風景


今日の午前中は雨でしたよ。

午後から晴れになって。

校庭に出たら。

阿呆さんと会いました。

いーりす♪
「こんにちは。」

道化♪
「美少女から挨拶してくれるとは。」
「とうとう俺は出世したのか?」

いーりす♪
「阿呆が出世なんて冗談でしょ。」

道化♪
「うんきっと冗談に違いない。」
「でも美少女と会話している俺がいて。」
「全国の男性諸君が羨む状況がいまここに。」

いーりす♪
「わたしそんなにかわいくないですよぉ☆」

道化♪
「謙虚ですな。」

いーりす♪
「外見だけかもしれませんよ!」

道化♪
「中身が詰まっている割によく言いますな。」

いーりす♪
「そんなに自信はないですね。」
「こんなに若いわたしは実績に乏しいから。」

道化♪
「謙虚ですな。」

いーりす♪
「謙虚?普通ですよ?」

道化♪
「おおなんということだ。」
「だったら俺は中身だけで勝負だ。」
「それっ!えーい!」

いーりす♪
「阿呆さんの頭の中って何があるんですか?」

道化♪
「青空が広がっている。」

いーりす♪
「曇ったりしないんですか?」

道化♪
「時には雨も降る。」

いーりす♪
「そっかぁ☆」
「ひとの感情って天気のようですね!」

道化♪
「阿呆と会話しているのは賢者か?」

いーりす♪
「物好きです。」

道化♪
「だから阿呆と会話をしているのか。」

いーりす♪
「頭がいいから阿呆なんでしょ?」

道化♪
「頭がいい阿呆なんて居るわけがない!」

いーりす♪
「やっぱりかあ。」
「なんで阿呆さんは阿呆なのかな?」

道化♪
「難しく考えてはいけません。」

いーりす♪
「存在自体が冗談だからだ!」

道化♪
「いいとこ入ったぞ!」

いーりす♪
「では阿呆さん。」
「冗談をやってください。」

道化♪
「そんなこと言われても。」
「漁師に漁師をやれと言っているものだぞ。」

いーりす♪
「阿呆さんなら偉業を残せます!」

道化♪
「阿呆が偉業を残す?」
「冗談はやめてくれ。」

いーりす♪
「もちろん冗談です。」

道化♪
「今日はご機嫌なのかな?」

いーりす♪
「今日はいつもの調子はどこ行ったの?」

道化♪
「この庭師の仕事をしていて。」
「同時に冗談を言えるほど。」
「俺はかっこよくは出来ていない。」

いーりす♪
「出来ると思ったのに。」

道化♪
「阿呆を持ち上げてないか?」

いーりす♪
「胴上げですか?」
「男性を持ち上げるには女の子では無理ですね。」

道化♪
「ゴマをすると持ち上げられるぞ?」

いーりす♪
「阿呆を持ち上げてどうするんだろう?」

道化♪
「どうするんだろうね。」

いーりす♪
「どうするの?」

道化♪
「一緒に考えよう。」

雪ちゃんが来ました。

ネージュ♪
「いーちゃんメモ取って何してるの?」

いーりす♪
「阿呆の研究。」
「阿呆になるっていいことなのかな?」

道化♪
「真面目過ぎるんだ!」
「この娘さんは!」
「今日はいつにも増して真面目なんだ!」

ネージュ♪
「真面目過ぎるのは逆に良くないわよ。」

いーりす♪
「そろそろ人生について考える時期かなって。」

道化♪
「若い娘さんがそれは行き過ぎだ。」

いーりす♪
「う〜ん。」
「阿呆さんは人生のことは考えないんですか?」

道化♪
「俺にとって人生とは冗談だ。」
「なあ娘さん。」
「深刻に考えすぎだぞ。」

いーりす♪
「そうですね。」
「わたし考えすぎてました。」
「意外にも阿呆さんを見ればヒントになるんですね。」

いーりす退場。

ネージュ♪
「いーちゃん年頃なのかなぁ。」

道化♪
「難しく考える癖があるから。」
「俺みたいにバカに考えようとしたんだ。」
「あのくらいの娘さんにはよくあることさ。」

ネージュ♪
「阿呆ってものわかりがいいのね。」

道化♪
「あまりにも頭が単純なだけさ。」
「頭の構造が簡単に出来ているから。」
「阿呆であって。」
「シンプルに考えるのさ。」

ネージュ♪
「あながち阿呆とも言えないわね。」

おバカさんが来ました。

おバカさん♪
「ネージュちゃんみーっけ♪」
「一緒にチョコ食べよ♪」

ネージュ♪
「なんのチョコ?」

おバカさん♪
「手作りチョコ♪」
「良かったら私も食べて♪」

ネージュ♪
「チョコだけ貰うわね。」

おバカさん♪
「私は食べないのー?」

ネージュ♪
「遠慮するわ。」

おバカさん♪
「がっかり。」

ネージュ♪
「阿呆もひとつどうぞ。」

おバカさん♪
「待って!これはネージュちゃんのために作ったの!」

ネージュ♪
「せっかくならみんなで楽しみましょう。」

道化♪
「ありがたやー!」
「お嬢様のお恵み!」

道化。

ネージュにひれ伏す。

おバカさん。

阻止する。

おバカさん♪
「ネージュちゃん。」
「チョコレートの次は。」
「私もご賞味あれ♪」

ネージュ♪
「チョコ貰っていくわね。」

おバカさん♪
「ああ!ネージュちゃんにフラれたー!」

道化♪
「押しが強いからだ。」

おバカさん♪
「何よ!分かったふうに!」

道化♪
「阿呆でも分かるぞ。」

おバカさん♪
「阿呆だから分かると?」

道化♪
「阿呆を持ち上げないでくれ。」

ネージュ退場。

おバカさん♪
「あんたに構ったから行っちゃったじゃない!」

道化♪
「ああ!失恋の悲しみは甘いチョコをも溶かす!」

いーりす♪
「チョコあるんですか?」

おバカさん♪
「あるわよ。」

いーりす♪
「貰いますね。」

おバカさん♪
「どうぞ。」
「ってネージュちゃんの恋敵!」

くーりえ♪
「いーりすちゃん。」
「こっちにはクッキーがありますよ。」

いーりす♪
「了解!」

おバカさん♪
「阿呆に構ったから損ばかりした!」

いーりす♪
「阿呆さんと仲いいんですね。」

おバカさん♪
「そんなわけないじゃない!」
「ああ!!」

おバカさん。

雑草を引っこ抜いて。

いろんな方向に投げ始めました。

阿呆さんは既にいません。

発狂するおバカさんが校庭の真ん中に陣取る。

それは日常のひと風景です。