第5話-協奏曲 第5番 ハ短調 Op.18-
それでは転校生を紹介します!
扉を開けると、1人の・・・ぬいぐるみ?
ぬいぐるみは黒板の前に立つと、自己紹介を始めた。
戸惑う生徒と先生。
桜花めぐみです!ソメイヨシノから転入しました。
得意技は・・・。
するとぬいぐるみが花びら的な爆発をして、ふんわり帽子にロング金髪の制服。
そう、桜花めぐみが飛び出した!
教室中が花びらでいっぱいになった。
生徒はめいっぱいの拍手をした。
桜花流!擬態爆破!
めぐみはくるっと回って、スカートを少し持ち上げ。
そのあと手を軽快に動かしダンス、そして紳士の挨拶のポーズをした。
ももたちは、目を輝かせながら、めぐみのマジック?を楽しんだ。
休み時間、クラスの子が一斉にめぐみ、通称メグの元へ駆け寄り、話しかける。
もも「おおっと!メグちゃんのファンなら、このももちゃん事務所を通してもらわないと♪」
生徒「わたしたちはメグちゃんの関係者よ♪許可なんていらないわ♪」
もも「そうきたか!そうなれば敗北を長引かせるのみ!往生際が悪い?」
「それきたっ!足にしがみつく、哀れなわたし、メグちゃんひとりじめは失敗だ♪」
するとミューズがメグのところへ来て、手を出す。
するとメグの髪に百合の花がいつの間にかくっついていた。
ミューズ「これからもよろしく!」
メグ「わぉ!変則性能率物理学!桜花流の簡易型!」
ふぇりす「そういえばみゅーちゃんそんなこと言ってたね」
えとわーる「マジックと物理学の融合ということは、両技親戚みたいものですね」
拍手喝采の教室、お昼もこんな感じで、放課後までガヤガヤしていた。
下校前のホームルーム前、先生がみかんをくれた。
もも「わーい!みかんだー!真奈美先生大好き!」
真奈美「近所でたくさん取れたから、生徒みんなの分もあるから、箱を置いておきますね」
ホームルームが終わり、生徒全員がみかんをもらって帰っていく。
ふぇりす「ここで食べていい?」
真奈美「ふぇりすさんにはこれをあげますよ♪」
ふぇりす「おー!おいしそうなみかん♪いただきまーす・・・?」
「中身が変だよ・・・」
真奈美「そういうみかんなんですよ」
ミューズ「それオレンジ!もう!」
メグ「ぷー!先生じょうだんおもしろいよー!」
もも「ひとつよれよれのものがあるね」
えとわーる「ぽんかんってものだと思いますけど」
ふぇりす「ダミー!?まさかのダミー!?」
「そうか!あたしを試したのか!勇者よ、このみかんはタダのみかんではない、見破ってみせよ」
「これはオレンジでございます、賢者殿」
「よくぞ見破った、それ、伝説の剣を与えよう」
えとわーる「そうではありません、これはきっと占いでしょう」
「今日の運勢、みかんで占いましょう、見事オレンジに当たったら、君は何やっても成功する一日、これはめでたい!」
チャイムが鳴る。
もも「オレンジはわたしが食べるよ、種が入っているから、道端にでも植えていこう」
メグ「この辺り案内してほしいよー!すぐに地元のアイドルになるからね!もう決定済み!」
もも「いいよ!ひと休みしたらこの町を案内するよ!」
学校から、仲良く下校。
5人は花林、そしていい具合に土の道路で整備された看板や標識がある綺麗な交差点で分かれていった。
メグ「さーて!休んだし、ももちゃんのおうちは地図によーると、このあーたり♪」
「集合場所は花壇公園だーかーら、ん?」
メグの歩いていく道に橋があり、看板があった。
「この道歩いてはならぬ!」
メグ「えー!これじゃ進めないじゃありませんかー!」
ミューズが後ろからやってくる。
ミューズ「メグちゃん、ここはこうすればいいの♪ついてきて!」
するとミューズは走って橋を通り抜けて行った。
あわてて後を追うメグ。
メグ「これはどういうことー!?」
ミューズ「この道歩くなって言っていたから、走ったまでだよ、走るなとは書いてないし」
メグ「なるほどー!むぅ!とんち・・とんちの一休さん、なかなかやりおる!」
2人で歩いていくと、今度は丁字路に「右折禁止」と書かれた看板があった。
右折しなければ公園には行けない、常識では直進以外に道はない。
メグ「むわー!!こうしてやるです!」
メグはまず直進し、引き返して左に曲がった。
ミューズははっとして同じことをした。
メグ「右折がだめなら、左折を成立させればいいんですー!!」
「もう何も怖くないですよー!!」
メグは手を飛行機のように広げて走って行った。
ミューズ「まってー」
ミューズは駆け足で追いかけて行った。
すると後ろからとんでもないスピードで走ってくるももが!
メグの2倍のスピード!それは100メートル11秒クラスの俊足!
集合場所に誰よりも速くつくと、後からきたメグにカメラを向けた。
もも「こんな綺麗な金髪!撮らなきゃ、撮らなきゃ!はぁはぁ!」
ミューズ「ももちゃんが狂った!?」
メグ「ももちゃんの家の距離とここの座標と時間を計算すると・・・」
「10分近く全力疾走しないと、イチバンにはなりませんよ・・・」
もも「DS走法、スピード、アンチパワー、テクニカル、これを使えば誰でも俊足!」
「ある芸術家はこの方法で素人でも3分間全力疾走が理論上は可能と判断した究極の裏ワザ!」
「慣れないうちはたまに転ぶのが難点ですが、誰にも負けませんよ!」
ミューズ「ももちゃんがパワーアップしてる!」
もも「今日のわたしは小桜ももMK-2です!」
ふぇりす「ならあたしはふぇりす-ICEファントム改だー!」
えとわーる「わたくしはえとわーるAIM-9Xなのですよ」
さらに2人が到着した。
もも「よーし!みんなついてこい!あの太陽に向かって走れー!」
ももはまた全力疾走を始めた。
ふぇりす「ちょ!誰かももを止めろー!」
4人はももを追いかけて行った。
脇を花で飾られた、石で作られた小道、それを進んでいくと、町の広場についた。
広場では画家や音楽家がちらほら見られ、人々はそれに興味をそそられていた。
もも「あっ!無料劇場でトルコ行進曲やってるよ!」
広場の片隅にある、サーカスドームのような建物の中から、音楽が聞こえる。
5人は中へ入って行った。
曲が終わり、次の音楽家が準備する。
もも「トルコ行進曲は、なんか疑問が入ってるね」
ミューズ「それとか、モーツァルトはヴァイオリン同士で会話させたり、変則的だよね」
ふぇりす「あたしは現代音楽がいいな、賑やかで」
えとわーる「夜にノクターンを聞くと、美しくて酔いますよ」
メグ「ショパンのノクターン、月が出てる日に聞くと、もう虜♪」
思い思いに音楽トークを楽しんで、音楽館を堪能した。
広場の横にある花に飾られた小川を見て。
メグがスケッチを始めた。
なんと大きめのスケッチブックと筆記用具を帽子から取り出した!
もも「えー!?」
メグ「あーこれ?物を凝縮してあるんだよー、そのための特製帽子だね」
ふぇりす「他には何か出せる?」
するとメグはスカートを少し持ち上げ、ジュースを2本ぽとりと出した。
メグ「他には・・・」
ポケットの中から、お菓子が大量出現、ブレザーの中からは野鳥図鑑が何冊か・・・。
メグ「まだ6か所あるけど、見る?」
もも「もう満腹!」
5人は大笑いして、他の場所を見て回った。
日が暮れてきた、5時の鐘が鳴り響く。
メグ「今日はありがと!また案内してね!」
もも「またいつでも!」
ミューズ「また遊ぼう!」
ふぇりす「もっと遊びたかったなー」
えとわーる「さようなら♪」
メグは小川が流れる土道路の交差点で別れ。
4人はその後に続いた・・。
月と星が見える、夜。
ミューズは「ノクターン(夜想曲)第2番 変ホ長調 Op.9-2」
を聞いていて、あまりの美しさに、携帯が鳴っているのに気づかず、音楽の世界に浸かっていた。
SNSのチャットでは、そのミューズ不在に関して、加熱報道を繰り返し。
翌日の登校時、こんなことをふぇりすが言うことになった。
ふぇりす「携帯なくしちゃったの!?」
ミューズは首をかしげて、加熱報道を訂正した・・。