第9話-ノクターン(夜想曲) 第2番 変ホ長調Op.9-2


キンコーンカーンコーン!!

学校の鐘が鳴り響く、それは正午の昼時。

もも「お昼タイムですねー!」

ミューズ「待ちに待ったイベントだよー!」

メグ「今日は松茸弁当なんだー♪」

もも「わたしはねーサツマイモ定食!」

ミューズ「わたしは煮物弁当!」

キャー!!

嬉しそうな声をあげて、弁当を持って屋上へ向かっていく3人。

さて、いざ屋上に上がると、ふぇりすとえとわーるが何やらモメていた。

えとわーる「2人で食べようって言ってたお菓子もう食べたなんて、信じられない!」

「早弁ならぬ、早菓子ですよ!」

ふぇりす「わるいわるい、次からは気をつけるよ」

えとわーる「今回は見逃し・・?」

「預けたデザートも?」

ふぇりす「申し訳ない!」

えとわーる「そんなんだから、体重が増えるんですよ!この!そんなこんなでスリム体系!」

ふぇりす「なに!?ならえーちゃんはそれを超えたモデル体系めー!」

えとわーる「あなただって、この前子供が無くした帽子2時間かけて見つけ出してあげたでしょ!」

ふぇりす「そういうえーちゃんは飼っているハムスターを誰よりも大事にしているクセに!」

「ハムスター見たよ、目がキラキラしていて、幸せそうだった、この飼育の達人!」

もも「だめだめー!ケンカはなし!」

ももが割って入る、メグとミューズも止めにかかった。

えとわーる「ならば、このバーサーカーソウルで決着つけましょう!」

ふぇりす「望むところだ!」

えとわーるはトランプを出すと、お互いに3枚配り、お互いの手札にジョーカーを入れた。

えとわーる「残り2枚になったら、もう一度やり直し、いいですね?」

ふぇりす「先にジョーカーを引いた方が負け、負けたほうはなんでも言うことを聞く、望むところだ!」

2人は交互にトランプを引くと、なんとふぇりすはジョーカーに当たった。

えとわーる「わたくしの勝ちです!」

「バツとして仲直りしなさい!」

ふぇりす「了解!」

2人は握手をすると、何事もなかったかのように、2人で座り、お弁当を食べ始めた。

ふぇりす「今日はえーちゃんと食べるよーごめんねーもも」

もも「りょーかい、じゃあわたしはみゅーちゃんとメグちゃんを独り占め♪」

5人は仲良く昼食、ももの幸せな時間は過ぎていった。

午後1時。

もも「必須授業は午前で終わり、今からは選択科目♪」

ミューズ「自由科目にする?」

メグ「それだと単位取れなくなりますよー?」

もも「部活を見て回る?」

メグ「それがいいですねー!」

もも「スターボード部にレイピア剣術部、ウォーターサバゲー部」

「いろいろありますね」

ミューズ「これなんてどう?星空部!」

メグ「星空を見る会だってー!」

もも「それいいですねー行きましょ♪」

3人は星空部へ移動した。

星空部は少し清楚なところにあった。

どこかの高級ホテルを思わせる造り、部屋密集地帯を抜け、たどり着く。

ガチャ!

もも「たのもー!」

部長「いらっしゃい」

メグ「看板はもらっていくですよー!」

部長「あなたたちは道場破り?相手になるわよ?」

ミューズ「何で勝負する?」

部長「そうねぇ、って釣らないでくれる?」

そこには、豪華な花で飾られてたカチューシャ、そしてロングヘアーに少し分けた女の子。

それもかなりの美少女。

そら「わたしは宇宙、そらって読むの、分からないわよね?」

もも「この娘ツンツンしてるー!ツンデレ?」

部員「そらちゃんは気に入った相手をいじりたがるSだよー♪」

そら「こら!」

もも「じゃあ、いつもSなんだ」

そら「なに言ってんの?」

もも「だって、そこのマックのジュースのカラの山、ぜんぶSだから」

そらは後ろを向いて、口を押えて、笑いをこらえた。

そら「・・・ここに来たからは興味があるってことよね?」

ミューズ「興味がないなら来てないけど」

そら「鋭い・・・・」

メグ「星空ってことは夜?」

そら「そうよ、これ丘の地図、良かったら今夜どうぞ」

もも「りょうかい、参加させてもらうね」

3人は星空部を後にした。

メグ「夜ってことは・・・9時?」

ミューズ「たったの9時だよ?」

メグ「きゃー!夜行性の動物が飛び交う9時!ひぇぇぇぇ!!」

もも「大丈夫♪わたしがついてる♪」

ももはなだめるようにメグをさすった。

もも「まだ時間がありすぎるよ、どうする?」

ミューズ「一定の成果をあげなきゃ、進級に差し支えるよ?」

メグ「ひとりだけ1年下はいやだよー!」

渡り廊下を歩いていると、なにやらヴァイオリンの音が聞こえてきた。

ももたちは気になって外に出ると、花美とえとわーるが演奏していた。

もも「お姉ちゃんだ、他の大学生もけっこう敷地に入ってきますね」

メグ「お隣だからねー!」

ミューズ「せっかくだから聴こうよ♪」

3人はコンサートホールのようになっているところのベンチに座り、音楽を鑑賞した。

ミューズ「この曲はフルートとハープのための協奏曲 ハ長調K.299(297c)〜第1楽章というモーツァルトの力作だね」

もも「えーちゃんほんとうに音楽ならなんでもできるね、前はヴィオラ、今回はハープ!」

メグ「お姉さんだって、フルートもできちゃうんだよー!」

うっとり3人は音楽に聴き入っていた。

演奏が終わると花美が3人のところへ来て、3人にレポート紙を渡した。

花美「きちんとレポート取らないと、進級できないよ?」

もも「りょうかい!ももちゃん頑張ります!」

しっかりレポートを取った3人はその場を後にした。

ふとサッカー場を見ると、ふぇりすがプレイしていた。

ポジションはトップ下、女子サッカーはふるーつでは花である。

ふぇりすは芸術的なドリブルで3人を抜き去ると、華麗にシュート、惜しくも防がれるが。

ほとんど無双状態であった。

ミューズ「またふぇっちゃんゾーン入ってる」

メグ「心の底からサッカーを楽しんでますねー!」

そのまま庭を進むと画家部がたくさんいて、絵を描いていた。

もも「芸術もありますね」

メグ「リンゴの絵?」

もも「芸術ってどうやって描くのでしょう・・・うーん」

ミューズ「芸術は酔えば書けるよ」

もも「酔うですか、なるほどー」

メグ「さすが芸術家!」

ミューズ「でも書いているうちに面倒くさくなっていって」

「おまけに書いた作品はどうしても好きになれないっていう、歪み様だけどね」

もも「なるほどなるほど」

ももはメモに書き記していた。

メグ「そろそろ普通教科に参加しましょうよ」

もも「きちんとしてなきゃやることないよね、参加しよう」

3人は教室に戻り、そこから国語の選択授業に参加した。

夕方、いつものように5人と別れると、帰路につき。

家に帰ると、8時ごろまた学校へ行った。

それは暗い夜道、なにやら光の球がこちらへ・・。

メグ「こわいですー!」

それはメグで、懐中電灯の代わりになる蛍石を持って歩いていた。

さらにベタベタ張り付くメグ、ももは笑顔でなだめる。

そのうち3人が加わる。

途中おまわりさんと遭遇した。

おまわりさんは5人に挨拶して、笑顔で。

おまわりさん「お嬢ちゃんたちが安心して夜道を歩けるように、パトロール中であります!」

「ここ2年ほど、不審者情報が1件もなし、誠心誠意努めさせて頂きます!ではっ!」

おまわりさんは厳格な顔をしながら、パトロールを続行した。

えとわーる「この辺りはおまわりさんの目が光っていますね」

ふぇりす「上空にも飛んでいるよ、ほらスターボード!そして1人!」

ミューズ「すごい・・あれが警備飛行術・・」

もも「暗い夜でも飛行できる技術、すごいなぁ・・・」

月に照らされてうっすら見えるおまわりさんにみとれながら、5人は学校の裏の丘に到着した。

そらが出迎える。

そら「今日は満月よ、星もいっぱい、カメラは忘れてないでしょうね?」

もも「ばっちり!今日はよろしくね!」

部員「ココアあるよー紅茶も♪」

ミューズ「紅茶大好き!」

5人は座り込み、星空を眺める。

えとわーる「昔から多くの人々が、星に願いを込めてきた」

そら「何万年も続くこの光景、それはこの世界の神秘」

「そして不変の真理でもあるわ」

ミューズ「自然の摂理そのもの!」

もも「あっ!流れ星!」

ふぇりす「お願いしなくちゃ!」

メグ「スケッチ!っと♪」

思い思いに星空を楽しむ女の子たち。

そこに大学生の集団がやってきた。

その中には花美がいて、ヴァイオリンを持っている。

花美「どう?その星空を背景に音楽は?」

もも「いいや、星空は背景じゃなくてメインだね」

花美「なかなか成長したわね♪」

「みんな、演奏の準備はいい?」

大学生たちはそれぞれ楽器を持っていた。

花美が合図を出すと、みんなは演奏を開始した。

ミューズ「G線上のアリア!?」

もも「ん?それは?」

ミューズ「バッハの力作であって世界的名曲!」

メグ「なんだか・・・宇宙が・・・」

もも「なんだか、宇宙が見えます・・・」

ミューズ「バッハの曲は小宇宙を奏でる、これを星空鑑賞に持ってくるなんて・・・」

演奏が終わると、静かな拍手に包まれた。

ふぇりす「願いが叶った!」

メグ「どんな願い?」

ふぇりす「この鑑賞会がもっと美しくなりますように!」

えとわーる「すばらしいです!わたくしもほとんど同じ願い!」

5人は笑顔でくっつき合いながら、星空を思う存分楽しんだ。

その夜は女の子たちの笑顔で包まれ、10時過ぎには全員が帰宅した。

翌日、いつものように登校する5人。

もも「昨日の鑑賞会、楽しかったね!」

ミューズ「最高のひととき!あぁカメラに撮って良かった・・!」

ふぇりす「願い事の件、えーちゃんとは気が合うよー♪」

えとわーる「ふぇっちゃんとは一心同体、ももちゃんともね♪」

メグ「ずるーい!わたしも一心同体仲間に入れてー!」

もも「みんな仲間ですよ♪」

全員が微笑む8時の光景。

変わらぬ日常、それでもって暖かな日々。

5人の尊い毎日は、これからも続いていく・・・。