第2話-ひまわりの出会い-
よく晴れた虹がかかった日。
4人は周囲が花畑に囲まれた丘の上にあるこの町で一番綺麗な桜の木の下に集まった。
もも「今日は学校はお休みというわけで、ステラさんちに行きたいと思います!」
ふぇりす「おー!あの巨大ヒマワリ畑で有名なステラさん!」
ミューズ「巨大ってどのくらい?」
えとわーる「3キロ四方ですね」
ミューズ「すごい!これならミツバチさんは蜜をとり放題だね!」
「ヒマワリさん、今日も蜜を頂きにござんした、さて、どこから取ろうか」
「どれから取ろうか、手をあげてござんましょ」
もも「ミツバチさん迷っちゃうね♪」
ふぇりす「こんなのはどう?」
「どこのヒマワリから蜜をとるかサイコロで決めるとか!」
えとわーる「ヒマワリの数が多くて難しいですね」
もも「だからあそこのお花畑のように、好きなお花に行くんだよね」
ミューズ「だから手をあげた花のところに行くんだよ♪」
もも「じゃあサイコロで決めるとか?」
ふぇりす「ぶっ!会話の無限ループ!」
えとわーる「キリがありませんね」
もも「じゃあそろそろ行こうか、まずはいつものレンタルボード屋さんに」
4人は桜の木を後にした。
いらっしゃい!
オーナーが元気良く声をあげる。
もも「いつものやつ♪」
オーナー「了解!修繕済みだよ♪」
「ところでそこの金髪の娘、一緒に写真撮ってくれない?」
ミューズ「みんなで撮ろう!」
オーナー「ありがたい!これでまた10年分の借りだね♪」
5人は店の真ん中で写真撮影をした。
このあと4人はスターボードを借りると、隣のプチ飛行場から飛び立った。
ミューズ「遠い地方には電気を使ったスターボードが主流らしいけど」
「速度が出すぎたり、変に墜落したりしてたいへんらしいね」
えとわーる「電気を使わないスターボードが一番ですね」
もも「あっ!小川がある!」
ももは横目で小川を見つけると、見とれた。
ミューズ「見てみてー!」
ミューズはナナメに立つと、飛行速度がいきなり上昇した。
えとわーる「素晴らしい!サイドアクセルなんて!」
もも「サイドアクセル?」
えとわーる「スターボードの高等テクニックで、ナナメ移動の力も加えて速度をあげるんです」
「バランスのとりかたや、加減が難しくて、素人がやると墜落の危険もある高度な技なんですよ」
もも「すごーい!ミューズちゃんすごーい!」
ミューズ「だーかーらー♪ミューズじゃなくてみゅーちゃんって言って♪」
もも「じゃあみゅーちゃん!」
ミューズ「みゅーちゃんじゃなくてミューズって呼んで♪」
ふぇりす「おい!」
4人は大笑いした。
高度20メートルくらいを30分飛行して、4人はステラさんの家についた。
もも「あそこに着陸場所があるね、降りよう」
着陸地点が綺麗に整備されていた。
4人が歩くと、遠くからおばあさんが歩いてきた。
あばあさんは4人の元に来ると、1人1人抱擁して挨拶した。
ステラさん「ようこそいらっゃい、ヒマワリ畑でしょう?存分に見て行ってね♪」
もも「はい!ステラさん自慢のヒマワリ畑、堪能させていだきます!」
4人はヒマワリ畑に歩いて行った。
ヒマワリ畑の前に看板があった。
「この迷路を通り抜けられるかな?無花果レオンより」
「迷路の中にはお宝ものが用意されていますのでお楽しみください、ステラより」
もも「やってやるですー!」
ふぇりす「おお!これは挑戦!受けて立つ!」
ミューズ「でも挑戦を受けないことも大切だよ?」
ふぇりす「へ?」
もも「行こう!」
4人はヒマワリ畑に侵入した。
もも「分散してみる?宝物もあるし」
ふぇりす「さーんせい!みんなで探そう!」
ミューズ「わたしたち離れちゃうの!ずっと離れちゃうの!」
「そんなのイヤー!あなたと一緒にいたい!」
ふぇりす「なにそれー♪」
ミューズ「昨日見たドラマ」
もも「ぶふー!」
ももは大爆笑。
もも「では分散・・・ぶふー!」
4人は分散した。
ふぇりす「さて、宝物は・・ん宝箱?あれか!」
「さーて頂き・・あれ?」
「肩叩き券?」
「なんじゃそりぁ!」
ふぇりすはその場でひっくり返った。
ミューズ「宝物〜♪ん?あれは宝箱!」
「中身は・・・石鹸?有名メーカーのやつだ?」
「???」
えとわーる「宝箱はこれですね」
えとわーるは笑顔でフタを開けた。
「中身は・・・メモ?」
「君の笑顔が宝物さ!無花果レオンより」
えとわーる「キザですね・・・」
もも「宝物〜♪」
するとなんだか、ギターの音が聞こえてきた。
もも「なんだろー?」
そこまでたどり着くと、1人の少年が切り株を模ったイスに座ってギターを弾いていた。
少年「どうやら、君の宝物はこの僕らしいね」
もも「運命とでも言いたいのかナ〜?」
少年「導きと言いたいんだ、神の導き」
もも「それなら分かるよ、だって確信のようなものを感じるんだし」
少年「哀れにも好きかい?僕が」
もも「少なくとも好意に理由などいらないよ」
少年「それなら良かった、隣に座って一曲披露しよう」
ももは少年の隣に座ると、ギターを弾いた少年にみとれた。
もも「美しい・・・」
少年「おおっと!僕らの間には情は入れないようにしよう」
「情というものはいつも男女の邪魔者、本物の友情を求めるなら情など入れてはいけないよ」
そのままももはギターの音色に聞き入った。
ふぇりすが遠くから呼ぶ。
ふぇりす「ゴール見つけたぞー!」
少年「どうやら、そろそろお別れの時らしい、いや僕が悟ったんじゃない、自然が教えてくれたことだ」
もも「あなたの名前は?」
少年「無花果レオン、ふるーつによくいるタイプの詩人さ」
もも「また会いたいな」
レオン「言っただろう?これは導きだって、僕らとの間には友情がある、それは僕らを再び引き寄せる」
「ただ、これはやっておいたほうがいいな、メアドの交換くらいは、努力なしに得られるものなどないから」
2人はスマホと携帯の中間のようものを取り出すと、その機械をお互いに向け、音が鳴った。全部の登録が完了だ。
ももはレオンをじーっと見つめている。
レオン「おっとっと!そこの熱しやすいお嬢さん、コントロールを失ったハートは情に向かうのみ」
「情だけが男女関係ではないんだよ、では危険が及ばぬうちに僕も立ち去るとしよう」
レオンはヒマワリ畑の奥に去って行った。
ももはしばらくするとふぇりすの方へ向かい、ゴール地点でミューズとえとわーるを指揮した。
もも「そこの角を右折!そこを2か所直進!」
ももの指揮はすばらしく、簡単に2人はゴールにたどり着いた。
ミューズ「楽しかったー!」
ももはヒマワリ畑の方をじーっと見つめていた。
ふぇりす「どうしたの?恋でもした?」
ミューズ「さては、ももちゃんすごい宝物にたどり着いたね!」
「なんという財宝?教えて!」
もも「恋しちゃったかも・・?」
ももはミューズの方へ向いて顔を赤くした。
ミューズ「え?わたしの方へ向くってことは・・・相手はわたし!?」
ミューズは顔を赤くした。
ミューズ「だめー!女の子同士で恋だなんて!」
「そんな男の子が喜ぶシュチュエーション、これはお芝居じゃないんだよー!」
「いや、お芝居なら役を演じるまで!さぁ来て!ももちゃん、名役者みーちゃんが相手だよ!」
ももはため息をつくと、とぼとぼ帰りの開けた道を歩き出した。
ふぇりす「あーお年頃ってやつ?」
えとわーる「相手はあの人ですかねー?」
ミューズ「あれ?わたしじゃないの!えー!?」
ミューズは頭をかきむしって、くるくる回転した。
ステラさんのおうちでお茶をいただいた。
ステラさん「ももちゃん、レオンに会ったのね」
もも「ギターを弾いてもらいました、はぁー」
ステラさん「あの子、本当に気に入った女の子にしかギターを弾かないから」
もも「好き・・・」
ステラさん「人を好きになるって大切なことよ、でもももちゃんはまだ若いわね」
「心に恋の炎が燃えちゃってて、やっぱり若いってステキね!」」
もも「好きでしょうがないんです」
ステラさん「想っていなさい、大切な初恋だもの」
ふぇりす「ひゃーすごいことになった!」
えとわーる「ももちゃんが恋なんて、美しい!」
ミューズ「憧れるー!」
ステラさん「ほら、クッキー焼けたね、召し上がれ♪」
4人はお茶を堪能し、雑談は1時間続いた。
帰りの飛行中、青い色のスターボードを見かけた。
それは近くに来ると、乗っていた少年がウィンクした。
そのまま彼は去って行った。
ももはにっこり笑顔でこれを見送った。
ふぇりす「誰だろう?もものファンかな?」
ミューズ「すごい!ここら辺にもももちゃんのファンが・・」
「ももちゃんはアイドルという頂点まで駆け上がっていく・・・」
「わたしなんか!もう取り残されたよー!」
ミューズは笑いながら喋っていた。
そして町に着陸した。
もも「ではもう6時だし、解散!」
全員「イエッサー!軍曹!」
もも「そんなの何千年前のネタなのー♪」
4人は笑顔で解散した。
夜、日記に書き記したもも。
笑顔で窓の外を眺め、端末を操作してメールを送り。
ぬいぐるみを抱きしめて就寝した。
その心は光で満ちあふれていた・・。