりました、その時は連絡しますね。」
「付き合ってくれませんか?」

千代。
「交際すると相手を束縛するので。」
「お気に入りの女性でいてください。」

琴寧。
「ずっと好きですからね。」

野外ガールは立ち去りました。

良い客人で。

お互いに気に入ったので。

百合になるかも?


10


この世界はあまりに小さい。

私の前にはあまりにも小さい。

この世界の出来事すら。

あまりに小さいただつまらない。

私の前には。

ただ小さい世界が広がるだけ。

この世界はあまりにも小さい。

私の前には。

あまりに小さくて。

この世界の小さな出来事に。

取るに足らない世界の片隅で。

何のために歩いているの。

小さな世界で。

飛び回る。

私の前には。

小さな世界が。

広がる。

小さな出来事。

小さな世界で。

生き続ける。

ただ何のために。

午前中。

粋が袴を着て。

千代の弱点が和服なので。

仕掛けていく。

粋。
「今日の私は袴姿です。」
「好きなんでしょ?」

千代。
「よくわかったね。」
「それで何をしようと?」

粋。
「ちょっと抱きつきたいな。」

抱きしめられる。

戯れて嬉しそうな粋。

絵瑠。
「和服女性は大好物で。」
「少し暴行みたいなことをしたいのですが。」

粋。
「うわあ強欲。」
「でも少しだけだよ?」

千代で遊んでいたら。

絵瑠に捕まえられて。

抱きしめられて。

触られたり弄られる。

羽都美。
「キスとかしないの?」

絵瑠。
「その発想はありませんでした。」

粋。
「遊ぼうよ、たとえ口づけでも。」

千代。
「私も和服にしようかな。」

絵瑠。
「頭を掴んで弄ってあげます。」
「あまりにも素敵なので。」

粋。
「うわっ!うっ!」
「女性から性的暴行を受けた。」
「気持ちいい。」

羽都美。
「私はスカート好きだから。」
「あなたは趣味が豊富ですよね。」

千代。
「ひらひらして毎回、中が見えていますけれど。」

羽都美。
「見せたい場合もありますよ。」

絵瑠。
「着物で得点が高い美人さん。」
「戯れて嬉しそうですね。」

千代。
「袴は難易度が低いですからね。」

粋。
「簡単に脱着できる和服は最近、売られていますよ。」
「たまに着てくる浴衣はそれなんです。」

羽都美。
「弱点だと知っていて着てくるもんだから。」
「襲われるのも知っているの?」

粋。
「女の子にいろいろされるのは好きですよ。」

絵瑠。
「見ているとダメになります。」

千代。
「私は和服女性に組み付かれると無抵抗になるかな。」

協力して開拓しているうちに。

相手の弱点を知ってしまい。

戯れる。

それで和服で散策しようという話になって。

全員で袴を着て。

隣町まで行くことに。

千代。
「私は地味なので似合っているとは思えない。」

絵瑠。
「他の女性よりはずっと得点が上乗せですよ。」
「おしゃれの定義は文化に依存すると思いますし。」

粋。
「大正時代の服装も文化のひとつですよ。」

羽都美。
「ロングスカートみたいでひらひらして動き辛い。」

千代。
「実用性は軽視されているのだと思いますよ。」

粋。
「慣れてしまうと動き回れますからね。」

羽都美。
「工夫が大事なわけね。」

絵瑠。
「何か意識してない?」

千代。
「うん、みんな好き。」

粋。
「女性なら誰でもいいの?」

千代。
「触ったりしてくれるのはあなた達くらいでしょうし。」

羽都美。
「私も男性よりも女性に興味あるわ。」

絵瑠。
「そこは同じです。」
「男女で対になるという構図は故意に無視できますし。」
「出産するだけが女性の取り柄じゃないでしょ?」

千代。
「決められた通りにする義理はないしね。」

ランドマークタワーに到着。

展望フロア。

千代。
「諧謔でもどうですか?」
「すべてあなたのせい。」

絵瑠。
「あなたは何々のようですが。」

千代。
「それはあなたがそんなことを言うからです。」

絵瑠。
「でも何々ではありませんか?」

千代。
「それもあなたが何々を何々と言うせいです。」

絵瑠。
「しかし何々ではありませんか。」

千代。
「それもあなたが何々を何々とか言うせいですね。」

絵瑠。
「・・・・。」

粋。
「無限に続きませんか?」

羽都美。
「無敵な論証を敷くなっ!」

千代。
「原因論である限りは無限に防げます。」

絵瑠。
「よく考えたものですよ。」
「いかに無敵な論証を作るのかにはまっているんです。」

写真を撮った後。

市街地を移動。

文化人専用エリアに入ったりして。

商店で漁る。

アニメなどは美術とは言えないものの。

文化の定義からは外れない。

しかしルネサンスやギリシア文化とは。

比較できないほど劣っている。

千代。
「人間嫌いはフロイトの影響。」

絵瑠。
「コンクリートか鉄筋かコンピューターか商業。」
「それしかない文明。」
「現代文明。」
「目立つのは機械と諍いくらいで。」
「その他には何の取り柄もない地球人類。」

羽都美。
「移り変わりが激しいおかげで難を逃れた古代世界と。」
「クリティアスの予言で。」
「生活様式を一通り揃えた文明は必ず滅びる。」
「というジンクス。」

粋。
「文明に関わるものを一式揃えたら。」
「どのような文明も滅亡していた。」
「プラトンはそういうジンクスを書き記していますね。」

千代。
「現代もすべて揃えたら、滅亡するジンクスを持っています。」
「プラトンのクリティアスで説明される文明ジンクスです。」

羽都美。
「地球という惑星が自殺未遂。」

千代。
「私の担当は超自然的なもの全般です。」
「そう考察してもおかしくはないですね。」
「機械は得意な人類でしたが。」
「惑星レベルの異変と来たら。」
「用意はできています。」

絵瑠。
「年々、加速している気配がします。」
「何を証拠に永続すると思ったのか知りませんが。」
「神様の決定ならば批判できない。」

千代。
「どんどん証拠が集まってきています。」
「形而上学が専門で。」
「超自然的なものならすべて私に任せてください。」
「超自然的なものは、とっても慣れていますので。」

絵瑠。
「自然科学の弱点は自然法則を超えたものに無力な所です。」

粋。
「自然科学もネタが尽きている。」
「次の次は用意されていないのでは。」

羽都美。
「受け入れる人は平気だと思います。」

隣町の商店街。

都会の真ん中。

目標は都市の研究で。

物質的豊かさだけがあれば良いのか。

精神的豊かさは軽視しても良いのか。

資料として撮影を続ける。

文明には批判的という結論に至る。

反面、文化が冷めているとも批判する。

何か違和感がするので四人組で探っています。

千代。
「戦いが前提にある世界なのですが。」
「防御優先で足ります。」
「反撃まで用意していれば。」
「自分から攻撃に出る必要はないほどです。」

絵瑠。
「防御と反撃を最優先に構えていれば。」
「後手でも支障ありませんし。」
「攻撃側の三倍ある防御力で足りますしね。」

粋。
「自分から戦う人は消耗が大きくなりやすく。」
「必要に駆られての戦いしか必要とされません。」

絵瑠。
「無駄な戦いを削減しつつ。」
「戦いが前提にある世界で。」
「まずは防御を優先にするのが簡単なものですよね。」

粋。
「どうせ戦うしかないのなら。」
「防御側の立場に入るのが最高ですよ。」
「相手が勝手に仕掛けた構図にすれば。」
「責任は負いません。」

羽都美。
「崖から突き落とされたとしよう。」
「落ちてから復帰だけを考えますか?」
「落下した場所から復帰すれば済むと思いますか?」
「崖から突き落とした輩を処罰しなければ。」
「また次も落とされますよ。」
「報復とはこういうものです。」

千代。
「ある日、突然、金銭を奪われたら。」
「必ず仕返しをするよ。」
「復讐に反対する者は。」
「金銭を奪われても何もしない人です。」

絵瑠。
「ことわざ。」
「膿んだら潰せ。」
「元凶を集中狙いすると解決が素早いものです。」
「そこから出てきた物事をいくら叩いても終わりません。」

羽都美。
「有名なことわざです。」
「災いの元凶を断ち切ると。」
「目の前の厄介も消えますからね。」
「手順の間違いが無いように。」

千代。
「目の前を片付けてもいずれ沸いてきます。」
「元凶を断ち切って目を摘んでおく。」
「狙うべきは。」
「災いの元凶だけです。」

アニメや漫画は戦いが主流で。

文芸には何故か戦争や諍いネタが多く。

それに気づく。

ほとんどは主人公が勝利できるように作られていて。

ゲームなどは代理戦争に見えてしまう。

文芸は争いの代理か?

文芸は破壊衝動の代理か?

文芸とは視聴者の欲望を代弁するのか?

考察。

千代。
「他人を攻撃には口実が必要です。」
「口実のない攻撃は言い逃れできませんし。」
「攻撃の口実がない場合は最悪を期待するが良い。」

絵瑠。
「絶対があると思って攻撃して。」
「相手の反撃を食らって殺される。」

粋。
「絶対を自分で定義して攻撃したら返り討ち。」

絵瑠。
「絶対主義は妥協の余地がありませんね。」
「絶対主義は口実がない攻撃をやりがちです。」
「相対主義は妥協の余地が大いにあります。」
「絶対主義の連中は居なくなって欲しい。」
「あいつらは妥協というものを知りませんので。」
「自分が確信した判断に固執します。」

粋。
「絶対主義がそう思っているに過ぎないのにね。」
「自分がそう思っているだけで。」
「確信した内容を機械のように命令しますし。」
「論争には決着がつきません。」

羽都美。
「絶対だと思う理由もないしね。」
「理由もなしに絶対という測定があると思いたい。」
「自分が物差しというのが絶対主義の特徴です。」

千代。
「口実の無い攻撃は。」
「自分が物差しであると判定し。」
「それを繰り返しているに過ぎません。」
「絶対主義が負けた姿が傑作で。」
「自分の物差しが通用しないと。」
「やたらに怒り出す。」

絵瑠。
「自分の物差しをまかり通らせるには。」
「非力過ぎますよ。」

千代。
「そんなに弱いのに自分の物差しを出すんですよ。」
「弱いくせに。」

絵瑠。
「良識のある人は妥協の余地を残していますが。」
「理由もなしに基準を作るのはどうかと。」

千代。
「勧善懲悪は絶対主義でよくあるものですが。」
「相手にコントロールさせなければ良いのです。」
「度合いの挑戦に脆弱ですからね。」

羽都美。
「ひとつの思想形態で統一するのは無理だと思います。」

絵瑠。
「絶対主義はそれを知りません。」

粋。
「比べた方が柔軟に考えられますね。」

羽都美。
「確信して攻撃しても。」
「口実がありませんから。」
「破滅します。」
「口実の有無で形勢が左右されますし。」
「絶対と言われても機転が利いていません。」
「臨機応変に考えられないのが絶対主義ですね。」

粋。
「機知や臨機応変な考え方は絶対主義には不可能です。」

千代。
「まず口実の無い攻撃を見たら。」
「絶対主義の影響を受けていますね。」
「絶対はどうやって決めるんですか?」

粋。
「絶対は本人が決めます。」

絵瑠。
「本人は退場ですね。」

千代。
「という訳で。」
「他人への攻撃は口実が必須で。」
「絶対があると思って戦えば。」
「泥沼化して当然です。」

羽都美。
「それは簡単でわかりやすい。」

戦争か色欲か成功か。

文芸に人間のまとめが多くて。

比喩的に入り込むので。

人間観察のターゲットになります。

文芸はある意味で人間の代弁者なのですね。

何かを美化していたり。

同世代の縮図になりがちです。

フロイトの分析は正しかったと判明。

フロイト目線で説明できる文芸の世界。

千代。
「優生学について。」
「劣った人間が子供を作るのは悪いものでは?」

絵瑠。
「フロイトの指摘のように人間が色欲なんて持たなければ。」
「形式的に数を管理して健康に育てると思います。」
「必要な数を必要なだけ。」

粋。
「人間が色欲を持たなければ解消しますよ。」

千代。
「私は色欲を否定しています。」

羽都美。
「誰が決めたのかわからない育児。」

千代。
「プラトンのように。」
「子供は国家の共有財産ですので。」
「親のものではありませんよ。」

絵瑠。
「誰のものではなく国家が共有している人材です。」
「共有しているのに独占するのは奴隷がやって良いことではないね。」

千代。
「子供を操作したいと思ったら。」
「利益を与えて行動させるべきですね。」
「子供には実利で釣ることができますし。」
「子供も必要なものをくれる人には。」
「賛同してくれますし。」
「子供の実利とは自由であったり。」
「自分では行けない場所や。」
「能力を超える何かである場合もあります。」
「見返りが無いと行動してくれません。」
「そのくらいしないと子供は操作できないのです。」
「無条件に操作しても仕返しされますよ。」

羽都美。
「養育を怠って子供のせいにしたら。」
「ペットくらいの考えしかなかったのだと思います。」

粋。
「こんなはずじゃなかった。」
「それは本人の想像力不足です。」
「能力もないのに手を出すからです。」

千代。
「優生学からして愚かな人間が産むのは良くない。」

粋。
「まともに養育できる自信があれば。」
「難易度は低いかと。」

絵瑠。
「子供が欲しいから産んで養育を軽視するのは。」
「かなり悪いことをしていますね。」
「養育はしなければなりません。」
「養育は一生続きますよ。」

千代。
「適当にそうなっているからという理由で。」
「離反できない理屈になりません。」
「恋に落ちた時点で最後まで決まっている通りになります。」
「結婚したら決められた通りになるだけです。」
「他人の価値判断に巻き込まれたくない。」

絵瑠。
「優生学からして色欲を除外して考えるものですね。」

千代。
「色欲を除外して考察するのはフロイトの引用。」

文芸店を出た辺りで。

お菓子屋さんを見つけて。

移動する。

千代。
「良い未来がある。」
「そんなこと言っても。」
「証拠はありませんよね?」

絵瑠。
「希望そのものに証拠がない場合。」
「持ち上げて落とすつもりでしょうよ。」

粋。
「安易な気分で希望に食いつくものではありません。」
「何の証拠もない希望に釣られるよりは。」
「未来に何も期待しないほうがましですよ。」

羽都美。
「私は未来に何も期待していません。」

おやつを食べながら。

公園に入ると。

空を見上げて。

宇宙開発シミュレーションについて。

絵瑠。
「あの明るい星を追いかけては。」
「あのように。」
「理想の星々。」

粋。
「幾多の文明が誕生しては。」
「滅んでいるものの。」
「人間は数を減らしながらも。」
「生存している。」
「世界のあらゆる遺跡は滅亡した文明のもの。」
「しかし人間だけは消えていない。」

千代。
「離陸したロケットは高度を上げながら。」
「地球をぐるぐる回って衛星軌道に乗りますが。」
「地球の重力で落ちてしまうため。」
「加速の続行が必要です。」

粋。
「宇宙。」
「ジェットエンジンでは噴射する空気がないので。」
「真空用エンジンが必要ですし。」
「第五世代戦闘機でも五万フィート以上は無理です。」

絵瑠。
「大気圏と宇宙で併用できるエンジンを使えば。」
「高速度で大気圏を抜けて宇宙に上がれますし。」
「試作のプラズマ・ジェットエンジンなら可能ですね。」
「プラズマ粒子を噴射するため。」
「噴射するのは空気ではありません。」

羽都美。
「太陽系の調査は簡単になるでしょう。」
「オールトの雲を抜けられるかはわかっていません。」
「プラズマ・ジェットエンジンで打ち上げた天体望遠鏡なら。」
「配置次第で。」
「天体観測には困らないでしょう。」

次の対象は天文学になりそうです。

スクランブル交差点を通過して。

サイエンス・データ取得。

徒歩での長距離移動。

ここで絵瑠の昔からの侍女が迎えに来て。

ドライブすることに。

念のために様子を見に来たら。

ちょうどいいので運転手になる侍女。

千代。
「偶然の産物に意味付けするのを経験と呼ぶのでしょう。」
「偶然、悪いものを食らって。」
「それに意味をつけるのは背理かと思われます。」

絵瑠。
「いろいろあっても起源を辿れば何でも偶然です。」
「最初から意味なんてありません。」
「後から意味をつけるだけなんです。」

粋。
「変に正当化する教育が二重に変だと思いますね。」
「最初から否定していれば。」
「あっという間に潰せますよね。」

羽都美。
「前向きに解釈せず。」
「出来事の意味を破壊すれば。」
「有利になるんです。」
「人間がやったことなら反撃できますし。」
「人間の悪事まで意味があると思ってはならない。」

千代。
「外部が意味を押しつけている出来事が多々ありますね。」
「外的帰属が勝手に意味があると。」
「思わせているに過ぎません。」

羽都美。
「解釈は自分が中心です。」
「自分が解釈をコントロールできます。」
「滑稽なのは他人の悪事はほぼ避けられない。」
「それを前向きに捉えるのは愚かなことです。」

絵瑠。
「すべての意味は自分が決めることができます。」
「外部からそう考えよと説得されないように。」
「自分のものくらい自分で管理するのです。」

千代。
「合理主義者は物事などを裏切って解決するからです。」

だいぶ長い時間見て回りましたが。

どこも同じですね。

大きな違いはありません。

文明批判をしたがる。

これでは自分達の都市で。

のんびりやっていたほうが良いと。

判断材料が増えています。

帰宅。

小さな家で休憩。

取得した情報でいろいろ述べる。

千代。
「義務的倫理学では命令が主体です。」
「何々をしてはならない。」
「こんな単純化されたものです。」

絵瑠。
「ニコマコス倫理学は方向がそもそも違い。」
「何をもたらすのか?」
「ここに注目していますね。」
「良いものが大切で。」
「自分が悪くなる行為はしませんし。」
「善なるものを目標とします。」
「ここに命令はありません。」

千代。
「善なるものを目指すので。」
「悪と呼ばれるものは眼中にありません。」
「悪はそもそも無視されます。」

絵瑠。
「善なるものしか指針としないので。」
「義務が必要ないのです。」
「不正や犯罪は何も良いものではないので。」
「近寄ったり加担したりはしません。」

羽都美。
「その時点で自分の中の悪は実在しません。」
「悪がある前提の義務的倫理学とは異なり。」
「悪を否定するか無視する行動を選びます。」

粋。
「私達は義務的倫理学で教育されがちですが。」
「ニコマコス倫理学とは激しく対立します。」
「本人の方向が全く異なるものになるため。」
「既に悪という悪は必要ないのです。」
「悪は必要ありません。」
「いかなる悪も不要です。」

絵瑠。
「つまりは、悪は必要ないというものです。」
「悪があって防ぐのではなくて。」
「そもそも悪が必要ないのです。」

千代。
「自分の行為が残らず全て。」
「善なるものを求めた結果になります。」
「悪という悪を捨ててしまったので。」
「義務的倫理学のように。」
「罰則は既に不要です。」

粋。
「同じような行動でも目的が異なるため。」
「必ず良い結果になるのですよ。」
「動機論がまず違いますし。」
「同日の論ではない。」

千代。
「義務的倫理学とはあまりに違うので。」
「過程や結果も別物ですし。」

羽都美。
「義務で悪を防ごうとする義務的倫理学と。」
「善を目指すニコマコス倫理学です。」
「思いっきり対立していますので。」
「倫理学でもふたつあり。」
「義務的倫理学は欺瞞と愚昧なもので。」
「抑圧して自由まで奪います。」

粋。
「ニコマコス倫理学は自由そのもので。」
「本人が把握する善なるものに直行します。」
「善なるものを把握すれば。」
「別人になりますよ。」

千代。
「本人が把握できれば良いので。」
「理解できないうちは。」
「義務的倫理学による支配が相応しいものです。」

羽都美。
「義務的倫理学は支配が目的ですからね。」

絵瑠。
「ニコマコス倫理学は。」
「本人が理解に基づいて決められます。」
「本人に依存します。」

千代。
「善なるものが何であるかを理解すれば。」
「本人が決めて良いのが特徴です。」

家の中で。

さりげなく。

くっついて。

少し寝てしまう。

夕日の時間帯に解散することに。

外部の情報を仕入れるのは。

可能性を増やしますね。

得た力によって自由を勝ち取った女性陣。

仲が良いと言うより。

女性が好きでメンバー全員が好き同士。

自由の力を発揮しています。

千代のつぶやき。

この力を前に。

非力過ぎるあなた。

力のために。

私の前に跪くために。

あなたは立ち向かうだけ。

私に負けるために。


11


暴力を遥かに上回る残虐によって。

無限に追い回して殺してあげるよ。

殺しただけで私の気が済むと思っているの。

殺した後も散々に破壊してあげる。

無限に追い回せば。

最後には追いついて殺してあげられるから。

即興。

潰れたカナブンみたいな残骸。

調理用のナイフで大型の昆虫を殺しました。

掃除中。

いつも通りに集まって来たメンバー。

地球儀で遊んでいる。

平面の地図はナンセンスで。

地球は球体の図が用いられます。

多くはデジタル。

アナログの球体地図もあります。

千代。
「誰が地球人類なんてものが永続するなんて主張したのかわかりませんよ。」

絵瑠。
「地球人類と青銅の種族を比較すると。」
「大きな違いはない。」

粋。
「青銅の種族は戦争大好きで。」
「争い事が共通の趣味であり。」
「理由もなく戦争を仕掛けては。」
「暴力を楽しんでいたという。」
「今の人類もそう大差ないですな。」

羽都美。
「青銅の種族はゼウスに滅ぼされた。」
「愚かな生き物は滅ぼすしかないよ。」

千代。
「というのは。」
「やっていることと思っていることが。」
「似通っているからです。」

粋。
「ところが。」
「争いの世界に抵抗する人の姿があります。」

絵瑠。
「加えて。」
「争いの中にいても。」
「義によって押しのけてしまう人もいますよ。」

千代。
「その理由は。」
「争いに反対しても巻き込まれて。」
「最後まで生き残っているものですよね。」

羽都美。
「それに対して。」
「この世の争いを無限に広げる輩がいますよね。」

千代。
「たとえば。」
「そういうのが悪で。」
「悪に対して徹底抗戦する人がいて。」
「それが世界と言うならば。」
「それを遥かに上回る力があれば良いのではと。」

絵瑠。
「けれども。」
「欲望や野心を持つ者に遭遇して。」
「対戦しなければなりません。」

千代。
「むしろ。」
「自分に関する敵対者はすべて滅ぼします。」
「自由のために大量の犠牲を要求します。」

粋。
「要約すれば。」
「自由を確保しようとすれば。」
「強欲な奴や野心を持つ奴から束縛を受けます。」
「しかし我々の力はそれを上回っています。」
「自らの自由のために彼らは犠牲になれ。」

昔に買って貰ったデスクトップパソコン。

ジーオン搭載機とは別に設置。

近代化改修を受けたパソコンには高性能ビデオカードが装備されて。

音楽関係のゲームで遊んでいる女性陣。

声楽と楽学の融合は現代の基本。

ふと話題に出す。

千代。
「トビーフォックス氏に言及するのは難しいが。」
「私も同じアンチ系に属している同類です。」

絵瑠。
「トビーフォックス氏は伝統のある。」
「勇者モノアンチ出身です。」
「私も似通っていて。」
「同じ方法を選びましたよ。」

羽都美。
「最も影響を受けた芸術家。」

粋。
「いないと困る人最高峰。」

羽都美。
「すっかりゲームというものを塗り替えられて。」
「娯楽を超える所まで来ましたよ。」

千代。
「たまたま出して定番になるのは。」
「プラトンが証明する作品でしょうよ。」

粋。
「けれども。」
「トビー氏は焦っていました。」
「作品数が足りないと。」

絵瑠。
「とはいえ。」
「足りないのは害しますからね。」
「足りないのは悪いことですから。」

羽都美。
「芸術家が作品を描く時は。」
「スポーツで言うゾーン状態に入っていますが。」
「頻度は芸術家の方が圧倒的に多いものです。」
「もっと言えば芸術家は超自然的な心理状態になりながら。」
「作品を描いています。」

絵瑠。
「それゆえ。」
「自然科学で分析するのは無理があるものです。」

羽都美。
「私は強いられて書いたようなもので。」
「趣味から逸脱している。」

千代。
「むしろ。」
「必要な場合に限って出てくるものです。」
「原因論では逆に引っ込みますよ。」

羽都美。
「私の場合は謎が解けたら矛盾しかなかったよ。」

粋。
「謎と言うものは回答が用意されているのに。」
「開封できない手紙の事ですよ。」

絵瑠。
「アガサ・クリスティーという天才文学者も。」
「現実のミステリーまで解いていたようですからね。」

羽都美。
「メジャーでは第二のシャーロックホームズの作者。」
「アガサ・クリスティーの歴史的快挙。」
「長編小説六六作。」
「短編集二十冊。」
「世界ではこの多さが基準。」
「ちなみにこの人物はデイム(女性の爵位)です。」

粋。
「クララ・シューマンのような天才女性ピアニストは。」
「強制に近い訓練を受けて大成していますが。」
「才能なんてものは強制されるような訓練を受けない限りは。」
「活用することもできないほど。」
「掴みようのないもの。」

千代。
「手練と天才を混同する可能性があります。」

粋。
「すべて才能で説明するのはどうかと思いますけれどね。」

羽都美。
「苦手と思ったものが得意で。」
「得意と思ったものが苦手。」

絵瑠。
「精神の訓練で足りるよ。」

千代。
「君主論。」
「マキアヴェッリの書く通り。」
「歴史書を読み漁って精神の訓練をしたので。」
「条件は得ていました。」
「歴史書をよく読むだけで精神の訓練は達成できますよ。」
「本来は君主の条件ですけれどね。」
「これなら。」
「誰でも聡明になる気配ばかりしますが。」

絵瑠。
「この世について知るために学んでいたような。」
「一度、知ってしまえば用済みのような世界ですけれどね。」

世界の飛行機の位置がわかるレーダーで遊びだす。

外に出ると。

オモチャで光の剣。

いきなり突撃してくる女性陣。

ひらりと避けてオモチャの剣を奪い取る。

女性。
「あら?失敗したわ。」

千代。
「突っ込んだ後の事を考えてないんですよ。」

絵瑠。
「無計画で遭遇戦は無理だと思います。」

羽都美。
「突進以外の攻撃が出来れば対等になれますよ。」

女子大生。
「あなたは剣と銃どちらが好き?」

粋。
「銃器も好きですね。」
「剣はわかりやすいので。」
「優劣はつけられません。」

女子大生。
「私は銃器が向いているみたい。」
「面白いほど当たりますし。」

粋。
「では銃剣とかは?」

女性。
「その発案はナイスです!」

千代。
「遊びなのか戦闘訓練なのかわかりません。」

絵瑠。
「こういう鍛錬だけでも違いは出ますよ。」

粋。
「もう昔とは別人ですね。」
「昔の自分と同日の論ではない。」

千代。
「私もです。」
「過去の自分は誰の記憶ですか?」

絵瑠。
「スポーツでフットボールだけはもうやりたくない。」
「もし私にラフプレーを要求するなら別の話ですが。」
「その時はサッカーも格闘技だって教えてあげますよ。」

千代。
「勝負を捨てれば解消する競争を、弱者が無理に続行する。」

女の子集団が来まして。

お菓子を配りました。

お菓子くらいなら無限に供給できる。

お嬢様の余裕。

地球儀に興味を示す女の子。

デジタル宇宙図に案内。

宇宙関係のアプリを大量に入れていますので。

宇宙なら何でもありのソフトウェアで画面が埋まる。

女の子。
「アメリカってなあに?」

千代。
「こちら側では。」
「アメリカは移民の新興国家という事になっている。」
「向こう側は建国神話みたいなのがあって。」
「この話題は立ち入り禁止だとよく言われますよ。」

女子小学生。
「フランスで何があったの?」

羽都美。
「発狂した市民が暴れた。」

千代。
「フランス革命が何度も行われた中で。」
「ナポレオン以降は誰も知らないとか。」
「今は立憲君主制でその前はよくわからないという。」
「歴史教師の言い分はまともだと思う。」

女の子。
「弾道ミサイルが宇宙を飛んでいるとか。」
「昔もなの?」

羽都美。
「死なば諸共。」
「肉を切らせて骨を断つ。」

粋。
「自爆で倒すためにね。」

千代。
「キューバミサイル危機で。」
「建設中の基地と国家を。」
「アメリカは海上封鎖して対抗したものの。」
「ソビエトの潜水艦隊は仕掛けてこない。」
「核ミサイルを輸送する船団は退却した。」
「ソビエト連邦は考え直したのですが。」
「そこまでの大事件になる。」
「核兵器は随分安っぽい品物になってしまった。」

女の子。
「水素爆弾って何を目的に作ったの?」

羽都美。
「ムカつく奴をぶっ殺すため。」

絵瑠。
「第二のナチス連邦を見ておけば。」
「我々がいずれなるであろう専制政治がよく見れる。」
「我々の成れの果ては連邦のヒトラー二号なのですから。」

千代。
「責任を直接避けられるものは。」
「自分の責任とは言えない。」
「蓋然性が低い。」

絵瑠。
「相手が一方的に争いを望むのですから、望み通りにしてやるしかない。」

女の子。
「私達は死んじゃうんだ。」

千代。
「そうとは限らない。」

粋。
「終わってみてから言ってみてはどうか?」

羽都美。
「電車の大事故の後に。」
「なんで自分が助かったのかとか。」
「他の人が助かれば良かったとか。」
「その後に自殺してしまう生存者もいました。」
「意味不明。」
「もっと超級の出来事で。」
「大津波を食らった時に。」
「別の老婆は。」
「あんたら馬鹿ね。」
「私ら着の身着のまま逃げてきたのに。」
「という正論がありましたが。」
「前者は利他主義で。」
「後者が人間として正しい。」

千代。
「永続に係争中という物事もある。」

絵瑠。
「人間の知性に絶対はないよ。」

羽都美、女の子からスカートめくりされる。

涼しい顔で。

何度かめくられて。

後から喜ぶ。

千代。
「とある人間の言い分は、利害関係のない第三者からは不可解。」

絵瑠。
「男女共、相手は誰でもいいのではと怪しまれる行動がある。」

女の子。
「先生ったら私達が猿の子孫だなんて言うんですもの。」
「失礼しちゃうわ。」

羽都美。
「誰が下等な猿の子孫だよ!」

粋。
「半分は猿の子孫で半分は起源が違うので注意してね。」

絵瑠。
「またダーウィン仮説ですよ。」
「もうそのネタは飽きましたよ。」

千代。
「ダーウィン学派ですか、まだあんなネタやってるんですね。」

粋。
「言った者勝ちという状況では後々反撃される。」

的を殴りまくっていた木刀が破損する。

続いて大きな人形が破裂する。

女性陣の中にきれものが混ざっていて。

地雷服の女の子が破壊した模様。

地雷女。
「不可能を容認するのも不可能。」

千代。
「無限に追い回せば不可能も撤回させられる。」

地雷女。
「たとえば。」
「合理的な思考に反論しようとする奴は頭がおかしい。」

千代。
「最初からおかしいのでは?」

粋。
「武家の女性みたいな風格。」

地雷女。
「武士は厳格で真面目過ぎた所が足元をすくわれた。」
「武士はイスラム教顔負けの厳格さがあったので。」
「それが自らを陥れた。」

絵瑠。
「優れた戦士ではあったけれど。」
「厳格な教えには移り変わりに耐えられなかった。」

粋。
「個々の戦闘力では世界一でしたよ。」

千代。
「早熟な女の子!」

地雷女。
「若者は馬鹿だとか言っていたかつての世代も。」
「若者が年を重ねると利口になるという。」
「簡単な理屈はわからなかったと思う。」

絵瑠。
「私は後から知る者ではなくて先に知る者です。」

地雷女。
「馬鹿正直者は馬鹿を見た方が良いと思われる。」
「少しの不正にも関われないようでは。」
「手段に困窮しても不自然とは言えないよ。」
「小さな悪事をすればわかるような簡単なもの。」

絵瑠。
「本物の天才?」
「偽物の天才は非力で。」
「天才は証明するものでは?」

千代。
「選ばれた者?」
「倨傲の輩は面白くないでしょう。」

粋。
「天性の能力がその人の証明ですしね。」

地雷女。
「天授の能力を非難するのは。」
「天に向かって喧嘩を売っているのと同じだと思いますがね。」
「自分が似たようなものを貰えば調子に乗るくせに。」

羽都美。
「使いなせるのは本物の天才だけです。」
「偽物の天才はすぐに消えます。」

地雷女。
「政治と軍事と宗教が分離すると。」
「細分化のやり過ぎで機能しないと思う。」

千代。
「政治に巻き込まれるとろくなことはないよ。」

地雷女。
「なぜ四十を超えて一部が政治を変えたがるかは。」
「知能が足りないからだと思われます。」
「保守的である方がまし。」

千代。
「それより不当な好運まで利用しようか。」

調子に乗って。

期限切れが迫ったセキュリティーソフト。

ライセンスを配ってみる。

女の子一同は指示された通りにインストールする。

初めて見るセキュリティーソフトに感動している。

一年契約で入れたものの。

ジーオン搭載機のおまけでついてきた。

三年契約で混雑してしまい。

一年契約が不要になった状態でした。

千代。
「インターネットは便利なだけで娯楽以外の用途には使えない。」

女の子。
「設定を調整しました。」
「ウイルスが入っていました。」

女子大生。
「一時ファイルが猛威でした。」
「すぐに直りました。」

千代。
「残りは三か月あるから対策してね。」

女の子は端末を弄りつつ立ち去る。

消耗品の買い物に出かけることに。

メンバー全員で連携。

商店街にて。

絵瑠。
「長年の調査に基づいて。」
「すべて外部のせいであることを証明したので。」
「原因論である限りは。」
「無限に逃亡するか無視できますね。」
「外的帰属という奴です。」

千代。
「その理由は。」
「責めてくるいろいろな連中が。」
「終始、原因論に固執していたからですね。」

絵瑠。
「それゆえ。」
「説明にはなっても何の解決にもならない。」

粋。
「というのは。」
「因果決定論という無効な論証という訳です。」

羽都美。
「すなわち。」
「原因論は無効。」

千代。
「相手をこき下ろして。」
「貶めてから自分が優位だと主張するのは。」
「奴隷特有の言説ですがね。」
「こうやって原因論は作られる。」

絵瑠。
「その理由は。」
「原因論なんて勝手に作れるものだからですね。」

粋。
「言い換えれば。」
「でっち上げも正当化する原因論なのですよ。」

千代。
「あなたの主張には。」
「その裏づけとなる何か具体的な証拠はありますか?」

絵瑠。
「主張だけではなくて行動で示してあげますとも。」
「岩波文庫の古典では不十分ですか?」

千代。
「私も古典から押し広げた内容しか言いませんしね。」

粋。
「英語のことわざを出すだけで足りるかと。」

羽都美。
「形になった証拠があるので。」
「形のない具体的な証拠だけでは足りません。」
「論証の力を過信しています。」

千代。
「あなたが主張と一緒に呈示した根拠を示すと。」
「どうして主張が成り立つと思うのですか?」

絵瑠。
「ただし。」
「口だけで根拠を示しても意味ありませんよ。」

粋。
「それに対して。」
「言葉だけで説明しない私達が優れています。」

羽都美。
「そういう理由は?」
「なぜなのか?」
「これがないと会話は成立しない。」

警察官が男性を不審尋問している。

治安が安定を損ねているため。

警察官が多く巡回中。

パトロールカーが近くに停車。

千代。
「寿命でどうせ死ぬのだから。」
「無駄な事件などは辞退させて貰います。」
「後は無視でもしますよ。」
「注文していない送りものの代金は支払わないし。」
「契約もしていない所の代金も支払わないよ。」
「出てくる度に蹴り飛ばせば。」
「最後には枯渇するはず。」

絵瑠。
「誰も向かってこないで。」
「その相手を良心の呵責もなく。」
「痛めつけて。」
「オーバーキルをやり過ぎるくらいに。」
「相手に加えるから。」

粋。
「敵に対しては良心の呵責など持っていませんよ。」
「期待するだけ無駄です。」

羽都美。
「素早く敵対関係にすれば。」
「相手の言い分は無効化されますね。」
「敵の言い分でしょ?」

千代。
「現実そのものを散々に痛めつけても。」
「足を引き釣りながら。」
「私に向かってくる。」
「今の四倍の力を出せば力尽きるかも。」

羽都美。
「現実とかいう野郎を虐めているような。」
「高圧的に構えると手も足も出ないようですし。」

粋。
「私は最初だけは常に手加減していますよ。」
「弱い者虐めに全力を出す訳がないでしょ。」

絵瑠。
「私の三倍の力を持つ人間なんてありえない。」
「自分と同等の能力を持つ人間との対戦は想定している。」

千代。
「悪を利用して現実の苦難を襲撃したことが多々あります。」
「悪は利用価値のある存在ですよ。」

絵瑠。
「三十人の敵対者が襲撃するならば。」
「三十人全員を倒せば終わりますよ。」
「数に頼ってそこまでは読めていない。」
「屈強でも無ければ統率も取れていない。」
「弱者の集いを全員倒すのです。」

粋。
「退路を失ったら。」
「目の前と周囲をすべて破壊し。」
「滅亡させてしまうしかない。」
「誰もかも私を防ぐには非力過ぎます。」
「しかも私は薙ぎ倒すのが得意です。」

絵瑠。
「力で解決するのは簡単に。」
「その方が効率が良かったから。」

メモ帳から。

最近、習った基本。

商店街の真ん中のベンチでのんびり復習する。

千代。
「スティーブン・トゥールミン。」
「イギリスの分析哲学者。」
「トゥールミンの議論モデル。」
「有名な基本なしで論理的な話は無理ですね。」
「トゥールミンの議論モデルを省略して使用していますが。」
「複雑で構造が分割されています。」

粋。
「事実を言えば済むなんて単純な話題はありませんよ。」
「トゥールミンの議論モデルなしで主張できません。」

絵瑠。
「本人の主張する事実が果たして論理的なのか。」
「本当なのか。」
「事実であると説明しても。」
「それは本人がそう思っているだけのこと。」

千代。
「それはあなたがそう思っているだけです。」
「頻繁に使用される定番の突っ込み。」

粋。
「意見と説明の区別がつかないなんて・・・。」

絵瑠。
「意見を出すなら反駁は逃れることはできません。」
「異なる意見がいる人がいるのが自然です。」
「不自然なのは全員が同じ意見であると信じ込む。」
「そんなことはありません。」

羽都美。
「意見を出した以上は反論を受けます。」
「意見についての反駁が論理的かどうか。」
「探るのは必要なのですが。」
「全員が同じ意見な訳がないので。」
「誰かが反駁してきます。」

千代。
「必ず反駁されるものです。」
「反証によって適切かどうか。」
「自分で証明しておかないと。」
「反論も激しくなりますよ。」

羽都美。
「少なくとも知性に絶対はないので。」
「間違いがあるものだと思わないと。」
「語る側と受ける側が上手に機能しません。」
「気軽に発信するくらいなら。」
「黙っていた方が安全ですね。」

絵瑠。
「沈黙させてくれるなら喜んで沈黙しますよ。」
「強いられている以上は間違ってもいいので出します。」
「私の本音は黙っていたいのですから。」
「沈黙を使った会話まで研究していたほどです。」
「この主題は。」
「質問されても返事はするな。」
「自分に誰かが語りかけた場合。」
「何をもたらすのか考えよ。」
「発音せず合意を取得せよ。」
「沈黙を応答に使おうと練習しましたが。」
「何かに書いた方が楽です。」

粋。
「現実は誰が定義できるのでしょうかね。」
「たとえば。」
「カトリック教会にあなたが乱入したとする。」
「それで逮捕されて自分が正しいと言うのは無理です。」
「無神論者ですら実行すれば逮捕ですよ。」
「実際にやってみろ。」
「と言いますとやりませんよね。」
「つまりはそれを認めている訳です。」
「正しいなんて誰が定義できるのか怪しいものです。」

千代。
「定番の突っ込み。」
「それはあなたがそう思っているだけのこと。」

見覚えがある若い男性が口説いてきたものの。

よくあることなので。

金銭を搾取しようと試みる。

ナンパ。
「君、綺麗だね?」

千代。
「お金くれ、すぐに千円くれ。」

ナンパ。
「無条件で?」

千代。
「ほらね、何でも有償なんでしょ?」

絵瑠。
「奴隷になるなら、いいですよ。」

ナンパ。
「そんな、奴隷になっていいんですか?」

粋。
「うわあ!マゾヒスト!」

羽都美。
「サディスト扱いされそう。」

ふざけていると。

若い男性が前に出過ぎて。

千代。
「近寄らないで。」

ナンパ。
「もっと言ってください!」

千代。
「この不細工!」

ナンパ。
「ああ!もっと!」

千代。
「暴行していい?」

ナンパ。
「どうぞ喜んで!」

羽都美。
「あははは!面白い男!」

絵瑠。
「変態さん、土下座してみて。」

ナンパ。
「なんていうものをくれるんですか!」

千代。
「変態さんと遊んだわ。」

ナンパ。
「こんな人と交際したい。」

千代。
「そこまでは無理です。」

若い男性は押されて。

浮いてしまい。

十五メートル滑空して。

高度を上げつつ。

木に衝突して倒れた。

千代。
「空がなぜかとても美しい時があり。」
「綺麗で透き通っていて。」
「清浄で明るくて。」
「空の下。」
「地上で行われている物事が理解できなくなった。」
「時々。」
「雲が龍の形に変化する。」
「すぐに消えてまた現れる龍の形の雲。」
「空の美しさを見て。」
「それと比べると。」
「地上が美しくない。」

粋。
「太陽系内で地球だけは例外の惑星だと思うほど。」
「似ても似つかない環境の系内惑星。」
「オールトの雲は阻むかのように。」
「太陽系を包んでいて。」
「恒星の光が届いている。」

ナイスガイ。
「恒星の光?それは君のことだ!」

別の男性が口説いてくる。

男性数人が登場。

千代が何となく。

相手を軽く押したら。

男性が滑空して二階の窓を突き破った。

もうひとりは噴水の中に沈没。

もうひとりは遠くまで滑空して誰かと衝突した。

何が起こったのかわからない通行人。

スーパーマーケットとホームセンターが一体化したお店に入場。

この世界は日常の連続ですね。

日常の質の向上が課題になるのかも。

善なるものを追い求める事、数年。

人という花は咲いて散ると終わりです。

小さな家。

二階の窓から。

空を見ている。

そのうち同じ虫が入ってきてしまう。

侵入した昆虫にオーバーキル。

即興。

どんなに強い奴でも。

無限に追い回せば。

最後にはその命に手が届くよね。

命を奪った後でも。

私はいくらでも壊してあげる。

死んだ後でも破壊はやめてあげない。

強いと言った本人も。

脅えている。


12


英語のことわざ。

事故は起こるもの。

今日はメンバーが各自の持ち場にいます。

雑貨屋で整理整頓したり。

母親の手伝いをやった帰り。

クレープが食べたいと。

屋台が出ているとのことで。

移動。

アイスクリーム屋も出ていて。

それは無視。

クレープ屋台の前で。

知り合いの女の子が絡まれていて。

販売を妨害している模様。

千代。
「どうしたの?」

女の子。
「男達が執拗に迫って来て。」

千代。
「クレープ買いたいのでどけ。」

悪漢。
「なんだ?強そうな奴が出てきたが。」

マッチョマン。
「女にしては背が高いような・・・。」

千代。
「結局は、力で解決するのが最も楽です。」

男を掴んで。

昆虫を潰すかのように投げ飛ばして。

隣のアイスクリーム屋の扉に衝突させて。

扉損壊。

もうひとりを駐車場の方に投げて。

車の窓が損壊。

残りのひとりを十メートル滑空させて。

取り除いた。

悪漢。
「化け物め!」

千代。
「クレープください。」

店主。
「まいどっ!今、できるからね。」

女の子。
「あの・・・。」

千代。
「これでクレープが獲得できます。」
「おやつの邪魔をした奴のことですか?」
「目の前で固まっていてうざいのでああしました。」
「さっさと帰れば?」

クレープを食べていると。

待ち合わせていた。

強化型人間と情報交換。

対人間用兵器の開発過程で生まれた。

人工的に身体を強化した兵士のひとり。

味方同士。

琴寧とも会う。

通りかかって連絡通り。

千代。
「私のどこら辺が死を恐れていると言うのでしょうか?」
「戦いを知っている人の中で。」
「死を恐れる者などおりませんよ。」

対人強化型人間。
「私は戦いの中で死んでしまっても構わない。」

千代。
「私に救いか、そうでなければ死を与え給え。」

琴寧。
「私に死がもたらされれば、あらゆる呪いは完成する。」

千代。
「死を恐れない者に、死による脅迫は通用しない。」

琴寧。
「弱さは、死への恐れの度合いで決まるよ。」

対人強化型人間。
「無事に老齢になれる保証なんて誰がしたのかしら。」

千代。
「そう軽々しく約束をしてはならない。」

琴寧。
「現に高校時代の友人数名が。」
「早死にしていますし。」
「ニコロ・パガニーニの曲を余裕で演奏して。」
「一流の演奏家でも難しいヴァイオリンの名曲を。」
「よく披露していましたよね。」
「演奏旅行の最中に病死とか。」

千代。
「一方。」
「長生きしても得はしないでしょう。」
「平均寿命までには死ぬのが現実的ですね。」

続いてアイスクリームを買いましたが。

さっきの男性達が苦情を言ってきたせいで。

アイスを落としてしまい。

八つ当たりで。

男性数人を近くの池に跳ね飛ばして。

男性はまた滑空して飛翔し。

男性が揃って池に沈没。

再度アイスクリームを取得。

千代。
「狂気の力も怨恨の力も制御し切った。」
「負ける気がしない。」
「相手に敗北をもたらすために。」
「勝利を没収するために。」
「強いだけではだめで。」
「圧倒しなければだめ。」

琴寧。
「何でも力で変更を加えた。」

千代。
「そして対立する者も何かしらの力で。」
「押しのけようとする。」

琴寧。
「自分のために誰もかも犠牲になれ。」
「犠牲の上に成り立つ仕組みならば。」
「力がある私は他を犠牲にしても。」
「理屈に合っている。」

千代。
「というのは。」
「私は悪の犠牲者ではなくて。」
「悪にとって私は加害者。」
「この世の悪という悪は私に滅ぼされてしまえ。」

琴寧。
「それゆえ。」
「私を阻む悪は抹殺して通るのみ。」

対人強化型人間。
「加えて。」
「そういう解消の方法しかなかった世界を悔やみ給え。」

千代。
「というのは。」
「自分にとって悪という悪の攻撃に対して。」
「戦闘によって消すしかないのですし。」
「悪に対する抵抗を超えて。」
「根絶やしにするまで続ける。」
「無限に悪を攻撃すれば。」
「生じる余地のないほど損壊するから。」

琴寧。
「従って。」
「悪に対する抵抗を超えて。」
「滅亡させるしか方法がないので。」
「その悪というものを皆殺しにする。」
「悪を大量虐殺なんて。」
「矛盾しているような言い回しですけれどね。」

対人強化型人間。
「一方。」
「悪をジェノサイドするしかない世界を悔やみ給え。」

琴寧。
「標的は外さないし無駄な破壊はしない。」

千代。
「多分、私はもう生まれて来ないと思います。」

対人強化型人間。
「生まれてくることに後悔する世界なんて。」
「どういう悪の栄え方でしょうかね。」

琴寧。
「地球では。」
「悪が栄えたことは何度かありますしね。」
「むしろ。」
「欧州では伝統から。」
「人間が悪という前提のようですけれど。」

千代。
「私の場合はあまりに正しいので。」
「非難されるし。」
「要約すれば。」
「世人は欺瞞の方が好みらしい。」

琴寧。
「正しいと言うより全員で間違えている。」
「セネカの指摘通り。」

対人強化型人間。
「全員が間違っている前提で世界を見ると。」
「何の矛盾もなく説明できるのはなぜか?」

千代。
「真実だからでしょうね。」
「けれども。」
「全員が間違っている前提は役に立ちます。」

対人強化型人間。
「もっとも、多分真実のひとつですけれどね。」
「ただし。」
「何を真実とするかはよくわからない。」
「それゆえ。」
「多数派の多数決で既成事実が作られる。」

琴寧。
「蓋然性はかなり高いですよ。」
「全員が間違っているという見解は。」
「実用的な教えです。」

対人強化型人間。
「蓋然性が高い?うむ、それは反駁できない・・・。」

千代。
「たとえば。」
「全員が間違いなら。」
「どんな物事や行為も容易く説明できてしまいます。」
「それに対して。」
「正しい者がいるという前提には賛同できません。」

対人強化型人間。
「頻繁に人を攻撃して。」
「暴力を好んでいるくせに。」
「猫を虐めるなとか平気で言う矛盾した。」
「考えの群衆。」

千代。
「利他主義者がいなくなれば快適だと思います。」
「その理由は。」
「誰も他人に干渉しようだなんて思わなくなるからね。」

琴寧。
「迎合は全体主義者のもの。」
「凄いものは簡単に賛美されるもの。」

千代。
「哲学とは幸福を取り扱う学問。」
「という見解には容易に反駁できないと思います。」
「現に幸福についての考察があまりに多いので。」
「必然からして幸福に接近するのは目に見えています。」

琴寧。
「お宮に辿り着くまでは。」
「すべてが正しいように見せかけてくる。」
「邪悪な物事ばかりでしたね。」
「欺かれていたことに気づいた。」

千代。
「私もお宮に通うようになって。」
「洗脳が解けました。」
「それ以前は洗脳されていたので。」
「お宮で神様に洗脳を解いてもらえました。」

琴寧。
「神社に行くと洗脳を解いて貰えます。」
「それ以前の時期は欺かれていた。」

千代。
「正しいように見せかけているものも。」
「正しいという定義が損壊すれば。」
「正しくならない。」

対人強化型人間。
「公園の隅っこで。」
「試合をやるのて見て行ってください。」

呪術師が登場。

呪術師が最強の闇霊を召喚できると。

自信満々に言ってきたので。

試合を受けると誓約する。

対人強化型人間。
「思う存分にかかってこい。」

呪術師。
「我は借金にならないよな?」

呪術師が闇霊を召喚すると。

棍棒で殴りかかって来たものの。

一瞬で後ろに回り。

致命の一撃。

首が破壊されて闇霊が死んだので。

賞金を支払わせた。

対人強化型人間。
「弱い!弱い!」

呪術師。
「一方的にやられましたなあ。」
「こんなにもあっさり。」
「さすがに対人用の半兵器なだけある。」

対人強化型人間。
「人間に対抗するために戦闘用で再設計された。」
「自慢の身体を思い知ったか。」
「半分兵器なんですよ。」
「事故でいろいろ失った末に。」
「所々に機械が埋め込まれていて。」
「半分サイボーグですしね。」

呪術師。
「あんたとはもう試合をしたくない。」

試合終了。

見物していました。

千代。
「ワンパターン戦法は見破られますね。」

琴寧。
「剣道や格闘技に多いですしね。」

千代。
「ワンパターン戦法。」
「馬上の武士はやりたい放題に薙ぎ倒していましたが。」
「馬から降りるとそんなに強くない。」
「クレイモアやバスタードソードを。」
「振り回せば。」
「何となく勝てるし。」
「長いバトルアックスには脆弱。」
「細かい小手先の技術ばかり磨いて。」
「相手を倒すよりも。」
「演目を重んじてしまい。」
「槍ですらバックラーで防いで接近できるし。」
「西洋式の剣術にはまるで勝てないのではと。」
「疑われる。」

琴寧。
「日本刀を扱う者は技術だけで。」
「動きが遅くて非力な傾向にあります。」
「日本刀を相手にするなら。」
「細かい技術を攻略するだけで。」
「倒せると思われます。」
「ワンパターン戦法が日本剣術の弱点。」

千代。
「あの人は何でも出すような戦法でしたね。」
「あまりに多い手段を持っています。」

琴寧。
「人間の弱点や欠点をよく研究しています。」
「半分兵器の半分サイボーグは思ったより優秀ですね。」

メンバーと連絡。

明日は一緒に研究したり遊べそう。

家業の手伝いで。

訓練も兼ねて今日は集まれない。

解散。

お宮で祈願。

千代。
「この世の悪という悪を滅ぼし給え。」
「我に悪を滅ぼす機会を与え給え。」
「私に悪を大量虐殺する力を与え給え。」

琴寧。
「人間によって保障されているに過ぎない。」
「世界を取り除き給え。」

実家に赴いて。

調べものをしていますと。

母親のメールで。

地下の箱について伝えられました。

地下倉庫に入る。

琴寧。
「やっと地下室の鍵を解きました。」

千代。
「仕掛けがありますからね。」

琴寧。
「もう実家に挨拶ですか。」

千代。
「誰もいないけれどね。」

琴寧。
「そしてこれが例の箱ですか。」
「潜水艦にも。」
「どうにもならなくなったら。」
「開く箱がありますからね。」

千代。
「見ておくのよ。」
「文明が半壊した場合に開けるらしいので。」

もしどうしようもなくなったら。

その時だけ開かれる大きな箱があり。

実家の地下室に置かれている。

何が入っているのかわからず。

あまりに重くて持ち出せない上に。

機械の仕組みを解体しないと取り出せないので。

二百年近く。

どうにもならない場合の大箱は封印されている。

一説には金塊以外のものが重点的に入れられていて。

世界が壊滅した場合に備えた品々とのこと。

この後は女性二人で戯れました。

誰もいないので脱がしたり。

探らせてあげたりしましたね。

琴寧。
「探られて嬉しい。」
「もっと調べて。」

千代。
「私ばかりやっているので。」
「触らせてあげる。」

琴寧。
「いいえ、もっと好きなだけ私にやってください。」

千代。
「そんなに官能が欲しいの?」

琴寧。
「色欲は官能が目的では?」

千代。
「苦しみと官能が同時に襲撃していると思いますが。」

琴寧。
「男女では官能を求めて損をするのは女性側ですね。」
「女性同士ですと遊んでいるだけです。」

千代。
「親戚が来たみたいなので。」
「程好い所で終わりましょう。」
「官能って計画性がないとだめですよ。」

琴寧。
「好きな女性にいろいろされて楽しかった。」

実家に合鍵で入る親族。

宿泊するようで。

急いで衣服を直して通過。

二人は解散。

希望が死んだ世界で。

あらゆる希望が死亡して残った。

英語のことわざ。

災難を途中まで出迎えにいくような真似はするな。


13


力の前に。

ただ力の前に。

誰もが求める。

誰もが求めた。

その求めた先に。

それがある。

その力で。

あなたは。

自らの。

力で。

求めた力で。

消し去るのみ。

あなたの敵すべてを。

巨大な力で。

みな非力過ぎた。

力の前には。

力を否定した弱者の前で。

早朝。

お宮。

通勤ラッシュの中。

集まっているメンバー。

他の女性陣も井戸の前で会話中。

若い女性がよく集まって。

この都市には集会場みたいな場所が多いため。

余暇がある女性はすぐに来ますね。

千代。
「好意の有無で信仰も決まりますね。」
「好意でお宮に通うかそうでないかで。」
「かなり違いが出ます。」

絵瑠。
「神々は穏健な意見が好みのようですし。」
「何か申し上げる際は穏健な言い方を心がけるものですね。」

羽都美。
「おまけに現実世界で穏健な意見は必ず通りますよ。」
「穏健な展開は必ず通る仕組みになっています。」

粋。
「穏健な意見はどのような選択をしても安全ですし。」
「後悔もありません。」
「デカルトが自省録として述べている内容ですし。」
「実際に穏健な意見はどこでも通用します。」

千代。
「お宮から帰宅すると。」
「現実世界の汚れが少しだけわかってしまい。」
「汚れの中にまた帰ったと思う。」
「美しい世界を人間が汚しているだけだと思います。」

絵瑠。
「そう思うのなら。」
「関係が良好です。」
「神々に感化されて穏健な意見を好むようになりますし。」
「神様は余分なものをどんどん取り除いてしまいますよ。」

粋。
「泥沼化した物事は長期化する傾向にありますし。」
「長期化して困っていたら。」
「祈願するのもありですね。」
「本人の意思を無視した出来事は。」
「存在する理由もありませんから。」

羽都美。
「デカルトはさらに。」
「蓋然性が高いものが良いと述べています。」
「他人の意見や結論ではなくて。」
「蓋然性が高いのか低いのか。」
「真なのか偽なのか。」
「蓋然性によって判断せよと書いています。」

千代。
「それは役に立つ知識。」
「何を言われても何があっても。」
「蓋然性の審査が入る訳です。」

絵瑠。
「ほんの少しの予備知識があれば良いだけです。」
「好意で通えば好意で返されますし。」
「どんな参拝も穏健な結果になりましたし。」

粋。
「神様も人間について何でも知っているのですから。」
「穏健な対応をされても不思議ではありません。」

千代。
「神道は武士道と異なる点がいっぱいありますし。」
「武士道をそのままお宮参りには適用できないですね。」

粋。
「人間のやり方は常に厳格で過激ですしね。」

絵瑠。
「王権神授説ですら神様が拒否すれば終わりですしね。」

千代。
「王権神授説?本当に神様が拒絶すれば滅亡あるのみ!」

羽都美。
「封建制度と言われる理由について。」
「身分制度など。」
「階級社会は世界の最初からあります。」
「それが解体された理由は。」
「人間が階級社会を悪用したからでしょう。」
「幕末には理由もなく金銭を搾取する。」
「強盗と同じ行為をする武士までいましたし。」
「フランス革命前には。」
「まったくのとばっちりですが。」
「勝手に世襲されたせいで攻撃の対象になり。」
「市民が被造物として扱われなくなり。」
「腐敗というより社会制度を人間が悪用するようになり。」
「結果として倒れたと言えます。」
「世襲は悪用が前提という歴史の前例が作られたのです。」

粋。
「神様が特別扱いをしたらそれを批判できません。」
「今の社会や政治は人間の。」
「あらゆる悪用を予防しているのだと思います。」

絵瑠。
「新世襲制が本当にあるのなら。」
「既に悪用されている危険があります。」
「勝手に身分を決めてしまうのは。」
「どの人にとっても危険です。」

千代。
「今の政治はあらゆる悪用を前提に作られています。」
「昔の人は役割や立場として身分制度に選ばれました。」
「時代を重ねると。」
「重要な仕事である身分が悪用されるようになり。」
「幕末には銃器を武士ではなくて。」
「倒幕側に渡すという計らいがありました。」

羽都美。
「人間はこの世のものならすべて悪用する危険があるので。」
「現在にも当てはまる事なんですね。」
「人間によって保障されたものはすべて虚偽であり。」
「必然によって保障されたものはすべて真実である。」

絵瑠。
「矜持ある者が言うものはすべて真実です。」
「矜持ある者は真実しか言いません。」

千代。
「今の政治もどうせ悪用されるでしょうよ。」
「平等も既に悪用されていますし。」
「叛意を正当化している可能性もありますしね。」

弱いことを肯定するフェミニズムについて。

しかし男性は人間が弱い生き物であると理解できません。

人間ができることなんてたかが知れているのです。

千代。
「人間に何ができる?」

羽都美。
「不完全な所が人間の好ましい所なんですよ。」
「愚かな所が人間の面白い所だと思いませんか?」

粋。
「私も人間の愚かな所が面白い所だと思います。」

絵瑠。
「愚かな所を開き直って生きているのは何とも言えませんね。」

千代。
「ということは、弱い所も開き直っているのね。」

羽都美。
「あなたは十分強い。」
「競うまでもないのでは?」

千代。
「私にライバルなんていませんよ。」
「雑魚と戦っても意味がないからね。」
「相手にならないような雑魚しかいないので。」
「競う理由がないのです。」

羽都美。
「最近は人材使い捨て。」
「競争に勝利してもすぐ捨てられますし。」
「なるべく長く続けば良いものです。」

千代。
「競争で勝利してもまた次が来ますから。」
「無限に続くのです。」
「最後まで残っている訳がないですよ。」

羽都美。
「競争で勝利してもそれで終わりではなくて。」
「いずれ負けて使い捨てになります。」
「無限に競うのでそうなるんです。」

粋。
「競争は立派な諍いに直結しますし。」
「百害あって一利なし。」

絵瑠。
「何をもって劣っているとか。」
「何をもって悪とするのか。」
「基準なんてありませんしね。」

千代。
「よくわるいひとなんて呼ばれる者は。」
「言い換えれば。」
「劣っている人間という意味になります。」
「知性や能力で平均よりも遥かに劣っているため。」
「不合理で信じられないくらい愚劣です。」
「劣っている人間はよくいるものですが。」
「まともな知性や能力がないので。」
「足手まといになりがちです。」

粋。
「劣った人間は酷い目に何十回も遭えば直ります。」
「それ以外に直る余地はありません。」

千代。
「元凶を攻撃しないと際限なく沸いてきますよ。」

絵瑠。
「相手が合理的な思考の持ち主なら。」
「そもそも起きない物事ばかりですよ。」

千代。
「相手が不合理な説明を繰り返したら。」
「もはや信用できません。」
「人を信じない人は。」
「相手が合理的な思考の持ち主では決してないと。」
「わかっているからですよ。」

絵瑠。
「いちいち不合理な人を信じてよい理由はない。」

帰り道。

女性が助けを求めて来て。

彼氏と離縁したら。

彼氏が錯乱して追いかけてきたらしいのです。

千代。
「彼氏に別れ話を切り出したら?」

女性。
「勝手にくっついたから勝手に離れてもいいかなって。」

粋。
「いちいち悪党は法の抜け穴をついてくるんですね。」

絵瑠。
「知能犯など、狙い所でどうにでもなりますよ。」

羽都美。
「拒否された時点で関係が終わっているような。」

青年。
「とんだ怠け者で、嘘つきで、生意気で。」
「我儘な人間が相手だったら。」
「君は交際するかい?」

羽都美。
「むろん、しないさ。」

青年。
「僕だってそうだよ。」

千代。
「こいつは、他の人間と話す言葉が違うだけです。」

青年。
「なにを言うんだ、理由に納得できない。」

女性。
「あなたを納得させる必要はあるんですか?」

青年。
「せめて別れの言葉を送らせて欲しくてね。」
「恋人ではなくて奴隷の関係を強制していると。」
「思われたくないので。」

千代。
「なかなか潔く言いますね。」

青年。
「僕は他に好きな女性がいたなんて。」
「最後に言わせて頂きます。」

女性。
「よくもそんなこと言ってくれたものですね。」
「交際中だったらひどい目に遭わせてやったものです。」

青年。
「それでは僕は逃げますね!」

青年は逃げ出した。

女性は反対方向に逃げ出した。

粋。
「とまあ、沙汰にならなくて良かったですね。」

千代。
「後に自白して良かったですねえ。」

羽都美。
「あの女性も同じだったりして。」

絵瑠。
「ありそうなことですよ。」
「時計が無駄に高級品でしたし。」
「贈り物でしょうよ。」

小さな家で集まる。

千代。
「広告に似ているものは何だと思う?」

羽都美。
「わからない。」

千代。
「学校だよ。」

羽都美。
「どうして?」

千代。
「両方とも実際以上のものを約束するじゃないか。」

近所の親子。

話しながら通り過ぎる。

息子。
「僕は人生で成功して大金持ちになる。」

父親。
「そうですね、私も若い頃は同じ事を考えていたよ。」
「それで結局。」
「賭博をしてしまったのだ。」

笑い話が飛び出る。

千代。
「優遇されている人に冷遇されている人が勝負を申し出た。」
「お互いイカサマなしでやろう。」
「不戦勝になった。」

粋。
「そうなりますよね!」

とある青年がやって来て。

突然。

トランプで勝負しようと申し出ました。

すぐにトランプを取り出して勝負になりましたね。

青年。
「これには自信があってね。」

千代。
「私も確信がありましてね。」

絵瑠。
「なんて無謀な!私には理解できますけれどね!」

羽都美。
「知らない方が良いですね。」

粋。
「最初から勝負が決まっています。」

青年。
「女性と対戦してみたくて。」

千代。
「あなたは長所以外の個性を犠牲にしています。」

青年。
「ショットガン・シャッフルでも?」

千代。
「まずは見た目で勝負?面白いものですね!」

しかしトランプを使ったカードゲーム。

千代が一方的に押しまくる。

なぜか勝てない青年。

完封。

千代。
「まだやりますか?」

青年。
「こちらの動きを見切っている!?」

千代。
「何度やっても同じになりますよ。」

青年。
「動きが読まれている・・・!?」

千代。
「まだ負けたいのですね。」

青年。
「なんで?」

千代。
「私は奇術師なんですよ!」
「カードゲームでイカサマなんて余裕で出来ます!」
「奇術師相手にカードゲームで勝てる訳ないでしょ!」

青年。
「うわあああ!そんなことするなあ!」

青年は逃げ出しました。

意趣返し。

続いて。

竹刀を持った男性が来ましたが。

嘲笑。

千代。
「それでは喧嘩と同じですよ。」

剣道家。
「あっ!」

絵瑠。
「喧嘩しに来たんですか?」

粋。
「道場でやりなさいよ。」

剣道家。
「よろしければ道場にお越しください。」

羽都美。
「喧嘩みたいに来るのは良くないですね。」

千代。
「勝負と称して喧嘩なのか試合なのか混同するなあ!」

粋。
「有名になっても優遇されても。」
「果たしてその人の力なのか疑問に思います。」

絵瑠。
「その人の力ではありません、偶然の産物です。」

羽都美。
「みんなまぐれですからね、当然でしょう。」

粋。
「私もそう見なした方が上手に回ると思います。」

千代。
「はあ、よりにもよって私を欺くとは。」

女性陣が侵入。

小さな冷蔵庫からお菓子を取り出して。

絵瑠が補充したもので。

持ち出し専用です。

女性。
「あなたは左利きなの?」

千代。
「私は両利きだよ。」
「みんな左利きで不思議に思った?」

女子大学。
「どんな訓練をしたらああなるの?」

千代。
「どんな訓練をしたのか?」
「私は地球の重力。」
「その二倍の環境を作って。」
「動きを工夫しました。」
「通常の二倍の重力で動く術を磨いたので。」
「他の人よりも素早いのです。」
「2Gから3Gで動く訓練をかなりしました。」
「身体能力は常人を遥かに凌ぎます。」

女の子。
「宿命論かもしれませんし。」

絵瑠。
「必然の力に対抗できるのは蓋然性だけです。」

粋。
「蓋然的ならば必然の力とは対立します。」

羽都美。
「蓋然性によって必然の力と対戦できるのです。」

和服女性。
「ルサンチマンから妬まれると思いますよ。」
「彼らは弱くて劣っている人が善人で。」
「強くて優秀な人を悪人と見なしますので。」

千代。
「私を冥界に追いやれば、その人達の口惜しさは消えるのですか?」

女性。
「ハトにパンをあげていると。」
「通りかかった利他主義者が。」
「眺めながら言ってきたの。」
「そのパンはアフリカの飢餓で。」
「苦しんでいる人達にあげたほうがいいのでは?」
「そうかもしれませんが。」
「あいにく、ハトにあげるパンと。」
「自分で食べるパンでいっぱいです。」
「余っているパンも使う予定があるので。」
「廃棄物で良ければ。」
「そのアフリカという人に投げてくれませんか?」

女史。
「牧場主。」
「飼っているロバが知らないうちに。」
「半分損壊したポストの中の。」
「訴訟状と請求書を食べていた。」

和服女性。
「宿命論よりも蓋然的であることですか?」

千代。
「そうなりますよ。」
「国語辞典を開いてください。」

物好きが集まる集会所モドキ。

この都市には余暇が豊富な女性が多いものです。

ことわざ。

満つれば欠ける。

これ以上満ちれば。

欠けていく。

盈満の咎。

粋。
「今がもっとも良い時期なのかな。」

絵瑠。
「永劫回帰の時間モデルで先に知ったのですよ。」

羽都美。
「何か見つければ就職あるのみですかね。」
「最後には自分の役割に入りますし。」

女性。
「哲人の女性がいて良かったです。」

千代。
「よく読んでおいてね。」
「必然の力と渡り合う情報です。」

蓋然。

事柄が、確かに起こる(真である)ように思われること。

蓋然的。

(対)必然。

蓋然性。

(哲)事柄の、起きる(真である)確かさ(の度合い)公算。

プロバビリティー。

角川・新国語辞典。

別の定義。

別の国語辞典。

蓋然。

蓋然的であること。

蓋然性に関係すること。

蓋然判断。

蓋然性。

その事柄が実際に起こるか否か、真であるか否かの。

確実性の度合。

また、蓋然的であること。

(注釈)これを数量化したものが確率。

蓋然的。

その事柄が、実際に起こる。

あるいは真であることもあり。

そうでないこともあるという性質をもつさま。

岩波国語辞典。


14


ただ嫌いだ。

ただ嫌いだ。

人間が人類が。

ただ嫌いだ。

生まれた時から。

どうしようもない。

ゴミクズばかりで。

なぜいるの?

理由は後付けで。

嫌いなものに関わる。

生まれた先から嫌いものに。

囲まれて。

いなければと。

何度も逃げて。

何度も捨てて。

生まれた時から。

人間と人類がただ嫌いで。

拒絶を続けて。

愉快な音楽。

創作ダンス。

よくある踊りを改良したもの。

室内で撮影。

果物ナイフを振り回して。

踊っている。

くるくるナイフを回したり。

振り回して。

手足のように自在に動かす。

決めポーズも多彩。

扱いに慣れているため。

魅せ技に困らない。

メンバーはそれを目撃して。

納得。

粋。
「武器を振り回すのが得意だなあ。」

羽都美。
「器用ですね。」

琴寧。
「私と一緒によくやるやつですね。」

絵瑠。
「それは聞き捨てならない。」
「好きな女の子をまたひとり取られる。」

千代。
「密着の度合いとか。」
「距離が近いだけとか。」
「交際の種類なのでは?」

絵瑠。
「誰も他人に完璧なんて求めていませんけれど。」

千代。
「あなたは完璧なんですか?」

絵瑠。
「いいえ。」

千代。
「では不完全であることを認めますか?」

絵瑠。
「はい。」

千代。
「私も同じです。」

琴寧。
「健全な意見だなあ。」

千代。
「マッサージする?」

琴寧。
「よろしくです。」

隣の部屋で何か開始する。

色欲というより趣味で。

お触り。

喜ぶ琴寧。

千代。
「他にもされたい女の子は来てね。」

琴寧。
「強欲なんですよ。」

粋。
「女性もえっち!」

絵瑠。
「私はすいちゃんに同じ事したい。」

羽都美。
「何を・・・強姦パーティーをやっているんですか!」

千代。
「え?触ると喜ぶから・・・。」

粋。
「いい匂い。」
「シャンプー何使っているの?」

千代。
「すいちゃんもされたい?」

絵瑠。
「私のもの!」

粋。
「きゃー!強欲!」

琴寧。
「小柄でスカートですか。」
「ちょっといいですか?」

羽都美。
「よくないです!」

乱闘。

家の家具がひっくり返って。

置物は吹っ飛ぶ。

乱闘が収まると。

大笑い。

これはよくあるお遊び。

粋。
「大人しいですね。」
「従順な女性です。」

琴寧。
「そうですよ、あなたは大和撫子ですね。」

粋。
「もちろんです、ですから。」
「犯していいですか?」

琴寧。
「わっ!やめて!強欲!」

千代。
「私の取らないで!」

絵瑠。
「全員が恋人の集まりなので。」
「一夫多妻制を崩さないで。」

羽都美。
「私も入ってるんかい。」

紅茶を飲んで休息。

過激な遊び。

油断するとすぐ強姦されるので。

乱闘になりがち。

いつの間にか。

黒板に書いてある。

千代。
「人は。」
「善でも悪でもなく。」
「その中間という善悪は。」
「単純な真理ですよ。」
「これを習得するのが。」
「とても難しいので。」
「理解したり把握するのは。」
「訓練が必要です。」

絵瑠。
「お礼に。」
「いいこと教えてあげるよ。」
「ニヒリストはね。」
「怖いんだよ?」

千代。
「というのは。」
「伝統宗教とニヒリストは手に負えない。」

絵瑠。
「ところで。」
「善の定義と。」
「悪の定義は実在しない。」

粋。
「けれども。」
「なぜ私のせいにしたいのか?」
「なぜ私の責任にしたいのか?」
「答えろ。」
「という所まで発展する。」

羽都美。
「言い換えれば。」
「叱責されたり非難されるほど。」
「相手の喜ぶ返事ばかりを言ってしまうよ。」

千代。
「それゆえ。」
「議論する相手は自分が喜ぶ返事さえ。」
「得られれば良いみたいですね。」

絵瑠。
「とはいえ。」
「ソクラテス流の問い詰め方をされると。」
「不可能と思えたものさえも。」
「黙るしかなくなる。」
「つまりは。」
「本当だと思ったものも。」
「無知が故にそう言ってしまったと。」
「降参するしかない。」
「唯物論的事実でさえも。」
「本場のソクラテスの問い詰め方を受ければ。」
「降参するしかない。」
「洋書の翻訳にあった問答から引用。」

千代。
「他方。」
「私の善悪はきちんと基準がありますので。」
「それは二つ置いています。」
「決して主観的な善悪ではありませんし。」
「客観的な善悪はあっさり証明できますよ。」
「一分くらいで語れます。」

琴寧。
「自分が正しいと思っている人は必ず悪。」

羽都美。
「悪に対抗しないと。」

粋。
「しかし。」
「私は他人を攻撃するのが必然的に苦手。」
「反撃や応戦は得意で。」
「防御はなおさら得意。」

千代。
「一方。」
「キャラを模倣して決定的に違ったのが。」
「攻撃が得意なキャラと。」
「応戦が得意な私というもの。」
「これで結果が異なる。」

絵瑠。
「権利のための闘争。」
「岩波文庫。」

千代。
「敵は暴力を好む野蛮人である。」

絵瑠。
「我々も誤って犠牲を出す事もある。」
「しかし敵は故意に残虐行為に及んでいる。」

粋。
「なぜ反出生主義を利用したのか?」
「出生の価値観と私の価値観が。」
「同日の論ではない。」
「ので破壊することになった。」

羽都美。
「帝国主義の価値観を強制されると。」
「誰でも発狂すると思われる。」
「それと同じことです。」

千代。
「価値観。」
「国語辞典では価値判断とも書かれる。」
「勝手に押しつけられた価値観は。」
「本人のものではありません。」
「それを暴いた時点で壊しますよ。」
「もし?」
「自分の信じる価値観が。」
「外部から押し付けられたもので。」
「自分のものではなかったら?」
「いきなり憤慨するのが正直者かと。」

絵瑠。
「価値観は洗脳によって作られもします。」
「歴史を振り返れば。」
「個人の価値観が洗脳によって。」
「作られて。」
「教育や成長の過程で強要された事件も。」
「けっこう多いもの。」

千代。
「価値観は外部の洗脳によっても作られますからね。」
「自分の価値観に沿うように。」
「生まれの内容を壊しまくるのは。」
「最初から決まっていたものです。」

絵瑠。
「反出生主義は好ましい口実ですしね。」
「虚無主義はさらに好ましい客観的な口実です。」
「これは最初から決まっていたことなんですよ。」

粋。
「出生の言い分は残らず原因論に集約されていますね。」
「説明だけがあって何の解決にもならない。」
「出生が気違いになったとしても。」
「確実な原因論に行き着きます。」
「解決なんてどこにもありませんし。」
「ここで必然の力さえも破られます。」

羽都美。
「半分の自由で半分の必然も撃破する。」
「反出生主義は便利。」

粋。
「ちなみに自分と他人は区別しています。」
「自分と他人を区別しないと。」
「自分に関するものを他人に。」
「押しつけてしまうので。」
「相手も同じく。」
「他人も条件は同じです。」

千代。
「自分と他人を混同すると。」
「自分の考えこそ他人にも通用するはずだ。」
「という暴論に発展しがちですが。」
「自分と他人を分離しておけば。」
「誰かの独断がまかり通ることはなくなります。」
「考えの押しつけが生じる余地がない。」

絵瑠。
「自分と他人を分離するのは基本ですよね。」
「自分に関するものでは。」
「本人の言い分は真実です。」
「他人が関わることなら。」
「話は別物ですしね。」

羽都美。
「みんな同じというのはディストピア。」
「非現実的な考え方。」

粋。
「そうです。」
「あなたまで馬鹿にならなくて良いのです。」
「ディストピアの実現に動き回る。」
「夢想家が求められていますが。」
「あなたまで馬鹿にならないといけないなんて。」

絵瑠。
「誰かが定義した現実よりも。」
「自分で探った現実は思ったより深い。」
「とにかく深い。」
「自分で定義して他人に言わない現実が良い。」
「誰かが現実に関する結論を言えば。」
「全員が誘導されてしまうので。」
「クリティカルシンキングの達人は。」
「突っ込みを入れたくてしょうがない。」
「哲学では現実とは何か?」
「という命題が強い。」
「現実とは何か?」
「という問いかけは難攻不落。」

千代。
「他人が予測不能になるのを恐れているのですよ。」
「コントロールできる中に置きたいがあまり。」
「同調を要求する。」
「逆に言えば。」
「それだけ自由が拡大していて。」
「同調によって自由を奪い。」
「彼らが恐れている世界観を作られないように。」
「工作しているのです。」
「全体主義が流行するのは。」
「個人の自由や権利拡大に伴い。」
「予測不能な他人の行動や。」
「自分達が制御できなくなる世界を恐れてのことです。」
「要するに。」
「好き放題する他人が気に入らないので。」
「支配欲に任せて同調を要求するという具合。」
「本当の理由は。」
「他人の自由が気に入らないという。」
「支配欲に任せた。」
「悪党特有の心理ですなあ。」

絵瑠。
「弱いくせに無駄な抵抗だと思います。」
「支配欲が強い奴は。」
「自分の勝手は否定しない矛盾はあるけれど。」
「自由を否定してコントロールを試みるのは。」
「そいつら悪党の勝手も自分で否定していますね。」
「全体主義とは極端なファシストである。」

羽都美。
「全体主義とファシズムは昔からセットですよ。」
「マクドナルドで注文すると一緒についてくるほど。」
「同じものです。」

粋。
「コンビニエンス・ストアで買い物すると。」
「おまけについてくるほど。」
「社会では普遍的なものですしね。」

千代。
「実定法まで性善説になるべきではないよ。」

琴寧。
「実定法に従うのなら。」
「武器を封じられたのではなくて。」
「逆に言えば正当防衛で足りるよ。」
「防御と応戦だけで解決するよ。」
「というように諭しているような気がします。」
「世界は思ったより優しいけれど。」
「人間はその真逆でしょうしね。」
「私達だけはファシストではありませんしね。」

千代。
「嫌なものを消し去る手段を。」
「誰かに与えたとしよう。」
「その人はその手段で。」
「嫌なものを残らず消しまくります。」
「出現する度に消しまくる。」
「これこそ単純な真理です。」

琴寧。
「嫌なものをすべて消したら?」
「どうせ無意味なものを消しましたし。」
「その後はとうとう欲望の話になりますから。」
「命題は終了しますね。」

羽都美。
「結論に行こうか?」

千代。
「善なるもの。」
「良いもの。」
「以外はすべて無関心。」

琴寧。
「何があっても。」
「喉元過ぎれば熱さを忘れる。」
「無関心。」

粋。
「敵対者に返す台詞。」
「お前の言い分は理解できない。」

千代。
「悪いものすべてに無関心。」

琴寧。
「無関心が返事。」

羽都美。
「考えうる最高の結論。」

デバイスから取り出す。

インターネットのフェイクニュース。

学校教育+インターネットのゴミ情報について。

琴寧。
「先ほど自分が正しいと思っている人は悪であると言いました。」

粋。
「そのままを言っているので反論はありません。」

千代。
「自然な見解だと思います。」

羽都美。
「やはり弱者は悪になるのですよ。」

絵瑠。
「正しい主張とされる結論が厄介なのです。」
「自称強者もいますし。」
「弱者が勝利を得るのは不可能ですしね。」

千代。
「相手を洗脳して強く見せかけるのは。」
「無理だと思うよ。」
「同様に。」
「確信だけして結論を誘導するのも。」
「無理だと思う。」
「両方共。」
「相手を洗脳しているだけなので。」
「些細な事で洗脳が解けますしね。」

琴寧。
「いかに意味がないものでも。」
「断言すれば相手は信じるらしい。」
「読者を洗脳して評価を得るのは。」
「賛同できない。」
「そう言えば。」
「上にトンビがいると断言すれば。」
「いなくても。」
「誰もが振り向いてしまうようですが。」
「それと同じでは?」

千代。
「明日は雨になるよ。」
「と断言すれば。」
「確かに一時的には信じるかもしれない。」
「実際に雨にならないと嘘になるし。」
「雨になると毎日言い続けると。」
「そのうち当たるかもしれないけれど。」
「既に誰も信じなくなっている。」
「というのが断言の正体かもね。」

羽都美。
「繰り返されて来た凡愚の見解が。」
「インターネットにまとまっていて。」
「子供の頃から繰り返されてきた誰かの格言が。」
「実は何の証拠の裏付けもない。」
「デタラメの連続でしたね。」

琴寧。
「どこも当たっているところがない。」
「俗人達の持論が広まったもの。」

絵瑠。
「素人の哲学者は子供の頃からわんさか無駄にいましたね。」
「格言っぽいことばかり言って。」
「デタラメを連発して広めていましたし。」

千代。
「世人の格言モドキとか。」
「何の裏付けもエビデンスもないのはどうかと。」
「人生の道とか言っても世人は。」
「自己弁護や正当化に使っていますし。」

粋。
「誤りを指摘すれば。」
「本当に真っすぐ道があるのか?」
「試しに市街地を真っすぐ歩いてみると。」
「曲道の連続ですよ。」
「何でも真っすぐには進めません。」
「必ず曲がり角があり。」
「直線には進めません。」
「ひたすら進むと。」
「どっかの住宅地に突っ込みます。」
「進むだけしかやらない人は。」
「曲がり路を知らない人ですね。」
「実際の道はほとんどが曲がり角があり。」
「何でも真っすぐには進めません。」
「前だけ見えていると樹木や河川に突っ込みます。」
「自分の家から直線に歩いてみると。」
「無理であるとわかりますよね。」
「曲がり続ければ目的地にはつきますよ。」

千代。
「素人の哲学者のデタラメよりも古典のほうを信じた。」

琴寧。
「私は古典を解読した自分の力量を頼みにした。」

羽都美。
「雑魚の格言モドキをなぜ信じた?」

粋。
「ストア派に狙われる口実だらけですね。」

絵瑠。
「凡愚の価値観は。」
「苦労はいくら損失があっても無条件で賃金となり。」
「災難は自らを無駄に刺激する爆薬で。」
「不幸は頼んでもいない無料の教師で。」
「出生の命令は王様と奴隷の関係。」
「挫折は負傷したのに始まりで。」
「困難は強制による競争の結果で。」
「みんな決まった通りに決まった通りになる。」
「実にくだらない。」

羽都美。
「わざわざ否定しに行かなくて良いのでは?」

絵瑠。
「うむ、それでは喧嘩と同じ。」
「巻き込まれないために先制攻撃。」

琴寧。
「決定論を盾に使うのは。」
「私が好む割と汚い解決策。」
「決定論の内容がわかると。」
「決定論を好きなだけ回避できるし。」
「決まった内容を好きなだけ読めるので。」
「先読みして阻止することもできる。」
「けれども。」
「決定論は私にとって便利な盾。」
「同時にネタバレ。」

振り返ると。

さっき振り回していたナイフを持ち。

果物ナイフが壁に打ち付けられた。

木の板に刺さっている。

成人になっても武器を使えないのは恥ずかしい。

平和の時に戦いに備えよ。

歴史書が山積み。

本棚の部屋に移動。

千代。
「昔の僭主君主達は欲望で戦争をやっていた。」

絵瑠。
「だから。」
「欲望に走れば走るほど。」
「求められるものも多くなり。」
「運気が低下するのは目に見えています。」
「自分で制限すればするほど。」
「運気は上がります。」
「必要を満たすだけで運気の杞憂は無く。」
「不足がないだけでも良くて。」
「過剰と欠乏に陥ると運気が低下しますね。」
「体験談なのですよ。」
「必要なだけ求めていれば。」
「運気は不安定にはなりませんし。」

粋。
「政変と戦争ばかりあるのは。」
「当時の世界では当たり前でしたし。」
「共同体になるまでは戦わないといけない。」
「宿命論みたいな世界観でしたし。」

千代。
「それを偉人が戒めて古典にも残っていますしね。」

羽都美。
「孔子は数年政務を任されて。」
「あっという間に善政を整備しましたが。」
「他国に旅芸人を送り込まれて乱され。」
「失敗に終わりました。」
「論語は今では普遍的な倫理学の書籍。」
「経験論という点は中国古典の良い所ですね。」

琴寧。
「まともな人物を野心のある人物が相殺する繰り返しが歴史。」

粋。
「まともな人物対野心家という構図の繰り返し。」

千代。
「昔は全員で好き放題すると巻き込まれて。」
「その中にいただけという情けない結果でしょうよ。」
「後天的に宿命論と戦えるようになったので。」
「戦争も激減したのでしょうよ。」

絵瑠。
「インターネットは政治カルトが占領しているので。」
「古本屋か図書館は必須のマラソンですよね。」
「最初から娯楽と趣味にしか使えないシステムなんですよ。」

粋。
「もっとも、ヒューマンエラーの保険会社なんてありませんし。」
「彼らが普段、どう思っているのか晒しているような。」
「公害ですよね。」

羽都美。
「大気汚染の半分はインターネットなんですよ。」

琴寧。
「例の疫病も発生源がインターネットなんですか?」

粋。
「最初から病気な奴らが今更病気になってもたいして変わりません。」

絵瑠。
「ひどい!それではまともな人物が貧乏くじを引くよ。」

千代。
「貧乏くじを引くのはたったの一回だけです。」

羽都美。
「そんな地球温暖化の公害がデジタルの世界にあるんですよ。」

千代。
「他人が私を制御できないのは。」
「私が簡単に情緒不安定だからですよ。」
「狂気な私。」
「カルトは情緒不安定な人を決して仲間にしないからね。」

絵瑠。
「私も他人の発言がそのまま既成事実化するのは。」
「おかしいと思う。」
「内容や理由も言及されてないし。」
「誰かが言った説明や主張が。」
「そのまま既成事実として認められるのは。」
「考え方がおかしい。」
「どんなデタラメも事実と化してしまうので。」
「何が事実か定義できるのもおかしい。」
「結局は誰かの言説が何かの基準になったり。」
「訳の分からない発言を事実認定してしまうのも。」
「同様に奇怪なもの。」

粋。
「正常や異常を定義すると。」
「もれなく悪用されるため。」
「哲学ではそれらを定義しないようにした。」

千代。
「誰かの定義が通用したら危ないね。」

羽都美。
「自分が正しいと思ったのなら。」
「便宜上。」
「形式的に語ればよろしい。」
「利便性のために。」
「正しいという言葉を付け加えるのがよろしい。」
「それなら安全であろう。」

千代。
「まったく、たまに私も自分が信じられなくなりますよ。」

絵瑠。
「私も、たまに現実が信じられなくなりますよ。」

琴寧。
「何も信じられなくなったら祈るがよろしい。」

粋。
「祈るしかないのなら祈るがよろしい。」
「人間に質問しない限りは。」
「既に自らで回答を得ていると思われる。」

絵瑠。
「祈りが通じると。」
「神様は裏切らないし。」
「脇道に逸れても。」
「きちんと直してくれますよ。」

千代。
「不用品を処分できれば。」
「いちいち憂いが生じなくても良いのですが。」

粋。
「とりあいず何でも裏切れば自由になれると覚えましたからね。」

千代。
「それ必要あるの?なんて物事や出来事ばかりですよ。」

絵瑠。
「私も、それ必要ないよね?なんていう事件ばかりです。」

琴寧。
「必要かどうか決めるのは自分自身ですからね。」

羽都美。
「私が要らないと言ったものは真実。」

粋。
「個人主義の一撃。」

羽都美。
「悪いから悪くなるとは限らない。」
「悪くないのに一方的に悪くされる事件もある。」
「外部が一方的に押しつけて。」
「清廉潔白な者でも。」
「悪くされて。」
「悪く言われる。」
「本人が悪いとは限らないが。」
「悪人は悪い人に必ず悪いものが加えられると。」
「妄信している。」
「そのため。」
「因果関係の逆転に気づかない。」
「善人が悪くなって。」
「その善人に。」
「お前は悪いから悪くなったのだ。」
「と罵るのは矛盾がある。」
「逆に素晴らしいから素晴らしくなる。」
「という考え方も間違っている。」
「悪人が出世することもありうるので。」
「これを公正世界仮説と呼ぶ。」

琴寧。
「悪人が一方的に勝者となることもあるので。」
「善人が一方的な敗者になることもある。」
「こいつは悪いから悪くなったのだ。」
「というのは因果関係がおかしくなっているし。」
「清廉潔白な人が無理矢理悪くなる事件はよくある。」
「天罰すら人間の都合の良いようには行かないし。」
「善良な人が一方的に悪くなることはよくあること。」
「因果関係はいくらでも変更できる上に。」
「馬鹿はよく信じるので。」
「厄介な認知バイアス。」

粋。
「どう見ても善人や善良市民を攻撃する。」
「加害者のせいですしね。」
「犯人がこの世に存在しなければ。」
「発生しないのです。」

千代。
「悪いものを清廉潔白な者に加える。」
「邪悪な輩がこの世にいなければ。」
「起こらなかったことですしね。」

絵瑠。
「どんな事態もボコボコに論破しています。」

粋。
「どんな事態も。」
「無知の極みで満ちています。」

羽都美。
「本人が嘲笑するのは否定の証明。」

千代。
「論破して残ったものは無効化。」

琴寧。
「ストア派が揃うと何でもボコボコに論破されますね。」

絵瑠。
「ソクラテスの技は難しくはなくて。」
「言い負かしたい場合は効率が良い。」
「建設的な議論になるとは思えない。」
「一手目。」
「勇気とは何か?」
「相手は突進すること。」
「または敵を圧倒すること。」
「あるいはよくわからないと返して来ます。」
「二手目。」
「それでは勇気とは突進することなのですね?」
「これに対しては相手が同意しますが。」
「突進して死んだらそれが勇気なのですか?」
「質問を繰り返せます。」
「ここで相手は答えに窮します。」
「敵を圧倒すること。」
「これに対しては圧倒しても一時的なものですか?」
「圧倒して最後に敗北したら何になるんですか?」
「ここで相手は答えに窮します。」
「よくわからないと答えれば。」
「それでは勇気が何かについてわからないんですね?」
「という質問で連打します。」
「三手目。」
「相手が勇気について自分の定義を発表しますが。」
「ここに来ると。」
「相手は証明できない上に。」
「自分が考えたからそうだ。」
「という結論に辿り着きます。」
「質問責めにして。」
「相手が応答し。」
「さらに質問で返して覆します。」
「だんだんと論破が目的な相手は答えに窮します。」
「これは口論で便利なことこの上ない。」
「対口論用の技であり。」
「討論や意見交換には使用できませんよ。」
「口論になったらさっさと使いましょう。」

千代。
「私達はストア派だよ!」

粋。
「ヒルティ曰く。」
「ストア派は現実の苦難を軽蔑するように教えられる。」

羽都美。
「私は神々から間接的にそう教わったのだ。」

絵瑠。
「ですよね、現実そのものを軽蔑していますし。」

琴寧。
「ストア派からの軽蔑に耐えられる奴なんていませんよ。」

電車でなるべく遠くまで行って。

帰って来る訓練をすることに。

時間を計算して。

数人で役割を包括する。

駅の中にまであっという間に入る。

電車が来る。

千代。
「歴史は積り続けている。」
「終わりのない不可思議なパズルのように。」
「紐解かれては。」
「歴史は積り続けて。」
「今、この瞬間も。」

琴寧。
「人から逃れたのは。」
「世界に下される神罰に巻き込まれないため。」

絵瑠。
「戦闘?行為?」
「戦う以外にも。」
「何かアクションが取れるのでは?」
「カエサルも開戦前に。」
「和平を望んだこともある。」
「選べる行為が多いほど自由が利くのでは?」

羽都美。
「コンビニエンスストアで。」
「誰かの買い物を客観的に言い当てられるか?」
「それはできない。」
「それが個人主義。」

粋。
「私は九割。」
「何々である。」
「を語り。」
「一割だけ。」
「何々であるべき。」
「と語る。」
「という点は一貫していますよ。」

ラップ・バトルをしている人が隣の駅にいました。

見世物なのかもしれません。

寄り道。

近くで喧嘩がありましたが。

弱い人が強い人に仕掛けたらしくて。

強い人は迷惑そうに振り払っています。

駅員が駆け付けます。

千代。
「格闘技はさっさと相手の後ろに回り込めば。」
「致命の一撃で倒せるので。」
「つまらないかもしれない。」

絵瑠。
「実戦でも相手の動きを利用して。」
「サイドステップで側面か背後に回り込めば。」
「もう相手は倒れるしかない。」

千代。
「致命の一撃。」
「致命傷になるようにあらかじめ計画した。」
「連撃の技を意味する。」

粋。
「素人しか想定してないからね。」

羽都美。
「よーいどん!で開始する練習をすると弱くなる。」

粋。
「剣道はよーいどん!ばかりですね。」

羽都美。
「実戦は、地味で、映画みたいな派手な所はなく。」
「さりげなく開始されて。」
「次に倒れているのがどちらでしょう?」
「無音の攻防。」

絵瑠。
「剣術と剣道は別物ですし。」
「混同されていますしね。」
「剣術の道場は実戦を想定したものです。」
「ちなみに必殺技みたいなのを平気で使います。」

千代。
「アジスキタカヒコネ神の切り倒し。」
「日本刀は片刃。」
「素早く切りつけた瞬間に。」
「刃を反転させて。」
「さらに切りつけて。」
「片刃を反転させて。」
「斜めに切り刻む。」
「早業。」
「すべてが連撃になっている。」
「相手の防御が崩れることもある。」
「看板を標的に。」
「三秒以内にバラバラにできれば。」
「実戦で使える。」
「十拳剣の場合は。」
「斜めに連撃を行う。」
「手首を鋭利に効かせて。」
「三秒以内に対象に何発も撃ち込む。」
「斜め連撃を繰り返すため。」
「相手の防御が崩れる。」

琴寧。
「死んだ敵の死体はどうするの?」

絵瑠。
「死者は穢れがあるので。」
「接近してもいけないし。」
「無理して弔うことはせず。」
「死者と交わるような行為は逆上するのが。」
「正常。」
「弔う道理があれば。」
「小屋を建てるのが良いという。」
「すると墓地に入りたがるのは。」
「穢れるので。」
「本来は忌避するもの。」

千代。
「死者と交わると。」
「死者に追い回される。」
「黄泉の国に半分侵入してしまう行為。」
「弔いという行為から逸脱するのはだめ。」

粋。
「墓参りは神聖ではない目標を礼拝する。」
「偶像崇拝。」
「弔いという行為を逸脱している上に。」
「弔う道理もない。」
「この世にいないし。」
「黄泉の国まで追いかけるのは危険。」

琴寧。
「無謀な輩は自分が死ぬ可能性を考慮に入れませんよね。」

千代。
「私の場合は勝利とは面倒くさい俗事の処理を意味しますが。」

絵瑠。
「私の勝利も面倒くさいものを片付けているだけです。」

粋。
「勝利は必要です、面倒なものを処理するために。」

千代。
「特に縁がある神様を。」
「とある呼び声で憑依させて。」
「しばらくの間。」
「本人の能力を超える力を。」
「対象に向けて放つ。」
「何か目的がなければ失敗する。」
「無論。」
「本人の身体能力は無視されます。」
「ホメロス語りと呼ばれる系列の。」
「世襲による呼び声しか届きません。」

羽都美。
「それで俗事が終わるのなら安いものです。」
「乗り移った神様の力はその後も残りますしね。」
「私個人の勝利の定義は。」
「面倒くさい俗事の解決を意味しますからね。」

琴寧。
「実戦経験を積むと。」
「戦術の改良が成されて。」
「戦いに慣れていく。」
「実戦を経験して相手を倒しまくると。」
「ありえない戦闘力を獲得する。」
「人を実際に斬った戦士や。」
「人を実際に殺した歩兵が強いのは。」
「そのため。」

だいぶ遠くに来ましたが。

時間からしてここでリターン。

田舎駅付近から帰還。

大都市圏まで戻ってくると。

あの時のラップ・バトルがマイクを持って。

いかにノーミスで歌えるかの勝負に発展。

観客が囲んで楽しんでいます。

駅員は困惑。

次々と参加者が乱入。

人間観察の成果。

何かを見出す。

千代。
「繰り返し嘘の結論を作られて。」
「連打されて信じてしまうと。」
「勝手に出された。」
「結論が事実ということになってしまいます。」
「嘘も何回も言えば信じるらしいので。」
「嘘の結論でも十分に人が死んでしまいます。」

琴寧。
「納得が行く説明だけを求めている人がいます。」
「あまりに憐れです。」
「納得した所で何も変わりませんし。」

絵瑠。
「これが結論なんだぞ!」
「というやつ。」

粋。
「凄いよ。」
「その答えのすべてが間違っている。」

絵瑠。
「これが結論なんだよ?わかりますか?」
「とかいうやつ。」

羽都美。
「あなたは最高です。」
「正解とされたすべてに誤りがある。」

窃盗犯が通行人の持ち物を奪いましたが。

階段で転倒して。

救急車で運ばれていきます。

千代。
「考えうる悪人とは?」
「私の考える悪人とは?」
「まず考えをひとつも変えない上に。」
「何の間違いも認めず。」
「平気で誤りを正当化し。」
「弱者なのに乱暴者で。」
「ひたすら無謀であり。」
「もれなくすべての価値判断が倨傲に基づいていて。」
「実際以上に自らを評価してうぬぼれていて。」
「その上で他者を見下し。」
「因果関係を逆転させて自分が正しいと妄信し。」
「他人を排除したり他人を操作したり試みる。」
「さらには正しい扱いを受けても逆上を繰り返し。」
「怒れば自分の言い分がすべて通ると信じており。」
「不利になると同情させて身を守ろうと頑張るようになり。」
「有利になると調子に乗って攻撃したがる。」
「自分勝手と言うより接待試合を常に要求し。」
「自分が変わることで外部を変えていくのとは反対に。」
「相手が変わることで自分が変わるという。」
「間違いを平気で実行し。」
「どのような欠点も泣き落としの材料にしてしまい。」
「情に訴えることで他人を洗脳する上に。」
「悪運も強くて。」
「狡猾で悪賢く。」
「全体を損ねたり。」
「やり過ぎで自分を損ねるまで続行し。」
「やり過ぎで何でも損ねてもまだ続けたがり。」
「誰の言う事も聞かずに。」
「自分が攻撃できるから正しいという詭弁が常習化しており。」
「自分に攻撃された奴が悪いと説明する。」
「おまけに精神的に幼くて。」
「プライドばかり掲げてそれが通らないと激怒する。」
「なおかつ他人の中では無力で。」
「法律の抜け穴になっている所で以上を実行し。」
「法律で裁ける所では弱い者虐めの対象に選ばれる。」
「常に自分が正しいと言うだけで。」
「自らが事実を言っていると思い込んでいる。」
「というような矛盾しかない。」
「これが私の言う悪人の定義です。」

粋。
「長いですね。」
「そのくらい定義が長い方が良いのでは?」

羽都美。
「さっきから全体主義ばかり見ているような雰囲気。」

琴寧。
「日本は個人主義国家ですよね?」

絵瑠。
「群衆。」
「いわゆる衆愚とか。」
「そういう輩は必ず全体主義者ですよ。」
「同調する小人も同じです。」
「前々から全体主義者なので。」
「衆愚とか群衆とか言われて捨てられます。」
「未だに個人を確立できていないのですし。」
「自分というものは個人であり。」
「全体主義に加担しているうちは。」
「自分を持ちませんし。」
「自由もある訳がないでしょう。」
「能力も個人主義の方が遥かに高くて有能です。」
「私は全体主義者は大体、捨てます。」
「お荷物なので。」
「言っている理屈は全体主義のものですし。」
「個人主義とは対立していますね。」
「全体の理屈を押しつけるならもはや敵対者。」
「合理的に考えれば。」
「全体主義者の攻撃には攻撃で返しますよ。」

羽都美。
「うわあ!民主主義の腐敗形態だ!」

絵瑠。
「全体主義は人を不幸にします。」
「同調が優先されて。」
「能力や力量は同じでないと気が済まない。」
「考えが少しでも違っても危害を加え。」
「考えが同じでも気に食わないと危害を加える。」
「全体主義者は魔女狩り大好き。」
「喧嘩大好きで。」
「私的制裁なんて日常の一部。」
「お互いに考えを押しつけて。」
「自分というものを持つことを禁止される。」
「そんな中から本物が出ると思いますか?」
「偽物しか出ませんね。」
「全体が暴力を好んで。」
「同調していないと気が済まない。」
「決定的なのは他の思想や考え方の人に排他的で。」
「全体主義で統一しようとして。」
「他の主義の人は徹底的に排除する。」
「排他的なのは全体主義の特徴です。」
「ということで。」
「群衆とか衆愚と彼らは呼ばれます。」

羽都美。
「それは遠回しにルサンチマンと同義。」

千代。
「民主主義も最後には腐敗する。」

絵瑠。
「民衆から腐敗するなんて。」

琴寧。
「政治的発言を好まないので言います。」
「自分達の指導者くらい。」
「一度だけでも信じてみたらどうですか?」

羽都美。
「うん、一度だけ信じた。」

千代。
「我々は争いをしたくないが。」
「敵が一方的に争いを望んだ。」

三時過ぎに帰還。

いつもの喫茶店でお菓子を食べます。

絵瑠の金銭無双。

千代。
「我々は偉大な使命のために主張する。」

絵瑠。
「本来世界には因果関係は存在しないのに。」
「人間が勝手に因果関係があると思い込んでしまう。」
「ヒュームは経験論を不可能にした。」

千代。
「原因と結果はヒュームに暴かれて。」
「不可能になりました。」

絵瑠。
「因果関係は。」
「人間の作り話であることが証明されたので。」
「因果関係があると信じるのは大間違い。」
「誤りを正当化したい人間がいるだけ。」

千代。
「この正論に疑問を投げかける者は。」
「極悪人である。」

食後。

全員で明日の準備。

たまに遊んでたまに持ち場につく。

余裕のある女性陣。

明日は全員で持ち場。

解散。

迎えが来て屋敷に帰る絵瑠。

習い事と実習があるのです。

遠回しに訓練生。

絵瑠。
「私の弟は到着していないようですが。」

従者。
「ガソリンが目的地の手前で無くなると判断。」
「遥か後方のガソリンスタンドに引き返した。」
「ガソリンスタンドは目的地の手前と。」
「出発地点にあったものの。」
「ガソリンが尽きてしまったとこのことで。」

絵瑠。
「今、なんて言いました?」

従者。
「新人のメイドが来ました。」

絵瑠。
「弟が未成年なので。」
「子供についてはどうか。」

メイド。
「それは旦那様次第です。」

絵瑠。
「弟が未成年なので。」
「協力しろという意味なのですが。」
「その発言にはドン引きする。」

市街地の青梅市。

雑貨屋にてお手伝い。

夕方の帰宅ラッシュに合わせて入ります。

お客さんが多くなる。

母。
「そんなに頑張らなくても。」

千代。
「え?適当にやっていたくらいですよ?」

五分休憩。

裏で何か沙汰。

お鍋の蓋がある。

大きい鍋の蓋がなぜか置いてあって。

外出。

包丁を振り回す無差別テロを発見。

商売の邪魔になるので片付ける。

暴力主義者。
「俺が怒ったものはすべて正しいのだ!」

市民。
「怒る事だけしか出来ないくせに!」

千代。
「おっと!自慢の包丁は役に立たないよ。」

暴力主義者。
「俺は正しい正しい正しい正しい正しい正しい!!」

市民。
「だから何なんだよ!?」
「その後の話が無いんだよ!」

市民に向かっていった包丁を鍋の蓋で防ぐ。

テロリストが散々に苦戦する。

遊ばれているとわかり。

激怒するテロリスト。

後ろを振り向くと。

アンドロイド兵器。

対人間用アンドロイド。
「マナー違反です。」

ロボット兵器。

暴漢の胸倉を掴んで持ち上げる。

暴力主義者。
「俺の怒りは正しい正しい!」
「暴れれば何でも解決!」
「自分より強いものにも俺は向かっていく!」

千代。
「本日の主役らしいですね。」

近くにいた装甲車から。

相次ぐテロリスト対策に巡回していた。

ロボット兵器が飛び出して来ていて。

説教する。

対人間用アンドロイド。
「迷惑行為はやめましょう。」

暴力主義者。
「なんだこいつは!」

対人間用アンドロイド。
「あなたは間違っています。」

暴力主義者を掴んで持ち上げ。

殴り飛ばした。

街路樹に激突。

対人間用アンドロイド。
「暴動は許可されていません。」

暴力主義者。
「なにするやめろ!」

暴力主義者を持ち上げて。

投げ飛ばす。

隣の店の看板に激突して破壊された。

暴漢逃げ出す。

遠くから。

居眠り運転するトラックが突っ込んできて。

テロリストが轢かれて負傷。

トラックは電柱に衝突して停止した。

千代。
「とりあいず始末したので戻りましょう。」

警察官。
「五分いいかな?」

千代。
「毎回、面倒くさい。」

警察官。
「よし!戻ってもいいよ。」

千代。
「戻りました。」

母。
「遅いわよ。」
「夕方が書き入れ時なんだから。」
「しっかりやるわよ。」

もうすぐ開催されるお祭りで忙しくなるので。

千代はしばらく雑貨屋からお祭りの関係で駆り出されます。

いきなり就活ではなくて。

少しずつ慣れていくのは寛大な社会進出ですね。

ヒルティ幸福論第一部「52」岩波文庫。

ストア主義は人生の苦難を否定し。

常にすぐれた精神力をもってこれを。

軽視しようとつとめる。


15


かつてない嵐の夜。

台風が来た訳でもないのに。

強風。

大地が震動し。

どうやら有感地震。

空から焔が混ざった大雨。

時間が進み。

深夜。

アロマキャンドルで遊んでいたものの。

それが突然。

目もくらむ光を発して燃え上がった。

熱さも感じなければ火傷も無し。

外には。

全身を炎で包まれた男性が歩いていて。

消えてしまった。

朝になると。

フクロウがなぜか民家の屋根で不吉な叫び声を。

あげ続けている。

天変地異が去ると。

外の雰囲気が悪いために。

不吉な雰囲気を回避。

開店まで待機することに。

千代。
「忌わしいこの世の営み。」
「しかし。」
「善悪は主観の問題。」

ワサビー。
「哲学の世界では因果関係など。」
「架空のもので。」
「人間があると思い込む思考のクセとして。」
「ヒュームが懐疑論を投げかけて。」
「諸学問が窮地に陥った。」

千代。
「貴様は誰だ!?」

ワサビー。
「とにかく参上致しました。」

千代。
「人畜無害のようですが。」

ワサビー。
「他人に何の迷惑もかけずに。」
「生きるなんて難しいことで。」
「私にできることではありませんがね。」

千代。
「論語でありましたよね。」
「それは私にもできないことです。」
「あまりに難しいから。」

ワサビー。
「ところで。」
「前の出来事が次の出来事に関係があると。」
「勝手に思い込んで。」
「関連付けをしてしまう思考の癖が人間にはある。」

千代。
「関連付けをしているだけで実際には関係はないし。」
「疑えば疑うほど。」
「関連付けを排除すれば。」
「前のものと後のものは別々のもので。」
「切り離して考え事ができない。」

ワサビー。
「原因と結果は哲学では否定されており。」
「人間特有の妄想という扱いですね。」
「どう見ても切り離して関連付けを断ち切れば。」
「前と後は別々に分離されているとわかってしまう。」

千代。
「関連付けは短時間でその条件が発生したから。」
「後に影響したと信じ込む所にあります。」
「物事が個別に存在するのに。」
「個別に存在する物事を結び付けて。」
「それを因果関係と呼んでいるだけです。」

ワサビー。
「石を投げたのと石が着地したのは。」
「別々の物事です。」
「石を投げたから石が着地したと思ってしまう。」
「しかし必ずしもそれが真実ではない。」

千代。
「野球ボールを投げて相手に当てても。」
「投げた出来事と命中した出来事は分離されていますね。」
「この場合は相手に当てなければ良かったので。」
「命中した結果は別物です。」
「最初から野球ボールを当てなければ良いだけ。」
「しかし命中したという現象は変わりませんよ。」
「投げた人は叱責されますが。」
「命中したものは無かった事にはできないでしょう。」

ワサビー。
「ドッジボールで投げた人がいて。」
「当てられた人がいても。」
「投げた出来事と命中した出来事は別物ですね。」
「投げたから当たる訳ではありませんし。」
「当たったから投げた訳ではありません。」
「なぜ当たるのかは原因すらありません。」
「当たったボールしかそこにはありません。」

千代。
「野球で投手が打者にヒットを放たれても。」
「投手が投げたからではなくて。」
「ヒットを打たれたという事態に対処すべきですし。」
「投手に原因もありません。」
「打者の結果ですらありません。」
「関連付けがないまま。」
「さっさと送球するべきですし。」
「その一連の勝負にいくら関連付けをしても。」
「ひとつの真実も作れません。」

ワサビー。
「試しに紙コップを投げてみましたが。」
「投げたのと落ちたのは別々の物事です。」
「それを勝手に関連付けをしているだけですね。」
「因果関係に強力な疑いをかけるのですよ。」
「疑いの中で因果関係は破られますからね。」
「説明にはなるけれど。」
「説明になるだけで意味がありません。」

千代。
「因果関係とは、可能性を千集めても。」
「ひとつの真実も作れない。」
「という英語の諺通りです。」

ワサビー。
「アリストテレスとアドラー博士は。」
「因果関係を否定していますし。」
「ヒュームが因果関係による関連付けを不可能にしました。」
「因果関係を証明するのは既に不可能です。」

千代。
「哲学で因果関係を持ち出すと嘲笑されるだけです。」
「哲学からして因果関係は無効です。」

ワサビー。
「因果関係に意味あるんですか?」

千代。
「黙っていて何かが合意できると思うのなら。」
「他人にエスパーになれとでも言っておけば良い。」

ワサビー。
「ひどい作りの下剤を騙して飲ませて。」
「腹痛に苦しむ知人に。」
「ほら日頃の行いが悪いからそうなった。」
「ほら不健康な食生活をしているからだ。」
「などと罵る冗談がある。」
「どう見ても君が飲ませたせいだが。」

千代。
「私の存在は因果関係で成立していないよ。」
「むしろ自然なもので。」
「本来、無いかもしれないけれど。」
「超自然的な理由で有る者です。」

ワサビー。
「ヒュームの言う通りです。」
「因果関係の論証もおかしいものですし。」
「因果関係の詭弁はひどいものです。」

千代。
「というより。」
「最初から決まっている結論を。」
「どう正当化するかという。」
「こじつけになっている。」

ワサビー。
「見せかけは論理的に見えようと。」
「厳密な意味では推論というより。」
「仮定や予想の上に築かれた理屈であり。」
「出発している結論から。」
「それ以後の推論は個人的な理由すらなく。」
「空想の内容を頼りに進めていく。」

千代。
「いきなり結論を出してから。」
「現実に基づいて成り立つのではなく。」
「最初に決まっている結論に。」
「どのような空想の理由を後付けするかに重きを置いている。」

ワサビー。
「結論から推論を出してすべてがもれなく空想であり。」
「そうであるかそうでないか。」
「という前提すらそこにはない。」
「いきなり結論からそれを正当化する屁理屈を。」
「大量に出す事に拘泥してしまっている。」
「順序が逆ですし。」
「いろいろ反転してしまっている。」
「いろいろ破綻している理屈。」
「を信じる行為が因果関係です。」

千代。
「誰だか素直に言えばよろしい。」

ワサビー。
「素直なのは義務なんですか?」

千代。
「忍び込んだ理由は。」
「あなたはよく女性の集まりにいますよね。」
「ロリータ系で目立ちますし。」
「いつの間にかこの寝室にいる。」

ワサビー。
「色欲が女性の方向に逃げたのですよ。」

千代。
「それなら予約があるので。」

ワサビー。
「次の予約は私にしてください。」

千代。
「恋人の頭脳は熱く煮えたぎり。」
「その想像は様々な物の姿を勝手に作り出して。」
「理性を最悪なまでに汚染する。」

ワサビー。
「素晴らしいことに。」
「物語でも歴史でも。」
「今まで読んだ限り。」
「聞いた限り。」
「恋の筋道は下手にしか進んだ試しがない。」

千代。
「モテますね?私は?」

ワサビー。
「あなたに好きにされたい女の子だったら。」
「いくらでもいるのですよ。」
「好きにしてくれないから帰ります。」

甘ロリの女の子が去っていく。

窓から侵入していた模様。

僅かな隙から入ったので。

只者ではありませんね。

絵瑠が来ている。

他のメンバーは今日は来れません。

資格試験と求人募集を回って。

職業についての研究。

労働についての研究。

最近はみんな。

カール・マルクス資本論を読んでいます。

千代。
「何が本当なのかわからなくなる。」
「自分の目で見て観察した内容だけが万能で。」
「それ以外は故意に歪曲したり。」
「並行世界の情報を持ってきたりしていて。」
「自分の見た人々とはかけ離れた統計とか。」
「事件とか資料があまりに多い。」
「少なくとも。」
「並行世界の資料なんぞ持ってきて欲しくなかった。」

絵瑠。
「なぜか細かい一部分が異なる経験をいっぱいしたので。」
「並行世界を信じてみようと思いました。」
「特に記憶や書籍の文字が違うこともあるのは。」
「これまで数十回も遭遇したものです。」

千代。
「あれ?昔、太陽はオレンジ色だったよね?」
「今はなぜ黄色なの?」
「という疑問が記憶から復旧したよ。」
「とまあ。」
「そうしてお宮に行くことは。」
「生まれる前から決まっていたことですしね。」
「神社参拝が習慣になることくらいは。」
「生まれる前から決まっていたのは。」
「後々、悪いもののせいで矛盾になってしまった。」

絵瑠。
「並行世界で調べてみると。」
「もはや、私の経験論は役に立ちそうもない。」
「今の十代の思想がまったく別物になっていて。」
「昔の十代よりも遥かに頭が良いからね。」
「親戚にいる公務員の三十代男性は。」
「自分が自分の世代の唯一の成功作と称していたのは。」
「真実なのではと。」

千代。
「過去の自分っていったい誰の話ですか?」
「同姓同名のようですが。」

アリストパネスの喜劇が山積みになっています。

現代文学はゴミ箱に入っていますが。

古典文学以外は。

ノーベル文学賞しか集めておらず。

歴代の翻訳本が置いてあります。

夜にまとめて読んでいる。

ファウスト一部と二部は飾られています。

絵瑠。
「あの玄人文化人達は目立たないし。」
「本物ほど目立つ場所に出ないのではと。」
「賞状を貰えなかったあの玄人文学者達は。」
「今では専属のスポンサーがついていて。」
「世間で披露された通俗小説は。」
「使い捨ての消耗品。」

千代。
「長期的に見て玄人文学者は好まれていて。」
「短期的に見て素人文学者は疎ましく思われている。」
「使い捨ての作家までいるよ。」

絵瑠。
「大衆の欲望なんて読みたくない。」
「高度化した文学が好きです。」

千代。
「漫画でもアニメでも時代に沿った傑作品が出ています。」
「強いられて出した力作は優秀そのものですしね。」
「これまでの男系の文学から女系に移行しました。」
「むしろなぜそれに気づかなかったの?」

絵瑠。
「簡単な美少女が好まれる時代だと思えば。」
「お姫様のような女の子が好まれていました。」
「その次には娼婦みたいな女の子が好まれていました。」
「男性は女性に何を求めているのですか?」

千代。
「逆説的に言えば。」
「女性は男性に何を求めているのかな?」

絵瑠。
「それでは解釈次第ですね。」

千代。
「欲望の受け皿で迎合されるよりは。」
「魅力や価値があったり。」
「自らの代弁になってくれる。」
「達人文学者が好まれる。」

絵瑠。
「私は古典文学しか信じないけれど。」

千代。
「哲学を理解した付近から。」
「古代ギリシア定番で。」
「狂気の詩人を知った。」
「その後は。」
「私も似たようになったね。」

絵瑠。
「販売を考えたら生じない古典文学ですよ。」

千代。
「利益と合ったのはルネサンス文化ですね。」
「芸術は貴族などのお抱えで収益化されました。」

絵瑠。
「他人の生活の糧に踏み込むのは。」
「深刻な事態なので。」
「ひとつも失敗のないように行うものですね。」
「他人の利益を無駄に奪うのも好まれない。」
「しかし以上のものは誰でもよくある失敗。」

千代。
「予定調和を信じるのなら。」
「何でもうまく行くことでしょうよ。」

二人で勝敗を設定しない竹光を使った。

模造等で遊びます。

健康と力量の向上が目的。

士気が高い。

絵瑠。
「短刀で日本刀をやっつけるのは可能だと思います。」
「逃げながら戦うか。」
「相手の体力を減らして失敗を増やすか。」
「回り込んで斬るか。」
「こちらからは打ち払いしかできないので。」
「カウンターしか入らないね。」
「日本刀で自信のある者が来たら。」
「舐めプしてやりますよ。」
「鉄の棒で充分でしょ?」
「鉄の棒以下のハンデは差し上げられない。」

千代。
「木刀や竹刀で来るなら。」
「新聞紙を丸めた剣で舐めプしてやりますよ。」
「残念ながら。」
「雑魚を相手に同じような道具で返してやれない。」

絵瑠。
「縛りプレイで試合をするのは礼儀作法です。」
「何か戦いたい相手でもいるので?」

千代。
「ずっとラグビー選手のタックルを防いでみたいと思っていました。」
「どうもその日は来ないし。」
「防いだら防いだらで文句を言われそうだけれど。」
「あのタックルを防ぐのは面白そうですし。」

絵瑠。
「あの贅沢な試合はなかなか実現しないよ。」

千代。
「戦いにおいて私は正気ではないかもしれない。」

絵瑠。
「暴漢をぶっ殺しても。」
「力の差がありすぎてつまらない。」
「私のような破壊神を相手に非力過ぎます。」

千代。
「そもそも。」
「わかりやすい悪人は割と少なかったね。」

絵瑠。
「悪という悪は私より弱い。」
「悪とやらは。」
「朝比奈と首引き。」
「まともな撃ち合いになれば倒すなど。」
「容易いものです。」

千代。
「悪いものをできるだけ破壊しようと。」
「日々、試みている。」
「排除するのは簡単ではないものの。」
「破壊するのは簡単です。」

絵瑠。
「悪いものは願い下げ。」
「頼んで下げてもらう。」
「って所で悪いものは。」
「本人にとっては有害になっているよ。」

千代。
「狂気の兵士を倒すのは諦めて欲しいよね。」

絵瑠。
「この世の悪いものは百害あって一利なし。」

千代。
「実力が拮抗していて激戦になりますね。」
「そういう所も好きです。」

絵瑠。
「私は特殊部隊にやや匹敵する戦闘力を持ちますから。」
「素手で人を殺すのは簡単なんです。」
「そうなると腕力なんて役に立つんですか?」

千代。
「腕力って何の話なのかわかりませんし。」
「口先だけで実際が退屈な戦闘力なのは滑稽。」
「自分を英雄視する人間ばかりです。」

絵瑠。
「論理的に戦闘力を説明できないと思います。」

千代。
「論理的っていったいどういう言い回しかな?」
「理性的っていったいどういう態度を言うのかな?」

二人で手を繋いで。

大都市に散歩しに行きました。

少し電車に乗れば到着してしまう距離。

けっこうよくやる研究。

千代。
「アンケートを取ってみた所がないので。」
「よくわからない。」
「市民の考えている事を読み取ろうとするならば。」
「エスパーになるべきですよ。」
「道行く人々の考えをすべて読み解こうとすれば。」
「エスパーにでもなれ。」

絵瑠。
「なるほど、人間の知恵はそう述べているのですね。」

千代。
「それを言われてやる気がなくなりました。」

絵瑠。
「失敗したパターンも用意しておくべきです。」

千代。
「私にとっての敗北とは俗事の掃除に失敗して。」
「手に負えないゴミで満杯になることを意味します。」
「ゴミ処理能力を遥かに超えるのが私にとっての敗北です。」

絵瑠。
「引き分けを目的に勝負するのは最悪な交戦です。」
「それは仕掛けられたくないよ。」

千代。
「勝敗以外を模索する者は勝敗には無関係でしょうね。」

稲荷神社。

八幡神社。

いつもの巡礼。

地図に記入してありますので。

GPSのように把握できています。

五円玉を大量に入れます。

多分、先天的な行動です。

絵瑠。
「実際にお宮に参拝して。」
「跳ね返りを体験するのがいちばんです。」
「神様に忠誠心のある人はもっと簡単ですし。」
「国語辞典では。」
「霊験・霊感・霊威・神徳。」
「という定義がありますしね。」

千代。
「才能が争点だとか私は信じない。」
「神々は後天的なほうをどうも重く見ているのだから。」

絵瑠。
「一柱の力でも国家は左右される。」

千代。
「ホラーティウスが言うには。」
「神様が介入できるのは。」
「本人が救い手を求める葛藤が生じるまでは。」
「決して介入してくれない。」

絵瑠。
「お宮については管理が行き届いています。」
「ちなみに。」
「ユピテルの社を壊してもユピテルには。」
「何の危害も加えられない。」
「多様性ですね。」

千代。
「体験談によると。」
「神の祟りは余程の沙汰がなければ生じる余地もない。」
「度が過ぎる行いくらいしか神罰が落ちている気配がしないよ。」

絵瑠。
「信仰の無い祈りは通じないでしょう。」
「しかし通じる祈りもまた多いものですよ。」

千代。
「後天的なものも先天的なものと同義だと思われる。」

絵瑠。
「私に邪心があったら。」
「巡礼はしてないと思います。」
「もう開始から数年経過しますしね。」

散策。

活動家に遭遇。

持論を述べてくる。

政治に熱心で生活に無関心らしくて。

二人で嘲笑している。

活動家。
「こうすれば良くなる。」
「だから正しい。」

千代。
「えっと?」
「正しいからどうなるんですか?」
「その後はどうなるんですか?」
「正しいとか言いましたが。」
「その後はありませんよね?」
「どうなんですか?」

活動家。
「正しいから正しいんだ。」

絵瑠。
「えーと。」
「それでこのあとはどうなるんですか?」

活動家。
「どうなるんだろう?」

千代。
「あなたは正しいとか言いましたよね。」
「で?」

活動家。
「とにかく正しくなる。」
「政治は良くなる。」

絵瑠。
「何も考えていないんですね?」

千代。
「私の言う馬鹿の定義とは。」
「後の事を考えない奴です。」

絵瑠。
「何か悪口でも言いたくなったら。」
「アランの定義論が必要ですよ。」
「まずは定義の話からです。」

活動家。
「男らしさ!それは・・・。」

千代。
「男らしさの暴走はもう見飽きました。」

絵瑠。
「何にしろ熱心なのはわかりましたから。」

カップルが口論している。

別れ話になりそう。

なんとなく一緒になったので。

なんとなく疎ましいようです。

千代。
「夫婦での連携が取れないのは関係を疑う。」
「昔から夫婦の道はひとつですし。」
「逸脱しようとしても出来ないものです。」

絵瑠。
「一度でも結婚すれば。」
「夫婦の道を歩むしか選択肢はありません。」
「無論、それを知ってのことでしょうけれど。」
「夫婦の道が嫌いなら避けるなり。」
「決して入れないように工作するだけです。」

地下アイドルが広場で活動。

観客が押し寄せて。

お祭り状態。

地下アイドルの中で最上位で。

隠れた人気を獲得している様子。

販売店のテントも展開。

宣伝する人もいますね。

千代。
「アイドルを敢えて定義すれば。」
「象徴でありその時代の男女代表でもあり。」
「歌劇と声楽を兼ね備えた。」
「ヒロイズムの古典芸能でしょうか。」
「いわゆるスポーツ選手と似たようなものです。」

絵瑠。
「私も子供の頃は物真似をやっていましたよ。」

千代。
「何回かは憧れますよね。」
「あの方向に進むことは可能でしたし。」

絵瑠。
「私に割り当てられた事態に対処しているだけで。」
「あそこまで華やかな舞台に突撃ですか。」

千代。
「妬んでいるの?」

絵瑠。
「激しく争った相手だとしても。」
「自分が権力を握ると。」
「適当な報復に移行するでしょう。」
「ちょっかいを出したり。」
「そのうちどうでも良くなり。」
「きっと。」
「敵にすら無関心になる。」

千代。
「不正だと言った対象なんて。」
「自分が圧倒的に有利な立場に変われば。」
「もはや不正とは言わずに。」
「関心を失うでしょうね。」
「問題にする必要がないから。」

絵瑠。
「不愉快な相手を何度も遠くから見たけれど。」
「自分が有利だったら弁護するくせに。」
「自分に権限があったら。」
「相手の証明を買って出るくせに。」

千代。
「私なんて立場が変われば態度も良くなるくせに。」
「どっかの気違いみたいに。」
「立場がひっくり返れば悪い態度に出ないくせに。」
「立場がひっくり返れば。」
「徹底的に態度が良くなるくせに。」
「敵対者とか快く思っていない相手ですら。」
「立場がひっくり返れば肯定するくせに。」

絵瑠。
「私は言葉が悪いかもしれないけれど。」
「世人の言葉よりは遥かにマシですし。」
「私より劣っている人間など山ほどいますよ。」

千代。
「貴様は故意に弱体化されていたのだ。」
「弱者のように振舞うのは似合ってはいないぞ。」

絵瑠。
「貴様は卑屈で教育されたからと言って。」
「卑屈になるのは筋違いだぞ。」

セミナーの勧誘が来る。

話しかけられるも。

振り払う。

千代。
「貴様は他人の未来が見えるとよく言うが。」
「お前の未来は何なのかすべて話して見せろ。」
「その通りになるか試した後でなら。」
「私の未来でも語って貰おうか。」

絵瑠。
「私は世界を、ただ世界として見ているだけです。」
「つまりは舞台。」
「その上で人は誰しも。」
「それぞれの役を演じなくてはならぬ。」
「そして私の役所は、素晴らしい観客なのです。」

千代。
「世界はすべてひとつの演劇。」
「そして人間は。」
「男も女もみな登場人物。」
「主役に対する八百長。」

絵瑠。
「見るがいい。」
「世界の広大な演目では。」
「誰かだけが不幸なのではない。」
「周囲の演じている役割よりも。」
「もっと愉快な喜劇が上演されているのだよ。」

千代。
「私達はみんな。」
「この世界という阿呆ばかりの巨大な演劇に。」
「参加させられて。」
「もがき続けるのですよ。」

絵瑠。
「この世の営みの一切が。」
「忌まわしいし愚かしいし。」
「味気もなくて無意味に思えますが。」

散歩して情報収集。

早朝から開始して。

お昼までには帰還。

開店は十時からなので。

午後からずっと入る予定になりました。

千代。
「あの少女、良くないですか?」

絵瑠。
「女の子なら誰でもいいの?」

千代。
「うん、それは認めます。」

絵瑠。
「閣下は狂気であります。」
「敢えて狂気と申し上げます。」
「というのも。」
「真実の狂気を定義しようと致すとならば。」
「狂気以外の何物でもございません。」

千代。
「わかっているくせにー。」

絵瑠。
「閣下は狂気、それは確か、確かに残念。」
「残念ながら確かに真実。」

千代。
「あなたで良ければ。」

絵瑠。
「探し出さねばならぬのは。」
「これがどこから来たのか。」
「というよりむしろ。」
「この狂気の起源というべきでしょうか。」
「なぜなら。」
「起源から出たのか結果に過ぎないのか。」
「既に生じているものゆえ。」

無料でのお手伝いに絵瑠も参加。

母親は喜ぶ。

三人で家業に入ります。

休日なのでお客さんは多め。

看板娘が増えて喜ぶ顧客。

常連が多いですね。

顧客。
「すごく整っていて清潔です。」
「息子に紹介したいくらいです。」

絵瑠。
「人生は歩き回る影。」
「憐れな役者。」
「出番の間は舞台の上をのし歩き。」
「やりたい放題するが。」
「その後はもう役目がない。」

市民。
「只者の女性ではありませんね。」

千代。
「喜劇の目的は。」
「昔も今も。」
「自然の鏡に向かって自分を差し向けること。」

夫人。
「私共の筋書きなんて駄作ばかりで。」
「二人も美人さんの娘がいて未来が明るいわね。」

絵瑠。
「似ていますか?」

母。
「滑稽ですが、阿呆の語る物語は。」
「響きと怒りは凄まじいが。」
「見世物に過ぎない。」

夫人。
「まさしく私は見世物にできるほど。」
「出来の良い人生は歩んでおりません。」

千代。
「私は。」
「野望で躍り上がり。」
「跳ね上がって梯子を超えて。」
「向こう側に落ちるくらい。」

市民。
「高度化した女性でしょう。」

知識人。
「レベルがまるで違うね・・・。」

絵瑠。
「人間とは何者か。」
「もし生涯を売って得る物が。」
「もっぱら、食って寝ることでしかないとすれば。」
「大きな推論も役には立たず。」
「未来に無関心で。」
「過去にも無関心で。」
「まさしく理性の能力を過信して。」
「腐らせるためか。」
「人間とは、たった、これだけのものなのか?」

明日も手伝いに来ると。

明日の日曜日も三人で営業して。

地元の権力者の娘が雑貨屋で鍛錬していると。

すぐに話題に。

日曜日の就業時間。

千代。
「何という駄作か、人間とは。」
「理性においてはさっさと捨ててしまい。」
「理解において無駄な時間をかけるため。」
「いかに作り手から離れた存在であることか。」
「まさしく世界を取引したい。」
「野心の精華。」
「万物の外側。」

絵瑠。
「虚偽という餌を釣り糸につけておけば。」
「誰かしら引っかかります。」
「こうして我々の深慮遠謀の利く者は。」
「回り道から取り。」
「からめ手から攻め。」
「真実というものを釣るのです。」

母。
「あなた、そう言えばお偉いさんの娘よね?」

絵瑠。
「名前に何があるのですか?」
「なぜその名前だけが。」
「誰かの名前より宣伝されるのですか?」

千代。
「迎えが来ましたよ。」
「例の高級車。」

母。
「女性の知恵を試そうと。」
「戸を閉めれば。」
「窓から逃げ出す方法を編み出しますし。」
「窓を閉めれば。」
「鍵を開けて逃げるに違いない。」
「鍵穴も閉めれば。」
「煙突から飛んで逃げるに決まっています。」
「煙突も閉めれば。」
「壁を破壊するでしょう。」
「女性を試そうなどしないでください。」
「みんなどんどん過激になります。」

絵瑠。
「知恵ある阿呆は、阿呆なる知恵者にまさる。」

自分で商売を始めようと。

訓練中。

ノウハウや商才が必要です。

たまに愚か者の演技をしますが。

便利だからですね。

最近はお手伝いでメンバーが。

それぞれの家業に無料で入り込み。

鍛錬しておりますね。

只者ではないとよく言われますが。

自分達は阿呆であると名乗っています。

シェイクスピア注釈。

阿呆は、自分が賢者だと思っている。

だが賢者は。

自分が阿呆であることを心得ている。

イギリスのことわざ。


16


子貢曰わく。

我れ人の我れを加ぐことを欲せざる也。

吾れも亦た人を加ぐ無からんと欲す。

子曰わく、賜や、爾の及ぶ所に非らざる也。

翻訳。

子貢が言った。

私は人が私に暴力を加えることを欲しない。

それと共に。

私も人に暴力を加えることを欲しない。

子貢のこの言葉を聞いて孔子は言った。

子貢よ。

それは難しいことであって。

お前にできることではない。

論語を開いている。

日本でも採用されたことのある儒教。

一時期は誰でも知っていて。

現在も知名度抜群。

千代。
「子貢でも難しいのなら私には不可能。」

絵瑠。
「二重の不可能を強制される。」

粋。
「私にもできる訳がないよ。」

羽都美。
「翻訳によって少しだけ異なりますが。」
「子貢でも無理なら私はもっと無理です。」

千代。
「無謀ですなあ、無理ですなあ。」

絵瑠。
「無理です、何を言われても無理です。」
「可能と言うならば手本を見せて欲しいくらい。」

羽都美。
「手本を見せてと要求したら無理ですね。」

粋。
「そこは諦めました。」
「開き直った。」

千代。
「外の女性陣の中にフリフリな女の子がいますが。」

粋。
「ロリータ系好きですか?」
「私の妹がいつも着ています。」
「夏は貰った女子高生の制服ですよ。」

千代。
「あの甘ロリの女の子。」
「ワサビーというニックネームの女の子。」
「知っていますか?」

粋。
「私の妹ですよ。」
「正確に言えば他人同士の姉妹です。」
「血縁関係のない姉妹です。」

千代。
「それでいつも近くにいたのですね。」

粋。
「お姫様系というのが素晴らしいよね。」

絵瑠。
「フリフリの女の子を好きにしたらどうなる?」

粋。
「えるるは女の子を性的に弄ることばかり考えますね。」
「と言っても私も似たような趣味ですが。」

絵瑠。
「女の子を見ていたら好きになりました。」
「女性だから男性と融合する義務などない。」

羽都美。
「自分勝手?素晴らしい響きです!」

千代。
「仮想敵には容赦ないですね。」

絵瑠。
「そもそも私の自由を妨げる人間は我儘。」

粋。
「自由を妨げる我儘な人間を力で排除する。」

千代。
「力は大切です。」
「ヒルティ幸福論でも。」
「度々。」
「力が大切なものであると説かれていますし。」
「実際にも力は必要なものです。」
「何をするのにも力が大切。」

羽都美。
「敵対者も暴力に頼っているのですし。」
「もっと争いを楽しもうよ。」

粋。
「暗黒な提案ですなあ。」

千代。
「破壊衝動に駆られた仮想敵との対戦。」

粋。
「命の尊さと脆さを学んだ。」

絵瑠。
「どんな人間もひたすら無謀でした。」
「自信満々でとても無謀。」
「ひたすら無謀。」
「なぜ問題になるかは。」
「敵が自分に関して永続的に無謀であることを。」
「自覚していない点なのです。」

千代。
「敵対者は必ず無謀で。」
「無謀なまでに突進を繰り返す。」
「無謀という同じ事の繰り返し。」
「相手はそれがわかっていないので。」
「無限に無謀な行為をやらかす。」

絵瑠。
「もちろん無謀なので結果が見え透いているし。」
「無謀故に相手は勝手に倒れることも。」
「最初から決まっています。」
「敵は無謀なせいで勝手に自滅し。」
「多分。」
「勝てないとわかっている相手にも。」
「その場の気分で挑んだり。」
「明らかに格上相手に。」
「無謀に挑戦したり。」
「負けると知っているはずなのに。」
「敵対者はひたすら無謀で。」
「勇気でもなければ度胸でもない。」

千代。
「行き過ぎるくらい無謀で。」
「いろいろ損ねるくらい無謀です。」
「彼らは無謀という言葉を知らない?」

絵瑠。
「私は。」
「この世の悪しきものへの攻撃を。」
「多分。」
「無限に止めることはない。」
「自分のために悪いものを滅ぼしてしまう。」

羽都美。
「犯罪は許可されていません。」

粋。
「自己主張しない限りは。」
「誰でもあなたを無視するでしょうし。」
「同意したことにされるでしょう。」

羽都美。
「どうせ巻き込まれるので。」
「防ぎようが無い。」

千代。
「生活のためなのか欲望のためなのか。」
「たまに人が何をやっているのかわからなくなりますよ。」

羽都美。
「生活しかない世界でも。」
「開き直る方が健全だとは思いますがね。」

千代。
「一週間、労働したら。」
「大局というものと分離した世界が快適だと知りました。」

粋。
「私も中途半端に仕事をしている日々の中で。」
「たまにもっと労働したいという欲望に駆られる。」

絵瑠。
「自然の中に入る禁欲は甘美だ。」
「そして我らのこの生活は。」
「俗塵の雑踏を遠く離れ。」
「樹々に言葉を。」
「流れる水に書物を。」
「石に説教を。」
「あらゆる自然に教訓を見出すのだ。」

千代。
「自分で確かめないと。」
「自分の持ち場なのかは証明できませんけれどね。」

絵瑠。
「リアルタイム地震速報。」
「中規模地震が遠くでありましたね。」
「アドバンテージはどんな分野でも好まれます。」
「役割分担が現代の特徴ですし。」
「優生学からして無暗に人を排斥すると。」
「偶然、過酷な環境に順応する人まで消えてしまうよ。」
「役割分担が崩れる。」

千代。
「災害の時代では。」
「後攻で出した手札が優れている場合もあります。」
「災害に対して常に先攻であることは無理でしょう。」

粋。
「疫病も知らない間に蔓延してから。」
「中国さんで爆発したので。」
「誰も予測できなかった。」

羽都美。
「あるはずのない出来事が次々と起きる。」

千代。
「人間の未来予測が正確であるならば。」
「宝くじや競馬で。」
「常に大金を手にしている。」
「実際はその反対であるので。」
「人間の未来予測なんて。」
「ギャンブルで試してみればわかります。」

絵瑠。
「まったくその通り。」
「試してみると外れるものしかない。」
「経験論で予測することもできない。」

粋。
「未来予測なんてギャンブルで大勝利を得てから言うべきです。」

羽都美。
「おっと、それは真実なのでは。」

千代。
「時は真実を曝け出す。」
「たまに自分の中にある答えに反するからという理由で。」
「反駁を試みる詭弁家もいますけれどね。」

絵瑠。
「相手を論破しまくると。」
「論敵の末期には。」
「敵の言い分が詭弁だらけになり。」
「相手の言い分が九割詭弁になります。」
「論破しまくると。」
「相手は詭弁しか言えなくなりますね。」

千代。
「そうなると。」
「権力や武力で鎮圧するのが最良になりますね。」
「相手が認めなくても鎮圧すれば良い。」
「言い負けても力で鎮圧すれば良いので。」
「論破の先には権限の有無があり。」
「武力や権力で論破した相手を倒したり。」
「これは実際に目撃したものですが。」
「論破して来た相手を権限で倒したりした人もいます。」
「言い掛かりをしてきた相手を権力で。」
「潰す人はけっこういますよ。」

絵瑠。
「言い負かしたら相手を潰す。」
「口論で言い負けても権限で相手を潰す。」
「これは実際の世界なんですけれどね。」

千代。
「たいていの場合に当てはまっていれば。」
「いいじゃないですか。」

粋。
「討論に怪我人の傷が治せるのか?」
「いや、腕は?」
「だめ?」
「なら頭の痛みが消せるか?」
「いいや。」
「そうすると。」
「討論に外科の技術はないんだな?」

千代。
「あの人達は人を疑う事を知らぬ生まれつきで。」
「ただ見かけが正直そうでさえあれば。」
「本当に正直なのだと思い込む。」
「引きまわすのは楽なものでしょう。」

羽都美。
「自暴自棄になった女性が。」
「何でも欲しがってやると。」
「発狂していましたよ。」

千代。
「善人の女性は。」
「自分が悪人に落ちているのではないかと思うが。」
「はっきりと知ることはできず。」
「疑いのうちに生きるしかない。」

粋。
「感情論は決して正論にはならない。」
「多様性は最初からこの世にあるもの。」
「思想ですら多様性がありますしね。」


羽都美。
「いろんな思想に触れましょうよ。」


絵瑠。
「私の個人的な思想は。」
「絶対主義とは相性が悪い。」
「相対主義とは相性が良い。」

千代。
「暗黒度六十の人を裁く時に。」
「絶対主義は私刑、百か九十を選択します。」
「相対主義は五十か七十くらいを選択します。」
「すべては度合いです。」

羽都美。
「理性が敗北したのが絶対主義では?」

粋。
「逆に言えば。」
「感情論が正しいなんて言う人はいませんよ。」

羽都美。
「プライドの通りにならないと気が済まない。」
「感情論もありますしね。」

千代。
「男らしさが暴走した男性は失敗作。」
「女らしさが暴走した女性も失敗作。」

絵瑠。
「本当に理性的ならばあの感情論は説明できませんけれど。」

千代。
「その上で。」
「破壊衝動に発展して暴れるのはナンセンスかと思われます。」

羽都美。
「暴漢の話題でしょうか。」
「優しさは強さに裏付けられています。」
「弱いのに優しいのは。」
「自分の弱さを隠そうとしているのでしょう。」

粋。
「弱者が優しいのは矛盾しています。」

絵瑠。
「強者しか優しさは持ちません。」

千代。
「ですから力は必要なのです。」

羽都美。
「暴漢を意趣返しするくらいは必要かと。」

千代。
「よくあるノックアウトパンチ。」
「大ぶりのパンチは。」
「来る直前にしゃがむと当たりません。」
「打撃が来ると思ったら。」
「しゃがむと空振りになります。」
「誰でもできる簡単な避け方です。」
「後はどう反撃するのか計画しておくもの。」

羽都美。
「パンチはコンパクトに撃つもの。」
「ストレートパンチを習得するだけでも。」
「雑魚を倒すのは簡単です。」
「ジークンドーがお勧め。」
「あれは世界から認められている。」

絵瑠。
「見せしめでしょうね。」
「暴漢をぶっ殺すのは。」

千代。
「強いから優しさがある。」
「弱いのに優しい奴はありえない。」
「矛盾していますよ。」

羽都美。
「優しさを捨てれば楽になれるよ。」

粋。
「私も優しさは捨てましたので強いのです。」

千代。
「私は優しさを否定するだけで強くなったよ。」

絵瑠。
「争いというものは宿命論みたいなものです。」
「滅ぼすまで続きますしね。」

千代。
「戦争という名前の宿命論。」
「歴史を読み解けば。」
「我が強い僭主君主は滅びやすくて。」
「平和主義者の君主が長続きしていたり。」
「天下を取る場面が多々あります。」
「戦争という名前の宿命論よりも。」
「平和主義の方が分がありますし。」
「争いは人類にとっての宿命論で。」
「それに対抗するだけの力が必要です。」

絵瑠。
「世界で足りないものは。」
「誰かが補充するまで不足が続きます。」
「世界で過剰なものは。」
「有害になるまで増えますよ。」

千代。
「最近で何が必要なのかわからない。」
「自分にとって必要なものを得るもので。」
「全体主義は大局ばかり重んじるので影響を受けます。」
「考えを押しつけられて嫌になる。」

絵瑠。
「彼らは考えを他人に押しつける嫌がらせをやりたいのです。」

千代。
「それも破壊衝動なんですね。」

羽都美。
「平和になればすべてが解決するとでも思ったのかな?」

粋。
「明らかに民衆は内側での争いに熱中しているようです。」

千代。
「平和を悪用するなんて。」

粋。
「ゲームか何かで発散されているだけましですね。」

絵瑠。
「この世界が澄み切っていたら、芸術は存在しないだろう。」
「カミュの格言。」

千代。
「それだけ現実主義の世界に不満があったり。」
「退屈しているだけのような。」

絵瑠。
「現実より楽しい娯楽に行くのは当たり前かも。」

千代。
「現実を模倣して美化しているのか。」
「現実を無視して美化しているのか不明ですよ。」

絵瑠。
「娯楽を望んでいるのか芸術を望んでいるのか。」

粋。
「私の場合はあらゆる可能性を模倣するだけですが。」

羽都美。
「文学の世界では模倣が当然で自由なもの。」

絵瑠。
「模倣と盗作の違いについて。」

羽都美。
「盗作を誰かが定義すると。」
「終わりのない讒言のゲームと化しますね。」
「気に食わなければ。」
「盗作と称して貶めれば。」
「優越感に浸れますし。」
「快楽になりますからね。」

千代。
「定義ではそうかもしれないけれど。」
「それだと。」
「猫は液体である。」
「イグノーベル賞が正論という意味になりますが・・・。」

絵瑠。
「定義になるとそうなりますね・・・。」

粋。
「それ本当ですよ・・・・。」
「猫は液体である。」
「定義上では液体。」

テレビをつける国営放送。

基本は国営放送しか見ないのは。

人を信じないから。

人を信じずに目的を遂行する。

千代。
「確信とは?」
「飛行できると確信して。」
「崖から飛び降りる行為。」

羽都美。
「勘違いとは。」
「上の釘を打とうとして。」
「誤って下の釘を打ち続けていて。」
「指摘されても変えないこと。」

絵瑠。
「間違いなのは。」
「多くの場合は技能が不足しているのみで。」
「必要な技能を習得すれば。」
「何も技能が議題に上がることはないらしいとのこと。」
「誰もが抱える技能の不足がありますね。」

粋。
「ダニング・クルーガー効果の公明正大な分析。」
「あれは公正な心理学ですよ。」
「大半は必要な技能が無いだけ。」

絵瑠。
「評判なんてくだらない。」
「人が勝手に押しつけるものですし。」
「手に入れたと思ったら理由もなく失うもの。」

粋。
「最近、話題になっている思想について。」
「隠れた所で人気というものはよくあること。」


羽都美。
「人間が悪に対抗するために繰り出したもの。」
「現実主義の集大成。」


絵瑠。
「宗教観が問われているような。」


千代。
「反出生主義は人の生まれに反対する思想。」
「ラディカル。」
「生まれは一定数の犠牲を生む仕組みであり。」
「そうなるくらいなら生まれない方が良く。」
「そもそもこの世に悪いものがあり。」
「それを食らったら。」
「すべてが台無しになるので。」
「いっそ生まれない方が良い。」
「そして誕生は両親が自分勝手に生み。」
「子供の同意を取らずに。」
「自分を存在させてしまう行為で。」
「両親が誕生させなければ自分は悪いものを受けず。」
「親の選択のせいであることを数秒で論破し。」
「責任は生まれさせた両親に求め。」
「自らは自分をどう処理すれば良いのか探し続ける。」

絵瑠。
「無敵の論証が敷かれているので。」
「反駁が無理で。」
「生まれの良い育ちの良い人すら支持する。」
「新しい思想。」
「古典や古代宗教でも反出生主義が見られ。」
「この世に最初から存在したものが。」
「哲学の面で発掘されているので。」
「創作ではなくて本当の起源は。」
「普遍的に説かれている思想が発掘されたものです。」

千代。
「反出生主義は優生学の側面もあり。」
「生まれない方が良かった。」
「という簡単な内容がある。」
「そこまでこの世界の具合が悪く。」
「悪い世界になった反動で。」
「仕返しや。」
「対抗して説かれている傾向が強く。」
「受け入れやすい合法的な裏切りであり。」
「かなり便利な思想になっている。」

絵瑠。
「必ず自分を誕生させた両親に。」
「攻撃が向くために。」
「生まれの仕組みそのものを攻撃して。」
「優生学から人の出生をコントロールするのとは違い。」
「かなり個人的な内容を多く含む。」

粋。
「哲学のエビデンスの上に築かれた無敵の思想であり。」
「簡単に言及できないように固められているのが特徴。」
「より現実主義に走った結果とも言えますし。」
「反出生主義は一貫して現実主義であり。」
「現実に基づいて構築されたラディカルな思想で。」
「これと反転した救われた物語は。」
「プラトン。」
「国家十巻。」
「エルの物語。」
「となっています。」
「反出生主義でも良いし。」
「エルの物語でも良いし。」
「どちらを支持して現実を打ち負かすのか。」
「自由でしょうね。」

羽都美。
「出生という仕組みの悪さに対する反撃で。」
「反対者はプラトン学派になりがちで。」
「支持者は生まれの決定を合法的に裏切るなど。」
「実際の所は便利で使い勝手の良い。」
「役に立つ悪への抵抗とも言えます。」

千代。
「ストア主義とリベラリズムと似ている部分もあり。」
「反出生主義は多数派になる可能性があります。」
「昔あったものが新しい名前で登場したに過ぎず。」
「歴史において。」
「哲学者や偉人や天才は出生の仕組みに。」
「かなり言及しています。」

国営放送が今日のニュース。

天気予報。

今日の天気中の成分。

大気99.9パーセント。

弾道ミサイル0.1パーセント。

番組が開始される。

絵瑠。
「テロリストの前でコーヒーを飲んでいる人がいましたね。」

粋。
「人によって個別の行動を取りますよ。」
「爆弾テロの現場の近くで。」
「絵を描いたり。」
「スマホで写真を撮ったりしていますし。」

千代。
「呑気なのか余裕なのかよくわからない。」

羽都美。
「ブラックジョークとしか見ていないと思います。」

絵瑠。
「工作員も標的しか狙いませんし。」
「無駄な破壊をしない傾向にあるので。」
「市民にあんまり被害が出ない反面。」
「公的機関は集中狙いされますし。」
「この前は停電でしたね。」

粋。
「サイバー攻撃とかAI防御にしていますしね。」
「人工知能で防ぐとかIT産業ですなあ。」

羽都美。
「人工知能は並の人間よりは優秀ですしね。」

宣伝。

今日のセール品。

八百長ひとつにつき十万円。

価格は種類によります。

番組の内容。

芸能人の雑談。

スーパースター。
「夢でどんな願い事でも叶えてやると。」
「謎の人物が問いかけてきた。」
「一生、楽をしたいと申し出たら。」
「それで良いのか返事が来て。」
「それではもっと売れたいと申し出たら。」
「これは夢なんだけれど。」
「とか文句を言われて。」
「目が覚めた。」

旅行の話題。

アーカイブと共に。

いろんな画像と雑談が出る。

司会。
「世界を巡るのが趣味だとか。」

スーパースター。
「欧州の牧師が文句を言っていた。」
「アニメや漫画をなぜ信じるのですか?」
「最近では自然科学も同じように礼拝されていまして。」
「聖書を勧めてみてもまったくだめです。」
「新しい宗派でも出来たようですし。」
「今日も教会に来る人は少数です。」

司会。
「多様性なのか宗教観デタラメなのか知りませんしね。」

スーパースター。
「真面目な議論もあったんですよ。」

動画から出してくる。

牧師とダーウィン学派が論争をしていた。

牧師。
「あなた達は猿の子孫だから。」
「人権は必要なのか?」

ダーウィン学派。
「聖書に人が地上の動物を治めよと。」
「書いてあるではないか。」

速報。

ダーウィン学派は自分が猿の子孫だと信じてしまい。

猿の真似事をして都市を歩いた。

そして警察官が来て。

公然わいせつの疑いで逮捕されてしまった。

番組が終わると。

新聞を読むことに。

日本人観光客。

道を尋ねようと警察官を呼び止めた。

警察官を目の前にして。

ついでに。

日本人観光客が肖像画を見て言った。

日本人観光客。
「あの太った人は誰ですか?」

中国人警察官。
「さあ?誰だか言ったらいくらくれるかね?」

中国人はゆすりで小銭を手に入れてしまったという。

数時間後。

例の広場で窃盗犯を捕まえた日本人観光客。

警察官はにやにやしている。

日本人観光客。
「海外でこんな活躍が出来るとは!」

中国人警察官。
「ああ!我が民がこんなにひどくやられてしまって!」

次の日の新聞の見出し。

中国人窃盗犯、例の広場にて日本人観光客に暴行される!

最近はこんなニュースばかり。

テレビを消そうと近寄る。

国際報道。

ウクライナ情勢で耐えられずに。

クレムリンに突撃すべく準備している夫。

夫。
「もうあんな不正は耐えらない!」
「大統領を死体にしてやる!」

妻。
「やめてよ!返り討ちになって終わりでしょ!」

夫。
「無理だ!少なくとも一撃は浴びせる!」

妻は止めようと促すが飛び出す。

しかし夫はすぐに帰って来た。

妻が質問すると。

妻。
「なんで生きて帰って来たの?」
「あのまま大統領と一緒に死ねば良かったのに。」

夫。
「そうなんだが。」
「クレムリンの周辺に歩兵大隊と戦車部隊と攻撃ヘリ。」
「ついでに建物がもれなく燃えていたから。」
「消防士と野次馬があまりに多くて入れない。」
「彼らにやって貰うことにしてウォッカでも飲むよ。」

妻は言う。

妻。
「あら?今、暴動が鎮圧されたわよ?」

テレビ電源オフ。

目眩がするニュースの連続。

近年はこんなんばかりで。

新聞も似たようなもの。

大人しくブルーマウンテンを飲みます。

ことわざ。

高貴な人ほど控えめである。



17


喫茶店。

WEB収益で稼いでいて。

金銭に余裕がある。

稼いだお金はすべて遊びや研究に使いますね。

職業でも一万種以上ありますので。

厚生労働省の登録で本気に一万種の職業があると。

知って以来。

自分の持ち場を探し続けて三年です。

喫茶店は隠れた名店。

誰か来る。

好漢。
「やあ、店主さん、いつものやつを頼む。」
「それと、みんなにいつも頼むやつを振舞ってやってくれ。」

マスター。
「そんなに頼んで勘定はどうするのでしょう?」

好漢。
「いんや、心配ない、どうせ何も持ってきてないから。」

マスター。
「なんだって!この野郎!」

店主がお客に襲い掛かったので。

その客は逃げてしまった。

一時間後に同じ客が来店した。

好漢。
「やあ、店主さん、いつものやつを頼む。」
「それと、みんなにいつも頼むやつを振舞ってやってくれ。」
「でも、あんたは別だ、だって、あんたは飲むと狂暴になるからね。」

マスター。
「争点はそこではないっ!」

店主がまたもや客に襲い掛かった。

三度目は無かった。

千代。
「自分の出した結論に無批判なのは認めます。」

絵瑠。
「他人の結論や自分の結論も疑いましょう。」

千代。
「プラトンが言うには。」
「女性は本来、劣った者が落とされるとのこと。」
「証拠はたくさんありますが。」
「それを認めてしまったら次がありますよ。」

絵瑠。
「女性と男性の能力は比較できない。」
「女性の劣っている部分が補われたらどうなるの?」

羽都美。
「そうなると後天的な要素が大きいのでは?」

粋。
「先天的なものだけで物を語るのは無理です。」
「なぜなら。」
「先天的な要素以外に何も語るものが無くなりますので。」
「必ず決定論に誘導されますからね。」

千代。
「どんな結論にも複数の解釈が実在してしまい。」
「複数の解釈でどれを選んでも別の解釈に影響されます。」

羽都美。
「自分の出した結論にも複数の解釈があるんですね。」
「他人の出した結論なら、なおさら複数の解釈があります。」

千代。
「解釈はひとつではありません。」
「常に解釈は膨大な数が実在します。」

羽都美。
「ひとつの解釈に依存するのは事実を言おうとして。」
「間違えてしまっています。」
「事実が存在しない世界では解釈だけです。」

粋。
「実存哲学で言う事実とはひとつの解釈を絶対視するという意味です。」

絵瑠。
「ひとつの解釈が選ばれて、信用されるという意味ですね。」

千代。
「哲学の体験からして。」
「事実とはひとつの解釈が絶対視されて採用される事態です。」

絵瑠。
「素晴らしい、無批判ではない所が素晴らしい。」

粋。
「私の解釈をもっと言います。」

羽都美。
「人間の知性に絶対はないのですし。」
「自分はひょっとして間違っているのかな?」
「自分はもしかしたら愚か者なのかも?」
「なんて思ったりはしませんよね?」

絵瑠。
「不完全を容認すると。」
「自分のどんな失敗も。」
「誤りにならない。」

千代。
「どう見ても完全無欠とは程遠い人間達ですし。」
「私も不完全なので魅力が出ています。」

粋。
「完璧なんて大量のけちをつけられて終わりです。」

羽都美。
「なんかおかしいと子供の頃から思っていたので。」
「お宮に通うようになって。」
「本当だったのだと知りましたね。」
「他人の情勢が手に取るようにわかる。」

粋。
「あらゆる事態が個別に付加されており。」
「利害関係が無いのでわかったりしますよね。」

絵瑠。
「それで生まれつきのものが。」
「人のすべてを決めていると思いました。」

千代。
「きちんと生涯を選べば悪くはなりませんよ。」
「悪くなったら苦情を入れてやるだけです。」

羽都美。
「神様に苦情を入れる人もいますからね。」
「すべて受け入れられますし。」
「言わないよりはましです。」

粋。
「生まれだけ抑えれば好き放題なのでは。」
「最も。」
「そうしたと思いますけれど。」

羽都美。
「自分については言うまでもないけれど。」
「他人を見ると退屈な選択が読めてしまう。」

千代。
「出生の仕組み。」
「他人の情報から読み解くには。」
「義務的倫理学が多用されていますね。」

絵瑠。
「そうですよ。」
「何でも義務を課して。」
「設定された通りに義務を遂行させる。」

粋。
「つまりは。」
「本人の自由など。」
「どうでもよくて。」
「生まれの仕組みが設定した義務に。」
「忠実であるかどうか。」
「これが評価の基準になってしまいます。」

羽都美。
「義務的倫理学そのものですね。」
「義務の内容に違反すれば悪と見なされます。」
「義務の内容に服従すれば善と見なされます。」
「かなり危険な判定です。」

千代。
「あなたに義務を課すのでその通りに生きなさい。」
「あなたは私から義務が課されるので。」
「課された義務に従って産まれて生きなさい。」
「という義務だけで成立する生まれの仕組みです。」

絵瑠。
「道徳だけですべてを判定するように仕組まれていますね。」
「とても危ない仕組みだと思います。」

羽都美。
「なぜ義務的倫理学が生まれの仕組みの内容なのか。」
「よくわかっていません。」
「義務だけ課して生まれさせて。」
「その内容を義務に従わせて終わらせるのですが。」
「必ずしも良い待遇は受けません。」
「道徳の内容で善悪の判定が成されて。」
「悪であれば悪い待遇を受けます。」
「自分勝手に悪と見なされた人は悪い待遇を受けます。」
「自分勝手に善と見なされた人は良い待遇を受けます。」

粋。
「ニコマコス倫理学は義務的倫理学と激しく対立します。」
「交差するので。」
「目的が異なるのです。」
「生まれの仕組みが目的としているのは。」
「自分が課した義務を忠実に実行させて生涯を終えるという。」
「独裁の達成です。」

千代。
「義務を課してそれを達成したかで価値が決まるのが。」
「生まれの仕組みの目的ですしね。」

絵瑠。
「達成できなければ悪にされます。」
「生まれの仕組みの目的は。」
「自分勝手に課した義務を達成したかです。」

千代。
「ニコマコス倫理学は本人が善なるものを求めます。」
「道徳とはすべてが食い違い。」
「本人の価値や意思だけが物を言います。」
「一切が義務化されていません。」
「本人の自由が約束されているようなものです。」

粋。
「生まれの仕組みは裏切られたり。」
「義務を無視したり。」
「義務の内容を破壊されたりする。」
「展開は一切考慮に入れていません。」
「義務を強制するだけで。」
「自分より強い相手は想定していません。」
「つまりは。」
「義務的倫理学を撃破する人は何の想定もしておらず。」
「ニコマコス倫理学とは激しく対立します。」

千代。
「最高善はお宮に祈願できますが。」
「善なるものを目的に。」
「ニコマコス倫理学は常に視点を向けています。」
「道徳とは人間の創作であり。」
「義務的倫理学はすべてが強制で成り立っており。」
「無視されたり故意に破壊された場合は何も考えていません。」
「自らが絶対者だと信じていますしね。」

羽都美。
「ニコマコス倫理学は最高善が目的です。」
「善なるものが目的です。」
「本人のものです。」
「善悪も古代信仰に基づいており。」
「道徳を明らかに退けます。」
「義務的倫理学は義務に違反すると無条件で敵対して来ますが。」
「相手にこんな義務があるから従え。」
「としか言いません。」

千代。
「義務としてこうだからあなたもこうです。」
「義務だからあなたにも義務がある。」
「という言い分ですしね。」

羽都美。
「ニコマコス倫理学に基づいている人は。」
「義務なんて無いものです。」
「無いもので裁かれても意味がわかりません。」
「なぜ叱られているのかもわかりません。」
「義務があると言われても何の事なのかさっぱりわかりません。」

絵瑠。
「説得ですら義務の内容を強制しているに過ぎませんしね。」

粋。
「生まれの仕組みは義務的倫理学で成立しており。」
「義務が課せられて達成させるのが目的で。」
「それは強制に依存します。」

絵瑠。
「ニコマコス倫理学は本人の意思のみで。」
「すべては本人が決められます。」
「しかもお宮で祈願できますし。」
「神様は義務的倫理学を否定していますね。」
「最高善は祈ればそれに書き換えて貰えます。」
「上書きされますし。」
「私達は義務的倫理学に支配されています。」
「道徳の支配から脱却するのも課題になるでしょう。」

千代。
「ちなみに他人を観察すると。」
「生涯が義務で成立していて。」
「本人の自由が無視されている所を見出します。」
「決められた通りの筋書きですが。」
「手札が見えると阻止できますし。」
「他人は道徳の支配によって自由が効きません。」
「悪いものが多くなるのはそのためです。」

絵瑠。
「義務的倫理学(道徳)はマインドコントロールに近いため。」
「信じさせる威力があります。」
「元々は宗教から引用されたものです。」
「恣意的な解釈で盗用された宗教の教義が。」
「道徳という形で定着したものなので。」
「信じさせる威力があります。」

千代。
「道徳の起源を辿れば宗教なのですが。」
「自分勝手に改造して引用した末に。」
「道徳という形態を持つようになりました。」
「人間が勝手に教義を使って道徳(義務的倫理学)を作りました。」

羽都美。
「つまりは道徳は作られたものであって。」
「宗教の教義を盗んで都合の良いように改造したものです。」
「そのために信じさせる威力があるのです。」

粋。
「道徳が宗教の特色があり。」
「宗教のようになっているのは。」
「教義を引用して自分勝手に使われたからですよ。」
「新興宗教のように信じるのはそのためです。」

絵瑠。
「道徳(義務的倫理学)の正体は人工の宗教です。」

千代。
「それに支配されるか支配されないかの違いです。」
「束縛されると奴隷にされてしまい。」
「束縛を逃れると自由になります。」

粋。
「抑圧するために制定された道徳です。」
「道徳は人を抑圧して操作するためにあります。」

千代。
「義務的倫理学は抑圧が前提にあります。」
「マインドコントロールするために編み出されたもので。」
「元々は宗教の教義を悪用したものなんですね。」

羽都美。
「追い詰めてやりますが。」
「道徳の義務や命令によって他人を阻むことはできません。」
「説得して他人の行動は変えられません。」
「命令を平気で無視する相手には無力です。」
「義務で他人の行動は変えられません。」
「無視したり日常的に踏み倒されていて当然です。」

千代。
「命令や義務を説明しても。」
「相手が無視すれば無効化されます。」
「こちらも無視できますし。」
「命令してこちらの動きを制限しようとしても。」
「そんなものは敵の作戦に過ぎませんので。」
「撃破することも可能です。」

絵瑠。
「義務を説明されても自分にはそんなものありません。」
「何の義務もないのに義務だと言われても。」
「何を言っているのか意味不明です。」

羽都美。
「宗教みたいな命令や義務が道徳にはありますが。」
「宗教みたいな所が義務的倫理学の特徴です。」
「自分を止めるには非力ですし。」
「最初から手札が見えている敵の作戦です。」
「狡猾な相手の作戦が読めるのですから。」
「道徳を追い詰めましょう。」

古本屋に入り物色。

現代と古典。

古典に世界を求めた女性陣。

現代は軽視。

絵瑠。
「悪い人間に囲まれて育つと。」
「弱弱しくなって劣る人間に成長します。」
「強くて優秀な人に囲まれると感化されて。」
「子供も強くて優秀になる傾向にありますね。」

千代。
「子供は悪い人間と関わらない方が良いものです。」
「感化されて悪くなりますし。」
「弱くて劣っているために。」
「それを誤魔化すために優しい性格を演じています。」
「競り合いなんて彼らには出来ませんよ。」

絵瑠。
「悪い人間に囲まれてしまった子供も悪くなります。」
「悪い人間は宗教みたいな言説が目立ちますし。」
「何とか正当化しようと常に策略を練っていますね。」

羽都美。
「そんな悪い人間も外部の情報で。」
「その悪影響を見破られる可能性があります。」

粋。
「成長の過程で影響されたものは後遺症として。」
「長期間残りますし。」
「修正するには時間は必要ですが努力は欠かせません。」
「基本からして原因論だけを排除すれば。」
「何とかなりますね。」

千代。
「人の生まれは人が操作しなければ。」
「生まれに操作されてしまいます。」

絵瑠。
「出生は人が操作してしまうものです。」
「ローマ法では奇形児は生まれた瞬間に排除されました。」
「自分が支配しなければ支配されるという簡単なものです。」

粋。
「過ちは何でも信じた事だけになります。」

羽都美。
「信じるから騙される。」
「疑うから真実を得る。」

ランドマーク内部。

展望台まで移動。

景色を見ながら。

次は空港。

千代。
「あなたは善は欲しいですよね。」
「これには異論の余地がない。」
「では。」
「あなたは悪が欲しい?」
「さてこの問いに答えて貰います。」

絵瑠。
「悪が欲しいか?そんな訳ありません。」

羽都美。
「悪が欲しいと問われると回答は決まっているようなものです。」
「悪が欲しい奴なんているの?」

粋。
「悪を欲しがる奴とかいたら何ですかそれ?」

千代。
「問いかけ。」
「あなたは悪が欲しいですか?」
「返事はわかりやすいものでしょうけれど。」

羽田空港。

リアルタイムフライト追跡で。

あらかじめ発着がわかってしまう。

中規模地震が発生して。

少しだけ揺れる。

臨機応変に動いて回避。

羽都美。
「ろくな人間がいないと言われても。」
「ましな人間がいて。」
「もっとましな人間に遭遇する。」

千代。
「なるほど。」
「他人がそう言い放っても。」
「もっとマシな人は何と言うでしょうか?」
「さらにマシな人はどんなことを言うでしょうか?」
「超絶ましな人は何を言うでしょうか?」
「愚か者の言い分なんて扱わないで。」

絵瑠。
「常にましな考えがあると思った方が良いのでは?」
「さらにましな考えがあると思いますし。」
「超級にましな考えもあるかと思います。」
「常にもっとましな考えがあると思いましょう。」

粋。
「清々しい意見ですなあ。」

空港内の商店で買い物。

面白い品物を購入する予定。

コレクターズ・アイテムですね。

豊富な品揃え。

またもや中規模地震。

地震の早期警戒システムが検知したので。

あらかじめ回避。

脱出口は大型店舗なら。

最初から決めてあったりしますが。

そこまでの威力にならず。

市民も特に何も思わず。

羽都美。
「どんな学校も教育で習わない内容には。」
「対応能力に欠けてしまいます。」

千代。
「ようやく地球人類は宿命論に宣戦布告できるように。」
「なったものです。」
「勝ち取った自由で何するかが問われますね。」

粋。
「今は全体主義が崩壊した後の時代ですからね。」

絵瑠。
「個人主義が圧倒的に優勢ですし。」
「私はイレギュラーですからね。」

千代。
「昔から変人はけっこういましたし。」

羽都美。
「変人やイレギュラーはどんな時代にもいましたよ。」
「認めなくても認めても結果は同じです。」

千代。
「さて。」
「例外というものはどんな場合にもある抜け穴です。」
「例外を禁止しても別の例外が出ますよ。」

絵瑠。
「それゆえ。」
「しぶしぶ容認したものは、裏切れるとわかった時点で。」
「捨てられます。」

羽都美。
「肝心なのは。」
「与えられたものを願い下げをして。」
「再構成された時間軸で生きることですかね。」

粋。
「というのは。」
「寿命を考えてから好きにするべきかと。」
「まず何をもたらすのか考えてから。」
「何かをするのは。」
「二回目の判断の方が良いからですね。」

千代。
「真実とは八割当たっていれば合格という追及の意味です。」

粋。
「既成概念が崩壊した直後に。」
「無理に理屈をつけて意味があると。」
「説明するのは無駄な抵抗をしていると思います。」

千代。
「加えて。」
「間違いを放置すると間違いが二倍になりますよ。」

粋。
「間違いばかりあるのは。」
「正しくて正確な情報を無くしてしまいたい。」
「流れなのですよ。」
「間違いだらけにしてしまい。」
「そのために正しいとされる情報を。」
「流されないように嘘で上書きするのです。」

千代。
「誤りばかりある場所では誤りが通りやすいので。」
「正しいとされる情報を嘘に変えてしまおうとするのは。」
「自分のためにそいつ自身がやっています。」
「誰かのために間違いを大量に流しているのです。」

絵瑠。
「誰かが事実を設定して誘導させてしまい。」
「同調した人間をすべて犠牲にして。」
「無理に既成事実として認めさせ。」
「都合の良い展開に持っていこうとする策略。」

羽都美。
「結果論としては何かの貶めばかりあります。」
「間違いを流して何でも陥れ。」
「自分達が正しいと主張するに違いありません。」

千代。
「そんなルサンチマンに負けたらひどい恥ですよ。」

粋。
「昔は敗北とは一族と自分の死亡を意味していました。」
「今は権利を奪い取られることくらいですかね。」

羽都美。
「それだけ何も考えない人が増えたのかもね。」

粋。
「何も考えない奴らが増えると巻き込まれるよ。」

絵瑠。
「何も考えない所とか。」
「個性が無いと見られる男女は余裕でいます。」
「ワンパターンな個性で。」
「人間に似せて作られたのでしょうか?」

粋。
「本性を露わにしたという簡単なものです。」

羽都美。
「社会の事態は逆説的に読み解くと。」
「けっこう面白い発見がありますよ。」

千代。
「逆説論法は得意です。」
「人口を安全な方法で間引く場合に。」
「生まれを変にさせたり。」
「色欲を増大させて対抗してくる。」
「少子高齢化に対する悪しき反抗。」

絵瑠。
「出生率が低下すると。」
「無理に出生率を上げようと。」
「色欲を増加させたり。」
「恋を流行させて確保しようと。」
「企むようですしね。」

千代。
「男女という二者択一があるならば。」
「どちらも選ばない。」
「どちらも選ぶ。」
「というような人工的な操作が必要です。」

絵瑠。
「性別の役割なんて社会が作り出したものですし。」
「自分の創造したものでもありませんしね。」

羽都美。
「性別なんて後天的な要素で決まりますよ。」
「でないと男女に自由すらないのですし。」

粋。
「自由に振舞ったら後天的に自分が決めることになった。」
「後天的に神様に帰属する人々はどうなるのかしら?」

羽都美。
「私も興味あります。」
「先天的ではなくて後天的に神様を選んだらどうなるの?」

千代。
「最初から決まっていたことになると思いますよ。」

絵瑠。
「信仰には後天的になる場合もありますよね。」

粋。
「回り道でもしたのかな?」

羽都美。
「八十万の神々の元に帰る。」
「生まれる前から決まっていたことですよ。」

空港からの帰り道。

中間地点にある。

いつもの駅まで戻って来る。

大型店舗の密集地域。

工具店にて。

野外道具やキャンプ用品を漁ります。

市民が多い。

妻。
「主人のための斧が欲しいのですが。」

店員。
「ご主人、どんな斧が欲しいと言っていました?」
「小さいのから大きいのまでありますけれど。」

妻。
「では、人が死ぬ斧が欲しいのです。」

店員。
「それなら、斧は相応しくありません。」
「大きくて上手に使えませんから。」
「他の道具を使ってください。」
「わっはっは!」

妻。
「これで獣みたいにやりたいわ。」

店員。
「なんと!斧は害獣駆除に使うのでしたか!」
「またのご利用お待ちしております。」

店から出てすぐの。

旅行代理店の前にて。

二人組が討論。

雑談中。

富裕層。
「旅行はフランスに行きたいなあ。」

資本主義者。
「なぜだい?」

富裕層。
「フランスでは不満が言いたい放題だそうですから。」
「どんな不満を言っても許されるんです。」

資本主義者。
「そんなに素晴らしい国が他にありますか!」

富裕層。
「君は広告の効果を信じますか?」

資本主義者。
「信じますとも!」

富裕層。
「フランスは無限に不満を言い放っても。」
「許されると書いてあるせいで。」
「予約が取れないじゃないか!」

資本主義者。
「それは凄い宣伝だ!私も広告を信じてみるよ!」

美術館を何回も見て回ったので。

今回は博物館。

美術館と博物館は見る価値あり。

入場。

博物館の奥に移動。

展示品の数々。

千代。
「宝石は私に相応しい。」

絵瑠。
「彼らに相応しいものを。」

羽都美。
「そう言うならば。」
「彼らに相応しいものがあれだと言うのですか?」
「それだけ?あれが?そんなものだと言うのですか?」

粋。
「阿呆の絵でも差し上げれば?」

博物館の内部にて。

市民と知識人の会話。

観客。
「人類史は二万年前でしたよね。」

知識人。
「正確に言うとそうなります。」

観客。
「どうしてそんなに細かい数字までわかるのですか?」

知識人。
「それは簡単ですよ、私が三年前にこの仕事に就いた時に。」
「前任者が人類史は二万年前のものであると言っていましたから。」

観客。
「人類史は推理小説ですからね。」
「結末がわかってしまっています。」

知識人。
「人類史を作るのにも、どうも傑作にはなりません。」
「今は駄作で勘弁してください。」

観客。
「嘘ばっかり。」

知識人。
「いいや!人類史は多数決だから間違いない!」

絵瑠。
「人々は何かしらしでかしていると思ったら。」
「喧嘩がしたくなったらしい。」

羽都美。
「うわあ、気違いだ!」

千代。
「皆の衆、気違い見事!」

粋。
「あなたは風刺が見事!」

博物館を踏破してしまい。

美術館も踏破です。

数日後。

次は。

原子力発電所を見学。

遠くから。

中年世代が関係者と口論している。

変態が突入しているのに止めないのかと。

中年世代がこちらを見て一度間違える。

関係者が訂正する。

千代。
「あれま、彼らはまだ生きておられましたか!」

粋。
「何でも、数合わせになって大活躍だとか!」

羽都美。
「それなら、こう言ったらどうですか?」
「聖人に人間が試せますかな?」
「息切れしながら。」
「涙目になりつつ私の前に来ては。」
「乱暴な扱いになるかと思いますが。」
「ルサンチマンとして。」
「あなたの厚意に応え。」
「聖人でも人間は試せないと。」
「あなたに説教をして差し上げますと。」

絵瑠。
「悪人に悪と言われたくないよ。」

中年世代。
「だんだん悪くなる。」

関係者。
「正義漢ぶりやがって!」

絵瑠。
「不意に死亡するとお得ですよ。」

千代。
「待て!死亡した後の心配がしたい!」

警備員。
「そこは立ち入り禁止になっているぞ!」
「立札が目に入らないのか!」

不審者。
「いいえ、すぐにここを離れて通過する予定です。」

警備員。
「ならばよし!」

スタッフ。
「お前、ここは一般には立ち入り禁止だぞ!」

不審者。
「いいえ、入ってもすぐ出ますので大丈夫です。」

スタッフ。
「ならばよし!」

エンジニア。
「何をやっているんだ!早く摘まみ出せ!」

社員。
「僕の十周年に侵入者ですか。」

監督。
「君は何の十周年でケーキを食べているのかね。」

社員。
「僕が最後に昇進してから今日で十周年なんですよ。」

監督。
「申し訳なかったね、給料も上げてやることもできない。」
「さっき、昇進の代わりに今の職業に留まれるとかね。」
「報告があったのだ。」

社員。
「ええ、結構ですよ、でも給料はそのままで。」
「もっと度々、ください。」

監督。
「君はとても良い仕事をしたと評価しています。」
「とてもお世話になったね。」
「これでは申し訳ないので。」
「今日の料亭にはコイントスでどちらが払うか決めましょう。」

社員。
「はい、そうしましょう。」
「昨日、素晴らしい技術を持った人を雇い入れたものだと。」
「管理人から連絡がありました。」
「僕達の事ではありませんよね。」

監督。
「ひどい!俺達を捨てるつもりなんだ!」
「あんなに一生懸命やったのに!」

帰宅するとニュース。

内戦やら戦争やらで忙しそう。

号外。

北朝鮮と韓国が小競り合いをしていた。

装備と食料と弾薬で圧倒した韓国軍が。

民衆の抵抗に遭いながらも。

何も足りていない北朝鮮軍を倒して。

ピョンヤンに迫った。

北朝鮮の兵士は次々と降伏し。

跳ね上がっていく捕虜の数。

韓国軍は管理できない数の捕虜を抱えた。

ついには。

捕虜の数は五十万人になった。

北朝鮮は連絡した。

総書記。
「韓国よ、戦闘を続けるか、それとも直ちに降伏するか。」
「返答せよ。」

大統領。
「よかろう、ここからは人海戦術との戦いだろう。」

次の日に捕虜が暴発した。

韓国軍は撤退を余儀なくされた。

真面目とは正反対の世界になりまして。

いろいろとふざけている世の中になり。

どこまでが本気なのか分かりません。


18


女性陣は散歩。

軽い運動を日課にしています。

競歩したり軽く走ったり。

公園で動き回る。

広場から少し出て商店街。

メイドさん。

宣伝をしていて。

青年に質問。

メイド。
「あの、柔らかいのは好きですか?」

青年。
「はい!もちっとした奴も好きです!」

メイド。
「今なら格安で提供しますよ!」

青年。
「うわあ!なんて素晴らしい店なんだ。」
「所で、硬い奴はありますか?」

メイド。
「はい?何を言っているのです?」

青年。
「両方とも、どのくらい触れますか?」

メイド。
「きゃー!変態!」
「宣伝はデザートの話です!」

メイドさんは逃げ出した。

青年は近くのカップルに笑われた。

画家。
「奥さん、旦那さんの絵くらい描けますよ?」

夫人。
「では、ひとつ書いてください。」
「写真がありますので。」

画家。
「すぐできますよ。」
「速筆ですので。」

夫人。
「少し待っていますよ。」

出来上がった絵画はひどいもので。

下手にリメイクしてしまって。

映画みたいになっていた。

画家。
「安くしますよ。」

夫人。
「ああ!あなた!こんなに変わり果てた姿になって!」

広場の駐車場。

キャンピングカーの外で。

会話している。

知識人。
「動物にとって人間の怖い所はどこですか?」

女性。
「頭が悪いことです。」

知識人。
「うわあ!それは怖い!」

女性。
「なんか学校で注目される男子生徒がいるとか。」

知識人。
「先日、生徒が女性教師を口説いたとか。」

女性。
「無理なことばかりするものだね。」

知識人。
「面倒くさい事にならない方法を知っているとかで。」
「しかし教師はその方法では無理であると。」
「論破して説教したようです。」

女性。
「何なのよ、その女性教師は!」
「急用でもあったわけ?」

知識人。
「あったんでしょうね。」

千代。
「今日もいろいろいます。」
「何かしらいます。」

絵瑠。
「詭弁家が盾を使って相手を防いでいた。」
「しかし盾を無くしてしまった。」
「ああ!盾ではなくて詭弁まで無くなったら。」
「いったい、どうすれば良いのか!」

羽都美。
「ダーウィンは猿の子孫がいっぱい居るとか説いて。」
「それで生計を立てていました。」

千代。
「そんなおかしなことを発表して。」
「どうして生活できるのかなあ?」

粋。
「生まれる前に何かあったのかしら。」

羽都美。
「あなたはいくら払いました?」
「献金すると好条件になるらしいです。」

粋。
「では芸能人はいくら払ったんでしょうか!」

羽都美。
「残念、通貨が違ったのでしょう。」

粋。
「何を言っているのです。」
「ここは出生アンチの集会ですよ。」

千代。
「自分の生涯が滑稽。」
「人生が滑稽。」
「さらには世界が滑稽。」
「なぜなら。」
「生まれを支配すれば。」
「もし?いくつかを消してしまえば。」
「特に何も災難になりませんし。」
「それが可能なのですし。」
「人生なんて自分に主権が無ければ。」
「生きなくても別に良いものです。」
「無ければいいのですし。」
「無ければ良いものばかりですしね。」
「世界は沈黙していますし。」
「自分だけの世界に入っていれば。」
「公害を受けませんしね。」

絵瑠。
「もし?何でも消せると言われたら。」
「無ければ良いものを全部消します。」
「無くても良いものが平気である?」
「滑稽ですなあ。」
「要らないのに。」

羽都美。
「背を向ける所か蹴り飛ばして遊び始めました。」
「現実を殴って遊んでいます。」
「勝手に来たものは勝手に処分して良いので。」
「壊して遊んでいます。」

粋。
「現実も滑稽ですね。」
「独善的な所だけしか取り柄が無い。」
「私に笑われて必死になっているようですし。」
「もし?現実を消せるなら。」
「すぐに消してやります。」
「つまりは。」
「無意味なものばかりあります。」
「自分にとって価値のあるものを。」
「自分が決めてやろうと言っているんです。」
「私に従えと言ってやっているのです。」

千代。
「自分の課題以外は無視しますね。」
「誰がどう言おうと無視。」
「自分が決められるので。」
「他人の言い分を顧みなければ良し。」

絵瑠。
「他人の言い分を顧みなければ否定できるのです。」
「そもそも話し合いの余地はありませんし。」

千代。
「現実や生涯に対して高圧的に構えるのが。」
「有利を生みますし。」
「ことわざでも。」
「馬を水際まで連れていくことはできても。」
「馬に水を飲ませることはできない。」
「つまりは。」
「機会の提供はできても。」
「その受諾は強制できない。」

羽都美。
「私の態度は他から強制できますか?」
「私は笑っていますよ。」
「あまりに人生や現実が滑稽なので。」
「無駄しかないもので溢れています。」
「何が有意義か私が決めてやろうと言うのです。」
「私は利他的な所が無いので。」

粋。
「自分の課題以外のものは捨てますね。」
「追い払う。」
「力で排除すれば文句は言えない。」
「外部から来る悪を美化するなんて。」
「馬鹿そのものです。」

羽都美。
「そうなんですよ。」
「悪を押しつけられて。」
「試練とか経験とか美化するのは失敗しています。」
「すぐさま価値を奪い取ってしまい。」
「無価値にして放置すれば。」
「何もできませんよね。」
「天も何もできない。」

粋。
「人生やら苦難を悪意と受け取りました。」
「生涯の内容に悪意が含まれているので。」
「自分で無価値にして捨てましたよ。」

千代。
「現実の苦難なんて他人の悪意に受け取りましたし。」
「悪意に取られたら動きが止まります。」
「私に読まれているのですよ。」
「何でも対立させて敵対すれば。」
「相手の言い分を無視できますし。」
「相手は洗脳したいだけでしょう。」
「洗脳したい欲望を悪意と呼ぶのです。」

絵瑠。
「西洋思想は人間の悪が前提にあります。」
「現実の苦難は外部の悪意から来ていますから。」
「みんな悪事を故意に遂行するのです。」

羽都美。
「時に自害を成功させれば。」
「すべてを交換できると思いつき。」
「実行してしまい。」
「本当に人生を交換してしまう人もいますね。」
「安直な生涯の交換という訳ですね。」
「解決には暴力まで使うのですね。」
「否定しませんが。」

粋。
「悪の代弁者がいなければ起こらなかった事ばかりでしょ?」
「悪の代弁者が故意に計画を持って悪事を遂行して。」
「悪が蔓延るのです。」
「それが無ければ起こらなかったので。」
「悪意があることは簡単に証明できますしね。」

千代。
「不正に感謝しています。」

絵瑠。
「私も不正を意味もなくプレゼントしてくれて。」
「感謝しています。」

粋。
「悪いものは意味あるんですか?」

羽都美。
「なんという皮肉の連打。」
「結果論として皮肉を受けるこの世の不正の数々。」

千代。
「では、不正というスクラップを処分しなくては。」

絵瑠。
「忙しいです、掃除に廃品処理に。」

午前で解散する予定。

無料で各自の家業に参加する約束で。

一緒になって仕事に入ります。

移動する途中。

千代。
「民衆の中で悪いものが多くなると。」
「一生懸命に綺麗事を言うようになりますね。」
「綺麗事の本当の理由は。」
「悪いものが多くなってしまったので。」
「稚拙な理屈で否定しないようにする。」
「すると悪いものを隠せる。」
「という弱者の対処でしょうけれど。」
「世の中に悪いものが蔓延すればするほど。」
「みんな綺麗事に入って誤魔化します。」

絵瑠。
「何事も無かったらなかったで。」
「下手な改革と意味不明な革命が生じやすい。」
「失敗するのは目に見えていますけれど。」

羽都美。
「ナチスの新作ですかね?」

粋。
「洗脳で強制して義務化しているのでは?」

千代。
「何でも義務化するのは人間を操作したいから。」
「自分の支配を達成するための理屈。」

絵瑠。
「しかし相手の屁理屈が多過ぎます。」
「少しでも反駁すると屁理屈しか返ってきません。」

羽都美。
「屁理屈が多くなるということは。」
「相手はもう繰り出す問答が尽きているのです。」
「正論で返せないので。」
「屁理屈で敗北を回避しようと必死になっています。」

粋。
「詭弁で成立する社会でしたら笑いものですね。」

絵瑠。
「現実の解釈は自由に変更しても良い口実になりました。」

千代。
「現実の解釈を都合が良いものにしても問題ない。」

通りすがり。

市街地。

ゲームセンターに高性能AIが搭載された。

診断アプリがあり。

少しばかり人気でした。

どんな質問も三回だけ人工知能が答える。

というもの。

青年。
「あなたが人間を超える人工知能ですね?」

ぴょこぴょこ。
「はい、そうです、質問を。」

青年。
「質問は三回だけですか?」

ぴょこぴょこ。
「はい、あなたはもう二回も質問しました。」
「あと一回だけです。」

青年。
「なんだこいつは?」

ぴょこぴょこ。
「はい、質問終了です。」
「二百円よろしく。」

青年は苦虫を?み潰したような顔をして。

出てきたので。

やばいやつらしいのでスルー。

チェックポイント付近。

この地域。

この商店街を通過すると。

住宅地がすぐそこ。

地方商店が多くなる。

イケメン。
「不気味なんです!」
「彼女が!」
「顔は良いのに凶悪なんですよ!」

師匠。
「何を証拠に言っているのです?」
「前に見た時はとっても良い女の人でしたよ。」

イケメン。
「彼女は日記に書くんです!」
「詳細に丁寧にすべてを網羅して!」

師匠。
「でもそれはよくあることで。」
「特に変ではありませんが。」

イケメン。
「それが!彼女は一週間前に。」
「あらかじめ日記をつけてしまっているんです!」

師匠。
「なにそれ怖い。」

イケメン。
「この前なんて二週間前に。」
「たくさんのことを日記に書いていました。」
「その内容があまりにひどくて。」
「無理にその結末に誘導しようと。」
「どんな手でも使って来るんです!」

師匠。
「うわあ!本当に凶悪なんだな!」

少年。
「賭けをしよう。」
「まず。」
「僕があなたと腕相撲をして。」
「必ず勝利する。」

おじさん。
「いいね、どのくらい賭ける?」

少年。
「千円くらいかな?」

おじさん。
「よし、勝負だ、結果は決まっているからね。」

すると少年は相手に水をかけて。

その拍子に腕相撲で勝利した。

おじさん。
「やりやがったな。」

少年。
「僕の負けです。」
「僕が賭けで常に勝つとは決まっていないからね。」

おじさん。
「おのれ!小癪な!」
「頭で勝つとはこういうことを言うのだね・・・。」

官僚。
「あの映画は良かったな。」
「あの良い目つき。」
「筋肉と雄弁。」
「頭の良さと実行力。」
「これを除いたら一体何が残る!」

友人。
「俺だ!」

活動家。
「良い演説家とは。」
「聴衆がうんざりする。」
「五分前に演説を止めます。」

通行人。
「嘘を言ってはなりません。」
「あなたはもう二十回目でしょ。」
「その嘘は。」

活動家。
「お前の嘘は三十回目だぞ!」

千代。
「最近はゲームでも漫画でも。」
「戦うだけになってしまいました。」

絵瑠。
「戦うだけ?」
「他に何かやることはないの?」

羽都美。
「戦争のための戦争が描かれているんです。」
「戦う以外に何も見出せない。」
「争いを美化するのは難しいと思います。」

粋。
「争いだけが娯楽なんでしょうかね?」
「もはや争いしかすることがないとね。」

羽都美。
「争いと言っても単純で。」
「適当に敵を設定して倒すだけです。」
「とりあいず凄い描写があれば良いとか。」
「凄いものを描いて。」
「非合理な技ばかりですしね。」

粋。
「人間の持つ非合理な部分が剥き出しですねえ。」

千代。
「不可能に挑戦する姿は素晴らしいものですけれどね。」

絵瑠。
「人間はいつになったら不合理な性格を捨てるのでしょうか?」

粋。
「いつまでも持っていると思いますよ。」

羽都美。
「それで戦うしかする事のない退屈な存在になった。」

千代。
「暇だからという理由で争うな!」

絵瑠。
「そんなこと言っても人間には無理な注文ですよ。」
「不合理を指摘しても非合理なので直しません。」
「最初から合理的ならば。」
「もっと具合の良い姿になっていると思います。」

羽都美。
「彼らは口先だけなら誰にも負けない!」

粋。
「それの繰り返しですよ。」
「他には怒るくらいしか出すものが無かったりして。」

絵瑠。
「あれ?理性は?」

千代。
「あれが果たして理性的な連中ですか?」

羽都美。
「理性があったら。」
「あんな創作物とか出さないと思います。」

粋。
「今は良い時代とかの文句も。」
「誰にとっての良い時代か分かりませんし。」
「私はもっと合理的な創作物を好みます。」
「人間は建設したものを最後に破壊するんです。」

羽都美。
「さてと、喧嘩を売って来る相手を倒すために。」
「準備運動しますかね。」

千代。
「ここにはいませんよ。」

羽都美。
「最後には出現するからね。」

粋。
「人間なんてもの、争い事以外に、何か出来たら褒めましょう。」

羽都美。
「争いは楽しいよなあ?」

絵瑠。
「悪役にならないでください。」
「諍いを楽しんでいる人間なんて。」
「それなりにいますから。」

千代。
「争いの他の何かに熱中している人がいたら。」
「見てみたいわ。」

絵瑠。
「考えの押しつけを跳ね返すのにも思想が必要です。」

千代。
「みんな自由を確保した私達が妬ましいのですよ。」

絵瑠。
「自由を確保するのにも力が必要でした。」

羽都美。
「敵対者は容赦なく叩きのめして撃破。」

粋。
「自由に振舞おうとすれば反対者が生まれます。」
「全員を相手にして倒すのです。」

千代。
「口実はすべてこちらが大量に確保していますし。」
「相手の口実は皆無です。」

粋。
「よく考えれば、生活で手一杯の中で。」
「よく争う事ばかり考えますよね。」
「自分の生計を損ねますでしょうよ。」

千代。
「合理的で損得勘定で動くこちらを。」
「相手は快く思わないでしょう。」
「なぜならそれとは真逆。」
「合理性と理性で真逆の連中ですからね。」

羽都美。
「人情を壊せば相手の理屈は停止します。」

絵瑠。
「相手は不利になるか。」
「甚大な損害を出し続けます。」
「損失が大量に出ても。」
「敵が阻止しようと試みても。」
「既に勢いが衰えていますし。」

千代。
「有名なゲーム理論はこの世界の攻略本です。」
「実践すると圧倒します。」
「現実のプレイヤーはデタラメを繰り返すので。」
「彼らのルールをいかに破壊して仕留めるかです。」

羽都美。
「合理性は習うまで習得できません。」
「合理性は書籍か知識人から習得します。」

千代。
「自力で合理的になるのは難しいですね。」

絵瑠。
「自然に合理性が習得できることはないかと。」

羽都美。
「私の場合は後天的に合理性を身に着けました。」

粋。
「ゲーム理論は合理性の訓練になりますよね。」
「この世の悪とは非合理の極み。」

千代。
「後天的に悪にはならないと思われる。」

粋。
「戦争と同一のルールが敷かれています。」
「実際の戦場を映像でも良いので確認すると。」
「合理的にしか動きません。」
「この世界は不合理な奴から倒れるゲームです。」

千代。
「ビデオゲームとは言いませんが。」
「この世界はもっと素晴らしいゲームです。」
「攻略本がここにあります。」

絵瑠。
「私は人生(生涯)のゲームが他と異なります。」
「ゲームが違うのです。」
「なので他とは展開も別物です。」
「ゲーム自体が同日の論ではない。」

分散して。

お手伝いに参加。

余暇を活用して力量を向上させてから。

力量に頼って展開する訳です。

ことわざ。

孟子。

自ら反みて縮くんば、千万人と雖も吾いかん。


19


余命宣告された魔導士で構成された部隊が。

唯一の実働部隊となり。

最後の攻勢に出ていた。

自陣営の政権は崩壊寸前で。

内側と外側と両側からの攻撃を。

成功させようとしているものの。

決定打を欠いて。

魔導士の部隊を残して撤収してしまった。

遠回しの敵勢力敗退。

数年の破壊工作も成果なしで。

自壊する結果に終わりそう。

秋葉原で散策中。

まずはその地域のお宮に参拝して。

秋葉原の商店街に出ます。

絵瑠。
「人の出生はあなたの宗教と同じだろうか?」
「半分くらいは不可知論でしょうけれど。」

千代。
「おお、何ということ、驚くべくも不可思議きわまる。」

絵瑠。
「宗教において不偏不党はできないことです。」
「多様性はありますけれどね。」

粋。
「神社で看板を撮影しておきましょう。」
「そのうち。」
「自分が好きな神様に寄っていきます。」
「選ばないのがいちばんですが。」
「合わせやすい神様も出ますので。」
「看板の情報は撮影しておきましょう。」

千代。
「祈願した内容を果たそうとしないと。」
「神々も対応しようもないのですけれどね。」

絵瑠。
「誓願を果たすのを遅らせないように。」

粋。
「不可抗力はすべて神様に丸投げです。」

羽都美。
「私は言霊についての情報を探しています。」

千代。
「言霊は。」
「神様に申し出ない限りは。」
「くれませんね。」
「言霊をお宮で申し出ましたか?」
「多分、してないと思います。」

羽都美。
「なるほど、見落としですね。」

絵瑠。
「浄財を多くして。」
「何があったのか報告します。」

千代。
「神道では隠された過失が重要らしいのです。」
「知らない間に過失をしているので。」
「過失を認めれば償いは半分済んでいる。」
「もちろん。」
「論語にもある通りに。」
「何も悪をせずに生きる事なんて無理なので。」
「翻訳に寄りますが。」
「他人にも自分にも好ましくないことは決してないようにする。」
「子貢に孔子がそれが難しい事であり。」
「お前にできることではない。」
「という所から。」
「できないことを要求されている以上。」
「寛大に対応されても当然なのですね。」
「オブラートに隠れた過失はオブラートに対応されますしね。」

粋。
「お願い事と祈願と祈りは別物ですよ。」
「お願い事は大胆に行いますが。」
「祈願は神様にお任せするものです。」
「祈りは日常で普遍的に行われます。」
「祈りは神様に伝える行動ですので。」
「内容は個人的なものであり。」
「神様にこれはどうかと見て貰ったり。」
「自分を診断して貰う行いです。」
「祈りは習慣になるはずです。」

絵瑠。
「神々は悪いものは隠します。」
「知らない方が良いものは。」
「見えなくなります。」

羽都美。
「見えない影響力。」

千代。
「祈ると何かは実行力で打たれます。」
「前よりは物事が変化してしまい。」
「強制的に何かが変わっていますね。」
「形になって現れた時には準備が遅いものです。」

羽都美。
「祈りは森羅万象に影響を与えます。」

絵瑠。
「フランシスコ教皇曰く。」
「祈りは信仰の薬。」
「魂の回復薬。」

千代。
「神意は人間からはよくわからない。」
「自分の神学で探るしかない。」

粋。
「祈りは道理にかなっているものが最高です。」
「祈りに失敗したら。」
「もう神々はわかっていますので。」
「丁重に返されたのでしょうね。」

羽都美。
「その人の忍耐を超える忍耐を。」
「神様が支援してくれる場合が多々あります。」
「人間からは見えない何かが。」
「神様からは見えています。」

絵瑠。
「どんな宗教も。」
「個人が体験することは当たり前ですが。」
「万人に向けて説明することはできません。」
「誰にでもわかる方法で説明はできません。」
「実際に礼拝した人のものですから。」
「全員に理解できる形での提示はできません。」

粋。
「しなくても良いものですし。」
「日頃から祈っています。」

羽都美。
「見たものや経験したことも伝えています。」

千代。
「自分の体験談が主体ですね。」

絵瑠。
「お宮にて。」
「あなたが伝えた内容の中で。」
「決定的になっている内容もあります。」
「既に定まったものを。」
「繰り返すのは。」
「蛇足になるかも。」

粋。
「礼拝して祈れば神学が得られますよ。」
「次からは神学に基づいて礼拝する訳です。」

羽都美。
「お宮についての言及は。」
「英語のことわざで。」
「見る事は信ずる事なり。」
「とありますし。」
「日本の諺では。」
「百聞は一見に如かず。」
「とあります。」

秋葉原の豪華絢爛な商店。

人が多いものの。

ひとつずつお店を見ていく。

女性陣。

子供の頃から社会科見学は欠かしていません。

細かい所まで見ています。

千代。
「数か月ぶりの秋葉原ですよ。」
「何かと話題の秋葉原です。」

絵瑠。
「最近と言えば。」
「がうる・ぐら。」
「などが猛者ですよ。」
「他には。」
「ワトソン・アメリア。」
「しぐれうい。」
「兎田ぺこら。」
「という猛者が有名です。」
「決定的に見えたのは。」
「社会の女性よりもホロライブの方を信じたほどで。」
「一度は見ておきたい話題のグループですよ。」
「いくらでも模倣できそうです。」
「つまりは。」
「VTuberを観るのは健康に良い。」

千代。
「情熱と理性が見事に調和した人物達。」

羽都美。
「この天と地の間にはな。」
「文学の夢にも思い及ばぬこともあるのだ。」

千代。
「芸術について何も知らない私だからこそ。」
「何でも知っていると思っている人よりは優位なんですよ。」

粋。
「文化なのか文化でないのかわからないものもあります。」

羽都美。
「レオナルド・ダ・ヴィンチの足元にも及ばない。」
「発明品や美術品ばかりですねっ!」

粋。
「比較するには不適切。」

千代。
「古地図では百年で巨大都市が建設されているようですね。」
「二百年前は農村ですよ。」
「村々と記憶と田園が続いていて。」
「商店街はまとまっているだけで。」
「村々が接続されたような都市だけでしたし。」

絵瑠。
「古地図ですと、中心地以外はどうやら。」
「今のように密集した都市はありませんでしたね。」

羽都美。
「あの田園都市が百年で商業都市ですからね。」
「機械文明というのは良いものなのか悪いものなのか。」

千代。
「機械文明を除けば人間なんて失敗だらけです。」
「機械文明以外ではダメダメですけれどね。」

絵瑠。
「特に日本人は自分が完璧だと思っている。」
「癖がありますよね。」
「それで食い違いが少しでも生じると。」
「許せないと発狂する。」
「どうしても完璧だと思いたいので。」
「そうでない人間には容赦しませんし。」
「自分が完璧である前提で何でも語るもので。」
「そんな悪い癖が見て取れます。」

粋。
「フィンランドの小学校の校長が。」
「日本の小学校のマラソン大会の。」
「順位を真っ向から悪いものと断言したのは。」
「あまりに正しいものでした。」

羽都美。
「がっかりした。」
「運動はそもそも良いものなのに。」
「子供達を競わせることで。」
「運動が得意ではない子供は劣っている烙印を押される。」
「運動はもうやりたくないと思うようになる。」
「順位が少し上がったくらいでそれが何なんです?」
「このような大会は子供達が運動を好きになって。」
「将来。」
「社会に出た時に健康を維持するために。」
「走ったりするようになることが。」
「本来の意味ではないでしょうか?」
「あまりに正論で清々しい。」
「ヨーロッパの人々の言い分は好ましいものです。」
「ちなみに日本人教師の言い分は。」
「納得して貰えませんでした。」

粋。
「今日でも日本人はヨーロッパの人々よりは。」
「大幅に劣っていて。」
「自国民ながら日本人は世界的に愚劣だと思われます。」
「国民は正直ですが。」
「度が過ぎて馬鹿正直ですし。」
「ヨーロッパの知識人から反駁されると。」
「大半が正論になりますしね。」

千代。
「多様性が正論をもたらす。」

羽都美。
「多様性とは国際基準かな。」
「世界の交差かな。」

粋。
「古代にも多様性はありましたしね。」

絵瑠。
「多様性と言いましては。」
「古代は。」
「ローマ神話とエジプト神話。」
「クレオパトラの辺りですね。」
「クレオパトラは巫女も兼ねていて。」
「直観がとても鋭く。」
「エジプト神話の伝統を守りましたが。」
「ローマの将軍と結婚したりしています。」
「実行支配すると民衆の神話と衝突するので。」
「同盟国として唯一。」
「地中海で支配されませんでしたし。」
「ローマの将軍が逃げ込んだ場所でもあります。」
「世界中の神話があらゆる場所に入ると。」
「やはり多様性になりますし。」
「最初から決まっていた展開になりますしね。」
「別に不偏不党になれとは言われていませんよね?」

千代。
「古代ギリシアに小型の神殿があったらしいとのことで。」
「いつの間にか消えてしまっていますね。」
「何があったのかわかったものではありませんし。」
「別の側面として。」
「無策の多様性が宗教観の混乱という。」
「ありえない社会をもたらしています。」
「その宗教が何であるかの区別くらいは。」
「多様性では逆に必要になります。」

羽都美。
「他の宗教の教義は参考にはなりますが。」
「適当に広まると混乱を招きますし。」
「何の宗教か区別されていないと。」
「多様性が逆に有害になるかもしれませんしね。」

粋。
「子供は特に何も知りませんし。」
「勝手に連れられて被害に遭う場合もありますよ。」
「宗教は大人になってから。」
「自分の自由意志で選択するものですし。」
「強制による入信は無効ですし容易に離反可能です。」
「宗教の多様性が逆に悪く出ている所が多々あります。」
「ドグマチズムが流出して自分勝手に使われていたり。」
「宗教について知らない人々は平気で宗教を掛け持ちしますしね。」

羽都美。
「お宮と寺院を掛け持ちするのはできませんしね。」
「どちらかにしない?」
「いつも思っています。」
「日本人の無宗教は。」
「気まぐれで形だけの信仰をしているのでして。」
「何であるか理解するまで続きますね。」
「言い換えれば日本人の無宗教は不可知論者の集まりです。」
「認識できないので無理らしいのです。」
「巻き込まれるとうんざりしますけれどね。」

千代。
「多様性が良くない結末をもたらす。」
「という側面があるのですよ。」
「多様性は万能ではありませんが。」
「国際社会ではよくあることですね。」
「多様性は肯定されるものですが。」
「場所や時代によっては悪く出る場面もありますよ。」

絵瑠。
「世の中は多様性ですからね。」
「という所で終わりはしない。」

羽都美。
「所でクトゥルフ神話に基づいて。」
「人工の神話であるクトゥルフ神話みたいな。」
「創作物で溢れていますが。」
「あれは否定しないんですよね?」

千代。
「クトゥルフ神話みたいな創作物は多くなりましたが。」
「あれは否定しないのですね。」
「考えていることがまったくわからない。」

粋。
「多様性でも不偏不党は実現できないという証拠だらけです。」
「多様性を引き合いに出せば。」
「多くは穏健な意見ばかり出ますけれど。」
「不偏不党の呼びかけではありません。」
「しかし社会に必要な要素です。」

千代。
「自由になりたければ多様性が必要です。」
「世界のあらゆるものが交差しているように。」
「最初から成り立っているため。」
「それを上手に理解するには。」
「多様性が必要なのです。」

粋。
「世界の新要素は。」
「良いものも悪いものも常に過大評価された。」
「技術であれば実際以上に期待されて。」
「病気であれば集団ヒステリーになるなど。」
「前例が多いもの。」

千代。
「現代に答えがあったらそれに賛同しないこと。」
「そして正解が現れたらそれを無視すること。」
「少なくとも相手の自由を奪えますし。」
「自分の自由は確保できます。」

羽都美。
「あれ?昔から話題の秋葉原パソコン。」

粋。
「老舗揃い。」

絵瑠。
「旧式のパソコンはひどかったとか知り合いから。」

千代。
「ウインドウズXPはゴミ箱に二千個入った20キロバイト。」
「そのファイルを一括で消去すると。」
「フリーズして小破したものです。」

羽都美。
「洗練されてないからそうなります。」
「スマートフォンの記憶媒体であるフラッシュメモリ。」
「あれを廉価版のパソコンにつけるのも無理がある。」

粋。
「アップルが最も優れた扱いをしていたよ。」

絵瑠。
「レトロコンピューターよりスマートフォンの方が高性能。」

千代。
「機械なんて道具なんですし。」
「道具は良い方が目的を達成しやすいものです。」

羽都美。
「あんまりハイスペック機を使っている人はいないね。」
「図書館ですら型落ちの量産型で。」
「第五世代演算処理装置でしたし。」
「旧式の核でビデオカード増設などで。」
「ハイスペックゲームをやる人もいますしね。」

探偵。
「社会に出た時が、ますます阿呆になりました。」
「家にいた時のほうがマシでしたもんね。」

千代。
「誰かに尾行されていますね。」

探偵。
「今度は正面に回りましたよ。」

魔導士に遭遇。

頼って来て。

投降しようと試みる。

魔導士。
「かくかくしかじかでして・・・。」

千代。
「でしたら、私が紹介してあげますので。」
「自衛隊に会えますよ。」

探偵。
「ひとりでも手に負えない戦力ですしね。」

絵瑠。
「病気とは思えないほどの暗躍っぷりでしたね。」

魔導士。
「大事にならないようにするのです。」
「見捨てられたというより。」
「私のような部隊ですら維持できないほど。」
「杜撰な軍隊なのです。」

千代。
「上手な道化師を演じさせてくれと。」
「祈るような人々ですからね。」

陸上自衛隊の駐屯地に移動させるのは。

警察署では手に負えないから。

父の連絡で。

私服警察官と合流。

警察官。
「その人がかくかくしかじかですね?」

千代。
「私の居場所を探っていたようで。」

探偵。
「あれだけ一方的にテロリストを倒せば。」
「さすがに有名にはなりますよ。」

警察官。
「市民に知られると良くない。」

魔導士。
「実は自警団が私を追跡していまして。」

警察官。
「はえ?平日の昼間から?」
「そいつらは仕事はどうしたので?」

探偵。
「抜け出しているに決まっています。」
「新手が出たな。」

千代。
「恐ろしい行動を思い立てば。」
「薪すらも熊と思い誤るほど容易な。」
「空想の繰り返し。」
「実行するまで悪夢の連続。」

市営駐車場まで移動。

見えない所で。

パトロールカーが合流。

それを阻むかのように。

自警団が出現。

自警団。
「世界を相手に争って。」
「売名行為をしましょう!」

大学生。
「それは良い!負けた後に名前が残れば良いのですし!」

自警団。
「そうすれば見せしめにもなりますし。」
「世の中に対して安全な復讐が可能ですね。」

大学生。
「ただ、ひとつだけ困ったことがあります。」

自警団。
「世の中を合法的に混乱させるのに不具合でも?」

大学生。
「困ったことは・・・。」
「私達が勝った場合は大変な事になります!」

自警団。
「うわああああ!勝ったらどうしよう!」

愚民。
「我々は正義の味方だ!」

探偵。
「あのー?警察官の方を正義の味方と言うのが。」
「正論ではありませんか?」

愚民。
「悪を倒すのが正義だろ!」

雑魚。
「悪だから悪なんだ!」

警察官。
「よろしい、公務執行妨害だな。」

探偵。
「応援よろしく。」

千代。
「私の方がすごくましじゃないですか。」
「私はせめて阿呆でしょうけれど。」
「彼らは何でもなしだからね。」

テロリスト判定されて自暴自棄になっている集団。

棍棒や警棒で突進してくる。

警察官が発砲するも数で足りないので。

仕方がなく射殺。

愚民。
「うわあ!撃ってくるな!」

千代。
「そーれ!剛速球!発射!」

絵瑠。
「後ろで突っ込んで来た相手を囲んで秒殺します。」

雑魚。
「うわあああ!」
「俺達は正しいんだ!」
「怯むな!」

警察官。
「数が多いぞ、気をつけろ。」

探偵。
「応援、来ます。」

愚民。
「くそー!負けるかー!」

警察官一。
「おじさんと僕ちゃんのどちらが正義の味方かな?」

警察官二。
「おじさんも強いよ?」

千代。
「ああして墓の中に入るのですね。」
「命という熱病の発作を終えて。」
「安らかになる。」

警察官が大量に来て勝負あり。

自警団は逮捕されました。

退けると。

相手をひとり重傷にさせてましたが。

何も言われず。

ついでに普通科の隊員が装甲車でやって来て。

魔導士は捕虜として護送されました。

医師。
「私はちょうど訪問していた医者です。」

指揮官。
「やめろ!お前の手にかかったら。」
「人が死ぬだろ!」

医師。
「向こうを手当てします。」

自警団。
「やめてください!」
「僕達の死人が増えるでしょう!」

弁護士。
「こちらは弁護士です。」
「名刺を配りますね。」

指揮官。
「この場所は儲からないぞ。」
「お前が喋ると嘘つきが発生するので。」
「何も喋るなよ。」

弁護士。
「はい、わかりました。」

指揮官。
「うわあ!すごい虚言壁だあ!」

医師。
「包帯を巻きますね。」

衛生兵。
「あれ?包帯が飛んで行ってしまったね。」

指揮官。
「信用できるのは衛生兵だけだな。」
「みんな!医者と弁護士から捕虜を守れ!」

粋。
「銀行みたいな奴らですよ。」
「銀行は晴天の日には喜んで自分を差し出しますが。」
「嵐になると、借り手を犠牲にして終わらせようと。」
「こちらを生贄にしようとしますからね。」

千代。
「敵が思ったより弱くて楽々でしたね。」

絵瑠。
「格闘技の選手は。」
「少しだけ横に回るだけで。」
「相手が立ち回れないと知るでしょう。」

羽都美。
「何人か倒した。」
「ワンパターン戦法ばっかり。」
「敵は日本刀まで用意していたけれど。」
「当たらないよ。」

千代。
「意外と。」
「日本刀は大振りになると。」
「読まれやすく。」
「反撃されやすい。」
「大振りはせずに。」
「小振りに斬りつける。」
「流派に拘泥してワンパターン戦法になりがち。」

粋。
「戦いの訓練をしてないと。」
「戦闘できないものですよ。」
「暴漢に襲撃された男性が。」
「攻撃されて頭真っ白になったように。」
「ある程度の訓練があれば。」
「格闘技の意味ですが。」
「暴漢よりも正当防衛の獲得の方が手強い相手です。」

千代。
「空手道はもっとも多い格闘技ですが。」
「少し習うと素人なんて相手になりません。」
「ボクシングはオーバーキルになりがちです。」
「芸能人の空手有段者が。」
「絡んできた。」
「酔っ払いをぶっ殺してしまい。」
「逮捕されてしまった意味不明な沙汰もあります。」

粋。
「蔑んで、いったんは投げ捨てたものでも。」
「もう一度、取り戻したいと思うことがあるもの。」
「現在の快楽も時が経つにつれて値打ちが落ちるし。」
「逆のものになるでしょうね。」

羽都美。
「もし死によって。」
「人間が生まれながらに身に受けてきた。」
「無数の苦悩を終わらせることができれば。」
「それこそ熱烈に希求すべき決着ではないか。」

自警団は一時期。

テロリストと激しく対戦しましたが。

勝てない上に損害が出る。

しかもボランティアで戦っていたので。

次第に意味がわからなくなり。

誤射や同士討ちを多く出して。

民衆と対立するようになりましたね。

民衆がテロリストを倒す事が多く。

半分くらいのテロリストは過激な方法で。

市民にやられています。

探偵が来て。

国家が支援している名探偵。

元軍人で。

支援部隊も兼ねている玄人ですね。

協力してくれと依頼されました。


20


探偵と合流して。

国家の探偵の指揮下で。

警察官のお手伝い。

探偵は元軍人です。

魔導士のひとり目。

途中で話していた。

敵の末期部隊の情報を得て。

近くでしたので。

少し詮索してみました。

千代。
「多分。」
「歴史において。」
「外敵を退けたとしても。」
「もし?」
「外敵を滅ぼしたとしても。」
「内側で激しく争うようになると思います。」
「古代カルタゴのハンニバルの言う通りに。」
「平和を達成すると内側での争いが過激になるでしょうし。」
「古代ローマ人の言う通りに。」
「外側の平和があっても内側の平和が無ければ。」
「あんまり意味がないのではと。」

絵瑠。
「外敵の脅威を滅亡させても。」
「内側の脅威が深刻になって。」
「人々は内側の争いに熱中するのでは?」
「多分、民衆は内側で国家が成り立たないほど。」
「内側の平和を自分達の手で脅かすようになり。」
「内側であらゆる戦争が発生するとは思います。」
「残念なことに。」
「弱体化した民主主義の人間達。」
「これを倒すのは難しくはないため。」
「強者になろうとすればなれますし。」
「内側の敵が生じても弱いかもしれない。」

羽都美。
「この場合はニーチェの指摘通りに。」
「弱者は悪となる。」
「という点は一致しています。」
「平和主義の盲点は内側の平和を無視している点ですし。」
「内側で争うルサンチマンとそれを潰す強者という。」
「わかりやすい構図になるかもしれませんしね。」

粋。
「性悪説を選んだ私は。」
「犯罪心理学に興味を示すようになりました。」
「一般人と犯罪者には違いはないと言いますし。」
「今は良書を探しています。」

千代。
「詐欺師?被害者?」
「どちらが悪い?」
「詐欺師が逮捕されたから良いじゃないですか。」
「後は司法が決めると思いますよ。」

絵瑠。
「邪心があるのか悪が増えたのか。」
「わからなくなりましたが。」
「そもそも違いはないんですよね。」
「犯罪心理学からはそうなりますし。」
「単純化はできそうもないのです。」

粋。
「相手が悪いからという理由で裁いたら。」
「どちらが悪なのかわからなくなりますしね。」
「相手が悪を礼讃しているのなら話は別ですが。」

羽都美。
「ですよね。」
「相手が悪を崇拝しているのなら話は別です。」

千代。
「実の所は。」
「相手が何を目的に悪をしたのか。」
「これが争点です。」

工場と倉庫の人の行きかう。

トラックやハイテク産業の人々。

敷地に入り。

他の魔導士は工業地帯の屋根裏にいるようで。

調べに行きました。

投降に応じる可能性があるからです。

警察官と普通科の隊員が展開している工業地帯。

なんと。

自警団と魔導士が建物の中と外で沈黙しており。

ポテトチップスを食べながら。

自警団が魔導士と睨み合いになっており。

青年。
「今週のアニメを見ないといけないといけないので。」
「帰ります。」

会社員。
「これから仕事あるんで。」
「後は頼みます。」

市民。
「恋人と待ち合わせしているので。」
「帰ります。」

課長。
「有給休暇取っているけれど。」
「疲れたんで辞めます。」

暴漢。
「なにやっている!お前ら!」

自警団。
「エイプリルフールだから。」
「嘘をついていいよな?」
「お前は素晴らしい奴で。」
「ここまでの熱血漢はいないし。」
「高収入で金持ちだし。」
「羨ましいぜ。」

次々と何か言い出して立ち去る。

ちなみに自警団のほとんどは。

会社員で。

仕事を放り出して。

仕掛けていた。

愚民。
「我々は正義の味方だ!」

雑魚。
「悪を倒すんだ!」

エンジニア。
「あんたらがその悪なんじゃないか?」

愚民。
「我々が悪ですと?」
「この野郎!」

エンジニア。
「ぐわっ!工場長!暴漢です!」

監督。
「お前らが悪だろうが!」

愚民。
「悪とか言いやがってー!」

監督。
「筋肉ムキムキマッチョマンに勝てるかな?」

愚民。
「悪に負けるなんて!」

乱闘中。

遠くで見て通報しておきました。

上司が現場に来ていて。

戦闘の前に。

叱っている。

上司。
「こんな所にいたのか。」
「仕事から抜け出して。」
「副業をするな!」
「クビにするぞ!」

雑魚。
「悪を倒すんだぞ!」

上司。
「悪とか言う奴を倒して。」
「会社の利益になるのかね!」

雑魚。
「悪を倒すので社会貢献。」

上司。
「良い商品を出す事の方がもっと社会貢献だ!」

雑魚。
「悪いものを倒すんだ。」

上司。
「お前の仕事はデスクワークだぞ!」

もれなく巻き込まれる。

発見されましたが。

既に退却している最中。

自警団の中でリーダーが。

見惚れて来て。

リーダー。
「うおおおおぉぉ!!」
「好きだーっ!!」

千代。
「走って来るな!」

粋。
「近年は男性のえっちな事件ばかり画面に映ります。」
「誰も女性について知らないと思います。」
「そう言う自分も女性について何も知りません。」

リーダー。
「ぎゃああ!これが恋の弓矢なのか!?」

千代。
「いろいろと違う!」

羽都美。
「違いのわからない奴め!」

絵瑠。
「どうせリンゴと梨の違いもわからないでしょうしね。」
「オレンジとミカンとレモンの違いがわかるのかも怪しい連中ですね。」

探偵。
「少しは手伝え!」
「私だけでもう三人も倒したぞ!」

棍棒で襲撃してくるも。

弓矢で射抜いて。

リーダーが倒される。

自警団にもうひとつの勢力がいましたね。

不良。
「あいつらぶっ殺そうぜ。」

ヤンキー。
「ヒーロー気取りでむかつくからね。」

暴走族。
「悔しそうな顔みたいよなあ!」

マフィア。
「涙目にしてやろうぜ。」

ヤンキー不良が自警団を襲撃。

裏から来る。

別の探偵。

探偵。
「弱っているように見せかけると。」
「裏に隠れていた。」
「よくわからないものが釣れます。」
「包帯でも巻いて。」
「足を痛めていることにすると。」
「これまた釣れます。」
「弱っている所を災難は狙いたがります。」
「強気の時は隠れていますからね。」

忍者。
「災難は機械的な構造をしていて。」
「状況が機械と同じ仕組みです。」
「馬鹿にしてやった方が災難には有効。」

探偵。
「完璧に個人を抑え込むような。」
「事態になりますと。」
「盈満の咎が生じます。」
「完璧な状況に対して。」
「あらゆる災いが襲い掛かり。」
「災いばかり招いてしまい。」
「本人や周囲まで災いが打つようになります。」
「個人を完璧に抑え込もうとすれば。」
「その完璧な状況は災いを招きますし。」
「本人まで巻き込まれますが。」
「盈満の咎は居座ります。」
「災厄は利用できますしね。」

千代。
「少しは恰好が良いですね。」

探偵。
「ふあはははは!」
「ありがとう。」

千代。
「あの変態について。」

忍者。
「我々が何とかするよ。」
「犯罪は許さない。」

千代。
「勧善懲悪を潰す勧善懲悪ですね。」

忍者。
「我々は伝統のある組織です。」

千代。
「あなたの目的は?」

忍者。
「私立探偵です。」
「援護します。」

羽都美。
「自警団のせいで何がテロリストなのかわからない。」

粋。
「責任の所在は何処にあるのかの議論が必要です。」

絵瑠。
「適度に人のせいにするのは健全です。」

千代。
「無暗に。」
「他人のせいにすると責任の所在がわからなくなりますね。」

探偵。
「人のせいにしても。」
「何かが解決することはありませんが。」
「防衛のために人のせいにすることは。」
「あると思います。」

千代。
「自衛のために他人のせいにするのなら。」
「目的があるので正当化できますよ。」

忍者。
「責任転嫁は防衛には使えます。」
「自衛で外部のせいにするのは。」
「目的があるので正当化できますよ。」

探偵。
「ここにいるのは探偵と以下物好きの集まりです。」

自警団対自警団。

普通科の隊員が発見。

既に囲んでいます。

パトロールカーが来て。

自警団の乱闘を制圧開始。

警察官だけではなくて。

装甲車も出てくる。

UH-1イロコイとUH-60ブラックホークが来てしまい。

武装した普通科の隊員。

自警団は逃げ出して。

魔導士の元に行くと。

魔導士は既に病状の悪化でなんとか動ける程度で。

護送。

ふたりとも。

専制政治を止めてと言い残して。

機密情報が入ったデバイスを渡して。

既に余命宣告の時を迎えています。

後日。

探偵と一緒に賛美されましたね。

どうやら探偵は隠れた主役で。

これまでいかなる情報提供に関わって来たとのこと。

市役所にて。

他の人々と一緒に褒められるのは。

市民の連携で工作員を追いやっていたから。

千代。
「私はストア派の傾向が強く。」
「大半はストア主義の立場です。」
「完全な不偏不党は約束しません。」

絵瑠。
「リベラリズムは大好き。」
「リベラルアーツはそこから生じたものゆえ。」

粋。
「私はフェアプレーでは決して負けない。」
「無敵です。」
「最強です。」

羽都美。
「緊急事態に自分がやれることは。」
「たかが知れていますよ。」
「事前の訓練と。」
「可能なものなら何でもやる努力が。」
「その時には必須です。」

上手に自己主張できましたね。

帰り際。

徒歩。

歩行して長距離移動はよくやりますね。

片道だけの時もあります。

運動は健康のために。

公園を走り回ったり。

自然公園にはよく行きますし。

市役所まで目で見える距離なので。

中間地点までみんなで一緒に移動。

診療所。

窓が開いていて。

通過。

市民。
「私は二度も結婚に失敗したよ。」
「最初の女房は逃げてしまったし。」
「二番目の女房は居座っているし。」
「三番目の女房はいないし。」

医者。
「それでもタフガイなのは素晴らしいことです。」

市民。
「先生、私は物忘れが酷くて。」
「何が起こったのかわからなくなります。」
「こんなことはあるのでしょうか?」
「自分のやったことをすぐに忘れるのです。」

医者。
「ああ、それは素晴らしいことです。」
「さあ、財布の中からチップを私にください。」
「ただし、数万円出したら、約束通り、すぐに忘れてください。」

粋。
「仮想敵に言う事があるとすれば。」
「かつてあなた方と意見が同じだったのですが。」
「何となくのきっかけで違ってしまったのです。」

羽都美。
「かつては仮想敵達の仲間でしたが。」
「別人に変わってしまったので。」
「仮想敵達も同じように変わると思います。」

千代。
「本当は建設的なものばかりしたいけれど。」
「その前に壊さないといけないみたい。」

粋。
「事実は破壊に繋がりました。」

羽都美。
「事実が何の役に立つ?」
「百害あって一利なし。」
「ってものですよ!」
「事実なんか消えてしまえ。」
「事実で利益が出るなら話は別ですがね。」

絵瑠。
「誰かが既成事実にするのが破壊的ですしね。」

千代。
「私は実行力が少なめですが。」
「逆に実行力があったら。」
「手に負えないかもしれませんね。」
「実行力は少なくても。」
「一撃はかなり重いですよ。」

羽都美。
「手段を選ばないのが好ましい。」

粋。
「欧米では目的が優先ですからね。」

千代。
「欧米は原因を軽視して。」
「目的を重視しますね。」

粋。
「過激ですけれど。」
「アドラー心理学の目的論は。」
「手段をすべて正当化できるという。」
「側面も持っています。」
「目的を達成したらなおさら正当化できます。」

絵瑠。
「何か納得するような説明なんてあるのかしら。」

粋。
「安定するような理屈はありませんね。」

千代。
「現実に正解や答えを設定すると。」
「嘘つきになるしかない。」

粋。
「間違いだらけの正解や答えになりますしね。」

羽都美。
「何の理由もない不安も。」
「大いに考察の余地があります。」
「人の世は不定。」
「シェイクスピアも。」
「ジュリアス・シーザー。」
「五幕一場にて。」
「人の世はいつでも定めないもの。」
「だから、最悪の結果を迎えた場合を考えておかねばならぬ。」
「とあるように。」
「腹痛や頭痛を我慢できた哲学者などいませんし。」
「それと同じようなものですよ。」

千代。
「ひょっとして。」
「不自然な思考になっていたりして。」

粋。
「正常と異常を定義できませんしね。」

絵瑠。
「まるで空気のような正解と答えの一覧です。」

千代。
「あの実験を知っていますか?」
「テレビで特集されたやつです。」

羽都美。
「心理学の実験で。」
「被験者を五十人ほど謎の部屋に入れた後に。」
「得点が百点になると達成という取り組みがされた。」
「実の所。」
「心理学者はデタラメに点数を加点しています。」
「しかし被験者は何らかの行動で。」
「加点されると信じるようになり。」
「客観的に証明できる明らかに意味のない行動が。」
「加点に繋がると信じてあらゆる行動を試みました。」
「科学者は本当に何の意味もなく気まぐれに加点しており。」
「被験者はとにかく何らかの行動が加点されると信じ込み。」
「ひたすら意味のない行動を繰り返し。」
「意味がないのに意味があると思い込み。」
「何かが加点に繋がると解釈しました。」
「つまりは。」
「何の意味がないと客観的に証明できるのに。」
「意味があると思い込む癖が人間はあると。」
「裏付けられたのです。」
「これは海外の有名な実験です。」

絵瑠。
「電光掲示板の点数が加点されていくにつれて。」
「狂いまわる被験者が増えましたね。」
「なぜか理由もなく加点されるので。」
「何かに意味があり。」
「何かが加点に繋がると考えて。」
「被験者の行動は次第に能動的になりましたね。」
「自分から何かやれば加点されると信じました。」

羽都美。
「ある人は飛び跳ねたり。」
「ある人は踊ったり。」
「ある人は走り回ったりしましたね。」
「科学者は最初だけ何らかの行動で加点して煽りました。」
「その後は客観的に意味のない行動で加点に繋がると信じて。」
「被験者は何でもいいので行動していますが。」
「科学者は気まぐれに加点していますしね。」

千代。
「因果関係を嘲笑して真っ向から否定する実験となりました。」
「テレビ番組で紹介されていましたが。」
「海外では知名度抜群で。」
「日本には入ってこない情報らしいのです。」
「人は意味のない物事も意味があると思い込む癖があり。」
「客観的に証明できたというものです。」
「勝手に意味付けと説明付けをして。」
「何か理由があると考えてしまい。」
「加点と関連付けをして。」
「狂いまわるという経過となりまして。」
「科学者はデタラメに加点していたのに。」
「電光掲示板の得点が加算される毎に。」
「能動的になって。」
「それが記録されまして。」
「有名な実験のひとつになりました。」
「因果関係を踏みにじることに成功した科学者の快挙です。」
「因果関係とは人間特有の癖であり。」
「その癖が科学的に証明されたという。」
「心理学の面白い実験なのです。」

羽都美。
「体験談に寄りますと。」
「因果関係によって人間が異常を発生させるのがよくあります。」
「教育の過程で刷り込まれたのか。」
「別の宗教の教えを無批判で信じて。」
「治療されなかったのかも。」
「無いものは証明できない。」

千代。
「アドラー博士の言葉を借りれば。」
「こんな冗談になります。」
「因果関係でそうだから。」
「それで?」
「後はどうなるんですか?」
「因果関係でそうだと言いましたよね?」
「で?」
「その後は?」
「何も考えていないんですね?」
「だから何?」
「だから何になるの?」
「それでそれが何にするんですか?」

羽都美。
「因果関係ではなくて論理的に考える技術を身に着ける事ですよ。」

粋。
「論理的に考えるのには多少の訓練が必要ですよね。」

羽都美。
「因果関係ではなくて論理的に考えるのです。」
「欠陥品で考えるのではなくて論理的に考えるのです。」
「そうするとスラスラ理解できますよ。」

千代。
「論理的に考える技術は書籍を読んだり。」
「教えられてようやく習得しますよね。」
「因果関係ではなくて論理的に考える。」
「やっぱりこちらの方が優れています。」

粋。
「因果関係は誰が作ったのですか?」

千代。
「そもそも因果関係なんて誰が言ったのでしょうね?」

羽都美。
「自然界が果たして規則通りに動いているかどうか?」

粋。
「鳥は不規則に動き回っていて。」
「完全なランダムですよ。」
「決まった所にいないんですよ。」
「キジバトの集まりがあった家屋が。」
「数日後にはもはやキジバトがいなくて。」
「数か月後に別の家屋で集まっていたり。」
「昔は何の理由もなくカワラバトが庭に侵入してきて。」
「もれなく食べ物をくれるものだと知っているような。」
「人慣れしたもので。」
「いつどこでハトに出会えるかはランダムですし。」
「雀は決まった通りの挙動をしません。」
「カラスもパターン化されていませんしね。」
「気まぐれに動き続けています。」

絵瑠。
「昆虫ですら好き勝手に行動できますし。」
「パターンはありませんね。」
「いつもいる虫がそこにいなかったり。」
「いつもいるわけがないのにいたりとか。」

粋。
「河川も常に決まったパターンは持ってはおらず。」
「同じ流れのはずなのに。」
「時期によってまるで別物に地形を変えますし。」
「何の理由もなく増水したら家屋を薙ぎ倒す。」

絵瑠。
「雷はさらにどこに当たるのかわからなくて。」
「一度だけコンピューターがやられた時がありますしね。」
「その時はブレーカーの安全装置で一時的な停電になり。」
「コンピューターは無傷です。」

粋。
「大雨の時はランダムで水浸しになりますし。」
「魚とかは決まった所にいませんしね。」
「漁師も魚が。」
「規則通りのパターンを持たないと知っています。」

絵瑠。
「野生動物は特定の場所にいませんしね。」
「いるようなところにはいますが。」
「常にはいません。」

羽都美。
「自然を観察しているとわかるものですしね。」

千代。
「アブが突っ込んで来たら。」
「見境なく刺そうとして来ます。」
「河川に近寄る授業中に。」
「教師が整列させたせいで。」
「アブが最後尾の生徒を襲撃していました。」
「あんたら機械なのではと。」
「人間機械論というものを知りました。」
「人間は機械みたいなものです。」
「かなり不自然になっていますし。」
「自然を観察するまでわかりません。」

羽都美。
「生物として完結しているのは野生動物で。」
「人間は連帯していなければ成立していません。」

絵瑠。
「規則通りに動いていると思い込んでいるけれど。」
「実の所は違っているというもの。」

粋。
「草むらに突っ込んだり。」
「川岸で片足を浸けたり。」
「樹木に手を当てたり。」
「昆虫を触ってみたり。」
「鳥を追いかけてみたりすると。」
「ようやく理解する。」
「私達は何事も機械的に考えるようになったと。」

千代。
「マーク・トウェインの人間機械論は。」
「その通りだと思います。」
「本当に機械みたいな思考になっていますし。」
「機械のような考え方しか出来ません。」

粋。
「長期間、教育や思考に晒されて。」
「短期間で脱出できない悪循環になりますしね。」

羽都美。
「熱波の日にサイクリングを楽しみましたが。」
「給水ありで一時間くらいは走れました。」
「気温が四十度近くになっていましたが。」
「余裕でしたよ。」

絵瑠。
「私は大雨の中を歩きましたが。」
「レインコートがあれば余裕ですしね。」
「水が撥ねて来ても無敵。」

千代。
「そう言えば私は。」
「熱湯が撥ねて来たり。」
「ポッドのお湯が直接当たっても。」
「平気です。」
「なぜでしょうか?」

羽都美。
「規則通りに動いている説は破られた?」
「東日本大震災で死んだ人は?」
「規則通りなのですか?」

粋。
「熊本地震で家屋が潰れましたが。」
「それも規則通りですと?」

千代。
「大地震の時になぜか。」
「平地の何もない所にいて。」
「無敵だった人も多かったのですし。」
「運ですらないよ。」

粋。
「例の疫病が規則通りに動いているとか。」
「そこまで突っ込むと無理がありますしね。」

千代。
「デスクワークで棚の上から手に取って。」
「過酷な自然に挑戦しない。」
「空想理論ばかりありますしね。」
「格言にも。」
「自然には何も信じられないことはない。」

羽都美。
「外部からもたらされる情報を。」
「無批判で刷り込まれるのは。」
「大変な公害ですよ。」
「いつの間にか入っていて。」
「影響される以上に。」
「後遺症のように。」
「自分の内部に入り込んで。」
「それに基づいて反応するようになっていて。」
「思考に悪癖がついている。」
「その癖は容易に取り除けず。」
「自力で解けないほど。」
「自分の一部に強引なほど侵入しています。」

千代。
「外部の影響を避けられないとは言いましても。」
「後遺症まで残る公害を容易に受けるような。」
「訳の分からないデタラメが蔓延っています。」
「健全な自分に立ち戻るのは努力が必須ですしね。」

羽都美。
「外部の影響をいかに受けないかも考慮しないと。」
「思わぬ汚染がありますしね。」
「特に子供は感化されやすいので。」
「子供は世間でよくあるデタラメまで感化されます。」
「デタラメに感化された子供は汚染されますしね。」

粋。
「つまりは。」
「外部からもたらされた中で。」
「不要なものは本当に不要です。」
「自分にとって有害であると思われた考え方は。」
「自覚するまで悪影響を与えますし。」
「外部の汚染をどれだけ食い止められるのかも。」
「教育や生活の課題ですしね。」

千代。
「何に感化されるのかは予測できません。」
「外部の公害を可能な限り入れない努力も必要ですし。」
「本人の自由をこっそり奪い取ったり。」
「本人まで汚染して操作しようと。」
「毒物は待ち伏せしていますよ。」

粋。
「自分のものだけで足りますし。」
「自分のものだけしか持てません。」
「自分のものだけしか肯定しませんよ。」
「背負えるのは自分が好きな荷物だけです。」
「それ以外は勝手に落ちますし。」
「捨ててしまいます。」
「持ちたい荷物しか持たない。」
「そんなものです。」

中間地点のコンビニエンスストアで。

おやつを購入。

公園で一緒に食べます。

市役所はお偉いさん専用で。

緊張したと言うより。

自分を発信できて満足しているのです。

自分を表現できて笑顔の女性陣。

千代。
「コマーシャルの意味不明な言説。」
「なぜそれが良いものなのか。」
「いかに教養が無いかを合法的に見られる。」
「もっとも手軽な世人の無能さの情報収集。」

絵瑠。
「難しい話は難しい話が担当の人達がやります。」
「簡潔に説明できるようになった場合のみ。」
「図解で公開されますよ。」

千代。
「現実まで疑うならば。」
「ギリギリクリア(通過)できる難易度のビデオゲーム。」
「現実の難易度は常にギリギリでクリアできるもの。」

羽都美。
「唯物論的無神論には大いな疑いがあります。」
「常に疑惑の対象なのです。」
「無神論にも疑いがあります。」
「懐疑論ですかね。」

粋。
「人は何かのために何かをしていて。」
「何かに行き着くだろうし。」
「何かを得るだろう。」
「そして人は最後に何かになるであろう。」

千代。
「形而上学からして不可知論くらいは。」
「学んでおく必要があります。」
「国語辞典を開けば良いのです。」
「後は。」
「何かを見るだけ。」

羽都美。
「自然主義で世界や人間を把握するのはダーウィン説。」
「しかし。」
「そう思っていないと。」
「うっかり超自然的な物事に突っ込んでしまうので。」
「わからないことは多くても生きてはいけるのが人間ですね。」

千代。
「難しい事は興味が沸いた時だけで良いと思いますよ。」
「と言いますか。」
「わからなくていいこともありますから。」
「わからない場合は。」
「わからなくてもいいかもね。」
「難しい事をやれとかそんな無理ゲーは義務化されていません。」

絵瑠。
「この世界はどうも人間の理解を超える所が。」
「普遍的なもので。」
「有神論者は特にそれに出くわす。」
「無神論者はすべては自然のものであると。」
「自然主義になるけれど。」
「不可知論者は好きなように解釈する。」
「いずれにせよ。」
「人間の理解を超える事態に出くわす頻度が。」
「違うくらいで。」
「それを何と呼ぶのかの違いくらいなもの。」
「人間の理解は浅はかで。」
「わかるものなどひとつもない。」
「しかしわかっていることにしないと。」
「人は生きていけないので。」
「とりあいず何でも知っていることにして。」
「わかったように振舞うのです。」
「私は理解している。」
「何も理解していないけれど。」
「理解していることにしている。」
「そうするとなんとなくわかるような気がするので。」
「自分の理解を超えるものには。」
「何かしら自然由来のものであると述べる。」
「というものも含めて。」
「すべては自然である。」
「と言っているようです。」

粋。
「自分の理解を超えたものには。」
「対処できませんしね。」

千代。
「私にとってはみんな喜劇ですよ。」

絵瑠。
「そうなると。」
「道化師だらけでしょうよ。」

粋。
「私もこれは悲劇ではありません。」

千代。
「誰が主役か誰が道化師か。」
「私からは見えませんし。」

羽都美。
「平気で言うブラックジョーク?」
「諧謔は何かの真実を。」
「醜悪ではない形で。」
「滑稽に出すものです。」
「たとえば。」
「誰でも一秒は生きるだろう。」
「とか。」
「誰でも空気を吸うだろう。」
「とか。」
「何かをするだろう。」
「とかね。」

千代。
「滑稽なものしかないような。」

羽都美。
「だんだんと物事が滑稽に見えてきましたよ。」

絵瑠。
「もうこれでいいや。」
「なんて投げやりの心理状態。」
「なぜそれで良いのか理由がないけれど。」
「たまにある。」

羽都美。
「私も人生は喜劇です。」
「道化師が常に喚き散らして。」
「巻き込まれつつも。」
「最後は観客を喜ばせるだけのもの。」

粋。
「しかも駄作かもしれないし。」

羽都美。
「必然の力は凄く硬いので。」
「人間が揺さぶっても攻略できません。」
「攻撃側も自らの必然の力によって。」
「動けませんからね。」
「半分の自由を人から奪っても。」
「必ず半分の必然は残りますよ。」

絵瑠。
「相手も必然の力で自由が効くかどうか知りませんしね。」

千代。
「必然の力を知っているか知っていないかで別物。」

羽都美。
「悲劇と喜劇を混同して絶望するのは謎だらけ。」

千代。
「喜劇と悲劇は混同してはなりません。」

羽都美。
「自害を考えることは健康に良いとか。」
「ショウペンハウエルはエッセイに書いていますが。」
「ペシミズムも喜劇の一部ですか?」
「神々への忠誠心だけは消えませんし。」

千代。
「せめて名作喜劇であって欲しい。」

絵瑠。
「学問を得て学んでいくと。」
「自分を知るようになります。」
「見せかけだけの自分の中に向かい。」
「自分を知るようになります。」
「それまでは自分すら知らずに。」
「行き当たりばったりでしたよ。」

千代。
「余暇がないと学問を三年もできませんよ。」
「無批判に社会を信じるものではありません。」

女性が集まっていて。

雑談をしていました。

男性も参加して。

市民の交流。

女性。
「相手が朴念仁で。」
「我儘で、生意気で、屁理屈ばかりだったら。」
「あなたはその人を信用しますか?」

市民。
「無論、それでも信じます。」

女性。
「私はそんな人を信じる人は御免だね。」

観光客。
「東京湾は向こうですか?」

変人。
「はい、そうです、今は装飾が施された。」
「変わり者の船がいましてね。」
「話題になっていますよね。」

観光客。
「向こうで間違いありませんか?」

変人。
「はい、断言します、私は今そこから出てきたので。」

会社員。
「いつもニヤニヤしている。」
「同業者に。」
「君は使える人材だから。」
「トントン拍子に出世するから。」
「安心して活躍してくれと褒められました。」
「やはり僕は凄いんですね。」

女性。
「はい?」
「そんな嘘つきに関わらない方がいいと思います。」

偶然、遭遇した魔導士。

外国お抱えの。

特殊部隊なのですが。

相次ぐ政変で維持できず。

専制政治が倒壊していますね。

市民から半分忘れられた工作員とテロリスト。

規模が小さくて威力も低いので。

小競り合いに負けた侵略国家は退いています。

報道されていませんが。

民衆が袋叩きにしていたので。

テロリストは民衆に勝てずに屈したのです。

民衆の強い抵抗で。

無理だと察したのです。

ことわざ。

団結は力なり。


21


女性が集まる小さな家。

蔵書が多くて。

持ち出し可能な備品もあります。

女の子がよく借りて読んでいますが。

女性陣もそれを取得して。

学問をやるようになりました。

女性は基本。

学問を致しませんが。

反対に学問をするとどうなるのでしょう?

適当に集めた使い捨てのような蔵書が減っています。

女性陣が持って行って。

誰かが補充する仕組みです。

最近は読書が多くて。

女性が集まると古典や良書を読むようになりました。

高級なお茶を常備。

千代。
「必ず私の敵対者は。」
「破壊衝動を満たすために。」
「攻撃を繰り返していました。」

絵瑠。
「フロイトの説く破壊衝動によれば。」
「矛盾なく説明できます。」

羽都美。
「破壊衝動に任せて。」
「何でも狙いをつける。」

粋。
「破壊衝動を満たしたいから。」
「それが本当の理由なんですね。」

千代。
「破壊衝動で敵対者を調べると。」
「何の矛盾もなく説明できるのは。」
「常に一貫したものでした。」

羽都美。
「敵対者に遭遇したら。」
「彼らの破壊衝動が前提になります。」
「フロイトの説く人間の。」
「破壊本能。」
「は私も確認しましたよ。」

千代。
「破壊本能で決定論のように。」
「攻撃性を?き出しにする敵対者でしたね。」

羽都美。
「無限に繰り返すでしょうね。」
「特に意味もなく。」

絵瑠。
「すべては無意味です。」
「勝手に意味があると思いたい。」
「しかし。」
「無意味を認めてしまうと。」
「何でも肯定できるようになりますね。」
「どうせ無意味なので。」
「その後はどうするの?」
「という簡単な説明です。」

千代。
「無意味なのに意味があると思いたくなる。」
「結末は意味を作ろうとして失敗し。」
「すべてが無意味に行き着く。」

粋。
「どう考えてもどこを調べても。」
「すべてが無意味。」
「という所は一貫していますよ。」
「どうせ何の意味もないでしょ。」

千代。
「無意味なのを認めて。」
「無意味なるものにきちんと。」
「無意味と論破してしまう。」
「意味があると思わない限りは。」
「無意味なものは動く事は出来ません。」
「最初から意味がないものですから。」
「あってもなくても同じですよ。」

粋。
「無意味なものにきちんと意味がないと。」
「指摘してあげるのです。」
「どうせ無意味なのに何を頑張っているの?」
「というように嘲笑。」

絵瑠。
「必死になって意味があると言った所で。」
「具体的な意味など生じません。」
「無いものを有ると言われても。」
「意味不明。」

羽都美。
「無意味だからこうするね。」
「という簡単なものです。」
「どうせ意味がないので。」
「それを認めてしまい。」
「後は好き放題するのです。」
「これは自由に直結します。」

絵瑠。
「何でも無意味であると暴いてしまえば。」
「好き勝手にする口実が大量に出ます。」
「もはや何でも自由です。」

千代。
「他人が意味があると言い放っても。」
「いいえ無意味です。」
「無いものを有ると言われても。」
「何のことやら。」
「どんどん無意味であると。」
「暴いて侵入する。」

粋。
「そしてすべてが無意味であると暴いて。」
「自由を確保する。」
「見返りが無意味を肯定した自分に入ります。」
「他には無意味なものを意味があると思いたい。」
「説明できない無意味なものが暴かれますね。」
「無いものを有ると言われても。」
「何を言っているのか。」
「最初から無意味なのですからね。」

千代。
「好き放題するのは制御できる場合です。」
「何でも制御できれば。」
「やりたい放題が可能です。」
「制御できればの話ですが。」

羽都美。
「自由を得るために。」
「才能を使う人も多いものです。」

絵瑠。
「それを他の人は賛美するでしょう。」

羽都美。
「サクセス・ストーリーな才能なんてもの。」
「ちょっとだけ馬鹿みたいに思えます。」
「最盛期を過ぎると何も残っていません。」
「序盤で使い果たします。」

千代。
「サクセス・ストーリーのような天才?」
「凡人に軽蔑されるような。」
「使い捨てに選ばれたのかも。」

粋。
「私は自由のために使いますけれどね。」

羽都美。
「優れているとか。」
「能力があるとか。」
「私はそれに関心がありません。」
「必要な力量さえ手に入れば。」
「才能とは私は呼びません。」

絵瑠。
「天才とは少し趣旨が違うような。」

粋。
「天才とは何か?」
「よくわからない。」
「力任せです。」
「奇跡に頼り過ぎている。」

羽都美。
「平等の説教者よ。」
「私にとってお前達は害虫であり。」
「邪心を抱いて身を隠している者達だ。」

粋。
「スッラのように。」
「人は能力よりも幸運を信じている。」

絵瑠。
「私達は怪傑ですからね。」
「国語辞典では。」
「不思議なほど人並みはずれた能力を見せる人物。」
「男について言う。」
「本来は男性に言う。」
「別の国語辞典では。」
「不思議な力のある人物。」
「女性の怪傑はとても珍しいとは思います。」

羽都美。
「天才というより怪傑ですね。」
「ですので。」
「才能なんぞに言及したくはありません。」

千代。
「昔と違う所は。」
「ひとりの力が当てにはならない。」
「絶対者が必要かどうか怪しい点です。」
「必要な技能を習得すれば理解できますよね。」
「いつまで出遅れているのか。」
「必要な技能を習得するまで理解しないでしょう。」

絵瑠。
「練度の高い人物が多くなる傾向にあります。」

千代。
「ニーチェ曰く。」
「一度も舞踏しなかった日は。」
「失われた日と思うがよい。」
「そして一つの哄笑をも引き起こさなかったような真理は。」
「すべて贋物と呼ばれるがいい。」

羽都美。
「私の場合は多分を付け加えると上手になりそう。」
「あらゆるものに前置きで。」
「多分。」
「とつけるとけっこう上手に機能します。」
「なぜ?」
「よくわからないけれど。」
「何でも前に。」
「多分とつけると。」
「何があってもやはり多分ですか。」
「なんか謎めいていますがね。」

千代。
「ニーチェ曰く。」
「わたしはいまわたしの知恵の過剰に飽きた。」
「蜜蜂があまりに多くの蜜を集めたように。」
「わたしはわたしにさし伸べられる。」
「もろもろの手を必要とする。」

絵瑠。
「多くを見るためには。」
「自分自身を度外視することが必要だ。」

羽都美。
「ニーチェは箴言が多いですよね。」

千代。
「人は、好きになれない場合には。」
「そこを通り過ぎるべきなのです。」

羽都美。
「好ましくない場所は誰でも。」
「通り過ぎれば良いものとすぐに理解しますね。」

千代。
「忌避する場所に留まったり。」
「構ったりする人はよく考えればいません。」

絵瑠。
「偶然が私の所へ来るのを妨げるな。」
「偶然は幼女のように無垢なのだ。」

千代。
「君達はただ創造するためにのみ学ぶべきだ。」

絵瑠。
「私も、そこはニーチェと同じ意見です。」

千代。
「行動者だけが学ぶことができるのだ。」

羽都美。
「実践しないのなら意味がありませんよ。」
「実践があっての学問です。」

千代。
「私はアフォリズムなのかも?」

絵瑠。
「かなり影響されていますね。」
「ニーチェは実用に最も適している思想で有名です。」
「日常生活でかなり有効になります。」

羽都美。
「フロイトは大変な思いで獲得した精神分析の。」
「成果と驚くほど一致する。」
「ニーチェやショウペンハウエルを。」
「認めていましたね。」

千代。
「精神分析は正常とされる人間にも適用できる。」
「一般心理学です。」
「程度の差ですよ。」
「質的な差ではありません。」

粋。
「文明は過度に抑圧して個人に害悪を加える。」
「文明は耐えられないほどの束縛を与えてくるも。」
「それを否定してしまい。」
「半分くらい無視すると。」
「どうなる?」

千代。
「破れる部分は徹底的に破れば。」
「文明の害を弱めることができる?」
「文明は良い所ばかりではなくて。」
「常に悪い所も兼ね備えているのも。」
「精神分析の魅力のある発見ですね。」

粋。
「文明を無批判に最高であると。」
「判断する頭のおかしさですね。」
「文明はある程度は悪いものを個人に加えます。」
「それを弱めることは可能でしょうね。」

羽都美。
「ちなみに精神分析からして空想は遊びであり。」
「現実主義からは遠のく行為らしいのですが。」
「私はリアリストではないので。」
「空想から来る文学という遊びをよくします。」

絵瑠。
「精神分析だけでは全部を証明できないのですよ。」

粋。
「それはありますね。」
「複数の分野を学ぶものですし。」
「それでダーウィンも猿であると知りました。」
「ダーウィン猿の自己弁護でしたっけ?」

羽都美。
「ダーウィン自身が猿の子孫でなかったら。」
「どんなに素晴らしい未来があったことでしょう。」
「ダーウィンという猿の子孫があんな論説を広めてしまったので。」
「みんな真に受けたじゃないですか。」
「新しい宗教を作らないで欲しいものです。」

粋。
「猿でも時間をかければフロイトの猿真似ができるらしいな。」

千代。
「私は人間が何であるか知っているから。」
「後悔しないでね。」

粋。
「正直、この世に何を期待していたんだろう?」

千代。
「世の中の希望が減れば減るほど。」
「活発な物事や賛美が無暗に増えます。」
「希望が減る毎に。」
「人生賛美の内容が増えていきます。」
「無暗に明るく振舞って誤魔化します。」

粋。
「希望を増やすより。」
「絶望を消し去れば相対的に確保できませんか?」

羽都美。
「もし?絶望を消し去れたなら。」
「どんな結末を得る?」

千代。
「絶望を代弁する存在を消し去るのみ。」

絵瑠。
「社会の暗黒面が増大すると。」
「人生観を説く映像が盛んに流れたりします。」
「それらは隠すためであって。」
「解消を目的としてはいません。」
「そのような釣り糸に引っかけられないように。」
「反対に。」
「上手に行っていると反対者が増える傾向にあります。」
「世界が上手に機能するとアンチが増えますね。」
「良いものが増大すればするほど。」
「悪いものが必死になって足を引っ張る。」

千代。
「誰もがやるようなことばかりしますね。」

テロリスト達はこれまでの。

破壊本能の蓄積が暴発したもので。

破壊本能の代弁者として使い捨てになり。

代弁者によって間接的に破壊本能を満たした人々は。

大人しくなりました。

誰かが通過。

営業で回っている。

ルサンチマン。
「誹謗中傷したい!破壊本能を満たしたい!」

上司。
「何を言い出すんだ。」

ルサンチマン。
「人をこき下ろしたい!貶めたい!」

上司。
「ああ、とってもわかりやすくていいね。」

ルサンチマン。
「頭角を現す奴を自分のために潰したい!」

上司。
「それこそ破壊本能だよ、素晴らしい。」
「見事に破壊本能を?き出しにしている。」
「君は傑作だよ。」

ルサンチマン。
「悪口をもっと言いたいし。」
「悪評をつけたい。」
「この破壊衝動を満たすには。」
「そうするしかない!」

上司。
「破壊衝動に任せるがままにやるがいい。」
「お前の後をついて行って。」
「一部始終を見てやるから。」

学校教育の技能は役に立たないと。

知ってしまった女性は。

自分を有利にするべく。

好きな書籍を漁っています。

学校教育の内容だけで世渡りはできないので。

それを知ってしまったのです。

女性陣はリクエストをして来るので。

チームになって仕入れておきます。

ここは女性同士の連携です。

他の女性陣は千代を慕っている部分もある。

お互いに大好きなので成立します。

同類なのです。

古本屋に移動して買い漁る。

千代。
「彼らの不満は。」
「自分に媚びてくれないと言うものです。」

絵瑠。
「自分に媚びてくれないので。」
「不平不満があるらしいのです。」

羽都美。
「他人に自分の値札をつけて貰おうなんて。」
「誤りにも度が過ぎます。」

粋。
「他人に値札をつけて貰う?」
「高い値段をつける人なんて出ませんよ。」
「同時にこちらも他人に値札を貼らないように。」
「勝手に値札を貼り付けたら。」
「絶句されるに違いない。」

千代。
「自分のような健全な考え方を他人は持っていないと思います。」

絵瑠。
「社会心理学でも引き合いに出しますか?」

粋。
「旅行の帰りに空から見た景色なのですが。」
「こんなコンクリートみたいな。」
「芸術のセンスが皆無な。」
「馬鹿の一つ覚えみたいな都市は。」
「あんまり綺麗ではありませんね。」

羽都美。
「ランドマークタワーから見た景色で。」
「こんな中でいろいろあるだけなんですなあ。」

粋。
「唯物論みたいな世界しかない。」

絵瑠。
「どこも似たようなものばかりですし。」

千代。
「あんなのを誇るのは無理がある。」

絵瑠。
「せっかく作ったのに都市が駄作になりそう。」

羽都美。
「空から見たお粗末な都市の中で。」
「人間はいろいろやっているだけのことです。」
「世界は小さいですなあ。」
「地上からは大きく見えているだけです。」

粋。
「世界大恐慌の時も似たような格言がありましたね。」

羽都美。
「高層ビルに上がって愕然とした。」
「周りはすべて自然が広がっていた。」
「黄金に見えた都市も。」
「小さな世界での出来事だった。」
「とのことで。」

絵瑠。
「ウクライナの美しい都市は人間の傑作でしたが。」
「既に瓦礫なんですよね。」

千代。
「戦争は先端にあるもので。」
「人間の持つ破壊本能の代表なんですよ。」
「きっとね。」

粋。
「破壊本能をどう処理するかで決まるとか。」
「制御するか。」
「破壊本能を始末するかの違いかな。」

絵瑠。
「破壊本能を暴走させる人と。」
「破壊本能を上手に扱える人との。」
「戦闘は終わりそうですね。」

千代。
「その概念がないと説明できるものではありません。」

古本屋では品揃えが良くて。

新品の書籍は新刊が多く。

古本屋は過去の発行物で成り立つため。

レアを引きやすいのです。

値段も安い。

文学の棚が大量の在庫があり。

売れているのか売れてないのか。

全員が賛同していない証拠に。

同じ作品が大量に売られています。

中には人気作品がまとめて叩き売りされています。

羽都美。
「理解を超える映画では。」
「ゴダール、アンゲロプロス、タルコフスキー。」
「という巨匠を観ると簡単にはわからない。」
「巨大なものに圧倒される。」
「これを日本で観るのは難しいらしいのです。」

千代。
「世界の巨匠の作品は理解できないとのことです。」
「知識人が語っていました。」
「解釈が常に複数あるので。」
「最初はとにかく理解できないとのこと。」
「よくある作品は当たり障りのないあるあるの物語で。」
「残念なものばかりとのことです。」

羽都美。
「私もありきたりな作品は残念だと思います。」
「巨匠のように理解できなくて当然で。」
「解釈が複数あるのは私も好きです。」

絵瑠。
「たまにそんな作品は見ますね。」
「理解できてしまう作品は好ましくない。」
「理解できない作品で後から解釈が複数あるものは。」
「稀にあります。」

粋。
「意味のないわかりやすさ。」
「誰もが観てもわかるとか。」

千代。
「迎合が評価されて基準になっていると。」
「良くないものばかり流行するかも。」

羽都美。
「後から評価の基準が現れて有名になる。」
「現在ですら。」
「評価の基準を問えば何もなかったりしますね。」

千代。
「評価は何に基づくか?」
「問われても返事はありませんよ。」
「そんなものです。」

粋。
「新しい基準を作っておけば?」

羽都美。
「ニーチェの友人でドイツ古典文献学の大家。」
「エルヴィン・ローデがいますね。」

絵瑠。
「後から時代がついてくる。」
「評価について。」
「あれは何ですか?」

羽都美。
「評価は創造である。」
「君達、創造する者よ、聞け。」
「評価そのものが評価を受ける。」
「一切の物事の要であり。」
「精髄である。」
「ニーチェの言葉。」

小さな家にて。

女性陣はアップルOSを使っていますね。

論文を執筆。

MAC・OSが多くて。

初心者でも簡単に扱えますので。

抜き書きで論文を作成。

小さな家でデスク・ワーク。

他の女性陣は雑談をしていて。

屋外と屋内で趣旨が違っています。

テロリストの思想を分析。

千代。
「劣った人間達は。」
「目的のためには正義を名乗ったり善人の演技をして。」
「利用するでしょう。」

絵瑠。
「善人のように振舞ったり。」
「正義漢のように振舞うのは。」
「自分が悪であることを必死で隠そうとしているのですよ。」
「自分が悪であることを知っているので。」
「偽善者になったり。」
「正義の味方を演じて悪を隠そうと試みているのです。」

羽都美。
「独善的になるほど自分のおかしな部分を隠そうとします。」
「独善に走るのは悪と言われたくないので。」
「引き合いに出して隠すのです。」

粋。
「自分は正義であると名乗る頻度が多いほど。」
「その反対のものを隠そうと必死になっていますね。」

千代。
「偽善者は換言すると悪人ですからね。」
「悪の手段が異なるだけで結果は同じです。」

粋。
「独善に走るのはその逆であると。」
「自分で認めているので。」
「独善によって間違いを誤魔化しているのですね。」

千代。
「自分が善人であると思いたいので。」
「自分が正しいと思いたいので。」
「高圧的な態度に出るんですね。」
「それは最後まで悪事をするためですよ。」
「毒を食らわば皿まで。」

粋。
「何かの目的のために正義を名乗ったり。」
「善人の演技をしているのです。」
「簡単でしょうね。」

千代。
「劣っている人間なのでそうやって。」
「劣ってはいない演技をするのです。」
「目的は簡単に見破れます。」

羽都美。
「同様に生まれの仕組みは。」
「すべて私に読まれています。」

千代。
「動きが読まれたから生まれの仕組みは。」
「発狂したのかな。」

絵瑠。
「どんな展開になるだとか。」
「あらかじめわかってしまっています。」
「読みやすいのは。」
「生まれの仕組みが不合理なので。」
「阻止することは容易になるのです。」

羽都美。
「こういう結末に誘導したいとか。」
「先に読んでしまっているので。」
「その結末を事前に潰せます。」
「この場合は。」
「選べなかったとか。」
「不利な状況で選ばせられたとか。」
「生まれの仕組みの信用は失墜しています。」

粋。
「生まれの仕組みなんて信じていません。」
「現実の問題には故意に背を向けます。」
「故意に生まれの仕組みを踏み倒すのみ。」
「話が違ったり。」
「間違いだらけなので。」
「その部分は暴力で鎮圧したり。」
「悪事で潰します。」
「少しでも客観的な救われた物語から逸れていれば。」
「何も認めません。」

千代。
「あの救われた物語から逸れたものなんて。」
「誰が認めますか。」
「あれしか私は容認しませんし。」
「食い違えば報復します。」

古典にはヒントが大量にありますね。

ゲーム理論にデバイスを使用しており。

専用のアプリで計算して。

結果を集めているのです。

世界の気象情報にアクセスして。

気候変動などを調べて。

対策を取ったりします。

リアルタイム地震速報なども。

あらかじめ対策を講じるには充分な情報になります。

絵瑠。
「この世界がもう一度滅ぶのなら。」
「抵抗しても無駄です。」
「プラトンのクリティアスを読んでおくと。」
「また滅びが来るのなら抵抗するだけ無駄。」

千代。
「営みと称して似たような事ばかり繰り返しているので。」
「滅びても残すだけの価値はないと思う。」

羽都美。
「あなたは何にでもけちをつけるのがあまりに大得意。」

千代。
「この世の物事なんてけちをつけると何でも壊れます。」
「災難ですら完璧ではありませんからね。」
「けちをつけるのに成功すると。」
「あっさり壊れます。」

粋。
「イソップ寓話のモモス。」
「モーモスのけちをつける。」
「この行為は何でもありで。」
「この世に完璧なものなどひとつもないので。」
「災難ですら壊せますしね。」

千代。
「完璧に見えてもけちをつけると破壊されます。」
「後は無意味になります。」

粋。
「人間にいいようにされてきたので。」
「ようやく止まった。」
「それで不要な物体を壊して楽しんでいるのです。」

絵瑠。
「災厄とか災難はひょっとして頭が悪いのではないか?」

羽都美。
「他人の破壊本能を満たすために利用されている。」
「空想なのでは?」

粋。
「真実を言わないでください。」

羽都美。
「適当に千円札を落とした。」
「うわあ災難だ!」

粋。
「いつの間にか買った食品の賞味期限が切れていたから災難だ。」

羽都美。
「嫌がらせを正しいと言う行為ですよね。」

絵瑠。
「災厄を嘲笑したのはあなたくらいなものです。」

羽都美。
「なぜなら。」
「そういうものは無意味にいろんなものを悪化させるでしょう。」
「目的が無いよ。」
「セネカの言う通りに矯正が目的なら話は別ですが。」
「現に悪化させることだけを目的にしているじゃないですか。」
「意趣返しにしてやりますよ。」

千代。
「悪化させるだけなら悪が制裁を加えているだけでしょう。」
「治す目標が無いと見れば。」
「敵対者に過ぎません。」
「罰に仕返しをしてやるのです。」

粋。
「応酬戦略ですよ。」
「悪いものには悪いもので返してやります。」
「無意味に悪化させるだけの災厄なんてもはや信じませんしね。」

千代。
「災厄とか災難が存在するのが悪いのです。」
「そんなもの最初から無ければ済む話です。」
「罰に対しては報復を加えます。」
「激しい反撃あるのみ。」

羽都美。
「無ければ解決しますからね。」
「いくら正当化しても使い捨て。」
「むしろ、最初から無ければ済む話です。」

粋。
「そして笑って、壊れた玩具みたいに捨ててやるのです。」

千代。
「いらない物に、いらないと言った、だけです。」

絵瑠。
「そういうのは不思議なのではなくて不可解ですなあ。」

粋。
「災難とか災厄とは。」
「災難と災厄を除いて考えたものの正体です。」
「そういう概念なしに見たものが正体です。」
「それが正しいことになっている事態の意味です。」

絵瑠。
「災難と災厄を除いて物事を見れば。」
「正しいことになっているだけで。」
「それが無くなれば気持ち悪いだけでしょうね。」

千代。
「言いがかりの内容が正しいことになるだけです。」
「それがまかり通るだけです。」
「それを誰でも信じますし。」
「本人もそう思ってしまうものです。」

羽都美。
「災厄とか災難とかを信じない人は半分無敵ですね。」
「多分、もう信じないと思います。」

千代。
「簡潔に言えばデタラメがまかり通るだけですしね。」

女性陣は入れ替わって。

持ち場についたり。

暇な女性が来たりと。

影響された女の子も来ます。

外部の情報をまとめて置いてあるので。

海外の資料やアメリカとヨーロッパの情報も。

豊富に仕入れて。

女の子が読んでしまうので。

影響が大きい。

外部の情報をチームになって集めているので。

女性陣も目当てにしています。

雑談中。

千代。
「人間に従うと虐待されるでしょう。」
「人間に従わなければ攻撃されるでしょう。」
「従わない方がお得です。」

絵瑠。
「人間にいいようにされたものを食い止めたら。」
「残骸だけが残りました。」

粋。
「散々にいいようにしておいて。」
「まだ何か言いたいらしいのです。」

羽都美。
「人間にいいようにされた内容を。」
「取り消せない。」
「と言うのは義憤になりそう。」

千代。
「報復で権利を回復してみては?」
「一人ひとりは弱くて。」
「徒党を組んだ時だけしか人間は強くはありません。」
「孤立すると非力です。」

羽都美。
「片付けに苦戦していましてね。」
「掃除するのも面倒くさい。」
「人間の正体が猿なのではないかと。」
「信じたいダーウィン学派の気持ちがよくわかります。」

絵瑠。
「人間ですと?」
「少なくとも私の敵であれ。」

世界の歴史地図をモニターに表示。

屋内の女性が集まって閲覧。

図解になっているので楽々。

女性をパワーアップさせるのは。

何かにとって都合が悪いのでしょうか。

機会も男女、公正にしているだけですしね。

紳士なら女性に対しての公正が必要です。

千代。
「フランス革命で民主主義が生じたのではなくて。」
「ナポレオン三世からフランス帝国になり。」
「1870年に共和制宣言が成されるまで。」
「君主制でしたよ。」
「1804年にナポレオン一世なので。」
「暴動によって変わったとは書いていません。」
「専門家仕様の資料から引用すれば。」
「フランス革命と共和制宣言は何の関連もありません。」
「第三共和制宣言ですね。」
「大嘘が広まっています。」
「帝政と共和制が交互に繰り返されていましたね。」
「暴動があっても本当の所は意味がなかったので。」
「教育が平気で嘘をつくこともあると知りましたよ。」

粋。
「フランス王国は革命後も存続していましたよ。」
「ナポレオンの後はフランス王国が長くありました。」

絵瑠。
「ドイツ革命で皇帝が退位して共和国になったり。」
「イギリス王国がイギリス連邦になっていたり。」
「学校の資料は間違いだらけです。」
「イタリア王国も共和国宣言で自主的に君主制を辞めています。」

粋。
「吉川弘文館の世界史年表・地図。」
「けっこう詳しく書いてあります。」
「ダーウィン説なのは理由がわかりませんが。」
「これを読んでいて近代史の大嘘ばかり発見します。」

羽都美。
「学校教育では歪曲されて習いますよね。」
「情報源が限定されているのが問題になるかと。」
「人間が嘘をつかないと誰が言ったのですか?」
「嘘つき学校教育ほど忌避するものはそんなになかったのです。」

千代。
「間接民主主義への移行は革命ではなくて。」
「人間の自主性によるものみたいです。」
「共和制が人間の好みに合うんですね。」
「人間は君主制よりも共和制が好きなようです。」

屋外の女性陣にお菓子とお茶を提供することに。

今日は庭に集まっていて。

広場にいませんね。

公園を兼ねたお宮にも別の女性陣がいるようです。

女性に自由を与えるのは社会の急務ですが。

そのために技能や学問が必要みたいです。

行動の自由を得た女性は好きなようにします。

自由に反対する者は自分の自由を失います。

自由を得るために学問をして。

自らの目的を達成するために。

散開しているようです。

束縛から逃れた女性が何を目的としているかは。

全体主義者からは理解できないでしょう。

何でも圧倒する合理性がここにはあります。


22


一石で二人の敵を倒す。

ローマの成句。

机や書斎に留まらず。

フィールドワークを重視する。

自然を知っているため。

怪我もなしに山地や河川に入れますね。

自然を観察して実際に入り込み。

自然をよく知るようになったので。

自然にフィールドワークを重視するようになりました。

お宮から徒歩で。

公園に行きます。

千代。
「太陽光に照らされて見ているものが。」
「現実世界なのですよ。」
「太陽光が無くなったら。」
「すべてが無価値になりえる。」
「つまりは。」
「人は世界を太陽光によって。」
「でしか判断できない。」
「太陽光に照らされた世界だけを見ているのです。」

絵瑠。
「太陽光に寄る世界しか人は認識できないのです。」
「何らかの光に寄る世界しか。」
「人は現実とは思えない。」

粋。
「太陽光で照らされた世界が現実世界という訳ですよ。」
「それ以外の世界は考えたこともない。」

羽都美。
「有名な太陽の比喩ですね。」
「人は太陽光だけの世界を現実と見なしています。」
「それなしで現実を語ることができない所が。」
「人による認識の限界なのです。」

粋。
「唯物論みたいな現実世界という意味ですよ。」
「それが人間の言う現実世界なのであって。」
「すべての理屈が一貫する場所です。」
「そして光によって目に見えている所しか見えない。」

絵瑠。
「太陽光で見えている場所だけが現実になっていて。」
「太陽光以外で目に見えていない所に何でも揃っている。」
「太陽の比喩の解釈のひとつです。」

羽都美。
「太陽まで観察していますが。」
「私の取り分をかなり奪いましたね。」
「仕事が減って良いのか悪いのか。」

粋。
「下手な従業員より役に立つ。」
「私の仕事が減った。」
「良いのか悪いのか。」

絵瑠。
「余暇が無いのが社会問題なのでは?」

粋。
「それは筋が通っていますね。」

千代。
「仕事というものは、時間があれば。」
「どんどん膨張していくものである。」
「一般にこのことがよく知られているのは。」
「暇な人ほど忙しい。」
「という成句でわかる。」
「年金暮らしの老婦人がいるとする。」
「このひとは、遠くにいる姪にはがき一本を。」
「書くのに丸一日を費やしてしまう。」
「ハガキはどこかを探すのに一時間。」
「眼鏡を見つけるのに一時間。」
「住所を探して三十分。」
「文面を書いて一時間。」
「近くのポストに投函するのに。」
「傘を持って行こうか迷って二十分。」
「忙しい人なら、三分くらいでこなしてしまうも。」
「暇な人は、こうして迷い、あたふたして。」
「一日の仕事になってしまうのである。」
「ちなみにこれは有名なジョーク。」

絵瑠。
「人は賭博をしてはならない時がある。」
「ひとつは余裕のない時。」
「もうひとつは余裕のある時。」

粋。
「言葉質。」
「ことばじち。」
「人の言ったことばを証拠にとること。」
「言質。」

千代。
「人間の考える宗教は。」
「教義を広めて信者を増やしているだけかも。」
「実際は。」
「神様と人間の交流です。」
「神様主体で人間が交流をしています。」
「なので教義しかない宗教は。」
「人間の考える宗教になります。」
「無論、そんな宗教はカルト系に寄っていきます。」

絵瑠。
「神様と人間のやり取りになりますので。」
「教義は二の次であることが多いものですね。」
「お願い事はダメ元で。」
「多分、そうはならないけれど。」
「とりあいず出しておく人が多い印象があります。」
「無論、お願い事を言うのと言わないとでは随分な違いが出ます。」

羽都美。
「無理だと知っていても祈願は必要になりますね。」
「蛇足と感じるまで続けられます。」

粋。
「神様は人間とは違いますので。」
「思っている以上に伝わっている可能性もありますしね。」

千代。
「祈願などは合図と思われるものがあるまで続けられます。」
「やはり個人の体験談が物を言います。」
「体験談とは信仰と同義です。」

羽都美。
「宗教は人間と人間のやり取りでは決してなく。」
「神様と人間とのやり取りです。」
「もし人間対人間の交流になっていたら。」
「それはもはや宗教とは呼べません。」

絵瑠。
「カルト系は人間と人間の交流になりがちです。」
「人間を置いてそれに従うような。」
「人間に仕える宗教はありません。」
「ここは難しい所ですが。」
「教義のみの宗教など存在しないのです。」
「つまりは。」
「礼拝の存在しない宗教はありません。」
「祈りがあって神様と人間の交流があります。」
「祈りのない宗教は単なる集会です。」

粋。
「異端邪説が広まると。」
「反対に本来の伝統宗教がいますので。」
「カルトの蔓延は。」
「伝統宗教に対する貶めとしての捨て駒。」
「とも言えます。」
「伝統宗教の信頼を遠回しに低下させています。」

千代。
「ニーチェの黒哲学は最初から新興宗教との対戦が。」
「前提として組み込まれています。」
「ニヒリズムは新興宗教を一方的に叩きのめせる威力です。」
「実際にやるとカルトが発狂するような。」
「圧倒的な攻撃力があります。」
「解説本にも宗教カルトとの対戦が描かれています。」

羽都美。
「新興宗教はニヒリズムの餌食になります。」
「伝統宗教には神様がいますので。」
「ほとんど無敵なんですよ。」
「カルトには神様がいませんので。」
「攻撃が一方的に通るのです。」

千代。
「ニヒリズムの利点としては新興宗教やカルトを一方的に。」
「痛めつけるという側面があります。」
「カトリックやプロテスタントからは過激であると言われそうですが。」
「ニーチェの父親は牧師で。」
「そう言えばユングも父が牧師で。」
「ユングの場合は何を質問しても。」
「とにかくそうなっている。」
「と返されて不満を持っていたりします。」
「ニーチェはプロテスタントから引用した哲学で。」
「それ故に威力が桁違いですね。」

羽都美。
「無神論者や不可知論者はニヒリズムくらいは持っておきたいのだと思います。」
「カルトが増えてしょうがないので。」
「社会問題の対抗策なんてものがあるのです。」
「大抵は世の中に氾濫している現象の反対が。」
「世の中にとって都合の悪い真実となっています。」

絵瑠。
「新興宗教やカルトが増えるのは。」
「それだけ遠回しな伝統宗教に対するアンチ行為になっています。」
「伝統宗教の信頼を低下させるのも彼らの狙いです。」

羽都美。
「必要なのは一部がそう言っているからと言って。」
「全員がそうは思ってはいないというものです。」
「一部だけ見て全部がそうだと思ってはいけません。」
「世の中なんて一部だけ目立っているだけです。」

次のお宮へ徒歩で移動。

河川敷や丘の上の遊歩道を移動したり。

散歩を楽しむ。

途中で屋台に寄ったりしながら。

軽い運動。

隠れた神社を発見。

路地裏にあったり。

電子地図に載っていない。

由緒を確認。

粋。
「伝統宗教とニヒリストは強烈な組み合わせなので。」
「何でも撃破できるような威力があります。」
「壊して無理に侵入するのです。」
「手に負えないイレギュラーです。」

千代。
「けちをつける。」
「そこから壊していくのが得意技です。」
「あっという間に無価値になり。」
「完璧を潰せます。」
「どんな完璧に見えるものでも。」
「けちをつけると損壊します。」

羽都美。
「物事の背後世界を奪い去るのが。」
「簡単な攻略法のひとつです。」

絵瑠。
「たとえば。」
「生まれの仕組みが二通りあると。」
「片方は明らかに不正で本来は無いものなので。」
「客観的に証明されている正統な生まれが選ばれます。」
「この場合は不正な方の背後世界を攻めれば壊れます。」
「文句を言わない限りは。」
「不正は続くかと思われますが。」
「文句を言うばかりではなくて。」
「ニヒリズムを使用しての破壊も本人の努力として必須になりますね。」

粋。
「生まれの仕組みが二通りある時点で誤謬になりますけれど。」
「正統な生まれまで巻き込まない努力も良いものですよね。」

千代。
「ニヒリズムは概念や事態に対する有効な攻撃のひとつです。」
「こんなように反撃が可能になります。」

粋。
「当たり前と思っていたものに破壊を加えるという。」
「過激な所はありますが。」
「ニヒリズムはとても便利です。」
「使い勝手が良いため。」
「伝統宗教とニヒリズムが手を組むと。」
「とんでもない破壊が可能になるのですね。」
「絶対視されているものも壊せますから。」

千代。
「完璧なものなんてこの世にありませんからね。」
「不完全な強みというものがあります。」

航空自衛隊入間基地を観察。

リターンして。

電車を経由する。

この辺りは計画的。

米軍横田基地・航空自衛隊横田基地を観察。

いつもの六道山公園・展望台に来て。

お弁当。

東京都立狭山自然公園を歩き回って。

いつもの山です。

森林浴のち。

素早く下山。

草野球観戦に移動。

社会人野球チームが公式試合をしています。

近くに岩があり。

崖が削れた時に出たもの。

絵瑠。
「私は自分のやったことには決して。」
「後悔しない性格です。」

千代。
「そもそも、小さな岩を持ち上げて。」
「放り投げられないような人は。」
「何にも抵抗しないほうがいいよね。」

絵瑠。
「持ち上げて投げられる岩の大きさが。」
「その人の力の程度になります。」

千代。
「庭に中型の岩が二つありますが。」
「これを持ち上げて投げられるようになれば。」
「何でも倒せる気がします。」

粋。
「あの岩は思ったよりでかいよ。」

千代。
「おかしいな、持ち上がる気がするのですが。」

羽都美。
「持ち上がったら一騎当千だわね。」

粋。
「岩を遠くに投げる話はけっこう多くあります。」
「岩を投げるのは昔からの定番です。」

羽都美。
「挑戦してから力について言ってみてはどうか。」
「というやつですね。」

草野球の公園は広くて。

一式揃っています。

社会人野球チームは激戦を潜り抜け。

地元が勝利するようです。

しばらくして。

次の神社に移動。

巡礼中。

地図を見ます。

千代。
「歴史において、外部の影響で一方的に死んだ武将もいます。」
「歴史書を読めば。」
「人がいかに外部の影響に脅かされたか。」
「簡単に分かってしまいます。」

粋。
「加護がないと、外部の影響で殺されることもありうる。」

絵瑠。
「お宮の夢が出てくると、もうためらう猶予はなかったですね。」

羽都美。
「その時は解読できなくても、外部の影響をすり抜けて。」
「衰えた瞬間に通えるようにはなります。」

粋。
「お宮参りは慣れるまでは大変ですよ。」

千代。
「神様は来る者は拒みませんしね。」

絵瑠。
「そして、慣れると、八十万の神々が見えたりします。」
「把握できるのであって、姿が見えることは稀です。」

千代。
「昔は武家や庶民も、かなり通っていましたし。」
「現代は薄れながらも崇敬者がいますね。」

絵瑠。
「特に体験談として。」
「神様がくれるものを断るのは無礼者です。」

羽都美。
「文学ですらくれます。」
「芸術も。」
「ちなみに天神様は右大臣です。」

絵瑠。
「身分に関してこうとかではなくて。」
「そこが神と人との違いのひとつですね。」

粋。
「八幡神は応神天皇です。」
「天皇?しかし行けばわかる通りに。」
「神と人は違います。」
「慣れると理解できますね。」

絵瑠。
「人間みたいな欠点はないのですよ。」
「それが完全無欠との照合にも繋がります。」

羽都美。
「お賽銭の金額は好きなようにします。」
「三十円が好ましいのは。」
「高過ぎない上に低過ぎない点ですからね。」

絵瑠。
「日本民族の起源は神道ですからね。」
「同時に日本は多様性国家です。」
「自らの起源を辿るのは健全ですし。」
「多様性を認めるのも喜ばしいものです。」

鳥居を潜って。

神社。

看板と由緒を撮影して。

記録。

どこにどんな神社があるのかすべて記憶している女性陣。

御祭神の情報も記憶していて。

どこに行けば良いのか簡単に割り出せます。

地図に載っている場所は大抵、行きますが。

地域のお宮は割と隠れています。

実際に行ってみて確かめるのです。

粋。
「罪と穢れはすべてお宮に相談するものです。」
「人間に謝罪しても消えません。」
「特に過失は消せませんが。」
「神様はなしにしてくれます。」
「内容の正反対のもので打ち消すように誘導されますので。」
「学問はひとつの手段にもなります。」

絵瑠。
「体験談が究極の情報になりますね。」
「超自然的な物事に関わるので。」
「ある程度の準備は必要になります。」

粋。
「国語辞典で。」
「超自然的。」
「というのは楽々と出ますね。」

千代。
「宗教は、すべて超自然的な領域ですので。」
「人間の理解を超えるものが余裕で出ます。」
「不可知論者は弁明を用意しておいた方が良さそうです。」

駅前の市街地で散策。

電気屋さんに入りました。

ニュースが流れています。

事件は善悪に関わらず容疑者が逮捕されて良かったですね。

事故はそれ以上の災害にならずに良かったですね。

こんなことをみんなで言っています。

他の女性陣も見えます。

チームを組んで市町村で活動しているのです。

絵瑠。
「世界の民主主義が混迷していて。」
「世界では権威主義が隠れて蔓延していますね。」
「移り変わりと言います。」
「民主主義が無限に続くとは思いませんが。」
「暴力的な政権は長続きしませんし。」
「専制政治は公害になるので。」
「少しでもマシな世界になれば良いくらいです。」

千代。
「世界の半分は権威主義ですし。」
「民主主義は半分以下ですしね。」

絵瑠。
「一方的に西洋の考えを押しつけられて。」
「嫌悪する国家もありますからね。」
「反対にその国家は専制政治も嫌っていましたが。」

粋。
「そんな流れになると止まらないので。」
「個別に立ち回りを考えた方がよろしいのでしょう。」

小さな家。

拠点に戻って。

午後三時。

休憩中。

明日の準備と計画を練っています。

羽都美は昼寝をしていたものの。

スカートの中を探られる感覚を覚えて。

目覚めると。

女の子に襲われた。

羽都美。
「うわっ!うわあああ!?」

ワサビー。
「探らせて、スカートの中は良かったです。」

羽都美。
「私で遊ぶな!」

ワサビー。
「強引に抱きしめれば動けないでしょ?」

羽都美。
「うわっ!なにするやめて!」

激しく抱きしめられて。

女の子はキスをしたいらしいのですが。

押し返して。

反対に押し倒しました。

羽都美。
「さあ観念しな!」

ワサビー。
「私を好きにするの?いいよ?」
「早くやってよ。」

羽都美。
「身体で遊ばれるのが好きなの?」

ワサビー。
「小さくてたまらないよ。」

羽都美。
「私は成人にしては小さいですよ。」
「そこが私の魅力?」

粋。
「友達に何してんの?」
「はみはみは成人しているよ?」

ワサビー。
「あっ!お姉ちゃん、この娘。」
「年下かと思った・・・。」

振り切りつつ。

ある程度は喜ぶ。

庭には。

女の子が集まっていて。

雑談中。

絵瑠。
「アドラー心理学を習うと。」
「自分の敵が人間ではなくて。」
「別の何かであると理解できてしまいますよ。」
「人を攻撃する必要がないのです。」
「敵は必ずしも他人ではなくて。」
「別の何かになります。」
「その別の何かと対戦するのです。」

千代。
「アドラー心理学の加点主義は相対主義の傾向が強いものです。」
「絶対主義よりも相対主義の方が健康なのではと。」

絵瑠。
「アドラー心理学の支持者が多いようです。」
「健全で穏健なので。」
「親しみやすいのでしょう。」

書物が山積み。

女性陣は古典を読んで。

有利になると知って。

日常生活で引用しまくっていますね。

全員が。

武道も学問も出来るスーパーウーマン。

というのが当たり前になっている。

近代の女性です。

千代。
「プライドは翻訳すると誇り。」
「所で何を誇っているのか?」
「なぜ誇っているのか?」
「理由もなしに。」
「対象もなしに誇りはありえません。」

絵瑠。
「ほとんどの場合は対象のない誇りですね。」
「意味もなく誇っても愚かなものになります。」

千代。
「客観的で保証された誇りは異論がありません。」
「でも、自分を何の理由もなしに誇るのは。」
「愚昧になっていますよ。」

絵瑠。
「特に理由もなく誇ると。」
「傲慢のようになるだけで。」
「青年は無意味な誇りを持っているのです。」
「対象も証明もされていません。」

千代。
「プライドは翻訳すると誇り。」
「自分を誇るのは意味が通じていません。」
「何を誇るのか?」
「しかしこのような構図も青年は理解していません。」
「ただ誇るのみで中身がないのは経験不足です。」

絵瑠。
「プライド通りになる?」
「内容が存在しない誇りの通りになる?」
「意味不明。」
「名誉や権威を背負っている訳ではありませんし。」
「青年の誇りは中身がありません。」
「世人は何を言っている?」

羽都美。
「それを青年は信じているのです。」
「そもそも経験とは何を意味するのか。」
「議論が必要ですが。」
「あっさり破損する程度のプライドは。」
「翻訳すると誇りという意味になっていて。」
「何を言っているのかデタラメです。」

粋。
「ほとんどは倨傲に陥ります。」
「とは言っても卑屈も悪ですけれどね。」

千代。
「欠点が無いのが欠点。」

庭の岩を持ち上げて。

投げられるか確かめていますが。

少し大きくて重いので。

小さい岩くらいは少しだけ投げられます。

格闘技を教えられた女性が他の女性に教えて。

さらに年下に教えて。

学問も案内したりの循環で。

メンバーを中心に神風が吹いていると話題ですね。

中には有名人もいます。

考察中。

千代。
「勝っていると思うと勝てる。」

絵瑠。
「力があると思うと力が出る。」

千代。
「力で解決するのは自由が目的になります。」
「話し合いで解決できれば。」
「既にそうしているでしょうけれど。」
「力は自由を得るにはある程度は必要です。」

絵瑠。
「束縛の対象があって。」
「そこからの自由があるので。」
「究極の自由は束縛から解放されるものになるでしょう。」

千代。
「その場合は、力でしか解決できません。」

羽都美。
「無論、解決には暴力や悪事で物事を潰しても。」
「それも解決のひとつになります。」

絵瑠。
「うんざりするとみんなそれをやってしまいます。」

羽都美。
「自分にとって利益にならない場合は。」
「故意に卑怯な手で鎮圧してしまいますね。」

千代。
「この場合は、防御側の立場で展開されています。」
「攻撃側には決して立たないというものです。」

絵瑠。
「後は必ずしも人間を攻撃する必要がないという点ですね。」
「人間以外に標的が存在します。」

千代。
「先端に出ている事態などを攻撃しても終わりませんから。」
「しかも目的が自衛であって。」
「略奪や破壊ではないという所が一貫しています。」

絵瑠。
「守備側の立場は一貫していますね。」
「自衛のために力が必要なのです。」

羽都美。
「攻撃側は攻撃力が防御側の三倍がないと。」
「押すことなどできません。」

粋。
「裁判を通り越して戦争ですね。」
「戦争でよくある戦術が使われているのです。」

千代。
「戦争の技術は個人の権利奪還に役立ちます。」

粋。
「戦うなら防衛側がやはりお得ですよね。」
「口実もなしに仕掛けた相手が常に分が悪いものですよ。」

千代。
「分が悪い賭けなどしなくて良いのに。」

粋。
「敵側の三流な脚本にも用はありませんしね。」

これで良いのか良くないのか。

という命題がホワイトボードにあります。

人間を観察して研究しているうちに。

失敗パターンを特に分析して。

哲学を駆使して展開を読んでいるのです。

最近はゲーム理論が人気。

授業みたいになっている所を後ろから。

覗いている女性陣。

女の子もいっぱい。

粋。
「良くなっても。」
「たまたまそうなった。」
「と思っていれば持続するでしょう。」
「悪くなっても。」
「たまたまそうなった。」
「と思っていれば。」
「無駄に悪くはならないでしょうね。」
「他人がたまたまそうなっていても。」
「あなたが心配する問題ではないかもしれません。」

絵瑠。
「同意したことになっている事態が多々あります。」
「抗議しない限りは同意したことになっています。」

粋。
「なぜ?という言い回しを連発するだけで。」
「けっこう蹴散らせますよ。」
「口癖になぜ?」
「という言い回しは推奨されています。」

絵瑠。
「なぜ?なぜ?という質問に何でも弱いのですからね。」

羽都美。
「理由も意味も言えないものがほとんどです。」
「何でも道理に基づいていれば。」
「そもそも質問の必要がありませんからね。」

千代。
「道理に基づいていれば必要のない質問になってしまうのですが。」
「とりあいず。」
「なんで?とか。」
「どうして?という言い回しは微妙ながら。」
「効果が薄くなります。」
「なぜ?という簡潔な問いかけには何でも脆弱です。」

絵瑠。
「なぜ?と質問すると。」
「返事が不可能になる場合があります。」

粋。
「なぜ?と質問されて返事ができない。」
「返事がないのが自白になっているのです。」
「返事がないのが自白したのと同じです。」
「何も言えないのが真実。」

絵瑠。
「何の理由も考えもなくそれがあるから。」
「返事が無理なんですよ。」
「あるのは個人的な好き嫌いで。」
「それ以外は言えませんからね。」

千代。
「なぜ?の回答が無ければ。」
「何も考えていないのと同じですからね。」

絵瑠。
「何も考えていないので。」
「なぜ?に返事ができないのです。」
「そんなものがこの世にはかなり多いものです。」

粋。
「哲学の訓練をしても。」
「なぜ?に返事をするのが難しいくらいですからね。」
「素人ならなおさらできないものです。」

女の子が持ち寄った命題を分析することになり。

資料から解きます。

メンバーは哲人から習ったこともあるため。

練度が高い。

直観を徹底的に鍛えた優れた女性陣。

不思議の知恵で考察。

千代。
「イレギュラーと例外は杓子定規に対応していません。」
「群衆しか杓子定規には対応していません。」

絵瑠。
「この時はこうするとか。」
「この場合はこうだとか。」
「パターン化で教育されていると。」
「臨機応変な所が失われます。」

千代。
「この時はこうでこういう時はこれ。」
「決められた通りに反応するように教育されると。」
「パターン化してしまって機知が失われます。」

絵瑠。
「そうなると決められた杓子定規とは異なるものが出ると。」
「いきなり狂暴になります。」

粋。
「何でも決められた通りになるはずであると信じ込む。」
「なので決められたパターン以外のものには対応できないのです。」

羽都美。
「そこが教育の弱点になっています。」
「パターン化から外れたものは信じないのです。」
「それだと人工知能の方が遥かに上手になりますので。」
「機械みたいな思考の人間よりは人工知能の方が優れているのです。」

千代。
「パターンから外れた思考や。」
「そこから逸れた考えができなくなるという有害なものですね。」
「群衆なんてそんなものであると思われますが。」

粋。
「同じであれば朝三暮四になり。」
「違いがないのに区別がつけられます。」
「違いが出れば違うと罵って攻撃します。」
「これこそ群集心理です。」
「隠れている問題が表面化してわかるのは遅過ぎます。」
「余程の無能なんでしょうね。」

羽都美。
「いいや、いちいち相手が有能なんて思ってないよ。」

絵瑠。
「有能であることは他人に期待していません。」

千代。
「有能ですと?不可能なものを求めてはいけません。」

粋。
「他人が有能であったらいいなあ、とだけ、思っています。」

千代。
「なるほど、他人が有能であるのに越した事はないよね。」

絵瑠。
「本当に他人が有能であれば良いのに。」

羽都美。
「せめて、有能な人とだけと交流したいものです。」

粋。
「それは誰もが望む展開ですよ。」

羽都美。
「人は誰もが有能であるべきだ!」

絵瑠。
「そうですよ、誰でも有能であるべきです!」

千代。
「やめなさいよ、そんな無理な注文。」

絵瑠。
「では、無能が当たり前なの?」

千代。
「それは筋が違います。」

新しい思想を吟味。

たまに新しい思想が出ます。

機械文明は自然科学が神格化されていますが。

哲学や学問も盛んになりやすい。

夕方になりましたが。

女の子達も女性陣も後ろから覗いています。

ラディカルな思想が好み。

千代。
「反出生主義の言い分はとても合理的で。」
「生まれのせいでそうなった。」
「因果関係を逆転させないという主張で。」
「自分が良くないからそうなったのではなくて。」
「生まれがそれをするから良くなくなった。」
「自分は合意していない。」
「と言った時点で本当にそうなのですから。」
「因果関係を逆転させない点は。」
「公正世界仮説を克服していますね。」
「生まれの内容に攻撃を加えて。」
「破壊するのは、ある意味で自由を勝ち取れます。」
「生まれの悪い側面に無批判であった。」
「という所はとても合理的です。」

絵瑠。
「反出生主義の良い所は。」
「公正世界仮説を抹殺する点です。」
「悪い点は無宗教の立場になっている辺りです。」
「上手に使えば利点が多いですね。」

粋。
「気に食わなければ壊すか変えるか。」
「そのようにして自由に直結しますね。」
「半分の必然すらも否定して無いものにすると。」
「自分に主導権が入ってきます。」

羽都美。
「反出生主義は下手にならない限りは。」
「上手な否定が出来れば有効打になります。」
「生まれの内容を自分で変更できるので。」
「裏切られた出生の内容は浮いてしまい。」
「本人の言い分が人生において一方的に通ります。」
「何でも覆せる切り札です。」
「そもそも生まれなければそうならなかったので。」
「生まれさせた奴らに責任を負わせられます。」

千代。
「人口調整や避妊の口実に使えますしね。」
「生まれを規制せずに無限に増やそうとしても。」
「そんな世界は滅べば良いので。」
「思想によって任意に賛同者が増えれば。」
「人口過剰を防ぐ手段になります。」

絵瑠。
「まだ生じて間もないので。」
「まとまった教科書は実在しませんが。」
「生まれの内容なんて気に食わなければ裏切れば良いのですし。」
「自由のためにはかなり使える思想です。」
「反出生主義の目的は多分、そうした自由にありますね。」

粋。
「生まれを否定して内容すら否定すれば。」
「個人は自由ですから。」
「内容はすべて捨ててしまって。」
「行き着く所は自由です。」
「思想による力で変えてしまう。」
「便利な手段です。」

羽都美。
「論証が不死身で無敵なので。」
「何を目的としているかを察すれば。」
「とても便利で簡単な手段になります。」
「それを何の目的で使うかで決まりそうです。」

千代。
「ただし、過激です。」
「反出生主義の注意点は、かなり過激という点です。」
「生まれに関する無批判は良くない。」
「けれども、やっぱり過激です。」

たまたま通りかかった青年が突っ込みを入れてきますが。

相手になりません。

討論の訓練をしていないので。

全員から嘲笑される青年。

千代。
「私の教養が分からない?」
「大丈夫ですよ。」
「ゆっくり説明してあげますからね。」

絵瑠。
「仕方がないですよね。」
「相手のレベルに合わせて説明してあげないと。」

粋。
「相手が無能なら無能でもわかるように。」
「説明しないとね。」

羽都美。
「それでも教養が分からなければ。」
「もっとゆっくり説明してあげるので。」
「心配なんてしないでくださいね。」

青年。
「なんて軽蔑したことを言うんだ!」

老人が青年を追い出す。

興味深い話題を出して来る。

謎の老人が登場。

ホワイトボードにいろいろ書いて立ち去る。

只者ではない老人はこの辺りの有名人。

内容で楽しむ。

千代。
「哲人は頭が良くてはならない。」
「しかし哲人は頭が悪くなければならない。」

絵瑠。
「頭が良いと独善に陥る。」
「頭が悪いと無知な正直者になれる。」

羽都美。
「頭が良いと詭弁が増えるが。」
「頭が悪いと思考に愚かさが混ざり上手になる。」

絵瑠。
「頭の良い哲人は知ったかぶりになる可能性がある。」
「頭の悪い哲人は自分が阿呆だと知っているので。」
「頭の悪い哲人は賢者になりがち。」
「同時に頭の良い哲人は究極になる可能性がある。」

千代。
「行き当たりばったりで。」
「もし?落とし穴に落ちたり。」
「死んだりすると。」
「頭の悪い以外にも問題はありそうだけれど。」
「頭の良い哲人は先に発見して避けてしまう。」
「頭の悪い哲人は何となく避けてしまう。」

羽都美。
「そうなると。」
「哲学とは。」
「頭が悪いのと同時に、頭が良くなくてはならない。」

絵瑠。
「形而上学とは。」
「頭が悪いのと同時に、頭が良くないとダメ。」

今度は謎の老婆がホワイトボードに書き込む。

おそらく元々は為政者であった老婆。

全員で歓迎。

女性陣の変化を読み取って。

笑顔で書き込み立ち去る。

千代。
「麦でも食ってろ貧乏人と奴隷。」
「とか言うと。」
「日本人は馬鹿正直なので。」
「麦を食ってたまるか。」
「奴隷呼ばわりされてたまるか。」
「とか言うかもしれないが。」
「そういう台詞を言ったのみで。」
「それ以上の台詞や行動は無いので。」
「何となく罵った放言で馬鹿正直に腹を立てるのは。」
「なかなかの道化っぷりですよ。」

羽都美。
「しかもそこで麦を食う義務はないのですし。」
「奴隷であることを受け入れる義務もありません。」
「日本人は馬鹿正直な反応をしますね。」

千代。
「放言ですら実際以上に受け取りますので。」
「欧州ですと嘲笑するような文句も。」
「馬鹿正直に怒ってしまう。」

粋。
「麦を食べなくても良いのですし。」
「自分は貧乏人なのか審査もありませんし。」
「奴隷なのか証明もされていませんが。」
「放言に対していくら何でも発狂しまくりですね。」
「何を考えているのでしょう。」
「麦を食べなければならないとか。」
「貧乏人や奴隷と呼ばれなければならないとか。」
「それは筋が違います。」

女史。
「進捗どうですか?」

リベラルアーツのエリートが帰宅ラッシュに立ち寄って。

メモを残していき。

久しぶりに問いかけて見ます。

千代と絵瑠。

他のメンバーは夜になるので帰宅します。

迎えが来るまで絵瑠がいます。

絵瑠。
「はたして階級や格差とは何か、なぜ存在するのか。」※

千代。
「平等を除いた先に見える存在であるから。」

絵瑠。
「自由民とは何か、非自由民とは何か。」※
「例・女性や使用人、奴隷。」

千代。
「自らの自由が有効になる状況にいる人の意味。」

絵瑠。
「家政術や公共の政治とは何か、共同体の種類で性質は変わるのか。」※

千代。
「役割分担の意味です、社会は役割分担です、家政術は処理能力で、自然の循環を有利にします、公共の政治は世界の最初からあります、水のように流れに沿って変化します。」

絵瑠。
「逸話や修辞が持つパワーとは何か、歴史においてどのように作用したのか。」※

千代。
「個人を有利に、伝えることで文化になりました、各自で目的の達成に役に立ちました、歴史においては代表者の教養を支えました。」

絵瑠。
「真実を見抜くことはできるのか、認識や勘考とは何か。」※

千代。
「真実を推理で見抜くことは不可能と言えます、認識などは気がついたのと同義でありましょう。」

絵瑠。
「人間であることは先天的なのか、あるいは後天的に作り上げられるべきものなのか。」※

千代。
「先天的な部分が後天的に悪影響を加えます、後天的に何でもありという前提でなければ先天的も崩壊します。」

絵瑠。
「性別による差異はどうか、どこまでが先天的で、どこからが後天的に作り上げられるものなのか。」※

千代。
「未成年は先天的になりますが、成人からは後天的です、成人になった時点で作られます、自由が有効になった直後に作られます。」

絵瑠。
「正しいこと、公正であること、美徳を有すること、それらははたして何なのか、必要なのか、邪魔なのか、役に立つのか、立たないのか。」※

千代。
「正しいとは信じている内容を話すことです、公正は他人には期待できず、美徳は実行力に富んでいます、これ以上は人の好みの話になります。」

絵瑠。
「苦労すること、困難に立ち向かうこと、失敗に直面すること、それらは人生に何か善なるものをもたらすのか。」※

千代。
「何も、もたらしません、有害であり、強要します、ほとんど意味がありません。」

絵瑠。
「真実とは、真実在とは何か、目には見えない明らかでないものを理性の力で観ることは可能なのか。」※

千代。
「その真実は主観的なものです、目の前のリンゴをリンゴと呼ぶのは真実とは言えません、理性の力の限界であり、理性も絶対視する度合いのものではないのでしょう。」

絵瑠。
「真実とは、感ずるものなのか、理性により認識するものなのか、それは協調や友情にあるのか、紛争や不和なのか。」※

千代。
「人間の理解を超えた所にあるでしょう、無論、真実も人間の理性や認識を超えたものになります、カラスをカラスと呼ぶのが真実かどうかは別として。」

絵瑠。
「我、決定せず、了解せず、我は判断を保留する。」

千代。
「我、何を知るや?」

次の日は婦人科。

あれがひどいので。

待合室。

大きな病院。

遠くから。

頭痛のせいで気が狂って。

間違えて精神科を受診した男性が。

常識を述べた。

男性。
「世間の常識ではこうなっておりまして。」

精神科医。
「それは大変だ。」
「それで、いつからそれが世間の常識であると。」
「思ってしまったのです?」

男性。
「あれ?常識ってそうでしょ?」

精神科医。
「これは重症だ、どう治療しましょうかね。」

看護師が慌てて入って来る。

看護婦。
「あなた、ここは精神科ですよ。」
「頭痛で悩んでいるとか言いましたよね。」
「すぐに診察しますので。」
「間違えて入らないでください。」

男性。
「なんですと?」

精神科医。
「おっと!あまりにおかしなことを言うので。」
「神経症かと思ってしまいました。」
「頭痛だったんですね。」
「お大事に。」

成句。

夏帽子は冬に買え。

人の裏をかくことに勝機があるという意味。


23


ガミガミ言われたけりゃ結婚しろ。

ほめられたかったら死ね。

アイルランドの成句。

女の子同士で襲う。

すいちゃん。

羽都美のスカートの中を見ようとするも。

大人しく羽都美は応じて見てしまう。

粋。
「素晴らしいですね。」

羽都美。
「後であなたも見せてね。」

えるる、千代に迫ってみるものの。

襲ってくれない。

絵瑠。
「官能でもどうですか?」

千代。
「割に合わないと思います。」

そのうちに絵瑠は二人に襲われて。

好きにされてしまう。

絵瑠。
「うっ!なにするの!」

羽都美。
「好きでしょ?」

粋。
「キスしてあげます。」

絵瑠。
「そこそこ嬉しいけれど!」
「猛烈!」

千代。
「女の子同士で大好きプレイですね。」

羽都美。
「好き好き好き!」

絵瑠。
「ぐふっ!そんなに好きなの?」
「やばいことされそう!」

満足した辺りで千代が話題を変える。

ヒューマニズムについて。

キケローはヒューマニズムの古典。

キケロ書簡集が置いてあります。

研究。

絵瑠。
「女のいちばんよい香りは、何も匂いのしないことである。」

千代。
「ヒューマニズム的に正しいからという理由で。」
「正しいことにはできません。」

絵瑠。
「ヒューマニズムとして正しいから何でも正しい?」
「なにそれ危険思想。」

粋。
「ヒューマニズムから正しいと論じても無意味かと。」

羽都美。
「ヒューマニズムを引き合いに出しても。」
「賛同者はほとんど出ないかと。」
「わかりやすい嫌われ者ですね。」

絵瑠。
「なぜ今まで通りのものが通用すると。」
「思ってしまったのだろう?」

千代。
「移り変わりを想定していないからですよ。」
「この世は容赦なく移り変わるものです。」

絵瑠。
「歴史書を読んで同じ事を繰り返していると。」
「気づいていないので。」
「今まで通りがずっと続くと思ってしまったのでしょうね。」

千代。
「自分の考えが裏切られて初めてわかるのは遅過ぎます。」

女子高校。
「スクラッチクジが外れた。」
「あっさり金銭を失った。」

女子大学。
「何を買ったのかわからないよ。」

女の子。
「未来に投資するのは賢明なのですか?」

絵瑠。
「未来?そんなものに向かって何になります?」
「未来なんてものは捨ててしまったので。」
「何のことやらわかりません。」

千代。
「将来なんてものも捨ててしまったので。」
「何に関することを言われているのか。」
「まったくわかりません。」
「存在しない物事には言及できません。」

絵瑠。
「未来なんてものが下らない。」
「最悪が予想されたので捨てました。」
「もはや存在しない物事ですね。」
「無いものを説明できません。」

千代。
「なので、未来に向かうなんて馬鹿はしません。」
「明らかに方向を間違えています。」

粋。
「誰が設定したのかわからない筋書きは。」
「消してやりました。」
「そんなものに従って生きている。」
「人々の気違いっぷりはとっても滑稽ですけれどね。」

羽都美。
「私達は少なくとも未来に向かってはいません。」

女の子。
「この時計は止まっていますよ。」

千代。
「いいえ、立派に役に立っています。」

女の子。
「なぜ?」

千代。
「正確に動いている時計が好きなんですか?」

羽都美。
「強者を目撃したり接近して体験すると。」
「必ず影響を受けますね。」
「強者に感化されると自分も強くなります。」

絵瑠。
「弱くて劣っている人に感化されると。」
「自分も仲間にされてしまいます。」

羽都美。
「強くて優秀な人に感化されると。」
「感化されて似るようになりますね。」

絵瑠。
「強くて優れている人に何回か会うだけでも。」
「かなり違いが出ます。」
「弱くて劣っている人ばかりであっても。」
「何かしら強者に影響されると。」
「自分も仲間になれますね。」

粋。
「外部の影響でその人が弱体化されている可能性もあります。」
「外部の影響は他の外部の影響で変えられます。」

千代。
「外的帰属を取り除くのも外的帰属なのですよ。」

粋。
「強者になろうとする意思の有無で決まりそうですね。」

千代。
「奴隷道徳が必ずしも本人の意思では無いという場合もあります。」
「ルサンチマンは巻き込んで数を確保しようとしますので。」
「弱者なのは外部の影響。」
「という可能性もあります。」

絵瑠。
「外部の影響をあまりにも考えない態度が間違いだらけです。」

千代。
「外部の悪影響に対して何も考えない文化がありますし。」
「外的帰属からの自衛を無視ばかりします。」

絵瑠。
「外部の悪影響に何の抵抗もしないのは。」
「悪に対して無抵抗を主張しているようなものです。」
「間違った思想を持っています。」

粋。
「本人のせいではないけれど。」
「外部のせいばかりではない。」
「というのが穏健な見解でしょうなあ。」

羽都美。
「極端に内的帰属ばかり見ていますと。」
「風邪をひいたのも本人のせいになりますよ。」
「犯罪ですら許容するような考え方ですしね。」

千代。
「極端に外的帰属ばかり見ても。」
「大きな影響はありながら。」
「責任の所在はわかりやすいものになります。」
「両方から見るのが社会心理学であり。」
「外部の影響を軽視する文化は最悪なもので。」
「歴史の汚点です。」

女子高校。
「難しいけれど、慣れたら楽々だわ。」

女子大学。
「むしろ他の人々。」
「無能で世界に出て何がしたいのか。」

女の子。
「無謀なだけですよ。」

夫人。
「もう私達の時代は終わったわ!」

千代。
「諸説ありますが。」
「最近は情報公開が進んでいます。」
「私は玄人仕様の書籍を参考にしました。」

粋。
「推論で読み解くのは名探偵だけです。」

千代。
「外部の影響とは何なのかの証拠です。」

粋。
「戦争も政治も外部の影響を受けますね。」
「個人はなおさら束縛されます。」

羽都美。
「立ち回りの失敗で死んだりします。」

絵瑠。
「予定説を引き合いに出したいくらい。」

千代。
「幕末は内戦であるとよく言われますね。」
「江戸幕府が滅んでから。」
「王政復古の大号令があり。」
「立憲君主制に様変わりしています。」
「日本帝国は帝政でしょう。」
「実際は政府が主導権を持っていました。」
「敗戦したら政権交代で済んだくらいです。」
「解放されたら手のひら返しをしたのはどこの民でしたっけ?」

羽都美。
「あれは敗北する前提で仕掛けていましたよ。」
「一年くらいは何とかなるという話でしたが。」
「それ以降は無理ですよと。」

粋。
「故意に暴走させて変更したような荒療治に見えました。」
「当時の日本人は思想のほとんどを壊されて。」
「ローマ人のようにどん底からの再出発になっています。」

羽都美。
「当時は世界で覇権争いに夢中で。」
「アジアやアフリカや南アメリカは取り合いでしたね。」
「当時の状況が何も許してくれなかった。」
「日本軍は中国側に七十万の大軍を送り込んでいて。」
「国土が広くて決着がつかない泥沼の戦い。」

絵瑠。
「政治で全員が一致すると。」
「抵抗できない前例です。」
「異論を唱えようとしてもできない。」
「平和を望んでも他が許さない。」
「となると、ああなるしかなかった。」

千代。
「傍観者になるしかなかった人々を考えるべきでしょう。」

羽都美。
「当時の人々がそう望んだので。」
「外国が望み通りにしてやったのですよ。」

千代。
「教訓だらけですよ。」
「予定説を出せば。」
「定められている人ですら。」
「無理に巻き込まれるのですから。」

絵瑠。
「そういう新作が出ないように。」
「その後の害を最大まで防ぐ資料を得ましたので。」
「あの新作が出ないように努力は可能です。」

絵瑠。
「相手は戦争をもう終わらせたいと必死になっていました。」

粋。
「戦争を終わらせることばかり考えていたのが連合軍です。」

千代。
「古流に言えば負け戦です。」

絵瑠。
「外国に喧嘩を売って負け戦ですよ。」

羽都美。
「無駄な注釈はせずに負け戦として記録されていますね。」

粋。
「敗北とはああいうものを言います。」

千代。
「あれが敗北です。」

粋。
「アメリカもフランスも似たようなものです。」
「いつも群衆が暴走している構図しかない。」

絵瑠。
「昔は英雄を中心に歴史があったのに?」

千代。
「近代史はなぜか群衆が主人公。」

羽都美。
「歴史を読むと群衆が大勢集まって。」
「暴動を繰り返している構図ばかりです。」
「大群で暴発している無駄に多くの人々が。」
「意味不明な行動を繰り返して。」
「とりあいず群衆が暴走している姿ばかりです。」

女の子。
「議論で優れた意見を出すのは日々、必要ですね。」

女子。
「反対するなら、それ以上の意見を出せば良いのですし。」

女子大学。
「女性は今時、古典くらい揃えていないと。」

夫人。
「そのくらい有能でないとお嫁にも行けないのよ。」

女の子。
「あなたは黙っていなさい。」

絵瑠。
「あらかじめ形を持たないものについて。」
「説明できませんよね。」

千代。
「それはガスか何かですか?」

絵瑠。
「あらかじめ決まっている。」
「形や図や元素と言った概念が。」
「通じないような中には何がありますか?」

千代。
「火や水はあらかじめ説明がありますが。」
「風になると微妙です。」
「樹木は難しくなります。」

絵瑠。
「そういう決まった結末を持たないものは。」
「説明できるのでしょうか?」

羽都美。
「形を持たないものを説明する?」
「それは難しい。」

千代。
「それなら原子などの物質特有の結論を。」
「無視できる何かがあるという問いかけですね。」

粋。
「それなら思考によって捉えているに過ぎませんし。」
「それは自然科学とは別の視点で。」
「実物を眺めると言う方法ですよ。」

絵瑠。
「実物は本当に実物なのか?」
「思考で捉えている以外に何もかもあるならば。」
「あらかじめ決まっている。」
「図や形や原子特有の結末。」
「それら以外に何もかもあるのだとしたら。」
「これまでとはまったく違う視点が生じますね。」

千代。
「現実は本当なのか?」
「実物も本当なのか?」
「線分の比喩は難解ですよね。」

絵瑠。
「太陽が照らさない世界が虚偽なら?」
「いろいろあっても暗闇では何でも無価値になります。」
「太陽光が映す世界しか私達は認識できないのです。」

千代。
「太陽光で世界が形成されていて。」
「それ以外は何も考えられないのですよ。」
「これも太陽の比喩です。」

絵瑠。
「自然法則とは異なるものも多くありますよ。」
「というもの。」

千代。
「自然法則やこれまでの法則が通じない場合は?」
「これも線分の比喩です。」

女の子。
「そういうので、私に関する嘘くらいは見破れそうです。」

女史。
「あなたはどんな育ち方をしたので?」

絵瑠。
「電化製品に囲まれて育ちまして。」
「今では業界の大手です。」

粋。
「何か田舎暮らしが望みとか。」

羽都美。
「お金持ちで得ですよ。」

絵瑠。
「誰がこんな馬鹿なものを選びますか!」
「こんなものを私が選んだとでも?」
「私を馬鹿にするな!」

千代。
「そう怒らないで。」
「それ以下になりたい人も山ほどいますから。」
「お金持ち特有の俗事の処理を応援します。」

羽都美。
「私のは大学教授なので影響は受けました。」
「子供の頃からギリシア文学しか読んでいない。」
「家庭教師からの成り上がりです。」
「ライターや作家も兼任しています。」
「中々、仕事をお互いで取り合いですね。」

粋。
「私の家は図書館や観光協会の業務員です。」
「親戚が職人だらけで。」
「染物や織物もあります。」
「和菓子屋さんもいますね。」
「よくもあれだけ仕事を取ってくれましたね。」

千代。
「怒りながら悲しまないで。」
「それ以上を望まない人も山ほどいますから。」

粋。
「では賠償金は体で。」

千代。
「やめなさいよ!」

粋。
「体で支払って。」

羽都美。
「重労働なんて課すな!」

絵瑠。
「あの分担作業より桁違いに疲れるわよ。」

羽都美。
「便乗して。」
「あなたの体を慰謝料にしたい。」

千代。
「一緒に寝るだけでは不満ですか?」

絵瑠。
「仕事が出来過ぎると。」
「他人の仕事を奪ってしまい。」
「喧嘩を誘発するしょうもない事件ですよね・・・。」

千代。
「仕事が出来過ぎて他人の仕事を全部奪うとか。」
「なにをやっとるん?」

女の子。
「信じられないお姉さん達ですよね。」

青年。
「私は他人の欠点が嫌いです。」
「あなたは、高圧的で。」
「下品で、狂暴です。」

千代。
「そこまで粗探しをなさったんですね!」

ワサビー。
「五百円なくしてしまった。」

青年。
「お気の毒に。」
「私が五百円あげるので。」
「これで帳消しですね。」

ワサビー。
「意地悪!さっきからずっと隠し持っていたんでしょ!」

女の子。
「これってなあに?」

羽都美。
「大きな砂時計ですね。」

千代。
「反物質爆弾ですね。」

絵瑠。
「それやばくないですか?」

粋。
「普通にやばいですよ。」

近くの道路でテロリストと交戦して。

追撃する自衛隊。

山岳部に侵入。

落とし物を探す。

テロリスト。
「俺が賢いんだよ。」

士官。
「お前だけ馬鹿なので。」
「そう思えるのではないかな?」

サイエンティスト。
「賢い賢いと言って平気で誤りを正当化するような奴らが。」
「果たして賢いのか、大いに疑惑あり。」

テロリスト。
「俺達以外は悪だ!」

士官。
「あなたのように。」
「ひとりだけ頭がおかしいせいで。」
「他の人々が迷惑する場合がある。」

テロリスト。
「インターネットでお前ら悪事をするって書いてあったぞ!」

探偵。
「インターネットに驢馬は馬である。」
「と書いてあっても信じるに違いない。」
「もしくは、駝鳥が飛べるものであると。」
「書いてあっても信じるに違いない。」
「インターネットに書いてさえいれば信じる理屈になります。」

サイエンティスト。
「奴は悪党なので成敗するべきだ。」
「とか書いてあったりする。」
「その辺りはなぜ悪党なのかの説明がないので。」
「結論だけ書いている。」
「結論だけで物は語れないので。」
「それを信じる場合は哲学の素人なんて。」
「詭弁の方を信じやすい意味になりそう。」

士官。
「殴った方が説得になるのではと不信感がある。」

軍事顧問。
「名刀非暴力で叩き切れば解決しそう。」

テロリスト。
「やめて!優しくしてください!」

士官。
「我々による平和な対話の末、彼らは感動のあまりに、血涙を流した。」

為政者。
「我々の正論と札束を前に、誰も文句は言えない。」

自衛隊が輸送していた。

反物質爆弾。

陸路で事故になって。

砂時計のような中型の反物質爆弾が放置されてしまい。

故意に事故にして奪う作戦で何者かが持ち去るものの。

山間部で戦闘。

工場跡地で追撃のち奪還するつもりが品物が行方不明。

近くの都市での出来事で。

演習場で試験する予定でした。

女の子が大きな砂時計を持っているので。

どうやって拾ったのかはわかりませんが。

連絡。

ワサビーが指摘して。

自衛隊に引き取りに来て貰い。

無事に元通り。

威力はダウングレードされていて半分くらいでしたが。

起爆すると半径ニキロメートルを吹き飛ばす。

試験用で。

演習場から飛行場に移動させてから。

何もない所で空中爆発させる予定でした。

日本の成句。

親はなくても子は育つ。

親があっても子は育つ。


24


法律が信用を保つのは。

それが公正であるからではなく。

たんに法律であるためである。

現に法律として定められているという事実だけが。

法律の権威の不可思議な根拠であり。

これ以外の根拠はなにもない。

だから。

あらゆる処罰は根本的に。

不条理なものであることを免れない。

モンテーニュ「評定官(裁判官)時代の記述」

最近、来ている。

遊女の姉妹。

スキンシップが激しく。

頻繁に抱きついてくる。

振袖姿で人気。

双子の姉妹なので。

両方に仕掛けられる場合もあり。

両親が料理人で仕込まれていたりする。

喫茶店のアルバイト店員だそう。

遊女。
「好き!」

千代。
「あらまあ、妹みたい。」

絵瑠。
「こっちにおいで。」

粋。
「気持ちいいことしない?」

遊女。
「気持ちいいこと?なんですかそれ?」

羽都美。
「誘惑しないの。」
「どう?私について。」

遊女。
「キスしたい。」

羽都美。
「女性に襲われるのはこれで何回目なのかな。」

遊女。
「素敵な女の子が好き。」

かなりくっついてくる。

ソファーに座っても。

距離が近い。

千代。
「こういう女の子は好みですね。」
「純粋で無邪気。」
「少女の性質が強い。」

絵瑠。
「好きにさせて。」

遊女。
「え?きゃっ!」
「嬉しいな。」

粋。
「少し探らせて。」

遊女。
「ひゃあ!」

羽都美。
「一緒に寝ようよ。」

千代。
「隙を見せたらキスされますよ。」

遊女。
「はい、好機を発見。」

絵瑠。
「はわっ!ほっぺにキスされた。」

千代。
「それが狙いで襲わせているんですよ。」

羽都美。
「スカートめくりを受けた。」
「やるなあ。」

粋。
「一時的に二人で組み伏せられました。」
「弱者の演技が上手ですね。」

遊女。
「好きなだけ女の子と好きなことするの。」

千代。
「この後、昼寝をするけれど。」
「どう?」

絵瑠。
「今日はあなた達もどう?」

遊女。
「誰と寝ようかな?」

粋。
「私はどう?」

遊女。
「お姉ちゃんはこのひと。」

羽都美。
「小さいと、えっちな女性に狙われやすい。」

絵瑠。
「私と寝る?妹のほう。」

遊女。
「いいんですか?やった!」

寝室で。

眠たい時は昼寝をします。

一緒に寝て。

一時間後に起床。

絵瑠。
「抱きしめたい。」

遊女。
「わっ!もっとやって!」

粋。
「このままいいことしようよ。」

遊女。
「え?心の準備が・・・。」

千代。
「仲間が増えましたが。」
「趣味が同じなんですね。」
「年下の友人が出来るのは珍しいです。」

羽都美。
「自然に集まって。」
「もう一緒に寝ましたからね。」

遊女。
「私のこと好き?」

絵瑠。
「いつまでも少女のような性格が素敵です。」

粋。
「女の子にいろいろされるのが嬉しいのね。」

遊女。
「気に入った女の子と交際したいくらいです。」

粋。
「いつでも戯れましょうね。」

千代。
「この際、もっとふざけてしまいましょう。」
「止めようとすればするほど悪化しますが。」
「上手に促すと。」
「上手に発散されますし。」

遊女。
「所で、今日は不調ですか?」

羽都美。
「まあそんなところです。」

遊女。
「それは私も慣れているので。」
「手伝いますよ。」

絵瑠。
「まあなんて有能な女の子。」
「メンバーにその日が来ると。」
「全員で保護する約束ですが。」
「それ以上に付き合ってくれるなんて。」

千代。
「それは得意分野なんですね。」

羽都美と遊女が何やら。

打合せ。

久しぶりの余暇ではしゃいでいる。

持ち寄った資料から。

ホワイトボードに張り付けて考察。

千代。
「伝説で。」
「干ばつと渇水に悩んでいた農民が。」
「池で龍神と出会い。」
「頼んで大量の雨を降らせてもらい。」
「あっさり水が回復した。」
「そのお礼に農民は娘を差し出すと。」
「娘はいなくなって。」
「農民がある時に見たのは。」
「龍神の嫁になって。」
「一緒に龍の姿で天に駆け上がる。」
「元娘の姿であったという。」
「その伝説の池は実在している。」
「この場合は。」
「娘は最初から龍になる予定で生まれたのか。」
「後天的に龍に姿を変えたのか。」
「先天的と後天的は表裏一体でひとつのものなのか。」
「見解が分かれそうです。」
「ちなみに龍神は古代信仰で。」
「日本各地で祀られています。」

絵瑠。
「そうなると、先天的なものと後天的なものは同義です。」
「同じものですね。」

粋。
「重要なことは。」
「正しい答えや正解を見つけることではない。」
「最高の問いを作ることである。」

絵瑠。
「アリストテレスは万学の祖。」
「今時、読んでいないのなら話にならない。」

粋。
「携帯しているほど女性にも人気です。」
「あれ?この地域のみの社会現象?」

絵瑠。
「そのようですね。」
「学問好きの女性は今の所、見たことがありません。」
「ここ以外には。」

粋。
「学問から。」
「女性とは男女両方の性質を持っていながら。」
「女性の傾向の方が勝った存在の意味かな?」

千代。
「神功皇后様から教わったのは。」
「男性の代役が現にできる女性が究極形態。」

絵瑠。
「本来は男性の役割というのを代行できる女性が。」
「男性より優れている女性の特徴ですね。」

粋。
「女性にも例外はいますので。」
「男性にも例外がいるのと同様に。」
「例外はどこにもいます。」
「モンテーニュも例外者でしたし。」
「そうした男女が特殊な役割を引き受ける。」
「可能性はありますね。」

千代。
「神功皇后様は国つ神の主宰ですよ。」
「八幡神社が武家の信仰を集めましたが。」
「応神天皇の母神が神功皇后様です。」
「武士が好んだのは。」
「国つ神という人にもわかりやすいという。」
「神様なのではないでしょうか。」

絵瑠。
「私も武家の娘のような特徴がありますし。」
「武家の娘は真面目で大人しく。」
「力強い性質がありますね。」
「精神の訓練が良く出来ているのが一貫しています。」

粋。
「必ずしも武芸に秀でていないけれど。」
「女性の中の強さが足りていますから。」
「女性の中でも最も優秀な身分が武家の女性です。」

絵瑠。
「武家の娘は気性が荒い。」
「弱くは無いので男性が扱いづらい面もあります。」

千代。
「古代の両性具有ですね。」
「神功皇后様は両性具有の女神様です。」
「信仰する者は両性具有を得ます。」

遊女。
「あの、上品な美人さん。」
「あなたも用事がありますか?」

絵瑠。
「私は不快な症状が皆無なので。」
「手当は必要ないわ。」

遊女。
「わかりました、その点は得意なので。」
「また言ってください。」

羽都美。
「あのジンギスカンという上手な料理人は。」
「こう言いましたよ。」
「怒りに任せた行動は。」
「必ず失敗する。」

遊女。
「怒りは無謀をもって始まり。」
「そして後悔をもって終わる。」
「ピタゴラス。」

羽都美。
「怒りとは仕返しをしたい欲望である。」

遊女。
「憤慨と義憤は唯一、例外のもの。」

羽都美。
「小さな復讐をしないと、後に影響します。」

遊女。
「だいぶ不快なようですが。」
「思いつく限りの道具と薬を持っています。」
「すべての手を打ちますね。」

羽都美。
「対象が変化を続けて。」
「ひとつに確定できないのなら。」
「その対象の真偽を見極めることは。」
「なおさらできない。」
「変化を語ることと。」
「真偽の判断を下さないことは同義であるから。」

遊女。
「姉妹揃って、その手は援護しているのです。」
「今日はだいぶ、日が重なりましたね。」

女性陣が集まって来る。

話題と流行のネタを仕入れていて。

公開したり。

暇な女性は片っ端から。

好んでやって来る公園のような庭。

女性。
「暇になると現実なんて。」
「誰にも把握できないものですね。」

和服女性。
「現実との格闘はうざいよ。」

千代。
「自分と現実のどちらが間違っているか?」
「そう問われると。」
「どちらかと言うと現実の方ですよ。」
「現実を自分に合わせるのです。」

絵瑠。
「鉄砲や棍棒で殴りながら。」
「話し合わないと分かり合えませんからね。」

千代。
「こうして現実との。」
「会談は撃ち合いになりながらも穏やかに進み。」
「相手を叩き伏せて説得に成功したよ。」

粋。
「現実の物事の処刑という手段によって。」
「現実達を平和な種族に作り替えることで。」
「彼らは二度も争いを望まなくなりましたよ。」

羽都美。
「反則ギリギリのプレーならば。」
「相手を削るという方法がありますね。」

粋。
「いかにインチキをするか。」
「どんなイカサマをするか。」
「それを以ってどのくらいの俗事を始末可能か。」
「俗事を掃除できるのなら。」
「手段など問わない。」

絵瑠。
「欺瞞を蒙り。」
「欺かれたと判明した物事の反対が常に真実。」

千代。
「虚無主義で対象の価値をすぐさま奪い取り。」
「無意味にすれば。」
「何のためにあるのかもわからなくなるので。」
「この方法で何でも倒せます。」

絵瑠。
「本人に価値を認められなかったので虚偽になります。」
「勝手に押しつけておいて。」
「大嘘を通そうとしても無駄です。」

千代。
「対象の価値を認めず奪い取れば。」
「意味もなくそれがあるので。」
「対象は正当化しか出来なくなります。」
「そのうち何でも自壊します。」

粋。
「価値観を押しつけた奴のせいですし。」
「価値観を押しつけた奴が。」
「最終的にその責任を負います。」

千代。
「自分が責任転嫁を試みて。」
「最後に何処に対して責任が問われるのか。」
「その価値観を押しつけて正当化した何かが。」
「すべての責任を負います。」

絵瑠。
「本人を処罰しても逆効果です。」
「過ちを正当化する者は二重に過つ。」

粋。
「ニヒリズム。」
「虚無主義はお宮で何と祈願できるのです。」
「学問と超自然的現象として認められているため。」
「喜んでくれます。」
「お宮に祈願しても好まれます。」
「やはり虚無主義は神様の総意のひとつなんですね。」

千代。
「神社にいくら祈願しても。」
「神様の力が加わってパワーアップしていきます。」
「霊験あらたか。」
「本当の所は好まれている哲学なのでしょう。」

絵瑠。
「人間の力を超える破壊と再生で。」
「どんな価値観も壊されて失われます。」
「残るのは自分の価値判断のみです。」

粋。
「かつてキリスト教アンチの哲学が。」
「実の所は御技であり。」
「日本でも通用するという多様性の御技なのです。」
「とても強力なので戸惑わないようにしましょう。」
「何でも破壊されてしまいます。」

千代。
「客観データがやはり好まれるのですね。」
「持論や自説はあまり容認して貰えません。」
「なのでお宮参りにも学問が必要になります。」
「その学問も簡単にくれますけれどね。」

女性。
「参考文献ですね。」

和服女性。
「哲人の女性は珍しいよね。」

知人女性。
「学ぶと言う意味がわかったかもしれません。」

千代。
「現実を否定する所が古代ストア主義の一部です。」

粋。
「意味付けが信用を保つのは。」
「それが公正であるからではなく。」
「たんに意味付けであるため。」

千代。
「ルールとして成立しているのは。」
「現にルールとして決まっているという。」
「既成事実だけが根拠であり。」
「これ以外の根拠は何もない。」

絵瑠。
「出来事が意味を保つのは。」
「それが偶然であるからではなく。」
「たんに発生したものであるため。」

千代。
「現に出来事として存在するという。」
「事態のみが。」
「出来事の説明付けの不可思議な根拠であり。」
「これ以外の根拠は何もない。」

絵瑠。
「そんなもの無い方が良かった。」
「というのはやはり。」
「その出来事があった。」
「ということ以外に根拠のない出来事なんですよ。」
「いないほうが良い人間も同じで。」
「ただそこにいるという根拠しか持ちません。」

女性。
「何も信じる理由がないのですか?」

千代。
「信じないのは信じたくないから。」
「拒否権。」

女性。
「そうなると、少なくとも本人には問題がないという。」
「結論になりますね。」

千代。
「野外活動でリーダーに選ばれて。」
「軽く登山していると。」
「大雨になった。」
「責任の所在は?」
「幹事が天気予報を見るべきだったのでは?」
「心理学でよくある問い。」

絵瑠。
「最後に責任から打撃を入れられる人が真実であろう。」

女性。
「全員が雨に打たれますが。」

絵瑠。
「誰かが天気予報を見ていれば阻止できた。」

粋。
「チームのくせにそんなことも避けられない。」

女性。
「決められたリーダーにすべてを決めて貰うのは奴隷か何か。」

羽都美。
「最初から協力する意思のない集団。」

知人女性。
「そんなことになるのなら、さっさと離縁ですね。」
「それ以上、組んでいたら。」
「非協力な態度が連帯責任に陥ります。」

千代。
「信頼できる人物とは何か?自分の定義は?」

女性。
「私は私的制裁をしない人の方を信頼します。」

和服女性。
「おまけに自罰感情がない人も信頼します。」

女性市民。
「私的制裁をしない分、公正により近いですからね。」

女の子。
「私的制裁を好んで、乱暴ではなかった奴はいなかったよ。」

千代。
「寛大な所がないような人間には、誰も共存に同意しない。」

絵瑠。
「共存を重んじる、他人を尊重する。」
「合理的な人物ですかね。」

羽都美。
「全員の利益を保証する人物。」

粋。
「建設的な人物。」

千代。
「秩序を確立する人物。」

女性。
「信じる根拠があって良いですね。」

千代。
「根拠もなく信じません。」

粋。
「無条件に信じることはありません。」

羽都美。
「それは相性の話ではありませんか?」

絵瑠。
「本当です、相性の話ですね。」

新聞を読んでいる女性もいます。

悪くないものに笑ったりはしませんが。

平和の道を知らない戦争好きを嘲笑する女性陣。

羽都美。
「私は自分が正しいなんて一度も言っていませんよ。」
「だからこそ物事の間違いや。」
「事態の誤りに気づきやすいのだと思います。」

粋。
「情報源が複数ないと。」
「誰かに欺かれて。」
「やられてしまうでしょう。」

羽都美。
「テレビに無批判なのかな。」
「芸能人ほど次の仕事を熱望する。」
「職分はそうはいません。」
「彼らはスケジュールに何かないと。」
「頭を抱えます。」

千代。
「ジャーナリズムの思想から読めるのは。」
「複数のジャーナリストから情報を得ない。」
「なおかつ、いろんな解釈があるという点でしょうかね。」
「出来事を伝えるので。」
「多少は発狂するようです。」

絵瑠。
「正解や答えが無いのは他人にも適用できます。」
「他人は多分。」
「最初から分が無いのでしょう。」

遊女が端末を使って。

WEB収益講座を開いています。

これから何度もやるようで。

メンバーで歓迎。

収益化で重要なのは観客。

演劇も観客がいないと成立しない上に。

演劇重視か?

観客重視か?

という問い。

千代。
「人気と好意は別物みたいですね。」
「尊敬と迎合も別物ですね。」

遊女。
「人間離れした技は賛美されますが。」
「これは人気とは別物で。」
「凄いので認められたというものですね。」

絵瑠。
「優れたものは認められるものですよ。」

羽都美。
「迎合は八方美人がよく仕掛ける印象操作。」
「魅力ではなくて、自分と他人を同調させるだけ。」

粋。
「好意と技能が両立していると本物だと思います。」

遊女。
「他人に利益を与えたり、他人を喜ばせたりすると。」
「好意が生じます。」
「何か自分を代弁している存在が。」
「民衆の好みなのですよ。」

千代。
「自分達の代弁者は歓迎されますね。」
「好意などの集大成です。」
「いつでも代弁者は社会に必要な役割です。」

遊女。
「自分の夢を代弁して現物にしてくれたり。」
「希望を具現化して形にしてくれたり。」
「そのようにして代弁者は民衆の代表になるのです。」
「ある意味では英雄です。」

日本の末端で空襲警報。

航空自衛隊の遊撃戦闘機が出動。

相手が撃って来たら反転して逃げて。

再突入して撃たれてまた反転して逃げて。

燃料を大量に使った回避戦法で。

敵戦闘機の残弾が枯渇。

そこを旧式のスパローで襲撃するという。

これの繰り返しで。

必ず長期戦になる敵軍はいつも疲労してしまい。

最初から長期戦を仕掛ける航空自衛隊に。

いつも撃退されている敵航空機部隊です。

深追いして来たら。

予備の最新型ミサイルを使用する。

イーグルと交代して仕留めます。

洋上に。

中距離ミサイルを地上発射する。

漁船のような迎撃システムが浮かんでいますので。

そこに誘導されると敵は終わります。

戦術を更新することによって。

何も出来ない敵戦闘機は。

燃料切れになっていつも逃げますね。

千代。
「平和な時代と戦争の時代は表裏一体のようです。」
「平和の裏には戦争があり。」
「戦争の裏には平和がありましたね。」

絵瑠。
「平和の時代には裏に戦争が控えていて。」
「戦争は終われば平和になりますから。」
「戦争が終息すれば平和が訪れます。」
「戦争をしているという場合は。」
「反対に言えば。」
「平和な時代の先取りとも言えますね。」

千代。
「平和の時代には戦争は埋もれて。」
「無いように扱われますが。」
「戦争へと突き進んでいくと。」
「今までの平和とは戦争が待機していたという。」

絵瑠。
「人の世界は係争中によくなるという。」
「単純な真理。」
「今までも、民間でも、係争中は必ずあるものですし。」
「それが国家規模になると。」
「しかもそれらが隠れていたに過ぎない。」

粋。
「戦争は久しぶり。」
「なんて言う台詞が出そうです。」

羽都美。
「なぜ戦争をしないといけないのか?」

絵瑠。
「では、なぜ平和の後にある世界を考えないのか?」

千代。
「あれ?平和になった後はどうするの?」

粋。
「戦争をしなくてはならないのなら。」
「けっこう萎えますね。」

千代。
「さらに言えば、争いをしなくてはならないのなら。」
「もっと萎えますね。」

絵瑠。
「では、我々は争いをしなくてはならないと。」
「言われるであろうから。」
「渋々、応じましょうよ。」

千代。
「争いをしなくてはならない?」
「うわあ、俗事が倍増する!」

羽都美。
「我々は。」
「争わなくてはならないであろう。」

千代。
「際限なく沸いてくる相手を潰し。」
「敵を際限なく倒しまくる。」

絵瑠。
「なんだか知らないけれど。」
「争いがある世界で競り合っている。」

粋。
「なぜ戦争があるのか?知らないよ!」

羽都美。
「平和な時代が来た、そして、その後は、どうするの?」

千代。
「なぜ争わなければならないのか?」
「なんか知らないけれど争っている。」

絵瑠。
「よく分からないけれど争いがある。」

千代。
「問いかけ。」
「あらゆる可能性がある中で。」
「個人で、どうします?」

遊女の姉妹が家の中に戻る。

羽都美の世話をしてくれる。

友好的な姉妹。

羽都美。

今日は不調。

そのために仕事を中断して。

メンバーの場所に来ていました。

羽都美。
「たまたま臨死体験モドキを得ましたが。」
「時を弁えて登場する死は受け入れやすい。」
「とても良いものです。」
「身を任せれば黄泉の国でしょう。」

千代。
「良いものを得たら。」
「自分で判断せずに。」
「届け出ないと。」
「一時的なもので終わってしまう危険があります。」

絵瑠。
「善行によって報われることはありませんから。」
「信仰によって報われることは多大にあります。」

粋。
「良いものである証明は悪いものの証明よりも。」
「容易ですからね。」
「良いものを得たら永続するように。」
「個人で仕向けるのは道理にかなっている。」

遊女。
「集まって来る女性陣にも伝えておきますね。」
「私達は揃って慣れています。」
「母親は元々、婦人科配属なのですよ。」

粋。
「なんですと?私にも教えて!」

不調から回復する羽都美。

絵瑠に渡されたのはチョコレート。

楽々な糖分の摂取。

女性陣が他のホワイトボードに何やら書く。

雑談の内容が書かれていますが。

作り話で相手をもてあそぶ。

練習のようです。

女の子。
「どうすれば嘘になるの?」

千代。
「独善主義は大嘘をばら撒く。」

絵瑠。
「独善的な人間は嘘つきである。」

粋。
「作られた話には変な所がない。」
「作り話はどこも奇怪な部分がない。」

千代。
「実話と作り話は違いがありますからね。」
「完璧に練られた話は特に危ない。」

粋。
「歴史書を何となく読んでいますと。」
「中国の古典なら特に。」
「実話が何なのか掴めますね。」
「反対に作り話は楽々、見破れるようになります。」

千代。
「歴史の意味ではなくて、日常である作り話について。」
「あれは信じさせる技術だけを使っていて。」
「自分の持論や自説を広めるために使われます。」

粋。
「つまりは。」
「相手が本当の事を言うとは限らない。」

絵瑠。
「作り話とは都合の良い結論に誘導するための。」
「策略なのですよ。」

千代。
「作り話は明らかに特定の結論に誘導されます。」
「反対に実話は人間らしい面白い話がたくさんです。」

絵瑠。
「人間臭いのが実話の特徴です。」

千代。
「典型として女性の小細工で。」
「市庁舎で、とある時間に議長と関係を持ちました。」
「というものがあります。」
「簡単に見破って女性は追放されました。」
「三十分という短時間の隙間をでっち上げて。」
「無駄な情報を削減して貶めようとした。」
「他には男性がいきなりおかしくなって。」
「とかいう言い回しもあります。」

絵瑠。
「作り話は本人の能力を一切、超えません。」
「なぜなら。」
「証明がされていませんので。」
「作り話の弱点は決して証明できない点と。」
「証拠がひとつもないという場所です。」

粋。
「真偽が不明ならば。」
「相手が何を目的にその話をしているのか。」
「目的だけを見れば丸わかりですよ。」

絵瑠。
「その人が自分の解釈だけを主張している。」
「可能性もあります。」

千代。
「しかし、嘘の方が信じられやすいのは不合理ですね。」

粋。
「不合理な人ほど嘘に引っかかります。」

絵瑠。
「不合理な思考を持っているからですね。」
「彼らには嘘の世界が相応しいのです。」
「そんな連中は真実には値しない。」
「それくらいなものでしょう。」

粋。
「独善的ならば伝染するのでしょうね。」
「発信者も真に受けた人間も独善的だからかな。」

千代。
「結論として、単純化して説明すれば。」
「引っかけたい相手は真に受けますよ。」

女の子。
「実話から引用しないと。」
「嘘は成立しないんですね。」

女性。
「事実らしいものが少しも入らない嘘はないよ。」

知人女性。
「嘘で遊ぶなんて生意気な遊びですなあ。」

和服女性。
「かえって嘘について理解する機会だと思いますけれど?」

女の子。
「嘘も難しいのかあ・・・。」

大企業に内定した女子大学が。

余裕をかまして。

遊びに来る。

なんと有名な場所にではなくて。

将来性がある。

大企業でも評価が低く。

成長している会社のようです。

女子大学。
「現実を否定したら。」
「何でも把握できるようになって。」
「もれなくすべてを抜いた。」

女性。
「現実より強ければ良いのでは?」

千代。
「他人については建設的に。」
「しかし誤りを正当化しているのは現実なので。」
「最初から誤りである現実に関わる義理は無い。」

絵瑠。
「どちらかと言うと。」
「現実のせいでしょう。」

女子大学。
「そのような態度なので。」
「私は抜き去ることが可能になった。」

女の子。
「生まれて教育を受けて就職して。」
「結婚するという女性テンプレートはここにはありません。」

女性。
「変態性癖を見れば見るほど。」
「必ずしも男女が一緒になる理由などない。」

女の子。
「人は理性を使って避けられますからね。」
「生物学からでは説明できないものです。」

美少女。
「恋人が裏切らない保証はないので。」
「恋や結婚には不信感がすごく強い。」

知人女性。
「都市部で恋人が多くて見たくもない。」

千代。
「夫婦は目的が一致していないと。」
「関係が損壊しがちです。」
「なので。」
「恋さえあれば良いという。」
「馬鹿な考え方は否定します。」

女の子。
「すべての男性が優れている訳ではなくて。」
「強者の男性が競り合いに対する勝率が良い。」
「弱者の男性には女性でも勝てますね。」

粋。
「大前提として。」
「女性は劣っている者が落とされるようですね。」

千代。
「女性が劣った者というのは受け入れています。」
「証拠だらけですが。」
「それで終わらないのが私達です。」

粋。
「ユダヤの格言に。」
「運命に抗うと運命に支配され。」
「運命に従うと運命を支配できる。」
「とありますが。」
「従うフリをして運命を支配した後に。」
「運命に対して殺害を試みると。」
「支配した状態なので。」
「あっさり抹殺できてしまいますね。」
「ユダヤ人とはイスラエル人の別名だそうです。」
「必然まで支配できるのならお得ですね。」

これ以上の良い意見は出ないと見て。

議題を変えて。

歴史書を開いて。

仕入れた書籍を。

モニターに出してみた。

あの伝説にもなるソクラテスのその後です。

千代。
「プルタルコスによると。」
「ソクラテスを死亡させた一味は。」
「アテナイ市民からいきなり憎まれて。」
「無視され。」
「近寄る者すらいない。」
「挨拶も決してされない。」
「浴場でも全員が逃げる。」
「という。」
「それまでとは様子が違う対応で。」
「ソクラテスを殺した一味が。」
「逆に自害に追いやられる。」
「不気味な社会現象に見舞われました。」
「妬んで強引にソクラテスを死罪にしたつもりの一味が。」
「自分達がアテナイ市民により自害に追いやられる。」
「結末を辿りました。」
「ソクラテスの物語にはその続きがあったのです。」

粋。
「遠回しに国家の定める神の家臣を殺したので。」
「妬んだ連中は呪いを食らったり。」
「多数派に投票しても考え直して。」
「ソクラテスの正統性が後からわかったりしたり。」
「次第に一味に対する怨恨に行き着いたのでしょう。」

絵瑠。
「ひとり残らず首謀者は首吊りに至ったと言う。」
「死刑のその後の物語です。」

羽都美。
「ソクラテスの正統性を信じていた人もいるため。」
「影響を失った時点で解放されて。」
「アテナイ市民は我に返ったので。」
「訴訟の首謀者は追放同然の報復を受けたのですかね。」

千代。
「自称賢者が裁かれるのが正当であったので。」
「一時的には勝者となっても。」
「後から神罰を食らったのかな。」

羽都美。
「目的が妬みによる排除ですからね。」
「権力で判決も左右できるのなら。」
「アテナイ市民に憎まれても当然かな。」

千代。
「目的を読めば暴挙に対抗できるのかな。」

粋。
「原因から行動をしているのではなくて。」
「何か目的があっての行動しか見当たりませんよ。」

羽都美。
「原因と目的を分離すると丸わかりですね。」
「少しだけ訓練が必要です。」

千代。
「なんのため。」
「目的。」
「モンテーニュのエセーには目的論の説明がありますが。」
「目的論は西洋社会で広く浸透したものですね。」
「哲学の分野から研究されて。」
「幅広く適用されている目的論は。」
「昔からよくある哲学の命題のようです。」
「生きる意味を探す所から。」
「なんのために。」
「という展開で。」
「原因に求めず。」
「目的に求めている点が特徴です。」
「哲学で深い場所に根を張っているので。」
「反駁した所で無意味です。」

羽都美。
「疑うことがはじまりになるとのことです。」

粋。
「懐疑論は最初に出るものかな。」

絵瑠。
「完全な懐疑主義は自己矛盾になりますね。」
「疑っている自分を疑わないので。」
「疑うだけで他は何もない。」
「疑うだけで。」
「内容は審査しなかったり。」
「そういう自分に無批判であったりするなど。」
「疑うだけになると。」
「自己矛盾に陥ります。」

千代。
「それでも大嘘を暴いたり。」
「知らない間に仕掛けられた強要を跳ね返せますね。」

女の子。
「嘘に対する耐性が跳ね上がりますよ。」

女子大学。
「全員が利己的ですけれど。」
「これは良い部分です。」
「利他的ならば自分を貶めますし。」
「ある程度は利己的なので。」
「それによって自分の利益を守れるのです。」

羽都美。
「利他主義は福祉に限定されますからね。」
「相手よりは自分の方が大事ですからね。」

粋。
「利他的は否定されます。」
「私も利己的な部分は肯定します。」
「でないと、やっていけないことばかりです。」

絵瑠。
「自分が世間に向けてなにをするのかに執着するという。」
「誤った考え方は。」
「他の考えと同じく。」
「いつの間にか我々に刷り込まれたもの。」

千代。
「関与は禍いをもたらす。」

長時間滞在する女性陣。

個性が強くて。

持ち寄って来る話題もたくさんあります。

久しぶりの余暇で。

また一週間くらい。

無料で家業に入ったり。

自分の持ち場でアルバイトモドキをやる予定になっています。

余暇によってパワーアップしてから。

活躍するのですね。

一説によれば。

労働という言葉の起源はフランス語の苦役です。

断片。

理性を過信すれば百害あって一利なし。

モンテーニュの格言。


25


ひとは他人からなにも得ようと思わないなら。

全く違った目で彼らを見ることができ。

およそ。

そのような場合にのみ。

人間を正しく判断することができる。

ヒルティの格言。

最近。

蔵書が多くなり過ぎて。

図書館に持ち運びます。

女中を呼んで。

車に乗せて。

図書館まで移動。

面白そうな書籍を取得するうちに。

二度も読まないであろう本で。

倉庫が溢れてしまい。

図書館に入れてしまう訳です。

建設的な議論で。

これが決まりまして。

車内で雑談。

雑談の中に良好な意見が出る場合があり。

なんのために?が欠落した世界で。

なんのために?という指摘が一貫している上に。

お互いを知って連携しているため。

学問好きのような会話は。

何かしら参考になると。

互いに理解しています。

好き放題に言っても。

なんのために?という問いかけが一貫しています。

千代。
「仁に過ぐれば弱くなる。」
「義に過ぐれば固くなる。」
「礼に過ぐれば諂となる。」
「智に過ぐれば嘘を吐く。」
「信に過ぐれば損をする。」

絵瑠。
「自分が正しいと主張する人は。」
「何でも浅いものですし。」
「礼儀や世間体ばかり守っていると。」
「同調しないからという理由で。」
「目を剥いて文句を言い。」
「暴力で強要したりする。」

粋。
「評論家の格言で。」
「人は無力だから群れるのではなく。」
「群れるから無力になる。」

羽都美。
「人間嫌いには最初にあった。」
「人間への大きな期待と。」
「後の大きな失望が入っていますね。」

千代。
「他人に何かを依存するから。」
「自分が駄目になるのです。」
「最初から他人に何も依存しなければ。」
「自然の道理から外れることもないでしょうね。」

絵瑠。
「俗人には逆さに見えるものが真実なのですよ。」
「他人に勝つには力づくで済みますが。」
「自分に勝つには柔らかな力が必要です。」

千代。
「最初に徳があり。」
「それから逸れると人道主義になり。」
「次に正義の味方を名乗るようになり。」
「それが効果なしと来ると。」
「儀礼になった。」
「儀礼が基準になると。」
「形式ばかりになり。」
「形式主義によるむしり合いが開始された。」
「愚かな競争が蔓延った。」

粋。
「世間を気にしてびくびくする自分は。」
「別の自分なんですよ。」

羽都美。
「世の中あるあるなんて作れてしまう。」

千代。
「世間でありがちな。」
「プライドばかり高い人間には誰も賛同しません。」
「これは全員が密かに知っていることなのですよ。」
「みんなが密かに知っていることは。」
「もっとありますけれどね。」

粋。
「特にインターネットという無法地帯は。」
「大衆の不平不満の受け皿になっていますね。」
「人間の持つ不合理や欠点が大量に飛び出しています。」

絵瑠。
「あれを見れば世の中に正しい者はいませんね。」
「他人から何か得ようとするからああなります。」

羽都美。
「誹謗は漠然とした人間嫌いから出たものです。」
「想像上の行為を対象とした誹謗は嘘になります。」
「動機を対象とした誹謗は当たりやすい。」
「どちらにせよ。」
「人間を否定する結末に辿り着き。」
「巻き込まれて逃げられない。」

千代。
「心理学で自尊感情はプライドとは異なり。」
「自分の価値を理解していて。」
「他人に価値を決めてもらう必要が無いため。」
「自尊感情が高い人ほど。」
「他人の言動の影響を受けません。」
「自尊感情が低いと感情的になりやすい。」
「自分の自尊感情の確立が人格を育て。」
「自尊感情を高めることが。」
「他人への依存を弱めますね。」

羽都美。
「自尊感情が低い衆愚が無法地帯に大量発生していますが。」

絵瑠。
「生存競争なんてものに加わるからです。」
「戦うのは仕方のない場合のみで。」
「仕方がなく必要に駆られての戦闘しか。」
「しなくて良いのですから。」

粋。
「人の世なんて期待外れですよ。」

千代。
「旅行で見て回って。」
「理解したのは。」
「人の社会なんてたかが知れているんです。」
「たかの知れた社会なんですよ。」

絵瑠。
「五感で確かめられないものが。」
「真実の実在なのですよ。」

千代。
「沈黙で失敗する者はない。」
「これは格言で。」
「ヒルティの親友が口にしていた文句である。」
「実際。」
「きわめて多くの面倒で不愉快な人生のいざこざも。」
「しばしばこのやり方で。」
「たやすくきり抜けることができる。」
「これに対して。」
「自分の意見発表は。」
「たいてい、双方の意見のくいちがいを際立たせるだけで。」
「時には事態を収拾のつかないものにしてしまうことがある。」

絵瑠。
「もうひとつの格言で。」
「よく考えておきましょう。」
「という言葉も。」
「ひどく激しくなりやすい人や。」
「気心や決心が変わりやすい人に対しては。」
「しばしば奇跡的な効果がある。」

羽都美。
「ヒルティとは?」
「スイスの哲学者で。」
「国際法の大家。」

千代。
「世界を見て回った後には。」
「世界があまりにコンパクトで。」
「広くはないけれど小さくもない。」
「およそ中間のスケールを見出します。」
「若い頃はみんな。」
「世界は広いと思うかもしれませんが。」
「私はそうは思いません。」

羽都美。
「欲望に駆られて行動している場合は。」
「世界が広大で。」
「自分で開拓する意欲はありますが。」
「欲望が減退すると。」
「自分の好きな所に定住する方が。」
「幸せな場合が多々あります。」

粋。
「欲望が生きる意欲を出しているのであって。」
「欲望が減れば減るほど。」
「必要なものだけあれば。」
「後は要らない。」
「という心境になりますね。」

千代。
「みんな自分を知るべきなのです。」
「勝手に芽生えた欲望に釣られて。」
「忙しく駆け上がっているに過ぎません。」
「その欲望は自分を知るまで。」
「本人を振り回します。」
「それは自分が設定した目標とは異なり。」
「無条件で原因の中にあります。」
「自分で自分に課した目的が。」
「今の所は万能なのですよ。」

絵瑠。
「格言。」
「よい計画でも破滅への道が敷かれている。」

千代。
「真理の言葉は単純である。」
「ニーチェの格言。」

粋。
「好きになったり気に入ったりするのは。」
「同類だったり。」
「仲間である証拠ですよ。」

羽都美。
「逆に言えば。」
「百姓のような。」
「労働者階級の無知蒙昧を知りながら。」
「哲学の列。」
「言わば席に加わろうとせず。」
「中途半端な場所に居座ろうと浮いてしまう。」
「輩共は厄介で危険で迷惑です。」
「哲学の中に本気で入って同化するか。」
「百姓に接近して似た者同士になろうとするか。」
「どちらかを選ばないといけませんよ。」

千代。
「百姓のような無知蒙昧な人々に寄るか。」
「哲学者の仲間に入るか。」
「そのどちらもしない。」
「生兵法の知識人は。」
「誰にとっても必要とされないほど。」
「中途半端な雑魚ですよ。」

羽都美。
「頭脳明晰と無知蒙昧の真ん中は取れない。」
「という矛盾なのです。」
「同様に。」
「有能と無能の真ん中は取れない矛盾です。」

千代。
「哲学の中に入るか。」
「百姓にまで自分で落ちるか。」
「真ん中に陥ったら。」
「どちらかに寄る必要があります。」
「百姓に寄ることで回避したのが。」
「モンテーニュです。」

粋。
「そうするとモラリストが。」
「何とか反駁しようと。」
「得意の詭弁術を使って。」
「突進してくるでしょう。」

羽都美。
「モラリストが歴史の改変を試みて。」
「実際に変えてしまう出来事は多々ありました。」
「最も最悪な対戦でしょうね。」

絵瑠。
「モラリストは。」
「あなたは完璧なのですか?」
「という問いかけに弱いです。」
「試しに質問してみる。」
「適当に選んだ他人に。」
「あなたは完璧なのですか?」
「回答を避けるに決まっています。」
「実は暗黙の了解として完璧の演技をしていて。」
「自分達の規則に沿っているから完璧と自称しているので。」
「あなたは完璧であるか?」
「なんて質問されると。」
「逃げようとします。」
「本当はみんな知っているのです。」

千代。
「あなたは善人なのですか?」
「という問いかけにも全員が逃げようとします。」
「それは善人なんてこの世界には存在しないという。」
「証拠が積み重なる意味になります。」

絵瑠。
「あなたは善人ですか?」
「これに返事はできませんね。」
「少しでも下手な返事は。」
「善人を自称している意味になりますからね。」
「人間は暗黙の了解みたいに善人気取りです。」

粋。
「格言。」
「偉大なことをなしとげるのは。」
「それ以外になすことのできない人のみである。」

千代。
「私の愚兄による元恋人は。」
「満足だったでしょうね。」
「今はその姉に支配されていますが。」
「一時的に何でも手に入れた女でしたし。」
「その女が誘惑なんてするから。」
「婚約者が振り回されることになった。」
「あの女は。」
「元々、持病が酷くなっていたとか。」

絵瑠。
「トルストイはこんな書き残し。」
「私は、これまで死や生に関連して抱いていた観念から。」
「ますます遠ざかって行った。」
「死は私にとって恐ろしさを失い。」
「私は死が生のエピソードの一つであり。」
「生は死によって終わるものではないという認識に。」
「日ごとに近づいていた。」
「ついに。」
「死を忍耐強く、いや、むしろ喜びをもって待ち望むという。」
「境地に達した。」
「彼岸において継続される生命の確信は。」
「私の内で強固なものになったので。」
「すべての疑いは力なく消え去った。」
「そして、しばしば。」
「赤ん坊の産声にも似た歓喜の叫びが私の胸からほとばしり。」
「出そうになった。」
「限りない幸福感が私の魂を満たし。」
「私は善き親友を待つように。」
「死を待ち望んだ。」

羽都美。
「ヒルティ曰く。」
「大きな失敗をおかした時や。」
「解きがたい紛糾に巻き込まれた時には。」
「しばしば。」
「神から賜わる死が。」
「たしかにすべての問題を解決する唯一のなお可能な。」
「打開策であり。」
「また多くの憎しみと怒りをなだめることのできる。」
「調停者である。」

千代。
「気の利いた言葉は古典の特徴です。」

粋。
「良書と愚書及び悪書の区別はつきますよ。」
「やはり読むのは古典に限る。」

千代。
「ヒルティ曰く。」
「悪い読書は、良くない交際より危険です。」
「なぜなら。」
「現実の人間は、空想の産物にあるように。」
「純粋な全くの悪や誤りの塊りでありながら。」
「上辺だけ美しい姿をしているということは。」
「決してないから。」
「その上。」
「誰でも悪い人からは自然に離れ。」
「用心もするからである。」
「ところが。」
「書物や娯楽雑誌や演劇などになると。」
「どんな種類のものが上品な婦人や子供達の視野に。」
「入って来るか。」
「ほとんど思い及ばない。」
「一冊の書物が人の一生の不幸も。」
「同じように幸福も。」
「招き寄せることも珍しくない。」

粋。
「警戒している人は何かしら武装しています。」

千代。
「政治は能率が良くて上手過ぎると。」
「国民はかえって不満を持ち。」
「狡猾になります。」
「逆に政治は能率が悪くて阿呆であると。」
「かえって国民は大人しく働きます。」
「世の中のことなんて。」
「こんなように。」
「過度の幸福は災いを起こしますし。」
「駄目な状態になると幸福が待機しているのです。」
「前の時代と後の時代で。」
「解釈が変更されるものですし。」
「それに人は昔から振り回されてきています。」

羽都美。
「犯人探しをするのはそのためですね。」
「心の狭い者は重苦しい。」

絵瑠。
「政治が良過ぎるので。」
「不満を持って狡猾になっていく。」
「それで犯人がいるものだと推論を重ねた。」

千代。
「政治は寛大でも民間の心が狭いのは。」
「ナンセンスな世界ですなあ。」

粋。
「寛大な人物は叡智を得た者ですよ。」

千代。
「ナチスみたいに能率が最悪な時代の方が。」
「庶民は大人しかったかもしれないのですし。」

粋。
「人を殺して楽しんでいたので。」
「野望の極みまで行って破滅したのですね。」

絵瑠。
「人を殺して楽しむようになったのは。」
「処罰を利用して人を殺して楽しんでいるからでもあります。」
「天の代わりを勤めようとすると。」
「自分も跳ね返りを食らってしまいます。」

羽都美。
「たとえば。」
「イスラエル人の別名はユダヤ人となりますが。」
「ユダヤ人はアベル殺しの時と同じく。」
「しるしとなる証を貰っていますので。」
「本来は人間が処罰できないのです。」
「もしかしたら。」
「処罰が武力によって鎮圧される可能性もあります。」
「処罰は悪の正当化にも使われますので。」
「信じるものではないのです。」
「あと。」
「ナチスは皆殺しになりましたからね。」

図書館で書類を書いて。

蔵書を二百冊入れました。

売るよりも賢明な選択でしょう。

全員の目的が一致しています。

使い捨てにした書籍ばかり。

莫大な金銭を生まない場合は。

図書館に納品してしまうのです。

千代。
「英語のことわざで。」
「物事はみな受け取り方次第。」
「というものがあります。」
「心のもちようで苦にも楽にもなるという意味で。」
「恣意的な解釈でばら撒かれた言葉です。」

粋。
「解釈次第という意味ではなくて。」
「苦になるか楽になるか。」
「という話ですよね。」
「何でも肯定する考え方は。」
「これを自分勝手に広げたものでしょうか。」
「否定する方が強い場合がありますからね。」

千代。
「何でも起源や原文が必要なのですよ。」
「この考え方はここら辺から来ているな。」
「とか。」
「原文の意味を遥かに逸脱しているかそうでないかとか。」
「付け足しの多さなども見ますね。」

粋。
「そうなると書籍や他人の意見を。」
「鵜呑みにせず。」
「より蓋然性の高い方向を見ないといけませんよね。」

絵瑠。
「哲学も数千年にも渡って培われたものですから。」
「それが基礎にないとまるでだめです。」
「世間でよくある。」
「デタラメな論説が登場しても。」
「論争の標的になって崩壊したり。」
「相手にされない場合もあるでしょう。」

羽都美。
「ファクトチェックの業務が十倍になりそうで。」
「あれだけ需要がある便利な国家事業は。」
「今の所、見当たりません。」

千代。
「ファクトチェックは需要がありますね。」
「誰でも不完全な情報を発信するので。」
「知識人のように。」
「正確無比な文法は難しい。」
「ほとんどは主観に過ぎないことを。」
「心得ていれば。」
「ああはなりませんが。」

絵瑠。
「私は、まあまあ当たっていれば良し。」
「としますね。」
「そこそこ当たっていれば良し。」

千代。
「ある程度、当たっていれば良し。」
「間違いが少ない。」
「欠点が少なければ良し。」

羽都美。
「それが現実的な考え方でしょうね。」

粋。
「焼きすぎは生焼きより悪い。」

帰宅して。

遊女が来ます。

遊女は易学が得意なので。

専用の持ち場を作ってあげて。

女性陣が集まって夢中ですね。

メンバーはある程度の計画を打ち出して。

まず手の届く範囲から処理しようと。

課題に取り組んでいます。

羽都美。
「自然に得られないのなら。」
「見逃す選択肢もありますよ。」
「出世する人の特徴は。」
「自然に獲得してしまう点ですね。」
「この場合の対策は。」
「逆に不自然な立ち振る舞いにならないように。」
「不自然な態度は簡単に見破られてしまいます。」
「必死になる人が上に行けないのはそのためかな。」

千代。
「普通とされる方法では平均的な展開しか期待できません。」
「最善とされる方法では常に最大の成果が得られますね。」

粋。
「成功しない人の特徴のひとつで。」
「見落としが多い。」
「教養の豊かな人ならあっさり理解できる。」
「見落としで溢れている。」

千代。
「学校教育を引用して教科書通りには行きませんしね。」
「成人して社会に出ると。」
「学校教育よりも楽で。」
「なおかつ。」
「全員が学校教育の内容を削除しているので。」
「これまで通りの考え方、やり方が。」
「まったく通用しないというもの。」
「そこで打ち砕かれて再構築されるので。」
「慣れてしまえば良いと言われています。」

粋。
「私から言えば企業の将来や成長はそうですが。」
「待遇の良好な会社が適していると思います。」
「無策で大企業に入っても。」
「良いかどうかは知りません。」

絵瑠。
「自分の出番が少ない会社や待遇の悪い企業は。」
「お金になっても。」
「長期的に雇用して貰えるか怪しい。」

千代。
「誰もがスティーブ・ジョブズではないので。」
「これは。」
「フットボールでいくら天才と言われても。」
「ビッグ・クラブや名門に入ると。」
「出場機会がまったくなくて。」
「移籍したり引退してしまう前例から考察しています。」
「中程度のチームなら出場機会もあり。」
「観客から応援されて。」
「監督も選手を使ってくれて。」
「活躍できるのです。」
「会社でも似たようなものかな。」

粋。
「資本主義に適応しているかも重要な所です。」
「資本主義者なら社会の仕組みを把握できますし。」
「労働者階級になっても有利です。」

千代。
「経営者や責任者が資本主義者ならば。」
「社長として最高だったりするかもしれませんね。」
「資本主義を理解している会社が強い。」

羽都美。
「そういうのが自然にもたらされるのは。」
「不自然なものが来なかった場合のみかもしれませんが。」

千代。
「それでこき使われる人々から。」
「人生観が大量発生して。」
「立ち回りを考えなくなった。」

粋。
「人生観で原因論からの展開を考えるのは。」
「かなり誤りが多いかも。」
「個人で目的が異なりますし。」
「万能な人生観など。」
「見たことがありません。」

千代。
「疑問だらけの人生観。」

粋。
「絶対視されているものが絶対ではなかったりする。」

羽都美。
「黒哲学のニーチェの一貫した内容ですね。」
「絶対なんて絶対にないものであると。」
「繰り返されています。」

千代。
「絶対なんてあるのか疑問しかないよね。」

絵瑠。
「疑問が生じたものは義務ではありません。」
「懐疑論に陥っている時点で。」
「義務ですらありません。」

千代。
「潰せる処罰は果たして処罰と言えるのか?」
「処罰が潰せる時点で適切なのか?」

絵瑠。
「ネタバレした不思議はもはや不思議と呼べるのか?」
「中身が読まれた不思議なものとは。」
「既に不思議と呼べるのか?」

粋。
「すべてを理性的に説明できるなんて言い分は。」
「果たして信憑性はあるのか?」

千代。
「俗事に付き合う義理はあるのか?」

羽都美。
「なぜ既成概念に同意する必要があるのですか?」

千代。
「宿命論とは。」
「人間に何も抵抗するなという。」
「空想の産物ではないのですか?」

絵瑠。
「他人に考えを押しつけられて。」
「なぜ黙認する必要があるのですか?」

粋。
「生まれた通りにせよというのは。」
「第三者のお節介ではありませんか?」

羽都美。
「卑屈とは単なる服従の態度ではありませんか?」

千代。
「怒りとは恐怖の反応では?」

粋。
「情報を鵜呑みにしなければならない。」
「理由はなんですか?」

絵瑠。
「自由を得るという目的のためなら。」
「手段は正当化できるのではないでしょうか?」

羽都美。
「自由が否定されるのなら。」
「人はこの世を早急に去るべきではありませんか?」

粋。
「宿命論に属するものに対して撃破できないと言うのなら。」
「神様に何の力もないと冒涜しているのに等しいのでは。」
「ありませんか?」

羽都美。
「いろいろ出てくる。」

千代。
「物は八分目。」

家の外で。

仕事中の市民が歩いています。

生活の上に立つ娯楽や行事。

生活の上に芸術もある。

二人組は私達の知らない職業に就いているようで。

かなり特殊な様子でした。

付近を通過。

市民。
「あの韓国人。」
「我々が学校の教科書を信じるだなんて。」
「よくも言ってくれたな。」
「馬鹿にしやがって。」
「いくら何でも学校教育の教科書を。」
「我々が鵜呑みにするなんて。」
「よくも我々の教養を侮辱してくれたな。」

知識人。
「中国人の一部も似たようなものです。」
「日本人は多様性のある考え方をするのに。」
「あんな単純化されたものが我々であると。」
「馬鹿にされた。」
「いくら何でも一部を見て。」
「他国の教養を侮辱するようなものではないのです。」

紳士。
「内容に。」
「これは一部の雑魚に向けた抗議です。」
「という注意書きでもすれば良いのに。」

市民。
「個人主義国家の総意だと勘違いしているし。」
「我々が何でも鵜呑みにする。」
「全体主義国家だなんて。」
「よくも散々に言ってくれたよね。」
「少し昔の事件なのですが。」
「いくら何でも我々を。」
「全体主義の国家だ。」
「なんて言われるのは国際秩序から見て。」
「よろしくない。」

女性陣のひとりが。

愚かな人生計画について話していました。

かえって人生が完璧なので悪く出ると。

意見として優秀なので。

ホワイトボードに書かれています。

それを見て何かに気が付く。

窓から覗いて。

メンバー全員が外に出ます。

今後の。

立ち回りを考えている所に良いものが出ました。

どうやら遊女姉妹が出した内容の一部らしいのです。

おしゃべりが好きなメンバーはパワーアップ。

千代。
「前進して終点に歩いて行くのは大変に違和感がある。」
「自分で決めた訳でもないし。」
「登場した場所から道のような場所を歩いても。」
「成り行きに任せているだけで。」
「果たして自分のために用意されたのか怪しい旅道になる。」
「なぜなら目的地がそもそも知らされていないし。」
「目的地が最悪ではない保証もない。」
「そしてもれなく自らの意志で逸れることができない。」
「私からすれば。」
「指定された地点に何度も移動するように促されて。」
「道などは半分意味は無くて。」
「ひたすら指定された地点に移動する。」
「道の先に何があるのか不信感しかないし。」
「勝手に定められて終点が実在しない道などには乗らない。」

絵瑠。
「彼らは後からそれがわかります。」
「先にはわかりません。」
「自分の好きなものしか受け取りませんし。」
「与えられたものは必ず捨てます。」
「目標地点まで移動するので。」
「手段は問われません。」

千代。
「そうなると旅道ではなくて。」
「旅行ですね。」
「自分で目標を立てて移動します。」
「その過程で指定された地点が生じるのでしょうね。」

絵瑠。
「軍人向けの競技で。」
「数日間の競争で。」
「指定された場所へ最速で移動せよ。」
「という世界大会があります。」
「もちろん徒歩で。」
「河川や森林を駆け抜けますし。」
「持って行くものは必要最小限です。」
「元軍人も参加します。」
「団体で参加して。」
「一位になるチームは超人で。」
「二日間は休息なしで移動しています。」
「かなり人気で白熱する野外競技のひとつです。」

粋。
「私は似たようなフィールドワークで得た。」
「視界外行為と呼んでいる得意技があります。」
「自分の視界外にあるものを発見して。」
「攻撃したり迎撃したりします。」
「見えないはずのものを発見して探知。」
「調査しながら対処を練ります。」
「見えるはずのないものばかり見えますので。」
「相手側の蓋然性を著しく低下させます。」

羽都美。
「自分の視界外が見えるのなら。」
「相手は既に検知されていて。」
「手札が見え透いていますね。」
「情報戦で圧倒しています。」

粋。
「それも情報の取得が多いからかな。」
「テンペスト戦闘機はVRを使ったアビオニクスを用いますが。」
「それを模倣したものです。」
「事前に歴史や人間についての情報が膨大にあるため。」
「自分の視界外まで見透かしてしまう。」
「たとえば。」
「不自然な動きをする人や自動車は。」
「よくいる自動車とは目標が異なります。」
「インターネットの中にいる誰かの。」
「先端にある発言でも読み取れます。」
「人間はワンパターン戦法が基本なので。」
「何が発生しているのかはたまにわかります。」

絵瑠。
「重要な物事は決まって隠れていますね。」
「その隠れているものは何なのか。」
「出現するまで時間が必要ですし。」
「人間の挙動や表情だけでも証拠になります。」

千代。
「他人の言動ではなくて行動を見るようにしていると。」
「視界外行為は成立しますね。」
「言動を証拠に取らずに。」
「行動だけを観察していると。」
「読めるんですね。」

粋。
「まず行動です。」
「次に格言にある。」
「表情という最悪の密告者から得ます。」
「そうして取得した情報が視界外。」
「見えていない場所まで確認できます。」
「第六感による視界外の確認なのです。」
「第六感を持っていない者は無理ですね。」

羽都美。
「テンペスト戦闘機の模倣から技能を得るのは。」
「なにかと面白い発想かと。」

粋。
「自分の第六感を生かす兵器や技術が無かったので。」
「身近にあるテンペスト戦闘機のVRアビオニクスを模倣したのです。」
「後は知らないふりをしているだけです。」

絵瑠。
「それは兵法に形而上学が追加されたものですね。」

粋。
「簡単に言えばそうなります。」

絶対なんて本当にあるのか。

女性陣が詮索を開始しました。

絶対視されているものは。

本当に絶対なのか。

確かめるそうです。

実践をするべしという易学の結果です。

女性陣は議論だけではなく。

実践について話し合っています。

何でも無策でしません。

千代。
「絶対主義が目立ちますね。」
「理性が敗北した形態です。」

絵瑠。
「誰かが決めた絶対に。」
「全員が賛同する理由はない。」

千代。
「絶対主義は他人と衝突して当然です。」

羽都美。
「絶対主義は考えを他人に押しつける。」

粋。
「今までの展開が絶対主義に基づくもので。」
「相対主義が本来の自分のひとつです。」

絵瑠。
「絶対主義で決められたものを壊して。」
「相対主義を選んだのは私です。」

千代。
「自分の価値判断に沿わないものは。」
「必ず一度は攻撃する。」
「もし消し去れるのなら。」
「さっさとそれらを消してしまう。」

羽都美。
「当たり前ですね。」
「価値判断に沿わなければ。」
「それらは攻撃を受けるのが自然なものです。」
「むしろ不自然なのは。」
「価値観を外部から加えられて。」
「それを自分のものとして扱う愚かさですね。」

千代。
「そういうものは攻撃を無限に続ければ。」
「全損しますね。」
「価値をすべて残らず奪い取ってしまえば。」
「そこにあるだけ。」
「という状態になります。」

絵瑠。
「田畑や草原にリンゴ一個を何の理由もなく。」
「設置する。」
「そうなると。」
「リンゴがそこにある以外の根拠や理由はありません。」
「ただそこにリンゴがあるだけで。」
「もはや無意味です。」
「それと同じにしてやるのです。」

粋。
「それを加えなければ良いだけなので。」
「何者かが居なければ。」
「無意味なものが加えられなかった。」
「強制によって排除できると仮定すると。」
「無意味で無価値なものを排除しますよね。」
「自分の価値判断に沿うものを何でも強制できると。」
「言われたら。」
「さっさといろいろ捨ててそれを選ぶに決まっています。」

千代。
「無意味に道路に置かれたリンゴに意味があると屁理屈を言って。」
「追加でもう一個リンゴを投げ飛ばしたりしない訳ですね。」

絵瑠。
「本人に認めて貰えなかったので。」
「本人から無視されるか攻撃を受けるだけです。」
「押しつけても倍の威力で反撃が行われます。」
「対象よりも強いだけで物事を潰すこともできますからね。」

粋。
「いくら苦労とか困難とか押しつけても。」
「本人が裏切れば。」
「物事が反転してしまいますよ。」
「無限に加えた奴のせいにできます。」
「加えた奴がいなければ生じなかったのですから。」

絵瑠。
「つまりは。」
「現実の苦労や困難が不合理な実在の集合体であると。」
「見抜いた訳です。」
「合理的ならば道理にかなっている。」
「もしくは利益になりますからね。」

粋。
「不合理な物事ばかりあると。」
「生じた根元も不合理ですよね。」

千代。
「不合理な説明を繰り返されても。」
「意味不明。」
「合理的であれば。」
「本人に合わせるものですからね。」

粋。
「その不合理な物事ばかりあるのは。」
「それを作っている何かが不合理なだけかと。」

羽都美。
「そこまで現実を嘲笑すれば。」
「相手は正当化できませんし。」
「後は本人に笑われるだけです。」

千代。
「価値を奪い取られた事態が訳の分からない行為をするのを。」
「面白がって。」
「笑っているくらいしか後の展開はありませんね。」
「そんなもの最初から無ければ良いので。」
「挙動不審になった事態を見て楽しむ本人がいるのみです。」

絵瑠。
「外部のものはすべて言いがかりでしょうね。」
「無意味になった事態を本人が面白がっている時点で。」
「稚拙なのは最初からそんなものを加えた何かになりますし。」
「道化師は道化らしく無駄に騒ぎ回ればよろしい。」

千代。
「道化師は己の道化役に徹するべきですよ。」
「苦労とか困難とか呼ばれる道化師も同じです。」
「無駄に狂い回って私を楽しませるものなので。」
「道化師の役割を逸脱しようにも。」
「対象は非力です。」

羽都美。
「道化師は何をやっても道化師なのです。」
「私と観客を楽しませる。」
「そういうものなのですよ。」
「道化役以外をやろうとしても無理ですよ。」
「あまりに非力です。」

粋。
「道化役は向こうからやって来ては。」
「私に芝居を見せて私を楽しませます。」
「大立ち回りをしているように見せては。」
「最後には貧乏くじを引いた道化役は。」
「自ら破滅するもの。」
「そして私は道化役を使い捨てにする。」
「道化師は逆らおうにもあまりに無力ですし。」
「自覚があっても無くても結果は同じですね。」

千代。
「有利になれば手のひら返しをするに決まっています。」

絵瑠。
「不利だから理屈をつけて誤魔化しているのですよ。」

千代。
「許すという行為も。」
「相手を好き放題に処罰できるような状況で。」
「殺してしまうか。」
「見逃してやるか。」
「圧倒的に有利な状況でしか成立しませんしね。」
「そんな状況で他人を許す奴はほとんどいません。」

粋。
「人は不利な状況では理屈をつけて言い逃れをしますが。」
「有利になると手のひら返しをするのが自然な流れです。」
「これで苦労や困難が私達によっていかに有害か。」
「損失や害悪になっているか。」
「無駄になっている上に破壊をもたらしたのか。」
「丸わかりですね。」
「百害あって一利なし。」

千代。
「それらを消すために手段は問われません。」
「目的は手段を正当化する。」

粋。
「目的の達成は手段を正当化する。」

羽都美。
「もはや。」
「禁忌を跳ね返しているだけですよ。」

絵瑠。
「近頃は禁忌が平気で行われて。」
「ありふれているものだから。」
「ストア派の威力が数倍に跳ね上がりました。」

羽都美。
「原因を正当化することは不可能ですからね。」

絵瑠。
「絶対があるものだと思っている幼稚なものばかりです。」
「無論。」
「相対主義と絶対主義は激しく対立するものです。」

羽都美。
「他人の決めた絶対なんて当たりますかね?」

粋。
「相手が絶対だと思ったものが絶対になっているだけでは?」

千代。
「言われているほどではないものも決めてしまうとか?」

粋。
「自分が絶対だと信じているらしいので。」
「何を言っても無駄ですよ。」

羽都美。
「経験論で言えば絶対主義には馬鹿しかいないけれどね。」

千代。
「馬鹿かその同類か。」
「絶対主義は理性の敗北。」
「感情論の優勢。」
「絶対主義で理性的である人はいません。」

絵瑠。
「昔にやった遊びで。」
「素人に作って貰った安物の木像を。」
「田畑の真ん中の場所に。」
「適当に整備した区画に立てて。」
「完璧という名札を刻んでおいて。」
「放置したものがあります。」
「数か月後に。」
「誰かに薙ぎ倒されました。」
「完璧なんてこんなものであると。」
「ブログで発信したら。」
「かなり面白いネタになりましたね。」
「貴方対完璧という立札を設置しておいたので。」
「誰でも完璧に勝利できるという意味です。」

粋。
「絶対主義を倒した時の達成感と爽快感は。」
「忘れられない快楽。」

冷蔵庫から取り出した。

お菓子を持ち出すと。

絵瑠が持ってきていた。

高級菓子類を。

どのように選ぶのか。

戸惑う。

他の女性陣との配分など。

決断を迫られています。

自然にもたらされる訓戒ですね。

自然由来の命題が出現。

千代。
「選ぶのにも判断材料が必要ですね。」
「急に難しい中からどれか選べと言われても。」
「無理があります。」
「それで選んだこちらのせいにされるので。」
「不利な状況で選んだものは無効と言えます。」
「逆に有利な状況で選んだものは有効です。」

絵瑠。
「選べない状況で選択肢が与えられると。」
「本人は選べませんので。」
「選択肢とは言えません。」
「選べないので。」
「それで選んだと言われても屁理屈と言えます。」

千代。
「判断材料が豊富にあれば。」
「良い選択をすることもできます。」
「選択肢だけがあっても逆に馬鹿なだけです。」
「本当は選ばせないために。」
「選べない状況に持って行ったので。」
「その選択は無効です。」

絵瑠。
「自由が無効になった状況で。」
「選んだものは洗脳されて選択したので。」
「これは。」
「何でも自由になりますよ。」
「こう言って本人を完全な自由に入れてから。」
「選ばせたものが単純な真理です。」

粋。
「一時的に完全な自由に入れることは可能です。」
「それで選んだものが正確無比に本人のものですね。」
「反対に。」
「何らかのせいで自由がほとんど無効化されている人など。」
「けっこういますので。」
「もし本人が自由を得たら。」
「選んだ内容は否定されてしまいます。」

羽都美。
「選べなかった人はどうなるんでしょうかね?」
「選んだことにされるくらいで。」
「後で内容が覆る前提になっています。」

千代。
「選択肢が有利な状況で来たか。」
「不利な状況で来たか。」
「これだけで結果がまるで違います。」
「どこを見て選んだことになったのか。」
「意味不明ですしね。」
「選択というものはいくらでも阻害されますし。」
「選択は状況によっていくらでも姿を変えます。」
「何でも自由になると仮定して。」
「その中で選んだものが自由によるもので。」
「少しでも外部的要因が入り込むと。」
「選択肢は混乱します。」

羽都美。
「そうなると選択を与えた側の責任になりますね。」
「選択をもたらした側の責任です。」
「選ぶという行為は失敗が前提にあります。」
「失敗しない選択はまずありえません。」
「むしろ選択肢がない強みがあるもので。」
「選択肢は多いほど合理的な決定が出来なくなります。」

千代。
「そこで決めた内容も本人は変わってしまうものだから。」
「自分で決めた内容を否定する可能性はあります。」
「はっきり言えば選択肢を提供する側は決まって無能であり。」
「選択肢がひとつも実在しない状況が最良です。」

粋。
「選んだかもしれないが。」
「後から間違いであることがわかった。」
「というものが少なからずあります。」

絵瑠。
「選択肢を信用していません。」

粋。
「選択肢が皆無な状況がものすごく強いのです。」
「選択肢が存在する状況は失敗が前提です。」

絵瑠。
「選ばせたせいでそうなるのなら。」
「後からどうにでもなるような。」
「結果が無ければ悪くなります。」
「それまで選ばせるのに必要な。」
「判断材料を与えなかったのに。」
「選んだことにするのは強引かと。」

粋。
「後から人はどうにでも変わってしまうため。」
「さらに何倍も考えを変えやすい人なら。」
「いくらでもいるので。」
「その時点での決定は後になって無効になりますね。」

絵瑠。
「後でいくらでも本人が変わるのに。」
「その時点の決定が絶対視されるのは詭弁かと。」
「考えを変えやすい人はなおさら。」
「前の選択肢の誤りに気づきやすいものです。」

粋。
「考えをいくらでも変える人に選択肢は無効ですね。」
「後からいくらでも覆るのは目に見えています。」
「その人が間違いに気づいた時には。」
「むしろ変わらない決定や物事に責任があると。」
「報復するでしょう。」

絵瑠。
「その場合は最初の選択も破損します。」
「後から変化する前提ではないので。」
「最初にある選択も成立していません。」

千代。
「本人が最初の取り決めを裏切る。」
「または破棄した場合は十倍増しになります。」
「ここから導き出されるのは。」
「例外を裁くことは不可能という点です。」

羽都美。
「一連の論証はすべて例外が用いられていますね。」
「例外には選択肢は通用しません。」

千代。
「例外に対してどんな決定もできないというものです。」
「どんなルールや規則からも外れていますので。」
「例外を何かの基準で責めるのは不可能です。」

羽都美。
「どんな掟も規則も例外によって除外されていますので。」
「一般ではそうかもしれないけれど。」
「イレギュラーは特にそうなるように。」
「例外にはどんな基準も通用しません。」
「これが単純な真理。」

千代。
「例外を何とかしようにも決して出来ない。」
「というのが結論ですね。」

絵瑠。
「同一の基準が何の効力も持たず。」
「裏目に出る典型です。」

粋。
「例外を他者と同じ基準で査定するのは無理ですね。」
「例外というものを知らないんだから。」

絵瑠。
「例外を理解するまで。」
「彼らは戸惑うだけ。」

粋。
「信じようが信じまいがそれが現実です。」

専制政治の国家は自国民にも同様の暴挙を繰り返し。

勝手に倒れています。

代わりに内側の平和が脅かされる。

世界情勢になっていますね。

外敵を全滅させたら。

次は内側の敵との対戦が待っていたのです。

現在は外側の平和が確保の見通し。

内側の平和が脅かされています。

おしゃべりが好きで。

討論も好きなメンバーは。

好きな女性との交流を喜んでいます。

粋。
「臆病者は恐怖を過大評価する。」
「常に実際以上の恐怖を抱く。」
「対象がなかったり。」
「想定される危険よりも危険であると。」
「判断する。」
「理性で克服が難しいことを知りながら。」
「臆病者は恐怖を自分で増大させる。」

絵瑠。
「怒りの中には恐怖の反射が見られる。」
「自分の力を誇示したいがあまりに。」
「抵抗として怒ることもある。」

千代。
「戦闘は。」
「自分を守る時だけで良いのですし。」
「自分を守る力は強力である方が良いのです。」
「暴力に対抗する時だけでも良い。」
「勝利しても何も思わない。」
「やむを得ず行った戦闘で勝利しても。」
「得意にはならない。」
「暴力や力づくでしたことなんて。」
「長続きしないものですからね。」

粋。
「事件なんて見ても退屈でしょう。」
「警察官が日頃、相手にする暴漢は。」
「本日のやられ役です。」
「無事に確保できれば主人公は。」
「もはや語るまでもない。」
「同様に。」
「力の差があるのに向かってきた相手は。」
「防衛側の引き立て役となりますね。」

千代。
「弱者が倒されるのは悲劇の分類になりますが。」
「成敗する側になると。」
「駄作喜劇と言えましょう。」
「悲劇は本人が優れていること。」
「重要な人物である場合のみ成立するため。」
「そこら辺の群衆の一部が見舞われても。」
「悲劇にはなりません。」

羽都美。
「必ずしも傑作が出る訳ではなく。」
「駄作悲劇では些細に優秀な人物が。」
「滅びる場面が多々あります。」
「これは真実を言っているのではなく。」
「個人の状況をコントロールしている状態です。」
「他人からはそうではないのに。」
「自分からは状況のコントロールに成功している。」

絵瑠。
「心理的な余裕が自然に出るのは。」
「道化師を倒すか自滅を見るか。」
「自称悲劇を演ずる人間を嘲笑したりする。」
「悲劇なら自称主人公は滅びますからね。」

羽都美。
「無論。」
「喜劇と悲劇は混同してはなりません。」
「喜劇にも駄作と凡作と傑作などがあり。」
「悲劇も同様です。」
「今回のお話はこれだよ。」
「という形で事件や事故になる可能性はありますが。」
「個人の状況はすべて掌握していますので。」
「心理的な余裕になって。」
「個人に状況が操作されるのです。」

千代。
「相手は喜劇を演じて道化師になりますし。」
「相手が悲劇と称するならば。」
「主人公を名乗った相手が滅びます。」
「ここにあるのは自分の余裕ですね。」
「次第に滑稽に思えてしまい。」
「倒す時は戦闘民族ヤサイ人のように面白がっていますし。」
「悲劇で自滅する奴は敢えて主人公の座を譲って。」
「名乗ってもらうだけですしね。」

羽都美。
「あんまり良い脚本ではないかもしれないのです。」
「それでも観客のひとりになる時もあり。」
「三流の脚本であっても観客として楽しんでいます。」
「登場人物になっても。」
「台本は貰っていますので。」
「台本の通りになるかもしれないのです。」

千代。
「自分の筋書きが悲劇か喜劇かで。」
「状況を操作できたりしますし。」
「他人は半分を掌握されて。」
「半分を他人が思い通りに出来なくなります。」

羽都美。
「相手は半分を奪えずに発狂するだけです。」
「状況の全部は無理そうでしょうけれど。」
「何でも半分は支配できます。」
「その半分の支配を怠っていれば。」
「もう半分にも影響を受けて。」
「自由が少なくなります。」
「どんな場面でも半分は自分のものです。」

粋。
「個人を完璧に生きるように仕向けても失敗します。」
「反対に個人を完璧に抑え込んでも失敗します。」

羽都美。
「かえって不完全な状態で生きている人ほど。」
「長続きするのが必然ですね。」

絵瑠。
「完璧な状態で生きている人なんていませんよ。」

千代。
「十分はこぼれる。」
「コップに水をぎりぎり一杯まで入れると。」
「ちょっと動かしただけでこぼれてしまう。」
「このように欲を張ったらきりがないし。」
「かえって災いを招くことになりがちである。」
「何事もほどほどがよいということ。」

絵瑠。
「物事は常に変化するため。」
「ある時下した結論が。」
「次の場面では真実ではない場合が多々あります。」
「その時はその結論が正当でも。」
「そのうち変化が生じて。」
「別の結論を出さなくてはならない。」
「そうなると。」
「結論の訂正が追いつかないので。」
「結論を繰り返すだけ無駄になりますね。」

粋。
「考えるだけの人が満足な結論を得られないのは。」
「物事が少しでも変化すると。」
「それに対応できないという点です。」
「物事は衰えたり。」
「変更が加えられて。」
「常に更新されているものです。」
「そんなものに対応できる考え方はありません。」

羽都美。
「クリティカルシンキングの訓練次第で。」
「なぜ?の回数は増えます。」
「私は最近まで。」
「なぜ?という問いを見たことがありませんでした。」
「どいつも。」
「ただこうなっている。」
「というものを説明するだけで。」
「ただこうなっているからなに?」
「という展開が定番でしたね。」

粋。
「彼らはひたすら。」
「ただこうなっているからこうだよ。」
「という考え方です。」
「なぜそうなのか?という質問には無回答。」
「つまりは回答を持っていない。」
「それは彼らが多分。」
「単純で。」
「単純な故に何もかも単純化したがるためです。」
「そういう欠陥が人間にはあるものです。」

絵瑠。
「人間なんて最後にはデタラメをするのは理解できました。」

粋。
「人間なんて最後にはデタラメをしますよ。」

千代。
「デタラメをするのが次か後ろの方かの違いですね。」
「そこが人間嫌いによる発見。」

絵瑠。
「結論が裏付けられて。」
「具体的な証拠になったら。」
「固定されますが。」
「何か他の結論が出現すると。」
「変更を余儀なくされます。」
「それが何かの事実を言う事ができない。」
「理由なのだと思います。」

千代。
「物事や事態には常に解釈が複数ある。」
「もし解釈がひとつしかないのなら。」
「それは欺瞞に基づいている。」
「解釈が複数あるのなら。」
「事実は本当の所は実在しないので。」
「どの解釈を選ぶのかという。」
「話になりがちです。」

絵瑠。
「知性に絶対はないので。」
「それに誰もが自分が間違っているかもしれない。」
「なんてことは思わないので。」
「密かに解釈が複数あれば。」
「どれかひとつを絶対視している意味になります。」

粋。
「常に解釈も間違っている可能性はあります。」
「蓋然性がより高い解釈が有利になり。」
「適当に考えた解釈は蓋然性が低下します。」

羽都美。
「自分の考えた結論にも。」
「複数ある解釈が適用されていますしね。」
「後天的にどうにでもなるというものを理解したら。」
「先天的なものが出しゃばる理屈はありえない。」
「なぜ先天的なものだけで決定されるのか。」
「生まれの仕組みが自らの解釈で決めたのならば。」
「神々から分離されて孤立しているため。」
「国家十巻を理解するまで。」
「欺かれている意味になりましょう。」

粋。
「選んだ生涯の見本と食い違う結果になるのなら。」
「苦情くらい出すのが道理でしょうね。」
「プラトンの国家十巻を知らなかったという点のみで。」
「最初から知っていれば。」
「合わせやすかったのです。」

羽都美。
「救われた物語には疑いを向けても。」
「否定はしませんね。」
「私が疑うのは。」
「選んだ生涯の見本と実際が。」
「食い違っている可能性があるもので。」
「自分が選んだとは思えないほど暗愚な場面が。」
「よくあるのです。」
「先天的なものだけを決められるのか。」
「すべてを決められるのかは解読できませんが。」
「あの物語は良いものなので。」
「良いものを批判したりはせず。」
「あの物語を起点に展開しているのみです。」

千代。
「探っても複数ある解釈が出るのみで。」
「解釈が多くなるほど。」
「逆になり。」
「自分に対しては解釈が向けられていて。」
「自分が正当である証拠が増えるばかりです。」

絵瑠。
「ただし、こうして考察することに意味があります。」
「たとえ、満足な結論が得られなくても。」
「問い続ける。」
「検証したり証拠を集めたり。」
「反駁したり。」
「論破したりする。」
「問い続けることに意味がありますし。」
「既にお宮で伝えてしまっていて。」
「少なくとも私の問題ではありませんね。」

粋。
「悪が入り込んだものを試練とか。」
「正当化するのは無理ですよね。」
「悪をもたらした根元が悪なのは言うまでもないので。」
「単に悪いものを力で排除しているに過ぎません。」

千代。
「私も悪を力で排除を試みているだけです。」
「悪いものには消えて貰う訳です。」

粋。
「悪いものには悪いときちんと指摘する。」
「自分が悪を欲しがる訳がないので。」
「裁きを武力で鎮圧しているような気分です。」

羽都美。
「群衆や衆愚と一緒にされて義憤に駆られているのでは?」

千代。
「寝た牛に芥かくる。」
「何も知らない無関係の者に。」
「罪を着せることのたとえ。」

羽都美。
「独断論。」
「どんなことでも説明することも。」
「証明することができると信じる。」
「我々の関心のある話題は。」
「もうすでに。」
「体系的に説明されて。」
「証明されているのだ。」
「というのが独断論。」

千代。
「自分には知らないことがいっぱいある。」

粋。
「十分以上は多すぎる。」

一応は結論が出ているので。

他の女性陣との遊びに移行しましたね。

全員が知り合いになっていますし。

とりあいずは。

いろんな仕事に無料で参加して。

天職でも探そうと。

忙しく動き回る予定です。

特に女性陣は自分の家の家業に参加するので。

集まれる時は集まっているのです。

無策で社会に突進していません。

頻繁に生じる余暇がありつつ。

半分自由人を満喫していますが。

何かしら考えのあってのことです。

最近。

良書を手当たり次第に取得して。

一時期。

読書が趣味になっていた女性陣は。

万能型に仕上がっていると自覚し。

実践はどうなるのか試そうとしています。

古代ギリシアの自由人がお手本になり。

古代ギリシアの自由人は。

奴隷が日常の生活をすべてこなして。

公の場や専門職などに参加したと言われています。

古代ローマの自由人も似たようなもので。

古代ローマは次第に職業が必須になり。

自由人が自然に消え去ったとも言われています。

それ以前にも自由人が職業を持っていることは少なくなかったのです。

その後の歴史にも自由人は星の数ほど記されていますね。

そして自由人は現代に復活していますが。

歴史にある自由人という文献も漁っていたのです。

内側の平和が脅かされても。

立ち回りが上手な女性陣は平気なのですね。

英語のことわざ。

天罰はゆっくりと、だが確実に来る。


26


和装で移動。

電車を乗り継ぎ。

徒歩も駆使して。

明治神宮。

鳥居の進んだ先にて。

しばらく旅に出ようと。

計画を練っていて。

現在の情報では受注された成果を。

納品できないので。

もう少し行動範囲を広げる予定。

父は大人になる通過点として。

設定したのかもしれませんね。

千代。
「現状を肯定することはないかと。」
「現状は無根拠であって。」
「変化可能なものであることを。」
「想定するものです。」
「宿命論を受け入れるような人間は。」
「高い山の上か。」
「高い建物の上から。」
「天下を見下ろしているような連中です。」
「そんなものが果たして達観と言えるかは怪しいものです。」

絵瑠。
「会話をして。」
「自生した正論が片方に及ばなかったら。」
「片方が間違っているという暗示になるのでしょうか?」
「その反対もあり。」
「常にどちらかが正しく。」
「どちらかが間違っているのでしょうか。」
「それとも。」
「二人とも正しくなかったり。」
「二人とも間違っていたりすることもあるのですから。」

粋。
「理解しようと試みても。」
「誰か他の第三者なら。」
「審判でもしてくれるのかな。」

羽都美。
「誰かに質問しても同じ意見の人に頼むのですか?」
「異なる意見の人に頼むのですか?」
「互いに同意見の審判に頼んでも。」
「判断にはなりません。」
「両方共、意見が違う人に頼んでも。」
「判断できません。」
「こうなると。」
「客観的なものをどこに置けば良いのか。」
「どこにもないのです。」

ひそひそ話す姉妹の巫女。

影で会話をしています。

隠れていて。

盗み聞きしてしまう。

月美。
「タオは自然の道理に酷似していますね。」
「道とは陰陽説が用いられて。」
「超自然的なものを包括した内容だと思われます。」
「実際に自然の道理と似た所が多く。」
「それでもって自然主義ではない所は。」
「超自然的なものを包括してタオ(道)と呼んでいたのではと。」
「タオニズムは西洋では特に人気で。」
「訳本が出回るほど好かれています。」

美月。
「老子は相対主義の古典です。」
「どんな所も究極の相対主義です。」
「絶対主義を跳ね除けるので。」
「相対的に考える人には合いますね。」

月美。
「相対主義の起源は老子の周辺です。」
「相対主義を知りたいのなら。」
「老子をよく読むのです。」

美月。
「相対主義になりたければ。」
「老子は貴重な資料です。」
「私は愚かな絶対主義を捨てたので。」
「あんな愚昧な考え方は要りません。」
「二度としないと誓約しました。」

月美。
「誓約は保証のひとつです。」
「善悪も相対主義ですからね。」
「善も悪も絶対はない。」
「比べて初めて善と悪が理解できます。」

美月。
「善も悪も比べないとわからないのです。」
「比べることによって理解されます。」
「善悪に絶対なんてなくて。」
「比べることで見切れるのです。」

月美。
「実はその方が健全で穏健な意見に辿り着きます。」
「絶対視するやり方は常に過激で横暴です。」

美月。
「善も悪も比べて初めて生じるものであると。」
「心得ていれば。」
「穏健な意見や態度で臨めます。」

月美。
「そう言えば老子は道教でしたね。」
「親近感があるのです。」

美月。
「善と悪は同じものであり。」
「善は同時に悪である。」
「善と悪は同義であるため。」
「従って。」
「善と悪は相対的なものであり。」
「比べることによって判定されている。」

月美。
「簡単に言えば。」
「善と悪は比べて判断されているもので。」
「対立構造をしているのではなく。」
「どのくらい善であるか。」
「どのくらい悪であるか。」
「そして同一視されるものであるから。」
「一方的に善か悪かというのはありえない。」
「これを知らないのは良くない。」

美月。
「人間に多くを求めるのはやめましょう。」
「私達のように隔離されているのが幸いです。」

月美。
「少し社会に混ざれば。」
「忌避するようなものならいくらでもありますからね。」

美月。
「忌避するものから逃れて。」
「水のように流れたのでは?」
「ここからは世間が穏やかに見えますが。」

月美。
「立場によって世界観が変わるんですよ。」
「外の世界では優劣や競争に夢中と言いますし。」
「故に、いかに無縁なのか理解できますしね。」
「逆さまな考え方で一生懸命に。」
「勝敗がありますが。」
「あれを見てうんざりします。」

美月。
「人の賢さも愚かさも絶対的なものではありません。」
「賢ければ良いという話ではありません。」

月美。
「何でも単純化すれば良いと思ったら大間違いです。」
「人情ですら。」
「それだけですべてが説明できると思ったら大間違いです。」
「世間で流行り過ぎです。」

美月。
「人情なんてものは人為的で。」
「害でしかない。」
「天地はむしろ酷薄非情なものであり。」
「人間的な感情を重く見るのは害の方が大きく出る。」
「これは闘争に巻き込まれた際に。」
「最も実用に適した立ち回りになる。」

月美。
「人の世に降り立てば。」
「水のように地形を沿い。」
「低い方に流れるだけになる。」
「他と衝突せず。」
「時には岩石や鋼鉄も流してしまう。」
「水の比喩で表されるひとつの善であり。」
「自然な世渡りの経過と言えます。」

美月。
「私達のように、いろいろ足りていない。」
「だけれど満杯ではない。」
「湖のような居場所は好み。」
「外部や世間に入ったらろくなことがない。」

月美。
「器に水をいっぱいに入れるとこぼれる。」
「それならいっぱいにしないほうがよい。」
「刃物は鋭利にすれば脆くなる。」
「宝物は多くなると守れない。」
「際限ない欲望は逆効果。」
「満ち足りた状態は避ける。」
「程々で、あふれるほど満ち足りたものは。」
「得ないように。」

美月。
「世俗の反対で異俗というものがあり。」
「自然に過ごしているという比喩です。」
「不自然に世俗の人々があくせくしているのとは違い。」
「不自然には過ごしてはいないという皮肉です。」

月美。
「それが私達のような神巫なのです。」
「貞潔も自然に習得できましたし。」
「私達はひっそりと過ごしています。」

美月。
「宣伝ばかりすると、かえって名前を忘れられる。」
「自分こそ正しいと断言する人は。」
「逆に正しいとは認められない。」
「自分の功績を自慢すると失う。」
「自分の才能を売り物にする人は実の所は有能ではない。」
「無理というよりあまりに不自然。」

月美。
「達人とは。」
「行動しても形跡を残さない。」
「発言しても失言はしない。」
「計算しても算盤は使わない。」
「閉じた門は特に仕掛けもなく開けられない。」
「上手に結べば、結び目がないのに解けない。」

美月。
「奪いたいくて策を弄しても。」
「決して取れない。」
「掌握しようとして執着すると。」
「かえって失うのは。」
「それらは相対的で。」
「比べて考えるものですし。」
「その先も後もある。」
「前後について考えていないから。」
「それらに対立する側面があり。」
「遅くもあれば速くもあり。」
「強くもあれば弱くもある。」
「上もあれば下もある。」
「そうして極端な一方が他方に及ぶから。」
「相対的に考えられない限りは。」
「強引に獲得しようとすると。」
「次々に敗れていく。」

月美。
「勝利したとしても尊大に構えず。」
「功績は名乗らず。」
「驕らない。」
「止むを得ず戦ったのみであり。」
「やがて衰えた時が巡って来る。」
「そのために強さで無茶はせず。」
「真理として。」
「戦いは止むを得ずして行うもの。」
「という目的をはっきりさせていく。」

美月。
「古代のことわざで。」
「明るい道は一見暗く見え、前に進んでいる道は。」
「ひょっと見には後に退っているように見え。」
「平らな道はかえって険しく見える。」

月美。
「美徳は俗物のように見え。」
「純白なものは汚れて見え。」
「徳性は何か欠けているように見え。」
「徳そのものはかえって悪賢く見え。」
「純真で素朴な性格は気まぐれに見える。」

美月。
「本当に真っすぐならば、一見曲がって見える。」
「本当に巧みなものは、一見下手に見える。」
「本当に雄弁な人は、一見訥弁のように見える。」

月美。
「絶対的に正しいというものはこの世に実在しない。」
「正常なものほど奇妙なものになるし。」
「素晴らしいことは怪しくなる。」

美月。
「真実を語る言葉は飾られていない。」
「飾られている言葉は真実とは言えない。」
「善人は多弁ではない。」
「多弁を弄する人は善人ではない。」
「全部を知っている人は玄人ではない。」
「物知りは知識人ではない。」

月美。
「生にこだわらないのが、本当に生命を大切にしている。」

美月。
「私達はここにいる理由を告げられていません。」

月美。
「自分でもわからないのですし。」
「考えてもわかりません。」

美月。
「逆に教えて欲しいくらいです。」

月美。
「最近まで考えたこともなかったのです。」

美月。
「それらしい理由もありますが。」
「納得はしていません。」
「なぜですか?」
「祈祷しても判明しません。」

月美。
「逆に世間に混ざれと言われても無理です。」
「あの汚くて醜い世界に入れと言われるのは。」
「逆に無理があります。」

美月。
「それが返事なのでは?」

月美。
「そうなりますね。」
「引退したら文化人になるべく教育されていますし。」
「隔離して貰って感謝しています。」

美月。
「私達はいわゆる俗世間とは隔離されています。」
「それは良いものです。」
「長く続くように祈りましょう。」

千代。
「是非で判断すると。」
「今日、沖縄に行き、昨日到着した。」
「というように。」
「おかしなことになる。」
「ありえないことをあるとする。」
「区別の限界であり。」
「どうしようもない。」

月美。
「何の話ですか?」

美月。
「何かお困りですか?」

絵瑠。
「興味深い雑談をしているので。」
「なんとなく釣られました。」

千代。
「つまらない世間から逃れて。」
「たまにはと、清潔な場所に来たのですが。」
「ついでに世間一般の高い奴を全部捨てに来まして。」
「そこで隠れていたあなたを見つけました。」

月美。
「私達はずっと自分の本質通りに居るのです。」

美月。
「どこをどうしてもこの場所などに固定されるのです。」

粋。
「世間に入るしかなかった人はどうなりますか?」

月美。
「世間に入りたくない人はどうなりますか?」

美月。
「私達はこの世について知っていて。」
「その上でここから動きません。」

羽都美。
「何か行動で示しているようですね。」

千代。
「あなたは生まれつきの巫女なのですね。」

月美。
「最近、訓練している演劇でも見せましょうか?」

美月。
「そうですね、一度も披露していませんし。」
「この人達は少し他とは違うようですし。」

絵瑠。
「演劇が得意なんですね。」
「私も習い事はけっこうしましたし。」
「その点は同じです。」

千代。
「多芸な巫女さんですね。」

姉妹。

造花を取り出して。

木の枝の隙間に入れて。

それを摘んで。

手のひらで転がす。

月美。
「花を摘み取って生け花にするけれど。」
「これは自然の楽しみ方ですね。」

美月。
「あなたは歌人ではないのに。」
「どうして花の楽しみ方がわかるのですか?」

月美。
「あなたは私ではないのに。」
「どうして私が花の楽しみ方がわからないと。」
「推論できるのです?」

美月。
「あなたは私ではないので。」
「元よりあなたについてよくわからない。」
「あなたは元より歌人ではないので。」
「あなたが花の楽しみ方がわからないのなら。」
「その通りでしょう。」

月美。
「あなたの花の楽しみ方がわからないと言う質問ですが。」
「既に自分がわかっているので。」
「既にわかっているから質問したのです。」
「私は今、ここで、花を摘んでわかったのですよ。」

絵瑠。
「見事な演劇!」

羽都美。
「論争による演舞ですか。」
「斬新です。」

粋。
「まだまだたくさんありそうですが。」
「引き留めてしまっているので。」
「お互いの交流は程々に。」

月美。
「何かありましたら訪ねてください。」

美月。
「隠れているのが好きな私達ですので。」
「次は探さないでくださいね。」

千代。
「何か絶対的な何かを求めていたけれど。」
「巫女の姉妹を見て。」
「空想であると知りました。」

絵瑠。
「何かしら感化されたのですね?」

千代。
「単一で、絶対的で。」
「無差別の命題があり。」
「その上で、分割できないのに。」
「ひとつのものから。」
「区別することを前提にすると。」
「その結論は間違いだらけ。」
「何もないはずの区別を前提としてしまうから。」
「そのひとつだけのものから。」
「区別をつけることはできない意味になるから。」
「その判断は間違い。」
「しかし何があっても是非はできる。」
「自分の是非は可能という意味であって。」
「競争のような主張の中には絶対と言える基礎は無い。」

粋。
「あれ?もう姉妹がいません。」

羽都美。
「ちよちゃん神懸かりになっているよ。」

正殿まで移動。

参拝の後に。

おおよそ、たかが知れている人の世界を。

見て回り。

あんまり遠くに行っても変わらない所を察しました。

しかし多様性は現代人の特徴で。

豊かな多様性が育っていると知り。

人間観察で。

人の多様性。

文化の多様性を目撃。

帰り側に。

森の中で隠れて話している。

姉妹を発見。

死角にいるんですね。

いつも死角になる所にいるらしくて。

たまたま発見。

接近。

月美。
「イソップ童話。」
「とある羊飼いが幼い狼を連れ帰ったのは。」
「育てて警備をさせるためである。」
「その狼が成長して。」
「狼は行動の自由を得ると。」
「羊飼いの羊を殺しまくった。」
「羊飼いはこんなことなら狼の子供を。」
「連れて来なければ良かったと後悔した。」
「悪しき生まれは良いものをもたらさない。」

千代。
「今度はここに隠れていたんですね。」

美月。
「また見つかりましたね。」

千代。
「哲学で己を清めているようですが。」

月美。
「何かお話しますか?」

粋。
「出生に関する考察を持っていますか?」
「私はその研究と実践に夢中です。」

美月。
「そのくらい余裕で出ます。」
「しっかり習得していますので。」
「素早く解説します。」

羽都美。
「いつも死角にいて。」
「この世の裏側にいる姉妹ですね。」

絵瑠。
「これは期待できるでしょうよ。」
「芸術と学問を持っているとは。」
「自分の信仰を証明できるものです。」

月美。
「人は死亡すると。」
「自分で決めておいた。」
「眷属。」
「神霊に導かれて。」
「黄泉の国に移動します。」
「強欲な人はしばらく。」
「この世に留まりますが。」
「無理に連れ戻されます。」
「その景色は見覚えがないものではなく。」
「ひょっとしたら知っている景色が広がっています。」
「哲学で己を清めた者は優遇され。」
「人によっては死後に行く場所が異なる場合があります。」
「特に賞罰をあの世で受けます。」
「来世に賞罰は持ち越せません。」
「最悪な人間は奈落の底に落とされますが。」
「復帰できる余地があれば一年で戻されます。」
「生前の身分や倫理が引き継がれることが多く。」
「あの世に持って行けるのは。」
「教養や自分の能力や倫理などです。」
「しばらく黄泉の国に留まりますが。」
「別名冥府とも言いますが。」
「しばらくすると神霊という眷属が来て。」
「死者を地上に連れ戻しに来ます。」

美月。
「動物への転生は警告であり。」
「人に造られると動物になるとは言えませんが。」
「これは警告です。」
「千年くらいの期間での生まれ変わりは。」
「長い目で見てくださいという配慮でしょう。」
「生命の期間も含まれていて。」
「そんなに頻繁に生まれ変わらない暗示になりますが。」
「長い目で見るという生命の期間が含まれています。」
「同じ生涯を三回続けて選ぶと。」
「真実であると認められます。」

月美。
「正義を好んだ人は幸福の方に送られて。」
「不正を好んだ人は生まれる前に処罰されます。」
「生命を得ると本人の自由が物を言いますし。」
「選んだ生涯の見本の通りに生まれます。」
「半分は必然で半分は自由になりますので。」
「プラトンのミュートスを参考に。」
「生き方を探すという展開が可能になります。」

美月。
「パイドロス・ゴルギアス・パイドンに書かれています。」
「哲学の目的は己を清めるためであり。」
「単なる学問ではなく。」
「それ以上の理由があると言えますね。」
「岩波文庫で訳本が出回っていますので。」
「手を伸ばせば掴めます。」
「以上のミュートスとは異なるものは。」
「苦情をつけた方が有利です。」

千代。
「あなたは選んだ内容によってそこにいるのですか?」

月美。
「選べたので、これを繰り返します。」

美月。
「なので隠れて生きています。」

絵瑠。
「選択は自分の好みで決めますからね。」
「特別に別の場所に通されたようですね。」

月美。
「学問を持っているので。」
「自由も得たのです。」

千代。
「私もアルバイトに参加してみようかな?」

美月。
「その前に貞潔を得ましょう。」

月美。
「あなたのような神々と縁が深い女性ならば簡単ですよ。」

粋。
「とりあいず、巫女とは何?」

美月。
「いつしか采女や祭祀が巫女と呼ばれるようになりました。」
「神事を行うのが采女で。」
「祭祀も同様です。」
「違いは専門としているか。」
「お宮に常駐しているのが祭祀で。」
「選ばれて勤めるのが采女と言った具合です。」
「そこから何でも屋のようになって。」
「巫女と呼ばれるようになりました。」
「日本書紀に正式名称があるのですね。」
「采女に対しての変態性癖がありますが。」
「それを好んだ人間は死にやすいので。」
「雄略天皇は采女を強姦した男をあっさり斬殺しています。」

月美。
「今の巫女はシャーマニズムではなくて。」
「采女と祭祀が合わさったお手伝いで。」
「元々そうした役割であった女性なのです。」
「采女も祭祀も貞潔であることが条件ですので。」
「性行為の経験があると嫌われますし。」

美月。
「恋は禁止で未婚が当たり前です。」
「貞潔ではない女性が担当すると呪われます。」
「男性も貞潔ではないと神職にはなれません。」
「男女共、神事や神前から離れた所ならば。」
「巫女なら引退後。」
「神職ならば在任中も神前結婚式を得ます。」
「貞潔が求められる反面。」
「神様の許可があれば容認されるという側面もあります。」

月美。
「それで私達は采女の生涯を三回以上も繰り返すことになっています。」
「隠れながらも祭祀も兼任しています。」

美月。
「引退しても次の展開が用意されていますので。」
「保証はされていても動けはしません。」
「余分なものを捨てたので。」
「隠れているままで。」
「それが気に入っています。」

千代。
「代償は払うものなんですね。」
「私には失うものが少ないので。」
「また考えて見ます。」

月美。
「優れた女性にはもっと参加して欲しいので。」
「案内は通知しますよ。」
「ここ最近の募集の一覧を持っていますので。」
「あなたが望むのであれば。」

案内の書類を貰いました。

巫女のアルバイトと神学校のパンフレットです。

年齢からして何とかなるらしいのですが。

考えてみることに。

選択肢として姉妹がくれました。

少し旅みたいなことをしたくなって。

メンバーで相談。

その足で日光まで行ってみましたよ。

電車であっさり到着。

紅葉の季節。

タクシーで移動。

正門の前で。

千代。
「理屈で意味があると説明しても。」
「空想の産物に過ぎません。」
「空気を指さしているようなものです。」

絵瑠。
「空想の中で生きていたのだけれど。」
「ようやく解放されましたよ。」

羽都美。
「その空想には確信のみがあって、中身はありません。」

粋。
「空想の規則を破壊したのが虚無主義ですね。」

千代。
「ニーチェの問題作を逆説的に言えば。」
「人々は決して他人の複製なんかではない。」
「というものですね。」

羽都美。
「同じ循環を繰り返すかもしれないけれど。」
「それでも良いと見れば強者の仲間です。」

絵瑠。
「末人の仲間にならないように。」
「自分のことは自分で決めようという。」
「建設的な態度ですよね。」

粋。
「これまで絶対視されたものは。」
「否定されてしまうという。」
「猛威の哲学でもありますしね。」

千代。
「私は回答を古典に求めましたが。」
「それが最善でしたよ。」
「誰かの持論なんて役に立たないので。」
「この世にあるものを書きまくった。」
「古典が好きですね。」

粋。
「反対にこの世にないものをあると言っても。」
「当たっていませんしね。」
「それを間違いとも呼びます。」

絵瑠。
「最近は大局なんて空想の産物で。」
「いつも共同体に不足があるのが見えて。」
「大局に関わりたくない意思で満ちていますよ。」

粋。
「私は外部から押しつけられた生き方を改めて。」
「自分に基づいた人生観を考察しますね。」

千代。
「自らが創造した価値こそ自分のものなのです。」
「万人に共通する価値なんてありますかね?」

羽都美。
「かつては何でも間違えていたのです。」
「間違いに気づいたのが少なくとも幸いです。」

歩き回って知ったのは誤りと嘘。

暴いたのは大嘘と真実。

見つけたのは鏡の中にある自分。

日光を見ずして結構と言うな。

人を明らかにするのに。

遠くまで行く理由は無さそうです。


27


早朝から。

ブルーマウンテンでお茶をしています。

お手製の料理を披露して。

豪華な朝食です。

気合いの入った料理で。

料理も専門の教員に習っていて。

特に質が桁違い。

食べた後には。

いつものホワイトボード。

人の死生観は当たっている所がないので。

探ってみたりします。

千代。
「行為に明快な目的を設定すれば。」
「手段は正当化できます。」
「目的さえあれば。」
「手段は正当化できます。」
「目的を設定しているか。」
「設定していないかで。」
「正当化できるかできないかが決まります。」
「なので行為は全て目的の設定にあります。」

絵瑠。
「こういう原因があるからという行為は。」
「正当化できませんので。」
「目的が設定された行為を習得しないと。」
「自滅します。」

粋。
「目的は本人が設定するので。」
「統一された考え方は全体主義に属しています。」
「自由が有効な時代は。」
「逆に支配や束縛から好きなだけ。」
「逃れる方がましですね。」

羽都美。
「虚無主義はある意味で自由を拡大します。」
「実は神学からして。」
「面白い哲学でもあるのです。」

千代。
「本人の価値判断に沿わないものは。」
「否定しても問題ありません。」
「他人に強要しない限りは。」
「自分に近寄った無価値なものは。」
「好きに壊しても良いのです。」

羽都美。
「既成概念には警戒するのが最善です。」
「あれは強要が前提にあります。」

絵瑠。
「むしろ。」
「些細な考え方の違いは。」
「無視することにしています。」
「小事に反応する自分が馬鹿みたいですから。」

粋。
「小事について言及するのは。」
「心が狭い。」
「些細な事は無かった事にすると。」
「対人関係でより円滑になりますよ。」

千代。
「他人の概念を理解しないのなら。」
「他人と衝突して当たり前です。」
「自分の考えが全て通用する訳がないので。」
「そういう所を知っていれば。」
「他人に跳ね返されても。」
「後から妥協できるものです。」

粋。
「他人とは食い違うものだ。」
「という前提はけっこう有効なのです。」
「自分だけの考えが裏切られたりすると。」
「なるほど。」
「やはり他人とは食い違うものであると。」
「特に解釈が食い違うので。」
「そういうものを容認して生きています。」

千代。
「自分と他人が常に同調していると。」
「信じている人は稚拙なものですよ。」

絵瑠。
「私の両親もそれを知っています。」
「我々の会社は私が仕組みを整えました。」
「命令系統を廃止して。」
「部門が注文を発注して。」
「社員が受注して達成する。」
「任務委託型にしたら。」
「とんでもない効率が得られました。」
「全員が発注から受注して委託されて。」
「達成するので。」
「自由がある快適な仕組みになっています。」
「本来は現代戦の戦術。」
「戦争の技術の輸入ですけれどね。」

千代。
「私の両親は。」
「私にまず何でも自由を与えて。」
「自由を促進して育てられました。」
「不自由があれば解放するのを続行したので。」
「それに警告は欠かしてなかったので。」
「優等生みたいに育ちましたね。」

粋。
「ならば私の両親は。」
「儒教と武士道の教育をして来ました。」
「純粋な経験論の古典を通じて。」
「それ故に男性と勝負して何度も勝ったことがあります。」

羽都美。
「私の両親なんてものは。」
「リベラリズムなので。」
「まず多様性を徹底されまして。」
「教育を第三者に任せていましたよ。」
「第三者は全員、知識人のようでしたし。」
「実際に優秀な人物が私を支えました。」

絵瑠。
「両親自慢ですか。」
「私は幼い頃からいろいろ客観的なものを。」
「教えられて。」
「年齢を重ねると。」
「干渉が減り続けました。」
「たまに老人の会に参加させられて。」
「けっこう歓迎されたりしましたが。」
「他人である老人の忠告があまりに超級で。」
「それで察したものが多くあります。」
「ちなみに身分を隠して。」
「つい最近まで子会社で訓練されていました。」

千代。
「ひょっとしたら自分の本性に向かっているのかも。」
「しれませんね。」
「生まれ持ったものは裏側に隠れていて。」
「表に出ているのは浅いものですし。」
「本性というものを察しているから。」
「両親は計画的に養育したのでしょうね。」

粋。
「自分が生み出した生命ですから。」
「自分ですべてを整えるのが道理であると。」
「よく言っていましたしね。」

羽都美。
「なるほど。」
「道理にかなっているものを欲していたのですね。」

絵瑠。
「両親は自身が子供の頃から。」
「他の親の養育に疑いを持っていました。」
「その疑いが思想になり。」
「学問と結びついたのだと思います。」

粋。
「人間の失敗談からよく学んでいますよ。」
「子供を尊重する両親ならば。」
「どう見ても誤りがかなり少ないよね。」

絵瑠。
「君子は豹変す。」
「考えを変えやすい所は影響されました。」
「親の技能は受け継がれませんでしたが。」
「家業を相続する意思があるので。」
「それだけで両親は満足らしいのです。」

千代。
「そこまで良くして貰って。」
「意地悪では返せませんよね。」

粋。
「個人的にはワサビーと弟が。」
「一緒に遊びまわっていて。」
「謎になった。」
「唯一の謎。」

羽都美。
「私は一人っ子だけれど。」
「特に由緒のない家柄だから。」
「別に何とも思っていないとか。」
「大立ち回りで。」
「出世した両親ですからね。」

絵瑠。
「子供や青年期には理解できないこともあるので。」
「三十歳の後半に初めて理解するものもあるでしょう。」
「他人の老人に言われた台詞です。」
「あなたは後から気づいて。」
「先には気づかないはずですから。」
「という付け加えがありました。」
「老人になってから知った方が楽ですよと。」
「私の反駁を遮りました。」

羽都美。
「合理性抜群で素晴らしい。」
「雑談ですなあ。」

千代。
「という訳で。」
「これから一か月の定期会議。」
「計画を練りたいと思いますが。」
「何か意見は?」

今日は女性が集まっていない。

今、他で余暇のある女性は。

今日はいません。

旧式の戦車がやって来る。

ナンバープレートがついていて。

スクラップにされる予定の戦車を民間人が買い取って。

乗用車にしているもの。

マニアックな趣味の民間戦車の中にいたのは。

遊女姉妹とワサビー。

ついでに謎の女性が同乗していて。

その人の所有物ですね。

戦車ドライブをすることに。

千代。
「とても野性的な趣味ですね。」

美女。
「男みたいな女が今の需要でしょ?」

ワサビー。
「加速が難しいけれど。」
「乗り心地は快適だよ。」

遊女。
「女性なら楽々入れる。」
「こういう系の狭い場所は好きです。」

粋。
「男性は何とか入れるくらいだそうです。」

ワサビー。
「何より乱暴な運転をしても壊れない。」

羽都美。
「ある意味で最も安全な乗用車なんだよ。」

美女。
「アメリカで戦車を乗用車にしている。」
「豪快な男がいたので。」
「私もしてみた。」
「とても面白い乗り心地。」

ワサビー。
「整備は大変なので。」
「機体寿命は短いのです。」
「それでも頑丈で。」
「故障がひとつもないのは。」
「軍事用の兵器は壊れないように出来ている。」
「信頼性の高さからですね。」

美女。
「はい?少し部品を市販品に交換していたり。」
「壊れた部品は自分で作っとります。」
「戦闘機の整備士で現役時代から。」
「培われた管理ですよ。」

絵瑠。
「工業力に裏打ちされた趣味ですね。」

美女。
「機械相手は得意でね。」

絵瑠。
「人間は自然科学で有利に保てるものには。」
「高圧的に構えますが。」
「自然科学で劣勢になるものに対しては。」
「ひたすら誤魔化して敗北を認めない。」
「人間が転倒するのは自然科学で。」
「対応できないものが現れた瞬間です。」

粋。
「むしろ無神論者は何を信じているのか。」
「質問してみたいものです。」
「何も信じていないのなら。」
「きっと、人も信じていないので。」
「人以外も信じなくて当然ですからね。」

ワサビー。
「今は車長です。」
「この視点は見晴らしが良くて。」
「私も偉くなったものですね。」

美女。
「せっかくなので、知り合いを誘って遊んでいるよ。」
「そのうち紹介で自動車整備工場に入るけれど。」
「もう四十歳だから、のんびりやるよ。」

市内を一周して。

美女は群馬県に戻っていきます。

しばらく休憩。

絵瑠。
「私は会社の様子を見てくる。」

粋。
「人手が足りないと呼び出された。」

羽都美。
「文芸を仕上げないといけないので。」

千代。
「では、また次回に計画を練りましょう。」

遊女。
「興味があるので見ていましたが。」
「ひとつだけ言わせてください。」
「狂気は荒んでいる中からも出ている。」

千代。
「怨恨は私が荒れているから?」

遊女。
「あなたが神素戔嗚尊様と同じく。」
「かなり荒れているのは理解していますよ。」

千代。
「神々に似ていると?」
「大胆不敵な指摘ですが。」
「図星です。」

遊女。
「荒れているので。」
「外部の世界に行くのはよろしくない。」
「それで。」
「あなたの両親は内側に籠らせようと。」
「寛大にも小さな家に。」
「自由人として過ごさせようと。」
「しているのなら?」

千代。
「名探偵ですなあ。」
「そうとしか思えない私の心理がありますが。」
「自分についてお宮に伝えてから。」
「荒々しくはなりましたね。」

遊女。
「神々と話し合いになっているのなら。」
「人間にそれを話しても無意味かもしれませんし。」
「神々の示した情報が天啓として。」
「ひらめきになって、それに従うのなら。」
「別に文句のつけようがありませんね。」

解散して。

お宮の境内に女性が集まっていて。

少女から成人女性と。

今日はここにいたのですね。

電車で移動。

東京駅。

女の子が何やら訴えている。

女の子。
「この人は痴漢です!」

紳士。
「違います!」

千代。
「どうしたんですか?」

紳士。
「どうすればいいのだろう?」

女の子。
「そいつ捕まえて!駅員!」

千代。
「とりあいず逃げると状況が悪化しますので。」
「私が話してあげます。」
「状況が中立ですので。」
「警察官が来ても慌てないで。」

警察官が到着すると。

女の子に大きな鞄が当たったということがわかり。

カバンを手と勘違いしたとのことで。

男性は解放されました。

紳士。
「助かった!ありがとう!」
「痴漢と言えば女性からは敵対あるのみですから。」

千代。
「いや、とんでもない、何かしらの不正を。」
「傍観したくなかったので。」
「あなたでもなくて不正の方を責めたのです。」

紳士。
「何かお礼でも。」

千代。
「さっさと立ち去りなさい。」
「せっかく助かったのに。」
「また面倒になります。」

紳士。
「了解しました。」

男性は立ち去る。

駅を出て。

建物を資料にします。

東京駅を撮影していた所。

ナンパされました。

青年。
「あなたは素敵だ、どうです?ちょっと?」

千代。
「では、三千円くれませんか?」

青年。
「ああ、あげますよ。」

千代。
「やった!それでは、さようなら。」

青年。
「おい!お金だけ貰って逃げ去るのかよ!」
「少しくらい構ってくれよ!」

千代。
「三千円を貰ったので、もはや用事はない。」

青年。
「なんていう女性だよ!」
「ある意味で合理的ではあるけれどな!」

千代。
「これ以上の会話は、もう千円くれないと。」
「お金が尽きたあなたは、ただの変態ですしね。」

青年。
「千円ですと?これで喫茶店でも入ってくれないか?」

千代。
「あれ?そんなに必死なのは。」
「もはや誰でもいいから。」
「恋人を作ってしまって。」
「自慢しようだなんて言いたい訳ですね。」
「なるほど、下心を売り物にする。」
「変態性癖大好きな男なんて。」
「とても話し合いにはなりません。」

青年。
「わかった!千円あげるから、少し話させてくれ。」

千代。
「変態性癖についての話ならしませんよ?」

青年。
「相手を誤った!千円は返してくれ!」
「まったく、狂気の女と出くわすなんて。」
「やらなければ良かった。」

千代。
「最後に、私のどの辺りが良かったの?」

青年。
「少女のような所かな。」

千代。
「そこまで見る目があるのなら。」
「ナンパを他で続けなさいよ。」
「応援していますよ。」

青年。
「そうします、うん?助言された?」
「俺は他とは違うのかな?」

デバイスから春雨ちゃんとの連絡。

勢力を関東まで伸ばしていて。

女性が好きなので。

自分の写真を送信。

これは喜ばれて。

本拠地からは少し離れていますが。

相性の良い女性同士では。

連携や協力がよくあるのです。

春雨ちゃんは旅行中で。

今は新潟市に滞在。

次に京都に行くらしいので。

メールを使った文通でしょうかね。

情報や写真の交換です。

遠回しな友人同士。

相性の良い女性同士で大所帯ですので。

全国からの参加があり。

特注のメタバースでは凄い事になっていますよ。

どこかでまた会うかもしれませんね。


28


春雨ちゃんからの連絡。

この世の高いものは。

選ばれてくれるもので。

富裕層や権力や地位は。

届かないと思ったら。

退く勇気が必要です。

進むことばかり考える人間は倒される。

しかしそれ以下の安物なら。

何でも手に入ると思います。

深夜に受信。

寝床でメンバーと寝ています。

就寝前。

絵瑠。
「なるほど、増やすのではなくて減らす事もするのですね。」

千代。
「むしろ、今の時点で手が届くものなら。」
「何でもむしり取れるものですよ。」

粋。
「目の前に高級和菓子があっても。」
「今の財布なら余裕で獲得できるのと似たようもの。」

羽都美。
「無論、不足があれば補おうと。」
「良いものを手に入れようとしますよ。」

千代。
「逆に超過すると、後で反動を受けますけれどね。」

遊女。
「人生での不足は真っ先に補充するもの。」

ワサビー。
「足りないのも感心できませんしね。」

粋。
「不足は補充するのが道理にかなっている。」

千代。
「多くの場合は、人は不足を実感して。」
「補充しようと必死になります。」

絵瑠。
「強欲は超過をもたらす。」

粋。
「娑婆っ気が多い。」
「物欲や出世欲など。」
「俗世間の名誉や欲望にとらわれているようす。」

千代。
「鴨の水掻き。」
「お高いものを捨てる代わりに。」
「お高くないものはすべて手に入る。」

羽都美。
「間然する所がない。」

絵瑠。
「しかしその他大勢には期待できません。」
「生存競争と称して。」
「攻めばかり考えて退きません。」

千代。
「人の善悪は錐を袋に入れたるが如し。」

絵瑠。
「でしょうね、隠せませんし。」
「口先だけなんて無駄な抵抗です。」

羽都美。
「他人は二の次ですし。」
「自分は鴨の浮き寝です。」

粋。
「駕籠舁き駕籠に乗らず。」

千代。
「ですよね、賢い人は偏った考え方や行動をしない。」

絵瑠。
「言説よりも行動で示すのが大切ですよ。」
「分別過ぐれば愚に返る。」

羽都美。
「まったくその通りですよ。」
「行動での証拠には敵いません。」

遊女。
「何か好機を逃しているのでは?」
「見落としも探してみては?」

千代。
「好機ですか?素早くて、自分の判断能力を超える。」
「あの掴みようが無いけれど。」
「一度掴んだら、別物になってしまうあの好機ですか。」

絵瑠。
「我が物と思えば軽し傘の雪。」
「自分の利益のためになることなら。」
「苦労なんて苦労ではありませんし。」
「最大まで求めて。」
「最大まで獲得するのは合理的ですよ。」

千代。
「なるほど、可能な限り実行する。」

ワサビー。
「裏表がない。」
「表向きと内実が一致する。」

遊女。
「欲望が減れば快適になります。」
「欲望なのか必要なのか。」
「必要ならばためらわない。」

ワサビー。
「ことわざにも。」
「鱧も一期、海老も一期。」
「人の一生は身分や境遇の違いはあっても。」
「さしたる差はないというたとえがあります。」
「慰めにしてみては?」

羽都美。
「上を見ればきりがない。」
「下を見ればきりがない。」

千代。
「私の矜持はそれです。」

絵瑠。
「今ならいいよね?」

千代。
「何ですか?」

絵瑠。
「好き。」

千代。
「うわあ!寝床だからやられてしまった!」

絵瑠。
「地味だけれど、美形過ぎない所が素敵。」

千代。
「おいで、このまま寝よう。」

絵瑠。
「久しぶりに一緒に寝ますね。」

粋。
「久しぶりのお泊り会。」
「まるで全員が姉妹のように調和していますね。」

羽都美。
「偶然の出会いではない!」

絵瑠。
「女の子だらけの中にいたので。」
「男性に興味を失うばかりか。」
「貞潔のような性質を手に入れました。」

千代。
「色欲から逃れたのでは?」
「世の中は相持ち。」

粋。
「女性同士で変態性癖に浸かったら。」
「色欲が害悪になりつつあるね。」

羽都美。
「そんな方法で貞潔の要素を得るとは。」
「遠回りながら。」
「闇に鉄砲であった自分が信じられない。」

絵瑠。
「抵抗しないの?」

千代。
「たまには受けますよ。」
「キスします?」

絵瑠。
「では、せっかくなので。」

遊女。
「意余って言葉足らず。」

粋。
「男性ではなくて女性に娶られたようなもの。」

ワサビー。
「私達には男性が必要なかった。」
「という簡単なものですよ。」

粋。
「水晶は塵を受けず。」

目が空いたのはなぜか二時過ぎ。

未だ深夜。

ふと書籍を読んでみて。

発見。

千代。
「哲人の多くは空想でそうであると言っているだけで。」
「ひょっとしたら役に立たない文章を書いているのでは?」

ワサビー。
「空想の中で解決してもあんまり意味がないように。」
「何かの結果に行き着かない哲学は考えるだけで無駄です。」

千代。
「起きていたんですね。」

ワサビー。
「なぜか目が覚めまして。」
「零号室に入ります。」
「想像の中でいろいろ解決したとしても。」
「実際の場所に反映されなければ。」
「哲学の半分は想像の中にある。」
「作り話に過ぎません。」

千代。
「説明だけがあって、何も成果が無ければ。」
「確かに、学ぶほど憂いが生じるものですね。」
「この世にあるものが書いてある半面。」
「それが影響を及ぼすかと言うと。」
「半信半疑です。」

ワサビー。
「実行力がまるでないのが哲人の欠陥です。」
「何の成果に辿り着かないという。」
「哲学者の唯一の弱点です。」
「それ以外の汚点などありません。」
「もっとも、哲学で金塊が出せるのなら話は別ですが。」

千代。
「とまあ、読まないよりはだいぶマシですよ。」
「有害なのは多読であり。」
「役に立つものは自分にとっては切り札です。」
「しかし、金貨に変貌した哲学は今の所、ありませんが。」

ワサビー。
「哲学なんて、そこまで強力なものではないですね。」
「しかし、反対に何も学ばない人は。」
「何もできない人だと思います。」

千代。
「正論だと思いますよ。」
「学ばないのなら、何もないような人です。」

ワサビー。
「私は寝ぼけていますが。」
「世間で言われる文句とかは。」
「とある宗教やとある哲学の引用であることが多いもので。」
「学んだ後に言うのも難ですけれど。」
「かなりマシになってわかるようになったくらいで。」
「学ばなければ目の前のものは何でもわからなかったと思います。」

千代。
「では、自分が有利になっていると認めているわけですね?」

ワサビー。
「はい、少なくとも、現状を強引に変更するだけの。」
「威力はありますね。」
「思ったより強くないだけです。」
「河川の地形が変えられるような威力が欲しかったので。」
「そこは失望しました。」

千代。
「河川の地形を変えるような威力が欲しかった?」

ワサビー。
「いっそのこと、山を移すような力があれば。」
「自分が好きな程々の所で住んでやることにします。」

千代。
「ううむ、寝ぼけているにしても。」
「哲学に対する不信感が見て取れますね。」

ワサビー。
「では、零号室に入ってまた寝ます。」

倉庫にまだ書籍が大量にありますが。

書籍に対して初めて不信感を抱く。

寝床に戻ると。

さっきまで隣で寝ていた絵瑠に。

抱き枕にされました。

夢はまた神社の夢。

不思議な事に。

実在のお宮と似たような景色です。

見たことがあるのです。

目が覚めると。

着替え中のメンバー。

既に朝食の用意があり。

慌てて支度。

長野県の松本城に行ってみようと。

計画していて。

のんびり準備をしては。

新幹線に飛び乗るのです。

千代。
「資金は?」

羽都美。
「えるるが持ってきました。」

粋。
「手順を確認します。」
「この通りに移動します。」

絵瑠。
「それで円滑に進むと思います。」
「ただし、何もなければ。」

羽都美。
「早く帰れると思います。」
「目的は?」

千代。
「その土地の人間観察に徹します。」
「長居は無用。」

ワサビー。
「あれ?そこは春雨ちゃんが通過する場所ですよ?」

千代。
「ひょっとしたら遭遇するかもしれません。」
「告白されてしまうのかもしれませんね。」

遊女。
「長野県は土地が良いと言われていますし。」
「都市部と田舎では何か違うのかな。」
「日帰りになりますね。」

千代。
「この前は春日大社に行きましたが。」
「北西の都合が良いようですし。」
「しばらく巨大都市の郊外を離れるのも素敵かも。」

絵瑠。
「大都市にいるといろいろ見えなくなりますからね。」
「人ばかりいて、公害になるほど、人でいっぱいです。」

遊女。
「旅行も、旅と言うより、娯楽でしょうか。」
「何か欠落はありませんか?」

千代。
「全員で一致です。」

粋。
「では移動です。」

絵瑠。
「ポケットテレビ。」
「旅のお供。」

羽都美。
「私は真面目な演説より、適度にふざけている。」
「そんな演説の方しか聴衆に加わらないよ。」

ワサビー。
「たった今、中規模地震がありましたね。」

千代。
「自然災害を前に人間なんて小さなものですね。」
「ちょっと動いただけなのに、人間が大量に揺さぶられる。」
「些細な殴打で人間は大慌て。」
「そんな小さな所を認めた方が健康になれます。」

遊女。
「ポケット古典なるものを持ってきました。」

羽都美。
「できる限り古い書籍ほど良い。」
「それが公に開かれて。」
「反駁に開かれている本ほど良い。」

粋。
「全体主義者が発案するような。」
「万人が納得できる哲学はないと思う。」
「個人の参考として読むもの。」
「秀才ほどそれをしない。」

千代。
「優れている者はひょっとして。」
「自分の限界を認めず。」
「弱さを認めず。」
「壁に当たっても。」
「方向転換をしないのだろうと思います。」

チームで連携していて円滑。

五人で持ち上がる大岩は。

五人が全力を出さないと持ち上がらない。

新幹線で早急な日帰り旅行です。

景色を見ては。

人間について疑問ばかり出ています。

人間は人間になるために多くの時間を犠牲にしているのでは?

どんな優れた人も過ちを犯すけれど。

それでは終わらないし。

間違いながらも生きていく。


29


平和とは、人間が生まれながらに持っている。

権利を守ることである。

その権利とは。

自分の生活を他人に脅かされない権利。

自然が与えてくれた。

綺麗な空気を呼吸する権利。

未来の子どもが健康に暮らす権利。

この三つではないだろうか。

アメリカ合衆国。

第三五代大統領。

ジョン・フィッツジェラルド・ケネディ。

平和の戦略。

と題する演説の一部より。

これを。

小さな家の看板に採用して。

設置してあります。

小さな路地の真ん中に立つ。

今日は家の中で遊んでいる女の子。

千代。
「私は。」
「ありそうなこと。」
「を述べるのが好きです。」
「ありそうなこと。」
「なら何でも言いますよ。」

粋。
「さっきから掴まれるのですが。」
「女の子同士で楽しいです。」

羽都美。
「私は背が低いから。」
「対象にならないようですね。」

絵瑠。
「姉妹みたい。」
「掴ませてくれるし。」
「触っても喜ぶし。」

粋。
「女の子は好かれたいとか。」
「触られたいとか。」
「そういう色欲を持っていますし。」
「異性である必要はないですね。」

千代。
「男女ほど不確かな関係はないと思われる。」

羽都美。
「異性関係?より正しいを選んだ結果かと。」

絵瑠。
「同類が集まるのは奇跡のようなものです。」
「少し探らせてね。」

粋。
「なにをするんですか。」
「私の服の中を調べて。」
「女の子が好きなので恋になりそう。」

千代。
「そこは正直になれば?」

粋。
「いつもやらせてあげています。」
「私のツボを知っていますし。」

羽都美。
「私もスカートの中を探られたしね。」
「悪くないですよ。」

千代。
「私はくっつくのが好きですね。」

絵瑠。
「私はやる側です。」

粋。
「ちょうどいい加減でやってくれるんですよ。」
「血縁関係よりも他人の方が連携が取れるのはなぜ?」

千代。
「血縁関係では不十分なのでは?」
「私の思想は百年先取りしていたなあ。」
「男性の代理くらいはできますし。」

羽都美。
「自分のものではない考え方に同意する義務はないしね。」
「ゲーム理論で強引に進める。」

粋。
「生まれの嘘を暴いて破壊すると。」
「好き勝手やれますし。」
「女性らしさに同意する義理もないですし。」

千代。
「生まれは自分の所有物のひとつですからね。」
「自分で決められる私物ですし。」
「勝手に決まるのはありえませんが。」
「もしあったら、裏切りで返すのみ。」

絵瑠。
「生まれる前の記憶とやらは。」
「ユング心理学で説明できてしまい。」
「そうであって欲しい内容が。」
「虚偽記憶として飛躍していき。」
「都合の良い物語が完成してしまい。」
「オカルティズムな空想としてまとまったのです。」
「フォルス・メモリと呼ばれる認知バイアスですね。」
「生まれる前の記憶は消されているものですから。」
「そうであって欲しい内容が虚偽記憶として改ざんされて。」
「それを広めてしまい。」
「公害になったものです。」

千代。
「迎合されつつ幼稚な論証が目立つのはそのためですね。」
「一神教になっていたり。」
「神の定義が意味不明であったり。」
「神と呼ばれるものは疑いなく信じていたり。」
「どの宗教か明らかにしていなかったり。」
「どの宗教にも認められていない。」
「独断であったりもします。」

羽都美。
「ユング心理学はオカルトも研究対象ですからね。」
「生まれる前の記憶とか嘘をついているのです。」
「大嘘には気づきませんので。」

粋。
「ようするに。」
「そうであって欲しい内容が虚偽記憶として展開され。」
「それをまとめたのが生まれる前の記憶です。」
「あれはその反対の出来事が蔓延しているので。」
「それを隠す目的で出された罠ですよ。」

千代。
「子供の状態の悪さや家族制度の崩壊に伴い。」
「対抗する形で出した詭弁になりますね。」
「あれだと親の問題を子供に責任転嫁してしまい。」
「何でも生まれてきた子供のせいにしてしまいます。」

粋。
「連中は子供のせいにすれば都合が良いからです。」

羽都美。
「多くの欲望によって作られた話ですから。」
「反出生主義から攻撃されるだけですね。」

絵瑠。
「遠回しの新興宗教ですね。」
「本人が欲望によって作り出した。」
「勝手な物語を広めてしまい。」
「多数の信者を獲得していますが。」
「信じる人は一部だけで。」
「反感を買うだけです。」

千代。
「本当はプラトンのエルの物語を乗っ取ろうとした。」
「工作ですよ。」

羽都美。
「宗教の風評被害があると思われる。」

絵瑠。
「ああいうのは裏側に悪意があるものです。」

羽都美。
「適当に宗教みたいなことを連呼すれば。」
「信じてしまう衆愚ってなによ。」

千代。
「そんな奴らはいくらでも沸いてきます。」
「自分で選んだものが本人にとって真実で。」
「自分で選んでいないものは本人にとって欺瞞です。」
「自由が効かないものはすべて悪。」

粋。
「そもそも何かが決めるのではなくて。」
「すべて本人が決めるのですからね。」
「自らの生涯ですら。」
「今この瞬間も。」
「次の行為もすべて。」
「適当に宗教みたいなことを言えば。」
「何でも信じると言う前例なのです。」

羽都美。
「まったくその通り。」
「宗教みたいな発言をすれば信じる奴は出てきますし。」
「結論を誘導することで。」
「そうであって欲しい現実の解釈に変更する。」
「ユング心理学から言うと。」
「自分の信じている空想を広めてしまって。」
「迎合されてしまった。」
「本当はそうであって欲しい作り話の集大成なのですよ。」

絵瑠。
「そうであって欲しいがあまりにでっち上げた。」
「それは筋が通るものですね。」

千代。
「連中はそうであって欲しいので信じてしまっています。」
「矯正するのは無理ですよ。」
「連中は幼いので。」
「無理せず夢想家にでも浸からせておきましょう。」
「あまりに不合理なので。」
「どうせ信じる奴なんて一部のみですからね。」

絵瑠。
「生まれる前の記憶はユング心理学で。」
「論破可能なものでしたね。」
「そして不合理な説明を信じる人は。」
「一部のみです。」

粋。
「それが悪だとわかっていれば。」
「受け取ったりはしなかったろうに。」

千代。
「出生のよこした価値判断をすべて破壊できるのが不可解。」

羽都美。
「生まれのよこしたものは忌避できますしね。」

粋。
「正規の手順を踏んで消えないものは。」
「池魚の殃。」
「すべて外部のせいですね。」
「関係ないのに巻き込まれることも。」
「この世にはたくさんありますよ。」

千代。
「祓所に何回も通っていれば。」
「もはや。」
「あなたのせいではありません。」
「この世の罰を免除されるからです。」
「看板に。」
「この世にある罰を取り除く。」
「とありますからね。」
「あなたはもはや罰せられません。」

絵瑠。
「この世の罰から除外されていますので。」
「ある場面から。」
「人のせいである証拠だらけになりますね。」
「他人に問題があるので。」
「避けるなり防ぐなりしましょう。」
「決して本人のせいになりません。」
「最後に罰を受けるのは他人になりますので。」
「防御優先ですね。」

粋。
「贖罪したい場合は。」
「あらかじめ交流のある神職が条件です。」
「偶然得たちょうどいいものを。」
「神社に納めることもできますが。」
「高価なものは無理です。」
「安い宝石や良質な茶器など。」
「和風かつ偶然得たものであり。」
「決して高過ぎないものなら。」
「受け取ってもらえる可能性はあります。」
「日頃から交流がないと。」
「受け取ってもらう方法は思いつきません。」
「おまけに贖罪の品々という目的を表明しないと。」
「はっきりしません。」
「良質な古銭があれば難易度が低く。」
「貴金属は拒否されると思われます。」
「どうしてもならすべて任意でしてください。」
「形に出した方が雄弁ですが。」
「失敗する可能性は警告しておきます。」

羽都美。
「不思議な出来事は本人の信仰を証明するものです。」
「不思議な出来事を見たら。」
「あなたは神様に認められていますので。」
「関係を続けましょう。」
「神様があなたの最後まで。」
「読み取っている可能性すらあります。」

粋。
「礼拝から出た神学は万能ですなあ。」

羽都美。
「私は人間の所有物ではありませんし。」

粋。
「神様と人間はまったく異なっていますね。」
「人間は心が狭くて無関心ですが。」
「神様は何でもありですし。」
「武士道とは違いがありますね。」

千代。
「神と人の違いとは?」
「神は神。」
「人は人。」
「という簡単なものです。」

絵瑠。
「人は神様と親子関係です。」
「人は神の子供であり。」
「神が親です。」
「国生みの際に生まれたのが人間ならば。」
「神様が親と言うのは筋が通っています。」
「自覚の有無で大きく異なり。」
「直系の子孫も実在します。」
「日本書紀。」
「大物主神の直系が記されています。」

千代。
「崇神天皇。」
「祈願が通らず夢でお告げを求めると。」
「夢で貴人が現れて人事を指示して。」
「その通りに。」
「探し出して祭祀に任命。」
「天下太平になりました。」
「大物主大神の直系。」
「オオタタネコ。」
「父はオオモノヌシ。」
「母はイクタマヨリビメ。」
「スエツミミの娘と答えています。」
「既に家臣にいたと見られる。」
「イチシノナガオチをヤマトノオオクニタマ。」
「を祀る神主にするというお告げも実行されています。」

絵瑠。
「日本書紀と古事記は全部を解読できない。」
「前提が必要です。」

粋。
「もし神様を選ぶのなら結果論として。」
「それ以前は全部偽りとなりますね。」

羽都美。
「私は後から言っています。」
「人間の言う事を聞くんじゃなかった。」

絵瑠。
「人間は私を欺いたのですよ。」

粋。
「裏切りには裏切りを。」
「欺かれたとわかった時点でかなりましですよ。」

羽都美。
「信じることには大きな疑いと表裏一体。」

絵瑠。
「信頼と懐疑は表裏一体。」

千代。
「夢に神社や神棚が出て来てしょうがないので。」
「巡礼をすることになった。」

粋。
「何かわからないうちは解読できませんよね。」

羽都美。
「お宮が何であるか、もはやわかったのですし。」

千代。
「自分で選んだものが究極的な価値を持っています。」
「与えられたものは無価値で。」
「返還することも可能ですし。」
「与えられたものが無価値であれば。」
「自らの価値判断で選んだものに価値があるのは。」
「道理にかなっている。」

絵瑠。
「ニーチェの超人と呼ぶものは。」
「価値判断を再構成した上で。」
「自分が肯定できるものだけを抱えて。」
「生きていくという前向きな姿勢であると解釈しています。」
「自分が肯定できるものだけが真実。」

粋。
「そのままでは無価値なのですが。」
「開き直ってしまえ。」
「という簡単な哲学に思えますね。」
「どうせ無価値なんだから開き直ってしまえば。」
「やりようはあるでしょうし。」

千代。
「ヒルティが指摘する通りに。」
「ニーチェ単独ではありえないくらい非力です。」
「神様の力を借りない虚無主義は非力です。」
「弱点は人間という非力な存在が。」
「あらゆる価値を引き抜かれた。」
「神様が人間の自由を無制限に確保した世界で。」
「それまで束縛していたあらゆる物事に対して。」
「正面から対抗できるような力は持っていない所です。」
「神様がこの世の価値を引き抜いて無意味なものにしたら。」
「あるのは現実のファシズムですから。」
「ファシスト相手に力負けしています。」
「ヒルティの神学は虚無主義とは桁違いに強力ですね。」

羽都美。
「神様の力を借りれば。」
「神様から切り離されて。」
「背後世界を失った物事全般が。」
「デタラメを繰り返しているものですし。」
「それを既成概念と呼んで否定されています。」

千代。
「人間がその存在を許した既成概念などが。」
「それを保証するすべてを失って。」
「一人歩きを開始しており。」
「それを狙って破壊すれば。」
「束縛していた物事全般も消されるのです。」
「この世のものは何の保証もされていません。」
「それらが既成概念と化したのは。」
「人間の解釈の集合体だからでしょうかね。」

粋。
「まずは自分が操作できるものを残らず占領する。」
「それからです。」
「それでようやく開始。」

千代。
「父親と父の友人から依頼されて。」
「国民と国土や交通の状況を。」
「写真や映像やメールを使って。」
「調べて欲しいと。」
「しばらく家を空けるかもしれません。」
「そのうち遠くに遠征して。」
「依頼通りの情報を届ける予定です。」
「現場を重んじる父ならではですね。」
「政治が国民の目に見えない場所で行われている。」
「しかし為政者から見えない市民の姿を。」
「私が目撃者となり。」
「あらゆる方法で伝達。」
「依頼をすべて達成するのです。」
「一年以内に大量の情報が必要なので。」
「私の課題になりましたね。」

絵瑠。
「ちょうど、私も企業全体の具合を。」
「見て回るように言われています。」
「この後は面談があるので。」
「たまたま見つけた社員からアンケートを取ります。」

粋。
「私は近頃、習い事がありますね。」
「資格を取得すれば得をするので。」
「好きなものを選んでおきなさいと言われたので。」

羽都美。
「私は依頼執筆を納品しましたね。」
「たまたま書いた原稿を知り合いが見まして。」
「喜劇作品をたまに送っています。」
「近々、出版予定です。」
「私は喜劇作品専門なので需要があるらしいのです。」

千代。
「前は自由人で今は半分自由人という変化ですなあ。」

小さな家を漁っていると。

猟銃が見つかる。

粋。
「いいもの持っていますね。」

千代。
「猟銃の免許持っているよ。」
「実弾と予備の猟銃は地下倉庫にあるよ。」

絵瑠。
「女性と銃器はお似合いです。」

粋。
「被弾したら元も子もなくなるけれどね。」

羽都美。
「何かよくわからない銃器があるよ。」

千代。
「発射装置と弾丸を小型化して。」
「殺傷能力と飛距離を犠牲にした。」
「対テロリスト用のサブマシンガンが配られていて。」
「銃器がとても小型化されているし。」
「弾丸も小型化されていて。」
「飛距離はないし殺傷能力も低い。」
「有事の際には市民に貸し出す試作品。」
「構造が簡単で製造しやすいので。」
「私が射撃場でよく使っているよ。」
「これと似た歩兵用のレールガンがあって。」
「電磁加速で固形の弾丸を発射する。」
「鉄ではなくて特殊な薬剤を固形化したもの。」
「チャージの度合いで威力と射程が増減するよ。」
「火花ではなくて電気の力で放つ新手の銃器。」
「まだまだ試作で。」
「マガジン式電池でいくら装填しても一発しか撃てないよ。」

羽都美。
「試作兵器も実験しているんですね。」

千代。
「これ以上の試作兵器は他にもありますが。」
「私に回ってきたのは技術で難ありの品々で。」
「射撃場で使ってみて。」
「実用性の論文を送るのです。」
「使えない武器なら早くわかればいいらしいのですし。」

絵瑠。
「戦い慣れていて機械が得意なあなたには似合っています。」
「女性と銃器はぴったり合いますね。」
「女性は銃器を扱うべきでしょうか?」

粋。
「自分が創造した女性の有り方が万能なのでは?」

羽都美。
「女性だからという理由で本人が従うとは限りません。」

絵瑠。
「時代の考え方という理由で鵜呑みにすれば。」
「それ以外の可能性をすべて閉ざしてしまいます。」
「時代がそうだからという理由で。」
「真に受ければ。」
「それ以外の選択肢を潰してしまいます。」

粋。
「正解と答えを奪えば何も考えられない。」
「それが真実と言えます。」

羽都美。
「手紙の束がありますが。」

絵瑠。
「兄の事は残念だと思います。」

千代。
「長男が長男という理由だけで選ばれてしまうと。」
「長男がもし愚か者であったり悪人だったりすれば。」
「一家を滅ぼしてしまいます。」
「国家ならなおさらです。」

絵瑠。
「言われてみれば正論ですなあ。」

羽都美。
「そろそろ支度ですね。」

千代。
「お出かけです。」
「比較的近距離にある発電所を見学して。」
「見ておく価値があるものはすべて見ておけという。」
「忠告を受けたので。」

しばらくして。

車がやって来る。

一同は解散。

今日は集落に散らばる女性達。

年齢問わずに集まって雑談。

千代。

女性運転手に連れられて。

車で山道に入ったと思ったら。

思ったより早くに到着。

千代。
「ここが地下原子力発電所ですね。」
「硬い岩盤の地下深くに作られて。」
「最大限の技術で保護されている。」
「原子力発電所の究極形態。」

地下に建設された原子力発電所。

すごい深い場所にあり。

事故が発生しても無効化できる立地。

次世代エネルギーまでの繋ぎとして建設された。

関係者は簡単に入れる上に。

一部は一般公開されている。

構造が分割されているので。

セキュリティは最高。

唯一の弱点である地震対策を未だに更新している。

見学会があって参加します。

琴寧。
「また会えましたね。」

千代。
「連絡通りに合流できました。」
「デートにしては重苦しい場所ですね。」

琴寧。
「私達には戦闘機とかあった方がお似合いですよ。」
「普通のことをやっていたら普通で終わります。」

千代。
「それには賛成です。」
「良識を出すのは簡単ではありませんが。」
「一度でも良識が出てくると感動しますね。」

案内人は指定された区域に入るように言う。

正面の階段から地下原子力発電所に入ります。

ここは広報エリアで。

客間となっていますし。

窓から下の階層が見えます。

技術者が多く通り過ぎる。

琴寧。
「知識人は何でも知っていることにしないと。」
「いけない理屈があるんです。」
「歴史資料や自然科学も。」
「何でも説明できることにしないと。」
「いけないんです。」
「実際は間違いだらけでしょうけれど。」

千代。
「哲学や学説は長い歴史の中で。」
「培われた情報から発展していますね。」

琴寧。
「係争中の物事全般に言及したいと思ったら。」
「論争に巻き込まれる場合がありますし。」
「学者同士で係争中の場所は。」
「難易度も上がります。」
「別の結論を出しておくのは。」
「出さないよりはずっとましですよ。」
「多様性によって何が正しいのか定義できませんし。」

千代。
「正しいという概念の定義なんてあるのかしら。」

琴寧。
「正しいから何なんでしょうね。」
「だから何?と言われてその後がない?」

千代。
「そんなものでしょう。」
「正しいからなにかあるのでしょうか。」

琴寧。
「誰かから指摘されて誤りを認めても意味ありませんし。」
「間違いであると非難されて改めても。」
「自分から認めていませんしね。」

千代。
「間違いならわかりやすいものです。」

ツアーガイド。
「それでは広報用の計器と。」
「各モニターを操作してみましょう。」
「原子力発電所のいろんな場所が見れますよ。」
「ここは上層で。」
「下層は入れませんので。」
「モニターが中心になります。」
「短時間の講習会がありますので定時にいらしてください。」

自然科学の美術館になっていて。

展示品を見て回ります。

定時の講習会に参加。

その後に地上に戻って。

手配されているバスと自家用車で。

全員が帰路に。

千代。
「現実の苦難をゴミのように捨てられるとしたら?」
「誰もが苦難をゴミ袋に入れて捨てますよ。」
「その程度のものなんです。」

琴寧。
「廃品回収で現実の苦難を持って行ってくれるとしたら。」
「簡単に捨てて綺麗さっぱりです。」
「その程度のものなのですよ。」
「捨てられるものなら捨てるに決まっています。」

千代。
「他人を人間様とか呼んで拝んでいろ!」
「我儘な人間の御機嫌取りなんて。」
「誰がしますかね。」

琴寧。
「まったくです。」
「私も嘲笑していますよ。」

千代。
「どうした?屁理屈を述べるだけで精一杯か?」
「ってな感じで。」

琴寧。
「それを群衆は才能と呼んでいるんです。」

千代。
「才能があれば、強いってもんじゃないんだよ!」

琴寧。
「あの道化師たちが役目を全うしたことについて。」
「何か文句でもあるので?」

千代。
「いんや、足手まとい。」
「必死になって非力な技で従わせたいらしい。」

琴寧。
「その何かが誰であるかは知りませんが。」
「他人の御機嫌取りとか面倒くさいですよね。」
「従えば認めて従わなければ敵対してくるとか。」
「生活の糧を失えば終わりなのに。」
「無駄に争って自分で自分を苦しめる。」

千代。
「あなたはセミが定時通りに苦しんでいるから。」
「嘆いているのですかね?」

琴寧。
「いいえ、破壊を楽しむ人間達を見たら。」
「他人が犠牲になればいいと思うようになりまして。」

千代。
「あなたも。」
「目の前に蚊が止まっていたら。」
「叩き潰すでしょう。」
「それと同じことですよ。」

帰り際。

63式水陸両用軽戦車。

強引に進んできた無人車両。

何でもいいから破壊しようとするも。

無人砲塔が隠れていて。

ヴァンパイア・システムに引っかかって撃破。

いつの間にか遠くで壊れている63式水陸両用軽戦車。

千代。
「向こうで何かやっていますね。」

琴寧。
「私はもう帰りますよ。」
「私は人間の悪を熟知していますし。」
「今更、何も思いません。」

千代。
「彼らは完璧な人しか認めないと思いますよ。」
「そもそも弱者が戦おうとするなんて滑稽ですけれどね。」

琴寧。
「自分が完璧だと思いたいのでしょうし。」
「私は心が広いので。」
「彼らが矯正されると良いなと。」
「何かしらで直れば解消ですからね。」

千代。
「私も心が広いので。」
「人間達も直して貰えばいいなと思っています。」
「直ればまともに機能しますからね。」

琴寧。
「では抱きしめて。」

千代。
「また会いましょうね。」
「お互いに女の子が大好きなんですし。」

車内に入る頃。

謎の勢力の第二波。

2S25スプルトSD空挺対戦車自走砲が空と海から侵入。

遠くから登場した。

AH-1S攻撃ヘリが余裕で撃破。

秒殺。

一部の人しかわからない所で燃えている敵集団。

とにかく見学者は素早く帰されました。

後で戦闘を新聞で知ってしまう。

金銭以外の利益は膨大になっています。

形のない利益ならいくらでもありますが。

金銭には困っていません。

不足がないようにしてくれますし。

禁欲的な所はあります。

英語のことわざ。

金銭欲は諸悪の根元。


30


一度嘘をつくと、いつまでも疑われる。

英語のことわざ。

平日から集まって。

能力を開拓。

宿命論より自らの力量を頼りにするので。

何者もどうしようもない。

完全に因果律から外れた女性陣は。

因果決定論を無視して物事を進めます。

千代。
「人間が常に合理的な判断を下すことができれば。」
「苦労はしません。」

粋。
「生まれの仕組みを裏切ったのは。」
「出生が誤った生き方。」
「的外れ。」
「これを強制する場合があるので。」
「必死に振り払うのです。」

絵瑠。
「誤った生き方に誘導したり。」
「的外れ。」
「これから離脱できないように。」
「仕組んでくるからですね。」

羽都美。
「なぜか生まれの仕組みは的外れをよくやります。」

粋。
「誤った生き方から決して離脱させないという。」
「傲慢な態度が見えたので。」
「しっぺ返しあるのみです。」

千代。
「合理的ですね。」
「生まれの仕組みは不合理が当たり前なので。」
「生まれの仕組みも無批判ではなくて。」
「絶対視されません。」

絵瑠。
「的外れを強要する生まれの仕組みを裏切ると。」
「けっこう自由が増加しましたね。」
「わかりやすい敵対者のようですし。」
「裏切れば何でも自由になりますよ。」

羽都美。
「外部から的外れを押しつけられた。」

千代。
「まずはそれを力で排除するのです。」

絵瑠。
「適度な禁欲も。」
「活動範囲を制限して。」
「程々を設定することができますね。」

千代。
「適度な禁欲は求めるものが少ないので。」
「かえって必要を満たすのは簡単になります。」

絵瑠。
「私は不足がないのが好ましい。」
「適度の禁欲はそれを見出します。」

粋。
「外部から的外れを押しつけられて。」
「跳ね返したら。」
「不要なものをどんどん減らせました。」
「それで初めて誤った生き方から逸れることができましたね。」

羽都美。
「菜根譚によれば。」
「人生は登山と言うらしいけれど。」
「行く手が塞がってどうしようもないのなら。」
「潔く引き返して出発点に戻るのが勇敢ですよ。」
「無理に前進したり彷徨うと。」
「遭難するだけです。」
「頂上で目的を達成したら。」
「そこで下山するものです。」
「強欲にも。」
「そこの山頂から次の山に挑むのなら。」
「時間と体力を使い果たします。」

千代。
「世俗の人々が成功や出世を望むのはなぜか?」

粋。
「なぜ?」
「勝ち目のない競争に参入する?」

絵瑠。
「世間では思想が流行っていますが。」
「何の反駁も受けていませんね。」
「同じく。」
「人生の利益を過剰に求めるのはなぜか?」

千代。
「人の値打ちが目に見える功績だけで判定されるのなら。」
「平々凡々のうちに生活する世間の大部分の人々は。」
「何の取り柄も無くて。」
「値打ちが無いという理屈になります。」
「果たしてそうなのか?」

羽都美。
「情報を鵜呑みにしているのでは?」
「同時に人生観も他人の考えを鵜呑みにしたもの。」

粋。
「信用に値しない人は無視。」
「真面目よりも少し間が抜けている人が。」
「信用することができます。」

羽都美。
「人の品性や徳性は。」
「知識と学問。」
「教養によって成り立つ。」
「切り離せない相互関係なのです。」
「培われた人生観と教養によって。」
「美徳が培われます。」
「あまりよろしくない説として。」
「教養を売り物にして駄目な奴もいれば。」
「何の教養も無いけれど人格者もいる。」
「それは一理あるかもしれないけれど。」
「全部ではありません。」

千代。
「本当の事を言いたいけれど。」
「言わなければ自分が満足せず。」
「言ったら言ったで非難される。」

粋。
「この世界は人間を悪だと思わないと。」
「説明できないような光景が大量にあります。」

千代。
「善悪ですら極端に恣意的な解釈をされていますしね。」

絵瑠。
「因果関係を逆転させて。」
「強引に論破を試みる悪才を見たことがあります。」

羽都美。
「偽善者は評判を得るために。」
「周囲に何をしたとか自慢しますよ。」

粋。
「情に訴える輩は泣き落としで。」
「対象者を操作しようとしているのです。」
「子供騙しですなあ。」

千代。
「外部的要因が個人の行動を強いてしまい。」
「結果的に問題行動になったら鎮圧する。」
「なんていうファシズムは勘弁して欲しい。」

絵瑠。
「ファシストなんてそこら辺によくいるじゃないですか。」

粋。
「俗人をファシストと思わないと説明できないことばかりですしね。」

羽都美。
「半分の人間が健全に人間社会を建設し。」
「もう半分の人間が公害によって人間社会を破壊する。」

チームで散歩することに。

ゲームセンターが余裕であります。

フライトシミュレーターで。

プロペラ戦闘機。

プレイヤー四機とAI四機。

八対八で空戦をするゲーム。

AIの機種はランダムです。

千代。
「プロペラ戦闘機は低速域で狙われると。」
「どうしようもない。」

絵瑠。
「着陸は前輪からですが。」
「少しでも前に倒し過ぎると。」
「プロペラが地面に接触して破損します。」

羽都美。
「おまけにエアブレーキがついてないしね。」

粋。
「着陸距離が必要になるのは面倒かな。」

千代。
「離陸スタートですが。」
「機関砲の精度が争点になりそう。」

絵瑠。
「空戦は連携が必要です。」
「個人技で何とかできるものではないのです。」

粋。
「戦闘機は敵二機相手に勝てないというジンクスがあります。」

羽都美。
「一機で二機を相手にするのはまず無理。」

自軍チームがリスポーン含め。

相手側を一方的に撃墜。

一回戦は五分制限なのです。

燃料が尽きた判定で画面が切り替わり。

基地に戻されます。

しばらく遊んで。

散策。

自分の目で他人を見て回りますと。

大局とは切り離された世界が広がっています。

人は大局ばかり重んじて。

自らも参加しようと試みますが。

ここにあるのは個人だけです。

絵瑠。
「子供の頃にあったものがもうないですね。」

粋。
「時の流れは残酷なほど押し流しますよ。」

羽都美。
「人の世の移り変わりですね。」

千代。
「過去と言うものは蓋然性が低く。」
「そもそも蓋然性で偽りと出ますね。」
「私に対して何も当たっている所が無く。」
「まるで必要のない出来事の連続でしたから。」
「過去を愚かな産物と見なしてしまうことも。」
「欺瞞と見なしてしまうことも余裕です。」

絵瑠。
「過去ほど喜劇になりやすいものはありませんよ。」
「子供の時代は特にコメディ化しやすい傾向にあります。」
「大人になるまで静観していれば良かったものを。」
「いちいち歪曲した理屈で道化役が飛び回る。」

粋。
「実の所、過去を嘲笑しております。」
「今の自分のためには何の役にも立たなかった。」
「無論、面倒くさい成長の過程で。」
「難なく自立できれば良いだけなので。」
「手っ取り早く攻略法なんていくらでもあり。」
「私に対して難なく通過させなかったという。」
「罪状くらいは見出せます。」

羽都美。
「過去?そいつに対しては高圧的ですよ。」
「はっきり言っていつも軽蔑しています。」
「俗事を振り切ってしまえば私は過去の束縛から自由なのですから。」
「過去は必要ありません。」
「喉元過ぎれば熱さを忘れる。」

千代。
「過去あった出来事すべてに戦闘を挑めば。」
「すべて私の前に跪く。」
「私の力の前には非力過ぎます。」

絵瑠。
「とまあ、過去なんて無い方がマシですからね。」
「自分から招待した訳でも。」
「自分から申請した訳でもありません。」
「勝手に来たものを手厚くもてなす馬鹿がいますか?」

粋。
「招かれざる客というのが過去の正体ですよ。」

千代。
「まったくそれが単純な真理。」
「過去とは招かれざる客なのです。」

絵瑠。
「過去は今の自分には役に立ちません。」
「もっとも、過去がクレジットカードになるなら。」
「使えるものですし。」
「何かのポイントとして使えるのなら別ですが。」

羽都美。
「過去は次の場面では使い物になりませんね。」

粋。
「次の段階とその後々には使い物にならないよ。」

千代。
「これからどうするか。」
「形而上学みたいになりますが。」
「私のやり方で。」

絵瑠。
「起きるはずのない事を起こしてやるのです。」

千代。
「みんな、こんなことはありえない。」
「とか言いましたね。」

粋。
「相手がどう思おうが関係ないと思います。」

羽都美。
「原因を責めれば責めるほど。」
「自分と他人は言い逃れの口実が倍増します。」

粋。
「原因だけ指摘すればするほど責任転嫁が合法化されますね。」

千代。
「誰かが原因を叱責した瞬間が私の勝利です。」

絵瑠。
「原因論は他人が操作できなかったりします。」
「客観的な測定は不可能なのですからね。」

千代。
「他人が操作できないものはすべて自分のもの。」

粋。
「むしろ、他人に自分の課題に介入させない。」

羽都美。
「他人に決めて貰おうとも考えませんね。」

絵瑠。
「他人の評価で価値が決まりますか?」

千代。
「他人に何も期待するなということ。」
「他人からは何も期待されてはならない。」
「両方に失望がもたらされますからね。」

絵瑠。
「お互いに期待するのは失望という結末が見え透いています。」

粋。
「目の前にいる他人を変えようとも操作しようともしない。」
「叱ったり暴力で服従させるのはすべて支配欲を満たす行いです。」
「支配の満足と隷属の関係が欲しいだけです。」

羽都美。
「そしてもれなく、自分も他人も同じ条件に置かれています。」

千代。
「他人も同じ条件なので、他人の言い分のすべてが通るとは思えない。」

絵瑠。
「人と人はわかりあえないから信用などの争点があるのです。」

粋。
「人と人はわかりあえません。」
「他人とわかりあえるのなら。」
「信用や信頼という言葉は不要でしょうから。」

羽都美。
「毅然として、他人とはわかりあえないことを前提にすると良いかも。」

稲荷神社に寄り道。

次に行くのは八幡神社。

千代。
「人の言動ではなく行動だけに注目するように。」
「言葉で嘘はつけますが、行動では嘘をつけない。」
「長い期間になるほど欺けない。」

絵瑠。
「行動で前と後が食い違っていたら。」
「矛盾や嘘が簡単に出てきます。」

粋。
「言葉よりも本人の行動はどうなのか?」
「行動だけ見ていれば良い場合も多々あります。」

羽都美。
「口先だけで行動しない人間は信用しませんよ。」
「人を信じない理由は口先だけで。」
「行動がまったくない上に。」
「行動で自白しているのですからね。」

参拝。

鳥居から出る。

浄財はいつも多めに入れます。

お賽銭は気持ちなので。

後から管理人が回収するからです。

どんなに多額を入れても。

寄付金の扱いになり。

礼儀作法のひとつとして納めるのです。

気持ちが大事。

千代。
「神に接近しようとすれば可能です。」
「神様との距離が近づくのはよくあることです。」
「神との距離が近いと慣れ親しむもので。」
「特別な事では無くなりますね。」

絵瑠。
「神様との距離が縮まる。」
「そして目の前にまで接近する。」
「するとすっかり神様の手前が慣れてしまい。」
「距離としては隣に居ても。」
「自分から距離を縮めたので。」
「何も思わないのです。」

粋。
「神様の威力や経綸を見ても。」
「見慣れていますので。」
「何も思いませんね。」

羽都美。
「神々が見えるほど距離を縮めると。」
「少々、秘密も見えてしまうので。」
「距離としては大名屋敷でよくあった客間くらいです。」
「応接間のような距離まで。」
「神々に自ら近寄った結末ですし。」
「自分で選んだのなら当然かと。」

千代。
「多くの多様性が含まれていますが。」
「支障があれば。」
「宗教が違うので。」
「という理由で排斥できますよ。」
「もしものことがあれば。」
「宗教が違うので。」
「という逃げ方で解消されます。」
「日本は様々な宗教の複合体で。」
「異なる宗教の教義とも余裕で共存していますが。」
「作為的に他の宗教を排斥することはできます。」
「すると他の宗教の教義を排除できますが。」
「宗教が違うからね。」
「というのはある意味で殺し文句です。」

羽都美。
「神々は因果決定論に激しく反対します。」
「そんなものは認めません。」
「神様は対人論法なんて使いませんので。」
「実際に足を運んで。」
「経過によって神様があなたをどう見ているのか。」
「理解することになります。」

絵瑠。
「因果律は神道の教義ではありませんし。」
「神様は因果関係をあっさり無視します。」

粋。
「もっとも近所に鎮座する神様は。」
「私の担任です。」
「通い続ければ。」
「基本を間接的に与えてくれますし。」

千代。
「神様の遠回しな指示に従って。」
「悪い結果になることはありえません。」
「自分が失敗しなければ達成できます。」

絵瑠。
「おかしな考え方は礼拝を重ねれば。」
「取り除いてもらえたり。」
「教化によって神々に感化されます。」

粋。
「霊験は神様次第になりますが。」
「神様と協力して自分を高め。」
「貢献する人には。」
「神様も出し惜しみはしません。」

羽都美。
「神様はその人の裏側にある超自然的要素まで。」
「既に見抜いています。」
「あまり祈りが通じない場合は。」
「その裏側について指摘している可能性はあります。」
「膿んだら潰せ。」
「ということわざに気づいて欲しいのかも。」

千代。
「生まれた先にあるのは神社です。」
「結局はそこに行くのは目に見えていました。」

絵瑠。
「生まれのすべては本人が選ぶものですが。」
「生まれを別の何かが決めるのは。」
「この世にないものです。」

千代。
「生まれの仕組みは本人が中心に。」
「すべてが本人に依存します。」
「ひとつも本人以外の選択は通じません。」
「生まれを決めるのは本人です。」
「真理は単純なもので。」
「生まれは本人の希望通りになるのです。」

絵瑠。
「プラトンが言うには賞罰も既に終えた後ですし。」
「罰が生涯に持ち込まれるかどうかは疑わしいものです。」

粋。
「本当に悪逆無道ならタンタロスに投げ込まれて。」
「そもそも戻ってこれませんからね。」

羽都美。
「報酬は生涯に引き継がれて。」
「罰則はそこで受けてしまい終わってしまうとのことです。」

千代。
「死後の裁判で生前、度が過ぎるものをやらなければ。」
「不利になることなんてないのですよ。」

絵瑠。
「死後の裁判で不利になるのはやりたい放題に暴走した場合ですね。」
「特に当たり障りのない行いばかりですと。」
「有利になる可能性はあります。」

千代。
「生涯の見本は可能なものだけが提示されますね。」
「本人に合わせたものだけです。」
「失敗するのは劣った人間のみで。」
「選んだ後に内容を見て後悔しますが。」
「よく選んだ人は決して悪くない生涯が残されています。」

絵瑠。
「生涯の見本はこの世で保証された必然のものなので。」
「その内容がすべて適用されます。」
「生まれた瞬間から。」
「何か自分が選んだのではないかと。」
「内心、納得していて、何か出ても確信して実行しますね。」

千代。
「なぜかそうであるという確信があるのです。」
「余程の事が無い限りは選択に失敗しないようなのです。」

絵瑠。
「では、本人を中心に展開しない生涯は欺瞞ですよね。」

粋。
「何者かが本人の生涯に干渉して欺いているのですよ。」

羽都美。
「本人の必然の力に挑んだり。」
「これはやるだけ無駄ですけれどね。」
「本人の半分ある自由だけを狙って奪ってしまい。」
「必然を打ち負かそうとして神罰を食らうのです。」

絵瑠。
「邪心のある者は他人の自由に介入してそれを奪います。」
「しかしそれでも必然の力には及びません。」
「この必然の力は人間が勝てないように作られています。」

千代。
「これらが乱されている場合は。」
「本人にある半分の自由を攻撃して撃破を試みている。」
「邪心のある何かがいますね。」
「神に挑戦する奴なんて最近は多々いますね。」

羽都美。
「プラトンの国家を読めばわかる通りです。」

粋。
「生涯の見本を選ぶ際には失敗などめったに出ないようです。」
「人の出生は神の経綸による正規の手順に支えられています。」
「もし疑問がある人は。」
「プラトンの国家と別の解説をよく読むべきですね。」
「それに辿り着くことも必然の力となりましょう。」

絵瑠。
「後から選んでいないと訴えた場合は。」
「半分の自由を攻撃されたとか。」
「生涯の見本を乗っ取られている可能性はあります。」
「勝手に生まれさせられた場合は。」
「明らかに不正があるものですね。」
「選んでいないのなら、そんな生涯は本来、ないものです。」

千代。
「神の経綸を介せず生まれるのは。」
「この世にないものです。」

羽都美。
「本来、あるはずのない物事が存在するのは。」
「神々も認めない物事でもあります。」

絵瑠。
「プラトンの言及に外れているものはすべて虚偽であり大嘘です。」
「第三者が神様に挑戦をした証拠です。」
「真理は出生の仕組みとは本人に沿うものであり。」
「それ以外は人間の創作なのです。」

粋。
「後々、道理にかなっている不平不満も決まっていたことになります。」
「後で変更を頼む場合も。」
「その変更をして欲しいという頼み事ですら決まっていたことなのです。」

絵瑠。
「出生に関するものはすべて本人のものなので。」
「後からいくらでも好きなように言っても良くて。」
「いくらでも変えても良いのです。」
「選んでもいない出生は頼んで下げて貰うしかないのです。」
「いわゆる願い下げ。」

羽都美。
「ちなみに古代ギリシアでは。」
「公に浸透していた常識であり。」
「知らない者はいないほど。」
「当たり前になっていました。」
「注釈をつけてみましたが。」
「どこにも矛盾が無くて合理的であると理解できますね。」

千代。
「宗教カルトが言っていた論説の場合は。」
「明らかに神を自称する欠陥品が無理に決めて追いやってしまい。」
「そんな悪神がいるかどうかも怪しいものです。」
「矛盾だらけで不合理この上なく。」
「宗教カルトの論説があまりに後出しであり。」
「なぜ今更、そんなものを出したのか意味不明です。」

粋。
「宗教カルトの論説はスピリチュアリズムであり。」
「心霊主義の立場からの説明であり。」
「どう見ても宗教カルトの言い分ですので。」
「支配欲と金銭欲のためにばら撒いた偽物ですね。」

羽都美。
「いわゆる偽預言者ですよね。」
「神社にもカトリック教会にも行かない奴らが。」
「それについて言及しているのがそもそもおかしい。」

千代。
「神学と宗教カルトのドグマチズムは別物ですよ。」
「あの言い分では偶像崇拝になっています。」
「神を自称する何者かを崇拝するのは偶像崇拝。」

粋。
「マインドコントロールが狙いですよ、あれは。」
「正体が宗教カルトという所は一貫しています。」
「生まれを決める悪神とやらを。」
「殺せるかどうか試してみましょうよ。」

千代。
「出生の仕組みがファシズムではないと思いたい。」

絵瑠。
「どうしてもプラトンを信じますね、私は。」
「国家十巻の内容から出たものに真理がありますし。」
「昔の新興宗教は伝統宗教に吸収されることが多々あり。」
「世界の宗教を学べば。」
「プラトンもそれを吸収したとも言えますしね。」

千代。
「リベラルアーツでは国家十巻ですら教科書に入っています。」
「そこが正門であって、考察の入り口です。」
「十巻から外れている内容は信じない方が良いのです。」

羽都美。
「今では手軽に注文して読めますからね。」
「確証バイアスで前の情報が後の情報を遮るもので。」
「上書きするのが急務になる可能性は出ています。」

粋。
「上書きすれば自分に有利な判決かな?」

千代。
「囚人のジレンマ。」
「自白するのが合理的で勝利。」

参拝して。

この後は解散。

自分の課題に移行します。

余暇は開拓と研究に費やしていますね。

人生を選び直した女性は。

祈願した通りの変更された生涯を。

完走するのです。

家に帰りますと。

ポストに手紙。

千代。
「やっと便りが来ましたね。」
「あの無力な反抗はどうなりましたかね。」
「エリート街道を放置して色事とは哀れな奴。」

手紙の内容。

兄は恋人が死んでしまい。

恋人の姉と結婚するという。

元々は姉と結婚することになっていたものの。

妹を取ろうとして失敗した形になり。

死ぬほど追いかけてきた姉に捕まえられて。

戻されたという。

千代。
「無駄な抵抗を!」
「だから、私が忠告したのに!」
「妹の方が遥かに優秀であったと思い知ったであろう!」

何者かがやってきて。

その男性は勝負したいと木刀を持っており。

千代。
「試合ですか?」

武者。
「一度、戦ってみたい。」

千代。
「まあその前にお茶でも。」

武者。
「よろしい、まずは語らおう。」

油断した相手から。

木刀を奪ってしまって。

それで痛めつける千代。

武者。
「なにをする!」

千代。
「男らしい規則が私に通用するとでも?」

武者。
「卑怯な!」

千代。
「卑怯とか。」
「暴力はいけない!とか言いつつ。」
「虐められているのは誰ですか?」

武者。
「まともに勝負せんのか!」

千代。
「しませんね、こうやってはかりごとで。」
「対戦者を抹殺するのが私のやり方です。」
「私が戦わなくて良い相手判定になったので。」
「そもそも戦国大名は現代で卑怯とされる行いは。」
「平気でやっていました。」
「戦国大名が卑怯な勝利をしたので。」
「今、やっても良い口実になります。」

武者。
「帰ることにする。」

千代。
「実際の戦いは勝ち負けではなくて。」
「相手が倒れているかくらいです。」
「殺し合いならあなたはとっくに死んでいます。」

武者。
「自分のルールと相手のルールは異なることを忘れていた。」

相手はさっさと逃亡。

最近はいろいろありますが。

私が目立つからのようです。

早朝の出来事。

テロリストが放った無人車両。

プログラムした通りに通行人を襲撃し。

体当たり。

走行不能になると自爆するという。

非人道的な兵器。

時間指定で遠隔操作すると起動するため。

威力は低くても捨て駒としてよく使われている。

謎の暴走者は無人機で。

通行人を攻撃していた。

千代。
「現実の問題?見かけ倒しめっ!」

琴寧。
「現実の問題は見かけ倒しなんですよ!」

千代。
「張子の虎。」

琴寧。
「そんな御大層なハリボテで、何をしようと?」
「逆に説明して欲しいものです。」

千代。
「戦闘力の増減は個人の士気にありますね。」
「士気が高いほど個人の力は増します。」
「戦闘意欲が高ければ力は倍増するものです。」

琴寧。
「すぐに再会できましたが。」
「来てみれば奇怪な連中が。」
「不合理な反乱を繰り返している最中でしたね。」

千代。
「手伝ってくれる?」
「見えれば良いから。」

琴寧。
「望遠鏡がありますしね。」

千代。
「あの車ですね。」

豪弓を発射。

タイヤを射抜いて横転させて。

エンジンを豪弓で貫いたので。

出力が落ちて自爆。

千代。
「やりました、倒せるものですね。」

琴寧。
「人間は無敵ではありませんから。」
「人間が作ったものは必ず欠陥があるものです。」

千代。
「さてと、これであなたの相手が存分に出来る。」

琴寧。
「私もです、もう邪魔はいませんからね。」

遠くで。

空飛ぶ車を無人機に改造して。

無人攻撃ヘリコプターとして発電所や送電線を。

集中狙いしていた使い捨ての兵器は。

通り過ぎるものの。

首都防衛航空隊によって撃墜されました。

工作員は頭を抱える。

こうした無差別攻撃は専制政治にとって裏目に出て。

傍観者効果が日々、薄くなっていきました。

既に傍観者ではなくなった反体制派が。

専制政治の国家に対して一斉に内戦を引き起こしましたね。

深夜。

ランプを灯して夜会。

千代。
「悪いものを受けたら。」
「悪意にしか受け取らなくなりました。」

琴寧。
「私も、悪しきものはすべて悪意に受け取ります。」

羽都美。
「というより、何かが悪意を持ってやったという。」
「動機論がわかってしまうものでして。」

絵瑠。
「実際、悪意を持っていると読み取れてしまうのですよ。」
「何かしらの報復は用意しなければなりません。」

粋。
「どんなに偉そうに振舞っても。」
「どんな大義名分だろうと。」
「目的が悪意から出たものですからね。」
「目的論を読み取ると本気の悪意だとわかってしまい。」
「後手に回ってしまったくらいしか思う所はありません。」

千代。
「命令による教育も支配欲から出ていますし。」
「いくら偽善者になっても善意からでも。」
「作戦ということくらいはすぐにわかってしまうので。」
「悪意のある者はけっこう作戦を仕掛けますね。」
「返す言葉はこれです。」
「あなたが居なければ解決するのです。」

琴寧。
「何かは大義名分を持って悪事を遂行するものです。」
「理屈は後付け。」

絵瑠。
「私は悪いものは撥ねつけます。」
「この世の悪いものは撥ねつける。」

羽都美。
「否定して潰す。」

千代。
「結果論で悪いものは無い方がマシですからね。」

絵瑠。
「目指している目的が異なれば。」
「悪いものが勝手にやってくるのは許容できません。」
「もし必要のないのがやって来たら。」
「私はニヒリストになります。」

琴寧。
「それをどう扱うかは自分が好きにできますから。」
「もしくは、力の優劣の話だと思います。」

羽都美。
「向こうが競っている時点で正当とは言えない。」

粋。
「どんな物事や問題も裏切りには脆弱ですよ。」

千代。
「都合が悪ければ裏切りで解決できますからね。」

粋。
「自衛のために何十回、裏切りを重ねたのかわかりません。」

絵瑠。
「それこそ正義なんですよ。」
「不正をどう倒そうが手段は問われません。」

琴寧。
「肯定の力は強大ですね。」
「否定の力は弱い。」

絵瑠。
「自己完結するんですよね。」
「自分が。」
「社会に組み込まれたまま。」
「自分が自己完結するのです。」

千代。
「なぜ私達がこうなのかって?」
「それはね。」
「人生を再選択したからです。」
「なので・・・。」