第4話-誕生日!-
花畑の中、切り株の上でひとりの少年が楽器を弾く。
それに釣られるように1枚のスターボードが近くに着陸し。
女の子が歩いてくる。
もも「レオン君、もう少しメールに付き合ってよぉ!」
レオン「チャットみたいなメールは勘弁願いたいよ、メールって本来は手紙のようなものだから」
ももはレオンの隣に座った。
もも「こんなに女の子が近くにいるのに何も思わないの?」
レオン「男女はお互いに尊ぶべきもの」
「変な欲とやらでも入ったら汚れてしまうよ」
もも「好きなのはわたしだけ?」
レオン「みんな好きだよ、嫉妬を入れようとしているのかい?」
「自分だけのものにしたいと言う独占欲とやらか、いつも一緒になるのは真実に想うひとだけ」
「それに気づかずに嫉妬心をむき出すなんて、恋に対して失礼だと思うよ」
もも「わたしは大切にされているんだね」
レオン「もちろん、ではこの詩を送ろう」
空は見ていた、その人の苦しみや悲しみを。
空は知っていた、その人の頑張りや努力を。
そしてその人は空を見上げ、空を知ろうと立ち上がる。
そのあと、空はその人を青く包み、その大きさで励ました。
もも「空の励まし・・・?」
レオン「空は見ている、知っているのさ、ほら見てごらん、この晴れ渡った空を」
「こんなにも青い、綺麗な青空を見せてくれる、空は絶望を蹴散らす、たまに見上げると、包んでくれるよ」
「では一曲披露しよう、タイトルは青空の詩人」
レオンがギターを弾き始めると。
ももはうっとり聴き入った。
学校にて、放課後。
ミューズ「土曜日はわたしの誕生日なの!」
ふぇりす「なにー!」
「ではこうしよう、おい!みんなの、みゅーちゃんの誕生日だ!」
「ダンサーに音楽家、それとマジシャンを呼ぼう!」
「みんなで力を合わせてパーティを盛り上げるんだ、わっしょい!」
もも「なんということ!お祭りさながらのパーティ!」
「これはきっと前代未聞!みゅーちゃんは喜ぶかしら?」
ミューズ「この地方のお祭りは体験していないのよー♪」
「すごい!伝統的なお祭りがわたしを包み込む、これは夢なの!?これは夢なの!?」
えとわーる「ピアノなら弾けます、どんな曲でもがってんだー」
「おっとお祭りには見合わないですよね、ではわたしは他に役立つ方法を会得しましょうか」
4人は笑いながら、手を繋いで下校した。
もも「じゃあねー!」
3人と別れたもも。
もも「みゅーちゃんのためにアレをなんとしても!」
ももは真剣な顔つきだった。
土曜日。
そこには商店街へ買い物に出るももの姿があった。
もも「えーっと、桜のバッジ・・・ここかな?」
ももはバッジ屋に入った。
店主「おー!これはかわいい!おまけしちゃおうかなー?」
もも「桜のバッジください!」
店主「2万円だけど、あるの?」
もも「えー!?」
ももは驚いたが、ラベルを見て980円と書かれていたので。
目をバツにして店主に抗議した。
店主「いやーほんとだよ、つい2か月前までは」
「限定品だったんだけど、量産が決まって価格が大暴落したってわけさ、お嬢ちゃん運がいいね!」
もも「もう!これ買いますよ!」
ももは桜のバッジを購入した。
もも「みゅーちゃん桜のバッジを集めてるって言うから、限定品なら喜ぶはず!」
携帯を開くとミューズの家にある桜のバッジコレクションの写真が表示された。
もも「夕方のパーティまでまだあるから、家でくつろいでいよう!」
ももは帰宅して雑誌を読み始めた。
そのうちももは寝てしまった。
夕方、さてミューズの家に向かおうとしたが、プレゼントがさっきの場所にない!
あわてて探すが、見つからない!
あと1時間、必死に探すもも。
ふと、これまでの行動を思い出すと、1時間前に公園のベンチに座ったり、アイスを食べたりもしたが。
思い切って外に出て、探し始めた。
必死に探した、一生懸命だった、しかし見つからず、あと30分・・・。
ミューズへの想いは尽きようとしていた。
もも「そうするしか・・ないかな・・」
ももは目を閉じると、手を組んで、ひざまづき。
敬意を表した顔で祈った。
そのあと探し回っていたら、レオンのスターボードが見えた。
手をふるとレオンが降りてきた。
レオン「どうしたんだい?美しい顔が歪んでいるよ」
「いやきっと困ったことがあったんだろう、助けになるよ」
もも「友達にあげる誕生日プレゼントがないの!」
レオン「なんということだ!それは一大事!僕の全力を貸そう!」
するとレオンは目をつむると、何かを感じ始めた。
レオン「声がする、君の家の方だ、行こう」
もも「え?」
レオン「豊富な感受性を生かすとこういう声も聞こえるんだ」
もも「あと20分・・・」
レオン「オーケー、しがみついて、僕のスターボードは速いから」
もも「しがみついて変なこと考えたりしない?」
レオン「考えるって、なにを?」
もも「分かった、お願い!」
ももはレオンにしがみついて、スターボードは時速60キロで飛行した。
家についた。
レオンがさっさと家に入り、部屋の中の雑誌コーナーに目をつけた。
レオン「探し物はいつも意外なところにあったりする」
するとレオンが雑誌の山に手をつっこんで、中から紙袋を見つけ出した。
もも「あーこれ!」
するとレオンはももの手をとって。
レオン「あと10分だったね、乗ってくれ」
スターボードでひとっとび。
パーティー開始1分前でやっと到着した。
もも「ありがとう!」
レオン「人が困った時に助ける、当たり前のことをしただけさ、友人ならなおさら、じゃ!」
レオンは笑顔で飛んで行った。
チャイムを鳴らすと、ミューズが飛び出てきた。
ミューズ「ももちゃんいらっしゃい!」
ももはミューズに抱き着くと、そのまま家の中へ入った。
そこにはふぇりすとえとわーる、クラスの女の子たちがいた。
もも「では!みゅーちゃんの誕生日パーティを始めたいと思います!」
パーン!
クラッカーが鳴り響き、豪華な料理が姿を現した。
そしてプレゼントタイム。
みんなとっておきのプレゼントを用意していた。
もも「みゅーちゃん!受け取って!」
ミューズ「ん?これは!開けていい?」
もも「どうぞ!」
ミューズ「わぁ!桜のバッジ!わたしの好きな絵柄だ!ありがとー!」
ミューズはにっこり笑顔でももに抱き着いた。
ふぇりす「あたしはクラシック音楽集なのだー!」
えとわーる「わたしはおしゃれな帽子です!」
ミューズ「みんなー!ありがとう!」
みんなで満面の笑顔、パーティーは美で包まれているうちに過ぎ去っていった。
それは幸せの絶頂とも呼べる、奇跡の輝きだった。
次の日。
携帯で話す2人。
もも「メグちゃん1週間後に到着するの?」
メグ「そうなのー!よろしくねー!」
もも「それじゃあ歓迎会やらなきゃ、いや待てよ、おこづかいが無くなって破産しそうだなぁ」
「せっかくのメグちゃんの転校、いやぁごめん、カフェで一杯できなされん」
メグ「そりぁ友達を破産させたくぁない、歓迎会は形式だけで十分ですよー」
もも「なんということだ、友達の歓迎に水を差すとは」
メグ「子供の宿命、そんなに絶望しちゃあいけないですぜー」
「それならこうしよう、ももちゃんの家で一杯、これならどういたんした?」
もも「オーケー!子供は経済の問題がどうしても入ってしまう、申し訳ない」
メグ「おっとっと!そんな他人行儀はなしにしてもらおう、では1週間後会いましょう!」
2人は大笑いして、電話を終わると、ももは日記に書き留め。
1週間後のめぐみの到着を楽しみに、ベットにダイブした。