わたしの宝物。


朝霧がほんのりやさしく包む。

淡い色のヒマワリ畑の開けた場所にももちゃんとれおん君がふたりきり。

小鳥のさえずりが、こだまする。

ももちゃん☆
「覚えてる?初めて会ったときのこと。」

れおん君☆
「運命な出会いだった、ももちゃんに熱情で追いかけられたのも。」
「初めてだったよね。」

ももちゃん☆
「古傷をえぐらないでぇ〜。」
「もうあんなに子供じゃありません!」

れおん君☆
「おおっと!お詫びにヒマワリのホットミルクでもいかが?」

ふたりは背中合わせに飲み物をいただく。

ももちゃん☆
「でも、まさかあんな妄執に憑りつかれるなんて。」
「恋に対する理解を怠ったんだね、わたし。」

れおん君☆
「あの熱情、妄執、ももちゃんを縛る鎖。」
「野性という名の獣の贄になったら、人ではない。」

ももちゃん☆
「じゃあ、久々にギター聞かせて。」

れおん君☆
「OK、僕も気分だ、存分に語ろう。」

れおん君は切り株の上のギターをエレガントに座り演奏を始める。

ももちゃん☆
「れおん君、ドの音が少し前すぎない?」
「空洞の真上で弾いてみれば?」

れおん君☆
「僕も思っていた所だ、響きの音質が少し低下気味だ。」

しばらく弾いていると、隣にいたももちゃんがいないことに気付いた。

れおん君☆
「マイハニー、ちょうど4時の方向15メートル。」

と発言した瞬間、切り株に残された時限信管が発動して。

爆竹が破裂した!!

れおん君☆
「んん!?フェイントか・・・・。」
「そっちに音がするか、そこにいるのはわかってるよ。」

ももちゃん☆
「なに言ってんの?れおん君の真後ろだけど?」

れおん君☆

「どういう技か、ももちゃんの本来のスキルかな?」

ももちゃん☆
「キスしたい!!」

れおん君☆
「なんのじょうだん?」

ももちゃんはれおん君に近づき、少し驚いた様子のれおん君の左手に。

紳士のようにキスをした。

ももちゃん☆
「ぷっぷ〜!!」

れおん君☆
「やられた・・・。」

れおん君は頭を少し右手で抑えた。

うっすら微笑むももちゃん。

少しにっこりしているれおん君。

そこに蝶々がももちゃんの指に止まった。

ももちゃん☆
「この光を昔からみんなで守って、繋げてきた、だからふるーつはこんなにも。」

れおん君☆
「素敵な星。」

ももちゃん☆
「だからわたしは、それを守りたい。」

れおん君☆
「僕も、みんなも同じさ。」

ももちゃん☆
「れおん君との、ひとときも、友情も、わたしの宝物。」

れおん君☆
「僕とももちゃんは、ベストパートナー。」

ももちゃん☆
「志を共にする男女、わたしと将来は婚儀を結んでくれますか?」

れおん君☆
「友情を結ぼう。」
「恋は溺れるのみ、友情は優しさと強さ。」

ももちゃん☆
「わたしの光によって照らされるひまわりの朝霧。」

れおん君☆
「僕とももちゃんは自分を救った、僕達は存在しよう、母なるふるーつと共に。」

ももちゃんとれおん君は若干横向きで、頭をお互いに添えた。

ももちゃん☆
「まだお互い未熟、わたしは自分を確立させなきゃいけない。」

れおん君☆
「僕もさ、互いに求め合うんだ、真理を、人を。」

ももちゃん☆
「また会いましょう♪」
「次はケーキを持ってくるね♪」

れおん君☆
「ブラボー!お手製は好みさ!お手並み拝見と行こう!」

ももちゃん☆
「想像以上にしてあげる!」
「じゃあ、これから図書館で博識を得る予定だから、行くね!」

れおん君☆
「さようならは言わないよ、また会えるからね!」

ももちゃん☆
「桜花流!幻惑移術!」

ももちゃんが一瞬で爆発して煙に包まれると。

ヒマワリの花びらが飛散し。

ももちゃんの残像がしばらく残り、煙が消えると。

ももちゃんの姿はすでになかった。

その足元には、ヒマワリの種が散乱していた。

れおん君は上機嫌でギターを弾き始めた・・・。

朝霧に、淡い音色が響き渡り。

青空には虹がかかっていた・・・。