第6話-カメラモンスターSP.DX-
日曜日の昼下がり、2人の女の子が、背丈3メートルほどある花畑の道を歩いていた。
メグ「この辺りはカメラモンスターSP.DXが出るそうですよー?」
ミューズ「あの、女の子を見たら撮影を頼んでくる女性でしょ?」
メグ「そのあと、イイものをくれるそうだよー!」
「ぜひ、出てきて欲しいですねー!」
ミューズ「もう!そんな話してその人が出たらどうするの!?」
すると案の定、路地から女性が現れ、2人を勧誘した・・・。
真奈美「はーい!メグちゃん、みゅーちゃん、撮影お願いできない?」
メグ「おー!」
ミューズ「先生!」
真奈美「ほら、お菓子あるよ?限定スイートポテト♪」
メグ「先生大好き!家臣よ、忠誠を誓うのだ、ははー!お殿様!」
「それ、褒美のお菓子じゃ、ありがたきしあわせー!」
ミューズ「ちょっと!お菓子で釣られるなんて、子供じゃないんだし」
真奈美「未成年も子供よ?」
ミューズ「言葉遊びみたいだよね、撮影ってただ撮るだけ?グラビアはイヤだよ」
真奈美「そう言わずについてくる!」
ミューズ「わたしたち、これから本屋に行くの、だからダメ」
真奈美「じゃあこれは?」
真奈美先生はハムスターの写真集をバックから取り出した。
ミューズ「はい!先生どこへなりとも、それを見せてくださるなら地の果てまで!」
メグ「お菓子おいしいですねー!」
2人はこうして「誘拐」されてしまった!
本屋で待ち合わせをしていたももとふぇりす、えとわーる。
もも「遅いですねー」
えとわーる「もう着くはずなのですが」
ふぇりす「衛星地図見る?」
ふぇりすは携帯を取り出して、地図を表示させた。
それはGPSだった。
もも「え?道を外れていくよ?」
ふぇりす「この辺りはカメラモンスターSP.DXが現れるって有名で・・」
えとわーる「先日も女子高生が頼まれ、ツーショットを撮ってもらったそうです」
ふぇりす「そのままどっか連れ去っちゃったりして・・・・」
もも「えぇぇぇ!?」
えとわーる「どんどん道をそれていきます・・・」
もも「これは・・・」
誘拐!?
3人で顔を見合わせて、驚いて飛び上がった。
もも「メールメール!」
2分後に返信が。
メグ「先生がお菓子くれるって言うからついていくですー!」
ミューズ「真奈美先生がハムスター図鑑くれるっていうから、地の果てまで!」
もも「真奈美先生!?誘拐犯は先生!?」
「警察だー!警察だー!」
ふぇりす「この辺り警察署ないよ・・」
えとわーる「わたくし交番まで走っていきます!」
えとわーるはあわてて全速力で町まで走って行った。
もも「金髪少女を独り占めするなんて、先生はけしからん!やっつけてやるー!」
ふぇりす「まだみゅーちゃんをもふもふしてないのにー!」
がしっ!
2人は手を握って、ここに「小桜同盟」が結成された。
もも「じゃーん!」
「スターボードを買ってもらったのだー!」
ふぇりす「あたしも中古をもらったのだー!」
もも「1万円したってー」
ふぇりす「お古のやつ」
もも「それは第二世代のスターボードだねー」
「安定性低いよ?」
ふぇりす「それはあたしの超絶テクニックでカバーさ!」
それー!
2人は飛行を開始すると、一気にGPSの地点へ迫った。
2メートルくらいのヒマワリが咲き誇る、花畑の中で、3人は過ごしていた。
カシャ!カシャ!真奈美先生は写真を撮り続ける。
真奈美「ちょっと!動いちゃだめ!」
ミューズ「こんなポーズ恥ずかしいよ!」
メグ「そういう、キメポーズは慣れてないのねー!」
真奈美「次はメグちゃん、アイドルポーズお願い♪」
メグ「がってんだー!」
そこにももとふぇりすが飛んでくる。
もも「あー見つけた!犯人は真奈美先生!」
ふぇりす「よくもあたしの道楽をー!」
突っ込んでくる2人にメグが立ちふさがる。
もも「メグちゃん・・・なんでそっち側に!」
メグ「先生には恩があるんだ、そう、限定スイートポテトをもらった恩が!」
「よって、ももちゃんを阻止するんだー!」
もも「負けないぞー!」
ふぇりす「2対1だー!」
すると3人は前に出て。
メグ「桜花流、錯乱術!」
メグは分身を5つ発生させた。
メグ「このうちのひとつは本物で、あとは蜃気楼だねー!」
「本物を見つければみゅーちゃんは返してあげます!」
ふぇりす「もも!頼んだ!」
もも「よーし!これだ!」
ももは右端を選んで突っ込んだが、すり抜けてしまった!
メグ「残念ですねー!」
「先生、場所を移しましょう」
真奈美「もう!ももちゃんったら、2人を独占してごめんなさいね♪」
もも「そんなー!」
3人はその場を後にした。
もも「そんな!右端を選んだばっかりに・・・」
ふぇりす「まだ負けたわけじゃない!」
「レオン君に連絡だ!」
もも「よーし!リベンジです!」
ももは急いでレオンに電話をかけた。
レオン「え?来てほしいって?誘拐?それは一大事!僕も加勢するよ」
15分後、レオンが到着した。
花畑の奥に入った3人を追撃するももたち。
そしてまた、3人は写真撮影を楽しんでいた。
そこにももたちが挑む!
もも「リベンジです!」
振り向く3人、すぐにメグが立ちふさがる。
メグ「何度来ても返り討ちにしてやります!」
するとレオンは。
レオン「桜花の術師はみんな美人だって言うけど、想像以上だよ」
「工夫が見られるそのロングヘアー、ツヤがあって美しい、髪飾りは特注だね」
「その帽子はおしゃれだし、制服風の衣装もかわいらしい、まるでアイドルのようだ」
「短めのスカートは君に合ってるし、隠れた努力があるソックスと磨かれた靴」
「こんなステキな女性はあまり見たことないな」
メグ「うれしいー!こんなこと言ってくれた男の子はこのひとだけ!」
「いいよー!お菓子の恩よりこっちの恩の方が重い、寝返り承諾!」
メグはももの方へ近寄り、加わった。
真奈美「えー!金髪少女ひとり占めはおしまい!?」
「2人ともありがとねー!」
もも「先生はみゅーちゃんとメグちゃんを独占したバツとして」
「みんなにみかんを配るのだー♪」
真奈美「それなら、家にいっぱいあるから、あとから取りに来てね♪」
ふぇりす「30個くらいもらうぞー!」
「全部ポケットに入れて、持ち帰るのだー!」
ミューズ「あふれちゃうよー」
6人で大笑い。
そしてももたちの勝利。
すると、そこへおまわりさんを連れたえとわーるがスターボードに乗って現れた!
びっくりしてももが事情を説明した。
おまわりさん「なんだ、3年ぶりに事件かと思ったら、早とちりはダメだぞ」
おまわりさんは困った顔して去って行った。
そして、この騒動は一件落着となった。
その夜、SNSは盛り上がり。
カメラモンスターSP.DX、真奈美先生の狂行はニュースと翌日の新聞に小さく出されることになった。
それを見た人から、先生の元に女子高生の写真や雑誌が届くようになったとのこと。
学者はこれを「金髪少女症候群」と呼んで、テレビで受けを狙っていたという。
次の日。
いつも通りの日常、にぎやかな友達。
それは爽やかな風を運び入れ、安寧の歌を奏でていた。
それは平穏という名の、大きな喜びをもたらし、人々は笑顔をこぼした・・。